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1955-03-25 第22回国会 参議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十五日(金曜日)    午前十時三十七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第五号   昭和三十年三月二十五日    午前十時開議  第一 裁判官訴追委員及び同予備員選挙     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ─────・─────
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
  4. 小滝彬

    小滝彬君 私は、この際、中共使節団来日等外交に関する緊急質問動議を提出いたします。
  5. 上林忠次

    上林忠次君 私は、ただいまの小滝君の動議に賛成いたします。
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 小滝君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。小滝彬君。    〔「外務大臣どうした」「休憩々々」「何の理由もなく勝手に休憩はいかんぞ」と呼ぶ者あり〕
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 外務大臣がまだ登院しませんから、暫時休憩いたします。    午前十時四十四分休憩      ─────・─────    午後一時七分開議
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  外務大臣から発言を求められました。この際、発言を許します。重光外務大臣。    〔国務大臣重光葵登壇
  10. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は本院に対しましておわびを申上げます。今早朝、緊急重要な外交交渉が発生いたしまして、その交渉が大へん長引きまして私の本院に対する出席が非常におくれましてそのために本院に対して大へん御迷惑をかけましたことを非常に遺憾千万に存じます。今後はかようなことのないことを努めますことを申し上げて、深く私はおわび申し上げます。(拍手)      ——————————
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 小滝彬君の登壇を望みます。    〔小滝彬登壇拍手
  12. 小滝彬

    小滝彬君 私は自由党を代表いたしまして、鳩山総理重光外務大臣並びに杉原防衛庁長官に対し、中共使節団来日等外交に関する質問をいたしたいと存じます。  第一次鳩山内閣成立以来、総理が機会あるごとに、国内向けの人気のみを顧慮せられまして繰り返された外交関係の放言は、日本関心を持つ世界各国において少なからず対日不信と疑惑との念を惹起しておることは、総理自身外国から来る新聞情報等によってこれを十分御承知のはずであります。従って、若し総理米国その他に対して日本真意を了解させようという熱意を持たれるならば、わざわざ国費を費やして特使を海外に派遣するといった回りくどい、むだな手を打たれるよりも、むしろ私は第二次鳩山内閣成立直後のこの国会劈頭において、総理みずから厳粛な気持をもって日本外交の基調を改めて天下に声明し、今後は決して外交問題に関し、その場限りの思いつきを放送するがごとき愚を繰り返さないという旨を明確に誓約せらるること、これこそ日本対外信用保持のために最も肝要な措置であると考える次第であります。総理は果して対米協調基本とし、民主主義諸国との提携を足場として、各国との善隣友好関係増進せしめようとする外交政策を真に堅持する旨断言し得るかどうか、また今後全幅的に重光外相を信頼して、一元的に外交を推進せらるる決心があるかいなか、この点についてはっきりとした御答弁をいただきたいのであります。  なお、私がここで特に重光外相との関係に言及いたしましたのは、第二次鳩山内閣成立に当って重光外相留任が問題となり、これをいたく懸念しておる向きもあったように聞き及んでおりまするし、かつはまた、いよいよその留任が決定せらるるや、海外では一種の安心感をもってこれを迎えた事実もありますので、鳩山総理はことほどさように総理自身に対する海外での不信の念が顕著であるということを認識せられて、特に重光外相との関係を明確にされんことを要望するものであります。  いま一つ総理にお伺いいたしたい問題点は、いわゆる超党派外交に関する総理真意いかんであります。伝えられるところによれば、総理は議会内に外交調査会を設け、各党党首、または党首級人物をそのメンバーとするお考えのようでありますが、乗じて総理は、これを具体化していこうとするほんとうの熱意をお持ちであるかどうか、その運営はいかにせらるるお考えであるか、そのお心組みについてお伺いいたしたい次第であります。  振り返ってこれまでの総理自身外交問題の取扱いぶりを見るならば、極めて重要な外交問題が、閣僚も民主党も、はたまた外務省もつんぼさじきに置かれたまま、わずかに現防衛庁長官杉原君と総理との個人的合作で取り運ばれたというぐらいに、およそその外交ぶり超党派外交とは似ても似つかぬものであったのであります。また、時によっては一つ外交問題が二元的、三元的に取扱われ、外務省官僚はこれがしりぬぐいに寧日なしとさえ巷間に伝えられておるのでありますが、(「官僚代弁か」と呼ぶ者あり)黙って聞け。このような実績を持たれる鳩山総理が、各党各派意見を取りまとめて外交を実施する、いわゆる超党派外交を喧伝せられることは、まことに不可解千万であると言わざるを得ないのであります。(拍手)現在の日本実情では、たとえば各党国交調整というようなお題目はよしんば同一でありましても、その背後にある考え方は、全く氷炭相いれぬものがありますので、かりに各党相協議して対ソ外交を推進するということにでもなりましたならば、その結果としては、必ずや日本相手国の思うつぼに引きずり込まれる危険を冒すことになるのであります。またこのような措置は、責任政治の建前をくずすおそれもある点に十分留意すべきであると存じますが、総理はかかる諸点を真剣に検討せられておるかどうか、この辺の御意見もあわせて披瀝せられんことを希望いたします。  次に、中共貿易代表団に関して外務大臣質問いたします。  鳩山内閣はすでにしばしば中共貿易促進を叫び、その叫びは、国内政治の面ではあるいは一時的に民主党のプラスになったかもしれません。が、しかし対外的にはかえって密接な政治経済関係にある諸外国の世論に対日不信の念を醸成せしめ、下手をすれば日本にとって最も重要な貿易相手である諸国から報復手段をとられる懸念さえあるやに報道せられております。さらにまた、パリにあるココムでの対共産圏貿易制限措置を緩和する交渉においても、関係国態度を硬化せしめつつあるとの報道もございます。一体鳩山内閣は、中共貿易促進策として、ただニュース・バリューのある通商代表交換にのみえらく力こぶを入れておる感がありますが、中共のような国家貿易を原則とする国との関係では、通商代表交換が、かえって日本国内市場撹乱原因をなすおそれもあることは、われわれがすでに戦前ソ連との関係において体験してきたところであり、十分慎重な考慮を要するのでありまして、私は現状のもとにおける中共貿易増進具体策といたしましては、むしろまず第一に、友好諸国とよく交渉して、中共に対する輸出制限を緩和することが最も肝要であると思うのであります。しかるにこの点について現内閣はきわめて消極的態度のように見受けられまするので、特にこの見地からお伺いいたしたいのは、最近日本政府ココムにおいていかなる努力をいたしておるか、各国態度はどうか、対外的に差しつかえのない限り、なるベく詳細にこの間の実情外務大臣からお示し願いたいのであります。  次に、中共貿易団に対する渡航証明書発給に関する交渉を通じまして、政府は彼らの今回の来朝が、単なる貿易関係を越えてその背後政治的意図のひそんでおることをはっきりつかみ得たはずであるにもかかわらず、何ゆえ中共政府代弁者たる代表団の言い分にも二もなく追従し、完全に中共側からなめられてしまうような措置をとったのか。(「お前たちはどうした」と呼ぶ者あり)黙って聞け。いかに貿易が重要であるとはいえ、代表団意図貿易増進以外の何ものかにあるとするならば、より慎重な態度でこれに対処すべきではなかろうか。政府はかかる態度をとっておる。これを見まするとき、われわれは代表団来朝後の政府態度並びに今後の対ソ交渉に対する政府態度にもまた思い半ばに過ぎるものがあるやに感ぜられ、政府を監視すべき立場にある国民代表者といたしましてまことに憂慮にたえざるものがあるのであります。この点については強く政府に警告を発せざるを得ない次第であります。しかし、幸いにして友邦諸国からも信頼せられ、かつ私自身外交界の長老としてかねがね敬意を表しておりまする重光外相からこの点について、われわれの安心できるはっきりした所信を伺い得れば、私は国民とともにこれを最も欣快とするものであります。  さらにこの問題と関連し、いま一つお伺いいたしたいのは、渡航証明書に中華人民共和国と記入することは、中共承認を意味しないという外務省側説明をここでことさらに反駁しよういう気持はもちろんございませんが、しかし、相手方の非常に執拗な態度から考えましても、外務省の公文書にこのような国名の記載を承認するということは、中共に対する事実上の承認から漸次法律上の承認へと日本を引きずり込もうとする相手国の手管に乗りつつあることを意味するもののようにも解せられまするし、鳩山総理のいわゆる二つ中国がだんだん現実化しつつあるようにも見えまするので、これがおそらく一昨二十三日董顕光中国大使鳩山総理訪問となったのではなかろうかとさえ想像せられるのであります。この点について重光外相はいかなるお考えであるか、明確なる御答弁を要求いたす次第であります。  最後に、私個人といたしましては、今般防衛庁長官外交通杉原君が就任せられたことに慶賀の意を表するのでありまするが、何分にも杉原長官対ソ交渉の黒幕として自他ともにこれを許す人物でありまするので、一般世間では対ソ融和政策本家本元防衛責任者となられたために、米国との共同防衛努力が弛緩せられるのではなかろうか、また対米交渉がますます難航をするのではなかろうかとの危惧の念を抱いており、かつ、この防衛庁長官の人事は鳩山内閣の失政の一つであるとさえ見ておる向きも少くないのであります。従って杉原長官はこの際かかる危惧を一掃するために、防衛計画の背景ともなるべき国際情勢観、特に錯雑した東洋諸国のここ数年間の情勢についていかなる見通しを持っておられるか、またこれに関連いたしまして従来対米関係調整についていろいろの構想を持っておられたはずの杉原君として、日米間の防衛協力関係について今、防衛庁長官としてはいかなる基本的構想基本的抱負を持っておられるか、これらの点について率直に御答弁をわずらわしたいのであります。  以上申し述べました諸点については、鳩山総理重光外相並びに杉原長官、いずれも十分国民の納得のいくような、その場限りの言いのがれに終ることのないような、明確にして、しかも信念に満ちた御答弁あらんことを要望いたしまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  13. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) お答えを申し上げます。  政府外交政策が、民主主義国家と緊密な提携をやっていきたいと希望しておることはもとより当然でありますが、ソ連中共国交調整をしていきたいという希望を持つことがどうして悪いのでしょうか。ソ連中共国交調整しないで戦争状態終結未確定の事態に置くということは、きわめて危険だと思うのであります。全世界国民がひとしく世界第三次大戦を避けたいと熱望しておる今日において、ソ連中共国交調整をすべきことは私は当然であると考えておるのであります。(拍手)この点について重光君と少しも意見の不一致はございません。  超党派外交については、こういうことが実現できるということが望ましいことでありますが、超党派外交委員というものは顔ぶれが非常に重要でありまして、その顔ぶれ考えてみても、一堂に会してうまくいくような見込みがまだ立ちませんのですから、少し延びておるような次第でございます。どうぞ御了解をして下さい。  これをもって答弁といたします。 (拍手)    〔国務大臣重光葵登壇拍手
  14. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私に対する御質問は、中共貿易の問題でございました。共産国とのいろいろな関係において交渉をいたします場合に、その裏面において複雑な意図がありはせぬか、そういうことに十分注意をして交渉をしなければならぬという大体の御意見、特にこういう問題について経験のあられる小瀧君の御意見は、私は十分参照して進みたいと考えます。中共貿易は、今日の問題は中共地区日本との間において国際関係上でき得る貿易をできるだけ進めたいということに帰着するのでありましてこれは日本の今日の経済状態から見て当然の仕事であり、やらなければならぬことと考えて進めておるわけでございます。それがためには民間団体との交渉のために中共から貿易団体が来る、交渉団体が来るということもこれはいいことである、けっこうなことであると私は考えます。旅券の問題でございますが、私は旅券の問題などに先例もございますし、これにあまりこだわって日本目的としておる中共貿易のできる範囲増進をやろうという、この努力を少くするというような方向には向けたくないのでございまして、お話の通り旅券の問題も、こちらの言う通りにすれば私はそういうことが通ればけっこうと思いますが、そういうことを言い張る必要もないことであり、実益をたっとぶということがよいのじゃないか、こう考えまして、中共旅券の問題も処理したわけでございます。しかし、それかといってその旅券を持って入って国内で非常な政治上の策動をするというようなことは、これは迷惑しごくでございますから、さような場合にはそういうことのないように十分の措置をとりたい。またさようなことのないという条件のもとに、これを承認しておる関係でございます。大体さようなことで……(「輸出制限措置はどうですか、その緩和は。ココムは」と呼ぶ者あり)  ココムのことでございますが、そのココム範囲を少しでも広げ得るということは、これはむろん非常にこちらに有利でございます。そこでココムの内部においてこの方面にでき得るように各国との接触をいたしておりまして、出先ではできるだけの努力をいたしております。しかしその折衝の一々のことについて、私は今申し上げるちょっと記憶はございませんが、いずれ機会がありましたらお答え申し上げます。(拍手)    〔国務大臣杉原荒太登壇拍手
  15. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 小瀧君にお答えいたします。  防衛外交関係につきましては、この二つが両々相待って国の安全、平和の維持、戦争の防止ということが私は可能だと考えております。  第二に、極東情勢につきまして、今後数年にわたっての見通しを言えということでございます。極東情勢を見まするとき、今、そして小滝君のおっしゃることは、極東情勢といっても、それは平和か戦争かという角度から見た情勢を言っておられることと思いますが、今、極東情勢を見まするというと、台湾海峡を差しはさんでの国際の緊張を初めとし、その他の方面におきましても、あるいは潜在的に、あるいは顕在的に、いろいろの危険が実在しておる。しかるに、一方においては戦争を回避する要因ということも動いておると私は思う。それらが互いに織りまざって、今後極東情勢がどうなっていくか、また私が申し上げるまでもなく、極東情勢を決する要因というものは、必ずしも極東のみに存在するものではない。ヨーロッパその他世界のほかの方面にも原因が所在しておることは、結果においては極東情勢影響を及ぼしてくるでありましょう。そういうことをすっとあわせて考えまするというと、今後数年にわたっての極東情勢がはっきりどうなるかということを今ここで示せといっても、これは外交専門家の小瀧君の見ておられるところ以上に、私がここでお答えすることは、私はできません。これは事柄の性質上、そういうものだと私は思います。しかし、ただ、われわれとしては外交関係におきましても、防衛関係におきましても、われわれの力のある限りの努力をしてやっていくことによって、極東の全局を支配する力はありませんけれども、それにある程度の影響をしていくことがあるいは可能ではないかと思うのであります。そういう点からして努力していくのみだと思います。  それから第三に、日米防衛協力の問題についての考えはどうか。これはわが国の国の独立と平和ということの見地から、日米防衛協力関係も処理していくものだと信じております。(拍手)      ——————————
  16. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私はこの際、当面の外交問題について緊急質問するの動議を提出いたします。
  17. 田畑金光

