○野溝勝君 私は
日本社会党を代表いたしまして、鳩山
総理初め各大臣に質問をいたしたいと存じます。
あらかじめ御承知おき願いたいのは、鳩山
総理の病気に対しましては、全く心から御同情を申し上げます。また
関係閣僚とじっこんの間柄にあるのでございますが、問題は
わが国浮沈に関する平和と独立を守るのに重大な
関係があるために、あえて私情を捨ててここに質問をいたしますので、
首相ほか
関係閣僚にも、さような意味において御
答弁を願いたいと存じます。
なお
首相は、
施政演説の中で友愛、互譲、寛容の
精神を説かれました。特にこれが
民主主義の悲願であるかのごとく終始お話になられたようでございますが、私は
民主主義というものは、以上申されたことも、もちろんそうでありましょうけれ
ども、悪と戦うということが
民主主義だと思います。いわば働く階級が生活を脅かされるということは、これはどこかに私は間違いがあると思うのでございます。さようなことは政治を直す以外にないと思います。さような間違った政治に対して断固戦うことが私は
民主主義だと思っております。かような点について、私の見解を申し上げておきます。
私はまず、
日本の独立についてお伺いいたします。鳩山
首相は
政権担当の当初から、
日本の独立の悲願を強調されておりました。それは今日
日本が完全独立を意味しているのでないことを率直に認めたからであると私は
考えております。この点
首相の率直さに私は敬意を表しておりました。それならば独立の悲願を
達成するには、政治的にも経済的にもどうしようとするのか、そういう点をこの際明らかにしていただきたい。
日本が
サンフランシスコ条約で一応の独立国になったというが、本当の独立というものは、領土権、裁判権、あるいは
貿易の自主化、互恵平等等の主権が完全に確立されていなければ、私は完全な独立と言えない、かように
考えております。
まず、領土権について申し上げますならば、満州、朝鮮、台湾、琉球、千島、樺太等四分の一の領土をなくしました。全くふえたものは人口のみでございます。資源もなければ領土もありません。さらに軍事基地、演習地等により七百三十有余カ所の領地を使われております。かような中にあって、
国民生活というものが勢い貧困化することは当然だと思います。
さらに裁判権の問題な
どもそうでございます。裁判権の問題な
ども、安政並びに嘉永の当時の
条約よりは、はるかに私はじゅうりんされていると思っていますが、たとえばあの当時の
条約を見ますると、大体外国の使臣に対しましては、それらの国の了解を得なければ逮捕できない。ところが今度の裁判権は外国の使臣どころじゃない、全部家族に至るまで容易に、
日本において犯罪を犯しましても、直ちにこれを処理することのできないような
状態になっているではありませんか。
さらに
貿易の自主化の問題について、
日本が戦後において一国経済でやっていけないことは御承知の通りであります。しかるに資源もなければ領土もない、かような
日本の国が何とかして生き伸びんとするには、あるいは独立、完全なる自立国家にするには、あくまでも自立経済を確立しなければならぬと思っています。かようなときに今日の
日本の
貿易は一種の干渉
貿易でございまして、かようなことで一体果して
日本の独立ができたと言い得るかどうか。
さらに私は問題なのは、経済上の非常なる圧迫でございますが、たとえば
関税の問題につきましても、あるいは住民税、固定資産税、道路使用税等等、外国の駐留軍が
日本に来まして、
日本の法律を
日本の人民と同様に適用を受けるということならばわかるのでございますが、これらの点についてもへんぱの、むしろ
日本の領土に生活しながら、この諸君だけに対して特定の扱いをするということ自体が、
日本の独立を脅かしておると思っております。さらに申し上げますならば、ココムでございますが、一体安い国から原料を取り入れまして、それを加工して市場競争をするというならわかるのでございますが、あそこの船を使ってはいかん、あそこの原料を買ってはいかんというような
貿易制限、制限
貿易の
関係にある今の
日本の
貿易状態というものは、これは私は
日本の自立を破壊するものだと思っています。例をあげて申しますならば、大体カナダ石炭が一トンについて十五ドル、中国からくる石炭が一切あけて十二ドル、三ドル近くのそこに違いがあるとすれば、仮定でございますが、これが勢い、製品になった場合にはどういうことになるかということくらいは、賢明なる
