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1955-07-26 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十六日(火曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員の異動 本日委員三橋八次郎君辞任につき、そ の補欠として小林孝平君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事      秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            田中 啓一君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            小林 孝平君            森崎  隆君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君   衆議院議員            小枝 一雄君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    経済企画庁長官    官房長     酒井 俊彦君    経済企画庁計画    部長      佐々木義武君    農林政務次官  吉川 久衛君    農林省農地局長 渡部 伍良君    農林省農業改良    局長      小倉 武一君    食糧庁長官   清井  正君    水産庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林省農地局災    害復旧課長   大塚 常治君   参考人    東京穀物商品取    引所理事長   木谷 久一君    東京穀物商品取    引所常務理事  山根 東明君    穀物取引所市場    管理委員    杉山 重光君    仲買人市場代表    者       龜山  功君    委託者代表   大竹  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (アズキ取引に関する件)  (昭和三十年産米の集荷に関する  件) ○漁港法第十七条第二項の規定に基  き、漁港整備計画の改正について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助の暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案衆議院提出) ○派遣議員の報告 ○愛知用水公団法案内閣送付予備  審査) ○農地開発機械公団法案内閣送付、  予備審査)     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初アズキ取引に関する件を議題にいたします。この件につきましては、清澤俊英委員から質疑が求められまして、特に参考人の御出席をわずらわした次第でございます。  参考人各位におかれましては、暑さの折からお差し繰り下さいましてまことに御苦労さんでございました。  そこで国会も大詰めにきておりまして非常に時間に追いたてられておりますので、最初参考人方々から大体お一人五、六分程度お話を聞かせていただきまして、それに基きまして各委員からの御質疑をお願いするようにしたいと思います。  五人のお方に、主として木谷さんには立会停止当時の状況立会停止理由山根さんには東穀代行会社の問題、杉山さんには立会停止暴力の問題、それから亀山さんには総解合の反対の理由並びに現在の状況大竹さんには委託者立場と、そういうところに重点を置いていただきまして、何もそれにお話をしぼるわけではございませんので、そういう点に重点を置いていただきまして、お一人五、六分程度お話を願いまして、お話にさらに各委員の中から御質問があれば質問していただく、こういう形で進めて行きたいと思います。  それではまず東京穀物商品取引所理事長木谷さんにお願いをいたします。
  3. 木谷久一

    参考人木谷久一君) 委員長からアズキ取引に対するその解合停止をしたときの状況の御質問でございますので、そのことを申し上げたいと思います。  五月の初旬からアズキ相場がじりじり上って参りまして、そうして、九日、十日、十一日と、この三日間連続値が高くなったわけであります。十二日の日になりまして、四節立ち会いをいたしまするが、初めの一節はどうもありませんけれども、二節、三節、四節頃にはかなりな多数のものが売買ができ得ましたので、取引所といたしましては、これを完全に決済ができ得ないという観点の下に立ち会い中止を命じたわけでございます。その後、午後に予納金と申しまして、証拠金を先に入れることを提示をいたしましたのですが、何分とっさのことでありますし、すぐお客さんから金をもらうわけにいかない、金がないというようなことで、時間がだんだんおそくなりまして、従いましてその日の所定の時間に立ち会いができ得ないので、そのままその日は立ち会いはでき得なかったのであります。  その後引き続きまして、いろんな折衝がございまして、相場が動きまするし、従いましてそれに対しては、売方買方双方から強弱が出て参りまするし、だんだん立ち会いができ得ないということに相なりまして、監督官庁の方からは早く上場せよという御命令もありましたのですけれども立ち会いまして、円満に取引をしようと思うことは諸般の事情からむずかしいように考えますので、時々日を送っておりますうちに、五月二十六日の日まできたのであります。従いまして二十七日は五月での最終商いをする日でありますので、その日に立ち会いをしませんとすべてが無効に相なることがありまするので、役所の方からも二十六日中に市場再開しないような場合があればアズキ取引というものはあるいは中止をせんならぬようなことになるかもしれないというようなお話もありますし、かたがた二十六日の夜おそくなりましてようやく総解合ということに相なったのであります。  以上で私の概略の説明を終ります。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に東京穀物商品取引所常務理事山根君にお願いします。
  5. 山根東明

    参考人山根東明君) 東穀代行株式会社の問題ということでありまするが、私からは東穀代行株式会社という会社はどういう会社であるかということを御説明を申し上げたいと思います。  取引所は二十七年の十月にできたのでありますが、翌年の二十八年のたしか六月であったと思うのでありますが、東穀代行株式会社が次のような趣旨に基いて設立をされたのであります。取引所における早受け、早渡しという問題が取引所制度としてあるわけでありますが、早受け、早渡しの希望者は時間的、数量的に必ずしも一致しないという場合が多いのでありますが、そういう場合のために代行会社がその早受け、早渡しの媒介をなし、円滑な受け渡しを完了せしめる、こういう第一の目的を持っているわけであります。  次に代行会社は営業として金銭貸付業務を行うのであります。すなわち、会員仲買人に対して資金を融通してその十分なる活動側面から援助する、これが第二の目的であります。そのほか前各号に付帯する業務という定款でうたっておりますが、主たる目的はただいま申し上げましたような二つ点でありまして、繰り返して申しますと、第一には、早受け、早渡しの媒介をなして当該業務が円滑に受け渡しを完了せしむる働きをすることと、それから会員仲買人に対して資金を融通してその十分なる活動側面から援助する。この二つを主たる目的といたしまして、最初申しましたように二十八年の六月に設立を終えて今日に至っているわけであります。自来こうした目的のために、私は代行会社の役員でも何でもございませんが、取引所立場から申しますれば、十二分の役割りを果してきているというふうに考えております。
  6. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 穀物取引所市場管理委員杉山君にお願いします。
  7. 杉山重光

    参考人杉山重光君) 十二日の前場四節に買方が無謀な買いあおりをしたために、後場の市場再開するのにどうしたらいいか、そういうことについて三階で会議を開いたのであります。予納金制度によって一時間延刻して再開することになったのでありますが、そのときに場内に一見不穏と見られる風体のよくない連中が十数名入っているのを私は見かけたのであります。それと同時に協会員の平野、大橋の両君からも私に暴力団が入ってきているかう危険だと思うので何とか善処してほしいという申し出があったのであります。二時の再開買方予納金制度に応じなかったためと、依然として不穏な形勢と混乱が予想されたため三時に延刻になったのであります。三時の再開も自分と山本委員の二人で危険状態では商いをすることはできないと言い、特に私は市場代表者協会委員長立場から会員に危害を加えられるような危険状態では、市場再開されては困ると言って拒んだのであります。そのために当日はついに立ち会いができなかったのであります。十三日十時より合同委員会が開かれまして、その席上買人協会書記長山口氏が、私はこのようなことを聞いていると、次のようなことを言いました。暴力団と言ったか、何々組と言ったか、いずれであったか記憶は確かでありませんが、屈強な者百名くらいを動員して、二十名くらいが場内に入り、市場代表者をたたくのでなく、高台——取引所側職員のことです——を引きずりおろして場をつぶして、その君たちが検挙されたら他の者が入れかわりに入って高台を引きずりおろして場を立てさせぬ作戦だと、こういううわさがあるということを申しました。またその翌日富澤業務課長から次のようなことも聞きました。入福商店榊與三郎君が、富澤君は実に運がよかった。もし立ち会い再開されておれば、高台から引きずりおろされてひどい目にあっていたのだが、幸い立ち会いがなくて助かったのだというようなことも聞きました。このとき私は入福商店買方の一員なのでこういうような計画があったのかと思った。この事件以来市場内に棚を作ったり、守衛を増員したり、そうした事実を見ましてもわかると思います。今申し上げたことは見たり聞いたりしたことでございます。
  8. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に仲買人市場代表者の銅山君。
  9. 龜山功

    参考人(龜山功君) 私は大正六年に米の取引所最初参りまして、それから米、砂糖、繊維、雑穀などの取引所関係の仕事にずっと従事して参りましたが、今度のアズキの問題のような不思議な事件は日本にも、また世界にもこれは例のないことだと思います。これは関係者として常識では全く考えられない不思議な事件なんでございます。ところが取引所はこれを仲買人総会の意見が三十六対九で賛成であったから、それによって理事会で決定したんだと、こういうような建前をとっているようでございますが、これには非常に大きな問題があるのでございます。この三十六対九ということは単に総解合をすることがいいかどうかということの賛成不賛成ではなくして、アズキ上場を続けるためには総解合が絶対に必要であるという、言いかえれば農林省意向としては総解合をしなければ上場禁止は必至であるということを前提とした上の賛成不賛成でございます。われわれは取引所をつぶさないために涙をのんで賛成したという人が三十六人、それからこういう間違った解決をするならば取引所がつぶれても仕方がないというのが九人なんでございます。ここで会議のことをちょっと例として申し上げますと、取引所常務山根さん、こちらにお見えになっておりますが、山根さんは私の質問に対して、業務規程六十二条発動の理由を具体的に説明しろとのことですが、問題はこの市場だけのことではなくて、社会的に非常に大きな影響があるので、やむを得ないというだけで御了承願いたいと言われて、結局最後まで理由説明されませんでした。また私が立ち会いを開始してもらいたいと言ったのに対して、総解合をしないで立ち会いをやれば、上場禁止になることは目に見えているということを言われました。それから上西さんという理事の方は、この総解合案をのまなければ、結局上場禁止になる、そうなれば結果はもっと高い値段で解け合うのと同じで、かえって売り方に不利であるということを言われたのであります。またそのとき、仲買人協会委員清永清さんという方は、理事者の方に向って、ただ一言おそろしかったのだと言えばそれでいいのだと、こういうことを申されましたが、これには返事がありませんでした。  これらで大体おわかりのことと思いますが、なぜ解合をしなければ上場禁止になるかという、これがまた問題だと思う。  これより二日前の五月二十三日の仲買人総会では、総解合は絶対にしない、他の方法で解決がつかないときには、新規の売買停止して立ち会い再開するということを決定しておったのでございます。最も事情に明るい仲買人が、このようにして再開は可能であるということを認めておったのであります。しかるに理事会の一部の人々が、あくまでこのまま再開が不可能であると総解合に持ち込んだ理由はほかに原因があったのでございます。  すなわち児玉一派買方が、立ち会い再開すれば暴落することは火を見るより明らかなので、解合を主張して譲らない。もし立ち会いをすれば暴力を振うとか、あるいは乱手と申しまして、わざと市場混乱させるために、とっぴな値段商いの手を振ることがありますが、そういうようなことをして混乱させるということを知っておったのと、また一方では農林省が、再び混乱するようなら上場禁止を考慮すると言明しておったので、その板ばさみになったので、やむを得ずあのような処置をとったのでございます。もし理事者方々が勇気を持って、暴力や権力をおそれずに、警察の力を借りるとか、乱手を振る者に対しては、業務規定による制裁をもって断固として立ち合いを再開しておれば、不当な要求をする買い占め一派にみすみす目的を達せさせるようなことをせずに済んだのでございます。  また解合後になって、取引所側は、取り組みが多過ぎて決済が不可能になるおそれがあった、などと申されますが、昨年の十二月にも一万五千枚近くの取り組みがありましたが、解合せずに立ち会いを継続してきたのでありまして、取り組みが多いということは何ら理由にならないのでございます。  また清算取引は、取り組みの大部分受け渡しをする前に転売、買い戻しによって解消して、一部が受け渡しとなるのが通例であり、産地の在庫が七、八万俵しかないとか、輸入も当てはならないから決済ができないというのは全くこじつけであります。  仲買人協会の副委員長で今度の解合案理事会から頼まれて作成した委員の一人である鈴木四郎さんという方でさえ、委託者に詰問されて、実情業務規定六十二条を適用する場合ではなかったが、無理に当てはめてしまったのだということを言っておられるくらいです。小豆の上場を続けること、すなわち取引所の存続ということのために、無理を承知で断行したというのが真の実情でございます。この点は大部分理事者の方が個人的には認めておられるのでありますが、この影響の大きいことをおそれて公表できないのでございます。  児玉一派が不当な要求をしていた一例は、一、派が無理に買いあおって一時的につけた十二日の一番高い値段解合要求したけれども解合値段が結局十一日の引き値といって、それより幾らか安い値段できまったということを不服として、解合後になお取引所から約一千八百万円の金を取ったということでもわかると思いますが、これでは取引所は全く買方の思う通りに動いていたといわれても仕方がないと思う。  また農林省立ち会いをやって混乱を起せば上場禁止をする意向であったということは、六月の十人日ごろ、吉次技官山根さんと二人で私の所へおいでになったときに伺いました。  そこで現在の状況はどうかと申しますと、取引所強制解合の通告を出して、仲買人が拒否しても一方的に計算をしてしまいました。それで現物を手当しておったわれわれは、取引所が受け取ってくれないので、やむを得ず処分しておりますが、値段は現在半値くらいに下っております。それで非常な損害をこうむっておるのであります。現在では売りたくても買手がないというような状態であります。  ちょっと一例として私の会社のことを申し上げますと、私の会社中共からアズキ輸入契約をいたしまして、そのうち一部は現在までに入荷して、残りの分はキャンセルいたしました。これらはいずれもバーター取引でございまして、アズキ輸入するのに対して、人絹とかスフ、そういうものを輸出することになっておりましたが、アズキ輸入をキャンセルしたために、輸出の方もできなくなってしまいました。キャンセルの理由としては、取引所受け渡し不能になったためというよりほかにないわけでございますが、なぜ受け渡し不能になったかという点になりますと、それが地震とか洪水とか、あるいは戦争とかいうような事件でもあればともかく、今度のような暴力とかそういったようなことで中共側の納得の行くような説明はできないのでございます。私どものような例はほかにもたくさんあると思うのでございますが、このようなことから国際信用を失うということは、国家的な損失だと思うのでございます。大体以上であります。
  10. 江田三郎

  11. 大竹豊

    参考人大竹豊君) 委託者立場といたしまして一言述べさしていただきます。  今回の事件個々商取引に例を引いてわかりやすく御説明すれば、甲なる人が乙の店に、九千円のものが一万円になったので、月末受け渡し条件で売却したとします。すると乙は三日後に、よそでは相場が崩落しておるにもかかわらず、品物が一万二千円に暴騰したからと店を閉めて、もう品物は要らないから、一万円と一万二千円との差額だけ甲に要求し、それを取り上げたということであります。こんなばかげたことが世の中に通るはずもなく、どうして今まで問題化されなかったかとしますに、まず第一に、被害者が全国に散在して、あまりにも数が多過ぎ、横の連絡がとりにくかったということであり、第二には、少くとも公共機関たる取引所の決定したことであり、監督官庁たる農林省もこれを認めておるのであるから、一般大衆は無茶だということを知りながら、個々にはどうにもなるものでなく、長いものには巻かれろで泣き寝入りしておるという、いまだに残っておる封建的な国民心理をたくみに利用したことが原因であると思います。大体解合双方の合意により成立するを本旨としますにかからわず、取引所側は、売買の最も当事者たる委託者の存在を全く無視し、また仲買人を通じての相談も全然なくして、今回の総解合を一方的に決定したのであり、その業務規定第六十二条の適用についても、何ら具体的な説明もなく、また大阪立ち会いを続行しておる現状より推して、解合客観的理由は全く見出せないのでありますが、これについて去る六月十一日に、委託者代表として私と岡田さんという方が、赤松先生の秘書である森田さんに農林省へ連れて行っていただいたときに、担当官たる、きょうもお見えになっておりますが、中村技官は、解合のやむを得ざる事情として、暴力関係云々を言明されるに至っては、また政府の一、二の方のこういう言明を聞いては、全く私たち国民としてあぜんとせざるを得ないのであります。  なお、当方委託者の一人である林さんという方が、前大蔵大臣小笠原三九郎氏に、今回の事件を問い合せましたに対して、やはり暴力関係云々返事がきておりますが、かかる現状一体取引所公共性が守られていたものであるかどうか、また監督官庁は何のために存在しているものであるか、全く疑問に思う次第であります。今回私たち委託者の手当せる現物あるいは大阪市場への買い継ぎの崩落などによりこのたびの解合によって生じた損害は全くはかり知れざるものがあり、もちろん私ども委託者としてはかかる不当な解合に対し厳重仲買人に対して抗議を申し込んでいるのでありますが、この最終責任はあくまで取引所が負うべきは当然であり、また、かかる悪例を今後にも残さないため、当局の断固たる処置を望むものであります。終ります。
  12. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 以上で一応参考人の方の御発言を終りましたが、ただいまの参考人の申されたことにつきまして御質疑があれば逐次お願いいたします。  なお農林省からは担当小倉改良局長がみえておられます。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 山根さんにお伺いいたしますが、先ほども覇山さんが言われたように、五月の二十七日に委託者の一人である奥土足百という入に対して値合金等契約をなしてその後六月六日に東穀代行からあなたがお金を借りてきて山口諭という同じ東穀取引所職員の方と一緒にお受け渡しになった、こということを聞いているのでありますが、その金は山根常務個人でお渡しになったのか、または取引所常務として東穀代行からお借り入れになってお渡しになったのか、その点を明らかにしていただきたい、こう思うのであります。と同時に、その金はどういう意味合いのものであるかということをお尋ねいたします。
  14. 山根東明

    参考人山根東明君) ただいまの御質問で、東穀代行株式会社から私がお金を借りて奥土渡したそうだというお話でございますが、これはそうした事実はございません。ただそれに関連のあることの事実を私から申し上げたいと思いますが、解合をいたしますについて、解合条件をどういう条件で決定するか、どの値段で解け合うかということが非常に重要な問題であったわけであります。これについては取引所といたしましては理事会でいろいろ甲論乙駁がありまして議論を練ったのでありますが、なかなか適当なまとまった結論が出ない状態でありますので理事会のおもな、おもじゃありませんが、理事会のうち、今度の売買に最も関係の薄いという意味で三人の方に小委員という形で具体的な案を作成することを理事長から委嘱を申し上げたのであります。これには私も参加したのでありますが、二十何日でありましたか、四日の日であったかと思うのでありますが、その方々が終日寄りましてこの問題についていろいろ検討いたしたのでありますが、議論としてはいろいろ出たのでありますが、解合条件、特に値段をどうするかということについては、まあ一つには最終引け値、具体的に申しますと十二日の引け値でありますが、十二日の引け値で解け合うという一つの案があるわけであります。私自身は従来のそうした実際の経験は経ておりませんけれども、従来の解合一つ常識と申しますか、そういうことから考えますれば、最終引け値で解け合うという一つ考え方があるわけでありまして、しかしその間に売方買方双方が歩み寄って適当な値段で折れ合うということがあればそれで落ちつくわけでありますが、売方買方双方がどうしても対立いたしまして、そうした折れ合いができないというようなときは、やはり最終引け値でこれを解け合うべきじゃないかというような一つ考え方をとったのであります。しかしながら先ほどあるいは亀山君その他からもお話があったかと思うのでありますが、当時のたとえば大阪市場相場あるいは現物相場動き方というようなことを考慮いたしますれば、最終引け値で解け合うということでは当時の売方に非常に大きな不満を与えるであろうというようなことも考えられたわけでありまして、そこで結論としましては一日前の引け値で解け合ったわけであります。これをもっとはっきりわかりやすく申しますと、売方に対して一日分の値合いをとれるような条件で解け合ったということであります。これに対して逆に買方立場で申しますと、そうした一日分だけ値合いを損する結果になるわけでありまして、これがなかなか譲歩ができなかったわけであります。買方の主力であります店を呼びましていろいろ折衝いたしまして、大局的な見地からこうした一日さかのぼっての解け合いに一つ譲歩してもらいたいということを極力折衝いたしたのでありますが、なかなか譲歩が得られなかったのでありまして、ようやくいろいろ折衝いたしました結果、買方が一部だけ譲歩をいたしたのでありまして、そのために表面ああして一日前の引け値で解け合った、その差額が先ほど亀山君からもお話がありましたように千八百万円という数字が出るのであります。そういうことであの解合条件を決定いたしたわけでありますが、これをだれが負担するかということはこれまた次の問題として重要な問題であったわけでありますが、私といたしましては理事長並びに私の方に常設委員会というものがございまして、常設委員会の委員長という制度がございます。これはまあざっくばらんに申し上げますと、元老の理事の方がこれに当っておるという実情でございますが、委員会を招集するいとまがない、そういうような場合に委員長の会同を願って諮るということは従来からもしばしばやっておるのでありますが、非常に時間的な余裕もございませんでしたために、理事長にも諮り、さらにそうした委員長のおもな方並びに委員長以外の理事の方で、やはりこの問題に対して深い関係を持ってこられたおもな方々に集まっていただきまして相談をいたしました結果、結論としましては、やはりこうした談合金と申しますか、調整金というようなものは従来の商習慣からいたしましても取引所で負担してもいいじゃないかというような議論も出たのであります。また中には、こうした仲買人の間に起った紛争の解決のための資金であるから、仲買人協会の負担でもっていいじゃないかというような議論も出たのでありますが、いずれにいたしましても、従来の商習慣からいたしまして、取引所でこれを負担することも理事会の承認を得るということであればこれはやむを得ないのじゃないかというような気持の上から、とりあえずの措置といたしまして、そうした一部の委員長並びに理事のおもな方々にお諮りをいたしまして、取引所が仮払いでこれを支出することに決定いたしたのであります。代行会社から私が六日にこれを借りて私個人の名前かあるいは常務理事の名前か、どちらで出したかという御質問のようでありますが、そういう事実はございません。取引所が仮払いで措置をいたしまして、そして取引所が最後にこれを負担するという決定が得られましたならばこれを清算するという措置をとっておるわけであります。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 木谷さんにちょっとお伺いしますが、木谷さんが、先ほど、立ち会い停止になったのは非常にから売りがあって、決済等に支障が生ずるからということが一つ理由であると同時に、予納金の引き揚げ等をやりまして、それを勧告したが、それがうまくまとまらんかった、従って取引所立ち会い停止した、こういう点をおもな理由として述べておられますが、ただいま杉山さん並びに亀山さん、委託者である大竹さん等のお話によりますれば、取引所の立ち合い停止になったおもな理由は、暴力団が入って不穏な行動をとるという、そういう徴候を現にこの目で見た、十数名の者のあることを入手しておる、そういう事実も見ておるところにいろいろ責任ある立場方々立ち会いをやるならば暴力団が五段がまえとか七段がまえの方法をもって、暴力をもってこれを阻止する、こういう流言飛語が盛んに飛んでおる、それが中心でできなかったのだ、こう市場管理委員の方ははっきりおっしゃっておる。ここに非常に食い違いがある。木谷さんの先ほどの説明の、ただ単なる経済的な事情取引所条件によって立ち会い停止したのだという御説明に対しまして、今の暴力問題をどうお考えになっておるか、お認めになっておるのか、おらぬのかということが一つ。いま一つは、ただいま山根さんのお話しになりました東穀代行が、木谷委員長と御相談を開いて臨時措置として千八百万円の金を買方に対して補償せられたとはっきり言っておられるのでありますが、これらの措置が果して正しいかどうか。正しいとお考えにならなければ木谷さんも賛成をなさらぬが、そこでお伺いするのは、もしこれが正しいとしまするならば、不服を言う、まあ二十六日の決定に対して不服を申しまする仲買人等があるわけです。これに対してどう御処置をなさるのか、二十六日の決定というものをいかなる権威においてお認めになるのか、二十六日の決定が権威あるものとして総解合理事会が総会の議を経てお命じになったというように権威が認められるならば、そういう千八百万円を出されることは、私はある意味合いからしますると、何か越権行為とでも申しましょうか、はなはだ不可解な問題がそこで一つ取引所の中に出て参りましたが、その点についてはいろいろ取り沙汰せられておる。やはり取引所理事者暴力で強迫されて、そうしてそういう無理な御解決をなすったということが新聞やあるいは流説に伝わっておるのでありまするが、その点の真相をもっとはっきりと責任ある御説明をお願いしたいと思います。どうか一つ軽い気持ちでお願いします。
  16. 木谷久一