    田畑金光君 只今の動議に賛成いたします。
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 佐多君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。佐多忠隆君。    〔佐多忠隆登壇拍手
  20. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 日本社会党を代表して、私は当面の外交政策のうち、特に緊急を要する二、三の問題について鳩山総理大臣重光外務大臣、一萬田大蔵大臣及び石橋通産大臣に対して質問をいたします。  第一に、中国との国交調整についてお尋ねいたします。昨年十月、わが党が提唱をしまして、さらにあっせんをして行われました各党代表訪華議員団周恩来総理その他との会談の結果、中国国際貿易促進委員会主席代理であります雷任民氏を団長とする中国通商使節団が、いよいよ一両日中に日本に来るようになったことは、まことに喜ばしいことであります。この使節団を迎えるに当って、政府はこれにどんな態度をとろうとしておられるのか。総選挙に臨んでは日中貿易拡大を強調しながら、いよいよ使節団を迎える段になりますと、これに全く消極的であります。いや、むしろ彼らが来ること、内地で産業視察調査を効果的にやることを妨げつつあるとしか思えません。彼らの日本訪問目的視察地区国籍名などについて全く無用の紛議を起しているのは、日本政府の不見識、失態の結果であります。(拍手政府はこれをどう考えるのか。  最近アメリカ日本中国との交渉を喜ばす、先にわが国に参りましたスタツセンFOA長官は、日本政府高官に対して、中共貿易を大幅に取り入れることは日本にとって不利であると強く警告し、また政府はこのほど在来大使館を通じて、共産圏諸国に対する接近策の実施は、日米間の経済関係を悪化させるおそれがあるとの申し入れを受け、現にわが国におけるアメリカ外交官が、中共貿易に従事しようとする商社やメーカーに対して、いろいろな圧迫を加えようとする動きがある、こういうことが伝えられております。こういう事実が果してあるのかどうか。あるとすれば、それはわが国に対する内政干渉でありますから、(「その通り」と呼ぶ者あり)強く抗議をすべきだと思いますが、そんな措置がとられたのかどうか。日本政府はむしろ逆に、関係業者に対し、中国貿易の推進を手控えるように警告する意向があると伝えられておりますが、それが果して事実であるのかどうか。重光外務大臣から詳しく御説明を願いたいと思います。  日中の間に結ばれます貿易協定構想によりますと、輸出入規模年間片道五千万ポンドとし、これまでのバーター制を改めて、輸出入をおのおの独立して行い、最後に均衡をさせ、そしてポンド建の直接決済方式をとり、日中両国の銀行間でコルレス契約を結ぶ。さらに日中両国通商代表機関を新設するというようなことに相なります。このような貿易協定に対して、政府はどのように対処しようとしておられるのか。石橋通産大臣重光外務大臣、一萬田大蔵大臣の御答弁を求めます。  わが国に近接をいたしております台湾では、これをめぐって中共国民政府武力をもって対峙し、アメリカがこれに介入して第三次世界大戦へ爆発しかねない危険な状態にあります。これが平和的解決のために、イギリス、インド、ソ連の間にいろいろ折衝がなされていますが、わが国はそれに対してどんな努力をされたか、また、現にしつつあるか、あるいはどんな考えを持っておられるか。これを鳩山総理大臣重光外務大臣お尋ねをいたします。  アメリカダレス国務長官は、金門馬祖等沿岸諸島を依然として保持し、これに対する軍事的挑戦については、アメリカの機動力ある海空軍軍事力によって断固たる態度をとることを声明をいたしました。これに対しましてイギリスイーデン外相は、これらの諸島から国府軍撤退をすることを提案をし、武力の発動を排撃するとともに、相互の自制を強調をして外交的交渉に重点を置くことを声明しております。台湾問題に対する米英意見の食い違い、態度の相違の間に介在してわが日本はどんな意見を持ち、態度をとるべきだと鳩山総理考えておられるか。かって鳩山総理二つ中国の存在を認めねばならぬと言明をされましたが、その考えはその後どういうふうに発展させられたのか、これをお尋ねをしたい。  アメリカ台湾問題解決のため、新しい積極的な案を作って、つい最近これについて幾つかの友好諸国考え方を打診しつつあるといわれておりますが、日本に対してはどうなるのか。かくも重大なる問題について、わが日本はつんぼさじきに置かれているのかどうか。どんな犠牲を払っても戦争を避けなければならぬと熱願をしておる日本国民の最大の関心事でありますから、明確にお答えを願いたいのであります。  次に、対ソ交渉についてお尋ねをいたします。政府は近く対ソ交渉に臨まねばなりませんが、日ソ貿易拡大、戦犯の釈放、北洋漁業権解決戦争状態終結平和条約の締結、領土返還等の個々の案件についてどう考えておられるか。さらに、その交渉に臨む基本的な態度を、どうとろうとしておられるか。日ソ交渉を積極的にやろうという態度は、今も鳩山総理はそれを強調されましたが、それは総選挙目当てのもので、選挙に勝ち、選挙が終った今日では、むしろアメリカの圧力に押されて慎重論に変って、熱意を失ってしまって、から念仏にすぎないといわれておりますが、どうなのか。そうでないというならば、その事実を詳しく御説明を願いたいのであります。  鳩山首相は、対ソ交渉によって歯舞、色丹はもちろん、千島、南樺太等領土問題も解決すると、昨日の衆議院の本会議でも言明をされました。その返還を要求することは、われわれも全く賛成であります。そのためには、しかし、同時に沖縄、小笠原などの領土権回復アメリカ駐留軍撤退軍事基地の撤去を要求しなければなりません。そうでなければ、現在のようなアメリカに隷属しておる状態では、返された北方の領土が、アメリカに軍事的に利用されないとは断言ができません。とすれば、ソ連がそれを承知しないことは、あまりにも明白であります。これらの事情を考えるならば、対ソ交渉における領土問題の解決言明をする以上、総理は対日講和条約根本的改訂日米安保条約行政協定の廃棄を主張しなければなりません。(拍手鳩山総理に、果してそれだけの覚悟と決意がおありであるのかどうか。それなしにあの言明をされたとすれば、それはペテンにすぎません。鳩山総理の明確な答弁を求めます。  最近、オーストリアラープ首相は、オーストリアにおける外国軍隊の駐在と軍事基地の設置を禁止する条項を含めて、アメリカイギリス、フランス、ソ連四カ国共同オーストリア領土不可侵保障を付加した平和条約を作ることを各国に要請いたしました。これはわが党が久しく提案をし続けているものと全く同じ構想のものであります。中国ソ違との国交回復交渉に際して鳩山総理はこのような新構想に基く平和条約を改めて結ぶお考えはないかどうか、お答えを願いたい。  第三に、アジア・アフリカ会議におけるわが国態度についてお尋ねをいたします。いわゆるコロンボ諸国の招きによりまして来月十八日からインドネシアのバンドンで開かれるアジア・アフリカ会議わが国政府が出席されることは大賛成でありますが、政府はこの会議にどんな態度で臨まれるのか。この会議はアジア・アフリカの諸国が欧米先進国の手を離れて、前代未聞ともいうべき規模で開かれるものであります。アジアがようやく世界の焦点となりつつある今日、この会議が生み出す体制は、世界の動向を決するものとなるでありましょう。わが国にとっては、終戦以来初めて自主的に出席する最高水準の本格的な国際会議であります。各国はすべて首相または外相が出席するはずです。わが国も言うまでもなく、鳩山総理または重光外相が出席されるものと思いますが、どうでありますか。会議の主催者、開催に至るまでの経緯からみまして、民族主義の高揚、植民地主義の反対、平和五原則に基く東西両陣営の共存、原水爆の禁止などが論議の中心となることは明らかであります。二、三の情報によりますと、日本アメリカの要望に引きずられて、中共に対抗して自由陣営の手先としての役割を果すだろうと見られております。もし、日本がそういう立場をとるならば、アジア諸国の反植民地主義と、世界平和の推進の熱望の中で、欧米の回し者としてアジアの孤児になるでありましょう。(拍手わが国は、断じてこのような態度をとってはなりません。(拍手わが国こそ率先して原水爆の禁止を提案をし、平和五原則に基く共存の実現に努力をし、アジアに平和地域を設定をし、拡大することに全力を注ぐべきであります。政府は果してこのような努力の目標を堅持しておられるのかどうか、詳しく御説明を願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  21. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 佐多君の御質問お答えをいたしますが、大体、重光君から答弁をしていただきます。  特に私についての質問としては、私がかって二つ中国というような言葉を使った考え方を今もなお持っておるかというようなお話でありましたが、これはやはり事実は認めなくちゃなりませんから、二つ中国という考え方解決をしていく方が適当だと思っております。  対ソの関係について熱意を失ったかという御質問でありましたが、決して熱意は失っておりません。(「具体的に事実を」と呼ぶ者あり)ただ、今ニューヨークで会議をするということを希望したのでありますが、それに対しまして、まだソ連から返事が来ないものですから、会議が進んでおらないという事態でありますが、近いうちに返事が来て会議は進行するものと思っております。  歯舞、色丹については、所属が明瞭でありますから、これは国交調整をする段取りになってから、むろん当然に主張しなければならないと考えております。ただ南樺太、千島については、サンフランシスコの条約があるものでありまするから、ソ連はその当事者となっておらない関係上、これに対しても話し合いをする一つの問題にはなりますけれども、直ちに歯舞、色丹と同様なことで主張するわけには参らないと考えております。  台湾の解放を中共が主張するということはアジアの平和を害するものでありまするから、そういうことのないように平和裏に解決することを熱望しております。  以下は重光君から御答弁をしていただくことにいたします。(拍手)    〔国務大臣重光葵登壇拍手
  22. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今日台湾海峡を隔てて、ただならぬ国際情勢にあるということは、これはもう皆認めざるを得ません。これが一つ何とか平和的に解決することを念願してやまないのでありまして日本といたしましては、この東亜の平和が維持される、東亜の安定が維持されるということに、すべての外交施策は向いておるわけでありますから、非常な関心を持ってその経過を見守っておるわけでございます。これに対するアメリカ側の意向、イギリス側の意向、絶えず接触を保ってその大体の意向を承知いたしております。しかし今、日本といたしまして、それならばどうすればいいかということを、はっきりと外国に対してこれを持ち出す、今それだけの時期及び準備をいたしておらないと申し上げなければなりません。しかしその形勢の如何については、非常な関心を持ってこれを観測をし、また他国との間に連絡をとっておる次第でございます。(「見ているだけか」と呼ぶ者あり)  それから次に、中共との貿易調整の問題でございますが、この点について過日スタッセン氏が来て警告をいたしたということは、事実何もございません。また米国の大使、在米大使が、米国から何かそれに警告を受け取ったとか、圧迫があるというような問題は起っておりません。中央との政治問題については、いろいろアメリカ側にも意見があり得ることと思いますが、日本のやっていることは、中共との貿易を、日本国際義務に反しない範囲においてこれを増していこう、こういうのでありますから、この点についてはアメリカ側も十分了解をいたしておるわけでありまして、圧迫は何もございません。それを御報告申し上げます。  そこで中国通商代表団が来て、日本の民間代表と十分貿易増進について話し合いをするということは、これは喜ばしいことでございますから、それについては旅券を出してその便宜を与えておるわけでございます。  次に、日ソの交渉についてでございます。日ソの交渉についても、大体総理の御説明通りでありまして日本ソ連とが平和関係回復するということについて、どこからも異存はないのでございます。日本ソ連との間に戦争状態を維持するという理由は私はないと思います。そこでこの交渉は、双方ともその立場をその交渉において十分披瀝をして、そうして果して日ソの国交が調整ができるかできぬかということを、交渉によって十分見きわめることが必要であろうと考えます。今日までのところは、これまた大体発表で御承知の通りに、日ソの関係、国交を正常化しょうということについて双方の意思が合致しておるのでございまして日本はニューヨークでやりたい、ニューヨークで交渉したいということは、すなわち世界の平和を常に顧慮しておる国際連合の所在地においてこれをやることが適当であろうと、こう考えて、そういう提案をいたし、これに対しては異存もないようでございますから、交渉はいろいろな手続問題等の方向に進んで行きまして、それができるならば交渉が始まると、こう考えております。その用意はこちらの方でいたしております。しかしこの交渉においてどういうことを持ち出すかということについて、今いろいろ御意見がありましたが、御意見は、これは私どもの方で十分尊重して検討しなければなりません。しかし今この席で、それじやどういうものを持ち出すかということを私が申し上げるのは、少しその時期でないように考えます。準備を十分進めることにいたします。(「東京かモスクワで交渉したらいいじゃないか、ニューヨークでやる必要はちっともないじゃないか」と呼ぶ者あり)それはソ連が初めそういう考え方を持っておりました。しかしソ連日本の希望する所で交渉して差しつかえないという意見でございました。  それから最後にアジア・アフリカ会議のことについてでありまして、なるほどアジア・アフリカ会議の重要性については、私は今の御説明通り考え、これは非常に重要に考えております。アジア・アフリカの諸国が一堂に会して、そうしてたとえそれが親善友好のみを目的としておるものであっても、これは非常に重要な意味を持つものと、こう考えております。(「誰が行く、誰が。」と呼ぶ者あり)お話の通り総理もしくは外務大臣の出席を希望してきたことは事実でございます。しかし、あるいはわが国といたしましては、議会の開会中でもございますし、果して特に総理もしくは外務大臣が出席することが適当であるかどうかということはちょっと考えなければなりません。それで最もその趣旨に沿うような措置をしてそうしてこの会議の重要性に応じたい、こう考えておる次第でございます。その会議の席上においていろいろなことがもちろん出てくると思います。中共も出席をいたしておるのでありますから、いろいろなことが議せられると、こう考えます。しかしわが国といたしましては特にこの会議において政治的の重要性を持っておる提案をする意向はございません。しかしアジア・アフリカの諸国の共通の重要問題については十分参画をしてそうしてわが国の公正なる態度を決したい、こう考えております。    〔国務大臣一萬田尚登君登壇
  23. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私に関係しました点についてお答えを申し上げます。  お尋ね一つは、今日、対中共貿易がバーター取引になっておる、これをオープン勘定の取引に移してはどうかというお考えのようであります。今日この中共貿易はバーター取引になっておりますが、輸入が約四千万ドル、輸出が二千万ドルと、こういうふうにすでになっておるのであります。従いましてお説のようにオープン勘定取引というようなことについて検討を加えてよかろうと私も考えております。  なおこの貿易の決済につきまして、決済の金融機関を日本中共のそういう金融機関の間で一つやらしてはどうか、こういうまた御意見でありますが、これはもうすでにそういうふうになっておりまして、今日対中共貿易の決済は、ほとんど大部分日本中共の銀行の間で行われておるのであります。御承知を願います。    〔国務大臣石橋湛山君登壇
  24. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) 私からお答えすることは、今大蔵大臣から言われた通りでありまして別にほかにございませんから、どうぞ御了承願います。(笑声)      ——————————
  25. 曾禰益

