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1955-09-17 第22回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月十七日(土曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    理事            白波瀬米吉君            秋山俊一郎君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員            重政 庸徳君            田中 啓一君            飯島連次郎君            奥 むめお君            溝口 三郎君            清澤 俊英君            三橋八次郎君            森崎  隆君            東   隆君            松浦 清一君            菊田 七平君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    大蔵省主計局主    計官      大村 筆雄君    農林省農林経済    局経済課長   大和田啓氣君    農林省農業改良    局長      小倉 武一君    農林省畜産局長 原田  傳君    食糧庁長官   清井  正君    林野庁長官   柴田  榮君    水産庁長官   前谷 重夫君    通商産業省鉱山    局長      松尾 金藏君   参考人    石油元売懇話会    専務理事    池田欽三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (漁業用燃油に関する件)  (本年産いも類対策に関する件)  (杉たまばえに関する件)     —————————————
  2. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) それでは、ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、漁業用燃油の件を議題といたします。  さきに政府全漁連向けに割り当てることに決定いたしております本年度十万キロの発注証明書付外貨行使につきましては、去る八月十七日の当委員会におきまして、政府に対しまして、この外貨割当趣旨が遺憾なく達成せられるよう実施の円満を期して万全の措置を講ぜられたいとの申し入れを、当委員会の総意をもって行なっておりますが、新聞等によりますと、現実の問題として全漁連石油元売商社との間の協力関係等にも難問があり、またサンマ漁業その地盛漁期を控え、漁業用燃油現物手配にも楽観を許さない状況にあるともいわれておりますので、本日はこれに関しまして、その後のいかなる経過実情になっておりますか、政府当局の講じておられる措置等につきまして御説明を承わりたいと存じます。  なお、本件に関しましては、この外貨割当実施に当りまして、全漁連との契約等直接関係を持たれる立場にある石油輸入元売業界実情につきましても承知いたしたいと存じます。石油元売懇話会専務理事池田欽三郎君に参考人としてお越しを願っております。  参考人に申し上げますが、本日は御多用中本委員会のためにお越し下さいましてありがとうございました。後ほど、委員会からの質問に応じて御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  それではまず、政府当局からこの十万キロの外貨割当行使について御説明を承わりたいと存じます。
  3. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 本件につきましては、いろいろ事務的な問題でおくれておりましたことはまことに申しわけないと存じておりますが、今月の十三日におきまして、外貨審議会連絡会議におきまして、U・Kポンド一万キロ、フリー・ポンド二万キロ分といたしまして、五十四万ドルの外貨の追加につきまして内部の連絡決定いたしまして、九月十九日に輸入公表及び割当基準につきまして発表いたしまして実施する予定でおります。これは上期につきまして三万キロ分について実施をいたすことに相なっておるわけでございます。いろいろ御意見、御指導を願ったわけでございますが、上期の分につきましては、ただいま申し上げた予定によりまして進行いたしたい、かように考えておるわけでございます。下期の分につきましては、今後の下期の外貨予算計画等も目下作成中でございますので、外貨予算の総体が決定いたしまして、さらにすでに決定になりました線に沿いまして問題の進行をはかって参りたい、かように考えておる次第でございます。
  4. 千田正

    千田正君 通産省はだれか出ておられますか。
  5. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) 通産省からは見えております。
  6. 千田正

    千田正君 どなたですか。
  7. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) 鉱山局長通商局次長と両方見えております。
  8. 千田正

    千田正君 それでは、この石油その他の外貨割当行政官庁である主管官庁通産省から、今、水産庁長官から諸般の経過の御説明がありましたが、もちろんこれに間違いないと思いますが、最近鉱山局長がおかわりになったようであります。で、新鉱山局長としての今後のあり方についての御所信を一応承わっておきたいと思いますが、どうぞお願いいたします。
  9. 松尾金藏

    説明員松尾金藏君) 私今度鉱山局の方に参りました松尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日議題に供せられております問題は、この一、二カ月間順を追うて問題が徐々に、だんだんと措置されて参ったわけでございますが、ただいま水産庁長官から、ごく最近の経過についてお話がございましたように、前から予定されておりました別ワク外貨割当につきまして、外貨予算上の措置をすでに十三日にとったわけであります。続きまして、来週早々にその外貨予算実施段階に入るわけでございますが、これで大体別ワクとして十万キロの予定をいたしておりましたものを、全漁連の方におきまして、その実際の需要その他をかなり詳細に検討をされたようであります。その結果、今回三万キロ分について外貨割当申請が出てきたわけであります。それに基きまして、ただいま申し上げましたような、私どもの方として措置をとったのでありますが、この外貨割当政府側としての外貨予算上あるいは予算実施上の手続は一応これで手を打ったことになるのでありますが、先ほど委員長の方からもお話がございましたように、全漁連現実輸入業者とうまくコネクションを結んで、既定方針通り輸入をすることにつきましては、私どもも今後さらにこの問題を間違いなく円滑に行くように進めて参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  10. 千田正

    千田正君 この問題はずいぶん長くからいろいろ当委員会としましては論議されまして、最後の結論としましては、当委員会から決議として通産省に申し入れ、政府に申し入れてあります。これは新局長も十分御承知のことと思いますので、われわれ委員会といたしましては、行政官庁のあなた方の仕事にまでどうこうということはほんとうは立ち入りたくないのです。あなた方は真剣になって責任を痛感していただいて、スムースにこういう問題を解決していただく衝にあられるのですから、われわれとしてはかれこれ言いたくないのでありますが、実際水産部門の方においては、この問題はスムースに行っておらない、そういう感を深くいたしますので、今日もこういう委員会を開かざるを得なくなったのでありますので、今後は十分に責任立場にありますところの局長さんも、また通産省のその当の係りの方々も、これは慎重に研究されて十分所期の目的を達成するように御協力願いたいと思います。あとはいろいろ各委員からもお尋ねがあると思いますから、その途中に私の質問したいとき発言いたします。
  11. 田中啓一

    田中啓一君 今の両局長説明で大体了承いたしました。この際、せっかく輸入元卸の団体代表として池田専務がおいで下さっておるのでありますから、この上半期の分の三万トンに対する外貨割当申請をするまでの段階でも、だいぶ全漁連は難儀をしたようにうわさされております。で、これはまあどうやら片づいたように聞いておるのでありますが、さらに下期七万トンのまた申請をしなければならぬ。それにはまたぜひとも輸入元卸の方の御協力をわずらわさなければならぬというようなことでございますので、その下期に対する見通しというような点につきまして、これまでの経緯と下期に対する見通しという点につきまして、一つ池田専務から事情お話し願えればまことに幸いと存ずるのであります。
  12. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) 私、石油会社団体であります石油元売懇話会専務理事をいたしております池田でございます。本日は会長がお伺いするはずでございましたが、あいにく出張いたしておりますので、かわりまして出席いたしたような次第であります。何分よろしくお願い申し上げます。  ただいまの田中先生からのお話しでございまするが、石油会社といたしましても、水産重油重要性ということにつきましては十分認識をいたしておるつもりであります。その点にかんがみまして水産重油確保する、価格をできるだけ引き下げるというこの線に沿って、業界としても政府の御方針によって今まで及ばずながらやってきたつもりでございます。すなわち昨年の六月から、当時石炭の関係からいたしましても重油がきわめて逼迫をいたしておりましたときに、水産重油確保措置要領というのを通産省農林省の御指導によりまして決定いたしました。昨年の六月から毎月計画配給をいたしまして、不十分ながらもできるだけの確保をはかってきたような次第でありまして、その実績計画をはるかに上回っておるというようなことに相なっておるのであります。当時陸上の重油が非常に払底いたしまして、鉄鋼、電力その他ほとんど全部の産業団体重油確保対策同盟というのを結成いたしまして非常な問題になっておった当時でございまするが、水産重油ということの重要性にかんがみまして、できるだけの措置は講じてきたのであります。また価格の問題にいたしましても、この四月の一日からA重油価格の引下げということにつきましても、非常な自由経済下に問題が多かったのでございまするが、不十分ながらも、できるだけの努力をしてきたというようなわけであります。かようなわけでありまして、水産重油重要性ということにつきましては十分認識をしておるのであります。ただ、今度の全漁連さん関係の十万キロの問題につきましては、いろいろな事情から、この件に対しましては石油業界として現在の配給実情が乱れるというような観点、その他いろいろな事情からいたしまして反対をいたして、賛成しかねるということを申し上げていたのでありまするが、政府の方でそういうような御方針が御決定になるということになりました事実に対しましては、 この事実はあくまで尊重しなければならぬというふうに考えておることには間違いないのでありまするが、ただこの問題に関連いたしまして、元会社傘下には数千の石油販売店があるのでありまするが、その販売店商権を脅やかされる、あるいは従来の焦げつき債権をどういうふうにして整理してもらえるかというふうな問題から、元会社に対しましても、この特約店の問題を十分一つ考えて善処してもらいたいという強い要望もございましたので、その点を考慮し、十分尊重しなければならぬ立場にありまする元会社といたしまして、その点についていろいろ研究をして参ってきたようなわけであります。今後といたしましても、この特約店立場は十分尊重しなければならぬのはもちろんでありまするが、また政府国会の御方針もおありでございまして、その事実は十分尊重しなければならないと思うのであります。こういう点につきましては、石油会社がそれぞれの立場において研究をしておられるのでありまして、今後も御研究になることだろうと、かように考えておるわけであります。
  13. 千田正

    千田正君 私は池田さんにお伺いしますが、今の元売業者懇話会、この性格業者代表方々一つ経済社交機関であるのでありますか、それともある場合においては政策を掲げて通産省に対する協力機関であるのか、あるいは通産省側から、特にこの石油の元売り、小売りに対する何らかの決定権を与えられて、そうしてされた団体なのでありますか、その点を伺いたいと思います。もう一つは・私はなぜそういうことを聞くかといいますと、少くともあなた方の団体は、輸入業者のうちでも最高の組織を持ち、かつまた良識のある方々のお集まりであるはずであります。でありますから、今度のような問題に対しても、政府並びに国会要望に対しては十分御協力を願えるものだとわれわれはひとしく考えておったのでありますが、今日の段階に至って十分それが達成されない。しかもあくまで政府のいわゆる方針等に対しては協力という程度に出ておらないようにわれわれは巷の風聞として聞きますので、実際良識のあるあなた方の少くとも元売会社代表、あるいは日本実業界の最高峰を行く人たち集まりであるはずでありますから、一体そういう人たち団体は何らかの決定権を持った決定機関なのか。それとも政府協力機関なのか、あるいは特権を与えられた一つ団体なのか、その辺の性格はどういう団体でありますか。
  14. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) 石油元売懇話会は別に法律に基いた団体ではございませんので、申し合せと申しますか、任意団体でございます。そうしまして会員相互の親睦をはかりますと同時に、いろいろな意見を申し上げるというようなこと、あるいはまた石油に関しますいろいろなP・Rの仕事でありますとか、あるいは技術的な研究、そういうようなことをいたす申し合せ的な団体でございます。それからこの元売懇話会といたしまして別に政府にたてつこうというような考えは全然ないのでありまして、政府水産重油確保せい、あるいは価格のできるだけ低廉化をはかれというようなこの御方針に沿いましては、できるだけの努力を、先ほど申し上げましたような措置をとっておるわけであります。ただこの今度の十万千口の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、特約店立場ということを十分尊重しなければならぬ関係からいたしまして、その方の善処を要する関係から御期待に沿い得ないような事情になってきておるのであります。その点は元会社と、それから特約店のその親子関係、それから商売道徳上の関係、そういうような点を十分ごしんしゃくをいただきたい、かように考えておるわけであります。
  15. 千田正

    千田正君 石油元売懇話会はよく御説明でわかりました。おそらく日本石油の総元締であるはずであります。同時に、そうであれば日本国民が使う石油という問題に対しての指導なり、あるいはあなた方の申し合せというものは直接に消費者並び生産者に非常な重大な影響を及ぼすことは申すまでもないのでありまして、私はここでちょうちょう言う必要もありません。ただ私はそれが日本国民生産なり福祉のために全般的に行き渡るような方針をとっていただけるものと私は確信しております。ところが現実においては、今あなたのおっしゃるところによると、あなたの会社傘下であるところの配給機関に対する一つ商権擁護、そういうことのみによって政府なり国会決議なりというものを御尊重できないという立場をとるものとするならば、私は良識のあるあなた方の団体としてはまことに私は遺憾だと思う。そういう点についてはどういうふうに一体今後処置して行かれるつもりですか。今までと変りのないように、あなた方の団体としてはあくまで政府なり国会なり、あるいはわれわれがこうすべきであるということを政府に申し入れ、政府のそうしようという処置に対しては、あなた方の立場としてはどうも協力できかねる、こういう立場を将来ともおとりになると、こういうのでありますかどうですか、その点だけ承わっておきたいと思います。
  16. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) まあ特約店立場というものを先ほど申し上げたわけでありまするが、特約店と、それから漁民の方の間には古くからのいろいろな債権債務があるわけでありまして、その金額も相当の巨額に達しておるように聞いておるのであります。それでかりにその特約店がその商売関係ルートが変るというようなことになりますと、今までの債権というものは永久に焦げついてしまってなかなか回収できない、こういうことになりますと、その特約店の死活問題になる問題でありますので、そういう点は元会社としても十分考える必要があると、かように考えておるのであります。そういうような問題がいろいろ解決されて行きますれば、元会社といたしましても、それを政府方針に反対するというようなことではないのでありまして、そういうような問題が解決をして行きますれば、各元会社がそれぞれの立場においていろいろな商権のことをお考えになると、かように考えております。
  17. 千田正

