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1955-06-09 第22回国会 参議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月九日(木曜日)    午前十時四十五分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            木村 守江君            吉田 萬次君            竹下 豐次君            荒木正三郎君    委員            雨森 常夫君            大谷 瑩潤君            佐藤清一郎君            川口爲之助君            堀  末治君            高橋 道男君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            村尾 重雄君            松原 一彦君   国務大臣    文 部 大 臣 松村 謙三君   政府委員    文部政務次官  寺本 広作君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    文部省社会教育    局長      寺中 作雄君    文化財保護委員    会事務局長   森田  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○博物館法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○参考人の出頭に関する件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件(昭和三十年度文部省関係予算に  関する件) ○国立学校設置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまより文教委員会を開きます。  まず博物館法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この前の委員会質問をしたのでありまするが、文化財関係の方が見えておりませんでしたので、今日あらためて質問をいたします。それは京都博物館の問題でございますが、昨年文部委員会から視察をいたしましたときに、私どもいろいろ実情を現地で聞いたのでありまするが、あそこの薄物館には非常に重要ないろいろの美術品その他が保存されておるようでございますが、建物が非常に古いために、火災の予防等については非常に不十分であるという点で保存上非常に心配をしておられました。それから建物も相当狭隘を感じておられるような実情でありまして、何とかいわゆる耐火耐震建築をしてもらいたいということをおっしゃっておったわけでありますが、私どもそれを聞いて、もっともであるというふうに感じておりました。この問題はどのようにお考えになっているのか、お聞きしたいと思うのです。  それからあすこにたしかロダン彫刻であったと思うのですが、二つありました。あれは日本ではなかなか得がたいもののようでございましたが、何分民間人の所有であって、その人が金にかえたいというような意向があって、国内ではなかなか売れにくいので、外国人が買うのではないか、そういうことになれば、せっかくの彫刻外国に持ち去られる心配がある、何とかこれは国内にとどめるためにも政府で買い上げるような措置をとってもらいたいというふうなお話がありました。これなども私は当然な希望であると思うのですが、その後こういう問題について質疑をする機会がございませんでした。幸い今日はこれらに関連した法案審議をいたしておりますので、この際説明を聞いておきたいと、かように思います。
  4. 森田孝

    政府委員森田孝君) 最初の御質問京都国立博物館の設備の問題でありますが、昭和二十七年に京都市から国に移管になりまして、文化財保護委員会保存機関として発足いたしたのであります。そこでさっそく、長い間京都市の所管でありました関係かどうかわかりませんが、とにかくただいま荒木委員の申されましたように非常に荒廃をいたしておりまして、いろいろの点において不安やまた不備の点が多かったのでありますので、昭和二十七年の移管後、本年までに小修理、あるいはただいまお話しになりました防災の関係などにつきまして、約三百万の金を二十九年度までに注ぎ込んで、それらの修理はいたしたのであります。なお貯水池を、約二百六十石入りの水槽も作りまして、それから本館の修繕、あるいは土塀の復旧、その他は今申し上げました三百万のほかに八百二十九万の金をかけて作ったわけであります。それからその作本年完成いたしますが、二百十五坪の博物館収蔵庫を、これは耐震耐火の完備した収蔵庫を約二千万の金をもって新築いたしまして、本年完成する予定になっております。なお本館全体が非常に古い、そうしてまた狭隘だということも事実でありまして、京都国立博物館評議会が置かれておりますが、この評議会の中に本館建築小委員会を一昨年設けまして、専門の人々多数の御協力を得まして、本館建築計画というものがすでにでき上っておるのであります。坪数にいたしまして約二千坪、金額にいたしまして四億五千万円くらいの計画ができておりまして、本年度予算の要求もいたしたのでありますが、財政の都合でこれが本年度は実現不可能になったのでありますが、近き将来にその計画が実現できるように全力をあげて参りたいと、かように思う次第でございます。  なお第二問のロダン彫刻のほうでございますが、これもただいま荒木委員の仰せられましたように、神戸市の某氏が持っておられて、京都博物館保存を委嘱せられておるものでありますが、その人の経済上の都合によりまして、売りたいという希望があって、われわれといたしましては、昨年度御本人が急がれた関係で、予備費をと思いましたが、これもまたいろいろな都合で買い取る予備費を出すことができませんので、その中の一体につきましては、これは小さいほうの、安いほうでありますが、京都市にさしあたりお願いをして買ってもらうということにして、これはすでに京都市が買ったのであります。なお大きいほうの「考える人」という題名のほうは国で買うことにいたしまして、本年度京都博物館予算の中に計上いたしてありますから、本年これを買うことができると思います。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ただいまの説明で大体いろいろ努力をしておられるということを了承いたしました。ただこの際希望を申し上げておきたいと思うのですが、やはり京都博物館は上野の博物館と対比すべき地位を持っております。そういう意味において、本館建築については、今後努力を要請しておきたいと思います。  それから、もう一つ質問は、これは全く別個の問題でございますが、博物館利用状況関連した質問でございます。文部省からいただいておる資料によりますと、年間千五百万人以上のいわゆるこれを利用しておるものがあるということで、相当高い利用度であると私は思います。しかしこれについては内訳がないのでありますが、おそらく私の想像するところでは、動物園であるとか、あるいは水族館、あるいは植物園、こういうものも含まれておりますが、しかもこういう種類入園者というのが非常に多いのじゃないかと思うのです。純粋のいわゆる博物館観覧者というのは案外少いのではないかと思うのです。で、いわゆる博物館観覧者というのは、一体どれくらいあるのかということを説明していただくとともに、この際私は申し上げたいと思いますが、私博物館については別に知識があるわけではないのですが、私の感じでは、どうも日本博物館大衆性がないといいますか、非常に一般の人が親しみやすいような工夫が足りないのじゃないかという感じを私は持っているのです。私の少い経験ですが、若干諸外国博物館を見たこともございます。非常に受ける感じは親しみやすい、たれでも興味をもって見られるような工夫が相当考えられていると思います。ところが日本博物館は、大体特殊な人、そういう人でなければあまり興味がわかないというふうなきらいがあるような感じが私は大まかにいってするのであります。そこで今後博物館展覧品あるいは運営方法について、そういう点考慮する必要があるのじゃないかというふうに考えますので、そういう点、この際賛同をしておきたいと思います。  なお、博物館観覧による収入の問題でございますが、大体年間六億円くらいの収入があるという説明であったわけであります。ただ私としては、博物館収入が多い、観覧から来る収入が多いということだけではよくないと思うのです。特にこういう種類入園料なり観覧料というのはできるだけ安くした方がいいという考えを持っておりますが、この際は教育というような目的で、修学旅行とか、あるいは学校先生が引率して、いろいろ教育上の目的から博物館を見るというふうな場合は、これは観覧料を取らないような措置考えてもいいのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。そういう点、文部省の所見をこの際伺っておきたいと思います。
  6. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 第一に博物館動物園等、いわばちょっと博物館の本町から離れたものを除いて、どれくらいの入館者があるかという御質問でございますが、全体として千五百万人くらいありますが、一館平均にいたしますと、大体普通の博物館年間平均六万人くらいでございます。でありますから一日二百人くらいということになるわけでありますが、これはまあ平均でありまして、現実東京博物館等は非常なもので、国立博物館は年に七十八万人、科学博物館は五十二万人、運輸省の交通博物館が四十万人、平均しまして千五、六百人から二千人くらいは入っておるような状況でございます。  それから博物館は特殊な人が利用をしている、もう少し一般的な利用ができるように考える必要があるというお話でありますが、これはお話のようにそういう方向に向って非常に努力をいたしております。決して特別の研究着のための施設というようなものにならないように、ごく一般の人が気軽に利用できるように、ですから特に説明員等説明も、わかりやすく常識的なものをやってもらって、そういう運営について考えておりますと同時に、また博物館のエクステンション・ワークと申しますか、ただ博物館の中で見せるというだけでなくて、あるいは野外に行きまして、そこで集会を持って、そうしていろいろ動植物その他についての説明会講習会というようなものをやる、あるいは自動車に博物館陳列品の一部を載せて巡回をするとか、あるいはまた映画会を催して、そうして博物館資料を中心に映画をもって説明をするとか、そういうふうなこともずいぶん計画をいたしておるのでありまして、つまり博物館大衆化ということについては相当やっておるつもりでおります。  それから次に収入が大体全部の二百一館の博物館を通じまして六億一千万円くらいになっておるのでありますが、できるだけ安くしろということであります。現在の入館料はこの前もお話申し上げましたように、無料のところが四五%、有料のところが五五%で半分くらいは無料でありますが、有料のところでもごく低額入館料でありまして、国立博物館平均入館料は十六円、公立が二十三円、私立が三十一円、全部平均いたしますと二十六円くらいでございますが、特に子供の場合はすべて大人の半額ということになっており、また団体の割引等もいたしておりますから、実際はほんの管理整理費という程度であります。博物館入館料を取らないということが理想でございまして、その意味博物館規定も現にあるわけでございますが、ただ博物館関係者の中には、やはり管理整理程度のごく低額入館料を取る方がやはり博物館維持上、むしろ変な浮浪者的な者が入って来ないでいいというような意見もあるようでございます。しかし入館料をできるだけ安くするということについては努力をいたしておるつもりでございます。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は今規定の問題をお話になりましたが、規定には原則として観覧料を取らないということになっていると思うのです。しかし一般の問題を言っておるのじゃなしに、特に小学校、中学校高等学校等生徒を教師が引率して教育上の目的でこれを研究するというふうな場合には取らないようにしたらどうか、こういうことを言っておるわけです。
  8. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) それもできればそういうふうにいたしたいのでありますが、現在もその場合にはほとんど一人五円くらいでありますから、ほんの整理費ということであります。しかしこれも全然取らない方が理想でもありますので、その点は一つ財政的な面からも考慮いたしまして、できることならばそういうふうにいたすように努力いたしたいと思います。
  9. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 他に御質疑ございませんか。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この法案審議には私初めて参加するわけでありますが、従って一部質問が重複するかもしれないことを心配します。その場合には簡単にお答え願いたいと思います。いただいている資料によりますと、博物館の総計が二百一とありますが、過去一カ年間に何館ふえましたか。
  11. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この社会教育法が出ましてから三十館ふえております。それから終戦後七十館ふえております。過去一カ年間資料は今ちょっとここに持ち合せございません。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは伺いますが、本法案社会教育局長提案理由説明についてという資料を見ますと、昭和二十七年から昭和二十九年まで講習において暫定資格者四百七十四名のうち二百八十二名という多数の人が学芸員資格を獲得しているということが書かれているわけでありますが、急激にかように学芸員資格緩和をしなければ学芸員を充実できないというような状況があるわけでありますか。私はただいまの博物館増加状況等から承わりまして、今急にかように緩和しなくてもそれほど充足には差しつかえないのじゃないかという直感がいたしますので、念のために伺います。
