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1955-07-22 第22回国会 参議院 本会議 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十二日(金曜日)    午後零時十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十九号   昭和三十年七月二十二日    午前十時開議  第一 国民健康保険法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第二 結核予防法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 公職選挙法の一部を改正する法律案地方行政委員長提出)  第六 少年院法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 水産業協同組合法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第八 森林法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第九 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案木村守江君外六名発議)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、前田穰君の逝去に伴い欠員となっております離島振興対策審議会委員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。
  5. 上林忠次

    上林忠次君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  6. 三浦義男

    三浦義男君 私は、ただいまの上林議員動議賛成いたします。
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 上林君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって議長は、離島振興対策審議会委員梶原茂嘉君を指名いたします。(拍手)      ——————————
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、国民健康保険法の一部を改正する法律案衆議院提出)  日程第二、結核予防法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。社会労働委員長小林英三君。    〔小林英三登壇拍手
  11. 小林英三

    小林英三君 ただいま議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案及び結核予防法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会におきまする審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず国民健康保険法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  御承知通り国民健康保険財政破綻を回避いたしまするがために、昭和二十八年以降、療養給付費に対する二割の国庫補助が実現いたしたのでありまするが、この療養給付費補助金は、これを交付するといなとは国の任意でありまするとともに、その補助率二割ということも、従来予算上の措置といたしまして実現されておるに過ぎませんのでありまして、予算執行の結果は、ややもいたしますれば二割を下回っておる状態であるのであります。このことは、国民健康保険事務執行に要するところの費用保健婦を設置するに要するところの費用につきましても、それぞれその全額及び三分の一の額を補助することになっておるにもかかわらず、同様の事情にあるわけであります。  今回議員提出となりました改正法律案内容は、保険者に対する国庫補助金のうちで、療養給付保健婦並びに事務執行に要するそれぞれの費用に対しまして交付する補助金につきましては、国の義務的支出といたすとともに、療養給付費に対する補助額は、その年度におきまする療養給付費総額の二割を下らないことを法律上保障することといたしました。また、保健婦に要する費用及び事務執行に要する費用に対する国庫補助金の各保険者に対する補助率というものは、それぞれ三分の一及び全額である旨を法律に明文化するとともに、交付要件及び具体的な交付方法につきましては政令にゆだねることとしております。  なお、以上の費用のほか、国庫は、政令の定めるところによりまして予算範囲内において補助金交付し、または貸付金貸し付けることができるように改正せんとするのであります。さらに現行法におきまして、都道府県及び市町村は、国民健康保険に要する費用につきまして補助金交付することができることになっておりまするのを、補助金交付のみならず、貸付金貸し付けをも行うことができるようにいたしたのであります。  以上がこの法律案概要でありまするが、本案審議に当りましては、各委員より国保懸案の諸問題等につきまして、きわめて熱心なる質疑が行われたのでありますが、その詳細は、速記録によって御了承願いたいと存じます。かく質疑を打ち切り、討論を省略いたしまして採決に入りましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。  次に、結核予防法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  本改正案は、結核実態調査の結果、予防対策強化措置推進するため所要改正を行おうとするものであります。改正の第一点は、市町村長の行う定期健康診断対象者範囲につきまして、従来の区域指定及び年令の制限を廃止し、小学校就学の始期に達しない者を除くすべての一般住民に拡張せんとするものであります。改正の第二点は、定期健康診断回数政令に委任し、対象者の区分に応じた適当な回数政令規定せんとするものであります。改正の第三点は、病院の管理者に対し、結核患者が入院したとき、所定の事項保健所長へ届け出る義務を際しまして、保健所長が行う家庭訪問指導その他、患家対策の一そう強力かつ円滑な推進に資することとしたことであります。  以上がこの法律案概要でありまするが、社会労働委員会におきましては、各委員より熱心なる質疑が行われ、討論を省略し、採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  13. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第三、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。逓信委員長瀧井治三郎君。    〔瀧井治三郎登壇拍手