    ○曾祢益君 私はこの際、当面の外交関係に関する緊急質問をするの動議を提出いたします。
  26. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、ただいまの曾祢君の動議に賛成いたします。
  27. 河井彌八

    議長河井彌八君) 曾祢君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。曾祢益君。    〔曾祢益君登壇拍手
  29. 曾禰益

    ○曾祢益君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして(「第二だよ」「右か左か」と呼ぶ者あり)第二次鳩山内閣組閣にあたりまして当面の外交問題に関する若干の御質問を申し上げたいと思います。  第一に鳩山内閣は総選挙の前から、その外交方針は対米関係については吉田内閣の方針を踏襲する旨を言明して参りましたが、総選挙中におきましては、首相はむしろ対共産圏国交の調整を主眼とするのゼスチュアをなしましたため、アメリカはこれに対し敏感に反応を示し、すこぶる警戒的な態度をとるに至ったのであります。その結果余剰農産物買い入れ交渉防衛分担金削減の交渉等もデッド・ロックになりまして、民主党選挙においては優勢であったけれども、組閣と同時に対米外交は全く行き詰まりという痛し痒しの難局に当面されたのであります。この苦境を打開しようとするあがきが、一つは過般の首相の外人記者会見におけるアメリカ軍の日本における原子兵器貯蔵もやむを得ないという一大失言になりました。又他の一つアメリカに対する特使の派遣による了解工作という企てに現われておるのでございます。そこで、私は次の諸点に関する嶋山総理の御見解をただしたいのであります。  まず原子兵器につきましては、世界的軍備縮小と並行いたしまして、原子力の有効な国際管理の確立に伴ってこれを一切禁止することを趣旨といたしまして、政府はこれが実現のため、あらゆる努力を傾注すべきものと思いまするが、政府の決意と準備を伺いたいのであります。  首相がこのような基本的な態度を強く打ち出すことなく、アメリカからの要請すらないと思われるにかかわらず、仮定の議論に対しましていち早くアメリカ日本における原爆貯蔵を許すといった答えは、これは重大な失言でございまして、おそらくアメリカ外交の行を行き詰まりを強く意識するのあまり、対米媚態を示さんとした総理の心境がしからしめたものと考えるのでありまするが、首相は率直にその非を認め、この際、この発言を取り消す御意向はないか伺いたいのであります。  日本の安全保障は、究極におきましては国際連合の集団保障に依存し、かつ当面は自由国家群からの保障によってささえられる必要を認めなければならないと思いまするが、日米安全保障条約及び行政協定によりますれば、直接日本に加えられる武力侵略でない場合においても、極東の平和と安全の名において、日本における軍事基地からするところのアメリカ軍隊の軍事行動が、日本の意思と無関係に発動され、日本の意思に反してわが国戦争に巻き込まれる危険が存在するのであります。しかも原子兵器の使用を伴うようなことが予想される状況におきましては、日本における原子兵器の貯蔵ばかりでなく、日本におけるアメリカ軍の一切の軍事行動というものが、わ国の意思に反し、平和の目的から逸脱することのないように、安保条約、行政協定を改訂し、または他の方法によって日米両国間に明確な了解を取りつけることが必要と思われますが、総理の所信を伺いたいのであります。  政府は、アメリカに対し特使を派遣する意向のようでありまするが、その任務の一つといたしましてわれわれの反対するわが国防衛力の増強とか、われわれが主張する防衛分担金の削減とか、これも折衝の題目と考えられまするが、防衛問題を論ずるならば、このような観点を離れまして、一層基本的な問題から論ずる必要があると考えるのであります。すなわち原子戦争の時代におきましては、原子兵器及び戦略爆撃機を持たない国が、これを持つ国の報復能力にその安全を託する傾向があることは認められますが、軍事基地を提供するということは、半面において、提供する国を反対陣営からの原子力攻撃の危険にさらすという、国のいわば生死存廃をかけた重大な意味を持った貢献と犠牲でございまして、強大な報復力を持つ国は、この点を深く考慮に入れ、かつ徹底的に自己を抑制し、いやしくも弱小国を危険な地位に陥れたり、間接侵略に対する抵抗力を弱めたりするような要求を持ち印したりすることは、厳に慎しむべきものと思うのでありまするが、このような見地から防衛問題と平和問題について、アメリカと大局的な話をされるお考えはないかどうか、明らかにしていただきたいのであります。同じく特使の折衝の一大眼目としましては、国際貿易の自由化、なかんずく共産圏貿易に対する短見的な、ショート・サイテットは制限を大幅に緩和することを強く主張すべきものと考えられまするが、首相の決意を伺いたいのであります。  第二は、ソ連中共に関する問題でございますが、鳩山内閣は、総選挙終了後は、前に申し述べましたような対米外交の行き詰まりを打開しようとするあせりから選挙前及び選挙中に、鳴り物入りで宣伝した対共産圏外交の推進は、もはや全く影をひそめてしまい、今や中ソ国交の調整とは単なる選挙目当ての無責任な、から宣伝が実体であることを立証しつつあることは、先ほど同僚佐多君が明確に指摘されたところであります。われわれは鳩山内閣及び民主党が、このように外交を政争の具に供する態度を強く指弾いたしまするとともに、われわれに関する限りは、完全野党の立場に立って、政府の公約実現を督励し、その業績に対して厳正な批判を加えたいと思うのでありまするが、この見地に立って、次の諸点に関し総理及び外務大臣の御所目を伺いたいのであります。  第一に、対ソ国交調整の問題でありまするが、この基本目標が必ずしも明らかにされておりません。ただ国交の調整、正常化というだけであって、決して明らかにされておらないのであります。この基本目標とは、戦争状態終結の確認と、平和友好関係の樹立にあると思うのでありまするが、その場合にいかなる条件によって行うかということはきわめて重要なことでありすす。これも政府が何ら明らかにされておらないのであります。このことはアメリカに対しても、またソ連に対しても自主的な内容でなければならない。また具体的には、ソ連も最近に至ってこれを認めておりますように、サンフランシスコ講和体制をこわさない、日本外交及び安全保障の自主性を犠牲にしないものでなければならないものと考えるが、いかがでございましょうか。日米安保、中ソ友好同盟の二つの対立的な安全保障体系を終局的に不要ならしめることを目途といたしまして、まず新ロカルノ方式による日米中ソ四カ国間の集団安全保障条約を提唱することをいかにお考えであるか。さらに、従いまして日ソ平和条約は、日本とインド、ビルマとの条約と同様に、サンフランシスコ条約でもなく、しかもこれと矛盾しない内容のものといたしまして、ただし領土問題については、平和条約中におきましても、歯舞、色丹のみならず、先ほど総理は言葉を濁されたのでありまするが、当然千島、南樺太の日本復帰を規定する必要があると思うが、いかがでございましょうか。さらに平和条約の締結が遅れる場合には、あらかじめ両国間において打ち合せの上、戦争終結の両国共同宣言を発することが適当と思われるが、御所見を承わりたいのであります。領土以外の懸案、すなわち抑留者、戦犯の帰国、通商、漁業等の問題は、必ずしも平和条約と同時でなくとも、随時解決する方針がしかるべきと思うが、この点も明らかにされたいのであります。  次に、中共関係でありまするが、基本的には、中国一つでなければならないが、当面二つ中国ということを総理は言われまするが、これは二つ中国の、二つの政権が存在するという事実に即しまして、中国本土については中共を相手とし、これとの間に日ソ間と同様な条件で平和友好関係を樹立すべきものと思うが、政府はこの首相の二つ中国という言明にかかわらず、実はアメリカに気がねをいたしまして、自主的な外交をちゅうちょしておるように思いまするが、明らかにされたいのであります。当面まず台湾をめぐる緊張緩和のため、特にコロンボ会議諸国と連携いたしまして、まず停戦の実現、さらには中国問題全般の処理に関する国際会議の開催に努力すべきものと思うが、依然としてこの点に対する御明確なる御答弁がなされておらないので、あらためて伺いたいのであります。政府中共関係につきましては、他の同僚諸君からもお話がありましたが、政治問題よりも、まず相互の渡航の自由あるいは貿易促進を実行すると言っておられまするが、貿易については、先ほども申しましたように、いやしくもココム・リストの大幅改訂に関する、政治的な、最高レベルにおける話し合いがなされなければ、中共貿易拡大は単なるから念仏に終るのであります。往来の自由化につきましても、先ほど佐多君が御指摘のように、現に中国貿易使節団の査証問題及び行動の制限、あるいは日本の労働組合代表の中国渡航の申請等に対しまして旅券交付の拒否、これらの実例から見ても、いろいろ細かな御殿女中式的な口実を設けまして政府は現実には渡航の自由化を実行されておらないのであります。これらに関する、この食言に対するはっきりした御答弁がありまするならば、これを明らかにしていただきたいのであります。  最後に、アジア・アフリカ会議に関してでありますが、日本の自主独立の立場を強化するためと、国際緊張の緩和を促進する見地から、十分にこれらアジア・アフリカのいわゆる後進民族諸国の期待にこたえるような心がまえをもって、かつ周到な準備を整えた上、積極的、自主的にこの会議に参加すべきことは、言うまでもないところと思うのであります。これがためわが党は、国会の審議を通じてこの準備に積極的に参画する意向でありまするが、政府もまた進んで国会を通じてその所信を明らかにし、かつ国民の世論を背景といたしまして会議に臨む覚悟がなければならないと思うのでありますが、このことは、単なる形式的な、いわゆる超党派外交とは、厳密に区別して考うべきことは申すまでもないところであります。先ほどの重光外相のお話によりますと、政治的問題等は提案せぬ、これも一つのお考え方かもしれませんが、さような消極的な態度ばかりでなく、真に国民的世論の背景に立ってそうして積極的に大いに自主性を発揮する外交の機会とされたいので、これに関する政府の心がまえと準備につきましてあらためて明確なる御答弁を要求いたしまして、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  30. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 曾祢君の御質問お答えをいたします。  曾祢君が多く質問をなされましたその議論の根底として、ソ連中共との平和、国際関係の正常化を欲したるがために対米関係が悪化したということを土台とされて質問をされましたが、そういうことは全然事実がございません。対米関係が、ソ連との国交調整をせんと欲したるがために悪化したという事実はないと思っております。  原爆について、私が外人記者団会見で話しましたことが問題となっておりますが、あれは実際現実の問題とはなっていないのであります。アメリカからそういうような注文もないし、何も私も考えていなかったのであります。(「現実となったらどうしますか」と呼ぶ者あり)そうです。そういう問題です。現実になったらばどうするかという問題なのでありますが、現在は現実になっていないということを申しまして、とにかく国民が心配しているでありましょうから、この点は明瞭にいたしておきたいと思っておるのであります。(「原水爆発言は取り消せ」と呼ぶ者あり)ただアメリカがそういうことを要求した場合にどうするかという態度ですが、これは目標は、戦争防止、戦争回避、平和の維持ということに目標を置いて、その時に考えるよりいたし方ないと考えております。とにかく原爆が世界から姿を消すというような事態ができることは非常に望ましいことでありますけれども、現在は、とにかく原爆が世の中に現存しておるのでありますから、第三次世界大戦が生ずればそれが用いられるような危険があるのであります。とにかく第三次世界大戦を避けたいということが基本の事実となるわけで、その第三次世界大戦を避けるということに全力を尽すべき時代だと考えております。詳細のことは重光君から答弁していただくことにいたしまして、私は大要右の二項目にわたって御返事をいたします。(拍手)    〔国務大臣重光葵登壇拍手
  31. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えを申上げます。  原子兵力の問題でございますが、原子力はあくまでも平和的に使うようにしむけなければいかん、こういうことは、これはもう日本としても当然のことであり、これはあくまでもそういうふうにしむけなければならんと考えております。この問題につきましては、今、日本はむしろ原爆はございません。日本と個々の国との交渉ということは、これはちょっと時宜に適しないように思います。しかし幸いに国際連合においてこの問題を取り上げております。そしてその目的のために委員会が構成されてこれにわが国も参加をいたしておりますので、その方法によって原子力の平和利用というところにあくまで努力をいたしたい、また努力をしておることを御報告を申し上げます。これがどういうふうにいい結果をもたらしますか、まだ結果はわかりませんが、非常に大きな問題としてこれに関係しておる国が熱心に取り上げておることは事実でございます。しかし原子力が日本に、もしあれば、もしくはアメリカの軍事行動ということによって日本戦争に巻き込まれるようなことがありやしないか、それを防ぐ必要があるのだという御意見の披瀝があったように記憶いたします。私は全くこの点は、そういうふうにしなければいかんと思っております。しかし今日、原爆は日本に貯蔵されておるということは全然ないし、またさような仮定を今日する必要もない状態でございます。日本においてアメリカ軍の駐在があるということ、これまた事実でございます。そこでアメリカ軍と日本の国防関係のことについて十分密接な連絡をとらなければならんことは、これまた当然のことであります。アメリカ軍の行動によって日本がみだりに戦争の危険にさらされるようなことがあってはならんのでありますから、そこで日本アメリカの当局者の密接な意見交換、これはただ軍事上の関係のみならず、国際問題の一般情勢についても、十分に連絡をとって意見交換をやる必要があると、こう考えております。この点については、私も及ばずながら、東京において、また各国政府の所在地において非常に努力をいたしておる点でございます。そうして特にアメリカとの間においては、東京においても密接な連絡のあることを、これも御報告を申し上げたいのであります。  それからソ連中共との関係についてお話がございました。ソ連との正常関係回復したいということについては、先ほど今日までの経過を御報告申し上げた通りであります。さらにそれ以上に、正常関係だけではいかん、さらに平和友好の関係を樹立しなければならん、こういう御意見のようでございましたが、私は今のところ正常関係をまず回復しなければいかん、これに仕事を集中しておる状況でございます。  これに関連いたしまして、サンフランシスコ条約の体制は維持するがよかろうという御意見もあったようでございます。私もこれは同感であります。日本はサンフランシスコ条約によって独立を回復し、その体制に立っておるのでありますから、その体制は動かすことはできんと、こう考えております。  さらに戦争終結云々のことでございますがむろん正常化すれば、戦争終結ということに相なります。これは交渉をしてそうして交渉の結果を待って、どういう方式によって正常化をするかということを十分検討しなければならんので、今日においていかなる形式においてこの交渉を終末に導くかということを論ずるのは、少し早や過ぎるのじゃないかと、こう考えております。  中国特に中共との貿易の問題については、先ほど詳しくお話を申し上げましたから、それによって御了承をいただきたいと思います。(「詳しくないぞ」と呼ぶ者あり)中国の問題、特にアメリカとの関係台湾海峡情勢が非常に心配であると、こういうことは先ほども申し上げました通り、実に重大な関心をもって日本としてはこれに臨んでおります。そこでこの問題について特に国際会議日本の提唱によって行わるべきものであるという階段には、まだないと考えております。  それからAA会議、すなわちアジア・アフリカ会議の問題であります。この点についても、先ほどの御説明を繰り返すほかはございませんが、しかし今述べられた御意見は、十分に私どもこれを尊重してこの会議に臨みたいと考えます。それからこの会議について世論の背景をもってやれと、こういうお話でございます。十分に一つその心がけをもって処理していきたいと考えます。(拍手)      ——————————
  32. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 僕は、当面の外交問題等に関する緊急質問動議を提出いたします。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、ただいまの羽仁君の動議に賛成いたします。
  34. 河井彌八

