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1955-06-23 第22回国会 参議院 文教委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十三日(木曜日)    午前十一時五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            吉田 萬次君            竹下 豐次君            荒木正三郎君    委員            大谷 瑩潤君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            堀  末治君            高橋 道男君            安部キミ子君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            松原 一彦君   国務大臣    文 部 大 臣 松村 謙三君   政府委員    文部政務次官  寺本 広作君    文部大臣官房総    務課長     田中  彰君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省管理局長 小林 行雄君    農林政務次官  吉川 久衛君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    外務省経済局次    長       西山  昭君    文部省管理局学    校給食課長   岩倉 武嗣君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○日本学校給食会法案内閣送付、予  備審査) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件(朝鮮人学校教育問題に関する  件)     —————————————
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  日本学校給食会法案議題といたします。質疑のある方は御発言を願います。
  3. 吉田萬次

    吉田萬次君 余剰農産物の契約ができまして、そしていよいよこれが余剰農産物輸入せられることになりますが、余剰農産物脱脂ミルクと、それから一般輸入せられる脱脂ミルクの間に、そこに何か変ったことはあるのですかどうですか。もちろんこの余剰農産物なんというものは、余っておるから出したというので、長らく倉庫に保管せられて下積みになっているところのものがこういう機会に輸出せられるというようなことになりますと、かつて輸入ミルクによって中毒が起きた事件もありましたが、かような点は差しつかえないものでしょうか、どうでしょうか。お伺いいたします。
  4. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この脱脂粉乳輸入につきましては、従来からアメリカの方から輸入相当大量にいたしておりまして、余剰農産物協定の締結に当りましても、従来輸入した程度のものは余剰が入っても輸入を継続するというのが基本的な考えになっておりますので、従来程度のものは、現物贈与がありましても受け入れなければならぬということになっているわけであります。ただいまお話のございましたこの輸入される脱脂粉乳贈与分脱脂粉乳について品質の差と申しますか、そういうものがありゃせんかという御懸念かと思いますが、現物贈与を受けるに当りましては、できるだけまあ良質のものを受け入れたいということで話をしておりまして、従ってアメリカ農産物市場で滞貨になっておって、相当長い期間何と申しますか、眠っておったというふうなものが贈与としてこちらに入ってくるというようなことはおそらくないのではないか。こういうふうに考えております。  先般、学校給食脱脂粉乳によって、本年の三月でございますか、中毒事件を起しました、これは非常に私どもとしては申しわけないことだと思っておりますが、これは御承知かと思いますが、当時輸入脱脂粉乳がちょっと時間的にずれまして、足りなくなったものでございますので、初めて国内産脱脂粉乳学校給食の線に乗せたのでございますが、その国内産脱脂粉乳で、ああいった事件が実は起きたのでございます。まあこのために国内産がいいとか悪いとかいろいろ非難を受けて、批判の対象に実はなったのでございますが、しかし国内産必ずしも悪いとは思っておりませんけれども、この前の中毒事件の原因は、輸入のものでは実はなかったのでございます。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の問題に関連して。脱脂粉乳の質の問題ですが、この余剰農産物受け入れ交渉の途中において、脱脂粉乳動物飼料用として受け入れたいという話し合いがありました。ところが、結論としては動物飼料用脱脂粉乳というのは全然なくなって、そして学校給食用脱脂粉乳一本になっております。そういう関連から見て、私は飼料用として日本交渉しておった脱脂粉乳がそのまま給食用に使われるのじゃないかというふうに考えますが、このいきさつはどういうふうになっておりますか。
  6. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 御説明申し上げます。輸入いたしております脱脂粉乳は、もちろん脱脂粉乳といいますか、脱脂粉乳は、一般に申しましてよろしいのでありますが、肥料用となるものもありますし、また飼料用となるものもございます。それから食料になるものがございます。食料の中にも非常に品質のよいものと比較的よくないものもございますが、現在入れておりますのは食料になるもので、比較的いいものを入れております。従いまして価格におきましても相当の開きがございますしいたしますので、飼料用を削減したから食料に回されるというようなことは絶対にないと考えております。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこでその質の問題について何らか保証があるのかという問題ですね、一がいに脱脂粉乳といってもいろいろあろうかと思います。贈与を受ける脱脂粉乳は質においていいものだ、こういう保証がとられているのかどうか、向うまかせになっているのか、その点を聞きたい。この問題はドイツでもあったということは皆さん御承知通りだと思うのです。ドイツでは一応これを返還したという事実もありますし、だからやはりそういう保証を得ておるかどうかという点が私は大事な問題だと思います。そういう点、御説明願いたいと思います。
  8. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 現在まだ交渉段階でございますが、今までにすでに交渉いたしております内容としましては、先ほど申しました食料としてよい品物をということになっております。日本の厚生省の規格との関係もございますので、この点は十分に注意をして御心配のないようにしたいと考えております。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の課長説明は、今まで輸入をしておった脱脂粉乳については相当質を吟味して買っておる。これは金を出して買うのですから私は当然だと思います。日本の意見、希望というものは十分実現されると思う。今私が言っておるのは向うから贈与される、向うのものを金をもって貰うわけじゃない。ですからあらかじめどういう質の脱脂粉乳を買うのか、このことははっきりしておかないと、うやむやにしておいてはどういうものが来るかわからない、こういう心配は私は起ってくると思うのです。そういう点を尋ねておるわけなんです。たから今度の贈与を受ける脱脂粉乳についてそういう保証がきっちりなされておるのかどうか、交渉中ということでは工合が悪いと思う。
  10. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 今回の余剰農産物受け入れの協議、協定の第三条にございますのでありますが、贈与関係につきましては、条件についての日米両国間の取りきめがきまることによりまして具体的に確定いたすことになるのであります。その取りきめの内容として今申しましたような事柄を交渉いたしておるわけであります。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 余剰農産物外務省が来てやるということだったのですが、話が出ちゃったのですが、そこで大まかに第一番にこういうことを聞かしてもらわんと工合が悪いのですよ。一億五千万ドルというのは衣料も含んでの贈与分たということを聞いておるのですが、いよいよ調印したわけですが、細目取りきめをこれからやりますといいますが、今のところで外務省を通じて文部省にわかっておる内容ですね、内容はどういうものか、それからいつ来るのか、それからその処分はどうするつもりであるのか、それからこれは何年間来る計画の下に文部省はこれを受け入れているのか、少くともこれだけの要素をはっきりしなければ次の質問は初められないわけなんですが、それがわかってないならわかってない、わかってるならわかっていると、大臣来たようですから簡単にお答え下さい。
  12. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) お答え申し上げます。余剰農産物協定によりまして入って来ます農産物の総額は一億ドルでございますが、そのうち八千五百万ドルが輸入分でございまして、千五百万ドル分が、これが贈与分ということになっております。この贈与分の千五百万ドルの内訳がこの基本協定の第三条にあるのでありまするが、大体千五百万ドルのうち千二百万ドルが小麦及び脱脂粉乳、それから三百万ドルが綿花、こういうことになっておるわけでございます。  それではいつ入って来るかということでございますが、大体その協定が発効いたしまして、それから購入許可が下りてアメリカの方から積み出されて来るということになるわけでございますが、この協定内容といたしまして大体綿花については十月の……ちょっと取り調ベますが、多分綿花は十月末、それから小麦及び脱脂粉乳が九月末までに向うをおそくも離れなければならぬ、それ以前に積み出さなければならぬということになっておるのでございます。これを受け入れ国内でどうするか、これらの小麦及び脱脂粉乳、それから綿花をどういうふうに処置していくのかということについては、これは今アメリカ合衆国との間に話し合いをしているのでございますが、まだ最後的な決定というところには至っておりません。  今後何年間この余剰農産物受け入れが続くのかということは、これは政府の最高の方策としてきめられますので、これは事務的に私どもからお答え申す段階ではないと存じます。
  13. 吉田萬次

    吉田萬次君 大臣がおいでになりましたから簡単に御質問を申し上げますが、先日私が質問いたしました酪農奨励のために農林省が六千五百万円補助しておる。そこで今日の脱脂乳学校で使用するのは二万トンだと思います。で、酪農奨励のために受けるところのものは二千トンで、その一割であります。その一割でありまするが、七十五円のをこの奨励補助金によって六十円にしております。アメリカから輸入せられるのは十八円であります。このプール計算によって二十円になります。そうすると一ポンドについて二円ずつ高くなるということでありまするが、一ポンドぐらいのわずかなものについて二円の金というものは、全国の児童に割当ててその負担影響相当大きいと思います。私は酪農組合補助金六千五百万円云々と言うわけではありません。児童負担ということから考えましたならば、これは全国的にわたって相当大きなものだと了承いたしまするについて、これ、農林大臣文部大臣との間に何か折衝をして、そうしてこの点を考慮していただきたい。で、場合によっては奨励金を、奨励金の問題は別として十八円で買えるものを二十円で買ったというふうなことは、これは外貨というものを考慮した場合においては、あるいはまた別の考えがあるかもしれませんけれども、しかしながら給食に対する脱脂乳というものから考えましたならば、この二円の額というものは相当響くと思いますが、どういうお考えになりますか。
  14. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答え申し上げますが、その問題は非常に重大なことであると考えておるわけであります。一面現在の情勢から見ますと、全くお話通りで、そんな内地のものを、高いものをなにするよりも、むしろ安く上って、そうして父兄負担を軽くするという方がよろしいのでございますけれども、長い意味から申しまして、日本酪農がずっと発達いたして参ったそのときの国民衛生の点から見ますと、内地酪農は無関心でもこれはやれないであろうと考えるのでございます。そこで私ども農林当局との話し合いによりまして、そして酪農とこれとを結びつけることによって、将来の給食なんかにも非常な影響がございますから、酪農と結びつけた形でやっていくことはやはり考えていいんじゃないか。しかしながらその負担をことごとくこの文部省給食の側へ負担せしめるということは、これは絶対にいかんわけでございまして、この有畜農業奨励の一端として農林省考えまして、そしてそこに完璧を期したい。  それからもう一つの、この間もお話でございましたが、一部の酪農地帯の人だけがなま牛乳を飲んで、一方では脱脂ミルクを飲むというふうな不公正があってはならないということも、これは考慮しなくちゃなりませんですが、この有畜農業を適当に奨励いたしますと、案外早く日本人は、大体農家はみな畜乳を持つというようなこともあり得るわけで、これにはむしろ飼料の問題の解決を必要とするというようなきわめて複雑な関係がありますから、これらのものをにらみ合せて、そして父兄負担にならない範囲で、多少のことは、今仰せらるるような点はありますが、内地の粉乳を使わないで、外のものばかりということになりますと、内地有畜農業には相直な影響がございますので、それらの点も考慮し、そうして一つの新しい給食の方法をあみ出そうと思うて、ただいま腐心をいたし、農林省ともこれらの点について折衝をいたしてやっていく考えであります。
  15. 吉田萬次

