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1955-07-25 第22回国会 参議院 本会議 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十五日(月曜日)    午前十一時九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十号   昭和三十年七月二十五日    午前十時開議  第一 昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)(委員長報告)  第二 農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 優生保護法の一部を改正する法律案谷口弥三郎君外四名発議)(委員長報告)  第四 通商産業省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、鉄道建設審議会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  去る十五日、内閣総理大臣から、鉄道敷設法第六条第二項の規定により、佐藤博夫君、平山孝君、今里広記君、関桂三君、湯河元威君、迫静二君、島田孝一君、山崎匡輔君鉄道建設審議会委員に任命することについて、本院の同意を得たい旨の申し出がございました。本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。      ─────・─────
  6. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私はこの際、売春取締りに関する緊急質問動議を提出いたします。
  7. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、ただいまの加藤君の動議賛成いたします。
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 加藤君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。加藤シヅエ君。    〔加藤シヅエ登壇拍手
  10. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私は社会党を代表いたしまして、売春取締りの問題について、政府の御所見をただしたいと存じます。  売春は罪悪であり、婦女子売春をさせて営利を求めることが公然と企業化されている今日の日本社会現状が歎かわしいものであることは、たれびとも異論をはさむ余地のないところでございます。しかるに、超党派的に署名されたる議員立法としまして、売春等処罰法案は去る七月十九日衆議院法務委員会において、また同二十日の本会議において否決せられました。この法案否決せられるに至るまでの理由、いきさつというものがいかなるものであったかは別として、いわゆる赤線青線と称せられる売春地帯が繁栄している現状にあっては、無力、貧困、失業に追い回される婦女子は、せめて一時の急を逃れんと醜業の泥沼に転落する者その跡を断たず、現に二十日衆議院における法案否決の翌々日二十二日、参議院会館の私の部屋に、私を頼って吉原を脱出した一女性があったことは新聞に報道された通りでございます。彼女の私に語りましたところの身の上話によりますと、幼い頃両親に死別し、一人の弟とともに継母のもとに身を寄せ私立大学に学ぶ途中、複雑な家庭事情に迫られまして、学資はとだえ弟は結核にかかり、その治療費を求めてついに転落、辛うじて毎月一万円の薬代捻出はしたものの、四カ月働くうちに二万数千円の借金ができているのに驚いて、当もなく飛び出し、服毒自殺未遂にて病院に入れられ、所持金を全部使い果しまして、昔私の講演を聞いたことを思い出して、私をたずねて来たと申しております。  家庭保護者なく、病気の弟をみてくれる施設なく、薬代を求めて悩んだ一女性に開かれた唯一の門は吉原の大門でございました。このような相当の教育を受けた女にとっても、なおみずからの肉体を売るという道を選ばせ、また吉原生活の恥しさにたえかねて逃げてはみたものの、服毒自殺を試みる以外に受け入れ態勢が見つからなかったこの一女性の歩んだ道を目の前に見せられますときに、文化国日本の姿の痛ましさに、私は責任を痛感いたしますものでございます。今日世間に頻発する生活に困窮した親が、愛児を道連れに心中するのをたれがとがめることができましょうか。社会保障制度確立なき社会生活不安、悲哀を痛感いたすものでございます。  そこで、私はまず総理大臣にお伺い申し上げます。総理大臣友愛精神道義高揚を説かれ、政府閣僚の身辺から清潔な政治道徳の実践を目ざして歩み出された鳩山内閣総理大臣として、売春問題の現状を黙認してよいとは思われないことはお伺いするまでもございませんが、政府売春問題対策基本的理念がどこにあるかは重大でございます。