総理としては御了承のことと思います。結局さような不利なる
条約のもとにおきましては、その穴埋めというものは、この貧困な
日本国民の負担となり、
かくいたしまして、コストの引き下げ、そのためには産業の合理化、企業整備の名におきまして、労働者への犠牲にしわ寄せされて参るのでございます。こういうことは当然なことでございまして、
鳩山内閣の自立経済確立について、あるいは独立国家に対する見解について、一体こういうようなことを真剣に
考えておるかどうか。
次に、私は
鳩山内閣の自立経済六カ年
計画についてでございますが、
鳩山内閣のこの六カ年
計画というものを見ますると、一体どこを中心に
考えておるのかわかりません。
あとで申し上げますけれ
ども、これは
予算との関連においてこの性格というものは打ち出されておるべきものだと私は思っておりますが、今の
状態から推しまして、今日施政方針の
内容等を見まして、さようなことが裏づけされてはおらないし、自立経済をなすには、
総理は施政方針の中でいろいろと言われておりますが、一体それを具体的にどういうふうに
実現しようとするのかということが発表されておりません。私は自立経済を確立するには、何といいましても、
計画経済の推進と人口問題、国内資源開発、自立
貿易、こういうことが完全に裏づけされなければならないと思っております。こういう点について施政方針の中には、幾分その片りんは見受けられましたけれ
ども、具体的にこの際に
所信を明らかにしていただきたいのでございます。
次に、
外交問題初め
公約についてお伺いいたしますが、
鳩山内閣は
政権担当当初より数多くの
公約をされたのでございますが、その
公約中どれとどれとを一体
実現しようとしておるのでありますか。私は次の諸点につきまして具体的に質問いたします。
鳩山
首相は独立への悲願をかけて、
日ソの
国交調整を中心に、自主独立を
国民に
公約して来ました。しかるに組閣二カ月半にして、すでにこれらの
公約は私はむしろ破綻を来たしたと思っております。一体、
日ソ国交回復の
公約が、本日の
新聞を見ますると、やや前進したかのごとく見えております。それもただ
交渉場所の問題だけでございまして、それ以外は一歩もまだ発展しておりません。
さらにそれよりも重大なことは、中国との
国交回復の問題であります。今般中国からの通商
使節団の来日を契機に、私はこの際こそ鳩山
首相が唱えております
国交回復の絶好のチャンスだと思うのであります。しかるに
鳩山内閣はこの
使節団に対しまして実に冷淡であったと私は思います。具体的に申しますならば、何がゆえに一体それほど
首相が主張しておる
国交回復の問題について、もし
総理がこの間に対する
折衝ができないとするならば、少くとも
外相重光君くらいは、私は積極的に
日本代表といたしまして、この
交渉ないしは
折衝に、ないしは歓迎に当るべきものではなかったかと思うのであります。一体
政府といたしましては、アメリカの支配に気がねをしておったのかどうかしりませんけれ
ども、あまりにも私はひより見主義的な
政府であると、かように断ぜざるを得ません。
さらに
首相は、
日ソ国交調整の会談前に、千島、樺太の領土返還は無理かのごとき印象的な
発言をしております。一体どういう気持でこんなことを
発言したのですか。私はいやしくも
サンフランシスコ条約に賛成をしておったあなたが、一体こういう問題について触れる資格があるかどうかということについてむしろ疑問を持つものであります。(
拍手)
次に、最も
外交の失敗といたしましては、防衛費の対米
交渉の問題でございます。同僚各議員から質問はありましたけれ
ども、私の聞かんとするところは、この日・中ソの
国交調整を叫んでいる際に、重光
外相は、
外交の
基調は日米に置くと
発言をしております。何ゆえことさらにかようなことを
発言しなければならないのか。まるで
外相は、自立
外交の方向に水をぶっかけているようなものでございまして、これでは
自由党当時の対米
外交一辺倒と
一つも違ったところはないと思います。私は現
内閣に申し上げるのでございますが、
自由党の
外交方針に対しまして自主
外交で進めということは、すでに
民主党といたしましても、もちろん
民主党の内部、前身でございます改進党等におきましても、すでにかようなことは高く叫ばれておったのでございます。しかるに一たび朝につくや、
