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1955-07-27 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十七日(水曜日)    午後一時三十七分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            田中 啓一君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            清澤 俊英君            小林 孝平君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君            鈴木 強平君            小枝 一雄君            平野 三郎君            井手 以誠君            稲富 稜人君   政府委員    農林政務次官  吉川 久衛君    農林省畜産局長 原田  傳君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林大臣官房総    務課長     檜垣 好文君    農林省農林経済    局金融課長   和田 正明君    農林省農地局建    設部災害復旧課    長       大塚 常治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○養ほう振興法案衆議院提出) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案衆議院提出) ○天災による被害農林漁業者等に対す  る資金の融通に関する暫定措置法案  (衆議院提出)     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。  最初に養ほう振興法案を議題といたします。  本法案につきましては去る六月三十日提案理由の脱帽を聞いたのでありますが、七月二十二日衆議院修正議決されて本委員会に本付託にされております。本日はまず法案の内容その他参考事項について補足的に説明することがあれば御説明願い、続いて質疑に入ることにいたします。
  3. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) さきに本委員会におきまして提案理由説明を申しげたのでございますが、その後衆議院におきまして審査の結果、提出者より修正案を提出いたしましたので、その点を御説明申し上げたいと存じます。  本法案の第五条を削除いたしたような次第でございますが、その経緯につきまして極く簡単に御説明を申し上げまするが、第五条は農薬被害が養ほうのために著しい被害のおそれあると認められるときにおきましては、農林大臣がこれの使用を制限し、また使用の時期、方法等について必要な措置を命ずることができるとこういう規定でございます。これは農林大臣被害のおそれある場合に必要なる措置をとるというわけでございまするから、提案者といたしましてはさしたる問題もないではないか、かように考えておったわけでございまするが、衆議院におきましては、これも当然のことではあるけれでも、最近農薬被害ということは漁業の問題、特に有明湾におけるところの被害実情等につきまして相当の問題が提起されておって、いずれこれは別個の問題として慎重に検討すべきものである。従って今この法案の中にこの点だけを取り上げるということになりますると、農民に対して誤解を招くおそれもある。こういうような実は御議論がございましたので、提案者といたしましてもこれは別個の問題として慎重に検討することが望ましいと、かように考えが変りましたがために、第五条を削除いたしまして、さような修正案をあらためて提出いたしましたところ、これをもって御了承いただきまして、全会一致をもって御可決をいただいたような次第でございまするので、参議院におきましてはこの修正案を含めますところの原案につきまして御審議を賜わりたい、かように存ずるわけであります。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質疑がありましたらどうぞお願いいたします。
  5. 田中啓一

    田中啓一君 これはもう実は提案の際に御説明があったかと思うのでありますが、念のためにもう一ぺんお聞きしておきたいのであります。本案施行に要する経費として、本年度約五百万円の見込みであると書いてありますが、これはおそらく付則にございます、この家畜伝染病予防法の仲間入りをさせて、腐蛆病に対する予防措置が書いてあるのでありますが、こういうことの経費であろうと考えるのであります。しかも今年はこの法律のできます以前に、すでに一応この病気の流行を見まして、便宜農林省において措置をとられて、相当金を使っておられると思うのでありますが、なお病気が残っておって今後起るのでありますか。これは、またはこれまでの費用がこれくらいはかかったというお見込みでございますか。その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  6. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) 実は昨年度蛆病という特殊の病気ミツバチ発生いたしまして、一応家畜伝染病予防法規定に基きまして、政府政令をもってミツバチを指定いたしまして、これの措置をいたしましたのでありまするが、それが、正確に申し上げますると七百七十万円要したわけでございます。今後発生するかどうかということは、これは予則できないことでございまするが、今後発生をするといたしました場合におきましては、五百万円程度を要するのではないか、こういうことであります。
  7. 田中啓一

    田中啓一君 今の点は了解いたしました。そこで本案提出理由を拝見いたしますと、ハチみつ及びみつろう増産、こういうことが目的になっておるのでございます。そこで日本におけるみつ源というようなものの関係から見まして、現在の養ほうの状態にかんがみて、さらには相当のこのハチの群をふやし、みつみつろう増産をしたい、また農業のこの方面における振興をはかりたい、こういう御趣旨だろうと思うのであります。そこでこのみつ源養ほう群の数との関係から見まして、今後どれくらいまで日本としてはなおどんどん増加して行けるのでありましょうか。畜産局がお見えになっておりますれば……、提案者の方で御見当でもついておりますれば、一応提案者からお願いいたしまして、あと農林省から報告していただけばけっこうです。
  8. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) 本法案目的は、ハチみつ及びみつろう増産をはかることでございまするが、それと同じ立場と申しますか、同じ程度重要性をもちまして、農作物等花粉受精効率化に資するという、ミツバチの媒介を通じまして 日本農業の発展をはかって行こう、こういうことが目的になっておるわけでございまして、これは実はどの程度までというようなことにつきましては、政府の方から御説明を願うことが適当と思いまするが、ただ養ほうにつきましては、世界的に申し上げますると、最もこれの盛んなのはデンマークとソビエトロシヤでございます。ことにデンマークのごときは、各部落にまでこれの指導員が配置されておるというような状態でございまして、またソ連におきましても非常に養ほうが振興せられており、また世界各国ともこの養ほうに対するところの法律というものがございまするが、わが国におきましては今日まで全然ないわけでありまして、こういう点から申しまして、ぜひ一つわが国におきましても この養ほうの振興をはかりたい、その程度でございまするが、ことにオランダは人口は面積に応じて……面積も少いわけでありまするが、大体オランダ程度まで一つ行くようにしたらどうであろうかと、こういうことでございまするが、詳細につきましては農林省にこの専門家がおりまするので、その方から御説明をさせていただきます。
  9. 田中啓一

    田中啓一君 これは私一人で独占してはいかぬと思っておりますが、どうぞほかの方もお願いをしたいと思いますが、もう一つだけお尋ねいたしたいと思います。  これはこの養ほう業者の届出と相ましまして転飼養ほうの規制というようなことが一つの中心になっておるのでございます。しかもこの転飼養ほうの規制に関しましては、現在すでに府県条例をもって、府県の数の半分くらいのところはやっておる。それをまあ今度は統一的に、全国的にこの法律でやろう、こういうことでございますが、これはまあその届出をするとか、あるいはまた届け出た上で、必要な場合には調整を受けるとかということは、一面から見るとまことにめんどうなことで、このみつ源がたくさんありまして、どんどんやればやるほど多々ますます弁ずるような状態でありますれば、なるべくこんなことはやらない方がいいであろう、こう思うのでありますが、今日日本状態においてはこういうふうなことをやる必要がある段階に主でなっておるのでございますか。一つお伺いしたい。
  10. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) これはただいま田中委員からもお話もございましたようにすでに大体各県におきましては、このような処置な条例に基いてやっておるわけでございます。ただ提案者といたしましては、こういう実情にかんがみ、またみつ源の限られております関係上、それ以上に養ほう業者が乱立して入って来るということになりますると、お互いに共倒れになるわけでございまするから、やはりこの程度規制をするということは必要ではないか。現にすでにやっておることでもございまするし、これはこの際法制化しておくということが適当ではないか、こういうような趣旨で御提案申し上げておるわけでございまして、よろしくお願いいたしたいたい思います。
  11. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今の届出制の問題ですが、お聞きしておりますると、何か規制をするような、つまりある程度抑制するような感じにも受け取れたのでありますが、一方資料を見ますと、畜産局生産課からは、ばく然たる数字じゃなくて、たとえば二十八年度には飼育戸数というものが二万三千六百二十戸ある。そしてその群数は十四万四千四百八、こういったような、一見きわめて精細にはっきりつかめるような数字があるのでありますが 私は初めこれを読んだときには、こういった養ほうの飼育現状というものが一つにおいては把握されない。また群少の小さい飼育舎によって この大事な養ほうということの専業を盛んにするためには、まずその現状を明らかにして、そしてその指導をしやすいような形に持って行くために、この届出制のようなものを掲げるのではないかというふうに思っておったのでありますが、どうも田中委員との間のやりとりを伺っておりまするというと 何か既成の飼育者に対する擁護のような感じも受けるのでありますが その辺もう一度……。
  12. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) 三浦委員の御指摘通りでございまして、本案といたしましてはやはりどの程度に養ほうが行われているかということを把握する必要もございまして、こういう点からもこの条項考えておるわけでございますが、ただやはりこの養ほう業者というものはジプシーのように全国を転々として歩く、こういうようなものでございますが、一方またそれぞれ地元々々に、やはり養ほう業者があるわけでございまして、その地元に、業者のある所へ、他からどんどん入って来るということになりましては、そこに地元業者とこの転飼業者との間の摩擦というようなことも起り得る場合もございますわけで、その点においてはやはり地元業者というものを保護するということが建前でなければならぬ、こういうようなことから、ある建度規制も必要であり、また同時に届出並びに転飼しようとする場所を管轄する都道府県知事が許可をするということになりまするならば、その実態を把握することもできるわけでございまして、こういう点をあわせ考えまして提案いたしておるようなわけでございまして、三浦委員の御指摘通り考えておるわけでございます。
  13. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 これまたさっき田中委員との間に腐蛆病の撲滅をめぐって予算との関係お話でありまして、二十九年度においては七百七十万円程度を使って、これを駆除した。三十年度、二の法律が通れば施行されるわけですが、その施行の暁、特に予算との関係はどういうふうになるのかという点をもう一つ説明願いたいと思います。
  14. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) これは本法案の第八条に、「政府は、養ほう業者に対し、予算の範囲内において、養ほう業振興のため必要な補助金を交付することができる。」、こういう規定がありますが、予算措置は全然行われておりませんわけですから、二の八条に基く予算というものは今のところはまあないわけでございます。ただこの付則によりますところの腐蛆病発生した場合におきましては、家畜伝染病予防法規定によって予算の支出を必要とすることになるわけでございますが、本年は先ほども申し上げましたように七百七十万円程度を要したわけでありますが、今後につきましては、病気発生するかいなかにかかっておるわけでございまして、現在のところ、われわれの予定といたしまして、もし万一発生した場合においては五百万円程度が必要じゃないか、こういうようなことでございまして、発生しない場合におきましては全然要らない、こういうわけでございます。
  15. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうするとこの法律が通ったことによって政府が本年度制約を受けるというのは、この腐蛆病発生をした場合においては付則によって家畜伝染病予防法としての種類として腐蛆病が正式に入る。従って駆除しなければならないということが一点であるけれども、しかし過去の二十九年度においては事実そういうものに伝染病予病法に充てていた経費の中からさいた事例もあるので、従ってここに正式に法定のいわゆる家畜伝染病予防法の中に入ったとしても実質上の変化はないのだ、こういうように解釈していいのかどうかという点が一点、まずお伺いいたします。
  16. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) 提案者といたしましては、ただいまお話通りに了解しておるわけでございます。
  17. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 予算との関連が出てくるのでそこを明らかにしたいので、農林省の方からちょっと一言その点を。
  18. 江田三郎

