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1955-05-17 第22回国会 参議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十七日(火曜日)    午後二時四十二分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            木村 守江君            吉田 萬次君            竹下 豐次君    委員            大谷 瑩潤君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            堀  末治君            加賀山之雄君            高橋 道男君            矢嶋 三義君            山田 節男君            松原 一彦君   国務大臣    文 部 大 臣 松村 謙三君   政府委員    文部政務次官  寺本 広作君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省調査局長 内藤誉三郎君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工樂 英司君   説明員    文部省初等中等    教育局中等教育    課長      杉江  清君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国立学校設置法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○教育文化及び学術に関する調査の  件  (熊本黒髪校の通学問題に関する  件)  (大阪市立大学校舎接収解除に関す  る件)  (修学旅行に関する文部次官通達に  関する件)  (政務次官人事関与に関する件)   ―――――――――――――
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) これより文教委員会を開会いたします。  まず、国立学校設置法の一部を改正する法律案議題といたします。政府提案理由説明を求めます。松村文部大臣
  3. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和三十年度予算に照応して関係条文改正するものでありまして、国立大学学部の分離、公立大学国立大学への移管、大学院の開設、町立大学に夜間の短期大学部の併設、国立大学附置研究施設設置等について提案するのであります。  改正の第一点は、弘前大学及び佐賀大学農学部を、大阪大学に薬学部を開設し、香川県立農科大学を香川大学農学部として、鹿児島県立大学医学部及び工学部を鹿児島大学医学部及び工学部として移管いたすものであります。  改正の第二点は、医学及び歯学の大学学部学年進行に伴い、現在大学院をもつ大学のほかに九大学大学院を開設いたすものであります。改正の第三点は、茨城大学短期大学部を併設し、静岡大学県立静岡法経短期大学短期大学部として吸収併設いたすものであります。  改正の第四点は東京大学共同利用研究施設として原子核研究所を設けることであります。  以上が本法案の提案理由及び内容概要であります。なにとぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  4. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件に対する質疑は次回に譲ります。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質疑は次回に譲られるそうでございまして、異議ございません。従って私は本日は資料等を要求するにとどめておきますが、資料として官公私立大学を通じて大学学部の現在における配置状況、それから学生数、本年度卒業学生数、それから現在の判明しているその就職状況、それから国立大学に関してに予算配分状況、それから次に大学院についてでありますが、官公私立を通じて現在ある大学院の数、それから大学院学生数研究生数、それから希望者はどの程度にあるか、わかる資料、以上。  それから第三の資料としては、原子核研究所設置に当ってはいろいろと規則その他を制定されることと思いますが、そういう草案がありましたら、その草案資料として出していただきたい。以上三資料を要求しておきます。
  6. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 大学附置研究所に関しまする規定大学自体が学則として制定いたしますので、最後の資料は今日提案することは不可能と思います。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その大学自体かこしらえるわけでしょうが、特に原子核研究を新たに始めるに際して、その大学自体が何らかの新しい規定に類するものが多少違うのじゃないかと思うのですが、当該大学にその点問い合して、原子核研究所の今後の運営、その他について梗概をわれわれが知るのに便利なような資料が、ありましたら、それを出していただきたい。   ―――――――――――――
  8. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に熊本黒髪校の通学問題を議題といたします。  本件に関しましては経過報告文部当局より聴取することになっておりますので、まず、報告を求めることにいたします。
  9. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 熊本市の黒髪校の非らい児童通学問題につきましては、昨年の本文部委員会におきましてお取り上げがございまして、現地事情も御聴取に相なったわけでございますが、そのときの模様といたしましては、現地の方でさらに解決努力をするということに相なったわけであります。その後熊本市の教育委員会が中心になりまして、いろいろと具体案も用意をいたしまして、恵楓園側あるいは通学賛成PTAの側、さらにそれに対しまする反対PTA人たちに示しまして、これまで進めて参ったわけであります。しかしながら非常に問題が複雑でございますので、なかなか解決かむずかしかったのであります。その間いろいろな経緯を継ましたが、本年になりまして、熊本大学の鰐渕大学長、それから高橋短期大学長あっせんで漸次明るい見通しを得て参りました。新しく入学いたしまする児童を満橋学長の自宅に引き取って通学させるというようなお話が出まして、一時険悪でありました空気もだいぶ明るい方向に伺ったようであります。そこで、その後いろいろ経緯はあったようでございますが、新入学を予定されまする児童のうち四名が高橋学長宅に引き取られましたのであります。しかしその後も反対派の中には、いろいろと釈然としない点もあったようでありまして、一時は相当混乱のきざしもございましたが、いろいろとその間あっせんもありまして、四月の十八日に、ちょっとこれは入学式を延ばしたのでありますけれども入学式を挙行いたしまして、そして本年度入学につきましては解決をいたしたわけであります。ただ今後なお問題が若干残っておるようでございまして、それにつきましては現地におきましてもあるいは中央におきましても、厚生省に対しまして文部省といたしましては、依頼をいたしまして、さらに完全な解決努力いたそうと考えております。大体以上のような経緯で、この問題は本年度入学につきましては解決をみております。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単に一言だけ伺っておきます。この問題は非常に重大でありしかも複雑で、処理のむずかしい問題であるということは万々承知しておりますし、また抜本的に解決に到達した問題とも私は承知いたしておりません。ただ一点伺っておきたい点は、かように患者として収容された子弟が、ある一カ所に、これは熊本に限らない。全国的にあるわけでありますが、一カ所に収容されている生徒児童文部省分散するほうがよろしいというお考えであるか、それとも現行のように、一般論としてですが、一カ所に収容して、健康管理をして、そのもとに義務教育を受けさせるのが適当か、文部省という立場において、どういう見解を持っておられるかという点が一点。それからああいう患者所管庁厚生省でありますが 厚生省厚生行政という立場から分散説と一カ所への収容説のいずれを主張されておられるのか、これは厚生省の方がお見えになっておりませんけれども この問題については、文部省は再三再四厚生当局と交渉されておりますから、厚生省はどういう考えを持っておるかということは、おそらく文部省該当局長としては承知しておると思いますので、あなたの承知しておる範囲内において答弁していただきたい。
  11. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) この問題は、全く一般論といたしまして、抽象的に申し上げますならば、健康的な児童である限り、やはり分散という御言葉でありましたが、一般学校に通わせて、一般子供と一緒に学習させるということが、教育上の効果から申しますと、その方がいいに違いありません。これはその通りであると考えます。しかしながらこれはなかなか一般論で割り切れない非常に複雑な要素がいろいろございますので、私はその点を考えます場合には、一般論だけを申し上げてそれでよろしいといったような印象にとられますこともいかがかと思います。  それから厚生省考え方でございますが、これはいろいろ厚生省厚生行政としての関係もございましょうし、それからまたもう一つ、当画いたしますこの問題につきましては、ただいま申し上げましたように非常に複雑な問題がありますので、まだはっきりしたことを言明しておられないような状況でございます。この点はよろしく御了承いただきたいと思います。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の質問の中に含まれておる一点の答弁が落ちたわけであります。それは患者さんの子供を一カ所に収容してありますね。一カ所に収容して健康管理と合せて教育をこれに対してやるのがよろしいか、生徒児童収容施設というのは、厚生省施設以外に他にも幾らもあるわけですが、一カ所に収容しておくのがいいか、それとも収容自体分散するのがよろしいか、一般論としてどういう見解を持っておるかということが、今の私の質問の中に入っておるわけです。その答弁を求めたい。
