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1955-07-14 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十四日(木曜日)    午前十時二十四分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            白井  勇君            松岡 平市君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            清澤 俊英君            小林 孝平君            三橋八次郎君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君   政府委員    外務政務次官  園田  直君    外務省移住局長 矢口 麓藏君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    外務省参事官  石井  喬君    農林省農地局入    植課長     和栗  博君    食糧庁総務部長 新澤  寧君    食糧庁業務第二    部長      桑原 信雄君    通商産業省通商    局農水課長  日比野健兒君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○砂糖の価格安定及び輸入に関する臨  時措置に関する法律案内閣送付、  予備審査) ○農林水産政策に関する件  (日本海外移住振興株式会社法案に  関する件)  (昭和三十年度農林省関係予算に関  する件) ○連合審査会開会の件     ―――――――――――――
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  日本海外移住振興株式会社法案に関する件を議題といたします。  この問題は去る七月七日分委員会において審査を始めたのでありますが、要求資料提出がおくれた等のため、審議が途中になっておりましたが、ようやく要求資料のうち、一部のものの提出がありましたので、本日重ねて審議を行い、続いて本法案の取扱いについて協議を願うことといたしたいと思います。  なお、先般の委員会において園田外務政務次官から、本法律案の実施については法律規定にかかわらず、大蔵省に対する協議に先立って農林省協議するよう次官申し合せが行われていると再三言明がありましたので、その次官申し合せの写しを農林外務両省次官要求いたしましたところ、お配りしておきましたような回答両省からございました。本日はまず外務当局から提出資料説明を願い、続いて審議に入りたいと存じます。
  3. 矢口麓藏

    政府委員矢口麓藏君) 農林省外務省との間の了解ということに関して御説明申し上げます。  ここにお配りしております書類にも書いてございます通り、その前に申し上げたいと思いまするが、今度の会社運営につきましては、まず第一に移住審議会というものが内閣にでき上りまして、これは閣僚レベルの人をもって構成されるものと想像されますが、その下に大体次官級のメンバーをもって構成せられるところの幹事会というのがございまして、その下に外務省の人が中心になってやるのでございまするが、各省課長レベルをもって構成するところの事務連絡協議会というのがございます。ここでよく審議いたしまして、その結果を外務大臣に報告し、答申し、外務大臣がしかる後にこれを決裁いたしまして運行するという仕組みになっておるのでございます。そういう工合に、農林省のみならずほかのところと十分の打ち合せをいたしておるのでありまするが、そのほかに、ここに書いてございますように、去る六月二十日の事務次官会議の席上におきまして、平川事務次官から門脇事務次官に対しまして、本件会社業務運営につきましては、海外移住審議会幹事会において十分に審議をしてもらいたいという要望がございまして、それに対しまして、外務次官からその趣旨に沿って行動いたしますということをお答え申し上げているのであります。  一方農林外務事務当局間に、両者の協力の具体化を容易にするために、両事務次官覚書というものを作ろうという議が起りまして、現在趣旨には両方とも賛成しておりますので、近くその具体的な内容ができ上ることと存じております。先日園田政務次官から申し上げました趣旨は、この線に沿ってのお答えと存じます。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 目論見書の方は。
  5. 石井喬

    説明員石井喬君) 私からお手元に先日配付いたしました日本海外移住振興株式会社目論見書案というものにつきまして、概略御説明申し上げます。  この目論見書案でございますが、実はこれはこの法律に基きまして会社ができ上りまして、その会社現実事業をいたします場合には、現地のいろいろの事情に即応いたしまして、いろいろと現実に即応した事業やり方をやるわけでありますが、この目論見書案におきましては、中南米各地対象といたしまして、大体いろいろな定型的なものを拾いまして、それにどのくらいの金を割り振るかという程度の、きわめてもくろみ的なものを書きました次第でございます。  順次御説明申し上げますが、最初の商号、目的につきましては、これは法律案にございます通りでございまして、そこにそっくり写したわけでございます。  それから資本金は当初一億五千万円をもって出発するという予定でございます。うち一億円は政府の出資でございまして、それ以外に本年度におきまして五千万円程度を集めたいというふうに考えている次第でございます。これは民間から募集したいというふうに考えております。なお、三十一年度におきましても、さらに一億五千万円程度政府民間から金を集めまして、増資したいというふうに考えておりますが、それから先のことにつきましては、この一応の目論見書におきましては、それをもって資本金として、それ以上の額は計算してないということでございます。  それから、それは資本金でございまして、主として経費その他に充てられることになると思いますが、事業資金といたしましては、アメリカから借り受けますところの千五百万ドルをもってこれに充てるということにいたしております。  それから事務所でございますが、これは当然に本社は東京に置くことになると思います。そういたしまして、事業地はすべて中南米諸国外国でございますので、外国支店を置きまして事業をやって行かなければならないわけでございますが、ただ外国事情によりまして、直接この会社支店が出てやれる所もあると思いますが、あるいはこういったような他国の会社支店を設けて、こういったような事業をやることをいやがる所もございます。その支店を設け得ないような所につきましては、現地法律によりまして、現地一つの法人を作りまして、それに実質的には支店のような役割を果させるというような形体をとることも、やむを得ない所があるというふうに考える次第でございます。  それから役職員でございますが、これは一応法律取締役四名、監査役二名ということでございますが、当初はもうできるだけ経費を節約したいというような気持、それから実際は何と申しましても調査等に重点を置いて行かなければならぬというような関係で、経費を節約したいというので、当初はまず取締役三名中、代表取締役が一名でございますが、監査役一人というようなきわめて簡素な格好でまず出発して行きたいというふうに考えておる次第でございます。職員はまあ大体一応の見通しといたしましてはとりあえずは本社に十人程度、それから支社と申しますか、現地事業をいたしますのはまず日本から二人くらいの人を派遣いたしまして、あと現地のエキスパートと申しますか、現地の方々の有能な人々を採用いたしまして、一カ所四人程度を置いてやって行こうというふうに考えてやっております。  それから事業の開始でございますが、ただいまの目標といたしましては、まあできれば九月一日にこの会社を設立いたしまして、それから実際の事業計画でございますとか、収支見通し、その他一切の準備をいたしまして外務大臣の認可を得まして、その上で十月一日より実際の業務を発足させたいというふうに考えておる次第でございます。  それから次に事業の概要でございますが、「事業範囲」はこれは法律に書いてありますところと大体同じでございます。第一に移民に対する渡航費貸付、それから移民またはその団体に対する資金貸付移民を受け入れる事業体に対する資金貸付移民を受け入れる事業体に対する投資、必要に応じ移民を受け入れる事業の経営ということでございます。ただここにこういうふうに並べましたのは、実はこの会社が今直ちにこういう事業を全部始めようとするわけでは決してございませんので、まあ今後日本からの移民を推進し、現地においていろいろこれの独立のための援助をしてやるというようなために必要と思われるような事業をここに羅列したわけでございまして、実際問題といたしましては現地事情に即応いたしまして、資金の限度もございますのでその範囲内におきまして最も緊要だと思われる事業から順次着手して行くということになると思うのでございます。一応法律の面におきましては今後の移民の推進のためにしなければならないと思われるような事業を一応網羅的に掲げたという次第でございます。  そこで、その事業内容でございますが、第一の「移民に対する渡航費貸付」でございます。これはいろいろ問題があるところでございますが、この渡航費は戦前におきましては補助金というような格好で出ていたこともございますので、これを会社が、何と申しますか、会社的な観念、コマーシャル・ベースでもって貸すというようなことは、これは移民政策上とるべきではないのではないか、もちろんこの法律規定によりまして会社がやるということでありまする以上、会社がこれによって欠損をする、この事業によって欠損が出るということでは困るのでございまして、この点は例の法律第九条に基きまする政令のきめ方によりまして大蔵省いろいろ話をいたしまして、この渡航費貸付業務のために会社が損失を生ずることがないようないろいろの条件をきめることに了解が成立いたしましたので、この点についてこの事業のために赤字が出るということはないと思われるのでございますが、しかしこれは一応本来の事業とは多少性格的に異る点がございますので、この目論見書の中からは、一応渡航費貸付に関するバランスは除外した次第でございます。  それからその次に「移民又はその団体に対する資金貸付」これは向うに参りました移民、あるいは移民が集まりまして作りました協同組合、その他の団体に対しましていろいろ必要な資金を貸してやろうとするものでございます。その内容を申し上げますと、これはいろいろな種類があろうと思いますが、一つ営農資金貸付でございます。これはすでに入りました移民、たとえば現在非常に問題になっておりまするアマゾンの、相手国連邦政府植民地に入りました移民につきましても、資金的にいろいろ援助してやる必要があればこれに援助を与えてやる、あるいはこれから新しく入植いたします移民に対しましてもいろいろ援助を与えてやる。こういうような人人、あるいはそういう人々の作ります協同組合対象といたしまして、農具でありますとか種代でありますとか、いろいろ必要な資金をこれに貸し付けてやろうということでございます。その次は「独立資金貸付」、これは御承知のように現在この自営開拓という格好で、連邦政府植民地に入ります移民もあるのでございますが、それに劣らず、ほとんど同じくらいの数が、現在コロノ契約雇用移民といたしまして、ブラジル人なり日本人コーヒー園とか、農園とか、あるいは技術的な面におきましてはいろいろな工業労働者というような格好向うに渡っているものがございます。これはいつまでもそういう境涯に甘んじておるわけではないのでございまして、数年にして向うの気候になれ、風俗、習慣、言葉を覚えました上で、だんだん独立して行かなければならないのでございますが、こういう人々独立いたします際に、資金を必要とする人も出てくるわけでございます。もちろん中には自分の努力でもって、あえて独立資金貸付を受けなくても十分独立して行ける人もおるのでございますが、そういう人々独立の際に資金が必要であるというような場合には、これに資金を貸し付けるというのが独立資金貸付でございます。  その次には「移民を受け入れる事業体に対する資金貸付」これはたとえば、向うでもって古い日本人コーヒー園のプランテーションを自分一つやりたい、相当の資金、ある程度資金を借りることができればコーヒー園を経営いたしまして、それによりまして日本人移民を大いに入れよう、こういうことがございました場合に、そういう人に日本からの移民を受け入れるという条件のもとに、いろいろ必要な資金を貸し付けて行きたいということでございます。それから「水産企業資金貸付」これも大体同じような思想でございまして、水産企業向うでやる、そのためにいろいろな資金が要る、その水産企業を興すことによりまして日本からの移民、あるいはそれの付属施設技術者労務者等向うに行けるというときには、その水産企業に対しまして資金貸付を行おうということでございます。それから「工業企業資金貸付」、これも思想としては大体同じような行き方でございます。中南米諸国の中には農民を非常に要望する国もございますし、あるいは現在の工業化の過程に対応いたしまして、工業的に日本から来てくれというような要望もございますので、そういうような場合に必要がありますれば、これにも資金を貸し付けることができるようにして行きたいということでございます。それから「運転資金貸付」これは工業水産業等が一時的な運転資金が必要であるというような場合には、短期に資金を貸してやることもできるようにしておきたいということでございます。  それからその次に「移民を受け入れる事業体に対する投資」でございますが、これは大体融資でもって事が済む場合には融資で済ますのが、この資金が寝るということから考えまして、融資がいいと思うのでありますが、中には水産その他におきましてやはり日本から投資してもらいたい。相手国合弁事業でやろうじゃないか、やはり日本側からある程度投資しまして、合弁事業でやるなら、日本側からもある程度移民を受け入れてやろうという話もございますので、そういう場合には投資もできるようにしておきたいということでございます。ただいま申し上げましたようないろいろ事業を将来だんだん必要に応じてできるものからやって行きたいというふうに考えておるわけであります。  その次に業務対象となる移民の概数の一応の数字があげてございますが、これは大体このくらいの人々会社業務によって援助される移民の数になるのではないかという数字でございます。  それからその次に資金計画でございますが、所要資金、これは先ほど申し上げましたように、私どもとしては一応この農水産関係工業関係というふうに分けてみまして、どのくらいのウエイトをおのおのに置くかということをここに表わしたに過ぎないのであります。これは必要に応じまして、もし農水産関係が非常に必要であるということでありますれば、工業関係を削ってそちらに回すということもあり得ると思うのであります。また逆の場合もあり得ると思うのであります。私どもとしましては大体ここに出ておりますような数字を一応のワクとして考えておる次第でございます。  次に資金調達方法でございますが、これは第一年度、第二年度におきまして一億五千万円ずつ株式の払い込みを受けます。それ以外の資金といたしましては、アメリカからの借款をこれに充てるということになっておるわけでございます。それから次に回収金というのが出て参りますが、これはだんだん貸したものを回収して行くというようなものが出て参るわけでございます。ただこの場合には融資をいたしました場合におきましても、融資の性質によりましては一年限りで返ってくるものもあると思います。あるいは二年、三年、四年、五年というふうに寝せる必要のある資金もあるかと思いますので、この回収金の場合には前年度の融資額がそのまま返って参りませんで、一応ただいま申し上げましたようなことを考慮いたしまして想定いたしました回収金の額がここにあがっている次第でございます。  それから収支予算でございますが、これは収入、支出、これは現実仕事を実際やってみませんとなかなか確定的なものは出ないと思うのであります。一般に申しまして中南米は金利が高いということが言われておりますが、それにしましても、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ドミニカ、ボリビア、各国情勢が違いますので、この会社仕事をやる地域によりましても、あるいはその融資その他の対象になります事業種類によりましても、いろいろ差異があるのでありますが、一応私ども農業関係工業関係漁業関係というようなものにつきまして一定の利子を想定いたしまして、これを出した次第でございます。もし配当をやるということがありますれば、その配当も考えに入れましてここに出した次第でございます。それから預金利子と申しますのは、いろいろ資金が回転いたします間に、多少とも手元に現金が余ってくる場合もございますので、そういう場合を考えまして預金利子というものもあげてある次第でございます。  支出の部は、これは経常費でございますが、借入金の利子、これはできるだけアメリカ側に払います利子はこの会社事業でできるだけまかなって行きたいというつもりでございます。それから本社費用支社費用、これはきわめて僅少な額でございまして、まあこういうことでできるかという御批判を仰ぐと思うのでございますが、何分にも出発当初のことでございます、できるだけ経費は節減して行きたいというようなつもりでこういう少い額をあげておる次第でございます。  それから損益の見通しでございます。これもはっきりしたことがただいまとても見通せるものではないのでございますが、私どもが一応いろいろ仮定いたしましたところに従いまして算出いたしましたものがここにあがった数字でございます。第一年度におきましては当然利益金……利益金というと非常におかしいのでございますが、赤になってくる。それから二年目、三年目、四年目、五年目とだんだん多少ふえて参りまして、税を引き、いろいろの積立金貸し倒れ準備金等を公定の利率によって見る、それと多少の配当金も見るというようなことをいたしまして、ここにございますように五年目に五十四億円の事業資金を運転いたしまして四千百万円の繰越金が出てくるというような、きわめて微々たるものになるのでございますが、毎々繰り返し政務次官から申し上げましたように、この会社自体決して利益の追求をするものではないのだ、しかし国内において、あるいは現地におきまして、金を集めて、ただ単にアメリカ資金だけじゃございませんが、その他にもいろいろ資金を集めてやって行きたいということになりますと、やはり多少の配当金等は見て行かなければならないというようなことで、まあぎりぎりの数字を出してみた次第でございます。一応私の説明を終ります。
  6. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今外務省の方から提出された資料について御説明がありましたか、最初に申しました次官申し合せの問題につきましては、外務省の方と別に農省林の方からも回答が来ておるわけでありますが、この内容は必ずしも一致しないように思いますが、農林省の方のすでに提出された回答について説明をお願いします。つまり外務省ので行きますと、平川農林次官から門脇外務次官に対し、「本件会社業務運営に関しては、海外移住審議会幹事会において充分議を尽して欲しい」この発言があって、これをもとにしても次官申し合せができるようにこの文章から受け取るのですが、農林省の方では具体的申し合せは何らないということなんですが、その点は一体どうなるのかちょっと説明をしていただきたいと思います。
  7. 和栗博

    説明員和栗博君) ただいまの農林省側回答に対する説明をするようにというお話でございましたが、まだ次官申し合せというものはできていないわけでございまして、外務省の方からそういうお話があることになっておりますので、それを待っておるわけでございます。なお、ただいまお話がございましたこの外務省の方の回答の方の中には、海外移住審議会における農林次官とか通商産業次官言葉が入っておるわけでございますが、私どものは、海外移住審議会というものは、これは会社監督機関ではないのでありまして、これは日本の今後の移民政策というものを大所高所に立って検討し、審議する機関だというふうに了解をいたしておるわけでございます。従いましてそういった大きい日本移民政策をどうするかというような審議の場合に、その中の一つとして、会社仕事やり方というようなことも出てくるであろうというふうに考えられるわけでございますけれども、ただいまお話がございましたこの会社業務監督ということに関連いたしましては、その監督事務とかいうような問題につきましては、これは一応審議会の問題は、関連はございますが、一応これは会社監督機関ではないという関係におきまして、この外務省からのお話は多少私どもにはわかりかねるところがある次第でございます。私どもの方といたしましては冒頭に申し上げましたように、外務省の方からこの会社監督関係について、外務大臣監督することになっておりますけれども、その監督権を行使する前に、農林大臣にも協議をするような、申し合せをするというようなお話しがございますので、ただいまそれを待っておるというような状況に相なっております。
  8. 江田三郎

    委員長江田三郎君) どうぞ御質問がありましたら……。
  9. 青山正一

    青山正一君 今のその委員長の御質問のあった問題ですね、農林省側とそれから外務省側と、大分徹底を欠いておるようなことらしいのですが、その問題について外務省はどういうふうな考え方を持っているのですか。
  10. 矢口麓藏

