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1955-07-27 第22回国会 参議院 本会議 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十七日(水曜日)    午前十時五十六分開議     —————————————  議事日程 第四十一号   昭和三十年七月二十七日    午前十時開議  第一 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第四 北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 中小企業安定法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第六 繊維製品品質表示法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 株式会社科学研究所法案衆議院提出)(委員長報告)  第八 石油資源開発株式会社法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第一一 国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案千葉信君外五十二名発議)(委員長報告)  第一二 関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一三 関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一四 日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資の処理に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一五 資金運用部資金法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一六 厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一七 余剰農産物資金融通特別会計法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一八 けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一九 自動車損害賠償保障法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二〇 公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二一 国立国会図書館運営に関する議院運営委員長報告第二二公立学校施設危機打開に関する請願(八件)(委員長報告)  第二三 新潟大学に三年制夜間短期大学設置請願委員長報告)  第二四 高等学校定時制教育等振興に関する請願委員長報告)  第二五 長野県杖突峠に東京天文台七十四インチ反射望遠鏡設置請願(二件)(委員長報告)  第二六 大都市の急増学童収容に関する請願委員長報告)  第二七 岩手県に国立水産大学設置請願委員長報告)  第二八 大阪府立肢体不自由児学校建設に関する請願委員長報告)  第二九 女子教育職員の産前産後の休暇期間補助教員配置に関する請願(十件)(委員長報告)  第三〇 へき地教育振興予算増額に関する請願委員長報告)  第三一 五大市中学校校舎整備費等増額に関する請願委員長報告)  第三二 高等学校定時制教育通信教育予算増額等に関する請願委員長報告)  第三三 分校並びに単級、複式学校教育振興に関する請願(五件)(委員長報告)  第三四 国立芸能センター設置に関する請願(二件)(委員長報告)  第三五 福岡県久留米市に国立工業専修大学設置請願(五件)(委員長報告)  第三六 奈良黒滝中学校笠木分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第三七 奈良黒滝第二小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第三八 奈良田原小学校杣川分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第三九 奈良黒滝第四小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第四〇 学校給食作業員身分給与等に関する請願委員長報告)  第四一 小、中学校屋内体操場建設費国庫補助に関する請願委員長報告)  第四二 市町村立学校職員給与負担法中一部改正に関する請願委員長報告)  第四三 小、中学校基準坪数等引上げに関する請願委員長報告)  第四四 公立学校施設整備改築費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第四五 学校給食施設費等国庫補助に関する請願委員長報告)  第四六 公民館の災害復旧費国庫補助に関する請願委員長報告)  第四七 小学校教育充実振興に関する請願委員長報告)  第四八 奈良葛城中学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第四九 奈良月瀬小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五〇 奈良北今西中学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五一 奈良才谷小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五二 奈良池津川小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五三 奈良千股小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五四 奈良永盛小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五五 奈良下多古小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五六 奈良井光小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五七 奈良川上第三小学校粉尾分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五八 奈良川上第三小学校大迫分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第五九 奈良川上第三小学校伯母谷分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六〇 奈良川上第三小学校上谷分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六一 奈良県中竜門小学校小名分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六二 奈良矢野小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六三 奈良高見小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六四 奈良高見小学校第一分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六五 奈良高見小学校第二分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六六 奈良高見小学校第三分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六七 奈良立里小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六八 奈良黒滝第一小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第六九 奈良黒滝第三小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七〇 奈良伊豆尾小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七一 奈良今西小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七二 奈良山田小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七三 奈良阪合部第三小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七四 奈良豊央小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七五 奈良西豊小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七六 奈良高市小学校畑分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七七 奈良葛城小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七八 奈良葛城南小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第七九 奈良葛城西小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八〇 奈良月瀬中学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八一 奈良大柳生小学校第一分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八二 奈良大柳生小学校第二分校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八三 奈良柳生第二小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八四 奈良柳生第三小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八五 奈良檜股小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八六 奈良惣谷小学校等へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八七 奈良弓手原小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八八 奈良黒滝第七小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第八九 奈良東里中学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第九〇 奈良上北山中学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第九一 奈良辻堂小学校等へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第九二 奈良黒滝第八小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第九三 奈良石打小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第九四 奈良葛城北小学校へき地教育振興法対象とするの請願委員長報告)  第九五 西蔵大蔵経複製刊行費国庫助成に関する請願委員長報告)  第九六 静岡県掛川市に国立天文台設置請願委員長報告)  第九七 学校保健法制定に関する請願委員長報告)  第九八 熊本白川改修直轄工事施行に関する請願委員長報告)  第九九 地盤変動対策事業促進に関する請願委員長報告)  第一〇〇 茨城県久慈川改修工事促進に関する請願委員長報告)  第一〇一 災害復旧工事完成促進に関する請願委員長報告)  第一〇二 滋賀県百瀬川災害土木助成工事継続に関する請願委員長報告)  第一〇三 熊本市房ダム建設促進に関する請願委員長報告)  第一〇四 熊本球磨川改修工事促進に関する請願委員長報告)  第一〇五 熊本県球磨郡の災害復旧事業促進に関する請願委員長報告)  第一〇六 富山県片貝川砂防工事施行に関する請願委員長報告)  第一〇七 新潟市海岸の決壊防止に関する請願委員長報告)  第一〇八 利根川支流神流川等護岸工事施行に関する請願委員長報告)  第一〇九 静岡朝比奈川災害復旧工事促進に関する請願委員長報告)  第一一〇 米軍演習に起因する水害防止対策請願委員長報告)  第一一一 災害復旧費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第一一二 放射一号線道路中五反田駅ガード等築造に関する請願委員長報告)  第一一三 三号国道三太郎峠改良工事施行に関する請願委員長報告)  第一一四 道路との関係における車両制限令制定反対に関する請願(二件)(委員長報告)  第一一五 青森県市川、岡三沢間道路舗装に関する請願委員長報告)  第一一六 重要幹線道路舗装促進に関する請願委員長報告)  第一一七 昭和三十年度道路予算等に関する請願委員長報告)  第一一八 県道薮原高山線等の一部を国道に編入するの請願委員長報告)  第一一九 府県道畑山安芸線改良工事促進に関する請願委員長報告)  第一二〇 国道一号線舗装工事促進に関する請願委員長報告)  第一二一 国道八号線舗装に関する請願委員長報告)  第一二二 天龍川沿岸道路の開設に関する請願委員長報告)  第一二三 千葉県野田市から川間村、埼玉県庄和村を経て春日部市に至る路線を二級国道に指定する等の請願委員長報告)  第一二四 二級国道線埼玉県皆野町地域内の親鼻橋架設に関する請願委員長報告)  第一二五 鹿児島串木野市内国道舗装工事継続に関する請願(二件)(委員長報告)  第一二六 県道今津小浜線国道編入に関する請願委員長報告)  第一二七 二級国道宮崎福山線串間市内今町橋永久橋に架替するの請願委員長報告)  第一二八 住宅難解決に関する請願委員長報告)  第一二九 住宅対策に関する請願委員長報告)  第一三〇 住宅施策強化に関する請願委員長報告)  第一三一 高知県安芸市の都市計画に関する請願委員長報告)  第一三二 鹿児島県財部町街路都市計画街路事業実施地区に指定するの請願委員長報告)  第一三三 建設工事請負契約是正等に関する請願委員長報告)  第一三四 建築基準法中一部改正に関する請願委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  昨日、内閣総理大臣から、鉄道建設審議会委員八木秀次君の委員辞任に伴う後任者を指名されたいとの申し出がございました。  つきましては、この際、日程に追加して、同委員補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。
  5. 天田勝正

    天田勝正君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  6. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、ただいまの天田君の動議賛成いたします。
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 天田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって議長は、鉄道建設審議会委員片岡文重君を指名いたします。      ——————————