  13. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この法施行のときに暫定資格を持っておりましたものについて講習をやって来たわけでありますが、三カ年の講習によりまして大体講習出席をしてこれを受ける機会が持てそうなものはほとんど持って、あと残っておりますのは非常に僻遠の地で交通も不便であり、またそこに出席をするということになりますと、まあ非常に中核的な活動をしておりましたために、一カ月も三カ月も講習のために取られるということになると博物館の事業が停止してしまうというようなことで、三カ年の間に講習機会が得られなかったものが百九十名残っておるという形でございますが、特に緩和をするというつもりではないのでありまして、大体学芸員素質も上りまして、また勉強をするための材料、つまりテキスト・ブックあるいは参考書、あるいはカリキュラムの要綱というようなものもありますので、あとは試験でもって認定をするということで十分素質を下げないで優秀な学芸員を得ていくことができるという見通しを持ちましたので、これを認定制度に切りかえるということにいたした次第であります。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 かような機関指導者というものは素質並びに教養が豊かで高いということは望ましいことと思いますが、私今その角度から伺いましたが、六大学博物館に関する科目を設置しておるわけでありますが、こういう大学を卒業した人と、このたび新たに設けられました試験検定並びに無試験検定をパスした人とは、更にまた過去において学芸員資格を収得するための講習を受けられた方とは全く同様に処遇されるわけでありますか、その辺を伺いたいと思います。
  15. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 大学を出まして博物館員になるものといいますのは、つまり博物館コースを持っておる大学を出たものでありますので、これはつい最近のことでありますから、数も少く、またつまり若い人が多いわけでありますが、講習を経て学芸員になりますものは大体古くから勤めておったものに個人的講習をいたしたわけであります。そういう関係でございますが、これをどういうように処遇するかということにつきましては、やはり勤務年数等によりまして、普通の公務員の給与の標準によってやるわけでありますから、必ずしも大学を出て来てすぐに古い人と全然同じになるということはございませんが、一般の教員の場合と同様に、経験年数等を考慮して待遇されることと思います。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やはりこの改正によってこの一年間学芸員資格を獲得する人、獲得させたい員数をどの程度に見込まれておりますか。
  17. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) それはこの一年間では大体二百名ぐらいと考えております。全体的に認定対象になるものの数は九百七十名ぐらいと考えておるのでありますが、それはつまり暫定資格者で受けないものが百九十二名、それから現在いる学芸員補が百七十七名、技術職員が二百三十九名、事務職員が百七十七名、それから現在の館長学識経験等が十分あって、つまり無試験認定対象になるような館長が百八十五名、大体九百七十名くらいに達しておりますが、これを五年間くらいに認定対象にしていくことになるかと思います。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その九百七十名程度の人が全員有資格者になれば、学芸員としては必要な数が充足できるということになるわけですか。
  19. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この前も申し上げたのでありますが、現在博物館職員平均いたしまして一カ年あたり十一名ぐらいになっておりますが、そのうち学芸員というものは一・一二ぐらいでございます。それで、それでは実際中核の職員として少いのでありまして、少くともその倍ぐらいの人員を確保していく必要があるのであります。そこでこの九百七十名全員学芸員になるということになりますれば、むしろその理想よりも多少上回ったのでありますが、しかし最低二倍程度人員といたしましても、そのくらいの人員博物館に確保することはぜひ必要であると考えております。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この試験認定無試験認定、この二種類考えられているようですが、この試験認定の方は大体予想はつきます。私今承わりたい点は「無試験認定は、博物館に関する十分な学識経験を有するものについて」これを行うというのですか、これはおそらく説明があったかと思いますが、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。ということは、大学博物館に関する科目を設置して教育していくと、また一方博物館科目試験経験年数において試験認定をやる、さらにそれとほとんど同じ資格無試験認定によって得られるということになると、この無試験認定の仕方というものはやはり私は博物館科目試験、あるいは大学における博物館に関する科目の履修との関連から、やはりこの無試験認定というものは相当慎重に取り扱われなくちゃならんものと考えますので、こういうことを提案された当局においてはどういうお考えでおられるのか、もうちょっとその点聞きたいと思います。
  21. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 無試験認定といいますのは、つまり試験認定の補充的な方法でございますが、実際は現に博物館長をやっておりまして、ただ制度関係で現在学芸員資格に当てはまらない方がおられますが、それらの方の学識経験について十分審査をいたしまして、文部省認定審査委員というようなものを作りまして、それらの方々におきまして、学歴それからその他学問上のアルバイト、あるいは経験年数館長としての職歴、そういうふうなものを考えました。審査対象にいたしました上で十分慎重に認定を与える、こういう方針でございます。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 試験認定という制度があって博物館科目試験と、その試験のみならず経験年数を総合評価してやるという、試験認定というものがあれば私は無試験認定というものは無用ではないかと、かように私個人としては考えますが、ただいまあなたの無試験認定説明の中には経験年数も考慮して云々とありましたが、当然そういうものも入って来ると思うのです。試験認定を設けて、さらに無試験認定という制度を設けなければならんというのはどうもわからないのですが、どうですか。試験認定だけでいけませんか、経験年数というものがちゃんと入っているのだから。
  23. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 博物館館長の中には相当長い期間館長としての成績を上げられまして人格識見とも十分であり、また世間的にも相当の名声もあるような人が相当おられるわけであります。たとえば、これは図書館でありますが、やめられました土岐善麿先生のような、それに類するような方についてこの際試験でもって資格認定するということもどうかというような場合もございますので、そういう場合にはやはり認定審査委員の厳重な審査の上で無試験認定にすることが実情に即するのではないか、さように考えておる次第であります。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあそういう見解も成り立ちましょう。私はまあこの点については強く要望しておきたい点は、やはり大学博物館に関する科目を履修するコースがあり、さらにこの科目試験経験年数によっての試験認定という制度があれば、無試験認定というものはよほどの特例の場合以外はこれをみだりに適用するということは、私は試験認定並びに大学科目との関連からきわめて慎重に取り扱わなきゃならんものではないか。かように私は考えます。そういうふうに私は要望いたします。私個人としてはこういう制度を設けた以上は、大学コースがあり、さらに試験認定というものがあれば、あえてこういう無試験認定というものをさらに何ぼも作る必要はないと、こういう私は見解を持っていますが、もしもこの形でこの法律案が成立した場合には、この無試験認定の適用については十分に慎重に扱っていただきたいことを要望いたしておきます。  次に承わりたい点は、博物無は、さっき入場料の問題が出ておりましたが、無料にした場合と有料にした場合とは日本においてはどちらが入場者が多いと皆さん方考えておられますか。
  25. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) これは見通しの問題でありますが、まあ数の上からいえばやはり無料にする方が数は上ると思いますけれども、実際の博物館利用効果という意味からいいますればどういうものか、その点は研究問題だと思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はちょうどこの法案審議するときに、昨年私インドのカルカッタに行ったときに、国立のすばらしい植物園があるのを拝見したわけですが、そういう博物館類はすべて無料で扱っているのですね。これは無料であるにかかわらず、その植物園の中に入ればきわめて環境がよろしいのに、多くのインド大衆諸君は焼けつくような街頭にころがっておってその植物園の中にはお入りになっておられないので非常に私は奇妙に感じたわけですが、この場合は日本には適用できないと思いますけれども、ただ言えることは、やはり博物館利用国民がすると、またすることによって国民は何らかその心の糧になるというような博物館経営並びに洗練、それからさっき荒木委員も指摘されておられましたが、やはり親しみやすいような経営方針をやるというところに私は一番大きな問題があると思います。そういう点については、特に今後心がけていただきたいことを要望しておきますが、さてその入場料の問題でありますが、先ほどからまた先般いろいろと質疑応答がされておりました。で、日本青年層壮人層というこの成人された方は、現段階では若干入場料をとった場合に、その入ってくる心がけが無料の場合とは今の段階における日本人でほかなり違うのじゃないか、従ってそれが管理にも影響してくるであろう、だから私は急速にはいかないでしょうから、理想としては無料にすることがいいでしょうが、直ちに全部を今無料にしなさいというようなことを皆さん方に強くは要求いたしませんが、少くともその序の口として、一つのプロセスとして、過程として、先ほどから出ております教育計画の一環として行われる修学旅行の学生、生徒児童諸君が教室の延長として指導者指揮者に引率されて博物館に入られる、そういう場合私は簡単に答えが出るんじゃないかと思うんです。一般大衆無料にした場合には、勝手に入って維持管理に非常に困るような事態が起るでしょうけれども、今申し上げましたような学生、生徒、児童の場合というものとは全く形態が違うわけですからね、しかも少くとも文化国家を志望している憲法をいただいておる日本の国で、答えは私は簡単に出るんじゃないかと思うんです。そこで私はあなたに今数字を伺いたいんですが、これも必ず本委員会で一応出たんだと思いますが、現在の実績から日本の学生、生徒児童諸君が団体組んで修学の一環として入られる入場料無料にした場合に、年間幾ら金額をみればよろしいわけですか。
  27. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 実はここに多少の資料を持っておりますが、ただいまお話のような修学旅行等の場合に、引率者があって教育の延長という意味で入ったものについての分類というものはないのでありますけれども、有料博物館、これは全体の館の五五%になっているんですが、年間入場料は二百一館で六億一千八百万円、それから公立の博物館関係ということでとってみれば、二億九千九百万円でございます。ですから最初の段階としては、公立の博物館について入場無料ということについて努力するというのが筋であると思うのですが、そういたしますと、大体三億足らずのものを国費で負担するということになれば、一応入場料無料にするということができる次第でありますが、財政等のにらみ合せもありますので、一挙にこれを実施に移すということも、なかなか困難かと思います。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長が財政のことまでそう心配されんでいいと思う。社会教育局長としていろいろ博物館をどういうふうに持ってゆくということからお考えいただけばよろしいと思います。  本委員会では三十年度の文教予算を切り離して独立的に審議しないで、諸法律案と並行して審議しようという前提のもとに進んでおりますので、私は予算問題もただいま伺っているわけです。そこで寺本政務次官に伺いますが、繰り返して申し上げません。集約してお伺いいたしますが、予算約三億を要するというのでありますが、現内閣の一つの文教政策の一環として、学生、生徒、児童を引率して公立博物館に入る場合の入場料無料にする方向に政策を具体的に進めていかれるようなお考えはございませんでしょうか、どうでしょうか。文部大臣にかわって政務次官の御所見を承わりたいと思います。
  29. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 社会教育局長がお答え申し上げたのに対して、財政の点は文部省として政策をきめて、あとで考えればいいというような今のお話でございます。御承知の通り文部省としては、文教予算編成に当りましていろいろやりたいことが非常にたくさんありまして、予算折衝の結果、ああいう縮められた恰好で予算が編成され、国会に上程されておるわけでございます。その後国会で修正をされまして、今日参議院に配付になってきておるわけでありますが、それでもまだ文部省の当初要求からは非常に遠いものでございます。ただいまお話のありました博物館に教師が生徒を引率して、教育の延長として入館されるという場合には、非常に考慮すべき問題があると考えますが、文部省が要求いたしております他の予算措置と合せ考えまして、将来の問題として研究させていただきます。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 予算修正の問題が出ましたから、関連してお伺いしておきますが、私はこのたびの予算修正の中で、歳出増加の内容について文教委員としては必ずしも賛成できがたいものがあります。何といっても、あの歳出増加の最も大きなウエートを占めているのは、河野農林大臣の政治力かどうかしりませんが、農林関係に非常に重点がかかっておるし、あの増加修正の内容は、文教に重点、重点と言わなくても、相当の考慮を払ったという色が薄いように私は見ておるわけですが、いずれにしてもあの文教関係の修正内容の細目については、本委員会ですでに資料が出ているものと思いますが、私はまだ資料をいただいておりません。出ているのか出ていないのか、もしも出ていなかったならば、今明日じゆうにも詳細に文教関係だけでよろしゅうございますから、その修正内容を出していただきたいと思いますが、後段についての御答弁を願います。
