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1955-07-15 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十五日(金曜日)    午後一時三十三分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            小林 孝平君            三橋八次郎君            東   隆君            菊田 七平君            鈴木 強平君   衆議院議員    農林水産委員長 綱島 正興君            川俣 清音君   政府委員    農林省農林経済    局長      大坪 藤市君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局管    理部農地課長  小林 誠一君    農林省農地局計    画部技術課長  清野  保君    農林省農地局参    事官      戸嶋 芳雄君    水産庁漁政部漁    政課長     家治 清一君    通商産業省軽工    業局建材課長  川田 博通君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (砂利採取法案に関する件) ○水産業協同組合法の一部を改正する  法律案衆議院提出) ○森林法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○愛知用水公団法案内閣送付予備  審査)     ―――――――――――――
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初砂利採取法案の件を議題といたします。去る七月十一日衆議院議員首藤新八君ほか六名によって提出され、十二日衆議院会議において全会一致をもって可決、同日衆議院から衆報第四十三号をもって当院に提出、即日商工委員会に付託されたものであります。その内容には、農業及び水産業関係するところが多いようでございまするから、本日は本法律案に関し農林当局意見を聞き、引き続いて本法律案取扱いについて御協議願いたいと存じます。  それでは大体の話を通商産業省軽工業局建材課長からお聞きしたいと思います。
  3. 川田博通

    説明員川田博通君) それでは砂利採取法案につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  お手元に砂利採取法案の要綱をお配り申し上げてございますが、この法案におきましては、大体目的といたしておりますことは、主として公益保全を優先いたしまして、公益保全砂利採取業調整をはかることが主要なる眼目になっておるのでございますが、大体砂利事業と申しますと、九割までが河川等その他行政庁許可を要するところを事業所といたしまして、これはそれぞれの法規に基いて、河川法で申しますと、河川管理とか、河川使用制限とか警察立場からの許可とか、そういう観点から取り扱われており、その他の一割の地域におきましては、全然放任されておるような状態でございまして、たとえばこれをどんどん掘れば公害が起るとか、あるいは他の産業利益を害するというようなおそれのある場合でも、何の措置も講じられないという状況にあるわけでございます。この法律のねらいは、公益保護立場から見ますと、河川法その他行政庁許可を要する地域採取につきましては、それぞれの法令を優先する建前をとって、それぞれの法令に基いて許可を受ける場合に、その許可内容におきまして若干砂利採取法立場も考慮するという規定を置いてございますが、そのほかに従来の許可が一応河川等管理あるいは警察観点から許可されるといたしましても、あとは野放しのような状況になっておりますので、それぞれ採取管理者を置かせますとか、それから公益保全規定を置いて、一たん許可されたあともずっと目の届くように考えておるわけでございます。  それからその他の現在放任されております地域採取につきましては、この法律の第九条で、通商産業局長採石法その他と同じように、公益保護の必要のある場合ですとか、あるいは他の産業利益を損じないようにというような立場から、必要な措置をとるように命令することができるということを規定しておりまして、公益保護考えておるわけであります。で、一般私有地の採掘につきましては、ただ公害防止規定だけでなしに、その代りに採石法に準じまして、現在石材を掘る業者石材採取しておりますときは採石権というものを、地上権に似た物権設定して掘っておるわけなのでございますが、それと同様の権利砂利採取についても認める、そういうことを大体の骨子にいたしておりまして、今回衆議院におきまして各党提案の形で商工委員全員の御賛成を得て提案されたわけでございますが、通産省といたしましても、きわめて好ましいことと考えております。  私たちの最も懸念しました点は、これによって砂利採取業がむやみに奨励されるような印象を与えたり、あるいは他の産業を害することのないようにという点を、この条文の字句の中でも配慮いたしたわけでございますが、この法案ではそういう懸念はことごとく除かれておると私は信じております。簡単でございますが、私の説明を一応終ります。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この法案に対して、農地との関係あるいは水産業との関係等について、農林当局の方でどういうようにお考えになっておりますか。最初農地課長にお願いします。
  5. 小林誠一

    説明員小林誠一君) 砂利採取法案に対しまする農地関係観点から御説明申し上げます。  この砂利採取法農地関係につきましては農地法ワク内で処理される問題でございまして、やはり砂利採取のために農地改廃いたします場合には、農地法四条または五条許可を要するわけでございます。またこの法律案付則に書いてございます強制設定規定は、農地につきましてはできないというふうに付則の第二項に規定しておりますので、農地につきましては物権的な採石権砂利採取業者に与えられないことになっておりまして、従いまして農地法観点から参りますと、やはりほかの産業と同じように農地法上の許可を要することとなりますので、その観点から都道府県知事あるいは農林大臣砂利採取のための改廃許可するかどうかということを決定いたしますので、従いましてこれにつきまして、農地課といたしましては、意見はないのでございます。ただここで農地法関係規定付則の一番最後の五項に規定してございますが、これは砂利採取業者農地法四条五条または七十三条の許可に関しまして不服があります場合に、土地調整委員会に訴願をするという規定でございまして、土地調整委員会鉱業権あるいは採石権あるいは砂利採取業農地の利用との調整につきまして、公平な立場から裁定をいたすということになると思いますので、この点につきましても異議はございません。以上簡単でございますが農地関係からの意見でございます。
  6. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは水産庁の方から見解を聞きたいと思いますが、まだ見えておりませんから、もし質問がありましたらどうぞ……。  ちょっと私お尋ねしますが、これは採石権というものが一たん設定されたら、何年くらい続くのですか。
  7. 川田博通

    説明員川田博通君) 普通一年ないし三年くらいが多いようでございます。
  8. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それから採石権というものを一たん設定したら、たとえその間に採石をしなくても、その権利というものは生きておると、こういうことになりますか。
  9. 川田博通

    説明員川田博通君) いえ、採石法規定がございまして、採石権設定後半年稼働をしないか、あるいはさらに将来にわたって稼働をしないことが認められる場合には取り消すことができるという規定になっておるのであります。
  10. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それから農地課長さんにちょっとお尋ねしておきますが、農地法との関係は、これは問題ないということですが、土地改良との関係におきまして、たとえば採石権設定されている、その際に、土地改良でそこをどうしても手をつけなければならぬ、用排水とかいろいろな問題が出てくると思いますが、そういう面からは何も問題ございませんか。
  11. 小林誠一

    説明員小林誠一君) 土地改良法規定からの問題でございますが、主管課管理課でございますけれども、かわりまして……。土地改良法と申しましても、土地改良法事業のどういう事業をやるという場合のことになるわけでございますが、一応農地でございますので、強制的と申しますか、物権としての採石権設定できないということになっております。従いまして農地につきましてはそういう物権がないわけでございますから、従来と同じように採石をするという任意設定をいたします場合にはございますが、強制設定土地改良についてはできないということになると思います。任意設定をした場合のことでございましょうか。
  12. 江田三郎

    委員長江田三郎君) たとえば用排水の水路をつけたり何かする、新しくやる場合に、そこをやろうとするところに採石権設定されておるということになると、これはどういう措置をとるか。
  13. 小林誠一

    説明員小林誠一君) その場合はやはり土地収用法に基く収用規定が働くことになると思います。
  14. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 土地収用法によって補償等の評価をして行くということになるのですか。
  15. 小林誠一

    説明員小林誠一君) そういうことになると思います。
  16. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 漁政課長が見えましたから、この砂利採取法に関しまして水産関係の面から何も問題はないのかどうか、お伺いいたします。
  17. 家治清一

    説明員家治清一君) お答え申し上げます。私どもの方では一応各条文につきまして検討いたしたのでございますが、特にこの法律に基いて影響があるという点はございません。
  18. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質問ございませんか。
  19. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 水産資源保護法にたしか「保護水面区域」というものが設けられておるのでありますが、河川における砂利が魚族のちょうど産卵場になる場合が非常に多いのであります。そういう場合に水産庁としてはこの法律は何ら影響がないと、かようにお認めですか。
  20. 家治清一

    説明員家治清一君) 御質問の点は、保護水面関係でございますが、仰せのように水産資源保護法の十八条では保護水面設定がありました場合に、工事の制限に関する規定がございます。ただ従来におきましてもたとえば保護水面設定された区域につきましては、あるいは土砂採取につきましては資源保護法関係によって、ある程度の制限はし得るということを考えておりますので、今度のこの法律に基きましてもむしろこの関係規定が、特に資源保護法を排除するとかいうようなことはございませんので、そういう意味で実はこの法律による関係がないと申し上げたわけでございます。それで仰せのような実質上保護水面の中へ入って砂利を取るというような場合がありますれば、これは大へんなことになると思います。
  21. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この法律立案あるいは提案に至るまでにおいて、水産庁協議にあずかって検討されたのですか。
  22. 家治清一

    説明員家治清一君) 立案の過程では実は私どもの方は協議を受けませんでしたが、提案されまして後、担当省の係官の方から御説明も受け、それからごく最近でございますが、内容について検討いたしたわけでございます。
  23. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 実は私はこの法律については前もって伺っておらぬので、きのうたしかちょっとそういう話を聞いた程度で深く検討はしておりませんが、農林水産面河川というものは相当農業にも水産業にももちろん関係のあることでありますが、内容はどういうふうに盛られておるかということは深く検討する時間がまだないのでありますが、水産庁なり農地関係で十分検討されて、これで何ら影響がないということであれば、あえて私はこれから深く掘り下げて行こうとも思いませんけれども、今までの答弁によると、まず農業及び水産業には別段実害はないというふうな御見解のようでありますが、さようにわれわれは承知してよろしゅうございましょうか。両方から御答弁を承わりたいと思います。
  24. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 水産庁及び農地局からそれぞれお答え願います。
  25. 小林誠一

    説明員小林誠一君) お答えいたします。影響がないということではございませんので、その影響があるかどうかということをケースバイケースで判定するということでございまして、従来と変りがありません。農地改廃は極力避けるということで処理したいと思っております。で法律案といたしましては農地法の体系をくずすものでございませんので、その意味では影響はないというふうに御理解願いたいと思います。
  26. 家治清一

    説明員家治清一君) 水産庁の方では検討いたしました結果、この法律案によって直接害を受けるということはないと考えます。
  27. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今農地局からこれができても、まあケースバイケースであるから、農地法考え方というか、農林省考え方、それについては支障はない、運用ができるだろうといったようなお考えですけれども、それは一体この法律上からいえば、業者の人が砂利のいわゆる物権を、採取権を得ようとした場合に対してそれはいかぬと、こういういけないという根拠が、どこから、どの条から出るのですか。
  28. 小林誠一