    千田正君 何か池田さんのお話によると、その下の特約店や何かのお話を聞くというと、何か今までの漁業会社とか、漁民とかの人たちが、今度たとえば漁連なら漁連に油が行くことによって、今まで貸した金がとれないじゃないか、それだけの危惧のようでありますが、そういう問題は通産省なり水産庁なり、あなた方三位一体となってやれば、そういう問題の解決の方途があると思うのであります。何か水産庁あたりなり、通産省あたりから、そういう従来の借金や何かは全然返さないのだと、そういうようなことを聞いておられて、そういうことをお考えになっておるのですか、何かさっきば払わないのだろうというようなふうに、ただそういうふうなことだけで御反対しておられるようにしかわれわれ今の御説明では受け取れないのですが、何かやはり借りた香のは返すだけの、そういうことは筋道を立てるだろうと思うのですが、そういうことで今重大な生産期にきておる段階において水産業者が入手できない、こういうことはあなた方が少くとも日本の国策なり政策なりに寄与するところの団体としての本筋ではないじゃないかとわれわれは考えますが、どうなんですか。
  18. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) ただいまお話の点でありまするが、旧債の整理につきましては、現在農林省全漁連さんあたりで十分御研究になっておるということは私は聞いております。早くそういうような解決策が出ることを望んでおるわけであります。
  19. 森崎隆

    森崎隆君 鉱山局長にちょっとお尋ねいたしますが、今度の全漁連への割当の十万キロにつきましては、これが輸入から漁民の手に渡るまでの経路はどういうふうになりますか、一応はっきりさしていただきたい。
  20. 松尾金藏

    説明員松尾金藏君) 先ほど御説明をいたしましたように、外貨予算の中で、すでに上期の外貨予算の中に含まれておるわけであります。来週早々この予算実施をするわけであります。その予算実施によりまして、全漁連はその前の決定にもございますように、全漁連の方で先ほど申しましたように、すでに上期の需要として大体三万キロの需要が必要だということが、先月あるいは先々月あたりから十分調査をされました結果、現在三万キロということになっておるわけであります。その二万キロ分について石油輸入業者全漁連契約をされまして、そうして輸入業者を通じてその三万キロが全漁連の手に入るということになると思います。全漁連は御承知のように、それぞれその傘下県連なりあるいは単協を持っておるわけでありますから、それらを通じて油が流れて行くというふうに承知しております。ただ私どもも先ほど池田さんからもお話ございました点に若干触れると思いますが、その量として上期三万キロの量でもって何も商権擁護云々というような根本的な問題であるとは私も考えておりません。ただ実際問題としまして、その三万キロの量がやはりこういう新しいルートを通って流れて行くわけでありますから、それが全国的にほんとう需要に、平均的にという言葉は少し当らないかもしれませんが、円滑に平均的にといいますか、需要に応じた形でまんべんなく全国傘下のところに流れて行くということを期待しておるわけであります。この量のある部分がある一定のところに集中して、そこにだけ非常に多く流れるというようなことになりますと、また従来の配給ルートと必要のないトラブルといいますか、争いを起すようなことになるのではないかという点も全漁連は十分研究して、三万キロという量を決定されたように聞いておりますので、現在の方向で実施されて行きますれば、大体期待しておりますような円滑な油の流れ方ができるというふうに考えておるわけであります。
  21. 森崎隆

    森崎隆君 結局元売業者の手を経なければならない従来と異なったところは、配給ルート全漁連の方へ切りかえられていった。池田専務にちょっとお聞きいたしますが、今の二度目の御発言の中で非常にやわらかいお言葉でございましたが、この三万キロにつきましても肯定しかねるというはつきりした拒否のお言葉があったと思いますが、そう私は聞いたつもりですが、それは受けられないという態度をはっきり懇話会決定されたのですか。
  22. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) 私先ほど申しましたうちに、こういうような趣旨にお取りになるようなことを申しましたとすれば、私のこれは言い間違いでありまして、決して三万キロを受けるについてお受けしかねるということを私の立場から別に申し上げることはできませんし、また申し上げたわけではございません。ただ一般の考え方を申し上げたわけでありまして、この三万キロを今後石油元売会社が受けるかどうかという問題は、これは各社がいろいろな事情を検討しておきめになる問題と、こういうように考えております。私の立場から受けないというようなことは、決してそういうことは申し上げられませんし、また申し上げたつもりもありません。
  23. 森崎隆

    森崎隆君 さっきは私はそのように聞いたのですが、それが違うといたしますれば、各会社が独自の立場で受けるか受けないかをきめる、そういたしますと、各会社の意思によってこれは決定されるわけなのですね。懇話会としては、それを統制、コントロールをする力はないわけですね。
  24. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) ないわけです。
  25. 森崎隆

    森崎隆君 それで各会社がこれを受けるか受けないかということの主因になる問題は、商権擁護という問題ではない、そういう意味でなくして、債権債務を今後漁民が履行してくれるか、くれないかということが最も中心になる問題で、借金さえ払ってくれれば今後も元売会社としては受ける、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  26. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) 元売会社特約店立場考えるわけでありますが、その特約店立場考えます場合に、その債権債務ということは非常に大きなファクターだと思いますが、そのほかいろいろな販売ルートとか、いろいろな問題もあると考えております。
  27. 森崎隆

    森崎隆君 債権債務のほかにいろいろな問題があるということは具体的にはどういうことでございますか、具体的に一つ説明を願います。債権債務のほかにどういうものがあって、そういう隘路があるから、元売会社としては配給ルート確保するためには、守って行くためには受けられないということになるのですね、だからその具体的な事例、債権債務はわかります。非常にこれは大きな額になると思いますが、それ以外に具体的にどういうものがあるのですか。
  28. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) そのほかに、たとえば先ほど鉱山局長からお話になりましたように、一つ場所に集中的に出るというようなことになりますと、その場所特約店が非常な事情の変化がありまして、そういう点因るんじゃないか、かように考えております。
  29. 森崎隆

    森崎隆君 それじゃ結局二つと見ていいわけですね。債権債務の問題と、集中的に流れるという問題と、大体大きな問題の二つですね、そのために元売会社としては受けられないという関係が出てくるというように解釈してよろしいですか、それ以外にないというふうに……。あなたの方は御専門でございますから、その点はよくわかっていらっしゃると思いますから、お教えを願っているのです。それはそれとして、債権債務の問題は具体的に全国でどのくらいですか。従来の実績から考えて、もしルート全漁連の方に転換した場合には、漁民が全然払わないというような可能性があるということは自信を持っておっしゃられるのかどうか、そういう点を……。債権債務の問題ですね。
  30. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) 現在その債権債務がどのくらいの額に達しているかということは、これは特約店段階であります。全国石油協同組合連合会、そこで調査をいたしておるわけでありますが、その調査が現在どういう数字になっているか私は今承知をいたしておりませんですが、半年ほど前に調べましたところによりますと、二十数億に達しているというようなことも聞いております。
  31. 森崎隆

    森崎隆君 私は債権債務の問題というものと、これが主あある程度漁民に金を貸し付けておりますれば、次の油の需給については、やはりその配給業者の方へ漁民の方はいやでも注文しなければならぬということになるという、まあ縁というものが続いて行くという一つの強みがあるわけですね。そういう点はこれまでもずいぶん利用されてきただろうと思うわけです。まあそれはそれとしまして、債権債務の問題と今度の十万キロの問題、これを元売会社が受けるか、受けないかという問題につきましては、直接には私は関係ないように思う。ただ関係あるといたしますれば、元売会社といたしましては配給小売業者の方の関係から強い要請が、小売会社の方から、小売店の方からございまして、その大きな意思に動かされまして十万キロは受けられないというようにまあ想像されるわけです。大体そういうように解釈してよろしゅうございますか。
  32. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) この十万キロの問題に関連しましては、石油協同組合連合会が、これがこのような反対をいたしていたわけでありまするし、また現在におきましても、その救済制度の問題と関連いたしまして、それまでは実施をしないようにというようなことを主張しておられるわけでありまして、元売会社といたしましても、そういうような特約店の主張なり立場というものは、これは十分尊重して行かなければならぬというような関係がございまして、これが今度の問題に非常に大きな影響を与えているということはお話通りでございます。
  33. 森崎隆

    森崎隆君 それでは鉱山局長にお尋ねいたしまするが、もし最悪の場合、この販売ルート方々からの強い反対の意向に押されまして、元売会社の方でこれを受けられないということになった場合ですね。懇話会としては決定しなくても、一つ一つ元売会社の方で事実上拒否された場合、そのときにとられる道はどういう道がございますか。
  34. 松尾金藏

    説明員松尾金藏君) 私従来の経緯をだんだん承知いたしておるつもりでございますが、私どもの聞いている範囲内におきましても、全漁連の方で各輸入業者にある程度は当たられた、お話し合いがあったということも聞いておりますし、そうしてその間に必ずしも話が円滑に行かなかったということもあったというふうには聞いておりますけれども、最近の私どもの聞いております様子では、だんだんとその方の話し合いもできて参りまして、今度の外貨予算実施段階では、いずれも近いうちに輸入業者との関係が円滑に話し合いがついて入ってくるというように考えておりまして、今御心配になりましたような事態に、最悪の事態と申しますか、そういう事態にはならないというふうに私は考えております。
  35. 森崎隆

    森崎隆君 もう一つ局長さんの方では、この問題については円満な解決はできるという御自信があられると考えてよろしゅうございますか。
  36. 松尾金藏

    説明員松尾金藏君) 先ほど申しましたように、最近の話し合いはだんだん進んでいるように聞いておりますので、私ともも小売業者なり何なりとの間に、かりに大きな障害というようなものがございますれば、当然私どもとの間の何と申しますか、あっせんと申しますか、そういうようなことも進めて参りたいと考えております。
  37. 森崎隆

    森崎隆君 もしそれがうまく行かなかった場合を心配しているので、うまく行かなかった場合にはほかに何か方法がございますか。
  38. 松尾金藏

    説明員松尾金藏君) うまく行かないというお話でございますが、輸入業者も御承知のようにたった一社、二社というわけでもございませんので、たくさんの輸入業者もあるわけでございますから、ある会社との間、ある輸入業者との間に、かりに話し合いができなくても、それでどうにも動けないという問題ではない。またほかの輸入業者もあることでございますから、その点はどうにも動かなくなるというような事態にはならないというふうに考えております。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は全漁連等との関係はあまりありませんので、詳しいことはわかりませんが、今の質問応答をいろいろお伺いしておりますと、池田さんの御説明ではなかなか輸入業者自身の意思ではなく、今まで長い商取引の親子関係にある特約店の意思を尊重する、こうおっしゃっておる。それがなかなかうまく行かない。これが前提になっておる。そうしますと、輸入業者が何軒ありましても、その点がうまく行こうとは考えられないと私は思うのです。現に池田さんのお話森崎さん、または田中さん等の御質問でお伺いしておりましても、はっきり自信のあることはおっしゃっておらない。いつ大体の時期においてそれを片付けて行こうということはおっしゃっておらない。こういう点に対して、鉱山局長輸入業者もたくさんあるから何とか話がつくだろうでは、同じことを何べんでも繰り返して行くだろうと思う。第三者として私は申し上げるわけです。これではどうにも片がつかない。だから森崎さんがお伺いしているんだ。最悪の場合はどうおとりになるか。ものには時期というものがありましょう、時期というものが……。その時期に間に合わぬという場合には、どうおとりになる腹がまえがついているかということをお聞きする次第であります。その点をはっきり最後の腹がまえだけをお伺いしたい。もしそういうことでいつまでも片づかぬならば、そういう輸入業者外貨割当をしないなどとか、砂糖会社などは現にそういう行政措置で、これはいろいろ今もこの委員会で問題になって、そういう処置が正しいかどうかはわからないが、検討の余地があると考えられておりますが、一方においては、そういう処置をとっておられる場所もあるから、石油に対してだけそういう処置がはっきり言われないということに対しては、どうも前の局長時代から、この問題に対しておかしな感じがしておるわけですが、その点一つお伺いしておきたい。  その次には水産庁の長官にお伺いしょうと思います。そういう問題が片づかぬときには、水産庁として、外貨を持ってきて輸入するだけの一つの方法等を考えて、この取りきめを強化するだけの腹があるのかないのか。だめなものはいつまでたってもだめなんです。しかも関係者が他の輸入業者それ自身ではなくして、その人の親子関係にある特約店が、現にわれわれの商権擁護、これがもし実行されたならばわれわれの経営は成り立たぬ、こういう主張をしておるわけです。これはなかなか容易な問題ではないと思います。現実において、いろいろ表面言葉はやわらかい表現をいたしているわけですが、実際の腹はそういうことはさせない、現実においてさせない、これが腹じゃないかと思う。それを幾らコンニャク問答をやったってこれば片づかぬ。もっとはっきりした態度を通産省並びに水産庁の意見を私は聞きたいと思うわけです。
  40. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) ただいまの森崎委員及び清澤委員お話でございますが、ただいま鉱山局長からお話がございましたように、いろいろ現在までの経緯におきましては、御承知のようにスムースに行かなかった点はあると思います。しかし現在の状態におきましては、これが実施できるというわれわれとしては見通しをつけておるわけでございます。御承知のようにこの問題は、ある場合におきましては一般の商取引でありますので、継続的な関係もございますので、われわれとしてはできるだけ両者間のスムースな取引にまかしたい、そうしてそれによって処理できるだろう、かように考えておりまするが、水産庁といたしましては、そういうことは万々あるまいと思います。ないと思いますが、そういう事態が起りました場合には、先般も政府からその方針をはっきりいたしておりまするし、またすでに輸入公表をいたすわけでございますが、政府としての態度ははっきりいたしておると私は思っております。従いまして、それに対する処置、方法としてはいろいろあろうかと思います。あろうかと思いまするが、その方針を実現するために私たちとしては強力にやりたい、このことは通産省当局も同じだろうと思います。
  41. 松尾金藏