  15. 瀧井治三郎

    瀧井治三郎君 ただいま議題となりました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、現在、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用を主として地方公共団体に対して融資することになっておりますが、毎年資金が増加して参りますこと及び「運用範囲を拡大し各種公共事業施設改善融資するように」との国会決議もありましたので、一そう公共の利益をはかり、あわせて資金効率的運用に資するため、運用範囲を拡張しようとするものであります。  本改正案は、衆議院において修正可決せられたものでありまして、提案理由のおもなるものを申し上げますと、新たに融資対象となりますものとして、第一は、国民生活の安定上急務とする住宅建設資金等を供給するための住宅金融公庫その他の政府機関に対する貸付等であります。第二は、国民経済振興に寄与するとともに資金運用、利回りの向上をはかるため、農林中央金庫及び商工組合中央金庫の発行する債券であります。第三は、余裕資金効率的運用をはかるために短期運用として購入する国債であります。第四は、国民に対する貸し付けでありまして、とりあえず郵政事業特別会計に対し老朽郵便局舎緊急改善のために要する資金貸し付けようとするものであります。なお住宅公団に対しましては、今回制定の日本住宅公団法の附則により、この運用に関する法律の一部が改正せられましたので、これに融資することができるようになったのであります。また資金運用に当りましては、地方公共団体融資重点を置くこととし、資金量において金融債に偏重し、または一金融機関に偏して融資し、もしくは一般のものと異なった条件で購入または引き受けすることを避けるよう運用上の制限を加えようとするものであります。  逓信委員会においては、数回にわたり委員会を開き、慎重審議したのでありますが、質疑は、主として目下郵政当局においてもっとも真剣に考えねばならぬ問題とされている郵便局舎及び職員住宅改善に、もっと多額の融資をすべきではないかとの点に集中されました。すなわち「この積立金を生む場所としての郵便局舎が非常に荒廃しているために、郵政当局郵便局舎改善五カ年計画を樹立し、その改善を企図しているが、資金不足のためその計画の遂行に困難を来たしている際、毎年度少くとも積立金運用総額の百分の三を下らない金額を貸し付けるようにすることを考えるべきではないか」との質問に対し、郵政当局としては、「もっとも重点を置くべき施策として郵便局舎改善を企図しておるので、少くとも百分の三を下らない程度融資を受けることに努力するつもりであり、この点について大蔵大臣の了解を得た」との答弁がありました。また、「郵便局舎中、特に特定局局舎改善にその額の二分の一程度を計上する必要があると思うがどうか」との質問に対しては、「総額においてそのように善処したい」との答弁がありました。また、「職員住宅についても、何らかの方法をもってこの積立金融資を行うべきではないか」との質問に対しては、「目下のところでは法制上はむずかしいが、従業員福利施設改善施策として十分善処したい」との答弁がありました。  以上をもって質疑を終り、討論に入りましたところ、各党から、「郵便局舎改善に十分努力する」との郵政大臣答弁を信頼して、衆議院送付案賛成の旨の発言がありました。かく討論を終え、採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ─────・─────
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第四、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長報告を求めます。建設委員長石川榮一君。    〔石川榮一登壇拍手
  19. 石川榮一

    石川榮一君 ただいま議題となりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会審議経過及び結果を御報告申し上げます。  わが国の公共土木施設は、毎年災害によりまして甚大なる被害を受けております。その復旧事業推進は国及び地方公共団体の常に努力するところでありまするが、今回連年災害をこうむるところの地方公共団体復旧事業費に対しまして、国庫負担率を高めるとともに、緊急な復旧事業に対する国庫負担交付につきまして、政府財政上の措置に関する規定を整備いたし、災害復旧事業の促進をはかることが本案提出理由であります。  その主要な第一点は、連年災害をこうむった場合における国庫負担率を高めることであります。現在公共土木施設災害復旧事業に対する国庫負担率は、各地方公共団体ごとに、一年間に発生した災害に対する復旧事業費総額をその年度における当該地方公共団体標準税収入類に対比いたしまして、最低三分の二から漸次高率となるごとく定めております。今回の改正は、連年災害をこうむり、復旧事業費のため財政の著しい圧迫を受ける地方公共団体に対して負担の軽減をはかるものであります。すなわち既往二カ年間の災害復旧事業とその年の災害復旧事業費との合計額が、既往二カ年間の標準税収入とその年度標準税収入額との合計額をこえる場合、現行法災害復旧事業費標準税収入の二分の一をこえ、その二倍に達するまでの額については四分の三、二倍をこえるものについては四分の四と定めておりましたものを改めて、標準税収入の二分の一をこえ、標準税収入に達するまでの額については四分の三、それをこえる額については四分の四とすることとして国庫負担率を高めております。第二点は、災害復旧事業の遅延が各方面に甚大な支障を与える現状を改善するため、緊要な復旧事業として政令の指定するものについては、政府はこれらの事業が三カ年度以内に完了できるよう、財政の許す範囲内において国庫負担金交付につき必要な措置を講ずる旨を法文上明らかにしたことであります。  本法案は、七月五日当委員会に付託されて以来、数回にわたり慎重なる審議を行なって参ったのでありますが、質疑のおもなる点につきまして申し上げますと、まず第一は、災害施策治山治水対策との関連についてであります。すなわち災害事後復旧にのみ追われ、治山治水根本的施策に欠けるきらいはないかということであります。この点につきましては、大蔵建設大臣から、治山治水根本対策を等閑視するものではなく、積極的に推進する考えであること、また現在の総花的やり方については、今後検討を加えてゆきたいとの答弁でありました。  第二は、災害復旧の三カ年完了についてであります。すなわち三・五・二の比率による三カ年復旧は、多年委員会の問題になっておった点でありまして、このたびの改正緊要工事について適用することになったわけでありますが、この点については、特に赤木、湯山両委員から、「本改正によって効果を上げ得るかいなか、地方の仕越し工事を将来なくし得るかどうかは、一にかかって国の負担金措置いかんによるものであり、かつ三カ年に完了するということは、継続費的内容を持つものであるから、この場合の財政の許す範囲内においてという字句は、他に優先して行うという強い意味に解してよいか」との発言がありました。