○
政府委員(園田直君) お答えをいたします。
文化が外交の重大な要素になったことは決して私個人の
考え方ではなくて、矢嶋
委員のおっしゃる
通り世界外交推進の方向でございまするから、この方向に日本外務省も当然いくべきであると私は
考えております。
次に将来の、特に明年度の外務省の
文化方針という
お尋ねでございまするが、的確な資料を持ってきておりませんので、抽象的にお答えをして、こまかい分はごかんべんを願いたいと
考えておりまするが、外務省といたしましては、世界各国との
文化交流はやはり
文部省の方で
考えておられまする
文化交流を重点とすることよりも、やはりおしかりを受けるかわかりませんが、日本外交の本来の目的から、この
文化交流というものをどのように活用をし、これを推進していくかということが私のほうの重点でありまするから、その点はいささか食い違いがあるかもわかりませんが、私といたしましては、外務省の
文化雑誌あるいは
文化交流の重点は、やはり
予算の少い、しかも
定員において縛られている段階でございまするから、これが許すならばヨーロツパ
文化その他の
文化を吸収することに重点をおきたいのでございますが、先ずわが外務省の今後の外交の重点はアジアに指向されておりますので、主として明年度の
文化交流並びに
文化協定等の重点もアジアに重点を注ぎたいと
考えております。なおそれにつきましての具体的ないろいろの問題等は本日は資料を持っておりませんので、そういう方面から情報
文化局の活動あるいは条約、
文化協定の締結、あるいは映画、あるいは経済貿易交流に付随する
文化交流等の計画をしているところでございます。
次に
お尋ねになりました歌舞伎の問題でございまするが、仰せの
通り私も中共からして猿之助一座でございまするか、これに対して日本の歌舞伎を招待したいという意向の伝達があったように、正式ではございませんが、漏れ承わって聞いております。なおそれとともに今秋行われまする国際芸術祭に日本の歌舞伎も参加せよという御意見もございまするし、中共の方は自分の方で費用を持つという御意見のようでございまするし、ヨーロッパの方は費用は
半額ぐらいの担当だと覚えております。従いましてそれについては、ヨーロッパの方についてはNHKと松竹の方でいろいろ企画なりその他のことをやっておられるようでございまするし、なお中共から招待された猿之助一座も中共に行くならば、それ以前に各国に自分たちも行って、自分たちの腕を宣伝をするなり、海外に歌舞伎を紹介したいという
考え方もおありのようではございまするが、いずれもまだその段階でございまして、外務省に渡航なりあるいはその他の正式な願い出は全然ございません。将来このことがございましたならば、よく検討をいたしたいと
考えております。
なお崔承喜を北鮮から迎えたいという意向があるようでございまするが、御
承知のように国交未調整の国からの入国は外務省の渡航事務ではございませずに、入国管理局を主体とする法務府の権限、主管に入っておりますので、そういう
お話に具体的に入れば連絡をいたします。これも検討したいと
考えております。
次に中村翫右衛門の帰国の問題につきましては、これも私いろいろ情報で聞いておりまするが、これも入国管理局の問題でございまして、全然……。崔承喜、あるいは猿之助の歌舞伎一座の中共招待等は私の方もこれは所管しておりますが、中村翫右衛門氏の帰国に関するその後の取扱い等については、一切外務省の手を離れて、これは法務省の方に入っておりますので、そちらの方で取扱いをすでに研究されてある模様であると
考えております。
それから
文化の交流について米国一辺倒であるが、これを是正する
考え方はないかという仰せでございまするが、これは先ず映画の面を取り上げてみましても、御
承知のように米国映画が主体になって、イタリーあるいはフランス、あるいはその他のヨーロッパの諸国、あるいはソ連邦等の純粋
文化的な映画等の輸入が非常に少くて、アメリカの、いい映画もございまするが、中にはギャング映画などが多数ございまして、これはしばしば御指摘を受けているところでございます。先般外務
委員会の、
文化協定を結ぶ際におきましても、
委員の方からもそういう御指摘を承わりましたし、われわれの
方針も御
答弁申し上げておきましたが、これは御
承知のごとく、
大蔵省主体とする映画輸入の割当の審議会がございまして、その審議会で
実績に基いてやっております。しかし遺憾ながら今までのところは謙虚に反省をいたしまして、商品として
実績に伴う割当に堕しておったようでございます。幸いに外務省からも一人
委員を出しておりますから、商品としての面でなく、
文化資材としての面から、単にアメリカばかりでなく、ヨーロッパ各国から輸入をするよういろいろ申し出ておるところでございまして、すでに数本の映画は情報局の申し入れによってヨーロツパその他の映画を輸入しておる
状態でありまして、将来ともそういう面につきましてはしばしば意見を通しまして、業者の利潤に
関係あることでございますから、業者との了解を得てやりたいと
考えておりますが、この方面につきましては文教の
関係も非常に大きい問題でありますから、各位の御支持を願いたいと
考えておるものでございます。ごく映画は一例でございますが、その他の
文化交流につきましても、今までは貿易商品あるいはドルその他の
関係に伴い附随物としての
文化交流でございましたから、ややもすればこういう点がございましたが、これは単なる意図的なものでございませんので、将来御指摘の
通りに
文化交流は国境を問わず、その他を問わず、必要なる
文化交流はやるようにしたいと
考えております。