  13. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これも非常にお答えするのがむずかしい問題で、これは一般論だとおっしゃいますけれども現地の問題にからみますので、ここで私が文部省としてはこうであるということをちょっとお答えしかねる事情もありますので、その点一つお含みの上、御了承いただきたいと思います。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは要望しておきます。直接責任文部省にはないわけですけれども、しかしこれは文部行政並びに厚生行政に関連あることですし、これを根本的に解決するためには、今私がお伺いしました点について、明確な見識を持たれて、自信を持たれてその線に沿って指導助言をされなければ、解決点に到達しない内容の問題だと私はこう把握しているわけです。従って、若干関与され、助言指導立場にあり、またなさろうとするあなた方がどういうお考えを持っておられるかということをあらためて私は伺ったわけですが、これは文部省としては、また関連官庁である厚生省においてもその点をきめなければ私は解決できないと思いますので、さらに根本的解決のために実情も調査されることも結構でありましょうし、研究協議していただくことを要しておきます。   ―――――――――――――
  15. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に大阪市立大学の杉本町校舎返還問題を議題といたします。文部当局より経過報告を求めます。
  16. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 一般学校接収解除の問題につきましては、当委員会から非常な御鞭撻をいただきまして、文部省としても極力外務省あるいは調進庁等とも連絡し、また督促しておるのでございますが、この中で御承知のように、大阪市立大学の問題は一番大きな被接収の対象でございます。現在のような状況でございますと、やはり学校の当事者ばかりでなく、学生にもいろいろと不安を与える状況でございますので、文部省としては最近特に大阪市立大学接収解除あるいは解除時期の明確化ということにつきまして、特にお願いをしておる状況でございます。現在わかっております状況では、やはり昨年当委員会でいろいろ御検討を頂きましたときに問題になっておりました本年の半ば、大体六月と想定いたしておりますが、半ばになれば大体アメリカの軍隊の一応の配備計画が完了するということで、従ってその際に大阪市立大学を含むキャンプ・サカイというものが全面的に解除になるであろう、そう想定される公算がきわめて大きいということを調達庁の方の連絡官から伺っておるのでございまして、文部省としてはもう近い時期でございますので、現在ではやはりそれを待つのが妥当であろうということになっておるのでございます。従来米軍との折衡経過に徴しまして、軍隊の移動ということがありますれば、この大阪市立大学の問題については健先順位を付して、第一順位として考えるということを再々青山されておりますので、その際ににおそらく大阪市立大学解除ということができるものと私どもは期待をいたしておる状況でございます。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お伺いする人がなければ私一、二伺いますが、ただいまの報告は、かって本委員会で再三再四予想し期待した、本年の六月末には返還してもらえるものと、かように了承してよろしいですね。
  18. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 六月末あるいは半だという言葉でございましたが、まあ大体六月というふうに解釈いたしておりますが、六月になれば必ず返るというふうにそこまではっきり連絡官の方は言ってはおられませんけれども、少くとも六月になればその解除ということがはっきりされるであろうということでございます。私どもといたしましてはまあその時期に、六月のうちに解除を完了することを期待しておるけれども連絡官としてはそこまではよう言いきらん。しかしそのときになればはっきりするだろう、しかしそうはっきりした場合でもそれほど遅れるということには理解しておらんようでございます。しかしいずれにいたしましても六月中に必ず返るんだというところまではまだ担当係官がそこまで確信を持っておられないようでございます。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般本委員会でその報舌を要求されたわけでありますから、あなたの方としては直接折衝当局である調速庁に対していろいろと照会をしたことと思いますが、最も最近に米軍側と交渉した日時はいつでございますか。
  20. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私の方が調達庁の方へ出かけておりますのは、これは別に何と申しますか、公文書で照会するということでございませんで、常に私どもが出かけて調達庁責任者と会って話し合いをいたしておるのでございます。調達庁の方としては調達庁の方の係官お話では、やはり日米合同委員会施設特別委員会があるたびにこのことは忘れずに言っておる、それから福島調達庁長官の方は米軍のいわゆる責任者と単独においても会って交渉をしておられるというふうに伺っております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これらの教育施設接収解除の問題については本委員会としてはずいぶん苦い経験を再三再四なめてきておるわけでありまして、一応取りかわした話し合いというものを放置しておったならば決してできることではない、延引々々を重ねていくわけです。従って始終こういう問題はこの翻し合いを履行してもらう立場から関心を持っていなくちゃならんと思うのですが、文部当局としても十分調達庁連絡をとって、多年にわたることではあるし、また本委員会で取り上げてから、学校関係者それから特に学生諸君は国権の最高機関である国会に期待しておるわけですから、彼ら学生独立国日本の悲哀をなめさせないように努力してもらいたいと思います。また委員長お願いしたい点は、次の機会に福島調達庁長官を本委員会に短時間でよろしいですから出席するように取り計らっていただきたいということをお願いいたします。  ここで文部大臣にこれに関連して所見を承ってお雪たいと思うのでございますが、それは大臣大臣就任早々でございますから過去のことは御存じないかと思いますが、日本終戦直後占領されて以来、当時の米軍教育施設はできるだけ接収しないという一応の基本方針は立てられましたけれども戦災にあって教育施設設備が崩壊しているわが国教育界にとっては非常に負担過重な接収を受けたわけです。特に大学関係では水産大学とか商船大学とか、実につらい思いをして今日に至っておるわけですが、私は大臣に伺いたいのは、終戦後十年経過して、戦災都市戦災校舎というようなものの復旧というものは遅々たるものです。それからただいま問題になっていますように大学から小学校に至るわが国教育施設外国軍隊による接収というものが逐次解決しつつありますけれども、今問題になっておりますように、大阪市大初め、まだ相当数あるわけですね。一方、学生生徒児童まなこには、東京都初め大都市に林立しているところのビルディングというものがまなこに映ずるわけでありますが、これはすぐ今の憲法が現存して文化憲法というものが一つの大きな柱になっているとすれば、私は純粋な学生生徒諸君立場に立てば納得しかねるものがあると思うのです。従って私は大臣に要望し、また大臣の御所見を承わりたい点は、戦後十年を経過しているわけですから、しかも日本が独立して四年以上も経過しているわけですから、この外国軍隊教育施設接収解除と、それから少くとも戦災校舎復旧という点については、私は最も重点をおいて早急に解決していただきたい、かように私は考えておるものですが、これらについて、大臣はどういう御所見を持っておられるか、この際承わりたいと思います。
  22. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私近ごろ来たもんですから古い経過をしりませんので、大阪の問題を最近承わったんでありますが、これは教育上ぜひ早く返してもらわなければならんことであるし、この前のこともありますので、一つ十分の努力をいたしたいと思っております。御了承を願いたいと思います。これもただいま局長お話し申したように、できるだけ早い解決をしまするように私からも十分手続をいたしたいと思っております。
  23. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  24. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 速記を始めて。   ―――――――――――――
  25. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次は修学旅行に関する文部省通達に関する件を議題に供します。
