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1955-07-08 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月八日(金曜日)    午後一時四十一分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            白井  勇君            長谷山行毅君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            三橋八次郎君            東   隆君            菊田 七平君            鈴木 強平君   政府委員    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    大蔵省主計局法    規課長     村上孝太郎君    農林政務次官  吉川 久衛君    林野庁長官   柴田  榮君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君   説明員    建設省住宅局建    設防災課長   村井  進君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林政策に関する調査の件 (北海道における風倒木に関する件) ○積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の  一部を改正する法律案衆議院提  出) ○派遣委員の報告     ―――――――――――――
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  北海道における風倒木に関する件を議題にいたします。昨年の台風第五号及び第十五号による北海道風倒木善後措置につきましては、関係方面の大きな関心をひいておったところでありますが、一部有志議員によって現地調査機会もありましたので、本日はこれらの調査の結果を参考として、この問題について御協議を願うことにいたしたいと思います。協議に先だちまして、林野庁当局の所見を聞くことにいたします。
  3. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) 昨年の五号並びに十五号台風の未曾有の大被害処理につきましては、これが一日も早い処理によりまして、極力被害を少ない程度に食いとめ、かつ利用を徹底的に進めるということとあわせまして、これに伴いまする諸種の危険な問題、たとえば虫害等によりまするその後の被害の徹底的な防除、あるいは季節に起りまする山地災害の最も大きな問題でありまする森林火災に対しまする防除の徹底、さらには伐出後におきます風倒個所の再造林等によりまして、今後生じまする豪雨、台風等によります災害防除のための措置等をできる限りすみやかに措置しなければならないということで、実は災害発生後直ちに着手いたしまして、これが対策を実施して参ったのでありますが、その間に私どもが予想いたしておりましたことが大へん事情が変って参りまして、なかなか円滑に参らない、こういう事情があるわけでございます。この問題等に関しまして、先般当委員会有志先生方にも特に現地をごらんをいただいた次第でございますが、一番当面いたしておりまする問題は、風倒いたしました材の搬出、売り払い、利用の問題でございます。何しろ非常に局地的に集中いたしまして風倒木を出しているという関係上、伐採搬出にも相当特殊の手段を講じなければ、短時日には搬出できないというような問題も当然あるわけでございまするが、さらに搬出いたしました材の売り払い消化の問題が、御承知のように、最近の木材市場の非常に不活溌な現状エゾマツトドマツの材が北海道の特産、特種の樹種でございまする関係上、従来北海道消化いたしておりました量以上に増産いたしますものに対しまして、内地市場等でなかなか急激に多量を消化するということが困難な情勢にあるわけでございまして、その上にさらに今日の市況が非常に不活発であるという関係上、当時着手いたしました、当時計画いたしておりました北海道内の消化計画はもちろんでございまするが、一部を内地に輸送いたしまして、各需要地に持ちつけて売り払うという方法をとって計画をいたしましたものが、その後の経過からいたしますと、ほとんど売れないという状況があるわけでございまして、これをいかにしてまあ国家的に有利に消化いたして参るか、その間の方法をいかにすべきかというような問題について実は非常に私ども苦慮いたしている次第でございますが、実は北海道だけと申しますか、北海道について考えてみますと、全体で倒れました材が約六千四百万石程度、まあ実に北海道の生産の三、四ヵ年分に相なるわけでございまして、これを急速に処理をいたしますると、その後一時北海道だけにつきましては伐採量が急激に減少する、北海道の将来の需給というものは非常に逼迫する、そこで、できるだけこれが調整をはからなければならぬということに相なるわけでございまして、でき得る限り私どもの手で貯蔵をいたしまして、将来の需給調整に供したいという計画も進めているわけでございまするが、長期貯蔵ということになりますると、水中に貯材するというような方法が最も適切な方法として考えられるわけでございまするが、私どもの手のみをもってこれをいたしますると、実は非常に多額経費を要するわけでございまして、これらを考えますると、北海道各種業種民間業界に広く御協力を求めて、それぞれの業界貯材をしていただくというようなことは考えられないかということで、まあそれらの問題も実は検討いたしているわけでございます。そのほかに出発当時におきましては、内地十一市場ばかりに対しまして、一応九月末までに約八十万石程度を持ちつけて売り払いまして、それぞれ消化していただくという計画を進めておりましたものが、今日まで実行いたしました結果では、とうていさような量は消化の見通しがないわけでございます。今後の需要と見合せまして、一部を内地において貯材して売るというような方法も考えてみなければならぬというふうに考えておりまするが、さらにここで非常に私どもとしては考え、かつ御協力を求めたいと思われますのは、国として大きく住宅対策を立てておりまする場合に、建築資材といたしまして木材相当多量に、特に三十年度において増加使用される、その際にこの風倒木をできるだけ御使用願うということができれば、計画的にこれを供給して使用していただくというような問題についても建設省と御相談を進めておるという次第でございますが、これらの点につきましても、実行に当りましてなかなかむずかしい問題がありますのと、エゾマツトドマツという材が内地において建築材として従来あまり使われておらなかった、あるいは内地針葉樹材に比較いたしますと、非常に乾燥の狂いがやや大きい、乾燥減りが大きいというような問題で、なれないということで、急速にエゾ、トド材を主体として使用するということ等にも相当問題がある、これらにつきましては新らしい用途に対応いたします研究と、あわせて相当の宣伝をしながら、関係官庁とも連絡をとって計画的な使用をお願いしなければならぬというような問題もあるわけでございます。その他民間業界の御協力を願うという場合に、今後の使用に対しまする貯材調整ということを考えますると、売り払いに対しまする延納の問題でありまするとか、あるいは売り払い資金に対しまする金融方法であるとか等々、今後急速に検討をいたさなければならぬ問題が非常にたくさんございまして、目下それらに対しまして関係官庁間におきまする連絡をとりつつあるという次第でございまするが、御視察をいただきました結果等からいたしまして、貴重な御意見等を拝聴いたしまして、何とか私どもといたしましては、当面倒れておりまする、今後放置いたしますれば腐朽のおそれの非常に多いものを急速に利用可能な状態に早く置きたい。さらにそのあとの始末を十分にいたしまして、その後に起りまする各種の支障、被災等最小限度に食いとめる、最後造林の問題を解決して復旧を急ぐという、こういうことを進めなければならぬと思っておりまするが、ことごとに実は計画がくずれて参りまする大きな問題が、材としての処理にそごを生じておるという実情でございまして、実情を率直に申し上げまして、私ども処理いたしたいと考えておりまする方向を一応申し上げまして御質疑に、あるいはこの処理に対しまするよりよい御指導をいただきたいと、かように考えておる次第であります。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  5. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。ただいまの林野庁長官説明につきまして御質疑がありましたら……。
  6. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今手元に配ってもらった「国有風害木整理計画について」という資料数字を見ても、実に大きい数字で、今さらのように驚くわけでありますが、まして今、長官の御説明によると、なかなか当初計画したようなその計画は、伐採のようなものは自分でやることだからして、まず順調に進んでいるようだが、経済全体の今日の様子から見て、円滑な処理というものは必ずしも思うように行かない、まあこういう苦衷の一端も現われておる、しかも一方においては、私ども業界等の新聞を通じてみていると、品は年を追っていたむじゃないかというようなこと、あるいは虫害火災等には異常な御苦心をされているということでありまして、まあこの問題は確かに大きいと思う。ところでこの問題の大きさと言いますか、重要性というものを一応まずわれわれ頭に入れたいと思うのですが、かねて戦後のころに言われていた言葉に、日本針葉樹というものは二十数年、はなはだしい計算をする人は二十年以下のことを言っていたようでありますが、とすれば、全く細いもので、いわゆる用材となるという木はなくなってしまうと思う。いわゆるブランクの時代がくるのではなかろうかということを、数字をあげて非常に憂えて、これを天下に訴えていたことを思い出すのです。今日はその時代とは違って、まあいわば世の中も落ちついてきて、造林等も、戦時中、戦後の植栽すべきところは、ただいま計画のもとに穴埋めも着々進んでいる、あるいはその年に伐ったものは翌年には必ず今度は植えられているという状況らしいから、その数字というものはおそらく合っているとは思うのですが、それにしても相当日本の、ことに針葉樹の問題というのは、やっぱり必ずしも楽観がいかないのじゃないか、先ほどお聞きしているというと、またこの資料にも、北海道伐採量の三年半と書いてありまするけれども、これをよく見るというと、まず日本の現在の問題である針葉樹という点、北海道針葉樹伐採量という点からいきまして、おそらくこれは一ヵ年分の伐採量の六倍程度がやられたというようにも見えるのでありますが、そこで一体日本全体から見て、この北海道の中に起きた風害、ことに針葉樹継続性を見た場合どうなるかということを、おおよそ概略でいいから一つ説明願いたい。
  7. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) 御指摘の点は、私どもも前から非常に憂慮いたしておる問題でございますが、最近の造林の趨勢からいたしますと、需要面におきまする針葉樹をできる限り広葉樹に振りかえて参れる点が相当多くなったことと合わせまして、少し長い将来に関しましては、実はそれほど悲観はいたしておらないのでございます。と申しますのは、現在約二千五百万町歩の森林原野に対しまして、これは主として針葉樹でございますが、人工植栽をいたしておりますものが約二〇%の程度に過ぎないのでございます。これを現在私ども計画いたしておりまするのは、近い将来にまあ伐跡地の復旧、再造林を含めまして三〇%まで高めるという計画で、ほぼその計画計画通りと申し上げ得る程度に実行できておるという現状でございまするので、少し長い目で考えますれば、それほど憂慮すべきことでもないんではないかと思うのでございますが、当面の問題といたしましては、御指摘通り北海道風倒木は主として八割までが針葉樹であるという関係からいたしまして、これを急速に伐出処理いたしますると、全体のバランスの上で相当窮屈に相なると当然考えられるわけであります。そのために、実は国有林におきましては内地を含めました国有林全部をひっくるめて調整いたしまして、従来内地計画いたしておりました伐採北海道にある程度振りかえるというような措置を合わせ、さらに北海道から一時余分に出まするものを内地に入れて需給調整をし、できる限り内地伐採を抑制して今後に備えて参るということにいたさなければならぬという情勢相当深刻なものがあるということを率直に申し上げざるを得ないと思うのでございます。
  8. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この書類を拝見しても、五ページのところには、過剰材処置として、一応三十年度では、お見込みだと三千三百十七万石の針葉樹が余る、余るというか、まず余りそうだということで、あるいは道内に、あるいは今言ったお話本州へという計画がのっておって、本州へ百三十七万石を一応持ってこられるというふうに出ておりますが、三十一年度となれば、おそらくさらにこのような過剰、いわば過剰材という問題はさらにふえるのだというふうに、ふえればとて減ることはないというふうに思われるのです。そこで私北海道においては、それではどういうふうな一体林産業というものが地位を占めているのが、北海道四百万道民経済上に占めるところのものはどうなんだというところを、大ざっぱに私の見たところでは非常に大きいのです。水産業北海道水産国というけれども、同様に国有林関係の所得を入れると、やはり六%というような数字が出てくる、そうして製造工業、これが二七%を持っている。その中で付加価値をみたものの占めておる林業関係のもの、つまりパルプだとか、木工その他一切の木材関係加工費等を入れますと、その製造工業の中の四割二分から三分という間を保っておるというのであって、食品工業等が二二%というようなものに比べて意外に大きい。そこで私は北海道の材というものを急速、急いであまりむだなく処理して行くということと関連して、内地への輸送材を考えられたという、この点においても先ほどの説明だというと、内地の方ではあまりになじみも少いせいか、思うように売れ方が悪いというようなことも御説明がありましたけれども、これでもやがて三年、あるいは四年、整理が済んだのちには当然北海道自体でどうしても減伐して行かなければならないのだということを考えれば、私はやはり北海道道民諸君、あるいはこれからの北海道であるので、北海道の開発、こういうものとの関連で、本州輸送というものもよほどこれは再検討をなされなければならないのじゃないかというふうにも思うのですが、この点について、先ほどあまりにどうも昨今は内地人たち北海道材を入れることについて、それほど興味を強くしなくなったというあたりを一つ説明していただきたい。
