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1955-07-27 第22回国会 参議院 内閣委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十七日(水曜日)    午前十一時一分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            長島 銀藏君            宮田 重文君            木下 源吾君            松原 一彦君    委員            井上 知治君            木村篤太郎君            中川 以良君            中山 壽彦君            豊田 雅孝君            加瀬  完君            菊川 孝夫君            千葉  信君            田畑 金光君            松浦 清一君            木島 虎藏君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    国 務 大 臣 杉原 荒太君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    内閣官房長官 松本 瀧藏君    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正巳君    防衛庁次長   増原 恵吉君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    防衛庁教育局長    事務取扱    都村新次郎君    防衛庁人事局長 加藤 陽一君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    防衛庁装備局長 久保 亀夫君    経済企画庁長官    官房長     酒井 俊彦君    経済企画庁計画    部長      佐々木義武君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから内閣委員会開会いたします。  自衛隊法の一部を改正する法律案防衛庁設置法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  昨日に続いて鳩山内閣総理大臣に対する質疑を続行いたします。
  3. 千葉信

    千葉信君 私は総理に対して若干の質問を申し上げるに当って、一言首相にごあいさつを申し上げます。  首相が本会議等の場合におきましても、見るも痛々しい御健康の状態で、しかもなおかつこの炎暑の中を国政に尽瘁しておられる態度に対しては、私は立場をこえて深い敬意を表する次第でございます。ただしかし、この機会に申し上げておきたいことは、もしも私ども通例一つ通念として考えておりますように、もしも健全な精神は健康な身体に宿るというその通念の例外である場合には問題がありませんけれども、もしも鳩山首相が、今そこなわれておる御健康の関係で、国民にとって思わない不利益や不幸が起るようなことがありましては、これは鳩山総理お一人の問題ではなくして、国民全体にとって実に大きな不幸であると言わなければならないと思います。私は鳩山首相戦争中におとりになられました態度、ところが一部の独裁的な権力者に左右されて、そうして議会政治が全く地を払う格好で、翼賛政治などというものが日本に行われておりました当時、鳩山首相最後まできぜんとして所信を貫かれたことは、今日国民信頼が、特に二月における総選挙等におきましても、民主党に対する支持の大半が鳩山首相個人に対する国民信頼支持から来ておるという一部の新聞の見解がありましたが、私はその点については全く同感を禁じ得ないものがあると考えておりました。その鳩山首相に対する国民信頼というのは、私は帰するところ、鳩山首相が今日まで操守堅固に政治家として行動されて来たその御行為に対する、それから信念に対する国民信頼だと思います。私はそういう角度から考えて、今日鳩山首相がその国民信頼を裏切りつつあるのではないかという疑問を持たざるを得ません。鳩山首相はかって野にあられました当時は、現在のごとき保安隊程度のものといたしましても、戦力の傾向を帯びたもの、これは現在の憲法のもとにおいては持てない。はっきり憲法改正せらるべきだと鳩山首相主張されておりました。ところが今日衆参両院における本会議におきましても、それからまた、本年の六月二十七日の衆議院における内閣委員会におきましても、鳩山首相はこう言われた。「独立国家としては主権がある、主権があれば自衛権は当然ついてくるものだというような解釈をすれば、憲法九条がありましても自衛隊は持てる。自衛隊法ができまして、それが多数をもって国会を通過いたしまして、国民の大多数の意見は現在の憲法のままで、自衛のためならば兵力を持ってもいいということになってしまったのでありますから、今日私が以前の軍隊を持つのには九条の改正が要るという説を変更いたしましたところで決して不当ではないと私は考えております。」、鳩山首相はこう申されております。もしこの通りだということになりますと、なるほど国会等において憲法第九条に対する解釈において、民主主義の原則にのっとって一応の結論は出た。結論が出て自衛隊憲法第九条の解釈からいって、自衛権があるのだから、その自衛権のあるということに原因して自衛隊を持つことは違法ではないという事実が起った。そういう事実が起ったら、その事実の前には自分の従来主張した意見は変えてもいいのだ、こういう御答弁でございます。もしもこれと同じ論法で行きますならば、そういう何らかの事実が既成事実として発生したら、おれの意見はその事実の発生した通り意見が変っても不当ではない、こういうことになるわけです。そうすると、一つの例を引きますと、かって戦争中に鳩山首相が勇敢に最後まで御自分意見主張して、そうして一部の権力者が左右するその誤まれる国論動向に対して、きぜんとして所信を貫かれた。しかしこの論法で行きますならば、当時日本状態が、ああいう大多数の国民が一部の誤まれる指導者に導かれたとは言え、国をあげて戦争に狂奔するというような、そういう態勢になっているから自分意見もそう変えても何にも不当ではないじゃないか、こういう理屈と同じです。これでは私はせっかく国民鳩山首相信頼し、鳩山首相が自己の信念に向って堂々と進まれる。そして鳩山首相に対する二月の総選挙におきましても、国民は、鳩山首相は今までのように現在の憲法のもとにおいても、保守隊でも自衛隊でも持てるのだと、そういうやり方をしてきた状態に対して、鳩山首相は、自衛隊というような戦力を持つためには憲法第九条は変えなければならぬという御意見をお持ちなんです。この鳩山首相の御意見は貫かれるものだという考えをもって鳩山首相国民支持していたと私は考えるべきだと思うのです。そうすれば、これは鳩山首相に対する国民信頼は一体どうなるか。私はこの点は一片の国会における答弁で済む問題ではないと思います。答弁されまかり通ればそれでいいという問題ではないと思います。国民道義にも連なる問題だと思います。そういう意味で、私は一体鳩山首相はそれでもなおかつ、これはそういう事態が起ったから自分意見を変えたんだということを平然として押し切られるおつもりか。私はその点は鳩山首相個人のためにとるべきではない御答弁だと思いますが、重ねて私はこの通りかどうか、鳩山首相お尋ねをしたい。
  4. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は憲法九条の解釈については、今日まで申し述べたことについて間違いがないと思っております。憲法九条については、かって私は自衛隊法ができるまでは、自衛隊を、憲法九条がある以上は、改正しなくては戦力を持つことはできないという解釈をとっておりました。だけれども自衛隊法ができて、そのときの経過もずいぶんありまして、そしてその間に自衛隊漸増という事実がだんだん積み重った今日においては、でき上った事実を全然無視するということは、実際政治の上においてはできません。それで憲法解釈が自然にそういうふうになったということを国民同意してくれるものと私は信じます。今日において、自衛の目的のために戦力を持っては悪いということは国民考えてないと考えます。
  5. 千葉信

    千葉信君 私は国民がどういう既成事実が積み重ねられたか、それからまた国民がその既成事実に対してどう考えておるか。それからまた第九条との関連において国民はそれを了承しているかどうか、そういうことを私はお尋ねしているのではないのです。そうではなくて、かって第九条をそのままにしておいて自衛隊を持つことは、これは結論から言えば憲法に抵触するということです。憲法に抵触するのだという解釈をとってこられた政治家が、その憲法に抵触するような事実が、その見解に従えばその事実が起った、その事実が起ったということを肯定するということと、いいですか、そういう事実が起ったということを肯定するということと、その憲法解釈について自分がし遂げてきた意見見解というものとは別だと思う。それを混同しているのです。それを混同するということは、政治家節操を誤まることなんです。ですから私のお尋ねしているのは、そういう事実が発生したからといって、一体堂々と国民の代表として自分意見主張してこられた方が、その事実が発生したからといって、直ちは自分意見を変えてそれでいいと思うかどうかということです。それで節操が貫かれたと首相はお考えになっておられるかどうかということです。私はその点をお尋ねしているのです。
  6. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 憲法解釈に疑義があります場合は、国会意思によってきまるものと思います。国会意思自衛のためならば戦力は持ってもいいというように国会意思がなった以上は、憲法解釈をさように解釈しなくてはならないと思います。それにはその国会意思に従うということが適当な道だと私は考えます。
  7. 千葉信

    千葉信君 そういう理屈もあるいは表現的には成り立つかもしれません。しかしそれは、そういう言いのがれとしての理屈はかりに立つとしても、私はその意見は、その理屈は筋が通らぬと思います。たとえば同じ問題に対して、ちょうど鳩山首相がかって主張されたように、自衛隊を持つには憲法第九条を変えなければいかぬということを主張されたその鳩山首相と同じ意見を持っている諸君がたくさんいるのです。鳩山首相の、党は違っても同僚議員の中にたくさんいるのです。たとえば、具体的に申しましょう。右社会党左社会党党首諸君です。その中で、たとえば鈴木茂三郎なら鈴木茂三郎という議員が、自衛権を持つならば憲法第九条を変えなければならぬと主張してきた。国法で自衛隊法が通ったから、これは国論がそういうふうになったんだからといって、憲法第九条を変えなくても自衛隊は持てるというふうに、鈴木茂三郎なら鈴木茂三郎という政治家がそういう意見を変えることについて国民は一体何と言うでしょう。意見を変えたということじゃないのです。変説政論です。それは……。消極的にそういう事実が発生したということが、国会における正しい民生三義的な結論であるかどうかということは、多数決だけできまるものだと、簡単にそんなに容易な格好で片づくものではないと思うのです。これは鳩山首相に対してこんなことを申し上げるのはいささか不謹慎のきらいがあるかもしれませんが、民主主義というのは、私はなるほど多数決によって問題を決するという、形の上ではそういう形です。しかし周知を集めて、そうしてだれでもが自分の思うこと、自分の正しいと思う意見を十分言い合って、そうしてできるだけりっぱな結論を、正しい結論を引き出すということが、ほんとう民主主義の最終の理想の形態ではありませんか。今の国会においてかりに、今日のこの国会を私は否認するのじゃありませんけれども、今日の国会における結論が、常に正しいものということは言えないと思うのです。今日のようなあり方をしているから、今日国会でその結論が出れば、その事実に対して国民もその事実を認めてやっているとしても、その結論が常に正しいものということにはならないと思うのです。常にりっぱなものだということは言えないと思うのです。あるいは場合によっては、多数決でもほんとうば最善ではない結論を出しているかもしれない、間違いに近い結論を出しているかもしれない。この点は考えなくちゃいかぬと思う。そういう場合に、きまったから、そういう事実の前には、おれは今までの意見は変えて、その事実を基礎とした意見に立つんだなんていうことは、これは私は少くとも操志固い政治家の言うべきことじゃないと思うのです。もしそういうことなら、話が前に戻りますけれども、中に鳩山さんが、当時における翼賛政治を通じて国の動向がどしどし鳩山さんの信ずるところと異なる方向へ転落して行って、当時だって議会です。議会できまったことだから、おれはこういうふうに意見を変えるのだと言って、当時鳩山さんがもしも態度を変えていたならば、今日の鳩山さんが一体あるでしょうか。この点私は鳩山さんのために惜しむから、重ねて私は鳩山さんに御答弁をいただきたいのです。
  8. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は全く九条に対する解釈千葉君の言う通り変えました。変えましたことは認めるのです。その変えた理由は、とにかく私の解釈と反対に、自衛のためなら自衛力を持ってもいいという、そういう主張が通る法律案国会を通過する。それによって自衛力漸増というように、だんだん日をふるに従って事実が建設せられて、今日におきましては、変えなくては実際の政治ができないという事態になっているのであります。それに直面したわけでありまして、実際政治をやる上において、どうしても国民多数の意思というか、国会意思に従った解釈を是認する以外に方法はないと思うのであります。
  9. 千葉信

