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1955-07-07 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月七日(木曜日)    午前十時二十六分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            三橋八次郎君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君            鈴木 強平君   衆議院議員            松浦 東介君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    外務政務次官  園田  直君    外務省参事官  矢口 麓藏君    農林政務次官  吉川 久衛君    農林省農地局長 渡部 伍良君    食糧庁長官   清井  正君    水産庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君   説明員    農林大臣官房総    合開発課長   庵原 文二君    農林省農地局入    植課長     和栗  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の  一部を改正する法律案(衆議院送  付、予備審査) ○連合審査会開会の件 ○農林水産政策に関する調査の件  (昭和三十年産米価格等に関する  件)  (日本海外移住振興株式会社法案に  関する件)  (昭和三十年産米の集荷及びその価  格等に関する件)  (漁業用燃油に関する件)     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  本法律案につきましては六月二十三日の委員会において提案理由説明を聞いたのでありまして、本日は直ちに質疑に入ります。発議者衆議院議員松浦東介君と官房の総合開発課長が見えております。  ちょっと私お尋ねしますが、これが議決された場合の予算関係については、これはどういうことになるのでございますか。大蔵省その他との関係もありましょうが、どういう見通しになっておりますか。
  3. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 延長になりました場合の今後五カ年間におきます予算措置といたしましては、延長決定いたしますれば直ちに新しい法律に基く審議会が構成されまして、そこの審議会で五カ年間農業振興計画積寒地帯農業振興計画というものを審議していただいて、それに基きまして政府は必要な予算措置を講ずるという段取りになります。
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) そうすると大体これで行きますと、経費は五カ年間に百億というものを年々出して行く、百億というものを五カ年間に割って出して行く、こういうことになりますか。
  5. 庵原文二

    説明員庵原文二君) ただいま申し上げましたように、審議会決定を経て振興計画が作られるわけでございますが、一応事務当局で目算いたしましたものは、五カ年間農地整備耕種改善畜産振興、その他農村振興総合施設等を含めまして大体毎年百億ずつ、五カ年間に五百億程度経費を要するものというふうに予想いたしております。
  6. 江田三郎

    委員長江田三郎君) これは政府提案でないのですから、どらも政府へ聞いてもおかしいことになるのですが、どういうことになりますか、この毎年百億ずつを五カ年続けて出すという予算措置は、これは提案者としてはもちろん自信を持っておられると思いますが、政府としてそれだけのものをお約束できるわけですか。
  7. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 年間百億というのは、従来の積寒地帯における事業計画等を参酌して一応目算を立てたわけでございますが、この通りに行きますかどうかは、法律にも毎年度財政の許す範囲内において、」云々という規定がございますので、この通りに行きますかどうかということは、私からちょっと申し上げかねますが、事務当局といたしましても、もし法案延長になりますれば、こういう計画の実現に極力努力いたしたいと考えております。
  8. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょうど政務次官がお見えになりましたから、この積寒法の一部改正をした場合に、年間約百億という予定になるわけですが、それだけのものを農林省としては責任をもって実行する用意がございますか、三十一年度……。なお提案者の方からもお答えを願えれば……。
  9. 松浦東介

    衆議院議員松浦東介君) 御承知のようにこの法律の一部改正をお願いいたしましたのは、この法律昭和二十五年から二十六年にかけまして議員提出で作られた法律でございますが、御承知のようにこの日本の北の方、あるいは日本海に面するところの裏日本と呼ばれまするところの地帯は、非常に雪が降り、また寒きが激しく、非常に土地利用率も低い。立地条件がきわめて悪条件が重なっておるというような状態にありますので、何とかこの恵まれない地方に対しましても、政治的な恩恵に浴させたい、そうして非常におくれております後進性を取り戻したいという、こういう考え方がだんだんまとまって本法の成立を見たような次第であったのでございまするが、最初はこれは五カ年間の御承知時限立法でございまして、その間に解決したいという考え方を持っておったのでございますが、財政上その他の幾多の制約がございまして、まだ必要の仕事も残っておるわけでございます。またこの法律に対しまする住民の期待も非常に大きいようでございますので、われわれこれを延長して、その残った仕事をするのが最も適当である、かように認めました結果、今回この期限延長ということを内容としますところの一部改正提案いたしたような次第なんでございますので、われわれはこの五カ年の間には、どうしても今回予定いたしておりまする月百億というようなものを何とか財政の許す範囲においてこれを予算の上に計上いたしまして、所期目的を達成いたしたい、かように考えておるような次第でございます。
  10. 吉川久衛

    政府委員吉川久衛君) 本法が制定されましてから種々の事情所期目的を十分達成していないように私ども考えておりますので、これが延長によりまして、できる限りその目的の達成のために政府といたしましても十分考えなければならないと思っております。延長措置がとられた意義のあるように、政府としては対処しなければならないと考えておりますが、ただいま具体的に百億というお話しがございましたが、三十一年度からは町村から県へ、県から中央に出て参ります計画等十分検討をいたしまして、今申し上げましたような法案延長を意義あらしめるような措置を講ずる所存でございます。
  11. 森八三一

    ○森八三一君 この法律は、先刻提案者の代表である松浦代議士からお話しがありましたように、議員提案として衆参両院の総意で決定されて、五カ年間計画されておる積雪寒冷単作地帯振興をやり遂げるという熱情をこめて成立したにもかかわらず、すでに五カ年間を経過しようとしている今日、提案理由説明書によりますると、わずかに三〇%程度より進行しておらぬ。それが今回の期限延長という処置を講じざるを得ないという結果に相なっておると思うのであります。そこで今政務次官からお話のように、この法律が成立いたしますれば、今後とも五カ年間には善処をするということでありますが、過去のようなことで、またぶり返して参りますれば、また再延長というようなことになる危険がないとは言えませんので、少くともこの法律が成立して今後の五カ年間にはこの恵まれない、しかも供出食糧の六〇%を担当しているという時節柄、ほんとうに大切な地域における食糧増産中心としての問題が遺憾なく進んで行くように、格別の努力を希望するのでありますが、それに関連してお伺いいたしたいことは、この法律内容でありますが、これについては、その趣旨を達成いたしまするためには、なお多少具体的に改正すべき必要のある点が存在をしておると思うのであります。なお、現在行政措置として行われておる他の施策等との関連においても、多少整備すべき必要の部分があるように思いますが、そういうような部分について政府当局として御研究になっておることがありますれば、その御研究事情をお伺いいたしたいし、また提案者といたしましても、そういう問題について御研究がございますといたしますれば、その御研究の実体をこの際承わっておきたいと思います。もちろんそういうような問題を含めた抜本的な措置をいたしまするのには、相当の期日を要するのでありますので、今回期限延長をした上で改めてそういう問題は検討するというような御意向があるのかどうか、そういう点もあらためてお伺いをいたします。
  12. 松浦東介

    衆議院議員松浦東介君) ただいまの御質問でございますが、私は先ほど申し上げましたように、この法律昭和二十五年から二十六年にかけて作られた議員立法でございます。その当時は御承知のようにわが国は連合軍占領下に置かれました情勢にございましたので、法律を作るには非常にむずかしい時期でございまして、御承知のように一条改正するにも、一条を修正するにも一々許可を得なければならないというような、きわめて制約を受けた時代でありましたことは御承知通りでございます。そこでこの法律は、私はその当時から完全無欠とは考えておりませんでございました。しかもその後約四カ年間この法律施行して参りまして、一部改正をいたしたようなことでもあったわけございますけれども、私は内容的にも五カ年延長いたしました暁には、これは十分考慮すべき問題があるようではないか、かように考えておるのでありまして、私個人といたしましては、全くその内容の一部を改正する点については御同感であるわけでございます。そこで今回はこの延長内容といたしまする一部改正法律案が通過するようにお願いできまするならば、この法律規定せられておりまするところの審議会等中心といたしまして、また皆様方の御意見をよく参酌いたしまして、そして完璧な内容法律改善をはかりたい、かような考えを持っておるような次第でございます。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 松浦さんもまあ大臣級の答弁をしておられるが、実際には法律が不備であるかどうかは別としましても、予算を、一体五カ年でやるというやつを年度内でやるかやらぬか、これが問題があると思う。だから五カ年延ばしても、どうせ法律なんというものは完全なんというのはできませんから、目的が達せられるように政府努力する気があれば問題は楽に解決するんだ、私はそう思うのです。だから法律なんというものは少しくらいどうでもいいが、あとの五カ年で残り分全部やるだけの民主党は腹があるかないか、こういうのだろうと思う。
  14. 吉川久衛

    政府委員吉川久衛君) 森委員の御質問もございましたが、本法内容等について検討をしたことがあるかどうかというような御質問にも関連を持っておりますので、溝澤委員の御質問とあわせてお答えを申し上げます。私ども本法内容について大きく手を加えることを別に考えたことはございません。問題は予算的な裏付けをどうするかということで今日までいろいろと苦慮いたしましたが、思うにまかせなかったのでございまして、この点は一つ清澤委員からも、御指摘の通り、私どもはこの法律立法精神にのっとりまして、できるだけの予算的な措置を今後講ずべきである、熱意をもってやらなければならないという私どもの決意のほどを申し上げて御了解を願いたいと思います。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはまあ新潟県を大体中心にいたしてやりました法律ですが、この裏には非常な政治性を持っておるのです。ということは、明治維新以来の中央政府というものは、いわゆる藩閥官僚政府であって、薩長中心にした政府、従って東北方面は反旗を翻えした藩が多いのであります。従ってまあ取扱い薩長等中心にした南の方の政治に非常に厚く行われて、従って東北方面が閑却せられたということが、たまたま昭和九年の冷害に当面して、あるいは小作争議等を通じての調査の結果そういう線がはっきりわかりましたので、従って東北方面は常に今まで差別待遇が行われている、これが中心なんです。しかも供米という時期に遭遇して、最大の供米地区としてのこの東北方面の二毛作と一毛作田における価格の問題を中心にした一つの反発が、こういう問題として東北方面特別力を入れる、こういう意思表示なんでありますから、従ってこれをあまり長く投げて置かれるととんでもない話だと思うのです。根底はそこにあるのです。東北が最も日本の長い伝統における藩閥官僚といわれた、いわゆる軍閥官僚といわれた政治に対するやはり反抗なんです。こういう意味合いを持ちますので、従ってやはりそういう点を重視せられて予算的処置はもう間違いなし、五カ年でやってもらうようにして努力していただきたいと思います。
  16. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっともう一ぺんお尋ねしますけれども、これは提案者両方にお尋ねするわけですけれども、この施行に要する経費で、あとで正誤が行われているわけですが、最初の誤った方で行きますというと、施行に要する経費は約百億の見込みである、こうはっきり書いてあったわけですが、正の方ではその点が非常に詳しく書いてありますが、この詳しく書いてあるだけに非常にぼんやりしまして、「積雪寒冷単作地帯農業振興計画内容によって定まる。」と、そういうようなことで、一体今清澤委員の方から言われました残事業が何年でできるものやら、その内容によってきまるということで非常にぼんやりしているわけです。ただその次に「昭和三十一年度において、要土地改良事業量の一割程度事業を実施しかつこれと均衡のとれたその他の営農改善施設事業を実施するものとすれば、その所要額は、約百億円である。」というように「するものとすれば」という非常に仮定の上に立っているのですが、これは提案者の方では大体この事業には年間百億というのは、これは国の経費ですか何ですか、その点もはっきりしたことを聞きたいのですが、年間どれだけの国の経費を使うというお気持なのか。それからまた政府の方ではこの施行に要する経費の文章をどういうように受取っておられるのか、善処するということははっきりわかりましたけれども、どうもここの書き方が非常にぼんやりしておりまして、場合によれば清澤委員が今心配されましたような、きめたところで内容によってきまるので、実施するとすればというようなことは、これまたどういうようなことになるか、将来また重ねてあるいはもう一ぺん延長しなければならぬというような問題も起きるわけですから、提案者の方の意図と、政府はこれをどう受取っておられるのか、先ほど政務次官の言われた、善処するというのはどういう基礎の上に立って善処されるのか、その点をもう一ぺんはっきりして頂きたい。
  17. 松浦東介

    衆議院議員松浦東介君) 私の気持を率直に申し上げますならば、これはこの立法精神につきましては清澤さんがお述べになったようなことでございまして、なるべく限定法でございますから、限られた期間内にこの大きな目的を達したい、こういう私は念願に燃えておるような次第でございます。本来は五カ年間でやりたかったのでございますが、それが財政上その他の理由、さまざまなことの制約を受けましてできなかったことはまことに遺憾でございまして、私は今度延長するようなことになりましたならば、五カ年先のことはもちろんはっきりしたことは申し上げかねるのでございますけれども、その期間内に一部法律改正をいたしますとか、何とかそういう点も考慮をいたしまして、そうして審議会というものを中心にわれわれが国費年間約百億ということを目途として、あくまでその内部においてこの目的を達成するためには最善の努力をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、先ほどの森さんやあるいは清澤さんのお考え方には私はまったく同感なのでございます。さような立法精神から考えましても、なるべくこの五カ年間目的の大半を終了いたしたい、こう私は考えておる次第でございます。
  18. 吉川久衛

    政府委員吉川久衛君) 政府といたしましては本法の第五条にも明定してあります通り農業振興計画を参酌いたしまして、審議会議決を経て国の農業振興計画を定めるということになっております。その計画が定まりまして、農業振興計画を実施するために必要な経費予算に計上しなければならないとなっておりますので、この点は審議会等の御意見によりまして、ただいまお話期待の線を実現できるように、これは政府熱意を持てばできるのではないかと思いますので、御了承願いたいと思います。
  19. 重政庸徳

    重政庸徳君 提案者政府両方にお尋ねいたしたいのですが、この積寒法は御承知のように東北のような地帯は別にして、しかし東北でも山間部にきわめてこういう、これに該当する地帯が多い、特に東北の、その他ほかの地方積寒地帯のものはほとんど山間部に属しておる。この法律によると、面積は実際小面積までできることになっておる。しかるに今まで農林省大蔵省の取引で二十町歩以上でなければ施行しないということにやっておるのです。こういうことはどういうことかと思うのです。この法の精神を私は没却しておるのじゃないかと思うのです。この点は今度の法律改正においてももちろんそういうことは触れておらないのだが、これは提案者政府もどうお考えになっておるか。
  20. 松浦東介

    衆議院議員松浦東介君) まことに御意見御もっともでございまして、私どもも実は最初立法をいたしますときからあなたと同様の考えをもって進んで参ったのでありますが、なかなかその解決が容易でなかったことも御承知通りでございます。しかしながらだんだん皆様方の御意見なり、この積寒地帯審議会等意見が反映いたしまして、御承知のようにことしからは小団地土地改良等も正規にこれは認め、予算にも計上するというような段階になったわけでございますので、御主張はまだ十分とは申し上げるほどの予算はないようでございますけれども、一応筋を通したのである、かように考えております。
  21. 重政庸徳

    重政庸徳君 政府は……。
  22. 吉川久衛

    政府委員吉川久衛君) 私もこの本法制定当時は二十町歩未満のものもこれでやるべきであるという考え方を持っていたのでありますが、御案内の通り事情許されず、本年度予算にただいま提案者からもお話がありましたように、きわめてわずかではございますが、橋頭堡的なものが盛られましたので、これから毎年これを拡大強化して御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
  23. 重政庸徳

    重政庸徳君 今年度からできた諸設備を拡大強化するとおっしゃったが、これは当然で、これが非常に農業政策として最も適切だというのでそういう措置ができた。ところが私はこの積寒法の適用においてそういう精神で将来おやりになる考えがあるか、従来のこの法の精神通りに実はやっておらないので、農林省大蔵省の間でそういうとりきめをしておる。将来この改正後においては、ことし初めてできた諸設備事業趣旨をくんで、そういうような取扱いをおやりになるかどうかということを一つお答え願いたい。
  24. 吉川久衛

