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1955-05-19 第22回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十九日(木曜日)    午前十時四十五分開会     ―――――――――――――    委員の異動 五月十八日委員河合義一君辞任につ き、その補欠として亀田得治君を議長 において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     江田 三郎君    理事            秋山俊一郎君            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            関根 久藏君            田中 啓一君            飯島連次郎君            奥 むめお君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            森崎  隆君            東   隆君            棚橋 小虎君   政府委員    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    農林政務次官  吉川 久衛君    農林大臣官房長 安田善一郎君    農林省農地局長 渡部 伍良君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    調達庁次長   山内 隆一君    農林省農地局管    理部長     立川 宗保君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件農林水産政策に関する調査の件  (福島鏡石村における農地問題等   に関する件)  (総合経済六カ年計画に基く農林水   産計画に関する件) ○開拓融資保証法の一部を改正する法  律案内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではただいまから農林水産委員会を開きます。  福島鏡石村の農地取り上げ等の件を議題にいたします。この件につきましては、去る五月十二日の委員会において一応問題としたのでありますが、本日重ねてこの件を取り上げ、なおこの際、最近問題になっております駐留軍飛行基地の拡大及び落下傘演習等農地及び農作等との関係に関する件をもあわせて問題として事情を明らかにすることにいたしたいと存じます。この問題について本日は農林省農地局長及び調達庁長官出席を求めておりますが、ただいま出席を得ておりますのは調達庁次長調達庁総務部補償課長、それから農地局管理部長でございまして、農林政務次官は間もなく見えるそうであります。また農林省農地局長は十一時までには見えることになっております。それでは前からの通告によりまして亀田君に御質問願います。
  3. 亀田得治

    亀田得治君 まず福島県の農地取り上げ問題について質問をいたします。昨日農林省で作成された農地取り上げ問題に関する実地調査報告書、これを専門員室を通じていただいたのですが、前回の十二日の農林委員会でしたか、その際に管理部長から一応の見解の表明があったようでございますが、この資料に基きまして、もう一度、今問題になっておる多くの福島県の取り上げ問題、これについてどう考えておるか、もう少し詳細にまず見解を明らかにしていただきたい、その上で私の質問を続けることにしたいと思います。
  4. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 福島県の岩瀬郡鏡石村の農地賃貸借解除に関する諸問題でありますが、全国的にもこの一両年賃貸借解除件数が増加をしております。ちょうど農林省の方で小作契約文書化指導をいたしまして、その文書化内容で五年あるいは十年という契約になっておる所が多いのでありますが、ちょうど五カ年前に指導いたしました関係で、五年契約というものの契約期限が切れるというのがちょうど去年から今年に際会をしております。それで各地でその更新の問題をめぐって、賃貸借解除なり、更新なりという件数が多く出て参るのでございますが、当鏡石村におきましても各様の件数が非常に出て参っております。それで先日も概略申し上げました通り、私ども調査をいたしましたものについて賃貸借解除をめぐるものが十四件でありまして、そのうちすでに片づきましたものは、農地調停が済んだ、あるいはもうすでに知事許可を受けたのを農林大臣に訴願しろというようなものを含めまして、すでに処分済みのものが五件であります。それから手続をとることなくして、つまり農地法二十条の規定によらずして、すでに取り上げを実行したものが一件であります。それから申請をいたしましたのでありますが、県の方でそれを突き返して、そのままになっておる、立ち消えになったとおぼしきものが一件、それから現に知事に二十条の申請をしておるものが三件、そうしてまだ申請に至りませんが、地主小作人の間で交渉中といいますか、話し合いをしておるものが四件というような内容に分れるわけであります。それでこの内容を、現地担当者を派しまして詳細に調査をいたしましたのでありますが、そのうちに農地法規定によらずして取り上げを実行したというようなものは、これはもちろん違法の行為でありますが、このそれぞれの内容について地主側及び小作人側意見をいろいろ聴取をいたしました。小作人意見によりますと、いろいろ問題と思われるようなことも出ておるわけであります。で、私ども処置といたしましては、県の方に対しまして、農地法二十条の規定の趣旨を厳正に、公平に今後も実施するようにということを申しました。先日もまた県の農地部長にこちらに来てもらいまして、私がいろいろ話をいたしました。正しい行政を、農地法実施をするようにということを指導しておる次第であります。
  5. 亀田得治

    亀田得治君 実地調査をおやりになった結果、これは一つ一つ案件について本来ならば議論しなければはっきりしないわけでありますが、総括的にお聞きしまするが、地元農業委員会農地法運用並びに県の農地法運用ですね、ここに相当のギャップがあるように私どもは感じておるのです。地元農業委員会相当ルーズにやっておる、県の方もたしかとは言いませんが、はなはだしく農業委員会地元のやつはルーズですが、そういった点はこの十何件の件数をお調べになって、どういうふうにお感じになっておられますか。
  6. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この現地における諸問題についての判断でありますが、これはそう私は簡単にどうこうということを言い切るわけにもいかぬと思うのであります。と申しますのは、相当突っ込んで調べたつもりでありますが、一週間に足らない期間で毎日十人も十五人もという人に会って調べたのでありまして、本当に最終的な断定をいたしますには相当長期にわたる資料をとり、またその村の諸事情を十分に的確につかまなければ、どうこうということは申しがたいのであります。ただその村のいろいろな事例を見ましても、全部何でもかんでも地主さんの言い分をみんな農業委員会が通しておる、それには賛成だということではなくして、やはり非常に明確なものについては村の農業委員会も、これはいかぬならばいかぬということを申しておる件数がかなりあるわけであります。ですから全く問題にならぬ態度であるということは申せないのでありますが、小作人側の人々の言い分によれば、たとえば一部の農業委員会委員から非常にきついことを言われたというような事例がいろいろ出ております。そうして、そういういろいろなことがあるわけでありますが、私どもとしましては、なおこういうようなこともありますし、現地で問題が頻発しておりますので、県はさらによく村の委員会農地法の運営の指導をしてもらうということを特に注意はしておいた次第であります。
  7. 亀田得治

    亀田得治君 それではそういう抽象的な質問ではかえってお答えがしにくいと思いますから、このたくさんの事例の中で、私二つだけ取り上げて少し見解を聞きたいと思うのであります。そのあとでさらに全般的にお話を承わりたい。まず、地主鈴木弁一の関係ですが、これは問題になっておる係争地はたくさんあるわけです。そのつちで県の方が土地返還許可しない、そういう態度をとっておるものについては実害はありませんから、ただいま触れません。しかし、これは地元農業委員会態度としては、はなはだこれはけしからぬことなのですが、まあ時間の関係上それは省略いたします。ところがそれらの中で、小作人佐藤友好、この関係はすでに県も中に入りまして土地取り上げが済んでおるわけです。それでこの経過から見ますと、県は地主小作人の間に入って、そうして土地返還の、むしろ仲介をしたかのごとくとれるおけなんです。そこで質問しないわけですが、この地主鈴木弁一と佐藤友好関係ですね。双方耕地面積労力関係財産生活関係、そういったようなものを比較考量いたしますると、決してこれは二十条にいう自作相当とするという条項には断じて私はこれは該当しないものだと考えておるのです。それで、これはすでに取り上げられて、佐藤友好としては非常な被害者になっておるわけなんですが、この案件については管理部長はどういうふうにお考えになっておられますか。
  8. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 私は現地について、しさいに自身調べたのではありませんので、あるいはお答えが多少不明確になるかもしれませんが、私の了解をしておるところでは、すでに賃貸借解除をしてしまったものと、それから今お話のような県、地方事務所でありますが、地方事務所が間に立って話をつけたというものは別の事件である、こういう工合了解をしております。と申しますのは、この小作人佐藤友好について県が介入をいたしましたのは、地主鈴木弁関係のたんぼ二反十八歩というものについての案件であると了解をいたしますが、すでに取り上げが済みましたのは、地主鈴木弁司佐藤友好との関係土地、田二反二畝二十五歩というものは別ケースであろうという工合考えるのであります。それで、さて次に今のお尋ねの中で、地主鈴木弁一と佐藤友好との耕作地及びその家族その他の関係で、これでは取り上げをすることはおかしいというお話がございました。小作人佐藤友好家族九人、農業従事者四人、耕作地、田が一町二反三畝、畑は六反歩、それから片や鈴木弁一は、家族十一人、農業従事者六名と、耕作地が、田が一町三反、畑が九反一畝、合計二町二反一畝ということでありますが、これをまあそれぞれ対比いたしまして、私どもいろいろ実際の判断をいたしますときに、田の面積あるいは畑の面積、それから家族の人数というものを、ただこれだけのことだけでは、やはり事実問題としての判断は簡単に下せないと思うのでありまして、それは田の地味、畑の状況、それから地理的な関係とか、それから家族農業従事者にいたしましても、その内容具体性をおさえませんと簡単に申せないのじゃないかということを考えるのであります。そこで私どもこちらにおります者、それからあるいは現地担当者を若干の時日出しました立場におきましては、これだけの調査内容では、地主取り上げを不相当として小作人に持たせる方がいいということを、この具体的な案件、二反十八歩について簡単に言いきれるというわけに参らぬという気がいたすわけであります。
  9. 亀田得治

    亀田得治君 弁司の分はまだ取り上げが完成しておらぬというのですか、どういう段階にまでいっているのですか。
  10. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは御承知通り農地法の二十条の申請が出ておりません。それから二十条による許可もございません。そして実際の耕作も、今の問題になっております鈴木弁一の田二反十八歩については、現在なお佐藤友好がやっておるはずであります。従ってこれについては、取り上げが済んでおらぬという工合理解をいたします。それから鈴木弁司小作人佐藤友好耕作をさしておる田二反二畝二十五歩、これについては、現に鈴木弁司小作地取り上げておる、実際取り上げて作っておるということでありますので、昭和二十九年の春でありますが、これは取り上げが完了しておる、こういう工合理解をいたしておるわけであります。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、鈴木弁司の方が取り上げが完了している、それから鈴木弁司と大体同じような家庭の事情だと思いますが、しかしこの調査ではあまり明確になっておらんから、これは触れませんが、こういう事実は大体あなたの方では御存じでしょうか。この鈴木弁一というのは、報告書によりますと、まあ自家労働力が六人、こうなっておりますが、弁一自身はすき、くわはとらない、実際は五人なんです。それから農繁期にはもちろん雇い入れをして耕作を続けておる、そういう状態であります。これは私は非常にかたいところを言っておるわけです。私自身、これは発言する以上は調べて来たわけであります。しかもこの弁一の耕作面積はあなたの方でもおわかりになっておるように、相当多いわけなんです。ここで問題になっておる耕作者よりは、みんな少くとも多いわけであります。それから単に田畑だけではなく、山林もこの調査では二町となっておりますが、村の諸君が言っておるのは、実際は十町近くは持っておる、こう言っておる。農業委員会はおそらくそんなことを知っておっても、県の方に出さないのかもしれない。それから原野でも六町ぐらいは持っておるわけです。そのほかの生活関係と言えば、これはもう小作人とは比較にならないような生活状態にあるわけなんです。で、ほかの事情は別としても、自分で雇い入れ労力を使わなければ耕作を進めることができないような人が、あちらにもこちらにも土地返還の要求を出しておるわけなんです。取り上げの済んだものはなかなか少い。だから私は少くとも鈴木弁一に関する限りは、こういうものはもう全然無資格者である、土地返還を要求する資格はないんだ、このくらいのことはあなたの方の調査から言ったって、これは当然断定していいと思いますが、そういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
  12. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 鈴木弁一が、かつて学校の先生をやっておったということは、調査をいたしたわけでありますが、今御指摘のように、農業労働に従事しておらぬか、どうかということについては、私は詳細に承知をいたしておりません。そこで今いろいろ取り上げを不相当とするのではないかというようなお話がございましたが、私どもその調査をいたしておりますつまりまあ反別、あるいは経営の内容というようなことの資料からしては、その賃貸借解除が不相当であるということを簡単に断定はできない。そこまでの自信のある材料を収集をしておるわけじゃないということを遺憾ながら申し上げざるを得ないと思います。と申しますのは、私もこういう件数にはいろいろ関係をしておりますが、やはり問題は非常に大事でありまして、この二十条について許可をするか、不許可をするかということについては、やはり相当深く立ち入って 地主状態小作人状態考えて、正しく二十条の規定運用するということをやらなければいけないんじゃないか。そこで私ども中央におりまして、直接地方具体案件にふだん関与をいたしておりません。単に数日の調査をいたした資料でございますので、鈴木弁一の取り上げが具体的な案件として、この案件について妥当であるということを断定をするだけの詳しい資料は持っておりません。なお、つけ加えて申し上げますが、今の、具体的にこれは取り上げ申請が出ておるわけであります。友好については出ておりませんけれども、御指摘の別の鈴木ですね、それについては十分県の方にも注意をいたしまして、慎重に二十条の運用をしてくれということを申しております。県のほうでも、特にこれについては十分時間をかけて、誤まりなくやりたいということを申しておりますので、今もし御指摘のように、地主の方がやはり二十条の規定に照らして、取り上げを不相当とする事実があったら、おそらくそういう結果に県の方でもきまるのではないだろうかという工合に想像しておるわけであります。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっとあなたの見解を聞いておきたいんですが、おそらく私と同意見だと思いますが、二十条の第二項の第三号ですね、自作相当とするという項目ですが、これは旧法のころは、農地調整法施行令の第十一条でしたか、あの際には自作相当とするということの判断の場合に、小作人側事情をよく考慮するようにという意味条項が明確に入っておった。これは私は「相当」という以上は入っておってもおらぬでもこの点は同じだと、こういうふうに解釈をしているのですが、この点管理部長はどうなんですか。
  14. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 今おっしゃる通りに私は考えております。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、しつっこいようですが、先ほど私が鈴木弁一の耕作状況なり、生活環境を一応概略申し上げた一番大事なところは雇い入れ人を使ってやっているということなんですね。みずからは耕作しないわけなんです。で、この土地の不足しておるときに、小作人の方でそれ以上のより有利な客観的な状態にあるという人はこれは考えられぬわけなんです。それを具体的にここで出してみいと言えば、それは探しに行けばそんなものは幾らもあると思う。しかしここに載っておるやつだけから判断したって、これはまあ鈴木弁一よりも悪いわけなんですよ。そうすれば少くともほかの地主は別として、鈴木だけはそういうことを申請するもう無資格者なんだ、これぐらいのことは大体の見当として私は言えるのじゃないかと思うのですが、私は県の方もそういう角度から鈴木の分は相当許可を出しておると思うのです。それぐらいのことは断定できないですか。これは私も法律家ですから、そんなに根拠のないことを断定してくれというようなことは言いませんが、少くともこれぐらいのことは明確にしなければ質問したりする値打ちも何もないわけなんだから……、どうなんです。
  16. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この二十条の解釈について申し上げますれば、私どもははっきりとこの解釈内容について右左ということを明確に申し上げることはできるつもりであります。しかしながら、この今問題になっております鈴木佐藤という事案につきまして、いろいろ材料をおあげになりましてどうかというお尋ねがございますと、これについては重ねて申し上げるようでありますが、どうも私どもはこれは右だ、左だということを断定いたします具体的な問題についての的確な資料を十分に収集しておりません、遺憾ながら……。そこでこれについてはいろいろお尋ねがございますが、やはり明確にどうだということは申し上げかねるのであります。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 まあその程度にしておきましょう。  この調査報告によりますと、吉田孝一ですね、小作人吉田孝一、この分はすでに無断鈴木弁一は取り上げを完了しているわけですね。これは独立の項目じゃなしに、五枚目の表の一番最後に書いてある、そうでございますね。
  18. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 無断取り上げをしておるようであります。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 これは明らかに法律を無視し、ともかく犯罪行為に該当することを敢行してしまっておるわけですが、いやしくもあなたの方で調査に行かれて、こういう事実を発見しておるわけですが、どういうふうにこれは処置をされましたか、何か県当局に対して告発をするように指示するとか、そういうことをされましたか。
  20. 立川宗保

    説明員立川宗保君) いわゆる二十条の規定をふまない事案につきましては、特に県について、その事後の処置については適切に法律精神に照らして処置をするようにということを一般的に指示しております。
  21. 亀田得治

