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1955-03-30 第22回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月三十日(水曜日)    午前十時十五分開会   —————————————    委員の異動 本日委員吉田法晴君及び小林孝平君辞 任につき、その補欠として、久保等君 及び三輪貞治君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            豊田 雅孝君            佐多 忠隆君            成瀬 幡治君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            伊能 芳雄君            泉山 三六君            植竹 春彦君            小野 義夫君            木村 守江君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            堀  末治君            吉田 萬次君            片柳 眞吉君            小林 政夫君            田村 文吉君            高木 正夫君            中山 福藏君            廣瀬 久忠君            溝口 三郎君            秋山 長造君           小笠原二三男君            久保  等君            永岡 光治君            三輪 貞治君            湯山  勇君            曾祢  益君            田中  一君            永井純一郎君            石坂 豊一君            武藤 常介君            千田  正君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    法 務 大 臣 花村 四郎君    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 松村 謙三君    厚 生 大 臣 川崎 秀二君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  石橋 湛山君    運 輸 大 臣 三木 武夫君    郵 政 大 臣 松田竹千代君    労 働 大 臣 西田 隆男君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君    国 務 大 臣 大麻 唯男君   国 務 大 臣 大久保留次郎君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣官房長   根本龍太郎君    内閣官房長官 田中 榮一君    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正己君    法制局第三部長 西村健次郎君    人  事  官 入江誠一郎君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    経済審議庁次長 石原 武夫君    経済審議庁調整    部長      松尾 金藏君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    自治政務次官  永田 亮一君    警察庁長官   齋藤  昇君    外務政務次官  園田  直君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省条約局長 下田 武三君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省理財局長 阪田 泰二君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和三十年度一般会計暫定予算(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計暫定予算(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関暫定予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) それではこれから予算委員会を開会いたします。
  3. 左藤義詮

    左藤義詮君 議事進行について。昨日政府答弁によりますと、鳩山内閣が解散前に一日一善主義にいろいろな公約をされた。選挙中に至っては各閣僚がまちまちに、雨あられのごとくいろいろな公約を乱発された。その始末予算でどういうふうになるかということをお尋ねしたのでありますが、教科書の無償配付がすでに消えた、これを公約違反の第一号といたしまして、だんだんと公約が雲散霧消して行くような情勢でございますが、さようなためか存じませんが、昨日の夕刊に、昨日の朝の閣議で、いろいろ予算の対策を御検討になった中に、「三十年度本予算案の取扱についても意見を交換した。この話合では河野農相」、名前もはっきり出ておりますが、「河野農相などから地方選挙前に本予算案国会提出することは野党側攻撃材料を与えることになるので、提出期日を遅らせるべきであるとの意見も出たが、結局一応国会提出目標を四月十五日として」、まあ一応はそうされたが、そういう御意見が出たという新聞記事が出ておりますが、私どもは本予算案との関連でなければ暫定予算責任をもって審議はできないということで、いろいろ構想を示していただいても、何もはっきりしないのでありますが、ことに本予算案が十五日に出ない。またそういう地方選挙公約違反がはっきりしないように、もう一ぺん国民を欺くために予算提出を遅らせようというようなことがもしあるとすれば、これははなはだ私は、昨日の審議のごときは、閣議でそういう話があったにもかかわらずああいう御答弁をなさることは、国民を欺くものだと思うのでありますが、かようなお答があったのかどうか。河野農林大臣、これは名前も出ておりますが、この事実があるかどうか、また、もしこの事実がなければ、十五日までには必ず責任を持ってお出しになる、もしいけなかったときには、内閣として責任をお負いになるか。六月の暫定予算は、大蔵大臣は出さぬというお話でしたが、十五日に出されましても私は非常に困難だと思うのでありますが、それが遅れるとしますれば、六月暫定予算は必至だと思います。これは日本のあらゆる経済、その他すべての面に非常に大きな影響を与える問題でございます。私、総理大臣に昨日お願いをいたしましたら、毎日閣議を開いてでも重要な、国務の根本である予算の成立には責任を負うて、閣僚地方選挙等に東奔西走しないように十分戒心すると、こういうお話もあったのでございます。この新聞記事を思い浮べまして、政府としてはどういう御決意をお持ちになっているか、その間の真相を明らかにしていただきたい。
  4. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御答弁申し上げます。ただいまお話新聞記事でございますか、夕刊に、そういうことは全然私は承知しておりません。又閣議の席上でもそういうことがあったとは考えません。  それから予算提出につきましては、繰り返し申し上げますように、この四月の十五日に、大体十五日ころに提出したいと、こういうふうに繰り返して申し上げておる通りであります。
  5. 左藤義詮

    左藤義詮君 十五日とおっしゃる、十五日ころですか、ぼかされたのですが、私どもは十五日に必ず国会に御提出になる、かように了解しておるのです。いろいろ日程等考えましても、大蔵省で原案を作られ、これをはっきり決定せられ、これを印刷をして、政府が十分な資料をもって国会に御提出になるのにはよほど御勉強がなくちゃいかんと思うのですが、それで私ども心配をいたしておるわけでありますが、今、十五日ころでございましたか、こういうあいまいなことでなしに、四月十五日には必ず正式な昭和三十年度の予算を御提出になると、閣僚等地方選挙に東奔西走しないで、責任を持ってやるということをもう一度総理大臣から御確認を願いたいと思います。
  6. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 今までは十五日に必ずということを言いません。十五日ころには出しますと、こう言っております。早くできればもっと早くするし、一日、二日ぐらいはどうにか遅れるかもしれません。
  7. 左藤義詮

    左藤義詮君 十五日ころということにまたお話は変ったようでありますが、今、一、二日の動きはあるかもしらん。最大限一、二日の動きはあるが、十五日を中心に必ず提出すると、それ以上の地方選挙等を考慮したような、そういうことは絶対になさらないというふうに、もう一度御確認を願いたいと思います。
  8. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 地方選挙などは全く考慮いたしません。
  9. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは中山福藏君。  なお念のために委員長から申し上げますが、御質疑されます時間は、かねて申し合せの時間をできるだけ御確守願いたいと思います。
  10. 中山福藏

    中山福藏君 私は、鳩山首相に対しまして、まず第一に違憲立法判定議会がするとすれば、三権分立の基礎に動揺を来たすおそれはないかという点についてお伺いをしてみたいと思うのです。  先般衆議院におきまして片山哲氏から、自衛隊法憲法違反ではないかという質問に対し首相は、結局違憲なりやいなやは議会においてこれを判定するという御答弁であったように承わっております。元来すべての訴訟案件に対しましては裁判所がこれを判定するというのが原則だと考えておりますが、かって苫米地義三氏の選挙無効の訴訟とか、あるいは社会党から自衛隊法憲法違反であるという問題を提訴されましたときに、最高裁判所のほうではそれを一応避けるというような態度をとっておったようであります。しこうしてこの考え方は、要するに首相が、憲法第四十一条の規定に基いて、すなわち国会こそが国権最高機関であるという精神にのっとっての御意見だと私は考えておるのでありますが、もしそういうことになりますれば、国会国権最高機関である、同時に立法機関であるということは、なるほど憲法上の規定ではありますけれども、ややもするというと、そこに三権分立というものの建前を混淆するおそれを生ずるのではないか、私は実はこう考えておるのであります。従ってもし最高裁判所においていわゆる違憲問題というものを取扱わないということになりますれば、これに適応する特殊の違憲裁判所を設置するか、あるいは国会において国権最高機関として、そのつど違憲立法問題を取扱うかということをはっきりとお定めになっておかなければ、将来司法と立法府であります国会との権限の紛糾を来たすおそれがある。また国民もそういう疑惑を持ち得るような形勢を招致するのではないかと非常に心配するわけでありますが、かかる点について首相はいかにお考えになりますか、御意見を承わっておきたいと存じます。
  11. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 失礼ですが坐ったまま……。衆議院で私が申しました意味は、一つ憲法一つ法律が、それを無効な法律であるか、有効な法律であるかという抽象的な問題が起きた場合は、どうしても特別な法律ができてないと審査はできない、そういう事件には裁判所には審査権限がない。ただ苫米地君の場合のごとく、自分権利を主張する場合のその前提として、法律違憲であったかどうかという審査ならば、最高裁判所審査ができる、裁判所審査ができる。そういう意見でありまして、一般的に一つ法律が無効である、あるいは有効であるというような裁判は、それは特別な法律をこさえなければできないという意味で申したのであります。その特別な憲法改正法律を作るということは国会でやるべきことだ、こう申したのであります。
  12. 中山福藏

    中山福藏君 しからば違憲立法という特別な事情が起った場合に違憲裁判所を設置せられる御意思がありますか、あるいは最高裁判所にそういう特別の部を設けられるというような御考えがありますか、その点をお尋ねします。
  13. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) それは憲法規定すれば、特別な機関でもよし、裁判所がやってもよし、どうにでも憲法改正すればできるようになります。
  14. 中山福藏

    中山福藏君 それでは憲法改正しない現在の立場においてはどういうふうな御処置をなさいますか。
  15. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 現在の場合においては、一つ事件が起きて、何か個人の事件が起きまして、その前提として法律違憲であるかどうかという判断ならば、現在においても裁判所において審査ができると考えております。
  16. 中山福藏

    中山福藏君 最高裁判所は個々の権利問題に関してその侵害が現われたときにおいては、最高裁判所憲法違反なりやいなやということの判定ができると思いますが……。
  17. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そうです。
  18. 中山福藏

    中山福藏君 最高裁の違憲立法問題は、抽象的な問題については取扱わないのであって、早急には現憲法改正することができないのでありますから、何とかこれに対する適当な処置を講ぜられる必要があるのではないか、実はこういうことを考えてお尋ねしたのでありますが。
  19. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 中山さんのお考え通りで、ある人が自分権利を主張するために、かくかくの法律憲法違反であるということの審査は、裁判所に求めることができると思っております。
  20. 中山福藏

    中山福藏君 時間の関係上次に移ります。しかしいま一つこれに関連してお伺いしておきます。昨日首相は当委員会におきまして、占領下憲法というものは実質的には無効なものだというお言葉があったように覚えております。そういうことになりますれば大へんな問題が起る。この憲法を基盤として発足した諸種の法律並びに政令はことごとく無効になると思うが、この点に関する首相の御所見を承わりたいのであります。
  21. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 占領下におきます法律は、ある国におきましては憲法において無効なものであるとしておるのでありまして、それはそういうような憲法がなければ無効というわけには参りません。ただ本質的には無効であるべきはずのものである、本質的には、実質的には有効にきまっておりますけれども、ある国においては、フランスだとかドイツにおきましては、占領中にできた憲法は無効なものだというようにしておる例もあるのであるから、いっそ改正をすべきものだという一般的な議論は成り立つと思っておるのであります。
  22. 中山福藏

    中山福藏君 本質的に無効であるとすれば、憲法改正の余地は私どもはないと、こう理論的に考えるのですが、しかしこういう問題をこれ以上議論しても、これは見解の相違だということに落ちつくと思うのであります。従って実質的に、あるいは本質的にというような問題が起って、総理の口からそういう重大な問題を御発言になれば、これは大へんな、そのお言葉の解しようによっては問題が起きてくると思うのであります。こういう重要な質疑に対しては、政府において慎重に以後御検討を願いたい。  次にお伺いしておきたいのは、鳩山第二次内閣が組織さるるに当りまして、野村吉三郎氏が防衛庁長官になるかならないかということで世間を相当騒がせた。これは鳩山総理意見では、憲法上の文民野村氏が該当するという御解釈のもとに同氏を防衛庁長官として入閣せしむるというふうに私は新聞紙上で拝見したのであります。この際私は、この文民憲法上の意義に将来のために内閣一つの線を引いておかれるということは非常に必要なことではないかと思料するのです。なぜかと申しますると、今日日本中には相当元軍人がおる。それが一切がっさい文民でないというレッテルを張られて、そうしてある職業と申しますか、資格を獲得することができない。たとえば憲法第六十六条の第二項によって大臣にはなれないのだ、こういうことになりますれば、この一つのグループというものは容易ならぬ動きを始めるのではないかと私は考える。  今日世界の国民運動形勢を見ますと、民族主義とか、いろいろな問題が起っておりますけれども、多くは左翼右翼が合流して革命が起っておる。革命という一つのポイントは一緒なのです。ところが左翼右翼一緒になるというとそれを達成するに非常に便利だ。だから左翼右翼とがイランの例におきましても、エジプトの例におきましても合流しておる。私どもがおそれるのは、一切がっさい自暴自棄的な立場に追い込まれるというおそれがこの解釈いかんでは出てくる。それで私はお尋ねしておるわけですが、大体職業の選択に関する問題は、憲法第二十二条で保障している。憲法第十四条では、国民は法の前には平等に取扱っているのですね。ところがこの憲法第六十六条第二項は、憲法第十四条第二十二条の一般的な原則に対する一つ例外規定となっている。それで元軍人であった者はこれは文民ではないという解釈をとる学者もあり、あるいはその一部は文民であるという解釈をする学者もおるわけであります。四つばかりいろいろな説を立てている人がありますが、鳩山総理は、野村氏が文民であるという見解のように見えますが、文民範囲に関し、憲法上のいかなる根拠によって右のごとき解釈が出てくるのか、その範囲、あるいは元軍人とか、元軍人であるとすれば、そのうちのどれだけの範囲がこの文民のうちに入るのか、または全然入らないのかの解釈一つはっきりしておいてもらいたいと思うのです。そうでなければ、将来組閣の際こういう問題がしばしば現われてくると、思惟するのであります。それを承わっておきたいのであります。
  23. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 文民というのは、現在軍人でない者という解釈の仕方が一番正しいと私は思うのであります。ところが日本憲法には、現在軍人がないことになっているために、それならば全部が文民じゃないかという反対論もあるのでありまして、私は自分解釈、すなわち現在軍人でなければ文民だと思いますけれども、それではそういう解釈が多数かというと、多数でないものですから、野村君を大臣にすればまた迷惑を非常に及ぼすものと思いましてやめたわけであります。解釈としては、私の解釈の仕方は正しいとは思います。
  24. 中山福藏

    中山福藏君 もうあと五分しかないという通達がありましたから、もうこの辺で総理に対する質問はやめておきます。  それじゃ一つ外相にお伺いしておきたい。四月の十八日から二十四日までバンドンでアジアアフリカ会議が開かれるということになっておりますが、これは単に懇親の意味だとか何とかいう意味じゃないと思うのです。少くともアジア民族地位を向上せしめるということが第一のねらいだと思うのです。それから私の考えでは、ネールの平和五原則というものをここで一つ釘づけして、みんなの頭にたたき込もうというのが第二のねらいだと私は考える。それをコロンボ会議に参加した国々が相談をしてこれをやっているものと思いますが、私は、日本政府としては、陰に陽に、公式あるいは非公式に、すべき現在の日本立場を説明すると同時に、たとえばあらゆる技術提携、すなわち農、工業技術、あるいは電源開発、あるいは医薬、医師の開業に関する問題だとかというものをぜひ解決するという意気込みで事前工作をしていただきたいという希望を持っているんです。そういう点について外相はどういうふうなお心がまえでこれに対処されるおつもりでしょうか、お聞きしておきたいと思うのです。
  25. 重光葵

    国務大臣重光葵君) アジアアフリカ会議は、これは実際上非常に重要な会議であるということは、私も非常にこれを重大視しておるわけでございますが、これがたとえ表面的に親善友好を目的としているといつても、実質的においては、アフリカアジア諸国地位を高めるために非常に有力な会議であるということは、これは認めざるを得ないのでございます。そういう機会において経済上の問題、日本東南アジア方面経済関係結びつきをよくする、またいろいろな有利な経済協力をする、こういうことは一般方針に完全に合うわけでありますし、その一般方針から見てもこれはやらなければならんことと考えます。そのうちで一番重要な問題は、むろんこれは賠償の問題でございます。これらの問題もなかなか一挙には解決はむずかしいかもしれませんけれども、さような問題をいずれも重要視して、将来の貿易、通商関係を密接にするようにしむけるような工作はこの機会において十分にしなければならん、こういうふうに考えております。
  26. 中山福藏

    中山福藏君 実はこの医療問題なんですが、インドなんかには百万人のレプラがいるわけです。パキスタンには四百人の看護婦しかいない。わずかに三千人の医師しかいない。これは東南アジアというものと日本とが医術問題で提携ができる証拠だと思います。私は、今日東南アジア問題についてはまず医療というものが一番必要だと思うのですが、そういう点についてもこの際御注意を喚起しておきたい。  それから最後に、時間がありませんから、私は大蔵大臣に御質問申し上げます。  その問題は、地方財政中央依存方式組み立て方を改めてもらいたい、こういう問題なんです。それは中央に依存して、政府補給金、いわゆる補助金ですね。昭和二十九年度は二千七百億万円ということになっておりますが、純補助金補給金負担金交付金というようなものをやたらに中央からむさぼり取るということが非常な弊害を及ぼしておるように思う。そういうことから結局乞食根性を起して、競争してわんさわんさ東京にやって来ておる。そうして地方はもちろん、中央財政も共に赤字で苦しむというのが現在の弊害だと思うのです。それで、御承知通りに、昭和二十八年度決算報告を見ても、歳計不足となり、翌年度歳入の繰上げ充当を行なったもの千四百八十七団体で、その赤字額が二百五十六億円に及んでいる、まことに不始末を来たしておるので、こういう方針根本的に改革するいうことを大蔵大臣としてお考えにならないと、日本には乞食根性を持った、自主独立性を失った地方ばかりうようよできてしようがないと私は思う。そういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
  27. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私もただいまの御意見と同じ心配をいたしておるものでありますが、大体この地方については、地方のあり方というものも本当に考えてみる必要がある。単に税の上ばかりからでもこれは解決が困難と思うのでありますが、しかし現状におきましては、それかといってこのままに放置されるべきものでもありませんので、御承知のようにずっと前から自由党の内閣におかれましても、地方財源を上げるというまあ方向に進んでおるように私は理解をいたしておるのでありますが、私も今回の三十年度の予算におきましても、たとえば地方道路税というようなものを新設、創設しまして、そしてこれを地方財源に差し上げる、こういうふうに考えて、なるべく地方仕事が多くありますから、やはりこれに見合う財源地方になくては、どうしても地方はやってゆけない、こういうふうに考えておる。ただ問題は、地方仕事が多いから財源を上げるというのでありますが、その地方仕事が多い、その多い仕事が果して適当なものであるか、ほんとうにやらなくてはならないものであるか、どうであるかということが非常に問題だと思う。この点を、従って非常に私は再検討する必要がある、こういうふうに考えております。こういう点を中央財政から見ました場合には、たとえば中央から補助金を差し上げることによって、かえって地方負担を軍からしめるというようなものも私はあるだろうと思うのです。こういうものを私はやはりやめたほうがよかろう、こういうふうな考えを持っておるのでありますが、これは私もできるだけその点については整理、あるいは整備、統合したい、こういうふうに思つております。こういうふうにして参りたい。  御指摘の大きな赤字につきましてふは、これはまあ結局別個の処理方法考える、このこと自体からすぐにさらに今後地方財政をますます赤字のために窮況に陥る、これは防ぎたい、こういうふうに考えております。別個な会計、勘定に移していこう、こういうふうに考えております。
  28. 中山福藏

    中山福藏君 文部大臣に最後にお尋ねしますが、項目だけ申し上げますからお答え下さい。  第一は日教組に対する対策如何。第二の点は、地教委の存廃についての御意見を伺います。第三には、新生活運動の方策。それから下級学校の入学に、高等学校とか女学校に入学するときに片親を持った者は入れないというようなことをやっておるところがある。片親だけしかない子供には入学を拒絶する学校が相当にある。それから卒業して就職するときに、大会社は片親を持っておる子供を採用しないという傾向がある点についての文相の方針をお聞きしたい。
  29. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) お答えを申上げます。第一の日教組に対する対策は、これは合法的の組合でございますので、別にかれこれする考えはございません。しかしながら、それが教育の中立性を脅かすような行為がございましたならば、これは十分に取締りをいたす、こういう考えを持っております。  それから第二は、ちょっと私聞きそれたのですが……。
  30. 中山福藏

    中山福藏君 第二は、地方教育委員会の存廃……。
  31. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) これは極めて重大な問題でございまして、軽々しく今ここでこうすると申し上げる機会にまだ達しておりません。これは十分研究をいたして措置をいたしたいと考えております。  それから新生活運動につきましては、前任の大臣が、教育の機関へ諮問をいたしまして、河原春作君が委員長として、今から一週間ほど前に具体的の答申を得ております。しかしながら、この新生活運動は文部省だけの仕事としてやるのにはあまり大きいと考えておりまして、これはまだまとまらん考え方でございますけれども、民間から盛り上る一つの団体、それは政府がお世話はいたしますけれども、そういう団体の力によりまして、ほんとうに日本の新生活運動を促進をいたしたい。そしてその大体の構想の基本としては、何々すべからずというような消極的の運動でなくて、積極的にこういうふうにすべしという意味のものでなければならんというような構想でやっておるような次第でございます。  それから最後の、この片親のない者に対して入学の差別をする、就職の差別をするというようなことは、実は私寡聞で今初めて承わったのでございますが、そういうことがありますならば、これは許しがたいことと思いますので、厳に調査をいたしまして、そういうことがありますならば、(中山福藏君「あります」と述ぶ)改めたいと存じます。
  32. 中山福藏

    中山福藏君 それじゃついでに、私は首相にお伺いしておきたい。大体外交というものは、その国々でその環境従って一つの特異性を帯びていなければならんと私は思う。たとえば、ネールが平和五原則を提唱しておる、これはインドの外交の特異性です。日本が軍事力を持っておりましたときは、それを背景として、日本一つの英米と同じような推進力の型を持っておった、これが日本の特異性であった。外交の特異性でありました。それがなくなったのですね。そこで日本はどういうふうな特異性を、日本の外交方針にその着物を着せて外へ現わしてやるかということになりますと、これは日本は実際軍事力も何もないわけですから、日本というものは外交の最高の目標を憲法の前文、あるいは国連憲章の前文に書いてあります平和の樹立、人類の幸福の助長、そういうものに最高の目標を置く。これをやるには、言葉をかえて言いますと、世界の戦争をなくするには、世界が一つになったときに初めて私は世界の戦争がなくなると思っております。それは平たい言葉で言いますと世界連邦だと思う。そこに行くまではそのつど外交の重光さんにまかせておいていい。これはしかしながら非常に外交方針としては低級なものだと私は考えております。最高の目標は世界共通の目標でなければならん。こういうことから考えますと、この目的を達成するために、そこに日本の特異性としての世界連邦樹立というものが最後に外交の目標であるということを世界に打ち出されてはどうかということを考えているのですが、その点については首相はいかようにお考えでしょうか。
  33. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 外交の特色はしいていえば平和外交を推進するということにあると思います。その目的達成のために世界連邦のでき上りに尽力すればいいんじゃないかというようなお話でありますが、世界連邦、まことにけっこうです。すべての紛争を話し合いできめるということはけっこうですけれども、いまだ国際連合すら完全な成長をしていない今日において、どういう形式で、どういう方法でもって世界連邦を作るかということは、なかなかむずかしい問題だと思うのです。それですから、そういうような世界連邦の形式、方式等がだんだんと熟成されて行くことをこいねがっておりますけれども、ただいまのところは世界連邦について尽力をするというまだ域に至っておらんと考えております。
  34. 中山福藏

    中山福藏君 それでは時間が参りましたから、これで私の質問を終ります。
  35. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 総理にお尋ねいたしますが、原水爆の貯蔵の問題について、総理はアメリカは日本に無連絡あるいは無警告が持ってくるようなことはないであろう、アメリカはそういうことをせないであろうというような希望の御意見をここで述べておられるわけですが、私たちはそういうアメリカだけがそういうことをせないであろうというような、そういう甘い気持で実は安閑としておられない。特に台湾をめぐるところの緊迫した情勢に対しまして、アメリカは原水爆を用いてまでやるんだというような基本方針を確定しているわけでございますが、総理は進んでアメリカに対して、もし日本に原水爆等を持ち込むような情勢があるなら、事前に連絡をせよというような、そういう強力な交渉をする用意があるのかないのか。また向うから持ち込んでくるのだと言ったら、これを私たちは率直に断わるべきである。こう考えているのですが、その二点についてまずお答えを願いたいと思います。
  36. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) アメリカが日本に原爆を貯蔵したいという申し込みを私はしてこないであろうと思っております。非常に何か私の楽観論で根拠がないようにおっしゃいますけれども、とにかくああいうような原爆のような有力な兵器を日本に無断で持ってくるはずはない。現にアメリカはイギリスに貯蔵したときには、イギリスに申し込んで、イギリスの許可を得て、これを貯蔵している先例もあるのでありますから、無断で日本に持ってくるようなことはしまい。そういうようなイギリスに貯蔵するような必要をアメリカが日本には持っていないだろうと思っているのであります。  それから積極的に断わればいいじゃないか、これは現在アメリカが持ってこないと思うし、持ってくるときには必ず日本の承諾を求めるものと思いますから、そのときの情勢いかんによって判断をして処置したらいいと思っております。
  37. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 アメリカがイギリスに原爆を持ってくるときには、事前にアメリカとイギリスとの間にちゃんとそういう約束ができていて、無警告、無通告でもってイギリスへ持ち込まないと、こういうことが事前に約束されているから、そういうことが私は行われたと思っているわけです。日本とアメリカとの間にはそういう約束が行われておらない。だから総理はそういう約束をすることをせられたらどうか、そういう意思はないのか。こういうことを聞いているわけです。
  38. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そういうような申し込みをしてきた場合に日本考えても決して遅くはないと思っております。
  39. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうじゃないんですよ。イギリスにアメリカが原爆を貯蔵する場合には、事前にイギリスとアメリカとの間にそういう貯蔵等をするような場合には、イギリスに対して通告をするという約束をアメリカとイギリスとの間には事前に取りかわされておったわけです。日本との間には何ら約束がされておらないわけです。だからそういう約束をすべきではないか、する意思はないのか。私はやってもらいたいわけです。だからそういうことを私はすべきではないかと思う。あなたはそういうことをする意思がないのか、そういうことをお尋ねしているわけです。
  40. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 現在において、アメリカ側が日本に持ってきそうな場合があるならば、そういうような相談をする必要もあるでしょうが、現在私はそのことを申し入れてくるはずがないと思っているのですから、あなたのような必要を痛切に感じておりません。
  41. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 イギリスにアメリカ側が原爆を貯蔵しなければならないような情勢があったのだ。ところが東洋のこちら側のアジアのほうにはないのだ。そういう情勢判断はあなたの勝手な判断だと思うのです。そうじゃなくて、私は今あるとかないとかいう問題でなくて、将来に備えてでも、私たちはそういう心配があるのだから、あなたも日本に原水爆などが貯蔵されることは好ましくないとお考えになっていると思う。あなたは持ってきたら、そういうことを言ってきたら、あなたは当然お断りになるだろうと思う。だから事前にそういうことのないように私は通告の約束をさせるとか、あるいは断わるとかいうことを事前にやって、何ら恥かしいわけでもないし、何もむずかしいことでもないと思う。あなたの最近の外人記者などの会見等でいろいろなことで国民に対して不安を与えておると思う。誤解を与えていると思う。だからこの際、積極的にそういうことをおやりになる意思があるのかないのか。
  42. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は世界の情勢に従ってその場合に判断したほうがよいと思いますので、現在そういうことを進めて行く意思は持っておりません。
  43. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 意思はないとおっしゃるなら、これは議論の余地がないわけですが、少くともあなたのように、情勢が緊迫してきたら、そういう危険が出てきたらやるのだ、こういうのではなくて、チャーチルなどは積極的にそういう平和のうちにおいても非常に危険なものが持ち込まれては大へんだから、しかも原水爆戦争に巻き込まれては大へんだから、事前にちゃんと約束を取っている。あなたは平和外交をするとかいろいろなことをおっしゃるが、私は総理としては当然なすべき義務だと思う。当然なさなくちゃならない重大な問題だと思う。危険な状態が出てきてからやるとおっしゃるが、あなたが危険な状態ということは、少くとも第三次世界戦争が始まるとか、あるいは米国と中共との間に、あるいは米国とソ連との間に何か危険が生じたときにやりさえすれば、それで十分間に合うとお考えになるのか、あなたが危険だという時は、いつどういうところを指しているのか。
  44. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はただ世界の情勢の変化によって善処すればいいと思っております。
  45. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは水掛論になるから、それじゃ次に憲法第九条の解釈について、あなたは無抵抗主義を取っているものではない、自衛権があるとかいろいろなことをおっしゃっており、あるいは憲法改正審議会を設置しなければならないというようなことをおっしゃっておるのだが、要するところ軍隊をあなたが持つという、その使命と申しますか、軍隊を持つ目的、少くとも私はあなたが日本を自衛するというような立場で、軍隊が必要であろう、こういう考えになっているのじゃないかと思う。あなたが軍隊を、日本が再軍備をしなければならないという根本的な理由を一つ明確にしてお述べいただきたい。
  46. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は国をなす以上は防衛力を持つべぎだと思っております。そうして自由と平和を維持するために防衛力を持つということは必然的に必要だと思っております。
  47. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 防衛力を持つ、国を守るという力なんですが、そうすると防衛ということになると、私は一つの相対的なものだと思う。あなたは何か直接侵略等に対して一つの仮想敵国等を考えて、一つ日本の防衛計画なら防衛計画のめど等をお立てになっているのじゃないかと思う。そうでなければただ単に独立国になったから軍隊が必要だ、金が要るものだ——しかもこれは単におもちゃの軍隊でもないと思う、持つ以上は一つの大きな使命、あるいは持つた目的というものを果さなければならないと考えるのでございますが、総理は一体仮想敵国と申しますが、一体どこが侵略してきそうだ、だからそれに対してこれだけの防衛力が必要だと、そういう私は考え方になってくると思う。あなたのおっしゃるところの仮想敵国というものはおおよそどこの国を予定しておられるか、その国のいわゆる力と申しますか、軍の力というのは、戦力というのはどのくらいだと、それに対して日本の国はどのくらいの防衛力を持たなければならないと、そういうめどが立ってくると思うが、仮想敵国はどこの国と考えての、その国に対する一つの防衛力だと思う。だから一体仮想敵国はどこにしておられるか。
  48. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 世界大戦が起きそうではあるし、起きるかもしれない危険があります。こういうような情勢下においては、幾分かの防衛力を持っていなければ、いつ戦争が勃発するかもわからない今日でありますから、相当の必要はあると私は思っております。
  49. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私たちが心配しておるのは、第三次世界大戦が起きたときに、日本の国が第三次世界大戦に巻き込まれてしまうと大へんなことになるから、何とかその第三次世界大戦に日本の国が巻き込まれない方法はないものか、あなたは防衛力を持って巻き込まれて行く方向に考えておられるようだが、一体第三次世界大戦が始まったときに、あなたはそういうことを予想されるというなら、日本の国は当然そういうところに巻き込まれていったほうがいいとなる。あなたは先ほど聞いていると、平和外交を推進しなければならないというが、第三次世界大戦が始まったような場合には、私は日本は戦争に聴き込まれない中立的な立場に立つような一つ外交方針なり、あるいは国内政策なり、そういうものをとっていただかなければならない、こう考えておるわけですが、一体そういうことについては、どうお考えでございますか。
  50. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 世界大戦が起きた場合にどういうことが起きるかは想像ができません。とにかく国内の暴力革命すら計画をしておる人もおるんですから、世界大戦が起きたらば、どういうような変化が起きるかも知れないのですから、それに対して相当の防衛力を持つということは当然だと考えておるのであります。
  51. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私たちも国内治安の問題は、これは私たちも考えなければならんということはあなたと一緒でございます。しかし第三次世界大戦の場合にどうなるかわからない、どうなかわかないから、どうしても軍隊が必要だということについては、私たちは若干疑問があるわけです。だからぜひやっていただきたい点は、私はあなたいがおっしゃる平和外交というものは一体何を具体的にされておるのか、たとえば日ソとやる、あるいは対中共との国交調整をやると、こうおっしゃるのだが、片方ではアメリカとの間の日米安全保障条約等に基いて、一つ日本の再軍備態勢を進めていくのだ、それで片方では平和外交をやるということは、どうも私は二元的というか、矛盾があるようである。第三次大戦が始まつた場合に日本を戦争に巻き込む危険があると思う。どうなるかわからんから、今から方針が立たん、そういうものじゃないと思う。あなたのおっしゃる平和外交は基本的には何をさすのか。
  52. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 防衛力を持つということも平和外交の一還として考えられると思うのです。平和を維持するために防衛力を持ち、平和を維持するためにソ連とも中共とも国交を正常化したい。決して矛盾するものじゃないと私は思っております。
  53. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 力の外交をおっしゃっているわけですから……。あと時間がありませんから外務大臣にお尋ねいたしますが、竹島問題ですね、竹島問題はその後どういうふうになっておりますか。交渉を全然されずにおるのか、あるいはこれに対する政府の基本的な態度を日本の領土であり、そして……、もう時間がございませんですから、箇条的に御返答が願いたいわけですが、日本の態度ですね、そして、交渉してもなかなか私はらちがあかんだろうと思うのです。そした場合にはどういう態度で臨むかというようなことが、一つは外交の機微の問題にもなるかと思いますが、もし円満に交渉ができなかった場合には、政府がどうするのだというような基本方針お話し願いたい。
  54. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それじゃ簡潔にお答えいたします。竹島問題について、過去において主張が異なっておった、この異なった主張を国際裁判所において解決したいという希望もあったのでございます。それも成立をいたしておりません。ところがこの問題が日韓交渉に非常に障害になっておるということは、これは御承知通りでございます。併し日韓関係はどうしても一つ正常な関係また友好な関係を樹立したいと思って、各方面から今検討をいたしております。竹島問題の処理、日本はこれは主義として譲るわけには参りません。参りませんが、そこに全体の空気を改善して、日韓関係の友好化の道がもし開かれるとするならば、私はこの問題も将来解決する道がつくのじゃないか、決してその点においては悲観はいたしておりませんが、しばらく議論はこの問題に集中しないほうがいいと実は考えまして、主張はもう明らかにわかっておるのであります。ただ神経をいらだたせるような両方の交渉空気を作らんようにしたい。こう考えて進んでおりますから、はなはだ結論としては申し上げかねます。かねますが、私は日韓の友好関係を樹立するという意思が両方ともだんだん強くなってくれば、これは結論においてその解決に悲観はいたしておりません。さような考え方で進んでおります。
  55. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 次に自治庁長官にお尋ねいたしますが、地方財政赤字ですね、そういうものを解決するのに、先ほどの御質問にもあったようでございますが、地方教育委員会の制度ですね、これは私は地方の町村議会等は一つぜひ廃止してほしい。お金だけかかるものであって非常に益するところもないから、一つこういうものも赤字の原因等になっておるからやめてほしいというような要求があなたのお手許にはたくさん出ているだろうと思う。これは先ほど文部大臣答弁によりますと、重大な問題だから文部省としても十分検討したいとおっしゃっておりますが、こういう赤字解消の点については、何かこういうものを一つ落していくのだ、地方自治の財政を確立するために、地方財政負担になっているようなものを一つ考えて落して行こうじゃないか、その一例として私は地方教育委員会の問題を出したのですが、そういう点について何かお考えになっている点があるならばお聞かせ願いたい。  時間がありませんからついでに申しますが、町村合併促進法が出ましたね、そして実際やったわけです。ところが、それに対して補助金が全然出ていないわけです。そこで町村合併をやったところの町村長、あるいは村議会の人たち非常に困っている。それに対してこの暫定予算等では何ら考慮していないのですが、そういうものに対しては、どういうふうに考えているかそれの二点について。
  56. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方赤字財政解消の問題につきましては、制度の面からと運営の面の両方からいろいろ考究をいたしております。ただいまお話の教育委員会制度の問題でありますが、これについては全国町村長会からも要求がありまするし、また地方制度調査会においても検討をいたしておりまして、これは二、三年来の問題でございまして、今度の三十年度の予算を編成するにつきましても、慎重に考慮して取扱いたいと思っております。教育委員会以外にもいろいろの行政委員会地方に設けられまして、そのために赤字を作る一つの原因になっておることは事案でありますからして、全体の行政委員会についても同様の考慮をいたしたい、かように考えております。  それから合併町村に対する財政的の援助でありますが、これにつきましては、交付税、それから補助金、起債の面などにつきまして、合併しない町村よりも特に有利にただいままで処置したのでありまして、私といたしましても十分にこの考えは尊重して、合併市町村の財政的の基礎を確立するようにいたしたい、かように考えております。
  57. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 考えているとおっしゃるのですが、この暫定予算に全然入っていないわけです。そういう場合に、政府の手持資金等で考慮されるというのですが、実際問題としてそれじゃ具体的にはどういう格好でおやりになるのか。あなたがそこでおっしゃるだけでは、実際町村合併には金が渡っていないわけですから、どういうふうにしておやりになりますか。
  58. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 町村合併の財政的援助につきましては、私の就任前からも、すでに政府なり、当時の自治庁長官方針といたしまして、相当に合併しない町村よりも有利にやっていることは事実であります。たとえば起債の点も町村合併した町村に対しては優先的に起債を許す、交付金についても考慮する、各種の補助金についても相当考慮しておるのでありまして、今度の補正予算にはあるいはその点は抜けておるかもしれませんが、三十年度の本格的予算を作ります際には、合併を促進する意味においても、またすでに合併が成立した町村の財政を確立する意味におきましても、相当に重点的に取り上げてやりたい、かように考えております。
  59. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 次に官房長官にお尋ねいたしますが、あと十四、五日たてば本予算が私は出てくると思う。だからある程度の構想というものが、大きなものについては出ていない問題もあるかもしれませんが、少くとも事務的なものは私は出ているだろうと想像するのです。そこであなたが所管する恩給法の問題について、一言だけお伺いしておきたいと思いますが、軍人等の恩給法の問題も私はいろいろ問題があると思うのですが、地方公務員である教員が、教育公務員特例法が昭和二十二年に発効されて以後就職したものは、恩給年限に通算されないことになっております。これは他の地方公務員なりあるいは国家公務員には、そういう例はないわけでございます。ただ教員のみがそういう不当な扱いを受けていると私は思うわけです。そこでこういう問題について今度の本予算等に関連して私はそう大した予算にはならないと思うのですが、そういうような点を考慮されておるのかどうか、もし考えておられないとするなら、一つ私は善処してもらいたいと思うのですが、それについて一つお答え願いたいと思います。
  60. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答え申し上げます。恩給法の改正の問題については、現在まだ政府として決意はいたしておりません。従いまして現在のところそういういろいろの問題も実は研究しなければならないと思っておりまするが、現在の段階におきましては、その問題を法律改正し、さらに予算を上程するという運びには至っていないのでございます。御承知のようにたとえば恩給法とこれは一般給与全体に関係する問題でございまして、そのために給与調査のいま段階に入っておりまして、給与制度の委員会がございまして、その方面の研究を待って全般的にこれは是正いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  61. 田中一

    田中一君 私はまず鳩山総理に伺いたいのですが、戦後東南アジアの諸国との友好関係を深めようという意図から、賠償問題も、相当進んできているということに見ておりますけれども、昨日タイ国の外務大臣新聞記者団と会見いたしまして、いわゆる戦時中の特別円の問題につきまして一応タイ国側の見解といいますかを発表しております。この問題につきましてまずこうした要求があったといういままでの、戦時中の外交文書並びにこれに附随するところの種々の条約に基いた法的効果といいますか、現在そういうものが効果あるものかどうかという点、またもしそれが効果あるものならば、どのような形でもって東南アジア諸国との友好を進めて行くかという点について、まず総理の御見解を伺いたいと思います。
  62. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) お話通りに、東南アジア諸国の問題と賠償問題はできるだけ早く解決いたしまして、そうしてもっと強力なる緊密関係を作りたいと思いますけれども、タイ国の問題に対しては昨日初めて聞きましたので、外務大臣かどなたかからかお答えを願いたいと思います。
  63. 田中一