    政府委員吉川久衛君) 重政さんのおっしゃる通り私も実は在野時代この小団地土地改良の問題の必要を感じまして、執拗に大蔵省に質したのでございますが、なかなかこの問題が解決されなかったのでございます。もちろん積寒法精神もさようなものを期待していたと私は確信をいたしていたのでありますが、先ほど申し上げる通りついに具現を見なかったのでございます。これはぜひ一つ実現できるように私ども努力いたしますが、どうも同じ政府の中ではございますが、大蔵省考え方とわれわれの考え方の中に相当径庭等もございましたので、どうか委員各位の御協力を得まして、ぜひ一つこの法の精神を活かすということは、同時にその御期待に沿うような結果になると思いますので、私ども努力をいたしますが、御協力をお願いいたします。
  25. 重政庸徳

    重政庸徳君 これはまあ五カ年前のこの法が制定せられたときの事態は、今御説明にあった通りにそういう二十町歩というところで暗々裏に了承したのではないかと思うのですが、その後政府は自発的にこういう小団地農業政策として小団地に及ぼす事業をやらねばならぬという予算はできてきておるのですが、これは大蔵省といえどもこの積寒法精神改正後においてやはり小団地に及ぼすということは私は異議がないように思う。どこからつついても、理論からいっても私は異議がない、どうか一つそのつもりで、われわれのできるだけのことはしたいと思いますから、そのつもりで農林省一つ大蔵省と御折衝になっていただきたいと思います。
  26. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今度五カ年間に約五百億の金が要るというお話ですが、どういうところから五百億出るのですか。
  27. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 先ほど御説明申し上げましたように農業振興計画は、この法律延長後において審議会議決を経て決定されるわけでございますので、ただいまの段階といたしましては事務当局でおよその予想という数字を立てましたものは、大体年間百億程度、五カ年間に五百億程度というところでございます。これは残事業量積寒地帯における土地改良事業等残事業量を今後五カ年間にやるとすればこういう計算もできるということでございます。
  28. 森八三一

    ○森八三一君 よく関係法規を調べればわかると思いますが、市町村合併統合等関連しまして、従来指定地域が他の町村合併したという場合には、当然新しい市町村指定地域にする告示を変更されるという手続がとられると承知しますが、そういう場合に本法の第三条に基きまして市町村長農業振興計画を立ててそれを市町村議会に付議して議決せねばならぬ。その議決が、従来合併前の町村では議決を経て提出をせられておった。それが新しい別個の市町村になった場合に、議決はもち一ぺんやらなければならないのか、前の議決がそのまま生きているのかどうか、その点はどうでございますか。
  29. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 合併に伴いまして積寒地域として指定せられました行政区域が変更がございました場合、この取り扱いにつきましては、従来積寒地帯として指定せられておった市町村は、原則として合併のいかんにかかわらずそのまま継続して有効であるという取り扱いにいたしております。これは新議会決定を経ましてそういう取扱いになると思います。農業振興計画は、かりにまあ五カ村が合併します、そのうちの一カ村だけが積寒地帯に該当しているという場合に、前の農業振興計画をもってその市町村振興計画ということに認めるという取扱いにいたしております。
  30. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話の三条の第二項によって議会議決を経なければならぬ、その地域指定が変更されて行くことについては、はっきり明文がありますので了承いたしますが、今お話合併前の町村議会の行いました議決というものが、合併後の、今課長お話のごとく五カ町村合併して、そのうちの一つだけが従来の指定地域であった、それは一町村指定地域になりますので、指定地域の問題はありません。議決というその行為町村の負担があるわけでありますので、前の議決がそのまま有効と認めるということはどういう規定根拠を求めてそういうことになるのか。そうなければならぬという必然性は理解いたしますが、法律上の行為としてそれは有効であるのか無効であるのか、それは有効でなければならぬと思うが、それはどういうところに根拠を求めてそういう結果になるのか伺いたい。
  31. 庵原文二

    説明員庵原文二君) この市町村農業振興計画としては新しい合併後の市町村議会議決を経ることは当然であります。ただ暫定的な取扱いといたしまして、以前の市町村農業振興計画というものをとりあえず用いて、もし合併が完了いたしまして、その自治体としての新しい市町村が、地方議会が構成されますれば、新しいその地域農業振興計画を新しい農業振興計画として議決する必要があると思います。
  32. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、今課長が引例せられました五つの町村合併をして新しい市町村が誕生した、その場合に、従来指定地域であった地域がそのうち一市町村だけ入っておったという場合には、新市町村議会議決を経なければその振興計画というものは臨時措置法に基いて、適法な措置ではないが、そういう手続を踏むまでは従来のものを認めて措置をせられていいと私は理解いたしました。そこでその新市町村が、市町村財政がきわめて困難な状態に置かれているという現実でありますので、地域が新しい市町村の大部分を占めるという場合におきましては、これは新市町村議決をすることにちゅうちょはしないと思います。が、新しい市町村のごく一小部分だけが指定地域であるというような場合には、市町村負担等との関係において、そういう議決がきわめてなだらかに進んで行くかどうかという杞憂を持つものでありますが、そういう事態に対処して、農林省としてはどういうような心構えで御指導なされるのか、その点を念のために伺っておきたいと思います。
  33. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 御心配になりますような事態が出て参ることも考えられますが、ただいまのところで私どもはそういう事例を承知いたしておりません。ただ御心配のような事態は好ましくないと思いまするし、極力そういうことのないようにいたしたいと思いますが、これは市町村合併という非常に大きな変換でございますので、将来におきまして、そういう地域の扱いというものについてなお十分検討いたしまして、確定的な取扱いを定める必要があるのではなかろうかと思いまして、ただいま研究中でございます。
  34. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま私の質問いたしましたような事態は現実の問題としてはまだ発生をしておらぬと思います。またそうあってはならぬと思いますが、市町村合併等につきましては、その合併の条件として比較的恵まれない寒冷単作地帯に属するような地域を含めて新しい市町村を作ろうという場合に、学校の施設であるとか、通信、交通の整備であるとかいうようなことが非常に大きくクローズ・アップせられて、その魅力によって合併しているというような事実も相当あると思います。といたしますと、町村財政には限度があるわけでありますので、そういうような町村合併の一種の公約となったような事項が優先的に推進されるというようなことになりますと、本法による農業開発のことは町村財政の圧迫から自然あと回しになってくるという危険が多分にあり、そのためにせっかく法律期限延長いたしましても、今後五カ年間には少くとも五年前に本法が成立しましたとき、われわれが希望いたしましたことを今回は間違いなくやってのけようという決心で進もうといたしましても、その最終の責任主体である市町村が、そういうようなことから事業の進行に支障をもちきたすという危険が私は起きる場合もないとは言えないと思います。そういう場合にはこの仕事が国家的にいかに意義があるかということを十分お話をいただきまして、そういうような市町村の啓蒙に遺憾なきを期していただきまして、この法律趣旨市町村合併等に災いせられてゆがめられて行きませぬように、行政当局の指導督励を十分やっていただきたいということを希望いたします。
  35. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を止めて。   〔速記中止〕
  36. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて下さい。本法律案につきましては衆議院を通過してまました際、残余の質疑を終り、直ちに討論採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 江田三郎

    委員長江田三郎君) さよう取り扱いまして、本日はこの程度にします。ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  38. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて下さい。連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  本院規則第三十六条に基き、砂糖の価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案について商工委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めます。  なお、この開会の日程等は、今後の審議の状況とにらみ合せまして、委員長に、もし御異議がないといたしますれば、御一任願えればいいと思いますが。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めて、連合審査会を開くことだけは決定いたしておきます。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  41. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  休憩いたします。午後は一時から農林大臣の出席を得まして、米麦価等の問題についての審議をいたしたいと思います。しばらく休憩いたします。    午前十一時十八分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  42. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではただいまから委員会を再開いたします。  午前中に予定として申しておきました午後は農林大臣の出席を得て、昭和三十年産米の価格等を議題にいたすことになっておりましたが、先ほど連絡がありまして、午後一時に出席するということになっておったのが、今米価の問題について、なお関係大臣と協議中で、三時までには必ず出席をするから、それまで待ってくれという連絡がございましたので、予定を変更して三時ごろから大臣の出席を得ての問題に移りたいと思います。  で、その前に、先ほど休憩中に御相談を願いました、昭和三十年産米価格等に関する決議の草案ができまして、お手元に配っておりますので、これを議題にいたしたいと思います。それではお手元に配ってございますが、読み上げてみます。  この決議案につきまして御意見があれば……この決議案を決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは満場一致当委員会の総意としてこの決議を決定いたします。この扱いにつきましては、先ほど申しましたように、三時から農林大臣が見えますので、その際この決議に対する政府の意向をただしたいと思います。     —————————————
  44. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に、日本海外移住振興株式会社法案の件を議題にいたします。  本法律案は去る六月二十二日、内閣から予備審査のため提出、同日外務委員会に予備付託になったものであります。  わが国の農業と海外移民とは密接不離の関係にあり、わが国農業のためにも、また海外移民のためにもきわめて重要な関係を持っておるのでありまして、従って当委員会におきましても本法案につきまして重大な関心を持たざるを得ないわけでございます。つきましては本日外務及び農林事務当局から説明を聞き、本法律案取扱い方について御協議を願いたいと存じますが、外務事務当局の方はまだ見えておりませんので、農林当局の方から先に、本年度の海外移民の計画及びそれとの関連においてのこの法案に対する見解を聞きたいと思います。  なお、海外移民問題につきましては、昨年の本委員会でも、外務省と農林省との両当局の間が円滑を欠いて、これがために移民の諸君が現地において事業的に非常に苦しい立場になっておるというようなことが問題になったいきさつもございますので、そういうような外務及び農林当局との仕事の調整がその後どういう工合にでき上ったかというようなことにつきましても、農林当局の方から説明を聞いておきたいと思います。
  45. 和栗博

    説明員(和栗博君) 昨年南米の移民の仕事の事務のやり方につきまして、南米移民が九割五分以上農業移民でございますので、外務省と農林省との間におきまして両省の分担の分野、事務の分担分野をどういうふうにしてやっていくかということにつきまして、二十九年の七月に一応閣議決定を見ましておるわけでございますが、その閣議決定の解釈をめぐりまして、その後やはり農林、外務の間で絶えず仕事のやり方がごたごたいたしまして、なかなかスムーズに参らなかったわけでございます。そこで本年に入りまして、外務省に移住局を設置するという話が出ましたときに、あらためて、昨年の閣議決定の解釈がはっきりしていなかったために事務がスムーズに進まなかったという点から、もう一度この問題を取り上げまして、外務、農林両省間の仕事の分担分野を一応はっきりさして参ったわけでございます。なお、その席には、労働省も参加いたしまして、将来起るであろう純然たる雇用移民の問題も加味いたしまして、そういうような仕事の分担分野の話し合いをいたしたわけでございます。その場合に大体国内におきまする農業移民の募集、選考及び実務講習、それは当初から出発港の移住あっせん所に入るまでの仕事は、農業移民に関してはこれは農林省が担当をしてやる。出発港以後は一応外務省がやるというような話し合いに、大ざっぱに申し上げますと、そういうことに相なったわけでございます。従いまして外務省にできます移住局も大体そういう移民外交を重点といたしまして、海外の仕事に主として当る。なお、国内の事務につきましては、いわゆる外務省が移民の主務官庁的な立場におきまして、連絡、調整をはかるというようなことで、一応その線はきまったわけでございます。第二点の海外移住振興株式会社法案がこの国会に提出になっております。外務省の方から出ておるわけでございますが、この法案を国会に出します場合も、外務省と大蔵省農林省と三者集まりまして、外務省の原案に対しまして、いろいろ修正の希望意見なんかを申し述べまして、とにかく一応現在提案になっておる案をまとめまして、国会の御審議をお願いするという形になっておるわけでございます。農林省の方の、この移住振興株式会社法案の中におきまして、農林省が非常にまあ関心を持ち、希望をいたしておる点を二つばかり申し上げまして御審議の参考に資したいというふうに考えるわけでございますが、第一の点は、この会社の法案が先ほど申し上げましたように、外務省の原案のほかに農林省意見なり、大蔵省意見が加味されまして一応できておるわけでございます。  第一条に会社の目的がございまして、第八条には具体的にその業務内容がはっきり書いてあるわけでございますが、その会社の行う事業内容が非常に広範になってきておるわけでございます。一つは渡航費の貸付という点と、これは第八条の方に号を分けて書いてございますが、移住者に対して渡航費を貸し付けるという点、それから第二号といたしまして、向うに移住いたしまして、農業、漁業、工業なんかを行います移住者なり、移住者の団体に対して、その事業に必要な資金を貸し付けるということ、それから第三は、今度は外国において農業や漁業や工業その他の事業を行う者であって、その事業を行うことによって日本から移民を招致できるというような、そういうような事業に対して金融なり投資をするということでございます。いわゆる移民を将来呼ぶであろう企業に投融資をする、いわゆる移民を招致する基盤に対して投融資をするということが第三号にございます。第四号に参りますと、この会社自体が必要な場合には自分で農業や漁業や工業の事業を、自分で行うことができる。五号へ参りますと、以上の各号に掲げたほか、これらに関連する必要な事業を行う、というふうになっておりまして、簡単に申しますと、前半は移民に対する金融をやるのだという面と、それから後半は企業に対する、将来移民を招致するであろう企業に対する金融ということが書いてあるわけでございます。この場合に私どもといたしまして非常に心配をいたしております点は、この会社の事業の重点が、送り出す移民に対する金融に重点が置かれているのか、将来移民を招致するであろう企業に対する投融資に重点が置かれておるかという点に非常に関心を持たざるを得ないような状況でございます。農林省側の方の希望といたしましては、すでに二十七年以来農業移民を今日まで送出をいたして参っております。約九百戸足らず、人数にいたしまして五千人をオーバーする農業移民を送り出してきているわけでございます。今まで送り出した移民の大体百パーセントは農民移民というような格好になっているわけでございますが、将来といたしましても、やはり農業移民が大宗になっていくだろうというふうに考えられますし、それから今後は漁業も相当に進出をしなければならないし、できるであろうというような情勢になっておりますので、そういう点から考えて参りますと、今まで政府といたしまして送り出した農業移民を、まず最初にこれが現地におきまして育つようにすることが、そういうような目的のために第一にこの会社の金が使われるべきではないか。第二には今後送り出されるであろう農業なり、漁業の移民に対する金融、そういう人たちが向うへ行ってうまく育っていくために必要なところにこの資金が使われるべきではなかろうかというふうに考えるのでございます。もちろん将来の理想といたしましては、今後日本人を招致するような企業に投融資することもけっこうでございますけれども、何と申しましても、この千五百万ドルの借款の問題といたしましても、これは五カ年間に分けて借りるわけでございまして、年間は大体三銀行からそれぞれ百万ドルずつ、いわゆる三百万ドル程度の資金でございますので、そう大きな資金ではございません、いわゆるまあ年にいたしますと十億程度の資金でございますが、その資金が、非常に会社の持っておる資金が少いという観点から、その資金がどこに主として使われていくかということに非常な関心を持たざるを得ないのでございまして、先ほど申し上げましたように、農林省といたしましては、今まで送り出した農業移民、また今後送り出すであろう農業なり、漁業の移民のためにそれが使われるようになることを非常に希望いたしておるわけでございます。しかしながらそれはこの法案自体の問題と申しますよりは、今後会社がどういうふうに事業計画を立て、運営されるかという点になるわけでございます。その点が第一点でございまして、第二点といたしましては、この法案は外務大臣の監督をするところと相なっておるわけでございますが、外務大臣がこの会社に関するいろいろの事項につきまして認可をする場合に、特定事業につきましては、大蔵大臣に協議しなければならないというふうになっておるわけでございます。従いまして農林大臣はこの法文には全然現われていないわけでございまして、法文上から考えてみました場合には、外務大臣と大蔵大臣との相談でこの会社の指導監督が行われるというような格好になっておるわけでございます。なお、これに対して農林省といたしましては、やはり移民の実態が農業移民が大部分であり、今後漁業の仕事相当に進出をするであろうというふうに考えられまするので、こういう面につきましては、この会社の事業計画等につきましては、この法文にはございませんけれども農林省としては非常な関心を持っているというようなことでございます。大体アウトラインはそういうようなことになっております。
  46. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお外務当局の方は先ほどから催促をしておりますが、事務当局の方は見えておりますが、どうしてもここへ出席する前に外務政務次官と打ち合せてこないとならぬというので、そのためにちょっと時間がおくれておりますが、もう間もなく見えると思います。そこで農林当局だけの説明でございますが、御質問がありましたらどうぞ。
  47. 戸叶武