これに対して建設大臣からは、「本案は、大蔵省とも協議して事務的に積み上げたものであり、緊急の事態が起らない限り、この原則を実行する決意で提案されたものである」との強い答弁がありました。  第三は、災害査定についてであります。復旧費に対する国庫負担の増大に伴いまして、これが査定を厳密に行うことは必要でありますが、「従来のごとき、予算措置によって査定額が浮動するようなことはないか」ということでありますが、この点につきましては、「災害査定官を二十名増員し、やむを得ず行われておった机上査定現地査定に切りかえて適正を期しているので、従来のごときことは起らないと考える」との答弁でありました。  このほか、会計検査院の監査方針、緊急な災害具体的内容等について熱心な質疑が行われたのでありますが、詳細は会議録で御承知を願います。  質疑を終り、討論に入りましたところ、田中委員から、次の付帯決議動議が提出され、その決議を付して本案賛成の意が表されました。  その付帯決議は次の通りであります。    付帯決議  一、政府は、災害復旧のみに捉われず、一歩進めて、昭和二十八年十月治山治水対策協議会決定による「治山治水基本対策要綱」の方針に基いて速かに、之が予算化を図り、国土保全治山治水の万全を期し、災害絶滅のため努力されたい。  一、各省所管災害工事査定方針に差異のあることは、当該地方に悪影響を及ぼし、甚だ遺憾である。これが統一について至急具体的対策を樹立して、実施に移されたい。  以上であります。  かく討論を終り、採決の結果、本法律案並び付帯決議案は、いずれも全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  以上、報告いたします。(拍手
  20. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第五、公職選挙法の一部を改正する法律案地方行政委員長提出)を議題といたします。  まず、提出者趣旨説明を求めます。地方行政委員長小笠原二三男君。    〔小笠原二三男登壇拍手
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  まず提案理由といたしましては、公職選挙法は、昭和二十五年公布以来、満五年を経過し、その間屡次改正を重ねて今日に至っておりますが、最近、本年二月には衆議院議員の総選挙、四月には地方選挙が行われ、明年は参議院議員通常選挙を控えておりますので、これらの事実にかんがみ、選挙がより公明に、かつ適正に行われるために、この際、特に緊要と認められる事項を取り上げて所要改正を行おうとするものであります。  次に改正の主要な点につきまして、大体条文の順序に従って概要を御説明申し上げます。  改正の第一は、都道府県知事または市長が、自発的退職を申し出た者は、その当該退職の申し立てがあったことにより告示された選挙立候補することができないものといたしたのであります。これは、いわゆるお手盛り選挙選挙の公正を害するものとしてきびしい世論の批判を受けている事実にもかんがみ、あえてここに取り上げた次第であります。  改正の第二は、供託金の問題でございまするが、参議院全国選出議員選挙の場合の供託金は、候補者一人につき現行十万円を二十万円に増額いたすことといたしました。  改正の第三は、選挙運動期間に関することでございまするが、参議院議員選挙は、現行三十日でございますが、これを五日短縮し、その他の選挙については、参議院議員選挙を除き、右に準じて選挙運動期間を短縮するため、選挙期日公示または告示期日立候補締め切り期限補充立候補期間立会演説会開催決定告示期日等をそれぞれ改めるとともに、これに関連して、経歴放送に関しては、現行のおおむね十回とあるのを、衆議院議員候補者の場合を除き、候補者一人についておおむね五回とし、日本放送協会事情の許す限りその回数を多くするように努めるものといたしました。  改正の第四は、選挙運動に関するものでありまして、数項目にわたっております。すなわち、(一)、選挙運動用自動車または船舶に乗ることのできる者は、候補者及び運転手一名、または船員を除いて四名とし、乗用車または乗船用腕章を着用した者は、街頭演説に際しさらに街頭演説用腕章の着用を要しないものといたしました。(二)、演説会等において使用するポスター、立て札、ちょうちん及び看板の類を故意に回覧させることを禁止いたしました。(三)、選挙運動用自動車または船舶当該選挙の種類、候補者の氏名並びに党派を記載した文書の掲示をなして、これを回覧させることができることにいたしました。なお公職候補者がたすき、胸章腕章の類を着用し、これを回覧することを認めました。(四)選挙運動用無償はがきの枚数を、候補者一人について、参議院全国選出議員の場合は、現行の五万枚を六万枚に増加し、同地方選出議員の場合は、現行の一万枚を一万五千枚に増加するほか、当該都道府県区域内の衆議院議員選挙区の数が一をこえる場合は、その一を増すごとに三千枚を加えることといたしました。(五)、個人演説会告示用ポスターの制度を廃止し、選挙運動用ポスターは、候補者一人について、衆議院議員及び都道府県教育委員の場合は五千枚、参議院地方選出議員及び都道府県知事の場合は八千枚、参議院全国選出議員の場合は五万枚といたし、この場合、参議院地方選出議員及び都道府県知事については、当該都道府県区域内の衆議院議員選挙区の数が一を超える場合には、その一を増すごとに三千枚を加えたものといたしました。(六)、現行新聞紙雑誌人気投票掲載制限規定を改めて、広く何人も、選挙に関し公職につくべき者を予想する人気投票経過または結果を公表してはならないといたしました。(七)、選挙に関し報道及び評論を掲載する自由を有する新聞紙または雑誌は、当該選挙選挙期日公示または告示の日前一年以来引き続き発行するものに限るものとする等の諸点の改正であります。  改正の第五点は、政党その他の政治団体選挙における政治活動に関する事項でありまして、政治活動のルールを確立し、よってもって改正の眼目たる選挙の公正を保障せんとするものであります。すなわち、(一)、衆議院議員参議院議員都道府県知事または市長選挙選挙運動期間中は、その選挙において一定数以上の所属候補者を有する政党その他の政治団体、すなわち、いわゆる確認団体のみが政治活動を行い得るものとし、これらの選挙の二以上のものが重複して行われる場合には、それぞれの選挙における確認団体が、それぞれの規定に従って政治活動を行うことを妨げないものといたしました。(二)、確認を受けない政党その他の政治団体は、政策の普及宣伝及び演説の告知のためのみならず、一切ポスター掲示及びビラ頒布はできないこととするとともに、確認団体掲示し、または頒布するポスタービラについては、選挙運動にわたらざる限り、その記載内容制限しないものとする。なお、ビラ頒布は、確認団体がその開催する政談演説会場においてする場合に限って認められる旨を明らかにいたしました。(三)、確認団体所属候補者の数を算定する場合においては、一の公職候補者は、三以上の政党その他の政治団体所属候補者として計算されることができないものといたしました。