    吉田萬次君 大臣認識不足じゃないかと思いますが、生乳脱脂乳との間においては、この栄養分いわゆるカロリーの点から考えまして非常な差があるのであります。私は生乳があるところはなるべく生乳によってやっていただきたいということを考えるのでありまして、先日川口委員からお話のあった通り、私はこの問題はできる限り生乳において処理していただく方が、生乳において考えていただくことが適当じゃないかと思いますが、ただ生乳でありますと、日曜はどうするか、あるいは暑中休暇をどうするかということに対して牛乳屋が非常に困る、生産者が非常に困るということが大きな問題でありまして、かような問題に対して生乳というものに対する遠慮があるかと思いまするので、私は、本来から申しましたら、栄養価値から言って非常に差がある生乳を私は与えていただきたいと、こう思っております。この点どうぞ御了承を願います。
  16. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま日本学校給食会法案について質疑を行なっているわけでありますが、文部大臣に対して安部委員より緊急な質疑の申し出がありましたので、法案質疑は暫時中止いたしまして、大臣に対する質疑に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 竹下豐次

    竹下豐次君 緊急の問題は委員長何ですか。
  18. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま緊急な質疑として出ておりますのは、大臣に対して朝鮮人学校教育問題についてということであります。
  19. 竹下豐次

    竹下豐次君 ちょっと懇談を……。
  20. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それではちょっと懇談に入りますから。  速記をとめて。   〔速記中止
  21. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて。
  22. 安部キミ子

    安部キミ子君 それでは大臣にお尋ねいたします。  昨日本会議で緊急質問しました中で、文部大臣から答弁があるべきだったのでございますが、都合でそれができなかったので、引き続いて質問申したいと思います。実は私どもが北朝鮮の訪問をしました際に、教育相、今日日本でいえば文部大臣に当るところの白雲南という方ともいろいろ懇談したわけであります。その際に白雲南教育相のおっしゃいますことには、朝鮮教育児童がたくさんおる、現在六十万人に余る在日朝鮮人がおるし、就学しなくちゃならない児童が十二万余りおるということを聞いておるが、その教育状況はどういう実情であろうか、このような質問を受けたのであります。私も現在朝鮮には日本の人もたくさんおられるし、また日本子供教育を受けております。で、そのことについてこちらの報告をする前に、日本人教育はどのような扱いを受けておりますか、日本人の生活は朝鮮でどういうふうになっておりますかということもあわせて私どもは先に聞いたわけなんです。これは日本人として当然気にかかることでありますので質問しましたところが、向うでは日本人扱い外国人並みにしておって、一般朝鮮人人たちよりも配給物はすべていい。衣料配給にしても米の配給にしても外国人並み扱いを受けておる、いろいろな点で心配もあろうが、決して粗末な扱いはしていないというお答えを聞いたわけです。そこで私の方も、私が知っている範囲において朝鮮人学校児童教育報告をしたわけなんですけれども、御承知のように昨年朝鮮人学校の問題で当文部委員会でも、いろいろな事件が起りまして、議題にも上った実情でありまして、必ずしも朝鮮人側の方からいえば満足だという立場ではなかったと思うのであります。しかし、これは私がどのように申しましても弁解のしようもないのでございまして、私の知っている限りにおいて報告をしておいたわけなんでございますが、しかし国際的な信条からいたしまして、今日の在日朝鮮人が受けておる教育扱いというものは、今後もこれでいいかどうか、この点で文部大臣の所見を伺いたいと思います。
  23. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 昨日の本会議でお聞きでありまして、これは連絡ございませんで、大へん失敬をいたしました。今のお話でございますが、これは現在大よそ十万人を超えておるということは今お話の通でりございます。今では外国人であるわけでございますが、従って義務教育としてこれを課するわけにはこれは参りませんけれども、しかし従来の何もありますので、日本子供と同じことに小学校中学校へ自由に入学を許しておるわけでございます。そのほかに一部のものは朝鮮人の経常しております私立の各種学校であるとか、もしくは私塾で修学いたしておるものもございます。それからそこで去年以来のなんでありますが、従来終戦後一時東京都あたりで朝鮮人ばかりを収容する学校を営んでおりましたのでありますけれども、それではこの日本といたしまして、東京都といたしまして専門学校を設けることはこれはどうかということでそれを廃しまして、そうして日本人と一緒に共学させる、こういうことになっているわけでございます。ただ問題として残りますところは、その朝鮮特有教育日本学校でやってくれ、たとえば朝鮮語でありますとか、朝鮮民族教育をやれとかということでありますが、これは今日の状態といたしまして日本学校でやることはできない、こういう現実の状態でございます。
  24. 安部キミ子

    安部キミ子君 ただいまの御説明を聞きますと、大臣はこの民族教育各種学校のいき方でなければいけないという御意向かと思いますが、しかしやはり朝鮮側とすれば、自分たち民族教育を受けさせたいし、受けたいし、そういうことが各国実情をみましてもなされておる。そういう事例もあることでありますので、今日日本が許可しておりますところの教育法第一条によるところの教育内容で、八十三条が各種学校になっておるのでありますが、八十三条の適用でなくして、第一条の適用民族教育をするようにしてもらいたい、こういう希望が強いのでありますが、これはどうしてもできないとおっしゃるのでありましょうか。
  25. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) ただいまのところでは、他の第三国のその民族教育日本義務教育のうちでやることは、よほど考慮を要すべきであろうと思いまして、そこまでは下が廻りかねるのでございます。
  26. 安部キミ子

    安部キミ子君 各種学校でございますと、上級学校に進学することが実際にはできないのです。それは第一条の法令による義務教育を受けておりませんから、筒等学校大学に進むということができないのでありますので、朝鮮人側とすれば、どうしてもこの各種学校の中にも民族教育を受けたいと言って、たくさんこの義務教育小学校教育から受けているわけですね。だから小学校教育中学校教育までやって、そうして高等学校へいって、その上に大学へいきたいという希望の人も相当おるので、この各種学校適用でなくて、義務教育適用にしてもらわなければ困るというのであります。私はこれは当りまえのことじゃないかと思うのでありますが、、どういう理由で、今大臣がおっしゃいましたように、いろいろな事情で、それができないという、その事情というのは一体どういうことが心配でできないのか、御説明願いたいと思います。
  27. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それは第三国人義務を課することは、これはできないと思いますから、義務教育を課することはこれはできません。そこで上級学校へ、義務教育を授けていないから入れないといいますのは、それは門戸を開いてあるはずだと思います。学力さえあれば、試験をしていけば、これは上級学校へも入れると思うのですが、そのことは一つ局長から答えさせます。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。この問題は、前に当文部委員会でもずいぶん問題になった問題ですが、私この際資料を要求しておきたいと思います。それは世界各国において第三国人教育を、その国の国立あるいは公立学校でいかように扱っているかという、それだけでよろしいですから、世界各国にわたって調査して、早急に資料として本委員会に出していただきたいということを要求いたしておきます。
  29. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 大臣先ほどお答えになりました通りでありますから、一般公立の小中学校に入りたい希望がある者につきましては、これは外国人でありますけれども、特別に朝鮮人に対しましては日本人と同じように取り扱っていくという基本的な態度であります。先ほどお話のありました十万を超える学齢の児童生徒があると思いますけれども、大部分はさような形で勉強いたしておるわけであります。特別に集団的に教育を受けているというのは、東京都に最近までありました公立学校と、あと公立学校としては分校という形で府県に残っております。それからあと各種学校あるいは私塾という形でやっている。こういう現況であります。そこで今お話のございましたように、日本高等学校あるいは大学に進学したいという希望の人は、これは決して途は閉されているわけじゃありませんので、一般公立小学校中学校で勉強して、日本人と同じように試験を受けてやっていくということは、これはできるようになっている。それからなお各種学校を卒業いたしました場合におきましても、これは学校教育法の定めるところによりまして、高等学校で認定いたしますれば、入学できることになっております。
  30. 安部キミ子