    戸叶武君 この問題が起きました当初において、外務省と農林省の間に若干見解の相違が、縄張り争いというわけではないでしょうが、それに類似したようなトラブルがあって、その調整がなされてこういうことになり、聞くところによると、まだ完全な調整がなされていないような面も残っているようですが、その外務省と農林省の方でもって見解の相違があって、その調整した点は具体的にどういうところに現われているか、それを示していただきたい。
  48. 和栗博

    説明員(和栗博君) この外務、大蔵、農林の三省で話し合いをいたしまして調整をいたしました点といたしましては、ただいま申し上げました第一条なり第八条の面におきまして、移住者の行う農業、漁業、工業、その他の事業に必要な資金の貸し付けを行うという、いわゆる移住者なり、移住者の団体に対して融資をするという点を外務省の原案につけ加えていただいた点でございします。  それから第二点といたしましては、ただいま申し上げましたいわゆる監督の問題につきまして、農林省としては、外務大臣が事項によっては大蔵大臣に協議することになっておりますが、やはり農業なり漁業の実態というような面から考えまして、この仕事がうまく行くために、農林大臣にも事業計画は協議してもらいたいという話は出したわけでございます。それは一応この法文には現われておらない次第でございます。以上のような次第でございます。
  49. 戸叶武

    戸叶武君 その大蔵大臣に相談するというのはどこに出ているのですか。
  50. 和栗博

    説明員(和栗博君) 法文の第二十一条が監督規定になっておりまして、大蔵大臣への協議は第二十三条になっております。
  51. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この法案を通覧して見て、農林大臣というのが全然顔を出していないということは、どうも会社の行う仕事の性質からいってわれわれの了解できない点があるのですが、もし懇談の方が都合がいいならそういう経過について少し具体的な経過を聞きたいと思います。これはやはり理由のあることだろうと思う。
  52. 和栗博

    説明員(和栗博君) 外務省の方のお話では、事実上において農林省に協議をするから、法律上は一応こういうような格好にしておいてほしい、こういう御希望であります。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、まああらかじめ相談するからといっても果して実際できるでしょうかね。
  54. 和栗博

    説明員(和栗博君) 今までの過去二、三年やっております経験から申しますと、やはりこういうことははっきりしてないと、相談があったりなかったりというのが大体実情に相なっております。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 なお、引き続いてお聞きしますが、そういう実情のところへ会社というようなものが向うの移住地の人たちとの話し合いなりで移民を入れる、あるいはこの団体に金を貸したらいいというようなことを急に言われたら、なおさらあなた方の方としてはわからぬのじゃないですか、向うの見当が……。ここに非常なある種の危険を感ずるようなことはありませんですか。具体的に申しますれば最近山崎道子さんのせがれさんのところから道子さんのところへ手紙が来ている。というのは、藤原前夫ですかが、今せがれさんを連れてブラジルへ移民していらっしゃる、その際に相当の数の者を一緒に連れて行ったそうです、ところがその行き先において非常ないろいろな不便があって、ほとんど全部逃げ帰って来ている、もう非常な困難な情勢を訴えて来ておるという話があるのですが、その点でもし入り用であればいつでも私ら証人に立ってそれを開陳します、こう藤原さんが言うておられるのですが、その手紙もじきこちらの手に入りますが、そういうようなことがある中に、外務省と大蔵省だけできめて、農林省へ相談したからということで、こういうようなことで果してあなた方はこの移民ということに対して責任が持てるか持てないかどうか。むしろ農林省が全然関係しないというのなら別だけれども、なまはんかの、相談したとかしないとかというのでやって、こういうことが持てるか持てないか、こういう点に私はなると思う。そういう点に対しては大体どう考えておるか、お考えを伺いたい。
  56. 和栗博

    説明員(和栗博君) 農業移民を送出する事務を分担する農林省の立場といたしましては、やはり現地の問題につきましても当然重大な関心を払わざるを得ないわけであります。その点につきましては、先ほど申し上げましたように、外務省では農林省にもまあ事実上の協議をするから一応法文はこのままにしてほしいというお話になっておるわけであります。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 実際問題として、農業移民というものをあなた方が本腰で進めていくとするならば、あちらにちゃんと駐在官を置いて、あちらで農林省がある程度までの確信なり、企画をしたところに入れていかなければ私は問題にならないと思う。非常に遠い所で、そうして不便な場所で、しかも国情騒然たるああいう場所ですから、それくらいの親切がなかったら、移民というものは満足にいく道理はないと思う。結局行った先で何か知らぬが、ばくちで勝ったか何で勝ったかわからぬが、勝組とか負組の騒動のある場所ですから、そういう国情であってみれば、この会社と併用して農林省の出先機関くらいがあって、農林省との話し合いがつかなかったならば、こんなものは農林省自身が政府部内でたたかってやめさせるべきだと思うのですが、それくらいの考えはないのですか。
  58. 和栗博

    説明員(和栗博君) ただいま移住地の状況につきましては、毎年農林省と外務省で共同をいたしまして現地の実地調査を行なっております。主として農林省の方はいわゆる入る場所が、日本人が入っていって果してその場所で将来やっていけるような立地条件であるかどうかという点を科学的な立場、農業技術的な立場から毎年検討をいたしまして、ここならば大体やれる見通しがある、あるいはこういう条件を相手国の方で満たしてくれた場合にはやれるとか、あるいはここはとても全然悪い条件のところだから、これへはもう日本農民を送り込むことはやめようというような現地の調査は毎年やっているわけでございます。しかしながらただいま御指摘がございましたように、送り出した移民のあるいは事実上の営農の指導であるとか、あるいはその他のめんどうをみるというような面は、今度こういうような会社ができます場合には、またそういうようなところにも農民のいわゆる専門家を採用していただきまして、その人たちが要所要所に行って、実際に適したような業務の運営をするとかいうようなことが適当ではないか、あるいは、事によればなお外務省の方の御了解によりまして、農林省のそういった専門家なり技術屋を外務省の職員として、所によっては在外公館に配置するというようなこともやっていただけるならば、移民事業はうまく伸びていくのではないかというふうに、私どもはそういう面における希望は持っているわけでございます。
  59. 戸叶武

    戸叶武君 どらも農林省の方の話を聞いていると、非常に弱腰でありますが、農林省自身が弱腰であるのは勝手ですけれども、何か外務省に完全にリードせられて農林省の立場というものが非常に薄らいだような形で、当初の共管的な形でいくべきであるという要望というものは単なる縄張り争いではなかったと思うのです。やはり移民の実態が、農業移民が中心になっている。それだけれども外務省の方が外地でいろいろなあっせんをするのだから、外地の方は外務省、内地の方は農林省というような形で非常に制約を受けてきた。これは仕事の性質上そういう性格もあると思いますが、日本の今後の移民の問題、日本の農業問題、こういうものが今までのような行き方でなくて、かなり国際的な視野と国際的な観点に立っていかなければ、立ち行かなくなったときに、現地におけるところのやはり農業関係の指導というようなもの、それからたとえばこの地質の問題、適地の問題、今言ったような農業技術の問題、そういうような問題に対しては農林省の方がいろいろな専門家を持っておるのだから、もっと積極的にやはり外務省の方でそういう人たちを活用してもらうようにしなければならないというのが第一点、それともう一つは二十三条の中に、外務省の方では大蔵大臣に協議するということを法文上だけはうたっておいて、事実上は農林省と相談するからということで農林省をなだめておるようでありますが、事実上において農林省に相談するのにもかかわらず、形式上農林省というものをここにうたうことができないという論理はどういうところから出てきておるのか、この点をもっと明快にしてもらいたいと思う。この二点を私はお聞きしたい。
  60. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。
  62. 和栗博

    説明員(和栗博君) 農林省の立場といたしましては、技術的な面におきまして現地の事務につきましてはどうしても協力していかなければ農業とか漁業とかという面においてはうまくいかないのではないかというふうに私ども考えております。そういうふうに、先ほど申し上げましたように、場合によっては在外公館なり、あるいは本会社においてそういうような考慮が払われることを希望いたしておる次第であります。協議の問題は、これはやはりそういった事業の実態から考えていきます場合には、農林省としては協議を受けて、事業計画なり会社の運営なんかにつきまして農林関係意見が十分に反映できるようになることを希望をいたしておる次第であります。
  63. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと戸叶君に申し上げますが、外務政務次官もお見えになっておりますから……。
  64. 戸叶武

    戸叶武君 外務政務次官が当然この外務省側の提案理由内容説明をされると思いますが、その場合に、今まで外務省と農林省の間に少しく見解の対立した面もあるので、その調整を具体的にこの法案の中にどういうふうに織り込んできたか、その調整のできた点、それからまだ問題が残っておる点、それにも触れてそうして問題点を明らかにしてもらいたいと思います。
  65. 園田直

    政府委員(園田直君) ただいま御審議を願っておりまする日本海外移住振興株式会社法案は会期末期になりまして提案いたしまして、まことに政府として不行き届きでございまして反省をいたしております。この問題は前内閣当時からアメリカ三銀行からの千五百万ドルの借款という話が出て参りまして、それに伴い、戦後の移民というものの特質並びに移民というものが今までのような移民であってはならぬという、移民外交の転換期という時期に来まして、今般の国会で外務省といたしましては外務省設置法の一部改正法律案提出をいたしまして、今まで外務省自体といたしましても、どちらかというと、移民というものが外交本来の重点からややはずれた感じであって、海外に行かれた方々からよく御注意を受けます通りに、在外公館等においても、移民などについて外務省の手配、援助が足りないという点を御指摘を受けるのでありますが、今般移住局を設置いたしまして、そうして本省には強力なる企画その他の体制を整え、それに応じましてこの株式会社法案提案御相談をしておるわけでございます。この法案がおくれました理由は、率直に申し上げまして、関係各省、すなわち外務省と大蔵省、及び外務省、農林省、通産省、労働省との間等にそれぞれまじめな移民というものに対する見解の相違から主張の食い違いがあったことは率直に御報告を申し上げます。大蔵省との見解の相違は、主として資金面に関する問題でございまして、本法律案の第九条にこの点が現われております。大蔵省と外務省の言い分は、この会社を作るに際しまして、外務省は、移民というものを、戦後狭隘な島に押し込まれたる国民に働く場所と土地を与えることは、国家の責任と義務であるという解釈をいたしております。従いまして国家財政上これを許すならば、イタリアやその他各国と同じように、渡航費は国家が支給するのが当然ではあるが、今日は国家財政これを許さないから、国家から貸し付けてもらってこれを移民の方々に貸し付ける。なお渡られたあといろいろな移民の生活の苦しい問題やいろいろの問題等が新聞に取り上げられておりまするが、今までは移民されたあとの生活の保障及び営業資金その他の国家の援助が全然してございませんから、こういう面もすべきである。その中で渡航費はわれわれは政府はほんとうは出すべきであるが、国家財政がつらいのであるから、貸し付ける。従ってこの渡航貸付というものは、移民されたあと成功しない方や、天災地変、あるいは死亡等で回収がなかなか困難である。従ってこの渡航貸付費とその他の事業貸付費、事業費などというものは切り離してもらいたいというのが外務省の言い分であり、国家資金の規制をやっておりまする大蔵省としては、これを一本にまとめていけというので、いろいろ意見があったのでありまするが、これはいろいろな経過をたどりまして調整をされ、第九条の「政令で定める。」ということで、この渡航費の貸付は政府で政令でもって損失補償の点を考える、こういう点が論議になったのであります。労働省、通産省は別としまして、農林省の方々と外務省の意見の食い違いは、これは今までしばしば論議されておったところでございまするが、移民の今度の法案では、今までのように農業移民ばかりでなく、イタリア、各国がやっておりまするように、一つの企業移民と申しまするか、工業やあるいはその他の企業をやる移民技術者、こういうものを入れたいとは考えておりまするものの、何と申しましてもやはり当分の間、しかもこの会社の計画ができましたにしましても、やはり重点は農業移民である。従って農業移民であると、これは主として農業技術に関することが多いから、移民された方々のことをほうっておくわけにはいかぬ。われわれは何としても技術的な見地から、こういう方々のお世話をするのは農林省の責任であるから、従ってわれわれも外務省と同等の、企業の計画なり、その他の面について発言権を持たなければならぬ、こういうことから主張されるし、われわれはそれに対して、移民外交というものは全責任は外務省が負うべきであって、その責任を負うまでの段階においていろいろな協力は求めなければならぬ。これが主として農林省と外務省の主張の食い違いでございまして、相当まじめな意味における論争がございましたが、逐次内閣の方で調整をされて、三省の間におのおの言い分もございましょうが、政府として法律案提出するに当っては、この程度で調整をしてやって行こうということででき上ったのがこの法律案でございます。従いまして、農業移民がもちろん今後とも重点でございます。ただ、今日、日本の移民をやりまする際に一番ガンになっておりまする点は何であるか。日本移民の障害点はいろいろございますが、各国を通じて日本移民の障害になるべきものは、ブラジルに例をとりますると、ブラジルの基本的人種型統一の見地から、日本移民、黄色人種というものに対する一つの感情的なものがございます。次には、言語、風俗、習慣が異なっておって同化性が乏しい。すなわち国内随所に集団地日本人が形成する。戦前は日本人の軍国主義というものに対して相当手きびしい批判を加え、これが排日の原因となって参ったのでありますが、今日では勝ち組と負け組の争いになって、随所に乱闘事件さえありまして、これを要約するに、定着した移民及びブラジルに国籍を有する子弟に対して日本政府が何か計画的なものを持っておって、集団的な、組織的な浸透をはかるのではなかろうか。もっと言葉をかえて申しますると、日本の帝国主義的な侵略の足場にするのではなかろうかというのが、各移民を受け入れる相手国から出ている疑念であり、これが一番大きな障害になっておるわけでございます。従いまして、そもそもこの会社は、移民された方々のお世話を国家が責任をもって見るという点にあるならば、国家資金を出しておる点もございまして、公社というものが最も適当であるという理論的根拠ではございますが、そういう意味において、先例等もたくさんございますが、政府の出先機関のような印象を与え、政府が相手国に行っていろいろな指導をしたり、計画を立てたりすることは相手国を非常に刺激いたします。従って会社の形態をとり、なるべく政府と縁の遠いような格好で法律案を提示をし、お願いするようなことに至ったのであります。従いまして、まず農林省と外務省と御相談をしてやるのは当然でございまして、責任上、農林省の方はわれわれにも同じいろいろな法律内における発言権を与えよという御主張をなさるし、外務省としては、移民外交に関する終末の責任は自分たちにあるからという主張を続けて来たのであります。ところが結論としまして、大蔵省と外務省との関係は、直接資金を出すので、法律的に規制をしなければこれはとうていその効果がございません。従ってこの法律の各個所に、大蔵大臣の認可並びに協議事項というものが記載されております。農林省と外務省との言い分の調整は次のようにされております。それは今後とも関係各省、特に移民外交というものが過去のごとく簡単なる外交ではなくて、あるいは労働移民、農業移民、各種の関係が出て参りますので、各省とのいろいろな関係が出て参ります。その関係が各省のなわ張りなどという意味ではなくて、熱心に自己の所管事務を遂行しようとすればかなり主張が違って参ります。そういう際に、いい意味における各省の主張する意見なり、計画なり、力を調和をして持って行くために審議会というものを内閣に設けまして、この審議会における審議委員というものは、それぞれ農林大臣、外務大臣、通産大臣、労働大臣及び各省から推薦する審議委員を加えて、ここで年々、もしくは長期にわたる移民計画なり、あるいは事業計画なり、内閣総理大臣に対する答申の形をもって作成することに相なっております。なお個々の問題につきましては、国内の募集、選考及び訓練等につきましては、これは主として農業移民に対しては農林省の方々の非常なお力添えを願わなければなりませんので、これについてはいろいろ相談するようにしてございます。今日もやっております。なお国内の問題、国外の問題等は、次官申し合せによって農林省と外務省がいろいろ相談、協議をして、ここに遺憾なきを期するような手はずもしてございます。なお、この在外公館の配置に当りましては、すでに農林省からは御希望等も申し出られておりまするが、農業開発、農業技術等に堪能なる技術を持たれておる農林省の方々を迎え入れまして、在外公館、すなわち相手国の要所に配置したいなどとも考えております。そういうような措置をいたしまして、このような法案になったわけでございます。
  66. 戸叶武

