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1955-07-20 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十日(水曜日)    午後一時三十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            田中 啓一君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            野溝  勝君            東   隆君            棚橋 小虎君            鈴木 強平君   衆議院議員            川俣 清音君            鈴木 善幸君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    農林省農林経済    局長      大坪 藤市君    農林省蚕糸局長 鹽見友之助君    林野庁長官   柴田  榮君    水産庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局金融課長   和田 正明君    林野庁林政部長 奥原日出男君    水産庁漁政部協    同組合課長   酒折 武弘君         —————   本日の会議に付した案件 ○参考人の出頭に関する件 ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○水産業協同組合法の一部を改正する  法律案衆議院提出) ○森林法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○繭糸価格安定法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農林水産政策に関する調査の件  (中央卸売市場に関する件)     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、参考人出席要求についてお諮りいたします。アズキの取引に関する件について参考人意見を聴取することとし、その人選その他につきましてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  3. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 先ほど開会前に委員長理事打合会の決定について御報告いたしましたが、本日は、農林漁業金融公庫法改正案水産業協同組合法改正案森林法改正案繭糸価格安定法改正案農業災害補償法改正案につきまして、まずこれらの五つ法案について農林大臣に御質疑があれば逐次大臣に御質疑を願うことにいたします。順序といたしましては、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案から始めていただきたいと思いますが、大体途中で大臣が席をはずされますけれども、あとからまたお見えになりますから、今日この五つ法案について大臣に御質問があるお方は御質疑を願いたいと思います。
  5. 清澤俊英

    清澤俊英君 議題外になるかもしれませんが、今新潟県、富山の一部で、何か南洋方面有毒プランクトンを食べたイカ、サバ、アジその他沿岸漁業の魚を食べますと非常に中毒をして、毎日数十人中毒している。そういうような関係上、ほとんど漁業を停止しておりまして、魚屋もそうでありますが、漁民は全く漁業を停止しておるのであります。従って、これに対する何らかの金融措置をとってもらわんければ、秋口になって、いよいよ漁業を開始するとしましても、それまでの間何とも方法がない。大体被害は今日の程度で概算一億ないし二億だということでありますが、最小限に見ても一億ぐらいと言っておりますが、これに対して何か融資をすることができるかどうか、やはり特別の融資法でも出さなければだめなものですか。大臣のお考え方で特別の融資をお願いできるかどうか。
  6. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまのお話、よくまだ承わっておりませんので、さっそく調査をいたしまして、必要があればむろんそういうことをしなければならないと思います。またそういうふうにすることが妥当であるということであれば、今お話しのように別に法律を作らなくても適当な融資方法があると思います。必要に応じて善処して参るということにいたしたいと思います。
  7. 江田三郎

    委員長江田三郎君) さっき申した五つ法案に関連のある問題についてお願いいたします。
  8. 千田正

    千田正君 今度の農林漁業金融公庫法でありますが、必要な金額の百分の二十を協同組合が貸し付けを受けることを条件として出さなければならない、そういう意味においては、まことに協同組合の発展のためにいい方法でありますけれども、現在農業協同組合、あるいは漁業協同組合の環境におきましては、百分の二十という金額は、場合によっては非常に出すのに苦しい財政状態協同組合が相当あると思います。これは、やはりこれを見るというと、優良な協同組合しかこの問題にタッチできないじゃないか、こういうふうに考えられますが、農林大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
  9. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お説のようなことに扱い方によってはなると思うのでありますが、確かにその点は特別に考えなければならぬと思っておりますが、何分金融のことでございますから、一方においてはどうしても大事をとります反面、資金がまだ十分でございませんので、各方面にこれが行き渡たるような点も勘案いたしまして、そういうことを考えているのでございます。しかし御趣旨の点を十分考慮いたしまして、将来組合それ自身の力をつけるようにいたしまするとともに、これが運用においては今の点に、一部に偏する、優良組合でなければ利用できないというようなことのないように、考慮していかなければなるまいと思っておりますので、今回の措置につきましても運用の上において十分注意していくつもりであります。
  10. 千田正

    千田正君 私はこの法案の出た理由は、むしろ非常に苦しい農家が、零細な資金もないというので、協同組合を利用して、国からの融資を利用したい、利用させようというのが今度の法案趣旨であろうと思うのであります。ところが実際においては今申しました通りほんとうに借りたいところの農村組合というものは、大体貧弱な人たちが多い。ところが現実においてこういうふうな法案が出るというと、優良な組合、できるだけ経済的に楽な組合に参加しているところの農民でなければ借りられないのじゃないか。ことにこういう傾向は漁業協同組合に非常に多いのでありまして、これはただいま農林大臣がおっしゃったお考えはまことにけっこうでありますが、この法案趣旨というものは、苦しい立場の漁民なり農民なりに対して国がめんどうを見てやろうと、こういうのでありまするから、偏在しないような方法をぜひ運用の面において考えていただきたい、これは特にお願いしておきます。  もう一点は、今度の問題の中の漁業関係におきまして、合成繊維の網に対するところの貸付でございますが、これは御承知通り漁業組合に参加している者、あるいは参加しておらない者の中小漁業者の財産の一つであるところの漁網というふうなものは、これは農業で言いますと、サイロその他の施設と同じような性格を持っているのでありまして、これに対して今度の法案はやはり漁業組合を通じなければ借りられないと、ここに多少の難点があるのじゃないか。これは個人でも借りられるというところの門戸を開いてもらいたい。この点に対して農林大臣のお考えをこの際率直に承わっておきたいと思うのであります。
  11. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 関係方面と、具体的に申せば大蔵省ともよくその点協議いたしまして、大体大蔵省了承したようでありますから、今後は期待に沿うように運用して参ることができると思います。
  12. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま千田君のほんとうに金のない人に金を融通してやる方法について、いろいろ御考慮していただける、こういう答弁でありましたので非常に喜んでおりますが、そこで先般私が本案審議中に、かりに開拓民同様程度のものが、ある森林共同で入って、そこで事業を開始する場合に共同施設であるところの林道開発とか、あるいは木炭を運搬するケーブルであるとか、あるいは木炭貯蔵倉庫とかいうようなものは対象になるが、施設外炭がまにも資金の回る方法考えられぬか、炭焼き炭がまの築造の経費を共同でお借りできないかと、こういう質問をしましたところ、大体それもよかろうという御回答があったが、昨日はそれに対して、これは労力で十分まかなわれて、非常に金のかからぬものであるからそれは要らぬだろう、こういう御答弁があったそうでありますが、これについて金融公庫の金が、本質から申しますれば、今千田君が言う通り、実際そういう場合に資金のない者に資金を与えて生業につかしむる、あるいはより改良をやって生活の安定をはかるということが趣旨であるとしまするならば、今現在ごく封建的なシコミですか、そうしたような仕事をする前に高利な金を借りて、それが全部高利対象として取り上げられるというような制度が残っているのは炭焼きのごく一部と、北海道あたり漁民の一部に残っているだけです。こういうものはただ自分労力があるからと申しましても、食わないで仕事はできない、食うだけが一ぱいであります。そこへまた資金を投じて炭がまを作れといってもこれは問題にならない。そういうことを考えてみまするならば、一つ組合を作ってそこに自己資金を投資して、それを基本にして、これだけの山でこれだけの仕事をするということになりますれば、大体半年後にはこれは回収できるのです。そのくらいのものはやはり一括して貸していく方針がいいのじゃないかと思うのですが、私はやはり貸していく方針をとられる方がいいと思うのですが、そうたくさんあろうとは思いませんが、方針としてはこれはそうしてもらった方が私はいいのじゃないかと思うのです。それでなければ、大体農業金融公庫法なんという法律がたくさん出て参りますが、これは富農対策であって決して貧農対策でない、こういうことを言われるので、いま一度あらためて、そういうようなことがだめだということになるならば、農業金融公庫法の概念に対して、根本の理念は何だ、こうお伺いしたいのです。
  13. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 元来この法で金を融通しますのは少し長期にわたるものを大体対象としたい、そうでないものは今の信用部関係、すなわち中金資金でやりたいというふうに一応きめているわけです。しかしこれはまあ時と場合によるわけでございますから、その事情をよく調べまして、一方中金系統でいくべきものだと思いますところが中金系統になかなかいきにくいところもあるでございましょうから、それらは一つその事情事情によりまして、原則としては今申し上げますようにこれらの資金長期にわたって経済計画を立てるようにし、短期なところのものは中金関係でいくということに一応はきめてございますけれども、その事情によっては、場合々々によって融通をして、融資しなければいかぬのじゃなかろうかと思うのであります。これらはまあ根本から乱すわけには参りませんけれども、そのときそのときの事情によって考慮するものは考慮していいのじゃないか、こう思いますから、その点で一つ了承願いたいと思うのでございます。  まことに申しかねますが、私実はイギリスの人と二時ちょっと過ぎに会う約束をしているものですから、それを済ましたらすぐ戻りますから、その上で一つ質問を願いたいと思います。
  14. 野溝勝

    野溝勝君 議事進行について。今農林大臣お話によりますると、非常に急いでいるようでございますけれども、何時から一体どなたにお会いになるのですか。
  15. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今度貿易協定に英国を代表して参っておりまする代表者と二時十分から会うことになっているわけであります。時間をたがえますと工合が悪いものですから、そこで一つそれを済ましましたら戻って参りますから、それからまた一つ……。
  16. 野溝勝

    野溝勝君 では、まだあと十分ばかり時間がありますね。
  17. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) その前に藍綬褒章授与式をかわってやることになっておりまして、その人が待っておりますから、二時から役所の方に戻ることになっておりますから……。
  18. 野溝勝

    野溝勝君 二時までまだ十分あります。あなたの答弁いかんによって暫時休憩いたします。休憩というか、私の質問あとに延ばします。
  19. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) もう一ぺん戻ってきますから。
  20. 野溝勝

    野溝勝君 何時ごろか。
  21. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それが済みましたらすぐ戻ります。一時間あれば済みますから、三時から三時半の間に戻ります。
  22. 野溝勝

    野溝勝君 それでは農林大臣に先に一つ質問をしておきます。五、六分で済みますから。
  23. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 時間があればよろしゅうございますが。
  24. 野溝勝

    野溝勝君 この際農林大臣に御質問いたすのでありますが、先般の衆議院農林委員会におきまして、水産業協同組合法の一部改正法律案の中で議題に縁遠い建物共済に関し、某氏からの質問があった、農業協同組合をして共済制度を強化する必要がありはしないかという質問に対して、農林大臣農業協同組合中心に一元化する考えを持っておるというように答弁をされておったのであります。かようなことは事実かどうか、もしかようなことが事実とするならばそれは断じて承服することができません。農業災害補償法の問題は、昭和二十二年、私農林委員長当時すでに制定した方針に基いて今日までその精神は一貫されておるのであります。農林大臣考えているように一体そう簡単にできるものではないと思います。たぶん農林大臣もさような意味で言ったのではないと思いますが、この際参議院の本委員会において正確なる農相答弁を求める。答弁いかんによっては私は疑義をただしたいと思う。特に時間の関係から申し上げておくのであります。農業災害に対しましてはこの事業法に基いて農業共済組合連合会、これが扱っておるその責任総額は一千三百億に達している。農相は簡単に一元的処理が可能と思いますか。さらにこの農業共済組合の一部には欠陥があるかもしれませんが、しかしかりに少し欠陥があるにいたしましても農林大臣河野君御承知通り一体農業協同組合などでも協同組合再建整備法によって莫大なる国家がこれに対する助成と育成をしておるじゃありませんか。こういう点から見るならば先般の、昨年の農業協同組合法一部改正法律案農業委員会法一部改正法律案の際に本委員会におきましては満場一致をもって両者すなわち農業協同組合と、農業共済組合連合会、この二つの団体がお互いに相談し合って調節をするために委員会を作り一つの確固たる案を出すことが必要じゃないかということが本委員会において申し合わされておるのであります。だからかような経緯から見ても私は農林大臣は決して農業協同組合に一元化するというようなことを具体的に申したのではないと思うのであるが、ただそれも一つ方法だという考え方をたまたま衆議院委員会において発言したと思うのであるが、その点に対する農林大臣の見解をこの際一つ聞いておいて、その上で私はあなたに対する質問を後刻に譲りたいと思います。なおいま一つ申し上げておきますが、農林大臣答弁いかんによっては質問を継続することをあらかじめ委員長においても御了承願いたい。さらに問題は特に私今後の質問の材料にいたすのでございますが、農業協同組合がなぜ建物の再保険だけに力を入れるのか、一体農業災害補償法はこれは一切の風水害から始まって農産物の災害を一切網羅したものであります。それを農業協同組合はたまたま利潤、利益率のあるところの建物共済だけに力を入れておる、こういう関係われわれ実際要領を得ないのでありまして、一体農業協同組合の方は一つ組織法でございます。共済組合の方は一つ事業法でございます。いわば法的内容はすでに事業法の方で整備されております。これは河野氏も御承知のことだと思います。でありますし、特に問題は一体金融関係におきましてもこの農業協同組合と、この裏づけをなしておるところの、うらはらをなしておるところの共栄火災との関係について金融関係ないし事情のあり方、特に農協が共災の代理店業務としてのいわゆる金融的措置、たとえば代理店にどのくらいこれを流してやっておるか、あるいはこの金が果してこの掛金としてとった金が農家にどういうふうに一体還元されておるか。この経緯に対する資料をすみやかに本委員会に出していただきたい。農林大臣が特に時間をせかれておりますので一言この点だけをお伺いしておきまして、その答弁いかんによっては私は三時からの質問を続行したいと思います。もしその答弁いかんによりましては私はこの問題はこれで打ち切りたい。特に私が申し上げておくのは、この問題に対する質問をいたそうと思った際に、たまたま農林委員長に対して農業協同組合の方と共済組合の方との二団体調節をはかる用意を持っておるから一つ十分御了承を願いたいとの話がありましたから、私はまことにけっこうなことだと考えるのです。しかし農林大臣発言が重大だし、この際農林大臣発言を聞いた上で一応善処しようということになっておりますから、農林大臣行政下にある二団体調節努力しようとする動きのある情勢にあることをあらかじめ了承の上に御答弁を願いたいのであります。
  25. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先般衆議院農林委員会において私が答弁いたしましたことは、諸般の事情をいろいろ勘案いたしまして、各方面意見も十分総合いたしまして一応答弁をいたしたのでございます。しかしその後いろいろ御意見もあるようでございます。しかし基本的には私が申し上げましたる通りに今両団体がいろいろ紛淆いたしておりますものをそのままにしておくということは決していいことじゃない、今お話通り委員長その他においてこの両団体が話し合って解決がつけばこれは最善でございます。私は決して自分の意思によってこれを右する左するということは、その間幾ら摩擦があろうともしなければならぬとは思っておりません。同じ農業団体でございまするし、同じ対象とする農家のことでございますから、これが話し合いの上で結論を得れば一番好ましいことだと思うのであります。しかしその話し合いがつかずに両方からいろいろ農林省願書等が出て参りまして、いつまでもこれをそのまま放擲しておきますることは結局これは農村のためにもならぬことでございまするので適当な時期にこれに終止符を打たなければならぬと思っておるのでございますから、せっかくこの問題に深くお関心を持っておられ、また御研究しておられる各位の御協力を願いまして、すみやかに問題の解決をすることを念願してやみません。今野溝さんからいろいろお話がございましたが、それらの点につきましても十分考慮いたしましてすみやかに解決をいたしたいと思っておる次第でございます。
  26. 野溝勝