この問題の対策は複雑であるだけに、その複雑性に乗じてややもすれば安易な妥協や、問題が悪化するおそれがございます。かく私がお伺いするとき、総理大臣は、そんなことならすでに委員会その他においてたびたび明らかにしているとお思いになるかもしれませんが、この問題は、過日の衆議院における法案否決と、政府与党が提唱し、自由党が同調した決議案の可決によって、問題は明らかに次の新しい段階に運ばれたとみなければならないのでございます。そのために私は総理売春問題に対する基本的理念を明確にしていただきたい必要に迫られたのでございます。簡単にお伺い申し上げますから、どうか簡単にお答え下さいませ。総理大臣は、売春行為及びこれを助長する行為は絶対に禁止しなければならないという考え方に御賛成でございましょうか、どうでございましょうか。またはこうしたことは悪であるには違いないが、社会生活にとっていわゆる必要悪であるから、害毒を最小限にとどめる方法を講じつつ、必要悪としての存在はやむを得ないというお考え方、この二つがございます。この売春対策に対する二筋の道のどちらを選ばれるか、前者か後者か、これを総理大臣の口から、はっきりと聞かしていただきたいのでございます。  次に、花村法務大臣には四つの点についてお伺い申し上げますからお答え下さいませ。第一に、政府与党によって提唱、議決せられたところの売春等に関する決議文の中には、「政府はこの際、内閣に強力なる審議機関を設けて、その議を経て行政、立法予算措置など総合対策を作成し、国会審議を要するものについては次の通常国会に提出して」云々と、こうございますが、これに対して花村法務大臣は、「善処いたします」との発言をなされましたように伺いましたが、どのように善処されるのか、次の諸点について御答弁をお願い申し上げます。  第一に、決議文にあるところの強力なる審議機関を設ける場合に、現在存在する内閣売春問題対策協議会と重複することになりますが、その処置はどうなさるおつもりでございますか。  第二点は、内閣に現存する売春問題対策協議会は、問題解決のための熱烈なる世論に押されて、二十九年二月吉田内閣閣議了解事項として設置されて以来、四人の婦人を含めて民間人八名、政府側七名、合計十五名の委員たちによって一カ年半を経過して、十数回の委員会、小委員会幹事会等、それぞれこの問題に対する民間政府のベテランが熱心なる問題の検討審議の結果、協議会答申案は、来たる八月九日委員会総会において、最終決定をみる予定と聞いております。斯界の権威者が衆知を集めてなお一カ年半の歳月を必要としたのに、政府は今から次の通常国会まで五カ月の短期間に、果して決議文が要請している抜本的総合施策なるものを、この新たに設けられるという審議機関によって立案せしめる確信がおありでしょうか、どうでしょうか。  第三点は、さらに花村法務大臣に伺いたいのでございますが、現在ある売春問題対策協議会が用意した答申案内容は、赤線青線区域ともその存在を許しておくことは認められぬとの結論を出していると聞いております。かかる答申案は権威あるものと考えられますが、法務大臣の御所見はいかがでございましょうか。与党有力者の中には、赤線だけは残しておくことが現実に即した対策であるというような考え方を持っている者があるとか伝えられておりますが、政府はかかる考え方に耳を傾けようとしておられるのかどうか。率直に答えていただきたいと存じます。  もう一点法務大臣に伺いたいことは、日本文明諸国に列して対等の地位を確保するために、幾多の順守しなければならない条約上の義務がありますが、性道徳を浄化して人権を擁護することを目ざした条約として、醜業を行わしむる為の婦女売買禁止に関する国際条約成年婦女子売買禁止のための国際条約人身売買及び売春により利益を得る行為禁止に関する条約、この三つがございますが、現在わが国加入しているのは、最初にあげたものだけでありまして、やがて日本国際連合加入いたしますれば、当然これらの他の二つ条約の適用を受けることを覚悟しなければならないわけでございまして、そのためには十分国内態勢が整えられなければならないことになりますが、新しい国際情勢に対処しつつ国運を有利に導くために努力されなければならない政府として、このことをどうお考えになっておられますでしょうか、この点、政府の所信を明らかにしていただきたいと考えます。  最後に、大蔵大臣にお伺い申し上げます。売春対策に欠くことのできないのは、身売り防止のため、あるいは転落より更生するための施設補導機関生業資金等予算措置を必要とするものが多いことは御承知の通りでございます。しかるに、三十年度予算編成に当っては、これらの必要費目の一部分が不十分ながら当該官庁よりそれぞれ要求されていたにもかかわらず、大蔵当局は無慈悲に削除され、吉原のかごの鳥が逃げて来た場合、その羽を休めるため、現在ある少数の民間更生施設資金三千万円さえも削られんといたしまして、婦人議員たち努力によって、ようやく二千五百万円が復活されたにすぎないのでございます。