    戸叶武君 今のお話を聞くと、一応ごもっともと思いますが、たとえば二十三条において、「大蔵大臣に協議しなければならない。」と言って、農林省とは事実上の相談をするという態度に対しての外務省側の言い分は、大蔵省からは直接金が出されるので、こらしたと言うが、移民の主体が農民であるということも御承認されているようでありますが、どうも仕事するのには金がかかるのは事実でありますが、金の方に重点を置いて、人間の方には余り重点を置かないようなふうにも聞こえるのですが、これはどうなんですか。
  67. 園田直

    政府委員(園田直君) そういうわけじゃございませんが、会社の定款にございまするので、従って資金面の規制に関する点が重点でできておるわけでございます。業務、事業計画、あるいは年度計画等に関する大蔵大臣との協議事項については、大蔵大臣と相談する前の段階において農林省と外務省が協議してやるという次官の申し合せになっておりますので、このようにしたわけでございます。
  68. 戸叶武

    戸叶武君 渡航費の貸付並びに移住者及び団体の行う農業、漁業、工業、その他の資金の融資ということのほかに、事業に対する投資ということが第一条に出ておりますが、移民会社と言いますけれども、さむらいの商法ほど危いものはないので、会社という名前だが、この会社の中に外務省が在来にあるように、外務官僚の古手とか、外務省の院外団みたいな移民ボスをやたらに押し込むというような形は、今までのような失敗を繰返す危険性があるのですが、この点はどういうように考えておりますか。
  69. 園田直

    政府委員(園田直君) この会社の人事、社長等について一部新聞に報道されておりましたが、これは全く事実無根でございまして、法案の審議中に人事等に関する相談はまだいたしておりません。ただ、その方針といたしましては、ただいまの御指摘の通り関係各省の古手の公務員を持って来たり、あるいは単なる失業救済的なことで埋めることは非常な間違いでございまするから、その点は十分注意をいたしまして、今考えておりまする基本方針は各省とも相談いたしまして、社長は四、五千万の民間資本を集めるという責任もございまするし、なおまたこの事業相当重大な手腕と経営の能力がなければ伴わない問題でございまするから、経済人から、その人物はきめておりませんが、迎えるのが至当ではなかろうか、その下の取締役クラスで会計監督に関するものは、これはやはり大蔵省の方から推薦するものを、そのほかおのおの関係、特に農林、外務、各省から推薦するものを入れる。そして人員は大体四十名くらいの会社をまず考えております。
  70. 戸叶武

    戸叶武君 その会社の社長には四、五千万の民間資本を集め、また経営能力のあるものというようなので、要するに実業家から出したいという考えのようですが、従ってこのいわゆる在来に見られるような実業家というものは、もうかる仕事でなければなかなかやらないのです。この会社法案の第一条の問題点は、農林省の方では今までの農業移民の連中すらずいぶんみじめなんだ、この方面から救って行くことが先決であるということをるるとして述べておるが、外務省が今のような考え方だとすると、経営として成り立つような仕事をやる実業家が結局この会社を支配して、結局そういうもうかる仕事に対する事業に重点が傾いて行く危険があると思いますが、そういうのをどうやって是正するなり、何なりできると思いますか。
  71. 園田直

    政府委員(園田直君) この会社でもうかることは全然考えておりません。これを単なる営利会社と考えるか、あるいは国家でなすべき責任を、会社の形態をもってやらんとするかに大蔵省と外務省との見解の相違がございましたので、そのような面は会計報告並びに監督及びこの事業計画、決算報告等を内閣に直属する審議会をもって規制もいたしておりまするし、なおまた審議会委員及びその他には、単にそういうものばかりでなく、移民をされる、移民の対象になる方々の代表もこれに迎え入れてやりたいと考えております。
  72. 戸叶武

    戸叶武君 御趣旨はよくわかりましたが、四、五千万の民間資本を集める。大した金ではありませんけれども、慈善事業的なそうした性格のもとにおいて、どういう種類の民間資本がそこに集められるのですか、その資本の性格を一つ考えてみて下さい。
  73. 園田直

    政府委員(園田直君) 民間資本が集まるか、集まらぬかということが非常な論議になりまして、これは随所で御指摘を受けておりまするが、民間資本を集めるために有利なように、利益の配当及び渡航費など、本会社からこれを切り離して、海外連合協会に専任せしめるなどという意見を主張したのでございまするが、これは大蔵省と外務省との意見を調停した結果、本法律案のようになって参りまして、ただいまのところこの会社が発足をしまして、果して利益が出るか出ないか、むしろ利益が出るということよりも、渡航費の赤字からきて、この会社が運行不能になるおそれが相当あるような気がいたしております。従ってそういう面について大蔵省と相談をいたしておりまするが、とりあえず初年度の国費一億、これに予想する民間資本の四、五千、その四、五千という資本は予想でございまするから、集まるかどうかはおかりませんが、主として移民に関係あり、理解ある各種団体、各種会社の資本を考えておるわけでございます。
  74. 戸叶武

    戸叶武君 この発足に当ってのものの考え方が非常に甘いと思うのですが、たとえば四、五千万円の金をひっさげて実業家の人が乗り込めば、この会社を支配することができる。そしてこの会社自体ではいろいろの仕事はやらなくても、その会社を中心として第二会社的ないろいろな関係をつけた、いろいろな事業を行うという形の手腕家が乗り込むような場合においては、当然それによっていろいろな問題があとで起きるのでありまして、イギリス等におきましても、南阿を開拓する場合に、絶えずこういう政府の若干の保護を受けながら、不用意なところの会社組織というものが、泡沫会社が続出して、そのしりぬぐいをやるために政変が起きたほどの問題もあるのです。私は外務省の考えているねらいどころはよくわかるのでありますけれども、非常にこの国策を表面からむき出して、政府の機関としてやって行くのでは、海外から疑われるからという形で、衣だけは会社というものを着て、そうして背後でこの日本の官僚が操作しようというような形のようにすら見えるのであって、それは実際今日の外交において、こういうことも必要であると思うけれども、問題は、その拙劣さというものが当初の目的と反して、非常に収拾のできないような混乱を生む危険性がないかと思うのですが、その問題に対しては検討してみませんでしたか。
  75. 園田直

    政府委員(園田直君) 御指摘の通りのことは、今までも国家出資の会社でしばしばそういうおそれのある事件が起っているところでございまして、十分検討をした所存でございます。第二十一条で、監督、命令が出せることになっておりまするが、こういうことによって監督は厳重にやって行きたいと考えております。
  76. 戸叶武

    戸叶武君 当初、これとは別個ですが、これに関連する海外協会を作る場合なんかにおきましても、政府側から、そらした機関に対して外務省側から相当金が出るのです。そういうときに、われわれが農林委員会において十分な注意を与えた。ところが前の外務次官のごときは、全くうそぶいておって、われわれの要望というものを聞かないだけじゃない、注意も行わない。その結果というものは、会社の使い込みやら、公金が浪費されたり、実に最近にも失態を繰り返して、その報告も農林委員会にはなされていない。私は外務省の人は非常に理想を持って、人はいいけれども、その外務省あたりに食い込むところの移民ボスや、外務省の院外団的なものにゆすぶられて、国策を食いものにされるような結果が生じて来たとき、それに対して外務省には、今までほかの省と違って糾弾のほこがあまり上げられないものだから、いいかげんにほおかぶりしているような形で来ている、そういうことは許されない。私はそういう二の舞いを踏まれては困ると思うので、この会社におけるところの役員の問題、それから会社の運営というような問題も、外務省のひとりよがりだけでなくて、やはり農林省の人たちが企画室に入るから、それでいいという形で、いろんな役所を出すまいとするのでしょうが、外務省の方は、いや大蔵省は全面的に押し出てもいいが、そうすると言い分は、所管関係というものは、移民問題で一番長い歴史を持つところの農林省の方を無視して、前の吉田、岡崎で、外務省の専断を行なったと同じ伝統を継承して、今のようなやり方をやる、前のような、前車のくつがえるようなやり方を再び繰り返されたらたまらぬと思うのですが、そういう場合に対して今まで外務次官は何も聞いておりませんか。
  77. 園田直

    政府委員(園田直君) しばしば各省の問題等は耳にするところでございまして、十分そういう点は注意をして、検討して行きたいと考えております。
  78. 戸叶武

    戸叶武君 各省じゃない。私が聞いたのは外務省です。
  79. 園田直

    政府委員(園田直君) 外務省は他の省と違いまして、外郭団体の大なるものは、ただいまのところ御指摘の海外連合協会でございます。この海外連合協会につきましては、いろいろ御意見等もよく承わっております。この会社法案が御審議願えますれば、その段階におきまして、早急な時期にこの海外連合協会も立法化をして御相談を申し上げ、機構その他については十分検討を加えたいと考えております。
  80. 戸叶武

    戸叶武君 最後に一つだけ……。アメリカの三つの銀行から、千五百万ドルの借款ができる。このことは、日本財政的に不如意なので、アメリカから借款するということによってこれを打開しようとするのでしょうが、どうも聞いてみると、なかなか経営としては成り立たないというようなこういう事業に対して、アメリカからこういう同情ある援助を、しかも銀行からの借款の形によっていただくというところには、何かそこに、どういう意図の下においてそういう借款がアメリカの銀行から得られたか、そのいきさつがあると思うのですが、そのことを一つお話し願いたい。
  81. 園田直

    政府委員(園田直君) 向うの意図はどういう意図なのかわかりませんが、当初借款の経緯には、受入れ機関の会社の機構その他に対していろいろ御要求もあったようでございまするが、今日では元利の保証を政府がやればそれでよろしいということで、あとは条件がございません。担保も出しておりません。
  82. 亀田得治

    ○亀田得治君 二つほどちょっとお伺いします。第八条の第二項ですね、「会社は、前項第一号の渡航費の貸付の事務を外務大臣の指定する団体に委託することができる。」、こうなっているのです。で、この渡航費の貸付という問題は、この法案の中では重要な部門であり、また大蔵省においてもずいぶん注目をしておる部署なんです。そういう重要な問題を何か外務大臣の指定する団体に委託する、こういうふうなことがなぜ一体必要があるのか、せっかくこういう会社を作って、先ほど次官が説明されたようなメンバーをもってやるということであれば、十分それはもう会社だけで私はやれると思うのです。これはどういう意味でこういうことが書かれたのか、そのへん少し詳しく説明していただきたい。
  83. 園田直

    政府委員(園田直君) ただいま御指摘を受けました通り、本法律案の第一条には、初めに渡航費の貸付というものが書いてあるにかかわらず、その重要な渡航費の貸付業務を他の団体に委託するというのはおかしいという御指摘でございまするが、これは先ほどから申し上げます通りに、大蔵省と外務省の主張の相違がありまして、それを政府で統一をして持って来たために、若干御指摘を受けるようなおかしな点ができたわけでございまするが、その実情を申し上げますると、移民のお世話をするに際しまして、やや長くなりますが、今日特に中南米等において、朝日新聞あるいはその他で報道せられましたる通りに、移民をした人々があまり豊かではなくて相当ひどい生活をしておる、あるいは中には脱走者もあれば、その他の事件もあるなどということが書かれておりまするが、これは新聞に報道されたほどではございませんが、今までの移民は政府として物的にほとんど援助がしてなかったことと、それから主として雇用移民でございまして、向うで雇われて行く移民でございまするから、受入れる側としては、率直に言うと自分の国の未開発の土地を開発するのに、勤勉なる日本人というものが非常に有用であるという為政者の考え方からも、こういう点があったようなことで、移民をする際の条件、契約条件が、向うへ行ってみるとそれが少し違っておる、しかも移民したあと何ら国家として一人前の生活をされるまでの援助ができなかった、こういう点が今日までの移民の欠陥になっております。従いまして、そのお世話をするのに、まず日本で働いておられる方々が世帯をまとめて向うにお渡りになるまでの渡航費、次は向うにお渡りになってから生活保障や営業をするための営農資金や企業資金、こういう二種類に分けてわれわれは考えておるわけでございます。戦後年々移民の数が増加いたしまして、今年度は六千人から七千人の移民の送出を計画するに至りましたことは、これは全く国会の承認によりまして、世帯をまとめて向うに渡るまでの渡航費を貸し付けるということが戦後できましたことから、このように移民がふえておるものと考えておるのでございます。従いまして、さらに進めて移民されたあとの営農資金や企業資金や生活の保障をやりたい、それは国家で責任をもってやるべきではございまするが、今日国家財政緊縮の折柄でございまするから、会社の形態をとりながら、この会社で千五百万ドルの借款を基金としてやりたい、で、その際の渡航貸付の方は、ただいままではまだ支払いする時期になっておりませんが、年々その回収率を見てみますと二・七%でございます。これから判断いたしますると、渡航費を回収することは相当困難なような気がいたします。向うに行かれましても天災地変や、あるいは行ってみると意外に移民した土地が肥えていなかったとか、条件が悪かったとか、いろいろな点がございましょう。従ってそういう関係で移民されて、ほんとうに新天地を開拓して、移民をしてよかったという境地に達せられるまでには、いろいろな苦労がありまするので、実際言うと、先ほどから何回も何回も申し上げました通りに、少くとも今日の状態においては、渡航費だけはほかの会社に出す補助金とは違って、働きたい人には働く場所と土地を与えることが国家の責任であるから、国家が支出するのが当然であるというわれわれは考え方をしているわけでございまするが、それも支給することは願えませんので貸付をやっておりますが、その資金をとって払おうということをやりますると、この会社が会社の企業能力によって、何とか千五百万ドルの借款を基金にして、与えられたあとの営農資金なり、あるいは企業資金というものを出して移民の方々の生活を援助することができているのにかかわらず、渡航費は年々支払いが出血出血と、未回収々々々で年々赤字が出て参りますと、そちらの方から食い込まれて、そうして会社自体の運営が不能になってしまって、移民ざれたあとのお世話ができなくなるのではないか、従ってできるならば、渡航費だけは会社の業務内容から取り除いて、今まで通りに海外連合協会でやるようにしてもらいたい、こういう相談をして来ておったのでありますが、今日の事情において、国家資金の規制をやっている大蔵省趣旨から当然でございまするので、そこで両方の間で相談をして、そしてこの会社の中に渡航貸付費の業務を含む、含むが、その実務は海外連合協会にやらしてもよろしい、こういうことになったわけでございます。
  84. 亀田得治

