運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-06-21 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十一日(火曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            重政 庸徳君            関根 久藏君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            森 八三一君            加瀬  完君            清澤 俊英君            小林 孝平君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君   国務大臣    国 務 大 臣 杉原 荒太君   政府委員    防衛庁防衛局長 林  一夫君    外務省条約局長 下田 武三君    農林省農林経済    局長      大坪 藤市君    水産庁長官   前谷 重夫君    海上保安庁長官 島居辰次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    外務省経済局次    長       西山  昭君    農林省農地局参    事官      戸島 芳雄君    食糧庁総務部総    務課長     村田 豊三君    海上保安庁警備    救難部長    砂本 周一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (廃油による海苔漁業被害に関する  件)  (農産物の日米間の協定に関する  件)  (大阪市における中央卸売市場に関  する件)  (農林省関係職員の定員に関する  件) ○連合審査会開会の件     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、廃油による海苔漁業被害に関する件を議題にいたします。  本件につきましては、過般の委員会におきまして問題になりまして、去る十一日には当委員会から現地視察も行われ、関係当局においても検討が進められておるようでございますが、罹災者に対しましては実際気の毒なことでございますので、その後の政府における検討模様を聞き、善後策についても政府のすみやかな措置を求めるために、本日重ねて問題といたした次第であります。まず関係当局からその後における検討模様について説明を伺うことにいたします。
  3. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 海上保安庁といたしましても、従来この席におきましてるる御説明いたしましたように、どこから流れてきたかというふうな原因による調査及びどこの地区からが可能性があるかという地区的な関係、また最後に残されたものといたしまして、ノリひびにつきました油の分析こういう方面からやったのでございまして、最後に残されたノリひび分析の結果が、各方面調査分析機関に依頼しました結果が出たのを見ますと、まちまちなところもございますので、さらにこれを去る六月の十七日に、私の方で分析関係者、それから学識経験者、それから関係官公庁、これだけ寄りまして検討をいたしたのであります。参考までにその分析関係者を申し上げますと、丸善石油中央研究所丸善石油東京支社技術課、神奈川県警察本部鑑識課東京大学生産技術研究所警察庁科学捜査研究所、それから学識経験者といたしますと、東京工業大学の方、東京水産大学の方、関係官公庁といたしましては、防衛庁海上幕僚監部水産庁漁業調整二課、千葉漁政課長千葉水産試験所千葉支所長並びに私ども海上保安庁警備救難部長以下であります。  その分析資料検討いたしました結論をまとめて申し上げますと、分析の結果は各機関とも同一ではないのでありますが、それは分析に使用されました油が、採取の場所、時日及び分量を異にしておりますために、海面に漂流中種々の要素に影響されまして、時日とともに多分に変質した可能性があります。また分析方法等による誤差もあり、各機関によって分析結果が相異することも当然これはあり得るということであります。  第二番目は、このように各機関分析結果が相違はしておりますが、これらの結果を総合的に判断いたしますと、大体次のような結論が得られるのであります。第一としましては、ノリひび付着油は断定はできませんが、大体鉱物質の油と推定されるのであります。第二番目に、軽油潤滑油とまじりまして、ビルジとして海面に流されたとき、どのように変化するかという点について種々検討されたのでありましたが、今回ノリひび付着油のようなピッチ状のものになることはほとんどないと思われるということであります。第三番目に、従ってノリひびに付着しました油は鉱物質の油の中で、軽油または潤滑油というよりは重油である可能性が強いということであります。こういうことから最後結論いたしますと、海面に流された油というものは、きわめて薄いフィルム状になり、日光や海水、空気などの影響によりまして複雑な変化があると考えられますので、ノリひび付着油のように相当変化したと思われる重質廃油初期状態を、その分析の結果から推定することははなはだ困難と思われる、こういう先般集まった各機関結論になったのでございまして、海上保安庁といたしましても、的確にこれであるということがつかめないのはまことに遺憾なことであると申すのでありますが、一応この間集まりました結果を御報告いたします。
  4. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 水産庁といたしましては、ただいま海上保安庁から、その原因の点についての調査についてお話しがございましたが、これとは別に、千葉県と、その後の漁民に対する更生の策につきまして具体的に検討いたしておる次第であります、私たちといたしましては、ノリ漁場改良あるいは裏作で、と申しますか、やはり同じように経営されております貝類漁場改良というような点につきまして、また資金の融通の点につきまして、漁業証券資金化等の問題を提起いたしたのでございますが、その後千葉県からの具体的項目といたしまして、密植ノリの柵の適正化ミホ堀の工事というふうな問題とか、あるいはノリ保蔵施設の整備の問題でございますとか、貝類漁場改良改良に伴う飼料供給、それから資金問題等が具体的に提起されたわけでございますが、数字的に、また組合別に、具体的な数字として千葉県庁におきまして、さらに検討いたしておるわけでございます。昨日も県から参りまして、具体的な打ち合せをいたしておるわけであります。県からの具体的な数字検討を今目下両者において検討をいたしておる、こういう段階でございます。
  5. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に防衛庁長官でございますが、ちょっと長官はお急ぎでございますから、今までの経過は御承知と思いますが、ちょっと簡単に申しますると、流れた油の分析については、ただいま海上保安庁長官がおっしゃったような段階でございます。しかし同時に、当時その附近を航行しておった船は、防衛庁フリゲートその他上陸用舟艇しかなかったということでありますし、またその付近の漁船あるいは定期航行船、その他の船の乗組員調査いたしましても、保安庁調査によりますというと、海上を油が流れておったということはなかったということであり、さらに陸上から流れ込んだという痕跡は、これまた全然ないということでありまして、従ってまず常識的にいえば、防衛庁関係の船が一番油とは関係があるということにならざるを得ないわけであります。ただそれを技術的に、そのフリゲートの油とこの油とが同じものであるという結論は、ただいま保安庁長官もおっしゃるように出ておりませんけれども、しかしこれは保安庁長官の報告の中にありましたように、海上に流れた油は複雑な変化があるので、なかなか的確な分析が困難であるということであって、従って全然これはフリゲートの油と違うということでもないのでございますが、ただそういう事情事情でございますが、現地漁民諸君ノリの養殖をやっている諸君が、零細な漁民諸君が非常に困っているということだけはこれは事実であります。困っておるけれども、しかしどこにもその相手方が見つからない、しかしこれも突きつめて言えば、おそらくそういうものは現在の港則法に規定されるところの沿岸一万メーター以内で流れた油が行ったに違いないのですから、海上保安庁責任を追及しなければならぬということになりますが、しかし、それは理屈理屈として、なかなかそうやってみたところで、これまたそれを最終的にこれがその原因だということを的確に突きつけることはできないわけであります。まあそういうような状態につきまして、防衛庁としてもいろいろ御検討下さったと思うのであります、私どもは、せんだっての委員会におきまして、防衛局長もお見えになっておりましたが、防衛局長にこの原因はさらに究明するとして、それとは別個の立場で、保安庁としてもこの問題の円満なる解決のために御協力が願えるかということに対しまして、防衛局長協力をするということをおっしゃっていただきましたが、そういう立場から、一つ国民と親しみのある防衛庁という立場で、杉原長官の方で特別にこの問題について御考慮が願えないだろうか、そしてこの問題はとにかく一応みんなが納得できるところへ落ちつけることはできないかということなんでございまして、防衛庁としても、今年限りでなしに、毎年あそこへは演習に出て行かれるようでございますから、そういう将来のこともありますので、その点を一応御考慮願って、何とか防衛庁で特別な御措置は願えないかということなんですが、その点についてどうでございましょうか。
  6. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) この事件はまことに不幸な事件で、そして罹災者方々に対しまして、ほんとうにお気の毒だと存じます。その点、私らも非常に実は深く関心を持ちまして、従いまして、私自身もこの問題につきましては詳細に調べもしておるものでございます。もちろん自衛隊行動によって、そこに故意はもちろんあるはずはありませんけれども、過失でもあって、それによって法的に責任があるということが立証せられます場合には、もちろんこれは補償をすべきことは当然で、法に従ってやるべきであります。今日まで実はその立証の点につきまして、まだこれらのことが不明確であったというところで、一方漁民方々に対する救済の必要ということはわかりますけれども、これを、まだ自衛隊といたしまして法的に責任立証されないものを、それが確定いたしませんものを法律的に補償するということは、国の処置として、これは私らに限らず、どこの官庁でもできないところであると思います。それで実は非常にこれはむずかしい問題でございますが、一方しかし現実に被害を受けておられて、その救済ということを考えなければならない。それでそういう点からいたしまして、実は私もいろいろと直接に、自分たち防衛庁だけのことということではなく、政府のこととしていろいろ考えたのでありますが、その中で特に考えなければならぬと思いますのは、こっちの方の原因究明究明としていたしまして、さらに一方これの救済対策というものをやる必要がある。そういう点からいたしまして、実はただいま水産庁長官からおっしゃいましたようなことは、それはこの防衛庁自体として本来の仕事ではないかもしれませんが、政府としてはそういうことをやはりするということが必要なことだろうと私もいつも考えております。そうして、そういう点について私どもといたしましても、水産庁がお考え下さることですけれども政府全体としてもそういう研究をするように、私の方の今の考え方はそういうふうな考え方であります。
  7. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 防衛庁長官衆議院決算委員会、それから当院の予算委員会等へ出席されるのを、御無理を願ってこちらへきていただいておりますので、従ってそう長い時間おっていただけないので、質問は要領よくお願いいたします。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 ただいま杉原長官からお話がありました点、立証の問題でありますが、先般からの御説明で、立証ノリひびについた廃油成分と申しましょうか、それからこの廃油がどうしてノリひびについだかという原因、こういう点だけだと思いますが、この廃油成分につきましては、先ほど保安庁から御説明もありましたように、結局廃油成分そのものでは断定しかねるということになると思うのです。そうしますと、あと原因といたしましては、どこから一体漂着油が流れついたのだか、その元ということになりますが、そうすると、陸上海上かということになりますが、今のところ政府説明でも、陸上からであるということは一つも出ておらない。むしろ陸上でないということになっておるようでございますが、そうすると、海上ということになりますので、それでは海上はどこの地区かということになりますので、この前の委員会で御説明がありましたように、E地区から出なければここへは到着しないということになろうと思うのです。E地区には他の艦艇がおったかということになりますと、他の艦艇はおらないで、防衛庁関係艦艇だけだということになりますと、流したか、流さないかということは別にいたしまして、一応それが原因ではないかという疑いを持たれるのは当然だろうと思うのです。そうすると、廃油ということで、廃油だけの研究では判断がつきかねるということでありますと、その原因となべるき油を流した地区におった船というものは、当然一半の責任というものは感じていただかなければならない。そうなって参りますると、ただ立証が明らかにならないので、弁償とか、補償とか、そういうことは政府としてきめかねる、こういうことだけではなく、きめかねておりましても、そういう意味も多く含めましたところの政府としての、長官のいわゆる救済対策というものをお考えいただかなければならないのではないかと思うのです。この被害漁民に対しましての対策というものは、そういう意味を含めてお考えいただけるということに了承してよろしうございますか。
  9. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 先ほど申し上げましたように、いわゆる責任究明ということについてはいろいろ調査を要することと思います。そうして今申上げましたように、国として賠償するということは、やはりそこに積極的にその責任立証されなくちゃならぬ、これは皆さん承知通りであります。その立証ということは、それが結局その賠償する要件だと思います。それでその救済対策でございますが、これにつきましては私が今まで考えておりましたのは、ちょうどそれが水産庁でもお考えいただいておるわけでございますが、今水産庁のお考えになっておられるような線でとにかくこれを解決し、被害を受けた方々に対する対策を講ずるということが主体になると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  10. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまの問題で長官は……、その後もあったのですが、この間私らが視察に行った前々日フリゲート艦がたまたま現われた。現われたと同時に、海上約数百メートルのところに約二百メートルくらいに軽油が流れてきた。それがある時間をたちますと、それがひびについた。その材料をこちらへ提供方を要求してありましたが、委員長、それはきているか、きていないか確かめて下さい。そういうふうな状態で、とにかく今も御質問しておりますように、どちらからみても、そろいう犯罪を犯した者がみつからぬと、だがしかし、そこにフリゲート艦というものが出てきて何かやりますと、そういうものがたびたび出ている、こういうことになりましたら、それを引き返した証拠がないからどうもできない。これは一つの議論でしょうけれども、疑うべき点は十分ある、こう思うのです。その点を大体長官は、どうもこれは自分の方で手落ちになっているんじゃないかというようなお考えはないでしょうか。ただ責任上厳重に命令しているから、そういうことは絶対にしませんたって、自分がするんじゃない。人がその命令を聞いているか、聞いていないか、これもわからぬ話だ。だからこれは絶対にやらないという理屈たちません。どんな命令を出しても、大小便と同じように、どうしても吐き出さなければならぬ品物です。場合によっては出すでしょう、これを……。われわれもたまには軽犯罪くらい犯すのでありまするから、悪いと思っていてもやるのですから、そういうものはないとも言い切れまいと思う。だがしかし、フリゲート艦が現われれば必ずこういう現象が出るということに対して大体どうお考えになっていますか。どうもこれはあやしいとでもお考えになっているか、これは率直に一つ……。それだからといって、あなたの言葉じりをとらえて、長官がこう言ったから何でも弁償しろということは申し上げません。
  11. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今おっしゃいましたフリゲート艦のことにつきまして、その後の経過などを防衛局長からまず御説明、御報告いたさせます。
  12. 林一夫

    政府委員林一夫君) ただいまのお話の中に、その後もフリゲート艦が現われて、どうも油が流れておるというようなお話がありましたが、その後あの付近へ参りましたのは、上陸用舟艇二隻、これは二百五十トンの船であります。LCUという百二十トンの船二隻、LCMという二十トンの船九隻、これはいずれもディーゼル機関でございます。ディーゼル軽油を使っておる、これは木更津のごく近くに参ったのではないのでございまして、御承知の第一海堡というのがあります。第一海堡の南の方、富津というところと観音崎の中間の海面でございます。そこにN海面というのがある。これはアメリカの使用海面でございます。そこでもって舟の取り扱い方指導を受けた。たとえて申しますと、揚陸とか、離艦方法とか、曳船とか、被曳船、船を引っぱったり引かれたりするというような方法、もう一つの事例は、これも六月に入りましてから、LSSL、これが四隻、これを木更津西方約五五キロないし八キロのところまで行っておる。これは先ほども申しました上陸用舟艇でありまして、軽油を使っておる小さな船であります。これに術科学校の生徒を乗せまして乗船の実習に行なっておるわけであります。お話のPF、いわゆるフリゲート艦がその後にあの附近に参ったということは絶対にございません。いずれもこの軽油を使っておる小さな船がその付近に行ったということがあります。その後はこういうようなことのないようにいたしておるのであります。まあかりにこのような指導訓練と言いましょうか、実習のためにその近くにこういうふうな船が行ったということは一度もございません。御了承いただきたいと思います。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 その日時は何日になりますか、前の観音崎沖演習したというのは……。
  14. 林一夫

    政府委員林一夫君) これは五月の三十一日と六月の一日、三日、六日、七日、八日、九日、十日、十四日、あとの方のLSSLの四隻の方は六月の二日、三日、六日、七日、八日でございます。
  15. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 先ほど申しましたように、衆議院決算委員会へ出て行かれる前を無理に来ていただいたのですが、決算委員会が始まるそうですから、あまり防衛庁長官を引きとめるわけにはいきませんので、そこでちょっと済みませんが、まあ私から申さしていただきますが、ただいまの清沢委員の質問しましたフリゲート艦という問題については、これは実は現地諸君はどれがフリゲート艦やら、どれがLSSLやらわからぬのですよ。で、要するに格好の変った船があればフリゲート艦だということになっている。そういう認識を現地諸君は持っているのですが、ただしかし、たまたま木更津西方の方に船が来たときに、やはり軽油が付着しておると、来たというととだけは言っているわけです。さらに去年のちょうど六月にも同じような問題が起きたわけなんです。そこでまあ防衛庁長官お話しは、この原因がはっきりわかって、防衛庁責任でないというのに賠償とか、補償とかということはできないと、これは私は当然のことだと思います。そこで原因究明究明として、救済対策として水産庁長官の言われたようなことを推進することを考えておるということでございますが、水産庁長官のおっしゃった対策というものも、これもこまかに聞いてみなきゃわかりませんけれども、やはり県の地元負担も要れば土地の人々の負担も要るわけなんでして、こういう被害を受けたところの諸君がそういう負担に堪え得るかどうか。また地元財政の苦しいときに県がそういうものをほんとうに出してくれるかどうかということになりますと、せっかく政府としていろいろな対策をお立てになりましても、金がいる話になると、どうにもならぬのじゃないかと思うのです。そこで私は水産庁長官でなしに、防衛庁長官一つまあお伺いというか、お尋ねというか、申し上げたいのは、ともかくもこのLSSLが行きましても油が流れてきているという問題があるわけです。そこでそれはあるいは故意に流した油でなくて、偶然であるかもしれません。しかしそういうこととは別に、あなたの方ではこの付近演習場にお使いになる限りは、将来もお使いになるでしょうが、やはり故意重油を流すことがなくても、ビルジ等による問題というものは起り得るわけなんですから、そういう点については、やはりほかの民間の船と違いまして、防衛庁の船ということになると、特別に慎重な御考慮を払っていただかなきゃならぬことでございますから、私は一つそういう意味から、この防衛庁の船が将来も演習をせられるに当って、故意あるいは偶然に、故意ということは別にいたしまして、ビルジ等を流したことが、実際にノリを養殖しているところに影響があるかないか、こういうことについては、やはりこれは油の分析とは別に今後も十分な調査をなされることが必要ではないかと思うのでありまして、そういう点について、その調査地元諸君協力を求め、地元諸君にも依頼して調査をしてもらう、そういうようにやっていただきますならば、あるいはそれが水産庁の方で考えておられる対策を推進するための自己資金を出すためにも、大いに役立ち得るんじゃないかと考えるんですが、さようなことはどうでございますか、ちょっと回りくどう申しましたが、大体長官の言われたことも大体回りくどう言われましたので、回りくどい方がいいんじゃないかと思いまして……。
  16. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今、委員長からおっしゃいましたことにつきまして、一つなお私よく研究さしていただきたいと思います。防衛庁といたしまして、その詳細についてどういうやり方をするか、その辺のところは研究さしていただきたいと思います。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 結局立証されておらないという御説明は、防衛庁の船からではないという確認も得られておらないということにも裏返せばなるわけです。従いまして、長官先ほど水産庁の線で協力をするというお話は、当然これは自然被害同一というふうには考えておらないで、一応あるいは原因があるのではないかという好意のある態度で対策政府として立ててくれるんだ、こう了解してよろしいんですか。
  18. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) これは皆さんすでによく御存じの通り自然被害とはもちろん違っておるわけであります。ただ一番ここで困難なのは、原因ほんとう究明という点についての立証という点がまだ確立していないところにあるわけです。先ほどからも申しますように、その原因自衛隊の船、自衛隊行動原因しておるということが立証されれば、もちろんこれは賠償しなければならないのは当り前の話です。そういう点が立証されておりませんので、国として賠償するということもなかなかできない、しかし実際漁民方々がお気の毒なので、なるべく救済してやらなければならぬ、そういうところから、私といたしましても原因究明にさらに検討を要しますが、それと並行して、今の救済について水産庁あたりで考えておられる線を推し進めて行きたい、われわれとしてもそういう誠意を示したい、こういうわけであります。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 水産庁被害額あるいは対策その他がいろいろ具体的に出て参ると思いますが、そういう点については、国務大臣といたしましても特別に考慮するというふうに了解してよろしうございますか。結局自然被害というふうなことには考えないで、政府としてこれは特別の被害だという好意のもとに十分考慮してやる考えだ、こう了解してよろしいですか。
  20. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 水産庁の方でもいろいろ融資のあっせん等についても考えられておるのですが、そういう点について政府としてできるだけのことをしなければねらぬと思います。
  21. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 時間がございませんから、はなはだぼんやりしたままでこの次の機会を待たなければなりませんが、重ねて長官に申し上げますけれども、そういう融資のあっせんとか、それからいろいろ身を立てるとか、いろいろな問題は問題として、何にしたところで、借金をしたところで、これは返さなければならぬ。せんだってもわれわれ行って現地の陳情を受けましたが、こういう零細なノリをやっている諸君に金を貸したところで、国が一定のひもつき融資でもしてくれない以上は、漁業協同組合としても責任が持てないという問題があるわけなんです。そこでどうしても善後措置のために何かの事業をやろうとすれば、そこに自己資金というものがなければならぬわけです。その自己資金は、あなたの方では賠償とか、あるいは補償とかという形でお出しになる段階にまだ達しておりません。おりませんが、しかしそのあたりに船がほかにいないのですから、そうして陸から流れたということもないのですから、海上保安庁では潮流や海流の方をいろいろ言っておられますけれども、しかし海上保安庁の潮流、海流の調べといえども現地でそれなら潮の環流がどういうようになるかということまでははっきりわからぬわけです。そういう点についてはあなたの方に責任があるという答えが出ないが、責任がないという答えもまだ出ていないわけですから、それはそれとしておいて、今後もあることですから、海上保安庁演習地においてビルジ等を出す場合には、現地にはどういう影響がくるかということを現地諸君にこの調査を委託して、調査費を現地の方へでも出していただいて、そろいう形でこの問題を皆さんが納得ができるように解決して行こうということは、私は考え得るのじゃないかと思うのです。それは私はできることと思うのですが、どうですか。
  22. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) これは一つ関係の官庁方面とも、今の委員長のおっしゃいましたことにつきましては、なお相談させていただきます。
  23. 千田正