    参考人木谷久一君) お答え申し上げます。ただいま解け合いした当日、暴力団とか、そういう連中が市場の中へ十数名入っておるということもお話がありましたが、場を停止いたしましたのが十二日の正午で、つまり午後一時から立つものが立てなかった。そのときは何もそんなものがありもせねば、むろん聞いてもおらぬし、私見てもおりません。それからそういう新聞に出たとか、四、五日してからいろいろなことを巷聞承わりましたが、その当時は何もそんなことはない。それから今の金の支払いにつきましての御質問でございまするが、取引所としましては、あの金は別に買方と言いますか、買方渡した金ではないのであります。それで売る人と買う人の値の差金が出ておる。その一日の値段の差金というものは約三千百万円出ておる。それを千八百万円に買方に譲歩さした、売方の方は、十二日から見れば、一円分安い、無理なことに相なるのであります。決して売方に損して買方に得さしたというようなことは、取引所としてはやっていないのであります。結果から見れば、買方に千八百万円やったと、こう言いますけれども、それは値段の差額を勘定して、そうして三千何百万円になるものを、千三百万円負けさして、そうして千八百万円を、差額の金を取引所が出したのであります。これは取引所のためにしたことでありまして、これをやらねば市場は開会できない。そうして開会して翌日に場を立てなければアズキというものについては永久にもう取引所は立てないことになっては相済まぬ、それだから、市場のためにやる金でありまするから、当然市場が負担していいものなりという私は考えを持って支出をしたのであります。そんなんで、少数の理事者その他にも大体諮っておりまするし、従いまして、決して私はそれが不当でもなければ、また違反と言いますか、何と言いますか、当然取引所が負担すべきものなりという考えを持っております。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 くどいようですがね、二十六日にあなたが取引願いというものを少数の中立的な三人ほどの人たちに頼んで、これで解け合う、こういうものをあなたが発表せられて通達しておられるわけですね。それをあなたが「小豆の売買立会について」という通達を出されて、そして五月限はこれこれ、六月限はこれこれ、七月限はこれこれ、八月限はこれこれ、九月限はこれこれで解け合うのだと、こう言うて御通達になって、なお委託者は法令、木所の諸規定または本所の申合事項に基く決定に異議を申立てることができない。」というまでの付則をつけて御通達になっているんです。それをそういう決定がこれは当、不当は別としまして、とにかく一応そういう御通達をせられているあなたが、何かそこに不法な申し入れがあったからというてそれにやるとか、あるいはこれは当然のものだから引き渡し取引所の円滑な取引を進めるのだとか、こういう理屈をつけられるが、もしそういうものがあったとするならば、少くともこの二十六日の決定の通達の中へ入るべきものであり、同時にこの決定をする理事会と合併総代会というのですか、仲買人の総会においてその条件もつけて決定しなかったならばこれは問題にならないと思うのです。そういう問題を抜きにして、これは非常にいろいろな条件があるが、これこれの条件解決するのだという条件外のものをあとから理屈をつけて、千八百万円という金を取引所としてはおかしな、小づかいにも及ばんような額の金かはしりませんが、世間から見れば相当巨額の金を一部の人にお支払いになることは、これは全く私は無法な処置であると考えざるを得ないのであります。どういうわけでこれを二十五日の総会にお諮りにならなかったのか、その点を明かにしていただきたい。
  18. 木谷久一

    参考人木谷久一君) お答えいたします。総会をやる際には、実は私は二十日の日から少し病気しまして休んでおりましたけれども、かわりのものが山根君なりそれから仲買いの委員長をしている上西という人が中心になって、委員の中から三人の人を選んで、これは取引関係のない方々を選んで、その方々と御相談になったのであります。それから仲買人の総会、それから理事会みな寄りまして、そしてそのときにお諮りをした。しかし千何百万円というものを出すとかいうようなことをやりまするとおそらく話がひまがいる。全部の中に、仲買いの中にでもあるいは取引所理事者でも政治的に解決をせねばやむを得ない。また取引所としてはこれを存続するためには多少の金を使ってもいいという意見の人が大多数でありまするし、それによって委員の方はそれをきめたわけであります。しかしその詳細についてかれこれ一々報告しておると、御承知の通り売手と買手と利害関係が相反するものでありますから、一つの問題においてもやはりあるときには政治的に問題を解決しなければならないときがわれわれの業界には多々あるのであります。しかし今委員さんが取引所としてはわずかな金とおっしゃいましたが、なかなかわずかな金じゃなくて、莫大な金なんです。しかしそれをやることによって取引所が存続して行ける。取引所を存続するためにみながやろうじゃないかと言うて承認をして、総会できまったのであります。どうぞさよう御了承願いたいと思います。
  19. 清澤俊英

    清澤俊英君 それをやらないと取引所の存続ができないので、違法だと思ったが、これは無理な解決だと思ったが、千八百万円の金を出した。それじゃ出さなければ取引所が存続しないのですか。何かそこに取引所がつぶれねばならないようなめんどうが出てくる原因があるのですか。その原因を知らしていただきたい。
  20. 木谷久一

    参考人木谷久一君) 原因と申しましてもありません。それは常に売る人と買う人と利害関係が相反するのです。でありますから値段の折り合いがつかないのであります。値段の折り合いというのは売手と買手と、売っている人は一番高い値でやろう、それから買っている人は安い方を望むのでありますからして、話しておってもひまが要ったのはそこが原因です。で、利害関係だけであって、別にいろいろなことを今杉山君なんかからもありましたが、それが表に出てどうこうということはありませんでした。
  21. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、あなたの結論で言いますと、二十六日の解合のこの不正価格は全然無効だ、話し合いで納得しなければこういう強制的に押しつけられても反対者はこれを無効と見て行動してよろしい、こういう結果になる……。
  22. 木谷久一

    参考人木谷久一君) そうではございません。われわれの仲間が寄って、皆承知して、仲買人会なり理事会で承諾したのでございますから、無効ということはございません。
  23. 亀田得治

    ○亀田得治君 時間がだいぶ少いようですから簡単に聞いて行きますから、答の方も一つ簡略にやってください。  この十二日の後場ですね、これを再開して行くべきだ、こういう意見がその当時たくさんあった。このことは理事長木谷さんもお認めになりますか。
  24. 木谷久一

    参考人木谷久一君) 再開すれば商いがつまりその日に四千万からできたのです……。
  25. 亀田得治

    ○亀田得治君 説明は要らないのです。そういう意見を持っている人がたくさんあったことを認めるかというのです、開いてやるべきだということを。あった事実、あなたの意見じゃない。
  26. 木谷久一

    参考人木谷久一君) そういう意見の人もありました。
  27. 亀田得治

    ○亀田得治君 意見の人じゃなしに、そういう意見の人がたくさんあったということを認めるか、一人や二人のことを言っているのじゃない。
  28. 木谷久一

    参考人木谷久一君) 市場管理委員会というのを開きましたが、管理委員会では予納金というて、保証金を先に取ってからやらなければいかぬということでした。
  29. 亀田得治

    ○亀田得治君 もっと答弁を明確にやってください。保証金を先取りにして、前納にしてそうして今まで通り場を開いて行くべきだ、こういう意見が大多数であったのでしょう。
  30. 木谷久一

    参考人木谷久一君) そうです。
  31. 亀田得治

    ○亀田得治君 それを聞いているのです。そこで私はそういうふうに取引所側としては保証金を前納にしてやって行けば大体むちゃな買いもなくなるし、それでいいじゃないかと一たん正式に意見をきめたわけなんですね。そうでしょう、先ほどの御意見によりましても。
  32. 木谷久一

    参考人木谷久一君) さようでございます。
  33. 亀田得治

    ○亀田得治君 それがどうして実行できなかったのか。
  34. 木谷久一

    参考人木谷久一君) それは一部のものがそれが急激であったためにすぐに入らないことになった。
  35. 亀田得治

    ○亀田得治君 そこが問題なんです。今までは証拠金はあとから払うのですから、もちろん前納制にすれば買手は一時的には困る状態が起るでしょう。そういう状態が起ることが、その相場というものを妥当に持って行くことになるのでしょう。またそこをねらって大多数の人がやはりそうすべきだ、そして場を開いて行くべきだ、そうすれば必ずこれは下るのだ、大阪相場はすでに下っておるでしょうが。皆さんの方は電話などで絶えずこれは連絡しているのだから、そんなことははっきりしているはずなんだ。だから最初の決定通り、その十二日の初志というものがやられて行けば、これは自然に解決ついて行く。あと十何日の紛争なり、あるいは現在起きているような跡始末の問題、こんなものは全然なくて済むわけです。もちろんその当時木谷さんは理事長じゃなかったわけですが、私は客観的にいろいろな風説とか、そんなものじゃない、冷静にいろいろな資料を、私がいただいた資料を検討してみますると、どうもそういう気がしてならない。あなたはまあ後任の理事長でありますが、前任の理事長のことをとやかく言いたくない気持はわかりますが、私はともかくそこで理事長の決断というものが大切な時期であったのだが、それを誤まった。そう考えるのですが、あなたはどう考えますか。そのときの大阪相場なり、そういう点を考えて……
  36. 木谷久一

    参考人木谷久一君) 相場大阪は下っているというお言葉、それはその通り下っております。しかしこれは東京がとまって商いができないから、また一部の売り方の人が大阪に売りに行ったというようなこともあるし、大阪の方は下ったと、これは見方によっていろいろあると思います。
  37. 亀田得治

    ○亀田得治君 東京取引所における売手の関係の人が、証拠金前納でやってもらいたい、こう言っているわけなんですから、そんなことを、何もほかのことまで一々考慮する必要がないでしょう。大阪状態というものはかたがたそういう状態になってきているのだから、これは非常に、むしろある意味ではいい状態なんでしょう、再開して行くには……。こっちに反対があるなら別だ、売る方はそれでいいのじゃないか、こう言っているときに、なぜそれをとめる必要があるか、そこなんです。しかも正式に先ほどあなたの話を聞けば取引所としては一たんそういう方針をきめたのに、なぜそれを実行されないのか。
  38. 木谷久一

    参考人木谷久一君) 大阪が下ったのはほおっておいてもひとりでに下る。先生は大阪が安いじゃないかとおっしゃるからなぜ安くなったかということで、私どもの考えを申し上げたまでであります。  それからただいまの、一たん保証金を預納することをきめたというのをなぜ実行しないか。この御質問に対しましては取引所としましては市場管理委員会がそれをきめたので、まだ理事会にかけなかった。正式に理事会に諮って初めて決定をするわけであります。  それからついでですから申し上げますけれども、前理事長が、私が十七日に引き継ぎをした、しかしその当時の事情は大体わかっておりますからかわってお答えをしているわけでありますが、なお御必要がございますればどうぞ一つ前の理事長をお呼びいただいてけっこうでございます。大体はよく承知しておりますから……。
  39. 亀田得治

    ○亀田得治君 その当時ともかくその市場管理委員会できめたと、正式の理事会にはまだ諮っていなかったというお話ですが、一たんそういう方針がきまって、そうしてその方針でやってくれという声が相当取引所の首脳部に対して要求が出ておるはずなんです。それに対してその場を開かない理由ですね。こういう点を、場を開いてくれという人たちに十分説明をされたかどうか、なぜ開かないのかという理由を十分説明されたかどうか。説明したとすればどういう説明を、たとえばどういう方にしたか。これはきわめて重要な点でありますので、もし理事長がわからなければ山根常務理事でもいいですからお答え願いたい。
  40. 木谷久一

    参考人木谷久一君) 何分大ぜいいる中で、それならば、ぜひやろうじゃないか、やってほしいという御意見であったのだと思います。しかしそのときに理事長が、問題が大きいからなお仲買人委員市場管理委員と合同でよく検討をしたいという申入れもあったのであります。それで一日おくれたわけであります。
  41. 亀田得治

    ○亀田得治君 どうもはっきりしないのですが、それじゃもう一度念のために聞きますが、十二日以後場を開かなかった理由ですね、これは結局のところはどういうことになるのですか。まとめて結論的に一つ明らかにしてほしい。いろいろな注釈は要りませんから、これと、二つあるならこれとこれという、一つなら一つでよろしい、どなたでもいいですから……。
  42. 山根東明

    参考人山根東明君) 私からお答えいたします。先ほど来いろいろ理事長からもお話を申し上げましたが、同日立ち会い停止したおもな理由と申しますと、非常な大取り組みが、こうした高値で半日の間に非常な大取り組みができたと、こうしたできる余地を与えたことについて、あるいは私どものいろいろ、責任と申しますか、立場上策が当を得なかったというような問題はあるかと思うのでありますが、事実半日でああした取り組みが出たということは、先ほど亀山君はこうした取り組みは無意味であるというお話でありますが、これは全く話が違うのでありまして、非常な出盛り期でありますれば、そうした取り組みがありましても何ら差しつかえはないのでありますが、非常な端境期になりまして、こうした問題のあるなしにかかわらず、私どもとしましては夏場の小豆の上場を引き続いて行くことがよいかどうかというようなことを真剣に考えておった矢先に、こうした未曽有の取り組みができたと、この取り組みをそのままにして場を続けるということでは、少くとも正常な、平穏な相場は形成できないということが根本的な考え方であったのであります。従いましてこの取り組みを何らかの形で一定のところまで戻して行くと、ほぐして行くと、少なくして行くということが、まず第一に決定実行しなければならない問題であったのでありますが……、
  43. 亀田得治

    ○亀田得治君 説明は大体こっちもわかっておるから答えに対して簡潔に言って下さい。理由だけを言って下さい、項目的に。
  44. 山根東明

    参考人山根東明君) その立ち会いをなぜ開始しなかったかと、こういうお話ですが、そうした大取り組み立ち会いすることによって平穏にほぐすことはとうてい不可能であるという結論のもとに、立ち会い再開いたさなかったというふうに考えております。さよう御了承願います。
  45. 亀田得治

    ○亀田得治君 大取り組みであるということが理由のようですが、値段は変更ないのですね。売買の数が多かったということですか。
  46. 山根東明

    参考人山根東明君) 取り組みが多かったということです。
  47. 亀田得治

    ○亀田得治君 取り組みの数ですね。そういたしますと、たとえば先ほど亀山さんでしたか、以前にもあったじゃないかと言われたのですが、確かにその通りなんです。昨年の十二月十六日の取引ですが、その日には十二月十六日現在で十二月末渡し、一月末渡し、二月末渡し、この三つの合計で一万四千八百十四枚、これだけしているのですね。
  48. 龜山功

    参考人(龜山功君) そうです。
  49. 亀田得治

    ○亀田得治君 ところが今度の場合は数が多い々々と言われますが、五月末渡し、六月末渡し、七月末渡し、八月末、九月末、十月末渡し、全部合計してわずか四千八百三十七枚にしかなっていない。なるほどそれは現物のあるころと、現物といいますか、そのアズキのできる時期等の関係、今ちょっと御指摘されたが、それはもちろんそういう関係も考慮しなければならぬでしょう。しかながらそのためにこの五月十二日現在の場合には、十二月の場合でありますと、内地産とか、北海道産そういうものだけなんですが、五月の場合にはそのほかの、たとえば中共の大豆とか、そういうものまでがこれは対象になっているわけですね。だからかれこれずっと比較対照しますると、十二月十六日における一万四千八百十四枚というものが認められながら、その三分の一程度に過ぎないところのこの四千八百二十七枚という五月十二日の取り組み高が多過ぎる、こんなことは私は絶対言えないと思います。そういう点はあなたはどういうふうにお考えですか。
  50. 山根東明

    参考人山根東明君) どうも、昨年、一昨年でありますか、それは十二月に一万枚の取り組みがあったというお話ですが、これは私どもの持っております資料ではそういう取り組みはございません。片建としましては、一昨年の十二月は四千百八十二枚であります。これはさらに帰って調べることにいたしたいと思いますが、さらにその当時の三分の一じゃないか。三分の一ならいろいろな情勢を考えても十分じゃないか。大丈夫じゃないか。これはきわめて何と申しますか、当時の需給と取り組みとを算術的に計算をいたしますれば、そういう結論もあるいは出るかもしれません。しかし私が先ほど申し上げましたように、すでに二年続いた凶作で、この夏の取り組みをこうした問題のあるなしにかかわらず、私どもは実は真剣に考究しておるくらい状況は切迫いたしておったわけでありまして、こうした切迫したさなかに四千何百枚の取り組みが片建として起ったということは、私ども立場から見れば、非常な重要な問題であったわけであります。これはあるいは立場々々によっていろいろ見解も違うかとも思うのでありまするが、私どもとしてはそういう考え方をいたしております。
  51. 亀田得治

    ○亀田得治君 なるほど昨年度の十二月と五月の比較ですね、これはもうあなたの方が調査不十分ですね、どうも。だからそれはもっとよく検討してみて下さい。そんなことは絶対納得できないし、そういう理屈は……。それから五月十二日以後に場を開く、これを一ぺんやってみたっていいわけでしょう。私はそれがふに落ちない。やってみて……。相当多数の人は必ずいろいろな情勢からいって、これはもう下るのだ、こう考えておる。あるいはそれはさらにまた上るかもしれませんよ、たとい上ったところでわずか五%でしょう、そのとき初めて何か最終的な処理の方法というものについてもっと考えてもいいわけでしょう。ところがどうも一般の人は下ると言うふうな情勢になっておる。買方が一人でがんばっておる、開かせない。こういうことは単なる経済的な事情だけでは私はもう説明がつかないと思う。そこに先ほどから皆さんの方は暴力団によって脅迫されたというふうなことを認めませんから、私はしからば何ゆえに場を開かないのか、この点をしつこく理論的に聞くわけなんですが、そういうふうに思いませんか。たとえば十三でも十四でもいいから一回やってみたらどうでしょう。やってみて、なるほどそれが非常に経済的な自然の経済的な事情だけで混乱するというのなら、そのとき考えたらいいじゃないか。そのときに経済的な事情じゃなしに、ほんとうに暴力的な事情混乱するというのであれば、それはあなた取引所として当然そういう問題についてはしかるべき方面に要求して、それは静めたら、それでおさまって行くわけでしょう。なぜそういうふうにされないか。二週間もほったらかして、国際的な信用まで落して、こういう処置に出られたか。そんな単なる経済的な説明だけではどうも納得できない。あなたがおっしゃるような経済的説明では……。
  52. 山根東明

    参考人山根東明君) 一たんやってみたらどうか。そうしてその結果を見たらどかというお話でありますが、実は私ども立場としましてはさような、大へん言葉は悪いかもしれませんが、そうしたとにかくためしにやってみようというような、そんな立場をとれなかったわけでございます。万全の見通しを立てた上で、無事に立ち会いが続けられるという見通しが立つまでは、どうしても立ち会い再開できない、こういう立場をとったわけでありますから一つ御了承願いたい。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでその場合売方予納金を納めたが、買方は大体予納金を納めないのでしょう。買方予納金を納めることを拒否した、同時に暴力団を動員したという経路ですね、そういう状態になっている。それが結局現実的な立ち会いができないもとなのじゃないですか。一方は予納金を納めた。一方は納めない、これからじゃないですか。
  54. 山根東明

    参考人山根東明君) 予納金をきめまして、掲示いたしまして、売方の一部は予納金を持ってきたという話を私も聞いたのであります。私は受け取ったわけではございままんが、売方の一部は予納金を用意したようであります。なお買方予納金制度に反対したということは、私のもとへは少くともそうしたことは申し入れはございません。あるいは前理事長のところへ予納金制度反対という意思表示をしたかどうか。私もその点は一度理事長とも確かめたのでありますが、理事長の方へは必ずしも理事会の決定したことに理不尽な反対をするというようなことは、表面はしなかったのではないかというふうに、私は理事長から聞いたのであります。ただ非常な取り組みができて、そのために一応市場を閉鎖し、立ち会いを休止したわけでございます。この状態について何らかの手を打たないでこのまま市場再開することは意味がないじゃないか。おかしいじゃないかというような申し入れは、買方からは前理事長のところへ来ているようであります。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで問題は、あなたは解合が、非常に大取り組みだからできないと、こうおっしゃるが、前提として予納金を納めてやろうという前提があるのであります。解合と別にそういう問題がある。そこで売方でそれを、予納金を用意したと聞くのですが、買方はその予納金に対してどうなんです。聞きますれば予納金を納めない。従って立ち会いはやめるのだ、こういう意思表示を、あなたは聞かないかしらぬけれども、それが充満しておった。市場管理員の杉山さんはその間の情勢をどう御判断になりましたか。同時に暴力団に対してその当時すでにいろいろな流言飛語が飛んでおりますかどうか。あなたは先ほど、おもなる理由市場混乱に陥る危険性があるのでと、こう特に重点を置いて言われるが、今言いましたような解合ができるに困難な、取引をやるのに困難な取り組み情勢であったかどうか。それをなお続けるために予納制度を一応おきめになって通達した、それはその前提だからおやりになったのだろうと思う。それを取引を、急に立ち会い停止されたところに、われわれの納得し得ない問題が出て参っておりますから、その点をもう一度はっきりさせていただくと同時に、杉山さんからそれにあわせて暴力団の問題をいま一度聞かしていただきたい。
  56. 杉山重光

    参考人杉山重光君) 十三日の会議予納金制度がきまったのでありますが、買方はそれに応じなかったようです。それば現実に十三日に会議が開かれまして、十二日の買方の保証金が入るか入らないか、そういうことに最後の議題が変りまして、十四日に一応入ることだから待ってみよう、そういうことで十三日の会議を十四日に延期をされまして、十四日の日はちょうど土曜日でございました。大体私の記録に書いてございますが、そのときに十時に保証金を持ってくるのが普通なのでございますが、大体買方が持って参りましたのが一時を回っておったように私は記憶しております。そういうことからしましても、予納金制度買方は応じなかったと言っても私は過言ではないと思います。  それから暴力団、そういうことがあったかどうか、そういう再度の御質問でございますが、十二日の後場を立てるか立てないか、そういう際に、私は先ほど申し上げた通り、下に十数名もああいう者がおるのだから、われわれ会員が危害を加えられるようなことでは困る、こういうことを会議の席上私が申し上げましたところ、近藤理事が、警察権があるのだ、そういう発言をなすった。そのときに山崎理事長は新聞記事になるようなことはしたくない、そういう一言を申されましたことを私は覚えております。そういうことで、そういうことは全然無根であるということは私は言えないと思います。以上であります。
  57. 亀田得治

    ○亀田得治君 次にこれは理事長に今後の方針として、念を押しておきますが、もし五月十二日の場を開かなかった理由が、そういう暴力等によるものではないということであるのであれば、これは取引所の性格というものに対して世間の人はみんな注目しておるわけです。従って今後同じような経済的な条件が出てきた場合には、やはり場を開くことをとめる、こういうふうに世間は解釈をいたしますが、それでよろしゅうでございますか。
  58. 木谷久一

    参考人木谷久一君) お答えをいたします。今後起ります問題につきましては十二分に注意いたしますが、しかし世間はどういうふうにお考えになっておりまするか、おそらくそれは今後の問題だろうと思います。
  59. 小林孝平

