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1955-07-29 第22回国会 参議院 内閣委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十九日(金曜日)    午前十時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            長島 銀藏君            宮田 重文君            木下 源吾君            松原 一彦君    委員            井上 知治君            植竹 春彦君            木村篤太郎君            中川 以良君            中山 壽彦君            高瀬荘太郎君            豊田 雅孝君            野本 品吉君            加瀬  完君            菊川 孝夫君            千葉  信君            田畑 金光君            松浦 清一君            木島 虎藏君            堀  眞琴君   衆議院議員            畠山 鶴吉君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    内閣官房長官 松本 瀧藏君    内閣官房長官 田中 榮一君    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正巳君    行政管理政務次    官       森   清君    行政管理庁次長 山中 徳二君    防衛政務次官  田中 久雄君    防衛庁次長   増原 恵吉君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁教育局長    事務取扱    都村新次郎君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    防衛庁装備局長 久保 龜夫君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    運輸政務次官  河野 金昇君    運輸大臣官房長 山内 公猷君    運輸大臣官房観    光部長     間島治郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○委員派遣承認要求の件 ○継続調査要求の件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○派遣委員報告国家公務員等退職手当暫定措置法の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○公共企業体職員等共済組合法案(植  竹春彦君外二十七名発議) ○日本国との平和条約の効力の発生及  び日本国とアメリカ合衆国との間の  安全保障条約第三条に基く行政協定  の実施等に伴い国家公務員法等の一  部を改正する等の法律の一部を改正  する法律案千葉信君外六名発議) ○継続審査要求の件 ○国防会議構成等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○恩給改訂に関する請願(第八号)  (第五〇号)(第七一号)(第九九  号)(第一一九号)(第一二六号)  (第一三一号)(第一三七号)(第  一四七号)(第一五一号)(第一五  二号)(第一六二号)(第一六四  号)(第一九二号)(第一九七号)  (第二二三号)(第二四二号)(第  二九五号)(第三一七号)(第三一  八号)(第三四一号)(第四〇〇  号)(第四二六号)(第四四〇号)  (第六三〇号)(第六八〇号)(第  八四六号)(第一五九四号) ○恩給均衡是正に関する請願(第一  〇号)(第四一号)(第七九号)  (第九八号)(第一一二号)(第一  二〇号)(第一二三号)(第一三〇  号)(第一四四号)(第一六一号)  (第一六三号)(第一七二号)(第  一七四号)(第一九〇号)(第二〇  二号)(第二二四号)(第二五三  号)(第二六二号)(第二八三号)  (第三二六号)(第三六三号)(第  三八一号)(第四一三号)(第四六  四号)(第七二四号)(第七三一  号)(第七六〇号)(第七八一号)  (第一〇九三号) ○恩給法中一部改正に関する請願(第  四〇号)(第五八号)(第七八号)  (第一一一号)(第一二一号)(第  一二二号)(第一二七号)(第一四  五号)(第一四六号)(第一五三  号)(第一六〇号)(第一六六号)  (第一七〇号)(第一七一号)(第  一七九号)(第一八〇号)(第一九  一号)(第二〇一号)(第二二五  号)(第二七〇号)(第二八一号)  (第三四九号)(第三八二号)(第  四一四号)(第四八二号)(第六〇  九号)(第七二三号) ○恩給法中一部改正等に関する請願  (第二〇〇号)(第五一四号) ○戦没者公務死範囲拡大に関する請願  (第二三号) ○恩給法等一部改正に関する請願(第  四五号)(第七〇号)(第九三号) ○戦没者遺族扶助料等に関する請願  (第六六〇号) ○傷病恩給増額に関する請願(第五九  号) ○傷病恩給適用範囲拡大に関する請願  (第一〇三号) ○結核症障害者恩給に関する請願  (第一〇四号) ○養護教諭恩給に関する請願(第一  八三号)(第二九九号)(第三一四  号)(第三二七号)(第七一八号)  (第一四二〇号)(第一六二六号) ○元樺太特定郵便局長恩給に関する  請願(第一九五号) ○旧軍人下級者公務扶助料是正に関  する請願(第七三〇号) ○水産省設置に関する請願(第二五二  号) ○行政機関職員定員法中一部改正等  に関する請願(第三五七号) ○行政機関職員定員法中一部改正に関  する請願(第五四六号)(第七五〇  号) ○旧軍人未亡人老齢者等恩給改訂に  関する請願(第六二号) ○戦争未亡人扶助料に関する請願  (第八七九号)(第八八〇号) ○未帰還公務員恩給に関する請願  (第六三七号)(第九四六号)(第  一二一八号)(第一二一九号)(第  一三〇〇号)(第一四三九号) ○頭部重傷戦傷者恩給に関する請願  (第六四〇号) ○恩給法中一部改正に関する請願(第  一二一五号) ○北富士演習場の騒音による山梨県中  野中学校等損失補償に関する請願  (第一四四〇号) ○北富士演習湯中一部使用に関する請  願(第一四四一号) ○米軍演習による被害農家等損害補  償の請願(第一四四三号) ○山梨梨ヶ開拓者駐留軍演習地  の一部を返還するの請願(第一五〇  五号) ○東富士演習場地域農民補償等に関  する請願(第一六三二号) ○防災業務の一元化に関する請願(第  一六四〇号) ○国家公務員に対する寒冷地手当及び  石炭手当支給に関する法律中一部改  正に関する請願(第三四号)(第四  二七号)(第五一五号)(第五七〇  号)(第五九五号)(第一三一六  号)(第一五八三号) ○東北地方薪炭手当に関する請願  (第二二一号)(第四四九号)(第  七〇〇号) ○山形県の薪炭手当に関する請願(第  五二七号) ○青森県の薪炭手当に関する請願(第  五二八号) ○岐阜県飛騨地方薪炭手当に関する  請願(第五五二号) ○薪炭手当法制化に関する請願(第  一二九四号)(第一六三六号) ○秋田県能代市の薪炭手当に関する請  願(第一五九六号) ○福島県下郷町の寒冷地手当に関する 請願(第七四三号) ○気象通信従事者特殊有技者手当支  給の請願(第六六三号)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  お諮りいたします。まず委員派遣承認要求についてお諮りいたします。  本委員会といたしましては、閉会中、国の防衛に関する調査及び国家行政組織に関する調査のため、委員派遣を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、本院規則第百八十条の二により、委員派遣承認要求書議長に提出しなければならないことになっておりますので、先日の委員長及び理事打合会の申し合せに基き、その内容及び手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。   —————————————
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に継続調査についてお諮りいたします。  国家行政組織に関する調査国家公務員制度及び恩給に関する調査、国の防衛に関する調査を従来行なって参りましたが、いまだその調査を完了するに至っておりませんので、右三件の調査事件につきまして、閉会中も、なお、これが調査を継続いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。従って、本院規則第五十三条によりまして、継続調査要求書議長に提出しなければならないことになっておりますが、要求書の内応及びその手続等委員長に御一任願いたいと存じます。これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。速記をとめて。   〔速記中止
  8. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきまして御質疑のある方は順次御発言を願います。田畑君に申し上げますが、提案者と、それから政府委員として官房長、それから観光部長運輸政務次官行政監理庁政務次官の四人がお見えになっております。御発言願います。
  9. 田畑金光

    田畑金光君 まず第一にお伺いいたしたいことは、観光事業機構の強化によりまして拡充して行かれようとする今回の一部改正法律案については、われわれも趣旨を了承するのでありますが、その説明の中で、フランスイタリアベルギーギリシャ等欧州観光国では、戦後観光行政をつかさどる独立の省を設けて、あるいは観光局を置いて、観光行政。強力な推進をはかっている、こういうような御説明があったわけであります。私この観光事業というものは一つの平和のシンボルであり、国際親善の一翼をになう機関であると考えておりますので、欧州先進国において独立の省を設けて観光行政をやらせておるということに対し、非常にうらやましい気持を持つわけであります。どういう国が独立の省を持って、その省においてはどのような観光事業を強化しておるのか、この辺を一つお聞かせ願いたいと思います
  10. 間島大治郎

    政府委員間島治郎君) お答え申し上げます。外国政府観光機関はその国によりましていろいろ沿革もございまして、変っておりますが、概略を申し上げますと、まず省の名前観光というものが入っておりますのはフランス運輸土木観光省と呼ばれておるのでございます。それからトルコは、新聞放送観光省ということで、省の名前観光が入ってございます。それから運輸関係の省におきまして観光局を設置いたしておりまする国は、アルゼンチン、ベルギーフランス、パキスタン、アイスランド、スイス、ヴェトナムというふうな国でございます。それからそれ以外には内閣または総理府というふうなところで観光局を置いておりますものが、オーストラリア、ギリシャイタリア、それからその他の通商産業、あるいは宣伝文化関係等所管省観光局を置いておりまする所が、オーストリア、カナダ、セイロンアイスランド、メキシコ、アメリカ、エジプト、ラオスというふうな所でございます。それから先ほど申し忘れましたが、ポルトガルはやはり省の名前情報教育観光省という名前を冠しております。情報教育観光省というものがございまして、ここに観光局がございます。大体以上でございます。
  11. 田畑金光

    田畑金光君 先ほど広く各国の機構について御説明がありましたが、私広くお伺いするよりは、一つの国の行政内容をお聞きした方が、得るところが多いと思いますので、先ほどのお話によりますると、フランスの場合には運輸土木観光省、こういうやうな一つの省が設けられておるようであります。運輸土木観光省というと、まあ名前を見て大よその見当はつくわけでありますが、この省の中で観光事業に対する重点と申しますか、どういう点がどの程度に重視されておるのか、この点おわかりでありますならば、具体的な御説明をお開かせ願いたいと思います。
  12. 間島大治郎

    政府委員間島治郎君) フランスでは、この運輸土木観光省の中に観光局を置いておりますが、局の形式といたしましては、若干ほかの局と趣きを、異にいたしまして、みずから宣伝事業もやっておりまするので、名前局長名前をハイ・コミッショナーというふうな名前をつけておりまして、そしてここで観光事業全般に関する行政以外に、ただいま申し上げました観光宣伝実施もいたしておりまして、諸外国観光宣伝事務所も十数カ所設置いたしております。国内的には、国内の観光事業全般行政の元締めをいたしております。たとえば旅行あっせん業者、あるいはガイドの指導監督というふうなこともやっております。それからホテル監督ホテルを格づけをいたしまして、そしてホテル料金統制というふうなことまでやっておるようでございます。なお、それ以外の細部につきましては、あまり詳細にわかっておりませんが、大体以上の範囲の仕事をやっておるように承知いたしております。
  13. 田畑金光

    田畑金光君 それからこの説明書によりますというと、官設観光機関国際同盟、これは本部がジュネーヴにあるようでありまするが、さらに本同盟地域別委員会一つとして、アジア極東観光委員会加盟国が十二カ国で、事務局がフィリピンに置かれておる。さらにまた太平洋観光協会、これは太平洋沿岸諸邦の観光機関、及び観光関係者となっておるようでありますが、この中でアジアの国、ことに朝鮮とか、あるいは中共とか台湾、それからインドシナ三国、あの辺の状況は、これはどうなっておるのですか。
  14. 間島大治郎

    政府委員間島治郎君) ただいま御質問の官設観光機関国際同盟は、世界の政府観光機関同盟でございまして、四十二カ国入っておりますが、この中で現在大体西欧側に属するメンバーが多いのでありますが、ユーゴースラビアは戦後最初から正メンバーとして入っております。  それから共産主義諸国は、昨年のロンドンの総会のときに、ソビエト政府代表者オブザーバーとして派遣いたしました。まだ加入の問題は起きていないようでありますが、オブザーバーとして昨年から出席いたしております。  それからアジア極東観光委員会及び官設観光機関国際同盟地域委員会でございますが、これには仏印三国は入っております、ヴェトナムラオス、カンボジア、これは加入いたしておるのでございます。なお、台湾につきましては、加入希望がありますが、まだ正式申し入れはございません。朝鮮希望を持っておりますが、まだ正式な申し出はないようでございます。中共からはいまだ申し出はございません。  それから太平洋観光協会は、若干地域を異にいたしまして、太平洋沿岸諸国政府観光機関及び民間の代表的観光機関の集まりました協会でございます。これには今の仏印三国ももちろん入っておりますが、そのほか韓国もこれに加入いたしております。その他の国からは、この太平洋観光協会としては広く門戸を開くという方針でございますが、まだ正式の加入申し出はないようでございます。
  15. 田畑金光

    田畑金光君 たとえばアジア極東観光委員会ですね。まだ台湾とか朝鮮中共は未加入ということですが、これは何ですか、加入したいという場合は加入できるのか、あるいはやはりこれも政治的な条件によってなかなか、たとえば国際連合加盟のような、こんな強いものはないでしょうけれども、何か政治的な条件によって加入の問題もすらすらといかぬ、こういうような問題が観光協会等にもあるわけですか。
  16. 間島大治郎

    政府委員間島治郎君) 私も総会に出たことはございますが、私の観察いたしますところでは、そういう政治的色彩はないようでございます。それでソビエトオブザーバーとしての出席も認めたわけでございますが、正式加入申し込みがあれば、そのときに審議する、こういう態度でございます。実は一度台湾から台湾の交通省の役人が参りまして、加入したいという希望がございましたので、正式加入申し出ではございませんけれども、私が出席いたしました会議で打診いたしましたところが、それはここで議論するのはやめて、正式加入申し出があれば諮ろう、こういうことでございます。ですので、政治的色彩は、私どもの観察ではほとんどないわけであります。
  17. 田畑金光

    田畑金光君 さらに次にお伺いしますが、昭和二十九年度観光収入が三千九百万ドル、約百四十億に上っておる。昭和十一年度の戦前の最盛期に比較しても二五%も収入がふえておる。これはまことに喜ぶべきことだと思います。昭和三十三年度、三年後には七千万ドルになるのではないか。ドル収入のために、しかも平和的な観光事業を通じて、日本経済発展のために寄与するということは、まことに喜ぶべきことだと思うが、観光収入昭和二十九年度における百四十億の内容ですね。これは御説明になったかどうか知りませんが、私承わっておりませんので、大体どういうふうな収入源であるのか、おわかりであれば、一つお聞かせ願いたいと思います。
  18. 間島大治郎

    政府委員間島治郎君) その収入の内訳を種数別に調べるということは、非常に実は正確に調べることは困難でございますので、ある程度推定をいたしておるようなわけでございますが、ただ宿泊費等につきましては、外客が泊りますホテル、旅館を全国的に千数百軒指定いたしておりまして、宿泊人員とその消費額報告を義務づけておりますので、かなり正確な資料が参るのでございますが、それ以外はときどき抽出いたしまして、サンプルの調査をいたしまして、それによりまして、交通費あるいはみやげもの費雑費というようなものを算定いたしておるのでありますが、大体百四十億のうち、五十億程度宿泊に要する経費でございます。それから約三十五億ぐらいが交通費であります。それから二十五億ぐらいをみやげ品を買う、こういう推定であります。それ以外のものが雑費あるいは娯楽費と申しますか、いろいろの慰安その他雑費に使う金、こういうふうに大体推定いたしております。以上申し上げましたように、宿泊以外は相当推定の要素が入っております。
  19. 田畑金光

    田畑金光君 それから本年度予算率は、観光予算について勉強してないわけですから、これは予算書を検討すればわかるかもしれませんが、たとえば国立公園なんかの整備とか、観光道路の建設とか、いろいろこういうような面で相当額予算に計上されておるのですが、どういうことになっておるのですか。
  20. 間島大治郎

    政府委員間島治郎君) 観光関係予算としては、もちろん各省にもいろいろ関係したものがございますが、運輸省といたしましては、海外宣伝、それから受け入れ態勢整備、サービスをよくするというふうなことのために補助金を支出いたしておりますが、今年は約五千三百万、なお厚生省は、国立公園整備を担当しておるわけでありますが、本年度は、厚生省補助金制度大蔵省で認められませんので、補助金はゼロになりました。そのかわりに約五千万円は、直接の庁費といたしまして、国立公園地域災害復旧等に使うための経費が計上された、こういうふうに聞いております。補助金制度は、国立公園は本年からは廃止になった。それから観光道路につきましては、これは観光道路だけを分けた数字はございませんが、観光に非常に関係の深い国道あるいは観光地内の道路というようなものにつきましては、われわれの方で毎年計画を立て、建設省当局に要求し、打ち合せて、実施してもらっておるわけでありますが、その大体の推定は、われわれの要求したものに入っております。推定額は約年間十億内外であります。
  21. 田畑金光

    田畑金光君 それでは運輸省官房長にお尋ねしますが、この間のあなたのお話によりますと、観光局になっても予算人員もふやさない、こういうような説明であったわけです。政府部内の連絡を緊密化して、観光行政の円滑、強力な推進をはかる。これが今回観光局昇格された原因でありますが、予算人員もふやさないで、今までより以上に観光行政の能力というものが期待できるのかですね、この点いささか疑問に思うのですが、どういうようなことなんでしょうか。
  22. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) もちろん予算定員がふえますと、客観的に経費がふえるということは考えられるわけでありますが、すでに本年の予算はきまっております。しかし私の申し上げましたのは、将来も絶対にふやさないということではないのです。そのうち観光事業を強化いたしますためには、まず予算外の問題、定員の問題、両方あるわけですが、定員の問題につきましては、国家公務員能率を極力上げなければならない現在の情勢におきまして、できるだけ各職員勤務能率を向上してもらう、かように考えておりますが、観光事業の本体が、いわゆる国際観光協会事業主体といたしました国際的な宣伝に、非常に大きなウェイトがあります。その点につきましては、将来ともに日本観光事業を盛んにし、それに伴いまして、観光収益をふやすための宣伝費の増加に努力して参りたい、かように考えておる次第であります。
  23. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、官房長のお考えとしては、今後はまあ宣伝費をふやすとか、あるいは機構昇格に伴うて、予算等についても考慮して行こう、こういうような考え方でやっておられるわけですね。
  24. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) ただいま申し上げましたように、本予算におきましては、もう決定しておりますので…
  25. 田畑金光

    田畑金光君 来年度以降の話。
  26. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 来年度以降につきましては、職員につきましては、で承るだけ職員能率を向上してやって参りたい。ただし観光事業を伸ばしますためには、やはり宣伝を主として諸外国にまだ活発にやらなければならない状態であります。その点日本の、海外のそういう宣伝というものの機関も少いので、観光収入を上げるためには、さらにそういった面におきましては観光事業を強化して行かなければならないというふうに考えておるわけであります。
  27. 松原一彦

    松原一彦君 私は先般政府側に御質問いたしておいたのでありますが、現行行政機構においては、部は当分の存在で、これは整理して、しかるべき局または課にするということになっておるのであります。従って内容を備えたる部が局になることについては異存はございませんが、これが行政機構全部を通して見たときに、この運輸省観光部観光局になる。これはきわめて妥当であるとして、なおこのほかにも、これに準ずるものもあるやに思われます。政府はかような法案議員提出とせず、将来高い見地から全般を見比べて、近き将来にこの部の整理及びこれに伴って公正なる局への昇格等の御用意があるかどうか、この点を伺っておきます。
  28. 森清

    政府委員森清君) お答え申し上げます。観光行政というものが運輸省あるいは文部省、厚生省建設省等に分れておりますことは御承知の通りでございまして、今回運輸省の部を局に昇格するように議員提出でございましたが、もともと観光行政が重要であるということは論を待ちませんが、私どもの立場といたしますと、同時に国の行政機関簡素化というふうなこともこれまた非常に重要な問題であろうと考えるものでございます。そこで当然運輸省観光部が局に昇格いたしますとともに、必然的に建設省その他の観光行政の扱っている役所におきまして、これらの昇格等が問題になると思いますが、ただいまの段階におきましては、率直に申し上げまして、私どもはそういうふうになり、機構が膨大になることをおそれている現状でございまして、それらについては今準備はしておりません。
  29. 松原一彦

    松原一彦君 私はこの運輸省観光部が対外的にも観光局になることはきわめて妥当だろうと思います。しかしながらこれに伴って部を整理するということも必要であり、必ずしも膨大に広げるばかりではございません、縮小するものもありましょうが、機構を改廃する場合においては公正を失われないように、将来御留意を願いたい。以上希望を申し上げます。
  30. 木下源吾

    ○木下源吾君 関連して伺いたいのは、最近気象のあれが非常に重大になってきております。今の気象台組織が必要な気象全般の観測、通信、そういうものをしょい切れないような、つまり入れものが小さい組織である。御案内の通り災害等も非常に多い。これにかんがみて、この組織、人をふやすばかりが能じゃない。組織それ自体をもってもっと仕事を無限に包容して行けるような組織に変えたらどうですか。まあ差しあたり考えられることは、要するに今建設省の所管の何ですね、外局にするというようなことによってですな、気象台の実際の運営を、今申し上げたように、入れものが小さい組織で実際に活動が非常に窮屈になっておる。それを伸ばして行く、こういうものに改めたらどうか、こういうように先般来質問しておったのですが、これについてはどういうようなお考えがあるんですか。
  31. 森清

    政府委員森清君) 実は気象台の問題につきましては、私どもも寄り寄り協議を重ねておりますが、ただいまの御意見にございましたごとく外局にしたらどうかというお説も非常に有力に出ておりますが、今のところまだ結論に到達しておりません。御趣旨を体してさらに研究いたしてみたいと思います。
  32. 木下源吾

    ○木下源吾君 私の今お伺いしているのは、ただ口先だけのことでなくて、よくいう官庁のことは昇格するのだとか何とかそういうような、物指ではかっているが、私のは組織で、組織という入れものの中にたくさんのものが入れば入るほど暮せるような組織、こういうことで、こういう面で、今気象台は非常に行き詰っておることは誰が聞いてもそうだし、現実に非常な災害が次から次と起っている。こういう状況から見て、災害ばかりではない、それから生産面にも気象の重要性が十分とり入れられなければならないという現下の要請にこたえるために、こういうことを一つ研究しておやりになる。こういうようなことを考えてもらいたい。またそれについての御意見があったら言ってもらいたい、こう思っているのであります。
  33. 河野金昇

    政府委員(河野金昇君) 気象台は運輸省の所管になっておりますが、今木下委員のおっしゃるようなことは、省内の会議等においても出ておりまして、気象台そのものの機構の問題も、それから建物も、あるいはごらん下さったこともあるかと思いますが、実にもう危いような建物になっております。しかもその気象のいろいろな仕事をやっている役所が方々に分れているような関係もありまして、今日の必要を満たすのには、いろいろ考えなければならぬ点があると思うのであります。いずれ来国会あたりは案をまとめて、御審議願うようなことになるのでなかろうかと思っております。
  34. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言もなければ、これをもって質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。それでは直ちに討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  36. 宮田重文

