運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-06-23 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十三日(木曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————   委員の異動 六月二十二日委員加瀬完君辞任につ き、その補欠として三橋八次郎君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員            青山 正一君            大矢半次郎君            田中 啓一君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            森 八三一君            清澤 俊英君            三橋八次郎君            東   隆君            棚橋 小虎君            鈴木 強平君   衆議院議員            松浦 東介君   国務大臣    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    農林政務次官  吉川 久衛君    農林省農地局長 渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林省農林経済    局金融課長   和田 正明君   —————————————   本日の会議に付した案件農林水産政策に関する調査の件  (農産物に関する日本国アメリカ  合衆国との間の協定締結について  承認を求めるの件に関する件) ○積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の  一部を改正する法律案(衆議院送  付、予備審査) ○昭和三十年四月及び五月の凍霜害、  水害等被害農家に対する資金の融  通に関する特別措置法案(内閣送  付、予備審査) ○愛知用水公団法案内閣送付予備  審査)   —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  議題に追加いたしまして、農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題にいたします。本件につきましては昨日の外務委員会との連合審査の結果によって、本承認案件の取扱いについて本委員会方針をおきめ願いたいと存じます。  なお右に関しまして高碕経済審議庁長官から発言を求められておりますから、お聞きとりを願います。
  3. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 昨日の外務との連合委員会におきまして、余剰農産物受け入れの問題につきまして検討されましたときに、余剰農産物によって見返円資金の使用につきまして各省間の連絡が不十分でありましたため、まことに恐縮に存ずる次第でございます。いろいろ協議いたしました結果、本年度はすでに予算で決定いたしておりまするから、本年度の分を予算通り一つ承認願いとう存じますが、明年度予算編成に当りましては、余剰農産物受け入れることができるとできないとにかかわらず、既定計画を実施し得るよう十分検討することといたしまするから、どうかさしあたり今年度余剰農産物受け入れについての政府原案を御承認願いたいことをお願い申し上げます。
  4. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの経審長官お話関連いたしまして一、二質問をいたしたいと思いますが、お話のありました明年度余剰農産物受け入れは、今後の問題でありまして、お話通り未確定であります。そこでそのことが進むか進まないかにかかわらず既定計画遂行については予算的に万全の措置をとるということでありますが、その意味経済六カ年計画に盛り込まれておる千三百五十万石の増産に必要な既定計画に要する経費と、それから昨日農林省から示されました新しい四地区の別個の開発に所要される資金、その総計を措置すると、こういう意味でありまするのか、その内容いかんによっては新しく計画せられまする四つの地区の場合はやるが、それが千三百五十万石の既定計画影響を持ってくるということになりますると、この協定によりまして国内農業開発に悪影響をもたらされるということに……影響を持つことになるわけでありますので、非常に遺憾な結果が生まれると思いますが、この趣旨はどういう趣旨でございまするか、まずお伺いをいたします。
  5. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 経済六カ年計画におきましては、米の換算といたしまして六年後千三百五十万石を増産するという計画をもって進んでおるのでございますが、もちろんこれと相並行して参るわけなんでありますが、その計画以上の米が生産されるという数字につきましては、愛知用水そのほかにつきましては必ずしも米穀が幾らできるということはまだきめておりません。きまりませんが、全体につきまして既定方針として食糧増産計画を立てております以外に、新しくこれだけの開発をするわけでありますから、それだけはある程度のプラスになりますが、そこの間ははっきりとそれでは従前の計画をこれだけやるのだ、それにこれだけの金を十分ふやすのだということの私は言質を与えることはできないと存じますが、しかしながら新しく計画されて、農地開発のために計画されておるということは、そのことは中途でやめるわけには行きません。どうしても行きません。新しく計画を立てられたならばこれは実行して行かなければならぬ、こういうことだけは私はっきりここに申し上げたいと存ずるわけであります。
  6. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、この愛知用水以下四地区のやつは、今年度から明年度にかけてその計画が実施されるように予算的な資金的な措置を講ずる。がしかし、その講ずる過程において予算的に資金的に困難が生じました場合には、既定食糧増産計画影響を持ち来たすというようにもなるかと思いますが、そうなりますると、申し上げましたように、余剰農産物受け入れによって国内開発をやつて参りますることが、既定国内農業開発に至大な影響を持ってくるということになりまするので、この協定趣旨から言ってまずい結果が生ずるというようにも思いますが、そういうようにはなりませんかどうか、もう一ぺん重ねてお伺いいたします。
  7. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問趣旨は大体よく私了解いたしましたが、こういう新しい計画を立てて、それで一年着手する、あとこれを遂行して行かなければならぬ、それには非常に大きな金がかかる、その金の方に既定食糧増産計画に充てている予算を振り向けてしまつて既定方針が遂行できなかったら困る、これはまことにごもっともな質問だと思いますが、それに影響のないようにこれだけのものを新たに加えて行く方針になって行きますが、しかし私の最後に申し上げましたことは、千三百五十万石を今作ると言っておるのだが、愛知用水の方にこれだけの金をもってこれだけのことをやつたら幾らの米穀増産ができるかということにつきましての、それをプラスしろ、こういうことについては私は多少考慮させていただきたい、こういう点なんでございます。今初めお話し申し上げました通りに、この既定食糧増産計画に、今度のものをやるために支障を来たさないということには、十分努力をいたしたいと存じます。
  8. 溝口三郎

    溝口三郎君 ただいま森委員からの御質問に対しまする高碕長官の御答弁がありました。千三百五十万石を三十五年までにやる、六カ年計画によって。それと愛知用水との関連でございますが、これは昨日私はまだはっきりしていない点がありますから、別の機会に事務当局数字について質問いたしたいと思います。ただいまの御説田で本年度は三十億が農業開発にきまつた、だから本年度は変更することはできないから、予算通り実行する、という御説明があったわけでございますが、昨日は三十億の区分につきまして、御列席の三大臣の御協議の上、愛知用水は二十五億にして、五億は北海道に回すという御協議ができたようでございますが、北海道というのは具体的に篠津地区を指して言われたのか、あるいは機械開墾項目には根釧原野がありますが、それは含まれているかどうか、機械開墾のうちにもう一つは青森の上北平野がありますが、それは本年度は実行しないのかどうか、それを明確にしておく必要があると思います。お伺いいたします。
  9. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま御質問の点につきましては、一応これは農林当局からお答え申し上げた方がいいと存じますが、ただ現在三十億円の中の五億をもって北海道その他へさくということの協議はいたしておるわけでございます。そこで、その計画を実行するということにつきまして明年度以後についてはこれについては十分検討しようと、こういうことに相なっておりますわけで、内容につきましては私ははなはだなんでございますが、農林当局から御答弁いたします。
  10. 溝口三郎