  31. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 衆議院で修正されました予算内容は、まだ資料として差し上げてございません。至急お手元に差し上げるように手配いたします。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は至急に詳細のものを出していただきます。  次に質問をいたしますが、現行法に博物館の設置主体を日本赤十字社としているのを、赤十字社以外の特殊法人が設置主体となるべき場合を予想したと、そうして、日本放送協会があげられておりますが、今予想されるところは、日本放送協会程度ですか。それ以外にどういう特殊法人が博物館を設置するというような気配といいますか、動向といいますか、そういうものがあるのですか、お伺いします。
  33. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 現在、具体的にそういう見通しがありますのは日本放送協会だけでございます。しかし、今年の秋ごろそういうものができるという見通しがあるのでありますが、そのほかに日本国有鉄道、あるいは日本専売公社、あるいは日本電信電話公社というようなところでも、あるいは数年のうちにそういうものができるという計画がないでもないように聞いております。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きょうは博物館関係審議を並行してやっているわけですが、文化財保護委員会の事務局長にお伺いしますが、あなたのところから出された三十年度文化財保護委員会関係予算書、この全般については、文化財保護行政の立場から他日承わる機会があると思いますが、本日は、この国立博物館の、項目だけについて簡単に伺っておきます。  この資料によりますと、東京国立博物館並びに奈良国立博物館が前年度予算額より減額になり、京都国立博物館が増額になっているわけですが、大まかなところでけっこうですから、かようになったわけを御説明願いたいと思います。
  35. 森田孝

    政府委員森田孝君) お手元にお配りしてあります予算で、減額になっておるのは主として行政整理による人件費の減が影響しておるのでありまして、その中の方につきましては、庁費、旅費が若干減額になっておるのであります。京都博物館は、定員の関係並びに他の面において増額した部分が多いと思います。たとえば、先ほど荒木委員からお話になりましたロダン彫刻の買い入れとか、そういうような増額した分があるわけでございます。収支いたしますというと、増額になっておるわけでございます。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今ここに議題になっている本法律案の施行と直接関係はありませんか。
  37. 森田孝

    政府委員森田孝君) 面接関係はありません。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長に伺いますが、国立博物館入場料関係無料にした場合に、人件費その他印刷費等どの程度浮いて参りますか。参考に聞いておきたいと思います。
  39. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 国立博物館の施設は、全体として九館でありますが、そのうち六館が有料博物館になつておりまして、その年間入館料収入が二千七百三十八万円になっております。これが国庫収入になるわけでございますが、現在の職員費その他との関係については、直接の、それほど大きな関係にはならないかと思いますけれども、国庫収入として、やはり相当の部分を占めることになると思います。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうこれと比較すれば、それは金額臓比較にならないと思いますが、しかし、入場税をとるがために、そういう施設、設備もいるでありましょうし、また、これに関係する職員というものも私はかなり員数いると思いますね。さらにごくささいでありますが、印刷費その他等入れれば絶対額は少ないでしょうが、かなりの金額になるのじゃないかと思いますので、それを参考に、どのくらいになるのか聞きたいと思って伺ったわけですが、概算どのくらいと見ていますか。
  41. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) これは直接私どもの所管ではないのでありますが、その点の概算として今のところ研究したものはございませんです。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もし他日わかったら、参考に知らせてもらいたい。  私は先ほどから修学旅行団の入場無料の点について質疑がされたわけですが、国立、公立の博物館の入場税を無料にするということは、国家財政の立場からいって、そう私は至難なことではないと思う。要は、やはり、どういうふうに考えるかということによってそれがむずかしいことでもあるし、またやさしいことでもあるように、いかようにでも私は考えられると思うのです。要は、その内閣の文教政策のいかんにかかっていると思いますので、先ほど政務次官は、今後の検討に待ちたいということでございましたが、十分私らの意をくんで御検討いただくように要望しておきます。  もう一方伺いたい点は、社会教育局長に伺いますが、ただいまの松村文政の一つの重点として、新生活運動というものを社会教育画から大きく取り上げられておりますが、博物館行政との関連は、いかような構想の下に進められておられるのか。この際承わっておきたいと思います。
  43. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 新生活運動につきましては、予算としては文部省に組まれておるのでありますが、これは文部省の行政ということに直接関係あるものだけでなく、もっと広い見地から、政治的には超党派的に、しかも、民間的な国民運動としてやりたいという大臣の御構想でございますので、その意味で私どもも研究をいたしておるような次第でありますが、博物館行政との関係ということでございますが、われわれといたしましては、博物館、特に科学博物館等におきまして、実際の日常生活に即した、つまり、生活の科学化というような面に関する資料、あるいはそれに関する説明の材料というようなものを研究させまして、そして日々の生活改善の上にこれが貢献をいたしますように指導いたして参る必要があると思います。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この新生活運動と社会教育局との関係というものは非常に深いと思うのですが、その社会教育という立場を考えた場合の博物館というものは、これも令部と一部の関係にあるわけで、相当私は密接な関係考えられていると思うのですが、そこで具体的に承わりたい点は、あの新生活運動の五千万円の使途ですね、これはやはり今のあなたの答弁から推察しますと、この五千万用の一部は、やはり博物館行政の面に振り向けられるのだと、かように答弁から受け取れるのですが、そうなんですか、どういうふうにお考えになっておるのですか。
  45. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 具体的に五千万円の使途につきましては、今のところ実は事務的な具体案を持っていないのでありまして、これは民間組織ができまして、そこでいろいろ具体的な計画立案が行われた際に具体的になっていくというような見通しでございますが、ただいまの私が申し上げましたのは、その五千万円の金を使ってどうするという意味ではなくして、今日この国民生活の科学化というような意味では国立科学博物館も全国の博物館もやはり新生活運動の線に沿って努力計画をするように進めたい、五千万円とは関係なくして、日常の博物館運営の上でその点を十分強調して努力したい、こういう意味で申し上げたのでございます。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 新生活運動の五千万円というのは社会教育局所管になるのでしょうね、そうでしょう。
  47. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 予算項目といたしましては、社会教育特別助成費一億二千万円のうちの新生活運動の経費五千万円、かようになっております。まあ一種の便宜の意味文部省の社会教育局に予算がつけられておりますが、実際の使途についてはただいま申し上げましたように、もっと大局的な立場からこれが立案実施に当るという方針でございます。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは、何ですか、あなたのところの所管になる博物館とかあるいは公民館とかあるいは図書館とか、こういう既定の予算の若干盛られてある関係には、この五千万円というものは何ら配分影響はないのだと、かようにあなたの答弁はとれるのですが、そういうお考えですか。
  49. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) それは配分影響があるかどうか、あるいはあるかもしれませんが、おそらくそういう面が相当着目してもらえると思いますけれども、今のところ私の関与しておる立場ではまだその点は未決定でございます。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたはさっき大局的云々と言われたが、大局的というのはどういうことですか。
  51. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 実際の仕事の面では各省の行政の総合された立場で新生活運動が実施されるということであり、またこれに関係する人の問題といたしましては、超党派的な立場で、また民間的な人が十分意見が吐露できるような形の組織をもちまして、その上で実施をするという考え方になっておる次第であります。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 衆議院の予算委員会には、五十万円の使途の細目については文書で資料を何も出されなかったのですか。
  53. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) そうであります。衆議院でも文書でその使途についての資料は出しておりませんです。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあただいま社会教育局の関係である博物館法の一部改正法律を審議しておるわけですが、予算と並行に審議するという委員会の建前から、やや予算的なものを若干承わっておるわけで、間もなく私の質問も終りますが、私はただいまの質疑では、博物館行政と今度新たに組まれた新生活運動関係予算五千万円とはほとんど関係がないというふうに先ほどあなたの答弁がなされたわけですが、その五千万円の使途内容については未決定だというようなこと、そういうようなことで衆議院の予算委員会はよくも審議が終っておるものだと思いますね。私は予算審議ができぬと思うのです。少くとも参議院はこれから予算案を審議して参るわけですが、われわれ文教委員会としても文部省関係の文教予算については、さらに掘り下げて審議しなければなりませんし、またこの文教委員会審議の結果によっては、あるいは本委員会の総意として予算委員会に何らかの意思表示をするようなことがかつてありましたし、また今後もあるかもしれませんが、いずれにしましても、あなたの局と関連があるこの新生活運動の予算として組まれた五千万円の具体的な使途内容並びにその構想、これについて早急に書面によって本委員会資料として出していただきたいと思います。少くとも新たな項目として政府国民の税金で予算案に組み、国会の議決を求められるときに、今答弁された程度のばく然たる事柄ではその予算審議というものは私はできないと思います。従ってできるだけ早い機会に省内で協議されて、そうしてその結果を委員会に出していただきたいと思います。私の私見をもってするならば、それぞれの考え方はありましょうが、この五千万円の使途、先ほどあなたが申されましたように博物館利用によって国民の生活を明るくあるいは合理的にするというような角度から考えて、私は五千万円というものは一部はそれに使われてもいいと思います。あるいは具体的に一年のうちに一週間を何とか週間として、その期間に限っては特別な展示会をやって無料国民に展示するというような方法も、私は連動展開の一つのあり方としてあり得ると思うのです。従ってそういう点についてさらに省内で協議されてまとまった意思、統一されたあなた方の意向を本委員会資料として出していただきたい、かように要望いたします。
  55. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この新生活運動の予算の使途の問題でございますが、新生活運動につきましてはできるだけ民間から盛り上った国民運動にするということでなければ実際の効果は上らない、こういう観点から本当に民間的な立場から、また超党派的な立場から民間組織ができまして、そこで具体的に検討した上でこの具体的使途も決定していこう、こういう方針でおるわけでございますので、この際この使途について文部省としての母体案を持たないでいく方が国民運動としての実が上るという立場をとっておる次第でございます。そういうわけでございますので、今のところ私どもの方ではそういうまあ資料の御要求のありましたようなものを準備をいたしていないので、ただそういう民間組織からの相談がありました際には、いろいろ新生活運動について考えておりますこと、また実状の状況報告というようなものについての準備をいたしておる段階でございます。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 下からの盛り上りを待って云々ということはその通りです、正しいですよ。しかし五千万という具体的な数字が出ているのですからね。何かそこに構想があるだろうし、ずっと待っておって盛り上って来なければ五千万円をそのままにするというのか。ここであまりこれを時間をかけるとお気の毒ですからこれは追及しませんが、とにかく文書で、現存あなたのところで意識統一されておる事柄を文書で出して、それによってあらためて質問いたします。
  57. 高田なほ子

