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1955-07-28 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十八日(木曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員の異動 本日委員小林孝平君辞任につき、その 補欠として三橋八次郎君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            重政 庸徳君            関根 久藏君            田中 啓一君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            三橋八次郎君            森崎  隆君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君   委員外議員            小林 孝平君   衆議院議員            淡谷 悠藏君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    食糧庁長官   清井  正君    林野庁長官   柴田  榮君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    大蔵省主計局農    林係主査    徳宣 一郎君    農林省農地局計    画部長     和田榮太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年六月及び七月の水害によ  る被害農家に対する米麦売渡の特  例に関する法律案衆議院送付、予  備審査) ○中央卸売市場法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○愛知用水公団法案内閣送付予備  審査) ○農地開発機械公団法案内閣送付、  予備審査) ○農林水産政策に関する件  (杉たまばえに関する件)  (昭和三十年産米の集荷及び価格に  関する件) ○昭和三十年産米価格決定促進等に関  する請願(第六三四号) ○桑園の凍霜害対策に関する請願(第  六六八号) ○昭和三十年産米対策に関する請願  (第六六九号) ○降ひょう被害農家救済等に関する  請願(第六七〇号)(第七六七号)  (第七八九号)(第八二四号) ○産米銘柄制度復活に関する請願(第  六八六号) ○未墾地買収価格引上げに関する請願  (第七二七号) ○未墾地買収に関する請願(第七二八  号) ○酪農基金法制定に関する請願(第七  八七号) ○山口県姫小島周辺国連空軍爆射撃  演習による漁業損害補償請願(第  七八八号) ○精麦用麦価格適正化に関する請  願(第八〇〇号)(第八一一号)  (第八一八号)(第八三六号)(第  八四〇号)(第八四五号)(第八六  四号)(第八八六号)(第九〇二  号)(第九〇三号)(第九〇四号)  (第九〇五号)(第九一八号)(第  九二八号)(第九二九号)(第九四  三号)(第九五七号)(第九九〇  号)(第九九一号)(第一一〇七  号)(第一一五八号)(第二五九  号)(第一二二一号)(第一四一二  号) ○内水面漁業助成等に関する請願(第  八〇二号) ○山陰漁場集魚灯使用によるまき網  漁業調整請願(第八五二号) ○愛知県中部を集約酪農地域指定す  るの請願(第八五九号) ○昭和三十年産米価格等に関する請願  (第八七三号) ○凍霜等による被害農家救済に関する  請願(第九一〇号) ○沖繩向け硫安の取扱に関する請願  (第九三〇号) ○伝貧研究所設置に関する請願(第九  三八号)(第九三九号)(第九八九  号)(第一一六〇号) ○採穂林造成費国庫補助に関する請願  (第九四五号) ○母樹候補林指定等に関する請願  (第九五〇号) ○パン食普及に関する請願(第九五五  号) ○長期造林計画樹立等に関する請願  (第九八四号) ○山林種苗検査制度確立等に関する  請願(第九八五号) ○以西機船底びき網漁業及び遠洋かつ  お、まぐろ漁業許可等について  の漁業法臨時特例に関する法律の  適用期間延長に関する請願(第九八  七号) ○母樹林補償費増額に関する請願  (第九八八号) ○北海道足寄町の鹿害農作物補償等に  関する請願(第二五七号) ○宮城県蔵王地区集約酪農振興地域  に指定するの請願(第一二三三号) ○凍霜害対策に関する請願(第一二九  五号) ○台風襲地帯災害防除に関する法律  制定請願(第一二九七号) ○岡山県藤田村六区の災害農道補修等  に関する請願(第一二九八号) ○岡山漁業協同組合員地区内漁業  権に関する請願(第一二九九号) ○すぎの害虫ぎたまばえを法定害虫  に指定する等の請願(第二二一四  号)(第一五八九号)(第一七一五  号) ○豪雨による被害農家等救済対策の請  願(第一四八二号) ○砂糖安定価格に関する請願(第一  五三五号) ○昭和三十年産米価格に関する請願  (第一五四〇号) ○昭和三十年産米穀検査規格改訂に関  する請願(第一五四一号) ○米穀予約売渡制等に関する請願(第  一五四八号) ○農民均分相続に関する請願(第一  五五七号) ○家畜改良増殖法中一部改正等に関す  る請願(第一五五八号) ○輪天飼料供給確保等に関する請願  (第一五八四号) ○農薬による水産関係被害救済請願  (第一五九〇号) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案中一部修正に関する請願  (第一五九一号) ○小団地開発整備事業地帯別適正実  施に関する請願(第一五九三号) ○新潟清津川総合開発促進に関する  請願(第一五九八号) ○台風襲地帯における農林水産業の  災害防除に関する特別措置法制定に  関する請願(第一六一〇号) ○砂糖価格安定及び輸入に関する臨  時措置に関する法律案中一部修正等  一に関する請願(第一六一九号)  (第一一六六七号) ○病虫害防除薬剤購入予算に関する請  願(第一六二九号) ○漁村振興に関する請願(第一六三三  号) ○果樹の凍霜害対策に関する請願(第  一六三四号) ○急傾斜地帯土地改良事業費増額に  関する請願(第一六三五号) ○農地開発事業促進に関する請願(第  一六六二号) ○香川県塩飽、直島両海域の入会漁業  許可に関する請願(第一六六八号) ○新潟清津川総合開発促進に関する  請願(第一六七五号) ○豆類の品種改良等のため北海道の試  験研究施設拡大強化に関する請願  (第一六九九号) ○農地改革是正に関する請願(第一七  一二号) ○森林病虫害防除費国庫助成のわく拡  大等に関する請願(第一七一四号)     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。  昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦売渡特例に関する法律案議題にいたします。  本法律案衆議院議員綱島正興君外七名の提出にかかり、去る七月二十六日予備審査のため本院に送付、即日当委員会予備付託となったものであります。  まず提案理由説明を求めます。
  3. 淡谷悠藏

    衆議院議員淡谷悠藏君) ただいま提案と相なりました昭和三十年六月及び七月の水害による被害農家に対する米麦売渡特例に関する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  本年六月及び七月に東北並び北海道を襲いました水害によりまして、その保有している米麦流失埋没もしくは腐敗等により、あるいはまた水害による著しい減収により飯用食糧に事欠く農家が多数生じている状態でありますので、これら飯米不足被害農家に対しまして、飯用食糧確保の方途を講じまして、安んじて生業に精励することができるようにいたす必要がございますので、昭和二十八年六月及び七月の大水害、または同年並びに翌二十九年の冷害等の場合にとられました米麦売り渡し特例措置にならいまして、政府所有米穀、麦及び麦製品特別価格売り渡し、もって、被害農家の再生産確保に寄与いたす目的をもって、本法案提出いたす次第であります。  次に本法案内容の要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、この法律に基き米麦売り渡しを受ける被害農家とは、本年六月及び七月の水害により、その生産にかかる所有米麦流失埋没もしくは腐敗し、または著しい減収のため、その農家飯用消費量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けたものとすること。  次に政府は、その必要とする米麦都道府県売り渡し都道府県は、市町村を通じて被害農家米麦を売り渡すこととする間接的な方法をとりましたこと、及び政府売り渡し価格は、被害農家購入価格がおおむね生産者政府売り渡した場合の基本価格となるように定めましたことであります。  以上が本案の提出理由並びに内容の概要でございます。慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案審議は後日に譲ります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  議題に追加して中央卸売市場法の一部を改正する法律案議題にいたします。本法律案は七月二十七日参議院議員田中啓一君外六名によって発議せられ、即日本委員会に付託されたものであります。まず提案理由説明を聞くことにいたします。
  6. 田中啓一

