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1955-05-10 第22回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十日(火曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            成瀬 幡治君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            植竹 春彦君            小野 義夫君            木村 守江君            佐藤清一郎君            堀  末治君            安井  謙君            吉田 萬次君            片柳 眞吉君            小林 政夫君            中山 福藏君            溝口 三郎君            秋山 長造君            湯山  勇君            曾祢  益君            田中  一君            松浦 清一君            石坂 豊一君            深川タマヱ君            武藤 常介君            千田  正君            八木 幸吉君   政府委員    経済審議庁次長 石原 武夫君    経済審議庁調整    部長      松尾 金蔵君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    日本専売公社監    理官      宮川新一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度特別会計予算(内閣送  付)(予備審査) ○昭和三十年度政府関係機関予算(内  閣送付)(予備審査)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより委員会を開会いたします。  本日は経済審議庁のほうから説明を聞きたいと思います。経済審議庁松尾調整部長
  3. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 三十年度予算との関係もございますので、お手元配付いたしております昭和三十年度経済計画大綱について私から御説明を申し上げたいと思います。  ここにとりまとめております大綱は、前に一月十八日の閣議の了解を経まして公表いたしました「統合経済六カ年計画構想」に基きまして、その初年度としての本三十年度経済目標とその姿を想定をいたしまして、且つその目標達成のための政策につきまして基本的な考え方をとりまとめて示したものでございます。従いましてこの構想の組立て方なりあるいは考え方というような点におきましては、従来経済審議庁におきまして策定いたしておりました年々の、いわゆる経済見通し、あるいは経済観測というようなものとは、かなりその趣きを異にしておるものであります。この内容の詳細につきましては、このお手元資料によりまして後刻またお読みとり願いたいと思いまするし、特にこの政策面の問題をこの資料の前半にかなり詳しくうたっておるわけでありますが、これらの点はすでに経済審議庁長官の演説にもそのおもな点は述べられたところであります。従いましてここではこの配付資料につきまして、この資料の九ページに掲げられております主要経済目標計数を中心といたしまして、なお、あとの十七ページ以下に参考附表としてやはり計数を添付しておりますが、これらの点の計数を主として要約的に御説明を申し上げたいと思います。  まず三十年度経済活動規模を示します一つの目安といたしまして、国民所得あるいは国民総生産及び総支出、これらの経済指標増加成長想定をいたしまして、いわゆる国民経済バランスを試算いたしたのでありますが、その国民総生産はこの表のまん中やや上段に掲げておりますように、本年度七兆五千五百九十億円、前年度に比べまして二・六%の上昇を示すものと考えられるのであります。これは後ほどまた御説明をいたしますが、分配国民所得における約二%の増加と相関連する姿を示しておるものでありますが、国民所得内訳等につきましては、後ほど御説明をいたしたいと思います。この総生産に見合いますところの国民支出でございますが、この国民支出の中におきましては、その大半を占めますところの個人消費支出動きと、さらにまた民間資本形成をどのように予定するかということが特に重要な点でございます。これもこの表に掲げておるわけであります。その個人消費支出につきましては、経済再建のための資本蓄積あるいは貯蓄増強というような政策的な見地からいたしますれば、能う限りその増加の少いことが、その見地からは望ましいわけでありますが、しかし片方にこの表の上段に示しておりますような人口増加が一・二%ありまするし、また一人あたりの名目的な個人消費増加を考えてみましても、やはり若干の、せめて一%程度名目的な個人消費増加も見なければならぬでありましょうし、こういう点を反映いたしまして、個人消費支出は前年度に比べまして、約一千億円の増加比率にいたしまして二・三%の増加という計算をいたしたのであります。これに対しまして民間資本形成の額でございますが、これは経済基盤の強化のためにも、望ましい生産施設増加、あるいは個人住宅建設、あるいは所要の在庫の増加というような点を見込まなければなりませんので、これは前年度に比べまして約千三百億円程度の、増加比率にいたしまして、一一・六%の増加比率をここに想定いたしております。  このような経済規模におきまして、これを支えますところの生産水準について御説明をいたしますと、まず鉱工業生産動きでございます。これは御承知のように、昨年度は、いわゆる引き締めの年と言われたのでありますけれども、なお、輸出好調等関係もございまして、一・二%程度上昇を示しております。本年度におきましても、当然雇用機会増大のためにも、あるいは経済自立等の要請からいたしましても、できる限りさらに生産上昇期待いたすのでございますが、しかし前に述べましたような国内消費、あるいは投資の動向のほか、のちに申しますような国際収支関係で、輸出増大への努力をいたしますけれども、片方特需かなり大幅な減少を見るであろうという情勢を反映いたしまして、海外への需要動きも合せて考えなければならないわけであります。これらの内外有効需要という点から判断いたしますと、勿論前年度に比べて有効需要増加はあるのでありますけれども、そう大幅な増加ということには必ずしもならないのではないだろうかというような見地からいたしまして、本年度鉱工業生産水準は、前年度に比べまして、この表にございますように、一・五%程度上昇、九−十一年基準で指数を見ますと、一六五・八という程度生産上昇を予定いたしたのであります。  その次の欄に農林水産生産水準を掲げておりますが、これは気象条件等に非常に影響されるわけでございますが、一応これを平年作並みのものと仮定をいたしまして、ここにございますように、一応三・六%程度年度に比べての増産を想定いたしたのでございます。  このような生産消費、あるいは内外需要というようなことのほかに、本年度には、引き続きましてやはり健全財政健全金融の線の上で判断をいたすわけでございまして、これらの関係から本年度物価動向について判断をいたしますると、今後の物資需給関係はまず一般的に申しますと軟調に推移するものと想定をいたしたのであります。この表に掲げておりますように、卸売物価におきまして三十年度を通じて前印度に対する年度間平均比較をいたしまして、約二%程度低下期待できるものといたしたのであります。またその下の欄にCPIと掲げておりますいわゆる消費者物価につきましては、これも前に述べましたような食糧あるいは農産物等供給増加が、気象条件が許しまして、供給増加が予想されることに対しまして、片方個人消費増加名目算定をいたしますと、まず一%程度にとどまるものと考えられまして、これらの観点から消費者物価もやや軟調が予想されると思うのであります。このような判断に基きましてここに掲げておりますように二十九年度、前年度を一〇〇といたしまして年度間平均比較をいたして見ますと、本年度九八・三、すなわち年度間平均比較で一・七%程度低下を予定いたしたわけであります。なお、このような消費者物価低下を考慮に入れて見ますと、前に申しました個人消費名目的な消費水準実質消費水準に直して試算をいたすことができるわけでございますが、これによりますと、ここに掲げておりますように実質におきましては前年度に比べて消費水準が二・八%の上昇というふうに算定をいたしたのであります。  次に雇用関係でございますが、この雇用関連いたします人口、総人口あるいは労働力人口計数動きはこの表の上段の方に掲げておるわけでありますが、ここで御覧になりますように、本年度において新たに加わる労働力人口は総人口増加比率を越えておりまして約二・一%の労働力人口増加、絶対数に直しますと八十万をこえる労働力人口増加が推定せらるるのであります。このような状況に対しまして雇用就業機会増大をいたしまして、これを吸収するためのものといたしましては、前に述べましたような、まず生産上昇であります。さらにまた住宅建設等関係もあるのでございますが、さらにこのような経済活動上昇に相対応いたしまして増加いたします商業部門あるいはサービス部門への就業者増加相当期待はできると思います。しかしそれでもなおこのような新たな労働力人口増加を考えて参りますと、そのまま放任をいたしますと、やはりかなり失業者増加を免れないのではないかというような事態にあると思われるのであります。従いまして当然ここには過渡的な措置として、本年度におきましていわゆる失業対策事業が実施されなければならないわけであります。これらの点は本年度予算に組まれております対策の有効適切な実施によりまして、三十年度におきましても終極のいわゆる完全失業者の数はここに掲げておりますように昨年度平均完全失業者の数である六十三万人の程度よりも増加せしめないように措置することを期しておるような次第であります。なお、賃金につきましてはその上昇は本年度中を通じて前年度に比べますれば僅かな上昇にとどまるものと想定をいたしました。  以上申し述べましたような生産物価雇用、賃、金こういう指数動き、これらの変動指数を見まして、すでに二十八年度、二十九年度における分配国民所得推定実績がすでに出ておるわけでありますので、そのような実績ないしは推定実績の上にこれらの経済指標変動を織り込みまして、三十年度分配国民所得推計をいたしたわけであります。これがこの表に掲げておりますように、本年度におきまして六兆三千二百三十億、これを二十九年度推定実績の六兆一千九百七十億円に比較いたしてみますと、二%程度増加と相なるのであります。国民所得内訳は十七ページの下の半分のところに、第二表に掲げております。この内訳について御覧になりまするように、総額におきましては名目的に二%の増加を示しておるのでありますが、その中でもやはり勤労所得増加労働力人員雇用等増加を反映いたしまして、ほかの部門伸びよりは比較的大きな伸びを示しております。この表で見ますように、勤労所得増加は前年度に比べまして二・七%ということになりまするし、また国民所得全体の構成比の中に占める率におきましても、約五〇%に達しております。これに対しまして一般経済影響等を反映いたしまして法人所得は二十八年度から二十九年度にもかなり低下いたしておりますが、本年度におきましても若干の低下を続けるであろうというふうに予想されるのであります。  なお最後に、このような国内経済活動につながりまして、貿易及び国際収支関係について御説明を付言いたしておきます。これは前の表の下の方の欄あるいは詳しくは十八ページの一番下の欄にも掲げておるのでありますが御承知のように二十九年度における輸出の伸張は非常に目ざましいものがあったのでありますけれども、その原因を分析いたしてみますと、かなり特殊の要因に支えられたと見られる点もあるようでありまするし、また最近における輸出競争の激化の趨勢等を考えてみましても、三十年度輸出を、今後相当輸出努力をいたしてみましても、前年度に比べてそう大幅な輸出増加かなり期待がむずかしいのではないかというふうにも考えられるのであります。これをかなりまあ比較的固く想定をいたしますと、十六億二千万ドル程度輸出ではないかというふうにも考えられるのでありますけれども、しかし六カ年計画想定いたしました輸出目標に到達することのためにも、あるいはまた経済全体の活動成長の足場を輸出増大に置かなければならないという考えからいたしましても、本年度輸出目標といたしましては、あらゆる施策を前提といたしまして、やはり十六億五千万ドル程度にはぜひ必要であるというような観点から、ここに十六億五千万ドルという輸出金額目標として掲げたのであります。前年度に比べて約五千万ドル程度増加になるのでありますが、これに対しまして輸入関係は二十九年度中における手持原材料への食い込みというような点も考慮いたさなければなりませんので、これは前年度に比べまして一億二千万ドル程度増加を予定いたしました。ここに掲げておりますように一応十九億一千万ドルを予定いたしておるわけであります。他方特需減少傾向は、最近の状況を見ましても、本年度かなり減少を覚悟いたさなければならないという観点から、三十年度四億二千万ドルの特需を見込みまして、これに一般貿易外収支等をあわせて推計をいたして参りますと、三十年度国際収支は、一番下の欄に掲げておりますように、名目では五千三百万ドル程度黒字、しかし片方にユーザンスによる支払繰り延べ増加がありますので、それを差引きまして実質で考慮いたしてみますと、カッコ内に掲げておりますように、二千三百万ドル程度黒字にとどまるものというふうに予想いたしたのであります。これを三億四千万ドル程度の前年度黒字比較いたしますと、本三十年度におきましては、片方輸入増加におきましてやむを得ない輸入増加が一億二千万ドルありますることと、特需減少が先ほど申しましたような比較で一億七千万ドル程度特需減少、この二つがマイナスの要因として響いてくるわけでございます。しかしそれでもなお輸出努力によって最終的には収支バランスをとり、若干の黒字期待する、こういうふうに国際収支目標を立てたような次第であります。  以上計数の要点についての大略でございますが、三十年度経済目標計数の御説明を終ります。
  4. 館哲二