    政府委員矢口麓藏君) 最初の、ただいま和栗課長からお話がございましたところに若干の御了解が行かない点があるのじゃないかと思われますので、私から申し上げさしていただきます。これは大したことじゃございませんけれども、両事務次官覚書を作ろうという話は、もともと農林省側からございましたものであります。山本参事官から私に対しましてそういう要求がもともとあったのであります。その後私の方でも考慮しておりまして、検討しておったのでありまするが、最近に至りまして通産側ともそういうようなものをやりたいと思いまするし、もちろん農林省もそういうことに、そういうことと申し上げますのは、両事務次官会議次官覚書を作ることにいたしたいという工合に御返事申し上げているのであります。これは一日も早く手のすき次第そういったものの案を具して、具体的に話を進めたい、どちらから話し合いを持って行ってもそれはかまいませんけれども、もともとの起りはそういうのでありまして、これは山本参事官と私が一番よく承知しておると思うのであります。  それからあと運営の問題でございますが、業務運営につきましては、この海外移住審議会並びにその幹事会というのがございますが、これは監督並びに業務運営全般についての大綱はここできめることに相なると、われわれは了解しておるのでありまして、本件会社運営につきましては当然農林省を筆頭とし、大蔵省その他のものと十分の打ち合せをしたあとでなければできないのでありまして、単に監督のみならずその運営の大綱をきめるということもここでやると私は了解しておる次第でございます。
  11. 青山正一

    青山正一君 この問題に関連する質問は他の議員からもあろうと思いますが、私は観点を別にして、一つ園田外務次官から承わりたいと思いますが、これは非常に大局的な問題でありますが、この日本人の口は現在のところは八千七百万である、しかも年々歳々百七十万ないし百八十万人の人間が、死んだ人間よりもよけいに生まれてくる、またあるいは妊娠中絶するものも二百万近くおる、やみのものも入れれば約四百万から五百万の妊娠中絶をやっておる、こういった妊娠中絶、これは切り離して考えましても、三十年後には日本の人口はおそらく現在の約二倍の二億万人近くの人口になり得るということが仮定されるわけでありますが、しかし食糧の関係から考えてみますると、非常に日本は現在でさえ食糧が不足で困っておる、そういう観点から考えてみますると、この移住ということは当然考えられるわけでありますが、その移住の大半を占めるものは、これは農業者であり、あるいは漁業者であろうと、こういうふうに考えております。ところが現在計画されておるのはアルゼンチンとかあるいはブラジル、こういった遠隔の地である、中南米諸国であって、ほとんどこの近回りにはそういうふうな関係はない、おそらくこれは賠償の問題とかあるいは講和条約ができていないというような関係からして、東南アジアあたりはほとんど考えられていないのじゃなかろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。しかしインドネシアのボルネオあたりには日本の農業者なりあるいは漁業者、これを移住させなければならないというような所が相当多いわけでありますが、先ほど申し上げました通り講和の問題あるいは賠償の問題から、今そういった問題は解決されていないわけでありますが、この東南アジアに対して今後賠償問題などにいろいろ役務とかあるいは資材の提供とか、先ほどお話のあった農業者なりあるいは漁業者の合弁の会社、こういった計画を講和条約というか、あるいは賠償の問題に入れておるかどうか。先ほどからいろいろ御計画を聞きましたのですが、一応現在の一億五千万円の基金では、そういうふうなことはとてもこれは解決できないわけでありますが、そういった面についてこれは見当違いの質問かもしれませんが、一つ園田さんからいろいろ御意見を承わりたいと思います。
  12. 園田直

    政府委員園田直君) ただいまの御質問全くわれわれも同感でございまして、実は今日ただいまでも考え、いろいろな折衝をやっておりまする所は、今まで主として中南米が重点でございましたが、御指摘の通り渡航費にいたしましても、その他の費用にいたしましても、ワク内でできるだけの移民の送出数を上げるためには近距離であり、しかも風俗、気候等の似通った東南アジア等に将来は逐次転換して行きたいと深く考えております。ただいまビルマそれからカンボジア、こういう所に話を進めておりまするが、北ボルネオそれからインドネシア、こういう所も御指摘の通りでございます。ただ、今のところこれをはっきり計画に入れ、移民の長期年度計画等に公表する段階に至りませんのは、一例をとりましてボルネオ等のごときも北ボルネオに移民をやるという計画をこちらが正式に発表いたしますると、インドネシアでは再び日本人が組織的に、集団的に進出をして来て、われわれを脅威するのではなかろうかというような、いろんな反対、阻止等の声も出て参りますので、その点をよくわれわれ自身も戦前の移民と違って、決して日本人の出先を作るのではなくて、相手国に行って、相手国の国民の一員としてその国に同化をするのだという平和移民趣旨をわれわれも十分に順奉しなければならないし、相手の国々にもこういう点を御納得願ってから発表しなければなりませんので、正式に計画として発表できないだけでございまして、御指摘の通り賠償または労役賠償を実施するに際しましても、そういう点を十分検討して、将来移民の見本市というつもりで、逐次計画いたしております。
  13. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この法案を見ると、まず第一に、これはあるいは今までの委員会質問があったかもわかりませんけれども、重複の点は御了承を願いたいと思います。  この農業及び水産の業者の移民を主としているのか、あるいは中小工業移民を将来主とするのか、そういう方針ですね、将来の見通しに対する方針はどういう方針を持っているか、その方針を第一番にお聞きします。
  14. 園田直

    政府委員園田直君) ただいま世界各国の移民を見ましても、日本の今までの移民を見ましても、今までは御承知の通りに農業移民万能でございましたが、イタリアを初めとして各国とも逐次農業移民から企業移民と申しますか、技術移民と申しますか、農業、漁業、工業商業、あらゆるものを含めて技術移民というような方向に変ってきております。従いましてわれわれも将来そういうふうに逐次変って行かなければならぬとは考えまするが、今日までのいろいろな面からいたしましても、また将来そのように変って行くといたしましても、日本国内の職業別のパーセンテージから申しましても、当然農業に次いで漁業が重点になるであろうと考えております。
  15. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 将来中小工業移民を推進するということもわかるのですが、今お答えのごとく現在間近の段階においては、とにかく今までの既入植者としては、農業及び水産が非常に多数入国いたしておるのでありまして、だから大体会社とすればさしむきこれは農業及び漁業移民に重点を置かなければならぬということは、これはそうなければならぬと私は考えるのであります。先ほども問題が出ましたが、この法案によると、この会社に対して農業移民なりあるいは漁業移民に対する指導及び監督の問題で、農林省として相当力を入れなければならぬと私は思うのです。なお、将来工業移民が多数行くとなれば、主管大臣としても相当その指導監督に力を入れねばならぬと私は思うのです。この法文によると、大蔵大臣に協議するのみにとどまっておるのであります。そういうことで、今の次官の打ち合せとか了解事項とか、ややこしい問題が生じてくるので、私はこの二十三条に、第十条及び第十二条に関して、毎年の事業目論見書の認可というような重要な点に関して、少くとも農林大臣及び通産大臣に協議、大蔵大臣と同じく協議すべきだろうと思う。そういうことをこれはなぜ挿入しなかったか。なぜその点を削除してしまったのかということを、これは結論にすぐ行ったのですが、お伺いいたしたいと思います。
  16. 園田直

    政府委員園田直君) お答えをいたします。今後の移民が逐次いろいろな要素を含んで参りまして、主とし農林、続いて通産及び雇用移民がございまするから、労働、以上の三省の持っておられる基本的な技術や計画、こういうものが非常に移民外交を推進するに際しまして、有力なる発言と有力な御協力を願わなければならぬことは御指摘の通りであると考えております。従いまして率直に申し上げまして、この作成に当りまして、まず国家資金の規則の面につきまして、大蔵省外務省との相当な見解の食い違いがございましたが、これは大体本法律案に記載せられてある点で一致いたしました。  次に農林通産労働、特に農林省外務省の間では、今おっしゃいましたような点を主として、相当な意見の食い違いがございました。これは決して各省のなわ張り争いではなく、おのれの主管する事務に基いて、最大限の移民の成果を上げようとする各省の熱意の現われでございますから、私は喜ばしいこととして折衝に当ったわけでございますが、その食い違いの点は、一方農林省では御指摘の通りに、主として移民が今日までいろいろな難点があった。今後もまた農業、漁業というものが重点であるとするならば、受け入れ国の土地の調査や、あるいは行ったあとのいろいろな技術やあるいは計画、指導、そういう面では農林省の働きが非常に多い。従って外務大臣と同等の権限をもって立案計画その他監督をしたいということであるし、外務省の意見は、それは全くその通りであるが、今日外交の最大の支障というものは、かっての満拓あるいはスマトラでやった移民の失敗のごとく、戦後においては、特に日本政府が直接手を下して、国策を遂行するがごとき感じを相手に与えることは、非常に移民を妨害するおそれがある。一例を申し上げましても、たとえば先般ブラジルから視察団が参っておりまするときに、こちらから学者を現地移民のために土地調査に出発させようとしたことがあります。そのときに、外務省がこれに対して積極的に協力しようという意見を発表いたしますると当時来ておった人々は、日本移民したあとまで干渉をするのか、移民したあとブラジルで言う通り連邦政府が責任を持ってこれを指導し、あるいはいろいろな計画を立て、農業技術等の指導をやるのであって、日本政府から干渉されるべき筋合いでないというような御意見が出るなど、あるいはブラジル中南米等におきましても日本移民というものが一方には歓迎されながら、一方には正式にこれが法律案として移民協定締結の段階になりますると、どうも日本人は集団的に日本人村を建設したがるという意向があり、しかも日本人が組織的に、政府の意図のもとに、逐次日本人勢力を進出さしてくるのではないかという間違った誤解のために、いろいろな障害が起っております。従いまして数は別といたしまして、農業移民に関しては農林省、労働雇用移民に関しましては労働省、いろいろな企業その他に対しては通産省、各大臣の権限なりあるいは特に技術、専門的な事項等について移民の選考、募集あるいは訓練あるいは送り出したあとのいろいろな計画等については御意見を伺わなければならぬことは当然のことではございまするが、向うに一応、まことに卑近な例ではございまするが、移民として養子に送った以上は、養子に送るまでの準備、養子に送ったあとのいろいろな取扱いについて、相手国と折衝をしたり、いろいろな意見を好意のうちに相手国に伝えたりすることが主でございまするので、そこで外務省としては外務大臣がこれを監督し立案、計画する。ただし協議や協力はできるだけ仰がなければならぬということで、実はこれは相当難渋を来たしたものでございます。これが最後に、これは委員会で党の意見を申し上げてはまことにおしかりを受けるかもしれませんが、実はこれに前から関係しておられたのは、実はこれは前内閣からの遺産でございまして、自由党ならびに民主党の方で協議をされて、そうして各省が熱意のあまりに言っておってはまとまらぬからというので、調整をしたのでありますが、意見がまとまらない。その後なお意見が続きまして、遂に最後には政府の責任ある処置として次のように決定したわけでございます。農林外務両省の言う意見は当然ではありますけれども、その農林省との協議事項を持ってくれば、これは当然数の問題は別個として、労働、通産も持ってこなければならない。従いまして重要な問題について各省の協議事項ということを法文中に明記することは、政府の責任の所在を不明確ならしめるおそれがあるから、従って農林省の主張は外務省が運用面において生かして行く、それがためには審議会及び次官の申し合せ、あるいは人事の交流あるいはその他の面でやれという、これについては外務省農林省もおのおの熱意のあまりに不服があったけれども政府として統一した見解をとって、法文を作成した以上、これ以上主張することは、それは熱意のあまりついには官僚のなわ張り争いに堕するおそれがあるから、これでやろうということ。そこで両省で決定した以上はこの本法律案で所期の目的を達するように御協力を願いますということで、実はこの法律案が作成されて出たというわけでございます。  法律作成の経緯を申し上げまして、まことにお耳ざわりになったかとも思いますが、そういう意味におきまして、実は審議会並びに平川次官の発言等によって申し合せなどというものが出てきたわけではなくて、法律案作成の経緯にかんがみて、実は御指摘の通りに同等の協議力と同等の発言力を持っていろいろな計画や指導は、これは責任ある同じ政府内閣でございますから、各省が協力をしてやるのが当然ではあるが、法文中には国家資金の財政法に関する面があるから、大蔵大臣の名前で出すが、あとの各省の大臣は出さない。従って、申し合せや審議会や人事の交流及び審議委員の人選等については、それぞれ各省と申し合せをして、それによって補い、御指導御注意のような点の欠点をこれで補ってやりたいと、かように考えておる次第でございます。
  17. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 一応聞けばごもっともなようなんだが、委員会提出せられる前に、今の御趣旨なら、当然次官が申し合せというものを円満にやってから、ここに説明すべきであろうと私は思う。しかるに、いまだにその円満協調ということをたてにしてそういう方策をとった。その申し合せさえ提示することができずにそういう御答弁をなさることは、これは机上の議論だと私は思う。どうしてその申し合せがおくれたか。
  18. 園田直

    政府委員園田直君) 本法律案第九条に書いてございまする渡航費に関して、この会社の損失補償あるいは利率等の点については、大蔵省で政令を設けることになっております。まず資金の面でございまするから、大蔵省外務省がこの点についていろいろ協議をして、まず大蔵省外務省の意見が一致を見て、資金面に関する申し合せが終ったわけでございます。農林省外務省との申し合せにつきましては、まことにおくれておって御指摘の通りにおしかりを受けまして恐縮する次第でございます。が、農林省といたしましても、法文上に明記すべきほどの実効ある申し合せをやりたいというお考えでございましょうし、われわれもまたそういう点を、どうやれば欠点を補えるかという点も考慮しなければなりませんので、十分これは両省で打ち合して納得の行くような申し合せをしなければならぬと考えております。両者が十分納得の行く申し合せをするために、きょうまでまだおくれておるような段階でございまするが、これは当然審議中に申し合せを終って、この申し合せを委員各位に御報告をして御審議を受けなければならぬと考えております。
  19. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この問題は前議会からの問題なんで、幾ら慎重審議をやったところで、そんな時間がかかるはずはない。だから私は今次官が御説明になったーーただ次官の今の御説明だけ聞いておれば非常にもっともだと思うのだけれども――そういう非常にむずかしい問題がある。これはすみやかに申し合せを委員会に発表せられて、われわれが納得の行くように、これは外務省が急がねばならない問題だろうと思う。われわれはそれを聞かねば、協議して円満に推進すると言ったところが少しもそれはわかりゃしない。どうか一つそれを提示せられてわれわれが納得せねば、これを審議してどうこう言うわけに私は行かぬと思う。いつごろお出しになりますか。
  20. 園田直

    政府委員園田直君) 御指摘の通りに前内閣時分から両省の意見が、率直に申し上げて、食い違っておりましたので、それを円満に調停する努力をいたしまして、早急に報告をしたいと考えております。
  21. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、それが出てこねば、われわれはこれは審議できないと思う。審議できぬでも差しつかえないですか。
  22. 園田直

    政府委員園田直君) 先般来から移民局の設置を願っておりましたが、移民局その他の移民業務に関する申し合せはすでに終了いたしておりまするので、それに基いて御相談をしたいと考えております。
  23. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 ただいま重政委員が指摘されましたように、従来の移民の九割以上が農業移民であり、それから新しい企画に基く鉱工業移民等も今度は大幅に取り上げられようとしておるけれども、しかし依然として、その人数からいえば農業移民がおそらくその大部分を占めるであろうということは、これはおそらく争えない事実だと思う。そういう点から考え、また向うにすでに入植した人たちが三年ももう経過をして、それぞれ持って行った、つまり資金等も枯渇をして、そして実に今一番苦難の道を歩んでおる最も大事な時期ではないかと考えられますので、過去の失敗というか、工合が悪かった経験等に徴しましても、たとえば松原氏の計画した移民の点ですね、政府でも、移民を送ったときに、選考、人選等については政府にも大きな手落ちがあったということを率直に認めておいでになるが、確かに向うに渡った人たちの質がよくなかったということもこれも隠しておいでになるところを見ましても、私はやはり移民を成功させる基本的な条件としては、まず募集、選考、人選ということが出発点における最も大きな一つのポイントだと思う。それからさらに向うにおける、現地に送ってからの問題としては、農業移民に関する限りは、入植地の、つまり適地を選ぶということが、これまた劣らざる大事なことだと思う。この二つの点に今までの成功しなかった、あるいは失敗した原因のかなり多くの実例があるように私は思う。これらの点を考えると、私はやはりこの大事な事業を、すでに渡っておる人たちを窮地から脱せしめてこれを安定させる、それから新しく送り出す人に前車の轍を踏ませない、こういうわれわれの親心からすれば、私は農林省の果す役割というものは、この二つの条件については最も大きいと思います。そういう点で先ほどの事業目論見書を拝見いたしましたが、先ほどの園田次官説明でも、あるいは平川次官からの回答等についても、外務省から近く具体案を示す旨の申し入れがあった、こういうことであるので、私どもとしては具体的にこの点について承知しなければ、なぜ一体、大蔵大臣だけに協議をして、この重大な出発点と向うにおける大事な、安定せしむる基本条件に最も関係の深い農林大臣協議しないかということについて、どうも納得が行かない。ですから、この点は私は重複してくどいことは申しませんから、具体的な、つまり申し合せがあるなら、これを一日も早く示していただきたい。それによってわれわれが納得できるかできないか、必要によれば、今までの法案提出の経過を承知いたしましたが、われわれ委員としては、どうしても農林大臣も一枚協議の中に加えなければ、どうもわれわれとしては安心できない。そういうふうな結論になるかもわからないと思うので、私は申し入れ書を早く提出していただきたい。いつごろできますか。
  24. 園田直