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  昨日、内閣総理大臣から、選挙制度調査会委員衆議院議員牧野良三君を任命することについて、本院の議決を求めて参りました。同君が、選挙制度調査会委員につくことに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同君選挙制度調査会委員につくことができると議決されました。      ——————————
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一。日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。法務委員長成瀬幡治君。結に伴いまして、これらの二協定が、合衆国から日本国に供与される装備品または情報について防衛上秘匿を要する事項につき、その漏せつの防止のため必要な措置を講ずべきことを規定しておりましたために、わが国といたしましても、その措置を講ずる必要から、第十九回国会において、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法が制定されたのであります。しかるに昨年五月十四日、これら二協定に引き続き、日本国に対する合衆国艦艇貸与に関する協定が調印され、今日すでに艦艇の受領を開始いたしておる次第であります。しかして、この艦艇貸与に関する協定は、その第六条において、日本国政府貸与されるものについて、その秘密保護すべき旨定めておるのでありまして、この定めは、前に述べました二協定と同趣旨のものであります。そこで政府といたしましては、この艦艇貸与に関する協定によって貸与されるものと、前の二協定によって供与されるものについては、保護対象等からしましても、その秘密保護措置といたしましては、前二協定に関するものと同様にすることが適切であると考えまして、本改正案を提出し、現行秘密保護法の第一条第一項中に、この艦艇貸与に関する協定の字句を加え、もって貸与された艦艇についても秘密保護措置を講ずることができるように改めようというわけでございます。  当委員会におきましては、羽仁委員より、秘密保護法実施後の状況、防衛秘密の保持は、行政機関内部規律でその目的は達せられるのではないか、自衛隊軍国主義化防止対策防衛秘密指定解除の問題、防衛技術研究所運営米軍と共同して行動する場合と原子兵器の使用及び防衛秘密標示限度等について。中山委員より、艦艇の意義、貸与を受けている艦艇内容及び自衛隊に対する共産党の工作等について。赤松委員より、この法律対象が拡大されることはないか等について質疑がなされ、関係当局よりそれぞれ応答がありましたが、その詳細は、会議録に譲りたいと存じます。  かくて討論に入りましたが、中山、一松及び剱木各委員より本案賛成赤松及び羽仁委員より、それぞれ本案反対討論があり、終って採決の結果、多数をもって本案を可決すべきものと議決せられました。  以上、御報告を申し上げます。(拍手
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  日程第三、漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件(衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。農林水産委員長江田三郎君。    〔江田三郎君登壇、拍手
  17. 江田三郎

    江田三郎君 ただいま議題になりました農林水産関係法律案及び承認案件につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  まず、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案について申し上げます。  繭糸価格安定法規定するところによって、生糸輸出を促し、蚕糸業の経営の安定を期して、生糸価格安定帯の間に維持し、あわせて繭の価格の安定に資するため、政府はその保有する生糸最高価格売り渡し、また最低価格買い入れることになっておることは、すでに御承知の通りであります。ところが、政府生糸の手持ちがないままにこの制度が実施されることになりましたため、昭和二十七及び二十入両生糸年度におきましては、糸価最高価格を突破するというような異常な事態が起ったのでありまして、これではこの制度の本来の目的を果すことが困難であるという見解を、もって、このような事態に対処して、輸出生糸について糸価安定の措置を強化し、輸出の増進に資するため、新たに政府において輸出適格生糸を保有することができる道を開くこととなし、同時に現行法では、原料繭価格については生糸価格が安定すれば、おのずから繭の価格は安定することになるという考え方のもとに、繭価維持については、ただ、政府は、繭の価格の異常な低落を防止するため必要な措置を行うものとするという、きわめて抽象的な規定が設けられているにすぎないのでありますが、かような現行法の不備を補なって繭の価格維持について明確に規定し、これに基く措置によって養蚕農家が安心してその業にいそしむことができることにしようとするのが本法律案のねらいであるとされております。  次に、法律案内容について、そのおもな点の大要を申し上げることにいたします。  第一は、輸出適格生糸特別買い入れについてでありまして、政府最高価格で売り渡す生糸として、生糸銘柄及び玉糸銘柄に及ぶ輸出適格生糸を保有する必要がある場合は、これを現行法規定最低価格を上回る価格買い入れることができることにしようとするのであります。しかしてその買い入れ方は、政府農林大臣の指定する者、すなわち新設が予定されております生糸共同保管会社のような者を相手として、その者が買い戻し等の農林大臣の定める条件に従って買い入れ保管している輸出適格生糸のうち、買い入れ一定期間、たとえば六カ月を経過してもなお保管しているものについて買い入れ契約を結ぶことができることにし、その買い入れ価格は、海外における糸価等を参酌して、現行法規定による最低価格をやや上回るものとし、買い入れできる数量は、輸出を確保するために必要であると認められる数量に限定され、かつ、すでに政府最低価格買い入れ生糸または繭の価格維持するため買い上げた繭から作った生糸等保有量を合せて、その総量が、糸価最高価格に押えるのに必要な数量限度として行うことになっております。第二は、政府が保有する生糸売り渡しに関してでありまして、現行法におきましては、政府が保有する生糸は、最高価格で売り渡すことになっておりますが、しかし政府の保有する生糸数量が、生糸価格の異常な騰貴防止するために必要な数量をこえる場合には、その超過した数量は、最高価格でなくても時価によって売り渡すことができることにしようとするのであります。しかしてこの場合、その売り渡しによって糸価を不当に圧迫することを避けるため、売り渡し生糸価格がその生産費以上である場合に限って行うことができることとするとともに、その売り渡し時価に悪影響を及ぼさない方法によってしなければならないことになっております。第三は、繭の価格維持するため、現行規定を補足して、その具体的な措置を定めたことでありまして、政府生糸買い入れても、繭の価格生糸最低価格に見合う価格、すなわち最低繭価以下に下るおそれのある場合におきまして、農林大臣の指定する農業協同組合連合会が、あらかじめ農林大臣承認を受けて、その定める条件に従って繭の出回り調節によって最低繭価維持するために繭を自主的に保管したときは、保管に要する金利及び倉敷等経費について、糸価安定特別会計から補助金を交付することができることにしようとするのであります。しかして、連合会がその保管した繭を、一定期間中には最低繭価以上の価格で売り渡すことが困難なときは、その保管された繭を政府買い入れることができることとしようとするのであります。第四は、政府が保有する液の売り渡し、加工、生糸との交換についてでありまして、政府は買い上げた繭をそのまま売り渡すほか、これを生糸に加工し、あるいは生糸と交換することができることになっております。第五は、政府生糸及び繭の買い入れ並びに補助金の交付の契約をする場合において、その金額限度を設けたことでありまして、これによって政府契約することのできる金額の総額は、契約を結ぶときにおける糸価安定特別会計における収納済み歳入額と借入金の限度の総計から、すでに支出済みのもの、あるいは契約済今のものを差し引いた残額をこえてはならないことになっております。なお、附則において、本法の施行に伴って農林省設置法に必要な改正を加えることになっております。  以上が政府原案大要であります。  委員会におきましては、農林当局から提案理由及び法律案内容等について説明を聞き、続いて質疑に入り、糸価安定特別会計の現況及びその運用計画玉糸糸価安定方法法案の第九条の二の規定による輸出適格生糸の種類及びその政府買い入れ価格輸出生糸適正価格、第九条の三の糸価の異常な騰貴防止するために必要な生糸保有数量、第十一条の繭の値下りを防止するため繭を保管する農林大臣指定農業協同組合連合会の規模及びこの条によって国庫補助対象となる経費の内訳、繭の保管設備の現状及びその整備対策、この法律によって実施しようとする輸出適格生糸特別買い入れ制度は、買い入れではなく、むしろ実質的には担保融資ではないか等、その性格生糸価格と繭の価格との定め方及び両者の関係並びにこれが当否、法案第九条の二の輸出適格生糸特別買い入れ相手機関、いわゆる保管会社の機構及び機能、繭糸価格安定制度の重点は、糸価安定にあるか、または繭価の安定にあるか等、その性格、繭の生産費引き下げ対策養蚕農業協同組合信用保証協会性格と本改正法案による繭の保管措置との関係、その他種々な問題について質疑応答が行われたのでありまして、これが詳細については、会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。  しかし、その間において明らかにされました問題を拾って申し上げてみますと、「糸価安定特別会計の運用については、一応生糸の上値押えに必要な生糸数量を三万俵くらいと押えて六十四億円のワク内でこれが買い入れを行い、そのうち特別買い入れば一方俵くらいと考えておるが、その細目は定めていない。玉糸については、その輸出の比率が大きい現状からみて、特別貰い入れによって糸価の安定が期待できると思う、特別買い入れ価格は、海外における生糸の需要を減退せしめ、輸出の阻害となるような高値であってはならないのであって、アメリカ市場の相場は現在四ドル五十セント見当で、これくらいであれば海外市場で売るのに困難はないということであるから、これら諸般の事業を考慮して繭糸価格安定審議会に諮って定めることにしたい。上値押えの保有必要量は現状では必ずしも大量を要しない。今のところ特別会計において三万俵と予定している。農林大臣指定の繭を保管する農業協同組合連合会ね、全国区域のものを原則とし、場合によっては県区域のものも考えることになる。補助金対訳の経費は、金利及び倉敷についてはきまっているが、その他は検討中であ湛。保管設備は一般営業倉庫及び乾繭倉庫のほか製糸工場の倉庫も借りる考えである。生糸特別買い入れは市価に影響を及ぼさないことが必要であるため、実質的に担保金融の性格を持っているということは言い得る。第十一条の二の政府保有繭を売り渡す場合は生産費を下らない価格で行う」と述べられているのであります。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、白波瀬委員から、「本件案は、従来の措置に比べて一歩前進したものであるから賛成するものであるが、しかしこの程度のものでは単なる気休めにすぎない」と、詳細な理由を述べて説明の後、政府の強力なる施策を促すため、次の付帯決議を付することにしたい旨の動議が提出されたのでありまして、その付帯決議は次のようであります。  一、わが国の蚕糸業はその基盤を生糸の海外輸出におかなければならないことは論を待たない。従って、生糸はその国内需要の消長いかんにかかわらず、これが輸出を優先的に確保する制度を確立することが喫緊の要務である。    しかるに、今回提出の法案によっては、いまだこの目的を達成するに十分とは言いがたい。    よって、政府は、すみやかに生糸輸出増進のため適切強力な対策を確立し、斯業の恒久安定をはかるべきである。  一、本法が所期する繭の価格維持し、その増産を達成するため、本法第十二条の二の規定によって政府がその保有する繭を処分する場合には、その処分する価格は繭の生産費を下らざるものとし、もって繭の生産に悪影響を及ぼさないように措置すべきである。  次いで森委員から、「養蚕業者団体乾繭施設を助成して、その整備をはかること、本年度国の助成によって設けられることになっているいわゆる全日養蚕農業協同組合信用保証協会の保証手数料を繭保管補助金対象にすること、本法に伴って設けられる予定になっている輸出適格生糸保管会社の資本及び役員等の構成について、普通生糸関係玉糸関係を公平に取り扱うこと、すみやかに玉糸についても繭糸価格安定法第二条の対象として取り上げること、糸価安定特別会計の資本の充実をはかること」という五項目の希望を付して賛成があり、清澤委員から、「本法案性格は、製糸家のためにする、ころが主で、養蚕農家の安定が従であって十分な考慮が払われていないのは遺憾である、繭価維持安定を中心として対策を強化すべきであるが、本法が特に弊害があるわけではないから賛成する」旨の発言があり、次いで戸叶委員から、「蚕糸対策は輸出及び内需の両面から考慮すべきであって、製麻産業の轍を踏んではならない、日本の生糸は品質の点においてイタリア生糸から、価格において中共生糸から重大な脅威を受けている、生糸保管及び買い上げ数量の十分でないことは弱点であるが、しかし一歩前進したものであるから賛成するが、一そう広い視野から蚕糸業の前途に配慮を払うべきである」との趣旨を述べられ、続いて採決の結果、全会一致をもって、白波瀬委員の提案による付帯決議を付して、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお右の付帯決議に対し、河野農林大臣から、「適切な措置と考えられるから、趣旨に沿って善処したい、なお討論の趣旨についても十分検討して期待に沿いたい」旨発言がありました。  次に、「漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件」について報告いたします。  まず、提案の理由について申し上げます。わが国の漁業は、その経営形態あるいは漁獲物の利用効率、または漁業労働の生産性等の点において、原始産業たる域を脱し得ない実情にありますので、これを近代産業の列に伍して健全に発達せしめるためには、まず漁業の根拠地である漁港を全国にわたり計画的に整備拡充し、その機能を増進させることにより、漁業の合理的経営を行い、生産の増強をはかるとともに、漁業経営費を低減し、漁民生活の安定向上に資する必要があります。昭和二十六年、第十国会承認を受けた漁港整備計画は、当時漁港法施行に伴い、緊急に樹立する必要があった関係から、漁港の指定が比較的容易に処理できた千三百港を対象として定められたのでありますが、その後順次漁港の指定が行われ、現在においては近く指定が行われるものを含め二千六百港余に倍加され、大体一段落し、それとともに、当時わが国が占領下にあった関係上、水産業の面においても種々の制限があり、この状態を元として漁港施設の規模、配置等が定められたため、現在の漁業の発展的施策に対応しない面が多かったものを、その後の事情の変化に適応するよう、これが改正の必要を認め、漁港整備計画改正案を立て、漁港審議会の答申を経て、去る七月十二日閣議において決定し、国会承認を求めて来たのであります。  次に、この整備計画の内容を申し上げます。計画方針の第一点は、漁業と漁港施設との現状を基礎とし、将来の漁業の推移、漁場資源と生産条件との関連、漁港の配置等を勘案して整備計画を立て、第一点は、漁港整備計画は、原則的にはわが国の漁業に対応して必要な漁港施設を各漁港に具備させることを目途とした総合計画とすべきでありますが、国家財政の都合等も考慮し、さしあたり漁港施設の不足度合いの高いもの、経済効果の多いもので緊急整備の必要あるものから順次採用し、第三点は、整備漁港の選定については、指定漁港数二千六百五十四港を対象としたのであります。しかして以上の計画方針に基き、六百四十七港を選定して整備することとし、そのうち修築事業完了の四十三港を除いた六百四港を昭和三十年度以降実施し、各漁港においては漁業状態、漁港施設の現状等を勘案し、それぞれの漁港に適応した外郭施設、係留施設、水域施設、輸送施設、漁港施設用地等を整備することになっております。なお整備漁港の一つ一つの名称その他につきましては、説明を省略いたします。  次に、委員会におきまする審議の経過及び結果を申し上げます。  まず、政府当局から提案理由について説明があり、直ちに質疑に入り、秋山及び森崎委員から、それぞれ整備漁港六百四港の選定基準、第一次整備計画の進捗状況、資金計画に関する大蔵当局との折衝及び今後の方針、新規事業に対する実施計画等につき、政府当局の所信がただされ、慎重審議が行われましたが、その詳細につきましては、会議録に譲りたいと存じます。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、秋山委員から、「漁業根拠地たる漁港を全国にわたり計画的に整備拡充することは緊急の重要施策である、政府は従前の整備計画の実施に当り、予算的措置において欠くるところが多いため、その進捗状況はきわめて遅々たるものがあるので、今回の改正計画の実施については、必要な予算の計上に格段の努力を払い、現在着工継続中の漁港の早期完成をはかることはもちろん、未着手の漁港についても、毎年必要な予算を確保し、すみやかに着工実施するなど、早期完遂のため万全の措置を講ずべきである」との趣旨の付帯決議を付して賛成する旨の意見の開陳があり、森崎委員から、同様趣旨の要望を付して賛成意見の開陳があり、ほかに発言者もなく、討論を終り、採決の結果、全会一致をもって原案通り承認を与うべきものと決定いたしました。  次に、秋山委員提案の付帯決議案について採決を行いましたところ、全会一致をもって委員会の決議とすべきものと決定いたしました。  なおこの決議に対し、政府当局から善処する旨の発言がありました。  以上、報告いたします。(拍手