    亀田得治君 一般的な指示はいいでしょうが、それは当然なことです。しかし具体的に係の方が調査に行かれて問題になっておる場所でそういう事案が出ておるわけですから、私が申し上げるのは、これは何も今問題になっておるこの吉田孝一の場合にはわずか五畝歩ですが、これだけではないわけです。これは氷山の一角なんです。だからそういう意味でこれはゆるがせにできないわけなんです。今、管理部長さんは一般的な指示と言われたが、私は内容二つだと思うのですが、具体的には、一つはやはり告発手続きをとるかどうか。それからもう一つは、二十条でも明確にしておるように、無許可のやつはこれは法律上無効なんですから、だからそれに対してどういう救済をしてやるか、できるならばわれわれの希望としては元の状態に戻してやる。もちろん小作人が裁判の手続きをとれば、これは無許可でやっておるやつですから、双方財産比較とか、何とかいうことをやらないで、これは小作人の主張というものができるわけですが、しかし実際問題として貧乏な人にそういうことはできないわけです。そういう二つの点について具体的な指示というものがあったのかどうか、それを聞きたい。一般的なことは、これはあなた法律を守る以上当然なことなんですが、そういう指示をされてありますか。
  22. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは具体的な案件調査の結果こうこうであった。われわれこういう工合調査の結果を認識しておるということは県の方と話し合いをし、確認をしておるわけです。ただしその結果、それについてどうだ、こうだということについては、その件はこうしなさい、この件はああしなさいということを、具体的な問題については指示しておりません。それは県の方が法律精神規定に照してそれぞれ処置するというのが職務でありまするし、また私どもこういう問題をこういう工合に認識して、調査の結果こうだ、それについて農地法規定が厳正公平に行われるように、こういう問題について処置しなさい。これは先ほども申し上げましたが、今後出てくる問題については十分慎重に農地法規定を厳正公平に実施をするようにということを申しておるわけでありまして、それに基いて県の方で具体的な事情に即して農地法運用を適切にやるということを期待しておるわけであります。
  23. 亀田得治

    亀田得治君 それはまあ要望しておきましょう。それから次に、あなたの方では相当日数をかけてお調べになったと言われるのですが、相当やはり調査漏れがあるわけです。それほどこういう問題はややこしいわけなんですよ。そこでこの表の中で四枚目の表の一番あと佐藤弥源治というのがあります。これは白紙になっておるんですが、これはちょっとおかしいわけです。現に小作人の方は土地返還を迫られておるわけです。私が実地調査に行ったときにも、そこのおかみさんが非常に訴えていた問題です。それがここでは何も問題になっておらない。こういうような程度調査では、さっき私が申し上げたような実態がなかなかつかまれておらぬわけですよ。もう少し管理部長の方で一ぺんそういうような点をもう少し突っ込んで調べてもらいたいと思う。それから岩崎喜一の分です。五枚目の一番上に書いてある分、これは許可済となっておりますが、土地自身は現在どうなっておるんでしょうか。
  24. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 今もいろいろお話がございましたが、非常に御指摘通り錯雑をいたしておりますので、なかなか若干、一週間の時日では手が回りかねております。今の岩崎喜一の問題についても、取り上げ許可済ということは確認いたしましたが、現在耕作がどうなっておるかということについては、現地について確認をしておりません。
  25. 亀田得治

    亀田得治君 それで正式に許可済みという問題の出ておるのは岩崎喜一だけなんです。弁一の関係では幸いこれはまだ土地小作人が放しておらないと思いますが、私が先ほど申し上げたような立場から言うと、弁一は大体ともかく無資格者ですよ、二十条に関しては……。そういう角度から今度の問題で初めてそういうことが一そう明らかになったのかもしれませんが、そういう角度からやはり県当局に対しても再検討させるようにしてもらいたいと思うのですね。まだおそらく土地があるわけですから、その点要求しておきましょう。それからもう一つケースですね。表で言いますと十五番目ですね。地主円谷小作人常松、まあこの関係で少しお聞きしたい。これは調査報告によりますと、この二十八年の十一月四日に二反二畝十七歩、この許可をしておるのですね、知事許可をしておる。この許可内容をまずお聞きしたいのですが、契約解除なんですか。あるいは解約なんですか、どちらなんでしょうか、この報告では明らかでないが……。それともう一つ、これは多分取り上げがすでに行われてしまっておるんだと思いますが、いつその取り上げが行われたか、実際の移動ですね。
  26. 立川宗保

    説明員立川宗保君) その後段のお尋ねについては確認を残念ながらしておりません。それで前段のお尋ねについては、別に調べ資料が手元にありませんので、多分戻りまして調査すればお答えできるかと思います。ただいまはちょっと資料を持ち合わせておりません。
  27. 亀田得治

    亀田得治君 ずいぶん長く現地調査をされ、問題にもなっておる。また十五番目のただいまの問題については、地元農業委員会の書類等もついてきておるというふうに私聞いたから、それくらいのことはわかっておると思ってお聞きしたのですが、その点がはっきりしませんと、この知事の一方的な許可ですね、これが正当かどうかということの判断にも非常に影響してくるから、私確かめておるのです。で、たくさんの件数の中で、普通はこの小作人地主双方とも判を押して、そうして二十条の申請をしてくる、これが大体のケースですが、この第十五番目の問題は、珍しくも小作人が同意の判を押しておらない。知事が一方的に判を押しておる事案なんですね。だからこれは非常に重要なわけなんです。そういう意味でまあ私がずっといろいろ調べたのでは、これは解除の理由というものはないと考えております。小作料の滞納があったとか、なかったとかいうようなことをちょっと書いてあるようですが、そんなことは理由になりません。結局は農業委員会を通じて地主小作料をこれは受け取っておりますね。だからそんなことは理由にならない。たとえ一週間とか、二週間遅れたところが、そんなことは普通のことですから、従ってこれは解約なんですね、問題は……。そうなりますと、二十八年の十一月の四日に、知事許可がきておるわけですから、それからさらに一年しなければ解約の正式の意思表示の効力が発生してこないわけなんです。許可が出た後に初めて行動にかかるわけですから……、一方的なやつは……、そうすると、まあよほど順序よく意思表示等がされたとしても二十九年の春ですか、春から、あちらの権利になる、こういうことしかないわけなんです。ところがこの事案は、たしかそれ以前にすでに土地取り上げに入っておるはずです。で、同じことがこの三十年の二月十四日の二反一畝二十一歩、残りの問題ですね、これについてもあるのですよ。というのは、この許可がことし出たからということで、せんだって私ども調査に行ったときに、双方でたんぼに入り合いしておるわけです。地主が入ると小作が入る、小作が入ると地主が入る、そういう状態を演じておるわけです。これはもってのほかの問題ですね。この許可自身だいぶ問題があるのですが、たとえ許可があったにしてもですよ、もう一つ先になるわけでしょう。民法六百十七条の規定が生きてくるわけですから、一方的な解約の場合には……。だからそういうことを無視して、全く暴力的に今現場でともかく双方で作り合いしているわけなんです。で、これは私は第一にその許可が正当であったとしても、そういう入り方はいかぬし、はなはだ不都合だと思っております。県にもこれは注意しておるのですが、あなたの方ではどうですか。係官が注意されましたかね。調査に行けばそれくらいのことは私は気がつくべきだと思う。農地問題というものを、本当にこの農地法という立場を守って行くのだというその精神がなければ、気がつかぬようであれば……、それくらいのことは気がついて注意しなければならぬ。どうなっていますか、それは……。
  28. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この円谷・常松の問題については、いろいろ非常に紛糾をしておる事案でもありますので、しかも現在農林大臣に訴願中の事案であります。それでこれらの訴願の措置については十分厳正公平に判断をして処置をしたいと、こう思って今検討中でございますが、今お話しのありましたその現地の問題についての処理について、円谷・常松の事案について、県とその調査の結果について話し合いをした際に、県の方でも十分適当な処置をとろうということであったそうであります。
  29. 亀田得治

    亀田得治君 これは適当な措置と言ったって、現に小作人耕作しておる土地ですね、それに対して地主がのこのこ入ってくるわけですからね。私はあの地元の警察官に会ったから、何でそんなことをするのか、他人の借家にのこのこ入って行ったら、このごろの常識ではやはり警察官はとめるだろう、それとちっとも変らぬじゃないかと言うのです。で、そんなことについて適当な措置の程度では、これはだめですよ。もっとはっきり指示すべきだと私は思うのです。それはできませんかね、それだけのことが。
  30. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なおこれは管理部長からお答え願うのもいいのですが、そういう問題はただ鏡石だけの問題でなしに、全般的の問題について、私は一つこの際政務次官の方でお答え願ったらどうかと思うのでして、吉川政務次官は、この農地法が成立しますときに、改進党を代表して衆議院本会議の討論をなすっておりますが、このときに現在の農地法自身が民主化に逆行する点が認められるということを非常に遺憾とせられまして、フランス革命の農地解放の失敗の轍を踏んではいかぬということを強く討論でおっしゃっておられるので、本法については非常に深い御理解があるわけです。最近この管理部長お話を聞きましても、全国的に賃貸借解除契約が一両年間増加しておる。同時に今の質疑応答を通じましても、どうも農業委員会の扱い方というものが相当ゆるんでおるのではないか。吉川さんが心配されましたような、ここに書いてあることをそのまま表現しますと、「今回独立が回復するや、各方面に、いわゆる復古調というか、民主化の逆コースが現われ、」ということになりはしないかと思うのでして、管理部長からだけでなしに、政務次官の方からもお答え願った方がいいと思います。
  31. 亀田得治

    亀田得治君 私は政務次官に、この具体的なケースをちょっとで済ましまして、少しそういう、今、委員長から御発言があったような点についてもお聞きしたいと思いますが、もうちょっとこれを続けさしていただきたいと思います。
  32. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 実は具体的に今のお話の、現在耕作者耕作をしておる土地許可を得た地主が入ってくるなら入ってくるという問題について、具体的案件を県の当局がどう措置をするかということについては、私ども処置といたしまして、具体的にその問題をどうこうしなさいという指導はいたして参っておらぬのであります。この福島の問題については……。それで現地において調査をした結果、こういう事態があったということを県に通報をし、また県でその是非の認識の問題を相互に確認をするなり、ただし合うということをいたして参っておりますし、そうしてなおこの本件についての、紛争しておるこの事案にかんがみて、現地の処理を適当にやるということについては県側とも託し合ったのでありますが、その常松の耕作をしておる現地に介入をする問題についての具体的な処理の仕方について、具体的に県に注意を与えておるということはございません。ただその調査の際に、常松辰雄から言い立てを現地で聞いておりますが、その際に、この農地法なり、民法の解釈に、そういう問題について法律判断をどうすべきかということについては、法律解釈としては話をしてございます。それでこういう具体的問題でございますから、それぞれ地主対当事者が、小作の当事者が民法なり、農地法の正しい規定を相互に了解をするならする、そうして具体的に紛争の処理については関係者及び関係の官庁で適当な指導をするということが望ましいと考えております。
  33. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお亀田君、農地局長もお見えになっておりますから……。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 ああそうですか。まあ本件は一部あとの部分が訴願にまたがっておるわけですね。だからその訴願の決定について私は非常に重要だと思いますから、私ども調べて出てきておる材料について一つ申し上げて、あなたの方の見解を聞いておきたい。それはこれも双方耕作面積比較すると、これは県の調査にもありますように、地主の方が非常に多いのですね。それから労力の問題ですね、これもやはり地主が農繁期になるとほかの人を雇うのです。そういう格好になるのですよ。それから最近弟に五反歩この地主が分けておるわけなんです。こういう点を一つ僕は慎重に考えて行けば、こんなものは当然知事許可すべきものではなかったと思うのです。地主の方は弟に分けることが一つの理由だと、こう言っておるらしいのです。小作人から聞くと……。しかしそんなことは理由になりませんよ。地主家族がふえるとか、そんなことはむしろ小作人の方にだってあり得るのですから、そんなことは理由にならない。弟に五反歩分けてもいいというような状態にあるような人であれば、ほかの人が耕作しておるものに対して手をかける、そんなことはもってのほかのことです。むしろ逆の理由になるだけですよ。私は残っておる半分だけでもこれは適当な判断をしてやってもらいたい。おそらく当事者は一方的に知事許可した問題については非常にこれは憤慨して何とか取り戻したいと考えておるわけですが、あなたの方の権限で処理できるその半分についても、せめてこれは十分調べて、そうして正当な判断一つ出してほしい、こういうふうに要望しておきます。そこでこれはいろいろ言いますとたくさんあるのですがね、まだあなたの方の調査漏れが、二十条の許可を得ないで取り上げたような事例があるのですが、もうこれはやめておきまして、全般的に一つ農地局長なり、農村次官に少し聞いてみたいことかあるのですが、それは農地法運用ですね。どうもこれが間違ってきてやせぬか、あくまでも農地法の第一条には、耕作者の地位の安定を図るという目的を明確にして一切のものができているわけなんです。われわれももちろん人間ですから、地主が非常に困った生活をしておる、そんなことはもちろん百も承知ですよ。しかしそれを許しておったのでは、小作人の地位の安定ということが犠牲にされるので、こういう立法があるのですから、地主の問題はこれはまた別個の角度から処理したらいいと思っておる。ところがそういう点についての確固たる農地改革当時の確信といいますか、そういうものが農林省といわず、各府県あるいは農業委員会等でも幾らかぼやけてきておる、こういう感じを持つのですが、その点に対して一つ明確なる考え方を出してほしい。
  35. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 農地を中心として、所有者と小作人との関係について最近いろいろな問題が少し深刻になってきておるのじゃないかというふうに見受けられますが、それは私の方で説明するまでもなく、農地改革当時の一般的な経済状態なり社会状態が変ってきておる。一方では追っつくし、一方ではまた差ができてきておる、こういうところから、そういう問題ができてきておるのじゃないかというふうに考えておるのであります。これを解決する問題は非常にむずかしい問題でありまして、私の方でも法律条項一点張りで云々することは困難でありまして、問題が起って、私の方でわかればわかるし、外からいろいろな問題を注意されれば、そこへできるだけ現地におもむきまして実際の実情を調べて、この法の運用、あるいは法律に欠陥があれば、それをどういうふうに直していったらいいかということを研究してきておるのであります。しかしいずれにしましても、土地について長年先祖代々からの愛着なり、その土地がどうしてその地主に入ったというふうな、いろいろな複雑な関係がありますので、ちょっと入っていって調べてもなかなかわかりにくいのは当然でありますので、私どもの方でも非常に慎重にやっておるような次第であります。そうして、まずこの農地法法律に書いていることは、文字通り見れば非常にいいのでありまして、その運用や、具体的にその土地にうまく合うということが大切なのでありまして、今までのところでは十分実情を調査して、法の趣旨が徹底するようにということを、あらゆる機会に地方の部課長会議、あるいはこちらから出ていったときに申しておるので、そういう点については、先ほども申し上げましたように、農地法制定当時といろいろな状況が変っておるので、一そうむずかしい問題になっておりますので、さらに今頭を悩ましておるのであります。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 大体御趣旨はわかりますが、頭を悩ますだけでは、やはり解決しないのでね。断固たる態度をとる必要があると思うのです。それでこの福島県の統計ですね、これを見ますると、最近はずいぶん土地変換の請求が多くなってきておりますが、許可件数と、不許可件数との比率が非常に逆になってきておるわけです。地主土地取り上げを許す、判を押す数が、昨年のごときは千八百二十七件のうち千三百九十八件も知事が判を押しておる。そして不許可にしておるのは四百二十九件しかないのです。これは全く農地改革当時とは雲泥の差があるわけですね。こういう数字を見て、ただ心配だけしておってもだめなんでして、どういうふうにこれは解釈されているか。私は千三百九十八件という、おそらくこれは大部分は小作人も同意判を押したものではないかと思いますが、先ほどのようなのは特例でありまして、同意判を押しておるのじゃないかと思いますが、しかしそれは形式だけなんですよ、そういうことは……。これは福島県の鏡石村の事件を見てもわかるわけです。形式だけなんです。こういう判を押しているということは法律の体裁を整えるという……。このせちがらい世の中に誰が、小作人が喜んで判を押す人がありましょうか、ないはずです。もちろんたくさんの件数の中には、小作人も困るが、しかしまあ地主の方でもこういう事情だから判を押さなきゃならんだろうというのもたまにはあるでしょうが、しかしこの件数というのはべらぼうに多過ぎる。この福島県の問題をどういうふうにごらんになっておるか。それから全国的に許可、不許可件数というものが、昨年はやはり福島県と同じくらいの数字が出ておるのか、どうか。この点概略でいいですからちょっとお答え願います。
  37. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ちょっとその前に、先ほど局長の言われました農地法制定当時とは状況が変ってきているので、法律条項一点張りでやって行くことは困難だということを言われましたが、あの発言、亀田君は気持はわかると言われたけれども、ちょっと私が聞いた印象では、亀田君とは逆のように聞えたんですが、この農地法をゆるめなければならぬという御趣旨なんでしょうか。それを亀田君に答弁なさるついでにちょっとお答え願いたい。
  38. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) まず最初に簡単な点からお答えしますが、昨年度の全国的な処理件数は五万二千六百十八件のうち、四万七千八百四十二件が許可になっております。従って四千七百七十六件が不許可件数になっております。ただしこの二十九年度の表には北海道、東京、新潟、山梨、愛知の五県の下期の分がきておりません。二十八年度のを申上げますと、処理件数が四万二千五百件、許可件数が三万九千二百四件、不許可件数が三千二百九十六件、こういうふうになっております。お話しのように、申請件数が年々昭和二十五、六年からふえておる傾向でありまして、二十八年、二十九年が四万台、五万台、二十五、六、七と三万四、五千件というふうになっております。これは経済状況が変化しておるということは、要するに一方では物価が騰貴し、また一方食糧需給の緩和等があり、あるいはまた最近の状況では、デフレの影響を受けて農村に帰農する人口も統計上相当ふえておるようでありますので、そういう関係からこういう問題が複雑になってくるのじゃないかと思います。先ほど法律一点張りと、こういうことを申上げたのは、これはこういう意味であります。今までは法律条項がこうであるからこうだということで、たとえば農林省のほうに陳情があっても、そこでそのまま放置しておった。しかしそれではいかないので、さらに現地について実情を調査するとか、あるいはまた県の許可、不許可の処理状況についても、県によっては書面審査で相当簡単にやっておる部面等も聞きますので、そういう点はもう少し県の中のことであるから、あの村ではどういう状態であるかということは、これを担当しておる県の係官が知っておるべきはずじゃないか。そうすれば許可申請がきた場合に、もう少し親切にやってしかるべしじゃないか、こういうことを意味しておるのであります。そういった手続等についても、場合によったらば、法令においてもう少し親切に規定したほうがいいじゃないか、そういうふうなことを私のほうは考えておるのであります。
  39. 亀田得治