    溝口三郎君 委員長にお願いいたしますが、本年度配分がこれが問題があると存じますから、今高碕長官は御答弁できないようでございますから、内容について農林当局なり大蔵当局出席を要望いたしたいと思います。
  11. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまの溝口委員農林当局を呼ぶことは連絡いたします。
  12. 田中啓一

    田中啓一君 関連して。森さんの御質問を横取りしたようでたいへん恐縮でありましたが、関連をしてもう一応くどいようでありますけれども、長官に確かめておきたい。それは、ただいま長官の御弁明になりました千三百五十万石を増産をするという計画には、つまりそれの国家資金計画には支障のないようにまず第一に持って行くんだ、そうしてそのほかに余剰農産物受け入れというのは、そもそも一半においては国内資源開発、ことに食糧自給度の向上ということを目ざしておるのであるから、余剰農産物の方の金をプラス増産の方へ持って行くつもりだ、その金が今年約三十億予定されておるわけだ、今年はこの三十億で了承を願いたいが、来年さらにもし余剰農産物を受けることになりますれば、このプラス増産というものをさらに努力をして続けて行くつもりだ、こういうお話であったと私は了解をいたしました。これはまことに私は御努力を多とするのでございます。実は予算委員会において長官ちようどお差しつかえでございまして、主としてあの六カ年計画あるいはつなぎの三カ年計画というものの立案に当られました政府委員から御答弁願つたのでございますが、非常に農業資源開発の御努力が現れておりまして、三十一年度からは千三百五十万石というものを実現するには相当急ピッチに国家資金を増加することに努力して、そうしてやつて行くのだと、予算のことであるから今確かにそれだけの金を出すということを・一政府委員が言明することはできないけれども、努力するのだと、また大蔵省主計局長も、言質というわけにはいかぬにしても、努力することだけはもう間違いございません、ぜひやりたいものだと思います。こういう言明で、非常に私は熱意のほどを喜んだのでございますが、この線に沿うて必ずおいで下さるということが、私は今日の日本として大切なことでなかろうかと思いますので、どうか、予算委員会には長官ちようどお出になりませんでしたが、そういう趣旨質問答弁をしたのでございますが、もう一応それを確認的に、今の長官の御答弁と同じことでございますが、はっきり一つおっしゃっていただければありがたいと思います。
  13. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申しますが、六年後の米、玄米換算千二百五十万石の計画支障を来たすというふうなことがないようにやつて行きたいと存じます。
  14. 森八三一

    ○森八三一君 先刻溝口委員質問に対して長官お話が、昨日と趣旨においては同様かと思いますが、表現の方がちょっと違いましたのですが、と申しますのは、本年度は三十億の予算がきまつたからそれで一つ了承してほしい、そこでその配分について昨日は愛知用水に二十五億、北海道五億ということを明確にされたのであります。ただいまの御答弁ではその五億についてはどうかというと、これは農林当局ではないからそういう内容については自分は承知しておらぬ、しかし愛知用水の二十五億と残りの五億は北海道等と、等が一つつたのでございますが、きのうは北海道に五億とはっきりおっしゃった。きょうは等五億という、その等が非常にこれは影響すると思いますが、その等は一体どういう意味なのか。
  15. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私ははっきり、ごまかしでも何でもありませんが、北海道の方に五億分けるというふうに聞いておるわけなんであります。八郎潟とか何とかありますものですから……。八郎潟が入っていないような気もいたします。そこのところ、はっきりしないと困りますから、北海道に五億分けるということだけは聞いておつたのでございます。
  16. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この点は後ほど農林当局が見えましてからそのときに一つ……。等が入るか入らないかということは農林当局が見えてから高碕長官から一緒に答えてもらつた方がいいと思います。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は今耳が悪くて人がちょっと来ておりまして聞き漏らしたと思うのですが、昨日大蔵大臣答弁せられて、あなたではなくて……、大蔵大臣は今年は予算等関係もありますから、三十億の余剰農産物の金で第一年度をやる。その割り振りは愛知用水について二十五億、北海道へ五億やります。あとの分は来年度へ繰り越して、来年は必らずこの分は十億ふやしてやります。こういう御返答があったのでありますが、その点は間違いないだろうと思いますが、そうしますと、来年の既定計画ただいまの御答弁でありますと、第一年度総合計画の三百五十億、第二年度が六百八十億となっておりますが、それにプラス十億をつけて来年は六百九十億と了承して差しつかえないのでありますか。
  18. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その問題につきましては、来年度の問題は余剰農産物が受けられるか受けられないかという問題が非常に大きな問題だと思っておりまして、これがなくてもこれは実行するという考えでありますから、今年四十億というものを三十億に削られたこととなっておるのでありますから、あと十億ふやすということは当然これをもって充てるつもりでございます。さよう御了承願います。
  19. 東隆