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  まだ、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案、全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  20. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件、全部を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。      ─────・─────
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第四、北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。建設委員長石川榮一君。    〔石川榮一君登壇、拍手
  23. 石川榮一

    ○石川榮一君 ただいま議題となりました防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について、建設委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法の促進法は、北海道の特殊事他にかんがみまして、北海道の住宅を不燃防寒構造化のために昭和二十八年に制定せられ、いわゆる住宅金融公庫が資金の貸付を行うことのできる住宅は、防寒住宅でかつ簡易耐火構造または耐火構造の住宅でなければならないと規定されておるのであります。ところが、今回公庫は住宅の増築に対する融資も行うことになったのでありまするが、北海道の区域内におきましては既存の木造、または防火構造の住宅について増築を行う場合も、その増築にかかる部分が簡易耐火構造または耐火構造でなければ資金の貸付は受けられないということになっておるのであります。このことは建築技術等の面から現実に即しないうらみがあり、ひいては北海道における増築融資の利用度を低下させることにもなりますので、この点を改正して、既存の木造または防火構造の住宅が増築を行う場合は、増築部分が防寒住宅である限り、簡易耐火構造または耐火構造でなくてもよいようにしようとするのが本法案提出の理由並びにその内容であります。  本案は、七月十八日当委員会に付託され、慎重に審議をして参ったのでありますが、特に問題となりました点は、本案が、本法の北海道における住宅を不燃防寒構造にするという立法の精神に反するきらいはないか、また既存家屋を増築する場合、木造でなければどうしても建築技術上困難であるという場合に限るべきではないかという点であります。これに対しましては、「本案は、増築の場合にのみ限っているので、本法の精神を変えるものではなく、また増築融資の実施に当っては、技術上可能なものはできるだけ不燃構造にするよう指導していくつもりである」とのことでありました。詳細につきましては会議録で御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、田中、石井両委員から、「本案は、本法の不燃構造住宅の原則の但し書として許さるべきであり、どこまでも促進法の精神を生かして実施するよう条件を付して賛成する。」北委員からは、「本案は増築の場合の敷地関係、または技術上やむを得ない措置であって賛成する」との発言がありました。  次いで採決に入り、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第五、中小企業安定法の一部を改正する法律案衆議院提出)  日程第六、繊維製品品質表示法案内閣提出衆議院送付)  日程第七、株式会社科学研究所法案衆議院提出)  日程第八、石油資源開発株式会社法案  日程第九、石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。商工委員長吉野信次君。    〔吉野信次君登壇、拍手
  28. 吉野信次

    ○吉野信次君 ただいま議題になっておりまする五つの法律案につきまして、日程の順序で御報告を申し上げます。  まず、中小企業安定法の一部を改正する法律案、御承知の通りこの法律は、中小工業の多い業種におきまして製品の需給がひどくアンバランスになって不況に陥りました場合に、当業者の経営安定をはかるため、調整組合によって生産制限等の調整を講じ得るように独禁法の適用除外を定めたものでございます。昭和二十七年制定以来今日まで二十三の業種にわたって二百余の調整組合ができておりまするし、またアウトサイダーを規制する第二十九条の命令も六つの業種について発動されております。しかるに、この法律の発動の条件、いわゆる不況の要件というものが少しきびし過ぎるのでありまして、これを緩和して、あわせて輸出貿易にも適用できることを主眼といたしまして、今回衆議院議員小笠公韶君より本改正案が提出をせられまして、衆議院で修正されまして、ここに上程を見た次第でございます。  改正の要点は、本法の目的と適用の要件を拡張いたしまして、「過度の競争により当該部門の製品に関する国内取引又は輸出貿易の円滑な運行が阻害され又は阻害される虞がある場合」に改めたこと、これが第一点であります。第二点、調整組合と同連合会の事業範囲を拡張いたしまして、製品の品質や意匠や品種に関する制限、並びに原材料の購入数量に関する制限ができるようにした点であります。第三点は、行政庁が調整規程や総合調整計画の認可、不認可をきめる期限につきまして、所管大臣は認可申請を受理いたしましてから後一カ月以内に、その処分をしなければならないこととし、この期間を経過いたしましたときには認可があったものとみなす、こういうふうにした点であります。第四点は、第二十九条による調整命令につきまして、発動の要件をゆるやかにして命令の期間に関する制限を削除したことであります。第五点は、公正取引委員会との関係につきまして、現行法では所管大臣が調整規程や総合調整計画を認可しようとするときには、公正取引委員会の同意を必要といたしておりますのを、今度協議に改めた点であります。第六点は、所管大臣につきまして、現行法では通商産業大臣の専管事項となっておるのでありますが、通商産業大臣以外の主務大臣が、指定業種に属する事業を所管しておる場合は、通商産業大臣と当該主務大臣との共管とすることに改めた点でございます。  この法案委員会における審議の経過におきまして、「本改正を必要とするに至った具体的な事例はどうか。」こういう質問に対して、提案者等から、「慢性的な不況状態にある繊維業並びに過度な競争によって輸出価格の低落を見ておるミシン製造業」などの実例について説明がございました。「輸出入取引法の改正案が「メーカーの協定を、別に業種指定なくして行い得ることになっておるが、本改正案では、なお業種指定を残しておくのはどういうわけか。」こういう質問に対して、提案者から、「調整組合は協定と違って恒久的な組織であり、行政庁の処理能力や組合結成の必要性の緩急ということなどから見て、まだ業種指定をはずす段階には至っていない。」こういう答弁がございました。また通商産業大臣と主務大臣との共管に改めることは、行政体系の混乱と当業者の手続の煩瑣をもたらすのではないか」との質問に対しては、「通商産業省には中小企業庁というものがある、また中小企業安定審議会が設けてあって、本法の適用について重要な調整を行なっておるので、主務大臣との共管ということがありましても、別に困難な事態は生じない、そういう心配はない」という答弁がございました。その他詳細は、速記録に譲りたいと存じます。  かくて質疑を終って、討論に入りましたところ、河野委員から、「共管事項とするということは、いたずらに行政機構に混乱を生じ、また事業者にとっても手続が不便になる」からという理由で、本改正案反対であるという意見が述べられました。次に三輪委員から、「本改正案目的には賛成であるが、中小企業自体は調整組合のみでは救われないものがあるから、政府はすみやかに対策を樹立すること、及び本法の適用に関しては特に中小企業者や零細企業者が振り落されないように措置することを希望条件として賛成する」という意見が述べられました。  次いで採決に入りましたところ、本法律案は、多数をもって衆議院提出案通り可決すべきものと決定いたしました。  繊維製品品質表示法案について申し上げます。  繊維製品は衣料品として国民生活に欠くべからざる必要品でありまするが、近年、化学繊維が非常に進歩いたしまして、繊維の種類が非常に増加いたしまして、各種の繊維の混紡、交織がますます盛んになって参ったので、繊維製品の種類は複雑となって、一般消費者にとってはその識別が困難な場合が多くなって参りました。こういうような実情から繊維製品の内容を適当な方法によって表示を行わせることによって、一般消費者が品質を正しく認識してこれを購入して、有効適切にこれを使用することができるように、消費者保護をはかるために、この法律案が提案されたのであります。  そのおもなる点を申し上げますと、第一点は、重要な繊維製品につきまして、その品質を示す名称を指定し、その名称の示す繊維製品の備えていなければならない内容を明らかにしたること。第二点は、繊維製品の製造業者、販売業者等が定められた名称を使用して繊維製品を表示する場合には、必ず定められた内容のものでなければならないということにし、不正な表示を禁止しておること。第三点は、繊維製品の表示については、業界の自発的措置、いわゆる任意表示によって適正なる表示が励行されることを建前としておりますけれども、業界の自主的措置のみによっては、表示が励行されない、あるいは不正な表示が行われるような場合には、表示を強制して、あるいは表末書を限定するなどの措置を講ずることができるようにしたこと。第四点は、本法は製造業者、販売業者、消費者に影響するところが甚大でありますので、繊維製品品質表示審議会を設けまして、重要な事項を審議することにしたこと。さらに本法案の別表といたしまして、本法案で、いう繊維製品の種類が列挙してあります。大体において絹、麻類を除きまして、主として綿、毛、化繊の三者と、それらの混紡、交織のものに適用する意図が現われております。  衆議院におきまして、本法案につきまして、罰則に関する規定について若干の修正が施されております。  本委員会において、栗山委員その他各委員から、いろいろの質疑がなされたのでありまするが、そのおもなるものを申し上げますと、「化学繊維の育成策と本法との関係がどらか。」こういう質問に対しては、「化繊を育成することは必要であり、化繊製品の普及及び化繊混用施策の推進をはからなければならないが、このためには消費者に化繊製品及び化繊混用品について正しい認識を持ってもらい、その需要を喚起する必要がある」という答弁がありました。「本法の施行による中小企業者への影響はどうか。」この質問に対しては、「本法の施行によって、中小企業者の品質表示についても法の裏づけがあるため、購買者に安心感を与えることになるから、かえって中小企業者にとっても有利になると考える」という答弁がございました。「本法の施行によって品質を表示したものについては、どこの製品でも、またどこの店で買っても、同じ信頼度においていいものであるということを消費者に認識さして、消費者が表示のないものは買わないようにするというふうに、消費者の啓蒙宣伝の必要があると思うが、その用意はあるのか」という質問に対しては、「表示制度の理解が必要であるから、消費者に対する啓蒙宣伝のためには若干の予算を設けて、説明会を開くとか、あるいは解説書を頒布するとかいうふうに、本法の趣旨の普及徹底をさせる考えである」という答弁がございました。その他いろいろ質疑応答が行われましたが、詳細は、速記録について御了解を願いたいと思います。  かくて質疑を終了して、討論に入りましたるところ、古池委員から、   一、本法の実施に当っては、任意表示に重点を置き、業界の自主的表示の励行にまって品質表示の目的を達成し得るよう、指導、援助を行う等運営に留意し、必要止むを得ざる場合のほか、強制表示、強制検査を極力避けること。   一、強制表示、強制検査をなさんとする時は、中小商工業者特に小売業者に対し、無用の混乱と過重な負担を生ぜしめないよう適切な処置を講ずること。   一、検査機関の認可に当っては、受検者特に中小企業者の立場を考慮し、受検のために物的にも精神的にも過重な負担とならないよう留意すること。   一、繊維製品品質表示審議会の運営については、広く繊維業界各部門の代表者を参加せしめ、中小企業者の立場をも十分に反映し得るよう慎重な考慮を払うこと。   一、消費者の利益を保護するため、将来落綿、編反毛及び毛反毛を使用する繊維製品の品質表示について直ちに検討を加えること。という趣旨の付帯決議を付して賛成するという意見が述べられました。次いで、三輪委員から、「特に強制表示、強制検査は、真にやむを得ない場合のほかは避けるべきであり、また法文も非常にわかりにくい点が多いから、実施に当っては十分注意すべきである」ということの要望がございまして、本案並びに付帯決議案に賛成する旨の意見の開陳がございました。  かくて討論を終り、採決をいたしましたところ、本法律案は、全会一致をもって衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、古池委員から提案されました付帯決議案も、これまた全会一致をもって原案の通り、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  最後に、通商産業大臣からは、「この付帯決議の趣旨はこれを尊重して善処する」旨の発言がございました。  次に、株式会社科学研究所法案。  わが国のような狭い土地で人口の多い、この資源の乏しい所では、科学技術振興の必要であるということは申すまでもないのでありまして、現在わが国におきましては、総合研究機関としては株式会社科学研究所がただ一つあるだけであります。これは大正六年財団法人理化学研究所として発足して以来、三十数年にわたってわが国科学技術の発展に多大の貢献をしてきたのでありますが、昭和二十三年財団法人から株式会社に改組されまして、民間法人たる株式会社科学研究所として再発足したのであります。ところが、発足後まだ日も浅いのでありまして、産業界からの数度にわたる資金援助にもかかわらず、資金的基礎が非常に弱いため、極度に財政的不振に陥りまして、このまま推移いたしまするというと、せっかくの総合研究所としての基盤はますます弱体化して、ついには閉鎖の悲運に陥る懸念もなしとしない状況になってきたのであります。