    安部キミ子君 ちょつと最後に。各種学校扱いというのは、公立学校とは根本的に違うといっても私は過言ではないと思う。今日各種学校といえば、洋裁の学校とか、そろばん学校とか看護婦学校とかいうように、一応一つの特定の職業学校に類するようなものでありまして、東京朝鮮人学校も、今までは公立学校の行き方でいっていたのが、今度は改めてあれが各種学校になったのですね。だからあれを各種学校にしないで、今までのままにしていってもらいたいというのがみんなの願いであるし、また民族教育も認めないという立場に立てば、これは話ははっきりしているのですけれども、やはり民族教育も認めるという、認めてやろうという立場日本政府が対処するならば、当然各種学校というところを公立学校にしてくれという希望があれば、してやっても差し支えないじゃないか、その方がまた進学するにも、それは日本人学校があるのであるから、初めから日本人学校に入ればいいじゃないかと、こう今おっしゃいますけれども、それじゃやっぱり向うの人では納得がいかないわけなんです。やはりどっちの道を通っても、最終的の大学に入るようにしてもらいたいと、こういうのが向う希望なんでありますので、この問題については再検討していただきたいということを要請しておきまして、私の質問を終りたいと思います。
  31. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっとお諮りいたしますが、ちょっとの間大臣が席をはずして、すぐ帰ると申しておりますが、お許し願えますか。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長、一分……文部大臣にお尋ねいたしますが、先ほど余剰農産物の問題が出て、専門的なところは外務省に伺うとして、余剰農産物が入ってきた場合の処置はこれからアメリカ話し合いをするし、何年間程度この余剰農産物が無償で来るものであるかは、それらも政府の大きな政策であるから、事務当局は答弁できないということですが、いやしくも内閣の国務大臣としては一応の私は見通しを持っておられると思うのです。それでなければ、国会にそういう協定の承認なんとかいうものは出されないと思うのです。従って私は国務大臣に伺いますが、一体なんですか、吉田内閣時代は外務省文部省、通産省合議の結果、余剰農産物の中に無償の贈与分が来たならば、これは国策の犠牲となった窮迫せる炭鉱地帯の生徒児童救済のために、衣料及び食糧を優先的に供与するということを決定しておったわけですが、この方針は国務大臣としてはまた文部大臣としては貫く考えかどうか。それから国務大臣でありまた文部大臣であるあなたは、余剰農産物児童生徒に対する無償供与を何年間受けようと期待しているのか、また何年くらいは受けられそうだと、かように自信を持っておられるのか、その点について、簡単でよろしゅうございますから、お答え願いたいと思います。
  33. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それにつきまして端的に申しますと、私はただいまのところは今年だけのこととしてすべてを考えております。なぜかなら、このことはずっと継続した問題でありまして、実地の様子も知りませんのと、日本の計画を、他国のそういうただ安くもらうというようなことを基礎として計画を立てることはいかがかと思いますので、今年限りのものとして考えております。アメリカにしましても、これから何年器こすというようなことを言うわけはありませんでしょうし、私どももそういうことを期待して計画を立てるのは危険であり、また今日の日本の独立した状態として、今そういうことを、長きにわたることを考えているのはどうかと思いますので、今年は今年限りのこととして、そうしてさらに明年以降のことはまたこれからの折衝等もありましょうし、こちらの考えもありましょうから、今度のは全く今年限りのこととして考えてやっております。あとのことはまたお互いに考えまして、最善の方途を尽したいと思います。  それから炭鉱地帯等の窮迫の事態につきましては、これはそのときの申し合せ等を私は実は聞いておりませんけれども、もちろんこの被服等のことは、ぜひそういうことにいたしたいと思いまするし、それから給食の問題もあの方面は特にひどいことは、きのうあたりもいろいろ地方の実情も聞いておりますし、できるだけそういうふうなことも取り計らいをいたしたいと、もちろんこれは無償で給付するか、幾分の何をとるかは、これはもうなんでありますが、衣料などはできるだけそういうふうにしたいと考えております。
  34. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私はこまかい点はきょうは質問いたしません、後日質問する機会があると思いますから。ただ私は根本になる問題だと思って質問するのですが、文部大臣質問したいと思っていたのですが、政務次官にかわって答弁してもらいます。  今度の余剰農産物の中に、ただいまもお話がありました現物贈与がございます。この現物贈与になる分については、小麦粉にしても脱脂粉乳にしても、学校給食に使うということになっているようであります。それから綿花についても学童用の服に充てる、こういうことが受ける学童にどういう影響を与えるかという問題です。その問題について、文部省としては検討されたかどうかですね、あるいは非常に好ましくない影響も与えるのではないかということも考えられます。で、この現物贈与を受けられるについて、そういう点を考慮されたかどうか、私は伺いたいのであります。今度アメリカ現物贈与をするに至ったアメリカ側の基礎は、政府も御承知通り農産物貿易の促進及び援助に関する法律というアメリカの法律に基いて贈与しているわけなんです。その第二章には飢餓救援規定というのがございます。アメリカ側としては日本の学童が飢餓に瀕していると、そういう法律の建前に立って現物贈与をする、こういう考えであると私は思うのです。そこで受け入れ日本側、日本政府としてはどういう考えなのか。それは相当多数の学童が飢餓に瀕している。だから援助してもらってそれを切り抜けるのだ、こういう考えでこの現物贈与を受けられているのかどうか。アメリカ側がこういう法律に基いて贈与しているということは、もう疑うことのできない事実だと私は思う。受け入れ日本政府考え方はどういうところにあるか。ただ、ただだからもらって学童に分けたら都合がいいと、こういうふうな考えでこの贈与を受けられるのかどうか。少くとも他人からただで物を受けるというときには、特に学童にこれを与えるという場合には、相当な検討が私はなされているものと思います。従ってこの際政府の私はこういう問題に対してどういう検討をされたか、特に学童にどういう影響を与えるだろうかという点についてどういう検討をされたか、この際一つ説明をいただきたい。
  35. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 余剰農産物贈与分受け入れるに当って、児童についてどういう影響を与えるかということは、文部省としては十分考慮をいたしたところでございます。アメリカ側から贈与を受けるに当っての、アメリカの根拠法規について、飢饉の救済その他の援助という規定がございます。アメリカとしては日本だけでなくて、多数の国家を相手にして、こうした措置をとっておることと思われますので、贈与をするに当って、飢饉救済その他の場合もあろうかと考えるのでございます。わが国といたしましても、前例として大きな地震があったとか、戦争で荒廃したとかいうような場合に、外国の援助を受けたことがございました。アメリカの条文はそういう場合も予想した規定であろうと思いますが、それだけに限らず、児童福祉のために、国境を超えて援助の手を差し伸べるという人道的な立場に立ってこういう条文を作っておる、そういう考え方もアメリカの規定の中に入っておる、こういうふうに考えているわけでございます。私どもといたしましては、アメリカ贈与が、そういう国境を超えて児童の福祉をはかっていくという考え方が今度の贈与の根本であろうと考えて、これを受け入れることに賛成をいたしているわけでございます。ただ受け入れます場合に、大きな飢饉があるとか、災害があったとかいう場合でなくて、日本はいわば現在平時の状態にあるわけでありますので、アメリカから受け入れた物資をただで配るという場合には、特にそれが主食のことでもありますので、児童に非常な悪影響を与えはしないか、かように考えまして、児輩に卑屈感を与えないためには、やはり有償で主食に関しては幾らか代金を徴収した方がよくはないかと考えまして、アメリカ側と現在折衝をいたしておるわけでございます。
  36. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと文部省考えとしては、日本の学童の福祉を増進するためにアメリカの援助を受ける、これは何ら差しつかえのないことであるというふうな建前に立って、この現物贈与を受けられたのである、こういうふうに今の説明は取れますが、その通りでありますか。
  37. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) ただいま御審議いただいておりますところの日本と合衆国との農産物に関する協定に書いてあります通り学校児童の福祉計画を拡大するということが先方の考えでもありまするし、わが国でわれわれがこれを受け入れようとする根本的な考え方でございます。
  38. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は日本の学童が、決してしあわせであるとは考えておりしません。しかしこの学童の福祉の増進をはかるために、アメリカからの現物援助を受けて、それによって補いをつけていこうということになると、かなり私は学童に影響があると思うのです。先ほど政務次官はそういう点も検討した、検討をしてどういう結論が出たかということについては、お話にならなかったと思いますね。悪い影響はないという結論に達したのか、あるいは若干心配の面も起ってくるかもしれない、こういう結論に達したのか、その点については説明がなかったのですが、それはどういう……、もう一度御説明願いたい。
  39. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) アメリカから贈与を受けます場合の影響については、物心両面で考えてみる必要があろうと考えております。現在学校給食を行ないます場合に、給食費の関係から費用を全額持参できない子供もあることは事実でございます。その場合に給食費の低減がこの贈与を受けることによって行われるというような場合には、やはり学校給食が円滑に運営され、子供の福祉がその面では拡大されると考えるわけでございます。ただそう場合に精神的に非常な卑屈な感じを与えることになるのではないか、その点は私どもは憂慮をいたしたわけでございますが、幾らかでも代償を取る、有償で子供に渡す、父兄に渡すということになれば、さような影響は軽減し得る、かように考えまして、結論といたしましては、私どもとしては受けた方がいいと考えたわけでございます。
  40. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 政府が受けた方がいいという考えをきめておられるということは、もうわかっているわけなんです、国会にも提案されているわけなんですから。私の聞いているのは、この外国の援助によって福祉をはかっていくという、こういうことがどういう影響を与えるか、これは非常に私重大な問題であると思うのです。戦争直後はかなりの援助を国民全体が受けておったのです。それとは、もう相当私は事情が違ってきていると思うのです。学童の福祉を増進する、あるいは学校給食の改善をはかっていくということはけっこうなことですが、これはあくまでもわれわれの力でやっていかなければならぬ問題だと思う。それを外国の援助を受けてやっていくと、こういうことは私はかなり精神的な影響もあると思うのですがね。それを若干有償にすることによって軽減できるのだというお話であった、この程度考え方であれば、私はやはり受けることについては問題があるのじゃないかというふうに考えるのですがね。これはこれ以上政務次官にお尋ねしてもどうかと思いますので、この問題は文部大臣から簡単でもよろしいから書面で一つ、どういう考えで、今の私が質問をしたどういう影響を与えるか、特に日本も長い問占領下にあったわけです。従ってどうしても隷属的な気持というものは払拭しきれないというのが私今日の現状だと思うのです。そういう中において、そういう独立の気迫といいますか、民族精神といいますか、そういうものに私は悪い影響があるのじゃないかということを心配して尋ねているわけなんです。だからそういう点を心配がないというふうに結論を下されたのか、若干はあるけれどもやむを得ないと考えられたのかですね。
  41. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 荒木委員のお説に非常に共鳴を覚えるところが多いのでございますが、私どもとしてはこの贈与受け入れるに当りしましては、もともとこの贈与は単独に贈与を受けるものでなく、アメリカ余剰農産物をこちらが買い入れる協定と一体になって、先方から児童の福祉計画を拡大するために贈与したいという申し入れをして来ているわけでありますから、それを受け入れることについては全然全くの、そうした片方で余剰農産物受け入れるというような原因のない場合の受け入れとは、これは事情がだいぶ違うだろうと、かように考えます。しかしそれにいたしましても、ことに主食のことでもありますので、これを学童に無償で渡すということには非常に考慮を要する点があろうと思って、大事をとって先ほどから有償論を申し上げて、その弊害防止に努めている点をまお御了解いただくように申し上げている次第でであります。
  42. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、もう一言誤解のないようにしたいと思います。これは地震とか天変災害ですね、そういう困っているときにお互いに援助しあうことは、もううるわしいことであって、人道的に非常に望ましいことだが、それとこれとは私は別個に考えている、そういう点誤解のないようにしていただきたい。
  43. 竹下豐次