    千葉信君 今の鳩山さんの御答弁だと、自分責任者として国の政治を担当して行かなければならないという立場になったから、そういう立場考えてこの事実は認めざるを得ないし、認めた事実の上に立って、自分としては政治を行なって行くより道がない、従って認めざるを得なかったのだという答弁に変ってきていると思うのです。そうすると、これは若干衆議院内閣委員会における答弁よりも、もう少し具体的に鳩山さんはその心境まで答弁されてきていると思うのです。私はこの問題について、今、鳩山さんが言われたように、責任ある立場に立って、しかもなおかつ自分意見主張することが混乱を来たすおそれがあるということをお考えになられて、そうしてこの事実を率直に認め、事実を認めるばかりじゃなくて、自分意見も変えるに至りたというその気持おぼろげながらわかります。おぼろげながらわかりますが、しかし私はそれでもなおかつそういう態度というものは、これは少くとも国民道義を高揚する立場から、節操国民に教えなければならない立場の人がとる態度としては、私はとうていこれをそのままいただけないと思うのです。特に私はその点で、失礼な質問かしれませんが、今の鳩山さんの御答弁だけでは了解しにくいので、なお一つだけ重ねてこの問題について鳩山さんに、追及と言いますか、お尋ねをしておきたいと思います。  冒頭に申し上げましたように、鳩山さんは現存健康を害しておられます。少くとも私どもの拝見するところでは、見るもお痛わしいお姿でおられる、私どもの正念からいけば、ほんとうに志操堅固な……、また健全な精神という言葉で現わされておりますが、もしもそういうものが常に健全な身体に宿ると、そういう点からみますると、かっての鳩山一郎氏が戦争時代にきぜんとした態度をとられたような、その態度国民が期待したにかかわらず、今日その期待に反するがごとき、私をして言わしめれば、節操のない変節政論を行われたことは、これは少くともそういう鳩山首相健康状態に起因しているのではないかという点を考えられる。それからもう一つは、もしそうでないということならば、実際問題として鳩山首相は、ほんとう自衛隊を持ち、自衛隊を増強するためには、在野時代主張されたように、在野時代主張と同じように、憲法九条は変えなければいかぬという考えを持っておられるけれども、しかし少くとも二月の総選挙を経過した後においては、現在憲法の建前からいうと、憲法改正に反対する勢力が三分の一以上になったというその事実の前に、鳩山首相とうかい戦術を試み、自分ほんとう主張を隠して、そうしてそういう事実が発生したから、その事実は認めざるそ得ないとか、国会で決定したことだから、その国会で決定した方針に従わなければならぬなどという、そういう理屈にもならないことを言い立てて、自分主張をこの際は隠しておられる、このいずれかに私は原因があると思う。その点について鳩山首相はどうですか。
  10. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 自衛隊法国会において可決せられました。安保条約国会において承認をせられた今日において、自衛のために戦力を(千葉信君「事実と意見は違いますよ」と述ぶ)持つことはできないということは、日本国会においては成立しないと思います。
  11. 千葉信

    千葉信君 私はこの問題はこれくらいにして次に入ります。  これはまた機会な得て、外務大臣お尋ねをしなければならない問題ですが、しかし問題が非常に重要なので、外相見解々問うよりは、むしろこの際は首相の御見解をはっきりしてもらっておく必要がある問題だと思いますので、首相お尋ねをいたしますが、それは何かと言いますと、アメリカ駐留軍日本国内原爆を持ち込む、持ち込まないの問題です。この問題については、外務大臣は公式にこういうことを言っておられます。アメリカアリソン大使と五月の三十一日に会って、この原爆日本持ち込みの問題について話し合った結果、現在日本には原爆は持ち込んでいない、将来原爆日本に持ち込む場合には、日本同意なくしては持ち込まない、こういう話しい合をされた、こう言っているのです。私はこの事実をお尋ねするつもりはないのです。一体ほんとう日本原爆を持ち込んでいるのか、これは水爆を含んでおりますが、原水爆を持ち込んでいるのか、いないのか、そういう事実をお尋ねしているのじゃなくて、それからまた外相がこういう話し合いをされたか、されないかという、そのことをお尋ねするのではなくて、こういう重要な問題が外相アメリカ大使との間に話し合いをされただけで今日まで放置されておる、これが問題だと思うのです。総理大臣も御承知のように、現在の防衛協定によりましても、日本に持ち込んでくる武器については条約上は制限ありません。いつ持ち込んでおるかわからない。鳩山首相衆議院委員会では勘違いをされて、あの協定を結んだ当時には原爆はなかったという答弁をされた。原爆はなかったから何にも原爆なんかはあの協定を結ぶ際に考慮していないのだ、だから原爆なんか持ち込みっこないのだと、鳩山さんば勘違いされた答弁をしておりますが、原爆は広場に落され、長崎に落され、とうから原爆は私ども日本国民自分のからだの犠牲において体験している。原爆はとうにあった。ですから協定を結ぶ当時にそれが考慮の対象に入っていなかったとか、条約ではそれは全然問題にしていないということはこれは間違いだと思います。私はそのことじゃなくて、ああいう日本国民にとって少くとも現在においては大きな関心、もし日本国内原爆が持ち込まれでいた場合には、その原爆から日本国民被害を受けないかもしれないけれども、それに対する報復の原爆被害はこうむらなければならない、覚悟しなければならない。ですから国民日本国内原爆が持ち込まれているか、それとも将来持ち込まれることになるのかどうかということを非常に心配しているのです。大きな国民の憂いの種です。その問題について私はアメリカ大使重光外相との間に話し合いをされて、五月三十一日に持ち込んでいない、持ち込む場合には同意なくしては持ち込まない、同意を得ると、こういうことを言われっぱなしになっておるのです。で、私はこのままではいかぬと思うのです。もしほうとうにこれが国民の念願であり、希望であり、どうしても日本原爆なんか持ち込んでもらっては困るというのが日本国民全体の希望ですから、願いですから、従ってこれに対しては政府責任を持って、そういう事態の起らないように取り計らわなければならないお立場だと思います。そのお立場の方が、単に話し合っただけで済まされておっては国民は安心できないと思うのです。鳩山首相は、こういう話し合いのあったことはもちろん御承知でしょう、そうしてまた、鳩山首相個人のお考えとしてもそれで済む問題ではないとお考えになっておられることは私もわかりますが、これをどういうふうにそういう事態が起らないようにする用意があるか、どういう方法をおとりになるつもりか、文書に残してこの問題をはっきりさせるおつもりか。もちろんこれは話し合いをしただけということになりますと、かりにその話し合いをした当事者が交替した場合、いなくなった場合はその話し合いは根拠を失うのですから、鳩山首相はこの国民最大関心事に対してどういう方法国民の枕を高くして寝られるような状態にやることをお考えになっておられるか、この機会に承わっておきたいと思います。
  12. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 原水爆日本に持ち込みますときには、日本承諾アメリカは得ることが必要だと考えております。またアメリカ日本承諾を得なければ日本原水爆を持ち込まないと考えております。でありますから、日本原水爆を持ち込むときに承諾を与えないという決意がある以上は、日本原水爆は持ち込まれないと思っております。
  13. 千葉信

    千葉信君 私は今の答弁では了承できませんので、再開後にもう一ぺン……。
  14. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 内閣委員会関係法律案が本会議にやがてかかるようでありますから、暫時休憩いたします。    午前十一時三十五分休憩      ——————————    午後二時五十一分開会
  15. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  千葉委員質問を続行していただきます。
  16. 千葉信

    千葉信君 休憩前に質問いたしました問題の続行ですが、原子爆弾水素爆弾日本国内に持ち込むような事態について御質問申し上げました。その問題について先ほど首相から、原爆等日本領土内に持ち込むことについては、政府としてはこれは認めない方針である、そうしてまた話し合いでは、アメリカでは日本承諾なしに持ち込むというようなことはしない、そういう話し合いになっておる。私はその点はこれまでの会議録等によっても知っておりますが、私の御質問申し上げたい点は、日本政府考え方としても、原爆等はこの領土内、国内に持ち込ませない。そうして重光外相アリソン大使との話し合いによっても、五月三十一日にこの問題については口頭話し合いが行われておる。そこで私は、条約上にもこの問題については何ら禁止規定はない、制限規定はない。しかし口約束はしてある、口頭で約束はしてある。こういうことに現在なっておるのであります。そこで日本国民全体の気持からすれば、なるほどそういうふうなお話し合いになったということばけっこうですが、しかし話し合い科度でもってこの問題をこのままにして見のがしておいていいかということなんです。もっとそういう両者の協定確実性を持つ必要がある。また確実性を持たなければ困るような重大な問題である。この点については午前中も申し上げました。だから、せっかくそこまで話し合いがついておるのなら、当然これは政府としては、そういう事態の起らないように処置をすべきである。その処置とは何かと言いますと、きわめて容易な方法として、文書によるこの問題の確認という方法がある。それからもっと国民希望から言えば、私ははっきりした協定等を結ぶということによって、初めて日本国民は安堵の胸をなでおろすと思うのです。政府としてはそういう方法をとる意思があるのか、ないのか、この点をまず承わりたい。
  17. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまそういう意思はございません。現在において原水爆日本に持ってくることは日本同意を必要とすると私い思います。その際に日本は断わればいいのでありますから、日本の断わればいいということについて、あらかじめ条約のようにして取りきめておく必要はないと思っております。
  18. 千葉信

    千葉信君 この点は見解の相違ではないと思うのです。これはもちろん私も国民も、鳩山首相のそういうただいまの御答弁を額面通りに受け取っても、それでもなおかつ、この問題については容易に安堵しきれない非常に大きな問題だと思うのです。率直に申し上げるならば、政府が一体そういう消極的な気持でこの問題に対処されようとしておることが、そもそも私は国民としては不満だと思うのです。おれの方ではどうせ持ち込むことについては反対だし、アメリカとしては持ち込むときには、こっちの方へ事前に申し入れをする、だからそのときに断わればよろしい、こういうことになっておるのですが、しかし外相のこの問題に対する国会答弁もそうですが、そこまで、せっかく話し合いがついておるのなら、なぜもう一歩突っ込んで、この問題については国民は非常に心配しておるから、いろいろ国民の杞憂を、心配でなくて杞憂なら杞憂をほんとうに払いのけてやるような方法をなぜ政府がとらないのか。私は政府としては当然そういう措置をとるべきだと思うのです。それからもう一つ国民がこの問題に対して非常に不安を感じて、そうして政府のそういう消極的なやり方に対して同じく不安を持つ、こういうことは話の筋道としては、なるほど原爆は持ち込まない、持ち込むときには相談する、持ち込まれたら、日本はこれを拒否するということになるのですが、それが一体最後まで守られるのかどうかということに疑念を持っております。ですからその疑念を払いのけるためには、そういう約束ができておるのに、政府の方ではそれ以上に踏み込んで解決しようとしない、これは一体どういうことなんですか。結局この問題ではアメリカと幾ら話し合っても、それ以上には解決の見込みがないから、たとえば文書による取りきめとか、協定とかは、政府はやろうとしない。これは裏を返せば、一たん必要となった場合には、どうせ口約束程度だから、そんなものはいつでもアメリカは引っくり返すに違いないという疑念が国民にあるのです。そういう疑念は話し合いで、こういうふうになっておるからという今の鳩山首相答弁だけでは、国民は簡単に安堵しきれないのは当然だと思う。ですからそういう点、首相はあくまでも今おっしゃることを完遂できるという自信をお持ちなら、それは当然国民のそういう疑念を払いのけてやるような方法を、国民に対する首相責任として私はとってしかるべきことだと思うのです。この点について首相の御答弁を願います。
  19. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は、アメリカ原爆日本に置きたいというような希望は全然持つまいと思っております。何となれば、日本原爆を持ってきましたところで、爆撃機が日本に一台もないのでありますから、また爆撃機が飛べるだけの飛行場がないのであります。そういうような日本原水爆を持ってくるはずがない。のみならず、原水爆を持ってくるというのは、日本から飛ぶというようなことは、アメリカがするはずがない。そうしてアメリカは、原水爆のありかというものについてはだれも知らないのです。原水爆のありかを発表するということはするはずがない。アメリカはどこに原水爆を持っておるかということを発表するはずがないと思います。それですから日本に持ってくるはずがないということも明瞭なんでありまするから、特にそういうような条約アメリカは結ぶまいと思いますし、また結ぶ必要は日本として全然ないと私は思っておるのであります。
  20. 千葉信