    議長河井彌八君) ただいまの羽仁君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。弱仁五郎君。    〔羽仁五郎君登壇拍手
  36. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 現在の鳩山内閣は、日本における保守政党内閣最後のものになるのではないかということを、岩淵辰雄君が十九日の毎日新聞に述べておられます。国民の期待を裏切る政党は必ず滅亡する、これは歴史の示すところであります。現在鳩山首相は公約実現のためにあらゆる手段を尽しておられることと信じます。国民が今、鳩山首相から聞きたいと思っています緊急の問題の七つについて首相に質疑を許されたい。  第一に、鳩山内閣の公約第一号、日ソ国交回復について、鳩山首相は、去る一月二十七日、次のように言っておられる、「近い将来においてソ連及び中共との平和友好関係回復を実現することを諸君の前に誓うものである」。この問題の解決を今日まで妨げてきたものが何であるか、その十分の認識があればこそ、首相は重大な決意をもってこの誓いを立てられたことと信じます。アメリカ外交政策が、最近内外の信望を失墜しつつある事実を指摘しなければならないのは、僕の深く遺憾とするところであります。最近プラウダやイズヴェスチアなどの新聞のアメリカ国内の郵送をも禁止するに至ったようなアメリカの現状に対して、アメリカの前駐ソ大使ケナンがニューヨーク・タイムス紙上に、アメリカはかくまで自信を失ってしまったのかと痛嘆しています。このように内外に信望を失うかに見えるアメリカ外交政策に、日本が追随することは、日本のためにも、アメリカのためにも、信義に反する。インドのネール首相がもっぱら苦慮を重ねているのも、ここにあります。コロンボ五カ国が、今アフロ・アジア会議をバンドンに開こうとしているのも、アジア及びアフリカの各国が、米ソ対立に拘束されないために、ネール首相の言葉にいう平和の地域を拡大しようとしているにほかならない。鳩山首相はアフロ・アジア会議の好機に、ネール首相と会談される意思はおありにならないか。日ソ会談の場所なども、ニューヨークなどよりも、ロンドンなどのほうが妥当ではないのか。いろいろの問題についてアフロ・アジア会議の表明するアジアの善意に支持されるならば、鳩山首相は日ソ平和友好関係回復の誓いを必ず実現することがおできになるでしょう。この意味において鳩山首相のネール首相との会談は、日本の社会党そのほか全国民の支援を受けられるでありましょう。首相の深い考慮に基くお答えを期待いたします。  なお、最近オイストラフの日本における芸術的成功、また近く日本学術会議代表の訪ソなど、国民に明朗なる喜びを与えておられますが、日ソ間の文化の自由なる交流について首相はさらに積極的に努力をせられたいのであります。日ソ間あるいは中日間の文化の交流をも妨げていたような岡崎外交に対しては、すでに国民の審判が下されているではありませんか。  第二に、中日貿易促進の問題は、日本経済自立に向って中小企業者、また労働者、国民が希望を持って働くことができるかいなかの問題であります。アメリカのいわゆる援助のもとに、ライオンの分け前の支配のもとに、いつもクリームを奪われていつの日に日本経済の自立があり得るのか。日本の財界においても識者はすでに自覚しておられる。公式、または非公式、または非公式でもないというような妨害、脅迫におののいているようなことをやめて一刻も早く中日貿易協定を実現し、不合理なる輸出制限を撤去するために、鳩山首相が率先明断を下すべきではないでしょうか。スイス、インドなどは、ココムなどに拘束されずに、中華人民共和国と貿易し、イギリス、西ドイツなどが北京に向って機械類などをも輸出しているときに、ひとり日本から鉄板などまでが輸出を禁止されていることは、全くナンセンスであって、何人をも納得させることはできません。  第三、鳩山首相の原水爆貯蔵承認は、仮定の問題に対する発言であったと弁解されますが、現在台湾をめぐる事態が万一切迫すれば、日本がどのような状態に置かれるか、首相に認識がないとは信じられない。アメリカ日本を基地として原水爆使用の準備をすることになれば、マクマホン法などによって、日本の首相も、あなたも、国民も知ることのできない秘密のうちに日本の国土、国民の運命が決定されてしまうのであります。チャーチルが涙ももって語ったような問題を、あなたが軽い気持発言されたとは信じたくない。バートランド・ラッセルは、最近、自己の国土に自己の国民の生存が続けられるようにするために自己の責任を尽すという決意を述べています。水爆の死の灰によって日本人が生殖の機能を失っている事実をも生じている今日、原水爆禁止署名二千万を超えている日本国民の民意を尊重し、さきにわが国会の表明した決意をも尊重し、鳩山首相はこの際、原水爆の禁止の要請を表明すべきではないでしょうか。選挙直前、去る一月十二日、鳩山首相は広島において新聞記者団と会見して、原水爆禁止を、社会党両派の協力を得て米ソに要請すると言明されていますが、国会を通じて現在の首相の決意を示されたいのであります。  第四、沖繩、小笠原などにつき昨日首相が衆議院において、これらのすみやかなる返還アメリカに向って要請すると答えられたことは国民に希望を与えています。最近米華、米韓条約など、沖繩における日本の潜在主権の侵害ではないかという不安を与えています。立法、行政、司法などの権限がことごとく委譲されている現状であるとはいえ、沖繩の存在そのものに深く関係する極めて重大な問題、及び沖繩に永住する日本国民基本的人権の問題などについて、日本の主権が無視されることは許さるべきことではないではありませんか。  第五、日韓外交関係の健全化についても鳩山新首相の態度は多大の期待し受けておられる。現在、大村収容所などに多数の老若男女の朝鮮人諸君が長期にわたって自由を拘束されていることは、重大なる人道の問題であります。かつまた日韓外交の円満なる進行にもはなはだ害がある。これらの朝鮮人諸君の多数は、かつて日本が強制的に日本国民として取扱っていた人々であるという事情、また、現在日本と朝鮮半島との外交関係が確立されていないという事情、そのほかさまざまの深刻の事情、また感情上の問題などもあることでありますから、特に重大なる理由のない者とか、あるいは信頼すべき引受人などのある者などの多数は一刻も早く釈放すべきではないか。この久しい懸案の解決を一日千秋の思いで待ちわびている関係家族の心情をも察して、首相の明断を下されたいのであります。  以上をもって外交問題について首相のお答えをお願いするのでありますが、なお関連して、次の二点について質疑を許されたいのであります。  すなわち、第六に、このたびの総選挙の結果、現在国民が、国会の憲法改正発議を是認していない事実が明らかであるにもかかわらず、首相がなお憲法改正の意図を捨てないと言っているのは一体どういう意味ですか。首相は、選挙法の改正、小選挙区制の設置などによって、次の選挙に、人工的に作為的に三分の二以上を得ようとしているのですか。もしそのような意図があるならば、これはあるいは陰謀の疑いを受けざるを得ないのではないか。一般論として選挙法の改正は合法的になし得ることであるかもしれない。しかしながら、君子はなさざるところがある、ということは不朽の哲理です。川島国務相は、去る二十一日の読売紙上に、革新政党の議員数が保守政党と対等の地位に到達するのを防ぐために小選挙区制を希望すると語っている。選挙法改正などの小細工によってではなく、保守政党といえども時代の進歩に適応する政策を実行して、国民の多数の支持を得ることに全力をあげられることこそ、堂々たる民主主義政治家のとるべき唯一の道ではないか。それとも、みずから墓穴を掘られるつもりか。  第七、日本国民基本的権利の尊重の趣旨を、この際特に鳩山新首相に要望いたしたい。政治活動というものは民主主義の最高の美徳であるにもかかわらず、最近ややもすれば、政治活動が悪いことであるかの印象を与えているような法律、すなわち国家及び地方の公務員、あるいは公共企業体の従業員、あるいは教育に関係する人々、これらの人々の政治活動を不当に制限し、萎縮させるおそれのあるような法律はすみやかに改廃すべきではないでしょうか。これらの法律によって得られるところと失われるところとのいずれが重大でありましょうか。民主主義政治家としての首相の大所高所に立っての識見を明らかにせられたいのであります。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  37. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 羽仁君の御質問お答えいたしますが、第五の点については重光君から答弁をしていただきます。第七の点は松村君から答弁をしていただいたほうが適当だと思います。  日ソの国交回復についてネール氏と会談する意思がないかということでありますが、現実にまだ問題になっていないために、私、考えを持っておりません。ただ、インドとの国交を密接にするほうがよいという気持を持っております。(羽仁五郎君「私の言うのは、アジア・アフリカ会議に、首相御自身でおいでになってネール氏とお会いになるということを国民は期待しているのです。この点について。」と述ぶ)とにかく議会開会中であるから、今のところ行く意思はないのですが、事情が許せば行きたいと思っております。  第二に、中共との貿易についてワクの撤廃をするということには非常に賛成であります。  原水爆の問題は、たびたびここで申しましたから、それによって御了解を得たいと思います。  第四の沖繩、小笠原の問題は、何しろ日本領土権のあることが明確でありますから、統治権をできるだけ早い機会においてアメリカ交渉して解決をいたしたいと思っております。  第六の憲法改正の意図は、今日もまだ捨て切れません。やはり憲法は改正ができる時期があったならば改正いたしたいと思っております。  以上答弁をいたします。(拍手)あなたの目的としているのは小学校教員が選挙運動……その意味ではないのですかどうもやはり教員が小さい子供の教育を扱っていて……(羽仁五郎君「そういうことを伺っているのではない。政治活動が悪いことであるかのごとき印象を与えている。」と述ぶ)そういう大問題は、そういう見地から言えば、政治活動を禁止する理由はないと言うより仕方がありません。(拍手)    〔国務大臣重光葵登壇拍手
  38. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 質問の第五点は、私からお答え申し上げます。  韓国との国交を樹立したいと思って今一生懸命にやっておるのでございますが、その一つ交渉の題目として大村の収容所の問題があることはこれは事実でございます。お話の通りに人道的問題から言っても、できるだけ早くこの問題を解決したい、これはもうほんとうにそう考えてやっております。そこでこの問題については、ずっと話し合いを非公式に進めております。そうしてその結果、二月中にもうすでに一部の者の仮釈放をいたしました。その後も向うと連絡をしながら、審査の上で差支えない者は、順次に仮釈放していくという方針にいたして、向うと話し合いをとげておりますから、これを御報告申し上げます。(拍手)    〔国務大臣松村謙三君登壇拍手
  39. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) 国家公務員の政治活動の自由についての御質問お答えを申し上げます。  公務員は公けのことをつかさどる職務でございますから、従ってこの職務のきわめて公正を保つ必要上、今直ちに政治活動の自由を許すということには相当の考慮を要する、ただいまのところでは、私どもは困難だと考えております。      ——————————
  40. 田中啓一

    ○田中啓一君 私はこの際、農業課税を中心とする農政問題に関する緊急質問動議を提出いたします。
  41. 上林忠次

    上林忠次君 私は、ただいまの田中君の動議に賛成いたします。
  42. 河井彌八

    議長河井彌八君) 田中君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。田中啓一君。    〔田中啓一君登壇拍手
  44. 田中啓一

