○江田三郎君 ただいま議題になりました農林水産
関係の四つの法案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果を
報告いたします。
最初公団
関係両法案についてまとめて申し上げたいと存じます。
まず愛知用水公団法案についてでありますが、本
法律案の提案の理由については、その
説明の目頭において大要次のように述べられております。すなわち「国土を総合的に開発し、その利用の高度化をはかり、食糧増産上、農業経営の安定をはかることは、現在わが国において最も緊要な事柄であって、かような観点に立って農林省は農地の改良及び開発を総合的かつ効率的に行う計画を検討し、その結果愛知用水事業を取り上げることとした。愛知用水事業は、名古屋市東方に位する平野及びこれに接続する知多半島一帯に木曾川水系の水を高度に利用し、これら
地域の総合的開発をはかろうとするものであって、木曾川支流王滝川にダムを新設し、ここに貯溜された水を岐阜県兼山から取水して、新設水路を通して知多半島に導き、用水不足水田の補水、農地の開発及び畑地灌漑を行い、あわせて
地域内市町村の飲料用水及び工業用水を供給するとともに、貯水池の下に新たに設置される発電所や下流の既存の発電所の発電にも利用しようとするものであって、この事業によって補水される水田約一万六千五百町歩、二毛作の可能となるもの約六千八百町歩、開田約三百町歩、開畑約二千九再町歩、畑地灌漑約一万六千三百町歩に及び、その結果米麦約二十七万一千石が増産され、年間約九千七百万キロワット・アワーの電力が発生し、約三十一万四千人に対して飲料水を供給することができることになる」というのであります。
しかして本事業の資金といたしましては、国家資金のほか、国際復興開発銀行からの融資及び
米国余剰農産物見返り円資金をもってこれに充てることとし、所要資金総額は、公団事務費を含めて、
昭和三十年度から三十五年度まで六カ年間に三百二十一億二千八百万円でありまして、そのうち三十六億円は国際復興開発銀行融資に期待し、その融資は、輸入を必要とする建設機械及び開墾機械の資金とし、残り二百八十五億二千八百万円の円資金は、
米国余剰農産物見返り円資金その他に待つこととして、従来の土地改良事業の施行の方式とは異なった構想のもとに愛知用水公団を設立して、これに事業を効率的に行わしめることにしようとするものであります。
しかして本
法律案は、愛知用水事業を施行する機関として愛知用水公団を設けることとし、その公団の組織及び業務並びに必要な監督の規定を設けたものでありまして、その大要は次のようであります。
すなわち第一は、公団の性格及び役員等についてでありまして、公団は法人とし、公社に準ずる性格を与え、主たる事務所を名古屋市内に置き、役員は総裁及び副総裁を各一人、理事五人以内、監事二人以内とし、総裁及び監事は農林大臣が任命し、副総裁及び理事は、総裁が農林大臣の認可を受けて任命し、これら役員の任期は五カ年とし、しかし再任は妨げないことになっております。
第二は、公団の業務についてであります。公団はその設立の目的に従って前に述べましたような事業を行うのでありますが、公団が事業を行うに当りましては、農林大臣が
関係大臣並びに自治庁長官及び経済企画庁長官の同意を得て定めて指示するところの事業基本計画に基き、
関係知事と協議して定めた事業実施計画、または施設管理規程によって実施しなければならないこととし、その費用としては、大体現行の土地改良事業に準じ公団が受益者及び
関係県から賦課金あるいは負担金として賦課徴収することになっております。
第三は、公団の財務及び会計についてでありまして、その収支予算及び資金計画は毎年度農林大臣の認可を受けなければならないこととし、借入金の借り入れ、余裕金の運用、財産処分等について一定の制限を加え、また事業費に対する国の補助及び国際復興開発銀行からの資金の借り入れに対する
政府の保証等についても規定が設けられております。
第四は、公団に対する監督についてでありまして、その役員、業務及び会計等の全面にわたって農林大臣が監督を行い、業務の内容によりましては、農林大臣が
関係大臣とともに監督することになっております。
第五は、公団の役職員の普通
恩給の特例についてでありまして、
国家公務員及び地方公務員を通じ、公団の在職年限の加算について特例が設けられております。
第六は、公団の税法上の特例についてでありまして、公団に対しては所得税、法人税及び固定資産税等の諸税を課さないことになっております。