(四)、確認団体は、自己の所属候補者のみならず、他の政党その他の政治団体所属候補者の推薦、支持、その他選挙運動のための演説をもすることができることといたしました。(五)、立会演説会開催時刻及びその前後各二時間は、当該演説会場から三町以内の区域政党その他の政治団体政談演説会または街頭政談演説開催を禁止することといたしました。(六)、二以上の選挙が行われる場合においては、一の選挙投票日には、投票所から三町以内の区域で他の選挙における政党その他の政治団体政談演説会または街頭政談演説開催を禁止することといたしました。  以上のほか、選挙管理等に関する規定に若干の改正を加え、また、この法律昭和三十年十月一日から施行することとし、これらに伴って所要規定の整理を行なったのであります。  なお、本案国会法第五十七条の三に規定する予算を伴う法律案に該当するものとして、内閣の意見を求めましたところ、永田自治政務次官より「内閣として異議がない」旨を述べられました。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。(拍手
  24. 河井彌八

    ○識量(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決されました。      ─────・─────
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第六、少年院法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。法務委員長成瀬幡治君。    〔成瀬幡治君登壇拍手
  27. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ただいま上程されました少年院法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議経過並びに結果について御報告いたします。  この法律案内容は、第一に、少年院の在院者が矯正教育を受けるに際して死傷した場合に、手当金を支給できるようにすることであります。従来在院者が矯正教育を受けるに際して、負傷しまたは病気にかかった場合、これによって死亡したとき、またはなおっても身体に障害が残るような場合には、何の手当金も支給できなかったのでありますが、このような場合には、何らかの措置を講ずる必要があると思いますので、その災害程度に応じて、手当金を給与することができることとし、その支給の範囲、金額及び方法等については法務省令に譲ることにいたしたのであります。  第二に、少年院から逃走した者の連れ戻しをする場合に、必要あるときは警察官に連れ戻しをさせることができることとし、逃走したときから四十八時間を経過した後の連れ戻しは、家庭裁判所の裁判官が発する連戻状によることとするのであります。現行法では少年院の在院者が逃走した場合の連れ戻しについての方法及び時間的制限等について、明確を欠いていたため、連れ戻しについて機宜の措置を敏速かつ適切にとることが困難であり、連れ戻しの時期を失して逃走者を犯罪に陥れ、さらに社会不安の一因となるとともに、他面逃走した少年の前途をますます暗くさせることにもなりますので、この際、逃走者を連れ戻す場合の措置を明確にして、少年院の在院者が逃走した場合には、敏速かつ適切な措置によって、すみやかに連れ戻すことができるようにするものであります。  なお、連れ戻し及び連戻状について、少年法第四条及び第三十六条の規定を準用して、連戻状は同行状と同様家庭裁判所の判事補も単独で発付できることとし、また連れ戻し及び連戻状に関して必要な事項は最高裁判所がこれを定めることとしたほか、少年院法第十七条の二の規定を準用して、少年院から逃走した者の連れ戻しに際し、やむを得ない事由が生じたときは、もよりの少年鑑別所または拘置監の特に区別した場所に仮に収容することができることとするのであります。  第三に、在院者が逃走、暴行または自殺のおそれある場合、手錠の使用ができるようにしようとするものであります。最近の少年院の在院者には、反社会性の非常に強い者が多いので、そのため往々にして集団的な逃走や騒擾等が起る場合があります。このような場合に、それを防止する適切な方法がないため、少年院の適正な運営に著しく支障を来たす傾きがありますので、この際、在院者が逃走、暴行または自殺をするおそれがある場合に、これを防止するため、やむを得ないときに限って、手錠を使用することができることとするのであります。しかしながら少年院の性格から、手錠の使用については原則として院長の許可を受けなければならないことにして、特に慎重を期することにいたしたのであります。  第四に、現行法では在院者の所持品を領置したときは、在院者に対しその受領証を交付しなければならないことになっておりますが、現実には領置手続を繁雑にするのみで実益に乏しいので、この際その手続を簡素化し、受領証を交付しなくてもよいことに改めようとするものであります。その他連れ戻し及び手錠の使用の規定を少年鑑別所に準用することとし、少年院法中の字句に若干の整理を行おうとするものであります。  当委員会におきましては、五月十九日より七月二十一日までの間、前後九回にわたって法務省当局より提案理由の説明及び逐条説明を受け、参考人より意見を聴取し、各委員より関係当局に対して適切かつ熱心なる質疑がなされましたが、その詳細は会議録に譲ることといたしまして、そのうち重要と思われるものを要約いたします。すなわちまず本法案に関連する一般問題として、河内特別少年院における少年に対する職員の暴行等汚職事件の真相及び職員に対する処置、少年院の集団逃走の原因とその対策、地方矯正管区と少年院運営との関係等について質疑がなされ、これに対して関係当局より、それぞれ応答及び説明がありました。  次いで本法案の改正点中、第一、少年院在院者が逃走した場合の連れ戻し及び連戻状について、少年院法第十四条に連れ戻しの規定が設けられた法意、裁判官の連戻状を請求する手続を新設することの必要、このような令状による強制連れ戻しは、少年法の精神にそむくものではないか等の質疑に対して、少年院法第十四条の規定は、少年院の在院者が逃走した場合において職員に強制連れ戻しの権限を認めた規定であって、本条によらず任意連れ戻しをするのが原則であり、また現にそのように努めているが、必要やむを得ない場合に本条によるのである。しかして強制力を使うには一定の手続を踏んで慎重にすべきであるから、令状主義を採用しその手続を定めたのである。従ってこれは少年法の精神にそむくものではなく、むしろ少年の人権尊重の趣旨に出たるものである旨の応答がなされました。  第二に、少年院の在院者が逃走、暴行または自殺をするおそれがある場合における手錠の使用について、少年院において手錠を使用することの必要、現実に手錠を使用しておる法的根拠いかん、手錠使用の規定を設けることは、少年法の精神を逸脱することにならぬか等の質疑に対して、近年少年院法対象者に相当の変化を来たし、これに対応するため、または少年の年令が引き上げられた結果、高年者の自傷行為、暴行等に対しては現在のところ他に手段がなく、手錠使用の必要がある。