自由党の試験済みであったことを繰り返してやっているようなこんな
外交方針では、全く私は重光君の
外交方針に対しまして、あなたが
考えている日清談判的
外交であると言わざるを得ないと思います。かようなセンスを持っている
外相をいただいている今回の
政府に対しまして、私は先々が不安であるということを言わざるを得ないと思います。
さらに重光
外相の
防衛分担金をめぐっての見解でございますが、重光氏の渡米がダレスから拒絶された。これは重光個人の問題ではないと思います。これは私は
日本の侮辱であり、従属国
日本に対する
一つの優越性をアメリカが誇り瀕したものだと思います。重光
外相のこの点に対する見解を特にお聞きしたいと思います。ところが、重光
外相は、先般
外交方針の中で、あるいは同僚議員の質問に対して、会談は
一つも不可能なことはないということを言われております。一体何のことでございますか。会談は
一つも不可能なことはないということは、あなただけのことである。一体
日本の
国民や、
日本の民族や、
日本が対世界に対して課せられたこの傾向というものは、全く従属国をのしづけられたと私は思うのであります。さらにあなたは、
一つも不可能なことはないと言いますけれ
ども、こちらの方針を引き下せば、こちらの方針を低調にすれば、どんなことも不可能なことはなくなるのでございます。私は
日本の
外交が、そこに敗北的、追随的
外交であることを指摘せざるを得ないのでございます。(
拍手)こういう点につきまして重光
外相の見解を特にお聞きしたい。
さらに今後の
日本の
外交は、重光君に言わせますと、経済
外交を中心にしていくと強調されております。私はこの点は同感でございます。しからば、経済
外交を中心にしていくというならば、一体今の西欧
民主主義陣営に
基調を置くというこの
考え方と、
日本の自立経済を中心とする経済
外交の方針と、どういう点が一致するのでございますか。今日西欧
民主主義陣営を
基調にしていくということであれば、私は
日本の経済の自立ないしは独立自主の見解というものはデッド・ロックに乗り上げると思うのでございます。こういう点について
一つの経済
外交、いわゆる重光
外相の言う経済
外交とは何ぞやという点についてお伺いしたいのでございます。
さらに重光
外相は平和
外交の一環といたしまして、A・A会議に平和宣言を提案し、
日本の平和憲法の
精神を高く叫んだということを言われました。私はあのA・A会議における高碕君の
発言は、まことにけっこうだと思っております。しかし、それならば現
内閣はそれほどバンドンにおける、あの会議における平和宣言を主張したその気持を持っておるならば、なぜその気持を抹殺するような憲法の改正を唱えておるのでございますか。この点は
総理並びに
外相にお伺いしたいと思います。
次に、防衛費問題の削減ということは、名目だけだと思います。千三百二十七億円の
ワクは維持されたように思いますが、実際はそれ以外に
予算外契約を百四十億も五十億もしておるじゃございませんか。一体このために雑件費から
予備費までほとんど使われております。一体ほとんどゆとりのないような
予算になっておるじゃございませんか。こういうような
予算を作っておきまして、いかにも千三百二十七億でとどめたというようなことを言うことは、私はこれは
一つの擬装であると思います。さらに私が言わんとするのは、特にジェット機、駆逐艦の国内生産、大砲、戦車の試作な
ども、いずれも将来巨額の
予算を
要求するものがある。今
年度予算は今申しました通り、頭を出したというだけではありますけれ
ども、来
年度はおそろしく……私は来
年度を思うときに想像に余りあるものがあるのでございます。特に日米壮同
声明において、ジェット機のためには基地拡張が
要求され、
約束されておるのでございます。
〔
議長退席、副
議長着席〕
鳩山
首相は三月十五日のダレス
国務長官及び三月十六日のアイク大統領のアメリカ
記者団の会見において、もし中国が台湾、澎湖島攻略を目標に金門、馬祖の両島を攻撃するなら、新型原子兵器を使用するかもしれない云々と
声明したことと相前後いたしまして、原水爆の貯蔵をアメリカから依頼があれば、わが領土に保有もやむを得ないと
発言し、後に同僚、
衆議院における緊急質問の細迫君に対する
答弁で、これは仮定論であると弁明されております。一体仮定論ならば受け入れるのであるか、ここをこの際はっきりとその