こうしたわずかのお金は、社会の最下層にあって、まじめに生きんがための人々にとって、その重要性は金額の多少にかかわらぬものがございます。もし大蔵大臣が、将来これらの売春禁止対策に回せるべき予算措置が要請された場合、十分な理解をお持ち下さらないならば、特殊飲食店業者たちは、生きるか死ぬかの境を浮沈する哀れな娘たちを救ってやるのは自分たちだと、国会公聴会に来て豪語しておりますが、今後とも業者たちの力を拝借して哀れな娘を救ってもらうのでしょうか、それとも、社会保障に関する予算措置は、防衛庁の予算にまさるとも劣らない関心をもって取り扱おうとお考えになっておられますか、大蔵大臣の御所見を承わりたいと存じます。(拍手)  以上をもちまして私の質問を終りたいと思いますが、売春禁止の問題は、今や全国三十余の婦人団体が総決起して、婦人人権確立を願っております。世論もまた敗戦によって頽廃した風紀の一日も早く堅実化されんことを望んでおりますとき、この問題に対する対策について政府責任は重大だと考えますので、総理大臣を初め関係閣僚責任ある答弁を願ってやみません。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  11. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 加藤さんの質問にお答えをいたします。  私は、婦人の使命は、貞操の基礎の上に人格を建設するにあると思います。お互いに、国民各自がお互い人格の尊厳を尊重すべき民主主義国家において、婦人人格を冒涜するように制度国家の恥辱と考えますのは、もとより当然でございます。しかし、これは単に罰則を設けるだけでは十分にその目的を達することができません。売春婦厚生保護、さらに売春婦転落を防止するための措置をも、同時に考慮しなければならないと考えております。(拍手)    〔国務大臣花村四郎登壇
  12. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 加藤議員の御質問に対してお答え申し上げます。  まず第一の、審議会に関する御質疑でありまするが、これは要するに、議会で要請されておりまする審議会の性格をどう考えるかということによって、おのずからきまるものであると申し上げてよろしいと思うのでございまするが、あるいはただいまある審議会のほかに新たなる審議会を設けるか、あるいはまたその新たなる審議会にただいまありまするところの審議会を吸収するかどうするかということによってきまるのでございまするが、しかし、いずれにいたしましても、ただいまありまする審議会は、先ほども加藤議員から申されましたごとく、八月九日にその結論が出ることに相なっておりまするので、その結論を尊重いたしまして法務省としては善処いたしたいと考えておりまするので、重複の点は御心配に及ばぬと、こう申し上げてよろしい。  それから第二点でありまするが、これは現行売春問題対策協議会の正式な答申がありますれば、その答申を尊重いたしまして、そうして次期国会までにそれぞれの対策を提出いたしまするよう万全の努力を傾けたいと存じます。  そして第三でありまするが、これは赤線青線区域の問題でありまするが、これまたこの売春問題対策協議会答申がありませんので、従って、ここで私の結論をはっきり申し上げるわけに参りませんが、(「何を言っているんだ」と呼ぶ者あり)この問題についても、この協議会があらゆる角度から検討をいたしておりまするので、この点に対する答申もあることであると私は信じまするので、その答申を尊重して考えたいと存じます。  第四点でありまするが、第四点につきましては、これまた現在の売春問題対策協議会意見をすみやかに出されんことを希望し、ただいま申し上げましたように、八月九日に出されることに相なっておりまするので、従いまして、この審議会意見を十分に尊重しまして、そうして日本国連加入の際は、その加入に対して欠くるところのないように、万全のかまえをもって、そうして加入いたしたいと考えております。    〔国務大臣萬田尚登登壇
  13. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 売春対策は御指摘のように、ほんとうに緊要なことであると存じます。私としましては衆議院法務委員会決議趣旨に従いまして、売春の実態に即応しまして十分検討を加え、財政の許す範囲内におきまして、理解をもって措置をいたしたいと、かように考えております。      ——————————
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。予算委員長館哲二君。    〔館哲二登壇拍手
  15. 館哲二