  9. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) 北海道風倒木処理後におきまする需給を考えますると、先刻も申し上げましたように、できる限り北海道貯材をいたしまして、処理後におきまする伐採量の減少に対する需給調整をするということが最も適切な方法になるわけでございますが、何しろ相当まとまった数量を、しかもエゾマツトドマツのごとき、かなり腐朽しやすい材を長期にわたって貯材するということは、実際問題として実は非常に多額経費を要するという問題がありますので、この際一部は内地にも輸送いたしましてでも内地需要に供する、その準備はなかなかむずかしいのでございますが、その一部を、国有林材の将来の伐採可能量に引あてるために計画しておりましたものを振り向けるというような処置をとって、全体の調整をとろうということを考えておるわけですが、御指摘のように、今後それでは北海道が減るものに対してどうするか、このことは実はなかにかむずかしい問題なのでございまして、しかも自由取引経済下におきまして、国有林材を特に北海道に振り向けるということになりますれば、全然不可能ではないと思いまするが、経費あるいは価格の問題で、言うべくしてなかなかむずかしい問題が残ると思うのでございますが、ただそういうことばかり顧慮いたしまして、あまりにむだを多くするということも考えなければならないということを顧慮いたしまして、一応この程度内地へ持ってきてひとまず消化する。そしてなかなかむずかしいかも知れませんが、将来あるいはパルプ材のごときもの、あるいは製材製品のごときものによりまして内地材を補給して調整をする。さらにこれは大へん希望的なことでございまするが、もう昨年テスト・ケースとしてソ連材輸入等も試みました。現状におきましてはややまだ商業ベースに乗っておりませんが、大へん近づいておりますので、今後の需要と合わせてソ連材等輸入商業ベースに乗せて考えられるということ等もありはしないか、それらによっても調整はとれるのではないか。これは大へん軽率な考え方でないかという御批判ならば、まことにあるいはそうかもしれませんが、一応そんなことも考え、とりあえず腐らしてはならない、むだをしてはならないということで、内地に約半分近いものを持ってきて使わせたい、こういうことを考えた次第でございます。
  10. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 三浦君に申し上げますが、大蔵省の方は主計局法規課長が見えておりまして、間もなく原次長も見えるそうです。それから建設省の方は住宅局建築防災課長が見えております。
  11. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 木材はあり余っていない、むしろ世界的に見ても足りない木材のことですからして、この際虫とか、その他非常にむだなことでなくなしてしまうということは、これはたれしも避けなければならないと御苦心のあるところですが、そこで考えられることは、今四十二万戸の住宅を今の政府としては公約としてやらなければならない。そして十七万数千戸というものは自己資金、こういうものに預けてあるようなものの、しかし従来よりは強化して公営住宅七万、それから今度の公団三万、こういうようなことを計画されておるのですけれども、いわゆる住宅政策、しかも国民が非常に希望しているなくてならない住宅の問題と結びついて考えられないかというのは、これの措置を円滑にして行くためには、ある程度国民的要望用途であるならば、この時期に、品の悪くならない時期に大いに活用するという面もこれは当然考えなければならぬのだと思う。でありますから、その一つとしてこういった住宅政策と結びつけた点はどうか。私はこの問題をある機会建設省の方に言ったんです。もしこの公営ないしは公団建築物が、最後消費者まで安く間違いなく行くんだ、仕上るんだというような仕組みができるならば、現在の処理の上に非常に苦慮されている農林省としては、ある程度、言わばサービス的にその資材を出してくれるだろう、その点はどうだと言ったのですが、なかなかめんどうそうな顔をして、その手には、いい返事というか、思ったような返事が当時なかった。どうでしょう、ちょうど住宅局関係からお見えになっているのですが、どういうものでしょうか。これを一体そういった方向に使われる気持があるのかどうか。ただなるべくできるように進めますといったようなんでなく、一歩進んで積極的に使われるかどうか。さらに今は公営と、私は公団だけの話を言いましたけれども、この予算も通り、学校だとか、その他の公共的建物相当に建たさることなんでしょうから、それらのことについて、できるだけこの木の性質に合ったような使い方のもとにおいて、消化に対してもお骨折りをどの程度なさるお気持があるか、この点をお聞きしたい。
  12. 村井進

    説明員村井進君) 住宅関係におきましては、御承知のように本年度四十二万戸の建設計画を立てていますが、その中で、民間のものは除きまして、政府資金で援助いたしますものは、住宅金融公庫の七万五千戸というのが一番多いのであります。この面は政府といたしましては金融という格好でいたしますので、まあ建築資材を選びますのは、どちらかと申しますと、一般建築する人が選ぶということになって参ります。それから公営住宅の方は五万戸ございますが、その中で木造が約一万六千戸でございます。そのほか鉄筋コンクリートの場合でも、仮ワクその他に木を使います。公団住宅の方は二万戸でございますが、この方は大体いわゆる耐火構造建築をいたすというような計画になっております。建築関係全体、住宅を含めましたすべての建築関係全体では、年間に使っております木材の量は、大体三千二百万石くらいの非常に大きな量を使っておるわけなんですが、そのうち半分くらいが住宅でございまして、あとの半分がそのほか工場、その他の用途ということになっております。その住宅のうち、まあ建設省自体で予算的に処置いたしまして地方に流しておりますのは、公営住宅の五万戸でございますが、それにつきましては、この風倒木が非常に出ましたので、林野庁からのお申し出もございまして、地方公営住宅建築する場合には、できる限り風倒木でございますものを使うようにということを考えまして、五月の十七日に各地方通牒をいたしまして勧奨いたしてございます。ただ前にもお話があったかと存じますが、建築関係におきましては、北洋材を使うことをあまり好まない習慣がございます。まあ腐りやすいとか、あるいはよごれが非常に早いといったようなことで、あまり使っておりません。全国すべてのところへこれを使わすることはなかなか困難なことと思いますが、まあ地元北海道はもとより、近い東北方面におきましては、まあできるだけ使わしたいというので通牒をいたした次第でございますが、何分にも国といたしましては補助いたしまして行いますことでもございまして、値段の点その他が、要するに建築価格として縛られる面もございますので、これでなければならぬというようなことも言いがたい点もございますし、また実際問題として耐久性が多少欠けるにいたしましても、安いといったような面がありますならば、地方でも相当使うであろうというふうな考えをいたしております。まあ結局安くて計画的にどんどん出てくるというようなことになりますれば、われわれの方で指導はいたしておりますので、そういう方面地方も協調してくれるのじゃないかというようなふうに考えております。しかし風倒木の問題は何分にも非常に大量の問題でございますし、また建築関係一般用材使用しております部門といたしましては、おそらく一番大きな部門でございますので、できるだけ林野庁当局の趣旨に沿いまして、われわれの方でも使わせますように、努力はいたして行くつもりでございます。
  13. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 まあ通牒を出して、いろいろと使うことについて、奨励的な態度をとっていただいていることはわかったのだけれども、しかしまあこれは今日自由な時代ですから、どの辺まで使ってくれるものやら、使わして、何と言いますか、この風倒木に交換するやら、わからないわけですが、一体これは北海道のようなところに、この公営というのはどれくらいやれるのか、あるいはさらに何とかもっとあなたの方で的確にこの処理に当って協力のできるといったような方法はないものなんですか、あなたの方は……。
  14. 村井進

    説明員村井進君) 北海道におきましては、北海道には防寒住宅促進法という法律がございまして、一般木材建築はいたさないことに、公営住宅関係ではいたさないことになっておりますので、比較的使用量が少いのでありますが、建設戸数といたしましては、北海道全体で約三千五百戸ほどの公営住宅建設をもくろんでおります。これがまあ大体におきまして、木造というよりは、木材使用が非常に少い建築でございます。で、まあこれに使います木材を概算いたしますと、約九万石くらいになるのじゃないかというふうに思います。北海道におきましては、地元のことでございますので、道庁自体もそのつもりで、できるだけ風倒木を使うという方針で進んでおるようでございます。北海道につきましては、まあやや御趣旨に沿えるかと思いますが、そのほかの面におきましては、何分にも結局経済問題とからみます問題でございますし、まあ今まであまり使われなかった材料を急に使えと申しましても、なかなか使いにくい。まあ金の面はかまわずに使え使えと申せば使うかもしれませんが、その点等がなかなかむずかしい問題がございますので、まあできるだけ使わせるように、われわれの方としても農林省と協調して使われるように勧めて行きたい、この程度のことであるかと思います。
  15. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 まあ大した問題ではないのでありますが、一応やはり空気を作る必要はあると思うのでお聞きしたのですが、今度まあ十五万円以内の一間増築について、保険何とか……、法律の名前は忘れましたが、新たに公庫業務としてふえるはずです。あれは今の北海道の防寒住宅法との関連でどういう扱いになりますか。従来のいわゆる木造がある、昔はあった。防寒住宅はあれは二年か、そのくらい前にできたのでしたかね。部屋を新たに増そうというのは多くの場合、従来いわゆる木造家屋であった、でありますから、あの対象となる分は防寒住宅法によらないで、いわゆる従来法によるやつでもどしどし割り当てるというか、貸し出すというのですか、その点はどうなんですか。
  16. 村井進

    説明員村井進君) 今の保険法の関係防寒住宅促進法とは関係ございませんで、木造建築されておるのであります。住宅金融公庫からの直接融資のございます住宅につきましては、御指摘のように防寒住宅促進法によりまして防寒住宅でなければいけないということになっております。まあ新築の場合はそれで大体まかない切っておったのでありますが、今度は増築が入って参りました。増築の場合、主体構造が木造であるのに増築の部分だけ耐火構造にする、あるいは防寒構造にするというようなことはあまり意味のないことになりますので、まことに遅ればせで恐縮なんでありますが、近いうちに防寒住宅促進法の一部を改正いたしまして、増築の場合には木造でもできるような措置を講じたいとただいま準備をいたしております。そうなりますと、増築分は木造でもかまわない、こういうふうになるのであります。
  17. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうなりますと、およそ北海道地区ではどのくらい貸し出せるという一応あなたの方の割り当ての見込みですか、幾ばくでもないかと思うけれども、どんなものですか。
  18. 村井進

    説明員村井進君) 全体で三万五千戸でございますので、大体今までの実績から申しますと七、八%をこえるというような実態でございます。今度は増築でございますので、少し様子が変ると思いますが、今までの実績から申せば、そのくらいではないかと思います。