    野溝勝君 すみやかに解決したいと思うということは、せっかく両団体調節のために両委員長を入れまして、この間におけるところの努力をするということに対しまして、今大臣答弁は、それに大いに期待する。特にしかしいつまでもあれしておくわけにいかぬからその点については一つなるべく早い期間に何とかしたいと思うのでございますが、しかしこの両団体が両者あわせて調節をするという努力をしておるという点があるいは長期に続くといえどもそれはやはり千五百億からの責任額であり、片方は四百億からの責任額ですから大きな影響があるのでございますから、やはりしばらくこの両団体調節を、成り行きを一つ見ておいていただいて、こういうことについては間違いないようにやっていただきたいと思います。
  27. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それは、今お話のありまする通りいつまでに話がつかなければどうというようなことを申すのではございません。私たちといたしましては、なるべく早く皆様方の御協力によって問題が円満に解決することが一番好ましいことでございます。あまりこれがながながしておりますると、やっぱり一方において弊害もありまするから、どうかせっかく一つ協力を願います。すみやかに問題の解決するように御心配願えれば一番望ましいことだと思う次第でございます。
  28. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 農林大臣先ほどお話のように、やむを得ない用事があるようでございますから、終ったらまたこちらへ来ていただくことにいたしまして、次の議事に移ります。     —————————————
  29. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは森林法の一部を改正する法律案議題にいたします。  本法律案については、七月十五日の委員会において提案理由説明を聞いたのでありまして、本日は法律案内容その他参考事項に関する説明を聞いて、続いて質疑に入ります……。別に参考事項もないようでございまするから、御質疑がありましたらお願いいたします。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 川俣さんはこれの筆頭提出者になっているのだが、僕はどうも不満なんだ、と申しますることは、大体前の方にいろいろ条項がありますが、役員の選定を総会外において選挙することができるとか、あるいは投票を省略して役員を選ぶことができるとか、こういうような改正がいろいろあると同時に、先般の説明では、これらの改正をしなければならぬ理由農村における現実中心にしてと、こういう御説明なんです。なるほどあなたがおっしゃる通り現実はそういう、まだ山間部におきましては非常な封建性が残っておりまして、従って一般農民は意識的にこれに参加することも怠っており、また一方はこれに参加することをなるべく拒否するというような方針がまだとられている、これはあなたよく御承知通りであります。してみまするならば、前の、民主的な役員選出等方法を前の通りにしておいて、しかもそういう間違った方向が存在するならば、これを指導教育するというので国から補助をもらって中央農業会等ができたはずです。それがなぜ教育していかんか、こういうことになると思う。そういうものを作っておるが実情に即さぬから悪い方面に変えるということは、どうも川俣さんの御提案としては私納得できないと思う。これはほかの人——ほかの人と言ったらまことに申しわけありませんですが、まあ俗に言われる他の人たちですが、これを提案したということになりますればこれも私は了承して参ります。少くとも川俣さんが筆頭提案者として御説明に来ておられる、川俣さんがこういう案を持って出られるということに対しては、まことに私は不満にたえないので、私の納得のいくように一つ説明を願いたい。ということは、二点ありますよ、農業中央会というものをこしらえるときな、金子君の説明によりますれば、大体において農業の経理の指導教育というようなことを中心にするのだということを言っておられまするが、少くとも国から補助をもらって、ああいう画期的なものを作っておいて、だんだんまたあと戻りするようなことではこれは問題にならないと思う。なぜそれをもっと鞭撻して、こういう総会のある場合はだれか役員が出て、そうして村に宣伝カーを飛ばして、協力して本質的な民主的な運営ができるようにするという努力をしないで、なぜこういうものを出したか、こういうことなんです。
  31. 川俣清音

    衆議院議員川俣清音君) 御承知のように森林所有状態が非常に複雑多岐にわたっておりまして、一般農業よりもさらに偏在した地域に所有をいたしておるというような関係がございまして、今までの実績が必ずしもはかばかしくなかったこともそういう所有関係の複雑さがこれを物語っておると思うのであります。さらに今度御承知のように町村合併が行われまして、合併件数におきまして千九百二十八件というように、だいぶ膨大な、適正規模以上にも町村合併が行われましたので、それに見合うような組織を作り上げていくということになりますると、民主化の方向をたどらなければならないという重要使命もあると同時に、この運営を単に形式だけの民主的運営ということにのみとらわれることなくして、実際の運営をしていく上からいたしまして、役員の責任の強化をかなり重要に考えておると同時に、総会役員を選任しなければならないということになりますると、一々役員改選のために総会を招集するというようなことは、規模内容からいいまして、なかなか総会が成立しないということもありますので、そういう意味におきましては総会が開かれたときには総会の席上で当然投票すべきものでありますが、わざわざ役員改選のために総会を招集するということの煩瑣を避けたいというところからこの規定をとったわけであります。総会のときに選挙することについて、それを別にやると、こういう意味ではございません。わざわざ役員改選のために、それだけのために総会というようなものをやらないで、その場合においては選挙だけの方法を別なところでやれる、こういうふうに規定したものでございますから、その点は一つ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  32. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この森林法の一部改正というのは、町村合併等に関連して、少くともある程度簡易な方法でこういう役員の選挙といったようなことを、つまり総代会制といったようなものを入れなければ、容易にこの町村合併に即応した森林組合の統合というものが困難だという声を聞いているのでありますが、この法律というのはそのためにだけ改正をしたことと私どもも思うんです。ところでそれは明らかにしたいんですが、これは町村合併をして、そうしてその地域を一つ森林組合にまとめていくという際にまず役員の選挙が必要なのでありますが、一体この合併をするということを先へきめる場合はどうなんですか、それぞれの従来の森林組合というもので合併決議をされて、そうしてそう後この法律によっての総代会等、この役員の選挙方法をやっていけばそれでいいんだ、こういうふうになるのか、この辺を一つ……。各地で合併はしたいがどうも大総会をするというんではとても経費はないんだしできないということで悩んでいる実情から明らかにしていただいた方が便利だと思います。
  33. 川俣清音

    衆議院議員川俣清音君) これは三浦さんのお説の通りおのおの合併方針を単位組合がきめまして、しかる上に一つの単位組合ができる、こういうことになると思います。御承知通りつけ加えておきたいのは、森林法においてはまだまだ改正すべき点が、多々重要な問題としてあるということは、皆さんお認めの通りだと思いますが、この際、森林法根本的な改正を行うにはまだ十分な研究には至っておりませんので、町村合併に伴うところの必要な限度において、最小限度において改正いたしたいというのが、この本案の趣旨であります。同時に役員の責任の規定などが明確でございませんから、こういう、一つ合併等に伴って無責任なことができてきては困りますので、役員の責任の所在規定だけは強化して行く、こういうような方針をとったわけでございます。
  34. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 その点はわかりましたが、こういうふうにやって行って、まあ森林組合というものが、その活動を円滑にして行くというねらいはわかるわけですが、一体私この森林組合というようなものは非常に経済行為をする機会が少くて、そして一方においていわゆる土地の保全、国土の保全ということで、森林の経営については大事なことはみんな中央政府というか、いわゆる農林省からその大骨が下されて、そしてそれを各府県が受けて、そうしてその県で事情に合うような更に小骨、小柱を立てて、そうしてその大柱、小柱の間にはまった中で、私有財産である森林というものを一つの計画化した通営に持っていくという、その施業計画に従って、この組合というものは、お互いに発展のためにやっているのでありますが、さっぱりこれに対しましては直接国の援助というようなものは薄い。言葉をかえて言えば、非常に重大使命は背負わされているけれども、さて今の制度で言うと、互いに経済的な行為をすることによって、端的な話その組合を維持し、あるいは組合の使命に従って技術員をおいて行くというようなこともいたしかねていて、まあいわば有名無実的な組合が多いとさえ批判をされているのでありますが、これらの一部改正等によってその合併を円滑ならしめるということの結果は、国民の期待しているような森林の維持、あるいは発展というものにどういうような影響があると考えるのか。これを一つ提案者の方と、あるいは今後この法律通りました場合には、その監督指導の立場をおとりになる林野庁の方で簡単に説明していただきたいと思います。
  35. 川俣清音

    衆議院議員川俣清音君) これは三浦さん御承知通りでございまして、お説の通りなんでございまして、日本の森林資源というものは、国、公共団体、私有地というふうに分れておりまするけれども、今一番荒廃いたしておりまして、国の治山治水対策の上から、また国土を保全する上から、ぜひとも、この形は私有になっておりまするけれども、公共性を発揮してもらわなければならない立場におきながら、経営、あるいは経済的な面だけをこの森林組合が受け持って、しかもその経済的内容が微力でありますために運営が非常に困難になっておりますことは、御承知通りであります。これに対しまして、国が公共性を強く打ち出すからには、国の適当な資金の融通、または補助、あるいは助成というものが伴ってこなければならないと思うわけであります。そういう点について将来森林法改正する上においては、十分これを盛り込んで行かなければならない重要な点だと考えておりますが、ただいま提案説明で申し上げましたように、ごく当面の問題だけをまず解決しよう、しかる上において根本的な問題については、予算と見合いをいたしまして、改正をして行きたいと、こういう考え方でございますから、御了承願いたいと思います。  なお、私で不十分な点は、林野当局から答弁をしたいと思います。
  36. 柴田榮

    政府委員(柴田榮君) ただいま川俣先生から御説明いただきました通り、今回の改正では、従来の役員選任、その他に対しまする取扱いとあわせまして、町村合併促進に伴う実情に応じて最小限度の、特に内容を変更しないで、実行上の問題から改正をお願いいたしている次第でありまして、根本的な問題といたしましては、あるいは規模の問題、さらにその規模に伴いまする森林経営の私益性、公益性等もあわせた勘案、それに対する国の施策等も勘案いたしまして、近い将来に森林法の相当大改正を必要といたす、こういう想定はいたして、ただいま検討を進めておりまするので、さしあたりの問題として、取扱い上の処理という妥当性のために改正を願うというだけ、こういうことに御了承願っておきたいと、こう思っております。
  37. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 だんだんこの法律というものは、単なる町村合併等を機会に、現在の小さな森林組合というものを合併、集団することによって、新しい森林組合と申しますか、森林組合が活動しやすくなるような一つの要素を、この際手続上作るというだけだというお話でありまして、この点は私ども了承するのですが、そこでお聞きしたいのは、こういう森林組合と申しますか、日本の森林は御承知通りに五反歩以下というのが非常に多い。一町歩以下で、もうすでに所有の九O何%というのは占められていると、いう零細であります。従って統計的に調べてみても、また実地の、従来の調査を見まして、数カ町村等について、事実調査をした結果を見ましても、非常にこの経済行為というものをする場合、森林の経営をめぐっての経済行為をする場合というのは、きわめて頻度が少いのでありますから、一町歩以下の所有者だけをとって山をいじるという機会を統計的に見れば、二十五年か何かに一ぺんいじるくらいのものです。ようやく五町歩以上の所有者のものにして、初めて連年何かしらいじるということが、進んだ林業地においても、初めてその林業地に出てくるといったような、非常に経済行為と申しますか、森林をいじる機会というものが非常に少い。その中において、小さい森林組合を持っているということは、これはますます森林組合は伸びて行かないので、ある程度大きくしなければならないということは、これはもう自明の理になっているわけでありますが、そこで、私がお聞きしたいのは、この、こういった手続の改正の機会に、さらに、単なる町村合併による地域の森林組合を拡大するということでなくて、もう少しいわゆる自立のできるような、技術員なども置けるような、あるいはその事務なども専属してとっていく人を置けるような規模にまで拡大していく。現在森林法だと森林計画区ですか、とにかく日本の中を二千四、五百に分けているようでありますが、少くともあのくらいのところにしなければならない。私はさらにいえば流域単位にさえしていく程度のものに、これは今日強制というわけではございませんが、御指導としては、することによって、初めて私は組合というものも地についてくるし、組合自身の活動というものも、個々の人たちの経済行為の機会というものは依然として頻度が少くても、その組合の中に包容されている地域の活動としては、その分量がある程度まとまることによってやっていけるのだ、こういうふうに思っているのですが、そういうふうに、こういった手続を改正する機会に、他の森林法改正をしなければならない幾多の点もありますが、こういう機会に一応の目標といいますか、構想を描きながら御指導になる気持があられるかどうかということと、さらにはいわゆる再建整備をこの組合にもしようとされておられるのでありますが、一つ再建整備についての森林組合関係の現在の段階とお見通しの関係ですね、これをあわせて一つお聞きしたい。二点です。
  38. 川俣清音

    衆議院議員川俣清音君) 前段の分については私から答弁申し上げます。後段の部分は林野当局から御説明願うことにいたします。三浦さんのお話通り、経済行為を主体に森林組合の組織を考えた場合におきましては、非常に行政区域とかけ離れて、森林所有自体から、または流域的な広域的な経済行為を行うに必要な区域というようなことが主体に考えられるわけですが、今の行政面において、なお活躍しなければならない仕事が残されておるような日本の現状におきましては、行政区域から離れた組織というようなこともかなり煩瑣になるのじゃないかと思いまするし、面積の関係、範囲が大きくなることは望ましいにいたしましても、今の町村合併状態から見まして、急にそこまでいくことが必ずしも混乱なしに運営ができるというわけにもいかぬようでありまして、将来の改正の場合におきましては、重要な問題としてこれを考えていかなければならない、こう考えております。後段につきましては林野当局から説明させます。
  39. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今、提案者の代表であられる川俣先生からのお話ごもっともであると思うのです。私もこれを一挙に非常に大区域なものを作ろうといってもこれはなかなか中が固まらないで容易じゃないと思うので、林野庁の人にあとの問題とあわせてお聞きしたいのは、一段としては現在の町村合併の中でこういう形をなるべく進めて、一応現在の町村の単位に固めるけれども、やがてその目標はどうしてもある程度もっと広範囲なものにしたいのかどうか、する気があるのかどうか。それを目標としていきたいという気持があるのかどうかということを一つあわせて御指導の気持からお願いしたいと思います。
  40. 柴田榮

    政府委員(柴田榮君) お答えいたします。この問題は森林組合の性格と森林組合運営の観点から非常に重要な問題だと存じますが、先刻川俣先生から御説明いただきました通り、行政区域との関係でなかなか森林区を目標といたします内容森林組合の区域とを全く一致させるということは相当困難な点もあると存じますが、これが一致するということは公共、公益、私経済との関連からいって実施上も指導上も非常に都合のいい問題だと存じますので、もしその目標に努力するということは当然だと思うのでありますが、区域を森林組合を合せるというよりも森林区自体を町村合併によりまして一つの理想の形に統合された場合に直し得るものは直して行くという方向に考えるべきである、かように私どもは考えております。  それから森林組合の再建整備の関係でございますが、実は再建整備法によります再建整備は本年度をもって完了するわけでありまして、今後の町村合併に伴いまして合併整備される組合に対しまして今直ちに再建整備ということは実は方法もありませんし、考えてはいないということを申し上げざるを得ないのでございます。
  41. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今再建整備の問題ですが、実は現在の府県単位の県連段階における整備は、このような大きな単位の団体合併による問題とこれは並行して行く場合、この合併促進を急がなければならないし、おそらくこの法律を、各合併されている町村あたりは待っているといっていい手続だと思う。従ってこれを出せばすぐこの問題にもかかる、一方においてまた県単位の県連の再建整備というものも期限があるものですからこれにかかる、そこで一段とあなたの方としては国の指導の立場から言えば御指導をさらにされるのだと思うのですが、今年あたりこの県連段階として整備をし得る府県というものがどのくらいのお見込みを持っておるか、できれば多い方がいいにきまっているが、少くともこれくらいはしたいという数字目標もあろうと思うのですが、その点をお聞きしたい。
  42. 柴田榮