    政府委員園田直君) いつごろという日にちはお約策できませんが、非常に重要でございますので、御注意に基きまして早急にやりたいと考えております。
  25. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 もう一点。それは園田次官から前回の委員会でも懇切な御説明があったのですが、私はただいまの目論見書を拝見して、渡航費の点については、これまた回収には困難を伴うものがきわめて多いということを、この目論見書にも重ねてうたっておいでになる。事実私は、今までの回収率といいますか、元金の回収はまだ開始されておらないけれども利子の回収はすでに始まっておるはずでありますから、利子の回収の実情等についての資料があったら、資料一つ拝見いたしたい。  それからもう一つは、海外協会の連合会で発行しておる海外移住手引きというパンフレットを拝見すると、移住者はどんな義務を負うかという大きな見出しがありまして、その第六のところに、これは開拓自作農移民の場合を例にとって項目をあげておりますが、第六のところに、携行資金として十八コントス以上を持って行けるものである。これが一つ条件である。十八コントスというと、日本の金にして十一、二万円になるという話でありますが、このほかに、この手引きを拝見をすると、政府であっせん貸付をする渡航費を除いて、合格者が郷里を出発してから神戸の移住あっせん所を経て移住地に着くまでに、大体十三万円くらいの途中の経費が必要であるし、さらに、さっき申しました、つまり携行する資金が十二万円くらい要る。合計して一戸当りどうしても二十五万円見当の資金としての準備が必要である、こういうことがこれに書かれておるわけであります。こういう一戸当り渡航費貸付を除いて二十五万円の資金が必要であり、しかも、さらに借りた金に対しては、移住者の義務として、これはもう渡航費貸付金は、所定の期間内に利子の支払いと元金の返済をするということが、これまた義務づけられておる。ところが実情はなかなか利子ですら思うように返せないというのが、ただいまの実情なんです。そういうところから考えると、私はせっかくこういう平和の、一つの国民外交というか、それの先駆者として向うに渡る人たちに対して、一年に五分五厘という高い利子をつけたり、しかもその償還の期限には据え置きが、あるいは一年とか四年という期限があるようでありますが、こういうことは私は、事実実行することが非常にむずかしいという義務条項であるので、この点については、私は戦前のことを必ずしもそのままやれとは申しませんけれども渡航費等については政府として、格段の特別の措置が私は必要だと考える。事実できないことをしてみたところで、赤字の解消、損失の補償という問題で行き悩んでしまって、せっかく出発をする会社には、何かスタートからけちがつくようになったのでは、ひとり移民に迷惑を及ぼすだけでなしに、国際的な信用にも私は大きな影響をもたらすことを実はおそれるので、この第九条の政令、この政令については、これは大蔵省と折衝中ということでありますが、これまたきわめて重大な問題だと思うのです。この政令案というのは大体近くできるのですか。
  26. 園田直

    政府委員園田直君) まことに専門的な御注意でありまして、われわれもそのように考えております。先般から御報告申し上げまする通り、国家財政が許すならば、日本の国民に働く場所を与えるのは国家の責任と義務でありますから、戦前同様、渡航費というのは国家が支出をして補助するのが私は当然の責任であると考えております。しかし今のところ、御承知の通りのような国家緊縮財政の実情でございまするから、一応貸付ということになってはおりまするが、そのお申し出の資料は提示するつもりでおりますが、簡単に申し上げまして、利子の回収は今日までのところ、わずか二・七%という状態であります。そういう点から考えましても、また今御指摘をいただきましたような点から考えましても、この渡航費の回収という点は、これは非常に考えなければならぬ点であると考えております。従いまして、将来国家財政が許すならば、渡航費というのは国家が出すべきものであると考えておりますが、今日の段階では、御指摘のような点に関しまして、詳細については、成文になりますれば御報告申し上げるつもりでありますが、簡単にごく概略を御報告申し上げますと、まず今御指摘のあった貸付の利率でございます。これも相当今までよりも、国家から借りる場合には低率にするように話を進めております。それから次には、据え置き期間は五カ年に延長しまして、なおまた、それが渡航の方の天災あるいは地変あるいは本人の死亡、あるいはやむを得ざる状態のために払いができない人のために、さらに据え置き期間を五カ年間延長する。据え逝き期間中は今まで利子を取っておりましたが、これは無利子にしてもらいたいと考えております。  それから次には、この会社を作りまして、渡航費業務、これは私は特別勘定にいたしまして、そうして渡航費の回収は困難である、というのはずるい考え方じゃなくて、今御指摘を受けましたような点から、ほんとうに渡航費というのは補助すべきであるのが建前で、苦労しながら新天地を開拓しておる人から渡航費を取るというのは、これはむごいと考えております。そこでやむを得ざる渡航費の未回収につきましては、渡航費の処理を立法処置をいたしまして、そうしてこれは決済するようにしたい。  以上のような点でいろいろ政令をきめておきますれば、完全ではございませんが、今日の国家財政上の点では、今までのいろいろな欠点を補えるのではなかろうか、かように考えております。詳細につきましては、あとで書類で御報告申し上げます。
  27. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 もう一点。これは政務次官にお伺いしたいのは、最近ボリビアで日本移民を受け入れをする傾向が出てきたということは、御同慶にたえないところでありますが、しかし、これはせっかく日本人に対してそういう申し出があり、承わってみると、向うに送った日本の農業移民に対して、あの地には大した農業技術のわかる先輩とか指導者もいないということであります。しかも、そういう所に初めて出て行く人たちというのは、非常に不安を持っておるわけで、こういう所に対しては、私はまずわれわれの希望としては、ぜひとも在外公館を早く設置していただきたい。もし設置してあるならば、そこに農業関係の技術者を常駐させるという措置を考えておいでになるか。このことは必要だと思います。
  28. 園田直

    政府委員園田直君) ただいま代表者を一人派遣しておりまするが、今後の国会で、ここに在外公館を設けることを御承認いただきましたので、新しくここに設置することになっております。その他の御指摘の点につきましては、十分注意をしてやりたいと考えております。
  29. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それから特にボリビアに関して、私は新しい道を開いていただきたい。というのは、イタリア等が戦後あれほど大きな移民の数においても、質においても成功を見たのは、やはりがっちりとした移民協定を結んでおるということが、私は大きな理由であったと思います。ボリビアに関しては移民協定を結ばれるという準備を進めておいでになるそうですが、これは近く締結できそうですか。
  30. 園田直

    政府委員園田直君) 御指摘の通りでございまして、今日まで移民というものがいろいろな困難がありましたのは、二つの原因を考えております。一つは、移民された方々が向うへ行ってみると、土地や、あるいは条件が、こちらで聞いたのと違っておる。すなわち移民するに際して、両国の政府政府との責任を持った協定によって保障されていないという点が一つの原因、もう一つは、移民されたあと、国家として何らの援助がなかった、この二つだと考えております。従いまして、一面におきましては、この会社設立によっていろいろな物的な援助をすると同時に、一面におきましては、中南米その他を初めとして、各国とも早急に外交を好転せしめて、移民協定を結ばなければならぬと考えております。御指摘のボリビアについては、ただいま一番うまく進んでおる状態でございまして、進捗をいたしておりまして、遠からず協定締結の運びになると考えております。
  31. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この移民協定の案というか、要綱等はできておりますか。
  32. 園田直

    政府委員園田直君) これは御指図でございまするが、協定その他は、折衝に入らない前には公表することをお許しを願いたいと存じます。
  33. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 なかなかむずかしいようでありますが、先ほどの次官間の申し合せが遅延しているということですが、それはどういう点で長引いているのでありますか。この問題は私は現在の日本の実態からいいますと非常に大きな問題だと思う。単に移住振興株式会社法案といったような一つ会社法案として見れば、大きくないでしょうけれども、今日の日本の現状から見ると、非常に大きな重要な問題をはらんだ法案だと思うのです。従ってこれは一日も早く成立させるべきだと思うのです。これもきのうやきょう始まった問題ではなく、前から論議されてきた問題であって、それが今日まだ両者の次官の申し合せもできぬというのはどういう点にネックがあるのですか。
  34. 園田直

    政府委員園田直君) この会社は以前から問題になっておりまするが、最後の、お願いをする会社法案の性格がはっきりきまって、その法律案のいろいろな欠陥を補い、協力を順調にやるための申し合せでございまするから、この法律案自体の見通しがはっきりして初めてそこに申し合せが出てくるわけでございます。なお今日提示したあとにおいて今なお申し合せを得られてないということは、それは農林省におかれましても非常に重大な問題でございまするから、どのような箇条で申し合せをやれば果してこの法律案に書かれていない協議事項というものがうまく行けるか、重大であるからおくれておることであって、両者が申し合せをしたくないという意図のもとにおくれているわけでは決してございません。
  35. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 少しおかしいのですが、今の御返事は。この法案が通らなければ申し合せができないと言う、議員の方では申し合せができなければ法案は通せないのじゃないかというふうで、卵と鶏の関係になって、いつまでたっても切りがつかないように考えますが、われわれとしては、この法案というものは一応原案が出ておりますし、修正されるかどうかはわかりませんが、原案そのものは出ておる。これに基いて政府は両者間の申し合せをしなければ、通ってみてから申し合せをするんじゃ筋が通らないのじゃありませんか。
  36. 園田直

    政府委員園田直君) 私の答弁が不手ぎわでございまして、誤解を招きましたが、さような意味では決してございません。この法律案ができるまでにいろいろな経緯がございまして、法律案を作成して、国会に提出するまでの間は、この法律案がどういうような格好で出されるかということがわからなければ申し合せができませんでおくれておったわけでございます。さてこの法律案がすでに国会に出されて、この法律案が正式の印刷になりました今日の段階でおくれておりまするのは、そのような理由ではなくて、どういう箇条の申し合せをやれば果して農林大臣外務大臣に向って効力のある発言と協力ができるかという点が重大であるから、両省ともいろいろ案を練っておっておくれておるわけでございます。
  37. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 いろいろお話を伺いますと、どうもぴったりこないところもありますが、ともかくここに法律案として出ており、審議もだんだん進められている間に、まだその申し合せができないということであれば、この審議もまた延びるというようなことになるかもしれません。ぜひ至急にこの法案日本の国情に対しての重要性と必要性にかんがみまして、早くその申し合せをわれわれに提示していただきたいことを私からもお願いするわけであります。  次に外国から一千五百万ドルの借り入れをするというのは、これは外国銀行とこの会社が直接に貸借をするわけでございますか。
  38. 園田直

    政府委員園田直君) さようでございます。
  39. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、この法律にもありますように、これの裏づけとしては政府が責任を持つと、こういうことになっておるようでありますが、この一千五百万ドルの借り入れた金のうちから渡航費も出るわけでありますか。
  40. 園田直

    政府委員園田直君) 一千五百万ドルはこの会社事業に使いまするが、政府から出資をします一億と、それから民間から幾ら集まるかわかりませんが、五千万ぐらい予定しておりますが、これは会社設立の基金で、渡航費は千五百万ドルの借款からは使わないで、政府予算から支出をされた五億を、初年度に使うつもりでございます。
  41. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、その政府から出るところの五億というものがすべて渡航費になる、こう解釈してよろしいのですか。
  42. 園田直

    政府委員園田直君) その通りでございます。
  43. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、五億というものが問題になるわけです。先ほどからも質疑が重ねられますように、過去の実例から見ましても、渡航費の回収ということは非常に困難である。従ってここに外務省大蔵省のいろいろな折衝の困難があったことと想像いたしますが、大体御答弁によりますと、はっきりしませんけれども、およその見当はわれわれもつけている。従って渡航費というものが、この会社ができたために、かっちり利息をつけて返さなければならぬという厳重なものになることは、今後の移民を進める上において非常に難関となる。従って今までの御説明のように行くならば、比較的スムーズに行くのじゃないかと思いますが、そうしますと、過去において貸し付けられている渡航費と、今度会社から貸し付ける渡航費、ことに本年もうすでに移民の渡航した者もあるでしょうが、それらのものと今度十月から発足するところのこの会社貸付との関係はどういうことになりますか。これは別途に、政府政府会社会社で、過去のものと二途になって行くわけですか。あるいは一本になさるおつもりですか。
  44. 園田直

    政府委員園田直君) 御指摘の通りでありまして、今簡単に申し上げましたようなことがきまりまして実施されれば、前に渡航された方と今後渡航される方が、渡航費の取扱いで差別がつくわけでございます。従いましてこれは法的措置をやって、以前の方も今後の方も同様な取扱いを受けるようにする話し合いを進めて、それはまとまっているのです。ただし債権だけはこの会社は受け継がないつもりであります。
  45. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この会社が出資金は三億、二カ年にわたって一億五千万円ずつ出資するわけでありますが、そのうち一億の見間出資というものはどういうところをねらっているのですか。この会社がそんなに大きな利益が出るとも私ども考えておりませんが、その民間から一億出資せしめるということについては、どういうところにねらいをつけているのですか。
  46. 園田直

    政府委員園田直君) 当初、初年度におきましては民間資本四千万か五千万、最大五千万だと考えておりますが、御指摘の通りに相当困難であろうと考えております。その五千万というのは、結局この移民のことに非常に御理解のある方々から集めたいということと、将来は現地において成功された方々の御支援を仰ぎたいと考えております。
  47. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それはおよそ見当はついておりますか。
  48. 園田直

    政府委員園田直君) 金額については御報告申し上げる段階にございません。
  49. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これはなかなか私は簡単に五千万といっても行かぬと思います。もしこれが民間出資が集まらなければ、それだけのものは政府で出資するお考えでありますか。
  50. 園田直

    政府委員園田直君) 当初はこの資本金もわれわれは二億要求したのでありますが、遺憾ながら予算の折衝中におきまして、事実においては予算面に明記されることなしに、会社ができたら何とか考えようというようなところで、遺憾ながらわれわれが予算折衝については敗北したのであります。その後予算が出されて、予算折衝により、一億という金が明記されたわけであります。従いましてこの一億という金は、われわれの要求した半額程度でございますが、それにしても発足したがよかろう、従って人員その他は当初は四十名ぐらい考えておりましたが、先般から御報告申し上げました通りに、当初はまず本店に十名内外の人員というふうに考えておりまして、今後におきまして民間資本が、五千万予定するところが三千万しか集まらなかった場合に、二千万国家資金を追加することは、見通しとしては困難であると考えております。
  51. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 どうも少し、そういうことになりますと、資本問題についても少しおかしくなってきますし、従って事業計画にもその民間資本が入らなかったとしたときに、狂いもくるのではないかという懸念を私ども持ちますが、それは集めて見なければわからぬということにもなると思いますから、今年度の予算にそれがないとなれば、しいて政府に言っても出せないかも知れませんけれども、この実施の面については非常に不安の感じを持つのであります。従ってこういう会社を設立する場合には、普通の利益を目的とする会社と違いますので、資金面においては相当前に段取りをつけておくべきだと考えておるのですが、何か手を打っておるのですか。
  52. 園田直

    政府委員園田直君) いろいろ各方面に御相談なりあるいはその他これに対する資料等の収集はお願いしてございます。
  53. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一君 昨年あるいは本年度に外務省において移民計画が立てられて、たしか三十年には一万名を越すような移民をしたいというようなことがあったようでありますが、現政府はその点はどういうふうに考えておられますか。またそれに対して輸送の面はどういうふうに考えられるか。
  54. 園田直

    政府委員園田直君) 昭和三十年度の計画につきましては、御指摘の通り当初一万を考えておりました、従いましてその一万に応ずる渡航費及びそれに伴う移民のための造船一隻十六億、計三十二億の造船費を要求いたしておりました。しかるところ、予算折衝の結果において、渡航費約五億、造船の予算三十二億が削られて結局三十年度は六千何がしの移民送出の計画を持っております。
  55. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その六千名を輸送するには、現在の輸送力で足りるのでありますか。
  56. 園田直

    政府委員園田直君) 六千名でございますれば船腹の点は今日の状態でけっこうでございます。
  57. 東隆

    ○東隆君 私はこの間お伺いしたのですが、株式会社でこしらえられた方が都合がよい、こういうお話がございましたが、まだ少しはっきりいたしません。なぜ株式会社の形式をとられるか、私は公社にした方がかえって受け入れする方面からいいのではないかと、こういうふうに考えますが、その辺もう少しお伺いいたしたい。
  58. 園田直

    政府委員園田直君) まず最初は御指摘の通り公社案と会社案と対立をいたしました、主として大蔵省関係は国家資金を出すし、しかも元利の補償を出す建前上、貴重なる国家の金を出すのであるから、金銭上の監督並びに事業その他については、責任がある大蔵省ががっちり握りたいというので、公社案を主張しておりました。外務省その他各方面は全部会社案を主張いたしました。その会社と公社の、会社案を主張した方の第一の原因は、今日日本移民をやりまする際に、われわれが想像以上の障害がありますのは、中南米におきましても、あるいは東南アジア等におきましても、勝手に満州あるいはスマトラでやった移民のように、日本が国策の一環として、自分の国に日本人がやって来て自分の国の国民になって、同化してやろうというのじゃなくて、日本人が集団的に、組織的にやって来て、何か帝国主義進出の一環にして行くのではなかろうかという誤解が非常なものでございます。なお今日、中南米移民にいたしましてもパーセントからいたしまして一番多いのは雇用移民でございまして、日本の労働者が向うの者に、雇われておるわけでございます。自作農の移民にいたしましても、これは向うに参りましてから向う連邦政府、あるいはその他受け入れた国の政府農林行政なり、あるいはその他の指道統轄等によりやって行きまするので、日本の方では直接政府向うへ行ったあとや、あるいは行くまでのいろいろなことに援助と補償をすることは当然政府の責任でございますが、いろいろな計画をやったりあるいは指図をいたしますると、これは移民後の自分の国に対する干渉であるとか、あるいは日本政府が何らかの政治的意図を持って、集団移民をやっておる、このように取られまして、移民されたあと援助やあるいは補償が非常にやりにくいことになって参ります。そういうわけで、われわれは会社案を主張をし、各省並びに各方面の御支持を得ましたので、大蔵省も意見をいれて会社案にしたわけでございます。
  59. 東隆

    ○東隆君 私は今お話を聞きますと、かえって逆のことになると思いますので、今大東亜戦争を中心にしての満州の満拓なんかお話がありました、これはやはり侵略の意図が十分にあったわけです、従って、農民そのものは剣を持ちませんのですが、剣をもってやはり征服をしたのだ、そういうようなことを考えて見ますと、剣をもって征服した土地はまた取り返される、しかしくわを持って開拓した所は取り返されない、これは昔からのことわざがあります。私はそんなような考えで、国策として日本がやる場合には、堂々と今の憲法のもとに国策として公社案で堂々とやる方が、かえって国際的に疑問を解消することになる、かえってその方が私は有効適切じゃないか、こういうふうに考えます、昔の会社でありますと、これは満拓を初めとして、その前にインドの会社から始まってこれはもう実に残虐な歴史を繰り返して、かえって会社の方がめちゃくちゃのことをやっておる、私はさようなことを長い歴史からながめてくれば、植民史を少しひもといて見れば、かえって今の憲法のもとににおいて国策会社とするよりも、堂々と会社案をとって会社にして行く方が、それが解明させる上にいいし、また力をこれだけ入れてやっておると、こういうことになるのです。そういうような意味でこの国策会社のようた形式をとられた方が、かえって逆になるのじゃないか、かえって大蔵省が考えられた当初の考え方がいいのじゃないかと、こういうふうに考えます。その点はどうですか。
  60. 園田直

