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政府委員(清井正君) それでは先般公布になりました
政府に売り渡すべき米穀に関する政令について御
説明申し上げます。
この政令の根拠は、かねて
お話し申し上げました食糧管理法の第三条第一項の
規定に基きまして公布をいたしたのでございます。これは食糧管理法第三条第一項と申しますのは、申すまでもなく米の生産者が政令で定めるところによりその生産したる米麦で命令をもって定めるものを
政府に売り渡すべきだと、こう言っておるのであります。すなわち「其ノ生産シタル米麦ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ
政府二売渡スベシ」というその「命令」を書きましたのが、
政府に売り渡すべき米穀に関する政令でございます。従前はこの三条の「命令ヲ以テ定ムルモノヲ」ということで、毎年
政府に売り渡すべき米穀に関する政令というものが出ておりまして、現在までの知事、市町村長に一割り当てをいたすところのやり方ば今までの政令によって、すなわち第三条第一項の
規定に基いて出ておったのでございますが、その今までのやっておる政令を廃止いたしまして、新たに今回三条第一項の命令によりまして、
政府に売り渡すべき米穀に関する政令というものを制定いたした次第であります。政令の条文が十二条に分れておるのでありますが、その第一条は、事前売渡申込の
制度を表わしておるのであります。すなわち「農林大臣は、
昭和三十年産の米穀については、その生産者がその生産に係る米穀につきおおむね収穫期以前に
政府に対してする農林大臣の定める
売買条件による売渡の申込の期限を定めて公示する。」ということでございまして、申すまでもなく今回の
制度が
政府と生産者との
売買契約に基いて
売買をいたすのでありまして、初めから公法上の割り当てをいたすのではないのでございます。従いまして生産者がいわゆる収穫期以前に
政府に対して売り
渡しの申し込みをいたすということが必要でありますので、あらかじめこちらから
売買条件を示しまして、その
売買の
条件に同意いたしまして生産者が売り
渡しの申し込みをいたすということになるわけであります。それがすなわち事前の売渡申込みの
制度でございます。それが第一条に書いてあるわけでございます。
第二条は「農林大臣は、前条の
規定により公示された期限までの同条の
売買条件による売渡の申込」「を受けたときは、遅滞なく、その事前売渡申込に係る数量をその生産者の住所地を管轄する市町村長に通知する。」ということでございまして、私
どもが生産者から売り
渡しの申し込みを受けましたときには、すぐにその数量を住所地の市町村長に通知をいたすという手続
規定が書いてあるわけでございます。
第三条以下は指示の
規定でございますが、第三条はすなわち収穫期以前に売り
渡しの申し込みを受けまして、
政府がこれによって
売買契約を締結いたしまして、それからずっと実際上米ができましたときに
売買契約に基きまして
政府に売り
渡しをずっと実行していただくわけであります。そこでずっとあとになりまして、市町村長がその
売買契約に基きまして
政府に売り
渡したものと申しますか、その私法上の
契約に基くところの数量を
法律三条一項の指示数量、公法上の義務数量として売り
渡しをいたすのが第三条の
規定でございます。すなわち「当該市町村についての米穀の実収高がおおむね明らかとなったとき」すなわちだいぶあとになりますが、実収高が明らかになったころに「当該市町村の区域内に住所を有する米穀の生産者であって事前売渡申込をしたものごとに、前条の通知に係る数量を
政府買入数量として定め、これを文書をもって当該生産者に指示する。」とございます。すなわち生産者が自分で一応売り渡すというふうに、売り
渡し申し込みをした数量を実収高が明らかになってから三条一項の数量といたしまして指示をいたすということになるのであります。そこまでが本筋でございますが、前にもちょっと御
説明申し上げましたが、かりに非常に今までよけい
政府に売っておったにもかかわらず、今回非常に少い、あるいはまた全然申し込みをしないというような方がありまして、
政府に対して申し込みいたしました隣り近所の生産者に対して、あまりにも不公平であるということが認められた場合におきましては、やはり指示することができる