    説明員松尾金藏君) ただいま水産庁長官からお答え申し上げた通りでありまして、この問題につきましては、何も農林省とか、通産省とかいうようなことで、従来まで、また今後も意見の食い違いはないと思います。少くともこの決定しました方針につきましては、両省力を合わせて必ず実施が十分行くものと思います。
  42. 東隆

    ○東隆君 私は続いて質疑をしたいと思います。今回のこの石油関係はスムースに行かなければならぬと、こう考えます。三者のお話を伺っていると、なめらかに行かなければならぬはずだ。ところが、なめらかに行かぬところに問題があると思いますが、私は一番問題になるのは、やはり懇話会の問題でないかと思う。そこで先ほど千田君が懇話会性格についてお聞きになった。それに対してお答えがございました。親睦の目的あるいはP・Rのこともやるんだ、こういうお話がございました。政府は意思を十分に表明をされており、それから国会ももとより意思を政府に申し入れをしておるのでありますが、懇話会はこの動きを十分に知っておると思う。その場合に、いろいろ特約店関係から元売業者が意思を決定しかねておる。こういうような情勢が、これが今の問題にからんできておると思う。そこでせっかく懇話会はP・R活動をされるというのでありますから、この際この席上で、今までの懇話会がとっておった態度はかえってルートを乱すとか、あるいは債務の関係が困難であるとかいうようなことで、そのまとめ方がかえって石油業者のトラストが独占禁止法に引っかかるような、そういう方向についても話合いをまとめる役割りをした。そこで私は、専務さんはこの席上で、そういう考え方を持たないのだ、われわれのP・R活動としてこの問題をスムースに解決するためにやるんだ、こういうお答えがここであると、この問題は解決すると思う。そういう点についてはっきりしたことを述べて、もしお答えが満足なものでなければ、私どもはもう一歩進んで外貨割当その他について政府の態度をはっきりきめてもらわなければならぬ、こういう段階に私は今あるじゃないか、こういうふうに考えます。従って今日のP・R活動は今までの態度と違って、積極的にこの際全漁連に割り当てたものの発注をみなが進んでやるような態勢をとるべきだ、懇話会の方はそういう方向に持って行く、そういう意思を表明される方が私はいいじゃないか、こう思いますので、重ねて私はこのことを申してお答えを願いたいと思います。
  43. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) ただいま石油元売懇話会の活動の考え方につきましてお尋ねがございましたが、石油元売懇話会は先ほど御説明申しました通り、あくまで親睦的な機関であり、政府にいろいろ陳情したり、建議したり、あるいはいろいろな調査研究をする機関、こういうような団体でありまして、石油会社の取引の関係にまで入るべきでないという建前ででき上っておる機関であります。いろいろ法律の関係の束縛もございますし、それ以上の働らきはなかなか困難でございまするが、しかし石油に関するいろいろな問題が起きておりまするし、そういうような関係からいたしまして、石油団体を一そう有効なものに発展さすべきではないかというような意見業界に出ております。そういう研究も具体的な研究として進めているわけであります。法律の許された範囲において、いろいろそういう積極的な活動をいたしたいと考えております。
  44. 千田正

    千田正君 ただいま石油元売懇話会代表の方の御意見も聞きましたが、私はただ一、二点だけ私として聞きたいと思いまするのは、ただいま東委員からお話がありました通り、これは変なことをやって行くというと独占的な方向に向う危険が多分にあるわけであります。そういうことがいいか悪いかということは、常識でこれは判断すればわかることでありますが、今問題になっているのは、要するにあなた方の団体は、生産者生産消費者、一般消費者、この人たちに不自由をかけないように、国内の石油がうまく末端まで行き届くようにやるのがあなた方の使命の根本ではないかと思う。それを一方だけのことを聞いて政府なり国会なりの施策に対して協力できない、そういう態度をもし今後おとりになるとするならば、これはあなた方の団体は、果して日本生産、経済なり、あるいは一つの国内経済に寄与するゆえんであるかどうかということは、これは再検討しなければならぬ、同時にこれは外貨を割り当てられたところの会社集まりであるあなた方の団体であります。そうしますというと、そういうことに対して一歩進んで、外貨割当は果して日本の経済に寄与しているかどうかという問題を、われわれ国会としても中心になってこれらは研究しなければならぬ、そこでこういう問題はまあ十九日に発表されるそうですから、外貨割当は……。それに対してあなた方の団体協力するかしないか、これをわれわれは再検討してから、われわれとしてのなおはっきりしたお尋ねをしたいと思いますが、協力する態度に出てほしいと、これだけ私は要求をしておきたいと思います。そうじゃなかったならば、あなた方の団体が一方的に偏した団体であって、日本国民経済の少なくとも指導団体であるあなた方の存在の理由がどこにあるかと、むしろ極論すればわれわれはそう言いたくなる。この問題が起きた当時、私自身はまことに不愉快なうわさを耳にして残念に思っているのは、この問題がもし全漁連なり、その他に割り当てるという問題が起きてきた場合には、国会の連中が何を言おうと、政府が何を言おうと、われわれ団体は強くこれは反対するのだ、あくまでもたてをつくのだ、国会が何だ、こういうような声までもわれわれは、これはほんとうじゃないと思いますが、聞いているのです。そういうような態度で出るとするならば、あなた方の団体の存在理由はどこにあるのか、こういうふうにわれわれは窮極的には考えたくなる。そういう問題の起らないうちに、あなた方のりっぱな良識をもって、日本石油業の輸入元売りの立場に立って、この問題の解決に善処される方が、あなた方のほんとう良識の発揮じゃないかと私は考えるのでありますが、この点について今後、今日以後協力される態度をお持ちになるのか。あるいままたお帰りになって懇話会なりの会合をなさると思いますので、そういう場合において、あなたの立場としてはどういうふうに御意見を発表するつもりでありますか、あらかじめここであなたの御所信だけ承わっておきたいと思います。
  45. 池田欽三郎

    参考人池田欽三郎君) ただいまのお尋ねでございまするが、石油精製にいたしましても、販売業者にいたしましても需要者あっての石油業者でありますから、需要者の立場ということはこれは十分考えていかなければならぬという御意見は全くその通りでありまして、その通りにやっていかなくちゃならぬと思っております。また政府なり、国会なりのおきめになりましたことに対しましてあくまで反対しているというような立場ではないのでありまして、その価格の問題にいたしましても、数量の確保という問題につきましても、まあ、最善のことを尽しているつもりでございます。なお今度の問題につきましても政府の方で御決定になりましたその事実は尊重しなければならぬのでありまして、それを尊重していろいろやらなければならぬと思うのでありまするが、今この際私の口から、石油会社がどうするということは申し上げられないのでありまして、これは商取引であります、個々の会社がそれぞれの立場で御判断になるということを申し上げるほかはないのであります。
  46. 千田正

    千田正君 それはここで論争しても切りがありませんが、私としての要望は今申し上げてあります。それで通産省局長にこれはお尋ねいたしまするが、今聞いておられる通り、できるだけ協力するような態度をおとりになるようなふうにも見えます、しかし個々の取引であるからそれは十分どうとも答えられない。石油懇話会というものを、あるいはあなた方はこの団体を諮問機関なり、あるいはあなた方に対する協力機関として見ているわけですか、どういう立場でこういう団体の存在を許しますか、こういう人たちの言うことを今まで通産省が聞かなくちゃならないという立場におられたのか。そういうことは新らしく就任されているから詳しくわからぬかもしれませんが、私はそういうような団体が存在して、生産する人たちがどれだけ今必要期に迫られているにもかかわらず、そういうところにネックがあって十分に末端の生産ができないと、こういうようなことに対しては、おそらく通産省としましては行政指導立場にあってはっきりした所信を持っておらなければならぬと思いますが、今後もしこういう問題が相変らず継続するという問題があった場合、あなた方はどういう立場で問題を解決するつもりか、もう一ぺんはっきりと伺いたい。
  47. 松尾金藏

    説明員松尾金藏君) 懇話会性格なり、活動につきましては先ほど池田参考人から説明があった通りと私も承知いたしております。またその池田参考人からのお話にもありましたように、懇話会という任意の団体が個々のメンバーの取引を縛ってしまうというようなことはできないことは、これはもうもとより当然であります。そういう立場からただいま池田参考人お話があったと思うのであります。ただ国の、政府といたしましては、この油の円滑なる確保、また円滑に流れていくということが最終の目的でありますから、その観点からいたしまして、当然政府決定をいたしました方針に基いて輸入業者なり、あるいは元売業者協力を求めるということば当然であります。今後も、先ほど申しましたように現在までのところ、非常に最近の様子ではこの問題が動かなくなるということはないと思っております。今後におきまして大きな障害にぶつかるようなことがあれば、当然国の立場からいたしましても、政府決定した方針を進めていくというふうにやっていくことは当然だと考えております。
  48. 千田正

    千田正君 この問題は衆議院の農林水産委員会並びに当参議院の農林水産委員会におきまして、決議をもって強力に政府側に対してこの善処方を要望しているのであります。で、もちろん政府側としては行政機関として最高立法機関からの申し入れに対しては当然これは協力しなければならぬ、この行政指導責任者であるあなた方でありますから、これは早くこういう問題は紛糾を重ねないように一日もすみやかに善処を要望したい、そうしてこの問題の解決をはかっていただきたい、この点だけは強く申し上げます。もしもこれがこのままにじんぜんなお生産者このままの通りであったならばわれわれとしてはさらにこの国会休会中といえども委員会を開催してあくまでこの問題の根本的な、どこに一体障害があるのか、こういう点もはっきりして行かなければならないと思いますから、その点だけ十分御了解になって一日もすみやかにこの問題の解決をはかっていただきたい。この点だけを強く要望しておきます。
  49. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) 他に御発言のある方はどうぞ。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 資料を一つお願いしたい。懇話会の名簿を一つ資料として提出していただきたいと思います。
  51. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) よろしゅうございますね。至急一つお出しを願います。  それではこの問題はこの程度にいたしまして、農林、通産両省では今までに御発言になったことを必ず実行に移していただくようにお願いいたしましてこの問題はそれじゃこの程度にいたしたいと思います。     —————————————
  52. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) それでは次に本年産イモ類対策の件を議題にいたします。本年はイモ類もまた豊作でありまして、すでに関係方面においてはこれが価格指示等その対策の確立が要望されているのでありまして、カンショの価格、澱粉の価格及び競合物資の取扱い等について田中委員、三橋委員及び秋山委員等から発言が求められておりますから、この際に御発言を願うことにいたします。
  53. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私は主としてカンショの問題につきまして御質問申し上げたいと思います。実は本年は天候がよくて大豊作を予想されておるのでございますが、私の見たところでは全国的にはおそらく豊作であるように思いますが、西日本は早魃などの関係がありましてイモそのものの澱粉価は高いものがとれるかもしれませんけれども、反収におきましてはそれほど豊作の名をもって呼ぶほどの大豊作ではないと思うのでございます。そうなって参りますると、全国的な豊作という声に巻き込まれ、しかもそういう気象的な障害の起きました西日本のイモ作というものは大へんな打撃をこうむり、それこそほんとうに豊作飢饉という状況を呈すると思うのでございます。きのうも長崎並びに愛媛県の代表者が陳情に参りました通り実情でございますが、一体今年のイモの予想収量は幾らくらいに見ておるのでございますか。
  54. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) お話のように、必ずしも今までの統計調査でも調べによりますと別に大豊作というふうにはなっておらないのであります。ただ昨年がむしろ例年に比べますと不作であった関係でございまするので、昨年と比べますると相当の生産が出ておることになろうかと、こういう見込みでございまして、作付面積から申しますと三十六万七千町歩、生産高が十五億八千八百万貫、こういったところが生産の見込みでございますが、なおしかしこういう統計に憶測を加えては申しわけございませんが、最近の話を想像しますると、もう少し上回るのではないかといったような見方もあるのではないかということをつけ加えておきます。
  55. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 十五億万貫と申しますると平年よりは約二、三億多いようでございますが、これにつきまして大体各用途別の消費の見通しというのはどういうふうになっておりますか。
  56. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 消費の見通しは、まあ需給の問題に関連するわけですが、見込むのはなかなか御承知通りむずかしいのであります。たとえば今申し上げましたような数量を前提といたしましても、価格の状況がどうなるだろうかといったようなことも関係いたしまするので、なかなかむずかしいと思いますが、二十九年をべースにして考えますると、昨年はたしか十四億万貫を切れておったわけですから、昨年に比べますれば相当のゆとりが出て参るわけでありますが、私どもといたしましてはえさ用なり、あるいは澱粉用なり、あるいは酒用なり、あるいはアルコール用といったようなものが昨年に比べまして相当の増加が予想されるのではないかというように考えております。そういう方面の御理解を願ってカンショを利用していただくという前提のもとで、ほぼ一応は充足され、需給も遺憾なく落ちついてきはしないかと、さように存じておるのであります。
  57. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 次にこのカンショのいろいろな製品につきまして、アルコール原料、その他の原料になります澱粉、なま切りぼし等の昨年の持ち越し手持量というものはどのくらいあるのでありますか。
  58. 清井正

