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1955-06-07 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月七日(火曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君   委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            清澤 俊英君            三橋八次郎君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君   委員外議員            小林 孝平君            片岡 文重君   政府委員    防衛庁防衛局長 林  一夫君    外務省参事官  寺岡 洪平君    農林政務次官  吉川 久衛君    農林省農業改良    局長      小倉 武一君    農林省畜産局長 原田  伝君    水産庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    海上保安庁警備    救難部長    砂本 周一君   参考人    千葉水産部長 吉瀬 義信君    千葉水産試験    所千葉支所長  内田 一三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人の出頭に関する件 ○農林水産政策に関する件  (廃油による海苔業被害に関する  件)  (海馬島における難破漁船に関する  件)  (昭和三十年度農林省関係予算に関  する件) ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではただいまから農林水産委員会を開きます。  参考人についてお諮りいたしたいと思います。去る五月三十一日の委員会において問題になりました東京内湾における廃油によるノリ被害について、その後関係当局調査も進んだようでありますから、後刻重ねて議題として御審議を願う予定でありますが、委員からの御要求もありまして、その際参考人として、千葉水産部長吉瀬義信君及び千葉水産試験所千葉支所長内田一三君の出席を求め、意見を聞くことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは参考人として吉瀬義信君及び内田一三君の出席を求めることに決定いたしました。なおその手続等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御異議ないと認めて、さよう取り計らいます。  ちょっと休憩いたします。    午前十時三十七分休憩      ——————————    午前十時五十一分開会
  5. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それじゃ再開いたします。  東京内湾における廃油によるノリ業被害に関する件を議題にいたします。本件につきましては、去る五月三十一日の委員会において問題になり、当局善処が求められておりましたところ、その後当局における調査が進み、資料の提出もありましたので、本日重ねて議題として当局説明を聞き、御協議を願うことにいたしたいと思います。  なお、先ほどおきめ願いましたように、千葉県の方から二人の参考人出席を得ております。なおこの問題につきまして、議員片岡君から委員外発言の申し出がございますが、片岡君の発言を許しましてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 江田三郎

    委員長江田三郎君) じゃさようにいたします。  それでは当局説明を聞くことにいたしますが、まず最初参考人千葉水産部長吉瀬義信君にお願いいたします。
  7. 吉瀬義信

    参考人吉瀬義信君) 私千葉水産部長吉瀬義信でございます。  去る一月末から二月初めにかけましての廃油によるノリ被害状況に関しまして、当時現地調査をいたしました水産試験所千葉支所長内田君から、初め被害概況調査状況について御説明申し上げまして、そのあとで私から詳細にわたってお話し申し上げたいと思います。
  8. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではさように取り計らいまして、千葉水産試験所千葉支所長内田一三君を参考人として説明を求めます。
  9. 内田一三

    参考人内田一三君) 私内田でございます。ノリ廃油被害を受けました当時、現地調査を実施いたしましたので、その状況を簡単に御説明申し上げたいと思っております。  ノリ養殖をやりますのは、九月の末、海にノリの網を入れまして、そうしてそれに種をつけて大きくするのでありますが、本年のノリの種付けは非常に良好でありまして、生育も順調に進んで参りました。十一月の初めにノリをとるのでございますが、ノリをとり始めましてから非常にそれも順調に進みまして、十一月の末、十二月の初めごろに水温が高くなった関係で、ノリの腐れが起きたのであります。そこで生産高が非常に減じまして、漁民も非常に困ったのであります。ノリあと芽が成長いたしまして、一月の終りから二月の初めには豊漁を予想されたのでありますが、突然一月三十一日から二月の一日にかけまして、千葉県の木更津市から君津富津町に至ります海岸ノリ漁場廃油が流れて参りまして、大きな被害を来たしたのであります。漁民は零細な漁民でありまして、その被害に大へんな打撃をこうむったのであります。  その次に被害状況についてお話を申し上げますと、二月の二日君津漁業協同組合長から水産試験所調査方依頼されたのでありますけれども、水産試験所のみで調査をするのにはあまりに大きな問題だろう、こういうふうに考えましたので、直接水産部連絡をとり、また船そのものがどこの船であるかということがはっきりといたしておりませんので、渉外広報課の係員と同道いたしまして調査を実施したのであります。そのときに沖合フリゲート艦六隻が見えましたので、まずその船がどこの船であるかということを確めるために、富津から船を出したのでありますけれども、近くまで参りまして、その船を確認したわけであります。廃油によるノリ被害の写真、すでに御供覧願ったことと思いますが、その船は「やぐるま」、「れんげ」ほか四隻でありまして、防衛庁の船であるということを確認いたしました。直ちに水産部から防衛庁連絡をとっていただきまして、二月の四日、五日の両日、防衛庁からも係官に来ていただき、漁業協同組合長ととともに調査を実施いたしました。  そのときの状況お話し申し上げますと、各漁業協同組合長説明によります結論、その結論といたしましては木更津市の桜井では一月の三十一日にすでにもう網に油がくっついておる。そうして油の流れております状況は何条にも大きなかたまりになって流れておった。そうして上げ潮木更津市に入り、下げ潮で桜井沖合ノリの網に油がくっついた、こういうふうに申しております。それから君津町の坂田では、三十一日の午後五時頃までにはその被害はなかった。三十一日の夜の上げ潮によりまして、坂田漁場ノリ網に油がくっつき、それから南の方の大堀君津町、青堀町の青木、富津町、その地区には三十一日の夜、油が流れついて、そうして網にくっついておる、こういう状況でございます。  被害概況につきましては各関係漁業協同組合から提出されました資料を総合いたしますと、その被害額は約一億一千二百万円に達しております。そうして最もひどい害を受けた所は木更津市の桜井君津郡の君津町であります。そこが非常に大きな被害を受けておりまして、その他の所は御承知の通り油でありますので、海水の表面に浮び上りますときには非常に広範囲に分布いたしまして、至る所、網の張ってある所はほとんど全部がその被害を受けた、こういう状況でございます。  ノリ品質そのものを検討いたしますのには、まず第一にノリの色であります。その次にはノリのかおりであります。そういうふうなノリのかおりそのものが油のあのにおいに満されましたときには、商品価値が非常に少くなる、こういうことが考えられます。そこで油がぴったりとくっつきましたノリそのものは、当然商品価値はもちろんありませんが、かりにとった場合にも、そのにおいノリにくっつくということになりますと、ノリそのもの商品価値は下落いたしますので、両方面におきますところの損害ということを考えましたときには、先ほどお話しいたしました一億一千二百万円にも達する、こういうことでございます。  その次に、被害の原因につきましては、やはり漁業協同組合長から聴取いたしました結果によりますと、フリゲート艦が一月の二十六日から一月三十一日まで木更津の沖で停泊し、また航行し訓練をしておった、そういうことでございます。それから防衛庁の方の係官の御説明によりますと、やはり第一警戒隊、第二警戒隊、第三警戒隊艦艇が、その沖合いでもって一月二十六日から一月の二十九日まで訓練をやっておった。また停泊をしておったということを申されております。  その次に当時の風向風力海流潮流等について判断をいたしますと、一月の下旬の風向西寄りの風でございますが、大した風力は持っておりません。それから海流潮流、その他の点を総合いたしましたときに、やはり木更津沖に停泊しておりましたところの防衛庁艦艇から流されたものらしい、こういうふうに感じております。そこで、当然海には海流潮流がございます。また東京湾のような入口が非常に狭い海でありますと、潮流の力というものは非常に大きな力を持っております。そこで一番大きな被害を起しました桜井、並びに君津はみお筋で、みお筋と申しますと水路であります、その水路のわきが、一番大きな被害を受けているという結果から見ましても、潮流の影響によって油そのものが出たり入ったり、その辺に漂ったということがはっきりしておるわけであります。  それから本地区におきまして、過去において、やはり昭和二十九年の二月の初めに、海上警備隊艦艇木更津地区訓練をいたしましたときにも、重油被害を受けております。それからその当時、東京湾のその地区には、大きな艦船が入ってなかった。それからもう一つ東京湾全体にノリのしびが立ってノリ養殖をいたしておりますけれども、被害を受けました地区は、木更津から君津までのごく小部分でありまして、油が投げられたという場所は、非常に岸に接近しておる地区だろう、こういうふうに考えております。  以上、簡単でありますが、当時の状況を御説明申し上げました。
  10. 江田三郎

  11. 吉瀬義信

    参考人吉瀬義信君) それでは私から次の数点につきまして、補足して御説明申し上げ、御参考に供したいと思います。  第一に、地元漁業者、及び海上保安庁調査結果等より見まして、一月の二十六日以降、一月三十一日まで、海上自衛隊艦船訓練しており、停泊していたという事実、及びこれらの艦船以外には商船等航行、停泊したものはないという事実でございます。  第二に、東京湾内海流潮汐流風向等より見まして、木更津沖海上数海里の地点におい流出したものと考えるのであります。これは昨日の各関係官庁協議会におきましても、海上保安庁調査結果によりまして明らかな通り東京湾海流を、ABCDEの五区域に分けまして、そのE地域海流風向、風速その他より見て、E地域におきまして投棄された可能性が非常に多いということでございまして、この地域自衛隊艦船が停泊し、行動しておったのでございます。なお、海上保安庁調査によりますれば、それ以外の遠方より流れて来たものではないということ、それは海流等関係、また油の流出を認めた船がなかったということ、あるいは木更津海岸等、極限された地域に限定されておるということから見ましても明らかでございます。  第三に廃油分析結果についてでございます。化学専門家の言によりますと、海上に漂流された油と機関より採取された油の分析結果が同一であるということは考えられないのでございまして、異なっているということが当然であるとのことでございます。ただいかなる点において類似のものであるか、同一性が認められるかということが重要な論点でございます。従いましてノリびにつきました廃油と、自衛艦機関より採油した油とが、分析結果が同一でないから、自衛艦船から流出したものでないという結論は出てこないのでございます。  以上のような論点から、東大生産技術研究所その他の方々の分析しました結果について、意見を申してみますと、お手元にお配りいたしてあります千葉県が依頼いたしました東大生産技術研究所分析結果でございます。これによりますと十三ぺージに報告がございますごとく、この右のSと申しますのは、ノリしびに付着いたしておりました廃油でございます。それからFIらFIVまでフリゲート艦から採取いたしましたものでございます。それからKは黒潮丸、Lが海上自衛隊の「やぐるま」から採取したものでございます。これらを比較いたしてみまして、最初の比重もほとんどノリしびについておったのと、フリゲート艦についておったのとは差異が認められません。粘度におきましてもノリしびについておりましたのが一九四、FII一三三、それからディーゼル・エンジンの方の油はLの六二と、非常に低いことになっております。その他重要な差異点は、残留炭素、これによって非常にこの油の特色が現われておりまして、ノリしびに付着いたしておりますものは六・〇八四%、フリゲート艦FIIより採取いたしましたのが四・八〇五%と非常に類似いたしております。なお蒸溜試験の結果も、蒸溜残渣ノリしびに付着いたしておりましたものが五・〇グラム、FII蒸溜残渣が六・五グラムでございます。なお海上自衛隊に納入されております油の分析結果も十五ぺージに出ております。  次に警察庁科学捜査研究所防衛庁依頼されました分析結果でございますが、これを見ましても一から十までの検査結果になっておりますが、一から九までは、色その他の試験でございまして、ほとんど差異は認められないのでございます。ただ十番の紫外部分光吸収極大波長、それと発光分光分析検出金属元素、こういうものに若干の差異を来たしておりますが、これは先ほど申しましたように、サンプリングの差異、及び資料調製法差異、これはどういうことかと申しますと、現在の化学実験におきましては、除去できない残滓と申しますか、要素があるのでございまして、従ってフリゲート艦から取ってきた油と、海流に長く漂流した油は、紫外線を当てて、そういう波長が違うということは、これは当然のことでございます。  なお、珪素あるいは鉄、マグネシウム、カルシウム、こういうものが、海上に漂流しておったものに付着しておりますということも、これも当然の結論でございます。  それから平均分子量と申しますのは、先ほど生産技術研究所の結果の粘度ということに該当するものでございまして、これも粘度量、平均分子量が、海上に漂流すれば多くなるということも当然のことでございます。  以上のような観点からいたしまして、分析結果が異なるからノリびについていたものはフリゲート艦廃油ではないということは、こっけいなことといえるのであります。従いまして千葉県といたしましては、ノリびに損害を与えた被疑者は、防衛庁船艦であるという推定をいたしておりまして、これが防衛庁の船でないという挙証責任は、防衛庁にあるものと考えております。私は分析結果、あるいは潮海流、その他客観情勢調査海上保安庁は非常に熱心に調査をいたしてくれるのでございまして、これらの客観的な調査結果から見まして、これ以上、廃油防衛庁船艦のものであるとか、ないとかのきめ手を出すことは、科学的に困難であろうと思います。けれども、二千数百名の零細漁民が一億数千万円の損害を受けた厳然たる事実があるのでございます。私はこれらの漁民を救う解決の道は、一に皆様の力によるほかはないと考えております。何とぞ、今次損害補償につきまして、さらには、水質汚毒防止法等の制定による被害防止、あるいは被害者に対する共済制度確立等、今後、法的措置を講ずべき幾多の問題があると思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  12. 江田三郎