    田中一君 私はこのタイ国の特別円の問題につきましては、一昨年バンコックヘ参りまして、外務大臣並びに大蔵大臣その他のタイ国の要人とお目にかかって、その際に話題になったのでございます。ところがタイ国側では米を買ってもらう大事なお客さんだから、いまさらこの問題は問題にしたくない、しかしながら日本に対する債権はあるということは、あなたがたも承知しておいてくれ、こういうようなお話があったのです。いま総理大臣は短期ながら二期お勤めになっているが、重要なる、わが国の債務といわれるような問題が総理大臣の耳に入っておらん、これははなはだ遺憾と存じます。従いまして総理に再度伺いたいのは、タイ国の問題ばかりでなくして、フィリピンにおける日本の賠償問題はどうなっておるか、インドネシアにおけるのはどうなっておるか、また仏印におけるところの賠償問題はどうなっておるかというような点を大づかみながらつかまえなければ、少くとも予算の計上というか、国の財政というものはきまらんと思うのです。従ってどういうお考えを、賠償問題、東南アジア諸国の賠償問題について大まかでけっこうでございますから、総理の御見解を披瀝していただきたい。ただ新聞見てきのう初めて知ったというようなことは、われわれが総理としてあなたを指名しておりますけれども、はなはだ遺憾に存じますから、もう少し総理らしい見解をお示し願いたい。
  64. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 大体の方針は先刻申しました通りでありますが、詳細の関係は私よく存じませんから、外務大臣から答弁をしていただきます。
  65. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 賠償問題はなるべく早く解決しなければ、国交も開かれないのでございますから、ぜひ解決したいと思って、今手はずを進めているわけでございます。  ビルマの問題については、すでに本院の御承認を得ておりますから、御承知通りであります。  フィリピンの問題が今起っております。フィリピンの問題も、なるべくこれも早く解決したいというので、いろいろ折衝をいたしておったのであります。その間に向うの言い分、また立場と、こちらの手はずというのとが、完全に一致するまでには、なかなか話がまとまりませんでございました。しかし両方の意見が、最近その方法について合致をいたしまして、日本側から、フィリピンの専門家を一つ東京によこして、そうして賠償の方法について一つ検討をしたいということを申し入れたところが、これに対して先方もこれを受諾をいたしまして、昨今専門委員が数名参っております。そうしてもう仕事を昨日から始めておるようなわけでございます。これに対しては、わが方は関係各省の専門委員を任命して、協議に応じておるわけでございます。これもどういうふうな結果を生み出しますか、なるべく至急なんらかの成案を得るように今努力中でございます。  そのほか賠償問題については、インドネシアの賠償がございます。これは前内閣のときにビルマ、フィリピンに対する腹案と大体照合するように、一億二千五百万ドルというような額を申し出したことがあるのでございますが、これは先方において全然これを受け付けておらんような状況でございます。しかし、そのままにしておくことはできません。そこで出先のわが代表部において、この問題についても先方と常に接触をいたしておりまして、向うの政情にも関係して具体的の話は一向進みません。しかし先方においても、昨今よほどこの賠償に対する合理的な考え方が動きつつあるように情報を受けております。この空気の改善を利用して、これを助長して、一つできるだけこれも合理的な解決を進めていきたいと、こういう工合に今努力をいたしておるわけでございますが、これはいつさようなことの段階に行きますかということは、今私は申し上げる自信はございません。  賠償問題以外に非常に重要な問題がございます。それは戦時中のクレームの問題でございます。クレームと称せられる問題、つまり要求額でございます。これは戦時中に友好もしくは同盟関係にあった国々、もしくはそのほかの国々が、戦争のために日本に対して要求をしておる金額でございます。賠償額ではございません。  そこでタイ国においては、お話になりますこれは特別円の問題がございます。この特別円の性質等については、もう御承知通りでございますから、私から今詳しくは説明を申し上げません。しかし、この特別円の問題について、従来とも非常に交渉を進めているわけでございますが、これはもう数年の間の交渉でございます。これもなんとか早く結末をつけなければなりません。結末をつけるというのは、こちらが先方の言うことをそのまま認めるというわけにも参りませんので、そこで交渉が長引いているわけでございます。今御承知通りに、タイ国の外務大臣が親善使節として東京を訪問中でございます。その場合にタイ国外務大臣が、これも一つ専門的に計算をして交渉するというようなことであっては解決がつかぬから、政治的に一つ大づかみに解決してもらうことはできぬかと言って、相当今までのタイ国の主張よりも譲歩した案を、これは口頭で話をいたされました。そこで、これはその点は非常に私はいいなにだと思っております。親善使節が、さような親善の目的をもってこの問題を早く解決したいというので、相当勉強した案を提出したということは、大へんいいことだと考えます。今その案を関係閣僚とも考究中なのでございます。それをすぐこちらがのみ得れば、それでいいのでありますが、そうも行きかねるので、一つ十分にこれは考慮して、そうして処理したいと考えているのでございます。  その他のいろいろな、さような同種類の問題はまだございます。日韓関係において、日韓関係をぜひ、りっぱに樹立したい、今こういう交渉を進めているわけでありますが、この日韓の間においても、それに似たような朝鮮側のクレームもございます。これらのことはすべて戦争中の跡始末でございます。この跡始末はある意味において、日本の敗戦の結果の責任とも申すべきものでございます。相手の主張を、これを全面的に認めるわけには、日本経済上の地位から見ても、できることではございませんが、しかし、できるだけの努力をして話をまとめたいという方針で進めているわけであります。こういうことをまとめないというと、せっかく通商関係が開けましても、これを十分に増進し、また通商関係を進めて利用していくわけには行かないのでありますから、できるだけ一つそういう問題を早く処理し、片づけたいという方針で進んでおります。今後そういうようなことでもってやっていきたいと思っております。
  66. 田中一

    田中一君 御承知のようにタイ国の特別円の問題は、はっきりした同盟、いわゆる軍事同盟から敷衍されたところの契約なんです。従って他の国々との賠償問題とおのずから性質を異にしております。殊にあなたは当時の外務大臣でいらっしゃった。従ってよく事情をおわかりと存じますが、少くともこの問題につきましてはまだ国民は知りません。全くどういう経過でもってこういうことがなされ、それが現在どうなっているか、本条約の内容はどうなっているか、おそらく私は一萬田大蔵大臣も日銀総裁時代にはあまり詳しく知らないのだと思うのです。すべて外務省がこれを秘密事項としてどこまでも極秘にしておりました。現にこの問題につきまして外務省にいろいろ要求しましても、これはなんとかして秘密のことだから許してくれというようなことも係官から言っております。従って国民が知らない、もししいていえば、現金、いわゆる金で、なんといいますか、向うの金を返す場合には金で、延べ金でもって返すという条約になっております。今残されておる決済されないものを見ても、おおむね日本の時価から、現在の時価から見ましても一兆円近い負債があるのではないか、これは大きな負債といいますか、契約上の負債なんです。こういうものを皆さんが御存じの通りだからというような説明では国民は納得できません。従って他の賠償問題とおのずから違います。従って外務大臣からもう少し詳しく日タイ軍事同盟に基くどういう経過でこうなったか、その金はどの方面に使ったのか、そうして現在までに決済はどのくらいしたか、そうして現在幾ら残っておるかということを詳しく御説明を願いたいと存じます。
  67. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ちょっと関連質問ですが……。先ほど田中君の質問に対して外務大臣の御答弁の中に、ジャワ方面に対しましてのまだ折衝においては賠償問題もまだ着手に入らないからというような御答弁がございましたが、実際、現地におけるところのきわめて人種も似ているし、また現地の要望としては早く日本からでき得るならば農機具のようなもの、又農業指導員のような、医療、医師というような人的の資源を入れて、そうして実際かの地の産業を振興さしたい、その他日本と非常に国交を早く回復したいと、各地において熱望されたのであります。今外務大臣のような順次というのは手ぬるい、私はアジア局長なりその他を、さらに相当の者をかの地にいっそ派遣いたしまして、将来日本提携するときに彼我の間に得るところがたくさんあることでありまして、一日もこれが回復を早くすることが当を得たことであると思います。これに対してもっと熱意ある方法を講ずる。もうドイツにしろ、アメリカにしろ各国が進んでやっておるのに、日本が一番隣接なる地方に手がおそく打たれてあるということを我々は認識してきた、外相の熱意ある答弁を望みます。
  68. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今のお話及び御意見、御観察があったわけでございます。私はその御意見には本当に御同感でございます。もうすでに戦争が済んでから十年の今日、日本の将来として平和外交をやる、それから経済外交をやる、経済的に発展するよりほかに途がないとまで皆いわれておると思う。それにはどうしても南洋、アジア方面に手を尽さなければなりません。そこで私は及ばずながら日本はまずアジア方面の諸国、まあいわばアジア人種の同胞でありますから、それらの諸国との関係を樹立するということが絶対に必要だとこう考えます。それからまたそれが通商経済発展の基礎になるということは、これは言うまでもございません。これになんとかそっちの途を開きたい、こう考えて実は苦心をしておるわけでございます。ただその問題が賠償の問題なんぞという実にこんがらがった厄介な問題に逢着いたしております。これは先方の立場は、先方の側から見るというと無理もないことでございましょう。しかしそれを日本側から、それならば大局上いいからそれを全部呑むというわけにも参りません。国内にはいろいろとまたむずかしいことがあるのでございますから、そこでこれをどうかして適当なところで一つ手を打って将来の通商関係が増し、経済増進ができるならば、それによってまた一時的に日本負担したこともまた補うことができるという考え方を大きく持って、なるたけ早くこれを済まして解決をしたい、こういう実は非常な希望、熱意を持っておるわけでございます。さようにやらなければならんと考えております。しかし種々のこれはやはり困難があることも御承知通りでございますから、どうかその点については、私といたしましてはむしろ御鞭韃を願いたい、こういう考えを持っております。  それから先ほどのタイの問題でございます。実は私は前のいきさつを十分には研究するいとまがございませんでした。ございませんでしたが、大体タイのクレームがこれだけあるということを承知をして処理をしておるわけでございます。大体のことは承知いたしております。そこでこれらのことは私は何もこれをただ交渉者だけの秘密にしておく必要はないと思います。お話通りだと思います。こういうようなことは大きな国民負担関係する問題でありますから、事情を明瞭にして、そして国民の判断の上に交渉を進めるということは最も適当なことであると思います。しかし今すぐこれをこの席でどういうふうに説明を申し上げて、同時に国民に発表するかということについては、少し用意を要しますから、それだけは、その時間だけをお許しを願いたいと思います。私は全然そう考えます。都合によりましては、それらのいきさつを発表するということも考えてみることにいたします。どうかそれを御了承願いたいと思います。
  69. 田中一

    田中一君 重ねて外務大臣に伺いますが、この今までのいろいろな約束が文書に残されております。これは全部有効であるか、有効でないかという点については、どういう御見解を持っていらっしゃいますか。
  70. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 国際約束である以上は有効であると思いますが、その条約上の条約的見解は条約局長によってお答えいたさせます。
  71. 中川融

    政府委員(中川融君) ただいま大臣から御説明申し上げました通り、この協定は日タイ同盟条約の一環として特別円協定というものが戦時中結ばれてあるわけでございます。それが戦争中ずっと運営されておりましたが、終戦の際にタイ国政府は一方的に日タイ同盟条約と一緒にこの協定も廃棄したのであります。従ってそれ以後この協定は無効になっておるというふうに考えております。
  72. 田中一

    田中一君 今アジア局長答弁されたように、二十年の九月十一日にタイは一方的に同盟条約並びに一切のもの、協定、特別円の決済等に関するものは終ったものと認めるというような通告が来ておるのです。従ってこの問題につきましては政府としては責任がない、もうこの条約全部が無効であるというような見解アジア局長はしておりますけれども、これは非常に重大な問題だと思いますから、総理外相並びに一萬田蔵相から御答弁願いたいと思います。政府見解です。今後に対するどうするかの問題。
  73. 重光葵

    国務大臣重光葵君) これは純法律的に考えて、同盟条約を向うが廃棄したのだから、すべて日タイ関係の戦時中の約束はなくなったのだ。こう法理上は、今説明の通り、見ておるわけでございます。しかしそれならば日本が戦時中にタイで使った軍票の跡始末は全然しなくていいか。これはその純条約上の見解を離れて、これは外交交渉として向うも持ち出しておるのでありますし、またこちらも従来これはもう前内閣時代からこれに応じておるわけでございます。さようなわけでありますから、これは日タイ関係の将来を建設する意味において、この問題は外交交渉に取り上げてある、適当なところで妥結を見ることが必要であると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  74. 田中一

    田中一君 そうしますと、この条約そのものは全部無効だ、しかしながら政治的含みをもって、外交的含みをもって向うの言い分を、戦争中の同盟国であるところのタイ国の言い分も別な観点から相談に応じようという御見解でございますか。
  75. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 条約が無効であるということの法理論は日本がとっておるわけであります。日本がとっておるわけであります。しかしそれにもかかわらず、交渉をしてまとめようという方針であるというわけでございます。今お話しの通りでございます。
  76. 田中一

    田中一君 私の手元に、なんといいますか、取りかわした文書の全部が手元に揃っております。従って外務大臣は、国民があまり知らない問題でございます。十何年前の問題でありますが、これは日本経済に大きな影響がある問題でございます。従ってこの全文を公表なすっていただきたい。全文を新聞に公表なすって、日本政府としては、これは法的に無効であるという見解を持っておられるようですが、しかしながらタイ国側ではまたこれが有効かであるという見解をとって交渉を進めておるものと見られますから、これは国民の疑惑を一掃するために全文を、交渉の経過を明らかにして新聞紙上その他に公表していただきたい。もしそれをなさらなければ、私手元に持っておりますところの条文を各新聞社に発表してもけっこうです。これは非常に大きな問題でございます。これは一萬田大蔵大臣も一兆円近いという負債がタイ国にあるとりますと、これは財政と言いますか、予算を組むにもお困りだと思うのです。この点よく御相談願って、なるべく早い機会に公表されるようにお取り計らい願いたいと思います。
  77. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 承わりました。
  78. 田中一

    田中一君 では、もう一つ外務大臣に伺いたいのは、仏印政府から約十億ドルの賠償要求があったと聞いております。この点についてはどういう経過で、ことに停戦協定を結ばれたところの二分された仏印が、相手方はどういう形でもってこの交渉に応じられておるか、この点御説明願いたいと思います。
  79. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 仏印というのは仏印のフランス政府からですか。
  80. 田中一

    田中一君 仏印の植民地ですね。
  81. 重光葵

    国務大臣重光葵君) フランスのやっておる仏印政府からはなにもなにはございません。しかし仏印の地におけるいわゆるインドシナ三国との関係はございます。それを御説明申し上げます。  カンボジアは賠償権を放棄しました。これはすぐそのときに発表いたしました。これは現内閣になったまぎわでございましたが、すぐ発表いたしました。そこで賠償権を放棄してくれましたから、日本としてはこれを感謝して、そういう意味で使節も送ったような状況でございます。  ヴェトナムは、これは南方でありますが、ヴェトナムはそういう問題がまだ起っておりません。一昨年沈船引揚協定ができたようなわけでございますが、これは先方の都合で、協定はできましたけれども、まだ調印までには至っておりません状況でございます。  ラオスとの間にはまだ何にも話し合いがございません。  大体そのような状況で、仏印三国の間の賠償関係はあるわけでございます。
  82. 田中一

    田中一君 大蔵大臣に伺いしなすが、アルコール専売労組と通産大臣との間に紛争が起っておるのは御承知通りであります。これは衆議院においても予算委員会で、三十年度予算で十分考慮するということを発言しておりますけれども、これはどのように、あるいはは三十年四月までは遡及して予算を計上するのかどうか、この点一つそのような解釈をしてよろしいかどうか、御答弁願いたい。
  83. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) アルコール地域給の裁定に関し、この実施の予算暫定予算に。これは暫定予算が新規予算を組まないという関係から組んでないことは御承知通りなのでありますが、従いまして予算上資金上不可能な場合といたしまして国会に御審議をお願いしてあるわけでありますが、三十年度の本予算については、今いろいろと考慮を加えておる次第であります。
  84. 田中一

    田中一君 では四月までの分もさかのぼって予算に組むということでよろしうございますね。
  85. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま検討を加えておる次第でございます。
  86. 田中一

    田中一君 そうしますと、予算に組むか組まないかはわからんとおっしゃるのですか。衆議院における答弁を私のように解釈してよろしいかどうかを伺っているのです。私への答弁を何というか検討しなくてけっこうでございますから、イエスかノーか、その通りであるかないか御説明願います。
  87. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま予算の編成について審議をいたしておりますが、検討を加えておるということを申し上げるのが段階であります。
  88. 田中一

    田中一君 第一次鳩山内閣大蔵大臣が就任以来、再三不急不要の建築物の建設を抑制する、もしこれができないならば——これは民間建設ですが、できないならば、法的措置も辞さないというようなことを言っておりますけれども、不急不要の建築というのはどういうものをさしておっしゃっているのか伺いたい。
  89. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは不急不要ということも、そのときの社会の情勢に応じましてなかなか困難であります。従いまして今日の情勢において申し上げ以外にないのでありますが、まあ私の考えでは、ごくわかりやすく申しますと、今日急がなくてもいいもの、私は何もかもとめるというようなことは考えていない。だれが考えてもこういうような建築はいま控えてもいいのではないかというものが多々お目につくだろうと思います、そういうものを私は。むろんこれを法制化するというようなことはいま考えておりません。なるべくそういうものをやめてもらいたい。(「そういうものとは何ですか」と呼ぶ者あり)もしもそれがどうしてもゆかずして、なおかつ重要政策を行なう上に必要がどうしてもあるとすれば、これは考えなくてはならない。こういうふうな考え方にいまあるのです。そういう場合に具体的にどういうことをどうするか、これはよほど実施上の、技術上の問題もあります。ただ私がこういうものはやめていいのではないかと言ったところが、なかなか建築をとめる実施上の問題はむずかしいのでございまして、まあそういう点がありますので、いま私はこれこれこうというふうに、簡単になかなか申し上げかねます。
  90. 田中一

    田中一君 どうもさっぱりわからないので、(笑声)わからないことが不急不要のものだと思うのです。そこで私が具体的に伺いますが、たとえば有楽町辺に今度できる大阪の十合とかいうデパート、それからたしか高田馬場、あそこにできますところの関西のデパート、こうしたものは不急でないものでございますか。
  91. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今日の情勢においては私はやはりそういうものは不急物、こういうふうに考えておる、急がなくてもよろしいものと考えております。
  92. 田中一

    田中一君 御承知のように今までに関西方面から出てきたところのデパート、渋谷の東横とか東京駅の八重州口にある大丸とか、これは自己資本だけでは建設されていない。あなたが日銀総裁の時分にできておる。おそらくあなたは日銀の総裁としてああしたものには回収が楽だから、銀行に貸してやれということを言ったことがあるに違いない。だからいまあらためて自分の間違いを反省して、あれは不急なものだということをおっしゃるのだと思う。場合によると、この面へは国家資金まで流れてる、国家に関連する資金まで流れておるのが現状です。そこで最近あなたは大臣になってから、住宅に対しては資金の融資を優先的に認めるということをおっしゃっております。まずその点はわかりました。これに類するところの建築物、たとえば待合、パチンコ屋、こういうものも不急とお考えになりますか。従ってこういうものまでも建設を抑制するという方法をおとりになるということでよろしうございますか。
  93. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま私の前の金融政策についていろいろとありましたが、これは全く私としてはそうでございますと言うわけにはいかないのでありますけれども、これはまあそれだけ申し上げておきますが、いまのパチンコのことは、私はそれはパチンコの家なんどということよりも、パチンコ自体の問題じゃないかと考えるのであります。(笑声)
  94. 田中一

    田中一君 パチンコは大臣はやった御経験があるから、いいとか悪いということを申されておるのだと思いますが、私はあまりやったことはございませんけれども、あなたは御経験あるのですか。(笑声)
  95. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私実は一ぺん行ってみたいと思っておったのでありますが、まだ行ったことがないのであります。こういうものもやはり一ぺん知ったほうがいいと思うのでありますけれども、どうも行けなくて困っておるわけであります。私はパチンコのあの家は、ずっと見るのに、そんなに大きな、もちろんそれは大きいのがあるかもしれませんが、私ら帰るときあたりにパチンコ屋を見ますが、ああいうパチンコ屋は特にあれは当然住宅になると思う。パチンコ屋をやらしておるからいかないので、住宅に立派になる家がずい分ある。そんなに大きな広壮な家で非常に金をかけておる家というよりも小さな庶民の住宅になり得る家です。問題はパチンコの家です。そういうパチンコの家はないのです。家にパチンコをやっておる。(笑声)
  96. 田中一

    田中一君 これはなるほどあなたが車で、通りで見られるパチンコ屋ももちろんありますけれども、たとえば鉄筋コンクリートの四階、五階という暖冷房を持ったパチンコ屋もある。たとえば銀座の並木通りには三階建てのそれはすばらしい殿堂のようなパチンコ屋がある。こういうパチンコ屋もあなたは不急不要の建築物でないとおっしゃるのか。あなた自身がお調べになればわかるが、三階、五階の鉄筋コンクリートの暖冷房づきのパチンコ屋もあるということをあらためて御認識願いたい。これは私は不急不要なものだと存じております。  それから建設大臣にちょっと伺っておきますが、東京都はいま東京都の都知事選挙をやっておりますから、都民は非常に重大な関心を持っておりますが、東京都は公営住宅法ができまして、いわゆる二分の一、三分の一の補助金を出して地方公共団体に住宅を建設さしております。ところが東京都は日本の中で、二十五年度、二十六年度、二十八年度、二十九年度と補助金を返上しております。御承知のように二十九年度はなんと三千百六十九戸返上しております。御承知通り東京都が一番住宅難の切実に考えられる所です。そこでこのような安井都政というものがいいか悪いかわかりませんが、住宅面においては非協力者であることには間違いございません。そこでこういう現状を一体どう考えられるか。そうして都理事者は起債をくれれば建てましょう、金をくれれば建てましょうということです。従って大蔵大臣も言っております。住宅建設のためには大幅な地方起債も認めると言っております。従って自治庁長官三者から御答弁を願いたいのです。東京都のような熱意を持たない所は、起債をやっても建てません、結局……。自分の一千億に近いところの財政規模の中でたかだか十億か二十億の住宅建設の費用が出ないはずがない。そこで三十年度はどういう御見解をもって、どういう方法で東京都に住宅建設をさせるか。それからまた放言かなんかしりませんが、大蔵大臣も住宅資金の地方起債は認めようということを言っております。また自治庁長官もそれに対してどういう御見解を持っておるか、御答弁願いたいと思います。
  97. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ただいま東京都の問題は十分計画通りに今日まで行っていなかったことは田中さんのお話通りであります。これについては、私は両方に責任があるんじゃないかというふうに考えておりますのは、東京都必ずしも熱意がないとは私は考えておりません。土地の用意をいたしておりますけれども、ある程度の起債が許されなければ運営がつかぬということも事実だと思いますので、最近だいぶずっと長くから要求をされておりましたが、第二次鳩山内閣になりましてから、自治庁長官大蔵大臣とよく相談をいたしまして、至急特別に起債のワクを与えて、今お話しの未着手の住宅の建設を促進することに三省の間で意見が一致をいたしまして、そのように事務的に今進行をいたしておりますから、必ず実現をいたすと考えております。もちろん来年度の問題につきましては、今お話しのように、住宅については東京都が何といっても焦点でありますから、東京都にもいろいろ話はいたしておりますが、われわれとしても実現のできる裏打ちをいたす考えであります
  98. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 三十年度におきます地方債は大体二十九年度のワクの範囲内でとどめようと考えまして、三十年度の予算の編成をいたすつもりでおりまするが、住宅に対する起債だけはできるならば前年度のワク以外にしていただきたいということを考えまして、これは大蔵省、建設省等に今交渉中であります。
  99. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま東京都の住宅の問題でありますが、大蔵省としましても、必ず庶民住宅を作るという、まあこれは何と言いますか、必ずそうするということを考えております。いわゆる起債のワクを上げることにしたい。
  100. 館哲二

    委員長館哲二君) 田中委員に申しますが、もう時間が切れておるのですが、ただ一件だけに……。
  101. 田中一

    田中一君 住宅建設には税の減免をやるとおっしゃっております。これはどういう方法をとるか。それから税体系にやっぱり支障がないかどうか。ほかに関連する税金の関係が悪化しやしないかどうかという点を聞きます。それからこれはもう時間がないので続いて聞きますが、宅地造成をやるということを建設大臣は言っておりますが、今ですから外国から外米を買っておるような状態なのに、宅地造成を大幅にやりますと、やはり耕地なり、当然耕地になるような土地までが宅地化される。すると食糧問題については大きなマイナスになるということを考える場合に、どういう形でもってやるのか。それから農林大臣は建設大臣考えておるようなあの大幅な宅地造成に対して全面的に協力するのかどうか。災害によって年々五万町歩ほど耕地がなくなっておる現状なんです。これも放棄して、ただ全面的に宅地を伸ばすということに賛成かどうかの問題です。この三点だけを伺いたい。
  102. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 宅地の問題はお話通りでありまして、決して農地を大幅にこの際宅地化すということは考えておりません。ただ住宅の周辺等におきまして、もうすでに住宅化しているところにおいて、農地との関係で手続等で非常に双方ともに迷惑をしているというような面におきまして限定した範囲において事務的に今話し合いを進めておりますわけでございます。なお緑地等の問題は昨日も申し上げましたように、緑地の制限を解除をいたしまして宅地化する。それ以外に湿地でありますとか、あるいは農地でないところに、今われわれがやろうといたしましたのは、政府も力を加えて宅地化を推進しよう、こういうわけであります。なお、衛星都市などは、すでに都市を対象として山林その他について宅地化する部面を集中的にねらっておりますから、非常に大きな集団的な農地をつぶすということは考えておりません。大体事務的に話のできる範囲内において進めて参りたいと考えております。
  103. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大体ただいまの建設大臣の御答弁で御了承を得たものと思いますが、今お話通り、御心配になりますような農地をつぶしてやるというようなことは考えておりませんで、山林地帯でありますとか、そういう方面に道路を建設するとかいうようなことで、新たに宅地を作っていくというようなことで進んでおるわけでございます。この点御了承願います。
  104. 千田正

    ○千田正君 私はきわめて短かい時間でありますので、多くの問題は同僚諸君から御質疑がありましたから、重点的に総理大臣にお伺いいたします。それは先般来、総理大臣は日ソ国交の回復を念願して、それに努力されておられる熱意に対しては非常に敬意を表するものでありますが、ここに私は特にこの際、総理から伺っておきたいと思いますのは、前内閣吉田総理大臣の場合にサンフランシスコ条約を締結する前に、日、米、カナダ三国間の漁業条約の予備会談を行なって、そうしてこの安全保障条約等のサンフランシスコ会議と同時に、日、米、カナダ三国間の漁業条約が成立したのでありますが、その結果のよしあしは別といたしまして、これからの日ソ国交回復に基きまして、日本の漁業の大宗であるところの北洋漁業という、こうした大きな問題について、日ソ間における予備会談的なものを進めて、同時にこの産業の、国交回復と同時にその裏づけとなるところの北洋漁業の進展に寄与するだけの準備をなさるお考えがあるかどうか。あるいはなされておるかどうか、この点を一点お伺いしておきたいと思います。
  105. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) お答えいたします。北洋漁業についてソ連とできるだけ有利に交渉いたしたいと考えております。ただいまのところではそういうことをやっておりません。
  106. 千田正

    ○千田正君 新聞その他に報ずるところによりますと、アメリカにおいて日ソ間の会談の交渉を開始しつつあるこの際に、私は日本の産業、ことに海洋における漁業の、特に北洋、これはただいまのところ総理も御存じの通り、日米カナダ条約によって一定の限度しかやれない。むしろ今後はソ連との間に相当話し合いがついて、北洋漁業が進展することを最も望ましいことであると思いますので、これを速急に開始していただきたいということをお願いしておきます。  さらに第二点といたしましては、昨日のビキニの問題につきまして小林議員から御質問がありました際にお答えがあったようでありまするが、アメリカに向って原子爆弾の実験を中止するように要請する、これもまことにけっこうな話でありまするが、過去の情勢から見まして、大体アメリカ側は本当に中止するかどうか、しなかった場合はどうするか、この問題を掘り下げて考えましたときに、このたび吉田内閣がビキニの被害によって、その補償をアメリカ側に求めたのでありまするが、当時私は岡崎外務大臣との間に何回となくこの問題に対して折衝したのであります。あるいは百六十万ドル、あるいは百七十万ドル、なかなかはっきりした答が出てこなかった。今度は鳩山内閣に至りまして、二百万ドルという大体のアメリカ側との話し合いがついて、これによって一応日本のビキニの被災者、あるいは被災業者に与えたところの損害の一応の補償をするということに落ちついたようでありまするが、この限界をもって、この問題は打ちきりとなされるのかどうか、日本側の要求は二十七億であります。しかしながら、現在二百万ドルとしまするというと、七億足らずのものであります。ここに大きな開きがあります。これに対して日本側の損害は、やむを得ないから国内的にこれを善処しよう、国の行政面において、あるいはその損害を受けた人たちに対しての何らかの救いの手をのべるという考えで、二百万ドルで打ち切られたのであるかどうかということと、将来同じような問題が起きた場合には、この程度の補償でがまんするお考えであるのかどうか、この点をはっきり伺っておきたいと思うのであります。
  107. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 関係官庁からお答え申し上げます。
  108. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答えいたします。本来、この問題につきましては、その折衝に当られた外務大臣からお答えするのが筋でございますので、その内容については外務大臣が御出席の際に御説明いたすように御了承願いたいと思います。ただこの二百万ドルの配分の問題についてのみ若干お答え申し上げたいと存じます。  御指摘の通り、これは被害を受けた人々の要求は二十数億に及ぶ状況でございまして、これに対しまして、日本政府が交換公文によって了承いたしましたのは、七億数千万円でございまして、その差は非常に大きいのでございます。従ってこの配分につきましても、これは代理受領したのではございませんで、政府責任においてこれを配分するというだけでございまして、その間、被害者と配分する場合においていろいろの意見の相違がございます。しかし政府が一方的にやってこれを放り出すわけにもいきませんので、関係各省が、おのおの被害を受けた団体並びにその関係者と今折衝中なのであります。納得の上、この問題を解決いたしたい。しかもすみやかに解決したいと思いまして、連日折衝いたしておるのでありまするが、近くこの問題を最後的に了承の上きめたい、かように考えておる次第でございます。
  109. 千田正

    ○千田正君 そうしますと、官房長官にお尋ねしますが、現実的な問題になりまするが、ただいまの配分をめぐってわれわれが納得いかない点があるというのは、ここの配分をする前に、早急にきまらないから、業者の人たちは困るであろうというので、政府が預金部資金から回してやって、県あるいは市中銀行に一応の利息を取って貸し付けている、これが明日、三十年の三月三十一日限りをもって、それは限定をして貸し付けているはずでありまするが、これに対してはどう処置するつもりか、被害者に対しては利息をとって貸し付けておる、しかしアメリカからきた配分に対しては利息をとるわけにはいきますまい。同時にまたこの問題はもうすでに被害を受けてから約一年経過している今日に至って、いまだその配分補償ができないというようなことは、これはあくまで内閣責任であると私は思います。とにかく明日でもう日限が切れてしまう、そうするというと、利息をつけた金で、あなた方のほうで、いわゆる政府のほうに対して返してやらなければならない。そのあとの補償はどうするのか、純然たるこうした立場におったならば、おそらく政府がどういう責任を持ってそういう問題を解決するか。もう一つは、仄聞するところによるというと、その二百万ドルのうちから配分するに際しましては、行政費を差し引いて渡すというようなことを、うわさでありますが聞いておりますが、政府がアメリカ側と折衝するために国の費用を使ってやるのは、これは当然だと思う。それを差し引いて損害を受けたものに渡すということになるというと、あたかもピンはねをして、そうして損害したものに金を渡すということも考えられないとは限らない。こういう点はむしろ公明正大に、補償として、あるいは補償に類する金として渡されたものならば、そういうことをせずに、なおさら足りない金であるから、これは行政費などを差し引かずに当然返さるべき問題であると思います。  この点ともう一つは、厚生大臣もおみえになっているならばお伺いしたいのは、先般アメリカの原子力委員会において、ある委員が放言しておる。日本久保山という漁師が死んだのはビキニの被災の灰によって死んだのじゃないのだ、あれは別な病気で死んだのだ、日本の医者は治療に当って、その経過を詳しく報告しているが、これはビキニのいわゆる被害によって死んだのではない、原因はビキニの被害ではないのだということを発表しております。そうするというと、日本政府がビキニの被害の補償であるということを、あるいは損害があるということを要求しておった久保山君の死亡に対するところの要求というものは、アメリカ政府を相手にしてペテンにかけたようにしか受け取れない。これは国際信義上はなはだ遺憾に思うのでありますから、あくまでこれがビキニの被災で死んだという立証ができるならば、堂々と世界に向ってこの真偽を発表すべきだと私は思います。この点について内閣官房長官と川崎厚生大臣から特にはっきりした御回答をいただきたいと思います。
  110. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答え申上げます。配分に当りまして行政費を二百万ドルのうちから差し引くという考えを持っておりません。なお、借り替えの問題でございまするが、これは農林大臣からお答えするところでございますから、農林大臣のほうからお願いいたします。
  111. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 只今御指摘になりました明日に迫っておりまする金融につきましては、業者のほうからもいろいろお話がありましたので、これはなるべく借り替えができますように、せっかく斡旋をいたしております。さよう御了承願いたいと思います。
  112. 千田正

    ○千田正君 農林大臣に……。明日に迫っておりますので、これは延期するのですか、明後日から借り替えできるような準備はできておりますか。
  113. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) そういうお話を先般承りましたので、これを借り替えをするように、せっかく事務的に斡旋をいたしております。
  114. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) 久保山さんの死去の原因がビキニの灰の結果によるものであるということは、これは昨年一ぱいを通しての客観的な推移が雄弁に物語っておると私は考えておるのでありまして、只今御指摘のようなことがアメリカの上院議員の一人から発言されたとしても、それは国際的には私は普遍的に納得のいける議論ではないと、かように考えております。これがもし国際的な紛議を招くようなことになりますれば、厚生省としては、只今御指摘のような措置を取りたいと思っております。
  115. 千田正

    ○千田正君 総理大臣大蔵大臣にお伺いします。奄美大島が日本に完全に復帰しましたのは昨年でありまするが、さなきだに貧困な奄美大島の産業状態、経済状態なので、国税その他の徴収に対しましては、砂糖消費税あるいは酒税等に対しては一応この徴収を延期しておった、免除の形でやっておったのでありますが、これも二回にわたって延期して、今年のいわゆる明日、三月三十一日をもってこの期限は切れるのであります。ところが島民の要望というものは、長い間アメリカの管理下にあって非常に苦難の途に耐えてきた、ようやく日本に復帰して、日本国民として税金は納めたいけれども納められない状況にあるのでありまして、これに対しましては、総理大臣は先般の総選挙に際して鹿児島を遊説された際に、奄美大島の問題については、そういう貧困な情勢であるならば、この問題については延期しよう、こういうことを県民の前において演説の中におっしゃられたというふうに島民からの訴えがあったが、さようであって、これが延期されるということであれば、島民の喜びこれにかえるものないと思いますが、現実には明日、三十年の三月三十一日をもってこの酒税及び砂糖消費税等の間接税は一応打切りとなって、明後日からは徴収されるという段階になりますが、この問題につきましては総理大臣は果して御公約になっておられるのかどうか、あるいは大蔵大臣との間に十分御了解がついて、島民の実情を御賢察になって、もう一度延期しようというお考えになっておられるかどうか、これは島民の実に涙ぐましいところの陳情でありますので、その点についてのお答えをいただきたいと思います。
  116. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は鹿児島においてそういうような演説はいたしませんでした。詳しいことは存じませんので、大蔵大臣から……。ここに答弁には書いてはあります。読むのは読めますけれども、私は実際のことをいえば知らないのですから大蔵大臣から……。
  117. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御指摘の税は本当にお話のように私はお気の毒に存じておりまして、今までもたびたびこれは延期々々をして参ったわけであります。それでこの期限も切れますので、実は地元の方々もたくさん陳情に参りましてよくお話を承わっております。それで、国の財政をあずかっている者から見ると、なかなか人情々々というわけにも参らないのでありますけれども、今お話のような格別な事情もありますので、砂糖消費税につきましては六カ月延期する政令の手続きをとりました。それで地元の方々にもけっこうだからとお喜びになってお帰りになりましたことを御報告申上げます。
  118. 千田正