    ○亀田得治君 だから、そういうところに非常に疑惑を持たれる点があるわけですが、何も海外連合会等にやらす必要はないと私は思う。渡航費以外の部門であれば、むしろ部分的に関係団体にやらすとかということもあり得るかと思うのです。そんなことは必ずしもこの問題については必要はないと思いますが、しかしこの渡航費は最初使ってしまう金なんでしょう。あとに何も残らない金です。従って企業的な、事業的なそういう観点等も何も要らないわけですね、だからこういうものは役所みずからもやってもいい、取扱っても少しも差しつかえない、いわんやこういう公社的なものであれば、それ自身が直接渡して行けばいい。今その会社としての回収のことをおっしゃったが、これはあなた自身も今言われたように、本来は保証してやるべきものである、私もそう思います。こういう人たちが出て行ってどんどん新天地を開拓してくれれば、たとえば日本でそれだけ開墾されたと一緒ですから、一方で開墾する場合には相当な補助も出しているわけですから、それと同じことですから、だから回収等のことは何も、はなはだ回収の成績が悪いようですが、その成績を挙げるために何かほかの団体にやらすという趣旨であるかもしれませんが、私はそんなことは必要ないと思うのです。だからその会社の仕事の性質からいったら、これはまさしく国なんかがやるべきなんですね。だから何かほかの団体にやらすというのはどんな意味か、もう少しそこをはっきりしてもらいたい。あとの回収を国がやるより、そうした方がよくなるという立場でそれはお考えになっておるのか、あるいはまたもっと別な立場なのか、先の方じゃなしにあとの方ですね。
  85. 園田直

    政府委員(園田直君) 海外連合協会は御承知通りに移民の選考をやっておりまするので、優良なる移民の選定、選考は連合協会でやっておりますにつきまして、その運営上からいっても、海外連合協会が貸付をやる方がきわめて便利なわけでございます。この連合協会の機構その他につきましては、先ほど申し上げた通りでございます。それを切り離すというのは、海外連合協会にやらした方が回収が楽であるからではございません。大蔵省はこの会社でやった方が回収が確実であるから会社でやれというわけでございます。われわれが切り離したいというのは、この渡航費を会社の業務内容に持っておりますると、たとえこの会社が経営をうまくやりまして、そうしてもうけなくてもいいから、少くとも会社の経営によって逐次年々の移民の方々のお世話をできるようにこの会社が運行されるようにしたい。ところが渡航費を入れておきますると、支払いが始まりますると、それは国家の資金でございまするが、規定に従って年々数億の支払いをしなければならぬわけでございます。この会社がこの回収のできない渡航費というものを業務内容に持っておると、その方の赤字から他の業務が全部食い入られて参りまして、この会社は運行不能になるおそれが多分にあるわけでございます。従いまして、いろいろ相談の末、この法律案に盛られましたる通りに、この会社に渡航費の貸付を含んだ以上は、今仰せの通りに返らないものは国家で補助するのが当然であるから、その損失は国家で補償してもらえれば、それがうまく行くわけでございまするから、その損失補償の点について、実はただいま大蔵省と外務省と第九条に書かれてある政令の件を相談、折衝中でございます。
  86. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今のお答えを伺っておりますと、だんだんややこしくなって来て、会社の目的で一番初めに出てくるのが渡航費の貸付ということになるので、第八条の業務の範囲でも渡航費の貸付ということが第一に出てくるのだが、聞いているというと、一番初めに書いてある渡航費の貸付は何かはずれてしまうようなことになってきて、そこで何だか業務というものが非常にあいまいになってくるのですが、実は私の方で専門員と協議いたしまして、振興会社の事業計画及び収支予算というものは一体どうなっているのか、それをはっきりしてもらわぬと、四つも業務が書いてあるけれども、どこに重点があるのかわからない、そこでその資料、それからその次に、一体この借款というものは何か条件がついておるのか、移民に関することなら何に使ってもいいということになっているのか、そういう借款の内容と、それからもう一つほかにも資料の要求をいたしておるのですが、その資料を出していただくとだいぶはっきり具体化してくると思いますが、この資料はどうなっておりましょうか。
  87. 園田直

    政府委員(園田直君) ただいま準備さしておりまするので、なるべく早いうちに提出したいと思います。
  88. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうしたら、私も委員長のあれに追加をして資料を一つ出してもらいたいと思うのです。これは先ほど政務次官からお話になった予定される外郭団体ですね、これの経理上の予算、先ほどのお話を聞いていると、何か非常に歩の悪いところだけを外郭団体が引き受けるような感じもするのですが、しかしこの法案ではそれは全部包含されているわけですから、最終的にはこの会社がやはり引き受けなければならぬと思うのですが、何か一時的にはその外郭団体がそういう非常に損になるようなおそれのあるものを引き受けるような印象も受けている。果してそういう団体があるのかどうか。もしそういうことがあれば、それに対してまたその団体は別個に外務省から何か奨励金なり、そういうものを別な道から出してもらわなければ、これは成り立たぬと思いますが、その辺の外郭団体の予想される大体の経理、大体の事業内容といったようなものもくっつけて一つお出し願いたいと思うのです。先ほどから次官の説明を聞いているのですが、どうもはっきりしない。それを見た上でその点もう少し質疑をしたいと思います。これは出してもらえますか。
  89. 園田直

    政府委員(園田直君) 今のこれを委託する海外連合協会は、今日のところ千二百万円の補助金を外務省から支出をいたしております。それ以外は何の補助の支出もございません。なお、ただいまお聞きになりました渡航費の貸付は、折衝中の経過を申し上げましたから誤解を受けたのであると考えますが、最後の決定、この法律が成立した暁には、渡航費はこの会社の業務でございます。業務を海外連合協会に実務だけを委託する。責任、会計その他はことごとく本会社にございます。
  90. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは資料を見てからもう少しやりたいと思うのですが、もしそういうことなら、協会の中でこういう仕事のために専門的に使える人をこの会社の内部に入れてしまった方が、だれが見てもはっきりするんですね。だからその辺も少し納得いかない。それからもう一つは、第六条、第七条、それから第十条、第十三条、十四条、この外務大臣の認可とか、許可とか、こういうことが相当たくさん書いてあります。これらについては、この全部について、たとえば取締役を任命するとか、こういったようなこと全部について農林当局とこれは事前によく協議をする、こういうことははっきりここで言って差しつかえないようになっているわけでしょうか。
  91. 園田直

    政府委員(園田直君) 申し合せ事項において当然そのようになっております。
  92. 亀田得治

    ○亀田得治君 これも念のために聞くのですが、農林省はやはり実質的な立場からいろいろな意見を出されると思うのです。そういたしますと、いろいろ外務省と意見が違う場合が予想されます。そういう場合に反対を押し切って、法律上の権限はおれだから、これでやるのだというふうなことは絶対おやりにならない、こういうことはどうでしょう。
  93. 園田直

    政府委員(園田直君) 政府が内閣を組織しております以上、本法律案の作成の経緯に際しましても、各省の意見相当違っておったのでございます。これはおのおの各省の事務当局意見が違うことは当然でございまして、ある面からいえば自分の所管事務に対する熱心さでございまして、しかしその意見の相違なり、あるいはくい違い等を調整をいたし、あるいはそれを統一するのは内閣の責任でございますから、法律規定してありましても、御承知通りに、いろいろの問題等は次官会議、また閣議にかけて決定しておりますから、重要な問題等で両省の意見が対立をし、その責任者たる大臣同士の話し合いによって意見決定せざる場合においては、それは重大なる政治上の誤差を生じますから、そのような懸念はないと考えております。
  94. 戸叶武

    戸叶武君 資料の提出要求でもって、亀田君が外務省の外郭団体全部を出してくれと言うから重複する必要ありませんが、その点で特に私は重点をおくのは、移民関係関連のあるところの海外連合協会に対して、一千二百万しか国から補助していないと言っておりますが、今までにおいてずいぶんふしだらが累積されておるようですから、詳細にその報告を願いたいと思います。この問題は農林委員会としても責任があるので、長きにわたってこの問題を私たちは論議し、外務次官が違っておりますが、前の外務次官は相当責任をもって運営するようなことを言いながら、事実上においては失態ができたときに、そのときにわれわれがこれを追及できないというのでは監督が非常にぼやかされて参りますから、その資料を参考に、外務省の仕事のやりっぷりの手際を拝見する意味からも参考になりますから出してもらいたいと思います。それから一千五百万ドルの借款に対して、元利の保証を政府がやるということによって借款が成立しているのでありまして、当然この会社の事業に対しては、われわれが予算関係を取り扱う関係上責任の義務というのは当然あるのです。ところがこの行政官庁は、今まで外務省なら外務省の予算をとったならば、それが外郭団体なら外郭団体に流されても、その使い道はあいまいもこたるものになっても、それは外郭団体の責任であるというように責任を転嫁して、恬として責任を感じないような面もあるので、場合によってはわれわれはこれは決算委員会なり、何なりでまた追及をして行く方式なり、何なりをとりますけれども、とにかく外務省のやり方というものが今まであまりだらしないので、言うことを聞かないので、そういうところの資料を一つ出しておいてもらいたい。
  95. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと今の資料をお出し願いたいと思いますが、先ほど来政務次官お話を聞いておりまして、私なかなかわからぬようになってくるのですが、いきさつとしては、渡航費の問題は切り離そうとしたけれども、結局はこっちへ包含したのだ、しかも渡航費についてはこれは相当の赤字が出ることが予想される。従ってそういうものを抱えこんでおると会社の運用が困難になるのじゃないかということをおっしゃるわけで、そうすると、渡航費を持っておったら困難になるということを予想しながら、渡航費の業務をこれは持っておって、しかもその借款については返して行かなければならぬことになるのですから、聞いているだけではわからぬことになってくる。そういう意味でも一つ収支予算書なり、それから事業計画書というものを早く出していただかぬと、なかなかわからぬと思うのです。そこでもう一つお尋ねしておきますが、今までの、たとえば本年度予算において移民の振興、名前は何でございますか、名前は私は忘れましたが、国からたしか五、六億の金が渡航費として出ておると思いますが、これは一体どこが使うのでございますか。
  96. 園田直

    政府委員(園田直君) それはここに書かれてございます渡航費の財源でございます。
  97. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それはこの会社が国から受け入れて、そうして海外連合会の方へ事務を委託して会社は責任を負わぬ、こういうことなんですか。
  98. 園田直

    政府委員(園田直君) 一定の利子のもとに拝借をいたしまして、それでそれを海外連合会に実務をとらして移民の方々に貸し付ける、こういうことでございます。
  99. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 一定の利子をとるということになると、その利子というのは、これは借款の場合もむろん利子は要りますが、そういう貸し付けたものが回収不能になるというリスクまで含むのでございますか、そのリスクは含まないで純然たる利子ということなんですか。
  100. 園田直

    政府委員(園田直君) その赤字が出るおそれがありまするから、第九条の第二項において、貸付の利率その他の条件、他の条件とは損失の場合の補償を含む、そういうものを政令で定めるようにただいま検討中でございます。
  101. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 政令はいつできるのでございますか。
  102. 園田直

    政府委員(園田直君) 外務省と大蔵省意見が整えばすぐできるものと思います。
  103. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと貸付の利率その他補償と言われたのですが、これは政令で補償等のこともきめるわけですか。
  104. 園田直

    政府委員(園田直君) それは今政令等で考えておりまする点は、貸付の利率、期間、返済の方法、貸付の条件等でございます。損失の補償にわたるようになれば特別に法律を作らなければなりませんので、その法律は別に作ります。
  105. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  106. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  それではこの問題につきましては、先ほど来要求されております資料を早急に外務当局の方から出していただいて、その上であらためてもう一度審議をいたすことにいたします。     —————————————
  107. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に、昭和三十年産米の集荷及びその価格等に関する件及び昭和三十年産麦価に関する件を一括して議題にいたします。  本年産米の集荷に関する政府の方針である事前売渡申込制にはいろいろ問題があり、その上米価等、制度の基本要件が決定をみないまま残されておりましたので、かような事態を遺憾として、当委員会におきましては、去る十六日、政府の善処を求めるため決議が行われ、これをそれぞれの当局にお届けしてあったのでありますが、さらに本日、先ほど、まだ農林大臣にお渡ししていませんけれども、当委員会で満場一致の決議を出しておりますので、この際この決議を農林大臣にお渡しいたしまして、これらの決議に関連いたしまして、その後の経過なり、この決議に対する農林大臣の所存を承わりたいと思います。
  108. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 米価の決定につきましては、いろいろ新らしい制度による、また新らしい価格形成の問題等がございまして、このために私といたしましては、米価審議会ないしは予算委員会等に出ておりまして、当委員会において先般御決議があったのでございますが、それに対しても出席をして私の意見を申し上げることができずにおりましたことはまことに遺憾でございます。引続き米価の決定をすみやかにいたさなければいけないということで、あらゆる努力をいたしておるのでございますが、御承知通り今もってこの価格決定が遅れておりますることは、はなはだ相済まぬことと思うのでございますが、実は政府におきましては、先般の米価審議会の答申をちょうだいいたしましたので、この答申を基礎にいたしまして、あらゆる角度から検討し、これを中心に目下検討中でございます。ただいまも実は経済閣僚並びに他の関係者を加えまして、先ほど一時からの当委員会の延期をお願いいたしたのもその意味でございまして、今ようやくその委員会をひとまず中止いたしましてこちらの方に参ったようなわけでございます。私といたしましてはこの御決議の意のあるところを十分了承いたしているわけでございまして、米価審議会の答申、並びにこの答申のよって来たりまする各委員会における委員諸君の御発言、これらを十分私は了承いたしておりまするので、この経緯にかんがみまして、これについて十分なる考慮を払いまして、明日の閣議において決定をいたしたいと、こう思っている次第でございます。万々一おくれましても今週中には、明後日の土曜日までには、ぜひ最終決定をいたしまして、そうしてその最終決定の上においてこの米価決定政府の所存を十分皆様方に御説明を申し上げて御了解を得たいと思う次第でございます。
  109. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質問ありましたら……。
  110. 亀田得治

    ○亀田得治君 この米価審議会決定を農林大臣としては尊重して行きたいという考えでおられることは新聞等を通じても大体わかるわけですが、大蔵大臣との間で相当意見の食い違いがあるようです。それで私は率直に一つその問題点を、大体仄聞はするのでありますが、その問題点を一つここで直接あなたからお聞きしたい。そうして米価審議会等で要求している線が最終的に農林大臣として守れる、こういう見通しの点ですね、その二つの点についてまずざっくばらんに聞いてみたいと思います。
  111. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 現在、ただいまの状態におきましては、なお大蔵大臣との間に意見の調整の必要がありますることは御了承の通りであります。しかしこれは十分われわれ閣内におきまして意見の調整をいたしまして、決定をいたしました上で、先ほど申し上げましたように御説明をいたしたいと、こう思うわけでございます。で、この米価審議会の答申について、最終的にどうだということでございまするが、私は先ほど申し上げました通りに米価審議会の経緯並びに結果、これらを十分了承いたしておりまするので、これについて私といたしましてはこの答申のよって来たりまするところを十分尊重いたしまして最善の努力を払いたい、こう考えている次第であります。
  112. 森八三一

    ○森八三一君 米価審議会の答申を誠意をもって実現するように考えて行きたいという御発言でありますが、そういたしますると、答申において政府提案の買入価格は不適当と認める、こう言い切っているのでありますが、その不適当と認めるということを受け取られて、誠意をもってこの趣旨が実現するように考えて行こうという態度であるといたしますれば、当然米価そのものを是正するということにならなければならぬと思うのであります。そういたしますれば、大蔵当局との間にまだ折衝中でありまして、話が妥結しないということはよく理解をいたしますが、その大蔵当局との間に協議をされる原案というものがなければならぬと思います。その原案は一体どうお考えになっているのか。この答申を受けて不適当だということを了承されたと、それを直そうということであれば、その直すという原案がなければならぬと思うのでありますが、それは一体どうお考えになっているのかを、まずお伺いいたします。
  113. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) これはただいま申し上げます通りに米価審議会の審議の経過並びに結果、これらを総合いたしまして、私といたしましては十分この委員会を尊重いたして参りたい、こういうことでございます。これにつきましてはただいま申し上げます通りに明日、おそくも明後日には最終決定をいたしまして、それに基いて御説明申し上げたいと思いますから、そのときまで猶予させていただきたいと思います。
  114. 亀田得治