    小林孝平君 私はこの問題をいろいろ解明する一つの前提といたしましてお尋ねいたしたいことがあるのですが、こういうふうな相当の混乱を来たし、しかもそれが生産者にもあまり関係がない、消費者にも直接関係がない、しかも相当迷惑は受ける、こういうような状態が、今の御答弁を聞いていれば、今後もあるかもわからない、しかもそれは世間でどう考えるかわからない、こういうような御答弁なんです。私はこのアズキのごときは上場禁止をやったらどうかと思うのです。それで今のこういう混乱を来たし、さらに関係者はもうけたとか、損したと言って大騒ぎをしておる。今後もこういうことが起るかもしれない。こういう状態では、私はこの法律に基く政令によってこれは指定されておるはずですが、こういうアズキのごときは上場禁止をやるべきではないか、これに対して私は山根常務理事の御意見をお伺いすると同時に、監督官庁である経済局長の御意見もお尋ねしたいのです。特に私が今経済局長と言ったほどこれはおかしいのですよ。こんなものを農業改良局がやっておるのは、だれでもこれを農業改良局でそんなことを所管しておるとは思っていないのですよ。今も同僚の田中委員が驚いておられるように、こんなものを農業の生産改良をやる局で、技術の普及をやる局で、こんなことをやるのがおかしい。能力がないのじゃないかと思う、監督する、そう言っては悪いけれども。大体こんなものを監督する能力があると局長は思っておられるかどうかということもあわせてお尋ねしますが、取引ということはもうけたり損をすることは当りまえなんです。それをあとになって、いやもうけた、いや損をした、暴力団がどうのこうの、こんなものはすでに取引所上場しておる資格はないと思う。農林省はどう考えておられるか、山根理事はどう考えておられるかはっきり伺いたい。
  60. 山根東明

    参考人山根東明君) アズキ上場はやめたらいいじゃないかという小林さんの御意見でありますが、私はさように考えておりませんで、今度の問題で小林さんの印象に写った点は、おそらく何もかもマイナスのことばかりじゃないかということだと思うのでありますが、現に私どもの方でこうした問題以降九月までの商い停止いたしております。相場を立てておりません。そのために関係する業者なり生産者なりがいかに不便を感じておるか、それらの人から、一日もすみやかに再開をしてほしい、そうしてわれわれがよるべき適正な価格指針を与えてほしいという要望は非常に多いのであります。こうした投機的な問題でありますので、御指摘のようないろいろ弊害はあるかもしれませんが、これは私どもの運営の努力いかんによって最小限度に食いとめて行くことによって継続いたして行きたいと、かような心境で私はおります。
  61. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 小豆の商品取引所上場商品として適当であるかどうかという問題は、根本問題としてこれはあるのであります。しかしながら普通の作柄でございますれば、やはり上場商品として取引の対象にした方が価格の形成なりあるいは取引の便宜、こういった点から適当ではないかと、こういうふうに本則としては考えております。凶作が出てくるということになりますと、平年と同じような上場をすることが妥当かどうかということについてはさらに根本的に検討しなければならぬというふうに存じます。幸いにして、はっきりはわかりませんが、本年度作柄は非常にいいといったような一般の情報でございますので、よろしいのでございますが、万が一非常に不作であるということでございますれば、そういう問題について少くとも臨時措置としても考えなければならぬのではないか、かように存ずるのであります。なお所管の問題についてのお話でございましたが、商品取引所農林省に若干ございますが、これは取引所といった観点ではございませんで、大体の分担が物資別になっておるのが現状でございます。たまたま小豆の生産流通がわれわれの所管になっておるという関係から、取引所も小豆穀物につきましては、改良局ということになっております。この点、妥当かどうかということについてはいろいろ御意見があろうかと思います。
  62. 亀田得治

    ○亀田得治君 十二時にわずかですから、私はあとたくさん質問事項はあるのですが、一点だけ聞くことにいたします。一つ委員長の方でこの問題は相当重要でありますから、今後の取扱い方について一つ考慮をしてもらいたいと思うのです。これはまあこういう取引所制度という公けの機関が人為的な力によってこうゆがめられた、こういうことはもう非常に問題でありまして、品物によりましては国際的な信用にまで関係してくる、そういう問題ですから、これは一つこの間から大阪のあの市場の問題等も出ておりますが、この問題も今後掘り下げて一つ審議をしてもらいたいと思うのです。本日の参考人等の言を私ども聞きましても、少なくとも前の山崎理事長などに来てもらって、重要な五月十二日の状況等についてもっとこれはやはり事態を明らかにしたいと、そういう点もありまするし、あるいはそういう暴力団等がとにかく出入りをしておる、そういう状況の中で監督官庁たる農林省がどういう一体ことをしておったのか。係官の技官の人も絶えず現場に行って連絡しているようですから、少なくともそういうことはわかっておらなければならないはずです。わかっておってこの程度の措置しかできなかったのかどうか。そういったような非常に重要な問題がある、一取引所の問題じゃない、そうなると……。そういう意味でこれは一つ今後の取扱い方を先ず委員長にお願いをしておきまして、あと簡単に一つだけ質問をいたします。それは先ほど清澤委員からお尋ねになっておりました例の千八百万円の六月六日に出した金の件ですね、これについて取引所側の人は、先ほどの説明では、妥当な金額だ、そういうふうな趣旨のことを言われている。しかしながら私どもがこれをそういう方面の専門家に聞いたのでは、これははなはだしく買手の立場だけを擁護する決定だと、こういうことを断言している。その一つ理由は、たとえば五月十二日に上場すれば、これはもうたしかに下落する、現に大阪市場というものはずっとその後下落をしている。そうして千八百万円を渡す当時においての相場というものはもっと下っておる。そういう状態の中において、五月十一日の値段をとられることは、非常な間違いである。たとえば必ず五月十二日、十三日、十四日、十五日と相場がどんどん上って行く、こういう確実な情勢の中において、五月十二日でストップしたというのであるならば、五月十二日というものを標準にすることはあるいは常識かもしれない、そうしてまた場をとめるというのは普通は大体そういうときでしょう、これは常識的に言ったって。だからそういうときの解合であれば、その十一日をとったのは幾らか売手の方も考えておるのだろう、こういうことは言えるかもしれませんが、私はだからその場をとめるべきでないときにとめながら、しかも解合値段というものは、ほんとうの意味でこの場をとめなければならぬときにとめたようなやり方をとっておるところにこれは問題がある。結果から見ても非常にこれは売方の方が大損害をこうむっているでしょう。私はこういうふうになっているのに、あの千八百万円、あれが妥当だと、こうおっしゃると、どうも取引所というものはわれわれと少し違った方向何か計算というものがあるのか疑いたくなるのですが、これは最後に一点、一つ考え方を聞いておきましょう。どうせ納得する説明はされぬでしょうが、一応聞いておきます。どういう理由であれが出されたかということ、私は今考え方を言うた、それが間違っているというのなら、間違い方を指摘して下さい。
  63. 木谷久一

    参考人木谷久一君) 千八百万円出したということが妥当でないという亀田先生のなにでしたが、慣例といいますか、この方は取引は浅いですけれども、昔米もずっと取引所のあった時代は、いろいろな問題がありましたけれども、やはりある場合におきましては取引所が差損金を負担した例がたくさんあるのであります。なお、これをやりましたことが私としましては決して不当ではないという考えは変っておりません。これは取引所のために必要な金でありますので、取引所ではどうしても差しつかえないという信念を持っております。
  64. 亀田得治

    ○亀田得治君 理由を聞いているのだがその程度にしておきます、先ほどの希望を申し上げて……。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 今亀田君が言うように、時間は大体どういうふうに考えておられるか。あと継続してやって行かれるとしても、今後の時間はどれくらい与えられておりますか。
  66. 江田三郎

    委員長江田三郎君) きょうの時間は午前中に、この問題と三十年産米の集荷の件をやって行くというのが理事会で御相談しました決定になっておりますが、委員の皆さんが一日やれということなら皆さんの総意で一日でもけっこうでありまして、私は別に個人でどうこう考えておりません。  ただ、この問題は非常に複雑な問題でございますから、この問題を究明するためにただいま参考人として出て来ていただいている穀物商品取引所の当事者の意見を聞くだけでは不十分でありまして、なお学識経験者なり専門家の意見を聞かなければならぬでしょうし、従って今後この問題につきましてはこの国会の会期中は無理かとも存じまするが、休会中にでもあらためてもう一度前理事長の御出席もわずらわさなければならず、さらに参考人の一部の方々から御発言がありましたように、もしこれが暴力によって立ち合いが停止したということでありますならば、そういう面の究明もいたさなければならず、いろいろ審議いたしますのに小林委員のような、いっそのことこういうものはやめてしまへというような意見もあるようでございますから、私は日を改めまして相当慎重に取り組んで行かなければ今日一日やりましたところで、ただいまの参考人だけを相手にしたのでは解決がつかぬと考えております。
  67. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういうこともよくわかりますし、そうしていただかなければならぬ重大問題でありますから……。でありますが、まことに時間が過ぎてきてすみませんが、せっかく出て来ていただいた参考人の方をまた呼ぶということも非常に困難な点もあろうと思いますので、一つ二つ、だけ質問さしてもらいたいと思うのです。お願いします。
  68. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 清澤君、どうぞ。
  69. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじゃ木谷さんにお伺いしますが、二十六日の解合をやられる場合に、業務規程の六十二条を適用なさったというが、六十二条は約三項目にわたり立会停止の項目がありますが、そのどの部分が中心になって、立会停止をやったのか、それをはっきりしていただきたい。
  70. 山根東明

    参考人山根東明君) 私からお答えいたします。「その他やむを得ない事情の変化により」決済が困難と認められるときと、こういう例のところに準拠してあれは発動したのでございます。
  71. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはここでいろいろ質問応答しておりましても、この問題はなかなか解決しないと思うのです。と申しますることは、私どもがちょうだいしている参考書等を見ましても、輸入豆類卸売連合会とか、あるいは東京雑穀乾物卸商協同組合とか、いろいろなそういう関係の人たち全部ですな。そのやむを得ない事情云々で解決したことは不当だ、こう納得しておらぬのです。従ってこれを納得するために文書で一つ委員会に向ってその条項のやむを得ない、どうしてもこうしなければならんかったやむを得ないことを、できるだけ箇条書でこの解合をしましたやむを得ない事情を明確にして一つ御提出を願いたい。
  72. 小林孝平

    小林孝平君 先ほど委員長が申されておるようにこれは非常に複雑な問題である、短期間にこれがいいとか悪いとかという結論は出ないと思うのです。そこで今後は委員長が言われたように、第三者の立場にある学者その他の経験者を呼んでいろいろやっていただくと同時に、先ほど私が申し上げたように、この根本的の問題があるのです。こういうアズキ上場品目にあげるかどうかという根本的の問題大体この商品取引所法が国会において審議されたとき、われわれはこの上場品目は法律にみんな明記しなければいかぬ、その他政令をもって定めるものなどということでどんどん追加することはいかぬと言って、ずいぶん反対したのでありまするけれども、ついにそういうことになって、その結果どんどん政令でもって、いや何だかんだといって加えられたものの一つにこのアズキがあるのです。従ってもう一回この商品取引所にそういう取扱い品目を勝手に政令でもって追加していいものかどうか。現に政令でもって規定されたアズキを、この上場品目として今後取り扱われるのが適当であるかどうかということも、この問題を審議する重大な、併行的にまた同時に審議しなければならぬ問題だろうと思うのです。従って委員長がこの問題を今後取り扱われる際には、どうかそういうふうに取り扱っていただきたい。
  73. 江田三郎

    委員長江田三郎君) お諮りいたしますが、先ほど私が申しましたようなことで、この複雑な問題を究明いたしますためには、ただ本日御出席をわずらわしました参考人の御意見を聞くだけでは解決つきませんと思いますから、いずれ休会中にでもあらためてこの問題を、ただいま小林委員が申された点を含めて取り扱うということで、本日の参考人を中心としての御質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではそういたします。参考人方々御苦労さんでございました。
  75. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に昭和三十年産米の集荷に関する件を議題にいたします。この件につきましてはかねて問題になっておりました政令が決定したようでありますから、本日はこの政令について食糧庁当局から説明を聞くことにいたします。
  76. 清井正

    政府委員(清井正君) それでは先般公布になりました政府に売り渡すべき米穀に関する政令について御説明申し上げます。  この政令の根拠は、かねてお話し申し上げました食糧管理法の第三条第一項の規定に基きまして公布をいたしたのでございます。これは食糧管理法第三条第一項と申しますのは、申すまでもなく米の生産者が政令で定めるところによりその生産したる米麦で命令をもって定めるものを政府に売り渡すべきだと、こう言っておるのであります。すなわち「其ノ生産シタル米麦ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府二売渡スベシ」というその「命令」を書きましたのが、政府に売り渡すべき米穀に関する政令でございます。従前はこの三条の「命令ヲ以テ定ムルモノヲ」ということで、毎年政府に売り渡すべき米穀に関する政令というものが出ておりまして、現在までの知事、市町村長に一割り当てをいたすところのやり方ば今までの政令によって、すなわち第三条第一項の規定に基いて出ておったのでございますが、その今までのやっておる政令を廃止いたしまして、新たに今回三条第一項の命令によりまして、政府に売り渡すべき米穀に関する政令というものを制定いたした次第であります。政令の条文が十二条に分れておるのでありますが、その第一条は、事前売渡申込の制度を表わしておるのであります。すなわち「農林大臣は、昭和三十年産の米穀については、その生産者がその生産に係る米穀につきおおむね収穫期以前に政府に対してする農林大臣の定める売買条件による売渡の申込の期限を定めて公示する。」ということでございまして、申すまでもなく今回の制度政府と生産者との売買契約に基いて売買をいたすのでありまして、初めから公法上の割り当てをいたすのではないのでございます。従いまして生産者がいわゆる収穫期以前に政府に対して売り渡しの申し込みをいたすということが必要でありますので、あらかじめこちらから売買条件を示しまして、その売買条件に同意いたしまして生産者が売り渡しの申し込みをいたすということになるわけであります。それがすなわち事前の売渡申込みの制度でございます。それが第一条に書いてあるわけでございます。  第二条は「農林大臣は、前条の規定により公示された期限までの同条の売買条件による売渡の申込」「を受けたときは、遅滞なく、その事前売渡申込に係る数量をその生産者の住所地を管轄する市町村長に通知する。」ということでございまして、私どもが生産者から売り渡しの申し込みを受けましたときには、すぐにその数量を住所地の市町村長に通知をいたすという手続規定が書いてあるわけでございます。  第三条以下は指示の規定でございますが、第三条はすなわち収穫期以前に売り渡しの申し込みを受けまして、政府がこれによって売買契約を締結いたしまして、それからずっと実際上米ができましたときに売買契約に基きまして政府に売り渡しをずっと実行していただくわけであります。そこでずっとあとになりまして、市町村長がその売買契約に基きまして政府に売り渡したものと申しますか、その私法上の契約に基くところの数量を法律三条一項の指示数量、公法上の義務数量として売り渡しをいたすのが第三条の規定でございます。すなわち「当該市町村についての米穀の実収高がおおむね明らかとなったとき」すなわちだいぶあとになりますが、実収高が明らかになったころに「当該市町村の区域内に住所を有する米穀の生産者であって事前売渡申込をしたものごとに、前条の通知に係る数量を政府買入数量として定め、これを文書をもって当該生産者に指示する。」とございます。すなわち生産者が自分で一応売り渡すというふうに、売り渡し申し込みをした数量を実収高が明らかになってから三条一項の数量といたしまして指示をいたすということになるのであります。そこまでが本筋でございますが、前にもちょっと御説明申し上げましたが、かりに非常に今までよけい政府に売っておったにもかかわらず、今回非常に少い、あるいはまた全然申し込みをしないというような方がありまして、政府に対して申し込みいたしました隣り近所の生産者に対して、あまりにも不公平であるということが認められた場合におきましては、やはり指示することができる規定を置いておきたい。すなわちこれが三条一項の法上の規定に伴うやむを得ない措置であるということを申し上げておりますが、その趣旨が四条と五条に書いてあるのであります。すなわち第四条は、「市町村長は、前条の場合において、同条に規定する米穀の生産者であって、その者についての第二条の通知に係る数量が、その者のその年産の米穀の実収高及び前三箇年における政府への米穀の売渡数量、当該市町村の区域内に住所を有する他の米穀の生産者についての同条の通知に係る数量等を勘案して過少であると認められるものについては、前条の規定にかかわらず、やむを得ない事情があると認める場合を除き農業委員会の意見を聞いて、その通知に係る数量と異なる数量を政府買入数量として定めることができる。」という規定があるのであります。すなわちその人の実収高に比べて、あまりにも申し込み数量が少くあった場合、あるいは前三ヵ年のその人の実績に比べて、あまりにも少い、あるいは隣り近所の生産者の申し込み数量に比べてあまりにも少い、こういうような事情がありましたときは、農業委員会の意見を聞きまして、本人が申し込みをした数量と違った数量を、政府買い入れ数量としてきめることができる、こういう意味であります。  それから第五条は……今の場合は申し込みをしたけれども、非常に申し込み数量が少い場合でございますが、第五条は、全然申し込みをしなかったものであります。すなわち「市町村長は、当該市町村の米穀の実収高がおおむね明らかとなったときは、当該市町村の区域内に住所を有する米穀の生産者のうち事前売渡申込をしないものであって、その者のその年産の米穀の実収高及び前三箇年における政府への米穀の売渡数量、当該市町村の区域内に住所を有する他の米穀の生産者についての第二条の通知に係る数量等を勘案して一定数量の米穀を政府に売り渡すことが相当であると認められるものにつき、やむを得ない事情があると認める場合を除き農業委員会の意見を聞いて、その一定数量を政府買入数量として定め、これを文書をもって当該生産者に指示する。」ということであります。すなわち第三条は、当該生産者の自主的な売り渡し申し込みによってそれをそのまま法三条一項の義務数量にいたすのでありますが、第四条、第五条におきまして、やむを得ない場合、すなわちほかの生産者と比べてあまりにも不公平でありまして、公平を欠くといったような個々の場合がありました場合には、その人の実収高なり、過去三カ年の政府に対する売り渡し数量なり、隣り近所の売り渡しの申し込み数量を勘案いたしまして、非常に少い人に対しては少しよけいに数量を定めるあるいは全然申し込みしない人に対してある一定の売り渡し数量を指示するということであります。ですからこの場合は農業委員会の意見を原則として聞くということにいたしてあるわけでございます。  第六条は、「市町村長は、第三条文は前条の規定により指示をしたときは、その指示をした日から五日以内にその指示に係る数量を公表しなければならない。」ということになっております。  ところが第三条の場合は、本人の申し込んだ数量そのまま指示いたすのだから当然でありますが、第四条、第五条になりますと、本人の意思よりも違った指示をすることになっておりますので、異議の申し立てをする規定を置いてあるのであります。すなわち第四条の規定によって、定められた数量を、第三条の規定により、市町村長から指示された米穀の生産者すなわち非常にお前は少いということで少しよけい目に市町村長の支持を受けたところの生産者あるいは第五条の規定によって全然政府に対して売り渡しの申し込みをしなかった人が、市町村長によって指示を受けた場合、この二つの場合はその指示にかかわる数量について、本人が異議がある場合におきましては、市町村長に対しまして文書をもって異議を申し立てることができるのであります。しかしその指示を受けた日から十日以内にやらなければいけない。十日以内にやる。その場合、申し立てがあったときには、十日を経過した日から四十日以内にこれを決定して、文書をもって通知しなければならないのであります。異議の申し立てであります。  それから八条は、いわゆる今まで補正と言われておりましたものでございますが、すでに数量がきまりましてなおかつ事前売り渡し申し込みをしたそのときから指示を受けるまでに相当の日があるわけでございます。すなわち収穫期以前に事前の売り渡し申し込みをいたしますから、ほんとうの指示をやりますのは実収高がわかってからでございますので相当あとになりますので、その事前売り渡しをしたときから指示を受けるときまでの間で災害その他やむを得なかった事情によって米穀の実収高が事前売り渡し申し込みをした収穫見込み高に満たなかったとき、すなわちそれくらいはとれるだろうということで事前売り渡し申し込みをした。しかもそれが災害があったとかいろいろな事情でこれほどの収穫がないということのために、その指示にかかわる数量からどうしても全部または一部を政府に対して売り渡すことができなくなったという場合の起りましたときは、その指示を受けた日から二十日以内に市町村長に対し、文書をもって当該数量の変更を申請することができるのであります。  それからもう一つはこれは指示を受けたあとの申請でございます。すなわち市町村長から政府買い入れ数量の指示を受けた米穀の生産者は、その指示を受けた後に生じた災害、その他やむを得ない理由によりその指示にかかわる数量の米穀の全部又は一部の政府への売り渡しが困難となった、すなわち指示を受けるまでは何でもなかったんですが、指示を受けたあとに災害あるいは特殊な事情によって政府に対して売れなくなったというときには、やはり二十日以内に市町村長に対してそれぞれ変更を請求することができます。この請求があった場合に、二十日以内にその変更するかどうかをきめまして、文書をもって通知するということでございます。これは今までありました補正あるいはその変更等を一緒にいたしました規定でございます。  そして以上のような手続をやって、変更されたものを食糧管理法第三条第一項の命令で定めるものとすると、こういう規定が第九条にあるのでございます。すなわち「昭和三十年産の米穀については、第三条文は第五条の規定により指示された数量」、第三条と申しますのは、本人が事前売り渡し申し込みをした数量でございます。第五条というのは全然申し込みをしない人に対する指示された数量であります。その場合はあとから変更された場合を含むのでありますが、その場合は、「第三条第一項の命令で定めるものとする。」という書き方になっておるのでございます。これは従来今までの政令も同様な書き方をしておるのでございまして、従来までの政令の書き方をそのまま踏襲したのでございます。ここで今までの数量が、食糧管理法第三条第一項の政府に対して売り渡すべき数量になるのでございます。  それから第十条でございますが、市町村長は政府買い入れ数量を定めるときは、「農業再生産に支障を生じないように、農林大臣の定める生産者保有米穀及び種子用米穀を確保して政府買入数量を定めなければならない。」訓示的な規定でございますが、これは現在ある規定をそのまま踏襲しておるのでございます。ただいままでの措置は、市町村長がやるわけでございます。  次に、都道府県知事は、市町村長に対して必要ありと認めるときは、政府買い上げ数量の決定に関していろいろ指示をすることができる。第十一条です。もちろん数量の指示をすることはできませんが、数量の指示以外に報告をまとめたりいろいろ指示を与えたり、いろいろその必要はございますので、市町村長に対する必要な指示を知事がやれるように書いてあるのでございます。特に農林大臣は全国の知事に対して前項の指示に関して必要がありました場合には、全国的な観点から大臣がやり得る根拠を置いてあるわけでございます。  以上までが実質的な規定でございまして、第十二条はいわゆる区であるとかその他の特別地域についての例外規定でございます。  で、最後の付則の最後が、政府に売り渡すべき米穀に関する政令、すなわち現在までの割当制でございますが、これは廃止をいたす。しかし二十九年産の米穀については、なお従前の例による。しかし二十九年の産米が出ておりますので、それにつきましてはなお従前の例でやりますが、従来の割当制はこれを廃止するということでございます。  この政令が二十二日に公布になりまして、即日実施いたし、その他関係法令も全部でき、その後私どもといたしましては中央の集荷団体に割当数量を二千三百五十万石を要請をいたしまして、全国自治団体はこれをそれぞれ県団体に要請をいたしまして、目下県地域でそれぞれ末端の集荷団体の数量の要請をいたし、生産者から政府に対する売り渡しの申し込みが集まりつつある状況でございます。  以上簡単でございますが、御報告申し上げます。
  77. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとお諮りいたしますが、ただいまの政令にはいろいろ御質問をいただく点があると思いますが、何しろ今受け取ったばかりでございますから、一応これで休憩いたしまして、午後再開劈頭にこれについての御質問を願ったらどうかと、こう思いますが、どうでございますか、  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  78. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは速記をつけて。  この問題につきましては、午後の再開劈頭に議題にいたしまして、御質問を願うことにいたします。それではしばらく休憩いたしまして、午後は一時半から再開いたします。しばらく休憩いたします。    午後零時二十二分休憩     —————————————    午後一時五十三分開会
  79. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。午前に引き続いて昭和三十年産米の集荷に関する件を議題にいたします。午前中の食糧庁長官説明に対し質疑のある方は直ちに御質疑を願います。
  80. 森崎隆