    東隆君 私は手にある一羽のスズメの方が外に飛んでおるスズメよりいい……。それで先ほどのお話しですと、来年プラス・アルフアの形でもって篠津その他に出す、こういうようなお話でございました。私はやはりこの二十日に発表された農林省資金計画案各省との連絡の不十分なときに出したものだと、こういうお話でございますけれども、しかしこれの原因をなしておるのは大蔵省にあると思う。大蔵省は大分前から今回の円資金は主として愛知用水に注ぐということをこれは各種の会合で発表をいたしております。ことに北海道開発問題を中心にしての会議等においても、そういうことが強く発表されております。その結果、それでは日本開発農業開発等は目的を達せないと、こういうので、その要求が実は大きく現われてきて、そうしてこういう案ができた、これが私は内容だろうと思う。従って時間の関係相談がまとまつておらなかったことが内容であつて政党方面からの要請によってこれはもう相当実現性のあるものと、こういうところで発表されておると思う。従ってこの案を発表された私は農林省そのものに大きな責任があると思いますが、しかし何としてもこれは今年度から進めて行かねばならぬ内容のものである。愛知用水一辺倒にするということが大蔵省資金を集中的に使用して効果を上げるという一点なんです。そのためにやつておることであつて、これは全国的にながめたときに決して得策と思われないのです。やはり無から有を生ずるような本当の荒蕪地を持っておる、それを開発をして行くという方が大きな効果がある。その方面に早急に資金を投ずることをこれはやらないやり方なんであります。従って私は、もうす  でに国が手をかけてそうして十分の調査もし、計画を立てられ、そうして資金さえあればやつて行けるような態勢になっておる篠津開発あと回しにしたのは、これは政治的な方面の力が弱かったからだ、それ以外にないと思う。従ってどうしても農林省が出された案をこの際強硬に一つやられるために、経審長官が前に電源開発関係方面仕事をされておりましたから、従って突如として協定の交渉中に電源開発仕事が現われてきて、そうしてそれに非常に大きな金額が向けられる、こういうようなことも私は邪推かもしれませんけれども、我田引水的に考えますとどうも経審長官のところに少し取り過ぎておる、電源開発方面にたくさん取り過ぎておる。ここから十億農業開発の方へ持ってきてもこれは一向差しつかえのないものである。これだけのことを私はやらぬければ罪滅ぼしにはならぬときのう外務委員長が言っておりましたが、私は罪滅ぼしというようなそんなことでなくて、この経過をしさいに調べてみると、政府日本農民に対して万死に価するようなことをやつておると、こう思っておる。小麦一つ取り上げてみても、日本でたくさんできる軟質小麦を入れておる、そうしてアメリカから買う硬質小麦は、パンになる小麦は十五万トンしか入れていない。百万トン軟質小麦を入れて、そうしてやつておるのがこの内容なんです。これが全部影響する。米だつて大麦つてみんな影響いたします。そうして食糧自給態勢を、計画的に自給度を高めるやり方をやるんだ、こう総理大臣は私の質問に対して答弁をしておる。しかし、それはみんな後からこわれて行ってしまう。私はそういう意味からやはり罪滅ぼし経審長官自分の育ててきた電源開発の方に割り当てているところの百八十二億五千万円のところから十億を農業開発の方に持ってきて、そうしてこれの解決をすべきだ、こういうふうに考えるわけです。これはどうですか。
  20. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御質問にお答えいたしますが、まず最初に私は弁明するわけではございませんが、私が電源開発関係しておったから電源開発の方に余計持って行つた、これはく誤解でございまして、私はこの配分につきましては、原案は全部事務当局で作らして、そうして私がこれを認めているわけなんでございまして、その原案に、電源の方にこれだけ持って行くというような考えは、一つも私は働いておりません。それから電源開発の方はどうしても本年は三百五十億要る、これは私は実際この工事を中止して置くおけにはいかない、やはり工事はやつて行かなければならない、こういう考えから当然これは行くものだ。こういうふうに考えておりますので、いろいろ切り詰めて三百十億だけ作ろうという修正の結果なつたのでありますが、その中にこれを持って行く、それのかわり電源開発会社に持って行く政府資金については、これを輸出入銀行の方に持って行く、こういうふうに振りかえたわけでございます。特に電源開発をひいき目にこれに渡したというわけではございませんが、従いまして今日予算として百八十二億五千万円ですか、それを組んでおる。これをまた変えるということは、予算修正になりますから、これは一つ勘弁願つて、そうして明年度電源開発は、はっきり申しますが、もうことしあたりが大体のピークになっておりますから、これはそんなに出す必要はないだろう、こう見ておりますから、その点については一つ御了承願いたいと思います。本年は石黒先生から罪滅ぼしに持って行けといわれたことは、私は肝に銘じておるわけでございますから、このことにつきましては、本年はまず御辛抱願つて明年度においてできるだけの善処をするということで御辛抱願いたいと思っております。
  21. 東隆