    田中啓一君 ただいま提案いたしました中央卸売市場法の一部を改正する法律案について提案理由説明いたします。  現行中央卸売市場法は、大正十二年に制定せられたものでありまして、社会経済事情の一変した今日においては慎重検討を加え、実情に即応して根本的な改訂を加えなければならないと考えられるのでありまして、政府も同様な見解をもちまして、今年度新たに経費予算約二十万円をもって審議会を設け、中央卸売市場法改正調査に着手することになったのであります。しかしながらこれが結果についてはかすに時日をもってしなければならないのでありまして、その間市場取引は一日もこれを休止することはできないのであります。  しかして今日、市場取引の適正を期する上において、特に大きな障害が二つあるのでありまして、それは市場施設の狭隘・不備と取引中心である卸売人乱立がそれであります。  第一の市場施設整備につきましては、農林省は、市場施設整備拡充計画を策定し、これが実施に必要な補助金及び起債等確保に努めまして、すでに昭和三十年度一般会計予算におきまして数千万円の補助金に要する経費が計上されておるのであります。  第二の卸売人乱立是正に関しましては、一昨昭和二十八年十一月農林省農林経済局長及び水産庁長官連名をもって市場開設者たる関係都市及び関係都府県知事あて中央卸売市場卸売人整備統合について通達を行い、卸売人の自主的な整備を勧奨したのであります。しかしてかような措置を契機とし、開設者及び産地荷主等からの要望もあり、市場取引を明朗化し、かつ無用な経費を節約するため、各市場卸売人の間において自主的に整備統合しようとする気運が熟し、特に大阪中央卸売市場卸売人は、当局の勧奨に従って統合を完了して、新らしい会社によって業務を開始する運びとなったのであります。しかるに公正取引委員会は、右の統合に対して、統合後の二社の営業規模の較差が大き過ぎる等の理由によって反対を表明して、せっかくの統合計画も挫折するのやむなきに至ったのであります。  そもそも中央卸売市場卸売人は、一般企業と異なる特別の性格を持っておりまして、卸売人合併あるいは営業の譲り受けは、出荷者からいたしましても、また購入者から見ましても、一定の取引分野における競争を実質的に制限するというようなことがなく、企業独占の弊をかもすものとは考えられないのでありまして、むしろ市場取引の公正を期し、無用の経費の節減をはかるため、これを促進する必要があると考えられるのであります。  しかるに大阪中央卸売市場における卸売人統合に際して起ったような問題は、現行中央卸売市場法卸売人合併又は営業の譲り受け等に関する明確な規定を欠くことに由来するものと考えられます。  そこで、中央卸売市場法の根本的な改正についてはこれを他日に譲ることとし、さしあたり当面する障害について、施設整備に関する新規予算の成立に対処し、卸売人整備統合に関してこれを促進し、かつ卸売業務許可についてもその適正をはかるため、本法律案を握る出すことにいたした次第であります。  しかしてその内容は、従来中央卸売市場卸売業務許可は、地方長官が行うこととなっていましたものを、これを改めて、主務大臣が行うこととし、さらに卸売人合併または営業の譲り受けについて主務大臣認可を受けたときは、これについては私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律を適用しないこととし、主務大臣がこの認可を与えようとするときは、公正取引委員会協議しなければならないものとしようとするものであります。  以上が本法律案提出するに至りました理由及びその内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  7. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案審議は後日に譲ることにいたします。     —————————————
  8. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に先ほどお諮りいたしましたように請願議題にいたします。  先般文書表第十一回報告までの請願を処理したのでありますが、その後第十二回から第十七回までの分八十七件が本委員会に付託されておりますので、前例の方法によりまして順次御審議を願うことにいたします。  ちょっと速記をとめて。    午前十時五十六分速記中止      ——————————    午前十一時四十五分速記開始
  9. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  ただいままでの審議の結果、請願第六百八十六号外六十四件は、議院の会議に付するを要するものとして、内閣送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。なお、報告書についてはこれを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  12. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次にスギタマバエの件を議題にいたします。  この件は先刻請願処理の際問題になりましたのでありまして、採択と決定をされましたが、この問題につきまして政府の善処を求めるため、ここに特に議題といたした次第であります。最初三浦委員から問題の要点を御発言願うことにいたします。
  13. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 これは前の委員会でも現物をたしか持ってきて陳情者から話を聞いたことがあるように思いますが、このスギタマバエ昭和二十六年あたり鹿児島の一部に発生を見まして、その蔓延を、周辺の者として、あるいは林野の一部でも非常に気にしておったのでありますが、なかなか経費が及ばない、そのうちにだんだん広がりまして、最近では被害面積国有林が約七万町歩民有林が七千数百万町歩、合せて七万七千余りが現在その被害対象となっておりまして、現に鹿児島は全県、それから宮崎県も延岡の周辺まで、延びてきて、やがてこれが熊本に、あるいは大分に来るのではないかというので、あちらの方面の人たちは、ことに植林をやっている連中は、非常に戦々きょうきょうの形で心配をしておる問題であるわけであります。幸いこのスギタマバエ研究者によってその習性がはっきりわかった、どうすればこれを効果的に駆除することができるかという習性がわかりたのであります。で、昨年は国有林の方では自分たちの金を都合して実験して見た、その結果は先般ここへ持って来てその現物を見たように、明らかにその効果が出ているのであります。従いましてこの問題については衆議院農林水産委員会におきましても去る七月十六日決議をしております。読んでみまするというと、    杉たまばえの防除に関する件   最近主として南九州諸県下にわた  り、杉たまばえの異常発生を見、貴  重なる森林資源を損耗しつつあり、  この、まま放置するときは、全国杉の  造林地に対し、重大なる被害を与え  ることとなるをもって、政府は、こ  の際速かに杉たまばえを法定害虫指定すると共に、これが防除事業国庫助成その他万全の措置を講ずべ  きである。   右決議する。  昭和三十年七月十六日       衆議院農林水産委員会  と、こういう決議を満場一致しているのであります。  その後この委員会におきましても三十年度の予算補正等をめぐって、明らかでない点を明らかにする機会がありました際に、この問題が出まして、主計局の原次長もおられて、この問題が一応言われたのでありましたが、当時衆議院の方の委員長はあの補正のときには確かにこれは入っているのだということを主張いたしてたのでありましたが、その後調べてみまするというと、これは国有林についての被害防除措置の話と、民有林のこの防除事業に対する経費とが混同されておったことが明らかにされまして、民有林については何らこのスギタマバエに対する防除経費というものはつけてなかったということが明らかになったので、非常に驚いて、その処置に困っておるというのが実情のようであります。そこで先ほど審議になりました請願の中にありまするように、法定病虫害としてまずこれを取り入れて、そうしてまた地域的に狭い鹿児島宮崎という県の一部にある間にこれを徹底的に殲滅をするのが最も効果的であろう。杉はいうまでもなく日本造林樹としては一番多いものでありますから、この点が問題の中心でありまして、私といたしましては、まず法定病虫害に加えて行く、そうして現在ある予備費をもって松その他の病虫害とともにこれを駆除して、そうしてその発生状態によって当然見積られてあるそれらの病虫害経費がなくなりまするから、その際には予備費等から出すということを明らかにしておくことが、一番まあ手っとり早いさしあたりの問題かと、私はこういうことを考えます。
  14. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまの三浦委員の発言に対しまして、政府見解をお聞きしたいと思います。
  15. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) スギタマバエ被害に関しましては、ただいま三浦先生からお話のような実情でございまするが、ここでちょっと私聞いておりまして、聞き違いかも知れませんが、数字が逆になっておったような気がいたしますので、もし、もう一度申し上げますので、間違っておったら御修正を瞬いたいと思いますが、現在ちょうど七月の十三日に担当官を招集しまして、最も新らしい資料を集計いたしました結果、国有林は七千百二十四町歩になっております。民有林が約七万町歩、六万九千九百四十九町歩、ちょうど逆になっておったような気がいたしますので、これを修正させていただきたいと思います。このスギタマバエは実は従来ほとんど問題にならなかった害虫でございまして、生活態自体もようやく二十九年に初めて明確になったというようなわけで、先生お話通りに、二十六年から鹿児島の一部に、国有林民有林とも発生した次第でございまするが、当時害虫生活態自体がつかめなかった。そこで的確な防除ができなかったという状況でございまして、鋭意調査を進めつつ、まあ申し上げては大へんなんでございますが、手探りのような防除国有林で進めて参ったという次第でございます。まあそれでも防除についてはかなりの効果を現わして参っておりまして、二十九年に生活態も明確になりまして、さらにこれが防除対策もほぼ見当がつきまして、二十九年度には国有林といたしましても、相当、六千五百町歩近い被害面積に対しまして、千七百町歩という防除対象事業を行いました結果は、非常に効果を上げました。さらに民有林につきましても既配付経費からテストの意味におきまして流用大蔵省と御相談いたしまして、四百万円をもって二千町歩駆除を実施いたしました。その結果は非常にいい駆除効果を発揮いたしましたので、ぜひともその方法によりまして本年度は防除を徹底させたいということで、大蔵省と折衝を重ねて参っておる次第でございます。請願等にもありまする通り法定害虫指定をする、指定協議成立すれば、予算の問題も当然考えなければならぬので、目下これと並行して協議を進めておりまするが、一応大蔵省見解としては、既配付経費流用によってできないかというようなお話もありましたが、既配付経費はマツクイムシあるいはクリタマバチ等害虫防除に対しましても、きわめて小量しか実はできないというような実情で、全く流用の余地はないということで、新しくお認めを願わなければならぬというように考えておりますが、防除の時期といたしましては、生態からいたしまして、十月はちょうど幼虫が木から離れまして地上に落ちてサナギに化する時期でございます。この時期が一つの防除時期でございます。さらにサナギが成虫化して発生する直前、すなわち二月から三月にかけまして、これがまた的確な時期でございまするから、これを対象として約七万町歩に対しまして、十月分としまして、私どもでは最も激甚地を約三万町歩程度ぜひとも防除を実施いたしたい。さらに三十一年の春に、三月に約三万九千町歩防除して、三十二年度には相当衰退させたいという計画で、実は予算もお願いいたしておるという次第でございまするが、ごく最近のニュースではすでに熊本県の南部にも発生を見つつあるということで、非常に苦慮いたしながら、これが対策に万全を期したいというので、協議を進めておるというのが実情でございます。
  16. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ちょっとお尋ねしたいのですが、ちょうど林野庁長官がお見えになっておりますので、今の杉に対する害虫ですが、今のお話のうちにありましたクリタマバチ、これが私はつい先月、いや本月ですか、高知県に参りましたところが、高知県のあの四国山脈の中の山村において、これがだんだん広がってきて、それでこれを県の方から早く切り倒せというけれども農民はただ切り倒せったって切り倒すわけにはいかぬというので、ほったらかしておいたら、だんだんこれが広がって行くという傾向にあるということを聞きましたが、林野庁ではそれがお耳に入っておりますか、またそういうことに対して何らかの措置を講じておられますか、ちょうどついでですから……。
  17. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) クリタマバチに関しては、一時非常な勢いでしょうけつをきわめまして、これが防除にはずいぶん私どもも苦慮いたしたのでございますが、最近になりましては、最もひどい地域には天敵発生がかなり旺盛になりまして、たとえば岡山あたり大分終息の方向に進んでおります。半面お話通り新しい地域高知付近には、新しい発生を見ておりまして、まあ現在経費も十分ではございませんし、一面におきまして、天敵増殖ということが非常にまあ恒久的な対策とも考えられますので、やや安定した所には天敵増殖を進めておりますが、高知県のように処女地に対しましては、まず先端を押えようということで、実は駆除を進めることについて相談をいたしております。高知県には、乏しいながらも駆除費も割り当てまして、補助をしていただいておるというような状況でございます。
  18. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと先ほどの本問題のスギタマバエの問題について、林野庁長官の方の見解をお聞きしたのですが、大蔵省の方ではどういうようにお考えになっていますか。
  19. 徳宣一郎

    説明員徳宣一郎君) この前でございましたが、三浦先生の御質疑に対しまして、原次長からお答えしておりましたが、スギタマバエにつきましては、去年民有林の部につきまして、実験的に二千町歩に対して流用によってその措置をとったのでございますが、その実験の効果が、今林野庁長官のおっしゃったように、相当高い効果があるというデータが出ておるようでございまして、これについてわれわれも至急検討を進めなければなりませんが、その結果によりまして、現在指定害虫になっておるもの、なおそのほか現在は指定害虫になっていないもの、こういうものとの権衡を見比べまして、スギタマバエ法定害虫指定するかどうかという問題を至急検討いたしたいと考えておるわけでございます。なお、指定害虫指定することに相なりました場合、これに対する防除のやり方につきましては、防除の適期が十月頃にもなりますので、若干時間的な余裕もありますので、具体的に林野庁の方と御相談いたしまして、検討いたしたいわけでございますが、われわれの気持といたしましては、既配付予算、既定予算におきまして、実はわれわれの気持でございますが、マツクイムシの経費等につきましては、北海道の風倒木関係を除きましても、二十九年度よりは若干増額しておるつもりでございます。そういう点から見まして、既定予算のやり繰りによりまして、できるならばカバーをしていただきまして、いわば蔓延の先端を防遏するということを主力にして防除計画を立てていただきたいという考え方でおりますが、この点につきましては、今後よく農林省と相談いたしまして、具体的に持って行きたいと考えております。
  20. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今大蔵省の方からの意見もお聞きしたので、私初め抜き書きしたものを見たところが、国有林の方が多くて、民有林の方が少いかのごとく出ておりましたので、当初申し上げましたが、林野庁の方からその数字はあべこべだと言われて、原稿をよく見るというと、まさにあべこべで、非常に民有林が多くて、国有林が比較的少い。その民有林が特に問題なんでありまして、そこで今大蔵省の方から既定の経費の中から出したい、まず政令に入れるということは、これはどうも御納得のようだが、結局経費の問題は、既定の方でまかなえるだけまかなってもらいたい、これはごもっともな言い分だと思うのです。でありますが、今青山委員が言われたように、例のクリタマバチの方も四国の高知処女地の方にまだ入っておるというようなことでありますので、私はこの先端の方を駆除して行く、全体をぱっとやってもそれは経費がなかなか容易じゃないですから、結局その進行をとめなければなりませんから、宮崎大分寄り、熊本寄りと、こういつたような、いわゆる先へ進んでおる部分をまずたたくということは、私は当然だと思うのですが、それにいたしましてもある程度その駆除の進行に伴って、予備費等でも使わなければならぬこともやむを得ぬが、ある程度の限度は考えるとか、あるいは次の補正等の機会に、われわれとしても考えなければならぬといったような御了解がないと、この問題はなかなか実施には移しにくいというか、この目的には達しにくいんじゃないかと率直に言って思うんです。この点についてはどういうふうに考えられますか。この問題については、衆議院の自由、民主党の補正の際にこの問題を取り上げたいきさつ等も御承知の通りだと思うのです。一つこの点率直に大蔵省のお考えをお聞きしたい。
  21. 徳宣一郎