    委員長館哲二君) きのうお話申し上げましたように、三十年度予算とそれから経済見通しというような問題で一ついろいろ御審議を願ったらどうかと思います。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと資料ですがね、前に暫定予算審議するときに実は要求しておいたのですがね、それは「総合経済六カ年計画構想というのが今配付になりましたが、この三十年度予算検討する場合に、この資料では当てにならない。これは高碕長官自身も言われたわけです。この備考に「本構想は中間的に取りまとめた試案であって、今後の検討により目標数字その他の点については変更があるものとする」、こうなっていますので、その中間的にとりまとめたものでないのを出してくれということになっていた。それがまだ出ていないのです。それとですね、一番重要な点は、防衛計画との関連が全然ないのですよ。これでは何ら役に立たないと思う。その点は前に念を押して要求しておいたのです。それをいつころ出していただけるのですか。その点をまずお伺いいたします。
  6. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) ただいまお話のございました前のほうの、たしかあのとき年次計画というお言葉であったと記憶しておりますが、この点は当面三十年度の今の目標計画に移りまして、三十一年、三十二年度と、後年次のものを、目標といいますか、という意味で今検討いたしておるところであります。実はまだその検討を終えておりませんので、早急にというので、先般来その成案を急いでおります。目標関係で、実は二十九年度実績がその後にだんだん確定して参りました。そういう関係で若干の計数目標の異同はあるかと思いますが、でき次第提出するようにいたしたいと思いますなお、防衛計画との関係は、これはいわゆる防衛計画というものそのものが私どもまだ最終的のものができておるというふうには承知いたしておりませんので、その意味から申しましても、六カ年計画関係はやはり今後に調整の問題としては残るというふうになるのではないかと思いますが、まあ計画としてはっきり確定したものには今のところまだ十分できていないという状況でございます。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十一あるいは三十二年の計画作業をなしておられると思いますが、防衛計画を織り込まないで作業をやっても、実際には意味がないのじゃないか。おそらく経済審議庁は最初のこの案をお作りになるときは一応防衛計画は除くというよりも、大体現状維持程度として作業をしたと思うのですが、しかしその後やっぱり不足なので、防衛計画を織り込んで作業をやっているはずです。また、やらなければならんと思うのです。もしそれなくしてやっているのなら、非常に手落ちでありますから、至急防衛庁のほうにあなたのほうから連絡して、私のほうからも委員会でまた要求はいたしますが、その防衛計画との関連においてこの自立計画というものをわれわれに示してもらわないと、非常に何といいますか、具体性を欠くと思うのですね。何か机上プランみたいなものを審議しているようなことになるのですよ。この点しかしやっておられるのじゃないのですか。やっているけれども出せない、こういう意味じゃないですか。
  8. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 年次別計画と申しましても、その内容をどれくらい具体的に積み上げたきちんとした、いわゆる実行計画と言えるかどうかという点はかなり問題があると思います。まして今の御指摘のありました防衛計画そのものが不確定な状態にあるのでありますから、おそらく木村先生のおっしゃっている意味の織り込み方というのは、まあほとんど不可能に近いのじゃないかというふうに考えておりますが、なお、今検討中でございますので、内部でもよく相談をいたすようにいたします。御了承願います。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃもう一つ具体的にお尋ねしますが、今「昭和三十年度経済計画大綱」について御説明ありましたが、これは今度の防衛庁の費用が八百六十八億になる、それから予算外国庫債務負担行為金額が百五十億になる、そういう前提で作られたものじゃないと思うのです。その前にこれは作業されているわけです。その後アメリカとの折衝でああいうふうに防衛費が変るでしょう。変れば当然またその影響がいろいろ出てくるわけですね。違ってくると思うのです。更にまたこの長期計画についても、今度の日米共同声明を見ましても、将来相当、あれで行けば防衛費はふえてくる。そうしますと、この総合六カ年計画これ自体相当やはり修正しなきゃ意味をなさないと思うのです。これは御承知のように大体三十五年千五百億くらいの防衛費と一応なっておるわけですね。それに賠償を入れて千八百億になるのでしょう。とてもそんなことでおっつくはずないですよ。これはただあなたを苦しめるのではなく、実際問題として、経済自立完全雇用を達成するために、こんなペーパープランじゃだめなんですよ。ですから、防衛計画と真剣に取り組んで、それを織り込んでみると、おそらくきっと、今度逆にこんな多額の防衛費は組めないという結論に私はなると思うのです。まだ作業をおやりにならないからそんなのんきなことを説明できるのだと思うのですが、それをこれから僕は真剣に取り組み、作業をやらなきゃいかんと思うのです。殊にジェット機なんか作る。それはたいへんな防衛費になるのですね。そういうことを早く織り込む作業をやってみないと、そうしないと、ただ防衛費をのけて、こういうペーパープランで、何だか選挙用としてはいいけれども、実際国民ほんとう自立経済完全雇用を達成する場合、防衛費との関係をもっと深刻に考えなきゃならない。ほとんどもうこれじゃ意味なさないということが、この間のアメリカとの防衛費折衝でわかってきているのです。ですから少くともこの程度でいいから、昭和三十五年の千八百億、賠償費を入れて千八百億というような、ああいう防衛費前提で作られているのですから、これは根本的にまた防衛費を織り込んだら組み直さなければならないものだと思う。相当これは予想が変ってくると思う。そういう作業ほんとうはやらなければいけないのじゃないですか。ですからどうしてもこの過程において、あなたの方からも防衛庁の方で一応防衛計画を固めなければできない、意味ないじゃないかということを、あなたの方からも要求されるのが当りまえだと思うのです。で、私は当然、そういうものを織り込んだものが出てくると思ったら、前と同じ刷りものが出てきているでしょう。それで、あなたも前のあれはいろいろと御存じだろうと思うのですがね。これではあまり、参議院の予算委員会だから、いいかげんでいいだろうと、どうもそういうようなことで出されているような感じがするのですよ。われわれ相当ばかにされたような印象を受けるのですよ。そういう意味でもう少し足しになるようなほんとう審議の足しになるような予算を出していただきたいと思うのです。
  10. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ちょっと関連して。今の木村さんの御質問と大体私も同じ趣旨なんですが、まあ大臣がいるのじゃないから、事務当局から事務当局の意見を質しておきたいと思う。いろいろ今説明があったが、防衛計画ができていないから、本来なら当然六カ年計画を入れるべきであるが、できてないからやむを得ずそれを省いて、防衛生産というものを省いたきわめて不完全なものであるが、ここに作って出したというのか。これは政治的じゃないのですが、事務当局にはっきり聞いておきたい、その点どうなんですか。できてないから、やむを得ず防衛生産というものを全然のけて、不完全なものであるが、防衛生産をのけた経済六カ年計画というものを出して示したものであるか。その点だけは事務当局もはっきり言えると思うが、その点はっきりしていただきたい。
  11. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お答えをいたします。先に政府が発表いたしました「総合経済六カ年計画構想」というのは、いわゆるわが国の将来の経済的な自立雇用問題の解決というようなことで、いかなる経済規模に将来六カ年の間に持っていけば、今申しましたような問題がほぼ解決できるかということからいたしまして、その構想ということで取りまとめたものでございまして、その段階で一応、発表になっておるわけであります。従いまして六カ年計画自体といたしましても、まだもちろん完成をしているものではございません。それで、その構想に基きまして、さらにこまかく今経審といたしましては関係の各省とも連絡をいたしまして、六カ年計画自体完成と申しますか、そういう作業を今やりつつある段階でございます。それで今お尋ねの防衛計画との関係は、もとより六カ年計画完成いたしますまでには、その中に大綱としては当然織り込むべきものだと思っております。防衛計画自身につきましては、いろいろどういうふうな装備をするとか、どういうウエイトでその防衛計画を作るかというようなことにつきまして、細部にわたりましては、これはもちろん防衛庁がお作りになるわけでございますが、経済全般の関係からいたしまして、経済力との関係からいたしまして、どの程度のものが防衛力の方にさかれるかという点は、六カ年計画調整は当然必要だと考えております。今後この計画完成する際には、防衛計画等もにらみ合せまして、その調整のとれたものにしていく考えでございます。ただ先ほど申しましたように、現在の段階では防衛計画自身がまだ固まっておらんようでございますし、われわれの作業が目下進行中でございますので、両者あわせて完成するように今後進めていきたいというふうに考えております。
  12. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ちょっと今の答弁で聞いておきたいのですが、そうすると、防衛計画ができてないから、今のあなたの説明なんですが、そうすると、この六カ年というのは長過ぎるじゃないか、中に織込む、できたら織込むというのは、六カ年も作っておいて、そうすると、六カ年のうちの半年かそこいらは防衛計画ができないうちは、それでいいかもわからんけれども、その先は全然不完全きわまるものだということになる。この点はどうなんですか。六カ年ですよ、この計画は……。
  13. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 今お尋ねの趣旨があるいは十分のみ込めません点もございまして、ただいま答弁が食い違っておりましたが、お答えをさせていただきたいと思いますが、先ほど申しましたのは、この計画が六カ年でございますので、防衛の方の計画も長期、これは六年になりますのか五年になりますのか、最終的には私もよく承知しておりませんが、長期の計画をとにかく作るということになっておりますので、その間に、同じ年次の間につきましては調整をいたしていきたいという考えでおります。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点聞きたいのですが、そうすると、防衛計画ができたら、この中に織り込むというわけですね、あなたの方は、経済審議庁は……。で、審議庁の方はどの程度防衛生産があるべきだという考えは持っておるのですか。
  15. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お答えいたします。防衛計画を織り込みますと申しましたのは、全体の規模としてですね、防衛の規模ということで考えるので、どの程度の防衛力というような大きな金額と申しますか、そういうところで織り込むので、こまかい内訳はこの計画の中に織り込むつもりはございませんが、その他の一般経済との関係がございますので、そういう大ワクでは考えるという趣旨でございます。で、この際、これを作ります際に、われわれのほうの立場から申しますると、先ほど申しました六カ年計画の目的といたしておりまするところと、防衛の方の御要求もあることと思いますから、その辺の調整も考えなければならんわけでございますが、ただわれわれといたしましては、防衛力にさき得るものは、やはり経済の伸長と申しますか、発展に応じて織り込むということで、防衛の方の仮に御要求が非常に多くても、他の経済面との調整を図らなければならんということで、そういう立場で一つ調整をしていきたいというふうに考えます。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 委員長、もう一点聞いておきたい。そうすると、防衛計画を、今年の中頃か、予算中か、それは知りませんが、できたら、これは根本的に違って来るでしょう。今さっき説明された数字なんか根本的に違って来るでしょうが、この点はどうですか。
  17. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 先ほど私おりませんでしたので、詳しく御説明申し上げたあれを承知しておりませんので、まことに恐縮でございますが、六カ年計画構想ということで発表いたしております数字がございまするが、それの細部につきましては、今後細部の検討を加え、作っていくということにしておりますので、われわれといたしましては、もちろん今後検討していきます際に、先に発表いたしました六カ年計画自身もあるいは変る場合が、その他の理由によってあると思います。これはこの前の発表いたしました計画自身につきましても、さような点を註として書いてございますが、いろいろな意味であの計画が全然変らないということではないと思います。今私どもの方も作業いたしておりますが、最近までに、すでに二十九年度実績がはっきり出ております。あの当時作りました二十九年度の数字がはっきりできて、従って三十年度計画というのもお手元にございますように、最近きめておりますので、相当元のデーターが変っておるというようなことからいたしましても、計画自身もある程度計数の相違が出て来ると思いますが、ただ防衛計画との関係におきましては、われわれとしては大体経済伸びに応じて考えていくというので、その関係から非常に大きく今のところは狂いはないようにいたしたいというふうに考えております。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私がまあ伺いたい一番の根本は、今あなたの御答弁になった、大体まあこまかい防衛計画内容は、これはまた防衛庁に聞けばいいのですけれども、経済審議庁の立場として、あまりにたくさんの防衛費の要求があった場合、日本の全体の経済の、総合的に考えて、その発展を図る場合に、それは調整しなければならぬ。その点はわれわれ非常に重視しているのです。また、この六カ年計画は、いろいろわれわれ作業しない者は勝手な議論を加えましたけれども、作業自身としては非常によくできたものだと思っております。これは非常に実は高く評価しておるのです。しかしこれによりますと、やはり防衛費はそんなにたくさん組めないという構想になっておるのです。ところが実際は防衛費が非常に多くなる可能性が出てきておるわけです。そこでどうしてもその防衛費を織り込んで、これをもう一度よく作業し直してもらいたい。そういうふうな実はむしろむちゃくちゃに防衛費がふえると、三十五年度経済自立完全雇用もできないということになるので、防衛費をやかましく言うておるのです。そういう意味で、防衛庁の方に早く防衛六カ年計画を示せ、これを早く求めなかったら、せっかくあなたのほうでいい作業をしているのがくずれちゃうのですよ。それで今後の作業の仕方は、今私はあなたの御答弁で一応意を強くしたのですが、防衛庁のほうでこれだけ要求するから、はいといってそれを織り込んで、これをまるまるやるのじゃなくて、防衛庁の方が出てきたら、それは総合的な立場で無理だ、こうしなければいかぬという立場でおやりになるように……。それで大体大きく見て、防衛費国民所得の何%くらいに押えるつもりであるか、その点どのくらいに押えて作業しておりますか、大体でいいですから。
  19. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) ただいまの問題は、防衛の今後の漸増と申しますか、方針の根本に触れる問題で、われわれ事務当局がお答えすべき問題でないと思いますが。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 事務的に。
  21. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) あるいは大臣からお答え願ってしかるべきだと思いますが、ただいませっかくお尋ねになりましたので、一応の考えを申し上げたいと思いますが、一つこれが責任ある答弁だというふうな意味でなくおとりを願いたいと思います。その点御了承願えますれば、われわれといたしましては、今お話がありましたように、国民所得に占めている割合というものがございます。これは二%ちょっとか、約二%に近い数字でございますが、これが国民所得全体から見まして、防衛費にさく率がどの程度が適当かということは、これはちょっと一がいに言えないのじゃないかと思います。諸外国においては、よく例に引かれますが、率だけから見ると高い。それぞれの国の生活水準とか、いろいろな条件が違いますので、諸外国の例でこのくらいのパーセンテージがあるから、日本においても、これが妥当するということはとうてい言えないことであると思うのでありまして、われわれといたしましては、現状をベースにいたしまして考えていくということでしかるべきじゃないかと思います。現在占めております率が、今後国民所得伸びて参りますれば、かりに同じ率を維持しても、ある程度絶対額は当然ふえていくことになりますが、その程度がどの辺の程度かというあるいは御質問でないかと思いますが、これは純粋に経済的にだけ判断を最終的にできる問題でございませんので、その間純経済的な観点のほかに、防衛という問題の観点から調整しなければならない。われわれといたしましては、現在国民所得に占めている約二%あるいは二%幾らという数字が非常に大きく変っていくということは、日本としては不適当ではないか。経済的な多少の変動はあると思いますが、このパーセンテージが大きく変るということは適当でないのじゃないかと一応事務的に考えております。
  22. 湯山勇

