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説明員(戸嶋芳雄君) それでは
法案の
内容とその背景になっております
事業の計画を御
説明申し上げます。
まず順序として、
法案の背景になっております
事業の
内容を御
説明申し上げます。この愛知用水
事業は
農業が主たる
目的でございますが、それ以外に発電及び上水道並びに工業用水の確保という三つの大きな
目的を持っております。この木曾川水系におきましては、現在その水資源の六〇%は利用しておりますが、
あとの四〇%は未利用のまま残されて現在に至っております。この残された水を有効に使いまして、そうして、
農業生産を増進し、なおあわせて発電量を増加し、さらに特に早魃のひどい愛知平原並びに水不足に悩んでおります知多半島までこの水を利用しまして、そうして工業用水並びに上水道も確保しよう、こういう趣旨でございます。
農業の方から申しますと、木曾川の支流にあたります王滝川の牧尾橋地点という所を選びまして、ここに有効貯水量六千三百万トンの水を貯溜いたしまして、さらにそれとこの木曾川の自然流量と合せました水を利用して、その下流に一万六千四百五十町歩の水田の用水補給、それから二百六十九町歩の開田、さらに一万六千二百五十七町歩の畑地灌漑を行いまして、これによって米十八万石、麦十万石、その他蔬菜、果樹等の増産をしようという計画でございます。
次に発電について申し上げますと、この
ダムができますことによりまして、そのすぐ近くに新設の発電所を一カ所増設いたします。なお、現在
既設の発電所がその下流に十四カ所ございますので、新設の発電所及びこれら
既設の十四カ所の発電所を合せまして約九千七百キロワット・アワーの年間電力量の増加をはかろう、こういう趣旨でございすます。
次に三番目の
目的といたしております工業用水並びに上水道用水の確保でございます。これは工業用水は大体年間二千八百万トン、それから上水道におきましては千七百万トンの水を補給するという計画でございます。これに要する
事業費は、公団の事務費を合せまして、大体三百億でございます。それを発電と上水道並びに工業用水、それと
農業とに、そのあげられる増産量によりましてアロケーションをもちましておのおの各
事業ごとの負担割合をきめております。それにつきましては、すでにお手元に差し上げた資料の中にもございますが、大体そのアロケーションで計算いたしますと、
農業の負担分が、これは公団の事務費を除きまして、
農業の負担分は二百二十七億、それから電力の負担分が十八億五千万円、それから水道、工業用水、これが三十五億六千万円、こういうことに相なります。
これらの
事業を最も合理的にやって行くためには、やはり一つの機構を持ちまして、そうしてその機構に対して一定の資金量を確保して行くということが、最も効率的に
事業を運ぶゆえんでありますし、さらに増産効果も同時に達成させることができるというような
観点から、特殊な法人として愛知用水公団というものを作って参る。なお合せまして、この公団に対しましては、世銀の借款、並びに余剰農産物の見返り資金をある程度流すということになっておりますので、その辺の資金を受け入れるためにも、何らかの形をとる必要がございますので、そういった二つの理由で、こういう組織の公団を作りたい、こういう
考え方になった次第でございます。
次に
法案の
内容を簡単に御
説明申し上げます。お手元に
愛知用水公団法案要綱というものをすでにお届けいたしておると思いますが、これによりまして御
説明を申し上げたいと存じます。
まず
目的でございますが、先ほど申し上げましたように、木曾川水系の水資源を最も合理的に、総合的に開発いたしまして、そうして農産物の増産並びにそれに伴う発電、上水道、あるいは工業用水を確保するということが
目的であります。そういう
目的のために
ダムを作り、そうして水路を作るというのがこの公団の
目的でございます。
次に役員でございますが、総裁一人、副総裁一人、理事五人以内、監事二人以内ということにいたしまして、総裁と監事は
農林大臣がこれを任命し、副総裁、理事は総裁が
農林大臣の認可を受けて任命するということになっておりまして、おのおの役員の任期は五年でございます。
それから次に公団の業務でございますが、これは先ほど申し上げましたように、木曾川の上流王滝川の牧尾橋地点に
ダムを設け、それから幹線水路百十キロ余り、知多半島の先端の師崎町の辺までの幹線水路を設けます。それからそれになお合計千キロ余りの支線を設けまして、そうして畑地灌漑なり、あるいは開田
事業を行うわけであります。なお、それに伴いまして、先ほどちょっと申し上げましたように、一カ所の発電所を新設いたします。これは
法律の上では、この発電
施設は公団みずからが新設いたしまして、そうしてこれを電力会社に貸付を行うこともでき、また場合によってはそれらの
施設に要する資金を供給することができるというようにいたしております。大体現在の見通しでは、公団はそれらの発電
業者あるいは水道
業者に対しまして必要なる資金を供給するというようなことになると
考えております。
それから
事業のやり方でございますが、まず
事業の最も基本的な事項を定めております
事業基本計画というものを
農林大臣が作りまして、これを
一般に公表をいたします。そうして同時にこれを公団に指示をいたします。その指示を受けました公団は、その基本計画に基きまして、
事業の今度は具体的な実施計画を立てまして、そうして一定の
手続で利害
関係者に対しまして異議の申し立てを認める
手続をとることになっております。そうして大体異議の申し立てがなく、また異議がありましても、その異議についての決定がございましたならば、いよいよ公団はその
事業実施計画に基いて
事業に取りかかる、こういうことになるわけでございます。その他予算の認可あるいは決算等につきましては、
一般の公社、公団と大体同じような
規定を取り込んでおります。
なお先ほど申し上げましたように、この公団は約三十六億円の世銀借款を予定いたしておりますので、そういった借入金に対して、政府の保証に関する
規定を置いております。
それから最後に、この公団の仕事をやって行きます上には、特に
農業土木の優秀な技術者を持って参る必要がございますので、そこである一定数は現在国家公務員であるとかあるいは地方公務員であるもの等を特にこの公団に出向させるというような必要がございますので、そういった職員についての恩給の継続の
規定を設けております。大体以上簡単でございますが
説明を終ります。