    説明員(清井正君) ただいま御質問の手持ちとおっしゃると私の方で、政府手持ちの御質問でございましょうか。
  59. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 そうです。
  60. 清井正

    説明員(清井正君) 私の方では御承知通り現在の法律に基いて買い上げをいたすわけでありますが、二十七年に買い上げをいたしたきりでその後買い上げをいたしてないのであります。そこでただいまその後買い上げましたものをそれぞれ売却をいたしておりまして、年々その数量が減っておりますが、本年の九月十日現在で政府手持数量はカンショ澱粉が二百十万三千貫でございます。それからバレイショ澱粉が八十七万九千貫ということになっております。両方合計で二百九十八万貫程度になっておりますわけでございます。これは政府手持ちのものでございます。
  61. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 次にこの価格の問題でございますが、昭和二十九年のカンショの処理につきましては関係当局の大へんな御配慮によりまして順調に進みましたことにつきましては敬意を表するものでございますが、さて今年のカンショの状況を見ますると、値段の点においてどうも不安な感じがありまして、農家のものも大へん心配しておるのでありますが、今年のなまカンショ並びになま切りぼしの価格決定の計数をお漏らし下さればけっこうだと思いますが……。
  62. 清井正

    説明員(清井正君) 申し上げるまでもなく農産物の価格安定法に基きまして、政府において一定の価格を指示をいたすことになりまして、その価格に基いて切りぼし並びに澱粉等を買い上げることにいたすのでございますが、その価格決定の方法につきましては、すでに法律並びに政令においてこれを規定をいたしておるわけでございますが、一応原料の基準価格を算定いたしまして、基準価格について、製品でありますればその要する加工の経費を参酌いたしまして決定をいたすことになるわけであります。そこで、しからば原料のイモ等の価格決定の方法はどういうふうになるかということでございますが、これは申し上げるまでもなく本年を基準といたしまして前三カ年のいわゆる出回り数量を基準といたしまして、それに基いて本年の予想されるカンショ及びバレイショの出回りがどの程度になるだろうかということの、いわゆる出回り数量の見通しを一応つけなければならぬのであります。その出回り数量の比率と、それからいわゆる価格決定の年と、前三カ年とのパリティの指数ということの比率によって価格決定いたすということになっておりますのは御承知通りでございます。すなわち前三カ年の平均のパリティ指数に比べて本年のパリティがどういうような工合になっているかということが一つの条件、それから前三カ年の平均の出回りの数量に比べて本年の見込みの出回り数量がどういうふうになるかということを見るのが一点、大体この二つの要素によって価格をきめるということに相なるわけでございます。私どもといたしましては、ただいまバレイショの方はある程度見当がついておりますけれども、カンショの方の見当はまだついていないのであります。ただいま御指摘のように相当増産であるという見通しは立っておりますけれども、大体の推定の収量を見なければならぬのでありますが、これがやはり十月の二十日ごろになりませぬと決定できないような次第でありますので、私どもといたしましてはちょっと価格決定の時期がまだ確定をいたしていないような状況でございますが、いずれにしろ十月末までにはきめなければならぬ問題でございます。とにもかくにも数量を考究に入れなければならないということが法律、政令で定められた一つの要素になっておりますので、昨年に比べまして本年が果してどういうような数字になって参りますかどうか、ちょっとここではっきり実は申し上げられる段階に至っていないことは恐縮でございますが、いずれにしろ価格決定の基礎は、パリティのその後の変動工合と出回り数量の変動の工合と両方の要素によって今年の政府の買い上げるカンショ澱粉、バレイショ澱粉等の価格がきまる、こういうことに御了解を願いたいと考えておるのであります。
  63. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 出回り数量が価格決定の重要要素の一つであるとすれば、まだきまらぬということでございますが、今お伺いいたしました方針によって価格決定するとすれば、競合品とか、輸入物資、代用品などによってカンショの切りぼしの値段が左右されるというようなことはないのでございますか、あるのでございますか。
  64. 清井正

    説明員(清井正君) これは法律によりますれば、その他の経済事情も参酌するということがありますのでございますから、絶対に参酌しないということも申し上げられませんし、また絶対に参酌するということもちょっと言いかねるのでありますが、要するに生産価格がありますが、生産費はただいま申し上げたような価格決定の方式、それに経済事情を参酌するということによってきまることになるのでありまして、いずれもその価格をきめるときにそのときの状況によって必要でありますれば参酌をいたすということになろうかと思うのでありますが、いずれにしろただいまのところは何ともその点について申し上げかねるような次第でございます。
  65. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 出回り数量の比率によってかなり大きく価格が左右されると、これはもちろん十月末では推定数量だと思うのでございますが、そこで実収量と差ができた場合には何らか修正するお考えでございますか、いかがでございますか。
  66. 清井正

    説明員(清井正君) 今までの経緯ではそれを変更したことはないのであります。と申しますのは、申すまでもなく非常に差があります場合には改訂することができるという規定があるのであります。従って改訂できないことはないのでありますけれども、実はこの法律が施行になりましたのが二十八年から施行になったのでありますが、施行になりまして以来まだ一度も買ってないのであります。先ほど申しましたのは二十七年、この法律の施行の前に政府が行政措置によって買ったものがあるのであります。本法施行以来まだカンショ、バレイショの澱粉等は一度も買っておりませんので、従ってそういうような必要性も実はなかったかと思うのであります。申すまでもなく政府の定められました価格に対しまして、市価が相当上回っておりましたので、結局政府に対する売り込みがなかったということになるような実態でありまして、今日まで経過をいたして参っておるのであります。そういうようないわゆる実績がないのでありますが、法律上の規定といたしましては、もしも価格決定いたした後に相当重要な変動がありますれば、その価格を改訂することができるという規定はあるのであります。いずれにしろこれはその後の実態に応じて処置しなければならぬものである、こういうふうに実は考えておるわけであります。
  67. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 その他の経済事情によっても価格が変更するということになりますると、競合物資の問題につきましてもお話を伺わなければならぬのでありますが、糖蜜あるいはマイロ、トウモロコシというようなものの本年の輸入予想量というものはわかりませんか。
  68. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) お答えいたします。糖蜜につきましては実はまだ下期の外貨予算が確定いたしておりませんけれども、御質問のイモとの関連といたしましては、酒用の糖蜜が問題になろうかと存じますが、現在までのところは酒用の糖蜜は輸入いたさない方針通産省と話し合いを進めております。それからトウモロコシとマイロでございますが、ことしの春以来、大体ことしの十一月頃までに——すでに入って参りましたものと、これから入るものとを合わせまして、トウモロコシで大体一万トン弱、それからマイロで四万トン前後というふうに、私のところで推定をいたしております。
  69. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 トウモロコシやマイロは、これは用途はおもに何でございます。
  70. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) トウモロコシもマイロも主としてえさ用ということで入って参っておりますけれども、トウモロコシ、マイロの輸入は別にえさ用ということに限定いたしておりませんので、トウモロコシが若干、 これはほんの一部分でございます、それからマイロは、輸入マイロのうちの相当部分が酒用に回っておるというふうに承知いたしております。
  71. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 で、この問題はきわめて重大なる問題でございまして、えさ用として入って来たものが用途転用されましてアルコールというようなことになると、もちろんただアルコールを生産するということだけで見ました場合におきましては、マイロやトウモロコシを使った方が安い場合が当然あると思います。しかしこれを国内経済という広い立場から見ました場合におきましては、やはり外貨を持ち出さなければならぬものだと思うのでございます。そうなって参りますると、これらの原料を使って生産するアルコールよりも、イモを使うのは原料高になりましても、イモは内地では値段が下って困るほどあるわけでございますので、これを使ってやりますれば、たとえ原料が高くなりましても、外貨が外へ出ていかないという意味から申しましても、また日本のカンショ以外にはどうしても作付転換のできないという、きわめて後進性の農業経営を営んでおる地帯の農家を救済するという意味におきましても、これらの競合物資の転用ということにつきまして、何か政府の方で押える手がないものでございますか。今までどういう手を打っておりますか。
  72. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) マイロとトウモロコシをえさ用として輸入いたしたものを、酒用に転用するという趣旨お話でございますけれども、実はトウモロコシ、マイロの輸入でございまして、えさ用トウモロコシ、あるいはえさ用マイロの輸入というふうにはなっておりません。ですからトウモロコシとマイロの輸入ということでございまして、えさとしての輸入でございませんので、実はえさとして輸入したものを酒用に転用いたしたという、そういう問題ではないわけでございます。ただ御指摘のように、イモの価格に関連をいたしまして、トウモロコシ、あるいはマイロの輸入についていろいろ問題がございますけれども、これは御承知通り、なかなか微妙な問題がございますので、私どものところで現在慎重に検討をいたしております。
  73. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 えさ用として入っておらぬということでありますれば、なおさら私は問題が大きいと思うのでございます。そちらの方へ転用される機会が非常に大きくなって、従いまして輸入する原料というものによってイモの価格というものも諸種の経済事情という条件に入りまして、やはり圧力を加えられるということになると思うのでございます。まあアルコール生産の方から見ますると、これは全然入れてもらっては因るというようなことにもこれはできないと思うのでございますけれども、内地のカンショの値段を圧迫してまでも、無理にこのものをアルコールの方へ使うというようなことは、なるべく一つ押えていただきまして、えさ用として入れないものであっても、マイロやトウモロコシは、これは大がいまあえさとして加工して出しますけれども、それよりも効率が多いのかもしらんのでございます。これはどうしても諸種の経済事情というものが価格算定の一項目に入るとしたならば、こういうものの輸入というものにつきましても、慎重にお考えを願うと同時に、輸入したものの用途につきましても十分の注意を払っていただかなければならぬと思うのでございます。なお、話に聞きますると、余剰農産物の輸入の中に昨年はなかったのでございますが、本年、これはまあごく最近の話ですから、決定したことか、せぬことかもわかりませんのですが、トウモロコシとか、マイロが入るというようなことでございまするが、そうなってきますると、なおさらこれはイモの価格決定というものに大きな影響が及ぶのでございます。もし決定をしておらぬというようなことでありますれば、余剰農産物にこのマイロとか、トウモロコシとかいうような、イモの価格に影響を及ぼすようなものを入れないように一つ努力を願いたいと思うのでございますが、その消息はいかがでございますか。
  74. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) ただいまトウモロコシ、あるいはマイロの輸入の問題で御質問でございますが、御承知通りこの輸入をどうするかということは、なかなか困難な問題がございますので、しばらく一つ検討をさしていただきたいと存じます。  それから余剰農産物にマイロが入り、あるいはまあトウモロコシは入っているようでございますが、マイロが入っているかどうかということにつきましては、十分な公電が参っていないようでございますので、まだはっきりいたしておらないというふうに承知いたしております。
  75. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 関連しまして……。ただいまの二橋委員からの御質問に対しましてのお答えが、このトウモロコシ、マイロというものの輸入が、単にトウモロコシ、マイロの輸入である。こういうふうになっておって、目的が別に示されておらぬということでありますが、少くとも外国から物を輸入する場合に、漫然と輸入するはずない。何らかの目標を掲げて、これは酒造用にするとか、あるいは飼料にするとか、あるいはその他の加工用にするとかという目的を掲げて私は輸入されているはずだと思うのですが、それがこの二つの品物に限って目的は何にもなしに外貨割当をし、また輸入をされているものであるかどうか、この点を一つお伺いします。  それからもう一点、畜産局長にお尋ねいたしますが、現在日本の家畜飼料といたしましていろんなものが、国内産もありましょうし、トウモロコシ、マイロも利用されていると思いますが、現在飼料といたしまして、これらのトウモロコシ、あるいはマイロの、輸入されているものがどの程度飼料として国内で消費されておりますか、その点をお伺いいたします。
  76. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 第一の質問に対してお答え申し上げますが、実はトウモロコシ、マイロは自動承認制の品目として掲げてあるわけであります。ですから、そのものを、マイロとトウモロコシにつきましては、政府が特別に外貨割当をいたしませんでも、必要なものは輸入できるという、そういう外貨のシステムとしてはなっておりますので、用途の指定はないわけでございます。ただ物によりまして、南京豆でございますか、これは油、油脂用の南京豆だけが自動承認制の物資になって、用途が指定されているという例がございますけれども、自動承認制に掲げられている物資といたしましては、大部分が用途の指定はございません。
  77. 原田傳