    亀田得治君 江田委員長質問に関連してですが、そうすると、途中の手続はいろいろ丁寧にやる場合があっても、やはり結論は農地法を厳守してやるんだ、こういうふうに理解していいわけですね。
  40. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 今のところ私のところではいろいろ検討しておりますが、実に農地法の条文としては精神がよく出ておるじゃないか、こういうふうに考えまして、結局それを運用する場合に、もう少しその精神がうまく発揮できるように努力すべきじゃないか、こういうふうに考えております。
  41. 亀田得治

    亀田得治君 それで私の見解では、こういう統計上に現われてくる数字は全体の土地取り上げのうちの一部だと思うのですが、まああなたのほうでやみを認めるということについてはなかなか発言はできないでしょうが、大体のところ、これ以外に実際上はどの程度この土地というものが移動しておると、こういうふうなことをお考えになっておりますか。
  42. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) これはお話のように、このほかに地方によっては相当そういうことが行われておるということを聞いております。現に私個人の出身地についてもそういうケースが具体的にあることを耳にしております。しかし遺憾ながら公式の調査、あるいは何と言いますか、調査という段階になってくると、それがどの程度ということは、これはまあ非常に私の方でも苦労して、ほぼどの程度ということぐらいわからぬかということを苦労しているのですが、これはつかめないのでありまして、たとえば現地調査に行くときも、調査に行く人にそういう点も何らかの方法で聞き込みができるようなことを考えて、それを元にして将来の全般的な調査ができるような、参考になるようなことはないかといっておるのですけれども、やっぱりそれはなかなかむずかしいので、そういうのが実情であります。
  43. 亀田得治

    亀田得治君 これは時間に制限がありますか。
  44. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 制限はありませんが、なるべくお一人でなしに、かわられたほうがいいんじゃないかと思いますが。
  45. 亀田得治

    亀田得治君 それでね、農林省一つ注文があるし、その注文に応ぜられるか、お聞きしたいんですが、このたくさんの土地取り上げ件数が統計上出て来ておる。これに対して私実際上小作人が納得しておるものかどうかというようなことを何らかの方法で実態調査をやる。私はこれをやれば相当あのはんこは間違って押したというのが出て来ると思う。そういうことがまた地主に対する戒めにもなるし、非常にいいと思う。しかし勿論その調査農林省が表から入って行ったんじゃ、これはできない。本当にやるという気持になれば、これはまたやる方法もあるわけなんですが、それくらいの考え方というものはお持ちになるかどうか、お聞きしたい。
  46. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 先ほど申し上げましたように、非常にデリケートな問題になりまして、各方面に、各方面と申しましても、これは地主小作関係でありまして、どういう方法でもそういうことを知りたい、調査したいという希望はあるのでありますが、その方法についてまだどうしたらいいかという結論に達していないのであります。いい方法があれば、行政当局としては当然そういうことを考えておかなきゃならないと、こういうふうに考えております。
  47. 亀田得治

    亀田得治君 私どもの方でも具体的な手段を一つ考えることにしましよう。それから最後に、この農地法を結局守って行かれるというわけですが、農地法の終りの方についておるこの第五章の罰則ですね。これがなかなか従来守られない。で、この罰則は土地取り上げと、結局やみ小作料ですね、この二つなんですが、これについて農林省が今まで取り上げ告発等をしたり、あるいはそういうことを指示されたようなもの、どういうことになっていますか。その件は一件もまさかないことはないだろうと思うのですが。
  48. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 農林省自身ではやっておりませんが、現に必要な場合にそのそれぞれの法規上の措置をとるように指導いたしまして、何件告発事案があるかということは今手許にございません。それぞれの趣旨に従ってやっておるはずであります。
  49. 亀田得治

    亀田得治君 こういうことは農地法を守るやはり一つのてことして、この第五章というのが置かれておるわけですから、それを農林省がみずからやらなくても、全国でどれくらい具体的に処理されたものがあるか、そういう大体の数字くらいはつかんでおらなきゃいかんですよ。
  50. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 数字は今ここに持って来てないので、あとでお出しいたします。
  51. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ついでですが、その数字を出されるときに、去年のこの委員会で、東京周辺の例の建物会社と土地会社のあの農地法違反について相当問題にしたことがありまして、その結末が一体どういうようになったかということもついでにお出し願いたい。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 最後に政務次官にお聞きしますが、私は結局こういういろいろないざこざが起きて来るのは、現在の農地法において小作制度というものを一部残しておく、こういうところに私原因があるのだと思う。そういうものを残しておるから地主のほうもそれにたよろうとする、本来無理なたより方なんです。だから私はそういう意味で一部に小作料を上げるとか、何とかいうことがあるが、そんなことじゃなしに、今小作料を上げたってそれで地主生活か片づくわけじゃないのですから、やはり私は農地制度の本来の立場に立って、耕作者に全部を開放してしまう、こういうことにすればさっぱりしてしまう。その点の見解はどうですか、小作地をなくする、そのことがいろいろさっきからお話申し上げたような問題の根本的な解決になり、農林省だって楽になるわけです。
  53. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) お答えいたします。お説の通り小作農をなくしたい、そういう考え方から自作農維持創設の予算を持ちまして、できるだけそういう努力をやっておりますし、現実にも小作農がだんだんに、きわめて僅かではございますが、減りつつございます。またお話のような方向にいろいろの施策もただいまめぐらしておるような事情でございますから、その点御了承願いたいと思います。  それから先ほど委員長のお言葉にもございましたし、亀田委員の御質疑にもございました、ただいまの農地法の維持の問題でございますが、社会的、経済的な諸情勢の変化に伴って、これの適用にゆるみが来ているのではないかというような疑義も持たれておるのは、最近非常に階級分化がはなはだしくなって来ておりますが、農地取り上げというようなことが顕著に現われて来ておりますので、この点については先ほど来御質疑の中にもございましたが、農林省として積極的に問題になるような事件を一々探しまわるようなことはできませんけれども、具体的な問題が出ましたならば、一般的な、県に対する要請をしておるその内容と同じような内容を持った、しかも具体的な注意をして行くということによって、ただいまの農地法を守って行きたい、かように考えております。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 終りました。
  55. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 今の鏡石の問題についてはほかに御質問ございませんか。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっきの立川さんに亀田君が質問したやつがあったが、現在もはっきりした事件で、取り上げの不当ということがはっきりした事件で、それを小作人から訴願している、それについて県当局に適当な処置をとるようにとだけ言うてある、そういう話ですが、それで大体片づくものだと、こうお考えになっているかどうかということと、訴願に対してもっと強い方法がなぜ考えられないのか、この二つを、一つまずお聞きしておきたいと思います。
  57. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 問題が訴願の形で出て参りましたならば、出て参っておりますものについては、農地法の趣旨に従った適切な訴願についての結論を出すということにいたしたいと思います。はっきりと結論を指し示す。で、その結論が出ましたならば、それに従ってその訴願によってその案件が右か左かということになりますので、それに従ってまた県は具体的に措置をとる、こういう工合になりまして、問題は明確に落着するという工合考えております。
  58. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほど亀田君との質問応答の中に、はっきりと小作人手続きの間違った知事許可に対して訴願している、こういう問題に対して、県に適当な処置をと、こういうことを言われておりますが、その適当な処置が今言われたような意味にとれないのです。こういうふうにしろと、話はわかっているのです。適当な処置ということは、あなたの今の御説明でいくならば、それは確かに取り消せ、こういうことなんです。私はそう解釈する。それができないで、あくまで県に適当な処置ということを言われているところがどうも私は合点が行かない、こういうことなんです。適当な処置という文字ですね。そういう言葉が、現に不当であるということは亀田君との応答によってはっきりわかっている。それに対して県に適当な処置をとれということでなく、それは取り消してやれと、今の御答弁ではこういうことなんです。それがなぜできないか、こういうことをお伺いしたい。
  59. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 私がお答えをいたしましたつもりでは、先ほど県に適当な処置をとるように、一般的に要請をいたしましたということを申し上げたのは、亀田委員から御指摘の、いわゆる農地法二十条の規定に基かざる土地取り上げというものの処理について、それの具体的な処理を県がきわめて適切にやるようにということを、処置をしろという工合に記憶しているのでございまして、具体的な県が処理をすべき案件については、当方といたしましては、具体的にこれはああだ、これはこうだということは指示をいたさないことにしております。それで一般的な処置についての指導をいたしておるわけであります。ただし、訴願という形で出て参りましたならば、これは具体的な案件についての右左ということは、農林大臣の責任において申すべき職責が法律上ございます。従ってこれについては明確にどうこうという結論を出す次第でありまして、それでその出しました結論に従って、県は具体的な農林省の結論を運用するということをいたすというつもりでございます。
  60. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで大体わかりました。先ほど二十条の手続きを踏まないでという問題で訴願が出て、それに対する答えが、ただ適当な処置を県にとるようにと、こうおっしゃっておるから、これはどうもおかしい、言われるがごとく、それが不当なものであるから取り消せということをはっきり言っていただければ、こんな面倒な御質問をしなくてもいいのです。わかりました。ではさっそくそれをやって下さい。     ―――――――――――――
  61. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお、先ほど最初に申しました駐留軍飛行基地の拡大及び落下傘演習等農地及び農作物との関係につきまして、政府委員の方からその間の事情を御説明願いたいと思いますが、ちょっとその前に、一昨日の委員会におきまして、溝口委員から政務次官に御質問なさったことにつきまして御答弁が残っておりますので、この際政務次官の方から答弁していただきます。
  62. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 一昨日の本委員会において、溝口委員の御質問に対して、私のお答え申し上げた中に、数字において誤まりがございましたので、この際訂正をいたしておきます。私が申し上げましたのは、百二十万石の増収に対して、八十万石の消費純増が四十万石と申し上げたのが誤まりでございまして、昭和二十九年度の米麦増産上の調べによりますと、灌漑排水、これは国営、県営、団体営等、その他これらに関係をした土地改良一般等によりまして、百十三万一千石、それから耕種改善で二十四万六千石、合せて百三十七万上千石になりますそこで、つぶれ地で五十万石、老朽地で三十万石の減収を見ますると、純増が五十七万七千石ということになるわけであります。私が人口増等をも含めて八十万石の消費増というように申し上げたのが誤まりでございまして、実は土地の喪失、老朽等によって、すでに八十万石というような計算になっております。従って純増が五十七万七千石ということになっておりますが、これは人口増に対してただいまの配給量を計算をいたしますと、これは若干の輸入増によってまかなう、こういう大体の見通しでございますが、一昨日も森委員、溝口委員、重政委員から御指摘になられました通り、これでは私は不十分だという点については同感の意を表しておいた通りでございます。  以上訂正をいたしておきますから、よろしく。
  63. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ただいま政務次官から、先般の御答弁に対して御訂正がありましたので、了承いたしました。なお、その点につきましては、農林大臣も衆議院の予算委員会においては、百二十万石の食糧増産に対して、人口増等によって八十万石を消費するが、四十万石は純増で余るんだというような御答弁をしておられたように新聞等には伝えられておりますから、この点は誤解のないようにしたい。非常に食糧増産の経費を節減しているが、なおかつ四十万石も余るような印象を与えておることは、はなはだ私は遺憾だと思います。ただいま政務次官が御訂正になりましたような趣旨を、何かの機会に農林大臣も御説明になっていただくように御連絡をお願いいたしたいと思います。
  64. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 政務次官の御訂正に伴いまして、溝口委員の御理解ある御了承をいただきましたが、衆議院のほうの農林大臣お答えにつきまして、あわせて御注意がございましたので、少しそれについて釈明さしていただきたと思います。農林大臣に対する衆議院の予算委員会での芳賀委員の御質問は、経済計画におきまする三十年度の増産量にも関係した質疑の中で、三十年度の予算案に伴う増加分はどうだという御質問が関連してございまして、いささか不明確で補足を要するところが大臣の答弁の中にあったことは事実でございます。次に増産分につきまして、ただいまの政務次官の御訂正のように、必ずしも綿密なる資料を持たないで即座に申されたことによりまして、数字がまるめられておりますようでございまして、土地改良に伴いまする増産分は、三十年度の平常の年におきまする増産量といたしましては、前年度までの土地改良等の農地改良拡張による施設の増産分を数量としては見込みまして、三十年度の土地の拡張、改良の予算に伴いまする分は、三十一年度に増産の量として石数としては出てくるように取り扱いたいと思って作業しておるものの少し混同が実はございます。すなわち、三十年度の生産見込みはどうかと申しますと、二十九年度以前の施設に伴いまする百十三万石分を予定しておりますが、三十年度の予算の農地改良、拡張の施設からは、増産があとでどう出てくるかといいますると、百一万石の三十一年度分に生産量として見込むといいだろうということの両者の差が一つでございます。もう一つは耕種改善には、大体ほんとうのところは、当該年度の施設に伴いまして、その年に農薬の撒布その他増産分が出てくる、こういうものもございまするし、アカホヤ、シラス地帯その他の土壌改良のような分は、後年度に増産分が出てくるのが普通の常識でございます。しかし見積りがたきものも若干まだ事務的にもございましたので、健苗育成等の、その年の施設で、その年に生産があがるものの予算、その他増産計画上、従来取り扱っておりましたものの方式に従いまして、二十四万五千石分を、まあいわば生産技術の改善としまして、まるめて二十万と申しますか、百一万と二十万とで百二十一万ということを、まあ予算に伴う増産としたわけでございまして、政務次官のただいまの御説明は、前年度の農地施設等から本年度に出てくる分を百三万と百十三万との差が十万あるわけで、それからネット増の点につきましては、人口増というのは、ちょっと申しましたけれども、御了解を得まして誤まりであるのを衆議院で訂正させていただいております。従いまして農地の改廃及び施設の老朽化防止は、従来のような考え方の見積りをいたしまして、年八十万差引しまして、人口増の需要でなしに、予算に伴いまする分の増産と、いわば物的施設に人口増を除いた自然的施設の減産分、生産の減少の普通の見積り分を引いたら四十四万というところを四十万とまるめて申し上げたものでございます。御了承をお願いいたします。     ―――――――――――――
  65. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは、調達庁次長さんに飛行場の基地の拡大等の現在の状況を御説明願います。
  66. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 長官は今日日米合同会議の関係上、出席ができませんので、私がかわって参りました。飛行場の本年度の拡張計画についての概要の話をせよという委員長のお言葉でございます。  今年度予定しております拡張の飛行場の個所は五カ所であります。東京の立川、横田、千葉の木更津、新潟飛行場、愛知県の小牧飛行場、この五カ所を予定いたしております。現在の進行状態は、小牧につきましては、すでに立ち入りも認めていただきまして、調査も約一週間くらい前に終了いたしたわけであります。従って軍の調査の結果、今度いよいよ小牧飛行場の具体的計画ができ上って、日本側のほうに要求になってくるわけであります。それから新潟飛行場につきましては、これはすでに前から立ち入りの問題でいろいろ交渉中でありますが、まだ十分に話し合いがつきませんので、立ち入りの実施はいたしておりませんが、いずれ近く立ち入り調査に着手することになろうと考えております。その他の三つの飛行場につきましては、多少時期の関係がすべて同時ということはなかなか容易でありませんし、また必ずしも同時に進めなければならぬような情勢でもありませんので、漸次進行いたしたいと、かように考えております。これについての予算は約十二億円を予定いたしておるわけであります。しかしながらこの各飛行場別の内訳等は、ただいま申しますような進行状態でありますので、果してどの程度の規模になり、あるいは買収なり借り受けなければならん土地がどうなるか、また滑走路の延長が果してどのようなかっこうになっておるかというようなことは、今後の調査研究の結果に属しますので、自然個々の飛行場の予算の予定も、申し上げる程度に達しておりません。のみならず、各飛行場につきましての滑走路の長さとか、あるいはつぶれる土地面積、あるいは移転しなければならぬ建物というようなものについても、まだ特に申し上げる程度に達しておりません。まだちょうどこの急ぐ個所について着手したばかりの程度になっておるわけで、大体以上の程度を申し上げまして御了承を得たいと思います。
  67. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質問はありませんか。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 二、三ちょっとお伺いしたいのですが、ただいまお話しになった十二億というのは、農地関係を処理するための予算ですか。
  69. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 調達庁で計上して支出すべき経費は土地の買収あるいは賃貸料になる場合もありますし、あるいはその他の建物の移転とか、あるいはその中に道路がありますれば道路のつけかえとか、そういうような飛行場の拡張用地として軍に提供するに直接必要なる経費だけでございます。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 その点はわかりましたが、この土地を入手する場合、これは今後なかなか場所によってはいろいろ問題も起りかねないと思うのです。そこであなたの方の根本的な考え方を聞いておきたいのですが、これはどういうのですか、あくまでも地元耕作者なり土地所有者の了解を得て、合意でやっていくのである、こういうことが多分原則だろうと思うのですが、そういったような点どういう心がまえでおられますか。
  71. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) お言葉の通り土地を手に入れる方法としましては、直接所有者とよく話し合って、ときには買収してもらわなければ困るという場合には、一時的な金がかかりますけれども、買収に応ずる考えでありますし、また賃貸契約で済ましてもらえるような情勢であるならば、それもお願いしたい。いずれにしましても所有者なり、あるいはその関連する権利者、利害関係者と十分話し合いの上、御了解の上で政府の使用権といいますか、それを得まして単に提供したい、かように考えております。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 土地獲得のための具体的な出先きにおける折衝、これは各地の調達局がおやりになるわけですか、あるいは調達庁本庁としても手をつけることになりますかどうなんですか。
  73. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 主としてその区域を担当しておる調達局が当るわけでありますけれども、しかし問題が非常に大きな問題でありますのみならず、過去の経験からみましてもなかなかむずかしい仕事でありますので、本庁からも必要に応じて出かけていきまして、いろいろな関係者とひざを交えて話合う。しかし調達庁だけでなかなか仕上げるということが容易なことでもないいろいろな関係がございますから、当然知事さん初め地方庁の方にもお願いする。あるいはその拡張のいろいろな関係から他の省の出先き機関にも大きな関係がありますので、中央におきまして関係各省が相談の上、いろいろな条件等をきめることになっておりますので、それと同じような関係地方にもそれぞれお願いして、ただ地方的にできるだけ話し合って、皆関係各省の出先き機関と話し合って、力を合せてこの大きな仕事を円満に達成したい、こんなふうに考えております。過去におきましてもいろいろそういう協議会等がありまして、十分話し合いの上関係各省協力の上進めておるような次第でございます。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 過去の経験から言いますと、出先きのほうで、今のお話ですと、いろいろ関係される方が一応あるようですね。ちょっと行き過ぎた言動等がたびたびあるんですがね。そういうことがありますと、平生からこんなものを拡張されるのは誰も希望しておるわけじゃないんですから、よけい紛糾の材料になって行くんですね。具体的に言えば、これは妙義山の場合もたくさんあるわけなんです。私はやはりそういったことのないように、これは十分本庁として、もし調達局等をお使いになるようであれば、注意してもらいたいと思うのです。その辺どういうふうにお考えですか。
  75. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) まことにごもっともな御注意と存じましたのですが、お話通りむずかしい問題であるのみならず、時間的に急ぐような必要がよく起って参りますので、つい熱心に早く解決したいあまりに、言葉が足らぬとか、あるいは急いでやるために態度なりすべての動作が、相手方に、ことに神経質になっているような場合には、こちらに何も悪気がない、第三者から見てさほど無理な言い分なり態度でない場合にも、相手方に不愉快な気分を与えて、そういうことが進行を阻害するというような傾きもありますので、最近大きな問題を取り上げて進めて行くためには、特に出先の担当者の応答が非常に大事なものだと思いまして、最近力強く注意をいたしております。特に飛行場担当者の局長等もよほど前に、着手の前に寄せまして、いろいろな仕事の打ち合せのほかに、そういう点に特に注意を払って、局長、部長はもちろんですが、その部下の言動に注意を払うようにいたしておるような次第であります。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 問題がまだ具体的じゃありませんから細かい質問はいたしませんが、農地に対する補償ですね、これは大体どういう基準で、現在のところお考えになっておられますか。
  77. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 農地関係の補償料は、大体一言にして言えばその地方々々の地価といいますか、あるいは県民の土地の最近取引きの行われたような価格等も十分参考にしまして、それから町村役場にあります固定資産税の評価額、こういうものも重要な資料といたしまして、どこまでも妥当とする金額で、契約をお願いするような考え方をいたしておるわけであります。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 今お答えになったような根拠は、二十七年の七月四日の補償に関する閣議の了解事項ですね、大体あれによって処理されるわけなんですね。
  79. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) あの閣議決定の補償要項を基準にしていたしております。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、あれによりますると特殊な異例な条件等のあるところには、普通の基準以外に特別な価格も出すというふうなことが書かれているのですが、それはやはりそういう考えでございますか。
  81. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 個条は間違いであるかも知れませんが、第四条ですか五条に、そういう意味の非常に特殊の例の場合には、必ずしも以下に書いてあります基準によらないことができるような項が一つあるわけであります。一般的に言えば非常な特殊異例な場合には、私が申し上げましたような額によらない取りきめをすることができるわけでありますけれども、これは実は非常に厳格に、成り立ちからみますというと、本当に特殊異例な問題であって、実はあの条項によって処理したというものは内灘の補償問題は先ずあれによったということを私ども承知をしておりますが、それ以外の方はあまり例を知りません。
  82. 亀田得治