    ○千田正君 この問題については、先般の予算委員会で、防衛庁長官並びに総理大臣にお尋ねしたのですが、防衛庁の方は科学的調査の結果は自分の方じゃない、たとえばほかの船からではないだろうかといろ問題もあり、海上保安庁としましても、十分なる調査結論がまだ出ておりません。水産庁としては、自分の行政関係立場からいろいろ案を練っておるようでありますが、しかしこれといっても被害地におけるところの漁民の満足するような方向には現在のところ進んでおらないようであります。それでどちらにしましても、水掛論をやっておったのではこの話は解決しませんので、あくまでこれは政府として考慮してもらわなければならぬ問題だろうと思うのであります。といって、現在私は少くとも再軍備と言うか言わぬかしらぬけれども、防衛隊の増強ということを一つのテーマとして、また選挙のときでもそれをうたっておられます。同時にまた現実において予算面から見ましても着々そういう方面に進んでおる。国民の協力を得なければ、私は何回も言う通り、こういう問題は解決しない問題でありまするから、政府としてはおのおののセクショナリズムを捨てまして、この際こういう問題は漁民なり、農民なりに迷惑をかけないように、何とかして政治的な手を打つ以外に私はないと思う。そういう点におきまして、防衛庁長官といたしましても、一日も早くこの問題を解決していただくように、総理その他と相談してこの点の解決をしていただきたいと思う。この点について御所信を承わっておきたいと思います。
  24. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) よく一つ関係の官庁とも相談し、研究いたしたいと思います。
  25. 江田三郎

    委員長江田三郎君) まだこの問題について御質問があると思いますが、先ほど申しましたように、衆議院決算委員会から再三催促がきておりますので、この問題については、関係官庁におきましてなお十分の御検討を願うことにいたしまして、本日はこの程度で防衛庁長官は帰ってもらってよろしうございますか。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 一、二点防衛庁にお伺いいたします。わしらが今までの観念として考えておりますことは、そこに駐屯軍か陸軍なりがおりまして、あるいは艦艇などがある停泊地に相当量のものが停泊しますれば、昔なら歩哨というようなものが立って、常に海上警戒もしくは付近の警戒をしておったのでありますが、今のこういう艦艇の動きに対しては、そういう歩哨というようなものが立っておるのかおらぬのか、それからお伺いしておきたい。逐次関連してお伺いいたします。
  27. 林一夫

    政府委員林一夫君) 自衛隊法にこういう規定があるのです。百五条ですが、ちょっと読みます。「内閣総理大臣は、自衛隊の行う訓練のため水面を使用する必要があるときは、農林大臣及び関係都道府県知事の意見を聞き、一定の区域及び期間を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。国は、前項の規定による制限又は禁止により、当該区域において従来適法に漁業を営んでいた者が漁業経営上こうむった損失を補償する。」、こういうことがありまして、自衛隊が大きな訓練のため水面を使用する必要があるときは、農林大臣及び都道府県知事の意見を聞き、一定の区域及び期間を定めて漁船の操業を制限したり、禁止したりする必要があるような大きな演習、こういうような場合においては、この規定によりまして、農林大臣及び関係都道府県知事の意見を聞いて……。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はそういうことを聞いておらないのです。結局服務規程とか何とかいうようなもので規定されておると思うのだが、ある一定の演習に従事しておるものが停泊あるいは駐屯した場合には、必ず歩哨というようなものが立っておる。だから、そういう監視をやる歩哨のようなものが停泊している場合に船にあるのかないのか、停泊している場合に何もしないで上陸できる格好なのかどうなのか。
  29. 林一夫

    政府委員林一夫君) もちろん船が港に入っている場合には上陸というようなことはなく、沖の方に停泊していると思いますが、その場合におきましては、上陸するときにはもちろん一々上官の許可を得て……。
  30. 清澤俊英

    清澤俊英君 上陸をいうておるのではないのです。歩哨があるのかないのかと、こういうのです。常時歩哨というものが立っておるのか、非常の場合は常に警戒する歩哨というようなものを持っておるのか持っていないのか、そういう服務規程があるのかないのかということです。
  31. 林一夫

    政府委員林一夫君) おっしゃいますのはあれでございますか、たとえば部隊があるところに駐屯した場合に、そこに歩哨勤務を立てるかどうかという意味なのですか。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうです。
  33. 林一夫

    政府委員林一夫君) これはもちろんそういうような部隊の駐屯する場合、歩哨勤務とか、そういうものは立ててやるという建前になっております。しかしこれもわずかな部隊が、あるいは規模その他によるわけでありますが、一々歩哨を立ててやるというようなことも、いろいろその規模とか、程度とか、そのときの状態によって違うのであります。必ず部隊が駐屯する場合には歩哨を立てるというようなことはないと思います。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 この事件のありましたとき、相当のフリゲート艦、それから「うめ」なんという大きな船が着いております。そうして日限を確定した演習期間になっておる。そういう場合に、停泊しておるわけです。あなたの言われる上陸などはもちろんできないと思う。そういう場合歩哨などは立つのか立たぬのか、そういう場合にも立たぬのですか。
  35. 林一夫

    政府委員林一夫君) その歩哨という意味がわかりませんが、もちろん艦上においてしょっちゅう周囲を見張っておるという意味のものは立っておるわけなんです。もちろんこの停泊しておりましたのは、これは訓練をするという意味ではなくて、停泊訓練というような意味であります。停泊中に内部のいろいろの兵の動きとか、そういう訓練であります。別に大きな輪形を作って規模堂々と訓練をやるという意味の訓練ではないのであります。内部的にそういう部隊の動きの指導訓練の実施というような意味であります。その場合これは歩哨であるという歩哨を立てたかどうかは存じませんですが、もちろん外界に目を向けているものは当然あると思います。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、先般も現地を見せていただきましたが、海上保安庁の推測から言いますと、盤州鼻沖千二百メートルないし千五百メートルの間、こういう線を明らかに一応仮定しておられる。ここから流れたのだろうと、こう仮定しておられる。それで歩哨が立っておって、まあそういう監視をしておるものがあるのですが、それが立っておる目と鼻の先ですよ。これは湾がこうなっておりますから、彎曲しておりますから、距離が図面で一見れば非常に遠いところになりますが、現地に行って見れば一目です。ほとんどこの湾の中心から停泊地と盤州鼻沖というものを直径に結んだら幾らもない。そこで船がきたかこないか、絶対こないという、そうしてみれば自分のものであるというととが結論として出ませんか、そういうものがちゃんと立って見ているのです。見ておってこないというのですから、自分のものよりないでしょう。怪しいものなしと自分から言っておられるではありませんか。
  37. 林一夫

    政府委員林一夫君) 怪しいものなしとはまだこれは私申し上げたことはないと思うのでございますが、この前も申し上げましたように、私の方の判断は、当時在泊して重油を使っておった船舶はPF一隻なんです。このPFも二十六日の十六時に参りまして、これは一月でございますが、一月の二十八日の十二時にはもうそこを立っておる。その間三日間、ノリに油が漂着したのは一月の三十一日の午後だと思いますが、その間三日間の間があるわけです。その当時の潮流とか、海流ですか、風向、まあいろいろ調査しました結果は、かりに当時在泊しておったところから油が流れたといたしましても、その油は江川方面に漂着する計算になるのであります。江川方面ではなくて、南方の大堀海岸の方面に十六時間ぐらいたって漂着するというような計算になるのです。実際は三十一日の午後に江川方面に漂着しておるというようなことになっているのです。まあ当時の私どもの方の海潮流と、あるいは風向の結果から考えましても、どうもかりに「うめ」の重油が流れたといたしましても、あれのような結果はきたさない。これは海上保安庁の御意見もほぼそのような御意見であると私は拝承しておるのでございますが、そういうようなこと。また当時ほかの船を見なかったかどうかという点でございますが、当時はたまたま目に入ったかどうか知りませんが、これも当時の船舶の通航をほかの方から聞いて見ましたが、こういう事例があるのでありまして、千葉港に入港した船が二十六日に一隻、二十七日に一隻、二十八日に四隻、二十九日に一隻、三十日に七隻、千葉港から出た船が二十六日に一隻、二十七日一隻、二十八日三隻、二十九日三隻、三十日二隻、三十一日に四隻ということを聞いております。これは三百トンくらいの程度、あるいは大きなのは千八百トン、二千トンくらいのものがあるということを聞いておりますが、こういう船はあるようでございます。たまたま私の方の者がそういうものを見たかどうかは存じませんが、いずれにしてもこういうことが、ほかの方の船舶の動きがあることは間違いない。私の方は別に自分の方がやったというようなことを黙っておるわけではないので、いろいろの点を考慮しまして、どうも私の方の船ではないというふうに考えておるわけであります。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで今の船はですな、こういうことを後にお聞きすれば大体わかると思うのです。大体定期航路か何かの船だろうと思うが、それは大体航路はきまっていると思います。海上何メートルかということをお伺いすれば、これは一ぺんに解決すると思いますし、あなたがおっしゃる通り、少し先へ出ればすぐ別の方向へ潮は行ってしまうのである、こういうお話ですから、それは解決は楽だろうと思う。そこで問題になりますのは私は二点あると思うのです。一つは、あなたの方で監視船が出ているんだ。監視船ではない、監視する人が水路についている。夜も昼もですよ。こういうものが目の先、非常に離れた所にきたというのじゃない。あの現場へ行って見ればすぐわかる。海上から千メートルくらいですぐ見える所で、目と鼻の先で、海上へ出ますれば、すぐに接近した所に並んでいる。この人たちは他の船がそこへこないと、こう言う。そこではないということもはっきりしているだろうと思う。これも一つ海上保安庁の方で言われる盤州鼻沖だという仮定もくずれて来る、そういうことになれば……。こうだと断定して見たところが、そうじゃないかもしれないということになる。そこで潮流のことをいろいろあなた方お話しになっておりますけれども現地漁民に言わせますれば、自分らの経験における潮流は、あの場所で流したならば必ずここへ着くんだと、こう言う。あなた方のは学問の上で統計的なものをとられるのだし、彼らは親子三代櫓を押して、この潮に逆らって櫓を押したならば、仕事の上で余分の無理がかかる。これは三百六十五日、彼らの日常生活なんです。あなた方が畳の上を歩くのと同じものです。それは現在ではわしらの経験から行きますれば、この潮はこうなって、風はこうなって、ここへ必ず着きますと断定しているんだ。だから、最後に申し上げますが、もしそこで同一風向で同一時期に何か試験のものを流して、それがそういう場所へ着いたら、弁償しますか、それで納得しますかどうか、これをはっきりされたい。
  39. 林一夫

    政府委員林一夫君) これは私どもの船ではないという判断の資料の一つであります、海潮流のことは……。私どもの船が油を流したその結果ではないということは、いろいろ理由があるのでございます。その理由については今までに申し上げておるのでありますが、当時、先ほども申し上げましたように、在泊しておりました重油を使っておるPFは一隻でありまして、それがもう二十八日の昼には出ておる。しかもその重油を使っておったPFは廃油を放出したこともない、それとか。あるいはただいま申し上げました潮流というようなことから考えまして、どうもかりにPFの油が流れたとしても、そういうことではないというようなこと、いろいろなこと、また先ほど分析の結果の総合判断が海上保安庁の方からお話があったのでありますが、私どもの方、あるいは今まで海上保安庁の方でおとりになった分析の結果もはっきりした結論は出ていない。大体鉱物性の重油と推定されるというような結論が出てきておるのでありますが、分析の結果もどうも差異があるということは考えられるのであります。まあいろいろのことからして判断するのでありまして、その当時の潮流は地元の方が判断してこういうようなことになる、この場合は責任を負えるかというようなことについては、もちろんこれは申し上げかねるわけであります。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 油のことを終始言われますが、油は分析の結果、それかどうかわからぬと言われておるのである、実際。先般私ども視察に参りました際にも同じような事件が起きておりまして、その際見ました油も、沖合では軽油が流れたのだと言うんだ。ひびにつきましたものは、全く先般来見ておりますように、重油を何した、重油というか何というか、コールタールというか、わけのわからぬものだ。私は新潟県でありますから、子供のときから重油をたくさん見ております。いろいろの種類を見ておる。輸入の重油も見ておりますけれども、かいでみようと、なめてみようと、重油という味は少しもしません。これはコールタールか何かでなかったかという感じしかありません。あれが重油であるとか、ないとかいうことに対しては、私は科学者でも何でもないから理屈は言えませんが、あとに流れた六月のときのやつは現に海上には軽油が流れておる。重油を使うような船はきておらないのだから、軽油のようなものが流れるに違いない。それがひびについたときは重油のようなものになってしまっておる。このひびについてた油はいろいろな変化があるということだけは試験分析の結果はっきりしておる。しかるに重油だけを突っぱっておられるということは、重油だけを原因として突っぱっておられるということは、私はそのように重油にだけたよられるわけがわからぬ。分析の結果は、いろいろ変質して油質は不明確のものになっていることは、科学的に出ておるものを、いやおうなし、突っ込んで考えるということは間違いだと思う。あなた方の調べました潮流の関係などだけを基礎にしていろいろ言われる。漁民に、君らの言う潮流の地図はこのうちのどれだ。私はこれを出して二人も三人もにどれに該当するんだ。ところが、これには一つも該当するものがありません、これはどうも違っております、時計のネジのように左巻きになっているんだ、時計のネジと別回りに動いているのでございます、こういう主張をしておる。こういうことは私どもはようわかりません。だが親子三代、それ以上代々この浜で育って浜で生きておるのでありまするから、この浜の少くとも漁区内の海流くらいのことはもう、どう風が吹いて、どうなれば、いつの時期に何風が吹くならどう行くんだ、これがどういうものならこうだということは、理屈抜きにしても彼らは知っとる、確信持っております。私は一番それが確かじゃないかと思う。そういう者の意見をなぜ聞かないのか。だから言うのです。私はそういう場合に、どれもこれも立証するものがなかったならば最後にそういう条件のそろったとき、何か流すんだそうですが、いろいろなものを流すんだ。そういうものを流して漁民の言う通り流れついたら、これは明らかに立証せられたことになる。それでもまだ理屈を言うておるということになりゃおかしいです。ほかにも船がきておらぬとあなた方が言われるのだ。しかし徹宵警戒しておる、何か船が見当らぬ。見当らぬものを中心にして何かきたのだろう。あるいは千葉の港の中にこういう船が入った。これは子供だましじゃないかと思うのです。定期船なら航路というものは大体きまっているのじゃありませんか。私は知りません、そういうことは……。そういうことを私は聞いているんだ。地図を見ましても、点々とここを通るちゃんと航船跡が通っておる。それが何メートル先ならわかる。そこで流したとしたら神奈川県へ行ってしまうじゃありませんか、あなた方の主張なら。この保安庁の調べにも、二千メートル先ならこれこれ別の所へ行くんだ、盤州鼻沖のことはそう書いてある。これだから千五百メートルから二千百メートルの間に流したものに違いない。これまではっきりしたものが出ている。それが漁民によって現実に否定せられたならば、それは否定した者が一番勝つのであります。全部がくずれてくるのじゃないか。ただ化学的に分析ができないという科学者の言うことだけを、それを中心にして突っぱってみたところが、こんなことは問題にならない。それこそ水かけ論だと思う。私はそれくらいのことは、海上保安庁としましても、あなた方としましても、そういう条件のとき流してみまして、そこへ行ったらこれは悪かったと率直に言うのが当りまえじゃないかと思う。たびたび言うのです。さっきから私は長官に言う通り、疑わしいことはたびたびなんです。一回ならず二回、三回……。あなたは軽油だと言う。軽油に間違いないものが見られたと言う。ついたものを見ますれば、この間わしらが見たものとさらに違いありません。そこで考慮ができないのですか。
  41. 林一夫

    政府委員林一夫君) 今の考慮と申しますのは、どういうことでございますか。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは自分の方でやったのだという考慮ですよ。
  43. 林一夫

    政府委員林一夫君) これは、今まで私が何回も申し上げましたように、私どもの判断では、どうも私の方の油ではないという結論が出ております。もちろんこの点については、今後とも各関係機関において十分連絡をとって調査して行くことでございましょうが、現在のところまでの判断によりますと、今まで述べてきたところの油は私の方のものではないと考えておりますが。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 海上保安庁の方はどういう判断でありますか。あなた方はこれをどうしても流した責任があるのですよ。数百人の漁民が生活に困るという、ノリ場を捨てなければならぬという重大問題です。あなた方はこれを流された責任がある。そういう力点に達しましたときは、どう考えられるか。
  45. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 現地漁民方々については、まことに私の方としてもお気の毒でございますし、何とかしてこの現実をつかまえなければならないのはおっしゃる通りなんでありまして、先般来申しますように、私の方としてはまことに手も少いのでありますけれども、それでもその中からできるだけかくのごとく当ったのでございますが、今までのところ画然とこれであるというのがつかめないのはまことに遺憾だと思っております。今後はできるだけこういうことがないように、もっと海水汚濁について法規を整備するとか、あるいは海上の汚濁の防止の運動でももっと活溌にやるとかいふうにして、何とかおこたえしなければならぬかと思っております。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、そういうこれから先のことを聞いているのではありませんよ。お伺いしているのは、現実に起きた問題に対してあなた方の判断とすでに違ったものが、そこに出てきた。潮流やいろいろなものが出てきた。そこでこういう潮流でここへ行くんだという主張者がある通りのものが出てきた場合、ほかに犯罪を犯した嫌疑を受ける者があって、それが否定せられる法的な事実が出てきた場合にはあなた方はどういう判断をなさるか。少くもここで、フリゲート艦を犯罪人だと言わなくても、フリゲート艦に九分九厘までの疑惑がありそうだという、そのくらいのことは言えるのか言えないのか、その点を非常にはっきりしてもらいたい。
  47. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 私どもの資料といたしましても、これで全部完全なものだとはもちろん申し上げられないのでございます。ですから、その当時の状況、たとえば海流と潮流と、潮流によりますと満ち潮のときもありますし、いろいろありますので、また風の方向も時によって違いますので、そういういろいろなもののまたあらためて総合的な調査をしなければならぬかと思います。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はそういうことを聞いているのじゃありません。大体風向、潮のさし引き、そういったような一切の条件が大体似たようなものが出た場合に、そこに流してみて、そうしてそういう所へ行った場合、あなた方どう判断するか。犯罪捜査からいって、この附近には犯罪者は絶対きておらぬということだけははっきりしている。ただ流した場所が違うとか違わぬということは、潮の工合、風の工合、いろいろな工合から、それでこうなったのだという結論が出て、それは違うのだ、これはこうくるのでありますという議論をしておりました際に、漁民はその通りの試験をしてみておる、一ぺん流してみる。そういう流した試験はあるのだそうです。私は知りませんけれども、流してみて、その場所に行きました際にどういう判断をせられるか聞いている。ほかのことは聞いておりませんので、フリゲート艦に疑惑多きものと判断せられるかどうか、それを犯罪とはっきり言い切れるか、言い切れないかはっきりわかりませんが、最も疑惑多きものといろいろの条件から言えると思う。あなた方はいやしくも国費を使って、こういう犯罪を防ぐためにできているのだし、そうするのが責任だと思う。どれに疑いが一番あるくらいのことは言っても問題はないと思う。いつでもとんでもないことを言っている。そんな答弁を聞こうと思っているのじゃありません。
  49. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 資料でございますが、先ほど私の方としては、やはり一般に公けに認められる資料であったのでございますので、それに反対する資料があるとすれば、もちろんそれの反対する資料も承わらなければならないのでありますが、そうしてどういうふうな結果を受けますか、起ったことには何らか確実なる事実に基いて、これがある意味の嫌疑がかかるというものが起きてくれば、もちろん私どもの方としてもそれを調査しなければならぬと思います。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういう結論になりますならば、もう貧乏してもどうにもできない漁民なのですから、だから協同組合等と御連絡していただいて、そういうものに最も完璧を期せられて、学術上の知識も与え、また経費も与えて一つやっていただく御意思がありますかどうか、それだけ聞いて私はこれで終ります。
  51. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 私どもとしても、調査はこれは水路部がもちろんやるのでありますが、海流の調査は改めて、改めてと言いますか、ちょいちょいやっておりますが、なお同一状態における調査というものは、今気候も天候も違いますし、もちろんある程度の時日は要すると思いますが、そういう調査漁民方々からそういうことがあれば、私の方でもやらなければならぬかと思っております。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 協力してやっていただけますか。
  53. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 協力というのはどういうことですか、私の方は独自でそういうことは当然の任務でございますから、やって参ります。
  54. 加瀬完