    ○千田正君 もう一点だけ……。
  119. 館哲二

    委員長館哲二君) もう時間を経過していますから……。
  120. 千田正

    ○千田正君 一点だけ重大な点について。
  121. 館哲二

    委員長館哲二君) 簡単にお願いします。
  122. 千田正

    ○千田正君 これは厚生大臣と労働大臣にお伺いしますが、今国をあげて新聞紙上等の問題にもなっておりますが、いよいよ引揚げ問題も終局に入って参りました、最終段階と称せられる全部で二万数千名が中国からの帰還がなされております。しかしながら、当時の外務省及び厚生省等において発表した数とは非常に食い違いがある。この人たちの問題は一体留守家族からいいますというと、行方不明者は死んだのかどうか、死んだのならあとはこれは遺族として考えなければならない、こういう切実なる問題であります。この問題についての数の的確なるものをわれわれははっきりこの際つかんでおきたい。これを伺いたいということと、引揚げて来られてから実際故郷に帰って、あるいはその他それぞれのことを考えておりますが、就職の問題が一番問題になっておる。日本に帰ってきても一体就職できるのか、食っていけるのか、こういう問題が帰って来る人もまた向うに残留しておる人たちも非常にこれは考えておるんでありまして、これの受け入れ態勢はどうなっておるのか、一体帰ってこい、帰ってこいと言うても、この狭い国土に入れて、そうして明日から生活補助金を与えなければ食っていけないのではないかという状況の下において、帰ってこいと言ってもこれははなはだ遺憾なことでありますので、その受け入れ態勢はどうなっておるか、帰って来た人たちにはある程度職につかせるところの段取りをやっておるのかどうか。この点を一つ厚生大臣と、ことに労働問題等についていろいろお世話になっておりますところの労働大臣から、こうした受け入れ態勢の万端の準備ができておるかどうかということを一言お伺いしておきたいと思います。
  123. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) ただいま御質問の第一点である行方不明者の問題につきましては、昨年の九月に厚生省から発表した数字に御信頼を願いたいと思うのであります。なお、行方不明者は未帰還者の大体八五%という数字になっております。それから中共地区からの引揚者に対する応急援護それから定着援護——特別の言葉でありますが、いわゆる厚生対策につきましては、引揚げの後期の同情すべき特性にかんがみまして、できるだけ手厚く受け入れられるよう配慮いたしまして、すでに帰還手当だとかあるいは帰郷雑費、また療養を要する者につきましては、未帰還者留守家族等援護法該当者に対しましては、これの法律に基く療養を行うことといたして、また同法の非該当者に対しましては上陸後二十五日間の入院費を国費で負担する措置などは行なっております。  それから最後に御質問になりました就職の問題でございます。就職の問題につきましては引揚者の職業斡旋にはもとより労働省の協力を得なければできないことでありますが、第一次から第七次までの引揚者の場合に例をとってみますると自己就職を除きまして、公共職業安定機関を通じた者だけで八〇%以上になっております。昨年十一月の第九次の引き揚げの場合をとりますと、約四〇%の就職率を示しておりますので、相当に職業安定機関を通じての効果は上っておると思いますが、今後とも労働省の協力を得まして十分なる措置を講じたい、かように考えております。
  124. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。ただいま厚生大臣から就職の問題についてはお答えいたしましたが、労働省で調査いたしました人員は昭和二十八年の三月から本年二月までの間に中共地区からの引揚者が二万八千二百五十七名、ソ連地区からの引揚者が千二百三十一名、計で二万九千四百八十八名引き揚げたことになっております。これらの帰国者の就職につきましては職業安定機関の重点的な施策として強力に労働省では推進いたしております。その結果、中共地区からの帰国者につきましては、求職者が一万九千百十九名、このうち自己就職を除きまして、職業安定所でお世話申し上げただけが六千八十四名、ソ連地区からの帰国者では、これも自己就職を除きまして、求職者が三百八十四名あります。そのうちで職業安定所でお世話申し上げたのが二百六名、結局両方合せますというと、自己就職を除きまして、約六〇%程度の就職ということでありまして、日本の就職としては一般よりか非常に上回った事実を現在示しております。これで決して十分とは考えておりません。それから今回八百十五名の帰還者をみたのでありますが、これらの帰国者に対しては上陸地の舞鶴に臨時職業相談所を設置いたしまして、国内の雇用情勢その他必要な情報を提供して職業相談をいたしております。そうして全国の職業安定機関をあげまして適切な職業の指導を実行しまして、特に特別の求人開拓という仕事職業安定機関を通じて今行なっております。さらに転職、技能等の関係から就職の困難な人に対しましては、職業補導所を利用いたしまして、ここで技能を付与して就職の機会の増大に全力を傾注いたしております。
  125. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 まず私は防衛分担金の減額交渉の問題につきまして、鳩山総理の御見解を承わりたいと存じます。  先般各新聞紙が書いておりましたから、恐らく事実だと思うのでありますが、総理新聞記者との会談の機会に、防衛分担金の減額の分を住宅対策の費用に向けたいということを言っておられたようでありますが、現在もこの心境にお変りないかどうか、この点を簡明にお答え願いたいと存じます。
  126. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) かってそういうことを言ったことはあります。防衛分担金が減額せられて、その金額が住宅増設のほうに向けられるならば非常にいいと今でも思っておりますが、今日果してそれができるかどうかは私はよく存じません。
  127. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 そういうお考えは、大蔵大臣が先般発表されました三十年度予算編成の構想、この中には、防衛庁経費と防衛分担金とを合せたものを全体の防衛費とするというお考えが盛られておりますが、この問題と矛盾して来ないかという点を大蔵大臣からお答え願いたいと思います。
  128. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 決して矛盾するわけではないのでありまして、こういうふうにあれはなっておるのでございます。防衛庁費と分担金とを加えた総額が前年度の額の枠のうちになるようにもっていく、こういうようになっております。ですから私どもとしては、そのいろいろな折衝の結果に待たなければなりませんが、できるだけ少なければそれは結構なことです。そうするとその財源がどこにいくかということは、紐つきではありません、予算全体の財源として何が最も重点かというところで配分されるのですから、どうなるかは別として、かりに総理が今問題になっているようにお考えになっておられても、決してこれは矛盾したことではありません。
  129. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 防衛分担金を減額したものを防衛庁費の漸増に向ける、それでもなおかつ余裕があると、防衛分担金が大幅に減額されるというような甘い考え方をおっしゃられるわけですか。
  130. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 決してそういうように必ずしも甘い考えを持っておるのではありませんが、矛盾するかせぬかという御質疑でありましたから、矛盾はしないというふうに御答弁を申し上げるわけであります。
  131. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 防衛分担金の減額について、鳩山総理のあの言が防衛分担金減額の交渉にアメリカ側を硬化させたということを聞いておりますが、この点につきまして総理の御見解を承わりたいと存じます。
  132. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は言わないほうがよかったかとも思っております。
  133. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 そうすると、はっきり表からはそう思わないとは申しませんけれども、幾分そういうことはあったかも知れないというふうにわれわれは理解してよろしゅうございますか。
  134. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 直接に折衝には私どもが当っておりまして、総理のそういう言葉からどういうふうに折衝の上に影響があったかと申し上げますと、新聞にもああいうふうに伝えられておりましたが、そのことのために悪い感じをアメリカが持っておるということはありません。
  135. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 この問題は非常にデリケートな問題であり、向うの交渉の過程で、これではっきり現われるものでもないと思いますけれども、きのう廣瀬委員からもお言葉がありましたように、こういう問題については総理はよほど慎重に御発言になりませんというと、しばしばこういう問題が起るということを私どもは心から国民として心配している点であります。  次に私は、昨日わが党の左藤委員から触れられました公邸廃止の問題について少しく伺いたいと存ずるのであります。こういう問題は、なるほどそれ自体には表面上いいように見える。確かに拍手を送られていると思うのでありますが、これによって実際はどれだけ益するものがあるかということを考えますときに、いい題目ではあったけれども、さっぱり実質これに伴わずということであってはならないと思うのでありますが、一応この問題につきまして、昨日官房長官がお答えになりましたような、借りているものは返すような方法をとる。また国の費用で持っているものは大蔵省で売却の方法を講ずる。そうして四つばかりの公邸は残して、各省共同の会議その他の使用に供するというお考えのようでありますが、これを一つの表にして、この公邸はこういうふうな方法で管財局なら管財局で売る方法を考えている、あるいはこれはいつ契約を解除して家賃がいつから浮いて来ているというような表をお作り願いたいと思う。これは明朝この予算委員会の開会されるまでには、このくらいのものは間に合うだろうと思いますから、是非その表を、簡単なもので結構でありますから、お出しを願いたいと思う。なおこれで幾らか浮くことは私どもは認めますけれども、これに関連していろいろな会合をよそに持っていって逃げ込んでいるということでは、結局朝三暮四になってしまって、総合したものは結局は国費の節約にならないというようなことになりやしないかということを私どもは虞れるのでありますが、一応とにかくこの表によってわれわれは検討いたしたい、こう考える次第でございます。これはお出し願えますね。
  136. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 公邸廃止によりまして、昭和三十年度においてどのくらい金で節約になるか、これは一応計算をいたしておりまして、その分を予算から落すつもりでおりますが、全体の公邸関係の維持費が大体二千万円くらいでありまして、今度四公邸を残すことによりまして千二百万くらいのものが落せる、大体さような計算に相なっておりますが、なお必要に応じまして資料をお目にかけたいと思います。
  137. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 次に私は、これも鳩山第一次内閣ができましたときに一番初めに声明されまして実行しておられると思いますが、大臣の身辺警護の問題でありますが、どういうような形で身辺警護をやっておられるか。それは何を狙いとしておられるか。これはもし何でしたら国家公安委員長からでも結構でございます。
  138. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) 申し上げます。このことは御一緒に御発言のようでございましたが、公邸廃止とちょっと似たように、一見、見えますけれども、そういう費用の節減とか何とか、そういうふうなことから出た考えではございません。元来、大臣の護衛ということはどういうわけでついておるのかわけがわからなかったのでございます。けれども明治以来長いこと廃止しようとして廃止ができなかった。これは事実でございます。けれども私は鳩山総理にお目にかかりまして御相談をしてみましたところが、全然同感だと言われましたので、これは閣議できめることでも何でもございませんから、閣議の諸君にはただ念のためにちょっと御了解を得ただけでございますが、一体大臣というものが警官に護衛されて国内を旅行するということが不思議千万と私は考えたのでございます。そんなことで、どうも巡査に守られて歩かなければならぬようなことでは困ったものである。それで鳩山内閣が、われわれはそんな警官に守られるのではなくて、国民諸君に守っていただくように、よいことをしさえすればそれでよかろう、こういうふうに考えたのでございます。それで一面はまあ政治家の心がまえとしてそういう考え方はよくない、これは廃止しようじゃないかということが一つと、それからもう一つは、警察官のほうから考えてみましても、人の生命、財産を保護するということが警察官の務めでございましょうが、その一部の大臣と称するものだけに特にしょっちゅうついておって、護衛するということは、これは不思議な、おかしなことである。人の生命には、市井の一老婆であろうと大臣であろうと変りがあるはずがないから、これは警察官のほうからいってもどうしてもそういう特殊な取扱いをすべきではない、こういう見地からいたしまして、警察当局にもよく納得してもらいまして廃止したような次第でございます。ちょっと申し上げておきます。
  139. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 この問題は実際非常に簡単なようでありますけれども、今まで内閣が変るたびにいつもやめると言っておきながら復活している。この事実はわれわれ見逃すことができないのでありまして、ただいまおっしゃるような趣旨はよくわかります。趣旨はわかりますけれども、なぜ復活するかということを考えてみますると、身辺の警戒というものは、ある人を特定の警戒をするというときには、これが大臣であろうと、どういう人であろうが、これがその人に特定のそういう危害、危険があるということがわかっておれば特別にその人を保護してやるというのが当然警察の任務である。ところが政治のそうした大事な衝に当っておる人に、いろいろ政策の誤解やら、あるいはばか者やらが出て来ることは、これは絶対にいい政治をやっておってもあり得ることです。狂人も出て来るし、あるいはそうしたばか者が出て来る。そうした危険が大臣という人には多いから恐らくこれをつけておったのだと思う。これを単なる偽善的な気持から廃止するとすれば、結局警察はどうするかというと、遠巻きに、何か目に見えないようにしてその人を保護することが出て来る。そのためにたくさんの人を使い、あるいは経費を多く使うかも知れない。表面的にはなるほど非常によさそうに見えてくるけれども、効果の点において、身辺を警戒しておることこそ一番効果の上る方法なんです。これを遠巻きに、あるいは社会全体でそういう人がないようなら、警戒するということは、これは警察はなかなかそういうことはできるものじゃないのです。これをおやめになったようでありますけれども、これについて今後ともこれを長く続けられるお気持があるのかどうか。そうだとすると、却って警察は非常な、そのために鳩山第二次内閣はこれによって身辺の警戒をやめた、それほどいい政治を行なっておるということを言うには都合がよいかも知れませんけれども、警察がこれを行うためにどんなに煩瑣になるかわからない、こういう点を考えたことがおありかどうか、この点をあわせてお伺いしたい。
  140. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) 一応ごもっともな御意見、つつしんで拝聴いたしました。しかしながらまだ今日までそういうことはないようでございます。むろん大体護衛をつけておくのが間違いだという考えで進んでおりますから、御指摘のような場合に、何か大臣が妨害されるとかなんとかいう場合には、それはつける場合が警察としてはあるかも知れませんけれども、ただいまのところでは、まだ一つもそういうことはございませんから、どうぞ御協力を願いたいと思います。
  141. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 大麻公安委員長は非常に自信のある御答弁のようでありますから、私はこの点はしばらく見送ることにいたしますけれども、今までの長い歴史は、もう何回も廃止々々といって廃止が最後までやられた例はなかったということだけを申上げておきます。  次に私は、これも鳩山第一次内閣ができてすぐ実行されたことの一つでありますが、マージャンとゴルフを公務員が業者と一緒にやっちゃいかぬということですが、これについてはどういうような方法でその自粛をやっておられるのか、この手続、どういうことをされたのか、まず承わりたいと存じます、官房長官でないとわからないですか、これは。
  142. 館哲二

    委員長館哲二君) 官房長官はちょっと差しつかえがありまして……。
  143. 大麻唯男

    国務大臣(大麻唯男君) 先ほどの御注意まことにありがとうございます。よく注意いたします。なかなか明治以来実行困難なことをやって、これは当り前の、すこぶる平穏なことだと思いますけれども、実際問題としては歴代失敗した歴史があることは私も承知いたしております。しかしながら、われわれはそのあやまちをしないように注意いたしておることはお含みを願います。  またマージャンの点につきましては、丁度官房長官がおりませんので、後刻機会を見て申し上げることにいたします。
  144. 館哲二

    委員長館哲二君) 後ほど官房長官によりましてまた答弁を聞くことにいたします。
  145. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 この問題は、ではあとに回すことにいたします。  行政管理庁では、多分前の西田長官の時だったと思いますが、各種団体の調べをいたしまして、新聞紙に発表されましたが、それにこれだけの経費がかかっておる、これが非常に節約の余地があるということを発表されたのでありますが、発表されたのは結構でありますが、その後これに対してどういう方法をとっておられ、今後どういう方法をとろうとされるのか承わりたいと存じます。
  146. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 私が行政管理庁長官をやっておる時のことでございますから、便宜的に私からお答えいたします。  今伊能委員の御質問になりましたことは外郭団体のことじゃないかと考えますが、外郭団体に対して出しておりまする国からの補助金というものの必要でないものはこれを切りたい、こういう考え方で外郭団体を調査いたしました。しかしながら行政管理庁の機能といたしましては、強制的にこれを調査する権限は持っておりませんので、相手方の了承を求め得たものに限ってこれを調査したわけでございます。管理庁として新聞には発表しておりませんけれども新聞にはある程度書かれたことは事実でございますが、ただいまも継続して外郭団体のことを調査いたしております。
  147. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 そうすると、それらの団体について国が視助金を出しておるものは全面的に切ろうと、こういうお考えと理解してよろしうございますか。
  148. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。調査した結果、国が出しておりまする視助金がその目的のために使われてないというような団体がありました場合は、その補助金大蔵省に折衝いたしまして打ち切りたいと、かような考え方を持って現在もなお調査を進めております。
  149. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 その後、三月の十二日だと思いましたが、新聞で発表されたところによりますというと、各種補助金の不正使用の例をたくさん掲げて、こういうものがあるから数百億に達する補助金が整理できる、こういうことを書いておられますが、これはどういう方法で調査されたものであるか。つまり会計検査院は会計検査院として相当の調査をしているはずでありますが、この発表の調査が行政管理庁であるように新聞は書いておりますが、行政管理庁は行政管理庁として監察部を通じていろいろな調査をしておられますから、その方から出た資料だと考えるのでありますが、これを総合して、会計検査院の調査も、あるいは行政管理庁で行なっている調査も、これを当然総合していろいろな施策がなされなければならないはずであると思う。大体政府のやり方が、ややもすれば会計検査院だ、あるいはこの視助金を扱う大蔵省だ、あるいはその具体的な事業をやる建設省だ、農林省だ、それにまた行政管理庁だというので、非常に窓口が多いことは事実なのでありまして、これらの窓口のものをどこで統一して、それらの得たところの資料を一緒に国の施策として統一的なことをやっていくのか、この点をあわせて伺いたいと存じます。
  150. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) 私が就任中のことでございますから、お答え申し上げます。  ただいま伊能さんの御質問のありましたのは、行政管理庁としましては、政府が、政策実行の面におきまして果して各行政官庁が完全に政府の意図の通りに実行されているかどうか。従って経費がそういう方面に完全に使われているかどうかという立場に立ちまして、その年度に実行されておりますることについて行政監察部で監察をやっております。その監察の結果、もし公正に使われていない、あるいは間違った使い方をしているというようなことがありました場合は、行政理管庁といたしまして各行政機関に対しまして通達を発して、通達を出してもなお是正をしてくれないという場合には勧告をいたしまして、そうして各行政機関の協力を求めております。そういうために行政監察部としては全機能をあげて現在調査をいたしております。行政管理庁として発表したわけではございませんけれども、今まで調査しました調査の結果が新聞に載ったことだろうと考えております。
  151. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 ただいま私もちょっと触れましたように、政府のいろいろなこうした監察というような仕事が非常にいろいろな機関から同じところへ行く点につきましては、受けるほうの地方庁側は非常な迷惑をしているのでありますが、やった方は、会計検査院は会計検査院で、こんなに不正がたくさんあったぞ。行政管理庁は行政管理庁で、こんなにたくさん不正があったぞ。大蔵省大蔵省で、またこういう不正があったぞ。あるいは同じものをやるかも知れませんのでありますが、とにかくそれぞれの機関が言いますというと、いかにも各方面に非常な不正あるいは不当がたくさん行われているかのごとき印象を与えていると思いますが、これをもっと統一した考えのもとに、もう少し総合的にまとめてやっていけないものかどうか。実際受ける方にすれば、非常にこれについて迷惑を感じているのでありますが、これは自治庁長官は何かそういう行動について非常な不平をしばしばお聞きになっていると思いますが、もう少し政府部内において統一した方法でやる方法をお考えになっておりませんか。
  152. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 行政監査の事柄が行政管理庁、それから会計検査院、大蔵省、個々にいろいろやるので、非常に煩雑にもなりまするし、また監査を受ける方の立場から考えれば、非常な迷惑な話であるというお説は、まことに御もっともでありまして、私は就任以来まだ日が浅いので、この点に関しまして的確な考えはまだまとまっておりませんけれども、よく御趣意を体しまして至急に考えをまとめて適当な措置を講じたいとかように考えます。
  153. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 次に自治庁長官にお伺いしますが、きのうの答弁も、あるいは今までも出てきておったのは、二十八年度までに地方団体の赤字は総計四百六十二億という数字が出ておるということでありますが、二十九年度は五月の末になりませんというと出納閉鎖になりませんけれども、今のお見通しとして、大体重要なものはもうわかっておる。義務的な支出もわかっておるのでありますが、赤字になるのかならないのか。赤字になるとすればどのくらいのものが赤字になるかというくらいなことはすでにおわかりになっておるはずだと思うのでありますが、これについて、自治庁長官なり、あるいは大蔵大臣からこの見通しを御答弁願いたいと思います。
  154. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 二十七年度に対しまして二十八年度は約百億近くの赤字が殖えたのではないかと考えるのでありますが、二十九年度が、しからばどのくらい殖えたかということにつきましては、私、就任以来いろいろ調査を命じておりますが、まだ、報告が府県から集まっておりません。二十八年度の赤字の実績を見まして、府県並びに市町村とも相当自粛しておりますからして、二十七年度に比較して二十八年度が赤字が殖えたほどの多額の赤字はないと思うのでありますけれども、しかし赤字が解消したという事実もないのでありますからして、多少の赤字は殖えておると思います。しかし的確な数字はまだ集まっておりません。
  155. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 もちろん集まっておるはずもないので、ですから、見通しと申し上げたので、五月末になって初めて……一番早くても六月の半ばくらいにならないというとこの数字がわからないはずでありますが、見通しは百億くらいではないかというのが今の御見解のようであります。そうしますというと、二十八年度からさらに百億殖えてきますというと、四百六十億が大体五百六十億になってくる。これをきのうの当委員会でもお答えがありましたように、再建整備をしようということは、大蔵大臣も自治庁長官意見が一致しておられように承わるのでありますが、この五百六十億になろうとする赤字をどういう方式で……きのうは大蔵大臣は別会計というようなお言葉をお使いになりましたが、どういうような方法でこれを別会計にして、たな上げと申しましゃうか、どういう方法でお始末になるか、この点を大蔵大臣から伺いたい。
  156. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ただいまお話しの二十九年度で百億殖える、こう私の答弁をお聞き取りになったようでありますが、それは違うのでありまして、二十七年度と二十八年度と比べると百億近く殖えておりまするけれども、二十九年度は府県、市町村とも大いに自粛していますからそう多額の赤字の殖え方はなかろう、こういうことを申し上げたわけでありますから、それは御了承願います。  それから赤字の解消方法でありますが、これは新しく地方財政の再建整備の法案を作りましてこの国会に提案して御審議を願うつもりで調査を進めております。その内容といたしましては、現在あります四百六十二億の赤字は短期債でありますからして、これを相当長い期間の長期債に書きかえまして、利息もなるべく政府資金に移しまして、もし政府資金でできない一般の公募債の分は、利子の差額は補給をするというような措置をとりまして、一応たな上げのような形にしてこれを措置したいと、こう考えておりますが、同時に、赤字をせっかくたな上げしましても、また新しい赤字ができるのでは、これはいつまでたっても地方財政は基礎がかたくならないのでありまして、そうした方法と同時に今後赤字が出ないようないろいろな施策を施したい。並行して考えているわけであります。
  157. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 この赤字を長期債に切りかえ、できれば政府資金によるというような構想のようでありますが、毎年地方起債は、このところ、公企業の分を除いて、一千億近くの起債の枠を出しております。二十九年度においては多分八百九十億だったと記憶しておりますが、そういう数字を普通の事業をやる面に出しておるのですが、大蔵大臣の昨日の御答弁によれば、補助金を思い切って打ち切るから、その補助金において地方庁が出す分は節約できるので、そういうような節約によって、三十年度においてはそんなに起債が出さずに済ませるというようなふうにうかがわれることも御答弁になっておりますが、そうだとすると、三十年度においてはそれらの補助金整理その他によってまかなって、そんなに赤字も出さないし、同時に今までのような起債を認めなくても済むというようなお考えがあるかどうか。今までの公社事業、特に災害復旧の問題、その他に出しておる起債というのが、長期債が相当あるわけです。累積しておるのは大蔵大臣も困るというお話も昨日あったが、そのほかに、この赤字政府資金なりあるいは長期債に切りかえるということになりますと、これは莫大なものに上ってくるはずなんです。これをどういうふうに御処理になるお考えであるか。大蔵大臣の御見解を伺いたい。
  158. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私、別会計というと、これはテクニックのような話になりますから誤解になりますが、別勘定という意味で言います。どうしてそういうふうな累積しておる赤字を債務に直すかということ、こういう新らしい債券も多いのじゃないか、その通りであるのですが、しかし今日の赤字は、もうすでに借入金の赤字が伴っておるのであります。地方銀行あたりの地方公共団体に対する貸付がそのままになっておる。これは債券に振りかえる、こういうふうなのが多いのであります。ですから新しい資金を特に必要とするというよりも、むしろそういうふうに債券にかえた場合に、一体それはそれで利子の問題がありますから、利子補給について財政としては考えているわけであります。こういうふうに御了解を願えればよろしかろうと思います。
  159. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 利子補給の点については私ども賛成なんでありますが、ただ今まで四百六十億という赤字の一部はおそらく支払いを延期したりなんかしていっておるのですが、実際地方銀行から四百六十億のうちの三百億くらいというものは長期債で借りておる、これをどういうふうに処理されるか。これが再建整備の一番大きな眼目になると私は思うのです。利子補給というのは予算額からいっても大したことはないので、おそらくこれは解決する問題は、四百六十億といいますけれども、本当に長期債で借りているのは三百億くらい、三百億くらいのものをどういううふうにして処理するか、これが一番大きな問題で、これはなかなか大蔵省が今まで腹がきまらないから、再建整備がいつになってもできなかった。この点におきまして、今の御答弁のようなことではなかなか私どもは納得できないものがあるのでありまして、同時に三十年度以降においては赤字を出さない方法をとるといっているが、すでに三十年度の予算におきましては、二十九年度の九千八百億に対しておそらく五、六百億を増してやらなければ地方財政がやっていけないという要求を、地方自治庁ではおそらく出しておると思うのです。それを新しく赤字を出さないといいながら新しく赤字を出す。しかも一兆のうちで、その地方側に対して何でこの五、六百億という殖えるものを節約をうんと強いるのか、あるいは国税でも殖やすか、あるいは地方税の増徴でもやらなければならんか、あるいは起債の枠を拡げるかのどれをやっても、なかなか国の財政容易じゃないと私は思うのですが、どういう方法で新しく要求の出ておる大きなこの需要に対して対処されるか。一兆の予算のうちからどうしてこれに対処されるかということを、大蔵大臣のお考えを承わりたいと思うのであります。
  160. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今日の地方団体が赤字を出しておる、これを将来にわたって再び出ないように解消する、その策はどうか、非常にこれはむずかしくかつ根本の点が非常にたくさんあるのであります。これは今日関係大臣とみんなで研究、審議をしておるのでありますが、財政当局としては、何といっても御指摘のように財政は一兆、決して楽なものではないのであります。まずできるだけ経費のむだを省いて合理化をやる、これは言うまでもありません。同時にまた、それほど重要でなくして、かつ赤字を出す、そういうふうな仕事の分量に関しても大いに考慮してもらう必要があるのじゃないか。要するに、今日地方庁がどこでどういうふうなことをしておるがために赤字になりつつあるかという根本の原因を明らかにすることが、一番これは……そうしてその原因を見て、そうしてそれに対してどういうふうにすればいいか、本当にこれは真剣に、議論をかれこれ言うておるときではない。本当に私は真剣に心配しておるので、その意味で、その原因を今はっきり出してほしいということをお頼みしておるようなわけであります。
  161. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 今ごろその原因を追及すると言われますが、もう原因は恐らく研究し尽されておるので、これを勇敢にやるかどうかという政府の腹にかかっておるのであります。今になって原因を研究しておるでは、とても三十年度予算には間に合わないので、だからこの点はこうするのだという点で決心をしてもらわなければならん時期だと私は考えておるのであります。  さらに、時間もございませんので、一、二これに関連してお聞きしたいのは、地方団体から国やあるいは他の団体への寄付をすることが適当でないから、禁止と言いましたか制限と言いましたか、当時の西田自治庁長官は、参議院本会議答弁ではっきりしておりますが、この方針は第二次鳩山内閣において実行される意思があるかないかお聞きしたいと思います。
  162. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方自治団体から国のほうへ寄付するのが大体三十億、その他合計約二百億の寄付金をいたしておるわけでありまして、これはある程度整理しなければ到底地方財政の基礎を固くすることはできませんので、実行いたしたい、かように考えております。しからばどういう寄付金を禁止するかというと、まだ具体案はできておりませんが、たとえば警察に対する寄付金であるとかあるいは法務局に対する寄付金であるとか、いろいろあるのでありまして、三十年度の本格予算を作るまでにはこの点も明らかにいたしたい、こう考えております。
  163. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 その方式を、前に西田長官のお言葉のうちでは、地方団体がそういうことをするのを禁止するかのごとき、そういう法律を作るというふうに多分速記録に載っておると思うのでありますが、そういう考えであるのか。あるいは国の出先機関がこういうものを受けてはいけないというので、受けるほうを抑制する方法に出るのか。このやり方について伺いたい。
  164. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) よく問題になるのは警察に対する寄附金でありまして、警察に対する寄附金は、市町村がやる場合と個人がやる場合と二つありまして、個人のやる場合は非常な弊害が伴いますので、これは警察庁のほうでもいろいろ考慮をいたしておるようであります。市町村から府県に対する寄附というものはなるべくこれをやめて、国費で賄わせたいと思っておりますけれども、中には警察と市町村と協力体制を作る意味におきましても、多少の寄附金を認めなければならぬじゃないかということもあるのでありまして、私は今、これを法律によって処置するか、あるいは行政措置によって処置するかということは、的確には考えはまとまっておりませんけれども、結論といたしましては、地方公共団体から国その他に対する寄附金はなるべくこれを抑圧したいと、こう考えで方策をとるつもりでおります。
  165. 館哲二

    委員長館哲二君) 伊能委員に御相談申し上げますが、あなたの御質問の持ち時間のうちで、通産大臣に御質問になります御予定ですか。
  166. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 通産大臣と、さっきの官房長官に対するマージャン、ゴルフの禁止の問題と、二つ残っているのですが、両方とも見えないから、仕方ないから時間を延ばしているのであります。
  167. 館哲二

    委員長館哲二君) 少し時間をお残しになりまして、休憩をして、次の時間に一つお願いしたらどうかと思うのでありますが。——それではこの程度で休憩いたしまして、二時から開会することにいたします。    午後一時十二分休憩    ————・————    午後二時三十四分開会
  168. 館哲二

    委員長館哲二君) 休憩前に引き続いて開会いたします。(「官房長官はどうした」と呼ぶ者あり)通商産業大臣に対する御質問をお願いしたらどうかと思うのですが……。
  169. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 第二次鳩山内閣は、吉田内閣が二十九年度に行なってきた緊縮政策、従って、低物価政策を少くともこの三十年度においては原則として行なっていくという基本的な方針だと思うのでありますが、その場合に、この低物価政策の上で一番大きな問題である電気料金の問題、この電気料金を今ちょうど冬料金から夏料金の切りかえになる季節に当りまして、政府は電気料金対策要綱を発表したようでありますが、これによりますというと、政府としては今まですでに吉田内閣以来やってきた金利の引き下げ、あるいは税負担の軽減、あるいは補償費の軽減というようなことを政府として努力するほかに、企業者に対しては企業努力を要請して、できるだけ電気料金の上ることを抑制していきたいと、このことについては私どもも全く同感でありますが、ただここに来年三月まで定額電灯及び従量電灯の需用者の支払い料金が旧供給規程による料金の一三〇%を超過する場合には、これを一三〇%に頭打ちをすると、こういうことを言っておるのでありますが、政府はほんとうに腰を据えて金利の引き下げをやり、税の軽減、あるいは補償費の軽減をやり、かつ電力会社に対しては企業努力を大きく要請するという場合に、三割もの超過までは認めるというようなことはあまりに政府の施策としては自信がなさ過ぎるのじゃないだろうか。また一面、企業者におきましてもまだまだ合理化すべきものはたくさんあるということを私どもは認めるものでありますが、従って、この三割というものがあまり大き過ぎやしないだろうかという感じを私は深くしておるのでありますが、通産大臣のこの問題に対する御見解を伺いたいと思います。
  170. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) お答えいたします。お尋ねのように今度の処置はこれははなはだなまぬるいというおしかりを受けるだろうと思います。が、これは御承知のように電力問題はもっと根本問題にさかのぼって検討する必要がどうしてもございます。現状のままで参りますと、なお今後とも値上りを来たすという数字が出てくるようなわけでありますから、そこでこれを押えて、できるだけ安い電気料金によって性質のいい電気を供給するためには、お説の中にもありますように、電力会社にももっと一そう経営の合理化をさせる必要もございますし、また今後開発すべき水力設備のコストについても考えなければならんと思います。その際に前内閣で申しましたような税、または金利の問題も一緒考えて、できるだけ早い機会に、根本的な対策を立てたいと存じまして、今鋭意その検討をいたしておる次第でございます。しかし、とにかく四月一日から何らかの処置をするということは、これは前内閣の時代に、昨年の十月料金を改定する場合に、そういうある程度の約束もいたして興るようでございますから、それに対しても一つ部分的なりともその約束に応ずるような処置を講じたいと考えまして、今度とりあえずとにかく家庭電灯について、今の料金をそのまますべり込ませますと、相当高い値上りになることになりますから、その部分は三割に押える。それから産業上の電力につきましても今三割頭打ちをしておる部分かございます、それについてもこれはこの九月で切れるわけでありますからこれも続けて、少くとも来年の三月までにやる、こういうことに一応いたしておきまして、できるだけ急いで先ほど申しました根本的な対策を立てて、それができますればそれによりまして必ずしも来年の三月三十一日を待たずとも、適当な電力料金にいたすということに実行いたしたいと考えております。
  171. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 関連して……。ただいま伊能委員から申し述べましたこの電力料金の問題でありますが、通産大臣の言われましたように、電力料金の問題については根本的に検討しなければならぬいろいろの大きな問題が伏在しておることは私もよく承知しておるのでございます。しかし昨年十月電力料金の値上げの問題がありましたときに、その前後を通じてこれは非常に国民も騒いだ問題であります。それで、かりに前内閣とはいえ、愛知通産大臣等もこれは下げるということを約束したのでありますが、これもただ政府だけでなしに、あのときいろいろの関係委員会を通じまして、これはほとんど超党派的の総意として電力料金を上げるということは国民生活の上から考えても、あるいは基幹産業の合理化というような上から考えても大問題であるということで、あらゆる論議の末に、超党派的にこれはきまった意見だと私は思っておるのであります。その後も民主党の政調会等においても電力料金の問題についてはいろいろの措置を講じて値下げをやらなければならぬということも一つの大きな政策になっておるのでありまして、これがちょうど前の値上げのときからもうすでに半カ年たっておる。民主党が内閣をとられてからもすでに数カ月たっておるので、今回の改定の期に大体ほとんどすべての問題を今後に譲って、一応当面のお茶濁し的なことしかきめられていないということは、私はこれはきわめて怠慢というか、熱意が足りないのだと思うのであります。今回きめられました家庭料金の三割頭打ちということにつきましても、これは地域によっていろいろ違いまするけれども、八灯以上くらいのものは一応救われるのでありますが、七灯以下のいわゆる少額所得層といいますか、しかも需用者のパーセンテージから言えば半分以上、約五八%くらいがこの階層であろうと思います。この階層については何らの恩恵がないのであって、これもやはり一戸当り平均七、八十円から百円くらいの値上りになるのではないかと思うのでありますが、額にしてはかりに小さいとしても、値上げの家庭生活に及ぼす影響ということから言えば、これは非常に大きい問題だと思うのでありますが、これらについてもう少し情味ある措置を、かりに暫定措置にしても私はとってもらいたいと思うのでありますが、こういう点についてまず通産大臣の所見を承わります。
  172. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) お説はいかにもごもっともでありますが、まあ怠慢とおしかりを受ければこれもいたし方がないのでありますが、手が回りかねまして十分根本的対策を作ってここに四月一日から実行するという準備ができませんでした。そこで、しかし四月一日から何かの措置を講ずるということは前内閣の当時ある程度公約をいたしたようなことでありますから、そこで即座に実行のできる限りにおいてただいまのような措置を暫定的にいたす、かようなわけでございます。
  173. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 即座に実行できることとしては少額所得層に対しても、あるいは一割頭打ちをするとか何とかいう考慮が私はこれにもできるのではないかと思うのであります。需用層の五八%も占めておる少額所得層に対して何らの考慮も払われていないということは、私はもう少し政治に情味がほしいと思います。それからかりに産業関係の問題につきましても、これは地域によっていろいろ違うと思うのでありまするが、炭鉱、ことに常磐炭鉱などはすでに平均三八%も値上りしておる。今度の四月からの改定料金によっていくというと六四%の値上り率になる。炭鉱は生産制限もされておるし、炭鉱の不況は御案内の通りでありまするが、ここにさらに電力料金がこんなに上って、そうして政府は物価の引き下げに努力をするということを公約されておるのでありますが、物価の引き下げのやはり一番根本的な問題は炭価を引き下げるというようなことが私は一番根本の問題になるのだと思います。このままで一体炭価がどうなるのか、電力料金の問題についてもう少し私は真剣に考えて、たとえど炭鉱等については保安電力のようなものは、これはもう保安電力がなければ炭鉱はつぶれるのでありまするから、こういう電力については少くとも値上げをしないとか、あるいは農事用灌漑電力についてはいろいろの措置を講じられておるのでありまするが、炭鉱の保安電力についてくらいは何らかの措置を考えなければならぬ、こういう即座の具体的な措置が私はいろいろとれると思うのでありますが、どうも真剣に電力料金の問題とか、あるいは家庭生活の問題、あるいは基本産業にどういう影響があるかというようなことについて掘り下げた検討をされてないのじゃないかと私は思うのでありますが、通産大臣のこういう問題についての御意見をもう一回承わりたい。
  174. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 産業方面の電力につきましてもいろいろの御要求もあり、また実際実行もしなければならぬ点があると存じます。しかしこれも今の段階においてはもう少し掘り下げて全体の電力そのものの経営経理について検討をいたしませんと、これは単に炭鉱だけ一つ、あるいは農村だけ一つというわけではなく、やる場合にはかなり全面的にいろいろの施策をしなければならぬと存じますので、四月一日からというわけには参りません。さよう御了承を願います。
  175. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 どうも昨日からいろいろ政府答弁を聞いておりますると、一切が、あるいは努力中であるとか、検討中であるとかいうような御答弁ばかりであって、あるいはちょうど、ことに電力料金の問題は四月一日が改定期ということは半年も前からきまっておる事実でありまするから、このくらいのことは相当御研究を願って、最も影響の大きい面についてだけでも適当の措置をとるということは、これはむしろ当然じゃないかと思うので、ただいままでの通産大臣の御答弁では、私は真剣に電力料金の問題と国民生活、あるいは基本産業ということの関連についてあまり検討されておるとは受け取れません。これはまた、私は関連でありまするからあまりしゃべってもいかぬので、別の機会にお伺いしたい。また経審長官等も来られた場合にさらにこの問題は追及したいと思いまするが、あまり検討されてないように私は思います。  次に大蔵大臣に一言聞いておきたいのでありますが、先ほど伊能委員が言いましたように、この問題は金利の引き下げ、あるいは税制、企業努力等によってやろうということであります。開銀の利子を六分五厘を五分に引き下げる、一分引き下げということによって二十数億の金が出るわけであります。これだけのものが出れば電力料金の引き下げについて相当の措置が一面考えられるのじゃないかと思うのでありまするが、これについてもこれは大蔵大臣が電気事業についてだけそういうことをやるのは均衡がとれないとかいろいろの議論もされて措置がとられてないやに聞いておるのであります。他の産業との均衡上とかいうようなことから言いましたならば、造船については立法措置によったのでありますが、三分五厘までにしておる。考えようによっては基本になる電気事業と造船とどっちが重いか、造船については三分五厘にいたしておるのに電力については六分五厘、市中銀行からは一割くらいの金を借りてやっておる。こういうことについてやはり大蔵大臣ももう少し他とつり合いがとれんとかいろいろのことでごまかすといっちゃ語弊がありますが、言わないで、真剣にこの問題と取っ組んでいただいて努力をしてもらいたいと思っております。今後大蔵大臣はこの電気事業に対して開銀その他の融資の利息等こういう問題についてどういう考えをもって善処をされるか、御所見を承わりたい。
  176. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はこの金利全体につきましては、これをできるだけ安くすることになるような条件を作りつつ安くする、こういうことを考えておりますが、開銀の金利につきましても、この電気だけはほかの産業もあるから、電気だけにとそういうふうに素朴にも考えては実はいないのであります。石炭とか電気とかいうようなものにつきましては、特に基礎的なものであります、十分この金利等を下げ得れば下ぐる理由があると私は思っております。なるべく下げたいのです。ただ電気につきましては、非常に違うのであります、会社ごとに。今日何も赤字が出ておるというわけでもない。この電気料を下げる点についていろいろと総合的に考えなくてはならない点が多々あると私は考えておるのであります。ですから開銀の金利を下げるのは何でもないのでありますが、これを要するに税金で行くのと同じなのであります。政府のお金の方の運用になるのであります。ですから国民全体のやはり負担においてするということになる場合には、ほかにやはりいろいろな点があれば、それを直していただく、総合的に一つ考えたい。今回根本的に考えられるということですから、その際は十分考えられるだろうと思っております。
  177. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 もう一点だけ。この電気だけは、とかいうようなお話がございましたが、これは大蔵大臣も電力事業は開発が進むにつれて、ことに水力ですが、水力が開発が進めば進むほど非常にコスト高になって、電力料金をむしろ値上げをして行かなければならん要素を事業それ自体に含んでおるということは、これはよく御承知になっておることだと思うのであります。ところがその水力電源の最近のずっと開発によりまして日本の産業界、家庭が相当潤ってきたということは、これまた御案内の通りでありまするが、そこで先ほど会社によって違うとかいろいろ言われましたが、今水力電源を一番開発しておる東北であるとか、あるいは北陸電力であるとか、こういう地帯が一番電力料金の値上げの大きなしわを受けるのでありまして、だからこれは、しかもその電力が豊富になることによって潤っておるのは国全体であり、国民全体であるのでありますから、電力事業をやればほかの事業もという、ただその均衡論ばかりではなく、電気事業の本質というものをもう少し考えていただいて、金利を下げるくらいのことは何でもないのだと言われたのでありますが、それならばもう少し掘り下げて真剣に検討されて、電気事業の本質そのものに伏在しておる矛盾性といいますか、困難さをよく見きわめられて、少くともこの開銀の利息の引き下げくらいのことは今回措置をとられてもよかったのじゃないか、また今回とられなかったにしても、これを公約といいますか、公けに約束されても私はいいのじゃないかと思いますが、そういう御意思があるかないか、重ねてお伺いいたします。
  178. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) いや、私は先ほども電力事業というものは、非常に基礎的なものであるから、重点的に考えなくてはならんということを申し上げたつもりで、ほかの産業はどうとかこうとか比較したわけではありません。ただ問題は、この金利を下げるとか、それから税金を下げるとかいうことにすぐにすべてが何かというと……これは一番行き方として容易な行き方であると思うのであります。そういうふうな行き方では、とても日本のこの経済とか、あるいは電力事業にしてもなかなか行くものではない。ですから決してそういうことも考えないというのじゃないのだが、そうほんとうにしなくてはならんものかどうかそこをはっきりした上で考える。ただ税金も下げる、電力を下げるということは、やはり政府当局としてはやれないので、いろいろといかにすれば電力が下るか、いろいろ私はあると思う。従来の実績から見ますと、電気会社なんか赤々と言いおるが、実はやってみると半期にはけっこう黒字が出ておるというのが従来の実例でもあるのであります。今回電力を下げるのならば下げてみなさい。今赤が出てないのですから、一割二分の配当をしておるのだから一ぺん出してみなさい。何がゆえに赤になるのかそれをはっきりしてそれから税金を下げなければならん、金利も下げなければならんというのならこれはまた電気の特殊の事情によって十分考えてみよう、こう考えておるということを率直に申し上げます。
  179. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 料金の値上げになったことは現実の事実じゃないですか。それに対してもう少し私は……。
  180. 館哲二