    政府委員園田直君) 戦後の移民の趨勢といたしましては、国家が集団的に日本の方針のもとにやる移民が、個人の自由意思に基いて個人が自由に移民をする、その個人の移民の集団を国家が援助したり補償したり、うしろから突っぱりをする、こういうふうな関係で来ております。公社となりますと、政府と直接関係のある政府直接の機関であるという印象はいなみがたいのでございまして、これはどの国といえども政府が直接移民をやって、それが移民斡旋所に入所するまでの募集、選考、訓練等ございますれば、それでけっこうでございますが、そのあといろいろ現地について相手国に干渉だという意識を与えない程度援助をしたり補償をするには、やはり民間会社の形体をとった方が対外的にもまた本質的にも会社の方が動きやすい、こういう考え方でございます。
  61. 東隆

    ○東隆君 今の問題はその程度にしまして、先般も移民種類は、農業移民であるとか、企業移民あるいは技術者もある、こういうような関係で各省に非常に関係があるから、そこで大蔵省だけとは協議をするけれども農林省その他とは別に協議をしないのだと、こういうお話がございました。これは先ほどもお話があったわけでありますが、私は日本移民を受け入れる国におけるところの要望、それはどういう種類の職業のものを、要望しておるのか、それをお聞きしたいと思います。
  62. 矢口麓藏

    政府委員矢口麓藏君) 私から御答弁します。移民の大宗をなしておりますブラジルにおきましては、まず農業移民を最も多く歓迎しております。その他の国におきまして最近大きく浮き上っておりますパラグァイ等におきましては、農業移民も希望いたしまするが、できればいわゆる資本と技術を持った移民に来てもらいたい。これは申し上げまするけれども、この企業移民という言葉が適切であるかどうかは存じませんが、これには農業、企業も含むのでございまして、今のパラグワイ等におきましては農業移民もけっこうですけれども、企業移民に来てほしいということを現に二、三日前もそういう要望がきております。それから近く入れますボリビアにおきましては農業移民、それからドミニカにおきましてはまず農業移民、次にはできれば資本と技術を持った企業的な移民に来てもらいたいということでありまして、私たち事務当局の考えといたしましては、もちろんブラジル側の要望に沿いまして、昔の形態の農民、ことに開拓移民といいますか、計画移民と普通言っておりますが、いわゆる未開発の地域を開拓する移民を昔のままで送り出すことは、ブラジル側といたしましては日本人以外にやるものはございませんので、それを一番強く希望しておりまするけれども、われわれといたしましては向う要望にも沿うし、また日本側の希望にも沿うようなもの、すなわちより簡単に、よりよく努力が報いられるような形態の移民を送りたい。換言いたしますると、もしできれば資本と技術を持った農業移民を送り出したい、こういう工合に、すなわち繰り返して申し上げまするけれども、一番大きいブラジルについて申し上げますると、向う要望にも沿うと同時に、日本側要望にも沿うような移民を送りたいと、こう考えております。
  63. 東隆

    ○東隆君 今お話を伺います、私はこの会社でもって資金の融通をする場合に、おのずから普通の農業移民と企業移民との間に隔りを作るべきじゃないか。それを同一に、同じ内容によって貸しつける、こういうような形をとるべきでなく、農業移民に対してはもちろん九十九年みたいな形になっておるのですからこれは当然補助の形にいたすべきだ、それから企業移民というようなものは、これは国から融資をして、そうして一つの企業としての性格を考えて採算を十分にとれる、こういうような計算でもってこれは当然向うに行くべきである。そういうふうな場合におけるものの考え方をやはり当然分けて考えるべきじゃないか、それを同じ貸付をする、こんなようなことをやったとすると、これは非常に国難なことをしいる、私はそういうような意味で、この中の考え方でもって非常にまだ練らなければならぬ点があると思うのですが、そういう点はいかようにお考えですか。
  64. 石井喬

    説明員石井喬君) 私からお答え申し上げます。御指摘のございました点、まことにごもっともでございまして、実際にはこの会社融資その他のことをいたします場合には、そういうような点も当然考えなければならないことと考えております。ただこの事業資金というのは、御承知の通りアメリカから借りました金で、将来これを返して行かなければならない、もちろんこの会社それ自体が営利を目的とするものではございませんので、会社の収益からこれを返して行くということはおそらく非常にむずかしいかと思いますが、政府がたとえ肩がわりして返してくれました場合でも、やはりそれを返しました際に、借りましただけの金が残っているということになりますれば、そのままそれと同じ規模の事業は継続できるのでございますが、もしこれが回収できないというような格好になりますと、将来同じ規模の事業を継続いたしますためにも非常に大きな財政負担がまたかかってくる。そこで私どもといたしましては、ただいま御指摘のような点を十分に考えながらも、やはりできるだけ回収いたしまして、たまたま千五百万ドル借りましたものは将来たとえ政府が肩がわりして返してくれました場合でも、やはりそれだけの資金は確保して順ぐりに次の仕事をやって行きたいというふうに考えている次第でございます。農業移民につきましても、私が聞きましたところによりますれば、かつて三銀行のうちの一行がブラジルにおきまして日本移民に金融をいたしまして、それの成績が非常によかったというようなことが、やはり銀行の借款が成立する一つの隠れた原因になっているやに聞いております。これはいろいろ農業のやり方等もあるかと思いますが、ある程度そういうようなことで返して行くことも可能であろう。ただ決して過酷な条件をつけるべきではないというふうに考えている次第でございます。
  65. 東隆

    ○東隆君 私は、今農業移民で銀行が貸し付けたときに非常に成績がよかったところがある、こういうお話でございましたが、おそらくそれは先方でもって農業移民がコーペラティヴを作って、協同組合を作って、そうして一致団結してやっている所が非常に成績がいいので、この例はすでに私どもはいろいろな所で聞いておりますが、そういうような一つの指導が当然必要なんであります。先方へ行って必要なことであります。これはやはり農業方面のその道のものが向うに行って、そうして組織をしてやって行くよりほかに方法はない、そういうようなことと、それから企業移民を考えたときに、これは独立の採算でもって、一定の計画のもとに、資本も持っているのですから、これはある程度できると思います。普通の農業移民というのは資本も持っておりませんし、渡航費を目当てにしてそれでもって向うへ行って新しい仕事にとりついてやって行くのですから、そういうようなものに対する銀行の信用があるはずがございません。そこでどうしてもそういうような組織を作るということになってくると、やはり農林省方面がもっとこの中に入って行かなければ、先方におけるところの仕事が進まぬと思います。そういうような意味で外務省が窓口になって仕事をせられる、これは私は差しつかえないと思うのですけれども、しかしこの内部の仕事に関する限り、先方が受け入れるものはほとんど農業者、また農業に関係をした企業移民、あるいは漁民もあるかもしれませんが、これは同様であります。  そういうような関係で、非常に農林省とは関係が多いと思う。単に大蔵省との関係渡航費を貸すという、資金を出すというその面だけで大蔵省との関係ができておるのですが、そうでなくてその金を有効適切に働かして、そうして大きくそれを発展させる立場の仕事というものは、これは非常に大きな分野がある、これは私は外務省の事務局の中を充実しておやりになるということも一つの方法でありますけれども、しかし農林省との関係農林省の知恵、経験、そういうものによってこれはもう当然行わなければならぬ問題であるし、それから国内におけるところの移民の選択、そういうようなもの、かようなものもこれは当然農林省が大きく中に入って適格者を選ぶべきではないか、こんなようなことを考えてくると、この法律はセクショナリズムが非常に出過ぎておるのではないか、もう少し国策会社ならば国策会社らしい考え方で、もっと手を広げて行くべきではないか、こういうことで法文の上にもその形をはっきり出すべきではないか、こういうふうに考えますが、その点はどうでしょうか。
  66. 矢口麓藏

    政府委員矢口麓藏君) 私からお答え申し上げます。まず最初の技術指導者の意味、そういうこの指導者のことにつきましては、われわれが最も頭を痛めておる次第でございまして、南伯地方はそれほどでもございませんけれども、アマゾン地区における移民の技術指導ということについては何とか妥結の道がないかといろいろ苦慮しておる次第であります。と申しますのは、先ほども政務次官から御説明申し上げました通り、計画移民、いわゆる自作農と言いますか、向うに土地をもらいまして、未開の土地を開発いたしまするのは、向う政府が経営しているものでございまして、その中に日本人が入って行って指導をするというような形式をとることは、非常にデリケートな問題を起しまするので、むしろ、これはできないのであります。現在指導員と称するものが向うに行って入っておりまするが、これは建前は通訳という名前で、言葉のあっせんと言いますか、仲介並びに役場の仕事みたいな、あるいは病気したときとかそういったときのことを世話しておりますが、かたがたそういう指導員の大部分は二十年以上も向うにおりますものですから、技術に関する知識も現地に即した技術に関する知識を持っておりますものですから、そういうものを通訳という名目で許しておるのでございます。今後幸い予算が取れて、技術指導者を向うに出すということは、どういう工合になっておりまするか、もちろん種々御指摘がございました移民協定その他では話をつけなければならないのでありますけれども見通しといたしましては非常にどういう形式で中に入れるかということは、むずかしい問題でございます。と言いますのは、日本人があまりに嫁に行った先、養子にやった先のことまでも心配し過ぎるという意向がブラジル側にある。ことに排日分子の中にそういう意向がございますものですから、そういう困難があることを御了解願えれば幸いだと思います。しかし何としてもこれを解決しませんと、現在直面している問題が解決できぬものでございますから、あらゆる手を打ちましてわが方の技術指導者が行けるようにしたいものだと衷心願っておる次第でございます。  それから組織の問題でございますが、仰せの通りぜひこれはやらなければいけません。しかし幸いに各地域におきましては協同組合をこしらえてございます。今度この会社から営農資金その他を貸し出すにいたしましても、個人を対象といたしませず、この協同組合対象といたすつもりでございます。  それから移民の選択、募集等のごとき国内事務につきましては、先般来種々農林省側と話し合いをいたしまして、それこそ次官申し合せもできておりますし、閣議の了解もございまして協力し得る態勢はできておるつもりでございます。
  67. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  68. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。
  69. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま東君かだれかの質問で、この資金の面で、国内の資金を約一カ年で一億円集める。これに対して二カ年で一億円出るでしょう。政府が二億円、民間一億円というのですから……。その資金内容は大体民間融資からと移民先の現地の成功者から集めるのだと、だがしかしその大体の、どういう人から集めるという点に対しては、これは今言えない、こういう御答弁であったと思う。私はこの問題は非常に本案を審議する上に重要性があると思いまして、しかも法案通りますと、十月一日か何かから出発するという法案になっておる。新聞等によりますれば、移民会社の会長などは青木一男氏がこれに当って、参議院を兼ねるために特別の法案を出すというほど計画は進んでおるのだと思うのです。こういう新聞が出ているほど相当計画が進んでいると思う場合に、約二カ年にわたり一億円の投資をするという、その顔ぶれは非常にこの会社に対して将来私は重要性があると思う。顔ぶれによっては会社の性格が違うかもしれない。それが言えるのか、言えないものか、まずお聞きしたい。
  70. 園田直

    政府委員園田直君) 先ほど答弁いたしませんでしたのは、言えないという意味ではございません。まだ答弁の段階ではないということでございます。今おっしゃいましたように、率直にこの会社の人事等についてわれわれ意見を申し上げますると、社長の持って行き方で、民間資本が集まるか、集まらぬかということは非常な大きな影響があると私も考えておるわけでもります。従いまして新聞等で発表されたことは、出されました名前の不適当、適当ということは全然考えておりませんが、そういう人選やあるいはそのような進め方は、全然大蔵省も、外務省もいたしておりません。これは責任を持って申し上げます。われわれが考えておりまするのは、この会社の社長というのは、今おっしゃいました通りに、民間資本ル集めるために、非常に大きな影響がありますことと、それから相当な経営手腕がなければ公益的なこの会社が企業運行不能になるおそれもございまするので、これについては相当慎重にやらなければならぬと考えておりまするが、ただいまここで御報告申し上げられることはこういうことでございますから、各省のいろいろななわ張りなどを捨てて、たとえば具体的に言うと、外務省の外交官上りであるとか、あるいは農林省大蔵省の上りであるとか、そういう方はやめて、経済界から御相談を申し上げた方が適当ではなかろうかと考えております。個々の人選については法律案の相談中でございまするから、その人事等まだ審議する段階ではございません。しかしその下の理事級になりますと、いろいろな関係がありますから、農林省やその他から推薦された、あるいは関係のある方々を入れた方がいいのじゃないかと、この程度に考えております。
  71. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は社員の推薦範囲をお伺いしているのではなくて、資本を集めるのは大体どの方面から集めるのだという大体範囲があるわけです。海外事業に何ら関係のない者が投資することはまずあるまいと思います。だがしかし何と言うのですか、政府機関のような銀行等もありますから、そういうものを中心にしてこれくらい集め、現地のこういうような成功者が、あるいは漁業で成功している者もあり、農業で成功している者もあり、あるいは他の工業で成功している者もあるから、そういう方面でどれくらい集めるのだというくらいの方向が定まらなければ、今さら社長がきまってからその資金の集め方が出てくるような話じゃ、これが出ても出発ができないわけなんです。そう私どもは考えるのです。従ってその顔ぶれによって、また会社なんかの内容が、考えが違ってくると思うのだから、だからそのくらいの範囲ぐらいわかるでしょう。
  72. 園田直

    政府委員園田直君) 初年度の資金は、民間資本は五千万円と予定しております。一億じゃございません。その資金面の大体の方向等は、確かにおっしゃる通りに、全然無関係なところからは集りませんので、やはり海外に関係のある、一例をあげれば、いろいろな運搬、汽船、航空会社であるとか、あるいはそういう関係のある方面から……会社じゃございません、そういう関係の方向から集めなくちゃならぬ。一部はおっしゃる通りに金融方面からとる。現地は初年度は考えておりません。しかしその詳細な数字等については、まだ御報告する段階に至っておりません。
  73. 清澤俊英

    清澤俊英君 あと一つ……。
  74. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 大体今度連合審査でやってもらったらどうですかね。
  75. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじゃ連合審査のときに……。     ―――――――――――――
  76. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。本院規則第三十六条に基き日本海外移住振興株式会社法案について、外務委員会と連合審査会を開催することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないものと認めてさよう決定いたしました。ただいまの決議に基き委員長外務委員会に申し入れることにいたします。  速記をやめて。   〔速記中止〕
  78. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。暫く休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ―――――・―――――    午後二時十七分開会
  79. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案を議題にいたします。  本法律案につきましては、去る五月三十一日の委員会において提案理由の説明を聞き、次いで委員長から法律案審査のため必要な資料要求し、まだ全部出そろわないのでありますが、会期も切迫しますので、本日は法律案内容について農林及び通産両当局から一応の説明を聞くことにいたしたいと存じます。  なお、この際農林及び通産両当局にお尋ねいたしますが、去る六月六日、本法律案審議に必要な資料を六月十一日までに提出するようお願いして、まだ全部出そろわないのでありますが、これら要求資料の未提出のものは、来週早々商工委員会と連合審査の都合もありますので、今週中に提出ができますかどうか、お尋ねいたします。
  80. 日比野健兒

    説明員日比野健兒君) 今週中に出ます。
  81. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは今週中に資料全部の提出を願います。  それでは最初説明を……。(「説明は済んだよ」と呼ぶ者あり)それでは御質問を願います。
  82. 小林孝平

    ○小林孝平君 いろいろお尋ねしたいのですけれども、基本的な問題を最初に三、四お尋ねいたします。今のこの砂糖の消費でございますが、最近は原糖を輸入して全部精製されたものを国内の消費に充てているのですけれども、以前は日本は国内においては黒糖を消費し、さらに台湾から赤ざらめが入ってきて、それを相当消費していたわけなんです。最近は全部精製されて精製糖として消費されておるんですけれども、こういう関係についてどういうふうに農林省はお考えになっておるか、もっと精製しなくとも一般の国民に、希望しているものもあるし、また積極的に消費さしたらどうか。
  83. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) おっしゃる通りに、戦前におきましては台湾からおもに入ったわけでありますけれども、含密糖と私たちは称しておりますが、いわゆる赤い色をいたしましたざらめ、赤ざらめというものが入っておりまして、これが大量消費されておりましたのと現在と比較いたしますと、さような相違が現実に出ているものと思っております。これにつきましては戦争後におきまして、かって砂糖を主食の代替に配給いたしたこともあったわけでありますが、当時非常に問題になりまして、これにはダニがおるという問題が大きく取り上げられまして、これを厚生省に依頼して、いわゆる戦後におきます輸入粗糖をそのまま消費していいかどうかということで調査を依頼いたしたわけでありますが、その結果によりますと確かに好ましくない、絶対いけないとは書いてありませんけれども、直接消費いたすことは好ましくないという正式な回答をいただいておりますので、現在われわれとしましては、現在の輸入粗糖を直接に消費されることは好ましくないというふうに考えております、しかしながらお話のように実際粗糖を直接原料といたす、これを熱を加えまして煮るのであるから差しつかえないではないかという説もありますが、今申し上げましたような意味で、広い意味におきましては粗糖の直接消費は好ましくないというふうに考えております。もっとも菓子の原料とかいうようなものでありまして、明らかにどう間違ってもさような心配はなかろうというものにつきましては、年間を通じまして少量ではありますけれども、直接に粗糖を原料とするものに対して粗糖が行き渡るということも若干考えておりますが、全体的にはかような意味でいたしております。なお台湾から昔入りました赤ざらめにつきましては、現在さようなものは台湾から日本に輸入するようにというお話もありませんし、現在台湾からおもに粗糖が入って参っておるような状態になっております。
  84. 小林孝平

    ○小林孝平君 今おっしゃった菓子の原料や、そういうものとして相当消費されているわけなんです。そういうものは、特に上等でないものは粗糖でいいわけですから、これはもっと積極的に入れて、今回特にこういう法案を出されている趣旨から考えても、そういうものを相当入れて消費さしたらいいだろうと思うのです。これはやはり製糖業者がこんなものを入れてももうからないから入れないのであって、そういう意味合いからこういうものを積極的に入れるように指導なり何かできないのですか。
  85. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) これは通産省の方の関係にもなるわけでありますけれども、私どもとしましてはやはり安いものを国内に入れまして、それを国内で消費するという面から行きまして、ひと通り結局粗糖に移ってきておるというふうに考えておりますが、流れといたしましては、今申し上げたようなことで消費して行くという方向にきております。
  86. 小林孝平