態度を示してもらいたいのであります。さらに、アイク並びにダレスの
声明と何か因果
関係でもあるような印象が与えられておりますが、その点に対する
首相の見解もお伺いしたいのであります。
さらに、一昨日
外相のA・A会議の平和
外交の
演説とは全く矛盾しておるのは、現
内閣の性格は外に向っては平和を唱え、内に向っては憲法改正か再軍備、こういうような私は裏表の
外交では、将来世界の物笑いとなると思うのであります。(
拍手)
なお、
日米共同声明におきまして、合意の議事録は発表しないことになったと言うが、
吉田内閣当時におきましても、
秘密外交を攻撃してきた
鳩山内閣が、これを公表しないということはまことに遺憾でございます。
国民の疑惑もありますから、この際私は公表していただきたいのでございます。
また共同
声明では、三十一年以降は自己の資力のより大きな
部分を防衛
目的のために振り向けることが
約束され、今回の削減については特別の措置として恩を着せられ、今後は防衛費の増額が条件となったことは事実でございます。形式的な三十
年度防衛分担金の削減と引きかえに、さらに一そう再軍備費を増大させておるのでございまして、かようなことに対して
鳩山内閣は一体どういうことでこういうような
内容を承知したのかどうか、こういう点でございます。
また
首相は、施政方針
演説の中に国防会議設置を強く主張されたようでございます。このことは
防衛分担金削減
折衝中に
約束したという話でございますけれ
ども、これは事実かどうか。いつ倒れるかわからない
鳩山内閣が、独立の悲願をうたった鳩山
首相が、来
年度以降の
国民負担をさらに加重させ、
国民を苦しめることをアメリカと
約束し、国際慣例にしたことは重大なる私は失態と思います。この点に対しまして
外相のいう日米可能
外交論なるものは一体こうしたところから生れておるのかどうか、またこういうものに対する
首相の見解をお聞きしたいのでございます。
さらに私はこの際お伺いしておきたいことは、杉原
防衛庁長官に対して一言お伺いいたしておきたいと思います。杉原
防衛庁長官は防衛構想におきまして……(「いないいない」と呼ぶ者あり)いないようならば、
一つあとで御
答弁を願うことにいたしまして、
外相に一応お聞き取りを願いたいと思います。
日本経済
新聞四月十日号に、「
日本はあくまでも
米国を主体とする自由諸国家群の一環として、その防衛体制の一翼を担う」として、米軍駐留のため便宜を積極的に認めている。これは
選挙中に
民主党があらゆる
場所で
公約したところの、米軍を早期撤退させるための独立軍隊を作るという
公約と全く矛盾しておると思うのでございます。しかもこの一翼をになう防衛力ということは、もはや自衛の境を越した双務的な共同防衛を承知しておるものと私は思うのでございます。かような点に対し、特に
防衛庁長官並びに
外相の見解を問いたいのでございます。
さらに、台湾海峡問題が前途楽観を許さない、かような見解につきましては、私もさように思っております。NEATOの体制への
日本の投入が云々されておる
状態の下で、かかる双務的な軍事同盟を許容するかのごとき
交渉はきわめて危険であると思います。
次に
鳩山内閣の財政方針について。
鳩山内閣の性格を
決定するものは
選挙演説や議会
答弁ではないのでございます。三十
年度の
予算内容そのものであると思います。この三十
年度予算を分析するとき、吉田
自由党内閣当時と同様に庶民大衆を犠牲にする再軍備
予算であって、何ら大綱において相違はありません。一兆円の
予算中、歳出におきまして防衛
関係費、すなわち再軍備にのみ重点を置き、農村及び中小企業初め平和産業の諸
予算を頭打ちにし犠牲を払わしております。特に農村
関係予算を百八十億も削減し、それを恩給、
住宅、
社会保障の方に幾分振り向け、経済の自立を唱えておるのでございますが、まことにかような
内容はごまかしでございます。このごまかしをやるために内政費を圧迫され、物件費、
予備費に至るまで削減されております。
予算の
弾力性はきわめて乏しく、ことに
農林予算の大幅削減、私は毎年来るこの風水害、これらのいわゆる災害に対する、その予想をしておるところの
予備費までもこっぱみじんに、ほとんど僅少を残した
程度でこれを削減し、これを処理するということに対しましては、農民虐殺の