    ○田中啓一君 私は自由党を代表して農政問題に関し、総理並びに大蔵、農林両大臣に対し御所見をただしたいと存じます。  最近、地方の農家から本年度の所得税の決定額が去年の二倍あるいは三倍になった、これはいかなるわけか、というような質問に頻々として接するのであります。また時を同じうして、大蔵当局では今年の農家の所得税の収入は昨年の二倍くらいになる見込みを立てているということを耳にするのであります。昨日の大蔵大臣の御答弁によりましても、二十九年度は米も前年よりはだいぶ増収であったから、勘定すれば所得税も増加するでありましょう、というようなことでございました。なるほど米は幸いにも前年度に比べまして五、六百万石、すなわち約一割の増産であったのは事実でございます。それでもこれは平年作に比べれば一割くらいの減産でございます。しかも、農家の収入をはかる際には、もう一つ値段のほうを見てみなければならぬのでございますが、公定価格では約七%の低下でございましてやみ価格の低下もおびただしいもので、これをあわせ考えましていわば生産者実効価格ともいうべきものを見ますならば、少くとも一割五分以上の私は米価低落であって、農家の収入は決して増加しておらぬと見ておるのであります。また菜種、大豆、カンショなど値段はこれは高かったのでありますが、そのかわりに、また相当のこれは減産であったのであります。ただ牛乳だけは三割もの増産でございましたが、しかしこの方は値段は四割以上も大暴落を来たして、酪農の危機が叫ばれておるような実は現状でございます。かように見て参りますると、農家の所県が全体として増加しておろうとはどうしても私は考えられぬのに、ひとり農家の所得税だけは、総額で全国的に見れば倍にもなるというのは、一体どうしたわけなんでございましょうか。農家の陳情書を見ますると、またこれ、税務署が根こそぎ勘定を始めたのではないか。かって片山・芦田内閣の時代に、さる銀行家出身の大蔵大臣が、農家の庭のカキ木一本、鶏一羽まで根こそぎ勘定をされた結果、時の農家に対する所得税は、昨年の二十八年度に比べますれば、約十倍近い四百億もの実は所得税がかかったのであります。でありますから、再びそういう時代が来るのではなかろうかということを非常に憂慮を実はしておるのであります。これに対しまして鳩山総理にお伺いいたしますが、何とか、かくのごとき事態を是正すべく、何らかの手をお打ち下さるお気持はお持ちにならぬでございましょうか。古来、時の為政者の善政なりやいなやということの分れ目は、どうも私はこの辺にあるのでなかろうかと思うのでございまして、願わくば総理から何らかあたたかいお言葉をいただきますれば、これはひとり私どもの喜びだけではなくて、おそらく天下万民の喜びであろうと思うのでございます。  次に、大蔵大臣と農林大臣とにお伺いをいたします。ただいま総理に対する質問でちょっと触れたのでございますが、昭和二十三、四年の頃の農家所得税は約四百億円でございます。二十五、六年頃が百六、七十億、二十七年が百二十億、二十八年は四十八億円三ございまして、自由党内閣時代にかく減税に減税を重ねて参りましたのは、ただ単に農家の負担軽減をするとか、あるいは米価を安くしておりますために、まあ埋め合せにというような、そういった簡単な理由だけではないのでございまして、土地改良等の財政投融資の増加と相待って、農業に対する資本投下を増進いたし、もって食糧増産自給態勢の根本をつちかおうとしたのであります。鳩山内閣国内資源の開発、食糧自給態勢の確立を公約にうたわれております。また、いわゆる経済六カ年計画というものも掲げておられまして、まことにけっこうではございますが、この六カ年計画なるものは、国民経済の指標がこんな数字になれば国民全体が飯が食えることになるであろうというまでのことでございまして、これをどうしたら実現できるかという方途の具体的な政策についてはいまだ何ら示されておるところがないのであります。しかし誰が考えましても、食糧、繊維原料等の自給態勢を進めまして輸入量を削減し、国際収支のバランスを整えるとともに、農林水産物の増加をもちまして拡大された鉱工業の生産物に対し国内の購買力の増加をはかるというのが、これが一つのキー・ポイントではないでありましょうか。ただこれがためには農業の有畜化にも、あるいは耕地の拡張、改良にも、林一専一の改良にも、多額の資本投下を要するのでありまして、農林水産業の生産性向上にも全く金のかかることは鉱工業と同じであります。世間往々にして国土水域の狭小ということをもって、そう農林水産業の発展には期待できないじゃないかというような消極的な意見を持つ人があるのでありますが、私は今乏しいのは、土地や山や海ではなくて金であると思います。その金を鳩山内閣は農林水産業に対して多くつぎ込まれるような政策をおとりになるのか、あるいはなさらないのか。この点が私は経済六カ年計画というものがただ画に描いた餅となってしまうか、あるいはそうでない実現性のあるものとなるかということの分れ目であろうと思うのであります。しかるに鳩山内閣の減税案によりますれば、利子課税あるいは法人税あるいは所得税の軽減というものは見えておりますが、農林水産関係の減税は一向に見えないのみならず、これらで減ったものを農林水産業の課税標準を上げることによってこれを補うのではないかというような意図がほの見えるに至りましては、とうてい看過し得ないところであるのであります。(拍手)しかのみならず、鳩山内閣は補助金の整理ということを題目に掲げておられるのでありますが、補助金の整理に名をかりて農林水産業に対する財政投融資を減するようなことになるならば、今私が力説しましたように、全く国民経済発展の方途に対して逆行するのでありまして、われわれは鼓を鳴らして責めなければならぬ立場におかれるのであろうと思うのであります。  右の点に関しましてどうか責任のある両大臣の明確なる御所見の開陳を望む次第でございます。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  45. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまの私に対する御質問は、大蔵大臣から答弁をしてもらいます。    〔国務大臣一萬田尚登君登壇拍手
  46. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいまの御質問に対しましてお答えを申し上げます。  二十九年度の三月の申告で、農業所得税が非常に殖えておる、これはどういうわけか、こういう点が第一にあったようであります。これはすでに申し上げたのでありまするが、二十八年度は御承知の大へんな凶作でありまして従いまして農業所得税が減っておったのでございます。二十九年はそういう事情もありませんので、御承知のように相当の収穫で、さらに二十九年では米価の引き上げがありまして、石当り二十八年では七千七百円、二十九年では九千百二十円と、こういうふうに値段の引き上げがあった。こういう関係から農業所得というものがふえたのでありまするから、自然、所得税がたくさんになるということも、これはやむを得ないと私は考えるのであります。また、こういうことは凶作の関係からきますもんですから、所によっては大へんひどい所ということもあろうと思います。それで、そういうような所を取り上げますと、比較してみますと、要するに二十八年との比較でありますもんですから、大へんきわだっておる所もあろうと考えます。同時に、そういうふうに二十九年に特別に所得税がふえた、たくさん納める。そこにやはり納める方のことを考えてお上げせなくちゃなりませんので、それで特にふえてなかなか納めにくいという方には、徴収猶予の制度を活用いたしまして、五月三十一日まで納期を延ばす、こういうことも考えております。あるいはまた、特にそういう事情もありますので、所得税を課する場合、国税庁等におきましては、肥料とかその他の経費についてあたたかい気持で見ております。そうしてなるべく納税者の立場を公平に一つ考える、かようにやっておるわけであるのでありまして、どうぞ、そういうわけでありますので、決して何だか農家に特別な税をかけておるじゃないかというようにはお考え下さいませんように、(笑声)それは大へん私は誤解のもとになると思います。  それからいろいろと所得税等について減税を言っておるじゃないか。しかし、どうも今言うたように、農民は、農業の方にはふえるじゃないかと、こういうことでありますが、今回のこの所得税の減額は、特に低額の所得者について減税をしようと、こういうねらいであります。従いまして、農家の方におきましても、当然、低額所得の方は、同様の所得税の減税になるのであります。  なお、これはどういうふうなやり方をするかということについては、詳しく本予算の場合に申し上げる機会があろうと思うのですが、概して申し上げますれば、基礎控除額を引き上げる。今日七万円を八万円にする、それから税率を下げる、こういうようなこと。あるいはまた青色申告の者に対しまする専従者の控除の最高限度を、今日の基礎控除と同じように七万円から八万円に上げることによりまして、同様に農家も所得税の軽減になるのであります。これも御承知を願います。  あるいはまた、補助金を大へん削るようだと、そして農業に対する資本の投下を何だか避けるかのようにお話があったように聞きましたが、補助金の整理は何でもかんでもというわけではない、一応、今日補助金の整理の方法として思い切って補助金の整理をするという、その方針は持っておりますし、実行いたすつもりでありまするが、しかし何でもかんでもというわけではない。要するに、効果の上る補助金はするが、効果の上らないそういう補助金はやめてもらおうというのでありまして、農業に対する関係のものでありましてほんとうに農業のためになる補助金、そういうものを切るということはないのでありまして、それは一つ御了承を得たい、かように考えております。  大体こういうところであったかと思いますので、これで一つ。(拍手)    〔国務大臣河野一郎君登壇拍手
  47. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 大体は、大蔵大臣のお答えで御了解をいただいたと思いますけれども、二、三補充をいたしたいと思います。  第一は、田中さんの御指摘になりました負担の増大になっておるじゃないかということにつきましては、御承知の通り、農村の実情が非常に全国的に見ましてまちまちでございます。昨年増収になりました所が、一昨年は凶作であった、一昨年は比較的によくとれたけれども、昨年は悪かったとかいうようなことで、全国的に平均いたしておりませんから、皆様方のところへ農家の声が映りまするにつきましても、全国全部でございませんので、それぞれの地区からそれぞれお話があることと思うのでございまして、その点につきましては私も十分了承いたしておりまするから、この機会に申し上げて御了解を得たいと思いますることは、とかく従来凶作の場合におきましては、控除いたしまするもの、もしくは累加いたしまするものにつきましては、税務署において手かげんをいたしながらいたしておりますることは事実でございます。それが少し収穫がよかったと申しますると、多少手きびしくやる場合もあるようでございます。でございますから、すべての事情を勘案いたしまして十分連絡をとりまして、万遺憾なきょうに努力いたしたいと考えております。  なおまた将来の税の問題につきましては、これまた田中さんからいろいろお話がございましたが、御指摘になりましたカキの木であるとか、豚の子一匹であるとかいうようなお話でございますけれども、この点につきましては、特にわが内閣におきましては組閣早々閣議におきまして、これらの点について特に考慮するように、閣議の了解事項として、大蔵省からそれぞれ連絡をとっておる次第でございます。というように、すべて将来の農村の税の負担につきましては、現在農林、大蔵両当局におきまして十分折衝いたしまして、御期待に沿うようにするつもりであります。  その他、御指摘になりました農業政策につきましては、田中さんの仰せられましたことを私も十分考慮いたしまして、御期待に沿うように努力するつもりでありますから、御了解いただきたいと思います。(拍手)      ——————————
  48. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は、防衛問題に関する緊急質問動議を提出いたします。
  49. 戸叶武