    説明員小林誠一君) お答えいたします。この法律本文の方は、これは砂利採取業一般規定でございます。で、付則のところで採石業者と同じように物権としての採石権砂利業者が持ち得るということになっておるわけであります。従いまして本文の方では当然これは農地法ワク内の問題になるわけでございます。で、強制設定ができない理由はこの附則の二項の三番目でございますが、『第十条第一項第二号中「採石業」の下に「又は砂利採取業砂利採取法昭和三十年法律第号)第二条に規定するものをいう。以下同じ。)」』と書いてございます。これがいわゆる採石権強制設定規定関係する条文でございます。ところがその次に二号を加えまして、「砂利採取目的とする場合においては、その土地海浜地又は農地法」「第二条第一項に規定する農地若しくは採草放牧地であるとき。」というふうになっております。この十条の規定採石権設定または譲渡に対する通産局長許可の基準でございます。そういうところで抜いてございまして、従いまして自後の強制設定規定は全然かかってこないということになるわけでございます。従いまして特にそういうような採石権というようなものが砂利採取業者に強制的に設定されるということはございませんので、従来通り取扱いであると理解いたしております。
  29. 重政庸徳

    重政庸徳君 今用排水の問題が出たからなんだが、用排水で、権利を得た地域施設をする場合にはあるいは強制収用とか補償とかをなしてやるというようなお答えがあったのですが、せっかくこれができるなら、私はその権利を与えるときに、そういう権利を国が保留をしておく必要があるのじゃないかと思うのです。あるいは今国が奨励しておる用排水とか、あるいは国営で施行をする事業とか、あるいはまた県営で国が非常な助成金を出して施行するというようなまあ事業が、土地改良事業なんかがある。そういう場合には、そういう強制収用補償を出さぬでも、そういうときには無償でできるように権利を保留する必要があるのではないかと思うのだが、どうお考えになりますか。やはり金を出して補償し、強制収用手続をもって収用せねばそういう事業ができぬ、それが正当であるとお考えであるかどうか、お答えを願いたい。
  30. 小林誠一

    説明員小林誠一君) お答えいたします。既設のそういうような重要な施設につきまして採石権設定いたしますことは、むしろ国民生活上好ましくないということで、農地法許可を与えないということで行けるんじゃないかと思います。といいますのは、この十条、採石法の十条でございますが、そこでは、さきにも申しましたような強制設定前提行為としての十条でございますが、そのときには、こういう規定があるのでございます。「その土地が鉄道、軌道、道路、水道、運河、港湾河川、湖、沼、池、橋、堤防、ダムかんがい排水施設、公園、」云々と書いてありますが、そういうような公共の用に使っておるときは、通産大臣許可をしてはならないという規定がございますので、既設のそういう重要なもりにつきましては、そこへ設定ができないということであります。
  31. 重政庸徳

    重政庸徳君 それはまあ当然で、既設のものは当然で、私は、既設のことを今考えおるのではないのです。将来農地法許可を与える、あなたがたが管理せられておるのは、ほんとうにまあ永久からいえば短時間、いろいろな河川の環境は変化を生じてくる、だから今、既設でなしに、将来もそういう施設をする場合には、権利を与えた場所においても、私はそういう手続をする必要がないようにしなければならない。権利を与えるときに、そういう権利を保留して私は権利を与えるべきではないか。農地局はどういうふうにお考えになりますか。
  32. 小林誠一

    説明員小林誠一君) お答えいたします。そういうお説がございますのはごもっともだと思いますが、実は改廃許可をいたします場合に、たとえばそこへ家屋を建てるとかいうような、その他いろいろ国民生活の安定上必要なものを作ります場合に許可を与えるわけであります。与えます場合には、やはり将来それがまたほかの重要なものに使われた場合には、それを取り消すというような条件がちょっとしにくいのでありまして、やはり四条五条につきましては、許可を与えるか与えないかということできめなければなりませんので、将来の問題としては、なかなか規定の仕方といいますか、条件を付するということが困難な事情があるのでございます。従って、その点につきまして農地法四条五条関係におきましては、そういう条件がむずかしいと考えるのであります。
  33. 重政庸徳

    重政庸徳君 私は農地法をどうこう言うのではないのです。今度できるこの法律にそういうことを加えればいい、水産漁業権などは、あるいは費用を投じてアサリを養殖するとかいうような権利には、権利を侵害するのだから、当然やらねばならぬ。砂利採取上の権利ではそんな資本をちっとも投じないのです、業者が。だからそういう私は当然国民生活に、農民の将来に非常に重大な影響を持つ事柄なんだから、そんなものは権利を保留すればいい。この砂利権利を与えるときに、そういう条件をつけて、そういう権利を保留すればいいと思うのですが、これは少し私は農林省が弱いのじゃないかと思う。
  34. 川田博通

    説明員川田博通君) ただいまの点でございますが、大体公共関係施設その他重要施設それぞれに、たとえば河川につきましては河川法港湾につきましては港湾法、まあ農地につきましては、農地法、それぞれに制限規定あるいは禁止規定が入っておりまして、それぞれの立場から、一応そういう公益が擁護されておるという形になっております。この砂利採取につきましては、普通の地上権、その他用益物件と同じような形で、普通に許される所にそういうものは設定できるという形をとっております。それで、それぞれ禁止とか制限を受けなければならぬところは、それぞれ農地であれば農地法河川であれば河川法港湾であれば港湾法、それぞれの規定に従って許可を受けるという建前をとっております。
  35. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと同じようなことになると思いますが、さっきのついでに聞いておきますが、たとえば河川でもないあるいは農地でもない、しかし一つ排水事業とか何かするのに、将来そこを使って行かなければ、そこに構造物を作ったりなんかするのに必要な土地というものが出てくる、たとえば非常に悪く考えれば、半年か一年後にはそこにどうしても土地改良事業構造物を作る、たまたまそこに砂利ができる、だから半年前に砂利権利を得て、採石権を得たということになると、その人は排水事業構造物を作るときには、収用法によってそれを賠償して行かなければならぬ、こういう問題があり得るわけでしょう。だからそれは事前にそういうことについては、許可をするときに何らかの措置ができないのかあるいはする必要がないのか、どうですか。
  36. 川田博通

    説明員川田博通君) その土地公有地でありますときにはおそらく問題にならないと考えますが、ところが私有地でありますときは、採石権と申しますと鉱業権を連想されまして、非常に強い権利のようにお考えいただくようでございますが、一応普通の地上権に類似いたしました用益物件でありまして、少くとも所有権よりはるかに弱い、もしその土地私有地でございます場合は、もちろんその所有権につきまして何らかの収用措置か何か要るのではないかと思いますが、それと似たようにお考えいただいて、特別に採石権によって特殊な……
  37. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それが、そういう構造物も何も作らぬ場合には……構造物を作ってもいいのですが、普通の場合には、荒地であって何ら価値がないのだ、たまたまそこに採石権というものができたらとんでもない値上りをして、今度やるときには大へんな額を補償しなければならぬ、そんなことになりはしないかということです。
  38. 川田博通

    説明員川田博通君) 実際問題といたしまして、そういう土地はおそらく河川付近地でございますとかあるいは何か農業用水関係のあります地域とか、何かそれぞれの関係があると思います。
  39. 重政庸徳

    重政庸徳君 それは今あなたが想像せられておる今の現状では、あるいはこんな大した金を納めぬでもいい、納める場合は非常にまれだろうと思う、だからこういうようにだんだん砂利が少くなっているという趨勢で、初めてこういうものが出てきて、供給が非常に足らぬというような場合には、都市の近辺においては非常に大きな負担にならぬとも限らないのです。だから世の中の推移も考えて、私はそういうことに支障がないようにやっておかなければならぬと思う。
  40. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それに関連して。今委員長重政委員の心配している点私も同感なんですよ。前国会当時にあったことですが、これが出たときには、いわゆる二元法案と普通言われて、そのときはまさに収用法、この砂利を出すために軌道を敷く、その軌道を敷くまで土地収用ができるということで、まことに露骨な法案であったから、さすがにそれは削って、この参議院に回ったことがあった、しかしなおかつ今言ったように、最近河川を守るためのあるいは下流を守るためのダム建設等に使う砂利については、公共のそういった建設に使うのについては、これは保留すると申しますか、特別な取扱いをするんだということでようやくその場としては意見はまとまった、その問題については主とまったということを思い出すのですが、しかし今言った農地、今後の土地改良等をめぐっての問題、これは相当あると思うのです。そういった問題は一体今まで衆議院等においては議論され、そしてどういうような結論になったか、その経過があればお調べ願いたい。
  41. 川田博通

    説明員川田博通君) 衆議院におきましては、各党提案の形で提案されたわけでございます。各党におきまして事前にこまかくいろいろな問題について審議をされましたようでございまして、各党内部のことは私は存じ上げませんですが、いろんな問題点調整されて提案されたと存ずるのでございますが、提案後におきましては議論はなかったように思います。
  42. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは、農林省はこういう採石権許可を与えるに際しまして、通産省から協議を受けることになっておりますか。
  43. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとお諮りしますが、この今の問題になると農地課長では無理なんで、一ぺん農地局長に来てもらって、あらためてもう少し聞いてみたらと思いますが……(「異議なし」と呼ぶ者あり)     ―――――――――――――
  44. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではそういたしまして、衆議院委員長がお見えになっておりますから、水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題にいたします。本法律案衆議院農林水産委員会提出にかかり、昨十四日衆議院を通過しまして本院に送付、昨日本委員会に本付託となったものであります。まず提案理由の説明を求めます。
  45. 綱島正興

    衆議院議員(綱島正興君) ただいま議題となりました水産業協同組合法の一部を改正する法律案提案理由を説明申し上げます。水産業農業と同様自然に大きく依存する産業であるため、この自然の暴威による災厄に対抗する一方途として、去る昭和二十五年第九回国会において火災等による特定物件の損害に限定して共済制度を設けたことは御承知の通りでありますが、水産業に付随する各種の災厄についての共済事業を行うことは許されていない現状であります。そこで今般水産業協同組合共済会の事業の拡充をはかるとともに、全国を地区とする漁業協同組合連合会の事業に関する規定の一部を改正して、漁民生活の安定に資せんとすることがその趣旨であります。  特に昨年第十九回国会におきまして、農業協同組合法を改正して農業協同組合による共済事業の拡充を見て以来、農村と相隣接せる漁村の関係あるいは漁業協同組合と農業協同組合との関係等からして、この極事業の拡充は必然的に漁民の強い希望となり、国会に対して強く要請されて参った次第であります。  以下これが内容について簡単に御説明申し上げます。  まず第一点は、水産業協同組合法第六章の二水産業協同組合共済会の規定の改正でありまして、従来の共済会は第百条の二の設立の目的及び第百条の四事業規定に明らかなるごとく、事業の用に供する建物等物件だけについて、災害による損害を相互に救済することを目的としていたのでありますが、今回はさきに述べました通り農業協同組合法の改正と同様の趣旨によりまして事業の拡充を可能ならしめるとともに第百条の十として新たに共済規程なる条文を設け、事業の種類別に、その実施方法あるいは共済掛金等の重要事項について共済規程で定め、行政庁の認可を受けることにいたしたほか、条文の一部整備をはかった次第であります。  第二点といたしましては、同法第八十七条漁業協同組合連合会の事業の種類の規定中、特に全国を地区とする連合会の事業に対しまして去る昭和二十七年第十三回国会において、特定の四つの経済行為について当分の間農林大臣の認可を要することに制限して参ったのでありますが、その後の経過あるいはこの種法令との関係等にかんがみまして、この際農協法と同じく、この規定を廃止することにいたした次第であります。  なお今回の改正実施に当っては、予算を必要といたしません。  以上がこの本案提出の理由並びにその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  46. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案審査は後日に譲ることにいたします。     ―――――――――――――
  47. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 議題に追加して森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法律案衆議院議員川俣清音君ほか十名によって提出され、去る十四日衆議院から衆第四十七号をもって予備審査のため当院に送付、即日当委員会に予備付託になったものであります。まず提案理由り説明を聞くことにいたします。
  48. 川俣清音