    ○亀田得治君 明日その結論を大体出されるということですから、しつこいような感があるかもしれませんけれども、米価審議会では例の奨励措置としての二百五十円という手数料を付帯決議で出しております。これはおそらく農林大臣としてこの点を相当重くこの問題の解決のためには見ておられると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  115. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) これらの点はたびたび同じことを申し上げて恐縮でございますが、私は米価審議会の経過は詳細に私は自分で了得いたしております。従いましてどういう経過をたどってどうしてこの答申があったかということは十分私は胸に銘じている次第でありますから、それらの点は十分深く感得いたしまして、最終的な決定を閣議でいたすように最善の努力を払う次第でございます。決定の上で詳細は申し上げたいと思う次第でございます。
  116. 亀田得治

    ○亀田得治君 この二百五十円という問題につきまして、いろいろ農林大臣としては努力していると思うのですが、結局は米価並びに減税という二つの方式で実質的には米価審議会の出した二百五十円という数字を何とか満足させたい、こういう考え方であるというふうに私どもは理解してよろしいでしょうか。
  117. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) その点はいろいろ御推察もあるようでございますけれども、はなはだ御無礼でございますが、今申し上げましたように、それらの点あらゆる角度から検討いたしまして、予約集荷制度の目的を達成いたしまして、ぜひ一般の消費大衆にもよき成果を上げるようにいたさなければならぬと考えておりますから、私といたしましては、最善の努力を払って行きたいと考えているので、しばらく時間をいただきたいと思います。
  118. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも大臣は新聞社の方を大事にして、委員会をどうもそでにしておられるように聞こえてなりません。と申しますことは、毎日々々非常に詳細なことが新聞に大体出ております。新聞等を通じて見ますと、こんなことになっているのではないかということは大体わかるし、そういう傾向にものは運びつつあると思う。ただいまお話を伺っておりますと、明日あたり大体話をきまらせるのだ、こうおっしゃる大臣が、せっかく委員会に出ておいでになって、今これくらいのところを行っているのだ、大蔵省とはこういう食い違いがあるのだ、それくらいのことを何かおっしゃっていただいたら、罰が当るのですか。私どうも不満にたえないと思うのだが、そういうことは……。それはどういうわけで、ここで先ほどからいろいろなことをお聞きしているのに、そう突っ放しておいでになるのか。
  119. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私が新聞記者にはしゃべるけれども委員会に参るとものを申さぬ、こういうことのようでございますが、ただいまも新聞記者会見をして参りました、参りましたが、私は今ここで申し上げた以上のことは新聞記者の諸君に一切申し上げておりません。新聞の記事はなぜ出るのかとおっしゃられても、新聞の記事は私が申したことによって出ておることは絶対にないと私は確信をいたしております。
  120. 森八三一

    ○森八三一君 これは実際いろいろとデリケートな問題だと思いますが、今清澤委員からも発言がありましたように、われわれとしてはやはり食糧の国内需給を何とか早く確保いたしたいという熱情をこめて、実際の問題に取り組んでおるつもりであります。そこで大臣としましては、これまた非常に誠意をもって臨んでおられると思いますが、その状況をお話しいただきますることによって、最終決定になるそれに、何らかでもわれわれの意思を反映した姿において、いいものに仕組んで行っていただきたいということなのでありますので、きまってしまってからそのことに非常に不満があるということで、せっかくの集荷制度というものもうまく行きませんと、そのために食糧統制全体にひびが入りましたり、食糧の需要態勢確立に困難が生ずるということではいかぬと思いますので、そういう配慮から申し上げているのであります。ただしかし、場所が公開の場所でありますので、折衝中のデリケートな問題を、公開の場所では話しにくいということでもあるといたしますれば、秘密会にでもいたしまして、経過の実情について詳細お話を願い、われわれとしても十分折衝していただきまするのに……今申し上げましたような方向は大臣と一緒と思いますし、消費者のことも考えながら、生産者のことも考えながら、そうして食糧需給態勢を確立して行くためにはどういう姿にしたら一番ふさわしいかということでありますので、われわれの意見も十分お聞きいただきまして、米審は米審としてよく御承知と思いますが、委員会委員会のまた独自な立場がありますので、そういう意見も詳細お聞き願って、最終決定をしていただくことがふさわしいのではないか。米審の意見は聞いたが、委員会としての意見は決議その他によって御承知は願っておると思いますが、なかなか決議の文章等にはそう詳細なことは言えませんので、十分申し上げてはいないと思います。そういうことも秘密会の方で最終的な決定を願ったあとで問題を明らかにされるということになると思いますが、そういうようなふうに詳細御報告を願うということは今日の段階ではむずかしいということでありますれば、そういうような秘密の会合にいたしましても、これは困難なことでありますので、取り運びする必要はありませんが、そういうようなことになれば話すということならば、そういうことも考えるのがこの際としてはよろしいと思いますが、その辺をお伺いいたします。
  121. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 大へん御親切な御発言をいただきまして感謝にたえませんが、実は本日も一時から今まで最終的に大蔵当局なり、私なり、あるいは党なり、各方面の意見の最終的な開陳を終りまして、そうして明日は最終的な決定をしようということにそれぞれ帰っておるわけであります。皆さんの御協力をちょうだいし、御注意をちょうだいいたしますことは、非常に私としても望ましいことでございますが、今申し上げました通り段階になっておりますので、私がここで特に先ほどから言葉を実は慎しんでおります。これはいたずらに私と意見の違う人を刺激するということをおそれるものでございますから……。そこで実ははなはだ皆様には相済まぬと思いますけれども意見を開陳することを控えておる次第でございます。そういう次第でございますので、皆さんから御注意をちょうだいいたしますことは、これはけっこうでございます。けっこうでございますが、私としても私の考え得る最大限の私は主張をいたしておるつもりでございます。でございますから、どうかそういう意味で御判断をちょうだいいたしまして、今お話通り秘密会にしていただいて、そうしていろいろのお話を承われば、ないしはまた私の立場も申し上げ得ることは申し上げることができると思います。ただいま申し上げました通り、新聞記者にも今日は一切申し上げるわけにはいかぬ、だれが何と言ったかということも申し上げませんし、どういう要求があったかということも申し上げられないということで、われわれとしては申しておる次第であります。どうかそういうことで了承していただきたいと思います。
  122. 江田三郎

    委員長江田三郎君) いろいろ御意見あろうかと思いますが、ただいまの御答弁のようなことでございまして、今、大臣の方は今から衆議院の本会議で何か記名採決がありまして、そのあとですぐ水害の問題についての農林大臣を対象としての緊急質問があるそうでありますから、大臣が繰り返して答弁されました米価審議会決定が出てくるまでのいきさつ、その内容等を十分に了承しており、それを尊重し、また当委員会の決議をもほんとうに尊重されてその実現のために努力をし、あすは、あるいはあさっては結論を出すということでございますから、衆議院の本会議の都合等もございますから、私たちとしましても、大臣に極力われわれの意のあるところを実現さしていただくようにこの上とものお骨折を願って、この程度にいたしたいと思いますが。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではさよういたします。
  124. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) どうぞ一つよろしくお願いいたします。最善の努力を尽して農民諸君の御理解を得るようにいたすつもりであります。どうぞよろしくお願いいたします。
  125. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  126. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。
  127. 森八三一

    ○森八三一君 米価の問題につきましては、大臣がああいう御発言でありますので、これは事務当局としても何も言えぬという段階にあろうと思います。そのことはお伺いいたしませんが、政府からちょうだいしておる資料を拝見いたしますると、昭和二十九年産米のやみ価格の資料であります。これが供出米と言いますか、政府の買入れた米の半数以上を占めておるだろうと想像される東北方面におきましては、むしろ昭和二十九年産米の超過供出価格一万四百円以下で農家が売っているというような事実が数字の上に出ているように思うのであります。こういうような事態がありますことは一体原因がどこに所在をしているか。やみ価格の方が正規のルートを通じて超過供出をするよりも安いというような事実が現存していることは、そのよってきたる原因がどこに所在しているというように見ていらっしゃるのか、これは事務的に御調査があると思いますので、おわかりでありますればお伺いいたしたいと思います。
  128. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの御質問の点でございまするが、これは従来においてもそういう傾向が多少あったのであります。その原因についてどうかという御質問でございますが、これは非常に実はむずかしい問題でございまして、むしろ私といたしましても各位のお教えをいただきたい点でありますけれども、おそらくこれは供出ということで従来やっておりましたやり方は、政府指定倉庫へやって来まして、それで協同組合で販売委託をする、そこですぐに現金化するわけでございますけれども、一応農協の金庫に入ることになっております。ところが生産者といたしましては、やはり庭先に現金を持って買いに来る者があれば現金化するということもあるし、そういったような直ちに現金がほしいというようなことから、あるいはそういうようなことが起ってくるのじゃないかというようなことも一つの原因ではないかというふうに実は考えているのであります。この点は非常にむずかしい点でございまして、これは当然政府に売ればもっと高く売れるのに、なぜ安く現金化して手放すかという点、これはおそらく将来の私どもの米の買い方についてもいろいろ検討しなければならない点があるかと思いますが、おそらくそういうようなところに原因があるのが大きな原因じゃないかというふうに考えているのであります。なおその他にもいろいろ原因があろうかと思いますが、私どもいろいろ検討しておりますけれども、確かにそういうような現象があることは事実であります。この点私ども、はなはだむずかしい問題だと考えておるのでございます。
  129. 森八三一

    ○森八三一君 現金が右から左へ取れるということが相当大きい要件であるようなお話しでありましたが、これはまあ農業協同組合の預金になりますれば、自由に払い出しができるわけでありますから、現金化ということについてはそう私は大した関連性がない。むしろ正規のルートを通じて政府に超過供出をいたしますることは、翌年の供出割当数量に影響があるという心配、そういうようなところへ関連してくるのではないかというような配慮、もう一つはそういうことが実質上、税法上何ら関係ありませんが、所得税の面に相当響いてきやせぬかというような税法上の問題からくる心配ということが、あえて一万四百円に超過供出できるものを、一万円以下で売却をしておるという事実に私は現われて来ておるのではないかと考えておるのであります。今度の新制度によりまして、二千三百五十万石は是が非でも集荷をしなければならぬ。しかし明日か、明後日きまるであろう米価というものは、必ずしも生産農民が期待をし、要望しておるという価格になりかねるように私は想像をいたしております。誠意をもって米審の答申を実現するように取り計らうとおっしゃいますから、あるいは私の申し上げることが失礼な結果になりまして、農民組合の一万二千四百円という数字が出てくるかもわかりませんので、あまり私も大きなことを申し上げられませんが、どうも昨今の空気では生産農民の要望しておるという数字までには行きかねると思う。といたしますると、新制度による予約制度というものは必ずしも楽観を許さない。そこで二千三百五十万石の予定数量というものを、完全に集荷を完結いたしまして、消費者にも安心を願い得るようなことにいたしまするためには、何としても従来やみのルートを通じて流れておったであろうと想像せられまするものを、正規のルートで吸い上げてくるということを考えなければならぬと思うのであります。それには従来のやみに流れておったその原因がどこに所在するかを究明いたしまして、その原因をためて行くという態度でなければならぬと思います。といたしますれば、今、長官のお話しでは、現金化するという、まあこれは一つ理由であることは私は否定をいたしません。いたしませんが、農業協同組合の貯金という姿になれば、むしろこれは現金と同じなんです。むしろ多額の金を持っておるよりは、農協に預けておった方が安心でもあるから、そしていつでも現金化されるということで、その点はむしろ自由であることは自由であって、主たる理由は翌年の供出数量に影響はせぬかということ、それから所得税の面に関係を及ぼしはせぬかということ、この二つが一番大きな農民の悩みから、やみルートを選んできたと思うのです。そういたしますと、それを解決してやるということが当面の急務であろうと思うのです。そこで翌年の供出ということは、今度の予約制度になりますから関係ありません。そうすると、残る一点の税の問題を解決してやるということが二千三百五十万石を確保するための最大の要点になってくる、こう思います。これに対して、当委員会の決議した米価そのものに対して免税すべしということを要求しておりますが、事務当局として事務的に御折衝になっておる経過もあるかと思いますが、お話しがいただけますれば、そういう経過も承知をいたしたいと思うのです。
  130. 清井正

    政府委員(清井正君) 確かにやみ価格の問題につきましてはお示しの点があると思います。私の御説明があるいは不十分だったかと思います。確かに今までは前年の供出実績が、翌年の割当実績にかかって来やせぬかという必配も相当あると思います。そこで一時匿名供出というような制度を作りましたのも、そういう関係から出てくるのでありますが、そういう問題が一つ。それからやはり所得税の関係でいろいろ心配する向きがある。そういうようなことが確かに大きな原因であることはその通りだと私も思います。今度の措置といたしまして、申すまでもなく、概算金につきましてはすでに御説明申し上げたかもしれませんけれども、契約が締結されれば二千円を交付することにいたしたのであります。  なおその他の残る措置といたしましては、税の特別措置でございますが、これは税の特別措置をするということは決定いたしておりますけれども、どういう程度でどういう工合にいたすということは目下折衝をいたしておるのでございます。できますれば今度の米価の問題と同時期にいたしたいと考えまして、実は先般からしきりに折衝いたしておりますが、まだ結論には達していないのであります。私どもといたしましては、今度の税の措置が今度の売り渡し促進の非常に大きな奨励措置と言いますか、一つの大きな措置になると考えております。また非常に重要な措置であるということは、ただいまお話し通りでございます。  私どもといたしましては、何とかしてこの税の特別措置ということを十分やりまして、概算金の二千円の支払いの問題とあわせまして、今度の制度の趣旨をより円滑にいたしたいと考えておるのであります。折衝の内容等につきましては、はなはだ恐縮でございますが、ただいま大蔵当局と相談をいたしておる最中でございまして、この点の内容につきまして御説明申し上げることは一つ御容謝を願いたいと考えております。
  131. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  132. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて下さい。
  133. 亀田得治

    ○亀田得治君 米価が決定してから予約の目標数量ですか、そういうものを下へおろす。こういうように私ども前に聞いておるわけです。しかし明日は大体もう米価が決定されるという段階でありますから、従ってあなたの方としてはもう相当時期が遅れておるわけですが、その予約量の目標額の提示ですね。こういうものはいつごろされるのか、それが一つ。それからもう一つですね。これは政令案と原案を早く見せてくれという要求は、ずいぶん前にやりまして、しばらく待ってもらいたいということでありましたが、それをいまだにいただいておらない。そういうものはこの予約量の目標量を示す段階になれば、当然それができていてやられるということにならなければならないわけですから、当然示してもらえると思うのですが、それは明日でもすぐ資料として出せるかどうか。それからもう一つ、三つ目はせんだって、二週間ほど前ですが、今度の予約制度の第一段階の国家と農民との間の行為というものは私契約である。従って当然これは簡単なものであっても、定型的な契約書というものが作成されるはずだ。そういう立場で検討しておるということを言われております。それじゃその契約書も一つ見せてもらいたい。初めての試みですから、われわれとしても検討したい。で、そういうふうにお願いして、それに対してもしばらく待ってもらいたい、すぐ出すからというふうなことだったが、いまだにない。それももうすでに二、三日すれば具体的な仕事にかかろうという段階なんですから、直ちにそれもお示し願いたいと思う。この三つを一つ結論だけお答え願いたい。
  134. 清井正