  13. 林一夫

    政府委員林一夫君) 防衛庁といたしまして今まで調査しました結果について御報告申し上げます。  今度の被害事件が起りましたのは、一月三十一日、二月一日でございましたが、二月の三日の日に、千葉県の県庁の職員の方と、地元漁業者の代表の方が来られまして、当時、木更津沖に在泊しておりました海上自衛隊船舶から流した油のために、今度の被害が出たというように推測されまして、善処方を要望されたのであります。防衛庁といたしましては、直ちに調査官を派遣いたしまして、現地一帯実情調査をいたしますとともに、これらの海上自衛隊艦艇が果して油類を放出したかどうかということにつきまして、十分調査いたしましたところ、油類を放出した事実はないということを確認いたしたのであります。また、ノリしびに漂着いたしました油を見ましても、これらの船舶が使っておる重油並びに廃油とは一見して性状が異なっておるというようなことがわかったのでございますが、万全を期する意味において、直ちにこれらの漂着油と、それから海上自衛隊艦船が使用いたしておりまするところの機関油並びにその廃油を、警察庁科学捜査研究所に送りまして、分析依頼したのであります。その分析の結果は最近わかったのでありまするが、お手元に配付してありまする資料でおわかりのように、この両者の油は異なっておるということに結論が出たのであります。また他方、海上保安庁におかれましても、丸善石油並びに神奈川県の警察本部分析依頼をされまして調査した結果によりますると、丸善石油の方の結果は、ノリ付着油分は他の油とその性状を異にしておる。もう一つは、ノリに付着した油は、ほかの油の中には見出し得ないという結論が出て、違っておることを確認されておるのであります。神奈川警察本部鑑識課の係の鑑定結果によりましても、同一質の油とは認められないという結論が出ておるのであります。分析の結果は、こういうように異なっておるという結論が出ておるのであります。  さらに、当時の海潮流、あるいは風向というようなものについていろいろ調査しましたところ、当時、防衛庁整備艦でありまする「うめ」が、木更津沖に在泊いたしておりましたのは、二十八日の十二時まででございまして、油がノリしびに漂着いたしましたのは、一番早いのは、先ほどお話がありましたように、三十一日の十四時ごろ、江川方面に漂着しておるのを最初発見したのでありまするが、当時の潮流とか風向というようなものから判断いたしますと、かりに、この警備艦うめ」の錨地におい廃油を流したといたしましても、それが流れ着くのは南方の大堀海岸方面であるということが、一応推定されるのであります。しかも時間的にいって、十四、五時間でその付近に到着する。どうもその錨地北東方江川に三日後に到着するというようなことは考えられないというような結論も出ておるのであります。またこの海潮流というような点につきましては、海上保安庁においてもほぼ同様の御見解を持っておるように聞いておるのでございます。また先ほどお話がありましたが、フリゲート艦が六隻その附近に停泊しておったということを言われておったのでありますが、当時停泊しておりましたのは、重油を使う船はフリゲート艦の「うめ」という警備艦でございますが、この一隻でありまして、その他の船はLSSL上陸支援艇と言いまして、これは軽油を使う船であります。この重油を使っておりまする警備艦うめ」は、先ほども申しましたように、二十八日の十二時に木更津沖を去っており、他の方は二十九日の七時三十一分まで在泊しておったのでありますが、これらのLSSLという艦艇は、重油を使っておりません。これは軽油を使用しておるのであります。こんなような事情から判断いたしまして、防衛庁といたしましては、どうもこの警備艦うめ」の廃油によるものではないというふうに判断をいたしておるわけであります。以上で終ります。
  14. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に海上保安庁警備救難部長から説明をお願いいたします。
  15. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 今、問題になっておりますノリ汚濁につきましては、海上保安庁といたしましては二月二日午前十時、横浜海上保安本部が、木更津航路標識事務所長から事件発生連絡を受けましたので、ただちに港内艇を派遣いたし、また関係者を派遣いたしまして事件発生状況につきまして、現場の調査なり、あるいはいろいろ関係者意見を聴取し、だんだん調査範囲を拡大いたしまして、私どもの関係いたしております一般船舶あるいは港湾に隣接しております工場諸施設、そういうことにまでも調査の手を広げましたし、また先ほど来御説明のございました海潮流関係も、かなり詳細に、広範囲にわたって調査したのであります。その結果によりましていろいろ検討を重ねました結果、先ほど千葉県の方からお話がありまして、海上保安庁調査によるならば、やはりフリゲート艦が停泊した区域における地区に油が流出した場合に、一番ノリ被害可能性があるという御説明がございましたが、これは私はここでは否定いたしません。しかしお手元に配付してあります詳細な資料をよく検討していただきますならばよくわかるのでございますが、何分にもあの広大な東京湾の全域でございますので、一応全般にわたって、海潮流その他のある程度の厳密さをもって調査したその資料によりまして、一応便宜上区画を区切って検討してみたのでございます。その区画が便宜上湾内を四区画と、湾口に近い方を一区画にいたしまして、あの広い海面を五つに分けて検討したのでございます。その結果といたしまして、先ほど千葉県の方の御説明にございましたような区域が、資料の中に、Eとございますが、やはりこのE地区に油の根源があった場合に、被害を受けました地区に最も流出あるいは漂流する可能性があると、こういった意味結論と申しましょうか、調査の結果でございまして、非常にE地区というのは広範囲な場所を指定してございます。それでまさしくこのE地区海上自衛隊の、船のおったことも事実でございますが、その停泊いたしておりました場所は、はっきりいたしますし、また停泊しておりました期間もはっきりしておるのであります。そういったはっきりした条件と、その前後における海潮流関係を当ってみまするならば、今までの調査によりますと、たとえ自衛艦がそこで油を流したといたしましても、現実に汚濁を受けました海面には行かないのではないか、こういった今までの調査の結果が出ておるのでございます。この詳細につきましては資料にこまかく書いてございますので、ここで詳細には重ねて御説明を申し上げる必要はないと思いますので省略いたします。  それから一番重要な資料となりますのは、自衛艦が持っております油関係、それとノリに付着いたしております油の分析の結果でございますが、これも私の方といたしましては、直接当然の関係として、神奈川県の警察鑑識機関にお願いして、厳密なる鑑識をお願いしたのでございますし、また油関係業者として相当信頼の置ける施設を持っておる丸善石油に、この鑑定を御依頼したのでございます。それと、そのほかの機関において御依頼になりました四つの鑑定結果から、いろいろまあ検討したのでございますが、これによりましても自衛艦の油であるということの断定はできないのでございます。従ってこの汚濁の根源を突くことにつきまして、現在までの調査によりますと、判然いたしません。いろいろ調査は続けておりますし、今後も続ける考えでございますが、今のところは、今申しましたような状態で、はっきりつかめないのでございます。以上で終ります。
  16. 江田三郎

    委員長江田三郎君) じゃ水産庁長官の……。
  17. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) ただいま各方面からお話があった通りでございまして、われわれといたしましては、この原因究明につきましては、海上保安庁連絡いたしまして、原因究明に努めるように努力いたしているわけでございます。なお、それ以外の点につきましては、転換その他の問題について千葉県と連絡いたしておるような次第でございます。
  18. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 以上関係当局説明がございましたが、御質問ございますか。
  19. 片岡文重

    委員外議員片岡文重君) 今それぞれの担当の部門から、それぞれの立場に立たれた御説明を伺ったのですけれども、伝えられるところによりますと、昨日か、一昨日、これらの関係の諸君は相会して、本日の答弁内容を御相談されたということですが、まあ答弁の内容ということではなく、その今までの研究の結果を持ち寄って、善後措置を講じたということであろうと私は考えるのですが、その会談の結論はどういうことになったのですか。今皆さんが御説明になられたことをそれぞれ主張されておられたのですか。その会談の結論一つお聞かせいただきたいと思います。
  20. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 海上保安庁が当初からこの問題につきましての関係官庁の会合、その他をあっせんいたしました関係上、一応私の見る見解を申し上げたいと思います。ちょっと日にちを忘れましたが、この事件が起きましてかなりたちました後に、いろいろ私たちの方の調査も一応完了いたしましたので、それをまとめましたのと、関係官庁のいろいろな御意見あるいは調査資料もいただきたいという気持からいたしまして、私の方でごあっせん申し上げて、会議をしております。中間報告的な会議をしたのであります。そういった中間報告的な会議をしておりました関係上、私の方といたしましてはその後のいろいろな調査資料を持ち寄って、もう一度、まあ結論が出るか出ないかわからなかったのでございますが、もう一度会議をする予定は立てておったわけでございます。それがたまたま昨日に決定したわけでございまして、仰せのごとく答弁に対する措置という考えではなかったわけでございます。前からの予定でございますし、会議の内容もそういうように進めて、できるならば結論を得たかったのでございますが、先ほど私御答弁申し上げましたことが、昨日の会合の結果的のものを含んでおります。それで一応会議として皆さんの御了解を得た一応の申し合せといたしましては、四カ所から出て参りました鑑定資料は、これは現実に非常に技術者、科学者の厳密な結果だとは思うのでございますが、やはり表現その他の言葉に若干の相違もございますし、あるいは相当技術的な説明も加える余地があるのではないか、こういう御発言もありまするし、また私どももそう考えましたから、もしできるならば海上保安庁としてお約束はできないが、相当みな権威の方でありますから、これ以上説明の要がないという御回答があるかも知れないが、一応これの担当者に技術者として、科学者としての御会合を願って、四者から出ました厳密な権威ある鑑定書について、さらに討議なり、あるいはもっとわかりやすく結論的のものが出れば結構だ、その会合を、一つ私の方で関係方面に当ってまた適当なときに会合を催したい、それが一つでございます。  それから海上保安庁といたしましては、先ほど申しましたようになお結論が得られませんので、自信はございませんが、さらに調査を進めるということも申し上げております。以上であります。
  21. 片岡文重

    委員外議員片岡文重君) 海上保安庁というところは、やはり沿岸の漁民にこういう種類の被害が起った場合には、その加害者といいますか、あえて害を起すに至った原因を究明するような仕事を担当しておられるのですか。
  22. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 特に水産資源その他に被害を及ぼしましたそのことに直接関係ございませんが、まあ一般海の関係におけるいろいろなことをやっておりますのと、それから直接関係は港則法というのがございまして、これは主として港中心の問題でございますが、港則法に一つ海上汚濁に関する規定があるわけでございます。それは港には法律で定められました港の区域というものがございますが、油その他海面汚濁するものを捨てることについて制限があるわけでございます。それは港の境界から一万メートル以内においてはみだりに油を捨ててはいけない、こういうものもございますので、その結果がまあノリに行きましたけれども、やはり汚濁物資を取り扱ったことの根源をいろいろ調査する必要はあるわけでございます。それがまあ直接の根拠と申しますか、こういうことでございます。
  23. 片岡文重

    委員外議員片岡文重君) そうしますと、この海上保安庁は一体発足したのは昭和何年ころですか。
  24. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 昭和二十三年五月でございます。
  25. 片岡文重

    委員外議員片岡文重君) そうしますと、今御説明下さったような問題について海上保安庁がその職権として働いておられるということになりますと、このノリの問題についても当然やはり発動されるということもわかりました。そしてまた海上保安庁は二十三年から発足しておられる。ところが、このノリ被害は、昨年もやはり同じように起っているはずであります。その被害の救済といいますか、ということはついに今日まで見られません。あそこの数千の漁民はついに泣き寝入りさせられました。千葉県の水産部長が今説明の中に言われたように、零細な漁民が泣寝入りをせられた。海上保安庁としては慎重にその根源を研究されたであろうと思うが、すでにここ一カ年余を経ているのですが、昨年の一体根源といいますか加害者といいますか、これはわかったのですか。
  26. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 昨年の加害者とおっしゃいますのは、私どもこの事件に関係いたしまして知ったわけでございますが、その当時の事情が、私どもの方が直接今回のように調査を始めるかどうか、ちょっと調べておりません。それと、今申しましたように、海上保安庁の直接関係としておりますものは、港則法の関係で、船舶運航の安全とか、あるいは油のために火災が起きるとかあるいは一般の衛生上の問題も多少ありましょうし、それと漁業資源の保護に対して、私ども、直接法規が出ました場合に、その法規の励行については、当然どの法規が出ましても、海上における法律の励行について責任を待っておりますからやるわけでございますが、その善後措置につきましては直接関係はございません。それで、海上汚濁に対してどれだけ厳密にやっておったかという問題でございますが、今申しましたように、直接船舶関係につきましてやればまだまだあったと思うのでありますが、こういう被害が起るような、油の流出するものを、事前にとめることができなかったのは残念でございますけれども、これはなかなかむずかしい問題だと思っています。
  27. 片岡文重

    委員外議員片岡文重君) あなたの答弁よく私にはわからないのだが、先ほどの御説明では、近海に、沿岸に近く、汚物を捨てたりなんかするようなことは、あなたの方でやっぱり取り締らなければならんでしょう。
  28. 砂本周一

    説明員砂本周一君) その通りでございます。
  29. 片岡文重

    委員外議員片岡文重君) そうしますと、昨年の二月にやはり同じように汚物が捨てられて、ノリ被害が現実に起っているわけであります。従ってその被害を与えた原因について、少くともだれが流出したか、何が流出したかは別として、その汚物によって被害があったのですから、その汚物がそこに捨てられたということは否定することはできないのですね。その汚物を捨てたものをあなたの方では調査しなければならないと思うのですが、それは調査されなかったのですか。
  30. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 昨年のノリ被害につきましてどの程度調査いたしましたか、私はっきり存じておりませんからなお調査いたします。
  31. 片岡文重

    委員外議員片岡文重君) 千葉県の水産部長に伺いますが、昨生の二月に起った被害については、海上保安庁その他には連絡は全然されておらないのですか。
  32. 吉瀬義信

    参考人吉瀬義信君) 関係漁民から議会方面、県その他関係官庁に出されておると思います。
  33. 片岡文重

    委員外議員片岡文重君) 海上保安庁には連絡をされているのですか、おらないのですか。
  34. 吉瀬義信

    参考人吉瀬義信君) 私、去る三月に赴任いたしまして詳細について聞いておりませんので、また後刻改めて調査いたしまして、お答えいたしたいと思います。
  35. 青山正一

    ○青山正一君 水産庁長官にお聞きしたいと思うのですが、この問題はあなたの方の全般的な管轄だろうと思うのですが、たとえば千葉県からそういった報告が、先ほど片岡さんのおっしゃったように、昨年なり、あるいは今年ですね、そういうような報告があった際に、水産庁長官としてどういう手を打っておるわけですか。海上保安庁にお願いしておるのですか。それとも東海水産研究所あたりにいろいろそういった問題を調査させておるのですか、その点承わりたいと思うのです。
  36. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 水産庁といたしましては、今回千葉県から連絡を受けまして、そうして千葉県の事情を承わりまして、なお千葉県の方におきまして石油の分析等がございましたので、それを関係省の方に連絡をいたしたわけであります。ただ石油の分析というふうなことは、実は水産庁の方ではその専門家がおりませんので、関係方面にそれぞれ連絡をいたしたわけであります。ただ昨年度の問題は今年の問題が起りましてから、実はわれわれは承知いたしたように考えております。水産庁といたしましては、もちろん全体の資源の問題及び漁民の問題でございますので、原因の究明ということにつきましては、これは海上保安庁にお願いいたしておりますが、それ以外の善後措置については県とも相談して行かなければならぬということで、調査もしたわけであります。
  37. 青山正一

    ○青山正一君 先ほどからいろいろ御意見を聞きますと、説明を聞きますと、千葉県の方のいわゆる報告と、それから防衛庁の報告と、それから海上保安庁の報告、皆それぞれ違うだろうと思います。そういった際において、あなたの方の下部組織は、これは千葉県の水産部であり、また試験場はあなたの方の管轄であるわけです。この報告を一顧だに見ないというお気持ですか、その点を承わりたいと思います。
  38. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 問題は、結局油の分析の見方の違いでございますが、海上保安庁から先ほどお話しございましたように、その専門家にさらに会合を願って、もう少し技術的な立場から検討していただきたいということを、われわれ水産庁としてもお話したわけでありまして、これは問題は技術的にもう少し掘り下げなければいかぬ。両方の技術的な見解の相違でございますので、これはそういう面で解決して行かなければならない、かように考えます。
  39. 青山正一

    ○青山正一君 防衛庁の方の関係の報告なり、みな報告をこうして聞いておりますと、ちょうどまるで平沢事件の平沢みたいのように、これは白か黒か今のところはっきりわからない。しかしながらこの水産庁という関係は、ただ単に食糧の増産とか、あるいは生産増強とか、そういった面にのみこれは集中すべき筋合いの官庁ではないのです。やはりこれは漁村政策、零細な漁業者をいかにして生活させるか、いかにして食わすかということをこれは考えて行かなければならぬわけです。それが、この片岡さんのお話を聞きますと、昨年度の方の関係、それも全然解決していない。今年もまたそういうふうな例で、この三人が三人とも三者の関係はみな結論が違っておる。それじゃ漁業者は一体どこによりどころがあるか。一つこの点をよく念頭に入れてこれは解決していただきたいと思うのです。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 全くわしらはしろうとで難解の事件でありますが、聞いておりますと、廃油海上に廃棄することは厳重にとめてある、こういうお話でございます。もしそれを廃棄しましたならば、これは重大なやはり一つの犯罪ともなるかどうか知りませんが、犯罪に類似したもの、あるいは犯罪と考えてよいと思います。そこで、事件は、現にノリ被害を与えておる。ただ油の検査だけをやっておられますが、当日の状況等から見て、千葉においてはこの船よりほかにいなかった。こういう潮流関係上、この被害を与えることを想定して当日おらなかった、そういう表現が出ておりますとすると、海上保安庁は、防犯の立場から、そういう不行き届き者があるいはフリゲート艦であったかどうかは別としましても、それがいろいろの調査機関を通じて、その沖合いを通過したとか、もしくはそれに疑いをかけ得るような船を御発見になっておるのかどうか、それらの点をまずお伺いしたいと思います。
  41. 砂本周一