    ○湯山勇君 議事進行。御答弁になる方も御質問になる方も、やはり私ども勉強したいと思っておりますので、少し大きな声でゆっくりやっていただくようにお願いします。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ伺いたいのですが、さっき御説明になった「昭和三十年度経済計画大綱」の中で、国内自給度の向上という(3)の項目ですが、これについて数字的に少し伺いたい。  それは、この総合経済計画の中で一番重要な点は実は国内自給度の向上の点だと思います。これはやはり経済自立観点から輸出をふやし、輸入を減らすということは、外貨の節約ということのため必要かと思います。それで取り上げられておるのは、食糧増産が一つと、海運の増強、これが第二、それから繊維の増産、合成繊維、アセテートの設備拡充、エネルギーについては燃料自給度の向上、大体この四つがおもなるものだと思います。そこで問題を具体的に考える場合、昭和三十五年にかりに特需なしで国際収支バランスさせるとして、三十年度から食糧増産、海運、繊維、燃料自給政策をやるについてどのくらいの資金が必要であるか、この四つについて具体的に伺いたいのです。  食糧増産については、総合六カ年計画として国内自給度を高めるためにどのくらいの資金が必要であるか、こういう計画はされておると思います。どのくらいの資金が要るか、それによってどのくらいの外貨が節約されるのか。それから海運については、昭和三十五年までにどの程度の船を作るのであるか、そのためにどのくらいの資金が要るのか、それによって外貨はどのくらい節約できるのか。繊維についても、燃料自給度についてもどのくらいの政府資金なりあるいは民間資金が必要で、それによってどのくらいの外貨が節約されるのか。この四つについて、できれば年次別にその所要資金、それからそれによる外貨節約が自給度にどのくらい役立つのか、これの数字を伺いたい。
  24. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) ただいまのお尋ねの点につきましては、私どもこの六カ年計画構想を発表いたします際にいろいろ試算いたしました数字がございます。しかしそれは今各省と検討中でありまして、まだきまらず、この程度計画自身がそれでいいかどうかという問題がございます。従ってそれに応ずるこれくらいという確たる数字はまだ実は持っておりません。ただ非常に大ざっぱに推算した数字はあるはずでございます。ちょっと今手元に持っておりませんので、後ほど調べましてお答えさせていただきたいと思います。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資料として多少時日はかかっても、今日、明日ということでなくても、一週間か十日ぐらいかかってもいいのですが、その具体的な数字を一つ。どうせ将来の目標計画ですから、きちんとしたものを求めるのは無理かもしれませんが、大体三十五年までにどの程度の食糧増産を行い、そのためには千二百万石増産するならば千何百億の資金が要るとか、できれば年次別に、これはやっておるはずと思いますが、それでどれだけの外貨節約になるのか、これは外国輸入食糧の価格なんかの変動もありますから、現状をベースにしまして、この四つについて伺いたいのです。
  26. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) ただいまのお話、できるだけ御趣旨に沿うような資料を提出いたしたいと思います。ただお断りしておかなければなりませんのは、実は六カ年間、年次別はまだできておりませんが、年次別という御質問かもしれませんが、六年なら六年の初の三年というふうにトータルで概数を一つできるだけ資料として御提出していただきたいと思います。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっき昭和三十一、三十二年度計画の際に、各省の意見を聞いてということですが、その二十二年くらいと、前半と後半くらいに作業をやっていただければそれでも結構です。
  28. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お答えいたします。当初の三年につきましては今やっておりますが、あとの三年については実はまだ手をつけていない事情もございますし、六カ年計画を作ります際に三十五年は見当をつけておりますが、あとの三年の年次別の作業も現在進んでおりませんので、前半と三十五年というふうにお願いいたしたいと思います。
  29. 小野義夫