    説明員徳宣一郎君) 修正のときの問題でございますが、これは修正増加は五百万円ということになりまして、そのうち三百二万円が有益鳥獣費の補助金、それから残りの百九十二万円が、これが森林害虫の事務費ということで一応計上してありますわけでございます。それで、その百九十二万円の中身といたしましては、前に書類をもって提出したかと存じますが、われわれとしましてはこれはいわゆる天を及増殖する、あるいは天敵を利用するための調査を行うというような、県の事務費というふうに考えておるわけでございます。それで、スギタマバエの問題についてどうするつもりかということでございますが、これは繰り返すようで恐縮でございますが、指定害虫指定するかどうかという問題をまず先決いたしまして、それが決定後におきましてどの程度の防除計画というものを本年度において施行するか、本年度全部たたくということがむずかしければそれの先端部分をやって行く有効な方法があるかないか、それから既定予算の中に余裕があるかないかという点も考慮しまして対処したいわけでございますが、予備費もしくは補正予算ということについては、私からはお約束は、まあできませんし、保留させていただきたいのでありますが、たださっきの問題を繰り返して申し上げますと、現在の森林害虫駆除補助金につきましては、いろいろな種類のものが入っておりまして、これはもちろん指定害虫に該当しておる重要なものではございますが、このスギタマバエがそういうものの中でもさらに重要な樹木であります杉につく虫であるということになりますと、既定予算の中におきましてもその実行については優先劣後の順というものがあり得るんじゃなかろうか、本年度中に全部やるということはいずれにしましても困難でございますので、後年度以降にわたる実施計画を全体的に見まして、本年度やるものをきめて行きたい、さように考えております。
  22. 千田正

    ○千田正君 関連して。今の大蔵省の御答弁は、まあ既定の問題に対してのあなた方のいつも常套に行うところの  お答えにしか過ぎないと私は思う。本日われわれはこの請願審議するに当りまして、スギタマバエのこの問題が非常に多く出て来ておるということは、今のあなたのおっしゃるように、従来林野庁をしてやらしめておるその既定の予算内では、もうとうてい手が付けられなくなった。さっき長官からのお答えも大蔵省と折衝中であるが、今までの既定されておった予算の内部では、もうとても手はつけられない、何とか大蔵省に考えていただきたい、こういうのが農林省当局としてのお答えのようでありますが、今ずっと請願審議するに当りまして、内容を検討してみるというと、従来のことではもう間に合わなくなったのだ、何とかしてもらわなければこれはもう蔓延するだけであって、今のうちにたたかなければ将来また大きな国家予算の支出をお願いしなければならない段階に入っておる。だから今のうちに、せめて先端に走っている分だけでもいいからたたきたいけれど、残念ながら既定予算の中にはない、何とかしてもらいたいと、こういうのが、その請願の大部分はそうであります。今あなたがおっしゃっておりましたのは、既定の予算で何とかしてくれないか、ところが片っ方では何ともしょうがないと、こう言うのですから、これは特に考えてもらうよりほかはないと思うのですが、もう一ぺん考え直すということを一つこの際……、われわれから考え直してもらいたいということなのですが、どうなんですか。
  23. 徳宣一郎

    説明員徳宣一郎君) 森林害虫駆除補助金は既定のもの、このものにつきましての実行のなにを、実はまだ私は十分承知していないわけでありますので、そちらの方に今長官は余裕がないとおっしゃっておられますが、この余裕のなさの程度をよく農林省と打ち合せいたしまして、その実情を勘案した上で、今の御質問につきましては検討させていただきたい、さように存じます。
  24. 千田正

    ○千田正君 重ねて言いますがね、今のうちにやれば国家の財政から出す額が少くて済むのですよ、今のうちなら。これがどんどん、どんどん蔓延しまして、今九州に発生しておりますが、今度は四国だ、中国だ、関東だと手がつけられなくなったならば、もうそれこそ大蔵省としてはこれから何倍、何十倍もを支出をしなければならない。今のうちにこれは手を打つのがむしろ国家財政の見地から言って、かえって今のうちに手を打った方が財政支出は少くて、かつ効果的ではないか、われわれはそう考えるわけです。その点についてもっと考えていただきたい。
  25. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと今のにつけ加えて申し上げますが、既定の予算計画とにらみ合せてということですが、今あなたの方はいっでも予算ということが、まあ役所の建前上いつも中心になってくるのですが、これは今千田委員からも言われましたように、今なら比較的容易に押えられる。先になったらとんでもないことになるので、そこであなたの方がこの問題を考えて行かれるのに、これを急速にここで防除するのだというような根本的な立場でやられるのか、それともとにかくあとがどうなろうと予算だけから考えて、予算の制約が第一義になって、まあ、とにかくちびりちびり出し惜しみで長期の計画でやるのかと、その建前が一番問題になるわけです。そこで、その点だけは私は徳宜君の方ではっきりお答えできると思うのですが、これは今のうちに急速に押えてしまうと、こういう建前で行かれるのか、そうでないのか、それだけはっきりしてもらえればいいのではないかと思います。
  26. 徳宣一郎

    説明員徳宣一郎君) まずその指定害虫にするということが前提になるわけでございますが、これが指定害虫になった暁におきましては、従来もできるだけの経費防除のために使って行くということで大体措置して参ったつもりでおるわけなんです。マツクイムシにつきましても、たとえば大体その年度に発生すると思われるものについては、その大体防除するという思想自体は、そういう思想で作られておるわけでございますので、これが指定害虫になりました場合におきましても同様にちびりちびりということではなくてやって行きたいわけでございますけれども、何分にも年度途中の問題でございまするし、既定予算には一応計上していない種類のものでございますので、本年度の問題にいたしましては御希望に沿えるかどうか、予備支出とかあるいは補正とかいう問題に関係させまして十分配慮ができるかどうか、そういう点について疑問を持っておりますので、まず第一次的には既定予算の問題で何とかなる部分をまず第一義的に考えたいという趣旨を申し上げておるわけでございます。
  27. 江田三郎

    委員長江田三郎君) これは予備費でどうとか、こうとかいうことは、先ほどあなたはそういうことについては自分として申し上げる立場でないと言われたのだから、そのことはいいんですけれども、ただこれは衆議院でも、わざわざこれだけを取り上げて決議をしている。われわれの委員会でもたくさんある請願の中で、これだけは特に速記をつけて、特に慎重にやっているというのは、どれほど私たちが、この問題について衆参両院が真剣に考えているかということはおわかりだと思うのです。こんなものを初めにけちくさいことをやったら、ほんとうに一文惜しみの百失いになるのですから、一方の森林資源がどうやらこうやらとかで大騒ぎして、片一方でこれを蔓延されたのではどうにもならないと思うから、今あなたが予備費をどうするとかいうことは、あなたの立場じゃできないのですから、それを、そういうことをお答えしていただかなくてもいいのです。とにかくあなたとしては、この問題については、衆参両院の要望にこたえて、急速に今のうちに防除してしまうのだ、そういう基本方針で行くのだ、こういう方針さえはっきり言ってもらえばいいのです。
  28. 徳宣一郎

    説明員徳宣一郎君) 今の御質問に肯定的に答えますことは、結局財政当局といたしましては形式的に問題をうらはらに考えあわせますものですから、非常に私立場上困るのでございますが、考え方といたしましては、一般的な問題といたしまして、今質疑のございました点の、ちびりちびりとやって行くということがあまり適切でないということには同感でございます。
  29. 千田正

    ○千田正君 今の、私は、あなたはなかなかこれは答弁をしにくいだろうけれども、この点だけはっきりしておいてもらいたいということは、これが法定害虫になった場合においては、当然法定害虫の範囲内において、政府としてしなければならないことを、政府としてですよ、やらなければならない法定害虫駆除ということに対しては、もちろん大蔵省は考えなければならないと思うのです。そこで、まず第一番には、法定害虫に政令をもってきめた場合に、さらに今までのすでに配付している予算領の内部で、それを何とかしろとあなた方の方では言っているわけだ、ところが林野庁当局としては、それだけではどうにもならぬから考えてもらいたいというので今折衝中でありましょう。それで法定害虫ということを政令できめられた場合においては、これは次の補正予算か、あるいはその他において考慮せよというのが農林水産委員会としての一同の考え方なんですよ。それに対してやるやらぬということは、あなたとして答弁できぬというのでしょうが、こういうことが最近の農林水産委員会の強い要請であったということは上司に対して報告して下さい。そうして防除することを考えてもらいたいということだけはっきりしてもらいたい。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも林野庁も熱心じゃないと思うのだね、私は。ということはですね、大蔵事務当局の人がまだ防除費に対して余っているか余っていないのかまだはっきりわからないのだ、何とかすれば出るのだ、こういう言い方なんですが、その点はどうなんですか。全くないものとするならば、われわれが取り上げて行く場合にまた別ですが、そういう疑いを持つと……。
  31. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) 関連してお答え申し上げたいと存じますが、先刻徳宣君のお答えの中に、スギタマバエに関しまする内容について、まだ十分聞いてないというようなお話がありましたが、まことに意外でございます。大蔵省の要求に応じまして、具体的な資料を持ち込んで、しかも担当課長が行って明確に説明をしているはずで、今ごろわからないなんということをおっしゃるのは第一番に非常に私はけしからん話だと思っておりますから、その点は御了承願いたいと思います。なお先生の御質問にお答え申し上げたいのでございますが、既配付経費で何とかならないか、これはいろいろな見解はあると存じます。しかしながら私どもの現在防除事業対象として考えたいと思っておりまする具体的な数字を調べまして、予算を要求いたしておりますものに対しては、マツクイムシにつきましては、これはほとんど放置いたしますれば、主要樹種の一つであります。松の絶滅を生ずるという危険性を非常に私どもも見、大蔵省にも了解をしていただきまして、八割程度実行できるように実はなっておりますが、マツクイムシあるいはクリタマバチ等に関しましては、マツクイムシはようやく六分の一、クリタマバチにつきましては五分の一程度より防除ができないという経費でございます。いかに先端を実施するといたしましても、先端を押えることもなかなか容易でないという経費しか実は相談ができておらない。これは今おしかりをいただいたように、非常に力が足らぬじゃないか、熱意が足らぬじゃないかということになりますと、まことに申しわけありませんが、申し上げるような実情でございます。これをさらに既配付内で、このスギタマバエのごとく、国の端の方で起って、この際防除をすれば非常に有効であり、適切であるということを考えて、お願いいたしておるものに対しまして、繰り返し、繰り返し私どもはあらゆる大蔵省の係官にお話を申し上げているにもかかわらず、お話を十分に聞いてないというようなお話は、私どもは納得できないところでございますが、納得行かなければ、さらに具体的に御説明を申し上げたいと考えます。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはあなたの先ほどの御答弁がまことに不親切だと思うのです。何かまだやり繰りすればなるように言われる。それに何とかしたい、こういう言い方であって、片方は全然ないという。だから問題として委員長が先ほども言うておりますのは、従ってあなたの心がまえとしては、予算の問題であるから、自分がどうするとかこうするとかいうことは言われまいが、一応上司に通じて、このものは根本的に考えますということを言えばそれでよろしいと皆言っている。それがどうして言えないのですか。私は一体その言えない理由がわからない。当りまえの話じゃないか。上司に言っても、金の出る出ないは別の話なんで、大蔵大臣でも何でも引っ張り出して、ここで出せるような方策は、またわれわれに与えられた権能であり、職能であるから、あなたの職能内における自分の心がまえだけ聞かしてもらえればいいのです。
  33. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して。今、各委員から言ったのですが、一つ主査は主計局関係であれば、われわれ予算といたしましても、少くとも大蔵省は国家のために、また国家の総体から見て、国がとの仕事をしたときに、よりょく安定する、またあらゆるその害を取り除くことができるというときに対しては、万難を排しても国費を出し渋るものではありません。今委員長を初め各位がそれを言っているのでありますから、あなたの立場としては、自分の方は、出すことができないとかでなく、事重大問題でございまして、当初にしておけば病も官有に入らずに、災害を未然に防げるという問題であるから、よく意見のあるところを、十分これに自分も協調して、局長なりあるいは大臣なりに相談して、できるだけ防除費を支出することに努力する決意をいたしておるとか、決心をいたしますとか、そうして今林野庁から聞けば林野庁はたびたびこの問題にはしつつこく言っているのに、知らないなどということはこれは自分の職務に怠慢だということを、ますます自分の能力のないことを披瀝するようなものだから、ここは決意してはっきりしなさい。われわれもまた予算委員会の一員といたしまして、主計局長でも、大臣にでも口添えしてあげますから、ほんとうの決意をはっきりお述べ下さって、努力するということを、この際本心の披瀝を希望します。
  34. 徳宣一郎