    衆議院議員(川俣清音君) ただいま議題に相なりました森林法の一部を改正する法律案提案の理由を御説明申し上げます。  昭和二十六年森林法が実施せられましてより四カ年の日子をけみしましたが、この間の経験に徴しまして、また、過般町村合併促進法の制定により末端行政区域の拡大変更等が行われるに至った事情等に関連いたしまして、従来の比較的小規模な森林組合をこの際合併することにより、その適正規模化をはかり、もって組合運営の円滑を期そうとする機運が生じているのでありまするが、零細な森林所有者をもって組織しておりまする多くの森林組合におきましては、現行法の掲げておりまする諸種の管理規定をもって臨みますることは、組合経営の実体にそぐわず、ひいては、組合の合併の促進等にも支障を来たす部面がありますので、このたびこれらの点について最少限度の改正を加えたいと存じ、ここに改正案を提出した次第であります。  以下改正案内容について、その概要を御説明申し上げます。  先ず第一点は、総代会の制度についてであります。  現行法におきましても、総会にかわるべき総代会を設けることができるように規定されてはおりますが、一面、理事は通常総会を毎事業年度に一回召集しなければならないことと相なっておりますので、総代会制度の活用がとかく円滑を欠くこととなり、また、総会自体につきましても総会成立の定足数に達せず流会となるような事態の頻発も十分に予想されますので、総代会を設けた場合でも年一回は総会を開かなければならないことを定めた第百二十三条第六項を削除いたしたいのであります。  また現行法では、総会にかわるべき総代会を設け得るのは、組合員の総数が百人をこえる施設組合であることになっておりまするが、これを二百人といたし、総代の定数は、組合員の総数の四分の一以上でなければならぬが、その総数が二百人をこえる施設組合においては五十人以上であればよいこととなっておりますのを、三百人をこえるものでは七十五人以上であればよい、ただし本法施行の日から百八十日間は従来のままで差しつかえないというように改めることとしたのであります。  第二点は、役員及び総代の選出の方法についてでありますが、現行法においては投票による選挙の方法以外は認められていないのであります。しかし、これまた実体から遊離する事態が往々生じておりまするので、この際第百三条及び第百五条を改正し、投票による選挙のほかに、選任制をも認めることとし、また立候補制の場合におきましては、役員候補者が選挙すべき役員の定数内であるときは、投票を省略することができることといたしたいのであります。なお、投票による選挙の場合、総会外において投票所を設け選挙を行うことができる道をも開いておきたいと存ずるのであります。  第三点は、理事の職務に関する規定についてでありますが、この機会に組合の対外信用の向上に資しまするために、従来とかく明確を欠いておりました理事の責任等を明確にする規定をも新たに追加することといたしたのであります。  第四点は、合併の手続に関するものでありますが、合併について、行政庁の認可を受ける際に、定款及び事業、計画を提出することを規定いたしたのであります。  なお、連合会につきましては総代会の規定は準用いたさないことといたしております。  以上まことに簡単でございますが本法案の骨子を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  49. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案審査は後日に譲ることにいたします。     ―――――――――――――
  50. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。本法律案につきましては、去る五月二十六日の委員会において提案理由の説明を聞いたのでありますが、本日はまず法律案内容その他参考事項について農林省事務当局の説明を聞くことにいたします。
  51. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま委員長よりお話のありました農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内容につきまして簡単に御説明を申し上げたいと思うのであります。  本法律案の改正の要点は三点あるのであります。  第一点は現在本公庫に対しまして、政府より四百五十六億七百万円出資をいたしておりますが、今回新たに十億円を三十年度予算をもって増資をすることといたしたのであります。従いまして政府の出資金の額を四百五十六億七百万円とありまするのを、四百六十六億七百万円、十億円増額することが主たる内容をなしておるのであります。  第二点といたしましては、農林漁業金融公庫の貸付対象といたしまして、現在はいわゆる共同利用施設だけを貸付の対象といたしておるのでありまするが、これを拡張いたしまして、畜舎でありますとか、サイロでありますとかあるいは農舎でありますとか、動力用農機具でありますとか、そういうような個人的な施設をも、共同利用施設以外に新たに貸し付けし得るように公庫の能力を拡張いたすことにいたしておるのであります。これに見合う資金といたしまして、公庫の本年度貸付対象二百六十億のうち七億万円を、個人用施設の貸付対象としての金額を予定をいたしておるのであります。  第三点は、日本開発銀行が復興金融公庫から承継いたしました農林漁業者に対しまする貸付にかかわりまする債権及び日本開発銀行がみずから農林漁業者に対しまして貸付をいたしました債権、及びこれらに付随いたしまする権利義務をすでに同銀行から農林漁業金融公庫が承継し、これらの債権に見合う金額について、同銀行から農林漁業金融公庫に対しまして、貸付となっておりまするのを、政令の定むる時期、これは一応十月の一日と予定をいたしておりまするが、十月の一日に、貸付の形になっておりまするのを、返済されたというふうにいたしまして、それに相当する金額二十一億一千九百万円でありまするが、これを産業投資特別会計から当金融公庫に出資をしたと、こういうふうに振りかえるということが第三点であるのであります。  この三点が本法律案内容をなしておるわけであります。  簡単でありまするが御説明申し上げる次第でございます。
  52. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質問がありましたらどうぞ。
  53. 森八三一

    ○森八三一君 今の、その業務の内容を拡充して、従来の共同施設というのを個人の取得する農林業の施設にまで及ぼすということで例示がございましたが、それは具体的にどういうことを考えられておるのか、詳細に御説明を願いたいと思います。
  54. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 現在も、畜舎でありますとかサイロでありますとか、そういうような施設に対しましては貸付を行うておったのでありまするが、これは協同組合が、協同組合の名におきまして組合員の数人が集まりまして、共同に行いまする場合に初めて貸付の対象にいたしておったのでありまするが、今回は、いわゆる協同組合の名におきましてたくさんの人間が組合に集まって集団的にやること以外に、個人が一人々々でそういうようなことをやろうといたしまする場合、たとえば動力耕転機を買いたいというような場合に、その者に対しまして公庫が信連を通じまして、系統組合を通じまして、貸付をする、つまり個人々々がいつでも借り入れ得る、こういうような形にいたしたのであります。共同施設になりますると、数人が集まらなければ少くともできないというようなこれは制限があったのでありまするが、場合によりましてはそういうように集団的にやることが困難な場合もありまするので、そういう制限をとったわけであります。
  55. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、貸付の対象となる範囲は、従来協同組合の名において共同施設として認められておったその範囲に属するものであって、個人が施設することを便宜とするものについて個人貸しを行うということであって、貸付対象がこれによって非常に拡大されるということではございませんのか、従来の共同施設の範囲が非常にふえるのかどうかという点はいかがでございましょうか。
  56. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 現在までは共同施設の対象といたしましては、いわゆる個人的施設に類するものといたしましては、おもに畜舎、サイロを共同施設の対象にいたしておったのでございます。今回はそれを広げまして、いわゆる動力噴霧機でありますとか、あるいは特定の、何と申し上げまするか、園芸をやるというような場合には、いわゆる温室と申しまするか、そういうようなあらゆる個人的な施設までそれを拡張する、つまり制限をとりますると同時に、貸付の対象をずっと広げまして、いわゆる農業用の生産力を拡充するために必要なる個人的な施設であれば、どしどし取り込んで行く、こういうような大体考え方にいたしたわけであります。
  57. 森八三一

    ○森八三一君 それから今御説明のうちに、農業協同組合の系統金融組織を通じてこの資金が貸し出しになるということでありましたが、それは転貸の形式をとるのか、その具体的な内容はどう考えられておりますか、お伺いをいたします。
  58. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) この点は御承知のように業務方法書で詳細を規定することに相なっております。従いまして業務方法書の内容につきましてまだ財政当局とも詳細な打ち合せをいたしておりません。しかしながら私どもといたしましては、できるだけ従来の方法に近い方法、と申しますと、いわゆる転貸の形であります。つまり協同組合が信連から、信連がこれは全部指定金融機関になると思いますが、その指定金融機関から農業協同組合が一応借り受けまして、それを各個人に貸付をするという転貸の形をとりたい、かように考えておるのであります。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のを具体的に申し上げると、かりに製炭、木炭組合、炭焼きですが、一つの組合を作って製炭のかまは個人で作る、だが林道の補助金をもらったが、それの負担金や、あるいは木炭の貯蔵倉庫等を作る場合は共同施設ですから、こういう場合に個人の負担も個人のかまつきの金も、林道の負担金、これは共同施設になりますが、倉庫、これらは全部借り入れられる、こういうことなのですね。
  60. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 御承知のように、木炭倉庫は農業倉庫に大体類するわけでございまして、これはいわゆる共同施設といたしまして、協同組合と申しますか、森林組合と申しますか、それが作りまする場合には、もちろんこれは貸付の対象になっておるわけでございます。炭焼きがまを個人個人で作るという場合には、これは今回の貸付に……実は炭がまは一応林業用の関係でございまして、これは現在考えておりません。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林漁業金融公庫ですからね、だからわしは当然共同の場所に入って、共同の施設はするが、かまだけは共同でやるわけにはいかないから、個人の共同で借りてやる、こういう考え方になれば私は何も差しつかえないと思うのです。その組合で借りることならば差しつかえない。分けることはどう内部で分けてもいい。
  62. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) この点は実は本法ができました経過を申しますというと、いわゆる自作農維持創設資金に関する法律でありますが、あれと一応一緒にまあ審議されてやってきたわけであります。しかしでき上りました形は、これはもちろんあの法律とは全然独立をいたしておるわけでありますが、いろいろ今までのいきさつから、考えていなかったわけでございますけれども、これはこういう形に法律ができ上りました以上は、共同に私どもといたしましても取扱いたいと思いますので、これは林野庁の方とよく相談しまして、できることならば御期待に沿いたい、かように考えております。
  63. 東隆

    ○東隆君 今のに関連をしてでありまするが、十八条の改正になった条文の八号ですね、「前各号に掲げるものの外、農林漁業の生産力の維持増進に必要な施設の改良、造成、復旧又は取得に必要な資金であって主務大臣の指定するもの」これで先ほどお話しになったように自作農創設維持の資金も貸せると思うのです、この範囲で。それも実はこの中に入れておるつもりなんですか、どうですか。
  64. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) あくまでも施設でありまして、この施設を新設する、あるいは施設を改良する、あるいは施設を復旧をすると、こういうことになりますので、たとえば自作農を維持するための資金というのは、あるいは自作農が新たに自作地を買い入れるための資金というものは、これには関係がないわけでございます。つまり農舎でありまするとか、畜舎でありまするとか、サイロでありまするとか、そういうようないわゆる施設を新たに購入する、あるいはそれを修理するという場合にその金を出すという意味でございます。
  65. 東隆