  26. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 次に御承知通りのああいう惨害ができまするし、それのみならず、それからあとにもずっと引き続いて大小の違いはございますけれども事件修学旅行に関するのが頻発いたしまして、きょうのごときもまたやはり東海道の汽車の、あるいは九州のバス事件等も起りましたので、実際早く措置を要することと考えております。それで、とりあえず全国に再び注意を喚起することが何より必要だと思いまして、それで当局から昨日急いで指示をいたした、勧告をいたしたわけでございます。それは今局長から詳しくお話を申し上げます。しかしきのうああいう措置をいたしましたのは、これはほんの臨時のさしあたっての措置でございまして、一つ根本的に修学旅行というものを検討して、そして安全、それからその目的というものをほんとうに修学の線に沿うようにいたしたいと思いまして、その研究一つ始めたい。速急にいろいろのその道の経験、もしくはいろいろの意見のあるかたがたにお集まりを願って十分の検討を加えて、そして措置を講じたい、こういうふうに考えているわけでございます。たとえば修学旅行というものの目的をどこにおくか。見学なり、修学という点からみますならば、今日の実際やっておりますのはあれでよろしいか。むしろもう少し、たとえば工場を見るとか、たとえば新聞社を見るとかというようなことも考える。こう遊山見物というようなことに堕してはならない。そういうところから検討をしなくちゃなりませんので、一つその対策を講じたい。昨日のはさしあたりの措置としていたしたわけでございます。今局長から詳しく御説明を申し上げます。
  27. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 昨日付をもちまして文部次官名をもって都道府県の教育委員会にあって通達を発したわけでございますか、これにつきましては趣旨に今大臣から御説明になった通りであります。  内外といたしましては三点を取り立てて申したわけで断ります。第一は従来文部省が出しておりまする通達、特に四月四日の通達趣旨を十分に徹底してもらいたいということであります。各学校修学旅行計画を立てる場合に、前に出しました通達のいろいろな事項が確実に守られるように教育委員会において学校指導していただきたいということか第一点であります。第二点は、学校計画を立てる場合に、あらかじめ教育委員会承認を得るように指導していただきたい。これは別荘大体の県におきまして、その責任者である市町村の教育委員会が主でありますが、教育委員会に届出、その承認を受けて事実やっているのでありまするけれども、この際さらに念を入れまして、その点を教育委員会承認をあらかじめ受けて行くようにしてもらいたい。その際に教育委員会といたしましては、計画の細部にわたって日程あるいは行き先地、利用すべき交通機関、こういうものが特に児童生徒の安全あるいは健康という上から無理がないかという点について十分検討を行なってもらいたい。それからなおまだいわゆる修学旅行シーズンでありますので、これから続々と各学校計画を立てて修学旅行に出かけるやさきでもありますので、現に計画をしておるその計画についてもこの際再検討をして、前段にありますように、その児童生徒の安全健康という面から無理がないかどうかということを一つ検討して頂きたいということか第二点でございます。それから第三点としましては特に交通機関の選定に当っては、これは当然でありますけれども、安全ということを第一に考えて細心の注意を払ってもらいたいということであります。それからなお今までの事故の例にもかんがみまして、船や車の中におきまする安全の保持あるいはまた非常の場合におきまする措置といったようなものについて、あらかじめ引率の先生も十分心がまえをし、それからさらに児童生徒に対しても、こういう指導を十分徹底していただきたいということをとりあえずお願いをするという意味でこの通牒を昨日出したような次第でございます。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃ大臣に伺いますが、基本的な問題ですけれども、今の新しい教育において修学旅行なるものが持つ教育的価値というものは、こういう事件が若干起ったからといって私は否定さるべきものでないと思うのでありますが、これらの通牒を出すに当って、文部省としては教育計画の一環としての修学旅行教育的価値というものはお認めになった前提において出されておると思うのでありますが、念のために伺います。
  29. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お話通りでございます。このことがあったがために本当に児童から見学の門を閉ざしてしまうというようなことは、これは私ども考えておりません。健全に、そして安全に見学をさせたい、こういうふうに考えております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その大臣答弁、了といたします。ただ私ただいま通達資料をいただいて拝見した結果、昨日並びに本日にわたって電波並びに活字を通じて私に印象づけられたものと大分違うのですね。それは新聞等を拝見しますと、いかにも文部省修学旅行に大きな抑制を加え、さらに現在計画している修学旅行も一応暫定的措置としてその実施をストップしてもらう意味通牒を出されたかのように、あるいはラジオあるいは新聞を通じては国民は印象づけられているのですが、さような考え方はもちろんないでしょうね、念のために伺います。
  31. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) もちろんありません。先ほど御説明もいたしましたが、現に計画中の修学旅行についても至急再検討してもらいたいという意味は、紫雲丸事故が起り、そしてまたさらに相次いで岩手県においてバス転落による遭難事件ども起っております。これは原因はそれぞれ違いますけれども、また先ほど大臣からもお話がございましたように、本日も事故が起っております。かように瀕発いたしておりますので、この際にそれらの計画が無理じゃないかどうかということを一つ至急に再検討していただきたい。かりに日程等はそう長くなくても、その中に内各が過重に諦め込まれておるということであれば、かりにバスに乗って行くとしても、そのバスはスピードを規定よりも出して走らなければならないというようなことになるかも知れません。そういう点も一つこの際再検討してもらいたい。そうして絶対に事故の起らんように児童生徒の安全を守っていただきたい。こういう気持をここには出したわけでありまして、一がいに交通機関の利用によるものはいけないとか、そういうふうな、何と申しますか、基本的なことは一つもここには触れていないわけであります。そういう御印象であったとすればそれは間違いであります。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 四月四日付の通達に「教育委員会等の示した基準にしたがい、」云々とあり、このたびの通達教育委員会は当該学校の諸計画が妥当であるかどうかについて細心の注意を払ってもらいたいものだという要望的なことが書かれているわけですか、さらに先般本委員会で寺本政務次官は、文部省で基準を設けてその基準を各学校当局に押し付けるというような考えは持たないということを言明されたわけで、私はまことに適切なる発言だと拝聴しておったわけですが、ところかその晩のラジオで、小学校は一泊二日、中学校は二泊三日、高等学校は三泊四日という基準を文部省は設けて云々ということかNHKで放逸されているのを私は聴取したわけですか、委員会における政務次官並びにあなた方の答弁と、さらに出されておる資料とずいぶん建ったことが電波に乗ってくるものだなと、かように考えながら聞いたわけでありますが、そういう考えを今持たれているのか、研究されているのかどうか、この点伺っておきたい。
  33. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは御承知通り教育委員会に対しまする文部省の権限と申しますか、立場と申しますか、これはもう法律にちゃんときまっておりまして、指導助言をする、あるいは勧告等をする立場にあります。従いましてその出します通牒も、その意味で出しておるわけであります。基準をきめると申しましても、これはかりに今基準がきめられるとしましても、それは指導勧告ということで出すわけでありまして、それを教育委員会に押し付けるとか学校に押し付けるという関係には相なりません。またすでに文部省として基準を考えておるかということも今のお話のうちにあったようでありますが、これは先ほど大臣からもお話がございましたように広くいろんな意見を聞いて、これからいろんな点について検討をいたしたいということでありまして、その際に各府県の参考となる基準と申しまするか、指導助言をする一つのよりどころとなるものができますならば、その指導助言の形で文部省から教育委員会にこれをまた流す、こういうことに相なろうかと思います。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はお尋ねと要望をいたしたいのですが、それは小学校、中学校、高等学校生徒にどの程度の期間をかけて、教育計画の一環としての修学旅行をさした方が適当かということは、僕はその地域によってずいぶん逢うと思うのですね。従ってそれらの基準等を設定するのは、当面の教育行政の責任者でもある教育委員会が最も妥当だと思うのです。同じ高等学校生徒でも、東京の高等学校生徒と、北海道あるいは九州の高等学校生徒と何泊何日と同じ基準では私はなかなかきめかねると思う。それはすべての社会情勢から、経済状況等異なるわけですから、従って文部省でこれから研究されるというのですが、その成果を見なければわかりませんが、一がいに全国的に一般論として小、中、同等学校に何泊何日が適当であろうというような、そういう具体的な数字を文部省か出されるということはなかなか私は至難なことで、そういう点はむしろ出されないほうがいいのじゃないか、かように私は考えるのですが、いかがでしょうか。