    高田なほ子君 今新生活運動の御質問が展開されているようですが、私もこの問題については非常に関心を持っておるわけですが、いろいろ巷間情報も入っておりますが、どうぞ一つ矢嶋さんが今御請求なさった資料が、五千万円の予算の使途ですね。その使途が明確にされることが資料として要求されているようですが、そのほかにもっと資料がありましたら、あらゆる資料を出してもらいたいと思います。
  58. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御希望は当局に伝えます。  博物館法審議に関してほかに御発言がございませんでしょうか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ないようでございますから、質疑を終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないものと認めます。これより討議に入ります。
  61. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの法案には賛成するものでございますが、この際希望意見を付しておきます。質疑の際にも申し上げましたように、博物館大衆化については一段の工夫を要する点があると思いますので、この点についてはさらに努力をしてもらいたい。  それから第二点は博物館入館料規定にもありますように無料を原則とするというのでございますから、この法の趣旨に沿うように努力をしてもらいたい。特に矢嶋委員からも指摘されましたように修学旅行、教職員が引率をして、そうして教育目的でもって入館をする場合、そういう場合には入館料をとらないような措置を早急に考えてもらいたい、こういう要望を付して賛成をいたします。
  62. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私もこの法案に対して賛成をいたします。ただし、せっかく作られました学芸員というものがありまして、そうしてその将来の運営に対して、その貢献するところがきわめて大でありまするから、かような点から資質の低下しないように十分の御留意が願いたいという希望を付しまして賛成いたします。
  63. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないものと認めます。これより採決に入ります。博物館法の一部を改正する法律案を採決いたします。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願いましす。   〔賛成者挙手〕
  65. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 全会一致であります。よって本案は全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他の手続につきましては、慣例により委員長に御一任願って御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     木村 守江  吉田 萬次     竹下 豐次  荒木正三郎     雨森 常夫  大谷 瑩潤     佐藤清一郎  川口爲之助     堀  末治  高橋 道男     高田なほ子  矢嶋 三義     村尾 重雄  松原 一彦
  67. 笹森順造

    委員長笹森順造君) これにて暫時休憩いたし、午後は一時から再開いたします。    午前十一時五十五分休憩      ―――――・―――――    午後二時十五分開会
  68. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 午前に引き続き委員会を再会いたします。  国立学校設置法の一部を改正する法律案関係いたしまして、原子核研究所設置に伴う諮問題に関し参考人を呼ぶこととし、その日時及び人選については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないようでありますので、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  70. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて。
  71. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は今議題になっておる法案審議に当りまして、資料の要求をいたしておきます。その一つは、中央教育審議会、それから日本学術会議、この機関において決定されました決議、あるいは政府に対する要望、その中で国立学校関係のある分を一括して提出してもらいたい。
  72. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 委員長において取り計らいます。
  73. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それから第二点は、各国立大学別の定員表、これを提出してもらいたいと思います。これは従来は法律によって定められておりましたので、われわれもよく了承しておったところでありまするが、昨年の法律改正によりまして、一掃されるというようになりましたので、各国立大学別の定員がよくわからないわけなんです。従って、今申し上げた資料を提出していただきたいと要求しておきます。
  74. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 委員長において取り計らいいたします。     ―――――――――――――
  75. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 先般来、地方教育予算に関し文部当局から趣旨徹底をはかるための通牒に関する問題が、この委員会において論議せられておりますが、このことに関しまして、文部大臣からその後の取扱いに関する御発言を求めます。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私から伺いましょう、それの方が早い。  先般来問題になっておりました文部大臣が自治庁長官と話し合って、そうして都道府県知事並びに都道府県教育委員会に趣旨徹底のために通牒を出すべく善処されると確約されたが、この通牒発送の件について、いかようになされているかということを伺います。その内容は、大臣が御出席にならない場合にも、一、二この問題について質疑応答やりましたが、そのときに初中局長は、あらためて通牒を出さなくても、地方各当局に十分趣旨が徹底しているから、その必要がないと思うというような発言もありましたが、私はその必要を認めると重ねて要望しておいた次第でございます。私がつかんだ情報の一、二によれば、私が懸念した通りに、都道府県教育委員会と都道府県当局とが見解に相違を来たして、昭和三十年度の本予算編成に当って非常に問題を起している県が具体的にあるようであります。従って私は明確に早急に通牒を出さるべきものと考えますので、大臣の御出席を願って伺っておるわけです。そこで今御答弁いただく点を要約して申し上げますが、その第一は、この前から再三申し上げましたように、地方財政再建促進特別措置法に盛られている地方財政再建計画、この計画を立てるに当って、都道府県知事が非常に教育予算にしわ寄せをして、その財政再建計画を立て、自治庁当局の了承を得ようとされている。こういう事態を大臣はいかように考え、これをいかに教育予算にしわ寄せされないようにされようとしているか、これが根本的には第一点です。  それから具体的に第一点としては、たとえば地方行政計画の中に教育予算を盛り込むに当って、二分の一は義務教育半額国庫負担法でゆく、あとの二分の一は完全に地方財政計画の中に入るように、文部大臣としては、自治庁長官に要望し、また自治庁当局としては、それを了承したという答弁が本委員会でなされております。そうして具体的に、たとえば昇給財源は五%を組んだ、それから退職金についても千分の十五を千分の二十に上げて、こういうことを予算説明に当って文部当局は説明されている。ところが地方財政再建促進特別措置法の発足を前に、その準備段階に入った各都道府県においては、六月県議会に三十年度予算をかけようとしておりますが、昇給財源を五%組んでない。零%――全然組んでない都道府県がずいぶんあるわけです。これをかように教育予算に一方的にしわ寄せされようとしている。このことをいかように考えられるか。  それから第三点としては、かつて私が文部当局の責任を追及しました中学校九学級に十三人、小学校十二学級に十三人というこの数字は、政令該当の三都府県の教育予算を算出するに便宜上使った数字にすぎなくて、何ら教育的な理論の裏づけのあるものではないし、もちろん各都道府県を拘束するものではないということを本委員会で弁明されている。従ってその趣旨のことを、都道府県知事と都道府県教育委員会にその趣旨を徹底する意味において通牒を出されてしかるべきである。こういう私の質疑と要望に対して、善処されると約束し、それを通牒されたならば、その写しを本委員会に出してほしいということを要望して参ったわけですが、本日まで出されていない。ところが私の知っている一、三県においても、都道府県知事側は、九分の十三という数字と十二分の十三という数字を使われて、都道府県教育委員会の要望を排除して、この数字を使って昭和三十年度教育予算を編成し、来たる六月県議会に提案されようとしている。従って全般的に見て、この昭和三十年度教育予算というものは、地方財政再建促進特別措置法案の不成立を予想して、非常に教育予算に過酷なしわ寄せをされたようになりつつあるわけでありまして、従って私は先般来、あの大臣とお約束いたしました文部省の半額国庫負担に対する態度、地方財政計画に盛り込まれるときの自治庁との話し合いの内容、これらについて、都道府県教育委員会と都道府県当局に意見の相違を来さない意味において、その趣旨が徹底する意味のことを私は早急に通牒を出さるべきである、かように考えますので、通牒を出されたか出されないか。自治庁長官と話し合いをされると言ったのですが、話し合いをされたのかされなかったのか。その点について御答弁をいただきます。
  77. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お答え申し上げます。この地方財政の緊縮のために、文部行政にしわ寄せをするという御心配でありますが、これは私どもといたしましては、県が実際財政の建て直しをいたすというそのことには、協力することはこれは当然のことでありまして、できるだけそれに沿いたいと考え、また地方の教育委員会なども同様に考えるべきが当然であろうと思いまするが、しかしながらそれにも限度がございまして、そのために教育を阻害するというようなことがあってはならぬと思って、今日までその方針で自治庁その他にも当っておるわけでございます。しかし、これが実施をいたしますときに具体的にこういうことが出てくるという点がありましたならば、これに対する措置は決して怠らないつもりであります。  それから第二の昇給財源のことにつきましては、私の方でもその点を心配いたしていろいろなにしておりますが、お話の通り地方にまだ徹底せぬところもありましょうし、第三のお問いとあわせて自治庁の方との話し合いを事務の方でいたしておるわけでございます。この結果につきましては、事務の方から一応お答えいたしまして、私からなにいたしたいと思います。  第三のお問いに対しては、先般私のお答え申し上げましたのは、この通牒を必ず出すとは申したのではございませんで、とにかく善後の措置を講じましょうと申したわけでございまして、それでまず自治庁の方へ話し合いを事務的にいたさせたのでございますが、その結果は、いい結果を得ておりませんけれども、一応今局長から詳しく御答弁申し上げます。
  78. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 大臣からお答えがありましたが、私から補足いたしまして御説明をいたします。  第一点の地方財政再建計画でありまするが、これはまだ法律も出ておらぬことでありまして、まあお話によりますと、各県で着々と準備をしておる段階だというお話でございますが、これにつきましては、まだ法律が出ておりませんからはっきりしたことは申し上げかねますけれども、法文の中にも、自治庁長官が承認をいたします場合には、その国庫負担金、補助金等に関する分につきましては、各それぞれの主務大臣の意見を聞くことになっておりますから、そういう機会がございますので、文部省としても努力をいたしたいと存じます。  それから第二の昇級財源でありますが、これはお話の通り、各県が当初予算を組みました際に、これは暫定予算でございまして、各県では国の予算の把握はもちろんできません。相当混乱もいたしております。しかしその後園の予算が案としてきまりました際に、前回にも御説明申し上げましたように、私どもとしましては、地方の教育委員会の主管課長、あるいはその後も教育庁のブロック会議等もいたしまして、書類につきましても十分徹底をいたしておるわけでございます。これは昇給財源でございますが、単価につきまして、年間五%の昇給という単価の引き上げをいたして、それによって計算をしたわけでありますが、財源としてはこの半分であります。これは年間でありますから半分であります。正確に申しますとその意味では二・五彩ということになるわけであります。まあ今後各県でお話のように六月県会なり、その後におきまして追加予算を組んでおります。その際に私どもは、十分政府も国の予算案につきまして徹底いたしておりますから、今後は各県におきましても、この点につきましては十分考慮が払われるものだと期待をしておるわけであります。  それからなお第三点の、国の予算の増員分につきまして用いました計数であります十二分の十三、九分の十三、これにつきまして、これが何も地方の予算、地方の定員と申しますか、増員に対しまして、定員を拘束するものではないということは当然だろうと思います。この点につきましても、この前から繰り返して申し上げますように、私どもとしましては、地方に十分徹底をいたしておるつもりであります。義務教育費国庫負担法の立前としましても、これは政令県は別としまして、非政令県につきましては、国が何かこうワクをかぶせて定数を拘束するということはことは全然ないのでありますから、国の予算を立てる際の一つの基準として、一学級当り十二分の十三、九分の十三、増員分についてこういうものを使った、これは全国平均の現実の平均をここに使ったと、こういうことでございます。これはもちろん二十九年度の実績を押えまして、三十年度における児童生徒の増に対応する学級数の増を想定いたしまして、これに対してこの計数を使った、こういう趣旨のことは十分徹底しておるつもりであります。  