    竹下豐次君 関連して。荒木さんの今の御心配、私もごもっともな心配だと思っております。ただ、ただいまのところでは私はこの問題を考えておりますのは、余剰物資のもらい受けということにつきましても、相当お話が進行しておるというような実際の状態になっておる、それも一つ頭の中におかなけりゃならない、それからまたもらわずに済むことでありましたならば、もらわないで向うの申し入れを拒絶すると、こちらから願わないということが最も望ましいところでありましょう。しかし日本の食糧事情その他一般に経済関係等を考慮いたしましても、この際ほかの国からでも本当に人道的に好意を示してくれるという状態があるならば、それを強いて拒絶するにあたらないのではないか、この際先ほど政務次官のお話しによりましてもアメリカがいろいろ人道的の立場の考慮に基いて、日本に無償贈与という気持のように承わるのであります。その裏にどういう考えがひそんでおるか、それは私などには分りませんけれども、そこまで疑ってみる必要もないのじゃないかと、もう一ぺん繰り返して申しますならば、向うが好意でもってやるというならばもらい受けていいじゃないか、ただしもらうほうの心がけが必要だ、できるだけとり込めばいいのだ、金持から金を出すのは当り前で、貧乏人はもらうのが当り前だとかですね、もう、もらったんたから思返えしする必要もないというような考え方でもらうというように国民がなっては、それはもう国を亡ぼします。しかし好意を示してくれるならばその好意を受けるし、それに報いることはいつになるか、またどういう形であるかわからないけれども、これは報いる道は人間として尽さなければならない、というだけの心構えを日本国民が持っておるならば、どこの国の示す好意であろうと、そのままに受け入れるということがすなおでいいのじゃないかと私はこう思うのです。ただそういう心がけ、物をもらった、また物を借りる、便宜を与えてもらうというときには、ほかの形でまたお返えしをするという覚悟を持たない限り、もらったり借りたりしてはならない、かように私は思います。私の考えだけでなく、そう考えなければならない問題ではないかこ思っております。ただ問題は一応心配になるのでありますが、この際ただでもらったのた、それを学童に配給する、いかにも日本は貧乏だ、アメリカから助けられておる、日本はだめだ、アメリカの属国になってしまうのじゃないか、植民地になってしまうのじゃないかというようなふうに思わせる状態でこれを配給していく、ただでもらって配給していくということでは大へんなことだと私は思います。先ほど次官の御説明のうちに幾らか代金を取ると、安くはあるけれどもそれで相当に堕落した気分を償うことができるのじゃないかというお話でありましたが、そのお考えは非常に私は姑息な考えでありまして、それは五十歩百歩だと思います。どうも次官の今の御説明によると、やはり弊害が多いのだ、あるのだということを御承認の上で、だからそれをそういう形で幾らかでも補おう、しかしまだそこに心配の筋が残っているのだという考え方が、頭のそこにひそんでおるのではないかと察しながら私は承っておったのであります。しかし私はこれは受けても、その受け渡すとき、そのとき、あるいはその後の子供教育によりまして、何も日本児童を卑屈なる精神状態に陥れないで沈む教育ができる、積極的にこれを利用して、立派な国民に仕上げるという材料に……教材にすることも私はできるのじゃないかと思います。と申しますのは、まあアメリカの好意をよく受け入れての前提になります。この世界の各国においては人道的にこういう問題を取扱って困っておるところを助けていこうというような行動を実際とっておるところもあるのだ、それは人間として当然考えなければならないのだ、で、こういうことはいいことだから児童の諸君におきましても、これから日本は貧乏だけれども、しっかり裕福な国に仕上げて、ほかの国の困っている人があればそれを助けていく、今度こちらから助けてやらなければならぬ、しっかり元気を出せというような教育をすることは私は当然なことでありまして、まあ心配が必らずないわけではありませんが、しかし教育の仕方によりまして、それを償ってなおあまりある状態へ私は持っていくことができるのじゃないか、そうさせるのが私は文部省の大きな責任でもあるし、児輩をあずかっておる先生たちの努めでもあるのじゃないか、私はまあ、かように考えておりますで、政務次官どういうふうにお聞き下さるか知れませんが、私は心からこの際これをそのように一つ積極的に利用するように、教育を進むるところに最善の努力をいたしていただきたい、かように私は考えておる次第であります。非常にこれはむずかしいことでありますけれども、しかし考え方として私は正しい、最善の努力をしなければならぬ、かように考えておる次第でありますが、次官どうでございましょうか、私の……。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。討論の段階に入ったようでございますが、竹下委員からああいう意見が出ますと、また荒木委員のほうから意見を言いたくなるのじゃないかと思うのですよ、まあ質問段階ですから、ところが荒木委員はさっきから基本的な問題だからと、そういう意見が出て、満足な答弁が政務次官から得られなかったようで、まあ本人も文部大臣の答弁を要求しておるわけですね、そこで本日の委員会を始める前にも荒木理事から委員長にも提案があったようですが、ここでですね、一応速記をとめて、これからあと委員会の取り運び方について協議する時間をもっていただきたい、かように提案いたします。
  45. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっとお待ち下さい、速記をとめて。   〔速記中止
  46. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を初めて。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 資料を三つ要求いたします。第一番は、余剰農産物関係資料を早急に出していただく。築三の資料は、昨年秋、本委員会で問題になって以来、困窮している中小炭鉱の給食にいかなる措置をしたか。その内容と、それと、最近の資料に基く全国の準要保護児童数。それから第三は、過去三カ年間における給食に関する中毒その他の発生事故件数、並びにその内容資料として出していただきたい。以上であります。
  48. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本委員会はこれにて暫時休憩し、午後は正三時から再開いたします。    午後零時二十一分休憩      —————・—————    午後三時二十四分開会
  49. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 午前に引き続き会議を開きます。  日本学校給食会法案の審議をいたします。御発言のある方はお願いいたします。
  50. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 はなはだ何といいますか、しろうとくさい質問を申し上げますが、文部政務次官にお伺いいたしたいんですが、この給食法案を特別法人としてお出しになりましたのは、機構を眺めてみますると、理事長は外来の経験者が入ってきますけれども、そのほかはほとんど文部省一の関係の局長、課長の人ばかりにもかかわらず、これを特別法人として法律をお出しになるということは、結局給食される相手が公立小学校、盲あ学校、ろうあ学校というような種類のものであり、かつまた給食される物資の配給等において特にそういう外郭の団体でやらねばならぬというそこに理由があるから、特別法人としてこういうものが出たのかと思いますが、われわれから考えると官立、公立、官立ということじゃないが、国立公立学校相手なら、むしろ文部省内の機関としておやりになったほうが、日本のすみずみまで公平に渡っていいんじゃないかと思うのでございますが、その点について承わりたいと思います。
  51. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 学校給食に必要な物資の買い入れ、配給をいたしますのに、その相手方が公立学校であり、また府県の教育委員会であるというような関係から、役所で面接やったほうがいいではないか、確かにそういう面がございます。しかしながら品物の売り買いでございますので、予算のワクに縛られては、なかなか学校給食の仕事を拡張していく場合に都合が悪いこともございまして、現在民法に基く財団法人を作りまして、その仕事を担当させておるわけであります。それに対する監督が民法の規定に基く主務大臣たる文部大臣が監督をいたしておるわけでございしますが、民法の規定だけでは監督が十分徹底しないというようなことで、このたび特殊法人を作って、一方品物の買い入れ、売り渡しというようなことを円滑にやるのと同時に、民法の財団法人よりもより強力な監督を行なって、学校給食の円滑を期したい、かように思って、特殊法人にする法律を提案いたしたわけであります。
  52. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 そういたしますと、特殊法人ですから、連想するのは日赤、日本赤十字社の特殊法人に準じたもののように考えられるのですが、もちろんこれは補助を受け、また給食を受ける児輩からの徴収金といいますか、納金もそこへ受け入れるということになっていますが、かりに高額の寄付金額があった場合に、それは法人が受け入れまするか、地方の配給機構に充てられている機関あるいは学校がそれを受け入れるのかということになりますか、日赤では一応本部の方に入りまして、それから支部の方に行きますが、これではどういう工合にお取扱いになるか、承わりたいと思います。
  53. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) お答え申し上げます。この特殊法人が発足いたしまして、中央の機構ができましても、差し当っては各府県の従たる事務所というものはいろいろの都合がございまして、直ちに置くというふうには現在考えておりません。従って、ただいま例としておあげになりましたような相当多額の寄付というようなものがありました場合、その寄付の条件にもよりますけれども、もちろん中央の特殊法人たる日本学校給食会に寄付するということであれば給食会に入るということになりますが、その寄付の条件によってそれぞれ各府県の財団法人たる府県の給食会が寄付の受領者になるという場合はもちろん府県でやられるわけでありまして、それを中央にそのまま吸い上げるというようなことは現在のところでは考えておりません。大体寄付の条件によってきまるべきであると思っております。
  54. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 今余剰農産物お話が出たのですが、この余剰農産物大臣お話では一年きりでも仕方がない、そのあとはそのとき考えるというような先ほどお話がありましたが、この余剰農産物受け入れということに対しましては、相当多量のものでありまするから、給食に回しましても相当範囲にこれが配分されると思いますが、もし、これが一年間であと入ってこないという場合が起りましたときには、物資の面で不足を来たすようなことはないか、あるいはまた、この法律は作ったけれども、どうも運営がうまくやっていけるほどに円滑に物資を得ることができないというようなことになって、相当朝令暮改のようにまたこれを改正しなければならないような事態が起るような状態は生じないものでしょうか、その辺を一つ
  55. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この特殊法人である日本学校給食会を設立するという考え方は、先般も御説明申し上げましたが、余剰農産物受け入れの時期と、たまたま符合して参りましたけれども、必ずしもこの余剰農産物受け入れるためにこの学校給食会を設立するということではございませんで、学校給食一般的な普及ということに伴いまして学校給食で使う給食用の物資というものが非常に最近大量になって参りました。従ってこれをそれぞれの学校の需要に応じて適正に円滑に配給するといったようなことを在来一財団法人でやっていることが果していいかどうか、というようなことをいろいろ検討しました結果、こういった国家的な大事業はやはり国の代行機関的なものを作って、国の監督を一層厳重にしましてやるのがよかろうというようなことで、いろいろかねてからも議論のありましたことでありまして、それを今回実現するという段取りになったわけでございます。もちろん余剰農産物贈与分というようなことで非常に大量な物資が学校給食の線に乗って参りますけれども、これはたとえばミルクだけを例にとりましても、従来は贈与がございませんでしたが、かなり低額な金でこれを買っておった。もし、これは仮りでございますが、万一来年からそういった贈与がなくなるということになりますれば、今までのような行き方で低額でおそらく輸入することができる、また場合によっては国内脱脂粉乳等もだんだんこれから取り入れるべきであると考えておりますので、余剰物資の受け入れということが万一なくなるようなことがございましても、この学校給食会の業務というものがそれによって非常に打撃を受ける、あるいは給食会を廃止しなければならぬというような事態は起って参らぬものと思っております。
  56. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 私立のこれに準ずるような学校がございます、地力には、ろう学校とか盲学校とか。そういうようなものについてはこの恩恵に浴することができないものでしょうか。いわゆる同じ条件において配給を受けるというわけには参らぬのですか。
  57. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 現在この学校給食会で取り扱っております学校給食用給食物資の配給ということは、そういった設立者の国公私立の別を問うておりませんので、実際に私立の方でも御希望があればその線に沿うて配給をいたすと思います。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私も若干伺いたいのですが、今、日本脱脂粉乳アメリカから来る脱脂粉乳との価格差はどのくらいですか。それを調べている間に農林政務次官に伺いますが、午前中にもお話が出たようでありますが、終戦直後行われた学校給食とガリオアを打ち切られたのちの学校給食とは、政府側の見解というものはある程度変って参りましたね。食生活の改善という立場が非常に大きく出て来て、食管特別会計に入っているのは御承知通りであります。従って私は政府としては、午前中ちょっと出ましたが、酪農振興との関係というものは計画的に考慮されていかなければならぬと思うのであります。農林省の方では相当の計画があるかと思うのでありますが、これには今答弁を求めている国内産脱脂粉乳の価格と外国産の価格差の問題もありますが、どういう計画を持っておられますか、その点一つ構想を伺いたいと思います。
  59. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) お答えいたします。矢嶋委員のおっしゃる通り最近のアメリカ余剰農産物受け入れに関連をいたしまして、日本の農業に影響するところは非常に大きいのであります。しかしながら、日本国内の食糧はただいまのところ絶対不足量が約二割でございます。この不足量を外国にいつまでも依存しているということではなくて、国内の食糧の増産をはかって自給度を高めて外国への依存度というものを低くしていく必要があろうと考えているのであります。そのためには米麦のみによるところの食糧というものを確保することは非常に困難が伴いますので、草地を利用するところの酪農振興といいますか、畜産あるいはまた水産等を振興いたしまして、総合的に食糧増産を確保しようという建前がただいまの農政の重点にもなっているようなわけであります。ところが久しきにわたる日本の国民の食生活というものを、急に改めることは非常に困難でございますので、食生活改善のために、政府といたしましていろいろと考慮をいたしている次第でございます。そこで食生活を改善するためには、おとなに食生活を転換させることに期待をいたしましても、その成果がなかなか上りにくいので、学童給食等によって食生活の改善を期したら非常に効果が大きいのではないか、かような観点からいたしまして、ただいま酪農振興法に基いて、国内酪農振興を盛んにやっておりますけれでも、同時に外国からも安い酪製品を輸入いたしまして、ことに今回のグラント分等を利用いたしまして、なるべく安い価格で国内に十分普及をさせる、そうして、もう少し消費の面を拡大をして参りませんと、すぐに牛乳とかあるいは酪製品が過剰になって、市場が狭隘のために行き詰まりをきたします。この安い輸入物資のある間に相当に市場を拡大し、国民の需要を拡充していく、そしてこういうことはいつまでも続くものとも考えられませんので、そのうちに食生活の改善が行われ、食習慣というものが改まって参りましたときに、だんだんに日本の酪製品を国内あまねく普及していくような態勢をとっていったらどうか、しかしながら差しあたっての酪農振興の問題等もございますので、本年度は国内酪製品の、脱脂粉乳二千トンをそっくり特別会計で買い上げまして、そうしてこの外国から入って来る安いものとプールをいたしまして配給をしていこう、かような構想でございます。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 価格差は。
  61. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この脱脂粉乳の値段の問題でございますが、これは市場の時々の変化によって一定ではございませんので、大体現在では一ポンド当り国内産脱脂粉乳は七十五円程度のように承わっております。ただ先般、本年三月に国内産を買い入れましたときには、これは一ポンド当り、これは乳製品協会の方でいろいろ努力をして下さいまして、かなり安く買い入れております。一ポンド当り大体六十円というようなことで買い入れております。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国内産が六十円。
  63. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) そのときに買い入れましたのは。現在は大体国内産は七十六円程度だろうと思います。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 外国産は。
  65. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 輸入脱脂粉乳は、日本学校給食会を通じまして、配給いたします場合、府県渡しが大体一ポンド当り二十円見当でございます。
  66. 吉田萬次