    委員長館哲二君) 伊能君に申し上げますが、内閣官房長官が出席されておりますから……。
  181. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 電気料金対策要綱というこの要綱は形式的にはどういう性格のものですか。ということは、閣議決定にでもなったものですか、それとも通産大臣だけでこういうふうに項目を取り扱うのだというような意味の省議の決定ぐらいのものですか。この点伺いたいと思います。
  182. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 対策要綱という名前で発表されたようであります。内容は閣議で決定したものです。
  183. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 そうだとすると、ただいま大蔵大臣は金利の問題は電力料金の場合にそんなに簡単に言ってもできないのだというような意味にとれるように聞きましたが、閣議決定の要綱がある以上は当然これは金利の問題も大蔵大臣心配するということを了解しておるとかというふうにわれわれは考えざるを得ないのです。大蔵大臣いかがですか。
  184. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今すぐ電気料金を下げる、すぐ金利を下げる、こういうふうな決定はありません。
  185. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 要綱の中にはもちろんすぐ下げるということは言っておりません。根本的に検討を加えるというのですが、しかし今石原委員の関連質問に対する答弁は聞いておりますと、金利というものはそんなに簡単に行くのじゃないので、万般の問題が金利にしわ寄せになるのだから、事簡単に行かないのだということになってくると、これは要綱でうたっておいた、けれども実際はほとんどそういう意思がないかのごとき印象をここで受けたのですが、いかがですか。
  186. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) あるいは私の言葉が足らなかったかもしれないが、電気料を下げるとかいろいろ総合的に考えてきた場合には、金利を考えてただ金利だけをまず下げる、税金だけをまず……こういう行き方はちょっと困ると、こういうわけです。
  187. 木村守江

    木村守江君 ただいま石原君の関連質問に対しまして、一萬田大蔵大臣から電力会社は決して赤字になっておるのじゃない、依然として若干の配当をしておるというような御答弁がありましたが、しからば何ゆえに電力会社は電気料金を上げなくちゃいけないのか、また電気料金を上げることを阻止せんがために何ゆえに通産大臣は金利の引き下げをしたり、あるいは税金の負担を軽からしめたり、そういうような操作をしなければならないか。これは利子の引き下げをするということも国家の収入を減ずることでありまして、従って国家の収入を減じますればその負担国民全体にかかっておるということになって参るのです。また税金の引き下げをいたしましても、これまた間接的に国民負担となって参るのでありまして、かような点から考えますと、あなた方のやっておることは、電力会社に利益を与えんがために国民を犠牲にしてもはばからないというようなことになると思いますが、御両人のこれに対する御答弁をお願いいたします。
  188. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 電力会社を保護するためになんという考えは毛頭持っておりません。ただ、昨年、二十九年度の下半期ですか、下半期は、昨年前内閣のときに料金の改定問題が出たときには、全体として赤字になる計算であったようであります。ところがその後の状況は、水の関係もありますし、あるいは石炭の値が下ったとか、あるいはロスが、まあこれこそは企業努力と申すべきでありましょうが、特にいろいろの方策によってロスが減った。まあいろいろの好条件が現われまして、案外赤字になると思うのが、まだはっきりした決算はわかりませんが、黒字になりそうだという見当がついた。大体平水量に関係するものでありますから、まあ甘いと言えば甘いことになりますが、赤字になると思うのが案外赤字が小さくなったり、あるいは黒字になるというようなことが起るわけです。そういう現象がこの二十九年度下半期には現われようとしておることは事実であります。ただし、今年三十年度の下半期は、これはまだいろいろ、今の予想ではむろんこれは水の関係、いろいろのことでどういうふうに変化するかわかりませんが、必ずしも黒字になるということは考えられないというのが状況でございます。ですからこれから建設もだんだん進みますと、現在御承知のように安い建設費で発電をしております部分の割合が減るに従って、電力料金はある程度の値上りをしてくるということが大勢でございますので、その場合には設備資金の分担の方法とか、あるいは金利、税金等の問題も考えなければならない、かように存じております。それをこれから一つ、ただいま検討中でありますが、十分検討をして、そうして料金もできるだけ上らないようにするということにいたしたい、こう考えております。
  189. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私は先ほど一割二分の配当と言いましたが、これは今日の会社の状況をそういう言葉で、まあどんなふうな状況にあるかということをおわかり願えるような意味で申し上げたので、なお、ただいま通産大臣お話しになったので十分尽きておると思いまするので、つけ加えることもありません。
  190. 木村守江

    木村守江君 ただいま通産大臣答弁を聞いて参りましたが、きわめて通産大臣答弁としては奇怪しごくだと私は考える。通産大臣のお言葉によりますると、決して電力会社を保護する考えはないといいますが、昨年の料金の改定においては赤字になるだろうと思ったが、その後の電力事情によって黒字になったと申されまするが、昨年の下半期における、いわゆる渇水期におけるあの状態というものは、決して会社にとって豊水によって電力が豊富になる……好条件ではなかったのであります。その逆な状態であったことは御承知通りであります。かような逆な状態にありましてもなお黒字になっておるということを考えまするときに、今後赤字になるということがどういう計算から計算されますか。こういうような状態で、あなたが言われる四月一日からいわゆる一三〇%の値上りを努力するという、何ゆえに現在黒字であるものを三〇%、三割料金を上げなければならないのか、こういう点を考えますと、あなたの政策というものが電力会社を保護して、国民全体を、いわゆる産業そのものを非常に圧迫するものだと言っても私は何の差しつかえもないと思います。これに対してどういう考えを持っておりますか。
  191. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 根本的に日本の電力料金をどういうようにするかということは、今まだきまっておりません。ただ前内閣時代に、昨年十月でありますか、(「そんなことじゃない」と呼ぶ者あり)電気料金の改定をいたしております。ですからそれがそのままにしておけば、(「去年の渇水期はどうした、豊水じゃない」と呼ぶ者あり)それば事実において昨年のその十月の改定のときの計算が、いわゆる平水、(「そのあとの状況が悪いのだ、君」と呼ぶ者あり)とにかく事実はそういうふうになったと、(「事実はそれとは反対じゃないか」と呼ぶ者あり)会社の決算はそういうふうになりそうに見えるということを申し上げました。(「冗談じゃないよ」と呼ぶ者あり)
  192. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 議事進行について。関連質問がたびたび出て、しかもその関連質問が一問くらいならいいのですが、二問も三問も四問にもなるというようなことは、この審議の体裁をくずすことになる。特にそれは他党のことであるから申しませんが、われわれはそのために時間外としてこれを取られてしまう。あと少くなってしまうという関係にあると思いますから、この点は一つ審議の規律を守っていただきたい。
  193. 館哲二

    委員長館哲二君) 委員長も佐多君の発言に同感するのであります。できるだけ関連質問は簡単に願いたいと思います。(「答弁が悪いのだ」「答弁が悪ければ自分のときにやれ」と呼ぶ者あり)
  194. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 要綱には、暫定措置という言葉を使っておりますが、実際は来年の三月末までのことを決定しておるので、テンポの早い今日から言えば、一年間もこれをやるということは決して暫定持措とまで言えないのであります。ただ、通産大臣はあまり研究しておられるかどうかしりませんけれども、とにかく今後研究して一年にならなくても、三〇%というのは高過ぎるような点もあるから、努力するというお言葉でありますから、私はこのお言葉を信頼して、この問題についてはこれで打ち切ります。  次に官房長官、さっきからお待ちしておったのですが、第一次鳩山内閣ができました直後に、いろいろな問題を実行するというので、掲げたうちの一つに、マージャン、ゴルフを公務員が業者と一緒にしてはならない、この問題についてどういうふうな措置をとられたのか、この措置をまず伺いたいと思う。
  195. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答えいたします。これにつきましては閣議で了解事項としてこれをきめてから、事務次官会議を通じまして、これが下僚の方に通達いたしました。この実行を奨励いたしておる次第でございます。
  196. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 これは、実際状況は、下世話には、マージャンは課長級以下、ゴルフは局長級以上、大臣、次官は高級料理店、こういうふうに批評しておる。この事実をお聞きになっておるかどうかしりませんけれども、こういうふうにゴルフはやめさせる、マージャンはやめさせる。もちろん業者と一緒にやってはいかんというのですからけっこうでありますが、なぜもっと根本的にさかのぼって、高級料理店で業者と会食してはいかんということまで御決心にならないのか。これは実は総理がおいでになる間に官房長官と御一緒の間にお聞きしたかったのですが、お二人がちくはぐになってお聞きができなかったのですが、りっぱな閣僚諸公もおられることでありますから、だれか代表してお答えを願いたいと思います。
  197. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) どうも筋違いでございますので、お答えいたします。別段そういう開議でもって、大臣級は高級料理屋へは入ってはいかんという決議はいたしませんが、実際において入っておらないということは事実であります。(「どうかな」と呼ぶ者あり)少くも私は入っておりません。(笑声)
  198. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 それが事実ならばもう少しマージャンやゴルフばかりいじめないで、そういうことをもっと大きく、われわれはそういうことを自粛しているのだということをもう少し大きく世間に言う方が、むしろ第二次鳩山内閣として、非常にいいスローガンになるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  199. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) どうもお答えするのはむずかしいのでありますが、しかしそうでなくとも、選挙対策だ、選挙対策だと言われますから、自分たちはどうとか、こうとかいうことを、あまり宣伝するのはいかがかと思って、遠慮いたしておりました。(笑声、「珍しいな」と呼ぶ者あり)
  200. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 先ほど、私二、三の問題で触れてきましたように、公邸の問題は、公邸を逃げて、そしてグランド・ホテルで多額な費用を払って、使っておる。大臣の身辺警護は、なるほど、身辺におる人はやめたけれども、音羽の鳩山邸の前に行きますというと、たくさんの警察官があそこで警戒をしておる。マージャン、ゴルフに至りましては、局長や課長はそういうふうにやったけれども、まあそのほかの人は、そこまで決心したようでもない。なるほど、今通産大臣は、大へん控え目に、そういう宣伝はしないが、やっておるということでありましたが、どうも今までやってきたのは、ほんとうの人気取りの、その場限りの、思いつきのような感じが深くいたすのであります。私はこれ以上は申し上げません。時間の関係がありますので、これで私の質問を打ち切ります。
  201. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私は暫定予算の、衆議院予算委員会の付帯決議につきまして、大蔵大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。衆議院予算委員会の付帯決議は、公共事業については、継続的な事業については、四、五カ月分の補助費を計上すること、その他の補助金についても、四、五カ月分の補助費を計上すること、ということになっておりますが、これは暫定予算の補正案として提出をするように決議はされていたのか、あるいは本予算に四、五カ月分を計上するように、という意向であったのか、その辺についてはどういうふうにお考えになっておりますか。また本予算は四、五カ月分を限った予算というものが計上できるかどうか、その点についてお伺いいたしたいのでございます。
  202. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答え申し上げます。衆議院における付帯決議につきましては、たびたび申しますように、最善を尽して御趣意を体するわけでありますが、これにつきましては、特に補正予算を組むということは目下のところ私考えておりません。本予算を組むときに、四、五月分を入れて組む方がよかろうかと考えております。
  203. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ただいま大蔵大臣の御説明によりますと、補正予算提出する考え方はない、本予算には四、五カ月分を入れて提出するかもしれないということを言われておりましたが、四、五カ月分を入れて年間との関係はどういうふうにお考えになっておるか、それをお伺いしておきたいと思います。
  204. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 付帯決議にございましたのは四、五カ月分ではございませんで、四、五月分、そういう趣旨でございます。それで継続事業ないしは存置する補助金につきましては、これは本予算に一年分を組むわけでありますので、当然四、五月分が入るわけであります。そういう趣旨で極力委員会の付帯決議の趣旨を体しまして本予算の編成に臨むというつもりでおるわけでございます。
  205. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 大蔵大臣衆議院予算委員会における説明におきましては、暫定予算の中には継続事業費は生活保護費、義務教育費の国庫負担金地方交付税の交付金等を四、五の二カ月に対して三カ月を計上してあるから、継続事業をやるについても経常的な地方公共団体の費用をまかなうには十分あるのだ、なお継続事業を行う場合についてはそれで足りなければ、短期の融資も行なっていいのだというような説明をなされておるように伺っておりますが、生活保護費等の三カ月分、約五百億程度だと思いますが、それの一カ月分にいたしますと、百八十億くらいになります。それは継続的なもので、必要があればその費用に充当してもいいというように御説明になったのでございますか、それをはっきりお伺いいたしたいと思います。
  206. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私がさように申し上げましたのは、地方公共団体は非常に金繰りにお困りになるであろうというので、金繰りの緩和の意味で申したのであります。
  207. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ただいまの御説明で補助費は計上してない。それだから地方公共団体では資金繰りに困るから、これを緩和するために三カ月分の経費を計上して、経常的な経費はそれで十分にまかなっていけるという御説明でございますが、そういたしますと、公共事業等で二十九年度まで工事をやっていた地区で、三十年度におきましてはそれを継続をしてやることはお認めにならないのでございますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  208. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 今度の暫定予算にいかなる経費を計上するか、いろいろ問題があるわけでございますが、本来でございますると、公共事業、継続事業、直轄といえどもこれは計上しないというのも一つ考え方でございます。現に昭和二十五年でございましたか、二十六年でございましたか、暫定予算のときに直轄事業につきましては、賃金だけを組んだということもあるわけでございます。これは直轄事業に従事いたしております。職員は建設、農林、運輸各省でそれぞれ数千人ずつあるわけでございますので、それらを暫定予算によって路頭に迷わせないというような配慮から賃金が組まれたわけでございますが、賃金だけを組みましたのでは、ただ遊んでおるということになりますので、やはり最小限度の資材費をつけて事業をやらせるのが、これがやはり効果的に金を使うゆえんであるということから、直轄事業につきましては、若干の事業費をつけましたわけでございます。補助事業のうちの継続事業につきましても大なり小なり、それに似たような事情があるわけでございますが、そこは直轄と補助との違うところでありまして、補助事業というのは、府県なり団体なりの事業に対して国が補助する。その補助も原則としてこれはあと払いになるのが通例でございまして、ただ資金繰り緩和のために、例外的に大蔵大臣が協議を受けました場合には概算払い、前金払い等の道も開けております。原則はあと払いということになるわけでございます。従って、この四、五月におけるそういった補助事業の中の継続事業、これは本来府県なり、市町村がいわば府県なり、市町村なりの暫定予算、あるいは骨格予算で最小限度のものは組んでおる、それが通例のわけでございまして、それに対してあとから補助金が確定すればまたそこで補正が行われる。その補助金は四、五月には現実には各府県には参らないのが通例でございます。早くて七月ごろ参っておる。そういったようなわけからいたしまして、補助事業につきましては、継続事業についても補助金を計上しなかった、府県なり団体なりの固有の予算活動にゆだねたわけでございます。それで四、五月は大体しのげると思いますが、ただここに金繰りの問題が起って参ります。そこで地方交付税は、これは四月に四、五、六、三カ月分が交付されるという法律規定になっておりますので、その規定通りに三カ月分を交付する。また義務教育職員分は、これは前年度も三カ月分を前払いいたしましたので、今回もそういう金繰り緩和の問題がございますから、なおさら三カ月分をやはり前払いで、四月に四、五、六の三カ月分が現実に資金として届くという配慮を用いまして、多少なりとも金繰りの緩和に資しようと、それでもなお足りない場合には資金運用部の資金によってこれをつないでいこう、さような態勢をとることにいたしまして、今回の暫定予算の編成に臨んだわけでございまして、それによりまして都道府県、あるいは団体等における継続的事業の運営にはさしたる支障なく推移するのではないか、もちろん四月の中旬になりますれば来年度の本予算提出されまするし、それによりまして事業の将来の見通しもわかるわけでございますので、その両方のことをあわせて考えますと支障なく推移し得るのではないかと、さように考えておる次第でございます。
  209. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ただいまの御説明で、補助金が現実に出るのは、四月、五月には出ないで、六月ごろにおくれて出てくるが、それは決算について概算払いをしていくのだ、だからその間は府県等は自己資金なり融資等で事業は続けて支障なくできるということでございますが、具体的に申しますと、県道とか河川改修とか県営の農業水利の改良事業というようなことで継続的な事業については、補助金が将来改廃した場合に出るか出ないか、事業分量は三十年度はどの程度やっていいかということが明確に県にはわからない、非常に不安を持っておるわけでございますが、ずっと長い間やっております県道とか河川改修のようなものは、これは補助金が打ち切りになるというような心配は大体ないと思っている。ただ問題は、常に補助対象の問題になっております小規模の団体営の土地改良というようなものは、これは継続的のものを今続けてやっておりましても、本予算が出た場合に、補助金を打ち切ってしまった、補助率を下げたというようなことになると、事業計画が全然立たないことになりますが、私は補助金をすぐに交付する必要よりかも、事業の継続的なものは補助金の改廃にかかわらず旧規定で最小限度の事業は継続してやっていってもいいのだというようなことを政府ははっきりと言明しないと、府県はどういうふうにやっていいかわからない。先ほどのお話のように、本予算が四月の中旬に出ればそれではっきりするようなお話でございますが、本予算が出ましても、予算が成立するまでは、予算審議中は関係各省は事業量の割当のようなものは各府県に対してはできないと考えるのでございます。従って、六月ごろまでは本年度の事業は継続のものはどうするかということについて確たる方針なしに仕事をやっていくようになるから、二の際事業量等については継続のものについては各省で内示をしていくというような取扱い方をすみやかにとられる必要があるのではないかというふうに考えるのでございます。その点についてどういうふうに大蔵大臣はお考えになりますか。
  210. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほども申し上げましたように、本予算提出されただけでは、これはまあ議決になるかどうかわからないわけでございまして、お話のような不安もあるいはあろうかと存じますが、これはしかし従来も、予算が出されましてもなかなか細部の配分はすぐにはつきがたかったというのが実情でございまして、こまかい実施計画がまとまりますのはどうしても、これは事のよしあしは別といたしまして、六、七月頃になっておったというような実情にあるわけでございます。のみならず、補助事業につきましては大なり小なり前年度からの繰り越しもあるわけでございまして、繰り越し事業で年度初めをつないでいくというようなことも非常に多くある例なのでありまして、今年に限って特に事業の執行が非常に不安になるというような実情でもないのではないかと、まあわれわれといたしましては、一日も早く本予算提出並びにその成立を願うことにおいては切なるものがあるわけでございますが、その作業をこの段階では急ぐということが何よりも皆さんに御安心を願うゆえんではないかと、さように考えておるわけでございまして、かりに二カ月分暫定予算にそれを計上いたしましても、二カ月という短期間のしり切れの契約をするというようなことも事実問題としてなかなかできないわけでございます。実施計画の立てようもないではないかと考えるわけでございまして、実際問題としてはそう支障はないのではないかと、さように考えておるわけでございます。
  211. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 主計局長の説明では、最後の計画までできるのは早くとも七月頃にならないとわからないのだというお話でございますが、昨年の例におきましても、これは事業の分量は、すでに四月の初めから四月の中旬までに各事業地区ごとに割当は決定をいたして、そうして財政法による手続によって最後の決定をするのは七月頃になっておりますが、事業の目標は年度初めにはっきりわかっておるのでございます。安心して事業計画を進めていけるのでございますが、その点についてただいまの御説明ではどうも地方は納得がいかないと思います。だから私は、やはり年度内の事業分量は、最小限度継続事業は内示措置をとる必要があると思います。その点をもう一ぺん伺っておきたいと思います。
  212. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 四月中旬に予算提出するといたしますと、四月の初め頃から内示をいたしまして、四月の上旬中には各省との間の話をつけなくちゃならんわけでございまして、その内示並びに各省からの復活折衝、その段階を通じましてある程度のことは各省に知れわたるし、各省から地方にもまた知れわたると、ただお話のように、予算が成立しておるのと審議中とでは大分話の内容も違うわけでございますが、大きな事業は別として小さな事業になりますと、昨年の例なんか見ましても、そうすぐには予算の配分はできなかった。昨年なども七月頃までそれを持ち越しておるというような実情でございますので、そういう事態に比べると、特に今年が非常におくれて差しつかえがあるということにはならないと、それは早く予算が成立するに越したことはないわけでございますが、予算の成立がおくれておるためにそういう不安定な要素がまじって参りますけれども、例年に比べてそう非常に差しさわりがあるということでもないと存ずるわけであります。なお内示はできるだけ早くいたしまして、また各省といたしましても、それを関係方面にできるだけ安心のいくように、もちろん審議中であるということを条件にしなくちゃならんわけでありますが、徹底するように話をいたしたい考えております。
  213. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 なるべく早く内示のできるようにお取り計らいをお願いいたしたいと思います  次に大蔵大臣にお願いいたしますが、先般の説明で、三十年度の財政投融資は余剰農産物の見返り円資金を含めて約三十億くらいで、重点的の運用をするのだという御説明でございましたが、余剰農産物の円資金は二百十四億と承知しておりますが、それは決定いたしたのでございますか、なおその中の配分におきまして、農業開発については本年度は約一千万ドルのように聞いておりますが、その配分も決定になったのかどうか、その点をお伺いいたしたいと存じます。
  214. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 余剰農産物のなには今折衝中でありまして、折衝の結果に待たなくてはなりません。ただできました場合にその資金の用途には、電源開発、農業開発の方に使いたいと希望を申し出ております。
  215. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 二百十四億の借款のうちで従来聞いておりますのは農業開発については愛知用水、北海道の石狩平野の機械開墾の分を今年度さしあたり約一千万ドル円資金が必要なのだ、その保証が日本政府でできれば世界銀行はインパクト・ローンで一千万ドルを本年度より貸し付けてもいいということを内定をいたしておるように聞いておるのでございます。もし二百十四億のうちの農業開発の分が縮小されるようなことになれば、せっかくきまっております世界銀行の借款もそれに従って減らすようなことになるのじゃないかという心配があるのでございますが、できるだけこの配分については事業の性質上から農業開発に優先的に配分をなさるように御考慮をお願いいたしたいと思います。なお、この問題に関連して伺いたいのでございますが、ただいま申し上げましたような農業開発地区につきましては、なお八郎潟の干拓を含めまして全事業が約七百億になるのでございます。ただいま予定いたしております世界銀行と余剰農産物の円資金を合せて本年度はさしあたり六十億程度に予定をされておるように伺っておるのでございますが、三十年度から三十四年度までの間に約七百億の世界銀行の借款を余剰農産物の円資金と、その事業計画につきまして来年度以降については余剰農産物とか世界銀行等の借款について交渉を進められているのでございますか、その点については事業計画を確立するような方針について何か大蔵省はお考えになっておりますか、その点をはっきりしておきたいと思います。
  216. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 世界銀行の借款と余剰農産物の買入れは、これは別個に考えてよろしいのでありますが、ともかく世界銀行の借款をこちらが要請して、そしてこの成立を期しておる以上、当然これに見合って円資金が要るのでありますから、それにはいずれにいたしましても遺憾なきようにいたしたいと考えております。
  217. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 もう一点……。
  218. 館哲二

    委員長館哲二君) 簡単にお願いいたします。
  219. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 もう一点重要な点がありますからお伺いいたしておきたいと思いますが、先般大蔵大臣は三十年度の骨格予算の説明につきましては、一月十八日の閣議決定の項目を大体敷衍して御説明になったのでございます。そのうちで重要施策については一番から八番まで閣議決定通りの趣旨を御説明になったようでございますが、重要な点は、そのうちで閣議決定にあります農林漁業の振興及び食糧対策の刷新という項目については、何ら触れてないのでございます。閣議決定の重要施策のうちの農業関係については一言も大蔵大臣は触れてない、大蔵大臣の三十年度予算に対する構想については農業者は非常に不安を持っておるのでございます。なぜ大蔵大臣は農業政策に対して軽視をしておるのか、この際あらためて大蔵大臣の農業政策に対する構想をお述べになることがあなたのためにもなることと考えます。どうか内容につきまして具体的に御説明をお願いいたしたいと思います。
  220. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 農業は軽視どころではありません。私は最も今日尊重をして、重要であると……、これを具体的にいいましても、時間も何ですが、現在食糧はこの国際収支の状況下においても三億ドルから四億ドル払っておる。この一事を見ましてもいかに農業というものの自給度を高めて行かなければならぬかということは明瞭なんであります。決してそういうことを軽視どころではありません。そうして一月十八日の閣議決定の予算編成大綱に基いてただいま予算を編成しておりますから、一月十八日の予算編成大綱には農業のことも十分うたっておるので、さように御了承を得たいのであります。
  221. 湯山勇

    ○湯山勇君 文部大臣にお尋ねいたします。来年度小、中学校の児童生徒数は約七十五万増加するということが明確でございます。これに対する教材費、施設費等の問題もありますけれども、当面教員の確保ということは緊急な問題であると思うのでございますが、新学期に間に合うように生徒児童増に伴う教員数の確保ができるのかできないのか、これについて文部大臣の御所見を承わりたいと思います。
  222. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) その数等は地方等の関連もございまして本予算に定めたいと思っておりますが、しかしさしあたり四、五の間に合わせますために今度の暫定予算においては去年の三カ月分の確保を計上いたしまして、それでしんしゃくができるようにいたしております。地方の実情におきましてこの四、五において新らしい教員の確保をすることは、それによってできることになっておるわけでございます。
  223. 湯山勇

    ○湯山勇君 自治庁長官にお尋ねいたします。
  224. 館哲二

    委員長館哲二君) 間もなくこちらに出席するはずでございます。今地方行政委員会へ呼びに行っておりますから。
  225. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは文部大臣にもう一つ続いてお尋ねいたしますが、今一応義務教育費国庫負担の額につきましてはよくわかりました。ところが地方の実情は決して確保されていないで、先般地方予算編成当時全国的に教員の定数の問題が騒がれたことは、大臣も御承知のことと思います。現在各県におきましては教員の確保ができないために、中間で未確定のまま待機しておるという状態であると思いますし、その詳細についても大臣は御承知のことと思うのでございますが、これについて何か対策をお講じになる御予定でございましょうか。ただ予算だけ出しておけば確保できるという問題ではなくて、文教行政の責任者として今の状態を放置することはできないと思うのでございますが、大臣はどうお考えでございましょうか。
  226. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) お答えをいたしますが、それには地方の各府県の事情等にもよることでございまして、できるだけ文部省といたしましては地方府県と連絡をいたしまして、その面には万遺憾のないように取り運ぶようにいたしてはおきました。
  227. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して、よく事情はわかりましたが、しんしゃくするとか、万遺憾なきを期するとかいうことだけでは地方は承服できない。新年度の新学級増に伴う国がおのおのの県に具体的にどれだけの増を今後の本予算で認めてくれるか、このことの見通しのない限り地方暫定予算の影響を受けて、当初予算で本格的な予算は作れない事情にございまするから、操作によって適当な定員の確保をする、あるいは増員をするということは、地方の府県団体の独自の考えでは絶対にできないようになっておる。従って本予算はできない今日でありましても、見通しとしては各県にそれぞれ定員の増が、これだけ配置せられることが、大蔵当局との間に了解が出、本予算においてそれが具体化する、従ってこのワクだけは地方の自由な責任においてやってほしい、そういう具体的な方針が示されなければならんので、その点について文部大臣から重ねて御答弁願いたい。
  228. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) お話通りでございまして、この予算の成立とともに地方と連絡をいたしまして、一定の方針によって万遺憾のないようにいたしたいと思っております。この暫定予算を作りますのにきっぱりとした数字が出ませんでしたから、やむを得ず三カ月分を見込んで、それで一つまかなう、こういうつもりでやっております。予算通りますれば早速お話通りのような運びをいたしたいと考えております。
  229. 館哲二

    委員長館哲二君) 湯山委員に申し上げます。自治庁長官は出席されましたから。
  230. 湯山勇

    ○湯山勇君 自治庁長官は、来年度において小学校、中学校の生徒児童が五十七万ふえる、これに対して地方財政計画において、これに対応する教員確保についてどういう対策をお持ちになっておるか、どういうお考えを持っておられるか、承わりたいと思います。
  231. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 大体生徒が七十五万人ふえることになっております。文部大臣からお答えがあったかと思うのですが、暫定予算においてはこれを考慮せずに、一応四、五、六、三カ月分だけを組んでありまして、地方におかれましては、自治庁からして一応必要最小限度の教員の増加だけをしておいてもらいたいという、こういう通牒が出してございました。それに従いまして地方ではそれぞれ増員をいたしております。大体一万二、三千名の増員になっておるのじゃないかと考えておりますが、はっきりした統計は持っておりませんけれども、文部省と相談いたしまして、基準がきまりますればその基準に従いまして計算をして予算を作りたいと、こう考えております。
  232. 湯山勇

    ○湯山勇君 重ねて自治庁長官にお尋ねいたしますが、必要最小限度というのはどういうふうに自治庁としてはお考えになっておられるのでございますか。
  233. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 生徒の増加数、学級数、学校数等によりまして、地方々々によって違うのでありまして、これは地方考えにまかしておるわけでありまして、画一的に私の方からしてどの程度と、こういうことは言ってないわけでございます。
  234. 湯山勇

    ○湯山勇君 本日いただいた自治庁の資料、昭和三十年度第一四半期地方財政収支計画におきましては、その備考において「給与費中には、児童生徒数の増加に因る教員の増員に伴う給与の増加額は、その増員計画が未確定のため算入していない。」という、ただし書がございます。こういう財政計画で、これを地方に指示された場合に、今おっしゃるように、地方ではちゃんと措置しているというようなことはこれはできないことで、現に減っておる県もあるし、全然措置されておらない県も数県ございます。中央の決定を待っているというので、六月に持ち越された県も十数県あるようでございます。これをこのまま放置しては大へんなことですが、この必要最小限度を確保せよ、という通牒は、いつごろお出しになったんでございますか。
  235. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これは私の前任者がやりましたので、ちょっと今いつということは覚えておりませんが、調べてすぐ御報告申し上げましょう。
  236. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは財政計画の、こういうふうに(「前任者はここにいるよ」と呼ぶ者あり)それは悪いでしょうから……この地方財政計画では増員計画は算入してないと思っておるのです。今長官のおっしゃったのは、増員してよろしいという通知を出した。この二つの関連が明らかにならなければ地方はどうにもなりませんから、その関係は後刻お調べになってお出しいただきたいと思います。よろしゅございますか。
  237. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) それはまだ基準がきまりませんから、一応予算的には配賦しないで、そのかわりに四、五二カ月の暫定予算にかかわらず、六月まで見越してよけい配賦をして、その範囲内で金繰りをして適当と思う増員をする、こういう意味でございまして、矛盾はないわけであります。
  238. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういう無責任なことを言われては困るわけです。四、五のために三カ月分の措置をしておる、全部使っていいと言うならわかりますけれども、どれだけ使って、あとでどれだけ埋めてくれるかわからない。学年というのはずっと一年続くものですから、途中で変っては困るから、地方も手待ちの状態にある。これに対しての明確な指示を与えなければならないと思います。しかも生徒児童増に伴う教員増というものはそんなにむずかしいものではございません。災害の査定だとか、あるいは土木工事という性格のものではないのだから、しかもずっと前からわかっていることですから、早くこの指示をしなければ教育は困ってしまいます。文部大臣もお困りだろうと思います。そこでどういうふうになっておるか、今の通牒との関連において、もう一度お調べになった上で後刻お答えしていただきたいと思います。留保いたしたいと思います。  なおこの点につきまして大蔵大臣も今のことをお聞きいただいたと思うのですが、大蔵省としてはどういう御見解をお持ちになっておられるのでございますか。
  239. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 生徒もふえる、学級もふえるという点については、これはやはり実情に応じましてできる限りにおいて協力したい、かように考えております。
  240. 湯山勇

    ○湯山勇君 できる限りというのはよくわかります。それから三十年度の暫定予算では生徒児童増に伴う義務教育国庫負担金の増加ということが掲げてございます。ただ本予算が成立するまでは待たれない状態にあるわけです。新らしい学年はあさってから始まりますから、そこで本予算編成までずっと見通しての教員数の確保ということについて、大蔵大臣はどうお考えになっていらっしゃるかをお聞きしたいのでございます。先ほど主計局長の御答弁によれば、溝口委員の御質問に対して、公共事業等の繰り越し等があるから差しつかえなくやれるという御答弁でございました。学校は繰り越しをしておるわけではございませんし、どうしてもここで何らかの措置をされなければいかない状態にあるわけでございまして、これを大蔵大臣から承わりたい。
  241. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 児童生徒数の増加に要する義務教育国庫負担の金額の査定は、これは実は今まだせっかくやっておるところでございますから、もう旬日のうちにはお話し合いがつくのではないか、十五日に出すということになれば、一応上旬中には話し合いがつくわけでございまして、そうすれば政府の原案では、でございますが、大体基準を示され、御検討もおつきになるということで、今の段階ではむしろそちらの方を早くきめたらどうかということで考えておるわけでございます。四、五月についてどうするかというお話でございますが、七十五万人増加いたしますけれども、全体の児童生徒数に対する割合は五%程度でもございますし、三カ月分の予算、その三カ月分全部使っているという数字ではもちろんございませんけれども暫定予算に計上いたしました予算のやりくりで、何とか短期間のことでございますから、しのいでいただけるのじゃないか、こう思っております。
  242. 湯山勇

    ○湯山勇君 それで大蔵省、文部省の御意見はよくわかりましたし、了解できると思います。ただ問題は自治庁にありますので、結局このブレーキをかけておるのは自治庁であって、知事の政治力とか手腕によって各府県がでこぼこの状態にある。これはやはり自治庁の方で何らかの対策を早急に講じていただかなければならないと思いますので、その点も考慮して後ほど御答弁をいただきたいと存じます。  続いて文部大臣にもう一つお尋ねいたしますが、これは教科書無償配布の問題でございます。文部大臣は、教科書の無償配布は暫定予算では組まれなかったけれども、何か別な方法でこれができるようであれば考えたいというようなことをおっしゃっておったことも報道されておりますが、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでございますか。
  243. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 実はそれは就任早々のことでございまして、本予算で何とか是正ができれば、と思って努力をいたしたのでございますが、だんだん調べて見ますと、もう今の暫定予算できめませんと時期を逸していかんようでございまするし、やむを得ず今年度はいかんともしがたい、そういうことになったわけでございまして、さよう御了承をお願いいたしたいと思います。
  244. 湯山勇

    ○湯山勇君 今おっしゃった時期を逸するというのはどういう意味でございましょうか。
  245. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) それは大体教科書は四月の初めに渡すべきわけでありまするし、そうして教科書の出版会社との契約その他の事情もありまして、あとの本予算では間に合いかねる、こういうような事情がありまして断念せざるを得なくなったわけでございます。
  246. 湯山勇

    ○湯山勇君 間に合いかねるというのは、それじゃ手続上の問題でできないというのでございますか。実は昨年はこれを打ち切ったのは四月に入って打ち切ったわけでございます。それから、しかもそういう状態であるにもかかわらず、昨年は一月にすでに文部省から各府県に対しまして、来年度は国語、算数の教科書は無償で渡せない予定だからということの親切な、かどうかもわかりませんけれども、通牒まで出しておりました。あの補助金の打ち切りは時限立法でございまして、そうすると今年はもらえるものと全国の子供たちは考えていた。それが何の通知もなく、しかも今になってできないというのではあまりこれは子供たちを無視したやり方ではないかと思いますし、かつまた政策的な補助金は出さないとおっしゃいますけれども、これは出さないことが政策的であって、(「その通り、その通り」と呼ぶ者あり)出すのが本来でございます。政策的な補助金については検討の余地もあると思いますけれども、出さないことが政策的である。こういうものは当然出すべきだと思いますし、これは大臣の手腕、力量とかいう問題ではなくて、当然義務教育国庫負担、義務教育無償の原則に従ってどの大臣もが努力されるし、また政府全体も努力されるべき問題だと思います。時期がどうとか、こうとかいうことは、これはもう問題は別として、とにかく出すのか出さないのか、これをお伺いいたしたいと思います。
  247. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 先刻申上しげましたようなわけでございまして、遺憾ながら今年度においてはその予算を計上してそれを実行することはできないと心得てやむを得ざるに至ったのでございまして、この点は今年度はやらないということに御了承を願いたいと思っております。
  248. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは来年度はおやりになる御予定でございますか。
  249. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 私は今年は時期もございませず、こういうことになりましたが、これはぜひやるようにいたしたいと心得ておるものでございまして、この話をこれでそのまま眠らするという考えは毛頭ありません。
  250. 湯山勇

    ○湯山勇君 それではただ単に国語、算数だけではなくて、義務教育無償の憲法の大原則に従って全部の教科書が無償で渡るように大臣の御尽力をお願いいたしまして、文部大臣に対する質問を終ります。  次に厚生大臣……。
  251. 館哲二

    委員長館哲二君) 厚生大臣は出席されております。(「いない」と呼ぶ者ある)失礼しました。
  252. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 委員長、各大臣を呼んでおいて下さい。
  253. 湯山勇

    ○湯山勇君 それじゃちょっと私休憩しておりまして、あとでまた時間をいただきます。
  254. 館哲二

    委員長館哲二君) そうしていただきますかな。しかし、また一方そうなると総理と外務を呼ばなきゃいけないのです。(「休憩」と呼ぶ者あり)
  255. 左藤義詮

    左藤義詮君 議事進行について。政府は非常に予算提出が遅延したのに恐縮して、早く御審議を願うためにできるだけ閣僚の出席を督励して、他の委員会には政務次官を活用しても大臣の出席には御迷惑かけない、こういうような相談をしておられたようでございますが、その線に沿ってぜひ励行されるように、約束だけしておいて一向実行せんと、私どもも明日予算を上げることには困難でございますので、もう少し政府を御鞭撻願いたい。
  256. 館哲二

    委員長館哲二君) 委員長から特に督励いたします。(「休憩々々」と呼ぶ者あり)。
  257. 館哲二

    委員長館哲二君) 今総理が来られたようですから。
  258. 湯山勇

    ○湯山勇君 それじゃ、順序が変りますから、私はこれで……。
  259. 館哲二

    委員長館哲二君) それでは、厚生大臣と通産大臣はまだ出席いたしません。総理と外務大臣が出席されておりますから、この際湯山さんに御質問は次に譲っていただきまして、曾祢益君にお願いいたしたいと思います。(「外務大臣はいませんよ」と呼ぶ者あり)今大臣室から参られつつあるようですから……。(笑声、「大臣の出席状況きわめて悪い。ちょうど去年の十二月の前の内閣の末ごろの状態ですよ」と呼ぶ者あり)
  260. 館哲二

    委員長館哲二君) 外務大臣が出席されました。曾祢益君御質問願います。
  261. 曾禰益

    ○曾祢益君 私は先日本会議で外交問題についで緊急質問をいたしましたが、なお十分なる御答弁を得ておらない若干の点についてさらに総理並びに外務大臣から御答弁を願いたいと存ずるのであります。  第一は、私がせんだっても本会議で申し上げましたように、鳩山内閣はほんとうに自主独立な見地から中ソ関係を、国交調整をやる熱意はきわめて乏しいと見られ、選挙目当ての宣伝ではなかったかという疑いが濃厚になりつつあるのでありまするが、まずソ連関係につきましてお伺いしたいのは、総理大臣はヤルタ協定をどういうふうにお考えになっておるか。ヤルタ協定に基くいわゆる南樺太、千島のソ連帰属の問題は一体日本内閣責任者としてわが国を拘束するものとお考えかいなかをはっきりと御答弁願いたいのであります。
  262. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ヤルタ協定の当事者でないことは明らかであります。拘束せられないと思います。
  263. 曾禰益

    ○曾祢益君 私もヤルタ協定にわが国が拘束されることはないと思いまするが、ソ連との平和関係を回復するに当りまして、どうしても領土問題についての日本の基本的な見解が明らかにされなければならないと思いますので、しからば逆にサンフランシスコ平和条約によりますると、御承知のようにこの条約と同一もしくは実質的に同一の条約を結ぼうと、あのサンフランシスコ条約に調印しなかった国から、連合国側から申し出ざれた場合には、日本としてはこれに応ずる準備がなければならない、かような二十六条の規定がございます。詳細なことは別といたしまして、一体この規定は領土問題にどういう影響を及ぼすものであるか、かりにソ連から、このサンフランシスコ条約においては御承知のように第二条において南樺太、千島の領土権を日本は放棄しておりまするが、その点だけを四月の二十八日までにそういったような内容の条約で日本と国交をしたいといってきたならば、それは一体サンフランシスコ条約と同一の、あるいは実質的に同一の申し出であるから、日本は領土権をソ連に対しても放棄しなければならないというふうにお考えかどうか、この点を基本問題でありますから総理大臣、さらには外務大臣からそれぞれ御答弁を願いたいのであります。
  264. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 条約によって解釈していくより仕方がないと思います。
  265. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 二十六条には「同一の又は実質的に同一の条件で二国間」——他の国との平和条約を結ぶ場合においては、それは日本はそれに応ずる用意があるということと解釈していいと思います。御質問が少しわからないのですが、要点だけをいま一つ言って下さい。
  266. 曾禰益