    ○宮田重文君 私は自由党を代表して衆議院議員畠山鶴吉君外二名の提案にかかる運輸省設置法の一部を改正する法律案に対し、付帯決議を付して賛成の意を表明いたしたいと存じます。まず付帯決議案文を朗読いたします。    附帯決議(案)  運輸省観光局を設置する問題は、たとへ国際観光事業の重要性に鑑み、観光行政を強力に遂行せしめる為とはいえ、今後に於て、かかる際は、行政当局がその責任に於て行政組織全般の立場から、検討を加え考慮しなければならない問題であることは、言を俟たない。  従って、かくの如き各省、庁の行政機構に関する改正については、政府は必要ある場合責任を以てその措置を進むべきものである。   右決議する。 こういうような案文であります。  わが国が東洋におけるスイスとも称せられ、国内至るところ風光明媚であり富士山を初めとして自然風景資源はもとより天然記念物、史蹟、主要文化財等国際観光事業としての対象物は、枚挙にいとまがないといってもいいのであります。戦争によって一部観光資源が壊滅、荒廃したことはまことに遺憾ではありましたが、終戦時の混乱から人心が一応の落着きを取り戻して、文化国家、平和国家建設のためにも、また国際親善の増進のためにも、あるいはまた外貨獲得の方法として自立経済を達成するためにも、国際観光事業の、重要性を認め、政府も国策の一つとして取り上げて、その振興をはかることとなったのでありますが、観光施設、道路交通の不完備は、せっかくの観光客に十分の満足が与えられず、失望せしめて、早々に日本を通過して、あるいは上海、香港等へ行ってしまうという有様であったのでありますが、漸次施設の回復、整備によりまして成果をあげて、昭和二十九年の観光収入は三千九百万ドル、約百四十億円で、戦前の最盛期昭和十一年の実績に比して約二五%増となり、内閣観光事業審議会の想定によれば、今後の振興策によって三年後の昭和三十三年には約七千万ドル、約二百五十億円の収入をあげることは必ずしも困難でないと称せられるに至りましたことは、まことに御同慶にたえない次第であります。しかし今後快適な交通機関と立派な観光施設をととのえ、行道届いたサービスをもって大宣伝をしておる世界の観光国と競争する場合には、風光の美だけで観光客は呼べません。いやしくも観光立国を目ざして外客を大いに誘致しようとするからには、国家として積極的な施策が必要であって、観光事業の指導育成を果す行政機構の強化が要請されるのは当然のことであります。このときに当り、本法律案が提出せられて、衆議院議員亀山鶴吉君より運輸省観光部観光局昇格せしめて、この目的を達成せしめたいとの御説明があったのであります。しかも国家財政の面も考慮して、人員及び予算の増加をすることなく昇格によって国際観光機関理事国あるいは有力メンバーとして国際的提携の上にも活躍に便ならしむるとのことでありますから、この法律案の趣旨に賛成をいたしまして、すみやかにその実施により観光行政推進を期したいと存ずる次第であります。しかしながら、本法律案に対してその趣旨には十分賛意を表するとするも、その提出の方法については遺憾なきを得ないのであります。もちろん衆参両院の議員は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関として国会を構成するメンバーでありますから、立法に対する発案権を有しておりますことは申すまでもないのでありますが、憲法あるいは国家行政組織法、各省庁設置の精神及び条章よりいたしましても、必要なる行政機構の改廃は当然行政の効率的措置として、政府の責任においては提案さるべきものと解せられ、この理由により去る六月十五日衆議院運輸委員会においてなされたる決議その他この方面に対する意見を尊重するといたしましたならば、政府みずから提案すべきものであって、この点については政府はある意味においてはなはだ怠慢なりとも言わなければならないと思うのであります。よって本院においては、今回のごとき取扱いは将来においては厳に戒しむべきものとして、前に述べました付帯決議を付することといたした次第であります。私は付帯決議を付しまして賛成討論を終りたいと思います。
  37. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は社会党第四を代表して賛成をいたしますが、その趣旨は、ただいま宮田君の言われたことで尽きております。ただ重要なことは、観光の対象はあくまでも文化の向上と一致するわけでありまして、行政機構のただいまのような改革、こういう形式だけでこれは充実するものではない。日本は今平和とつながる文化の向上が非常に望まれておるのである。しかも観光事業を実際に行う上においては、相当の金がかかる。ところが政府予算は再軍備費にばかりウェートが多くて、文化施設に非常に貧弱である。でありますから、私の望むところは、平和国家建設のために、大いに行政機構改革から始めて、形式だけではなく、内容の充実をもあわせ行うということを、政府一つ大いにやってもらいたい。その第一歩として本案には賛成するものであります。  宮田君の付帯決議にもあわせて賛成いたします。
  38. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言もなければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  40. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもつて原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中に述べられました宮田君提出の付帯決議案を議題といたします。宮田君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  41. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって宮田君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっております。本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     田畑 金光   野本 品吉     木島 虎藏   井上 知治     松原 一彦   菊川 孝夫     植竹 春彦   中川 以良     宮田 重文   長島 銀藏     豊田 雅孝   加瀬  完     千葉  信   —————————————
  43. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に国の防衛に関する調査を議題といたしまして、先般木下委員田畑委員及び堀委員を富士山ろく演習場の問題を調査するために派遣いたしましたので、木下委員から御報告を願いたいと存じます。
  44. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は皆さんの御同意を得まして、先般北富士の某地を視察に参りました報告を、代表して申し上げたいと思うのであります。  六月二十八、九日の二日間であります。一行は田畑君、堀君、私と三人。まず二十八日には富士吉田の基地に参りました。そこではあらかじめ通知を受けておりまして、近村からのこれに関係ある有志諸君が集まっておりまして、そうしてそこで大体の一般情勢の説明を聞きまして直ちに現場に参りました。現場と申しますのは当日ちょうど射撃が始まっておる。これは船津口の登山口の道路のすぐわきの方から射撃をいたしまして、四、五里こっちの方の、つまり富士山の逆の方へ撃つのであります。私ども船津口の登山道路を相当上って参りましたところが、米軍の歩哨が立っておりまして阻止されました。いろいろ交渉いたしまして、ついに大砲の砲座の所まで行って見たのであります。大砲は一砲座に、一つの場所に六門ずつでかい大砲がある。それが三カ所に分れております。ちょうど私どもが行きましたところが、どどーんとやっておりました。これはもう相当なものです。そこでなるほど吉田の町で聞いたところが、もう夜も夜中もやっておって、寝られぬ、とこういうことを聞いておりましたけれども、これは少し誇張ではないかと、こう思っておりましたが、実際は相当なものであります。そこでわれわれの通った所は、あそこから百メーターくらい離れた所でありますが、この音といい、実物の大砲を見、私はまあ日本の、戦争前に七師団の演習などにも加わったことがありますが、もうそれはその当時のものとは問題になりません。そうして私どもはこのたまの下をくぐって、つまりたまの下をくぐって今度は着弾の方へだんだん参った。そこでは四町四方くらいはこれですっ飛ぶ、こういう威力ですね。ですから、何といってもわれわれが今まで考えておったようなものではありません。ですから、やはりああいうことになれた人たちでも、こういう、まあことに戦争になったときにはこういうものだということなら、非常な恐怖を感ずるのはこれは無理はない、こう考えてきました。  そこで問題は富士山の、天然記念物等は、通っておるのは、もちろんタンクのようなあれで通っているから、相当みんな荒らされてしまいました。木ももちろんそうであります。この演習については、実弾射撃については、来ておるのは海兵隊が来ておりました。あれはそこに駐屯しておる軍隊がやるのではなく、方々からあそこを選んで、あそこへ来てやるらしいのでありますが、そこで私どもは射撃はいつまでやるかと言うたら、やはり七月一日から富士登山が始まるから、それまでにはやめるというような協定を守るらしかった。ところが前の協定が破られておってそれはどういうわけかというと、演習の大砲の数が制限されておるらしいのです、お互い協定して。ところが実際はその協定は守られないのですね。たくさんの砲を持って行ってやる。そこで村民連中はいきり立っているわけですね。協定を破ったと、こういうわけです。そこで今度は実際のいわゆる土地の収用されておる実情を見ました。着弾している方へ行きまして見ました。そこはちょうどキャンプがありまして、そこで、キャンプのある所で、例の警察を乗せた……、着弾するところへみんな坐り込んだわけです。農民が坐り込んだ。そうして坐り込んだやつを米側からの要請によって吉田の警察が署長以下トラックで出動してこれをまあ検束か何かしたところが、そのトラックがひっくり返って、警察署長はけがした、署員もけがした、こういうのが新聞へ出ておりましたのですが、これは現地へ行って聞きましたところが、ついに警察署長は死んでしまいました。こういうようなことであります。驚いたことには、私はその忍草、忍野村——これはむずかしい。忍ぶ野と書いてオシノなんです。この忍野村のまたこの忍ぶと草と書いてシノクサ、今度はシノブグサと言わんで、オシクサと言わんで。そういうようなむづかしいのであったから私記憶しておりますが、そこの農民諸君がその大砲のたまが来るのに行って坐り込んだという、これは驚いたのです。それでまあだんだん聞いてみたら、やはり今度の戦争で特攻などに行った若い連中がおるらしい。それでそういうようなことで、多少大砲の知識があったから決行したらしいのですが、何といったってたまの来るところに行って坐り込んでいるのですからな、百人も、百五十人も。これには私はよほどなやはり強い反対がひそんでおるものと、かように考えまして、いろいろ今度はその部落へ皆が参りまして私どもが事情を聞きました。なるほど富士山は同じ土地でもこの辺と違うのですね。溶岩なんです。皆岩ですね。それですから、水田を作っている所でも、わずかな所を、平らな所を長い間草を、つまり堆肥というようなものを作っては水に逃げられないようにちゃんと長い間やって、そうして耕作しておるわけです。それでまたその草が絶対にまた農業、農民諸君には必要なわけなんです。それで溶岩の上に生えておる草をとにかくまあたよりとして今まで農耕をやってきておる。ところが接収されて、接収区域に足一歩でも入れるというとつかまってしまうという状態で、非常な先生たちとすると自分の生活が極端に脅かされるという、この実情が実際にたまをくって四町も一発でも炸裂すればふっ飛ぶような所に坐ると、こういうことを決行させたものと、われわれは実際その現地を見、説明を聞き、切々なる訴えを聞いて感じたのです。ところが一方においては山中湖ですか、という附近ですが、そっちの方ではやはりパンパン屋を業として、村長みずからパンパン屋の先頭になってやっておるというそういう所。町長です。これはやはりアメリカ様々なんですね。で、まあひどい対照だと私は考えてきましたが、いずれにしましても、長い間そこで農業を生業とし、そうしてああいう困難な耕地を維持してやってきておるこの人々が、直接に富士山の基地化によって困難をしておる。そこの人たちは幸いに部落をなしているものですから、そういう運動を身をもって行なって、そうしてある程度の要求を貫徹して、部分的要求を貫徹しておりますが、一方の北富士のもっと南の方へ、つまり静岡県の向うの方へ富士の方へくる……。これは非常にへんぴなところですな。へんぴな鳴澤村、この附近です数カ村。この辺では農民が点々としているものですから……。
  45. 松原一彦

    松原一彦君 委員長議事の進行についてお願いがあるのですが、木下委員の……。
  46. 木下源吾

    ○木下源吾君 簡単にやります。
  47. 松原一彦

    松原一彦君 あとがどうもつかえているから簡単にお願いしますよ。
  48. 木下源吾

    ○木下源吾君 はいはい。じゃもう少し。  そういうわけでありまして、この辺の人は私ども帰りにちょうど吉田市の渉外事務所、そこにみんなみんな集まっておりまして事情をよく聞きました。これは単なる基地反対とかいう組織立った反対というよりも、ほんとうに自分たちの農民の生活、農民の営農というところから出発して、何とかしてこれをやめてもらいたいと。そこでいろいろ聞きましたが、県知事がこれをやめてもらう会を作って、その会長になっておる。ところがはかばかしく行かぬというので、非常に皆さんが歎いておりました。土地の所有権はどういうわけでそうなったか。一例を申し上げますと、その方面ではいわゆる恩賜林組合というかつて非常な凶作になったときに陛下がこれを非常にあわれんで林を、そこらの林野を岐阜県に下げ渡した。それをもととして恩賜林組合というものを作り、かたがた富士山の風致を守りながら自分たちの生計を営んでおる。このかつての恩賜林の、恩賜に浴した一部の人々の幸福が、今回の北富士の演習によって荒廃しておるということを精神的にもこの人々は非常に歎いておる実情であります。  以上松原さんの御要請もありますし、きわめて素通りお話でありますから、御報告になりますか、簡単にお話し申し上げました。
  49. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) どうもありがとうございました。   —————————————
  50. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に国家公務員等退職手当暫定提置法の一部を改正する法律案を議題といたします。法案に対する御質疑を願います。
  51. 千葉信

    千葉信君 前回の委員会でも若干御質問申し上げましたが、国家公務員に対する退職手当の暫定措置法の一部を改正する法律案について順を追ってこの際お尋ねをしたいと思うのですが、まず第一番にお尋ねをしておきたいことは、御承知の通り国家公務員に対する退職手当の支給については、従来臨時措置法が繰り返えされ、そして暫定措置法になりましてからもまだ依然として退職手当についての本格的な改訂が行われておりません。今までもこの問題について御質問申し上げますたびに、この問題の最終的な結論については恩給法であるとか、それから共済組合法の関連において総合的な検討を加えて、その結論を出したいということで今日まで続けられてきておりますが、今回また一部改正という御提案になっておりますが、大蔵省としては一体いつごろこの問題について結論を出すつもりであるか、この点を一つお伺いしておきたい。
  52. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 国家公務員の退職手当につきましては、ただいまお話がございましたように、国家公務員等退職手当暫定措置、暫定という法律で処理して参っておりますことはお話通りであります。私ども一日も早く恒久的な制度を打ち立てたいという気持を持っておるのでございますが、一方ただいまお話の中にもありましたように公務員の退職年金制度の問題、これも至急結論を出さなくちゃならぬのでございますが、目下のところはまだ検討中でございますし、その他共済組合と恩給制度との調整、いろいろこれに関連した問題がございます。それらの問題につきまして目下せつかく内閣にございます公務員制度調査会で検討いたしておるわけでございまして、その結論を得ました後に恒久的な制度を確立したい、さような気持で今回の改正も暫定措置法の改正ということで暫定措置によったわけでございます。できるだけ早くそういった委員会等の成案等を得ていただきまして、恒久的な制度を打ち立てたい。そういう熱心な意欲を持っておりますことを付け加えましてお答え申し上げたいと思います。
  53. 千葉信

    千葉信君 これはちょっと森永さんに言うのは過酷かもしれないけれども、給与の問題にしても恩給の問題にしても退職手当の問題にしても、相当従来解決を魚がなければならないいろいろな問題について国会でお尋ねをするときに、きまったようにその答弁は今公務員制度調査会を作ってせっかく検討中、そのうちに急いでその結論を出すつもりだがと、全部これなんです。それじゃ一体解決についてほんとうに努力しておるかというと、残念ながら私は熱心にやっておるというその答弁通りに受け取れない節々も承知しておる。たとえばその答弁に当られる方でも実際上は公務員制度調査会の一員でありながら、その審議の内容等については全然チンプンカンプン。こんなことでは、一体この問題なんかについても、私は今御答弁を聞いていても、なるほどそれじゃ公務員制度調査会でそのうちには結論を出すのだなという格好で質問を打ち切ってしまえるような問題じゃないと思うのです。しかし今あなたにこれ以上この問題についてお尋ねしてみても、政府がすべてのそういう問題について今せっかく検討中で、公務員制度調査会の中であなた直接責任を持っておられるわけじゃありませんから、まあ私はその御答弁を承わることは要りませんけれども、今お話にありましたような問題にちょうど関連して、共済組合法の関係で、公共企業体等の職員に対する共済組合の問題は、相当これはその事業場における特別な条件から考えても急がなければならない問題だと思うのですが、何か最近聞くところによりますと、この問題については国会の方で議員提案の法律案が今この委員会で検討の対象になっておる。その過程の中で大蔵省としてはこの、原案通りじゃないけれども、一応この公共企業体の職員に対する共済組合の関係について、具体的なお考えを最近持たれたということを承わっておりますが、その点についてはどうですか。
  54. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 公務員制調査会で実はもう審議に一年以上かかっておりまして、おしかりのような点もまことにごもっともなことで、非常に恐縮するわけです。私も委員の幹事の一人といたしまして審議に参画いたしておりますが、審議に手間取りまして、おしかりのような点もございますので、まことに恐縮でございます。しかし最近の実情を申し上げますと、小委員会の審議がだいぶ進みまして、第三次案くらいまでは小委員会の案もまとまって参りました。これから全体の委員会でそれをいろいろ掘り下げて参るという段階になるわけでございまして、そういつまでもぐずぐずと遷延をするということでは相ならぬと思いまして、できるだけこれ急いで結論を出していただくように私どもも努力いたしております次第でございますから、その点はどうぞ一つ御了承いただきたいと思います。  なお、公社企業体の共済組合法案でございますが、いろいろお話の点は承わっております。公社の内部におきまして恩給法の適用を受けるものと、共済組合の適用を受けるものと、この二つが併立いたしておりまするために、いろいろ支障がある、人事管理上も不便がある、できるだけこれを一本化したいということはごもっともだと思います。しかしただいまいろいろ御提案になりました案そのものにつきましては、私ども実はにわかに賛成をいたしかねるのでございまして、その理由は、これもまた公務員制度調査会に藉口するというようなおしかりを受けるかもわかりませんが、せっかく公務員全体のそういった問題を検討している際に、現状より二割も三割も負担の増加を伴うような公共企業体の共済組合法案が先行するというようなことでは、これは公務員全体の一つの退職手当制度、ないしは年金制度についての総合的な結論を出しますのにやはり支障になるのではないか。従いまして公務員制度調査会の方の結論をできるだけ急ぐことにいたしまして、この公社の共済組合の問題につきましてももうしばらく御猶予を願いたい、そういう、これはごく率直に申し上げたわけでございますが、感じを持ってこの案には臨んでおるわけでございます。その点を御了承いただきたいと思います。
  55. 千葉信

    千葉信君 話がそれた格好ですが、その公共企業体の職員に対する共済組合法のこの委員会に付託されております法案の率等につきましては、これはまた別にその法案の審議の際に論議の対象になるかと思うのですが、ですからこの際は、それは敬遠いたしますが、今お話を聞いておりますと、なるほどあなた方の立場から言えば、せっかく今総合的な検討を行なって、そうして退職手当にしても、給与にしても、それから共済組合の関係にしても、その結論を出そうとしておる時期に、これに先行してある程度それとはむしろ給付率の違う法律案が国会を通過したりするようなことになりますと、これはあなた方の立場としては、まことに好ましからざる状態だということは、私にも十分わかるのでございますが、しかしそういうふうな問題が起ってくるということも、やはりその同じ公務員に対する共済組合といっても、一方はかなり特殊な条件を持っているのですけれども、今あなたのおっしゃったようにその企業体々々々ごとにある程度独立採算という形をとってまかなっている企業体の中で、差し迫って人事行政上支障のある問題があれば、やはりその企業体としては相当積極的にこの問題を解決するように考えなければならぬと思うのです。ですからそういう意味では、これは結論としてはいずれが先になるようになるかわかりませんけれども、いずれにしてもこの問題は急がなければならない。そこでまあ公務員制度調査会の方で検討されておるその内容は別として、さっき私が御質問申し上げたように、大蔵省としても公務員制度調査会とは別に、公共企業体に対する職員の共済組合法の関係については、かなり具体的なこれに対するお考えをお持ちだということですが、内容はともかくとして、そういうことがありますか。
  56. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたのですが、公共企業体共済組合法案内容につきましては、給付の内容が、現行の恩給であるとか、あるいは現行の共済組合制度であるとか、あるいは厚生年金制度に比べまして格段に有利になるわけでございます。その点につきまして一般公務員とかあるいは民間勤労者との権衡上、相当問題があるのではないか、公社の職員だけに限って何ゆえに、このように特別に給付をなし、優遇しなければならぬのか、その点の積極的な理由を私の方といたしましては理解に苦しんでいるわけでございます。しかし先ほど申上げましたように、現状のまま放っておいていいというわけではさらさらないわけでございまして、公務員制度調査会でせっかくこういった種類の問題を取り上げておるから、その方の結論と相まって公社の方の問題もお考えいただきたい。それまで若干の御猶予をいただきたい。人事管理上支障があるということはごもっともですが、それとてもやはり今日まで不便をしのんでやっていただいたわけでございますから、もうしばらく御猶予願えないということもないのではあるまいか、公務員制度調査会等の結論を結局急ぐということがお答えになるわけでございますが、それで結論を出して、全体の総合的な政策の一つとして処理をしていただく、そういうような意見を申し上げる線にとどまっておるわけでございまして、この法案内容につきまして率をどうしたらいいとか、こうしたらいいとかいうそこまでの立入った意見を申し上げたことはございません。
  57. 千葉信

    千葉信君 あのね、森永さん。私は、今御質問の中に、その内容は別として、その内容は僕の方でも……、あなたにもその内容は別として、これは答えてもらわなくてもいいという御質問をしたのは、この内閣委員会は相当重要な案件をかかえていて、この問題の質疑が、審議の引き延しの格好で行われているような印象を与えてはまことに心外千万なので、そういう意味で一つあなたの方でも簡潔に御答弁をお願いしたい。特に今の問題については、私はそういう問題について、そういう問題というか、明らかに公共企業体の職員の共済組合法の関係ですが、その問題について、聞くところによると、大蔵省の方ではある程度の具体的なお考えを持っておる、こういうことを聞いているのです。これはこっちの方の法律案の審議の問題は別として、そういう問題があるとすれば、私どもとしてはやはり慎重に考えなければならぬ。そこで、そういう考えがあるのかないのか、それからもしあるとすればせめて今度の通常国会あたりに出てきそうな気配にあるのかないのか、その点もこの際承わっておきたいと思います。
  58. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 今具体案は持っておりません。通常国会に出す出さないということは、先ほど来のお答えに戻りますが、公務員制度調査会の結論が出てから、できるだけ早く提出いたしたい、かように考えております。
  59. 千葉信

    千葉信君 次にこの一部改正法律案によりますと、まあこれはおいおいそこまで問いただして行かなければならないと思うのですが、この際は概念的にかなり失業保険というものと退職手当というものとを観念的にというか、概念的にというか、混同した取扱いをしているきらいがあると思います。片方の方の失業保険金の支給率が改訂されたものだから、それと同じように公務員の退職手当に関する保障の率も改訂しようとしている。これはただ単にそういう失業保険金の改訂に伴う事務的な処理という態度ではなく、ここにはかなり問題があると思うのです。そこで、その問題に入ることじゃなく、今ここでお尋ねしたいことは、失業保険金そのものと退職手当そのものとの間に、提案者の側に概念的な混乱が、もしくはまた混淆があるように思うのですが、この二つについて大蔵省としてはどういうふうに考えられるか。
  60. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 失業保険制度と官公吏の退職手当制度、これはもちろん二つの異なった制度であるわけであります。ただし、諸般の事情から、公務員に対しましては失業保険を適用していないわけでありまして、従って、退職手当を支給いたします場合には、その最低額は失業保険法設定の基準を下るべきではない、そういう趣旨から、官公吏に対しましては失業保険を適用しないで、退職手当を支給しておりまするが、その最低限を確保する意味で、失業者の退職手当という形で失業保険法による給付の最低限度を保障しておる、さような関係にある。これは法律に書いてあるままでございますが、その通りに了解をいたしております。
  61. 千葉信

    千葉信君 公務員に対する退職手当の支給率が、失業手当金をもらうことのできる失業者の受ける失業保険金を割る場合に、それを公務員であった者に対する退職手当の額を計算して、それに達しない額についてはこれを保障するというやり方は一応私も了承できるわけです。しかし、そういう際においても、私はこの点は明確にされておらなければならないと思うのです。失業保険金をもらう大多数の失業者の諸君は、かつて事業所にあって、そして退職の場合には大体退職手当はもらっている。いきなり首を切られるときには一カ月分は最低保障されておる。予告期間というものもある。まあ退職させるときには、相当あくどい例を除いては、大体退職手当が支給されているわけです。公務員の場合もそれは同様に退職手当が支給されてはおります。ところが、一方の失業している労働者の場合には、失業したということによって失業保険金をもらえるんです。ところが片一方はそうじゃなくて、もらった退職手当が、その勤続の一定の割合によって計算した金額の退職手当をもらって、やめてから全部なくなるまで計算した日にちの間は、待期日数と言いますか、失業保険金はもらえないんです。そうしていよいよ退職手当を使い果してから、やっと一般の労働者並みに失業保険金がもらえる。退職手当がなくなってから失業保険金がなんぼかづつ毎月もらって行ける。そういうことになりますと、これは条件はかなり違うと思うんです。ぎりぎりの格好で、待期日数を経てからやっと失業保険金がもらえるという格好になると思います。いずれにしても、僕は失業者諸君は楽だとは考えないけれども、考え方としては明らかに公平でないやり方が出てきていると思う。ですから公務員の場合に、失業保険の一般の受給率に満たないような退職手当を出すこと自体が間違いだし、なおかつそういうものを出しておいて、最低保障をやると言っても、こういう保障の仕方では十分ではない。この問題でも具体的な点についてはまたあとからお尋ねしますが、この点については森永さんはどう考えるのですか。
  62. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 退職に関連いたしました民間の制度といたしましては、お話しのように、失業保険があり、解雇手当が別にある。退職手当は、これは会社によりまして団体協約としてきまっておる所もあるし、きまっていない所もある。まあどちらが多いか、実情をつまびらかにしませんが、大会社には大ていございましょう。大部分の中小企業等についてはそういう制度もないわけでありまして、かりに協定がありましても、これはやはり景気の好悪によって変動をまぬかれないわけであります。これに対して、一方公務員の方は、暫定措置法ではありますが、これを最近の機会に恒久化したいとは思っておりますが、国の法律上の義務として相当の退職手当の規定があるわけでございまして、これだけの事実を両方比較して見ますと、公務員につきましては、この退職手当が失業保険の場合の最低額を下らないようにという保障をしてあれば、大体両者の権衡はとれるのではないか。さような観点からこういう制度をとっておるわけでございまして、現状におきましても大体バランスがとれておると思います。公務員の場合に、最低に満たない退職手当を出すのはけしからぬじゃないかというような御指摘もございましたが、これは大部分の者につきましては、この基準を上回っているわけでありまして、勤続期間の短かい者につきましてそういう例がたまに起る。その場合には最低保障をするということでございまして、これに関する限りは均衡がとれておる。なおまたもう一つ観点を変えまして、公務員にもこの保険法を適用したらどうかというような考え方もあるかもしれませんが、しかし、その点は公務員が民間の失業者と違いまして、景気の変動によって影響を受けることが少なく、はるかにその地位も安定しておるわけであります。法律上の保障もあるわけであります。国といたしましては、国家の保障する公務員に失策保険法を適用することはむしろ不適当ではないか。失業保険を適用することによって公務員から保険料を徴収するという問題もございましょう。しかしそういう問題を別にいたしましても、公務員の安定した地位という問題から考えまして、この退職につきましては、法律で保障する退職手当を払うということから考えまして、失業保険法を適用することは得策ではない、このように考えるわけであります。このような観点から、私どもといたしましては、現在の退職手当で行く、そして足りないところはカバーするという現行制度のやり方がやはり私ども実情にふさわしいのではないかと、さように考えておるわけであります。
  63. 千葉信

    千葉信君 私の知っている限りでは、たしか森永さんはすばらしい頭を持っている人のはずだが、今の答弁では、私の質問をよく理解されないで、混同して答弁しておられるきらいがあると思う。これはこういうことですがね。失業保険金というのは、失業しているという事実によって仕事にもありつけない人に最低生活を何とか保障するというために失業保険金が出るわけです。それに対する一定の掛け金は前に負担しているわけです。しかし、何といっても、失業保険金というのは失業している人の生活をある程度保障しなければならないために出す保険給付です。ところが、一方の退職手当というのは、在職していた功労、退職後におけるある程度の生活保障の意味も含んでいるけれども、とにかく、これは、将来就職する、しないにかかわらず、今まで勤続した勤務に対する功労という給与です。ですから、その意味では失業保険金というものと、退職手当というものが混同されてはならないと思います。それはあなたは今完全に混同して答えておる。しかし、私はそういうことを追及するのではなく、もう一つ、次のようなことをお尋ねしたいのです。それはどういうことかというと、民間の場合ですね、かりに民間の場合といたしまして、民間の場合には、あなたは、今、中小企業の場合には、高いか低いか知らないけれども、いろいろなやり方をしている、公務員の場合には国家が一定のやり方によって保障している、まあその点は違います。その点は違いますけれども、民間の場合には、公務員に劣らない退職手当をもらっている失業者もおります。退職者もおります。それから少い人もあります。多い少いことを問題にするのじやなくて一方の場合には退職手当をもらった失業者が、その次の日からでも失業保険金をもらえる、ところが公務員の場合には同様に退職手当をもらっても、失業保険法の関係からいって、そのもらった退職手当を全部使い切ってしまうその間は、失業保険金はもらえない、そうなったら同じ失業保険金が九十日出るとか百八十日出るとかいっても、困り方が全然違うと思う、同じ条件ならば。ですからそういう意味から言うと、今回のこの改正法律案は私は少し思慮の足らない改正の仕方をしておるじゃないか、一方の失業保険金の支給割合が改訂を加えられた、よくなった分については私は文句はない、しかし実際上非常に不利益になった面が多い、そういう不利益になったものが多いからといって、今申し上げたような条件下にある公務員に対する最低保障も同じに切り下げということは、理屈から言うと私は筋がそうすっきりと通ったものじゃないと、こういうふうに考えざるを得ないのですが、その点どうですか。
  64. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 前段の失業保険と退職手当との関係について、観念の混同があるのじゃないかという点でございますが、退職手当は、これは私二つの性格を持っていると思います。長年の勤続に対する報償という意味ともう一つは離職に伴う生活保障と、この二つの性格が退職手当の中にはあると考えるわけでございます。その意味で先ほど失業保険、かたや退職手当、これでバランスがとれていると、こういうことで申し上げたのでありまして、これは退職手当の性質をそういうふうに見ました上でのお答えであったことを御了承願いたいと思います。  それから後段の本論の方でございますが、民間において退職手当をもらっている場合に、すぐに失業手当がもらえると、この場合に比べて役人の方は若干不利益じゃないかというお尋ねでございますが、これはやはり退職手当そのものをどう観念するかということによるのでありまして、生活保障と勤続報償を兼ねた制度であるというような観点から申しますと、やはり失業保険とのバランスというようなこともあわせて考えねばならぬわけでございまして、今回失業保険法の改正に伴いましていろいろ期間等につきまして改正がございました。やはりそれのバランスをとって最低額に対しましても変更を加えるのが私どもといたしましては制度を一貫して考えるゆえんじゃないか、さように考えるわけでございます。
  65. 千葉信