    千葉信君 私はその通りならいいと思うのです。その通りだとすると、実際に国民が納得できればいいと思うのです。しかも首相も御存じのように、国民アメリカ軍の配備がどういう程度のものか、その内容はどういうものか、それから飛行場の関係にしても、航空機の関係等にしても国民は知らないのです。その知らない国民鳩山首相のそういうお言葉をそのまますなおには受け取らないのです。これは当然だと思うのです。ややもすればその希望的な観測をもう絶対に大丈夫であるかのようにいろいろな機会に従来答弁され、ている。ですからそういうふうに、首相が言われるように日本には爆撃機はない、爆撃機の飛ぶ飛行場もない、それならそれでよろしい。それならばますますもって原子爆弾水素爆弾ほんとう日本に持ってこれない以上、そうしてまた持っておらないというならば、何もその問題を私が言うように、日本政府が積極的に申出さえすれば、日本文書による取り交わしくらいは簡単にやるはずじゃおりませんか。簡単にやるはずのものをやろうとしない政府態度国民が疑念を持つのは当然であります。その疑念を払いのける方法首相にこの際とってもらいたいと私は言うのです。この点どうですか。
  21. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国民に安心感を与えるということは政治の要諦でありまするから、それはそういうこともあなたのおっしゃるように、国民に安心感を与えることについては検討する必要があると思います。これはまあ政治の要諦である以上は、そういうことを考えなくちゃならぬと思います。けれども原水爆のありかというものについては、アメリカにおいてもたれ一人知らない。私の記憶によればアイゼンハワー一人が原水爆のありかを知っていると思います。それ以上のものは秘密のものでありますから、日本には原水爆があるかないかということをアメリカが表明するのすらアメリカはいやだろうと思うのです。どこにもある、というようなところにアメリカ原水爆を用意する強みがあると思うのでありますから、日本にはないのだということを知らすことについて、アメリカが積極的態度をとるかどうかということについては、私は全く知らないのであります。それですから、国民に安心感を与えるということは必要ですが、あなたのおっしゃることについても何ら遺漏のないように検討したいと思います。
  22. 千葉信

    千葉信君 最後にこの問題について一言だけ申し上げたいと思うのですが、今、鳩山首相は語るに落ちて、原爆のあり場所についてはアイゼンハワー大統領一人しかアメリカでも知らないのだ、こういうことを……。
  23. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) だろうと思うのです。聞いたことがあるんです。けれども私はその事実が真実かどうかは知りませんから……、そういうことを聞いたことがある。
  24. 千葉信

    千葉信君 だろうでもけっこうです。そうだでもけっこうです。どちらでも同じことです。結局そういうふうに原子爆弾のありかというものはアメリカ国民さえも知らない。どこに置いておるのかさえ知らないのです。そうすると、アメリカ国民さえも原子爆弾アメリカにあることを知っていて、しかもどこにあるかということを知っていない。それほど秘密にされているものが、一体日本国内にきておるのか、持ってくるのか、こないのかということについては、やはりアメリカのどこに原子爆弾があるのだろうということについてわからないようにわからない以上は、一たん問題が起った以上は、アメリカ国内よりも日本国内の方が戦場になる危険がはるかに多い。従ってそういう立場から言えば、アイゼンハワー一人しか知らない原爆が、場合によったらどこに動かされるかも知れない。それを心配するのです。そういうふうにだれも知らないほど秘密にされている、されてもいいから、その秘密にされている兵器の原子爆弾水素爆弾日本に持ち込まない、そういう日本政府アメリカ政府との話合いをもっと確実にしなければ国民は安心できない。第一、五月三十一日に重光さんがアメリカ大使館へ行ってそういう口約束をされた、かりに電光さんが失脚して片足をなくして、そうして外相の椅子を去ったら、一体その口約束はだれが引き継ぐか、そんなものはあてにできないじゃないか、これが国民気持なんです。ですから私はこの点については、今、鳩山首相は何らの措置をとらなければならないということについては十分お考えのようですから、私は一応この問題についてはこの程度にとどめます。ぜひ一つ総理大臣という責任ある立場から、この問題については国民の安心できるような処置をなるべく早い機会にとっていただきたい。  それから質問申し上げる第三の点は、今ちょうど防衛庁の長官もおられますから、御一緒にお聞き願いたいと思うのであります。六月十七日の同じ日の衆議院内閣委員会で、次のような事態が明らかにされているのです。これは大体の国民が知っていたことですが、ことしの二月十一日から五日間にわたって海上門衛隊は、連合艦隊という言葉が当てはまるかどうかわかりませんが、海上自衛隊が連合艦隊を繰り出して、大規模な海上演習を行なった。飛行機が七機とか、ヘリコプターが三機とか、参加隊員六千名、アメリカの潜水艦も参加した。そうして大分県の佐伯湾から四国の宿毛湾、鹿児島の有明湾を経て、南方の海上に輸送船団を護送するという演習を行なった。これはまあ衆議院内閣委員会で明らかにされたことなんであります。この問題の艦艇は法第七十六条の関係ですが、こういうことを行なってもいいのかという委員質問に対して、鳩山首相は、その事実は私は知らないけれども、しかし日本自衛隊法の法文からえて、そういうことは日本の軍隊にはできないはずだ、こう答弁された。ところがそれに対して杉原長官は、重ねてこの問題について質問されたのに対して答弁をごまかしているのです。ごまかしておるというのは、こういう結びを言っているのです。訓練の対象になる潜水艦が日本にないので、アメリカ側の艦船の協力を得た次第でございます。やったことば当然のようなことを言っておるのであります。やったことが当然で、今後もこういうことをやるということになると、鳩山首相答弁と杉原長官答弁は食い違ってくることになると思うのですが、この点は首相はどう思いますか、長官でもけっこうですから……。
  25. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。その訓練をやったことは事実でございます。そうしてこれは海上自衛隊の任務といたしましては、わが商船の護衛ということも、掃海のことや、あるいは港湾、水路等の防備と相並んで重要なことであることは当然だと私は思っております。従いまして、これの訓練をやったわけでございます。そうしてこれは輸送船団ではございません。わが商船の船団護衛というものの訓練をしたわけでございます。その際これに対してかりに潜水艦から攻撃を受けた場合を仮想いたしまして、仮定いたしまして訓練をするわけでございますが、その潜水艦がまだ日本にございませんので、アメリカ側のその潜水艦の協力を得て、今の商船の護衛の訓練をやったわけでございます。これは私ども何ら、むしろ私はこれは当然のことだと思うのです。やったのは事実でございます。おそらく総理が法に基いてそういうことは云々とおっしゃったことは、質問者の御意図において何か、いかにもあの当時の情勢などと比べて、日本が外に、何か日本自衛隊でも運んで行くための、それを予想するところの訓練でもやっておるというふうに、あるいはそういうふうなことであるならば、そういうことじゃないというふうな意味でおそらくおっしゃったのじゃないかと思います。
  26. 千葉信

    千葉信君 鳩山さん、いかがですか。
  27. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私の申す私の心持は、自衛隊というものは日本自衛のためだけに自衛隊というものはあるわけでありますから、日本国及び日本人を守るという以外に自衛隊の活動はできないと、こう抽象的に思っておるわけであります。
  28. 千葉信

    千葉信君 この問題は七十六条に関連を持っておると思うのです。今まで七十六条の問題については……。
  29. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 御質問は何かこの法律に違反するとか何とかという、そういう問題でございますか。
  30. 千葉信

    千葉信君 そうではなく、七十六条の防衛の問題です。
  31. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) いやいや、そういうものではございません、これはただ普通の通常の訓練でございまして、何か特定の武力攻撃があった、現実に実在しておる、それに対応して出動する、そういうものでは全然ございません。通常の訓練でございます。
  32. 千葉信

    千葉信君 ですからその問題は、一体そういうところまで領海を越えてどんどん出て行ってそういう訓練をする必要があるかどうかという……。
  33. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) それはございますですよ。これは日本国内だけで、領海内だけで訓練、これは当然でございましょう。それは商船護衛の任務ということが一朝事ある場合必要でございますから、それだから平常からそういう公海においてもそういうことを訓練するということは、これは千葉委員も御了解いただけることだと思うのです。
  34. 千葉信

    千葉信君 それは委員会の質疑でもはっきりした結論が出てないのですね、衆議院委員会の質疑応答の中では……。鳩山首相の方ではこれはできないという見解を表明しておるし、演習の問題ですよ。杉原長官の方ではそれはあいまいな返事をしておる。こういうところに問題がある。
  35. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) あいまいとおっしゃいますが、あの時、あの事実はありましたということとそれから今申し上げましたと同じ趣旨のことをお答えしたわけであります。これはいろいろそう問題になるような事柄じゃないと思う。
  36. 千葉信

    千葉信君 この問題についてはその点が明らかになればそれでいいとして、次の問題に入ります。次の問題は、本年度予算を編成するに当って、この防衛分担金に関して日本政府アメリカ側との折衝が続けられる。防衛庁の長官はこの分担金の交渉に関して、防衛分担金の削減の交渉は日本の防衛計画ができなければ、その交渉は成功しないだろうというお考えを持っておられ、しばしばそれ々発表もされた。ところが防衛分担金の問題については、結末としてはその削減した分については、これは自衛隊の増強費に振り向けるということで話し合いは今年度はついた。この問題に関連して、その交渉の最中に日本政府の方から日本自衛隊増強の六ヵ年計画と言いますか、長期国防計画なるものが明らかにされて、それによってアメリカ側はこの問題について了承を与える、了解できる節がある。その問題については日米の共同声明によりましても、この間松浦委員からも質問いたしましたけれども、自己の主力のより大きな部分を防衛目的のために振り向けることが日本政府の意向であることが公けにされた。これはそういう交渉の場合に、単にある程度の抽象的な、もしくは無計画な内容をどの程度に交渉してみてもそういう話し合いが成功するとは常識上考えられない。ところが審議の過程でいろいろ問題になりましたことは、この問題に関連してアメリカ政府の方では、日本の防衛六ヵ年計画なるものを検討して、そうしてアメリカ側の方針も、そういう防衛計画というものを対象にしながら、その政策なり方針なりが固まりつつある。こういう文書アメリカ大使から日本政府にもたらされた。こういう事実については一体政府では覚えがあるのかないのか、その交渉の席上における計画をアメリカ側に披瀝したとか、それからまた駐米大使からのそういう連絡が日本にあったという、これはかなり根拠のある話ですが、その点について長官から伺いたい。
  37. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。分担金交渉の際は、これは外務大臣がその交渉に当っておられるわけでありますが、外務大臣からこういう趣旨で向うと話しい合をしておられます。それは日本側としては安保条約にも予想せられておるように、自国の防衛について漸増的に責任を負って行くというのが日本政府の基本方針である。そうしてこれの実行に当って日本としては長期の計画を立てて、そうしてやって行くことに最近きめた、その当時を標準にして長期計画をやって行くということに最近きめた、しかるに一方において、日本の財政経済の現状というものが困難な状態に直面しておる。ことに三十年度というものは、日本経済の成否を期する重要な時期であるということを述べられて、こういう状態であるから、日本側の立場というものを了とせられて、アメリカ側としては分担金交渉に応じられたい、こういう趣旨で話合いをせられて、妥協に達した次第でございます。それからただいま駐米大使からの手紙云々というようなことでございますが、これは何かこの間の衆議院内閣委員会で、社会党のどなたか写真を持ってこられて、そういう御質問がありました。それでこれに対して外務大臣からもお答えがあったのでありますが、これは私もその後それを見ましたが、これは実は率直に申しますと、私が見ましても、実にこの不可解な点があるのでございます。今問題となって指摘されている点以外に、私の常識をもってみましても不可解な点があるのでありまして、外務大臣もあの文書の中に、何ですか、防衛予算折衝の際、日本側から六ヵ年と提案した云々というようなことがあるが、そういうのはそれは事実じゃございません。そういうことはこの間外務大臣自身から内閣委員会でもお答えになったところでございまして、なおこの文書の件につきまして、さらにより詳しくお聞きとりの御希望であれば、一つ外務大臣からもなお詳細御説明があることと思います。
  38. 千葉信