    亀田得治君 妙義山もそうでしょう。
  83. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 妙義山もそういうことであるかも知れません。とにかく非常に変った本当の例外というわけで、極めて厳格に解釈しておることを御了解願いたい。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 それからもう一点。これは大体要綱では明確になっておりますが、特に明らかにしておいてほしいのですが、自作地と小作地ですね。まあ自作地の場合には問題ありませんが、小作地になっておる部分ですね、これは地主に渡す分と小作人に渡す、耕作権の評価と申しますか、これは別々におやりになるわけですね。
  85. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) よく賃貸契約とか、買収するそういう契約のときには、一応今のところ地主を相手方としてやる例になっておりますけれども、非常にはっきりとした賃貸契約者がある場合には、別々に行うこともあるわけであります。ましてやきめられた金額はどこまでも、これはまあ場所によりまして非常に分け方の違いがあると思いますけれども、はっきりした賃貸契約者には当然行われております。
  86. 亀田得治

    亀田得治君 小作人のやつは、金額がきまったら小作人に直接渡す格好になるのですか、地主を通ずるのですか。
  87. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 大体今までは地主契約をいたしておりますので、一応地主に渡すようなことがほとんどの例のように承知いたしておるのでございますが、あるいは多少例外として賃貸契約者に渡すようなこともあるかと思うので、はっきりした例を存じておりません。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連してちょっと。この前に、その問題がめんどうになったとき、前の調達庁長官は区別して渡しますとはっきり言っておるのですが、新潟に大体問題が起きて、全部地主に取られた問題が起きた、こんなことじゃしょうがないじゃないかという話をしたときに、この後そういう問題がありますならば、地主小作人には、おのおの権利が違うのだから、区別して渡します。区別したあれをやりますと、はっきり言うてあるのだ……。
  89. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 私前長官の御説明はまあ存じておりませんでしたが、今この方の直接の担当課長じゃありませんけれども多少関係したことがある課長をここに呼びまして、聞いてみますと、やはり区別して渡した例もあるそうでございます。今後明確な例については、問題を起さないような適当な考慮を払って進めたいと思っております。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 これは午前中質疑した農地法の建前からいっても、むしろ農地については耕作者のほうがより強い権利を持っておるわけですから、実質的には。従って国もその立場を尊重して、やはりやってもらいたいと思います。そうしないと、これはやはり無用な紛争を起しますよ、中間の者がそんな金を受け取るということになると。まあそういう立場でこれは進めてほしい。  それからもう一つ、話が早く妥結する人、あるいはいろいろな事情で、同じ飛行場でありながら、おくれる場合がありますね。そういう場合であっても、条件が同じであれば、国が出すところの補償料、これは変らぬ。おくれたから、お前憎らしいからちょっと少くしてやる、そういうことはあり得ないとわれわれ確信するのであるが、それはどうでしょう。
  91. 江田三郎

    委員長江田三郎君) なお、今の地主小作とに分けて出すかどうかという問題に対して、農林省としては一体どういう立場をとってきたのか、この際農林省の方も一つはっきりしていただきたい。
  92. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 話のつく前後によりまして条件を異にするというようなことは絶対いたしておりません。今後もさような考えを持っておりません。
  93. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) その点は権利者別に金を渡してもらいたいということを調達庁に申し出ております。
  94. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の場合、この飛行場等の場合ばかりでなく、鉄道の用地買収その他の買収の場合にもこれは適用せられるのだ。そういう場合に大体地方庁の長が中に入るために、一方的な仕方になって、そうして地方庁の長の裁決で、場合によると、一方的に力を入れて大紛糾を起して、押しも返しもつかないような問題が方々にあるのだから、これは一つ先般新潟であった事件を中心にして、調達庁の方針として前の調達庁長官が言明せられたごとく、これははっきり一つ将来取扱いを両者に分けてやってもらいたい。そういうことを誓約していただくと同時に、農林省一つ飛行場の拡大というような問題ばかりでなく、他の買収に対してもこれははっきりやってもらいたい。非常な問題を起すから。
  95. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) ただいま農林省の方からの御希望の御意見もありますし、また皆さん方からそういう地主小作人の間の関係を明確にして問題を起さぬようにという、いろいろ御意見もありますので、早速相談いたしまして御期待に沿うように、あとに問題を残さないような考慮を払って、適当な方法をきめて執行したいと思っております。
  96. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかに御質問ございませんか。
  97. 亀田得治

    亀田得治君 これは私実はいろいろな紛争が予想されるものですから、いろいろお聞きしたいこともあるのですが、時間もないようですから、また日を改めて適当な機会にいたしたいと思います。それだけちょっと留保いたしておきます。
  98. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま現在拡張すべき飛行場の数が五カ所あって、小牧は大体片づいた。あとの東京附近の三カ所は何らの説明もなかったが、新潟の分として、今立ち入り問題で交渉中だが、近く立ち入り調査に入るであろうと言われる。基礎的なあれはどんな様子になっているか、お聞かせ願いたい。私の知っている範囲では、県知事も市長も土地の農民も全く拡張に反対しているのに、こういうちょっと変った御報告がありましたので、なるべく詳しく一つお話を願いたい。
  99. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 新潟の飛行場拡張の調査のための立ち入り問題は、お話しの通り相当に反対もありまして、非常に長い間折衝を続けておるようなわけであります。できるだけ円満に話し合いの上、立ち入りのできるようにいたしたいという念願から、非常に長く交渉をいたしておりますので、ちょうどまたもう時期的にぜひ立ち入りをしたいというような時に選挙もありましたし、また知事さんもかわられて、前の知事さんに十分話をしてあったのが、やはり新しく知事さんがかわりますというと、また改めて知事さんによく話をしなければならぬというようなこともありまして、だんだんおくれて参っております。もうほとんど新潟の方でも実は雪等の関係でも、だいぶ進行を阻害したわけでございますが、そういうような状況もすべてなくなりましたので、新潟は小牧に次いで、急いで調査立ち入りをしたいという軍の希望もありまして、すでに長く折衝いたしておりますので、知事さんに十分お願いし、地元関係者とも折衝を続けておりますので、近くぜひ立ち入りをさしていただきたいと、かように思っているために、先ほど申し上げましたようなお答えをしたわけであります。
  100. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、希望ですね。あなたの、できるであろうという希望なんですね。
  101. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 近くできるであろうという希望であると同時に、或る時期には、どうしても先々の仕事の進行の関係から、この時期になればぜひ決行しなければならぬというような条件になれば、あるいは全部御賛成を得ることができなくとも、決行しなければならぬということもありますので、単なる希望じゃなくて、希望は円満に早くやりたいという希望であって、最後の時間的の関係で、どうしてももう立ち入りしなければならんというときになれば、多少の反対があっても、決行しなければならぬことがあるわけでありまして、近く立ち入りはしたい、そういうふうに申し上げたわけであります。
  102. 清澤俊英

    清澤俊英君 多少反対が……、その比率はどれぐらいですか、多少反対というのは。全部反対した場合はもちろん入らぬのですか。調査はやらないのですか。多少反対ということは、どのぐらいの比率で多少という言葉を使われるのですか。
  103. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 言葉の問題で多少と申しましたが、どの程度かということになると、なかなか口頭の意見だけでもいけませんし、黙っている人が果して賛成なのか反対なのかということも、はっきり捕捉しがたい場合もあります。確かに反対はあるわけでありまして、その反対がありましても、どうしても新潟の飛行場の滑走路の延長ということは、やらなければならぬというふうになっておりますのでその前提である調査、立ち入りは何としても必要である。しかもまた具体的にどうなるかというようなことにつきましても、調査、立ち入りがないうちは話ができないわけで、かりに反対者としましても調査、立ち入りのあとではもう反対ができぬというわけでもありませんし、私どもとしては、かりに反対の方は、あとでいよいよ提供する、しないについての意見は保留してもらって結構ですが、ぜひ立ち入りだけは認めていただきたい。そんなふうな意味で、立ち入りだけはぜひ御了解願うように努めているわけであります。
  104. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこがどうもおかしいのですがね。話を聞いておりますと、了解が得られないでもある時期がくればやるのだと、こういう意思表示のようにも見えますが、しまいの方へくれば御了解願いたいと、一番初めは地元とはなるべく摩擦がないように了解を得てやって行きたいのだという前提に立っていますが、最後の言い方とは非常に食い違いがありますね。全く反対しておってもやっぱりやるのだ、何が何でもやるのだ、こういう結論に聞えておりますが、しまいにくると、何か賛成してもらいたいのだと、もう少しそこのところをはっきりしていただきたいと思います。
  105. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) いよいよという状態になれば、やはり強制をしても立ち入らなければならぬと思っております。
  106. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 大分時間もおそくなりましたから、なお飛行場の問題についていろいろまだ質問があると思いますが、これは今後進行してゆく問題でありまして、その進行の過程の間に農林、水産行政の立場からいろいろ問題にしなければならぬことが出てくると思いますから、今後の進行状況によって後日また問題にすることとして、一応これでこの問題を本日は打ち切りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは休憩いたしまして、午後は開拓融資保証法の一部を改正する法律案、総合経済六カ年計画に基く農林水産計画に関する件を議題にいたしたいと思いますので、午後は二時から再開をいたします。  それでは休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ―――――・―――――    午後二時二十六分開会
  108. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それではただいまから委員会を再開いたします。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案を議題にいたします。本法律案につきましては去る十日の委員会において提案理由の説明を聞きましたので、本日は法律案の内容及び参考資料等について補足的説明を聞くことにいたします。  なお本法律案の審査は来週行うことにいたしたいと思いますから御了承願います。補足説明を立川管理部長にお願いいたします。
  109. 立川宗保