現在その使用されているのは、少年院処遇規則第七十六条の規定によるやむを得ざる場合の措置としているのであって、今回これを少年院法に法文化して、その使用の適正を期せんとするものであって、決して少年法等の精神に反するものではなく、むしろ少年を守るため必要な立法である旨の応答がなされました。  なお、在院者の矯正教育中の死傷手当金給与についても質疑応答がありました。  かくて七月二十一日、質疑を終了して討論に入りましたが、宮城委員より、原案中第十四条第二項の連房状の規定に関し、これを援助を求められた警察官が連れ戻しに着手する場合にのみ限る趣旨の修正案、及び手錠の使用については、「政府は、少年院及び少年鑑別所が少年の健全な育成を期し、これに矯正教育を授けることを目的とするものであることにかんがみ、その処遇にあたっては、慈愛を旨とすべきであって、手錠の使用は、必要な最小の限度に止め、少年を受刑者視して、いたずらにやすきについてみだりに手錠を使用し、少年法の精神にもとることなきょう厳にいましむべきである。右要望する。」との付帯決議をなすべきとの動議が提出せられ、羽仁委員より、修正案及び修正部分を除く本案に反対、赤松委員より、修正案及び修正部分を除く本案賛成討論があり、終って採決の結果、修正案及び修正分を除く本案は、いずれも多数をもって可決せられ、次いで付帯決議は、提案通り委員会決議とする旨、全会一致をもって可決せられました。  以上、御報告申し上げます。
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。羽仁五郎君。    〔羽仁五郎君登壇
  29. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 議長並びに議員諸君、僕は本法案並びにその修正案に反対し、その反対の理由を明らかにすることを許されたいと考えるものであります。  少年が罪を犯したときに罰せらるべきものはだれでありましょうか。それは果して彼ら少年でありましょうか、それとも、われわれ国家社会こそ、彼ら純真なる少年を現在最悪の環境の中に放置し、彼らをして遂に悪の道に走らしめたものとして、その責任を負わねばならないものであり、その意味において最も厳粛に罰せらるべきものではないでありましょうか。少年が罪を犯したとき、罰せらるべきものは少年ではなくして国家であるとされねばならない場合が多いのであります。そしてこれがわが少年法の根本精神であります。諸君、少年に限らず、すべて罪を犯す人々は実は不幸なる人々であります。幸福の人、幸福の少年がどうして罪を犯すことがありましょうか。政治の目的、わが国会の目的も、わが国民の中に不幸な人々をなくすることにあります。いわんや少年の場合、それはすでに今日理想の段階ではなくして、罪を犯した少年は、不幸な少年であるから、これを罰すべきではなく、国家は、これらの少年に幸福を与えねばならないということをわが憲法が命じ、わが少年院法が命じているところであります。  本法案並びに修正案の内容は、委員長の御報告に明らかにされましたように、およそ三つの部分からなっております。第一の部分は手当金に関する部分、第二の部分は警察官が連れ戻す場合に令状を用いるという部分、第三の部分は手錠に関する部分であります。第一の部分は、少年院法の根本精神あるいは第一義的な点ではなく第二義的な点についての改正であります。しかるに第二のいわゆる改訂、すなわち少年を強制的に連れ戻す場合に警察官によって令状を執行するということは、現在の少年院法の全く予想していないことでありまして、その根本精神をくつがえすものであります。さらに第三の、すなわち少年に手錠を用いるということを法律をもって認めるということは、少年院というものが、教育の場であるという少年院法の根本精神を全く破壊しようとするものであります。従ってこの根本的な改悪を行なって、そして第二義的な点で改正を行おうとする本法案並びに修正案に対しては反対せざるを得ないのであります。  諸君、わが少年院は教育の場であって、刑罰の場でないことは、少年院法第一条が明記しているところであります。しかるに、この教育の場に手錠を使用することが立法によって認められるならば、そこには、もはや教育の場はなくなってしまうのであります。さればこそ、本法及び少年法に手錠など予想すべきでないとしていたのであります。政府提案理由によりますると、令状なくして少年を強制的に連れ戻すということは、少年の人権のじゅうりんであり、また法の基礎なくして手錠を使用している現在の実情は、憲法違反の疑いもあり、これらの点を救うために法律を作るのだと言いますが、しかし、憲法に違反するような事実を実際に行なっておいて、その事実を根絶する努力をしないで、法律によってそれを合法化しようとするならば、憲法の根本精神を守ることは、とうていできません。現に東京家庭裁判所の佐藤信一郎判事は、朝日新聞、去る七月十四日の論壇に寄稿せられまして、この改正案というものに反対しなければならない理由を、専門家の見地から述べておられます。また、議題となっております修正案につきましても、修正案の提案者宮城議員の修正の原案は、手錠に関する規定をも削除せられたのでありますが、不幸にして、その部分についての宮城委員の御努力は成功しなかったのであります。従いまして、現在の修正案並びに修正案を除く本案につきましての赤松議員の御賛成も、涙をのんで賛成するという趣旨の御賛成であったのであります。  諸君、すべての子供が生れるときは、天使のような形で生れてくるのであります。生れてくるときの赤ん坊が、強盗・殺人・放火などの人相をして生れてくる赤ん坊は、一人もいないのであります。しかるに、わが国家社会は、これらの少年を迎えるのにどういう環境をもって迎えておりますか。少年があらゆる努力を尽しても、なおかつ悪に誘惑されないのが容易でないような最悪の環境をもって彼らを迎えているのであります。最近、不幸なる坂巻少年がおそるべき罪を犯して、そして、裁判所において死刑の判決を受けましたが、その判決をせられました判事御自身が、裁判に関係のないことを申さないことを建前としておられます判事御自身が、坂巻少年の犯した罪は、まことにおそるべき罪であり、死刑に値するけれども、同時に国家は深く反省すべきであるということを、判決の中に述べておられます。国家は、これらの少年に対してなすべきことをまずなすべきであります。教育の先輩新島襄先生は、学生の中に非違を行なった者があった場合には、みずからむちをとって御自身のからだを傷つけられて、学生が誤ったことをなすのは、教育者の責任であると言って、御自身のからだをむち打たれたことは皆さんの御承知通りであります。  少年の逃走を防ぐ方法は、少年院を少年院法規定せられておるような教育の場として充実するよりほかに方法はないのであります。ある意味においては、少年院に関する予算は、国家がこれらの少年を罰するのではなく、罰せらるべきものはむしろ国家であるという意味において、少年院に関する予算は、国家が支払わなければならない罰金にも比すべきものであります。