    説明員(原田傳君) トウモロコシ及びマイロが、えさ用としてどの程度使われているかというお尋ねでございますが……。
  78. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 輸入の分です。
  79. 原田傳

    説明員(原田傳君) 大体トウモロコシと、コウリャンを合せまして、昭和二十八年度におきましては、輸入計画として八万トンくらいを考えておった次第でございます。また同様二十九年度におきまして、二十三万六千トン程度を見込んでおった状態でございます。三十年度におきましては、家畜の頭数も増加して参りました関係上、政府の立てておりまするえさの需給計画といたしましては、二十六万トンの輸入を見込んでいるという状態でございます。これに対しましてえさ用として実際入りました数量は、二十八年度におきまして、トウモロコシは十九万三千トンばかり、それからコウリャンが千九百トンばかり入っております。二十九年度におきましては、トウモロコシのえさ用が二十四万七千トン入っております。コウリャンの方は二万一千八百トンばかり入っている、こういう状況になっております。
  80. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 それでは、ただいまのは輸入計画であり、輸入してあるのでありますが、それだけのものが飼料として使用されているのでありますか。
  81. 原田傳

    説明員(原田傳君) 輸入のコウリャン、トウモロコシにつきましては家畜の飼料の経済性という観点から、元来トウモロコシにつきましては一〇%、コウリャンにつきましては五%の関税がかかる建前になっておりますところ、えさ用に限りましてこれが免税になっておる次第でございまして、具体的には保税倉庫におきまして一定の方法による配合飼料になりまして、その結果免税になって配合飼料になりましたものは飼料として使われると、こういう関係になっておる次第でございます。
  82. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今の点ちょっとわかりかねますが、免税になって入ってくるものが、今お話になりました二十八、二十九、三十年度の数字となってそれらのものが保税倉庫で全部配合飼料に用いられたということになれば、これは全部それだけのものが飼料に回ったということになるわけでありますが、さように承知してよろしゅうございますか。
  83. 原田傳

    説明員(原田傳君) お話のようにそういう方法によりまして全部飼料として消費されておるというふうに考えております。
  84. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 余剰農産物の輸入品目の中に、マイロがまだ決定しておらぬということでございますが、これは一つぜひマイロを除外いたしますように、農林当局の方にお願いをいたしたいと思います。価格決定につきまして昨年より安くなるか高くなるかというようなこともまだわかりませんですか。大体の政府の方の予想というものはまだはっきりしたことはまだわかりませんでしょうけれども、昨年とどうなるかというぐらいのところがわかりますればお聞かせ願えればけっこうだと思います。
  85. 清井正

    説明員(清井正君) 先ほど申し上げました通り価格決定についての要素は先ほど申し上げました二つの要素によってきめる価格と、それから生産費それから経済事情と三つの事情を勘案してきめることになるわけであります。そこで第一の算式の場合、すなわちパリティの変遷と、それから供給数量の状況によってきめるという場合の価格は、これは申すまでもなく供給数量が多くなりますればそれだけ価格が低くなるということは当然算式上は当りまえのことになるわけであります。ただ問題はその場合の算式で出て参りました金額、生産費、経済事情等を勘案してきめるということになっているので、果してどういうふうな事態になりまするか。要するに数量を勘案いたします場合には、予想生産数量と見込みをはっきり立てませぬと、価格決定の資料になり得ないのでございます。ただいままだ作況がわかっている程度でございまして、まだ数量の見通しはついておりませんので、もう少し数量の見通しが確実になりまして、数学的に把握ができる段階になりましたときに算式による計数を出しまして、しかる後にそのときの状況によって価格決定いたさなければならない、こういうふうに考えておりますので、いずれにいたしましても十月の中旬以降になりませぬとちょっと決定いたしかねるのではないかというふうに実は考えておるような次第でございます。
  86. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 先ほどからいろいろ三橋委員からお尋ねがありましたので私の質問しようとする分も含まれておったのでありますが、大体九州方面における本年のカンショの作柄は非常にいいと見られております。従いまして価格について相当危惧をしておるわけでありますが、おそらくこの天候の状態でありますというと、今後障害があることはほとんどないと考えられますので、相当の豊作を予想せられておるわけであります。従いまして、価格の点については農家としては非常に心配をしておる。従来も、戦時中及び戦後の食糧事情からいたしましてカンショの増産ということには政府方針といたしましても、また農家の経済事情からいきましても、どんどん拡張して作付反別を増加いたしまして全国的に増産をされる形になっておりますが、これがアルコール原料として用いられる分も相当大きな面を持っておる。ところで先ほどからいろいろ質問がありましたように、これに競合するところの物資が輸入されてきて、われわれは大体トウモロコシ、あるいはマイロというものは飼料というような目標のもとに多く輸入されておるもの、こう常識的に考えております。しかし自動的に輸入されるという点から別段に限定をしていないということでございますので、ここを強くつくわけには参りませんが、大体畜産局長お話によりますと、輸入されるものの大部分が飼料ということになるとすれば、これは飼料として輸入されるのが本筋であろうと考えます。しかるにこれが実際においては相当飼料以外の面に流れておるということでございます。そうしますというと、これがアルコール原料に用いるカンショに影響することは当然でありまして、先ほどもお話のございましたように、国内において生産される原料をおいて、多少価格が安いからといって外貨を使ってまで輸入しなければならぬというのはわれわれは疑問を持つわけであります。少くとも食糧事情日本の状態から考えますというと、国内生産というものを増加するということはこれはどうしてもやらなければならぬ。それがためには国内生産を押えるような輸入はなるべく避けるべきであるというふうに考えるのが私は常識であろうと思います。従いましてこのマイロの輸入であるとか、あるいはトウモロコシの輸入であるとかというものが本来の目的視されておる飼料以外に使われるということになりますと、政府としてこの点については一つ十分考慮をしていただきたい。今後国内産業の育成ということに一そうの力を入れていただきたいと思いますが、農林当局はそういう点をどういうふうにお考えになっておられますか、伺いたい。
  87. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 先ほども申し上げましたように、トウモロコシとマイロとが自動承認制になっておりますことについていろいろ問題が発展いたすわけでございますが、自動承認制になっております物資をとめるということになりますと、これはまたいろいろ、たとえば投機と申し上げますか、見越し輸入と申しますか、そういうものを誘発することも考えられますので、今御発言の御趣旨もありましたので、一つ慎重に検討をさしていただきたいと思います。
  88. 東隆

    ○東隆君 私は先ほどのマイロのことに関連してお伺いをいたしたいのは、この前この委員会で実はマイロの問題が出たのですが、そのときに農林大臣は飼料用として輸入をしておるものが横流れをしておるのを知っておるかと、こういう質問に対して、マニトバ小麦、こういうお話です。それでそれに対して、そうじやなくて、マイロだ、こういうふうになって、話が製造業者に港から直ちに流れていく、こういうことを明らかに話をせられたと思います。そういうようなことがないように、今後は大いに努める、こういうお話をされておったと私は承知をしておるのであります。従ってマイロそのものは飼料としておそらく入れることを前提においてワクができておるのじゃないか、こう思うのですが、そうじゃないのですか。
  89. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 先ほども畜産局長からお話がありましたように、昨年まではマイロは大部分は実はえさとして使われておりました。それでマイロがえさ以外に使われ出しましたのは、おそらく今年の春から、酒造業者の方からいいますれば、去年のイモがなかなか高かったということから、マイロを酒用に使うというような気になったというふうに想像されますけれども、去年まではそういう事実はほとんどなかったように承知しております。ただ先ほどから申し上げておりますように、自動承認制の品目といたしましては、別にえさ用というふうには限定いたしておりません。
  90. 東隆

    ○東隆君 当時私どもの聞いておったところでは、鶏のえさとしてマイロが入るのだけれども、マイロはどうも鶏のえさにならないので、それで輸入業者が酒造業者の方に回した、こういうふうに私は聞いておったわけであります。  それから先ほど例の関税の関係がございますけれども、その辺のことは酒造原料として回ったものについては、関税の除外ですか、そういうものが行われておったのかどうか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
  91. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 私その間の事情はよく承知いたしておりませんが、保税倉庫に入れて、えさとして使う場合にはたしかいろいろなものとまぜて、とてもマイロだけを取り出して、あとから酒用に使うということにはいかないようになっておると承知しております。従って輸入いたしました場合に、関税を五%払って、えさ用以外に向けておるということをやっておるのだろうと思います。
  92. 東隆

    ○東隆君 今後マイロが入ると私は考えるのでありますが、それは今度は飼料用に限ると、こういうふうに限定されますか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
  93. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 先ほどから申し上げておりますように、自動承認制に手を加えるということになりますと、予想外の波紋をえがいて、かえって私たちが考えておりますのと逆な方向にもいきかねませんので、その辺のかね合いは一つ慎重に考えておる次第でございます。
  94. 東隆

    ○東隆君 私は本年のようなカンショの増産の情勢、それから米も非常にたくさんとれておる、こういうような場合に、少くとも農業の立場から考えたときに、含水炭素を外国から輸入すること、そのことが私は大きな間違いだと思う。私はやはりこの際できるだけ国内でもってできる含水炭素を有効適切に使うことを考えなければならないと思う。これは私は食糧政策の根本だろうと思います。そういうような意味で、飼料に限り輸入をするという限定ができなければ、私はこの際やめてしまった方がいい、マイロを中から除外をしてしまう、こういうことを御決定になる方がいいのじゃないか、こういうことを考えるのですが、これは今お答えができないと思いますから、十分にお考えを願いたいと、こう思うわけであります。
  95. 千田正

    千田正君 関連して。去年はイモ類が不作だからというので、その収穫が大体見当がついてから輸入されておったのだろうと思います。ことしはまだイモ類が不作かどうかわからぬといううちに、すでにそういうものを入れる計画を立てられたという理由はどこにあるのですか。
  96. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 輸入をする計画を立てるということは、おそらく外貨の方面からいいますと、外貨を割り当てるということになると思いますけれども、主食でございますとか、大豆でございますとか、砂糖でございますとか、そういうものと違って、そういうものは外貨を上期と下期と二回に分けて割り当てるわけですけれども、コウリャンあるいはトウモロコシは、えさとして、おそらくは当初はできるだけ安いえさを豊富に入れたいということで出発したと思いますけれども外貨割当の品目ではございません。従って国内の産品の相場と海外の市況と合せて必要なときに外貨申請して輸入する、こういうシステムになっておりますので、政府がこれだけのものを輸入する、そういう計画をして輸入するというようなシステムになっておりません。
  97. 千田正

    千田正君 それはあなたの御説明通りのことでありましょうが、昨年の場合はイモ類が不作だったから飼料として入れたのでしょう。今年はそういうことを決定しないうちに入れたというのはどういうわけかということを聞いておるのです。もう入っておるのでしょう。
  98. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 入れたというのは、先ほどから申し上げておりますように糖蜜、これは割当品目になっておりますから、今年になりましてから実は大蔵省の方面から糖蜜の輸入を非常にやかましく要望されて来たわけですけれども農林省としては困りますということでお断わりしたわけです。従って糖蜜については、外貨割当をいたしますのはもとより通産省でございますけれども、糖蜜については農林省からも強く発言をいたしまして、外貨をつけておりません。従ってこれは政府として輸入をいたさなかったわけです。しかしトウモロコシ、マイロにつきましては政府として輸入をいたすとかいたさないとかといいますことは、おそらく御質問の意味は、自動承認制を継続することはおかしいじゃないか、こういうことであろうかと思いますけれども、 (「現実に入っておるのでしょう」と呼ぶ者あり)前にトウモロコシでございますか、自動承認制を一時とめて、自動承認制をとめるということは技術的にきょうすぐとめるというわけにはいかないのです、一週間とか十日とか時間をおいてとめる必要がございますので、うっかりとめるということをいいますと、非常にスペキュレーションの対象になります。マイロでいいますと、ただいま酒用に四万トン入っておるわけでございますけれども、四万トン入ってもなかなか大へんな問題を起しておるわけでございますし、それが五万トン、十万トンとわずかの期間に入るという可能性考えられるわけです。従って自動承認制というものは絶対にとめられないというものではもとよりございませんけれども、とめる場合、とめ方あるいはとめる時期、その他これはなかなかむずかしい問題があるわけでございまして、従って私は先ほどこれはなかなか微妙な問題でございますから、検討させていただきますというふうに申し上げておるのです。
  99. 千田正