    委員長江田三郎君) まだ農林省来ておりません。
  19. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうするとこれを実施しなければならない責任を持つ農林省からのお答えは、あとから一つお聞きしたいのですが、次に第五条は衆議院において削除されてこられたのですが、新らしい五条については、私のみならず疑問を持っている人があるのです。どういうふうな意味かということなんです。「みつ源植物植栽、除去又は伐採しようとする者は、その目的に反しない限りにおいて、みつ源植物の増大を旨としてこれを行わなければならない。」これは当初修正してこない前の原案を拝見しますというとなるほど、提案者の御説明のように、養ほう事業というものは日本としてまだまだ発達して然るべき事業であることは、私どもわかるのでありますが、原案を読みますと、いかにも養ほうというものが他の、たとえば果樹その他の従来の農業の上に置かれなければならないといったような感じさえ与えているという見方をするものがあった。その点については一応旧弟五条というものが、つまり農薬使用の危険については、修正でなくなられたのでありますが、何かそのような傾向一つとも見られるような第六条が、今度は修正された後の第五条になってきているところが問題なんです。これはどういうふうにして、どういうふうに解釈をすればいいのか。何か宣言規定のように思うのではありますが、こういう条項というものは法律として見た場合、きわめてはっきりしない点があるのでありまして、この点を一つ説明願いたいと思うのであります。
  20. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) このみつ源植物保評増殖という第五条でございますが、これは提案者といたしましては一種の訓示規定のようなものに考えているわけでございます。ほとんど実質的の効果というものははないようなものでございますが、ただたとえば街路樹を殖えるというような場合に、アカシヤを植える。アカシヤにはみつ源のある種類のものと、ないものと二種類あるのでございますが、そういう場合に、どっちを植えても別に差しつかえないというような場合においては、なるべくみつ源のあるものを植えるようにする、こういう趣旨でございまして、実際に該当するというような場合はそういうような場合、極端に限られた場合しかないことになると思いますが そういう意味みつ源というものをどっちでもいいというような場合においては考える。こういうことで、まあいわばあってもなくてもいいような、ないよりは幾らかでもあればましてある。こういうような趣旨提案しているわけでございます。
  21. 東隆

    東隆君 この第五条の今のお話で、私はほぼこの法律提案された意味がわかるのですが、転飼養ほうについて 実は北海道は非常に岐阜県、愛知県等からたくさん養ほう業者が転飼をして来るわけであります。そうしてこれは御承知のようにミツバチは南方の方ではみつを貯蔵しないそうです。従ってみつを採集するのには北方の方が一番いいので、従って岐阜県あるいは愛知県の養ほう業者が北海道の方に移動転飼をする、こういう形になっておるのだと思いますが、その場合に第四条の三項でもって「都道府県は、その区域内における転飼につき、条例規制をすることができる。」これは私は北海道道内でもって養ほうしている者と それから道外から入って転飼をしておる者との間にある程度の差別をつけなければならぬのじゃないかと思いますが、その差引をつける場合に、何というか、多少の道内における養ほうを指導したり何かする財源というか、こういうようなものを取ることができるようなことをこの条例でもって何とかはっきりと明文で表わすことができますか。
  22. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) まことにこの点はお説の通りであると思いまするが、それはやはり各都道府県の意思を尊重いたしまして、都道府県ことにやっていただくということが望ましいと考えておるわけでございます。
  23. 東隆

    東隆君 私は養ほう業者その他がいろいろな団体をこしらえて、そうしておやりになっておるだろうと思う。各自が実は別々になって、そうして無統制のもとにやっておるものでないと思うので、従ってそういうような団体を対象にして、そうして先ほど申し上げたようなことを考え、しかもその場合にその団体を通さないものについては、これを相当禁止をするというような、そういうような規定ができるとすると、相当助長その他の方面においてこの法律をこしらえて養ほうを振興するという方面において非常に役に立つのじゃないか、こう考えますが、問題はそういう点なんです。
  24. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) ただいま東委員の御指摘の点につきてましてはまことに同感なわけでありますが、現在におきましてはまだその養ほうの団体というものはあまり強化された形になっておらぬようでございまして、こういう法案ができますれば漸次にそういう傾向に進むかと存ずるわけでございますが、そういうような点にかんがみまして、将来は漸次御意見のようなことになろうかと思うわけでございます。
  25. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 先ほど政府委員お答えを持っていたこのお考えを願いたいのです。
  26. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ょっと速記をとめて。   〔速記中止
  27. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。
  28. 原田傳

    政府委員原田傳君) お尋ねの腐蛆病に関しまする予算の点でございまするが、本年春の非常に危険な状態にかんがみまして、どの程度蛆病が出るか見当も立たないのでございますが、一応約三千群くらいの発病を見るものというふうに想定いたしまして、家畜伝染病予防費の中に七百六十七万七千円というものを計上いたして参った次第でございます。しかしその実施状態について見ますと、最近までに発生を見ました群数が約六千九百万くらい発生いたしましたため、所要額といたしましては概算でございますが一千五百万くらいが支出されておる、こういう状況でございます。
  29. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 先ほど質問をいたしましたのに対して、第五条の宣言規定の点はわかったのでございますが、たとえばトチみつと言えばもうみつのうちとしてはまず上等の部なんでありますが、御承知通り街路樹などと違って、山林経営から言えばトチも近ころは大分使用が広がりましたが、大きく言えばそう立派な木ではない。むしろもっと優良な樹種に改良すべきが山林経営面から言えば望ましい。ところがトチみつと言えばいわゆる銘柄でありまして、立派なみつなんです。この第五条の宣言規定と、このトチみつと、そのトチのある山の樹種改良とい問題については、おそらく提案者の方ではそこまでは考えていないのだ、先ほど例示したように、街路樹のように、いわばその目的を達する限りにおいての問題だというお答えのようだと思うのですが、この点一体どういうふうにお考えになられるか、この一点と、それから第八条のところの、本年は予算が組んでないから本年度としては問題はないのだが、つまり実施以降あるいは今後の予算を編成する機会の際に、「養ほう業振興のため必要な補助金を交付することができる。」というのは、何か御期待があろうと思うのであるが、その御期待をされております項目といいますか、必要な補助提案者としてお考えになっていられるところの概要ですね、この点と、以上の二つを伺いたい。それだけですから。
  30. 平野三郎

    衆議院議員平野三郎君) 五条でございまするが、ただいまお話トチみつの点につきましては、三浦委員のような専門家ではございませんので承知いたしておりませんが、そういう場合におきましてもかりにトチの木を植えるというような特別の目的があれば、それは何も制限するわけではないのでありまして、どちらでもいいのだというような場合においては、なるべくみつ源のあるトチの木を植えるということが望ましいというような程度でございまするから、別にこの規定によって森林経営に影響を与えるというようなことは何らないと思うわけでございます。  なお、第八条の予算の点でございまするが、これはただいまのところ提案者として特に期待しているということは全然ございません。ただ将来やはり何らか養ほう振興のために必要が生じてくるような場合においては補助金を出せることがあり得るということでありまして、そういう将来のためにこういう規定を入れたわけで、ただいまのところとしては、特にこういうものに、補助金を出すということがいいとかいうようなことはないわけであります。
  31. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとこの際政府に伺いますが、この法案について、政府はどういう御見解を持っておられますか。これだけちょっとお伺いしたい。
  32. 原田傳

    政府委員原田傳君) この法案に関しまする政府側意見でございますが、腐蛆病の問題につきましては、これについて法的措置を講ずる必要があるという考えをもちまして、四月の二十一日に家畜伝染病予防法に基きまする政令を制定公布実施いたしまして、これによってこの病気の防遏に努めて参っておる次第でございますので、かような腐蛆病の問題につきまして法的措置は必要であるというふうに考えておる次第でございます。  また補助金を交付する問題につきましては、実は政府部内におきましてまだ意見一致を見ておらない状態でございまして、財務当局側におきましては、本年度予算も成立した後でありまして、財源の見通しが立たないから、かような規定を設けることにつきましては了承し得ないという意見を申しておりますし、農林省といたしましては、この規定を設けますことにつきましていろいろ研究を要する点もございますので、慎重検討すべきである、こういうような状態で、まだ意見一致を見ておらない、かような状態にある次第でございます。
  33. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  35. 東隆