  19. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そういうふうになってお聞きしてみると、なかなか風害木の需要喚起という問題は必ずしも思うようにいかない、林野の方では今まで全くに近いほど許さなかった針葉樹の輸出という問題も、全面開放したけれども、どうも私の知っている限りでは伸びないし、近い将来には必ずしも値段等の関係で伸びない。住宅もやっぱりこういう関係でそうは期待できない。需要の喚起ということはすなわち値段という問題がありましょうが、そうそう値段というものを、安くたたき売ったからといって林野の企業会計自身もそうもできまいし、私の一つ考えますのは、この際、この表を見ますと、輸送費をかけて内地へ持って来ても、モミや何かというものが今日の経済界の関係で安くなっているので、相当負けなければ、林野が今考えているような値段からさらに百円や百五十円ぐらいは引いてくれなければ、なかなかわれわれは買えないなどということをよく聞くんです。そうなってくるというと輸送費というものが食われてきて、結局特別会計は内地へはかすために、ある程度の実質上の犠牲というものをやはり一面においてしなければならぬ。それからもう一つの問題は、道内貯蔵をされるという、湖沼等、湖とか、沼とかに水中貯材をするというのは、その水中の状況にもよりますが、わざわざ横へ持って行って、そうしてある場合においてはトラック等も使って、その水の中へ貯蔵するということは相当にかかる。大体入れるのに石当り三百円ぐらいはかかるのではなかろうか。そうして今度はまた北海道伐採量が三、四年後に少くなったということで、これをさて売り払いの対象とするとなるというと、今度は引き揚げて行かなければならない、引き揚げるのにはやはり二百円やうっかりすると二百五十円はかかる。そうやって五、六百円というようなものをかけてまで、その材をなるべくいたまないようにしようという真剣な考え方というものはわれわれわかるんだけれども、そのほかにそれほどの、ある意味で犠牲を、企業会計としての犠牲をしないで、そうして非常にふくらんできている二、三年程度のその処理を、木材関係業者、特に北海道製造工業中四二%も占めている木材工業関係の諸君の一そうの協力というものを受けて、まあ協力しやすいような条件を作って、そうして国の経費自身もあまりそのために損をしないで、もうけるわけにはいかないでしょうから、ある意味では損を軽くしてやって行く道はないか、こういうふうに考えてみまするというと、私は思い出しまするのは、かつては北海道というところは木材についての延納というものが、立木を売り払ったような場合は二年間、場合によっては三年、うろ覚えでありますからはっきり覚えていませんが、少くとも二年、また内地といえども国が作った丸太は、駅、土場へ出てきたやつであっても一年というものを延納でみた。私はそのことを思い出して、あの延納という制度を風害木だけについて一つやって協力をさせたらどうだ。ところで私がまたその次に考えたのは、今日のような金のないときに延納という制度を作っても、果して業者諸君が協力できるかどうか、三、四年ののちには自分の使うべき食いものが少くなるであろうことを十分知っている業者といえども、果して延納という制度、そういったある程度延長されてもできるかどうか。そこで思い出しますのは、私はかねて御料でも国有林でも道庁でもそうであったんですが、戦争前は延納というものは、延納の担保を出せばあとには利息がつかなかった。ところが戦後二十二年の、国の所有する物品の売り払い等に関する法律、といったと思うのですが、そういったとにかく長い名前の法律を作って、国有財産の売り払いというその一つの範疇の中に特殊な事情である立木の場合も、それから丸太の場合も全部その中に入れられてきて、そして延納半年というのが原則になり、しかも利息というものは今度はつくようになった。延納をするためには担保を出して、そして従来つかなかった利息をその間つけて、そしてまあその延納を許してもらうという制度になったわけですが、これまた同様、この風害木の急速の処理と、そうして国の企業会計がやるとなれば相当に出費がいるのを助けるということ、協力するという意味と、両方の意味を含めて延納期間を延長する、ある程度延長する、風害木に限って延長をする、しかも今日の金のないときでありますからして、その実施を円滑にするためには従来のように利息をとらない、こういった問題をこの非常な処理に当って一体考えられないものかどうか。私はこれは林野庁長官にもお聞きすると同時に、大蔵省からおみえになっているそうですが、大蔵省はどなたがおみえになっておられるのですか。
  20. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 原次長です。
  21. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 原次長さんにも率直に一つお聞きしたい。なお林野庁からどういうお答えが出るかわかりませんが、林野庁自身も企業会計、あるいは自分自身の会計の金繰りでありますから、ねばならないということにしたのじゃ、これは困るのであって、おそらくするにしても、することができるということになろうと思うのでありますが、その点と、さらにそういうことをやる場合、水中貯木などをして行くときの必要な揚げ下げの、入れたり出したりしたときの経費と、そしてそういった処置をやった場合とどんなふうに変るのか、さらに言えば、木でありまするから、虫害からまぬがれるためにいろいろと適切な薬品で貯蔵するためにも処理しなければならない。まあそれらの経費は見なければならない。また延納を許して、そうして売り払いした場合に金繰りが困るといったようなこと、あるいはその店の店じまいといったような気持から、やたらその材を他に転売し、あるいは製材をしてダンピング的なことをやったのでは、これまた国自身の木材価格、売り払い価格というものもとめどもなくくずれるということから、おそらく私の構想であれば、この材は一年間は使ってはならない、あるいは極端に言えば二年間は使ってはならない、こういったような条件をつけて特例としての延納の延長、あるいは利子の免除ということが初めて考えられると思うのだけれども、これはやはりあくまでも水中貯材にする場合の出費と、それからそういった特別処置をするための、いわゆる国側から見ての割り引きとの比較がやはり大きく響くと思うのですが、そんなことをも含めて、長官からそれに対してのお考えが聞ければまずお聞きして、それから原次長さんの方としては、大蔵省の方としては、どういうふうに思われるかもお聞きしたい。
  22. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) まあ民間協力を得てでも貯材、将来に備えるということを考えたらどうか、考える場合にどういう措置をとるかというお話でございまするが、まあでき得るならば、できるだけ国の手で貯材して将来に備え、調整するということが、価格変動等に対しまする危険を業界に負わせて、そのために業界の思惑を増加させるということのないという建前から言いましても、大へん望ましいことではあると思いまするが、おのずから特別会計の資金にも限度がございまするし、また一面におきまして、こちらだけで貯材をするといたしますと、たとえば水中貯材いたしますにしましても、その場所等で実は量を増すということになれば、たちまちに問題が生ずるわけでございます。五十三万石という一応予定をいたしまして補償を選択して一応交渉を進めたのでございますが、これらに対しましても、すでに漁業組合の問題等に対する補償等が問題になりかけております。まあその面から言いましても、それほど大規模に国の手だけで貯材して長い将来に備えるということは、実は実際実行いたしますると相当困難でございます。さらにそれらの点を解決しながら量を増すということになりますれば、貯材のための経費が非常にかかりまするというような面からいたしまして、とうてい量を増すということはまず不可能に近いと思うのでございます。今かような金をかけて貯材するかわりに、それに相応するようなものを、端的に申せば、売り払いの際に引き下げて売って業界貯材させたらどうかという御意見じゃないかと思いますが、やはり当然私どももさような点を考えて、できるだけ業界協力を求めなければならぬと、こう思っておりますが、今五十三万石を水中貯材いたすということを計画いたしました際に、これによってかかりまするしいたします直接経費が、概算でございますが、約三百七十八円かかるわけでございます。さらにこれが量を増加いたして参りますると、おそらく幾何級数的に増すということになりまして、実はとうてい不可能だというのはその点からも言えると思うのでございます。それらを考えますと、できる限り民間業界に手分けをして持っていただく、そのためには貯蔵期間をお約束いたしまして、それに対しまする金利の控除であるとか、あるいは貯材のための割増し経費であるとか、材質低下等に対します割引であるとか等を考えましても、おそらく水中貯材をするというよりは相当安くなるのではないか思われるのでありまするが、それにいたしましても、一定期間をお約束をして貯材していただくということになりますれば、非常に資金として固定するということになりまするので、やはり一番手っとり早く考えられまする処置としては、延納という処置が考えられるわけでございますが、今日災害を受けました場合の災害復旧用途に供するものには、昨年の法律改正によりまして、三ヵ年以内の延納を一応認められておるわけでございますが、一般の商品、国の売り払いまする、国といたしましては現在一年以上の延納はないという問題がございますので、かような特殊のケースとしては、別途にこれらの点も御相談をいたさなければならぬとかように考えておりまするが、その際に何年を限度として延納期間を特殊のケースとして考えればいいかということにつきまして、さらに検討を要すると思われますし、業界全般に御協力を求めるといたしましても、相当大資本の、たとえばパルプ業界のごときものは、計画的に貯材消化するという見通しを立てて、しかも相当資金の手当等も信用上可能だと思うのでございまするが、小さな木材製材業者等におきましては、契約いたしましても、今日といたしましてはなかなか担保物件の引き当ても相当困難な面も出て参りまして、御協力を求めるとすれば、それらの点についても相当考えなければならないと思われる点があるのでございます。さらに延納金利の問題につきましては、これまた特殊ケースとして、大蔵御当局とも十分御相談はいたさなければならぬと思われるのでございますが、これは他の関係もございまするので、なかなかそうこれだけ無利子ということもかなり問題がありはしないかと思われるのでございます。幸い大蔵御当局も見えておりますので、御意見を承わり、かつ今後私ども協力を申し上げて参らなければならぬと、こう思っておりまするが、それらの処置を講じますれば相当程度は御協力をいただける、これと並行いたしまして国の貯蔵する部分も特別会計経理の許す最大範囲までその処置をとるということによりまして、何とか持っていかなければならぬじゃないかというふうに、実は考えている次第でございます。
  23. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 財政当局としまして、国の売り払いました物件の延納に関しまするただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。本来国の財政制度、会計制度から申しますと、国が物品を、あるいは国有財産を売りました場合には、まずその物なり国有財産を渡す前に、金を取るということが第一の原則になっております。それに対しまして先ほど御指摘のように、国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法難という特殊の法律が物品についてはございます。それから不動産である国有財産につきましては、国有財産法、国有財産特別措置法に例外的な規定がございます。国有財産法及び国有財産特別措置法の関係では、国有財産特別措置法の方が延納期間が長くなっておりますので、延納が必要な場合には、五年間、特に公共用の目的のために売り払います場合には、十年という延納期間が与えられております。それから物品につきましては、国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律によりまして、原則として六カ月、ただ国有の林野から産出する樹木の売払代金にあっては一年というふうな、一年の制限がついていて、国有財産と物品とは延納の期間の差がございますことは、これは国有財産と申しますものは、普通の物品に比べまして、量も金額も非常に多いので、その資金の調達はいわば時間がかかるということで、国有財産の方が延納期間が長くなっております。この国有財産につきましても、国有の物品につきましても、売り払いにつきましては、すべて確実な担保を徴して利息を取るということに相成なっております。もちろん特殊な場合の例外はございます。なぜこういうふうな、この担保なり利息というやかましい制限がついたかと申しましたことは、これは終戦後にできました財政法なり会計法という政府の財政処理の根本原則が、国の持っております財産というものは、これは国民の財産でございます、従ってこれを売り払いますときには確実に金が取れるように、またその代金を徴収する場合に、もし延納等々の特別な猶予をする必要があるならばそれに見合ういわば対価を取れ、いわば国の財産を決して時価よりも薄く、低く売ることはまかりならぬと、こういう大原則が支配しているから、こういうふうな延納の場合におきましても利息なり担保という厳重な規定があるわけでございます。  で、この北海道風倒木につきましては、先ほど林野庁長官も言及されましたように、昨年の国会で特別法が出まして、三年という、物品といたしましては一般の原則の三倍という長い延納期間がついております。これは先ほど御指摘のように、年間せいぜい千八百万石の伐木しかない北海道において、約六千万石の風倒木が出たという特殊のことから、まあそういう措置ができたわけでございます。ただこの場合におきましても延納ということはいわば国が一種の金融をいたすわけでございまして、その代金の徴収を猶予している期間は、もし通常の経済原則によりまするならば、それを買い取る側において銀行から資金を借りて代金を支払うということに相なるわけでございますから、当然の見合いとしては一種の利息と申しますか、普通の経済べースならば利息のつく金を借りて調達すべき資金を国がいわば代金の猶予という形において資金的な手当をしているわけでございますから、そのかわりに利息を取る、ただこの点につきましてはいろいろ陳情がございまして、通常の二銭五厘ないし二銭四厘という日歩を、物品の水準と申しますか、むしろこれは国有財産の場合の延納利息の水準でございますが、大体年間八分というところをねらいといたしまして、日歩二銭二厘、特殊銀行諸手形、これは大体普通の担保の形態でございますが、銀行諸手形の場合は一銭五厘まで金利を安くするという特例の措置を開いたわけでございます。