    説明員砂本周一君) お手元に差し上げました資料にもその点かなり触れておりますが、今まで調べました範囲におきましては、これだという船が見つからないのでございます。それから海上のことでございますから非常にいろいろな、これだけ広い範囲におけるいろいろ大都会を周囲に持っておりますので、なかなかその根源はむずかしいということは言えると思うのでございますが、私どもの方で、できるだけのことは、さかのぼりまして船の運航状況その他調べたのでございますが、これはやはり限られた人の目撃したものを調査するとか、そういったもので見のがしたものもあるかもしれません。そういう状況でございます。  それから一応、先ほど申しました通り根拠でございますが、一応この問題で調査をいたしまして、事実その規定に触れれば犯罪でございまして、捜査になります。今捜査の段階でございますが、そういう関係におきましても関係の根拠と申しましては、港則法の二十四条にございまして、その条文を申し上げますと、「何人も、港内又は港の境界」、先ほど申しました「境界外一万メートル以内の水面においては、みだりに、バラスト、廃油、石炭から、ごみその他これに類する廃物を捨ててはならない。」というのが根拠法規でございまして、いろいろこの法規の運用につきましては、「みだりに、」とかいろいろございますが、そういう状態でございます。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 千葉県では、そういうものを流す船は、当日その前後を通じていなかった、こういうふうにお聞きしてよろしゅうございますか。
  43. 吉瀬義信

    参考人吉瀬義信君) そうでございます。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の保安庁の御説明に対して何か付加することがございますか。
  45. 内田一三

    参考人内田一三君) その当時漁民の方々のいろいろなお話を総合いたしました結果、われわれはフリゲートとよく言うのですが、何ですか、LSSTと申しますか、その船が沖合いで碇泊し、なお演習をやっておった当時には、大きな船は通っていない、漁民の方々は、そういうふうにはっきりと申しておられます。
  46. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 どうも今清澤さんの御質問にもあったのですが、この問題はどこかに害を与えた人があるに違いない。害をこうむっておるのだから、あるに違いないのであります。これを意識して害を与えることになったか、あるいは無意識にやったか、それはわかりませんが、三者の御意見を聞いてみますと、被害を受けた側の千葉県では、どうもその当時の事情からして、海上自衛隊の船があそこにおったから、どうもそれは同じような油を使う船でもあるし、多分それであろうという推定のもとにこれを論じられておるようであります。一方自衛隊の方では、なるほどそこにおったけれども、油を使う船は、この種の重油を使う船は一そうであって、他は軽油を使っておる、全然油の性質が違う、とにかく重油を使う船は一そうである、従って自分の方の船が使った油ではないと言う。海上保安庁では、分析の結果、どうも海上自衛隊の使っていた油ではないというふうに断定をされておるようであります。ところでこの油にもいろいろあると思うのですが、重油もあれば軽油もあるし、あるいはまた潤滑油もあると思います。船が航行する、あるいは停泊する場合はよくビルジを引くわけですね。廃油を出すのです。出して流す。東京湾全体から考えますと、横須賀もあるいは横浜も、その他各地で油を使う船はたくさんおるはずです。ただかような一定の、特定の時期にこういうような大きな被害があったということは、何か特別の事情があったに違いないと私は想像するわけでありますが、一方千葉県の方では海上自衛隊の船が流したのじゃないかということを言われますが、自衛隊の方はどうなんですか。自分の方ではないが、これはどこの方面から来たものであろうかという想像はつきませんか。これは今清澤さんの御質問に、保安庁ではまだわからぬというお話でありますが、自衛隊の方はどういうように見ておられますか。おれの方ではないというだけであって、その犯人といいますか、原因はこんな人じゃないかというような研究は何もしておりませんか。一番の被疑者みたいになっておるのですが、その点もよく御考慮に入れて研究すべきだと思いますが……。
  47. 林一夫

    政府委員林一夫君) よそのどこの船が流したかというようなことについては、まだ調査していないのです。もっぱらわが方の船について十分調査しております。ただいまお話がありましたように、重油を使う船は警備船一隻であって、しかもそれは一月の二十八日の十二時にそこを去っておる。しかも当時の海潮流から言って、海上保安庁の方から御説明があったのでありますが、漂着する場所が、海潮流から言うと計算とはずれた方向に着いておるというようなこと、またその分析の結果が、どうもみな警察庁科学捜査研究所、それから丸善石油の結果も、いずれも異なっている。また、その千葉県の方でされた分析の結果によりましても、漂着した油は機関用の重油に似ておるというだけでございまして、同じものであるという結果は出ていない。こんなようないろいろなわけでございまして、私の方としては、また過去におきまして、従来湾内でもって汚物を捨てるというようなことについては、厳重なる命令を出しておる。再三再四このような事件が起らないように、このような事件を防止する意味において厳命を出しております。私どもの方の調査した結果によりますと、現在のところ、この警備船の船による被害ではないというような考えを持っておるわけです。
  48. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう一点。そういたしますと、これは三者の中には、どなたも油の研究家はないと存じますが、どうもくっついている油は二者のうちにないのですが、そうすると、分析の結果出てきたところの種類の油を使っている船、あるいは工場と申しますか、そういうものはどういうように扱っておりますか。漁船が使っているか、商船が使っているか、あるいは自衛隊式の、あるいは海上保安隊等の船、いろいろ船の種類があって、仕事もおのおの違っておりますが、この分析の結果出てきたところの油は、どういう船が主として使っておるとお認めになりますか。こういう油は全然ないのだとおっしゃっても、ないものが流れるはずはない。どこかの船か工場が使っているのじゃないか。私はそういう面の知識は全然ございませんが、海上に流れ出て、しかもそれが廃油であるということになれば、あるいは一種でなくして、先ほど申しましたように潤滑油も入っているかもしれない、あるいは軽油も入っていやせぬか、重油も入っていやせぬか、こういうものがこんがらがって流れて行って、水中で多少の科学的変化を起しているのかもしれない。私はしろうとでわかりませんが、そういう結果変なものができている。一種のカクテルみたいな油が出ているのかもしれないけれども、この主成分たる油は、あるいはC重油か、あるいはB重油、あるいはA重油であるか、こういう重油としたら、どの種類の油はどういう船がもっぱら使っているかということをせんさくして行くと、だいぶ捜査範囲が狭められるのではないか、そのお見込みは保安庁どうですか。
  49. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 先ほど申しましたように、分析に直接当られたその方面の権威者に集まっていただいて検討してみようというのも、ねらいはそこにあるわけでございます。私どもの考えといたしましては、現実につきました油の問題もございますが、今仰せの通りいろいろな、油に限らず、あの広い海面調査いたしますと、いろいろな浮遊物が集合したり、帯状になったり、いろいろな状態が流れているのが事実でありまして、ただ一種類の油でないのではないかということも一般には考えられます。そういうこともございまして、できれば関係者に会合を願って、先ほどお話のように、現実についた油そのものを、常時使うとか、どういう油かということもただしたいと思うのでございます。現在の段階では、被害をこうむっておりますそのサンプルと全く同一な油を、どこで使っているのかということを、まだ精密に調査しておりません。
  50. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私はずっと古い話でありますが、長崎県でこういった種類の大きな被害を目撃したことがあるのです。重油タンクが漏れまして、これが海上に流れ出た、従って七、八里の海面がまつ黒に塗られた、これは御承知のように潮のさしひきによって表面についているから、ずっと乗って行くのです。潮が上るたびにずっと乗って行く、海草も貝類もみなだめになってしまう、そういう事例が、むろん戦前でありますが、ひどい被害があったこともありますので、こういう場合にははっきり原因が上っておりますが、東京湾内には工場もたくさんあるはずです、それから先ほどから申しますように、船も必ずしも日本の船ばかりじゃない、外国船もいろいろ出入りしている。普通漁船で申しましても、機械を拭うところの油の強いウエイスはよく海へ捨てる、捨てちゃいかぬと言うが、よく捨てる、従って港内には油は相当浮いておりますが、しかしこういうものはこんな大きな被害を与えない、どうしても相当まとまったものが流れて来なければ、こんな被害を与えて、ノリにつくとか、あるいはロープにつくとか、岩につくことはあり得ないと私は想像する、私どもは海の方の関係でしょっちゅう海岸を廻っておりますが、しかしたくさん船の出入りする港で海面がまっ黒になっていることはございません。従って、これは何か特殊の事情によって相当量の油が出たものと私どもは想像するのです。そういう観点から、船ばかりでなしに工場その他も当ってみる必要がありはしないか、ちょうど時を同じうして、自衛隊の船がいたということによって、そこに疑いがかけられておりますけれども、これは必ずしも使っている油と一致しないということであれば、そういう油の種類から原因を探求して行きませんと、今後、昨年も出たということでありますが、今後またそういうものが出るかも知れない、出るたびに五里霧中じゃ漁業者はたまったものじゃありません。そういう意味において、根本から私は逆に探して行く必要がありはしないか。千葉県もありましょうし、その他東京でも重油を使っている工場はたくさんあると思う。
  51. 千田正

    ○千田正君 今の秋山委員のお尋ねはごもっとものことと思いますが、これは千葉県は千葉県として相当考えて、その辺の事情も十分調査なさっていると思います。それで私は海上自衛隊に伺いますが、海上自衛隊海上保安庁とは、これは兄弟みたいなもので、われわれからみれば、あなた方ぐるになってどうでもいいのだということではないだろうと思いますけれども、もう少し真剣に考えてもらいたい、ということは、今までの海軍と違ってこれからの海上自衛隊なるものは、国民の協力を得なければならないのでありますから、現実に起きてきた問題を科学的にそれを分析してみるというと、おれの船が使ったんじゃない、こういう結論でお答えになるかもしれないけれども、もう少し国民のいわゆる自衛隊としての考え方からいって、もしもかりに、それが研究の結果そうじゃなかったとしても、一体そういう漁民に不安の観念を与えない方法はどうすればいいかということを考えておられますか。その点を一つはっきり根本的な問題としてあなた方から承わっておきたい。
  52. 林一夫

    政府委員林一夫君) 今度のような事件に関しましては、先ほども申しましたような、このようなことが起らないよう防止する意味において再三厳重なる命令を出しております。もちろん今後もそのようなことのないよう、汚物その他油類の投棄というようなことをしないように厳重なる注意をして行くつもりでございます。
  53. 千田正

    ○千田正君 それで、それだけで私は済まないと思う。今度の問題は、少くとも疑いはあなたの方にかかっておるのだから、かりにそれは科学的な検査の結果、わが方ではないと先ほども断定されておられるようでありますが、それだけでは私は済まぬと思う。もっと進んで、かりにあなた方の方じゃなかったとすれば、だれかがそういう損害を与えたものがある。ですからあなた方の船があそこに繋留しておる以前、あるいはその周辺、そういう問題をもう少し究極まで推し進めて調査される意向がありますかどうですか。そういうことをよくやらなければ、ただ科学的な結果はこういうふうに出たからおれの船じゃないのだ、お前たちに疑いをかけられて非常に迷惑だ、そんなことだけでは海上自衛隊の今後の発展ということは認められない。ですからもっと親切に国民の協力を得るという海上自衛隊の根本的な考えから言って、もっと積極的に、進んで自分ら以外にそういう問題を起すようなものはなかったか。こういう問題について進められるところの考えを持っておられるかどうか、その点はどうですか。
  54. 林一夫

    政府委員林一夫君) ただいまのお話の、こういう事件を防止する意味においても、この際原因をはっきりさして、今後の対策を講ずる必要がある。その見地から行きましても大いに十分の調査をする必要があると思う。ただいまお話のような点につきましては、今後所管官庁と考えられまする海上保安庁連絡をとりまして、大いに調査したいと思っております。
  55. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 海上保安庁の方に私ちょっとお尋ねしますが、あなたの方から出ている報告で読みますと、この十六ページからずっと十七ページ、十八ぺージ、十九ぺージとありますが、とにかく定期航行の船も五百隻からある。その辺におる船も一月末に漂流油を見てはおらぬということが書いてあり、それからそのほかずっとこう書いてありますが、どれもその原因ではないというように書いてありまして、結局残るのはロの(ii)のところの、さんらもん丸、第三鷹取丸についてはあるいはそういうことがあり得るのではないか、これを読むとそういうことが受け取れますが、そう解釈してよろしいですか。
  56. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 恐れ入りますが、何ぺージでございますか。
  57. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 十七ぺージの口の(ii)のタンカーというところです。それを読むと、一月十八日に、さんらもん丸というのがビルジ投棄をしておる、それから第三鷹取丸は一月十二日に蒸気注入をしておるというふうに書いてありますから、これを読みますと、まずこの二つの船はちょっと怪しいと、こういうことになりますか。
  58. 砂本周一

    説明員砂本周一君) これはタンカーの取り扱い方につきまして前段で説明いたしておりまして、その実例として次の例を掲げまして、それをずっとたどって見ました結果、これが特に廃油を多量に流したということはないということになっていると思いますが、従ってこれが非常に疑いがあるというふうには考えておりません。
  59. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっともう一ぺんお尋ねしますが、これを読みますと、とにかくタンカーで廃油を出す場合もあり得ると、そうしてその場合に、今まで調べたところでは、このさんらもん丸と、第三鷹取丸は、いずれもこういう作業をしているというので、若干疑いがかけられるのじゃないかと見えますけれども、今のお答えでは、そうじゃないということなら、そうじゃないでもいいんです。おそらくそうじゃないだろうと思うのです。一月末日に何しろ五百隻以上の船を聞いて見ても、どれも油が流れてなかったというのですから、だからどこにも原因がないということですね、これから行きますと。そうしますというと、被害は厳然としてある。ところが海上保安庁というような、このような優秀な組織を持っておられても、その原因たるものはどこにもないというと、まあ幽霊のようなことになるのですが、もしそういうことになると、やはりこの漁師の人が見て、重油を出す船のフリゲート艦がおった。それから軽油を出す可能性のある上陸用舟艇ですか、そういうものがおったということになれば、それはいわゆるわれわれの率直な、あるいは漁師諸君の率直な考え方として見れば、犯罪のあった現場にあれのちらっと姿を見たのです。あれが一番疑いが濃いんじゃないかというのは、これは当然だと思うのです。しかもその際に、先ほどお話で行きますというと、このフリゲートの油とは違うというお答えも出ているけれども、似ているんじゃないかという答えも出ている。それから防衛庁の防衛局長お話でも、重油であるかもわからぬけれども、あるいは軽油であるかもわからぬということになると、これはしろうと感覚の、ちらっと姿を見せているやつが一番危いぞということにならざるを得ぬと思う。しかも、あなた方の方でそうじゃない、ほかのものが何かあるということを出されるならともかく、そうじゃなしに、個々に五百何十隻からの船を一々聞かれて、そうして廃油が流れておったものは一つもない。いろいろなケースがあげてあるけれども「本件には関係ない」とか、「その必要性もない」とか、「見当らない」とか、あるいは「原因には該当しない」とかということばかり書いてあるのですから、やはり一番筋の濃いのは防衛庁ということにならざるを得ないと思うのですが、従ってただ私はこの重油分析が違ったから——違うのもあるのですからね、似ているのも、——それだけで防衛庁の方は一切責任がないということは、ちょっとそういう言われた方は無理じゃないかと思うのです。そういう点についてこの海上保安庁なり、防衛庁というものはどうお考えになっているか。それからさらにこの水産庁の長官としては、この原因の究明を、水産庁としては海上保安庁依頼することだけで足りているのかどうか、水産庁というのは、海上保安庁だけに原因の究明を依頼すればそれでいいのか、ほかにただすところはないかどうかということについては、水産庁は一体どうお考えになっているのか。それから善後措置については千葉県と連絡しているというが、善後措置とは一体何か救済措置を含めて考えておられるのか、それについて関係者にちょっと答えてもらいたい。
  60. 片岡文重