それから自治庁との話し合いでありますが、これはいろいろこの前からお話もございましたので、私どもとしましても、事務的にも自治庁当局と話し合いをしております。ただ自治庁としましても、申しますことは、地方の課長会議等をいたしまして、今申しましたような点につきましては、自治庁当局としましても多分徹底しておるのだろうと、この際書面によって通牒を出す必要はないという判断であります。まあそういう意味でまだ共同通牒を出すという交渉はそこまで至っておりません。  なお地方の予算を組む上に相当波乱があるというお話でありますが、当初予算を組みましたときには、先ほど申しましたように、暫定予算でありまして、国の本予算の輪郭をつかめませんでしたから、各県におきましても相当混乱があったことは事実でありますが、ただその後におきまして、私は相当混乱は静まっておるのではないかと考えておる次第であります。それから御承知のように、定数につきましては、非政令県は合計して当初の予算に九千五百余を組んでおります。先ほど申しましたように、一学級当り十二分の十三、九分の十三というのは全国平均でありますから、これを上回るものもある、下回るものもあるという実情だろうと考えております。今後追加予算等を組む場合にどういう形になっていきますか――でありますが、私どもも、これは今後とも地方に対しまして十分指導をいたしたいと考えております。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は九分の十三とか十二分の十三という数字を文部省が使ったために、これが今後の地方の教育予算を編成する場合にある程度悪い意味の影響を持つと考えるのですが、まあそういうことはともかくとして、私が文部大臣に御要望申し上げておるのは、ここで答弁された事柄そのことは、内閣として関係各省間で一致した見解のことを答弁されているわけですから、そのことを念のために徹底させるために通牒をお出しになったがいいと要望しているわけで、通牒を渋る理由は私は何もないと思うのですよ。たとえば産休補助教員は一%教育予算を組むに当っては入れてあるのだ、だから昇給財源は年間五%というものは、各都道府県の教育予算の前年の実績を認め、さらに五%という昇給財源というものを入れてあるのだ、それから九分の十三、十二分の十三というものは、これは非政令該当県を何ら拘束するものではないのだと、そういう内閣として意見が一致している明確な事柄、しかもここで答弁されたことを、都道府県知事側か都道府県教育委員会に、趣旨を徹底させる意味で通牒を出されることはちっとも渋られる必要はないと思うのですが、私は出していただきたいと思うのです。出さぬがために、ああでもないこうでもないと言って、六月以降の予算編成に当っていざこざを起しているわけですから、出していただきたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  80. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) それはあけすけに申しますと、私は何も異存があるわけではございませんけれども、やはり自治庁との関係もありまして、両者共同の連絡をもってゆきませんと、円滑な結果を見ることが、やはり地方のいざこざがとれないと思いますので、それでよく両者相談をし合っているものでございます。それが向うの方ではすでに話し合いをしたから周知させるには及ぶまいというわけでゆきつかえておる、こういうわけでありますから、その点はどうあっても通牒を出さねばならぬという御説も御尤もでございますけれども、実情はそういうことですから、よく今後も話し合いまして、行政関係を円滑にして、効果を上げるように努めたいと思っております。
  81. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  82. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて。
  83. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 矢嶋委員質問関連をして私はこの際ただしておきたいことがあるのです。先ほどからも文部省の方では、本年度の昇給財源は見てあると言うのです。私も見てあると考えておったわけです。しかし、今度決定された半額は七百三十七億でございますか、その中に果して本年度の昇給財源五%を見てあるかどうか、非常に私は疑問に思っているのです。ですからこの疑問を氷解してもらいたい。私はなぜ疑問に思っているかという理由を申し上げます。  文部省からもらっている資料によりますと、昭和二十九年四月一日――昭和二十九年四月一日というと去年の四月一日です。昨年の四月一日の教職員の給料月額を一万五千二百九十九円と算定しています。これは私は実額を出しているだろうと思うのです。それに対して五%の昇給を見ているわけです。これで果して本年度の昇給を見ているかどうかという問題です。昨年の四月一日の給料に対して五%の昇給財源を見てある、それで果して昭和三十年度の昇給財源があるのかないのか、私は疑問に思うのです。これが昭和三十年の四月一日、今年の四月一日の給与に対して五%の昇給率を見込んであるというなら、今年は確かに財源措置はしてあると思えるのです。その点どうも私は疑問に思うのですね。ですからその疑問を氷解するように説明してもらいたい。どうも昇級財源がはっきり組んであるようには思えないのです。
  84. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) お話の通り昨年の四月一日現在一万五千二百九十九円の線で給与をきめて、それに対しまして三%昇給した一万六千六十四円というものを三十年度予算の単価に出しております、その後五%昇給ということを加味しまして、これによって財源を立てておることは御承知の通りであります。これによって十分対応できると思うのです。
  85. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 昨年の四月一日を基準にして五%見ているわけなんですよ。昨年度はそれでいいでしょう。本年の基準にすべき点は、私は今年の四月一日が基準にならなければいかぬと思う。そうしなければ、昨年の基準に五%見たってそれは昨年度に昇給してしまっておる。今年の昇給財源にはならないという私の考え方ですがね。その点説明していただきたい。
  86. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) こまかい内容につきまして……
  87. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 こまかくないですよ。簡単ですよ。基準をいつに置くかという意味です。
  88. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは四月一日現在に基きまして、そうして年間を算出した経路があるのでございますから、ちょっと私ここに持っておりませんのでさらに申し上げますけれども、これを基準にしましてそうして年間のこの昇給、平均の昇給の操作がありますが、それを加味してそうして年間五%ということを計算したわけです。なおちょっと私ここに持ちませんので、その内容の操作につきまして、資料でお配りしたいと思います。
  89. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はむずかしい資料はこの問題については要らないと思っているのです。と申しますのは、昇給財源が見てあるというのは本年度です、三十年度において昇給するわけです。それに必要な財源を見てあるということであると思うのです。そうすれば本年の四月一日が基準になって、今年の四月一日に教員は幾らの給料をもらっているか、これを基礎にして五%昇給するのだと、そこで五%の財源を見るということになって初めて私は財源が見てある、こういうふうに言えると思うのです。ところが文部省の計算は今年の四月を基準にしていないのですよ。昨年の四月を基準にして五%見たって、それは私は今年の昇給財源を見たということにはならないと思う。これはむずかしい資料は要らないと思うのですね。ごく簡単であると思うのです。どうですかね。
  90. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ちょっと私ここで……計算の基礎を先ほど申し上げましたが、ちょっと今ここで……。
  91. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ではこの説明は他日に譲ります。  この際文部大臣に伺っておきたいのは、教員の停年制の問題です。これは私は政府の決定として、地方公務員である教職員に対しては停年制をしかないという決定をされておるやに聞いておるわけですが、この際大臣から正式に政府の態度を説明していただきたいと思います。
  92. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げますが、閣議で教育者をはずすという了解のもとに決定をいたしておると思います。多少の誤解等もありまして、まだ未解決のところもございますけれども、大体さよう御了承を願ってよろしいと考えております。
  93. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は非常に重要なんですが、今日質疑段階に入っていないので、私近い機会に詳細な説明一つ求めることを留保して、質問を私は終ります。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほど質疑をし、それから速記をとめて懇談もしたわけですが、その間政府側の答弁を承わって私感ずることは、この趣旨徹底のために通牒を出されても政府部内で何ら問題になることはないと思うのです。そして各省当局に無用の摩擦を起さないところの大きなプラスの面があるので、重ねて私は出していただきたいと思うのです。しかもこの前の皆様方の御答弁は、地方財政計画の中に盛り込まれた半額負担の残りの二分の一については、文部省の裁定に基く実績の二分の一が汗パーセント盛り込まれるように文部大臣としては自治庁当局に要望して、自治庁当局も残りの半分は完全に入れてあると、かように了承していると、こういう御答弁をここでなさっておられるわけですから、その御意向というものは、この鳩山内閣として一致した御見解なのでございますから、それらを十分徹底するために、その通牒を出すことは、マイナスになる面は一つもなくて、私はプラスの面が大きいと思うのです。従って早急に今各都道府県では予算審議を前にして重要な段階にありますので、早急にそういう説明通牒を文部大臣の単独名でよろしゅうございますから、あるいは大胆の名前でいけなければ、事務次官でもけっこうですから出していただきたい、これが一点。  それからいずれまた私質疑を行いますが、先ほど荒木委員から質問のありました停年制の問題については、再三大臣のあるいは公けにあるいは私的に御意見を伺っておるわけですが、ただここで念を押しておきたい点は、ただいま大臣が述べられた内容のもので、やがて地方公務員法の一部改正法律案が国会に提出される、かように私了承しておきますが、よろしゅうございますね。この二点について重ねてお答え願います。
  95. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お答えをいたしますが、あとの停年制のお話は、教員を抜いて提案するかという御質問でございましょうが、実は私教員の停年制ということには、先刻申した通りの確信を持っておりますが、教員を抜いたあとの停年制がどういうふうになるかということについては、私主管外でございますが、ちょっとここでお答えいたしかねますが……。
  96. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教員だけは入らないのですか。
  97. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 教員だけは入らない……。私自信を持って前からお答えを申し上げております。さよう御了承をお願いいたしたいと思います。  それからさっきの通達のことでございますが、これはそう問題にするほどの……お話の通りに運んでもいいのですけれども、今自治庁との関係もありまするし、そうして予算審議中で、ようやく衆議院を通って参議院へ参ってこれからの審議を願うときに、大臣名などで地方へ、もちろん通ったならばという前提をつけますけれども、どういうものかとも考え、これはやることはやりますが、できれば予算の成立ができて、そうして後に出してもおそくはないんじゃないか。と申しますのは、この間の会議でもこちらで事務的に話をしておったことでもあるししますから、そんなようなふうに考えているわけでございますが、事情によっては、これはまた考えないこともございませんけれども、あけすけに申せば、そういうことでございます。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が申し上げていることは、この国会で予算審議段階に、その予算が国会で成立したかのような前提のもとに政府からいろいろの通牒を出すということは、原則的には好ましくございません、確かに大臣の言われる通り。しかし国会で審議されているこの予算と、この六月県議会で審議されようとする各都道府県の予算とは、これは密接不可分の関係にあるものです。従って私は現在国会で審議されている予算教育予算は一応かような見解のもとに予算が組まれているのだという、説明する趣旨の文書を流しても、少しも国会に対して政府の越権になるわけでなし、半額国庫負担というような法律で国家予算と地方予算が密接不可分の関係にあればかえって私は望ましいことだと思うのです。それで大臣の名前で云々と、川島さんとの関係で工合が悪ければ、事務次官の名前でやられたらいいでしょう。それで一つお願いします。
  99. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お話はよく承わりまして、どうせ時期等のことも一つよく考究いたして御趣旨に沿うように善処いたしましょう。
  100. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 早くやって下さい。
  101. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまの議題になっております地方教育予算に関しまして文部当局から趣旨徹底をはかるための通牒の審議はこの程度といたしまして、次の議題に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。     ―――――――――――――