    ○小野義夫君 ちょっと私あとから来ましたから、あるいは説明があったかもしれませんが、二、三御質問申し上げます。なお、資料でできるならば補足していただきたいのですが、それは附表の第二表の勤労所得、それが農林水産業と営業と、それから兼業、こういう三つになっております。勤労所得の中で、これは農林水産業に使用されているところの人たちの従業員の給与所得だろうと思うのですが、次の営業というのは、商業その他のすべての職業等、諸般の業務、いわゆる生活の資源を得るところの営業というものであるか。次の個人業主所得という点の農林水産業でありますが、これは普通の農家のようなもの、あるいは炭焼き、あるいは船を持って漁業をする、あるいは河川で漁業をするもの、個人に属するものをすべて第二番目でやっておられるようですが、その次のまた営業というのは、これは個人的ないろいろな、上の農林水産にあらざる一切の営業をいっておるのか。そこで、これでは少し表が漠然過ぎるので、私の希望するところは、勤労所得の中で、一体農林水産業は勤労所得の中では割合少いと思うのですが、とにかく三つに分けておりますから、この三つの内訳をほしいのです。純然たるお百姓の所得というのは一体どういう所得であるか。この勤労のほうは使用人であるからどっちでもいいのですが、ついでに農林水産を区別してほしいというのが一つ、それから営業というのはまことに漠然としているので、何もかもこれに入るということは少し大まかであるので、もう少し営業の内容を細かにできないか。日本の産業の系統によって、その営業の種目を細かく出してほしい。それから兼業その他というのでありますが、これは数字からいえばそう大きくありませんが、まあ相当のものでありますので、これらもできるならばもう少し細かくしていただきたい。それから個人業主の農林水産はやはり同様の意味をもちまして、一体われわれは農業所得というのはどれだけなのか、林業所得はどうなっているかということが実際に知りたいのです。そこでこれは農業に関する国民所得というのは1と2を合計すれば出るような格好になっている。それから林業についてもそうであります。営業ももう少し細かく、個人たると、勤労者たるとを問わず、同じような分類方法でもう少し詳細なものを出してほしい。それから個人の利子所得、これは大した問題じゃありませんからいいと思いますが、法人の所得につきましてまた同様に、一体法人の中にも非常に小さい法人がある。十五万とか十万とか、それは一体法人の中に入っているのか、個人の中に入っているのか、そういう細かいものまで法人所得として計上するのは、私は法人所得というものの本体を捕捉することにあやまちがあるのであります。そういう個人営業にひとしいもので、何々会社というのは、法人であっても、これはどこか個人のところに、もしそれがなっていなければいいが、なっているなら、それは他のほうに編入することが、われわれの経済ベースを取り上げる上にぴんと来るところのものになる。  それから官業の収入ですが、これも官業と申しましても種類は非常に少いのですが、もう少し詳細な資料をほしい。それから海外純所得、これはまあ……。それから政府消費者の負債利子……。  ところで今度は第三の消費の問題についてでありますが、一人当り名目個人消費というのが非常に大きな数字をあげているので、これも一体農民の階級に属するところの、人口の過半数にも該当するところの農民諸君の生活費というものは一体どういうふうになっているかということが知りたいのであります。  かようにやりますというと、勤労所得者の所得は、御承知の通り非常に人口が少くて、所得が膨大なんです。それとチャンポンになっているおそれがあるのでありまして、先ほど申しました業務に付帯しての私は消費経済を知りたい。国民所得の分類に応じての一人当りの消費量が知りたい。それからまた租税公課の負担でございます。国税、地方税を通じての負担で一体農民層にはどういうふうに負担がいっているか、あるいは商工業者にはどういうふうに負担されているかということも、消費の面も、公課負担の面も、国民所得もできるだけ詳細明瞭な区別をした表を御提示願いたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  30. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お答えいたします。  ただいま御要求のございました国民所得のうちの細分でございますが、初めのほうの勤労所得なり、それから個人の営業所得、個人の事業所得、その辺は大体今御要求のありましたような詳細なものが大体内訳としてできると思いますから、それは資料としてできるだけ早く御提出いたします。  ただ国民所得のうち一つ、われわれの方として今御要求がございましたが、直ぐ出しかねますのは、法人の内訳でございます。大法人、小法人というお話がございましたが、それは実はそういうふうな統計をとっておりませんので、これはせっかくの御要求でありますが、直ちに出すということはできかねると思います。その点だけは御勘弁を願います。その他につきましては、国民所得につきまして御要求のありましたものは資料として差し上げたいと思います。  それから消費並びに税負担の問題でございますが、これはちょっと今即座にお引き受けいたしかねますが、いろいろ調べまして、あるいは税負担の方は大蔵省であるいはおわかりかもしれませんが、その辺もよく調べまして、一応現在といたしましては、消費国民一人当りということで出しておりますので、ただいまお尋ねのように内訳ができるかどうか今即答いたしかねるのであります。研究はいたしておりますので、もし、できれば一緒に提出いたしたいと思います。
  31. 小野義夫

    ○小野義夫君 ごもっともなわけでありますが、今のいわゆる法人がわかりにくいでしょうけれども、大体税務署で調べる場合には、もう小さい会社である、あるいは同族会社、もしくはこれに類するようなものは個人と同じような課税をしているのだから、何かそこに大小という言葉は不適当かもしれませんけれども、個人企業に編入し得るようなものをなるべく分けて、そうしてみないと、だんだん今のように、つまらん会社が商売を法人にした方が便利であるということで非常に個人企業が法人化しておる今日におきまして、いろいろのわれわれの調査なり研究の面に非常にそれはややこしくなってくるので、できるだけそれは一つ何かでわかる方法がありますなら、一つ一そう御研究を願いたいと思います。
  32. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の分は、大蔵省の法人企業統計を見ても中小法人と大法人が分れている。あなたの方の国民所得推計は、法人所得は、それではどういうやり方で法人所得推計しておられるのか。中小法人と大法人との区別がつかないような推計の仕方では困る。
  33. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 法人所得関係は、実績としては資本金五百万円を境といたしまして、大法人、小法人で実績は出るわけであります。これは二十九年度の分を提出できると思います。三十年度推計は、やはり一応は大法人、小法人に区別をして推計をいたすのでありますけれども、その結果、大法人及び小法人、それぞれの法人所得変動指数のとり方が、大法人、小法人で趣きが違いますが、これを厳密に大法人幾ら、小法人幾らというふうにはっきり確定的なといいますか、推計という区別がむずかしいと、こういう意味で、推計の方は大法人、小法人の内訳をお示しするほどはっきりしたものでないというふうに申し上げたわけであります。推計の過程ではそういう過程をいたしております。
  34. 小林政夫

    ○小林政夫君 推計の過程ではそういうふうにしておると、そうすると法人所得推計というものは、今言われるあまり確信のある推計ではないということになるわけですね。特に私はこの前の委員会のときにもだめを押して、大蔵大臣から中小企業向け資金の需給推算の資料を出してもらうことになっておる。まあ出るそうです。出るそうですが、そういう出される資料がそういうふうな法人所得推計のもとに出されたのでははなはだ頼りない資料になるわけで、当然大法人と中小法人との所得性向が、傾向が違ってくるということはあり得るのですけれども、それも業種別でだいぶ違ってくる。そういう推計をする以上はそこまで考えてもらわなければあまり正確なものではないということになる。
  35. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) ただいまの点は大蔵省当局でも御研究のようでありますから、両省でよく打ち合せてできるだけ、どの程度まで確信のあるものになりますか、よく相談いたしましてお出しするようにいたします。
  36. 小林政夫

    ○小林政夫君 特に中小企業問題というのは問題ですよ。あなたのほうの計画にも書いてあるごとく、中小企業対策については相当考えることになっているから、そういうのに審議庁がえらい中小法人を軽視するような考え方では困る。最も施策として重点をおいてもらわなければならぬ。大いに関心を持ち、研究もしてもらいたい。
  37. 湯山勇

    ○湯山勇君 今御説明していただいた資料についてお尋ねしたいと思います。十八ページの実質個人消費支出の中でCPI、総合消費財の物価指数というのが一〇一・八になっていて、それが対前年度比九八・三になっております。ところが5の一人当り実質個人消費支出にいたしましても、一人当り名目個人消費にいたしましても、すべてこれふえているわけです。前年度比が。そうするとここだけで、しかもこれの要素となるのは、三十年度のCPIの見方をどうするかということによって前年度比が出てきておるわけですし、あるいは個人消費支出をどう見るかということによってこれが出てきておると思うのですが、これはかなり客観的な要素を持っているのでしょうか、それともただこうありたいという程度のものでしょうか。
  38. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) お答えをいたします。個々の個人消費支出の総額は、御承知のように国民所得の中から引っぱって参りまして、税その他を抜きまして、個人可処分所得を出して参りました。その中から貯蓄性向、消費性向の支出を出して、個人消費支出の総額を出すわけでございます。この総額が出て参りますと、あとは総人口で割って名目に直し、それを物価指数、CPIの指数で換算をいたしまして、あとは機械的に出てくるわけでございます。問題はどの程度客観的であるかという点は、個人消費支出の総額を出す際に、税の関係あるいは貯蓄性向、消費性向の関係のところに、まあ特に貯蓄性向、消費性向の関係のところに若干政策的といいますか、あり方が出てくる。まあこの程度で一応われわれは客観的だと思っているつもりでございます。
  39. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは通常これらのものは大体CPIと比例して増減する性質を持っていると思うのです。それがこの三十年度の特にCPIのところだけ少くなってきている、そうするとこれには何か特殊な要素がなくてはならないと思うのですが、それはどういうふうに見ておられるのでありますか。
  40. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) CPIの変動は、実は二十九年度のときは、御承知のように二十九年度当初のまあ見込みといいますか、想定では、やはり年度の平均ではCPIが若干下るというふうにわれわれは期待しておったのでありますが、この点はまあ期待に反しまして、特に生鮮食料品等の増産が思ったように参りませんで、それらの関係も手伝ってこういうふうにCPIが上って参ったわけでございます。しかし三十年度は、先ほど来申しましたような意味で、まず平年作程度気象条件に恵まれるならば、農産物等供給増加が見込まれますし、特にCPIの関係では、御承知のように主食以外の生鮮食料品の占めますウエートが相当大きい関係がございますので、まあそのほか繊維品等の値下り等も予想いたしまして、まずこの程度消費者物価指数の値下りを期待できる。こういうことでこの部分だけがこの表で御覧になりますように下ることを想定いたしました。従いまして名目では一・一程度上昇でございますが、実質では二・八という上昇を計算上期待できる、こういう考えでございます……。
  41. 湯山勇

    ○湯山勇君 私がお尋ねしようと思ったことを今答弁されましたので……、昨年度も同じような傾向をとりましたので、本年もまた同じような傾向をとって、あとでまた来年度になってからこれはこうだと、こういうことになりはしないかと思ったのでお聞きしたわけですが、一応それで了承いたしました。  それから次に、やはり同じ表で、先に御説明いただいた表の中で、特需減少でなお四億二千万ドルの計算をしておられますが、これは大体その内容はどういうふうに見ておられるでしょうか、もう少し詳しくおわかりでしたら説明いただきたいと思います。
  42. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 特需の推定は相手方のあることでございまして、御承知のように非常に推定がむずかしいわけでございます。本年度におきまして四億二千万ドル程度特需ということについても、個々の推定数字までにはいろいろ議論があったのでございますが、やはりいわゆる日米共同勘定に振り込まれまして使用されますいわゆる調達の関係減少が一番大きく響いてくるというふうに想定をいたしておりました。そのほかのいわゆる円セールといわれます個人消費、あるいはその他の項目はあまり大きな変動ではございませんし、やはりいわゆる狭義の特需関係減少が一番大きい、大部分はそこの減少想定いたしておるわけでございます。
  43. 湯山勇