    ○東隆君 そういたしますと、新らしい予定をされております自作農創設維持の方の関係のものはどういうことになるのですか。この中には規定はまだされておらないのですか。
  66. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 自作農の関係は実は別に法律提案になっておりまして、いわゆる完全に独立いたしておりまして、これとは関係はないということでございます。もちろん資金面といたしましてはこの方の資金に七億出し、片一方の自作農の維持資金の方に二十億出すという予定をいたしておったわけでございます。資金面としてはこれに関係がございますが、貸付の対象でございますとか、貸付方法でありますとか、そういうような取扱いは全く独立いたしております。
  67. 東隆

    ○東隆君 それでは私重ねてお伺いいたしますが、この八号のところでもって改正をされたことによって私は相当富農層に資金が行く可能性がたくさんできたのじゃないか、こう考えるわけです。というのは、先ほどもお話がありました農機具、ことに農業の近代化を策するような農機具を、個々の農家の所有にさせるということは、これはどういうことになるかというと、今の経営規模から申しますと、実は非常に不経済な内容のものです。従って政府が農業の近代化を策するときに当然考えなければならぬことは、共同使用、あるいは共同経営の方向に持って行かなければ、これはほんとうのものにならぬと思う。従って資金を融通するというような非常に強い力を持っておる助成的な政策の場合に、わざわざ個人的な一部の富農層に有利になるような考え方をとられることは、これは農村における貧富の懸隔に、あるいは農村内において、農家でなく、農機具を貸し付けて、そうして使用料をかせいでいるというような、そういうものを作り上げて行くのです。従ってこれは非常に将来において問題を残すものである、このように考えますが、その点はどうですか。
  68. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 畜舎でありますとかサイロでありますとかあるいは動力用の農機具、こういうものにつきましては依然としていわゆる協同組合が協同組合の名におきまして作る場合の融資の対象として残しておるのであります。そのほかに、いわゆる共同でやることに困難するような場合におきまして、個人にもこれを許す、こういうことであるのでありまして二本立てで進めて参りたい、かように考えておるわけであります。
  69. 東隆

    ○東隆君 具体的に個人でなければならないような場合というのはどういうような場合ですか。
  70. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 具体的と申しまするとなかなか説明が困難であると思うのでありまするが、いわゆる農村の実態といたしまして、みな集まって共同的にやることが困難である場合が往々にしてあるわけであるのでありまして、そろいうような場合におきましては、これは個人々々も直接の融資の対象にしょう、こういうわけであるのであります。御承知のように現在までやっておりました畜舎にいたしましてもサイロにいたしましても、協同組合の名においてこれを実行するのでありまするが、実際において使用しておりまする場合は、たいていの場合に個人がこれを使用しておるのであります。そういう場合に、たくさんの人間が同時に作らなければ融資の対象としては現在まで困難であったのでありまするが、同じ部落なら部落あるいは組合なら組合で相当たくさんの人間が同時にそういうような施設を、畜舎でありますとかサイロでありますとか、そういうものをやることが困難である場合もあるのでございます。そういうような場合には一人でもいい、まあとにかくそういうような必要がある場合には単独の個人について貸し付ける、こういうような方法を今後はとって参りたい、かように考えております。
  71. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 関連して。そうするとたとえば漁業者といいますか、が、漁網といったようなものを、それは個人でそれぞれ管理し、自分たちが大切にやっておる、また生産の手段ですからというので、漁網はどうなんですか。
  72. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) この点は実は先ほど申し上げましたように、本法律の成立の契機から見て、いわゆる狭義の意味の農業者のみを対象としておったのでありますが、こういうようなふうに法律ができ上りますれば、炭がまと同じようにそういう問題は、これは農林省内でもう少し検討いたしまして、いわゆる農林漁業者全部を対象とするというようなふうに広げて参らなければならぬのじゃないかと思いまするが、ただいまはそういうようなふうに、まあ省議もきまっておりませんので、今後検討して参りたい、かように考えております。もちろんこの点につきましては業務方法書で大体行くということになります。
  73. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 まあ一つ、さっき清澤委員から炭がまの話が出たのでありましたが、私も今漁網をお伺いしたのですが、経過はなるほど経過ではありまするが、この形になっていよいよ実施ということになりますれば、それは経過もきることであるが、経過々々というだけで妙に門を半分開いたような格好で行くということは、これは法律としても運用としても非常にまずい。どうか今局長が言われたように一つこれらの名にふさわしい形にその内容を一つお取りきめになるようにお願いします。
  74. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 法律の形としましては農林漁業者施設でありますので、この形でけっこうである、あとは業務方法書の問題になるので、その場合によく検討いたしたいと思います。
  75. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 関連して。今漁網の問題が出たのですが、私もその点を伺いたいと思っておりますが、施設というものの、今後個人を対象とし、あるいは団体を対象とする場合に、どういうふうなものを対象にするかということを先ほどお尋ねいたしましたが、はっきり御明示等はなかったわけであります。しかし施設と一言に申しましても、非常に範囲が広くなるのじゃないかと思いますが、大体当局で考えておられるこれこれのものには貸し付けるといったような施設の種類というものはまだきめておらぬのですか。
  76. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 現在まで一応農業用の施設としてはこれだけのものの程度を考えたいということで、いわゆる試案として考えておるものはあるのでありますが、詳細なことはこれは業務方法書なり、資金の貸付要領というもので最終決定するということに相なるわけであります。一応現在まで試案的に考えておりますのは、農舎、堆舎、動力用農器具、排水ポンプ、灌水施設、温室、果樹園芸施設、ホップ棚、むしろ織機たばこ乾燥室、ホップ乾燥室、その他農業者の用に供する施設、畜舎、サイロ、その他畜産業の用に供する施設、蚕室、その他養蚕業の用に供する施設、これだけを一応取り上げられておるわけであります。水産業関係のもの並びに林業関係のものにつきましては、ただいま申し上げましたように、現在までいわゆる貸付対象としてはこれはいかがなものかと考えておりましたが、これは法律自体といたしましては、貸付対象の中に入る問題でございます。農林省といたしましてこれらの取り扱いにつきまして、水産庁なりあるいは林野庁なりと御相談いたしまして決定して参りたい、かように考えておるわけであります。
  77. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 現在、先ほどもお話に出ましたが、漁網の問題でありますが、御承知のように、近年非常に合成繊維、化繊が発達して参りました。これが従来の綿糸なんかに比較しますと耐久力が非常に長く持てるということと、漁業の種類によっては非常に効果的なものもあるのです。従来の麻網や何かに比べて効果的で、刺し網になりますと、どうしても化繊でなければいかぬということになっておりますが、これは御承知のように綿漁網に比較いたしますと値段が非常に高い、従ってこういうふうに耐久力を長くして漁網の能率化をはかろうとしても、一時に金がかかるので、実は漁業者としては希望しながらそこへ行きがたい面があるのでありますが、こういうものに対してこれを対象にして貸すということは、私はこの精神から言って当然である。施設という意味が非常に疑問になりますけれども、漁業の施設といえばおそらく漁船と漁網のほかにほとんど施設らしいものはないのです、陸上の施設を除いては。当然漁網というものは入れて考えなければならないと思いますが、先ほど来の御答弁を伺っておりますと、ほとんどこれは抜けておるが、法律の文面から入れなければならぬだろうといったような、非常に淡い感じですが、これは当然考えなければならないと考えておるので、農林漁業とうたっているからには、漁業の面も必ず入れていただかなければならぬと考えているのですが、われわれとしては業務方法書といいますか、そういったものをもう少し検討していただきたい、何が何だかわからないままこの法律をそのままうのみにすることはならぬような感じがする。それともう一つは、今までは団体対象であったものが個人にも貸せるということでありますが、そうすると、個人に貸す場合には必ず団体からの転貸でなければいけないものか、あるいは直接個人にも貸せるのか、この点はいかがですか。
  78. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 直接となって参りますと、いろいろ担保の問題がからむことに相なるわけでございまして、私どもといたしましてはそういうような問題がありますので、できるだけいわゆる転貸の形をとりまして協同組合が一たん借り受けて、それを協同組合が個人に貸す、こういうふうに持って行ってもらいたい、かように考えております。
  79. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと協同組合員でなければこれを利用することができないということになりますか。
  80. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 協同組合員以外にはこれは貸付困難ではないか、かように考えます。
  81. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ちょっとお尋ねしますが、もちろん今の説明を聞いたら、園芸消毒それから荷作り、そうした方面は入っておるように聞いておりますが、私はこの個人対象まで貸し付けるという法の拡大の精神は非常にけっこうなことであると思う。ところが事実において、その趣旨をどの信連がやるか、農協がやるか、どの機関がやるか、農林省としては各農業協同組合を通じて農家の振興、安定のために、要は徹底するか、その方針の件を一つと、それからとかく信連が自分の金でも貸すような気になって信連が査定して困るという声をたまたま各所に聞くのだが、これらに対しましてどういうふうに信連に権限を持たしてあるか、もちろん回収というような権限もあるから、堅実に踏むということもけっこうだと思うけれども、やはり施設であるから、そこに利潤を生み、産業の伸展に対して確実性のあるものには貸し付けてやる。法の精神を、われわれがここで決定し賛意を表する意味においても、その精神を浸透しなければならない。この二つについて、この信連及び下部をどうしたふうに農民の産業の伸展の上に徹底するかという侵透方法についてお尋ねをいたします。
  82. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 本資金は大体全部と申し上げていいと思いますが、信連がいわゆる指定金融機関になるのではないかと思います。従いまして信連はこれを単位組合を通じて個人に貸すわけでありますが、その場合に、金融でありますので、いわゆるその資金が必ず返済される計画のもとに貸付をするということは当然だと思うのであります。しかしながら農林漁業金融公庫の金がいわゆる長期かつ低利の金でありまして、一般の金融機関としては貸付にくい性質のものに貸すということがこの法律の立法趣旨であり、本資金の目的でありますので、いわゆるその生産力の発展ということを念頭に置いて、指定金融機関としては当然そういう態度をもって貸すべきである、かように考えておるのであります。本法が幸い協賛を得ますれば、私といたしましても今回改正になりました趣旨というものをよく信連並びに金融機関としての単位組合に徹底せしめまして、いやしくもただいま先生がおっしゃいましたことのないような措置をとって参りたい、かように考えております。
  83. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。
  85. 森八三一

    ○森八三一君 その場合に、貸付の限度について制約を加えられるという御意図があるのか、その施設について必要とする限度までは貸付をするということなのか、それからその場合施設をせんと欲する農民がその施設に所要する総額の何割かは自己調弁をしなければいかぬということであるのかないのかという点は、どうお考えになっておりますかということを最初にお尋ねいたします。
  86. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) いわゆる融資でありまするので、いわゆる不当に多額の金額が個人々々に参るということにつきましては、返済とも関連いたしましていかがとも思いますので、ある程度の最高額はきめたいと思うのであります。ただ、ものによりましてこれは額に高低があるのでありまするからして、すべてのものについて幾ら幾らということは、あるいは幾らを最高限度とするということをきめるのは無理であろうと思いまするが、大体ものによりましては、一定の最高額をきめたいと、かように考えておるわけであります。  自己資金の問題でありまするが、これは融資でありまするし、当然一定額の自己資金はこれは一つの義務として私どもといたしましては、これは自己調弁をしてもらいたい、かように考えておるのでございます。
  87. 森八三一