    東隆君 私はこの養ほう振興法案に賛成をいたします。賛成の理由は申し述べませんが、私はこの法案で不足しておるものかあると思います。それは何かと申しますと、この養ほう業者もやはりある程度組織をしなければ、ほんとうに養ほうを振興するためには非常に今後においてもなかなか目的を達しないと思うのです。従って養ほう業者はその地域内においての一つの組織を持つことが必要であるし、また転飼目的にしている養ほう業者も組織を作る必要がある。そうしてその組織を中心にして届出をするとか、その他の義務を融合に負わせるとかいうような形で組織を通して指導をすると、こういうような形をとらなければ、このほんとうの養ほう振興法律を制定したところの意味が発揚されないと思うのです。従って私はこの法案に一応賛成をいたしまするが、組織方法その他について今後十分に提案者の方でお考えになしように、このことを希望を付けて賛成をいたします。
  36. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  養ほう振興法案を問題に供します。本案原案通り一可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  38. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたします。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  次に本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名      秋山俊一郎  白波瀬米吉      三浦 辰雄  池田宇右衞門      大矢半次郎  重政 庸徳      長谷山行毅  飯島運次郎      清沢 俊英  東   隆      棚橋 小虎  菊田 七平      鈴木 強平     —————————————
  40. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に農林水産業施設災害復旧事本費国庫補助の暫定阻止に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたします。  本法律案につきましては、まず昨日の委員会において問題となり本日まで持ち越されました点について、提案者及び農林当同から説明を願うことにいたします。  なお昨日御了承を得でおきましたように右の説明の後、討論採決に入りたいと存じますから御了承願います。
  41. 小枝一雄

    衆議院議員(小枝一雄君) 昨日の当委員会におきまして、本案末尾にありますところの「本案施行に要する経費」の点につきまして、この数字に間違いがあるのではないかという御指摘がございまして、速記録その他につきまして調査いたしましたところ、誤りのあることを発見いたしましたのでこの際訂正いたしたいと思います。「本案施行に要する経費」といたしましては「本年度約一億円の見込である。」とありますのを、本年度において約六千万円というのが、正しいのでありまして、なお「平年度約二億五千万円」とありますのは、約三億一千万円を要するものでありまして、以上訂正いたしますので、さよう御了承願います。
  42. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 昨日の本案によります政令の私どもの原案であります約二十万円ということと、負担法における税率の三値というものの限度がいずれが甘いか辛いかというようなものについて一応比較をして見ろというようなことでございましたが、これは昨日も申しました通り、性格が違いますのでなかなか比較というものは困難でございますが、参考資料の中にありまする計算例に基きまして数字的に御説明申し上げますと、これは千二、百五十万円の災害復旧が関係農家四十戸の部落に発生した場合にどうなるかということでございまして、結論は農地の補助率は百八十万八千円でして全体を通じて七二%になる、施設の万は八百七十二万円の補助金になりまして八七%となります。これと同額の建設省災害が、たとえば広島県の水内村という村に発生いたしましたと仮定いたしまして、この計算例を申し上げますと、この村の標準税収入は百二十六万六千円でございます。これを基準といたしまして現行の負担法で計算いたしますと、その補助金は千百八十一万四千余円となります。従ってその補助率は九〇%となるわけでございます。後段に述べました建設省の計算例は一応私の方だけの責任においてやりましたので、建設省からもし誤謬があるというようなことがございましたならば、後日訂正していただくようになるかもしれませんが、私どもがこの法律通りの解釈でやると、このような計算例になる。  以上をもちましてはなはだ不満足な御説明でございますが御了承願いたい、かように考えております。
  43. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまの提案者及び農林当局の説明に御質疑があればお願いいたします。
  44. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは今一の提案ではないのだが、全体に対して農林省の見解を一つ質問したいと思う。
  45. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。    午後二時十九分速記中止      —————・—————    午後二時五十一分速記開始
  46. 江田三郎

    委員長江田三郎君) じゃ速記をつけて。
  47. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 政務次官にはっきりした答弁をお願いいたします。政府が本法による、第三条第三項第二号の改正規定による政令を定めねばならぬのでありますが、その基準を関係被害農家一戸当り災害復旧事業費十五万円をこえる部分としてもらわねば、このたびの改正が意義をなさんと私は思うのでありますが、それに対して政令を制定、改正いたされる場合に、そういうようにしていただけますか。はっきり御答弁を願います。
  48. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 御期待に沿うように努力いたします。
  49. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお本法案全体についての政府の御見解を承わりたいと思います。
  50. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 施設に関しましては政府部内において、はっきり申し上げますと、二十万円までは、大蔵省に反対の意向がございますけれども、私の責任において善処するということを衆議院も申し上げて参りました。それと同様な考え方でございますことを御了解願いたいと思います。
  51. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  52. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。
  53. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 二十万円については、政府においては異存はございません。共同施設については政府部内に一部反対はございますけれども、善処する考え方でございます。
  54. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  55. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。
  56. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 私のお答え申し上げたところに多少明瞭を欠くと申しますか、誤解をいただくような節がございましたので、その点をもう一応申し上げます。  当初二十万円については、これは全然問題はなかったのでございますが、十五万円ということにつきましては、先ほど私の当初にお答え申し上げました通りでございます。
  57. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお政務次官にこの法案の全体についての政府の見解をお聞きしたのですが、それはどうなんですか。その十五万円とか、二十万円ということだけでなしに、法案全体についての政府のお考えはどうかということ……。
  58. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 共同利用施設の点について一部に意見一致を見ないのでございますけれども、おおむね了承いたしております。
  59. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 何だかこうのどに突っかかったような感じなんでおりますが、私どもこの法律を通したものの側から見て、通したとなれば、やっぱりこの法律というものが忠実に施行されるということを当然期待しなければならない。その関係でお聞きするんでありますが、この共同利用施設というものについては、財政当局は何か一部、のみかねるようなことを言っているような印象を与えるのでありますが、その点の経過を一つ簡単でよろしうございますから……。
  60. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 実はここで政府の御意見を申し上げるということになりますと、閣議で決定をしたことを申し上げなければならないのでございます。それで私の申し上げ方が明瞭を欠いていたのは、閣議においてその点ははついに一致を見なかったのでございます。そこでこの共同利用施設についても、責任を持って善処すると、こういうように申し上げて、おりますので、御了解を願いたいと思います。
  61. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 他に発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  63. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 先般政務次官に御質問申し上げました災害関係農家二月当り復旧費が十五万円を与える部分という点を政令で、政令の改訂に当ってそういうようにすることが私は適当であると思うのであります。この点と、なお公立土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案が先般政府から提案になっておるのであります。それには第八条の二に、「政府は、第三条の規定により国がその費用の一部を負担する災害復旧事業のうち緊要なものとして政令で定めるものについては、これを施行する地方公共団体又は地方公共団体の機関が当該年度及びこれに続く二箇年度以内に完了することができるように、財政の許す範囲内において、当該災害復旧事業に係る国の負担金の交付につき必要な措置を講ずるものとする。」 こういう項が一つ加っておるのでございます。これは二十八年の災害に皆様御承知通り、初年度に三、次年度に五、三年度に二、三・五・二の割合において完了すべきであるということを当時の政府もこれを承認して参っておるのでありますが、しかしながら、これが通切に行われておらない状況にあるのであります。かような意味において負担法との関係において農林水産施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を可決する際に、一つそういう意味をつけ加えたいと思うのであります。そういう意味において一つ朗読いたしてみたいと思います。    一、政府が本法による第三条第三    項第二号の改正規定による政令    を定めるに当っては、その基準    を関係被害農家一戸当災害復旧    事業費十五万円をこえる部分と    すべきである。    一、政府は災害復旧を極力促進    し、三・五・二の比率による復    旧は必ず之を実現するよう措置    すべきである。  この二項目を付帯いたして賛成いたすものであります。
  64. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私はこの農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、これについて賛成の意を表し、あわせて重政委員からの付帯決議について賛同の意を表するものでありますが、私はこの機会に、一つ特に政府側として考えてもらわなければならないことは、とかく議員立法というものについては政府はいささか軽視する感がある。しかもこの問題については、一つはこれと相並び称せられますところの公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案は、政府みずからが出して、そうしてその負担法について災害の非常に重なる問題等により被害者をある程度救済しようという態度をとっている。一方においては同じ被害をさらにそれよりも多く受けているといってもいいというような農業については、政府側としてはとんとしてこれを顧みないで、議員さんの立法によって始めてこの一部の改正が見られて、やや今日の平常における負担を幾分改善をすることができようとする案なんです。しかも審議の過程中に見まするというと、財政当局は、一部については必ずしも釈然としないという中に法律の一部改正が出た。今この委員会がどうなりますか。私はこの法律が成立した後には、これは当然この趣旨によって、その提案が議員によって出されたとか出されないとかを問わず法律を守り、忠実に執行すべき立場からいってぜひこの趣旨に沿った、また、付帯決議に沿った行政の執行をお願いしなければならない、私はそういう希望を強くつけ加えまして賛成の意を表します。
  65. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  67. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全員一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中に述べられました重政君提出の付帯決議案を議題といたします。重政君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  68. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致と認めます。よって重政君提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定したします。  次に本案を可とされた方は順次御署名願います。   多数意見者署名      秋山俊一郎  白波瀬米吉      三浦 辰雄  千田  正      青山 正一  池田宇右衞門      大矢半次郎  重政 庸徳      田中 啓一  長谷山行毅      飯島連次郎  清沢 俊英      東   隆  棚橋 小虎      菊田 七平  鈴木 強平
  70. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この際ただいま全会一致で決定しました決議案について、政府より発言を求められておりますので……。
  71. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 本件に対しましての御決議の趣旨、まことにごもっともでございますので、政府においてはこの御決議の趣旨を体しまして善処する所存でございます。
  72. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは次に天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案を議題といたします。  本法律案につきましては去る七月十二日提案理由説明を聞いたのでありますが、その後衆議院において相当大幅に修正されて当委員会に本付託となっております。なお、衆議院の農林水産委員会においては、お配りしておきましたような付帯決議が行われております。なお、本法律案につきましては、質疑の都合によっては一昨日の話し合いによって本日の委員会において討論採決を行うことといたしたいと存じますから、あらかじめ御了承を願います。なお、この法律案の審議に当りまして、先般来問題としておりましたところの北海道、東北等の水害に関連いたしましての御質疑があればこの際一緒にお願いしたいと思います。これから質疑に入ることにいたします。
  73. 東隆