    説明員徳宣一郎君) この問題は先ほど御意見があったわけでございますが、よく上司にも伝えまして検討させていただきたい。なお今林野庁の長官からお話がありましたように、私は全然この問題は知らぬと申し上げたのじゃございませんで、これはしさいに説明を聞いておるわけでございます。ただ指定の問題につきましては、こまかいことはここで恐縮でございますが、これは担当が違いますので、指定の問題は法律、政令による指定でございますので、予算の問題であるのみならず、まあ主計局部内でも課が違っておるので、そちらの方と打ち合せをしておらないという趣旨で申し上げたわけでございますから御了解を願いたいと思います。
  35. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この問題いろいろあると思いますが、主計局林係主査徳宣君をあまりいじめましても仕方がないのですから、ただ主計局の方でもあなた方議員というものは何でも金を出せというから、一応聞けばいいというのが先入観になっておると思いますが、しかし事の重大性、緩急というものはよく考えてやってもらわなければならぬので、おそらくもう年をとった議員が皆言っているように、今、日本のすみっこの方で、今のうちなら収まる、下手するとこれが日本中に回ったらとんでもないことになるのだから、そこのところは事の軽重、緩急というものをよく考えて、一つ真剣にやってもらいたいと思う。あなたをつるし上げしたところで仕方がないから、その程度にいたしますけれども、これはよく考えていただきたい。
  36. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の問題で私ども一点だけ聞いておきたい。それは衆議院でもこういう決議がなされておるように、スギタマバエ法定害虫指定するのは、これは農林省の権限です。農林省でこれを指定した場合に、指定されれば文句なしにこれについての防除費というか、予算というものは当然ついてくる。大蔵省じゃ指定されればこれに対しては文句なしにつけなければならぬ。この点は林野庁見解大蔵省のこの点についてとは、これはきわめて事務的な問題なんですが、何ら政治的な考慮を必要としないか、これを一つはっきりしておいていただきてたい。
  37. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) 農林省大蔵省協議をしてそれを決定すると、もちろんこれは予算の裏付けの問題があるので、さようになっておりますが、農林省ですべて決定はできないというわけで、大蔵省との協議を実は進めておりまするが、なかなかむずかしいという状況でございます。
  38. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をとめて下さ、    午後零時二十九分速記中止      ——————————    午後零時四十一分速記開始
  39. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      ——————————    午後二時三十九分開会
  40. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  本日午後は、愛知用水公団法案と、農地開発機械公団法案議題にするとともに、先般来ひっかかりになっております集荷の政令の問題にからんで、農林大臣とともに食糧庁長官がもし出席されましたならば、その件をも議題にいたします。  そこで、あとの集荷の政令の問題につきまして、小林議員から委員外の発言を求められておりますが、その件に関して小林議員の委員外発言を認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、それではそういうことにいたします。  それではまず愛知用水公団法案及び農地開発機械公団法案を一括して議題にいたします。本日は事務当局にまず質疑を続けることにいたします。御質問がありましたら順次お願いいたします。
  42. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私は先般予算委員会におきまして大蔵大臣に質問いたしたものですが、愛知用水公団法に基いて農林大臣が基本計画を公表する場合に、関係各省大臣の同意を得ることになっておる、大蔵大臣の直接の関係は、基本計画の中で事業費の関係に同意ができるかどうかという問題であると思うのです。そこでこの起債をする範囲でございますが、そのうちで事務当局にお伺いしておきたい。  大蔵大臣に対する質問は、所要資金は約三百二十億円を要する、そうしてそれは三十年から三十五年までの間に必ず完了をする、事業は中断しないということになっておるが、そこでそのうちの国費の負担分が百十七億を支出するというような計画ができておるが、そのことは、同意を求められたならば大蔵大臣は同意ができるかということを私は質問したのであります。大蔵大臣は、その程度のことならば同意できますという言明をしておったのでありますが、基本計画におきまして私の今言った程度のことならば大蔵大臣は必ず同意すると思う、この範囲のものまでも事務当局問でお話しになっておるか。また私の申し上げた程度でお話ができておるのかどうかという点をお伺いいたしたい。
  43. 和田榮太郎

    説明員和田榮太郎君) 今のお話通りに事務的に了解がついております。従って原則がきまっておりますから、若干数字が動きましてもその通りになると思います。
  44. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私はそのときに大蔵大臣に話を続けて質問したのですが、その点どうもはっきりしていないのは、この事業に着手したならば、今の基本計画内容通りに同意をしてもらえると確信をしておるが、そのために既定の食糧増産対策のようなものに支障を与えるようなことがあってはならないのだということを、農林水産委員会で余剰農産物の審議の場合に、外務委員会に申し入れておる。その点についても大蔵大臣に、申し入れを尊重して既定の国内の食糧増産対策には支障を与えないか、この通りできるかどうかということを質問したのですが、この点についてはまだはっきりしておりませんが、私どもはそういう申し入れを尊重してもらうつもりでこの事業を進めたいということを大蔵大臣には言うておきました。それについて農林大臣はあくまでも既定の国内の食糧増産対策費は絶対に削減しないつもりでありますと言われました。その線で進んでいただきたいと思います。
  45. 和田榮太郎

    説明員和田榮太郎君) 承知いたしました。
  46. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 食糧増産の機械化の問題について和田計画部長の御所見を承わりたい。先般愛知用水事業地区の視察に参りましたときに、現地で説明を伺い、また三好村の実情を視察したの  ですが、従来の開墾の方法と非常に変っている。機械化で非常に仕事も早くできるということで、非常にこれは  けっこうなことだと思うのですが、問題は、愛知用水のあの地域内で約二千万町歩ぐらいのものが二十年ぐらいに三好村、挙母の附近で開拓をやったのが、現在愛知県の多額納税の村ぐらいに発達しておる。十年ぐらい前に始めましたのが、既存の村よりも上回った成績になっておるということを私ども考えてみますと、開拓の方式も従来の手労働で大体傾斜はそのままの程度でやって、一反歩一万円ぐらいになる現在はブルトーザーで山を削って谷を埋めて段々畑にするのがあの地区で一反歩三万円近くになっている。それは非常に早くできます。しかし三万円かけてああいうのをやって行って、そして営農が従来やったものと同じように十年ぐらいたてば、既存の村よりはずっとよくなる、十年ぐらいたてば愛知県中の一番よくなったというところまで行けるかどうかという考え方もしておりますので、どういうように考えられますか。  なお、世界銀行がメモランダムを出したのによりますと、従来日本の開拓は一反歩当り一万円ぐらい使っている。それをアメリカの機械を持って来て機械農業をやれば、四千円から二千五百円ぐらいコストを下げることができる。そういうような意味で機械農業をやって行けば、百万町歩から二百万町歩ぐらいの開拓適地があるから、日本の開墾の非常な転換期になるのだ。そういう意味であの計画はぜひ機械農業を進めて行きたいというような  ことを言っておった。現在しからば一反歩二千五百円ぐらい下るというが、今機械をもし愛知用水に使いますと、現在の施設でもりて一反歩三倍にもなって予算がよけいになってくる。その点はどういうふうに考えているか。現在七十五万町歩の開墾適地があるのが、機械農業をやって百万町歩から二百万町歩に開墾適地が拡大されるということは、機械農業の上に非常に画期的な問題だと思いますが、事業費についてアメリカの考え方と現状とは非常に違っておるのではないかというふうに言えるのですが、和田計画部長はどうお考えになりますか。
  47. 和田榮太郎