大体基礎研究を含む総合研究機関におきましては、当初からこの採算の基礎において経営するということはきわめて困難でありまして、どうしても国の援助が必要なのであります。そこでこの法律案は、半官半民の特殊会社として株式会社科学研究所というものを設立しまして、国が所要の助成措置を講じ、民間資本とあわせて総合研究の飛躍的発展をはかる意図のもとに提案されたのであります。  その内容は、目的としてわが国産業の発展及び振興に寄与するため、科学技術の向上に必要なる事業を営む株式会社としたこと、国が同研究所に対し所要の援助をする規定を設け、一方通商産業大臣の監督規定を設けたこと、株式会社科学研究所の設立に伴う諸般の規定を設けたこと、これが法案内容でございます。  委員会の審議におきまして特に問題となりました点は、「株式会社組織のもとに同研究所に対して国が所要の援助をするということは不適当ではないか、将来はやはり財団法人のようなものとして研究に専念できるようにやって、国が強力な援助をして、わが国科学技術の振興をはかるべきである」という意見が、各委員から強く唱えられたのであります。通商産業大臣もこの趣旨を了とされ、「将来その方向に向って努力する」との答弁がございました。その他の質疑応答につきましては、詳細は速記録に譲りたいと存じます。  かくて討論に入りましたところ、海野委員、上林委員から、それぞれ賛成の意見が述べられました。  討論を終って採決をいたしましたところ、全会一致をもって、衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、石油資源開発株式会社法案、これについて申し上げます。  本法案は、いわゆる石油資源開発五カ年計画に基いて、わが国の石油生産を年間百万キロリットル程度にまで増加させるために、政府が半額出資をして特殊会社を設立いたしまして、所要の助成措置を講ずるとともに、当該会社に対して国の監督を行わんとするものであります。  本案内容大要を申し上げますと、第一は、会社の目的についてでありますが、石油資源の急速かつ計画的なる開発を実施することを明かにして、会社の事業を石油資源の探鉱、石油及び可燃性天然ガスの採取及びその販売、その他この会社の目的を達成するため必要なる事業に限定しておるのであります。第二点は、政府が常時この会社の株式の二分の一以上を保有することといたしまして、特殊会社としての性格を明確にするとともに、その設立に際して政府の現在所有しておる帝国石油株式会社の株式を現物出資することを規定し、さらに石油の探鉱がきわめてリスクの多い特殊な事情から考えまして、繰り延べ経理を認めると同時に、配当制限によって探鉱資金の社外流失を防止する措置を講じた点であります。第三点は、探鉱に必要な費用の一部について、補助金を本年度に限り交付し、ほかに社債発行限度等の特例を規定することによって、資金確保に遺憾なきを期しておる点であります。第四点は、重要財産及び鉱業権の譲り受けその他重要なる各事項については、通商産業大臣の認可及び監査を行うこととして、そのうち所要事項については大蔵大臣と協議すべきことを規定しております。その他、登録税の免除、役員の選任等について、いろいろ規定があるのであります。  委員会におきましての本法案に対する質疑の詳細は速記録に譲りたいと思いますが、中心の問題は、この資源開発会社の性格と、それから同会社の資金計画、それから同会社と帝国石油株式会社との関係でございます。特にこの資源開発会社と帝国石油株式会社との関係につきましては、帝国石油株式会社から譲り渡しを受くべき鉱業権のその評価方法、今後帝国石油株式会社はどういう姿になるのか。帝国石油株式会社から資源開発会社に転換すべき従業員の問題などについて、政府との間にいろいろ質疑応答があったのであります。  質疑を終りまして討論に入りましたるところ、高橋委員から一つの修正案が提出いたされました。その内容は、   一、第十条鉱業権の譲渡の第一項の但書を削り、石油資源探鉱促進臨時措置法第十二条第一項により、通商産業局長の決定事項となっている石油の試掘権の譲受等も通商産業大臣の認可及び大蔵大臣との協議事項とすること。   二、更にこの条項の運用、即ち通商産業大臣が認可する際には、通商産業省に臨時に新設する石油鉱業権評価審査会に鉱業権の対価の額、対価支払の時期及び方法についてその意見を聴取しなければならない。  これが大体その修正案の趣旨であります。  さらに同高橋委員から、本法案に対する付帯決議が提出されました。すなわち  一、政府石油資源開発株式会社が帝国石油株式会社より譲り受ける鉱業権の対価の額並びに対価の支払の時期及び方法について第十条第一項の認可をするに当っては、帝国石油株式会社が特殊法人として設立されるに当り、民間より強制的に鉱業権の現物出資をせしめたること、自後探鉱試掘に関し、多額の国庫補助金を受けたる事実を十分考慮の上、適正を期すべきである。  一、政府石油資源開発株式会社の資金の確保につき万全の措置を講じ、五カ年計画の完全なる遂行につとめること。  一、政府石油資源開発株式会社の設立に伴う帝国石油株式会社の従業員の職場転換に際してはその処遇につき不当なことなきよう監督すること。以上であります。  次いで三輪委員、小松委員から、高橋委員提出の修正案、修正部分を除く政府原案、さらに高橋委員提出の付帯決議案について、それぞれ賛成の旨の意見の開陳がございました。  かくて討論を終り、採決に入りましたるところ、まず高橋委員提出の修正案、修正部分を除く政府原案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。高橋委員提出の付帯決議案も全会一致をもって当委員会の決議とすることに決定いたしました。  最後に、石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、石油資源開発株式会社の設立に伴い、従来から行われていた石油及び可燃性天然ガスに対する国庫補助等の助成措置は、今後資源開発会社に対して、これを行うこととするので、石油及び可燃性天然ガスに対する補助金に関する規定を全面的に削除したものであります。  委員会における審議の詳細は、速記録に譲りたいと存じますが、特にメタン系の天然ガスの探鉱に関して問題のあったことを申し添えておきます。  質疑を終了いたしまして討論に入りましたところ、高橋委員から、いわゆるメタン系天然ガス開発の現状から、天然ガス探鉱に対する国の補助金制度は残存すべしという趣旨の修正案が提案されました。これに対して三輪委員、小松委員から、それぞれ修正案、それから修正部分を除く原案に賛成の旨の意見の開陳がございまして、採決の結果、高橋委員提出の修正案、修正一部分を除く原案につきまして、それぞれ全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  29. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより五案の採決をいたします。  まず、中小企業安定法の一部を改正する法律案、全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  30. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、繊維製品品質表示法案  株式会社科学研究所法案  以上、両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  33. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、石油資源開発株式会社法案  石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案  以上、両案全部を問題に供します。委員長報告は、いずれも修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  34. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  35. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)  日程第十一、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律案の一部を改正する法律案千葉信君外五十二名発議)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。内閣委員長新谷寅三郎君。    〔新谷寅三郎君登壇、拍手
  37. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  本法律案は、衆議院議員高橋等君外百十一名より提出せられたものでありまして、旧軍人関係の恩給と一般公務員の恩給との間における不均衡の是正を改正の主たる眼目とし、その他旧軍人等の恩給につき重要な改正を加えておるものであります。  改正の要点を申し上げますと、その第一は、旧軍人及び旧準軍人並びにこれらの人々の遺族の受ける恩給金額計算の基礎となっている仮定俸給年額を、一般公務員並みに一万二千円ベースに引き上げるとともに、号俸についても、上に薄く下に厚くする趣旨を加味して、将官については二号俸、佐官以下については三号俸ないし四号俸を引き上げることといたしております。この措置は、本年十月分から実施するのでありますが、国家財政に及ぼす影響を考慮して、この改正による支給金額の完全支給は明年の七月から行うこととし、それまではその半額を支給することといたしております。  その第二は、新たに一年以上七年未満の在職年をも恩給の基礎在職年に合算することといたした点であります。これは旧軍人、旧準軍人または旧軍属としての引き続く一年以上七年未満の実在職年を合算すれば、普通恩給についての所要最短在職年数に達する場合でありましても、現行法では年金たる恩給が給せられないこととなっておりますので、これらの人々に恩給支給の道を開こうとするものであります。しかし、国家財政の現状にかんがみ、現行法によってすでに普通恩給を受ける権利を取得できる人々及びその遺族につきましては、この通算の措置を行わないこととし、また、この措置により、恩給の基礎在職年が旧軍人、旧準軍人または旧軍属の普通恩給についての所要最短在職年数をこえることとなる場合には、これを最短在職年数で押えることとし、この措置により、新たに普通恩給または扶助料を給せられることとなる人々が、すでに一時恩給または一時扶助料を給せられていた場合におきましては、重複を避ける趣旨から、その金額について調節することといたしております。  その第三は、いわゆる戦犯者の拘禁中の期間を在職年に合算することとした点であります。すなわち、公務員が在職中の職務に関連して、連合国最高司令官によって抑留または逮捕せられ有罪の刑に処せられ拘禁された場合には、未帰還公務員に対する処遇との均衡上、拘禁前の公務員としての在職年が普通恩給についての所要最短在職年限に達していない者について、その年限に達するまでを限度として、拘禁中の期間を恩給の基礎在職年に計算することといたしております。また、公務員が拘禁されている間に、自己の責めに帰することができない事由によって、負傷しまたは疾病にかかった場合におきまして、裁定庁がこれを公務傷病と同視することを相当と認めましたときは、これを公称傷病とみなして、その者またはその遺族に対し、公務傷病恩給または公務扶助料と同額の恩給を給することといたしております。  その第四は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正に対応する措置を講じた点であります。すなわち、その措置の一は、いわゆる公務死の範囲の拡張に伴う公務扶助料に関する規定改正でありまして、戦地において負傷しまたは疾病にかかり、それが原因となって死亡した者で、援護審査会の議決によって公務死とみなされた者については、同法の改正により、その遺族に対して遺族年金または弔慰金が給せられることとなっておることに対応しまして、本法律案におきましてもってこれらの遺族に対して公務扶助料を給することといたしております。その措置の二は、旧軍人、旧準軍人または旧軍属が、今次の終戦時における非常事態に当って、いわゆる責任自殺をした場合、その死亡が援護審査会において公務死亡と同視すべきものと議決せられた場合には、これもの遺族に対して遺族年金及び弔慰金が支給せられることとなっておることに対応いたしまして、これらの遺族に対して、昭和二十八年四月分から、公務扶助料の年額に相当する金額の扶助料を支給することといたしております。  その第五は、警察職員の恩給の特例に関する点であります。昨年の警察制度改正によりまして、自治体警察職員であった者が引き続き新制度の警察庁または都道府県警察の職員となった場合、五大市警察の職員が五大市警察の廃止に伴い新制度の府県警察の職員となった場合、及び新制度の地方公務員たる警察職員が国家公務員たる警察職員となった場合におきましては、身分切りかえ前の俸給と身分切りかえ後の俸給とを比較いたしますと、あとの俸給は、必ずしも前の俸給よりも多額となっておらない場合もあり、従いまして、身分切りかえ後退職して受ける恩給が、身分切りかえの際退職して受ける恩給よりも、かえって少くなる結果が生じますので、本法律案におきましては、かような不利な取扱いを受けることのないように措置し、また本法律案におきましては、自治体警察設置前の警視庁または道府県警察部に勤務していた吏員としての在職期間を、一定の条件のもとに公務員としての在職年に通算することとする等、警察職員に関する恩給の特例を認め、これを昭和二十九年七月一日から適用することといたしております。  なお、以上のほか、総理府恩給局に旧軍人恩給事務処理要員として二十名を増員することに伴いまして、行政機関職員定員法に所要の改正を行うことといたしております。  内閣委員会は、前後六回にわたり委員会を開き、また社会労働委員会とも連合審査会を開きまして、その間、提案者代表衆議院議員高橘等君のほか、政府側より大久保国務大臣、川崎厚生大臣等の出席を求め、熱心に本案の審議を行うとともに、参議院議員山下義信君外五名の提案にかかる恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案についても並行審議を行いましたが、その審議によって明らかになった点を申し上げますと、その第一点は、本法律案の実施に伴う経費の点でございまして、本案により恩給費は本年度約二十四億六千万円、昭和三十一年度約百二十億円、昭和三十二年度以降平年度においては約百六十億円増加の見込みでございます。また本案は、民自両党の共同提案でありますので、本案に対する政府の態度につき大久保国務大臣より、本法案が実施された場合には、本年度以降の予算において相当多額の経費の増加を来たすことになるが、政府はこの案に賛成し、その実施の責任を持つ旨、政府の所見が明らかにせられたのであります。その第二は、旧軍人等の恩給制度と社会保障制度との関係であります。「今次の戦争で犠牲となった旧軍人等に恩給の上で国家補償を行うというならば今次の戦争でひとしく犠牲となった一般国民、ことに勤労学徒、徴用工員、戦災者等旧軍人以外の戦争犠牲者に対する処遇についても、この際十分考慮する責任ありと思うが、政府の所見はどうか、また今回の改正案によって、下士官、兵のごとき下級の旧軍人及び旧軍人の遺家族に対する国家の補償は十分なされたとは考えられないが、政府の所見はどらか」との質疑に対し、大久保国務大臣は、「一昨年法律第百五十五号によって、旧軍人等の恩給が復活したのは、旧軍人の恩給法上の既得権を復活せしめるのがおもなねらいであって、今回の改正は、戦争犠牲者の中で国家公務員の犠牲者に対する国家補償をまず解決せんとするものであり、すなわち、一昨年復活した旧軍人等の恩給額の文官との不均衡の点等を改善せんとするものであって、今回の改正に当り社会保障の問題とあわせ考慮する余裕はなかった。また下士官、兵等下級旧軍人に対する国家補償及び遺家族に対する救済は、現状で決して十分とは考えていないが、財政上その他の事情から、現在ではこの程度にとどめざるを得なかった。なお、旧軍人、特に遺家族、傷病者、老齢軍人等に対する国家補償の行き方として、社会保障の方法で処理するか、または恩給法の上で解決するかの二つの道が考えられるが、一般国家公務員に対して恩給制度が存在する以上は、旧軍人に対しても、社会保障制度によるよりも恩給制度で解決する方が妥当であると考える」旨、答弁がありました。