    東隆君 この機会に北海道の水害関係のことをお聞きいたしたいと思います。  最初に天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案についてお聞きをいたします。  これは資金の融通その他について国会が開催をされておらないときにも臨機の措置をとるためにこの法案提案をされたのでありまして、従って政令に移管をされた部分があるわけであります。特に問題になりまするのは国庫補助金関係補助率ですか、そういうような関係のものがはっきりいたしておりますので、従ってこの際政府において今回の北海道の水害に関係してどういうふうにお考えになっているか、それをお聞きいたします。
  74. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 本法案の第二条によりまして「政令で、指定するものに限る。」とございますが、北海道の場合もまたこれによって指定することにいたしております。
  75. 東隆

    東隆君 すでに北海道の災害その他については調査も進められておりますし、早急に当然考えられなければならぬと思いまするが、利率あるいは国庫の補助による利子の補給、あるいは損失補償に対するところの国と地方の割合、そういうような問題があると思いますが、それの決定したものについて  お聞きいたしたいと思います。
  76. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) ただいま財務当局と折衝中でございますので、後刻申し上げたいと思います。
  77. 東隆

    東隆君 これに関連して、以外の問題をお聞きしてもようございますか。北海道の水害に関連して……。
  78. 江田三郎

    委員長江田三郎君) どうぞ、この法案の審議のときに、北海道、東北等の水害につきましては最初に申し上げましたように、御一緒に御質問願いたいと思います。
  79. 東隆

    東隆君 農林省の方からおいででありますから、政務次官もおいでですから、法案関係でお聞きをいたしますが、一つ政府の手持ち食糧の払い下げについての問題であります。これはあるいは衆議院の方にも提案されておるんじゃないかと思いますが、どういうふうになっておりますか、お尋ねをいたします。
  80. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) ただいまの問題は衆議院の方へ議員提案委員会に付託になっております。
  81. 東隆

    東隆君 政府手持ち食糧の払い下げの問題が当然二十九年度の米穀年度内における問題でありますので、相当差額は当然大きく出ておりますので、一つ早急に衆議院の方で通過をしてこちらの方に回るように政府の方でも促進を願いたいと思いますが、変な申し分でありますけれども、促進を願いたいと思います。その際問題は政府の手持ち米の払い下げと、それから代金延納の措置この二つなんでありますが、この関係一つすみやかに決定されるように希望を申し上げます。  その次に申し上げますその次に申し上げたいのは、農地及び農業用の施設の復旧についての関係でありますが、これは基礎法は、農林水産業施設災害復旧事業関係の問題についてただいま通過を見た関係のものでありますが、先ほど付帯決議でもって十五万円、こういうような問題で御承知のように実は北海道は非常に一村の行政区域の面積が大きいのであります、従って戸数は割合に少いのでありますけれども、しかし実際から申しますと、被害の形を考えて参りますると、一戸当りの災害のワクが十五万円以下になるということが多いと思います。そういうような関係で、かえってその項目に該当するようなものが少くて、実際には一般の補助、普通の補助という形が現われてくると思いますが、北海道は御承知のように非常にまだ資本の蓄積も少うございますので、こういうような党について政府の方で相当考えを願わなければならぬ節があると思うのですが、そういう点についてお考えがあるところをお聞かせを願いたい。
  82. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 被害農家当りでございますから、東委員の御心配になるような点は少なかろうかと思いますけれども、十分研究をして善処したいと思います。
  83. 東隆

    東隆君 もう一つはたとえばこれは法律として出してございませんけれども、御承知のように水害関係の跡地におけるところの問題が病害虫の発生その他当然起きて参るわけでございます。こういうような方面について本年度の病害虫防除関係予算が非常に少い、従って地元の万では、これは東北も同様でありますが、非常に困難をいたしております。ことに病害虫防除その他に対するところの……、水害でもって意気が阻喪をしておったのでありますが、従ってこれに対して行政的な措置でもってすみやかに指示をする必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、病害虫防除の薬品その他に対するところの補助、そういうようなことが当然必要だろうと思うのですが、そういう点おきまりでございましたらお知らせ願いたい。
  84. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) ただいま財務当局と折衝中でございます。
  85. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今の東委員の質問に関連してですが、今の農薬の購入費の補助の問題ですが、これは大蔵省ではなかなかむずかしいあれをやっておるようですが、農林省として大蔵省の方にだいぶ交渉しておるようなふうにも聞いておるのですが、将来どうなるか、大へん今農民があれしておるので、その見通しがわかりましたら今できる範囲の御答弁を願いたい。
  86. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) せんだって事務当局の万から私にも相談がございましたので、これは当然出さなければならないものであるということで折衝をいたしておるような次第でございます。
  87. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 それじゃ、でき得るというふうに了承していいのですか、可能性があるということですか。
  88. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) やらなければならないと考えておりますから、そういうつもりでやっております。
  89. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 それから次に水害地におけるつなぎ融資を非常に切望しておるのですが、これに対する措置はどんな丁一合になっておるか、現在の状況をお聞きしたいと思います。
  90. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 事務当局から……。
  91. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 預金部資金を財源といたしますつなぎ融資につきましては目下のところ秋田と岩手が資料を出して参りまして、一応私の方と大蔵省との審査の結果数字がまとまりました、理財局の方へ回しまして目下そちらで検討中でございます。大蔵省で検討中でございます。  それからもう一つは中金及び農林漁業金融公庫の資金でございますが、それが中金の自己資金が一億六千万円、公庫の資金が負担分として二千五百三十万円、非補助分として一億、それが目下ワクとして決定した、こういうようなことでございます。
  92. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 つなぎ融資は、その趣旨からしても早くしなければ用をなさないわけです。昨年度あたりまでは非常に早くつなぎの融資をやったようでありまするが、何か今年は書面審査ですか、非常に長くなって、いつになったらつなぎが出るのかということを非常にあれしている。これは本来つなぎですから、時期が早いということが第一の要件だと思います。あとでいろいろの資料を集めて補助助成の際は金額がはっきりするのでありますから、その前につなぎの必要性を十分考慮して、もっと早く決定していただきたいと考えます。一体いつごろになれば、これが決定するのか。いま八月で、例年の東北地方の災害、水害のある時期になっておりまして、何ら措置ができていないで、先般決壊した堤防が一雨降ればすぐそれ以上にこわれるという現在の状況からしまして、早くこれを決定するようにぜひ促進していただきたいと思いますが、これに対していつごろできるのか。どういう方法できめるのか。たとえば、この前の鳥取の大火の際ですか、ああいう場合につなぎを出すという場合は、火災があったあくる日に閣議でつなぎのワクをちゃんと決定して出しています。そうしてこそ初めてつなぎになると思うのですが、何か昨年の水害もつなぎ融資でどうした県があるとかないとかという点からして、今盛んにそういうこまかい調査をして、いつになったら出るかわからないという状態では困る。先般の四月、五月の凍霜害と水害の際に、本委員会で、あの東北地方の災害がすでに発生しておったために、つなぎはすぐ措置するようにという付帯決議まで出しておる。そういう趣旨からるても、当然今ごろは決定して早く出してやらなければならない時期に到来していると思いますが、それに対してあまりに長過ぎると思いますので、この点どう考えるか。
  93. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) まことにごもっともなことでございまして、中金のつなぎ資金はすでに現地に着いております。公庫の方も決定を見ておりますが、手元にそろそろ届くころかと思いますが、残念なことに、大蔵省の方で決定をする預金部の方の金はまだきまらないような状態にございます。私の方からも督促をしまして、できるだけ早くきめるようにいたしたいと思います。
  94. 東隆

    東隆君 今のつなぎ資金の関係の問題ですが、つなぎ資金を借りるためには公庫の方が先に決定をしなければならぬ。北海道の例、たとえば農地及び農業用施設の復旧関係考えてみましても、約四億四千万ほどある。それの約八割と見ますと二億五千万円ほどの金がなければならぬこういうことになると思います。ところが、公庫のワクがたしか災害関係のものは二億ぐらいしかない。従って、これはなかなか容易に決定されないと思うんです。従って、公庫の手持ち、そういうようなものは、繰り上げ償還をされた財源だの、何だのというようなものがあると思いますが、これは何らかの措置政府の方でやらなければなかなか出ないのじゃないかというふうに考えておりますが、その点をどういうふうにおやりになるのですか。
  95. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) ワクがきまらなくとも、繰り上げ償還金がございますので、その方で適宜やれるようになっておりますから、その点を特に注意をいたしてすみやかにやるように手配をいたします。
  96. 千田正

    ○千田正君 三点ばかり聞きたいのですが、この法律施行期日は三十年の大月一日からとなっておりますが、ところが、この前これは四月、五月の同じような臨時措置法が通過したので、ありますが、具体的に言いますと、岩手のごときはちょうど四月に凍霜害がありまして、被害を受けたけれども、この前の法律の範疇に入らなかった。ところが六月一日からということになると、そういうふうに報告のおくれた分はこれで救ってやるのですか、前の法律でやるのですか。その点が一点と、もう一つ、今度の東北の水害地をわれわれ委員会で調査したのであります。その中で青森県でリンゴの被害が非常に大きい。この法律の対象を見るというと虫害は対象になっておらない。こうした虫害による農家の被害に対しては別途何か方法を講ずるという意図を持っておられてこういう法律に盛られておらない、こういうふうに考えるのですが、何か適当な方法を考えておられるかどうか。もう一点は、秋田県下の御承知の八郎潟これは年々水が出ることにあそこが冠水しまして、せっかく国営である程度まで進んでおっても、洪水のたびにやられてしまう。これは今度のいわゆる愛知用水に関連しまして、北海道の泥炭地帯と東北の八郎潟の国営開墾のいき方を促進する意味において、今度の水害等はどういうふうな関係のもとにこの問題を解決していくか、この点農林当局としての今後の方針を伺っておきたい。今度の水害の復旧は干拓と相待って資金の裏づけをして、一日も早く格好をつけないというと、せっかくの事業計画も年々延びてしまうというおそれがありますので、今度の東北地方の水害を調査するに当って、特に特異性といたしましては、今申し上げました秋田県の八郎潟は今後どういうふうにやっていくかという点と、青森県のリンゴの被害虫害が非常に大きい、これに対しては今度の法律の対象にはなっておらないが、何でこういう問題については処していくか。農林省の方では……。それから六月一日からの施行に際しまして、それ以前にこうむったところの被害に対しては、前の法律で漏れておったのはどういうふうにやっていくか、この三つだけをお伺いしておきたい。
  97. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお千田委員に申し上げますが、ただいま送付になっております法案につきましては、提案者の方で正誤がございますそうですが、提案者がまだお見えになっておりませんので、見えられればただいま問題とされたような点も正誤されるのではないかと思います。いずれ見えることになっております。
  98. 千田正