    ○曾祢益君 総理からも、そういう形式的な条約の問題であるから条約に従って、というようなことでなくて、非常に重要な問題でありますからはっきり伺いたいのであります。ソ連とあなたは国交調整を早くやろうというお考えであると国民承知しております。またそればいいと思うのでありますが、その場合に領土問題があります。サンフランシスコ条約によれば、この領土——南樺太、千島は日本から放棄した形になっております。ソ連と話が進んだとして四月二十八日までにソ連がサンフランシスコ条約と同じものに賛成するとは常識上考えられません。かりに話がついてその話の内容に、千島、樺太だけはサンフランシスコ条約と同様なものを要求された場合は、これは日本としては仕方がない、用意がなければならないから断念しなければいけないとお考えなのか、それとも領土のところだけサンフランシスコ条約を持って来てもそれは二十六条に言う必ずしも「同一の条約」とは認められない、そういう条件ならば必ずしも四月二十八日までに日本が同意しなくてもいいのかどうかこういう点を伺っているわけであります。
  267. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は後者だろうと思います。
  268. 曾禰益

    ○曾祢益君 後者とはどういうことですか。はっきりおっしゃって下さい。
  269. 重光葵

    国務大臣重光葵君) つまりソ連は四月二十八日までにサンフランシスコ条約に加入の権利があると見ております。加入の権利がある。加入しないで自分の都合のいいところだけを抜き出して行くという場合においては、これは別個の条約になりますから、その別個の条約は別個の交渉においてこれを処理すべきものだとこう考えております。
  270. 曾禰益

    ○曾祢益君 総理大臣は同様にお考えですか。
  271. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) さようです。
  272. 曾禰益

    ○曾祢益君 そういたしますと、われわれが望んでも、また内閣が望んでも、四月二十八日までに領土問題を含めた日ソ間の話し合いがつくとは常識上考えられませんが、その場合に仮にできたとしても、日本とソ連との間に話しができたとして、ソ連がどうしても南樺太、千島を要求するという場合には必らずしも日本としては、そこだけを、サンフランシスコ条約と似たようなものならば、これに応じなければならない義務はない。別の内容の条約として新たにサンフランシスコ条約二十六条に拘束されないで交渉ができる、かように考えてよろしうございますか。
  273. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今御説明した通りであります。すなわちそれに拘束されてはおらん。サンフランシスコ条約は、そういう場合には、ソ連に対して日本は拘束されておらんという建前をとっております。
  274. 曾禰益

    ○曾祢益君 鳩山総理に伺いますが、総理のこの領土問題に関する質問に対するお答えは非常に不明確であって、最近の衆議院、参議院における御答弁はきわめてその点あいまいでございます。そこで私は伺いたいのは、総理が一月二十五日ドムニツキーなる人物に会われたときに、向うから何か希望はないかと言われたときに、領土問題がある。その領問題は歯舞、色丹、それからある新聞では千島までは書いてあるが、南樺太に言及されておりませんが、一体ドムニツキー氏との二十五日の会談においてその通りであったかどうか。この重要なる会談の領土問題についての点は、その通りであるか。もしそうであるとするならば、何ゆえに南樺太を除外された発言をされたのか、その点を伺いたい。
  275. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ドムニツキー氏が訪問して来ましたときには、国交調整をやりたいという希望だけでありまして、国交調整をやるということについては領土問題、あるいは未帰還の問題、あるいは北洋漁業の問題等がありますが、それは承知してもらっておかなくては困るとだけ言いました。歯舞、色丹ということは申しましたが、南樺太あるいは千島列島については法律問題があるので僕にはよくわかっておりませんでしたから、歯舞、色丹だけのことを申したのであります。
  276. 曾禰益

    ○曾祢益君 この私の手元にある朝日新聞によりますると、私は千島、歯舞色丹などの領土の返還、ソ連に抑留されておる、日本人の帰還などを希望する。こう言われたように書いてありまするが、ある新聞は千島のことは抜けておりまするが、只今の総理の御答弁のように歯舞、色丹だけで、南樺太は勿論のこと、千島についても言及されなかったという方が正しいかどうかをもう一ぺん御答弁願いたい。
  277. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は領土問題について問題があるということを示しただけに記憶しております。そのときに千島を言ったか言わないか、あるいは南樺太は全然除いたかどうかについてはよく記憶をいたしておりません。領土問題並びに漁業問題、あるいは未帰還の問題等について我々は主張があるけれども、それは承知の上で国交調整をやってもらいたいということを言ったのであります。
  278. 曾禰益

    ○曾祢益君 これは総理の御答弁は少し私はどうかと思います。あえて言うならば無責任、御記憶は調べていただいて正式にはつきりと御答弁願いたいのです。領土問題がある、それは当り前のことですが、その領土問題があると言われたときに歯舞、色丹だけを言われるということと、歯舞、色丹と千島まで言われるということと、歯舞、色丹、南樺太、千島と言われることでは、これは交渉上きわめて重要な違いだと思う。それをどう言われたかわからない。歯舞、色丹まで言ったか千島まで言ったか、あるいは全部言わないで領土問題があるということだけを向うの注意を喚起したということとは、これは非常に重要な、交渉において重要な決定的重要な要素です。でありますから只今の御答弁ですらあるいは歯舞、色丹だけに言及されたのか、それともほかの地域に言及したかも覚えておらない、そういう御答弁ではわれわれとしては納得できません。はっきりと記憶を呼び起していただいて、あとでも結構でありまするから、領土問題とはこういう問題だということをどうドムニツキーに言われたか、新聞に発表されたことを伺っておるので、私は交渉の非常にデリケートなことを明るみへ出せと言っているのではございませんから……。総理みずからがこれは選挙にプラスになるからかどうか知りませんが、ここまではっきりしゃべっておられることだから、明らかにしていただきたいということを申し上げておるのです。
  279. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 記憶を呼び起しましたならばお話しをいたします。
  280. 曾禰益

    ○曾祢益君 その点に対する総理の御答弁を要求いたしておきます。  先般の本会議における質問でも伺ったのでありまするが、総理は国交調整の条約ができる場合には、少くともその条約の基本条約においては、あるいは平和条約と申しますか、領土問題だけはその条約において徹底的に解決することが必要とお考えであるかどうか。それとも平和条約ができますね、そのときにはいろいろな懸案もございましょう、戦犯の問題、抑留者の引揚げの問題、漁業問題、通商問題、いわゆる懸案もいろいろあろうけれども、いやしくも日本とソ連との間に平和を回復する条約ができた場合には、他の懸案はしばらくおき、少くとも領土問題だけははっきりと条約の中に出てこなければならない重要な問題だとお考えかどうか、この点。
  281. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) お答えいたします。私はその必要はあると考えております。
  282. 曾禰益

    ○曾祢益君 もう一つ伺いますが、総理大臣はソ連との国交調整に当り、ソ連が南樺太や千島を日本にただいま返還するような覚悟というか、態勢というか、こういうふうに楽観的にお考えであるかどうか、この点をお伺いいたします。
  283. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 南千島と樺太についてですか。
  284. 曾禰益

    ○曾祢益君 南樺太と千島、歯舞、色丹はもちろんです。さらに南樺太、千島まで返還する用意ありとみておられるかどうか。
  285. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は歯舞、色丹についてはソ連は承諾するであろうと考えておりますが、千島、南樺太についてはそこまで考えておりません。
  286. 曾禰益

    ○曾祢益君 あなたがお思いになったんですか、ソ連がですか。
  287. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ソ連が返してくれるというふうにただいまの状態では考えていない。
  288. 曾禰益

    ○曾祢益君 簡単に返すとはお考えになっておらん。この問題について最終的な点を伺いますが、それらの条約上のいろいろな問題及び予想されるソ連の態度はわかりましたが、一体このソ連との国交調整をやらなければならないことは、われわれも賛成であるし、内閣も熱意をもってやろうとするならば、日本側からどこまで主張するのか、基本的な考えをはっきりとお示し願いたい。相手もあるのでございましょうが、日本国民の前に歯舞、色丹にとどめるというお考えなのか。やはり千島も、さらには南樺太も日本は要求する、そしてそのことは決してサンフランシスコ条約に必らずしもそのまま当てはまらなければならないけれども、それを主張してソ連と交渉することがほんとうであるという決意をお持ちであるかどうかということを伺いたい。
  289. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 交渉するに際しては、すべて日本の要求すべきものは全部請求すべきものと考えております。
  290. 曾禰益

    ○曾祢益君 その要求すべきものには歯舞、色丹のみならず、千島、南樺太を含むと解釈してよろしいかどうか。
  291. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 外務大臣から答弁していただきます。法律問題があって、よく私にはわかりません。
  292. 曾禰益

    ○曾祢益君 ちょっと待って下さい。総理にはなはだぶっしつけなようですが、これはこまかい問題じゃなく、基本的な腹の問題でありまするから、できるできないとか、どういうふうに持っていくかということは、これはまた法律論からどうかということについては、これは外務大臣からお答え願うのが順序だろうと思います。総理大臣は世論の波に乗って、また世論がそれを支持しているわけですから、それで日ソ国交調整をやろう、同時にいかなる内閣といえども日本に南樺太、千島を永久にソ連に渡すようなことを世論は支持しないと、私は考えております。しからば総理大臣は、技術論でない腹の問題としては、ソ連との交渉は急がなくてはならない、平和関係克復に努力しなくてはならないが、領土問題については日本国民の基本的な主張に沿う、すなわち南樺太、千島もこれは要求するという決意は持っておられるかどうか、この点を伺いたい。
  293. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) それは先刻申しました通りに、交渉するに当っては主張すべきものと思っております。
  294. 曾禰益

    ○曾祢益君 それでけっこうです。  次に、この問題は鳩山総理選挙中には、きわめて簡単にソ連から何か終戦宣言か何かでも選挙の投票日前にでも出やせんかということを、非常に楽観的に言っておられたわけですが、ただいまの質疑応答からもわかるように、平和条約までこぎつけなければならないが、なかなか問題がある。そこで総理はかねてから、先ずそこまでこぎつける前のつなぎとして、まず終戦宣言をやるということを言われているし、私はこの方法論としてはそれも決して悪くないと思うのですが、そこで一月二十七日に総理はドイツと同様の形式で、近い将来に日本に対して終戦宣言が行われるであろう、こういうことを言われている。また一月二十九日にはこのドムニツキーと会われたことをあとで明らかにされたときに、まずソ連から戦争状態終結を宣言する。しかも宣言はあるいはきわめて早く行われるのではないか、こういうふうに言っておられる。そうすると、戦争状態終結宣言というのはソ連から出してもらうというふうにお考えなのか、その前には総理大臣日本からソ連に向けて終戦宣言を出すとかのことを言われて、これは世論が全くあきれかえったわけですが、負けた方から終戦宣言を出すということは、およそこれはナンセンスだと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)ソ連から出してもらうということを今日なおお考えであるかどうか、その点を伺いたい。
  295. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は三年ばかり前には、約二年、三年前の九月の十二日にはそういうふうな演説をいたしました。すなわちわが方において終戦宣言をして、そうして一両年を経ればそのときの経過によって終戦したという事実ができ上るであろうと思うから、やむを得ずんば、日本側において終戦宣言をするということも一つの方法だろうということを日比谷公会堂で演説したことがありました。事実であります。しかしながら、今月はそういうようなことを今からするということは全く愚な話だと思います。向うが国際関係を正常化したいと言ってきたのでありますから、国際関係を正常化することを目的として交渉をいたしたいというような文書が来ましたから、そういうような場合に、日本が単独で終戦宣言をするというのは、これはばかばかしい話であります。ただ終戦宣言を日本側においてもしてもいいだろうと言ったのは、三年前の話だったものですから、一方においてその当時においては、一九五二年には戦争があるかもしれない、第三次世界大戦が起るかもしれないというような、アメリカにおいてはそういうふうなことを言っておる人がずいぶん多かった時代だったものですから、その時代においてソ連との関係を戦争状態終結未確定の事態に置くということを非常に心配したものですから、それでそういうことを演説したのであります。今日それを思っておるというわけではありません。
  296. 曾禰益

    ○曾祢益君 日本からの問題についてはわかりましたが、最近はドムニツキー文書以来、総理は今度は逆にソ連から出してもらうということを期待されておったわけです。そういうふうに説明されたわけですから、今日なお終戦宣言というものはソ連から一方的に出してもらうことを期待されておるのか、それとも両国話し合いの上でやった方がいいとお考えか、この点は一月二十七日と二十九日の総理のこの事案に対する言明と今日変りないのか、それとも両国の話し合いの上でそうして宣言する方がベターだとお考えか、その点を伺っておる。
  297. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 今日終戦宣言のみによって国際関係の正常化ができるということは、私はあまり望んでいないのです。それはソビエトだけにおいて終戦宣言をして正常関係に入ったとすることになると、領土問題にしても、未帰還の問題にしても何も解決しないのです。平和状態になるということは無意味なものですから、戦争状態終結するときには、懸案が解決せらるるのが適当だろうと考えております。文書においても国際関係を正常化することを目的として、その目標において相談をしようというのでありまするから、問題の解決をしようという意思が文書に現われているものと思っております。
  298. 館哲二

    委員長館哲二君) 簡単に。最後にしていただきたいと思います。
  299. 曾禰益

    ○曾祢益君 そういたしますると、総理もその後考えをかえられて、というのは、一月二十七日、二十九日ごろには、ソ連から一方的にドイツに対して出したような終戦の宣言が出てくれることを期待され、しかもそれが投票日の前にも出るかのような、非常にこれは選挙を有利に戦うための内閣の宣伝と思われても仕方がない。今にもソ連から終戦宣言が出るぞ、出るぞというふうに言っておられましたが、それは今日に至るまでもまだ出ておりませんが、それはやはり選挙中の宣伝はそうであったけれども、今日においては、今総理みずから言われたように、ソ連から一方的に宣言なんかされた場合にかえってその内容において、ドイツの場合もそうでありましたが、ポツダム宣言を留保するとかということになって、歯舞、色丹も居すわり、また南樺太も千島もどうなるかわからない、さらに戦犯抑留者の問題すらがあるいは解決しないかもしれないような危険があるから、今日では終戦宣言においては決してソ連からだけの一方的宣言は考えておられない。両国話し合いの上で、そうしてできれば平和条約またそれまでいかなくとも、取りあえず両国の間の話合いによる終戦状態の宣言的なものを出す、こういうふうにお考えが変ってきたのかどうか、この点を総理から伺い、また外務大臣からこの問題についての明確なる御答弁を願いまして、私が再質問する必要のない明確な答弁を願えますならば、私はこれをもって質疑を終りたいと思います。
  300. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 戦争終結の宣言の問題をお尋ねになりましたが、戦争終結の宣言は、これをやるということは、政治的の効果は、やるものの立場から考えてこれは大いにあると思います。しかし戦争終結の宣言は、これはソ連から一方的に出し得るのでありますから、その政治的の効果はソ連はこれを狙うことは当然だろうと思います。しかし戦争終結の宣言を一方的にやって、その効果がそれじゃ相手方にどう及ぶかということになりますというと、これは国際法の問題になりますが、少しこれは十分でない、戦争が終結してそれですぐできるかということは十分でないと思います。戦争終結の宣言をやった国にはいろいろ国内的にも効果が及ぶでございましょう。しかしその戦争終結の宣言を他方において受諾をして、そうして合意をするということになれば、これで効果は出るように思います。その場合においては十分用意をしなければいかん、十分主張すべきは主張することにしないというと、その効果が、戦争終結だけ受けて、こちらの主張は放りっぱなしということになっては大変でございます。そこでやっぱりこれは国交調整、正常化の交渉ということが事の一部として、もしくはある場合においては併行してでもよろしゅうございますが、どうしても国交調整の交渉がなければならん。そこで国交調整の交渉が妥結した場合においては、平和条約というような形において恐らく出てくるでございましょう。サンフランシスコ条約にかわる条約なのでございますから、立派な平和条約にしなければならん。その過程におきましては、むろん重要なわが方の立場は主張する必要があると思います。その結果は、妥結するということによって初めて国交調整ができるように考えます。これがまあ私ども考えている大体の筋でございます。
  301. 曾禰益

    ○曾祢益君 今伺いまして、総理の最後のお話も、また外務大臣の言われた点も私はそれでなきゃならないと思う。どうも選挙中のことを繰返えすようですけれども、極めてそういう点を無責任に、いかにも簡単にソ連との国交調整、あるいはそのいわば代用品である戦争状態の終結が、この選挙中にもできるというような、非常な派手な宣伝をされておった、私たちはそれは方向が悪い、望ましいけれども、事実の裏づけのない無責任、そうして日本のかまえもできておらずに、また相手国との関係も十分に考慮せずに宣伝をやる。そうしてしかも選挙後になりますると、内閣の方から、一体ソ連との国交調整にどれだけの熱意があるか。選挙が終って組閣して、今日までアメリカ関係の調整だけは出てきた、ソ連との国交調整については何らの積極的な意思がないように認められるのは、はなはだ遺憾でありました。今後ともこういう外交問題、国の基本の問題については、いわゆる選挙目当て、党利党略的な取り扱い方ははなはだ不謹慎であるということを申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
  302. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 まず総理大臣にお尋ねいたします。鳩山内閣は、国民に減税を公約しております。もちろん国民全体に、それぞれ均等にこれを実行いたす方法をおとりになると思いますが、その通りでございますか。あなたの方の内閣によって国民に、今回は減税を公約しておる、減税を必ず断行する、減税を断行する以上は国民に対して、総体的に見て必要な方面にから必ず減税するという御方針には間違いございませんか。
  303. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 間違いありません。
  304. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 農家に対しては、この見解から申しますならば、きわめて恩恵に浴さないように考えるのでございます。何ゆえならば、農家は国民のうちにあって、食生活を通じ常に防波堤のごとき役割を果しております。犠牲的精神で働く農家に対して、理解もなく、今も地方では、徴税方面では古来より取れるだけ取り上げるというような慣例が残っておるように見受けられるのでございます。農家は反当りの収入が明らかに計上されておりますのに、少々作柄がいいから、前年度よりは直ちに増税を課するということは、農家の実情を知らざるもはなはだしいと言わなければなりません。戦後零細化されたるわが国の農業は、保護政策のもとに育成して行かなければならないのであります。総理日本の農業政策はいかなる方途によってこれを実行いたしますか、その方針を承わりたいと思うのであります。
  305. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 所管大臣から答弁をしてもらいます。
  306. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 いや、総理大臣から……主管大臣は、これはもうちゃんと方式がきまっておるから、総理方針をまず承わっておきたいと思います。保護政策によるかどうかということ。
  307. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 保護政策……。
  308. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 育成をするかどうか。日本の農家はどうも零細化されておるから、保護政策をとらなければならん、必ずこの点を一つお聞きしたいと思います。
  309. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 何ですかね。
  310. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 わかりませんか。つまり日本の農業は補助を与えて育成をして行かなければならないというのが今日の日本農家を育成して行く建前です、日本の農業政策というのは。それを実行するかどうかということです。
  311. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 大体そうだそうです。(笑声)
  312. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 どうも今の総理答弁では農家は、春のちょうど淡雪のごとく折角鳩山さんの人気も上ったが、これを聞いたらさだめしどうも……、今後大いに勉強してほしいと思います。  大蔵大臣は、二十九年度約五百億の直接税を減税いたす構想とお述べになりました。農家に対しては、先の本会議でわが党の田中議員の質問に対して、農家の所得が増したから増税いたすとの答弁がございました。私は重ねて農家所得の徴税ということにつき質問を申し上げます。大蔵大臣は、所得が増されたから増税いたすとの答弁でありますが、二十九年度における基本米価は、御承知のごとく八千二百五十五円より九千百二十円に上りましたが、二十八年度における奨励金、免税などの含みをもってすれば、二十八年度の方が石当り六百六十七円の実収高を見ておるのであります。二十九年度は、その上やみ米等の値下り等によって、農家の実収は少くなっているのでございます。事実上これが増税となるのは納得ができません。その結果は八万戸農家の増税、もし増税するとなれば、八万戸農家の増税となり、その額は三十二億五千万円となるのであります。かりに、五百万石の増収があるとは申しながら、実収のないものにこの増税は不当と考えないか。これに対して大蔵大臣の御答弁をわずらわします。
  313. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私が申し、かつやらしておりますことは、ほんとうに所得が増加したところに、自然、税金の増徴がある、こういう意味であります。事実、この所得の増加があるかどうか。これは結局この査定の問題になるだろうと思っております。そういう点について公正を期するように、無理のないようにということを徴税官吏には申しつけてあるわけであります。
  314. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 この問題について農林大臣の所見を一つ伺いたいと思います。
  315. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先般本会議でお答えいたしまた通りに、今御指摘のようなことは、地方によってあるのでございます。また個々の農家によって事情も違いますので、農林省といたしましては、全国の各地の養食糧事務所長等に通達をいたしまして、税務署との間に十分遺憾のないように指令を発してあります。
  316. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 この農林大臣答弁で、よくまた構想はわかりましたが、実際の結果と相なりますならば、正直に生産に努力して供出した者が増税の対象となるのであります。そういうようなことに相なりますならば、農民は政府に協力し、国民の食生活に協力しておるものが増税の対象となって、残るものがない、こういう結果に相なるのであります。この点について、農林大臣から重ねて御答弁をわずらわします。
  317. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今年と申しますか、二十九年産米の米価の決定の際に、御承知通り、二百円増税引当てに加算されておるのでございまして、これは御案内の通り、一石についてこれをこまかく計算いたしますると、百四十何円その税に当るようになっております。ただ、これは今池田さんの御指摘のようなことは、先ほども申し上げました通りに、地方的な現象もしくは個々の農家によってそういう現象が起りますことと、とにかく凶作の際には徴税官もすべてにわたって手心を加えるようになっておりまするし、それが平年作以上の場合には文字通りにそれをやるというようなことから、御指摘のような場合が各地に起っておりますことはわれわれも了承いたしておりますので、先ほどお答え申し上げたようなことをいたしておるわけでございます。
  318. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 市街地付近の農地の評価が非常に上ったので、固定資産税を値上げする方針と聞きますが、他の物品と異なり、土地の評価が上っても農家の耕作が、米麦の実収は二倍、三倍、五倍と増収されるものではありません。もし現在耕作しておる土地に収益がないのに、固定資産税だけ増税を賦加することになりますれば、農家は土地を売って納税をいたすようなことになるのでございます。市街地におけるところの自作農は、かくのごとき推移から、飯米農家、あるいは兼業農家に転落の方向に相なると思います。これに対して自作農を奨励している農林大臣、また固定資産税に対しては大蔵大臣、両大臣から答弁を承わりたいと思います。
  319. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ちょっと、何でしたかね。
  320. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 固定資産税の再評価に当って、市街地は耕地がだんだん上った。上ったけれども、農家の耕作としては二倍、三倍とれてはおりません。しかるにこの固定資産税をたくさんかけるということになれば、農家は収益がないからどうしても売るより仕方がない。これに対してどういう処置をとるか。
  321. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 固定資産税の問題は、昨日来たびたびお答えを申し上げておるのでありまするが、昨年の十月自治庁から各府県に基準を示しまして、前年度に比べて田と畑に限りまして二八%の見積り上昇をいたしたわけであります。家屋につきましては前年通り、こういうことになっております。
  322. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 それは標準であって、実際、市街地とか町村とか、もう附近の農地が今の売買価格の上ったのに対して固定資産税を上げられればそういう結果になるけれども、こういうことのないようにいたしますかどうかということを聞くのですが、もし何なら農林大臣から御答弁を……。
  323. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 固定資産税の評価基準は、法律によりまして、毎年一月一日時価によってきめる、こうなっているのでありまするが、最近田地の上り方が非常に急激なのでありまして、時価によっては納税者の負担が重くなりますので、特に最近は二八%の評価にとどめたわけであります。
  324. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 もうわからないようだから一つこれで……(「もっとやれ」と呼ぶ者あり)今の問題について農林大臣から……。実際申上げる通り自作農が減って供出農家が少なくなって、飯米農家あるいは兼業農家に転落してしまう。だんだんに供出米が少なくなる。この点については自作農創設の意味からいって、農林大臣はどう取扱うか。また今の自治庁長官お話によれば、やはりその地方におけるところの標準売買価格によって固定資産税をかけるといえば、農家は土地をどうしても売り払って税金を納めなければならない、こういう段階に追い込まれたんです。この点については一つ農林大臣のほうがいい。(笑声)
  325. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 農林省のほうといたしましては、御指摘のようなことがありますので、これに対して低利の金融の処置を講じて金を融通いたしておりますることは御承知通りでありまして、そういう事態の起りませんように鋭意努力いたしておる次第でございます。
  326. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 次に、一般の農家は二、三、四の三カ月の間に一年の生産目標の計画を立ててその実行に入る。従って、主要農産物に対して、たとえば米の収穫についての計画を立てる。わが国の自給度向上から、近来、保温苗代の方式をとって増産に努めつつあるのであります。しかるに、政府の奨励金を支出してこれが育成をしてきておったのであるが、今年は暫定予算だからこれが計上を見ていないのであります。四月から実施期に入りつつあるのに、暫定予算の中に計上しなければ間に合いません。もし、本予算に計上するというようなことになりますならば手おくれになるのであります。これに対しまして、大蔵大臣並びに大蔵関係から言えば、種をまかずに収穫だけをあぐるような、補助政策には、ことに農村方面の補助にはそういう考えがあるが、実際本予算にこれをお入れになる考えがあるかどうかということを大蔵大臣から伺いたいと思います。
  327. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 十分検討を加えまして、必要なものは入れるつもりでおります。
  328. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 農林大臣から伺いたい。必要なものはだたいま入れると言ったが、必らず農林省と話がついているかどうか。その点を伺いたいと思います。
  329. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。保温苗しろにつきましては、御指摘の通り法律にもありますので、ぜひこれは暫定予算に入れることが必要であると考えましたのでございますけれども、先般来だんだん御説明もありまする通り、露骨に申し上げますと、私といたしましては農林省から大蔵省の方に要求しておりまする額と、大蔵省の方の額と意見が合わないのであります。意見が合いませんので、私は非常にたくさんを要求しておりますので、その決定をいたしますのに、事情御了承の通り、時日が非常に切迫いたしておりまして、十分の折衝の妥結をいたしませんでした。従って私は少額で認めるよりも、何分この補助金は七月ごろに実際は交付することになっております。これが例年の慣例でございます。しかも予算のできますのは四月早、予算ができますので、両省の意見を四月早々に取りまとめて、これを発表することになりますれば、それによって農家の方においても大体の見当がつきまするし、行政指導の上において事欠くことはなかろうというような諸点を勘案いたしまして、そういう処置をいたしたわけでございまして、本来でございまするならば、御指摘のようにこの暫定予算の中に繰り入れることは当然でございますけれども、その点は農村のためにせっかく努力いたしておりますことを御了承いただきまして御了解願いたいと思います。
  330. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 保温折衷苗しろのことはわかりましたが、農道についても地方農家の小さな土地改良あるいは客土、ため池等の事業は、いずれも水田へいわゆる苗を植え付ける前の仕事であります。これらの事業はやはり政府の補助によって実行されてきたのであります。今農林大臣答弁によれば、必らず四月に提案するところの本予算には織り込まれる、こういうような御答弁でございますが、これが一日も早く明らかにされれば、それだけ業績が上りまして、いわゆる増産に役立てる、それから供出にもまた役立てるという結果に相なるのでありますが、これらの補助にも、総括してやはり農林大臣大蔵大臣に折衝しなさる方法をとられておりますかどうか。また大蔵大臣がもしおわかりになるならば、大蔵当局がこれを受け入れるかどうか。この二つについて御答弁を願いたいと思います。
  331. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話通りでございまして、目下せっかく両省の間で折衝中でございます。
  332. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) できるだけ御希望に沿うようにいたします。(笑声)
  333. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 次に、各府県におけるところの農業試験場、産業試験場は四月より研究または事業実施に当るのでございます。まず品種の改良はじめそれぞれ必要な資材を求めなければなりません。暫定予算に人件費のみで計上せられまして、人件費のみだから二カ月間空白になって、これらの人々はまるっきり仕事をしないというわけではございませんけれども、新たなる計画は何も立たないのでございます。これらの経費はどこから支出いたすつもりであるかどうか。この点について農林大臣から承わっておきたいと思います。
  334. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これらの予算につきましても先ほど申し上げました通り、四月早々に明年度予算は本ぎまりになりまして、それを国会に提案することになっておりますから、それを地方で勘案していただけますれば、地方交付金等によって適当に処置していただくということによってやっていただきたいと考えております。
  335. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 そういう決心がありますか。
  336. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大体そういうふうに考えております。
  337. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 日本の人口は申すまでもなく百二、三十万ずつふえる、従ってこれだけの食糧でも百二、三十万石の増産をするか、足りないところは買い入れなければならぬ。この対策はどういうふうにしてお立てになるか。この点を一つ承わりたい。  次に、農家の二三男の人々が現在分家をすれば、零細化された日本の農業では土地がない。この方々に対して就職先もないが、このままでおけば、ただ飯米農家のみが増加する。従ってますます供出も困難になる、いわゆる食糧対策から申して何とか手当をしなければならぬ、この点を就職については労働大臣、それから食糧の補給に対しては農林大臣から御答弁を願いたいと思います。
  338. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答え申し上げます。食糧の自給自足を勘案する問題につきましては、私も同様に考えますけれども、何分御承知通り朝鮮、台湾がなくなりました今日におきましては、これを一途に国内で自給自足態勢を確立いたしますことは、人口の増加を見なくても、なかなか国難でありますことは御承知通りであります。従いまして現在のわが国といたしましては、全体の国策として食糧自給自足の態勢を確立してゆくということにお考えいただかなければならぬのでございまして、これを農林省担当もしくは食糧問題だけで解決するということはなかなか困難だと考えますので、各種の方面から御協力を得て、御期待に沿うようにしてゆかなければならないと思うのでございます。  なお二三男対策は、農村の関係において私はこう考えております。農村の二三男対策の問題が大分やかましいのでございますが、これは農村において片づけ得べき問題ではなくて、一般わが国の経済界の繁栄とともに片づくことでございまして、これは池田さんも御承知通りわが国の農村人口はわが国の景気、不景気によってふえたり減ったり、労働力が多くなったり少くなったりするのでございますから、これはわが国の経済自立達成と相関連いたしまして解決をして参りたいこういうふうに私は考えております。
  339. 西田隆男

    国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。二三男対策に対しましてはただいま農林大臣も申し上げましたが、私は労働省所管のことに関して考え方を申し上げます。おっしゃいましたように農村における労働力人口はもう飽和点に達しておるように私ども考えております。そこで政府におきましても、今回御承知のように経済六カ年計画の策定をいたしておりますが、この実現に当りまして目標年次の昭和三十五年度までには労働人口の増加が約四百十七万想定されております。しかしこの四百十七万の増加する労働人口は農村外において一切吸収いたしたい、かような構想に基いて計画をいたしております。従って農村の現在の労働人口以上に農村ではふやしたくない、こういう見解をとっております。そこでどういう方面にこれを吸収するかと申しますと、第二次及び第三次産業に吸収する、こういうふうな計画をしております。すなわち工業その他都市における産業に農村の余剰労働人口を吸収をする、農村経済自体の近代化によって就業状態を一つ改善してゆきたい。それからまた、現在の余剰労働力の解消の方策としましては、一般にただいま農林大臣も申しましたように、農業生産の拡大による農業所得の増大をはかることが一つと、電源の開発事業とか土地改良事業等、その他の公共事業の推進によりまして、農業外の所得を農村にふやしてゆきたい。そうして積極的な面におきましては、未開地の開墾をやりたい、集団農場の開発促進もやりたい、副業の奨励をいたしまして農家の副収入を増加してゆきたい、こういうふうに考えております。しかしどうしても農村の実情からいって、年年と申しますか、農村の労働人口が吸収できないというような農村におきましては、農村といえども失業対策の対象としてこの救済の方法を考えたい、こういうふうに大体考えております。
  340. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 次に厚生大臣にお尋ねいたしますが、御承知のごとく日本の人口は年々に増加されてきますが。以前ならば移民計画を立てまして、それぞれの地方に移民の方法ができた。最近はブラジルや南米その他に二、三カ所はありますが、将来これは大きな国の問題としと手を打たなければならぬ。今からこれが計画を立てなければならぬ。東南アジアの国交も回復すれば、これらの方も考えなければならん。あらゆる人口増加に対しまして、狭隘なるところの国土に、これをどういうふうに職を与えていくか大きな問題を生じてきますが、今よりこれが対策の手をお考えになっておるかどうか。この点を一つお尋むいたします。
  341. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) 厚生省の関連する人口問題に関するお答えを申し上げます。人口問題の解決が、日本にとってむしろ最大な問題であるとさえ言えることは御指摘の通りでありまして、厚生省といたしましても、昨年人口問題審議会から決議並びに勧告を受けまして、家族計画の理念に基いて受胎調節を強力に行なえということの決議をされております。従いましてこれを尊重いたしまして、受胎調節の問題については、従来より一そうの経費をかけたいかように考えておるのであります。しかしながらこの受胎調節を必要とする階層が実はば受胎調節を十分に行いがたい実情にあります。もとよりこれは受胎調節に関する避妊の器具の問題もありましょうし、あるいは知識の欠如というような問題もあると思うのでありますが、これらにつきましては優生保護相談所におきまして従来より一そう町内指導あるいは巡回指導などを行うような措置を講じたい、かように考えておる次第であります
  342. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 最後に農林大臣にお伺いしますが、お知りの通り日本の農家は敗戦後零細化されたのであります。どうしても補助その他の保護政策でなければ立っていけない実情であることは、よくお知りのことであろうと思います。暫定予算で種がまいてあれば、それが芽が出てこれが育成されるのだが、後ほど種をすぐまいて芽を出させるというような話では、あまり農家はどうもこの話を聞いたならば、おそらく落胆するだろうと思います。国民の四割を占める農家を無視したような結果となることは、はなはだ遺憾と言わざるを得ないのでございます。従って農民をして生産意欲を失わないように、国民の生活の中にあって、何と申しましても重要なる食生活に対しましての不安をきたさないようにするには、農家が農産物の生産に努力しなければならない。政府がもし間違って伝えられているように、安い食糧を外国から輸入すればいいじゃないか、しかし安い食糧を輸入するとしても、外国に外貨を支払わなければならぬ。多少高くも、栄養のある内地の農産物を国民に与えるのなら、農民に金を支払っても、その金に国内にとどまっておる。この点はよくおわかりのことであろうと思います。従って日本の農業は何と申しましても保護政策をもって育成していかなければならぬ。これに対してはっきり農林大臣はこの方法をおとりになるという方法を、大蔵大臣総理大臣はむろんわからぬだろうと思うが、国民生活の安定々々といったって食生活の安定、四割を占める農村のことをちっともわからなくて国民生活の安定を唱えているようでは、はなはだ遺憾だと思う。この点をもう少し明らかにされたい。
  343. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答え申し上げます。大体御趣旨は了承いたしましたが、ただ二つの点について申し上げておきたいと思います。第一は外国の米や麦の値段が下ったからというて、日本の米や麦の値段を下げなければならないということは考えたことはございません。わが国の米価ないしは農産物の価格の決定は、わが国独自の立場に立って経済界の事情を勘案いたしまして決定するのでございまして、外国の価格に追随していたさなければならぬとは考えておりません。  第二の点は、農家に対しましては、生産費の引下げを重点に置きまして、そうして農家の経済を確立をして参りたい、その間に到達するまでの間には、今申し上げますように、御趣旨にありましたように、補助政策をある程度加味していかなければならぬことは御指摘の通りであります。しかしいりまでも補助々々ということでやって参りましたのでは、農家の生活は決して積極的に向上いたしませんから、その間にあって政治といたしましては、積極的に生産費を切り下げて、そうして農家の経済が自立できますように指導して参りますことが理想であると私は考えるのであります。御了承いただきたいと思います。
  344. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 それではよろしゅうございます。
  345. 館哲二

    委員長館哲二君) 通商産業大と厚生大臣とが出席されておりますから、先ほどの湯山君の質問を続行されたいと思います。湯山勇君。
  346. 湯山勇

    ○湯山勇君 厚生大臣にお尋ねいたします。戦死者、戦没者、遺家族援護の責任者である厚生大臣は、遺族年金、恩給等の実施以来、各方面でいろいろな不合理あるいはまた不公平が指摘されておるのでございますが、たとえば金額の厚薄とか、勤務年数の算定、あるいは公務死認定の問題、あるいは軍属の判定、日赤看護婦に対するもの、その他いろいろあると思うのですが、これらの是正、改善について厚生大臣の御方針を承わりたいと思います。
  347. 川崎秀二

    国務大臣(川崎秀二君) 遺家族の援護並びに軍人恩給との、関連につきましては、昨日も第七回全国遺族大会などの決議もありまして、全国的に大きな問題になっておると思っておるのであります。そのうちこれはまあいろいろな問題が伏在しておりますのでへそれを一々列挙いたしますと、相当広範囲な問題になると思いますが、今問題になっておりますのは、第一は、文官とそれから遺家族の恩給等に対する差異の問題が一つ、それから公務死の範囲を拡大する、あるいは応召軍人の通算加算制をどうするかというような問題が出ておると思うのでありますが、これを少しく具体的に申し上げますと、文官との恩給の差異につきましては、これは当然軍人の恩給もまたこれにスライドすべきである。将来は当然文官恩給の線まで引き上げるべきが理想であり、当然国家としてなすべき措置ではあると思います。しかしながら直ちにいわゆる一万五千円ベースに引き上げるということに対しては、国家財政の建前もありまして、相当に困難な情勢があるように私は見受けておるのでございます。しかしながら幾分でもこれを引き上げるということにつきましては、財政の許す限り大蔵大臣と厚生省との間に折衝いたしまして、そうして不合理の点は是正をしていきたい、かように考えております。それから少しくこれは細部にわたる問題でありますが、たとえば年金支給の場合における遺族の範囲が、恩給法におけるより若干範囲が狭くなっておるということがよく指摘をされるのでありますが、この問題は、恩給法の方は、従来の例によって、恩給法の慣行によってやっておりますし、また遺族の方は、これとは異りまして、社会保障の見地から行なっております関係で、たとえば受給者が援護法においては、父母は六十歳以上であり、片っ方は制限がないというようなことがありますが、これは社会保障の見地から実施をいたしました援護法の建前といたしまして、今日のところ御了承を願わなければならないのじやないかというふうに感じておるのであります。なお、弔慰金の支給遺族の範囲につきましては、今回は厚生省としては若干範囲を拡大したい、かように考えております。それから公務死の範囲の拡大でありますが、これは厚生省としても考えておりまするし、ただいま党のほうにおきまして強い意見もありますので、これは予算編成の過程におきまして、若干でも公務死の範囲が、たとえば戦地におけるところの公務死については、差別をつけないというようなところまで広げるように努力はいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  348. 湯山勇

    ○湯山勇君 なおただいま問題になつておる一つは、上厚下薄と申しますか、階級の低い者にはきわめて薄くて、上の方に厚い、これらの問題はどうお考えでございましょうか。
  349. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ただいま御指摘のことは、遺族の大会などにおいて非常に意見の出ておる問題であり、私自身もそういう考え方と全然同感でありまするから、これはこの機会において是正をするように努力をいたしたいとかように考えております。
  350. 湯山勇

    ○湯山勇君 なお細部につきましては、委員会等でお尋ねすることにいたしまして、次に、覚醒剤の問題でございますが、前の草葉厚生大臣は、昭和三十年度中に覚醒剤を絶滅するということを私の質問に対して本会議で言明されました。で新しい厚生大臣はこれをどのようにして、いつまでに絶滅させるか、この対策の概要を承わりたいと思います。
  351. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 覚醒剤の問題につきましては、実は私昨年二十九年度の予算案審議されました最中におきまして、当時改進党でありましたが、修正案を上程いたしました。その際におきまして若干これを加えたのでありますが、当初の修正では、できれば六百ベッドくらい作りたいという考えを持っておったのでありますが、予算修正は蚕糸対策とか、あるいは原子力の平和利用というような問題などその過程に出て参りまして、修正の範囲がこれらの経費との関係で縮まった関係で、当時野党ではありましたが、実施ができなかったのであります。しかし覚醒剤の問題につきまして私個人といたしましても、風教上並びに道徳上ゆゆしい問題でありまするから、一日も早く絶滅したい、かように考えておるのであります。昨年補正の形ですでに東京、横浜、大阪、神戸四カ所に二百五十ベッド作られたように記憶をいたしておりますが、本年はさらにこれを拡大するための経費を要求中でございます。従っていつまでに絶滅をするということについての期限を切っての回答は、私もここで直ちに具体的には申せませんけれども、近い将来かような覚醒剤、亡国病のごときは絶滅をしたい、かように考えておる次第であります。
  352. 湯山勇