    委員外議員片岡文重君) ちょっと関連して……。大体この事故が起ったのは、昨年の一月末から二月にかけて、今度で二回目で、それで自衛隊の演練というのですか、演習というのですか、それがないときにはこういう事態は起らない。それから五百そうか、五十そうかの船を調べたとおっしゃるけれども、海を通るだけであって、ノリしびをつけるような近海は通らない。従って見ないのが、これは当り前で、そういう点についてどう考えられるのか。つまりフリゲートが来ているときでなければそういう事故は起きないということ、それから昨年の問題ですが、千葉県も水産庁も保安庁も防衛庁もみな昨年のことは知らないような御返事であったけれども、現に昨年の二月九日、衆議院の予算委員会で、千葉県選出の吉川兼光君から質問がされておる。そのときに、時の防衛庁長官であった木村篤太郎君が最後に、ノリの繁殖しているところへわざわざもっていって遊弋するということはこれはいけないことであります。さような点は事実だとすればさようなことのないように将来十分注意していきたいと、こう考えます、とはっきり述べております。少くとも国会で取り上げられた問題を所管のそれぞれの官署が知らんということはあり得ない。それから被害漁民も数次にわたって上京し、あるいは県庁へ行って陳情もしておるはずである。で、調査調査中ということで今日まで及んでおるのですから、これらについてもやはり今の委員長のお尋ねになった点につけ加えて明確に一つ御返事をいただきたい。
  61. 砂本周一

    説明員砂本周一君) これは今後の調査によりましてはっきりと根源がわかった場合に、振り返って見て私どもの調査が非常に迂遠であっていらざる方面に手を回した結果になるかもしれませんが、しかし私の方の行き方といたしましては、可能な範囲はできる限り広範囲に調べてみませんと少くともわからないものでございますから、かなり多数の船にも、これ以外にもまだ抜けておるかもしれませんが、やりました範囲を御報告したわけでございまするが、当りました範囲においてはこういう結果が出ましたということであります。これは船に限りません。最初ちょっと申しましたように、また秋山委員から御質疑もございましたように、やはり私ども当初から陸上関係施設にも当然関心を持ちまして、四十五カ所の工場も相当厳密には調べておるわけであります。そして非常に広範囲な調査によって結局根源をつかなければならないので、相当と申しますか、東京湾全体にずっと関心を持ちまして調査を進めました。  それからフリゲートの問題でございますが、これも現実におったこともはっきりしておりますし、その点から考えますならば今の段階からいたしまして、その位置と時間的関係においノリ汚濁されましたその地域に対して今まで調査いたしました潮流海流、これによって判断しますならば、フリゲートのいた場所が油が流出しても、そこは現実に汚濁されたあの状態にはならないということが一応出た。これは重ねて申しますが、今までいろいろ調査部その他の資料によって判断したわけでございますから結論ではございませんが、現在ではそういうことであります。
  62. 江田三郎

    委員長江田三郎君) そこで聞きますが、完全犯罪というようなことはあり得ないというのだけれども、あなたの話を聞いておると完全犯罪みたいになってしまって、少くともあなた方の能力から調べたのでは完全犯罪みたいなことになってしまいます。そういうことが一体あり得るのかどうか。陸上の工場を調べてもそれはないようだし、船の方もないようだし、どこにもないが、ノリは厳然として一億何千万円の損害をこうむっておる。しかも被害者零細漁民だ。そういうような、どこへいっても何もわからんということになったら、水産庁どうするのですか。これは完全犯罪としてみんな泣き寝入りをしなければならんのですか、どうするのですか。私は先ほどちょっと申しましたけれども、やはりあなた方は潮流関係だ何だと言われるけれども、これは関係漁民としては目についていたのが一番嫌疑濃厚だということにならざるを得んのですから、その点はただフリゲート艦もそうじゃない、これもそうじゃないというだけでなしに、大きいですよ、問題は、零細漁民にとって一億一千万円というのは。ただこれをどれもこれも当てはまらんということでなしに、完全犯罪にしてしまうのじゃなしに、何か私はやりようがあると思うのですよ。
  63. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 先ほど委員長のどこに調査を頼んだら適当か、こういうお話がございましたが、これは先ほどお話ございましたように、船の航行の関係潮流関係、各般の資料をお持ちになっている海上保安庁が適当ではなかろうか、こういう意味でわれわれは海上保安庁に御連絡をいたしたわけでございます。ただ、この原因の究明、あるいはそれに基く犯罪等の問題とは別にいたしまして、水産庁といたしましては、今後の関係漁民の更生と申しますか、漁場、漁業の転換とか、金融の問題とか、そういう点について、当該県でございます千葉県ともよく話をし、われわれとしてもどういう手を打つかということを検討いたしているわけでございます。
  64. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 防衛局長はどうお考えになっていますか。
  65. 林一夫

    政府委員林一夫君) 私どもの方としましては、この事件が起ってからすぐ調査員を派遣しまして十分現地調査し、艦艇についても十分調査し、その後千葉県庁なり海上保安庁とも十分連絡をとりまして調査いたしました。なお、その結果は先ほどから申し上げましたように、当時重油を使っておったフリゲート艦、一隻でございますが、そのフリゲート艦廃油流出したという事実はないということと、それから潮流関係、あるいは化学分析、これも警察庁科学捜査研究所で各種の化学分析を慎重にやった結果違っている。またその他海上保安庁の方でおやりになった化学分析調査もその性質が違っているというような結論が出て来ましたものですから、現在のところこのフリゲート艦による被害ではない、こういうふうに考えている次第であります。けれども、先ほどからいろいろ化学分析について御疑念があるようでありますから、先ほど海上保安庁からの話もございましたように、化学分析に当られた方に十分また御意見を聞いていただけばよくおわかりになることと思います。
  66. 千田正

    ○千田正君 水産庁長官に聞きますが、こういう水質汚濁の問題は、前から農民とか漁民とか、零細な日本の生産農民や漁民がいつでもこういう問題で泣き寝入りになっている。私は数年前に国会から派遣されて島根県に行ったのですが、近代産業のために漁民が生きていけなくなっている。ダイナマイトで工事場を破壊する寸前にわれわれが行ってようやく解決をしたこともある。同じようなことが再三再四行われるということは私は実に遺憾だと思う。この問題はあくまで究明されて、零細な漁民が近代産業、大体今度は防衛庁のものがほんとうだとするならばそういう問題も加わってきて、零細な漁民や農民が苦しむというようなことがないような方法を考えなければならない。長官としてはこの際しっかりした考えをもってこの問題の究明に当ってもらいたい。それだけの心がまえを持っておられますか、どうですか。
  67. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) ただいまのお話の根本問題として、水質汚濁の問題は水産庁としても非常に重視をいたしておりますし、これは最後的には立法措置によらなければならないということを考えておりますが、水産庁としてもいろいろな水質汚濁の原因調査をして、昨年でございますか、一昨年でございますか調査をいたしているわけでございます。まだ立法措置までには参っておりませんが、と申しますのは、これは水産庁のみならずあらゆる面に関係するものでございます。水産面の調査はわれわれとしては十分やり、またその根本的対策については、これは水産庁だけではなかなか解決できないことでありますが、水産庁としては努力していかなければならんと考えております。
  68. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 水産庁長官に申し上げますけれども、そういうりっぱなことを言われても現実に一億一千万の損害が起きた事件について、だれが一体やったのか一向わからん、こういうようなことではどんなものを作ったところで仕方がないじゃありませんか。それから、あなたは調査については海上保安庁が一番適当だからとお考えになってやられたと言うのですけれども、先ほど千田委員の質問の中にもありましたように、どうもやはり漁民諸君の感覚からいくというと、防衛庁というものと海上保安庁というものは、まあ兄弟くらいじゃないかという感覚を持っているのですから、それは前谷長官、もう少しお考えになっていただきたい。やはりそういうことだけで被害を受けた漁民諸君を納得させようというのは無理だと私は思う。その点はほんとうにこの働く人々の立場に立てば、あなただってもっと一方的に、海上保安庁だけに調査を頼むのでなしに、もっと水産庁としては違った角度からも調査をして、被害を受けた諸君の納得を得るような措置を考えるべきだと思うのです。それでいろいろ申し上げましても、これはちょっと今のところ水掛論になりますので、ちょっと休憩いたしましてこの問題の扱い方は協議したいと思います。  速記を中止して。   〔速記中止〕
  69. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは速記を起して。  先ほど来の問題につきましては、後刻なお協議を願うことにいたしまして、この際ちょっと時間の都合上海馬島における難破漁船の件を議題に供します。  この件につきましては五月二十四日の委員会において問題となり、政府当局善処が求められておりましたところ、過日新聞によりますと、本月三日ソ連赤十字社長から日赤あて、遭難漁民の遺体引き渡しに応ずる旨の回答があったとのことでありますが、本日これらの事情及びそれに対する政府の措置等について説明を聞き、御協議願いたいと存じます。  まず、政府当局説明を求めます。外務省参事官寺岡洪平君。
  70. 寺岡洪平

    政府委員(寺岡洪平君) もうすでに御承知の通りでございますが、三日にソ連側から、ソ連赤十字から返事が参りまして、ソ連側といたしましてはソ連側の手でこの四つの遺体をもって、大体宗谷海峡の向うのクリリオン岬十二海里の南のソ連領海のはじまで持って出るから日本側でとりに来い、日本側の船の名前並びに到着時間並びに責任者の氏名、それを実際の引き取りの十日前にその氏名を通報してくれ、こういうふうな要求が来ております。そこで直ちに外務省としましては海上保安庁と水産庁の方にも連絡いたしまして、水産関係の遺族の方々からもぜひ死体引き取りに立ち会いたいということもございますので、現在その人名につきまして連絡をいたすことになっております。会議は本日の午後聞くことになっておりますが、すでに決定いたしましたところは、日赤の代表をお願いいたすことになりまして、船は海上保安庁の船を使わしていただくことになっております。海上保安庁もその日時が決定いたしますと稚内所在の巡視船を派遣する、その巡視船の中には約四、五名の余裕がありますので、遺族の代表並びに通訳等を含めまして四、五名の人選をする、こういうふうになっております。
  71. 千田正

    ○千田正君 その準備を早くやられてそうして引き取りを完了されることを望みます。同時に、ちょっとお尋ねしておきまするが、今後も日ソ間の国交を回復しない間は、ただいまのところ北洋において漁船が操業をやっております、大自然との相手のことでありますから暴風雨その他において同じようなケースが起きないとも限らない、それで日ソ国交の回復がはっきりしない間は、当分の間そういう問題が起きた場合においては、日赤を通じて処理を行うという外務省の方針でありますかどうですか。その点を明らかにしておいていただきたい。
  72. 寺岡洪平

    政府委員(寺岡洪平君) 本件は、実は現在日ソ間に交渉が進行中でございまして、私どもとしましてもこの死体引き取りばかりでなく、漁業の問題につきましては従来から直接交渉の機関をもちたいということを希望いたしております。従いましてもしも国交調整に至らない場合におきましても、私どもといたしましてはできるだけ正当の機関を設けまして交渉ができるようにしたいと考えております。現在日赤を選びましたのは死体引き取りと、いわゆる抑留者の返還というものを過去において比較的順調にやっておりますので、この際これを利用するのが一番便宜だと考えただけでございまして、将来に対しましてはもっと正式の機関があるようにと考えておりますので、そういうつもりで努力いたしたいと思います。
  73. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではこの問題はこれで御了解願ったこととして終ります。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  74. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて下さい。  先ほど来問題になっております千葉県のノリの事件につきまして、取扱い方の懇談を続けたわけでありますが、その際懇談会の間に出ました意見を元といたしまして、委員長の方から二、三お尋ねしたいと思います。  何にいたしましても現実に被害があるということは、これはだれしも否定できないことでありまして、その被害がありながら、それがどこに原因があったのかわからんということは許さるべきことではないと思います。いろいろの担当されるところの役所の組織が不十分であるとか、経費が足らんとかという面がありましても、もっと私は何とか被害を受けた諸君を納得させるような原因の究明があってしかるべきだと思うのでありまして、そういう問題について、なお今後とも関係官庁の間で被害調査をお続けになるかどうか、その点どうですか。
  75. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 今後も調査を続けます。ただ今までの調査で根源がつかめないのは残念に思っておりますが、調査は続けます。それからちょっと言葉を返すようですが、決して今回の調査について、防衛庁だから手かげんをするということはございませんし、今後もいたしません。
  76. 江田三郎

    委員長江田三郎君) だから、そういうこの被害調査に当りましては、ただ今までのような関係者だけがお集まりになるだけでなしに、もっとこの方面について適切な知識を持っておられるところの科学者その他をも加えて調査なさいますか、どうですか。
  77. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) この調査につきましては、それぞれの方といたしまして調査をいたすわけでありますが、特に油の分析につきましては、具体的に分析されたほかに、大学の先生も入っていただいて原因を究明するようにわれわれとしてはお話をしておる次第であります。
  78. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それからこの調査は早急にと申しましてもなかなか化学的な処理でもございますから、そう一両日というわけじゃございませんけれども、なるべく早急にやっていただきたいと思いますが、さらにこの善後措置につきましては、これは調査調査としてやはり急を要することなのでありまして、水産庁としても先ほど来長官の方でいろいろお考えのようでありますが、この善後措置については防衛庁としてはその善後措置の中にお加わりになりますか、どうですか。ともかく先ほど私ちょっと申しましたように、フリゲート艦の油でないかもわからない、しかし、そうであるかもわからない、まだないという答えばかりが出ているわけじゃないので、しかもこの原因というものは今後調査していかなければ最後的にはわかりませんが、さらに防衛局長もおっしゃったように重油の油かもわからんが軽油の油かもわからんというような問題がありまして、そういうような理論的な問題でなしに、先ほど委員長から言われましたように、防衛庁というものがほんとうに国民と親しみのある防衛庁として将来立っていこうとするためには私はやはり政治的な御配慮をなさることが必要じゃないかと思うのでありまして、そういう立場から今後の善後措置について防衛庁の方でも水産庁と一緒になってお考えになるという意向はございますか。
  79. 林一夫