    加瀬完君 今、清澤委員の指摘された点に関連があるのでありますが、防衛庁保安庁と両当局に伺いたいのであります。防衛庁のただいまの清沢委員に対する御答弁は、かりに警備船が錨地において廃油を流したとしても、その被害場所に漂着しないということを具体的に述べているようでありますが、海上保安庁の先般の説明では、潮流は、北流時にはその一部は富津、木更津附近に北から流入する、こういうことを認めておられる。さらに当日の風は南西、風速は弱く、油の漂着に著しく風が作用したとは思われないが、若干の影響はあったものと思われると、これはもう認めておられる。また千葉県側が指摘いたしておりまする推定移動状況によりますと、「被害発見時期は北方において早く、逐次南西に移っている」といっているところから見ますと、この保安庁の見方と、現地の発見後いたしました被害移動の状況というものは一致をいたしておるわけであります。で、防衛庁はそれにもかかわらず、フリゲートの出発は一月二十八日の十二時であって、当時の潮流の計算からは三十一日ごろ、すなわち三日もたってそういう漂着物がつくということはあり得ない、こう言っているのでありますが、潮流は北の方から流れてくる。それから風速は弱いけれども、南西の風であって、しかもそれは弱風ではあるけれども、若干の影響はある、こういうことであれば、漂流物は錨地の北東に着くということもこれはあり得ることだろうと思う。なお非常に私は防衛庁が三日もたって云々というのは、潮流は同方向に同速度に流れているものではないはずであります。これは御専門であるから御承知のはずであります。またあそこは非常に干満の差が激しいのでありますから、干満の度合によりまして潮流の変化も起りますれば、還流も当然生じます。そういたしますると、風が南西であって、潮流の方向と相反するという瞬間もあり得るわけでありまするから、一つのところに滞留しているということもあり得れば、一度流れてきたものがまた沖の方に行くということもあり得る。それから三日もたって発見をしたということは、三日で発見したのか、二日で発見できなかったということかは、これはまだ疑問が残っている。というのは、漁業者というのは一日一回しか海に出ないわけでありますから、一回出てそれで帰って来て、すぐ油が漂着しておりましても、翌日でなければ発見できない。そうなって参りますと、それは三日以後に発見したという根拠にはならないわけであります。また保安庁はさらにEの区域で投棄した場合は影響が最も大きいということを言っている。船がEの位置にいたということも言っておる。ただどういう関係なのか、停泊期間も停泊場所の条件も、海流の関係からこのような事実は生じないと言っておる。こんなでたらめな説明はないと思う。停泊期間の間に、同じ所に停泊しているのか、どういう移動をしておったのか。演習でありますから一点におったとは限らない。Eの地区を移動して、演習でありますから移動も当然伴う。それを停泊期間や停泊場所というものから、こういう問題が起らないということはあり得ない。Eの地区の中から原因があるということは認めておって、Eの地区の中におるところの船がこの場所、この期間であってはそういう事実は起らないと言う。一体納得させる、第三者への説明にしては停泊場所、停泊期間の条件からはこういう事実は起らないということはあまり不親切な説明だと思う。これについて保安庁防衛庁の両者から御答弁をいただきたい。
  55. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 御承知のように、Eの地区が一番可能性が多いのでありますが、停泊しておった場所はEの地区でありますが、演習しておった場所は大体Eの地区以外ということを聞いておりますので、停泊だけの当時の状況からいたしますと、潮流、海流の関係からみんな南下してくるので東北の方へ行くようなことはない、こういうふうな説明であります。
  56. 林一夫

    政府委員林一夫君) ただいま海上保安庁長官からお話があったように、当時の潮流から考えても大体現実とはちょっとほかの方に、方向も時間的にもほかの方に行くのではないかというように私ども考えておるのであります。三日とか、三日前とか、あるいは方向とかというようなことは、もちろん今おっしゃったように、厳格な意味においてはあるいはその間多少の違いはあると思います。大体のところ私どもの水路部の調査による当時の海潮流の前提として考えましたところによりますと、今まで申し上げたような結論になるのであります。
  57. 加瀬完

    加瀬完君 結論になるか、ならないかはあなた方の専門ではない。保安庁の認定の方がはるかに信憑性があるわけです。その保安庁E地区から投棄する場合が影響が一番大きいというようなことを言っておる。それで風向きや潮流の関係から判断をして、Eの地区で投棄した場合、現地にこういうような影響があるということを認めたのであると思う。それで船がE地区にいたということになれば、あなた方が海流の関係からとか、当時の風向きからいっても、保安庁自身はEの地区から投棄されると現実のような被害が起るということを認定しておるということであれば、そういう抗弁は意味をなさないものである。問題はEの地区にいても、この停船期間やこの停泊場所からはこういう問題は起らないと保安庁が言っておって、これに一体どれだけ信頼をしていいかどうかという問題だけしか残っておらないと思う。そこで保安庁は停泊しておった場所と演習しておった場所は違うらしいと言うけれども、らしいということで、こういう事実が起らないという判定を下す方が一体妥当なのか、ここにおってこの付近を中心に演習したのであるから、事実はどうであろうかしらぬけれども、ここの地域の航行を主としており、ここの地域に停泊しておったのは防衛庁の船であるから、この船に一応疑問を持つということが、妥当なのか、どちらにお考えでございますか。
  58. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) お答えいたします。E地区における可能性が一番多いということは私どもの資料にはっきりしておりますし、現在でもそれを認めておるわけであります。従ってE地区におります船に最も大きな疑いをかけることも当然でございますので、私どもE地区におりました船を十分その当時といたしましては調査をいたしました。その中にまあ自衛艦がおったわけでございます。それで、今お尋ねの停泊場所だけに限ってものを考えるのは妥当ではないではないかということもごもっともでございます。それでどういうふうに「うめ」艦が動いたかにつきましても調査をいたしました。これにはやはり航跡図というものがございまして、ただ口述だけで信ずるわけに行きませんので、船に備えてございます航跡図というものがございますので、これに当りましたところ、「うめ」艦につきましては、二十八日以前に北に行ったということは認められないのでございます。それからその付近でどういうふうに行動したかということに関連いたしますが、これもやはり航跡図におきまして、その付近をかなり広範囲に動いたということも認められなかったのでございます。それでいろいろ海流その他の流れを検討いたしますために、錨泊しておりました地点を中心に研究いたしまして、資料になりましたような結果を得たわけでございます。それから先ほど清澤委員お話しにございました、私どもが提出いたしましたこの海流潮流の図面でございますが、これをこのまま見まして、この通りに動かないという見方のあることも当然だと思うのでございます。と申しますのは、これはここにもはっきり書いてございますように、まあ海流と、潮の満ち干きによります潮流とを分離したものでございまして、実際はこれを組み合したものが現実に流れる海水の状況でございます。それで前の委員会にも特に御質問がございましたので、若干以前に出しました資料の不足もその点にあったかと思いまして、この海流と潮流を組み合せました。しかも問題の残っておりますこの地点においての合成された当時におけるもの、これもいろいろ議論はございましょうが、私どもが最もこれは信頼するに足るという資料によりまして作りましたものが第五図まあ第五図以下にグラフになっておりますが、これがその当時における実際に近いものだというのでいろいろ判定を下したのでございます。
  59. 加瀬完

    加瀬完君 E地区に自衛艦がおったということを認めて、しかしながら、その船は北の方に航行はしなかったというのでありますが、何もE地区から北のC地区か、B地区に行かなければ、こういう漂着油の変化は起らないということはこの海流図からは判断がでない。むしろこの海流図から見れば、E地区の一番北の端に行かなくても、当時の風の関係、あるいは干満の関係でこういう変化を生ずるということも予想されると思う。それは保安庁の方から出ておりまするこの海潮流図を見ますれば、そういう移動というのが想定されると思う。この点はどうですか。
  60. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) E地区におきまする全エリアにおいて多数の地点をピックアップして、それに対する実際の潮流の流れは研究はしておりませんが、いつも問題になりますが、この盤州鼻の件でございますが、現実に油がついておりますのはそのつきました現状、私どももいつついたかという、最初のつく時間というのは相当と申しますか、絶対に必要なのでございまして、私ども現地において調べ得る限り調べまして、大体こういう順序にこういう時間についたであろうという、もちろんこれはある程度推定でございますが、現地の人のいろいろな取調べによって考えました。そのつき工合と時間の関係考えたのであります。そのついた現実から、もしこれがこういうふうにつくならば、どこから流れただろうかというのを逆算したわけでございます。それが盤州鼻でありまして、そういたしますと、盤州鼻付近に現実に流した船がいなかったということは、非常に私ども根源をつかむ責任のある立場として遺憾でございますが、ただいまのところわからないのでございます。それでまたもとに戻りますが、フリゲートの地点につきましてはもちろん文句にございますように、風の影響も顧慮いたしました。その顧慮いたしました結果が結論になったわけでございます。
  61. 加瀬完

    加瀬完君 私は技術家ではございませんけれども、どうもその結論の出し方が非常に一方的な推定というものに私はからみ過ぎていると思う。と申しますのは、現地の漁師が、たとえば三十一日ごろだと、こう言っている。その漁師の言う三十一日というのは、前のノリの採取のときはなかったが、次に行ったらあったというので、まあ少くも二十時間前後というものの誤差というものを、これは技術家であれば当然考えて判定をしなければならぬと思う。その初めにどこへ漂着油がついたかということがそれほど問題であるならば、初めに発見した時間というものが、果してそれが漂着油の到着のときの正確な時間であるかどうかということは、相当吟味を私はすべきものだと思うのです。  それから盤州鼻で流さなければここへつかないと言うけれども、盤州鼻で流さなくても盤州鼻はこの海流や潮流の関係からすれば、E地区のどこからか流れたものが盤州鼻まで持っていかれて、それから北の方から木更津湾に入ってくる、北流するところの潮流によって逆に入ってくるということも考えられる、こういうふうなあらゆる想定をいたしまして、結局どういう条件をとってもE地区において自衛艦が演習しておっても、かりにそこで油が流れてもこの現地被害は起らないということが納得できますが、一つだけを想定して盤州鼻で流さなければここへつかない、盤州鼻では流したような様子がないからおそらく船のこの場所ではこういう被害は起らないだろう、だから自衛艦の責任ではないという結論を、これは結論としては科学的信憑性というものは私ははなはだ裏切っていると思う、この点どうですか。
  62. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 一応北に上って今度南に下ることは私どもも一応考えたわけでございまして、そういうことでその当時における海流と潮流をかなり正確に表で計算しておりましたので、それによりまして、北には上らないという結論先ほど申しましたようにここにグラフで二枚ございますが、出たわけでございます。それからもちろん私どもは今までいろいろ御報告申し上げましたように、この海流、潮流の関係だけ、あるいは分析によるその結果だけで結論を出そうということは最初から考えておりません。たまたま最後に油の分析が残りましたから私ども長官から御報告申し上げたのでありますが、それともう一つやはりフリゲートが流した可能性があるかどうかということは非常に大切な問題だと思うのでございます。これは防衛庁は絶対に流さないということでございますが、私どもやはりこれに対しては当初から最も大きな関心を持ちまして、船内におきましていろいろ調査したのでございますが、あるいは結果的には若干疎漏があったかもしれませんが、今までのところ当庁には船について十分な経験者がおりますので、よく調べましたところ、そのようなことはほとんどないのでございます。いろいろビルジ関係とか、そのビルジがあって排除するのをどういうふうにやっておるかをかなり詳細に見てきております。それで「うめ」自身が船内の状況からこれは流したという証拠もつかめないのでございます。いろいろ総合的に考えました結果なのでございます。
  63. 加瀬完

    加瀬完君 その油の問題は、油の分析についてはあとで質問しようと思うのです。総合的にお考え下さることはけっこうでございますが、私はもっとはっきり海潮流なら海潮流、あるいは風向きなら風向き、そういうものから「うめ」においてどこから流した場合こういうような現況が生ずるかというそれだけで結論を出してもらいたいと思う。そうすればあなたのおっしゃるように漂流物がここへはつかないという判定は海潮流や風向きの関係からそれだけからこういうふうな意見が出し得るかどうかということを私は聞いている。逆に言うなら漂流物がこういう関係の潮海流、あるいは風向きの条件に置かれた場合にはこの場所につくということも考えられるというな逆な結論も私は出して出せないことはないと思う。そうではないんだということをこの気象関係からだけ私ははっきりと説明をいただきたい。
  64. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) いろいろ調査方法もございましょうが、もう一度私のこれに当りました考えを申しますと、やはり現実に船のおりましたそれを根拠に考えることはやはりもっとも正しい結論を得る一つ方法ではないかと思うのであります。それはやったわけであります。それからどこから流れたらここへつくかというお話でございますが、これがやはり盤州鼻の結果を出しましたのは、やはりそういった考えとマッチするように思うのでございますが、何か違うのでございましょうか。
  65. 加瀬完

    加瀬完君 自衛艦の「うめ」を調べたとかその他の船を調べて廃油の処置をどうしたかといったようなことは抜きにして、Aの区域で投棄した場合影響は大きい、しかも船はAの地区にいたと、しかも停船の期間、停泊場所の状況、海潮流の関係からはかかる事実は生じないと、こうおっしゃった、停船の期間や停泊の場所の状況、海潮流の関係からはかかる事実は生じないということは今のあなたの御説明ではこれが生ずるかもしれないという逆の解釈ができ得ないこともないのですが、それをもっと明確にしてもらいたいということです。
  66. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 「うめ」が停泊しました場所を中心にいたしまして、もし流した場合にどういうふうに流れるかということが私どもの報告にあるのでございますが、それを私どもの知り得ました資料、あるいは考えます範囲におきましてアンカーいたしました点と、その当時における風、あらゆる気象、海象を加味した結果が報告になっておるのでございますが、その点ちょっと解しかねるのでございますが、どういう……。
  67. 加瀬完

    加瀬完君 解しかねておるのは私の方なんですよ。それはとにかく潮流は北流時には富津、木更津付近に北流するということは認めておられる、風は微弱であるけれどもこの油の漂流に若干影響があるということをお認めになっておる、それでただ一つ「うめ」が盤州鼻のところにおらなかったとか、盤州鼻から油を捨てた事実というものは認められないから、盤州鼻に捨てたのでなければ、こういう現況は生じないという御結論のようでございますが、それはあまり早計ではないか。この海潮流の関係からは、盤州鼻の南の方へ捨てたものも、盤州鼻の方を一応回って、あるいは盤州鼻の手前からこの湾に入ってくるということも、ある場合は考えられるのではないか。なぜならば、南西の弱風だというけれども、若干は関係があると言われておる。関係があれば、南西の風だということになれば、北方に漂流物がある場合つくということは考えられる。そういうようなことはさっぱり御解明をしていただけないままに、ただフリゲート艦の状況ということからばかり、油を流したことはない、油はそこにつかないということだけでは、私どもは納得できかねる。
  68. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 報告の中で若干あいまいな点があります。若干影響があるという、その若干について数字を申し上げますと、いろいろ今まで研究調査いたしまして、私どもはこれは非常に権威あるものだということを信じておるわけでございますが、風による海面に及ぼす影響は、風の風力の一%ないし三%、多くても三%、百メートルという風はございませんですが、よくわかるように申しますと、百メートルの風が吹きました場合に、あるいはそれの及ぼす海面への影響でございますね、そのために直接影響して移動します速力というものは一メートルないし三メートル、三メートルというのは多く見た数字のようでございます。  それからもう一つ重要なのは、しからば風の方向と同一方向に流れるということでございますが、常識的にはまずそれに近いと思うのでございますが、厳密に申しますと、北半球におきましてはこれがかなりディヴィエートするわけでございます。大体四十五度のディヴィエートをする傾向でございます。これは必ずしも四十五度に限らんと思いますが、そういうかなりの偏差があるわけでございます。そういうことも当然考えまして、まあ若干のということは言っておりますが、特にそのために結論が変るようには考えておらないのであります。それからあの盤州鼻は文句で書いておりますが、大体単なるポイントではありませんので、ある程度のもちろん余裕は考えて表現しております。
  69. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると結論は、盤州鼻の付近から流さなければこういう現況は生じないということは確認できるのでございますか。
  70. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと、救難部長なり、それから保安庁長官防衛局長に申しますけれども、さっきからの議論を聞いておりますと、あなた方の方はこれしかないという答えを出しているわけではなしに、こういう可能性が一番多いという答えを出しておられるわけでしょう。たとえばあなた方の方で海流とか潮流とかいうものをここに権威あるものを持って見えましても、しかしそれは一体いつの調査になっているのか。その後日本の海流とか潮流とかいうものは不変なものではないでしょう。あるいは防潜網なんというのは私は影響があるのかどうか知りませんが、ああいうものもあったわけでしょう。それから清沢委員の言われるように、現地漁民諸君としては、毎日櫓をこいでおれば、大きな潮流なり海流なりとは別に、その際反流というのか、転流というのか、そういうようなものについてもまた体験から割り出して、あなた方の資料の通り結論を持っていないわけです。そういうような問題がいろいろあるのに、従ってあなた方としても答えはこれ一つだということにはならないで、こういうような可能性という問題でいろいろ答えを出されるわけでしょう。ところがあなた方の方では可能性という答えを出された場合に、今度は防衛庁の方はどうかというと、この可能性を断定的にとってしまわれるわけです。先ほど聞いておりましても、たとえばフリゲートの油とのりひびについている油とは関係がないのだということを防衛局長言われるわけです。ところが海上保安庁長官の答えを聞いておりますというと、これは水面に流れた油というものは複雑な変化があるから初期の状態を探すことは困難だと、こういうことを言っておられる。それを今度は防衛庁の方では、いや全然違うという答えが出ているじゃないかというように、あなた方の言われた可能性の中の一番防衛庁に有利なことを探してこうだこうだということを言われるのですから、そこで海上保安庁の方で言われることはよほど注意してやってもらわぬと、可能性ということをすぐ断定的に、防衛庁の方では意識的にか無意識的にかそういう引用のされ方をされますので、私たち聞いておりましてもちょっとおかしい感じがするわけです。そういう点を十分お考えになって御答弁願いたいと思うのです。  それからついでですが、防衛庁防衛局長さんは先ほど千葉港に入出港した船がたくさんあるということを言われましたが、これは一つあとでそれがどういうような油を使っておるかということを資料として御提出願いたいと思うのです。これは都合によりましては参考人として当委員会に呼び出さなければならぬと思います。これはあなたは重大な反証をあげられたわけですから、これは重大な問題です。こういうようなたくさんの入出港があって、その中には何千トンというような船もあったように数字を言われましたから、こういうことをいやしくも公けの席上で言われた以上、あなたの方で相当根拠があって言われたのだと思いますから、これはあとで船名を出していただきたい。
  71. 清澤俊英