    千葉信君 その問題については、これから入って行く審議の過程において具体的な問題に入りますから、そのときにまた御答弁願いたいと思います。  次にお尋ねしたいことは、森永さんも御承知のように、失業保険法の第六条ですね、これはなんでしたらば森永さんでなくてもけっこうです、失業保険法の第七条の関係、まあ御承知のように六条では「左の各号に規定する事業主に雇用される者は、失業保険の被保険者とする。」そうして第三号で「国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものであって前各号に該当しないもの」、こうなって、これははっきりした趣旨をきめられている。それから第七条の関係、これは一々条文を読んでいますとまた松原さんの方から簡単にという声がかかるかもしれませんから、私は条文を読むことはこの際やめますが、しかしこの失業保険法の第六条、第七条の関係、それから失業保険法施行規則第六条の関係、それから昭和二十七年の労働省告示第十五号、つまりこのややっこしくいろいろな法律や施行規則の条文を並べた結論は、そのよって来たるところによりますと、この「失業保険法施行規則第六条第一項第一号の規定により」にただし書きがついておる。「当該機関に雇用される者の中、国家公務員等退職手当暫定措置法の規定による退職手当の支給を受けることができない者で、日々雇い入れられる職員及び六カ月に満たない期間を定めて雇い入れられる職員は、失業保険法の定めるところにより、被保険者とする。」これですね、ちょっと聞いていると大したことないようだけれども、非常に人員が多いのです。今の行政機関中には、これは前にもこの委員会で人数ちょっと申し上げたことがありましたが、まあその日々雇い入れられるという職員で、この条件の対象になる職員が、まあ推定ですが、これは人事院の調査したものもありますが、推定によれば、十万人以上はいるのです。十万人ぐらいは、大ざっぱに調査した調査ではもっと膨大な数字になっていますが、厳格にこの条件に当てはまる分だけでも十万人を越えておるのです。ところが今までの実績を見ますと、たとえば今年の春に、このすぐそばの恩給局に労働争議があって紛争が起った。あれは突発的に起ったのじゃなく、前から非常勤職員との間にごてごてしょっちゅう騒いでいる。それが最後に五月のあれは休みをきっかけにして大きな一騒ぎをやりましたが、まあ今までもずいぶん騒いで、騒いで騒いで、そうして去年やっと三橋恩給局長は、これらの職員を失業保険の対象にした。ところがよく調べてみますと大蔵省の方じゃ予算に組んでいませんね。日々雇い入れられる職員に対する失業保険の掛金の負担は予算に組んでいませんね。これはどういうことになるのですか。
  66. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) ただいまの問題につきましては、実は予算委員会でも御質問がございましてお答えいたしたのでございますが、これは法令に基く当然義務的な支出でございまするし、名目はあるいは失業保険というような名目になっていないかと存じますけれども、所要の金額を計上をいたしておりまして、その中から払う、さようなことに相なっておると存じます。名目につきまして失業保険金という項目があるかどうか、その点はちょっとここに予算書を持っておりませんのでお答えできません。
  67. 千葉信

    千葉信君 それはここでそういう答弁をされれば、予算委員会でどう答弁をしたかしれぬけれども、ここでそういう答弁をすれば、ここでは一応免れることになると思いますが、しかし実際にあなた方の方ではっきりこれはこの分だと言って、連絡がないのかしないのか知らないけれども、任命権者等は、それをもしあなたの方でかりにどこかに突っ込んであると言っても、突っ込んであるとは考えていないのです。いいですか。そこでもうしょっちゅう騒ぎが起っても、最後には追い詰められて届出を行う。そして届出というのはおれの方にこれこれの職員がいるから、だからこれは被保険者だと、被保険者扱いにしてくれと言って、最後にはしょうことなしに届け出る。騒がれれば届け出る。騒がれれば届出をするのは、これはあなた方がはっきりしてないから、予算をもらっていないからやろうにもやれないという立場で経過して、最後に騒がれて、やっと届け出て、そうして合法的な取扱いをするという格好になるのです。これが恩給局ばかりじゃなく、存外行政機関の中にはそういうことが多いのです。これはあなた方も知っておるはずなんです。これはもう私はあなた方が悪いとも、それからそれぞれの任命権者が悪いともここでは言いませんが、どっちが悪いかは別として、こういうやり方で経過していると、これはほんとうはやかましい意味から言うと、失業保険法によって罰則の適用を受けることになる。予算がないからと言って、そんなことは理由にならずに、この問題が究明されれば、失業保険法の第五十三条によって六カ月以下の懲役か、五万円以下の罰金です。あなたたちまでが、罰金とられるものを作ったり、刑務所に行くものを作ったりするような予算の組み方をしておるのです。どっちが悪いかは別として、これじゃいけないじゃないですか。あなた方の方でもっとはっきりとこの問題を処理されないと……。
  68. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど主計局長からお答えになりました通り、私どもはこの失業保険法に基く保険金その他につきましては、決してこれを支弁できないようなことはいたしておらないのであります。ただ千葉委員も御承知のように、人員等につきましても一応の見込みで計上いたしております。人員の単価、またこれに伴う庁費等につきましても、予算上一定の基準をもちまして計上いたしておるわけでございます。そこで、現実に各省庁におきまして失業保険その他の法令上の義務費等を支弁をいたす上に支障がございますれば、大蔵省に対して御協議がございまして、これでは予算が不足するから、他の費目から流用をしてほしいという御協議があるわけでございますが、その点は、予算執行の責任ある各省庁の大臣、長官に向いまして、支障のない限りは法令の定むるところによって義務的な経費を支弁をいたしてもらいますので、あまり干渉がましいことを申しておらないのでございます。ただ、しかしながら、これらの点につきましても御注意の点もございますので、今後人件費等の区分の件につきましては、なお一そう精微に調べまして、明白を期して参りたい、かように考えておりますが、従来のところでは一応さようにいたしまして、支障のないようにしておるわけでございます。
  69. 千葉信

    千葉信君 これは当然そういうふうに今後やってもらわなければならぬと思うけれども、もっと悪いことがあるのです。もっと悪いことがあるというのは、あなた方の方では一定の人件費を各省に割り当てる、割り当てられた各省は、これは各省とは言いませんが、任命権者はあなたの方からもらった人件費を引き伸ばしをして処理をする。たとえばあなたの方からの配算の予算によると、七百八十人しか割当がない。その七百八十人分を、今度は千百人とか、千二百人という格好で、非常にそれはひどい給与額にして、そうして職員を使っているという事実があるのです。こういうことも、結局あなたの方との折衝によって解決すれば解決がつくかもしれないけれども、あなたの方の交渉に応ずる態度いかんによって、結局そういう、はっきりいえばあくどいやり方がとられているということなんです。そういうやり方の一環として、今問題になっているこの当然失業保険法の六条、七条等によって事業主は、それから任命権者は、おれの方にもこういう失業保険の被保険者としての雇用者がいるという届出を政府に、これは労働省になりますが、届出をしなければならないことが、はっきり法律に規定されているのです。それをやらなければ罰則を受けるのです。六カ月とか、五万円とかの罰金を受けるということは、ちゃんとわかっていながら、みすみすごまかしている。こういうことはやはり僕はそういう場合は、あなたの方でうんと予算をふやして、どんどん出してやれということを言っていいのじゃないんですか。少くともそんなことのないように、さっきと同じように、あなたたちばかり悪いというのじゃないが、これは両方で考えてもらわなければいかぬ。  それから、まだあるんです、問題は……。予算の配算の関係とか、何とかは別として、今申し上げたように、日々雇い入れられる職員を雇い入れて、使役をする、そうして最初は、どうせこれは六カ月以上続けて雇用をするつもりだから、これはまあ失業保険の対象にしなくてもいいんじゃないかというので、そういう言いのがれで雇い入れて使っている。ほんとうにそれなら、これは失業保険法の七条にも、それほどぶつからない。ところがそれを今度六カ月近くなって、当然その職員は失業保険の被保険者になっていないんだから、この人はやめても、失業保険はもらえない。ところが六カ月以上になると、ほんとうに続けて採用してれば、今度はこの人に対しては、御承知の通り国家公務員等退職手当暫定措置法によって、退職手当を出さなければならない、退職手当を出すその金が窮屈なもんだから、六カ月近くなると首切っている。あなたたちは財布のひもばっかり締めて、予算さえうんと締めればいいという考えでやっているから、そういう困った問題が起っていることを、君が、僕は知らないはずないと思うがどうだ。あなたたちが、知らないというなら、知らないでもいい。そういう事実があることを、あなたたちは考えなくちゃいかぬ。これはうそや、はったりでも何でもない。実際にそういう事実を、私は確めているのですよ。たくさんある。それがちょっとや、そっとではないんだ。第一それがうそだと思うなら、あなた方人事院へ行って、人事院で、日本の制度の行政機関の中で働いていた職員、日々雇い上げの職員で、六カ月以下で退職したものの数と、六カ月以上で退職しているものの数を数えてごらんなさい。六カ月以上勤続しているのは、現在の状態から言っても、六カ月以上のものは二万七千人です。ところが今言ったような、失業保険の関係ではごまかして採用して、失業保険の被保険者としないで、今度は退職手当を支給しなければならぬ期日が近づくと、無情にもこいつを、首を切ってしまう。いろんな難くせをつけて首を切る。ひどいところになると、これは実際にあった問題ですが、恩給局に行ってごらんなさい、十五日間休んだら、そいつはもう首だ。常識じゃ考えられない。そういう内規まで作っておって、そうして六カ月以上勤続するものを防ぐようなことをしているから、六カ月以上のものは二万七千人で、六カ月以下のものは十万以上なんていう事態が起ってくる。うそだと思ったら人事院へ行ってきてごらんなさい。人事院の調書にはっきりしていますから……。これじゃあもうその任命権者の失態だとか、間違いだとか、あくどいやり方だなどと、すましちゃおられないと思うのです。なぜかというと、予算関係が出て来ますから、これはそこにおられる岸本君なんかも失業保険の問題についてはずいぶんその著書ではっきり意見を主張しておられるのだから、私はその点では岸本君の意見に同感です。同感だが、その事実が行われていないところに問題がある。岸本君もその著書で日々雇い上げの六カ月にならないものは、これは当然失業保険の被保険者たるべきものだ、これですね、やはり私はこの点はもう少し予算をあずかる方々として、御考慮いただかなければならぬものだ。現実に起きている問題です。
  70. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 私も予算の編成をしております上におきまして、かりそめにもそういう手段によって幾ばくでも金を減らそうという、そういう気持はないことは十分御了承いただきたいと存じます。ただいまのところ、実情に関しましては私ども寡聞にして実情認識の足りない点があったかと存じますが、よく一つ実情を検討いたしまして苛酷にわたるような点のないように、今後は各省十分協力してやって参るように努力して参りたいと存じます。よく検討したいと思う次第であります。
  71. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 午後二時まで休憩いたします。    午後一時二十二分休憩    ————・————    午後二時二十六分開会
  72. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 休憩前に引き続きまして会議を開きます。
  73. 千葉信

    千葉信君 午前に引き続いて発言をいたしますが、今回の失業保険法の改正に伴って退職手当暫定措置法の一部が変えられて、そしてその中で支給割合の引き上げられた点については、これは私も異議ないのですが、非常に不利益に引き下げられた……、引き上げられたものの割合よりも引き下げられたものの割合も多いし、これは一体先ほど来の質疑でも申し上げましたように、失業保険そのものと退職手当そのものとを全く同じ考えで扱うということは、私はどうも了承しかねる点ですが、御承知のように一般の失業者の場合に比べて退職手当を非常に不利益に支給された場合の公務員であったものの失業者の方がはるかにその条件も劣っていると思われるので、こういう失業保険の場合と同率に改正を行わなければならなかった理由を明らかにせられたい。
  74. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。千葉委員のおっしゃいますように、またけさほど来主計局長との質疑応答におきましても、千葉委員から公務員の待遇につきまして民間の勤労者との間のバランスの見地から申しましていろいろと御同情あるお言葉があったことは私もよくわかるのであります。今回失業保険が一律百八十日の給付を勤続期間に応じまして九十日から二百七十日というふうに四段階に分けられることに相なりましたので、私どもといたしましてはこの失業保険の給付にあわせまして、国家公務員の退職手当につきましてもこの失業保険の給付との差額について暫定的に補償の措置を講ずる、かような規定をいたしたわけでございます。  しからば従来の百八十日を二百七十日等に引き上げる方は一応よろしいけれども、引き下げなければならぬ理由はどこにあるかという御趣旨でございますが、この点は過日も当委員会におきましても御説明を申し上げましたように、私どもといたしましてはもとより国家公務員の待遇のよりよいことを望むものでありますが、しかし一方失業保険も国の重要なる社会保障の一制度でございまして、失業保険に対する国の負担は御承知のように三分の一ということに相なっております。もとより千葉委員のおっしゃられましたように、国家公務員に対しまして根本的になお一そう優遇の道を講ずるというお考えも私はまことにありがたいと思うのでありまするが、少くとも今日までの建前におきましては国家公務員の退職手当につきまして、失業保険の給付に満たない場合には、その満たない部分を補てんするという考え方をもちまして立法されておったのであります。そこで私どもといたしましても、この際失業保険について先ほど申し上げたような改正が行われる場合には、これに即応して一応改正をするということが従来の制度の建前から申しまして妥当ではないか、かような考えをもちまして改正案を提案いたしたような次第でございます。
  75. 千葉信

    千葉信君 この第十条の改正ですね、今まで一律に百八十日という基準であったのを、今度は勤続六月以上十月未満の者は九十日というふうに半分に切り下げられておる。そうして勤続期間の十月以上五年未満の者は据え置き、それから勤続期間の五年以上十年未満の者が二百十日、それから勤続期間十年以上の者は二百七十日、これですね、まあ失業保険の方もこうなったんですが、その意味では失業保険の場合にも同様のことが言えるのですがね、ちょっとこう拝見した場合、この改正は必ずしも悪い改正じゃないという印象を受けると思います。なぜかというと、四項目に分れているこの項目のうち、一つは不利になったけれども他の二つはよくなった、これはなかなかいい改正だと思う。さすがに民主党内閣のやりそうなことだという印象を受けるのです。しかしこれは中身に入ると実際これはあくどいやり方なんです。どうしてかというと、引き下げられた項目に該当する職員の数が実に多いのです。それから引き上げられた者の職員の数、つまり退職者の数はぐんと少くなっている。おまけにぐんと引き上げられた勤続期間十年以上の者二百七十日というこの率は全然適用される者がないのです。いいですか、正示さん。あなたの方で一番割合をよくしたのは、実際上はこんな項目に該当する職員は一人もいないのですよ。そこにあくどさがある。そうして全体の数からいきますと、全体の退職者の勤続の調書からいきますと、これをやるとだいぶ予算が余るでしょう、去年よりは。率を引き下げたものの退職者の数がうんと多くて、支給総金額がうんと多くて、それが半分になっている。片方引き上げた方に該当する者は一人もないという格好になるのですから、今度の失業保険金の率の改正でも、大蔵省では十億ぐらいもうけているでしょう。もうけていますよ。初めからもうけようとしてこういうことをやっているのだから。どうですか、その点は。
  76. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申し上げます。ただいま千葉委員から御指摘のように、この十条の改正に伴いまして四段階が設けられることにより、一応表の上では引き下げられる者はその中の一段階にすぎず、三段階のうち一段階は据え置きであり、二段階は引き上げである、という形の上ではまことにベターメントのようであって、実質は非常な酷な改正であるというふうなお話でございますが、私どもは決してさようには考えておらないのであります。なるほどこの失業保険におきましても、前回の委員会においてもお答えを申し上げましたように、今日までの失業保険法の施行の時期から考えまして、勤続期間の非常に適用を受ける期間の長い人が比較的少いというふうな関係から、今日の失業保険の給付の実情を見ますと、若干の負担の軽減ということになっておりますが、これは私は将来失業保険法がだんだんと樹立されまして、適用の年限も延長になれば、これはだんだんとその給付というものは伸びていくものである、そういう意味におきまして、これは国家の負担も伸びていくのであるが、しかし雇用の安定、産業の発展という点から申しまして、まことに慶賀すべきことであるというふうなことを申し上げたと思っておりますが、さように私どもは考えております。  なおそれに即応いたしまして、国家公務員等退職手当暫定措置法が、かように改正されましたが、たまたまやはり保険におきましては御指摘のように、若干従来通りの計算よりは減ります、これは千葉委員のおっしゃる通りであります、しかし十年以上の者の適用が全然ないというのは、これは事実に反しますからはっきりと申しますが、やはり若干ございます。五年以上十年未満の者は相当数でございます。これは私どもがやはり将来国家公務員等におきましても、勤続期間等がだんだんと延びて参るような傾向があれば、この長い方の適用者がふえて参るというふうにも考えており、またそういうことが望ましい、かように承知をいたしているのであります。決して非常なけちな考えでかようなことをいたしたのではないのでありまして、先ほども繰り返し申し上げました通りに、この従来の建前が非常に失業保険とのアンバラス、あるいは失業保険との差額を補給するという形においてお認め願っておりましたが、今回その本体の方が改正されますれば、これに即応せられるということにおきまして考えて参った。それ以外に他意はないということを繰り返して申し上げておきます。
  77. 千葉信

    千葉信君 勤続が十年以上の者に対して適用されるものがあるというお話ですが、これはあとから僕はちゃんと数字ではっきりと具体的な資料をもつてお尋ね申し上げますが、それにいく前に、そこへいく一つの段階として、実際の公務員の退職の状況がどれくらい、給付した者が一体どれくらいあるか、この数字が明らかになれば、これはここであなたと私と別に質疑応答しなくても事実はおのずから明らかになると思うのです。ですから一つ聞いて下さいよ。昭和二十八年の国家公務員の退職状況調べ、これはあなたの方の資料なんです、大蔵省の金融課の方の……。この資料、二十八年の退職状況調べ、それによりますと、一月以上一年未満の者、今回その率を下げられた者ですね、それは全体の二二・三%あるのです。数にすると九千七百七十二人あるのです。それから従来の百八十日そのまま据え置きになった該当の一年以上五年未満の者、これは率にすると四七・一%、この場合は人員にして二万六百八十七人、それから五年以上十年未満の者、これは割合にして二四%、人員は一万五百五十三人、それから十年以上の者が全体の六・六%、人員にして二千九百十三人、こうなるのです。これは今のやつは退職者ですよ。それから失業者の退職手当受給状況調べ、つまり今申し上げた失業者、退職者のうち退職手当暫定措置法の適用によって失業手当、退職手当を受ける者の割合ですね、人員別にしますと、一月以上十月未満の者が比率にして五一%、人員にして七千六百六十人、それから十月以上五年未満の者が四〇・五%、人員にして六千百九人、それから五年以上の者は八・五%で、人員にして千二百七十九人、あなたの方の調査の表もそうなっておりますか。今の表と食い違っておりますか。
  78. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま千葉委員からおあげになりました数字は、私どもの方ではっきり調べた数字を基礎にされてのお話でございますが、ただいま私の手元にありますのは、二十九年度中の初回受給者を対象にしましての調べでございますが、若干の違いはございますが、大体の趨勢はお話通りでございます。
  79. 千葉信

    千葉信君 そうしますと今回、これは金額じゃなく人員数ですよ、金額でなく人員数にしてその比率を見ますと、今回その不利益に扱われることになった者の数というのは、全体の五一%、それから今までと同じように扱われることになる者が四〇、五%、それから今までより少し有利に扱われる者が、これは八、五%、そうすると、これはこのままの数では比較できないと思います、御承知の通りその支給される金額等がおのずから違いますから。ですからこのままでは比較にならない点も、しかしそういう条件を考慮してもやはりその全体としては、結論からいえば予算が余るといいますか、結局その下った者の割合が多いのだから、割合は金額よりないのだから、それだけ今度の措置によって従前よりも予算上には非常に楽になるというか裕福になるというか、もうける。従ってその分だけ全体として退職した諸君は不利益に扱われるということになる。これは大蔵省は認めざるを得な伝いと思う。それですから、それで失業保険金の方のこの問題に対する考え方は、たとえば山林労務者とか、それから季節的労務者、こういう格好で一定の期間仕事をしたらあとは失業という格好で、失業手当をもらって、そうして一定の間食いつないでいく、さらにまた同じような季節的な労働を繰り返すという、そういう条件がかなり大幅に活用されているといいますか、乱用されているというか、そういう傾向を今度の法改正によつて規正するのだということを言っていますが、そういうものも一部にはあると思うのです。もう初めから計画的に、そういうふうに自分から遊んでいても食える制度があるからというので、この失業保険法なんかを活用している者もあると思うのです。しかしそういう一部の現象をとらえて、全体としてその他の善良な者まで不利益に落すような法律改正は、改正じゃない、改悪だ、しかも個々の場合には、これは退職手当をもらってやめた公務員の退職手当の金額が、失業保険金をもらうその条件から比べてみてももっと落ちるから、その点を補償するという格好でやっている制度ですから、そうなるとそういう場合も全然深甚な考慮を加えることなしに同率に引き下げると言われた。これは一体善政と言えますか。こういうやり方は。
  80. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまいろいろと資料を援用されましての御質問でございまして、まことに傾聴したのでありますが、千葉委員のおっしゃることは、今回の失業保険法の改正に対するいろいろの立法論として私どもも傾聴いたしたのであります。しかしこの点につきましては、先ほど申し上げましたように、失業保険制度というものの今日までの適用が日なお浅く、今後なお非常に大きな将来を持っておるわけでありまして、だんだんと適用期間等が延びていくに伴いまして、長い間被保険者であられた方々を優遇するという面が現われてくることを私は確信いたすのでありまして、さような意味におきまして、やはりお言葉ではありますが、改正であるというふうに一応考えておるのであります。なお国家公務員につきまして、ただいま二十八年度中の数字をあげての御質問でございましたが、この勤続年数別に御指摘のように、今回の改正によりまして不利益な待遇を受ける者、あるいは待遇がよりよくなる者との比率をおあげになったのでありますが、私どもも先ほど申し上げましたように、二十九年度中の数字を基礎にしてみますると、千葉委員の言われたよりは、なお待遇のよくなる分子が多くなっておりますが、大体のところを申し上げますと、従来通りの計算を一〇〇といたしますと、今回の改正によりまして、九八・三、すなわち一・七くらいの減少に相なるかと思います。しかしながら、これにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、公務員の勤続年数というものが時代とともに移っておるのでありまして、これは申し上げるまでもございませんが、一応の御参考までに上げてみますると、昭和二十四年と二十八年、これを比較してみますと、二十四年の平均勤続年数は八・一二年ということになっておりますが、これに対しまして、二十八年は一〇・三年であるということになっております。この間約二年強の延長になっております。しかも二十八年は御承知のように相当なインフレーショナリーな施策の行われた年でありまして、民間の産業活動は相当活発であったのであります。民間産業活動と国家公務員の勤続年数は微妙な関係がありまして、非常に民間の方に働き口が多いということになりますと、どうも比較的短かい方々が民間に転出するという現象が起りがちでありますが、その後の財政経済の正常化の施策等に伴いまして、私ども公務員はやはり比較的安定をした国家の保障のもとに働くという意味におきまして、だんだん動続年数等も延びておる傾向にあろうかと存ずるのでありまして、これらの点は、私どもといたしましては、二十九年の数字を基礎にいたしますと先ほど申し上げましたように、若干の減少でございますが、これはその減少を得るためにかような改正をしたのでは毛頭ございませんで、やはり将来勤続年数が相当延びまして、従来のような計算でやったよりもむしろ国家の負担がふえましても、それは全体としての国に対する奉仕、公共団体に対する奉仕が充実していくという意味において喜ぶべきことである、かように考える次第であります。
  81. 千葉信