    政府委員(清井正君) お話し通り米価が決定いたしますれば、直ちに全国集荷団体に集荷予定数量をお示しいたしまして、その数量を告示いたすことにいたしております。その数字はただいま検討中でございまするけれども、大体予算規定されております二千三百五十万石を基準といたしましてお示しいたしたいと考えております。これは米価決定後直ちに、まあ一日、二日の余裕はあるかもしれませんけれども、直ちにお示しをいたしたいと考えておるのであります。それから第二点の政令でございますが、これははなはだ恐縮でございましたが、実は昭和三十年産米の集荷制度要綱案というものを前に資料としてお出しいたしたのでございますが、それは実は私どもの政令の案のつもりであったわけです。これは政令案に至りまする集荷団体に予定数量を示すという事実上の問題を書いておきませんと、あるいは政令の御理解が不十分かと思いまして、形は政令案といたしませんで、昭和三十年産米の集荷制度要綱案としてお渡しいたしましたけれども、私どもはこのうち法例で規定できるものを政令で書きたい。大部分のものを政令で書きたい、こういうつもりで、ほとんど政令案になるような形で、実は十三項目にわたりました資料をお出しいたしてあったのでございます。表て書きが政令と書いてなかったので、はなはだ恐縮でございましたが、私どもは実は政令案としての要求の資料に応じたつもりで出しております。また必要がございますれば御説明申し上げますが、この政令につきましても、数字を示すのと相前後して政令を出したいというふうに考えておりますので、ただいま農林部内と法制局と折衝いたしておるのであります。米価決定後直ちに数量の要請をし、同時にまた政令を出して参りたい、こう実は考えておるわけであります。それから第三点の契約の問題でございますが、これは実はお話のありましたことは私伺っておりました。まことに相済みませんのでございましたが、ちょっととりまぎれまして遅れておりまして恐縮でございますが、直ちに一つ作成いたしまして参考資料として提出いたしたいと思います。大へん遅れましたことをおわび申し上げます。
  135. 亀田得治

    ○亀田得治君 今私がお聞きしたあとの二つの点は、供出制度を、これを一体どういうふうに解釈をするか、これについてはすでにいろいろ見方があるわけですね。しかし決定的にはあなたの方から出される、そういう政令案なり、あるいは契約書、そういう物的なものを基礎にしてこれは検討すべきものです。そういう意味で私ども早く出してもらいたい。それなしでいろいろなことをいっても、これは単なる希望であってみたり、個人的な意見になるおそれがあるので、実はそれを待望しているわけです。だから早くこれは出してもらいたい。何べんでも二、三日うちに提出するという回答を受けているのですよ、今まで何回も、……。今後はやはりそういうことにならないように至急に出してもらいたいと思います。
  136. 清井正

    政府委員(清井正君) お話の御趣旨はよくわかりました。でありますが、ただ前回に出しましたものを政令案としてごらん願ったものと私は思ったものですから、それを実はお出しいたさなかったのであります。前回差し上げました三十年産米の集荷制度要綱案というものは十三項目書いてございます。そのうち四項目から政令になる予定で実はお出しいたしたのでありますが、表題が政令と書いてありませんでしたので、大へん恐縮でございましたが、実は政令案と書きますと、制度全体の御理解がかえっていかがかと思いましたので、政令の段階に至ります、いわゆる全国団体から末端への集荷数の要請の点を書き加えたものですから、政令にならない分も書き加えたものですから、政令案と書かずに制度要綱案という形でお出しいたしたのでありまして、私が申し上げました、また、ただいま亀田委員からお話のありました政令案というものは、この資料によって一つごらん願いたいと考えておる次第でございます。
  137. 亀田得治

    ○亀田得治君 同じようなことを言うようですが、それは集荷制度要綱を前に出してあるからいいのだというふうなことは、これはとんでもないことだと思う。それは要綱であって、考え方であって、最終的に私どもが、何か質的な変化があるのだとか、ないのだとか、問題になっているこの制度をほんとうに性格的に批判するにはやはり一字一句といえども、これはゆるがせにできないわけですよ。だからそれを考え方を書いたところの要綱だけで批判するというふうなことは、これはもってのほかなんです。だからそういう意味で私は言っているので、その要綱は私も見ている。しかしこれがどういうふうに最終的にきちっと条文になって出てくるか、それがなければならない。それほど私ども重要視して、いる政令なんですから、これは至急出してほしい。
  138. 清澤俊英

    清澤俊英君 きょう知事に会いましたが、まあどこの知事か言いませんが、ところが食管法の三条、あれを改正して知事が非常な権限を持って、強力な、割当に責任を負おせるような要綱に改正するような意向を知事会議で長官は申しているのです。そういうことを言うておりましたが、そういうものを総合してみると、やはり亀田君の言うように、私らもそれを待っていた、だから要綱というものを中心にして調べなければならぬ。それが出たならば一ついま一度取扱い方を吟味してみよう、こう考えて等閑にしておりましたが、これは早くしてもらわなければ全く問題だろうと思うのだ。
  139. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの知事さんのお話ということは、あるいは私が申し上げたことをどういうふうにお聞きになっていらっしゃいますか。それには、きょう午前中知事会議がありました。で、知事会議に呼ばれまして、どういうふうになっていたかという経過を聞かれたので、そこで経過をお話申し上げたのですが、そのときに、要するにお前の方は二千三百五十万石ということを目標にして集荷をするのはいいが、集荷できなかったらどうする、目標が集まらなかったらどうするかという、こういう御質問があったのであります。もしそういうことが起きればまた考えざるを得ないが、ただいまは本制度を完全に実施するのが私ども計画であるのでありまして、本制度実施のために最大の努力を払いまして、予定数量の政府に対する申し込みが行われ、同時に申し込みによる実際の政府の売り渡しが実施できるように努力いたしたいということを申し上げて、三条一項によって大きな権限を与えるようなふうに改正するというふうに申し上げたつもりはなかったのでありますから、その点をさよう御了承願いたいと思います。
  140. 清澤俊英

    清澤俊英君 知事でありますれば、そういうばかなことはないと思う。知事さんが少くとも私の言うたことを間違っておったというからには、何か強力な、一つ知事にこうしてもらいたいとか、ああしてもらいたいとかいう強力な要請があったのだろうと思う。それでなければ間違うわけがない。今の長官のお話ならば、少しでもこういう目的を達するようにしてもらいたいくらいの話ならば、そういう間違いは起きないと思うのですがね。たしか三条か、二条の条項を改正して、知事に強力な権限を与えて、それを要請するということは、昔の供米と同じことになるだろう、こう話しておりました。
  141. 清井正

    政府委員(清井正君) それは私はこういうことを申し上げたのですが、今までは割当てでございましたけれども、今度は自主的に申し込みをしていただくことになりました。従って生産者の方がこれだけ売りたいということになりますれば、それは政府と契約いたすことになりまするけれども、それは結局食糧管理法第三条第一項の公法上の政府に売り渡すべき義務にいたしますと、こういうことを申し上げた。従って私契約で結びました数量は三条一項の公法上の義務数量といたしますということは御説明申し上げたのであります。そういうことは先ほど申し上げた、そういう行き方でいくということはたしか知事さんに御説明申し上げたことはございます。
  142. 亀田得治

    ○亀田得治君 今の長官のお話段階一つ抜かしておられると思うのです。それは食管法の三条の義務をかぶせる前に、最初は私契約で出発して、そしてその三条の義務をかぶせる前に、実収高等が明白になった場合には前の契約通りでいいかどうか、そこの再検討段階があるわけでしょう。それを全然抜かして、最初の契約に対して公法上の義務をかぶせると、こういうことだと私どもが今まで考え、また皆さんの方から質問に対してお答えをいただいておったこととは非常に違ってくるのですよ。これは簡単に長官が説明されるためにそういう、更改するという段階を省略されたのかもしれませんが、それなら別にいいわけですが、そういう更改の段階というのはあるわけでしょう。
  143. 清井正

    政府委員(清井正君) この点は先ほどの要綱にも書き、またお読み下さいました通りでありますが、更改の制度があるのであります。それは私どもこう考えておるのであります。これは三条一項の公法上の義務になりますので、あまり不公平なことになりますというと工合が悪い点が起りはしないか。たとえば非常に米があるのに政府に売り渡しをしないという人がある。片一方に、十俵出していいのに一俵しか申し込まない、こういうことが起った場合には、片一方にたくさん売り渡す人があると非常に不公平であります。同じ部落の中、同じ村の中でやはり問題が起りはしないか。片一方は三条一項で法律の義務がある。片一方は自分は申し込まないからいいんだということになると、また申し込んだ人に対して工合が悪いということが起る。そういう場合には、お米の収穫高があった場合に、三条一項による指示をいたすという制度を残しておかなければならない、こういうふうに考えておるのでございます。そして今言ったような、原則といたしましては生産者が自分で申し込んだものを受理いたしますけれども、ただいまのようなことがありますれば、そういう措置もあわせ考えるというふうな、制度が二本になっておる。そういうことはここに書いてありますが、私どもその制度は公法上の義務の関係上残さなければならぬ、こういうふうに考えております。
  144. 亀田得治

    ○亀田得治君 契約をしたけれども、その契約通りはどうも出せない状態になって来た。この場合には逆の意味での更改が必要になってくる、そういうふうにお考えでしょう。
  145. 清井正

    政府委員(清井正君) その通りでございまして、この規定の中にもこういう場合には減らす更改をいたす、いわゆる補正でございます。今まで補正といっておりますが、補正をいたしまして、申し込み数量を減らすことをいたしております。
  146. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういう場合に、それじゃ減額の更改をしたいというふうに農民が国の方に申し出る。それに対して国の方が、それはお前の見方は違う、応ぜられない、こう出た場合には一体どうなるのか、その場合には最初に契約をしたそれに公法上の義務をかぶせることになるのか、ここが非常に大事な点なんですがね。あなたはずるい方ばっかり盛んに言われるが、ほんとうに減額すべき状態が出て来た。しかし政府の方では集荷予定量というものの目標を達成しなきゃならぬから、そんなこと言うても応じない。こう強く出た場合の措置というものをあなたはどう考えておるか。
  147. 清井正

    政府委員(清井正君) この前差し上げました資料の中にも書いてございましたが、お話の点は私ども心配いたしておる点であります。そしてこれはまず三条一項の市町村というのは、市町村長が従来いたすことに制度上いたしておるのであります。市町村長に指示を生産者が受けまして、その他災害によって非常に減りましたとか、あるいは災害によらなくても火事で焼けてしまったとか、あるいは非常に見込み違いで減収いたすということで、当初予定いたしました数量はとても売り渡せないという事態が起ってくることは当然あることであります。そういう場合におきましては、市町村に対しまして、自分はこういうふうに申し込んで、こういうふうに三条一項の割り当てを受けたけれども、自分はその数量を売り渡しできないから変更してくれということを市町村長に対して申し出るわけであります。市町村長はそのときには農業委員会意見を聞きまして、そうして二十日間の間にそれを決定するかどうかということを文書できめまして、そしてやって決定いたしますれば、それが三条一項の公法上の義務の数量が変ります。変りました場合には、その数量を私どもの方が通知を受けまして、私どもが契約上の数量をそのまま更改する。初めの市町村長の公法上の義務の更改ということになるわけであります。それでは申し出たものがそのままになるかどうかということでございますが、制度といたしましては、そのままということにはなり得ないのであります。農業委員会意見を聞いてきめるということになっておりますけれども、この制度の建前上、理由があるといたしますれば当然減額されると私ども考えておる次第であります。
  148. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは非常に時間をとって恐縮ですが、そういう問題に入ったものでありますから、中途半端にできなくなったわけでありますが、今、長官がお答えになったような答弁ですと、最初の契約にすでにもう公法上の義務が加わっておるようにあなたは説明されておる。しかしこれは私どもがこの委員会で前に聞いた説明とは違いますよ。それはだから、そういうややこしいことになるから、一体どういう政令案なり、そういうものを確定的に考えておるのか、そういうことを私は聞いておるので、その議論でしたらこれは大へんなことになる。で、この前お尋ねしたときでも、最初の出発点は農民と国家との間の私契約である、これは明確に答えられておる、何べん念を押しても……。そんなものは初めから公法上のものであれば、何もこれはあんたちっとも新らしいことも何もないじゃないですか。だから、そこで私契約で始まったものであれば、それじゃ契約したけれども、ほんとうに予定通りとれなかった、こう百姓さんが訴えて出た場合に、一方の方では予定量を割るようなことになってはいかぬというのでなかなか応じない。そういう場合の措置ですね、これは法律的にも非常にむずかしい問題になるのです。その場合には、前の方は私契約ですから、私契約の更改を求めておるだけなんでしょう、その際は……。まだ義務がかぶさっておらぬのです。その問題が解決した後に初めてこの義務がかぶさってこなければ、こんなものは何も新らしい制度でも何でもないんですよ。だから、そこは私ども違った説明を二つ受けておるわけであります。これは委員長、議論しておると非常に時間がかかりますが、別にしてもらえますか。私としてはそういう非常に矛盾のある発言をされたものですから、一応言わざるを得ない格好になったのですが。
  149. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまの問題は、亀田君のおっしゃるところでは、食糧庁長官、あるいは食糧庁当局の説明に矛盾があるわけなんですが、この問題につきましては、いずれ今週中には正確な政令案が出るわけでございますから、そのときに、米価の問題とあわせまして、来週の委員会であらためて問題にしたいと思いますが、よろしうございますか……。それじゃ、さようにいたします。
  150. 清澤俊英

    清澤俊英君 今週うちに食糧庁から政令案が出る、こう委員長は言うておるが、今までの経過を見れば、出るか出ないか、さっぱりわけがわからない。いつまでに出されるか。
  151. 清井正

    政府委員(清井正君) まことにお言葉を返すようで恐縮でございますが、私どもは前の要綱案でもって政令案として御理解を願ったものと思っておったので、はなはだ恐縮でしたが、ただいま政府部内で、農林省と法制局と相談いたしておるのでありまして、法制局と相談がつかなければ出せないのであります。私は米価決定後直ちに予定数量を出しまして、それと相前後して政令を出したいと思ってせっかく急いでおるのであります。決定して正確なものを出せという御趣旨でございますと、法制局との相談の結果出さなければならないので、私一存でいついつまでに出すということは申し上げられないのであります。できるだけ急ぎまして政令案を出したい、こう考えておるのであります。その点御了承願いたいと思います。
  152. 清澤俊英