規定を置いておきたい。すなわちこれが三条一項の法上の
規定に伴うやむを得ない措置であるということを申し上げておりますが、その趣旨が四条と五条に書いてあるのであります。すなわち第四条は、「市町村長は、前条の場合において、同条に
規定する米穀の生産者であって、その者についての第二条の通知に係る数量が、その者のその年産の米穀の実収高及び前三箇年における
政府への米穀の売渡数量、当該市町村の区域内に住所を有する他の米穀の生産者についての同条の通知に係る数量等を勘案して過少であると認められるものについては、前条の
規定にかかわらず、やむを得ない
事情があると認める場合を除き農業
委員会の意見を聞いて、その通知に係る数量と異なる数量を
政府買入数量として定めることができる。」という
規定があるのであります。すなわちその人の実収高に比べて、あまりにも申し込み数量が少くあった場合、あるいは前三ヵ年のその人の実績に比べて、あまりにも少い、あるいは隣り近所の生産者の申し込み数量に比べてあまりにも少い、こういうような
事情がありましたときは、農業
委員会の意見を聞きまして、本人が申し込みをした数量と違った数量を、
政府買い入れ数量としてきめることができる、こういう意味であります。
それから第五条は……今の場合は申し込みをしたけれ
ども、非常に申し込み数量が少い場合でございますが、第五条は、全然申し込みをしなかったものであります。すなわち「市町村長は、当該市町村の米穀の実収高がおおむね明らかとなったときは、当該市町村の区域内に住所を有する米穀の生産者のうち事前売渡申込をしないものであって、その者のその年産の米穀の実収高及び前三箇年における
政府への米穀の売渡数量、当該市町村の区域内に住所を有する他の米穀の生産者についての第二条の通知に係る数量等を勘案して一定数量の米穀を
政府に売り渡すことが相当であると認められるものにつき、やむを得ない
事情があると認める場合を除き農業
委員会の意見を聞いて、その一定数量を
政府買入数量として定め、これを文書をもって当該生産者に指示する。」ということであります。すなわち第三条は、当該生産者の自主的な売り
渡し申し込みによってそれをそのまま法三条一項の義務数量にいたすのでありますが、第四条、第五条におきまして、やむを得ない場合、すなわちほかの生産者と比べてあまりにも不公平でありまして、公平を欠くといったような
個々の場合がありました場合には、その人の実収高なり、過去三カ年の
政府に対する売り
渡し数量なり、隣り近所の売り
渡しの申し込み数量を勘案いたしまして、非常に少い人に対しては少しよけいに数量を定めるあるいは全然申し込みしない人に対してある一定の売り
渡し数量を指示するということであります。ですからこの場合は農業
委員会の意見を原則として聞くということにいたしてあるわけでございます。
第六条は、「市町村長は、第三条文は前条の
規定により指示をしたときは、その指示をした日から五日以内にその指示に係る数量を公表しなければならない。」ということになっております。
ところが第三条の場合は、本人の申し込んだ数量そのまま指示いたすのだから当然でありますが、第四条、第五条になりますと、本人の意思よりも違った指示をすることになっておりますので、異議の申し立てをする
規定を置いてあるのであります。すなわち第四条の
規定によって、定められた数量を、第三条の
規定により、市町村長から指示された米穀の生産者すなわち非常にお前は少いということで少しよけい目に市町村長の支持を受けたところの生産者あるいは第五条の
規定によって全然
政府に対して売り
渡しの申し込みをしなかった人が、市町村長によって指示を受けた場合、この
二つの場合はその指示にかかわる数量について、本人が異議がある場合におきましては、市町村長に対しまして文書をもって異議を申し立てることができるのであります。しかしその指示を受けた日から十日以内にやらなければいけない。十日以内にやる。その場合、申し立てがあったときには、十日を経過した日から四十日以内にこれを決定して、文書をもって通知しなければならないのであります。異議の申し立てであります。
それから八条は、いわゆる今まで補正と言われておりましたものでございますが、すでに数量がきまりましてなおかつ事前売り
渡し申し込みをしたそのときから指示を受けるまでに相当の日があるわけでございます。すなわち収穫期以前に事前の売り