    吉田萬次君 国内産七十五円で、農林省の力の補助金によってこれが六十円とかなっているわけです。ただいま次官のおっしゃった通りに、二千トンでありまするが、学校給食に必要なのは二万トンです。さような点から考えまして、輸入は私は十八円だと思います。要するに六十円で買って、そうして一割と九割との関係からプールして二十円になると聞いております。今次官は、近い将来の見通しで、日本の製品によってこれを補うことができる、さようにおっしゃったが、しかし私が考えたところで、さようなことはでき得ないと思うのでありまして、今日も大臣に私は質問いたしましたのですけれども、この差額があまりひどすぎる、市価がどうかというと、六千五百万円も補助をするというような、わずか一ポンドについてそれだけの差があるということなら、むしろどうかというと、酪農組合補助金をほかの方へ回されて、そうして学童給食用脱脂乳というものを全部買入れたほうが国策として得じゃないかと思う。あなたは、どのくらいの年限において解消するという見込みを立てておられますか。
  67. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 吉田委員の御指摘のように向うからの輸入物は非常に安いのでございまして、国内製品との比較は比較にならないほどの差額がございますけれども、これはよく御案内の通りグラント分は運賃もこちら持ちでございますが、ただであるとか、あるいは有償のものもポンド二セントであったと思います。昨年は五セントであったように聞いておりますが、これは輸出奨励金といいますか、アメリカが国費をもって輸出を補助しまして、そうして非常に安い、不当に安いと申しますか、そういう価格のものでございます。そういう関係で非常な価格差がございますけれども、私は日本の草地の開発をいたしまして、もう少しその草資源を利用するようになれば、そうしてまたそれの加工についても、もう少し工場の合理化を計って参りますれば、しかも需要が普遍化して参りますれば、この価格差というものは私は非常に挾まってきて、国際価格に近いものになってくるのではないか、こういう見通しを持っております。
  68. 吉田萬次

    吉田萬次君 草地を利用して、そうしてその放牧によって、将来の見渡しが立つようにお考えになっておりますが、ほかはとにかくといたしまして、私の郷里のほうにおきましては、酪農組合ではとてもやりきれん、酪農というものは実にわりに合わんものだというのでだんだん減っていくような現象がある。そういう場合においては、あなたは、どうしてふやして学校給食にまでおよほすという見通しを立てていますか。
  69. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) ただいまの酪農の経営の方式でございます。これは個別に一頭とか二頭とかの乳牛を飼育をいたしております。それから草飼料の利用ということについて非常にわが国は遅れております。今日も参議院の農林水産委員会で草地の改良の問題について貴重な御意見を承わったのでございますが、もう少しそういう面に政府も力を入れまして、私は草地の改良をしていく。相当規模の広いところについては機械開墾をいたします。そうして種苗の助成をするとかいたして、強力な草飼料を確保することによって、ただいま行われているような濃厚飼料はほとんど輸入ふすまとかいうような、そういう高いものに依存をしているところに私は非常な不合理性があると思います。ですから、もっと農家の協同化を推進いたしますとともに濃厚自給飼料の増産をし、それから製品化が、ただいま実にその処理が農村工業としてきわめて零細な規模をもってやっております。そのためにコストが高くなるというような不合理な面が多々ございますので、こういう面は今後十分指導をいたしまして合理化していったならば、私は相当安くなるのではないか、かように考えております。
  70. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私はこの学校給食会法とは若干関庫が薄いと思うのですが、ただいま農林政務次官の発言で、コストを下げてやり、酪農の振興を期したいというような、要約すればそういう意見のようでございますが、現在の酪農日本における状態というものは全く危機に直面しておる。それはいうまでもなく外国から大量に、しかもあの放牧してほんとうに大量生産される酪農製品というものと、日本の集約されたほんとうに一家経営の面から零細な飼育法によってそうして作り出された酪農製品というものとは、到底それは太刀打ちできるべき筋合いのものではない。それは究極においてある程度日本農民に対する保護をしなければ到底いかないのであります。そういう面から見て私は吉田君と同じ自由党内におりますけれども、農民の立場をも十分勘案して、酪農振興法が昨年成立して酪農の振興をはかろうとしたその直後において、あのような下落をして農民が立っていくかいかぬかというような瀬戸際にまで押し込められ、しかも現在の日本における牛乳取扱業者というものは、大資本家であります。生牛乳というものが他の米穀製品と違って長く貯蔵することができない。従って農家は泣きながらもその日その日のうちに処理をしなければならぬような、この酪農に対する保護というものは、これは容易ならざるものがあると私は思う。で、こういう意味におきまして、まず第一にコストを下げるということは至極賛成であります。そのコストの問題もいろいろあろうと思う。飼料というものが、現在濃厚飼料というものがきわめて入手困難で高い。これは製粉会社というものが、ふすまというようなものが野放しにされておる。小麦だけはなるほど政府は麦価のいわゆる間接統制をやっておりますけれども、ふすまに対してはほとんど自由にまかしておくという現在のやり方でありますから、従ってもう濃厚飼料というものはなかなか容易に安くならない、こういうところに隘路があるわけであります。もちろんこの濃厚飼料に対する親切な私は考え方によって指導すべきだと思う。  それともう一つは、これはまあ質問というよりは私は意見をお聞きしたいのですが、この脱脂粉乳を用いるよりは、生牛乳が一番栄養価があっていいのではないかと考えられる。従って現地において簡便に入手できるようなものを学校として用いる考えがあるのかないのか、これにつきまして御質問したいと思います。農林政務次官につきましては何か飼料の対策について御意見を承わりたいと思います。
  71. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 濃厚飼料の問題でございますが、先ほども申し上げましたようにわが国の草資源の供給地は百五十万町歩ないし二百万町歩とも言われておりますが、これらの草地を早急に機械をもって開墾をいたしまして、そうして草の飼料の種類について十分指導を行なっていきたいと思いますが、それに先だちまして取りあえず外国からのふすまの輸入等もいたしまして、ただいま不当に高値を見ておりますところの濃厚飼料の値段を下げるような努力をもっぱらいたしているような次第でございます。
  72. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 脱脂粉乳や、あるいは脱脂乳より生牛乳の力が栄養的に価値があるということは御指摘の通りだと思います。従って酪農地帯等でありまして比較的簡単に入手ができるというような場合には、従来学校給食の方針といたしましても、そういった生牛乳をできるだけ取り入れるようにという指導を文部省としてもいたしております。ただお話が先ほど来ございましたように、値段が比較的従来の脱脂粉乳等に比べまして割高でありますものですから、なかなか伸び悩んでおると、そういったことが実情であると思っておりますが、今年から農林省の方でいろいろ努力をされまして、国内産脱脂粉乳というものについては国の補助をするというような面もできましたし、将来はそういった生牛乳給食への取り入れということについても、文部省あるいは農林省で十分お話し合いの上、さらにこの線を進あて参りたいと思います。   〔矢嶋三義君「委員長、議事進行、   議事進行」と述ぶ〕
  73. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっと待って下さい、先ほど来吉田君から手が上りましたから。
  74. 吉田萬次