    ○森八三一君 具体的なその内容ですが、その自己資金を二〇%は準備しなければいかぬというようにお考えになるのか、三〇%まで自己資金がなければ貸付対象ではないという点をお考えになるのか、その具体的の内容はどうか。それから今お話の最高限度を設けることも、かりに温室を作るという場合に、常識で考えて温室一坪は五十万円かかる、その五十万円という限度をおきめになればよろしいけれども、私は五十坪作りたいというのを、それはいけないから三十坪に制限せいということまで制限されるのかどうか、もし五十坪作らなければいかぬというところに三十坪だけ貸してもらったんじゃ全然ゼロよりはましかもしれませんけれども、その農業経営としては中途半端なものになってしまう。そこで私の聞いているのは、その施設をせんとする施設事業計画というものが、どういうように検討しても正しいということである限りにおいては、その施設に所要される通常の単位当り施設費というものは考えられる、こういうように理解してよろしいのかということです。
  88. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農業倉庫のごときは、これはいわゆる共同施設といたしまして協同組合で使わしたいと思いますから、原則として個人を対象としてはこれは貸付はいたさない、かように考えておるのであります。たとえば畜舎にいたしましても、内地の場合にはおおむねこれは一棟でありまするが、北海道等の場合におきましては、一農家で数棟建てなくちゃならぬというような問題もございますので、こういう場合にはたとえば北海道の畜舎の場合には大体なんぼというような、内地とはこの場合にはある程度の限度の差を設けなければいかぬじゃないか、かように考えておるわけであります。  自己負担の問題でありまするが、これは実は大蔵当局から相当自己負担をせよということを強く要望いたしております。と申しますのは、この金が最終末端に行きまする場合には、七分五厘になりますので、一般金利水準から見れば非常に低いので、ある程度自己資金は大き目に見てほしい、こういう要望があるのであります。しかしこの点につきましては、まだ大蔵省と具体的に何割にするかということにつきましては、最終結論に達しておりません。私どもといたしましては、できるだけ低利な金を余計に貸してもらいたいと思いますので、今後のこれは折衝になると思いますが、できるだけ自己負担の割合を少くして参りたい、かように考えております。
  89. 森八三一

    ○森八三一君 自己負担の率を非常に高めて行くという結果になると、東委員から御質問がありましたように、これはやはり農村内部におけるあるいは山村における特殊な階級だけの金融に墜するということになって、真にこの資金によって更生し、事業の拡張をはかって行くという必要に迫られている諸君には融資ができないという結果が必ず起きてくると思いますので、その点は十分御注意願いたいと思います。  前段の方は答えになっておりません。これは単位当りの施設費の金額について常識で考えられる限界というものがありますので、むやみやたらと……ぜいたくなものについて押えるのは私はいいと思いますが、当然考えられる限度一ぱいまでは対象になさるのかどうか、それからその規模です、その規模も計画上出てきている規模というものはお認めになるのかどうか。端的に申しますと、個人対象であるからもう一農家当り五十万円以上はいけないと、こういうようにおきめになるかどうかということであります。そういう限界をお設けになるのか、その事業に必要な資金を個人で二百万円も三百万円も、その事業計画が妥当である限りは貸してやるということになるのか。どういう計画であろうと五十万円なら五十万円というところで切っちまうという限界があるのかどうかということです。
  90. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 五十万円というのは、これは、かりの金額だと思いますが、私どもといたしましてもたとえば二十万円であるとか三十万円であるとか、そういうようなことはもちろん決定いたしておりませんが、一定の金額で最高限は抑えるつもりでおります。
  91. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  92. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。     ―――――――――――――
  93. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは次に愛知用水公団法案を議題にいたします。  本法律案は去る六月二十三日提案理由の説明を聞いたのでありますが、本日は農林事務当局から法案内容及び参考事項について御説明を聞くことにいたします。
  94. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) それでは法案内容とその背景になっております事業の計画を御説明申し上げます。  まず順序として、法案の背景になっております事業内容を御説明申し上げます。この愛知用水事業農業が主たる目的でございますが、それ以外に発電及び上水道並びに工業用水の確保という三つの大きな目的を持っております。この木曾川水系におきましては、現在その水資源の六〇%は利用しておりますが、あとの四〇%は未利用のまま残されて現在に至っております。この残された水を有効に使いまして、そうして、農業生産を増進し、なおあわせて発電量を増加し、さらに特に早魃のひどい愛知平原並びに水不足に悩んでおります知多半島までこの水を利用しまして、そうして工業用水並びに上水道も確保しよう、こういう趣旨でございます。  農業の方から申しますと、木曾川の支流にあたります王滝川の牧尾橋地点という所を選びまして、ここに有効貯水量六千三百万トンの水を貯溜いたしまして、さらにそれとこの木曾川の自然流量と合せました水を利用して、その下流に一万六千四百五十町歩の水田の用水補給、それから二百六十九町歩の開田、さらに一万六千二百五十七町歩の畑地灌漑を行いまして、これによって米十八万石、麦十万石、その他蔬菜、果樹等の増産をしようという計画でございます。  次に発電について申し上げますと、このダムができますことによりまして、そのすぐ近くに新設の発電所を一カ所増設いたします。なお、現在既設の発電所がその下流に十四カ所ございますので、新設の発電所及びこれら既設の十四カ所の発電所を合せまして約九千七百キロワット・アワーの年間電力量の増加をはかろう、こういう趣旨でございすます。  次に三番目の目的といたしております工業用水並びに上水道用水の確保でございます。これは工業用水は大体年間二千八百万トン、それから上水道におきましては千七百万トンの水を補給するという計画でございます。これに要する事業費は、公団の事務費を合せまして、大体三百億でございます。それを発電と上水道並びに工業用水、それと農業とに、そのあげられる増産量によりましてアロケーションをもちましておのおの各事業ごとの負担割合をきめております。それにつきましては、すでにお手元に差し上げた資料の中にもございますが、大体そのアロケーションで計算いたしますと、農業の負担分が、これは公団の事務費を除きまして、農業の負担分は二百二十七億、それから電力の負担分が十八億五千万円、それから水道、工業用水、これが三十五億六千万円、こういうことに相なります。  これらの事業を最も合理的にやって行くためには、やはり一つの機構を持ちまして、そうしてその機構に対して一定の資金量を確保して行くということが、最も効率的に事業を運ぶゆえんでありますし、さらに増産効果も同時に達成させることができるというような観点から、特殊な法人として愛知用水公団というものを作って参る。なお合せまして、この公団に対しましては、世銀の借款、並びに余剰農産物の見返り資金をある程度流すということになっておりますので、その辺の資金を受け入れるためにも、何らかの形をとる必要がございますので、そういった二つの理由で、こういう組織の公団を作りたい、こういう考え方になった次第でございます。  次に法案内容を簡単に御説明申し上げます。お手元に愛知用水公団法案要綱というものをすでにお届けいたしておると思いますが、これによりまして御説明を申し上げたいと存じます。  まず目的でございますが、先ほど申し上げましたように、木曾川水系の水資源を最も合理的に、総合的に開発いたしまして、そうして農産物の増産並びにそれに伴う発電、上水道、あるいは工業用水を確保するということが目的であります。そういう目的のためにダムを作り、そうして水路を作るというのがこの公団の目的でございます。  次に役員でございますが、総裁一人、副総裁一人、理事五人以内、監事二人以内ということにいたしまして、総裁と監事は農林大臣がこれを任命し、副総裁、理事は総裁が農林大臣の認可を受けて任命するということになっておりまして、おのおの役員の任期は五年でございます。  それから次に公団の業務でございますが、これは先ほど申し上げましたように、木曾川の上流王滝川の牧尾橋地点にダムを設け、それから幹線水路百十キロ余り、知多半島の先端の師崎町の辺までの幹線水路を設けます。それからそれになお合計千キロ余りの支線を設けまして、そうして畑地灌漑なり、あるいは開田事業を行うわけであります。なお、それに伴いまして、先ほどちょっと申し上げましたように、一カ所の発電所を新設いたします。これは法律の上では、この発電施設は公団みずからが新設いたしまして、そうしてこれを電力会社に貸付を行うこともでき、また場合によってはそれらの施設に要する資金を供給することができるというようにいたしております。大体現在の見通しでは、公団はそれらの発電業者あるいは水道業者に対しまして必要なる資金を供給するというようなことになると考えております。  それから事業のやり方でございますが、まず事業の最も基本的な事項を定めております事業基本計画というものを農林大臣が作りまして、これを一般に公表をいたします。そうして同時にこれを公団に指示をいたします。その指示を受けました公団は、その基本計画に基きまして、事業の今度は具体的な実施計画を立てまして、そうして一定の手続で利害関係者に対しまして異議の申し立てを認める手続をとることになっております。そうして大体異議の申し立てがなく、また異議がありましても、その異議についての決定がございましたならば、いよいよ公団はその事業実施計画に基いて事業に取りかかる、こういうことになるわけでございます。その他予算の認可あるいは決算等につきましては、一般の公社、公団と大体同じような規定を取り込んでおります。  なお先ほど申し上げましたように、この公団は約三十六億円の世銀借款を予定いたしておりますので、そういった借入金に対して、政府の保証に関する規定を置いております。  それから最後に、この公団の仕事をやって行きます上には、特に農業土木の優秀な技術者を持って参る必要がございますので、そこである一定数は現在国家公務員であるとかあるいは地方公務員であるもの等を特にこの公団に出向させるというような必要がございますので、そういった職員についての恩給の継続の規定を設けております。大体以上簡単でございますが説明を終ります。
  95. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質問がありましたらどうぞ。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  96. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。
  97. 千田正

    ○千田正君 今大略を説明されましたが、この愛知用水の公団としましては、工事を施行するに際して直接に工事を担当されますか、それとも従来の農林省や何かがやったときみたいに請負入札、そういう点を重点としてやられるのですか。やはりこの際公団の使命とするところをはっきりしてもらいたい。
  98. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 大体この仕事の大きな分は請負にするつもりであります。
  99. 千田正

    ○千田正君 大部分のところの大きなところは請負、そうすると事業量の何%くらいは公団直接の、直轄としての工事の施行を担当される予定ですか。
  100. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 申し上げるだけの直轄工事というものはほとんどないと思います。
  101. 千田正