  35. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは十分検討をいたしたいと考えますか、文部省で全国画一的に縛るようなものはなかなかできないと思います。それは一つこれから各方面の意見も聞きまして、そして検討するわけでございまして、ただいまの御趣旨は、私拝承いたしておきます。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 研究されるということで結構だと思うのですが、その研究される会の構成メンバー、これは私はやはり大切だと思うのです。先般の委員会でも、教育関係者だけでなくて、完全に効来のあがる修学旅行をなし遂げるために、そういう研究会の構成メンバー等、相当考慮してはどうかということを意見として述べ、要望しておいたのですが、いかようにとり運ばれる御予定でございますか。
  37. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) まだ具体的な企画はでき上っておりませんが、これは私だけの考えに相なりますが、やはり小、中、高等学校の校長、その他の現場の教師、それから教育委員会関係者、それからPTA関係者、それから関係各省、厚生省、運輸省あるいは警察関係もございましょう、そういうふうな広く意見を聞くような機会を少くとも持ちたい、かように考えております。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やや具体的に承わりますが、その後あの紫雲丸遭難事件において、犠牲者を出した当該教育委員会等から何か新たなる報告が参っておれば重要事項について承りたい点が二点あるのですが、その一つは、写真を見あるのですが、その一つは、写真を見ますと救命具をつけていない生徒児童か相当数海に浮んでおります。これはあなたの所で、今度第三項として指示された、児童生徒に対して事前に具体的な指導を行なっておくことという、この指導が不十分であったために救命具をつけることかできなかったのか、それとも救命具が不足したためにああいうまことにかわいそうな事態を現出するに至ったのかどちらか、この点を。それから第二点は資料にもありますように、広島県の南小学校においては先生が三人犠牲になっておられます。それから島根県の川津小学校においては二名犠牲になられておる。ところが周知県の南海中学校と愛媛県の庄内小学校は先生の犠牲者が出ておられない、そこで高知県、愛媛県の地元では、よその県の学校の先生はなくなっているのに、うちの学校の先生方は一人も犠牲者が出なかったというので、事件直後だからかもしれませんが、相当好ましからざる空気が起っているやに承わっているのでありますが、そういう報告が来ているかどうか、私は皆様方から出された資料に基いて計算してみたおけですが、被害率は、さすがは高知の南海中学校が中学校だけに一番低い。それから庄内小学校が第二番目だと思いますが、先生方が犠牲になられたことと、被害率が高い低いということは、この数字の土では出て来ないと思いますね、だから私は子供をなくしたお父さんお母さんにはお気の毒でございます、気持はわかるわけですが、うちの学校の先生は死ななかったというので、その町全体にある特殊な雰囲気が生じてくるということは、なかなかこれは重大だと思うのです。何らかそういう空気は、よりよい方にやわらげるように努力しなければならんと思うのですが、果してこういう報告が来ているのかどうか。以上二点をまず伺いたいと思います。
  39. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 第一点でございますが、まだ各県の教育委員会から詳細の報告は参っておりません。従いまして救命具をつけていない生徒の姿が写真に見られますけれども、その際にそういう指導を現に行なったかどうかという点については、私どもまだ把握ができないのです。私の方から現地に派遣いたしました事務官の一人が今夕東京に帰ってくることになっております。帰って参りましたならば、もう少しそのときの状況等がわかるかと考えております。現在のところでは各県からも、まだ事故の善後処置で一ぱいだろうと思いまして、そのときの実情を詳しく調べて、こちらに報告してくれるというところまで来ておりませんので まだわかっておりません。この点は御了承願います。それから第二の点でございますが、これはお話通りに、犠牲になられた先生たちは、これはまことにお気の毒であり、また子供のために一身を捨てられた崇高な気持に対しましては頭が下る、敬弔にたえないわけでございますが、また一面生存された先生方も、おそらくこれは最善の努力を尽されたに違いないと私は想像いたしております。現場で何か父兄の間に、さような先生たちに対しまする不満の気持の現われが何かなかったかというお尋ねでございますが 私はさような意味では聞いておりません。ただ遺体の引揚げ等がだんだん遅れますし、集りました遺族で、ある父兄の間に相者焦慮の色が見えましてそうしてあるいは鉄道当局にかけ合いに行くといったようなことはあったようでございます。しかし今日では興奮の色も大分しづまって来たのではないか、報告によりましては、そういうような点がうかがわれると思います。  大体以上のことが把握しておることでございます。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣に一点伺いたいのですが、それは洞爺丸事件のときは、国鉄当局としては過失を最終的に認めておられません。従ってあの段階における遺族に対する補償については、児童の場合は経済的地位というものも不明確であるし、扶養家族もあるわけではないし、非常に補償額の算出に当って苦心され、ある数字を出されて、それを遺族にお見舞金として計上したようでございます。ところがこのたびの紫雲丸事件は、洞爺丸事件とは違って、即座に国鉄の責任であるということを、国鉄自身が明確に言明されておるわけです。従って多数の生徒児童の父兄に対する国家の損害補償というものは 紫雲丸事件の場合のあの数字というものは適用されないで、それを上廻わるものが、上廻わる適当な数字というものが出されるべきだと思う。かように私は考えます。これにはどなたも私は異存がないのではないかと思いますが、大臣はどういうふうにお考えになられるのか、また文部大臣としては国家補償の道が進められるにあたってどういうような意思表示を、されるか、私承わっておきたいと思います。
  41. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 大体筋合いはお話通りに私も思っております。洞爺丸の事件とは筋が通う、全く国鉄の過失のために起った事件でありますから場合が違うと考えております。そういうふうにまたわれわれも心配をいたしたいと、努力をいたしたいと思っております。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に文部当局に私は要望しておきたいのですが、それはこの四月四日付の通達の第二ページに「夏季施設その他の校外施設の利用等、に関して、」と書かれております。ほんの一行に書かれておるわけですが、これは相当私はやはり関心を払わなければならん活字だと考えております。やがて夏季に入りますが、これは学校教育のみならず社会教育の面にも関連する面の広い問題になりますが、社会教育事態、あるいは各種の民主団体、さらに学校当局で直接計画される夏季の合宿、キャンプですね、これがいかやうに行われるかということは、私は学校教育上、社会教育上も極めて重大だと思いますが、また風紀の問題から考えましても、それから危険防止という立場から考えても、やがて夏季をひかえるわけですが、私はそれは大きい問題だと囲います。これはあなたがただけでどうもするものでなし、すべきものでなし、どうにもならない問題ですが、夏季も近づくことですし、この通達の中にも出ておることですから、私は要望申し上げるわけですか、機会がありましたら社会教育面、学校教育面において、こういう点も、より立派になるように心掛けしていただきたいということを特にお願いいたしておきます。
  43. 高橋道男

    高橋道男君 最近の修学旅行の際における事故が交通関係のことでクローズ・アップされておりますけれども、それ以外にたとえば風紀面とか、これは男女関係だけではございませんが、そういう交通事故以外の事故というものは全然ないものですか、そういうようなお調べはしておられませんか、そういう点を質問いたします。
  44. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) もちろん修学旅行の安全ということが串間の問題として取り上げられておりまするか、そのほかの面につきましてもこれはいろいろ問題があったのでございまして、前にお手元に差し上げてあるはずでございますが、今年の四月四日に出しました通産におきましては、全面にわたりまして私どもの現状把握に基きまする注意事項を出しておるわけであります。第一にこれは先ほどもお話がありましたように、修学旅行というものが教育計画の一環として行われなければならないので、それを通脱しないように各方面で注意をしなければならんということ、結論としてはそうなんでありますか、あるいは旅行先における規律の乱れとか、それに対しまする引率教師に対する心がまえとか、それにつきましていろいろとこまかく注意をいたしておるわけであります。そのほか健康、安全という面にも関連いたしますが、これからだんだん夏にもなりまするし、集団中毒というものも往々にして旅行中に起りますので、それらにつきましても従来からたびたびその地方に対しましては指導いたしております。また今度の通達におきましては、厚生省とも十分に連絡をとりまして、従来とっておりました方法を改めまして、修学旅行計画します学校に、往復はがきで行く先地府県の衛生部長に対しまして行く先地の状況をよく注意してもらうように依願のはがきを出す、そうして向うから返事をもらうというような仕組みを今度新しく四月からとっているような状況であります。実情につきましてはいろいろと私どもも調べておりまするし、特にまた警察方面でも相当関心を持って調査が行われているようであります。これはいろいろとまた欠陥も相当あるようでございますし、今後とも各面にわたりましての指導につきまして努力をしていきたいと考えております。