    政府委員林一夫君) 私の方としましては、実は私の方の艦艇だったらこれははなはだ御迷惑だということで十分調査した結果、できるだけの調査をした結果、先ほどから繰り返して申し上げましたような結果になったわけであります。現在のところでは私の方の艦艇による被害ではないという判定をいたしておるのであります。今後海上保安庁調査されるときには十分協力して、さらに原因の究明をやりたいと思います。もう一つ、お言葉をまた返すようで恐縮なんでございますが、先ほど私が軽油の油か、重油の油かわからないというようなことを申し上げたように委員長は申されましたが、そういう意味で申したわけではないのであります。千葉県庁の方で東大の水産研究所ですか、その分析依頼された結果を見ますと、漂着した油は機関用の重油に似ているという結果が出ておる、同じものではないということを申し上げたわけであります。その点は一つ誤解のないように……。
  80. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっともう一点お尋ねしますが、そういう、軽油であるとか、重油であるとかということは枝葉末節の問題ですから、要するに私は結論が出ていないということを言っているわけです。あなた方は十分調査の結果防衛庁関係ではないと今言われますけれども、今おっしゃるように、今答えがありましたように、これからなお原因の究明をやろうというのですから、あなたの方だけ一方的にそうおっしゃいましてもまだまだこれからどういう答えが出るかわからん。だから、そういうことは、今あまり早急にあなたの方だけ一方的に断定されるのはどうかと思いますから、それはそれとして、原因の究明は原因の究明として、いずれにしたところでこれは善後措置をしなければならん。その善後措置についてはかみしもを着た立場でなしに、もっと水産庁と一緒になった善後措置について協力をなさる御意思があるかどうかということなんです。
  81. 林一夫

    政府委員林一夫君) 大いに協力いたしたいと思います。
  82. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとお諮りいたしますが、原因の究明については、なお、今後とも従来の関係者だけでなしに、学識経験者をも加えて、続けて早急に結論が出るようにやっていただくということ、それから善後措置については水産庁が独自の善後措置をするだけでなしに、防衛庁もこれに大きな立場から一役買ってもらうということ、そういう方向で進みまして、なお、根本的な海水の汚濁の問題につきましては、これはこれとしてまた別途取り上げるということにいたしまして、一応本日のところはこの程度にして、もう少し様子を見るようにしたらどうかと思いますが……。
  83. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと一つだけお聞きしたいのですが、海上保安庁資料の六ぺージの五ですが、「Eの区域において投棄された場合」云々と出ておりますが、「特に盤川鼻沖合で投棄されたときにおいて、その可能性が多いと思われる。」と書いてありますが、盤州鼻沖とはどれなんですか。  それからもう一つ潮流の図面がa、b、c、dとたくさん出ておりますが、当日はどの潮流が該当しておりますか。それを中心にして盤州鼻沖だと言われるのか。これを一つ。二点だけお聞きしておきたい。
  84. 砂本周一

    説明員砂本周一君) 盤州鼻沖と申しますのは二ぺージの図面の一番上の方に突端が出てございますが……。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 潮流は……、潮流図面はどれを参考にしたのでありますか。
  86. 砂本周一

    説明員砂本周一君) これはここに区別して書いてございますが、七ページの冬季の海流、これは海流でございますね。それから朝夕による潮流、それと、それの総合的な……。
  87. 江田三郎

    委員長江田三郎君) その問題につきましては一つあとでよく御説明願いたいと思います。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、あまりめんどうな、専門的なことは要らんのですが、当日の潮流がどうで、風がどうで、それで大体盤州鼻沖の何メートルくらい先からこれを流したか、こういうようなものをはっきり一つ出していただきたい。これだけのしっかりしたものが出るくらいならばそのくらいのものは出ると思いますので、それを一つはっきりしていただきたいと思います。
  89. 砂本周一

    説明員砂本周一君) それは出します。ただその時刻、場所風力その他も表にございますが、まとめまして資料提出いたします。
  90. 東隆

    ○東隆君 委員長お話がありましたからいいと思うのですけれども、この事件の場合に私は防衛庁関係が実は被告のような位置に立っておると思うのです。そこで局長に一緒にやってもらっても仕方がないと思います。それで私はもう少し防衛庁を対象にして調査を進めることが必要じゃないかと思うのです。そういう意味で、それに協力をするという意味はそういうふうに解釈をしていただきたいと思うのです。
  91. 戸叶武

    戸叶武君 千田君が前に申しましたように、この問題の事実を究明するのに今までのような官庁側のやり方に対してわれわれ不満です。おそらくはもっと範囲を拡大してやってみたらどうか、なんといってもやり方が同じなのだから結局あいまい模糊として結論が出ないのにきまっておる。これはやはりもっと素朴な形においても現地漁民の声を率直に聞かなければ官庁側のあいまい模糊たる調査報告によって漁民がいつまでたっても納得できない結果を招くと思うのです。これはバス一台でも行けばわかるのだから、やはり率直に沿岸漁民の声を聞いて、そうしてそれによって問題の所在がどこにあるかというのをわれわれが確かめて、またそれによってどういう研究調査方式を持たせなければならぬかということも出てくるのだと思いますが、今まで聞いていた限りにおいてはあんなやり方によっては私は結論は出てこぬと思うのです。そういう意味において少し国会側が漁民と直結してこの問題の究明に当るような施策を私はやる必要があると思うのです。
  92. 江田三郎

    委員長江田三郎君) お話しするのを忘れておりましたが、先ほどの方向に、さらに先ほど来懇談のうちに出ましたし、ただいま戸叶君からも御意見がありましたが、当委員会としても適当な方法をもって現地調査を行うということ御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それじゃ、そういう工合にいたします。  これは日程その他具体的な方法は御一任願いたいと思います。
  94. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 あの問題についての委員会は、ここにまた参考人なり何なりお呼びになる御意思ありますか。
  95. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 問題の進展によってそういうことも必要かと思います。
  96. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もし、そういう場合には機関長なり機関士などという、現実にその油を使っている人も呼ばなければわからぬと思いますが、そういうチャンスがありましたら……。
  97. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ただいまの秋山委員の御意見は適切な御意見と思いますので、今後十分にそういう点取り上げていきたいと思います。  それではこれで休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ——————————    午後二時四十二分開会
  98. 江田三郎

    委員長江田三郎君) では、ただいまから委員会を再開いたします。  委員の小林孝平君が森崎君とかわることになっておりますが、きのうの議運の手続が間に合わなかったそうでございまして、本日小林君に委員外発言を許してよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 江田三郎

    委員長江田三郎君) では、そういたします。  それでは本年度の予算に関係いたしましていろいろ検討すべきことがございますが、その中で、先般申し上げましたようにその局の関係の法案が出ているものは、その法案の審議のときに一緒に予算関係の審議を願うことにいたしておりますが、改良局と畜産局の関係は法案がございませんので、それだけ別個にその局関係の予算の審議をいたすことをこの前申し上げたように運んでいきます。  そこで本日は、まず第一に改良局の関係について審議を進めたいと思います。何か改良局の方で御説明なさることがございますか。……それじゃあ最初に、改良局の方の局長に大体の本年度の予算の内容等につきまして御説明願います。
  100. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 改良局所管関係におきますところの三十年度の予算要求の概要でございますが、総額といたしまして四十九億四千万円になっております。前年度は四十八億五千五百万円……約六百万円、四十八億五千六百万円ということでありまするので、ほぼ前年通りということでございます。しかしながら、内容を見まするというと、必ずしも各事業ともそのようにはなっておりませんので、そこに若干の前年度との相違がございます。所管事業を大きく分けまして、いわゆる補助奨励に関する事業、試験研究に関する事業と普及事業に関する事業と三つに分れるわけでございまするが、こういう分け方をいたしますると、農産関係の種子対策でございまするとか、あるいは健苗育成でありまするとかあるいは耕土培養でありまするとか、あるいは植物の防疫関係でありまするとか、あるいは特産関係の奨励事業、こういったものに属しまする補助奨励の関係の予算は、三十年度は十六億二千四百万円になっております。これに対しまして前年度は十七億九千万円でございます。そこに若干減少をいたしております。特にこの前年度と申します中には、水稲健苗育成の補助関係は含まれておりません。三十年度は、これは新規になって計上いたしておりまする関係上、それを差し引きますと、補助奨励の関係は、さらに前年に比べて圧縮を受けておる、こういう関係になるのであります。  水稲健苗の関係につきましては、先般助成のための特別の法律ができまして、われわれといたしましては相当額の補助金の計上を努力いたしたのでございますが、必ずしも国会の御要望のように十分には計上できなかった次第ですが、しかし、形としては新規になっております関係上、それを除いて考えますると、相当の補助関係につきましては減額になっておると言わなければならぬと思います。水稲建苗育成の面は二億二千六百万円でございますので、相当の圧縮を受けたことになるのであります。  試験研究につきましては、前年度は十四億四千六百万円でございました。本年度が十五億三千九百万円、これは多少ながら増額になっております。このうち特にいわば新規といたしましては、試験場の施設の整備の関係が新しく加えられておりますのが、相当額入っております。一般の建設費、営繕費につきましては、新規がなかなか認められなかったのでございますが、多年の懸案でございまするし、順次年次計画をもって整備して参りたい、かようなつもりで三十年度はその第一年度といたしまして、一億六千二百万円近く計上いたしております。  次は普及関係でございますが、これが本年度は十七億六千三百万円でございます。前年度が十六億五百万円で、これも若干ながら増額になっております。増額になっておりまする主たる理由は、普及関係職員の補助単価の引き上げでございます。普及事業全体といたしましては、御承知の通り法律によりまして、国が三分の二の助成をするということになっておりますが、実質は必ずしも三分の二になっておりませんで、約半分内外、二分の一内外の実質になっておったのでございますが、これは主として職員の補助の単価が低きに失した点がございまして、それを若干ながら是正をしたのが一つと、それから新しく本年度認められましたものは、普及事務所の費用でございまして、これが約四千万円新しく計上せられておる、こういった関係から多少増額になっておるのであります。しかしながら他方普及職員の数におきましては一・五%の整理と申しますか、圧縮を受けておるのであります。ごく概略は以上の通りでございますが、なお主たる項目についてごく簡単に申し上げますと、府県に対しまする試験研究の助成につきましては、これはほぼ前年度通りの程度で仕事が助成して参れるつもりでありまして、特段に御説明をする必要はなかろうかと存じます。  次は主要農作物の種子の関係でございます。これにつきましては採種圃の関係について削減を受けております。稲の関係についてはほぼ前年の規模で補助が計上されておるのでありますが、麦、大豆につきましては採種圃の助成が打ち切られ、吸収される、こういうことになっております。なお菜種の共同育苗圃でありますとか、あるいはレンゲの関係についての補助金が相当圧縮を受けている、こういうことであります。特殊農作物の関係につきまして申し上げますと、全体としてやはり相当圧縮を受けておりまして、一々こまかく申し上げますと長くなりまするので省略しますが、若干圧縮を受けておるのであります。ただ特殊農作物関係でわずかでございますが新しいのもございます。一つはこの急傾斜地の果樹園の助成というのがわずかでございますが、特殊土壌地帯の振興対策の一環として、新規に補助金を計上されております。  次は北海道の農業振興でございますが、ここでは心土耕、混層耕の関係の農機具の助成でございますが、これは前年通りでございます。  次は植物防疫の関係でございますが、植物防疫につきましての大きな点は防除費の、農薬の助成が本年度は遺憾ながら打ち切りになっております。しかしながら他面従来通り防除器具の整備につきましては、相当資金額を計上いたしております。また農薬の備蓄という点につきましては前年度よりはさらに金額も増加いたし、整備が十分できるように配慮いたしてございます。なお、新規に発生いたしまする病害虫につきましての緊急防除のための補助につきましても、前年度と比べますれば相当増額して五千万円の金額を計上いたしております。  普及事業の関係につきましては、先ほどちょっと申し上げましたので、繰り返しては御説明を省略いたします。  もう一つ、農業機械化の関係でございます。これは前年度と比べまして相当金額が減少を見ておるのでございますが、この減少を見ました主たる原因は動力耕転機の展示でございますが、これが昨年に比べまして事業分量が減少しておるということが主たる理由でございます。  次は試験研究機関でございますが、総額といたしましてはほぼ前年通りでございます。先ほど申し上げましたように、施設の整備ということにつきましては一億六千万円ばかり新しく計上されておる。全部が全部新しいといっても語弊がありますが、整備の仕事が新しく始め得られるよに措置をいたしております。  なお、そのほかに農薬の検査所でありますとか、あるいは植物防疫所でありますとか、あるいはバレイショの原原種農場等の附属機関がございますが、ほぼ前年通りの予算金額になっておりまするし、事業の規標もほぼ前年通り継続できることに相なっております。簡単でございますが……。     —————————————
  101. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと御質問願う前に順序を変更いたしまして、農業災害補償法の一部を改正する法律案議題にいたします。  本法律案は六月一日閣法第百二十四号をもって予備審査のため提出され、即日当委員会に予備付託となったのであります。  まず、提案理由の説明を求めることにいたします。
  102. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。  農業災害補償制度の改正については、かねて農業災害補償制度協議において検討中であり、昨年十二月に至り農作物共済の改正等について、中間申し合せが行われたのでありますが、その実施については、諸般の事情から制度改正に資するための基礎的な農作物被害調査の拡充、一筆石建のための準備措置としての基準収量調査等のみを本年度から実施することとし、その他については、なお慎重に今後検討を続けることといたしたいと存じているのであります。しかしながら、家畜共済の臨時特例に関する法律が本年十月一日に失効することになりますので、その失効に伴う措置を定めることと、市町村の合併に合せて農業共済組合の合併が望ましく、かつ合併後の運営の円滑化のため法律措置が必要となりますので、この法律案を提案する次第であります。  以下この法律案の主要内容について御説明申し上げます。  その第一は、農業共済組合の総代会が総会にかわって議決することができる事項の範囲を拡張することであります。  今日この制度運営の現状を見ますとき、農業共済組合は規模の零細なものが多く、これが制度の十全な運営をはばんでいるところがあると考えられますため 本年三月原則として市町村合併後の市町村の区域を農業共済組合の区域とするよう指導方針を定め、目下組合の合併を進めております。これが行われますと、その結果、組合の規模の拡大に伴い事実上総会の開催が不可能に近くなる組合があることと、組合の運営について組合員との連絡を緊密に保持する必要があることのために、今後は従前に増して総代会を活用する必要が生ずると考えられますが、現行の規定では総代会が総会にかわることができる事項が限られておりますので、この際これを拡張し、組合の解散にかかる事項以外はすべて総代会を処理できるように改正いたそうとするものであります。  第二は家畜共済の改正であります。  家畜共済のうち死亡廃用共済と疾病傷害共済とを一元化することにつきましては、臨時特例法に基き、昭和二十八年十月以降一部の組合につき死廃病傷共済の実験を行なってきたのでありますが、その結果ほぼ所期の効果を上げることができ、これを全面的に実施しても差しつかえない段階に達しましたため、本年十月一日以降、家畜共済は、従来死亡廃用共済、疾病傷害共済、生産共済の二種でありましたのを改め、臨時特例法に基いて実験いたしましたものにさらに一部内容の改善を加えた死廃病傷共済と従来通りの生産共済との二種とするよう改正をいたそうとするものであります。  臨時特例法に基く死廃病傷共済の場合には、疾病及び傷害の共済金について診療費中のすべてを給付するものと、診療技術料以外の診療費を給付するものとを定め、その選択は、これを組合員に行わせたのでありますが、今後は組合員に対しては疾病及び傷害の事故にかかる共済金は、その損害に相当する金額を一律に給付し、前述の選択は、保険関係の成立の際に農業共済組合が農業共済組合連合会と協議して行わせることとし、疾病及び傷害の共済事故にかかる組合員に対する給付の改善をはかったのであります。そのため、家畜共済の共済掛金率、共済金、保険金、保険料及び保険金等の規定に必要な改正を加えた次第であります。  なお、臨時特例法に基く死廃病傷共済については、指定組合の組合員に対し共済掛金の一部補助を行なっていたのでありますが、全面実施に際しましては、かかる指定組合の組合員に対する補助金は、その交付の必要がなくなりますため、これを廃止し、そのかわり当分の間、農業共済組合に対し死亡及び廃用事故の低下に応じ算出される一定の補助金を交付することといたしたのであります。  以上がこの法律案の大要でございますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。     —————————————
  103. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 本法律案の審議は後日に譲りまして、先ほどの改良局長の方から説明がありました改良局の本年度の予算を中心としての御質疑をお願いします。なお、政務次官の方に御質問があるようでしたら政務次官にお残りを願いますが……。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  104. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 速記を始めて。
  105. 千田正