    館哲二君 ただいま議題となりました昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)の予算委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず補正予算内容について御説明申し上げます。本補正予算は、去る六月二十四日国会が承認いたしました農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定によって借り入れる外貨資金を財源として、電源開発農地開発その他本邦の経済の発展を促進するための資金貸付を行うことになりましたので、これに関する経理を明確にするため、一般会計と区分して余剰農産物資金融通特別会計が設置されることになりました。その予算として昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)を去る七月二日国会に提出されたものであります。  本特別会計歳入歳出とも二百十六億三百万円でありますが、歳入借入資金収入の二百十四億二千万円は、農産物購入代金八千五百万ドルの七〇%に当る五千九百五十万ドルの円換算額であります。貸付金利子収入の一億八千三百万円は、年利四分として算出された額であります。また歳出は、電源開発事業に百八十二億五千万円、農地開発事業に三十億円、日本生産性本部に一億五千万円をそれぞれ貸し付けられることになっておりますが、このうち農地開発事業貸付の内訳は、愛知用水に二十四億五千万円、篠津に四億五千万円、根釧に五千万円、上北に五千万円となっております。貸付金合計二百十四億でありますが、このほか事務取扱費予備費に若干額を計上いたしております。  以上が補正予算の概要でありますが、本案は去る七月十五日に衆議院から送付されましたので、委員会におきましては二十日から三日間、大蔵大臣より提案理由の説明を聞いた後、総理大臣並びに関係閣僚に対し質疑を行いました。質疑は多岐にわたっておりますので、ここには補正予算に直接関連のあるものについてその要旨を御報告申し上げます。  まず、この資金使途に関しまして、「電源開発事業に百八十二億円貸し付けるのに対し、農業開発事業には三十億円の貸付しか予定されていない。余剰農産物購入によって圧迫を受けるのは日本農業であり、その犠牲において受けた借款であるから、農業関係を多くすべきであるのに少いのはどういうわけか。この資金による農業開発経済六カ年計画に盛られている農業投資との関係はどうか。また、この借入資金は三カ年間無利子であり、その間この会計では利子を取っているが、この利子収入農業関係の再投資に向ける考えはないか」等の質疑がありました。これに対しましては、「農業関係電源開発に比べて、従来準備があまり進んでいなかったので、今回は愛知用水その他で三十億円にとどまったが、今後はできるだけ多くしたい。六カ年計画との関係については、六カ年計画を立てるときには、今回の見返り資金考えていなかったので、今年度はそれだけ楽になるわけであり、来年度なくなったとしても、計画遂行に支障はきたさない。また、三カ年間の利子収入については、この借款の償還の方法などが相当にきびしいので、本会計としてもある程度の含みを持たねばならないが、御趣旨に沿うように努力したい」という答弁がありました。  次に、本年度以降の方針に関する質疑でありますが、「この余剰農産物購入については、閣内において意見が統一をされていないようであるが、来年度もやるかやらないか、やるとすれば今年度の場合に比べどういうふうに条件がよくなるのか、その場合には農業関係投資はもっと増額されるのか。またやらないとすれば、愛知用水などその資金を当てにして五カ年計画で出発しているのに、どういうことになるのか」というような質疑がありましたのに対しまして、外務大臣企画庁長官並びに農林大臣から、「文部大臣の言われたのは、本年は本年のことであり、来年やるかやらないかは、また別個の問題であるという意味であり、政府の予想としては来年度もやりたい意向であると了解されたい。ただ、来年度は米は持ってこないように努めたいと思っており、さらに大豆飼料等を入れるかどうか、数量をどのくらいにするかなど、目下研究中であるが、日本農業のじゃまにならぬように考えたい。また資金使途につきましては、大ワクは交渉で決定されるが、半分くらいは直接間接に日本農業開発のために使いたいと思っている。また愛知用水については、余剰農産物資金がここ二、三年くらいは、特別の事情の変化のない限り受けられると思っているが、それができない場合でも、すでにこの大事業に着手した以上は、政府として計画の達成を期している。もちろんそのために他の既定の食糧増産計画に影響を及ぼさしめない」というような答弁がありました。  また、生産性本部に対する一億五千万円の貸付に関しまして、「収益事業でないこの貸付は、果して返済の見込みがあるのか、これは補助金の変形ではないか」との質疑がありましたが、これに対しましては、「生産性本部に対する貸付条件はまだきめていないが、年利四分短期貸付とする予定である。