    東隆君 これは今事務当局の方で立案をしたので私の関知しないところである、こういうお話でありますけれども、それはお話でありまして、やはり数字その他についてのことも十分にお考えでありましょう。私は電源開発そのものが、単に工事場資金を融通するということは、国家的な立場でもって、そういうふうなことをやるよりも、もし、そういうような金があるならば、ダムを作るならば当然セメントが必要なんだし、従ってセメントの製造に対して国が大きな力を注いで、安いセメントを供給するという方法もこれはありましょう。従って電源開発に集中して行つたところに私はやはり大きないろいろの問題がある。私はいろいろな問題を考えてきたときに、この農地開発そのもの考えてみても、愛知用水の中には大きな電源開発項目が含まれてきておる、そういうものを差し引いて行くと、実際に農業開発という面を考えてみますると非常に少い金しかこれは注がれていない。従って私どもはあの戦争中に、電源開発が必要か食糧増産が必要かという問題でだいぶ軍部ともけんかをいたしました。大砲が必要か食糧が必要かというので戦争中にだいぶぶつかった。そういうようなことを考えて参りますると、やはり日本国内でこういう大きな犠牲を農民に与えている、この事実です。従って言葉は非常に単純な言葉かもしれませんけれども、罪滅ぼしというのは、これはいい言葉だと思う。で、どうしても私はこの十億のプラス農業開発方面に何らかの形  でお考えになって、これは日本総合開発方面において大きな意義を持ってきていると思う。これは経審長官として私は大きくお考えになる必要があろうと考えるわけであります。で、私は邪推をして電源開発の方に持って行つたのだろうというふうに申しましたが、しかしこれは経審長官がお考えにならなければ、私が邪推をして申し上げたその言葉は、そつくりそのままでないかと、このようにも考えられる。決して私はこの円資金の割当その他において、もうすでに決定的なもので、三十億は決定的なものだ、百八十二億五千万円が電源開発の方に決定的に注がれる、こういうふうに考えたくない。それは日本が借りたんだから、それで日本の独自な考え方でもってこれを割り当てるべきで、そうしてその割り当てた形を先方に通告すればよろしいのだ、これまでも自主的な立場に立っていると、こういうふうなお答えもあった。そういう点を考えて私はなお固執をするわけでありますが、十億増大して農林省が作り上げたところの示したこの案、これは最初に申しましたように愛知用水一辺倒でもってやっておつたものですから、それでその考え方から出なかったと思うのですが、そいつを与党の方その他の方面からの声がかりで、そうして辛うじて変更されてここに出てきた、この出ているところについて閣内におけるところの話合いがついておらなかったのだと、こういう簡単なことでこれを葬むり去る必要はない、これは責任問題がこれに付随しております。
  22. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。  私は日本食糧増産、特に未開発地開墾ということについて非常に私自身も興味を持ち、熱意も持っている一員でありまして、特に北海道開発等につきましては、私は終戦直後満州から帰りまして北海道を見て、なぜもっと早くこれをやらなかったかという感じを最も深くした一人でありまして、特に東北、北海道の未開発地開墾したいということについては、本当に熱意を持っている一員であります。その意味から申しまして、国家の財政が許すならばこれは採算というものを無視して、採算というものはないものにしてこれは開発すべきであるという考えを持っている私は一人であります。ところが本年の余剰農産物による見返り資金につきましては、すでにこれはアメリカ側との折衝よりも、むしろ国内におきます予算折衝等におきまして、百八十二億五千万円はもう電源開発に持って行く、そうして三十億円はこれは農地開発に持って行く、こういうことをきつちりきめておりまして、これを今変えるということは、予算編成がえに相なるものでありまして、どうかこの意味におきまして本年は現状のあの考え通りに御承認願つて明年度においてはこれはその意味をよくしんしやくして検討いたしたいと、こういう所存でございますから、さようどうぞ御承認願いとうございます。
  23. 森八三一

    ○森八三一君 先刻の三十億の額がどらかという問題は別問題といたしまして、一応三十億というものの配分について、昨日大蔵大臣が三大臣打ち合せの結果、愛知用水に二十五億、北海道に五億というお話があった。先刻経審長官北海道等に五億というお話があり、そのことを再質問をいたしましたときに、北海道に五億というように改めてお話がございましたが、外資の導入によって計画をされておる地区考え農林省で配付されておる資料を拝見いたしますると、非常に不足しておる資金配分する場合における考え方としては、きょう経審長官がおつしやいましたように愛知用水二十五億、北海道等に五億ということにいたしまして、その五億の配分については、これは長官お話がございましたのですが、事務的なことでありまするから、これは農林当局計画に基いて行くということでなければならぬと思っておりますが、そういうふうにいたしますることがこの問題を解決して参りまするのには実態に即してふさわしい解決ができるというように私は考えるのでありまするが、そういうようなふうに今後の配分については御考慮をなさるということにはなりませんかどうか、その点をもう一ぺん重ねてお伺いいたします。
  24. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この配分のことにつきましては、農林省においてよく立案していただいて、それをのんで行きたいと思っておりますが、大体はこの農林関係に使うということで三十億円をとつておるわけですから、これは農林省はよく立案してくれればいいことと存じております。
  25. 森八三一

    ○森八三一君 それでは農林当局がお考えになっておる構想についてあらためてお伺いをし、そのことを経審長官としては御確認をいただけるかどうか、重ねてお尋ねをいたします。
  26. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 計画農林省にまかせますが、金を出す方は大蔵省がやるのですから、大蔵当局ともよく打ち合せをしなければならぬことと存じておりますから、それだけを御承認おきを願いたと存じます。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 それでは一応この際農林当局の構想についてお伺いいたしたいと思います。
  28. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) ただいまの問題につきましては、愛知用水に二十五億、その他今まで計画している機械開墾等に五億というつもりで私の方はおるのであります。この細目につきましては、昨夜来大蔵省といろいろ折衝しております。ただいままでも北海道開発庁といろいろ相談しておるのでありますが、実際の金の出し方につきまして時期が切迫しているのでどういうふうにして出したらいいか、と申しますのは、この間新聞にちょっと出ておりましたような融通して便宜に出す方法一があるのかないのか、そういうことが議題になっております。しかしながら、いずれにいたしましても農林省といたしましては、その他の地区については全部この五億の中でまかないたいという方針で案を立てております。
  29. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと、外務委員会から高碕長官をさっきからたびたび呼びに見えまして、また申し入れにつきましても外務委員長から申し入れがあるなら早急に願いたい、こういうことがありますので、ちょっと私高碕長官がお帰りになる前に一つだけお聞きしておきたいのですが、先ほど来いろいろ長官の御見解を聞かしてもらつたのですが、別にそれを要約することもございませんが、今申されましたことは、今の北海道等という問題について金を出すのは大蔵省だからということで、ちょっとあいまいな点がございましたが、その他の点につきましては別にそういうお話はございませんでしたが、これは高碕長官の個人的といってはおかしいですが、経済審議庁長官個人といいますか、そういう見解でなしに、政府としての統一的な見解と、もちろん念をおすまでもないことなんですけれども、最近この問題の審議の経過にからんであえてそういうことをお尋ねしておかなければならぬような、きわめて遺憾なことなんでありますが、その点は政府の統一した見解と、こう承わつてよろしゅうございますか。
  30. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先ほど私が答弁いたしましたことは、外務大臣大蔵大臣と検討いたしました結果でございますから、政府の統一した意見としてお聞き願つてけつこうだと思います。
  31. 溝口三郎

    溝口三郎君 ちょっと高碕さんが行かれる前に一言。
  32. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは溝口さんに一言お願いいたしまして、長官の方は外務委員会に行っていただきますから、その点は御了解の上でお願いいたします。
  33. 溝口三郎