    清澤俊英君 それからその船路について、これもあとで出していただきたい。
  72. 加瀬完

    加瀬完君 御答弁を願いたい。
  73. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 大へん恐縮ですが、もう一度ポイントだけお願いします。
  74. 加瀬完

    加瀬完君 あらためて、委員長からだいぶいろいろ問題を敷衍して御質問もありましたので、私だけ時間をとるのも恐縮でありますから、この問題結論的にそれではもう一回先のものも含めて申し上げたいと思います。  盤州鼻のところから油を流さなければ現況は生じないと、こういうふうな先ほどからのお話でございますが、しかも盤州鼻には自衛艦関係のものはおらなかったと、こう言うのでありますが、盤州鼻付近から油を投棄したのでなければ現況は生じないというのについては、この海潮流その他の関係からこれだけの説明ではそうはっきり言い切れることになるのか、この一点。  もう一つは、「うめ」は二十八日の十二時に北上をしておるのでありますが、その「うめ」は一体北上の途中において、あるいは「うめ」その他の艦船が演習中においてあなたの指摘するところの盤州鼻の付近でそういうような投棄を絶対にしなかったという確証を一体どうして握れるか、この二つの点についてさっきのをあらためて質問いたします。
  75. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 先ほど委員長からの御注意がございまして、私ども絶対にということは確かに言い切れません。可能性が問題でありまして、可能性が非常にあるという意味に解していただいてけっこうだと思います。  それから先ほどちょっと説明申しましたように、現実につきましたものから逆にいろいろそのときの海象、気象を勘案して流れた根源を一応出したのでございます。もう絶対この地域、あるいはポイント以外からは絶対にこういう状態にならないのだということは、これはしいて言えないのであります。そういう意味一つ……。  それから「うめ」の行動につきましてでございますが、これは私どもやはり絶対に、いろいろ広い時日の間において厳密に調査いたしまして、絶対にこうでございますという意味ではございません。むしろこれは防衛庁の方で詳細に実際動いたことにつきまして御説明願った方がいいかと思うのでございますが、まずこの問題を私ども立場で解明いたしますのに必要な程度は調べまして、一応そういう、先ほど申しましたような推定と申しますか、考えをまとめたのでございます。従いましてもう絶対ということは、これは私申し上げる自信はございません。
  76. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。
  78. 加瀬完

    加瀬完君 あと二つばかり……。保安庁調査の仕方が私は非常にふに落ちない、というのは、一つ政府機関として一体行動しているのか、政府機関として行動をしているということであるならば、なぜ一体被害漁民なり一般民衆なり、こういう立場というものを勘案した調べ方をしないのか、こういう疑問を私は持つのであります。具体的に申し上げますと、油の分析で、丸善石油に依頼をした、丸善石油というのは防衛庁に石油を納めておる会社であります。そういう所で分析をやっても、これはもちろん化学者でありますから正確なものを出すことでありましょうけれども、第三者から見れば業者との関係で正確なものを出し得るという判断を下す方が無理じゃないかと思います。なおこの丸善石油の採取期日二月五日とありますが、あなた方の出されたあらゆる資料から見ても、二月の四日と五日は現地調査中でまだ採油はしておらない、漂着油の採油をしたのは四日と五日と十六日だ、フリゲート「うめ」ですか、木更津にはもうこの当時おらなかった、そうしてみると二月五日の採油なんということはあり得ない、ところが丸善だけは二月五日に採油したようになっておる。なお神奈川県の警察でありますか、こういうものの調査を全部見ましても、いずれも結論はわからないということしか出ておらないと思います。わからないということしか出ておらない。それを、分析の結果防衛庁をして、防衛庁の肩を持つわけではありませんが、防衛庁をして、おれたちの方の油じゃないぞという印象を与えるような発表をさせたことは非常に軽率じゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  79. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) 私の方で鑑定を依頼いたしました機関が適当か不適当か、これはいろいろな見方もございましょうが、もちろん私ども政府機関でございます。政府機関でございますけれども、相手によっていろいろ態度を変えるということは、これはもう許されないので、そのときにこの選定は第三管区も入りまして決定したのでございますが、丸善石油を指定いたしましたのに別に意図はないと思います。やはり石油関係の権威者であり、りっぱな研究所も持っておるということをよく認識して選定したと思います。それから、常に仕事の関係で緊密な関係もございますし、そうして考えようによれば当然の機関だと思われます神奈川県の警察本部のしかるべき機関に御依頼したわけであります。  それから途中において鑑定が皆まちまちであるにもかかわらず、防衛庁の油でないという発表をしたのが、私前後をよく存じませんのですが、これは関係官庁も一応集まっていただきまして、油に限らずいろいろ、より正確に、より公平な所見を得たいという意図もございまして会合したわけでございます。そのとき当然私どもの独自の方法もとれるのでございますが、参会者の意向も聞きまして、どう思いましてもはっきりした結論も出ないし、相当技術的な説明も聞かなければ海上保安庁としての判断にも事欠く面もありまして、さらに鑑定の結果を中心に、他の知識経験者を集めて出されたものに対してもっともだと思われるような結論を出そうというふうに第一回の会議で考えたのでございまして、その途中において防衛庁の油でないというようなことを断言するような発表もなかったように思いますが。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 防衛庁の油でないという断言はしておらなくても、先ほどから防衛庁当局の意見を聞いておれば、あたかも防衛庁の油でないということは確認されたというような立場で発言されておることが多い。そういう印象を与えたのは少くともこの前の丸善石油ほか神奈川県警、それから警察庁科学捜査研究所、こういうものの発表の仕方というものに原因があると思う。こういうものは漂着油といろいろのものを比べて違うか同じかといえば違うというのは当り前なんです。廃油にいたしましても、その出るたびごとに廃油の混合物というものはパーセントは違ってくるのは当然のことなんです。そんなものを比べたって違うという答えが出るのは当り前のことなんです。どれだけ一体似ておるか、近似値がどれくらいのパーセントを示すかということが問題だろうと思います。それをこういうふうな問の仕方をして、種類、産地、取り扱い店を判定し得ないとかあるいは一、二、三、四、五、六、七という鑑定資料は同一の油と認められない。こんなものを出して、あるいはその捜査だけでもっていろいろ問題の究明をしてその結果だけ出して、こういうものをもとにしていかにも何か防衛庁艦艇の油でないというふうな印象を与えるような疎漏な調査ということは言い得ると思う。こういう今度出た調査にしても、前のこういう調査がありまするから仕方がなしにつじつまを合わしたとしか思われない、その結論は何かというとわからないという結論なんです。防衛庁局長が言っておるように、これは重油性の油である、防衛庁関係軽油を使っておるから防衛庁関係ない、そんなことは一つも書いてありはしない、何にもわからないという結論なんです。なぜもっと慎重にこの油の判定というものによりまして、分析というものによりまして被害漁民は大きな補償をもかち得るのだ、あるいは決定の仕方によりましてはだめになるということにもなり得るのですから、なぜそういう分析というものはもっと十二分に慎重を期してやらなかったか、あまりに疎漏ではないか、そういうことを私は言いたいのであります。この点についてどうですか。
  81. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) いろいろ結果的にいいますと意見はあると思いますが、発表としましても正式に依頼しまして、しかも正式に回答をいただきました分析結果でございますし、特に本委員会あたりからも資料の提出の御要求もございましたし、やはり中間的意味も当然含まれておるのでございますが、そのときに私ども検討し、あるいは入手いたしまして正規のものであればやはり報告の中に盛って御報告するのが私どもとしてはとるべき措置であり、誠実な方法ではないかと思うのでございます。そういう意味で当委員会にも御提出いたしました被害事件についての報告の内容ができたのでございますけれども……。
  82. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと加瀬君、次の予定がありますから簡単にお願いします。
  83. 加瀬完

    加瀬完君 ただいままでの御答弁でははなはだ私は納得しかねます。しかし防衛庁長官水産庁とも話し合いをして善処をしたいという言葉もありましたから、水産庁防衛庁の間でこれから被害漁民に対する対策を十分聞いて、またその上で質問をしたいと思いますが、大へん時間をとりまして。
  84. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 清沢君、一口お願いします。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 今もらいました資料、この一番しまいにあります重質廃油というのはこれはビルジがどういうことになるのか、それだけ聞かして下さい。
  86. 砂本周一

    説明員(砂本周一君) ちょっと今手元にございませんが、これはすでに出しました鑑定書の内容の中にもこの用語が使ってあるのでございますが、これはノリに現実についておりまして、ピッチ状になったものをさしております。あるいはまた広くいえば、そういう変化をすればそういう格好になるからそういうものを含まないとは断言できませんが、この事件につきましてはノリにつきましたピッチ状のものをさしております。含んでおります。
  87. 青山正一

    ○青山正一君 問題は別でありますが、防衛局長もおいでになるこの機会に水産庁長官とお二人に御質問申し上げたいと思いますが、たしか昭和二十年以来防衛庁によって占拠されておりますところの水産大学の本校ですが、これは現在防衛庁本部で使っておりますが、近く防衛庁の新庁舎が建つというふうなことになっておりますが、いつこれを明け渡してくれるかどうかという問題と、もう一つは水産大学が久里浜とか、つまり横須賀とか、あるいは品川あたり相当移転しておりますが、文部省あたりとよく相談し、移転料なりそういった損害を十分に水産大学に補てんしておるかどうかという問題と、それからこの防衛庁の本部が新庁舎に移転した場合におきまして、旧水産大学の校舎が商船大学にいくとかいかぬとかというような問題もあるわけでありますが、これを水産大学に昔通り使わしてくれるものかどうか、この三点につきお聞きしたいと思います。
  88. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 答弁は要点を簡単に願います。
  89. 林一夫

    政府委員林一夫君) 現在私どもが使わせていただいております水産大学の校舎の点でございますが、新庁舎ができますのは私の聞いておるところによりますと、完成しますのは来年の春ごろだと伺っております。向うが完成すれば、直ちに移転するということになっております。
  90. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この点につきましては、移転の場合におきまして、われわれも従来の関係からいたしまして、水産大学の方で使いたい。これは文部省の方ともいろいろ関係もございますので、まだ結論に達しておりませんが、相談をいたしております。
  91. 江田三郎

    委員長江田三郎君) よろしいか……。  それではただいま問題になりましたノリの問題につきましては、これは加瀬委員からもお話がありましたように、今後とも一つ関係当局の方で十分御相談願いまして、被害漁民の立ち行くようにすみやかなる解決をはかっていただきたいと思います。なお海上保安庁にいたしましても、あなたのところの立場からいいますと、ああいう、重油か石油かしりませんが、あんなものを流したのはだれかということを調べる責任のある官庁だと思いますけれども、どうもだれも流したものがおらんというような答えばかり出まして、だれがやったという答えが出ないのを非常に遺憾に思う次第でありまして、防衛庁ではなかろうという調査もよろしゅうございますが、それならかわるものはだれだれという答えを早急に探し出していただきたいと思います。それから防衛庁の方も海上保安庁可能性の報告を断定的なことのようにお使いになるのはどうかと思いますので、これは今後の対策をお立てになる上にも十分考慮してやっていただきたいと思います。  それでは、この問題は後日に譲ります。
  92. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題にいたします。  先日の委員会の取りきめによりまして、本日は外務及び農林両省の事務当局から説明を聞くことにいたします。
  93. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 経過でございますならば、当初から交渉に当っております経済局の方が主管者でございますので、西山経済局次長から御説明させていただきたいと思います。
  94. 西山昭

    説明員(西山昭君) 本件につきましては、昨年の春ごろから大体余剰農産物の処理に関する基本的な法律が通過することを見込みまして具体案を研究いたしておりましたが、七月になりまして正式に法律が成立いたしましたので、引き続きまして、品目及び数量、それからそれに伴います各種の条件につきまして交渉を重ねてきまして、昨年の十月に吉田前総理がワシントンに行かれたころに、東京より、当時愛知通産大臣その他各省の幹部が行かれまして、買付の金額及び品目別金額を決定いたしたわけでございます。その内容と申しますのは、円貨によりまして買付をいたします分を八千五百万ドル、その品目別といたしましては、小麦、大麦、米、葉タバコ、綿花という品目を決定いたしたのでございます。それから贈与分といたしまして、千五百万ドルに相当する贈与分を受けるということに相なったわけでございます。その八千五百万ドルの買付の中に五千九百五十万ドルに相当する分、比率で申しますと七割に相当する分の円貨を、日本側が借款を受けることができるという了解に到達いたしたわけでございます。その以後におきましては、借款分の使途に関する自主的な使用の問題、借款の期限の問題及び金利の問題、それからいわゆる借款の支払いに関連いたしまして、ドルで払うか、円で払うか、その場合のドル条項をいかにするかという問題を交渉して参ったわけでございまして、最終的には先月の下旬に了解に達して調印をいたしたわけでございます。
  95. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 アメリカの余剰農産物受け入れについては、明日外務委員会と合同審査の申し入れをしているそうでございますので、そのときに詳細に質問いたしたいと思います。  この機会にごく簡単に二、三承わっておきたいことがあります。昨年十月吉田前総理、愛知使節団等が渡米した際にこの問題を交渉したが、そのときの日本側の受け入れの申し入れが一億三千三百万ドルを当年度受け入れる計画で、それを三カ年間に約四億ドルを受け入れたいという申し入れをしたのでございますかどうですか、それをお伺いしたいと思います。
  96. 西山昭

    説明員(西山昭君) 当時は申し入れと申しますか、いわば日本側の希望を先方に話したわけでございまして、その内容といたしましては、お話通りに、約一億三千万ドル程度の品目別金額を申し入れたわけでございます。合計一億三千万ドル程度、御承知のように、この基礎となっておりますアメリカの法律は、三年間に外貨によって売り付けます分の予算を七億ドルと見ておりまして、三年計画でございますが、第一年目に四億五千万ドルを予定しておるわけであります。具体的に各国との協定は一年間の基礎においていたしておるわけでございますが、日本側といたしましては、最初に申し入れましたものは買い付けまする一億三千万ドルの分は一年間の計画でございまして、付随的に今後二年間も同様なことを考慮する意向であるという程度の申し入れをしておるにすぎないのでありまして、何ら約束を、あるいはコミットをしているわけではなかった次第でございます。
  97. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私は外交の方面のことについては全然しろうとでございますからお聞きいたしませんが、今後三年間に約四億ドルの受け入れをしたいということについて、考慮するという意味はどういうことでございますか。約束は全然ないのでございますか。ただお伺いしたいのは、先般外務大臣も経済審議庁長官も全然これにはひもがついていないのだから、来年度のことは内外の情勢を見ながらそのときになって判断をするよりほか方法がないのだということを言うておりますのは、何か責任のがれのようなことになって、この問題はこれで片づいたんだ。ところが来年度のことはそのときにならなければわからぬというのじゃあまり計画がなさすぎると私は思うのです。アメリカでは、十億ドルを三年間で処分をするのだという計画を立っていると思うのです。それに対して日本側の申し入れは一億三千三百万ドルを三ヵ年で受け入れたいのだ、こういう希望を持ったその根拠等については、農林当局からも話を聞きたいと思います。一応のそういう計画があったと思うのです。そこで来年度という問題にも関係するのでございますが、先ほどの御説明通りにこの八千五百万ドルの受け入れについてはこれは昨年の十月ごろにすでに交渉は大体成り立っていたのだ、その細目についてドルクローズというような問題が起きてきて、ようよう五月の三十一日ごろにきまった。そうしてアメリカの年度の過ぎる今月の三十日だか三十一日でございますか、それまでに急いで国会で承認しなければいかぬというような差し迫ったときになったのでございますが、アメリカとしてはすでに一九五五年から五六年度の年度においても同じような条件で余剰農産物の買い付け交渉をすでに検討中だということも新聞等に伝えられているのでございますが、外務大臣は先般の予算委員会で何らそういうことは聞いていないのだという、私どもからいうと大体そのコースをとっているのじゃないか、明年のことでなくてこれはもうアメリカとすれば七月からそういう方針でやっていきたいのだ。そうすると、私は、そういう根本的な一億三千三百万ドルということを三年間でやりたいという申し入れをしたのなら、アメリカも日本に対して本年度はどうするのだということを七月以後アメリカの予算がきまれば申し出があるのじゃないかと思うのですが、内外の情勢を見た上で来年まではほうっておくのだというような印象を与えることは、はなはだ私は不可解なんです。外務当局としてはどういうふうにお考えであるか。
  98. 西山昭

    説明員(西山昭君) その点につきましては、最初日本側が先方に出しました案は非常に大きい計画のものでございまして、それからいろいろの条件も非常に日本にとりまして都合がいい条件を出したわけでございますが、その際に軽い程度にいろいろの条件が合いますれば、今後も三年間も考慮する気持があるといった程度のことを言ったにすぎないのでありまして、自後の交渉におきましては、条件も非常に変って参りまして金額も少くなっておりまして、自後の交渉におきましては今後の買い付け分につきましてアメリカが日本側に対しましていろいろ要求したり、あるいは希望を申し入れたりした事実はないのでございます。交渉の過程におきましては、純粋に一九五四年の七月から五五年の六月末までのアメリカの会計年度の一年間の使途におきまして、一年間の協定を結んだわけでございまして、アメリカ側に対しまして、日本側が現実な意味におきまして今後の買い付け協定の締結を約束したことはない次第でございます。
  99. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 約束したことは、むろん将来のことまで約束はできないから約束してないと思いますが、私が想像しましても、もうすでにアメリカでは余剰農産物を処理する方針はきまっているのだ、だから五十五年から六年までの予算には当然計上されると思うのです。そこでその当初申し込んだ程度のことについては、これは農林当局から御説明を聞きたいと思いますが、今年度の麦の収穫予想から考えまして、この程度もしくはそれ以上の麦の輸入をしなければ食糧の需給が立たんようになると私は思う。だから二、三の新聞にもそういうような情報が伝わっているのでございますから、そういう点について来年にならなければ内外の情勢がわからないから全然考えないというようなことは非常におかしいので、来年の今時分きまるのじゃないので、これはおそらく九月か十月には確定しなければいけないようなことになると私は考えております。なお明日くわしいことについてもっとお伺いをいたしたいと思います。  もう一点お伺いいたしておきたいのでありますが、贈与の分について、贈与は今度の協定については学童用の給食、それから綿花といったもの、昨年交渉当時には二千五百万ドルの贈与の申し入れをしたと思っておりますが、それはどういう目的のものを申し入れたのでありますか、お伺いをいたしたいと思います。
  100. 西山昭

    説明員(西山昭君) 昨年の日本側が最初に希望を表明いたしましたのは、贈与としましては小麦、脱脂粉乳、綿花等、総額にしまして二千五百万ドル程度の要望をいたしたのでございますが、これらの使途につきましては、まだ当時におきまして詳細に具体的に決定をいたしていたわけではないのでございます。
  101. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 日本側で申し入れをしたのはどういう方面使いたいという申し入れしたか、それをお伺いいたしたいと思います。
  102. 西山昭

    説明員(西山昭君) 大体におきましては、学校給食及び被服等を主目的と考えていたわけでございます。
  103. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 一億三千三百万ドルを三ヵ年間で四億ドルを一応日本側としては受け入れたい。そのうちで農業開発事業についてはどういう申し入れをしたか、お伺いいたしたいと思います。
  104. 西山昭

    説明員(西山昭君) 農業開発関係といたしましては、愛知用水等の農業開発に五十億円を一応計上いたしておった次第でございます。
  105. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 本年度第一年度に愛知用水等の農業開発事業について五十億円を要求しているということですが、その愛知用水その他八郎潟、石狩川沿岸、根釧原野、上北平野の機械開墾等総額事業費について約六百億ございますが、その事業について将来余剰農産物で借款をしたいという申し入れをしたのは、その当時の交渉の議事録等には掲載されているのでございますか、お伺いいたします。
  106. 西山昭

    説明員(西山昭君) 当時におきましてはそのような長期的な話し合いをいたしていないのでございます。
  107. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今の御答弁ですと、それは愛知用水等第一年度で五十億円という交渉をしただけで、話し合いは、事業計画等については、全然アメリカ等には伝えらていないのでございますか。
  108. 西山昭