    ○森崎隆君 二、三点だけちょっとわからないから聞きたいと思いますが、第五条ですね。第五条は「文書をもって当該生産者に指示する。」となっておりますが、指示したあと、これを実施する場合に、本人が聞かなかった場合が生ずると思うのですが、これは別に罰則規定があるのかどうか、その点を……。
  81. 清井正

    政府委員(清井正君) この点はこの政令の第九条に「政府に売り渡すべき米穀」という規定がございますが、その中に「昭和三十年産米の米穀については第三条文は第五条の規定により指示された数量」というふうに書いてございます。「第五条の規定により指示された数量のものを食糧管理法第三条第一項の命令で定めるものとする。」というふうになっておりますので、第五条の場合は申すまでもなく、全然申し込みをしなかった人に当るわけでありますが、そういう方に対してたとえば一定数量を売り渡せという指示をしました場合に、それを果さなかった場合は、食糧管理法第三条一項の違反ということになるわけであります。従いまし一、食糧管理法の本条に戻りまして、食糧管理法の三条一項の命令に違反したものということになるわけでございますので、食糧管理法の罰則がかかるということになるわであります。
  82. 森崎隆

    ○森崎隆君 それから次の異議申し立て、七条の二でございますが、この申し立てが行われた場合に「市町村長は前項の申立があったときは、同項ただし書の期間満了後四十日以内にこれを決定し、文書をもって通知しなければならない。」これもやはり異議の申し立てがあった場合には、市町村長は独自の立場でその異議の申し立てに対して最後の裁断を決定して、文書で通知する、それだけに解釈していいのですか。その間に談合というようなことがあるのじゃないですか。その問題は次の第八条の「変更の請求」の場合にも同じことが言えると思うのです。第八条の三のところにもやはり「数量を変更するかどうかを決定し、これを文書をもって通知しなければならない。」文書で通知すればそれが最終的な決定とみなしていいのですか。
  83. 清井正

    政府委員(清井正君) それはお話通り異議の申し立ての場合はその異議に対して異議を受け入れるとか、受け入れないとか、受け入れた場合には何石にするかという意思決定をいたしまして、それで通知をいたします。通知をいたします場合には、通知だけによってそれを決定いたすことになるわけでございますので、その通知に対してさらに異議を申し立てるというようなことは、現在の制度ではないわけでありますから、この点は現在の制度と同じような趣旨の規定があるわけであります。結局お話通り自治庁の通知だけによって一方的にきまることになっておるわけで、ごりいます。従ってこれもただいま申しました第九条の規定で三条一項の命令になるということになるわけでございます。
  84. 清澤俊英

    清澤俊英君 二条の期限の公示はもう済みましたか。
  85. 清井正

    政府委員(清井正君) これは八月三十一日までに売買の申し込みをするということで公示をいたしておるのであります。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから予約数量二千三百五十万石の各県割当ての数量をこした場合はどうなりますか。この前非常にあやふやになっておったのですが、予約数量をこした場合どうなりますか。
  87. 清井正

    政府委員(清井正君) 二千三百五十万石というのは申すまでもなくこれは目標数量でございますので、二千三百五十万石を私どもが要請をいたしまして、かりにそれが二千三百五十万石以上申し込みがありましても、当然これは申し込みとして効力はあるわけでございますので、この事前売り渡し制度によって政府は買い入れをするということになるわけでございますから、二千三百五十万石はいわゆる最低数量ということになるわけでございます。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に、予約期日が過ぎてから、大体一万三十円という価格は基本価格と見ておりますから、その場合の超過買い入れはあるのかないのか、従って価格はどうなるのか。
  89. 清井正

    政府委員(清井正君) その点は、まあ普通で申しますと、その点は一応この制度とは切り離して考えておるわけでございますので、私どもはこの制度によって売り渡しの申し込みがありましたものを、所定の価格で買うということになるわけでございますから、かりに期日が過ぎましてから申込みがありました場合は、この制度による売り渡しの申し込みと見ないという建前になっておるのであります。事前売り渡し制度による申し込みではないというふうに考えておるわけでございます。しかし実際問題といたしましては団体等を督励いたしまして、できるだけ多く政府に売り渡し申し込みをいたしまして、この制度による売り渡し申し込みになるようにということで農業団体にお願いいたしてありますので、相当の数量が売り渡し申し込みとして集ってくるのじゃないかというふうに思っております。建前は事前売り渡しの申し込みの期限は八月三十一日ということになっております。
  90. 清澤俊英

    清澤俊英君 その際価格が一万三十円の価格でなお買い上げられるのか、それから税金等の免税措置がやはり講ぜられるのか。
  91. 清井正

    政府委員(清井正君) その場合は、現在のところでは、いわゆる百円はつかない価格になる建前であります。
  92. 清澤俊英

    清澤俊英君 入らない……。
  93. 清井正

    政府委員(清井正君) つかないのであります。事前売り渡し申込制度じゃございませんので、つかない建前であります。税金等の措置もこれはとらないということでございますので、税金等の措置は本制度によって売り渡し申し込みをしたもののみに取り扱う、こういう形になっておりますので、政府の所定の八月三十一日までに売り渡し申し込みをした、いわゆる本制度を利用したところの売り渡し申し込みについてのみ特例として税金の特例が与えられるということになるわけであります。しかしこれは建前の問題でありまして、私どもといたしましてはあく言でも相当数量が政府に売り渡しの申し込みがあるものというふうに、まあ目下農業団体を督励をいたしまして措置をいたしております。
  94. 清澤俊英

    清澤俊英君 それほんとうですか。今年のように作柄が非常に豊作を予想せられて、非常に予約が予想外の徴候を見るであろうというような予想のもとではそういうゆうちょうなことを言うておられるが、これが逆の場合には、今のいろいろの条項を出して、そういう場合を非常な無理な規定で押えて予約しょうとしておられるがごとき状態、そういう逆の状態も予想したら、そういう簡単なことを言うておられるのですか。
  95. 清井正

    政府委員(清井正君) まあ逆というお話もございますが、私どもといたしましては、この制度をできるだけ、と申しますか、政府に対して生産者が、まあおおよそ生産者が売却する米は全部この制度を利用いたしまして、事前に売り渡し申し込みをしていただくということの建前をとっておりますのが今度の制度でございますから、われわれといたしましては生産者の方が全部売る米はこの制度で事前売り渡しの申し込みをしていただくということで、税金の問題なり、加算の問題なり、価格の問題なりを処理いたしておるのでございまして、私どもといたしましては、できるだけの数量がこの制度によって政府に売り渡しを申し込まれるということで、初めからこれはそういう制度を立案いたしたのでございます。たまたまこういうような状況でございますので、われわれといたしましては、とにかく関係方々の努力によりまして、できるだけ生産者がこの制度を利用いたしまして、一俵でも多くこの制度による申し込みをしていただく、こういうことを期待しておるわけであります。
  96. 清澤俊英

    清澤俊英君 いま少し数字でお伺いします。八月三十一日後の予約買付の契約以外の米を買い上げ、もしくは売り付ける場合には、価格は三等建て二重俵で九千九百三十円、こういう数字になるのですな。それ以後のものは百円を引くと言うのですから九千九百三十円。それから税金は、従って超過供出等の加算金がないのでありまするから、これは千二百円の控除でなくして、八百円の控除、こういうことになるのですな。
  97. 清井正

    政府委員(清井正君) 価格の点はただいまお話しの通り、百円違うという建前でございますから、八月三十一日以降の申し込みにつきましては、九千九百三十円ということになる建前でございます。税金の点につきましては、これは今度の税金の措置が全部事前売り渡し申込制度を利用したものについての税金の措置でございますから、本制度を利用しない生産者の売却につきましては減税の恩典はないと、こういうふうに実は考えていいのじゃないかと思います。
  98. 清澤俊英

    清澤俊英君 八百円と見ていいのですか。
  99. 清井正

    政府委員(清井正君) 減税の恩典はないわけです。普通の行き方で……。
  100. 清澤俊英

    清澤俊英君 一銭もないわけですか。
  101. 清井正

    政府委員(清井正君) 減税の措置はないわけです。
  102. 小林孝平

    小林孝平君 この予約制度によらないやつは百円安いのですか。いつそれはきまったのですか。
  103. 清井正

    政府委員(清井正君) 先般閣議で御決定を申しましたときに、本制度によって売るものについて百円高くする、そういうことになっております。
  104. 小林孝平

    小林孝平君 それいつきまったのですか。
  105. 清井正

    政府委員(清井正君) これは先般の閣議決定のときに、百円の措置をいたしまして、このときに百円につきましては、一万百六十円という要求額が一応あったのでありますが、本制度を奨励するために、本制度利用につきまして、基本価格に百円高くする、こういうふうな形にいたしたわけであります。
  106. 小林孝平

    小林孝平君 その閣議決定というのはいつの、米価審議会のあとの、最初政府原案が一万六十円、それに今度米価審議会のあとで一万百六十円になったときのことですか。
  107. 清井正

    政府委員(清井正君) 最後の閣議決定のときでございます。
  108. 小林孝平

    小林孝平君 その閣議決定の文書を一つ見せてもらいたいのです。あの閣議決定には奨励金を百円ということは、予約奨励金を百円ということははっきり書いてなかった。
  109. 清井正

    政府委員(清井正君) それは予約奨励金ということは書いてございませんが、奨励金とは書いてないのでございますが、価格に加算をするという特別加算の意味で付加をいたしたのでありまして、たしかお配りしてあると思いますが、閣議決定の資料の中に、「昭和三十年産米の事前売渡申込制に基く政府買入価格を次のように定める。」というわけでありまして、事前売渡申込制に基く政府買入価格が三等複式俵で二万三十円、こういうふうになっておるわけであります。この点は百円の特別加算を事前売り渡し申し込みについては価格に付加する、こういうことになっておるわけであります。
  110. 小林孝平

    小林孝平君 予算委員会で何べんも大臣はこの差は設けないということを言明されていたのです。そしてあの閣議決定のその内容も、一万六十円から一万百六十円、百円は上ったけれども、その百円は一体何であるかはっきりわからない。全体的に一万六十円ののを一万百六十円にしたのか、何である  かわけのわからないような文章であったと思うのです。しかしながらその文章はどうあろうとも、予算委員会でもう繰り返し繰り返しその差額を設けないということを大臣は言明されておるのです。それをいつの間にかお配りになったこの「三十年産米政府買入価格について」これを見たって書いてないじゃないですか。どこにあるのですか、その予約のものは百円高いというのは……。
  111. 清井正

    政府委員(清井正君) お配りした資料の標題に「三十年産米政府買入価格について」と書きまして、「昭和三十年産米の事前売渡申込制に基く政府買入価格を次のように定める。」 こういうふうに一応書いてあるわけであります。従いまして、この中には百円の特別加算が事前売渡申込制に基く買入価格に入っておるわけでありますから、そういう意味に御理解を願いたいと思います。
  112. 小林孝平

    小林孝平君 だからその百円の予約格差というものを設けたというのはどこにあるのですか、一体……。どこにもないのですよ、正式の場合には……。
  113. 清井正

    政府委員(清井正君) 買入価格の告示には、はっきりそういうふうに明示してあるのであります。
  114. 小林孝平

    小林孝平君 国会に一度も、あれだけ政府が設けないと言っているのに、私もときどき出ないことがありますけれども、聞きませんがね。あれだけ農林大臣は予約格差をつけるべきでないということを言ったのに、それは絶対全部予約してもらうのだから必要がないということをあれだけ言っておるのです。それを一回の説明もなく、しかもこの前大臣が来たときも……そのとき変えられたと思うのですけれども、そのときも話がないのです。一体そういうことはどこでどうしてなったのか。
  115. 清井正

    政府委員(清井正君) これは当然こういう意味で御了解願ったものと私ども考えておったのでありますが、昭和三十年産米の事前売渡申込制に基く政府の買入価格ということでございまして、その意味において百円の特別加算をいたすという形で、まあ奨励的な意味の特別加算でございますが、そういう意味で「三二十年産米の事前売渡申込制に基く政府買入価格」、こういうふうに書いてあるわけであります。この中には百円特別加算が入っておりますが、建前といたしましては、本制度を利用しない売却額は百円低くなる、こういう建前でございます。これは先ほど来お答え申し上げた通り、私どもといたしましては、農家の売り渡し数量は全数量本制度を利用していただくという建前で進んでおりますから、農家の方々には全部この制度を利用していただく、こういうふうに考えて処置をいたしておるわけであります。
  116. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとその前に告示には九千九百三十円と出した。その告示はどこにあるのですか。
  117. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいま手元に持っておりませんが、告示にはその加算する意味のことが書いてあります。
  118. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと待って。告示が手元にないと言ったって、資料をたくさん持っているのだから、審議をするのに告示を持って来ぬということはないでしょう。
  119. 小林孝平

    小林孝平君 そんなもの々委員会に出さないというのはおかしいじゃないですか。委員長要求しないのはおかしいですよ。
  120. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 大臣の言ったことは正しいのでありまして、私は大臣の言うことだけを聞いておればよいと思っておった。大臣の言うことと食糧庁長官が食い違ったことを言うとは予想しておりません。今初めてそういうことが出たのでありまして、あらかじめこの食い違いの出るようなことを予想するという資料の提出の仕方というものはないと思います。
  121. 小林孝平

    小林孝平君 これは先般最初の米価審議会にかける政府の原案は一万六十円。これは国会で説明しておる。そうしてその際しばしば予約奨励金はつけない。あるいは予約格差あるいは奨励金としてつける場合、あるいは引く場合、事前割当をしなかったものは引くという、いずれの措置もやらないという二とを操り返し言明しておるのです。そこでこの一万六十円というものは、そういう奨励金というものを全然念頭に置かないできまった数字なんです。そこで今度米価審議会がこういう結果いろいろの点を考慮して、政府はこの百円を一万六十円に加算して、一万百六十円にするという決定をされて、その閣議決定はきわめてあいまいであって、これは一体予約奨励金についてはどういうのかはっきりしておらないとまあ一般に言われておったのですが、しかしながらこれは河野農林大臣の言明によってともかく一万六十円が百円上ったものであろうとわれわれは考える。そして現にただいま手元に配付されておる資料を、大臣がおいでになったとき配付されて、そういうふうに説明されておった。それを一回もわれわれに説明がなくて、突如これは事前売り渡しの場合は一万百六十円であって、それにあらざるものは百円引くのだということは、これは全く委員会の委員を審議能力ないと認めてやっておると考える以外に道はないと思うのです。あまりこれはばかにしているじゃないか。こんなことはわからぬだろうと思って、こういうことをやられたのじゃないか。私はこれは非常に重大な問題だと思うのです。委員長にこの点はこういう審議のやり方では困りますから、一つしっかりして、こういうことのないようにしてもらいたいと思います。
  122. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとそれは申しますが、一体大臣が国会で答弁して、それと違う答弁を事務当局がするということは、私どもとしては予想できざるところでありまして、あらかじめ事務当局が違う答弁をするだろうということを想定して資料を要求するということは、これはちょっと人間わざではできないことであります。従ってそういうような御意見がありますなら、本日はこの審議を一応中止いたします。     —————————————
  123. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に議題を変えまして、漁港法第十七条第一項の規定に基き、漁港整備計画の改正について承認を求めるの件を議題といたします。  この件についてはさきに提出理由説明を聞いたのでありまして、本日は直ちに質疑に入り、なお質疑の都合によっては昨日のお話によって引き続いて討論採決に入りたいと存じますから御了承願います。なお衆議院農林水産委員会の付帯決議をお配りいたしておきます。
  124. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  125. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて下さい。
  126. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今回漁港整備計画を改訂せられたのでありますが、そのうちには第一次計画において指定されておったものが、今度落されているというのが相当あるようでありますが、これはどういう意味で落されたのかどうか。
  127. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 第一次整備計画におきましては、御承知のように四百五十港の計画をいたしておったわけでございますが、そのうち四十三港は完成いたしたわけでございます。なおあとの二十港につきましては漁港指定を必要としない、つまり一般商港に変りたい、こういう意味におきまして漁港指定の取り消しをいたしましたものが四港ございます。なおその後の漁業の情勢によりまして、県当局との話によりまして後年回しにいたすことが適当であるものが十六港ございますので、それを合計して六十三港が四百六十港の計画の中から落ちたわけでございます。もちろんこの当該県におきましては、後回しにいたしましたものについては、それにかわるべきものを採用いたしたわけでございます。
  128. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今回の改訂は六百四ヵ所でございまして、六百四ヵ所があげられておりますが、この六百四港、すなわち整備を要すると認めるものが二千六百港もある、漁港として利用されているものが二千六百港ある。そのうちから今回すでに完成したものを除いて、六百四港を選定したのはどういう基準によってやられたのか。
  129. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 漁港整備計画につきましては、御承知のように四百五十港の計画を立てます場合におきまして、一応標準的なモデルを考えまして碇繋用水面積の所要水面積及び岸壁の延長等を、必要量の碇繋用水面積につきましては三〇%、岸壁の長さについては二〇%程度を全体として整備いたしたいというのが現在実施いたしております整備計画でございますが、今回におきましてはこれを高めまして、碇繋用水面積につきましては必要量の五〇%、従いまして漁港計画を取り上げます当時の状態の三倍にいたしたい。また岸壁の延長につきましては必要量の三〇%でございまして、これも漁港計画を取り上げます当初の二倍にいたしたいということで、四百五十港の場合によりもそれぞれ目標量を上げて、そうして計画をいたしたわけでございます。
  130. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この今回の計画によりますというと、昭和三十年度以降この六百四港を完成させるためには総事業費が五百二十七億、これに対して国庫が三百三十二億円を持つことになるのでありますが、こういうふうな予算の措置については、大蔵省とはある程度の了解がついておるのでありますか。全然それは大蔵省とは関係なしに計上されたのであるか。
  131. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 御承知のように現在の整備計画におきましても、毎年の予算によりまして逐次これを完成して行く、こういう建前になっておりますし、今回も同様の考え方をもちまして、整備計画の目標は高めまするが、これに基く予算につきましては、毎年度の予算におきまして決定いたして行く建前になっております。ただわれわれ水産庁といたしましては、この点につきましてはできる限り早期完成を目ざして予算の折衝をいたしたい、かように考えております。
  132. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 かって第一次整備計画におきましては、四百五十港を指定いたしましたときに、その目標を六ヵ年計画というふうに年数をきめて計画を立てておったようでありますが、今回の改訂につきましてはさような目標は立てておらぬのでありますか。
  133. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) これの完成につきましては、ただいま申し上げましたように、具体的な予算の面につきましては毎年予算の折衝によることにいたしておりますが、水産庁といたしましては、大体これにつきまして、五年内には全部について著工いたしたい、こういう計画を持っておるわけでございます。これは御承知のように年次計画としての財政当局との話し合いがついたわけではございませんが、水産庁としてはその目標のもとに邁進いたしたい、かように考えております。
  134. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、五年を目標に立てますというと、一ヵ年の国庫負担の全額は大体どれくらいの予定をしておられますか。
  135. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 私が今申し上げましたのは、多少言葉が足らなかったと思いますが、五ヵ年で著手いたしまして最後の年は約三ヵ年くらいかかると思います。完成までいたしますと八ヵ年くらいになろうかと思います。大よそわれわれは従来から漁港予算につきましては五十億程度くらい必要であるということで予算の折衝をいたしておりますが、残念ながらその実現を見ないわけでありますが、目標といたしましては、そういう目標でもって考えておるわけであります。
  136. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この漁港の整備の必要なことは、今さらわれわれが申し上げるまでもないのでありますが、四百五十港を計画しまして、なおまだ七十五港というものが未著工のままで今日まで来ておるわけであります。しかも毎年度の漁港に関する予算というものはきわめて僅少でありまして、二十二、三億かそこいらが最高の状態であったわけであります。その後はそれにも及ばないような状態で、いつになったらこの漁港が完成するかちょっと見当がつかない。毎年著工はして行きましても、非常に毎年々々の漁港の予算が少いために完成がおくれて行くということで、そのうちにまた風水害等のためにさらに復旧を要するといったようなことで、なかなか進行しないのであります。今回この六百四港を新たに改訂いたしましてここに打ち出したということは、おそらく漁港審議会の議を経てこういうものを選定せられたのであろうと思いますが、今後数だけふやしても、予算が伴わなければ何らの効果はないわけでありまして、この予算獲得につきましては、全国の漁民あげて毎年非常な陳情をしておるわけでありますが、こういうふうに今回さらに数をふやして計画を立てられたことについて、何かもう少し強力に大蔵省との話し合いでもなさったのでありますか。そういうことなしに毎年国の予算が取れるだけでこれをやって行こうということであるか、その点を伺いたい。
  137. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) ただいまの御指摘のように、漁港予算が所期の金額が計上されないということは、われわれも非常に遺憾に考えておるわけであります。この点につきましては、今後の漁港の整備をいかようにするかということにつきまして、われわれもいろいろ検討もいたし、また財政当局と  も議論をいたしたわけでございます。御承知のように来年度の予算規模、その後におきまする予算規模等も明確でございませんので、この年々の金額は幾らになるかということはちょっと今申し上げかねますが、私たちといたしましては将来近く六ヵ年計画も長期計画として作成されるということになろうかと思いますので、そういう計画の中にもできる限りこれを織り込んで参りたい。同時にいろいろ御鞭撻を受けまして、明年度の予算編成の際におきましては漁港予算の増額について努力いたしたいと、かように考えます
  138. 森崎隆

    ○森崎隆君 前回の漁港整備の問題はああいう計画でできましても、実際上はこれは完成できずに災害でそれ以上に痛めつけられた点が多いように考えますが、今回の計画計画としてはりっぱでございますが、非常にこれが完成については危惧を持つわけでございます。それで本年度は漁港整備の関係で国庫補助は幾らになっておりますか。
  139. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 本年度におきましては全体といたしまして漁港整備計画に充てまするものは十九億二千七百万円と相成っております。このほかに災害に十三億ほどでございます。なおそれで全体といたしますると昨年度より約五千万円ほどふえております。
  140. 森崎隆