    ○千田正君 そうしますと農地開発の機械公団との関連はどういうふうになりますか。
  102. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 機械公団の方はまだ御説明申し上げておらないのでありますが、簡単にそれではちょっと御説明いたしますと、機械公団の方の対象にいたしております地区は、青森県の上北地区、それから北海道の根釧原野の一部の床潭第二という地区がございまして、その地区とこれを合せますと大体七千七百町歩くらいの開懇になると思います。そのために世銀から大体八十六万ドルくらいの金を借りて参りまして、その開懇に必要な機械を買う、その買った機械をそこに入ります入植者の団体から委託を受けまして、そして一定の委託料をとりまして、開懇作業をやる、あるいは場合によりましたら、その機械をそういう団体に貸付をいたしまして、貸付料でやる、こういうようなことを主とした事業とする、こういうような団体であります。
  103. 千田正

    ○千田正君 そうしますとこの本年度の愛知用水の公団の発足に当っては、とりあえず機械公団との関連は別にないわけですね。
  104. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) そうでございます。
  105. 重政庸徳

    重政庸徳君 これは、世銀の三十億というのは、これは愛知用水だけに持って行くのですか。
  106. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) そうです。
  107. 重政庸徳

    重政庸徳君 世銀借款ですね。
  108. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 世銀借款。
  109. 重政庸徳

    重政庸徳君 世銀借款の三十億というものは、そうするとあとの機械開懇というのは、これは余剰農産物……。
  110. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) それは今の、大体邦貨にして三億くらいになります。八十六万ドル。
  111. 重政庸徳

    重政庸徳君 それは……。
  112. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) それは機械公団の方が借りるわけです。
  113. 重政庸徳

    重政庸徳君 世銀の金が行くんですか。
  114. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 世銀から予定しているわけです。
  115. 重政庸徳

    重政庸徳君 ところが総理大臣の最初における予算委員会の説明では、そんなものは取れないのじゃなかったですか。
  116. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) それは私は総理の説明は聞いておりませんので、ちょっと私何とも申し上げられないのですが、私ども農林省としては、当初から機械開墾に必要な機械は世銀を対象にしてよろしいということでありますから、その趣旨でずっと今まで構想を立てておるわけであります。
  117. 重政庸徳

    重政庸徳君 何かそうすると、適当ななにに入ったような感じがするのですが、一つよく調べて……、私もよく調べますが、当初から私はそういうなにに入っておらなかったように考えるのですが。
  118. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) なおその点は私どもの方でも調べてみます。
  119. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 愛知用水公団の目的なんですが木曾川水系の維持、水系の統合開発のために愛知用水公団を設立するということになっておりますが、木曾川の総合開発というのは、国土総合開発法によりますと、すでに木曾川水系が特定地域に指定されて、その総合開発計画が、総理大臣から国土総合開発審議会に諮問になっているのですが、まだ答申されてない。答申されると、それが閣議決定になるというような性質なんですが、本法によりますと、総合開発でやる、しかも従来は総合開発計画ができましても、その内容は各省ばらばらにやっておった、今度はそれが一貫して愛知用水公団というので事業をやるということになって、日本の国土総合開発というものの新しい仕組みがここにできるのだと、非常にけっこうだと思うのですが、従来の国土総合開発法と本法とのこの事業実施に関する調整というものは、どういうふうにとってゆけばいいのか、農林大臣はこれを、事業計画を公表する前に、国土総合開発の審議会に意見を聞くかどうかしないと、調整がとれないのではないか、その点はどういうふうに考えておりますか。
  120. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) おっしゃるように、この地区は、木曾川の総合開発の特定地域になっておりまして、現に諮問されておるわけでございます。しかしながらこの公団は、世銀の借款その他の関係上、また調査も相当程度進んでおりますので、その中の一環としての事業であることには変りはございませんけれども、ほかの事業とテンポが違っておりますので、そこでおっしゃるように、そういう総合開発計画と将来そごを来たさないようにという趣旨で、農林大臣が基本の計画を立てる場合には関係の各大臣の同意を得た上で決定する、こういうことにいたしまして、その間矛盾のないようにしたい。  なおちょっと溝口委員から触れられたのでございますが、現在の国土開発法におきましては、規定の上では非常に計画は総合されて、そして総合的な効果が出るようになっておりますけれども、残念ながら資金とか予算の裏づけが各省ばらばらでありますので、本当の効果をあげておらないというのが実情じゃないかと存じます。その意味におきまして、この公団の考え方はそれを一歩でも前進するのではないか、こういうような気持を持っております。
  121. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今戸嶋参事官の御説明で、私も全くそう考えておるのです。私の言いましたのは、国土総合開発を推進するために、今度愛知用水公団を設立して、その総合開発計画というものは、電気、水道、農業開発を一貫して公団でやるという新機軸を出しているようなことで、日本の国土総合開発がこれによって新しい機軸を出して行く、それほど私は重要なものだ、だから今までの国土総合開発法の取扱いが、根本的に変って行くようなことなんだということになると、本法を施行する前においてでも農林大臣は審議会に対して、こういう方法で新しく一貫した事業をやって行くに愛知用水公団をこしらえて、この計画でやって行くんだということについて、あの国土総合開発審議会には、あらゆる方面の学識経験者もあることなんですから、それの一応の意見を聞くようにするのが私は順序じゃないか、もし別な答申があの審議会から出たような場合には、その調整等について将来まあ問題が出てくるんじゃないかということから、何らかそういう調整についてお考えがあるかどうかを承わったのであります。そしてそれは適当に処理していただけばいいと思います。なお先ほどの御答弁に触れているのでございますが、こういうような重大な総合開発事業を推進して行くのだから、基本計画を立てる場合には、関係各大臣の同意を得てやって行くんだという御説明があった。それは本法二十条の二項、基本計画の記載事項に続いて、第三項にこの問題があるのです。私はこれは非常に重要な問題だと思うから、この際にお伺いしておきたいのでございますが、従来こういうような関連事業について、立法例としても、関係各省大臣の同意を得なければならないというような例はあまり私は聞いたことはないと思っております。ことにこの中で、「経済企画庁長官の同意を得なければならない。」という点は、先ほどちょっと関連して御説明があったから、国土総合開発との関連で経済企画庁長官の同意を得るのかどうか、どういう権限を企画庁長官は持っているか、どういう同意を要求するのか、各省大臣の同意については別にお伺いいたしますが、その中の経済企画庁長官の同意を得るのはどういう事項について同意を得るのか、それをお伺いしたい。
  122. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) この点は先ほどもお話のありましたように、この計画は特定地域の中の計画の一部でございますので、そこで経済企画庁長官としては、国土開発法の施行の責任者でございますので、そういった趣旨であります。
  123. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 経済企画庁長官はこの事業計画、木曾川の水資源の総合開発計画の内容等について、経済審議庁長官が単独に同意を与えるというような権限は私はないと思います。これは木曾川水系の総合開発計画は、総理大臣が国土総合開発審議会に諮問をしている。それが答申を総理大臣にして、閣議決定をした場合に木曾川の総合開発ができる。経済企画庁長官はそんな同意を単独に私はできないと思う。それを求めて行くことはどういう理由なんだか、もう一ぺんお伺いしたい。
  124. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 大体われわれと企画庁とこの法案についていろいろ相談をいたしましたときには、大体企画庁の方ではそういうことでこの同意をぜひ入れてくれという経過で、こういうことになったわけでございます。なお国土総合開発審議会と企画庁長官との問題につきましては、企画庁の方で、あるいは溝口委員のおっしゃったような法規的の手続でないにしても、あるいはこの同意をされる前にそういったことをやられるということになると思いますが、この点はなお企画庁の方に相談をいたしたいと思います。
  125. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 これは法文の上でございます。各省大臣の権限に関することだから私はあなたにお伺いしたのですが、当の総合開発計画について企画庁の長官は同意を与える権限は私はないと思う。こういう点に関しては、これはいろいろ調整をすることが企画庁の役目であるしするから、協議をすることはこれは至当な問題である、企画庁長官に対しては協議をすることが妥当だと思う。あとに各省関係大臣がたくさんある。大蔵大臣、厚生大臣、通産大臣建設大臣、自治庁長官、これの一人ずつの大臣の同意を得る可能性が、日限を切ってやって可能性があるのかどうか。それは事業基本計画の記載の内容にもよることだと思いますが、この記載の事項についてはどういう考え方で記載事項をおきめになるか、様式等について、これは大蔵大臣は五年間にたとえば三百億のうちの百二十億を補助金を出す、年度割もこの通りに出すというような同意を、大蔵大臣はこの際出せるかどうかという問題もあるのです。それから牧尾橋ダムの計画についても、建設大臣はこれは基本計画はこのままで行くのだという承認がすぐできるかどうか、こういう点について、同意といったことについては条件付きの同意くらいなら出ると思うのですが、この法文の上で言う同意というのは、そういうなんじゃないと思う。どうして従来の例によって、協議の上というようなことにすることができないのかどうか、新らしい例を開いてこういうことをおやりになることについて、先ほど経済企画庁がそういう同意にしてくれというからやったのだというのですが、それは少し私はおかしいと思う。できれば、これはやはりこの計画の運用を円滑にして行くには、協議にして行く方がいいのじゃないか。昨日衆議院商工委員会で、公取委の問題で、何か同意ということを委員で修正をしたのだ、協議と……、それに非常に大きな問題があったと思うのです。同意と協議ということは非常に重大な問題があるから、この点について一応参事官から御説明を伺っておきたいと思います。
  126. 千田正