    千田正君 どうも私はふに落ちないのは、この食糧に対する問題は非常に日本生産経済なり、消費経済なりに重大な影響を及ぼすことであるために、あなた方は特別な予算措置をとっておる。それほど日本のいわゆる財政措置なり、経済措置なりというものにおいて重点的に考えられておるのを、今ごろになってあやふやな答弁になるということは、われわれはあなた方の方で十分な調査ということを常にやっておらないのじゃないかと思う。こういうことはあなた方は十分責任を感じてもらわなければいかぬじゃないかと思う。昨年はイモ類が不作だからやむを得ずそれを補充するために入れた、今年は相当の収穫があるのだし、こんな問題のあるものを入れてどうするのだ、早く言えば鶏のえさにもならない、結局横流れになっていくのはどこにいくのか、アルコールだ、いやお菓子の原料になる、そういうふうな計画を立てる前に十分なる調査をして、かりにこういう問題が将来必ず生産者との間に問題が起るのだということを十分に調査をしてその自動承認制をある程度どこにとめるか、そのとめどきがわからないということは僕はどうかと思う。何のために調査したのですか、いつどういうチャンスでとめる、これは生産計画に及ぼさないかということはすでにあなた方は調査しているでしょう、現実には入っておる、こういう問題が起きて来た大臣もろくに答弁しない、責任の衝にあるあなた方も言を左右にしてやむを得ないようなことを言っておったのではそれは困るんじゃないでしょうか、それではどうするのですか、今後の処置としては、どうしようというのですか。
  100. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 前々から申し上げておりますように慎重に検討させていただきます。
  101. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私はなるべく重複しないで質問したいと思います。時間も、だいぶ経過しているようですから簡明にお答えを願います。その第一点、これは、私は飼料審議会の委員をしておりますので、たしかその審議会のときに拝見をした資料の中にはマイロは飼料として入ってなかったと記憶しておりますが、これは正しいかどうか。畜産局長に……。
  102. 原田傳

    説明員(原田傳君) ただいまの点でございますが、飼料需給安定法によりまして飼料の需給計画を立てこれに基いて必要に応じて政府が買い入れをいたします。そういう意味におきます輸入飼料というものの中にはマイロは入っておりません。
  103. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 入ってないということであれば、これは経済課長に今度はお尋ねをいたします。先ほどのお答えでは輸入されておるマイロが飼料として入る場合にはもちろん免税、しかしそれ以外の用途で入る場合には五%の関税がかかるというなら、あの無税で入ったマイロの数量と、有税で入ったマイロの数量が一体どのくらいあるのか、さっきのお答えの口裏からすればおわかりになっておると思う、その数量はどれだけですか、無税と有税の。
  104. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 最初にお答え申し上げましたように、今年の三、四月からと申し上げますか、今年度からすでに今まで入りましたもの及び十一月一はいくらいに到着するものを合せましてマイロでは六万トン内外というふうに考えております。そのうちえさに二万トン前後、酒用に四万トン前後回っておるというふうに承知しております。
  105. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、今の合計して六万トンのうち私ははっきり知りたいのは今日まですでに入ったものの内訳を知りたい、無税が幾らで有税が幾ら。
  106. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) えさ用にいっておりますのは、えさ用として入れたものは保税倉庫に入るわけですから、保税倉庫から外へ流れるというふうには私たち考えておりませんので、二万トンと四万トンというふうに分けますれば二万トン分が無税で、四万トン分が五%の有税、こういうふうに御了承いただいてよろしかろうと思います。
  107. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 その保税倉庫へ入った後の、つまり処理というものを、私は実は、マイロを現場で知らないのですが、保税倉庫へ入って出るまでの操作というものはどういうふうになっているんですか。
  108. 原田傳

    説明員(原田傳君) 保税倉庫に入りましてからえさ用として出て参りまする間の手続につきましては、大蔵省の税関長あてに通牒が出ておりまして、相当詳細に手続、取扱いを定められておるのでございます。で、免税になるかならないかの境い目といたしましては相当厳重な条件がつけられでおりまして、結局配合飼料としてでき上ったものが他に流用されるようなおそれのない状態にならなければ、免税の扱いは受けられないというように厳重な制限を受けておる次第でございまして、これらの点につきまして実際の運用上どういうふうになっておるかという問題につきましてはこまかいことは私どもにわかっておりませんが、念のため大蔵省の関税当局にも連絡をいたしましたところ、こういう問題につきましても厳重な取扱いをいたしておって、他に流れる等の心配はない、また今後についても厳重にその方針を守っていく、こういうふうに聞いておる次第でございます。
  109. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 どうもそれだけでは言葉の上で信用する以外に方法がないので、私は納得できませんけれども、それ以上詳細におわかりにならないようですからこれは後日に譲ります。よく調べて……。というのは、私どもがここでこういうことをしつこく追及するのは、飼料用として正規に入って参りますマニトバ小麦とか、あるいは大豆がいかに家畜のえさに用いられないで、よその方へ流れておる数量が多いかということは、農林当局の皆さんも十二分に御承知のことなんです、ですから私は少くともマイロに関してはえさとして入ったものがよそへ流れることは万あるまいと思いますけれども、しかしやはり業界では昨年のカンンョが不作だということに乗じて今年初めて酒用に使ったということをさっき経済局長がおっしゃっておられますが、私は必ずしもそうではなかったと思う。若干の経験があったので直ちにああいった商業的な頭脳で機敏な措置に出られたのではないかと思うのでありますが、まあマイロが少くともえさ用として無税で入っている限り、私はこれが横に流れることは常識でも考えられませんが、しかし、といって必ずしもそれを手放しで信用できるわけにもいかないと思われるふしがある、だから私はあえて聞いている。  その次に、これは質問というより要望でありますが、昨年マイロを入れたという理由は、これは昨年はカンショが非常に不作であったということに根拠しているわけです。ところが本年は幸いかカンショは大体先ほどの作況から判断をいたしましても平年作を上回るであろう、豊作さえ予想されているというのがただいまの作況なんです。こういうふうに昨年とは事情が全くカンショに関する限りは変ってきたわけです。従って私は昨年酒用にマイロを入れたという大きな理由の一つはもう消滅したと考えて差しつかえないと思う。よって農林当局とされてはさっき他の委員からもお話がありましたが、マイロとトウモロコシに関する自動承認制をやめろ、こういう主張がありましたが、私もこれは非常に方法、あるいはその時期については微妙な関係があることは十分承知しております。おりますけれども、これは少くとも農林当局とされてはさっきのお話によって製油用の落花生に関しては自動承認制をはずしておる。こういった特別の措置もあることでありますから、逆に特にマイロに関しては私は自動承認制をなるべくすみやかな機会にはずすようにこれは農林当局としては万全の努力をされることを強く要望いたします。  それから最後に今年のカンショの作柄から考えまして、イモの切りぼし並びにカンショ澱粉等の買い入れに関しては昭和二十七年以後買い入れをしておらないというさっきの清井長官のお話でありましたが、おそらく今年はまことにどう見てもわれわれの過去の経験から考えて買い入れざるを得ない年であろうと思う。従ってこれが昭和三十年度のこれに対する予算措置は私は詳しく承知しておりませんが、どの程度の金で特にカンショの切りぼし、あるいはカンショ澱粉等については大体どういうお考えを持っておいでになるか、これは抽象でなしに具体的に長官からお伺いしたい。
  110. 清井正

    説明員(清井正君) 最後の点についての御質問でございますが、本三十年度の特別会計に計上いたしております数量はカンショ澱粉で四百八十八万貫、単価は十貫当り千九百九十円、それからバレイショ澱粉は二百十一万貫、単価は二千八十三円、それからカンショのなま切りぼしが二百万貫、単価が千七十六円ということで予算に計上いたしておるのであります。この数量は実はただいま申し上げました通り農産物価格安定法が施行されて以来一度も買っておりませんので、どの程度の数量を買うように予定しているか、ちょっと検討がつかない状態もありましたが、大体今申しました数量はいずれも二十九会計年度に計上した数字とほとんど同じ数字を計上しておる。つまり価格においても同様、数量においても同様、数量、価格とも二十九会計年度と同様の数字を計上いたしました。ということは、これはあくまでも予想の数量、価格でございまして、具体的には十月末までにこれらのものについての実際の買い入れ価格決定いたすことになるわけであります。従いまして、かりに本年度におきまして買い入れを実施いたすようなことになりますれば、そこでまた私ども予算予定いたしております数量でまかなえるかどうかという問題はそのときまた別途の問題になってくるわけでありまして、かりに予算が足らないということになりますれば食糧管理特別会計全体の予算の中の流用等もできればそれによってやりたい、あるいはその他予算措置が必要になってきますか、それはそのときの事情によって変りますので、いずれともはっきり申し上げかねるのでありますが、少くともただいまのところでは昨年と同様の数量、単価をもって予算を編成しておる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  111. 東隆

    ○東隆君 私はこの機会に毎年の問題でありますけれども、十月末ですと、ジャガイモ澱粉の価格の指示は、もうすでにジャガイモは掘り取られてしまって、そうして工場から澱粉になってしまうわけであります。そういうような事態になってきてジャガイモを生産している農家と、それから工場を持っている者との間におけるジャガイモの価格、これが非常に不安定なものですから因っているのです。これはもう毎年繰り返すことでありますが、法律は十月末以前であると思いますが、少くともカンショ澱粉の価格指示をするよりも一カ月あるいは一カ月半くらい前にきめていただかなければこの法律の目的は達成されないと思う。それからジャガイモの澱粉とカンショ澱粉の間には価格で約百円くらいの相違があると思いますが、そういう関係一つきめればおのずからきまっていく、こういうようなことも考えられますので、すみやかにジャガイモの澱粉の価格の指示を一つしていただきたい、こう思うわけであります。理由はまだたくさんありますけれども、十分おわかりであろうと思いますから価格の指示をしていただきたいことと、いつ指示されるのか、それからどういうような範囲でもっておきめになるのか、そういうような点についてお話願いたいと思います。
  112. 清井正

    説明員(清井正君) 北海道を主といたしましてのバレイショの澱粉の価格を早くきめるようにという趣旨お話でございますが、お話の御趣旨はよくわかるのであります。従って私どもといたしましてはできるだけ早くこれはきめなければならないと考えておりますが、現在の法律、あるいは政令は、先ほど申し上げました通り、カンショ、バレイショ両澱粉とも十月末までにきめるということになっておりますのは、これは一つは申すまでもなく、カンショ澱粉、バレイショ澱粉の価格を別々にきめることがちょっと問題があることが一つと、それからカンショの作柄といいますか予想収量が十月の二十四、五日でないとわからないという実態があるのであります。そういうような事務的な関係からいたしまして、カンショ澱粉、バレイショ澱粉の価格はそれぞれ相互の関係等もございますので両者の価格を切り離してきめるということはできないということと、ただいまのようなことで十月末までにきめるということであります。しかしバレイショの方が先に出て参りましたので、バレイショについては先に指示せいというお話でありますので、できるだけその間において早くきめようじゃないか。たしか昨年は十月の二十五日かにきめたはずであります。本年もできるだけ早くきめるようにというお話も伺っているのでありますが、ただいま申し上げた通り果してカンショ澱粉とバレイショの澱粉を別々にきめていいかという問題、これをきめる場合に不確定要素も見なければならぬ場合もありますのでこれをどういうふうに考えるか。たとえば実例をとってみますと、バレイショ、カンショの農家の商品化率、あるいは一戸当りの販売量等いろいろ価格算定の基礎といたさなければならない資料等についてもまだ不分明な点があるのであります。しかしお話趣旨のように目下われわれ事務的には試算いたしておりますので、できるだけ早くこれはきめたいと思っております。いずれにいたしましてもカンショ澱粉と一緒にきめなければならない性質のものと思いますので、——これはバレイショ澱粉の方については若干問題があると思いますが、これはちょっとその価格体系の建前上これを切り離してやることはできないのじゃないか。従って両方の価格を早くきめなければならぬということはわれわれ事務的に努力するという考えでありまして、せっかく御趣旨の線に沿うようにただいま事務的に試算いたしている状況であります。
  113. 東隆

    ○東隆君 実は今のお話はよくわかるのでありますが、今の調子ですと十月の二十五日までよりか少し早くなりそうな気配はいたすのでありますが、どうも目的を達しない。私はジャガイモが非常に早くとれてそうしてもう土から出てしまって、そうして澱粉になってから価格決定されたのじゃこれは意味をなさない、全然意味をなしません。そこで私は申し上げるのですが、それよりも前に種イモの価格がだいぶ前に取引でもってきまっています。従って北海道のジャガイモの種バレイショを中心にして計算をしていただきたいと、こう思うのです。あれば非常にそっちの方に関係がある基本的な資料だと思います。それから麦類なんかを考えてみます場合に、どちらかと申しますと、もう四月ごろからとれる所もありますし、北海道のように麦類は八月終り、こんなような所もあるので、そういうような場合に政府は麦の価格を以前そんなにおそくはきめなかったはずであります。従って早く出る所のものを犠牲にする必要はないと思う。作物の価格の安定をはかるためにはスペキュレーション、投機の対象になるようなそういう不安定な期間をできるだけなくすることがこれが政治だろう、そういうような意味で私はジャガイモの澱粉の価格を指示されることによってあとのカンショ澱粉の方も私は安定をすることになると思う。そういう関係で指示をされるのならば早く指示をされたい。従ってカンショ澱粉、それからバレイショ澱粉の間にはおのずから価格の差があるのですが、それ一つによってほとんどきまっていくわけです。これをお考えにならんなれば私は片手落ちになると思う。私は北海道のジャガイモ澱粉が穀物市場に上場をされて、そうしていつも投機の対象にされ、今年なんか非常に投機の対象にされて大弱りをしておるのです。ところがその三倍の数の生産を持つところのカンショ澱粉、これは穀物市場に上場されておりません。そういうふうにして中心的なものをもし考えるならば、私はジャガイモ澱粉の方が商品としての点から言っても私は十分に政府がこれを中心にして価格の安定をはかるという理由はあると思う。穀物市場に上場されておらないようなものを中心にして考えるというよりも、私は穀物市場に上場されておるところのジャガイモ澱粉を中心にしておきめになって、そうしてそこから価格差でもってカンショ澱粉の価格がきまっていく、こういうようなことをやることがこれが今の商品市場におけるところの常識ではないか、その常識から考えても私はそれをやるべきじゃないか、こういうふうに考えるので、これはいろいろな何でもってカンショ澱粉ができるような情勢にならなければ価格の指示はむずかしいのだ、こういうのは私は非常に片手落ちだと、こう考えますので、澱粉で中心になるのはやはりジャガイモ澱粉の方が私は中心だろうと思う。そういうような意味で、それが先に出るのでありますから、それを決定をされて、そうしてカンショ澱粉と、こういうふうに向いますならば、そのときに補正をされることはこれは一向差しつかえないと思います。一応おきめ下さってそうしていかなければ決して安定をするものでないので、工場とそれから農家との間にいつも不安定な形で取引をされて、そうしてしわ寄せが結局農家にかかってくる、こういう形が出て参りますので、私はイモ類の生産の上からいってポテトの澱粉を一つ早く指示をされることを強く要望いたしておきます。これは田中さんも道内をずっとお回り下さって、そうして状況は御承知でございますから、一つあわせて田中さんからもお話を願いますれば、私は大へんけっこうと存ずるわけであります。
  114. 清井正