    説明員立川宗保君) お許しをいただきまして私から開拓融資保証法のいろいろの内容の説明と申しますか、関係資料のようなものを御説明さしていただきたいと思います。法律案は先日提案理由の説明を申し上げましたように非常に簡単な内容でございまして、現在中央開拓融資保証協会に政府が出資金を出しております。それが一億五千万円でありますのをもう五千万円増加いたしまして二億円にしたいということだけが実体でございまして、非常に簡単なものでございますから、格別それ以上御説明を加えることもないかと存じます。この際その開拓融資保証の現在の制度におきまして、どうしてさらに追加出資を必要とするかというような事柄を中心に、若干資料的な説明を申し上げておきたいと思います。  お手元にいろいろ資料を差し上げてございますが、中で開拓融資保証制度の概要という刷りものがございますはずでありますが、そういったその概要の概略についてずっと御説明申し上げます。この保証制度は御承知のことでございますが、開拓者が農業経営に必要な営農資金、主として運転資金を系統機関から借ります際に、開拓者は非常にまだ信用力が充実しておりませんので、それを充実せしめますために保証をするというのがこの制度の骨子でございまして、保証いたします機関といたしまして中央では中央保証協会、地方では各道府県別に地方保証協会というものが法律に基いて設立をせられておるわけであります。それでまずその開拓者が農林中金系統の金融機関から金を借ります場合に、営農資金等を借ります場合には、その開拓協同組合を単位といたしまして地方保証協会がその債務の保証をすることができるわけであります。それで地方保証協会といたしましては、その地方保証協会の出資金、基金でありますが、それの六倍をめどといたしまして保証の限度といたしております。それは地方保証協会全体についての保証のめどでございます。ところで、一つ一つの単位開拓協同組合についての保証の限度は、地方保証協会に対するその開拓協同組合の出資の十五倍ということを限っておるわけであります。  さて、地方保証協会が債務保証をいたしますが、中央の保証協会はその地方保証協会の保証のさらに裏打ちとして再保証をするのであります。で、その中央保証協会の保証はその基金の六倍をめどとしておるわけであります。六倍以内をめどとしております。  そこで現在の状況はどうであるか。新たに中央保証協会への政府出資の必要はどういうことから判断されるかと申しますと、少しく数字になりますが、お手元に参っております開拓融資保証制度の概要という資料の二ページ目のところの数字で御説明を申し上げたいと思いますが、まず昭和二十七年以前の開拓者の耕地面積が、開墾を済みまして作付けをしております面積が、二十三万九千三百三十町歩であります。二十七年度ということにいたしましたのは、入植いたしましてから三カ年間は政府の特別会計で開拓者資金を融通をいたします。その中に営農資金も、短期の運転資金も入っておりますので、それが、つまり政府の開拓者資金の融通を受けられなくなりました入植者、入植四年以後の者について見たのであります。それが二十七年度以前ということの意味でございますが、それが今申しましたように二十三万町歩の耕地面積を持っております。で、それについて二十九年度中にさらに開墾をし、作付けが増加いたしますので、その面積を推定いたしまして、二万八千四百五十町歩という工合にいたしました。そこで昭和三十年の二月末に、この開拓者が作付けをいたします耕地面積が二十六万七千七百八十町歩ということになります。ところで、この開拓者につきましても、大部分が本制度に加入をしておりますが、中には本制度に入らなくてもよろしい、この制度に入らないというものが若干まだおります。大体現在八〇%入っておりますが、その加入の実績をとりまして、その耕地面積の八割をおさえますと、そこにDとして出ておりますように二十一万四千二百二十町歩、で、それについて一年間の作付面積をとりますと、北海道から九州までの土地利用率をずっと調べ上げますと、平均をいたしまして一二五%ということになります。そこで今のDの一二五%をとりますと、Eというところにありますように二十六万七千七百七十町歩、で、それに要しますところの肥料、これは主要食糧の作付について押えたのですが、それが主要食糧の作付が八八%、そこで二十三万八千二百町歩ということに相なります。それに要します肥料資金でありますが、これは開拓当初以来ずっと調べておりますが、開拓営農実績調査の数字をとりますと、一町歩当り一万四千九百円の肥料代金の支出をしておるわけであります。で、その数字を使いまして、これがために必要な肥料代の金額はGというところにありますように三十五億四千六百万、そこで、従来のこれまた実績でありますが、この制度に入っております開拓者が、この制度に基いて借り入れて保証をしてもらうものが大体必要な資金の半分であります。そこで、それをとりますと十七億七千三百万、ところでこれだけの保証をいたしますために中央の保証協会では出資金の六倍までを保証できるのでありますから、今の数字の六分の一をとればよろしい。そこでIのところで二億九千五百六十二万という数字が出て参ります。けれども、現在中央保証協会の基金額は二億四千五百六十二万円であります。そこI一からJを差し引きますと、ちょうど五千万円これがために不足である、こういうことに相なるわけであります。従って本年間に必要といたしますこの資金を保証するといたしますと、なお五千万円追加しなければ円滑にこの開拓者の保証ができないということになりますので、この際昭和三十年度予算におきまして一般会計から五千万円この中央協会に出資をするということにいたした次第でございます。  さてここで、その地方協会の現在の出資状況、それから中央の協会の基金の状態を申し上げますと、昭和三十年三月末現在でありますが、地方の協会の総計で出資の総計は三億六百万円ということに相なっております。これに対しまして中央の協会は二億四千五百六十二万、こういうことになっておるわけであります。  さて、この別紙としまして開拓営農の概況という資料も配付をしてございますが、全国の入植地の営農の大体の概観をとらえましたものであります。これの資料の基礎といたしましては、毎年二月一日現在で各開拓農業協同組合から営農の状況の報告を求めております。それの集計であります。従って入植戸数その他におきまして開拓農協に、ものによっては入っておらない非常に小団地の組合入植者等はこれから若干抜けておりますので、全国の入植者の数字を全部シラミつぶしに総計をしておるということにはなりませんが、大体の大勢はここで押えておるわけであります。これでずっとごらんになっていただきますと、その各年次別に入植をいたして参りまして、現在その営農をやっておりまする戸数は、この報告で押えましたところでは、一番最初のところで十三万六千戸、それから増反の現在戸数六十六万九千戸、それで現在の耕地でありますが、これは開墾をいたしまして作付をしております耕地、このほかに未開墾でまだ作付をしておりません耕地もありますし、それから放牧、採草地、薪炭林等の付帯地も別にあるのでありますが、これをとらえますと、畑で二十九年の二月一日現在で二十二万六千町歩、水田で一万三千町歩、合計二十三万九千三百町歩ということになるわけであります。一戸当りの平均で申しますと、畑で一町六反六畝、水田で一反歩、合計一町七反六畝ということになります。その生産の状態でありますが、その三ぺージのところにちょっとしるしてございますが、昭和二十八年度の成績で見ますと、開拓によりまして、米麦で申しますと百四十二万六千石、イモ、雑穀類で二百十九万八千石、合計三百六十二万四千石の生産を上げております。この年は冷害、あるいは所によりましては風水害等をこうむりまして、若干営農の成績は振わない年でありますが、かような成績を示しております。あといろいろ農業経営の収支状態でありますとか、資金の借り入れ状況でありますとかいうことがございますが、非常にこまかになりますので、この辺で省略させていただきます。
  110. 江田三郎