予算であると言わざるを得ません。減税を三百二十七億円したと言うが、一部税率の引き下げを行なったのみでありまして、所得標準を変えて、むしろ三割近く収税を多くしておる。実際に減税になったのは、はっきり減税をされておるのは、法人税と配当金、預金利子課税だけが完全に引き下げられております。現
内閣の言う低額所得とは目上のものを指すのであるかどうか、(笑声)少し皮肉のようには思いますけれ
ども、この点をお伺いいたします。
なお物価は、大体横ばいの
見通しと言うが、一体本当に横ばいなのかどうか。本日の
新聞を見ますと、特に経審の発表といたしまして、この点が出ておるのでございますが、私はその種目の取り上げ方について非常なる誤謬と異議を持つものであります。特に石橋通産大臣、経審長官代理も御承知のことと思いますが、
政府は動力、農具、砂糖、飼料等の値上りを放置しておるではございませんか。一体下ったというのは、私はむしろ農村における牛乳、卵、農産物が下っただけでございまして、その他の物価が下ったということにつきましてはまだ現実に承知をしておりません。さらに三十
年度の財政投
融資三千二百七十七億中、農村
関係は二百十億で総額の七%弱しか
融資されておらない。
政府は農民を一体何と心得ておるのでございますか、この結果どのような事態が起きておるか、
政府は
責任を負うという心がまえで、かような
予算を作ったのでございますか。
次に、私は
日本経済の
見通しについて
政府の
所信をお聞きしておきたいと思います。
わが国の特需は減退し、特に三十
年度は
見通し四億五千万ドル、さらに輸入の面では抑制したが、前年に比較いたしまして相当の増加は必至でございます。大体私
どもの
見通しといたしましては、三十
年度の
計画では十八億ドルから二十億ドルに行くのではないかと思っております。こういう開きに対して一体どういうふうに調整しようとしておるのでございますか。さらに輸出面でございますが、前年よりも五千万ドル多く見積られておる。昨日の施政方針の
演説の中にもありましたが、この五千万ドル多く見積られておるが、逆に昨年末のような一時的な好況は私は本年は望めないと思います。特にこれらの点で国際収支は再び危機に直面するのではないかと思います。なお、昨二十六日、御承知のごとくアメリカの外電、ジョージ上院議員は互譲
関税の
修正案を出しております。七月一日改訂困難ということをうたっております。特に本日の
新聞を見ますと、井口大使はさような報告を出しておるのでございます。この点に関しまして、経済
外交を唱えておる重光
外相並びに経審長官代理等はどういうように一体これを
考えておるのか。施政方針の
演説とはおよそ遠い動きを示しておるではございませんか。かようなところにも私は現
内閣の
予算の危機、これが含まれておると思います。私はこういう点において強くこの際、石橋経審長官代理の見解をお聞きしたいと思います。特に石橋経審長官代理は、各国の市場競争は激甚になる
見込みだということを強くうたっております。各国の市場競争が激甚になって参りますれば、私は輸出五千万ドルというような問題も、一体そんなことは希望ではございませんか、それをどういうふうにして切り抜けて行くのか。さらに今申しましたように、今日、井口君の談話ではございませんが、繊維
関係におきましても、ジョージ上院議員のあの見解はまことに
日本の繊維界、経済界に大きな
影響をもたらすと思います。かような
見通しの上に立って五千万ドル輸出増が一体どういうふうにあなたはできると
考えておるか、こういう点を
一つお聞きいたしたい。
それから次は一
萬田大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。
蔵相はただ預金、貯金と資本の蓄積による財政の立て直しを説いておりますが、
国民に対しまして、かようなことは一体誰にも適用できると思っておるのでございましょうか。一体今日の
国民の経済
状態は、私が申し上げるまでもなく、全くデフレでございまして、この
状態のもとにおきまして、商人といわず、農民といわず、労働者といわず、みな困窮を続けております。かようなときに預金、貯金、資本の蓄積を勧める。その勧めることはけっこうでございますが、どういう一体
国民が経済事情にあるかという点についてお伺いするとともに、特に資本の蓄積を願うような、あるいは預金を願うような、またはできるという可能なものは、どういう一体階層にあるのか、私は勧めることはけっこうでございますが、どういう階層が一体多く金を持っておるのか、こういう点についてお伺いいたしたいのでございます。さらに