ただこの延納の法難におきましては条件がちゃんときまっておりまして、北海道における被害地のいろいろな公共施設あるいは住宅復旧というふうなことに目的がきまっておりまして、その点からいろいろなこの法律が出ますときの付帯決議もあったわけでございますが、扱いといたしましては昨年約一千万石の処理ができました。今年二千万石の目標で林野庁としては風倒木処理を努めておられるわけでございますが、最近における木材市況というものが非常に悪くなってきて、その結果今年度の二千万石の処理というものがなかなかむずかしい、従って風倒木の保存という面からもいろいろ問題があるというふうなことは最近になって聞いたわけでございますが、こういう新らしい事態に当面しまして、一体さらに延納制度というふうなものを拡張する余地があるかどうかという問題になりますと、これはいろいろ諸般の条件を検討してみる必要があると思うわけであります。たとえばこの北海道で貯木するゆえんのものは、この風倒木がはけましたあとにおいては、おそらく北海道針葉樹は品がすれするだろうということは、いわば先き行き非常にいい市況というものを予想して、いわばそういうふうな条件のもとにおいて業界協力を求めるというふうなことだろうと思いますが、そこらの諸条件ということを考慮しまして、実際に延納ということがその場合の最も必要にしてかつ不可欠の条件であるかどうかといううことを諸種の点から検討しまして、ぜひ延納が必要であろうという結論に達しますれば、その場合にはわれわれとしてはこれを検討の対象にいたしてよいと思うのでありますが、現在のところはそうした諸条件の検討をまだいたしておりませんので、一体どういうふうな延納制度の拡張の余地があるかと聞かれましても即座に御返答できかねるのでありますが、この際延納制度に伴いまするところの担保及び利息の問題は、これは先ほど申し上げましたような財政制度、会計制度の大原則と申しまするか、国の財産、国民の財産を処分します場合には必ずこれを最も高いといいますか、適正な対価でもって処分しよう、いわば国民の財産を無為に減らすなかれという大原則の立場に立っておる。従って特殊な支払い条件を受けました場合には利息あるいは延滞金の徴収を確実にする担保というものを取っておるわけでございますから、いろいろな特殊な条件もあるかと思うのでありますが、この原則を簡単にはずしますというと、他の国の物品あるいは国有財産処理につきましても非常に波及するところが大でございますので、そうした弊害というものを非常に慎重に考慮した上でないと私どもとしては答弁できない、こういう筋合いになるかと思います。では簡単でございますが……。
  24. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  25. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  この際昨日来審議を続けて来ました積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  本法律案は、昨七月七日衆議院を通過、本院提出、直ちに本委員会に本付託になったものでございまして、昨日の委員会の取りきめに従いまして、本日残余の質問を終り、直ちに討論採決を行うことにいたしたいと存じます。質疑の向きは御質疑を願います。  別に御質疑がないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異一議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにお述べを願います。
  27. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正する法律案、これに付帯決議をいたしたいと思うのであります。理由はるる申し上げるまでもなく、審議の過程において、結果においてこれからお読みいたしまする付帯決議を付するが適当と考えておるので朗読いたします。   政府は、本法に基いて施行せんとする土地改良事業について、本法の趣旨に従い、施行面積の制限を極力緩和し、五町までは必ずその対象として取上ぐべきである。
  28. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 他に御発言がなければ……。
  29. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私は意見を付しまして本法案に賛成するものであります。と申しますのは、この法律は時限法律であるにもかかわらずその期間内に事業のできました分量ははなはだ僅少でございます。こういうようなことは結局時限法律はその期限内になるべくその事業を完了することにすることが必要だと思うのでございますが、財政事情もあったことと思うのでございますか、今まで通りのことでいきましたならば、今五カ年延ばしましてもおそらく事業の完遂はできないと思うのでございます。それでありますから、これを延ばした以上はこの期限内におきましてぜひともこの計画しておる事柄を完遂するように大蔵省の方とも十分御相談をなさって予算を十分に取っていただきたいことがまず一つであります。なお、さらに農業方面関係した時限法律は特別法がたくさんございますが、湿田単作地帯あるいは急傾斜地帯におきましてももう期限が来そうになっておりましても事業はほとんどできておらんというような実情でございます。こういうことでありますれば期限をつける法律を作りましてもだらだらと延ばしていかなければならぬという不合理ができて来ると思います。従いましてぜひともこの期限のついておるものは、期限内に事業を完了するために計画しておる事業分量に対する予算はぜひとも確保いたしまして、時限内に完了するということは法の目的からいたしましても必要なことだと思うのであります。ぜひともさように運営願いたいと思います。
  30. 東隆

    ○東隆君 私は本法律案に賛成をいたします。この法律は当然一般土地改良その他の方面にプラス・アルファーの形でもって、予算その他が準備をされて、そうして積極的に仕事が進められなければならない法律であったと思うのであります。ところがその後この法律と同じような趣旨のもとにいろいろな特殊立法がたくさん作り上げられて、そしてこの法律制定の趣旨が非常に弱められたようなきらいがあります。従ってこの方面の仕事が積極的に進み得なかったこともそういうような方面があると思うのでありますが、今回五カ年延長されたことによって私はこの法律が制定をされた当時の趣旨を十分に一つ政府は取り上げて、そうしてこの方面に対するところの予算の充実を期さなければこの法律は効果がないと思います。そういう面からこの法律を有効適切に生かすために、そして一般の土地改良その他によってはなし得ない部面をこれによってりっぱになし得るようにいたしたいと、こう思いますので、そういうことを強く要求をいたしまして賛成をいたします。
  31. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御意見もないようですが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決にいたします。積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正する法律案を問題にいたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  33. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。次に討論中に述べられました重政君提出の付帯決議案を議題といたします。重政君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  34. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 全会一致と認めます。よって重政君提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その地自後の手続につきましては慣例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  次に本案を可とされた方は順次御署名を願います。  多数意見者署名     秋山俊一郎  白波瀬米吉     三浦 辰雄   戸叶 武     青山 正一 池田宇右衞門     大矢半次郎  重政 庸徳     白井  勇  長谷山行毅     溝口 三郎  森 八三一     三橋八次郎  東   隆     菊田 七平  鈴木 強平
  36. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお、この際ただいまの決議につきまして政府の御発言があればお願いいたします。
  37. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 本法制定の経緯にかんがみましても期限延長を意義あらしめることは当然でございますし、ただいまの御決議の趣旨はまことにごもっともでございますので、これの実現については最大の努力をし、善処する所存でございますから御了承をお願いいたします。     ―――――――――――――
  38. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではもとへ返りまして、北海道における風倒木の件を続行いたします。
  39. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 どうですか、今主計局法規課長さんからの法規を守るものの立場からのお話で、実は私どもよくわかるのです、よくわかる。しかし一面においては、やっぱり国家の財産、これのいわゆる損失を少くしながら円滑に処理していかなければならないということが、これはまた当然なんでありまして、今私はあなたからそれについて賛成だとか何とかいう簡単な言葉がもらえようなどとも思っていない。けれども、考え方として、一面において国の財産が年とともに虫に食われる、さらに、火災の前におびえなからよけいな出費をする。虫害防除にしたって、二億五千万円だとか何とか大へんな額を使い、おいでになったかどうか知らないけれども、あの火災予防については、いつもながら、春先を過ぎればやれやれなんでありますけれども、ああやってまんべんなく末木枝条がかわいてたまっておりますから、少しやそっとのことでは非常に心配だと思います。このロス、会計検査院の院長なども見てきて、あの問題は非常に大きい問題だ、非常な処置をとらなければ、あれは結局において国自身のロスじゃありませんか、などと御発言になるくらいな問題であることは御承知通りだと思う。でありますから、私は法規を守られるお立場の御意見としては私どもわからぬわけではありませんが、さらに、同時に政府のいわゆるお役人として、広く国の財産というものをどうすればむだなく、また経費の上からいっても軽くなっていくか、一面において、国の方の特別な措置によって従来の型は破って、そうしてそれについてある程度の恩恵とも申しますか、緩和を与えるという、他への波及という問題もそれは考えなければなりませんでしょうが、それは法律できめればいいことなんですし、また今度はそろばんの面は、片一方のロスと片一方の緩和によるところの犠牲というものとの比較によればいいことなんだから、私はぜひこの問題を一つ考えていただきたいということを、これはお願いというか、すべきではないかという私は意見を強く申し上げておきますが、さらにそれじゃ、ことにこれは大蔵省にお開きしたいのですがね、そういった延納の措置とかですよ、あるいはその間のロスとか何かというようなことがなかなむずかしいということになれば、今度は観点を変えまして、結局需要関係の持っている設備に保管委託をさしておくという問題ですね、こうなりますと、保管料というもの、これに対する条件はあります、つまり善意でないことによってこれを汚損し、なくなすといったようなこと、あるいは通常以上の虫害によって質を低下する、価格を低くするといったようないろいろなそれに対する問題はありましょうが、いろいろの点を考えた条件のもとに、それでは保管管理をするという方法、これは御承知通り、山のかわいたりしけたり、かわいたりしけたりするところに散乱しておくということは、これはあなた虫のえになる。さっき言った火災の心配による当然の出費が莫大にかかるのでありますから、ここで急遽持ってきて、いわゆる日の当るかわくところに持ってきて、その場所も管理しやすいところに置いて、いわゆる保管をさす、ただ保管でありまするから、その人のところに必ずしも時期がきたときに売り払うということはもちろんこれは考えられません、必ずしも考えられないわけですが、そういったことはまあこれは法規課として、というよりは、むしろ林野の方の運営の面ではあるけれども、あなたの方の大蔵省的な立場から見てどういうふうに思われますか。