    政府委員(柴田榮君) お答えいたしたいと存じますが、お話通り町村合併に伴いまする従来の小さな単位の大体町村単位でございますが、組合を統合いたしまして比較的合理的な経営の可能な単位に進めて行くという意味におきましても、極力町村合併に伴いまして森林組合も統合を促進いたしたいという考えで指導を進めて参るつもりでおりますが、これをあわせまして県連の整備促進の問題にも関連いたし、かつ整備促進にも役立つということは当然でございますので、それらとあわせましてただいま相談をいたしておりまするのは、約七、八の県が整備促進で実際に御相談できると、こういう見込みでおりまして、すでにまあ着手いたしているところもございます。今年、あるいは来年を通じまして単位組合の再建整備は一応終了いたしましたので、連合会の整備促進を進めるという考えで目下指導を続けているという次第でございます。
  43. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 最後に一つ、さっきの農林漁業金融公庫法にも関連するわけでありますが、この森林組合は例の伐採調整資金という貸し出しについてある一般の事務を担当しているようでありますが、この伐採調整資金というのは説明するまでもなく、山を自分で持っている、そうしてその山をどうしても金にかえなければその所有者の不時の金に困るために切るか、あるいは足元を見られてただのように売ってしまうといったような、換金の縁遠い山林でありますためにそういう制度が救済の道としてできている。昔から山持ちをいなかへ行って見まするというと、わずかの金を貸したことによって人がせっかく植えた山林を自分所有に変えて、今じゃ大山持ちになっているなんという例は過去にずいぶんある、そういったような実情からして、そういったことを防ぐためにああいう伐採調整資金ができているわけでありますが、ところでこの伐採調整資金は、現在政府が森林法というのをお作りになって、そうしてその地方々々で、松ならば松は四十五年前に丸坊主に切ってはいけない、あるいは杉は五十年前に丸坊主に切つちゃいけない、こういうことをきめ、そしてもう一つは、それよりももう少し下の段階で、たとえば松ならば二十年過ぎればそろそろ抜き切りをしていいのだからこれについては許可を受けろ、あるいは杉については二十五年たてば許可を受けろ、許可を受ければともかく利用のできる年令に達したのだからその場合は許すと、こういう二段立でおやりになっているんですが、その森林組合が一部の事務を担当している伐採調整資金の貸し出しは、現在の運用を見ておりまするというと、その地域内において、森林区の中において利用間伐をしようという許可を受けてその許可が受けられるという範囲内、つまりその森林区の中でこのくらいは間伐はしていいのだというおのずから出てくる計算の数量がありますが、その数量内は許可をして、自分で間伐をして金にかえればいいじゃないか、こういう形、もう許可量が一ぱいになっちゃって許可はできないといったときにおいて初めて伐採調整資金というものを貸し出すという運用に多くなっているようであります。ところが公庫法の業務方法書を見てもそういうことはいってないのですね。業務方法書を簡単に読んでみるというと「伐採調整資金にあっては、その貸付金の限度は貸付に係る森林の立木で都道府県知事が定める利用伐期令級に属するもののうち、適正伐期令級に達しないものの評価額とし、森林所有者一人に付年三十万円以内とする。但し、その者が適正伐期令級以上の令級に属する普通林立木又は森林法第十六条の規定により伐採の許可を受けている立木を所有するときは、これらの立木の評価額の合計を三十万円から控除した額を限度とする。」といって別段その地域森林区中のものが一ぱいになっちゃってどうにもこうにも切れとはいえないという場合だけ出すということが運用の実態のようであります。一応は私どもわからぬわけではありませんが、今度の自作農創設特別措置法といったような、自作農の維持のために、あるいはその安定のためにするところの農地の買収等のために金をかけるというところまできた今日の段階としては、私はその森林区の中で所有者には無関係に、ただ総量的にその森林区の中の人たちの伐採許可願いというものがあらかじめ計算された許していいという量に達するまでは貸し出しはしないのだという総括的に見てそういうことで押えて、個人というものには全然関係のないというあの運用の行き方というものについて私はこの際としては再考を要するのじゃなかろうか。でありますので、今の伐採調整資金というものが昨年の二十一億から今年の十八億になってしまって、借り手あまたであってどうしても仕方がないからそういったいわば窮屈な運用をしているという御答弁があろうと思いますが、私は運用としてはそういうことにやむを得ずするのはこれは仕方がないとしても、原則としてはその地域全体のバランスの問題と個人の金が必要であるという問題との関係はおのずからまた違うと思うのです。今度の森林法を制定なされて、農林省としてもその森林法趣旨を十分徹底するように御努力のようではありますが、まだ実はなかなかそこまでは徹底をしているとは限らない。そこでなお複雑な事情がありますが、その問題はこれは別にしても、理屈からいってもその森林地区の中の計算された間伐してもいい量というものをここに数字的にといいますか、机上で出しておいて、そうして一方ここに借りなければならない、急に用ができたというのに、そうして、売ろうとすれば二束三文でもって買われてしまうといったような足元を見られるようなその人たちに対して、まだ許せば許せる範囲というものがあるのだから、お前さん伐採調整資金というものは貸さないよということは、私は森林法というものが一番森林として経済的な年令までその植えた人たちに持たしていきたい、また途中で切る場合にはできるだけその植えた人たちの期待に反しないような形で切らせるなり、維持していきたいという森林法趣旨からいえば私はおかしいと思う。私はこの点はちょうどここから見ると経済局長もおられるのですから、その点はぜひ一つ運用の方式を拡大してといいますか、少し窮屈さをかえてもらいたい。私はさっき農林大臣にこの問題は聞こうと思ったのですけれども、あまり中のことまで御存じないだろうと思って、自作農創設についてはいろいろと問題が多いからああいった措置まで、二十万円できようとするわけですから、林業はいち早くこういう措置をとってきた、とってきたけれどもあまりに実情に合わない。それは原資が少いという事情もあります。ありますけれども、しかしあまりに機械的すぎているじゃないか。自作農創設のような、ああいう制度ができる機会に、この運用というものは再検討されていいのじゃないかと思うのです。おそらく提案者川俣さんは御賛成だと思うのです。もちろん当然だと思うのです。一つ経済局長からなり林野庁の方からお答えを願いたい。特に私は経済局長からもお答え願いたい。
  44. 川俣清音

    衆議院議員川俣清音君) この点は三浦さんのお説と全く同感でございまして、今日公益上の必要から幼令樹の伐採を個人の意思に反して制限をいたしておりまするゆえんの本質から行きまして、また個人所有であるとはいいながら日本の資源の適正な発展を期する上から行きまして、国の利益と一致させるために個人の意思を制限をして行きたいというのがこの趣旨でございまするから、できるだけその趣旨に従いまして予算の裏づけが適正に行われることによって初めてこの目的が達成できると思うのですが、現状のように予算の総ワクの上から、原資の不足からいたしまして、いろいろ机上的な計算をせざるを得ないような結果になったことはまことに遺憾でございますから、一つ三浦さんから農林大臣に強く要望されまして、当委員会が、三浦さんの御趣旨のように、予算でも裏づけできるように御助力願えれば非常に仕合せだと思います。
  45. 柴田榮

    政府委員(柴田榮君) ただいま川俣先生からお答えいただきましたと全く同じ考え方を持っているわけでございますが、まあ第一段といたしまして、あくまで森林法によりまして伐採を規制する、所有権を制限しても森林法を守っていただかなければならぬという場合に、生活資金にも事欠くという場合に、伐採調整資金によってこれを救うということは、これは伐調資金については本質だと思っておりますので、何としてもそれを主体として運営すべきものである、かように考えておりますが、後段先生の御指摘のように森林法を守らせるという問題も、最も適正に経済的に山を維持する、各所有者が経済的に運営できるようにするというために、あるいは金融措置考えるということは、これまたぜひ必要なことであるというふうには考えるわけでございますが、これは一面におきまして、担保金融の性格が非常に強く出て参る問題でございまして別途に考慮せらるべき問題ではないか、かようにまあ考えておりますので、経済局等との関連におきましてはそれらの点も今後相談をしまして、まあ何と申しましても資金の増大という問題の見通しがつかなければ実はなかなか妥当であっても目的を達しない問題でございますので、さような線で今後も努力をいたして参るということにいたしたいと存ずる次第でございます。
  46. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 伐採調整資金の問題につきましては、ただいま川俣先生並びに林野庁長官から御答弁した通りでございます。  御承知のように、森林法によりまして、森林の重要性にかんがみまして個人の所有権を制限する次第でありますので、公庫といたしましてもできるだけ一つそういうような森林所有者の意思に反しまして伐採を制限された者の生活資金はめんどうを見たい、かように考えているのでございますが、何せ毎年々々相当農林漁業関係は非常に各項目とも重要な施設ばかりであるのであります。反面資金総額が非常に少いというような関係もあるのでございまして、私どもといたしましては資金総額をできるだけ多く獲得する、その上で伐調資金の方もそれに応じましてワクを多くしまして森林所有者に迷惑のかからないような措置を今後とも努力していきたいと考えております。
  47. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 経済局長は、公庫関係もいわゆる何と言いますか、御監督の立場ですからお聞きするのですけれども、それは資金源というものをふやさなければならぬということはこれは当然と言いますか、希望するところなんですが、たとえば本年の十八億、去年の二十一億にしましてもこうなんですね、伐採調整資金、これはもう担保金融一つです。森林に対する担保金融の一端、一つなんです。そこで伐採調整資金を借りようとする場合は、その借りようとする人の属する森林区の中の利用間伐をしてよろしいという計算された数量、地区として計算された数量のワクまで切りゃいいんだから貸さない、そこまでは許可できるのだから貸さないのだと、こう言っているのですね。そして個人には直接関係ないのですよ。その地区の林力から見て、そして抜き切りをしていいという総量が出ますので、その出ました数量に満ちるまでは金を貸してくれと言っても、それは切ったらいいじゃないかと、こういうことで、伐採調整資金、つまり担保金融というものを適用してくれないわけです。そしてそれが一ぱいになって、許可数量が一ぱいになった後になるというと、まさかみずから法律を破るわけにはいかないから、それじゃ貸そうといって、まあしぶしぶお貸しになるわけなんですね。私はそこにどうも担保金融とは言うけれども、全く最小限度しぶしぶやむにやまれないためにあれが運用されているいうことであって、進んで森林をよくしてやろう、進んで森林所有者に損をかけまいといったような、あるいは不便をかけまいといったような親心というものが私はきわめて乏しいと思うのです。どうせそれだけの価値、それ以上の価値のあるものを担保にして出すんだから、私は今の自作農創設の維持のために、あるいは安定拡充のために貸し出しという制度ができるような機会にそういったしぶしぶやむを得ないから、法律はみずから破るわけにはいかないからといった程度のきわめて消極的な態度でなくて、考え方としてはそれを切るのは惜しいじゃないか、それを切るのは惜しいのだからそれだけの値打のあるものなら、今の現行法で言えば三十万円貸すから、もう少し切らないでもらいたい、こういう親切があって初めて森林というものが私はよくなっていくように思うのです。そこのところを私は一つ経済局長から考え方というものを聞きたい。こういうことです。
  48. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま利用間伐の可能な数量の範囲を越えるものだけのみ融資対象として、それ以内のものはこれを認めないというようなことは不親切じゃないか、こういう御意見でありまするが、まことにその点は御意見通りかと思うのであります。ただ御承知のように、資金ワクが非常に少いのと、もう一つ森林法の建前といたしまして、とにかく個人の意思に違反して伐採を制限をする、この場合に、どうしても政府としても最低限のめんどうを見なくちゃならぬ、こういうような二つの建前に立っているのでありまして、いわゆる個人の意思によりまして切ることが可能であるというものについて、ただいま可能であるが、ただいま切った場合にはそれが非常に不経済である、こういうような自由意思のもとに立っているものにまで範囲を拡張するということになりますというと、そこに相当資金を全体の問題といたしまして、非常に大きくせなくちゃならぬという問題があるのでございます。もちろん御意見の点は私どもといたしましては、いわゆる適正伐期令級の間伐利用の限度だけであるというようなその範囲内におきましては、もう御意見の点もごもっともと思う点もございますので、今後とも資金増大が可能になりました場合に一つ研究いたしたい、かように考えるわけであります。
  49. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それはあなたが資金が可能になりましたらと言っても、資金の運営はどうなっているんです。二十三億から二十一億になり十八億、そうして一方においては農山村の経済はだんだんと困っている。森林所有者の九割九分までみんな農民じゃありませんか。それをそういう考え方であるから私はその一体資金源というのは毎年毎年少くなってくるのだと思う。私は今のようなことでなく、考え方というものは、資金源が少いときは、やむを得ないからそういうような運用をしなければならぬことは承知してくれ、しかし考え方としては、私の希望しているように、また大方の人たちが希望しているような方向にみずから私は農林省もいってもらわなければいかぬ。こういうことを言っているんです。どうですか、そういう考え方は。
  50. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 御意見の点はごもっともだと思います。今後さような点につきましては、十分一つ林野庁とも相談の上検討をいたしましてやって参りたい、かように考えております。
  51. 亀田得治

    ○亀田得治君 簡単にしてくれと言うから一つ簡単に聞きますがね。百二十三条のこの第六項を削除する、こうなっておるのですが、これはどういう意味でこういうふうにされたわけでしょうか。第六項を削除しましても、百十条によってやはり総会は開かなければならないことになっているわけですが、その点の関係はどうなりましょうか。
  52. 川俣清音

    衆議院議員川俣清音君) ちょっと失礼ですが、もう一度……。
  53. 亀田得治

    ○亀田得治君 百二十三条の第六項ですね。総代会がある場合でもこの総会を開かなければならない、こういうふうに現行法はなっているわけですね、それをこの改正法では削除する、こうなっておるわけですね。それだけを見ますると、総代会がある場合には総会にかわって森林組合の経営を進めていくことができるように感ずるわけですが、ところが現行法の百十条では総会は、年に一回通常総会は必ず開かなければならぬことに一方の規定ではなっているわけです。だからその両方の条文が矛盾するように感ずるのですがね。改正法の考えでは総会にかえて総代会だけでやってもいい、そういう考えでしょう。そうでしょう。
  54. 川俣清音

    衆議院議員川俣清音君) そうです。
  55. 亀田得治

    ○亀田得治君 ところが、もしそうするのであれば、森林法の第百十条自身を改正しませぬと、こういうことはできないわけですよ。森林法の第百十条の第一項には理事は必ず年に一回定期総会を開かなければならないと義務づけられておるわけなんです、だから第百十条の第一項をも改正するということが前提になって初めてこういうことがまた出てくるわけですね、百二十三条のような改正というものが。
  56. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 百二十三条第五項によりまして、総代会には総会に関する規定が準用されることに相なるわけであります、従いまして組合の通常の業務の運営に関しましては、特別決議事項を除くほかは総代会が組合の議決機関として活動し得るということに相なるわけであります。
  57. 亀田得治

    ○亀田得治君 ところが、その点はもちろんわかるのですが、この百二十三条の第六項、私が言っているのは第五項じゃなしに第六項なんです、第六項を削除された趣旨は、総代会で総会にかわってやっていけばいいのだ、めんどうくさいから、そういう趣旨のようだが、もしそういうことをしようとするのであれば、百十条自身の条文とこれが矛盾するわけです。百十条は明らかに優先的に理事に対して年一回通常総会招集の義務を負わしているわけなんです。だから百十条も条文を変えるのだということならわかりますがね。もしそれならこの一部改正はその条文の改正も入ってこぬと非常におかしいと思うのですがね。元来百二十三条の第六項というのはこれは訓示的な規定だと思うのですね。
  58. 川俣清音

    衆議院議員川俣清音君) それは必ずしも総代会ができるとは見られない運営の仕方もあるわけでありまするし、またたとえば総代会の権限の中にも、役員を選挙し、または選任、または総代を選挙するような、あるいは設立委員を選任し、または百二十一条の事項について議決することが総代会ではできないのでありまするから、総会でやらなければならない事項があるわけであります。ですから削られてしまうと、全部が総代会でやっていいということにはならないわけですから、残しておかなければならぬじゃないかというふうに私どもは考えるわけですが、なお不十分であれば事務当局から……。
  59. 亀田得治

    ○亀田得治君 もしそういうことなら、百二十三条というものは現行法のまま残しておいてもらっていいじゃないかと思うのですが、やはりこういうものを削るということは総会というものを……やはり大体百二十三条の六項というものはあってもなくてもいいのです。元来が百十条さえあればこれは必ず総会がいるわけですから、しかしこれがあるというのは、ややもすると総代会というものがあると総会が軽く見られちゃいかん。たとえ総代会をおいても総会というものは厳としてこういうふうにやるのだぞと、これは一種の訓示的な規定だと思う。だから私は先ほど清澤さんが、どうも森林組合の実情からいうと、便宜上こういうふうな改正もいいかもしれんが、しかし民主化に対する逆行という点を清澤さんが心配されて質問されておる。私はやはりこの提案意味全体はわかるのですが、わざわざ現行法で総会は尊重しなければならぬのだというような気持から、この訓示的な第六項というものを置いてあるのだから、私はこれはこのままやはり置いておいた方がいいじゃないか、その方が百十条との関連性もつくように思うのですがね、つり合いがとれる。
  60. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 百二十三条第六項を存置いたしておきますと、総代会が作られました場合においても、通常総会を、百十条の規定に基く通常総会を招集しなければならない、こういう拘束を法律の義務として施設組合は負うことに相なるのであります。で、むしろ百十条の理事は「毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。」という理事に対する訓示規定をここに置いておきまして、そうしてこの百二十三条の第五項によりまして「総代会には、総会に関する規定を準用する。」ということで、理事が総代会を招集すればこの百二十三条は第五項の読みかえによって百十条の訓示規定による拘束をも充足したと、こういうふうな規定に読んだ方が適当なんではないか、かように考えます。
  61. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは大へんな間違いですよ。百十条の規定は訓示規定でも何でもない、これは義務規定なんですよ、理事の……。これはどこの会社に行ったって皆そうです。普通の会社法を見たってこれははっきりとした義務規定なんです。で、第百二十三条の六項というのは、総代会によって総会を軽んずることがないように、念のためにこれは言うておるだけなんです。だからあなたのその説明はまるきりそれは通りませんよ。だからこの点は私は結論としては、ぜひそういうふうな妙な解釈があるおそれもあるのなら、なおさら百二十三条の六項、これは一つ存置するようにしてほしいと思うのです。ほかの点は、まあ川俣さんの御趣旨は十分事情に即して善意に解釈しておるわけですが、置いておいても差しつかえないと思うのですが、どうですか川俣さん、どうせ開かなければならないのですから、百十条によって開かぬというわけにいかぬのですよ。もし開かぬでもいいという趣旨でこの百二十三条六項をとるのなら、百十条自身をこれは改正しなければだめです。しかしこれは普通の理事総会との関係からいって、これはちょっとおかしい改正になりますよ。
  62. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   [速記中止〕
  63. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は私ほどの提案説明の第二点のところにあって、「これまた実体から遊離する事態が往々生じておりまするので、この際第百三条及び第百五条を改正し、投票による選挙のほかに、選任制をも認めることとし、」ということに重点を置いてお伺いしたのです。ところが川俣さんは、大体百五条の三項の総会外においても選挙することができる、だから差しつかえないじゃないか、選挙をやるのだから差しつかえないと、こう言われておるが、私は選任理事の点が、選任ということになりますと、結局すればこういう二つの者が立ったとすれば、今の実情からいえば、言われる通り、全部選任制になる。それだったら全く民主化を阻害してだんだん逆行していく形がとられる。私はただ単に森林法自身の選挙実体を言っているのじゃないですよ。現実に今封建性が残って、そうして農村で一番問題を起しているのはこの山間地帯なんです。あるいは薪炭山に入れないとか、あるいは下草を刈らせぬとか、それから薪炭林の払い下げについて、小作料までうしろから持ってこいとかといって、農地改革の本質を逆行せしめておるものはこの精神なんです。それになぜこういうことをするのかというのです。それが聞きたいのです。しかもこれを見ますと、われわれの同志がぞくぞくと賛成しておるところを見ると、はなはだもってどうもこれは納得できない。私は全く納得できない。常にそういうことを叫んでいる人が、なぜ賛成するんだ。さように思って、いつでももののやり方があやふやでいけない。これを通すにしましても、きょうこれだけはっきりさせて下さい。
  65. 川俣清音