輸出入銀行への出資が今回の
予算では非常に目立っております。一体基礎並びに平和産業の
拡大による
完全雇用の線が示されておらない、にもかかわらず、この
輸出入銀行の方に多くの
予算を使っておるのはどういう一体わけでございましょうか。
貿易に対しましては、先ほ
ども申した通り、そう容易ではございません。これと
輸出入銀行とは一体どういう関連を持っておるものでございましょうか。さらに国産石油開発等の資源開発を説いておりますが、具体案に示されておりません。私はなるほど
総理の言われました資源開発は大賛成でございます。資源開発をいたしまして再軍備の費用に使うのを、地下資源その他の資源開発、科学振興によるところの
日本の原料に対する振興育成は大賛成でございます。しかし、これに対する具体策が
一つも示されておらない。あなた方の六カ年
計画の中にもありますが、一体かようなものは絵にかいたぼたもちで、私はこれをやるにはやるらしいところの
一つの
予算の裏づけというものがなくてはならぬ。しかるに、かような点につきまして具体的な
予算が示されておりません。もし示されておるにいたしましても、ほんのちょっぴりでございまして、こんなことではこれは問題にならぬと思います。こういう点について私はこの際改めてお伺いしたい。さらに生糸等の国内原料の利用の科学振興の育成面について、これと関連してお伺いしたい。
さらに
民主党の六カ年
計画は、今申しました通り、私は宙に浮いた傾向にあると思っております。さらに
公約実現の立場から
住宅対策が非常に高くうたわれておりますが、確かに私は一歩前進であると思います。この点は率直に認めます。一歩前進である。しかし宣伝と
内容とは違っておるのでございまして本
予算を検討するときに、四十二万戸の実体はきわめてお粗末で、国が直接間接そのめんどうを見ておる増加数はわずか二万五千戸足らず、改築分をも二戸と見まして、やっと五万五千戸の増加という
状態ではございませんか。こういう点につきまして私は
政府に一そうの努力を要請するとともに、特に
政府だけでは、とうてい今の
予算から見ると、私は四十二万戸どころか、十万戸にもいかない
状態でございますから、こういう点につきましては
民間業者とどういうふうにタイ・アップしてこの
達成に努力しようとするのか、この点を明らかにしていただきたい。
次に農業
関係の問題でございますが、先ほ
ども申しました通り、かような大きな犠牲のもとにおきまして、一体、農業の発展ということができるのかどうか。特に私は、昨日の施政方針の中で鳩山
総理と経審長官代理は、食糧自給を重点にして農業
関係を推進する、こう言われております。しかるに今日、農相河野君の同僚議員に対する
答弁を聞きますと、多角的農業でいくと言っております。これは一体どういう
考え方か、こういう点について意見の統一が欠けておると思うのであります。この点について最初お伺いしたい。
さらに今回の農業
関係の
予算を見ますると、私は、多角的農業にいたしましても、あるいは食糧重点の農業にいたしましても、こんな
状態では半知半解の
予算でございまして、一体こんなことで所期の
目的が達せられるものではないのでございます。
たとえば農業
関係の削減のおもなものを申し上げますと、災害復旧補助費四十五億、食糧増産費
関係二十億、農林漁業への投
融資四十億、農業
委員会補助十四億、農業保険二十六億、乾繭倉庫等々はほとんど打ち切られております。こういうような
予算の事情から見ますると、むしろ私は農業の育成ないしは、農林行政なんということはもう放棄せざるを得なくなるのではないかと思います。農相はこの後退
予算で
日本の農業育成強化ができるかどうか。さらに、
日本農業を自給自足の体制へ育成しようとするか、あるいは国際依存によっていこうとするのか、この点をはっきりしていただきたいのであります。農相の同僚議員に対する
答弁の
内容を見まするというと、補助費などにつきましては必要な面は十分計上してあると、こう言われております。しかし今申しましたように、農業保険であるとか、あるいは農業
委員会あるとか、農林漁業への投
融資であるとか、あるいは食糧増産費であるとか、災害復旧であるとか、そういうものは必要でない補助費かどうか。
さらにこの際、農相の