    説明員和田榮太郎君) 愛知用水事業地区内で開墾をやって、十年たてばりっぱな農業になるかという御質問のようでありますが、これは私たちは組織的に都市の塵芥を入れまして、必らず十年以内にはそういうふうになる見通しでおります。  それから三万円という反当開墾経費の見積りでございますが、これは御承知のようにあの地帯が非酌に小さい。強い傾斜を持っておるので、今回はそれを直接開墾と言いますよりもむしろならす、地ならしをするといったようなことをやらなければならないような地勢でございますから、相当の経費を見積りました。しかしなお今もっと安くできるような方法で、しかも営農に便利なようなやり方を大きく分けて研究をいたしております。ただいま世銀から専門家が協力に来てくれておりますが、それと私たちは相談しながら、できるだけ安くして営農が都合よく行くようにさらに進めたいと思います。  それからアメリカが機械で開墾すれば非常に安くなる。世銀の調査では安くなる。しかしこれは足らないのじゃないか、見積りに非常に違いはしないかということでございますが、世銀の調査団が数千円で開墾ができるだろうということな申しましたのは、根釧であるとか、上北であるとかという比較的傾斜のゆるい地帯の見積りでございます。     —————————————
  48. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この際特に農林大臣から発言を求められております。
  49. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) この機会に特に発言をお許し願いまして私から御了解を願いたいと、かように考えます。それは、先般三十年産米の米価の決定に当りまして、最終的に閣議決定をいたしまして、これを予算委員会、農林委員会等で御説明申し上げました際に、私の説明が不十分でございまして、いろいろ御議論をちょうだいいたしておりますることは、はなはだ遺憾でございます。この機会に私から特に申し上げて御了解を得たいと思うのでございます。  それはすなわち最初に米審に内示いたしました一万六千円、それに対して百円をさらに加えて一万百六十円ということにいたしました経緯につきまして、加えるものについては、これは出荷奨励費とかというようなことではない、そういう考えを持っておりませんと私が申して参ったのでございます。この私の考えはたびたび機会のあるたびに申し上げました通りに、今回の処置におきましては、全部の方に、従来の供出割当の時代と違いまして、全部の農村の方に自発的に御協力を願うという意味合いから、政府が買い取りまする米は、すなわち全部予約していただけるものなりという建前をとって私はおるのであります。ただしこれがだんだん、結果から申し上げて恐縮でございますが、平年作でなしにこういう豊作になって参りますれば、豊作の結果に対して、これを最初にわれわれの方で希望をいたし、予約いたしましたものに対して補正をして参る。補正をして、そうして売り渡しをしていただくというこの補正をいたしたものにつきましては、当然私はこの一万百六十円という価格を適用すべきものだという考えのもとに、少くとも政府が購入いたします、集買いたしまする米については、いずれもこの一万百六十円という価格が適用できる、できて行くべきものなりという観念のもとに考えて、この政策をやって参ったのでございます。それが事務の手続上これについて名前が加算金ということになっておりますので、そこでこの加算金というものは予約をしない者にはやらぬ、予約をする者にはやるということの区別がついてくるじゃないかということで、いろいろお話があるようでございますが、私は今申し上げました通り、全部予約していただけるものだ、そうしてまた全部予約していただいて、それを政府が集買して行くようにして行くのだということのために今申し上げましたような建前をとっておるのでございます。これについて理論から申せば、確かに予約をしない者については一万六十円、予約をした者については一万百六十円ということになって、そこに区別があるじゃないか、違うじゃないかというお小言をちょうだいするかも知れませんが、これは私は最初そういう考えを持っておりまして、そこで、そういう御答弁を申し上げて参ったのでありますが、そういう建前をとっておりますために、こういう処置をとりました。どうかそれらの点につきましては、一つあらためて御了解いただきたいことを特にお願いするためにこの発言をいたす次第であります。なお、お尋ねがありましたならお答え申し上げることにいたしたいと思います。
  50. 小林孝平

    委員外議員小林孝平君) ただいま農林大臣から詳細な説明をいただきまして、かなり了解いたしたのでございますけれども、実は今御説明がありましたことに対して御質問いたしたいと思うのでありますが、その前に、ただいま農林大臣がおっしゃったように、農林大臣は原則として全部予約してもらい、そうして実際問題として予約したものと予約しないものとの差のないようにしたい、そのために価格は一本にするのだということを、しばしば強く言明されていたわけなんです。それで、われわれは実際は価格は一本できまったものと了解しておったのでございますが、一昨日の当委員会においての食糧庁長官説明、並びにその説明の際お示しになった米価の告示を見まして、われわれは非常に驚いたわけであります。それでこれはいろいろの手違いで、そういう説明が今までに当然されるべきことをされなかったのだろうと思いまして、私は故意に農林大臣が御説明を避けておられたとは思おないのであります。そこで私は、ただいま農林大臣がおっしゃったようなことを実際おやりになるならば、数点お尋ねをしなければならない。  まず第一点は、この政令の第五条を見ますと、明らかにこの予約以外の数量を指示して、政府売り渡しをさせるような規定になっているのです。これは農林大臣が全部予約でやってもらうという精神に明らかに反しているのです。そこでこれは政令を改正されない限り、この農林大臣の従来の言明並びにただいま御説明になったことと相反する結果になっている。この点をどうされるのか。  さらにもう一点は、この百円の問題だけでないのであります。早場米奨励金について言いますと、早場米地帯において予想以上にとれた。それを二十俵と予約しておったけれども、よけいとれたから二十五帳出そうという場合は、長官の説明によりますると、それはあとの五俵は早場米奨励金も出ない。百円はもちろん早場米奨励金も出ないということを言われているのです。そこでこれは非常に大へんなことになりまするので、その点は実際つくのかっかぬのか、従ってそれに基いてただいまの農林大臣の御説明によれば、当然価格に関する告示も改正しなければならないということになると思うのです。以上三点お伺いいたします。
  51. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 今の最後の点から先にお答え申し上げます。早場米奨励金は、当然早場米奨励金をつけて支払いをするのでございます。  それからその次に、政令に、予約をしないものに対しては供出をさせるようになっている。これは御承知の通り国の行政の指導といたしましては、私の申し上げた通りにやって参るつもりでございますけれども、何分食管法と相見合って参るのでございまして、食管法のたとえば強制的に供出を命令するというようなことにありましては、これはこういうことを考えてはいないのでございます。いないのでございますけれども、公平を期する意味において、万々一そういうものがあった場合に処して、こういうものが書いてあるのでございまして、今それとうらはらに政令にそういうふうにありますが、私が申し上げたように行政指導としてやれば、こういうふうなことは結局必要なしに、そういう事態は起らないというふうに私は考えております。  もう一点は豊作で二十俵申し込んで二十五俵供出しようという場合に、それはどうなるかということでございますが、これはすでに新聞等でも御承知の通り、富山等においてもうすでに予約が満額になっておる、それ以上の申し込みがあるというようなことでございますが、私はたくさん供出していただくことがけっこうなんでございますが、ただしかしそれが不当に、ただ前渡金を使おうとか何であるとかいうようなことでは困るのでございまして、一応平年作を目途として希望数量を申し上げたのでございますけれども、だれが考えてもこの天候で、もう豊作気構えであるのでございます、ということでございますから、直ちに私は適当数量の希望に基いて十分勘案いたしまして補正をいたしまして、そして二十俵のところを二十五俵売り渡しをして下さるという人に対しては、当然補正をしてこれを該当するようにして参ることが妥当である、こう考えて、この補正のことにつきましても、今申すのではないのでありまして、かねて申し上げております通り、これは減収の場合と逆に、増収の場合におきましては、供出の多いことがけっこうでございますから、これについては補正をして、もっとよけい出していただくということにして参りたい、御希望によってもっとよけい出していただければますますけっこうだということに考えております。
  52. 小林孝平

    委員外議員小林孝平君) 今の告示の改正の問題に関連しまして補正をやるというのでございますが、それはただいまのように、現在申し込みがどんどん出て超過いたしておるから補正をさらに途中においてやられるということはわかりましたけれども、いよいよ収穫してとってみたら、補正をやってもらったということも含めまして二十俵の予約数字が二十五俵出そうというような場合は、そのときになってからでもまだ補正をおやりになるのか、要するに結論としては、出したものは全部……、予約金については場合によれば出ないかもしれぬけれども政府に売り渡す分については全部ともかく早場米奨励金がつくか、つかないかということをお尋ねしたい。並びに百円が全部つくか、つかないかということ……。
  53. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 早場米奨励金につきましては、早期に政府に売り渡された方には当然つけるのでございます。これは全部間違いなくその通り御了承願ってけっこうだと思います。  それから別途の加算金につきましては、一応今予約された人につくという建前になっております。今申し上げましたように、私は全部予約をしていただく建前でございますから、ここで第一次予約をお願いいたします。これが豊作の気構えでおりまして、現実に一応の予約を済ませまして、その次にますます天候がよいので収穫が多いということになりますればこれは当然第二次の予約をいたすということも考えられるのではないかと思うのであります。そういうふうにしてやって参りたい。善意な方に対してはあくまでも善意にわれわれは行くべきであって、善意と故意と混淆して、正直者がばかを見るというような結果にならないように、細心の注意を払って行きたい、こういうことが真意でございまして、善意の方に対してはわれわれはあくまでもその利益を均霑してこれを擁護して行かなければなるまいと考えております。
  54. 小林孝平

    委員外議員小林孝平君) 今の点でちょっと先ほどと異なってお述べになりました点は、百円の点については何らかの形において予約という形をとらなければ出されない、第二次、あるいは第三次というものはあるかどうか知りませんが、そういう形をとらなければその百円は出ないということでございます。それはわかりましたが、それならば今度早場米の方は、大臣のただいまの御答弁では、予約のいかんを問わず出されるというようにお話しになりましたが、それはそういうふうに間違いありませんか。
  55. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 間違いございません。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっとわかりかねる点がありますので……。大体告示からいいますと、八月三十一日が予約期限、収穫はその後九月の五日頃から早場米がとれる、こうした場合、ここに二つの問題が出ます。第一の問題は、八月三十一日までに政府が買い上げようとした予定数量を越した予約が行われた場合、こういう場合が出る。これは問題なしに取扱う。こういうことはもちろん問題ないと思いますが、予定数量を越してもこれは問題ない。そこで八月三十一日までには、今小林君が言う通り、二十俵の予約はしておいたが、かまを入れてみたところが、この分ならば五俵あるいは十俵出せる、こういった場合に、期限内に出される。これは早場米期限内にかまを入れてみたらば大体そういうことがわかります。かまを入れるうちに早場米の九月期限に出すものならば早もう大体わかる、三十日までには出しますから。ことに今年のように一週間ぐらい早くかま入れが行われるという場合には、もっと早くわかる。そういう場合に、期限後に出すんですね、これは非常に不安定になってくれば問題が出る。その場合は、一応出しておいても、あとから補正でもって直してくれる、こういう意味合いなんですか。その場合、おわかりですか、二通りあります。八月三十一日という期限が予約の期限でありますから、その際に、まず第一次的に考えられることは、その際までに大体予想してどっと予約が済んでしまっている。それが大体政府買い上げの予定数量を新潟県のごときもおそらく数十万石越すと思う、これは買い上げる、こういう御説明ですから、これは問題ない。ところが三十一日以後からかまを入れたところが非常によろしいから、早場米期間中にここで出してしまえというので、それに追いかけのものを出して行く、これが早場米の期間に入っておる。この分を補正でやるということならば、むしろ告示にある予約後の差別取扱いを、そういうことをやらないで、そういう期間で出たものは全部取って、早場米奨励金も予約奨励金も買上の値段で買ってやれないのか、そうなぜ言わずに予約後の差別をつけておるか。告示後の差別をとるわけには行かないのか。  その次に問題になるのは、ずっとおそくなって刈り上げてみましたところが、なかても多かったし、おくてもよろしかったが、この時期は奨励金の時期も過ぎておる。そこでこの分も追加して出そう、こういう考えが出て、そこでまた追加買い込みをして参りました分は、これは絶対予約の特別取扱いが受けられぬ、すなわち税金の処置も問題にならなければ、百円の予約金の問題もつけてもらえない、こういう問題が出ているんです。先般来大臣はそれに対してそういう心配はないんだ、こう言うておられるのに、告示だけはわれわれが知らぬうちに今申したようなことになったと思うんですが、この処置は全くわれわれ了解に苦しむのであります。ここに来て何か別な考えと、統制上の別な処置をとられる、また買う米も二十二百五十万石以上約三千万石近くも出たとして、その超過分は規定の値段で買い上げることになり、もう大丈夫だから統制をはずすというようなお考えがなければ、今のような処置をとられる必要がないと思いますが、そういうような処置がなかったならば、そこに来てなおできるだけお集めになって、そうして配給量を増すくらいのことをお考えになるのが当然ではないかと思う。それから日限についてももっとはっきりわかるように、抽象的じゃなくお話しを願いたい。
  57. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 抽象的に申しておるのではございませんので、今申し上げました通りに、予約の日限を無制限にしておくわけに行きませんから、八月三十一日と一応切ってあります。それまでに申し込みなされた方にはおわかりの通り、そこで今お話しの通りにかまを入れたらよけいあった、早場米をもっと出そうと思うがどうだ、これはむろん先ほどお答え申し上げました通りに、早場米奨励金はもちろんのこと、今の予約のことはこういう豊作でごさいますから、豊作によって私は補正して、そうしてその受付をしてそうしてやることが当り前だと思っております。この措置は、決して早場米だけに適用するのではないのでございまして、全国、東北、九州の方のおそ場地帯にも同様に適用するのでございますから、順次この天候の工合を見つつやって参るというつもりでございます。従って先ほど総括的にお答え申し上げました通りに、天候の影響を受けて非常によかった場合、それからまたあらし等を食って、特別に局部的に非常に悪かった地方、それらについては、悪ければ悪いなりに補正をいたしまして、そうしてたとえば前渡金に対する利息の五十円も、そういうふうにあらしによって供出ができないという場合には、これは取るべきものではないというふうに考えておりますし、それからまた今申し上げましたように、天候の影響で非常によけいにとれたという方については、当然これは第二次、第三次の補正をいたしまして、そうしてこれに対しては予約と同様の権利を与えて行くことが妥当であると私は考えておるわけであります。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 妥当と考えるとは、大臣はそういうふうに予約と同じような方法をとっていくのを妥当と考えると言うのですか。ただ心配になるのは、当時、というのは、これは予約制度の問題についていろいろ小林委員等との質問応答の中で、もし予約外の買い入れについてという問題が出ましたときに、いろいろ予算の関係もあればその他の事情もあるから、そのときになって見なければわからない、こういうことをしばしば言われておったのでありますから、それが残って生るのだから、私はしつこいのです。それをしつこく言うのは、そういう問題があるからしつこいのですが、今の御答弁で私どもこう了解してよろしゅうございますか、一応告示としては八月三十一日で予約を一応打切って、その後のものは早場米奨励金も、予約奨励金ですか予約手当もこれはくれないが、しかしそれは告示の面であって、実際の取扱いとしては二次、三次、四次の補正をやって、そういう不公平な取扱いをしない、こうおっしゃるのでありますか、そう了解してよろしゅうございますか。
  59. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ちょっと違います。それはやはりこういうふうに違うのです。早場米奨励金は、予約がしてあるとしていないにかかわらず、期限内に売る米については全部これは付くのです、これは当然この期限内に売ったものについては早場米奨励金は。要するにそれは早場ではないので、その期限内に売った米は幾らときまっておるのですから、これは当然に付く。  それから第二の点の、つまりその一万六十円になっておる、加算金が百円になっておる、その百円は付けるか付けないか、減税の措置は行うか行わぬかということでありますが、これについては先ほど申し上げました通りに、われわれといたしましては平年作を目途として、そうして希望数量を申し上げて、それに対して予約をしておるのでございますから、これがこういう天候で非常に豊作でございますから、この豊作によってどんどん増収されるものについては、この後第二次、第三次の補正をいたしまして、第二次予約、第三次予約ということにして、ますますたくさん売り渡しをしていただくように希望するものでございますから、そういう順序で事務をやって参りたいということをここに申し上げる次第でございます。
  60. 小林孝平