    ○小林孝平君 今の粗糖をそのまま精製しないで業者に流れるようにしたらどうですか。それをみんな精製しなければ一般に出ないようになっておるから困るわけです。そういう指導は、指導というか、何か措置はできないのですか。
  87. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) ちょっと先ほど申し上げましたのですが、粗糖にダニがついているという問題で好ましくないという線が出て参っておりますので、役所といたしまして、粗糖が直接消費される方向に方向を持って行くということは、私どもとしましては問題がそちらの方から起きてくることを予想いたしますと、現にさような問題が相当取り上げられましたあとの今日でありますのでどうかというふうにちゅうちょいたしております。
  88. 小林孝平

    ○小林孝平君 現に粗糖の一部をそういう菓子の原料に使っているのですから、さらにこれをもっと広く、そういうおそれのない面が相当あると思うので、そういうところに流したらどうか、これはやはりそういうふうにならないのは、製糖業者が精製しなければもうからないからみな精製するということになるわけじゃないですか。
  89. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 私たちといたしましては、今の食品衛生法と申しますか、食品衛生的な見地からさように申されておりますので、これを守っているのでありまして、結果的にはさようになるかもしれませんが、さような方法と言いますか、製糖会社の原料にすることを第一眼目といたしまして、さような方針をとっているというわけではございません。
  90. 小林孝平

    ○小林孝平君 それならば、先ほど第二部長の言われたように、少量は直接消費されるおそれがないから直接消費に回していると言われたのですけれども、それは食品衛生法とどういう関係にあるのです。
  91. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) これはダニがついているという問題で禁止されているというわけじゃありませんので、好ましくないという線が打ち立てられているわけで、それに従っていけば菓子の原料というようなことになりまして、明らかに心配もなかろうということで、まだ禁止いたしましたのでは、いわゆる通俗にお菓子というような方面につきまして困るというふうな面があると思いますので、直接それが人間の胃袋に入るといった心配もないというふうに見ましたので、若干のものは菓子の原料に出しているような状態になっております。
  92. 小林孝平

    ○小林孝平君 それから台湾の赤ざらですか、ああいうものは国内に現在相当需要があると思うのです。それは結局それを入れても製糖業者はそれを精製することによってもうからないから入れないだけの話で、台湾にやはりあるのじゃないかと思います。そういうものを入れたらどうかと思うのです。その点いかがですか。
  93. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 戦前に台湾から入っておりました赤ざらめと言いますか、これは確かに入っておりましたわけでありますが、現在国内でどの程度需要があるかということは、なかなかこれはむずかしいと思いますが、たとえば再精糖なんかでみますと、年間に大体四万トンないし五万トン程度が今の国内の需要数というふうにも想定されておりますので、昔ほどの需要がその通りありますかどうか、確かに一部に若干声も聞いておりますけれども、ちょっとどの程度の需要と言いますか、台湾島内から日本に輸出する砂糖につきまして、戦前のさようなものを日本に輸出したいという声もあまり強いようには見受けておりません。
  94. 小林孝平

    ○小林孝平君 国内の需要は、私も具体的に幾らあるかということはわかりませんけれども、相当あると思うのです。戦前にどこの農村に行っても相当消費しておった。最近は全部精製糖になっている。これは全部が精製糖だからやむを得ず使っているので、われわれの家庭でもこれは煮物や何かにはその方がいい。だからこれは積極的に、もうからないから入れないだけの話であって、そういう点をもっと改善される必要があるのじゃないかと思うのです。こういう法案準備され、提出されるような情勢から考えまして、その点積極的にそういうふうにやられる意向がありますかどうか。
  95. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとそれをお答えになるときに関連しますが、厚生省の方でダニがあるから直接消費は好ましくないということだったというのですが、それは正式にどういうような文書になっていたか、これを参考のために御提出願いたいと思います。それから直接消費というのはどういうことなのか。つまり砂糖をそのまま食べるということが直接消費であるのか、あるいはしるこにしたり、煮炊きに使うのが直接消費ではないのか、直接消費とは何であるかということ。それから一体ダニがあると言うけれども、砂糖は各地から輸入されておると思いますが、どこから入ってくるのにもそういうダニがついているのかどうか。それからたまたま当時特定の砂糖についてダニがおったと思うのですけれども、現在も輸入した砂糖についてそういう調査を引き続きなさっておるのかどうか。かつてそういうものがあったというだけで、現在もあるのか、現在はそういうことはないのか。それとも一たんそういう調査が出たからその後はほうっておるのか。そういうことについてお答えをしていただきたいし、材料を出してもらいたいと思います。
  96. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) ただいまも申し上げました、厚生省からの回答を得ましたというものにつきましては、後ほどその写を参考として提出さしていただきたいと思います。それから直接消費と申しますのは、私どもが申しておりますのは、やはりそれを煮るとかというようなことをいたしませんで、そのままの姿で、そのある姿で人間の胃袋に入ってくるという意味のように思っております。そうしてそのダニがどこの産地のものについておるかという問題でありますが、当時一番問題になりましたのは、たしかキューバから入りました粗糖であったと思っております。これはその後におきまして調査を続けておるかどうかというお話でありますが、特に調査を毎年々々続けるということをいたしておりませんけれども、私たちが心配しておりますのは、当時問題になりました粗糖の入っておった当時と、現在と同じような向うの生産状態であるというふうに聞いておりますので、依然として心配いたさなければならぬ状態にあるというふうな結論のもとに、すべていたしておる次第でございます。
  97. 江田三郎

    委員長江田三郎君) そこで今私が尋ねたことの答えが残っているわけで、たまたま当時の粗糖で一番問題になったのはキューバだということですが、その当時、たとえば台湾とか、インドネシアとか、いろいろ輸入先があると思いますが、そういうようなどこの国から輸入するものについても粗糖には、ダニがおったのか、あるいはキューバだけにそういうことがあったのか、その点は一体どうなんですか。
  98. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) ちょっと、いろいろその調査した品目が相当数に上っておりましたし、キューバだけのものでないところも調べてあったかと思いますけれども、ちょっと持っておりませんので、後ほどまた参考書類としてお出しいたしますときにつけ足さしていただきたいと思います。
  99. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連……。ちょっとお尋ねするが、今、委員長からも言ったが、その前にただいまこれは小林委員からも申された通り、非常に関係するのだから、われわれこれを審議するに、先ごろの予算委員会である委員質問したときに、非常な砂糖を取り扱うメーカーが、メーカーというか業者をふやした、一体だれがふやしたのか、農林大臣か、通産大臣かと言ったら、通産省の官房長が新たにその数をふやし、それを指定したのだ、こういうことの答弁があったのだが、また官房長も白々しく自分がやったというようなことから申しますならば、実際農林委員会でこの法律を作っても、取扱い業者は、いや、そういうのは通産省できめて、受け入れはまた食管がこれを監督するのだというふうに順序が行くようなふうにとれるのだが、そうした取扱い業者に対しましては農林省の食管ではどういう関係があるか、この点を一点明らかにしてもらいたい。それから今、委員長も小林委員も言ったけれども、われわれのように子供の時分から、ことに田舎の方は黒ざらや赤ざらなり、赤ざらなんぞは衛生から言っても、健康から言っても精製の砂糖よりもはるかに日本人の健康にいいということを聞いたのです。なるほどキューバにダニが幾らかあったかどうか知らぬけれども、その後ほかの砂糖にはない。ことに菓子やその他日常の煮物などに使うには非常によく効果を出しまして、赤ざらの方ははるかに大衆的であり、値段においても、それから砂糖の利用価値においても人身の健康、保健の上からみても非常な効果がある。一部のただダニ問題で原産省が言ったからこれを直ちに片づけるということは当を得ない。この二点を関連しているから、よくその点まで調べておいたかどうか、お尋ねをいたします。
  100. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 最初の問題でございますが、設備能力のふえた点でありますが、これは……。
  101. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 取扱い業者をふやしたのだね、この間……。メーカーと、それから指定商人をふやしたのだろう。
  102. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 指定商人ではないので、指定工場だと思いますが。
  103. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 指定工場をふやしたのはどういうわけです。それで、しかも通産省の官房長がふやしたと、こう言っているのだが、農林省は知らなかったのかね、それは……。
  104. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 精糖工場の設備能力がだんだんふえて参りまして、これが現在非常に今国内で年間百万トン程度のものを加工消費いたしておりまするのに対しまして、あまりに設備能力がふえ過ぎるということに対しまして、これをあまりふえることは好ましくないことは当然のことでありますが、私たちの農林省の方といたしまして、昨年の三月末現在においての設備能力以上に設備をふやしましても、それをいわゆる外貨割当の場合の対象にいたしませんという通知を精糖工業会に出したわけであります。ところがそう当時におきまして、これは多少前に予告をもっていたしたわけでありますけれども、当時からすでに資金繰り、あるいは設計を済ましておりまして工場の設備にかかっておったところが二つあったわけであります。それが完成いたしましたので、その二工場といたしまして、私たちに外貨割当によりまして原料を得たいということでたびたび申請が参っておったわけです。しかし私たちといたしましては、設備能力のふえることは、おふやしになることは勝手でありますけれども、ふやしましても外貨割当はいたしませんという基本線が一応ありましたし、かたがた食糧庁の方で外貨割当をいたしませんでも、自由に入りますその他のインポーター割当、自由な砂糖を原料といたしましておやりになっていただけば、それは当初からの約束でございますということで、私たちは実は昨年は外貨割当の対象にいたさなかったわけであります。ところが、ことしの新年度になりまして、昨年度は大体その精糖工場に外貨割当をいたしましたものが輸入数量の約五〇%程度であります。あとの五〇%程度というものがインポーター割当になっておりまして、これを競争して原料にいたしておったわけでありますが、それがことしの四月から新らしい、今いろいろと御審議願っておりまするような方向におきまして、この五〇%のインポーター割当というものを、思い切って減らしまして、いわゆる糖価の安定を期する上におきまして、できるだけインポーターが輸入して、それを自由に競争して原料を入手いたすという線を低めた方がよろしかろうということで、大体二割程度、総輸入量の二割程度を自由にインポーター割当にいたし、あとの八〇%程度というものは、いわゆる既設の設備を持っております精糖工場に、一定の比率によってこれを原料割当をいたすという方向に持って行きたいということに当時の状態が変って参ったものでありますから、そういたしますと、昨年のように半分程度がインポーター割当でありまして、自由に原料を買っておとりになればいいじゃないですかというように非常に窮屈になって参ります。ところが一方、昨年新たに設備をふやしましても認めませんとは言いましたけれども、当時私たちもさような二工場がいろいろ計画をいたしているということは知っておったわけであります。その新設工場におきましては、今さらそう言われてもにわかにとめがたいということでおやりになった結果でもあります。私たちも全く知らなかったというわけではありませんが、今の原料の入手状態に変って参りましたので、ことしこれを認めたわけであります。しかし認めはいたしましたけれども、その原料割当の比率は従来の既設の工場に対しましての設備能力の見積り方、設備能力の六割を認め、実績の四割を認めるということでいたしておりますが、今申しました新たに追加いたしましたものには設備能力の三分の一だけ認めるというので、従来の本筋のものとはある程度差をつけて一応認めたという状態になっております。
  105. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今の問題は質問者が違ったのだけれども、新たに認めたのは農林関係じゃなくて、通産省の官房長が認めて外貨割当をした。そこに割り切れないものがあったので、非常に問題にすれば問題を起すけれども、今日は問題を起すためにやったのではない。農林省が全然知らないで、通産省関係にまかしておったということで、法律は通産省関係とよほど協議をしなければ審議ができないという審議の過程におきますただ一端を申し上げたのだが、ただいまの答弁ではわからないから、その点は資料として、やはり農林委員の各位がはっきりわかった方がいい。それで外貨割当はやたらに、新らしい工場に割当ができる、去年から作ったものにそこにぽんと割り当てたなんということは、見ようによっては、掘り下げればえらい問題が起りやすいことがちゃんと出てくるけれども、その出たものは今日はとがめたくないが、委員長に花を持たせて、委員長にこの問題はまかせておく。(笑声)この問題はなかなか問題がある、そこで今の赤ざらの問題は、なぜ大衆が好み、それから利用価値があり、砂糖の成分として非常にその成分が健康維持のためにも、一般大衆の間にも好まれ、利用のあるものを削るということは、やはりそういう関係から考えてみまして、業者の利益ということから大衆を忘れがちになった、大衆の好みが業者の利潤のために阻害されるという点がそこに出てくるんだが、その点はもう少し研究して、どういうことでこういうことになったかということをこの際明瞭にした方がいいと思う。私はその点を質問いたします。
  106. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 私たちといたしましても、少い外貨で砂糖を輸入いたしまして、これが問題になって今の糖価の安定とかということになっているわけでありますから、できるだけいわゆる消費者の好むものがたくさんできるということが一つの、量の少いものの増産にもなるわけでありますから、さようなことが好ましいとは存じております。何と申しますか、私たちといたしましては、もし私たちのやり方においてそういう方向に向き得る点があれば当然いたさなければならぬ点でありまして、それをやらないで、白いものでありさえすればいいんだということではないと思います。思いますが、今の粗糖輸入をいたしまして、これを原料として加工さしておるという点で、どうすれば今お話のありましたような方向にこれを導いて行き得るかという点に実は腐心はいたしております。たとえば今の溶糖の成績の中に、これは溶糖実績というものは一つの精糖工場の加工実績になるわけでありますが、この中にはたとえば角砂糖も入っているというようなことになるわけでありますから、いろいろ何とか私たちの手の尽せるところで、これがある程度こうした変更させる余地があれば変更させたいと一生懸命考えておりますが、今のところでは十分の点まで参っておりません。
  107. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 もう一点お尋ねしますが、それでは砂糖業者とか、飲食店の砂糖を原料としてやる業者だとか、あるいは一般におきまして、もとは長野あたりにしろ、多く山間の農家は白なんというものはほんとうに客のあるときだけ使って、あとは一般は赤ざらで煮付けをすればそれで済んだ。料理などにもこの方が非常に利用されます。これらの大商社を呼んで、みずから食管で研究したことがございますか。なければないで追及しませんし、なかったら、そういう大衆的なものは業者の代表を呼んで研究する必要があるが、この点はどうですか。
  108. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 国内の精製しましての砂糖の流通過程につきましては、私たちの方といたしまして相当重大な責任を持っているわけでありますから、いろいろ調べてさようなことに参らなければならぬと思っております。思っておりますが、正直に申し上げまして、今までのところ、地方に参りましてそういう実情をお聞きいたすとかということは実行されておりません。
  109. 小林孝平

    ○小林孝平君 要するにこれは精製過程において非常にもうかるということから、こういうことができておるのです。ですから、これを今度は厚生省を呼んでいただいて、そのダニの問題を一度やらなければならぬと思う。委員長においてそういうように取り計らっていただきたい。そこで農林省は、今ダニがおっても煮たり、焼いたりはないけれども、煮て毒がないというので若干回しておる。しかしそれは今その程度だけれども、それと類似の用途は相当あるだろうと思う。それが大体どのくらいあるのか、今お答えができないでしょうから、調べられまして、どのくらいそういう粗糖のまま消費に回されるかということを調べていただく。それからもう一つは、さっきの台湾の赤ざらの生産の事情がどうなっておるか。それは相当あるものならそういうものを入れて、一般の国民は相当要求しておりますから、第二部長は御存じないようですけれども、相当要求しておりますから、それを入れるようにしたらいいと思う。そういう事情と一体見通しはどのくらいあるかということを調査していただいて、本委員会に報告を願いたいという程度にいたしまして次に移ります。
  110. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 小林君にお尋ねしますが、今の資料要求、精製糖以外のものがどういう事情にあるかということは、現在ではほとんど精製糖しか出していないから、現在ではその需要というものははっきり出てこないと思うのです。そこで今あなたのおっしゃるのは、戦前にどういうような消費があったかということ、もう一つは、そこから推定して現在仮にそういう分密糖なり、粗糖がそのまま消費してもよいということになれば、どういう消費量が出るかという推定量、こういうことになりますか。
  111. 小林孝平

    ○小林孝平君 そういうことと、現在でも、さっき第二部長は若干そのまま粗糖で囲していると言われているのです。だからそれはどういうところに現在囲しているのか、それと同じような用途が相当あると思う。だからそれは推定どのくらいあるのかというものも、あわせて委員長の言われたのと同時にお尋ねしたい。
  112. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 粗糖でどのくらい一体需要があろうかということでございますけれども、大体国内で精製します砂糖の約六割程度は菓子原料になっていると思いますが、その菓子屋さんあたりのお話を聞きますと、私のところへ昨年あたりからずいぶん陳情が参ったわけでありますが、粗糖で直接われわれが必要とするのは十八万トンであるということをいわゆる世俗に申しております。ところが実際の現在の菓子の状況から行きまして、好む好まないはいろいろございましょうけれども、十八万トンの粗糖がそのまま菓子に、いわゆる菓子原料として直接消費されるということはとうてい私たちには想像がつきかねておりますが、戦前と戦後は問題でありますが、戦前と戦後どのような消費状況になっているかということでありますけれども、戦前と戦後のある程度いろいろに私たち業者から、加工面から情勢をお聞きいたしまして、それを寄せ集めて試算いたしてみたようなことはございますが、今の状態がかようであると、明確に一つの組織立った調査方針に基いて調査いたしましたものは、かようなものでございますという確信のあるものは、正直に申し上げましてちょっと出しにくい状態になっております。
  113. 小林孝平

    ○小林孝平君 そう確信がなくてもいいのですよ。私はこういう砂糖価格の安定をはかり、そうして消費者に負担がかからないようにということで、こういう法案準備される以上は、そういう今申し上げたようなことも政府として当然努力されてしかるべきだと思ってお尋ねしているのです。それで、本日はどうせ詳しい資料はないでしょうから、後ほどまた資料を出していただいて検討することにしまして、次は、三十年度の粗糖の輸入量は、大体九十五万トン見込んでいるようでございますが、この九十五万トンを輸入する根拠ですね、どういう根拠に基いて九十五万トン輸入されることになりますか。説明員(桑原信雄君) その根拠でございますが、根拠といたしましては、私どものいわゆるその根拠といたしましてはじいておるそろばんでありますが、一つ数字を申し上げますと、昭和九年から十一年までの三カ年平均で、一人当りがどの程度消費いたしただろうという数字は、一人当り年間十四キロになっております。それから昭和二十九年会計年度におきまして、これは八十万トンの外貨で輸入いたしました年でありました。つまり昨年でありましたが、これは十一キロ八十五になっております。ことしのこの本年の九十五万トンの基礎といたしますのは、今申し上げました昨年の一人あた十一キロ八十五に、ことしの推定人口をかけまして、すなわち一人当り消費数量は同額という見込みに押えまして、九十五万トンという数字をはじいております。
  114. 小林孝平