渡し申し込みをいたしますから、ほんとうの指示をやりますのは実収高がわかってからでございますので相当あとになりますので、その事前売り
渡しをしたときから指示を受けるときまでの間で災害その他やむを得なかった
事情によって米穀の実収高が事前売り
渡し申し込みをした収穫見込み高に満たなかったとき、すなわちそれくらいはとれるだろうということで事前売り
渡し申し込みをした。しかもそれが災害があったとかいろいろな
事情でこれほどの収穫がないということのために、その指示にかかわる数量からどうしても全部または一部を
政府に対して売り渡すことができなくなったという場合の起りましたときは、その指示を受けた日から二十日以内に市町村長に対し、文書をもって当該数量の変更を申請することができるのであります。
それからもう
一つはこれは指示を受けたあとの申請でございます。すなわち市町村長から
政府買い入れ数量の指示を受けた米穀の生産者は、その指示を受けた後に生じた災害、その他やむを得ない
理由によりその指示にかかわる数量の米穀の全部又は一部の
政府への売り
渡しが困難となった、すなわち指示を受けるまでは何でもなかったんですが、指示を受けたあとに災害あるいは特殊な
事情によって
政府に対して売れなくなったというときには、やはり二十日以内に市町村長に対してそれぞれ変更を請求することができます。この請求があった場合に、二十日以内にその変更するかどうかをきめまして、文書をもって通知するということでございます。これは今までありました補正あるいはその変更等を一緒にいたしました
規定でございます。
そして以上のような手続をやって、変更されたものを食糧管理法第三条第一項の命令で定めるものとすると、こういう
規定が第九条にあるのでございます。すなわち「
昭和三十年産の米穀については、第三条文は第五条の
規定により指示された数量」、第三条と申しますのは、本人が事前売り
渡し申し込みをした数量でございます。第五条というのは全然申し込みをしない人に対する指示された数量であります。その場合はあとから変更された場合を含むのでありますが、その場合は、「第三条第一項の命令で定めるものとする。」という書き方になっておるのでございます。これは従来今までの政令も同様な書き方をしておるのでございまして、従来までの政令の書き方をそのまま踏襲したのでございます。ここで今までの数量が、食糧管理法第三条第一項の
政府に対して売り渡すべき数量になるのでございます。
それから第十条でございますが、市町村長は
政府買い入れ数量を定めるときは、「農業再生産に支障を生じないように、農林大臣の定める生産者保有米穀及び種子用米穀を確保して
政府買入数量を定めなければならない。」訓示的な
規定でございますが、これは現在ある
規定をそのまま踏襲しておるのでございます。ただいままでの措置は、市町村長がやるわけでございます。
次に、都道府県知事は、市町村長に対して必要ありと認めるときは、
政府買い上げ数量の決定に関していろいろ指示をすることができる。第十一条です。もちろん数量の指示をすることはできませんが、数量の指示以外に報告をまとめたりいろいろ指示を与えたり、いろいろその必要はございますので、市町村長に対する必要な指示を知事がやれるように書いてあるのでございます。特に農林大臣は全国の知事に対して前項の指示に関して必要がありました場合には、全国的な観点から大臣がやり得る根拠を置いてあるわけでございます。
以上までが実質的な
規定でございまして、第十二条はいわゆる区であるとかその他の特別地域についての例外
規定でございます。
で、最後の付則の最後が、
政府に売り渡すべき米穀に関する政令、すなわち現在までの割当制でございますが、これは廃止をいたす。しかし二十九年産の米穀については、なお従前の例による。しかし二十九年の産米が出ておりますので、それにつきましてはなお従前の例でやりますが、従来の割当制はこれを廃止するということでございます。
この政令が二十二日に公布になりまして、即日実施いたし、その他
関係法令も全部でき、その後私
どもといたしましては中央の集荷団体に割当数量を二千三百五十万石を要請をいたしまして、全国自治団体はこれをそれぞれ県団体に要請をいたしまして、目下県地域でそれぞれ末端の集荷団体の数量の要請をいたし、生産者から
政府に対する売り
渡しの申し込みが集まりつつある
状況でございます。
以上簡単でございますが、御報告申し上げます。