    ○戸叶武君 私は、ただいまの木下君の動議に賛成いたします。
  50. 河井彌八

    議長河井彌八君) 木下君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。木下源吾君。    〔木下源吾君登壇拍手
  52. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は日本社会党第四を代表いたしましてこの際、防衛問題に関して鳩山内閣総理大臣ほか関係閣僚の御答弁を願いたいと思うのであります。  さきの総選挙におきまして、国民の意思は那辺にあるかは明らかになったと思うのであります。鳩山さんが中ソとの国交の正常化を主張し、また文化、経済交流を主張した。これはひとえに国民が平和を熱望しておる考えと、ほぼ合致しておる。また国民は独立をも強く要望しておるし、もちろんこれに関連して民生の安定、生活の向上を熱望しておる。これが今次の総選挙における国民の声だと考えます。もちろんこのことは、ジュネーヴ会議の結果、アジアにおけるインドネシアの戦争が終り、あるいは朝鮮の戦争が終った結果としての変化でありまして、従って鳩山内閣は前の吉田内閣の政策を踏襲するのでは何の意味もありません。鳩山内閣はここに中ソ問題をひっさげ、さらに進んではアメリカとの関係のなかんずく防衛に関する大きなる修正といいますか、改革を要求しなければならぬと考えるのであります。そこでアメリカとの関連にある日本が、今日一方において中ソとの正常化を要求する、そして中ソが仮想敵国であるという建前のアメリカ防衛方針、これと日本が従来の方針を踏襲して、何ら変えないで矛盾がないかどうか、この点を総理大臣にお尋ねしたいのであります。  次に、総理大臣は防衛分担金を削減して、そうして住宅建設に振り向ける、四十二万戸の建設、これを主張せられておる。今日では、もはや三十年度予算は編成にかかっておられるでありましょうし、この総理大臣の考えが実現できるのであるかどうか。国民は民生安定の立場からひとしく注目しておるところである。この点についてこの機会に明快なる御答弁を願いたいと思うのであります。  独立を要求しておる国民は、今日のようなアメリカわが国の内政に関する干渉は、断じて国民の認容するところではありません。選挙中に防衛庁費を少くも九百億にしろという要求がアメリカからあった、こういうことが新聞に発表せられておる。また、アメリカの国防次官補でありますか、ヘンゼルという人が、日本防衛に対する努力が足りない。国民生産の二・五%ぐらいでは少いではないか。少くも四%、五%を負担すべきであるというようなことを言っておる。これらも明らかにわが国の内政の干渉である。内政の干渉あるところに独立はありません。首相は独立を尊重せらるる建前でいろいろ主張せられておるのだが、こういうようなことに対して政府はいかなる措置をとられたか、抗議をなされたか。わが党の佐多氏が先ほど外交問題についても内政干渉の問題に触れたが、御答弁がなかった。あらためて私はこの際に要求いたします。  次に、杉原長官でありますが、前大村長官が、同じく国防次官補の語るところによれば、日本国の憲法では軍備に対する禁止規定があるが、三十年度には三万五千名を増員すると言った、こういうように伝えられておる。このことは、その後かわられた杉原長官も、やはり同じくこのことを踏襲せらるる考えであるかどうか。憲法の規定を無視してまでも、軍備を増強しようとする、そういう考えであるのかどうか。これる杉原長官お尋ねしたいのであります。  また、この前の防衛庁設置法案審議の際に明らかになっておる国防会議という問題が出ておるのでありまするが、政府の国防会議設置に対する考えはどうなっておるか。しかも、その構成その他内容について詳しく御説明を願いたいと思うのであります。  次に、高碕長官にでありますが、経済六カ年計画によれば、防衛費はふやさない。少くもこの骨子となるのは地上軍だけであるというような構想であったと思うのでありますが、そうして防衛費は千五百億よりは増額しないというように承知しておるのでありまするが、今回防衛六カ年計画が発表せられた。これは陸海空軍日本の独立の軍備、これを整備する建前で、第十次案と称するものによれば、三十五年度においては二千百億であるというように伝えられておるのでありまするが、これが本当なのかどうか。そうしてこういう問題については、アメリカとの間に何らかの話し合いが進んで、こういうことを言われておるのかどうか。これをお尋ねしたいのであります。  分担金減額の問題でありますが、今年度七百四十億よりも防衛庁費をふやさないで、なお分担金を減額する、削減させようとする意図であったのでありますが、だんだん進んで参りますというと、やはり防衛庁費は九百億、これが現在アメリカから要求されておるし、そうしてこのことによって現内閣の三十年度予算が今停頓しておるかのごとくに聞いておるのでありますが、分担金の削減問題に関する経緯等をここで明らかに御説明願いたいのであります。    〔議長退席、副議長着席〕  最後に、イペリット毒ガスの問題でありまするが、去る三月の十一日と十四日の二日に、北海道千歳第三基地において、イペリット毒ガスの処理不十分が原因となって、日本人労務者二十五名が苦痛を訴え、三月十六日札幌の北大病院で加療した結果が、うち四名は重態で入院しておる。さらに自衛隊の中にも七、八名の被害者がある模様であります。こういう危険な毒ガスを今後アメリカから日本側に引き渡さるるかのごとく聞いておるのでありますが、日本はかかる危険なものを引き取る考えであるか、またはこれを断固として拒絶するというお考えはないか。毒ガスの問題は、国際法上も私は重大な問題だと考えるのであります。このような毒ガスが、わが国の随所に、基地において、貯蔵せられておるのであるか、原水爆の貯蔵と匹敵するくらいの重大問題と私は考えます。また今回の毒ガスによる被害者に対する損害補償の問題等について政府はどういう考えを持っておられるか、そうして米軍側にこの問題について何らかの交渉をいたしました事実があるか。ありましたならば経過を御報告を願いたい。いずれにいたしましても鳩山内閣は、総理大臣の口をもってすれば、平和共存を主張せられておるし、決して私どもはこれを信じないのではありません。信じまするゆえに、これを実現するための努力をわれわれは要求するものであります。従いまして、かかる毒ガスの貯蔵の問題等に対しましても、アメリカに対し強硬なる態度をもってこれらの危険を排除するの措置を講じなければならんと考えるのでありますが、口で単なる平和共存を唱えるばかりではなく、実際の行動においてこれを示してもらいたいと思うのであります。その行動が行われておるかどうかということをお尋ね申し上げまして、私の質問を終るのであります。(拍手)    〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  53. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまの御質問お答えをいたしますが、大体においては関係大臣から答弁をしていただきます。ただ、中ソと国交調整をしながら、アメリカとの態度をそのままにしてゆくのは矛盾ではないかというようなお話でありましたけれども、ソ連アメリカとがお互いに疑心暗鬼のもとに、仮想敵国として現在あるということは、これは否定はできないと思います。ただ、今のような状態において日本ソ連中共戦争状態終結未確定のままに置いておくことは、世の中の人がこわがっておる世界第三次大戦を誘発するだけだ。ソ連中共と交通を自由にし、貿易増進することによって、戦争勃発を防ぎ得るような気分がいたしますので、ソ連中共貿易をいたしてゆきたい。国交を正常化いたしたいと考えておるのであります。もしも自由主義国家群だけが互いに交通し、互いに貿易をして、共産主義国家とは仲間はずれのような態度でいったならば、これこそ非常に危険だと思いますので、そういうような危険のないようにいたしたいと考えておるのであります。さよう御承知を願いたいと思います。  国防問題については防衛庁長官あるいは外務大臣から答弁をしていただきます。(拍手)    〔国務大臣杉原荒太登壇
  54. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) ただいまの御質問の中で、前の大村長官がヘンゼル国務次官補に対して三万五千を増員するということを言ったそうだが、それを踏襲するのかという御質問。大村長官がそういうことを言ったということは、私、聞いておりません。おりませんが、現在三万五千を増員するということは考えておりません。しかし明年度におきまして若干増員の必要ありと認めまして、今それを予算の上でも要求しておるところでございます。しかしそれがまだ大蔵省の査定も済んでおりませんし、そういうのが政府としてきまりましたならば国会に提出いたしまして、皆さんの御審議を煩わしたいと存じております。  それから国防会議の問題でございます。これは事きわめて大事な、重要な問題でございまするし、私といたしましても今研究中でございます。  その他、私の関係いたしまする問題といたしましてイペリット弾といいますか、そのことがございました、これは私、大分県の海中においてそういう戦時中にアメリカが持っておったのをそれを海中に捨てた。それがたまたま、それから、けが人ができたというようなことは聞いておりますが、ただいま木下議員のおっしゃったことは、私まだ開いておりません。大体調査して御回答いたすことにいたします。    〔国務大臣重光葵登壇
  55. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私に対する御質問は、防衛庁費に関する問題は今杉原大臣からの御答弁で尽きておるようでございます。私に特に御質問はなかったように思いますが、防衛庁費の問題につきましては、今、分担金の問題等については、アメリカ側と折衝をいたして、交渉中と御報告申し上げます。  これで私の答弁を終ります。    〔国務大臣高碕達之助君登壇拍手
  56. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま御質問防衛六カ年計画と総合経済六カ年計画との間の数字の矛盾がないかと、こういう御質問でございますが、これにお答え申し上げます、  防衛六カ年計画は、ただいま防衛庁におきまして、せっかく検討いたしておるわけなのでございまして、まだこれは成案を得ておりません。また経済総合六カ年計画におきましても、現在は素案を持っておりますが、しかしながら現在各省との間に、詳細につきましては検討中でございまして、各省の計画と合致するようにいたしたいと、こう存じております。従いまして防衛六カ年計画と経済総合六カ年計画の間におきましては数字上の矛盾は来たさないと、こう存じます。  以上をもってお答えといたします。      ——————————
  57. 東隆

    ○東隆君 私は、当面の農業問題に関する緊急質問動議を提出いたします。
  58. 鈴木一

    ○鈴木一君 私は、ただいまの東君の動議に賛成いたします。
  59. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 東君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。東隆君。    〔東隆君登壇拍手
  61. 東隆