なお、恩給制度と社会保障制度との関係について、川崎厚生大臣の見解をただしましたところ、「今日国家財政の中で、社会保障費が一千億円を計上されているのに比べ、文官及び旧軍人等の恩給を合せると右と同額の一千億円の巨額に漸次近づきつつあることは、国家財政等の上から見て、まことに憂慮にたえぬことであり、このことは恩給制度がもはや限界に達したことを示すものと思う。将来は福祉国家建設のためには、恩給よりは無拠出制の年金制度を設け、社会保障的立場より現在の恩給制度を再検討することとし、むしろ年金制度の中に恩給をも包含するよう国民の世論に沿いつつ対処していきたいと思う。しかしながら、さしあたっての国家公務員の戦争犠牲者に対する補償は、これでもって一応果されるものと考える」旨の答弁がありました。  その第三は、恩給制度に関する社会保障制度審議会の意見書及び人事院の勧告に対する政府の態度に関する点であります。すなわち、恩給制度については昭和二十七年十二月に社会保障制度審議会より政府に対し意見書が提出され、また昭和二十八年十一月には人事院の勧告が国会及び内閣に対してなされたのでありますが、「将来恩給をどのような形のものに改めるかについては、目下公務員制度調査会において検討せしめておって、近くその調査の結論が示されることと思うが、政府はこの社会保障制度審議会の意見書及び人事院の勧告を十分尊重し、施策の上にでき得る限り反映せしめたい方針である」旨、大久保国務大臣及び川崎厚生大臣より所見が述べられたのであります。  その第四は、恩給の不均衡是正に対する衆議院の付帯決議に対する政府の態度についてであります。すなわち、過般衆議院において本案議決せらました際、昭和二十三年六月三十日以前の一般公務員の退職者とその後の退職者との間に、恩給の不均衡があり、衆議院におきましては、各派共同提案によりまして、この不均衡を急速に検討して、具体的措置を講ずべしとの付帯決議が可決せられたのでありまするが、この点につき提案者及び大久保国務大臣より、「昭和二十三年六月三十日以前の一般国家公務員の退職者の恩給の不均衡は、昭和二十七年の法律によって多少緩和されたが、なお現在おいても不均衡があり得るという趣旨で前示のような付帯決議がなされたのであるが、これは尊重すべきものと考え、今後この是正については調査を進め、でき得る限りすみやかに実現したい考えである」旨の答弁がありました。  その第五は、旧軍人恩給の加算に関する点であります。すなわち、「今回の改正に当って加算制度を実施しなかった理由は、この加算については、現在の段階においては、まだその調査が大十分であるためであって、今後この加算制度に関する種々の問題を調査するため、本年度予算において七千万円の調査費が計上せられ、これによって加算に関する調査を経た上で結論を出したい」旨、提案者より答弁があったのであります。  なお以上のほか、この法律案が議員提案となった理由、旧軍人等の恩給と一般国家公務員の恩給との本質的な差異、仮定俸給の定め方、軍属たる司政官の在職年の通算の問題、旧特高関係の警察官の恩給の所遇の問題、恩給の国家財政に及ぼす影響等の問題につきましても質疑応答が行われたのでありまするが、その詳細は、委員会会議録に譲ることを御了承願いたいと存じます。  昨日の委員会におきましては、質疑も終結いたしましたので、討論に入りましたところ、加瀬委員、堀委員及び田畑委員より、それぞれ理由を付して反対、また長島委員より、次の付帯決議を付して賛成する旨の発言がありました。長島委員提案の付帯決議案は次の通りであります。  恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に関し、衆議院は、「昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた公務員の恩給はそれ以後のものと比較して低きに失するに依り政府は急速にこれを検討すると共にその具体的措置を講ずべきことを要望する。」との付帯決議を可決しておるが、本院においても、この決議は極めて適切なるものと認め、政府に対し、これが具体的措置の急速実施を強く要望する。  右決議する。というのであります。  次に、野本委員、松原委員より、それぞれ希望意見を付して賛成する旨の発言がありました。  かくて討論も終結いたしましたので、まず本法律案について採決いたしましたところ、多数をもって原案通り可決すべきものと議決せられ、次いで長島委員提案にかかる付帯決議案につきまして採決いたしましたところ、多数をもって本委員会の決議とすることに決定せられた次第であります。  次に、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、本院議員千葉信君外五十二名の発議によるものでありまして、その提案の理由及び改正の要旨を申し上げます。  第一に、東北地方、その他寒冷度の著しい各地方におきましては、冬季暖房用の経費が生計費に与える影響は著しいものがあり、また現に各公社並びに郵政、林野等の現業職員に対しましては、先年来、事実上これらの措置がとられておりまするので、これらの地方に勤務する公務員につきましても、北海道における石炭手当に率じて、新たに薪炭手当を設けることとし、その支給額については、世帯主たる職員に対しては、まき一たな及び大炭百キログラム、その他の職員に対しては、まき〇・四たな及び木炭四十キログラムを、それぞれ時価に換算した額の相当額をこえない範囲内で支給することとし、その支給範囲等必要な事項は、人事院勧告に基いて内閣総理大臣が定めることといたしております。  第二に、石炭手当あるいは今回新たに設けようとする薪炭手当は、いずれも一般の給与とは異なり、実費弁償的な性格を有するものでありまして、これに所得税を課することは適当でなく、実際の支給状況を見ても著しい手取り額の減少、または不均衡を生じている実情であるから、所得税法第六条の改正を行い、この法律に基く石炭手当及び薪炭手当並びにこれらの手当に類する給与については、命令で定める金額の範囲内において、いずれも所得税を課さないことといたしております。  内閣委員会におきましては、前後二回にわたり本法律案を審議し、その間数回、懇談の形式をもって意見の調整をはかりましたが、昨日の委員会におきまして、提案者の千葉委員より、「諸般の状勢を考慮した結果、本法律案中附則第八項より第十項まで、すなわち石炭手当、薪炭手当等の免税措置に関する規定はこれを削除する旨の修正案を提出することといたしたい」旨の発言があり、次に本法律案は予算を伴う法律案でありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を求めましたところ、大久保国務大臣より、「公務員の諸手当についてはむしろ簡素化をはかる必要があること、支給地と非支給地との間に不公平が生ずること、また予算的にも国家公務員については新たに約一億円を要すること等の理由によって、相当考慮を要する問題である」旨の意見が述べられました。  次いで質疑に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに討論に入りましたところ、千葉委員より、原案に対し附則第一項のうち、「昭和三十年七月一日」とあるのを「公布の日」に改め、附則第八項から第十項までを削除する旨の修正案が提出せられ、この点について千葉委員は、「提案以来各会派との折衝の結果、この修正案を提出するに至ったものであるが、石炭手当並びに薪炭手当については、本来その性格が実費弁償的なものであるのに、これに所得税が課せられるため、実情に沿わない結果となっているので、ぜひとも近い将来において是正を要するものと考える」旨の発言があり、かくて討論を終了して、採決に入りましたところ、千葉委員提出の修正案並びに修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決すべきものと議決せられた次第であります。   以上、御報告申し上げます。(拍手
  38. 河井彌八

    議長河井彌八君) 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。加瀬完君。    〔加瀬完君登壇、拍手
  39. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対しまして反対をいたします。  提案者の意図する遺家族等戦争犠牲者は申すまでもなく、旧軍人軍属の救援につきましては、より大きい社会保障を施すべき原則に対しまして、もちろんわが党におきましても賛意を表するにやぶさかではございません。しかし、提案者の申すごとく、戦争犠牲者の国家補償という趣旨を徹底させるためには、次の諸点におきまして本法案反対せざるを得ないのであります。反対の第一点は、提案者は、「旧軍人軍属の処遇を厚くすることは、平和国家、道義国家の建設、発展の重大要件である。」こら説明されるのでありますが、平和国家、道義国家という意味からすれば、まず考慮されなければからないことは、再び戦争の惨禍の起らぬ念慮、このことを第一にすべきであると思うのであります。この点、軍人恩給の引き上げという方法は、この念慮に逆行する最大のものと思うのであります。  反対の第二点は、提案説明によりますると、「戦争犠牲者の救済として、一般国民との不当な差別待遇を取り出るためである。」こう申されるのであります。それならば、国民との不当な差別とは何であるかと伺いますと、文官恩給との差別があると、これだけしか例示をされないのであります。すなわち、戦争犠牲者の救済というのであるならば、戦争犠牲度の検討というものが十分になされて、支給基準が戦争犠牲度に応じて決定されるという方法がとられなければならないはずでありますが、さような研究というものは何もないのでございます。提案者は、戦争犠牲の名のもとに、旧軍人軍属の軍事行動だけを国家犠牲の最たるものと見ておるのであります。このような見方、このような考え方は、再びこの日本に軍事優先の軍閥台頭の起因を作る以外の何ものでもありません。このような方法が推進されまするならば、軍人が優先され、国民が冷遇されるという、逆の差別を生ずるのであります。近来台頭しつつありまするこの種の思想に対し、私は大きい危険を感ずるのであります。  反対の第三点は、法律案内容で上ります。その一は、戦時行動の犠牲者ということであれば、同様な任務において倒れました徴用工、学徒動員、義勇軍、報道班員その他応召者等々、国家犠牲はむしろ後者に大きいのであります。しかし、これらの人々の処遇に対しましては、十分な考慮はこの法案には何ら盛られておりません。その二は、文官との差別をなくすことを念願をしながらも、文官恩給中にいまだ解決をされない部面に対しましては無考慮であります。その三は、上薄下厚の方法をとった、こら申しながら、最も恵まれざるものは下級下士官、兵でありますけれども、法案内容をいかなる点から検討をいたしましても、下士官、兵に厚く、上に薄いという点は出ておらないのであります。  結論といたしまして、この法案はあくまでも社会保障としてではなく、旧軍人恩給のそのままの復活が目的であること、また明瞭であります。提案者はこの点、社会保障制度審議会の軍人恩給に対する意見書には一顧も与えないのであります。この法案は、社会保障の名の下に、旧軍人を救済することではなくて、旧軍人救済の美名のもとに、旧軍人の犠牲において再軍備への国民世論の緩和をはからんとする、最も悪らつなる戦争主義者の野望に利用されるおそれのあると思われる法案内容になっておるのであります。(拍手)  反対の第四点は、恩給増額は国家財政の行き詰まりを来たし、特に恩給費の計上が社会保障費の増額をはばむ結果を来たすことは明らかであります。三十二年度予算におきましては、一説によりますると、恩給額は概算一千百億、社会保障費は本年度と同様に一千六億、社会保障費をはるかに上回るという数字を出されておるのであります。このままでは国家財政のバランスを失うことは当然であります。従って恩給亡国の論議も生ずるのでありましょうし、政府自身が恩給制度に対しまして抜本的な対策を立てざるを得なくなる時期も、当然早晩参ることになるのであります。軍人軍属はもちろん、困窮者、戦争犠牲者の救済を提案者が真剣に考えるとするならば、この意味からも、今こそ社会保障制度と、いうものに真剣に取り組まなければならないときでありますにもかかわらず、提案者におきましても、政府の担当の方々の説明の限りにおきましても、社会保障制度というものに対しての取り組み方は、はなはだ不まじめであります。これらの点、政府もともに、社会保障の怠慢を指摘せざるを得ません。  以上、四点を理由といたしまして反対をいたします。(拍手
  40. 河井彌八

    議長河井彌八君) 長島銀藏君。    〔長島銀藏君登壇、拍手
  41. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し、自由党を代表いたしまして賛成の意を表するとともに、旧軍人関係恩給措置につき、若干の討論をいたしまして、賛成の理由を明らかにいたしたいと存ずる次第でございます。  私は、まずもって、未曾有の混乱裡に敗戦となり、さらに昭和二十一年二月一日のいわゆるポツダム勅令第六十八号によりまして、一部の傷痍軍人を除く全軍人、すなわち戦争最大の犠牲、者たる戦没英霊を初めとするその遺家族、傷痍軍人、普通軍人等、一切の旧軍人関係恩給を停止せられましたが、さなきだに国家並びに社会の不当なる処遇により、物心両面にわたる悲惨きわまる境遇に追い込まれたるこれらの人々に対しまして、右の勅令は全く死者に鞭うつがごとき冷酷悲惨の結果を招いたのであります。すでに講和独立いたしました平和の時代において、穏健中正なる国民感情に照らせば、まことに今昔の感に堪えぬ次第であります。一人の生命は地球より重いと申しまするが、ひたすら国家の命ずるところに従って絶対無二の生命を捧げた戦没者を初め、その遺族や傷痍軍人並びに老齢軍人等の、数年間にわたる暗黒にして絶望の忍苦時代を思えば、誰か一掬の涙なきを得ましょうか。幸いにも国民の道義未だ地に落ちずして、あるいは本院における超党派的な決議案の可決となり、あるいは講和会議による主権回復に伴う戦傷病者戦没者遺族等援護法の制定となり、忍苦八年にしてようやく昭和二十八年八月法律百五十五号の軍人恩給の復活となったのであります。私はここに軍人恩給の沿革を繰り返すのではありませんが、かくのごときイバラの道をたどって、ようやく今回の法案にまで成長いたしましたことは、ひとえに関係者諸団体の熱意ある請願陳情が盛り上って、窮乏財政の中を辛うじて中央突破の道が開けたのであって、見えざる英霊の感応冥福はもとより、御遺族や旧軍人も一応満足し、感激すべきであり、また現段階においては深く感謝しておられるものと信じて疑いません。  さて、本法案立法に関しましては、過般の衆議院の総選挙の当時より今日までに、自由党案、民主党案、両派社会党案など、にぎやかに発表せられたし、関係者団体からも具体案をひっさげて盛んに陳情しておりまするが、現下の国家財政の諸制約を離れて理論的に勘案いたしますならば、民主、自由両党の共同案たる本案にもいささか隔靴掻痒の感がありまするし、また関係者団体の理論的要求からみれば、なおはなはだ理想に遠いものがあることは申すまでもありません。一例をあげまするならば、日本遺族会においてはかように申しております。  その一、公務扶助料において給年ベースを一万二千円として文官並みにすることはけっこうだが、文官のベース・アップの場合に同様のベースとすることを予定のもとに立案せられたものであるかどうか。その二は、下士官、兵の号俸の引き上げはけっこうであるが、二十六割五分は引き上げることとしていただきたい。現行倍率は改めなければならないということであります。その三は、公務死の範囲について、軍人、準軍人のみを対象とせず、軍属をも対象とすべきである。また勤務地を戦地に限定する理由はない。戦地外の公務死をも包含せらるべきである。またその期間も大東亜戦争以降とせず、日支事変以降とすべきである。その第四は、責任自殺者の範囲も、終戦時だけでは不当であるから、少くとも日支事変までに遡及しなくではならない。その五、遺族の範囲も碁子縁組等の欠権を防止しなければならない。援護法のみでなく、公務扶助料支給の対象としなければならない。またその期間も終戦時より現在までとしなければならないがどうか、ということでございます。  これらの要求は、まことに条理正しいものであります。また傷痍軍人、普通軍人及び老齢軍人の団体においても、それぞれ無理からぬ要求を持っていることは各位のすでに御承知の通りであります。  私は西ドイツにおける戦争犠牲者の援護に要する費用が国家の総予算の三分の一、すなわち三三%であることを承知しておるのでありまするが、昨年西独に参りまして、戦争犠牲者に対する国費の支出状況、物心両面における援護の状況等を親しく観察いたしましたが、その整然たる処遇に対しましては感服のほかなく、一驚を喫した次第でありまするが、各位の御調査におかれましても、世界各国とも巨額の支出をしていることは御認識のことと存ずる次第であります。従いまして、民間一部に流布するところの敗戦責任を軍人のみに負担せしめんとする偏見や、あるいは現在程度で早くもすでに恩給亡国論を唱えるがごときは、世界の大勢を知らざるもはなはだしいと断定せざるを得ないのであります。私は国会においても、政府においても、向後十分関係団体並びに最大多数の国民感情に耳を傾け、国力の伸展に比例して遅滞なく立法の上に反映せしめなければならないと信じ、特に政府が今後とも不断の努力を傾注せられんことを要望いたすものであります。  以上申し述べましたごとく、法案で命はかえられず、金で涙はぬぐわれませんが、乏しい一兆円の予算のワク内で、国家としてあと弓限りの補償をささげんとするこの飛躍的措置に対し、私は衷心より賛意を表するものでありまして、この法案の成立が国民の道義を高揚し、同胞相愛のあたたかい情誼を一そうわき上らせることを念願いたす次第であります。  最後に、本法案提案者たる高橋等君外百十一名の提案議員諸公の御努力に対し、さらにまた本院同僚関係議員諸公の熱心なる御努力に対しまして、満腔の敬意をささげまして、私の討論を終る次第であります。(拍手