    千葉信君 この間の委員会で、総理大臣日本の地上部隊が、十八万ないし十九万人になれば、アメリカの地上軍は日本から撤退するのであろうということを言われましたが、その答弁の次の答弁では、アメリカの地上軍の撤退する時期というのは、大体日本の長期防衛計画の推進の途中、つまり推進が終らないうち、つまり六年間なら六年間かかって長期防衛計画を増強していく、その最後の年までじゃなくて、その二、三年前に地上軍が帰ることになるであろう、こういう答弁をされましたが、そういうことになりますると、その地上軍が十八万ないし十九万人になるというその数と、それからアメリカの地上軍が日本の防衛計画の速成の途中で大体帰ることになるであろうというその点から考えますと、政府の方ではひた隠しに長期防衛計画そのものた発表しようとしないのですが、ひた隠しに隠そうとしているのですが、そういう答弁から類推できることは、少なくともこの十八、九万人になって、アメリカ駐留軍が帰ったあとも、ある程度の増強が行われるという計画だというふうに、私どもそういう答弁から考えているわけです。この点はいかがでしょう。
  39. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は防衛計画を全然存じませんので、防衛庁長官の方が答弁するのに適当と思いますが、私が申しましたのは、地上部隊についてでありまして、日本の地上部隊はだんだんと増強されておりますから、アメリカの地上部隊の駐留軍が帰るのは、そんなに遠い将来ではないと私は思っておるのであります。他の部隊、空軍、あるいは艦艇部隊については、アメリカ駐留軍は当分の間おるものと私は思っております。
  40. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) ただいま千葉委員の御質問に対する必要な点は、総理からお答え申し上げたわけでありますが、千葉委員に私御了解いただきたいと思いますことは、私らのほんとう気持は、決してこの六ヵ年計画の成案を、すでに政府は持っておって、そうしてそれを隠そうとしているのだというふうな、私は全然そういうつもりはございません、そうしてまたそうする必要はございません。むしろそういうのをなるべく政府として成案を早く得て、そうして政府としてはこう考えておりますということ国会に対して責任をもって御報告できることを実は希望しておる時期でございまして、その辺のところは一つよく御了承願いたいと思います。決していつまでも何かできていて秘しておく、そういうつもりは全然ございませんです。
  41. 千葉信