    委員外議員小林孝平君) 今大臣がおっしゃったように、二次、三次と、こういう補正をやって行かれるということになりますと、先ほどの問題に戻りまして、この政令の第五条の市町村長が売り渡しの指示をする場合ですね、こういうことはあまりないかもしれませんが、これも第三次とかあるいは第四次という形になりますか、この分については全然だめですか。大臣の御説明によれば、これも当然第三次か第四次になる、こういうことになれば、これは政令の改正を必要とされると思うのですが、いかがですか。
  61. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 今の市町村長が指示するものは、これは一番最終の段階におきまして、米はとったけれども政府に売らないでみなやみで売ってしまうというような、地方にもそういうことはほとんどありませんけれども、そういうことは因る、正直者がばかを見るというような結果になるようなことに対して、こういうものはうけてあるのだということでございまして、私はこういうものが必要な事態はないと思いまするけれども、今の食管法のうらはらでこういうものがついておるのでございまして、従ってこの指示によって出したものに対しましては、今は適用をするわけにはこれはちょっと参りかねると思いますから、その点御了承願いたいと思います。
  62. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 大臣は衆議院の方に行かれるそうでありますが、ちょっと聞いておきたいと思います。今ので大体わかりましたが、別途昭和三十年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案の中で、「昭和三十年産米穀につき、米穀生産者が、その生産した米穀政府に対し売り渡す旨を政令で定める甘までに申し込み、」云々とありまして、そういうものに対しましての所得税の臨時特例があるわけですが、この法案がどういうことになるかは別問題といたしまして、かりにこの法案が通る場合には、ただいま大臣のおっしゃいましたような所得税の特例についても第二次、第三次の補正というようなものが適用できるのだということになると、ちょっと私この文章で疑問を持つのでありますが、これもそれにならって適当な措置をされると、こう考えてよろしいわけですか。
  63. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 政令で定めた日にちを今は八月三十一日に一応予約の日を切っております。八月三十一日までは予約の期限になっておりますから、その日が一応政令で定める耳になるわけでございますから、その日を順に延ばして行く、こういうふうに解釈しておるわけであります。
  64. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は先ほどから小林委員等のお聞きになったのは、今年豊作の予想がある、そういう立場に立って、あとから出てくるものをどうするかというお話があった。私は逆の場合について一点だけ大臣の考え方を、こまかい点については事務当局に聞きたいと思うのですが、それは豊作だというようなことになると、これはややもすると自分の実力以上に予約の申し込みをする、こういうことも反面考えられると思います。もちろん日本全体としては豊作になるかもしれません、こういう天候ならば。しかし部分的に考えたら必ずしもそうは行かない。あるいはさらにこれから出来秋までのいろいろな台風等の関係もあるでしょう。そういう点を考慮すると、どうしたってこれは非常に景気のいい状態で今出す予約数字というものに対して、逆の補正をするという立場が非常に必要になるわけです、場合によっては。そういう立場からこの政令を私見ますると、非常に気の毒な立場に陥る人もできるのじゃないかという心配があるので、ちよっと確めたい。それはこの政令の第二条で、農家が事前売り渡しの申し込みをする、これは今までの説明から行きますと、その段階においては国と農民との間の私法上の売買契約だ、こういうふうに見ておるわけです。そうしていずれこの問題については公法上の義務がかかってくるわけですが、公法上の義務がかかる前は、最初は私契約なわけですから、一体これでいいかどうか。八月三十一日までこれだけ申し込みしているが、九月末なら末の状態においてこの数字でいいかどうか。まあ十月収穫するような米については当然そういうことが考えられるわけですね。一つの中間の段階を置くのだ、こういうふうに私ども聞いておる。つまり最初の契約をここで更改するのだというふうに聞いておったおけです。ところが、この政令案で行くと、どうもその点がはっきりしない。第三条によりますと、実収高がおおむね明らかになったとき、たとえば八月三十一日の締切りに対して、十月収穫のものであれば、たとえば九月三十日のころの状態、このころは大体状態が明らかになってくるわけですね。そのときに私が先ほど申し上げた一つの操作がそこに行われてくる、こういうふうに考えられると思う。それが行われた後に、第九条に書いてあるような義務が加わってくる。こういう順序になるべきなんですが、どうもその点が明確ではない。これはもしこういうようなものであれば、第二条と第三条の中間の期間、これは一体何のために置いてあるのか、はっきりしないわけですね。これはどういうふうなお考えを持っておるのか、御説明願いたい。
  65. 清井正

    政府委員(清井正君) この点、亀田先生のおっしゃる点は確かにあるわけです。御趣旨はよくわかるのであります。前に私が御明説申し上げましたときには、たしかそういう意味のことを御説明申し上げたと思いますが、実はその後いろいろ部内で相談いたし、法制局とも相談いたし、最終の決定案として出しましたのがこの案でございます。その途中の段階でも、ただいま御質問のような点について一時私御説明申し上げたことがありますが、これは確かにお示しの点の通り、ふやす場合と減らす場合は取扱いを異にしておるわけであります、本政令案では。ところが、ただいま大臣から簡単にお答え申し上げましたように、三条一項の指示というものは第三条においてやるわけであります。四条、五条で異なる場合の指示があるわけであります。これは先ほど来の二度三度の申し込みをやるという関係がありますので、相当収穫がありましてからおそ目になって三条四条の発動はいたすわけであります。ところが、これは大体増加の場合を予期しておるわけでありますが、減の場合でございますと、この点は申すまでもなく一度本人が自主的に申し込まれたものでございますので、これをかりに減にいたします場合には、またその後の災害であるとか、火事で焼けたとか、特殊な事情によって本八の減収を認める、こういうことになるわけであります。ところが、だれがどのくらい減ったか、だれがどういう災害を受けたかということは、私たち食糧庁としてはちょっとわからない立場でございます。申すまでもなく、今までこの事務をやって参りましたのは市町村長でございますので、市町村長のところには個人の今までの供出実績なり、農家人たちの耕作面積なり、台帳がございまして、大体AならAという農民はこの程度の供出はしておったということがわかる仕組みになっておる次第であります。そこで、ただいま申し上げた通り、一体本人が自主的にこれだけ売りますという申し込みをしたものを減らすという場合は、よほど公平なと申しますか、その辺の事情をよくわかっている人が、なるほどあの人は減らしてもけっこうだ、あるいは減らすだけの理由もあるという  ことを、むしろ私法上の契約という立場でなく、公平という、ある意味から言えば公法的と申しましょうか、いわゆる近隣の申し込みをした人との公平という立場から判断をしてもらわなければならぬということを実は考えまして、減らすという場合には、まず三条  一項の指示がありまして、その後に減らす事由のあったものに対して補正をする、こういうことにいたして、補正したものについては今度私どもにおいて契約の更改をする、こういう形にした方が減の補正の場合には適当だろう、こういうように実は考えを変えるに至ったのであります。初めに、なるほど御指摘のように説明をいたしたことがございます。その後、増の場合と減の場合には、公法上の義務の問題と、あたり生産者売り渡しの公平という観点から見れば、減の場合には市町村長にやらせる、そこで公法上の義務を免除する、しかる後に食糧庁と生産者の間で契約の更改をする、こういうことにしたらよろしかろう、こういうことにいたしまして、御指摘の点はよくわかっておりまするけれども、減の場合の取扱いと増の場合の取扱いが違いまして、そうして減の場合には一たん三条一項の取扱いをしてから減にする、こういうことにいたしたのがこの政令案であるわけであります。御趣旨の点はよくわかりますし、私どもも実は率直に申しまして、そういうことを考えたこともあったわけでありますが、その後、いろいろ詳細に検討した結果、ただいまお示し申し上げました政令案のように、増の場合と減の場合の取扱いの差を設けた、こういう次第になっておるわけでありますから、その点御了承願いたいと思います。
  66. 亀田得治