  42. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。まず恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  44. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案、全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  45. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正通り議決せられました。      ─────・─────
  46. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十二、関税定率法等の一部を改正する法律案  日程第十三、関税定率法の一部を改正する法律案  日程第十四、日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資の処理に関する法律案  日程第十五、資金運用部資金法の一部を改正する法律案  日程第十六、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  日程第十七、余剰農産物資金融通特別会計法案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、六案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長青木一男君。    〔青木一男君登壇、拍手
  48. 青木一男

    ○青木一男君 ただいま議題となりました六法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。本案のおもな改正点を申し上げますと、第一点は現行関税定率法によりますと、輸出された貨物で輸出許可の日から二年以内に輸入され、性質、形状が変っていないものについては無条件免税の取扱いをすることとなっておりますが、海外の建設工事等に使用する目的輸出された機械設備等で政令で定めるものにつきましては、その性質にかんがみて二年をこえてから輸入される場合にも関税を免除しようとするものであります。第二点は、原油、重油及び粗油については従来暫定的に関税を免除する措置を講じて参っておりますが、最近の経済状況にかんがみ、石炭との関連において燃料の合理的な使用をはかろ等の必要性から、製油原料として使用される原油、重油及び粗油には二分、B・C重油には六分五厘の関税を課することとし、これに伴う所要の徴収規定を設けようとするものであります。第三点は、重要機械類及び児童給食用乾燥脱脂ミルク並びに関税定率法の一部を改正する法律別表甲号に掲げる大豆、石油、コークス等に対する関税の免除、同法別表乙号に掲げる建染染料のうちのスレン系染料等に対する関税の軽減について、その期限が本年七月三十一日で切れることとなりますが、諸般の事情を考慮してこれらの期限を昭和三十一年三月三十一日まで延期することとし、別表甲号の暫定免税品目に新しく小麦を加えようとすることであります。  以上のほか、保税倉庫に置かれた外国貨物の外貨表示価格の換算については、輸入申告の日の為替相場によることに改める等、所要の改正をしようとするものであります。  なお関税の暫定的免除軽減の措置は、政府原案では、本年六月三十日で期限切れとなるものを昭和三十一年三月三十一日まで延長することとなっていたのでありますが、先に成立を見ました衆議院大蔵委員長松原喜之次君の提出にかかる関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律によりまして、とりあえず本年七月三十一日まで延長する措置がすでに講ぜられたのでありまして、これに伴って政府原案昭和三十年六月三十日は当然昭和三十年七月三十一日にしなければならないこととなったのでありまして、この点衆議院において修正をするとともに、施行期日についても、昭和三十年七月一日を昭和三十年八月一日に修正いたしたものでございます。  本案の審議に当りましては、すでに成立いたしました所得税法の改正法等とともに公聴会を開催する等慎重に審議したのであります。おもな質疑について申し上げますと、「いわゆる石油関税復活の理由は何か」との質疑に対し、「経過的にいうと、炭化水素油については、昭和二十六年の改正によって従量税から従価税に切りかえられ、別表税率は、国産原油保護等の見地から一割と定められたものであるが、当時タンカー運賃の高騰等のため、その影響を考慮して哲定的免税措置が講ぜられてきた。その後タンカー運賃も下り、一昨年あたりから一部に関税復活の意見が起った。今回関税を復活することについては、国産原油開発五カ年計画との関連もあり、かつまた石炭対策との一環として考えられたのであるが、水産用等への影響を考慮して、主として石炭と競合するものについて低率関税を復活することとした」との答弁があり、「重油に対する課税が復活し、価格が多少上昇してもその効率からして重油消費は減らないと思うが、石炭との調整をいかにするか」との質疑に対し、「昨年四月から重油ボイラーの転換は行政指導をしているが、今回の関税復活と提案中の重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案に基く両措置によって、重油消費を石炭消費に転換せしめることとしている。ボイラー用重油の消費量は、年間約百八十万キロリッターあるが、五年計画として約百万キロリッターを石炭に転換せしめるつもりである。もちろん技術的に困難なものについては、強要は避ける。百万キロリッターは、石炭換算約百八十万トンに相当し、このことは現下の石炭事情からするとその効果は重大である」との答弁があり、また、「衆議院大蔵委員会における付帯決議によれば、陸上用B・C重油中、特に輸出に重要な関係を有する中小企業その他の産業において使用するものに対しては、極力関税復活による悪影響を及ぼさないよう行政措置を講ぜられたいとのことであって、政府においては了承したと聞くが、結局課税による負担のしわはいかに転嫁されるのか」との質疑に対しては、「水産用等の海上用B・C重油については、石炭の競合もほとんどないし、中小経営が多いので、できるだけ影響をなくしたい。すでに昨年四月から行政指導をしているが、今後はその影響を極力石油業者等に吸収せしめたい。また陸上用のもののうち、ボイラー用のものは課税による影響はいたし方ない。鉄鋼部門のうち平炉用のものは一応問題であるが、石油業者等に相当部分吸収せしめることとしたい。輸出産業のうちそのコストに著しく影響あるものについては石油業者等に吸収せしめていきたいと考えている」との答弁があり、さらに、重油の販売機構は比較的確立されているようであるが、行政指導によって用途別に価格差を設けるごときは、はたして維持できるか」との質疑に対しては、「特約店、元売業者との連係は判然としており、できると思う。現在、末端において協定価格が順守されない場合は、元売業者への外貨割当で手かげんされることとなっておるので、御懸念の点は外貨割当で調整することによって実行されるものと思う。また提案中の重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案が成立施行されれば、同法第六条、重油の生産業者等に対する指示の規定と相待って実効を期したいと考えている」との答弁がありました。なお、「結局石油関税の復活は、石炭対策か、国産原油の保護か、不明確である。国産原油の保護となると、本案のごとき低率関税では意味がない。また石炭対策として、水産用等には影響を与えないようにし、また衆議院大蔵委員会の決議に沿って行政措置を講ずるとなると、結局石炭と競合する重油の範囲は狭まってくる。また石油関税復活を政府の基本政策である低物価政策をくずさない範囲内で考えるとすると、石炭対策という意味がなくなるのではないか。政府は将来基本税率まで引き上げる考えがあるか」との質疑に対しては、「現在総合燃料対策を検討しているが、将来石炭は燃料としてではなく高度化して使用したいが、それには時日を要することであり、また石炭業界の現状からして将来は五千万トン確保したいと考えている。この点から無制限に重油を輸入することは避くべきであるとともに、重油ボイラーの石炭への転換も進めていかなければならない。と同時に、適当な関税をも復活せしめようとのことであって、国産原油についても将来需給度を高めていかなければならないとも思っている。ある程度高率関税を復活する必要があるということはわかるが、今後基本税率である一割まで引き上げるかどうかは十分研究していく」との答弁がなされたのであります。その他詳細は、速記録によって御承知願います。  次に、関税定率法の一部を改正する法律案について申し上げます。  別途、関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件が、外務委員会において審議中でありますが、本案はこのいわゆるガット加入のための関税交渉の結果を考慮して、所要の改正をしようとするものであります。  以下改正点を申し上げますと、現行関税定率法は、昭和二十六年の改正の際、従価税率一本建に整理されたのでありますが、今回の関税交渉の結果、フィルムの一部について従量税率による協定がなされたことに伴い、露出済みの映画用フィルムの税率を従量税率に改めることとし、生フィルム以外の映画フィルムのうち、ニュース映画用のものについてはその公共性にかんがみて、一メートルまたはその端数ごとに十円、ニュース映画用以外のものについては、一メートルまたはその端数ごとに、フィルムの幅が三十ミリメートルをこえるもの五十円、十ミリメートルをこえ三十ミリメートルをこえないもの二十五円、その他のもの十五円の税率を設定しようとするものであります。  なお、この改正によって、税率は従価税率と従量税率の二木建となりますので、関税は輸入貨物の価格または数量を課税標準として課するものであることを明らかにし、複関税、報復関税及び不当廉売関税を課する場合の規定を整備するほか、加工または修繕のため輸出された貨物で輸出の許可の日から一年以内に輸入される貨物については、従価税品及び従量税品のいずれの場合にも関税を軽減することができることとする等の改正をしようとするものであります。なお、この改正はガットの譲許税率の適用と同時に施行することとされております。  本案につきましては、ガットの関税交渉の経過について説明を聴取する等審議をしたのでありますが、質疑のおもなるものを申し上げますと、「映画用フィルムに従量税率を適用することとしたのはいかなる理由か」との質疑に対し、「映画用フィルムには本来からいうと、従量税を適用することが最も適当している。現在は輸入されるものの約八割が興行成績いかんによる歩合制となっているので、課税価格の決定はきわめてむずかしい。現在は生フィルム代、現像代、焼付代等を加算してCIF価格を算出しているが、これでは不合理であるので、かねがね研究中であった。ガットの関税交渉においては、一メートルまたはその端数ごとに三十円という譲許税率が取りきめられたが、これは現行従価税率三割よりも四割一分ほど高くなるので、現在の天然色映画フィルムについての売切買切契約の本国送金額現行税率を課した場合を従量税率に換算したものを基準として、三十五ミリメートルのものについて、一メートルまたはその端数ごとに五十円等とすることとし、従量税率を採用することとした」との答弁がありました。その他ガット協定、いわゆる新ガットの問題等について質疑がなされましたが、詳細は速記録に譲ることを御了承願います。  以上二法案について質疑を終了し、一括して討論に入りましたところ、平林剛委員より、「関税定率法等の一部を改正する法律案について、国産原油は国内需要量の五%に過ぎず、今後とも輸入重油への依存度が高まると思うが、このことは、強大な国際石油カルテルの支配力を強めることとなり、わが国の経済自立を阻害する危険がある今日、石油関税復活は妥当な措置である、また基本資材ではあるが、石油業者が高利益を得ている現状においては、関税を課すべきである。その影響は石油業者に吸収せしめるとの答弁があったが、この点政府の積極的な研究を要望する。今後タンカー運賃の下落という事情は続くと思うので、基本税率まで復活すべきであり、政府も諸般の事情を考えて処置するとのことであるので、本案賛成する」との意見が述べられました。  討論を終り、関税定率法等の一部を改正する法律案について採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定し、ついで関税定率法の一部を改正する法律案について採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資の処理に関する法律案について申し上げます。  現在、日本開発銀行が電源開発促進法の規定に基いて電源開発株式会社の株式五十億円を保有いたしているのでありますが、これは電源開発株式会社創立の当時における予算編成上の都合により、便宜日本開発銀行をして、政府にかわって同社の株式を保有せしめたのでありまして、日本開発銀行の本来の業務から申しまして変則的なものであります。他方、一昨年来、日本開発銀行と農林漁業金融公庫及び中小企業金融公庫との間に、業務分野の正常化をはかるため、債権の承継を行なつたのでありますが、今般その最終処理として、日本開発銀行が両公庫に対して持っている貸付金を、政府の産業投資特別会計に引き継いで、同特別会計からの両公庫に対する出資金とすることとし、本国会に中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案が提案され、すでに可決されておるのであります。本案はこの機会に、日本開元銀行が保有する電源開発株式会社の株式をも産業投資特別会計に引き継ぐことによりまして、日本開発銀行が本来の融資活動に専念できるようにしようとするものであります。すなわち日本開発銀行の保有する電源開発株式会社の株式を、政府の産業投資特別会計に帰属させ、同時に日本開発銀行は、引き継いだ株式の額面金額の合計額と同額だけ減資することとし、また電源開発促進法のうち、日本開発銀行が電源開発株式会社の株式を保有することができる旨の規定を削除しようとするものであります。  次に日本開発銀行法中の同行の資本金の額を、さきに申しました両公庫に対する貸付金を産業投資特別会計に引き継ぐ分等を含めまして、現在の資本金二千四百六十二億二千万円を二千三百三十九億七千万円に改めようとするものであります。