    千葉信君 あなたの今根拠にされているものは、あなたの方の立場として有利な資料を使っております。いいですか、あなたは今勤続年数なんということをおっしゃったけれども、この暫定措置法による失業保険の支給という最低保障の契約に最も多く当てはまるものは非常勤労務者です。いいですか。非常勤労務者の勤続年数が逐年長くなるなんということは考えられるですか。それから非常勤労務者の数というのは、これは全部含めると四十二万人いるんですよ。それから常勤労務者が二万七千人、それから定員内の職員が、この間も定員法で改訂になった通り六十何万かいる。ここで一番問題に触るのは、その定員内の固定した職員と違って、日々雇い上げている格好で雇用されている非常勤労務者の場合のその失業保険金がもらえるかもらえないかという問題が一番大きな問題です。ですから、そういうものを全部含めて計算してみないとわからないです。ですからそういう点から言いますと、最も具体的に問題を究明するために、その最もはっきりした林野庁の非常勤労務者の退職状況を見ますと、これは今あなたの言われたような、そういう勤続年数がだんだん長くなっていくという場合です。この法律に最も関係のある場合の数字ですよ、その数字からいくと、昭和二十七年度では、四月以降、一年未満の者は人員にして三千七百九人、比率にして五九%、それが二十八年には人員にして四千五百二十五人、比率にして六七・三%、六七・三%というものは今度不利益に扱われるわけですよ。そうして従来と同率で扱われるものとして、二十七年には千九百七十三人、割合にし三一・四%、二十八年になると、これが千六百五十九人で二四・七%、これは従来と同じ割合です。ところが今度逆に有利に扱われるものということになりますと、二十七年には四百二十七人、割合にして六・八%、二十八年には四百十七人で六・二%、それから十年以上の場合は、二十七年は百七十六人の二・八%、二十八年は百十九人で一・八%、実はこの比較は、この引き上げられた恩恵に浴しない事実はあとで質問しますが、とにかく今のそういうふうな比率でいきますと、悪くなるものが二十七年度では五九%で、よくなるものは九・六%です。五九%に対して九・六%です。よくなるものは全然けた違いです。二十八年のごときは、六七・三%という不利益なものに対して、よくなるというのは全部でこれが八%です。六七%に対して八%です。これは林野庁の場合です。参議院の職員の場合も私は全部調べがついていますが、これはあまりくどくなって意識的に審議を延ばしているということになると困るから、そこまではやりませんが、どだいこの数字から言っても、今回の場合はあなた方が言っているふうに、そんなに不利益ぢゃないということは全然言えない。この点はどうですか。
  82. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま千葉委員が特に林野庁をお引きになってのお話でありまして、この点は林野庁の非常勤労務者、職員というものは、これは政府の中におきましても特殊な雇用形態でございまして、この問題につきましては、かねがね問題として御指摘を受けております。私どもも常々その問題の処理については苦心をいたしておる次第であります。従いまして、ただいま特に二十七年と二十八年の数字をおあげになっての御指摘でございますが、この点はやはり雇用の形態の本質にも関係があるかと思うのであります。大体におきまして私どもの考えでは先ほどのお答えを申し上げましたのは、失業保険制度の改正につきましての今年は負担が減ったであろうというお話に対しまして、将来のやはり産業の安定、雇用の増進というふうな面から永続的な雇用ということがだんだんと保障することに相なれば失業保険の給付ということも改善されていくだろうという一般論を申し上げたのでありますが、ただいまのような林野庁のような特殊な形態につきましては、これは従って一つの例外的な問題を提起しておるわけでございます。また先ほどおあげになった恩給局の恩給処理の問題、これも一つの臨時的な事務であるという形におきまして特殊の雇用形態をとったわけでございますが、それらも御指摘のような問題があったわけでございます。しかし、こういうような一つの特殊の問題はこれは雇用の形態をいかにすべきかという問題といたしまして、なお別に研究を要するかと思うのでございますが、一般的に申しまして、やはり経済の安定、雇用の拡充ということが行われますれば、自然にこの一般民間の雇用につきましても永続性がだんだんと増加いたしますとともに、国家公務員等につきましても国家あるいは公共の団体の職場から民間の職場へ移るというふうなこと、そういうことがだんだんと一つのノーマルな形におきまして自然の姿になって参るといたしますれば、私は勤続年数というものはおのずから延びて参ると、こういう一般的な傾向についてお答え申し上げたのであります。従いまして、さような場合におきましては今日いわゆる非常勤職員として定員外におりますような職員のうち、さようなノーマルな国家公共団体の事務というものがおのずから安定した形において保障されるような場合におきましては、できる限りこれらを定員化するというふうな努力もまたあわせて講じなければならぬのではないかというふうにも感ずるのでございます。いろいろ本年多少の予算の節約といいますか、減少になっております関係上御指摘でございますが、将来の大きな方向といたしましては私どもは雇用の拡充、経済の安定、発展というふうな見地からこの勤続期間に応じての少くとも失業保険の給付というものは改善されていくものと、それに対応いたしまして国家公務員はその失業保険の給付との差額だけは補てんをしていただくものと、かような建前においてこの制度を御提案しておるということを申し上げておきます。
  83. 千葉信

    千葉信君 今、正示君が言ったように経済の発展とか雇用の増大とか安定とか、まあ今政府の方でも六カ年計画というふうな絵にかいたもちを出していますが、あのもちがほんとうに口に入るもちだとは私ども全然考えておりません。ですからそういう意味で私どもはそういう将来の絵にかいたもちの問題についてそこまでいったらどうなるかなどということをここで考えているのじゃなくて、現実の問題として今日の状態のもとにおけるこういう制度の改正というものがどう国民生活に影響を与えるか、かつて公務員だった者たちにどういう影響を与えるか、こういう具体的な問題をやはりお互いに眞剣に考えなきゃならぬと思うのです。そういう意味では今あなたは雇用制度等についても十分改善されていかなければならぬというお話で、そういう問題との関連で御答弁をされておりますが、私はここでその問題に発展したら切りがないと思うのです。その問題についてどういうふうに問題の総合的な解決をはかるかということについてあなたとここで質疑応答を重ねたらこれはもう委員長から注意されるにきまっている。ですからそうじゃなくて、僕はもっと具体的な問題についてはっきり明らかにしなければならない。まあ究明なんていう言葉は使いません、私は。明らかにしなければならぬ。明らかにしなければならぬ問題に関連して、たとえば問題は失業保険法の問題であると言っておられまするが、そうじゃなくて、私はあくまでも失業保険法の改正に伴って改正される退職手当の暫定措置法にどういう問題が伏在しているか、こういう点を私は明らかにしたいと思うのです。そうしてあなたは今そういう問題に関連してここで私の例示しました林野庁の臨時職員の場合のごときはこれは現在の行政機構のもとにおける恒常的なものではない、もしくはまだ正常なものではない、これはその通りなのです。これは改善されなければならぬ、この状態は。しかし現在その雇用の形態がその仕事の関係なんかからいっても、急速に季節労務者として山で働かした労務者をずっと定員内にして雇っていけるかどうかということはこれはなかなか解決は困難だと思うのです。従ってそういう意味からすればこういう状態の雇用は当分の間少くとも続くものと考えなければならぬ。続くものと考えなければならぬ。しかし一番問題になる今度の退職手当の暫定措置法の関係がここに問題があるのです。実はこういう職員を除外して一体私どもは目の色を変えている問題はないのです。この問題が今度の改正によって有利になるか、不利になるか。ほんとうに私の言うように不利になるとすれば、これは失業保険の問題じゃなくて退職手当の問題だ。この人たちは失業保険をもらう人たちじゃないのですから、ですからこういう数字というものからいって今度の改正が公務員全体として非常勅労務者、常勤労務者全部含めて有利なものか、不利なものか、あたたかいものか非人情なものか、もし明らかにそのやり方が不当なものだとしたら、これはやはり大蔵省として十分考えなければならぬと思うのです。ですから、これはあなたはそういう問題は変則的な状態だとか、それはもう現在の雇用状態の正常のものではないなどということを言うておるのだったらこれはむしろ筋違いで、これは実は問題の中心です。あなたの方の改正された今度の暫定措置法のこれは問題なのです。この人たちが退職手当はもらったけれども、その退職手当が一般の労働者の失業保険にも満たないから、その失業保険の分だけは保障するというやり方をされている人なのだ。その人たちが失業保険法が改正になってこっちの方も影響を受けておる、これを全然考慮されずに同率にした、そこに問題がある。
  84. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほどの私のお答えが少し不徹底であったかのように思いますので、ある程度補足をいたしながらただいまの御質問に対してお答えいたしたいと思います。私もこの林野庁の職員、これは相当の数に上っておることは承知いたします。また一般的には失業保険の適用を受けない国家公務員の中で、今回の失業保険との差額の問題につきまして具体的に問題になっている大部分の問題の中におきまして、この林野庁の職員がきわめて重要なものであることはお説の通り存じておるわけであります。ただ、しからばこの部分だけを念頭に置きまして、従来失業保険の給付ベースにいたし、そのベースに満たないととろは補てんするという建前をくずしていくかどうかということはこれはまたきわめて重要な問題になるかと思うのです。まず第一に考えられますことは、林野労務者、かような森林関係の労務者というものは何も国だけのものではございませんで、やはり民間にもかような労務者がおられるのであります。その場合にその人たちの失業保険につきましても先ほど申し上げましたようにその母体と言いますか、母法と申しますか、基本の失業保険法の勤続期間によりまして給付の日数を異にするという改正が行われておりまするので、それとのバランスということをどうしても考えて参らなきゃならぬかと思うのでございます。それから第二に、やはりこのことは国家公務員全体といたしましての雇用の問題というふうなことを申し上げたのでありまして、たまたま林野庁の職員をおあげになりました、なるほど今のような面もございますが、しかし少数とはいえ、やはり改善を受ける者もあるわけでございます。従来よりも給付が充実し、改善される面もあるわけでございます。それはやはり全部、まあいわば現業は別といたしまして、一般の公務員は中央、地方を問わず、税金をもって支弁をせられるわけでございます。かような点から言いまして、やはり失業保険法という基本法の改正に即応するという従来の建前を維持する限り、今回のような改正はやむを得ないものと考えておる次第でございます。
  85. 千葉信

    千葉信君 全体としてあまりいい改正ではないけれども、しかし一方にはよくなる者もあるからいいじゃないかということにあなたの結論は落ちつきますが、問題はそこにまた一つあるんです。よくなる者もあるから、まあがまんしろというけれども、実は実際に該当してよくなる者はないんです。それね正示さん、こういう資料があるのですよ。退職手当をもらってやめた者が失業していて、そうしてこの法律の適用を受けるために、職業安定所へかりに失業保険をもらいに行くとしますか、もらいに行くには、自分のもらった退職手当を大体使い切ってしまった日からでなければもらえない。これは失業保険法ではっきりしている。ですから、そのもらった退職手当を日割にして、たとえば一カ月とか二カ月とか、あるいは八十日とか九十日とか、そこまで退職手当をずっと日割にして、その人が食えるという計算、その計算は失業保険法にありますが、この計算をして、そうしてそれがいよいよなくなった日からでなければ失業保険はもらえないでしょう。そこでこういうことになるわけです。退職にはいろいろありますが、この場合には普通の退職だけを問題にしてみましょう。普通退職をした六カ月以上十カ月未満の普通退職者は、そのもらう給与額はちょうど十二日分もらっているわけです、ですからこの人は十三日目からしかもらえない。わかりましたね。ところがその人は、旧法でいくと、十三日目からあと百六十八日間失業手当をもらえるんです。新法でいくとそれが七十八日間しかもらえない。今度の案で行くとこれは六カ月以上十カ月未満の者ですよ。それから一年以上二年未満の者、これはいずれも月給者ですが、これも待期日数十二日、そうして旧法によると百六十八日、新法によると百八日、これは不利なんです。このあたりは、しかしあなたの今言われた、よくなる者もあるからという、そういう御答弁の対抗資料じゃないんです。例としてお話ししているんです。ところが、そういう格好の人たちがそれではどこでよくなるかというと、五年以上六年未満、それから七年以上八年未満、こういうところは待期日数というのは七年以上は百二十六日でいいんですが、今までの法律では、あと失業保険をもらえる日数というのは五十四日です。ところが今度の新法では、これが五十四日しかもらえないのが、八十四日もらえることになるからこれはいいんです。ところがその次が問題なんです。十年以上、つまり二百七十日分もらえることになった者、一番いい条件に改善された人ですよ、その人の待期日数というのは百八十日です。その人の失業保険をもらえる日にちというのは、旧法によるとゼロですが、今度は九十日になる。この辺だけはよくなるんです。との辺だけはよくなっているんですが、十一年以上の勤続者になりますと、今度の新しい改正によって二百七十日分ということになっている。支給される該当者は十一年以上は全然ないんです。それから同じ退職であっても、傷痍病退職と、それから整理退職、これは全然該当者がないんです。該当者がないものに待期日数が長いんです。そうすると実際有利になった、有利になったといっても、それに該当者がいないようなそういう改正では、その改正はあなたの言うように悪くなった者もあるけれども、若干はよくなった者もあるからいいんじゃないかというようなことにはならないと思うんです。この点はどうですか。
  86. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申し上げます。これは私どもも一応試算をいたしましたのでありまして、ただいま千葉委員のおあげになりましたのは若干数字が違うようでありますが、大きな食い違いはないのでありますが、大体私どもの計算によりましても勤続期間五年以上、この方々は有利になります。勤続期間五年の方で、現行法でございますと、待期日数は五十日、なお百三十日が差額としてもらっておられるわけであります。これが改正によりますと百六十日分をもらう。六年になりますと待期日数九十二日、現行法で八十八日が百十八日になる。なおずっと参りまして十二年のととろまではよくなるように一応私ども計算が出ております。千葉委員お話は、十一年からはもうよくならぬというお話でございますが、十二年のととろでも、現在は現行法ではゼロでございますが、二十二日分もらえる、こういう計算が出ております。従ってまあそこの言い方が、悪くなる者とよくなる者と、多い方が非常にあれだから、よくなる者があるからといっても悪くなる者もあると、こういうお話でございますが、これは私どもは先ほどの特に問題の林野庁のような例をおあげになりますが、そのほかによくなるような部面もあるという意味で申し上げたのでありまして、やはりそれぞれの分野によりまして雇用の形態も違っておりまする関係上、ただいまのように勤続期間が長いようなものにつきましては、これは今回の改正によりまして待遇も改善をされる、そういう面もあるということを申し上げた次第でございます。
  87. 千葉信

    千葉信君 私の方の資料とあなたの方の資料との食い違いは、私の方は本法だけを対象にして調査したからある程度の食い違いは数字の上で出てくるかもしれません。しかし、かりに一歩を譲ってあなた方の方の数字が正しいとして十一年、十二年でも若干の給付日数がかりに残るといたしましても、その点はあなた方の今度の法律の付則によると三十二年の何月からという格好に先に延ばされているのじゃありませんか。それはどうなんでしょう。
  88. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。これは先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、これの説明という意味ではなかったのでありますが、失業保険制度が施行されまして日が浅く今日まだいわゆる勤続期間の十年以上という方々が、失業保険の方に、その本体の方にないわけでございます。そこでこういう経過規定を入れまして、そういう方々があるまでは、やはり二百十日という暫定的な日数によりまして本体の方にあわせておく、こういう考え方をとったわけでございます。
  89. 千葉信

    千葉信君 そこにまた問題があると思うのですね。あなた方は失業保険法が今度変えられたからそれで損をするんだ、どうするんだとさっきから言われておりますが、損する方については容赦なく失業保険法の率がこういうふうに変ったからといってこうやっている、少しでも今回公務員の場合はやればやれるものを、あなたの方ではこれで押える、こういう場合には暫定措置の方で何らかの措置をとろうと思えばとれるでしょう。公務員等一般の場合と比べると条件が違うし、それに今度一方は退職手当をもらって、そのほかの失業保険、こっちの方は退職手当だけを対象にして考えて、そういうふうに失業保険金の額にも達しないという状態にあるのに対する救済の措置なんですからおのずからそこにある程度の差別があってもしかるべきだし、まあこれは私の意見だが、また政府としてはその程度の心づかいくらいは当然私はやっていいと思う。どうしてそれをやろうとしないのか、その点がまだふに落ちない。
  90. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。大へんわれわれ公務員としてはありがたいお言葉でございますが、この国家公務員等退職手当暫定措置法昭和二十八年法律第百八十二号でございますか、この法律をお作りいただきました御趣旨がそもそも先ほど来問題になりました失業保険法を基礎にいたしまして、せめて失業保険の給付に、すなわち民間の方々で失業保険の適用を受けている方々に退職手当の及ばないような場合はその差額を見てやろう、こういう親心と言いましょうか、これは非常に古い表現になりますが、さような趣旨でこういう法律をお認めいただいているかと思うのでございまして、さような意味合いをもちまして今回の改正は将来の長い期間にわたりましては、勤続期間十年以上の者は二百七十日を支給するということに相なっておるのでございますが、さしあたり昭和三十二年の十月三十一日まではさような方が母体であるところの、あるいは基本法であるととろの失業保険の方にはないということでございますれば、やはり失業保険法というものがあって、それとのバランス上国家公務員等につきましての退職手当の暫定措置法というものがお認めを願っておるという意味合いにおきまして、現実にそういう方の発生するまでは経過的規定をもちましてバランスをとる、かようなことを考えたのでありまして、これは何かこう非常に財源的に困難のような印象をお受け取りかと思うのでありますが、これはさようなことではございませんので、どこまでも失業保険法という基本法を基礎におきまして、それとのバランスというような形で考えておるのでありまして、その辺先ほど来いろいろ御質問もございまして、お答えを申し上げましたが、一貫をいたしまして本体であるところの法律にあわせていきたい、かような考え方をとっておるわけでございます。
  91. 千葉信

    千葉信君 まあ今の暫定措置法からいけば、これは冒頭でも問題にいたしましたが、あくまでも暫定であって、これでいいという、この程度のことでいいという最終決定ではないからその意味では最低保障といいますか、こういう失業保険の額に満たない者に対してはとりあえずこういう措置をとるというようなやり方も、これはやむを得ないかもしれません。しかし本来その退職手当は退職手当として考えなければならない問題で、一方は退職手当をもらって、そのほかでの失業保険は、これは本来別のものなんだから、公務員といえども退職して手当はもらっておる、失業した場合に応じて失業手当をもらえるという条件なんかについては、今のところではこれはもらえないことになっておりますが、そういう点も考えようによっては、民間の場合も退職手当が出るし、公務員の場合にも退職手当が出るのだから、片方は失業保険をもらえるという条件であるのに、こちらの方の現行法からいえば保険の掛金もかけていないという条件もありますが、それはあくまでも法律上の問題です。ですからそういう点を考えますと、やはり当面の退職手当というものはまた別な角度から失業保険とは切り離して考えなければならない。そういうことに私は持っていかなければならぬと思うのですが、ただ今あなたが言われたように、これは暫定措置だから、そういう意味では失業保険法の方に準用の本体をおくという考え方に、私は必ずしも賛成じゃないが、あなたの答弁は答弁として私はそれを認めるが、しかしそれでこれが将来暫定措置ではなくなって、大蔵省が従来いっていらっしゃる恩給法だとか、それから共済組合法であるとか退職手当の法とか、こういうものを正式に、本格的に最終結論を出す場合にはやはりこういう失業保険との関連はこちらの方の給付を受けるととがなくてもいいやうな格好の法制化を考える必要がある。結論は結局、その退職手当が非常に少いからというところに原因してこういう保障が必要になってくるわけですから、ですからやはりそういう点も私は考えてもらわなければならぬと思うのです。ですからそういう意味で私は今この問題についていろいろ、時間もないようですが、以上申し上げたやうな意味ではっきりと、根本の観念というか、概念の上でこみ入った考え方で混乱させると問題がすっきりしなくなるから、問題の性質からいって失業保険金と退職手当は違うのだという、生来その性質が違うのですから、違うのだというはっきりした考え方に立ってとの問題を処理するやうな格好にしぼられて持っていってもらいたい。そうでないといつまでたってもこういう問題が解決しないし、おまけにあなたが言われたように雇用の形態についても今言ったやうな格好ではいかぬということは、それはお説の通りだと思うのです。もちろんその問題も別な角度から雇用の正常化というか、もっと常態に引き戻す格好での改善は、これは別な角度からやはりそういう角度で政府の方でももう少し考えてもらわなければならぬ。  そこで最後に、私はこれで終りますが、失業保険金の方については、これはまあ大体昨年よりも予算の計上については楽になったということははっきりした、それと同時に国家公務員関係の場合に去年と同じ状態の退職者の場合に、一体この法改正によつてその去年と同じ退職という、数もそれから俸給額も同じ条件だと考えた場合に予算は一体幾ら余ることになるか、何%くらい余るか。金額でもいいし、割合でもいいです。
  92. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 割合で申しまして一・五%でございます。
  93. 千葉信

    千葉信君 一・五%、ほんとうですか、それくらいしか余らない、一割七分と違いますか。
  94. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほども申し上げましたように、九八・三と先ほど申し上げましたが、これからいきますと一・七%、まあ、大体におきまして一・五と申し上げたのですが、一・七というのが正解でございます。一割という数字では絶対ございませんから、その点は御了承願いたいと思います。
  95. 千葉信

    千葉信君 私はその数字に疑念を持っているし、今年の退職者の予想の上に立って立てられているとすれば、それは私の質問している点と違うことになりますから、私は去年と同じ条件、同じ数の退職者、いいですか、同じ数の退職者、それから俸給額等も去年と同じと考えて、この法律改正によって起ってくる差額、これは違うでしょう。
  96. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど千葉委員がおあげになりました数字が、二十八年度中のいろいろのデータを基礎にして御推定に相なったようでございましたが、私どもは二十九年度中のデータを基礎にいたしまして積算をいたしております。その点が違うかと思います。この点につきましては二十八年度と二十九年度では、先ほど申し上げましたような経済界の客観情勢と申しますか、多少の違いがあったかと思います。おあげになりました数字も一々こちらに控えたのでございますが、大体の趨勢におきまして、長い勤続期間を持つ者が少い、これに反して比較的短かい者が多いというデータは二十八年も二十九年も変りはないのでございますが、やや二十九年の方が比較的長い勤続年数の者が多いというふうなデータが出ておるわけでございます。さような観点からあるいは多少の数字の食い違いがあるかと存じますが、そういう最近のデータを基礎といたしまして推算をいたしますと、一・七%の減少ということになります。
  97. 千葉信

    千葉信君 これは私は、この数字はちょっと私の持っている数字と食い違っていますから、この点についてはしかしあとで何かの機会にもっと正確に聞きたいと思いますが、私はちょうど約束の、きちっと三十分になりましたから、これで私の質問を打ち切ります。
  98. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑ございませんか。
  99. 野本品吉

    ○野本品吉君 この法案とは直接関係のない問題ですが、正示さんよく御存じのことと思いますが、先般衆議院における民主党及び自由党の共同提案によりまして、旧軍人軍属等の恩給その他の改訂が行われたわけでございます。これは議員の提案でありましたけれども、その妥当性を認められて政府側もこれに賛同の意を表せられた案である。で、この案の審議の途上におきまして、かねがね問題になっておりました昭和二十三年六月以前の退職者の恩給が、その後の者に比較いたしまして著しく劣悪な状態に置かれているということが、衆議院のほとんど全員によって、理屈は別といたしまして、現実具体の問題として確認された、そこでその軍人関係恩給法案が成立いたしますときに、付帯決議といたしまして、この現実の事態に対して急速に適当に措置を講ずべきであるということの付帯決議を付してその案が参議院に回って参った。参議院におきましても、軍人の恩給を中心として論議しましたが、衆議院のその付帯決議を再確認いたしまして、その具体的措置の急速実施を強く要望するという付帯決議を付しまして、これが通過成立を見たわけです。そこで私は両院が非常な熱意をもって一致の決議をしましたとの付帯決議に対しましては、大蔵省当局としましても当然善意の努力を傾くべきであると、こう考えておりますが、いかがでしょうか。
  100. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 私からお答えをいたすのがあるいは不適当かと思いますが、主計局におりまするので、代表いたしましてお答え申し上げます。ただいま野本委員の御指摘の付帯決議は、私どももよく承知いたしております。お話しの御趣旨は、昭和二十三年六月以前のこの裁定を受けました方々の文官恩給に、その後の方々との間にアンバランスがあったと、どれが是正をすみやかに講ずるようにという御趣旨であったかと思うのでございまするが、この点につきましては、私どもといたしましても両院の付帯決議の御趣旨につきまして、その御趣旨を十分尊重いたしまして、すみやかに実態につきまして関係の向きにおかれまして調査をされて、これが是正の具体案ができました上は大蔵省にお持ちに相なるわけでございますが、その節は十分慎重に検討を加えまして、実情に即応した必要な措置を講ずるように努力をいたしたいと考えております。
  101. 野本品吉