生産性本部営利事業ではないが、生産性が向上すれば、会社の利益となるから貸付金は会員の分担金から返済せしめ、財政負担とはしない」旨の答弁がありました。  なお、借入資金に直接関係はありませんが、千五百万ドルの贈与分に関する質疑といたしましては、「小麦の価格は八千五百万ドルの購入分の方は六十六ドルであるに対し、贈与分の方は百十六ドルという倍近い価格になっているのはどういうわけであるか、また買うときは安く買えるものを、贈与のときには高い価格のものとしてもらうということがあっては、学童等に悪影響を与えるではないか」などの質疑がありました。これに対しまして「贈与の分は米国で農民から買い上げる価格であるので高くなっているのは事実であり、こちらとしては、どうせくれるのならば高い価格にする必要はないではないかというので、交渉の際折衝したのであるが、先方としては帳簿上そうなっているので、日本だけ特別に安くすることはできないということで、こういうことになっている」という答弁がありました。  かくて質疑を終局し、討論に入りましたところ、まず、日本社会党第四控室を代表して湯山委員より、この予算は、毎年アメリカと契約を結ばなければならぬ余剰農産物協定資金源を求めておるのであって、防衛分担金と同様、日本財政自主性を失わしめるものであるとの理由をもって反対自由党を代表して池田委員より、予算執行に当って十分効果を上げるよう、来年度も続ける場合には農業関係投資を多くするよう希望を付して賛成日本社会党第二控室を代表して松澤委員より、この予算はその執行に当り、設計その他に至るまで米国の一方的意図に縛られるものであって、自主性が全くないということ、また資金の配分において農業開発向けが少く、わが国農業の受ける犠牲が償われていない等の理由をあげて反対緑風会を代表して豊田委員より、資金を効果的に使用すること、中小企業に対しても生産性の向上をはかること、明年度以降の受け入れに当っては、品目、価格等に慎重な再検討を加えること等の要望を付して賛成無所属クラブ木村委員より、この予算基礎となる余剰農産物協定は、米国の新しい植民地的搾取の一形態であり、日本外貨の状態が改善されている今日、はなはだ当を得ない、単なる円資金調達方法として飛びついたのであるが、これには他の方法があるではないか等の理由をあけて反対日本民主党を代表して石坂委員より、わが国に不足する食糧を安く買入れることができ、また借款条件もきわめて妥当で、わが国経済に寄与するところ少からざるものがあるとして賛成意見が述べられました。  討論を終局し、採決の結果、本委員会に付託せられました昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長江田三郎君。    〔江田三郎登壇拍手
  19. 江田三郎

    江田三郎君 ただいま議題となりました農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過及び結果を報告いたします。  この法律案現行農業災害補償法に対して、次の二つ目的に従って必要な改正を加えようとするものでありまして、その一は、過ぐる昭和二十八年七月、第十六回国会において成立を見ました農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律が、本年十月一日に失効することになっておりますので、これが失効に伴う措置を定めることであり、いま一つは、市町村の合併によって農業共済組合合併が行われ、その後における組合の運営を円滑にするために必要な措置を講じようとするものでありまして、そのおもな内容大要次のようであります。  まず前者についてでありますが、現行農業災害補償法においては、家畜共済は、その共済事故によって、死亡廃用共済疾病傷害共済及び生産共済の三種類に分れております。ところが農業災害補償法に基く家畜共済臨時特例に関する法律によって、昭和二十八年十月以降、全国中約四千八百の組合について、右の三種類共済のうち、死亡廃用共済疾病傷害共済とを一元化し、死廃病傷共済に関して実験が行われてきたのでありますが、これらの実験の結果に基き一部その内容を改めて、来たる十月一日以降これを全面的に実施し、ここに家畜共済は、従来三種類でありましたものを、死廃病傷共済生産共済の二種類となし、これに伴って共済掛金、共済金額、共済金、保険料、保険金額及び保険金等の規定に必要な改正を加え、さらに臨時特例法による死廃病傷共済においては、疾病及び傷害の共済金について診療費のすべてを給付するものと、診療技術料以外の診療費を給付するものとの二通りを定め、その選択は、これを組合員に行わせることになっていたのでありますが、今回の改正では、組合員に対しては疾病及び傷害の事故にかかる共済金はその損害に相当する金額を一律に給付し、前に述べました共済関係の選択は、保険関係が成立するときに農業共済組合農業共済組合連合会と協議して行うこととし、さらにまた、臨時特例法に基く死廃病傷共済においては、指定組合組合員に対して、共済掛金の一部が国から補助されていたのでありますが、今後はかかる指定組合組合員に対する補助はこれを廃止し、そのかわり当分の間農業共済組合に対し、死亡及び廃用事故の低下に応じて一定の補助金を国から交付することができることにしようとするのであります。  