以上が、本
法律案の内容の大要であります。
委員会におきましては、まず農林当局から提案の理由及び
法律案の内容等について
説明を聞き、質疑に先立って、本法案によって施行されることになっている事業の実態を確かめるため、特に
議長の承認を受けて委員を派遣して、愛知用水事業地帯の現地調査を行なったのでありまして、その調査の結果について大要次のように
報告せられたのであります。
すなわち、「七月二十三日、朝六時十一分名古屋に到着、現地の概要を聞き、直ちに受益地である知多半島に向い、横須賀町を経て東浦町に至り、知多半島脊梁地帯の幹線予定地及び本用水の完成によって開墾される地帯を視察、さらに用水幹線予定地を北上して三好村に至り、用水不足による一毛作田地帯の実情を視察した。この地帯では全水田の一五%しか二毛作ができない現状にあるが、用水が完成すれば九五%は二毛作田となり、反当二千円の地元負担がかかるとしても、麦三俵六千円の収入増は確実であるから、ぜひ実現してもらいたいと熱心な要望があり、次いで挙母の開拓村を経て本地原の開拓地を視察、高蔵寺町、小牧市、犬山市を経て中仙道に入り、今渡発電所を経て兼山ダムの用水取入口の現地を視察、愛知用水のダム方式であるロックフィール・ダムとして最初に竣工した可児川水系久々利村丸山防災ダムを視察、多治見・瑞浪を経て中津川に至り、第一日の日程を終り、第二日は、中央線を木曾
福島につき、用水のダム予定地である長野県西筑摩郡の牧尾橋地点及び水没予定の王滝村の中心部まで車を進めて現地を視察したが、長野県では全面的にダム建設に反対の機運にあり、水没地にもダム反対の看板を掲げており、木曾
福島で県議会、地方事務所、町村長、林野庁等の反対陳情を聞き、その日に帰京した。」と
報告されております。
続いて質疑に入ったのでありますが、その当初において、本
法律案並びに別途提案されている農地開発機械公団法案によって提示されているこの種の事業の性格、その他、これら
法律案に関連する基本的な問題について究明するため、農林大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官の出席を求めて、これら両事業は
国内における食糧増産のため、他の土地改良事業あるいは干拓事業に比べて最も効率的なものと認めた結果によるものか、あるいは特別に根拠はなくて決定したものであるか。事業資金について世界銀行の融資は少く、
米国余剰農産物の今後における受け入ればいまだきまらず、国の財政には余裕がない状態においてこれらの事業を施行することは、その結果が一般の土地改良事業等にしわ寄せられることが気ずかわれるが、かような心配はないか。かような心配がないということをいかにして保証するか。来年度経済企画庁において予定されている食糧増産事業費六百八十億円については財務当局も承認したはすであるが、その中には今回の両公団法案による事業の分も含まれているか。
米国余剰農産物の受け入れは、
国内食糧増産上弊害があるので、重ねて交渉することは避くべきではないか。木事業が当局から述べられているようにきわめて有効適切なものであるならば、将来の見通しの的確でない外資などを当てにしないで、なぜ
国内資金で実行することにしないか。
アメリカの必要からくる要請をわが国に押しつけられたのではないか。しかして本法案による
措置は、今後の余剰農産物の受け入れを必然化せしめるものではないか。牧野改良並びに自給飼料の改良増産を事業計画の中に取り入れるべきではないか、本事業による経費負担区分に関する基本的な考え方はどうであるか、特に工業及び農業のおのおのの長期にわたる利益をどのように見ているか、提供された資料によるアロケーションは決定的のものか、それとも
一つの試案として例示的なものであって今後さらに検討して改訂する考えのものであるか、見返り資金運用による利子その他の利潤は農業
関係に再投資すべきではないか、これらの工事によって被害をこうむる地元の住民、特に水没者に対する取扱
方針はどうなっているか、本事業の経済効果及び受益者たる農民の借款返済能力をどう見込んでいるか、本事業に
アメリカの機械や技術はどの程度導入することになっているか、そうしてそれは借款のひもつき条件であるか、この程度の事業は
日本の技術でできないのか、
日本技術の向上のための科学技術研究の振興についてどんな
方針を持っているか等の問題についてただされましたところ、三大臣から大要次のような
趣旨の
答弁がなされたのであります。