    吉田萬次君 先ほどの農林政務次官お話は、これは机上の議論であって、またそのような認識不足では牛乳問題は、あなた脱脂乳の問題を論ずるところの資格があるかということを疑うのでありまして、実際放牧して草地に牛を飼って、その牛乳によって学校給食の足しにするというようなことは、いつになったらそんなことができるかということを疑うものであります。今日地方のいわゆる酪農家が困っておる、明治であるとかあるいは森永であるとかいう大会社が膏血をしぼって農民を泣かせて搾取して、そうして発達しておるのでありまして、牛乳は午前九時なら九時に集めるといって、農民がそれを集めておる。集めにきた車はどうかというと、トラックは十時に来る。一時間おくれたがためにその牛乳が、もうすでに多少すっぱくなっておる。いわゆる比重計を入れてはかって、これはだめだといって値段を値切る。あるいは二カ月の間払わずに、そうして一月分は農協組合の、地方の組合の利益にし、一カ月分は利子をただで使うというような狡猾な方法をもって、そうして農民をいじめて、酪農家を苦しめておって、こんな状態でいつまでやってたって地方の酪農というものは私は発達を望むということは……もし農林省でこれを根本的に改革してもらえば確かにそれはいいでしょうけれども、かような点から考えまして、じゃ日本のどこにそれだけの草原があり、どこでそれだけの牛を飼って、そうして脱脂乳を作るというような将来性の希望のあるところはどこにありますか。かような点から考えて、今日この委員会で問題になっておるのは、余剰農産物におけるところの脱脂乳の問題でありまして、かようなお説を承わろうと思ってわれわれはおるのじゃありません。かような点から考えて、あなたもほんとうにこの余剰農産物に対するあるいは学校給食に対する根本義において考えていただきたいということを私希望を申し上げます。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。本日午後三時から委員会を開いた約束は、申し合せは、午前中荒木君が質問したが、どうも政務次官の答弁が満足できない、それから外務大臣にも出席を要請したいが午前中できないと、ところが御承知通り余剰農産物協定は参議院としても審議を急いでいるので、午後三時に開いて、文部大臣と外務大臣においでを願って審議しようと、こういうことだったわけですね。伝え聞くところによると、両大臣もおいでにならぬようですし、特に要求しておった荒木委員もおいでになってないから、それはできないとしても、とにかく余剰農産物を取り扱うことだったのだから、外務省の経済局の次長がおいでになっておるそうですから、それで余剰農産物にしぼって、大臣はおいでになってないのだから、これは保留をせざるを得ない。経済局の次長に質問のある方は質問して、そうして進むように、それが本義だろうと思います。
  76. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 委員長から最初にこの会議一開きます前に、外務省の経済局次長も来ておることは御披露いたしております。従って、ただいまの矢嶋委員からの議事進行に関する御発言のごとく、特にこの際に余剰農産物受け入れに関し、またこの委員会が取り扱っておりまする給食会法に関する問題について審議を進めていきたい希望でありますから、その線に沿うて、どうぞ御発言のある方は御発言を願います。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まず、政治的な答弁でございますから、これは農林政務次官にお願いしたいと思いますが、他の委員会での発言を見ますというと、今の鳩山内閣は、この余剰農産物受け入れについて大体三年くらいを期待しているやに私は聞いておるのでございますが、そうでございますか。
  78. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 三年というわけではないと私は思いますが、大体まあ数年間は続くであろうという見通しであろうと思います。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 経済局の次長さんにお伺いしますが、あなたはこの交渉の窓口だと思いますが、それでやはりアンテナのかかり方がある程度私は正確じゃないかと思いますが、どういう見通しのもとにこれを取り扱われておられるのですか。
  80. 西山昭

    説明員(西山昭君) この基礎となっておりまするアメリカの四百八十号の農産物の貿易促進に関する法律は三年間を目途といたしております。この三年間の目途の内容といたしましては、現地通貨によりまして農産物を買い付け得るようにしてありまする予算が七億ドル、それから現物贈与といたしまして予定してあります金額が三億ドル、合計十億ドルの予算の範囲で、一九五四年の七月一日からその後三年間にわたって処分できるように相なっております。しかしながら各国とこの実施につきまして協定を結ぶわけでございますが、日本に関しましては、今回の一九五四年の七月一日から今年の六月三十日に至りますアメリカの会計年度の一年間を対象といたしまして、協定を結んでいるわけでございまして、今後引き続き三年間同様の協定を結ぶということは何ら政府としては約束していない次第でございます。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 期待といたしては三年間程度期待しているわけですか。
  82. 西山昭

    説明員(西山昭君) 御承知通り農産物の買付は国際市場価格で日本が有利と思えば買うわけでございまして、値段が高くなりましたりその他いろいろの観点から、将来にわたりまして確定的に条件を規定するわけには、日本としていかないわけでございます。従いまして今後とも諸般の情勢を検討いたしまして、あるいは利用します円資金の使途その他とも全般的に考えまして、有利であれば検討するかもしれませんが、現在におきまして確実に今後継続してやるかどうかということは、政府として白紙でございます。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政務次官の数カ年の見通しのもとにやっているということはどうなるのですか。
  84. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 私は期待をいたしていると申し上げたのでございまして、しかしいろいろの条件を勘案いたしまして、わが国に不利益であるということになりますれば、これは一年限りになる場合があるでありましょうし、あるいはそれ以上になる場合もあろうという意味でございます。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 午前中の文部大臣の答弁と政務次官の答弁は、心がけにおいてずいぶん違うと思うのですね。文部大臣の答弁では、ともかくこの一年だけで、あと考えないというようなことで、あなたの方は数カ年の計画のもとでやられている、基本的な心がけというものはずいぶん違っているようですが、閣内不統一ですね、何とか二人で話してまとめて下さい、どちらをとっていいのかわからぬ。
  86. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 文部大臣お答えになったのは、多分法律がそういうようになっておりますから、法律的にお答えになったのだろうと思います。私の場合は、その条件によって一年だけになるだろうという場合もあり得る、しかしこれを一年で打ち切った場合に、これは学校給食会法等の今後の運用等を考えてみて、あるいはその他いろいろ愛知用水やいろいろの場合を考えますと、もう少し期待を持ったらどうか、こういうことを申し上げたのであります。
  87. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこが大いに違うので、時間をかけるのはもったいないから、午前中の文部大臣速記録と、さっきのあなたの速記録を対照いたしまして、そうして次の委員へ会で内閣としてはいずれを態度としているのか、明確にしてお答え願いたい、相当に僕は懸隔があるように思います。  そこで経済局の次長さんに伺いますが、この第三条に基く千二百万米ドル、三百万米ドルの小麦並びに脱脂粉乳綿花、これは加工はなされるのでしょうが、末端にかりに協定が成立して届くのはいつごろと予想しておればよろしいのでしょうかね。
  88. 西山昭

    説明員(西山昭君) この贈与分につきましては、目下細目の交渉を継続中でございまして、近々には最終的にまとまるのではないかと予定されております。従いまして、現物をそれ以後に引き取りまして、末端までに配給いたしますのは、その以後の通常の買付をいたしまして配給するのと同じ程度の時間で済むのではないかと考えておりります。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従って大よそいつごろでございますか、末端に届くのは。
  90. 西山昭

    説明員(西山昭君) 私は、文部省におかれまして、あるいは学校給食会におかれまして、通常どの程度の日数をかけておられるか承知いたしておりませんので、関係の方に御照会願いたいと思います。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたに私が伺う点は、この品物が日本国内に入ってきたならば、今度生まれる日本学校給食会に引き渡されるわけですか。もしそれだとすれば、それはいつごろと見ればよろしいか。
  92. 西山昭

    説明員(西山昭君) 大体の考え方といたしましては、従来の制度を活用することを考えておられると思いますので、本件が妥結いたしますればCCCと日本側と契約をいたしまして、それによって引き渡しを受けまして、それ以後加工して配給する仕組みになるだろうと思います。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 小林局長に聞くんですが、その加工を引き受けるのは、今度できる日本学校給食会ですか。
  94. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 余剰農産物のうちで、小麦とミルク等につきましては、非常に行き方が従来変っておりまして、小麦は食管の方で扱い、ミルクは財団法人の学校給食会で扱っておったわけであります。今回の特殊法人日本学校給食会の設立によりましても、一応出発当初といたしましては、従来財団法人が扱っておったミルクだけをとりあえず扱わせるということでありまして、小麦の方は従来通り農林省所管の食管特別会計で取扱い、加工の方は食料事務所を通じて行いうというように大体予定をいたしております。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 綿花類は。
  96. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 綿花につきましては、この基本協定の第三条に三百万ドルの綿花ということがございますか、これの取扱いについては、現在アメリカ側と交渉中でございますが、大体配給面は主として文部行が取扱い、実際の加工あるいは何と申しますか、染色その他服に作るまでの事柄は通産省の方でやってもらいたい、こういうふうに考えております。
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 配給面は文部省の何裸で扱うのですか。
  98. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 管理局の中の教育用品室というところで主として取扱いたいと思います。
  99. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうように多岐に分れても、別に事務の支障は予想されませんか。
  100. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校給食につきましては、従来管理局の中に学校給食課というのがあって、これが非常に経験を積んでおりますので、当然学校給食関係の方は学校給食課で扱う。それからいろいろ教育の教材用物資等のあっせん、その他は教育用品室というものがこれをやっておりますので、学童服の配給ということについては用品室に分けてやらせるということで別に支障は起らないと思います。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に行きますが、経済局次長に伺いますが、これらのものは日本で加工することになると思いますが、日本の港に着くのはいつごろと予想していますか。
  102. 西山昭