    ○野本品吉君 なお、その審議の途上におきまして、三橋恩給局長及び給与担当の大久保国務大臣も、あなたと同じように、実態の調査の上善処すると、なお調査の結果として至急何とかしなければならないという場合には、大蔵省に向かって堂々と予算要求をする、こういうことを言われておるんでありますから、この点もあわせてお含みおきを願いたいと思う。  で、従来この関係者はあまりに柔順であり、あまりに良心的であるものですから、あなた方のところに陳情に行きましても、おそるおそる参っておりまして、ほとんどおどおどしている。主計局長のとことなぞ行きますというと、きわめて簡単に追い帰されて、遠慮して参ったわけなんですが、まあだんだん長いこと要望を続けて参っておりまして、今までは何とかしてもらわなくちゃならぬという強い気持ちになっております。  なお、ここであわせて私から申し添えておきたいのですが、これは軍人がよくなったから文官もよくせよという、そういうことでありません。文官の内部におけるアンバランスを調整してほしいということでありまして、軍人と文官とで追いかけっこをしてやっているという、そういうものではないことをあわせてつけ加えておきたいと思います。どうぞ十分御考慮のほど希望いたします。
  102. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言はございませんか。……他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認め、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは直ちに採決に入ります。  国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  105. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  なお、本報告書には多数意見者の署名を附することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     野本 品吉   松原 一彦     木島 虎藏   植竹 春彦     中川 以良   宮田 重文     長島 銀藏   豊田 雅孝
  107. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 暫時休憩いたします。    午後三時三十九分休憩    ————・————    午後五時四十八分開会
  108. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 休憩前に引続き委員会を附きます。  公共企業体職員等共済組合法案を議題といたします。  本案に対して御質疑のある方は御質疑を願います。
  109. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この公共企業体の特に福祉事業が従来から中小企業に深い関係を持っているわけでありますので、これに関連いたしまして、二、三さしあたりこの際明らかにしておきたいと思います点を伺いたいと思います。  まず第一点は、これを議員立法にするようになったいきさつと、さらにこの国会をどうしても選ばなければならなかった、要するに特別国会を選ばなければならなかったというその事情を承わりたいと思います。
  110. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 この三公社の退職年金制度、短期、長期の給付につきまして、われわれ提案者といたしましても、願わくは政府提案とすることが妥当であるとは思いましたけれども、第一に、昨昭和二十九年十一月に、臨時公共企業体合理化審議会の答申におきましても、また第二には、第十九国会の衆参両院の内閣委員会におきましても、恩給法の一部を改正する法律案において、蒸気機関車等重労務危険作業に従事いたします職員の加算につきまして、臨時延長措置をとったのでありますが、その審議の際におきまして、近くこの公共企業体の職員に関する年金、また給付問題は根本的な立法を確立すべきことがきびしく指摘せられましたので、われわれ今回の提案者一同といたしましては、その当時より政府による抜本的の提案を待望して、三公社の職員諸君が安心して職務に精励せられることを期待いたしておったのでありましたけれども、今国会に入りまして、すでに昭和三十年度予算は通過してしまったので、政府としても、提案の運びには至らなかったので、やむなく議員提案といたした次第でございます。さらにまた、この法案を次の国会まで提案を延期しなかった理由は、今回この法案の設置をいたしますその内容について、公社当局と公社労組との間に円満協調が成立しまして、もっとも多少の修正意見はとにかくといたしまして、提案内容の大要におきましては、意見が一致をいたしましたので、この機会を逸せずに、わが参議院においても与党を含む各党各会派有志相はかりまして議員提案として、委員各位の御理解ある御審議に訴えるに至った次第でございます。
  111. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 提案理由の説明を伺いますと、金銭的給付の方については詳細述べられておるのでありますが、先ほど申すように、中小企業に及ぼす影響が大きいという点から、業界から非常に関心を向けられておりまする福祉事業の方には、提案理由として触れられておらぬのでありますが、これはどういうような含みがあるのでありますか。
  112. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 ただいま豊田委員お話通り、提案理由の中にはただ一行、福祉事情についてございますので、ほとんど触れていないも同然でございますが、これは福祉事業につきましては、三公社それぞれ別々に従来やって参りました通りを踏襲いたして参る考えのもとに触れてなかったものと、どうぞ御了解をお願いいたします。
  113. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、福祉事業は国鉄、電電公社、専売公社、この三つを合わせて一本で新規に再出発するという行き方ではなく、従来それぞれ別個にやっておった三本をそれぞれの別の建前でやる、しかも今までとはあまり変りがないというふうにお考えになっておったのかどうか。
  114. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 その通りでございます。
  115. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これについては、国鉄の従来福祉事業が非常に問題になってきておったのでありまして、その金額、数量も多いし、運賃割引関係等についても今まで非常に問題になっておったわけでありますが、これについては資料も詳細出ているようでありますから、これらを拝見いたしまして、改めて詳細御質問もいたしたいというふうに考えておりますので、それを留保いたしておきます。
  116. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑はありませんか。
  117. 木下源吾

    ○木下源吾君 この間、給付に要する費用は公共企業体の負担金が非常に大きくなるような答弁があった、政府から、大蔵省から……。ところがこれは多少思い違いのような点があったのではないかというふうにみております。公共企業体がこの法案によって負担金が新たに大きくなるかどうか、そういう点を一つ伺いたい。
  118. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 負担金はこの制度が始まりましてから二十年ないし二十五年の間は漸増いたして参りまするが、その先はかえって今の制度の方が負担金が楽に、軽減いたして参るカーブが、データーがただいまできておりますが、なおこれは抽象的なお答えでございますので、具体的の数字につきまして、もし御質問がございますれば、幸いただいま三公社の方から参考人が参っておりますので、委員長お許し賜わりますれば、三公社の方から数字につきましての御説明を申し上げたいと思います。
  119. 木下源吾

    ○木下源吾君 同時に組合員の掛金の変化についても簡単に一つ説明を願います。時間がお約束してあるので、これはあとで書いて御答弁いただきたい。その間にちょっとあとの分を何しますが、この国鉄、電電公社等が企業体に切りかえられた当時、恩給法の適用を受ける職員と受けない職員ができた。この適用を受けない職員が資格を変更して適用を受けるようになる機会が与えられていない、この不均衡はすみやかに是正する必要があったにもかかわらず、何ゆえ今まで放置しておったか、提案理由のうちには具体的な点が明確でありませんので、この法案の提案に協力せられた参考人として、国鉄理事の安孫子君から、従来の制度と本法案の相違点をごく簡単にこの際承わっておきたい。
  120. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 木下委員に申し上げますが、安孫子君はきょう出席をされませんが。
  121. 木下源吾

    ○木下源吾君 それでは提案者一つ……。
  122. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私から御説明申し上げますが、従来は国鉄、専売、それから電電の三公社は、まあ官吏として、それから引き続いて公務員となって恩給法の適用を受け、一方におきまして共済組合法の適用を受けまして、従いまして、本人の意思いかんによりましては組合の掛金を継続しておりますると、共済組合から年金をもらうことができ、また国庫から恩給をもらうことができる。従いまして、その両者を合わしまして退職後の生活の一部を保障される、こういうことになっておるのでありますが、公共企業体に切りかえられましてからは、いわゆる雇員から官吏になる、すなわち公務員になるという機会がなくなりましたために、共済組合法におきまするところの年金の受給だけが与えられるだけでございます。従いまして、引き続いて、引きつぎ当時の公務員であった者に対しては恩給法の適用も受けておりますので、その人たちは両方の支給を受ける。ところがそれ以来は任官という制度がなくなりましたために、もう共済組合法による年金の支給のみである、こうなりましたので、その間のバランスを失することになりました。従いまして、これをすみやかに是正をして、同じ職員でありますから、長年勤続した場合には同等の待遇が得られるようにしてもらいたいという職員のきわめて強い要望がありまして、当局におきましても、それぞれ起案にかかっておったのでありまするけれども、財政上の理由、あるいはまた企業間の調整等によりまして今日までおくれておったのでありますが、しかしまだなかなかその問題の結論を出すというところまでになっておらなかったので、われわれ議員の有志が、各党超党派的に寄り合いましてこの問題を解決しなければならぬというので、それでは議員の政治的な立場、それから国の財政経済政策一般を考慮いたしまして、妥当なと認めるところの公共企業体職員等共済組合法という本法案を提案いたしまして、この要望にこたえる、こういうことになった次第でありますので、要するに、一番要点が恩給と共済組合を一本にして、そして二つをもらうと同様、あるいは若干上回る、長年勤続した者については若干上回るような年金が一方の共済組合から与えられるようにするというのが、一番本法案の要点であります。
  123. 木下源吾

    ○木下源吾君 実は、本法案は超党派的に非常に熱心なる提案でありまして、本国会中に成立させたいと、こういう希望が多々ありましたのでありますが、何せ会期は逼迫いたしまして、ほとんど質問もできないかのごとき状態になりました。委員長のお取り計いで、この法案は次の議会まで継続審議をしていただけると、こういうことの御了解ができましたので、私は非常に感謝しておるわけでありまして、そのあとの法案に対する時間の都合も非常に逼迫しておりますので、本日は私はこれで質問を打ち切っておきますが、どうか次の議会において十分審議せられまして、各党の要望にこたえられるように、委員長において取り計いを願いたい。
  124. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 議事進行について。本法案は、その性質上すみやかに成立せしむるものと考えますが、本国会の会期も逼迫いたし、十分審議する時間がありませんので、やむを得ず閉会中も継続して審議せられんととの動議を提出いたします。
  125. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は、ただいまの長島委員の動議に賛成いたします。
  126. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 長島君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは公共企業体職員等共済組合法案につきましては、継続審査の要求書を提出いたしたいと存じます。   —————————————
  128. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に関し、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  129. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 このいわゆる駐留軍労務者という諸君についての退職金の特例に関する法律案でありますが、駐留軍が、本委員会におきまして法案を審議している際に政府の方でも言明されましたように、日本の自衛力漸増に伴って、地上部隊が撤退する。従ってこの駐留軍の労務者の諸君も、そのために、あるいはアメリカ予算の削減等のために相当大量に、しかもほとんど日本の労働法規を無視したというような状態で、一方的に解雇される場合が多いと思うのでありますが、これらに対して、今まではどういう救済処置が講じられておったか、こういうことについて起案者の方から、講ぜられておらないので、これをやむを得ず出されたとか、しかもこういうのはむしろちょうどまあ政府で申されました行政整理等に相当するように私は思うのであります。従ってこの行政整理に伴って公務員が退職させられる、自己の意思に反して退職させられる場合を十分考慮されて、本法案を提案されたかどうか、提案者の方から一つよくその辺の事情を聞きたい。
  130. 千葉信

    千葉信君 お答えいたします。仰せのように、将来駐留軍の労務者等の場合におきましては、本委員会における法案審議の経過等から見ましても、駐留軍自体が漸減の方向にありますことと、従いまして、これらの労務者が常に整理退職の対象になるということにつきましては仰せの通り否定できないところでございます。ところで退職手当の問題につきまして、一般退職と整理退職との場合には、従来も駐留軍労務者に対してある程度の考慮は加えられておりましたが、しかしその考慮を加えられました分も合算いたしましても、なおかつ整理退職の場合、自己の責に期すべからざる事由によって退職せしめられる場合におきましても、国家公務員諸君が支給せられます八割増の整理退職の支給率に比べますると、この法案で御提案申し上げておりまするように、大体その分を十分に計算しましても、なおかつ三分の一程度は低位になっておりますので、従いまして、この機会に国をして十分この問題を駐留軍当局との折衝において解決することが最も望ましいことでありますが、その解決を促進するという、そういう方針もあわせ考えまして、ここにこの法案を御提案申上げた次第でございます。
  131. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう時間がありませんので、一点だけ簡単に御質問申し上げますが、駐留軍の労務者の諸君が、終戦直後のあの進駐軍といったような時代、言葉もわからない、気質もわからない。荒いアメリカ、イギリス、濠州の軍隊のもとに使われまして、言語、習慣等の違うもとで、まあどちらかと申しますると、非常にやりにくい業務に協力した諸君が非常に多いのであります。この諸君が、まあ日本としてはいい傾向、非常に好ましいことでありまして、どんどん外国軍隊が撤退するのでいいのでありますが、長い間協力してきた諸君に対しては、その困難な業務にたえたという褒賞の意味もある程度含んで、そしてまだその終戦直後の混乱期でありますと、混乱期と申しますと語弊がありますが、経済再建の途上でありますときでありましたならば、就職も非常に容易であったと思うのでありますが、今、しかも年もかなりたっておるのでありますが、ある程度の年令に達しておる。家族も持っておるという労務者が、軍の一方的な通告によりまして、都合によって退職させられた場合に、再び職につくということもきわめて困難である。一つは長い間非常に困難な仕事をたえ忍んでやってきたという点や、その他これに対する報酬、一つは再就職の道が非常に困難だ、こういうような条件のもとにおきまして、果して公務員のその八割増というだけでいいかどうかということについて、諸般の情勢を十分判断されて起案をされたと思いますけれども、その辺について、一つ公務員の八割増しというところに大体標準を合わされましたところの意図というものがどこにあるか、一つ伺っておきたい。
  132. 千葉信

    千葉信君 お答え申し上げます。菊川委員のただいま言われました、特に考慮を要すると思われる、その作業環況における特殊な条件で、長年の間かなり苦労をされておられるという条件、そういう点等も十分考慮いたしました結果、昨年度提案申し上げました同じ名前法律案につきましては、その点を考慮した増額を御提案申し上げましたが、遺憾ながらこれはとうとう審議未了という状態に相なりました。そこで私どもとしてはおっしゃるような点については十分考慮しつつも、しかし前に提案いたしましたその法案の審議の経過にかんがみまして、なるべく可決をいただくということを十分考慮いたしまして、今回の提案におきましては、公務員と全く同率という条件だけにとどめました。この点どうぞあしからず御審議の際には十分御協力をお願いいたしたいと思います。
  133. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは希望を述べまして、公務員の行政整理の場合には、もちろんあの定員法に基く整理の際には相当弱年退職もありましたが、大てい恩給も支給年限に達したとか、あるいはいい就職口が見つかったというような人、あるいはまた病気で長い間職務にたえないという、こういうようなものを相当配慮されて整理がされるのであります。特に永年勤続者、そしてどちらかというと勇退して後進に道を譲るという人で、いわば退職という格好で優先して、実際は行政整理というあたたかい配慮も行われた場合が多いのでありますが、駐留軍の労務者の諸君にはそういう配慮がなしに、まあ軍の、軍というのはどこでも一方的にやるものでありますが、それに応じてぱっとやられるので、すみやかにとの法律が可決せられることにより、せめても公務員の行政整理並みになるように、本委員会においてこの法案がすみやかに可決されることを希望いたしまして私の質問を終ります。
  134. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 本法案はその性質上すみやかに成立せしむべきものと考えますが、本国会の会期も切迫いたしておりまするので、十分審議する時間がございません。従いまして、やむを得ず閉会中も継続して審議せられんことの動議を提出いたします。
  135. 松原一彦

    松原一彦君 長島君の動議に賛成いたします。
  136. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 長島君のただいまの動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。  それでは本案につきましては継続審議の要求をいたします。要求書内容手続等委員長に御一任願います。  速記をとめて下さい。   〔速記中止
  138. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  国防会議構成等に関する法律案を議題といたします。  本案に関し、内閣総理大臣及び杉原国務大臣に対し、総括質問を行いたいと存じます。通告順によりまして発言を許します。木下源吾君。
  139. 木下源吾

    ○木下源吾君 本日はわれわれの委員長から、総理大臣の健康を非常に気づかわれて、いろいろと委員に対しても、健康の点について気づかわれて協力を求められておる。従いまして、私ども委員長の意を体して総理にわれわれ御質問申し上げたい、こう考えております。しかし問題は非常に重要な点を含んでおりますので、どうか率直にお答えを願いたいと思います。まず第一番に、本日の新聞に載っております原爆用のロケット砲と言いますか、私はまだその方の知識がありません。どういうものかよくわかりません。おそらく  一般国民の知識よりはありませんが、原爆でありますから、かねて日本の国民は、原爆ということを聞いただけでもぞっとするというやうな環境にあるわけであります。突然ラジオ、新聞によってこれが発表になりました。この発表を見まするというと、本日沖繩に原子砲が到着するのである、また引き続き日本にも原子ロケット砲が届く、こういう正式な発表が新聞に載っております。これについて私どもは、国民の不安を除くために総理からこの間の事情を承わりたい。また総理から国民に対して責任ある一つお言葉をいただきたい、こう考えておりますので、率直に一つお話を願いたいと思います。
  140. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 原子砲とかいうものが沖繩にくるというやうなことを私新聞で見まして、どういうものかわかりませんが、果してまたそういうことは起きるのかどうかということを知りたいと思いまして、外務大臣にさっそく聞き合せましたところ、外務大臣も米国大使にさっそく問い合せたけれども、米国大使もその事実は知らない。日本に原子砲とかいうものがくるということについては何らの通知がないけれども、原子砲というものを原子爆弾とは非常に違う。原子爆弾を日本に持ってこない。持ってくるときには、日本の承諾を求めというやうなことについては、従来と少しも変りはないという返答を得て、まず一通り安心をしておるわけであります。
  141. 木下源吾

    ○木下源吾君 実はこの前衆議院の内閣委員会で、私どもの同僚の飛鳥田議員からお聞きいたしましたところ、原子爆弾と言いますか、そういうものは日本には持ってこないということの口約ができておるかのごとき御答弁が確実にあったということを聞いておるのでありますが、この点については事実でございますか。
  142. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私もさように聞いております。
  143. 木下源吾

    ○木下源吾君 今回の大砲は、大砲はくるかもしらぬが、原子爆弾のたまはこないのだというので、安心になっておると、こういうような御答弁なのであるか。
  144. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 原子爆弾はこないのであるというように聞いておるのであります。原子砲と原子爆弾とは違う、こういうことを重光外務大臣は言っておりました。
  145. 木下源吾

    ○木下源吾君 原子砲というのは、大砲に原子爆弾をしかけて撃つ、そういうものではございませんか。私はよくわからぬのですが。
  146. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) それは私よりは幾分杉原君の方が知識があると思いますから、杉原君から答弁させます。私は原子爆弾と原子砲とは違うということきり聞いていないのであります。
  147. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 私の聞いておりますところでは、原子砲はもちろん原子弾を発射し得るともに、また普通のたまも発射するのにも使われる、こういうふうに私は聞いております。
  148. 木下源吾

    ○木下源吾君 普通のたまというのは普通の大砲でいいわけでありまして、原子弾を撃つ大砲というものを特に日本によこすということは、いざというときには原子のたまを撃つ大砲だと、こう考えるのが常識ではありませんか。
  149. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 普通そういうふうに私らも常識的に考えておるのでありますが、しかし事実原子のたまだけでなく、ほかのたまも撃つのに使われるというように私は聞いております。
  150. 木下源吾

    ○木下源吾君 ほかのたまを撃つことがおもなる大砲であるならば、何もこう新聞が四段抜きで見出しをつけて、そうしてこれを報道するわけはない。私どもはそうしろうとに考える。明らかにこれは原子弾を撃つ大砲を沖繩と日本に今度持ってきた、こういうことを私どもは考えるのですが、あなたはそうお考えにならないですか。
  151. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 外務大臣が問い合せられました結果のことを先ほど総理からお答えになりましたが、その結果は、原子爆弾を持ってきたということではないという意味のことを外務大臣がアメリカ大使館の方から確かめられた、こういうことでございます。
  152. 木下源吾

    ○木下源吾君 それはあなたからお聞きするまでもない、新聞に書いてあります、そんなことは……。そんな子供みたいなことを、この貴重な時間を費していたのでは、われわれは侮辱されておるような気がする。そんな程度ではございません。国民の心配しているのは、いよいよやってきたなという、こういう気持ですよ。そんなことは新聞にそれは書いてあります、ここに…。弾頭というのは来ておらぬ。弾頭というのはどういうのかわかりませんが、そういうことではなく、もっと率直に、自分たちの知らぬうちに、私も原子爆弾を撃つ大砲ということでびっくりしておる。そういうものがやってきたのだ。わからぬければわからぬでよろしい。何か思い当るふしがございましたら、それを、これはこうこういう根拠において向うがよこしたんだろう。もう少し国民を納得させる一つ御答弁を願いたいと思う。もしあなたができなければ、私は総理大臣にこれをお伺いするのでおいでを願っておる。そうではありませんか。総理大臣。
  153. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は先刻申しました通りに聞いておりますので、それだけのことを申し上げたわけであります。それ以上の他意はないのであります。
  154. 木下源吾

    ○木下源吾君 これはあなたは聞いておらぬけれども、それだけの答弁よりなさられないことは、これは当り前です。その程度で国民が安心せられるかどうかという問題です。これは外務大臣に聞いたら、こういうようなことを言って、大砲は来たけれども、たまは来ない。こういうくらいのことで私は国民は安心しないだろうと思います。それですから、何か陰にそういうような約束があったのだ。かつてあったのだけれども、この間からの衆議院の内閣委員会では、そういうことがある場合には、あらかじめこちらへ知らせるとか、そういうものはこないことであるというやうなことを答弁しておるから、その答弁が食い違うということが体裁が悪いから、ここでただ通り一ぺんの答えをしておればいいのだというやうなお気持であるならば、これはとうてい国民の不安を除くためには私は最良の手段ではないと、かように考えますが、どうですか。
  155. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 木下さんの言われるやうな気持は一つもありません。原子爆弾と原子砲とは違う。原子爆弾を持ってきたものではない。こういうことを言われたので、それだけのことをお答えしただけであります。
  156. 木下源吾

    ○木下源吾君 でありますから、原子爆弾が来たとは新聞に書いてないのです。原子弾を撃つ大砲を持ってきたと書いておるのです。次にくるものは、この大砲を使用するためには原子弾が必要になってくるのでありましょう、原子弾の必要でない大砲を、こんな重量の大きい、そうして人を驚かすようなこういうものをわざわざ持ってくる必要はないのじゃありませんか、その大砲は原子弾を撃つ大砲である。そうであるならば、まず大砲を持ってきたならば、何らかの契機に原子弾を持ってくるということは、これはくっついておることだろうと私は思う、想像ではなくて、もうくっついておることだろうと、こう思うのですが、総理はやはり原子弾などというものは持ってこないのだという確言ができますか。
  157. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は知識が全くありませんから、原子爆弾というものが大砲で撃てるものかどうか、そういう知識はないのです。原子砲というのは原子力によってたまを撃ち得るものじゃむいのかと思っていたわけです。
  158. 木下源吾

    ○木下源吾君 私はあなたと同じに知識はありません。けれども原子力で撃つ大砲とあれば、それは原子弾を撃つのではありますまいけれども、この新聞の報道の何を見ますると、そういうようには書いておらぬのですよ。この大砲はたまそれ自体に原子、つまり核分裂と、言いますか、こういうものをしかけておいて、そうして一定のところへ行って破裂して、それがいわゆる原子爆弾と同じ効果のものであるかのごとく強い印象を与える、これは記事なんでございます。今こういうことをここで言っておりまするけれども、もうしばらくすれば、この内容はわかると思うのであります。そのわかる間の心配なんです。まだこういうものがこない前から、アメリカが原子爆弾あるいは原子砲というやうなものを日本に持ってきはせんか、それは非常に困ると、こういうことでわれわれは御質問を申し上げておった、ところがそういうものは持ってこないのだということを、書面ではとっておらぬけれども、話し合いでできておるのだ、こういうことを外務大臣が本会議でも答弁しておるわけであります。これは私の質問に対しても答弁しておるのであります。私はいよいよきたなという、こういうこういう感情を持つわけなんです。今あなたは原子の力によって、核の分裂による力によってたまを向うにやるのだ、その大砲だというように考えておられる、それで安心しておるのだというような今の御答弁でありますが、そうではなく、原子爆弾、原子のたまが向うに行って破裂する、こういうたまであったならば、これは一体どういうようにお考えになりますか。
  159. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私はそういうような原子爆弾のようなものは、日本に持ってくるのについては日本の同意をアメリカは求むる、こう思っていたんです。それ以上のことは考えておりませんでした。
  160. 木下源吾

    ○木下源吾君 そういうようなものをあなたの主観で考えておるんだが、アメリカは現実にもう運んで持ってきておるんでありませんか。
  161. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 果して持ってきておるかどうか知らないのです。
  162. 木下源吾

    ○木下源吾君 この新聞は、これは向うで陸軍が発表したと書いておることを、ここでただ知らない、これだけでは打ち消す何らの力がございますまい。一方においてはアメリカの陸軍が発表して、本日、きょう沖繩には着くんである、日本にもう輸送していてもう着くんである、こういう的確な時間までも示して報道しておるんでありますよ。これは非常な私重大問題だと考えるのであります。それと関連いたしまして、アメリカとの間におけるこういうものは秘密に属することであるというお約束でもあって、しりからはげてくるような、こういうことを隠さなければならぬような何かの原因がございますか、根拠がございますか。
  163. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 全然ございません。
  164. 木下源吾

    ○木下源吾君 あなたの場合はなくっても、その他にそういうものが、かって覚書か、あるいは談話でか、あるいはその後における防衛庁の関係者の間における話し合いか何かの機会に、そういうものがあるんではありませんか。
  165. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) そういうものはないと思います。
  166. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 防衛庁の関係では全然ございません。
  167. 木下源吾

    ○木下源吾君 もしも、これはもしもじゃない、もう明らかにこれが原子弾を撃つ大砲であったならば、どういうような御処置をなされますか。
  168. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 原子爆弾を日本に持ってくることについては、アメリカは日本の同意を求むる義務があると私は思っております。アリソン大使と重光外務大臣との間に、日本に原子爆弾を持ってくる場合においては日本の同意を求めるという約束があるのでありまするが、約束なしに原子爆弾を日本に持ってくることはないと思っております。
  169. 木下源吾

    ○木下源吾君 それは文書にでもなっておりますか。
  170. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 文書にはなっておりません。
  171. 木下源吾

    ○木下源吾君 正確にいうと、どういう表現でありますか。
  172. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) アリソン大使にしても、あるいはアメリカの軍にしても、日本においては攻撃的武器は持たない、侵略的の脅威を与えるような兵力は持たぬということに憲法上なっているのでありますから、原子爆弾というものは私は侵略的の武器だと考えますから、侵略的の武器を日本に持ってくる場合においては、日本は憲法上これを拒否する権利があると思っていたのであります。
  173. 加瀬完

    ○加瀬完君 今、総理は木下委員の質問に対しまして、攻撃兵器を日本に持ってくるということはないというアメリカとの約束がある、こういうお話でございますが、今まで取りかわされました条約、あるいは協定、そういうもののどこに、今、首相が御指摘のような条項があるか、あるいは申し合せがあるというならば、申し合せはいつ、だれとだれとの間にどういう内容によって申し合せをされたのか、その条項を文章化されたものをあすの委員会までに、委員長あてでも結構です、御提出を願いたい。
  174. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) それが文章化されておらないということは今まで申しております。なぜ口約にして満足をしておるのか、これを文章にしないのかという御質問があったくらいに、文章になっておらないということは今日までの答弁で明瞭になっておるはずであります。
  175. 加瀬完

    ○加瀬完君 文章になってもおらないということであれば、条約や協定ではもちろん、申し合せとしても何ら効力を持つものでもないという解釈も成り立つわけです。そこでそうじゃない、文章にはなっておらないけれども効力はあるんだというならば、だれがいつ日本のだれに対してどういうことを言って、日本がどういうふうにそれを了解したのか、日本政府としての覚書でもいい、あすの委員会に御提出をいただきたい。
  176. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 五月の三十一日に、重光外務大臣がアメリカ側の責任者から、日本にアメリカは今原爆を持っていない。そうして日本に相談なくして原爆を持ち込む意図はないという意味の言明を得ておられます。
  177. 加瀬完