    溝口三郎君 ただいま農地局長から御説明がございましたが、昨日三大臣がおきめになつたことは、愛知用水に二十五億、それから北海道に五億というように承わつたのですが、ただいま局長の御説明では、北海道その他機械開墾等に融通をしてやれるように希望をしているんだと、けれどもまだそれは決定にはならないのだと、昨日も新聞等には機械開墾には一般会計の方の事業費を回して行くようなことが出ていたのですが、そこで、既定食糧増産対策費には支障を及ぼさないようにしようという原則は、これは農林水産委員会全員の希望なんで、高碕長官もそれはよく御承知だと思いますが、この本年度の三十億の配分について今もってきまらないのは、余剰農産物でこの既定計画をやつて行くのかいかないのかという問題が、今、からんでおるのです。農林省はどこまでも既定に基いて、現在の既定地区の融通をして、そうして一緒にして機械開墾を始めて行くということは、将来私は禍根を残す問題だと考えますが、ここでぜひともこの既定計画に基いて、来年からはこの計画通りにやつて行くというが、本年からこの既定計画に基いて実行を進めて行くように格段の御努力経済審議庁長官にお願いいたしたいのです。
  34. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 溝口先生の御質問に対しまして、私は誠心誠意できるだけ自分努力をいたしたいと存じておる次第でございます。
  35. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは経済審議庁長官外務委員会の方に行っていただきます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  36. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。先刻来御協議願つておりまする農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求める件につきまして、外務委員会に対しまして当委員会の申し入れをいたしたいと思いますので、その案文を読み上げてみます。   昭和三十年六月二十三日     参議院農林     水産委員長  江田 三郎    参議院外    務委員長 石黒 忠篤殿    「農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件」について申し入れ   ただいま貴委員会において御審議中の「農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定について承認を求めるの件」については、連合審査の過程においておわかりの通り、わが国農業上きわめて重大な影響を及ぼすものと考えられますから、これが承認を与えられる場合には、政府において少くとも別記の事項が遺憾なく実行されますよう、貴委員会の適当な御措置を願いたく右当委員会の総意をもって申しれます。      記  (一) 食糧自給度の向上は、国民食糧確保のためにも、また経済自立のためにも最も肝要とすべきことである。よって食糧の輸入は米麦及び乳製品の国内増産を圧迫しないよう必要最小限度にとどめること。  (二) 本協定によって、受け入れようとする食糧の価格は概して割高であり、その品質が必ずしも適当でなく、わが国経済上不利を招くことになるから、これを是正すること。  (三) 米国余剰農産物受け入れは、その影響国内農民に転嫁されることになるものであるから、その償いとしても、これが受け入れによる見返り資金は、国内農業開発のため優先かつ、重点的に支出すること。  (四) 右資金農業開発に対する使途については、行きがかりにとらわれず、わが国の自主的な見解によってあらためて慎重な検討を行い、わが国農業発達のため最も効率の高いものとするとともに、当初において確固たる総合的年次計画(事業、資金、資器材及び労力等万般にわたって)を立て、不動の態勢をもってその完遂をはかること。  (五)  右の資金による事業に対して、国内において負担すべき資金を調達するためには、今後余剰農産物受け入れのいかんにかかわらず、既定国内農業開発計画及び食糧増産対策に必要な経費を絶対に削減しないこと。  以上でございます。速記をとめて。    〔速記中止〕
  37. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  今の(五)の「右の資金による事業に対して、」は、「右の事業に対して、」に直します。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは御異議ないものと認めまして、本申し入れを当委員会の総意といたしまして、外務委員会に申し入れをすることにいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは午前中の委員会はしばらく休憩いたします。午後は一時半から再会いたします。    午前十一時五十三分休憩    —————・—————    午後一時四十五分開会
  40. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから委員会を再会いたします。  最初積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題にいたします。本法律案衆議院議員松浦東介君外四十一名によって提出され、去る六月十六日予備審査のため当院に送付、即日当委員会予備付託となつたものであります。まず、提案理由の説明を聞くことにいたします。
  41. 松浦東介

    衆議院議員(松浦東介君) ただいま議題となりました積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法の対象となります地帯はいずれも積雪寒冷がはなはだしく、かつ耕地の利用率が著しく低い所で、自然的社会経済的に恵まれないところでありますが、国民食糧の供給地としてきわめて枢要な地位を占め、この地帯に包含される約二百二十六万戸の農家中の約百十五万戸の供出農家によりまして、全国の供出量の約六〇%をになって来たのであります。  従いまして、この地帯の農業生産の基礎条件を整備し、その生産力を高め、食糧増産をはかることは、ただにこの地帯の農業経営の安定と農民生活の改善となるばかりでなく、国民経済の発展に寄与するところがきわめて大でありますので、昭和二十六年三月本法の制定を見た次第であります。  本法施行以来、農業振興計画に基きまして土地改良、耕種改善、家畜導入、営農施設の整備等農業振興に関する各種の事業を極力促進いたし、この地帯の農家の要望にこたえて参つたのであります。しかしながら過去四カ年間の実績を見ますと、土地改良は団体営灌漑排水事業で約十四万町歩、耕地整備事業で約十二万五千町歩、総合助成施設は四百町村、水田裏作の増加面積は四万四千町歩、家畜の増加約十七万頭に及び、相当の実績をあげて参りましたものの、その進捗度はまだ全体計画のおよそ約三割にすぎないのでありまして、今後なおなすべき事業が多々残されているのであります。  かてて加えまして、米穀管理制度の将来等を考慮いたしますと、この地帯の農業経営の改善、農業生産力の向上はますます緊要を加えて参りますので、本法の有効期限をさらに五カ年延長いたしまして、各般の関係事業をさらに促進し本法制定の所期の目的を達成するようにいたしたいと存じます。  以上が本法案を提出した理由でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  42. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案審査は後日に譲ることにいたします。   —————————————
  43. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に、昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案議題にいたします。本法律案につきましては、去る六月十六日の委員会において提案理由の説明を聞いたのでありますが、本日は法律案内容その他参考事項について、農林省事務当局説明を聞くことにいたします。
  44. 和田正明