  45. 高橋道男

    高橋道男君 いろいろな御配慮のことは通牒によってもうかがえますけれども、具体的に最近に交通事故以外の事故は起っていないか、そういう具体例はないかということをお尋ねしているのですが、お調べができていなければそれで結構です。
  46. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 最近といたしましては私ども今の交通事故における人命犠牲か出たほかには大きな事故は持っておりません。
  47. 川口爲之助

    川口爲之助君 私の気持もただいまの意見と同一でありますが、実はこの前の委員会におきまして、修学旅行に対するいろいろ貴重な御意見を承わったのであります。また新聞論議その他から考えまして、現在行われておるところの修学旅行というものが、その旅行の目的というものがいささか失われておるのではないか、一面においては放漫に流れ、そこからいろいろな弊害が滲みて出ておるというふうにわれわれは推測しておるのであります。でありまするからして今度根本対策を作るということになりますれば、その推進面における自粛対策、この対策について特に御留意を願いたいということを希望申し上げておきます。
  48. 堀末治

    ○堀末治君 私も今の川口さんと同じ考え方で、一つ大臣にお尋ねするのでありますが、このたびの紫雲丸事件のときはこれは先生がたの責任ではないと私はそう思うのであります。いろいろ調べれば今のこの事項にお示しになった通り子供を受持ったときにはこれこれというようなあらかじめの指導とか注意が十分あることはこれはぜひ大切なことであります、が、そこまで私は本日お尋ねする気持はございませんが、昨年の相模湖の事件ないしはこの間のバス事件、これらのことから考えてみますと、ただ単に交通を預かっている人が士気が弛緩をいたすとか、あるいは責任感が欠如しているというばかりでなく、先生方の方にも士気が弛緩し、非常に責任感が欠如している点が大きいのではないか。昨年の相模湖の事件については最も顕著なものがありまするし、なお今度のバスのことについてみましても、もう少しあれが校長先生であるか、あるいは教育委員会であるか、あるいは引率する先生であるかが運転手というようなものに対して注意を配ってくれれば、前にそういうような前科があって、ぢきこの間まで運転をとめられておったそういうような者にもっていって、自分がたくさんの子供を乗せているというようなことに対しても非常に要するにまあ士気の弛緩よりも、むしろ責任感の欠如であるというべきであるというのでありますが、まあそういうようなことから考え修学旅行という問題に対する具体的のことはいずれ研究されましょうけれども、それより先にいかに具体的なことがこまかに研究されても、要するに学校当局あるいは引率して行く先生、この人方がほんとうに士気が弛緩しておって、なおかつ、責任感が欠如している、これはどんなにいい委員会ができてそれらの項目が研究されても結局それは絵に書いたまんじゅうのような形になってしまう。まあさようなことでございまするので、大臣としては一体これらに対してどういうふうなお考えを持っているか、一つお伺いいたしたいと、かように存するのであります。
  49. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) ただいまのお話、先刻の川口さんのお話、遺憾ながら近来人心の弛緩と申しますか、それがやはりこういうことが大きく作用していることを否むことはできないと思うのでございます。そこでこういう根本的な解決の問題としてはそこまでさかのぼって考えなければならない。そうして修学旅行というものの厳粛な意味が弛緩して、そうして物見見物というようなふうに流れる。従って精神の注意も弛緩しているというような点が相当に作用するんじゃないかと心得まして、これはやはり社会教育の面からも見ていかなくちゃならない重大な点であると心得まして、それらの点についても十分の努力をいたしたいと考えております。
  50. 堀末治

    ○堀末治君 その点につきましてどうせこれは根本的な問題、あるいは道義の高揚ということになるか、あるいはもう少し徳育を盛んにするかという問題になると思うのでありますが、去年の相模湖の問題といい、バスの問題といい、どうも私は引率者の過失だと思う。それですから、そういう引率者がああいう事故を起したときには何かこれに対する一種、これは国家公務員ではありませんで、地方公務員というものになっているわけですが、もう少し士気の弛緩を引き締める、あるいは責任感をふるい起させるとかというようなところから、濁る程度こういう者に対して多少厳罰主義をここにおいて考えてもいいのじゃないか。非常にそんなことだけでは究極の目的は達せられませんけれども、そういう点においても少しくやはり考えるべきものじゃなかろうか。いやしくも去年の相模湖の事件のごときは、先生が先に乗ってあとの子供がどやどや乗ってくるのを一向知らずにぼんやりしている。なお今度のごときは、これは自分らも始終自動車に乗るのですが、自分の運転手のごときは自分が酒を飲みますから、飲んで乗ることもたびたびあるから、運転手も酔っていては困るのですから、常に酒を飲まない運転手を用意しておけと、そうしてかつて事故がなかったかどうかということに対して十分それらを調べないと要するに自分の自動車の運転手に採用できない、まあこういうような方法をとっているのであります。まあそういうことから考えると、今度のバスのごときはこの運転手がいい運転手かどうか、これは来る前にそのくらいのことは当然調べるべきものだと思う。要するにそれが去年まで事故があって免許をとめられておったというのにもっていって何も調べないで乗っておったということになると、どうもこの責任の追求は私がもしもそのとき子供をなくしておったならば、これはどうしてもやめられない気持だと私は思うのでありますが、何かこういうのに対して、そういう点について大臣はお考えございませんでしょうか。
  51. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私も花巻のあの何を見まして、あのバス会社の副社長ですか何かの談話が新聞に載っているのを見まして、非常にけしからんと思うたのでございます。すでに前に同様の過失があったのは知っていた、それであるから平生は貨物か何かの、長距離などのほうには廻わさないことにしておいた。それを手が足らなかったからあのときに廻わした、そうしておいてさらにバスには必ず運転手を二人乗せることにしておる。それをそのときは何かせわしくてそれ一人にしておいたのだと、こういうことを、責任じゃないと言っておる。ひどいことだと思っておりますが、そういうのは厳にこれは主管省で取締ってもらわなければならんと思っておるわけでありますが、お話のような点は十分注意いたします。
  52. 堀末治

    ○堀末治君 それは、私の尋ねておるのは、バス業者の取締りはこれは当然でございましょう。そうでなく、私はその学校の校長さんとか、あるいは引率した先生にそこまで突込んで心配してくれればおそらく今あなたのお説のように、要するしそういう運転手は乗せては困る、それは当然助手は一人付けなければならないと、これは私どもでもいろいろ今まで仕事の上でそういうことがあるのですが、それくらいの注意は私どももお得意さんなどを預かっているのでよくやっておる。しかるにもかかわらず先生が子供を乗せていくときにそこまでの何らの注意を与えなかったということに対して私はどうもその先生の背任感に対して不満を感ずるのですね。向うは商売のことだからいろいろなことでするけることは実際目に見えておる。で、これは少し無理なことかもしれません。そんなことは決して責任感をふるい起すということにはならないかもしれませんけれども、私は少くともそのくらいの制裁があってしかるべきではないかということを考えるのであります。
  53. 松原一彦

    ○松原一彦君 文部大臣に伺いまするが、災難を見ておるというと、当然避くべからざる災難が相当ある。災難のたびに驚いて教育価値の豊かな修学旅行などに臆病にならないようにというさっきの矢嶋氏の質問に対して、それはそういう意味ではないというお答えには私は非常に賛成しますが、修学旅行から生ずる弊は単なる交通事故等のみでなくして修学旅行そのものの中に発生しておる。昨日出ました週刊朝日に収録せられておる具体的なたくさんないい例と悪い例がありますが、大臣でらんになったでしょうか。
  54. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) まだ見ておりませんですが……。
  55. 松原一彦

    ○松原一彦君 これは一つ文相もぜひごらん下さいまするように。中には大へんいい例がある。非常に周到な、行き届いた注意によって教育的に行われておる例がある。中には高校学校生徒がグループを作ってボストンバックには背広を詰めて、夜になるとそれに着がえて遊廓に行ったなんというのがある。先生が生徒と一緒に島原並びに吉原の見学をしたというのがあります。悪例もあって。少し悪例がひどすぎて目をおおうものもありますが、いち早く週間朝日は収録しておりますから、これは委員諸君にもぜひ一応お目通しをするということを私は希望しておきます。  それから初中局長に伺いますが、私の今日まで聞いておるところでは、長野県の教育委員会がかねて修学旅行に関しては周到な指導助言を与えておる、そうして至るところで非常にいい実績を上げておるということを耳にしておるのですが、そういうことを御承知でしょうかどうでしょうか。