しかるに例年大蔵省が、少年院の予算について十分の認識を示さないのは、少年院に関する予算が、ただいま申し上げたような特別の性質を持っていることについての認識の不足にほかならないのであります。今日、日本の財政状態が困難であるとはいえ、ある意味において国が払わなければならない罰金を払わないとも申すことのできる意味において、少年院に関する予算が、十分に反省され、支出されていないことに根本的な原因があるのでございます。今日成人の刑務所の場合でありましても、いわゆるオープン・プリズン、開放刑務所が理想であることは、皆さんのよく御承知通りであります。そして、国際的に刑務所が開放的な設備をもってりっぱな成績を上げていることは、戦前に当時の政府の行刑局長でありました正木亮君が、ソビエト同盟などについての研究を発表せられている通りであります。刑務所においてさえ開放が理想である。いわんや刑罰を受けているのではない。教育を受けている少年院において、開放の原則が実現されないならば、少年院法の精神は、全く地に落ちてしもうのであります。  どうかわが国会が、これらの青年に対して、国家がなすべきことをまず先になし、少年院法の命じているところの教育の場としての少年院が、りっぱに実現するための予算と設備をなすことを先にすることを命ぜらるべきでありまして、令状や手錠のことを先に考えるべきではない。それがまた、少年の将来に希望を与えるゆえんであるということをお考え下さいまして、本修正案並びに修正案を除く本案を否決せられんことをお願いするものであります。
  30. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正通り議決せられました。      ─────・─────
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第七、水産業協同組合法の一部を改正する法律案  日程第八、森林法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院提出)  日程第九、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長江田三郎君。    〔江田三郎君登壇拍手
  34. 江田三郎

    ○江田三郎君 ただいま議題となりました農林水産関係三法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を報告いたします。  まず、水産業協同組合法の一部を改正する法律案について申し上げます。  水産業については、去る昭和二十五年第九国会において、火災等による特定物件の損害に限定して共済制度を設けておりますが、本来水産業は農業と同様自然に大きく依存し、自然の暴威による各種災害が多いにもかかわらず、かような火災以外の災厄についての共済事業を行うことは許されていない現状であります。従って今般水産業協同組合共済会の事業範囲の拡充をはかりますとともに、全国を地区とする漁業協同組合連合会の事業に関する規定の一部を改正して、漁民生活の安定に資したいというのが提案のおもなる理由であります。  内容について申し上げますと、まず第一点は、水産業協同組合法第六章の二、水産業協同組合共済会の規定改正でありまして、従来の共済会は、第百条の二の設立目的及び第百条の四の事業に明らかなように、事業の用に供する建物等物件だけについて、災害による損害を相互に救済することを目的としていましたのを、農業協同組合法の改正と同様の趣旨により、事業の拡充を可能ならしめるとともに、第百条の十として、新たに共済規程なる条文を設け、事業の種類別にその実施方法あるいは共済掛金等の重要事項について、共済規程で定めて行政庁の認可を受けることにいたしたほか、条文の一部整備をはかっております。  第二点としては、同法第八十七条、漁業協同相合連合会の事業の種類の規定中、特に全国を地区とする連合会の事業に対し、去る昭和二十七年第十三国会において、特定の四つの経済行為について、当分の間農林大臣の認可を要することにしておりますが、その後の経過等にかんがみ、この際農業協同組合法と同じく、この規定を廃止することにいたしております。なお今回の改正実施に当っては、予算は必要としておりません。  委員会におきましては、提案者側から、水産業協同組合共済会は、現在建物共済事業を行なっているが、今後さらに海上における遭難もしくは傷害事故に関し、漁民厚生共済を行うほか、漁具共済、漁業共済等全国の漁業者が要望している各種の共済事業を順次計画実施するため法的根拠を与えたいとの説明がありました後、質疑応答を重ね慎重審議いたしましたが、質疑応答のうちおもなるものについて申し上げますと、飯島、三浦並びに森の各委員からの、半農半漁の地域において、この水産業協同組合共済会の共済事業と農業団体の行う共済事業との間に紛争を起すことのないよう、行政庁が未然に確固たる措置を講ずる必要があると考えられるがいかがとの趣旨の質問に対し、提案者及び農林、水産両当局からそれぞれ、今後そのような紛争がないよう、関係機関並びに関係団体が相談して適切な措置を講ずる考えであるとの答弁があり、次に森委員及び東両委員からの、漁具及び漁獲等の関係において、沿岸漁業を対象として強制加入による災害補償制度を設け、政府が強力な助成施策を行うことが必要であるが、いかになっているか、またその際、現行の共済会の事業との競合摩擦を生ずることはないかとの趣旨の質問に対して、提案者側から、国の保護助成のもとに漁業災害補償制度が早急に確立されることが必要である、それが実現するまでこの共済事業を行わんとするもので、もし漁業災害補償制度が実現したときは、この共済会が行う同種の事業はこれを取りやめる考えであるとの答弁があり、農林大臣からも、漁業災害補償制度を制定することが必要と考え、目下政府は必要な資料の調査を行なっているとの答弁がありました。その他詳細につきましては、会議録によってごらんいただきたいと存じます。  かく質疑を終り討論に入りましたところ、森委員から、「本法実施に当り関係団体の間に将来摩擦競合の憂いがあるので、半農半漁の地域において、水産、農業両団体の行う共済事業が相互に摩擦競合を起すことのないよう、政府は事前に適切な措置を講ずべきである」との趣旨の付帯決議を付して賛成する旨の意見の開陳があり、東及び千田両委員から、付帯決議につきましては賛成であるが、「さらに漁業は、天災により大きく影響を受ける原始産業であるから、農業同様漁業にも全面的に国家補償による凶漁を含む災害補償制度をすみやかに制定されたい」との希望を付して、それぞれ賛成意見の開陳があり、また秋山委員から、漁獲あるいは漁具等の共済事業については、実施主体の強化について当局が十分検討を加えることを希望して賛成意見の開陳がありました。  ほかに発言もなく、討論を終り、採決を行いましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  また森委員提案付帯決議について採決を行いましたところ、全会一致をもって委員会決議といたすことに決定いたしました。  