本案審議の詳細につきましては速記録により御承知願いたいと思います。  質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。  次に、資金運用部資金法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  本改正案の第一は、現在の資金運用部資金法によれば、五年以上の預託金はすべて年五分五厘の利子を付することになっておりますが、より長期の預託金に対しても、それに相応した適正な利子を保障するために、五年以上七年未満のものは従来通り年五分五厘とし、新たに約定期間七年以上の段階を設け、年六分の利子を付することといたそうとするものであります。第二は、現行資金運用部資金法によれば、資金運用部預託金の契約上の預託期間は三カ月を下らないものと規定されており、各特別会計等におきまして三カ月未満の短期の余裕金があっても、資金運用部に預託することができない事情にありますので、これらの特別会計等に対し、短期資金の運用の道を開くため、最低約定期間を一カ月に引き下げ、一カ月以上三カ月未満のものについても預託を認めることとし、それに対し年二分の利子を付することといたそうとするものであります。なお、期限前、払い戻しの場合の利率は、現存預託されていた期間が三年以上のときは年四分五厘、三カ月未満のときは利子を付さないことになっておりますが、以上の改正に伴い、預託期間が五年以上のものについては年五分とするとともに、一カ月以上三九月未満のときは年一分五厘といたそうとするものであります。第三は、資金運用部審議会の委員が十名で、この委員のうち学識経験者は三名以内となっておりますが、学識経験者の数を二名増加し、五名以内とし、委員の総数を十二名以内といたそうとするものであります。本案審議の詳細につきましては速記録により御承知願います。  質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、厚生保険特別会計法並びに船員保険特別会計法についてその一部を改正しようとするものであります。  まず厚生保険特別会計法の一部改正について申し上げますと、第一点は、政府の行なっている健康保険の給付費が異常に増加し、支払財源に不足を生ずるに至ったことは御承知の通りでありますが、この補てんのために、昭和三十年度以降七カ年度間、毎年度十億円を限り、一般会計からこの会計の健康勘定に繰入金をすることができることとしようとするものであります。第二点は、日雇労働者健康保険事業の保健施設及び福祉施設に充てるための経費について、日雇健康勘定から業務勘定へ繰入金ができることとし、これに伴って業務勘定の決算上の剰余金については、日雇健康勘定の積立金へも組み入れできることにしようとするものであります。  次に船員保険特別会計法の一部改正でありますが、船員保険で行う給付のらち、健康保険の給付に対応する給付の費用が異常に増加を来たしたのでありますが、その財源の一部に充てるために、昭和三十年度以降六カ年度間、毎年度二千五百万円を限り、一般会計からこの会計に練り入れることができることとしようとするものであります。  本案につきましては、厚生保険特別会計の昭和二十九年度及び三十年度の支払い財源の不足の発生事情等について質疑がなされたのでありますが、速記録によって御承知願います。  質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  最後に、余剰農産物資金融通特別会計法案について申し上げます。  今国会において、去る六月二十四日、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定承認されましたが、本案は、右の協定に基きまして、米国余剰農産物の購入に伴い、アメリカ合衆国から借り入れることとなる外貨資金を財源として、電源開発、農地開発等、わが国の経済発展を促進するために行う資金の貸付の経理を明確にするために、一般会計と区分して、新たに余剰農産物資金融通特別会計を設置しようとするものであります。  本案の概要を申し上げますと、この会計は大蔵大臣が管理することとし、借入資金の借り入れによる収入金、貸付金の償還金及び利子等をもって歳入とし、貸付金、借入資金の償還金及び利子、事務取扱費、借入資金の償還に関する諸費をもって歳出とすることとし、その他予算決算の作成及び提出、損益の処理等について、特別会計に必要な事項を規定しようとするものであります。  本案審議に当りましてのおもなる質疑を申し上げますと、「政府が農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基いて借り入れる外貨資金を財源として、電源の開発、農地の開発、その他本邦の経済の発展を促進するため資金の貸付を行うが、その資金計画はどのようになっているか」との質疑に対し、「電源開発に百八十二億五千万円、農地開発に三十億円、その内訳は愛知用水関係二十四億五千万円、篠津地域四億五千万円、根釧地域五千万円、上北地区五千万円であり、生産性向上本部一億五千万円となっている」旨の答弁がありました。その他いわゆる余剰農産物協定に関し、種々質問がなされたのでありますが、その詳細は速記録によって御承知願います。  かくて質疑を終了し、討論に入り、平林剛委員より、「いわゆる余剰農産物協定に社会党は反対である。その理由としてアメリカが過剰農産物の処理に困って、隷属国とじての日本に押しつけたような協定であると指摘されており、アメリカが得をする協定である。この措置によって、わが国の農業及び学童給食に対する児童の心理的影響、さらには東南ア諸国に及ぼす影響等を考慮して反対する」旨の意見が述べられ、松澤委員より、「第一に余剰農産物協定反対である。第二に、本特別会計の資金の運用に自主性がない」旨の反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  49. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより六案の採決をいたします。  まず、関税定率法等の一部を改正する法律案  関税定率法の一部を改正する法律案日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資の処理に関する法律案  資金運用部資金法の一部を改正する法律案  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  以上、五案全部を問題に供します。五案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  50. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって五案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  51. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、余剰農産物資金融通特別会計法案、全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  52. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ─────・─────
  53. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十八、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長小林英三君。    〔小林英三君登壇、拍手
  54. 小林英三

    ○小林英三君 ただいま議題となりましたけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法律案提案理由及び概要を申し上げます。  金属鉱山、窯業等粉塵作業に従事する労働者が罹患するけい肺は、不治の病気でありまして、結局は、死に至る最も悲惨なる職業病であります。また鉱山における落盤、高所よりの墜落等によるせき髄損傷は、これまた、けい肺と同様不治でありまして、その症状ははなはだ悲惨なものであります。本法案は、これら特殊な業務上の疾病に対しては、一般の業務上の疾病に対する対策のほかに、さらに人道的見地に立って特別の保護を与えんとするものでありまして、けい肺に対しては、けい肺健康診断を行なって、労働者の健康管理を厳重に行い、診断の結果、作業転換を必要とする者には、転換給付を支給して、作業転換を行い、療養の必要な者には、従来の労働基準法、労働者災害補償保険法による三年間の補償をこえて、さらに二年間の療養給付及び休業給付を支給して、けい肺にかかった労働者に対して、特別の保護を与え、その生活の安定をはからんとするものであります。また外傷性せき髄障害についても、けい肺と同様に療養給付、休業給付を支給せんとするものであります。しこうして転換給付、療養給付及び休業給付に要する費用につきましては、その三分の一は国庫が、残りの三分の二は使用者が負担することになっておりまして、使用者の負担金の徴収につきましては、原則として労災保険の保険料の徴収に準じて政府が徴収することになっております。  以上が政府の提案の概要でありますが、衆議院におきましては、次の修正が加えられたのであります。  第一に、常時粉塵作業に従事する労働者で、労働基準法に定める定期の健康診断の際に、肺結核にかかっていると診断された者に対しては、そのつどけい肺健康診断を行うこと。第二に、作業転換を行なった労働者に対しても、原則として三年に一回けい肺健康診断を行うこと。第三に、本法に基く給付に要する費用の負担の割合を、国庫二分の一、使用者二分の一に改めること。第四に、本法の公布の日以後施行の前日までの間に打ち切り補償が行われた者についても、療養給付及び休業給付を二年間支給すること、であります。  社会労働委員会におきましては、慎重に審議を重ね、熱心な質疑応答が繰り返されました。特に給付金の負担区分の点、厚生年金保険法に基く傷害年金をあわせ支給する点及び適用事業の範囲等が問題となりましたが、詳しくは速記録により御承知願いたいと存じます。  かくして七月二十六日質疑を終了いたし、討論に入りましたところ、自由党を代表して榊原委員より、「本法案法律の体系、けい肺の診断あるいは厚生年金保険法に基く障害年金の併給等について、いろいろ不備ではあるが、けい肺患者等の早急なる保護が必要であるので賛成する」旨。緑風会を代表して田村委員より、「厚生年金保険法に基く傷害年金の併給は問題であるが賛成する」旨、社会党第二控室を代表して相馬委員より、「船員に対してもすみやかに本法と均衡のとれた措置を講ずることを要望して賛成する」旨、社会党第四控室を代表して吉田委員より、転換給付の増額、作業転換後の就労施設等の設置、平均賃金のスライド制、船員にも本法の保護措置を講ずること等を要望して賛成する」旨、民主党を代表して有馬委員、無所属クラブを代表して長谷部委員より、それぞれ本法案賛成する旨の討論がありました。  かくて討論終了後、直ちに採決に入りましたところ、全会一致をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  55. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  56. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  57. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十九、自動車損害賠償保障法案内閣提出、衆院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員長加藤シヅエ君。    〔加藤シヅエ君登壇、拍手
  58. 加藤シヅエ

    ○加藤シヅエ君 ただいま上程になりました自動車損害賠償保障法案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  わが国の自動車は戦後急に増加し、現在約百三十余万両に達しております。これによる事故もまた車両数の増加とともにふえ、二十九年度の事故統計によりますと、全国の自動車による死傷事故は年間に七万二千五百件に達し、一日平均百九十二件、一時間に八件という驚くべき犠牲者を出しているのであります。しかしながら、今日もはや自動車の利用は、生産面はもとより、私どもの消費生活にまで深く浸透しておりまして、それによるある程度の自動車事故の発生は不可避な現象を呈していることもまた否定できないのであります。よって自動車事故による被害者の救済は、機械文化の発達しております諸国にとりましては必要なる社会的措置でありまして、諸外国におきましては、つとに自動車損害賠償保障制度が確立されておる次第であります。今回わが国におきましても、諸外国の立法例にならいまして、自動車の運行により人の生命または身体が害されました場合における損害賠償保障制度を確立しまして、不可避的な自動車事故による被害者の保護に万全を期するため、この法律案が提案された次第であります。  次に、この法律案内容大要を申し上げます。まずこの制度は、自動車による人身事故のみを対象としておることであります。次は、現行民法によりますと、被害者は故意または過失が加害者側にあることを立証して損害賠償を請求するのでありますが、この法律案におきましては、その挙証責任を転倒いたし、無過失責任主義に近づけ、民法の特例を設けておる点であります。次は、自動車事故による損害賠償能力を確保するため、人身事故に関する賠償責任保険制度を設け、原則として、自動車一車ごとにその契約の締結を強制しておることであります。この場合、保険者は損害保険会社であり、保険会社には契約の引き受けを義務づけております。また、被保険者は自動車の保有者及びその運転者であります。また、この責任保険契約の強制確保の方法といたしましては、この責任保険の契約が締結されているものでなければ、その自動車は運行の用に供してはならぬことにしております。  次に、保険金額でございますが、これは政令で定めることとなっておりまして、政府委員の説明するその案によれば、死者一名三十万円、重傷一名十万円、軽傷一名三万円ということであります。保険料率につきましては、その算定には、営利の目的の介入を禁止し、料率の決定、変更は、大蔵大臣が運輸大臣の同意を得て処分することとなっております。なお、責任保険に関し、この法律では被害者が保険会社に対し直接損害賠償の支払いを請求できるようにし、また保険会社は、被害者の請求により、保険金額限度内において一定金額を仮渡しすること等を規定するなど、被害者の保護に欠くるところのないよう努めております。なお、国または専売公社等三公社、都道府県、五大市、その他政令で定めるものは、この保険関係の適用除外といたしておりますほか、この強制保険制度の例外として、一定の車両を所有し、その他の法定基準に適合する者に対しては自家保障を許すことといたしております。  次に、この責任保険制度の特殊性にかんがみまして、政府は保険金額の百分の六十を再保険する措置を講じておりますほか、みずから保障事業をなす道を開き、ひき逃げ事故のごとく、加害者が不明な場合等において、被害者が損害賠償を受けられない場合は、被害者を保護するため、加害者にかわって政府がその損害を補てんすることとなっております。ただし、この政府の保障業務の一部は、保険会社で代行する定めになっております。  以上がこの法律案大要であります。  次に委員会における審議の経過を申し上げます。委員会におきましては、まず法案内容が一般国民の関心を有するものでありますので、六月十三日に公聴会を開催し、学識経験者、関係業者及び一般利用者から、それぞれ意見を聴取しました。詳細につきましては、委員会速記録により御存じのことと思いますので、省略いたしますが、八名中七名よりは趣旨に賛成の旨の意見の開陳がありました。  次に、質疑中に現われましたおもな点につきまして簡単に申し上げますと、第一は、この責任保険の社会保障的性格にかんがみまして、政府の負担についてただしましたところ、「政府は、再保険の事務費と国の保障事業につき、国の所有車両に応じた分を負担しているが、将来はさらに増加するよう努力したい」とのことでありました。  次に、保険者を相互組合組織のものを認めず、保険会社にしたことについて若干質疑が行われました。これにつきましては、「保険事業は相当技術的な要素が要求される事業であり、かつ事務処理件数も多いので、相当熟練した経験者にやらせるのが、業務の円滑なる運営を期する上にも便宜であると考え、従来の保険会社にやらせることとした」とのことでありました。その他保険収支に余剰を生じた場合の措置、自家保障の場合の許可基準、国の保障事業の賦課金、商品たる自動車について保険契約上の特例を設くることのほか、条文の解釈を明確にするための質問はたくさんありましたが、それらは委員会の速記録により御承知願いたいと存じます。右のうち、商品たる自動車の保険契約については、「短期契約等、適切な措置を講じたい」との政府委員の答弁がありました。  以上で質疑を終り、直ちに討論に入りましたところ、大倉精一委員から、「本案の実施に当り、一方事故防止についても、労務管理を適正にする等万全の措置を講じ、事故防止に努めるとともに、強制保険料が労務者の負担に転嫁されないようにしてほしい」との要望を付して、本案賛成の意見の開陳がありました。岡田信次委員よりも賛成の意見の開陳があり、あわせて当局に対し、「事故の増加する現状にかんがみ、本案施行については特段の配慮をなすとともに、保険者も料率の低減化をはかり、事故の処理に当っては、サービスに遺憾なきを期せられたい」との希望でありました。早川愼一委員よりも賛成の意見を述べられ、「本案には政令で定める事項が多いので、その制定に当っては被保険者の意見を十分尊重して制定するよう」要望がありました。  以上で討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致をもちまして原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。