    ○千田正君 局長さんに聞きますが、今年度の予算、最初提出された予算と今度修正された予算とのうちで、改良局関係の問題で変った、いわゆる影響を受けた予算の面がありますか、特に重点的に影響を受けた点があったら……。
  106. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 衆議院の修正と思いますが、私どもの局の関係で修正を受けました分は、農作物種子確保の関係でございます。麦、大豆の採種圃、レンゲの原種圃、採種圃、菜種の原種圃ということでありまして、合せまして一億五千百万円、こういうものが種子確保対策補助金の増額になっております。それが一つでございますが、もう一つは、農業生産力増強施設普及費補助金という名前になっておりますが、この内容は保温折衷苗代、西南暖地の水田の生産力増強の助成、これは合せまして一億九千万円の増額になっております。それからさらにもう一つは、農産物の病害虫の防除組織の整備費補助金となっておりまして、これの内容は、防除器具の購入費の助成、これの増額が一億、それから最後のもう一つは、農業改良普及事業補助金、内容は農業機械化整備施設補助、これはトラックに農機具の修繕設備を積みまして、巡回して参るという内容でございますが、これの事業の増加分といたしまして二千三百万円、以上でございます。
  107. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 改良普及局関係の予算に関連いたしまして数点お尋ねいたします。河野新農林大臣になられてから、農林政策の重点を従来の食糧増産中心主義から流通過程の合理化に重点を置くということになりまして、新農林政策として発表されたようでありますが、これは非常に重要な問題であって、こういう方針に基いて農林省の予算が編成され、非常に農村関係からは不満を買っておるわけであります。それでこれらの点につきましては、私はあらためて農林大臣にこの委員会、あるいは予算委員会一つ徹底的にお尋ねいたしたいと思っておるのですけれども、きょうはとりあえず改良局関係の問題についてお尋ねいたします。  第一点は、改良普及局関係の予算のうち、試験研究についての予算でありますが、試験研究の予算が効果的に、また研究が十分行われておるかいなかということは、その試験研究費のうちの人件費と、それから事業費との比率を見ればわかると思うのです。それで、これは従来の比率は、私の記憶するところでは、戦前は人件費が二で事業費が八ぐらいの割合であった。戦時中においても人件費が三で、事業費が七ぐらいの割合になっていたと思うのです。現在はこの比率は相当変っておると思いますが、一体どういうふうになっておるか、まず、それをお伺いいたします。   〔委員長退席、理事戸叶武君着席〕
  108. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) この一、二年の様子を申し上げますと、これはもう御承知の通り、戦後非常なインフレのために人件費がかさんだという関係がございまして、ベース・アップに追われまして、事業費がそれに伴わないということでございました。御指摘の割合から申しますと、人件費の割合は非常に大きくなって参っておるのであります。この一、二年で申しますると、人件費の六に対しまして事業費は四、こういう工合に相なっております。
  109. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 人件費六、事業費四というような割合になっておるというお話ですけれども、先ほど申し上げたように、戦前はこれは二対八、戦時中でも三対七であったのでありますが、これは現在のように六対四というような割合になっているのでは試験研究が十分効果的に行われていない、こういうことが言えると思うのです。この点について局長はどういうふうにお考えになっておりますか、こんなことでいいと思っておられるかどうか。
  110. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これは御指摘のようにただ俸給だけもらっておれば研究ができるということではございませんので、私どもといたしましては、戦前のようなことには行かなくとも、もう少し何とかならないかということをこの数年来実は努力をいたして参っております。だいぶ物価も安定して参っておりますので、だんだんと旧に復するといいますか、事業費の増額もだんだんとできはしないかと思っておりますが、まあ最小限度のねらいをどの辺におくか、いろいろ他省所管の研究所、試験所の関係もございますが、人件費と事業費の割合を四六なり、あるいは最悪の場合でも五五といったところにまでは近い機会にもっていきたいと努力したい、かように存じております。   〔理事戸叶武君退席、委員長着席〕
  111. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 政務次官にお尋ねいたします。あなたはこういうことに興味をお持ちかどうか存じませんけれども、これは改良普及事業の根幹だと思うのです、それは今申し上げたように、戦前の二対八から最近は六対四になっている、こういうことでは、これは試験研究は全然できないと思うのです。こういうことに対して一体あなたは、民主党内閣はどういうふうにこういうことに対して努力をされたのですか、全然こういうことは努力されなかったのですか。
  112. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) はなはだ不勉強で申しわけございませんが、ただいま私はこの問題については、その比率について初めて承知をしたようなわけでございます。御指摘、まことにごもっともでございまして、今局長説明を聞いておりましても、これは相当重要な問題だと思いますので、一つ積極的に検討をいたしまして何とか善処したいと思います。
  113. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) こういう点は、私は河野農林大臣の言う食糧増産中心主義から流通過程の合理化に重点を置くという基本的な農林政策の転換がこういうところに現われてきたであろうと思う。政務次官も全然こういうことは御存じない、あなたのように農業問題については非常に造詣の深い方がこういう基本的な問題についても御存じないというのは、今の河野農林大臣の農政が生産方面を無視しているからこういうことになると思うのです。それで、それは今からでもおそくないから改めてもらえばいいけれども、こういうことを具体的に努力される意思があるのかないのか。
  114. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 今申し上げた通り、積極的にこの問題は何とかしなければならないということをただいま痛感をいたしましたので努力をいたします。  それから、農林大臣からいずれお答えがあるかと思いますが、大臣は初め生産よりはむしろ流通にウェートを置いたような発言をされましたが、その後、党の考え方とはだいぶ違っているということでいろいろ注意をされまして、だんだんその点は改まって参っておると思います。現段階においては、わが国の農政は何と申しても食糧の自給度の向上、従って食糧の増産ということは農政の重点であると考えておりますので、最近はそのような考え方になって努力をしておる次第でありますので御了承願います。
  115. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 最初に申し上げたように、河野農林大臣の農業政策の問題についてはいずれ機会をあらためてお尋ねいたしますが、今政務次官は何とかするとおっしゃいましたが、かりに次に補正予算を組むというような場合はこの問題を取り上げておやりになりますか。他の農林関係の予算が取り上げられる場合には必ず取り上げておやりになるか。
  116. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 今も申し上げましたように、積極的に検討を加えまして何らかの対策を立てたい。従って予算の措置が必要となって来れば御指摘のような結果も生まれて来ると思います。
  117. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 研究して何らかの方法、予算の必要があれば……なんと言われるが、これは予算の問題なんです。予算が足りないということを今議論しているのです。だからほかのことを考えたってだめなんです。予算をふやすということだけです。研究の要はない。ふやすかふやさぬか、どうやってふやすかということをお尋ねしているのです。
  118. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) その点については私十分申しわけないけれども、まだ研究しておりませんので、それは人が多くて単に給与が高いというだけでなしに、人員が多くて事業の能率が上って来ないのかどうか、そういう観点からも考えられるじゃないかと思うので、とにかく一つ積極的に検討をいたしまして、できるだけ早く御指摘の点の解決ができるように努力をお誓いいたします。
  119. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) これは政務次官は、今のは失言じゃないかと思うのです。ほかの政務次官ならいざ知らず、あなたが今ごろになってまだ試験研究の人が多いかもしらぬ、そういうことがあるのかもしらぬなどということを言われるのが、先ほども言ったように、幾ら党から指摘されたって、河野農林大臣並びに政務次官はこの流通過程に重点を置いていると言われても仕方がないのです。はっきりしているのです、こんなことは。事業費が少いと、あなたのような考え方なら、今後検討すると試験所の人員を整理しなければならぬかもしれぬという結論が出て来るかもしれぬですよ。そういうことも考えていられるのですか。
  120. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 冒頭におわびを申し上げましたように、はなはだ申しわけないけれども、研究が十分でございませんので、御注意をいただきました以上、私は私の不明な点も検討の結果現われて来ると思います。そうしたときに初めて一つの対策が立たると思いますので、そのように一つ御了解を願いたいと思います。
  121. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) まあ、これはまたあらためてやります。検討の結果不明の点が現われるかもしれぬとおっしゃるけれども、検討しなくても現在もうすでにはっきり現われているのです、そういうことをおっしゃるのは、まあしかし、それはこれ以上言いませんが、もう一つは河野農林大臣になってから行政の縦割りということを言われているのです。こういうことの結果どういうことになるかというと、具体的に、改良局を廃止しようとか、あるいは農林経済局を廃止しようとか、こういうことの考え方が出て来ているわけです。そこでこういう考え方に関連して改良普及の事業、試験研究の事業を縦割りにしようという考えを河野農林大臣は持っていられるようなんです。一体、これは非常に今試験研究に関係している者は不安を持ち、普及員も重大な関心を持って不安におびえているのです。そこで、この点をお尋ねいたしますが、今回の予算に、畜産団体の活動強化促進とか何とかという名目で、二千万円か何か組まれているのです。一体、畜産団体の活動促進のこの二千万円という金は何に使うのですか。
  122. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 改良普及事業のきわめて必要なこと、きわめて重要なことは私が申し上げるまでもございませんし、農業共済制度の今後のあり方を合せ考えますと、改良普及員の使命といいますか、非常に大きな期待がかけられてくると思います。従って、改良普及事業に関係をしておいでになる職員の諸君が、身分やその他の問題についてあまり御心配になられるようなことは、今後の見通しとしてないように私は考えております。  それから畜産団体の助成の問題でございますが、畜産振興が大きく取り上げられて参っておりますので、そのために畜産技術員の技術の向上、あるいはその他の展示会とか、その他畜産振興に関係した方面に二千万の予算を計上いたしております。これが何か特殊な畜産団体のために使われるのではないかというようなことがうわさされておりましたけれども、これはそうではなくて、畜産技術員の技術の向上、あるいは畜産物の展示等、畜産振興に関係した費用に充てている次第でございます。
  123. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 畜産技術員というのは何ですか。ただいまおっしゃった畜産技術員というのは、それは普及員ですか。
  124. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 畜産関係の技術員であります。
  125. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 具体的にはどういうことです。
  126. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 具体的には普及員の場合もございますし、それから農業協同組合に所属をしております技術員の場合もございます。
  127. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) これはきわめて重大なあれですよ。畜産局長、おられますが、今の政務次官の言われたのでは不備でございます。この二千万の金の使途をはっきり一つ
  128. 原田伝

    政府委員(原田伝君) お答え申し上げます。ただいまの畜産技術振興に関しまする補助金の使途でございますが、政務次官からも申し上げましたように、畜産の技術の振興をはかるという趣旨をもちまして、内容といたしましては畜産技術の講習会の開催費の補助でございますとか、それから畜産共進会の開催費の補助でございますとか、あるいは各種調査の補助金でございますとか、こういう内容を考えておる次第でございます。
  129. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) さっき政務次官は、畜産技術員の——その畜産技術員というのは何であるかと言ったら、普及員もそうだと、こういうことですが、そうすると、普及員に対する独自の何か指導、あるいは補助をやるわけですね。
  130. 原田伝

    政府委員(原田伝君) 畜産の技術の振興をはかるという考え方でございますので、その効果があるいは普及員にも関係がございますし、また畜産に関しまする事業を行なっております団体におります技術者の技術の向上に役立つという場合もある、かように考えております。
  131. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 私は、これは非常に重大だと思うのです。これが河野農林大臣の行政縦割りの思想に通じて、そういう考え方だからこういうことになる。改良普及事業というのは、一貫して総合的に指導する、こういうことになっているのです。これを、今の農林大臣は縦割りで畜産は畜産、畜産団体を新たに作る、そうして技術員を別にしよう、こういう考え方を持っておられるから、非常に今混乱を来たしておる。表面から見ればそんなことはないというけれども、だんだん説明を聞いてみれば、ちゃんと具体的にそういうふうに別個に補助金をとって、そうして普及員を畜産関係は畜産、別にやると、さらにそれは将来は分けて畜産団体に配置する、こういうことになると思うのです。その点はどうなんです。私は改良局長にお伺いしますが、こういう思想は農業改良普及事業の根本的思想と相反するものじゃないかと思うのです。改良局は、こんなことを認めてやっていけるのかどうか。
  132. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 普及事業が始まりましてから、もう相当、七年にもなっておりまして、だんだんと成果が上っておるのでありますが、私どもといたしましては、できるだけ農業関係全般についての技術指導を担当するということにいたして参りたいと、かようなつもりでおりますが、ただいろいろの事情経過から申しまして、養蚕関係だけは別の組織、制度になっておりまするけれども、重要なものにつきましては、普通農事、畜産と分けないで、総合的に指導するという建前がいいではないかという気持で、現在もさように考えておるのであります。ただ実情を申しますると、必ずしも現在の普及員の活動状況を見まするというと、畜産関係につきましては十分でございませんので、ほかの方面も必ずしも十分というわけには参りませんけれども、特に畜産関係につきましては、そういうふうなこともいろいろ指摘されるといったような事情もありまするので、普及事業といたしましても、畜産関係の技能の向上を普及員についてはかるとともに、その方面の指導も従前よりはもっと強化するようにと、こういうことを私ども内部としてもいろいろ対策を考えておりまするし、また地方庁に向っても、そういう意味の指示をいたして参っております。しかしながら、普及員とは別に、なお各種の畜産団体に、畜産技術員が自主的に設置されているということもまたこれ事実でございまして、こういう方面の活動が活発になるということも望ましいと思いまするので、両々相待って畜産の振興に資するということであればけっこうではないかと、かように考えておるのであります。
  133. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 政務次官にお尋ねいたしますが、あなたは改良普及事業に、これはやり方、今までのやり方では不備だと、こういう総合的な指導をするやり方ではまずい、河野農林大臣のように、行政の縦割りの思想がいいと、こういうふうにお考えになるのかどうか、その点お尋ねいたします。  委員長に申し上げますが、政務次官の答弁は長いから、簡単に一つお願いいたします。
  134. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと政務次官に申し上げますが、小林君から話がありましたが、先ほどの政務次官の言われておることと、それから同じ内容について繰り返して畜産局長に小林委員が尋ねたことに対する答弁とは相当違いますが、それは私が聞いておるのでは、政務次官の方は畜産技術員の技術の向上をはかるのだ、その畜産技術員というのは普及員や農協技術員をさすのだ、こういうようにはっきり言われましたが、畜産局長の方はそうは言われないで、普及員や農協の職員等にもよい効果を及ぼすかもしれないというような、直接的な対象にしないで非常に回りくどい説明をされましたが、その点はやはり二千万円の畜産関係の金につきましては歴史的な経過がございまして、相当問題になっておるようですから、この際一つ明確な答弁をなさっておいていただきたいと思うのです。
  135. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) ただいまの小林委員の御質問でございますが……、ただいまの委員長がおっしゃった畜産局長と私との言い方が違っているということでございましたが、私この資料に基いて申し上げますと、畜産技術振興に必要な経費といたしまして畜産技術振興補助金ということにして三つに分けてございます。畜産技術講習会開催費の補助といたしまして千三百五十一万一千円、その内容を見ますると、ブロックの畜産講習会、それからその他講習会等に必要とする資料、これは参考資料でございますが、あるいは郡市畜産技術講習会等に充てております。それから畜産共進会の開催費の補助といたしまして五百万、特殊調査費補助といたしまして百四十八万余。この五百万の内訳は全国畜産共進会の補助といたしまして四百五十二万、都道府県共進会の補助として七十五万。百四十八万の内訳は遺伝性不良種牡畜の調査費、こういうことになっております。私の申し上げましたのは、こういう講習会とか共進会とかいうようなものをだれにやるかということになりますと、畜産技術の振興、向上のためでございますので、畜産技術員とか、畜産の方面関係を持っている人を対象にして講習をするというようなことになりますので、ときには畜産団体に関係をしている者もありましょうし、あるいは改良普及員の方の関係の人もこれに関係を持つ、こういう意味で申し上げたのであります。
  136. 江田三郎