    ○湯山勇君 先ほど自治庁長官にお尋ねした件につきまして、お見えになっておりますから、御答弁いただきたい。
  353. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 先ほどお尋ねの通牒文でございますが、これは昨年十二月二十五日に自治庁次長の名義をもちまして全国の知事に通牒を発したのであります。その文句は明年度増加する児童生徒数に対応する財政措置についてはまだ確定をみていないが、おおむね昭和二十九年度にとられた方針にのっとり、教職員の増加は必要最小限度にとどめること、なお大学、高等学校等の非義務学校については学校の新設、増設は極力抑制すること、こういうような文句でございます。
  354. 湯山勇

    ○湯山勇君 よくわかりましたが、その必要最小限度というものは、自治庁の見解としては昨年度とられた基準でございますね、生徒幾らに対して幾らという基準を昨年通りにせよということでございましたのでしょうか、あるいは昨年の人員を踏襲していけとこういうことでございましょうか。
  355. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 昨年の基準は小学校については六学級について七人、中学校については六学級について九人、これが基準でありまして、その以内にしろとこういうことであります。
  356. 湯山勇

    ○湯山勇君 それよりも減せということでございますか。
  357. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) それは府県知事と地方教育委員会にまかして、適当に処置してもらう、それ以上は困るということでございます。
  358. 湯山勇

    ○湯山勇君 つまり府県知事と教育委員会にまかすということは、これはまあよくわかりますけれども、その際においても、大体昨年通り基準を確保せよということで、それよりも下回ったものでなけれど組んではならない。つまりもっと積極的な言葉で言えば、昨年よりも減していけということになるのか、そのいずれでございましょうか。
  359. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 当時これを通達しましたときの考え方は、おそらく地方財政の膨脹を押えるためにそれ以上上回ってはいけない。できるならば下回れ、こういうことだろうと考えております。
  360. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は今日のただいまの段階におきまして、まだ各府県で教員定数がきまらない。どの先生が受け持つかきまっていない子供がたくさんある。こういう事実は無視できないと思うのでございます。そして大蔵省の方でお組みになった予算では、三カ月分の交付税交付金が組まれており、また義務教育国庫負担金も三カ月分組まれている。従って必要な財政措置は一応できておると思いますし、ただいまの自治庁長官の御答弁によっても、これで混乱の起るような要素もないと思うのでございます。つまり大蔵省も文部省も自治庁もそれぞれ大体必要な手は打っておられると思いますけれども、事実は、その御意図に反して今日の定員が確保されていない。受持ちの先生がきまっていない、こういうことになっておる。文部省は、たとえて言えば、着物の表だけはちゃんとしているでしょう、自治庁は裏だけはやっておるけれども、その裏と表が合わないために、着られるような着物ができていない。これが実情ではないかと思います。こういう事態は早く解消しなければならないと思いますので、現在の事態がこういう事態でございますから、どうか文部大臣と自治庁長官は十分御協議下さって、早急にこういう事態の解消のための処置をお願いいたしたいと思うのでございます。これに対して文部大臣及び自治庁長官の御見解を伺いたいと思います。
  361. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 十分協議をいたしまして、そういう遺憾のないように速急に措置をとります。
  362. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 三十年度の本格予算までには、基準を決定しまして地方に通達するつもりであります。
  363. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一度今の御答弁を伺いたいと思います。
  364. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 三十年度の本格的の予算を組むまでには、基準を決定してそれぞれ処置をしたい、こう考えております。
  365. 湯山勇

    ○湯山勇君 私がお願いしたのは、もう新学年はここ数日にして始まるわけでございます。そして一カ月遅れれば、一カ月間受持ちのきまらない子供ができてくる、そこで早くこのことに関して文部省とお打合せいただいて、本予算のきまるまでというのではなくて、早急に対策を立てていただきたいということをお願いしておるのでございますが、御了承いただけるのでございましょうか。
  366. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 文部大臣の御答弁通り了承いたしました。
  367. 湯山勇

    ○湯山勇君 じゃこれで……。
  368. 館哲二

    委員長館哲二君) 次に、片柳眞吉君。
  369. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私は最初にまず総理に御質問をいたしたいと思うのでありますが、実は現内閣経済政策の推進の仕方につきまして、基本的な考え方を聴取いたしたいと思うのでございます。と申しますのは、現内閣は過般の総選挙におきましていろいろの経済政策を掲げておりまするし、またことしの一月に総合経済六カ年計画を立てられておるのであります。しかしこの計画を達成するのに、どういうような考え方でこれを実現するかについては、実は必ずしも明瞭でないようであります。実は私は現内閣の性格というものにつきましても、はっきりまだつかみ得ないのでありまして、日本民主党が旧改進党、自由党に属された方あるいは日本自由党この三者の合体であるのでありまして、従来の改進党の主張あるいは自由党なり日本自由党の主張等から考えて参りますると、経済政策の点においても若干の何と申しまするか、思想の統一というものが私はないのではないかということを実は心配をしておるのであります。現在の経済閣僚の顔ぶれを拝見いたしましても、大蔵大臣あるいは通産大臣、農林大臣あるいは最近文相になられました前政調会長の松村さん等、こういう方の従来のお考えも若干承知をしておるのでありまするが、そういう点から見ても何かしら経済政策を実現する方策につきまして、あるいは完全なる自由主義経済でやっていくか、あるいはその自由主義経済の行き方について国が必要なる調整を加えていくか、こういう点についてどうも今日までのところでは若干のちぐはぐが私はあるのではないかということを実は心配をしておるのであります。そういう意味でこれは特に総理から、基本的な問題でありますのでお答えを願いたいのでありまするが、私どもも国内で増産ができ、国民の企業努力によって物がどんどん増産され、物価もやがて安定するものにつきましては、これは私は国家がよけいなおせっかいをする必要はないと思うのでありまするが、しかし国内でほとんど生産ができ得ない、あるいは生産がされましても増産の可能性の少い物資、言葉をかえますれば、貴重な外貨を使いまして外国から輸入する物資につきましては、やはりこれを国内に流す場合においては、その流通過程に必要なる調整を加える必要があるのではないかというふうに、実は私は最近の事態からもそういうような考えをいたしておるのであります。大蔵大臣は過般の御演説でも、貿易の自由化ということを言っておられましたけれども、しかし現在の外貨事情から見て参りますれば、そう簡単にこれが実現はできないと思うのでありまして、やはり少い手持外貨を有効に使う意味から外貨の割当をして、やはり必要最小限度の物しか輸入はでき得ない、またよけいな物を入れてはならないというふうに私は思うのであります。そういう点から具体的にこれは総理に申し上げますると、たとえば外貨がそういうような事情から、輸入がそうふんだんには入れ得ない。こういう点からもうすでに御承知と思いまするが、たとえば石油でありまするとか、あるいは砂糖でありまするとか、あるいは農村で使いまするところのカリ、燐酸肥料でありまするとか、あるいは大豆というようなものは、どうしてもこれは供給力が需要に対して、完全にこれが需要供給が合うというわけには私はいかんと思うのであります。現に砂糖なり、大豆なり、あるいはカリ肥料等が相当値上りをしてきておることは、これは御承知と思うのでありまして、従いましてこういうような国内の企業努力なり、国民の努力で増産でき得ない、従って貴重な外貨を使って入れざるを得ないものについては、これを国民に渡るまでの流通過程においては、やはりある程度その需給を調整し、あるいは価格が暴騰した場合においては、その価格を統制的なバックをもってこれを押え、あるいはその物資が偏在する場合においては、その偏在を是正するというように、こういうやはり私は全く無計画な自由主義経済については、相当のチエックをする必要があろうかと思うのでありまするが、総理はこの点につきましてどういうお考えを持っておりまするか。これは私は六カ年計画を立てられましても、このプリントを見ましても、計画達成のための前提という章がございまするけれども、いかにしてこの計画を具現するかという方策については、この発表には何ら書いてないのでありまして、どうも経済閣僚の皆さん方のお顔ぶれを拝見いたしましても、やはり相当自由主義的な考え方の方と、ある程度その行き方に調整、チエックをすべきであるというような御意見と、私は分れておるのではないかというふうに実は思うのでありまするが、総理はこの問題につきましてどういうお考えを持っておりまするか。これは特に総理から御答弁を願いたいと思います。
  370. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 自由主義の経済は、やはり根本としてはそれをとらなくちゃならんと思いますが、総合計画を立ててゆくことは、今日の情勢において必要だと思います。詳細のことはどうか経済閣僚から聞いていただきたいと思います。
  371. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 総理の御答弁で、やはり全く無計画な自由主義経済だけではやっていけないというような御方針と拝聴いたしまして、了解をいたしたのであります。具体的な問題は各個のケースにつきまして、今後また勉強していきたいと思っておりまするが、そこでその次にこれに関連いたしまして、これは農林大臣と通産大臣も出席のようでありまするから、通産大臣にも……。
  372. 館哲二

    委員長館哲二君) 片柳委員に申し上げますが、経済審議長官も出席されました。
  373. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 それでは経済審議長官にもあわせて御質問いたすのでありまするが、そういうような構想から見て参りますると、最近新聞等でいろいろ拝見をして参りますると、ただいま申し上げました主として輸入にかかる物資が相当値上りをしてきておるというこの事態に対処いたしまして、政府部内において、たとえば砂糖でありまするとか、あるいは大豆等について、いわゆる超過利潤を、国が買い上げてこれを吸収する、こういう構想を農林省なり及び通産省でもお考えのようでありまして、まだいずれにも決定をしておらないようでありまするが、私どももこういうような国民生活に非常に関係のありまする砂糖なり大豆は、やがてみそ、しょうゆなりあるいは油として、われわれの台所で毎日使うものでありまするが、こういうものについて超過利潤という言葉が必ずしもはっきりはしておらない観念だと思いまするが、こういうような超過利潤を国において吸収すると、これはあるいは通産省では輸出の振興費に使いたいというようなお考えのようであり、農林省では消費者米価を上げない引当てに使おうというようなお考えのようであるのでありまして、そういうようないわゆる適正利潤以上の超過利潤というものをこれを国庫において吸収するということは、私は一つの進歩であるとは考えまするけれども、ただ物価政策の点から見ていって超過利潤というものをこれを是認してこれを吸収するというよりも、むしろ超過利潤をこれをなくさしめると、むしろ適正利潤にして、当該企業の健全なる安定をはかるということの方が私は正しいのではないだろうか。要するに超過利潤を是認しますることは、砂糖にしても大豆にしても、それだけ国民生活の必需品が高くなるわけでありまするから、まず最初にはいわゆる超過利潤が生ぜしめないような措置を講じていただいて、その結果どうしても出てくるものは、これは税金なりその他の方策で国へ吸収されて、これを有効に使うことは賛成でありますが、この点はあるいは新聞の報道が違っておるのかもしれませんが、私はどうも超過利潤を前提として国庫へ吸い上げるという考え方には、すぐさま私は同意できないわけでありまするが、農大林臣なり、通産大臣なり、あるいは経済審議長官からお答えを願いたいと思います。
  374. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。多少誤解があるようでありますから、この機会にお聞き取りいただきたいと思います。超過利潤というような考えを狩っておりませんので、御案内の通り砂糖につきましては、この砂糖の価格の決定のいかんが直ちにサツマイモに影響があります。砂糖が高ければサツマイモの値段が高くなりますから、砂糖の値段が御承知のように下って参りましたので、カンショ切干し等が下落いたしまして、一般の農家から非常にこれに対して陳情その他がありますことは、御承知通りであります。従いまして農林省におきましては、これらの農産物の価格の安定と見合せまして、そうして砂糖の価格はきめてもらいませんと、農産物価格を安定し、農家経済を確立する上において非常に困るのであります。しかしながらただいま申し上げました通り、しからば砂糖の価格を非常に高くきめてもらわなければ困るかと申しますると、決してそうではないのでございまして、現在程度の価格に安定して参りますれば、それによって農産物の価格が安定するということになりますので、それらと見合って砂糖の価格を適正なところに決定して、安定して参るようにしていきたいという方策でございまして、よって生ずる利潤があれば、利潤があるのでございまして、初めから超過利潤を吸収するという考えはないのでございます。  第二の大豆につきましては、これまた御承知通り菜種の価格は、農産物価格安定法によって安定の責任を農林省としては持っておるわけであります。内地の大豆等の価格と勘案いたしまして、輸入いたしまする大豆の価格をどの程度に安定せしめるかということが考えられるわけであります。従ってこれもまた、今の点と勘案いたしまして適当なところになればいいのでございまして、従来はややともすれば輸入の為替の、ドルの関係で輸入量のいかんによって暴騰し、暴落したこともあるのでございますが、これらのことのありませんように、ぜひ考慮いたしたい。従って今お話通りみそであるとかしょうゆであるとかいうようなものの値段が今よりも高くなるというようなことは考えておりませんが、その点は決して国民生活に影響を及ぼしても、この超過利潤を吸収しようというような考えは持っておりません。この点御了承願いたいと思います。
  375. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) ただいま農林大臣からのお答えで大体尽きておりますが、私ども政府として超過利潤を目的にして何もあるわけではございません。しかし実際の需給関係の上から今の農林大臣の方策にやりますと、輸入価格、たとえば砂糖にしても、原糖の価格はそのままで持っていきますと、そうすると生産業者なり何なりに非常に大きな利潤がおのずから入るような結果になる。それはいたずらにそういう輸入業者または製造業者に利潤を多く与えるという必要もないのでありまして、そこでそれは政府にとってしかるべき機関に吸収をして、しかるべく国家のために役に立つ経費に充てたいかように考えております。
  376. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 時間の制約かありまするから、以下農林大臣に簡単に御質問いたします。  第一点は、不要不急のビルの建造を抑制するということが一つの政策にも実はなっておるようでありますが、それはもちろん必要でありまするが、私どもは今申し上げました砂糖のコストの問題等から見て参りまして、製糖設備でありまするとか、製粉の工場でありまするとか、精麦工場というものが非常に乱立をしておると思うのでありまして、これがやがて償却費として消費者に転嫁されるというような実は実情ではないかと思うのですが、これを適当に規制する御意思があるかないか。これが第一点であります。  その次は、農業団体の再編成の問題でございまして、これは実はこの前の参議院におきましては、必ずしも農業団体の再編成の案につきましては、全面的な実は賛成ではなかったのでありまして、やがてこれを根本的にさらに検討するという実は条件付きで賛成をいたしたのでありまするが、しかもこの前の農業団体の再編成というものは都道府県以上の団体の編成でございまして、肝心の農家に接着いたしまするところの問題は全然これば解決されておらないのであります。農業協同組合、農業共済組合あるいは農業委員会、農業改良普及員、町村役場の勧業行政、こういうものが彼我錯綜しておりまして、肝心のところが実は全然やられておらないのでありまして、かような点につきまして農林大臣は近くこれを根本的に検討されて法律案等をお出しになる御用意がありますかどうか。これが第二点であります。  最後には、先ほど油田さんからも御質問がありましたが、米価について最近何か専門委員を選定されて、米価の算定方式について研究をされておるそうでありまして、私は研究については何ら反対するものではありませんけれども、大体これは農林大臣も御承知のようにこの問題はもう米価審議会で専門委員会を開きまして、ほとんど議論としてはおそらくもう尽きておるのではないかとこういうふうに思うのでありまするが、特に専門委員を選定されて何か新しい米価の算定方式をおきめになるお考えはどうか。それから例の予約集荷制というものを本年はおやりになると存じますが、そろそろ米価を決定しませんと、植付けの時期も迫っておりまするが、大体どういうような考え方でいつごろこれが決定されまするか。以上三点につきまして農林大臣からお答え願いたいと思います。
  377. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 第一の設備の問題につきましては、お示しの通り考えますけれども、あまりに急激にやりますこともまた他の点において摩擦を起って参りますし、遺憾の点も生ずると考えますので、これを漸進的にお示しのような方向にいきたいと実は考えておるのであります。しからばその手段方法はと申しますと、いろいろ考えられる点があると思います。従来のように実績主義をとって参りますと、どこまでいっても今までのようなことになりまするので、この点について多少の改正を加えていったらどうだろうかと実は腹案でありますけれども考えておるでのあります。  第二の農業団体の問題でございますが、これはただいまお話通りでございまして、私といたしましても、なるべく早く何とかしなければいかんのではなかろうかと考えておりますけれども、これは非常に影響するところが大きいのでございますし、また現状をそう急激に改変いたしますることも、なかなか困難な問題でございますので、組閣早々ではございますし、いずれ時期を見まして各方面の権威の方々、また有力なる方々の御意見を十分お聞かせ願いまして、そうして適当な機会にその処置をとりたい。この議会に何か考えるか、これは今考えておりません。  第三番目に予約制度の問題と関連いたしまして米価の問題でございまするが、これも御指摘の通り予約制度につきましては、閣議の決定はまだ済んでおりませんけれども、大体経済閣僚の方々の了解をだんだん得つつありますので、なるべくすみやかに現内閣閣議決定を得たいと思っております。従いまして植付け前に価格の決定をしなければなりませんことはお話通りでございますので、今お話の特別専門委員を置いて調査をしておるかということでございますが、これはそれに備えていろいろな点を研究さしていること、食管の方においてしているということを私も了承いたしております。これらから十分いろいろな点についての御注意をちょうだいいたしまして、その上で先般米穀懇談会からいろいろ御注意いただきました点等も考えまして、なるべく早くいたしたいと、こう考えております。
  378. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 米価の問題で、これはあるいは今の御答弁でははっきりした御答弁をさらに願えないかとも思いまするが、植付け前に米価を決定しますると、今後大体これは平年作で当然考えていくよりほかないと思いますが、作が非常に悪かった場合でありまするとか、あるいは農林大臣は生産費を下げるというような御努力をされておりまするがかりにそれに反して物価が上ったというような場合においては、これは当然米価を是正する必要があろうかと思いまするが、その辺につきましてちょっと伺いたいと思います。
  379. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御指摘の通りでございまして、何分植付け前に米価を決定するのでございますから、前年度の米の生産費をある程度勘案のおもな要素に加えて参らなければなるまいと思います。従ってただいま御指摘のような事態が起りました際には、別途考慮しなければならないだろうと私は考えております。しかしこれらにつきましては、いずれよく各方面の権威の方々の御意見を十分拝聴いたしまして、しかるべく遺漏のないような措置をとりたい、こう考えております。   〔委員長退席、理事池田宇右衞門君着席〕
  380. 永岡光治

    ○永岡光治君 まず外務大臣にお尋ねいたしますが、貿易促進の上から日本のガット加入の問題は国民のひとしく注目するところでありまするが、今日どのような経過になっておるか、詳しく御説明をいただきたいと思うのです。ということはジュネーヴにおきましてこの問題が論議されておるという状況にありますので、特に詳細にわたって御報告をいただきたいと思います。
  381. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ガット加入の問題は、日本の対外経済発展に重要な問題で拠ることはこれはもう申すまでもないことでございます。その交渉の経過でございます。これは今ジュネーヴにおけるガットの会議でそれぞれ各国との交渉を経てそしてやらなければなりませんので、ジュネーヴにおいてわが代表者と各国との間に交渉を進めておりまして、その経過は順調でございます。順調でございますが、これは一一各国との間に交渉を経て、そうして初めて結果を得るので、まだその交渉の途中にあることを申し上げます。なお、その一々の経過の交渉については、もし御要求がありますれば、その係官から詳しいことを申し上げたいと思います。大体はそういうようなことに経過いたしております。
  382. 永岡光治

    ○永岡光治君 正式加盟の見通し、この問題について伺いたいのであります。
  383. 重光葵

    国務大臣重光葵君) その交渉が大体順調に進んでおりますから、正式加盟もでき得ることと、その点は大体楽観をして進んでおります。
  384. 永岡光治

    ○永岡光治君 時期はいつごろ……。
  385. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 時期を今はっきり申し上げる今私用意がございませんが、これもそう遠くはないと思いますが、しかし時期の点などを詳しく一つ調査をいたしてみた上御報告をしてもよろしいと思います。
  386. 永岡光治

    ○永岡光治君 その点について、それでは後ほど調査をいただきまして、いつごろ加盟を承認される見通しかを御回答願いたいと思いますが、次いで郵政大臣にお尋ねしたいわけですが、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の第二条に「積立金は、郵政大臣が管理し、及び運用する。」ということになっておりまするが、この通り実行されておるかどうか。現在大蔵省の資金通用部のほうにはどの程度一体まだ残っておるのか、その辺について特に詳しい説明を願いたいと思います。
  387. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お答え申し上げます。簡易生命保険及び郵便年金積立金の現状について説明せよということでございまするが、本年度の現状を申し上げますると、大体次の通りでございます。運用原資といたしましては五百一億円でありまして、運用法第三条により、地方公共団体に対する長期融資の方に回っておるものが四百五十五億円、契約者貸付に回っておるものが四十六億円ということになっております。このほかに地方公共団体に対しまして短期融資として四百二十億円を延べで融資しておる次第でございます。
  388. 永岡光治

    ○永岡光治君 私の質問いたしたいのは、そういうこともありまするが、郵政大臣がこれを管理運用するということになっておるが、全部郵政省でこれを管理運用しているかどうか。資金運用部には全然入れてないかどうか、その金額が知りたいのであります。   〔理事池田宇右衞門君退席、委員長着席〕
  389. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お答えいたします。大蔵省の方に残っておる分としては、たしか六百五十億と承知いたしておりまするが、詳細のことは当局からお答えいたさせます。
  390. 永岡光治

    ○永岡光治君 大蔵省の管轄にある資金運用部に残された六百五十億の金はいつ郵政省の所管に完全に移されるか。郵政大臣答弁できなければ、大蔵大臣特に関係ありますので答弁を求めます。
  391. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 簡保資金の独立運用につきましては今から二、三年前でございましたか。法律改正が行われました結果、新しく生ずる資金につきましては、積立金になりました後簡保資金特別会計において運用する。それまでの資金につきましては、これは資金運用部でいろいろな使途に運用いたしておるわけでありまして、これはそのまま大蔵省の資金運用部の方に残しておく。さようなことに相なったわけでございまして、今その法律規定に従いまして新しく生じまする積立金につきましては郵政省の方で運用する、さようなことになっております。
  392. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、ただいまの答弁では将来とも大蔵省で一部を運用すると、こういうことに聞き取られるのですが、この法の精神に反すると思うのですが、この点はどういうふうに考えておりますか。
  393. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 分離運用、独立運用を決定いたしました法律規定に従って新しい積立金についてのみ郵政省のほうで運用をせられる、従来のものはこれはいろいろな融資先に運用いたしておるわけでありまして、現金があるわけじゃございませんので、これはそのままにしておく、それが法の趣旨であったと存ずるものでございます。
  394. 永岡光治

    ○永岡光治君 貸している金は順次返るはずであります。返れば、これは当然郵政省の所管になるというようにこの法の精神は解釈するのでありますが、そう解釈できないでありましょうか。
  395. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) その問題につきましては、法律では直接には触れていなかったと思うのであります。
  396. 永岡光治

    ○永岡光治君 新しいものについてのみ運用するという字句は、私はこの法律の条文から見かけられぬと思うのですが、どういう解釈に立つものでありましょうか。
  397. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 法律の条文を持ち合わしておりませんが、その法律の施行期日はたしか附則に何年度分から施行する、適用すると、そういうふうに書いてあったのじゃないかと存じますが、ちょっと手元に法律案を持っておりませんので……。
  398. 永岡光治

    ○永岡光治君 その点については後ほどそれでは調べて御回答願いたいと思っております。そこで同じく法律の第三条の対象でございますが、運用の対象でありまするが、今日は地方公共団体に限定されておりまするけれども、これはこの保険の契約者の対象を考えまするときに、当然これらの保険の契約されておる方々の福利厚生あるいはまた従って中小企業、あるいはまた農業団体あるいは住宅の建設、こういうところに当然これは融資されなきゃならぬと思うのでありまするが、その運用の対象を広げるという考えを郵政大臣はお持ちになっておるかどうか。そのことをお伺いいたしたい。
  399. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お答え申し上げます。郵政省といたしましては、その運用範囲を拡大して参りたいと考えて、それには国に対する貸付けをまず考えるわけです。また予算について国会等で御決議を願って、そうしてあるいはまた承認を得た法人に対して貸付けしていきたい。さらにまたいわゆる金融債の買入れ等にも範囲を広げていきたいという考え方であります。ただしこれは一般政府財政政策に関係ございまするので、これらのことについては、目下関係方面で折衝中でございます。
  400. 永岡光治

    ○永岡光治君 先ほど申し上げました理由で、これは相当この契約者の対象に重点を置いて融資さるべきものと考えまするので、その点を重ねて大蔵大臣に特に質問いたしたいのであります。その方針であるかどうか、三十年度に国会に提案される方針であるかどうか。
  401. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは私もこの法について、どういうふうにこれを運用するべきか前から若干の疑問を持って、郵政大臣とよく相談もし、また今後、適当に一つ運用していくつもりでおります。
  402. 永岡光治

    ○永岡光治君 次いで郵政大臣質問いたしまするが、先般の大蔵大臣の談話でございましょうか、新聞紙上を通じますると、三十年度の建設関係は官庁は極力差し控えたいという趣旨のことが出ておったように考えるのでありまするが、他の官庁と違いまして、現業官庁でありまするところの郵便局は、これは普通の官庁とは違いまして公衆の機関であります。国民機関でありまするにもかかわらず、今日一万五千の郵便局をかかえておりまするが、きわめてひどい局舎の状況にあります。まるで掘立小屋にひとしいものもたくさん見かけるのでありますので、その大半を早急に改築しなければならぬという現状にあると私は考えるのでありますが、この現状を郵政大臣あるいは大蔵大臣は十分承知しておるかどうか、まずこの点をお尋ねいたします。
  403. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お答え申し上げます。お示しの通り全国の一万五千になんなんとする郵便局舎の老朽の状態というものは、まことに激しいものであると承知いたしております。征ってこれが改築または新築いたさなければならぬということの緊急なることは言うまでもございません。現状を申し上げまするというと、国有局舎約九百局、坪数で申しますると約二十二万九十坪でございます。借入れ局舎約一万三千五百局、約四十四万坪となっておりまするが、このうち四十年以上を経過し、老朽度の著しいもの及び戦災バラックにしてすみやかに復旧要をするもの、都市計画等により立ちのきを要求されておるもの等がございまして、これらは緊急に改善を要するものと考えておる次第でございます。
  404. 永岡光治

    ○永岡光治君 郵政大臣は現状を非常に深刻なものと認識をされておるのでありまするが、二十九年度の新築の局舎の予算は幾らで何局建てたか、この点をお尋ねいたします。
  405. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お答えいたします。二十九年度においては新築をいたさないという状況にあって、ごく数戸のものだけを、やむを得ないものだけをやるという形になっております。
  406. 永岡光治

    ○永岡光治君 そのような状況で今後進めていくと思いまするが、特にこれは総理大臣に大きな問題でありますのでお尋ねいたします。
  407. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 主管大臣からにお願いいたします。存じません、私……。
  408. 永岡光治

    ○永岡光治君 存じませんで……。その方針がいいか悪いか大臣のお考えを聞くのです。よければいいし、悪ければ悪いと……。
  409. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 建てることができれば建てた方がいいと思いますが、とにかく主管大臣から答弁してもらいます。
  410. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ただいま申し上げました通り、二十九年度は遺憾ながらほんのわずかばかり手をつける状態でございましたが、来年度におきましてはでき得る限り極力努力いたしまして(笑声)相当量の改築、増築に進めたいと考えております。
  411. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま郵政大臣のお言葉を聞くと、極力やると何かあと押しでもするようなことだが、予算を必ず大蔵省と交渉して……、実際地方においては御承知のごとく個人の建てた庁舎だから、五十年あるいは六十年になんなんとしておるというような実態を大臣は知っておるかどうか、知っていたら十分にこの際これを修理いたして、山間の土地にはやはり電話まで設備し電報まで取り扱えるようにしてやってこそ、初めて文化の恩沢に浴するのであります。その方針大臣にないようだが、この点は大臣はこれを実行するかどうか、大蔵省に極力交渉する決意があるかどうか、これを伺いたい。
  412. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お答え申し上げます。極力と申し上げたのは、むろん極力でございまして、大蔵当局にはいま現に交渉中でございまして、(「確信があるかね」と呼ぶ者あり)確信をもってですね、昨年のごとき状態ではございません、来年度は少くとも相当数の新築を(「うしろで主計局長が笑っている」と呼ぶ者あり)実現できる次第であります。
  413. 永岡光治

    ○永岡光治君 大蔵大臣はただいまの郵政大臣の決意を同様承認されて、その方針であるかどうかを重ねてお尋ねいたします。
  414. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 建築の話でありますが、官庁の建築のような大きな建築はなるべくやめてもらいたい。これからスタートしなければ、なかなかいろいろな建築をとめられません。それはなぜかというと、住宅不足であるという関係で……、今お話の郵政省の関係の庁舎、これはまあ私はやはり実際問題といたしまして、ほんとうに事務をとられなくなっておる、危険もある、それをやらずにおくことはできません。これは実際問題といたしましてよくこの辺を見て……。しかし同時に今度の予算が一兆円の予算であり、同時に勤労大衆あたりにも住宅を作ってあげなければならないという事情もありますので、そういう点を皆さんで思いやりましてやっていく、こういうふうに考えております。決して私ども無理をする考えを持ってはおりません。
  415. 永岡光治

    ○永岡光治君 一兆円の予算のワクであるというために、これは相当考慮されるということもありましょうけれども、それであるがゆえに運用部の資金も当然これは考慮の対象に置かなければならぬと思うのでありますが、それも考慮されるべきかどうか、その点をお伺いいたします。
  416. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) どういうふうにしてこの資金をまかなうかという点につきまして十分考えます。今お示しのごとく、運用部の資金を使うか、そういう点は十分考えてみます。
  417. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは八十年以上経過しているところもある状況でありますから、特段の考慮を願います。  次に、総理大臣に特にお尋ねするわけですが、前の吉田内閣はなかなか法律を尊重いたしませんでしたが、鳩山内閣法律を絶対に尊重すると、こういう決意でおるかどうかお尋ねしたい。
  418. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) もとより法律は尊重いたします。
  419. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは人事院総裁にお尋ねしますが、人事院から退職年金法の勧告を公務員法の第三条に基いて勧告したのはいつでありますか。
  420. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) お答え申し上げます。一昨年十一月でございます。
  421. 永岡光治

    ○永岡光治君 その後実施されていないのは、どういう経過でございますか。
  422. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 政府におかれまして、人事院の勧告に基き現在公務員制度調査会に諮問されておる状況でございます。
  423. 永岡光治

    ○永岡光治君 公務員制度調査会に諮問されたのはいつでありますか。一昨年でありますか。
  424. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 昨年でございます。
  425. 永岡光治

    ○永岡光治君 何月でございますか。
  426. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 昨年の大体七月ごろだったと思います。
  427. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は内閣総理大臣にお尋ねするわけですが、法律を絶対に尊重するという建前の政府がこの法律を私は無視しておるのじゃないかと思いますが、いまだに実現を見ないというのはどういうわけでありましょうか、その点をお尋ねしたい。
  428. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答え申し上げます。公務員制度調査会ができましたのは昨年の三月でございまして、この公務員制度調査会におきまして小委員会を設けまして、これに関する今研究を進められておるのでありまして、この結論を得て勧告の線に沿って実際的な措置を講じたい、かように思っておる次第でございます。
  429. 永岡光治

    ○永岡光治君 公務員制度調会に目下諮問されておるといいますか、おそらく政府も鞭撻されておると思うのでありますが、経過を十分承知しておると思うのです。昨年の十二月に鳩山内閣は成立したのでありますから、十分経過を承知しておると思うのでありますが、どういう問題が中心になって論議されており、いつごろこの諮問に答申するように鞭撻されておるか、その目途を一つ説明願いたいと思います。誠意があれば、法律を尊重するというのであれば、それくらいのことは当然やっておると思うのでありますが、そのことをお尋ねしたい。
  430. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) お答え申し上げます。現在の日本の公務員制度は、戦後実は非常に複雑な体系をとっておるのでありまして、従いまして公務員制度調査委員会におきましても、給与体系はもちろんのこと、あるいは恩給、年金そうした諸般の問題を総合的に検討して、しかる後個々の問題についての具体策を講じなければならない、こういうような観点に基きまして小委員会を設けまして、極力その結論を急いでいただくようにお願いしておる次第でございます。なお、このために公務員制度調査委員会には閣僚の方々と法制局長官と私もその構成員になっておりまして、会長は現在大久保国務大臣が担当いたしまして、極力小委員会審議の促進をはかっておる次第でございます。
  431. 永岡光治

    ○永岡光治君 目途はいつごろでありますか。答申をいつまでにしてくれという目途があると思う、激励する上に……。
  432. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) これはなるべく早い方がよいと思っておりますが、いつ幾日と確定している次第ではございません。
  433. 永岡光治

    ○永岡光治君 目途もないようで、非常に審議会もばらばらでありますから、ぜひ本特別国会に答申が間に合って、法律案として提案できるようにお願いを要望しておきます。  そこで自治庁長官にお尋ねいたすわけでありますが、ということは、あなたがかっての人事委員長であったからでありまして、地域給が先般の二十一国会で満場一致委員会を通過したときの委員長でありますが、この内閣は、この鳩山内閣は少くともこの特別国会に、この四月以降でありますが、本予算が提案される際に、あの案をあのまま承認されるという腹であるかどうか、その点をお尋ねしたい。
  434. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 自治庁長官はただいまほかの委員会に出席しておりますので……。
  435. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは早急に出席を願うことにいたしまして、通産大臣にお尋ねいたしますが、法律を尊重するという建前であるわけでありますが、伺うところによりますと、今日はアルコール専売労働組合と当局の間に地域給の改訂の問題が争議の対象になっておるわけであります。これはそれぞれの地方調停委員会にかけられて、結論が出て、それから中央裁定委員会にかけられたそうでありまするが、いつ地方調停委員会の結論が出て、どういう内容であったか。そうして中央裁定委員会はいつ結論が出て、どういう内容であったか。その点をお伺いいたします。
  436. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) ただいまのことは報告を受けておりますが、こまかいことは今存じませんので、係官に答えさせます。
  437. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) お答えいたします。昨年の初め以来団体交渉を開始いたしまして、昨年の中ごろに調停段階に入りました。本年の一月二十九日に仲裁委員会の裁定が出ております。その内容といたしましては、組合側の要求を一部採用されなかった面がございますが、大部分組合側の要求通りの内容を三十年度において実施すべきである、こういうことになっております。その内容といたしましては、昨年五月に人事院が一般公務員につきまして勧告せられました地域給の内容を実施すべきであると、こういうことでございます。
  438. 永岡光治

    ○永岡光治君 それを実施するのですか、しないようですか。通産大臣。組合は受諾したと聞いておりますが。
  439. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 公労法の精神に基いてむろんこれは尊重するのであります。しかし今度は暫定予算でありますから、暫定予算の中にはそれは盛り込んでございません。いずれ本予算をきめますまでに、実は地域給の問題はもう少し全般的に研究をいたしたいという考えを持っておりますので、それらを勘案いたしまして、善処したいと思います。
  440. 永岡光治

    ○永岡光治君 だから私は、これは尊重していないのだ、法律を尊重していないと言うのだ。あなたの私見を加える余地はない。やりなさいという裁定が出ているのですから、それを断わることができるのは、予算がないというときだけなんです。ところがこれは予算があるのです。どうしてやらないのですか。しかも暫定予算国会に承認を求めるという時期なんです。なぜこれを尊重しないのですか。
  441. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) お答えいたします。予算がないのです。
  442. 永岡光治

    ○永岡光治君 この予備金は幾らありますか。この関係の予備金は幾らありますか。三千万円ぐらいあると聞いておりますが、間違いありませんか。
  443. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 二十九年度にはむろん予算がございません。
  444. 永岡光治

    ○永岡光治君 私はあると聞いておりますが、予備金はないのですか、どうですか。明確に答えて下さい。
  445. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) お答え申し上げます。裁定の内容は三段になっておりまして、二十九年度につきましては、成立予算範囲内において実施すべきである。三十年度につきましては、先ほど申し上げた通りでございます。そこでこの成立予算解釈につきまして、法制局見解をただしましたところ、これはいわゆる給与総額の範囲内においてという解釈である。御承知のように予算総則によりまして、給与総額外からの流用につきましては非常に場合が限定せられております。従いまして予備金等はこれに充当することができない、こういうことでございますので、結論といたしまして、二十九年度は成立予算に余裕がないという解釈をもちまして、実施いたしておらないわけでございます。
  446. 永岡光治

    ○永岡光治君 ここに東京高等裁判所の判決文がありますから読みます。私はできると解釈するわけです。「国会の議決を経た既定予算範囲内に於て、行政措置を取ることによって可能な場合は、予算上支出可能な場合である」と、よろしいですか、そういうことをここにうたってあります。それから同じくこれはこ十五年の五月二十四日の東京高等裁判所の判例でありますが、さらに引き続いて、「予算の移流用に対する大蔵大臣の承認は、自由裁量行為である」と、明確にしております。これでもできないという理由になると思いますか、どうですか。
  447. 林修三

    政府委員(林修三君) 今おあげになりました裁判所の判決は、これはたしか第一回の国鉄裁定の問題だと存じます。その後の実は各公社特別会計の予算におきましては、給与総額を予算できめまして、その移流用を厳重に制限しております。従いまして、ただいまの第一回のものにつきましても、当時政府見解は、移流用は自由裁量であって拘束されたものでないと、かように考えておりましたが、その後の予算につきましては、今申し上げましたように給与総額がきまっております。従いましてその移流用は非常に制限されたものと考えております。
  448. 永岡光治

    ○永岡光治君 私はこの予算をそう窮屈なものと考えておりませんが、ちなみに伺いますが、これを受諾することによって、月額どのくらいの予算が要りますか。年度内どのくらいの予算が要りますか。
  449. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) お答えいたします。月額約四十六万円でございます。年額にいたしますと、三十年度における自然昇給その他の諸給与に対するはね返りを考えまして、概算でございますが、大体七、八百万円、こういうことになると思います。
  450. 永岡光治

    ○永岡光治君 お聞きの通りであります。月額四十六万円、大臣総理大臣もお聞きでありましょうが、月額四十六万円の金が出て来ないという理由は私はないと思うし、単なる予備金の問題でなくしても、当然私は予算範囲内ででき得る。あるいはその他の経費の節約等によって、行政措置による移流用によってこれを、誠意があるならば、法律を尊重するという誠意があるならば、できると思っておりますが、この点はどうでしょう。
  451. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) お答えいたします。二十九年度の問題と三十年度の問題を区別してお考えいただきたいと思います。二十九年度は、先ほど申しましたように、現実に成立予算に余裕がないという関係で、これは裁定もそういう内容になっておりますので、支給いたしておりません。しかし三十年度はこれは新たな問題でございますので、先ほど大臣から申し上げましたように、今後予算にこれを計上するかどうかということによって決定されるべき問題だと思います。
  452. 永岡光治

    ○永岡光治君 年度内の問題についてまだ問題がありますから、これは関係委員会において質問することにいたしまして、私は三十年度の問題で、三十年度のことを考慮すると今大臣は言っておられるのですが、三十年の四月一日以降、当然これは本予算で組めるわけですから、誠意があるならばやるべきだと思う。聞けばわずかな金であります。年間約八百万円という金であります。八百万円以内でできると思うのであります。それを組むという考えでおるかどうか。誠意があるならば、その機会があるのでありますから、当然組むべきだと思う。他の関係を考慮に入れる必要はごうもないのであります。これは予算関係でありますから、この裁定はやれという、こういう裁定を尊重するということは、両者受諾しなければならぬということが公企労法にうたわれておる建前からいたしましても、当然受諾して三十年の本予算には少くとも提出すべきだと思いますが、いかように考えておりますか。御決意のほどをお尋ねいたします。
  453. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、地域給の問題は全般的にもっと考究したいと考えておりますし、その結果公労法の精神に基いてむろんこれは尊重をいたしますから、必要があれば、これは本予算に盛るべきものという結論が出ますならば、これは本予算に盛ります。
  454. 館哲二