    委員長江田三郎君) ほかにないですか。それでは先ほど申しましたように、本日はこの問題につきましては説明だけ聞いておきまして、来週審査を行うことにいたします。     ―――――――――――――
  111. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 次に総合経済六カ年計画に基く農林水産計画に関する件を議題といたします。政府はさきに総合経済六カ年計画を策定して、これを経済政策の基調とし、予算案等もこれに基いて編成したものであると言われておりまして、その計画期間はわが国農林水産業に重大な影響を及ぼすことになると考えられますので、本日は関係当局から、総合経済六カ年計画及びこれに基く農林水産六カ年計画、並びにこれら計画と予算との関係等について説明を聞き、御審議願うことといたしたいと思います。なお、本日この問題のため経済審議庁、及び農林省関係官の出席を求め、ただいま経済審議庁の計画部長計画計画第一課長、農林省官房長の出席を得ております。それでは先に経済審議庁の計画部長さんからお願いします。
  112. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 経済六カ年計画の問題でございますが、六カ年計画の趣旨と申しますか概要と申しましょうか、こういう点を少しお話し申し上げましてから、農林の問題に入ったほうがよろしいかと思いますので、若干時間をいただきまして、六カ年計画の概要と申しますか、趣旨をお話し申し上げたいと思いますが、この六カ年計画と申しますのは、作業の仕方そのものから若干申し上げますと、従来やりました作業の手順とは全然と申しますか、むしろ反対のやり方をとっておりまして、昔は現状を中心にいたしまして、見通せる範囲でこまかいデータを、貿易であれ、農業であれ、鉱工業であれ、出しそろえまして、そしてそれを組み合せて、国の経済の全体の姿というものを見通して行ったわけでございまするが、今度の作業は全然そういう作業とは違っております。どういうことかと申しますと、民主党の内閣ができましてから、去年の十二月に、組閣早々、至急こういう考えで作業を進めてもらいたいという御指示がございました。その指示と申しますのは、今までのように単なる見通しということじゃなくて、むしろ経済の自立というものと、それから就業者を、雇用の機会をできるだけ拡大したい、できれば六カ年くらいでほぼノーマルな就業状況と申しますか、完全雇用の事態まで達したいのだ。しかしその間はやはり経済自立というものも根本的な問題でありますから、初めの間は今のこの緊縮的な経済安定で、その線というものはくずさないで、そして自立の線をまず達成し、後にこの雇用の拡大というものを目ざそうという根本的な着想で作業を進めてもらいたいというまあ話がございまして、そういう作業に移りますのには、従来のような積み上げ作業で参りますと、どちらかと申しますと、むしろ人口とか、あるいは消費の問題等は最後のしわになって出て参りまして、この方は何か失業対策等でみる、というようなことでお茶を濁した……と言ってはちょっと語弊がありますが、そういう格好になっておったわけでございますが、今度のは、ただいま申しましたように、むしろその順序を逆にいたしまして、そして経済自立なり、あるいはこの雇用の拡大、あるいは俗に言う完全雇用という……これは定義にもいろいろございますが、完全雇用といった面を根本のアイデアにして、作業を進めるとなりますと、従来の行き方のようでは、それはどうしても作業にならぬわけでございますから、逆に考えまして、進めたわけでございます。  そこで、進め方としては、それじゃどうしたかと申しますと、これは総人口の伸びを見まして、そしてその総人口の中で、いわゆる十四歳以上の生産年齢指数というものが、年齢人口というものがどのくらいあるか。で、その生産年齢人口の中で、全部が働けるわけじゃございませんので、あるいは老人の方とか、あるいは学生とか、あるいは婦女子の方で家庭で仕事をするといったようなことで、完全に意思と能力を持ってそして就業したいという人が全部じゃございません。その率は大体非常に年によって上下がありますけれども、日本では六七・四、五のところがこの足取りになっておりますので、そういう点を押えまして、そしてその労働力人口というものを生産年齢人口の中から出しまして、それでその労働力人口の中から、完全に失業者の数、現在は六十二万、去年の十月ごろの実数でございますが、六十二万ほどあったのでございますけれども、その数字をあまり増さないという計算で、逆に三十二年、三十五年度はそれを順次下げて参りまして、三十五年度には、むしろ四十三万ぐらいに失業者を減らしてしまう。これは全体の労働人口に比べまして、一%ぐらいになっているわけでございますが、一%ぐらいの失業者というものは、むしろ摩擦失業で、当然本来の資本主義であれば、三%ぐらいまで許される、あってもよろしい性格のものと考えまして、完全失業者の数をだんだん減らす、また年々九十万、八十万殖えて参ります新しい労働人口というものを吸収して、そうして膨大な就業者数というものを先ず出しまして、その就業者数というものは、一体どうすれば救済できるか、救済と申しますか、雇用するためにはどのくらいの経済の規模がなければいかんのか、こういうのが今度の作業の基本になっているわけでございます。そうして就業者数というものを出します。非常に膨大な数でございます。お手元に数字がたしか参っていると思いますが、非常な膨大な数でございまして、それから、年々百万に近い雇用者を新たにかかえて行くわけでございますから、そのために一体国の総生産というものが、言いかえますと、消費財であれ、資本財であれ、どのぐらいの大きい規模の生産量にならないと、そういう人口というものはかかえられないかという基本的な数字を初めにはじきまして、その雇用者の数に労働時間と、それから、いわゆる労働生産性と申しますか、一人一時間当りの金額で生産性の指数が出ておりますので、これを掛け合せまして、そうして、このぐらいの就業者が全部かりに働くとすれば、このぐらいの規模の国民経済がなければいかんという数字が初めて出てくるわけでございます。それを第二の基礎にいたしまして、その基礎に立って、それが一体、それでは有効需要としてはどういうふうな需要になるだろうか、国の財政からはどれほど需要され、企業としてはどれぐらい需要し、あるいは海外需要というのはどういうふうになるだろう、それから個人消費というものはどういうふうにあればこういうものは雇用できるかという、需要のほうを想定いたしまして、そうしてその需要に見合う今度は生産力、鉱工業生産はそのときにはどのぐらい少くともなくちゃいかん、農林生産は少くともこのぐらいほしい、国際収支も、そういう国民所得なり、あるいは総生産の数量であるならば、このぐらいの輸入というものは、少くともどうしても確保しなければならぬ、そうしてその輸入に見合う輸出、これは自立経済でございますから、必ず輸入に見合う輸出、少くとも国際収支がバランスするというためには、それではどのぐらい輸出しなければいかんのかということを、先ほど申し上げましたように、逆に人口の面から入って見まして、そうして最後には、鉱工生産なり、農林生産なり、あるいは貿易の規模なりというものは、こういうふうになくちゃいかん、このぐらいあれば雇用というものが満足されるはずだという目標を立てまして、そうして、そういう目標に従って、どういうふうな一体経済政策を行えばそういう目標に近づけ得るか、これが国の今の政策の中心だという点を目標的に出しまして、そうして毎年々々その目標に向って何とかして一歩でも近づけるように努力していきたいというのが今度の作業の中心でございまして、従いまして、時間を急いだ関係もございましたのですが、従来のように各省から細かい資料を出してもらって、そうしてそれをだんだん積み重ねて行って、こういうふうになりそうだという作業じゃなくて、むしろ大きい観点から行くとこういうふうにしなければいかん、また実際のデータはどうすればそれに近づき得るかという政策を織り込む手段として、その後一つ各省から資料を出し合って、そうして固めて行こうじゃないかというふうな段階になっておりますので、先ほど御要求のありました農林水関係の指数も、あるいは実数がどうなっているのだという問題に今これから入るわけでございますが、今申しましたような次第で、あくまで建前はそういう根本目標に従って、将来のあるべき姿というものを描き、そのための経済政策というものを年々その目標に向って立てながら、それに近づけて行くというのが趣旨でございますので、割合細部のデータというものはまだ詳しく各省と打ち合せが済んでおりません。ただ申し上げられますのは、農林水産に関する考え方といたしましては、あくまでも人口の増加の分、あるいはつぶれ地等の減耗の分等は、これは国内の増産でもってまかなうべきだ、言いかえますと、飼料、米麦等に関するトータルの輸入は現在よりは増さない、そういうものはできるだけ一つ国内の増産でもって自給度の向上という意味合いからいたしまして、国内の増産でこれをカバーして行きたい。そうすると将来の、たとえば三十五年、三十二年の輸入の数量はこのくらいになる。そうすると輸出はこのくらいで、あるいは行けるはずだというふうに数字が立ってくるわけですから、さっきも申しましたような大きい数字が、国の経済全体としての数字が出てくるわけでございます。しからば、そういう米麦がそのときにはどういうふうな数になるかと申しますと、これはまあ今申しましたようなアイデアで申しますと、大体算術的には計算がすでに出てくるわけですが、問題はそういう算術的な数字に問題があるのじゃなくて、そういうものにそれじゃ到達するために一体今の農業政策なり、あるいは劃期的な技術分野の進歩なんかを組み合せ、そうして考えて行くと、一体そういうものにどうしたら近づけ得るのかというところの、そういう政策問題が一番基本になって参りますので、少くともそういう点を、ただいま農林当局の意向を主として聞かせていただきながら作業中でございます。近くまた経済審議会の中に農林部会のようなものを作りまして、各界の大家の皆さんにもお集まり願って、こういう目標を達成したいのだけれども、このためには一体どうしたら達成できるか、またそういう考えがいいのかどうかという点まで突込んだ、少くとも来年度の予算には間に合うために、八、九月くらいまでには一切の数字を固めて行きたい、こう思っておりますが、ただいまの段階ではそういう考えで一応具体的な積み上げ作業に入っている最中だということでございます。
  113. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 総合経済六カ年計画の最初の計画立案に当りまする出発点とか、その総合経済の性格にかんがみまする計画立案事項乃至はそれによって示しまする経済指標の各項目は、日本の経済計画を立てようといたしまする総合的な分野に立っていることは、佐々木部長の御説明の通りでございまして、農林水産の生産水準を表わしましたりしまする部分につきましても、鉱工業の生産水準と両々相待ちまして、一つの日本の国の生産水準を表わすことになるわけでありますから、また、他の面におきましても、人口でも、労働力人口でも、言いかえますと、雇用の状態につきましても、消費水準につきましても、国民総生産に関しましても、国民所得につきましても、すべての項目にわたりまして経済を構成しておりまする全体の項目について経審の作業に照応して作業すべき性質があるわけでございます。その中に、農業、林業、水産業、あるいは農山漁村の人口、農林漁業の雇用の問題、あるいは農村の消費水準の問題、農林漁業の国民所得の問題、それから農林漁業の生産の度合いをどう見るか、生産の水準はどうであるか、その水準のうちで、おのおのの農林水産物はどう計画を立てるかというようなふうに、全体につきまして経済審議庁の総合計画と調整しつつ作業すべき性格がございますので、そのような点と、調整をとりながら、経審から御説明がありましたようなふうに、織り込んで出ておる部分の農林水関係の状況について申し上げてみたいと思います。また当然農林水産業から生産されまする生産物には輸出品もございまして、輸出貿易の中に農林水産の部内が入って参ることも当然でありますが、必ずしも物量計画ばかりを意図しておりませんので、物量に加うるに貨幣と申しますか、金あるいは資金の面につきましても総消費資金、生産に向けられる資本となる資金、これが財政、民間の蓄積される、あるいは投資される資金、こういう金の面との関係がございまして、この計画の予算、国家財政というような点と、また財政投融資に関しまする部分とはそこにおいても関係が出てくるその一部であるわけであります。しかし問題が非常に総合的で、複雑でありますので、時間の関係も多少お許しを願いまして、農林水産業に関しまする総合計画のおもなる事項について、いかように経審と調整しつつ考えておるかを申し述べさしていただきたいと思うわけであります。  本総合計画が完全雇用と経済自立の計画達成を目標として、まずそれから出発しておるということはただいま申された通りでありますが、そういう中におきまして、農林水産計画といたしましては三点に重点を置いて、さらに具体的目標を考えたいと思って作業をいたしておるのでございます。  その第一点は、総合的な食糧の国内自給度の向上を考える。第二点は、農山漁民の完全雇用への接近を考える。第三点は、農山漁民の生活水準の向上を考える。しかしいずれも農林漁業あるいは農山漁民だけでこれが片づくものでもございませんので、その目標を具体化することについてまず指標を概略立てながら、だんだん計画数字及び方策を具体化しようと作業をとり進めておる段階でございますが、一月におきまして経審からまず総合的な立案がございまして、その構想について閣議の了解を経ましたのがその政府全体として取扱いました最初でございます。その際には二十八年の現状をほぼ把握いたしまして、二十九年の見込みをつけつつ、三十二年に一つの指標を置きまして、三十五年の目標数字というものにむしろ重点を置きまして、そのおもなる経済的な指標について参考資料として計数があげてあるものをまず出発点としたのでありますが、農林水産業につきまして、以上申し述べました三点に重点を置いてみまするときに、人口においても就業者数においても、消費水準におきましても、生産水準におきましても、他の産業あるいは都市との関係におきまして、明確に分けましてはっきり経済指標を出すほどのまだ段階に至っておりません。具体的に申しますと、農林水産業で労働人口はどうだ、就業者数はどうだ、農村の消費水準はどうだ、他産業と都市の状況はこれに対してどうだというところまでまだ行きませんで、国全体の総人口、国全体の総労働力、国全体の消費水準などについての指標から出発いたしておりますので、それをさらに細分化してだんだん狭い分野で、具体的な分野で計数を計画中、作業中のものであるのが現実であるわけでございます。そこで三十五年についての目標を立てながら三十年度の計画を、予算編成期でもありましたので、これを照応しつつ、その後に至りましてきめまして、おおむねこれでどうだろうかという……しかしまだ細目にわたってはまだ研究して変更するという含みをもちまして、政府部内でほぼ概定して、国会にも御提出が、三十年度の経済計画として経審から出ておるわけでございまして、その他の年次とさらに最終年次をいかに目標づけるかということについても、なお今後研究することになっておるのでございます。  簡単に申し上げまして、まず農林水産生産水準のことに触れて申しますと、総合経済計画の、六カ年計画の構想としてまず了解をいたしておりまするものについて申しますと、なお具体的に研究することになったのでございますが、農林水産生産水準といたしましては、二十七年を一〇〇といたしますと、二十八年は統計数字等に徴しまして実績が八九・五であった。三十二年は一〇五・三であり、三十五年の目標では一一〇・一、約一割二十七年に比べまして生産水準の向上をはかる構想であったのですが、三十年度の経済計画として、予算との関係をもちまして、やや具体的な計画の初年度として置きましたものは、御留意をお願いしたいのでありますが、いろいろの理由をもちまして、より経済計画をコンクリートにして、一歩でも明確なものの上に築き上げようとするゆえをもちまして、三十年度経済計画におきましては、二十五年から二十七年度までの平均を基準に一〇〇と置きかえまして、二十八年が九七・七、二十九年度が終りかけておりましたので、統計的整理が十分ではございませんが、ほぼ見込みを立てまするというと、実績においては一〇五・二くらいの見込みになる。三十年はその見地におきまして一〇九である。もう一度申し上げますと、恐縮でございますが、二十五-二十七年の平均基準におきまして九%、農林水産水準を上げるというところまで作業が終って、国会にも御提出申し上げておるわけでございます。その他の年次につきまして、すなわち三十一年以降の年次につきましては、目下同じような考えで計数が変ることもありますが、一つの基準、総合計画経済の一部といたしまして作業中であるわけでございます。そこで比較的に御説明しにくい点でございますけれども、当初の六カ年計画の構想におけるものは、農林水産水準を経済指標の表でごらん下さいましても二十七年基準になっておりますが、その内容昭和七年から十一年をまず基準にして、これを二十七年に基準転換をいたして、それからさっきの、当初の閣議了解の経済計画の構想が出ておるのでございますけれども、三十年は今片づいておりまして国会にも出してありますので、先ほど申し上げましたように、直接に二十五年-二十七年を平均基準時に置いておるわけであります。これは戦後の、なるべく最近の農林水産業の実態を、実勢を、戦前とはだいぶ変っているから反映せしめるように、また農林水産業の計画を立てるときには、とかく基準というのが従来はっきりしません、増産量といいますと、何から増産をするかとか、またいつに比べてどのくらいの変化であったかということがはっきりしませんので、最近時を基準にとることとあわせまして、自然災害、天候の影響等はよく受けるものでありますから、生産物で生産水準を表わす場合には一年だけをとらないで、ブロード・ベースと申しますか、数カ年の近い年をかりにとって見るのが農林業では穏当だというので、二十五、二十六、二十七と三カ年とったのであります。これは米価その他農業パリティなんかに関しましては、二十五ー二十七年の平均をとっておること等も考えあわせまして基準に置きましたのでありますが、一口に農林水産生産水準と申しますと、耕種すなわち食糧、農産、畜産、水産、林産というものにつきまして、これを総合的な一つの水準に表わしておりますので、農、林、水との間におきましては、やはり同様に二十五ー二十七年の間におきまする平均のこの耕種、農産、畜産、林産、水産という種類別の国民所得の割合を見て、その見た割合をウエイトとして総合指数化するようにしておるわけでございます。農、林、水のうち、農は七八九くらい、林が九三、水が一〇九というような比率をもって一般の生産水準が表わせるように一応作業をしておるのが、技術的な分の説明でございます。そういたしますと、従来農林省におきましても、食糧増産五カ年計画等の一応の計画をもちましてそれを予算なり増産なり耕作なりの一つのよすがとして目標立てをしておったことがございますが、その際でも、とかく増産するというのはどういうものを基準に置いての増産であるか、天候その他の事情からみまして、結果において生産は変るかもしれないけれども、平常の気象その他の自然条件あるいは経済条件を保ちまするならば、どのくらい生産物の生産をする力をつけ得るか、そういうことが重要であるかと思いますが、とかく鉱工業生産水準等との関係もありまして、その力を表わすようなものを生産物の量で表わしまして、生産の量は、こういうふうなまあ水準というふうに表わしているわけでございますが、その際の基準といたしましては、経審の当初の構想あるいは三十年度の経済計画におきましても、これは表面には表われておりません。しかしその中に織り込まれましたるものは例を米、麦、大麦、裸麦で申しますと、反当収量は米が二石一斗六升、小麦が一石五斗五升、大麦が二石四斗三升、裸麦が一石五斗、これを面積をかけたような石数で申しますれば、米は六千四百四十万石、小麦が千五十万石、大麦が千百万石、裸麦八百六十万石という日本では生産力が普通であるという基準の生産力と申しまするか、それを生産物で表わしましたものを基準の生産量といいまして、それに基いて以後の農林、水産、畜産業の生産計画を立てたいと思って作業いたしまして、三十年度まで固めつつあるものでありまして、その他のものにつきましてもこの生産水準をとりましたのは非常に生産物や品目はたくさんございまするけれども、約二十七種の品目をとらえまして米と三菱、大豆以下のその他の農作物、野菜、果実、菜種、タバコ、茶等がございますが、それにいわゆる畜産物では牛肉、豚肉、牛乳、鶏卵をとりまして、林業では用材、薪炭材、水産では魚類、貝類、海藻類、鯨というものを代表的にとりまして、計画を立てることにいたしておるわけでございまして、三十年におきましては、米は、そういう基準に比しまして三十年度の計画目標というのは、計画は六千四百八十四万石、麦は千五十万石、大麦は千百十万石、裸麦は八百六十八万石というような、以下それぞれ過去の生産趨勢でありますとか予算その他を考え、また技術段階等を考えましてこのくらいなら大よそ行くだろというのを計画初年度の二十年としてとらえたのでございますが、ここにおきまして、最初申し上げたように耕種すなわち食糧、農産、水産、畜産はこれは一つにまとめて食糧と一括取扱いまして、食糧についての三十五年度目標、ちょうど佐々木部長が経済全体書画のまず最終目標年次である三十五年においての姿を、完全雇用と経済自立等に置いて考えたと申されましたことに照応いたしまして三十五年の日本の食糧の食糧構成と食糧の消費量というものを概定いたしまして、その中では国民が一応一人当りにいたしましてどんな食糧を摂取したらいいだろうかということをまず考えたのであります。簡単に申しますと、食糧の一人一日当りの摂取量を米ではどうだろう、小麦、大麦、裸麦ではどうだろう、そうして一日一人当りの熱量はどのくらいで、そのうち米麦は、米麦と申しますか、主食ではどのくらいと組むか、畜産、水産では蛋白質をどのくらい組んで、そのうち特に人間の国民栄養としても重要なものでありまする動物蛋白を特記いたす方が適当だと思いまして、動物蛋白ではどのくらい、そうしてそのほかには脂肪としてはどのくらい摂取するかということを研究したのでございますが、その研究のデータとか目標を立てます立て方、こういうものにつきましては総理府の資源調査会において日本人の健康も考え、生産事情と食糧事情をも考えながらほぼ理想に近い、理想というほどのものではございませんが、ほぼ理想に近い栄養量を、内容はどんな内容でとったらよろしいであろうかとそういう理想図がございますが、それにかなり近づけるようにいたしまして、主食におきましては二十五年――二十七年の消費量をあまり変化はございませんが摂取カロリーといたしましてはかなり増加をいたしますように、そのうち特に日本人に欠如いたしております蛋白質、動物蛋白、脂肪等を現状よりは、あるいは過去の状況よりはもっと増すように食糧消費構成と申しますか、そういうものを考えまして一言に要約いたしますと動物蛋白、言いかえますと、畜産、水産物及び脂肪を増加いたしまして粉食もなおいたしますように考えまして、これを普通のよく言われます言葉で言いますれば食生活の改善、こういうこともねらいましてかたがたもって食物も慣習が日本人でありますから嗜好性と申しますか、米あるいは粒食をなかなかそう変え得るものではない、そういうことにおきまして米と大麦と裸麦には生産と消費に重点を置きまして、また生産と消費の関係から見まして輸入が必要であれば輸入することも考えまして、そうしてこの三十五年におきます栄養摂取量を一日一人当りでは二千百五十一カロリー、主食では千四百十カロリー、蛋白は六十六・九グラム、動物蛋白では十八・二グラム、脂肪では二十五・七グラム、そういうふうに概定をいたしました。しかし国民の生活とか経済生活もございますので、この点は総合経済計画といたしましては国民の所得水準、消費水準などとも関係いたしますが、食糧におきましては特にこの食糧費が生活費の方でどのくらい占めるかということが非常に重要なことでありますので普通エンゲル係数と言っておりますが、家計費の中における、生活費の中におきまする食糧費の割合が高いのでは計画として、経済自立においても、消費生活水準においても、また国内生産と貿易とを考える上におきましても適当でございませんので、二十五――二十七年の国民平均のエンゲル係数がたしか五四・五ぐらいでありましたが、五割五分近いものでございましたが、三十年度は大体これを五〇と下げまして、飲食費が五〇に下るようにいたしまして、最終年次においてはさらにこれを下げまして四六程度にするのがまあほぼ妥当ではないだろうかと一応概定いたしました。そうしまするというと、これに人口とか、消費量が出て参りまするのであわせて現在の基準の生産量、生産力ともいうべき国内生産量が出て参りますので、その差を輸入するかどうするか、その際にまた単に輸入と申しましても、その年に生産されてその年に消費するものとの差だけを輸入するのではいけませんので、日本の食糧事情考えましては、現在よりは持越量と申しますか、国内のストックが多くなりますが、また加工貿易でありますとか、畜産の飼料でありますとかいうようなものに使われる食糧などもございますが、輸入量と生産量とをそこで振り分けて考える際におきまして将来の人口の増加、この増加に伴うところの食糧生産物は、これを国内の増産でみなまかなう、そうしてなお耕地の改廃でありますとか、施設の老朽化でありまするとか、午前中にもお許しを得まして、その一部について申し上げましたような部分の減産と申しますか、人口増に伴う消費の増加と現在施設が将来にわたりまして減産になってくる、こういう部分をこれを国内で増産をいたしまするように、そういうことをねらっておるわけであります。その結果といたしましては、おそらく三十五年におきましては二十九年度におきまして例を米麦で申しますと、三百二十万トンの輸入を二十九年度はしていたと思いますが、人口増があり、人口増に伴う消費増があり、農地、施設の改廃、老朽化によりまして減産がありますものを防止いたすことにいたしまして、輸入量が三十五年には米麦では三百六十七万五千トンぐらいを輸入したらどうかと思うのでありますが、この二十九年度の三百二十万トン、正確に申しますと三百二十一万四千トンと、三十五年度の輸入見込みの二百六十七万五千トンとの差の四十六万一千トンでありますが、四十六万トンばかりのものはこれは先ほど申しましたような需給対象でもない、外から麦を輸入して味の素にして輸出するものでありますとか、畜産を伸ばして行くための先ほど申しました食糧の栄養構成、こういうものを見ました目標の食糧構成から見まして、畜産を伸ばして行こうとしております。原材料とでも言うべき餌の一部を国内でも増産いたしますが、餌の一部をもっと増す、また需給操作を円滑にするような在庫量だけは少し増す、そういうものだけにとどめたいと思っておるのであります。一言で申しますと二十九年度の輸入量を増加しないようにというよりは正確に申しまするというと、国内の人口増による消費増と農地施設の改廃、老朽化による減産とを完全に国内で自給しまして、それ以上に国内生産は増す、こういう考えで行く方が、この六カ年で立てまするのは日本の総合経済力とか過去の食糧増産五カ年計画実施成績とか、二十九年から三十年前後にわたりまする財政金融事情、農業技術の状況、生産経過、こういうようなものなどから見まして相当大きな計画になってきて……、このくらいの方が穏当ではなかろうかということで一応その目安を立てておりますが、なおもっと国内自給、増産をすることができないであろうか、それに伴う財政金融資金その他の金がつかないものだろうかということは一応目安の経済指標ではありますが、なお検討しまして、これに農林省関係でほぼ判定できまする生産技術とか、施設の高度化、増強、こういうようなものとを勘案してなお研究中であるわけでございますが、結果におきましてそういう考えで国内生産を増すことを考えまして、三十年におきましては米で四十四万三千石、小麦ではあまり増を見ませんで、大麦では十万五千石、裸麦では八万石、その米麦合計では五十七万五千石のネット、純の増産をしたいと考えておりますが、最終目標年次におきましては、人口増の関係も一部にありまするけれども、先ほどのような、申し述べました事情からいたしまして、米で六百五十四万八千石、約六百五十万石をこえるもの、小麦は自然増、人口増による需要を満たしましたあとのネット増産はまあとんとん、大麦では百六十五万石、裸麦では百二十六万四千石、その米麦合計は八百六十六万七千石くらい増、増というのはその増でありますが、基準より増になるものに需要の増とか施設老朽化を引きましたネットの増が八百六十六万七千石くらいに持って行きたい、その間で三十一年以降の計画を立てるようにいたしまして、経済審議庁の総合計画の中に織り込む、そうして予算の財政金融等その他の計画とも調整をとっていただきたいと思って作業をいたしておるのでございます。ただいま申し上げましたのは米、麦に例をとりました、ウエートが大きい、重要性と量が大きく金額も大きく出ます米麦でありますので、米麦の例をとらえましたが、その増産量というのは純の増産量でございまして、その純の増産量を試みに人口増による需要の増加をカバーしておるかどうか、こういう計画になっておるかどうかということを申し上げるためにさらに御説明を申し上げますというと、人口増の需要は三十五年では三百六十五万石と経審計画の人口では生まれますけれども、それに対して先ほど申し上げました純増加が六百五十四万八千石、小麦は人口増に伴います需要増が百二十七万石でございますものをそれをカバーをする、それから大麦といたしましては人口増による需要額は八十一万七千石と思いますが、純増産は百六十五万石くらい、先ほど申し上げました通りでございます。裸麦では人口増では四十三万五千石増加するであろうが、純増産としては百二十六万石くらい、以上を合計いたしまして、米麦では人口増ではおそらく三十五年度は今のような状況を、ただいま申しましたことをあわせて考えましてみますと、人口増による需要は米麦合計五百五十九万五千石と事務的に作業をしておりますが、五百六十万石くらい、それについて純増産は八百六十六万石くらいに持っていきたい。こういうのを目標数字として考えているのであります。しかしいずれもまだ検討中の事務的な作業過程でございまして、なお今後全体計画ともにらみ合せること、なお、また農林技術、その他の農林関係におきましても研究を要することが多分にございまするし、三十年そのものでも早々の間に予算のことをも、きまりました政府案の予算等ともかんがみまして、農林水産水準、あるいはその内訳ではこんなようなことで見立てて行く、こういうようなことで、ただいま申し上げましたような考え方に従いまして、出しておりまして、事務的に若干ずさんなところも私ども気づいている次第でございますが、なお、さらにこれを訂正しましたり、足らないところを補いましたり御批判をいただくような手続も今後政府全体としてまとまりますれば御審議御批判を仰ぎたいと思っておるのであります。農産、畜産、水産等は食糧として現わすことができるわけでありますが、水産、畜産におきましてもなるべくウェートの大きい肉とか、牛乳とか、鶏卵とか、魚とかいうものに重点を置きつつ、具体的なことはそういう点に重点を置いて考えましたりして参りたいと思っておるのであります。食糧に入らないで各種農林水産物につきましてはこれはなかなか計画の立てにくいものでありまして、まあ泣き言を言うようでありますが、農林水産の生産計画なり生産水準というものは鉱工業などよりは非常に把握がむずかしくデータがとりにくくて計画に表わしがたい、またその計画に表わしたものとその計画実施の結果がなかなかそうきちんと出てこないといううらみが多いのでありますが、各種農林水産物におきましても同様なことも――なお以上そういうこともございますので、一応総合経済計画の中に入れていただいておりますものは次のようなものであります。これは林産物につきまして森林資源の均衡を長期約四十年にわたりましてはかることを考えて別途林野庁中心に農林省が生産計画を立ててあるものがございます。まあ計画でございまするが、これは二十九年度末の蓄積量六十一億石を昭和六十九年度においても同様に確保するように、切る方と植える方を人工力を増しまして施策を加えまして、伐採の方が多くならないように、伐採した跡地がほったらかしにならないようにするというのを目標にいたしまして、より長期の計画が立っております……持ちたいと思っておるのでありますが、その計画のうちの三十年度から六カ年分を中へ入れて総合計画を立ててもらいたいと、こういうふうに思っておるわけであります。それは、用材におきましては、二十九年度が九千八百万石ぐらいのものと見通されますので、それに応じまして、それを一〇〇としますると三十五年は一一一%ぐらい、一割一分ぐらい増しまするようにそういうふうに考えております。  またこれに伴いまして、当然最初申し上げましたように、いろいろな問題といろいろな計画が要るのでありますが、総合計画の性質にかんがみましてそうなるわけでございますが、資金計画等についてはまだそれほどの作業が終っておりません。検討中でございます。  また輸出におきましては、農林水産物の輸出、特に養蚕とか生糸こういうものにつきまして農林水産の生産水準においても当然計画を立てねばなりませんし、輸出計画の中においても重要なものと思っておりますが、最近におきまして基準時におきましては、日本の総輸出額のうちに約二割に近いものが農林水産物の輸出でございます。総合経済計画は、特に輸出振興を一重点といたしまして、経済自立達成をねらっておる目標計画でございますので、その中には、検討中でありまするが、当初の六カ年計画の構想の中においては、輸出の総額が日本全体で二十八年は十二億四千五百万ドル、三十二年では十八億八千万ドル、三十五年では二十三億四千万ドルと、まあ参考資料として指標が出してあるものがあるわけでございますけれども、最近におきまして農林水産の輸出計画は、二十九年度におきまして二億五千七百万ドルを示しつつありますが、三十五年におきましては、繭の増産を立て、生糸と絹織物を合せますと約十万俵、二十九年度は出ておりますが、これを十七万俵に引き上げるようにすることなどを加えまして、農林水産物では四億四千万ドルのものを輸出して輸出振興と経済自立を達成するように、またそれに照応した食糧以外の農水産物を中心とした農林水産物輸出と見合う生産を確保するように織り込むようにただいま指標として立てておりますものの中をさらに具体的にするように、まず農林省でも立てまして、総合的に経審と調整をとってもらうようにいたしているものでございます。ごく概略でございましておわかりにくかったかと思いますが、私は説明の仕方が下手なせいも多分にあったと思いますが、そのようなものとして今作業中であると御了承をお願いしたいと思います。
  114. 江田三郎