    ○加瀬完君 今のお話を総理大臣の責任におきまして文書として御提出していただきたい。
  178. 木下源吾

    ○木下源吾君 ここの本日の席上におきましては、総理大臣は今回のアメリカの極東、すなわち沖繩、日本に持って参ったととろの大砲は、原子弾、原子爆弾と言いますか、そういうものを撃つ兵器ではない、だからして国民はその点においては安心してよろしい、こういうふうに了解してよろしうございますか。
  179. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私はそれに対して知識がありませんので、あなたに最初に申し述べた以外に知恵がないのですから、明日、ただいま加瀬君からのお話もあり、あなたのただいまの御質問に対しては重光外務大臣から明朝御答弁させた方が適当であろうと思いますから、そういうふうにしていただきたいと思います。
  180. 木下源吾

    ○木下源吾君 それは了解しますが、このような大砲はやはり攻撃用の武器ではない、こういうふうにお考えになっておりますか。
  181. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私はどういう大砲か知りませんから、明日までに重光外務大臣によく調べさせましてお答えいたさせたいと思います。
  182. 木下源吾

    ○木下源吾君 国民はこの新聞を見ましてほんとうに心配しておる、ほとんどが心配しておるのです。でありますから、あらゆる機会にこれについての内容はどんどん御発表になる、正式に政府から……。こういうこれだけの努力はせられていいと思いますが、あなたはどう考えておられますか。
  183. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私もこの点は明瞭にした方がいいと思います。でありますから、明朝重光君から加瀬君の御質問とあなたの御質問に対して明瞭なことを申し上げることにいたしたいと思います。
  184. 木下源吾

    ○木下源吾君 実は私はきょう三十分だけしかお約束がないので、本格的は国防会議に対する御質問はほとんど時間がありませんので次の機会に譲ります。そういうことにして総理大臣に対する質問を留保しておきますから、委員長からしかるべく取り計らっていただきたい。
  185. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 私はこの法律案の本会議における質問のときに、総理大臣にお尋ねいたしましたことに対しまして十分な御答弁をいただかなかったので、この委員会に再質問を譲る旨を申し上げておきましたので、その本会議において御答弁のなかった点と、この法案審議に関する新事態の生じました点、その二点について質問を申し上げたいと存じます。  まず第一は、自衛隊法第七条によりまして、総理大臣は内閣を代表して自衛隊の指揮監督権を持っておられるわけでありますが、しかも総理大臣は各大臣の罷免権を持っておられますから、結局総理大臣は自衛隊に対しても、国防会議に対しましても専断権を掌握しておることになります。だから緊急、国会休会中には事後承諾では間に合わない、私兵化のおそれがあると言われておるわけであります。総理大臣は少数意見の反対党を無視して隊の出動を指令して、かえって暴力革命を達成せしめ、あるいは反対に、隊の出動を抑制して、鎮圧すべき暴動を鎮圧しないで、革命を消極的に助けてこれを成就せしめ得るおそれが十分にあると考えます。もっともかくのごとき場合は、戦争は行政の延長でありますけれども、この国防の問題は恒久性のある、永続性のあるべき行政と考えられます。そうしてまた、今の政治制度は責任内閣制ではありますけれども、そうしてまた非常に急進的な、革命的な総理大臣が内閣を組織しましたような場合は、それは結局は主権者である国民の過半数の投票者が選挙においてこういったような革命的な、急進的な総理大臣、独裁的な総理大臣の率いる政党を選んだのであるから、これは国の最高意思が革命と独裁とを要請するといたしましても、ただいまの民主党の内閣には民主党としての反左翼的な理念と政策とがおありになるのでありますから、たとえその民主党の内閣が終って、革命的な独裁的な政権ができるということは民主党としては望んでおられないと考えます。だから政府及び民主党といたされましても、民主党内閣挂冠の後におきましても、軍の行動が、運営が独裁的に、革命に陥らないように立法措置を講じることは当然であると想像されます。このためにはあるいはまた諮問機関であった方がいいとか、あるいは決議機関であった方がいいとかいったような、保守党の立場からのいろいろの問題があろうかと存じまするが、私のお尋ねいたしますのは、重ねてこの委員会でお尋ねいたしますのは、そういったような諮問機関、決議機関というようなことでなしに、お尋ねの要点は、民主党内閣の総辞職されました、挂冠されましたあとでも、こういったような急進的な革命的な指揮が行われないように立法措置としてどういったような措置を考えておられるかどうか、こういうお尋ねを総理にいたす次第でございます。
  186. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 御心配のような革命の、何と言いますか、内乱というようなものは日本にはただいまの情勢においては心配する必要はないと考えまして、現在の国防会議法で間違いがないと思っております。つまり出動は国会の同意がなければできないのでありまするから、さような形勢に国会がなるということは私は想像できません。
  187. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 確かに総理のただいまお話しの通り、現在すぐには現在の日本にあります政党の中の大部分はそういった心配はないのでありまするけれども、やはり立法措置を講じまする以上、このだんだん増大して行く今日の左翼勢力の実情を見まして、やはりそこにこれを民主党内閣といたされましてはこれを防止する、たとえば国民に対しまする理念的の啓発運動も必要でありましょうが、同時にまた立法措置も、法律を作る際には、今のうちから立法措置を講じておくということが当然の御態度ではないかと思いますが、それについてのお考えも承わります。
  188. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) そういうことについて心配をいたしまして準備をするということは立法としては当然な措置だと考えます。けれども、現在においてはどの程度でよいと考えております。
  189. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 その問題はその程度にいたしまして、時間の関係上、次に移ります。前内閣、吉田内閣のときには、との国防会議に民間人を入れるようにと、きわめて強く民主党は御主張になったのでありますが、今回この民間人は入れないようにという衆議院におきますこの決議に対しまして、提案者政府といたされまして、これに同意されましたそのお心がまえについて承わりたいと存じます。
  190. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 政府としては今日におきましても民間人を入れておいた方がいいと思うのであります。けれども民間人を入れなくても運営はできると思いましたから、自由党の修正に同意した次第でございます。
  191. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 前内閣のときには絶対強硬な態度で民主党はお臨みになったのであります。何としても民間人を入れなければ本法案を通すことは絶対できないという御態度であったのでありますから、その確信を持っておられる現内閣といたされましては、民間人を入れるということについては非常に強硬なはっきりした明確な御決心があるはずであると、かように考えますが、今のお話では、入れなくても運営できたのだというお考えは、これは前内閣当時からのお考えでありましょうか。ただいまその民主党と自由党の間の妥協の瞬間、直前からそういうふうな心境の御変化でありましょうか。民主党政府としてのお考えを承わりたいと思います。
  192. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 前内閣のときには私は関知いたしませんでした。このたびは防衛、国会を通して長期計画を立てるとの急務がありますから、それを考えまして自由党の提案に応じても運営上差しつかえはないと考えたのであります。
  193. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そういうふうに前内閣では関係ないと言われますが、あれは三党折衝の結果さようになりましたので、三党折衝のときには民主党として非常に強硬な御態度であったことは、その総裁であられまする鳩山総理大臣の御存じであったことと思いますので、その心境の変化はいつからでありましょうか。
  194. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) その当時は民主党はまだできていなかったでしょう。
  195. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 もう前国会の末期でありましたから、もうすでにできていて、いわゆる三党折衝が行われたと考えます。
  196. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 植竹委員、その点はまだ民主党はできていなかった時代でございますから……。
  197. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 民主党がもしできていたとすれば、二党折衝になって三党折衝にはねらなかったはずだと思いますが。
  198. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 御承知の通り、自由党と、それから改進党と、それから日本自由党、これの三党でございます。
  199. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そのときの改進党ないし日本自由党が一緒になって今日の民主党を組織しておられまして、この問題につきましては、防衛問題につきましては、その後発表せられました政策を、政調会の政策を承わりましても変化はないと観察いたしておりますが、変化が生じましたのですか。
  200. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) それは改進党の方々がかなりたくさん今の民主党に入っておられることは事実でございますけれども、新しい党ができておりますので、すべてそのままというわけではございません。それからここに政府の原案で出しておりましたのは、いわゆる民間人を入れた方がよりよいだろうということから入れていたわけでございます。
  201. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 その問題は十分納得しかねる節もございますが、その程度にいたしまして最後の問題に移ります。  第三の質問は戦力の問題でありますが、実は戦力論争は今さらでもないと考えまして避けるつもりでおったのでありますが、昨日の防衛法案の論議を通しまして、鳩山内閣の戦力は前内閣とは違う解釈を持っておられますことが林法制局長官によりまして明らかになりましたので、この点につきまして総理の御解釈を承わりたいと思うのでありますが、昨日の林長官の御答弁から察しますと、戦力は前内閣時代、吉田内閣時代には近代戦を遂行する能力を戦力と考えておられた、そうしてそれを持つことは憲法第九条において禁止されておると御解釈しておられるという答弁であり、私もそれに同じくそう解釈しておりました旨を申し上げました。ところが鳩山内閣におかれましては、自衛のためならば戦力を持てるという御解釈であると昨日承わった、さようで林長官異議ありませんか。
  202. 林修三

    政府委員(林修三君) 昨日申し上げましたのは、この前からこれは総理大臣もおっしゃっておられます通りに、自衛のために必要最小限度の範囲においていわゆる戦力と申しますか、実力を持てる、こういうことに申し上げておるわけでございます。
  203. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 自衛のための最小限度の戦力を持てる、かようにただいま承わったのでありますが、それにつきましては豊田委員からも御質問があったわけでございますが、私からも、その御質問のあったことを存じませんで質問が重複いたしましたので、昨日林長官に質問いたしましたが、それはこの直接侵略にも小さな侵略と大きな侵略とがある、自衛の最小限度の戦力といえども、大きな侵略のあった場合には大きな最小限度の戦力が必要であると考えられますが、さように解釈いたしまして鳩山総理御異議ございませんですか、その通りでよろしうございましょうか。
  204. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は自衛のためならば最小限度の戦う力、戦力を持ってもいいと思いますけれども、自衛のためといって仮想敵国を考える、たとえばソ連ならソ連を考える、その侵略があった場合として日本の自衛力をたくわえるということは間違いだと思っております。日本の自衛力というものは直接または間接の侵略があった場合に、必要にして最小なる限度とは言うものの、日本の国力にも沿い、侵略のおそれも抱かざる範囲というような種々の条件内の戦う力でなければならないと考えております。
  205. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 そういたしますと、この仮想敵国を考えないということは、防衛法案の審議のときに総理から直接承わりまして、私もまたそれに同感の意を申し上げておいたのでありますが、この仮想敵国は考えないけれども、ある程度の財政支出をして、そうして防衛組織、防衛設備をするからには、この仮想敵国、仮想の国家は考えないけれども日本を囲繞する外国軍隊の程度というものは、これはむろん考えて、その国の全部が日本に当らなくても、日本を取りめぐるの本から見てごく近いところにある外国の配置状態、それはやはり考慮に入れて防衛することは、これはもう常識でございますから、今さら御答弁を必要としないわけであります。そういたしますと、もしその配置が外国日本に対しまするというよりは、外国にそれ自体におきまする軍の外地が大きいときには、厖大なときには、やはり自衛の戦力も日本の国力に応じなければならないけれども、同時に野本を守る必要最小限度の戦力、自衛戦力を持ったために、財政負担から見ても相当厖大と思われざるを得ないようなこの日本として自衛戦力を持つのは当然だと、そういう論理的な結果が出てくると思いますので、さように解釈して差しつかえありませんか。
  206. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 国際情勢を全く考えずに日本の自衛力を養って行く、作って行くということはあり得ないと思います。
  207. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 ただいまの御答弁を総合して判断いたします結論は、自衛のための最小限度の戦力は、結局外敵の対象によって違ってくる。そのために外敵が大きければ、日本は一時的なりといえども、国民の生命財産を保護するために、やはりそれに対応した、恒久的に対応することはまあできないけれども、打ち勝つ程度の戦力は持ち得ざるとしても、一時的なりとも、相当近代戦を遂行する能力のある程度の戦力を持たざるを得ないというように結論をされますので、その点は今後防衛会議を持ち、そうしてその防衛に関する基本方針を確立して行かれます上におきまして、その財政的規模におきましても十分の御考慮をめぐらしていただきたいと思います。  それから最後に、時間にだいぶ余裕がたくさんございますので、簡単な質問を最後に申し上げたいと思います。それは制裁規定でありますが、本会議における御答弁では、杉原長官は、国防会議の議員は閣僚、あるいはまたその程度のりっぱな練達たんのうの識見を持った人であるから、制裁規定は特に要らないという旨がありましたけれども、これは不完全法規がだんだんふえて参ります現代立法におきましては、制裁規定のない法律もたくさんあるわけでありますけれども、この国の防衛に関するような機密の絶対に必要な場合も考えられる法律におきましては、制裁規定の欠除は完全な法律とは言いがたいと思いますので、この点は今さら答弁を要求しても、同じ答弁を繰り返されるにすぎないと思いますから、答弁は要求しませんが、制裁規定は十分に立法措置を御立案あらむことを希望いたします。そして質問といたしましては、この国防会議に背反いたしまして、その防衛出動に応じないようなもし自衛隊員ありとすれば、そういったような集団的なこの出動命令拒否に対しまして、杉原長官は普通の刑法を適用すればよいといったような御答弁がございましたが、総理といたされましては、軍刑法はある場合には峻厳を要すると思います。あたたかい愛情をもって、自衛隊員は国を愛すると同時に、また隊を率いるものも愛情を持って部下を統率して行かなければならないけれども、またある場合には、軍刑法は峻厳ならざるを得ず、これが国を守る、国を愛するゆえんであると考えますので、私は軍刑法は普通刑法にゆだねるべきではない、ことに集団拒否をした場合には、十分な制裁が必要であると考えますが、軍に対する制裁規定について総理大臣のお考えを承わりたいと思います。
  208. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 自衛のための戦力ということは、今の憲法では持てるとは言いますけれども、戦力と言いまして、特に軍隊という文字は注意して使っておらないのであります。何となれば、軍隊というものは自衛のために使われるべきものとは限っておりません。軍隊という名前がつきますと、侵略のためにも用いられるというようは誤解をする人も多いと思いますので、今までは軍隊という文字は使っていないのであります。戦力とか、戦う力とか言いまして答弁をしておりましたけれども、もし憲法が改正せられまして、軍隊という文字を使ってもよくなる、たとえば自衛のためならば日本は軍隊を持つことができるというような憲法ができたならば、そういう制限の範囲内における軍隊というものがで送るわけです。そういうような場合に軍刑法というようなものは必要だということになるかもしれません。ただいまのところで制裁法規は要るまいという意見を述べているだけでありまして、日本は自衛のためならば軍隊を持つことが可能ということになりますならば、そのときにはそのときの情勢に従って軍刑法というものをこしらえるようになるかもしれません。
  209. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 言葉は軍隊という言葉を避けても避けなくても、自衛隊は国家防衛の組織団体でありますから、組織団体に対する特別刑法は当然必要であろうと思いますが、これはこの程度にいたしますが、最後に、この国防会議法案は、もしこれはできることならば当然憲法に織り込むべき性質のものであると考えますので、そうしてまた鳩山総理は本会議の私の質問に対して、憲法規定に織り込むことの必要には御同意の旨の御答弁があったので、お考えをすでに承知しているわけでありますが、かくのごとく憲法規定にこれを置く必要のあるであろう重大な法律案でありますから、この法律案が通過いたしますようなときには、十分にこの国防会議につきましては、その事務局のあり方、事務局をいかなる規模に持って行くか、その他この国防会議の運営が閣僚だけで運営せられる場合、十分に慎重な運営の御態度をおとりになることを要望いたしまして、私の質問をこの程度で終了いたします。
  210. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に豊田君にお願いいたします。
  211. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいま植竹委員の質問に対しまして、鳩山総理から、衆議院の修正によりまして国防会議の議員から民間人を除いたけれども、しかし民間人を入れなくても運営には差しつかえないというような御答弁があったわけですが、これに関連いたしまして具体的な問題といたしまして、国防会議の付議事項の中に、防衛の関連産業の調整計画を付議することになっております。要するに防衛計画それ自体のものじゃなく、関連の産業との調整、それを付議するということになっております。関連産業というのは言うまでもなく民間企業に関係があるわけでありまして、民間の主として関連産業との調整をはかるということになりますと、民間人が入っておらないと困るだろうと思うのですね、こういう点について御意見を伺いたい。
  212. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私はまあ民間人が入っていた方がいいと思いましたが、とにかく国防会議法というものの成立を必要と思いまして自由党の修正に応じましたけれども、そのときに自由党の諸君に申したことでありますが、まあ民間人が入らなかっその何と言いますか、欠点というか、生ずべき欠点についてはなるべく民間人としばしば意見の交換をして、そうしてその欠陥を防ぎたいと思う、こういう答弁をいたしました。それでありまするから、五名以下の民間人を入れるということができなくなった欠陥は、やはり民間人の意見を聞く必要がありますから、ときどき民間人を呼びまして意見を聞くということによって、その弊害を防ごうと、こういうように考えております。
  213. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これは民間人を時折呼んで意見をお聞きになるというのでありまするが、とにかく国防会議というのは重大なる形式、また重大なる機関、これに民間人が出て意見を吐いたことと、個々面接などで意見を吐くことと非常に違うと思うのですね。
  214. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) その通りです。
  215. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 従って国防会議において、しかも防衛計画と関連産業との調整をはかろうという重大なる問題の際に、民間人が全然入らぬという行き方は、これは戦略だとか、防衛計画だとかいう、そういうものだけについての行き方なら、海外にも民間人を入れておらぬ例はあると思います。しかし今お話をしまする通り、民間の関連産業との調整ということになったら、これはどうしても民間人が入っておらぬといかぬのじゃないか。ほんとうに運営に困らぬと言えば、何でも困らぬのかもしれぬのですけれども、事実上これは運営上お困りになるのじゃないかというふうに考えておりますが、いかがでしょう。
  216. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) この点は、本法案の第八条に「議長は、必要があると認めるときは、関係の国務大臣、統合幕僚会議議長その他の関係者を会議出席させ、意見を述べさせることができる。」とありますが、この「関係者」という中には民間人をも含め得ることに相なっておりますので、こういう点の実際の運用によりまして補ないをつけることぐらいはできるのじゃないか、とう考えております。
  217. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これは最初お考えになったのは、おそらく幕僚を、スタッフを想像せられておったのじゃ安いかと思うのですが、その後お考えが変って、そういうことでまあやって行とうというふうに考えが変られたわけですね。
  218. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) これは初めから必ずしも関係官というものに限定はしておりませんでした。関係の民間人をも排斥するような意味ではございませんでした。そうして官の方を考えておりましたけれども、なお余地を存しております。
  219. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 前の原案では、民間人を議員として正式に入れるのですから、おそらく民間人でも、ある程度軽いような地位の人を呼ぶようなことを始めからお考えになっておったというふうには、ちょっと思えぬのですけれども、しかしまあそういうことで行こうということでありますならば、まあ一応承わっておきます。  それから次には、やはり同じような問題なんですが、防衛出動の可否をこの国防会議にはかるということになっておるわけですが、防衛出動していいかどうかという問題についてはときの閣僚であるとか、あるいはいわゆる制服の人たちの考えであるとかというようなことで事を判断しちゃいかぬ。これは民間人に、むしろ第三者としての考え方を、率直に、国防会議の上に反映さして行く、そうして決意をするというくらいにしようという考え方が、憲法等の規定の関係から言っても原案にあったのではないか。そういう面からも、民間人が除かれるということになりますと、防衛出動の可否を決する、決するじゃない、諮るのでありましょうが、そういう非常に重大なときに、民間人の意向を反映さし得ないということは、これはまた重大なる変更になるのじゃないか、これも運営に差しつかえが出てくるのじゃないか、少くとも初めにお考えになっておったような趣旨から行くと運営に支障を来たすのじゃないかと思うのでありますが、これに対する御見解はどうでしょうか。
  220. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 実はそういう点も考えまして、この民間人を入れた方が非常にいいと考えたのでございますが、修正案がありまして、とにかく国防会議というものは、どうしてもこれを成立せしめたい。その根拠の目的とするととろを沒却しない限り、これを成立せしめるためには、この成立することは非常に大事と考えておりまするので、多少最初考えておりましたところと違った点が出て参りましたけれども、しかしこれで無意味になるのじゃなく、その本来の目的とするところを根本的にくつがえすものじゃないというところから、さようにいたしたような次第でございます。
  221. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 同意せられた苦しい経緯は推察できますけれども、これは国防会議を最初に意図せられておったところと、重大なる変革が出てきたと思うわけでありまして、特にこの防衛出動については、自衛権というものが非常に憲法の上において問題があるだけに、これについては民間人の意見も十分に聞き、慎重な態度をとって行くということが非常に必要じゃないか。また必要と考えられるのですが、この点は総理の、非常にこれは重大問題だと思いますので、お考えを率直にお伺いしておきたいと思います。
  222. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 自由党が修正をするときに、民間人を除くということの修正、民間人を除いたならば、起るべき弊害と観測せられることを、いかにしてその弊害を少くし得るかということを提案者が言ったわけでございます。実際のことを言いますと…。民間人を除くが、しかし民間の適当なる人を会議に呼んで、そうして意見を聞いて、その弊害が起きないようにする用意があるかどうかというようなことも、暗々裏に条件をつけて、そうして民間人を除いた方がいいんではないかと思うと、こういうようなことで修正の動議が出たわけでございます。それですから、民間人を除けば生ずべきいろいろ不都合なこと、たとえば豊田君が言われたようなことは、自由党の提案者が、こうしたらこういう用意があるか、ああいう用意があるかという質問を私もしましたととろが、そういう用意があるということを言って、こういうような民間人を除くというような結果になりましたので、あなたの御心配になることは十分承知の上修正案を出したと思っております。
  223. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうしますと、防衛出動の可否を諮る場合にも、先ほど杉原防衛長官が言われたように、民間人をまた指名せられて、お呼び出しになり、その意見を聞くというふうに将来やられるのでしょうか。
  224. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) そのときの情勢として、どういうようにするかは、そのときの情勢で適当なる人に相談をしようと思っておりますが、とにかく出動については議会の同意がどうしても必要でありまするから、議会の同意を得ずしての出勤ということは、よほどの、とっさの場合のときに考えられまするが、余りその弊害は生じないと思います。
  225. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それだけに、日ごろから厳選の上、適材を民間から選ばれて五人なら五人置いておかれて、いざというときに相談が得られるのだといいと思うのですけれども、さような緊急の場合に、ちょっとだれを呼んでくる、かれを呼んでくると言っても、これまた大問題だし、呼んだこと自身がまたいろんな問題をそこに波及するんじゃないか。これで非常に運営上支障が出てくるのじゃないかというふうに考えるのですが、いかがですか。
  226. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 今の豊田君の御質問の点は、先ほど私が申しました第八条の実際の適用運営においてはいろいろ考慮できるのではなかろうかと存じます。アメリカの方でも、アメリカとは制度上は違いますけれども、アメリカではあらかじめ大統領が指名している五名か、数名があったように存じます。
  227. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 なかなかこれは将来運営が困難だと思いますけれども、まあ次の問題に移ることにします。  治安出動、いわゆる治安出動については国防会議に付議せられるようになっておるようでありますが、これは防衛出動よりも場合によると治安出動の方が判断が非常にデリケートになってむずかしい問題じゃないかと思うのです。防衛出動になればこれは直接侵略でだれが考えても大体はっきりすることだと思うのでありますが、治安出勤の方になると、果して治安関係について自衛隊が出動していいかどうか、またそれの背後関係がどうかというような、なかなか判断が困難ではないかと思うのですが、従って治安出動については国防会議に付議する方がいいのじゃないかと思うのでありますが、この問題について総理はいかがお考えでしょうか。
  228. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 防衛長官から答弁をいたさせます。
  229. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 治安出動の場合は、現在の法制のもとにおきましては、国家公安委員会の意見を徴するということに相なっておるわけであります。それからこの国防会議の問題につきましては、すでに昨年成立しております防衛組織法によってすでにこれはきまってしまっておるわけでありますが、あるいはその他昨年すでに付議事項というものが既定の法律によってきまっておりますので、特別に今度その点を変更するということは、まだそこまでは考えていなかった次第であります。
  230. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もしも将来非常に思案にあまるような事件が出てこないとも限らぬのです。そういう際には国防会議にこれをかけ得るのかどうかですね、その点を伺っておきたい。
  231. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 事実上ここで相談するということ、これはあり得ると思うのですが、現在の法律の規定で、法律上そうなるというふうには相なっていないと思います。
  232. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今の問題に関連して伺っておきたいと思いますのは、ちょっと防衛長官は触れかかっておられたのですが、内閣総理大臣の必要と認める国防に関する重要事項、これを付議事項にまあ入れられるようになっておるのでありますが、これは一体どういうものを内閣総理大臣として必要と認めるのか、必要事項と考えておるのか、どういうことを予想せられているのですか。
  233. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) たとえば防衛出動の終止というようなことは、非常にはっきりしたということだと思います。
  234. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 終止というのは……。
  235. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) いつ終結するか、せぬかということを……。
  236. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もっと具体的に伺いたいのです。もう少し具体的にその内容をですね。今終結と言われたが、ちょっとはっきりしないのですが。
  237. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) これは出動した自衛隊を撤収するか、せぬかということでございます。
  238. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そのほかにもう少し大きな問題は……。
  239. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) もともと列挙的に書いてありますことがかなり広い範囲にわたっておりますから、大体これにあるのではないかと思いまするが、たとえば直接国の安全に関する外国との条約を結ぶというような場合も、あるいはその場合によっては、この重要事項ということに相なるかと思います。
  240. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 次の問題は、もとに戻りますけれども防衛の関連産業との調整の問題になるのですが、関連産業の範囲というものはどういうふうに考えておられるのでしょうか、これはまあ非常に基本的な問題として伺っておきたいのであります。
  241. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) これはなかなかその範囲というものはむずかしい。範囲をどこまでということを画するのは非常に困難だと思いますが、いわゆる防衛産業と言いましても、かなり民事と共通する何もありまするし、この点抽象的にここまでときめることは非常に私困難のように思います。具体的には、国防会議でそれ自体がどういう範囲までかということをよく討議すべきことじゃないかと存じます。
  242. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これは、国防会議の付議事項というものは、そうたくさん列挙せられているわけでもなく、きわめて一つ一つが重大なる意味を持っていると思うのですね。従ってこの今の関連産業の範囲というものははっきり伺っておいた方がいいと思いますので、これは明日でもけっこうですが、政府部内でも御相談になって、関連産業の範囲をはっきり伺いたいと思います。  それから次の問題は、秘密漏洩の問題ですが、秘密漏洩が現実に起ったときには、これは禁止はしてありますけれども、秘密の漏洩をやった者がある場合には、これに対する制裁はどういうふうなものになるのでしょうか。
  243. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) これではその際の罰則というものは設けませんですが、国務大臣の場合の例にならいまして、訓示規定にとどめた次第でございます。
  244. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この秘密漏洩の規定は、民間の議員がいる場合に必要だというふうに考えてお作りになっておったものじゃないでしょうか。というのは、もう関係閣僚ばっかりになってくれば、秘密漏洩ということも考えられぬかもしらぬが、もし秘密漏洩がありましても、これに対する別個の措置というものはとれるわけなんですから、従って秘密漏洩規定というものは、民間議員を想定しておったときに効果を発揮する規定じゃなかったかと思う、これについて……。
  245. 林修三