次に、後者についてでありますが、これは農業共済組合の総代会が総会にかわって処理することができる事項の範囲を拡大しようとするのでありまして、制度運営の現状を見ますと、農業共済組合の規模が零細なため、制度の十全な運営がはばまれているものがあるという考えのもとに、農林当局は、本年三月農業共済組合区域は原則として市町村合併後の市町村の区域をその区域とするよう指導方針を定め、この方針に従って組合合併が進められておりますが、その結果、組合の規模が拡大され、これに伴って事実上総会の開催がはなはだしく困難になる組合が生ずることとなりますが、一方また組合の運営に当っては、組合組合員との連絡を緊密に保たなければならないのでありまして、今後は従前に増して総代会を活用する必要が起っておるという見解をもって、現行規定では総代会が総会にかわることのできる事項が限定されておりますので、この際これを拡張し、総代の選挙及び組合の解散にかかる事項以外は、すべて総代会で処理できることにしようとするのであります。  委員会におきましては、農林当局から提案の理由及び法律案内容等について説明を聞き、続いて質疑に入り、農林当局との間に農業共済組合合併の目標及びその得失、農業共済組合の適正な規模及び総代の定数の標準並びにこれが遺憾なく実施されるための普及徹底方法家畜共済の実施に当り開業獣医師との協調及びその趣旨の末端への徹底、組合の機能を向上し、その運営を適正ならしめるための組合機構の整備等の問題について質疑応答が行われたのでありまして、これが詳細については会議録に譲ることに御了承願いたいのであります。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、清澤委員から、総代の定数を適正ならしめるため政府はその指導に遺憾なきを期すべきであるとの趣旨の希望を付して賛成があり、他に発言もなく、続いて採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、報告いたします。(拍手
  20. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第三、優生保護法の一部を改正する法律案谷口弥三郎君外四名発議)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長小林英三君。    〔小林英三君登壇拍手
  23. 小林英三

    ○小林英三君 ただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会審議経過並びに結果につきまして御報告を申し上げます。  去る第十三国会におきまして、優生保護法の一部が改正されまして、受胎調節実地指導の制度が設けられたのでありまするが、現在これらの指導員が指導に際しまして、受胎調節のために必要な用具の購入を取り次ぎ、あるいは販売することはできることになっているのでありますが、避妊薬の販売は、薬事法の規定によりまして不可能な状態にありまするので、薬務局長の緩和通牒によりまして、避妊薬の購入のあっせんを便宜的に認められておるにすぎないのであります。本改正原案は、実地指導員が実地指導を受けるものに対しまして、受胎調節のために必要な医薬品で、しかも厚生大臣が指定するものに限り、薬事法の手続によらないでも販売ができることといたしたのであります。なお、受胎調節実地指導員がその医薬品を販売する場合には、薬事法に規定されておりまする厚生大臣及び都道府県知事の監督の権限をそのまま準用するとともに、薬事法、その他の薬事に関する法律に違反した場合におきましては、都道府県知事は、必要に応じましてその者の医薬品の販売を停止し、または禁止する行政処分を行い得るものといたしたのであります。  本案審議に当りましては、本案現行薬事体系の例外的業態を認めることになりまするので、薬事監視員による立ち入り検査の問題、行政上の監督方法等につきまして熱心なる質疑が行われましたが、山下委員より次の要旨による修正案が提出せられたのであります。それは、一、実地指導員による受胎調節指導のために必要な指定医薬品の販売は、当分の間に限ること。その二は、実地指導員の販売品が、いわゆる薬律に違反した場合、または指定医薬品を受胎調節の指導を受ける者以外に販売した場合には、都道府県知事は、実地指導員の指定を取り消すことができること。