  40. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいまの、原則にあまり固執したら結局損をするのは得策じゃないという御意見まことに同感であります。結局われわれといたしましては、その最終目的は、国の財産というものをよく管理して、その対価というものを取るということは、要するに国の財産として一番損失の少い方法でと、こういう意味でございますので、従って今おっしゃいましたような、たとえば利息は損をしても、国の腐るべき物品が腐らずにあればこれは国といたしましても金額的にも得だ、さらにその上にコンサーベーション的にも得策だということもいえましょう、そこらのところを彼此勘案いたしまして、政策的の価値判断としてはなされるわけでありまして、私の申し上げましたことは、原則的なことを申し上げたので、誤解を招いたかと思うのでありますが、この国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律におきましても、特に担保を提供させる必要のない場合、あるいはその利息を付することが適当でないと認めるときには、利息を取らなかったり、あるいは担保を免除することもできると書いてございます。ただ私が申し上げましたのは、この規定は大体において公共的な目的にその売り払います物品が使われる場合に、原則としては適用になるのでありまして、一般業界に対します問題につきましては、あに延納と申しますか、一つの売り払いの手段だけにある程度の恩典をつけましても、自分のところの資本計算を破っても協力するというふうな、非常に社会奉仕的な企業というものはあまり考えられないわけでございまして、国と業界との関係というものは、一般経済的な諸原則から考えて採算がとれるという形において国と一般業界との関係ができ上っておる、こういうふうないわば資本計算と申しますか、そういう収支計算の条件が根本的に介在しておって、その上に国と取引か行われるという、まあ対一般私企業と申しますか、そういう関係におきましては、今申し上げましたような、たとえば貯木の問題にいたしましても、たとえば三年先と申しますというと、たとえば延納して、利息が免除されても、先の値段が不安だということになりますれば、たとえ延納を認められ、利息を免除され担保を免除されても、だれも買わないということになります、問題は、三年たてば北海道においては針葉樹の品がすれになるだろう、そうなると貯木の価格も強含みなので、ある程度貯蔵費を負担しても収支の計算は成り立つ、まあこうした経済的な予想が立てられるのではないか、そうなりますと、それとの相関的な関係で、利息とか担保とかいうものも考えるべきなんだ、そういうような諸条件を考えてわれわれは検討いたしたいし、また主計局の立場といたしましては、必ずしも利息だけに固執するわけではなくて、結局国全体としての利害から一体これはどうすべきであるかということを判定すべきであり、また従来もそういうことで努力いたしておることは御指摘通りでございます。その点は一つ誤解のないようにお願いいたします。
  41. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今の答弁から関連しておりますが、今の国の所有する物品云云という、あの法律ですね、あの中で一般木材といえば丸太は半年という法律があるのですね。そうしてあの法律の条項の実施に当っては主務省と相談しろということがありまして、その相談をした結果は、あれは原則として半年になっているわけですね。つまり法律の半分の期限に一応されているわけですね。ところが、あれは今実情等を勘案してなんというお言葉がありましたが、丸太というのは、御承知通り、手に入れて、そして工場へ運んでそして、ひいて、乾燥して、仕分け、結束をして、そして初めて取引の対象になるわけですね、板なり、柱としての。そして取引の現段階はどうかということになると、御承知通り多くは九十日です、手形は……まあそういうことです。でありますから私は、結局、その間金詰まりの今日でありますから、あの法律ぎりぎりですよ。これは風倒木関係なく、関連しての質問なんですが、法律で許されているのだからせめてぎりぎりにした方が、私は結局は国の所有している丸太が、高く売れるというとおかしいけれども、今日の経済事情に合った形において売れる。また言葉をかえるというと高く売れる、有利に売れるということに私は間違いなく今日はなると思う。これについてどうお考えになりますか。
  42. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) この法律は、きわめて表現がむずかしいのでございまして、どうも誤解を招くのは恐縮なんでございますが、現在のところ一年という原則になっておりますのは立木だけでございます。従って丸太はいわゆる半年ということになっております。ただ半年ではありませんので、現実には三カ月くらいでやっているはずでございまして、そういう意味で法律で許された期限一ぱいを利用しておらないというお話はごもっともでございますけれども、これはそうした協議の段階におきまして解決することでございますから、もし現在の丸太の延納三カ月というものは全く実情に合わないのだというお話でありますれば、われわれの方としては検討いたしまして、これを六カ月にすることはちっとも差しつかえない。ただ丸太は一年ではないのでございまして、一年適用は立木だけだということを念のために申し上げておきます。
  43. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今の風倒木からいうと、少し横道にそれたようでありますが、幸い今、法規課長からお話がありましたが、私どもよく聞かされており、われわれももっともだと思うのは、現行の普通の丸太の延長の問題なんです。あまりに実際の経済界を知らない、そして役所としては必ずしも半年延長されても、役所の会計の金繰りが許されたときにのみそういうことが行われるのであって、役所の会計として、どうしても金がほしけりゃ、いわばキャッシュでなければ売れないといっても、これは仕方がないのでありますから、当然今日の経済界に合うように法律というものを運用すべきじゃないか。国会というものは法律だけ作ればどんなに運営されてもいいのかと、こういうようなはなはだしい詰問を私は受けるのです。私は、国会というものは、立法の府には違いないし、そうではあると思うけれども、またその法律というものが悪ければ、また政府をして、あるいはみずから直す、そういう問題もありましょうし、ましてや今日のこういう法律がありながら、その運用がそういう実情に合わないのだとするならば、それはなるほどわれわれとしても機会あれば直さなければならぬということになっているのですよ。それで一体林野庁の方ではどういうふうにお考えですか。
  44. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) 御指摘のように、現在の市況、しかも実需の非常に伴わない足のおそい時期におきましては、製品におきましても、三カ月の延納ということでは、相当無理な面が多いと思っております。北海道材のごときもの、あるいは特殊の材につきましては、協議を進めまして実情によって適正な適用を進めておるわけであります。現在の市況からいたしますると、相当幅を広げて、法律の規定範囲内はお認め願うという方向に進むべき時期にきているというふうに私は考えております。
  45. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと今のに関連して法規課長にお尋ねしたいのですが、今もまあ原次長が帰えられましたが、帰えるときにちょっと申したのですが、これははなはだ失礼な話ですけれども、ざっくばらんに言って、大蔵省主計局というようなところは、およそ国会議員なんというのは、国の財産をすりつぶすことばかり考えているんだから、国会議員の言うことは原則として反対しさえすれば間違いないという感覚を持たれているようにわれわれは受け取るわけです。ところが、本来、三浦君が言っているような問題は、実は国の財産を大事にするために、大蔵省なり、林野庁なり、政府の方から進んでわれわれに協議を求むべきような問題だとわれわれは考えているんで、その点は、一体どうかと言ったら、いや、これはそういうことでなしに、ほんきに考えますと言っておられたのですけれども、今、法規課長の御答弁を聞いておりますというと、やっぱり、まずまずうっかりさわっては非常に危ないというような、そういう態度に見受けられるのでして、そこで今のお話を聞いておりましても、二年なら二年延納を認めれば、そこでかりに業者が持つとすれば、それは先高になってもうかるということがあるからそういうことについてくるのじゃないかと、こう言われますが、私はちょっとそうじゃないのじゃないか。というのは、普通の木材事情というものと、北海道木材事情というものは変っておって、国有林というものが絶対量の八割近くを持っている。従って、国有林の今後の伐採計画なり、払い下げ価格というものが、北海道価格を支配する、これは普通の内地事情とは違うと思うのです。そこでそうなったときに、国有林として民生安定とかいろんな立場がありますから、三年後には品がすれになって、むやみに上るという、そういう国有林伐採計画なり、払い下げ価格というものは、私はあり得ないと思うのでして、大体、北海道というのは、経済界の全体が、このデフレになるとかインフレになるとかいうことになれば別問題ですけれども、そういう経済界全体が普通の形でいっているということになれば、まずまず木材価格というものは現在のカーブをずっとたどっていくのじゃないか、そういうことに私は考えるわけですが、そうなったときに、この二年間これを持ってくれということは、何を言ってもこれは私は業者にとっては一つの犠牲だと思うのです。そこが一つ根本的にあなた方と、何か今聞いておりまして三浦君の意見あたりと違っているのじゃないかと思うのでして、そこでとにかく国が保管しているということは、これはコストが非常に上る、あるいはコストがかかるだけでなしに十分に貯木できない、貯木の設備が十分でないために、腐敗する、虫に食われる、これをとにかく業者に一ぺん多少先に希望を持たして持ってもらうということは、これは私はそこが政治だと思うのです。そこでそうなった場合には、これは公共の目的というのとは違いますけれども、ややそういう国全体の財産を生かして使う、そういう一つの公共的な意義があるのじゃないかと思うのでして、従って北海道で今後払い下げる立木につきましても、あるいは丸太にいたしましても、そういうもの全部に延納措置なり、あるいは利息の免除をするということは、これはどうかと思いますが、そうでなしに、ある一定の年限以上を持ってもらう、そこに制限をつけたものについては、これはやっぱり利息の免除とか、延納措置とかいうことについては、特別な考え方をしていく方が国の財産をほんとうに生かして使うことになるのじゃないかと思うのですが、そういう点どうでしょう。
  46. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 主計局は非常にがんこであるというお話、まさにこれはがんこなることにおいて商売といいますか、仕事をしておりますので、がんこだというおしかりを受ければ、その通りだと思うのであります。とにかく最近の時節から申しますと、われわれがこれだけがんこにいたしておりましても、どうもなかなかうまくいかないということでございますので、がんこなことは自認いたしますが、一つわれわれの立場も御了解願いたいと思うのであります。  第二の、国全体の立場という問題、これは私先ほど少し御説明が足らなかったかと思うのでありますが、われわれがまあ延納に関します諸条件について協議を受けておりますのは、林野の問題だけではございません、いろいろな、たとえば食管の米にいたしましても、何にいたしましても、国が経済活動をして売り払っておりますものにつきましては、すべてこの物品の売り払いの、延納に関する協議を受けるわけでございます。従って先ほど申し上げましたように、木材が腐るという点から言いますと、確かにコンサーベーション的な見地から言っても、ある程度の延納条件を優遇してやれば、その方が結局得ではないかということもわかるのでございますが、われわれが一たび一カ所で非常に延納に関する条件の緩和措置を認めますと、これはあに林野の問題のみならず、国の万般の経済活動についていろいろな要求がございましたときに、われわれとしてはこれに対してがんばるといいますか、これに対してわれわれとしては抵抗する前例がなくなるわけでございまして、そういう点もまあわれわれとしては考慮していく。もちろんそういう点を考慮しても、なおかつ北海道風倒木を何とか腐らさずに処分するという方が国のためになるのではないかという結論になりますれば、われわれの方としても欣然として委員長の御結論に賛成するわけでありますけれども、全くわれわれといたしましては、この問題についてきょう初めて聞いたようなわけでありまして、一体どういうふうな結論になるか、まだ十分慎重に検討を遂げておりませんので、先ほどから歯にきぬを着せたような御答弁を申し上げておるわけでありますが、ただ業者との関係においては普通経済原則でもって律せられておるのだからという問題は必ずしもそれによって三年後の北海道の材木の価格が非常に値段が上るということを申し上げたのではないので、値段の点でもペイするということがわかっていなければ、おそらく犠牲的な精神もあるかもしれませんけれども、基本的に一般の材木業者との関係はちょっとそうした犠牲的な精神だけではとても律せられない。そこでそうした先行きの経済的な諸条件というものについてもある程度見通しがあるといいますか、三年後における斫伐計画というものが、いわば貯蔵しておるところの風倒木の値段というものをあまり割らないようなところに斫伐計画を持っていくというふうなことでありますれば、そうした条件との関連も考えなければならぬ。まあ延納と申しますのは、単に代金の支払い手段と申しますか、ただそれだけの話でありまして、材木の買い取り、売り渡しという取引行為の大きな問題は、やはり私はそのものの価格と申しますか、代価が大きな問題だ。それに相関連するファクターとして、たとえば利息の問題もありましょうし、担保の問題もあるのではなかろうか。そこでそうした他の諸条件といいますか、経済的な諸条件も関連して考えないと、延納の優遇措置だけがこの場合解決する唯一の策だというふうな結論には簡単に参らぬのじゃなかろうかということを申し上げただけでございます。
  47. 江田三郎