    委員長江田三郎君) 御質問は……。
  115. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 経済六カ年計画の構想について佐々木さんから先ほど伺ったのでありますが、それに続いて農林省の安田官房長からこまかい数字について、ことに米麦の増産について農林省考えを伺ったのでありますが、非常にこまかい点でわからないのですが、一昨日予算委員会におきまして、桜井建設部長が答弁をいたしていたのでございますが、経済六カ年計画に伴って農林省では米麦の増産目標を、開拓土地改良では六カ年間に九百六十三万石、耕種改善では三百九十九万石の目標を立てているということを答弁しておりましたが、これは千三百六十二万石になる数字で、一月ごろにすでに新聞等にも報道されていた数字かと私は思うのでございます。この年次計画等について予算委員会資料を提出するようになっておりましたが、官房長の御説明はそれと同じかと私は思うのでございますが、できましたら当委員会にもその年次計画等の説明を出していただければよくわかるのじゃないかと思いまするが、おそらく最終年次の三十五年度に米麦千三百六十二万石の増産をする。それから衆議院の今月の十六日の予算委員会で、経済審議庁の長官が米麦の増産については、六カ年間に千三百五十万石をするのだということを答弁していられるように新聞で拝見いたしたのでございますが、そういうことがきまっているのかどうか。その数字も本年の一月ごろに経済審議庁で持っていた数字かと思う、農林省もその当時持っておった数字で、食い違っておった。今もってそれは解決ついていないようでございます。わずかに十万石かそこらですが、その内容においてはいろいろな食い違いが私はあるのじゃないかと思う。できるだけ早く調整をして、そして確定した数字をきめていただくようにお願いいたしたいと思うのでございまするが、そこでもう一点伺いたいのでございますが、先ほど佐々木さんのお話では、できるだけ人口増に伴う、食糧、つぶれ地の補充等に必要な食糧の増産は国内でやらなければ――輸入の方はできるだけしないようにしたい――この方針はもっともだと思いますし、食糧増産、自給度の向上、総合的の食糧増産ということが言われておりますが、特に米麦について、国内で生産の可能性があるものについては、できるだけの増産をしていく筋は通していきたいと考えているのでございますが、最近農林大臣が新聞等で発表したり、また国会の答弁でもその点がはっきりしていない。従来のような米麦一本やりの増産はしない、農家経済を圧迫するようなことまでして、国内の食糧の増産をせずに、そのほかに養蚕とか畜産を入れて多角形の経営をやっていくようにするんだ、趣旨としては私ども賛成でございますが、その点ははっきりしないのであります。そこで経済審議庁では、先ほど御説明もありましたが、一月発表した六カ年計画の大綱では、農林水産の基準を二十七年度に取ってやっていられた、そうして四月の十九日だかの閣議できまったものについては、二十五年から二十七年にベースを直して七%くらい上げていっているようでございますが、おそらく三十年度の生産については、米麦等は実質的にはそう変っていないのだと思う。そこで五月三日の各新聞に報道されていたのでございますが、経済審議庁では三十年計画はできたが、それに続く六カ年の前三カ年計画を決定して、三十二年までは近いうちに国会に提出するというように報道されていて、そして新聞にも詳しい表が出ていたのでございますが、今もってそれを発表になっていない。その表によりますと、農林水産の基準をまた変えている。それは二十九年をベースにして、そして六カ年で一一三・九ということにしているようでございますが、先ほどの官房長の説明のように、二十五年から二十七年をベースにするのか、二十九年をベースにするのか、その点で非常に私は結論が変ってくるのだと考えるのでございます。二十九年度をベースにして、二十九年度の生産が、米麦で米換算して八千五百四、五十万石だと思いますが、けさほど御答弁もありましたが、それについて、もう二十九年の食糧増産は百十三万石というのが出てきたのです。三十年度の食糧の増産指数は、もうはっきりきまっている。三十一年の増産計画も、百一万石というのは今年の予算できまってきている、あと耕種改善が二十万石くらいになるのでございますが、一年に現在耕種改善、土地改良、開拓をまぜても、二十九年、三十年は百三、四十万石程度より出ていない、これを四カ年のうちの二カ年はすでに出てきた、先ほどのお話のように、今後の人口増、つぶれ地の分については、これはできるだけ国内で食糧増産、耕種改善等をやってまかなって輸入をふやさないんだ、そうして現在の輸入している分も、これもできるだけ節減していくんだということになるようなお話でございますが、そういうことはこれは希望図でございますからいいのでございますが、本年予算を削減せられて二百三十億程度土地改良の予算がなってしまって、百一万石しか出ないんだ、もし先ほどの説明のように、二千三百万石程度のものをこの六カ年で、しかもその二カ年ではもう二百五、六十万石で済んでしまったんだが、現在の予算の二倍以上のものを今後四カ年に計画をしましても、果してそういう資金計画が伴っていけるかどうか、その点については、私はただ架空な希望図を書いてみたところで、今年二百三十億の予算が、急に三十一年度になったならば五百億の予算に土地改良がなるんだというようなことは、これは私はどんなに考えてもおそらく不可能じゃないか、そこで二、三日前の新聞でも、これは経済審議庁、農林省、いろいろの希望を持っているが、大蔵省はなかなか言うことを聞かないんだ、結局閣議決定にはならないから、経済審議庁がただこういうものを書いて、そうしてただ各省に勧告するんだ、各省は聞くか聞かないかわからないが、それ以外に閣議決定にはならないんじゃないかというようなことまで出ていたのでありますが、そういうようなことについて、実は一月じぶんからまだ最終年度に同じことを今繰り返して言われている程度になかなか調整ができないんだ、先ほど安田さんから御説明がありましたが、二十九年度の輸入量が三百何十万トン、私はもっと余計じゃないかと思います。四百十四万トンぐらいある。先ほどの千三百五十万石という計画は、あれは二十七年度に約三百万トンの輸入をしていたんです。そうしてそれのうち、九百万人ぐらいの人口が三十五年までふえるが、人口のふえるのと、つぶれ地の補充と、そうしてそれをやって三百万トン以上は輸入量はふやさないんだという目標があったものを、現在そのまま使っているんじゃないか、そうやっているうちに現在は四百万トンになってしまった、それを今すぐ現在までふえた百万トンを将来の四カ年のうちに繰り入れ計画を立っていられるのかどうか、それじゃあその百万トンの分は、これは財源があればそのうちのできるだけ一つ節減をしていくというような二つに分けて、人口増、つぶれ地の問題は、これは将来の問題としてはやっていかなければならん。根本方針を立って、現在三百万トンから四百万トンになっている、その分はこれはできれば四カ年、五カ年でなしくずしていってもいいのでございますが、自給度は、三十五年までに日本は米麦で八一%を八五%にするとか八六%にするとかという根本目標を立って、二つ計画を分けておやりにならないと、いつまでたっても私はその調整はできないんじゃないか。これは研究中にあるというお話でございましたが、私は今申し上げたような趣旨を織り込んで、可能性のあるような計画を立てられるように一つ考えをしていただきたいと思います。その点について経済審議庁なり農林省からお考え方を承わりたいと思います。
  116. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) 私の方が、実は総合経済計画につきましては要求官庁でございまして、これを佐々木部長のおられる経済審議庁で総合的にいかに受け入れるか、また受け入れ方が悪ければ私の方がまた大いにねじ込む役目でございますから、先にお答えを申し上げてお許しを願いたいと思います。  年次別計画資料につきましては、溝口先生のおっしゃいます通りで、事がまず計数的な、技術的な、資金的なこまかいことでございますので、事務当局同士としてやっておる作業過程のものでございまして、そう遠くないときに政府として国会の御要望に応じましてこれを提出することになっておると、私は農林省の官房長として了解をいたしております。また先日他の面、予算委員会でありましたか、桜井建設部長が申されましたのは、農地の拡張改廃と、耕種改善の面につきまして、先ほど申しました基準数量とでもいうべき生産量から、三十五年までに増していきたい分として申されたと思いますが、目下の作業としてはその通りに進んでおるわけであります。これを三十一年以降前三年の計画をまず固め、必要においては当然に変らなければいけませんが、三十五年目標も変る、生産がふえれば所得も変りますし、消費水準も変ります。いろいろなことがみな変って参ります。財政規模も変ってくるわけでありますが、そういうことについて三十五年もまず目標として一応掲げてありましても、変える約束で進んでおるものでございますので、その意味におきまして最終年次十万石ぐらいがそのままにしてあるのじゃないかというお話でありますが、これは計画が総合的に立って、農林計画もその中に十分に入って、きまるときには必ず一緒に調整するという約束で、作業がそこまで進んでいないという意味でございます。二十九年度輸入数量が違うじゃないか、三百二十一万トンと申しましたが、これは米、麦を米換算で、玄米換算で、米、麦と言わないで、三麦を玄米換算にいたしました数字を私は御説明いたしましたので、原石で申しますともっとふえるわけであります。三十年度におきましても現実の日本への到着はかなりふえます。それは前年度の輸入外貨割当分で入れることになっておるものがずれて入ってきて三十年度に集中しておりますので、外貨予算で輸入する数量というものが米穀年度とか、会計年度をとりますと、三十会計年度ではもっとたくさん到着するなどの点もあるかと思いますが、合せて、今申しました原石の合計で、そのものの合計でなしに、玄米換算したことによって数字が少く見えるのでございまして、三十年度の原石で申しますと、たしか米、麦合せますと三百三十八万トンぐらいになると思います。これは到着でなしに輸入外貨を割当てて入れることになっておるものでも、四月-三月の会計年度ではそうなっておるのであります。  次に経済審議庁から正式に出たものではないと思いますが、新聞に載っていたのになぜ出ないかという点でございますが、これは経済審議庁からお答え願うのが適当かと思いますが、その大きな一つの原因は、私の方の要求にもございますので御説明申し上げますと、その一端を御説明申し上げますと、三十年度の予算計画と見通される生産水準、特に米、麦、そのうちの生産力の元を作るとでも言うべき農地の拡張、改良、耕種の改善、耕種の改善の中に生産技術の改善、健苗育成などの生産技術の改善などもありますれば、土壌改良などの地力の回復をはかり、増強をはかる。そういう面も各施策がございます。一言に申しますと、役所で申しますると、農地局担当の分と農業改良局の担当の分とがあるわけでございますが、これらにつきまして、三十年度では三十五年度目標、理想として計画を持ちたいと思っておりまする農林、水産水準を含む経済の総合的な諸計画がそれではなかなか御指摘のようにむずかしいものですから、三十一年度以降特に三十二年度、さらにはそれに引き続いた三十四年まで、三十五年に最終到達をするまでの過程において予算、特に農業に力を入れ直してもらう計画を立てていきませんと、将来の目標の内容にならないということを申し入れまして、調整をはかっていただいておるわけでございます。生産量だけを合せるのは簡単ですが、これに伴って国民総生産所得、財政いろいろ変って参りますので、貿易も変る場合もありますので、当然変りますので、それらの作業に時間がかかっている次第でございます。  さらにこまかく、平素いろいろ御指導受けておりまする農林委員会委員の方々でございますので、事務当局作業過程における問題を申し上げますと、一月のまだよく計数も最近の作業中のものにまで至りません当時におきましては、この生産量、生産水準もまたいかがかと思われるので、参考として扱っていただきたい。最近の三十年が固まって以降、その後の年次別の計画を立てる上において、これを本当の計画、目標計画ではありますが、計画として説明した際に、これがきまった計数計画・数量計画である、数字的計画であるというふうに固めてもらいたい意味の、そういう意味のものであるというふうにして、あとになるほど正確なものとして扱うことになっておるわけでありますが、当初の一月の構想、考え方におきましては、食糧は前三年に多く増産して後三年には比較的増産量を落して、そうして計画したらどうかというお話がございましたのを、一挙に短期間に生産が上るということはなかなかむずかしい農業でもあるのだ、非常に力を入れてやっていただいてもそうであるのだから、もう少し実際に近くなるようにという意味におきまして前半と後半との増産のおき方を、最近の趨勢にかんがみて力をなお加えるのであるけれども、そういうふうに振り分けてもらいたいという点でありますとか、今度はまたその中といたしまして農地の改良、拡張、開拓とか土地改良とか灌漑排水とか災害の防除、そういうような点と、農薬の撒布とか健苗の育成とかそういうものとの間におきまして、耕種改善の方に力を入れて、増産量を多く、土地改良のような開拓のような農業開発の方に力を多く入れまして、やはりこれは着実に土地の改良、拡張に重点を置いて、そして現実段階と過去の実績からかんがみて、耕種改善でもこのままでもいいという相当力を入れたものの方でありますけれども、その二つにもつと前に示された参考的資料よりは農地の拡張改良に力を入れるようにしてもらいたいということを申し入れて経審におきましてはおおむねこれらについて了承をしておってくれるわけでありますが、おのずからこれには資金計画などについての問題も伴いまするからして、なお作業中であるというような実情をもちまして、誠に恐縮でございますが、短期のその後の計画立てがおくれておる次第であります。
  117. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) ただいま安田官房長から御説明あった通りでございまして、別に付加する何物もございませんが、私ども経済審議庁の事務当局といたしましては、農業のような問題のいわゆる計画の立て方は非常にむずかしいのでありますけれども、といって、むずかしいからと言ってまあしょっちゅう態度を変えるというふうな行き方でなくて、農林省と審議庁、あるいは民間の大家の方々が集まって、そうして一たんこういう方針がよろしいのだというふうに、近い将来きめることになるわけでありますけれども、きまりましたならば、手段に対しては、少しぐらいかりに財政とか、あるいは金融とかという手段の面に、いろいろ問題がありましても、何とかしてそういう点は工夫をこらして、そういう目標に一歩でも近づけるというふうな態度が望ましいのでありまして、また、すぐ金が入ったから態度を変えて、人員をふやせとか、あるいは増産計画を伸ばせというふうな、あまり急がないで、何とかして執拗に、そういう計画に到達するための政策というものを見出していくというふうな行き方が一番よろしいのじゃなかろうかというふうに感じて、なるべくならば、農林省でお考えになっているいろいろな考え、それに基く増産数量等は、実際の政策面でそういう工夫をこらして、そうしてこれを完遂していきたいというふうな行き方がベターではないかと考えております。
  118. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 ただいま説明していただきましたが、経済審議庁長官が衆議院で言われた一千三百五十万石の増産をするというようなことは、これはそういうことを言われたと思っておりますが、そういうことは佐々木さん、御存じかどうか、その点をお伺いしておきたい。
  119. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 千三百五十万石という、お話がありました数字でございますが、これは冒頭に申し上げましたように、一月の六カ年計画というのは、そういうこまかいところのつき合せまで、完全に農林省と話し合ってというところまで行ってなくて、むしろさっき申しましたように、大きい一つの方針ということで作ったのですから、その間若干の、実質的には参考資料でございますので、両者に誤差等もあろうかと思いますが、ただいま、この数字はいろいろ農林省と検討して、再修正をしている最中でございますので、長官が、あるいは六カ年のときの数字そのままを、昔の数字を、審議庁の参考試案を、私は記憶ないのですけれども、申し上げたかと思いますけれども、経過はそういう経過でございます。
  120. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 この点ははっきりしておきたいと思いますが、私は千三百五十万石とか、千三百六十万石、十万石の違いなんだという、十万石のことを私は言うておるのじゃない。それは、そのときの計画入れ方が根本的に違っている。二十八年から三十五年までの人口増加と、そうしてつぶれ地の増加に対して、経済審議庁はその当時は、国土総合開発計画の三十五年以前をとっておる。二十七年をベースにしまして、そうして三十五年までに、千三百五十万石という計画を立てられたのであります。農林省はそうでなくて、そのうちから六カ年計画なんだから、二十九年まではすでに予算が済んでいる。それを織り込んでいるのと、つぶれ地の増加の面積も、農林省考えているよりも、経済審議庁は少いというようなことで、一年ずれているから、そうして取捨して、なお経済審議庁はその当時は、ある程度は輸入を増すより仕方ないという計画を立ててやった。農林省の方は、輸入は絶対に増すべきでないのだ。その当時に、二十七年に輸入米麦が三百万トンだ、それ以上は増さないのだという根本方針であった。経済審議庁は、ある程度は増してもいいのだという、一月の十一日ごろの各新聞に両方の言い分が出ていたのです。そういうことできまってなかったので、十万石の計数の違いじゃない。根本方針の違いなんだ。  そこでもう一点、これは非常に重要だと私は思うから申し上げているのですが、五月の三日に各新聞に報道されている前期三カ年の年次別計画で、農林水産のベースは、二十九年を一〇〇に直してきたのです。そうして三十五年までに一一三・九ということになっているのだが、私は二十九年にベースをずらしてきたことに、これは非常な問題があると思う。先ほど私が申し上げているように、二十七年、今までは二十七年ベースでやって、そのときは八千五百万石の生産を国内でやって、そうして三百万トンの輸入をしていたのだ、それが、千三、四百万石の増産をやっていけば、輸入はふやさなくても済むのだというのを、二十九年をベースにして、それからやっていくことになると、もうすでに輸入の既定事実が四百万トンになっておるから、それで二十九年から三十五年までの人口増と、つぶれ地でやっていけば、千万石で済んでしまう。千万石の程度でやっていくのか、千三百五、六十万石の程度でやっていくのか。私は根本の問題があるから、一体こういうものが漏れたのだか、発表なすったのだか知りませんが、そのうち、ちっとも出てこない。そうして最近聞いてみると、前三カ年計画はやるが、三十五年までは出すのか、出さないのか、よくわからないから、新聞にいろいろ出ていて、この際うやむやに済んでしまうことは、私は困るから、食糧の輸入は既往にさかのぼっても、二十七年の三百万程度で押えて、将来できるだけ国内で自給度の向上をしていって、八二、三%の自給率にするのだという目標を立てて、作業を進めていかれるのか、そこをはっきりしておいていただきたいと私は思います。
  121. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) ここで両者の意見の合致したところの、佐々木君と打ち合せしましたところを申し上げます。一月の六カ年計画の構想として、計数までは、これが計画だというのはいかがかとして、計数は経済資料として、参考資料として、その考え方を中心に閣議了解をいたしました経審計画が第一にありまして、それをさらに、それにのっとりまして、各省で財政ともにらみ合せまして、財政にも反映させ、財政も、こっちの経済計画に反映しまして、三十年度の、言いかえますと、六カ年計画の初年度の経済計画はこうであるというふうにして得ましたものが、四月十九日に閣議決定になりました三十年度経済計画、これに引き続きましては、三十年度計画は、四月十九日閣議決定のものを、初年度はそのままといたしまして、今後の六カ年を目下作業中のものが現状でございまして、そのうちの前三カ年計画が、まあ経審の事務当局が試案を作っておられましたものが、一部の新聞に漏れたのじゃないかと私は思いますが、佐々木君もそう申しておりますが、そういうものがあると御了解を願いまして、その際に、二十七年を二十九年にしたではないかとか、二十五-二十七年の平均の基準をどうしたかという点についてお答えを申し上げます。  経済審議庁でも、農林省でも、構想を固めていき、計画化していくことについて、差はございません。ただ最初私が、農林水産の計画はどうだということについて概略御説明を申し上げました際にも申し上げましたように、経審の閣議了解構想の際に、計画材料としてとりましたようなふうでは、農林漁業は適当でなかろう、統計数字も明確でないから、計画も立てにくい、予算上の措置として、予算をにらみ合せて今後ずっと考えていく場合にも適当ではないということで、計数を、経済数字の計画としてはじく場合の考え方を、最初の構想と、三十年の経済計画と変えていただいたのでございます。その変えていただいた内容は、農業をある一年だけ、特に二十七年は米、麦が豊作でございますから、それを一〇〇にしたのでは適当でない。基準は基準として別途おいて、過去の実績はどうだったという現状を把握する基準は一カ年でなしに三カ年でとっもらいたい。それはせいぜい最近時の二十五年から二十七年くらいでいいのじゃないか。それが統計もはっきりするからという意味もあるのであります。しかしそういうふうにとりましても、経済計画が三十年から始めた三十五年までの計画として立てたいという考えでございますので、それでは基準にまず数字を固めるときのものを普通の例によりまして一〇〇といたしまして、その後ずっとはじきましても、計画初年度が一〇九でありますとか、二十九年度が、去年一年の成績とほぼ見通されるものが九七とか、こういうふうになりますから、最初計画をはじいた数字を、たとえば二十七年を一〇〇とした場合、これが構想であります。経済構想の場合が、一年の構想の場合が、二十七年が一〇〇、しかし三十年度の場合は二十五年――二十七年を一〇〇としてもらいまして、以下計画を立てるのですけれども、具体的計画には二十九年とか、二十八年とかを同じ数字を一〇〇として表わし直して、そうしてまあ示してみようじゃないかという作業があったのです。これはまあ数字的作業に過ぎないのでありますが、こういうことが一つありました上に、基準をどこかにおいて、二十八年または二十九年を一〇〇と作りかえてみるという作業がありましたほかに、一月の六カ年計画の構想は、二十八年を何となく固める数字計画の基準として、労働人口も、人口も、その他もいろいろなものをずっと、所得も、鉱工業水準も一〇〇として、すっと計画を立てるもとの一年と押えようと、こういうことを当時は、去年のことでございますので、二十九年を一〇〇とおくのは不可能であったり、むずかしいということから、二十八年を立てておられた。ところが、三十年度計画として固めて参ります際には、二十九年度もほぼ見通されて出るから、経審とされましても二十九年度を一〇〇にした方がいいじゃないかということで、経済構想では二十八年だったものを数字計画の基準として二十九年に直されましたので、それに合わして直したという、ちょっと、同じことを数字に表わす場合において変えたことの多少不明確でありましたとか、何とかじゃないかと思うのです。  それからもう一つ、くどいようでありますが、すでに国会にもお出しいたしました資料とか、あるいは経審長官、あるいは農林大臣が他の場所で、先ほどお聞きしますと農林政務次官が当委員会でも過日申しましたことに関連したことでございますが、予算でほぼ生産施設とか、生産力とかとしてはつく力、生産上の力、増産上の力、こういうものを一応基準をおきまして、生産石数、増産石数というもので表わす場合におきまして、大体この耕地の拡張、改良は予算をつけた年に予算を実行いたしますと生産量、生産石数としては次の年次に出ることが多い。団体営なんとか、小土地改良なんかにはその年に出るものが一部あるわけであります。その他は次の年に出るのが大半でございますので、それを二種類に分けましたり、災害は、これはいささか計数としては問題があるのでありますが、一応計画初年度であるから災害が起きることと災害が復旧することとをパ一に見て、増産をするとかいうようなことには一応表わさずにはおこうということを、そういう扱いをいたしたりしておることが多少むずかしい反面、私どもの不手ぎわでうまくないのであります。百十三万石とか百一万石とかいうことなどは、予算として百一万石分に当る予算が三十年度の予算であるが、経済計画の生産量としては三十一年に石数が出てくる。それから耕種改善でも、実はその年に反映せしめて考えてよろしい。少くとも災害を受ければ減るかもしれませんが、生産する力としては持っている、施設はこうした、こういう場合につきましては、水稲健苗育成のようなものや、農薬散布というような点につきましては、種子の改善なんかもありますが、その年に出るものと、耕種改善と一応申しておりますが、先ほど申しましたように地力の改善なんかとして増産施設を講じておりますものは、前者はその予算をつけた年次に生産量を見込んだ方が穏当でありますが、後者はあらかじめ大土地改良事業の予算と生産量のように、後年度に生産量が出てくるとして出した方がいいと思うのであります。だから予算と経審の経済計画では、経審の経済計画はその年の生産はどう表わすのであろうかということでありますので、そこの点を、予算で施策を講ずる施設の増強と、生産量が出てくる増強とを分けて考えておるわけであります。それがきちんとできているかと言いますと、まあほぼ概略そういうことで、従来の食糧増産計画の観念に、最近研究しました程度のことで振り分けておるということでございます。そこで百一万石は土地改良の予算、二十万石と端折りましたが、二十四万六千石と、事務的に申しますと、そういうものは予算の技術改善、耕種改善中の地力、土壌改善のようなことはなおそのほかに十五万二千石ぐらい見込み得るのでありますが、しかしこれは経済計画の生産量としていいかどうかを考えるときに自信が必ずしもございませんでしたので、国会に提出してありまする経審提出の三十年度経済計画の生産量を、あるいは簡単に経審長官または農林大臣がそのとき大本に間違いはありませんけれども考え方と取扱い方で少しまるめて申しました百二十万石とか、百一万石とか、二十万石とか申しましたのは、この耕種改善中の土壌改善の増産を端的にその年には入れるのはむずかしいですから申し上げてない、必ずしも申し上げなかった、省略されたということだと思います。
  122. 奥むめお