    ○東隆君 私は社会党第二控室を代表し、当面の農業問題について緊急質問をいたします。  河野農林大臣は昨年末鳩山内閣が成立したときに、第一声として米の統制撤廃と砂糖の専売を主張されました。そうして民間の反揆か業者の反対か政治的な考慮かわかりませんが、どうやら米の方は食管制度の改変によって、三十年度産米だけは統制撤廃はやらぬようであります。砂糖の専売については、あの不明朗な粗糖輸入に関連して、抜本的改革ができるとひそかに期待をしておりましたが、いつの間にか消えてしまいました。その消えた先を探索しますと、選挙のときに民主党が公約した五百億減税の代り財源になっております。あれでは糖業資本家には飴に砂糖をまぶしたような甘い話になりますが、関税と消費税という間接税でいためつけられる国民大衆は、甘い砂糖ではなくてからい塩をなめさせられるようなことになりました。農林大臣はなぜ砂糖専売制度というブライト・アイデアをやめられたのか、また大蔵大臣はなぜ砂糖消費税や酒の増石による税収の増大という大衆課税の道を選ばれたか。このことを明らかにせられたいのであります。砂糖の輸入は外貨をそれだけ必要とするのであります。砂糖の需要は、国内生産の澱粉を糖化することによってある程度節約ができるのであって含水炭素を輸入するがごときは愚の骨頂であります。農林大臣がこれに賛成する理由がわからないのであります。又酒の造石によって税金を取るという考えも同様に賛成はいたしかねます。このようなことでつじつまを合わせるよりも、なぜ高額所得者に累進課税をやらないのか、それらの理由を明らかにせられたいのであります。  さきの自由党政府は、麦の統制をはずす際、国内生産の麦価を国際価格に一致させるため、麦価に対する調整を行い麦の統制をはずしました。その結果、麦の作付面積が減少し、麦の生産が減り、それだけ多く麦の輸入をし、さらにMSAによる余剰農畜産物の小麦の輸入で国内生産に対し、好ましくない影響を与えたことは農相もお認めのことと思います。外米については、かつての売手市場が完全に買手市場に変ってきました。それにつれて価格もかつて外米価格の半ばであった内地米の価格は、今日では外米よりも高くなっております。自由党政府が麦の統制をはずしたときと、まさしく同様の状態が今米について現われております。しかし統制をはずすことにより、日本の食糧政策が根本的に変化することはもちろんですが、日本の完全な独立のための食糧の自給態勢の確立は、輸入農産物によって大きな危険にさらされることは、さきの麦の統制撤廃の例に徹しても明らかであります。麦の場合は何といっても従であり、主になる米の場合は幾多の問題がはらまれておることを知らねばなりません。かつての米騒動のごときは国内的なものでありましたが、国内的な投機の対象から、輸入米が多ければ多いほど国際的な独占、買占めというように、投機の対象にされるおそれが多分にあります。この段階に河野農林大臣は米の統制をはずすという考えを固執されているようでありますから相当な理由があると思うのであります。しかもこの河野農相の米の統制撤廃については、与党である民主党政調会長であった松村謙三氏が逆に米麦完全統制の必要を説いて、味方同志で重大な政策の食い違いを暴露いたしております。ここに大きな疑問が生れて参ります。さらに河野農相は、農林省内に米麦懇談会を設けられまして、その懇談会で、食管制度改正を問題にした事由の一つに、米の政府割当制度が年々崩れてき、最近に至っては、各府県の生産等はほとんど無視され、政治力による割当とまで称されるようになっていると述べられています。これは正しい観察であって、私も自由党内閣が米の自由販売を主張し、主食の統制をなしくずしにしようとしたことが、今日の結果を招いたものと断じます。従って、三十年度の米についても食管制の改正の意図については賛成します。しかし自由党のやってきた主食統制のやり方が政治力による割当といわれるように、統制なしくずしのやり方であったのであるから、統制方式に改革を加えることはわかりますが、この際、飛躍をして自由党と同様に、米の統制をはずすことを主張される根拠を明確にされる必要があります。それとともに、この際、食糧政策についての政府と与党の間の調整がついているのかどうか、米の統制撤廃は農相の個人意見なのか、それについて明らかにされたいのであります。  次にMSAによる余剰農畜産物の輸入は、農民の生産意欲を減退すると思うので、われわれとしては余剰農畜産物輸入の打ち切りを希望するが、政府としてはいかに考えるか、さらに打ち切られないとするとき、農家の生産意欲をいかにして高めるか、その方法を承わりたいのであります。河野農林大臣は相当強引な人のように聞いております。農民の生産意欲をなくするような方針がとられるとき、断固としてこれを償うべき道を主張すべきであると思います。かかるとき政府は小額補助金を一律に整理することを企てており、農業関係の補助金が、そのやり玉にあげられているようであります。補助金の重要性というものは、その金額の多少によってきまるものでなく、その事業の性質によってきまるもので、食糧増産に必要な補助金の廃止または補助率の引き下げについては、米穀統制の撤廃とともに反対であります。農林大臣はこの補助金整理問題についていかに考えるか、ヘーゲルではないけれども、存在するものは合理的であり、合理的なものは存在するのであります。補助金整理問題解決は農林大臣の強引さに期待いたしております。この際考えを述べられたいのであります。  この件について大蔵大臣に伺うことは、補助金の整理によって財源を生み出し、さきの選挙で公約したいろいろの施策を果そうとするもがきによる財源捻出方法ではないかと危ぶまれるのであります。もっと大きなものに手をつけなければ、民主党の公約実現は朝三暮四、朝四暮三のきらいがあるのみならず、食糧の増産という国家自立の方途を誤まると考えるが、この点について大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。確定申告を前にして、農業者に対する課税は、二倍三倍になっていると、さきほども田中議員が申されました。これは大きな問題になっているのであります。米の統制をはずして国際価格にさや寄せし、農民に対する補助金を削るというのでは、農民はまさに踏んだり蹴ったりされることになると思います。農民のための政治とは、だいぶほど遠くなると思いますので、はっきりこの点についてお答えを願いたいと思います。  次に農村問題の中心は何と申しても土地問題なのでありますが、旧地主が団体を組織して先般東京で大会を持ち、その大会に自由党、民主党より代表者が参会して激励のあいさつを述べたようなことが報道されております。農地改革は農村民主化の基盤であり、この種の運動に代表を送ってあいさつをせしむるというがごときことは、現行農地制度を破壊することに拍車をかけるものとして遺憾に考えますが、農林大臣のこの種団体に対する態度をいかにされるか、伺いたいのであります。  今日、農村は経済上の圧迫で非常に困難に陥り、農地を手放すものもでき、実質的な所有権の移動が行われている例もあります。農地改革の成果を長く保持し、その成果の上に高度の土地改革が望ましいとき、転落農家が非常に多い状況にかんがみ、農地を対象とする不動産金融の方途が前内閣において立案されつつあったやに聞いております。これはきわめて重要な問題であります。われわれの考えは、農地改革後における農地の所有権者は国家であって、農民は完全な耕作権を持っているようなものであります。従って、農地を担保として金融をしても、農業の性質上土地を処分することは困難でありますから、結局借金を支払うには、農業経営からの余剰で支払うよりほかに道はないはずであります。そこで経営の中心になる農業者の生命共済の制度を拡充し、加入農家に融資するという方途を講ずべきであると思います。従って農地改革の成果を破るおそれのある不動産金融制度は不賛成であります。しかし前内閣時代問題になっていましたので、農林大臣のこの問題に対する所見を伺いたいのであります。  以上で私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣河野一郎君登壇拍手
  62. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。  第一の砂糖の問題について申上げます。砂糖につきましては、私が前内閣の農林大臣就任の当初におきまして専売ということを考えたこともあるのでございます。ところが、その後研究いたしました結果、砂糖を専売等の処置にいたしまするときには、小売業者その他大勢の人に非常な迷惑が及びます。そこで、それと同様な成果をあげる他の施策はないかということでいろいろ研究をいたしたのでございます。その研究の結果、本議会に、同様な成果をあげる処置をとりたいと考えております。多少申し上げておきますれば、第一には砂糖の適正なる価格の安定を期しまして、その安定の上に立って砂糖製造業者の利益をどういうふうに考えるか、この二点で私は尽きると思うのでございまして、この二つの問題を解決するような施策を講ずる必要があるだろうと思うのであります。これはいずれまた法案を提出いたしました際にいろいろ申し上げたいと思います。  第二の問題は、麦の統制をはずしたときにも、今、外米がだんだん下ってきて今ここで米の統制を撤廃するという考えを持っておるか、同じようなことを繰返すだけではないかという御趣旨であると了承いたします。私は、麦の場合と今度私の考えておりますることは非常に違うのでございまして外米については、それが内地米と価格差が出て参りますから、これを自由にしようとは考えておりませんが、併しこの際に申し上げて御了解を得たいと思いますることは、米の統制を撤廃いたしまする場合には、いろいろ準備が入用でございます。