  103. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑入ります。質疑のある方は順次御発言をお求めを願います。
  104. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 大臣にお尋ねいたしたいと思います。ごく簡単にお尋ねいたしますので、ごく簡単にお答え願います。  国立学校だけの問題でもありませんが、短期大学の問題ですね、これがどうも私などの聞いておる範囲におきましては、いろいろ世評に上りまして、評判のよくない部分があるようであります。で、昨年の夏の末ころであったかと思っておりますが、この委員会におきまして、私ちょっとその問題につきまして稲田大学学術局長お話を承わったこともあるのであります。結局、私がその際申しましたことの大筋は、どうも今のままの学制ではいろいろ難点もあるように承わっておるので、必要があったらこの制度を改正していくということに考える方がいいんじゃないか。もとより善悪についてはいろいろな意見もありましょうが、もし欠点があるのだということを前提として考えるならば、相当に急いでこの問題は研究しなければならない問題じゃないか。で、まあ悪いという前提で考えるならば、病膏肓に入ってからではなかなか手術のしようもなくなる。ことに財政の関係も伴う問題でもあるから、もし必要であるならば、できるだけ早い機会に手術をすると、学制を改めていくというねらいをもって文部省の方で毛、中央教育審議会の方でも御研究を願うことが必要でないだろうかということを私申したわけであります。で、その際、審議会の会長をしておりました何と言わたましたか、何とかおっしゃいましたね、緒方さん、中央審議会の会長は……。
  105. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 現在は天野さん……。
  106. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 いや、その当時は……。
  107. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) その当時は亀山直人さん。
  108. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 亀山さんでしたね。亀山さんにもこの委員会においでを願いまして、審議会の審議の模様などを承わりましたところが、はっきりした約束をされたわけではありませんが、こういう問題について小委員会ででも研究することになっておって、昨年の言葉で申しますならば、本年中か来年早々はその小委員会の話もまとまるであろうと、ことにまた審議会の委員も相当数入れかえることになっておるので、そのころまでには大体の筋道を私の委員会としてはまあ解決したいという希望を持っておりますというお話しがあったのであります。で、その後――その後でありません、この委員会を開いて間もなくのことでありましたが、秋の初めごろであったかと思います。新聞で見まするというと、文部省の方でも相当にお考えになったような記事も散見したのであります。それは大体今の短期大学制度では、なかなか世間に出てすぐに働けるような卒業生を送り出すというようなことも困難なような事情もあるから、もとの実業学校、実業専門学校のようなものに似寄ったものに切りかえていくことも一つ考え方じゃないかというような意見が一部からも出、また新聞の記事によるというと、文部省の方でも大体そういうふうに傾いていかれたかのように察知されたのであります。で、その後そういう問題がそのままにずっと今日まで何らの解決もありませんで、引き続いてやがて一年近く経過したわけであります。ところがその問題は短期大学を主として取り上げましたけれども、短期大学だけの問題じゃなく、四年制の大学にももとより関係のあることであります。ひいては大学院等にも関係するわけであります。で、その際におきまして、この国立学校設置法の一部を改正する法律案というのが提案されまして、それによるというと、公立の学校国立に引き直すというような問題も含まれておるようであります。私から申しまするならば、せっかく文部省なり中央審議会等の関係の人たちがそういう問題について研究を進めておられるこの際に、こういう提案が出されるということには、相当な根拠のあることであろうと思っております。それはまたこれから御説明を伺えばわかることだと思っておりますので、それがいいとか悪いとかいうことを今申し上げるわけではありませんが、この際大臣に伺いたいのは、今の短期大学制度を中心として、六・三・三制、義務教育の方は今ちょっと申し上げないでもいいのでありますが、あとの方につきまして、大臣は今のままの制度でずっとやっていいというお考えをお持ちになっておるでありましょうか。それともいつかの時期に何とかこれを改正する必要があるとお思いになっておりますか。それとも今相当に御研究中なのでありましょうか。その点を大筋のところをお答えを願いたいと思います。
  109. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げますが、御承知の通りに私は就任日が浅うございますから、確然たる自信を持ったことは申されませんけれども、検討を要するのじゃないかという感じを持つものでございます。それともう一つの、もうこのように大学の上に大学があり、大学の下に大学があるというような形が、これはどうかと思いますので、現在は原則としては、このままでちょっと設立をストップしていきたいと考えておるわけであります。そのうちに確たる方針でもきまってから考うべきだと思うておりますのですが、今日までこれには幾多の検討はやりつつあるようでありますから、それにつきましては大学局長からお答えをいたしますけれども、私はやはり検討を要するのじゃないかというふうに考えておる者の一人でございます。
  110. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ただいまの大臣のお答えによりますというと、現在の制度が必ずしもいいのだとお思いになっていないので、検討を要するというお考えであるように拝承したのでありますが、私もそういうふうに実は考えていただかなければならないことだろうと思っておるのですが、私から申しまするまでもなく、今の大学程度が、もとの旧制大学程度に比べまするというと、四年制にしてもだいぶん下っておるというのが定評でありまするし、なおまた私など、こまかく一々検討いたすこともできませんけれども、修士課程にいたしましても、博士課程にいたしましても、これが学校を卒業したときに一体どうなるんだろう、大学院の性格は一体何だろう、大学とどう違うのかというようなことも、どうも今の学校教育法ですか、これによって大学とかいうものに関する定義を見ましても、博士課程の大学院で学習すべき事項につきまして説明してあるところを見ましても、どうもはっきりしないような部分が多いのでありまして、そういう点などにつきましても相当に研究の余地があるように思うのであります。ことに、昨日の夕刊を大臣はお読みになったかしりませんけれども、大学の基準協会の総会では、修士課程の二年、これをしっかり職業のできるような卒業生を出すような大学院にしたいというようなことの申し合せがあったというような記事も昨晩見えておるのであります。こういうことは、大学及び大学院の現在の制度そのものに関係しており、それを変えようとしておる大きな問題であると私は思ったのであります。で、そういう問題は今その方面で着々と研究されておるのでありまするが、あまり長くかかってははなはだ因りますので、できるだけ早い機会に、ほんとうに正しいという方向を大臣の方で打ち出していただくことが必要ではないか、かように考えておるわけであります。このことは、昨年も私は、元の大臣はおいででありませんでしたけれども、局長がお聞き下すったことであったと記憶いたしております。亀山直人さんも大体その点はやはり御了承下すって、その含みでしっかり研究いたしますからというお答えであったので、その後あの委員会から御答申も文部省にあったことじゃないかとも想像されるわけであります。大へんくどく申しますが、要するに私の申しますのは、この問題はあまり長くぐずぐずしておっては間に合わない。卒業生はどんどん出ていく。学力が低下すると、このままおきましても、大学院はどんどんどんどんふえていってしまう。どれだけのほんとうのりっぱな博士が出てくるのか、それがほんとうに国のためにも、人のためにもなっていくのかということもはっきりしないうちに、どんどん出ていくような傾向があるように思います。ぜひ一つ何とか検討を急いでしていただきたい。もとよりむずかしい問題でありますけれども、またきょうあすにどうするということのできる問題ではないと思っておりますが、むずかしいだけに、それだけによく力を大臣の方で入れていただいて、教育審議会あたりとも、そのほかの機関とも連絡をおとり下さいますように私は心から、ほんとうに心から希望いたす次第であります。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの大臣の発言は本法律案審議関連して、きわめて重大だと思うのです。ここに出されておる法律案は、学部の設置、学科を分離するもの、それから大学移管大学院の設置、短期大学の設置と、こういう内容の法律案です。私はこの法律案を出された大臣としては、当然今までの大学制度というものをやはり大筋としてはこれを守って育成されていくと、今の制度下における大学がとかくの問題があることは、裏づけになるところの予算が貧困なるがためにそういう事態が起っておるので、私は大臣としては、大筋としては育成されていくという御見解のもとにこの法律案を出されたものと、かように了承してこれに接しておったわけですが、今あたかも根本的に検討を要すると考えておると、どういう角度から根本的に検討をしようとされておるのか、その内容を一応承わらなければ、この法律案審議に私は入れないと思うのですね。それから今竹下委員の指摘された通りならば、次々に学生は卒業してくる。学部、学科は次々に増加をしてくる。それだけにしっかりした固定した方針というものがなければ私はならぬと思うのです。それが一方には根本的に検討しようと、新たに学科、学部をどんどん増設し、移管していくというのでは、これは私は文教政策の大筋としては、大臣として無責任だと思うのです。
  112. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お答えいたしますが、これは決して私として無責任ではないと考えております。なぜかと申しますと、この短期大学というものは暫定のなにであって、当分の間の措置として今日まできているわけでございます。従いまして、今のお問いに対しましては、そしてまた内容も調査中であって、検討を欲するとお答えするのは、これは当然であろうと考えます。それからこれが、私がたとえば抑制されておると申しますのは、これは大学制度全体につきまして、ずいぶん乱設のなにがありますから、今度ここに提案をいたしましたのは、すでに着手して準備の予算も前年来とったとか、すでに文部省として約束済みとかいうのだけをこの際約束をいたし、予算をとって準備をいたしたものは、これは今度のなにに出すのは当然であろうと思いまして、それで、そういう関係のものだけを全部ここへ出したわけでございます。今申し上げました、それは研究を要すると出しましたのは、そういう法律的の御定の措置として設けられたものでございますから、それで、すみやかにそのなにをきめろという御質問に対しては、その通り考えておりますと、こういうふうにお答えを申したような次第でございます。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は国民の立場に立って、私は現内閣に限定しないで、終戦後成立した各政府当局に対して、私は無責任という言葉を発したいのです。それは、今大臣は、学科と学部の新設、移管とは、予算が云々で前からの行きがかりで何々になった部分だけと、こういう御発言をする、それを毎年繰り返しているのですからね。今の制度面にしても、今あるところの学部を充実するようにしていくのがいいのか、それとも次々に学部をふやしていくのがいいのか、そういう基本的な方針も何ら打ち立てずに、これは日本の政局不安定という関係もありましょう。けれども年々歳々文部当局はこれは前からの行きがかりでこうなってきた、こうだと、今松村さんが述べられたようなことで、年々歳々こういう提案をしてきているわけです。終戦後十年たって、わが国の学制制度そのものすら固定した、これでわが国の学制制度はいくのだ、これに国民がついてくればいいのだというものがなくて、いつ変るかわからぬ浮き草みたいな、制度そのものがそういう状態である。また教育行政制度もそうですがね。ほんとうに半永久的にこの方針日本教育行政制度はいくのだというようなものがなくて、いつ変るのだろうかという、まるで浮き草のような格好で終戦後十年たってあるということは、事教育のことだけに、私は国民の立場に立ったらば、為政者何しているか、無責任な行き方ではないかと、こういう声は私は当然出てくると思うのですね。その責めを就任日浅い文部大臣一切受けて下さいとは私は要求はいたしませんが、しかしながら、当面、この法案審議するわけですが、この法案審議するに当って、前の行きがかりがあるにしても、大臣として相当根本的に検討を要する御見解を持っていらっしゃるとあれば、私は審議に入る前提としては、今、大臣が大まかながらも持つていらっしゃるところの検討を要する点は、どういう点で検討を要すると、どういうふうになったらいいんじゃないかと思うという、大臣の大まかな見解の御披露でもなければ、私はこの審議は続けられないと思う。ということは、私はこの見解には、大臣の見解を支持しているわけですが、大臣は、一党一派によって国の文教政策というものは変るべき筋合いのものでないということを常々大臣は就任以来発言されております。従って、今の鳩山内閣はいつまで続くかもしれません。また松村文部大臣が、文部大臣の職にいつまであられるかもそれもわからない。あるいは長いかもしれません。あるいは短かく、大臣は他の国務大臣になられるかもしれません。しかし、大臣が今も言われるように、わが国の教育というものは、誰が大臣になろうと、あるいは政党がかわろうが、そう変るべきものでなくて、一貫した流れをたどるべきものだと大臣が言われている通り、その歴史の一こまを松村文部大臣が担当されているわけなんですから、だから、その大きな流れの一部分、一こまを大臣が責任をもってやられているわけなんですから、だから、私は政局云々とは無関係に、時の大臣がそういう見解を持たれているならば、一体どういう御見解かという大まかでも承わらないことには、先ほどのような言葉を承わっては、この法律案審議にはなかなか入りづらいし、力が入らないと思う。従って、今すぐ御答弁できなければ、次回でもけっこうですから、大まかなところの御披露をいただいて、それから本法律案審議をしていただきたい、私はかように思います。