    衆議院議員川俣清音君) 清澤さんの御心配の点は私どももうなずけるわけであります。総体的から言いまして、選挙制を本則とすることは何ら異存のないところでありまして、この改正案につきましても、原則的には選挙制を骨子としておるのでありまして、例外的にただ総会の席上で定款を決定し、定款で選任するということの規定ができた場合に適用させるというふうに、範囲をできるだけ縮小いたしておるわけであります。と申しまするのは、実際の森林組合は、実は非常に有力な活発な経済行為を営んでおりまする森林組合もございまするけれども、一面においては、なかなか総会をやりましても流会々々というようなことで、規定の総会もできかねておるような状態もございまするので、そういうことでありまするというと、せっかく総会本位、選挙制本位にとっておりましても、現実はそれに従っていかないで、かえって実態に合わないいろいろな策略が講ぜられるということにかえってなりがちでございますので、流会々々が続かなければ問題はございませんけれども、往々にして流会が非常に多い実例も見ておりまするので、それよりも幾分でも実際に当てはめよう、組合員の平等な参加権をできるだけ発揮させよう、こういうふうにねらったわけでありまして、決して逆行させるというような意味でなくて、むしろほかの形でもいいからして、その意見をできるだけ実態的に反映させよう、こういうことにいたしたのでありまして、抽象的にはそういう御心配もないわけではございませんけれども、育成の途上におきまして、実際はなかなか集まりがたい。運営も、あるいは組合費の滞納も非常に多いというような実態にありますので、こういう便法をとったわけでありますから、どうか一つ御了解願いたい。  それから提案理由の中に、三ページでございますが、「役員及び総代の選出の方法についてでありますが、」と、こう提案理由を申し上げましたが、これを「役員の選出の方法についてでありますが、」として、「及び総代」というのをとっていただきたいと思います。御了解を願います。削除をお願いいたします。
  66. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案につきましては、なお亀田委員質問に対する答えが残っておりますが、次回におきましてこの点を明らかにしてもらいましたならば、直ちに討論、採決を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではさようにいたします。     —————————————
  68. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案議題にいたします。  本法律案につきましては、七月十五日の委員会において提案理由の御説明を聞いたのでありますが、本日は法律案内容、その他参考事項に関する説明を聞いて、続いて質疑に入ることにいたします。
  69. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 本法律案衆議院農林水産委員会で起草いたした案でございまして、委員長がまかり出まして御説明申し上げるのが本旨でございますが、残っております重要議案の審議をいたしておりますので、水産に関する小委員長の私が、かわって御説明申し上げることにいたします。
  70. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは御質疑がありましたら、どうぞお願いします。
  71. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 一、二お伺いしたいと思います。それは水産業協同組合共済会が現在行なっている共済事業とその現況、それから今後行わんとする共済事業や実行方法等をお伺いしたい。
  72. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 現在水産業協同組合共済会は御承知のように参議院の御提案によりまして昭和二十五年にこの共済会の設置ができますような法律改正を見まして自来五年間経過いたしておりますが、現在までは建物共済を生としてやっているわけであります。その契約額は約五十億円程度でありまして、その内容は主として火災損害の共済をいたしているような実情であります。本改正案によりまして、もし御承認を得ましてこの法律が決定いたしますれば共済会は漁民厚生共済、これは海上におきますところの遭難事故あるいは障害等の事故によりまして相互扶助の精神で共済をいたして参りたい、この漁民厚生共済考えているわけであります。さらに漁具の共済、さらに調査を進めまして漁業共済、つまり凶漁でありますとか、不漁でありますとか、そういう事態に対処いたしまして漁業共済をもやって参りたい。そういう工合にいろいろな、現在漁村で要請されておりますいろいろの共済事業をやりますために本改正案でそれをなし得るように法的措置を講ずるのが改正案の趣旨でございます。
  73. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 ただいま伺いますと、建物共済はすでに約五十億の契約をしておいでになる。御承知のように最近農業団体でいわゆる建物共済をめぐりまして農業共済組合農業協同組合が競合して激しい確執を演じているわけでありますが、本改正法律案によって水産業協同組合共済会の共済事業が拡大されて参りますと、半農半漁の農漁村、あるいは農漁家等に対しては従来の二団体のほかにさらに新しい団体が加わってかかる競争が一段と激化をするということが心配になるわけでありますが、万一こういう事態が発生をいたします場合にはせっかくの改正法の趣旨に反して参ると考えられますが、こういう点についてはどういうお考えでございましょうか。
  74. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) ただいま農業団体のやっておりますところの共済事業と、今度の改正によって行います水産業協同組合共済会の事業が競合するのではないかという御心配の点でありますが、過去五年間の経過からかんがみまして、建物共済の面におきましてはただいま御指摘になりましたような統合関係はほとんど起っておりません。これはおそらく漁村が沿岸の僻陬の地に多くございまして、しかも漁業協同組合共同施設、あるいは漁業に密着しておりますところの漁業組合員の施設等が主として取り上げられておった関係等からいたしまして競合関係が見られなかったという結果に相なっていると思うのであります。この建物共済につきましてはその点を五年の経過実績を御検討いただければ御心配はいるまいと、こう私ども考えているわけであります。  次に今回の改正によりまして拡張されましたところの共済事業のうちで、漁業共済の面並びに漁具共済の面、これが農業団体共済事業と本質的に競合関係のないことは申すまでもないのであります。ただ御憂慮になりました点がありといたしますならば、それは漁民厚生の共済、これが競合関係がはなはだしくあるかどうか、こういう問題に問題をしぼって見られると思うわけであります。先ほど私が御説明申し上げましたように、主としてこの漁民厚生共済のねらいは海上におきますところの遭難事故あるいは障害等の事故そういうものを主として重点に置きましてこの共済事業をやるわけであります。現在御承知のように漁村におきましては、三十トン以上の漁船に乗り組みますところの漁業者は船員法の適用を受けまして、救済の措置がとられておるのでありますが、漁村の圧倒的な零細な漁民大衆は三十トン未満の漁船で生活を営んでおります。これらの沿岸漁民は船員保険法にも救済されないというような立場にあるわけであります。しかも海上におきまして、いつも危険にさらされておる仕事に従事している、こういう事態であります。全国の沿岸の漁民から切実に本事業の実行を要望いたしておるわけでございます。   〔委員長退席、理事三浦辰雄君着席〕 そこで私は御質問に具体的にお答えをいたしたいと思うのでありますが、漁村の大きな比重を占めておりますところの専業漁業者についてはこれは問題があるまいと思います。それから次に半農半漁の漁村と申しましても、その部落を構成いたしておりますものの中で純農民、それから専業漁民、こういう工合に雑居の形でおります。専業農民につきましては、この共済事業共済会でやります場合には共済規程なるものを作りまして、行政官庁の認可を受ける建前になっておりますから、この共済規程の認可に当りまして、純農民、専業農民につきましては農業団体共済事業と競合いたさないように共済規程の面で適切な配慮措置をとっていけば解決すると思います。  そこでさらにしぼった問題になってくるわけでありまして、一人の人間が半農半漁の生活を営んでおる、こういう問題に問題をしぼられてくると思うわけであります。そこでこの一人の個人が農と漁業を兼業いたしております面につきましてはこれは漁業法との関係があるわけです。現在漁民は一年間に九十日以上海上で従事する者でなければ、漁民として漁業法の面あるいは協同組合法の面で資格を与えられていない。こういうことに相なっておりまして、これを大部分の者を漁民としての資格を持たせずに、農民の取扱いで参りますと、たとえばテングサ、あるいはワカメ、コンブ、あるいは海草等のいそ物を採集いたします場合に、すべて共同漁業権なり漁業権に依存をしておるわけでありますから、どうしても漁民の資格は兼業の方々も漁民の資格を得る必要があるという要求がございまして、漁民たる資格も与えられておるわけであります。そこでこれらの人が九十日間なり、百日間なり海上で操業いたします場合に、農業に従事する場合とは比較にならぬほど、荒いそで操業いたすわけでありまして、それだけ危険が伴うわけであります。その場合に、これは兼業漁民である、兼業農民であるということでこの共済保険から、単なる農業団体共済事業との競合関係をおそれるの余り、これを入れないというような措置をとって参りました場合には、むしろそういう方々の立場がお困りになるのじゃないかと、こうも考えるわけであります。そこでそういうような非常にしぼったところにありとすれば、考えられるところの競合関係につきましては、これは本人の自主的な選択と申しますか、それにゆだねて差しつかえないのじゃないかと、こう考えておるわけであります。
  75. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大体わかりましたが、一家で海上の操業も九十日以上やっておる、それから耕作も一反もしくは二反以上やっておるという完全な半農半漁の場合には、これはなかなか、特にさっきのお話建物共済をめぐっては、しかく簡単にいかないと思うのです。農業団体の間でも、個人の自由選択にまかせると言っても、強い働きかけがそれぞれあることによって、実はその選択に迷っておるのが実情なんでありますから、私はせっかくのこういう法律改正をされる場合に、そういう半農半漁を業とする漁家をそういう渦中に巻き込まないような措置が、むしろ事前に必要であろうということが私の聞かんとする趣旨であります。こういう点に関しましては、私は行政庁があるいは定款なり、あるいは認可なりという権限を持っているわけですから、すでにこの問題については、経済局長もここにおいでになることですから、行政措置として、一体そういう半農半漁の漁家に対しては、今ややもすると非常な解決を迫られておる容易でないこの建物共済等をめぐっての問題等に、せっかくのこういう半農半漁家を渦中に投ずることを好まない、またこれを未然に防ぐ措置を何かお考えになっておるかどうか、これを経済局長からもあわせてお答え願いたい。
  76. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 私からさらに御心配の点は御説明申し上げたいと思うのでありますが、この農業団体共済組合と農協との間にいろいろ摩擦がある、競合関係がある、それに非常に御心配になっておるお気持は十分私ども承知いたしておるわけであります。ただ今の一世帯、その本人が半農半漁をやっております兼業漁家あるいは兼業農家と申しますか、そういう方々をその競合関係を御心配なさる余り、これはもう半農半漁の者は農民とみなして、漁民ではないのだいう立場で、この共済規程を認可される場合に、行政庁が措置をおとりになるということが、もしそういうことを制約されました場合に、この九十日といい、あるいは百日といい、危険な海上で操業なさる場合に、この共済事業の恩典から、そういう多数の人は恩典に浴せないことになる。これで果していいのかどうか。これは非常に零細な人たちであります。海上で危険な仕事に従事する場合に、何らのそこに保障はない。民間の保険はこういうものは危険であり、零細であるために手を差し伸べない。おそらく農業団体の保険の場合にも、そういう海難事故あるいは障害というものにつきましては、あまりお考えになっていないと思います。そういうものを漁民の立場において、そういう特殊な危険、特殊な障害、これを救済することは、これはいいことであると私どもはこう考えておるんでありまして、いろいろ団体間には事情はおありになろうと思いますけれども、その末端の半農半漁民のお立場をお考えいただいて、これはやはりそれらも救済されるような一つ御考慮をわずらわしたいと、こう思うわけであります。
  77. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 ただいまのお答えで若干私の質問の範囲を拡大されておる向きがありますので、私が心配しているのは、要するに兼業農家と言いますか、兼業漁家の個人建物に限っての話です。それ以外のことについては、私は改正法の趣旨にはもちろん大賛成であります。何らの容喙なり制肘を加えようとは考えていない。ですから個人の建物に関して、せっかくこういう改正法をなさろうという場合に、私はいたずらにそういう激化されようとしておる競合の渦中に巻き込まれることは、あまりさい先いいことではないし、後に尾を引くようなことは、むしろ出発の当初から御注意になった方がよかろうというのが私の趣旨であります。
  78. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) ただいまのお尋ねによりましてはっきりいたしたわけでありますが、今後この改正によりましてやろうと考えておりますこと、またやらしたいと考えております漁民厚生共済、あるいは漁民共済、あるいは漁業共済、この面につきましては御了承をいただいておるようでありますが、ただ建物共済の面についての心配であります。実はこの建物共済は、今回の改正によって新たにやるのでございませんで、昭和二十五年に参議院の御提案によりまして、この建物共済をやるように相なったのでありまして、それ以来五カ年間すでにやって参っております。そうして先ほど申し上げましたように、さしたる競合関係もございませんので、その点は今までやっておりますので御了承をいただきたいと思うのであります。
  79. 三浦辰雄

    理事(三浦辰雄君) 今、飯島委員提案者の方の説明鈴木善幸君との間でいろいろ質疑をされまして、その中でこの法律改正されて運用される暁において、いろいろ指導の立場にある経済局長の方ではどう考えられるかといったような問題、特に建物共済の問題等が中心でありますが、一つお答え願います。
  80. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 今回提案になっておりますいわゆる水産業協同組合法の保険の関係でありますが、ただいま飯島先生のお話によりますると、建物共済以外については全部賛成である。ただ建物共済については今後いろいろと農業協同組合あるいは共済組合との関連があるので、その点を十分に一つ研究した方がいいだろう、こういうようなお話でありますが、ただいま鈴木先生からお話がありましたように、現在まで建物共済につきましては、すでに五カ年間水産業協同組合の方でこれを実行いたしておりまするが、一つも紛議を生じた事例はないのであります。   〔理事三浦辰雄君退席、委員長着席〕 また従って私どもといたしましても、今後も建物共済につきましては、水産業協同組合と紛淆を来たすようなことはないだろうというふうに考えておるのであります。しかし万一さような問題が起きました場合におきましては、水産庁ともよく相談いたしまして善処して参りたいと、かように考えております。
  81. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの飯島委員質問に関連してでありますが、私もこの法律改正趣旨については全く同感でありまして異議はありません。ありませんが、個人所有の住宅の問題は過去五カ年間の経過にかんがみまして摩擦がなかったからよろしいとおっしゃいますが、これは漁業協同組合の方も漁業共済会の方もまだ卵になっておらん時代でありますから、これは実際行為としてその点はなかったと思いますが、ここで順次双方が成長して来ると、一つ対象を両方で取り合うというようなことが必ず起きるということは予測されないことではないと思います。その場合におのおのが保険料率で争ってくる、こうなると、せっかくよかれかしと考えておる共済仕事が、かえって基礎を薄弱にして行く種を作ることになると思うのであります。それをこの際未然に防止しておくことを考えないと、これを過去五カ年間の歴史を考えて、将来もそうであろうと言われると、これはおそらく間違う結果が起きることは、農業共済農業協同組合関係を見ましても、明確に言えることだと思うのでありますが、むしろこれは提案者よりは監督指導をなさる農林当局としてどうお考えであるか、この点はっきりおきめ願わないと、これは必ず将来問題を起すと思います。  もう一つは、この仕事と申しますか、法律改正によって、農業で言えばいわゆる農業災害補償のような仕事までも共済の範囲でやって行こうということをお考えになっているようでありますが、そういうような仕事は、そういうような業務は、農業の場合には国家の非常に手厚い保護があって強制加入という制度で行われているのであります。今回のこの改正は、あくまでも任意の姿でやって行くということでありますが、そういうような任意の姿において——農業のような非常に広範なものですら強制加入の道をとらなければその業務が成立をしないというようなことを——やっていけるというような確信が持てるのかどうか。もし将来そういうような水産災害の補償については国家の保護を受けるように考えて行くのだということになりますると、現在農業共済組合農業協同組合の間に摩擦を起しておるということをまた繰り返す危険がありはせぬか。こう申しますのは、これはあくまでも任意の仕事であるといっても、水産災害の方はやはり強制をしなければならぬときがくると思います。強制組織をとっておる団体が、同時に任意の仕事をやっておるために、理論的には不時な災厄によって損失を生ずるときがあると思います。その損失を、強制の加入会員にしょわせるということはどうかという点を考えますると、将来発展した場合には 水産災害の補償についてはやはり強制加入で国がそれ相当のめんどうを見て行くというところまで発展を見なければ、保険事業は成り立たないのであります。その場合に、今申し上げたことは一体どう整理すべきかということについて、提案者はどう考えておるかということをお伺いしたい。
  82. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 前段の建物共済の競合関係につきましては、これは行政庁の方から一つ答弁を願うことといたしまして、漁業共済あるいは漁獲共済等の面で政府が今後やろうとする強制共済との競合関係に立たぬかどうかという御質問に対して御答弁申し上げたいと思います。  私どもは森委員の御指摘になりましたように、漁業共済につきましても漁獲共済につきましても農業共済と同じような立場におきまして政府が手厚い保険の仕事を、補償の制度を設けてもらうことを心から熱望いたしております。これはおそらく全漁業者がそれを要求し続けて今日まで来ておるわけであります。しかしながら現在の段階におきましては、政府はまだそこまで踏み切れない段階にあるようでございます。そこで、私どもは最小限度漁業組合の自営あるいは漁業生産組合の自営をいたしておりますもの、あるいは共同販売が確実に行われております組合等の範囲におきまして、相互共済をやって参りたい、こう考えておるのであります。政府がただちに漁業全体の共済事業を取り上げて考えて行くことにつきましては、相当対象が広範になります。漁業の種類も非常に多種多様でございますし、その漁不漁の度合も漁業の種類によって非常に違う。従いましてまだ全般的な調査ができていないということが政府が踏み切れないでおる段階ではないかと、こう考えておるわけであります。そこで政府のこういう抜本的な、根本的な、制度が確立いたしますまでの間、この組合による共済事業を最小限度でもやって参りたいということでありまして、政府の制度が確立しますればこのような共済事業は、少くとも漁業共済あるいは漁獲共済というものは、政府の強制加入のそういう制度が確立した場合には、これはやめてよろしい、こういう工合に私は考えておるわけであります。またそういう気持で共済会の方も一日も早く政府が根本的な制度を確立させることを望んでおるということを申し上げておきたいと思います。
  83. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 御質問の第一点にお答え申し上げたいと思います。  建物共済の、漁業協同組合共済会とのいわゆる競合問題についてでありますが、いわゆる純漁村と申しますか、漁業者のみが居住しておる所、あるいは純農村、これはもうほとんど問題がないと思うのであります。漁村でしかも農村で、漁業者と農業者とが入り組んでおります半農半漁、一面漁業を営み、一面漁業をやっておるといういわゆる半農半漁が問題の焦点ではないかと思うのであります。この問題につきましては、これは私どもといたしまして一応今までの経過からいたしまして、相手方の自発的な意思によってこれを選択するということが順序だと思うのでありますが、万一そこに紛淆を生ずるということが、今後の発展過程においてはあり得ることも想定されると思うのであります。こういう場合におきましては、私どもといたしましては水産庁と一応いろいろ相談いたしまして、それは一定の基準と申しまするか、これは基準の線の引き方が非常にむずかしいと思うのでありますが、それらの問題につきましてよく検討いたしまして、場合によりましては一定の基準を設けて、ある程度そこに線を引くというようなことも考慮いたしまして対処して参りたい、かように考えております。
  84. 森八三一