    委員長江田三郎君) もう一ぺんお尋ねするのですが、まあ必ずしも延納でなくてもいいんじゃないか。それはそういうことは言えます。しかしその際にはたとえば三カ年後まで持っているという場合には、三カ年の貯木に対するところの経費も要るでしょう、金利も要るでしょう、それからその間の虫害防除、腐敗防除、そういうような経費もかかって、いろいろなものを見ていかなければなりません。従って三年後まで持たそうとするならば、今そういうようなものを見込んだ払い下げ価格にしてやれば、あるいは持つかもわかりません、しかしそういうことは現実にできるかどうか。この国有林野の方で木材を払い下げするのに、この分は三年後まで持っておるということだから何ぼにしてやる、この分はそうじゃないから何ぼにしてやろうとうことは実際問題として私はできないと思う。かりに三年後まで持つということを想定して、ある標準価格より低い価格で払い下げるということになれば、すぐに北海道木材市場というものは大混乱を起さざるを得ぬことになる。そこで実際はやはりできないということになってきて、そこでノーマルな貯蔵量ですね、それをオーバーするものについてはこれはどうしても別個にやっていかなければならぬ。別個にやるということになれば、これは値段の問題だけでは片がつかんで、そこに今取り得る方法は延納措置以外に方法はないんじゃないか。それから、かりにそういうことを考えぬでも、今とにかく北海道業界にいたしましたところで、どこの業界にいたしましたところで、木材界は非常に窮迫している。一体自己資金がどれだけあるか、自己資金以外に銀行からどれだけの保証がもらえるのかということを考えると、今年すぐ手持ちをするというようなものについては、もはや資金的に限度が来ていると思うのです。普通の形で払い下げられるものについては、値段がたとえ安くても資金的な一つの限界があるわけです。そういう点からも、やはりこの一定量以上に持ってもらい、そうしてとにかく普通のものを一年間で処分するなら、この分だけは二年なり三年なりは置いておいてくれ、それから後処分するのだ、そのほかのものは営林署の者が行って監督しておるぞ、こういうものについては、私は延納以外に切り抜ける措置はないのではないか。あなた方の方が大いに国会議員の乱費を防がれるというお気持はよくわかりますが、そうしてこれで国の財産を損しても、これに便乗されますあとの損害を考えて、プラスマイナスを少々これで損してもいいのだということになれば別問題ですけれども、やはりそうではないと思うので、やはり一つ一つのケースについて、それが一番、どう合理的にいっておるかということからやっていかなければならぬのでこれはやはりもうちょっと大胆な御措置をとられていいのではないかと思う。むしろ私たちから言うと、一体議員がこうまでやかましく言わぬでも、むしろあなた方の方からこの分だけはどうしたところで特別措置でいかなければならぬのだから、一つ決してこれは業者本位にしたのでも何でもないのだ、国の財産を生かすのだから了解しろと、僕はあなた方の方から出してこられる筋だと思うのですが、そうはお考えにならないですか。
  48. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 私、一体どういうふうな条件で、どういうふうな具体的な構想で了解と協力を求めていられるのか、林野庁の具体案を知りませんので、いわば非常に常識的な、何といいますか、前提の上に申し上げておるわけです。これは今後林野庁といろいろ打ち合せなければならぬ問題で、今までこの問題については打ち合せたことはございません。ただ先ほど申されましたように、価格の面ではだめなんだというお話でございますが、これは金利とか何とかいう消極的な面ではなくて、管理自体、積極的な管理自体が三年後においてはどう報われるかということが、これは材木業者としては大きな問題で、これをどういう条件で解決するかということが、延納の条件をどう優遇するかという問題にも関連してくると思う。そういう意味においては延納だけだというようなことにもならぬのではないか、今資金的には今年はすでに全部手当すべきものは手当してしまって、今後資金の余裕がないというこのお話は、私ももっともだと思う。従って延納なら延納ということが必要だということは、そういう意味においては私どもとしても、今年のすでに金融措置がつかない現状においては仕方がないということは認めざるを得ないかと思うのでありますが、ただ延納の条件というものについては、これは全然別問題でありまして、先ほど申し上げましたようないろいろな他の経済的なファクターとも一緒に考えなければならぬのではないか。ただ何分にも具体的な計画については林野庁主計局との間に一度も話し合ったことがございませんので、こういうふうな議論をしておりましても、これは結局結論がつかずに、それぞれ自分の考えている計画のもとに議論しておるということになるかと思うのでありまして、一度林野庁とも具体的な計画についてそれぞれ打ち合せをいたしまして、一体いかなることが最も国の利害という見地から考えて妥当であるかという判断をいたしたいと思います。
  49. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それはおっしゃる通りでして、そこで三浦君の発言にいたしましたところで、私の発言にしましたところで、本来こんなことは政府からちゃんときめてくるべきものだ。あまり政府の方が、いつまでも見ておってやらぬから、まあ一つ問題解決の呼び水をここらでさしておかなければならぬというような意味もあるでしょう。そこでこれは一つ慎重にやっていただきたい。と同時に、何をするにしたところで、これは時期を失したら、ことしの一体夏山の材をどうするかということに間に合わなかったら仕方がないので、従って次の国会でというようなわけにはいかぬわけですね。そこは一つ慎重に検討すると同時に、早急に検討してもらわなければならぬと思うのでして、まあ私の言っていることも、少少言葉の足らぬ点もあるので、何しろこういう席ですからそう微に入り細をうがつわけには参らぬから、よく林野庁当局とも相談されて早急に何らかのことをきめていただきたいと思います。  それからもう一つ私ついでですから、この住宅局の方にお尋ねするんですが、住宅局のさっきのお話でも、なるべくまあこういう材を使うようにするということなんですが、特にまあこの公営部分についてはこれはなるべく……、まあおそらくなるべくと言ってもあなたの方はもう通牒も出しているし、何やらもやっているんじゃないかと言われるのだろうけれども、そんなことではなかなか追っつきませんので、これは一つもっと腰を入れて対策を立てていただきたいと思うのです。少くとも政府が、とにかく公営住宅としてやられる分については、将来の林野行政の木材需給関係の大きな一つ観点から、私はむしろもうこういうような公営住宅のようなものについては、これは林野庁あたりとよく相談され、大蔵省とも相談されて、ある少々安い価格でもいいんじゃないかと思うのです。安い価格でも、まあそれを一切風倒木を供給する。都合によれば北海道でちゃんと規格に合わして製材をして、そうして指定のところへ材で送りつける、そうして必ずこの風倒木を使ってもらう。あなたの方は材木を使う立場だから、この生産のことはあまりお考えにならぬかもしらぬけれども一つ大蔵省ががんこなように、あなたの方も国の財産を生かして使うことにちょっとがんこになってもらいたいと思うので、業者の顔色ばかり見ておったのではしょうがないと思う。おそらく業者はいやがるでしょう。いやがっても、こういうほうっておいたら腐ってしまう材木が片一方にあるのに、内地の山がだんだんはげているというのに、この内地の木を使うということは、私は建設省としてはとるべき態度じゃないと思うのです。これついてはもっとこれ一本で行くという態度はできませんか。
  50. 村井進

    説明員村井進君) ただいまのお話、確かに木材の面から見ますとその通りだろうと思います。何分先ほど申し上げましたように、建築関係では北洋材はあまり使っていない材料なんでございまして、それをまあ使え……、これは非常に急な話でございまして、なかなか一ぺんには切りかえが相当むずかしいのじゃないか。特にまあ公営住宅の面におきましては、全国に散らばってやっております、中にはまあ木材の生産県においてでもやっておるわけであります、こういった地方では、われわれとしては使えということを言いましても、特別に使わなければ補助をしないとか何とかいうところまでいけば別でございますが、そうでない限り、やはり地方の身近かな、あるいは使いなれた材料を使うということになりがちでございますから、その点につきまして、われわれのやっておりますことを手ぬるいというような御批判だと思いますが、われわれの立場からいきますと、なかなか一ぺんにそう強制的にやらせるということは非常にむずかしい。これにつきましては、まあ今後林野庁ともよく御相談いたしまして、さらに御趣旨に沿うようにやっていきたい、さように考えます。
  51. 江田三郎

    委員長江田三郎君) これは課長さんね、まあ形式的な答弁でなしに、これはほんとうにじっくり考えてやるべきものだと思うのですよ。あなたの方は、当然農林委員会だからたびたび呼ばれることはないから、そこだけ済ましておけば済むのだとお考えかもしらぬですけれども、われわれはそう考えぬのです。国の木があって、これが売れ口がなくて、ほうっておいたら腐ってしまうのだ、しょうがないから池へぶち込んで、そして材木代をただにするというようなばかげた計画までやっていかなければならない。そういう条件のあるときに、片一方で、国が公営住宅を建てているのに、それにこの木が消化できぬというようなことだったら、一体建設省というものは、日本政府のうちじゃないのか、これだけは別個な世帯なのか、こう言わざるを得ぬわけなので、これは一つ真剣に考えてもらわぬと、おざなりの答弁じゃ困ります。
  52. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私は法規課長さんに聞きたいのだけれどもね。あなた、どうも江田委員長の先ほど来の話はよくわかったと思うのです。あなたはわかったろうと思う。結局われわれ何も一方の見方というようなことでなく、ただいかにすれば風倒木を円滑にむだなくやれるかというためには、唯一とは言わなくとも、非常な有力な手段として、その延納の問題が考えられるのじゃないか。しかもこの国会の中で処理できるというスピードにおいて、何とかむしろ国から出してもらいたいという気持はおわかりだと思うのです。まあそれについて、一つあなたが心配していることがある。それは他に累を及ぼすということを再々言っているのですね、あなたは。一体他に累を及ぼすと言うが、二十二年のあの国の物品というところに統一される前に、それぞれの物品について一体どういう種類のあの延長の期間というものに、延納の期間というものに区別があったか、一つ教えて下さい。
  53. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 二十二年以前の延納という問題は、私は現在のところつまびらかにしておりません。ただ二十二年の当時から、従来の旧会計法というものが、財政法と会計法という、新しい憲法第八十三条の財政処理の原則といたしまして登場いたしまして、それの補足法規としてこの国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律というのができました。おそらくそれ以前におきましては、その当時は昔のことでございますので、勅令なんかにこういう勅令があったのではないかと存じておりますが、現在のところではつまびらかにいたしておりません。
  54. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そういう勅令なり、終戦前のそういった法規は、やはりその当時としてだてにあったわけじゃないのですよ。実際の現状がそういうことを許さなければならないからこそあった。それぞれの沿革と、それぞれの実情に基いた形なんです。そこで私はほかにいわゆるすぐ使えるようなものですね、そういうようなものは、多くの場合国のいわゆる物品なんだ。物品なんです。多くのものがそうなんです。ところがこの立木の場合である、これはましてや立木の場合、また丸太の場合、そのもの自体がすぐ使えるというのは、たとえばパルプとか、坑木といったようなものと、まあややすぐ使えるものだけれども、普通の……それから加工して、使うところには使うという種類のものは、そういうふうに右から左へはなかなか換金もできない、つまり製品にならない、使用の目的を果せないということから、ことに丸太については一年、それから立木の場合においては二年、これはたとえば農林省の方も二年、それから当当時の宮内省であった御料、これは二年、北海道については特に三年、こういう法規を持っておった。でありますから、私はよく御研究いただきまして、よほどそういった法規が長い間行われていた実情というものも、さらに同じ政府部内である林野――農林省方面からお聞きになって、そうしてまた当時の旧憲法時代におきますその種の他の物品等もお調べになってみた場合、私は決して他に累を及ぼすといったような……、横やりで、横車でやれば別ですけれども、いわゆる当然の良識から見て、そうしてそれが他に非常に類似のものがあるということには、私はならないというふうに思います。ですから私はその点で十分に御研究を至急なされて、そうして今やさっき三百八十何円と言ったけれども、もっとかかると言われておる。水の中へ突っ込んだりして貯蔵するためによけいな金を使い、あげくにまた使うというようなことがなく、国全体の大被害によるロスというものを少くして、かつはこの木材の不足になる世界的な傾向、日本自身もそうだが、これに対する善処をお願いしたい。どうもお伺いしておりますというと、あなた方で、林野の方ぢゃそういうことを考えなければならぬという答弁を長官はなされたけれども、あなたの方でどうだ、ああでもない、こうでもないと言っておりますと、これは日はもう過ぎてしまう。ところが日が過ぎて済まされないのはこの被害風倒木なんですから、だからぜひその点を至急委員長があなたにお話になられたような意味でやっていただきたい。ことに他に累を及ぼすという問題は私は心配ないと思うが……。これは明らかにわかると思う。  それからくどいようだけれども、さっきの……さっきのというよりも企業会計、もとは企業会計ではなかった、一般会計でしたよ、御承知通り国有林も。それであっても二年というものは延ばし得るいわゆる法規を持っておったですね。すべて二年ではありません。それぞれの一般会計で、大蔵省との予算折衝でどれだけの収入を上げてどれだけの一般会計に財源をよこせという予算折衝をしなければならぬ。この一般会計のときでも、二年間という割に幅広の木材や丸太については幅広の余地を残してあった。今企業会計でずいぶん大蔵省の方と予算についても苦労をし、みずから自縄自縛の形で運営をしておるという制度になってからは、なおさら私はそのことが実情に沿うのではないか。やったって、あなた方がそうはたから見て心配するような運営をする余地は私はないと思うのです。それがおかしいと思う。ある程度大蔵省の感覚からして、大幅に大綱でもってにらんでおられる。これはあなたの省の立場として当然でしょう。けれども運用上非常に差しつかえるという事実があるにかかわらず、そうしてそのことが他に累を及ぼすとか波及するとかいうことがないにかかわらず、あなたの方ががんばってその運用を円滑に行かないようにさせて、そうしてひいては国損というか、非常に円滑を欠くようなことをやるということは、私は一考を要すべきものだと思う。これは私の意見ですが。