    政府委員(林修三君) その点まことにごもっともな御質問だと思います。そもそもこの秘密漏洩に関する規定を置きました主たる目的は、民間議員を入れました場合を想定しておりましたことは事実でございます。しかしながら、この規定の体裁といたしましては、もちろん国務大臣が議員として国防会議に参加されました場合も含めて実は規定しているのでございます。実は国務大臣につきましては、現在御承知のように特別職の国家公務員でございまして、昔の官吏服務紀律のなお従前の例によるとして規定されております。従って秘密保持の責任はあるわけでございます。従いまして、この民間人が削られました際に、体裁してこの秘密保持の義務を削っても差しつかえないと思いますが、これは衆議院の御修正の態度として、旧官吏服務紀律というようなことで規定されるにしても、なおかつもっとはっきりさしておいた方が明らかだろう、かように存じております。
  246. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私が考えたところによると、この規定は民間議員の規定削除のときに、同時に除いた方がよかったのじゃないかと思いますが、法制局長官としての御意見も大体それのようですから、これ以上申し上げるのはやめます。さらにそれに似たような規定で、非常勤の議長及び議員、つまり総理とか、国務大臣が非常勤になるということですね。これは民間議員のいるときなら非常勤の規定というものも必要かもしれないけれども、総理、さらに閣僚等は非常勤になるのが当然であって、その非常勤の規定をわざわざ残しているというのはちょっとおかしいのじゃありませんか。
  247. 林修三

    政府委員(林修三君) 実際的に申しますと、主として服務規定を置きましたのは、ただいまおつしゃる通り、やはり民間議員を対象としてはおったのでございますが、法律規定といたしましては、いわゆる国防会議の議員という職を取り上げまして、その職は非常勤として考えたのでありまして、一応観念といたしましては内閣総理大臣、あるいは国務大臣、あるいは民間人とを問わず、国防会議の議員は非常勤であるというような実は観念で書いたのであります。その意味におきまして民間人が抜けました場合におきましても、そういう非常勤であるという規定を置いても法律上間違いではない。つまり国防会議の議員の職というものを国務大臣の職務のものとは別に考えております。そういう職は非常勤であるということを書いても法律的に間違いでない、これはそういう意味で置いてあるのであります。
  248. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 間違いじゃないと言われますが、おかしいと思っておられるようですから、まあこれ以上これも追及することは取りやめます。まだ時間がありますけれども、この程度にいたしまして、最後に伺いたいと思いますのは、「国防会議に関し必要な事項は、政令で定める。」というふうになっているのですが、どういう事項を政令、で定めるというふうに考えているのですか。
  249. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) たとえばこういうことを考えております。それは幹事制というものを考えております。これは各関係省の次官くらいのところを幹事とするということをし得る余地を残しているということであります。
  250. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 このほかに別に予定事項はないのですか。
  251. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 今具体的にはそれ以外にはございません。
  252. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次は田畑君にお願いいたします。
  253. 田畑金光

    田畑金光君 総理大臣に質問するのでありますが、いろいろとお尋ねしたいわけでありますので、残る問題はまた明日でもお願いしたいと、こう考えます。  最初に、憲法の問題について一、二お尋ねしておきたいわけですが、最近政治家の中にはいろいろ説をなすものがあるわけであります。それは現行憲法の成立の経過を見たときに、国際法の建前からいっても無理があり、違反する点がある。何かというと一九〇七年のへーグの「陸戦ノ法規慣例二関スル条約」に反する、こういうことを申す人があるわけであります。そうかと思うと、また、一九四一年の大西洋憲章によると、各国民はその国民の選ぶ政体を樹立することができる、こうなっておるにかかわらず、戦後の日本においては国民の選ぶ政体の確立ができなかった。また国内法的に旧明治憲法の第七十三条によると、欽定憲法であり、従って天皇の自由意志のもとに憲法改正発議というものがなさるべきであったにかかわらず、そのような手続がとられていない。こうして国内法からいっても違法であり、従って現行憲法については無効である、このような説をなす政治家がおるわけであります。こういう説に対しまして、憲法学者や国際法学者の意見を承わりますると、たとえば憲法学者のお話によりますると、現行憲法が違法であるとか無効であるとかいう論議自体がおかしい。なるほど現行憲法は旧憲法の七十三条による解釈の立場をとっているが、もともと敗戦、無条件降伏、ポツダム宣言受諾という法律的ないわば革命を経てきているわけである。従ってこの憲法を戦前の憲法の規定からみて違法だとか、無効だとかいうようなことはおかしな話である。国際法学者の話を聞いて参りますと、またそのような御意見を申しておるわけであります。政治家というものは非常に都合のいい人方が多いのでありまして、いわゆる時局に乗る便乗主義者、こういう諸君がいるわけであります。私はこういう説をなす政治家の憲法論議というものが、今後の国民の道義の問題からいたしましても、重大な影響があると考えますが、鳩山内閣総理大臣はどのような考え方を現行憲法に対してお持ちであるか、この際承わっておきたいと思います。
  254. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 現在の憲法について、ただいま田畑君が言われました通りに、全然無効だというようなことを言う人もずいぶんおりまするけれども、私は無効であるとは考えません。ただしかしながら、占領下においてできた憲法ではあるし、比較的短い間にできた憲法であるし、今日完全に独立した形になった日本においては、今までの経験に徴しても再検討すべき時期だと考えるのであります。
  255. 田畑金光

    田畑金光君 私のお尋ねいたしておりますることは、再検討すべき時期にきておるかどうかという問題とは別であります。これは憲法の改正の問題をそれぞれの政党が政策として掲げ、また政治家みずからの主張として持つことは、これは当然のことでありますから、その点は私は問題にすべきではないと思つております。今の御答弁によりますと、違法であるとか、無効であるとかいう論議には賛意を表明できないという御答弁で私も了承いたします。この憲法の成立を見ますと、なるほど当時のGHQからの示唆によってこの法案ができたということはわれわれも否定できません。しかし当時の近衛案とか、松本案とか、内容はほとんど明治憲法の精神を取り入れて案文を作ったということの事実、またわれわれ社会党の場合も一つの案を示しましたけれども、それは主権は国家にある、まだこの段階にあったことも、われわれとしても反省をしておるわけであります。そのやうな内容に対しまして、主権在民というGHQからの示唆のもとに、今日の憲法は明治憲法から大きく発展して参ったわけであります。しかしこの憲法の生い立ちにおいてGHQの示唆があり、あるいは案文の提供があったにしろ、少くとも国会が五十数日間の日子をかけて、これを慎重に審議しておる、しかも国民の代表である国会は、新しい日本を作ろうとするために、この憲法と取っ組んだとするならば、私たちはこれを将来改正するとか、しないとかという問題は別にいたしまして、現行憲法はあくまで憲法として存続する限りは尊重すべきものであると私は考えますが、この点鳩山総理はどのやうな御見解をお持ちであるか伺っておきたいと思います。
  256. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 現行憲法の精神とするところの民主主義とか、あるいは平和主義とか、あるいは基本的人権を定めたるところの条章というようなものは、私は憲法の精神として尊重いたしたいと考えております。
  257. 田畑金光

    田畑金光君 私は特に総理に御希望として申し上げたいことは、総理並びに総理の代表される政府与党、あるいは自由党が憲法改正を論議され、あるいは思考されることはけっこうだと思います。ただしかし、先ほど申し上げたように、権力の時代においては権力に追随し、ときに権力がなくなると、あたかも今までの憲法が無価値であり、無効であるというような、そういう邪説をなす政治家の言動というものは、私は国民に重大なる影響を及ぼすものであると考えますので、この点は総理としても十分一つ頭に入れていただきたいと思います。  次に、私は国防会議の問題についてお尋ねいたしたいのは、この国防会議の構成法案を今回提案されましたが、これは防衛庁設置法第四十三条によって、「国防会議の構成その他の国防会議に関し必要な事項は、別に法律で定める。」、こういうことになっておるので、法律の建前上から作らねばならぬというわけで今回の国会に出されたのか、それとも過般の防衛分担金交渉の折に、アメリカの方から示唆あるいは要請があつて、国防会議を作るということに決意なされたのか、さらにもう一つ、今の自衛隊は、あるいは防衛庁設置法、あるいは自衛隊法に基く今日の自衛隊は、国防会議の構成を必要とするような情勢に立ち至っておるのかどうか、この点に関しまして政府の所信を承わりたいと思っております。
  258. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 国防会議法は防衛分担金減額交渉の際に約束したために出したのではございません。自衛隊を作りますときに、国防会議を作るということが書いてありますから、それに基いてやったのでありまして、アメリカの示唆に基いてやったのではありません。
  259. 田畑金光

    田畑金光君 わかりました。そうしますと、国防会議法律に基いて作らなければならぬので今回提案したのである、こういう御解釈でありますのが、それと私がもう一つお尋ねしておりまするが、今日の自衛隊を管理運営するためには国防会議を必要とする情勢まできておるのかどうか、この点をどう判断しておられるかということであります。
  260. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 国防会議構成等に関するこの法案を必要といたします理由は、総理大臣からお答え申し上げた通りでございますが、さらに多少補足いたしますというと、国防会議の付議事項としてきめておりますいわゆる防衛計画、長期的の防衛計画ということをきめるということの必要ということは、重要なるまた理由と相なつております。
  261. 田畑金光

    田畑金光君 防衛計画を作るために国防会議がどうしても必要になつているのか、国防会議が必要となつたのであるのか、それは法の建前から、形式から言うとそうなつてきましょうが、私の質問にいたしておりますのは、今日の自衛隊の内容という点からいっても、国防会議を作って、国防計画とか、そういう面まで検討しなければならないほどにきているのかどうか、この点はどうでありますか。
  262. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 必要だと思っております。
  263. 田畑金光

    田畑金光君 どの点から……。
  264. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) つまるところ御質問は、この自衛隊の現在の実情が国防会議を作る必要までにきているのかと、こうおっしゃいますから、それだからこれは自衛隊の現在の実情から見まして、そうしてさらに長期の計画を立てる、それとの関連において、そういう意味においてこれは必要だ、こういうふうに申し上げた次第であります。
  265. 田畑金光

    田畑金光君 私は鳩山総理に伺っておきたいのですが、ただいま資料をここにいただきました。これによりますると、アメリカの場合は、「国家安全保障に関する事項につき、軍と各省庁とが有効適切に協力することができるよう、国家安全保障に関連する国内政策、外交政策及び軍事政策を総合調整することについて大統領に助言を行う機関として、国家安全保障会議が設置されている。」、その構成を見ますると、大統領、副大統領、国務長官、国防長官、国防動員本部長官、対外活動本部長官、こういうふうになつているわけであります。それからイギリスの場合を見ましても、第二次世界大戦終結後、国防機構の検討が行われ、一九四六年十月、国防大臣設置とともに現行の国防委員会が設けられ、そして国防委員会の構成を見ますると、非常に広くわたっているわけであります。しかもその任務及び権限を読んでみますと、「国防審議会は、高度の戦略上の問題並びに国家の全資源を動員するための、人員及び資材の需給、生産その他の政府活動の全分野にわたる計画について審議し、結論を内閣報告する。」、こういう任務を持っているのが、アメリカにおける国家安全補償会議、イギリスに変わる国防委員会であります。この二、三日来の防衛三法の審議を通じて明らかになったことは、陸上兵力はだんだん一人前になつてきたけれども、海軍力や航空力においてはまだ話にもならぬという御説明があったわけであります。この程度の自衛隊に対して、皆さん方が御説明になった程度の自衛隊であるならば、こういう高度防衛国家の、イギリスやアメリカにおけるもののまねをするということは、ちょっとまねが早すぎる、こう私は思うのですが、それは要するにアメリカの方から、一つおれの方の国の機構をまねたらどうか、こういうような経過等もあるかもしれませんが、そういうようなことはさておき、鳩山総理大臣は、こういうものを必要とするとお考えになられるかどうか、これを承わっておきたいと思います。どうでしょうか。
  266. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 杉原長官から……。
  267. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 田畑委員の今御質問の点につきましては、われわれは実際上特に必要だと、特に緊急に必要だと思っておりますことは、長期防衛計画を立てるのに必要だということでございます。
  268. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、長期防衛計画を立てるためだけにこれは必要だ。長期防御計画を立てなければ、これは必要でないのだと……。
  269. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) そういうふうに逆に言われると何ですが、特に今さしあたりのことは、それが一番必要だ、しかし将来まだ、ここに付議事項として書いてありまするようなことは、これはすでにできておる。これは去年の法律でできておることなんです。ですからさしあたりその中で何が特に緊急を要するかと言いますと、長期計画のことがさしあたり必要だと考えておるのであります。
  270. 田畑金光

    田畑金光君 そうすると、こう解釈して受け取ってよろしいですか、この日本の現有の自衛隊の実力内容では、アメリカ、イギリスのまねをするのはちと早いけれども、すでに防衛庁設置法の法律でもって国防会議はこしらえなければいけない。国防会議防衛計画その他を諮らなくちゃならぬので、そういう国内手続の関係上、この国防会議というものは提案するものとなったわけだ、このように承わってよろしいですか。
  271. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 先ほどから申し上げた通りでありますから、大体私今もうお答えは尽きておると考えるのですが……。
  272. 田畑金光

    田畑金光君 あなたの答弁は何のことか私はよくのみ込めないのですよ。だから私の言うように、具体的に今言ったような受け取り方、でよろしいのかどうか、よろしいとおっしゃるならばそれでけっこうです。
  273. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) よろしうございます。
  274. 田畑金光

    田畑金光君 そうですか。私それじゃお尋ねしたいわけですが、単に国防計画を諮るために設けたに過ぎない。こういうわけですね、そうしますとね、あなた方のその最初の提案は、民間人五名以内を加えるか、加えないかというところに、この国防会議の特色があったと考えております。民間人五名を除いて、副総理と外務大臣、大蔵大臣、防衛長官、経済企画庁長官、この五名に議長が総理大臣ということになって参りますると、たとえば経済閣僚で経済閣僚懇談会というのを持っておられるはずですがね。そんなものと何ら意味は違わぬようなことになると思うのです。何のゆえあってこんなものを、こういう法律を提案されて御苦労なさってお作りになるのか、私は先ほどの鳩山総理のお言葉にあったように、これは民間人を加えるか、加えないかというところに、この国防会議構成の問題があると思うのです。これを骨抜きになされたというか、修正されて、今申し上げたように五名の大臣だけが一緒に集まっておやりになるならば、別に国防関係の閣僚でも集まってなされても差しつかえないじゃないか、この点は鳩山総理大臣はどういうようにお考えになりましょうか。別に私はそれだけでしたら、法律を作って御苦労なさらなくても話合いで、経済閣僚というような形で、あるいは防衛閣僚でもよろしうございます。そんな形で運営されても差しつかえないのじゃなかろうか。しかもお話しによりますると、単に防衛計画を相談する会議だといたしますると、私ますますこれをお作りになる理由がわからぬわけでありますが、その点一つ総理大臣に、特にこれは必要があるのだと、こういう事情があるならばお聞かせ願いたいと思います。
  275. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 国防会議は、むろん長期防衛計画を立てることも重大なる目的の一つではありますけれども、他にもいろいろ会議をし、相談をする必要があることはあなたの御承知の通りであります。そうしてこういうような一つの組織体を作る方が便宜がいいし、会議はいろいろなものが付属はしておるし、相談のためにはいろいろな人を呼び得るし、そういうような組織を作っておく方が国防のために必要だと考えておるものであります。
  276. 田畑金光

    田畑金光君 そういたしますならば、まあ閣僚懇談会でも、閣僚会議でも間に合うが、こういうものを法律で制度化的に作っておいた方が便宜だろう。よぶのにも都合がよかろう、こういうわけでこの法律は出されたと受け取ってよろしうございますか。
  277. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) けっこうです。
  278. 田畑金光

    田畑金光君 けっこうでありますか。
  279. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) そうです。
  280. 田畑金光

    田畑金光君 それじゃまあそういうことに……。まことにどうも承わりますると、防衛長官の御答弁を承わっても、内閣総理大臣の御答弁を承わっても、まことにこれは便宜的な、大して重みのないものであるということがよく了解されました。それでは私は鳩山総理大臣の先ほどのお言葉の中で、やはり私は民間人を入れた方がいいと思ったという御答弁があったわけであります。この点に関しましては、先ほど豊田委員から産業調整計画、こういう点から民間人を入れるべきだというお話し、あるいはまた民間人を入れるについても防衛出動等の場合相談するのにも、やはりこういう人方を機構の中に入れておくのが望ましいだろう、こういうお話しがありました。私もその点については賛成であります。しかしまたもう一つ私は根本的に大事なことは、こういうことではないかと思うのです。今の憲法を見ましても、内閣法を見ても、あるいは自衛隊法、防衛庁設置法を見ましても、あまりにも内閣総理大臣の権限というものが強すぎるのです。これは私は、鳩山総理大臣のように人柄のいいお方が総理大臣という権限を持っておられる限りは安心だと思っております。ところがどうも権力を持たすと、いばったり、権力を振り回す、こういう危険な人物が出てくると、どうしてもこれは独裁政治、こういう方向に走る危険性があると思っております。戦争中においても、戦後においても私たちはそれを経験してきました。そこに私はやはり国防会議の中に民間人を入れようとするのは、強大化する総理大臣の権限を調整しようとするのが第一のねらいであったんじゃなかろうかと考えております。第二の問題といたしましては、今日のような議院内閣制、政党内閣制においては、ともすれば日本の政党はまだ生長してないし、議会政治もまだ生長してない。こういう段階において、一つの政党が強大な軍事権力を撮るとなれば、いわゆる政党の政略のために、党略のために自衛隊というものが動かされる危険性がある。こういうこと等もやはり公正な民間人の批判と判断を集めようという趣旨で、私は民間人という問題が出てきたのじゃなかろうか、こう考えております、こういうことを考えて参りましたとき、私は民間人を除かれたということは、先ほど豊田委員から、もうこの法の体裁からいっても、ほとんど削除されて残るのは何もなくなってしまいましたが、こういうようなことでありますならば、何のために、いいところを全く失って自由党との妥協に応じられたのか。私はその辺は、たとえこの法律をこの国会では流しても、鳩山総理は自分はこういう考えであり、これが正しいのだという御信念を持たれるとするならば、私は譲歩されたということは、少し政治家の信念として欠けるところがありはせんかと、よけいなことを考えるわけでありますが、この点総理大臣のいま一度、御見解を承わっておきたいと思います。
  281. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は民間人の委員があった方がいいとは思います。けれども民間人の委員がなくても、あなたのおっしゃるような心配は何にも起きてこないと思います。そうして防衛会議法というのは、いろいろなことは計画はいたしますけれども、出動を初めとして、すべての実施については国会の議決を経なければ何もできないのでありまするから、国会の議決を経るのでありまするから、決して心配はないと確信をしております。
  282. 田畑金光

    田畑金光君 まあ総理大臣はそのような確信を持っておられる、これは無理もありません。しかし先ほどのお話を承わりましたが、総理大臣自身も当初は民間人を入れた方がよかろう、こういうお気持であったのでしょう。
  283. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) そうです。
  284. 田畑金光

    田畑金光君 そうでしょう。それで私はさらにお尋ねしますけれども、なるほどお話のように、防衛出動についても、あるいは治安出動についても国会の議決を経なくちゃならぬ、国会の承認を求めなくちゃならぬ、こういうことはなるほど規定されております。しかし数を握ったら何でも数によって押し切って行こうとするにがい経験というものを私どもはなめてきているのです。戦後のこの国会においても、数によって万事押切ろう、審議も尽さずに、論議も十分尽さずに……。私は国防会議のこの構成法案等は十分に論議を尽さして、公正な判断のもとに、会期末ではあるけれども、仕上げをなされるものだと、こう考えておりまするが、まあ今までのこの国会を見て参りますると、まことにどうも数を持ちますると思い上った、議会政治の本筋を逸脱した傾向がたびたびあったわけなんです。昨年の乱闘国会なんかでも、それはまさにその爆発点としてあれが出てきているわけなんです。そういうことを考えてみましたとき、お話のように議会で多数できめたことが何でも正しいのだ、でありますから、憲法がどうあろうとも多数できめたことは憲法違反にならぬ、こういう理屈も出てくるわけであります。私は今の総理のお言葉は納得できないのであります。やはりこれは民主党の当初の案の通り、民間人を入れる。入れることが日本の現在をみても、あるいは今後の国防会議の運営、あるいは今後の自衛隊はあくまでも政治のもとに軍事をおくという建前を貫くためにも望ましい形である、こういうふうに私は考えるわけでありまするが、あらためて総理の御見解を伺いたいと思います。
  285. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私はあなたの考え方にも幾分かの誤謬があると思います。それは五人の民間人は絶対に信用ができるが、多数の国会議員の信用はできないという論が正しくなければあなたの論は立たぬわけであります。国会議員のどんな多数がどんな乱暴をするかもわからないといえば、五人の少数がどんなことをするかもわからぬわけであります。それですから、そういうように人間を信じなくなったら、国民を信じなくなったらば、どんな法律をこしらえてもうまくは運用できません。民主主義においては多数を信用して、そうして政治をやって行くより私はほかに道がないと思うのでありま。
  286. 田畑金光

    田畑金光君 それじゃまあ時間がありませんので……。なるほど総理から指摘されるとそのような面も出てきましょうが、総理の前提と私の話しておる前提とがまたいささか違っておるのです。それは国防会議の構成として民間人を予定されておりまするが、その民間人というのは、今までの審議の経過を聞いておりますると、前あるいは元内閣総理大臣というような、こういう人方だと承わっております。この人方は必ずしも一党の人方ではないはずであります。各党あるいは国民各層の視野に立ち得る人方だと、こう見ております。私はそういう、まあ見識と申しますか、そういう人方が、しかもそれは一党の専制を考えるような立場の人ではなくして、もう少し国民の各層各分野の視野を忠実に、また国民の声を正しく表し得る人であったとしますならば、そういう権威ある民間人も加わった判断というものは、国会における一党の党利党略の人によって万事推し進める場合よりも私はより公正をはかることができるのじゃなかろうか、こういう前提に立ってお話しを申し上げておりまするから、一つ話しの食い違いはそういうような点で御了承を願っておきたいと考えます。私時間が参りましたので、また明日御質問申し上げますけれでも、ただ申し上げておきたいことは、骨抜きになるようなことまで、あえて議会のかけ引きのために妥協される、そういうようなことはやめていただきたいと思います。これは国家のためでもなく国民のためでもない、このことだけを申し上げておきます。
  287. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次は野本君に願います。
  288. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は今までの豊田さん、それから田畑さん等からのいろいろな御質疑がありましたので、重複する点は省きたいと思います。  第十九国会に防衛庁設置法及び自衛隊法、いわゆる防衛法案が上程審議されましたときに、参議院の内閣委員会は当時の与党でありました自由党を除きます各党各派の皆さんから、この防衛庁設置法に規定されておる重大な項目であるところの国防会議のことについて、何らその案を示さずに持ち込んだということはきわめて不当であるというので、国防会議の構想その他について時の政府の当路者に要望があったわけであります。この要望に対しまして、吉田内閣の首脳の方々がいろいろと御相談をされましたが、結果といたしましては、当時の改進党、それから日本自由党とのいわゆる三党協定といたしまして、先ほどお話しのございましたように、民間を入れたくなかったのだが、民間人を入れることになった、その民間人というのは、ただいま田畑委員からお話しのありましたように、総理大臣の前歴を有するようなりっぱな方々ということであったわけです。そうしますと、自由党の内閣のときの国防会議の構想として発表されたものは、改進党及び当時の日本自由党の意見によって動かされた案である。今度は改進党、日本自由党が中核になっております民主党の内閣になりまして持ち込まれました案は、結果的には自由党の案になっておる。私はこの国防会議の案というものは、日本の最近の政治情勢というものを物語っているように思いまして、まあこれは興味本位で見ているわけではありませんが、いろいろと考えさせられる点があるわけです。そこで、なぜ考えさせられるかと申しますというと、国の防衛基本方針とか、あるいは防衛の計画とか、これに関連する産業の調整というような、単に防衛だけでなしに、国民生活に非常に重大な関係を持っておりますこの国防会議内容が、きわめて不安定な状態に置かれておるということなんです。この次には一体どうなるんだ、これは結局日本の政治的な不安定というものが、こういう重大な内容を持っております国防会議そのものをも不安定な状態に置いておる、私は国防であるとか、教育であるとか、あるいは外交とかというような問題は、これは一貫不動のものを持っておらなければ、国の進歩と申しますか、発展というものは期待し得ないというような考え方を持っておる。従ってこういうような不安定な状態に国防会議そのものが置かれておるということをきわめて遺憾に思っておるんですが、総理大臣はその点についてどうお考えでございますか。
  289. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 民間人を国防会議の議員に入れておく方がいいとは思っておりますけれども、民間人がなくても大して運営に差しつかえない。民間人が抜けたということは他の考え方によって補充ができる、その弊害は補充ができると考えまして、民間人削除に同意したのであります。
  290. 野本品吉