すなわち、「わが国財政の現状では、すでに計画した食糧増産事業の実行さえも困難であって、本事業のようにまとまった事業を行うことは至難であるが、今回このような資金を手に入れることができたので、他の事業は
国内の資金でまかない、このような大規模な事業は見返り資金等の外資によって着手することが適当であると認めた、前内閣において話が進んでいたので、現内閣もこれに賛成して引き継いだのである。余裕さえあれば
国内資金でやるべきであって、今後は
政府部内の一致した
方針として総合経済六カ年計画の一環として、食糧玄米換算千三百万石余を増産することとし、これがため
昭和三十一年度に愛知用水
関係を含めて六百八十億円の資金が必要であるが、これについて目下
関係各省で打ち合せ中であり、ぜひ実現したい、従って愛知用水公団の事業は今後の外資導入のいかんにかかわらず、
政府はぜひともこれをやりとげたい、しかも規定の事業には影響のないように努力したい、今後の
米国余剰農産物の受け入れについては目下検討中であるが、今後米は断わり、とうもろこし等の飼料を入れたい、受け入れば本年よりは減るかもしれない、見返り資金の半分くらいは余剰農産物受け入れの犠牲となる農業の開発に支出したい、経費のアロケーションは一応の案であり、再検討して農家の負担を低くするように努めたい、見返り資金運用など公団経理に予定されている利潤は、今後の事業の経理の安全のために残しているのであるが、最終的に余裕がつけば農業
関係に回したい。工事による被害者に対しては、一応佐久間ダムの補償を基準としていくつもりであるが、金銭的補償をもって足れりとせず、その後の農業経営の
確立について、ある部分は愛知用水で開発される地区に移住を勧め、水没地区にとどまる者もその後経営の安定ができるよう指導したい。
アメリカの技術及び機械の利用については、世銀借款の
関係上、その信頼する技術コンサルタントの審査を必要とし、ダムと主要幹線水路の設計は
アメリカの技術によることになっている、この種事業については、これをテスト・ケースとして
日本の技術者に新しい技術を習得させ、今後の
国内技術の向上をはかりたいと思う」云々と述べられたのであります。続いて事務当局に対していろいろな事項について詳細な
説明が求められ、それらの結果から、重ねて
政府首脳に対して総括的な質疑が行われる等、きわめて慎重な審議が遂げられたのでありまして、これが詳細については
会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。
次に、農地開発機械公団法案についてでありますが、農地の造成及び改良の事業は、特にその規模が大きい場合においては、高能率の機械によらなければ、これを急速かつ合理的に行うことができないのでありまして、かような点にかんがみ、農地の造成及び改良の事業を効率的に行うため、ここに農地開発機械公団を設立し、国際復興開発銀行等から融資を受けて、優秀な機械を買い入れ、これを管理し、農地の造成及び改良事業を行う者に貸し付け、あるいはこれらの者から委託を受けてその事業を行うこととし、さしあたりは北海道の根釧原野にある床丹第二地区及び青森県の上北区における開墾事業、並びに北海道の篠津地区における総合灌漑排水事業についてこの公団の保有する開発機械を利用することにしようとするのが、本
法律案が提出された理由であるとされております。
しかして
法律案の内容の大要を申し上げますと、大体次の
通りであります。
すなわち第一は、農地開発機械公団の仕組みについてでありまして、公団の性格、組織、役員、財務及び会計その他について形式的及び規模等には多少の相違がありますが、実質的には大体愛知用水公団法案等における愛知用水公団に似かよった規定が設けられております。
第二は、この公団の業務についてでありますが、これは国、地方公共団体その他農地の造成または改良事業を行う者に対し、かかる事業に
使用する機械の貸付を行い、あるいはこれらの者の委託を受けてかかる事業の工事を行うこととし、これらの業務の実施については、あらかじめ事業の方法を定めて農林大臣の認可を受けなければならないこととなっております。
なお、
政府はこの公団に対して、北海道及び青森県の区域内において行う国営土地改良事業の工事の一部の施行を委託することができることとし、公団は余剰農産物見返資金特別会計からの借入金をもって
政府の委託による工事に要する費用に充てることができることとしてあるのであります。
委員会におきましては、この