    委員長江田三郎君) これは今の政務次官のお答えは、予算の説明書をお読みになっただけで、これだけ読まれておるとまことに無難なんですが、これはもうあなたよく御承知のように、この二千万円というものが最終的にきまるまでにはいろいろ経過があったと思います。その間において普及員の今後のあり方等につきましても、今までのあり方とは違うような構想も若干出ておったと思います。ところが最終的にはそういう技術員の方の関係なり、それから畜産団体の統合だ何だというような問題が全部吹きとんでしまって、ここに二千万円だけ残りましたので、この二千万円というものは一体これだけ正直にとったらいいのか、予算の折衝の過程において消えた部分との関連において考えなければならぬのか、従って今小林君が言うような将来の縦割りということを強く意味して使われるのかどうか、こういうことについては相当これは問題にされておるということはあなたがよく御存じの通りでありまして、私たちも将来の普及事業制度のあり方の問題についてこのしりっぽだけ残ったこの金の使い方につきましては、非常な関心を持っておるわけですから、もし今日御説明ができないのなら別な機会でもけっこうですが、ただ予算説明書の謄写版刷りをお読みになるだけでなしに、もっとそういう点についてはっきりとした御答弁がないとかえって混乱するのじゃないかと思います。
  137. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 先ほどの小林委員の御質問を漏らしたのでございますが、私は総合指導が理想的だと思います。しかし技術員について見ますると、養蚕とか、あるいは畜産とかいう特殊なものになりますと、今の段階ではあるいは河野さんの縦割り論といいますか、そういうこともある部分についてはやむを得ないのではないか、相当程度技術が進んで参りまして、またこういう講習会や共進会等によってこういう特殊な技術も普遍化されて参りましたときに、総合指導ということがもっと強力に進められて行くのではないかというふうに考えておりますが、基本的には総合指導が私はよろしいと考えております。  それからただいま委員長のおっしゃいましたこうなる経緯は、もう私が御説明申し上げるまでもなく、よく御存じのことと思いますが、初めは特殊な畜産団体を特殊立法によって作るというような様子がございましたが、その後農業団体その他からそれに対する相当な批判がありまして、その考え方はなくなって、ただいまでは、もし、かりにできましてもただいま養連のような一つの形、農業協同組合法に準拠して作られるところの団体といったものが考えられると思いますけれども、当初のような問題はただいまのところは問題になっていないと私は思っております。
  138. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 政務次官は、養蚕がこれは別になっておるのは歴史的にいろいろの経過があって一応なっておる、それと同じにあなたの御意見では、今の段階では畜産、養蚕はと並べておられるのです。これは重大なんですよ。あなた簡単にそんなことを言われておるけれども、そのことは改良普及事業の根幹をゆるがす問題なんです。あなたが御存じないことをあまり言われるからかえっておかしいのです。御存じないことをあまり言われない方がいいから僕は念のために委員長に簡単にお答え願いたいと、こう言っておるのです。そういうことをあなたが言われることは、政務次官が言われる、よくわからないけれども、言ってしまったからまあこれはだんだん縦割りにしなければならぬということになってくるのです。だからもう少し研究されましてね、あなたのお考えは確かに間違っています。そういうことをいえばそれは改良普及事業全体をもうこれは無視したことになるのです。やらぬ方がいいということになるのです。だからまあ今日はこれ以上やりません。あなたもお答え下さらぬでもいいです。もう少し御勉強下さいまして、その上でまたお尋ねいたします。  そこで、私は改良局長にお尋ねいたしますが、こういうふうに畜産の縦割り、今も政務次官の言われるような縦割りの出てくる理由は、畜産関係に対する試験研究があまり重点をおかれてないために、こういうふうになるのじゃないかと思うのです。そこで畜産関係試験研究費は、これが統合前とあとの比率はどういうふうになっていますか、全体の試験費の……。
  139. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 私どもといたしましては、統合前と後と、普通農林と畜産その他と特別に差別待遇すると申しますか、といったようなつもりではいたしておりません。予算の関係につきましては、御指摘の整理統合前と後とでは畜産関係とその他に分けて考えた場合にも多少増額こそあっても、減ってはいないと、かように存じております。なお今後も試験研究費等につきましても、畜産の軽視ということはいたさないつもりであります。
  140. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) その比率はどういうふうになっておるか。
  141. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 整統の直前のたしか二十四年だと思いましたが、それは農林省関係試験場だけでございますが、畜産が一九%でございます。最近の計数ははじいておりませんが、二十八年度の資料でございますが、畜産が二一%になっております。従ってこれによりますれば、整理統合前よりは最近は、二十八年度におきましては少くとも多少でございますが、割合はふえておる、かように存じております。
  142. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 試験研究費の方は増額されておるようでありますから、割合が、少くとも試験研究の点についてはそういうことがまあ出てこないわけです。しかし実際問題として、普及員の活動について畜産関係にあまりウエートがおかれていないという意見はあるわけなんです。改良局長として、縦割り論なんか出てこないように、これをもっと重点をおいて畜産技術を身につけさせるような具体的の必要があると思うのか、ないのか、これで十分だと思っておられるのかどうでしょうか。
  143. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 普及事業につきましても、畜産関係の指導につきましては、必ずしも十分とは考えておりません。私どもの関係の予算といたしましては、普及員の養成、あるいは再教育、研修という予算が若干ございますが、その中に三十年度といたしましては、特に特技研修に相当重点をおいて予算を計上いたしてございますので、その特技研修の補助金を活用いたしまして、畜産についての技術の足らないところを補い、また普及員の活動につきましても従来全部をやる、一人が全部をやるという建前でございましたが、それは原則は今後も変らないかと思いますが、若干の普及員につきましては、主として畜産の技能でもって指導して行く、こういうようなものを認めて行くといったようなつもりで、とりあえずは、これまでの研修、普及員の再教育ということに重点をおいて参りたいと考えております。そういうことによりまして、畜産の技術指導に遺憾のないように持って行きたい、かように思っております。
  144. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 畜産局長にお尋ねいたしますが、そういうふうに、今も改良局長も言われたように、畜産技術を身につけさせる必要がある、それについての経費も不十分だ、こういうふうなわけですが、またそういうことが縦割り論の出てくる理由になっておるわけですが、そこであなたの方で、たとえば二千万円というわけのわからない、政務次官とあなたの御説明もすぐ食い違うような、そんなあいまいもことした二千万円の中に、この普及員の技術指導もやるのだという金も入っているのですがね、そんないいかげんな金は、むしろそんな中に含めないで、積極的に改良普及員を訓練するよう、協力して、そうして予算を取った方が効果的じゃないか、どういうふうにお考えになるのですか、それともあなたは、自分は自分でやるのだと、そういうお考えですか。
  145. 原田伝

    政府委員(原田伝君) 畜産の技術指導の問題につきまして、ただいま御指摘いただきました、またそういう問題についてもっと予算を取るようにというお言葉がありましたが、改良普及員の制度によりまして、その仕事を強化して行くという面が確かに重要であると考えておりますが、この私どもの考えといたしましては、畜産技術というものは非常におくれておるという観点から、できるだけすみやかに畜産の技術の振興というものをはかる必要がある、そういう考え方から、一方におきまして、改良普及制度によって畜産の技術の指導の浸透がはかられるということがあり、また同時にここにございますような二千万円の技術振興の予算も認めてもらいまして、両々あわせまして畜産の技術振興をはかって参りたい、かように存じております。
  146. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 私は畜産局長が河野農林大臣に気がねしてか何か、きわめてあいまいな答弁をされておりますけれども、あなたほんとうにお考えになりまして、そういうあいまいなことで能率が上るとお考えになっておりますか。かりに普及員の素質が悪いなら、総合的にやるという原則が認められておるならば、積極的に普及員を訓練する予算を総合的に組んで、そうしてその金で畜産関係の方がそこに行って指導するがいいのです。それをわけのわからない、政治的に取った二千万円の中にちょっぴりこれもやるのだというようなことを、それをあなたが是認されておるならば、それはやはりあなたも普及事業全体について、これはあまり理解、理解はされておるかもしれませんが、やむを得ずこれを骨抜きにしよう、こういう態度をとっておられると、こういうふうに考えても私は差しつかえないと思うのです。私はもっと事務当局はそういう政治的な圧力に屈しないで、この制度をもり立てて行く、もしいいと考えておるなら、もり立てて行くようにしたらいいと思う。そこで私は政務次官にお尋ねいたしますが、一体この普及員制度というのは今後強化されて行くつもりなんですか。
  147. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) おっしゃる通りに強化して行かなければならないと考えております。
  148. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) ところが今、現在は各種の団体に補助金をやって、この改良普及事業の関係では各種の団体に補助金をやる、またやろうとしておる。また各種団体は虎視たんたんとしてこれをねらっているような情勢なんですよ。そういう情勢でありますが、こういう情勢に対してもあなたはきぜんとしてそういうことはよくないと、あくまで従来通りこの改良普及事業というものを強化して行く、こういうふうにお考えになるか。
  149. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 私は基本的には総合指導が一番よろしいと考えておりますが、おっしゃる通りに努力をするつもりでおります。
  150. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 基本的にはいいと思うけれども、どういうのです、あとは……。基本的には認めたけれども、まだ認められない点があると、こうおっしゃるのですね。
  151. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) そういう意味ではありません。
  152. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) どういう意味なんですか、積極的にこの制度を強化して行く意思があるのかないのか、そういうことをお尋ねしておる。
  153. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 積極的に強化して行かなければならないと考えております。
  154. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) それならば、今各種団体が虎視たんたんとしてこれをねらっている、こういうことに対しては断固これを阻止されますか。
  155. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 各種の団体の中でも特別に考えなければならないような問題があれば別でございますが、私は基本線を貫きたいと考えております。
  156. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) それから次にお尋ねいたしますが、普及員の定員は、今年は一・五%減員になったようでありますが、一体こういう、今、政務次官が強化して行こうという大いに決意を述べたけれども、現実には一・五%減っているんですよ。どうなんです、強化して行こうという決意を披瀝された足元からもう減っているのですが、これはどうなんです、一体。
  157. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 御指摘の点については、ただいま欠員がございますので、差しつかえのないように運用できると考えております。
  158. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 政務次官はだめですよ。そんなことではあなた、全くそれは事務当局が、これは県の主任官会議か何かで、課長か局長説明されるようなことを言っていちゃ困るのです。あなたは現にこれを強化をする決意を披瀝されているのに今年減っているのです。これはあなたは政治的にどう考えるか。
  159. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 本年度の予算が、せんだってから申し上げますように緊縮財政ということで、はなはだ不十分な予算でございますが、私が積極的にやって行きたいと申し上げましたのは、来年度からもっと拡充さして行きたい、かように考えております。
  160. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 政務次官は衆議院の方がお忙がしいのじゃないかと思うのですが。
  161. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 私はもう政務次官いいですよ、あなたはそういう答弁をしているのじゃ問題にならぬですよ。今度はあんなに民主党の、内閣の政策を基本的に変更するような修正が行われているのですよ、その際にあなたは、じゃどれだけこの普及事業の育成のために努力されましたか、発言されたことはありますか、御存じないのじゃないかな、こういうことも……。ただその決意を披瀝したり、基本的には認めたり、お説ごもっともなんということじゃ、これはだめなんです。具体的にどういうことをやった、どういうことをやるのだということを言ってもらわなければ困るのです。まああなたにお尋ねいたしましても賛成ばかりしていられるから、あまり要領を得ませんから、衆議院の方においでになるならおいで下さってもよろしうございますが、今の一点を一つお尋ねいたします。あんなに修正しているのです。来年度と言わぬで、今年度具体的にどういうことをやられたのですか。
  162. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 修正のワクがきまっておりましたので、私どもこの改良普及事業については、たとえば災害の調査等についてもっと機動性を発揮して能率の上るようにというような事務当局からも要求があったし、これを必要と認めて相当努力したつもりでございますが、力及ばず、改良普及事業に対しては追加を見ることのできなかったことははなはだ遺憾に存じております。これに対しては先ほども申し上げたように、共済制度の改正に伴って、この改良普及事業のきわめて重要なことが期待されておりますので、こういう方面とあわせて私は今後強化することに努力するつもりでございます。
  163. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと政務次官に重ねてお尋ねしますが、あなたの方で主として御努力願ったのは、まあ実現はしなかったけれども、普及員が機動力を持つように、たとえばバイクモーターであるとか、オートバイであるとか、そういうようなものを持つというその点でございましたか。
  164. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 今回の修正問題についてはこの一点だけでございました。各関係方面のいろいろの意見を重点的に取り上げてみたのですが、改良普及事業に関しては、せめてこれだけでもということでやったのでありますが、ついに実現を見なかったわけであります。
  165. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) もし政務次官衆議院の方があれでございましたらよろしいですが。
  166. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) どうぞよろしく。
  167. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 改良局長にお尋ねいたしますが、この生活改善の普及員は非常に数が足りないということで昨年増加したのですけれども、今年度一・五%減少したのは生活普及員も減少したのですか。
  168. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 一・五%の節約は普及関係職員全体についての問題でございまして、特に生活改善をねらって節約したということではございません。
  169. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 生活改善普及員は非常に足りないというので昨年増加したのを、今年それも含めて減少するというのは非常に私おかしいと思うのです。一体この生活改善普及員は現在どれだけあって、一体どれだけにすれば理想的なのですか。
  170. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 現在三十年度の予算は千五百五十一人でございまして、これは予算の上では一・五%節約後でございまして、一・五%これに加えたものが二十九年度の定員、すなわち一千五百六十八人であります。どのくらいにすればいいかということについては、いろいろこれは私ども計画がございますが、普及員の駐在地区の数が二千あまりでございます。二千百六十でございますか、地区がございまするので、せめて地区に一人くらいは整備したい、かようなのが私どもの増員の目標になっております。
  171. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 普及員の待遇のよくないということは、これは定評があるのです。それで三分の二補助をすることになっていますが、実際は三分の二になっていないんじゃないかと思うのです。で、一体どのくらい実際はなっているのか。
  172. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 普及事業全体の補助金と府県側で予算で計上いたしております費用との割合から申しますと、御指摘のように県によって相当開きがございますと思いますが、おしなべて申しますと、御指摘のように国の補助金は全体の事業の約半分ぐらいだと思います。
  173. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) そういうことだから非常に困るんですよ。今地方財政は赤字で困っているのです。それを三分の二くれることにして、実質は二分の一ぐらいになっておる、非常に困っておるわけなんです。こういう点は、実際三分の二にきまっているなら、三分の二やるように農林省は努力しないのですか。
  174. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) その主たる原因は普及員の俸給の単価でございまして、単価の見方が予算と実態とが合ってないというのが一つでございます。本三十年度の予算におきましては、その点が相当改善されておりまして、俸給から言えば、ほぼ三分の二の近くに二十年度は行きはせぬかと思っております。なおいろいろ事業費がございまして、この事業費の関係がその補助が実は少いのでございます。そういう点から言いまして、全体としてはなお三分の二には達しないと思いますが、その点につきましても、先ほど申し上げましたように、普及事務所の予算が四千万円新たに計上されることになりましたので、だんだんと改善して参っておりまするし、また今後もそういうことで努力したいと思っております。
  175. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) こういうふうに、非常に待遇が悪いから活動が十分行かないんです。普及員制度に対するいろいろな批判、特にさっきの畜産関係のあるいは技術がうまく普及しないということに関連いたしまして、こういう状態だからそういうことになるんです。そこで畜産局長にお尋ねいたしますが、先ほども言われたようなことは、その根本的な理由はこの待遇が悪いからなんです。三分の二やることになっておるのを二分の一でごめんこうむっているということだからそういうことになっている。だからあなたは、そういう縦割りだとか、二千万円のわけのわからない金のうちからちょっとやってうまくやろうというような、こそくなことをやめて、この三分の二を確実にやるようにもっと積極的に努力されたらいかがですか、そういう努力をおやりになっているのですか。
  176. 原田伝