なお、右付帯決議に対しては、農林当局から善処する旨の言明がありましたことを申し添えます。  次に、森林法の一部を改正する法律案について申し上げます。  昭和二十六年現行森林法実施以来今日まで四カ年、その間における経験に徴し、かつまた最近町村合併に伴う末端行政区域が拡大せられた等の事情に関連して、この際、比較的小規模な森林組合を合併して、その規模を適正にし、組合運営の円滑をはかろうとする機運が起ってきているのでありますが、現行法の管理規定が組合経営の実体に沿わないところがありまして、組合の合併に支障を及ぼしておりますので、これらの点について最小限度の改正を行おうとするのが、本法律案が提出されるに至った理由であるとされております。  しかして改正のおもな点についてその大要を申し上げますと、大体次のようであります。  すなわち第一は、森林組合の総代会に関する規定改正でありまして、現行法では組合員の総数が百人をこえる施設組合は、総会にかわるべき総代会を設けることができることとなっており、総代の定数は組合員総数の四分の一以上とし、ただし組合員総数が二百人をこえるものにあっては、五十人以上であればよいことになっており、また総代会を設けた場合でも、毎年度の通常総会を招集しなければならないことになっておりますが、これを改めて、総代会を設けることができるものは、組合員総数が二百人以上であるものとし、総代の定数は組合員総数の四分の一以上でなければならないことは現行法通りなのでありますが、しかし三百人をこえるものは、七十五人以上であればよいこととし、なお総代の定数は、この法律施行後百八十日までは現状のままで差しつかえないことになっております。しかして総代の任期は、三年以内で定款で定めることとし、また総代会が設けられた場合は、年一度の通常総会はこれを招集する必要がないことにしようとするのであります。  第二は、森林組合及び森林組合連合会の役員の選出の方法改正でありまして、これが選出は、現行法では投票による選挙以外は認められていないのでありますが、これを改めて、投票による選挙のほかに選任制を認めることとし、また投票による選挙の場合でも、森林組合の役員については、総会以外において投票所を設けて選挙を行い、また役員候補者が定数以内の場合は投票を省略することができることとし、なお森林組合連合会については、総代会の制度を廃止することにしようとするものであります。  第三は、理事の職務に関する規定を設けて、理事の責任等を明確にし、第四は、組合の合併の手続に関する規定を整備し、合併の際は定款及び事業計画を行政庁に提出して、その認可を申請しなければならないとしようとするのであります。  委員会におきましては、まず提案理由の説明を開き、次いで質疑に入り、提案者代表及び農林当局に対して、役員の選出について選任制を設け、また総代会をもって通常総会にかえることは、組合民主化に逆行するものではないか、組合の規模を末端行政区域にこだわることなく、たとえば流域単位等、これを拡大してその適正を期し、組合の内容の充実をはかるべきではないか、伐採調整資金の貸し出しが本資金設定の趣旨に反して、その森林区内に間伐収入のある間は貸し出されていないが、これを是正する考えはないか等、種々の問題について所見がただされたのでありまして、その詳細は、会議録に譲ることを御了承願いたいのであります。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、東委員から、「総会にかわって年一回くらいは大会を開いて、志気の高揚に努める機会を作るよう指導すべきである」との趣旨、また亀田委員から、「総会にかわって総代会の制度を設けることについては遺憾であり、当局は責任をもって今回の改正によって総会が無用であるという印象を与えることのないよう徹底せしめるべきである」との趣旨、また清澤委員から、「総会の出席者が少いのは総会において意見を述べる機会を与えられないからであり、総代会及び役員選任制を設けることは組合の民主化に反し、封建制を残存せしめる原因となり、今回の措置には大いに警戒を要するので、実施の結果によっては再改正を要するかもしれない」との趣旨、また三浦委員から、「現行森林法には森林組合の性格を初め改正を要すべき幾多の問題が残されているから、政府はすみやかに森林法の根本的改正を行うべきである」との趣旨の希望あるいは意見を付してそれぞれ賛成があり、ほかに発言もなく、続いて採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  最後に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。  農林漁業金融公庫を設立して、農林漁業者に対し農林漁業の生産力の維持増強に必要な長期かつ低利の資金を融通する考えをもって、昭和二十七年十二月農林漁業金融公庫法が施行され、その後数次にわたって改正が行われて今日に至っておりますが、今回さらに次のような改正を加えるため本法律案が提出されたのでありまして、その大要を述べますと、第一は、公庫の資金に対する政府の出資を増額することでありまして、現在政府の出資は四百五十六億七百万円でありますが、新たに十億円を本年度追加出資して四百六十六億七百万円にしようというのであります。これは当初政府計画では九十五億円を追加出資することになっておりましたが、本年度予算案が修正されました結果、一般会計から行う政府の出資は十億円に減額され、その減額分は資金運用資金に期待することになり、公庫における本年度資金は結局において、一般会計から十億円、資金運用部から百九十五億円、既貸付の回収分五十五億円、計二百六十億円になるのであります。  第二は、公庫の資金の貸付の対象を追加して、その業務の範囲を拡大することでありまして、従来農林漁業の生産力の維持増進に必要な施設の改良、造成及び取得に必要な資金の融通は、農林漁業者の共同利用に供するものに限られて行われていたのでありますが、これを改めまして、個人の用に供するこれらの施設をも貸付の対象とすることにしようとするのであります。  第三は、公庫が日本開発銀行から借り入れている借入金の残額約二十一億円を日本開発銀行に返済し、そしてこれに相当する金額を産業投資特別会計から公庫に対し出資されたものとし、すなわち借入金を出資金に振りかえることにしようとするものであります。  以上が本改正法律案提案理由及びその内容概要であります。  