法律案につきましても、さきに申し述べました愛知用水公団法案と同時に慎重な審議が行われたのでありまして、その内容につきましても
会議録によって御了承を願いたいのであります。
かくして質疑を終り、両
法律案を一括して討論に付しましたところ、重政委員から次のような附帯決議を付して両
法律案に賛成すると述べられました。すなわち、
愛知用水公団法案に対する附帯
決議
本法に関し
政府は次の事項につい
て遺憾なく
措置すべきである。
一、
米国余剰農産物の受入は慎重
な検討を要するところであるが、真
に已むを得ず之が受入をなす場合に
おいては、その見返円資金は少くと
もその二分の一以上を
国内農業
関係
のため優先且つ重点的に支出すべき
である。
二、本法に基く事業実施に当っ
て、既に計画し、或いは予定されて
いる
国内事業開発事業及び食糧増産
対策に必要な経費を削減する等、こ
れらの事業に奇しくも支障を来たす
ような
事態を絶対に惹き起さないこ
と。
三、本法の事業による水没その他
の被害者に対し、各権利者の納得を
得て個人については金銭補償と併せ
て移住適地の供与等、農業経営の維
持に関しても遺憾なく
措置するとと
もに、長野県西筑摩郡王滝村等にお
いてみるように、村の相当部分を水
没喪失する町村については、かかる
町村が今後も存続発展できるよう各
般の助成等特段の
措置を講ずるこ
と。
四、国有林運輸施設の水没等につ
いては速やかに付替工事を完成し、
運輸機能に遺憾なからしめるととも
に、木曾谷地区の産業構造に変化を
来たし、地元住民に不安を与えるこ
とのないよう充分に留意すること。
五、本事業によって木曾川下流に
おける既得水利権に悪影響を及ぼす
ことのないよう十分なる対策を講ず
るとともに、木曾川の河床低下にも
とづく既存用水の改修工事について
も万全を期すること。
六、ダム幹線水路の
共同部分の費
用の振分については発電及び水道の
事業主休の受益度合を再検討し、農
業の負担軽減について特段の考慮を
払うこと。
七、愛知用水受益地区内の農民が
本事業完成後公団に納付すべき負担
金については農民の負担能力を勘案
し適正なる額とすること。
八、余剰農産物資金融通特別会計
及び愛知用水公団会計に余剰金を生
じたときは、これを農業に優先的に
且つ効率的に
使用するよう考慮する
こと。
九、牧尾橋ダムの構築について
は、苟しくも遺漏のないよう万全を
期し、且つその集水区域内の治山治
水については国及び電力会社その他
の
関係者は之が実施に最善を尽すこ
と。
十、外国技術の受け入れについて
は、必要最小限度に止め、
国内技術
の高度活用に努め、併せて機械器具
類についてはできる限り国産品を購
入
使用すること。
次に、農地開発機械公団法案に対
する附帯決議
本法に関し
政府は次の事項につい
て遺憾なく
措置すべきである。
一、本法に基く事業の実施に当っ
ては、既に計画され或いは予定され
ている
国内農業開発事業及び食糧増
産対策に必要な経費を削減する等、
これ等事業に奇しくも支障を来たす
ような
事態を絶対に惹き起さないこ
と。
二、受益区内の農民が本事業に関
し公団に支払うべき金額は、農民の
負担能力を勘案して、適正なる額に
定めること。
三、外国技術の受け入れについて
は、必要最小限度に止め、極力
国内
技術の活用に努め、併せて機械器具
類についてはできる限り国産品を購
入
使用すること。
四、入植農家の営農の
確立及び生
活の安定のため資金の確保及び国の
助成等に関し万全の
措置を講ずるこ
と。
五、営農に当っては、穀作に偏す
ることなく、草地を活用し、家畜の
導入に努める等、総合的方式を
確立
すること。というのであります。
次いで森委員から、「両法案によって行う事業は、わが国農業上面期的なものであるから、これが実施に遺憾なきを期するため、公団の人事に特に慎重を期されたい」との希望を付して賛成があり、東委員から、「機械開墾について開拓事業を完璧ならしめるため、開墾と同時に道路、電燈、学校、病院等の文化厚生施設についても、十全を期すべきである」旨の希望を付して賛成があり、千田委員から、「付帯決議の実行に遺憾なからしめるとともに、機械開墾地帯は冬期その事業を休止するから、その間の機械の活用について善処すべきである」旨の希望を付して賛成がありました。
続いて採決に入り、両
法律案とも全会一致をもって、重政委員提出にかかる付帯決議を付して原案の
通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、右の付帯決議に対して、農林大臣から、「よくその