    ○千田正君 それでは、今の委員長のおっしゃったことはわかりますが、ただいま私が三点をあげたうち、これは議員提出でありまするが、政府の方針はどういうふうに考えおられるか、そういう点だけをはっきりこの際伺っておきたいと思います。
  99. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) ただいまの御質疑の第三番目の八郎潟の問題につきましては、来年から実施する考え方でただいまオランダの方へ調査員を派遣して、いるような次第でございます。その他は事務当局、課長の方からお答え申します。
  100. 千田正

    ○千田正君 こうしますと、来年から実施する考え方でオランダの方へ設計その他についての調査員を出しておる。今度の水害に対しては、とりあえずの場合はこの災害復旧のつなぎ融資その他において現在完成した分に対するところの措置はやっていかれる、こういう御方針でございますか。
  101. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 八郎潟のただいまの問題につきましては、復旧費でやる考えでございます。それから来年から実施したいというのは、ただいまオランダへ研究員を派遣しておりますので、これは根本的にやりますから非常によくなるという考え方でございます。
  102. 千田正

    ○千田正君 それはまことに国の方針としてけっこうでありますが、それが一応完成するまでの間は、この間ぐらいの雨ではしょっちゅうこれはここは襲われると思うのです。その完成する問は、水害が起るたびに……もしもあそこが完成せず水害をこうむったような場合は、常に臨時措置としての災害復旧という立場でやっていくと、こういう御方針でありますかどうか、それとも災害の場合は別の方針で考えていく、これは全然関係なしにやっていくのだ、こういうふうにお考えになっていく御方針ですか、どちらですか。
  103. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 基本計画の場合に災害の場合を考えておりませんので、おっしゃるような措置をとると思います。
  104. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは前の質問の答弁を金融課長から。
  105. 和田正明

    説明員(和田正明君) 先ほどお尋ねの第一点及び第二点でございますが、先ほど委員長から御説明がございましたように、この法案付則で、この法律は「昭和三十年六月一日以降発生した天災に関し適用する。」というのが衆議院の方で正誤で訂正になっておりまして、「昭和三十年四月一日以降発生した天災に関し適用する。」しかし四月一日から五月三十一日までの間につきましては、先に政府提案をいたしまして、すでに成立をいたしております本年四月、五月の凍霜害、水害等の融資立法で、融資の資金の融通を受けなかったものについてはこの法律によるという付則が正誤表でついておりますが、岩手県の問題は、この法案が成立をいたしますれば、この法律によって処置できることになります。  それから青森のリンゴの件につきましては、虫害というふうに今お話がございましたが、青森県庁の技術的な見解も、また私どもの考え方も虫害はむしろ派生的であって、五月における低温による生理障害と考えておりますので、青森のリンゴの問題も、同様五月の低温ということでこの法律による措置ができると考えております。
  106. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま六月一日以降とありましたが、聞きたいことは、先に法律は通過いたしましたが、法律の通過する前に被害甚大な地方に対しましては予算において大蔵当局に私尋ねたときには、十分に、そういう災害に対する予算的処置も何とか考慮しいというような話でありましたが、一つの例をとりますならば、降ひょうがあって、しかも被害が大きかった地方に、たとえて言えば専売局としてはタバコの被害に対しては多少の見舞程度というような名のもとに被害に対する、幾分災害を取り除くためにそれぞれの生産者に対して見舞と称して資金の幾分のこれに対する贈与をした、別に国の方はその後はなかったが、六月以降とありましたから、私は安心ができるが、六月二十二日に降ひょうがあった、たとえば長野地方においてリンゴは、ほとんどそれによって大きな傷をこうむって、ジャム以外にはその利用価値がなくなった、あるいは、桑においては、伸び始めた桑に対しましては芽を中途から折られてしまった、従って、桑といたしましては、横芽はふくといえとも相当肥料を施さなければならなぬ。その他野菜はほとんどこれによって全滅をした。あるいは麻などは、第一回において被害をこうむり、さらに第二回の伸びたのにまた降ひょうを見ましたものですから、これらの地方は全滅の災害を受けた。これに対しまして、この法案の通過後におきましては、その資金の融通に対するところのやはり対象といたしまして処置をお考え下さるかどうか。この点を一つお尋ねいたします。
  107. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 本法案が成立いたしますれば、この法律でいく、これが適用されることになります。
  108. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この趣旨の問題につきましては、先の、四月、五月の災害に対する政府補助、つまり資金の融通をめぐっての暫定措置を上げる際に、こういったものを、もうその災害のつどでなく、恒久一般化せということは衆議院さんにおかれましても、また当委員会でも強く付帯決議として要望もしたところでありまして、私としては大へんけっこうな法律だと思うのですが、この機会にお聞きしたいのは、だいぶ従来の例と違って、対象をするところの事業をこの法律ではおふやしになった、それまたけっこうなんでありましょうか、ところで平常の、災害国日本としての平常の場合、こういった法律が通ったときには、一体どのくらいいわゆる国が負担する利子補給その他補助する額がなると想定されておられますか。また平年度の場合は、従来の範囲であれば一体どのくらいあるか。その点をまずこれを審議する大きさとして私はお聞きしたい。(「だれか聞いているのか」と呼ぶ者あり)なお、この機会に、私は何か前の法律もそうでありましたが、ことにこの法律、せっかく吉川農林政務次官政府を代表してお見えでありまするから、政府としての御答弁をいただいているものと私は思うのでありますが、とかくこの種の法律実施に当っては、財務当局というものはなかなか、狭めよう狭めようあるいは引き締めよう引き締めよう、出すまい出すまいといった態度をとるのが過去の通例なのであります。でありますから、大蔵省関係と、この立法について当然ある程度は打ち合せたと思うのですが、その経過もあとで第二の問題としてお伺いしたい。もしそれによっては大蔵省の方々にも来てもらってしなければ、吉川政務次官は、よく農林事情を御存じですから、もちろんこの法律の通されることを御期待であり、実施が円滑にいく二とを御期待であろうが、その点もあわせてあとからお聞きしたい。  まず第一番は、先ほど申し上げましたように従来の対象範囲であって、災害国日本としては、平常の場合、どのくらいが一体政府としては、国庫として、つまり補助の対象としていたか、今度対象を広げていった場合に、およそどのくらいになるとのお見込みであのるか、それと今の大蔵省との関係……。
  109. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) とかく御指摘のように、議員立法についての予算的な措置が十分でないことは私も痛感をして参ったものでございます。こういう問題については、各位の御協力によりまして、できるだけ確保をしたいと考えております。  それから本件につきましては、省と原案については了解済みでございますので、大体平年災害といたしまして、政府の負担分一億六千万程度を見ております。しかし百億くらいになるのではないとも予想されますので、そうなりますと政府の負担が五億くらいになるのではないか、こんなふうに見ております。
  110. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお二の際提案者からの正誤の発言を求められておりますから、これをやっていただきます。
  111. 井手以誠

    衆議院議員(井手以誠君) ただいま議題となっておりまする暫定措置法案提案者の一人でございますが、まことに恐縮でございますが、印刷物に誤まりがありますが、この際正していただきたいと思う次第であります。  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案に対する修正案の印刷物中、正誤。付則修正部分中「昭和三十年六月一日以降発生した天災に関し適用する。」は  「昭和三十年四月一日以降発生した天災に関し適用する。ただし、昭和三十年四月一日から同年五日二十一日までの間に発生した天災に関しては、昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法(昭和三十年法律第四十五号)の規定による資金の融通を受けない者について、この法律規定を適用する。」 はなはだ恐縮でありますが、よろしくお願いいたします。
  112. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 さっき吉川次官からお答えをいただきましたが、この従来の四月、五月、ただいま正誤の際にも引用されましたが、四月、五月といった式の、従来の対象範囲で融資をしていた、あるいは国が補助していたのは、例年、大体平年の災害においては一体どのくらいか、それから今度この修正等によりまして対象範囲が広がりましたが、この広がった事業考えた場合、およそどのくらいに、つまりワクが拡大されなければならないというふうな、一応計算があるのでありますが、この点を一つ
  113. 和田正明

    説明員(和田正明君) 先ほど政務次官から平年度五億くらいというふうに御答弁を申し上げましたのは、二十八年、二十九年の二カ年にわたりまして、そのつど特別立法いたして参りました場合の数字を、いろいろ、ございますが、年間を通じて約百億前後というふうに考えまして、そういう災害が今後毎年引き続くとすれば、ピーク時において約五億くらいの政府予算が要るだろう。こういう趣旨お答えをいただいたのであります。なお、今までの立法によりまするもので、本年度政府が負担をしております予算額は約十七億でございます。
  114. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 じゃあ今お答えをいただいた五億くらいという御説明の方は、二十八年、二十九年というあの割合に災害の多かった年から推定して、ピーク時五億、こういうあれが出る。あるいはまた私ども変だと必ずしも思わないのだけれども、それはわかりましたが、今度この修正によって融資対象というものが拡大された。でありまするから、たとえば今の例に積み重ねてもらってけっこうでありますが、二十八年、二十九年というので言いますれば、五億という過去の対象範囲であれば、五億という意味であるならば、今度は広がった場合には一体その五億というのは幾らくらいになるかということを……。
  115. 和田正明