    ○森崎隆君 災害の十三億というのはこれは二心別個に考えなければならぬと思います。災害がなかった場合にはこれは十九億に足して三十二億でけっこうだと思いますけれども、大体累年災害があるということを考えますと、これを別個に考えなければならぬ。そこでわれわれの考えでは、今の八年計画ということになりますね、完成までには。八年で国庫補助が三百三十二億円ということになると、年当り四十二億くらいは最小限度要るわけです。その以外に十五億なり二十億の災害係復旧関係のものがついてこなければ、この六百四港の漁港整備は完全にはいかないということは、もう初めから計算をすれば中学生でもわかるわけです。ところが実際三十年度に災害関係を入れましても三十二億ということになると、この計画をした初年度からすでにマイナスが出て、次年度以降のどこかでこれを取りかえさなければならないという負担がすでに入っておるわけです。そういう計画は私たちとしては非常にこれは困るわけです。この計画をした当初に、少くともどかっとある程度取って、あとを逐次減少して行けるような希望は持てればけっこうでありますが、最初が今言った十九億では非常に将来心細い。前回の漁港整備計画と同じような運命をたどるものじゃないかという心配があるわけですが、今も秋山さんの御質問に対して将来も努力してやって行くということを申されましたのですが、また大蔵省とも十分な話し合いもできていないということでございますが、非常にこの点心細いのですが、十分の御自信がございますか。
  141. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 御指摘のように、現在の予算の面におきまして予定計画が遂行できないじゃないか、御指摘の通りでございます。われわれ当初明年度予算のある程度の見通しのもとに計画を立てるということが必要かと考えましたが、御承知のようにこの四百五十港の計画を立て、まする当時におきまする指定漁港が千三百港ぐらいございましたが、その後運輸省との関係におきまして一般商港と漁港との関係におきまして漁港として指定すべきものをいろいろ協議いたしまして、大体二千六百港ということに一段落いたしたわけでありますが、当時の情勢と現在の情勢とは非常に異なって参りましたので、御指摘のように七十五港の未着手のものがございますが、この中には漁港の指定の取り消しをしたものもございますし、またその中におきましても、漁港行政の変化によりまして取りかえなければならないものもございます。新規に着工いたします場合におきましても、現状の漁港計画そのままでもってしては実情に沿わない点もありますので、そういう具体的な明年度の予算のワク等も確定いたしませんときに作ったわけでございますが、実施上の問題といたしましては、でき得る限り効率的に計画を、各港別の計画を作りまして、完成年度を早くする等の実質的な措置は十分われわれも考えておるわけでございます。  なお、予算の点につきましては、御承知のようにまだ明年度以降の予算の総体的な規模というものはどうなるかということが全然明確でありませんので、われわれといたしましては、措置をする立場からいたしましてこうあるべきだという、こういうことで計画を作ったわけでございます。
  142. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう二、三点伺いますが、先般来、日本の現在の漁業が、非常に沿岸から遠洋に至る広範囲において非常に行き詰りの状態になっておるので、これを何とか打開しなければならない段階になっておるのでありますが、これに対して、農林大臣は、国会終了後直ちに漁業政策審議会といいますか、そういったような審議会を日本の権威者を集めて、あるいは実業家を入れて検討し、そうして個々に日本の漁業行政といいますか、水産行政の根本方針を確立して、それによって現在の窮境を打開しようという意向をしばしば表明されておりますが、今日この漁港の問題がかような漁業の大きな要素をなすことはもちろんでありまして、この漁港計画というものがやはりそういう意味合いにおいて、六百四港というものを今回改訂指定せられたものと思われるのであります。これは漁港審議会等の議を経てやられたことでありまして、日本の水産行政の根幹をなす漁港の整備というものは、この根本政策の一環をなしておる、こういうようにわれわれは考えるのであります。従って、この計画された漁港の完成というものは一日も早からしめなければならない。旧来手をつけておりますたくさんの漁港の早期完成ももちろん急がねばなりませんが、同時に、そればかりに集中しておったのでは新しく追加されたこれらのものがいつの日に日の目を見るかわからないことになるのであります。そこで予算の獲得の面で、着手したものを完成するというだけの予算でなしに、同時に新規の着工予算も当然組み込んでおらなければならぬと思われるのでありますが、そういうことについて大蔵省との間にどういうふうなお話し合いができておるか、先々のことはまだ予算が計上せられないからわからないといえばそれまでですけれども、少くとも六百四港ここに計上した以上は大蔵省との間に、大蔵省といたしましても全然これを知らずにいるわけではないのであります。閣議決定をなさった問題であろうと思いますので、大蔵省もある程度の覚悟はしておると思うのですが、そういう面につきまして、新規の問題がどれくらい織り込まれるかということは予算上の問題ではありますけれども、心組みとして水産庁は年々どのくらいのものを新しくやっていこうとせられておるのか。この点が一点と、それから本年度、三十年度におきましては、もうすでに予算は決定しておるわけでございますが、過般の修正によりまして二億五千万円というものが増額されております。この当初予算においては新規のものには手をつけない建前でおったようでありますが、ここに二億五千万円というものが増額された今日において、新規に本年度着工されようとするものがあるかどうか、あれば大体どのくらいを心組みとして持っておられるか、この二点をお伺いしておきます。
  143. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 新規着工の問題でございますが、御承知のように二十八年度におきましては新規着工は七十五港ございました。それから二十九年度におきましては新規着工はゼロと、こういうことに相なっているのであります。われわれとしましては、本年度におきましては、ただいまの御指摘のように当初予算におきましては新規着工はゼロということに相なっておったわけでありますが、国会の予算修正によりまして、その部分につきまして新規着工いたしたいということで、大蔵省といろいろ折衝をいたしております。従いまして今年度におきましてどの程度に新規着工があるか、数字はまだ確定いたしませんが、新規着工はやるということで、われわれとしては強力に交渉をしておりまするから、本年度は昨年度と違いまして新規着工はやり得ると私は考えております。ただ数字の点につきましては、まだ折衝中でございまして確定いたしておりません。なお今後どういうふうにやるかということでございますが、これにつきましては、大体私たちも先ほど申し上げましたように、五ヵ年間で着工するということになりますと、六十港程度のものは着工しなければならない、これは年次別には多少の波があろうかと思いますが、そういう目標でもって考えているわけでありまして、今後の、明年度以降の折衝になるわけでございますが、私たちといたしましては、長期計画も作られることでございますので、やはり長期計画の作成とも関連いたしまして、やはり漁港整備計画を進めていくべきではなかろうか、かように考えております。
  144. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  145. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。
  146. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう一点だけ伺います。今回六百四港を指定されましたが、元来二千六百というものを拾い上げておる。そうすると、この次に、さらにまたこれが大体進んでいけば、あとの二千六百港というものの中から、またピック・アップして計画を立てられるつもりであるか、あるいは一応これでまめ打ち切るというお考えでありますか その点伺います。それからもう一つ、同時に、この整備計画を今回立てられました後において、これに漏れたようなものが、そういう漏れたと申しますのは二千六百港の中から六百四港を引いたものがみな漏れたことになるのですが、そうじゃなしに、今回計画の中に入った六百四港同列になるべきもので落ちてるというものがあるでありましょうか、もちろんそれは当局としてはないとおっしゃるかもしれませんが、そういうことがもしあるとすれば、また今後考えなければならんと思いますが、その点いかがでございますか。
  147. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 御指摘のように現在漁港を指定いたしておりますものが二千六百ございますので、漁港全体の整備といたしましては、われわれといたしましては、最終目標といたしましては、全漁港を必要水面積まで持っていきたいということが目標でございます。従いまして、この計画をもって終りということは考えておりませんが、計画の実施状況等を勘案しまして、また漁業情勢の変化等も将来起ることも予想されますので、そういう場合には漁港計画も変えていくということが当然考えられなければならぬ、かように考えております。なお今年度におきましては、漁港計画につきまして、再建といたしまして、ほぼ二年間くらいでできるような小規模のものにつきましては今年度初めて局部改良の、防災事業に関しましての局部改良の事業が予算として取れたわけでございます。この漁港整備計画と合せまして局部改良によりまして、小規模の改良によりまして、相当の能率が発揮でき得るというものにつきましてはこれと別個に局部改良事業として実施していきたい。両々相待ちまして漁港の整備をやりたいということで、本年度から漁港整備計画のほかに局部改良の計画を取り上げたわけでございます。従いましてごく小規模の仕事でございましてもそれによって相当能率が上る、目的を達し得るというものにつきましては、局部改良ということでやっていきたい。従いましてこの漁港整備計画にごくそういう小規模のものか取り上げるという考え方を一応とったわけでございます。
  148. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をやめて。   〔速記中止
  149. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。  ほかに御発言もないようですから質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  151. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ただいま議題になっております漁港整備計画の改正について承認を求めるの件でございますが、現在のわが国水産業の実態から考えまして、この漁港の整備ということはもっとも根幹をなす問題でございまして、すでに第一次整備計画を立てまして今日までこの修築を実施して参りましたが、国家においてこれの裏づけとなるところの予算が毎年まことに僅少でありまして、当初計画したものの半額にも満たないような予算措置のために今日なお完成したものはわずかに四十三港ということでございます。こういう状態でさらに今回予定せられましたもの六百四港というものを修築いたしまするにつきましても、かような状態では何年かかってこれが完成するか見通しもつかないような状態でありますので、私どもといたしましてはこの漁港の完成を急いで日本の漁家の安定向上をはかるとともに、漁業の伸展を期したいと、こういうような意味合いから、次に読み上げますところの付帯決議を添えたいと存じます。皆様の御賛成をいただきたいと存じます。    漁港整備計画の改正について承    認を求める件に対する附帯決議    (案)   わが国の経済を再建し、国民生活  を安定せしめるため、漁業根拠地た  る漁港を全国に亘り、計画的に整備  拡充し、漁業生産の増強と漁家経済  の安定向上を図ることはわが国の緊  急重要施策である。よって政府は本  整備計画の実施に当り、左記事項の  実施に特段の努力を払うべきであ  る。    記   一、政府は従前の整備計画実施に  当り、必要な予算措置において欠く  るところ多く、ためにその進捗状況  は極めて遅々たるものがある。今般  の改正計画の実施については必要な  予算の計上に格段の努力を払い、現  在着工継続中の漁港の早期完成を図  ることは勿論、本改正計画による未  着手の漁港についても、毎年必要な  予算を確保し、速やかに着工実施す  るなど、早期完遂のため万全の措置  を講ずべきである。   右決議する。  以上でございます。これを付しましてこの原案に賛成をいたします。
  152. 森崎隆

    ○森崎隆君 漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画の改正について承認を求めるの件につきまして賛成をいたします。ただこの際特に農林省に申し上げたいのは、これまでの漁港整備計画にもその悪い意味の実績が十二分に出ておりましたように、引き続いて整備計画を立てましてもそれに伴う予算措置がいつも足らないためにその計画が画餅に終っておるものが多いわけであります。これでは幾らしてもだめなわけなのであります。ここにどうしても日本は水産業に頼っていかなければいけない現状から考えましても、特に現状を見ましても、北海道のごときは私どもが行きますると何年たちましても漁港の整備というのは不可能だという現状にございます。そういう点から考えますると、おそまきながらも、また最小限度の計画でありながらも今度の改正については賛意を表さざるを得ないわけでございます。どうか十二分に本年度の予算はもう済みましたが、できるならば補正予算を通るように御努力をしていただきたいし、また三十一年度以降におきましては強力に政府提案のこれは承認を求むる件でございます関係上、政府としてはそれを裏づけするところの予算措置を十二分にするように責任を持った措置をとられることを強く要望いたしましてこの件に賛成をするわけでございます。
  153. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  漁港法第十七条第二項の規定に基き、漁港整備計画の改正について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認すべきものと議決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  155. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致でございます。よって本件は全会一致をもって承認すべきものと議決することに決定いたしました。  次に、討論中述べられました秋山君提出の付属決議案を議題といたします。秋山君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  156. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致と認めます。よって秋山君提出の付席決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決しました。  なお、本会議におきまする口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他自後の手続につきましては慣例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  次に、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    秋山俊一郎  白波瀬米吉    青山 正一  大矢半次郎    重政 庸徳  関根 久藏    長谷山行毅  飯島連次郎    溝口 三郎  森 八三一    清澤 俊英  森崎  隆    東   隆  菊田 七平
  158. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいま決議になりました付帯決議につきまして、水産庁長官から発言を求められております。
  159. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) ただいま付帯決議になりました件につきましては御意見当も十分拝聴いたしましたので御質疑に沿いまして十分の努力をいたしたいと、かように考えております。
  160. 清澤俊英

    清澤俊英君 長官に一つお伺いいたしますが、一つ相談だ。と申しますのは、先般新潟におけるイカその他の中毒問題について申し上げておきましたが、本日の新聞を見ますと、それがだんだん拡大して函館からまた方々へ散らばって、全国的の問題のようになったようでありますが、従って厚生省はもちろんこれに対して極力調査もするでありましょうが、水産庁としましてもこれはいろいろのことが考えられておる。まず考えられるのは水爆等による問題であるとか、または長崎で問題になっております、パラチオン、ホリドールの問題とか、これらは実に方々に問題が起きておる。この間もドジョウを五匹ばかり取って来て、たまたま人にくれたというのです。くれたところがその人がそれにあてつけられたというわけで、そういうのじゃないかというような疑いもぼつぼつ出て来ておるのですから、これは徹底的に水産庁としても御調査に乗り出していただきたいというお願いと同時に、長官どう考えておられるか、それを伺っておきます。
  161. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) この前清澤委員からお話がございました。直ちに調査に現在着手しております。現在の研究状態を申し上げますと、東海区の水産試験場と、それから県の衛生技術の関係、それから県の試験場、厚生省等、いろいろ研究をいたしております。ただ残念ながら今までの状態におきましては、中毒原因につきまして無害説と有害説とがあるわけでございますか、ある程度新潟におきまする実験、函館におきまする実験等につきましてもいろいろ結果が違っております。従いましてこれは非常に、イカは沿岸漁民の大きな生産物でございまして、慎重に結論を出されませぬといいかげんの結論は私は非常に危ないと思います。従いまして水産庁といたしましては新たに試験船を出しまして、漁獲量、鮮度の相違、その段階というようなことから、根本的に調査いたしたいということで手配を進めております。     —————————————
  162. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたします。本法律案につきましては昨日提案理由説明を聞いたのでありまして、本日は直ちに質疑に入り、質疑の都合によっては引き続いて討論採決を行いたいと思いますから御了承を願います。御質疑のある方はどうぞお願いいたします。
  163. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 災害復旧の国庫負担につきまして、従来建設省関係の水路、道路等の被害激甚なものに対する国庫負担の率と、同じような性質の農業関係の公共施設の国庫負担の率が均衡を失しておりまして、これを是正する必要があるということは従来からも言われていたことであります。提案理由の御説明におきましてもその趣旨から改正をする御意図と考えておりますが、従来の一定限度以上全額にする、公共土木施設の一定限度、それから農林省関係の今回の改正の一定限度にしたのと事業が多少違いますから比較することは困難だと思いますが、一定の限度について今後も均衡がとれるかどうか、その具体的の説明を願いたいと思います。
  164. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 今回提出されました暫定法の政令の限度は、大体政府といたしましては二十万円程度以上をこえるものについて十分の十ということを想定いたしまして、大蔵当局と事務折衝をしたのでございますが、この二十万円と政令を仮定いたしますと、お手元へ差し上げてあると思いますが、二十六年、七年九年の各年災にこれを当てはめて仮定して見ましても、きわめて経費はわずかなんでございます。それで負担法は直接私が担当しておりません関係上、詳しくその内容は存じませんけれども、国家経費の増は負担法の方がはるかに大きいのではないか、こう考えておりまして、まだこの程度では農業の方が恩恵が低いように考えられるのではないか、けれどもこれは農業の施設が何と申しますか、私有財産的のものを対象にいたしますのと、建設省の施設が強い公共性を持っておりますものとの関係から、全く同じな補助程度にするということも、また別な意味において均衡を失するのではないかと、かように考えておる次第であります。
  165. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 これは災害復旧、こう御説明のように農地関係には多少個人的な色彩もあるが、目的から言うと土木関係の水路、道路と、こういうものは全く同じ公共施設なんです。多少そういう従来からの考え方もあって、負担については公共土木施設より幾分過重だということは抽象的にはわかります。法人を一戸当り二十万円以上ということで、こういう補助金のべースにするのをおきめになったについて、私は標準税収入の二倍ということは、大よそ一戸当り農家で見れば、一戸当り幾らくらいになるかというような算定をなさったかどうか、その大よその比較ができるとはっきりして来るのではないかと思います。お伺いいたします。
  166. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 御説のように標準税収入の何倍ということはその町村の財政の程度を想定する一つの方法でありますし、それから農地災害の補助法におきまするのはあくまでも農家一軒々々の財政負担能力を判定するものでありまして、公共団体と個人の負担能力というものを同一の尺度ではかるか、あるいは何かウエートをつけるかというのは非常に困難なところがありまして、私どもとしましてはその法律によって国家経費がどの程度増になるかということが、むしろ補助程度の厚薄を意味するものではないか、かような考えでありまして、標準税収入の何倍というものと一戸当り農家の何万円ということとは、なかなか比較がしにくいのではないかと、かように考えております。
  167. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 別な観点から伺いますが、農家の負担の限度が配付された資料では年額五千八百十一円負担の限度と、これと二十万円という関係を御説明願いたい。
  168. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 五千八百十一円と申しますのは、家族が六・六人で農業従事者が三人、耕作面積が一町一畝の農家を想定いたしまして、この農家が農業による収入と第一生計費というものを計算いたしまして、その差額を一応の所得と考えておるのでございます。それが収入の総計が十七万八千三百二十二円でありまして、支出の計が十二万ころんで二百十円、その差額五万八千百十二円、その一割が事故のあった際の償還の元金に充てる、こういうふうに考えたのでございます。従いまして毎年農家が利益を上げて、いくと申しますか、これは第一生計費ですから、実は利益でないかもしれませんが、一応計算上余り金の一割をこの負債に充てる、そういたしますと、三ヵ年据え置きの十二ヵ年、この金を毎年償還に充てますと、二十万円の金が償還し得るということになっております。通計十五ヵ年で償還されることになっておりますが、ただいまの農業経済の程度は、非常に大きな災害を受けた場合、その傷が十五ヵ年でいえればいいのか、十年でいえればいいのか、ちょっとわかりかねますけれども、まあ一応常識的に十五年程度で償還し得るものとすれば、二十万円くらいのものが限度ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  169. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 一年の償還の限度が一農家で五千八百円くらい、それを十五ヵ年で返すと二十万円が限度一ぱい一ぱい、それ以上のものは負担能力がないから、これは全額でやらないと農家が赤字になってしまう。もし五千八百円という過程が、もう限度一ぱいなんだということになると、私は二十万円は償還能力一ぱいのところだから、そのふえた分は全額でやるということは、これは筋が通ると思います。ところが五千八百円がこの資料によりますと、非常に古い統計なんです。二十五年の経済調査によったものなんですが、その後もう少し新しい経済調査があるかどうか、なければ現在はおよそ五千八百円はどういうような差になっているか、もう少し償還能力があるのか、もっと足りなくなってきたのか、その見込みをお伺いしたい。
  170. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 実は、これは私どもの資料ではございませんので、よその省の資料をお借りいたしましたので、現在もっと詳しいものがあるかないかについては現在わかっておりませんです。さらにこれもまことに申しわけございませんですが、この案が私どもにはっきりわたりましてから、大蔵省と折衝いたします際の時間がほとんどございませんので、はなはだ残念ではございましたが、多少古い資料を使いまして、これに基きまして大蔵省と事務折衝をいたした次第でございます。もう少し時間的な余裕がございますれば、その面までももう少しよく調査いたしたいと考えておる次第でございます。
  171. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 この資料で大蔵省と折衝なさったというお話ですが、大蔵省はこの案についてはどういうお考えを持っておりますか。
  172. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) この案に限らず、大蔵省は現行より国家経費がふえるという方向の案には反対でございます。従いましてこの案をもちまして大蔵省へ折衝に参ったときは、やはり事務的には反対だったのでございますが、御承知のように負担法が、これより一歩先に国会へ提案されまして、その意見を求められた際に、大蔵省が意見を多少その当時より変えまして、賛成のようなことになってしまったのであります。従いまして私どもが純事務的に折衝いたしましたときは、この案では反対だったのでございますが、現在では負担法とのつり合い上、政令で二十万円くらいのものであればやむを得ないのではないか、やや賛成のようになって参っておる次第でございます。
  173. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 もう一度お伺いいたしたいが、本法執行に要する経費、平年度約二億五千万円でございますが、これはそう多額のものじゃないと思うのでありますけれども、二億五千万円の算出の基礎、考え方をお伺いいたします。
  174. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 御承知のように、災害はほかの事業と違いまして、気象状況その他から毎年毎年著しい振れがあって発生するものでございまして、将来のことを予想してどのくらいの経費の増加ということを申し上げるのが非常に困難なんでございます。この参考資料……、過去の例からとったものを数学的に算出するのは容易でございますけれども、将来のものはなかなか困難なんでございます。従いましてきわめて大ざっぱな推定ではございまするけれども、大体四百ないし五百億の被害が今後起きるものと仮想した場合に、従来の八万円以上をこえるもの、二十万円以上をこえるものの平均率をまた想定して、二つも三つもの想定が入っておって算定した数字でございます。なかなかこの通りであるということははっきり言いにくいので、きわめて大ざっぱな推定になるのであります。
  175. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 この配付された資料によりますとですね、二十六年災では、改正案によると国費の増が三億五千万円、二十七年は四千五百万円、二十九年災は千六百万円程度の増額だから僅少だということでございますが、この算定の基礎になります二十六年災、七年災、九年災の総額の事業かと思いますが、二十六年災は百三十四億、二十七年災は三十五億、二十九年は三十一億の事業費になっていますが、これは農林省の想定の事業費なんですか、大蔵省、農林省、会計検査院が立ち合い調査の上で最終決定になった事業費か、いかがでございますか。
  176. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) これは農林省が災害直後査定いたしました数字でございます。
  177. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 立ち合い調査はまだ完全に全部済んだように聞いておりませんが、従来大多数の地区について、三者の調査をやったのによると、農林省の査定が三割ぐらいが水増しになっているというように私は聞いておるのでございます。そういたすと、ここに事業費が出ておりますが、二十万円以上のものが、これは八割以上のものでございますが、二十万円以上の分について三億五千万円とか四千五百万円とかなっておりますが、これを最終決定のものによると、もっとずっと減少してきて、今のこの要求した改正案によると、三億五千万円ぐらいになるのが私はほとんどなくなってしまうのじゃないかというように考える。もっときわめて僅少なことになってくるのですか。農林省要求したものをもとにすることはこれは妥当でないと私は考えるのですが、もう少し、何割ぐらい減る見込みなのかお伺いしたい。
  178. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) ただいま御指摘のように再査定をやったものの減率あるいは会計検査院が事前調査をした地区だけの減率というものは、御指摘のように三割近いものがございます。しかしながら半面この当為査定は二十九年災を除きまして、いずれもその後単価増がございまして……、増の要素もございます、それから非常に農家一戸当りの復旧額が二十万円以上をこえるような大きなものは、それほど支出だけについては減が少いのじゃないか、かように考えております。しかしながらこれは当初査定でありまして、実施に移した場合にはこの数字と違っていることが事実でございますので、実施に当っては、たとえば二十六年災で三億五千万円の増となるというが、それより多少減るではないかという御指摘はその通りであろうと、結果的にはその通りであろうと、かように考えております。
  179. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これに概数でいいのですが、御承知のように二十八年には九州の災害で特別立法がたくさんできた、この法律が二十八年にあったとしてこれを適用した場合に、二十八年の特別立法を適用した結果と、二十八年災害においてどのぐらい政府出資の節約といいますか、減額になるか、ほかの年はまあ大体平均等出ておりますが、これは参考のために……。
  180. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 二十八年は御承知のように、ほとんど大部分が九割の補助になるようになりまして、二十八年災の当初査定は六百二十二億でございます。従いましてこの補助金は五百三十二億の多きに上っておるのでありますが、もしこの法律がその当時出ておりましたならば、六百二十二億の査定事業費に対しては四百八十五億程度の補助金で済むだろうと考えられます。従いまして、あの特別立法を、この立法にかえますならば、政府経費は五十億程度の節約になるだろう、かように考えております。
  181. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私ちょっとおくれて来ましたのではなはだ恐縮なんですが、結局これは現在の暫定措置というものに共同利用施設を加えるという点と、それから「第三条の第三項第二号から第四号までの中「十分の九」の下に「(当該部分のうち政令で定める額に相当する部分については、十分の十)」」を、こういうものをやろうと、この二点がつまり今の暫定法にかえるところだと、そういうふうに解釈していいわけですか。
  182. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) その通りでございます。一つは補助率を現在六割五分、九割であったのを、さらにもう一段拡充して十割というものを入れることと、次の点は、これは修正案でこうなったのでありますが、補助対象を拡充して、拡充された部分の補助率を十分の二にする、こういうことでございます。
  183. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そうしますと、今の十分の十にするという場合は政令できめる。政令できめて、それに相当する部分については十分の十、こうなるのですが、今先ほど来、私おくれて来たのでわからないのですが、溝口委員の御質問やら、あるいは重政委員の御質問で、通常四百億ないし五百億程度の通常の形における風水害等であれば二百九十億からふえる、こういうようなことを御説明なすって、あるいは二十八年特別災害のあの当時特別立法をやらなければならなかったあれだけの災害の際に、もしこの審議されている法律がでさておったならば五百数十億の台で五十億ぐらいは安くなったろうという御説明であった。これはいずれも政令というものをあなたの方で一考えておって、その政令に基く部分を十分の十として計算なすってからの結果かと思うのですがその政令とはどういうふうに考えておられるのですか。
  184. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 復旧額、つまり査定額でございます。査定額をその関係農家戸数の総数で割った額、つまり一戸当りの査定額といいますか、一戸当りの復旧額になります。それが八万円以下のものについては六割五分の一補助率を、八万円から二十万円の間のものを九割の補助率を、二十万円をこえたものを十割の補助率を、こういう三段階の補助率の合計を補助金総額と考えております。従いまして、政令は二十万円を想定しているわでございます。
  185. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 ちょっと資料がないのですが、二十八年災の特別立法の際、やはりそういう線で出した臨時立法があったように思うのですが、その際と比べて、その際はどうなっていたか、一つそれとの関連で御説明いただきたい。
  186. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 二十八年度の政令は、御承知のように、私の方の関係の政令ではずしたものの上に、建設、林野、水産、いろいろな面から、あるいは作物被害、そういう面からもはずしたものがこういうことになって参ったのでありまして、政令だけを比較することはできませんが、かりに私の方の政令だけを考えますと、二十八年は復旧額を関係農家戸数で割った額が三万円をこえるものはその復旧額全額について九割の補助をする、こういう法律案であります。
  187. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今あった説明の中で、私どもとかなんとかいうようなことを言っておったけれども、あのときのその関連の政令も、あるいは今度改正しようというこの問題も、風水害が起きた場合には、農地関係、あるいは個々に範囲まで広げた各種の共同施設をも含めた災害、その被害農家関係戸数で割った額に当るのだと思うのですが、さっき聞いているというと、私どもの方の関係の被害だけを割って、その上に、あるいは林業だとか、あるいは何とか当然加えなければならない、農家としては関係している災害であれば、当然加えなければならない数字である。二十八年災の特別立法の場合は、これらを加えて総合的に考えてよかった思う一今度も加えることになったらいいと思うのだが、その点はどうなんですか。
  188. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 災害によって被害を受けた尺度を判定する場合は、農地も林野も水産も、あるいは建設も加えるべきだというのは理論的にごもっともでございますが、実際事務を担当する者にとりましては非常に煩瑣でありますのと、なかなかよその関係省の数字をつかむことが時期的におくれます関係上、今回は農地は農地、林野は林野、水産は水産と、おのおの別々の被害額を別々な政令で規定して、こういう法律を作るようになっております。はなはだ御趣旨に沿わないようなことで……。
  189. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 まあ、今のお答えは現行法下事務的に考えればわからないことはないのですけれども、あのときの二十八年特別災というのはああやって建設、あるいは農林関係その他まで加わっていって、この町村、あるいは府県の基準財政収入というものと、かくのごとき公共団体が査定の結果支出を負担しなければならない額との比較においてやるという総合的な特別立法があの際は大きいだけにできたわけなんですね。今度の法律は、まあ農林水産業として、こういう一つの今度は農林水産関係だけの施設の災害復旧に対する暫定措置なんではありますが、私はこれだけの十分の十といったような、いわゆる高率な補助をしなければならぬというような事態の場合においては、当然せめて農林水産関係だけでも、おそらく住民というものは重複しておる場合が非常に多いのです。でありますから、この農林水産関係だけでも総合的に見て、ある限度以上については、それはひどいのだからこれは全額もっとやらなければならぬというふうにいくのが、むしろ何というか当然なような気がするのです。で、あなたの方はきっとおそらくそれは一応理屈としてはごもっともですとおっしゃるが、私は十分の十なんという高率の問題はそれでなくても非常に問題があるのです。あの二十八年災害の極端な例を言えば泥土の問題、それから地すべりの問題、あれは十分の十なんです。あの当時けんけんごうごう、非常にやかましくあの救済を叫ばれておるそのさなかの特別国会の中でもけんけんごうごうをきわめている。そうしてその結果どんなものだろうかということになれば、御承知の通りに私の記憶であるならば、福岡であったかどこだかの大被害地のうしろの地すべり地だけが十分の十の適用をやっただけなんです。ほかの方は高率であるがゆえにむしろ逃げられてしまったといったような事実があるわけなんです。で、先ほど途中からお聞きしたのですけれども、大蔵省の態度、これは大蔵省の態度というものは、私はこれは必ずしも心服しかねるのですけれども、とにかく財政当局が言いそうなことを言っておる。そういうさなかで似よった法律を作ろうというからには、それはやっぱり筋を通せるだけ通すという考え方をとりたい。そのためには今言った総合的な考え方に、この際場合によっちゃ十分の九の分も直していったらどうだろうか、こういうふうに思うのですが、それについてお考えいかがですか。
  190. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 激甚災害に対するお考えにはまことに同感なんでございますが、先ほど申しましたように、なかなか事務的にうまくいかないということに尽きるのでございます。それは結果的に申しますと、私の方は先ほど——私の方はというのはおかしいが、農地局関係は先ほど以来お話ししておりますように、関係農家一戸当りの被害額をもって激甚度を表わしておりますし、林野関係は、メーター当りの復旧費をもってやりますし、水産関係はやはり負担法のような税収入をもって激甚度を表現しておるようでございます。従いまして、その三つのものを加えて総合判定をするということは、事務的には非常に困難ではないか、かように考えておる次第でございます。  それからなお二十八年災の場合の九割とか十割とかいうのは、事業費の総額に対してなんてございますが、今回の改正案は二十万円をこえた部分が十分の十でありまして、先ほど申しましたように、六割五分であり、九割であり、十割であり、それをまあその三つの補助金の和が全体の補助金になっている、こういうような法律でございます。
  191. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私ばかりやって済みませんけれども、今のように従来の尺度をそのままにしておいて合計しょうたってこれはできないから、私はその場合は、被害額の復旧費を出していくことは当然だと思うのでありますが、まあその点は議論にわたるようでありますからやめます。この四号ですか、第三条の第三項第二号から第四号まで農地の関係の被害についての補助の累増の形はわかりましたが、他のものはどうなんでしょうか。
  192. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 私から申し上げるのは適切でないかもしれませんが、林道におきましては、奥地幹線林道が従来十分の九とありましたのを、これを政令で定める額に相当する部分については十分の十にする。それから漁港施設にありましては、漁港もやはり十分の九のものを十分の十とする。それで現行法の農地局関係の農地の復旧、田畑の復旧及び林道関係の奥地幹線林道でないその他の林道は従来のままでございます。
  193. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そうすると今の漁業施設、それから奥地の幹線ですね、つまり十分の九のやつですね、十分の九であるやつにおよそこのスライド制と申しますか、ある一定部分を除くものをつけると、こういうお考えなわけですね。そうすると十分の九をこえて十分の十にしようというときの魚地幹線なり、漁業施設というものはどういうふうな評価でやるおつもりですか。これは提案者でもどなたでも、当然そのくらいのことはわからないことはないでしょう。
  194. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) どうも私がお答えするのは適当でないかもしれませんが、もし間違っておりましたら適当な人から後刻訂正していただくことにいたしまして、林道等につきましては総延長の数に千二百円を乗じた額、それから水産施設にありましては十五倍に相当する額というのが農地局関係の一戸当りの被害額二十万円というのと同じレベルの線であろうかと、政令の原案であろうかと、かように考えておりますが、これは大蔵省の方とどの程度の折衝済みであるかは私よく存じておりません。
  195. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今のその点は大蔵省とは折衝済みであるかは知らないと言われたのですが、二十万円というようなラインでやるのであれば、大蔵省はそれもやむを得ぬだろう、つまり了承と、こういうことになっているという意味を表わしているのですか、今のお話
  196. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) これも先ほど申し上げました通り、大蔵省は原則として国家経費の増はいやだということには違いないのでございますが、御承知のようにすでに負担法の改正案が出ておりまして、あれも増の要素ばかりなのでございます、現在では。で、従いまして負担法との均衡上いやではあるがこの程度ならのまざるを得ないのじゃないか、こういうような考えを持っている、こういうことでございます。
  197. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとこの際提案昔にお聞きしておきますが、これは本案施行に要する経費は本年度約一億円の見込みと、平年度約二億五千万円ということになっておりますが、本法が成立の暁、施行されるのは公布の日から施行ですが、「昭和三十月一日一日以後に発生した災害に係る災害復旧事業について適用する。」という附則になっておりまして、従って一月一日に遡及するわけですから、そうすると本年度公布の日から施行ということでなしに、遡及ですから、平年度の二億五千万円と同じ経費になるのではないかと思うのですが、その点は提案者の方でどうお考えになっているかということと、それからこれが修正されまして、いろいろな新しい部分が加わりましたが、そうしますと当然この経費が違ってくるのではないかと思いますが、この二つの点をどうお考えになっているのか、お伺いいたします。
  198. 小枝一雄