    説明員(西山昭君) 御承知のように、日本側が出しました計画は、全体の各国の買付の関係等から考えまして金額が縮小されまして、日本側の当初の計画が具体的に交渉の対象となりまして細目にわたり論議されたことはないように了解いたしております。従いまして三カ年の計画というものが何ら具体的に交渉されたわけではありませず、一年間の計画としてすべて当初から交渉が行われておるわけでございます。
  109. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 贈与の分につきましては、当初日本側が二千五百万ドルを要求し、そのうち小麦は千万ドル、その他脱脂粉乳、綿花等、主として学童用の申し入れをしたように御説明がありましたが、農業開発の事業費の中で初年度愛知用水等五十億円のほかに贈与の申し入れはしたのでございますか、しないのでございますか。その点を明確にお伺いいたしたいと思います。
  110. 西山昭

    説明員(西山昭君) 昨年の十月の交渉におきましては、日本側が使用いたします総額に交渉の重点を置きまして、全体のワクを幾らにするかということにまず重点が置かれたわけでございまして、細目の点につきましては交渉は行われなかった次第でございます。
  111. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 贈与は学童用の給食または綿花、小麦ということに今度の協定ではできているのでございますが、アメリカの余剰農産物の処理法ではその他の計画のためには贈与をするというような規定はないのでございますか、お伺いいたします。
  112. 西山昭

    説明員(西山昭君) 協定に規定されております贈与分の千五百万ドルにつきましては、品目といたしましては小麦、脱脂粉乳、綿花が決定いたしておりまするが、これをどのように配分するかということにつきましては、決定いたしていないわけでございます。
  113. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 決定はいつごろになるか、それはまたあしたお伺いいたします。私のお伺いしているのは、当初申し入れたときにどういう目的というようなことは一応話し合いが出たんじゃないか。それは私の承知しているところでは、農業開発の約六百億の事業について、世界銀行から二千万ドルくらい期待をかける。あとは余剰農産物の受け入れで事業を五、六年の間に進めて行きたい、その六百億円のうちで約六割程度のものは現在の制度から言うと国費の負担分になる。その国費の負担分は当初この計画を進める時分には贈与によって計上したいというようになったのが、贈与が全然なくなってしまった。そうして五十億申し入れたのが、当年度には三十億。非常に少い。私は来年、再来年——来年というと五、六月時分になる。それの将来の見込みかどうかということをあしたお伺いしたいと思っておりますが、初め六百億くらいのうちの六十億はこれは世界銀行から、それから六割くらいは贈与を期待していた。贈与によらないとこの事業は成り立たんようなおそれもあるから、ぜひとも贈与をしたいという強い希望が一般的にあったので、そういうような要望を申し入れて行ったのじゃないか。それがアメリカの余剰農産物の方には、贈与は学校の給食というようなものに限られているような場合に、わかっていながらこういうものを申し入れたのか。申し入れればそれは交渉によれば引き受けてもらえるかどうか。学童の方でなくて、学童については評判が非常に悪い。そういうものでなく、一般的のほかの目的のものにも、小麦なら小麦二千万ドル贈与するというような規定は適用はできるのかできないのか、将来のためにお伺いしたい。
  114. 西山昭

    説明員(西山昭君) 贈与の点について誤解がありましたので、答弁をいたします。御指摘の贈与の分につきましては、当初の交渉のときにおきまして、積立円貨のできるだけ大部分、極力半額くらいは贈与として日本側が受け取れ得るような方法を申し述べたわけでございます。これは希望でございまして、当初からアメリカ側といたしましては、今回の買付に基きます円貨の使用につきましては、昨年のMSA協定に基きます買付けとの場合と異りまして、贈与の分を規定するわけに行かない、贈与の分は現物で贈与する分以外にはできないという終始一貫した態度をとりまして、結局におきましては、円資金の贈与分というものは今回はなくなった次第でございます。
  115. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 日本では大体申し入れる数量の半分ぐらいは贈与を期待していた、しかしその希望に沿うわけには行かないという結果、全部円資金で買って、学童用の給食の分程度が贈与になってしまった。その当時のアメリカの余剰農産物の処理には、贈与は現物で、どういうもののほかは応じられないのだという規定があったと思うのです。そのことは知らずに、半分は贈与で一つ引き受けてもらいたい、半分は円資金でというような交渉をやられたのか、それを、事情をお伺いいたしたい。
  116. 西山昭

    説明員(西山昭君) 脱脂粉乳だとか、小麦の贈与と申しますのは、全然円資金の贈与とカテゴリーが違うのでございまして、日本側の約二千五百万ドル分の要求しました現物贈与が千五百万ドルになったような状況でございます。他方の円資金の贈与につきましてはなくなりましたが、長期借款でも諸計画が日本側といたしましてはできる見通しでございますので、贈与の分をしいて強く最後まで交渉することなしに長期借款で行くことと相なった次第でございます。
  117. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 六百億の農業開発事業、六割程度のものを贈与で初めは希望を申し出た。ところが贈与はない、それでその当時六百億というものは贈与はなくても、円資金で借款すれば事業は見通しがつくんだというような御説明がありましたが、交渉の過程でそういうことはどこでおきめになったのですか。贈与で半分もらうのを、贈与はもらわなくてもいいが、事業計画はできる見通しだったから、それを話を進めたというようにお伺いしたのですが、そういう交渉はなさったのですか。
  118. 西山昭

    説明員(西山昭君) もちろん対外交渉におきましては、極力有利な条件で結果を取り得るように交渉すべきでございまして、対外交渉に出しました諸点が、そのまま絶対不可欠のものだとは当初から考えていなかった次第でございます。
  119. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 その点はまたあすお伺いいたしますが、四百八十億円当初申し入れをしたのでございますが、そのうち愛知用水等の農業開発は五十億、あとはその他四百二十七億円、生産性向上三億円、合計四百八十億円ということになっておりますが、当初は、電源開発は何も要求しなかったのでございますか。
  120. 西山昭

    説明員(西山昭君) 最初に先方に出しました計画というのも、必ずしも交渉の見通しによりまして、最終的な結論がここに落ちつくと考えて出したわけではございませず、もちろん中途におきまして、ないし交渉の推移によりまして、計画を変更する余地は多分に日本側としても残しておいたつもりでございます。
  121. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 当初の四百八十億の交渉をしたときには、電源開発は全然交渉のうちには申し入れなかったのでございますか。
  122. 西山昭

    説明員(西山昭君) その通でございます。
  123. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 そこで今度この協定によりまして、六条の二項でございますか、合意されたものについては日本側で随意に使用するものとする、という中に私の承知しているところでは、農業開発、電源開発、生産性の向上、この三項目は合意をされた事業項目というふうに説明を伺っておりますが、その金額は電源開発は百八十二億五千万円、農業開発は三十億円、生産性の向上は一億五千万円というように決定をされているようでございますが、この金額はどこできまったわけですか。
  124. 西山昭

    説明員(西山昭君) この計画はもちろん日本の財政投融資計画に基きまして決定いたしたわけでございますが、当初のアメリカに出しました一億三千万ドル程度の貸付交渉当初に比べまして、金額も八千五百万ドルに減りまして、縮小されました円資金をさらに日本側が自主的に使いまする七割の相当分の円資金を財政投融資計画その他日本の立場から最も有効的に使うためにはどうしたらいいかということを検討しました結果、政府としまして御指摘のようなことに決定いたしたわけございます。
  125. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 吉田前総理が渡米した当時は、農業開発五十億、それからその他四百二十何億でありますが、そのうちには、その当時は電源開発はなかった、今度鳩山内閣になって、その電源開発、農業開発、生産性の向上、この三項目は日米の合意できまったが、金額等については当初は考えていなかった電源開発百八十二億、農業開発については五十億が三十億になった。今後六百億の事業を今度三十億で着手して行くわけですが、そこで私は非常に問題が多い、三十億で着手して行くと、どうしても将来この事業を完成しなければ、短い期間で……、そこで三十億とか、電源が百八十二億とかいう場合、これは日本政府内部で自由に変更はできるのですか、これは変更することはむずかしいのですか、この金額はこういう割合でというようなことは、アメリカ側では主張していないのでございますか。
  126. 西山昭

    説明員(西山昭君) 電源開発、生産性向上及び農業関係の点につきましてどのくらいの金額をどのように使うかということは、もっぱら日本政府が自主的にきめることになっておりまして、もちろん日本政府の財政投融計画に基きまして変更を要します場合は、変更は可能と相なるわけでございます。
  127. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 先ほどお伺しましたが、贈与については当初二千五百万ドル現物のまあ要求に対して、千五百万ドル贈与が決定いたした、それは現物で贈与されるのですか、それは学童用に使用しなければいかぬというきめがあるのでございますか、それは国内で売って、そうしてその千五百万ドル相当の分は日本政府で別に使用するようなことはできないのでございますか、給食用以外には使用できないのでございますか。   〔委員長退席、理事三浦辰雄君着席〕
  128. 西山昭

    ○溝明員(西山昭君) 給食用に使用することに大体話しを当初から進めておりまして、それを具体的にどのような手続で、どのような方法でやるかということは目下検討中でございまして、最終的にはいまだ決定していないような状況でございます。
  129. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今の贈与の千五百万ドルについては、大体は学童用に使用するのだけれども、最終的には決定になっていない。そしてそれは最終的に決定するのはやはりアメリカとの交渉によるのか、日本政府だけできめればいいのか、お伺いいたしたいと思います。
  130. 西山昭

    説明員(西山昭君) 学童用に給食することは協定でも書いておりまするが、現実にどれくらいの対象人員、どれくらいの価格、どのような価格操作をするか、そういうことは日本側が国内の事情を今検討しておる、こういう趣旨でございます。
  131. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題ですが、大体この協定によりますと「第二章」云々とこうなっておりますね。そこであなたの方からもらいました資料によりますと、条約集、農産物貿易の促進及び援助に関する千九百五十四年法を見ますと、これは「第二編」とこうなっておる。二編と二章、同一に解釈してよろしいですか。   〔理事三浦辰雄君退席、委員長着席〕
  132. 西山昭

    説明員(西山昭君) 同じとお考え願いたいと思います。
  133. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこでお伺いしますが、この二編によりますと、「ききん救済」とこうなっておりますね。その機関は、飢饉に対して友好的な国民に緊急援助を供与する、こういう建前になっておる。従って私は、この飢饉救済法という法律で出て参りまするものは無償配給が原則じゃないかと考えますが、それはどうなっておりますか。
  134. 西山昭

    説明員(西山昭君) 第二章は「ききん救済その他の援助」となっておりまして、この協定に基きまして日本政府がアメリカ政府から引き渡しを受けますが、現物贈与の分は第二百二条の、大統領は友好的な政府とともに計画を樹立して贈与、援助をする、ということでありまして、必ずしも厳格に飢饉の状態が存在しない事情を予定しておるわけでございます。
  135. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただ、あなたの方では飢饉その他だけ読んでいるがそのあとを読みますと、その他の緊急救済に応ずるとこういうふうにある。あるいは洪水とか火災とか風水害とかそういったようなことをさすのだろうと思う。いずれもこういった特別非常事態に際しておるものに、飢饉救済の条項を読むと、別な規模をもってこれは取り扱ってくれるのだと……。
  136. 西山昭

    説明員(西山昭君) 第二章の第二百一条は御指摘のように飢饉救済その他でございますが、第二百二条は、私が申し上げましたように、直接飢饉というものを対象といたしませず、一般的に友好国政府との協定に基きまして現物の援助をする建前になっております。
  137. 清澤俊英

    清澤俊英君 その取りきめの際に、これを有償配給するとかしないとかということに対してはお取りきめがあったのでございますか。
  138. 西山昭

    説明員(西山昭君) アメリカとしましては、別にはっきりした規定があるわけでございませんが、気持といたしましてはなるべく無償に配給したいという気持を持っていると思います。
  139. 清澤俊英

    清澤俊英君 その交渉はまだ成り立たないのですか。
  140. 西山昭

    説明員(西山昭君) 現在、細目の点につきまして話し合い中でございます。
  141. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今の贈与の問題ですけれども、これは今度の協定は、この飢饉救済という条項に該当するのですか。そうでない一般的なものについても適用されるのか、どっちの条項で適用されるのですか。
  142. 西山昭

    説明員(西山昭君) 一般的な面でございます。
  143. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 そうして先ほど伺ったのは、これはまだ最終的の決定にならないというのは、最終的の決定は閣議ででもきめるということでありますか、お伺いします。
  144. 西山昭

    説明員(西山昭君) 目下、文部当局その他関係の当局におきまして具体的な実施方法検討中でございまして、近く政府におきまして決定する運びでございます。
  145. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 その点はまた農林省の方へ後刻質問したいと思いますが、これは重大な問題があることですから、明日また聞いてみます。  なお明日また質問しますが、この重大な来年度の余剰農産物の受け入れについて、八千五百万ドルの、アメリカではすでに対日余剰農産物について検討中だ、日米で予備交渉を進めているといったようなことが新聞等に二、三これは出ている。そうして本年度の線に沿って検討中だというようなこともある。先ほど外務省からのお話は、全然そういう情報は聞いていないのだというのは、どうも納得が行かない。何も、そういう新聞に幾つか出ているのに、外務省が全然そういうことは情報を聞いていないというのじゃおかしい。何か明日の連合審査のときまでに、はっきりしていただくわけに行かないのですか。これは食管の会計からいっても重大な問題だと思う。アメリカでは七月期から対日交渉を始めよう、そうして九月時分から本年度の麦か、去年の余った麦かもしれないけれども、とにかく売り込もう。日本はもう少し安くなるまで待っていようという空気もある。それは来年の今時分まで待っているようなことを外務大臣はどこかで答弁しているから、私はどうもおかしいと思う。それははっきりしないと非常に迷う問題です。予算の関係からいっても、三百億くらいの受け入れを、もし三十年度中に食管会計で受け入れるというようなことになると、補正の問題も出てくると私は思うのです。その点、アメリカは予算に計上して、予算の説明上、対日処理については一億万ドルとか、八千五百万ドルというのを計上しているとか、また交渉を何らか日本政府にも話し合いがあったかどうかというようなことを、もう少し明日アメリカ大使館に何か照会していただくことができないですか。条約局長に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  146. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 米国の法律は仰せのように三年間十億ドルということで、三年間を目途といたしております。ただ日本側といたしましては、この種のなにを幾ら買うというような協定を三年間にわたって締結することは、これはどうしてもできません。年年の食糧需給計画、またいろいろな点で三年間の約束をすることはできませんので、日本のみならず各国とも同様に一年限りの取引としての数量を含めました協定を結びましたわけでございますが、そこでアメリカの方は三年間は門戸を開けておるのでございますから、日本が希望すれば、いつでもこれは開かれて、話に応ずるわけであります。そこで政府部内におきましても、来年度もぜひ買いたいという意見を持っておられる部面もございます。しかし今日ただいまから、政府全体として必ず買うということを決定するには、まだ時期早尚ではないかというだけのことでございます。
  147. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 その点については明日お尋ねしたいと思っております。アメリカでは三カ年にわたって十億ドルの余剰農産物を処理したいということは、これはきまっているのですが、日本は来年、再来年のことは全然予算上処理できないから、また一年限りのことというのは、これは買うについてはそういうこと以外に仕方がないと思う。けれども根本方針はこの借款をして、これを円資金にして、それで事業を始めるのだ、電源開発の奥只見なら奥只見のダムをこれでこしらえて行くのだ、愛知用水も三十億で本年度着手して行く法律案が出ると思います。そうすると来年度からすぐ円資金がそれに続いて要るのだが、当初計画は、私ども承知しておるのは愛知用水等で六百億の資金が要るということなんだが、およそその当初も全然あとのことは考えずに、本年度五十億だけであとは全然知らぬという交渉は、これは常識から考えてもするはずのものじゃないと思う、だからまだ今のところ時期尚早で全然わからぬというようなことだけれども、これはそれではもう愛知用水に手をつけても、あと資金をどうするのかというようなことになって、これは農林省の関係になってきますが、こういう点についてはこれは食糧の外国依存ということはこれはできるだけ防止しなければいかぬという基本方針は当然あるべきなんですが、それにばかりとらわれてあとのことは私ども何も考えておりませんでは困るのです。その資金を借りて一歩踏み出してきたのです。それならば受け入れ態勢もここで確立して、将来資金計画はこういうふうにして、この三カ年のうちでアメリカで十億ドル用意があるならば、日本では最小限度これだけは一つぜひ受け入れたいのだというぐらいのことは、私はこの際にきめないと、それこそお先まつ暗で、これは日本に金さえあればこんな金を借りて国内の農業開発をしなくてもいいんだけれども、なかったから何か贈与をただもらえるような考えで、安易な考え方で昨年出してきて、ここまできたのだろうと思う。ここまできたのならばこれはやはりアメリカではもう待っているのだ、それならば日本ではどの程度にこれを借款をして、そうして事業の方は確実に進めて行くのだという方針が立たないと、来年のことでなくてもうすぐ続いてこの交渉が当然私はあると思う。アメリカで、新聞で言うていることは、どの程度に外務省では考えていられたかをお伺いしたいのですが、今の御答弁で条約局長の御意見はよくわかりましたですが、日本でいつでもこっちの態勢をきめさえすれば申し込めるというように私はその点了解しておきたいと思います。
  148. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと…、外務省の政府委員の方が衆議院の外務委員会へ呼び出されておるので、一時までにということで、何か二、三べん催促に来ましたから簡単にお願いします。
  149. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 昨日予算委員会で、この問題は経済審議庁の長官に余剰農産物受け入れ態勢とういことで私が質問をいたしました。その際に、審議庁の長官は来年も再来年も受け入れをしたい、そうして今溝口さんの言う通り日本の農業政策に対して助長をしたいとはっきり言っております。アメリカの関係からいって一年々々だというが、少くとも各省においてこのくらいの問題は統一いたしまして、今年はこれだけ、来年も再来年も三カ年計画によって受け入れると同時に農業政策に対して、また日本のこれに伴う経費をもって、あるいは農業の今後における施策の進展にも寄与するという方針だけはきめておかなければいけません。その場その場の場当りのようなことは、今日国民を迷わせるでたらめの政策であって、その場のがれの結果と相なりますことは、日本の今日の国政の上からはなはだ好ましくないことであります。どうか、今の答弁で想像はつくけれども、今後農林委員会に御出席の場合には、まじめにしっかり確証のできるような答弁をこの際要求しておきます。あなた方の答弁は私はきょうは要りません。要らぬけれども、この次出て来たときに、はっきりできるように準備をしておくことをこの際重ねて要求しておきます。
  150. 清澤俊英

    清澤俊英君 あすのあれもありますのでちょっとお伺いしますが、との贈与の一億五千万ドルをもらうということは、前提がどこにあるか、これを伺いたい。私の考えではこの一九五四年法を基本にします、と百六条に、国内の需要のいろいろの面を全部満たして、その上で十分な繰り越しをやって「ドル獲得のための輸出見込をこえているか、又はこえることが合理的に期待されるものをいう。」と、こういうのですから、従ってそういうものを除いた余剰農産物、それを余剰農産物という、そうしますとこの上安く日本へ来ますれば、国際市場を混乱してダンピングになる。従ってまけるというわけには、小麦協定等いろいろな問題があるのでできません。そこでまあまけるということでなく、贈与という形をとったんじゃないか、私はそう解釈します。この点はどういう意味合いで……、ただ人からもらう……、ただ人がくれるというものは出てこないと思う。どこが起点で贈与一億五千万ドルというものをおもらいになったのかその起点を一つお聞かせ願いたい。
  151. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 仰せの通りこの百六条の余剰農物の定義から申しますと、ドルで買へなんと申しましても、とてもどこの国もドルは持っていないのでございますから、普通の売買で買う国はそうはございません。そこでそれぞれの国の現地通貨で買えるというえさをアメリカが出しまして、そうしておれの国の、自分の金で買えるなら買うという国がたくさん出て参ります。その魅力にプラス先ほど御指摘になりました三百四条の第二項の方、その他友好国に対する贈与というえさをプラスしておるわけであります。しかし全部ただでよこせということはまたこれ無理でございまして、結局一億ドルなら一億ドルの何パーセントほど贈与するか、何パーセントは自国の通貨で買うかという問題になりまして、各国ともそれぞれ贈与の分をできるだけ多くしようということをいたしたわけでありますが、大体日本が到達しました程度の比率が普通の比率でできたわけでございます。
  152. 清澤俊英