  56. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 中等課長が参っておりますから、中等課長から具体的に御説明いたします。
  57. 杉江清

    説明員(杉江清君) ただいま資料を持っておりませんので詳しいことは申し上げることはできませんが、私の承知しておる要点は、長野県で旅行期を調整した、いい例があるのであります。それは御承知通り今の旅行期は五月と九月に大部分が集中して、そのために非常な旅行の混雑やらその他の弊害が生じておるわけであります。この点については文部省としてもその混雑を避けるために適当な調整をすることをすすめておるのでありますけれども、長野県においてはそれを地方教育委員会とよく話し合いまして、その期間に多くの学校の旅行期間をうまく調整いたしまして、その混雑を避けて非常にいい結果をもたらしている、こういうことを聞いております。この程度でございます。
  58. 松原一彦

    ○松原一彦君 私の聞いておるのでは、奈良地方、京都等でも長野県の修学旅行には寺やその他で案内が要らない、先生方が周到な指導書を作って来ておってそれをあらかじめ配って説明をしておる。また三笠山等に登った場合でも長野県の生徒は決してごみをちらさない、あの辺で有名になっておることを決闘しておるのですが、もしそういう事実があるならば私は人を責めるよりもいい例をあげてもらいたい、いい例をあげてこれをば示されれば右へならう。気がつかないで犯す罪が相当ある、視野か狭かったり。そういう意味からも私は責めることばかりでなくして、いいものをあげていただきたい、例証していただいてこうありたいものがあったら、何かのしかるべき機会にあげていただければ、私どもは積極的によくなりはしないかと思います。いかがでしょうか。
  59. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私ども全く同じ考えを持っておりまして、実は各都道府県の教育委員会から修学旅行の実際の事例を実は集めておるのであります。これは今お話のように失敗した範例ももとよりありますけれども、こういう計画をしてこういういい結果を得たといういい事例も両方を出してもらっております。ただいま整理いたしておりまして、私どもはこれを整理いたしまして、ただ通牒通牒といたしましてその方向を示しますか、さらに手引書のようなものを作りまして、いい例、悪い例を具体的に示して指導の参考にしたい、かように考えて今整理をいたしておるところ女あります。御了承願います。
  60. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ほかに御質疑ございませんか。
  61. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 今度紫雲丸の事件まことに痛惜にたえないところでありまして、犠牲者の皆さんに対して哀悼の意にたえないものであります。特に非常に修学旅行で楽しみのさなかに犠牲となられた、いたいけな方たちのことを思うと、まことに申すところかないのでありますが、先ほどからお話が出ておりますように、私もやはりこのために余り消極的になりまして、臆病にばかりなることは、策を得たものではないと考えるのでございまして、私が知っているある学校のごときは、やはり数日の旅行をいたしますのに一年間も検討をして、研究研究を重ねて行くというようなことをやったり、あるいは生徒の中からそれぞれ金額をきめて、この金額内で、金の範囲内で行くにはどこがいいかということを生徒考えさして、それでみんなに生徒説明をさせた。そうしてそれをそれぞれ投票の結果いい場所をきめる、そうしてきまったらその提案者が先生と協同して世話をやくような習慣をつけておるというようなところも見受けるのでございまして、いわゆる学校外の教育としては、特に社会を覚えるという意味においては実に大切なものであると、私ども経験からいたしましても考えられるのでございまして、ぜひともこれはまずそれら交通機関、あるいは交通旅行のあっせん業者、あるいは旅館等、文部省からはいろいろ教育委員会を通じ、学校を通じて指導もされておるようでありますが、そういった交通業者、あるいはあっせん業者等にも私は十分修学旅行趣旨を徹底理解せしめておくということが必要であると考えるのでございまして、先日もある人が参りまして、東京の修学旅行バスが営利本位で、興味本位と申しますか、で引き回して、またその説明を聞いても、聞いてはいられないような説明をしておるということで、東京都内なんか、出てくる生徒に対しても、見せるところは、本当に見せたいところはむしろ省いておるというようなことが言われておりまして、私も全くそういう点は同感で、こういう点はやはり交通業者、あるいはあっせん業者の指導ということかきわめて大切だと考えられるのでございます。この問題について実は修学旅行協会、非常に微々たる存在でございますが、いわゆる財政的基礎もないために余り働けない、これは文部省の先輩の方も入ってお世話をしておられるようであります。たとえば修学旅行のモデル・ケースとしていろいろなプランを作るとか、あるいは先ほどからお話の出ている修学旅行の時期の調整とか、そういうことを研究し、また実地にこれを指導しておるところがあるのでございますが、私は文部省がいわゆる助言、勧告されることも非常に結構でありますが、せっかく民間にそういう団体もございますれば、ぜひとも文部省としてはそういう団体を通じてそれを助成をして、そうして今言ったような徹底をはかられることは、このいわゆる役所を通じての指導及び助言よりさらに私は実効があがるのではないかという気持がいたすのでございます。また文部省といたされましては新生活運動なんかに非常に強く乗り出され、今度の予算にも数千万円を見ておられるようでございますが、これらについても、これが各府県の取り合いになりますと、一府県へ行くお金は百万円そこそこになってしまうわけでございまして、そういったものは、そういった非常に有効適切な、民間のそういった法人を使われてやられる御意思がございませんかどうか。たとえばこの問題については修学旅行だけではございませんが、日本レクリエーション協会、これは国際的な組織になっておりますが、というようなものかございまして、これなんかも一年に一回の大会をいたしますのにごくわずかの補助をいただいて、大体がまあ、主催地府県も負担するというような格好で参っておりますが、非常に財政的基礎か弱い。そういうようなところを通じて新生活運動を展開されるというのが非常に私は適切であろうと考えるのでございますが、そういうようなことについて文部大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  62. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 非常にありがたい御注意をいただきまして、実際今お話を承わりましたが、東京あたりの見学の場所などをただ単に営利だけでやっておるものに任せたのでは本当に間違いを起して困るということもありまするし、一つ今日までのところはそこまで手が届いておりませんが、これからは十分そういう点に気を付けまして、できるだけ修学旅行をいい方面に指導いたしたいと思っております。ありがとうございました。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。議事進行について提案いたします。修学旅行の問題について他の委員に格別御質疑がございませんでしたならば、ここでこの案件を打切って、当初予定いたしました昭和三十年度の文教予算の案件に進みまするが、時間の関連上資料を要求される方がありましたならば、本日は資料要求にとどめて質疑を次回に廻すことと、さらに次は私事に関しますが、私はこの政府官庁内における人事に政務次官がタッチするという政府基本方針の発表以来私は各政府部内における国家公務員の勤務状態等についていろいろ見もし、また聞いております。今日は幸いに大臣政務次官がおそろいでおいでになっていますので、時間は長くかからない予定でございますが、これを私は行政事務の進捗という立場から緊急性があると思いますので、皆さん方お認めいただいたならば、緊急質問を許していただきたい。それで本日の委員会を散会してはいかがかと考えまするので、以上議事進行について御提案申上げます。
  64. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま矢嶋君からの議事進行に関する御提案がありました。一つ修学旅行に関する文部省通達に関する件、ほかに御発言がなければこれをもって打切り、次には昭和三十年度文部省関係予算の件は必要が膨れば資料の要求にとどめて次回に画し、さらにまた文部省関係において特に次官通牒等について人事に関することで質疑したいとおっしゃっていられますが、これについて一つ一つ皆さん方の御意見を伺いたいと思います。  修学旅行に関する文部省通達に関する件はこれで打切ってよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それではさようにいたします。   ―――――――――――――
  66. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次の問題は、昭和三十年度文部省関係予算議題とすることは、最初から予定しておったのでありますが、これを時間の許す限り大臣がいらしているから、これをやるか、断るいはまた矢嶋君の提案のようにいたしますか、これをお諮りいたします。