    ○湯山勇君 その内容をもう少し、どれをどのくらいに見ておるということがわかりませんか、個人消費をどれくらいに見ているか。(「内容資料にして渡してもらったら」と呼ぶ者あり)あとで資料にしていただけますか。
  44. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 今私どもここに持って参っておりますのは、傾向を見る程度の鉛筆書き程度でございますので、項目について後ほどまた相談いたしまして。
  45. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一つ。これはさっきの御質問とも関連して、防衛計画との関連ですが、三十年度計画の中に出ておる失業者数というのを例にとってみますと、六十三万の完全失業者を見ている。これは自衛隊が増強になれば、この中から二万五千減るとは即断できませんけれども、そういうようなものを計算に入れれば、これは除かれるのじゃないかと思うのですが、そういう点の見当はあとで御修正になられますか、これもこのままで通されるのですか、あるいは今年度増強の分は入っておりますか。
  46. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 予算関係ございますから、大蔵省主計局からお答え申し上げますが、防衛庁の作りました三十年度の防衛漸増計画は、御承知のように陸上二万人を中心にいたしまして、全体で三万一千幾らの増員になっておりますが、この案自体は非常に早く御承知のようにできておりまして、湯山先生の今おっしゃいましたのは、対米折衝その他でいろいろ最終的な決定がおくれた事実を御指摘のように拝承いたしたのでございますが、経済審議庁、あるいは労働省と来年度失業者をどの程度に見込むかという相談のときは、非常に早くからこの増員計画というものをある程度見込んでおりました。もとよりこれは予算の場合におきまして、防衛分担金の減額が実現する場合という前提が付いておったことは申すまでもございません。しかしながら一応政府部内におきまして、最初に防衛庁が九百五十二億の要求を出しましたときからこの計画自体はございましたので、それらを全体として考えに入れまして、今の失業救済計画というものはできております。御承知のように来年度昭和二十九年度日平均十七万人の失業対策事業による救済を、五万人ふやしまして二十二万人ということにいたしました。その他住宅を相当思いきって建てますとか、あるいは鉱害復旧をいたしますとか、いろいろのことを全体として対策を講じました上で、六十三万人の完全失業者の横ばい、こういう見方になっております。この点は審議庁その他関係の各省において十分打ち合せをいたしたのであります。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関連して。前に労働省が出しましたのは、昭和三十年度末では八十万という数字が出ておりました。二十九年度末は六十二万、六十二万というのは今年三月末の人員、あの点はどうなっておるのですか。
  48. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 先ほど雇用問題のところで労働力人口の点その他にも触れたと思うのですが、大体八十万以上の労働力人口の新たな増加が出て参りました。それに対して大体各部門別に生産伸びその他を当って参りますと、大体吸収できるというものを差し引いて、何か特別の対策を講じなければいけないだろうと思われるものが、この計算は、まあ見方にもよるかと思いますけれども、私どもの考えでは、最終的には十三万くらいだというふうに見ておるわけであります。しかし前に約二十万と、こう言われておりました。いわゆる労働省で八十万といわれたのは、おそらくそれは六十何万に二十万加えて八十万という数字が出たのかと思いますが、これは生産伸び等を考えますと、大体最終的には十二、三万の特別な失業対策をやればいいのかと思いますが、そのほかにいきなり生産部門その他にそのままほうり込んで当然就業ができるというふうにはいかないものでございますから、そこには二十万人くらいについて職業補導をやって、生産なり産業方面に向ける。そうしますと二十万が、特別の措置を講じて吸収措置なり失業対策をやらなければならない、そういう意味で約六千万くらいの完全失業者に対して、ほうっておけば八十万くらい、こういう数字が従来私どもの方で出ておったわけでございます。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもその点納得できないのですけれども、それじゃさっきの(4)の企業の合理化、生産性の向上、こういうものによる失業がまた出ると思いますか、そういうものはどういうふうに見込んでいるのか。それからこれは全体の経済見通しとも関連していますが、三十年度予算を実行の結果、これは二十九年度と違って相当デフレ的な圧力があるのじゃないか、私は横ばいではないと思いますけれども、これは意見の相違ですが、しかしそういう点からも失業が出る。これを見越してどうも現在よりは失業者は横ばいというよりもむしろふえる。最初労働省の二十万というていたのは、大体私はあれは当るのじゃないか。それをいろんな対策によって吸収するといいますか、そのほかに合理化による失業というものをどれだけ見込むかということがこれは問題なんですけれども、この様子ではずいぶん国民運動まで展開して生産性の向上をはかって、それから合理化もずいぶん進めるようなことになっているのですね。これに非常に努力を払えば払うほど失業者がふえて来ますし、これなどはどういうふうに考えておられるか。  これは経済審議庁に伺いたいのですが、フランスなどでは合理化をやるときに、その産業の合理化した失業者をたとえば関連の第二産業ですか、企業ですか、そういうものに吸収できるという計画が立たなければその合理化をやらせない、そういうところに資金を注ぎ込まない、そういうふうな総合的な計画のもとに合理化をやっている。その合理化をやる場合に失業の問題をどういうふうに考えていくか、ただ合理化して失業者を出す、あと失業対策費を出して救う、こういうようなのじゃ実際意味ないと思うのですね。ですから今後やはりそういうことも立法を必要とするかもしれません、将来そういうことをやるについては……。そういうことを十分御研究ではないかと思うのですが、フランスなんかでは、ずいぶんそういう点、あるいはまた西ドイツですか、そういうこともずいぶん考慮されていると思います。その点一つお考え下さい。それから外国のまあそういう例がありましたら、それからそういう立法例やなんかもあるのじゃないか、西ドイツもそういう立法例ありますね。そういうものもあったら資料としていただきたいので、将来やっぱりこれなんか立法化しなければならないんじゃないかと思うのです。ただ失業者を出しっ放なしの合理化というのをやっちゃいかぬ。ちゃんと手当をして、あと次にどれだけ吸収できるということにしておいて合理化をやる、そのくらいのことを考えなければ、総合計画だと言えないと思います。それが一つ。  それから生産性の向上が非常に強く出てきておりますが、この予算を見ますと、一億五千万円か、余剰小麦ですね、あの方の受入円資金から出すことになっておりますが、これはMSAとの関係できているのか。どうもMSA関係の法律を見ますと、生産性本部というのがアメリカにちゃんとありまして、これはアメリカが各国に援助をしていますし、ですからこれは単に日本でこういうことをぽつんと考えたのじゃなくて、ちゃんとMSAの法律にもあるのですから、それと関連していると思うのです。従ってこれは余剰小麦のあれの中から一億五千万円使うについて、何かこれに条件があるのではないかと思います。おそらく条件があると思います。そういう点伺っておきたい。これは日本だけじゃありませんから、各国とも今生産性向上というものが言われて、アメリカにこれは本部がありますから、それとの関連をわかったら一つ
  50. 小林政夫

    ○小林政夫君 僕は今の木村君の質問にも関連するのでありますが、まあ国内自給度の向上だとか産業の合理化、生産性の向上、それから新技術……科学技術の振興と新産業の助長育成、前から経済審議庁には要求しておるのでありますが、こういう抽象的な表現の具体的内容ですね。そうしてこういうことをやった結果は、鉱工業の生産指数というものが一・五%ですかふえる、こういう内容をどの産業、これは財政投融資とも関連して、どういう内容でこうなったかということの資料が出せれば出してもらいたい。そして同時に今の増大した八十四万の労働人口をどの産業、どの部門にどれだけ吸収するのか、その結果が失業対策人口が十三万あるいは二十万というようなこと、こういうはっきりしたこまかい業種までいかなければ、大体どの産業というようなことの具体的内容ですね、それが出せるかどうか。
  51. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 就業面への吸収といいますかの問題は、これはまあ非常に推定がむずかしゅうございますが、私どもの方の一応のこういう計算の上で見ますと、全国にいわゆる失業者がどの地域にどういうふうに集団的に出てくるということは一応あとの問題でありまして、総人口、総労働人口、それに対する総就業者というような見方をして参るわけであります。従いまして同じ生産部門におきましても、部門によってはもちろん合理化、まあその他の事情から就業面から追い出される者も出てくると思いますが、しかしまあ片方に同じ産業面で吸収する面もあるわけでございます。そういう点はただ全体として生産伸び、あるいはその関係からくる産業活動伸びというだけで見て参るわけでございます。これを実績で見てみますと、二十九年度、昨年度あのようにいわゆる引締め、デフレの時期であったのでありますが、御承知のようにそれでも全製造部門では、就業者の絶対数はやはり十万以上増加いたしております。特に商業部門サービス部門等におきましては相当数の就業者増加商業部門ではまあ五十万くらいの就業者増加という実績の統計が出ておるわけであります。そういう傾向を追いまして、三十年度生産伸び、あるいは全体の経済活動伸びを見て、全体の中間的な見方で数字を一応はじいてみたわけでございますので、ただいま御指摘になりました何々産業部面でこういう合理化をしたならば どれだけの失業者が出て、それがどこに行くかという具体的な数字の追い方は実はやっていない。昨年度におきましては、御承知のように石炭部門その他でかなりの、相当数の失業問題が発生いたしたのでありますが、そういう場合には御承知のように、たとえば北九州地区におきましては、いわゆる鉱害復旧事業の繰上げでありますとか、あるいは公共事業のやり方、あるいは吸収の仕方等に特別の施策をやるというようなことで、実際の具体的な数字を追ってそのときに施策をやる。計画といいますか、見通しの上では、全国の、全体の産業活動状況を見てやるという程度で、この点はまあ何といいますか、想定と実際の失業者の具体的な対策ということには若干のずれがあると思います。計画といいますか、目標の上では、そういうことで先ほど申しましたような吸収が全国的な見方から見ればできるというふうに想定いたしておるわけでございます。
  52. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) ただいまお答えいたしましたほかに、生産性の本部の関係の一億五千万円の問題の御質問が先ほどございましたから、それにお答えいたします。先ほどお話がございましたように、諸外国におきましては、私の承知しておりますところでは、生産性本部の生産性向上の運動をいたしました際に、たとえば英国とかそれらの国々におきましては、MSA資金の見返り、そういうものを使ってこの費用の一部に充てられたというふうに聞いております。しかし今回日本で今度考えられておりますのは、いわゆる余剰農産物の見返り円と申しますか、その資金のうちから一億五千万円を経費の一部に充てたいということになっておりますので、これにつきましては、これを実施するについては、何らかアメリカ側から、それの実施についての条件があるということは私は何も聞いておりません。これは例の余剰農産物の見返り円二百十四億の使途につきましては、向うから、この分はこういうものに使えという指示は何もございませんで、こちら側からこの運動をいたします際に、この程度の金をこの金額の中から使いたいというふうに希望をいたしておりますので、私の承知しております限りでは、現在までのところでは、何らの条件もございませんので、今後ともそうしたアメリカとの間に特別の資金を使うための条件というものはないものと考えております。  それからなお次に小林委員から御要求がございました点、あるいはちょっと聞き落しがあるかと思いますので……お答えいたしますと、自給度の向上につきましては、先ほど木村委員からも御要求がございまして、今のお話の三十年度の増産量と申しますか、これは資料として差し上げるようにしたいと思います。二番目は、たしか失業関係十三万なり何なりの関係資料ということであったろうと思いますので、これも一つ先ほど御答弁申しましたが、必要がございますれば、資料として差し上げるようにいたしたい。それから三番目の科学技術と申しますか、新技術等を具体的にどういうものを考えているかというような点であったろうかと思います。この点につきましては、一つはそうした新技術を、新産業を育成するために財政資金を導入するという問題もございまして、開発銀行等の資金を配分いたします際に、われわれとしてはさような面にも一部考えようというふうに考えておりますが、現在まだその配分につきましては関係各省との間にも話し合いが進んでおりませんので、最終的な案はちょっと早急にはお出しをいたしかねるかと思いまするが、一応こういうようなものを大体考えるんだという程度のものでございますれば、打ち合せをいたしまして御説明をいたすことができるかと思いますので、少し時間を貸していただきますれば、関係省とも相談をいたしまして、その上で一つ説明をいたすようにいたしたいと思います。
  53. 小林政夫