    千葉信君 ただいまの杉原長官答弁の点については、この委員会で審議をしました経済審議庁設置法の一部を改正する法律案の審議に当りまして、経済審議庁長官答弁との関連において食い違った点がありますから、この点については松浦委員も経済審議庁の長官と杉原長官と一緒におられる席上で、その食い違いの点についてただしたいと思うと、私もただいまの問題については同様の処置をとりたいと思いますが、時間がありませんからこれで終ります。
  42. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 防衛庁設置法の一部を改正する法律案の骨子は、何といっても十六万が十九万になり、三万人増員するということですが、戦前に師団と言いますと、大体一万が平時編成と言われました。いよいよ十九個師団大体できる、戦前満州事変以前の常識からしますと、十九個師団の分ができることになると思うのでありますが、そこでまあ長い間論議されて来たことでありますので、今さら憲法論議を打ち出すのはどうかと思いますが、鳩山総理にお伺いしたいんですが、今日憲法は占領下において押し付けられたんだから改正しなければいかぬとか、あるいはマッカーサー憲法であるというようなことを盛んに言いふらしておりまするけれども、一方におきましては憲法制定の五月三日は国の記念日になっておる。そうして盛大に式典を行う。こういう大がかりな記念日というのはよほどのいいことがなければならないと思うのであります。むしろこれを、今日無理に押し付けられたんであるから、国辱記念日とでも言って来たんならいいが、ほんとうの式典としてやって来た。なおまた国会が開かれるたびに天皇がおいでになりまして、そのお言葉の中にも、この憲法を守ってというやつは必ずもうこれは入っているんでありますが、これはまあついている宮内庁の役人が書いたんだろうと思いますけれども、天皇をかついでこの憲法はいいんだ、いいんだといって、宣伝これ努めて来たわけであります。で、あの当時憲法ができるときに、ほんとうに勇敢に反対したのは実は共産党の野坂参三氏だけであります。記録を読んでみますと、これは真正面から反対して兵隊を持てと言っている。あれを言い切った者は野坂氏だけだが、一番見通しのあったものは共離党が見通しがあったということになる、今になって言うなら……。また裏を返してみると、これは下手なことを言うとアメリカに追放されるから、まず自分の身が大事だから、まあまあアメリカのおるうちはおとなしくしておいて、やろうどもが帰ったらあとは一つ羽を伸ばしてやれという、ほんとう日本人のずるいところを現わしておいて、また今度は改正をしたい。で、もう改正しなくても、実際この憲法を一番いいものだ、いいものだといって宣伝しておきながら、憲法の二大支柱であるところの主権在民と軍備廃止のうちの一つの柱を事実上切り取って行くというようなかっこうになると思うのでありますが、この二十個師団兵隊をこしらえるということは、これについて一つ総理の御心境をお伺いしておきたいと思います。どう考えておられるか。
  43. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はたびたび申しますように、自衛のための軍隊を持つということは憲法違反ではないと思っております。そうして日本独立国家として最小限度の自衛軍を持つということは、やがてこれがやはり世界平和のためにもなるのでありますから、自由国家としてやはりすべての国家が持つ程度までは持たなくても、自国を一応守り得るような自衛隊は持つことが世界の平和を維持するゆえんになると考えております。
  44. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それではこの十九万に増強されましたところの自衛隊精神的支柱ということについてお伺いしたいのですが、どういう指導方針を持つかということですが、指導理念についてお伺いしておきたいのですが、昔の軍隊は天皇陛下のために命を捧げるのだ、忠君愛国で持ちこたえておったのでありますが、今の自衛隊精神的支柱というのは、林統合参謀幕僚会議長は愛国愛民族というところで、国を愛し民族を愛する、こういう指導方針らしいのですが、そこで国を愛し民族を愛するということは、今の憲法改正されない場合には、今の憲法を守るということが一番愛国の何だと思う。昔のように天皇が主権をお持ちになっているときなら別ですけれども、今日では今の憲法に従って守って行くということが国を愛する一番根拠でなければならぬと思うのですが、そういうふうにこれを解釈してよろしいか、その精神的支柱をどこへおこうとしておられるか、これを一つお伺いしたいと思います。
  45. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は現在の憲法改正はしたいと思いますけれども、現在の憲法日本民主主義を立て、日本に平和主義を立てたという功績は今の憲法にもあるのでありまして、この現在の憲法のよき部分は憲法改正をしても保存したいと思っております。憲法改正、あるいは敗戦後にできたこの民主的の日本を守り、この日本に生存しておるところの民族を守るというのが自衛隊の目的でなければならないと思います。これを愛民愛国というか、あるいは民主主義日本を守り、日本国民を守るというも同じようなことだと思います。
  46. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと、思想の自由について憲法は保障をしておりまするから、いかなる思想の持ち主といえども、これは日本民族である以上は、法律に違反しない限りにおいては日本民族でありまするから、これに対してはあくまでも守る。従って、たとえば自衛隊員が共産党員であっても、共産党もやはりこれは今のところ日本民族ですし、合法政党であるから、これもやはり合法政党として存在することを守るということは、やはり愛民族の中に当然含まれるものと考えるのですが、それでよろしうございますか。
  47. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 共産主義者にして同時に日本を転覆しよう、暴力革命をしようという共産主義者を守るわけにはいかないと私は思いますが、共産主義者というだけでもってこれを迫害することはできないと思います。
  48. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それではこの自衛隊精神的支柱というものを、民族を守る、ここにおかれるわけですな。
  49. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 民族と日本の民主国家を守る。領土に対する侵略をしてくる国、そういうような侵略国家に対しても自衛隊法に書いてある通りに防衛する任務は自衛隊にあります。
  50. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に一番おそれることは、侵略については直接侵略というのと間接侵略ということをよく言われます。直後侵略はよくわかっていますが、間接侵略の一つは、そこの軍隊をして革命に参加せしめる、これが一番手っとり早い行き方であるし、一応スターリンでもレーニンでもそれは認めているわけです。従いまして、反乱ということにつきまして、これは軍隊がある以上、これた利用されるということが一番警戒され、また一面において白色のテロの逆井に使われる。これはあのくらい皇軍だといって軍紀がきびしいといっておりました旧陸軍においてさえ、十月事件、あるいは三月事件等の事件があって、これは不発に終っておりますが、ついに二・二六事件で爆発しております。従って時の政府に対しまして反感を持って反乱をするのは、いわゆる白色的な反乱と赤色的な反乱、二つに考えられると思うのでありますけれども、前には天皇陛下の命令で最後には押えることができました。ところが今はそれはないのでありまして、民族の中にはこういう行き方をした方がいい、こういう考え方を持っているものもある。といって、一たん反乱が起きてしまったら押えようがない。前には天皇陛下の何だからというて最後は戒厳司令官の命令で押えることができたが、今度は押えることができないと思うが、一番ここに注意をしなければならぬ問題がある。しかも自衛隊の年鑑をもらいましたけれども、かって三月事件あるいは十月事件等に際しまして、青年将校として当時活躍した連中も相当採用されているような、これは名前を一々あげることはこの際控えますけれども、相当自衛隊の中に入っている。そういう連中はいまだに、時があったならばというふうなことは十分考えられるのじゃないかと思うのです。あのようなきびしい軍紀の中においてさえもああいう策謀に参加したのでありますから、ましてや今の民主主義時代であります。おれが民族を守るのだというふうに考えた場合には、やりかねない、誤解に基くかもしれないが、やりかねないと思うのですが、これが対策について十分なる措置がなければならぬと思うのですが、総理大臣並びに防衛庁長官から伺っておきたい。
  51. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 民主国家、またその国家の人民を守るというこの自衛隊精神を高揚するために、日ごろの訓練を通じて使命を十分自覚するように自衛隊を訓練して参りましたならば、菊川さんの御心配のことが今日は起るような事態ではないと私は思っております。
  52. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは心配すれば非常に、私は現在そういうことは絶対ないと信じておりますけれども、しかし菊川委員の非常におもんばかられる点はよくわかるのでありますが、そういうものに対しまして、これはいろいろの面から深く考えておかなければならないことだと思います。たとえば一つの重要なことといたしましては、やはり政治のいわゆる軍事に対する優位ということが原則になっておらなければならぬと思います。それは現在の制度におきましてもそういういわゆる政治の優位の原則というものを貫くために、そういうことが基本的に考えられて機構もできておるわけでございます。すでに菊川委員も御承知のように、まずそれの例を申し上げますと、自衛隊の最高の指揮監督権を有する者は内閣を代表しての内閣総理大臣である。内閣総理大臣の指揮監督のもとにあるということと、それから防衛庁長官内閣総理大臣の指揮監督のもとに自衛隊員を統括するということに相なっておるわけでございます。それから防衛庁内部の機構におきましても、そういう点を非常に配慮を加えまして、そうして内局、各幕僚監部の組織におきましても、防衛庁の内局というものは、ここは防衛庁の長官の基本政策について補佐するところでございますが、ここは実際上基本政策は全部そこで補佐することに相なっております。こういう機構の上においてもそうでございますが、それから機構とか、あるいは人事、そういうようなことは今おっしゃいました点に根本的にふれると思います。これはさらに申し上げるまでもないことでありますけれども、すべて今度国会関係でございますが、自衛隊の任務、それから行動の限界とか、組織編成の大綱とかというようなものは、御承知通り予算とか、法律、そういうものは国会がコントロールを加えている次第であります。それから出動をいたす場合も、御承知通り防衛庁の場合には国会の承認を求めることが原則で、治安のため出動する場合もそうでございます。そういったいわゆる自衛隊に対する民主的な統制と言いますか、政治の優位というようなことはいわゆる組織の上でもそういうふうになっております。また実際の運営におきましても、そういう点は十分注意してやっておるわけであります。
  53. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今の防衛庁長官答弁によりますと、なるほどそれは形の上では整っております。しかしこの防衛庁設置法の一部を改正する法律につきましても、一万人の人員をふやしたくても相当これは議論がやかましくて、なおそれでさえやかましいのでありますから、ましてや自衛隊出動に国会がこれに承認を与えるか、与えないかということに直面した場合には、これは深刻な、今の情勢から考えまして与野党と申しますか、それぞれの党の間に意見の対立があるものと見なければならぬと思います。今の情勢からすると……。従いまして、そういうようなときには当然これは自衛隊の方にも強く反映してくる。これだけ国民の中にも、これは出動すべきでないというような意見もあるから、国民こぞって行ってこいと送り出してくれるのと、国会でさんざんやって、ようやくこれは出動するのだというのでは、自衛隊が使いものになるかならないかは大体あなたもおわかりだろう。そういうような反対も押し切って出て行った、こういうような状態になるのでありますから、そんなものはほとんど使いものにならないというふうに、出て行く者の身になって考えなければならない。わずかの多数でもって押し切って行ってしまったけれども、そうして仮にそれが国会の承認があとになりまして、出動して行ったけれども国内では出動についていいのだ、悪いのだということで議論をやられたのでは、命を的にして出て行くところの自衛隊なんというものは、前線に出てやれっこないと思いますが、こういうようなことから考えて、精神的支柱というのは、先ほどもお尋ねしましたが、非常に大事な問題だと思うので、もう一ぺん長官から、どこへそういう場合に精神的支柱を置いて訓練されているか、よく一つお答えを願いたい。
  54. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 確かに菊川委員のおっしゃいますように、精神的支柱という点が、実は魂が一番大事だと思います。この点につきましては、総理からも今お答え申し上げたのでありますが、自衛隊の使命というものに徹するということがやはり第一だと思います。自衛隊の使命というものは、これは自衛隊法にも明示いたしておりますように、わが国の独立と平和を守る、決して侵略するのではない、しかし侵略を受けた場合には、言うまでもなく、憲法の大精神をなし、憲法の不変の精神、原理と言いますか、をなしている民主主義日本をあくまで守る、その使命に徹していくということがやはり精神の根本だと思います。
  55. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その点はどうもはっきりしませんが、時間がありませんから次に移りますが、もう一ぺん反乱について伺いたいのだが、この憲法ができるときに野坂さんが反対である、自衛軍を持つべきである、こういうふうに主張いたしたのは、要するに今も共産党の諸君と議論するが、人民軍だったらいいのだ、こう言っております。その人民軍というのは、要するにあのときに軍隊を持っておれば、その軍隊の中に共産党員の同志をたくさん獲得して、やがては機が熟した場合にはこれを使って革命をやろう、こういうのにねらいがあったことは当然だし、またそのくらいのことをねらわなければほんとうの共産党員じゃありません。筋金入りの共産党員じゃない。当然ねらうのが当り前で、マルクス、レーニン主義で教えられているのだから、それに従わないのは共産党員でも腰抜けになりますから、当然である。従って今の自衛隊に対しましても、何としても一番共産党員を一人でも多く獲得するように、これは努力を続けるのは共産党として当然だと思います。またそうあって当り前、これを間接侵略、間接侵略と言われるけれども、仮に武器を持たない者が蜂起したような場合には、警察力で簡単に鎮圧することができます。しかし武器を持っている自衛隊がそういうふうな勢力によって占められて、時期来たって立ち上ったというならば、二・二六事件どころの騒ぎでなくて、これはおさまりもつかないことになる。これが一番間接侵略として、あなた方の言われる間接侵略、一方においては革命の時期来るだし、一方から見るならばこれは間接侵略だ、こういうふうに言われると思うのですが、これに対する予防措置というものはあなたの方は考えておられるのか。むしろそうでなかったならば、利用される心配があるのだが、間接侵略の危険が武器を持つことによって私は多くあると思う。武器を持っていなければ、そんなことはやれないから心配はないが、ところが武器を持ったそういう集団的なものがあった場合には利用するに一番いい好餌を与えておる。こういう結果になるのではないかと思うのですが、この点について防衛庁長官から一つ伺っておきたいと思う。
  56. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) その点につきましては、かねてからの訓練を通じて、平素の心がまえというものをしっかりと養って行くということに重点をおいておるわけでありますが、同時に、万一自衛隊員としてふさわしくないというようなものに対しましては、これは自衛隊としてそういうものに対して寛大にするわけに参りませんので、そういうのは法によって処置するという点は、これはちゅうちょなくやることにいたしております。
  57. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは、前に精神的支柱の際に、鳩山総理からお答えになりましたところによると、共産主義者でも、暴力革命によって日本政府を転覆しようという企てをする者は、これは守るわけにはいかないが、共産主義であっても、そういう企てをしない者は守るのだ、こう言っておるのでありますから、自衛隊員にいたしましても、それは入隊するときに、あなたの方でそういうものはふるいのけられるが、入隊後共産主義者となっている者について、それはお認めになりますかどうですか。これは憲法では思想の自由は認めておるんだが、自衛隊はそういうことまで認めているかどうか。その点について、憲法との関係について一つ伺っておきたい。
  58. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 自衛隊といたしましては、この自衛隊員として不適格だという君はこれは認めるわけに参りません。これは法によって処置することにいたしております。
  59. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 不適格だということは、それはどなたが判断するか知らないが、自衛隊の規則の中に、共産主義者はいけないというような何かがあるのですか、どこかにきめてあるのですか、不適格だということがどこかにきめてなければ、時の政権担当君の判断によって、これは不適格だときめられるのですか。
  60. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) それは実際の仕事振りによって判断して、その行動等によって判断して行くよりほかにないと思います。
  61. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすれば、日常の勤務はきわめて優秀であって、しかも日本共産党員であっても秘密を漏らしたり、そうしないで、みずから共産党員となっておるけれども自衛隊におるときは自衛隊の任務を十分やる、余暇を利用してそういう勉強をしておる、あるいはグループに参加なんかして討論に参加しているけれども日本を暴力革命によって転覆するというような企図は特たない、こういう者であったならば認めるわけですか、その点はどうですか。
  62. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは具体的な場合を見まして、隊員として適格なりやいなやということは、おのずからそこにわかってくると思うのです。その事実に即して判断して行く、処置するようにいたしたいと思います。
  63. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これは僕はなぜそういうことをしつこくお尋ねするかというと、やはり一番考えられるのは、一つの間接侵略とか、何とか言われるけれども、その点ですから、よく聞いておくのですが、それじゃあなたの方はま抽象的ではっきりしないんだが、僕らはもうこれくらいずばりと聞いているのですから、ずばりと答えていただきたいと思うのですが、共産党員で、おるし、党員になっても、今度はあとで隊員になってから、入隊してから共産党に入党するということは、平素の勤務が優秀であったら、それは認めるのであるかどうか。しかも禁止するならするで、する条項はあるか。
  64. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 他の政治的の結社等に入っている者は、自衛隊員としては両立しないものだと思います。
  65. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは本人が入党したということがはっきりしないし、あくまでも否認し、その政党もそれを認めない場合があり得ると思うのですが、政党もそれは入党したと認めないけれども、そういう勉強をしている、こういうだけでは当然そんな者を取り締るということはあなたの方は考えておらないか、この点はいかがですか。
  66. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) この点は具体的の場合によく注意しておりまして、いやしくも自衛隊の隊員というものは特に厳格な規律のもとに立たにゃならぬわけでございまするから、そういうものと両立しないものはとうていこれは認めることはできない。
  67. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にそれでは、一方において、この戦前よく言われました十月事件とか、三月事件というような、時の政府に対しまして反感を抱くような、これはどの政府になってもでありますが、反感を抱くような集まり、グループというようなものも、当然これはきびしく取り締らなければならぬと思うのですが、それについて最近の自衛隊内部における、かってそんなことはないないと言っていても、当時の帝国議会答弁されておりながら、ああいう十月事件だとか、三月事件に、相当に幹部連中までがこれに参画してやられておるということがあるのですが、それらについてはどういうふうな取り締りというか、それをしておられるか。これは今そういう動きは事実全然ないかどうかということについても、この際一つ伺っておきたい。
  68. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 今までございません。それからすべてこの自衛隊員というものは、政治的行動というものはこれは禁止されておりまするし、政治的の意図をもっていろいろ行動するということは、自衛隊員の任務の適格性から見まして、これは許されないと思います。
  69. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これは自衛隊員がどちらの思想を持って立ち上るにいたしましても、武器を持って立ち上ったものほど始末のしにくいものはもうないのです。今の日本において、まあ戦前においてもあのくらいの始末のしにくいものでありますから、ましてや今の段階において、どちらの考えをもって立ち上ったといたしましても、このくらい始末のしにくいものは私はないと思います。しかも今聞いておりましても、はっきりした精神的支柱についても、何だか民主日本を守るのだというふうな抽象的なもので、どうもしっかりしたものはまだないと思うのですが、これを打ち立てて行くということも、これは大切なことだと思う。それを統制されて、従ってどういうふうに政府がかわっても、一度これは減員になるのだというふうに国会がきめてしまえば、半減されるのだときまってしまえば、これはいさぎよくこれに従う、こういうふうにやはり訓練されて行かなきゃならぬと思う。ところが以前におきましても、軍縮問題というものほど、これは一たんふやしてしまいますと、なかなかむずかしい問題であって、軍備縮少については内閣もぶっつぶれている。これはあの当時はああいう帝国憲法の際においての特殊な権限を持っておったからだと思いまするけれども、従ってそういう夢を持っている連中というものは相当まあおるように思うのですがね。それでそんな連中を完全に脱皮させておいて、半分にされるというときには、いつかそう国会できまった場合に、これはいさぎよく引き下ると、こういうふうにされて行かなきゃならぬと思いますが、当然そういう訓練をされているのでしょうね。その点重ねて伺います。
  70. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 今の御意見の御趣旨はごもっともだと私は思います。そういう趣旨でなおこの精神的の支柱という点につきましては、一つ今後も十分これをよく検討して、また留意して、さらにまたそれがほんとうに確立するように努力いたして行きたいと思っております。
  71. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それと同時に、最後にもう二、三点伺っておきたいのですが、杉原長官が、そういう精神的支柱をどうもお聞きしてもよくわからぬように思うが、そういう中に志願兵制度の限度はどのくらいまでは志願兵によって今後増強するとか、経済力に応じて増強すると言っておられるのだが、何名くらいまでは志願兵によってまかなって行けるか、どういうふうに考えていられるか、一つ伺っておきます。
  72. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは今までの実績等から推定してみるよりほかないと思います。そうしますと、大体二十万程度までは、これは二十万前後というところは大体確保になる。あるいはもう少し上回る数字になり得るかと存じます。推定でございまするから、はっきりとこうこうだということば申されませんが、二十万を少し上回るくらいになるのじゃないかというふうに考えております。なお今日までの募集等の実績からいたしまして、もう少しその点御説明申し上げてもよろしうございます。
  73. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう時間がないようですから……、そうすると、今の十九万何ぼというところばもう大体において限度にそろそろ来ているのだ。この防衛庁設置法の一部を改正する法律案による人員増加は、大体限度近くまで来たものだ、こういうふうに考えてよろしうございますか。志願兵制度のもうこれは限度ぎりぎりだ。これは最後のところだ、少しは残しておかなければならぬだろうと思うが、これはもう限度にきておる。志願兵制度における限度ぎりぎりのものである、こういうように了解してよろしうございますか。
  74. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) まだぎりぎりというふうには考えておりません。大体今までの陸上自衛隊の募集の実績からいたしますと、そういうふうに考えておるわけですが、しかし最近私感じておりますことは、地方連絡部のあるところと、ないところでは応募人員が違うのです。連絡部のあるところは非常に多いし、それのあるなしによって応募の数が相当違うのです。今全国で募集に当る連絡部は十七ヵ所でございますけれども、これがもう少しふえますと、なおふえるかとも思っております。
  75. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 急ぎますから、こっちも要点だけお聞きしますから……。それからこういう自衛隊というのは、これはあなたの方でいかに弁解されようと軍隊だと思うのですが、軍隊の補給ということが大事だと思うのです。平時編成と防衛出動と同じようなもので、予備軍というものは全然ない。それから国内における兵器の補給、食糧の補給、そんなものはほとんど整っていない。ただ、今の二十万だけこしらえて、一応数を整えてあるだけで、これでもって侵略を守るの何のと言っても、われわれから考えれば今訓練の基礎として考えているというならいいが、これでもって国を守るんだといって膨大な予算を食うということはもったいない話であって、そういうものはない方がましだとわれわれ考えるのですが、一体常識論から考えて、予備兵力もない、それから国内における武器の補給もつかぬ、こんな自衛隊が何の役に立つか。ただ観兵式用としてはなるほど間に合うかも知れないが、それ以上のものはちょっとむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えるのだが、その辺一つ伺っておきたいと思います。
  76. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) それは確かにおっしる通り、予備的のものが、人においてもそれから装備品等についても十分でないという点は非常に大きな欠点に違いない。今日までのところ、第一、人の点からいたしますというと、予備ということは、今予備自衛官というのもその思想から出ておるのですけれども、予備自衛官は約四千名台でございます。そういう点についても確かに予備的のもの、それから装備等につきましても、それは非常に欠けておるという点は事実でございます。これはしかしその物的の方面などは財政上の見地からこれはやむを得ない次第でございます。一つの欠陥には違いございません。
  77. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その点突っ込んで聞きたいのですが、あとで逐条審議の際にお聞きすることにして、最後総理大臣にお伺いしておきたいのですが、よく参議院では海外派兵をしてはいかぬという決議をしたのでありますが、海外派兵と考えられるようなときにおいても、まあ総理大臣ほんとうに命令によって、海外派兵というふうに考えられるような、今の自衛隊でも憲法違反だとか違反でないという二つの意見があるのでありますから、ましてや海外派兵という際に議論が大沸騰するだろうと考えられます。その際に国民の約三割でも四割でも海外派兵はすべきでないというような議論が沸騰した場合、国内の四つの島と付属の島嶼だけならば一応自衛ということになるのだと思うのだが、それがそれ以外の、日本領土でないところに派兵されるということはないと思いますが、かりにあるというような事態が招来した場合には、これについては自衛隊員として拒否して逃亡しても、これは逃亡罪に問うというようなことはないかどうか。これだけははっきり具体的に聞いておきたいと思うのです。四つの島と、今の日本の行政権が及ぶ範囲内においてならば、これは自衛だというので隊員がついて行かなければならないと思うが、それ以外のところ、たとえば具体的に申しますと、朝鮮であるとか、台湾であるとか、沖繩というのは、今、日本の行政権が及ばないのでありますが、かりにそういうところに総理大臣の緊急命令で出て行かなければならない、こういうような命令が下った、しかしこれは自衛の範囲を越えるものであるというので、自衛隊員はこれを拒否することができるか。また国民がこれに向って、そんなよけいなところに出て行くな、そんなよそのところまで出て、行く必要がないのだというので、一つ食い止める運動を天々的にやっても、これは取締りの対象にはなり得ないと思うのですが、その点について総理大臣から、この範囲だったら自衛隊自衛のための目的として出動することがあるだろうが、この範囲には絶対に出さぬ、こういうふうにお考えのところがあると思いますので、鳩山総理から伺っておきたい。それを越えて、もしもこの日本を越えてかりにあるということになったら、自衛隊員が逃亡してもよい、それは拒否してもいい、国民としてそういうところへ出て行く自衛隊員を一つスクラム組んで食い止める、こういうような運動をしても、これは法律違反にはならない、こういうふうに私は考えるのですが、その点について明確に一つ総理大臣からお答え願いたい。
  78. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は侵略戦争のできないことは明瞭でございますけれども、従って海外派兵ということは念頭にありません、考えません。海外派兵の起きた場合にどうなるかということは念頭にないことですから、答弁の必要はないと思います。海外派兵というのは起きないのですから……。
  79. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは起きないのでありますから、答弁の必要はないとおっしゃるのだから、当然そんなことはないのでありまするから、自衛隊員が朝鮮に行け、台湾に行けというような命令は受けることはないのですか。かりにそういうものを受けたら、あなたの知らぬことであるから、あなたの少くとも総理大臣中はそういうことはあり得ないのであるし、起きないのであるから、これはにせ命令として拒否することができるし、また国民もそれは鳩山さんの意思によって動くのじゃない、総理大臣のほんとの命令によって動くのじゃない、一部幹部の策動によって動くのであるからして、断固として国内離るべからずと、一つスクラム組んで港の埠頭でこれを食いとめる、こういうことをやっても差しつかえございませんね、海外派兵はしないのだから、あなたはそんなことはないとおっしゃっているのだから、当然それが起った場合において、かりにそういうことは当然、これも起らなければそんなことはないのでありますが、念のためにこういうものはちゃんと聞いておかぬと、記録に残しておかぬと、そのときになって問題になっては困ると思いますので、いろいろのことを想定しておかなければならないから伺っておきたい。
  80. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 海外派兵は私は考えません。出動命令も私が出すわけでありますから、私はそういう命令は出さぬつもりであります。
  81. 宮田重文