    説明員(和田正明君) ただいま議題となりました昭和三十年四月及び五月の凍霜害、水害等被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法案につきまして内容を御説明を申し上げます。  実は本日午前中の衆議院の農林委員会で二点につきまして修正がございまして議決になりましたので、最初にこの修正点を申し上げたいと思いますが、一つは、第一条で四月の凍霜害、水害、五月のひょう害というふうに融資対象を限定をいたしておったのでございますが、四月下旬の凍霜害に引き続きましては、同一地帯が五月の上旬に同様凍霜害を受けましたのと、水害も四月の九州のほかに、五月の下旬に北海道に一部水害がございました等の関係で、法案の第一条が「昭和三十年四月の凍霜害若しくは水害」となっておりますのを、「四月及び五月の凍霜害若しくは水害」というふうに御修正になられたのであります。その次の第二点の御修正は、二条で農作物の被害を主として被害農家に限定をいたしておったのでありますが、特に北海道の五月の水害につきましては、まきましたばかりの農作物の種子が水で流される等の事情がございましたので、昨年の二十九年の春の凍霜害のときの法案と同様に、耕作上の被害が総収入の百分の十をこえる旨の市町村長の証明がありました場合にもこれを融資の対象農家として取り上げるという趣旨修正が本日可決をされましたわけであります。修正はその二点でございます。  以下の内容でございますが、融資総額は四億五千万円ということを予定をいたしておるのでありますが、ごく最近までに統計調査部で判明をいたしました被害面積が、全国で約二十七万一千町歩ございますので、そのうち融資の対象になります被害が三〇%をこえますものにつきまして各作物別に減収量を計算し、さらにそれに統計調査部の調査によります現金支出分を乗じて計算をいたしますと、約四億三千万円という数字が積み立てられて参るのであります。さらに、別に昨年の二十九年の春の凍霜害等の災害に関しまする法律での融資総額は、六億五千万円ということに相なっておるのでございますが、そのときの融資対象面積と今回の災害の被害面積とを比較をいたしますと、今回の災害の被害面積はちようど昨年の七割程度に当つておりまして、こまかに融資の所要金額を計算いたしました場合にも先ほど申しました四億三千万円であり、また昨年の融資ワク六億五千万円との比較をいたします場合にも昨年の大体七割程度ということになりますので、それを数字をまるめまして、融資ワクを四億五千万円というふうに一応決定をいたしたわけであります。なお、融資を受けます対象は、被害が三割以上ありました農家についてでございますが、主として肥料でございますとか、代替用の種苗でありますとか、あるいは農薬、それから家畜を飼います農家ではその飼料といったようなものの購入資金、いわゆる営農資金を貸付の対象にいたしております。一戸当りの貸付限度は一応最高五万円、それから償還期限は原則として二年といたしておるのであります  が、開拓農家と果樹栽培農家につきましては、この償還期限を三年、利率は、六分五厘が原則でありまして、開拓農家につきましては、これを五分五厘が最終の貸付金利になるようにいたしております。国は、都道府県、あるいは市町村がこの法律に基きまして災害農家に金融をいたします場合に、利子補給をいたしまして、今申しました六分五厘、開拓者につきましては五分五厘になりますように処置をいたすわけでありますが、その場合に都道府県、あるいは市町村に対しまして、その公共団体の負担額の半分を国から補助をいたす建前にいたしております。従って、数字で申し上げますれば、国の負担部分が二分五厘であり、都道府県、あるいは市町村の負担部分が二分五厘、こういうことになるわけであります。これに要します予算につきましては、利払いの時期が明年二月ごろになりますので、十二月の通常国会の際に補正予算で御処置をいただくように考えております。それから次に貸付をいたしました場合に、滞り貸しが生じまして、金融機関の損失をかけるおそれがありますので、その場合には融資ワクの四割を限度として損失補償をいたす建前にいたしておるのでありますが、その四割の損失補償のうち、二割を国が持ち、残り二割を都道府県、あるいは市町村が持つ、こういう建前になっております。なおこのたびの被害が昨年あるいは一昨年の被害を受けました農家と重複をいたします場合には、昨年あるいは一昨年の措置法によりまする融資金の償還を延期をする措置を認めてやりませぬと、農家の経営上支障を来たすと思われますので、これらの重複して被害を受けた農家につきましては、従前二年の期限で貸付をしてありましたものはその償還期限は三年に、三年で貸付をしておりましたものは、それを四年に延期し得るように措置をいたすように附則で規定をいたしたわけであります。  なお、この法案を用意いたしましてから以後、六月に九洲の地方に水害があり、また昨日でございますか、けさでございますか、関東の方にひょう害等もあったようでありますが、これらにつきましてはなお統計調査部の調査数字が最終的に確定をいたしておりませんので、四月及び五月のすでに古く被害を受けました農家に対する融通措置を一応急ぎまして、これ以後の災害につきましては、統計調査部の調査数字が確定次第、必要な措置につきましてはこの法律とは別途に立法措置を講じて措置をいたして行きたい、かように考えております。  以上簡単でございますが……。
  45. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案に対しまして御質疑があればお願いいたします。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま衆議院の修正部分の御説明がありましたときちようど席をはずしておりましたので、もちろん間違いはないと思いますが、それを加えて四億五千万ですか。
  47. 和田正明

    説明員(和田正明君) 先ほども申し上げましたように、四億五千万の計算基礎には今回衆議院で修正になりました数字が当初から含めて計算をされておりましたのであります。ただ、五月の凍霜害につきましては、統計調査部の資料で四月の下旬の凍霜害ということで五月の初めまでをひつくるめた、被害報告として提出をされておりました地域がダブつておりますので、法律としても四月の凍霜害と書いておけばそのまま貸付ができるという解釈のもとに原案を提出をいたしたのでございます。その辺の明確を欠くおそれがあるということで、先ほど申しましたような衆議院の修正があったわけであります。
  48. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 この法律は関係ないかもしれませんが、岡山、愛媛、あの地帯のことはひょう害などの点はこれはどういうように措置されておりますか。
  49. 和田正明

    説明員(和田正明君) 岡山、愛媛のは、たしか五月の二十三日ごろだと思います。それはこの法律にも適用のワクの中にございますし、四億五千の計算基礎に当然その被害を盛り込んで計算をしてございます。
  50. 森八三一