    説明員(和田正明君) それは過去の二十八年、三十九年の法律の場合には、場合によってはこの法案よりはむしろ融資対象範囲が広い場合があったのでございます。それは、たとえば先ほどこの委員会で御決議になりました農林水産業施設の暫定措置に関する法律で、ございますか、あれで、たとえば今度は共同施設について補助金を出すというような法律先ほど御決議になりましたが、従前あのような農業倉庫とかそういうものについてはそういう種類法律で融資の対象といたして参りました場合もございますので、この法律による融資の対象が必ずしも以前のそのつどの立法よりも広がったという面もございますけれども、逆に申し上げれば補助金等の問題とのからみ合いで狭まった点もございますので、必ずしもこれによってふくらんだら幾らになるかという正確な計算は不可能でございますが、融資額はすべてを含めて年間百億程度あれば先ほど申し上げましたようなことで……。
  116. 千田正

    ○千田正君 提案者である衆議院の方方にお尋ねするのですが、この第一条の中にですね、虫害たとえばイナゴであるとか、あるいは場合によってはネズミ、いわゆる鼠害その他のマツクイムシであるとかというようなものが、往々にして非常な広範囲に起って災害をこうむることがあるのですが、これには出ておらない。  先般東北地方の青森県におけるところのリンゴの被害に対して、ただいま農林当局に質問いたしましたところが、青森県の側の報告によるというと、あのリンゴの被害は虫害といってもそれは低温によるところの後天的な発生による虫害であるから、この法律のいわゆる低温等におけるところのいわゆる天災として救ってやると、これはまことにけっこうなことでありますが、ネズミであるとか、あるいはイナゴであるとかというような大群をもって押し寄せてくるようなそうしたものに対しては、全然これによっては救われない。何かほかに方法をお考えになっておるのかどうか。この一点と、それから先ほど当局にただしましたところが、ただいま提案者の方から御説明がありましたこの公布の日から、いわゆる六月一日というのは誤まりであって、四月一日以降で発生したものに対してこの法律を適用すると。ただし、四月、五月の分は前に臨時立法をもつ設定してあるから、これを救うのだが、これで漏れたものに対しては、この法律によって救う。こういう御趣旨のように承わっております。それはけっこうですが、ただいまの虫害等というような問題に対しては、これも私は一応天災と私は考えるのですが、そういう観点に立って私はお尋ねしているのですが、その点については何かお考えがございますか、承わっておきたい。
  117. 井手以誠

    衆議院議員(井手以誠君) 御指摘の青森のリンゴの被害その他今申された多くのものは、ここに記載いたしておりますように低温によるものとして低温の被害として該当するように考えております。ただイナゴとか、ネズミの被害、こういうことについては立案当時いろいろ研究はいたしましたけれども、天災によるということとは直接関係が薄いということから、現在のところ一応除外しておる次第でございますが、大体御指摘のものは低温によって救済できるのではなかろうかと考えておる次第でございます。
  118. 千田正

    ○千田正君 このマツクイムシもやはりあれは一つの低温という面においてお救いになる御予定でございますか。というのは、従来非常に広範囲にわたって国有林があったのが、最近におきましては国有林を払い下げて、あるいは市村町あるいは民有地になっておりますので、マツクイムシが相当繁殖して来るというと非常にこれはまた所有者にとっては脅威になるのであります。これは一体低温によって生ずる害であるかどうか、この点もわれわれは考えておるのですが、これはどういう御見解を持っておられますか。
  119. 井手以誠

    衆議院議員(井手以誠君) 仰せの通りマツクイムシの被害も一応研究したところではございますけれども、ここに言う天災による資金融通というものとは少し縁遠い観もあるのです。そういう被害についてはまたこういう被害のものをよく研究して別途に救済しなくてはならないのではなかろうか、こういう話に大体まとまりました。ここに言う天災による資金融通の中には、そういうものは実は入っていないのでございます。しかし提案者といたしましては、別の方途をもって何らかの措置をしなければならぬのではなかろうかということを考えておる次第でございます。
  120. 千田正

    ○千田正君 一応最後に伺っておきたいのは、先ほど青森県のリンゴの被害は低温によると、こういうふうに、これは一つの前例になると思いますが、大体虫害は低温によって生ずるという御見解のようでありますので、将来そうした場合はこの法律によってまあ大体低温によって生じたと、こういう概念をもって政府の処置を要望してよろしいわけでありますか。その点を一応承っておき、今後の対策上、提案者から一つその点の確信のあるお答えをいただきたいと思いますo
  121. 井手以誠

    衆議院議員(井手以誠君) 技術者または行政官が見て低温によるものなりと認めた場合には、当然この暫定措置法によって資金を融通しなければならぬと考えております。そのほか低温によらない場合もあるかもしれませけれども、低温によるということが明らかな場合は当然これに含まれるものと信じております。
  122. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 提案者にお伺いしたいと思います。それはこの問題をめぐって衆議院の農林水産委員会で決議をなさっておる。かねて平時においてもなかなか一般農家に伍して困難な経営と生活を余儀なくされておる開拓者が、一たび大きな災害に見舞われた場合にはその窮状は実に目も当てられないような惨たんたる状況にたたき込まれておるというのが実情でございまから、こういう開拓者に対して今度のこの法律による資金融通等では経営の立ち直りも困難であろうし、なおその償環の前途を考えるとこれは全くはだえに汗をするような思いであると私は思うのであります。従って何かこの法律考えておるほかに、開拓地の災害融資については特別の考えをお持ちのようですが、具体的にはどういうことをお考えになっておるか、提案者に伺いたい。
  123. 井手以誠

    衆議院議員(井手以誠君) 開拓者に対しては特別の措置をしなければならぬということについては私も同感でございます。私も実情をよく見ておりますが、これは一般の農家と同様にはできないのでありまして、従来の特別立法においても利率その他において特別の措置をいたしておったのであります。またこの暫定措置法によりましても、利率その他優遇をいたしておりまするけれども、相次ぐ例年災害によりまして、一般農家も同様ではありますけれども、特に御指摘のような開拓者については非常に困窮いたしております。そこで利率をこの暫定措置法案で優遇いたしまするとともに、開拓者が非常に困っておりまする例年災害による償環の問題について特に考えねばならぬと考えまして、開拓者資金融通法のいわゆる第三号まである資金のほかに第四号資金を設けて、しかも災害資金に対しては短期だけではなくて、中期程度の資金が融通できるように農林省において措置をいたしてもらいたい。こういう意味でこの付帯決議を付したような次第でございます。
  124. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これに対する政府の見解を伺いたい。
  125. 和田正明

    説明員(和田正明君) ただいま井手さんの方からお話のございました件につきましては、開拓者からも御要望もございまして、現在担当局でありまする農地局とも打ち合せをして衆議院の御決議の趣旨に沿いますように検討中でございます。
  126. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 次に同じ開拓者の、これは常に要望されておるところでありますが、これは一般の農家が特に牛や馬を使用しておる農家が災害を受けた場合には、この被害農家には家畜の購入資金、それが貸し付けられるようになっておるようでありますが、開拓者の場合にはなかなか耕地の開拓でも思うにまかせないのが実情でありますので、家畜を持っておる開拓者が特に災害を受けた場合には、これはせっかく今まで築き上げて来かかった経営がさらに振り出しに戻るようになってしまう。さらに振り出しよりももっとはるかに後退してしまうという状況になるわけでありますが、これらに対しては何か特別のお考え提案者はお持ちのように私は拝察いたしますが、この問題について提案者政府に御用意をお聞きしたい。
  127. 井手以誠

    衆議院議員(井手以誠君) 牛、馬などにつきましてはこの法案にも書いてございますように、一般の資金のほかに三万円を限度として営農資金を増額、することができるようにいたしておるのであります。仰せのように開拓地については一般のようには参りませんで、特別の優遇措置が必要でございまするので、ただいま申しました開拓者資金融通法の中において改正される場合には、なるべく広く経営については広い解釈のもとに資金の融通ができるように農林省措置を、政府措置を私どもは期待いたしておるような次第一でございます。
  128. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 提案者からも非常な期待を受けておるようでありますが、政府はその期待に対してどういうふうにこたえられようとしておるのか。
  129. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) ただいま開拓者資金融通法によりまして中期資金の貸し出しをいたしておりますが、これで不十分かどうかについてただいま検討中でございます。
  130. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 この法案の第二条に「この法律において「被害業者」とは、農業をおもな業務とする者であって、天災(当該天災による被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令で指定するものに限る。……)」とこうしてありますが、一体政令でどういうことを指定するつもりでありますか、
  131. 稲富稜人

    衆議院議員(稲富稜人君) これはその被害状態に応じまして、被害程度が非常に大きかった、あるいはその範囲等に対して特殊の事情が生じた、こういうような場合におきましては政令で指定する、こういう意味でございます。
  132. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私がおそれるのは「その国民経済に及ぼす影響が大であると認めて」というのは、どうも少し広範、広範といいますか、大き過ぎて局部的にかなり府県の一部において相当被害がある場合には果して適用があるかどうかということについて疑いがあるのでありますが、その点はどういうふうになるのですか。衆議院議員(稲富稜人君) 私たちはこの法律を作るに当りまして、やはりこの天災が国東経済に大きな影響を及ぼした場合には特殊の救済をしなくちゃいけない、こういうような考え方でやっておるのでございまして、この文面に対してはそう深くこだわっていないのであります。
  133. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 政府の方ではこの法案が成立した場合には、今私のお尋ねして折る点をどういうふうに解釈してやられるのでございますか。
  134. 和田正明