所見を聞いておきたいのは、一体、農業のうちの食糧は、私はただ単に生産だけの面だけでは食糧問題は解決しないと思います。一体、配給、生産、消費の三位一体の体制が確立しておらなければ食糧問題の解決はあり得ないと思います。こういう点におきまして農相の食糧問題に対する見解をお聞きしておきたいのであります。
最近農林省におきましては予約売買制ということを強くうたわれております。一体この
内容を見まするというと、これはほとんど大体において自由にまかせようという傾向らしいのでございます。一体、食糧事情は、農相の見解によりまするというと安心のごとく表現されております。先ほ
ども申しました通り、戦後食糧問題を重点にした農林行政を、農林政策を、多角的農業への転化を企画しておるようでございます。しかし一体、多角的農業といい、私は反対はいたしませんけれ
ども、何といっても今日食糧の自給体制というものは確立しておらないのであります。一体、絶対食糧の不足の
状態のもとにおきまして、私はかようなことで果して食糧の問題に混乱が起らぬかどうかということをまず聞きたい。
さらに、さような点について具体的に示されておらないし、なお、もし食糧問題について非常な不安が起るようなことがあるならば、余剰農産物の買い入れでこれを補わんとするような
考え方もあるやに聞いております。かような
考え方は非常に
日本の農村を誤まらしむるばかりでなく、私は、
日本の民族の独立、さらには
日本のいわゆる隷属を永久的に意味するものになるという
考えを持っております。これは十分に私
どもも真剣に
考えなければならぬ問題だと思っております。さらに私は、この余剰農産物を積極的に受け入れるという
考え方に対して、
農林大臣に特に申し上げておきたいことは、一体ビルマ並びにパキスタン等におきましても、この余剰農産物の受け入れに対しましては反対しております。これは農相御承知の通りです。しかるにかような過酷な条件で余剰農産物を受け入れて
日本の農民に対する食糧増産意欲を粉砕し、
かくいたしましてこれが基本となって
日本の自立経済を脅かし、その結果は、
日本が永久的に隷属的、従属的国家に置かれるという、こういう
一つのテーマ、筋に対しまして、
農林大臣は真剣にこの問題について
考えたことがあるか。特に余剰農産物についてむしろ高い、まずいものを買うというよりは、この際真剣に
日本の農民の地位を高め、さらに自給自足の体制を整えるという農業方針を一体やる
意思はないのかどうか。私
どもはもちろん最小限度に不足の分は買い入れなければなりません。しかしその場合は、あえてアメリカ等の方針に基く国、または指定する国、ないしはテキサス米のようなものをあえて買わなければならぬようなことはないと思うのでございます。
〔副
議長退席、
議長着席〕
この場合はアジア諸国から十分私は買い、ないしはアジア諸国との経済提携、こういう点におきましても、この際思い切って自立食糧政策というものを確立しなければならぬという
考えを持っております。特に
農林大臣に申し上げておきますが、先般、世界銀行調査団が参りました。その際に、その報告の中で、
日本の食糧増産は国際収支バランスの改善にとってもきわめて重要な役割を持っておると言われております。私は、こういう
一つの調査団が参りまして、以上の指摘をなしておることに対しましても、農相自身は十分反省すべきであると思います。特に
日本の
財界初め大蔵官僚らが、かねてから
考えておる、
一つの
日本の産業を工業立国の一本やりでいこうという、この見解でございます。これは私は十分
考えなければならぬと思います。なぜかならば、原料と資源の少い
日本の国が、もし工業立国の方針でいくということを
規定したならば、一体その結果はどうなるか。先ほ
ども申しました通り、すべての生活の基本でございまする食糧が不安だということになるならば、この点だけでも、
日本はすでに敗北ではございませんか。この点だけでも
日本はひけ目でございます。私はこういうようなことを軽々しく論じ、また軽々しく結論を出すべきものではないと思っております。特にこういう点につきまして、私はいろいろの角度から
農林大臣に対しまして反省するとともに真剣に
考えて善処してもらいたいと思う。
次に米価の問題でございますが、昨年十月、
自由党内閣の保利農相は、八千九百二十円で低米価を打ち出しました。さらに追加払いも払わぬというようなことをほのめかしました。
日本農民組合総本部