    衆議院議員(小枝一雄君) ただいま委員長からお尋ねいただきました総経費の問題でございますが、これは御指摘のように、一月一日に遡及して効力を発生するわけでございますから、正年の通りの大体予算を見込むことが平然であると考えております。なお、農業共同利用施設等いろいろ修正された点もございますが、そういう点を加えると、多少の増額は、これはやむを得ないことになると思います。これもすでに衆議院の方、決定になっておりまするので、本院においても御決定をいただくことになりまするならば、これはどうしてもわれわれとしては大蔵当局としてものんでもらわなければならぬ問題だと、かように提案者としては考えます。
  199. 江田三郎

    委員長江田三郎君) そこでそういうようにこれ違って来ますと、これは……。
  200. 森崎隆

    ○森崎隆君 その点を次官に念のため聞きたいのですが……。
  201. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと待って下さい。その経費が違ってくるということになると、本年度一億円の見込みであり、各平年度二億五千万というこのままの形では、ちょっと困ることになるわけですが、その点をこれは正誤という形でケリをつけられますか、提案者の方でどうお考えになっておりますか。
  202. 小枝一雄

    衆議院議員(小枝一雄君) 大体において従来の例から考えまして、一ヵ年間六千万円程度で済むのではないかとわれわれ提案者としては考えておるわけです。この提案理由なりこの改正の案文にございましても、支障のないものと考えておるわけであります。
  203. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をとめて。午後三時三十四分速記中止      —————・—————   午後三時五十四分速記開始
  204. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて下さい。昨日に引き続いて愛知用水公団法安及び農地開発機械公団法案を一括して議題にいたします。まず先般愛知用木事業地帯の現地調査の結果について御報告を願うことにいたします。なおこの際つけ加えておきますが、昨日の質疑の過程を通じて三大臣が閣議あるいはその他の方法をもってて、きのうの問題の点について意見を統一して、本日こちらへ出席なさることになっておりますが、ただいまその文案を検討中でありまして、おおむね四時ごろまでにはこちらの委員会へまとまった意見を持って出席される、こういうことになっております。それでは現地調査の報告を菊田委員にお願いいたします。
  205. 菊田七平

    ○菊田七平君 それでは愛知用水の現地調査の御報告をいたします。今般実施いたしました感知用水に対する現地調査の概要を御報告申し上げます。われわれ一行は、江田農林委員長初の四人の委員の特別参加を得まして、合計十人人で現地を視察するため、二十二日夜行で西下いたしました。二十三日の朝六時五分名古屋に到着、直ちに農林省の愛知用水関係者から現地調査についての用水幹線並びに施設の概要を聞き、また地元の東海経済懇話会や愛知用水協力会の方々の陳情を伺いました。地元といたしましては、愛知用水開発事業のもたらす経済的、文化的、社会的影響はもとより、農業面に及ぼす効果も甚大でありますので、公団の設立と運営及び人事等については、中央に偏することなく地元の要望を生かし公正かつ明朗に進められるとともに、地元の負担を考慮し、地元産業経済の機能を十二分に活用していただきたいとの要望が述べられました。一行は直ちにバスで、まず知多半島の受益地帯の現状を視察することとし、名古屋市を南下、横須賀町を経て半島の背梁部に当る東浦町に至り、この地方の用水幹線予定地と、本用水の完成によって開墾される丘陵地帯を見て参りました。この地帯は気候もよく地味もよいのでありますが、水が不足し、水田もほとんど天水溜池によっており、二毛作が行えない実情にあり、果樹、蔬菜なども常に早害に襲われている地帯であります。広い開墾可能の原野も残されているのでありますが、雨が少く水がないので陸稲も作れず、最もひでりに強い甘藷などを作っている実情にあります。  愛知用水が完成いたしますと、水田はもとより畑地灌漑も可能となり、荒廃している原野を開墾いたしまして、長野県のダム建設による水没農家の入植も可能となるのであります。従ってわれわれは開墾予定の丘の上に用水完成後の水路の分布や開墾予定地等を展望したのでありますが、地元の老若男女も続々参集して来まして、この計画が一日も早く完成するよう要望した次第であります。東浦を辞して用水幹線予定水路に沿って北上、大府、有松を経て水田地帯に入り、三好村役場で水田地帯の受益者の意見を聞き、実情を見て参りました。この地帯は水田八百町歩、畑七百町歩の比較的経営面積の大きい農家が多い農村でありますが、水不足のため九十六の溜池によって細々用水をまかなっており、水がないため二毛作田はわずか一五%しかない状態にあります。愛知用水完成後は、九六%まで二毛作が可能となり、もしかりに用水の地元負担が反当り二千円かかるとしても、二毛作化により麦三俵六千円の収入増は確実であるから、ぜひこの計画を実現してほしいとのことでありました。  われわれ一行の到着しましたところ、久しぶりに雨か降りまして、愛地用水現地調査団と結び合せ、「水の神様」の入来と村民は大へん喜んでおりました。  次いで挙母の開拓地を経て本地原の開拓村を訪れました。この地帯は旧陸軍用地を開墾して比較的成功している村でありますが、ここでも愛知用水の完成によって水田が造成され、畑地灌漑によって畑の生産力が増大するので、本用水の完成を心から熱望しておりました。  さらに高蔵寺、小牧市等幹線予定水路を北上、犬山市を経て、木曽川に沿い中仙道に入り、今渡発電所を経て、愛知用水の取り入れ口に当る兼山。ダムを見て参りました。  今回の愛知用水の計画によりますと、そのダムはロックフィル・ダム方式によるとされております。従ってわれわれはこのロックフィル・ダムとして最初に竣工した可児川水系の久々利村の丸山防災、ダムを視察して参りました。愛知用水とは規模が小さいですが、りっぱに完成して、成績もよいようであります。  このダムも辞して多治見に南下し、中央線に沿って瑞浪を経て中津川に至り第一日の日程を終りましたが、この日の行程はえんえん六十里、実に二百五十キロに達する現地調査でありました。夜も地元地方事務所、市役所の方々と用水の問題について懇談いたした次第であります。  第二日は中央線で木曽水系の各発電所や、ダムの説明を聞きつつ、木曽福島に到着、直ちに用水のダムサイトである牧尾橋に至り、現地について説明を聞くとともに、水没予定地をさかのぼって、王滝村の中心部に車を進め、水没地の現状を視察しました。知多半島等の受益地に比べ、祖先以来住みなれた故郷を湖底に沈めようという地帯であるだけに、村民の顔も真剣で、水没地付近には、ダム反対の看板も見ることができました。  木曽福島に引き返し、ここで長野県議会、西筑摩地方事務所、地元町村長等の反対陳情を受けました。何分にも戦争、敗戦という痛手を受け、さらにここで立ちのきを予定されている地元の村民の心情にも察するものがあり、ただ反対するよりほか仕方がないということでありました。公団法の審議に際しましては、地元住民のことを十分考慮してもらいたいとのことでありました。  なお、愛知用水の、ダムが完成しますと、地元営林局の森林鉄道がつけかえを必要となりますので、長野営林局及び全林野、全農林労働組合の方々からも陳情があり、水没森林鉄道については、事業実行上支障を来たさないようつけかえ工事を行うこと、田島操車場は水没させないこと、ダム工事中も森林鉄道の運行を中断しないよう工事を進めてほしいという陳情がありました。これら関係者の意見や陳情を十分考慮し、農林省として最も時宜に適する手段方法がとらるべきであると考えるのであります。  以上見たまま、聞いたままを御報告申し上げます。
  206. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  207. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて下さい。  今すぐに経済企画庁長官かお見えになるそうでして、昨日の問題点は高碕長官の方からお答えをいただくことにいたしまして、それはそれとしておきまして、この両法案について基本的な問題について農林大臣に御質問のあるお方はお願いいたします。
  208. 森崎隆

    ○森崎隆君 一点農林大臣にお尋ねいたしますが、私の聞くところではこの愛知用水の問題でいろいろ反対の空気の強い地域があるように承わっているわけでございます。特に長野、また岐阜というようなところではどうしても納得がいかないというような強い反対があると伺っております。こういうような事業は、事業としてはまことにりっぱなものでございますので、これを進めるためには、いいからといって無理をしてはならぬ。十分地元の意見を納得させ、何にも地元に相談せずにボーリングを打ち込んでじゃんじゃんやるというようなことは、むしろ土着の人々を刺戟して非常な混乱に陥れて、できるものもできなくなり、あるいはこれを遅延せしめるような結果を招来することがあるわけです。それは岐阜、長野あたりからそういう強い反対の意向がある。また陥没地帯等につきましても、そういうような反対のためでなくて、もう絶対絶命で反対しているというような地域もありますが、これまでに特に政府におきましてこういう地域につきまして事前に十分この事業の合理性を説くような努力をして納得のいくように努力をされた面があるかないか。また今後どのようにこういう了解といいますか、理解工作を進められるおつもりであるか、この一点だけ特に農林大臣にお聞きしたい。
  209. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 問題が二つあると私は思うのであります。一点は長野、すなわち水源地における関係でございます。この水源地における関係につきましては直接被害、影響を受けられる方々と、間接的に影響を受けられる方々との問題に分れます。そこで直接に影響を受けられるいわゆる水没地帯の問題でございますが、これにつきましては、直接に火没地域に入られる住民の方が大体百二十五戸でございます。それからその主たる耕作地を水没いたしますので、他に移住を余儀なくせられますものが五十二戸でございます。合計百七十七戸、これらの方につきましては近接に佐久間ダム等の例もございますし、われわれといたしましては、最大な努力、親切をもってこれらの方々に御協力を願うように、御理解を得ることにしなければならないと思っております。で、これが賠償等につきましては、いやしくも無理押しをしたりするようなことでなしに、あくまでも合理的に御懇談申し上げて御協力を願うことにして参りたい。しかも地元の方々におかれましても、できることならばそういうことのないことが御要望でありますることはもちろんでございまするけれども、われわれの方において今申し上げましたような熱意をもって御理解を得れば、必ずしも御理解が得られないというような地域ではないようでございますので、私たちといたしましては、その点については特に細心の注意を払って善処して参らなければなりませんし、参りたいと考えております。  次に関係の地域でございます。これにつきましてはいろいろ御要望もあるようでございまするし、強い御不満もあるようでございまするが、私たちといたしましては、この点はこの機会にはっきり申し上げておきたいと思います。これは他に影響するところが非常に多いのでございます。ことに全国に多数の事業所を持ち、国営開懇その他事業地を持っておりますから、これが取扱いのいかんは他の地区にも波及いたしますのでございますから、前例ともなりますのでございますから、これらの関係町村、もしくは関係地域の取扱いにつきましては前例等も十分考慮いたし、他の地区との関連等も十分調査いたしまして、善処すべきが妥当であると考えておるのでございまして、いたずらにこれに対して甘く臨むべきでもなし、さればと申してこれに対してただかまわないのだというようなことでやるべきことでもありませんので、今申し上げましたるような意味合において、慎重に他の影響するところ等も考慮いたしまして、善処して参ることが妥当であるというふうに考えておるのでございます。ただここに至りますまでの経過におきまして、これら関係町村関係、たとえば長野県、もしくは郡の町村長会等との間の連絡に農林省として多少遺憾の点があり、欠ける点のありましたことは私は率直にこれを認めます。これにつきましては今後そういうことのないように、十分部下を監督いたしまして善処いたしますることをここにお約束申し上げる次第でございます。  またなお、下流の岐阜、もしくは長野方面の用水の取り入れ口の経過等につきましては、遅滞なく必要るる処置は当然講じなければならぬのでございまして、これに対する必要な処置は責任をもって解決することをここにこれもあわせて言明いたす次第でございます。
  210. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと高碕長官がお見えになりましたから、昨日来の問題点につきまして、政府としての統一した見解の御発表、御説明を願  いたいと思います。
  211. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 昨日多少意見に食い違いがあるようなことがございまして、まことに遺憾に存じますが、いろいろ相談いたしまして、結論といたしましては、この前に御報告申し上げましたことと何も変りはないわけでございます。で、食糧増産につきましては、総合経済六カ年計画の構想におきまして、人口がふえ、またつぶれ地が起ると、こういうことから、また需要が増し、生産が減退するわけでございますから、これをまかなう方針として、経済企画庁において食糧増産対策費といたしまして三十一年度に百八十億円という数字が出ておるのでございますが、この六ヵ年計画は目下関係各省と打合中でありますから、近く経済審議会を中心といたしまして、民間専門家の協力を得て完成いたしたいと存じております。その際食糧増産の問題を含めて十分検討することとなるわけでありますが、政府といたしましては食糧増産の重要性にかんがみまして極力努力いたす考えでございます。そういたしまして今回問題となっております愛知用水等の計画につきましては、万一余剰農産物の受け入れが不可能に相なった場合におきましても、政府といたしましてはこれをやり遂げる方針であります。この余剰農産物が受け入れることができなかった場合には資金の調達には相当な困難が伴うと思いますが、財政の許す限り、既定の食糧増産事業に影響を及ぼさないように努力いたしたいと存じております。
  212. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま愛知用水問題につきまして、農林大臣から水源地関係の長野県及び岐阜、愛知に対して今後の政府の所信を明らかにされ、さらに予算委員会におきましても大臣は非常に今後手落ちのないようにというお言葉でございましたから、この点は了承いたしますが、この際企画庁長官にお尋ねしておきたいことは、申すまでもなく長野県のごときは電源県をもって任じ、発電所は皆長野県にあるのでございます。しかるに一たび発電所の設置を見、電源県である長野県の電力使用料金はどうだと申しますならば、東京よりも高くて、最近産業が従って下向きとなり、萎靡としてふるわない状態に追い込まれていることも御承知の通りであります。今県の異口同音の熱望と、地元のこれまた犠牲を覚悟でこれに応ずるというようなことに相なりますれば、第一に電源に対する電力の使用についてやはりこの問題はどうお取り扱いになるかということと、せっかく発電されたものであるから少くとも長野県のあの鉄道が非常な、今の夏場にいけば焦熱の中に皆さんがまつ黒になっているという状況をごらんになるでございましょうから、すみやかにこの電源の活用をしていただきたい。同時にあらゆる河川におけるところの護岸工事におきましては、いつでも赤字を出している県費をもって主としてこれをまかない、国からの助成を得てやっておりますけれども、負担においてもなかなか困難を来たしておる。この点についてやはり関係省と連絡をとりまして護岸工事などに対しましてこれを県費支出をあまり増加しないような方法をお考えになっておりますかどうか、この二点。  さらに一昨日も申しましたが、牧尾橋の貯水池に対しましての十分なる国内における優良な技師各位において再調査をして、崩壊のないような十分な設備を重ねておやり下さるかどうか。これは大臣からは御答弁があって、農林大臣からはすでに十分に考慮されるという言葉がありましたが、やはり企画庁長官としてもこれらに十分の協力を願わなければならないので、これらの三点について、地元民が納得して、しかも将来に災害を残さない、またこれによってひとり愛知用水によって食糧増産のみならず、日本の産業が相当伸展し、かつ山の奥の付近から下流まで総体公平に恵まれるというような方途をお考えになっているかということをお尋ねいたします。
  213. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) この第一の電力料金の問題でございますが、これは従前自由経済のもとにおきまして、電力会社はこの山の中で、ダムを作り、そうしてそのダムを作った付近の人が非常な犠牲を払っておるのにもかかわらず、その付近に対する配電というものが消費者が小口の消費者が多いと、そういう結果ついこのそろばん上の勘定から地元に対して薄かったということは事実でございます。この事実を調整するために、逐次電源開発会社その他政府の息のかかった開発をして参りまして、犠牲を受けたる付近に対する電力というものはできるだけ豊富に、できるだけ低廉に供給するということをとらしておる、その方針にいけるように十分努力いたしたいと思っております。  第二の、この電源開発その他ダムの建設等につきまして、いろいろ府県におきまして、いろいろな問題を生ずるわけでございます。それはなるべその府県の県費等によって、県民等の負担を軽からしめて、そうしてできるだけ国家支出をもってこれを調弁していきたい、こう考える次第でございます。  それから第三の問題につきましては、今回作りますダムはロックフィルでございまして、これは日本といたしましては以前胆沢においてあまり大きなものではないのですが、それをようやく一つやった経験しかないわけであります。今後この愛知用水ダム及び御母衣ダムにつきましては、どうしてもこれはある程度のアメリカの技術を導入してやっていきたい、こう思うのであります。すでに電源開発会社は数名の技師をアメリカに派遣しまして、十分その安全率を高めるという意味か、ら、従前の結果によりますと、アメリカ等におきましては、非常な大きな工事になりますけれども、安全率においてはほとんど心配がないと、こういう確信は得ておるわけでございますから、十分この点は農林当局とも打ち合せしまして、安心してダムの完成ができるように、安全率を十分盛った設計をいたしまして工事に着手いたしたいと思います。
  214. 棚橋小虎