    説明員(和田正明君) 二十八年、あるいは二十九年 また先般御審議をいただきました本年の四月、五月の凍霜害、水害等の場合におきましても、そのつどある程度の時期をまとめまして国全体としての被害金額を考え、またその地域的分布等も考えまして、大蔵当局と打ち合せの上、融資ワクを決定し、また立法の措置を講じて参ったわけでございますから、この第二条の規定による政令の指定の場合につきましても、従前そのつど立法措置を講じて参りました際と同様の取扱いで、ある程度の期間を区切って、その期間全体を通じてやはり被害金額が大きくなる、その影響を受けた区域がある程度全国的であるという段階において政令の指定をするということで、従前の特別立法の際と同様の考え方で、ただ立法をするかわりにこの政令で指定をして参るのだということで、今までと同じような取扱いでやっていきたいと、かように考えております。
  135. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私は先ほどどなたでしたかお尋ねの、岩手県の方で四月、五月に相当水害があったが、あの四月、五月の災害に対する立法の中にはその計算の中に入っていないということはもう政府でも認めておられるようでしたが、一体それはあの法律のどこに根拠があるか、私はむしろそういう被害があるならば当然入ってしかるべきではないか、そうでないならば何かそのつど区域の指定というものがはっきりなければいけないと思いますが、その点はどうなんですか。
  136. 和田正明

    説明員(和田正明君) 先ほど岩手県の問題について、当時入っておらなかったということを政府が認めたというふうにおっしゃいましたが、あれは私の答弁が不十分でありましたためにそういう誤解をいただいたかと思いますので、その点はまことに恐縮でございますが訂正さしていただきたいと思うのでありますが、岩手県、青森県につきましては、四、五月の凍霜害と六月、七月の水害とが県しとてもダブりましたので、融資のワクを設定してもらいます場合に、何千万円が凍霜害分、何千万円が水害分というふうに分けたワクを与えられるととが県としても事務処理上都合がいいというような話もありまして、これらも含めてこの法律で処置をしていきたいというだけで、当初別に岩手県の水害を融資のワクの中から無視しておったという点はございませんので、その点は御了解いただきたいと思います。
  137. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 次にお伺いいたしたいのは、との法案によってだいぶ適用を受ける場合が多くなって、しかも一今の国民経済への影響が大であると認めて云々というのも、今、立案者及び政府のお考えを伺っても、だいぶ適用する場合が多くなると思うのでありますが、そうしますと、従来災害のつど、たとえば本年の四、五月の災害においては二億五千万円を限度として貸し付けるということになっておりましたが、今後そういう金額の制限は、法律にない、被害実情に応じて相当貸し出しをしなければならないということになりますが、それについて資金源は果して十分あるのでございましょうか。従来の例によりましても、おもに農林中央金庫の自己資金がその源泉になっておるのでありますが、これが非常に窮屈な場合が多いように伺っておるのでありますが、こういうふうに適用範囲を広くした場合に、何かそれに対処する特別の方途を考えなければならぬと思いますが、その点について政府の方ではどういうふうにお考えになっておりますか。
  138. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 大矢委員から御指摘のような場合についてでございますが、現実に国民経済に及ぼすような重大な災害が起った場合には、資金源があるとかないとかということでなくて、政府の責任においてその原資の確保をしなければならないと考えておりますので、その点については御心配のないような措置がとられると思います。
  139. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 ただ抽象的にそうおっしゃられると困りますがね。昭和二十八年の大災害の跡始末におきましても、政府で特別の資金源を考えないで農林中央金庫などが非常に困って、あと一、二年間そのほかの貸し出し方面が非常に困った事例があるのであります。従いましてこういう広い適用を随時受けるような法案が成立した場合にはそれに対処する適当な措置考えていただかなければ、それは十分善処するつもりだという、ただ抽象的な御答弁では、私は十分満足しかねるのでありますが、重ねて何か新しい構想がありますかどうか伺いたい。
  140. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 御指摘通りこの問題が議員立法によって提出されるということになりましてから、財務当局といろいろ検討したのでございますが、原案については閣議でもこれを了承いたしたようなわけでございまして、先ほどどなたかおっしゃいましたように、国会の開会中ならばすみやかに法的措置が講ぜられますが、休会中などにいろいろの支障を来たすから、そういう場合にも対処できるようにということで、こういう法律案がなされたのでございますから、この点についてはそうはなはだしく資金が拡大されるというようには考えないので、この程度ならばよろしかろう、こういう結論になったわけでございます。ただ、その修正された部分につきましては相当意見がございまして、その点についてはただいまのところ閣僚間に意見一致を見ていないのでございますけれども、政府としては善処しなければならないと考えているような次第であります。
  141. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私は別に国会の開会中とか、あるいは閉会中に起ったからどうこうというのじゃありません。国会の開会中でも閉会中でも資金源をどうするかということは同じでありまして、閉会中だから資金源を探すのに非常に困る、開会中ならば非常に楽だというわけにはいかない。現に昭和二十八年の大災害のときには国会開会中で特別の立法がせられましたけれども、このあとの金融措置については非常に当事者が苦んだわけであります。従ってこういう法案が成立した暁におきましては何らかそれに対処する方策を政府では十分研究していただかなければならないと思います。確答が得られなければとにかく将来十分研究するということだけでもよろしいのでございますが、今のようにまあ開会中ならば大丈夫だというお話では私はどうも納得いたしかねるのであります。町
  142. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 今私の答えが十分でなくてごめいわくをかけたと思いますが、実は私この立法がなされたということが、その休会中の場合も御心配になっておいでになるということを申し上げたので、資金源等についてはすばらしい着想がございませんので、十分この点は研究をいたして参りたいと思います。
  143. 千田正

    ○千田正君 これは、政府並び衆議院の皆さんにお伺いしておきたいと思いますが、世の中に世にも不思議な物語りということがありますが、世にも不思議な被害があるのであります。それは当参議院の農林水産委員会が、先般木更津の漁民がノリに対しての被害を訴えてきたわけでありますが、それを調査に参ったのであります。これについては、千葉県側は、これは防衛隊の演習の際流したところの油がノリに付着したために損害をこうむっている、ほとんどのノリは壊滅に瀕しているから、これは政府は当然損害の賠償をすべきである、補償すべきである、こういうことを要求しているのに対して、政府側、ことに防衛庁側の弁解では全然そういうことはない、科学的にこれは証明する、こういうので防衛庁側はがんとしてこの千葉県側の要求に対しては受け入れない、それでわれわれは調査に行ったのですが、現実には被害を受けている、実際ノリは壊滅に瀕しております。しかしこれは漁民としてはかかるところがない。水産庁に対して調査をお願いするというと、なるほど油の被害らしいが、これが防衛庁のための損害であるかどうかということはわからない、海上保安庁しかり、そうするというと、現実に被害をこうむったところの漁民は、こういうことは方方で起るでありましようが、漁民たるものは一体どこへこういうことを訴えればいいのか、これは明らかに人為的な損害であるにもかかわらず、しかも政府側のあやまちによって生じたこういう損害は、これは天災だと思ってあきらめろというのであれば、やはりこういう法律で救わざるを得ないのであります。ところが、これに対しては何ら政府は処置をしておらない。そこで伺っておきたいのですが、弱い農民なり漁民なりが、幾ら政府に向っても実際の損害があるのにかかわらずそれを認めてもらえない、そういう場合においては一体これは天災とあきらめるよりほかないのでしょうか、それともかりに天災としてあきらめるならば、やはりこういった法律によって何か救っていただかなければあきらめ切れない。そこでそういう問題は現実に起きておるのでありますが、こういう問題に対しては、衆議院側としては何かほかに特別立法なさる御処置を考えておられるかどうか。また政府としては、あれは相変らずこの責任は政府にはないのだ、こういう考えでおられるかどうか、一応承わっておきたいと思うのであります。
  144. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 関連。ただいま水産の問題が出ましたが、今の油による被害というものはまことに千田委員指摘通り不思議な結果が出ているのであります。そのほかに先ほどマツクイムシだとか、あるいは病虫害等の農作物に対する被害などについても御質問があり、それが気温の低下により生ずるとするならば、そういう道によってこれを救済することができるのでありますが、もうすでに御承知通り昨年でありましたか、東京湾においてヒトデが非常にふえまして貝が全部やられてしまいました。あるいはまたしばしばあることでありますが、海面にいわゆる赤潮というものが発生しまして、それがために貝類、特に真珠貝であるとか、あるいは養殖貝というようなものが全滅する場合につきましても、カキの養殖、アサリの養殖につきましても、主として比較的に流れの穏かな、たとえば東京湾で、あるとか、あるいは有明湾、大村湾であるとかいうようなところにおいてしばしば発生するのでありますがこれはもうまさしく天災と称するものであって、人災でも何でもない、従ってそういうものに対する処置、ここでは水産物に対して流失というようなことがありますが、そうではなくて、そういうような被害も当然しばしば例のあることでありますし、考えなければならぬと思うのでありますが、そういう問題はこれには全然含むというお気持はないのでありますか。私はここに掲げてある暴風雨、地震、暴風浪、高潮、または降霜や低温、降ひょう、こういうものに一つも入らない。しかしながら今申し上げました油の害の話もありましたけれども、一体天災とだれが見ても認あられるような、そういう事例に対してはこれは適用できないものでありますか、これに対して……。
  145. 江田三郎

    委員長江田三郎君) もう関連ありませんか。
  146. 清澤俊英

    清澤俊英君 有明の問題も出てきます。それから先般私の出しましたイカの中毒の問題も出てくるという、そこでまあちょっとお伺いしますが、これは、その問題で大臣にこれはあなた、営農資金が借りられるかと言ったら、実情によっては貸せますと言うのだ、ただし、この法律規定したワク外であるから利子の補給というようなものの恩典はないだろうと私は考えるが、その点はどうなりますか、これにないもので大臣がかりに貸せる、特別にそれを考慮して資金は一つめんどうを見よう、貸さなければならぬ実情ならば貸せる、こう言うのだが、その場合こういう法律にある恩典、法律的な恩典がこういう条項であったならばあるのかないのか、これは法律的解釈としてわからぬ、先にそれを聞かしてもらいたい。
  147. 井手以誠

