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吉田法晴君
桃沢説明員の炭鉱争議の深刻化に伴って暴力
事件が頻発する云々という
お話がございましたが、私はここに
法務委員会に取り上げました問題は、いわゆる争議
行為に伴います暴力事犯、これはあなたたちが言われる事犯でもございません。争議が行われる場合、もしそれに対して労働組合員で暴力があった云々というならば、警察でお調べになるでしょう。ところが、起っております暴力事犯は、そうじゃない。自分で暴力団を雇って、あるいは
日本刀を携行し、あるいは警察官のピストルを取り、これはまあ例外でございますけれども、入れ墨した者が特定の
給与を受けて、組合員でない者が他からはいり込んで、そうして従業員の
生活を脅かす、あるいはその人権を脅かす、こういう
事態です。そこでこれは法治国のもとにおいては、もしあるいは経営者の、あるいは組合にしてもそうでございますが、権利が脅かされるというならば、あるいは
生活が脅かされるというならば、これは組合員の諸君がやっておりますように、あるいは警察の出動を求め、あるいは
検察庁の出動を求め、もしそれでいかなければ国会に来る、それ以外に私はないと思うのです。ところが、もし警察が取り上げない、あるいは
検察庁が取り上げない、あるいは国会が取り上げないならば、先ほど野村さんが言われましたけれども、個々の個人が自分の実力でもってその権利を守る以外になくなる。しかしそうなるならば、これは何と申しますか、民主主義ではなくなってしまいます、あるいは法治主義ではなくなるでありましょう。そういう法治主義なり民主主義がなくなるような暴力団が横行しておる。これに対して当局はどういう態度か、あるいはどういう措置をしようとしておるか、こういうことを
お尋ねしたのでありますから、それについては、これは十分の
調査をして、そして処罰をすべきものは処罰する、あるいは検挙すべきものは検挙する、あるいはそういう暴力団の横行はこれを根絶するために努力をしたい、こういうのが私は答弁のしかるべき筋だと思うのです。正直に申し上げますが、戦後あるいは占領中に暴力団というものは実際になくなりました。姿を一応消しました。しかし種は残っておる。その種がこれが今や炭鉱の不況とそれから特殊の状態の中で大きく今芽を吹き出そうとしている。二、三年前聞いたことでありますが、田川
地方なら田川
地方の郊外にちょっと出ますというと、もう道を歩くことができん、こういう状態を聞いて参りましたが、その際にはこれは警察等の活動によって若干まあよくなったようであります。最近に至りまして、例示いたしましたような非常にたくさんな事例が起って来ている。しかもそれが組織的に行われておる。特定の炭鉱業者でございますが、それを相当意識的に使って、あるいは雇ってそして人権のじゅうりんと、あるいは組合活動の自由が押えられようとしておるところに問題があるのでありますから、そういう
意味で
一つ取り上げをお願いしたいと思うのであります。
それからなお人権擁護
局長にもこの点は、まだ
報告も聞いておらんということでありますが、私は国会も
調査をすべき
事態だと思うのでありますけれども、人権擁護局においても十分な
一つ調査をお願いしたいと思うのであります。
それから警察、
検察庁については、不公平な取扱いのないように、こういうことでございますけれども、端的に小倉の例が出ましたから申し上げますけれども、小倉その他
地方におきましては、あるいはいなかにおきましては、必ずしもあなたたちが
考えられるような公平な取扱いが行われておりません。それはあるいは
検察庁も舞台が狭いから、こういう前時代的な経営者には、これを陰に陽に使おうとする努力がなされております。そこでそういう人権のじゅうりんが看過されるような
事態にこれはなりがちであります。なっておるという事例をここにこまかく持ち合せはございませんけれども、なりがちであるということを申し上げておきます。なりがちでございますから、その点については十分な
調査と、そうして個々の事例について告発せられました
事件等については、
国民の期待を、残っているわずかな期待を失わないように、
一つ当然の処置を講ずるように御鞭撻と御指導とを願いたいと思う。答弁は簡単でよろしゅうございますが、これについて所見を
一つ承わりたいと思います。