    委員長館哲二君) 時間が済んでおりますから、これをもって……
  455. 永岡光治

    ○永岡光治君 ちょっと自治庁長官が来ますから、それまで……。(「来ておる」と呼ぶ者あり)自治庁長官にお尋ねいたしますが、先ほど地域給の問題を質問いたしたのでありますが、あれは昨年の、あなたは当時衆議院における人事委員長なんです。あれは昨年の二十一回国会であろうと存じますが、当時の委員長でなかったかと記憶をしております。その際各環満場一致で委員会を通過しましたが、国会の会期中には残念ながら本会議に上程するに至らずに流会になったわけでありますが、国会を尊重する立場に立つ鳩山内閣であれば、これは当然各党の満場一致なんでありますから、当然それは引続いて鳩山内閣はそれを国会に少くとも法案として提案するということになると思うのですが、その点いかがでしょうか、どうでありましょうか。
  456. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地域給の問題につきましては、私が衆議院人事委員長時代にいろいろ考究いたしまして、一昨年でありましたが、大体これを全廃しようという意味大蔵省の方と話し合いまして、一級分だけ本法に繰り入れて段階を一つ減らしたのであります。この方法で行きますと約五年のうちには全部地域給というものは解消するのでありますが、その後のいろいろ状況を見ますというと、地域給に対する請願運動が熾烈でありまして、昨年衆議院で出ました請願の八〇%近くは地域給に関する請願であります。また実際問題としましても、地域給という制度は、今日から考えまして、公務員の移動転勤等に非常な不都合があるのでありまして、これは一日もすみやかにこれを廃止すべきものだ、まあこういう考えが当時衆議院人事委員会全部の空気でありました。そこで衆議院の人事委員会においては、地域給を廃止すべし、少くとも地域差というものをなくなして一本にすべきだという決議をまずいたしております。ただ現在の……(「これは何の資格の答弁ですか」と呼ぶ者あり)それに御質問ですから一つ衆議院人事委員長時代の考え方はどうかという御質問でありますから、それを御答弁しているのです。
  457. 永岡光治

    ○永岡光治君 いや、私の質問は、あなたは現在鳩山内閣閣僚であるから……。
  458. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ですからそれを言わないとわからないので、経過を申し上げたい。これは衆議院の人事委員長時代の扱った経過を申し上げないと、私の意見がおわかりにならぬから申し上げているのです。簡単ですから少しお聞き願います。衆議院の人事委員会におきましては、地域給というものを廃止すべきだと決議をいたしております。続いて地域給の昇格の決議をいたしたのでありまして、昇格するということは廃止ということの前提でありまして、廃止をするについては、今日の一応でこぼこ是正をしようと、こういう意味でありまして、廃止ということと地域給のでこぼこの是正ということは関連があるのでありまして、ただ地域給のでこぼこ是正だけとっては、これは解決しないのであります。そこで衆議院の人事委員、専門員なり、また大蔵省の主計局の給与課長などにいろいろ命じまして、廃止案を練っておるわけでありまして、今その過程におります。そういうわけでありますからして、地域給全体をどうするかということをまず決定をいたしまして、その線に沿ってでこぼこ是正をいたしたい、こう考えております。
  459. 永岡光治

    ○永岡光治君 ちょっと私の質問と趣旨が違ってこれはだめです、委員長
  460. 館哲二

    委員長館哲二君) 簡単にどうぞ。
  461. 永岡光治

    ○永岡光治君 いや簡単です。私の質問は、当時の人事委員長として、各党満場一致できめられた法律です。しかもそれは一月ですよ、一月。今日は三月です。いくらもたたない。そのときに、その当時の委員長であり、今日は閣僚の一員であるあなたは、鳩山内閣として当然私はこれを法律案として出すべきでないかと思うのですが、少くとも出すまでに至らないとすれば、そういう法律案が出た際に、鳩山内閣としてこれは、少くとも民主党としてはこれは賛成しなければならぬと思うのですが、そういう意味で私は質問しているわけです。あなたも閣僚の一員として、これは当然私は法律案として出すべきだ、それを主張する立場の人だと、こう思うわけです。
  462. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地域給是正は全廃とのにらみ合いである、こういう考えでやっておるのでありまするからして、両方の案ができませんと、これは解決いたさないのであります。全廃案と同時に是正案、二つ並行して考究しております。
  463. 永岡光治

    ○永岡光治君 いやいや、待つて下さい、それは……
  464. 館哲二

    委員長館哲二君) これで最後にして一つ……。
  465. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは最後であるならば、これは私言いたいことがあるわけですから、要望も含めて一つ聞いてもらいたいと思います。先ほど通産大臣は他の公務員との関連がある、地域給全般の関連を考えてということですから、その後少くとも公共企業体等労働関係法が適用される組合について、裁定が出てそれが許されない。予算の問題については、あるかないかについては論議の対象になりましょうけれども、そのことは、他の公務員との比較だとか、地域給の制度がいい悪いということはこれは別個の問題になりますから、それはこれを拒否する理由にならぬということを十分一つ考えてほしいのであります。これが今日公企体等労働関係法の法律を担当する鳩山内閣の行き方でなきゃならないと思うのであります。だからそういうことのないように、特に念を押しておきます。もし三十年度の予算にそういうことがないということになれば、これは今鳩山総理大臣が、法律を尊重するということを堂々として、首班として答弁して、その立場に臨むことになりますから、十分私は念を押しておきます。さらに今自治庁長官の、当時人事委員長でありましたあなたの答弁によれば、これは全廃する方針と、さらにそれをつけ加えて是正していく方針と二つあるので、方針がきまらなければ何ともしようがないというのですが、私はそれを言っているのでなくて、今問題になっておるのは、前国会であなたが委員長をやっておった当時のその国会です。国会というものは国民の意思である。それが委員会で満場一致決定されて、本会議に否決になったのではありません。時間がないために本会議にかけられなかったということであります。各党満場一致、しかも出られておる方々の顔ぶれは、その当時の人とあまり顔ぶれは変っておりません。それで急に一月くらいたった間に、その方針が誤まったという、そういう不見識なことは絶対に私は許されぬと思う。そういう私は不見識な者が、これは鳩山内閣閣僚の一員においでになるということは、国民はこの内閣について大きな疑義を抱くということになるわけですから、どうか一つ……、そういうあなたが選挙前に公約されたことをいつでも破棄されるという疑義を国民に植え付けると思いますことでありますから、どうか一つそういうことのないように、幸いにしてこの国会も近く自然休会に入ると承わっておりますけれども、その前に法律案として提案しょうとして準備もされて、すでに手続が終っていると思うのでありますが、この前回各党満場一致で賛成で通ったこの地域給は、少くともこの程度のものは、これは今日鳩山内閣も、従って日本民主党もこれは賛成する、こういう立場に立っていただきたい、こういうことを特につけ加えまして、時間がありませんので、私の質問を終ります。
  466. 重光葵

    国務大臣重光葵君) さっきのガットの問題を御報告します。わが国がガットに加入をいたしましたのは、一昨年の十月でございます。その後は正式加入をいたさなければなりませんので、必要な手続といたしまして、関税交渉をガット加盟国との間に、ジュネーヴにおいて開始いたしておるのでございます。それは本年二月二十一日から開始して、目下交渉中でございます。その交渉参加国は十五カ国でありますけれども、そのほかの国に対しても、交渉に参加するよう、説得中でございます。わが国の正式加入については、締約国の三分の二である二十三カ国の賛成を得なければなりません。わが国の加入を支持することが今日まで確実と認められておるのは二十一カ国でありますが、まだその数が数国足りませんので支持国を今獲得するように努めておる次第でございます。先に申し上げました関税交渉は五月末までに終る予定でございますが、しかしガットに正式の加入の手続を終るために、二十三カ国の署名を得なければなりません。その見込が、この向きで参りますならば、秋ごろには見込みがつくように思われるのでございます。以上お答えいたします。
  467. 木村守江

    木村守江君 先ほど私は伊能君の質問に関連いたしまして質問いたしました電力料金の値下げの問題は、国民全体に関係のある重要な問題でありまする関係上、通産大臣並びに関係大臣答弁が満足を得ませんでしたので、なおあらためて御質問申上げたてと考えております。先ほどの答弁によりますと、一萬田大蔵大臣は、電力会社は現在赤字ではない、黒字だ、しかも一割二分程度の配当をしておると言っておりまするが、こういうような状態で電力料金を値上げするのは、一般国民を犠牲にして電力会社を擁護する方策ではないかと質問いたのましたところが、石橋通産大臣は、決して電力会社を保護しようという考えはない、昨年の改訂当時においては赤字になるような計算であったが、昨年の電力事情が豊水等の関係上きわめてよかったので黒字になったのであるというような答弁であったのでありまするが、実際の状態は、昨年の後半期の電力状況というものは、渇水に見舞われまして非常に電力状況が悪かったのが実際の状態であります。こういうような電力状態が悪いのにもかかわらず、しかも黒字になっておるというのが実際の状態でありまして、こういうような電力会社が黒字になっておるのにもかかわらず、その実際の調査もしないで政府閣議の申し合せといたしまして、電力料金対策要網というものを示して、しかも電力料金を明後日から三割値上げすることを認めるような方針をとりましたのは、果していかなる方針に基くのであるか。三割値上げしますれば、一体電力会社の経理の状態はどういうかうになるのであるか。高崎経審長官は、電力の値上げに反対せんがために、こういう状態では電力会社の再編成をも考えなければいけないというようなことを申されておりまするが、こういう状態から見ましても、電力料金の値上げというものは、その奥底に何かわれわれの解釈でき得ないものが伏在しておると言わなければならないと思うのであります。かように電力会社が黒字であるのにもかかわらず、電力料金を値上げいたしまして一般国民を窮境に陥れる。しかも産業に対して非常な圧力を加えまして、低物価政策に背反するような政策をとるということは、果してよいことであるかどうか。私はこのことを考えまするに、こういう状態で果して鳩山内閣の、いわゆる国民に対して、あるいは、産業に対してこの政策がよいかどうか、まず鳩山総裁にこれに対する御意見をお伺いいたしたいと考える次第であります。  次に、この問題につきまして大蔵大臣並びに通産大臣及び経審長官にこれに対する御所見をお伺いいたしまして、こういう状態でありましたならば、私は電力料金の値上げの必要がない。会社が赤字になった場合には、あるいはいろいろな方策を考えなければいけないであろうと思いますが会社が黒字であるのにこういう政策をとつた理由につままして、詳細に御説明を願いたいと考えておる次第であります。
  468. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 主管から答弁させていただきます。
  469. 木村守江

    木村守江君 この問題は総括的に国民全体に関係があるものですから、こういう政策をとっていいかどうか。鳩山内閣の明朗なる政治……。
  470. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は電力料値上げの相談など存じません。電力料値上げにならないような相談はいたしましたけれども、値上げになる相談はいたしませんでした。
  471. 木村守江

    木村守江君 ただいま総理大臣から非常に了解のできない答弁がありましたが、閣議においては、電力料金が値上げにならない相談をしたというお話でありますが、あなたがこれを御承知かどうか。電気料金対策要網閣議決定です。この問題は、電力料金を昭和三十一年三月末までは旧供給規程昭和二十七年五月改訂のものによる料金の一三〇%を超過する場合には、これを一三〇%に頭打ちする、ということは、三〇%上るということですよ。下るということじゃないのです。上るといんことなんです。それで公共事業用電力並びに小口及び大口電力の一部について 現に実施中の一三〇%頭打ちの措置は昭和三十一年三月末までその適用期間を延長する。全くこれは電力料金の上るということなんであります。どうぞ御答弁を願います。
  472. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 上るところは上げないようにするという相談をいたしました。
  473. 木村守江

    木村守江君 会社が黒字になるのに何ゆえに上げなくちゃいけないのですか。
  474. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 関係大臣から……。
  475. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) お答えいたします。どうも上る下るがまことにややこしい言葉になりまして、つい一般的に電力料金を下げるというふうに聞えるのでありますが、今度の処理は、上るのを押えたわけであります。それはなぜかというと、御承知通りに昨年すでに今日の電気料金をきめたのであります。いわゆる冬料金と夏料金を撤廃をして、いわゆる冬料金によって一本化したところが、それをそのまま四月一日以降に今の規程通りに流し込みますと、以前の制度による夏料金に比較して、著しく上る部面がありますので、少くともその上り過ぎるところだけ押えたい。家庭電灯において三割以上値上げになるところは、三割でとめたい、かような臨時処置をいたしたのでありまして、今度なるほど事実は上ることになるのでありますが、上るということは、すでにもうきまってしまっておりまして、昨年の暮から根本的な処置をとりまして、お説のように電力会社が非常に黒字でもうかり過ぎるということなら、むろん下げることはできます。先ほど申しましたような昨年前内閣で料金の改訂をいたしましたときの計算では、二十九年度下半期は赤字になるという計算であります。その代りに三十年度の上半期は黒字になるから、それでとんとんになるから、あの改訂料金でそのまま押していけばよろしい、こういう考え方であったようであります。ただし前の夏料金と比較すると上り過ぎる点があるから、その点は前内閣においても、四月一日から特別の考慮をするというある程度の約束をしております。そこで私も前内閣の約束をある程度果すために、今般、先ほど申し上げますように、幸いに電力会社の経理状態が以前の計算に比較しますとよくなっております。もっともこれは会社によってでこぼこがありますから、一がいに言えないのでありますが、総括的に申すと、よくなっておりますから、その会社の経営状態と見合って、とにかく三割以上の値上げを食いとめようという処置をとった次第であります。
  476. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の電力料金の問題につきまして、通産大臣に伺いたいのであります。世界の物価水準から申しますと、家庭用の電灯料は、あまり差がないと言いたいが、日本ははるかに安いのであります。産業電力はほとんど世界の水準に近いところにまで値が上ってきておるのです。ところが今度おとりになりました措置は、家庭用の電力について、三割以上上るものはチエックしょう、こういうことでありまして、消費生活に対する非常に甘いお考えで、生産方面に対しては非常にからい。この点について今日日本の状態から考えてみますというと、生産というものを大いに増強していかなければならぬということで、電力に対しては特別の資金まで、われわれは税金を負担してやっている。しかるにかかわらず、消費生活のほうにただ甘く、三割以上には上げないということの御決定であって、そして工業用電力にはそういうことがない。今まであったものを若干軽減なさるというお話ではあるが、その三割以上上げないということは、実際問題において見ますと、昨年より一割に満たない、ほとんど条件を具備しないという理由で全部上げられているのであります。でありますから、昨年の電力料と、本年の電力料と比べますというと、場合によると八〇%から一〇〇%上っている事実だ。そういうことを全然お考えにならないで、ただ消費用の電灯だけ三〇%にきめればいいというような非常に甘い政治家的な点でおやりになるということは、電力政策の根本を誤まっている。こう私は考えるのでありますが、通産大臣はどうお考えですか。
  477. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 御説はごもっともでありまして、私もむろん産業用の電力を下げたいことはやまやまでございます。しかしこの四月一日からの処置としてはそこまで手が及びませんから、とりあえず家庭電灯の問題だけを一応解決いたしまして、さらに電力問題は、それこそその場合には、税金、金利の問題もあわせ考えて、また電力会社の経営の問題も考える。あるいは今後水力電源の開発の場合の、その負担の状況も考えまして、どうか全体として産業電力も下げたい。下げたいと申しますか、むしろこのままで行けば上るのでありますから、上るのをとめるということがおそらく精一ぱいではないかと思いますが、とにかく上るのを食いとめたい、かように考えております。
  478. 田村文吉

    ○田村文吉君 ちょっと通産大臣はお考え違いをしていらっしやるようであります。産業電力は現に上っているのですよ。昨年から上っている。三〇%以上を上げないようにしようというロープはついておりますが、それはきわめて少数のものにだけしか適用されていない。事実上非常にひどいものになると、先ほど申しましたように一〇〇%上っている。私は大蔵大臣が先ほどおっしゃったように、電力が高いからといって利子を安くするとか、税金を安くするとか、そんな甘い考えで私は産業政策を立ててもらいたくない。でありまするから、国民の消費生活のほうは押えないでおいて、そして大部分の産業政策のほうに対して同時にシヴィアーであるということが私は不満に考える。これでは日本の産業の復興というものはできない。その点をもう少し突っ込んでよく御勉強願わぬというと、日本の産業が非常に困る。ただ利子を負けてやるとか、税金を低くしてやるとか、そんな甘いことでは私は電力政策は立たぬと思う。そういう誤解がおありなさるようでありまするからちょっと。
  479. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 誤解をしているつもりはございませんが、とにかく産業用の電力を安くする必要があるということは、これはもう重々承知いたしております。どうかこれは今回の場合はそこまで手が届かなかったということでございます。今後はしかし、そり上ったことはお説のように昨年上ってしまっている。ただそれより前の制度の夏料金に比較すると大へん高く、数字上高く出るということでありまして、上げるのは、もう昨年十月からお話のように上ってしまっております。で、今後もおそらく水力を開発して参りますと、今までの古い設備の割合が減りますから、それだけどうも数字上から申しますと、電力が高くなる懸念がございます。ですから少くとも今後なお続けて電力が高くなることをできるだけチェックいたしたい、かように考えておるのであります。
  480. 木村守江

    木村守江君 大蔵大臣と高碕長官……。
  481. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま通産大臣が御答弁になりました。私どもそれ以上つけ加えることがないように存じますから……。
  482. 館哲二

    委員長館哲二君) 経済審議長官にも求めますか。
  483. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御答弁いたします前に、私は本日と昨日と一昨日、やむを得ない公務のために出席できなかったことにつきまして、まことに申しわけないことだと存じます。この点深くおわびいたしたいと思います。  ただいまの御質問の要点でございますが、電力料金のことは通産大臣がお答えいたしました通りでございますが、再編成の問題につきましては、私はひとり電力会社だけでなく、日本のすべての産業があの終戦後の集中排除法によって実行されておるのでありまして、今後こういうふうな公共事業はどうしても国民生活に直接関係がありますから、できるだけ供給を円滑にし、価格を安くする。この目的のためにさらに十分検討いたしたいと存じておるわけなんです。検討いたしますというと、いろいろな不理合な点があるということが順次わかって参りますのですが、ただいま検討中でございますが、このことにつきましては、どうか皆様方の御協力を得て、さらに検討して実行に移したい、こう存じます。以上をもってお答えといたします。
  484. 木村守江

    木村守江君 通産大臣にお尋ねしますが、通産大臣は電気料がすでに上っているのだ。それは夏冬共通の電気料金をきめたという考え方でしょうが、この電気料金の対策要綱におきましても、旧供給規定というものを基準にして一三〇%という数字を出しております。一体会社が黒字であるのに、その前どういうような状態かわからないのに、何ゆえに三〇%という線を出したか。三〇%という線を出した理由を御説明願いたいと思います。なぜ一体その詳細のことが研究でき得ない、調査不十分であるならば、旧供給規程そのままでもってとめておいて国民に安心させ、産業を推進するような方法をとらないで、なぜ一体会社がもうかつているのに、旧規程より三〇%上げたのか、その理由を御説明願いたい。
  485. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) こまかい数字等の必要があれば政府委員からお答えいただくわけでありますが、大体は昨年十月値上げをする、これは会社の方からはいろいろの資料を出しまして値上げをしたいという要求があったように私は聞いておる。しかし当時の政府も積極的な値上げは好ましくないので、とにかく冬料金をそのまま夏料金にすべり込ませて一年一本の料金にするということが、会社の方の要求にもある程度こたえ、それから積極的に電力料の上ることを防いだということが経過のように私は聞いております。そこでそれが今まで夏料金、前の旧制度による夏料金の時期にすべり込みますと、それは著しく高くなるというので、それだけを押えたというわけであります。むろんこれは今後十分研究いたしまして、全般の問題は解決をしなければならぬわけであります。
  486. 木村守江

    木村守江君 なお通産大臣にお伺いします。昨年の改訂時においては、赤字になるという計算であるから、これは電気料金の値上げの必要を認めたのです。ところが非常な悪条件におきましてもなお黒字である、こういうような状態であったらば、これは前の内閣におきましても、おそらくは旧規程そのままにおいたろうと私は思うのであります。何ゆえに悪条件においても黒字であるのに旧規程よりも三〇%上げなければならなかったか。(「前内閣が見通しを誤まったんだよ」と呼ぶ者あり)黙っていなさい。
  487. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 二十九年度の下半期は、御説明もありましたが、ある程度豊水であったことは事実であります。これは地区によって違うようであります。それから石炭が値下りをしたとか、いろいろな事情で幸いに黒字になりそうなのです。しかしこれがなお今後永続的にその通りに参るという保証もまだはっきりしません。前の計算によりますと、三十年度の上半期はよろしいが、この下半期になりますと赤字が出るだろうという計算もあるわけでございますから、そこでこれらの問題はもっと今までの電力料の標準になるいわゆる平水というものの再検討も必要であります。それから今後の水の状況が、二十九年度の下半期のようにある程度水の状況がいいというようなことが今後も続くものかどうかというようなことも検討しなければならぬと思います。あるいは石炭のこと、その他を十分検討した上でないと根本的対策がとれませんので、そこでそれをあとに繰り延べた次第でございます。
  488. 木村守江

    木村守江君 会社が赤字が出るだろうというようなことで何ゆえに一体電気料金を上げなくてはいけないのですか。私は現在の夏料金で、旧供給規程のままで本当にこれは赤字が出て会社が運営できないというような問題であったらば、公共企業性を有するものであるからして、それは政府が料金の値上げもいいでありましょうが、これは黒字であるのに何ゆえに一体上げなくちゃいけないか、今一度……。それから一体政府は本当に国民の要望にこたえ夏料金、旧供給規程のままで置く考えはないかどうか。一三〇%という数字をきめましたが、これはやっぱりよく考えて、もう少し考え検討してこれを上げるべきである。もとの旧供給規程のままにする考えはないかどうか。そして国民全体に安心をさして喜ばすことが私は鳩山内閣の大きな使命であると思うのです。これに対して……。
  489. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 昨年の前内閣時代の計算がどれほど間違っておったとか、正しかったということは別問題といたしまして、今のところでとにかくあれだけ、もみにもんでいろいろの議論の末できました今の供給規程でありますから、それをまたやめて旧規程ににわかにこの際戻すということは考えておりません。もし旧規程に戻すような事態が可能であるなら、それはなおもっと研究してからにいたしたいと思います。
  490. 木村守江

    木村守江君 私は質問するのをやめようと思ったのですが、どうも今の話を聞きますと……旧規程を基準にして一三〇%にしたのですよ。それをなぜ旧規程のままにできないのですか、旧規程を基準にしてしたのです。これは夏冬二本の料金を基準にしてやったのじゃないのです。あなたたちがやったのは旧規程を基準にしてやったのですから、旧規程そのままだったら一番いいじゃないのですか。
  491. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 旧規程にいたしますと、また夏冬二本の料金ができるわけで、つまり四月から夏料金になり、また冬料金を実施すると、こういうことに戻るのだと思います。
  492. 木村守江

    木村守江君 どうも通産大臣答弁は私は非常に不可解だと思うのです。旧規程にすると夏冬また別になると言いますが、あなたは夏冬一本の線にしてそれの何%にするというのならそれはわかりますよ。ところがあなたのきめたのは、旧規租を単位にしてその一三〇%という線を出しているのです。旧規程を認めているのですよ。それでどうして一体旧規程にできないのです。
  493. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 私はお尋ねの意味を取り違えているか知れませんですが、とにかく昨年、一年一本の料金ということにきめた、現在の規程は昨年きまったわけであります。ところがそれがそのまま四月一日以後にすべり込みますと、いわゆる旧規程に比較して著しく高くなり過ぎるからその点だけを調整する、旧規程を今認めるとか認めないという問題じゃないのです。
  494. 木村守江

    木村守江君 ところがあなたは認めるのですよ、旧規定を……。あなたそう言ったですよ、旧規定を認めると。
  495. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 比較の便宜上一つの標準をとっただけです。
  496. 木村守江

    木村守江君 どうもあまりしっこいようで悪いんですが、夏冬二本立の料金になるということが困ると言っておりながら、あなた方のきめたのは旧規程を基準にして一三〇%にしているんです。あくまでも旧規程を認めているんです。夏冬の差を認めているんです。そうしてあなたはやっている。それを旧規程になると二本立になってもとの通りになるから困る。そんな答弁はありますか。これはよく考えまして、旧規程そのままにして一三〇%の線を出さずに、百パーセント旧規定そのままにするように御努力を願いたいと思いますが、いかがですか。そのできない理由はどこにありますか。
  497. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 今後改めるなら、根本的に考え直して旧規程も新規程もない、新たなものにしたいと思います。ただ旧規程のもとへ戻すということは今考えておりません。
  498. 木村守江

    木村守江君 どうも通産大臣答弁というものは非常に私は了解できません。旧規程というものを認めることができないというなら……、あなたは旧規程を認めているんですよ。なぜ旧規程そのままにできないんです。旧規程を基準にして一三〇%という線を出しているんです。三〇%というのはどういうそろばんで三〇%の線が出ましたか。
  499. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 三〇%というのは、ちょうどそれに線を引きますと家庭電燈料金で特に値上りになるところがとにかく三〇%で押えられる。それから産業の方面でも三〇%頭打ちということを今までやっております。それにならった次第であります。
  500. 館哲二

    委員長館哲二君) もう時間なんですから、簡単に……。
  501. 木村守江

    木村守江君 あまりわからないものですから……。これは家庭料金が三〇%にすれば押えられると言いますが、零細な国民は二七・八%でその恩恵をこうむらないんです。そういう七燈以下の零細な家庭というものはこの恩恵をこうむらないんです。そうしてやはり値上げになるんです。それですからそういうものこそ救うのが政治じゃないですか。そういう点から考えると、なぜ一体旧規程そのままにできないのか。会社と何かどうしても三〇%上げなくちゃならないような話し合いでもしてあるんですか、どういうわけなんですか。
  502. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 会社とはそんな話し合いはございません。
  503. 木村守江

    木村守江君 どういうわけですか。
  504. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) それはさっきから繰り返して申し上げますように、それは旧規程を認めるのでも何でもないので、ただいわゆる夏冬の料金の差がかってあった、旧規程のときには。ところが今おっしゃるように旧規程に戻ればこれはどういう結果になるかということはなお検討しないとわかりません。どうせそれだけやるならば、全く新しい構想のもとに出直したいと考えております。
  505. 館哲二

    委員長館哲二君) どうかそれを最後にお願いします。
  506. 木村守江

    木村守江君 もう一つどうしてもわからないんですがね、旧規程を認めないと言いながら、あなた方は旧規程を厳然と認めております。それから先ほど三〇%を出した根拠はどこにあるかといえば、それは家庭の電燈の料金というものは三〇%に押えればそれでいいからだというような……、実際には七燈以下の家庭ではちっとも値下りになっていないんです。なっていると思うんですか。なっていないんですよ、三〇%では。それはどういう理由で三〇%にしたんですか、もっとはっきり言って下さい。
  507. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) それは下のほうの、おっしゃる通りごく少額の使用者のところには及びません。及びませんが、それが元来が値上げの割合が少なかった。そこで今ちょっと忘れましたが、ちょうど比較的多くの家庭がひっかかるところが三〇%のラインを引きますと、とにかくそれだけの値上りを押えられるという観点からやったんであります。(「低い方が多いんですよ」と呼ぶ者あり)
  508. 木村守江

    木村守江君 私はいろいろ教育の問題について文部大臣並びに総理大臣に御質問をしたんですが、これは時間になりましたから、これはやはり委員会規定に従いましてやめようと思いますが、もう一応私は最後にお願いしたいのですが、この三〇%というようなものを旧規程そのままにできるように調査研究をして下さるようにお願いをしておきまして、私の質問は終ります。
  509. 館哲二

    委員長館哲二君) 高碕経済審議長官が差しつかえがあったのですが、おいでになられて先ほどからこちらに出席されております。長官に対する質問は保留されておりましたので、順次質疑を行なっていきたいと思います。  時間につきましては、大分遅くなりましたのでありますし、いろいろお尋ねになりたいこともあろうかと思いますが、今残っておられます質問者は、左藤義詮君と、それから小笠原君と、木村禧八郎君と、伊能君と秋山君があるのでありますかが、左藤君のほうは五分にお願いします。小笠原君が七分、木村君は五分、伊能君は五分、秋山君は七分というところで一つお願いしたいと思います。  これから順次質問をお願いすることにします。左藤義詮君。
  510. 左藤義詮

    左藤義詮君 昨日ですか、長官が見えなかったので保留したのでありますが、ただいま木村君の質問に出ましたので、電力の再編成、これは長官電源開発の総裁として非常な御経験、御抱負をお持ちになっておる……。
  511. 館哲二

    委員長館哲二君) 左藤君、ちょっと質問の途中でありますが、各大臣はぜひおとどまり願いたいと思います。総理大臣以外は……。
  512. 左藤義詮

    左藤義詮君 非常な経験をお持ちになっておるので、しかも先日の新聞に発表になりました電力再編成は、ただいまの問題になっております電力の値段の問題とからみまして、どうしてもこれは再編成をやらなければ安くならない。相当詳細に新聞には御発表になっておったのでありますが、あれは新聞の誤報でありますのか、あるいは詳細の御構想の一端を実際御発表になったのであるか。ただいま木村君えの御答弁では、これは占領中のいろいろな集中排除とかいうような無理にやらされたことなので、たくさん考えなければならぬことがあるので、その一環としてやるのだ、こういうお話でございましたが、そういう全体のことは別にいたしまして、特に今電力の値段の問題が非常にやかましくなっております際に、この問題について御発表になっておられる御構想ですね。国会でも一つ研究してくれ、私も研究するということでは私はあんな御発表になるはずがないと思うのでして、もう少し何らかのお見通しをお持ちになっておるはずだと思うのです。その点を詳細に一つお知らせ願いたいと思います。
  513. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。先ほど御質問に答えました通りでございまして、私はいろいろの方面から見ておりますが、電力という問題になりますというと、これは値段のことも必要でありますが、供給を円滑にするということも必要だと存じます。その二つの点から考えまして、先般新聞社の質問に答えましてある程度のことは申しておるのでありますが、これは私個人の考えでございまして、政府といたしましては、よく経済閣僚とも懇談いたしまして方針を申し上げたいと存じておる次第でございます。
  514. 左藤義詮

    左藤義詮君 個人の考えで結構ですから、一つ詳細にこの席でお漏らし願いたいと思います。
  515. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 純粋の個人の考えでございますから、そのつもりでお聞き願いたいと思います。(「純粋の個人とは何だ」と呼ぶ者あり)
  516. 左藤義詮

    左藤義詮君 新聞には経済審議長官としての御意見が御発表になっておったのですがね。閣議経済閣僚懇談会ではきまっていないけれども経済審議長官として御発表になったのだから、経済審議長官としての御意見を承わりたい。
  517. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私が今考えておりますことは、現在の九つになっていることがいいか悪いかということになりますと、私は九つがいいとは感じません。これを電力を生産するところと消費するところと、別々にあるということは非常な欠陥があると存じております。その趣旨から申しますると、東北地方の電力は大体東京で消費されている。北陸地方の電力は大体関西で使用されている。これなんかはよく考慮する必要がある、こういうふうな意味のことを話しましたわけであります。私は今もそう信じております。
  518. 左藤義詮

    左藤義詮君 さよういたしますと、それを整理して幾つかのものにするという御意見であるのか、あるいは電力を作るとこは一本にし、これを配給するところは一本にする、こういう御意見でありますのか、伺いたい。
  519. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問のような考えはありましよう、けれども私の考え方は、現在九州は九州で生産しその消費をまかなう。四国は四国で生産してまかなっている。北海道は北海道で生産してまかなっている。この意味から申しまして、生産は生産として一本にし、消費は消費として一本にするという考えもありましょうけれども、現在の私の考えはそういう考えではありません。
  520. 左藤義詮

    左藤義詮君 さよういたしますと、四国、九州、北海道は現在のままで、東北と関東と合併するとか、あるいは九州と中部とを一緒にするとか、そういうような御構想でございますか。
  521. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 九州と中国とは言っておりません。北陸と関西、それから東北と東京ですね、こういう考えでおるわけであります。
  522. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 関連して。ただいま長官は東北と東京、あるいは北陸と関西を一本にするというような構想を言われたのでありますが、これは大体東北の電力は東京へ流れる、北陸は関西へ流れるということで、生産地と消費地を結ぶという意味だけですか。そのほかに何か料金を平均化すとか、発電地帯の電力は安いから消費地の電力と合せれば一そう安くなるのじゃないかとか、そういう構想をも含んでいるのですかどうですか。
  523. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 自然送電線がダブルになるとか、あるいは事務所が二つになるとかいうような経費が節約されますが、自然原価が安くなる、こういうのでございます。
  524. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は経済審議長官として、やはり日本の産業構造というか、人口の配分というか、そういうことについてもう少し大きな構想を持たれていいのじゃないかと思います。それで大体東京であるとか、あるいは大阪とか、こういうところにあらゆる産業が集中し、人口がそこに集中してきている傾向をある程度是正していかなければならないということも考えてみなければならない。そこで、発電地帯は相当電力は安くできるのでありますから、そういうところを幾らか安くしておけば、そこに人口も流れるし、産業もそちらに流れるということも考えられるのであって、かって大東亜戦争のときに大都市に人口が集中し過ぎて困ったということがあった。将来はこういうことを心配する必要はないかもしれませんが、大きな経済構想からいったならば、そういう簡単なことから東京と東北を結び、北陸と関西を結べばいいのだというような構想だけでは私は困ると思うので、経審長官として、今私が言いましたような、工場あるいは産業の再配分であるとか、人口の再配分というようなことについてまで関連して考えられている構想であるかどうかということについて伺いたい。
  525. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御意見はごもっともでございまして、そういう点も十分考慮して、再編成を考えたいと存じております。
  526. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して。ただいま石原君もお尋ねしたのだが、北陸は関西、長野県のごときは日本一の発電県であるが、これは関東と中部へ二分されている。しからば中部は関西方面、北陸方面の全部を持ってくる。長野県を持ってくるのはどっちへ一体持ってくるのか。関東へ持ってくるのか、あるいは中部にそのまま存置するのか。今石原委員からも質疑をいたした通り、発電地に相当電力を供給してこそ地方の産業がそこに振興し、また安定していく。しかるに発電地から他の地へ送電してしまうと、そこは次第に発電所のみで、その地方の産業は非常な廃頽をしてくるのが現実情であるのであります。これについて長官はどういう構想を持つか、どういう考えがあるか、もっとはっきり、ただ簡単ではなくてわれわれ納得するように説明してもらいたい。
  527. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御意見はごもっともでありまして、できるだけ生産するところの地方には十分の電力を供給し、その地方において産業の興るような方法も考える、そういうふうな点は十分考慮して検討いたしたいと考えます。(「よく考えてやって下さい」と呼ぶ者あり)
  528. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 長野県の方は一体どっちなんですか。関西に持ってくるのか、関東に持ってくるのか、どっちに持ってくるのですか。
  529. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 長野県自身についても考えたいと思っておりますし、また一番合理的な方法に持っていきたいと思います。
  530. 左藤義詮

    左藤義詮君 この電力を九分割いたしますときには占領下でございましたが、非常な問題がございまして、特に参議院のごときは三日間施政方針演説ができないような、非常に紛糾した事態に苦しんだのであります。当時私も議運の委員長として非常な苦労をいたしましたので、この問題はなかなか……長官に今ちょっと御質問申しましても、まだ十分な定まった御構想がおありにならない。いろいろ産業の分布というような点からも非常な問題が多いことでございまして、それを経審長官として、しかも電力の非常な経験者が十分な推敲を経ずに御発表になった。これは非常な各方面に大きなセンセーョンを起しておるのでありまして、もう少し慎重になさらないと、全く私は放言に類するものではないかと思うのでありまして、果してこの内閣が実際に取り上げて、それではすぐ閣僚懇談会なり閣議できめておやりになるような準備ができているのか。ただ思いつきのことを、しかも責任ある経審長官が、経済六カ年計画の担当者たる方が、ちょっと今私が御質問申し上げてみても全然ちぐはぐであり、これから長野県にも相談しなければならぬし、北陸にも相談しなければならないし、非常な複雑な問題を割切って御発表になったことは非常に遺憾だと思うのでありまして、もう少し、特に経済審議長官日本経済の長い将来を見通して大きな構想で御指導いただかなければならない地位でありますので、私はもう少し御慎重になることを希望したいと思うのであります。時間がございませんので、電源開発の総裁としていろいろ御苦労になって、私はそういう点からも水力開発の将来ということをどういうふうにお考えになっているか。いろいろ新機軸をお出しになっているようでありますが、必ずしもそれが全部成功していなくて、総裁も御交代になり、水力発電のだんだん建設費が上って参りまして、いろいろ通産大臣も今御心配になっているような事態が起っているのであります。こういう点について十分私は一つ検討いただきたい。  最後に一つだけお尋ねしておきますことは、長い将来を考えまして今各国で——西欧、英米あるいはソ連等において原子力発電のことが非常に取り上げられているのであります。日本はただ残っているのは水力だけだということで水力々々と言って全力を注いできて、そうしてこうして電気料金が値上りしければならぬような事態がだんだん深刻になってきているわけでございます。水力というのはどこまでのお見通しをおつけになっているか。これと原子力発電ということに対して、経済審議庁としてどれだけの御研究になっているか。これは日本の将来の電気の一番根本問題として、むしろそういう私は大きな問題を一つ考えいただきたいと思うのであります。これに対する御研究なり、あるいは御構想、御抱負というものを承わっておきたい。
  531. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。私は将来原子力が動力資源として、エネルギー資源として利用される時期がきわめて近くに行われるものだと存じておりまして、その研究は十分今いたしておりますわけなのでございます。しかし原子力ができましても、なお私は水力資源というものは経済の許す範囲において開発して行きたいと、こう存じておるわけであるのであります。それはなぜかと申しますと、水力開発のためには一時資金は固定いたしますけれども、今後長い間にはこれのメインテナンスに要する費用というものは非常に少いわけでありますから、なるべくこれは経済の許す範囲において開発いたしたいと、こういう所存であります。
  532. 左藤義詮

    左藤義詮君 私の御質問申し上げておるのは、その経済の許す範囲というものを、原子力の将来と見合せてどういうふうにお考えになっているか。今まで電源開発会社でやっていらっしゃった、あるいは国として水力開発計画を立てておる、これをこのままやっていくのであるか、その経済の許す範囲というところをどこの限度においてどういう見通しをもってやっていらっしゃるかという、私はそういう具体的な問題を御研究になっているかどうか、それを伺っているのであります。
  533. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。大体六カ年計画におきまして、六年後の日本の人口を想定いたしまして、これに対する完全雇用をし、そうして日本経済を自立さすというためにどれくらいの動力が必要だ、こういうふうな点から考慮いたしまして、水力電気の開発もこれに準じて計画を立てたい、こういう所存でございます。
  534. 左藤義詮