    説明員(清井正君) お話の点も十分わかるのでございまするけれども、これは毎年実は問題になっておりまして、やはりバレイショ澱粉の方の出回りが先でありますために、価格決定はバレイショ、カンショ両方の状況がわかってからきめるということになりますので、矛盾がありますのでございます。そのためにバレイショ澱粉の方の影響を考慮されてのお話でありますが、これは私がただいま申し上げたように、とにかく十月中旬以降になりませぬというと、価格決定のデータがそろって参りませんために、そこでどうしても、最大と申しますか、最長十月末までということで、その間におきましてもできるだけ早く資料を収集して価格決定するという方向に努力いたさなければならぬと思っております。ただいまお話のありました暫定価格をきめておいてあとで改訂するという面は先にバレイショ澱粉をきめておいてその格差でカンショ澱粉をきめるという問題、それは方法として考えられると思いますが、しかしこの問題につきましても一方また考えていかなければならぬ問題もあろうと思います。そういうようなことでありまして、私どもといたしましてはとにかく両方の澱粉価格を一緒にきめるということでないと両方にそろった要素を勘案しなければならない問題もむろんあるわけでありますから、そういうような観点からできるだけ早く資料を収集して、十月末といわずに整備のでき次第価格決定しまして、バレイショ澱粉に対する影響を少からしめるというように努力をしていきたいと考えておる次第でございます。お話の御趣旨はわかりましたけれども、私どもといたしましてはさよう考えておりますので御了承を願いたいと思います。
  115. 田中啓一

    田中啓一君 地元の人から言っていただく方がよろしいということで今東さんからお話があったわけでありますが、実は主要農産物の価格安定ということはおそらくそれは品目でありますとか、方法でありますとか、いろいろ論はあろうと思いますが、大体の方向としては私はもう国会はほとんど各党一致をしておるのであろうと思っております。でありますから、従来からやっておるものもできるだけこの際改善をしていきたいと、必要なればむろん法律の改正もやるという態度に出たいのでありますが、今のバレイショの問題はまあ今何分にもまぎわになって今年初めてではないのでありますが、言いだしたのは今でありまして、そこで今、食糧庁長官お話のようなことで、できるだけ早くやるということでいくよりほかに今年はやむを得ないかもしれんと思いますけれども、しかし今私が申しましたような広範囲な一つこの際体制を整えるという意味から申しましても来年までには根本的に解決をいたしたいと、来年間に合うように、その際に今のバレイショの問題といたしましてはやはり百姓が物を売る時期に安定しておらなければ何にもならぬのでありますから、それはカンショとの関係においてバレイショの方は見送られてしまうということでは実は目的を達成せぬことになるわけであります。でありますから、どの程度まあカンショとの関連をゆるめてやれるかと、おそらく何か限界が考えられるだろうと思うのです。でありますから、そういった点に主眼をおいて一つ十分御検討を願いたい。そしてできればもう一つのバレイショの価格決定になる大きなものは種バレイショなんですね。何もバレイショそのものは種バレイショも食糧用も澱粉もかわるわけはないのでありますから、むろんそれはいろいろ種ということになればその上の注意が必要でありますけれども、しかしバレイショに違いないのでありまして、これこそ価格の影響をしあうことは間違いないところであります。それはどうしても八月の下旬には種を使う方と相談をし、価格考えて配給計画を立てなければならぬというものなんです。そのときに澱粉の方が幾らになるだろうということはみんな関心を持つわけでありまして、それがきまらぬと押し問答でさっぱりきまらぬということでありますから、これらの点も一つ考えていただいて、そうして、バレイショの価格というものを可能な限りカンショと切り離して早くつける、こういう点に主眼をおいて御検討願いたいと思うのであります。  それからなお今私申しました農産物価格の安定という意味で、穀物としては大豆をもう一つぜひ加えていただきたい。これはまあ今年アズキの商品取引所における上場物資としての問題として、非常に私は問題がある、こう思うのでありますが、大豆というものは、むろん、まだまだ自給には達しておりませんので、大豆の輸入というものを外貨割当を操作することによって、かなり買い上げてもいいんじゃなかろうかということがこれまでの考え方でありますけれども、百姓の方は外貨をどう政府が操作するかちっともわからない。おそらく百姓だけじゃない。多くの人もわからぬと思う。そこで、やはり、百姓としては適当な価格でまず最低線はここだと、こういうことをどうしても一ぺん天下に明らかにしておいてもらいたい、こういう要望はきわめて熱烈であり、かつまた大豆の増産自給態勢をとっていく上にもそれがぜひ必要である。そこが不安であってはやはりやっていかれませんと、こういう熱烈の要望でありますので、豆類は大事でありますけれども、まず大豆を入れるべきじゃないかと、こう穀物としては思われるわけであります。  それからもう一つ問題になりますのは、牛乳の安定でありまして、いろいろ去年の秋からやっておるのでありまして、これはやはりイモ類と同じように、なまものはやりようがないのでありますから、製品の可能なものを一つ可能な限りやってはどうか、こういうことでありまして、これも酪農の振興というのは、今全国的な問題になりまして、そうして、おそらくこれは酪農家の一致した要望であって、かつまた消費者から見ましても、乳の価格が安定するということが必要なことじゃないかと、こう思いますから、これも一つ十分の御考慮を願いたい。  それから、これは安定法そのものの話でございますが、農林省がこうやって価格の指示をやっておるということは、実は指示だけではないと思うのですね。安定法にやはり関係するのですが、やはり、安定でありますから下だけではない、上も安定しなきゃいけないと思うのです。ところが、今イモの澱粉や菜種の売り方にどうも私は方法が適切ではないのじゃなかろうかと、でありますから、相当価格が高くても政府としてはものをどんどん出して押えぎみにしたいのだけれども、会計規定に制約されてうまくいかないという点があるような気がしてならない。私実はあまり研究しておらないのですけれども、そういう気がいたしまして、業界からもそういう話であります。ことに大勢から申しますと、まああんまり澱粉が高くて、あめが高ければ、それは消費の方が砂糖に転化されてしまう。そうすると、今度安くするからどんどんあめを食ってくれ、使ってくれといったところで、砂糖の方を使った一つの慣習から、急に変ってはくれない。牛乳なんかでもそういう問題があって、だんだん今のように安くなれば清涼飲料としては夏は今年非常に飲んだわけなんです。あれは一種の清涼飲料の意味もあると思うのです。そういうむずかしい栄養理屈を言わないでね、ところがこれが高ければ、やっぱり安くて簡単にうまいサイダーや、この間のコカコーラみたいなものに転化する、こういうおそれもあるわけであります。でありますから、どうしても私はやっぱり相当の消費を開拓していく、需要というものを十分に保持していくという見地から、ただ下の指示をするだけではいけないので、上の方も、これはまあ、米のような絶対的に押えなければならぬというほどには思わんのでありますけれども、しかし持っているものがあれば、これは適切にこれでもって押えていくということは私はぜひ上手に、うまくやれるような制度に一つこの際、安定法の改正と合せて切りかえていただかなければいけない。それからさらに申し上げたいことは、実は牛乳の方の生産費が安くなるようにということで、自給飼料ということで一生懸命、この間も草地農業からえさの自給度の向上から大いに一日やったわけでありますが、どうも私はサツマイモにしましても、バレイショにしましても、どうも反当り収量の増加というものが篤農家の方々が言われるようにはどうも増加しないのじゃないか。もうちょっと力を尽すわけにはいかないか。つまり百姓の方は収入を減らさんでももっとよけい売れるように、あるいは五割増産して二割方値段が下って、二割方収益も上るというような両方ともうまくいくような、それがおそらく根本的な問題であろうと思うのですね。でありますから、幸いこの点は改良局長がお見えでありますから、この安定物資に対して、とかく世間の目は下の価格指示のところばかりに注がれておりますけれども、やはり反当りの増産というものをもっとやっていただいて、そうして消費を増していく。若干はやはり生産者の収入も増加していく、こういうような点にもっと力を入れる余地があるのじゃなかろうか、入れるべきじゃないか、こういうようなことを関連して考えますので、これら安定法そのものの、これまでのやつの内容の改善、それからもっと物資を取り入れる問題、それからさらに最高の安定の方の一つもっとやりやすいように力を入れる点、それからもっと根本的な反当り収量の増加の点、こういうような問題につきまして、それぞれ所管から、ちょうど四つの局から来ていらっしゃいますから、一つ意見をこの際伺っておきたいと思います。
  116. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 議事進行について。これは午後もやるのでしょう、午前中だけですか。
  117. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) もう大体これでおしまいという、あと一時間ばかりどうでしょうか。ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  118. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) 速記を始めて。
  119. 清井正

    説明員(清井正君) ただいま田中委員から農産物の広範にわたる価格安定の方策について御意見を伺ったのであります。きわめて重要な問題でありますので、農林省の農業政策という立場からこの問題をどういうふうに発展せしめるかにつきましては、今しばらく私ども研究をさしていただかなければならぬと思うのであります。ただ具体的な問題といたしまして大豆等のお話がございましたが、結局ただいま不足物資につきましては、主として輸入に依存する、その輸入数量を勘案するという形でもって国内の当該農産物の価格安定に資するという考え方をとっておりまして、もっぱら本法律は低くなるのを押えるというところに重点があるわけであります。従いまして、この価格の形成の方法も、そういった観点からいたしまして、ある一定価格よりも低くなりまして農家の経営状況に不安を起さないようにという建前からできておるのであります。従って、これをさらに上値の方を押えるという建前をこの法律でとり、さらにその裏打ちといたしまして増産なり、あるいは輸入なりということを考えるにいたしましても、よほどこの法律の建前を考えてやりませんと簡単には結論が出ない問題と考えます。ただいまちょっとお話がございましたが、実は農産物価格安定法につきましては、政府は少しも物を持っていないのでございまして、従って売ろうと思っても売れない状況にあるのであります。従って、そういう面からいたしましてもこれは低目のことを十分に考えてやるという法律だと理解しなければならないと、こう考えております。ただいま私どもといたしましては、当面の予算編成に当りましても、いろいろ農林政策全般につきまして検討いたしておりますので、ただいまの御意見等も十分参考にいたしまして、本問題につきまして慎重な検討を加えて参りたいと考える次第であります。
  120. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) カンショでございますとか、大豆といったようなものにつきまして、私ども、もっと生産を拡大し得る余地がございますし、また研究も進めばなお一そうそういうことが期待できまするので、格段の努力をいたしたいと思っております。特に今お話になりましたものは主として畑作の関係でありまして、畑作振興というようなことともかね合いまして、もちろんこれには土木関係の問題もございまするけれども、私どもでできまする点だけ二、三の例を申し上げますと、たとえばカンショにつきましては、原種圃についての助成がこれまでないのでございますが、優良種苗をすみやかに普及するということによりまして増産の可能性もございますので、原種圃の助成をいたしたいといったようなことも一つでございます。それからまた新しく考えておりまするのは畑作土壌の改良でございまして、大型のトラクターを入れまして北海道でやっておりますような土層の改良といったようなことを府県におきましても試験的にでも少し進めたらどうかと、かような考え方もいたしておるのであります。また大豆につきましては、最近培土というものが非常に増産の効果があることがわかって参りましたので、これは別段そう金のかかることではございませんので、ただ手間だけかかることでございまするが、そういうことについてももっと奨励をいたしたい。また品種につきましても、大豆は土壌の関係からいろいろ品種の選択がむずかしい点もございますが、優良品種を普及するということによりましても相当増産が可能ではないか、また生産費の低減というようなこともできやしないか、こういうことで、また北海道の豆類につきましては、国で育種をする施設がございませんので、できまするならば北海道庁に助成をいたしまして、豆類の育種のための指定試験をやりたいと、かようなことも考えております。  以上のようなことを総合いたしまして、畑作振興というようなことで来年少し事業を拡大するということも考えておる次第であります。
  121. 原田傳