    ○千田正君 関連して……。今の溝口委員のお尋ねに関連するのですが、この同意を得なければならないというのでありますが、大蔵大臣、厚生大臣、通商産業大臣、建設大臣、自治庁長官及び経済企画庁長官と、こういう人たちの同意が得られない、あるいはそのうちの一人でも同意しなかった場合はどうなるのか、同意が得られなかった場合は事業を施行できないのか。せっかくこういう愛知用水のような総合開発的な一本化したりっぱな公団ができるのに、各省大臣が一人でも同意をしなかった場合においては事業が施行ができない、こういうことであっては、まさにこれは死文化してしまうのであって、この点はどうなんですか、同意をしなかったら施行できないと、こういうのですか。
  127. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 今のお話ですが、現在の行政組織で、いろいろ申し上げるまでもなく、水道は厚生大臣と建設大臣がおのおの所管をいたしております。それから工業用水につきましては建設通産大臣、それから電気につきましては建設、通産、それから総合開発という観点から総合調整という点で企画庁長官、なおこの公団に対する財政負担等がございますので、その点では大蔵大臣、こういうように所管が分れておりますので、その考え方といたしましては、大体この仕事は大部分が農業であるから、一応所管は農林大臣としまして、そうして、しかしながら、その中の関連した事業として、発電あるいは工業用水、あるいは上水道、こういう事業をこの公団自身がやりますので、もう一つの考え方はこれは共管にするというような考え方も一つあると思いますが、それではまた政令二途に出るというようなことで、実際の事業をいよいよやるようになって困る。そこで農林大臣が主管になりまして、事業を始めるまでの基本計画でちゃんと話し合いをつけておいて、この公団の事業の実施に移されたときにはスムーズに行くようにしたい、こういう考え方であります。従いまして、このうちの、おっしゃるように一つの省の大臣でも同意を得られなければできないということになりまするけれども、まあわれわれ現在からすでに事務的には相当こまかく各関係省の事務的な関係では相談をいたしておりますので、今の見通しでは同意が得られなくて事業が挫折するというようなことはおそらくないだろう、こう考えております。
  128. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 御意見として私は承わっておきたいと思いますが、私どもも後刻研究してみたいと思いますが、昨日の衆議院でも公取委の問題で同意を修正して協議に、通産大臣協議する。それで行政上の措置として十分にやっていけるということでああいうふうになって来た。そういう問題もあるのです。私はこのうち一番問題は、大蔵大臣がこれに同意する場合に、この記載事項をどういう書き方をするかというところに問題があると思いますけれども、これは確信をお持ちなんですか、そういうことについて……。そうして牧尾橋の問題についても確信を持っておられるか、なおこの事業基本計画はいつごろまでにこれは決定をして、そうして公表をする予定でいられるか、お伺いしたい。
  129. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 今の同意と協議の、もししいて合理的に申し上げるならば、そういうことであっては実際上は結局だめでありますけれども協議でありますと、主管大臣たる農林大臣は、協議をやって整わなくても無理してやってしまうということもできるわけでございますが、同意でありますと、そういうことはできない。しかし実際問題といたしますと、一つの事柄について両大臣が意見が違っていて、それでなお一方の省の大臣が強行するというようなことは、よほどの場合でないと考えられないのじゃないかと、こう考えております。従ってこういった本事業のような、大体内閣全体として何とかして対外的にももう相当の注目を浴びておる事業でございますので、そういったことはおそらくないだろうと、こう考えます。それから基本計画はいつごろ大体できるだろうかというお話でございますが、大体われわれとしては九月の二十日から九月の末くらいまでを目標にして、目下事務当局としては準備を進めております。
  130. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 溝口君に申しますが、事業資金計画は今配られたようですから……。
  131. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 この事業資金計画について、御協議の点についてはなお研究する余地があると思いますので、一応この程度で御意見を承わる程度にしておきたいと思いますが、ただ協議だからというので、最終的にはむろん農林大臣がこの計画を決定する権限は保有できると思うのですが、行政措置として各省大臣の意見を尊重してやって行くという建前でいうと、各省大臣対等の地位で、私は事業計画は最終の責任は農林大臣がやるのだというつもりでやって行かれればいいのじゃないかと私は考えているのです。なおこれに関連して昨日も問題があった海外移住の会社です。それは外務大臣の所管であるけれども、あれは農林大臣協議の上で業務計画を立てるというような方針を立てれば私は問題はなかったのである。それもあの会社の法案については外務大臣は独断でできるようになったから、あとでその点をどういうふうにするかという事務次官の申し合せ事項といったことについて、一方は必要な協議をすべしという法文も入っていない。片一方は全然新らしいような条文だったと私は思うのです。めったに同意を要するというようなものは今まではなかったような気がしておる。そこら辺について農林省でも今後もう一ぺんお考えになっていただきたいのです。それから九月の中ごろまでには事業の業務計画は決定できるお見込みのように承わっているのですが、この計画の最も基本になる問題は水源の問題である。従来五年以前からこの事業計画を農林省ではおやりになっておる。今まで世間でわかっていたのは、二子持のダムを水源にするということであったのです。昨年世界銀行の調査団が来て以来二子持のダムを牧尾橋のロックフイルド・ダムに変えるということになって来て、その後計画を変えられて目下研究中のように承わっておる。これは木曾川水系の水資源の総合開発の上に最も基本的な問題になる事業計画の根本なんです。その根本計画が変りまして貯水量も約六割くらい減ったのだ。従って電気の出力が従来から考えていたのと六割以下にも減って来た。農業は水が減ったけれども、収益についてはそう変っていないというような問題もある。この重要な資源、水の計画がロックフイルド・ダムに変って来て、そうして今後はこれを実行に移して行くのだということに農林省は方針を決定になっておると思うのです。現在調査の段階がどの程度に行っているか、それが九月の中ごろまでに事業計画が完全にできるかどうかというようなことは、これは一応承わっておく必要があると思うのです。技術課長からそれをお伺いしたいと思います。
  132. 清野保

    説明員(清野保君) 愛知用水の根本的な問題でありますダムにつきまして一応申し上げます。  まずスケールといたしまして、農林省最初二子持地点にコンクリート・ダムを作る予定をしておりますが、その後コンクリート・ダムでは愛知用水の経済効果が不十分であるというような見解を、昨年の夏来日されました世界銀行調査団から意見が漏らされまして、さらになお農林省が愛知用水計画の内容につきまして審査を依頼しておりましたアメリカの技術者からも同様な点を指摘されました。同時にアメリカの技術者から二子持よりも牧尾橋でロックフイルド・ダムを作る方が技術的に可能性があり、かつまた経済性もあると、こういうような勧告がありまして、その後いろいろと検討をし、なお世界銀行と交渉の結果、技術的にかつ経済的に可能性ありという点に一応の確信を得ましたので、現在牧尾橋ダムに堰堤を築造いたすことにいたしております。現在牧尾橋ダム地点におきまして、約十数本のボーリングを施行中であります。その結果は河床の堆積物が約二十メートルないし二十五メートルございまして、その下に相当かたい岩盤がございます。ただその下の岩盤のさらに下の方で軟弱な地盤がありまして、さらにその軟弱な地盤が二十メートルほど続きまして、その次に非常にかたい岩盤に達しております。ロックフィルド・ダムはコンクリート・ダムに比べまして重さが軽い。従ってこういうような悪い地質の地盤の上に作るに最も適当なる構築物であって、日本ではその例があまりございませんが、世界各国におきましては、かかる地帯にロックフィルド・ダムを作っているあまたの例がございますので、かかる実施例等を参考にいたしまして、かかる地帯においてもダム建設は可能である、こういう確信を持って現在進んでおります。基本計画の作成につきましては、ただいま申し上げましたような地質の点並びにダムに必要な岩盤、岩石及びダムに使います不浸透性材料、そういう点につきまして科学的な調査を行いまして、九月二十日過ぎまでに基本計画を作成し、各省の同意を得る準備を進めて参っております。各省との関係につきましては、先ほど参事官から説明がありました通り建設省、通産省等にも連絡いたしまして、種々目下協議中であります。なお今後調査の進行に伴いまして、引き続き協議を加え、予定の期間までに同意を得たいと思っております。
  133. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今、清野課長から御経過を承わりましたが、それによりますると、ダムの計画は牧尾橋のロックフィルド・ダムを築造することに方針はきめ、それで技術的には差しつかえない、しかもそれは九月の中ごろになれば、ボーリングを現在新らしく十九本とかやっているが、それも完成して、そうして事業費が、ダム事業費は幾らになるのだという計画費もきまるのかどうか、それがきまらないと電気、水道というようなものの費用負担の割合がきまってこないということになる。ダムの費用が現在五十二億になっておりますが、それはこのうちにダム補償、機械等が入っておりますが、その三つの大きな分類は幾らぐらいに現在なっているか、その範囲内で将来できるのかどうか、そのお見込みだけ伺っておきたい。
  134. 清野保

    説明員(清野保君) ダムの工事費五十二億の内訳を申し上げます。ダム自体の工事費が約三十七億、補償、買収、作業道路、そういうものが約十五億、合計五十二億であります。三十七億の牧尾橋ダムの工事費につきましては、現在まで農林省がやっております土堰堤、その他取水堰堤等の例を参照いたしましても十分安全にできる。そういう確信を持っておりまして、五十二億にさらに予備費を約一割ほど見込んでおりますので、最悪の場合といえども大体これでロックフィルド・ダムの築造が可能であるというふうに考えております。
  135. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ロックフィルド・ダムは八十メートルか、九十メートルになるそうですが、そういうダムは今までに日本にはないので、ここで外国の技術を借りてこの計画がりっぱにできて、そうして将来こういうものは日本に採用することができるということになると、水資源の開発というものは非常に広くなってくるから是非ともこの問題は、私は少し金がかかってもぜひ完成してもらって、将来もコンクリート・ダムが行き詰っておるなら、地盤の悪い所もこういうものをやって行けば幾らでもできるということになると、非常に明るい見通しがあるから、ぜひ全力をあげてこのダムの完成には努力していただきたいと思うが、ただ九月の中ごろにほんとうにできるかどうかということなんですが、昨年の今ごろ、この問題は調査しまするとまだ地質等につきましては見込みがない、これからもう一カ月か、一カ月半でそれかできるかどうか、それから今のお話の三十七億くらいでダムがやれるということになると、コンクリート・ダムなんかと比べて非常に安いし、ロックフィルド・ダムというものの存在価値があると思うが、予備費など五十億が入っておるということですね、これは技術的にどの程度まで確信を持ってやっていられるのか、その確信をお伺いしておきたい。
  136. 清野保