    ○野本品吉君 次に、先ほどこれも田畑委員から出たのでありますが、今度の構成を見ますというと、閣僚の一部分の者だけが国防会議の議員である。議長は総理である。そういうことになりますというと、国務大臣に対する任命権者であり、また任意にこれを罷免する権限を持っておる総理大臣が議長である、かようなところで、果して自由と申しますか、率直な審議が行われるかどうかということを、過去のいろいろなことから考えまして疑わさせられますし、それからまた、これは閣議でもなければ、どういうのですか、小人数が、閣僚の一部の者が集まった閣僚懇談会といったようなもので、どうもその会議そのものに権威と責任の所在が明確でないような感じがいたしますが、これはいかがでしょうか。
  291. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) この会議には、相談に必要な人が適時出席の要求が、できますから、閣僚懇談会というような形には陥らないと思います。
  292. 野本品吉

    ○野本品吉君 それからさらにまたお伺いいたしますが、この国防会議には必要に応じまして他の閣僚、それからして幕僚会議議長その他が参画することができる。そこで考えられます事柄は、閣僚としての議員は、内閣がかわれば、いつかわってしまうかわからない。幕僚会議議長等は大体において一貫してその職におる。しかも予想されますことは、原案の作成は主として防衛庁当局が当られるであろうと私は想像するのです。そうしますというと、政変ごとにかわる幾多の閣僚は別といたしまして、終始一貫いつもこの国防会議に参画しております人は防衛庁の人であり、なおまた、おそらくその原案等を作るであろうところの幕僚会議議長であろうと思います。こうなって参りますというと、国防会議会議事項の内容、それから経過というものを最も詳しく知っておるものとして残るものは、今申しました幕僚会議議長その他防衛関係のものになる。そうなって参りますというと、私はここにいわゆる政治が軍事に優先する、しなければならないという非常に大きな原則に動揺を来たしてくるのじゃないかということを恐れるわけであります。この点についてはどうお考えですか。
  293. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 多分制度におきまして、政治が軍事に優先するということは、ずいぶん確保せらるる方法が考えられておるものと思います。その方法さえ確立しておるならば、政変とともに中核が吹き飛んでしまうよりは、その方がむしろいいのではないかと私は考えます。
  294. 野本品吉

    ○野本品吉君 政変とともに国防会議の構成メンバーというものがかわる。同時にいろいろと意見が変ってくる。そこで変らないのは、先ほど申しましたような、防衛庁を中心とするいろいろな考え方、こうなって参りまするというと、政変ごとに防衛庁及び防衛庁に関係を持っております防衛の実際を担当する首脳部の意見というものと、新しく議員になられた閣僚との間に、時には意見の対立が起り、摩擦が起るというような事態が予想されまするので、ここに一貫した防衛の方針というものがまあ非常に動揺とか、混乱を来たすのではないかというおそれがあります。かような点についてはどうお考えでしょうか。
  295. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 事件の摩擦ということをおっしやいますが、事実の摩擦をいろいろに考えるということが民主主義のやり方であると私は思っております。
  296. 野本品吉

    ○野本品吉君 次にお伺いいたしたいと思いますことは、先日来いろいろな論議を通しまして、国民経済に非常な重圧を加えるほどの大きな、たくさんな金が防衛費のためにかかる。またいわゆる自衛官の数等も二十万近く、自衛官の制服職員、それからして非制服職員を合わせますと、二十万になる。こういうような膨大な機構、それからして非常に多くの経費を要します防衛庁がある以上は、私は人的にも物的にも、その能率を最高度に発揮させるようなことを考えなければいかぬ。また責任を完全に負うようにしなければいけない、こう考える。そこで現在のように、これほど膨大な機構、それからして多くの経費を投じておりまする防衛庁というものが、総理府の外局であることが適当であるかどうかということについて、私は疑いを持つのであります。と申しますのは、何もむやみに、いわゆる軍備を増大しろ、増強しろという考え方ではないので、要するに人的にも物的にも効率を上げるということと、責任の所在を明確にするというような点から考えまして、総理府の外局として置くことが適当であるか、あるいは防衛費であるとか、国防省であるとかいう独立した一つ機関として運営して行くことが適当であるかということについて疑問を持つわけであります。この点につきまして政府のお考えをお伺いしたい。
  297. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) ごもっともな点もあると思いますけれども、ここで非常に大事な点は、自衛隊に対する最高の指揮監督権をだれが持つかという点が非常に根本的に大事な点だと思います。そうしてその点から見まして、内閣総理大臣に最高の指揮監督権はあるということを根本にして行くということからいたしまして、その点につきましては、現在の制度の方がよかろうと存じます。ただそれ以下のところのものについては、これはまあいろいろ問題があると思います。
  298. 野本品吉

    ○野本品吉君 先ほど総理大臣は、民間人を省いたけれども、必要に応じて民間人の良識と申しますか、いろいろな力を吸収する方法も考えられる、こういうお話があったようです。そこで私がお伺いいたしたいと思いますのは、こういうような内容を持ちました仕事には、先ほど豊田委員からもお話が出たのでありますが、やはりある程度の秘密の保持が必要である。で、国防の基本方針及び国防の計画の大綱をきめるというような重大な問題について、無責任な民間人の意見を聞く際に、将来それが何かの支障を起した場合に、それらの人たちの責任の追及の仕方がないのです。秘密保持という点からいって、これはどういうことになりますか。
  299. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 今のいわゆる民間議員の場合でありますか。
  300. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうじゃない。
  301. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) いわゆる関係者の中の民間人。
  302. 野本品吉

    ○野本品吉君 先ほど総理大臣が、民間人は排除したけれども、民間人の有能な方の意見を聞く道もあると、こうおっしゃったから、無責任な民間人の秘密の保持はどうするかということです。
  303. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 総理大臣が先ほど言われましたのは、やはりこの法律に基く第八条の、いわゆる「関係者」というのの一つの場合として、民間の人と、こういうふうに、そういう意味で言われた場合でございますね。この場合は秘密のことについては特に規定しておりません。これはそういう人たちの意見を述べさせるということにとどまっております。そういう点においての秘密の点について規定を設ける必要がないと思って設けなかったのであります。
  304. 野本品吉

    ○野本品吉君 それは私はいろいろ疑問があると思うのでありますけれども、一応承わっておきます。そこでその具体的な問題といたしまして、例の艦艇貸与の日米協定に伴いまして、例の秘密保護法と言いますか、あれができました。あの法律ができましてから、この秘密保護法の適用を受けましたものがどれくらいありますのですか、これをちょっと……。
  305. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) これはレーダーとか、掃海具等についてでございますが、なおもう少し具体的なところは詳細には政府委員から説明させます。今御質問の趣旨は、実際にあの罰則が適用されたことがあるかどうかということですか。
  306. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうでございます。
  307. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) それは全然ございません。
  308. 野本品吉

    ○野本品吉君 全然ない。以上お伺いしましたが、私も前の委員の方から、私のお伺いしたいと思います点につきまして詳細質問がありましたので、一応これで終ります。
  309. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は本日の朝以来、AP、AFP、INS、共同等の通信が、読売、産業経済、日本タイムス等に掲載されて、日本国民が非常に驚いております原子砲の問題についてまずお尋ねしたいと思います。先ほど木下君からも質問が行われ、また本会議では吉田法晴君が緊急質問で政府側に答弁を求められた。しかし、それらの答弁はきわめて不十分であり、私はこの問題をまず首相にお尋ねしたいと思います。最初に、首相はけさ新聞をごらんになりまして、どのような感想を持たれたか、それからお尋ねをいたしたいと思います。
  310. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) この問題は先刻御質問がありまして、明朝、重光君が出席をして、諸君に親しく詳細なことを説明するということになっておるのでありますから、明朝、重光君からよく答弁を申し上げることにいたしたいと思います。
  311. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を止めて下さい。   〔速記中止
  312. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
  313. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 それでは鳩山首相にお伺いしますが、あなたの感想、新聞をごらんになっての感想、国民が皆心配しておる原子爆弾を持ってくるのじゃないだろうか、あるいは原子爆弾ではなくとも、たとえば西ドイツには一カ年も前から原子砲が据えつけられて、それらの性能等についてもあらかた発表されておる。原子爆弾でなくとも、原子砲が据えつけられたならば、日本の国民はどうなるのかというので非常に心配をしておるわけであります。あの新聞記事を見まして、国民たちは、とうとうやってきたなという印象を私は持ったと思います。鳩山首相としてはどういう印象をお持ちになったか、感想を述べていただきたいと思います。
  314. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私はあの記事を見まして、実は原子爆弾を日本に持ってくる場合においては、日本の同意を求むる、日本の同意がなければ持ってこれないものと思っておりました。そうして日本は、原子爆弾というものは攻撃的の武器であるから、日本の自衛の目的の範囲外だと考えておりますから、日本の同意を求むる場合にはこれを拒絶するのが適当であると考えておったのであります。それでありまするから、原子爆弾を持ってくるのではないだろうが、原子砲というものはどういうものだろうというように考えたのでありますが、原子砲というものはどういうものかしらんということを、これは聞いてみる必要があるとさっそく思ったのであります。それから登院いたしまして、重光君に会いましたから、アリソンは一体どういうのだといったらば、アリソンに聞いたところが、アリソンは全く知らない、原子爆弾なり原子砲が日本に持って来られるということについても何も知らない、そうして原子爆弾ではない、原子爆弾と原子砲とは違うから、原子爆弾を持つてくる場合においては、事前に承諾が要るはずだから、自分は原子爆弾を持ってくるものとは思わない、こういうようなことを重光君が私に言いますから、私は一安心したわけなんです。けれども原子砲とはいかなるものであるかということも知りませんし、原子爆弾はほんとうに持ってこないという確証は得たかどうか、もう一ぺん聞いてみなければ不明でありますので、明日重光君がくれば、諸君に明瞭にこの間の事情が御説明できるものと思つておるのであります。
  315. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 INSの二十八日の電報を見ますと、ロケット弾オネスト・ジョンは、日本政府とのこれまでの秘密協定に従い、日本に送られるもので、日本の国会はこの措置について知らされていないというワシントン特電が載っておるわけです。それから共同通信によりますると、二十八日発表であります。日本大使館の談話として、こういう談話が載つております。もしこの報道が事実としても、原子弾頭、頭に原子弾をくっつけた原子弾頭を装着し得るロオット弾を日本に持って行けるということであって、原子弾そのものを持って行くか否かは必ずしも明らかではない、そういう工合に大使館の方では話しております。それからUPの二十九日の電報でありますが、二十九日の電報は、おそらく本日の本会議での吉田君の緊急質問に対する重光外相の回答に対する米側の態度として、向う側で取った電報をこちらに送って来たものと想像される、それによりますると、在日米軍当局スポークスマンは、二十九日、UP通信記者に対し、ロケット砲が日本に派遣されることになっている、なっているが、これについては事前に日本政府側と話し合いを行なっており、これは決して米軍の一方的措置ではないと言明した、このようにUPの電報は打って来ているわけです。で、先ほど申しましたように重光外相の回答に対するこれは再回答だと私は思う。アメリカの回答と思う。従ってロケット砲を日本に持ってくるということについては、すでに事前に日本政府当局との話し合いが行われているものと考えられるわけですが、首相としては、この問題について私は知りませんとは言うことができないと思います。あなたは政府の首班者としての立場において、この問題については当然事前に重光外相なり、あるいは杉原長官等からお話があったことと想像されますが、この点はいかがですか。
  316. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) そういう話は全然聞いたことがございません。
  317. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 そうしますと、UPの二十九日のこの電報というものは全然虚構の電報であるとこういうことになる。
  318. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 事実に反するものと思います。
  319. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 事実に反するものですか。
  320. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) ええ。
  321. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 UPともあろうものが、在日米軍当局スポークスマンの談話として、日本政府と事前に話し合いを行なっており、こういうことを言明した電報を打つということは、これは非常に私は重大なことだと思うのです。もしUPが虚構の事実を電文に載せたものとすると、これはUPの重大な責任になると思う。あなたは政府の首班者として、この問題に対する責任のある御答弁を願いたいと思うのです。
  322. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は全然知らないものですから、知らないことは知らないと言うよりほかに道はないのですから、それですから、明朝重光君がくるのでありまするから、そのときにお聞きになったらいいじゃありませんか。
  323. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。今、堀委員からUPの問題が出たのでありますが、かりにですね、新聞の記事の通り、総理大臣が知らなくても、あなたの下部の機関で秘密協定あるいは秘密協定に類する話し合いというものがとげられておったということが、あとでわかりましたら、総理大臣はどういうお態度をおとりになりますか。
  324. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は知らないことは知らないと言う以外には私はできません。
  325. 加瀬完

    ○加瀬完君 しかしですね。国民がひとしく憂える原爆問題が、しかも政府の一部で、かりにですよ、秘密にアメリカとの間において取りかわされておった。それをいろいろ聞かれても、総理大臣は知らぬということであった。しかし事実はあなたの下部の機関においては秘密協定があったのだ。こういうことであった場合に、知らぬということでは私はのがれられない。そういう場合はどういたしますか、お責任をおとりになりますか、どういうお責任をおとりになりますか。
  326. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は、知らないことを知ってると言うことは偽わりでありますから、嘘を言えという要求には応じません。
  327. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうではないのです。総理が知っておらないということはわれわれも了承するのです。しかしあなたに知らさないで、あなたの外務省なり、あるいはその他の機関なりで、新聞の伝えるようなことが取り行なわれておったとしたならば、総理は少くとも知らないということでは、国民の前に申し開きは立たないと思う。そういう事実が現実にはっきりと現われましたときには、どうなさいますかと、こういうことであります。
  328. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 杉原君がここにおりますけれども、杉原君も知らないと思います。重光君は明日ここへ参りますから、重光君も明日ここでやはり同じことを言うだろうと思うのです。
  329. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 何べんもくどくお尋ねするようですが、あなたは鳩山内閣の首班です。従ってたとえば外務大臣あるいは外務省の下僚が、あるいはまた防衛庁の長官なり、その下僚なりが、何らかの秘密協定に基いて日本にロケット砲を導入することを認めたということになれば、あなたは知らないということだけでその責任を免れることはできないと思うのです。あなたは首班としての責任を明らかにされることが当然ではないかと思いますが、いかがですか。
  330. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私はそういう事実はない、秘密協約というものはないと確信をしております。その秘密協約のないやつを、あったらばどうするかという仮定の質問に対してはお答えをいたしません。
  331. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 秘密協約がなくとも、在日米当局のスポークスマンは、はっきりと事前に日本政府側と話し合いを行なっており、これは決して米軍の一方的措置ではないと言っているのです。この点はいかがですか。秘密協定はないとしても、事前に日本政府側にそういう話し合いが、外務省なり、あるいは防衛庁等にあったとしたならば、あなたとしては知らないで済まされる問題でありましょうか。
  332. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) そういう仮定の質問ですからして、仮定の質問…。
  333. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 仮定じゃないのです。ここに出ておるのです。
  334. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) いえ、あったならといこうとは、秘密協約があったならというのでしょう。
  335. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 いや、秘密協約はなくともいいのです。事前の話し合いが行われておる、こういうことです。
  336. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 事前の話し合いがあったらばでしょう。
  337. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 あったらばと言われるが、あったとここに書いてあるのです。
  338. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) いえ、ありません。
  339. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 あくまでもこれはUPの虚構の報道だと、こういうわけですね。
  340. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私はないと信じております。
  341. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 信じておるじゃだめなんですよ。あなたは内閣の首班なのです。何度も言うようですが、従ってあなたの閣僚の一人が、アメリカ側と事前にそういう話し合いをしたということになれば、あなたとしては当然その責任をとられるのが、私は内閣制の本筋じゃないかと思いますが、いかがですか。
  342. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は事前にそういうような取りきめはないと確信をしておりますので、もしあったならば、どういう責任をとるかという仮定の質問に対してはお答えをいたしません。
  343. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 新聞の報道によりますとロケット砲はすでに二十九日に目的地に到達している、こういうのであります、この点は杉原長官にお尋ねした方がいいと思いますが、ロケット砲は日本にもう到着しておりますか。
  344. 杉原荒太

    ○国務大臣(杉原荒太君) 私も実は今朝の新聞の報道で見て、報道だけを知ったような次第でございまして、先ほどから、何か日本政府にあらかじめ話し合いがあったというのですが、私は実に不可解であります。
  345. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 また鳩山首相にお尋ねしますが、もしこれが虚構の報道であったとしたら、首相としてはどういう措置をUP通信に対しておとりになりまか。
  346. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) そのときに考えます。明朝虚構の報道であるかどうかということがきまりますから、そのときに考えます。
  347. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 このような外国電報が、単にUPだけではない。APも、AFPも、INSも報道しておるのであります。決してUPだけの虚構の報道だとは言うことができないと思います。しかも現在日ソ交渉がロンドンにおいて行われているのです。これの電報がおそらくは日ソ交渉に非常に大きな影響を与えるものと考えますが、その点について鳩山首相はどのようなお考えを持っておられますか、お尋ねしたいと思います。
  348. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) ロケット砲が沖繩に着いているということが事実であるならば、それがソ連にどういう影響を及ぼすかという御質問ですか。
  349. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 ロケット砲は日本にくるのです。原子砲が沖繩にくるのです。原子砲六門が沖繩に、それからロケット砲が日本の基地にくることになっているのです、その電報によると……。それが日ソ交渉にどういう影響を与えるか。
  350. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) いい影響を与えまいと思いますが、大して悪影響も及ぼすまいと考えます。
  351. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 なぜ悪影響を及ぼすとは限らぬというのか、その理由を御説明願いたい。
  352. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) アメリカとソ連との間に冷戦の続いておったことは御承知の通りであります。その冷戦に終止符をつけようと思ってジュネーヴ会議が行われたのであります。そのジュネーヴ会議が行われて、せっかく緊張緩和の方に一歩前進したときに、アメリカが戦争準備をしておるということは、いい影響は及ぼすまいと思います。しかしながら、ソ連としてもそういうような方向においてジュネーヴ会議では進んでおりますけれども、アメリカの軍のうちにおいて、果してそういう今気分にみんなが一致してなっているかということについては、ソ連も疑っているものと思いますから、大して悪い影響を与えまいと、こういったわけです。
  353. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 鳩山首相の御答弁を承わっておりますと、きわめてああでもない、こうでもないというような御答弁で、大へん理解するに苦しむのですが……。
  354. 木下源吾

    ○木下源吾君 実は知らぬから知らぬとおっしゃっておると私は思う。何も総理は、先ほど私の質問に対しても、うそを言っておるとか、そういう考えを持っておりませんが、過ぐる本会議で、私は富士山基地実弾射撃の問題で緊急質問をいたしたことがあるのであります。そのときに私はこの問題を取り上げておる。というのは、こういう富士山の実弾射撃をやっているのは、あそこのところへ、ロケット砲の射撃をやる一番好個の場所だということで、すでにそこのところでロケット砲の演習を、やがて原子砲を持ってくるそのときの練習をやっているんだ、こういう情報を私は受けたんであります。これは容易ならぬことだと思って、実は先般緊急質問を私はいたしました。ところがあなたも、あなたの閣僚も、だれもそれに対しては御返答はなかったのです。ですからおそらくあなた方は、木下はあんなことを言っているが、少し気が違っておるのじゃないかくらいに考えておったのではないか、私はそう思っているのです。ところが私はそうじゃない。その情報を、かなり信ずべき情報を受けとったから、それで緊急質問をしたのであります。そうして私は現地に、この内閣委員会の同意を求めて調査にまで行ったわけであります。ところがその原子砲はまだ使っておらないということだけは認めたけれども、しかし巨大な砲を持って演習をしておることは明らかであり、そうして富士山の七合目付近でやっておるんですからね、実弾射撃は……。きょうの新聞で見ますと、約十里くらいでありましょうか。向うの演習場ではやはり五、六里のところをやっておるようであります。こういうわけで、すでに私どもは、そうして国民の一部では不安ながらそれを知っておるんです。それを私はなかば警告の意味で緊急質問をしておるのに、あなたの政府はこの点に対し何らの調査もしておられぬということは、はなはだ怠慢ではないかと思うのです。そうしてそのあとから、木下はばかなことを聞いておると言わぬばかりに、衆議院でも、参議院でも、あらゆる機会に原子爆弾とか、そういうものは持ってこない、くるときには拒絶するのだ、こんなことばかりおっしゃっておる。それでまことにあなた方は、われわれは取るに足らぬものだ、アメリカだけは信頼できるのだ、御親類だというように、全くこの辺のやり方は国民は納得しない。緊急質問までしておるのに、これに答えもしないで、そして今現実の問題として現われてきておるのに、知らぬ、存ぜぬ。そのときにすでに調査にかかるべきではなかったか。そして今の新聞が出たから重光外務大臣に聞かしたとか、うかつ千万な話ではありませんか。私どもは原子爆弾を恐れ、ビキニの灰以来というものは、原子という言葉を聞けば全くぞっとするのですよ。で、あなたは、あなたたちは、こういう点に対して全く私はぬかにくぎじゃないか。それで国防々々ということを言っておられる。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)すでにもう国は侵されておる。原子砲が来て、今原子爆弾はいつでも撃てるような態勢になって、この国が原子爆弾によって侵されている。何かこれから先の国土防衛なんということは、そんなことを言っている前に、もう侵されているではないか、こんな危険なものが日本の富士山から吹っ飛ぶ今演習をやっておるのです。これはあなたは、さっきあなた方は、原子力によって弾丸を送る大砲のごとく、そういう印象を与えるようなことにごまかしておる。一方においては、そうではない、はっきり新聞には、原子弾を撃つ、あなたがおっしゃったように、普通の弾丸も撃てる大砲だということをはっきり言っておる。そういうことを総理大臣はお知りになって、知らぬと、知らぬは亭主ばかりなり、こういう言葉が昔からことわざにありました。恐らくあなたの身辺におる再軍備を強行しておる諸君は皆知っておるだろうと思う。それであなたの前に、すでにこの日本の再軍備を必要として一生懸命憲法改正を企てて、そうして公然とやろう、そういう人たちは、中心の指導者は知っておる。これは知っておるから、アメリカは知っているということを公然と言ってきているのです。総理大臣はただ知らぬと言えばそれでいい、私はこういう点について今お知りにならぬでもいい、あのときに警告を発しているのに、なぜ御調査にならなかったか、このことを一つあなたから、責任ある御答弁を承わりたい。
  355. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 富士山ろくについての調査政府においてしたと思います。
  356. 千葉信

    千葉信君 議事進行について……。だいぶ長時間になって首相もお疲れのようですし、約束の時間にもなりましたから、そろそろ議事を切りかえて次の議題に入ってもらいたい。
  357. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまの千葉委員の御提案に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  358. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それではさようにいたしまして、本日の総理大臣に対する質疑は一応これで打ち切りまして、明日の日程に従いまして、明日は十時から憲法調査会の提案理由を聞き、そうして続いて国防会議構成等に関する法律案の質疑を続けます。そのときに、今、総理のお話のように重光外務大臣の出席を求めておりますから、外務大臣から説明を聞いてから、この問題について御審議を願いたいと思います。   ちょっと速記をとめて下さい。    午後九時三分速記中止    ————・————    午後九時二十分速記開始
  359. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  それでは請願第八号、第五〇号、第七一号、第一三一号、第一三七号、第一四七号、第一五一号、第一五二号、第一六二号、第一六四号、第一九二号、第一九七号、第二二三号、第二四二号、第二九五号、第三一七号、第三一八号、第三四一号、第四〇〇号、第四二六号、第四四〇号、第六三〇号、第六八〇号、第八四六号、第一五九四号、第九九号、第一一九号、第一二六号、第七二四号、第七三一号、第七六〇号、第七八一号、第一〇号、第四一号、第七九号、第九八号、第一一二号、第一二〇号、第一二三号、第一三〇号、第一四四号、第一六一号、第一六三号、第二〇二号、第二二四号、第二五三号、第二六二号、第二八三号、第三二六号、第三六三号、第三八一号、第四一三号、第一〇九三号、第四〇号、第五八号、第七八号、第一一一号、第一二一号、第一二二号、第一二七号、第一四五号、第一四六号、第一五三号、第一六〇号、第一六六号、第一七〇号、第一七一号、第一七二号、第一七四号、第一七九号、第一八〇号、第一九〇号、第一九一号、第二〇〇号、第二〇一号、第二二五号、第三七〇号、第二八一号、第三四九号、第三八二号、第四一四号、第四六四号、第四八二号、第五一四号、第六〇九号、第七二三号、第二三号、第四五号、第七〇号、第九三号、第六六〇号、第五九号、第一〇三号、第一〇四号、第一八三号、第二九九号、第三四号、第三二七号、第七一八号、第一四二〇号、第一六二六号、第一九五号、第七三〇号、第二五二号、第三五七号、第五四六号、第七五〇号、第六二号、第八七九号、第八八〇号、第六三七号、第九四六号、第一二一八号、第一二一九号、第一三〇〇号、第一四三九号、第六四〇号、第一二一五号、第一四四〇号、第一四四一号、第一四四三号、第一五〇五号、第一六三二号、第一六四〇号、第三四号、第二二一号、第四二七号、第四四九号、第五二七号、第五二八号、第五五二号、第五七〇号、第五九五号、第七〇〇号、第一二九四号、第一三一六号、第一五九六号、第一六三六号、第五一五号、第七四三号、第一五八三号及び第六六三号は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと審査決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後九時二十三分散会    ————・————