  55. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 先ほどから伺っておりますと、主計局が非常に円滑さを害しておるというお話であります。私ははっきり断わっておきますが、この問題につきましては、林野庁からただいままでまだ一度も相談を受けたことはございませ。きょうお呼び出しを受けて初めてわかったので、われわれの方が非常にやかましいことを言っておるとお叱りを受けておるのでありますが、これだけの重夫問題を私は林野庁から一度も聞いたことはないので、きょうお呼び出しを受けてどういう問題だろうと思って聞いて勉強して参ったわけであります。われわれの方としてはまだ円滑さを害するかどうかという交渉まで至っておらぬのでありまして、その点は御了解願いたいと思うのであります。  それから物品売払代金に関する特例と申しますのは、これはわれわれの方といたしましては、これによって農林行政をやるとか社会政策をやるとかという問題ではございませんけれども、ただ国がいわゆる経済活動の一面として参加いたしますときに、一般の商慣行に対してあまりに無慈悲なことはできません。一般の商慣行におつき合いいたしましょうという、そういう法律でございます。従って戦前の会計法がどうなっておったか私は存じませんけれども、戦前のことはさておきまして、現在の商慣行から、やはり木材関係のものは支払い関係が長いということから、一般の物品の二倍になっておるわけであります。しかしこれもまだ一般の商慣行からいうと、また国だけ非常にがんこであるために一般の商取引の円滑さを害しておるということになりますれば、それは慎重に考慮しなければならぬかと思うのでありますけれども、現在のところはこの北海道風倒木等いろいろ問題になっておりますが、これで遺憾なく運用いたして参ったのでありますが、現在の商慣行に比べまして、一年なり半年の物品の延納を認めておるということは、一般の商慣行から申しますれば、決してさびしいものではなかろうと、こういうに考えております。
  56. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 初めて法規課長の方からわれわれが期待していたような、非常な意気込みで、商慣行が実情に合うならば十分林野庁と相談をして至急これを出すという決意を表明された回答だと思って、私は非常に喜ぶのであります。これを喜ぶということは、北海道風害木、さらには日本木材の将来の貧弱と今回の大被害処理について、非常に喜ぶべき現象だと私は満足いたします。ただ願わくば、すみやかに林野庁の方も、今お聞きのような態度で真剣に取り組まれる決意でございまするから、至急一つ法規課長の方とよく話し合いをされて、実情に合うように善処されることをお願いいたします。
  57. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) その点に関しましては実はまだ新しい処置に関します相談は大蔵省とはいたしておりません。と申しまするのは、最近の市場情勢からいたしまして、非常に当初の予定と食い違って参って、何とか処理しなければならぬというような情勢に立ち至って、いかなる方策を講ずべきかということを検討いたしておる途中でございますので、しかし御指摘通り、国会開会中に急ぎ適切な措置を講じなければならぬということもわれわれ十分痛感いたしておりますので、早急に具体的に相談を進めまして、また御審議をいただいて決定、処理をいたしたいと、かように存じております。
  58. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 私からもお答えいたしておきますが、今申し上げましたのは、今まで林野庁から何ら具体的な内容については相談されたことがありませんので、従ってこれからはその内容を慎重に聞きまして、最善の道を決定するということを申し上げたのでありまして、必ず法案を出すということを申し上げたのではございません。
  59. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 もうくどいから長くこのことで申しませんが、慎重も、もちろん国の法規でございますから、期さなければなりませんが、同時に、慎重は長いとは限らないのであって、一面においては風害木のために処理をあやまてば、結果において非常に国としても財産の損、あるいは経費自身のむだというものがあるのであるとわれわれは見ておるのでありまして、林野庁がいち早くこういうことになるかもしれないということであらかじめ連絡をしなかったというようなことは、私ども林野庁に対して不満足でありますが、今ここでもって長官の方としても事態の推移から見て、これは至急に具体的に相談しなければならぬというような方向に来たと言っておられるようでありますから、なるべく早い機会に十分慎重の中にも早く御善処を願いたいと思います。
  60. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと今三浦委員から言われましたが、法規課長が非常に憤然とされたことに非常に喜ぶべきことでありまして、そんなことならなぜもっと早く林野庁はおれのところに言ってこぬかという態度で、この点はまことにごもっともで、ちょっと林野庁としても怠慢だと思います。ただ林野庁としても情勢がこういうことになるだろうと思わなかったのだろうと思うので、それは去年の風水害直後のあの特別措置情勢判断において甘かったということであります。ただ何と申しましても、この点は林野庁としても法規課長の怒るのももっともですが、怒ったついでに一つあっさりと、てきぱきとやってもらいたいと思う。これはほんとうに大へんなことだと思いますが、これだけのものを腐らせたら申しわけないと思う。そこで私はもう一つついでにお伺いしておきますが、どうも内地業界の諸君の意見を聞いてみると、モミ、ツガに比べて非常に歩どまりが悪い、モミ、ツガ並みの値段だとどうも困る、もっと歩どまりが悪いということを考えて、このモミ、ツガよりも少し安い価格でないと、特に新らしいなじみのない材ではあるし、手が出しにくいのだということを方々から聞かされるのですが、そういう意味で値段を再検討をされるということはどうでございますか。
  61. 柴田榮

    政府委員柴田榮君) いろいろな比較がございますが、私ども一がいに業界が批評しておりますごとく、風倒木を高く処理しておるというふうにも考えておりません。一応私どもは基準を九寸下材と申しますか、中目材に置いておりますが、それと格差をつけて大径材の価格を決定いたしております点は多少なれない点等もあろうと思いますが、モミ、ツガ材と比較いたしまして、あまり安くないという批評がある点は、私ども検討いたしておるところでございます。基準の問題ではなく、低級品の格差の問題についてはただいま検討をいたしておりますので、それらの点を決定いたしまして、場合によりましては不当な批判もあろうかと存じますが、妥当な批判に対しては答え得るというような考え方を持っております。
  62. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは、この問題につきましては早急に林野庁を中心にして、建設省の方でも、それから大蔵省の方でも対策を立てていただきたいと思うので、時期を失しては何もならぬことでございますから、委員会としても今後どういう対策をお立てになるか、それを注目して行きたいと思います。     ―――――――――――――
  63. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に委員派遣の調査報告の件を議題にいたします。  過般東北地方の水害に対して、山形、秋田及び青森、岩手の四県に現地調査をわずらわしたのでありまして、御出張の各位におかれましては、暑さのみぎり遠路まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。ただいまから調査の結果について御報告を願うことにいたします。
  64. 白井勇

    ○白井勇君 去る六月二十四日から二十六日にかけまして、東北地方各県に豪雨が襲来をいたしまして災害が発生いたしましたので、院議によりまして、当委員会からこれらの調査のために派遣されましたことにつきまして御報告を申し上げます。  一行は千田正理事、小林孝平委員と私のほかに西村調査員の四名でありますが、七月二日東京を出発いたしまして、まず山形県に入り、次いで秋田県、青森県、岩手県と四つの被害県を順次歴訪いたしまして、昨日帰京いたしました。  各県におきまして、各県当局並びに県下の関係機関代表から説明を聴取いたしました後、山形県におきましては、災害地であります最上郡鮭川村、それから戸沢村、鶴岡市、舟形町、酒田市、飽海郡遊佐町、また秋田県におきましては、本庄市、秋田市、大曲市、横手市、一日市町、能代市、また青森県におきましては津軽地帯の碇ヶ関村、大鰐町、弘前市、木造町、五所川原町、青森市、さらにまた岩手県におきましては旧黒沢尻と申しました現在の北上市、和賀郡和賀村、胆沢郡金ヶ崎町、水沢市、前沢市、一ノ関市等各県下の被害の主要市町村及びその周辺の被害町村の被害現地を、早朝から夜まで日程の許します限り、詳細に現地視察を行いますとともに、本委員会といたしましてのお見舞をいたしました次第であります。  調査は主といたしまして農地農作物等の農林水産関係被害を見たのでありまするが、橋梁堤防等の土木関係につきましてもあわせて調査をいたして参りました、地域別、種類別等の個々の被害の詳細な内容につきましては別途資料によって御覧を願いたいと思います。私は昭和二十二年の秋田を初めといたしました東北の水害以来二十八年の九州あるいは近畿の大水害に至りますまで、よく現地事情を見る機会を得たのでありまするが、今回の水害の特徴と思われますることは、それが割合に局部的に集中をしているということであります。ただ秋田県のみにおきましては相当広範な地域にわたっております。これだけは例外であります。山間部に急激な豪雨がありまして、その結果、大河川によりまする被害よりも、むしろ中小河川を中心といたしました局部的な被害というものが多く、従って被害をこうむっておりまする現地におきましては被害程度相当激甚であると考えられたのであります。数多い埋没、流出の地帯を除きまするというと、その他の冠水地帯におきましては幸いにも減水が割合に早かったのであります。なお、減水後の天候の方も急にひでりのようなというような状態でなしに、ある程度復旧に適当なような気候でありましたような事情もあり、今後の天候の回復、手当等が相当そのよろしきを得ますれば、被害程度もある程度とどめ得るような面もあるのじゃなかろうかと思うのであります。もちろん停滞をいたしておりまする所、たとえば秋田県におきます八郎潟にしても、これに非常な地帯が私たち参りました当時もなお冠水をいたしておりまして、いつ減水をするものやらその見通しもつかないような状態でありまして、また青森県におきまして御承知の岩木川の流域、いわゆる津軽の灌漑、排水地帯と申しまするか、耕地地帯あるいはまた岩手県におきまする北上川の逆流によります一ノ関の地帯というように、特殊の地帯はありますけれども、その他一般冠水地帯におきましては、埋没、流出を除きまして、先ほど申しましたような事情にあるものと思って参りました。  なお、従来東北の地帯におきましては、岩手県なんかにおきましても、土木の被害が二に対しまして農作物の被害は従来くらいのものであったというようなことを言っておりましたが、今年度はむしろ農作物あるいは農業施設の関係被害相当多いのでありまして、従来の例と多少違っているかと、こういうように見て参りました。  それでは各県につきまして簡単に被害状況及び地方の要望等につきまして概要を申し上げてみたいと思うのであります。  まず山形でありまするが、山形はこれはいわゆる米どころの庄内地帯、それから最上の地帯の二カ所がひどいわけであります。その他はほとんどあまり見るべき被害がないというような状態にありまして、私が参りましたときに、県には対策本部もまだ設置を見ていない、こういうような状態でありまして、ちょっと見まするといかにも本部といたしましては、のんびりかまえておるというような格好であったわけであります。山形は六月の二十四日の午後一時ごろから鳥海山系、朝日山系、月山山系というような、いわゆる庄内あるいは最上を取りまいております山間地帯に降雨が非常にあったわけでありまして、特に二十五日から二十六日にかけましては連続豪雨がありまして、平野部でも二百ミリ内外、山間部では三百ミリから四百ミリ、特に鳥海山の南東地帯におきましては七百七十ミリを越えるような豪雨があったのであります。その結果庄内地帯におきましては、鳥海山山間から流れております日向、月光川あるいは月山地帯から出ております赤川というようなものがはんらんいたしますし、最上地方ではこの最上川に注いでおります鮭川あるいは小国川というような流域が洪水となったわけであります。特に最上川の中下流部一帯におきましては戦後最高の水位を示したというのであります。その結果、最上郡におきましては戸沢村、庄内地帯におきましては大山町、温海町、鶴岡市、また東田川郡の朝日村という地帯におきましてはそれぞれ災害救助法を発動いたしております。