  114. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げます。実は今お話の中にありました通りに、私は大学の新設、増設は、これで原則的には増加しないようにいたしたいという考えを持っております。お話の通り私はいつかわるかもしれません。しれませんけれども、どうか一つこれを、かわりましてもその方針をぜひ維持していって、そして大学教育の内容の整備に全力をあげるのが、これが最善の方針であらねばならぬと考えておるのでございまして、内閣はかわり、当事者はかわりましても、文教の委員会皆さんの御尽力によりまして、そういうことに関して、この大学の内容の充実を当分第一義に考えたいものと切に希望をいたし、今私の間はその方針を第一義といたして、今日までの懸案を一まず片づけたいと、こういうつもりでございまして、大蔵大臣にも、かつてその私の腹心を申して、次からは内容の整備、充実に費用をかけたいのだということも申していたようなわけでございまして、どうかこれが変らざる方針として運営できますならば、非常に大学教育の向上のためにいいのじゃないかと考えます。  それから、短期大学をどうするかということにも関連があろうと思いますから、これは今審議会その他において、今大学局長からお話し申してもようございますが、まだ懸案のうちですから、私の私案を申すのもどうかと思いますが、実はこれを卒業教育に重点を置いて変えろというような意見もありまするし、それからこの卒業者の就職その他の目標も、おのずから普通大学と異なるものもあります。こういうことをよくにらみ合せて考えなくちゃ、ならぬと思うのでございます。今日も大学総長の会がありまして、ここへお伺いする先に出ておりましたところ、これは大学卒業者の社会的就職の要望と申しますか、それとマッチしていくこともやはり考えなくちゃならぬのじゃないかという御意見も承わりました。私もやはりそういうふうに考えているわけでございまして、今日は経済の六年計画というものが立ちますならば、これは自然に人的の裏づけもなくちゃならぬわけでございますから、それとマッチいたしまして考えなくちゃならぬということで、高碕長官にも私そのことを申し入れて、一つ大いに研究をしようじゃないかというようなことを申しておるわけでございます。短期大学の名前を改める改めぬは別といたしまして、内容的にその職業教育とすることを是なりとすれば、やはり経済の面とマッチしたものでなければならない、こういうふうに考えておるのでございまして、決して現在今度提案いたしておりますこととは抵触はいたしていないと思いますから、どうぞさよう御了承願いたいと思います。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単に三点伺います。それでは暫定的な短期大学に対する文部大臣の御見解はただいまの御発言で一応わかりました。で伺いたい第一点は、現在七十二あるところの国立大学の四年制の大学、これはそのまま維持していくのであって、この四年制大学の一部を、その名前を何といいますか、産業教育をやるような二カ年の短期大学に準ずるものに格下げするようなそういう検討を要するとはお考えになっていないと、かように私は今の答弁から了承したのですが、さようかどうか。これが一点と、それから第二点は、具体的に今までずいぶんと問題となっておりました教員養成の課程というものは、二年課程と四年課程とがあるわけでありますが、やはり教育者の質の向上という立場から、四年課程の大学に、二年課程は暫定的なものとすべきであると、こういう見解がわが国の教育界には非常に強く、歴代の大臣は二年課程の教職員の養成課程は、四年大学にもっていくべきだということを本委員会でも答弁されているわけでありますが、この方針は変らないものと了承してよろしいかどうか。  それから最後にもう一点、大臣は大学制度検討云々と言っておりますが、おそらく大臣は国家予算との関連ともやはりあわせ考えていると思うのですが、その立場から今のわが国の大半の予算というものは一兆円予算、このたびの予算修正で一兆円をこえたようでありますが、そのうちの三百十億円、領土が狭く、人口が過剰である、資源の乏しいこの日本の国の大学予算というものは三百十億というようなものが妥当な金額とお考えになっていらっしゃるのか。それとも大臣としては検討するという立場に立って、約三百十億というような数字は日本教育予算の中の比重としてはさらにこれを上げなければならない、さような努力をしなければならないという御見解に立っていらっしゃるのかどうか、以上三点についてお答え願います。
  116. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 普通大学を格下げするとかいうような考えは毛頭持っておりません。そして普通大学制度を再検討するという考えも持っておりません。これは明確に申し上げておきます。  それから教員養成のお尋ねでございますが、これはすでに前任者の申し上げました通りの方針で進んでいきたいと考えております。  それから大学予算関係でございますが、私はこれで足れりとするものではございません。内容の充実のために、できるだけこれは急いで充実をいたしませんと、せっかく大学をこさえながら、内容のないものにしてはなりませんから、これには内容の整備のためには、さらに予算も必要とすることと思うのでございます。研究講座の費用のごときは実際これではほんとうにやっていけない。これをまあ芳しい中を忍んで今日まできておるのでございますから、それにどうかしてだんだんよくして、予算措置も講じたいと、こういうふうに考えております。
  117. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほどからの大臣の御説明によりまして、この大学を増設するということは、今度限りであって、今後はする考えはないということでありましたが、私もう一つお尋ねしたいのは、今すぐにこれをお減らしになる考えがあるとかいうことはお答えにくいことであろうと思いますが、減らした方がいいという意見も世間には相当にあるのであります。そういう点について御検討なさるお考えはございませんでしょうか。
  118. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) これはすでにでき上った……、新たに白紙の上に置きますならば、理想的に置けると思いますけれども、今ここまで八年の時日を経過してみますというと、これをにわかにやめるわけには、私は整理をすることは困難であろうと考えます。これでもし道州制でもしかれたなら、そういう場合にはこれは大きく直すことができるかもしれませんけれども、今日におきましては、苦しくともそれはできない。ただ今日においてできますことは、地方によって特色を持たそうということはでき得ることと思います。それをやりますならば、これは整理にはなりませんけれども、力の重点を地方地方の特色のある大学に持つことができるのじゃないか。これは努めてやるべきことじゃないかと考えております。
  119. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今お話の通り、現在できておるものを減らすということになると、いろいろな政治関係などもからみますので、これは容易なことではないと思っております。ただ、今あとのお話の中に包含されておるのかもしれませんが、たとえばある大学が元の馬等農林のあれで、歴史の非常に古い学校だ。しかしそれと一緒にできたほかの学部は、どうもあまり成績がよくないというような種類大学が総合大栄として方々にあるやに考えられます。そういう点をよく研究いたしまして、まあさきの特色のある学校にというのが、それに当るのかもしれませんけれども、あるところでは一学部をやめてしまって、そうしてほかのところと一緒にする、いい学校と一緒の学部にするということにして、教授陣を一緒に集めるということにしたら、いい先生も集ってき、経費も少くて済むということが考えられるわけであります。そのかわりまた捨てた一方のあるかわりに、残った他の方から、ほかからもらってそこで交換というふうなことにもなりますが、そういうことも考えられる制度の改革じゃないかと、かように考えておりますが、これはいかがでございますか、何か御研究になりましたか。
  120. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) やはり私どももお話の通りに考えておりさして、そういうことで特色を持たしていく。どうしたって大学というものは沿革が自然にそういう形になって参りますので、三年や五年でそういう特色などが出るものではありませんけれども、そういう形で培養していかなくてはならぬ、こういうふうに考えております。
  121. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほど矢嶋委員からちょっと御発言がありましたが、私もこの式でどんどん学校がふえていったら、今さえ多過ぎるのが限りがなくなってしまう。国家の財政がますます窮乏して、現在ある学校をよくするということもできないだろうということを心配しておりましたけれども、大臣の御説明で、この後もふやさないという御説明で了承いたしました。事務当局としましては六三制の今日まできまったことが方針が変らない限り、その既定の方針に従って着々と事務的に進めておいでになるということは、これは無理からんお立場だと思っております。大臣の方では先ほどの御言明がありましたので、その後は一つ大臣がかりにお変りになりましたあとにおきましても、またもとに返るようなことのないように一つしっかり御努力をお願い申し上げたいと思っております。  それから先ほど私は短期大学のことを中心として、そうして義務教育を除いたほかの学校を加えた意味で申し上げたのでありますけれども、力がやはり短期大学の方によけい入りましたので、大臣は短期大学のことだけにお聞きになったかのようにあとの御説明で想像しておるのでありますが、私の申しまするのは、短期大学が一番問題になっておるけれども、四年制の学校でも相当に問題があります。また、現在の卒業生の学力ではほかの国の大学の卒業生と比べて見劣りがするのじゃないかということも、しっかり検討しなければならない問題であると思います。大学がほかの国の大学に劣るということになりましたならば、日本の将来はまことに悲しむべき事象が起ってくるということは、疑いのないことだと思っておりますから、外国並みの程度大学には仕上げていかなければならない。それについてはあるいは学年を長くするとか、あるいは今の年限であっても、それを何らかの方法で充実して、しっかり学力を養成してやるというような方法があるのじゃないかとも思えます。先ほどもちょっと申しましたが、大学院の修士課程、学士課程につきましても、相当に私は研究してもらわなければならない大きな問題が残っておると思っておりますから、ただ短期大学だけは考え制度の改正について検討しておるけれども、ほかは検討しないとお考えであるかのように、先ほど私承わり差したのですが、その点は一つ全部関連して御検討をお願いしたいとかように私考えておる次第でございます。
  122. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 竹下委員質問関連をして確めておきたいと思うのですが、この松村文相の文教政策の中の、大学の内容を充実して、今後大学の数をふやしていかないのだと、これは私は一つの見識だと思うのですが、大学の牧をふやしていかないのだということは、学部を増設するということと直接つながっておるのですか。竹下委員質問では今後松村文相は学部の増設もしないということを原則に考えておる。それに対して文相はそう考えているかのようにお話になったのですが、そのように解していいのですか。
  123. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私言い過ぎになったかもしれませんが、私は学校の増設という意味で申し上げたのでありまして、学部とは申さなかったつもりでございます。もし言い違いがありましたら速記を一つ委員長の方で改めていただきたいと思います。
  124. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その点大臣から御説明を願いたいと思います。
  125. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 学部の増設につきましても、原則といたしましてはできるだけやりたくない考えでおります。しかしながらごく新しい分野において必要なものは、これは進んで、やらなくてはならんと思うております。たとえば原子の研究それを平和的利用に使うためには、そういう科を設けるとか。……、これはただ一例ですから、それにきまったわけじゃありませんけれども、そういう世の進歩によって、新たに日本大学のどこにもないとか足らないとかいうものは、これはやはりやっていかなければならない。それからただ一地方だけの見方から、これをやればいいとか何とかいうようなところからの学科の増設は、私はやはりチェックした方がいいので、日本全体の必要面から見て足らないものは、これは増していく、こういう方針をとらねばならんと思い、大学局長ともそのように相談をいたしておるわけでございます。
  126. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は今の文部大臣の学部の増設についての見解ですね、これが正しいかどうかということについては若干の疑問を持ちます。文部大臣の言ういわゆる大学の内容を充実していくんだということは、学部の増設をしないということを意味しているのだ、こういうことになると、私ども相当これは考えなければならないというふうに思うわけです。もちろん歴代内閣が大学教育のために計上して参りました予算、これは非常に貧弱でございます。私どもはこの予算を肯定することはできないわけです。私どもはもっと大学教育だけではございませんが、教育の面において予算の増額はできるだけ、またはからなければならぬと考えておるわけです。ただそういうことが今日まで実施されておらない。教育予算が非常に貧弱であるということから出発して、そうしてその予算がないから、金がないから、大学の学部の増設にしても拡充はやっていかないのだという、こういう考えに通じてくるのじゃないかと思う。私はそういう意味において、むろんやたらに大学をふやしていくということはできないと思うのです。だから内容の充実をはかっていくということは、いいことであると思いますけれども、そのために必要な学部の増設さえ考えない、原則としてやらないのだというふうな方針をきめてしまうということは、私は若干早計であるというふうに思います。この文部大臣の考え関連して私は尋ねるわけですが、今度の昭和三十年度予算は、文部大臣の教育政策が織り込まれて編成されたものかどうか、あるいは民主党の教育政策というものが反映して作られておる予算であるかどうか。それをこの際伺っておきたい。