    説明員(西山昭君) 近々に妥結いたしまして、早速引き渡しを受けます取りきめをいたしますれば、その後一月ぐらいには現物が入る可能性があると考えております。
  103. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 小林局長に伺いしますが、現物が入ってから加工して末端に届くまでに、どのくらい時日を要しますか。
  104. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ミルクにつきましては、従来輸入した実績がございまして、大体輸入ミルクの方はアメリカの東海岸から積んで参っております。これを日本国内に持って参りますのに、一月あるいは一月以上かかる場合もございまするが、大体一カ月ぐらいかかる。それを各府県の需要に応じまして、府県に渡していくのに、大体二十日ないし一カ月程度かかる。綿花の方につきましては、これは学童服と申しましても、大体冬服を予定いたしておりますので、それまでには間に合うように生産するようにしたいと思っております。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 経済局の方と文部省の管理局の連絡がなかなかとれていないようですね。午前中伺っておるところでは、あなたの答弁と経済局次長の答弁は食い違っておる。小麦とか脱脂粉乳は九月末ごろ、綿花は十月末ごろに向うを出るだろう、こういうような答弁だったですね。今経済局の次長のお話では、まとまれば一カ月以内には日本に着くでおろう、そうして、加工だ何だというと、少くとも十月の半ばごろには末端に届くような算術計算ができると思うのですがね。
  106. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほど午前の御質問お答え申し上げましたのは、遅くもその時期までには向うを出さなければならぬ、これは最終の期限を申し上げたのでございまして、これは主として輸入の通常貿易分のほうがそういうことになっておる次第でございます。通常貿易分につきましては、最終期限、五十四年度のアメリカの会計年度、これは六月で終るわけでございまするけれども、その年度内にできた協定に基いて最終期間が九月末ごろまでにアメリカの岸を離れなければならぬということを申し上げたのでございます。
  107. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は文部大臣に、荒木君がお見えになったから荒木君に質問していただきたいと思いますが、文部大臣に一点伺いたい点は、これは当然後ほど荒木委員との質疑の間でいろいろ出てくると思いますが、民主党という政党は、改進党時代から社会保障政策というのを非常に政策として大きく掲げておられたわけですね。従って、私はこの給食の問題でも、準要保護児童というものに対して相当思いきった措置をとられるであろうと期待しておりました。文部当局においては、昨年来準要保護児童に対して約二億八千万の予算要求を事務当局間で大蔵省に対してなしたわけですね。ところが国会に出された予算を見ますと、準要保護児童に対するものはゼロに削減されているわけです。これと関連して参りますが、午前中資料を要求してありますので、資料が出てからさらにお伺いしたいと思いますが、昨年来問題になっているところの窮迫せる炭鉱地帯の生徒児童の生活状態というものはとても言語に絶するものがあるらしいですね。中学校の三年生の子供らは、出かせぎといって、実は、どうも売られていくらしいですね。おかあさんはお乳が出ないし、親子兄弟が、食えないためにばらばらになるという悲壮な問題が幾つも起って、完全に社会問題化しているわけですがね。こういう地域に対する学校給食すらその強力なるものは行われていないわけですが、私はこの余剰農産物受け入れるに当って千五百万ドルの無償供与のものがある、これについてはいろいろ意見がありますが、そういうものも合わせ民主党内閣としてはお考えになっているのじゃないかと思いますけれども、社会保障政策の推進ということを非常に掲げられておった私は民主党鳩山内閣としては、この困窮せる生徒児童に対する給食対策全般の予算編成等を見れば、非常に期待に反すると思うのですが、文部大臣どういうお考えでいらっしゃいましょうか、まあそれだけ一応伺っておきたいと思います。
  108. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) この向うから無料で参ります食糧を、どういう配給の仕方をするかということは、これは重要な問題でありまして、先般米議会においてもいろいろの議論を承わったところであります。従いまして私どもはその配分の方法については相当に研究をいたしておりますが、ただいま申し上げ得ますのは、炭鉱地方だとか、ああいう特殊のところに対する臨時の措置といたしましては、これらの物資の配船に特別の考慮を払いたいと思っております。これを文部省給食で恒久的の案を立てることは、先刻も申しました通り、この物資はいつまで続くものかも見当もつきませず、一年限りとしてやっていかなければなりませんので、恒久的な施設としてはあれですが、今応急の面としてはできるだけのことをいたしたい、このように考えております。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これから荒木委員質問されるのに関連しますが、一つ寺本政務次官に伺っておきますが、あなたは先ほどこの無償給与の千五百万ドルは、児輩に対する影響考えて、ある程度有償にしたいということを答弁されておりました。その有償とは何ですか、その運賃とか加工賃、その程度をとられるおつもりですか、その答弁ですね、これは経済局次長にも関連して伺いたいのですが、そのことはその程度のものはいいでしょうが、それを上回って有償で生徒児童にこれを配給すれば、アメリカ側から異論が出る性質のものではないか、ですね。まず寺本政務次官から伺って、経済局次長から御答弁願います。
  110. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 午前中贈与物資については、有償を原則的に考えるということを申し上げました。それはただいまお勢ねの通り最小限、運賃、加工費はかかるわけでございます。その分まで無償にする案というのは成り立ちにくい、こう思います。それ以上に父兄負担をどうするかということについては、まだ最終的に決定いたしておりません。
  111. 西山昭

    説明員(西山昭君) 御質問の点につきましては、無償でなければならないというアメリカ側の要求はないわけでございます。日本側としまして、最も合理的な計画を立てまして、アメリカ側としましても、本制度の趣旨が生きてくるような活用の仕方をしてもらえばいいように了解いたしております。
  112. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も簡単に一、二の事項をお尋ねしたいと思うのですが、先ほど矢嶋委員から質問のあった問題ですが、この余剰農産物受け入れについては大体三カ年という期間を目標にして、自由党内閣当時に折衝があったのではないかというふうに聞いておるわけなんですが、現内閣でこの取りきめがきまった際、そういう点についてのアメリカとの話し合いについては、何ら言及されていないのかどうかですね。その点をお伺いしたいと思う。これは外務省の政務次官見えているんですか。
  113. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 外務省から経済局次長が見えております。
  114. 西山昭

    説明員(西山昭君) この協定の最初の交渉が始まりましたのは昨年の春からでございまして、当時内閣が違っていたわけでございます。具体的に昨年の十一月に愛知通産大臣その他がワシントンにいかれまして、協定の総ワク、それから買い付けします金額、それから贈与を受けます金額、それから日本側が借款をいたしまする割合、米側が積み立て円貨を保証する割合、この程度が確定いたしたわけでございます。一番初めにいわば希望的な意向を表明いたしましたときには、最初の計画としてはこれぐらいである、しかし条件がよろしければ今後も日本側としては考えたいと思っておる、この程度の表明があったわけでありますが、具体的に昨年の十一月に協定の大網が、先ほど申し上げましたような数点につきまして確定いたしましたときには、ことし一年限りの内容として決定いたしたわけでございまして、その後交渉の過程におきまして、三カ年を引き受けるような、あるいは日本側から積極的に希望しますような交渉内容は全然なされておらないわけでございます。
  115. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、今回取りきめになっている一億円に上る余剰農産物は、本年度中に全部処理されるという性質のものですか。
  116. 西山昭

    説明員(西山昭君) この一年間と申しますのは、アメリカの会計年度から申しますと、一九五四年の七月の一日から五五年の六月末までの一年間を予定しておるわけでございまして、日本立場から申しますと、会計年度は違いますが、アメリカの会計年度の一年間におきまして買い付けします金額としましては、八千五百万ドル、贈与といたしましては千五百万ドルの受け取りをすることに相なっておるわけでございます。ただし協定が、交渉が長引きまして、現実に買い付けをいたします分につきましては、短期間に引き取りますと、フレートの高騰、あるいはその他の支障を生じますので、先ほど管理局長から御説明ありましたように、引き取りにつきましては日本側の輸入に支障がないように猶予期間を設けておる次第でございます。
  117. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は文部大臣にお尋ねをしておきたいと思いますが、今度受けることになるところの現物贈与小麦、あるいは脱脂粉乳、あるいは綿花、こういうものを配給する場合にですね、ある特定の学童を対象にして配給するという考えを持っておられるのかですね、あるいは特に小麦とか脱脂粉乳のようなものについては、学校給食をしている全児童に及ぼすような考え方で配給をするのか、そういう考えを持っておられるのかですね、方針を聞きたいと思う。
  118. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) その点はまだ確定をいたしておりませんけれども、全部に対して小麦考えざるを得ないと思います。なぜかなら、いろいろ有料で買ったやつも内地のものを混ぜてパンにするわけでございます。従ってこれを全部に分けて、パンの値が二円なり三円なり安くなります。そういうことで全般にやる、それからまた保護を要する児童に対しては、それを本当の経費だけのものにしてやる、こういうことを考えております。これはパンばかりでなしに副食物もありますから、その割には下りませんけれどもそういうふうにしてやって行こう。それからせんだってアメリカの当事者の人たちと、高碕さんと外務省の方と一緒になっていろいろ話をいたしました際には、そのために出る利益をもって、そして学童の福祉に使ってくれてもいいという話にもなっております。たとえば、そういう金が出ますれば、まだ給食の設備のない学校などが多くて、給食がやれないようなところもありますから、そういうところに使ってくれてもいいような意向もありましたので、私といたしましては、それらのことも考慮に入れて考えたいと思っております。
  119. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これらの物資をどういうふうに処理するかということについては、まだはつきりした方針が決定されておらない、こういう大臣お話でございます。そこでまだきまっていないのに質問をするのはどうかと思いますが、われわれこういう経験があるわけなんです。というのは、まだ占領中ですね、アメリカは学童給食のために脱脂ミルク等を日本贈与しておりました。従って学校給食費というのは相当安かったわけです。ところがサンフランシスコで平和条約が結ばれてから、そういう贈与がなくなって、全部日本政府の政策に基いて実施されるようになった、そのために学校給食費、が一挙に相当な値上りを示したことがあります。これは私どもその際にそういう事態は好ましくないので、日本政府負担において、国庫負担において、従来と変らないような給食費を持続するような方向に努力すべきであるということを申しておったわけです。今度のこの余剰農産物の受入れは、たしかに一時的であります。一時的な物資を学校給食に回すと、それだけお話のように安くなる、これは非常に一時的である、それがやむとまた学校給食代が高くなる、これは私は非常に悪い影響を与えると思うのですがね、従って私はこの問題を契機として、この余剰農産物贈与を受け得る期間が過ぎた後の政府の政策はどうすべきであるかという点も研究しておくべきであると私は思うのです。少くともある期間これを安くして、済んだらまた高くなる、これは私はおもしろくないと思う、そういう点についての大臣の所見があれば聞きたいと思います。
  120. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 最も大切な点であろうと考えまして、いろいろ研究をいたしております。ただいまの私の考え方といたしましては、これは私といたしましてもできるだけ給食の設備を持たないで、まだ給食をやらないところにやっていくことがまず第一だと考えておりまして、そしてそれからあとお話のようにできる、たけ安くて、そして栄養価値のあるというものをやれる工夫を漸次いたしていかなくちゃならぬと思っております、こんだので一時安くして、来年からどうするか、翌年からどうするかという問題もよく考えてみたいと思っております。
  121. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの協定が成立して、いよいよこれらの物資をどう処理するかということになると、いろいろ質問したいこともございます。しかしこれは別に急ぐ問題でもありませんから、今日はほんの大まかな問題として、以上の質問で打ち切ります。
  122. 高田なほ子

    高田なほ子君 外務省にお尋ねいたします。この第三条に「アメリカ合衆国政府は、日本国の学校児童の福祉計画を拡大するため、」に贈与すると規定されております。しかしこの第三条はただ単にうのみではなくて、次の第四条の第一項の中に「この協定に基いて日本国が収得する農産物は、両政府が合意する場合を除くほか、日本国内で消費するものとする。」こういうふうに第一項に書いてあります。そういたしますと、この学童の福祉計画を拡大するために受け入れるその若干の小麦は、アメリカ政府との何らかの合意に基かない限りは、やはりこれは自由に処理することができないのではないかというふうに私ども考えておるわけですが、これに対してはどういうふうに解釈されておりますか。
  123. 西山昭

    説明員(西山昭君) 御指摘の通りに第三条におきまして学童の福祉のために利用することを規定しておるわけでございます。それから別に了解によりまして話し合いがついてから使用することに相なっておりますので、目下その間の話し合いを進めておる次第でございまして、アメリカ側としましては、文部当局でお立てになっておりまするいろいろな計画につきまして大体におきまして支障はないように了解いたしております。
  124. 高田なほ子