    ○小林孝平君 今度の法案で、この砂糖価格の安定をはかるということになるのですけれども、これは輸入がもっとよけいになれば、こういうことは必要ないわけです。そこでこの法律でもって達成を見込んでいるくらいのことをやるためには何万トン入れたらいいですか。何万トン入れたらこういう法律は要らなくなるのですか。
  115. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) たとえば昭和九年から十一年の三カ年平均を十四キロと申し上げましたが、これに対しまして、昭和三十年度の推定人口をかけますと百二十万トンという数字になります。百二十万トンあったら大丈夫かどうかということは、いろいろ問題があるのでありますが、一応数字的にはさような計算が出て参ります。
  116. 小林孝平

    ○小林孝平君 この百二十万トンを入れることはできないのですか。
  117. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお小林君、通産省からも見えております。通商局の農水産課長
  118. 日比野健兒

    説明員日比野健兒君) 今の御質問で、九十五万トンの数を百二十万トンにすることができないかという御質問でありますが、御承知のように、国際収支の面で制約がありますから、百二十万トンを今年度なり、来年度なりに入れるだけの外貨がふえるということは、今のところ見込みが立ちませんので、現在の見通しとしては、九十五万トンということで絞っておりますので、むしろ絞るがゆえに今度の法案が出てくるということであります。
  119. 小林孝平

    ○小林孝平君 外貨事情の窮屈のことはわかっておるのですよ。百二十万トンまでなくても、これは若干ふやすことによって、今のような法律が要らなくなるかもしれないのですね。たとえばもう十万トンとか、その程度のものは、外貨事情も相当好転しているのですが、輸入することはできないのですか。もう外貨事情が窮屈なことはわかっている。わかっているけれども、それくらいのことはできないのかどうか。
  120. 日比野健兒

    説明員日比野健兒君) ただ問題は十万トン追加したら値段が下って、今度の法案で考えているような処置が要らないかどうか、その見通しの問題もあると思いますけれども、砂糖だけ取り上げますれば、十万トン入れるとしますれば、トン百ドルと見まして一千万ドルという計算になりますけれども、なかなか今の事情では一千万ドルの外貨を砂糖だけに使うというような事情にはないと思いますので、簡単に十万トン追加輸入可能ということは考えられないと思います。
  121. 小林孝平

    ○小林孝平君 そうしますと、砂糖についてはこの外貨必要量は九十五万トンよりもふやすことはできないのですか。
  122. 日比野健兒

    説明員日比野健兒君) これは今の外貨と申しますか、輸入予算で組んでいる範囲内では十万トンふやすことはできませんけれども、またいろいろ輸入の減少とか、そういう問題が起きて余裕ができれば、あるいは組めるかもしれませんけれども、その他またほかの物資で追加輸入の問題もございますので、そういうところとのかね合いもありますので、十万トン可能かどうかということは、そういう要素も十分に予想してからでないと、可能だとは言いきれないのであります。
  123. 小林孝平

    ○小林孝平君 非常に回りくどく言われるのでわかりませんが、私は十万トンということにこだわっているわけではないのですが、相当外貨事情も好転しておる。そこで現在の情勢は九十五万トンというものはぎりぎりのものであって、これ以上絶対にふやすことはできないのかどうか、そういうことをお尋ねしておるわけであります。相当余裕があるのじゃないですか、外貨事情も相当好転してきておるんです。
  124. 日比野健兒

    説明員日比野健兒君) いわゆる砂糖だけに限って申しますれば、十万トンすなわち一千万ドルの外貨が出るほどの余裕は、国際収支の好転等の事情もあり、可能ではないかというお考でありますが、砂糖だけ考えればあるいはそう言えると思いますけれども、そのほかのいろいろな物資の今後の情勢等もあるので、もう砂糖だけ取り離して収支を考えても、おそらく実現不可能なことでありますので、そういう意味から、今すぐ十万トン可能かどうかという御質問については、今のところ見通しがはっきりしないと、こういう事情になっております。
  125. 小林孝平

    ○小林孝平君 私何も、繰り返して言っているように、十万トンにこだわっているわけではないのですよ。それから外貨の問題は砂糖のことだけをだれも考えてきまるものではないことはわかっている。総括的に見て外貨事情も好転しておる。こういう際にこういう新たな法律を作ってやななければならないような状態にあるのだから、もう少しよけい入れることはできるのかどうか、これは農林水産課長には御答弁無理かと思いますから、まあやめておきましょう。またいずれやるでしょう。
  126. 江田三郎

    委員長江田三郎君) まだたびたびやります。
  127. 小林孝平

    ○小林孝平君 その問題は、それじゃ私は今なぜ輸入量を増加しないか。こういう非常に重要な法律を出されるのに、今輸入量をある程度増加すれば、そういうことをやらなくてもいいというとき、その輸入量を増加するのかしないのか、そういう重大な問題の答弁がなければ、この法案審議はほんとうはできないのですよ、委員長。そういう責任者を呼ばなければ困りますよ。念のために申し上げておきますが。
  128. 江田三郎

    委員長江田三郎君) まだ予備審査の段階でございまして、本付託になりましたら、それぞれ責任者を呼んでお聞きとり願いたいと思います。
  129. 小林孝平

    ○小林孝平君 それからもう一つは、この法案を見ますと、非常に中途半端です。こんなことで私は効果が上るとは思われないのです。こういうことをほんとうに効果を上げるためには、今も言ったように、砂糖は九十五万トン以上入れられない。それで現実の情勢はこうだ、そうしてどうしてもやらなければならないというならば、こんな中途半端のことでなくて、農林省が食管会計で全部を買い上げて、そうして売り渡す、こういう直接政府が現物を操作する方法をやらなければだめだ、こういうことをやらないで、こういうあいまいなことをやろうとしているのは、どうしてこういうことになるのですか。
  130. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 先ほどの質問と関連するわけでございますが、外貨事情並びに需給事情等から、三十年度におきまする輸入予定数量を九十五万トンとおいたわけでございまするが、一応私どもは過去の、先ほど業務第二部長から御説明申し上げましたような、最近におきます需給の趨勢から考えまして、九十五万トン程度の輸入でありますならば、砂糖の価格というものは、そう家計に負担のないような部面で安定した水準を維持できるという考えを持っておるわけでございます。ただ、もちろん砂糖の価格というものは輸入と非常に関係いたしますので、この九十五万トンというものは必ずしも固定的なものであるとは私ども考えておらないわけでございまして、この法律をきめますときの閣議の了解におきましても、一応九十五万トンで、この法律で考えられているような措置を講ずることによりまして、大体砂糖の価格は現在程度の水準でずっと行く、そうしてまた輸入が計画的に行くことによりまして、またこの法律による措置が講ぜられることによりまして、徐々に価格が下って行くだろう、従いまして、この法律が三年という限時法になっておりまするが、三年の間に、一方においては外貨事情の好転によって輸入量もふえますと同時に、砂糖の価格がこの法律の効果を発揮して安定し、しかもだんだん下って行くということによって、所期の成果をあげ得るようにということを期待しておるわけでございますが、一応私どもといたしましては、現在の状態におきまして九十五万トンの輸入という限りにおいては、この法律で予定いたしますような操作においては、一応所期の目的を達することができるのじゃないかということを考えております。もしこの法律の効果がここに定められておりますだけで達成されないという状態がはっきり見えて参りましたら、第一段には輸入の面においての考慮を関係省とお打ち合せしてすると、さらに進んでは、現物を持って操作をするというその輸入の方は解決できない、外貨事情によってどうしても解決できないということになりますれば、政府が現物を持って価格安定の操作をやるということもやむを得ないではないかというふうに考えておるわけでありまして、そういうような了解法律ができておるわけであります。一応私どもといたしましては、現在の段階においてはそういうような、直接に政府が物を持ちまして現物操作によってでなければ、所期の効果が上らないのではないかというようなことは一応想定しておらないわけでありまして、十分この法律で考えられる程度範囲内で行けるだろう、こういうように考えております。
  131. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろお伺いしておりますが、この法律ができましたら砂糖の清算取引はどうなります。
  132. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 一応この法律では安定帯と申しまして、一応一本の価格でありませんで、ある程度の幅を持たした価格を定めるということにいたしております。もちろん取引業者の側から言いますれば、もう少し、もう少しと申しますか、その幅がたくさんあった方が望ましいという希望はあるわけでございますけれども、一応法律の目的が価格の安定をするということでありますので、その安定帯の幅をむやみに広げるということができませんので、大体過去におきます正常なと申しますか、変動率以内にこの価格の変動を押えて参りたいという意図で安定帯をきめたい、こう思っておるわけであります。非常に取引所としましては、いわゆる過去のような非常に大きな値幅の動きがありませんので、いわゆる相場のおもしろ味というものは、もちろんなくなってしまうと思いますけれども、取引所本来の機能でありますヘッジングの作用というものは、やはりこの安定帯の幅の中で果して行けるんではないかと、こういうふうに考えておりますので、さしあたって清算取引所を閉鎖するとか何とかいうことを考えておりません。この法律と並行して清算取引を運用して行く、こういうふうに考えております。
  133. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも私はそれがわからないんだね。もうすでにアズキなどが大問題を起しているでしょう。あなた方の関係じゃないけれども農林省関係で大問題になっている。一応解け合いができた、こうは言うのでありますが、現実においては、仲買いにしてみても、委託業者にしてみても一銭の金も納めない、そして数億の金がもうかったのを損している。一万二千円から現在五千円を割ってしまうような大幅の動きをしていることは、結局品物がないのにああいうものを持っているから、そういう大割れのものができる。安定帯価格を用いなければならぬような中に、ああいうものが大体必要なのでしょうか、どうでしょうか。そういう一応投機的な取引のできるものを残して、一面には外貨で押えて、統制をとっておって、その中でまた価格の統制をとっておって、その中で自由に勝手に勝負せいということでは、結局は消費者が迷惑するだけの話じゃないですか、どうも一貫した方針がないのじゃないかと思うのですが、その点はどうなっておりますか。
  134. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 本来の目的から言いますれば、取引所も本来は価格安定の作用を持つものとして生まれたものだというふうに考えておるわけであります。ただ現実の問題として、供給が非常に不足の場合におきましては、その本来の取引所の機能をはずれたいわゆる思惑的な面が強く現われてくるという現象がしばしばあるわけでございますが、砂糖につきましても、過去におきましては、年間の供給量、輸入量等から見ますれば、そう大きな幅は予想されないわけでありますけれども、時期的に、需要期に対して、いろんな通商上の諸事情によりまして、需要に見合った供給がなされなかったということで、非常に時期的に大きな相場の動きがあったということは、過去においてはしばしばあったわけでございます。この法律によりまして、一応この数字を計画的に年間にならして、需要にマッチしての供給が行われまするならば、十分年間を通じましての砂糖の価格の正常な水準というものは維持できるようになるのじゃないかということを考えておるわけであります。そこにこの御審議を願っております法律のねらいがあるわけでございます。一方取引所におきましては、取引所をいわゆる相場の具として利用するという面から考えますと、妙味がなくなり、おもしろ味がなくなってしまう、そういうことになるわけでありますけれども、取引所の本来の機能というものは、やはりこういう大量取引の商品でありますし、完全な統制を行うわけでもありませんので、一定の幅の中での安定ということでありまするので、やはり取引所の機能というものは、この法律と並行して存在し得るのじゃないかというふうに考えておるわけであります。この法律の存在によりまして、過去のような、非常な時期別の不安定な需給関係を発生することを防ぐことによりまして、取引所における、いわゆる思惑的なことが多く現われてくるような現象というものは、非常に制限されてくるのじゃないかというふうに考えます。
  135. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは自由に輸入もできて、そうして自由に買える場合には、価格安定帯を取引によってできるかしれませんけれども、何といっても頭を押えている。輸入量を押えている。押えている中で補助金で買い入れるのだから買い占めが楽だ。だから相当の価格の開きができる。今もらった資料を見ましても、大体一斤五十五円くらいと出ている。それが現実は一斤と言っておるが市場では百匁です。われわれが買う場合には百匁幾らなんです。それが五十五円なり、六十円なりというのは、一斤に直せば七十五円とか、八十五円になる。そういう勘定になる。非常な開きを持ったものが、値段が維持せられておりますことは、とりもなおさず、そういう買い占めを楽にさせておるから、そういうものができるわけです。私はそう思う。そういう中で十円のものを吸い上げたとか、吸い上げないとかいっても何ら価値がない。
  136. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、九十五万トンという数字が、年間を通じまして期別にいろいろ需要の波があるわけでございますが、その波に合わせて入ってきますならば、昨年あるいは一両年前に起りましたような非常な影響、大きな価格の暴騰ということは生じないのじゃないかということを考えておるわけでございます。過去におきまして、確かに戦前に比べまして、戦後の砂糖の供給量というものは、必ずしも需要の全部を満たせるほど十分ではなかったと思いますけれども、しかしそれ以上に年間を通じての供給量というよりも、ある季節をとりましての需給の不均衡というものは、非常にある時期に大きな価格の変動を現わしておるわけでありまして、もちろん供給が全部の需要を完全に満たしているわけでありませんので、価格がある程度の水準、国際価格の水準よりも若干上目になるということは、これは避けられないことだと思いますけれども、しかし九十五万トンというものを計画的に入れることになりますならば非常に大きな暴騰、一両年前にわれわれが実際に見ましたような、あういうような現象というものは、これは完全に防げるのではないかというふうに考えております。
  137. 清澤俊英

    清澤俊英君 一昨年の暮から昨年の春先だと思いますが、砂糖が大高騰をして、百匁百円近くまで行ったことがある。その当時は百二十五万トン輸入をしていたと思う。やっておりましたよ。これはもっぱら大騒ぎしてでんぐり返したのだから、僕ら記憶に残っているが、そういうような高騰をするのだ。結局それは今幾らか安定しているというのは、農林大臣が専売にするというから、びっくりして自粛しているだけで、自粛の範囲内でごまかしているだけの話で、ただその範囲でごまかしているだけで、相当の値幅をもつて、ちゃんと一定の段階の値幅をもって安定しているだけの話なんです。安定帯価格を期限を定めて作っているのだからということになればそれで済むが、もっとやはり価格を安定さしておく方が、大体消費大衆のためだということになれば、もっと親切でなければならぬと私は思う。
  138. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 私どもはこう考えておるのですが、昨年の一年間の年間平均の価格に対しまして、どの程度の幅に動いたかと言いますと、二五%上下で動いております。基準価格に対して、平均いたしました価格に対して二五%の上下の開きが大幅にあったものですから、それによりまして、菓子屋さんにしましても、何でも、それを原料にいたします人が、実にどうやって、砂糖を原料としておる工業として、経営を立てていいかわからないというわけで、非常に苦しんだわけですが、それが今の価格安定帯の幅の中ということになって参りますから、従って取引所関係のうま味は減って参りますけれども、一応一つの幅の中にそれがおさまって参りますから、二五%も上下に開いたというようなことでトラブルするということは減ってくるのじゃないかというふうに考えておるわけであります。
  139. 東隆

    ○東隆君 私は本年の輸入量が九十五万トンというお話でありますが、日本の砂糖の消費量はざっと百万トン、こういうふうに考えていたのですが、いろいろな問題が伏在しておる一番根本の理由は、精製能力、これが現在非常に多くなっておると思うのであります。この精製能力は約三百万トンぐらいあるのじゃないか、こう考えておりますが、そのようになっておりますか。
  140. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) お話のように、現在国内にあります製糖工場の能力をフルに動かすと言いますか、いわゆる査定いたしてみますと、一日の製糖能力は八千九百トンに見積られます。従いまして、これを年間二百五十日稼働というようなことにいたしますと、年間これが動きますと、二百二十四万トンの溶糖能力があるということになるわけであります。
  141. 東隆

    ○東隆君 約二百五十日稼働として二百二十四万トン程度というお話ですが、私の調べたところでは、ざっと三百万トンの精製能力がある。そうして、しかもそれが例の砂糖会社が非常にもうけたときに競ってその施設をやった。従って八十万トン輸入しておったのを、今回はそれを九十五万トンにふやして、そうして砂糖精製業者を喜ばせておるわけであります。先ほどお話がありました黒砂糖や、そういうような精製をしない砂糖は十八万トンでは多過ぎる、こういうお話だったのですが、これは私は何を根拠にそういうことを言われておるのか非常に疑問なんです。というのは、白砂糖とそれから黒砂糖と、どっちが一体高いのですか。もし白砂糖よりも黒砂糖が高いというような現象があったとすると、これは供給量が非常に少いから問題があるのだ、こういうふうに考えざるを得ないのです。黒砂糖の方が白砂糖よりも高くなる、そうして小売でもって売られておる、こういう現象があったら、これは不思議な現象だということになる。そういうことを御承知ないですか。
  142. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) いろいろの砂糖を原料といたします業者の人たちが陳情に参るわけであります。私たちも気を配っていろいろな話を聞いておりますけれども、まあ大体戦前におきましても、白砂糖と黒砂糖の開きはまあ黒砂糖の方が安いわけでありますが、七〇%程度ということをまあ常識的に言われておったわけでありますが、現在でも大体さようなことだと思います。ところが私どもの方へ参ります中には、私先ほど申し上げました大体六割見当消費いたす菓子屋さんの連中で十八万トンと称しますけれども、どうもそれほどは使うまいというふうに思いますのは、いろいろ話を聞いておりますと、ほんとうに粗糖を直接原料といたします菓子というものは、どの程度流れておるのだろうかということからいってみたり、また菓子屋さんの一部の人たちに聞いてみたりいたしまして、あるいは多少私たちが粗糖を菓子屋に渡しました場合の状態なんかをお聞きしましても、まあそこまでのことはないんじゃないかというふうに存じておるわけでございます。それから今精製糖よりも粗糖の方が高くなった例はないかというお話でありますが、特殊な菓子原料といたしまして、どうしてもほしいのだという場合に、そういうこともありますということを聞いておりますけれども、しからば現実に幾らの値段で取り引きされたかというところまでの実は確かめはいたしておりませんが、そういうようなことを申しまして、私どもの方に粗糖を直接出すようにいたせという陳情を受けたことはございます。
  143. 東隆