    ○亀田得治君 そこで大臣のお考え方を聞いておきたいのですが、今長官からそういう御説明がありましたが、それによりますと、従来予約の申し込みをした。どうしてもそれができないという状態になってきた。そして市町村長にそのことをまず言へ、こうなんだな。あなたの方は。市町村長が認めたら初めて更改してやる、こういうことになる。ところが、そこなんだ問題は。それじゃ市町村長がそれを認めなければ更改はできないのだ、こうなってくるわけです。そうでしょう。あなたの説明では。それがはなはだおかしいんです。最初から予約申し込みというものが公法上の法律関係としてこう出てきておるものなら、そういうことも考えられるですが、予約なんだ、私契約なんだ、こういうことを言ってる以上は、たとえば天災等において、予定通りとれない、あるいはそのほかの事情でとれない、これは当然今の私法上の理念から言っても、事情の変更によって一方的に減額請求ができるわけなんですね、法律上。今の法律体系で当然これはできることなんです。なぜそういう基本的に認められておる概念をここで認められないのか。もしそういうことが認められるものならば、予約というようなことを初めから言わないで、これは単なる、何と言いますかね、こちらが割当をするための一つの参考資料として君らの意見を聞くんだ、こういう出方でこの政令というものが発足しておるものなら、あなたの御説明で私は矛盾なく了解できる。ところがそうじやないのですね。これは当然そういう私法上の契約というものは、途中で変ってくれば、ほかの規定がなくったってこれはできる。それをとってしまうというのだから、これははなはだ私は納得行かない。もしそういうものであれば、君らは契約はするんだが、しかしこれは一たん契約したら、もう申し込みしたら、それにはすでにいろいろな公法上の義務がついているんだ、これぐらいのことは親切に言うてやっておかなければいなけい。それを示さないで、今長官がおっしゃったようなことをやって、いざ紛争になった場合には、私は農林省の立場はちょっと歩が悪いと思うのです。そういうように私考えるのですが、これは農林大臣大体両方の意向はわかったろうと思うが、あなたはどういうふうにお考えになるか。
  67. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私はあえて食管法の供出制度をそのまま強調しようとは思いませんけれども、一般の農民諸君も食管法によるところの義務供出の観念を全然払拭してしまって、全面的に予約制度でこれでいいんだということに私といたしましてはこの食糧配給の重責を担っておりまする建前から、一方には食管法を廃止して予約制度一本で行くべきじゃないかという強い御主張もございましたけれども、決して私はこれに依存をしようとは考えておりません。万々一のことも考えまして、一方に、負うところの責任も考えますので、食管法をそのままにして、今日予約制度というものを実施するということにしておるわけでございます。そういうわけでございますから、今のお話のように一般の農民の諸君もただ予約制度だけだ、これをするとかしないとかいうことで、そのときに親切に教えておかなければ予約すると同時にその義務を負うのだということについて不親切じゃないかということでございますけれども、私は予約をしていただくという反面において減税の措置であるとか前渡金の措置であるとか可能な経済上の処置をとっておるわけでございます。そこで一方において予約をするとこれも一応希望数字を申し上げてこれを各町村別に希望数字を流しておりますのは、実際出すものと出す約束をしたものとの関係はどうでもいいのだというようなことでは、はなはだ困りますので、そこで、予約をして前渡金をこれまでに使って、そうしてしまいになって供出ができないということでは困りますので、実はその間にいろいろな手続をしておるわけでございます。もちろん先ほどから申し上げますように、御指摘のように災害であるとか、当然だれが見てもこれは供出できないことが、善意な供出不可能の事態であるという場合には、これに対して補正を行いまして、当然それらの責任を免れるということは私は当りまえだと思います。しからばそうでない場合は絶無かというと、まずまずあるまいとは思いますけれども、そういう場合も考慮をおきまして、そういう手続がいたしてあるということでございまして、地元の事情に一番よく精通いたしております町村長に、その申請をし、第一次にそういう手続をとらせるということにしておるわけでありまして、われわれといたしましても全国遅滞なく目を配りまして、どの地方にどういう災害があり、どういう供出困難な事情があるという場合、不作の場合につきましては、従来も補正をいたしまして割当をしたと同じ観念で予約の減額を双方合意の上ではかって円満に進めて行きたいという考えでございます。法律上いろいろな問題があるかもしれませんが、私といたしましては行政上はそういう点につきましては、今申し上げましたような精神で十分監督をして遺憾なきを期して参りたいと、こう考えております。
  68. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお、この問題に対しまして大臣に御質問があると思いますけれども、ちょっと衆議院の関係があるようですから、一応大臣はあす、あさってもまたお見えになると思いますから、そのときにしていただくことにしまして、食庁糧長官にだけ残っていただいて政令を弔う少しやって行きたいと思います。大臣にこの際申し上げておきたいのは、大臣の出席によりましてあなたのお考えになっておる真意というものはわれわれにわかったわけですが、おとといの委員会のように事務当局の説明で不必要な混乱を来たしたわけでありまして、今後ももちろんそういうことはないと思いますけれども、十分に注意をしてやっていただきたいと思います。
  69. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 先ほども申し上げましたように、はなはだ私の不行き届きで御迷惑をかけましたことを深くおわび申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
  70. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではこの米穀に関する政令につきまして事務当局の方へ御質問があればどうぞ。
  71. 亀田得治

    ○亀田得治君 いつかの委員会で長官でなかったかもしれませんが、契約をするわけですから農民との間に契約書を交換すると、こういうことを言われておったのですが、それはそういう契約書の見本はできておりますか。
  72. 清井正

    政府委員(清井正君) これは御承知の通りただいまの取扱いといたしましては、生産者が上級集荷団体に受け渡しの委託をすることを原則といたしております。従って原則は政府としては最高受託者である全国米穀販売組合連合会、いわゆる金版連、全敗連との売買契約になるわけでございます。全販連は代理委託として、代理人として政府と売買契約をするということになるのであります。そこでその契約書はごく簡単な契約書でございますので……。契約書のひな型でございますか。ただいまごらんに入れましょうか。
  73. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっとそれを資料として出して下さい。
  74. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいま一部しか持っておりませんが。
  75. 亀田得治

    ○亀田得治君 政府と金版連との間の直接の契約書になるわけですか。
  76. 清井正

    政府委員(清井正君) さようでございます。
  77. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 後ほど資料として配っていただきます。
  78. 亀田得治

    ○亀田得治君 大体あなたの方の説明が変ってき寺ておるのです。本来この制度というのはちょっとおかしいのですね、出発点が。結局自由販売とそうでない制度とのチャンポンのような制度になっているから、はなはだ法律構成がむずかしいのだと思いますが、ところが、初めの間は農林当局の説明等は自由販売のような感じを非常に強く与えておったわけです。ところがだんだん時間がたっと、それが変ってきておるという私感じがするのです。その辺の心境の変化なりそういったような点の事情の説明を、一つ政治的な立場を離れて率直に一ぺん御説明してもらいたい。
  79. 清井正

    政府委員(清井正君) 初めと終りと説明を違えたという御指摘でございますが、研究未熟のために若干初めに御説明申し上げたことと本日御説明申し上げておることと違うことは確かにあるわけでございます。ただいま亀田さんが御指摘になりました点も確かにその点なんであります、初めは減額の場合についてすっかり何と申しますか、本人の言うことを聞いた上で、最後にやると、こういう趣旨で御説明いたしたのでありますが、政令案となりましたときには、ただいま御説明申し上げたような杉になったわけであります。そういう意味合いにおいては当初御説明申し上げましたこととただいますっかり形ができましたときに御説明申し上げたこととが違って参りました点があることは私も率直にこれは認めざるを得ないのでありますが、その点はあくまでもそういう意味合いにおきましての違いでありまして、気持として、すなわちこの制度を実施する上の根本的な精神につきましては少しも私ども結局初めと終りとに変りがないつもりでおるわけであります。何分にも新しい制度でございますので、政令をいろいろ作りまして、いろいろ売買契約書を作りましたり、いろいろ事務的に非常に過剰なことでございましたので、その間いろいろ相談をいたして参ります場合において、率直に申しまして、いろいろ意見が出ました。それをいろいろ集大成し、研究に研究を重ねた結果、最後にきまりました点でございますので、研究過程においていろいろ御説明申し上げたことは、あるいは非常に間違ったような印象をお与えしたことは、はなはだ恐縮でございます。私どもといたしましては終始一貫この制度を完全に実施するためにはいかなる法制的な形にしたらいいか、あるいはいかなる売買契約の形にしたらいいかということに努めて苦心をして研究したつもりでございますので、この点さよう御了承願いたいと思うのであります。
  80. 亀田得治

    ○亀田得治君 それはまあ弁解されておりますけれども、確かに途中で心境の変化が起きてきておると私は見ているのです。私が指摘しました点は単なる事務的な問題じゃないのですね。これはこういうふうに変えられれば、従前のこの供出制度と大同小異なんです。そのことのいい悪いは、これは別個な判断、私どもそれも相当やはり意味があると考えているのです、いろんな事情から。だからちょっとこう書き方の違いではないのでしてね、そういう意味では、だからそういうふうにいろいろ研究しておる間になってきたということは、いろんな日本の食糧等を確保して行くためには、いわゆるこの自由販売ではいけないのだ、やはりそうでない考え方というものでやって行かないとこれはだめなんだ、そういうふうなやっぱりものが基礎になってこうなっていると思う。だからその辺をもう少し率直に話してほしいのです。
  81. 清井正

    政府委員(清井正君) まあ今後の問題につきましてはなお十分検討いたすことでございますが、私どもといたしましては食糧管理制度全般の方向を考えながら、この制度についてどうということでなしに、昭和三十年産米につきましてはこの売渡し制度によって実施するというふうにきまっておりましたので、そのことについていかなる形においてこれを法制的に裏付け、いかなる形においてこれを契約血において裏付けするかこの制度を完全に目的通り実施するためにどうすることがいいかということについての研究を重ねてきたわけであります。従いまして本制度のみならず米穀の統制全般の問題とにらみ合いながら、この制度を考えたということではないのでありまして、いわゆる三十年度産米においてはこの事前の売り渡し制度を実施するということについての今申した事務的な交渉、法制的な裏付け、あるいは契約上の裏打ちということについて、せっかく苦心をいたして参ったのでありまして、その点は先ほどお答え申し上げたことと同じことを申し上げたことになるわけでございますが、そういう意味合いにおいて多少当初に御説明申し上げたことと後に御説明申し上げたこととが違って参りましたことは、はなはだ事務当局といたしまして申しわけない次第でございますが、最後に決定いたしましたのはそういうことでございます。その点多少精神的といいますか単なる事務的の問題じゃなしに、思想的に違うのじゃないかという御指摘を受けるわけでございますが、とにかく最後にきまりましたのは、以上のようにきまりましたわけでございます。その点趣旨をよろしく御了承願いたいと思います。
  82. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちっとも了解できないのですよ。それで長官は、じゃこういう政令案が従来のこの供出制度、それとどれだけ違うというふうにお考えになっておるのか、私はもう本質的にはこんなものは少しも変らないのだ、そういうふうに思っておるのです。その点はいかがでしょうか。以前に説明を聞いた場合には、これは相当違ってきておる、少くとも五割は違っておる、こういうふうに感じたのです。これでは、これはもう全然違わない一わけなんです。そんへんの評価をどういうふうにされますか。
  83. 清井正