    ○森八三一君 問題が起きてから線を引くということは、いわゆる業者が実績を持ってしまうのですから、そのときに線を引くということは、これは実際問題として厄介なことでありまして、おそらくは大きく政治問題化すると思います。そこで、将来そういうような場合にはかくかくにおいて線を引くということを、この法律改正をやる機会に明確にしておくということが紛争を巻き起さないということに通ずると思いますので、そういうような腹案があるといたしますれば、その腹案はむしろこの法律改正をやるときに明確にしておくことがよろしいと思いますので、そういうような構想についてお漏らしをいただきたいと思います。  それから後段の方は提案者から御説明、御回答がございましたことで大体了解いたしましたが、私ども水産業に対して国が災害の補償制度を持っておらぬことは非常に遺憾に思っております。一刻も早くそういうような制度を確立せねばならぬ。しかし農業とは非常に趣きを異にしておりますから、その具体的な内容をどういうふうに持って行くかということの調査なり研究に、相当な困難があることもよくわかります。しかしながらそういう研究が完了いたしまして、強制加入の建前のもとに国が直接乗り出して、もちろん漁民もある程度の負担は伴うとは思いますが、漁業災害補償のような制度が樹立せられて、しかもそれは強制加入の制度をとるという場合には、現在ここに考えて進んで行こうといたしております共済会は、その仕事等は別個に分離をして、団体も別の団体でやるということをお考えになっておるということを了承してよろしいのかどうか。その辺をもう一ぺんはっきりお答えを願いたい。
  85. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) ただいま森さんからお尋ねの通りであります。国が漁業共済等を強制加入の制度で国の手厚い助成のもとにそれを全面的にやるという場合は、その国の指定したところの団体に全面的に漁業共済をゆだねまして、この共済会は別途の残された仕事をやる。こういうことは差しつかえないと思います。
  86. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 建物共済の問題につきまして、いろいろ今後の発展過程におきましては、ただいまの御心配のようなことも起きて参ると想像されますので、これの起らないようにあらかじめ一定の基準等を、水産庁とよく相談いたしましてこれに対処したい。かように考えております。
  87. 酒折武弘

    説明員(酒折武弘君) お説の通り、問題の起らないように事前に措置をとりたいと考えております。そのために共済規程の認可に当りまして、例えば保険料率のきめ方、そういうことにつきまして経済局とよく連絡をとりまして事前に問題の起らないようにいたしたい。同時に運営自体におきましても、これは現在全国一本の共済会でやっておりますので、われわれとしては指導をやりやすいので、十分にそういう問題が起らないように努力をしたいと思っております。
  88. 東隆

    ○東隆君 今問題になっておるのですが、農林大臣もお見えになりましたから、大へんいい機会でありますから伺いますが、ただいままでのお話では、結局農業災害補償法関係したような部面のものも農業協同組合にやらせる。こういうようにお話しになっておるのであります。そこで、私はやはりこの場合に問題になっておるのは、この法律改正によってやるのは家屋共済とそれから生命共済のこの二つが中心ではないか。それで、それ以外のものはまず漁業協同組合ではなかなかやれないものじゃないか。こういうふうに考えます。そこで、われわれとしてはやはり農業災害補償法に相当するところの漁業災害補償法をこれは急速に作り上ぐべきであると思うのです。そうしてそれは強制加入という形によってやるべきではないかと、こう考えます。これは漁業の種類が非常に多くてやりずらい、こういうふうにお答えになると考えますが、しかしたとえば沿岸漁業をとってこれを対象にして考えれば、私は可能だと思うのです。それを沖合漁業やあるいは遠洋漁業その他の企業的な漁業なんかも含めてやることは、これは非常に困難です。浅海漁業あるいは沿岸漁業と、こういうふうに範囲を限定をすれば、当然漁業災害補償法というようなものの成立が可能になる。これによって漁家に対するところの社会保障ができると思います。それで、今の家屋共済、あるいは生命共済というようなものは、これは保険事業に関連をしてそのベースに十分に乗り得るし、それからまた生命を担保にすると言うと語弊がありますけれども、これに加入をすることによって信用限度を高めるということもできますし、従ってこれは金融面に非常な関係があるわけです。従ってこういうようなものは漁業協同組合が十分に取り上げて、そうしてやって行くことがいいのであって、漁獲共済というような面は、これは漁業災害補償法というようなものを急速に作り上げて行くべきではないか。こういう考え方です。  それからその面で実は非常に問題をぼやかしておるのは、これはやはり漁業協同組合共済会という形でもってこの仕事を始められておる。これは私はやはり事業の中に共済事業をやることができると規定をされて、それによって仕事をやられた方がかえっていいのじゃないか、こういうような感じを抱いておりますが、この共済会という形のものを今までやっておりましたが、それをおとりになったのだろうとは思いますが、共済会というものを特に今日お用いになった理由ですね、農業協同組合のやり方と違っておる、そうしてそのことによって問題をはらんでおるわけです。そこを明らかにしていただきたい。
  89. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 東さんの前段の漁業共済あるいは漁獲共済のようなものは、これは政府の強制加入を前提とした制度によって、国の保護助成のもとにやるべきじゃないかという御趣旨は、全然私ども同感であります。ぜひ一日も早くそういう制度が実現することを私は念願をいたしておるわけであります。ただ、この問題につきまして、先ほど申し上げましたような事情から、政府は昨年からわずかでありますけれども、調査費を計上いたしまして、鋭意調査検討を続けております。しかし漁業の場合は農業の場合よりも非常にその業態、漁業の種類その他態様が千差万別でありまして、相当の時日をこの調査に要するのではないか、こう考えておるわけであります。  ただ私どもがそういう制度が生まれます前に、なぜ漁業組合系統団体が作っておるところのこの共済会で本来政府がやるべき仕事を、共済の形でやらなければいかぬかという問題であります。これは東さんも御承知通り私どもは沿岸漁業の安定、発展のためからいたしましても、又漁業の民主化のためにも、漁業協同組合の自営あるいは漁業生産組合による漁業者の共同経営ということを推進して行くのでなければ、沿岸漁業の安定、発展はあり得ない、漁業者の生活の安定はない、こう考えているわけでありまして、今漁業協同組合の自営等が各地で、定置でありますとか、まき網でありますとか、そういうもので行われておるのでありますが、これらもせっかく育てて行きたいと考えております。この組合共同事業、自営の漁業が、何らこういう共済のような裏づけがありませんために、一ぺん不漁等に際会いたしますと、あるいは漁具等を流失いたしますと、再び立ちあたわざるような打撃をこうむります。そういうようなことから、漁業協同組合の自営なり、生産組合漁業というものが伸び悩んでいる、常に凶漁等の危険にさらされている、これは一日も早くこういう制度によって裏づけされなければいかぬ、こう考えているわけでありまして、従って東さんの御指摘になりますように、国家の根本的な制度が確立することの一日も早からんことを念願しつつ、それができまでの間、とりあえず漁業協同組合系統団体が作っておりますこの共済会で、協同組合の自営でありますとか、あるいは漁業生産組合でやっておりますところの漁業でありますとか、あるいは漁業組合共同販売が確実に行われている組合に限定をいたしましてこれをやって参る、こういう考え方であります。そうして政府の根本的な制度が確立いたしますれば、本来これはその方がベターであり直すから、この共済事業としての仕事は、その面はやめて行きたい、こういう考え方であります。  それから一番最後のお尋ねでございますが、これは東さんも御承知のように、漁業協同組合は、農業の場合よりもなお規模が小さく、経済基盤も弱い、こういう実態であります。そういう単協が個々に共済事業を行うということは困難でもございますし、むしろこれは個々の単協が行うべきところの共済事業を、系統団体一本の、全国を地区とした共済会でやる、これは参議院が昭和二十九年に、その方がいいということで御提案になった制度であります。そうして全国的に危険をプールして行く、そうして経費等の節減をして行くというようにいたして参ったのでありますが、現在やりましてその方の制度が料率も低くて非常にいい、こういう工合に考えているわけであります。
  90. 東隆

    ○東隆君 今の点農林大臣にも伺いたいと思います。
  91. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大体今提案者からお答えになりましたことと私も大体同意見でございます。御承知通り制度の方の調査といたしておるのでありますが、経費等の関係から十分にこれが所期の目的を達成して参ることができずにおりますことははなはだ遺憾でございますが、何にいたしましても、十分な調査資料を持ってするのでなければ、政府としてはなかなか手がつけかねるという状態になっているわけでございます。かたがた御承知通り一般漁業共済につきましてもいろいろな角度から検討を加えなければならぬ課題も残っているようなわけでございまして、これらをにらみ合せて私は漁業についても考えなければなるまいというようなこと、これは私の私見でございますが、いろいろめんどうなことがあるのではないかと思うのであります。しかし、さればと申して、今日のままに調査費用も少く、いたずらに日を経てよろしいかというものではないと思いますので、私はこれら一般農業漁業、ことに漁業につきましては、今もお話のありました通り、この協同組合そのものについても私は多少の意見を実は持っているわけであります。現行の漁業協同組合制度がこのままで一体いいか悪いかということについては、大いに検討を要する、たとえて申しますれば、今の地域的な協同組合というものは妥当であるかどうか、漁業者それ自身の中に、組合員それ自身の中に利害相反する者が同一の組合員として入っていなければならないというようなこと等につきましても、大いに検討の余地があるのではなかろうか、その組合がまた他の事業共同してやるというようなことになりますると、そこにも問題が起る可能性があるのではなかろうかというようなことなどについて考えますると、抜本的にこの際漁業協同組合そのものについても、従来の運用経緯にかんがみまして、ここで一つ考え直さなければならぬ時期がきているのではなかろうかというような問題もありますので、政府といたしましてはこれらについて鋭意検討を加えまして、すみやかに御期待に沿うようにする必要があろうというふうに考えているわけであります。
  92. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  93. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて下さい。
  94. 東隆

    ○東隆君 先ほど農林大臣とそれから提案者の御答弁は同じ内容でありますが、私は漁村の実態その他から考えて、家屋共済も非常に危険性がある。これは集団しておりますから非常に危険性があります。生命共済はペストだとか何とか伝染病がはやらない以上、これは割合いいと思いますが、家屋共済というものは非常に危険性がある。  それから、この漁業協同組合が本来ならば漁業災害補償法みたいなものによってやるべきところの仕事を、非常にいい組合を選んで、そうしてそれにやらせるということになりますが、しかしこれはやはり農協という姿がこれは当然起きて参りますし、私はその場合に危険の分散が非常にむずかしいと思うのです。   〔委員長退席、理事白波瀬米吉君着席〕 それで、これはどうしても損害補償法のようなものを作った上で、そうしてその上でおやりにならないと、一ぺんでつぶれてしまって、そうしてりっぱな漁業協同組合があがきがつかなくなるようなことになるおそれがある。これは私ども実は協同組合で家屋共済仕事をずっと以前にやったことがあるし、それから農業保険組合でもって家屋共済仕事をやったこともあるし、そういう経験を十分に持っている、北海道では。そうしてこれを二つに分ける、そうして共済組合とそれから農業協同組合でこれを分けてやる、そういう実はずっと前からの経験を持っておりまして、そうしてその上でこれをやった仕事でありますから、私どもは明らかにこれを分離して、その場合に農業災害補償法でもってやるものに相当する部分ですね、それを漁業協同組合でおやりになると、これはもう非常に危険があって、そうしてせっかくこれならばいい、こういうのでお選びになった組合がひどい目にあう。それからやはり先ほどのように漁業協同組合も私はいろいろな種類があるとこう申しておりますけれども、私はやはり沿岸漁業中心にしたものを本体にして、あとの底びきであるとか、その他いろいろ沖合いだとかそういうのはこれは特殊の漁業協同組合であって、これはわれわれがいわゆる単協と称しているものじゃないのです、全漁連の母体になるところの協同組合じゃないわけです。だからそういう協同組合中心にして考えて行く。それからその協同組合の区域をもって沿岸の漁民を強制加入させてやって行く、沿岸漁業中心にして考えて行く、そうするとおのずから漁網であるとかその他いろいろな範囲が限定されますし、従って漁獲の方面も私ははっきりして参ると思う。そこで初めて漁業災害補償法というようなものによるところの対象が決定してくる。それを非常に漁業の種類が多いからというようなことでおそれを抱いてしまっては、これは問題にならぬ。これを機会に、漁業協同組合法の改正によってなすところのものは、私は家屋共済、あるいは生命共済、こういうものに限られている、こういう線をお引きになって背水の陣を敷いて、漁業災害補償法というようなものを極力進めて行く、こういう考え方の方が私は将来に禍恨を残さないで立派に成長をする方向だ、こういうふうに考えるわけであります。
  95. 鈴木善幸