    ○小林政夫君 その点ですね。前からこの経済六カ年計画構想が発表されたときから、御承知のように経済安定委員会、あるいは本会議でも質問なりお願いをしたはずなんですが、今の調整部長ですね、あなたのお話を聞くと学者の推計のような話なんで、本当の目標を立てるということ、その目標というのがコーン博士、その筆法による推計のようなことで、これは学者ならそれでいいんだけれども、政府としては施策としてやるのだから、それはどうやるという裏づけがなくちゃならない、具体的な……。特に六カ年計画という、こういう案を打って、この程度のことをやろうというわけで、少くともすべてのものについて計画経済をやっておるというのでないんだから、あらゆる部門について、その計画をはっきりしてもらいたいということは無理でしょうけれども、重点産業等については少くともここにアイデアとしてあげられておる問題については、具体的な内容が伴っておらなければ、これだけのことは言い切れない。またそういう具体的な内容が伴っていなければ、われわれとして拝聴するのは学者の推計と変りはない。政策として考えるというわけにはいかない、経済評論みたいなものになる、その点がどうなのか。ただ推計をしただけで、実際の具体的な施策が伴っていない。たとえば説明としては三十年度予算は六カ年計画の初年度予算であって、計画の第一年度であるということを言われておるけれども、実際にこの予算とこの計画とはマッチしておるのかどうかということは、言葉だけで言われても、ああそうですかというわけにはいかない。そういう点が具体的にわかるような、なるほどこれは六カ年計画の初年度だという内容にわたってわかるような具体的内容ですね。そういうことを今の開銀資金等の問題もこれから打ち合せてやるんだというようなことじゃだいぶん……。予算はもう出されておる。そのうらはらの問題として、少くとも鉱工業生産というものをこの程度増大させるんだ、こういう増大になるんだというのじゃなくて、させるのだということでなくちゃならぬ、政府の方針としては……。
  54. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 私先ほどの御説明に、あまりこう自信のないような御説明をしたかと思います。なお説明が足りなかったかと思いますが、要するに先ほど来の説明いたしましたような労働力人口増加と各産業活動状況を見まして、どれぐらいが吸収できるかという数字をはじきまして、そして結局産業活動の本来の進み方で参りますと、八十万以上の労働力人口増加に対しまして約六十七万ぐらいになりますか、七十万ぐらいのものは各部門に割り振って見ると、産業活動なり、経済活動状況で吸収できる。しかしあと放っておいては吸収できないものが十三万ぐらい出て参りますから、その数字は予算の編成に当って、いわゆる失業対策事業の際の対策の純増の計数として予算にも組まなければならないというふうに、予算の編成のときにはそういう思想で予算にも織り込まれておるわけでございます。ただ先ほど申しました十三万とか、二十万とかいわれておりましたものの差は、これは究極では産業活動のところのそれぞれのところに吸収されるのでありますが、しかしそれも新たに出てくる失業者になるおそれのあるものを、すぐ就業の機会に持ち込むわけに参らないものが数万ほどある。それに対しては職業補導というような方策を一定期間とって、それぞれの産業部門に吸収させる、そういうことを予算の措置で準備をしてございます。そういう意味で、全体の数字は全国グローバルの数字でございますけれども、そういう予算を用意いたしまして、あとは失業者が現実にどこにどのくらい出てくるかということを追っかけて、いわゆる機動的な運営をできるだけやって、失業問題の解決をやっていきたい、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の御答弁で私は重ねてこの失業対策の重要性を感じておるのですが、これはこの総合経済六カ年計画のどういう経済体制で行うかという根本の問題にこれは触れてくると思うのですよ。ですからまだ質問しておりませんが、どういう体制でやっていくというのか。これが今の利潤追求の自由経済でもっていって、そうして過剰投資、あるいは二重投資、いろいろな弊害があるのですけれども、特にこの失業の問題、あるいは完全雇用をうたっているから、これを考える場合、どうしてもただ合理化をやって失業者が出てきて、それじゃそれはどっかで吸収するのだろう、生産がふえる過程においてどこかへ吸収する、そんなことで一体やっていけるかどうか。そこで私は経済審議庁としては、今後やはりこの点もどういう体制をとっていくかということも、研究される必要があると思うのです。それでよその国でそういうことはやっておるのですから、こういうことも参考にされて……、確かに西ドイツで法律も出ておるわけです。そういう失業者が出るような合理化をやってはいけない。一応やるについては、失業者がどこに吸収されるということが確定されてから、見通しがついてから、その合理化人員を吸収する、その証明がなければやらぬというようなことにまでなっているのです。その点はさっき質問したように今後の重要な問題ですから、一応外国の例なんかも調べて、すぐじゃなくていいのですが、資料がありましたらお願いいたしたいと思います。  もう一つは、さっき説明された生産性本部のことですが、アメリカの指示を受けないとのお話しですが、これは過剰小麦の見返り円をこれに使う、しかしそれは日本が自主的にこっちの考え通り使えると思いますけれども、これはもう少し御研究の余地があるのじゃないかと思います。MSA過剰小麦の買い入れは、あれはMSAという法律の中にあるのですよ。この前はそれに基いて協定を結びました。あれはMSA小麦の受け入れば、MSAとは無関係じゃないわけです。あれは法律の中にちゃんとあるのでありまして、前に通過されておるのですよ。MSAの法律に過剰小麦の処分というのが、法律としてあとで追加されたのです。ですから、あれはMSAの一環になっておるわけです。だからそんなに簡単に私は扱ってはいけないのじゃないかと思いますが、もう少し調べてみていただきたい。あとになってアメリカさんから、そんなに勝手に使えないのだ、やはりそれにひもがついているのだということが、それははっきりしたひもか、あるいはゆるいひもかわかりませんが、何か私は条件がついてくるに違いないと思うのです。それは今後の折衝の過程で出てくると思うのです。
  56. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) ただいま木村委員からの外国等の例を調べろという点は、われわれも調べまして、もし資料ができましたら提出さしていただきたいと思います。  それから余剰小麦の代金のうちのMSAが生産性本部の方へ配分をするという点は、今回今交渉しております余剰農産物の受け入れにつきましては、これはMSA法ではございません。昨年処置いたしましたのはMSA法に基くものでありますが、今回は法律が新しくできておりますので、MSA法に基くものでないことは明らかでございます。ただ、今お話のようにひもがつくのじゃないかという点でございますが、これは元来いまの余剰農産物の見返り円を使うか使わんかにかかわらず、これはいろいろ生産性の向上に関してアメリカから援助を受けるとかいうような、向うの技師に来てもらうとか、こちらの人を向うに派遣して向うで実地に講習するとかいう問題もありますので、その辺の関係につきましては、これはいかなる財源によりましても、向うと話合いで参るということは、これは当然なることと思います。ただあの財源を使ったゆえに特別にひもがつくという点は、今のところわれわれとしてはないんじゃないかというふうに考えております。これは、今回の協定の最終案がまだきまっておりませんから、もちろんまだ最終的にどうこうということを申し上げる段階ではございません。これは今度の余剰農産物の受け入れの協定のときにはっきりすることになろうと思いますが、現在までわれわれが承知しております限りにおきましては、あすこから財源を使う関係で、さらに生産性向上本部の活動についてひもがつかないだろうというふうに考えておるわけであります。一ついま御注意がございましたので、十分関係省の意見も聞きまして、研究はいたしてみたいと思います。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私、今生産性本部を設けること自体が、アメリカのサゼスチョンで出てきたのじゃないかと思うのですよ。突如として出てきたものじゃない、日本が考え出してこういうものをやっておるのじゃない。また国際会議にも日本が出ておりますよ。パリでやったのにちゃんと出ていますよ。ですからそういう簡単なものではない。ですから、いまの過剰小麦の受け入れがMSAと関係がないとすれば、今度はどういう形であれは買うのですか。
  58. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 私が申しましたのは、昨年度実施いたしましたのは、MSA法の条文に従って協定を結んだわけです。今度は、ちょっと正確な名前は忘れましたけれども、新しい立法に基いて、それによって協定を両者間で結んで、そして受け入れるということになる、そういうことでMSA法に基くものではないというふうに申し上げたので、もちろん両国間の協定に基くことになることは当然であります。
  59. 館哲二

    委員長館哲二君) 資料の要求があるようですから……。
  60. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 食糧増産の対策費と増産の実績について農林省の方へ資料の御提出をお願いしておいたのですが、まだ御提出がありません。そこで経済審議庁にお願いしたいのですが、将来の食糧増産対策をお立てになる上において、過去の実績をむろんお持ちになっておると思うのですが、過去十カ年の食糧増産対策費とその実績を調べたものを御提出いただきたいと思います。
  61. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) ただいまの御要望は、過去十カ年というお話でございますが、経済審議庁に、ちょっと果して過去十カ年さかのぼりまして、あるかどうかはっきりいたしませんので、先ほどのお話でも農林省に御要求になっておるというお話でございますので、農林省とよく連絡をいたしまして、あるいは農林省から御提出を願うことになるかもしれませんが、いずれどちらから御提出をするように取り計らいます。
  62. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 経済審議庁ではさような資料は、たとえば五カ年でもございませんか。ございますか。
  63. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) ちょっと私この席ではっきりあるかどうか、不案内なものでございますからさよう申し上げたので、あるいはあるかもしれませんが、いずれにいたしましても、両省でよく相談いたしまして、御要望の資料をどちら側からか提出さしていただきたいと思います。
  64. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 経済審議庁独自の見解で資料があると思いますが、もしあれば、農林省がお出しにならなくてもお出しいただくことをお願いしたいと思います。
  65. 小林政夫

    ○小林政夫君 さっきの話に返りますが、今石原次長は出すというのだから、それを拝見してからでもいいのですが、増大した労働力人口をどの部門に吸収するという、こういうことですね。この資料を出していただきたい。そして今対策を要する失業人口について技術補導をやるということでありますが、今までの技術補導というのは木工屋さんの補導というような、補導所はみな木工をやっている。これをどの部門にどのように吸収するかという大きなはっきりした施策を持っておらぬと、折角技術補導をしても、あなたの方に言うことじゃないけれども、何にもならない、むしろ過剰生産を助長するようなことになる。少くともあなたの方で重点をおいておられ、あなたの方で、政府の方で計画を持ってこれだけはやるというものについて合うような技術補導をやっていかなければならぬ。そういう意味においても今私のお聞きしている具体的内容についてここで言えるぐらいの確信があり、基礎がなければなかなかこう計画を——さなきだにむずかしいのに、できがたいのじゃないか。  それから石原次長のあれはすこぶるあいまいなことですけれども、いま新産業の問題について、新産業の助長育成についてこれから各局とも打ち合せして、一応の数字を出すということでございましたが、ここにあげてある石油価格、木林利用の合理化、石炭利用の拡大、チタン等の新金属、このようなものについては財政投融資をどうするとか、それについて民間資金はどうついてくる、従って三十年度生産はどうなるか、あるいは三十年度にはまだいろいろなプラントその他をやるだけで、生産は出ない、こういうことについても少くともここに名前をあげてあるものについては、具体的な説明を載せるようにしていただきたいと思います。
  66. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは次の問題に移るようにしたいと思いますが、いかがでしょう。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  67. 館哲二