    ○森八三一君 今の御説明で四月、五月の凍霜害、水害、ひょう害というものに対する対策はわかりましたが、今御説明にあったようにその後に発生した水害、昨日発生したひょう害ですね、こういうものの救済は数字がわからないから農林統計調査部における資料を取りまとめた上で所要の立法措置を講じたいということですが、国会は今月一ぱいで終るのです。それに間に合うように措置ができるというお見込みであるのかどうか。もしその措置ができんということでありますれば、先回このことについて政務次官に希望として申し上げたのでありますが、たまたま国会の開会中に起つた事件とか、あるいは国会の開会前に発生しておるものについては、それぞれ適切な措置が講ぜられておるのに、国会の閉会後に巻き起つた事件は法律がないということのためにいかんとも措置がいたしかねる。災害をこうむつた農家を考えれば、非常に不公平な措置だということで、国に対するかえつて感情を害するというようなことになる危険が多分にあるのであります。それやこれやを考えますると、一体どういうようなことで措置をされようとしているか、その見込みをお伺いいたします。
  51. 和田正明

    説明員(和田正明君) 先ほど申し上げましたように、この法律の適用は五月のひょう害まで、ということで、一応統計調査部の被害調査を、数字を確定いたしました範囲で立法措置を講ずることといたしたわけでございますが、六月以後の被害につきましては、まだなお最終的に調査数字がまとまつておらないのであります。もしもそれを待っておりますと、四月ごろの凍霜害を受けました農家に貸付がいたずらにおくれるおそれもありますので、一応このまま計算をさしていただいたわけであります。その後調査が確定をいたしました上ではできる限りこの国会中に処理ができるように調査を急ぐつもりでございますので、この法律を一部修正をする法律案を提出して措置をいたすわけでございますし、万が一国会会期中に間に合いませんような場合で、融資の措置をとらなければならないような被害ということが確定をいたしました場合には、昨年もその例があるわけでありますが、次の国会の際に同様措置の立法をとつていただくということを前提としてつなぎの融資の措置も昨年も講じたのでありますが、もしも間に合いませんような場合には同趣旨の融資が実際に農家の手元へ参りますように事前につなぎの融資の措置を講じて参りたい、かように考えております。
  52. 森八三一

    ○森八三一君 政務次官御出席でありますので、重ねてお伺いいたしますが、先般の委員会でこういうような具体的な事例が発生するであろうことをこれははなはだ残念なことではありまするが、日本の置かれておる地理的な条件から考えて避けがたいということでありますので、従来見られたように何月何日の災害に対する対策というようなことでありますると、国会の開会されておりませんときに発生した災害だとか、国会の開会中でありましても、現に昨日発生した長野、群馬、茨城、栃木等のひょう害というものは、今月一ぱいで会期は終るのでありますが、統計調査部の調査をまとめて大蔵省と具体的に折衝をするような確かな数字というものは実際にはまとまらんのじゃないか、まとまらなければそういうものは取り残されて行くということになるので、基本的な立法をして行政措置をして予算の範囲内においてやりくりがつくようにやる、研究するということでありましたが、その後の研究は一体どうなつたのか。現にそういう事態がまさに発生したのだ。おそらく昨日のひょう害というものは会期が所定の今月一ぱいに終了すればおそらく救済ができない。そこで今、課長からお話のように昨年にも例があるから、あとでそういう措置が法律的にとられるであろうということを前提にしてあらかじめ同様の措置をとる、こういうことでありますけれども、最近の資金の情勢等から考えますると、法律に明記されておるものですらなかなか資金ワクの関係で融資は円滑に進んでおらないという実態であるのであります。まして法律的に責任のないものについてはその実態についても認識がありましても、結局は財務当局との話し合いが妥結しないということで災害農家としては非常な迷惑をするということになる危険が多分にあると思うのでありますが、それの処置についての御研究の結果今後どうされるのかという点について重ねてお伺いいたします。
  53. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 御指摘の点ごもっともでございますので、先般も申し上げました通り農林省において検討いたしておりますが、常習災害地指定と申しますか、限界と申しますか、いろいろむずかしい問題がございますので、ただいまのところ慎重に検討をまたいたしておる状態でございます。しかしながら御指摘のような事態がございますので、先ほど金融課長からお答えを申し上げましたように、本年はとりあえず六月以降の災害にはこの国会中にできるものはこの法律の一部修正ということで御審議を願い、どうしても間に合わないというものにつきましては金融課長のお答え申し上げた通り措置をとりたい、かように考えております。結局検討の結果ができるだけ早く出ますように努力をしてみたいと思っております。
  54. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとお伺いしますが、この法律が通つて予算関係がありますが、一体末端へ金が行くのはいつごろになるのでありますか。どうも過去の例を引くと非常に金が来るのがおくれるのだということをいわれますが、どういうことになるのですか。
  55. 和田正明

    説明員(和田正明君) 法案が成立をいたしますと、すぐに各県からの申請書を取りまとめて県別の配分をいたすわけでございますが、法律では九月三十日までに貸付を終えるようにというふうに規定をいたしております。現実にはもし今月中に法案が成立いたしますれば、七月の中下旬から実際の貸付が始められるわけであります。
  56. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それからもう一つお伺いしますが、今までこういう災害の融資が末端においてほんとうに災害を受けておつてもその人が非常に経済的な基礎が弱いというようなことでその方へ金が回らないで、何かこう部落の中で法律の意図しておることとは別なような使い方があるということをちょいちょい聞かされるのですが、そういう実態について御調査ざれたことがございますか。
  57. 和田正明

