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説明員(原田傳君) 中毒事件の経過につきましては、ただいま厚生省から御報告申し上げた
通りでございます。で、この事件が酪農
関係にどういう
影響があるか、またそれに対する対策はどうであったかという点につきまして、私から御説明を申し上げます。
まず第一に、中毒事件の種を作りました徳島工場の問題でございますが、ただいま御説明がありましたように、九月十五日から三カ月間営業停止の処分が行われたわけでございますが、そのままにいたしまして工場が閉鎖されるようなことになりますと、その工場に従来生乳を供給いたしておりました——これが約数量百二十石
程度でございますが、その牛乳の処理というものがきわめて困難になり、従いましてこれを生産しております酪農民に与えます
影響が甚大でありますので、これに対する
措置といたしまして、この営業停止期間中は、酪農民の全国的な団体でありまする全国酪農業
協同組合連合会がこの工場を使いまして、牛乳の処理加工を行うという
措置をとることにいたした次第でございまして、そのために必要な運転資金につきましても、すでに農林中金の了解を得ておりまして、実は昨十五日から、さようないき方によりまして、工場は一日も休むことなしに継続運転をいたしている、こういう
状態でございます。さような
措置によりまして、徳島工場に結びつきました酪農民は、一応従来と同様に牛乳の始末がついているという
状態になっているわけでございます。
次に全国的な問題といたしまして、あるいは乳製品の消費者に対する面、あるいは乳
業者に対する面、あるいは牛乳の生産者に対する面につきましても、あらかじめいろいろな
措置を講じておく必要があるというふうにも
考えたのでございまして、そのうちまず消費者の
関係といたしましては、ただいま厚生省から御報告がありましたように、約五十万個ばかりの残品を無事に回収済みでございます。次に、一般的にこの消費者が乳製品というものに対しまして非常に不安にかられておりますので、この点につきまして国なりあるいは都道府県の機関をわずらわしまして、乳製品の品質の検査を行なっていただきまして、その結果を公表するというような
措置を、これは厚生省にお願いしておるわけでございますが、さような
措置をとりまして、危険がないということをはっきりすることによりまして、消費者側の不安をできるだけ除去いたしたい、かような
措置をとっておるわけでございます。
次に、乳
業者の
関係でございますが、当の森永乳業にはもちろんのこと、一般に、かような事故が起きました際でございますので、乳製品の製造に当りまして、今後とも一そう細心の
注意を払うように勧告をいたしますと同時に、それぞれのメーカーにおきまして製品の検査を一そう厳重にいたしまして、今後再びかような事故が万が一にも発生するようなことのないようにという趣旨の通牒を出した次第でございます。
次にこれは厚生省からただいま御報告があった点でございますが、牛乳、乳製品の成分規格に関しまする省令の改正が行われたのでございまして、この点につきましても乳
業者に対する衛生上の監督が強化されるわけでございます。またこの事件が発生いたしましたために、森永につきましては、申し上げましたように、徳島工場におきまする乳幼児用の製品の製造はとまりましたわけでございまして、従いましてさような乳幼児用の製品が一時的には不足をいたすという現象も起きたわけでございまして、また反面さような
関係から、申し上げましたような方法によりまして、全酪連が徳島工場を運転します場合におきましても、製菓原料になりますような乳製品を作るように方向転換をいたしましたり、また森永全体としましても売れゆがき悪くなって参っておりますので、製菓原料の方に製造の品目を切りかえるという傾向もございますために、一方においては不足の現象が起き、他方におきましては製品の過剰の傾向が現れて参る、こういうことが予想されますので、そのために乳製品の流通なりあるいは消費者に対しまして迷惑がかかるというようなおそれもございまして、これを放置いたしますと、乳価に対しまして悪い
影響を及ぼすおそれもありますので、こういう点につきまして、乳児用の製品の確保を図りますとともに、製菓原料、製品のダブつきが起きないように、その販路のあっせん等を行う必要があるというふうに
考えまして、乳製品協会及び全酪連に対しまして、その点について適切な処置を講ずるように通牒をいたした次第でございます。
次に、牛乳生産者の
関係でございますが、今度の事件の経過並びに善後
措置につきまして、かような経過であり、かような
措置をとっておるという
事態を、牛乳生産者側にも十分に周知徹底せしめまして、いたずらに次々と工場が閉鎖されたりして、どうかなるのではないかというような不安の念を持たしめることがないように、さような周知徹底方をはかりますとともに、今後の牛乳、乳製品に対しまする信用を確保いたしますために、生乳の取扱いにつきまして特段の
注意を喚起するように、
関係各都道府県に対しまして、その点につきましても
指導に遺憾のないように通牒をいたした次第でございます。
さような
状態で、一応
考えられまする酪農方面への
影響につきまして、できる限りこれを防止いたしたいという
考えで、申し上げたような
措置を講じている次第でございます。