    説明員(原田傳君) 牛乳の製品につきまして価格安定の施策を必要といたしますことは、御指摘の通りでございまして、昨年以来その線に沿いまして、あるいは融資によりまする大カン加糖練乳のたな上げでありますとか、あるいは学校給食用に脱脂粉乳の購入の補助をいたしますとか、いろいろ措置を講じて参ったのでございますが、もちろんこれで十分とは考えておりませんので、さらに基本的な方法としていかなる方法によって乳製品の価格安定ができるかというような問題につきまして目下鋭意研究を進めておる次第でございます。  次に飼料のうち、特に自給飼料の点でございますが、自給飼料のうち草資源の問題につきましては、先日の当委員会におきまして御審議をいただいたような状況になっておりますが、飼料作物の問題につきましても、現在あるいは原種圃の設置、あるいは採種圃の補助、あるいは自給飼料の形成施設の補助というような若干の措置を講じておるのでございますが、御指摘のように、一方におきまして非常に効率の高い篤農家があるかと思いますと、他方それにほとんどついていかれない農家もおるという現状でございますので、これに対しましてはなんとか普及性のあるような指導の指針を与えるような措置を講じたいというふうに考えまして、目下予算その他の点につきまして研究を進めておる次第でございます。
  122. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) 農作物の価格安定の問題に対しては、これはまあ非常に大きな問題でありますが、イモ類対策に対しましても適当な時期にさらに検討の必要があろうかと思いますが、本日はこの問題はこの程度にいたしたらと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  123. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) それでは次に杉たまばえの件を議題にいたします。当委員会におきましては、かねて杉たまばえの被害を憂慮し、過般の委員会におきましてこれを問題として、当局の善処を求め、また近く現地調査を行うこととなっておるのでありますが、本日重ねて問題として、その後における被害の状況及び当局においてとられた措置等について説明を求めることにいたします。
  124. 柴田榮

    説明員(柴田榮君) 九州の宮崎、鹿児島地区を中心といたしまして近年発生いたしておりまする杉たまばえの被害といたしましては、最近における被害の実情説明申し上げ、これに対しまする防除の方法等に関しまして、予算の問題等を通じまして大蔵省と御協議を続けて参っておる次第でございます。その際にも一応被害の実情を御報告申し上げましたが、さらに六月におきまする精細調査の結果といたしまして、現在主として発生いたしておりまするのは宮崎県と鹿児島県でございまするが、ごく一部近接いたしておりまする熊本県にも及ぼうといたしておる実情が明確に相なりました。現在まで判明いたしておりまする被害の概況を申し上げますると、民有林におきまして、ただいまの調査結果によりましては、六月末現在でございまするが、被害面積が約七万町歩、そのうち激害個所が二万九千八百四十四町歩に及んでおります。国有林につきましても多少発生を見ておりまするが、国有林におきましては、比較的本害虫の生態を調査しながら、この防除に関しましてやや手を尽しました関係上、多少蔓延を阻止いたしておりまするので、現在両県下におきまして七千百三十四町歩の被害面積を見ておりますが、総体して杉造林地につきまして調べてみますると、杉造林地の総面積が約十九万町歩に対しまして、合計七万七千町歩という非常に大きな量に被害が及んでおる次第でございます。先にも概要説明申し上げました通り、本害虫の発生は、二十六年度に一部発見いたしまして、しかも従来ほとんど大被害を生じたことがないために、生態が全くわかっていなかったということで、二十七年、二十八年に林業試験場の熊本市場と熊本営林局で共同調査をいたして参りました結果、ようやくその生態が明確になりましたのが二十八年度でございます。この結果によりますると、年一回の発生でございまして、発生開始の時期は杉の新芽の出ます際に、その新芽に産卵いたしまして、針葉の内部に穴をあけて卵を産みつけましたものが直ちに孵化いたしまして、葉の部分に大きな虫痩を生ずるわけでございます。そうして十月ごろ葉が枯死いたしまするまでその芽を食っている。従ってそこで生長は全部停止いたしてしまうわけでございます。そうして葉が枯れるころ、十月の中、下旬になりまして、成虫になりまして、脱出、地上、地下に落下する、そうして越冬をする、こういう生態でございます。そうしてこれに対応いたしまして、防除にいろいろな試験をいたしました結果、BHC粉剤の地表の散布によりまして、ちょうどこの落下いたしまする時期、十月未あるいは十一月初旬にこれを丁寧に散布いたしますると、非常に効果が現われてくる。今までの試験結果では九五%あるいはほとんど一〇〇%に及ぶ効果等も見えて参っております。さらに春季成虫が発生——そのサナギで越冬いたしまして成虫に相なりまするのが三月末から四月初旬にかけてでございますが、ちょうどこの際にもまた地表を通過いたしまする際に、BHC粉剤を地表に散布いたしますると、これも非常に成虫駆除には的確な効果があるということが判明いたしました。これを対象といたしまして、被害の一部分にとどまっております際に、徹底的に防除いたしまして、全国に波及することを防除いたしたいということで、いろいろ大蔵省とお話を進めておる次第でございます。御承知のように、杉林はわが国におきまする針葉樹の主体でございまして、ほとんど針葉樹材積の半分近いものは杉林で占めております。生長量あるいは材価等からいたしましても、最もすぐれた樹種、しかも全国的な重要樹種でございまするので、ぜひともこれは早い機会に被害を菱除いたしまして、林政上の悪影響を除去いたさなければならぬということで、大蔵省にお願いを進めておるわけでございます。これに関連いたしましては、森林病害虫等防除法に基きまして、病虫害の指定をいたさなければならぬのでございます。これに関しましても大蔵省と御協議をいたしておる次第でございまして、一応大蔵関係におきましては説明を完了いたしまして、資料も提供いたしまして、主計局関係と御相談をいただいておるという状況でございまするが、だんだん適期も迫って参っておりますので、さらに協議を進めまして、ぜひとも適期に最少限度有効な防除方法を講じたいということで、せっかく努力をいたしておるというのが現状でございます。
  125. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今お聞きいたしますと、結局一カ月前にお聞きした線からどうも出ていないのです。この委員会としては、先ほど委員長お話になったように、その後におけるいわゆるこの問題をめぐっての処理の進展結果というものを聞きたいというのが希望であられたことは委員長の言う通り。先般当委員会池田委員、湯山委員のお二人が、九州地方に他の用事で旅行された機会に、かねて問題の杉たまばえの被害状況を見てきた。大変だ、見てみれば聞きしにまさる全く大変な問題であるから、ぜひ取り上げなければならぬといって、この両君によって今回の委員会の話題に入れられたのは御承知通りでありますが、今日は不幸にして御両君とも御都合があって見えておられない。そこで私がお聞きしたいのですが、時間もありませんから簡略にお聞きするつもりでありますが、要は先ほど長官がお述べになられたところは前回の線から結局出ていないということなんです。いろいろと大蔵省方面との相談の中身は多少進展していても、いわゆる結果として現われるところについては、さっぱりまだわれわれにはわからないということなんですが、そこで私は今の実害については、繰り返されたお話ですから再び聞きませんが、大蔵省の方は出ておられるのですか。
  126. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) 見えております。
  127. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 主計局の方も……。
  128. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) 見えております。
  129. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 じゃ、お聞きしたいのです。この問題は、前回もあなたおいでになったか、あるいは他から聞いたと思うのです。また現にその行政の責任者である林野庁といろいろ御相談なさっておるから、よく御存じのことと思うのです。私ども思うのに、これは大きないわば伝染病なんです。そうして杉というものが日本の針葉樹の半分を占めている、しかも一面においては、治山治水の上からいって、造林をしろ、造林をしろといってやっておる、ところが現地の方では、この問題が出たために造林の意欲というものが減退をしているとさえ伝えられているのです。いずれ当委員会でも今月一班を組織して、有明湾方面の農薬による漁業の衰退というものとあわせてこの問題を取り上げて、実地にお調べになられますので、さらに実態が明らかになると思うのですけれども一体それを待っていていいのかどうかという問題なのです。今お聞きのように、十月の末から十一月にかけての期間、それから三月、これがいわゆるかれら杉たまばえの習性を明らかにした結果、明らかに薬殺できるチャンス、二度のチャンス、それが目の前に来ているわけなんです。私どもは法定伝染病、いわゆる厚生関係で言えば法定伝染病なのでありまして、これをその法定伝染病に入れる入れないという問題に私は疑義がないだろうと思うのです。その点はどうなのですか。
  130. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) お答え申し上げます。この問題につきましては森林病害虫等防除法に基きますところの害虫に指定するかどうか、つまり政令で指定するかどうかという問題がございます。それからそのほかに、政令で指定したとすると、あとどの程度の予算措置をするか、既定経費でまかなえるかどうか、あるいは既定経費でまかなえないとすれば予備費でどの程度支出するかという問題がございまして、今まで慎重にこれは検討いたしておる次第でございます。大体御承知通り杉たまばえの防除適期は十月末から十一月初めごろでございます。ちょうど冬季に入る直前にやるのが適期でございます。問題になりましてから少し時間がかかりましたが、近々中にこの問題についてはすみやかに結論を出しまして、早急に手を打ちたいと考えております。
  131. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今主計局の方からのお答えでありまして、私ども近々と言えば、常識的に考えておそらく旬日を出ない、少くとも普通近々と言えば一週間以内というのが常識だと思うのですが、今のお話の模様を伺いますと、ともかくこれはそうほっておけない、いわゆる指定害虫に入れていくというよりほかにあるまい、それについてはみずからもお話のように、従来の予算でやれるか、やれなければしょうがない、場合によったら補助金で出さなければならないといったようなところまで含めて、一挙にこれを結論を出そうというふうにとれまして、私どもこの病害の伝染をおそれる者からいうと、何といいますか、期待するところが非常に多いのですけれども、しかし私ども聞くところによるというと、従来の森林病害虫として指定されているものを駆除するだけの経費さえ非常に困難だと聞いているのです。でありますからそこのところを率直にお聞きしたいのですけれども、それから回せといって、そのためにほかの方のいわゆる伝染病がまたぞろしょうけつをきわめるというような形にもって行く誘因を作ってはこれもあぶはちとらずといいますか、二兎を追って一兎も得ずという形になるのでありまして、私どもそこのところを十分に考えないといけない、まして杉たまばえは発生以来松の害虫等と違いまして、日も浅い、比較的年限も浅いのであって、ある一つのいわゆるなわ張りを早く小さいところに押し込めることができるという時期だというので、この委員会としても実は大騒ぎをしておるわけです。そういう点少しあなたをつかまえて最終のいわゆる大臣の答えのようなことをお聞きするということはこれは必ずしも適当ではありませんが、担当されておるあなたとしては一体ほんとうに率直にどう思うか、このことはこの機会において議題になる前に理事会等で話し合いがあったのです。せっかくこの問題を取り上げて実地調査にこの委員会として行く班があるのだから、そのあとでもどうかしらんという人も一部ではあったのですが、結局それはそうやっておられぬじゃないか、行くにつけてもむしろこれはこういうふうに近く政府の方では措置するのだ、だからその措置はややおくれたけれども、その措置ができたら直ちにその線に沿って有効適切な……、対象をあらかじめ考えておけというくらいのことが言いたいものだ、その方がお互いの心配という、しょうけつを早く防ぐためにはぜひそのことを、この機会を通じてあらかじめ大体の考え方というものを聞いてむしろ行った方がいいのじゃないかといったような議論で、実地調査を前にこの委員会がこれを取り上げたといったような経過もあるのです。あなたの考えとして率直に、この中に行かれる人もあるのですから、御意見をお漏らし願いたいと思います。
  132. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) お答え申し上げます。ただいまの御質問に対しましてこの場で率直にどっちかとお答えすることが一番いいかと思うのでありますが、目下まだ二、三の点につきまして林野庁において御調査願っておるところもございまして、その点が明らかになりました上ではっきりと方針をきめたいと考えておりまして、当委員会で実地調査においでになるまでにはできるだけ方針をきめたいと……。(「あした行くのだ」と呼ぶ者あり)
  133. 千田正

    千田正君 大蔵省にいつでも僕はお願いするのですが、こういう問題が出るというと、なかなか慎重にかまえられて、そうして冬にかやが配給になったり、夏になってから毛布が配給になりたりするというような問題がしょっちゅう起る。これは厚生省関係予算や何かもその通りですが、今度の場合ばおくれればおくれるほど経済的な損失が非常に拡大する。ことに今度は税金の収入等に対して大蔵省としても相当減額する問題になってくるのです。早くきめなければならぬのです。今も長官からもお話があり、三浦委員からも要求された通り、一日も早くこの問題を解決してほしい。当委員会としてもただむだに行くのじゃありませんから、その点ははっきり一つ行っておる間にも朗報を聞くような措置をとってもらいたいと強く要望いたします。
  134. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 御趣旨の点十分に体しまして措置するようにいたしたいと思います。
  135. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) それではこの問題はあすから実地調査を当委員会としてお願いすることでもありますし、それから今のお話の大蔵省の方でも時期を逸しないように早急に解決を願うようなふうにお願いをいたしまして、本日はこの程度で終りたいと思いますが、御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 白波瀬米吉

    理事白波瀬米吉君) それではその他の問題は今後に譲ることにいたしまして、本日はこれにて散会することにいたしまして、なお次回の委員会は先般御決定通り、十月の六日、七日、八日の予定でありますから、御了承を願いたいと思います。  それではこれで散会いたします。    午後一時三十一分散会