    左藤義詮君 それと原子力とをどういうふうに見合せて研究するかということなんです。まあ仕方かないです。
  535. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 過般示された総合経済六カ年計画の構想についてお尋ねしたいのですが、この総合経済六カ年計画の構想という点は、未熟であるがゆえに構想と言われたと思うのです。しっかりしたものであれば、計画そのものでお示し願えると思うのです。が、少くともあなたが前国会において本会議等を通じて、自信を持ってこれを実現するのだとおっしゃった、その自信の根拠たる初年度三十年度の目標年次における主要経済指標が示されておりません。お示し願いたい。
  536. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 三十年度におきましては、第一に住宅問題というものを取り上げ、それから産業の基調を強化すると、こういう意味合いで資本の蓄積をする。それからもう一つは、輸出を振興する。で、失業対策をする。こういうふうなことを三十年度は六年計画の第一年でありますから、それを織り込んで予算を編成いたしたいと存じておるわけでございます。
  537. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう抽象的なことでなく、この二ページで示されておるような計数をお示し願いたいということなんです。たとえばスタートするところはわからぬ、終点だけはわかっておる。上野駅で貨物列車を編成して、水戸で積み込んだときは、中間駅のものはわかっておる。青森の終点はわかっておる。上野のそれは全然わからない。それをお示し願いたいというのです。
  538. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) それは三十年が初年度でございますから、三十年度から始めることにいたします。
  539. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その三十年度のスタートする分があなたにわからぬでおって、計数が示せないで、それで自信を持ってやり抜くという根拠はどこにありますか。先ほど来お聞きしますというと、価格の問題でいっても、その基本になる電力料金がどこに置かれるのか、石炭だろうが何だろうが、それは初年度どういうふうなところから、終点の三十五年度はどうなるのか、こういう点もわからぬで、どこから自信をお持ちになったかということをお尋ねするのです、がしかし、これは本格予算ができますまでに、あらゆる検討を加えて、この構想の前提は示されたが、さてこの構想を実現してゆく方式というものはこまかに計数をもって示される。検討中であるということであるならば私は了解いたします。どちらなのですか。
  540. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お答えを申し上げます
  541. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、あなたではない。自信のある長官に聞いている。
  542. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 計数の説明をさせていただきます。
  543. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 計数の説明ですか、三十年度の。
  544. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) ええ。ただいまお尋ねのございました三十年度の計数についてごく概略御説明を申し上げます。これは今御承知のように、予算を編成をしておりますので、経審並びに大蔵省等で作業をやっておりますので、まだ最終的な計数が出ておりませんので多少変りますかと思いまするが、現在までの中間的な見通しを申し上げさしていただきたいと思います。  まず第一に鉱工業の生産の関係でございまするが、これは二十九年度に比しまして一五%ぐらい上昇するというふうに考えております。詳しい御説明は省略さしていただきまして、計数だけを申し上げたいと思いますが、農林水産業等につきましては、これは農業につきまして、大体平年作という前提で計算をしておりまするが、これは二十九年度に比較いたしまして四%近く上昇するものと考えております。それから次に国際収支につきましては、そのうち、輸出につきましては、これも目下関係省で協議をしておりますが、大体のところ十六億二千万ドルから十六億五千万ドルくらいという見込みにいたしております。それからその次に特需につきましては、これは本年度よりも相当減少すると見込んでおりまして、おおむね四億二千万ドルくらいという計数を考えております。従いましてそれに応じます物資の輸入につきましては、明年度大体十九億ドルくらいということを考えておりまして、これに双方貿易外の数字を加えまして、国際収支全体といたしましてはほぼ均衡をするという程度に落ちつくものと考えております。次に物価につきましては、本年二十九度年間平均に比較をいたしまして、明年度の価格水準は約二%前後低下をするものと予想をいたしております。  以上のような計数でございます。
  545. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではですね、詳しくは本予算が出ます際、審議の資料として年次計画をお示しを願いたいと思いますが、御承諾いただけますか。
  546. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) けっこうでございます。提出いたさせます。(「年次計画だよ」と呼ぶ者あり)
  547. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、速記に載っておりますから信頼しますが、(笑声)ところがここに示されたこの計数は、私たち総合開発審議会の委員として、国土総合開発全国計画の資料の中で、試案として昨年膨大なる資料を示されたときの計数であります。そのうち都合のいいものを審議庁の庁内の方で抜き取って急遽編成したものがこれであることは天下周知の事実なんです。そこで私お尋ねしたいのですが、これで見ますと、前半の三カ年は、自立経済の達成ということで、資本の蓄積等、そういうことが重点で、後半が拡大再生産というようなことでありまして、総合開発の方の関係で見ますと、すべてのものが、重点的かつ計画的に実施するものとするとあるのです。ところが十カ年計画の全国計画で示されたものによりますと、特定地域十九カ所の開発をにらみ合せて、いわゆる未開発後進地域のその開発とからんで昭和四十年度の構想が示される、こういう形であるわけです。従つてその考え方で行きますならば、未開発後進地域の開発によって日本経済を伸展させる、こういう構想なんですが、これはその辺のところがみな切り捨てられまして、自立経済達成ということで総合開発の方の計画の方も重点的、計画的ということに籍口されて、今日東北から九州に至る八地域が閣議決定になって、事業遂行に急なんですが、これが見捨てられるのではないかという危惧の念を持っておるのです。それでこの六カ年計画の中でも、既定計画である特定地域の未開発の後進地域の開発ということは総合的に強力に推進が願えるのかどうか、この点お伺いしておきたい。
  548. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。ただいまの御質問の条件は織り込んで計画いたしたいと存じます。
  549. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、念のために申し上げておきますが、港湾、道路ということで言っておることは、港湾といっても大港湾とか、道路といっても自動車が通っておる、経済効果の上っておるところを重点的にやるというようなことでなくて、あくまでも閣議決定によることの特定地域の全体的な開発計画の線に沿うてこの問題が処理されると了解してよろしゅうございますか。……何も教えることばないよ、当りまえのことだよ。
  550. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御趣旨を織り込んで実行いたします。
  551. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それからもう一つ、昨年通産省においてはいわゆる国産愛護ですか、あるいは生産面の問題から、石油ですね、国内石油開発の五カ年計画を樹立しまして、昨年度一億三千万円くらい金が出ておるのですが、この開発計画はやはりこの構想の中に盛り込まれて推進されるのでございますか。
  552. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの石油計画は織り込んであります。
  553. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、この石油に関しては明年度の予算に開発計画として具体的に予算化されるお見込みでございますか。
  554. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) それは関係官庁ともよく打ち合せましてそれを織り込みたいと存じております。
  555. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では時間がありませんからどんどん質問しますが、聞くところによると、その開発のためには資本蓄積だけではとうていまかなえない。従って半官半民の、国の資金を投資でき得るような特殊会社を作るような、そういう御計画で法案を提出になられるやのうわさがございますが、事実でございますか。
  556. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) それは便宜上私からお答えいたします。ただいま通産省ではまだ決定しておりません。特殊会社にするかどうかという機構の問題については、なお検討を要すると思いますが、ともかくも何らかの方法でこの国家資金をつぎ込んで開発のできる処置をいたしたいと思って考究をいたしております。
  557. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと通産大臣の構想としては、第二年度につぎ込まなければならない資金額はどの程度がほしいと想定せられておりますか。
  558. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) ほしい額を申し上げます。ほしい額でありますから、果してそれだけ確保できるかどうかわからない、予約はできません。それは大体十億円程度のものを想定いたしております。
  559. 館哲二

    委員長館哲二君) 時間が切れておるんですが……。それじゃ秋山君のほうと御了解のもとに……。
  560. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 十億円といいますと、全体の構想からいえば到底推進できないという形で、どこからかやはり不足財源を求めなければならないというお考えも出てくるのではないか。又世間でもそううわさせられておる。それでその一つとしては何かといいますと、今国会提出せられておりますが、石油、重油の関税に関する法案、この延期の法案が出ておる。六月三十日までで切れるのでありますが、一応延期を国会が承認したとしまして、六月三十日以降はどうなりますか。
  561. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 油の関税については今これも技術的な研究をいたしておりますが、大体関税を戻すつもりでおります。
  562. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関税を戻すとは、要するに定率法を廃止して、そうして関税を戻すということだと考えますが、大蔵大臣も御了承でございますか。
  563. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その点についてはなお考慮しておる。きまっておりません。
  564. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 きまっておりませんというのはどういうことですか。私は総理大臣を補佐する国務大臣として通産大臣の言明は内閣の言明と考えておる。
  565. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 先ほど私の言葉が足りなかったと思いますが、これはまだ閣議決定もいたしておりませんし、又経済閣僚懇談会で話し合いもいたしておりません。しかし、私の考えとしては関税定率法をもとへ戻したい、かような考えであります。
  566. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうして得た関税収入を国内資源の開発に用いるという構想までお考えになって、そういうお考えに立っておられるのでございますか。
  567. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 特にその関税収入をある目的に使うということは考えておりません。関税は関税、石油の五カ年の開発は開発、別途に考えております。
  568. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 話しを戻します。何らかの方途をもって二年度の開発の具体策を講ずるというお話のうち、特殊会社というものは考慮の対象になっておらぬのでありますか、おるのでございますか。
  569. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これもまだ決定をいたしておりませんけれども、考慮の中に入っております。
  570. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次に建設大臣にお尋ねいたしますが、あなたのほうが一番総合開発の関係では、公共事業費を持っておられる。ところが公共事業費並びに食糧増産費、これが国の公共事業関係になるのでありますが、今の八特定地域に昭和二十八、九年の平均で申しますと、事業としては百十億、国費としては八十五億投ぜられております。これが本年度においてどれだけの構想のもとに進められるのか。いわゆる過年度中の国費よりもふやすお考えになっておられるのかどうか。これは現内閣においては強力な推進をするということで一つ公約になっておるのでありますが、お尋ねいたします。
  571. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話の総合開発の問題については、御熱心な御主張かねがね承知をいたしておりまして、われわれも今までの通りでいいかどうかということについてはまじめに検討をいたさなければならぬと考えて、経審のほうでもそのお考えでありますので、従来のやり方についてもう一そう一つ努力をいたしたいという考えでおります。三十年度予算にどれだけ盛り込むかということにつきましては、今予算編成中でありますので、数字的に申し上げる段階にありませんのはまことに申しわけありませんが、お許しをいただきたい。
  572. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大蔵大臣にお尋ねをしますが、何年度目かに入っておるのもあれば、初年度の計画になっておるものもありますが、およそ特定地域の開発事業は十カ年を目途としておるのでございまして、例年よりは本年において増額されなければ十カ年間の遂行はこの開発計画においてはできないのでございます。それで一昨年、昨年並み以上の総合開発費が特定地域に対して注ぎ込まれる、そういうことであるのかどうか、御方針を承わりたいのでございます。と申しますのは、あなたのお示になっております骨格予算大綱においてはこれは示されておりますが、特に北海直について考慮するとありまして、八特定地域がどこへ行くのやらはっきりしないという関係者の非常な心配があるのでありますから、この際所見を承はっておきたい。
  573. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今の御質疑の点につきましては、ただいま検討を加えておりまして、何さまどこもここもというわけにはいかぬので、どこのもここもいくならずっと言っていいのでありますけれども、どうしてもさようにいきません。それで今どこをどうしておるというわけにいきませんが、御趣旨の点は十分考慮しております。
  574. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ最後にもう一点だけでございますが、今日まで特定地域の事業計画が閣議で決定せられておりましても、実施する官庁は各官庁ばらばらでございます。従ってタイミングの問題その他でアンバランスになっておる。それから各省は一兆円予算というもので抑えられておりますと、各省のそれぞれの独自の計画、ウエイトが違う。従ってある省においては総合開発費は少い、ある省は重点的に多い、これを総合的にバランスを調整してタイミングを合せながら実施していかなければ国費のロスは非常に大きなものがあるわけです。従って各省に全体として予算が渡せないということであるならば、経済審議庁等にこの事業費の調整財源等を仮ワクで渡して、そうしてそういう諸点を調整しながら効率的な資金の投入ということも考えられていいのではないかという意見が非常に強いのであります。その点については大蔵当局はどういう御所見を持っておるか、承わっておきたい。
  575. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大蔵省において全く御趣旨のようにやるわけでございます。
  576. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 非常に大蔵大臣の御理解のある(笑声)御答弁をいただいて大変ありがとうございましたので、これで終ります。(国務大臣萬田尚登君「誤解があるといけませんから……」と述ぶ)許す必要ないですよ、きまりましたから。(笑声)
  577. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私ちょっと申し上げておきますが、ごく簡単な言葉で申し上げたから誤解があると思いますが、別ワクを審議庁に作るという意味ではないのでありまして、御趣旨のようなことを、目的を達するのを大蔵省でやると、こういうわけであります。誤解がありましたので、どうぞよろしく。
  578. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃまたお尋ねしなくてはいかぬ。大蔵省でやるということは、具体的にどういう構想で、どういう手続でやるということでございますか。これは局長のほうが……。
  579. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 特定地域の各種の事業の遂行がまちまちで、国費のロスになっておるという点につきましては、御意見に私どもも同感の点が多いのでございます。そこでまず第一に、予算の査定に際しまして各省間のバランスを十分考えなけばならぬと、この点につきましては経済審議庁の特に積極的な御協力を得まして、今後の予算の査定に際しまして十分気をつけて参りたいと思います。実行上調整するために別ワクを経済審議庁に設けるとおっしゃいましたのも、これも確かに一つの御意見だと思いますが、会計技術の面、その他の面におきましていろいろまた問題があるわけでございまして、そういう点につきましては、なお重ねて検討いたしますが、まずわれわれの予算査定に際しまして、十分そういった方面の御協力を得られれば、今日よりもはるかにバランスのとれたいい予算ができるのじゃないかと思いまして、その面におきましては、経済審議庁の全面的な御協力を期待しておるわけでございます。
  580. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう時間がございませんので、これで終りますが、少くとも大蔵大臣並びに経済審議長官といたしましては、今日まで国策として未開発後進軍威の開発が決定せられ、逐次計画が決定せられておりながら、国費の投入が少いがために計画遂行に支障を来たしておる。地方地方でまた財源上も困難を来たしておる。こういう事態なのであって、この事業は放置することを許さぬのであります。もう少し鳩山内閣として公約の線にも沿うて、そういう未開発特定後進地域の開発のためには専心あたたかい心やりをもって、具体的に三十年度予算においてお示しを願うことを心からお願い申し上げて終つておきます。
  581. 三輪貞治

    三輪貞治君 実は前にちょっと質問されておりました石油資源開発会社に対することなんですけれども、関連し質問をしようとしておるときに次に移ったものですから、機会を失してしまったのですが、丁度中座しておりまして……。通産大臣は石油開発会社は作るつもりであるけれども、まだ最後的な決定ではないというふうな御発言のようだったのですけれども、その通りでございますか。
  582. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 大体その通りであります。どういうふうな形でやるか、あるいは今の帝石をそのまま利用するという意見もありますし、しかしそれではいかぬから、別途に特殊会社を作るがいいという意見もございます。これらの意見を十分研究いたしました上で決定いたしたいと思います。
  583. 三輪貞治

    三輪貞治君 そうしますと、商工委員会提出予定の法案として出されておる中に石油開発株式会社法があるわけです。それについていつごろお出しになりますかと質問いたしました際に、官房長官は五月中旬に出しますということをはっきり言っておられる。そうすると、これはきまっておるということを私たちは了承しておったのですが、ずいぶん話が違うと思うのです。それともう一つは、関税の廃止については、これも今私中座しておって小耳にはさんだのですが、どうも閣議決定ではないという御発言がございました。ところがあなたは商工委員会ではっきり復えしますと言っておられる。これはどういうことなんですか。今大蔵大臣との発言が食い違ったので、何か言い直されたような格好でありますので、その点をはっきりしていただきたい。
  584. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 私としては復元をするつもりでおります。ただしかし、まだ技術上に作ることが、たとえば水産業の石油をどうするかという問題が残っておりまして、検討を要する点がありますので、まだ閣議決定までは至っておらない。それから今の開発会社法案が出ていることは事実であります、御検討を願う、表の中に。これはそういうことがあり得る。今申しましたようにですね、いずれにしても何らかの石油開発のさような機関を作る必要があるという予想の下に、リストとして載せてあります。
  585. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間がありませんから、簡単に主として高碕長官に御質問したいのですが、これまで前に政府が発表しました総合経済六カ年計画というものを中心としていろいろな質疑が行われたわけですが、一体この総合経済六カ年計画というものはどの程度に信頼性があるのですか。どの程度にこれをこの政策の背景として根拠を持たしていいものか。失礼かもしれませんが、私はこれは単なる選挙宣伝の道具ではなかったかと、 こう思うのです。そうじゃないかと思うのです。長官からその点伺いたいのです。と申しますのは、われわれに配付された資料を見ますと、その一番最後にこういうことが書いてあるのです。「本構想は中間的に取りまとめた試案であって、今後の検討により目標数字その他の点については変更があるものとする。」こうなっているのです。そうしますと、この目標数字が違ってくる。たとえば昭和三十五年には失業者は四十三万五千人、ほとんど完全雇用になる。ところがその目標は失業者が百万になったら、百五十万になったら問題にならないですね、完全雇用と言いながら。また特需がないということになっているが、特需があるということになったら、全くこれはまた違ってくるわけです。一体もどこまでの信頼性を持たしているのか。そうして大蔵大臣はまたこの一月の二十幾日だかの国会での説明で、この総合経済六カ年計画の線に沿うて、今後の財政経済政策をやっていくのだ、ところが実際にだんだん聞いてみますと、何か試案であって中間報告だ、われわれはこんなものをもとにして財政経済を議論していったら、全くそれは実に机上の空論をもとにしてわれわれ議論するようなもので、全く意味がないと思うのですよ。従って責任あるお考え方を聞いておきたい。そうしなければ、これをもとにして今後三十年度の予算の問題なんかと取っ組んでみてもばかばかしいことになるのです。非常に徒労に帰するのですから、この点まず伺っておきたい。どの程度これを実現する可能性があるものか、また熱意があるものか、まずその点を伺っておきたい。
  586. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。これは計画経済でなくて、私ども経済の計画性を持たすと、こういう意味でございまして、自由経済をどこまでも基調といたしております。それでこの前に発表いたしました試案は、これは素案でありまして、これは各方面の意見、特に現在各関係官庁の意見を聞いております。さらに一般の業界の方の意見を聞き、さらに学者意見を聞き、でき得れば各皆様方の御意見も承わって、これを完全にまとめていきたいと、こういう所存でございます。
  587. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 おかしいですね。そうしますと、これからまとめていくのですか。それじゃおかしいじゃありませんか。大蔵大臣はこれを基礎にして、今後の財政経済政策をやっていくのだと、しかも構想にはなっておりますけれども、抽象じゃなく、具体的に数字が上っているのですよ。選挙の前にこれを出せば、いかにも確実性があるがごとき錯覚を与えますよ、国民に それだからこそ責任があるのです。まるで選挙宣伝用じゃありませんか。そんなら一応これをうつな案として作って、これを基礎にして、これからまとめていくのだ、これじゃお話にならんじゃありませんか。完全雇用といい、自立経済といい、この二つが達成されるかされないかということはこれじゃわからないのですね。ところがこの数字によれば昭和三十五年には一応特需がなくなる。そうして完全失業者まあ摩擦人口として四十三万五千は最低仕方がないけれども、これからの増加労働人口は一応吸収すると、まあ完全雇用なんていうこともおこがましいのですね。四十三万五千も完全失業者を認めて、そして完全雇用なんて言ってますけれども、それじゃこれは全く今後の予算審議の基礎にならぬ。こういうものでありますね。そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  588. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 方向は示した、方向はその方向で進んで行きたいと存じます。ただ内容につきましては、さらにもっと審議いたしたいと存じております。
  589. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 方向と言いましても、完全雇用を実現する、それから経済自立を達成する、三カ年の間は横ばいで三カ年後拡大均衡につく。その方向、こんな抽象的なことは数字をもって言わなくてもいいんです。内容が問題なんです。その方向を数字をもって内容づけてわれわれに出したから問題にしてるんでありまして、こんな問題の発表の仕方は国民を惑わすものであって、それこそこれを本当に政策の基礎になるかのごとくしたら、これは欺瞞するものです、国民を。そこでその方向は内容づけられてるんですから、どの程度までこの数字が信頼できるのか、どの程度までこの数字を基礎にして、われわれは三十年度の予算なり、あるいは今後の財政経済考えをする場合に、どの程度まで基礎になし得るものか、また鳩山内閣の三十年度あるいは今後の政策を検討する場合にどの程度の基礎になり得るのか。この数字の変更があり得るというのはどの程度の変更があり得るのですか。その変更の工合によっては全くこれはうそということになるのですよ。国民をごまかしたことになる。そこで私はもっと責任のある御答弁を願いたいのです。ただ方向を示しただけだということですが、数学をもって示された方向でありますから、数字についてその信頼性を伺いたい。これは閣議においてはどうなったのです、どう閣議では了承されたのですか。また各省の納得が行ってるんですか。今のお話では各省とこれから話をすると言ってますが、
  590. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これは素案である、そしてこれはさらに修正すべきことだということの前提のもとに一応閣議の御決定を願っておるのです。従いまして、方向はその方向で進みます。しかしこれに対する内容はさらに検討を加える、こういう現況でございます。
  591. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間がありませんから、最後にそれでは要求しておきます。三十年度の予算は総合経済六カ年計画の一環として出されるということになっております。先ほどから言われております。従いまして、この総合経済六カ年計画というものが示されませんと、三十年度の予算をわれわれ審議する基礎がない。単に三十年度だけわれわれ審議するわけにいかないのでありまして、鳩山内閣は総合経済六カ年計画の第一年目として三十年度の予算を組む。その総合経済六カ年計画というものが素案であって、何ら数字が固まらないのだと言っておるのです。それでは今度の本予算をお出しになるまでに信頼性のある、そういう数字を固められて出していただかなければ、われわれ審議することはできなくなる、予算を。この点一つ必ずお出しになる責任があると思うのですが、お出しになれるのかなれないのか、この点が一つと、それからもう一つ、こういう案を作ってしまってから防衛経済六カ年計画というものをお作りになっておるのです。新聞に出ておりますあれが本当かどうか、まだわかりませんが、この防衛経済六カ年計画とこの総合経済六カ年計画と非常に食い違う点が出てくるのです。そこでですね、その調整をどうするかという問題ですね、今表面に出ておるだけでも大へんな食い違いです。この前私が質問いたしましたとき長官はおられませんので保留しておいたのですが、今まで新聞に出ておるところですと、総合経済六カ年計画の防衛費は昭和三十五年に千五百億円になっております。それで賠償その他を入れて千八百億円となっておる。ところが総合防衛六カ年計画によると、三十五年の防衛費は二千百億円です。六百億食い違っておるんですよ、そこに。この調整はどうするかというと、もし防衛費がふえれば三十五年度は総合六カ年計画で出してあるあの三千二百億というあの社会保障的なあの費目は削らなければならぬですね、あれはできません。そうすると、また完全雇用もできません。経済自立もできません。防衛費が食い違うことによって全く総合経済六カ年計画は根底からくずれてしまうのです。従ってこの防衛経済六カ年計画と総合経済六カ年計画とこれは総合として作られなければならぬ、今度お出しになるときにはちぐはぐなものを出されては困ります。これまで何回も政府は何カ年計画何カ年計画で建てましたけれども、この何カ年計画には防衛計画は全然織り込まれていないのです、防衛計画は織り込んでいない。それと切り離してそしてわれわれのところに出して来るのです。われわれ数字だけ見ると、もっとものよでうすけれども、別に防衛計画というのがある。それを噛み合わせると、全く計画なんかできないような仕組みになっている。そういう因果関係になっている。この二点ですね、三十年度の予算審議の基礎になり得るこの総合経済六カ年計画の一環として出て来る三十年度の予算審議の対象となり得る計画を数字によって出していただきたい。それと、それば防衛六カ年計画が織り込んでなければならないものであります。切り離したものでない、織り込んだものをお出しにならなければならぬ。それも本予算をお出しになる前にこれを出していただかなければ困ります。又少くとも同時くらいに出していただかなければ三十年度の予算審議はできませんから、この点一つはっきりした御答弁を伺っておきたい。
  592. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問にお答えいたします。防衛六カ年計画も、またただいま申しました通りに総合六カ年計画ももちろんまだ粗案でありまして、これはもちろん両方ともよく照し合して作る考えでございます。なお三十年度の計画につきましては、これは六カ年計画の初年でありますから、予算と相並行して三十年度のものは計画を作って差し上げておく考えでございます。三十年以降のものにつきましては、なお検討を要する、こういうふうに思っております。
  593. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 検討というのでなく、総合経済六カ年計画の一環として三十年度の予算を出されるのですから、検討じゃ困るのでありまして、その総合経済六カ年計画が出されませんと、少とも最終年度の三十五年の財政規模なり、あるいは貿易、あるいは雇用の状況、そういうものが一応出されなければ、ぽつんと三十年度だけ審議したのではできないようなことになっておるのです。それは今の鳩山内閣方針がそうなんです。六カ年計画の一環としてやるというのですから、そのことをはっきり言われたんですから、検討じゃない、三十年度だけじゃ困るのです。先ほど小笠原氏の質問に対して年次計画をお出しになるというのですから、その年次計画はこのような今後の情勢によって数字に、目標に変更があるというのじゃ困ります。もちろんきちんとしたものを要求するのは無理でありましょう。一億二億これが違っておるということに対して別にわれわれつべこべ言うのじゃありません。大体のこの三十年度予算審議するに値し得る、それを基礎にすることができるだけの資料は出していただきたい。そういう意味でこれを要求しているわけであります。
  594. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまのお話がございましたから、相なるべく御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。
  595. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して……。しっかりお聞き願わなければなりません。先ほど私は初年度のそれを示せと申し上げ、そのことの一部が示されましたが、全体的に計数を示してもらう、しかも年次計画を示してもらうと申しましたのは、この素案でみますと、いつは何%になる、従ってこうなる、ああなると言いますが、そうなる根拠がちっともわからない。そのためにその方策についても詳しくお示しを願わなければならない。本予算の上程前に出していただきたいということで、あなたは承知しましたと御了承になっておられるのですよ。それが今他の委員において質問せられますと、初年度のものは出せるかもしれないが、あとは検討を要する、あなたは衆議院の本会議において自信を持って断じてやります、断定的な御答弁をしておるのですよ。参議院においてもそう申しておるのです。私たちはこの案が示された場合、先ほど申し上げませんが、少くとも総人口というものは厚生省で推定されたものをとったのだから、まずこれは今の学問においては客観的なものである。そうすれば労働力人口も多分これは推定できる。ただ完全雇用という建前で最終の段階においてその就業者数、失業者というものはこれは政策的にあなたたちが勝手にきめたのです。それをきめたがために、その次に何を考えるかというと、国民一人当りの消費水準なりそういうものも勝手にきめたのです。そうして貿易の方はそう動かせないから、それで国民総生産はこう上らなければならんというふうにつじつまを合せたのです。この計数はわれわれはそうまで邪推している。ところがあなたの御答弁なら、ますますわれわれの邪推の方が当っておるような気がする。これは一昼夜かかってできたものですから、だから私たちは一たん政府公約として予算の基礎にするのだと、政策遂行の基本なんだと言った点についてそのまま信頼しておりますので、逐次精細な計数を示してもらって、それによって財政計画でも、あらゆる国内生産でも、貿易でも考えていく、こういう前提のもとにお尋ねしておるのです。これもあやふやな答弁ではこれは承知できない。私に答弁になったのは、先ほどのは食言ですか。重ねてお尋ねいたします。
  596. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先ほどの問題に対しましては、三十年度の問題を申し上げたのであります。
  597. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 重ねて速記録において私の申し上げることに、私の申し上げる線に沿うて正しくあなたが御答弁になっておるのなら、それをこの委員会であなたが答弁したのですから、記憶違いであろうがなかろうが、責任を持ってもらいます。そのことだけ御答弁願いたい。
  598. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 関連して……。今の問題は非常に明瞭な問題ですから、適当に措置することを、明日一つ考えておいていただきたい。
  599. 左藤義詮

    左藤義詮君 関連して……。私ども吉田内閣の与党として現在の民主党、改進党の攻撃を受けました点は計画性がないと、何故五年計画を立てないかと、しょっちゅ御攻撃を受けたのでありますが、私どもは同じ保守党でございますが、非常な経済の計画性、財政の計画性というものをもってこの鳩山内閣というものが公約したようになっている。しかも総合六カ年計画というものを発表している。しかもそれを伺ってみると、方向を示すというのだが、年次計画も示せないというようなことは、私はこれもまた国民をあざむくものはなはだしいものだと思うのであります。そういう点はもう少し私は責任をお持ちになって、食言となさらないように、六カ年計画を、今お話のように一億や二億の動きは生きた経済でございますからございましょう。しかし根本的な方向というものを、完全雇用とかあるいは防衛その他の問題についても見通しをつけなければ、それがあなた方の内閣の特色なんであります。その内閣のあなたは経済審議長官をお引き受けになったのでありますから、そういうあぶなかしいことでなしに、もう少し責任のある、明日でけっこうでございますから総合六カ年計画、それが大体の年次計画、今年度の予算とどういう関係になるか、詳細に私はお示しいただきたいと思います。
  600. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 六カ年計画のうちの初年度の数字につきましては、予算と並行して出すことができるのでありますけれども、あと六カ年の問題につきましては相当時日を要するものでございますから、少し時日をかしていただきますれば、それができ次第にこれをお出しします。
  601. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは関連質問は二度以上いかんというのですけれども、私重ねて申し上げますが、そのために私は質問前提として、あなたは精細な検討を加えておられるだろうと言ったら、その通りだと言う。それなら時間もかかることでしょう、従って本予算が出ます際までにそういう精細なる計画をお示し願いたいということで、年次計画あるいは実現の方式等、これをお示し願いたいということで、あなたは承知しましたと言っておる。従って時間はかしてありますから、そういうことについては食言になさらずに、自然休会あけの国会当初においてお示しを願うことを重ねて申し上げておきます。
  602. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先のは誤解でありますから、取り消していただきます。(「何が誤解かわからない」「どっちを取消すのですか」と呼ぶ者あり)
  603. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっとはっきりさせていただきたい。先ほどの私の御答弁に対して……。今度の本予算提出される前に出されれば一番いいのです。しかし困難たらば少くとも同時に出していただきたい。これに対してそのように努力すると言われたのですが、努力では困るので、出していただきたいと思うのですが、この点を出されるとおっしゃれば、それで問題は一応片づくと思うのです。その点を御答弁いただきたい。
  604. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私取り消すというのはどういうことだかわからない。あなたの自信のほどを疑いますよ。三十年度のものは出せる、三十二年度の中間のものは出ているんですよ、これに。そうしたら三十年度の初年度のものが出せるなら、来年これをやればどれだけの見通しになるかという翌年の見通し、三十一年が出せないということがありますか。三十二年度は出ているんです。だから前半の三カ年計画は少くともこれは出せないとは言えない、初年度は出せると言うなら……。何を取り消すとおっしゃるのですか。この点明らかにしていただきたい。
  605. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 六カ年全体を詳しく間違いないものにして出すということは非常に困難でありまして、三十年度につきましてはこれは予算編成と同時に出しますが、大体初年度以後のものにつきましては、多少変更はあるかと存じますけれども、これはきるだけ御趣旨に沿うように出すことにいたしたいと存じます
  606. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 ただいまの総合経済六ケ年計画、これは一月の本会議におきまして、わが党の愛知君から、当時経済審議庁の長官として昭和四十年までの経済自立、経済の推移の目標を作ろうというので経済審議庁においてまとめておった。それをまあ適当なと言っては失礼かもしれませんが、三十五年度に打ち切って三十五年度までの希望図といいましようか、目標といいましようか、というものを出したのが今次の計画であるか、こんなふうに質問しておりましたが、長官のそのときの御返事はあまりはっきりしておりませんでした。事実これはそうであるのか、また六カ年という数字がどういうところから六カ年にしたのか。いろいろな計画は五カ年あるいは十カ年という計画が非常に多いのでありますが、どういう事情で六カ年にしたのか、その点もあわせてお伺いしたい。
  607. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。経済審議庁の事務当局がいろいろ努力いたしまして、十カ年計画を立てておったということは事実でありまして、それは非常な貴重な材料でありました。その材料を基礎にいたしまして、六カ年計画と申しますというと、六カ年後の日本の人工の推移のはっきりした数字が出ますから、これを基礎に置きまして、六カ年間にこれをどういうふうに実行するかということについての素案を作ったのでありまして、十カ年計画と多少違っております点は、特需がなくなるということと、もう一つ経済の自立のためには輸出産業を十分やりたい、こういうことのために、あの十カ年計画と今日やっております六カ年計画とはその点において非常に違っておるわけなのであります。なお詳細については事務当局から御質問に応じます。
  608. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 この指標を見ますと、総人口のふえ方というようなことは、あるいは労働力がそれによってどういうふうにふえるというようなことは、今までの人口増加の趨勢、その後どういうふうに変っていくかという、ある程度までのモデイファイをすればこういう数字が出るということはわかるのですが、ここに就業者数がどのくらいになるか、あるいは完全失業者がどのくらいになるのか、国民総生産がどうなるのか、所得がどうなるのか、ことに国際収支がどうなるのかというようなことになりますと、どういう内閣がやるにしても、日本だけではどうにもならないいろいろな要素が入ってくると思う。そこでそれにはかなりいろいろな仮定といいましようか、想定といいましようか、というものが入らなければこういう数字を出すことができないはずなんです。つまり国際政局の上からいえば、ただいまのような緊迫したこの情勢がどういうふうになるか、日ソ、日中関係のことがどうなるのか、あるいはただいま交渉中のガットの加入の問題などがどうなるのか、あるいは賠償問題、これはビルマの方はああいうふうにきまりましたから、これについてはまあどういうふうになるか、これは年次計画ができるでありましょう。でありますが、あるいはフィリピンの問題、あるいはインドネシアというような賠償の問題、そういうような問題はこれは日本だけではどうにもならない、相手のあることなんです。また日本だけの問題にいたしましても、今後物価が、ある程度まで個々に下ってきて横ばいの状況でありますが、物価がどうなるのか、従って労銀がどういうふうになるのか、あるいは金利がどうなるのか、こういう問題が非常におそらく想定の問題、仮定の問題として入ってくると思う。これをしっかりした強力な内閣がこの施策をぐんぐん押し進めていくということと、国際情勢を今私が述べましたようないろいろな立場からどういうふうにこれを見ていくかということによって、この数字はどんどん動く数字だと、こういうふうに考えますが、ただいま申しましたような国際情勢においてはどういうふうな想定をもってこの結論を得ておられるか、これを先ずお伺いしたいと思います。
  609. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答えを申上げます。国際情勢の変化は非常にあるものだと存じますけれども、それをいろいろ予期してやるということは、ほとんど予期の計画が立たないものでありますから、現在のような情勢が持続されるものとして、更にその間に六年間には大きな戦争が起らない、大きな変化がないものと、こういうふうなことの想定の下に立てておったわけなんであります。
  610. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 国際情勢の長い間の見通しは非常に困難でありましょう。これは私どももひとしく認めるところでありますが、しかし今問題になっておるような当面の問題、たとえば賠償の問題を、ビルマの問題は計画が立ちましょうけれども、フィリピンの問題、インドネシアの問題などは、これはある程度まで賠償協定ができるというふうに、いつ頃にはできるものだというふうに考えなければ、これはもう信用ができないと思う。あるいはまた東南アジアについても今後やはり相当貿易が進むということもやっぱり考えておられるのじゃないかと思うし、又鳩山内閣が非常に力を入れておるソ連との関係、中共との関係においても貿易がある程度まで始まるのだというようなことをお考えになっておるのか、それとも今の状態、今わずかなものをやっておりますが、あのわずかな状態を続けておるのか、今長官お話によりますというと、今の状況でというのですから、今の状況であるから鳩山内閣は非常な努力にかかわらず、ソ連関係の、あるいは中共関係においては貿易は大してふえない、こういうふうに見ておられるのかどうか、もう一回その点を伺いたい。
  611. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 国際情勢の前提でございますが、御承知のように長い間の見通しでございますので、非常にこの見通しが困難でございます。しかしその計画は先ほど長官からもお話ありましたように、まずオーバーオールなソシアルアカウントと申しますか、そういう点から問題をきめまして、そうして現実の問題としては積上作業、あるいは計画を織り込んで逐次その目標に近づけるように進めていくのが建前かと存ずる次第であります。そこでその国際情勢のほうはどう考えているかと申しますと、もちろん国際政局、特に米ソ両陣営に関しましては基本的な大きい変化はあり得ないというふうに大きく想定いたしまして、ただし貿易等の市場の問題に関しましては、通貨の自由交換等もあるいはこの六カ年間の間には逐次回復するというふうにも考えられますので、その面からいたしまして、輸出競争というものはますます激化して行くであろう、こういう肚がまえでこの計画は立てたのでございます。  それから賠償の問題でございますが、これに関しましては、計画の前半期に、三カ年の間に少くとも妥結さしたいというので、そういう点も織り込み、又同時に市場転換の問題が大きい問題になって参りますので、どうしてもドル地域とのアンバランスを東南アジアその他の地区でアジャストせねばならんというような情勢にも相なりますので、そういう点も考慮いたしまして、東南アジアとの貿易等は米国の援助、あるいは東南アジア経済回復といったようなものを想定いたしまして、相当程度進捗するというふうに考えておるのでございます。それから中共、ソ連との貿易に関しましては、やはりこれも現状のままではなくて、次第に緩和されていく、少くとも経済面におきましては相当緩和されていくという想定でございます。それからガットの加入等の問題は、これも先ほどもいろいろお話があったようでございまするが、この案といたしましては当然加入が可能であり、関税引き下げの措置等も相当進捗するというふうな考慮で立ててございます。それから特需等につきましては、これは期間の後半期には、少くとも最後の年においては期待しないということでございます。それから為替レートの問題でございますが、これももちろん変化ない、逐次これを強めるということで、そういう想定に立っているのでございます。ただこういう想定には立っておりますが、国内市場の広いほかの国々とは違いまして、非常に国際情勢の変化に応じて国内経済が変化する国でございますので、それではこういう国ではそういういわゆる目標と申しますか、そういうものがおかしいじゃないかという議論が仮にあるといたしますれば、私どもはそういうふうに理解していないのでございまして、こういう目標を立てまして、そうして情勢の変化がございまた際には、政策面の変更その他によって逐次極力そういう変化に対応しながら、こういう日本経済の目標に近ずきたいというふうな考えでこの問題にとっ組んでいるつもりでございます。
  612. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 時間がなくなったようでありまするが、まださっきから申し上げている経済情勢の変化のことをお答えがない。物価をどういうふうに見るか、金利をどういうふうに見るのか、あるいは労銀がどういうふうな推移をたどると見ておるのか、同時に為替管理制度をどういうふうに進める考えでいるのか、その返事がまだなかった。
  613. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ず物価の面でございますが、こういう計画を立てます際には、どうしても計算の建前といたしましては、いわゆる計算価格、ある基準をとりまして、その価格は一応動かないものということで経済の循環を考え、従ってまたその物価の想定がいわゆる基準価格で参りますから、おのずから毎年度と申しますか、必要な年度の経済規模の比較対照ができるわけでございますが、それでは現実面として物価はどうするんだという点が非常に問題になってきますので、これはむしろこの計画そのものというよりは、政策そのものの問題に入って参りまして、六年間にどうするんだという問題よりも、まあむしろ来年どうするんだという現実の問題に入ってくる問題かと承知しているのでございます。従いまして、将来ともなるべく物価を下げるというアイデアには変りはないのでありますが、さしあたりましては、来年度は先ほど申しましたように、今年の三月末を基準にいたしまして、若干それを下げるということで目下作業してございます。
  614. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 まだ労銀の問題、金利の問題がある。
  615. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 労銀の問題に関しましては、結局生産性の問題とからんで参る問題でございまして、この計画では従来のソシアルアカウントと申しますか、従来のこういう六カ年計画とか、あるいは十カ年計画とかをやったのとは若干違っておりまして、むしろ就労人口という、この人口が無理のない生産性の上昇を仮にこのくらいということに考えますと、その考え方は、二十八年度が一人当り一時間の生産は七十五円でございますが、これを三十二年には七十八円五十銭、三十五年には八十四円六十銭というふうに、パーセンテージで申しますと、一〇四・七、一一二・八というふうに上げてございますが、こういうふうに生産性を上げ、そうしてそれが労働時間はどうかと申しますと、まあ二十八年度の労働時間に比較いたしまして、逐次国民の所得その他が上って参りますと、若干労働時間というものは軽減するというふうな建前に立って、そうして就労人口と一人当りの生産性と、そかれら労働時間というものをかね合いまして、国民総生産というものを作って、そうしてこういう規模であれば、少くとも政策のよろしきを得れば失業その他の吸収等はできるはずだという建前にいたしまして、そうしてこれに見合って国民の所得の分配、あるいは人口増に見合う生産等を考えているわけでございますが、従いまして賃金の方にいたしましても、今申しましたように、生産額の上昇につれまして次第上に昇するというふうな考えに立っております。為替管理の問題はこれは計数の問題でなくて政策の問題でございまして、とりあえず六年カ間の為替管理の見通しいかんという問題になりますと、これは相当さらに検討を加えなければならぬ問題ではございますが、少くとも国内の需給態勢等がある程度この計画のように向上いたしまして、そうして輸入外貨等があるいは若干余裕が出て参りますれば、為替管理等の問題に関しましては今より緩和されるのではないかと考えております。
  616. 館哲二

    委員長館哲二君) これにて予定の質問者各位の質問が一応終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時二十八分散会