    ○宮田重文君 大体同僚議員から、今までに私どもの御答弁を願いたいと思いました点について相当触れておられますので、その点は重複を避けまして、他の点についてお伺いをいたしておきたいと思うのでありますが、政府防衛庁設置法の提案理由の説明に際しまして、現下の情勢に対応して、わが国が国家独立の実をあげるためには、その防衛力を国力に応じて整備充実する必要がある、そこで三万一千二百七十人の増加をすることにしたということをおっしゃっておるのでありますが、これはいわゆる吉田内閣時代の防衛力漸増というようなことではなくて、いわゆる長期防衛計画、伝えられる六ヵ年計画の初年度というわけではないが、そういう長期防衛計画というものを考えながらこの三十年度計画というものがその現われである、こういうふうに今までのお答えのうちに私どもは受けとったのでありますが、しかし防衛六ヵ年計画というものはいまだ確定しておらないのだ、はっきりと明確に発表する域には達しておらないのだということを防衛庁長官もしばしばおっしゃっております。しかし私どもはやはり一応初年度的な性格を持った計画として現われておるのではないかというふうな印象を受けるのであります。そこで鳩山総理も、自衛のためならば、自衛の目的のためには必要な限度において自衛力を増強する、国力に応じて自衛力は持ってもよろしいのだということを、憲法九条の解釈の論議いかんにかかわらず、そういうことはやって行ってよろしいというお考えのもとに、そういう御計画をお進めになっておるようなのでありますが、そこでもちろん長期防衛計画、すなわち防衛六ヵ年計画というようなものをお作りになる場合には、経済六ヵ年計画とにらみ合せをして打ち立てて行かなければならない問題である、しかし本委員会において、先日経済企画庁長官からお話を伺ったところによりますれば、経済六ヵ年計画というものも、防衛計画というものが立って行かない限り、その実質というものをつかむことができないから、ほんとうの立て方はできないのだ。それで考え方としては、両方が並行して行くべきものと考える、しかし防衛六ヵ年計画が具体的にきまらないからといって経済六ヵ年計画をそのままにしておくわけには行かないから、やはりそれに対してはある数字を出して、防衛費は大体日本の経済自立の上においては、これくらい見積ればいいじゃないかという目安を立てて、金額の見積りをつけるわけである、こういうようなことを言われておるのでおります。しかし一方日米安全保障条約には、日本は自国の防衛のために漸増的にみずから責任を負うことを期待するという規定がありまして、わが国はやはり防衛漸増をこういう面から義務づけられておる、こういうふうにも相なっておるわけです。従って予算編成等の場合に、まず防衛分担金の問題でアメリカとの折衝が行われた、その決定されたワク内においてでなければ、すなわち本年度の防衛費の問題等についても、そういうことに相なっておるのでありますが、そのワク内で計画が立てられている、こういうことで、今度提案されました増強計画につきましても、三万一千二百七十人中の陸海空の増員となって、あるいは方面隊を作りますとか、あるいは混成旅団を、一つ新設する、あるいはジェット機を基幹とする航空団の新設をするとか、航空操縦学校の充実をするというようなことだと考えるのでありますが、そこで鳩山総理にお伺いしたいと思うのは、今後安全保障条約において、わが国が義務づけられておるというような責任が長期防衛計画、そういうものの作成に当って、どういうウエートをもって、これは影響力を持つものであるか、アメリカの了解なしにこういう計画を立てる場合には進めることができないのだというようなことになるのか、そういう点について伺いたいと思いまするし、合わせて今後防衛計画あるいは経済六ヵ年計画というようなわが国の運命を左右する重大な使命を持つ計画の策定をするに当って、いかなる御方針をもって進まれるお考えであるか、その点についてお考えをお伺いいたしたいと思います。
  82. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 日本の防衛計画はやはり国民生活をあまりに圧迫しないで、あまりにという字はとった方がいいと思いますが、国民生活を圧迫しない範囲内でないと日本の防衛計画は立ててはならないと思います。でありまするから、経済六ヵ年計画とにらみ合せて日本の防衛計画は立てて行かなくてはならないと思います。それから米国の意向のウエートでありますが、これは日本アメリカとは安保条約において共同防衛をやっておるのでありまするから、日本の計画が立ちましたならば、それについてアメリカとの話し合いというものは当然にしなければならないと思います。なおアメリカからは武器の援助というむのがありまして、日本では勝手に防御するだけの能力がありませんから、武器の援助も受けておるのでありまするから、やはり日本の防衛計画を立てましたならば、それを基礎としてアメリカと相談をし、話し合いをしなければならないと考えております。
  83. 宮田重文

    ○宮田重文君 そこでもう一つ伺いますが、まあ防衛力の計画に従って漸増して行くという場合にも、もちろん国民の力、国力に応じて進めて行く、こういうことでありますが、今のアメリカとの援助関係とか、その他によって漸次、場合によれば相当な力を備えるようになってくるというようなことになりました場合に、これがいわゆる戦力の問題でありますが、相当な戦力であって、軍隊を特ってもよろしいというような限界まで達する場合には、先に憲法改正して、そういうことで行くものなのか、それとも自衛力の範囲で、それでもいいというお認め方でお進みに相なるのですか、その辺のところを伺いたいと思います。
  84. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 御質問の御趣旨が、少しここは遠いものですから聞きとりにくうございまして、大へん失礼でございますけれども……。
  85. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 宮田さんもう一度簡単にお述べ願います。
  86. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 御要旨だけでけっこうでございますから……。
  87. 宮田重文