  59. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  60. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  61. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二十、公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。文教委員長笹森順造君。    〔笹森順造君登壇、拍手
  62. 笹森順造

    ○笹森順造君 ただいま議題となりました公立小学校不正常授業解消臨時措置法案につき、文教委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  本案は、戦後の異常な人口増加に基く小学校の児童数の激増による不正常授業の解消を促進せんとする趣旨をもって、これに対する国庫補助を法制化しようとするものでありますが、政府の提出案において政令にゆだねられてありました不正常授業の定義、国庫補助の可能建築坪数等に関しまする条文その他が、衆議院において修正せられまして、それぞれ具体的に法文中に明示されたのであります。  委員会における審議の過程におきましての質疑応答のおもなるものについて申し上げますと、「国の補助率を、公立学校施設費国庫負担法の義務教育の年限延長に伴う施設の建築と同様に、二分の一に高める意向はないか」との質問に対しては、「人口の自然増に基くものであるから、国の責任のみによって起るものとはおのずから異なるべきである」との政府の答弁がありました。「補助対象の工事完了後に補助金を交付し、会計検査の批難事項とならぬよう監督を厳にする意思はないか」との質問に対しては、「町村財政の微力にかんがみ、工事完了後の補助金交付は実行困難と思われるが、工事に対する監督は厳重にして、公正を期したい」旨の答弁でありました。「不正常授業の解消の年次計画いかん」との質問には、「衆議院における修正の結果、不正常授業教室の総坪数が増加したことにより、当初の三カ年完了の計画がさらに一カ年の延長を見るであろう」との答弁がありました。「解消のための建築における鉄筋建築の比率を高めることは不可能か」との質問に対しては、「現在一五%である鉄筋建築の比率を漸次増高していく考えである」との答弁がありました。「北海道における風倒木を不正常授業解消のための建築あるいは危険校舎改築のために利用してはいかん」との質問に対しては、「研究の上、善処したい」旨の答弁がありました。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、まず堀委員より、本案に対する付帯決議案を提出して賛成討論があり、荒木、山田、加賀山、松原の各委員より、「本法案は地方財政窮乏の際、まことに当を得た措置である。風倒木の利用に関しては、政府は十分考慮すべきである。鉄筋建築の占める比率は、むしろ従来の逆となるよう、木造建築以上に高めることを希望する。不正常授業の解消は、確たる方策を樹立し、継続的に、かつ迅速にその成果をあげるべく強力に推進すべきである」等の意見を付して、賛成討論が開陳されました。  次いで採決の結果、本法案は、全員一致をもって、堀委員提出の付帯決議案を付し、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上をもって御報告を終り、付帯決議案を朗読いたします。  本法律に基く予算額の積算にあたっては、予算執行年度の不正常授業の実態に即応せしめることは勿論、更に自後の児童の急増による不正常授業の増加の状況にも即応するよう措置し、早急にその解消を図ること。  二、地方財政の長期節約、木材資源の保護及び災害防止等の見地から、鉄筋、鉄骨等の建築に関する予算措置にあたっては、現在の比率を大幅に引き上げること。
  63. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  64. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  65. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二十一、国立国会図書館運営に関する議院運営委員長報告。  委員長報告を求めます。議院運営委員長郡祐一君。    〔郡祐一君登壇、拍手
  66. 郡祐一

    ○郡祐一君 国立国会図書館法第十一条の規定によりまして、図書館の経過に関する館長の報告、図書館の予算並びに館長の定める諸規程につきまして、議院運営委員会におきまする審査の経過並びに結果を御報告いたします。  第一に、館長の報告につきまして、その内容のおもなるものを御説明申し上げますると、昭和二十九年度の業務実績等のうち、まず図書その他による直接の奉仕であります。すなわち、国会議員に対する奉仕といたしまして、調査及び立法考査局が処理いたしました考査件数は二千五百余件に上り、また行政、司法各部門に対する奉仕としての図書館閲覧者数は約十二万八千人、国民に対する奉仕としての閲覧者数は、中央館約十六万人、上野図書館、静喜堂文庫、その他の支部図書館の閲覧者数は四十万人をこえる状況であります。次に、図書館の奉仕に必要な立法資料の収集につきましては、年々立法考査及び調査の依頼は、件数、内容ともに増加し、かつ複雑となって参りまするので、これに適応するための資料収集の迅速化をはかっております。なお原子力関係資料については、広く一般の利用をはかるため、昨年十二月からこれを公開して閲覧に供しておりますが、現在備付の資料は、米国原子力委員会報告書約一千五百冊と、関係和洋図書約四千冊であり、なお国際連合及び諸国の情報等を収集しておりまするのみならず、本年に入り米国政府から寄贈される予定の原子力文献を引き取りて、整理、保管し、閲覧に供することとなっております。  ここに特に申し添えたいことは、昨年十一月、幣原平和文庫の寄贈を受けたことでありまして、現在その図書は約二千三百冊あり、今後も順次寄贈される予定になっておることであります。  次にP・Bリポート、すなわち科学技術に関する資料の地方センター開設の件でありますが、現在東京にあります約八万八千件のP・Bリポートの大部分を写真で複写いたしまして、さきに大阪府立図書館に送り、公開いたしましたが、その後、その一部を福岡県立図書館及び名古屋の鶴舞図書館でそれぞれ公開しております。  国立国会図書館の建築計画につきましては、図書館設立以来すでに七年を経た現在、なお図書館自身の建物を持っておりませんので、図書の飛躍的増加に伴って、庁舎の建築はますます急務となっておるわけでありますが、工事の方は、予算の関係等もありまして、目下基礎工事が進行している状況であります。  第二に、図書館の昭和三十年度関係の予算であります。これは、館長の調製した四、五、六月分の暫定予算及び総予算を、それぞれ予定経費要求の段階において、庶務関係委員会及び本委員会で審査いたしたのでありますが、その内容はすでに成立した予算の下りちに示された通りでありまするから、ここで申し上げることを省略いたします。  第三に、館長の定める諸規程であります。これは国立国会図書館組織規程、国立国会図書館職員苦情処理規程及び国立国会図書館建築協議会規程につき、主として国会法国立国会図書館法等の改正に伴い所要の改正を行なったことと、常任委員会専門員の図書館転入に関連して、国立国会図書館定員規程の一部を改正したことであります。  以上の諸点のうち、館長の報告に対しましては、各委員から、図書館の機構、本館の建築、予算の細目、人事等について質疑並びに意見の開陳が行われました。なかんずく人事につきましては、両院の専門員の図書館転入に関連して、図書館の専門調査員の選考基準、給与関係等について活発な質疑応答がなされ、また来年度の予算要求につきましては、図書館の機能拡充のため、本委員会としても善処する必要があるとの意見が述べられたのであります。  以上が、館長の報告、予算並びに諸規程の内容及び審査の経過の概要でありますが、本委員会は、いずれもこれを異議がないと決定した次第であります。  右、御報告いたします。(拍手)      ——————————
  67. 河井彌八

    ○議場(河井彌八君) 日程第二十二より第九十七までの請願を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。文教委員長笹森順造君。    〔笹森順造君登壇、拍手
  69. 笹森順造

    ○笹森順造君 ただいま議題となりました請願第十一号、公立学校施設危機打開に関する請願ほか百二件は、委員会において慎重に審査いたしました結果、いずれも願意妥当と認め、これを院議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  70. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  71. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  72. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第九十八より第百三十四までの請願を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。建設委員長石川榮一君。    〔石川榮一君登壇、拍手
  74. 石川榮一

    ○石川榮一君 ただいま議題となりました日程第九十八号から第百三十四号までの請願三十九件につきまして、建設委員会の審議の結果を御報告申し上げます。  これら請願中、河川に関するものは、熊本県白川ほか諸河川の改修工事及び砂防工事の施行、もしくは促進並びに熊本県球磨川等、諸河川における災害復旧事業の施行、もしくは継続促進に関するもののほか、熊本県市房ダム建設、香川県における地盤変動対策事業の促進、新潟市海岸決壊防止及び富士山ろくにおける米軍演習に起因する水害防止対策等に関するものであります。  次に、道路に関するものといたしましては、三号国道中、三太郎峠を初め全国各地の国道、道府県道の改修並びに舗装等の促進、橋梁の架設及び永久橋にかけかえ、薮原高山線等、道府県道の一部もしくは全部の国道編入に関するもののほか、天龍川沿岸道路の新設、車両制限令制定反対及び昭和三十年度道路予算の確保等に関するものであります。  次に、住宅につきましては、住宅対策及び住宅施策の強化等に関するものであり、都市計画につきましては、高知県安芸市の都市計画の促進に関するもののほか、都市計画街路事業実施地域指定に関するものであります。このほか建設工事請負契約是正等に関するものであります。  以上、いずれも国土の保全、開発、道路の改善、住宅建設等のため、願意おおむね妥当なるものと認めまして、これを議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。なお、住宅に関するもののうち、建設基準法の一部改正に関するものにつきましては、これまた願意妥当なるものと認めまして、議院の会議に付することを要するもので、内閣に送付することを要しないものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  75. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は、委員長報告の通り採択し、日程第百三十四の請願のほかは、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  76. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、日程第百三十四の請願のほかは、内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十七分散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、鉄道建設審議会委員補欠選挙  一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件  一、日程第一 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の一部を改正する法律案  一、日程第二 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案  一、日程第三 漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画改正について承認を求めるの件  一、日程第四 北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案  一、日程第五 中小企業安定法の一部を改正する法律案  一、日程第六 繊維製品品質表示法案  一、日程第七 株式会社科学研究所法案  一、日程第八 石油資源開発株式会社法案  一、日程第九 石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案  一、日程第十 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十一 国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十二 関税定率法等の一部を改正する法律案  一、日程第十三 関税定率法の一部を改正する法律案  一、日程第十四 日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資の処理に関する法律案  一、日程第十五 資金運用部資金法の一部を改正する法律案  一、日程第十六 厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  一、日程第十七 余剰農産物資金融通特別会計法案  一、日程第十入 けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法案  一、日程第十九 自動車損害賠償保障法案  一、日程第二十 公立小学校正常授業解消促進臨時措置法案  一、日程第二十一 国立国会図書館運営に関する議院運営委員長報告  一、日程第二十二乃至第九十七の請願  一、日程第九十八乃至第百三十四の請願