    ○棚橋小虎君 ただいまの農林大臣の御答弁で、ダムの着工される地元に対して従来農林当局が交渉等においては非常に十分な手順を尽しておらなかったということを率直にお認めになりまして、今後はそういうことのないようにどまでも誠意をもって地元民の満足のいくようにして交渉をしたい、こういう御答弁がありまして一応私ども了解をいたしたわけであります。しかしながらああいう山村のことでありまして、ことに木曽の人たちは長い間森林の資源に頼って先祖伝来生活を立てておったものでありまして、それを一朝にして新しく開田される知多半島、さらに海岸地方にその人たちを全部移動させるということは、なかなか困難なことのように思うのであります。今後この折衝は、農林当局が誠意をもつて当られるならば、多分成功することとは思うのでありますけれども、万一どうしてもそこを承知しないと、こういうことが起った場合には、農林大臣としてはあくまで土地収用法によるというような手続によってもこれを強行される御意思があるかどうか、この点を一応ぜひお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  215. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) お話のよう意見に食い違いがあるようなことがごなことの事態になりませぬように、あくまでも誠意をもってお話し合いの上で御了解を得てやりたいと思っております。初めからいけない場合には土地収用法でやるのだというようなことはかりそめにも私としては考慮におかずに誠心誠意御了解を得ることに努めたい、かように考えております
  216. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいま棚橋委員から御質問がありましたことに関連するのですが、先だって私どもが参議院の農林委員会として現地視察に参りました。そのとき水没地帯の関係者からもいろいろ御意見を聞かされたのです。意見としては、こういう事業に対しては反対だ、こういうわけなんです。しかしあまりにも結論が簡単ですから、参考のために、しかし反対だといってもダムをどうしてもやるという場合には具体的にはどういうふうに皆さんはお考えでしょうか。もう少しこの幅のある要求というものがあるはずだが、というふうに聞いたのですが、ところがその際、これは農林省の係の方もおられるところですから、おそらくその通りだろうと思うのですが、地元の諸君が言うのには、全然農林省なり、あるいは県から話を受けておらない、この水没地帯に対してどういうふうに処理するかということについて全然話を受けておらないから、われわれとしても話のしようがない、従って絶対反対というふうに言わざるを得ないのですと、そういう話なんです。関係者がみんな寄っているところですから、どうも何か話があまり簡単ですから、散会して出がけに私なお念を押してみたのですが、やはりそういうことなんです。私は、この大きな事業をやって、そうして長年住んでいた所から追っ払われる運命にあるそういう人たちに対するやり方としては、これは農林大臣みずから認めておるから私あまり言いたくはないのですが、非常にこれは適切を欠いていると思うのですね。それできたのは先月の六月二十四日、書面によってこの地帯はいよいよ愛知用水をやることになった、一つ覚悟してもらいたい、こういうのが書面でぼっと、こう突然にきているわけです。しかし非公式くらいには何か話があったのでしょうと言ったのですが、それはありませんと言う。私はこれは非常に非常識だと思う。それは大臣自身もそんなことはなかろう。何か言ってくるだろうとお考えになるくらいに、これははなはだ適切を欠いている。私は、こういう事業がやはりもめるのは、出発点がやはりそういうところから出てきているからだと思うのです。いいことなら何でも少々手落ちがあってもいいのだというようなことには、これは絶対にならないわけです。だから十分一つこの点を農林大臣も考えるとおっしゃるから一つ親切にやってもらいたいのでありますが、そういう立場からまあ一つお聞きしたい。この水没地帯の取扱い方についてまあまだ十分な考え方はきまっておらないかもしれませんが、大まかでもよろしいから、大体こういう案を考えているのだということがありましたら、一つそれをお聞かせ願いたいということと、もしそういうものがおれば、一体それをどういう形式で地元の諸君に一つ話しかけていくことになるのか、そういう点についても大まかなところを一つ御披露願いたい。
  217. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私もそういうことは経験がないのではないのでありまして、反対の立場に立って、いろいろ地元民の側に立って当局と話をした経験も持っておりますが、以来官庁のやりますことにはそういう点に欠ける点が多いというふうに私も考えております。ところが、今回は実は私も多少の注意はいたしました。しかしこれは事業の計画の途上でございますから、いたずらに刺激をすることもどうかというようなふうに考えておりまして、主として係に質問をした程度で今日まで参ったのでございますが、多少の僕達は持って参ったように私は報告を聞いておったのでございますけれども、遺憾の点がございましたことは、だんだん私の調べたところで明確に自分で把握をいたしましたので、先ほど申し上げましたようにお答えをしたのでございますが、しかし今後しからばどういうふうにして参るかと申し上げますと、大体は先ほど申し上げました通り、近接地たる佐久間ダムの先例を一応基準にとりまして、これを基準としてこの問題の取扱いをして参りたい、こういうふうに考えております。しかしこれは物質上の問題だけで片のつく問題ではないのでありまして、それには、納得を得るためあらゆる努力を払う必要があり、感情をそこにまじえて考えていかなければいけないと思いますので、あらゆる地元の方々の感情の満足のできるように当局としては考えていかなければならないと思っております。具体的には公団が発足いたしまして、公団が当面の責任者としてこの衝に当るのでございますが、利自身といたしましてもこの公団を十分監督いたしまして、そして万遺憾なきを期するように、これはこの場合にあらためて申し上げますが、必ず私は今私がここで申し上げました精神にのっとって、この問題の解決に当るように十分監督をするつもりでおります。
  218. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今の問題と関連してお聞きしておきたいのですが、この佐久間ダムを基準にして、ということはわかりましたが、由来電源開発の方の関係は金銭的な補償に重点が置かれてきたのですが、そのためにたとえば一部からいろいろ批判されるような、その金銭の使い方等の問題について批判されるような問題も起った、そこで私どもは一定の金額、これはまあ絶対的に必要ですけれども、同時にあとの農家が生計が立つような、この農業経営の設計ということを重点を置いて考えていかなければならない、従ってただ金銭的な補償というよりもかわりの土地をどうするか、またそこでどういう経営ができるかということが特にこの農林省として関係をもってやられる以上は非常に重要な点だと思うのでありますが、佐久間ダムを基準にして、と言われるのは、おそらく農林大臣としては私がお聞きするようなことは十分お考えになっておると思うのですが、ただそれだけ聞いておりますというと、何だか電源開発流の補償というような印象も受けますので、その点をちょっと念のためにお聞きしておきたいと思います。
  219. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御意見のことはまことにごもっともでございまして、私の申し上げましたのは一応会社としての基準を申し上げたつもりでありまして、その後の農業経営の確立につきましては、農林省といたしまして十分他の適格地に移住をして、そうして本人の御要望によれば農業経営の成り立つようなことについて十分考慮していかなければならないことは当然考えるべきことだと思っております、その点につきましては万遺憾なきを期するように指導して参りたいと思っております。
  220. 亀田得治

    ○亀田得治君 先ほど経済企画庁長官説明された点についてちょっとさらにお聞きしておきたいと思うのですが、この六百八十億という数字、それからこの大ヵ年計画に伴う食糧増産計画、私のまあ聞きたいのは六ヵ年計画に伴う食糧増産計画というものは、こう立っておるわけですね、愛知用水と別個に、それはどうなんです。その点を先にちょっとお聞きしたいのですが、それは愛知用水を含めて立てておる数字なんですか。資金計画には六百八十億以後の年の……。
  221. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 大体の六ヵ年計画におきましては、六年後に米穀を千三百万石増産する、それによってつぶれ地によって減るもの及び人口の増加によって消費のふえる数量をバランスをとっていこう、この立て方でありまして、それの第二年度といたしまして計画いたしますというと、大体の数字は六百八十億という数字が出るのでありまするが、これにはもちろん愛知用水等も入っておるのであります。それをずうっと完成するというふうな考えで進んでおるわけであります。
  222. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうするとこの六百八十億以後の年度の資金計画ですね、それと、その毎年の増産計画の目標、これはどういうふうに数字的に立てられるのでありますか。ちょっと今わかれば御説明願いたいのですが……。
  223. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 今政府委員から数字を説明いたします。
  224. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) それでは御説明申し上げます。ただいま長官からお話しがありましたように、六ヵ年計画の食糧増産に伴う所要資金の問題でありますが、これは再三御説明申し上げましたように、それぞれの工事等を詳細に積み上げまして、そうして作ったものではないのでありまして、先ほど長官から御説明がありましたように、少くとも人口の増加、あるいはつぶれ地による減産等を考慮いたしまして、そして輸入食糧をこれ以上増さないと、そのためにはどれほど増産が必要かというのを基本的な前提条件にいたしまして、そして最終年度におけるこの増産量を出して、それを逐年どういうふうに増産をしていけばよろしいかという計画を立てまして、そしてその計画に必要な資金を大体石当り幾らというふうな大ざっぱな数字で達観的な所要数字をはじき出すだけででございまして、その中における各工事の内容等はこれから検討をする、ないしは現在検討中でございます。ただこの愛知用水の問題に関しましては、三十年度に関しましては前々から申し上げましたように、まだ予算等もきまっておらんところでございましたので、一応三百五十億というもののワク外にきめておったわけでございますが、今度これがはっきりきまりますと、事業としては継続事業として発足して参るのでございますから、当然継続事業といたしましては今後の増産に伴う全所要資金の中の一部として入るものというふうに観念的に観念いたしまして、そうしてその中には入っているものというふうに考えている次第でございます。
  225. 亀田得治

    ○亀田得治君 私少し大事な点ですからこまかいようなことですが、次からは愛知用水を含めた数字が計画されていると、こういうわけでしょう。だからそれを六ヵ年というおよそ計画されている数字を一応ここへ出してもらいたい。
  226. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 前の三ヵ年に関しましてはこの前に申しましたように、その数字で参りますと、初年度は三百五十億先ほど申し上げました通りでございます。三十一年度には六百八十億、三十二年度は七百五十億、合せまして千七百八十億というような計算になっております。
  227. 亀田得治

    ○亀田得治君 そのあとはどうなるんですか、六カ年計画の……。
  228. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) そのあとの三ヵ年に関しましては年次の計算は作ってございません。
  229. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうすると、まあ六百八十億の次が七百五十億というものを予定していると、先ほど経済企画庁長官はもし余剰農産物がだめになった場合には愛知用水の費用を確保するのには相当やはり努力が要ると、しかしこれはどうしても確保しますと、こう言っている。ところ私どもが聞いているのは、愛知用水は始めた以上はこれは必ず円資金を確保するでしょう、これは。ところが、たとえば七百五十億と三十二年度は出ているわけですね、その際に余剰農産物というものを考慮に入れてそして計画されているわけですから、もしその余剰農産物がだめになったというような場合にはその円資金を確保するためにはどうしてもこの七百五十億の中の愛知用水以外の土地改良等の費用というものを削るおそれがあるのじゃないか、だから愛知用水の部分をぬけると、七百五十億からぬけると幾らになるかわかりませんが、これは計算すればわかるが、ぬけたものを幾らか出ますね、五百億なら五百億、その五百億というものは絶対にこの愛知用水以外の土地改良費等としてこれは確保して行く、そういうように言明されるのであれば、これはたとえ余剰農産物がどうなっても愛知用水の費用はまた何かほかの方で操作して出してくるのだろう、こういうふうに大体われわれとして確信が持てるわけですが、その点なんです、私どもの危惧するのは。それは、どうなんですか。
  230. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) その問題は、先ほど長官からも申し上げた通りでありまして、従来の既定の食糧増産事業費には影響を及ぼさないようにその資金を確保するという建前でいきたいと思います。ただ全体の六百八十億という数字は、先ほど来もその内容を申し上げましたように、客観的に立てた数字でございますので、あるいは土地改良、あるいは開墾干拓、あるいは耕種改善等いろいろのやつが織りまざっての全体の増産資金でございますので、あるいはその間のあんばい等することによって財政上の状況とにらみ合せてそして食糧増産事業そのものには影響がないように、しかも所定の数字は確保できるようにと、こういうふうに工夫して参りたいと、こういう数字であります。
  231. 亀田得治

    ○亀田得治君 経済企画庁長官一つ簡単に聞きますが、たとえば六百八十億、あるいは七百五十億と、この中から愛知用水の円資金ですね、これは現在は余剰農産物等が入ってくるというふうにちゃんと計画を立っている、これは私ども資料もらっているのですが、これに基いて円資金を、こういう愛知用水分を引くと幾らか数字が出ますね、その出た数字は必ず一般の土地改良費そういうものに充てていくのだ、これは言明できるでしょうな。
  232. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは余剰農産物がかりに手に入らなかった、それだけの資金が入らなかった場合におきましても、最初計画は愛知用水初め食糧増産等には支障を来たさない、この方針で進んでいきたいと思っております。
  233. 亀田得治

    ○亀田得治君 はなはだしつこいようですが、愛知用水のことは今いいのです。今聞いていない。愛知用水の資金は必ず守るということはあなたおっしゃっているのですから。それ以外のものです。それ以外の分についての計数が出てくるのですね、愛知用水の資金を引けば。だからそれだけの……、一般食糧増産に支障を来たさないように努力すると、そんなことを聞いているのではない。努力とかそんなことではなしに、愛知用水の分を、七百五十億から六百八十億を引くと出てくるその数字は、一般食糧増産のために充てますと、こういうふうに言ってもらえば済むわけです。そう言って下さい。(笑声)
  234. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 先ほど来いろいろ申し上げましたように、この千七百八十億というトータルの数字は、出した根拠がそういう根拠でございますので、これが最終的にきまった数字で、そしてこれが積み上げた、各事業とも正確に織り込んでそして各省、あるいは他の事業等も関連させまして、そして政府として細部の点から見ましても間違いありませんという数字であるならばお説のようなことになろうかと思います。しかしながら、これは冒頭から申し上げましたように、このくらいの、この原則をくずさんでいこうとすれば、このくらいの金が必要だというわけでございまして、その中の事業等はまだ十分練っておりません。従いましてトータルのこの金はドル面として必要だということであって、財源として来年の形から見てそのくらいつくかどうかという点は今後審議会等で十分検討して、そしてその上で来年度の予算と、こういうことになるわけでありますので、観念から申しますとお説の通りかと思いますが、実際問題といたしましては、あるいま若干事業のあんばい等によって変化があると思ってもいいのではなかろうかと考えております。
  235. 森八三一

    ○森八三一君 今の説明は私は理解いたしますが、こういうことではないのですか。その六百八十億とか、千三百五十万石というものは、まだ経済企画庁としての一応の案であって、コンクリートな国策として閣議で決定したものではない、そこで今後つぶれ地とか、あるいは人口の増というものをはっきり見きわめをつけて、輸入食糧をふやさないためには、年次別計画がかくあるべきであるという結論が出ると、その出たものを遂行するためには年次別に幾ら金が要るということが確定される、その確定されたものには決して愛知用水が災いを持ち来たすことのないようにするということをはっきり言明されたと私は承わったのでありますが、そういうことであれば、今の御質問は、具体的な六百八十億という数字が出ましたので、そこに多少問題が残ると思いますが、私は愛知用水というものが決して今後具体的にコンクリートされる計画に食い込んでくる。しわ寄せを与えるのではない、それだけのことはやるのだということを政府の統一した見解として御表明になった、こういうふうに理解してよろしゅうございますか、そうではございませんか。
  236. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) あなたの御質問通りでございます。(笑声)
  237. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私は先ほどの予算委員会で大蔵大臣に質問いたしましたが、余剰農産物三年間二百四十億は無利子で借りて、それを電源開発等には四分で貸している。三年間においても特別会計の方では二十二、三億の余剰金が出る、その処分についてはどうするのか。できるだけ事業の特質上、農業開発の方に再投資をしていただきたいということを大蔵大臣に質問いたしたのです。できるだけ再投資をする御答弁があったのです。それと関連いたしまして、今度の愛知用水の地元負担の関係でございますが、農林大臣の御意見をお伺いいたしたい。これは、愛知用水公団は、本年度二十四億五千万円余剰農産物の特別会計から借金する、それは四分で二十年借款する、地元へは全国一般の農家と同じように六分五厘で十年とか十五年で貸す、そうすると二十年たつと、本年二十四億貸したのが公団は四十三億も余剰金が出てくる、本年また第二次の借款、たとえば三十億であれば二十年たつと八十億くらいの余剰金が公団に出てくる、農民の方はどうかというと、先般、現地調査にいきまして、ある村長の意見を聞いたのですが、大体どのくらい毎年償還能力があるのかという質問に対して、何ら政府の方からはっきりしたお示しがないからよくわからぬが、私どもは大体一反歩二千円程度が償還の限度であろうと考えているから、ぜひそういうふうになるように、長期、低利の償還にできるようにしてもらいたいということを言っていたのです。配付された資料によりまして、農民の負担は六分五厘の十五年で、毎年九億何千万円、三万町歩くらいであると、一反歩三千円くらいになる。農民は自分たちの考えているのは二千円くらいの負担だ、今度きまると大体三千円くらいになる。そして公団の方は二年間たっと四十何億余剰が出てくる。この愛知用水の事業費については、現在、全国平均でやっているのは、およそ反当事業費で言うと二倍以上じゃないか、収益も多いかもしれませんが、事業費も非常に多い、そこで全国一律の六分五厘の十五年年賦でやって公団が余剰を出すということでなしに、もう少し借款でやるなり、この地区についてはそう余剰を残す必要もないからできるだけ低利の長期で貸し付ける方法をとるのが必要かと私は考えるのです。それに対して農林大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  238. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御趣旨ごもっともでございます。その道の専門家であられる方々の御意見でございますが、何分四十年の長期にわたって案を立てるのでございますから十分に安全度を見てその経過において支障のないように、多少今御指摘のように、低利には余裕が見てありますが、最終年次におきまして、余裕金が出ました場合には、これが処分につきましては、いずれまた国会の御決定を待ってこれを地元に還元する、ないしはまたこの費用を公団の解散のときにこれらの処分をどうするかということを法律で定めたい、こういう一応の案を持っているわけでございますが、今御指摘のようにだんだん計画をコンクリートにいたしまして、地元民の負担等を緩和いたしまして、今御指摘のようなことについてはさらに考慮する余地があるということであれば別にこれは考えてもいいのではないかと思うのでございますが、一応われわれといたしましてはただいまお示しいたしておりますように十分な安全度をもって計画を立てておるというわけでございます。
  239. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今の溝口さんの御質問の中の反当どのくらいの負担になるかということは事務当局の方からでも……。
  240. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) この点につきましては、だんだん計画もコンクリートになって参っておりますが、ダムの建設がたびたびお話が出ましたように、どの形式によってやるかによって非常に経費が違ってくるわけでございます。そういうことのために最初の予定のコンクリートでございますれば相当高くつきますし、その後研究されておりまする締め切り方法でやれば相当経費が節減されますので、それらの方法で、最終の反当の値段等についてはまだ一応の案の程度であるというように御了承いただきたい。
  241. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ただいま農林大臣の御答弁ですが、三百二十億の事業費の振り分けでございますが、これについては昨日も江田委員長から御質疑があったようでありますが、この振り分けの妥当性と願の算定については非常に疑問がある。やり方についても算定の基礎についてもこれは十分に内容を検討する必要がある。そこで今農林大臣はダムのやり方についてもロックフィルでやると非常に安くなるということでありましたが、これは非常に根本的な問題があると思う。コンクリートダムをやる場合には、一億何千万トンという貯水量がロックフィル・ダムにしたら六割になった、電力の発生量も当初に比べると六割になってしまった。ところが農業の方は開墾をやるとか、畑地灌漑をやって収益の面で一年に五十億にしてある。農業負担は当初に比べると農民の負担は多くなっている農民は初め二千円くらいの負担だと思ったのがだんだん、まだお示しがないけれども、まあ二千円くらいだと思っていたのが今度は三千円になっている。このように私は六分五厘で今まで通り十五年で償還するということになると、これは問題が出るから、今まで通りでなくて、余剰が出たときに法律関係でどう処分するかということと同時に、何か償還について特例でも設けてやることを検討なされるかどうか、それを伺っておきたい。
  242. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 係官からお答えいたしますから御承知いただきたい。
  243. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 農民の負担は先般お配りしました資料の中にありますように、年の償還額が九億三千三百万になっております、従いまして三千三百七十町歩で割りますと、約二千八百円の計算になっております。この中身は非常に複雑になっておりまして、旧田の補水、農地の灌漑、新しい開田、開畑、それの畑地灌漑、一切の費用を含めておりまして、この中にはたとえば従来でありますれば三千町歩の中に見合っている新規開墾、これらの開墾負担が自己負担になっておったものを今度の場合は公団から農家の希望があれば補給をする。しかし計算は一応全部希望があるものとしてこれを融通するという計算にしております。そういうものを分析いたしますと、たとえば旧田補水につきましては、これはあとで資料をお配りいたしますけれども、千九百円になり、畑地灌漑は二千七百円程度になる。それから今言っております機械開墾その他で開墾作業費を公団に委託すれば、この委託料は年の負担が反当三千円くらいになる、こういうことになっております。従いまして私どもの方では大体反当の費用は中位でないかと、こう考えておるのであります。
  244. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 どうも根本問題がはっきりしない。これが従来の農林省計画である場合にはあるいは六ヵ年計画、あるいは五ヵ年計画いろいろ作ったわけであります。そうした計画に対してはこうまで私どもは言わない。少くとも経済企画庁というものができて、そうして企画庁長官がおやりになったのです。この数字を私は二億や三億どうこう言うような問題でない。昨日は大蔵大臣、経済企画庁長官、農林大臣も皆そういう一般に悪影響を及ぼさないという抽象的なお言葉だけれども、それじゃやはり納得できない。私は国家に重大な問題が生じた場合はこの事業をこの通りやるとかやらぬとかいうことは話が別だが、生じない以上はこの計画をするのだ、三ヵ年計画でお出しになったこの計画で大体今の内閣はいくのだというくらいのことは言うていただかなければ、二日やったって、三日やったって何のことやらわからない結果になってくる。また昨日のことを繰り返さなければならない。そのくらいのことを言うのは私は当然だろうと思いますが、企画庁として計画をお立てになった以上は、農林省が独自で食糧何カ年計画を立てたのとは違う。だからその点をどうか一に国の将来のことですから、これは非常な大異変が起って、国家の支出ができないというような場合は別として、大体においてそういう方針で今の計画はやっているのだという程度のことはここで発言していただかなければわれわれは進むことができないと考えます。どうかその程度のことでいいのだから……。それがおっしゃれなければ企画庁がせっかくできても、何のための企画庁かということに私はなると思う。企画庁というものは将来継続してこれを国民が信ずる、この間できたんでしょう、どうか一つその程度のことはここで国民のために御発言をお願い申し上げます。
  245. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 経済六ヵ年計画におきましては、先ほど申し上げました通り六年後の米穀千三百何十万石というのを必ず増産する、六ヵ年間にその方針は一歩も曲げないつもりであります。その中に愛知用水等も含まれているわけなんです。さよう御承知願いたい。
  246. 田中啓一