  67. 堀末治

    ○堀末治君 矢嶋君の提案通り、時間も迫っておりますから……。
  68. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 今堀君からも矢嶋君の提案に御賛成がありましたが、皆さん方いかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それではさよういたします。  昭和三十年度文部省関係予算に関しましては、委員の方々から御要求がありますれば資料の要求について御発言願い、これによって委員長において文部省当局に要求を取り計らいます   ―――――――――――――
  70. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に人事異動に関する件について、今緊急の質問が彫るということでありますが、これをどういたしましょうか。お諮りいたします。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 笹森順造

    委員長笹森順造君) それではさよういたします。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 資料のほうからですね。
  73. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ございましたらどうぞ。そういう三つの件はきめましたから、御要求するものがあったらどうぞ。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 資料を三つ要求しておきます。第一は例年文部省予算を審議するときは、別途文化財保護委員会所管の予算については詳細なものを配付されておったと思うのでありますが、このたびの資料ではそれが出ておりません。従って文化財保存事業費等の件に関して、やや詳細な予算資料ですね、これを出していただきたい。それから第二点は、科学研究費の補助金の配分の方式、それが一わかるような資料。それからもう一つは、国立並びに公立を通じて施設関係予算額、並びに復旧、建築計画の大要が察知できるような資料。以上三件の資料お願いいたします。
  75. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいま緊急議題に供されました人事異動に関することで御発言がありましたら、この際願います。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 松村国務大臣に伺います。  鳩山内閣は、政府の方針として今後各省の少くとも課長級以上の人事に当っては、政務次官がこれに関与して、そうして政府の各省人事に対するところの考え方を具現するという方針をきめられたと報じられております。どういう過去に欠陥があったので、今後いかようにこれをよりよい方向に改めようという御見解のもとに政府としてのかような方針を打ち出されたのか、松村国務大臣答弁をいただきたいと思います。
  77. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お答えをいたしますが、課長以上とかなんとかいうようなことは私は聞いておりませんけれども政務次官をして人事に参画せしむるということは、これは断然政党政治の上から申して、ある程度の人事に政務次官が加わるということは、これはもう翼然のところでありまして、これは私はこういう政党政治を認むる上において問題ではない。今頃になってまだそういうことを申し合せるというのが、そこがかえっておかしいのであって、そういうことになるのが、それが私は政党政治の実態として当然のことであると思います。そうしてそれによって自分の政党の政策を実行するためにも、そういうことは必要で為ろうと思うのでございます。ただ問題といたしましては、そういうことをやったその結果が事務を乱す、そうしてその結果か非常にへんぱな措置があって、そうしてそれで事務の公正な取扱いを阻害する、こういうことになったならばこれは問題でありまして、これは断じて許されないことでございますが、政務次官が政策にも人事にもかかわらんというようなことは、これは政党政治としては私どもはかえってほんとうの筋合いじゃない。こういうふうに考えておるわけでございます。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣の基本的な考え方はわかりました。  そこで次に伺いますが、しからば事務次官と政務次官のこれに関しての関与率ですね、これはいかようにお考えになりますか。
  79. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それはもちろん政務次官が独断で人事をやるべきものではございませんことは当然でございます。従って事務次官とよく話し合い、そうして大臣を補佐いたして人事を行うと、こういうことがこれが筋道であろうと思います。それが政務次官ばかりがでしゃばって、そうして事務次官をないがしろにして人事をきめるというようなことは、これはやっちゃいけませんけれども、その間に話し合いをいたしてやっていく、こういうことになれば私どもは弊害はない、そうしてほんとうに成績をあげよう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やや具体的に技術的な問題から伺いますが、事務次官と政務次官の人事に関与する率というのは、一対一の対等が好ましいのか。それとも、たとえば事務次官が発案者であり、その案に対して政務次官が与党を代表してこれに関与するというような形が適当であるのか、あるいは政務次官が発案者となってこれに事務次官が関与するというような形体が望ましいのか、大臣いかようにお考えになっていらっしゃるか、伺います。
  81. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) それは大体事務次官が事務の人たちのことはよく知っておりましょうから、これらの選考をいたしまして、そうして政務次官に相談をし大臣に話す、大体こういうふうのやり方を私どもはとっております。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 幸い政務次官がおられますから伺いますが、次官会議で協議確認した政務次官政府の方針としての人事関与の範囲並びにその範囲内において具体的に寺本次官が関与する場合の基本的な心がけ、態度と申しますか、そういう点についていかに了承し、またお考えになっていらっしゃるか、伺います。
  83. 寺本廣作

    政府委員(寺本広作君) 政務次官会議で話し合いましたことは、行政事務の実質が従来まあ課長、局長でやっておられたのが、省によっては課長補佐級の人が実権を握っているところもある。それによって行政の実態が左右されておるところも相当ある。課長補佐までは局長、事務次官にまかせきりにしないで大臣で見られるようにしたらよかろうということが話し合いの点であります。私どもとして、人事について大臣をお助けする場合には、長い間役所で働いておりますと、役所の内部のことでどうしても空気が沈滞します。やはり清新な空気を注入していくように人事の刷新をやっていきたい。それで内閣の方針が行政のすみずみまですみやかに浸透していくようにやっていきたい。同時に人事か非常に政党的に対立を起し、後々まで禍根を残すような人事にならぬように注意をしていきたい、こう思います。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一部に報じられておりますが、自由党と民主党では、これは文部行政に局限して伺うわけじゃありませんが、一般論として政策の共通しておる面と共通していない面もある。ところがどうも各省の幹部級がまあ平たい言葉で言えば言うことをきかない、民主党の政策を推進していくのにどうも差しつかえがある、従って政務次官を人事に関与させるのだ、かように伝えられておりますが、さような国家公務員が相当おるのでござますか、いかがでございますか。
  85. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私どもの承わったのではそういうような、役所が言うことをきかんからやめさせようというような話は承わっておりません。やはり政務次官大臣を補佐する役だから、これはもちろんその何に加わって人事のことまでもやっていくのが当りまえだ、だからそういうふうに取り計らってもらいたいと、こういうことの話でありまして、私のほうは、もうそんなことはお指図を受けなくても、政務次官がきめた時から、もうそういうことで万事相談をして、そうして事務次官との間も先刻申したようなわけで阻隔なく御意見の交換をしてやっていきたい、こういうことで、今のああいう話が出たために私の方の何はそう変ったということも何もないのです。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではこの新しい基本的方針に基いて、近く政務次官か言われる人事の清新というものを具現するために、人事異動をやられるお考えがあるのかどうかですね。私は何か鳩山内閣の国家公務員に対する一つの威嚇政策のにおいも一部にあるのではないかと、かようにとって、その立場からもどうも割り切れない気持が一部にあるのですが、こういう方針を立てられた以上は、近くの基本方針に基いて、刷新する意味において、清新なる人事異動をやられるお考えでございましょうね。