    高田なほ子君 そこでどういうふうな交渉経過をたどっておりますのか、最終的な結論は出し得ないにしても、文部省側の基本的な交渉態度と現在までの交渉経過を一応ここで御発表願いたいと思いますので御答弁願います。
  125. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 外務省の御交渉は事務的の今承わったような経過で進行しておりますので、私文部省といたしましてはその係りの向うの方に対して高碕経審長官とそれと私がお会いをいたしまして、ここにおられる小林局長も一緒になりまして一晩隔意のない意見の交換をいたしたのでございます。そこでその結果といたしまして、大体の点でありますけれども、大体そのやり方等については文部省で適当にやってくれるならば大体それでよろしい。しかしながらその文部省で立てた最善の案ができたら一つ自分の方へもそれを見せてくれといういわゆる事前の了解を求めてくれと、こういうことでありまして、それはもちろんそのことは御相談もいたしましょう。こういう大ざっぱな話の了解を両者の間に得ているわけでございます。そこで今事務的にその方法をいろいろ検討しておりまして、それが大体の案ができ上ったら、この間話をした約束で一応向うへも見せて、こういう考えでやろうと思うが、というくらいのあいさつはいたしたいと思っておりますけれども、まだそこまでに案が最後的の決定をいたしておりませんので、アメリカの方へはまだそれを提示するに至っておりません。
  126. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいまの経過の御報告によると、アメリカ政府との間の合意にまだ達しておらないというふうに、まあ了解をするわけですが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  127. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それは今申したような了解は私は成り立っていると思うのです、そこの間の何ですね。しかし具体的のものは、一応こういうことでやりますというものはまだ示しておりません。けれども文部省がおやりになるならそれで大体いいと思いますが、見せて下さいと、こういう話でありまして、そのほか、事務的にはもちろんずっと長い間の交渉はあることでございますが、私どもはその話し合いではそういう大ざっぱの点を、まあ意思の疎通と言いますか、得たわけでございます。
  128. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、この第四条の協定に基いて参りますると、文部省と申しますよりは、日本政府アメリカ政府との間、つまり直接には文部省の意思というものがアメリカ側に十分了解されなければ、言うところの学童の福祉に対して実際に行うことはできない、従ってこの場合どうしても児童福祉のために日本側がとりたいという場合には、ある意味では相当日本側は譲歩しなければならないような条件もときには生まれてくるのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  129. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 先刻申し上げましたような経過によりまして、私はそういう心配はないと思っておりますが、外務省の御専門の方から詳しいお話はいたします。
  130. 西山昭

    説明員(西山昭君) 三条に基きまするアメリカ側との合意と申しますのは、いわばアメリカといたしましては、本件が積極的にこの贈与を行う趣旨によって活用されるということを強く期待しておる次第でございまして、先ほど文部大臣より御説明がありました通りに、計画につきましては日本政府の気持を尊重しておるわけでございますが、形式的にも米国側と相談をして内容が確定したという形をとって進みたいと、こういうわけでございまして、今後の話し合いといたしましても、米側は日本側の趣旨を多分に尊重して妥結することと期待しておる次第でございます。
  131. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣に重ねてお尋ねをいたしますが、これはあくまでも学童の給食ということを主眼にしてこの譲渡をお考えになっておるように私は拝察しております。そういたしますと、現在の学童の給食の主食物は学校給食法の目的の方にも、うたわれてあるように、わが国の食生活改善に寄与するということも大きく含まれておるわけで、パン食ということをはっきりと主食の中に私どもは今日まで考えて参ったわけであります。従ってこの過剰農産物贈与を受けた場合には、同じようにやはりこのパン食に回してこれを消化していく、こういうように文部省の計画を私ども考えておるわけですが、この点はいかがでしょうか。
  132. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) さように考えております。
  133. 高田なほ子

    高田なほ子君 外務省にお尋ねいたします。ここに小麦の大体こちら側で受け入れる限度が書いてありますが、この小麦の質は、軟質、硬質と二様にあるように私ども承知しておりますが、今度譲渡を受ける小麦はどちらの小麦か、どういうふうになっておりますか、大まかの御説明をしていただきたい。
  134. 西山昭

    説明員(西山昭君) この点につきましては、目下日本側の計画を最終的に仕上げておる状況でございまして、具体的に、どの品種の小麦をとるかということはまだ最終的にきまっていない次第でございますが、もちろん日本側の希望を先方に申し入れまして、先方は日本側の要望を了承するものと期待しておりますが、従来の話し合いの大体考えられますのは、日本側としまして今まで使用いたしておりました品種から言いますと、ウェスタン・ホワイトのナンバー・ツー、あるいはそれ以上の品質を受け取るということに相なっております。
  135. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は農業専門出家ではありませんから、軟質か硬質かというふうに答えて下さい。
  136. 西山昭

    説明員(西山昭君) これはセミ・ハードでございます。
  137. 高田なほ子

    高田なほ子君 ソフトというの……パンにできるのと、そうでないのがあるでしょう、ですから、どちらの小麦がこの場合に多く約束に入っているかという質問
  138. 西山昭

    説明員(西山昭君) 私も専門家でありませんので、必ずしも確信をもってお答えできないのでありますが、セミハードと申しますのは、パン用に使える分と了解しております。
  139. 高田なほ子

    高田なほ子君 承わるところによりますと、アメリカ側の強い意見としては、日本側の意見はパン用にということを言っておられるようですけれども、農林委員会あたりでのいろいろの御質疑の中から承わりますと、相当にこの軟質の小麦が大量にその内容を占めているということを私ども承知している。そこで軟質の小麦は、御承知のように、学童のパン食用としては適当してないということは、すでにこれは専門家から指摘されているところ、しかるにもかかわらず、軟質の小麦を大量に入れ、そして学童の給食にといってそれを持ってきた場合に、一体学童給食がパン食を主にしてやっていいものかどうかということについては、非常に私は疑わしいと思う、この点について文部省小林局長から御意見を聞きたいと思います。
  140. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 余剰農産物の中で、小麦粉の受け入れにつきましては、もちろん、従来からありますけれども給食が粉食を主にするということでございまして、従ってアメリカから入りますこの小麦については、硬質のものをできるだけ入れてほしいということで交渉しておりますことは、西山次長からお答え申し上げた通りでございます。ただこれは、その交渉の結果によりますが、私ども大体こちらの希望は入れられるものと考えておりますけれども、万一一部分軟質のものが入るというようなことがありましても、場合によってはこちらの方の硬質のものとつき合せてやることもできるのではなかろうかと、これは想像いたしますが、しかし大体の交渉の経過としては、先ほど西山次長からお答え申し上げましたように、もちろんパンにして給食するのでございますから、セミ・ハードのものを要求するということにいたしております。
  141. 高田なほ子

    高田なほ子君 ここらにもやはり確定的な御答弁を縛る段階には至っておらないと私は了解しております。アメリカ余剰農産物日本に入れるやっぱり最大のものは、パン食には不適当な軟質の小麦が入ってくるであろうということは、これは争えない事実だと思う、しかし今の文部省の答弁によれば、パン食に向く小麦にするように、せっかく努力しているように承わっておりますけれども、そういう楽観的な見通しは必ずしも当らないのではないか。軟質な小麦給食用のパンにした場合に十分にふくらまない。でありますから、夏分になりますと中が発酵しまして、これは当然中毒というような問題を起すことは今までのいろいろな事実が証明している。やはり私どもは学童給食というからにはパン食に向く良質な小麦を学童の福祉のためにこれが使われるようにならなければならない、こう考えているのに、反対のものが入ってきた場合に、それじゃどうするかという問題について、文部省としてはやはり具体的の方策を私はもうお考えになっているのではないかと思う。しかもこの余剰農産物の譲渡に当って、相当の額の施設費と申しますか、食生活の改善の費用のものも組まれているやに私は承知しているのですが、この点の消息については私よりも文部省の方、あるいは外務省の方がよく御存じだと思うので、この辺の疑問を解いていただくことができるような答弁を願いたい。
  142. 西山昭

    説明員(西山昭君) アメリカから軟質の小麦を取り入れるというお話でございましたが、御承知のように、日本は約二百万トン有余の小麦を一年間に輸入するわけでございまして、そのうちのカナダからは品種から申しますとハード系、アメリカからセミ・ハードないしはソフト、アルゼンチンから入れます場合にはセミ・ハード、こういうような需要の関係によって買付をいたしておるわけでございます。私はしろうとでございますが、聞くところによりますと、パンを作ります場合にも、ハード系だけでは作りにくいので、ソフトないしはセミ・ハードとハードを混合いたして作るというように了解いたしておりまして、この辺の需給の事情から、地域別に適合する品種を買っておるわけでございまして、学校給食用のものにつきまして、アメリカがソフトでなければ売らない、こういうことは何ら聞いておりません。
  143. 高田なほ子

    高田なほ子君 文部省の方ではこれに対して何か御意見ございませんか。
  144. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほど申し上げましたように、軟質のものだけであれば、パンはこれはできても、いいパンができないということでございますので、文部省としては、外務省を通じて、アメリカの方に良質のパンになるような小麦粉ということで、硬質または半硬質と申しますか、セミ・ハードのものを入れてもらうように極力交渉していただいておるわけでございます。
  145. 高田なほ子

    高田なほ子君 交渉いたしましてもあまり受け入れる側の日本希望はさることながら、アメリカ側の余剰農産物の中で占められるソフトの量が絶対的にこれは多いということは、争えない事実と思うのです。カリフォルニアあたりからは硬質のものが出るようには伺っておりますけれども、大部分のものが軟質のものが入ってきた場合に、それではパンではなくてマカロニにするとかウドンにするとか、結局そういうことにするために相当の施設や設備というものについても考えなければならないし、またそういうことのために、すでに手を打たれておるようにも私どもは情報を聞いている。こういうことについては、文部省は対策をお練りになっておらないですか。
  146. 西山昭

    説明員(西山昭君) アメリカとの交渉の過程におきましては、これらの品質の点につきましても、日本側の要望に十分沿いたいということを先方は言明しておる経緯があるのでございます。
  147. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は午前中から荒木委員がしきりと問題の点をここでもって御主張になっておりまして、私もまた荒木委員の御心情と同様な気持を持っておりますが、重ねてアメリカから入ってくるものは児童のパン食用に向かないものが多量に入ってきた場合に、果して子供の福祉と真に学童給食の意義を全うするに足りるか足りないかということについては、非常なやはり疑義を持っておるわけです。こういうような疑問を一掃するためには、相当の腹がまえというものをやはり文部省側としてはお持ちになって善処していただかなければ、ただ向うから友情でこれをよこす。大へんありがたいことだ。それだけでこれを受け入れるということについては、相当のやはり研究を必要とするのではないかということを強く考えておりますので、文部大臣としては特に今私が若干の御質問を申し上げたわけですが、これらの点については、とくと御留意の上に対処し、交渉を進めていただくことを希望いたします。
  148. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 速記をとめて下さい。
  149. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて。   〔速記中止
  150. 笹森順造

    委員長笹森順造君) では、速記を始めて下さい。  日本学校給食会法案の審議は本日はこの程度として、これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会