    政府委員(清井正君) まあ御批判を受けたのでありますが、私どもはいわゆる今までの供出割当を本人の申し込みしたものを三条一項で裏打ちするということで、第三条の規定があるわけでございまして、むろん四条、五条において例外はございますけれども、建前は三条であります。その点が今までの供出割当と違っておったと思います。これは御承知のように食管法の建前のもとということになっておりますので、食糧管理法の全般の法律体系のもとにおいて新制度を実施するという前提のもとに出発しておるわけでございます。それで、三条一項で「政府売渡スベシ」ということになっておりまして、その売り渡しについての米価のきめ方が書いてあるわけでございます。そういうふうな関係でございまして、現行食糧管理法を維持して、食糧管理法の建前でやる以上は、当然三  条一項に基いた売り渡しによってやらなければならぬという前提に立ってこの制度を立案いたしたわけでございます。そういたしまして、なおかつ従前のいわゆるあの割当というものを本人の自由なる発意に基く売り渡し数量をあとから三条一項で裏打ちをするという、そういう形にするのがこの制度の眼目であろうと、こういうふうに考えますので、その点が従来の制度と違っている点であると、そういうふうに私どもは考えております。その他四条、五条とございますし、あるいは変更の請求権につきましても、ただいま御質問の点もあるわけでございまして、いささか統制的なにおいがあるわけでございますけれども、私どもといたしましてはこの二条、三条に基くところの木一人の申し入れたものをそのまま三条一項でするという原則というものが、事前売渡し制度の眼目であろう、こういうふうに実は私は考えております。
  84. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは二条、三条のほかに四条、五条があるから、実質的には同じである、それは本質的な差異とは言えないでしょう。それで、ともかくこの新しい制度にとりかかった当時には、初めは私契約の段階、途中でそれに対して適当な補正をして、しかる後にこの公法上の義務、こういう考え方ははっきりしておったわけなんです。これであれば非常な大きな違いです。これは性格上で、その場合ですとたとえば最初の契約をしたものに対して公法上のそういう義務を課することができるのかどうか、こういうことすら実は問題になる性質のものですね、その場合には私契約に対する不履行に対しては、これは法律上履行を求める方法があるわけですから、果してそういう私契約に対してこの九条のような義務をかぶせられるかどうか、こういうことは大きな疑問です。たとえばそういうことを政令で書いてあっても、これは無効ではないかというくらいの議論が出てくるくらいの、ともかく実は大きな差異を持っておった、初めのころのものは。ところがあなたの方で実際上そういうことになると豊作の年はいいが、あるいはそうでない場合には非常に困るのじゃないか、こういうふうなおそらく検討をされた結果、だんだん、だんだんこういうふうに後退してきているのです、それは事務的なことではないのです。だからこれはちょっと御詳明では納得いたしかねるわけですが、一応この程度にしておいて、もう少し何か契約書ですか、それ等を見て適当なときに質疑をしてみたいと思います。一応これで終っておきます。
  85. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと私長官にお尋ねしておきますが、第四条の市町村長ぼ云々ということでしまいに「政府買入数量として定めることができる。」とこうなっているわけでございますのですが、これは必ずやらなければならないということでなしに、市町村長の任意でございますか。
  86. 清井正

    政府委員(清井正君) さようでございます。
  87. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 十一条の「都道府県知事は、」のその最後のところに「必要な指示をするものとする。」とこうありますが、「必要な指示」というものの内容はどういうことなのか、この間の説明ではこの「必要な指示」というのは、数量の指示以外ということでございましたが、それはその通りか、さらに具体的な内容はどうかその点を……。
  88. 清井正

    政府委員(清井正君) その点先ほど、前に御説明申し上げました通りむろん数量の指示は入っておりません。具体的な内容といたしましてもただいま考えられますのは、ある一定のものについて報告を求めるとか、あるいは一定の事項について知事の承認を受けさせるとか、あるいは一定の月日までこうこうしろという指示をする、そういうようなものがあると思いますけれども、数量の指示というものは絶対入っておりません。
  89. 清澤俊英

    清澤俊英君 亀田君が言っているが、ただその訂正条項が、町村長でなにせられてしまうのですね、自分の数量の変更を言って来た場合に、これは今までならば農業委員会というものが非常によく働くものですから、ここで調整してもらえるということになっておりますが、この場合町村長の裁定が不服の場合には、やはり直接農林大臣に異議が申し立てられるように訂正できませんか。
  90. 清井正

    政府委員(清井正君) この点の規定は、従来の規定にも若干あった規定をそのままとったわけでございます。これは個々の関係のことでございますし、ことに市町村長は事情はよくわかっていることでございますし、また実際問題といたしまして減額請求に対して、市町村長はそのことを拒否するという場合は、これは実際問題として考えられませんのでその程度のことまでは必要はないと考えております。
  91. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで一番問題になりますのは、やはりこの問題の出たときに事前売り渡し制度の大体の概略の構想を聞いたときに申し上げたのでありますが、このたびの事前予約買付の構想というものが、農業団体が契約を結んで、これには農業委員会も参加しておれば地方農業会も参加しておればすべてのものが参加しているのです。それが集荷に、実質上契約上の集荷に当る、こういうのでありますから、現実の農村の実情とすれば今までのものとはちょっと取扱いが違ってくる。今までは、農業委員会自身は政府との間に立った農民の代表として、いつも中和体をなしてきた。だからあなた方には非常にじゃまな存在だった。それが契約してきて、形から言えば一応の割当という形になっている、それをその人間が集荷して行くのだから、そこに非常に無理があるから、従って今までそういう規定であったとしても、この際は、もしそういう農業団体等の全体がそういう空気であっても、それにも不服があるものは農林大臣に一応その不服を申し出るくらいの道を開いてやることが現実の農村の実情として正しくはないか、こういうことです。ちょっとこの前とは違いますよ。
  92. 清井正

    政府委員(清井正君) お話しの御趣旨は私もよく了解ができるのでありますけれども、実際問題といたしまして、ほとんどこれは申し出がありますれば、それを拒否することは実際問題としてできないんじゃないかと考えるのであります。現在の規則もこうなっております。またそれが違っておるからというお話でございますが、実際の運用といたしまして、個々の生産者の問題でありますから、そこまでの必要がありますかどうか、ちょっと私どもも疑問であると思いますが、御趣旨の点もありますので、研究さしていただきたいと思います。
  93. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 私はこの政令を初めて読んでみて、実に大臣は各位の質問に対して陳謝したけれども、なぜこういうことをして、政令まで出して、そうして農村にあと味を悪くさして、今清澤委員の言う通り、せっかく各団一体が協力して、しかも農家も納得して、予約をしようという段階にきて、その予約をまた受け付ける当初において、農民がもし予約に応じなければこういうことをするぞという政令を出したということは、これは見ようによっては、農民を事務的に政令をもって縛るということです。私はこういうことが、日本の事務当局がまだ農家を理解しない大きな欠点であると思います。日本農家を自由に生産させ、増産さして、食生活を通じて国民の安定をする、その中に介在して、いかに農家を育成し、農家を安定させるか、町村長まで使ってかようなことをしなければ、この問題が解決しないというようなことになれば、一体予約を計画したときに、非常なそこに不安と、この遂行に対する結果において悪影響があるとでも考えておったかどうか、私どもは、日本農家はそれほど今日政府というものに対しましても、また国民一般に対しましても、多少やみの横流れがあるといたしましても、供出すべきものは供出するすでに訓練もついているし、そういう心がまえに相なっておる、この政令は日本農民全体に対しては、重ねて申しますが、はなはだ農民を理解せざるところのまことに事務的の不法な政令であるというもの笑いの結果に陥ってしまう。私はこれはせっかく出した政令であるけれども、はなはだ悲しまざるを得ない。私は予約制度に対してあるいはまた自由販売に対して、順次敗戦十ヵ年後において、なぜ日本農家に対してもっと自由と、そして農家生産を増強するところに重点を置かなかったかということに対しては、この政令は遺憾であるという結論をここにはっきり打ち出しておきます。どうか長官においても今後この問題を取り扱う上において、この政令を適用するようなことのないように、またこの政令を無理に適用して農民を苦しめ、委員会の活動をこのワク内において活躍させるという逆効果の方向へ持って行かれないように私は望むものであるが、これに対する答弁がどういう御決心であるか、政令はあくまで生かして活用させるということは、はなはだ今日の農家にとって当を得ないが、これに対する御決意を伺いたいと思います。
  94. 清井正

    政府委員(清井正君) この点先ほど申し上げたのでありますが、本来事前売り渡し申込み制度と申しますのは、申すまでもなく現在の食糧管理法の建前でという原則でできております。現在の食糧管理法の第三条第一項の売り渡し義務ということから出発いたしておりますので、そういうような法律的の関係からこういう政令を制定いたしたわけであります。ただし、先ほど大臣が申し上げた通り、こういう政令は作ってあるけれども、今回の事前売り渡し申込み制度、すなわち生産者が自分で申し込みをしていただいて、できるだけ全部政府売り渡してもらうということ、これは先ほど大臣も申し上げたわけでありますが、私どもといたしましては、いたずらに生産者の意思に反することでなしに、円滑に本事前売り渡し制度が行くようにということで、この政令を運用して参りたい、こういうふうに考えます。
  95. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 どうも先ほどのお話がありましたが、私は食糧庁のことについて、すべてをあげて賛成したいんです。この法律を出して、これは適用しないというけれども、ものは必ず法を作れば、大体適用しないといいながら、非常に運用するときに便利なことが生ずればすぐ利用したがる、ここにあまり法律を作る日本の悪さが存在しておるのである。申すまでもなく皆さんがお知りの通り日本農家はきわめて純真であって、そうして農家ほどすべてに耐えて協力体制をしくものはない。農家にこういう無理な法を強いないという御決意だから、私はこの点を強く追及いたしませんけれども、なるべくこういうものを作らずに、理解さして、農家を安定し、農家の今日の特異的協力体制を作るときに、政治としてのほんとうのうまみと申しますか、政治はそこにあるんです。法律を作って人を拘束して、その中に存在してどこにいい政治がありますか、なぜ農家に対してもっと自由と安定と、そうして政府と協力する体制を、ほんとうに心から叫んで協力体制をしかないか、私はこういう点は、はなはだ遺憾である。どうか今後、ただいま長官の言った通り、あくまでこの政令を利用し、適用しないように、十分に処理に当っては最善の努力を払ってほしいと同時に、予約制度は農家に農協を通じ、その他の市町村を通じて、納得の態度が下部まで浸透するような方法を講じてもらいたい、その方途を十分講ずる御決意をさらにお願いしたいと思います。
  96. 清井正

    政府委員(清井正君) 御趣旨の点は十分わかりましたから、政令の運用につきましては、われわれの方といたしましても十分善処いたしたいと思います。
  97. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この政令に関連しての質疑は、本日はこの程度にしておきます。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  98. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会      ——————————