    清澤俊英君 こんな意地の悪いようなことを私は言いたくないけれども、今までの経過を見れば、今、亀田君が言う通り、初め承わったときの予約買付というものと、今のお話じゃ全く別なものができ上っておる、こういうものがこれはあるのですがね、要綱案でしたね。それをもって幾ら話をしてみたって結論が出っこない。そこでまたくりくりと変ってしまったら問題にならないと思う。これは農民の重大な問題です。この重大な問題をそんなことではとてもやりきれる問題ではありませんから、もっとちゃんとしたところでやるようにしていただきたいと思います。
  153. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それじゃ、そういう工合に要綱案が政令案のつもりだったというのは、あるいは途中の予定の仕事の変更でそういう工合になったのかもしれませんが、その点は一応ここでは問題外にしまして、とにかく先ほど来の大臣の答弁なり、長官の答弁で行きますと、今週中にはでき上るはずでございますから、来週の委員会であらためて問題にいたします。     —————————————
  154. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ここで予定を変更いたしまして、漁業用燃油に関する件を議題といたします。  この件はすでに御了承の通り、全国漁業協同組合連合会に対する漁業用石油の輸入外貨の割り当ての問題でございまして、去る六月二十八日の委員会の議題になり、問題の経緯に関して一応通産省及び水産庁事務当局から説明を聞いたのでありますが、問題は政治的解決を待たなければならぬ段階考えられまして、委員会といたしましても、通産、農林両大臣の出席を得て最終的に結論を得たいと考えておりましたが、その後、事態もだいぶ進んだようでございますので、この際水産庁長官から、この間の今までのいきさつを承わりたいと思います。
  155. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 漁業用燃油に関しましては、全国漁業協同組合連合会から外貨の割り当てについて、われわれにも要望がございましたし、また当委員会におきましても種々御論議願いましたし、また御鞭撻をいただいておったわけであります。これは外貨の割り当てにつきましては、通産当局のそれぞれの考え方もございまして、いろいろ折衝をいたしておったわけでございますが、大体本日大綱につきまして、実質的に私たちといたしましては妥結いたしたと、かように考えますので、その間の御事情を御報告申し上げたいと思います。  その内容は、全漁連と契約をいたしました石油輸入業者に対しまして、石油輸入業者と全漁連とが売買契約をする。それに対しまして、別に石油業者に対して外貨を割り当てる。この割り当てるべき外貨は、三十年度につきましては十万キロリットル分というふうに考えております。ただこの場合におきまして、A重油にするか、原油にするかということは、さらに細目決定をいたしたいと思いますが、全漁連が買いますものは、輸入業者から、あるいは精製業者からA重油を買うわけであります。その全漁連に売りました輸入業者、あるいは精製業者に対しましての割当外貨につきましては、その内容をさらに細目にきめるのである。この分は本年度の重油の輸入外貨の別ワクプラスということにする、こういうことでございます。なお、従来全漁連及び県連が石油の元売り業者から買っておりまする分は、これはこの十万トンとは別に従来の通りにやる、ほぼこの数量が十万トンでございます。大体系統機関としては、先般全漁連からも要望がございましたように、大体二十万キロ程度取扱いができる、こういうことに相なろうかと思います。なお、これの実施につきましての横流れの防止でございますとか、価格の適正化につきましては、通産、農林両省におきまして十分監督をいたしたい。なお全般的に漁業用の重油についての値下げと申しますか、できるだけ安い価格をもって供給して行くように今後とも努力していく、こういう趣旨におきまして、なおそのほか農林省と全漁連としては、従来漁業用の重油につきまして、相当特約店または小売店に対して買いかけがございますので、これにつきましては極力指導によりまして返済をするように協力して参る、こういう趣旨におきまして、本日大体の話し合いができたわけでございます。従来いろいろこの点につきましては、当委員会を通じまして御鞭撻いただき、またわれわれが交渉いたしまする場合をおきましても、非常に強力なる指導をしていただいたということにつきましては、非常にわれわれといたしまして感謝いたしておる次第であります。
  156. 森八三一

    ○森八三一君 今の報告でございますが、全漁連が特定の輸入業者に発注をするという格好でありまして、発注を受けた会社が十万キロですか、それに達するまでは、その会社に対して別ワクとして外貨の割り当てをする。そうしますると、全漁連と輸入業者との現物の授受はどういう場所で行われることになるのか。さらにわれわれが主張しておったのは、零細な漁民を漁業協同組合に結集して行くという組織の強化を考えなきゃならぬ。それが重油の問題と非常に関連が多いので、それによって漁業協同組合の質的な整備強化をはかりたい。値段の安い高いという問題より、むしろ私はそこに重点がある、こう思っておりましたが、そういう目的が達せられるということにお考えでございますかどうか。
  157. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 第一点の受け渡し場所はどこにするか、これは具体的には全漁連と輸入業者との間の契約になりますが、メイン・タンクで受けるか、あるいは第二次の基地タンクで受けるか、これは全漁連の石油の供給の地域的な、自己のタンクを持っております場合と、そうでない地域と、あるいは県連が持っておる場合、いろいろなケースがあるかと思います。その実態に即しまして、両者の間に協定が成り立つということになるだろうと思います。すでに全漁連におまましても、二万ないし三万の取扱いを現在までいたしておったわけでごさいますから、その経験をも活用いたしまして、現実に全漁連との末端の売り渡し場所等の相談をいたしまして、そうしてその結果をもって輸入業者との間において契約をする、こういうことに相なろうかと思います。御質問の第二点の協同組合の育成強化、これはわれわれといたしまして、沿岸漁業の振興のために協同組織の育成をして参るということは、もちろん従来から考えておったわけでございますが、これの一つの大きな方法といたしますると、最も共通的な取扱い資材でございまする漁油を系統団体が取り扱うということが、系統組織の団結の強化ということに非常に私どもは役立つだろうと考えております。先ほども申し上げましたように、これは従来の取り扱ったものに対するプラスとして取り扱わせるということに相なるわけでございます。また一面におきまして、漁業用の供給増という面にも関係いたして参るかと思います。その点につきましては、われわれといたしまして、組合の共同販売事業の著しい伸展になるだろうということを期待いたしておるわけでございます。ただ最後にも申し上げましたように、これの実施の面につきましては、われわれとしても系統団体とも十分相談をいたし、そうしてこの趣旨にそぐわないことのないように十分注意をいたして参りたい、かように考えております。
  158. 森八三一

    ○森八三一君 こういうことは想像したくはありませんが、十万キロというものがプラス・アルファになるということになりますると、その取扱いを全漁連から指定されるかどうかということは、業者にとっては非常に魅力のある仕事になるかと私は思いますが、そこで全漁連の役員の諸君の監督が十分でありませんと、えてして起きるリベートの問題にも発展して行く危険があるというように想像、これはよくないことでありますが、心配が出てくるのであります。そういう点から全漁連というものの傘下の府県の漁連がいろいろ批判を加えるようになりますと、強化育成をして行きたいという漁業協同組合一連の組織というものが、かえって、よかれかしと考えることによって破壊をせられるという危険が起ると思いますが、そういうことについては、一体水産庁はどう指導され、監督されていくのか、これは非常に真剣に考えてもらわぬとむずかしい問題が私は起きると思うのですが、どうでございましょうか。
  159. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) この方法は、全漁連がこういう制度のもとにおきまして、最も有利な価格において石油業者と交渉し得る余地があるわけでございます。従いましてこれをただいまの御指摘のような変なことにならないように、われわれとして十分監督いたしたいと、従いましてその契約の内容、価格等につきましては報告を求め、そうしてそれの配給方法につきましても十分報告を求めまして、そうして監督上遺憾のないように処置いたしたいと、かように考えております。それはこの趣旨にもございまするように、農林、通産両当局は、横流し防止及び価格の適正について万全の措置を講ずるということが、これは御指摘のような、そういうことはないと思いますけれども、そういう点の心配と申しますか、非難を受けるようなことのないようにということで、特にこの方法をとったというわけで、その点については十分われわれとしても報告をとり、監督をいたしたいと考えております。
  160. 東隆

    ○東隆君 私は長官の今言われた御報告は、これは常に中をとられて、だいぶ努力をされたようでありますけれども、業者の方は一つもこれによって、損失というと語弊がありますが、損失を受けておらぬわけでありますが、といいますのは、割当が十万トンふえて、しかもそれを確実な売り先がはっきりきまっている、こういうことになり、しかも外貨がそれだけ割り当てられると、こういうことになって業者としてはこれはもう非常に何というか、有利な解決です。ところが全漁連が主張をしておりましたところからは、これは非常に遠い。全漁連の主張は、外貨の割当をほしい、こういうのであります。従ってプラス十万トンの形でもって出てきた外貨だけは、これは当然全漁連にこれをやるべきであって、それをやることによって業者の利益は一つも減らないわけであります。だからこの解決のやり方というのは、非常に業者の方面には大きな利益になりますけれども、全漁連の目的としているところとは非常に遠いのです。それから全漁連が外貨の割当を望んでいるのは、この系統を通して石油の配給その他をずっと続けてやっていって、そうしてそれによって協同組合の強化刷新を、一つこれを通してやろうとしているので、そういう意味からも私は水産庁はもっと強く出るべきじゃないかと思うのですが、これはこの外貨の割当を通して業者の方が非常に利益になっていると思うのですが、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  161. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お言葉を返すようでありますが、全漁連がかりに外貨を受けましても、全漁連自身が現実に海外で直接交渉をして、そうして直接輸入をするということは、海外に人も派遣しなければいけませんし、その経験もございませんし、外貨を受けましてもやはりどこかの輸入業者に委託しなければならないということが実態でございます。従いましてわれわれといたしましては、その実態をとりまして、全漁連と契約をした輸入業者のみがその外貨の割当を受け得るわけでございます。契約のできない場合におきましては、その輸入業者にまず外貨を割り当てまして、そうしてそれから全漁連にものを流すというのじゃなくして、全漁連と具体的に契約ができましたものについて外貨の割当をする、こういうことでございます。実質的にはその点が、従来主張いたしました点は十分これによりまして目的が達し得ると、かような考えでおるわけでございます。ただ御指摘の、これによって従来の石油輸入業者がちっとも影響を受けないじゃないか、これは全般の問題といたしまして現に石油、重油規制につきましての法律もございまするし、それによりますると、いろいろの価格調査等もでき得ることになっております。そういう全般的な問題につきましては、われわれといたしましてはいろいろな法制的な裏打ちも得まして、そうしていろいろ価格その他の配給機構につきましても調査いたしまして、そうして漸次これをやっていく、また全漁連がこれを扱うことによりましてその配給のコストその他の点につきましても十分なる資料が得られる、かようにわれわれとしては考えておるわけでございます。
  162. 東隆

    ○東隆君 私は輸入石油そのものに対するこれは現物その他の支配上イニシアをとるというような考え方で、こういう場合はやはり全漁連に外貨を割り当てるという形式をとらなければ、まず第一番目に今のドルの問題ですけれども、ドルそのものが割り当てられることによって相当な利益が上っております、これは実際上、そういうような問題、それから生じてくる結局輸入のコスト、こういうようなものが違って参る、そういうような問題、それから先ほど森君が言ったようなリベートの問題、こういうような問題は当然ドルと円との関係から出てくるのであります。おそらくそういうふうなところから出てくる。従ってその根をなくすることが必要だし、私はやはり全漁連にドルを割り当てるという形をとらなければそこの関係はこれはどうしてもきれいにならないと思う。この関係はおそらく今のこの調停案、長官の報告をされた案で進めていくならば、どちらかの間にいろいろな問題が起きてくると思う。当然その間にもうたとえば一ドルが三百六十円で計算されるなら問題ございませんが、そういうふうに計算されるものではないからいろいろの問題が出てくる、私はそこに今後困った問題が起きてくると思います。だからこれはもう一歩進んでドル割当をやらなければこれはおそらく全漁連なんかは満足をなかなかしないのじゃないかと、こう考えております。これはどういう形で今後進めていくか、これがまたいろいろ問題があろうと思います。私はどうも今の御報告ではこれは解決をしたものとは思わないんです。その点は将来どういうふうに……話を進めていくお考えがあるのじゃないかと思いますが、その解決からもう一歩進めていく方向はどういうふうなものですか、それをお伺いしたいのであります。
  163. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申し上げます。われわれは実質的にはそれによりまして従来のわれわれが希望いたしておりました点を大部分遂げておるというふうに考えておるわけでございますが、これらの実施につきましてはもちろん御指摘のように十分注意をいたさなければならないと思っております。十分注意をいたしたいと考えております。
  164. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 先ほどの御説明でちょっとはっきりしなかった点がありますが、十万キロというのは重油か、あるいは原油か、まだそこははっきりしていないというようなお言葉であったように思いますが、原油の場合であったとするならば、原油十万キロであったならば重油は十万キロ出てこないと思うのですが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  165. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) A重油につきまして、全漁連が契約して輸入業者から買いまするものは、A重油の十万キロということを予定しておるわけでございます。ただこの場合に、割り当てる外貨は、今の外貨の割当からいきますと、A、B、C合せます価格、これはまあ製品としては一本になっております。A、B、Cと、これのFOB単価とそれから原油の単価とはほとんど変りはありませんが、ただこの問題として残しておりますのは、われわれとしましては、場合によりますると原油で割り当てた方が、実際上全漁連が輸入業者あるいは精製業者と交渉いたしまする場合におきまして有利な場合が考えられるわけでございます。と申しますのは、重油の場合と、原油にはそのほかのいろいろなものが製品として出て参ります。それが市況によりまして相当有利に販売できるような場合には、その場合におきましては、よりまあ何と申しますか、精製業者の方に切り込めるという場合も想像されるわけでございます。その点についてはもう少しわれわれとしてもいろいろ検討いたしたい点もございますので、そういう意味におきまして、この点につきましては今後具体的にきめることにいたしておるわけでございます。ただ御心配のように、原油を割り当てました場合におきましては、その原油から生ずるA重油でございますが、それが全漁連に売れる量ということにはならないわけでございまして、そこは別々に切り離しておるわけでございまして、全漁連が使いますのはA重油でございますので、そのA重油は、全漁連がA重油を買う、その場合において外貨のつけ方といたしましてどちらが有利であるかということを検討する余地もございますので、そういう点を別にいたしておるわけでございます。
  166. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、十万キロリットルという量は具体的なものではない。大体それに近いものでいこう、こういう考え方じゃないかと思うのです。十万キロリットルというものを扱うとすれば、A重油ならA重油が十万キロリットルなければいかんわけです。原油で十万キロリットル入るというと、ほかのものを取りますと十万キロリットル残らないという格好になると思います。  それからもう一つお伺いしたいのは、この十万キロは本年の分であろうと思うのでありますが、先ほどのお話しによると、普通の年は二十万キロと、これはあくまでも別ワクで今後いくわけでありますか、今年だけの御処置でありますか、その点を伺いたいと思います。もし例年別ワクで十万キロリットルというのが入ってくるとなると、一方では石炭の面から重油の規制が行われており、一方は二十万キロというものは別ワクで入ってくる。そうすると全体日本で今まで輸入しておった数量のある程度のものを外貨割当で減らすのか、もし減らさないでいくとすれば、かなりゆとりができて、油の値はかなり下っていくのじゃないかとわれわれは想像するのですが、その点はいかがですか。
  167. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  168. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それじゃ速記を始めて。
  169. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) この問題につきましては、先ほども説明いたしましたように、三十年度におきまして別ワクといたしてあるのであります。で、今後の問題につきましては、やはり外貨の全体の事情もございまするし、それに原油に割り当てられる外貨の事情というものは三十一年度はまだ見当がつかないわけでありまするし、またわれわれといたしましても今後の系統の販売状況、あるいは系統組織の消化の状況と、また全般的な石油の需給及び価格の引き下げについての今後の努力というふうな点も考え合せまして、今回は三十年度におきまして一応問題の話し合いをつけたのでございまして、御指摘のように三十一年度どうするかという、三十一年度以降については一応触れておらないわけでございます。まあこれは私たちのひとりよがりかもしれませんが、一たんこういうふうになりますれば、これを下げるということはあり得ないのじゃないかということに考えておるわけでございます。
  170. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 大体水産庁当局の非常なごあっせんによりまして、ここまできたことは、私どもとしては行政がまずまず一〇〇%とは言えませんでも、八〇%ないし九〇%の効果を上げたものと考えまして、非常に敬意を表するのでありますが、今お話しのように、非常にそこに弾力性と言いますか、妙味というものが残っておる。そこに先ほど森委員からも非常に御心配になりましたこの油の売買によって今後いろいろな問題が出てくる。そこにどうもすきがあるような感じがするのです。従いまして、この問題はもし下手をすれば今度は大へんなことになってしまいますので、もちろん当事者は十分警戒しなければなりませぬけれども、当局としても最善の注意を払っていただきませぬと、いいつもりでやったものはとんでもないことになるということは私も森委員と同じような感を深くする。ことに原油を輸入した場合、その価格の操作とか、あるいはうま味とかいうようなことになりますと、これはどうにでもなる問題です。この油の販売というものは非常に妙なところが多いのです。従ってだれも油の販売をやりたい。従ってそこへ公的なものがやるということは、非常に危険性をはらんでいる。私はあえて疑いはしませんが、この点はよほど注意しませんと、とんでもないことになりはしませんか。こういう点は十分一つせっかく上げた成果を落さないようにお願いしたいと思います。
  171. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 十分注意をいたしまして、そういうことのないように監督をいたしたいと思います。
  172. 江田三郎

    委員長江田三郎君) よろしうございますか……。それじゃこの問題はこの程度にいたします。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  173. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会      —————・—————