    衆議院議員鈴木善幸君) 前段の建物共済についての問題でございますが、これは東さんの御指摘になりますような点も十分勘案をいたしまして、実行の面におきまして契約額の最高限度を設けてやつ不参っておるようであります。漁業組合建物につきましては最高二百万円、それから組合員の建物につきましては、最初五万円から出発をいたしまして現在六十万円、こういうことで最高限度をきめまして、大きな何千万もの保険にかかったものが火災にあったりすることによって一挙に大きな支払いをせにゃいかぬというような危険を防止しながら限度をきめてやって参っておるわけであります。しかも全国を地区とした共済会一本でやっております関係で、十分危険の分散といいますか、調節が取れておりまして、昨年の北海道の岩内における集団的なああいう災害の際におきましても、この加入者には迷惑がかからぬように支払いもできております。また特別積立金等の制度も設けておりまして、通念上考えられる損失のほかに、特別な大災害がありました場合はそういう特別積立金から支払い得るというような準備もいたしてやっておるようなことであります。  それから後段の漁業共済に関しましては、東さんと御趣旨は私は全然、先ほど来申し上げております通り、同感でありまして、これは政府が本来やるべき仕事である、こう考えておるわけであります。ただ東さんと私の若干見方を異にしております点は、率直に申し上げますならば、漁業の種類を選択して沿岸漁業と沖合漁業と区分するとかいう行き方は、あるいは逆選択になるおそれがあるのではないかという点も、十分調査をして見る必要がありはせぬか。日本の漁業を見ておりますと、毎年の総漁獲高につきましては大体十二億五千万貫程度でバランスが取れておるのでありますが、しかしこれをさらに分析して参りますと、沿岸漁業が非常に不漁であって、それに反して沖合遠洋漁業が相当の漁獲を揚げておるという年もございます。また暖流、寒流の消長の関係で、寒流での魚が非常に不漁である場合に、暖流での魚が好漁であるという工合に、国全体の漁業としては保険の基盤である漁獲の総体としての安定は一応見られるのでありますが、個々の漁業につきましては非常に不安定である、これが漁業の実態であります。そういうような関係で私どもは全漁業を網羅した漁業共済事業、こういうものがかえって保険としての要件を備えておるのではないかという見方をいたしておるのであります。これは見方の相違でありまして、実態を今後調査いたしまして、積み重ねて参りませんと、結論が出ないことだと思っておりますが、そのことだけを申したいと思います。
  96. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  97. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。  本法律案は本日をもって質疑を終り。次回の委員会において直ちに討論採決を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではさように取り計らいます。     —————————————
  99. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 前回に引き続きまして農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案議題にいたします。御質疑がありましたらお願いいたします。  なお、本日は後ほど農林大臣及び大蔵省の原主計局次長も見えることになっておりますから、その点お含みの上御質疑を願います。  ちょっと私質問したいのですが、これは今度の予算の修正によりまして、公庫に対する金の出場が違ってきているわけで、従って資金の原価というものが相当違ってくると思う。でその始末をどうするのか。資料によりますと、償却積立金を減らしたことで損益なしという合せ方をしておられるようですが、そういうようなことで公庫の運営が健全にできるのかどうか、今まで償却積立金というものは、どのくらいずつとって残してきておるのか、またそれがどういうように実際に使われたのか、そういう点とあわせてその点御説明願いたいと思います。
  100. 和田正明

    説明員(和田正明君) 償却積立金と申しますのは、御承知のように滞りが生じました場合に、その滞りによる損失を補填をいたしますために、常時ある程度事業運営の余裕金を積み立てて参るという建前でございます。で、本年度は、そこにすでに資料としてお配りをいたしましたような比率で積み立てをいたす予定で予算計画をいたしたのでございますが、予算案が修正になりましたので、予算計画として積み立てる予定金額を、資料でお配りしましたような比率に下げて行くという建前でございます。で、制度的には七%程度までは積み立てをして、もしそれ以上に事業上の余裕が残れば、これは国庫に納付をするという建前にいたしておるわけでありますが、従前の比率はやはり修正後ぐらいの数字でございまして、本年度特にその比率を上げますために、O・七五というふうに予算計画をいたしたのでありますが、なお長期資金関係でまだ滞りという形までは参っておりませんので、今までこれの償却を引き上げた例はございません。
  101. 江田三郎

    委員長江田三郎君) そこで本年〇・七五%というものを最初は考えておられたのですが、どうして今までよりも高い〇・七五%というものを本年考えられたのか、今までがO・一八、今度の修正予算と同じ程度のものだということなら、何かそれだけ聞くというと、〇・一八%でいいのだというように聞えますけれども、私は政府提出案の場合もO・七五としてやられたのは、理由なしにやられたことじゃないと思うのでありまして、これほどやかましい大蔵省がこんな理由なしにO・七五というようなことを最初許したはずはないように思うのでありますが、どういうわけでO・七五にしたのか、その点はどうです。
  102. 和田正明

    説明員(和田正明君) それは各銀行その他でもこのくらいの比率で積み立てて行くのが過去の実際の金融業務の上で一応常識化しておりまして、従前も積み立て得るものならば、この程度を積み立てて参りたいという考え方でございますが、過去二年間につきましては、貸付の数字も少い。従って資金運用資金に払いまする利子とか、それからいろいろな管理に要する諸経費とそれから貸付者から支払われまする利息との関係で、この程度の数字にしか今までの実績がならなかったわけでございます。本年当初計画のような政府出資であれば、まあ一般の市中の金融機関においても考えられ得る程度のものが積み立てられるであろう。で、またそういう程度のものを積み立てて行くのが金融機関としては健全だという考え方で、そういう用意をしたのでございますが、御承知のようないきさつで、それだけを積むことが今年はできかねる、こういうことでございます。
  103. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今までの貸し出しの総額に対して償却積立金が今まで幾らになっておりますか。さらに本年度のものを貸し出した場合に、総額において幾らになりますか。その点どうですか。
  104. 和田正明

    説明員(和田正明君) 今ちょっと資料を手元に持ちませんので、後ほど表にいたしまして提出いたします。
  105. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではもう一つお尋ねしておきますが、あなた方の方では、市中銀行等一般金融機関等とにらみ合せれば、本年の融資額で行くと、〇・七五%ぐらいを適当とするが、それが〇・一八%になったということは、公庫の経営を必ずしも健全ならしめるものでない、大へんな違いですから。そういう御認識を持たれておるわけですか。
  106. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま金融課長から申し上げましたように、大体〇・七%見当のものを積み立てて参りますれば、公庫といたしましてはいわゆる健全経営と申しますか、普通の金融機関並みのベースになるわけであります。ただ本年は御承知のような事情で、従前並み程度の積み立てしか余裕がないのでございまするが、来年度からこの点につきましてぜひ従前並みに……従前並みと申しますか、七%程度を積み立て得るように努力して参りたい、かように考えております。
  107. 江田三郎

    委員長江田三郎君) もう一ぺんお尋ねしておきますが、来年度からは〇・七五%程度積み立てるようにしたい、こう言われましたところで、資金源がどこから出てくるかということで、そう簡単には行かぬわけでして、それでは一体来年度からは〇・七五%程度積み立て得るような資金源でやって行くと、こういうことなんですか。それともかりに本年度のように政府投資が少くて、資金運用部等からのが多いということになると、健全ならしめるためには、資金運用の利回りを上げて健全経営に持って行く、こういうことなんですか。その点はどちらなんですか。
  108. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農林漁業資金のこの公庫の建前といたしましては、農民に必要な資金につきまして、長期でかつ低利であるということを建前といたしておりますので、私どもといたしましては貸し出しの利回りと申しますか、利率は少くとも現行程度にこれをとどめたいと思うのでございます。従いまして結局そういうような運用をいたしまする場合には、どうしてもいわゆる預金部資金から借りる金額を少くいたしまして、政府資金の出資額を増額していただきますか、あるいは利子補給という措置を講じますか、あるいはまた運用資金の利率自体につきまして特別の措置を講じてもらいますとか、おそらく考え得る方法は三つしかないと思うのでありまして、これらの点につきまして今後は一つできるだけまず政府資金の額の割合を多くすることに努力したいと、かように考えるのでありまして、いわゆる利回り自体と申しまするか、貸出金の利率自体につきましては、少くとも現行程度にとどめたい、かように考えております。
  109. 江田三郎

    委員長江田三郎君) もう一点だけ聞いておきますが、しからば来年度において政府出資をふやしてもらうか、あるいは資金運用部からきた場合に、それについて特別な利率というもので考えてもらうかということを言われましたが、それなら本年度O・七五を予想しているところをO・一八になったのですから、非常な違いなんです。本年度の資金運用部借入金百九十五億について利率を低下してもらうというような交渉をされたことがございますか。
  110. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 現在までのところ、そういうような措置につきまして交渉いたしたあれはございません。今後はその面につきまして検討して参りまして、交渉したいと、かように考えております。
  111. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 来年度からはこういうことなら、下げてもらわなければならぬというのなら、本年度でも百九十五億について当然そういうことをやるべきじゃないでしょうか。二百六十億の中でほとんど、資金運用部借入金が百九十五億になっている。それを来年からもしこういうことなら、利率の低下について交渉するというのなら、今年も当然このことはやるべきことであって、あなた方自身が御覧になってもO・七五をO・一八にしたのは経営内容を不健全ならしめておるのですから、今からでもこの交渉をなさる御意思はありませんか。
  112. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 現在の計画は一応計画いたしましたのが中途で予算自体におきましても変更に相なったわけであります。それに基くいわゆる政府の財政資金全体も相当大幅に中途で変更になったような関係に相なっておるのであります。従いましていろいろ資金運用関係におきましても年度計画自体を編成してあると思うのでありまして、これらの点につきましては相当困難ではないかと、かように考えるわけであります。しかしながら私どもといたしましても一応農林漁業金融公庫のいわゆる財政の健全化をはかるという意味においては、そういうようなできるだけ資金運用資金の利率の低下ということを期待いたしたいと思うのでありますから、交渉して参りたい、かように考えております。
  113. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御質問ございませんか。
  114. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 三十二条のことについてちょっとこまかな計数の問題でありますが、今度の改正で公庫が引き継ごうとしておる日本開発銀行とそれから米国の対日援助見返り資金特別会計からする承継した債権、これらの内容とそれから利率、特にこれについては不良債権等は除いてあるのかどうか、それらの点をまず第一に。
  115. 和田正明

    説明員(和田正明君) 見返り資金特別会計が貸付をいたしまして、それを開発銀行が承継をいたし、さらに公庫が引き継ぎをいたしましたものが百八十三件で五億七百二十九万七千円、それから復興金融公庫が行いました貸付にかかわる債権で、開発銀行が引き継ぎ、さらに公庫が承継いたしましたものが十六億二千九百三十七万七千円で、六百九十六件、それから開発銀行がみずから行いました貸付で、それを公庫が承継をいたしましたものが四億九百八万九千円で、五十五件ございます。そのうち、今日までに返済をされましたものを差し引きまして、今回承継をいたしますものは、二十一億一千九百四十六万六千円でございまして、これに伴いまして開発銀行自身が滞りがちな場合に引き当てをいたしますために積み立てましたものも、この改正法の付則にございますように、公庫に引き継ぎを受けることになっておるわけであります。従ってもう必ず返ってこないというようなものまで除いてあるかどうかという御質問でございますが、未償還になっております金額全部について引き継ぎを行う、こういうわけでございます。
  116. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の金額の返済の差し引き残高が二十一億一千幾らということでしたが、それは日本開発銀行になってからの貸付にかかわる債権ですか。それ以前の復興金融公庫や見返り資金関係の債権で、あれは不良債権に属するかどうかわかりませんか。
  117. 和田正明

    説明員(和田正明君) 今開発銀行プロパーのものは四億九百万円何がしで、見返り資金特別会計の貸付が五億七百二十九万七千円、それから復興金融公庫の分が十六億二千九百三十七万円でございまして、二十一億一千九百四十六万六千円という今度資本金増の形になりますものは、見返り資金、復興金融公庫、開銀すべてを通して現在未償還になっておるものの総額であります。
  118. 東隆

    ○東隆君 委員長に私は伺いたいのですけれども、どういたしますか、自作農維持創設資金融通法案に、関連した項目が、同名の法律によって入っておるわけですね、公庫法の改正に関連して。この自作農維持創設資金融通法案に関連して、農地担保金融の問題が起きてくる。それから小作料の問題が起きてくる。いろいろな問題が関連してくるわけです。それで、それをどういうふうにお扱いになりますか。
  119. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  120. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。
  121. 東隆

    ○東隆君 先ほど質問した事項について、政府の方から御答弁を願います。
  122. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案といたしましては、先ほど来より御審議がありますように、十億の出資金を増加いたしますることと、それから農家の個人施設につきましての公庫の能力をふやしますことと、もう一つは日本開発銀行の出資金を産業投資特別会計の出資に振りかえるという三点であるのでありまして、いわゆる自作農維持創設資金融通法案とは、これは法律体系としては全く別の体系をなしておるのであります。御質問の点は、自作農維持創設資金融通法案におきまして、農林漁業金融公庫が、その第二条におきまして、いわゆる農地担保金融のために一定の貸し出しができる条文を第二条以下においてそれぞれ改正いたしているのでございまして、これは自作農創設特別措置法がそういう金を貸す場合に、農林中央金庫法の一部を改正するという形をとっておりまして、それとこれとはちょっと別の形に相なっているわけであります。御了承願います。
  123. 東隆

    ○東隆君 私はそれは十分に承知をいたしているわけですが、結局配付になったたとえばこの三十年度の農林漁業金融公庫の原資金の構成調べあるいは貸付実績及び計画表、それから農林漁業金融公庫貸付計画、これはもちろん自作農維持創設のための資金、あるいはこれは農地担保金が変えられているわけです。従って審議をするに当って、そっちの方面もやはり関連をいたしますので、それで委員長にその関係はどういうふうに扱いますかと、こう聞いたわけです。
  124. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  125. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。
  126. 森八三一

    ○森八三一君 今回の農林漁業金融公庫法改正に関連いたしまして、農林大臣にお伺いいたしますが、さきに千田委員からも御質疑があったと思います。それはこの業務範囲を拡張いたしまして、従来共同施設資金をのみ扱っておりましたものを、さらに同様の内容のものについて個人をも対象にして貸し出しをするということでありまして、きわめて時宜に適することと思います。が、その貸し出しの方法は、農業協同組合なり漁業協同組合を通じて貸し出しをすると申しますか、それぞれの協同組合が貸付をする場合にその資金を貸すということであります。そこで、その主体となるべき農業協同組合なり、漁業協同組合がしっかりしておりませんというと、組合員がいかに情熱を込めてこの政府の施策にあずかろうといたしましても主体である協同組合がしっかりしておりませんというと、事実上公庫はそういう不安定な協同組合対象にして融資をするということは困難になると思います。自然、政府の企図されており、われわれも賛成することが、実際には進まないという結果が生ずると思うのであります、そこで協同組合の強化育成ということをどう考えるかというお話があった。これに対して大臣はしごくもっともなことであるので、そういうような事態の起りませんように十分協同組合の強化育成に力を注ぎたいというような趣旨の御答弁であったと思います。そこでお伺いをいたしたいことは。そういうようなことのために、かねて協同組合の再建整備ということが政府でも考えられまして進められておるのであります。たまたま昭和二十九年六月三十日に農林漁業協同組合連合会整備促進法の一部を改正するということが行われました。そのときに同法の第十九条を改正いたしまして、「第十七条の農業協同組合及び農業協同組合連合会は、前条又は金融機関再建整備法第三十七条の三第一項の規定により調整勘定を閉鎖する場合において、その閉鎖の際その調整勘定に利益金の残額があるときは、命令の定めるところにより、これを国庫に納付しなければならない。」第二項に「国は、前項の規定による納付金の額に相当する金額を、予算の定めるところにより、この法律又は農林漁業組合再建整備法に基く整備又は再建整備を行っている農業協同組合又は農業協同組合連合会の整備又は再建整備を促進するための経費に充当しなければならない。」という明文が設けられたのであります。  これに関連いたしまして本院は付帯決議を付しております。その付帯決議の第二項に「政府において、本法第十九条第一項の規定による納付金に伴う予算を編成するに当っては、再建整備又は整備を促進するため既に実施せられている助成事項以外の事項の実施を対象となし、従来における促進のための経費の肩替り或は行政庁の事務人件費等に充てるがようなことを絶対に避けること。」という付帯決議がつけられて、政府はこういう趣旨に取り組んで善処をいたしますというような御発言もあったように記憶をいたしておるのであります。ところがこの改正に伴いまして、昭和二十九年度中に調整勘定のいわゆる法律に言う利益に相当する金額が六億一千数百万円政府に納付をせられたのであります。われわれはこの法律趣旨及び付帯決議を政府が尊重するという限りにおいては、昭和三十年度の予算の編成に当りましては、この六億一千万円というものは、当然法律第十九条に基きまして協同組合の再建整備のために予算化されるべきものである。もしこれが予算化されないとするならば、それはまさに法律を無視し、院の付帯決議を軽視するという結果になるものであるというように、極端に申しますれば法律違反行為であるというようにも言えるかと考えておるのであります。ところが遺憾ながら昭和三十年度予算には、そのことが具現をいたしておりません。わずかに一億数百万円だけが処理をされまして、五億一千万円というものはそのままに相なっておるのであります。これに対してどういうように解決を進められんとしているのか、このことをまずお伺いをいたします。
  127. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御指摘の通りでございまして、はなはだ遺憾に考えておりますが、後年度におきまして御期待に沿うように善処して参りたいと考えておるのであります。
  128. 森八三一