    政府委員(原田伝君) 私どもの立場といたしましても、農業改良普及員の施設がしっかりしたものになり、特に畜産関係につきましても十分な普及事業が行えることはぜひ必要であると、こういう考えで、私どもといたしましても改良局の方に協力をしたい、こう考えております。
  177. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとその前に改良局長にお尋ねしておきますが、今、小林君の質問に関連して、今度の補助単価が改正されるというと、従来欠員が相当地方にあったと思いますが、その欠員はすっかり埋まるという自信がございますか。それから従来純県費で普及員の仕事をさしておったところがあったと思うのですが、そういうところがやはり地方財政の苦しさから人員整理ということをやるのじゃないかと思いますが、そうなると、実質的には今までよりも改良普及事業は弱体化されるというおそれも出てくると思いますが、そういう点についてはどういう見通しを持っておられますか。
  178. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 欠員につきましては、実は私どもの補助職員なり、県単独で置いております職員の欠員と比べたわけではありませんが、約三%だと思うのであります。で、二、三%の欠員と申しますのは、割合普通の欠員といたしましては少い方でございまして、どうしても相当の人間を運用して参りまするときには、その程度の欠員はやむを得ないのではないかということが前提にあるわけでございまして、従いまして、若干の欠員があるからと申しまして、今回その約半分、一・五%を整理するということは必らずしも当を得ていないとも考えられるのであります。従いまして、欠員につきまして、一般的に申しますれば、私どもといたしましてももちろん百パーセントの充員方を県には要望いたしておりますが、若干の欠員ということについては、これはやむを得ないのじゃないかと思います。ただ部門別に見ますというと、欠員の状況は違っておりまして、ただいま委員長の申されましたように、純県費でもってまで定員を増加して置いているというところでは、これはもちろん欠員がございませんし、普通のこの農業関係の改良普及員につきましては、従いまして、全体としてはむしろ純県費も入れますれば補助定員よりは多いということになりまして、農業関係の普及員につきましては、欠員はさほど問題はないと思うのであります。ただ生活改善普及員、専門技術員は相当高度の知識経験を要しますることと、資格試験が相当高度になっておりますので、なかなか充員がしにくいということ。それから生活改善普及員は昨年、年度初めの途中で増員になったという関係で、最近まで百パーセントの増員ができなかったのでございます。その点につきましては、なお私ども一そう努力いたしまして、国会でわざわざ御修正になりました趣旨に沿うように充員方に努力したいと思います。なお純県費で置いているところにつきましては、行政整理といったような問題が生じはしないかという御疑念でございますが、この御疑念もごもっともと存じます。ただ先ほども御質問もあり、お答えいたしたように、三十年度は補助単価について相当実情に近いようなふうなものをベースとして組むことができましたので、私どもの仕事の関係から言えば、従来よりは県に御迷惑をかけるといったようなことも非常に少くなるというふうに考えられますので、いたずらな行政整理ということは行われないのではないかと思いますし、またさように努めたいと思っております。
  179. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 今、局長はその専門技術員の資格はむずかしいから、これを充足することはできないと言われたけれども、それは生活改善普及員は大体専門学校出身者だから、高等学校の家政科の免状を持っているはずなんです。だからみんな学校の方にとられて生活改善普及員にならないのですね。だからやはり待遇をよくしなければ問題にならぬというわけなんです。それはそのままにいたしまして、私はもう一つお尋ねいたしますが、この普及事務所、普及員の駐在しているところですがね、今お話を聞けば、今度四千万円金が出て計上するようになった、こういうお話ですが、四千万程度でできるのですか。たとえば今まで私の郷里の長岡の普及員の事務所なんというものは、まあ倉庫みたいなもので、ネズミが昼出てちょろちょろ走るというような状態なんです。しかも最近は立ちのきを言われて行き場所がないというような状態になっている。今度四千万円くらいこれを出しても、二階から目薬くらいの程度じゃないかと思うのです。これをもっとこの際増額される意思はありませんか。
  180. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 普及事務所の費用と申しまするのは、これは建物の建設費ではもちろんございませんで、建物そのものよりも、中でいろいろ活動する場合の印刷費でございまするとか、そういった事務的な費用を見ておるのでございまして、もちろんこれとても十分ではございません。相当地元の町村に御迷惑をかけているものでございます。おそらく一町村当り三万円以上も御迷惑をかけていると思いますけれども、従いまして、四千万円と申しますと、一町村の負担分にも当らぬようなものでございまして、地元の御迷惑を若干でもまあ軽減したといった程度でございまして、根本的な改良にはならないことは御指摘の通りでございます。窮屈な予算の中でございまして、しかも新しく要求いたした点もございますし、なおこの点につきましては今後増額方に努力をする、そういうつもりでおります。
  181. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) この駐在所の、普及事務所の整備ですね、これに関連しまして、これを法制化する要求が相当あるのですね。そこでこの普及員の資格、待遇の法制化と一緒に、あわせて普及事務所の法制化ということをお考えになりませんか。
  182. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 普及関係職員の設置についての法制化の問題につきましては、資格の問題等、いろいろむずかしい点がございますが、設置そのものにつきましては、地方自治法の改正につきましては、かねて自治庁とも話合いがついておりまして、いずれ自治法の改正の機会がございますれば、自治法の上でもちゃんとした制度に確立されるということにも相なろうかと思います。なお普及事務所等の法制化の問題につきましては、なお私ども検討が足りない点がございまして、町村合併後最近の推移の状況でございまするとか、あるいは地方事務所の最近の整備の問題、廃止の問題等ともあわせて考えまして、法制化についても利害得失を十分検討した上で必要な措置をとりたい、かようなことで目下検討中であります。
  183. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 県によりますれば、駐在普及員の地区を地方事務所単位にしている所がある。あるいは町村単位にしている所がありますが、これは合併前の五、六カ町村ぐらいを単位にしてこの地区をきめたらどうかと思のですが、まあ中地区制というのですか、そういうふうにしたらどうかと思うのですが、それに対する考え方と、この問題もやはり法制化したらどうかと思うのですが、それに対する御意見はどうですか。
  184. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 普及事務所と申しますか、あるいは普及員の担当区域の問題につきましては、合併前の五、六カ町村という程度の地区、こういつた点は、御指摘のように改良普及事業を始めましてから間もなく、そういうことがよかろうということで、農林省といたしましても、これまで中地区制が最もよろしいということで、そういう方針でおりまするし、またそういうことで府県庁に指導をして参っておるのであります。何しろ農業会当時の職員の設置のいきさつといったようなこともございまして、中にはそういうふうにまだ実施していない県もございまして、はなはだ遺憾でございます。今後なお一そうそれについてだんだんと改善して参りたいと思っております。地区の法制化、こういう問題は私どもいろいろ検討いたしておりますが、なかなかこの地区をどうきめるかということは、抽象的には中地区とか、四、五カ町村ということを言えましても、法律に書くといろいろむずかしい基準になると思いまするし、また検討を要すべき点が多かろうと思います。これは先ほどのお尋ねの、普及事務所の法制化ということとほぼ一致するかと思いまするので、普及事務所の法制化と、地区の法制化とあわせて一緒に検討したいと思っております。
  185. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 今日ですか、昨日の新聞に、千葉県では地方事務所の廃止を決議したらしいのです。これに関連して千葉県では、農業事務所を置いて普及員をそれに所属させようというようなことが伝えられているのですね。そこでこういう考え方は、私は改良普及事業の本質からいって、非常におかしいと思うのです。しかもこの改良普及事業というのは県と国が共同してやるということになっている。そういう建前からもこれはおかしい。こういうことをやる県に対しては、たとえば千葉県には補助金をやらぬとか、何とかいう措置をやらないで、これはもう仕方がない、何をやられても仕方がないですという態度をとられるのか、どうか。
  186. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 千葉県の普及事業の今後のやり方につきまして、御指摘のようなことが検討されておるということは実は私どもも聞いております。実は非常に心配をいたしておるのであります。県の当局といろいろだだいま話し合いをいたしております。これまでいろいろ検討の結果、あるいは経験の結果、よいと認められたいろいろの方針と著しく相反することのないように努めたいと思っております。もちろん補助金の打ち切りといったようなこともできないことはないと思いますけれども、そういう荒立ったことに至りません前に、できるだけの措置を講じたいと目下協議中であります。
  187. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっと改良局長、いろいろ混乱してくるのじゃないかと思うのでして、町村合併があったり、今の地方事務所の廃止があったりして、各県々々で非常にばらばらなことになって、妙なことになるのじゃないかと思うのですが、まあ一方には法制化の問題についても、あなた方でまだ検討しなければならぬというような問題もありますが、大体これからの普及員制度をどういうふうにやって行くのだという基本的なものを文書にでもまとめて、委員会の方に出すということはできないものでしょうか。いろいろ問題があって、たとえば技術員だの普及員のレベルの問題についても、私ども必ずしも今のレベルで足りるとは思わぬのでして、この再訓練を要する点があると思いますが、そういう問題をずっと当面した、普及制度の基本方針ということでなくて、当面の方針ということになると思いますが、そういうようなことを一つおまとめになって出していただくと非常に便利がいいじゃないかと思いますが、どうですか。
  188. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これはもちろんそういった意味の普及事業の運営全体につきましての根本的な方針につきまして、これまでいろいろ決定をいたしたものもございまするから、あるいはまた検討中のものもございますが、そういうものをあわせて御提出いたしまして、いろいろ御意見を拝聴できることは私どもといたしましても非常にけっこうでございますから、できるだけ近いうちにそういう資料と申しますか、ものを整えまして御提出いたします。
  189. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 私まだお尋ねしたいことはたくさんありますが、本日は時間もあれですからこれでやめますが、最後に私はもら一つお願いというか、希望を申し上げておきたいのは、戦後の占領下においてアメリカがやりましたいろいろの農業政策のうち、悪いものも、またいいものもあったでしょう。しかし私はかねてからこの改良普及事業が最もやったうちではいい、こういうふうに考えているのです。ところが最近になってこれがだんだんおかしくなり、さらに先ほどから申し上げているように、河野農林大臣になってからの強制縦割り、あのためにだんだん怪しくなる。またここにおられる畜産局長の御説明を聞いていると、この河野農林大臣の縦割り説を肯定するような意見を言われて、はなはだ心もとないのです。最近インドの生活改善の事業をやるために大学の卒業生で女の人が十名ほど日本に来て、この普及事業を視察して帰った事例もあるように、私はこういうところから考えても、この日本の改良普及事業というものを非常に、日本ばかりでない、各国も注目してその成功を見守っていると思うのです。こういうことから考えて、私はもっと積極的に改良局長はこの制度を拡充して行く熱意があるのかないのかということを、まあ聞かないでもいいかとも思うけれども、念のために一つ聞いておきたいと思うのです。
  190. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) いろいろ御教示と御援助を受けまして、私どももこの仕事をますます強化して参りたい、こういう決心でおります。
  191. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 最後に、畜産局長はどうですか、先ほどから私のお尋ねしていることを結論的にお聞きになって、あなたはやっぱりある程度縦割り説を支持されて、この普及事業は少しぐらいどうなってもいいというようにお考えなんですか、あるいは断固としてこの普及事業の育成強化を支持するというふうにお考えなんですか。
  192. 原田伝

    政府委員(原田伝君) 改良普及事業というものが伸びて参るということにつきましては、私どももその意義はまことに重大だと、かように考えまして、今後とも改良普及事業が健全に発達するようにということを希望いたしております。
  193. 小林孝平

    委員外議員(小林孝平君) 私の質問はこれで終ります。
  194. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 改良局の問題につきましては、先ほど申しましたように、普及制度の問題というのは非常に重要でございますが、いろいろ最近こんがらがってきているように思いますので、あらためて改良局の方から、先ほどお願いしましたような文書を出してもらいまして、なおそのときに詳細な御検討を願いたいと思います。まだ改良局関係は問題が、小林君だけの質問になりまして、ほかの委員の方々もいろいろ問題を持っておられると思いますが、だいぶ時間が遅くなりましたので、きょうはこの程度にしておいたらどうかと思います。  ただちょっと畜産局の方で、局長お見えになっておりますが、畜産局の方もいずれまた別な機会に十分お聞きしなきゃきょうは全然まだお聞きしておりませんが、ただ、あなたの方に昭和二十九年の十二月七日付で当農林委員会から草資源の造成改良及び利用増進に関する申し入れをいたしておるわけですが、この申し入れについてはどういう御措置をおとりになりましたか、それだけちょっとお答え願っておけばいいんじゃないかと思うのですが。
  195. 原田伝

    政府委員(原田伝君) ただいまお話の当委員会からのお申し入れに対しまして、私どもといたしましていろいろな措置を考えたのでございますが、ともかくも草資源の造成改良並びに利用増進という問題を実行に移すためには、これに関係いたしまするいろいろな問題につきまして十分な調査研究を行なって、そこに基本的な方針を見出すという行き方が一番いいのではないかという考えから、実は三十年度予算要求の場合におきましても、若干調査会の経費というものを懸命に要求し続けたのでございますが、財政の都合等によりまして予算案に計上を見るに至らなかった、かような状態に相なりましたので、省内におきましても、この問題の重要性を官房その他に十分に話しまして、既定経費をもちまして何とかさような趣旨による調査会なり、あるいは協議会なりというものを一つ始めまして、できるだけ早く基本的な方針、施策というものを見出すようにいたしたい、かように考えまして、目下その趣旨に沿いまして努力いたしておる次第でございます。
  196. 江田三郎

    委員長江田三郎君) この問題は、この申し入れをいたすときにもいろいろ意見が出ましたように、大体酪農奨励とか、何とか、いろいろ畜産政策をとられる前に、まず草の問題をもっと根本的にやらなきゃならぬのじゃないかということから出たわけでして、まあ私どもとしましては、この申し入れをするときの考え方は、今の畜産行政が本末をいささか転倒しているのじゃないかということから、この申し入れになっているわけですから、これにつきましては、ただいまお答えがありましたが、委員会の総意をもって申し入れたことでございますから、十分善処をしていただきたいと思います。いろいろ問題があると思いますが、だいぶ時間が遅くなりましたから、いずれ後日……、本日まだ続けましょうか、どういたしましょうか……。それでは後日に譲りまして、本日はこれで散会いたします。    午後四時二十九分散会      ——————————