    ○田中啓一君 長官のおっしゃることはいつもきまり文句でありますが、実は経済三カ年計画というもうは予算委員会において閣議を経てお出しになったわけです。初めは経てなかったものが出ておったわけです。その中に資金計画として食糧増産に六百八十億を使うと書いてある。その六百八十億から三十一年度の愛知用水というのは円資金四十九億五千万円でありますから、一口に言って五十億、その五十億を引くと六百三十億が残る、六百三十億というものは出すつもりか、出さぬつもりかということを皆が念を押している。これをどうもここに至って言わなければ経済三ヵ年計画というものは何のためにおきめになりましたか。予算委員会では皆いいかげんの資料を出して通ってきたかということになるわけであります。でありますから、どうしてもこのことは言わざるを得ないと思うのであります。が、しかしなかなか思い切った金でありますから皆が心配いたしましてせっかく企画庁もできて発足して各省に対する勧告権もお持ちになったのでありますけれども、国会は憤然として持たせろ、こういうことでやったわけなんです。でありますから一つ勧告権を持っている経済企画庁長官がやるつもりだ、こう一つ一言はっきり言っていただきたい、こういうことであります。どうぞ御所見を……。
  247. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは六ヵ年計画を完遂いたしますためにはどうしても六百八十億円という金を来年度において、この食糧増産のために支出をしなければならぬ。こういう数字ははっきりしたわけなんでございます。しかしながら来年度予算を組みます上におきまして、やはり予算というものは実際の積み立てからやっていかなければならない。積み立てしたときに果してそれだけの金がとれるかどうかということにつきましては、これは各省の連絡ももっと密にしなければならぬ。こう存じておりますが、経済企画庁長官といたしましては、これを貫徹するように十分努力をするつもりでございます。
  248. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ、それは一つ日をあらためてよく聞くことにしましょう。農林大臣にこの事業のやり方について、一つ基本的な考え方を聞かしてほしい。というのは、世界銀行とどうも交渉をする過程においてこの事業をやるについてアメリカアの機械を買う、それから技術者を使う、こう何かひもをつけられて、どうも押しつけられたように私どもしろうと目ですが思うのです。現地に行っていろいろ説明を聞きましても、日本のほんとうの技術を動員すればあの程度のことは、幾らかはそれはおそくなるでしょうが、今の日本の技術で私は絶対やれないことはないものだ、こういうふうな実は感じを持っている、大がかりに言って……。ところがどうも資金全体からいってわずか一割程度の金を借りるのに、その過程においていつの間にかおっかぶせられてしまっている。それは前大臣のころからの話かもしれませんが、そういう感じがする。そういう点がありますと、これは愛知用水だけじゃなしに、やはり日本の研究機関なり、技術者を非常にくさらせると思う。あちらの諸君がやって来れば……ともかく日本の技術者と同じようなことをやっておったって二十倍以上の俸給をとって、そして相当のやはりどうかと思うことがあるわけなんですね。こういう点農林大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  249. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 愛知用水にいたしましても、機械開墾にいたしましてもアメリカの、非常に規模のまさった機械を導入いたしまして、そうしてわが国の困難な土地改良を完遂して参ることに寄与できることになれば非常にけっこうだというふうに私は考えておりまして、これを国内にその機械を求めることが可能であり、わざわざ世界銀行から金を借りるためにあちらの機械を買うというようなことは絶対にこれはいたしたくありませんということははっきりここで申し上げられると思うのであります。問題はただいま申し上げましたるように、新しい規模で、新しい機械を入れて、そして従来困難とされておりました開墾事業を進めて参る、さらにまた新しい構想で新しい技術をもって、そして木曽水系の総合開墾をして参ることに寄与せしめるというようなことは、私はいいことじゃないかと思うのでございまして、ただそれがいたずらに金を借りるためにひもをつけられて云々というようなことの誤解のないように、十分注意をして参る必要があろうということは御説の通りでございますれども、さればと申して年限がかかってもよかろうし、またこちらの機械でもやればやれることであるというようなことでなしに、どうしても国家的視野に立って利用できる可能な、あらゆる施策はこれを利用した方がよろしいのじゃなかろうか。そして早くわが国の土地改良の水準も上げていく方がいいのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  250. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今亀田君の質問に関連してちょっと農林大臣と企画庁長官にお聞きしておきたいのですが、実はこの愛知用水直接の問題じゃございませんが、一体将来政府として国内の研究機関というものについてどういうお考えを持っているかということをお聞きしたいのです。それが先だって私ども農林省の木材研究所ですか、そこへ参りまして、そこで私どもそこの業績を見て、たとえば闊葉樹に対して防腐剤の注入ということをもう一歩で成功しかけておる。しかしそういう人の今まで苦労したのを見ると実に非能率的な研究を積み重ねられておるわけで、もっと国としては国内の研究機関ということについて真剣に考えなければいかぬのじゃないか。その点について委員会としても別に一日研究機関のことだけを一つ取り上げてやっていかなければならぬということを申し合せておるわけなんであります。ところがこういう国会でありましてその目がなかったので、さらに来年度の予算編成を前にして農林大臣も近く外遊されるということで私どもその機会がなくなるのじゃないかということを非常におそれておるのでありますが、ただいまこの問題に関連しまして亀田君は、もっと国内の試験研究機関、あるいは技術者の養成というようなことに力こぶ入れたらどうかということを言われましたが、これは一つ、企画庁の長官は特にそういう点について私はお考えが深いと思うのですが、来年度の予算編成に当りましてはこの試験研究機関に飛躍的に力こぶを入れていこう、こういうお考えがございますかどうか、ちょっと関連してお聞きしておきたいと思います。
  251. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私も先般目黒の林業試験場を視察しまして、今、委員長お話のように、その感を非常に深くいたしました。私は来年度の予算の編成に当りましては試験場の費用を大幅に増額することを所員一同の前に約束をして参りました。非常に職員の諸君もこれに感激をいたしまして一段と努力を重ねておると思うのであります、私といたしましてはただいま申し上げますように、試験場におきましては目黒の林業試験場でありますとか、平塚の農業技術研究所でありますとかいういうような程度しかまだ大臣就任以来見ておりませんけれども、なるべく多くこれらの機関を十分研究いたしまして能率を上げるようにしなければならぬ。これはかねて申し上げておりまする通り、農業経営、農林行政の基本の技術の高揚、進歩に出発いたしまして、その上に立ってわが国の農業経営の改善をいたしていくのが筋である、それを基礎にして補助、助成の政策立てていくことが正しいことであるというふうに、私は深くその感を持っておりますので、私といたしましては、たとえば農業センターの問題にいたしましてもアメリカと交渉をいたしまして一応東南アジアの農業技術センターという構想でおりますけれども、わが国の農業の各種の技術の粋を一堂に集めて、そこに十分なる総合研究の機会を持たせるというふうに考えてせっかく今努力中であるのでございますが、これはアメリカとの折衝が失敗いたしますれば日本の国費をもってでもある程度この道は開いていかなければならない、こういうように考えておるわけであります。
  252. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ついでに高碕長官。
  253. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ひとり農業といわず、日本の経済を自立さすためにはどうしても科学技術というものを振興してこれによらなければほんとうの発達はしないと、こう存ずるわけでありますが、現在日本といたしますれば、この戦争中約十年間外国におくておると、これは何としても動かすべからざる事実なんであります。これを早く取り返すというためには、あるいは技術者は一ときは多少いやがるでしょうけれども、ある程度やはり外国の技術を導入する必要があると存じます。同時に、国内の技術者に対しましてはうまずたゆまず、そうして希望を失わせしめないようにして、いろいろな新しい研究に努力せしめるというふうに、こういうふうにいたしたいと存じまして、すでに科学技術庁を独立さして、それを別に一つの庁として実行したらどうか、こういうふうな意見もありまして、私どもはこれにむしろ賛成しておる一人でございます。けれども今日の体制といたしましては、まだそこまで飛躍的にするのはどうかと存じますが、できるだけ科学技術というものを総合的に、そうして重点的にやっていかなければ、この日本の経済自立はできないと、こう存じまして、十分尊重してやっていきたいと存じます、その科学技術の振興につきましては……。
  254. 亀田得治

    ○亀田得治君 農林大臣から、その借款を受けるために、いろいろな技術者等のひもをつけられてはならない、そういう考えは同じだというふうにまあ言われておるのですが、実際上この借款交渉の過程において、私はアメリカ側からそういう要請があって、そうしていつの間にかそういうひもがついた格好になってしまったと、まあ私はこう思っておるのです。しかしこれはまあ一つもう少しまだ日がありますから、事務当局等と十分そういう点についての一つ論議をやって見たいと思うのです。  そこで農村大臣に一つこれも大きな問題としてただしておきますが、この愛知用水をやるについて、まあ外国の技術者を使うのはやむを得ないとしても、たとえば全体の設計とか、あるいはこの幹線の重要な場所の工事とか、そういう点についての外国の技術は必要かもしれませんが、非常に末端の下請的にやるような仕事ですね、そういう面にまでどうも外国の会社が入ってくるように私ども心配しておる点はあるのですが、どの辺にそういう、その線を一体引いておるのか。私どもはできるだけそういうものは一つ少くしてもらいたい。全体でどの程度のことを考えておるのか。大まかなところを……。
  255. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 設計すなわち技術的援助は、ダムと主要幹線の設計ということだけにいたしておるのでございます。
  256. 亀田得治

    ○亀田得治君 その事業の実行面はどうなんですか。
  257. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 技術の援助だけでございますから、たとえばその工事をするというようなことについては全然関係ございません。
  258. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは全部日本側でやるのですか。
  259. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) こちら側でやります。
  260. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうですか。それじゃもう一つ、ほかにも御発言があるようですが、聞いておきますが、この愛知用水を日本の技術だけでやろうという場合に、どの程度の年限がかかるのか、そういう点についての一応の計画を立てられた時期があったろうと思うのですが、それはどうなんです。
  261. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) そういうことを考えた、計画したことはないそうでございます。
  262. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは私、だから先ほど委員長みずから関連質問されたようなことが起きてくるのです。やはり私いろいろな事情からいって、愛知用水は一つ外国の技術者の援助を得てやるとしましても一、やはり日本だけでやって見たらどうか。しかしこれで、はこういうふうになるから、どうもちょっと困るというふうなことならわかるのだが、検討もして見なかったということじゃ、これちょっと納得いきませんな。河野さんらしくない、それは……。
  263. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御承知の通り、話の始まりましたのはだいぶ前のことでございまして、その当時に外資を導入することによって、ないしは余剰農産物の資金によってこの事業は計画をされ、仕事が始められ、実際に着手する計画になりましたことは御承知の通りでございまして、でございますから、スタートから日米の間に十分な理解、協力、研究というようなところから出発しておりますので、初めこちら側の技術者だけで、この工事、事業を設計し、計画し、そうしてやろうとしたが、金がないからたまたまそこに余剰農産物の金ができ、世界銀行の金ができてきたからかかろうというようなスタートではないようでございまして、まあ私としましては、前内閣以来計画をされ、事業は進行中でございましたので、これを一内閣の更迭によって事業を中断し、変更すべきものじゃないという建前からそのまま踏襲して参っておるわけでございます。最初のスタートにおきましては、いろいろ研究はされたと思いますが、そういう事情でございます。
  264. 亀田得治

    ○亀田得治君 その経過は私も了解できるのです、そういう経過できておることは……。しかしこの外国の技術をやはり使わなくちゃいけないのだということを納得させるためには、じゃ日本の技術でやったらどうなるのかというものを、一応この推算でも出されれば、なるほど日本の技術でいけば三倍もかかるという結論か出てくるのであれば、それはやむを得ないであろう、こういうふうに、私どもこれはもう即座に了承しますよ。だから法案を審議される以上は、やはりそういう比較ができるようにしてほしい。で、ほんのわずかなんだということであれば、愛知用水はこういうふうにやっても、今後はこういう種類の事業は全部日本側でやれるじゃないか、これで少し勉強もするわけですからね。そういうこともいいのだし、やはり経過は農林大臣のようなことでありましても、そういう面からのやはり検討した結果だけは、私どもはやはり知りたいと思いますし、今からでもやはりやってみてほしいと思いますね。
  265. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御承知の通り、本事業は世界銀行の融資もその資金の一部に取り入れておるわけでございます。従いまして、世界銀行が融資いたします場合には、世界銀行の信頼する設計、信頼する技術ということが当然条件になって参ります。そういう意味で今亀田さんのお話しの点、十分私も納得できるのでございます。ただまあテスト・ケースとして、こういうふうな行き方で一つ事業を遂行いたしまして、その間に十分わが国の技術者諸君にも御勉強を願いまして、そうして次に、同様な計画を立ててやらなければならぬ段階が次にまた当然くるわけでございますから、そういう場合に十分資料を参考として勉強するということでいくことが私はいいのじゃないかと思うのでありまして、これを今お話しのように、向うの技術でなしにこっちの技術をもってすると、これは必ずしも不可能でないかもしれませんが、たとえば資金の面その他におきましても、この方法でいくことが総合的に一番便利である、事業を進行するのに一番好都合であるというような意味から、スタート以来この方向で本事業がきておる、こういうふうに私は考えております。
  266. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 どうも農林大臣あまりその点、予算委員会で私もお聞き申したのだけれども、あまり御承知でないようで、局長がだいぶ耳打ちをしておるようです。局長の方がよく知っておるようです。今亀田委員の御質問に対して、ダムと幹線水路の設計の範囲、ダムと幹線水路ならば、これは全部じゃないか。ほかのことはさておいて、それはおかしい。ダムと幹線水路ということになると、これはもうほとんど全部、それを全部設計をアメリカにゆだねて、範囲と言うのは、これはきわておかしい。なお公文書の、私はこのひもつき、ひもつきと言うておるのですが、大臣の公文書の取りかわしとかいうものはおそらくないだろうと思う。ところが了解事項が僕はたくさんあるだろうと思う。必ずそれで機械の面においてもどの範囲に了解しておるのか。これはいわゆる公団の総裁がきまってから総裁がやるんだとおっしゃっても、これは農林大臣の名において監督していく、農林大臣の意思によっていく。だからこれは局長にお尋ねしますが、今ひもつきと称されておる部分、どのくらいまで、いわゆる了解はしておらぬと言われるかもわからぬけれども、しておらなければ金を貸すはずはない。だから結局その点をどの範囲に了解しておるか、設計及び技術の導入、監督、運転、それから機械というようなものをどの範囲に今まで話し合いになっておるか。話し合いというと、もちろんこれは最も適当だろう。ところがその話し合いは、私の察するところによると、文書は出しておらぬので、もう確実な私は了解事項だと、こう推定しておるのであります。そう言うと、まだそこまで正式な取りかわしはしておらぬと言われればやむを得ないんで、それで結局どの範囲において、あらゆる方面において話し合いをしておられるかということをお尋ねいたします。
  267. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 先ほど大臣がお話しになりましたように、世銀が本事業に借款するに際しては、まず基本計画と申しますか、その事業概要について、銀行の融資の対象になり得るかならないかということについて、世銀の信頼する技術コンサルタントの意見をつけて持って来いと、こういうことで、われわれは最初にパシフィック・コンサルタント・イン・コーポレーションというのに調査事業の概要等について、われわれが立てた計画審査させまして、それを持って世銀に、農林省と一緒に説明さしたのであります。それに基きまして、これで大体ペイし得る事業であるということで、それでは今後実際の借款交渉に入る準備にかかろうじゃないかということになったのであります。そこに第一点のエンジニアリング・コンサルタントのかかり合いができておるわけであります。今度いよいよ借款交渉になる場合におきましては、先ほどからお話が出ておりますように、ダムについてはロックフィル方式が経済的である。従ってロックフィルは先ほど来企画庁長官等のお話が出ておりますように、日本ではこういう方式は大規模にやるのは今度が初めてとでも言うべき事業であり、かつこれが所要機械等は非常に進歩した機械であり、これの工法その、他についてはやはり実施訓戒計を有能なるコンサルタントに依頼した方がよかろう、さらに、これを工事に移す場合には、その監督もコンサルタントに頼んだがよろしい、こういうことを世銀の技術部長から言ってきております。これにつきまして、しからばどの程度までそういうことをやるべきかというようなことについて、私どもの方で検討を加えております。さらにこの前世銀に申請したときに頼んだ。パシフィック・コンサルタントのエリック・フロアーを呼びまして、われわれが疑問とする点についてただすと同時に、もし世銀がそういう技術者を指名して雇わにゃいかぬ、どうしても貸さぬということになれば、どういう内容を、どういう費用で、どういう部分まで依頼せねばいかぬかということについて向うの見解をただし、それに対してこういうところはわれわれの方でできる、こういう点は何もお世話にならなくてもよろしいと思う、ということで、われわれの意見を出しまして、その意見に基きまして、双方の見解を調整していかなくちゃいかぬ段階だというのが現在の段階でございます。われわれの方では向うの世銀の技術部長の言うことを今検討しまして、アメリカの技術援助を受けるにしても最小限度に処置したいと、こういうので今詳細に検討しておる段階であります。これができますれば、国内的には金の面、外貨の面について大蔵省その他と話をつけ、これをもって、日本側はこの程度なら応じられるということを申し出なければならない、こういうことであります。
  268. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとお諮りしますが、いろいろこれは質問はどうせあるのですが、更に衆議院からこちらへ本付託になれば、どうせまた大臣に出ていただかなきゃならぬので、そこでまあ一応前提になるこの基本質問はこの程度にしていただいておいて、あと日程の都合等を見ながら、事務当局からさらに予備審査をしていく。そしてあと本付託になってから、この事務当局との質疑応当の間にいろいろまた大臣にお聞きしなきゃならぬ問題が出ると思いますから、本付託になってからやっていく、こういうことで本日はあと重政君の今の続きだけで、暑さの折柄ですから、(「異議なし」と呼ぶ者あり)そういうことで一つ。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  269. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 大体わかったのですがね。今私の見解では、まあダムは、ダムに関する問題については、あるいは設計とか、あるいは監督とかというようなものは、これはまあある程度やむを得ないかと思うのだが、一つそうするとね、あなた方の心組みで、これから農林省の心組みと、向うの申し分と、交渉をせられるのは、心組みはどういう心組みをしておるか、あるいは水路までやってもらう心組みをしておるか、そしてそれに対してどのくらいな監督者が入ってくる心組みをしておるか、大体どれだけのものを買う心組みをしておるか、もちろんアメリカで、アメリカのみで随意契約で買う必要はないのだ。まあ外国から輸入するというようなやつを一つあした見せて下さい。
  270. 東隆

    ○東隆君 一つ私も農地開発機械公団と、それから愛地用水公団、この二つを、これは一緒に審議をされた方がよい、こういう考え方を持ちますので、そこでこの二つの法案が、これは大へん似ております。それで私は一つの方は、これはやはり水系を中心にして、その開発のやり方を一つ考えております。それからもう一つの方は、水系ではなくて、機械を中心にして開発をしよう、この二つの形があるだろうと思いますが、そこで法案そのものは大へん似通っておりますけれども、これを一つ比較対照したものを、審議の便宜をはかるために、一つ用意してもらいたい、こう思うのです。  それから私はこの際ついでにお聞きいたしますが、政府の方ではこの二つの公団に対して、どっちを重要視されておるのか。これはたとえば予算の面からお考えになっておるのか。その他の役員を一つ考えてみましても、片一方の方は総裁、副総裁、こういうふうにやっておりますが、片方の方は理事長、そして副理事長を置いておりません。そういう形でもっておやりになっておりますが、仕事の範囲から言いますと、青森と、それから北海道になっております。そんなような関係で、私は愛知用水公団の方に非常に重点を置かれておるのじゃないか、こういうような考え方を持っておりますけれども、その考え方がどういう考え方か。それからそれは直ちに役員の問題になってくると思います。役員は、たとえば愛知用水公団の方では、期限が五ヵ年、任期が五ヵ年になっておりますし、それから開発公団の方では三年になっております。私は三年はもっと長くされて、そして安定した位置でもって縦横に仕事をさせる方がいいのじゃないか、こういうような考え方を持っておりますが、また役員の選任をされる場合にどういうような範囲の人を選任されるのか、こういうような点、この際もしお聞きすることができればお聞きいたしたいと思います。
  271. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 役員の任期は愛知用水の方は五ヵ年間で完成をする予定になっておりますので、任期は五ヵ年となっております。機械公団の方は一応三年間で今所定いたしておりまするのは完成をするということで三年にいたしたのであります、ということの違いでございます。これは御指摘のように別にいずれが重く、いずれが軽いというわけではございませんので、先ほど申し上げました通り愛知用水は木曽水系の総合的な開発をする、一方は機械を利用しましてこれによって東北、北海道方面の、しいて申せば家畜等を導入する等の処置によって未開墾地を活用する方にやってゆきたい、こういうふうに考えておるのであります。もしこれが成功すれば非常に利用度が多くなってくるというように考えております。これも非常に重要に考えておるわけでございます。
  272. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後五時三十二分散会