    清澤俊英君 その贈与を出すということが結局これを売りさばくために正当な価格で売っておるのです。それはもう投げ売りですから誰も買わないのです、そんなものは。幾らか自国の貨幣で買われるという便利はあるかもしれないけれども、それをやったら損であるから、従って買うものも便利なことは見抜いておるが、同時にそれを売るものもそれを売ることによってダンピングにならない形式をとるためにやったんじゃないかと思われる。そういう贈与であるとしまするならば、これを受けて持ってくる場合に、飢餓条項のようなもので縛られることは要らない、こういう結論が出やせぬか、そのときはどういうつもりでこれをお受けになるか、お受けになるにはどういうつもりで、ただくれるからもらう、こういうつもりですか。
  153. 西山昭

    説明員(西山昭君) 贈与の千五百万ドル分につきましては、先ほど申し上げましたように飢饉の救済でありませずに一般的に援助の目的に使えることに相なっております。どういうわけでこの贈与がきまったかと申しますのは、先ほど条約局長から御指摘がありました通りに、日本側の主張とアメリカ側の主張との折衝の結果金額がきまったような次第でございます。
  154. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は金額のことを聞いておるのじゃありませんで、こういう贈与というものの起きてくる根源がどこにあったかということを、国内にはどうしてもこういう贈与を受けなければならぬあれが、条件があって、その条件を満たすために、児童の方の給食に一つくれてくれと、あるいはこういうなにがあるからくれてくれと、こういうのだと思えばそうじゃない。これからこんなことは交渉すると、こういうのです。白紙なんだ。ただその児童の贈与というのは、向うが言うてきた話で、だからその前にこういうものをくれるという行為が行われるときの根底がどこにあったのだろうか。またもらうというこちらの根底がどこにあったのか。
  155. 西山昭

    説明員(西山昭君) 説明が不十分でございましたが、もちろん日本側といたしましては児童の学校給食を拡大したいという社会福祉的な希望はございますし、アメリカ側といたしましてはこの余剰農産物を各国の利益になるようなさばき方をしたいという気持もございまして、その間の両国の利益関係が一致したという形で本件ができ上った次第でございます。
  156. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この件につきましては、なおあすの外務委員会との連合審査がございますから、外務省関係はこの程度にしておきたいと思います。なお午後は引き続きまして農林省関係から本問題の経過を聞くことにいたします。なお、午後はそのほかの問題がございます。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  157. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  では休憩いたします。午後は二時半から開会いたします。    午後一時二十六分休憩      —————・—————    午後二時五十二分開会
  158. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  最初に中央市場の問題につきまして池田委員から特に発言を求められておりますので、池田委員にお願いします。
  159. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま委員長初め委員皆さんから特別なる貴重な時間をおさきいただきまして、緊急この質問をお取り上げいただきましたことは、全国における市場関係業者におきまして非常な安定する方向に向うだろうと思います。私は去る十三日に長野へ帰りました際におきまして、過日取引市場懇談会をなしました際に、全国の百何十社の方々が集まった際において、突如として大阪市場におけるところの昭和二十八年十一月十六日付で農林省農林経済局長並びに水産庁長官連名において、中央卸売市場卸売人の整備統合通牒に基き市場開設者並びにその関係都道府県に対するところの通達に基きまして、大阪におけるところの六社、販連関係を加えた七社が統合しようといたしまして、今年の二月十八日にすべての準備ができて、これを関係通産の取引委員会に申請した。六月三日はすでに創立総会を開いて六月二十九日は開業するという過程に入ったのであります。しかるに六月になりまして突如として独占禁止法に触れるからこれを中止せよと言う、その理由の大きい問題は、七社が統合するということに相なりますならば、青果物を独占するというきらいがあるからと言って中止を命ぜられたという実情であったのであります。そこで関係者がひとしくかくのごとき大きな問題、しかも主要食糧とともに国民の日常生活になくてはならないもの、ことに都市におけるところの生活者としては全く青果物を離れて一日も生活ができない現状から申しまして、しかも戦後乱立された市場に対しまして、これを統合して正常化して、そこに生産農民の信用して出荷できるような方途を講じようというのがねらいであっただろうと思いますが、よく調査いたしませんでこれを通達し、せっかくでき上って、まさに開業せんとするその一歩前に瓦解させるようなことになったことは、当局が知っている通り大混乱に陥ってくるのは当然で、生産農民と市場取引と市場消費者に大きな不安と迷惑をかけた、これは何といっても農林省の指令に基いてやった仕事に対して、かような問題を惹起して不安をかもしたということは、その責任はのがれられません。これに対してまずもって今おさまったからといってそれでは済むものではございません。今後の方針、それから取引委員会との交渉、そして今後かような国民、生産農民のために安定して市場出荷できる方途に対しての不安を取り除く、この三点について局長からまず答弁を望むのであります。
  160. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま先生御指摘のありました点はまことにその通りであるのであります。われわれといたしましても戦後乱立いたしましたいわゆる中央卸売市場の卸売人の整備統合という問題につきましては、できるだけ生産者に迷惑をかけないように、かつはまた市場におきまする非常なる手数料の増高ということのないように、そういうような観点に立ちまして、いち早く卸売市場の卸売人の整備統合につきまして原則的な指示をいたしたのであります。幸い大阪府の卸売市場におかれましては、私どもの原則的な考えのもとに立脚されまして、八社ありました卸売市場につきましてこれをできるだけ整備統合するということで、二社にまとめるという方向に相なったのであります。これにつきましては卸売の会社におかれましても長年、長年と申しますが約一年有半にわたりまして非常なこれは努力をせられたものであります。この点につきましては私どもといたしましても農林省の考えておりまする線に沿うて献身的な御努力を願った、こういうことにつきましてはまことに感激にたえないと存じておるわけであります。ただ具体的なまとめ方につきましては、これは各社おのおの、何と申しまするか、会社の事情もあり、あるいは会社相互間の関係もありまして、まとまりました結果につきましては大体従来の実績と申しまするか、会社の取扱いによる実績が八対二くらいに近い実績にまとまった、これはもう何と申しまするか、そのまとまり方という問題は、これはもう会社内部の問題でございます、どういうふうにまとめるかということにつきましてはいろいろな事情があって、結論といたしましてそういうふうにまとまった、その点が結局いわゆる公取との関係においてどうなるかという問題がだんだんありました。私どもといたしましてはいろいろ指導した関係もございまして、公取等とも再三交渉いたしたのであります。先生御承知のように市場の売買価格というものはいわゆるせり売りによって行われるのでありまして、ある会社にある程度取引きが独占されましても、その独占による弊害といいますか、これはせり売りというものが公正に行われる限りは、いわゆる独占禁止法のねらいをしておる価格独占という形ではないということを、私どもといたしましては公取に強く主張いたしたのでありますが、その点につきまして公取と見解を異にした、ただ私どもといたしまして遺憾に思いますことは、会社のまとまり方、この会社のまとまり方と申しますのは、ただいま申し上げましたように業者の中のいわゆる自発的意思に基くまとまり方でありまして、しかもそのまとまった結果につきまして公取と所見を異にした、こういう点につきましては、まことにこれは業界に対しまして申しわけない、深く陳謝いたしたいと思うのであります。ただこの点はわれわれといたしましては——同じ青果物の取引につきまして、たくさんのいわゆる卸売会社というものが存在をいたしまして、そこにいろいろいわゆる大阪市を中心として生産者が出荷しまする場合に、いわゆる会社と申しますか、その商品の価格はせり売りで決定いたします関係上、なるべくなら今後といえども従来の方針のように、いわゆる安心して生産者が出荷し得る体制が望ましいという原則につきましては——今後ともその方針をとって参りたいと思うのであります。ただ今回はただいま申し上げましたような見解を異にいたしました結果、私ども意図しておりまする目的に到達できずに、その上に業界に対しまして非常な混乱と御迷惑をかけましたことにつきましては陳謝をいたしたいと思うのであります。今後とも業界と相談いたしまして、従来の考え方、基本的な考え方は、これは変える方針はございませんが、よく御相談申し上げまして、今後とも善処したい、かように考えます。
  161. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 ただいま局長から陳謝の意を表するというから、これ以上むちうつ必要はないと思いますけれども、しかしよく農林当局のお考え置きを願いたいことは、いわゆる汗水たらかしてせっかく果実なり蔬菜なりを育てた農民は、きわめて零細なる収益をあるいは市場にたたかれ、実際においてはほとんど生産費を割って、運賃程度になることもあるのであります。ことに御当局が指令を出すと同時に、あまりに市場におけるところの卸商が乱立した関係から、生産農民の経済が幾多の損害をこうむっておるということも御承知通りであります。今大阪市場の混乱に対して、東京に次ぐという都市の大阪市民の消費者方面から申しましても、生産農民が大阪市場の混乱と内容を知るときにおいて、果してここに出荷してもその清算ができるか、そして大阪の混乱を見るときに信用は非常に失墜したのであります。そういう関係から申し上げますならば、大阪の府民は清新なる果実や蔬菜に、他の都市よりも同じ恩恵に浴しないという結果に相なるのでございます。いわゆる国民生活に及ぼす影響が甚大であると言わなければなりません。米麦主要食糧はもちろんでございますが、衛生保健の見地から申しましても、また日本の農業の面から申しましても、あらゆる角度から市場をそれぞれ近代化し、整備し、よくこの事務の能率化をはかって行くところに生産農民も消費者国民も、両者きわめて安全であるということができるのであります。おそらくここにねらいをつけておやりになっただろうと思いますが、一方株式その他の取引所はどこの市場でも売り買いをしておられる、一人農産物を取扱う市場だけは独禁法に触れるからといって、せっかく近代化して、生産農民と消費者国民の間に安定する方途を打ち出すこの問題に横槍が入ったから、それでついに頓挫して迷惑をこうむったのは、市場とそれから市場におけるところの六会社、七会社と、地方から出荷した方々と、受ける市民です。陳謝したからわれわれは農林関係にはこの上追及することはあまり好まないのでございますけれども関係範囲があまり大きいのでありまして、よほど気をつけなければならないと思います。もし委員会が今後お取り上げ下さるならば、こういう問題は国民生活の安定の上に、また生産農民の上からも直ちに実行しなければならない問題だろうと思います。賢明なる委員長委員皆さんにこういう問題を取り上げて、まじめに生産に携わるところの、そして園芸方面における全国いずれの地においても生産されるところのこの日本の果実、野菜、いわゆる青果物に対する安定する方針を今後おとり下さるようにお願いするとともに、経済局長に対しましてはなぜもっと強く取引上に、今のせり売りの状況から見て、もしいけなかったら二会社にしてこれを指導なさらんか、悔いを全く浅してしまって、全国におけるこうした取引所の一つ々々を近代化するその門出に当って、こういう大失敗をしたことは、何と申しても責任を負わなければならないと思います。東京においても今後これを改正して行かなければならぬ、小さな十万以上の都市は、おそらく全部青果物取引所においての今後改革を行なって行かなければならない上に大きな痛手であると私は信じます。重ねて今後の決意と今後指導なさるかどうか、なさるには相当予算をとって、裏づけをして、国民の健康保健の上から申し、また生産農民に対して、一段と責任ある答弁を願いたいと思います。
  162. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま池田先生より非常にわれわれといたしまして責任を痛感せねばならぬ実態につきましてのお話がありました。まことに恐縮に存ずる次第でございます。ちょうどだだいまお話がありましたように、いわゆる卸売市場と申しますのは、これは生産者と消費者と双方の利益を擁護しまするために、その価格を最も公正妥当にするように法律として一応制定されておるのであります。ただ、大正時代にできました法律でありますので、そこにいろいろ現在の経済機構ともそぐわぬ点は、これはあるということは、先生すでに御承知通りであります。われわれといたしましては、そういうような点にかんがみまして、一応全体的な問題といたしましては、できるだけこれは昔からも先生も御承知でありますが、単復の問題がございます。しかし単復の問題は別といたしまして、最近は、終戦以来卸売人は非常に乱立を見ておりますので、一応これは自主的な方法で、できるだけ統合してもらう、こういう一つの原則を打ち立てますと同時に、もう一つは大正時代から発足いたしました中央卸売市場は、いわゆる取扱い品目の量から申しましても、何から申しましても、非常に施設が狭隘になっておりますので、何とかしてとれをいわゆる近代的な市場にこれを持って行かなければならぬという観点に立ちまして、ほんの少額でありますが、六千万円という補助金をことし初めて計上いたしておるのであります。非常に少額でありまするが、来年からはこれを踏み台にいたしまして、大いに私どもといたしまして卸売市場の整備拡充という物的施設の改善に持って参りたい、かように考えております。同時に機構の点につきましては、いろいろ問題がありまするので、本年新たに、非常に金額は少額でありまするが、二十一万円の金額を計上いたしまして、これはもちろん当参議院の委員会において目下御審議中でありまするが、御審議が済みまして、それが成立いたしました暁には、卸売市場に関します各界の有識者の意見を聞くために協議会を設けるつもりであるのであります。協議会を設けまして、現在の中央卸売市場を中心といたしまして、これに対する地方的な卸売市場につきましても、十分御意見を拝聴いたしまして、その上で成案を得まして、できることなら次の国会にその御審議を願いたい、こういうような私どもといたしましては考えを持っておるのでございまして、原則的な考え方といたしましては、まず一般的に乱立した会社をできるだけ自主的に統合する。同時に設備につきましては、これは新しい設備に変えて参る制度自体、機構自体につきましては、これは専門家の御意見を聞いて善処して参りたい、こういうような考えを持っておるのであります。ただ、その過程におきまして、大阪の市場の問題につきまして、われわれ非常に不手ぎわをいたしましたことにつきましては、ここに重ねて陳謝を申し上げます。
  163. 東隆

    ○東隆君 私今の問題に関連してお伺いしておきたいのですが、それは公取委員会関係、独占禁止法に触れて中止をした、こういうことになっておりますが、私は多年協同組合関係でこの仕事ができないか、こういう問題を考えております。それでこの問題はいつも挫折をしてしまった問題なんです。協同組合関係でこれをやるということになれば、独占禁止法に当然触れることはないと思います。そういうような関係で、生産者から消費者へという関係考えたときに、ある程度のものは協同組合に売って生産者の利益を擁護することができる。このやり方は実は昔の帝国農会時代から問題があったわけですが、とうとう協同組合でこれがやり得ない形になってきておる。神田の、たとえば協同組合関係のものがございますけれども、ああいうものを一つ、もう少し農林省としては生産者を擁護するという意味で、そっちの方面に卸売市場を、そういうような方面を開拓する考えはないのかどうか、そういう点を私は聞いておきたいと思います。
  164. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま御指摘の点は、先生御承知のように農林省といたしましても政府といたしましても、長い間の研究課題であったかと思うのであります。もちろん私どもといたしましては農林省に職を奉じております以上、そういうようなやり方というものにつきましては、原則的にはそういうことは必要であると、こういうような観点に立っておるのでありまするが、実際問題といたしまして市場というものの性格は、もう御承知のように農民の生産物をできるだけ有利に農民が生産し、消費者にはできるだけこれを迅速にかつ安価に入るようにする、いわゆる国民経済の全体という立場に立って処理するということが原則であろうかと思うのであります。その点につきましてはいろいろ長い間の体験から、農民の方の組合も業者の方も渾然一体となりましたシステムによって、いわゆる市場というものを構成すべきではなかろうか、こういうのが現在の一応の結論ではないかと思うのであります。しかしこれは何もそういうことがきまったわけではないのでございまして、今後われわれといたしまして、いわゆる市場協議会というものを設けるということにつきましても、こういうことも一つ広く今までの学識のある方々に御意見として伺いたいと思っておる点であるのであります。従ってただいま急にそういうふうな点に持って行くということはこれはいかがかと思うのでありますが、今後とも大いにその点につきましては検討いたしたいと、かように考えております。
  165. 東隆

    ○東隆君 今の市場協議会を設置して今後相当研究をされるようでありまするが、その場合に、私はやはり協同組合関係のものを中に入れて、そうして相当そっちの方面を重視される必要がある、こういうように考えます。それだけつけ加えておきます。
  166. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 御意見の点は十分われわれといたしまして拝聴いたします。
  167. 森八三一