    ○森八三一君 先般の委員会で政務次官にお伺いをいたしましたその時にも、政務次官は財政上の都合によって本年度は予算化することができませんだったが、この次の補正なりあるいは三十一年度の予算なりには、当然法律趣旨、付帯決議に基きまして予算化するということを述べられたのでありますが、財務当局の大蔵省は一体この問題をどういうようにお扱いになっておるのか、少くとも私は本年度の予算編成に当りましては、当然農林省は六億一千万円の金を法律の規定に基いて処理をするような案を立てて協議をしたことと想像をいたしております。それが国全体の財政の都合によって後年度に繰り延べられたのであります。ただ文章には、その納付した翌年度の予算に計上しなければならぬというようにはっきりいたしておりません。いたしておりませんから、それを適当に解釈をして、いずれかのときに予算化するのだというふうにおっしゃるかもしれませんが、少くともこの十九条の規定なり付帯決議というのものは、納付いたしましたその次にくるべき補正なりあるいは本予算なりに予算化すべきであるということを意味しておるのであります。法律の形に現われておることだけをお考えになって、その精神をくみ取っておられぬということは非常に遺憾に思うのでありますが、大蔵当局はどういうふうにお考えになるのか、今農林大臣お話のように、次の予算補正の機会あるいは昭和三十一年度の本予算には必ずこの法律趣旨を具現するというようにお考えになっているのかどうか、その点を明確に財務当局の立場から御説明いただきたいと思います。
  129. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 事柄を実質論と法律論との二段に分けて申し上げたいと思います。  まず第一の実質論でありますが、昨年この整備促進法の十九条に、この規定をお入れになろうという際に、私どもは強く反対申し上げました。その理由は、いわゆる特定の歳入をもって特定の歳出に充てるというこの目的税ないし目的収入というものは、財政上好まないということがありますほかに、国に対して債務を持っておる者がその債務を返す、返すが、返した金はおれによこせという立法は、どうも非常に困る、こういうような立法が行われるようになりますれば、おそらく国とこの国民との間の債務の関係の処理についてきわめて思わしくないことが起ると思って反対をしたのであります。その反対のさらに実質を裏づけるものとして、戦後の企業再建の整備というものは御記憶の通り、ああいう次第で国も相当な補償を出して再建整備をいたしました。農業会には二十九億程度の補償金が出ておるはずでございます。その他にもいろいろ補償金が出て、そうしてこれはとりあえず補償をして、一応つじつまが合うような勘定にするが、資産等が残って、それが後刻値上りしたというような場合には返すんですよということになっておりますのが、調整勘定の利益の問題なんでありまして、債務者が調整勘定に利益が出ました場合には、歳入に納めておるわけであります。従いましてそれをおれに戻せというのは、むしろ私どもで言いますれば、そういったようなことをされずに、この予算の修正自体あるいはその歳出自体に対してこの御要求なりあるいは申請されるということで行くべきではなかろうか、債務者が自分の債務を払うが、その金はもう一度おれによこせということは、私ども将来の国の債権の管理の上から言いまして、きわめて悪い例だと思います。あけすけに申しますが、この法律の条文は非常に私どもそういう意味で批判的に見ております。それが第一であります。当時いろいろ経緯がございましたし、私もその経緯の中にありましたので、ただいまお話のような法律自体、あるいは付帯決議について政府がどうやって行くかということについて政府としての義理があろうと思いますが、実質的にそう思うというのが第一段の大きな異論でございます。  そこで第二段としてでありますが、法律論であります。この法律の第十九条第二項では、「国は、前項の規定による納付金の額に相当する金額を、予算の定めるところにより、この法律又は農林漁業組合再建整備法に基く整備又は再建整備を行っている農業協同組合又は農業協同組合連合会の整備又は再建整備を促進するための経費に充当しなければならない。」ということでありますので、この法律の規定が、ただいまの整備促進では、二十数億の金がなお要る。再建整備ではすでに三十億程度必要があったわけであります。で、そういう金が、この第二項の規定の再建整備を促進するための経費でないとは私どもは読めないと思います。で、この付帯決議で御趣旨は伺っておりますけれども、法律上はむしろそれが一番本命の経費じゃないかとわれわれは思います。実はいろいろ整備促進について具体的な事例がいろいろ出て参っておりますが、私どもあまりそういう経験が少くて、いろいろ協同組合あるいは連合会の実態ということをよく知りませんですが、よく出て参ります例で非常に驚くような例がございます。これはやはりまあ口が少しすべって恐縮でありますが、そういうものにこういう二十億、三十億というのが何度も要るというようなことになりますので、財政苦しい折柄、御要望は十分わかりますので、私どももその整備促進の二十何億という金を出せば、それで済むのだということをあえて言い切るつもりもありませんけれども、全然あれは別でもらうので、別に出せというお話になりますと、法律論としてその必要はない、法律はそこまで命令しておらぬというふうに私ども考えております。決議でそういう御要望があったということは十分承知しておりますが、私ども第一段の実体論から考えまして、かつ財政が非常に苦しいことは御承知通りであります。そうして今回いわゆるワク外としてこのような形でつけました経費、奨学基金の造成に対する補助七千万、それから養蚕農業協同組合の保証基金三千万というような経費は、実はそういうお気持があることをくんで、普通ならばとても奨学費を出すというのじゃなくて、それが利息で出てくるもとを、歳出で出すということは非常な異例なんであります。農林当局ともいろいろそういうようなことで御相談申し上げて、せっかくの御要望があるかうというので出したわけであります。御要望はよくわかっているのでありますが、財政の非常につらい折柄でもありまするし、また実質論をあけすけに申し上げるのは大変失礼かと思いますが、私ども今国の歳入歳出のほかに、債権がいろいろございます。この関係が非常になおざりになっているというようなことをいろいろ言われて、債権管理の法体系というようなものも作りたいと考えております際に、まあこういう例が出て、実は非常に遺憾に思っておりますので、あるいは考え過ぎ、または申し過ぎがあるかも知れませんが、そういう気持でやっておりますので、一つなお財政全般のその将来の姿というようなことを考えて、御希望の御趣旨はできるだけくむことにいたしますけれども、どうか完全にということは、少し弾力性を持ってお考えをいただきたい、これはお願いでございます。
  130. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの原次長の言辞は取り消しを願います。それは法律が制定されるまでに財務当局としていろいろな御意見があったのはいいのです。それは私はかれこれ申し上げません。申し上げませんが、いやしくも両院が一致した議決に対して、今なおそれは反対だということをおっしゃるのは、議会の決議を無視するということに通ずると思うのであります。少くともそういう考えでいらっしゃるから、昭和三十年度の予算にこういう措置が出てくるのです。あけすけにものをおっしゃるのはいいのです。いいが、いやしくも国会が議決したその議決の精神を、当初反対した精神が今なお残っているとおっしゃることは、どうしても私は了解できません。これは率直に取り消しをいただきたい。もしそうであるとすれば、われわれはさらに次の手段を講じなければならぬと思うのでありますが、少くともこの十九条の二項を入れた趣旨、それからそれに関連して、さらに間違いがあってはいかぬから付帯決議をつけたというその趣旨は、十分御了解になっているはずである。その後反対があろうとも、国会が議決をした限りは、これは国民の意思として事務当局に忠実にこわを守って行くべき私は責任があると思うのであります。それに対して国家財政がどうだ、こうだということで、その院議が無視されるということは、これは許しがたい問題だろうと思うのであります。そこで再建整備のためには二十数億を使っているのだから、予算は組んであるじゃないか、これは三百代言的な私は答弁だと思うのです。少くともこの精神は別建でやるということをはっきり言っているのであります。ただ昭和二十六年からですか、再建整備法ができて、自来年々七億なり八億なりを予算化しており、昭和三十年度にもその継続予算はあります。あるからやっておるのじゃないか、こういうようなことをおっしゃっているが、これはまさに法律の明文がそういうふうにもとれるということに籍口して、財務当局としてはまさに三百代言的な表現であると思う。少くともこの付帯決議がついておる趣旨というものはそういうものではない。その当時、政府当局はその趣旨をくんで十分善処しますということを約束されておる。その約束を今なお履行されようとはしない。まさに私は院議を無視するということであろうと思いますが、それでもなおかつ今おっしゃる答弁は繰り返されますかどうか、もう一ぺんお伺いいたします。
  131. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 大へん院議を無視すると言われて恐縮なのでありますが、御決議とこの法律の条文とは若干違うのでございます。それですから、私ども一度議論して、まあ法律がきまり、決議があったとおっしゃるわけですが、その議論を今回もう一度申し上げる——申し上げたいのです。これは非常に重大な点だから面を冒して申し上げたいのです。その私の議論が間違っておるということでおっしゃるなら、私は取り消さなければいかぬかとも思いまするが、私は非常に強くそう思いまするので、しかも決議と法律条文とはだいぶ隔たりがあるということを思いますと、もう一度お考えを願えぬかという気持なのでございます。ぜひお願いいたします。
  132. 森八三一

    ○森八三一君 それは実におかしな話なんで、政府がこの十九条の改正を現在の情勢においては妥当じゃないとお考えになるなら、なぜこの法律改正案をお出しにならぬのか。国会がこうすることが妥当であるといってきめて、しかも間違いがあってはいかぬから付帯決議まで添えて、そうして政府にその実施を要求しておる。その要求しておることが国家の財政その他の都合から妥当でないという考え方が今なお強いとすれば、政府は堂々とこの法律改正案を出すべきだ。そういう措置を講ぜずして、この法律のできる瞬間に財務当局としては反対であったから、今なおその反対の趣旨を貫ぬかんとする態度をとる。しかも法律の明文にはその相当額を来年度の予算に組むべしと書いてあるから、それで、趣旨と申しまするか、法律の明文には抵触しないというふうにおっしゃられるのは、まさに、私は繰り返して申し上げますが、三百代言的な答弁である。少くとも付帯決議の趣旨を了解してするという限りにおいては、昭和三十年度の予算に当然計上さるべきなのだ。そこで私はそのことを非常に遺憾とは思いますが、すでに過ぎ去ったことでありますので、次の機会には予算化する、あるいは三十一年度の本予算に予算化する、農林大臣は努めてそういう方向に善処したい、こういうことを言っておられるのであります。そのときに、大蔵事務当局が院議を無視して、なおかつ第二項の文字の上に表われたことだけを解釈して、付帯決議なり、その当時の委員会を通じて論議をされた、その論議の精神というものを無視して行動をとるということは、私は非常に遺憾であります。これでもなおかつ再考の余地はございませんか。
  133. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまの御趣旨全くごもっともでございまして、大蔵事務当局から今意見を述べましたが、これは一つ意見としてお聞き流しを願いたいと思います。現内閣におきましては、今私がお答え申し上げました精神によりまして、近き将来に善処するということを御了解願って、この問題については御了承いただきたいと思います。
  134. 森八三一

    ○森八三一君 まあ事務当局の御説明はともかくといたしまして、責任のある大臣からはっきりした政府としての所信を表明されましたので、私はこれ以上この問題を追及しようとは思いません。少くとも、現政府は院議を尊重して民主的なルールに従って事を運ぶということを総理もしばしば口をきわめておっしゃっておるのであります。この決議、この法律というものが妥当でないといたしまするならば、これはやっぱり法律改正の手続をとるべきであって、その法律をそのままにし、その決議をそのままにしておいて、そうしてなおかつその措置が講ぜられぬということは、少くとも政府の御意思とは反すると思いまするので、ただいま言明の通り、次の補正の機会なり、あるいは少くとも三十一年度の本予算にはこれが実現されまするということを、ただいま大臣は表現されたというように私は理解をいたしますので、そういう措置を強く要望いたします。
  135. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま森さんの痛烈な御質問に対して農林大臣自分の責任において善処する、こう御発言がありましたが、その根拠は森さんが言われる通り、民主的に、委員会等の決議を重んじて今の御発言があったものだと思いますが、それに間違いございませんか。
  136. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 間違いございません。     —————————————
  137. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではちょっと議題を変更いたしまして、本日の日程になっております中央卸売市場の件を議題にいたします。
  138. 千田正

    千田正君 その前に、ただいまの原次長の言葉は私は非常に不穏当だと思う。今あなたがお呼びになった原次長は、大蔵省を代表して説明になったのですか、どうですか、はっきりしていただきたい。
  139. 江田三郎

    委員長江田三郎君) その問題については、今農林大臣からお答えがありましたから、事務当局の原次長として個人的にはいろいろお考えがありましょうが、政府としてはただいま農林大臣の言明が統一した見解だ、こういう説明でありましたから、それで御了承願って議事を進行したいと思います。  中央卸売市場の件を議題といたします。
  140. 田中啓一

    ○田中啓一君 幸い農林大臣御臨席でございますから、中央卸売市場の問題につきまして、農林大臣にお伺いしたいと思います。  農林大臣は御就任以来農林水産物の流通面における改善ということに多大の関心を払っておられ、かつまたこの面には非常に御精通でございまして、われわれ農林水産物の流通面の改善ということを常に念願をしております者にとりましては、非常に好機会であり、従って政府と協力いたしまして十分の改善をはかりたい、かように思っております見地から実はお尋ねをするわけであります。中央卸売市場というものは、この法律ができましてから、だいぶ年限もたっております。大正十二年に制定されました法律でございますから、相当古い法律でございまして、今や多くの法律がみな口語体に書きかえられておるのに、これだけなお文語体でそのまま残っておる。実はこういうようなことでございますが、そこでこの中央卸売市場の改善に関しまして、農林大臣はさだめし御見解をお持ちであろう、構想をお持ちであろうと推察するのでございますが、この機会に御開陳を願えればまことに幸いと存じます。
  141. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知通り卸売市場の市場法は今お話しの通りでございまして、この法律はたびたび改正をしなければならぬという声が起りましたが、つい今日までに至っておるわけでございます。しかもこの法律運用に当りまして、戦争の経済もしくは占領の経済というような中にあって、市場の運用があらゆる変遷をいたしまして、それが今日に至っておるのでございまするから、それらの角度からいたしまして私はこの機会に市場法を根本的に検討してみる必要があるだろうということを考えましたわけではございますけれども、今年度の予算にもこの調査研究をする委員会を置くための予算を計上いたしておるわけでございまして、これによってすみやかに委員会を設置いたしましてあらゆる関係の権威の方々、経験の方々にお集まりを願いまして、根本的に御検討願って次の機会に法案改正をいたしたいと思っておるわけであります。で、それにつきまして考えられますことは、最近大阪の市場において起りました問題等もそれと相関連して独禁法との関係、これらの関係をどういうふうにもっていくか、たとえば単数制と複数制の問題が出て参ると思うのであります。で、この単数制、複数制の問題にいたしましてもこれは所と場所によって違うのではなかろうか、大市場と中小市場との間においても変化があるのじゃなかろうかというようなこと等々も勘案いたしまして、一つ検討して大方の意見の統一を待った上でやってみたいというふうに考えているわけであります。これは早急に一つその意見をお聞かせ願って善処したい、こういうふうに考えておるのでございます。
  142. 田中啓一

    ○田中啓一君 大阪の問題が大臣の口から出ましてございますが、いわゆる卸売会社統合の問題でございまして、これはまあ言うまでもなく、昨年、農林大臣御就任前でございましょうか、十一月十六日に経済局長水産庁長官連名の市場開設者あて通牒に基きまして、業者が自発的に行なったということでございました。そこでその通牒を拝見いたしますると、今日市場は、市場設備の不備等の事情にもよるが、特にその主因をなすものとして、取引の中心たる卸売人の乱立を指摘し得る場合が多いので、過当競争というようなこと、やがて市場取引の混乱というようなことを招来している、そのために卸売人の整理統合を促進して取引機構の改善合理化をはかりたい、こういう趣旨の通牒を出していらっしゃるわけであります。で、この御指摘はもちろん大いに肯綮に当っておるだろうと思うのでございますが、しかし今日市場設置の機能を十分に発揮しておらない、ことに青果物の生産者でありますところの農民に対して代金の支払いなどをしないで、できないで、多大の迷惑をかけておるものがあるというような実情であるのでございますが、それには中央卸売市場法を見ますると、卸売人には開設者に対して保証金を納めさして、そうしてその保証金のうちからそういったものは補償していくという制度が立っておるのでございます。にもかかわらず、しばしば代金を払わないというような事態が起きておるということを——まあこれは皆さんがこう言われる、その辺の監督というものはどう一体これまでなっておったのでありますか。保証金というものを運用といいますか、しまして、代金を払わしめたことがあるか、またその保証金を納める能力もないような会社には業務停止を命ぜられたことがあるのでありますか、そこらの監督は一体従来どうなっておったのでございましょうか。これは農林大臣でなくとも、経済局長がおいでですからそちらからでもけっこうでございます。
  143. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知通り、占領下におきまして物資不足の時代にあらゆる努力をして物資を都市に収集しなければいけないという建前で運用して参りました関係から、つい卸売人の監督がルーズになっておったと、これらを監督者が、しいて言えば使い過ぎてやって来たというようなことが、当然いち早く是正されなければならぬものが、そのまま残っておったというのが大阪市場においてその例が見られるというように私は思うのであります。で、この監督者自身が今地方庁にありますので、今申し上げたような因果関係がありますので十分に監督ができていなかったというような原因であろうと私は思うのであります。で、これらの点につきまして今御指摘の点等も十分考慮いたしまして、すみやかに根本的に改善を加える必要がある。あまりに数が多きに過ぎておりますことからいたしまして、共倒れになっているというようなこと等もありまするし、それと全販連との関係をどういうふうにもって参るかというようなこともございますので、よほど慎重に検討を加えて、そうして私といたしましては次の通常国会までにはぜひ結論を得て御審議を願う段取りにして参らなければならない、こういうふうに考えております。
  144. 田中啓一