    委員長館哲二君) 今度は歳入の面で一つお話を聞くことにいたしたいと思いますが、税のことについては、きのう主税局長からお話がありましたので、税以外のことについて主計局長からも一応のお話はありましたが、正示主計局次長からも一ぺん説明を聞くことにいたしたいと思います。
  68. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 昨日主税局長から御説明がございまして、税のことは非常に詳しい御説明がございましたようですから、税のことについてはあとで御質問がありますれば、主税局長からお答えを願うことにいたしまして、歳入につきまして、税以外について簡単に補足をいたしておきたいと思います。  予算説明二十二ページ以降に歳入のことがずっと出てございますが、主計局の立場から見まして、税金、これは国税、地方税、それから専売益金、全体を合せましての国民所得に対する比率をちょっと見ますと、二十八年が一五・八%、二十九年が一四・九%、三十年は一四・六%というふうに逐次下っております。これはすでに数字にお当り下されば明白だと思いますが、そこで、二の税の二とは先ほど申しましたように飛ばさせていただきまして、二十四ページの専売納付金でございますが、これが多少表向き減っているように見えますが、この理由は主計局長から申し上げました通り、地方のたばこ消費税の平年度化、並びに本年はたばこ消費税にかわるものといたしまして、三十億だけを専売公社から交付税特別会計に特に繰入れをいたす関係でございます。たばこの消費関係でございますが、これもすでに申し上げたかと思いますが、非常に高級品の売れ行きが悪くて、嗜好が比較的下級の品に片寄っているということを申し上げたいと思います。これまた予算説明の中にございますが、簡単に申し上げますと、三十年度におきまして、たばこの国内販売の予定数量は千九十一億本、金額にいたしまして二千百八十六億円でございます。これは二十九年度実績比較いたしますと、数量は千二十七億、実績は千二十七億でございます。これは予算千三十七億に対して千二十七億、金額は二千百二十九億の予算に対して、二千百八十八億というふうでございます。すなわち数量ではやはり六・一%の増加になっております。金額ではしかしながら四・七%の増加にとどまる。ここに要するに比較的高級の品が売れないという点があげられておるわけでございます。なおたばこの販売本数を国民一人当りに換算いたしてながめて見ますると、二十八年度一千百十一本、二十九年度一千百六十五本に対して三十年度は一千二百二十本というふうに数量は伸びておるのであります。これは昭和九−十一年の平均に対しまして四・三%の増加に当っております。まあ相当消費量は伸びておるのでございますが、御参考までに諸外国の消費とここで比較をいたしてみますると、アメリカでは二千四百三十四本、イギリスでは千九百九十五本、フランスでは千三百三十本というふうでございまして、まあ諸外国よりはまだ低い状況であるということでございます。  以上申し上げましたように、非常にこの数量はある程度伸びておるのでありますが、嗜好あるいは需要と申しまするか、これが比較的低い方に集中しておるというふうな関係で、今度の専売益金の確保につきましては、専売公社御当局におきまして、いろいろと御苦心があるわけであります。十本当りの販売単価をよく比較いたすのでございますが、二十九年度予算におきましては二十円五十銭で見ておりましたが、実績は非常に悪うございまして、十九円台に落ちたこともたびたびございます。これは毎月の状況を見てみますると、そういうふうでございます。そこで三十年度といたしましては二十円一銭というふうに、これも相当かたく見ておるのであります。しかし先ほど申したような状況でございまするので、公社といたしましては、経営の合理化、販売面での新しい工夫、さらにまた場合によりましては、国民の嗜好に投ずるような新製品を考究するというふうな施策も行なっておられるように伺っておるわけであります。大体その辺のことをつけ加えまして、専売納付金の御説明を終らしていただきたいと思います。  それから同じく二十四ページの官業益金及び官業収入、これは昨日やはり御説明があったかと存じますが、結局国営競馬の関係が昨年廃止になりまして、民営になりました関係で、減収が生じておる。しかしながらこの国営競馬の収入は別に雑収入の面におきまして、去年よりは少し内輪になっておりますが、大体同じものが入ってきておることは申し上げたかと思うのであります。  なお政府資産整理収入、これは二十五ページでございますが、これが十億七千四百万円の減少になっておりますが、この点は国有財産の処分の収入が相当いろいろ工夫をいたしておりますが、やむを得ない減少が起っておるのであります。本年はある程度スクラップ等も法的措置を考えておるのでございますが、それでもなおかつまあかつてのような目ぼしい財産の処分ができないような関係から減っております。また鉱山の引き継ぎ財産整理収入等もある程度減って来ておりますので、このような減少になっておるというふうに御了解をいただきたいと思うのであります。  それから雑収入は、先ほど申し上げました二十五ページの雑収入でございますが、これは先ほど申し上げました日本中央競馬会の納付金が九億八千四百万円こちらの方に振りかわって入って参りますことが一番大きな理由でありますが、そのほかに特別会計の恩給負担金、あるいは特別調達資金の受け入れというふうなものが昨年に比べまして若干増加をいたしました。それらの増加が全体として四十六億一千四百万円というふうに見込まれておるわけであります。  最後に二十六ページの前年度剰余金でございますが、これは二十八年度に新しく生じました剰余金を計上いたしておるわけであります。これは大体は歳入の増加、このうちの約三百二十億あまりが歳入の増加でございまして、八十何億が歳出の不用に伴うものであったように承知いたしております。  以上簡単でございますが、歳入の租税以外につきまして簡単に補足をいたしまして、歳入全般につきまして御質問がございますれば、主計局長、私の方からお答えいたしたいと思います。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度の予算は非常に弾力のない予算とよく言われておりますが、財源の面で。そこでちょっと伺いたいのですが、今後かりに一荒れあって、百億あるいは百五十億、かりに百億なりの災害復旧、そういうふうな場合にどこを見たら財源が見つかるか、今の政府の資産整理収入もあまり期待できないし、専売の方もあまり——むしろ減って行く。そうなると結局最後の点は自然増収がどの程度見込まれるかということになるのですが、今年は割合自然増収があった。今度どのくらい一まあ全然ないということはないでしょうが、その点はどのくらいの余裕を持って考えておるのでしょうか。
  70. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) お答えいたします。  今年二十九年度は御承知のように、御承知といいますか、昨日ですか御説明申し上げましたように、大体二百四十億程度の自然増収があったわけです。これは砂糖消費税とか揮発油税の繰り上げ徴収による増五十億程度のものが入っておるわけです。まあ従来主税局の見方がとかくかた過ぎていろいろ御非難を受けた点もありますが、今年はそういう御非難を受けないようなつもりで予算が組んでございます。経済動きがどういうふうに働いて参りますか、何とも先のことでございますので、われわれもそうはっきりしたことは申し上げられませんが、今のところわれわれはまあプラス、マイナス決算はおそらく今度組んだ数字に比べまして、そうないんじゃないか、時期も例年でございますと十一月頃に、昨年の十一月頃に本年度予算を組むわけでして、一年半前に先行きを見通さなければなりませんが、本年は大分予算の提案がおくれたことも、最近の新しい資料を材料に使い得たということからしまして、比較的確実な数字がつかみ得るんじゃないか、こういうような意味からしまして、自然増収が期待できるか、あるいはどれくらいか、われわれの方としましては、まあ自然増収とかそういったものの出ないような意味の一ぱい一ぱいの予算を組んだというふうに考えております。その程度に御了承願いたいと思います。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 たばこはいつもピースで問題になるんですが、前もピースが売れなくなって下げたのですね、五十円を四十円に下げた。それをまた五円上げたわけです。また売れなくなった。これはやはり下げたらどうなんでしょうかね。
  72. 宮川新一郎