    ○森八三一君 たまたま大阪で問題が発生したのですが、今局長のおっしゃったように多年の懸案なんですが、早く結論を得て、生産者の利益も擁護せられ、消費者の立場もうまく行くように解決をしなければ、これはもう急迫している問題なんです。そこで協議会を作って、方々の意見を聞いてやるというような、もう時をかすという問題ではなくて、大体農林省としてはある程度の見通しを得られておると思うのですが、その具体的な結論を今お伺いするというわけにいかぬでしょうけれども、今後の取り運び方についてどういうようにやって行かれるのか、考えの概要を一応承わりたいのです。と申し上げますのは、申し上げたように、これは私は日を待っておると非常に大きな問題に発展して行くし、生産農民としても不測の損害を受けることははっきりしておると思うので、その点について重ねてお伺いいたします。
  168. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) これはただいま先生から御指摘がありましたが、中央卸売市場という問題につきましては、開設者の問題、あるいは卸売人の問題、あるいは仲買人の問題、あるいはそれに関連いたしますいろいろ手数料の問題、それからそれを管理と申しますか、管理いたしまするいろいろな形態につきまして、いろいろの問題があるのでございます。従いましていろいろ問題がございますので、ただいま御指摘の卸売人の問題につきましては、終戦以来非常にいわゆる極端な自由主義に基きました乱立した卸売人が存在しているということは、これは間違いがないかと思うのでございまして、これをどうするかという問題につきましては、いわゆる公取法という法律との関連もあると思うのであります。この法律の除外例を設けるかどうかということにつきましては、これは各関係学識経験者の意見を十分に尊重して、われわれとして処置して行きたい、かように思うものでありまして、この点はいろいろ今後委員会におきまして御論議のある一つの重大な点じゃないかと、かように考えておるのであります。幸い本予算が成立いたしますれば、ただちに私どもといたしましては専門の委員の方に御委嘱申し上げまして、委員会を開催いたしたい、そして御意見を聞きたい、かように考えております。
  169. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この問題はまだいろいろ問題があると思いますが、また後日に譲ります。     —————————————
  170. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に農林省関係職員の定員に関する件を議題にいたします。  この件につきましては先日来委員会の問題になっていたのでありますが、かねて委員の方から御要求いたしていた食糧庁関係の資料が提出されましたので、本日重ねて問題にいたします。  まず当局の資料の説明をお願いします。
  171. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) お手元に御配付申し上げてあります資料に基きまして御説明申し上げたいと存じます。先般御指摘を賜わりました農産物の着地検査関係、病変米の検査関係、並びにサイロに関しまする資料でございまするが、まず外国農産物の検査の実施の概要について第一ページに触れておりまするが、これはあるいは御承知かと存じまするので、簡単に申し上げたいと存じまするが、検査をやりまする段取りといたしましては、検査のまず準備を行います。その検査準備というものはどういう内容の業務でありますかということは、その中ほどのページ以下に説明がついておりまするので、省略さしていただきますが、検査準備が行われますると、本船におきまする検査の予備的措置を講ずるわけでございます。その予備的な措置と並行いたしまして、受検準備の指導等があわせ行われるわけでございます。さらに検査に入りまする以前に、標本の抽出、いわゆるサンプリングが行われるわけでございます。これらの行為が行われますると、今度は実際の検査の内容に入るわけでございまするが、検査の内容は法の定めるところによりまして、包装の検査と量目の検査と品位の検査が行われるわけでございます。以上の三点につきましての検査が終了いたしますれば、最後に検査の証明書を交付する、以上の段取りで検査が進められるようになっておるわけであります。その内容は次の二ページにわたって説明が申し上げてあると存じております。なお、品位の検査につきましては、物理的な測定並びに化学的な検定をあわせて行うようになるのでありますが、これは後ほど終りの方のページの予算その他との関連もございまするので、説明を省略さしていただきたいと存じます。  次に病変米検査の実施計画の概要でございまするが、冒頭の説明にも申し上げておりますように、検定の方法は非常にむずかしい問題でございまして、特殊の技術が必要でございますし、あるいは病変菌の検出に当っては細心の注意を要するということでございまするために、検査も第一次の検査と第二次の検査というふうに二段がまえの扱いをいたしておるわけでございます。第一次の検査は積来船ごとにそれぞれ商社別、銘柄、等級別に区分してサンプリングをするわけでありますが、第一次のこの検査の結果によりまして、病変菌のあると思われるような試料につきましては、これを第二次検査に回すようにいたしております。第二次検査は本庁が直接その任に当りまして、ただいまそれに必要な施設等も講じているような次第であります。  なお、問題になりましたこれらの実施計画並びに現在までの実施状況でございますが、第一は定員とその充足の状況でございます。非常に表がこまかく、見づらいので恐縮でございますが、着地検査と病変米検査に区分をいたしまして、それぞれの港別に各事務所の配置転換によります整理職員の配置計画、これが第一欄に出ているわけであります。常勤労務者の配置計画、非常勤職員の配置計画、御覧のようでありますが、なお備考といたしまして、それぞれの事務所におきましてただいま入っておりますカッコ内の、それぞれ充足された数字でございますが、それがそこの事務所から参っておりますということを備考に御参考までにお示しをしておる次第でございます。なお次に着地検査をやりまするために、これだけではとうてい不十分でございまするので、応援の計画、これは当該事務所の職員はもとよりでありまするけれども、船が輻輳して入りまするようなときには、必要に応じまして隣県の事務所から検査の能力のありまする職員を動員するわけでございます。このことを文書で御説明申し上げておるわけであります。予算その他につきましては、後ほどの表に出て参りますので説明を省略さしていただきます。  次にこれらの着検なり病変米検査に関しまする施設の概要を文書で御説明申し上げておるわけでございますが、第一は実験室の整備でございます。実験室は五ページにありまするように、それぞれの事務所の模様がえ、あるいは増築等によりまして、すでに二十九年度の予備費で実施いたしておりまするものと、ただいま国会に御提出いたしておりまする三十年度予算が成立いたしました暁に予定しているものとの二様の区分がございます。なお機械器具等の整備につきましても、二十九年度予算ですでに整備をいたしましたものと、六ページにございまするように三十年度予算で計画をいたしておりまするものを御参考までに列挙いたしておるような次第でございます。なお、この表で主要港とは、どことどこを言い、準主要港はどこである、あるいはいわゆるローカル・ポートというのはどこであるというようなことを七ページに御参考までに注釈をいたしておるわけでございます。  次は病変菌検定の二十九年度予算のものと三十年度予算において施設を講じたものとの表でございます。  なお八ページの終りから九ページの初めにかけまして宿舎の整備関係を御参考に列挙いたしておりまするが、との表で御覧のようにまだ宿舎は十分とは申せないのであります。これにつきましては、三十年度におきましては一般官庁宿舎の方から補充していただくべく、ただいま関係方面と折衝中でございます。  次に、以上申し上げましたことを十ページ以下にそれぞれ予算的に御説明を申し上げた次第であります。  第一の十ページのは、外国農産物の着地検査に必要な諸経費でございまして、合計六千八百三十二万一千円に相なっております。その内訳はそれぞれお目通しの通りであります。  次に十一ページは病変米の検査に必要な経費で、これは三十年度は七百二十四万一千円に相なっております。  その次は着地検査及び病変米関係の施設に必要な経費の概要でございます。例えば実験室の整備でありまするとか、宿舎施設でありますとか、これが千六百万円計上されておるわけであります。  次に、十三ページ以下はサイロに関します資料でございますが、御承知のように横浜のサイロは二十八年の十一月に着工したのでございますが、すでに今日完成を見て、本格的運営にこれから入ろうとしていることは御承知通りであります。なお、名古屋につきましてはここに御説明が申し上げてございますように、二十九年の八月から着工いたしまして、本年の大体六月中には完成の見込みの予定で進めて参っております。従って本運転に入りますのは、八月以降ではなかろうかと存じております。これらの建設関係の予算はすでに手配を終っておりまするが、今後の運営に関しまする予算が十四ページに列挙いたしてあるわけでありまして、サイロ運営費といたしまして三十年度五千二百四十三万九千円が計上されております。内訳はお目通しの通りであります。なお、ここに運営の方針にわたる事項もございまするが、先般来総務部長からも御説明申し上げました点でありまするので、省略さしていただきます。  次にこのサイロの定員の配置計画でございます。これもこの前申し上げました通りでありまして、横浜を八十二名、名古屋を六十一名、合計百四十三名の予定で着々充実をはかりつつあるわけであります。その配置の計画を申し上げますと、それぞれの職種別に十五ページには列挙いたしておきましたけれども、横浜サイロの場合で見まするならば、あそこには部長のほか管理第一課長、管理第二課長、作業課長で、一部長三課長のもとにそれぞれこういう係長なり組長というものを置きまして、この備考にかかげておりまするものはそれの適当な職種と申しまするか、こういった関係の職員が適任であるという意味を御参考までに計上いたしておるわけでございます。機械関係の技術者であるとか、電気関係の技術者がどういうポストに必要であるかということを御説明申し上げておる次第でございます。  なお、十七ページにただいま申し上げましたそれぞれのポストに応じましてどういう職員を配属すべきであるかということを図でお示しを申し上げておるわけでありまして、さらに十八ページに実際のただいま申し上げまするような職員の配置計画とサイロのそれぞれの部署との関係づけをいたしまして、図で御説明したのが十八ページでございまして、一番左のところに本船と書いてございますが、本船の上に箸が二本出たような所が、いわゆるタワーの所にノズルが出ておるわけでございますが、この本船でタワーに吸い上げましたものが……、桟橋の上にあるチェンコンベヤーが二つ出ておりますが、そのチェンコンベヤ二条という所の下に〇にイを入れまして上にプラスがありますが、これはミスプリントでありますから、恐縮でありますが御訂正願います。このチェンコンベヤーの方から搬入チェンコンベヤーの方に食糧が移りまして、これがずっと七階の上に吸い上げられましてマルチクロンすなわちほこり集めでほこりを取りながら搬入計量槽を通りまして、さらにマルチクロンを経過いたしましてセパレーターを通りまして、スケールを通って一番下に下りて参ります。それがさらにエレベーターでサイロの上屋のほうへ参りまして、それぞれありまするサイロに入って行く、これが出て参りまするコースは、搬出のチェンコンベヤーからそれぞれまたさらに右上の方に上りましてマルチクロンの所でほこりをさらに集めてまして、それぞれの搬出計量槽というのがございますが、それを通って、途中でさらにマルチクロンを経過して、そうして切換槽から最後のパッカー、それからいわゆるパッキングをしまする際のミシンの台にまで出て参ります。ここですっかり袋詰めされたものがベルトコンベヤーを通りまして鉄道の方にありまする積込ホームへコンベヤーで運ばれる、こういう流れ作業をいたしておるのでありまするが、私の説明も技術家でございませんので不徹底かと存じまするが、次の名古屋の場合も大体それに準じた流れ作業に相なっております。  次に二十ページに、これもこの前御指摘があったのでございまするが、定員配置計画に対しまする充足の状況でございます。先ほど申し上げましたように部長以下こういう配置の計画であるわけでございまして、本職員と常勤労務者と非常動合せまして八十二名の計画であったわけであります。それに対しましてただいまのところ充足いたしましたのは正規職員で二十五名、常勤労務者で五名、非常勤職員で二十三名となっております。もっとも二十三名は下の注にも御説明を申し上げておきましたけれども、近日中にこの中で相当数が常動労務者に昇格する予定に相なっております。従いまして先般横浜サイロの充足状況を五月末日の充足状況で四十三名と申したかと記憶いたしておりまするが、この表では六月十五日現在では五十三名の充足状況に相なっておるわけでございます。もとよりこれではまだ不十分でありますることは今までにも御説明申し上げました通りであります。なおこの充足状況でごらんいただきまするように、それぞれの特殊の技術部門でありまする電気関係あるいは機械関係もそれぞれこの事務所から一部の充足を見ております。今後さらにこの充足を進めて参らなければならない状況でございます。  最後の二十一ページにはこれらの、ただいま申し上げました受け入れ先別の充足状況を御参考までに列挙いたしたわけでございます。  なお最後にこれらのサイロにつきまして今後われわれの方で留意をいたして参らなければならないいろいろな改善事項等も御参考までに添付を申し上げた次第でございます。  簡単でございましたけれども、資料につきまして概要の御説明を申し上げます。
  172. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質問がありましたら……。
  173. 小林孝平

    ○小林孝平君 十四ページの運営方針の「ハ」の「サイロ施設の運営に関する採算は食糧管理特別会計においてこれを他の部門より独立せしめ、その損益を明確ならしめるものとする」、これは書いてあることはわかりますが、どういうことですか。
  174. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) こういう同じ食糧管理特別会計で運営いたしまする施設の中でも、たとえば政府の倉庫でありまするとかあるいはこういう新しくできまするサイロ等が、ほかの一般の内地食糧の買い入れ、売り渡しとは趣きを相当異にいたしておりますので、先般来大蔵省ともいろいろ相談をしてみたのでありますが、こういう特殊の施設につきましてそれぞれの部門別会計をいたしまして、それぞれの部門の収支の計算を明らかにした方がいいのではなかろうか、私どもとしましてもその方がそれぞれそうした特定の部門の運営には、今後の参考にもなることでありますし、大蔵省の意見とたまたま一致しまして、そういう処理をいたすように、ただいまのところ準備を進めておるような次第であります。
  175. 小林孝平

    ○小林孝平君 この二十ページの「イ」の「非常勤職員中の二十一名は近日常勤労務者に昇格の予定である。」、近日というのはいつごろなんですか。
  176. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) これは文字通り非常に近い近日だと理解いたしております。
  177. 小林孝平

    ○小林孝平君 この財源は一体どういうことになっておりますか。
  178. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) お手元の資料に予算書を載せて置きましたけれども、この予算書の中にここに計上いたしておりまする常動労務者なり非常動の給与がございます。その中から操作ができると存じます。
  179. 小林孝平

    ○小林孝平君 この配置転換がやられるのですが、その配置転換をされたあと欠を生ずるわけですが、その職場の運営はそれで差支えないのですか。これはこの前委員長からお話がありましたけれども、どういうふうになさるのですか。
  180. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 一応定員の配置転換の方法といたしましては、ここに計上されておりまするように、予算的には二百名の常動労務者並びに七十五名の非常動職員がとれておるわけでございますが、それをそのまま着検なりサイロなり当該事務所に充当をいたしておらないのであります。と申しますのは、それぞれの関係の事務所に配置をいたしまして、その事務所から正規の職員をこれらのサイロなり着地の検査をやりまする事務所に送り出しをしていただく、こういう計画になっておりますことはこの前御説明申しました通りでございます。なお、ただいま御指摘のように一方送り出します方は正規の職員が出て参るわけでございまして、その正規の職員のあとがまに常勤労務者なりあるいは非常勤職員を新規に採用して補充いたしますので、その送り出しまする正規の職員の従来担当いたしておりましたポストなりあるいはその職務の内容によりましては、新たにそのあとがまに補充されます常動労務者なり非常勤は、同じように直ちにはあるいは能率を発揮することが困難な事例もあるのではなかろうか、その点等は若干危惧をいたしておりますけれども、これもその職務の内容によってのことでございますので、これらの実際の配置転換をやりまする際には、そうした点につきましても十分考慮を払って処置を講ずるようにそれぞれの事務所長には運営上支障のないように注意をいたしておるような次第であります。
  181. 小林孝平

    ○小林孝平君 この病変米の検査のような技術を必要とする仕事は、常動労務者や非常勤労務者にやらしていていいのですか。
  182. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の点は大へん大事な点だと存じております。私どもも病変米の検査は技術的にも非常に困難な仕事でございますので、これらの職務を全部常動労務者なり非常勤職員でやって行くということは無理があると存じておりますが、ここに配付をいたしております計画では、常動労務者十六名、非常勤職員八名となっておるのでありますが、実際には正規の職員の受け入れを計画いたしておりませんのは、これらの主要港の事務所には従来輸入食糧につきまして検収、検査をいたしておりました専門の技術職員があったわけであります。御承知のように人数は比較的少数でもございましたので、これらはすでにそれぞれの、こうした病変米の検査をやりまする事務所の既定の正規の職員で間に合う、かように理解をいたしておるのであります。
  183. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと総務課長にお尋ねしますが、この前資料要求のときには他の事務所から正規職員を受け入れる、それは非常に無理が出てくるのじゃないか、そこで具体的に正規職員を受け入れるときには、正規職員はどこから出てくるのか、そういうことをはっきりお示しいただけなければ安心できない、こういうことだったのですが、この資料にはその点については何も触れていないので、ただ、今までどこの事務所から出てきたのか、今まで出てきたものについてしか書いていないわけで、この前要求した資料は一体今の食糧事務所の中でどのポストは正規職員を除いて常勤職員にしていいのか、お尋ねしておったわけです。その点この資料には何らの説明もないのを残念に思うのですが、さらにもう一つどうも常勤職員、非常動職員というのは今小林君の質問のように、それが非常に重要な仕事をしておることははっきりしておるので、その点危ないのじゃないかと思うのでして、その点はどうも食糧庁の方で、常勤、非常動というものを、どこの圧力によるのかしらぬけれども、むりをしておりゃせんか。たとえば、非常動の人が実際に食糧検査をやっておるという場合があるわけです。非常勤の人はこれは当然検査官の仕事をしてはならぬはずだと私たちは思うんですが、そういう人が、他人の検査官の証を持って歩いて、他人の判を持って、検査の事務を処理しているというような事例もたくさんあるわけなんでして、その点は、この食糧庁の定員というものについて、少し常勤、非常動というのを乱用し過ぎているんじゃないかということが先般来から問題になっておるわけですが、そういう点はどうお考えになっておりますか。
  184. 村田豊三

    説明員(村田豊三君) 御指摘の点、ごもっともな点が多々あるように、私も個人的には重々さように存じております。ただいま御指摘がありました末端で検査をいたしておりまする際に、非常勤の職員が他人の検査官の判の押してあるもので検査をしているという御指摘も絶無ではないと私どもも耳にいたしておるのであります。これは法律制度論的に申しますと、若干解釈上の余地もあるようでございまするが、しかし、事実問題といたしますると、末端で検査をいたしまする職員は十分責任の持てまする正規の職員ができますことにこしたことはない、さように、卒直に私どもも感じておる次第であります。なお関連いたしまするけれども、そういう非常動をせめて常勤労務者程度にでも身分安定をさせ、そうして末端の職務に専念させるべきではなかろうか、もちろん正規の定員がとれればこれにこしたことはございません。われわれも努力をいたしておりますけれども、少くともその程度の改善の余地はあるのではなかろうかと私どもも感じておりまするし、現にまたそういう点の改善につきましては積極的に努力を惜しんではならないと感じておるような次第であります。
  185. 小林孝平