  127. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) これは何と申し上げていいですか、あの政変がありましたあのいきさつからごらん下さいますと、大体おわかりだろうと思いますが、予算の編成の初期は自由党内閣でございました。それから十二月から今の第一次の鳩山内閣に変って参りまして、私はその第二次をお引き受け申したわけでございます。従いまして第一次鳩山内閣ができ、もしくは第二次内閣ができてから、できるだけ私どもの考えを組み入れたいと思って、できたところもありますが、以前からのなにもございます。民主党の考え方もやはりそういうことだと考えまして、こうして提案いたしました以上は、これは自由党の案の蒸し返しだということを申すのではございませんで、これは全然私の責任において提案をいたしたものであり、これは全部が私の文部大臣としての考えからなにをしたものと御了承を願いたいと思います。  それから先刻お話でありましたが、ちょっと誤解があると思いますから、私申し上げておきます。それは必要な学科を作らぬというような考えは毛頭あるわけではございませんで、それは申した通りでございます。しかしこれまでの何にもずいぶん乱設があったと見ております。ごく近い距離において、同じ種類の学科があるとか、いろいろのことがありますので、それで全面的に日本全体の大学網から見て、そして必要なものをこれはもちろんやらざるを得ないことは先刻申した通りでございます。そうでなくてもいい。なくてもしのげるというようなものは、これはあとへ回すのが当然じゃないか、こういうふうに考えておるのでございまして、予算がありましても、まだまだ使わなくちゃならぬ、急を要することが多うございますので、それらをにらみ合せてやっていきたい、こういう考え方でございます。
  128. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 関連質問関係上、私は他の問題の別間は差し控えますが、この予算は今までの政府の成立の経過から見て、文部大臣の説明はわからないでもございません。ただしかし、大学関係予算、この予算の中には文部大臣の考えというものがかなり実現されているというふうな面があれば、この際説明をしておいてもらいたい。
  129. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) それを申し上げますならば、私は先刻も申し上げましたが、今年度予算大学のかねての準備のできたもの等はこういうふうに提案をいたしましたが、そしてこれを出した精神には大学の新設ということを厳重にいたしまして、そして内容の整備へこれから力を注ぐ、こういう方針がこの中に含まれておると御了承を願いたい。それから差し当っては科学の奨励費というものを考えました。ことにもう一つの化学の方の費用は、これを今日科学立国の形でゆかなくちゃならないのですから、これをやりたいと思うので予算に盛っていった。これが一つの私の考え方と申せば考え方と申せます。そうしてこれはできるだけ重点主義にまとめて、研究の効果が上るようなところへ助成をいたしたい。それについては一定のきまりを設けまして、大学であるとか法人でありますとか、それらの方の申請を受けまして、そして委員会等に諮ってその決定をいたして、きわめて重点的にやりたいとこういうふうに考えております。今日までの科学振興の費用は、これはどうも講座の費用が足りませんので重点的にいきませんで、均分せられてしまう傾向がありましたが、これはやむを得ないことでございますが、将来はこの講座の費用を経常費を当然増しまして、そして科学振興の費用はやはり重点的に効果が直ちに上ることを目ざしてやりたいものだと思うのでございます。従って次の年度からもしもできますならば、講座の費用と申しますか、これがきわめて少いのを増額するように努力をいたして、内容の整備をはかりたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  130. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 予算全般については他日に質疑をしたいと思いますが、私この予算を一覧しましても、昨年度予算に比べて減額されているという面が、十数項目にわたっているわけなんです。軒並みに予算が減っておる。ちょっと言い方が大げさであるかもしれませんが、そういう感じさえ受けるわけなんです。総額においてはふえているわけなんですが、かなり多数の項目について減額されておる。これが民主党の教育政策に沿う予算であるのかどうかということについて私は疑問に思っておった。特にこれはささいな問題であると言えば言い得るかもしれませんが、学校給食の問題を一つ取り上げてもそうです。たしか今度の予算には学校給食費についてはいわゆる要保護児童だけでなしに、それに近い学童については国が補助する、そういう方針文部省としても考えておるのだということをしばしばこの当委員会でも説明があったわけであります。そういうものでも省かれておる。私は予算全体について他日に質疑を譲りますが、相当民主党の文教政策については疑問に思っておる点があるということを申し上げて、関連質問ですから、この問題は他日に譲りたいと思います。
  131. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま問題になっております点について、もう一点私はただしておきたい点があるのです。それは大学の数並びに大学の学部の数と質が問題になっておるわけですが、その角度からもう一ぺん伺いたいのです。それは私は守らるべきものはやはり教育機会均等ということと、それからこの問題を考えるときに当然われわれが考慮しなければならぬことは、国民経済力ということだと思います。そこで私はこの大学教育というもの、また高等学校教育を上回るところの職業産業教育という面から考えましても、私はこの努力さるべき一面が残っておると思う。それはやはり夜間大学の問題だと思うのです。現在通信教育あるいは定時制教育というものがあって、勤労青年が高等学校教育までは何とか窓口があって学習することができる。ところがその高等学校教育を終えた後に、大学教育機関というものが適正に日本全国土に網が張られていないというところに、そこに教育機会均等の道が閉ざされていると思うのです。従って私は今後の教育機会均等と日本国民経済力というものをあわせ考えるときに、この大学学校の数、それから学部の数、質、それらを考えるときに、短期大学、夜学部というものですね、この適正なる配置とこの充実とには一段と努力さるべきではないか、そしてまた官界においても民間においても、この昼間の大学とそれから勤労青年が普及されたところの夜間の大学卒業生というものを差別しないところの、差別扱いしないところの慣習というものを私は打ち立てることが、やはり日本教育機会均等と民主教育の確立という立場から非常に私は重大なことだと考えております。私が申し上げなくても大臣のお耳に入っておると思いますが、現在日本の民間では採用試験をやる場合に第一部学生に限る、つまり昼間学生に限るというような制約を設けて、いかに優秀な夜間の学生であろうとも、採用試験を受験することさえ許さないというこの民間の態度については、私はぜひともこの文部当局でも尽力していただきたい、かように思うわけです。伺いたい点は、それらに対する見解と、この勤労青年が学ぶところの最高学府の全国的に適正なる網を張る程度までは、その点は拡充さるべき努力事項として私は残されておるのじゃないかと、かように考えまするので、これに対する大臣の見解を伺うとともに、事務当局に対しては次回の委員会までに官公私立の短期大学の全国配置状況についての資料、並びにその資料の中に、もしできますならば志願者がどの程度あってどの程度の志願者が入学を許可されたというような資料をつけ加えていただけばありがたいと思います。大臣の御答弁を求めます。
  132. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 今のお話は私もその通りに考えます。しかしながら、これは教育界において、大学教育におきましても、それ以下の教育におきましても、やるべきことは実に多いのであります。すべてを一時にやることはできませんので、ずっと順を追うてお考えのようなところへ到達するようにいたしたいと思います。今事務の方から承わりまして、読んでみますと、国立の夜間学部が現在六つございます。それから夜間の短期大学が十九全国に大体配置されている状況です。これからずっとさらに綱を拡充いたしまして、そしてお活のように全国的に何をするようになったならばけっこうだと思い、そのためには努力をいたしますけれども、これはなかなか一時にはこれは参りかねますので、そういうことも一つ考えてやろうと思います。  それから今民間採用の点につきましては、これはいろいろお話にもありまするし、これは実際いろいろ考えさせられるところも多うございますので、よく研究をいたしたいと思います。
  133. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで終りますが、私が申し上げたい点は、私の専門知識を持たない立場から見ましても、学部の配置状況日本の少くとも現在における産業構造とぴったりしているかどうかという点に若干疑問を持つ向きもあります。たとえば具体的に申し上げますと、日本は農業、水産国であるが、農学部の各県、地域への配置はあれでいいのかどうか。むしろそれぞれの農学部をふやすことよりも、今ある農学部を充実して隣の県から隣の大学の農学部に行くというくらいにさらに充実した方がいい場合があるのじゃないかというような個所も一、二私の私見ではあります。それで私が今申し上げました短期大学のことを申し上げる点は、一つの必要な学部は設けなくちゃなりません。学科の増設もやらなくちゃなりません。それをやる予算よりは、国立大学利用して勤労青年のために夜間学部を設けるというのは、これは施設設備の併用ができますから、また優秀な教授の方には御苦労かもしれませんが、時間的な関係で教授を確保するという便利もありますし、しかも勤労青年教育は学習できて、教育機会均等ということが一歩でも前進する、国家予算は少くてもよろしいというようなことをあわせ考えるときに、私はややともすると、この学部とか大学というのが、政治的背景をもってできる場合が皆無だとは日本では私は言えないのじゃないかと思うのですよ。とにかく大学を作るとか、学部を作るとか、そういう形を政治家は非常に求めていくきらいが、私は皆無だとは言えないのじゃないかと思う。だからむしろそういうのを無定見にやるよりは、今非常に努力しなくちゃならぬ点は、国家予算もよけい食わないで、教育機会均等が前進するところの勤労青年のための大学教育機関を中学校、高等学校に続いて全国に適正なる網を張るように努力されることは、私は日本の文教政策の中の特に大学教育行政という立場から、非常に私は重大な問題だと考えておりますので、大臣に伺ったわけでありますので、幸いにして大体私と同一意見だということでございますから、一つ御尽力願いたいと思います。
  134. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 皆様方にお諮りいたします。先刻来他の委員会から文部大臣の出席を要求して参っておりますので、この際はどうしても文部大臣に御質疑をなされたい方がありましたら、簡潔にお願いいたします。
  135. 高橋道男

    ○高橋道男君 時間もありませんから簡単に……。大体関連をすることでありますが、先ほど大臣から新しい入学の設置ということは、財政上の理由あるいは内容充実というような上から見合せたいという原則的な御見解を伺ったことは、一応了承しておきたいと思うのでありますが、それに引き続いて荒木委員等から国家の必要の上からは、新設の学校もあるいは学部も認めなければならぬというようなことを仰せられたわけであります。私は大学の現状から見まして、これは教育の現状というよりは、大学へ入る希望者の現状といった方がいいかもしれませんが、白線浪人が非常に多い。そのすべてに対しての希望を満たすことは、これはできんかもしれませんけれども、国家の要請の上から考えまするならば、これは今矢嶋委員からも触れられたと思うんですが、医学方血にはどれだけ、あるいは農学関係では林学の方向にどれだけ、あるいは農業経済の関係にどれだけというような国家全体の上からの要請を、たとえば今後十年間に一応国民の住宅を充足するというような点から考えますると、そういう御方針から考えますと、これは人口政策についての一応の見通しもやっぱり持っておられると思うのであります。また経済六カ年計画というような点からすれば、経済全体についての一応のお見通しを立てていかれると思うのでありますが、それと相並んでやっぱり国家の重要な要員というものを養成する大学教育という点についても、全般の計画を一応国の立場で持っておられなければならぬと思うのでありますが、そういうことに関しまして現在の大学を財政上の点、あるいは教育の要員というような点が満たされるようならば、どの程度まではどういうような種類大学を持たねばならぬかということについての御計画をお持ちになるか、それを伺いたいと考えております。
  136. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 今まではそういう精細な用途がなくて教育の設備をいたしてきたということは、争いがたい事実だと思います。しかしこういう時期になってみますと、やはり大体全体的にわたる一つ計画を必要とするのではないかと、お話の通りに考えますので、これはすでにおそいかもしれませんけれども、一面には失業者が多い、一面には入学希望者が多い、これをどう調整していくかというようなことで、その基礎調査というものはやはり必要であろうと思いますので、しかも先刻申した大学総長会議の話などを聞いて、そういうことを痛切に感ずるのでございまして、先般も高碕君と話をいたして、その調査に一つ乗り出してみよう、こういうふうに考えておりますから、御趣旨のように一つ調べをいたしたいと存じます。
  137. 笹森順造

    委員長笹森順造君) なお本案に関係いたします責任のある政府委員が引き続いて出席しておりますので、それに御質疑が引き続いておありならばお願いいたします。…それでは本案の審議については、本日はこの程度として、次回において引き続き行うこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会