    ○東隆君 私は、私のところにこれはあるのですが、あまり信用は実は置けないものなのですけれども、はっきりだれが出したかわからない資料ですが、それには白砂糖が六月十七日に一斤七十六円、それから粗糖、それが七十六円五十銭、それで白砂糖と比較をして適正な価格を出しますと、その価格が粗糖で七十一円でなければならない。ところがそれが七十六円五十銭、そして白砂糖は七十六円、こういうものが出ておるわけであります。私はこれはどういうわけでこういうことになっておるかというと、先ほど申しましたように、精製能力が非常に多くなって、そうして工場で外貨の割当てを非常に要求し、同時に入れたものについては、粗糖には関税を安くし、精製糖は関税が高いはずです。従って粗糖をたくさん入れる。そしてそれを精製する。こういうことで精製をたくさんすればするほどもうかるわけです。従って粗糖に回す部分は非常に少い。どうしても粗糖が必要だという場合には、それにいろいろなプレミアムだの何だのがつく、従って粗糖そのものが高くなる。こんなような形で、私は黒砂糖だの、それから精製をあまりしないものを要求をしておるのは、これは都市ではなくて、やはり農村だの漁村だの、そういう方面だと思うのです。そういうような方面において非常に高くなっておる。これはやはり大きな犠牲をそっちの方面に払わして、従って十八万トンの粗糖の量はこれはどうも多過ぎると、こういうような観察をされておるようでありますけれども、これは歴史的に見れば、こんなものじゃないと思う。だから過去の歴史的なものを少し調べる必要がありますし、それから戦争中、それからその他を考えてみますと、今のキャラメルだの何だの、そういうようなものをお考えになれば、砂糖なんというのはおそらく三割くらいしか使わなかった。そしてあめを七割使っておった。それが今逆になって、そうして砂糖を七割使って、あめを三割使う。こんなような形でもって砂糖の需要が大きくふえてきたりしておりまして、だから私は今先ほど百二十万トンの輸入をすればいいじゃないか、こういうお話もございました。しかし国内でもって含水炭素の輸入をそんなにやる必要はない。これに非常に関係の多いものは、これは澱粉なんです。国内で生産をされる澱粉の価格、これと、それから砂糖の価格というものはある程度見合って、そうして澱粉を砂糖に直して使えるような態勢を作って、そうして輸入を減す方が、外貨が少くて困るというのならなおさらのこと、これをやらなければいかぬ、この考え方を度外視して、そうしてこの安定価格その他の問題も立案をされておるとすると、これは大へんなことなんです。その辺のことはどういうふうに考えられますか、そのことも聞きたい。
  144. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) この国内の澱粉との関係でありますが、私たちこの安定帯価格の問題に関連いたしまして、現在私たちのにらんでいるところを申し上げますと、ただいま農産物価格法によりまして、澱粉の買い上げという措置があるわけでありますが、この経過を見ますと、本年におきましてはなまイモ一貫目二十八円五十銭と踏んでおります。二十八円五十銭のなまイモから出て参る、これは逆算いたしておるわけでありますが、それから出て参ります政府の買い上げ価格は千九百五円になっております。その澱粉の千九百五円という、十貫目の澱粉から水あめがどうなって参るか、砂糖に関係いたします水あめでありますが、これが六貫八百の水あめにいたしまして千九百二十八円というふうに見ております。それから砂糖と水あめとの関係でありますが、これを私どもは六十二・七と押えまして、六十二・七でこれを割って参りますと、斤当りにいたしまして七十二円三十五銭というものが安定帯価格を論じて参ります場合におきまする水あめの価格の問題になって参りますので、これに悪影響を及ぼさないようなことにいたしませんと、今おっしゃいましたような水あめに関係して、ひいてはイモの問題についても悪影響が起ってくるものというふうな構想をいたしております。
  145. 東隆

    ○東隆君 八十万トン輸入をしておるときにおける状況、それから九十五万トンにふやして関係は変化はございませんか。
  146. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) これは量と価格と両方関係してくると思うのでありますが、一応最近において澱粉の生産数量なり需要数量、それから砂糖の需要数量、とからみ合せまして考えてみますと、量的に申しまして九十五万トンによって澱粉の需要が圧迫を受けるということはないのではないだろうかというふうに考えております。ただ価格が次に問題になってくるわけでありますが、もちろん八十五万トンの場合と、九十五万トンにした場合とにおきましては、当然砂糖の市価というものは変ってくるわけであります。それによりまして水あめ、さらに澱粉、イモというふうに影響が及んで行ってはいけませんので、先ほど第二部長説明申し上げましたように、砂糖の今回の安定帯価格をきめますときには、十分澱粉の価格を圧迫しないようにという点を考慮に入れまして価格を作って参りたい、安定帯を作って参りたいと、こういうふうに考えております。
  147. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 後段の方のお尋ねの八十万トンの場合と九十五万トンの場合の関係の問題でございますが、これはこの前年度からのスリッべージと言いますか、前年度に買付けて、その次の年に入ってくるものとの関係がありますから、そこで八十万トンの買付、ことしは九十五万トンの買付でありますけれども、この会計年度内においては、国内で用途されて供給に向けられる数字というものは、先ほど申しました一人当り十一キロ八十五という、前年度と同様になるようになっております。
  148. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 ここでこういうことをお尋ねするのはどうかと思いますが、この法律の目的には、価格を安定させることと、それから輸入により生ずる利益を徴収することが二つの目的として書かれておるのですが、これはどっちに重点があるんですか。
  149. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) もうどちらに重点があるということもありませんで、一応ここに書いてある二つの目的をこの法律はねらっておるわけであります。先ほどどなたかから御質問ありましたように、確かに砂糖の輸入量を非常にふやして参りますれば、砂糖の価格はずっと下落しますし、またおのずから低い水準で安定すると思うのでありますけれども、現在の外貨事情、それから貿易事情から考えまして、砂糖の輸入を早急に多量にふやすことはできませんという条件があるわけでございます。従いまして、その条件のもとにおいて砂糖をどうするかということを考えて行かなければならないわけであります。従いまして、砂糖の価格がいわゆる国際価格水準よりも供給量が制限されることによりまして、ある程度高い価格になってくるということは、どうしても予想しなければならないのじゃないかと思っておるわけであります。従いまして、そうした外貨事情等によりましての効果といたしまして、当然ここに差益が生じてくるわけであります。その差益は企業努力によって生じた差益ということでありませんで、単に外貨事情がこうだったということによって生じた、だれの努力によって生じたことでもありませんので、それを特定の業者が私すべきものでないという考えで、この利益を国家が吸収するということをこの法律では考えておるわけでありますが、一方におきまして、価格の水準は国際価格に比べましてやや高いところに行かざるを得ないわけでありますが、しかしさらにその高い水準におきます価格が、輸入の季別の、季節的な不安定によりまして、本来あるべき水準よりもこえて、大きく変動するということ、従いまして、それによる砂糖の供給ということを全然手離しにしておきますと、そういう事態を生ずることもなしとしないわけであります。そこでこの法律におきましては、そういう季節別の変動はこれは整理したい。非常に季節的な需給の不均衡によりまして、当然あるべき価格の水準をこえまして大きな変動が出るということは、これは防いで行きたいということに、この法律はねらいを持っておるわけでございまして、従いまして、現在の与えられた状態において、砂糖についてどういう措置を講じなければならないかと申しますと、どちらに重さがあるというわけでもない、この価格の安定と同時に、反射的に生じてくる利益というものを一私人に帰すべきでなくて、社会公共の利益のために、国が吸収してそれを広く使って行く、こういうふうな方途をとらざるをな得いのではないかと考えております。
  150. 小林孝平

    ○(小林孝平君) 今のその目的は価格の安定ということなんです。それから差益金をとるということです。ところが価格安定ということは消費者のためにやっているんですよ。だから当然消費者のために価格安定をやるという目的の結果出てきた差益金なら、それは消費者のために使うのが当然なんです。それを使わないなら、これは価格安定という大目的に沿わないわけなんです。法律の大きい目的に沿わないのです。ところがその差益金はどこへ行くかと言えば、全然消費者と関係のない産業投融資に使われる。これは非常に不合理だと思うのです、この法律の目的から言って……、この点はどうなんてす。これは食糧庁は、それは不満なんだろうけれども、一体こんなことがいいのですかな。
  151. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) ただいまおっしゃったことは、一つの御意見かと存じますが、一応私どもといたしましては、まあほかの消費生活、国民の消費生活にいろいろ関係のある物資を、農林省、通産省ともに持っておるわけでございますが、確かにこの砂糖から上った利益は、ある一つの目的に特定して使うという考え方もあるかと思いますけれどもも、一応本年度におきます考え方といたしましては、ほかの消費生活に関係ある物資につきましては、それぞれの部面におきまして十分消費者の利益ということを考えて、個別に措置をいたして行くということで処理をしておるわけでございます。従いまして、直接この法律によって国家が吸収されます利益が、直接消費者の面に反映していないという点はあろうかと思いますが、しかしさきに申し上げました通り、それぞれ消費生活に関係する部面につきましての措置といたしましては、それぞれの分野において十分配慮を加えつつやっておるというふうに一つ御了承願いたいと思います。
  152. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 輸入量を九十五万トンに押えておいて、国際水準として安定帯価格を確保すると言えば、これは利益は当然あるわけです。私はそこで従来精製業者というものには、相当な過去において利潤があるために、いろいろな問題を起したから、この際にその金を政府に納入させたらいいということが目的なのと違うのですか、そこでこの安定帯価格というのは、標準価格と、それから下値、上値と三つあるのですか。
  153. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) この法律の目的は、先ほど申し上げました通り、安定と、その差益の吸収という二つがあるということでございますが、安定帯のきめ方といたしましては、計算の過程におきましては、いわゆる中値に相当いたしますものが出てくるわけでございますが、外に現われて参りますのは、安定帯の上限と下限というふうに出てくるわけでございます。一応計算の過程といたしましては、標準価格ということで中値は出て参りますけれども法律の効果として意味を持って参りますのは、その標準価格、中値から出発いたしまして、きまってくる安定帯の上限価格、下限価格が、実際上の、法律上の効果をもってくる、こういうことになります。
  154. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 そこで輸入量をいかなる場合もふやさぬということにして、そして下値と上値とをきめて、そしてそれを、もしその価格よりも上って取引がされた場合にどうされますか、これに書いてはあります。書いてはありますが、それは一応法文として書いてあるのであって、実際農林省としては、必ず安定帯の中にいかなる場合もおさめるというだけの考えで法律を作るのだから、そうだろうと思うが、しかし農林省の過去においてやられた実際を見ると、それは禁止価格においても実施しない、農林省自体が実行しない、業者が非常にもうこれはどうしても実行してもらわなきゃ困るということを何べん言うても、農林省自体がそれを実行をようしきらねという例が過去にあるのですが、もしこの安定帯の価格の中に価格がおさまらぬ場合がかりに出たとしたら、それはあくまで強行して政府はそれを実行させるというつもりですか、つもりということじゃない、実行させるのですか。
  155. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) この法律の目的が価格の安定でございますので、もちろん政府といたしましては、この価格の定めました幅の中で実際の取引が行われるようにというふうな方向に努力するわけでございます。従いまして、定めました価格を上下にはずれて変動いたしました場合に、この法律に書いてございますように、勧告という手段によりまして、その安定帯の中で取引するように勧告するということになるわけでございます。ただこの法律によりましては、いわゆる物を直接統制しているわけでございませんし、また多分に輸入に依存している物資でございますので、単に国内事情だけでなしに、国際的な事情によりまして、価格が変動するということも、これは当然予想されなければならないと思うわけであります。私といたしましては、その安定帯の価格を定めまして、それと実際の市場価格との動きとを照らし合せまして、もしそこに何らかのギャップができました場合に、その原因がなぜ生じたかということを十分検討いたしまして、当然安定帯の範囲内でおさまるべき価格が、その安定帯をこえて動いているということでありますれば、政府はこの安定帯におさめるような勧告なりをするわけでございます。もし客観的な情勢でこの安定帯の価格をこえることがやむを得ない事情があるということになりますれば、安定帯の改訂なり、あるいはさらに輸入数量の変更なりということで措置をする、こういうふうになろうかと思っております。
  156. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 今の話を聞いておると、またこの法律に書いてあるのでも、勧告するということだけは書いてありますが、今説明されたことは、海外が非常に相場が変動した場合、それは安定帯価格の基準は、安定帯価格そのものを変えるということの資料であって、これはどこまでも安定帯というものが下値と上値とだけきちんときめられたら、それはあくまで実行をさせるということなんですか。そうじゃなしに、大体はこれだけの値幅で取引せよという意味なんですか、とにかく計算としては三万円ということになっているのだが、こういうものを法律で作って実際やっても、実際の状態においてその安定帯価格は一応標準ぐらいなもので、実行はされないというような事実が過去においてあるのだが、そういうことになると、法律をやたらに作ってみても意味をなさぬことになるので、それだから初めに聞いたように、輸入の利益を、これを国家で徴収するのだ、その一つの方法なんだということならはっきりわかるのですが、価格を安定させるということがほんとうにこの法律を作った大きな目的なんであるということになると、これは果してそれが安定帯価格以外では取引は絶対に行わせないのだということになるのか、その辺がどうも僕らは過去の実際からいって、どういうものかと思うのですが、それはそういうことをあくまでやられるのですか。
  157. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 確かにお話がございましたように、この法律規定されております安定帯を維持する措置といたしましては、勧告だけしかないわけでございまして、いわゆる勧告というものにつきましては、非常に強制力が弱いものでございますので、その点の御意見があろうかと存じますが、過去におきまして砂糖の価格の実際の動きをみておりますと、何と申しますか、実際に供給量と需要量との関係におきまして生ずべき価格ということで生じたのじゃなくて、いわゆるいろいろな関係業者の操作によって生じたというふうに見られる現象も多くあったわけでございます。私どもといたしましては、そういうような需給の不均衡から生ずる価格の変動ということじゃなしに、一応予定されます均衡の中においての価格をこえての動き、それがいろいろな操作によってそういう不自然な価格が現出するということを防ごうということであるわけでございます。従いまして、内容的には勧告でありますが、この勧告に従わなければどうこうという問題が起きると思いますが、原因が今申し上げたような事情で生じた自然な価格でありますならば、業者の協力を求めることによって不自然な状態は防げるのじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。もちろん禁止価格とか、あるいは統制価格というほどの強い意味も持ってないので、従いまして強制力が非常に微弱だということはいなめませんが、しかしそうした業者の協力を求めることによって不自然な価格の現出を防ぐということは可能ではないかというふうに考えております。
  158. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 もう一つ聞きますが、その九十五万トンというのは何ですか、三十年度はそれはもう絶対のいわゆる輸入数字なんですか。
  159. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 先ほどちょっと申し上げましたように、一応私どもといたしましては、最近におきます需要状況から見圧して、九十五万トンという数字が確保されますならば、砂糖の価格というものもまず安定することができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。ただこの九十五万トンが年間に計画的に入ってくるということが必要だというふうに考えておるわけでございますが、実施をした後におきまして、この九十五万トンという数字で、またこの法律に定められておりますいろいろな措置を講じて、なおかつ非常に価格が所期の安定帯を維持することができないというような事態が現出いたしますれば、その際には十分その九十五万トンの数量については再検討を加える余地というものは残されておると思います。
  160. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それじゃ結局何ですか、もし価格が上値の維持ができなければ、輸入量を増すということがあり得るのだというように承知しておいてよろしいか。
  161. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 上値をどれだけこえ、あるいはどれぐらい継続的にこえたらばということが、その量的、また期間的な問題と、その原因との両方がその問題を決定すると思いますが、非常に九十五万トンということが無理であるという実情が判明いたしますれば、お話通り、これは再考慮の余地が残っておるわけでございます。
  162. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 今聞いていると、その安定帯の上値とか、下値とかいうことは標準に過ぎないということですね。結局そうすると、非常にこえたらとかいう言葉の出るということは、まあ一応の価格であって、それを多少こえても別にどうということではないのだということですね。
  163. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 確かにお話通り、この法律範囲内におきましては、いわゆる指導的な意味を持った価格ということになろうかと思います。従いまして、その価格庁少しこえたから、直ちにどうのこうのということは困難な事情があろうかと思います。ただわれわれといたしましては、いろいろなこの価格をきめました実情、価格算定の要素となりました諸事情と、それから実際の市場価格が現出した場合、その価格が定めました安定帯をこえた場合、そのこえたことがいかなる事情によって生じたかということを、両者にらみ合せて次の措置をとるということになろうかと思います。
  164. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 今説明を聞いていると、結局これのほんとうの目的は、輸入から生ずる利益を徴収するんだということが目的であって、その目的をやるために安定帯価格というものをくっつけたというふうにどうも考えられるのですが、それと違いますか。
  165. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) そうじゃございませんで、実際にこの両三年来の価格の動きを見ておりますと、先ほど来しばしば申し上げました通り、年間の供給量から見ますれば、それが計画的に入って参りますならば起らなかったような、非常に不自然な価格の変動がしばしば起きているという意味で私ども考えておるわけでございます。従いまして、輸入量の全体の制約ということもさることながら、それよりも時期別の需要量と対応した輸入を計画的に確保するということによって、過去に起きましたいろいろな不自然な現象というものは防げるのではないかということを考えまして、この法律が立案されたわけであります。ただ実際の問題といたしまして、輸入量というものは外貨の制約のために需要を完全に満たすというところまで行っておりませんので、どうしても差益というものは生ずるのを免かれないというので、あわせて差益徴収ということも規定した、こういうことでございまして、決して差益徴収を最終目的として生まれたというふうには考えておらないのでございます。
  166. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今の白波瀬委員質問に対する答え等で疑問が起きたんですが、この時期的な需要に見合ってスムーズなと言いますか、調整のとれた外貨割当が行われ、輸入が行われないと困るというが、その点を前提としているわけですが、ところで今の安定価格の問題ですけれども、上値、下値とあって、そうしてこれは勧告はするけれども、勧告は絶対に従わなければならないという罰則には加えていないわけなんですね。一体政府は同じ時期には、季節には各社とも同じ、つまり一斤当りの値段というものの消費者価格が同じにならねばならないとは言えないだろうが、同じだというふうにきわめて簡単に考えられているようにも思われるんだが、実際どうなんですか。各社みんな精製業者から出てくる最終の小売値段というものが、同じ時期においては同じ値段だと、こういうふうなことをお考えなんでしょうか。
  167. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 厳密に各社から出されておる値段が全部完全に同じだということはなかなか言いにくいかと思いますが、一応市場の大勢としてある相場がきまれば、各社から出る値段というものはそれと大体ほぼ同じような値段で出るというふうなことは、これは十分想定していいであろうというように考えておるわけでございます。
  168. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 いろいろと自由競争の中で、こういった財人為的なものを作ろうというのですから、いろいろな問題が出るだろうと思うのです。私は考えられますのは、世界のこの砂糖供給についての大きな変化等の関連でありますが、この上値についての問題については、ある程度そういう例はないが、下値関係については、同じ時期にある社というものは、この算定の基礎は一応標準の算定の因子がありますが、標準のものをとっているのだから、従って下値近くなって参りますと、下値をこえた、つまり勉強のメーカーというものが私考えられると思うのですが、そういったときには、一体政府の方は勧告をなさるというのが一応法律の表面上から言えば建前のように思われます。つまり下値を下回っちゃうから……。その点はどうですか。
  169. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 個別の会社をとりまして、この下値を、あるいは上値をこえて動いた場合にどうするかということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、この法律において想定しております安定帯というものは、一つの砂糖の市価の何といいますか、水準を示しているものであるというように考えられますので、個別に入ってまで個々に手々加えて行くことはなかなかいたしかねる点はあります。ただそういう各業者の行為が、非常にたくさんの行為が重なり合いまして、市価の水準と申しますか、俗な言葉で言えば、市場相場の大勢を動かした場合に、初めて政府としてはそれぞれの業者に対して安定帯を維持するような勧告が発動されるというふうに考えるべきじゃなかろうかと思っているわけでございます。従って数多くの精製業者の中にも、数社が非常に勉強して安く売ったからといって、その売り値が不当だというわけには行かないだろうと思っております。大勢といたしまして非常に値段を下げる、それが下値の場合におきましては、特に内地の澱粉とか、関連産業との関連になってくるわけでありますが、それに悪影響を及ぼすような事態が想定されるに至りましたときに、初めて勧告なり何なりの発動が行われるということになろうかと思っております。
  170. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そうすると、下値について、今のお話は中庸生産費あるいは澱粉その他との客観的総合性から出てきた値段ですから、一応一口に言えば、そういうお考えで僕は事実しようがないと思うのですが、しかし私はいわゆる下値を割った、勉強をした、あるいは無理をするかも知れないが、とにかくそういう値段が出てくることが、これからの情勢の見通しの問題ですけれども、あり得るのではないか。こういう事情によってでかした従来の値幅の動きをぶっかけたのをいわゆる上限、下限とした場合に思われるのですが、そこでその点を聞きたいのですが、ある有力な社が一、二下値でやる、こういうことになりますと、大勢は、各社別の外貨割当において押えると言いますか、多少調整は実際問題としてなさるでしょうが、下値でいったやつを、消費生活者のためを思えば、もっと上げろというわけには行かないのですね。そういうときにはどういうような処置をなされるのですか、あなたの方では……。
  171. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 先ほど申しました通り、この法律は一応三年の時限法ということになっているわけであります。私どもといたしましては、砂糖の価格を高値安定させるということを考えておりませんので、実際の市場の趨勢が下って参りますれば、決してその趨勢に逆らって高いところに置こうというふうには考えていないわけでございまして、むしろ急激な値下げをするようなことはかえって混乱が生じますので、避けなければならないと思っておりますが、長い期間を経まして徐々に価格が下って行く、業界に不自然な混乱を起すことなしに価格の大勢が下って行くならば、これはまさに私どもの望んでおるところでありまして、それを阻止するという考えはないわけであります。ただ一方におきまして、国内の農産物、特に砂糖と密接な関係がございます農産物の関係もございますので、これらにつきましてはもちろんほかに農産物価格安定法なり、またテンサイ糖につきましてのこれの価格を維持する法律もあるわけでございます、これらの作用等ともにらみ合せまして、非常に悪影響を及ぼすということになりますれば、砂糖につきましても下値にてこを入れるということになろうと思いますが、そうでない限りにおきましては、砂糖が混乱を生ずることなしに、除々に大勢として下って行くということは、むしろ期待し、望んでおるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  172. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 下値について、てこを入れるというのは、つまり指示価格にする、その指示価格によって農林省としては取り扱わなければならない。砂糖については時限三年というような問題があり、将来とも日本としては輸入に待たなければならない。設備はまたいわば三倍もあって、かねて設備の規模に応じて輸入量の外貨を割り当てるというようななまなましい実績といいますか、競争さえもさせたというような結果から見れば、あるわけなのですね。そこで三年ということでありますから、私はある意味でもって合理化というか、多少無理して下値というものの線に行く場合もあるのだろう。もしそうでなく、砂糖業者諸君が一つの値段を協定して、一定のものにするという場合においては、これはまた別の問題が出てきますから、これは政府としては御指導できないだろうし、そういうようなことから、私は今の下値というものをどういうふうにしてやって行くか、吸い取られること、すなわち納付金はこれはまけてくれとは言わない。納付金を納めた上に、下限以下でいいとなったらどうなるか、吸い取りの方と価格の安定というものを、同じ重さに見た御説明をなさるから、私はそんなこともちょっと聞きたくなっちゃうわけなんですがね。あなたの方は吸い取りさえすれば、平等に差益が取れれば、そうしてある程度の下値であるならば、つまり他の類似競合農産物との関係があまり混乱されない程度の限界であれば、この式を見てもそんなに影響するような式とは思われない。僕らはこんな高等数学は知らないが、従来下値のところの線が行ったり来たり、もう三年間なんだから、そういうことをやることによって競合農産物というものは相当に脅かされるということが問題になる場合があり得るのではないかということも思われるのです。そこでそれじゃ各メーカーの精製業者の一体コストというものは、急激に発達したものですから、ずいぶん違うのじゃないかと思うのですが、それの範囲というものはどの程度のものですか。私は値幅の、振子の幅に似たようなコストに対する幅というものがあるのではないかとさえ、まあしろうとだからわかりませんが、思うわけですが、これはどうなんでしょう。
  173. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと今の三浦君の質問に答えられるのに関連して、安定ということは一体どういうことなのか。一番消費者のためを思った安定ならば、超過利得なんか取らずに、砂糖の輸入原価に工賃を加えたものでそこできめてしまえば消費者のためになる安定なんだが、それを超過利得を取った安定にしなければならぬというのは一体どういうわけなのか。白波瀬君の質問じゃ、金がほしいからそういう安定をするのだろうということなんですが、それともテンサイ糖とかあるいは澱粉等の関係から見て、一定限度以上に下げてはならぬのか、これはもう幾ら下げても、テンサイ糖とか澱粉についてはあるいは別途の措置ができるのか、一定限度以上澱粉やテンサイ糖の関係で下げられぬのか。もしそういうことになれば、急に澱粉やテンサイ糖の生産費が下がる見込みはないのだから、これはいやしくも澱粉とテンサイ糖とを作っておる限りは、なんぼ国際市場がどうなろうと、一定以下には下げられぬということになって行くのですが、そこで安定ということはどういうことがほんとうなのか、その安定という中に澱粉やテンサイ糖の生産費が償うような安定もして行くというものも含んた安定なのか。その点一体どういうことになるのか。それともこれはどんどん下って行けば、澱粉やテンサイ糖については別途の措置ができるということなんですか、どういうことなんですか。
  174. 新澤寧

