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説明員(立川
宗保君) お尋ねのありました福島県の岩瀬郡鏡石村の問題を申し上げます。
この鏡石村におきます
農地の事件につきまして、二カ月ほど前でありましたか、なかなか非常に複雑なる問題があって、しかも現地の処理が必ずしも適切でないのじゃなかろうかというような
お話がございまして、それはきわめて重大である、この
農地の賃貸借処理の問題は、
農地制度の
一つの根幹をなすものでありますので、早速
調査をいたそうということで、面接
農林省のほうから担当者を現地に派しまして、数日の問鏡石村に腰を据えまして
調査をいたしたのであります。その
調査の概要結果だけを申し上げます。
問題となります事案が十九あると思います。そのうち賃貸借の解除の問題、いわゆる小作地返還の問題が十四件、これを
関係町村に分類をいたしますと、お互いに村なりその町なりにまたがっておりますので分類をいたしますと、鏡石村だけの問題が十件、須賀川に合併されました前は稲田村でありますが、この村とに亙りますものが三件、広戸村とに
関係するものが一件。さらに今度は内容別に分類をいたしますと、現在におきまして地主と小作人の間で
交渉中でありますものが四件、次に当時者から賃貸借の解除の申請をしておりますものが三件、すでにその当時におきましてもう片づいてしまったもの、農事調停が成立をして話し合いがついたものや、あるいは知事が賃貸借の解除を許可をいたしましたために農林大臣に訴願中のもの、こういったものを含みますが、それが五件、それから成規の
農地法の手続きをとらずに、無断取り上げが一件、それから賃貸借の解除の申請をしたのでありますが、それを県が不備のゆえをもって突っ返した、返戻をいたしましたので、その後もずっと出てこない、つまりもう申請を撤回したと推定をされるものが一件、以上四件であります。この十四件の賃貸人、つまり地主の賃貸借契約解除
要求の理由でありますが、これはいろいろありますが、小作契約の期限が満了したが、更新をしないというものであったり、あるいは
小作料が非常に安いから引き合わないという理由であったり、農家経済が近ごろ非常に不況になったので、単作地帯としては、地主で経営を拡張しなければやっていけない、こういうような理由、あるいは家族の人数がふえたとか、二、三男が分家したいというような理由が出ております。この村の特徴は、水田も畑もあるのでありますが、その賃貸借解除の
要求がほとんど全部水田であります。そしてその賃借人は、他村の小作人が多く、それから比較的中流の農家と思われるようなものが対象になっておるものが多いのであります。それから地主、賃貸人のほうは、小作人の同意を得て、いわゆる合意解約の形でほとんど申請がされております。そこで内容でありますが、無断取り上げというような問題は、これは申すまでもなく不法なものであります。これは当然
農地法の規定に従って許可があるまではこういうものは認められない、こういうことであります。それから非常に特徴がありましたのは、今の十四件のうち四件、それから地主さんの親戚の人がおりますから
合計五件ですか、ある特定の地主さんの頭文字はSといいますが、その特定の地主さんが、
相当多くの賃貸借の解除の計画をしております。それは二男が学校を出て一人前になったので、分家をしたい、こういうために
関係の耕作者との賃貸借契約を解除したい、そして二男にその土地を分けてやりたい、こういうことであります。これはいろいろ現地でも大いに問題になっておったようでありますが、いろいろ許可をする許可権者であります具当局の
考え方、その他といろいろ話し合いをしてみたり、
調査をいたしたのでありますが、いずれもこれは
農地法二十条の規定によります賃貸借解除の理由にはどうもなりがたいのではないだろうか、従って今非常に問題になっておりますこの事案は、おそらく不許可処分といいますか、賃貸賃契約を解除することを認めないということにおそらくなるのではなかろうかということであります。それが大体
調査をして来ました要点であります。なお、本件につきましては、後日県の責任者も上京してもらいまして、私も話をしたのでありますが、そのときにとくと注意を要望して、
農地法第二十条の適正な運用を要請をしておいたのであります。