六月三十日現在までに集計されました県下の被害状況を見ますと、田畑流出埋没が四百四カ所、三百十町歩、その金額が三億七千五百万円、田畑の冠水が一万四千四百七十町歩、農作物の被害額が七億三千四百七十六万円、開拓地の関係におきまして、埋没、流出あるいは冠水等がありまして、その被害額が二千二百万円、桑園の埋没等によります桑園関係被害が二百七十八万円、民有林等の関係におきましてはその被害が約二千七百八十八万円、漁業関係におきましてはごく少いのでありますが百三十五万円ばかり、それらを合せますというと、農林、水産関係におきまして十一億七千五百万円ばかりの損失になっております。一方土木関係の道路の決壊、護岸、堤防等の決壊または橋梁の流出等によります被害は四百十カ所にわたりまして、その被害額が八億三千万円となっております。総計二十億五百万円の被害になっておるわけであります。  次に秋田県でありますが、秋田県は先ほど申しましたように割合に広範な地域にわたりましてこういうふうな被害をこうむっておるわけであります。この地帯はいわゆる本荘地帯、これはいわゆる米どころの県の中心部でありますが、それから、先ほど申しましたように、八郎潟の中心、ここの所はほとんど停滞しておる、それから大館に参りますこの沿線というようなふうに東北四県の中ではその被害が多数広範の地域にわたっておると、こういうありさまであります。これもやはり六月二十四日の午前十一時ごろから降雨が始まりまして、二十五日には全県下一帯に豪雨となりまして由利郡の山岳地帯は三百四十一ミリ、また田沢湖周辺並びに大平山を中心といたしました地帯に、また北秋田、山本の両郡等は、いずれも二百ミリから二百数十ミリに達しております。雄物川、米代川、子吉川の本支流が急激に増水はんらんをいたしまして、全県下にわたって甚大な被害が発生を見ておるわけであります。また先ほど申しましたようにその後の悪天候と排水の不良から八郎潟を初め幾千町歩一面の田畑がまだ冠水をいたしておるような状態でありました。七月二日までに集まりました県下の集計によりまするというと、農地の被害面積が二千四百五十町歩、その金額が十億二千五百万円、農業用施設関係におきましては六十五地区、それが四千八百七十二万円、開拓地関係におきましても千二百町歩、その被害額が五千四百十二万円、水稲全体といたしましての被害が四万八千九十九町歩、その金額が十二億二千五百万円、そのほかに畑の、つまり畑作といたしましての被害が五千八百六町歩、金額にいたしまして二億八千二百万円、そのほか金額は小さいのでありまするが、飼料作物といたしまして六十三万円ぐらいの被害がありました。さらに林道や林野の崩壊、あるいは木炭、薪炭等の流失等によりまする林務関係が約九千七百五十万円の被害を受けておったのであります。また県営の八郎湖の養魚場がありまするが、これをほとんど養魚類が流失をしたというような関係にありまして、水産関係におきまして五千百三十万円ばかりの被害を受けております。そのほか土木関系といたしまして千五百十三カ所、十四億九千万円の被害があります。それやこれや県下の被害の総額を合せまするというと、当時わかっておりまするものが総額で三十八億六千五百万円ばかりになっておるわけであります。  次に青森県を申し上げます。青森県は主といたしまして、この岩木川の沿岸がひどいのであります。この下流におきましては農林省でやっておりまするいわゆる灌漑排水地帯、これがほとんど被害をこうむっておるというようなこと、そのほか県下至る所にぼつぼつ小さいものがある、こういうような状態であります。青森県の話に入りまするのでありまするが、その前に御承知かと思いまするが、青森県といたしましてはリンゴの被害が非常にひどいのでありまして、御承知通りに四月から六月の中旬にかけまして凍霜害、あるいは低温等がありまして、開花期にモニリア病が非常に蔓延をいたしまして、津軽地帯のいわゆるこういう所というものは、ほとんどひどい所になりますると全滅のような格好になっておるのであります。御承知通りに全国の七割に相当しまする生産力を持ち、二千万箱、生産金額にいたしまして百億と言われておりまするものが、本年度はその四十億を突破するくらいの被害がある、こう言われておりまするので、すでにこのリンゴの災害によりまして、それがリンゴの袋の業者に響き、さらにまた出荷の場合の製箱業者、箱を作ります業者に響いて行くというやうに、青森県の農村経済には大きい影響を来しておったのであります。そこに今回の水書が出て参ったわけでありまするが、これは山形県、秋田県よりもこれは早く六月二十二日ころから相当の雨があったようであります。あそこは山形や秋田のような三百ミリあるいは四百ミリという大量の雨がないのでありまするが、それでも被害相当出ておるということは、いろいろ農業施設関係におきましての程度が他府県に比較いたしまして落ちておるのではないかというような見方があるのでありますが、当時の降雨量は百ミリを割る程度のものであります。八十ミリ見当の降雨量しか出ておりません、それでも県下の河川がはんらんをいたしまして、農業のいろいろな施設が決壊、流出をいたしております。七月一日現在におきましてわかっておりまする統計によりますと、水稲冠水が四千八百町歩、それらの被害が二億九千四百万円、さらに畑作の冠水が五百十六町歩それによりまする被害が四千四百万円、そのほかリンゴにおきまして約七十万円くらい、そのほか農業施設二百六カ所、この金額が一億五千三百万円、林業関係におきまして千六百六十万円、そのほか開拓地関係におきまして二百五十万円、そのほか道路、河川、橋梁等いわゆる土木関係におきまして五千五百万円というような被害でありまして、県下の被害総額は約五億六千八百万円見当になっておりました。ところが私たちが参りました前日の四日の未明からただいま申し上げました被害の統計にございませんものが、また出て参ったわけでありまして、四日の未明から津軽地帯に豪雨がありまして、岩木川あるいは赤石川、中村川というようなものが非常に増水をいたしまして、そうして前の被害には入っていない、前の雨では落ちなかった岩木川の橋がさらに新たに十一、又赤石川において三つの橋、計十四橋が流出をいたしております。その他田畑の冠水が二百三十町歩を越えるというように言われております、これらの被害の額というものは、今申しました被害の集計には入っていないものであります。  最後に岩手につきまして申し上げたいと思いまするが、岩手でも今回の水害の前にすでに三月に融雪の被害があって、三月十八日、二十一日、二十四日までの豪雨、主といたしまして農業用の施設に被害がありまして、その金額が一億二千四百万円と言われております。その次に、今回の水害になりまする前五月二十八、九日にまた水害がありまして、県の東海岸が農業施設を相当やられております。その農業施設の被害が一億五千百万円、苗しろや麦等の被害が五千七百万円、山林の被害が四千四百万円計三億七千六百万円というものが今回の水害の前に、そういう被害が出て参っておるわけであります。そうして今度は他県と同じように六月二十四日以来の豪雨で、県の西南部奥羽山脈一帯に三百二十九ミリに達します降雨があったのであります。その結果、北上川に注いでおります和賀川地帯、横手の方から北上に流れて来るわけでありますが、この地帯が非常に被害を受けておるわけであります。和賀川その他西部に水源を有しまする河川が実際に水位が順次増量いたしまして、農地の作物、山林、堤防等に甚大な被害を与えておるわけであります。当時わかっておりました被害を見まするというと、水稲におきまして四千五百七十四町歩、その金額が一億九千万円、畑作におきまして五千三百五十町歩、金額にいたしまして九千二百二十六万円、そのほか農地四百八十一町歩の冠水等によりまして六千九百三十九万円、その他の被害を合せまして農地関係におきましては一億七千三百万円ぐらいになっておるのであります。また林業関係におきまして山の崩壊あるいは林道等の決壊がありまして、それにまた薪炭関係被害もありまして一億一千七百九十万円ぐらいの予想を立てられております。そのほかあそこはちょうど養蚕地帯でありますので、その面におきましても三百四十七万円ぐらいの被害が出ております。土木関係におきましては四百三十四カ所、四億五千八十万円ぐらいの被害になっております。その地合計いたしますると十億五千六百万円ばかりの被害の集計になっておるのであります。  なお、仙台の農地事務局におきまする七月七日までに向うに入っておりました集計によりまするというと、管内の農地被害額は、この被害県四県を合しまして十七億八千九百万円ぐらいになっておるようであります。  また林業関係におきましては、国有林野だけでありまするが、秋田営林局管内におきまして六月の二十七日現在、多少古いのでありまするが、ここにおきましては一億九千七百万円、また青森営林局管内におきましては二千七百万円ぐらいの被害が集計されておった次第であります。  こういう被害は今後の調査が判明いたしますればさらに増加をすることと思いまするが、これらの災害復旧に対しまして、各地元におきます関係方面からの特に要望のありました事項をかいつまんで申し上げてみたいと思います。  まず第一に、耕地関係につきましては一般耕地及び開拓地の流失、埋没並びに農業用施設の復旧につきまして早急に事業査定を行いまして助成措置を講じ、つなぎ資金を斡旋をしてもらいたいという要望が、これはどこでもあったわけであります。二番目といたしまして林道及び治山治水事業について助成措置を講ぜられたい。三は、水田、畑の代作を必要とするものについては代替種子の購入費の助成措置を講じてもらいたい、ただ申し上げるまでもなしに、東北地帯の水田はこれを畑にいたしたいと思いましても、代作を植えようと思いましても、とうてい代作のきかないような湿地地帯が多いわけでありまして、畑を除きますれば水田に代作をこれからやって行くというようなことは、まずあの地帯におきましては考えられないのじゃなかろうか、こういうふうに見て参りました。まだ畑に残っておりまする麦や菜種等におきましてもほとんど刈り取りもできないというような、泥がやわらかく埋まっておるというような状態であったわけであります。四は、病虫害の激発が予想されますので、異常発生といたしましてこの防除用農薬剤費等を助成してもらいたい。これは非常に強い要望がありました。五は、桑園――桑畑の復旧、あるいは病虫害につきましても同様の措置を講じてもらいたい。六は、被害農家には新たに多額な営農資金というものを供給してもらいたい。これは資金の償還能力もないわけでありますので、今回成立を見ました、四、五月凍霜害、水害に対する特別措置法と同様に低利の資金の供給、利子補給の措置を講じてもらいたい。さらに後ほども申し上げたいと思いまするが、この東北地帯は前に冷害なり凍霜害を受けておりまして、その資金を借りておりまするので、その償還にまず支障を来すわけでありまするから、それをぜひ延期なりあるいは借りかえの措置を講じてもらいたいということも、あわせて強い要望があったわけであります。七番といたしまして、耕地、農業用施設等の復旧費のうち、非補助分の事業費資金については、農林漁業金融公庫資金のワクを割り当ててもらいたい。八は、農業共済金の早急な支払い、仮払いというような措置を講じてもらいたいという要望であります。それから九番といたしまして被害農家のうち飯米不足農家に対しましては、米麦の安売り、またその代金の延納の措置を講じてもらいたい。これは私たちの見ましたところにおきましては、九州の佐賀あたりの水害等と違いまして、農家が飯米を持っておりますものをそのまま流したというような例はあまりないようであります。結局これからとれまするものがとれないということでありまするので、この秋からさっそく来年の収穫を見まするまで食べるものは何もない、こういう状態になりまするからして、ぜひそういう飯米を安く、しかも代金延納をもって払い下げをしてもらいたい、こういう要求であります。  それからこれは特殊の地帯でありまするが、青森県におきましては先ほど申しましたような関係で、リンゴの被害がありまするので、それらに対しまする低利長期の営農資金というものを融資をしてもらいたい、またこれは岩手のような家畜地帯の要望でありまするが、家畜の防疫補助も出してもらいたい。さらにまたこれから仕事をやって参りまする炭焼きの原木の払い下げ、あるいはかまどの修理等につきまして特別の配慮をしてもらいたい、こういうのがそういう関係地方からの要望であります。そのほか治山治水、調整ダムの建設、気象施設の整備等すみやかにその恒久的な対策をぜひ早急に立ててもらいたいという要望は、これはまあ八郎潟の今後の干拓の問題、あるいはまたいわゆる岩木川流域の西津軽灌漑、排水の問題、あるいは岩手県におきまするあの総合開発の問題というようなものとからんで、強い要望のありましたことであります。さらにまた特に各農家の方々からは、とにかく現在仕事がないわけであります。何とかして地元に小さい開墾のできる、あるいは土地改良事業というようなものを早急に起してもらって、そうして現金収入の一日も早くあるように政府におきましてはすみやかな措置を願いたいということは、地元の農民から非常に強い要望をされた次第であります。この地帯は申し上げるまでもなしに、常時はいわゆる日本の穀倉地帯といたしまして、いずれの県におきましても相当量の米を県外に移出をいたしておりまする穀倉地帯であります。ところが何分にも御承知通りにいわゆる単作地帯でありまして、貧困の程度もひどいわけでありまするし、最近、先ほど申しましたように、二十八年におきましては冷害、さらに去年は凍霜害というような続きましての災害を受けておるわけでありまして、今回の災害を合せまして、やはり政府におきましては何らかのよほど強い助成の措置をとってもらわなければ復旧は困難であるというような状態でありまして、この点は政府としましてもよほど熱意を持って考えなければならない問題ではなかろうか、こう考えて参った次第であります。  以上被害状況及び現地におきまする要望をかいつまんでお話を申し上げました次第であります。
  65. 江田三郎

    委員長江田三郎君) まことに詳細な報告をいただきましてありがとうございました。この問題につきましては日をあらためて政府当局の出席を得て協議いたしたいと思います。  本日はこれで散会いたします。    午後四時三十八分散会      ―――――・―――――