    ○宮田重文君 だんだんアメリカとの話合いその他によって防衛計画というものは相当進められて行って、いわゆる軍隊にひとしいような戦力を持って行くという段階に行こうとする場合に、憲法改正の問題が起きてくるわけであります。その場合に、憲法改正してからそういう計画をするということになるか、あるいはまた現在の解釈のままで進めて行くような取り扱いになるのか。
  88. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) よくわかりました。先ほど総理からお答え申し上げましたように、アメリカから実際上装備品の援助等を受けております関係もございますし、この計画を立てます際に、あるいはこれを実行して行きます際に、アメリカ側との関係において、いろいろそこに話合いが起るのはもちろん当然だと思っております。そうしてその場合にそれに関連して、それでは日本としてどれくらいの兵力を、防衛力の規模を持つかという点、これは現在私ども考えておりますところでは、アメリカ側との関係を考慮いたしましても、これは現在の憲法の範囲内のところで考えて行きたいと思います。
  89. 宮田重文

    ○宮田重文君 もう一つ、これは別な角度からちょっと向いたいと思うのですが、防衛庁の自衛隊の任務、それから先ほど菊川委員からも精神的な支柱というような問題についても質問があったようでありますが、自衛隊の任務は、「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団編、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもって専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを期するものとする。」というような本旨を明らかにしておるということを言われておるのでありますが、これは昨日の同僚議員との質疑応答中にもあったわけでありますが、この自衛は物理的力ばかりではなしに、精神的な面も相当考えなければならぬというような意味のお話も出ておるわけなんでありまして、そこでこの自衛隊の、現在国民自衛隊に期待していることと、それから自衛隊の隊員の人たちが、いわゆる国民の負託にこたえるという気持、そういうことを考えて見ますと、どうも先般来いろいろな、各地でもってあるいは演習場の拡張問題、そういうようなことで地元住民の人とのいろんな摩擦もあって、そういうことにつきましては、何か演習場等についても、その整備に当っては地元住民の理解と協力を得て、また極力農地、開拓地等を避けて、山林や荒地等を目標としているというようなことで、できるだけ地元住民との摩擦や何かはなくしたいという気持方針をもってお進みになっていることはわかるわけなのでありますが、実際問題としては、なかなかそういう問題等も出ており、また半面自衛隊内部においても、私どもは先ごろ決算委員会その他において、この自衛隊について相当いろいろな問題について指摘を受けたり何かして、内部的な弛緩の問題もあるのじゃないかというふうにも考えられるし、こういうようなことをあれこれ考えますと、一体その自衛隊として、隊員の人たちはもちろんのこと、隊としての行動についてもほんとう国民の負託にこたえるような行き方で、どう努力してやっておられるのか、また士気の高揚というような問題についても、どういうふうに持って行かれようとしているのか、そういう点について、これは自衛隊についても相当国民的な関心を持っておる点であると思いますので、この点について総理及び長官からお考えを承わりたいと思います。
  90. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 自衛隊の士気の高揚はまことに必要だと思います。それでありまするから、先刻来のお話のように、日本の平和と、日本の独立を守るという精神を徹底せしめまして、そうして祖国を愛し、あるいは民族を愛するという精神的な基盤を作ることに、日常の訓練を通じて自衛隊諸君が体得するように努めなければならないと思います。それについて、アメリカの基地の問題その他において、どうもアメリカとの関係がうまく行かない。これらはどうしてもそのあとを断つようにしなくちゃならないので、特に話合いをして、こういう争いの起きないように特に注意を払うというようなことを数日前の閣議できめたわけでして、そういうような気分で話合いをしてくれというように訓令をしたわけであります。なお不正事件が続出したということは、ただいまの宮田君のお話のようにまことに遺憾に存じます。そこで物品調達の機構整備を一元化いたしまして、そうしてそういうことの起きないように努め、装備表自体についてもさらに検討をいたしまして、内部の監査の強化を図るというようなこともやることにいたした次第でございます。
  91. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 今、宮田委員からおっしゃいました点、一々自衛隊として大事な点であり、また反省せにゃならぬ点だと存じております。今の士気の高揚という点、これ全くもっとも大事なところで、いろいろ今後とも皆さんの御意見ども広く聞いて、その点をどうやって行くかということについては、あらゆる努力をいたしたいと存じております。それから、一方自衛隊が、いやしくも国費の使い方等について会計検査院等から批難を受けるということなどは、これはまことに相済まぬわけで、これは他から批難を受けるまでもなく、みずからそういうことのないようにすべきは当然でございまして、実は私これは前任者たちも努力はしてきておられることはそうでありまするが、この点は特に私らの大きな責任として深く反省を加えて、ぜひこれは実行においてやるよう最善の努力をいたしたいと、こう考えております。
  92. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 鳩山総理お尋ねいたしたいと思いますが、 その前に長官に、自衛隊の犠牲者の点についてお伺いしたいと思いますが、現在どれくらい犠牲者がございますか。たとえば飛行機で墜落したとかいうような方ですが、それをちょっとお知らせ願いたいと思います。
  93. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 実は非常に遺憾なことでございまするが、ときどきそういう飛行機の事故等がございまして、殉職者が出ております次第でございます。なお最近の数字的なことについては政府委員からお答え申し上げます。
  94. 加藤陽一

    政府委員(加藤陽一君) 昭和二十七年度以降における自衛隊の死亡者数を申し上げますと、陸上自衛隊、当時は保安隊でございますが、保安隊の方におきまして百四名、海上自衛隊、当時の警備隊におきまして二名でございます。昭和二十八年におきましては、陸上自衛隊の方で百三十四名、海上自衛隊の方で五名であります。昭和二十九年が、陸上自衛隊が百六十三名、海上自衛隊の方が四名となっております。この中でただいま持っております資料によって申し上げられますことは、昭和二十八年度についてでございますが、百三十四名のうち、公務による死亡者が三十六名でございます。
  95. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 そういたしますと、二十七年、八年、九年と、百名を突破する犠牲者が年々出ておる勘定でございますが、この方々に対しましては、現在の恩給法でやっていらっしゃるのですか、それともどういうような方法でやっていらっしゃるか、それを承わりたいと思います。
  96. 加藤陽一