委員会におきましては、まず提案理由の説明を開き、続いて質疑に入り、政府当局との間に、本法案によって新たにその途が開かれることになった個人に対して貸し付け資金融資対象施設、貸付限度、融資機関、貸付方法及びこれらの当否、衆議院における予算修正に伴う公庫の資金源変更が公庫の経理に及ぼす影響、公庫の資金計画及びこの中の自作農維持創設資金の性格、本法案と別途政府から今国会に提出されている自作農維持創設資金融通法案との関係、本法案によって産業投資特別会計からの出資に振りかえられることになる日本開発銀行の貸付金内容資金取扱い機関である農業協同組合の強化と調整勘定国庫納付金の問題、農林漁業金融の一元化並びに組合金融の確立等、いろいろな事項について究明されたのでありまして、その詳細は会議録に譲ることを御了承願いたいのでありますが、その間において問題になりました個人貸付資金の取扱い方につきましては、復旧資金以外の官金の貸付対象となる施設は、農舎、畜舎、サイロ、堆肥舎、蚕室、動力用農機具、排水ポンプ、灌水施設、蚕具、その他主要農作物または輸出農作物の生産の維持増強に必要な施設、もしくは合成繊維漁網綱であり、その資金の貸付を受ける者が必要とする金額の二割以上の金額を、融資機関である農業協同相合、漁業協同組合または公庫が業務を委託した金融機関が、協調融資することを条件とすることになっていることが明らかにされたのであります。  かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、森委員から、政府において農林漁業金融を再検討して基本的対策を確立すること、協同組合を育成強化して零細農山漁民に対しても必要な資金の均霑をはかること、融資手続を簡素にするとともに、組合役員の個人的保証責任措置の是正をはかること、資金量を充実確保するとともに、その金利を極力低くし、かつ融資対象を拡大すること等の趣旨、また青山委員から、合成繊維漁網綱の取得に必要な資金については、新たに本法第十八条に独立した規定を設けて取り扱うべきであるとの趣旨の希望を付して、それぞれ賛成があり、他に発言もなく、続いて採決の結果、全会一致をもって政府原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手
  35. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案木村守江君外六名発議)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。文教委員長笹森順造君。    〔笹森順造君登壇拍手
  38. 笹森順造

    ○笹森順造君 ただいま議題となりました「女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案」につきまして、文教委員会における審議経過と結果について御報告申し上げます。  まず、本法律案提案理由とその内容概要について申し上げます。  現在高等学校以下の学校教育を担当いたしております教育職員は約六十三万名を数えますが、そのうち約二十一万六千名は女教員であり、これらのうち年々出産をする人々は相当数に上るわけでありますが、これらの人々は出産のために、労働基準法に定める休暇さえも取り得ない状況にあり、一般事業場における婦人労働者の休暇の状況に比し、はなはだしい差異を示しておりますが、これは女教員が休假を取る場合に、他の事業場と異なって、適当なかわりをする職員が、直ちに得がたいこと、女教員の休暇のための補助教員が十分に採用されていないことなど、教育の特殊性に基くものと考えられるのでありまして、事態をこのままに放置いたしておきますことは、女教員の母体、胎児を保護する立場から、まことに遺憾であり、さらには教育の正常な実施の遂行がはなはだ危ぶまれるのであります。以上の理由により、教育の正常な実施を確保するために本法案が提出されたのであります。  次に、本法案の内容のおもなる点について申し上げます。まず第一点は、この法律において対象となる学校と教育職員とを明らかにするとともに、国及び地方公共団体の任務として、国立または公立の高等学校以下の学校に勤務する女子教育職員が産前産後の休暇をとる場合において、学校教育の正常な実施を確保するため、必要な財政措置を講ずるよう努めなければならないという規定を掲げております。  第二に、女子教育職員が産前産後の休暇をとる場合においては、任命権者はその休暇中、当該学校における学校教育の正常な実施をはかるために、その休暇の期間の範囲内において、学校教育の正常な実施が困難となると認める期間を任用の期間として臨時的に教育職員を任用しなければならないということになっております。なお都道府県が給与の負担をいたします市町村立学校の教育職員の臨時的任用につきましては、その任用の期間は市町村教育委員会都道府県教育委員会とが協議して決定することとなっております。その他関係法律の適用除外、所要改正等について規定いたしてあります。なお、本法案の施行期日昭和三十一年四月一日となっております。  本法案は、昨日文教委員会に付託されましたが、本法案提出に至るまでの経過につきまして若干御報告いたしたいと存じます。女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する問題につき、去る七月六日及び七月十二日に、本院議員提案として参第一六号並びに参第一七号の両法案が文教委員会に付託されていたのでありますが、委員会において右の二法案につき、慎重なる審議と懇談を重ねました結果、昨日に至り右の二法案は、それぞれ発議者より撤回されることになり、委員会はこれを許可し、その後、各党各派間の懇談により了承された木村守江君外六名の発議にかかる本法案を審議いたすこととなったのであります。  委員会審議におきましては、以上述べましたような本案提出経過により、別に質疑もございませんでした。そこで、国会法第五十七条の三、本院規則第五十条第二項の規定によりまして、委員長より本案に対する政府の意見を求めましたところ、寺本文部政務次官より、「本法案については、いまだ十分研究していない。関係省庁間でよく協議をした上、政府としての意見を決定する予定である」という答弁がありました。かく討論に入りましたところ、別に意見の開陳もなく、直ちに採決の結果、本法案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  39. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  40. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十六分散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、離島振興対策審議会委員選挙  一、日程第一 国民健康保険法の一部を改正する法律案  一、日程第二 結核予防法の一部を改正する法律案  一、日程第三 簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第四 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案  一、日程第五 公職選挙法の一部を改正する法律案  一、日程第六 少年院法の一部を改正する法律案  一、日程第七 水産業協同組合法の一部を改正する法律案  一、日程第八 森林法の一部を改正する法律案  一、日程第九 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案  一、日程第十女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案