これらの準備に万全を期しませんと、只今御指摘になりましたようないろいろな問題が起って参ります。でございますから、今米の問題について考えます場合には、いろいろな御意見がおありと考えます。しかしいずれにいたしましても、現在のままの管理制度で続けていくことが困難であるし、妥当でないということについては、おそらくすべての方の意見が一致いたしておると思うのであります。しからばこの管理制度をどういうふうに持っていくかということについて考えまする際に、さらにこれを専売の方向に強化していくか、しからざれば自由販売の方向にこれを順次移行するような方向をたどるか、その二つよりほかに私はなかろうと思うのであります。私はその目標として自由販売を目途として、なるべくその方向にスムースに政策が移行して参るようにしていくことが妥当ではないかと思うのであります。それに各般の準備を整えて、なるべくその方向に早くいくようにすることが妥当ではないかと思うのであります。とかくの御意見のありまする点につきまして十分研究をいたしまして、万遺憾なきを期するために準備が完了いたしましたときに米の統制は撤廃すべきものだ、こういう意見でありまして、これが私の基本的な考えでございます。従ってその準備の万全を期しまするまでに、一体一年でその準備ができるか、二年かかるかというようなことは、これから先に各般の経済情勢でありまするとか、ないしはまだ、わが国の豊凶の度合いでありまするとか、または農村に対する施策の関係が完了するかどうかというようなことでございますとかということによって、私はこの期限が違うのではなかろうかと思うのでありまして、私としてはなるべくそういうことをすみやかに準備をいたしまして、準備ができたならば、そういう方向にいきたいと考えておるのでございます。従って、ただいま御指摘になりましたように、外米が下ったからといって外米に内地米の価格をしわ寄せをするというような考えは毛頭持っておりません。わが国の米価の決定はあくまでも国民生活の安定を基準において考うべきであって、国際的に米価がどういうことになるか、ならんかということを中心にして考うべきではないのであってわが国の経済を中心にして考うべきだと考えております。さよう御了承いただきたいと思います。  第三番目に、松村さんと意見が違うじゃないかということでございますが、これは意見の違う場合もありますし、同じ場合もございます。これらにつきましては、同じ党員といたしまして十分意見交換いたしまして意見調整いたしまして、わが党の党議の決定に従って進むつもりでありますから、その点は御了承いただきたいと思います。  次に、余剰農産物と畜産物の価格のことについてお尋ねがございましたが、これにつきましては御指摘のような点もございますので、私といたしましては、畜産物はあくまでも価格の安定を十分にしなければならない。これはもちろん単に畜産物だけではございませんで、一般農産物の価格の安定ということを中心にして、その上に増産意欲を高揚して参り、農家経済の安定を期するということを一番重く考えなければならんと考えておりますので、特に余剰農産物関係におきまして、これの影響を受けて畜産物の価格は異常に低落をするというようなことがありましては、絶対にわれわれとしては忍びがたいことでございますので、この点については十分注意をいたしまして、さらにこの議会におきましても適当な施策について皆様方の御協力を得たいと目下研究中でございます。  次に、補助金整理の問題でございますが、これは私は全く同感でございまして御趣旨に沿うように尽力いたしたいと考えております。  次に、土地担保金融の問題についてお示しがありましたが、これは私は多少お考えと違う点がございまして、現在私ども考えておりますることは、農村におきまする金融力ないしはまた、多少具体的に申し上げますれば、現在までの農家経営が米麦中心に非常に経営方式が重く考えられておりまして、これをたとえば養蚕でありますとか、畜産でありますとか、多角経営に移行いたします際に、戦前のような農村の姿にいたしまするには、農村に相当の融通資金を持たせる必要があるのではなかろうかというようなこと等を勘案いたしますと、土地担保の金融をどういうふうにかして与えることが必要ではなかろうかというようなことを考えまして目下せっかく研究中であります。従いましてただいま御意見のありましたこと等も十分考慮に加えまして善処いたしたいと考えます。  次に、地主の問題についてお話がありましたが、これにつきましては十分研究をいたしておりませんので、いずれこの問題につきましては御趣旨の点も十分考慮して、十分研究していずれまた別の機会に申し上げることにいたしたいと思います。  以上、大体お答え申し上げます。(拍手)    〔国務大臣一萬田尚登君登壇拍手
  63. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御質問お答えを申し上げます。  酒の税や砂糖の税の増収をするようだが、それは大衆課税になるじゃないか、こういう御質問一つであったように存じます。こういうふうな税はなるべくこれは、税率を上げるわけじゃありませんが、こういうふうな税にいたしましても、そうとることが必ずしも能ではないのであります。がしかし、一方今回はこの勤労者大衆、中小企業、農家の方、こういう方々の低額所得者の所得税を相当減額いたすことにいたしております。その地中小企業の事業税等についてもこれは一つ減額をしよう、いろいろいたしておりますので、あるいはまたさらに失業対策費というものを考えている。住宅というものを何とかしてあげたい。こういうふうにいたしておりますものですから、どうしてもやはり税収というものをどこかでやはり考えなくてはならん。そういうふうなことからいたしまして、まあ酒につきましては、別に税率を上げるのじゃありませんが、今のところ税率を上げるということは考えておりませんが、密造等もありまして、そこでまあ造石をふやしてみる、自然ここに増収ができる。それから砂糖もある程度輸入をふやしまして、今日砂糖がまだ相当やはり高い、まあ輸入をふやせばこの砂糖の値段もずっと下って来る。そういうふうな、これは単に税収入がふえるというだけじゃない。そういう物価政策から見ましても値段が下って来る。こういうふうな見地、他面また先ほど御指摘がありましたが、高額所得者についてうんと課せばいいじゃないか。これは考え方として、担税力があれば異論はないのでありまするけれども、今日高額所得者の税負担というものも決して軽いものじゃない、大へん高いものになっておりますので、今申しましたようないろいろのことを勘案いたしまして、そういうふうな使途に使うことでもあるので、お金を使って、いわゆる購買力のあるところ、そこに増収を図る、税を上げるのじゃないが増収を図る。こういう程度は今日の日本の状況では、これはやむを得ない、こういう考え方にあるのであります。何もかにもすべてがうまくやれば、それに越したことはむろんないのでありまするけれども、今日の日本の状況ではそうもいかないので、ある程度に若干のズレがありますが、これはまあがまんをしていただく、こういう考えであります。  それからもう一つ、先ほどちょっとお答えいたしたのでありますが、この補助金のことでありますが、先ほど申し上げましたが、農業に対します補助金につきまして、特に大幅にこれを削るというようなことは考えておりません。ただ、今申し上げましたように、いろいろと重要施策をいたさなければなりません、従ってできるだけ経費を節約して財源を生み出す、こういう意味合いにおきまして、本当に補助金の効果をあげていない、あるいは非常に効率の低いもの、こういうものについては一つ今回は思い切って検討を加えよう、こういうふうにしておるわけでありますので、どうぞ無用に御心配はなさらないようにお願いいたします。(拍手)      ——————————
  64. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第一、裁判官訴追委員及び同予備員選挙を行います。  選挙する訴追委員の数は十名、予備員の数は五名でございます。なお予備員選挙に当りましては、その職務を行う順序を定めることになっております。
  65. 松岡平市

    ○松岡平市君 裁判官訴追委員及び同予備員選挙は、成規の手続を省略いたしまして、いずれも議長において指名することとし、なお予備員の職務を行う順序も議長に一任することの動議を提出いたします。
  66. 三浦義男

    ○三浦義男君 私は、ただいまの松岡君の動議に賛成いたします。
  67. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 松岡君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって議長は、裁判官訴追委員に、木村篤太郎君、木内四郎君、高橋進太郎君、松岡平市君、野田俊作君、森八三一君、江田三郎君、木下源吾君、小松正雄君、一松定吉君を指名いたします。  また、同予備員に、宮澤喜一君、曾祢益君、井村徳二君、白川一雄君、八木幸吉君を指名いたします。なお予備員の職務を行う順序は、ただいま指名した順序によることといたします。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十一分散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、中共使節団来日等外交に関する緊急質問  一、当面の外交問題に関する緊急質問  一、当面の外交関係に関する緊急質問  一、当面の外交問題等に関する緊急質問  一、農業課税を中心とする農政問題に関する緊急質問  一、防衛問題に関する緊急質問、当面の農業問題に関する緊急質問  一、日程第一 裁判官訴追委員及び同予備員選挙