関係農民が農林省に十日間もすわり込みをいたしました。あの大問題を起しましたことは、私は河野君もよく御承知だと思います。それにかかわらず、今回また予約売買制の名のもとに、行当り九千七百三十九円、昨
年度産米手取り総合米価九千八百五十九円、今回は百二十円も低くなっているのでございます。一体これで食糧政策の円満な遂行ができるかどうか。さらに、昨年農業協同組合法及び農業
委員会法が一部改正になり、完全に骨抜きになりました。その結果は、福島県鏡石における六十戸に対する地主の集団
土地取り上げを初め、全国各地に農地の取り上げが起り、さらにまた最近の
新聞を見ますと、小作料四倍もの引き上げな
ども考えられているようであります。まことに私は農村不安これに過ぐるものはないと思います。かような農村の社会不安を起す
予算並びに施策に対し、この際、情熱漢と言われているところの河野君にして、私はこの農村危機をいかにして切り抜けんとするものか、この席をかりて見解を明らかにしてもらいたい。(
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さらにいま一言申し上げておきたいことは、
大蔵大臣、
農林大臣に、
日本農業の経済
状態を参考に申し上げます。
国民所得中、農業所得の占める地位は、
昭和二十五年におきましては三〇%、
昭和二十八年におきましては十六・三%、三十
年度はさらに低下すると思います。そうすれば半分でございます。こういうような農村の
状態のもとに、
補助金打ち切り、農民保護政策一切の打ち切りは、
日本農民をして全く危機に陥らしむることでありまして、こういう点につきまして
大蔵大臣、
農林大臣は十分なる財政上の反省をしてもらわなければならぬと思います。この点に対する御見解をお聞きしたい。(
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最後に、私は自治庁の問題について、特に
地方財政の問題についてお伺いしたい。
地方財政
計画は、
計画当初において、もはや年間百五十億の赤字が予想されております。さらに給与費その他を実際に即して計算した赤字は四百六十二億、さらに本
年度、集計いたしますると九百億になんなんとするということが言われております。一体これをどういうふうに解決するのか、あるいはこれを解決しようとして指導するのか、その指導、見解についてお伺いしたいのであります。
民主党の六カ年
計画では、私はこの赤字ないしは
地方財政の行き詰りの問題は解決できないと思っております。特に今自治庁の
考えているのは、この赤字解決のために、
住宅費ないしは固定資産税、こういうようなものを引き上げて赤字解決にしろというようなことをうたっているらしいのであります。一体、今日、
地方の住民といわず
国民といわず、同じでございますが、一体そんな余裕があるかどうか。特に再建整備法におきましては、住民税とそれから行政整理をもってこの赤字の穴埋めにしようというようなことは、まことに私は心外にたえないのでございまして、かような点に対しまして、特に自治庁はどういうように一体これを
考えているのか。私は申し上げますけれ
ども、今の
地方財政というものは、そんな
地方に余力があるものじゃないと思います。むしろそんなことよりは、一体、独立財源をどうするのか。中央もこのままではかなわんじゃございませんか。大体
地方の
予算というものが四〇%ないし四五%は中央に依存するひも付きでございます。こんなことをいつまでも続けていくならば、これは自治
精神なんというものはありません。もちろん私は、中央がこう百四十億の資金を出すとかいうようなことだけでは、とうてい解決できないのでございますから、ここに抜本塞源的な完全な
地方自治体の再建確立について、具体的に
政府は結論を出すべきものであり、この際に私はそういう案を示してこそ本当に自治体も安心をすることになると思うのでございますが、こういう点についてただ弥縫策的な案だけでは承服できないのでございます。
以上の点につきまして、
首相はじめ
関係閣僚の御
答弁を願いまして、その結果いかんによりましては時間の許す限りにおきまして再質問いたしたいと思います。(
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〔
国務大臣鳩山一郎君登壇、
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