    ○小林孝平君 この問題は当委員会だけで審議しても始末がつきませんから、内閣委員会と合同審査をするようにお取り計らいを願いたい。
  186. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  187. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記をつけて。  それでは連合審査に関する件についてお諮りいたします。本院規則第三十六条に基き、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について内閣委員会に連合審査会の開催を申し入れるととに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めてさように決定いたします。ただいまの決議に基き委員長は内閣委員会に申し入れることにいたします。     —————————————
  189. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に、午前に引き続きまして、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題にいたします。  午前中外務当局の説明を、不十分ではございましたが、聴取いたしましたので、続いて農林省農地局の事務当局から説明を聞くことにいたします。なお、食糧庁の関係説明を聞かなければならぬのでありますが、本日は米価審議会の方へ出払っておるのだそうでありまして食糧庁の方は見えておりません。農地局の方の関係だけでございます。
  190. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 昨年夏世銀の調査団一行が参りまして、日本の各地を回って、そうして最後に世銀の大体の意向を聞きましたところ、世銀といたしましては、愛知用水のほかに、北海道における篠津地区、八郎潟の干拓計画、並びに北海道の根釧地区及び青森県の上北地区を含めまして、これを機械開墾地区として、この四つの地区について世銀としては相当の興味あることを示唆いたしたわけでございます。時たまたま前内閣の時代に、余剰農産物の買入れをしましてその買入れた一部を円資金でもって積み立てをいたしまして、その円資金をある程度農業開発の方にも回すことができたならば、世銀の借款と相待って、これらの地区の開発を進めて行くことができるというある程度の見当をつけまして、自来世銀当局と交渉を続けてきておるようなわけでございます。最近世銀といたしましては、計画的に相当完成された愛知用水について、主としてそれを目的にしてドールとリクリーズという両氏が参りまして、そうして現在までのわれわれの農業開発に関するいろいろ計画を聴取いたした次第でございます。その結果、大体愛知用水についてはほぼ世銀とわれわれの考え方が一致いたしましたので、それに基いてさらに具体的な計画に入ると同時に、世銀の方もそういった考え方で今後進みたいという話が大体一致したような次第でございます。なお世銀といたしましては、機械開墾に対して非常な興味を持っておることを今度の両氏が来た際に知りましたので、われわれとしましては、愛知用水に着手すると同時に、機械開墾にも着手したい。なお相なるべくは篠津地区についても本年度から実施をしたいということを考えたわけでございますが、今度の見返り円資金が農業分三十億ということで閣議の決定になりましたので、従来われわれが予想しておった程度の見返り資金が獲得できないということになりましたので、いろいろ部内でも相談をし、なお関係の大蔵省なり経済審議庁等と相談をいたしておるのでありますが、現在の段階では愛知用水については一応世銀の金と見返り資金をもって本年度から事業着手をするということに一応決定をいたしておりまして、近くこれに伴う愛知用水公団法案を提出する運びにいたしております。なお自余の地区につきましては、見返り円資金をできるだけ集約的に使いたいという大蔵当局等の意向もございますけれども、また一方において、世銀の意向なりまた地元の意向等を考えますと、われわれとしては、今後の財政事情等ももちろん考えなくてはいけないと存じますが、何とかして本年度にこの篠津及び機械開墾の両事業についても着手できるようにしたいということで目下部内で交渉をいたしておるような段階でございます。なお、それに伴う資金計画につきましては、一応この前要求されまして資料として提出をいたしておりますが、現在申し上げたような事情がございますので、これはいまだ内部の希望的な計画案でございますので、そういうつもりでごらんおきを願いたいと思っております。  簡単でございますが、以上従来の経過並びに現在のわれわれのやっております事情お話し申し上げて、あとは御質問にお答え申し上げることによって御説明いたしたいと思います。
  191. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この問題は農林大臣なり事務次官なりに先般質疑いたしたのでありますが、きわめて明瞭にならないことで、今の御説明によりますと、愛知用水、並びに北海道の開墾も本年度から着手したいと、それで近々法案も出るというお話ですが、私は財政計画が確立しておらぬのじゃないか。ただ、今年度だけは確立していても、これが完了するまでの財政計画というものは完了しておらぬのじゃないか。特に余剰農産物の売却代金を使うといっても、すでに三十一年度の余剰農産物を使わんとしておる、それを当てにしておる。その金は何の話し合いもなし、まだ外務省の方では、どうなっておるか、来年はどうなるかわからぬ。それからまた、この農産物のこの価格によったらば、向うがくれる言うても、こっちはそういうわけにいかぬ、そんなものはもらわぬというような場合も生じてくるし、きわめて三十一年度以降のものは、大きなものをここで国は着手せんとしているのだが、三十一年度以降のものは一つもわからぬ、ただ当てにしているきりだというようなことに私ども考えざるを得ないのですが、その点は農林省はどういうふうにお考えになっておるのですか。
  192. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 御指摘のことはこれはわれわれとしては全くその通りだと存じております。従いまして、大蔵省が将来の財政事情その他の見きわめがつきまして、愛知用水あるいはその他の地区を取り上げるということがはっきりした場合においては、もちろんそれらの地区の計画も全部完了するまでのある程度の、少くとも政府部内においては、はっきりした計画を承認してもらうような何らかの手を農林省としては講じておいてもらいたいと、こう考えております。
  193. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 先般農林大臣も、これはすっきりした、肝に銘じてすっきりしたものを出してくる、こう言われたんですが、事務当局も愛知用水の法案を御提案になるときには、そういうことがはっきりせねば、確立せねば、御提案にならぬというような意向ですか。参事官にそこまでお聞きするのはどうかと思いますけれどもが、事務的にどういうふうになっておるか一つ御答弁お願いしたいと思います。
  194. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) その点はわれわれ事務的な考え方といたしましては、それらの資金計画がはっきりしない以上は、国会提案はできないだろうと考えております。
  195. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 まあこれはこの程度に今とどめておきますが、世界銀行の借款ですか、これ、どうも世界銀行というと、世界が寄って組織しておる銀行であるのですが、まあアメリカが中心になっておる関係かもわからぬが、金を借りたためにいろいろな条件がつくものじゃないかというように私は想像するのですが、あるいは表面の文書による条件はつかぬでも、あるいはいろいろな圧力が加わっておるのじゃないかというように考えておるのですが、これは事務的にどうお考えになっておるでしょうか。
  196. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 現在のところはまだ正式借款の段階に参りませんので、この前ドール氏が参りました際には、日本政府といたしまして農林省がその衝に当ったわけでございますが、そのときの話合いでは特別な条件等についておりません。これが正式借款は公団ができまして、公団と世銀との間の借款になるわけでございますが、この公団は少くとも政府の代行機関的な性質を持ったものでございますし、なお今度の愛知用水公団法を提出して皆さんの御審議をわずらわすことになると思いますが、その中にも政府の保証というような規定もございまして、おそらく今までの火力借款のような例は向うもだいぶんこりごりしているような様子を示しておりますし、こちらとしてもあまりひどい条件には甘んじたくない、こういう考え方で進めて行くべきであろうと思いますし、おそらく公団もそういう方向に進むであろう、こう考えております。
  197. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私は日本政府がその借款には保証するのだからもちろんいろいろな文書による条件はもう出さぬだろうが、なんぼ日本が敗戦後の日本であろうとも、しかしとにかく圧力が加わっておるように感ずる。おそらくここでは参事官そういうことは申されぬかもわからぬが、借款の経過の過程においていろいろな圧力が加わっておるということは私はもうこれは事実だろうと思うのです。この例をあげますと、アメリカの監督において、アメリカの設計において、今のととろでは、私の聞いておるところでは設計、監督をアメリカに頼む、これはそうしてあるいは五%か三%かいう費用を徴収するのでしょう。これはこの事業費の三%、五%というのは相当な大きな額に相当するのです。ところが結局ボーリングにしろ何にしろ、日本の技術者が全部その資料を出して、そうして向うで設計をおそらくしてもらうのであろうと思います。そういうことは日本に対して、アメリカが東南アジアやインドネシア等に対すると同じような行き方に、私はきておると思う。日本の技術は相当私は進んでおると考える。東南アジアやインドネシアよりも。ところが向うの考え方は同じで、金は貸す、そのかわりに設計をしてやる、監督もしてやる、これだけ金を出せ、これは一例ですが、機械の点も私はそうだと思う。日本が納得して日本よりも優秀な機械でこれが必要ならば自主的に買うならばなんだけれども、実際若干のものはアメリカの機械を買へ、こういうことか知らぬけれども、日本は買いますというようなことで、これは大きな圧力というか、いわゆる世界銀行とアメリカの商社と裏において何か結び合う紐があるように感ずるのです。この点どうですか。インドネシアと東南アジアと同じに設計も調査も全部やってもらうというお考えですか。
  198. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 今の重政委員お話でございますが、これにつきましてはまだ結論は出しておりませんが、この前の資金の計画を出しまして、それのための設計、最初の計画と申しますか、その計画については御承知のようにパブリック・コンサルタントに頼んで、これを通じて世銀に交渉をいたしております。しかしながら今後いよいよこれが公団の事業として実施される場合に、設計あるいはその後の監督等につきまして、このコンサルタントを使うかどうかについては、目下検討中でございますが、御指摘の点は十分警戒しながらその交渉を進めて参りたいと、こう考えております。  なお、機械等につきましてもわれわれの原則としては日本製の機械で十分間に合うものでありますならば、これはできるだけ日本の製品を使って行く、しかしどうしても日本でできないような機械、あるいは耐久力、あるいは能率の点から相当の開きがあるというようなことがはっきりしております場合において、しかもその機械がこの地区に十分適合するであろうというようなことがわれわれの方で確認されたものについては、外国製の機械を使うというようにしたいと思いますが、この場合におきましても御指摘のような、そういうことを十分警戒しながら話し合いをして行くようにしたい、こう考えております。
  199. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 どうも私は借款の過程においてどうも圧力がかかっておる、それは現実に、私どもではないが、直接の利害がある日本のメーカーは、今から非常にそれを心配しておって、それは困るというような空気が非常に強いということを一つ承知になって、これはまあ公団ができたら公団がきめるものと思うが、そうじゃないので、結局農林省がきめるということになる。農林省の意向に従うことになるのですから、だからそこをまあやりかけたのだから、どうしても金は借りたいというようなつまらぬ考え方でなしに、一つ日本も東南アジア等の独立国とは違うのだから、私は相当、たとえて言えば八郎潟に使用する用排水ポンプというものなどは、アメリカはよく知らぬのだけれどもが、そう劣った機械じゃないように思うのです、というようなことなこともありますし、どうか……これ以上やりませんか、どうかその点を一つ十分断固として当って頂くようにお願いをいたします。
  200. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 けさほどだいぶ外務当局から説明を聞いたのですが、それに関連してお伺いいたしたい。昨年の秋ですか、吉田前総理が渡米して借款を一億三千三百万ドル申し入れた。それに対して今度贈与が千五百万ドル、けさほど外務当局に質問いたしたのですが、その当時愛知使節団も行って、農林省から東畑精一さんが行って、そうして先ほどお話しのように、世界銀行からの借款に関連して愛知用水その他三地区、総額われわれが承知しておるところでは六百億の事業についての借款を希望を持って行ったのです。さつき外務当局に聞きましたところによりますと、そういうような内容については何ら話し合いは出ていなかった。そして一億三千三百万ドル今年度借款するについての希望を言ったところがそいつが八千五百万ドルになった。全然外務当局はその内容については関知していないようなお話なんです。来年度以降のことについてはどうかというと、それも全然話になっていない。ことし今度決定になった三十億は農業開発に使う、これは閣議できまったのです。そういうあとさきの計画なしで、ただ借款を今年度一億万ドルほしいというようなことでやったのか、そこの経過は、戸嶋参事官は新らしいから御存じないかも知れないけれども、御承知の範囲でお伺いいたしたいと思います。  なお私は重要な問題は、それが当時農林関係としては贈与を申し入れて、六百億の事業費の中の六割くらいです。国費に該当する部分は贈与によらなければ、この事業が円滑に運営ができないから、ぜひとも六割程度のものは贈与を希望するというようなことで私は行ったと思うのですが、それが今度学校の給食の程度だけが贈与になってしまって、あとは贈与がなくなってしまった。当初贈与を希望したやつがなくなった、それを財政投資をしてからというような実情になるから、先ほどお話があったように、非常に借款の金額が減ってきて、地区は元通りのままやって行こうというので、まだどの地区をやるかは決定してないような話でありましたが、あした外務委員会で連合審査をやって、この千五百万ドルの受け入れについて承認するかどうかの意思表示をしなければならぬ場合に、三十億の使途がまだ何もきまっていないというのでは、あした審議をするのに非常に実は差しつかえる。三十億の金はどこへ持って行くのか、大体愛知用水はやることにきまったんだけれども、八郎潟は来年から、北海道の篠津はどうするのか、そして根釧平野はどうするのか、この区分はまだきまってないようなお話だが、早急にきまることになるんですか。お見込みだけお願いいたします。
  201. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) まずこの借款を去年の秋、愛知さんが団長としてアメリカの方に申し込まれた当時の事情は、実は私よく存じません。なお、そのときの、それに関連いたしましてその一部を贈与の分として考えておったという点につきましても、実は私存じておりませんので、当時の人に聞きまして、もしわかればまたお答えを申し上げることといたします。それから来年度以降の計画を、いやしくも新しい地区として今年から始める以上は、きめておかなければならないであろう、これはごもっともでありまして、われわれ事業を直接担当する農林省といたしましては、ぜひともそういうことをはっきりしておきたい。ただ、その形をどういう形でとるかということにつきましてはいろいろあると思いますが、その最もはっきりした形で将来の計画にそごを来たさぬようにいたしたい、こう考えております。  なお、本年度着手いたしたいと考えております愛知用水外二地区の配分の問題については、大蔵省とわれわれとの間で実は目下交渉いたしておりまして、できるだけこの配分は早くきめたいと思っております。聞くところによりますと、この配分につきまして、民主党の総務会でもいろいろ心配をされて、大蔵当局との交渉等もあるように聞いておりますので、おそらくそう長くかからぬであろう、こう考えております。
  202. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 愛知用水公団法案は、いつごろ御提案なさるお見込みですか。
  203. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 大体どうしても前提として、この配分計画がきまりませんと資金計画がきまりませんので、おそらく配分計画がきまった直後に出るということになると思いますので、あらかじめそういうつもりで準備をいたしております。
  204. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 愛知用水事業につきましても、これはいろいろな問題があると思います。この法案が出たときに、内容については質問いたしたいと思いますが、あしたの外務委員会との連合審査は時間がありませんから、ただいま伺っておきたいのですが、大体三十億の大部分が愛知用水に行くと思う。そうして後年度については、けさの外務省当局の話を聞いても、何ら建設的な意見はないので、来年は内外の情勢を見た上で判断すべきだというようなことを言うて、事業計画については何ら考慮していない。一応こういう三十億の借款によって四地区の事業を進めてゆきたい、それには円資金が六百億要るのだということになると、来年からについては、計画的に借款の資金計画というものを考慮に入れて行かぬと困るのじゃないか。それは愛知用水をやるときに資金計画を伺いたいと思いますが、大体私どもの意向とすれば、本年度八千五百万ドルの借款を受け入れれば、来年もその通り、再来年もその通りぐらいで一応済んでしまうのじゃないか、というと、九十億ぐらいが借款で農業開発に回って行く。それをどの程度配分するかは今後の問題でありますが、かりにそれだけ持ってきましても、愛知用水は三百六十億程度だということになると、愛知用水の資金計画の大ワクというものが、どういうような考え方で進めて行かれるか。あしたの審議の重要な問題になるから、構想をお伺いしておきたい。
  205. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 大体愛知用水では、世銀からの借款を三十六億ということを予定いたしております。それからあと事業資金のうち、今の見返り資金の三十億のうち、どのくらいになるかということが、目下のところ不確定でございますが、かりにそれの三分の二程度、二十五億ぐらいを予定しますと、あと一般の、国が農業開発に出しております助成金に該当する部分が、大体今の計算では百三十二、三億程度になりますので、それを一般の無利子の国家の投資ということに考えておりまして、それ以外の資金は、資金運用部の資金を使うというような考え方で、目下大蔵省と交渉いたしておりますが、それにいたしましても、一方において公団自身の二十年ないし三十年にわたる長い間の資金計画を立ててみた結果、それではマイナスが出るというようなことがありましたならば困りますので、そこに資金の融資の率、あるいは融資の条件というものをどう加減しようかという問題が、やっぱり出てくるわけでございます。そこで、もとになります見返り資金を幾ら出すかということと、その見返り資金の融資の率なり年限がどうなるかということによって、その資金計画は、ずっと将来にわたって計算してみた上でないと、はっきりいたしませんので、以上のような原則だけを申し上げまして、その点は大蔵省と資金計画をはっきりきめてから御説明をいたしたい、こう考えております。
  206. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 三十億の見返り資金についての、全体の農業開発に対する融資条件というものは確定になっておるのですか。たとえば借款については、ドル払いで三分で四十年ということになっておるが、そのまま三十億を農業開発に対して融資するのか、その点をお伺いしたい。私の伺いたいのは、新聞等によりますと、電気は現在開発銀行等から借り受ける場合には六分五厘で借りている。それを今度の農業電源開発については、四分で二十五年程度で借りるように新聞等には出ている。農業開発について、どうでございますかその点を伺いたい。それは私が今説明を伺っているのは、一番初めの六百億程度の申し入れを昨年の秋しておったときには、約六割くらいは贈与で、これはただでやって行くのだ。そうしてそのあとのは借款で、低利でやって行くというような、出発点がそこにあった。ところが贈与は全部なくなってしまって、そうして国費の負担の分は、ただいまのお話を伺えば、これは工事中に無利子で、愛知用水で三百六十億のうちの百三十二億程度は工事中に無利子でみな負担するような構想であります。それから二十五億くらいずつ三年間で七十五億の見返り資金を持ってくる程度に考えている。足りないところは、百三、四十億は、六分五厘の運用部の資金を持ってこなければいかぬということになると、初めにやり出したときから比べると、非常にこの負担が多くなってしまう。だからその負担について特別に農林省としては考えていられるかどうか、その点を伺いたい。
  207. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  208. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。
  209. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと伺いますが、この愛知用水以下三カ所の開墾の計画というものは、総合六カ年計画の食糧対策に、これが基本に入っているのですかどうですか。
  210. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) これは従来われわれこういう案を持っておりましたので、これは別ワクであるという建前で従来は嘗ておるのであります。ところが見返り資金、これのうちに円資金分と書いてございますね。
  211. 清澤俊英

    清澤俊英君 それを聞いているのだよ。六カ年計画とこの計画は別にして六カ年計画というものをやられているものか、これが入っているのかどうか、量産計画が……。
  212. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) これはわれわれの農地局の考え方としては、これは別である、こういう考え方でやって行ったわけであります。別ワクである、こういう考え方で行っているわけであります。
  213. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと戸嶋参事官にお尋ねしますが、今事務当局の話では、きょう愛知用水公団法ですか、これが当委員会に予備付託になったというのですが、予備付託になった以上は、この金額はかっちりしてから出ているのじゃないですか。まだ予備付託にはなっているけれども、その内容についてはきまっていないという実情なんですか。どっちなんですか。
  214. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 私の方では大体きょうも朝から大蔵省とかけ合っておりまして、希望としてはきょうあすのうちに何とか大蔵省と話し合いをつけてしまいたいというのでやっておりますので、こちらの方で予備審査をいつからおやり願うかわかりませんが、それまでには何としても片づけたい、こう考えております。
  215. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 あした詳細に外務委員会で質疑をするので、時間を節約する意味で伺っておきますが、今の融資条件は、電源開発と農業関発についてもまだはっきりきまっていない。それから割当てた配分も、これもきまらないのだ。じゃこの際に三十億を農業開発に持って行くということは閣議でもきまったのだし、前から借款による量産というものをやっていたから、私どもは量産の計画をこれはこの際に、外務省では来年のことはわからぬといういうようなことでは困るので、これは計画的に借款による増産計画はどうあるべきかということは立てて行くと、私はその方がいい。そこでもう少しお伺いしておきたいのですが、先ほどお話によりますと、愛知用水の三百六十億のうちの二十何億は事務費、これは逆にふえてきたやつだと思うのだが、それは国が負担するのですか、農民にも負担かけるのですか。それをお伺いしたい。
  216. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) われわれとしては大蔵省に目下交渉いたしております段階では、これは農民の負担にならないようにしたいという線で交渉いたしております。
  217. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 そういたしますと、先ほどの国費の負担になる百三十二億と事務費の二十二、三億と、百五十億程度のものは五カ年計画に国内資金として一般会計から支出することになるのだが、現在二百四十億程度の土地改良事業費で、百一万石しか増産できないのだ、そこの二百三、四十億の全体の日本の土地改良、開拓事業費に対して三十数億円の一般会計から支出をするようなことを大蔵省は承認しているが、これと現在の食糧増産対策費には影響がないのだというようなことは、大蔵当局ははっきり言明しているのですか、それがごたごたになっちまって、経済六ヵ年計画のワクの中へ入ってしまうのだか入らないのだかもはっきりしない点がある。これをどうお考えになっているか。
  218. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) われわれとしては今のお話の線のように一般の食糧増産対策費に影響を及ぼさないようにできるだけ持っていきたいと、ただしある一部は従って資金運用部等の資金でまかなうというような方法をとらざるを得ないというようなこともございますができるだけ増産対策費には影響を及ぼさないようにという線で、大蔵省にはお話したい。
  219. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 農林省の当局の考え方として、そういう危険な綱渡りのようなことをやらずに、一般会計から投融資のようなことをやって、無利子の金を、食糧増産対策費とは別に、投融資をするような計画を立てて、そうすれば無利子で長くこれを償還してもいい、そういう根本的な考え方を一応考えられたことはあるですか。またそれに関連しまして、かりに機械開墾を入れることにしますと、七十億ぐらいの事業費がまた要る、篠津をやることにすると八十億の資金が要ることになる、これがきょうあす着手するかしないか、そのことに対して今の愛知用水と同じようなやり方をやっていると、来年から一年に補助金を五十億ぐらい出して行くというやり方になったら、内地の食糧増産は破滅に瀕するようなことになってしまう。何か国内資金の調達について食糧増産対策費に影響を及ぼさぬというような措置をこれはどうしてもここで確実に立てて、そして大蔵省のそれに対して承認をもらっておかぬと、非常に危険なことになるのではないかと思っている。この問題が昨年の夏、世界銀行が調査に来ましてやった当時に、小笠原大蔵大臣、愛知通産大臣は新聞等に別々に発表している。世界銀行から機械を借りて、そして円資金については一年に愛知用水は五十億もあればいいんだと、食糧増産対策費は二百億程度だというから優にその中から出して行けばいいんだから、だから機械は世界銀行から借りて、そして食糧増産対策費を削ってやって、この事業を進めて行くんだということを、私は新聞を整理して見てきた。そういう発言をしておる、その大蔵省がやすやす三十何億、五十何億という金を毎年補助金から愛知用水に出して行くという、どうもはっきりしておかないと非常に危険だと思う。それからもう一つそれと関連して、けさ予算委員会で経済六カ年計画の前三カ年計画について、経済審議庁から三十年度、三十一年度三十二年度米麦の増産の経費の説明があった。それは三十年度はもう決定になっているのは、御承知のように三百五十億、三十一年度は六百八十億、三十二年度は七百五十億出す、今年の分に対して来年は二倍の資金を食糧増産のために出すということを説明していたんです。これはぜひとも実現できるようにしていただきたい。そのうちに、先ほどお話があったようにこの六百億の資金計画は別ワクで、入っていないということに私は承知している。何かごたごたしていると今の六ヵ年計画の中でまかなうんだと、そういうことは必ず問題に出てくるんじゃないかと思う。予算の中でぜひとも農林省はこの六百億の借款の食糧増産対策というものを計画的に進めて行くように経済六カ年計画に一つ新しい項目を出してやって行くようなことをお考えになれるかどうかというような問題があるが、その御意見をお伺いしたい。
  220. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 今の問題は非常に大きな問題でありまして、私としてはそういう趣旨で進めたいと存じますが、これは農林省といたしましても相当大きな問題でありますので、ここではっきりしたことは私としては申しがたいのでありますが、しかしあといろいろ機会がございますからそういうときに譲りたいと、こう考えますが、いかがでございましょうか。
  221. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 ちょっと今の問題、これは農林大臣がはっきり言っておりますよ、別ワクで肝に銘じてその点は明らかにして、愛知用水の法案を提案するときにはやりますと、こうはっきりここで言っておるのですから、御心配は別に私はないと、そういうふうに一つ進めていただきたいと思いますがね。
  222. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  223. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  この問題につきまして、ただいままでの審議によりますと、すでに当委員会予備付託になっております愛知用水公団の事業計画さえもはっきりしてない状態、さらに機械開墾等との資金配分等、何もかも全然はっきりいたしおりませんので、従って、農林当局の方は、明日の外務委員会との連合審査に愛知用水公団関係の事業計画、その他資料をそろえて出していただきませんと、連合審査が非常な不円滑な方向に行くのではないかと思います。その点は農林当局の方でぜひとも運んでいただきたいと思います。  なお、経審、大蔵、外務等の当局に対しましても、法案が付託されておりますところの外務委員長とも連絡いたしまして、それぞれ必要なる資料を取りそろえてもらうように、あらかじめ本日申し入れをいたしたいと思います。  さような程度にいたしまして、本日当委員会はこの程度にいたしまして、あすの十時からの外務委員会との連合審査で十分に御審議を願いたいと思います。なお、連合審査の終ったあとで、当委員会として、この案件に対してどういう態度をとるかは、あらためて御協議したいと思います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  224. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会      —————・—————