    説明員宮川新一郎君) 昨年ピースの値段を四十円から四十五円に引き上げました。その結果もございましょうけれども、御承知のように国内経済全般がデフレになり、それにアメリカあたりでかなりの肺ガンの問題等が出まして、そういうことやいろいろからみ合いまして、一般にその高級たばこというものがニコチンが多いだろうというふうな印象を持ちまして売れ行きが減少いたしておるというふうに見ております。今ここで定価を改訂いたしましても果して売れ行きが増加するかどうかという問題につきましては、実は公社におきましてもいろいろ研究をさせておりまして、たとえば世論調査などもいたしてみたのでございますが、五円値下げをするとピースを吸うかというような質問に対しまして、約四千人ばかりを対象にして調査いたしたのでございますが、吸うという率が非常に少うございまして、そういうようなことを考えまして、ただいま主計局の次長から御説明いたしましたように、今年の専売益金の見込みにつきましては、相当減額と申しますか、公社としては非常につらいような計算になっております。ここでピースの値を上げますと、非常に端的な標準でございますが、かりに光がピースにいくという場合を想定いたしますと、光を吸っている人の五〇%程度がしんせいにいかないととんとんにならないというような計算もできまして、ただいまのところ、ピースの値下げをすべきではないという結論に達しまして、今回は見送ることにいたしておる次第でございます。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資料を……。この前に二十九年度予算で問題になりましたけれども、今度の予算の中には特別会計の方に回しちゃって一般会計に入れるべきものはやはり省かれている。二十九年度予算と同じように。ですからやはり今度の予算についても、その当然一般会計に入れるべきものも入れて計算した資料一つ出してもらいたいと思います。それが一兆幾らになるか。それはまた去年のものも、二十九年度はもう過ぎたものですからもう出してもいいでしょう。前にこだわって出さないようですが、どうせ実質的には一兆を超しているものですから。
  74. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 関連して。ただいまの木村委員の御質問と同じようですが、今度の専売益金の三十億円を特別会計へ繰り入れられたということは、われわれから考えるところは、一般会計に繰り入れらるべき性質のものである。特別会計に繰り入れられるということは、一兆円のワクというものに固執してそうして繰り入れられたように考えるが、どうでしょうか。
  75. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまの木村委員並びに吉田委員の御質問、あるいは資料の御要求につきまして一言申し上げておきたいと思うのでありますが、私どもは二十九年度予算あるいは三十年度予算を通じまして、いわゆる一兆のワクに拘泥をして、本来ならば一般会計に入れるべきものを特別会計で経理するとか、あるいは一般会計を通じないで操作をしたとかというふうなことは実は考えておりませんのでございます。三十億の問題を一応例にお引き下さいましたから御説明を申し上げますが、これは昨年作りましたたばこ消費税をいわば増額をすべきであったかも存じません。しかしこのたばこ消費税につきまして、主税局長、専門家がおられるのでありますが、実は非常に偏在いたしております。特にいわゆる富裕団体と貧弱団体との間の偏在が一般的な偏在でございますが、昨年新しく設けていただきました際に、この割合でございますが、百十五分の十五というものを市町村と府県に御承知のように分けたわけでございますが、その際百十五分の十を市町村にいたしまして、五を府県にいたした。警察を府県に持っていくような場合でございまするからどうであろうか非常に心配をいたしたのでございますが、当時やはり自治庁ではこれが正しいというふうな確信を持っておられましたし、私どもも一応計算上はこれは正しいということで、さようにいたしたのであります。ところが年度の途中で御承知のように警察費の不足問題が起りまして、これは非常に大問題でございましたが、どうもわれわれにはぴんとこなかったのであります。それは市町村で警察をやっておるときには、何とかかとか、やりくりがついたのが、府県に来るとどうして足りないのであろうかという非常な疑問に逢着をいたしまして、いろいろ実態調査をいたしたことは御承知の通りでございますが、結局、しかしこれは御承知のように、ある程度交付税の率を修正いたしまして、暫定的に修正をいたしまして、解決をいたしました。本年はいずれまた地方税法の改正をお願いいたすのでございますが、果してこの現在のたばこ消費税の分け方、すなわち百十五分の十五というこの分け方をそのままにして、あるいはそういうパーセンテージの上に積み重ねて府県と市町村の間に分けていいものかどうか、これは非常な大きな問題でございます。いずれ地方税法で十分これは御審議を願わなければならぬと思うのであります。自治庁もこの点については相当研究をしたのておられるようでございます。そこで予算を組みますときには、とにかくあの大へんお世話になりました交付税の率、百分の二十五というあの率が二十二に下りましたときに、当時の大蔵大臣が、地方行政委員会におきまして、発言は速記録にちゃんと残っておりますが、たばこ益金等で、という表現を使っております。たばこ益金等で三十億程度のものを何とかいたすように考慮したい、ということを言っております。まあその辺もございまして、一方においては、今申し上げたようなたばこ消費税の配分の適正化という問題とからみ合いまして、とりあえず、本年は一年限りの特別措置として、本来ならば地方税で処理する、すなわち一般会計には全然無関係でございますたばこ消費税として地方税で処理するものを、暫定的に一年限り特別の措置として、公社からいきなり交付税の方へ繰り入れて交付税に付加して配付する。この場合、ロスは全然ございませんことは申すまでもございません。そうして本当に困っている地方団体の財源に潤いをつけよう、こういう趣意に出たわけであります。あの閣議決定が発表になりまして、いきなり新聞でたたかれたときには全くあぜんといたしまして、われわれ全く考えも及ばなかったことを指摘されましたように思っております。先ほど木村委員の特別会計云々の問題は、これは預金部の問題とか、国債の元利償還の問題とか、去年だいぶお叱りを受けたのでありますが、これまた決して一兆円予算をやるという考えでもございませんので、むしろ事務を簡素にいたすとか、経理の手数その他を省略していくという合理化の、木村先生お得意の合理化の線で実は考えました。決してカムフラージュするためにやるという考えではございませんで、ただ二十八年度までこうやっておったものを二十九年度以降どう組みかえたかということでございますれば、これは事実でございますからお出しをいたすわけでございますが、わざとやったものを出せとおっしゃられますと、これは実はそういうことは全然ございませんので、それぞれ今申し上げましたような理由を私どもとしては考えまして、その方がベターであるという判断のもとにやっておりますので、その点だけは一応お断りを申し上げたいと思います。ただ二十八年度に経理をした経理方法を二十九年度、三十年度においてどう変えておるか、その事実だけを出せとおっしゃられれば、これはお出しをいたすことにやぶさかでありません。
  76. 湯山勇

    ○湯山勇君 今のに関連して。二十八年度様式でやれば二十九年度の一兆億というものは一兆五百億、それぐらいになっておりますね。それで同じようなことでやれば、今度の一萬田一兆というのは幾らになるか。そういう数字も一つ出しておいていただきたい。
  77. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 資料の御要求でございますから、先ほど申したような、二十八年度まではこういう経理であったが、二十八年度どうなったかという変遷を示した表は作りたいと思いますが、今仰せられた一兆五百億というふうなものには、私はならないんじゃないかと思うのでありまして、それはおそらく例の入場税、これは御承知のように国税に移管になってしまいました。しかしながら、これは全く入場譲与税として国が取りますが、特別会計で譲与いたすわけでございます。国の方は一割をいただくだけであります。これを一般会計で取るべきであとるいうことは、これはかっての配付税の例からいいましても、おかしいのでありまして、私どもは、あれは全く先例から申しましても、あのころは一兆予算というものはございませんでしたが、先例から申しましても、ああいうやり方がむしろ自然の姿じゃないか、さように思っているわけでございますので、ただ、先ほど申し上げましたような資料で御覧をいただきますが、今御指摘になりましたような大きなものにはならないのでございまして、ことに入場税は、二十八年度は地方税でございます。二十九年度から国税に移管をいたしたわけでございますので、二十八年度様式を基礎にして比較する場合も、入場譲与税のごときものは、これは今おっしゃられたものの中には入っておらないというふうに一応御了解を得ていただかないと、ミスリードいたしますので、その点はお断り申し上げておきます。
  78. 小林政夫

    ○小林政夫君 僕は正示さんは今の専売益金の説明はあまりしゃあしゃあとできないと思う。というのは、監理官が変ったけれども、このたばこの専売益金というものは、消費税の形で税と製造原価と分けてもらいたいということを前から言って、何とか考えるということになっておるはずなんです。一言の断りなしで、こういうものをさっと出されては困ると思いますが、その後の経過はどうですか。
  79. 宮川新一郎

    説明員宮川新一郎君) 以前、前国会等におきまして小林先生からそういうようにいたせという御意見がございまして、たびたびお叱りを受けておったことも、私ども一後生監理官としてよく承知をいたしております。実は昨年先生の御主張、まことにはなはだ失礼な言い分でございますが、ごもっともではないかというふうに、われわれ事務当局の方で検討いたしまして、実は御承知のように昨年三公社の公共企業体合理化審議会というものがございましたが、その合理化審議会に税金部門とその他の部分を分けて、公共の企業努力の発揚にも資したいというふうに考えまして、提案いたしたのでございます。非常にこれは専売公社合理化審議会といたしましては、一番問題になった点でございまして、各委員相当いろいろ御意見がございましたが、結論的に申し上げますと、何と申しますか、たばこ専売というものは、そういう税金で取らないで、一つの定価の中にそういう税金相当部分を織り込んで国民が——消費者が吸っている間に、知らず知らずに税金相当分を納めておるというふうな格好にするのが、専売制度の妙味のあるところではないだろうかというような意見が決定的な意見になりまして、しかし、それだけで何らの措置もやらないのもいかがかと思われましたので、今年度から予算関係の参考書類の中に、製造原価、管理費、小売人の手数料等明細をつけまして、結局差額が幾らであるかということを一応明らかにするような格好にいたしまして、同じような措置を決算においてもつけまして、国会の御審議を通じまして、国民にどれくらいの税金を吸ったことになるかということをはっきりさすのが適当ではないかというふうに考えまして、一応そういう措置をとったわけでございます。なお先生の御意見のあるところは、われわれといたしましては、なお検討いたしまして、機会を得て、さらに実施に移すように、なお研究を進めるようにいたしたいと考えておる次第でございます。一応の経過を御報告申し上げます。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 正示さん、先ほどの資料を作っていただくときに、正示さんの御意見で、たとえば入場税は自分の意見によれば、これは一般会計に入れるべきものじゃないという、こういう御意見によって資料の作成を違えてもらっちゃ困るのですよ。御意見は御意見として一応別にこれは討論するとしましても、二十八年度と二十九年度、三十年度の違う点をこれは出していただけばいいのです。入場税は、ああいうものは二十八年度にはなかった、それをやはりつけ加えてもらわないと……。あなたの判断によって、これは入れぬ方がいいと省いてもらっては困ります。それから租税の払戻金なんかも、そういうものをあなたの判断力によって落しちゃ困るのです。それは議論は議論として……。一応そこのところは正確に資料として出していただきたい。
  81. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げますが、決して私の考えでどうする、こうするという意味じゃございません。これは先ほど申し上げましたように、入場譲与税は、先例から申しましても、国税に移管いたしましても、その九割は地方に配付いたす譲与税でございますから、それは特別会計で処理するのが、先例から申しましても、自然のものである。これを客観的に事実に照らして一応申し上げておるわけでありまして、自分の考えだけで資料を作るということは、毛頭ございません。
  82. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 たばこの販売価格とそれから製造原価との比較表で、さっき正示さんの御説明でちょっと数字を確かめておきたいのですが、二十九年度十本当り二十円五十銭と言われましたですね。三十年度は二十円一銭ですか、十銭ですか。
  83. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 二十円とび一銭でございます。
  84. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そうすると、もう一ぺん正示さんにお尋ねしたいのですけれども、去年はたしか製造原価が二十二円から二十二円五十銭がらみで、三十年度は十九円五十銭から二十円がらみに製造原価を引き下げる努力をしておられるのじゃないか。もしそうだとすると、販売価格の方が安くなって、製造原価がかかるということになりはしないか、その辺御説明願います。
  85. 宮川新一郎

    説明員宮川新一郎君) 製造原価の点について御説明申し上げます。たまたま手元にありますのが、二十九年度の補正予算におきましての見込み金額でございますが、工場原価は、富士が十一円九十五銭一厘、ピースが八円四十八銭四厘、光が七円四銭五厘、しんせいが三円八十五銭四厘、それに対しまして今年度の製造原価でございますが、富士が十三円とび二銭、ピースが九円とび九銭、光が七円四十三銭、しんせいが四円四十四銭というふうになっております。これに販売及び管理費、地方消費税並びに小売手数料を加えまして総原価になるわけであります。
  86. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そうすると、それが幾らになるのですか。これには一千億本作られて、六分三厘の増収をして、逆に金額から申しますと、五十二億円減収しておられますね。それで製造原価と販売価格とは、はなはだ食い違うのではなかろうか、そういう質問の趣旨でございます。
  87. 宮川新一郎

    説明員宮川新一郎君) ああそうでございますか。製造原価の方は若干上っております。しかしこれは益金にそう大きく響くような金額ではございませんで、問題はやはり先ほども正示次長から説明申しましたように、単価が、昨年二十九年度補正予算に比べまして、十本当りの単価が全体的に減っておるということが原因と考えるのであります。
  88. 湯山勇

    ○湯山勇君 バットは……。
  89. 宮川新一郎

    説明員宮川新一郎君) バットは、昨年の工場原価が三円三十七銭でしたか、今年度は見込みは三円九十二銭でございます。
  90. 館哲二

    委員長館哲二君) ほかに御質問ございませんか。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時五十二分散会