    説明員(新澤寧君) 第三の各社別の生産費でございますが、これは実はこの法律ができまして初めて権限が生じまして、各社別と申しますか、ある程度の標本工場ということになろうと思いますが、生産費調査をやることになりますが、現在のところ精細な各社別の生産費というものを手元に持っておりません。しかしながらお話しの通り会社のおい立ちから見まして、非常に新しいものと古いものとがございますので、償却の度合いあるいは設備の新しい古いによりまして相当生産費の差はあろうということは当然想像されるのであります。それで安定の問題でございますが、私どもといたしましては、個々の安定価格帯を定めますにはどうやって定めるかということが一応法律に書いてございますが、一応価格をきめます大きな要素は、供給量のいかん、それからもう一つは国民の購売力に申しますか、国民所得のいかんが非常に砂糖の価格に大きく関係するというふうに考えておるわけでございます。もちろん価格現象でございますので、単にその二つだけの原因によって価格がきまるものとは考えられませんけれども、非常に大きく働く要素はその二つであろうと思っておるわけであります。従いましてこの二つから想定をされる価格というものを一応想定いたしまして、それを標準として大体正常と思われる変動率、これを考慮して、経済にあるいは需給事情に非常に大きな変動がないならば、大体この想定される値幅の中に砂糖の価格は安定されるであろう、安定さるべきものであるという水準を算出するわけでございます。その大きな経済事情、いわゆる需給事情の変動がなければ、当然この辺におさまるであろうということを目標にいたしまして、それを一つの指標といたしまして砂糖の価格の安定をはかって行きたい、こういうことを考えておるわけでございます。ただその安定の目標を定めます場合に基本になりますのは、砂糖の需給数量と国民所得のいかんということでありますが、そのほかに一方において国内におきます関係農産物の生産を阻害するということは避けなければならないことでありますので、一応先に申し上げましたような資料に基いて推定される価格が一つの基礎となって安定帯が定まりますが、その安定帯を定めます場合に、国内農産物に悪影響を及ぼさないようにということを考慮に入れまして安定帯をきめる、こういうことにいたしておるわけであります。従いまして、要約して申し上げますれば、大体経済の諸条件から想定される価格とそれから季節別の変動というものをできるだけなくなすということに安定の問題があると、こう申し上げておきます。
  175. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  176. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。  それではここで砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案に関する商工委員会との連合審査の日取りについてお諮りいたしますが、来週の火曜日、七月十九日でございますが、午後二時から連合審査会を開き、農林大臣、通産大臣の出席を求めて開きたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではそう決定いたします。     ―――――――――――――
  178. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に、昭和三十年度農林省関係予算に関する件を議題といたします。  昭和三十年度農林省関係予算の衆議院修正部分の一部費目の内容を明確にするよう、かねて白波瀬、菊田、鈴木三委員の御尽力をわずらわしておりましたところ、その趣旨に沿って去る七月六日民主、自由両党政調会長から大蔵、農林両大臣に申し入れが行われたようでございますので、政府においては申し入れに従って措置されることと考えられますが、本日は念のためこれを確認しておきたいと存ずるわけであります。  そこで主計局次長がお見えになっておりますが、七月六日付で先ほど申しましたような申し入れば参っておるのでございましょうかどうでしょうか。
  179. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 参っております。
  180. 江田三郎

    委員長江田三郎君) その趣旨通りにこの予算の何というのですか、運営ですか、を、なさるわけなんでございましょうか。
  181. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 趣旨通りに大体やりたいと思います。もちろんその計画において政府側とこの修正をいたされました政党側とでいろいろ意見のやりとりがあったと、率直に申せば意見の開きがあったということは御存じの通りでございます。そうしてこのお申し入れはそれらのこともある程度参酌されて、たとえば何に幾ら、何に幾らというところまではおっしゃらないで、この振り分けについて若干のなお政府部内において検討の上割り振りをきめるというような点に裁量の余地の残る形になっております。その辺につきましてはあるいはこのお申し入れをなさった両会長あるいはこの両党の関係の方々の、特定の方々の御意思とはいろいろぴたりと行かぬというようなところがあるかもしれませんが、お申し入れの御趣旨は尊重して、政府部内で話を取りまとめて参りたいというふうに思っております。
  182. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 念のために委員の皆さんに御報告いたしますが、先ほど申しました両党政調会長からの申し入れの趣旨は、私どもが承わっているのでは、まず第一に農業生産力増強施設補助金内容を、保温折衷苗しろ、西南暖地水稲早植え裁培に対する補助のほか、温床苗しろに対する補助を含む。その次に、農業改良普及事業補助金につきましては、農機具巡回修理施設に対する補助のほか、都道府県の指導費に対する補助をも含む。その次に草地改良事業費の補助金につきましては、機械施設に対する補助金のほか、種子の購入費及び都道府県の指導事務費を含む。その次に養蚕経営合理化促進費補助につきましては老朽桑園改植用桑苗の購入の補助である。その次に農作物種子確保対策補助金は、麦、大豆の採種圃、レンゲの原採種圃に対する補助金のほか、菜種共同育苗圃に対する補助を含む。  こういう内容でございます。従ってその個々についてのこまかな金額につきましては、主計局次長がただいまおっしゃいましたように、別に触れてはないようでございます。
  183. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 主計局次長にお伺いしますが、その申し入れを大蔵省で取り扱われるのには、増額分に対してだけ、たとえていうと、その項目、つまりもとの項目の中に、予算編成のときにもうすでに相当額組んであったと、それに対して今度それだけ増額したと、こういうことになっているのですが、その増額分だけに対して今言うたようなつまり費目を増した分にも使い得るという解釈をしておるのですか。
  184. 原純夫

    政府委員(原純夫君) おっしゃる通りでございます。お申し入れにもこういうふうに上に費目が書いてありまして、次に修正増金額と、増加金額が書いてございます。その次にその内容という意味でございましょう、内容として委員長の読み上げられた文章が入っております。そういうふうに考えております。
  185. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 一つ原次長に。これはお願いに当るかもしれませんけれども、私もぬかっていたので、最近聞いたのですけれども、衆議院の農林水産委員会で、そのことといいますか、申し入れの途中正しく修正に盛られなかった問題、一つの案件があったのを御存じだと私は思うのですが、つまりそれは鹿児島、宮崎方面に発生をした害虫なんですね、杉のタマバエとかいって、二十六年あたりからぼつぼつあったのが、最近は盛んになって、あれは若い木の芽の伸びる真中に付くものですから、ぜひ載せろということで、自由党さんと民主党さんが相談なさるときに、何ぼでしたか三千万だか四千万だかつけかけたそうです。そこへもってきて、一部の議員が鳥の巣箱に金を回せということで、そのときは四百五十万とかいったようなことで、それも仕方がないといったような簡単なやり方を最終段階でやりましたために、むしろ最初の、そのみんなの熱の入れた杉のタマバエとかいう最近の害虫ですね、それが本尊がなくなって、むしろ便乗されたともいうべき小鳥の巣箱の方が幅をきかして、そうしてつい十二、三日か十五日くらい前に、衆議院の農林水産委員会で本年度の予算の問題をやったときに、委員長も初めて、そんなことになっているはずはないというようなことで、何か大きな声が出てしまったといういきさつがある、あの問題でございます。この間江田委員長説明を受け、ごらんになっていたのですが、従来の松の松食い虫、松の害虫、あるいはクリタマバチという問題もずいぶん騒がれて、そのために予算も増額になったそうですが、一たび杉ということの問題になりますと、日本の代表的植林樹でありまして、騒ぐのも無理はないと思うのです。で、昨年までは宮崎県というごくほんの一部であったのが、今年は延岡の近くにまで来てしまったというようなことで、非常な向うとしても問題になり、全国的にも今のこの問題は大きくなろうとしているですが、そこで私はお聞きしたいのですが、林野の当局もずいぶん間抜けているじゃないかという話をしていたんですが、結局私の伺うのは、いわゆる法定害虫に政令でとりあえず入れてもらって、それで一番先端の方、つまり熊本、大分に接する、今害虫がずっと進んでいるうちに一番先端の方からまず手を入れて、そうしてあと経費との関係もありますから、様子を見ながらやって行くというような効果的な使い方でやって行ったらどうか、それにしても法定害虫に入れないというと、そのことができませんから、まあその問題を取り上げなければならぬ、そうしてなおその状態があなたの方で、いろいろと御都合でもって向うにお出かけなされた際に、なお御研究になって、確かに日本の杉というものは植林樹の最たるものであることは御承知の通りですが、その悲哀があるためにほんとうに伸びない。幸い昨年あなたの方と林野当局が相談をして、これに四百万円ばかり使ってやってみろと言ってやった。そのやった所とやらない所の効果というのは、実に、この間見本を持ってきましたが、顕著で、あの虫の習性も明らかにつかんでおるようでありまして、十月と二月、三月あるいは所によっては四月といったように、まあ寒い所はそうなっている。で、習性が明らかなんで、効果もやってみてまことに顕著なんだそうですが、これについてどういうふうにお考えになられますか。私どもとしては今予算をどうするというわけに行かないのだから、今言ったように法定の方へさしあたり入れて、そうしてあり合せの何億か、二億七、八千もあるわけですから、あれを使ってやって、そうして、どうしてもこの事態の蔓延を許さないということになれば、時と事情によっては駆除費の方からお考えを願うということによって、なるべく小さい病気、区域の小さいうちにあれは押えないというと、あれは相当なスピードがあるらしいのです。その点、どうもこれは陳情に類するようなことになって恐縮ですが、昨年来の経過も御存じの原さんのことですから、どうお考えになられるか、その点一つ……。
  186. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 修正で増加いたしました森林害虫駆除費五百万円につきましては、お話通り中味を有益鳥獣の増殖費補助金として三百万円余り使われるというわけで、残りの百九十二万円を害虫駆除費の補助金に使うということにいたされております。  スギタマハエの問題でありますが、駆除しなければならないというので、お話通り、前年度においても一般会計、それから国有林の特別会計、両方で実行いたしておりますが、三十年度におきましてもそれに匹敵するほぼ同額程度予算的な措置をいたしてあるつもりでございます。仰せの通りそれを最も時期的に、また地域的に有効な方法で使うということは当然のことと思いまするし、またその効果の状況を見て、措置する必要があればまた措置するということは、もちろん当然考えるべききことと思いますが、農林省に対しましては、なるべく計上いたしました費目の中で、他の需要とも勘案して、全きを得るようにやっていただきたいということを、ただいまお願いいたしておるところでございます。なお、この客観的な事態の動きを見て善処いたしたいと思っております。
  187. 江田三郎

    委員長江田三郎君) よろしゅうございますか。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後四時二十八分散会      ―――――・―――――