    ○田中啓一君 今大臣はきわめて実質的な御答弁を下さいまして、大臣の御答弁についてはけっこうでございますが、この卸売人の監督の権限は地方長官だけではない、明らかに農林大臣にも、主務大臣にもこの卸売市場法でございまして、不都合な場合には主務大臣みずから営業の停止等ができるわけでございます。ところが私の申したいことは、大臣も御承知のないくらいでありますので——いや、私どもも実はこれまで知らなかったのであります、決して責めるわけではございませんが、実はせっかくの監督規定がありながら眠っておった、そうしていきなり統合というところに通牒が持っていかれた、これはいささか本末転倒じゃないか、つまり統合しましても、まあ統合すればするほどいわゆる独占形態的の性質を持ってくるわけでありますが、その後の監督は十分にしていらっしゃるようでありますけれども、今の監督ができぬようなことで、強力なものができればなおさら監督はできぬのじゃないか。でございますから、どうも事務当局としましてはむろん知らぬわけではない、法律の条文は知っておられると私は思うのでありますが、どうも自分らのやるべきことはたなに上げておいて、そうして人にああやれ、こうやれと、まあ、おまけに統合させる権限はないのです、ですからお勧めになっただけで、もっぱら自発的にやらしておったが、その結果は公取が反対するところまで行ってしまったのだ、こういうことまで答弁でございまして、これも今日の実情から万やむを得なんだと私どもは了とするのであります。が、どうしてもこれは今日のような、もう全国的に青果物といえども、ことに果実のごときものは動く状況でございますし、それから一つの荷受機関が年数十億の商いをしているような実態でございます。でありますから、一地方長官に卸売人の認可権が与えつつあるのであります、それからまたそれの統合とか、何とかいうようなものも別段農林大臣の認可を要するわけではないのであります。やはりおそらく認可権のある地方長官が認可をするのであろうと私は思うのであります。そういう状態にしておいてよろしいかどうか。これは今の大臣がおっしゃる根本的改善問題の一つでございましょうが、どうも私は通牒そのものも、自分らのやらなければならぬことの方はおろそかになっておったような感じを持つのでございまして、この点についての御見解を一つ伺いたいと思います。
  145. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お説拝聴いたしましてまことに恐縮する次第でございますが、現地に監督者がおりますと、つい遠方におるものはおろそかになりまして、現地に依存する場合が多いのでありますから、現在のような結果になっておると思うのであります。大阪の場合のごときは私も非常に遺憾に考えまして、中途からこの統合は結局やるべきではない、これはむしろ市場法を改正してその改正の線にのっとってやるべきであると思って、事務当局にこの推進方の私は中止を命じたわけであります。そこでただいまの御意見のように将来改正の際におきましては十分御意思を尊重いたしまして善処して参りたいと思います。
  146. 森八三一

    ○森八三一君 市場法の問題は非常に古く制定せられておる法律でありますので欠陥が多い、これを抜本的に改正するということについては大臣お話はよく理解いたしますわけでありますが、昨年の十一月に局長名で通牒が出て、大阪ではすでに問題が起きておるのです。で、その抜本的な改正ということが私はしかくそう簡単には大臣は誠意をもって善処なさいましても非常に複雑な問題でありますので簡単には進行しないと思います。またそんなにいいかげんに簡単にやるべき性格のものでもないのであります。そこで現に農林省の通牒によって巻き起っておる事態、これを急速に収拾しなければならぬと思うのであります。そのためには抜本的な改正はさることながら当面の措置を講ずべき臨時措置がなければならぬと思うのであります。もしこれを放置するということになりますれば、農林省の威令というものは地を払う、今後大臣がいかに誠意をもっておやりになりましても、農林省の通牒というものは三文の価値もないということになる危険が多分にあると思うのであります。抜本的な改正をやる必要は認めます。現に起きておるこのトラブルをどういうように解決するかという臨機の応急措置がなければならないと思うのであります。これについてどうお考えになるのか。
  147. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は私の就任前に出ました通牒によって大阪に一つの問題が起っておりますが、この大阪の問題は私といたしましては必ずしも全部の業者が合意的に今日の事態に来ておらないのであろうというふうに観察いたしましたので、これについては今申し上げましたように、あまり政府としての圧力は加えたくないというふうに考えておるのでございます。実は当該業界の方々に一度も私お目にかかりませんので実情も承わらないのでございますが、御意見のありますところごもっともであると思いますのでさっそく当該の業界の方々とお目にかかりまして具体的に法案改正までの暫定的な措置は誤まらないようにして行きたいと思います、なお御意見でございますが、市場法の改正は簡単に私もできるものとは考えておりません。おりませんが、さればと申してなおざりにするわけにいきませんのでこの法律については経過規定も必要だと思います、でございますから一応根本的な改正案の御立案を願いまして、これの御審議を来たるべき国会にお願いすると同時に、その際には経過規定等も定めましてその経過規定のうちにおいて基本的な考えに推進するように持って行くということが必要であろうと思うのでございまして、実は私も二、三市場につきましては自分で行ってみたのであります。行って見ましていろいろの方面の注文を私自身も聞いております。聞いておりますが、どの業界も改正をしなければならぬ、改革をしなければならぬということについては一致いたしております。いたしておりますので、これの取りまとめをすることは全体の御要望に沿うゆえんであって、これは必ずしもそう困難ではなかろう、今申しますように抜本的と申しましてもあまり飛躍をすることはかえって弊害があると存じますので、これらについては十分大方の意見を拝聴いたしまして取り入れてやって行きたいと思うわけでございます。
  148. 森八三一

    ○森八三一君 今の大臣の御説明、言葉を返すようでありますが、去年の十一月、通牒が出て、そこで自主的に大阪の市場においては整理統合をやった。そのでき上った結果が公正取引委員会のいろいろといれるところとならなかった。それで終っておるかと思うと、そうではないのです。これは大臣承知かもしれません、あるいは御存じないかもしれませんが、今年の六月の十三日に「大阪の青果物卸売人中一社を除いて自主的に統合しようとするもので、我々としても早くから原則的に賛意を表し、公正取引委員会に対し、委曲をつくしてその正当な所以を説明してきたもので、ついにその了承を得るに至らなかったことは遺憾にたえない」と、最後へもっていって「中央卸売市場法を改正して卸売人については独占禁止法の適用を除外することも考慮している。」ということを今年の六月十三日に経済局長は言明をし、声明をいたしておるのであります。その声明が今お話のように抜本的な改正ということをやるときまでずっと行っちまうと、私の申し上げたように農林省の通牒とか声明というものは三文の価値もないものだということになってしまって、せっかく誠意を尽して御努力を願っておる農林大臣の御意思が、農林行政に信用を得なくなっちまうという結果になることをおそれるのであります。つきましては、抜本的な改正はぜひお願いいたしたい。またわれわれも協力するにやぶさかではありません。ありませんが、この去年の十一月の通牒と今度の六月十三日の声明と、この二つを考えますると、当面の問題だけは臨機の措置をおとりにならぬというと、これは問題の解決にならぬと思うのでございます。それについてどうお考えになるかをあらためてお伺いいたします。
  149. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御趣旨通り六月十三日に出しました声明の線に沿って今申し上げますように来年根本的な案の立て直しをするまでは進めて参るというつもりでおります。
  150. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではこの問題につきましては、ただいま農林大臣がおっしゃいましたように根本的に改正案を作って次の国会までには出すということと、さらに当面の事態についても関係者の意見を徴して適当な措置をとられるということで御了解願いまして、この問題を打ち切りたいと思います。
  151. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの問題は委員長の御発言もありますのでこれ以上申し上げません。大臣の誠意ある臨機の処置を期待いたします。  そこでその次に別の問題で一つお伺いしたいのです。大臣は御就任以来農林生産物の物価を適正に考えていく。それは必ずしも物価を上げることじゃない。それはいいのです。そのためには肥料の価格を下げる、その負担についても同様の措置を講じたいということに鋭意御尽力を願っておる。きょうの新聞には肥料も八百円を割るというような案が大臣の手元にでき上りまして、近く審議会に諮問されるというような方向にありますることは非常に喜んでおるのであります。ところがここにえさの問題です。大臣は御承知かどうか知りませんが、自動承認制で相当えさが入ってきておるのであります。その入ってきておるえさが、えさとして輸入されておりながら、それがえさではなくなっておるという事実が存在をいたしております。しかもそれが業者の段階で横流れをしたとか、あるいはえさの団体に入って横流れをしたというものではございません。もうすでに輸入するときにはっきりとアルコール等の酒精原料、醸造原料としてきちっとひもつきで流れておるという事実が存在をいたしておるのであります。これを一体どうお考えになるのか、こういうことがこのまま存置していくといたしますれば、飼料需給安定法というものは全く空文であるということにもなりまするし、大臣が始終おっしゃっておるように、えさの値段を下げて、そうして酪農業者も引き合うように、そうして消費者もうまくいくようにという考えとはおそらく逆の方向をたどりつつある、こういう現実をどうお考えになるのか、この点をお伺いいたします。
  152. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま御指摘になっておりますのは、マニトバ小麦が主たるものだと私は考えます。(「マイロだ、マイロだ」と呼ぶ者あり)そこでマイロの方は政府は払い下げしたものは実はあまりありません。あまりないのです。ところがここで申し上げておきたいと思いますことは、今御指摘になりますように、せっかく政府が入れたものを関係団体にこれを払い下げます場合に、法律に競争入札となっておりますので、競争入札の手続をとらなければならない立場にあるわけでございます。そこで関係団体を指名いたしまして、しかるべき関係団体においてこれを実需によって適当に入札をするように実は指導しておるのでございますが、従来の経緯を見ますると、なかなかそういうことになりませんで、しかもその結果が、競争に進むることをいたしますことからいたしまして、他の用途にそれが流れるようなことに相なりまして、はなはだ私は遺憾に考えておるのでございます。そこで先般関係局課長に命令をいたしまして、自今この方法を取りやめることに私は命令をいたしました。そうして今後は今申し上げまするように関係団体に払い下げまするときに、これが決して他の用途に振り向けることのできないように、飼料でなければ用途に向きませんように、必ず二種ないし三種配合の、たとえばカキ殻を混入いたしますとか、ないしはカーボンを入れるとか、ないしは魚粕を混入するというような措置にするところまで政府が見届けをいたしましてその段階を条件として払い下げをするということに方法を変えることにいたしたわけでございまするから、そういうことになりますれば今御指摘になりまするような、異常な競争をし、異常な高値で入札をするような事態は今後絶無になると私は考えておるのでございまして、そうしてそれらによって粒状のえさの値段は相当下げて、御指摘になりまする飼料需給安定法の精神に沿って政府が処置できるようになるものと期待いたしておる次第でございます。
  153. 森八三一

    ○森八三一君 今の大臣お話、了解しましたが、現実の問題、どういうふうに処理されますか。現にマイロは本年の七月十日入船しておるものがあるのです。これはえさとして入っておる、えさとして。それがここで一々名称は具体的に申し上げませんが、ある醸造業者に千五百トン、一千トン、二千トン。一千トン、一千三百トンというようにこれはもう筒抜けていってしまっておるのです。こういうことをほうっておいて、そうして帳面上はえさとして入っておる。数量的に需給バランスがとれておる、こうおっしゃってもそれだけの数字がひょっと横に抜けておれば、そこでもう需給の数量的なバランスは破れる、破れるからいかに値段を下げようとしても値段は下らないのです。これを食いとめなければ、ただそろばん勘定だけでえさとして仕入れた、仕入れたといって安心をしておってもだめなんです。こういう事実をどうなさるのか。これは具体的に数字がありますので、こういう取引は禁止すると、えさとして入れたものはえさとして使わせるということをこの際処置なさるという御決心がありますかどうか、もう入ったものは仕方がないといって放置されるのかどうか、その点をはっきりしてもらいたい。
  154. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は為替を割当いたしまするのが、輸入商社に割当になりまして、これが実需団体に為替の割当がないわけでございます。この点につきましてはいろいろ議論がございまして、実需団体に為替の割当をすべきであるということを私も一時強く主張いたしました。しかしまたそれにはそれで多少弊害もありまするので、実は今日輸入商社に為替の割当があるわけでございまして、それから先に入りましたものが関税処置によって、税関を通過すればこれがえさになるか、それが今申しまするようにアルコール原料になるかというところまでは従来見詰めていないところに欠点があるのだと思うのでございます。ただいま御指摘になりましたことにつきましては、直ちにこれに対して適当な方策をとるように、将来そういうことのありませんように十分監督をいたしたいと思いますが、何分為替割当を輸入商社にいたしますときに、それが今申しますように、これはトウモロコシの場合にも起ってくる例でございますが、従来それについてはあまり政府として強い干渉をいたしていない慣例になっておるものでございますから、つい見落しておりまして、はなはだ遺憾でございますが、御注意のほど十分拝聴いたしまして、今後これらについて十分何らかの方法で、もし注意をしても聞かないという場合には為替の割当を輸入商社にはしないというようなことでもいたしまして、十分監督を厳重にすることにいたしたいと思うわけでございます。
  155. 田中啓一

    ○田中啓一君 関連しまして。農林大臣お話通りでありまして、政府買い上げ以前の話であります。要するに為替管理の盲点に乗じて、これはもう明らかにアルコールなり酒造会社が、サツマイモの値段が高いから、そこでマイロというもの、あるいはトウモロコシ等が幸いえさとしてAAという為替の割当になっておるために、政府の方も十分目が光らぬというところに乗じて相当計画的にやっておるものと思われる。しかも入れたものをすぐアルコールに使ってしまうのでもないのでありますから、取り返しはきくものだと私は思うのであります。しかしまあそれは今日法律上どうなりますか、私ども確たる見通しはないのでありますから何とも申し上げられませんが、少くとも今後アルコール会社の原料として売られるものに一体AAの為替割当があるということはおかしいのでありますから、どうしてもこれは取り消すなり、将来はやめるなり何なり御善処を願わなければならぬ、こう実は思うのであります。
  156. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この問題は、ただ今入って来ておるマイロの問題だけでなしに、話に聞くと相当大量に入るということになりますと、これがアルコール原料になっていった場合にサツマイモの相場に影響するところが非常に大きいわけですから、農林省の方でも、一つ制度の盲点をついたかような行き方に対しましてはよほど慎重にやっていただかぬというと、ことしのサツマイモの問題が大へん深刻なことになると思います。
  157. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまの点につきましては、先ほどもお答え申し上げたんでございますが、さっそく調査をいたしまして、この為替の処置をどういうふうにしたらばよろしいかということにつきまして、むろんこの御承知通りにアルコール用としてのトウモロコシ、アルコール用としてのマイロというようなものをくるめて為替の割当をしておるように私は考えております。それが考え違いであるならばさっそく私は勉強いたしまして今御指摘のような点について、一つ是正するように善処することをお約束申し上げます。
  158. 千田正

    千田正君 一点だけ。これは農林大臣、特に真剣に考えていただきたいと思うのは、昨年の七月以来韓国でですね、日本の漁夫が二百七十六名拿捕抑留されておる。そのうちの百名は未成年者であり、かつまた一方的な裁判によって、刑期が終ったというので釈放された。釈放されたところが、最近に至って日本の鳩山政府が北鮮側と非常に親密になりかかっておる、あるいはことし日ソ交渉、そういうふうに自分らの方とは反対の側と一緒になりかかっておる。だからこの釈放した漁夫を再び、日本にすぐ帰すということはやれぬ、こういうので転々として刑務所から刑務所につながれつつある。非常な人道問題としまして留守家族は毎日のように陳情に来ておるわけです。これは外務省に対しましても、外務大臣に対しても、私は質問しておりますけれども、こういう問題を一日も早く解決してもらわなければならない。大臣は御承知通り、韓国との問題に対しては、われわれは韓国のノリの問題、あるいはその他の問題において、漁民の犠牲のもとに幾多の、日本のいわゆる政策に対しては相当のあれをやっておるわけなんであります。にもかかわらず、一方においてはこうしたまことに人道にそむくような行き方をされているということを、十分御承知であるなら、すみやかにこの問題を解決して、釈放された漁夫を帰してもらいたい。この問題をはっきり外務当局と折衝されまして、一日もすみやかに拿捕された漁船、あるいは漁夫の帰還をするような方法をとっていただきたい。この点だけをお願いしておきます。
  159. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 承知いたしました。さっそく外務大臣とよく話し合いまして、善処いたします。
  160. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会      —————・—————