    衆議院議員(井手以誠君) 当局に対するお尋ねがだいぶあったようですが、千田さんからは、ことに提案者意見はどうかということでございましたのでお答えいたしたいと思います。  千葉県における油の被害については、それは人をあきらめさせるときは天災だとは言いますけれども、法律的にはどうも天災とは私ども考えないのであります。私どもお互いにやはりその原因を究明して当然そういう被害を与えたものに対して、あるいは責任者に対して国会議員としては損害を補償さすべく努力すべきであると考えておるのであります。また今日までお互いそういったことについて戦って参った次第でございます。  秋山先生からお尋ねのヒトデその他については、大体ここに第一条にありますように、予想されるものについてはここに暴風雨、豪雨、低温または降ひょうまで書き上げておりますが、その下に、「等」ということを入れておるのであります。たくさんの天災によるやつは全部列挙するわけにも参りませんし、この他天災のものを「等という中に含めておるのであります。従来の立法においてもそのように解釈して参りましたし、だれが見ても天災で、その被害相当広範囲にわたって、その結果国民経済に影響を及ぼすということになれば、当然その規定が発動されなければならぬと考えておる次第でございます。清沢先生については当局の方からお答え申し上げます。
  148. 和田正明

    説明員(和田正明君) ただいま井手さんの方からお答えがございましたが、赤潮とかヒトデとかいうようなものは一般的にいって私どもも天災に入り得ると思います。ただこの法律の立法の趣旨からも、また条文の規定から考えましても、その被害程度が、相当被害額も大きく、またこの国民経済に及ぼす影響が、この法律によって指定するものであるかどうかという、その被害の度合なり、あるいは被害の地域がある程度全国的であるとか、そういう被害の状況によってケース・バイ・ケースで政令で指定すべきものもあり得る、こういうことではないかと思います。それからイカの問題につきましては、先般やはり清沢さんの御質問に対しまして水産庁長官が調査をせられてお答えするということでありましたが、イカの中毒事件そのものが天災であるかどうかということはこれはわかりませんので、何とも申し上げかねますが、一般的に農民、漁家が経営資金に不足をいたしますような場合は、これは当然系統金融機関の内部においてあっせんをすべき性質のものでございまして、その点については実情を調査をいたしまして中金からの資金あっせん等の措置をとりたいと思っております。
  149. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこを聞いておるのじゃない。その資金あっせんは受けるが、この法案規定してあるような利子の補給とか何とかいうようなものがそれでもらえるかどうか。これは幾ら大臣が言うても、もらえないということなんでしょう。それをはっきりしてもらいたい。
  150. 和田正明

    説明員(和田正明君) それはやはり系統金融で融資をいたします場合には、系統金融の一般の金利ということになろうと思います。
  151. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 この法案規定しておる「天災」ということの意義については大体今明らかにされましたのですが、先ほど大矢委員から言われた二条のこの天災、本法による天災の場合のこのカッコ内の定義の問題ですが、これは「天災による被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大」だと、被害が著しいということはこれはわかりますが、国民経済に及ぼす影響が大だというとは非常にこれは主観的な認定によるもので、あやふやな感じがするのですが、大体どの程度を予想してどういうふうな意味政令をここで意図されているのか。それらの点についてお伺いしたいと思います。提案者政府の方との両方から。
  152. 稲富稜人

    衆議院議員(稲富稜人君) これは大体従来の立法処置をやりましたときの状態があったわけでございますから、そういうふうな従来立法処置をやりましたときの慣習に従ってやる、こういうような考えを持っておまりす。
  153. 和田正明

    説明員(和田正明君) 今稲富さんから御答弁がありましたように私どもも考えております。ただ、たとえば四月に凍霜害があったという場合に、四月の凍霜害だけでは割合に被害金額も少いし、あるいはその被害を受けた県も一、二県にとどまりますけれども、春先の凍霜害というものが四月、五月、六月というふうにあって、ある程度全国的にもなる、被害が大きくなるという場合に、やはり春先の凍霜害ということで今までも影響が非常に大きいということで立法措置をして参りましたが、ある程度時期的にまとまればこういう政令指定の対象になり得るというような天災もあるわけでございますから、今までの慣習に従って、今まで立法措置をとって参りましたような程度以上の被害についてはそのつど政令で指定をして参りたいと考えております。
  154. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今のについてお聞きしたいのですが、その政令の形式はどういうふうになるのですか、旬月の何の災害ということで、こういうような形式でそのつど政令を出すのですか。
  155. 和田正明

    説明員(和田正明君) 今法制局等との打ち合せをいたしておりますが、私どもの考え方としては、そのつど、この法律を何々の災害に適用するための政令ということで、そのつど出していきたいということで考えております。さしあたって必要がありますのは、五月の凍霜害の東北と、それから六月のひょう害、それから六月及び七月の北海道東北の水害というふうに考えております。
  156. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   午後四時二十八分速記中止     —————————————   午後四時四十分速記開始
  157. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて下さい。  なお、この際ちょっと政府にお伺いしておきますが、この法案について、個々の問題については、先ほど政府の見解をお聞きしておりますが、法案全体について、政府としてどういう見解か、あらためてはっきりしていただきたいということと、それから先般四月、五月の災害についての特別措置法を本委員会で可決いたしました場合に、本委員会としては将来かような問題が起きたときだけの特別措置法でなしに、恒久立法を政府として提出すべきであるこういう意味の付帯決議をつけておいたのですが、これは今回は政府提案でなしに、衆議院の方の議員立法という形をとりましたが、その間の事情についてはどういうようないきさつがあったのか、なぜ政府提案としてこれを出すことができなかったのか。この点は本委員会全会一致の付帯決議の趣旨からいたしましても、明らかにしておいていただきたいと思います。
  158. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 御決議の趣旨を実現いたしたいと思っておりましたが、政府といたしましては、四月、五月の法律の一部改正で、とりあえず今日の災害に対処したい。もし休会中にかような場合が起きましたならば、通常国会において遡及して効力の生ずるような措置をし、通常国会においてのときに初めて即決議の趣旨を尊重して、その向きの立法をしよう、こういう考え方であったのでございますが、それを待たないで議員立法がなされましたので、閣議においてはこれを承認することに相なったような次第でございます。
  159. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御発言もないようでございますが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  161. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私はこの法案に希望を付して賛成したいと思います。  わが国が年々歳々暴風その他自然の災害によりまして、農林水産業に甚大な損害をこうむって、そのために農林水産業経営の維持と安定に多大の布陣を来たしておる現状に対しまして、政府はそのつど特別立法の措置を行い経営の資金、または事業資金、の融通をはかり、被害農林漁者の経営の維持安定をはかって参ったのでありますが、このたび一歩前進いたしまして、恒久的な基本立法を行い、農林水産系統金融機関、またはその他の金融機関がこれらの資金融通を行います場合、国と地方公共団体において利子の補給及び損失補償を行い、もって資金融通が円滑かつ低利に行われます二とを目的にして立案されましたことは、われわれも衷心から賛意を表するところであります。しかしなおこの内容を検討いたします場合に、衆議院提案者の各位におかれましても感じておいでのように、私はこの法案についての、一つの盲点があると思うのであります。それは特に開拓者並びに雰細の農民漁業者に対する措置、それから次には必要にし手分な資金源の調達と確保という点であります。これは過去の災害の経験等にかんがみて、われわれがこの法案を審議するに当り、なお将来に対してもこれは不安なきを得ないのであります。この点については私は先ほど提案者並びに政府当局からの一応の回答がございましたが、十分この点については従来よりも一歩進めた恒久的な立法のこの建前に徴しましてもです、資金源の調達と確保については格別の準備があってしかるべきだと思うのです。そういう見地からいたしまして私はこれに付帯決議を付したいと思うのであります。  以下決議文を朗読をいたします。    「天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案附帯決議    一、政府は、開拓者を初めその他雰細農林漁業被害者に対して必要な経営資金が均霑するよう特別な措置を講ずべきである。    一、融資の円滑を期するため、政府は、次資金源の確保について遺憾なく措置すべきである。    一、天災に準ずべき災害の被生者に刻しても、本法に準ずる措置を講ずるよう、政府において善処すべきである。  以上であります。
  162. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 政府は議員立法だからと申しまして、軽視するようなことはないだろうと思います。しかし政府といたしましては、よくこれらの関係省が一致いたしまして、災害者といたしましては、ことに農林災害は非常な苦心を払ってせっかく育成したところの収穫を目の前にして一切を失う。一農民のとの災害によって物心両方面にいたでをこうむった、その安定精神を生かして、再び営農に対しまして再起するのに役立てるように、十分に法の精神をくむと同時に、同僚各位から言われたごとく十分に資金等においてはこれが融資の道をすみやかに講じまして、資金の融資に当っては逡巡することなく、迅速果敢にこれが各災害者の手元に届くようにいたすことを、強くこの際要望するものであります。従来こういう場合におきまして、ややともすれば資金は半年一年というようなおくれがちになりまして、災害にあいましたその上にさらに利息子、の他によってとかく農村の復活がおくれがちであります。かかる事情をしんしゃくの上、十分にこの処置によって農家の安定、育成、及び営農に当りまして、ますます増産意欲を向上する方途を強く講ずるよう、重ねて要望して本案に賛成するものであります。  なお、付帯決議についてはともに同意をいたすものであります。
  163. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法案を問題に供します。本案原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  165. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました飯島君提出の付帯決議案を議題といたします。飯島君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  166. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致と認めます。よって飯島君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては慣例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に本案を可とされた方は順次御署名を願います。   〔多数意見者署名〕      秋山俊一郎  白波瀬米吉      三浦 辰雄  千田  正      青山 正一  池田宇右衞門      大矢半次郎  重政 庸徳      田中 啓一  長谷山行毅      飯島運次郎  清沢 俊英      東   隆  菊田 七平      鈴木 強平
  168. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいま全会一致をもって可決せられました付帯決議につきまして政府から発言を求められております。
  169. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) ただいまの御決議の趣旨を体しまして善処いたします。
  170. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十一分散会      —————・—————