  87. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 私どもは威嚇しないと政策が行われない現在状態にあるとは思っておりません。私ども文部省といたしまして、人事の異動を絶対にやらないとは申しませんけれども、今人事を、仰せられるように、ぐるぐる一つ何しようというような計画は今は持っておりません。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は事人事というものは、ある場合には果断でなければなりませんが、また慎重でなければならぬと思います。何をするのもやっぱり人なんですから、適材通航に持っていくということか最も大切なことだと、かように私は考えます。ただ文部大臣の先ほど基本的に述べられたことについては、了承できる画も多々あるのでありますが、結果論としてこういう空気が生まれているものと私は見ているのですよ、それは、文部省に限定するわけではありませんか、現在の政局の不安ですね、これとも関連して、いずれ鳩山内閣は連立、これは松村文部大臣見解が違うかもしれませんか、逆立内閣になり、あるいは鳩山さんの御健康から連立をある時期には越えて、保守単独内閣かできるかもしれない、いずれ今の鳩山内閣の形態では続かないのだから、政務次官かこれから人事にタッチするとなると、今の政務次官の方針通り仕事をしておるのかいいかどうかわからぬ場合に、あまり仕事をしないに限る、一つひより見をやっておるのに限ると、これは意識しないかもしれませんが、そういう一般的な空気というものが私は各省にかなりびまんしつつありはしないか、これか行政事務の創意発展をもたらさず、また渋滞をもたらしてくる一つの原因にもなりはしないかと、かように考えるのであります。従ってこれらの点については国務大臣としてもまた文部大臣としても十分注意を払っていただきたいということを要望いたしておきます。
  89. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) 御注意はありがたくお受けいたしますが、この政局の不安のためから来るそういう動揺といいますか、何かというのは、それはその人の見るところでありましょうけれども、官僚といたしましては忠実にその職務を守ってさえいただけますならは、決してそれ以上のことをわれわれはしようということは、強いて何するということはもちろんいたしません。従いまして、政局のことを一々考えて官僚が何をしますと、これはこういう政局のきわめて不安定な動揺するときですから、絶えざる不安は今後もくると思うのです。私の希望いたしますところは、官僚はその職に安んじて全力を尽してもらいたいと思います。それからまたわれわれ責任者は、そういうことに対して無理をしないで、そうして本当にやむを得ざる人事、誰が見ても当然だと思う人事をするように心がけていきますことか、両者の間の調整かでき、政務があがるゆえんだと思います。そういう心かけてこれからもやっていきたい、こういうふうに考えております。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つだけ聞かしていただきます。これか最後ですが、私は先般本会議場において、文部大臣の発言を敬意を表しながら承わったのですが、それはわが国の現在の教育というものは、戦前戦時の教育と違って、教育基本法に基いて教育が遂行されていくのだと、従ってそのときどきによってそれほど教育というものが変ってくるはずのものでもないと、むしろ政治家並びに父兄、国民一般が、この教育基本法を十分熟知していないようであるから、この教育基本法の法の精神の周知徹底方に努力したいと思うと、かような意味の発言を文部大臣としてされております。私は全くこの見解には同感するわけですが、従って私は文部省に勤務されている公務員というものは、ときの政権の政策に背いてはならないでしょうが、必要以上に媚びるという態度でなくて、やはり公務員として忠実に従わなくちゃなりますまいが、公務員の心がけとしては、ときの政権に少くとも媚びへつらうというような態度はとるべきではないと、私は基本的に考えるのですが、いかがでしょうか。もし私はAなる政権に媚びへつらったならば、公務員というものはB政権の下においては私は適当でないというような、あるいはさっき政務次官が言われたように、人事の刷新という立場から人事行政をやらなければならないというような事態が生じてくるのではないかと、かように考えているわけであります。基本的な、何も私は人事をやれと言っているのではない、基本的な心がけとしては、私はかようなことを要請してしかるべきではないかという見解を持っておりますので、大臣の御所見を承わりたい。
  91. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) お話通りでありまして、媚びへつらうような態度を受けるようなことは断じていたしません、われわれは。これは政務次官もそうであり、事務次官もそうだろうと思いますが、私ども媚びへつらうような態度は決して喜んで受けないつもりでいるのでございます。むしろ一つ直言して、はつらつたる気分で文部省内で大いにやってもらった方がいい、僕にもうそれを希望する。沈滞したのではいけないと考えておりまして、そういうふうに指導もいたしているつもりであります。これはややもすると沈滞しがちになるということが一等よくないことで、文部省あたりの上から見ると、ややもすると教育というものは、長いものですから、沈滞しがちになるかもしれませんからそこは一つ大いにはつらつとしてやってもらいたいということでやっているわけですが、なかなか思う通りにも参りませんけれども、そういうつもりでいるわけであります。
  92. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私大臣に希望申し述べたいと思いますが、矢嶋委員の御質問に対する大臣の御答弁によりましてそのお気持はよくわかりました。またそうであろうと私などは想像しておったわけなんです。ただ人事の問題というものは非常に敏感にみんなに響きますのでありまして、よほど注意しなければならない大事な問題だと思います。私も今の矢嶋君の質問の問題が新聞に出ましたときに、これはまずいなという感じを受けたのであります。先ほど大臣お話のように政務次官も事務次官も大臣の御相談相手になられて、そして人事に関係されるということは、これは当然すぎることでありまして、もし今日まで政務次官に相談をかけずに事務次官だけの仕事のように考えて、人事をしておられた大臣があったとしたら、それは私は誤りだと思う。もう両方歩合か何歩かというようなことでなくて、そのときどきに応じて御相談相手に両次官をされる、そして慎重に人事を扱われることはもう当然すぎることであります。今度もそのお考えであるように承わり、そのはずだと思うのでありますが、ただあれが新聞に出た時期か大変悪いと私は思います。鳩山内閣になりまして、まあ第二次でありますけれども、第一次はもともと暫定的のように思われる。今度の内閣が本当の内閣だと思う。その直後に政務次官がやるのだというように強く国民に感じさせるような新聞記事でありましたので、これはいよいよ悪い意味の政党的な人事行政が行われやしないかというふうに心配した向きが相当にあります。それは私から申上げるまでもなく、御承知通り民政党と政友会でやっていたときに、地方の巡査まで異動があったという歴史があります。近ごろだんだん政党の争いが深刻になっていきつつありますから、今まで政務次官関係しなかったから、これから政務次官にやらせるのだというふうな発表がありましては、これは国民が役人のみならず、国民全体としてまた前のような人事行政をやるようなことになったらという心配をするのも無理からぬことだと思っております。そういう意味で私は時期が大変悪かったのじゃないか、そうしてことさらにそれを政府の話として新聞社などにお話になる必要はない。これはお話になったのか、向うから聞かれてどなたかお答えになったのか、それは私は知りませんが、とにかく政府の方針がそういうことにきまったのだというふうなことで、大へん強く大きく響きましたことは私は失敗じゃなかったかと思います。まあ、十分その点は御注意下さいまして、今矢嶋委員からいろいろ御質問が出ましたが、矢嶋委員の御質問も無理からぬ御質問で、あれは矢嶋君お一人の疑惑ではなくして、広くそういうふうに心配していた人があったように思っております。ただこれは文部省だけの御質問でもとよりありませんで、先ほどからの御質問国務大臣としての松村さんへのお尋ねで、それに対するお答えでありますが、政府全般のことでございますが、どうも政府の幹部の人で、特に苦い人、私などから見ると装いという言葉を使いたくなりますが、なんだかおれか仕事をしてやるのだ、はっきりした仕事をしてやるのだというような気持が見えることもなきにしもあらずで、言わんでもいいことをあまりはっきり言い過ぎるというようなこともありやしないかと思っております。その点は松村さん長老でありますし、何かにつけまして御発言の機会も多いことでありましょう。この問題に何も国務大臣か直接触れられたというようなことでもないように私たち承知しております。どうか一つ十分御注意下すって、いたずらに疑惑を持たせ、いらぬ心配を役人たちにさせないように一段の御留意をお願いいたしたい、かように私は考えております。
  93. 松村謙三

    国務大臣松村謙三君) どうもありがとうございます。実はあの話を聞きましたときにはそんな強い話でもなかったのですが、発表するときにああいう強いことに発表したものですか知りませんが、そういうことではございません。そうして私ども了解いたしておりますのは、ただいまここで矢嶋さんに御説明申した程度のことと了解いたしているわけでございます。
  94. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ほかに御発言ございませんか。本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会    ――――・――――