    説明員(和田正明君) 二十八年、九年に貸付をいたしましたこの営農資金につきましては、農林省で昨年の九月ごろまでに相当府県について調査をいたして参りまして、今御指摘のような事実を発見しました組合につきましては、県庁を通じて適正にやるように措置を命じたりいたしておるわけであります。実際に貸付に関しまして県を指導いたしますときも、法案の趣旨に沿いますように、ほんとうに被害を受けた農家に貸し付けられるように十分指導をいたしておるわけでありますが、今後もその点につきましては十分指導をいたして参りたいと思います。ただ末端の農協では、経済力の弱い農家に貸付をいたしました場合に、滞り貸しになる危険を予想いたしまして、部落全員の連帯保証というようなことをいたしまして、その信用の基礎を裏づける等の措置をやつておるのが実情だと思いますが、まあただいま申しましたように、今後もその点について十分指導いたして参りたいと思います。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでね、その問題は、あの小倉君が局長時代そういう不良なものがあつて、これを返すように処置をしているという御答弁があったと思うんです。その結果として今のような処置で何か具体的に返さないというようなものがありますか、現在……。
  59. 和田正明

    説明員(和田正明君) 今、私手元にどれだけの金額がそれによって償還になつたかという数字の手持ちがございませんが、ただいまお話のように、こちらから指摘をいたしましたものについては、府県から繰り上げ償還の命令を出しまして、逐次繰り上げ償還がなされております。
  60. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御質疑 ございませんか。……御質疑がなければ質疑は終了というわけではございませんが、この法案はすでに衆議院の農林水産委員会で通過したそうでございますから、本院といたしましては、これが衆議院の本会議を通過して正式に付託になつたら直ちに採決へ回したいというような運びでいたしたいと思いますが、あらかじめ御了解を得ておきたいと思います。よろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  61. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは次に 愛知用水公団法案議題といたします。  本法律案は、去る二十一日内閣から予備審査のため提出され即日当委員会予備付託となつたものでございます。  まず、提案理由の説明を聞くことにいたします。
  62. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) ただいま上程されました愛知用水公団法案の提案理由を御説明申し上げます。  あらためて申し上げるまでもなく、国土を総合的に開発し、その利用の高度化をはかり、食糧増産農業経営の安定をはかることは、現在わが国におきまして最も緊要な事柄であります。  農林省は、このような観点に立って、農地の改良、開発を総合的かつ効率的に行う計画を検討いたして参りました結果、今回愛知用水事業を取り上げることといたした次第であります。  愛知用水事業は、名古屋市東方に位する平野及びこれに接続する知多半島の一帯が気候、産業、立地条件等に恵まれているにかかわらず、雨量少く、灌漑用水はもちろん飲料用水、工業用水等の不足が農業その他の産業の発展を阻害する要因となっている現状にかんがみまして、木曽川水系の水を高度に利用し、これら地域の総合的開発をはかろうとするものであります。その計画の概要といたしましては、木曽川支流王滝川にダムを新設し、ここに貯溜された水を岐阜県兼山から取水し、新設水路を通じて知多半島に導水し、川水不足に悩む水田の補水を行うとともに、新たな農地開発を行い、畑地灌漑をも大規模に実施しようとするものであります。またそれにあわせて地域内市町村の飲料用水、工業用水を供給するとともに、貯水池の下に新たに設置される発電所や下流の既存十数ケ所の発電所の発電にも利用させようとするものであります。  このような事業によりまして、水田に補水されるもの約一万六千五百町歩、二毛作可能となるもの約六千八百町歩、新たに開田されるもの約三百町歩、新たに開畑されるもの約二千九百町歩、畑地灌漑されるもの約一万六千三百町歩に及び、その結果米麦約二十七万一千石の増産が達成されるのみならず、年間約九千七百万キロワツトアワーの電力が発生し、また約三十一万四千人に対する飲料水の供給が可能となるのであります。  本事業は、かかるきわめて大規模な事業でありますので、事業を合理的に行うためには、短時日の間に急速に工事を行う必要があり、このためこの事業の資金といたしましては、国家資金のほか、特に国際復興開発銀行からの融資及び余剰農産物見返円資金をもってこれに充てることにいたしまして、従来の土地改良事業の施行の方式とは異なつた新たな構想をもちまして、愛知用水公団を設立してこれに事業を効率的に行わせることといたした次第であります。以上が愛知用水公団法案を提出いたしましたゆえんであります。  以下法案の内容について簡単に御説明申し上げます。  この法案は、愛知用水事業を施行する団体として設立される愛知用水公団の組織、業務等について定めますとともに、これに必要な監督の規定を設けたものであります。  その第一は、この愛知用水公団には、公社に準ずる性格を付与することといたしまして、その役員の選任や欠格条項に関する規定を設けますとともに、公団に対しましては、所得税、法人税等の諸税を課さないことといたしたのであります。  第二は、公団の業務は、前述の事業を施行いたすことでありますが、この施行に当りましては、農林大臣関係大臣の同意を得て定めます事業基本計画に基いて関係県知事と協議して定める事業実施計画、または施設管理規程により実施すること等総合開発の見地から遺憾のない措置を講じますとともに、その費用につきましては、おおむね現行の土地改良事業に準じ、受益者及び県から地元負担金を徴収することにいたしております。  第三に、公団の財務及び会計につきましては、その収支予算及び資金計画につきましては、農林大臣が認可することといたし、さらに借入金の借り入れ、余裕金の運用、財産の処分につきましても一定の制限を付する等その経理に公正を期しますとともに、この事業に必要な経費に充てるための政府の補助金及び国際復興開発銀行からの外貨資金の借り入れに伴え政府の保証等の規定を設けたのであります。  第四に、監督の点でありますが、事業の実施につきまして公団の自主運営を尊重いたします反面、その事業の重要性にかんがみ、役員、業務及び会計の全部面にわたりまして農林大臣が厳正なる監督を行うほか、その業務の内容によりましては、農林大臣関係大臣とともに監督を行うことといたしまして、その適正なる運営を確保することにいたしたのであります。  以上が同法案の主要な内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  63. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案の審議は後日に譲ります。  なお、政府において用意された資料及び追つて委員会から要求する資料につきましては、慎重審議をいたしますから、政府の方でも慎重に作成の上、すみやかに御提出を願つておきます。  なお、この資料につきまして委員の方から特に御要望はございませんか。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  64. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  ただいま懇談の間に委員の方々から卸要求になりました資科につきましては、政府の方で、重ねて申しますけれども、慎重に一つ御提出を願います。  速記をとめて。    午後二時二十六分速記中止    —————・—————    午後二時五十三分速記開始
  65. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十四分散会