    説明員(清野保君) 溝口委員のお話の通り、日本ではこういう地帯にロックフィルド・ダムを作った経験がございません。従いまして、日本の将来の水資源の開発には当然このような不良な地帯にダムを作るというような、そういう意味合いからいたしましても、農林省におきまするわれわれ技術屋としましては、ぜひ日本の水資源の開発のためにも牧尾橋ロックフィルド・ダムの完全な完成を期待しておるものであります。御質問の三十七億で果して十分できるかどうか、昨年来から調査をしておって、現在までの状況からみて確信があるかどうか、こういうふうな御質問考えますが、昨年来行いましたボーリングの結果、大体最近農林省からアメリカに派遣いたしましていろいろと技術的な研究をいたしました結果によりますというと、アメリカで現在こういう地帯にダムを築造しておる、こういう実例を持っておる場合に、その経験と技術を取り入れるならば日本の技術でも決してできないことはないとみるのであります。かかる意味におきましても、また基礎処理の方法等につきまして、われわれの見聞しておる範囲におきましても十分可能であると考えております。なお予備費及び雑費につきまして五十億の多額の費用が組んである、こういう御質問でございますが、従来農林省では事業費を算定いたします場合に、特に実施設計ではございません普通の計画段階におきましては、一応安全を見込みまして一割程度の予備費を組むのが普通でございます。従来当初見込まれました事業費が、工事にかかりましてからあるいは四、五割、あるいは倍というふうにふえてくることが間々ございますが、愛知用水につきましては、資金の大部分が借入金に仰ぎます関係上、極力事業費の工事着工後増大することを防ぐ意味合いを兼ねまして、従来の慣例通り一割の予備費を組んだわけです。雑費の二十五億は一応公団の常用その他実施設計の経費、技術援助費等を見込みまして二十五億を組みましたのでありまして、決してでたらめに二十五億という数字を計上いたしたのではございませんことをよく御了承願います。
  137. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ダム補償の先ほどお話がありましたが、補償の面積とか、何か物件数量の資料をこの前に要求しておいたのでありますが、できたらあとでもいいからお配りをお願いしたいと思います。非常に補償の問題は困難だと思いますが、大体見通しは、本年度ダム事業費が十九億くらいになっていますが、大部分補償費になるんだと思う。円満にこれは解決できそうなお見込みかどうか、お伺いしたいと思います。
  138. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 補償の点につきましては、私ども最近地元に参りまして、地元の両村長及び村議会の議長、副議長等におのおの会いまして……、ここは申し遅れましたが二カ村にまたがりまして、一つが三岳村、一つは王滝村、この二カ村にまたがるわけであります。その両村長なり、村議会の議長さん、副議長さんにお会いいたしまして、大体こういった計画でやることになって国会に今度公団法を出すことになったということを申し上げて帰ったわけでございます。それで、もちろんこの補償の段階になります場合には、公団が直接の衝に当ることになりまするけれども農林省といたしましても側面的にその補償に対する協力をやって参りたい。なお地元におきまして、個々の農家等に対する補償だけでなく、残された村の再建等についても県並びに村当局も相当強い熱意をもって考えておられるようでありますので、そういった点で農林省ができることはできるだけの努力を払ってやりたい、こういう考え方で進んでおります。
  139. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今承われば、補償についてこの間行ったら非常に賛成をしておる。地元の新聞、それから地元の関係が来たときは反対はしないが戦々きょうきょうとして、百何十戸一ペんに補償はもらうかもしれないけれども、長年住んだ墳墓の地を離れて、その方々がどこに移住して安定の地を求めるかというその点がどうできておるか。それからまだ地元の賛成を得ない間に一度行ったきりで計画ばかり立って、いよいよこちらできまった、地元が反対だ、紛糾した、いたずらに日を長く、そこに紛糾によって日月を経過するような非常な懸念もないと私は今日言えないのであります。その点は他に、今地元のそれだけ減った村に対する安定方法も考えておるというが、考えているならば計画は立っているだろうと思うが、安定移住の個所及び減った村の更生、それからああした山間地だから二カ村合併し得るかどうか、そういう計画はどんなふうに立っておりますか、まずこの点を一つ聞きたいと思います。
  140. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 大体現在の計画によりますと、まず水没する被害を受けます家屋か世帯数にしまして百二十五戸でございます。それから宅地が八千二百五十坪、それから水田が三十五町歩、畑が三十四町三反、それから山林原野が二百九十八町五反、それからここに国有林の森林鉄道が入っております。そのつけかえをしなければならない個所が延べにしまして十四キロ、それから県道のつけかえが必要である個所が十二キロ一というようになっております。なお補償の具体的な内容でございますが、これはもちろん農林省も側面的には協力いたさなければならないと存じますが、具体的にどういう補償の仕方をするかというような点は、これは公団がやりますので、私から具体的に申し上げるというわけには参りません。ただ残された村がほんとうに立って行くかどうかについては、農林省としては非常に心配をいたしておりまして、昨年からどういう計画をもって村を立て直したらいいかということについて、長野県に委託をいたしまして、いろいろ実態の調査をいたして本年までやっております。ここで二年間大体調査を終りますと、ある程度村自身もその実態調査に基いて、村自身の考えもそれに織り込んでもらって、そうしてできるだけ早い機会に県の方から農林省に持ってきてもらうように、この前参りましたときにお話を申し上げたような次第でございます。
  141. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 そこが間違っているので、公団でやる、県でやる、なぜ一体この事業のときに、よく今日は基本的人権の尊重というが、基本的人権どころじゃない。生活の基本権を失ってしまう。どこへ行くのだか、ただ金さえくれればお前たち行けといったって、あの山の中におる人は、この耕地から、住宅地から全部つぶされて他に移転して行く、その個所を先にきめて、それとこれだけは与えるからこちらの方に引っ越しなさい、そうしてこれだけの資金をやって永久に安定する生活ができる、自作農創設とか、何とかいって仕事はいいことであるけれども、国家のためにあの山の中にこれだけ犠牲をしなければならないが、それを公団でやる、一体農林省は先にその仕事をやっておいて、あのこまかい事務的の手続や方法は公団でやりなさいというのが、これが今日国民大衆を尊重し、事業の進行上適切な方針じゃないか。県でやれといったって、県は県でたくさん仕事があるところへ、赤字県でもってこんなものを引き受けて、一体どこから資金を持ってくるか、県にたくさんの資金をくれるのかね、その一点。それから、さっき聞いておれば軟弱の地盤というが、軟弱の地盤で、あの山間の雨量の多い木曾川はよほどダムをしっかりしてやっておかなければ、もしダムが崩壊したら濃尾の平野は一体どうなりますか。それこそは大きな何十億というか、百億というか、取り返しのつかない大損害が生ずる、軟弱の土地だがやってみようなんというようじゃなくて、仕事には大いに賛成し、われわれもまあ十八万石の米、十三万石の麦もとれるから賛成はするけれども、もっとわれわれしろうとがちょっと聞いても、これならば大丈夫だ、何とか地元もすでに着手のときには、一番の水源地は安定がついておるということでなければ、だれでも国民が納得しないが、ちょっとどうも今の説明では、聞けば聞くほどどうも危い個所で、大雨でも降れば大洪水でも出そうだ、地元民はどこに行くかわからない。今でも山の中で非常に不安の叫びだけは、私は長野県だからよく聞いております。もう少し感心な答弁ができないか、この点が一つ。
  142. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 一言大事なことを申し落しましたので、今御指摘の、農林省としてはその補償よりも、代替地をもらってそこで安んじて農業をやって行きたいという方に対する用意はいたしております。ただしこれは……。
  143. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 場所はどこです。
  144. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 場所は一つは愛知県の三好地区というのがございまして、それから知多半島の六貫山という所、これは開拓の予定地になっておる所であります。そういう所は用意はいたしておりますけれども、地元がまだ反対ということがございますから、われわれの方は反対というか、議会としてはまだこれに賛成という声にはなっておりませんので、まだそういうところまで出しかねておるわけであります。
  145. 亀田得治

    ○亀田得治君 この補償の問題が出ておるのですが、私どもも単に愛知用水だけではなく、いろいろな場合によくぶつかるものであります。ところがこの公団は相当いろいろな意味で画期的なものを持っておるということでありますが、もしそういうことであれば、補償問題等についてももう少し真剣な取っ組み方をしてもらいたいと思います。従来、もかく家を建てて水道はつけたけれども、便所をつけるのを忘れた、こういったようなやり方が間々あるわけなんです、で、今農林省から一応の説明がありましたが、そういうことは単なる農林省の実際上の行政措置に従っておらないわけなんですね、その考え方がいけないと思います。私はこういうことをやる以上は、いやしくもこれによって被害を受ける人に対しては、法律上こういう処置をして行くのだということをこの法律の中に明記してほしい。家を建てるときに、水道だけじゃなしに、便所も設計図にみなあるわけですから、たとえば先ほどの説明では公団がやるのだと、こういうことをおっしゃるのですが、それでは私はいけないと思う。第二十条で農林大臣事業の基本計画を立てるわけでしょう、その基本計画の中に今話題になっているようなことの根本的な方針というものが生まれて来なければならぬと思うのです。それは事業計画というものは設計面だけじゃなしに、それに関する全体のやはり構想というものがなければならないと思うのです。この第二十条の第二項の第六号をみますると、「その他政令で定める事項」、こうありますから、あるいはこの政令でも活用されてもいいと思うのですが、やはりそういうものは法律上当然農林省自身が最初の計画の中に明確にしていく、こうありませんと、地元の方では、とにかくそういう有意義なことには反対はできないが、しかし自分たちの生活は困る、非常にそういうことで追いつめられた気持になってくる。この二十条ではそういうことは一つも出ておらぬわけですね、農林省の立てる基本計画の中に……。だから私はできればこの法文の中に一項目入れてほしいと思う。そういう被害者に対する措置とか、何か抽象的な言葉でいいわけです。それがどうも体裁上工合が悪いならこの政令の中に含める。それから第十九条は、公団が立てる実施計画になっておりますが、この公団が立てる実施計画、これは第二項の中にいろいろなことをずらっと十項目ほど並べてある。この中にも受益者がどうなるのだとか、とにかくそういう面だけしかここに書いてないわけですね。こうなれば結局は法律上は農林省も責任がない、また公団にしたってこの実施計画の中にそういうものはまつ正面から取り入れる事項になってこないわけです。一番終りの第十一の「その他農林省令で定める事項」、この中に入っているつもりだと、まあ今ごろから御答弁なさるかもしれませんが、私はどうもそれでは扱い方が、やはり「その他」というようなところに入れる考え方自身がいけないと思うのです。だからこの点はやはりたびたびいろいろな事業で問題になることですから、考え方を少しこの際直してもらったらどうかと思っているのですが、第二十条、第十九条のこの書き方と関連して、どういうふうにお考えになっておるか、もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
  146. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) おっしゃる点は非常によくわかるのですが、この事業をやって行くために一定の地点にダムを作る、あるいはそのダムの水を引っぱって行くために幹線の水路を作るという場合に、その土地を取得するためには話し合いでもってこれを取得して参るという考え方でおりますので、たとえば補償額をどういうことで行くか、まあ私の方は大体現在電源開発に基きます補償の例が、これは法律にはなっておりませんが、閣議決定で、われわれ農林省もこれに関係をいたしまして、まあ農民側として関係をいたしましてできた補償基準というものがございますので、大体そういった基準でもってやって行かしたい、こういう考え方なんです。
  147. 亀田得治

    ○亀田得治君 重ねて聞きますが、第十九条の第二項あるいは第二十条の第二項の「その他政令で定める事項」、この中にはそういう被害者に対する補償措置、こういうものを含んでおらないのですか。
  148. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 今のところ予定をいたしておらないわけでございます。それで入れたいとおっしゃる趣旨がどういう趣旨か、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  149. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういうことがわかりませんのがおかしい。なるほど閣議においてそういう基準があることは私も知っている。その価格の基準によって愛知用水なら愛知用水の場合には、こういう方法で行くということが具体的に示されなければ、愛知用水の場合における計画になってこないわけでしょう。そんなことを書いても書かぬでも一緒だということにはならぬと思います。書かぬでもわかっているというなら、たとえば事業の施行区域に関する事項とか、そのほかのことにしたって、事業計画である以上は区域がはっきりしなければいかぬし、そういう理屈も言えますよ、ほかの事項にしたって……。だから私はやはり問題を重要視する意味で、そういう問題もやはり最初の計画の中に政府の考え方を示して行くべきじゃないか。ことに閣議決定の場合には何でしょう、一つの村の土地を取り上げる、それに対する補償基準、これだけのことなんです。先ほどから出ている話は、単にその土地を取り上げるだけでなしに、あるいは別なところに村を作り上げるとか、そういったようなもう少し違ったことを要求しているわけでしょう。そういうことについての考え方をその場所々々においてはっきりしてもらいたい、こういうことなんです。だからこれはやはり私は被害者の立場というものを考えれば、最初の計画の中にそういうことを入れて行くべきだ、入れても少しも害にならぬ、こう思うのです、どうでしょうか。
  150. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) その点はもう少し研究させていただきます。そうしてわれわれの方といたしましては、実質的に被害者に御迷惑をかけぬような、もし仮に法律とかにそういうことを入れるのはまずいということでありましても、たとえば御趣旨に沿うような何らかの方法を研究してみたい、こう考えております。
  151. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  152. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  本日はこれで散会いたします。    午後四時四十分散会      ―――――・―――――