    ○奥むめお君 先ほど突如としてエンゲル係数の数字をお出しになりましたけれども、私あれを少しどういうところから割り出しましたかということを聞きたいのですが、きょうは私もちょっと時間がないけれども、大した答弁も要らないと思いますが、四六とおっしゃるのですけれども、六カ年計画の最終年次が四六とおっしゃるのだけれども、四六といえば、まあ生活費の半分近いものが相変らず食費だということになるわけですけれども、ほかの六カ年計画はまあみんな生産増強の面でやっていなさると思うのですね。その面には、やはり改良とか合理化ということに相当努力しなければできない、これは察せられます。人口でさえも一%といえば、八十万増ですね、一年に。そうすると、これも相当家族計画の努力が必要なのじゃないかと私は考えるのです。そうすると、価格だけが、六年先でもエンゲル係数で四十六とおっしゃいましたね。流通過程にいろいろある問題とか、殊に今の日本のように価格政策の面でずいぶん政治的に雪だるまのようにころがしている面がありますね。こういう問題をどういうふうに改善して、どの問題でどこを押えて、どう改善して、そして結局物価はこういうふうになるから、エンゲル指数は四十六だ。私はこういう算定の基礎をちょっと出しておいてほしいと思うのです。それからまた考えてみたいと思うのです。いかがでございますか。私どうもこれは納得できないし、ことに三十五以上はこじきの生活だと専門家も言われておるのです。そして内容がよくなるからお金も高くなるのだという甘い考え方では、六カ年計画ではちょっと納得できないものを私は感じます。いかがでございますか。
  123. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) なかなか計画を立てることがむずかしいし、またなるべく、まだ政府として国会に出しておりません数字でありましても、作業中で何をもたもたしておるかという御意見も間々ありましょうから、こんなような作業をいたしておりますと、なるべく率直に申し上げた方がいいと思いまして、実は数量計画ばかりでなしに補足して申し上げたのであります。しかし開き直って四十六が厳密にエンゲル係数かと問われますと、実はまだそこまでそう申し上げなかった方がいいという程度の作業であります。しかし申し上げました意味は、生産面において増産をどうとるかということや、それから経審で出されました一つ総合経済計画の一指標としまして、農林水産生産水準というのを出しておられますので、これは当然に生産とあと貿易面で輸入が出て、あわせて消費水準が出れば、食糧でも消費水準というものは計画を立てなければいけませんが、その消費水準を物の量としてどう生産し、どう動かし、どう消費するばかりでなしに、一面では生活内容としまして、生活費としても見なければならぬことであります。生活費とか、金の面における生活ということも考えないといけないものだということをも念頭に入れまして、エンゲル係数をできるだけ下げるのを一つの目安として考えてみて、作業いたしておりますと申しましたのでございます。
  124. 奥むめお

    ○奥むめお君 これはエンゲル指数とは言えない数字ですね。生産量からずっと類推したものなんですね。価格政策というものは何も加わらないわけですね。
  125. 安田善一郎

    政府委員安田善一郎君) なかなかこれは私にはむずかしいことでございますが、国民の総消費というのは実は経審で出しておられる、これは金の計画計画の中の一部でございますが、金の面で出ました国民全体の総消費金額を幾ら使うかということは、年次別に作業されている。その中でただいま私が農林生産水準に関連して、生産水準の基礎には食糧の消費量、それから算出しました消費水準を出しておりますということを申しましたのですが、消費水準の内容である消費量を、おのおのの価格を基準時においてとりますと、消費金額が出るわけです。食糧費が出るわけです。消費する物量の形でなしに、食糧費が出ますので、一人当りの、国民総消費金額を国民数で割りまして、それを一人当り平均の消費金額と見まして、食糧消費量から食糧消費金額、飲食費を概算しまして、それを分母と分子としますと、消費金額と、消費金額同士の総消費と、食糧消費金額が出ますので、正確ではございませんが、概念としてはエンゲル係数的な数字という意味のものを申しましたのですが、先刻はこの点を内容的には御説明しませんで、省略したわけであります。
  126. 奥むめお

    ○奥むめお君 そういう御説明ならわかりましたし、少しも実際の生活に触れた数字ではないのですから、エンゲル指数ということはちょっと取り消してもらって、またほかの何か考えをまたまとめてもらった方が、私どもからいえば参考になる面もあるかと思います。
  127. 江田三郎

    委員長江田三郎君) いろいろ問題があると思いますが、今お聞きのように、この金額は非常に重要なものでありますけれども、まだ最後的にきまったものでないので、いずれまだあとから作業が進むに従って資料が提出されると思いますから、後日日を改めて、重ねて質疑を願うことにいたします。本日はこの程度にいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 江田三郎

    委員長江田三郎君) それでは、これにて散会いたします。    午後四時三十六分散会