その三は、実地指導員の指定を取り消す場合には、都道府県知事は聴聞を行わなければならないということ。その四は、従って改正原案の罰則規定が削除せられることといたしたのであります。  かくいたしまして、質疑を打ち切りまして討論に入りましたところ、竹中委員より、社会党第四控室を代表いたしまして、医薬品の例外的販売業態を認めるという改正原案並びに修正案に反対の意を表せられたのであります。討論を終了いたしましてまず修正案について採決を行いましたが、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。次いで修正の部分を除く原案につきまして採決を行いましたが、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。よって本案は、多数をもって修正議決すべきものと決定いたした次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第四、通商産業省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長新谷寅三郎君。    〔新谷寅三郎君登壇拍手
  27. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました、通商産業省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法律案の改正の要点を申し上げますと、その第一は、現在通産局は、十四課に分れ、その事務量が膨大であるため、局長の下に次長一名が置かれて局務の整理に当りておるのでありますが、局長を補佐して次長の処理すべき事務としては、外貨予算の作成、外貨資金の割当、輸出の承認、バーター契約の許可、中共貿易問題の処理等、問題が山積しているのみならず、渉外関係におきましても、頻繁に行われる通商交渉会議に出席する等の必要がありますので、この際次長を一名増員して二名と改めた点であります。その第二は、去る四月一日に、国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律の失効に伴う関係条文を整理するとともに、すでに存置の必要のなくなった物資需給調整審議会及び電気自動車充電技術者資格検定審議会を廃止することといたした点であります。  内閣委員会は、前後二回にわたり、石橋通商産業大臣の出席を求め、本法律案内容およびこれに関連して日中貿易の促進と通商産業省の機構との関係、独占禁止法と中小企業との関係、石炭合理化法案の成立した場合に予想される融資、失業等の問題につき審議いたしましたが、その詳細は、委員会会議録に譲ることを御了承願います。  一昨日の委員会におきましては、質疑も終結いたしましたので、討論を省略し、直ちに本法律案について採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決せられた次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  29. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  30. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、参議院事務局職員定員規程の一部改正に関する件についてお諮りいたします。
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 本件につきまして、議長は、参議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案を立案いたしまして、あらかじめ議院運営委員会に付議いたしましたところ、同委員会においては異議がない旨の決定がございました。この規程案は、議席に配付いたしました通りでございます。  別に御発言もなければ、これより本規程案の採決をいたします。本規程案全部を問題に供します。本規程案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本規程案は、全会一致をもって可決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十二時散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、鉄道建設審議会委員の任命に関する件  一、売春取締りに関する緊急質問  一、日程第一 昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)  一、日程第二 農業災害補償法の一部を改正する法律案  一、日程第三 優生保護法の一部を改正する法律案  一、日程第四 通商産業省設置法の一部を改正する法律案  一、参議院事務局職員定員規程の一部改正に関する件