趣旨を体して実
施に当る」旨
発言のありましたことを申し添えて
報告を終ります。
続いて、北海道における国有林野の
風害木等の売払代金の納付に関する特
別
措置法の一部を
改正する
法律案につ
いて申し上げます。
昭和二十九年五月及び九月の暴風雨によって、北海道において生じた国有林野の風害木は、未曾有の数量に達したのでありまして、これが処理はおおむね
昭和二十九年度以降三カ年間に整理する計画に基いて伐採及び運搬等、その生産は比較的順調にはかどっておりますが、その消化についてははなはだ低調でありますので、これが需要を増進しその消化を促進する意図から、昨年十二月成立を見ました北海道における国有林野の風害木等の売払代金の納付に関する特別
措置法の一部を
改正し、その適用対象を拡大して風害木等の総合的な処理の完璧を期することにしようとするのが本
法律案が提出されました目的でありまして、その内容の大要は次のようであります。
第一は、風害木等の売り払いを受けるものの資格を、現行法では北海道における市町村で
昭和二十九年四月一日以降災害救助法の発動が行われたものにおける農林漁業用施設等の復旧の用に供するものに限定されておりますが、これを改めて、北海道のほか内地を含め、一般の災害における復旧資材並びに災害以外の特定の施設の用に供するものにまで拡大し、また買受機関として、地方公共団体並びに
日本住宅公団に範囲を拡大することであります。
第二は、売払代金の延納の期限についてでありまして、現行法ではその期限が
昭和三十一年三月三十一日までとなっておりますが、これを
昭和三十二年九月三十日まで一年六カ月延長しようとするのであります。
第三は、都府県への国の直営輸送販売材の売払代金の延納についてでありまして、風害木の国による直営輸送販売材の円滑なる処理を促進するため、すでに契約を結び、いまだ延納期限が到来していないものについては、その契約を変更して、延納期限を三カ月以内延長することができることにしようとするものであります。
委員会におきましては、提案者代表から提案理由の
説明を聞き、続いて質疑に入り、本法案の内容及び運用等に関する諸般の事項についてただされ、慎重審議せられたのでありまして、その詳細は
会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。
次いで討論に入り、別に
発言もなく、続いて採決の結果、全会一致をもって、
衆議院提出案
通り可決すべきものと決定した次第でございます。
最後に、
昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦の売渡の特例に関する
法律案について申し上げます。
本年六月及び七月、
東北地方及び北海道に起った水害によって、その所有している米麦が流失、埋没または腐敗し、あるいは非常な減収のため飯用の食糧にはなはだしく事を欠く飯米不足被害農家に対して、すでに
昭和二十八年六月及び七月の水害あるいは
昭和二十八年及び同二十九年の冷害等の際にとられた
措置にならって、
政府が所有している米、麦類及び麦製品を特別価格で売り渡し、もってこれらの被害農家が安んじて生業に精励することができるようにしようとするのが本
法律案が提出された目的でありまして、これが内容は大要次のようであります。
すなわち第一は、この
法律案に基いて食糧の売り渡しを受けることができる被害農家でありまして、それは本年六月及び七月の水害によってその生産して所有している米や麦類を流失あるいは埋没し、もしくは腐らせまたは著しい減収のためその農家の飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けたものとなっており、第二は、売り渡しの方法でありまして、それは
政府からその必要とする米麦を都道府県に売り渡し、都道府県は市町村を通じて被害農家に売り渡すこととし、間接的方法によることとなっており、第三は、売渡価格でありましてそれは被害農家の購入価格がおおむね生産者が
政府に売り渡したときの基本価格となるようにきめてあります。
以上が本
法律案の提出の理由及びその内容の概要でありまして、なお本
法律案施行に要する経費としては約二百五十万円を必要とする見込みであるといわれております。
委員会におきましては、審議の結果、全会一致をもって、
衆議院送付案の
通り可決すべきものと決定いたしました。
右、
報告いたします。(
拍手)