    政府委員(加藤陽一君) 公務による死亡者に対しましては、防衛庁職員給与法及び恩給法等によりまして、他の一般職の国家公務員とほぼ同様な措置をとっておるのでございます。すなわち国家公務員災害補償法によりまする遺族補償千日分、葬祭補償六十日分、国家公務員退職手当暫定措置法によりまする退職手当、これは勤続年限によって違いまするので、一様に申し上げられませんけれども、この規定による退職手当、それから同法の附則の十項によりまする死亡加算がございます。そのほかに国家公務員共済組合法の規定によりまする埋葬料、そのほか恩給法の規定によって給与しておるわけでございます。抽象的に申し上げますると、そういうことでございまするが、先般鹿屋に起りました例につきまして計算した例がございますので、申し上げてみたいと思います。先般鹿屋の航空隊で、まことに遺憾なことでございますが、航空機の事故がございまして、乗員六名のうち五名が死亡いたしました。そのうちの一名の三等海佐である人に例をとって、以上申し上げましたところによって算出をいたしてみますると、一時支給金の総計が百四十三万、扶助料の年金が十二万四千四百八十円ということになっております。
  97. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 私は総理お尋ねいたしますが、実はきょう恩給法をあげたばかりなのでございます。それで今海佐の死亡によりまして百四十三万円という金で、そのほかに扶助料が十一万幾らで、これでやって行く勘定になるわけですね。そうしますると、今までの百七、八十万柱、私どもは二百一万柱といっておりますが、この遺族の受ける恩給ですね。それは非常に低い、それでこれは終戦後のものであるから、かような高額な恩給を課せられる、あるいは国家の恩恵に浴する以前のものだから少いんだということになると、これは遺族がおさまらないのは、そういうところに理屈が非常にあると思うのでございますが、これらにつきまして、どういうふうに調整するかということにつきましての、総理のお考えを承わりたいと思います。
  98. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 長島君から今実情を聞きまして、今まで存じませんでした。よく今後このことについて検討いたしたいと思います。
  99. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 私は現在は平和裏にずっと推移いたしておりまするので、著しい犠牲者というものはないと思いますが、一朝事が起きますと、ある部隊は皆殺しになる、もう原爆日本へ落ちるよりなことはないかもしれませんが、皆殺しになる憂いもあるわけであります。そうなると、非常な大勢の犠牲者が一ぺんに生ずるわけであります。そうなりますと、現在のこの自衛隊法、この防衛庁設置法の一部改正法案から見まして、十九万名を突破するようなことになりますが、かりに十九万名のうち、全部が皆殺しになるということはないかもしれませんが、非常な大きな数字の犠牲者がここに一ぺんに生じたと仮定いたしますならば、これだけの犠牲者に対する恩給支給その他の方面で、かなり国家財政に大きく響くんじゃないか、従いまして、これらの点についても、私どもはそんな先の心配はしなくてもいいだろうという御意見もあるかもしれませんが、私ども遺族会の関係者の一人といたしまして、取り越し苦労をいたすわけでございますが、これらの点も十分御研究おき願いたいと思うのでございます。
  100. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 法律は公平を旨としなければなりませんから、よくいろいろの場合を想定いたしまして、公平を失わないように心がけたいと思います。
  101. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 まだ時間が余っておりますから、もう一点伺いたいんですが、安保条約によりましてアメリカと共同防衛の建前になっております。その場合に戦争犠牲者の、かりに兵の階級の犠牲者に対しましても、アメリカでは一万ドルの弔慰金が直ちに出ることになっております。これは保険会社から出るので、国家から出るんじゃないそうでおりますが、保険金は国家が現金を支払っておって、戦死された場合に兵に対して一万ドル直ちに弔慰金がくる、日本の単価にいたしますと三百六十万円くるわけであります。共同防衛の際に、アメリカと行動を共にして犠牲になった場合には、日本は一体アメリカからその若干なり弔慰金が取れるのかどうか、あるいは取れない場合に、日本だけがアメリカ軍と行動を共にして受けたその損害に対して、非常に片手落ちの総額のもので、国情が違いますから、がまんしなければならないかどうかというような点でございます。これも一つ御研究おき願いたいと思います。
  102. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私申し上げます。承知いたしました。検討いたします。
  103. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 私の受け持ち時間はこれで一ぱいでございますからこれでやめます。
  104. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上をもちまして質疑通告のありました委員諸君の質疑は終了したのであります。従いまして、本防衛三法案に関しまして、鳩山総理に対する質疑は一応これをもって終了したものと認めます。  午後五時まで休憩いたします。    午後四時四十一分休憩      ——————————    午後六時十二分開会
  105. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 休憩前に引き続き委員会を開きます。
  106. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この防衛庁設置法の一部を改正する法律によりまして、人員がふやされますると、防衛庁長官の作戦計画等によりますると、何方名くらいの、もちろんアメリカとの共同防衛の問題もありますが、これはできておるだろうと思いますから、今のこれだけの人員をふやしますと、何方名くらいの兵力、どのくらいの兵力が来たときに何日ぐらい持ちこたえるか、こういう想定のもと、これはとうてい想定がなければ、もうむやみにこれだけふやしておくというのではないでしょう。仮想敵国については何回もやっておったけれども、それはもう幾ら言ってもあなたの方はお答えにならぬので、それではどのくらいの兵力が参った場合に、何日くらいは持ちこたえるか、今の実力にしてあるのか、せっかく金を使ってこれもわからぬでは困るのでお答え願いたいと思います。
  107. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。菊川委員のただいまの御質問は一応アメリカ軍との関係は別として……。
  108. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 いやそれも含めて……。
  109. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは非常に大事なことでございますが、しかし非常に同時にまたむずかしい問題でございます。大体今の自衛隊の実情を順序といたしまして一応申し上げますと、陸上自衛隊の現状は、管区隊にいたしまして六個の管区隊、そうしてこれがつまり一つの総合部隊として行動の単位をなすわけでございますが、これは六個の総合部隊があって、そうして北海道に二単位、すなわち二管区、それから九州に一管区隊これは九州と山口県を兵力地として打っておるわけでございますが、そのほかの地域、つまり東北大県の方に新潟県を入れたここに一管区、それからその以西の地域で西の方は三重県、岐阜県、福井県に至るまでのところに一管区隊、それからその以西のところで本州と四国を受け持った一管区隊、こういうふうに配置されておるわけでございます。で、陸上自衛隊はそれにもちろん後方部隊はついておりますけれども、そういうふうに相なっておる次第でございます。それからアメリカの地上部隊が、最近まで約二個師団半と言われておったのでありますが、最近約五千名撤退いたしております。そういうふうな状況であります。それを合わせたものが日本の地上部隊、日本を守る状態はこういうことになっております。  それから航空自衛隊でございますが、これは日本の航空自衛隊は、御承知通り昨年航空自衛隊として発足したばかりでございまして、実はまだ生れたばかりのもので、持っております飛行機も練習機が大部分でございます。ただ実用機としては輸送機を十機、それから連絡機を一機という状況で、あとは全部練習機ばかりでございます。そうして要員も、今そういうものを練習しておる練習機の段階の要員を養成しておる、こういう実情でございまするからして、いわゆる実働部隊としての実態はまだできていない状況でございます。従いまして、航空の関係におきましては、全くアメリカの空軍に依存しておる、こういう実情でございます。  それから海上自衛隊でございますが、これは従来主力をなしておりますものが、アメリカから貸与を受けておりますブリゲート艦の十八隻というもの、これが主力をなして来ておる。そうしてそれに、ことしになってから受領したのでありまするが、駆逐艦二隻をアメリカからやはり貸与を受けて、そうしてこれを受領して、これはことしの春から海上自衛隊として編入されておるわけでございます。それが主力的なものでございます。それにアメリカから同じく貸与を受けております。あのいわゆる上陸支援艇LSSLとよく略して言われておりますが、これが五十隻、これが現在の艦艇のおもなる勢力、あとは掃海艇が全部で約五十隻、これはアメリカから貸与を受けましたものと、それから日本側で非常に古い、戦時中に日本の海軍で間に合せに作っておりました性能も非常に劣弱なものでございますが、それにアメリカから貸与を受けております掃海艇と合わせて五十隻、こういう状況でございます。それになおきわめて小さな艦艇が多少ございます。それらを合わせまして、今艦艇が約五万六千トン、トン数にいたしましてそういう状況でございます。それにごく近く護衛駆逐艦これはDE、すでに受取りましたのがDD型の駆逐艦でございますが、それよりも少し小さいものでDEという、これを二隻だけアメリカから貸与を受けることにすでになっておって、そしてまたアメリカの現地ですでに受領しておりますが、まだ回航しておりません。近く回航して来るはずでございます。そういう状況でございます。そういう状況でございますから、そこら御判断いただけると思いますが、このフリゲート艦などは、これは本来ごく近海の哨海、護衛、商船の護衛、これはごく近海ですから、遠洋のいわゆる外航航路の護衛ということにはこれは適しない、DD型の駆逐艦の方はもちろんこれは外航の護衛にもある程度でき得る、そういうような状態できわめてまだ、しかもその性能たるやもう非常に劣弱なフリゲート艦、十八隻のものはいずれも艦令は平均しまして、約十二年くらいになっておりまして、もう古い型なんです。これは戦争中にアメリカがごく沿岸警備用に作った、間に合わせに作った性能の非常に劣弱なものであります。そして海上自衛隊の任務といたしましては、この護衛ということ、それから掃海ということ、それから内地の主要港、港湾、水道等の警備、防備ということを主眼においておるわけでございますが、それから護衛、掃海、防備等からいたしましてもまだそれだけのものといたしましては、きわめてわずかのものしかできません。そういう状況でございます。従いまして、そこらも御判断いただけることと思いますが、海上も大部分日本側としてはきわめてまだわずかなものである、こういうことが言えると思います。そういう状況でございまするので、一口に申しますと、陸上はまあかなりの、一応の何か勢力になっておるけれども、空は全く、全然ない、海は今申しました程度のもの、こういうことでございます。そうして今かりに一朝有事の際どれくらいの一体防衛の力があるかということ、これは非常に大事な問題でありますけれども、むずかしい問題です。それがどういうふうな外国からの武力攻撃を受け、その際どういうふうにするか、そしてそれがどの地点を指向せられるのか、そしてそういうことをあらかじめこちらが察知し得て、あらかじめそこへ集中するということが可能であるか、できた場合とできない場合とがある、それから途中の交通破壊によってそれらの勢力の集中が可能であるかどうかというようなことによって非常に違うわけだろうと思うのです。それでそれがどのくらいかということは、実は非常に、一がいになかなか言いにくい状況だと思います。陸の方につきましては、ごく全般的に申しまして、とにかく日本自体の力はもう非常にまだ弱いわけでございまするが、一がいに言うことはなかなかこれはできないと思いまするけれども、もし米軍の協力を得まするならば、これはある程度持ちこたえる力があるだろうということを申し上げる以上に、具体的には申し上げることができにくい。
  110. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 長官答弁で今おっしゃたようなことは、私ども大体資料をいただいてわれわれも大体において承知しておりますので、もう少し簡単に要点だけお聞きすることとして、わからぬのはわからぬでやむを得ませんので、一応お答え願いたい。そういたしませんと、時間をとられて、一時間二十分もらってもどうにもならぬ、長官に行かれてしまうということになってしまうので……。今の御答弁によりますと、率直にいってどれだけのものが来た場合に、どのくらいは引受けたということも言い得ないのでありますが、統合幕僚会議におきましては、一応このくらいの部隊が来たときにアメリカ軍の協力もある程度得られるだろう、従って何日間くらい持ちこたえて、それを国連に提訴したり、国連の応援によりまして、こうこうだろうということは実際に発表できないとしても、演習の場合はこれくらいの兵力が来た場合に、これはこっちから攻撃して来たという図上作戦くらいできているでしょう、そんなものはなくて、ただ予算を組んでいろいろなものを買い込んで飾っておく、いわゆる観兵式部隊であるか、それともほんとうの実戦に使うというために訓練されておるか、この点一つお答え願いたいと思います。
  111. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 長官から申し上げましたように非常にむずかしい問題でございます。そして現在まだ統合幕僚会議におきましても、そういう点についてまだ具体的にいろいろ、いわゆる作戦を練るという段階に行きにくいのでありまして、現在では部隊対抗、昔で言う師団対抗みたような演習、その場合に一つづつは対抗するが、もう一つは仮想にして二つが対抗するような図上演習、幹部演習、そういうようなことはやっておるわけであります。しかし陸海の外部からの武力攻撃ということになりますと、陸海一緒にやらなければならぬいわゆる陸海空、海空は今そういう事情でありますので、仮想による想定をするよりほかないというようなことで、まだ段階が進んでおらないわけであります。しかし大ざっぱに申しますと、今、長官の申しましたように、自然に外部からの武力攻撃は、ある程度察知すれば、そこにある程度の、現在の六管区のものを、どういうところに来るときに、どういうところに集結できるということに相なるわけです。それに対して空の援助をどれくらい米国から期待できるか、それから海による援助をどれくらい期待できるかということを、いろいろとにらみ合わせなければならぬわけですが、大体一地に終結が可能なこちらの管区隊の勢力というもので、外部から侵略する勢力に対して大体同等の程度のものを集結できれば防御できる。ですからある地点を想定して、そこに二管区隊々集結できるというふうなことでありますると、二管区隊程度のものがきた場合にはおおむねこれに対抗できる。ただその場合、現在持っておりまする補給整備の関係がまだ実は整っておりません。弾薬関係は一応十三万トンばかり今持っております。これもやはり二、三カ月間という程度を一応想定できるというふうなことでございます。ですからある程度事前に察知をし、諸種の条件が整ってそこへ適当に集結できますると、大体同程度のものに対して二、三ヵ月間の対抗ができる、しかしそれにもいろいろ援助の条件が加わらなければならぬということでございます。
  112. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますと、一応アメリカ軍の今の空軍の部隊その他の援助を得て、あなたの方の目標としては、まあ日本に向うの何個師団がやってくるかというところまでは、なかなか相手のあることですから何だけれども、実際にやるときには、やっぱりそういう想定を持っておらぬと、何ぼくるのやらわからぬというわけにもいかぬのであって、大体これは想定をして、仮想敵国は別といたしまして、どのくらいの部隊が、小部隊で日本にこれはもう敵前上陸しっこはないのでありまして、やってくるものなら相当の大部隊がくるものでなければならぬ。しかし日本を取り巻く諸情勢から考えて、そうむやみやたらに、陸続きではございませんから、そう一ぺんにくるものではない。従ってこれに対して、あなたの方の計画としては、二ヵ月くらいはこたえるような、いわゆる本土決戦二ヵ月くらいを覚悟して今やっておられるのですか、そういう目標のもとに自衛力の増強、装備の整備等をやっておられる、その第一段階ですか、今度の改正案というものはそういうふうに受け取っていいのですか。
  113. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 現在の勢力においてできまするものは、さっきのようないろいろな条件で、終結がうまくでき、そうしてその補給の関係はまだ自力では全部はできません。たまだけがまあ二、三ヵ月という状況であります。ですから現在のところではなかなか困難だ、しかし長期計画を立てまする際には、そういうことを見合って計画を立てて行きたいということで、まだ現在のところでどれくらいということを明確に申し上げることは非常に困難ということでございます。
  114. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、自衛のやり方というのは、あくまでもこれは本上決戦と言いますか、本土で迎え撃つということですから、かりにそういう不測の事態が起きた場合には、本土において迎え撃つ、こういう作戦計画のもとにあなたの方では今訓練を進めておられるのですか。
  115. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 全く日本の本土ということを元にしてでございます。
  116. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それではさらにお尋ねいたしまするけれども、今の統合幕僚会議あたりの出している結論とするならば、一体これはまあなかなかむずかしい問題だとは思いまするけれども、どのくらいまでおれば、一応これはこの程度ならばまあまあ安堵できる、多分いろいろな国際情勢から考えて、この程度ならばという希望というものは、これは当然なければならぬ、要求というものはなければならぬ。それを何ヵ年間にして、この程度でまあ持ちこたえて行こうというのがあるだろうと思いますが、それができておりますか。それともこの十九万何名にふやしたという今回の改正というのは、大体の要求数量であるか。いわゆる昔は軍部が五個師団要求したといって内閣がつぶれたようなこともありましたけれども、その限度としてこれは考えておられるのか。これはあなた方の要求は、国の経済力その他から押えられて、今年度はこれでがまんせいということでこの改正案になっておるものでないか、その点を一つお伺いしたい。
  117. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これはあとの方でおっしゃいました通りで、これで一応もう目標に達しているのだと、こういう考えではございません。まだ不足しておると、こう考えております。
  118. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますると、陸上部隊だけでもまだ相当不足するのですから、先ほどの御答弁によりますと、二十万くらいが大体志願兵の限度だと、こうおっしゃったのですから、志願兵ではもうこれ以上希望するのはなかなか困難であるから、次の段階へ行って、ほかに何らかの方法でもって一つ増強をして行かなければならぬということを考えなければならぬのじゃないかと思いますが、この点長官どうですか。
  119. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 今研究しております長期計画におきましては、志願制ということを前提にして考えております。
  120. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) ちょっと補足をしたいと思いますが、先ほど長官から申し上げましたのは、約二十万と申し上げた数字、これはいろいろの情勢によって多少の変動があると思いますが、一応二十万という見当を立てておりまするが、これは二年もしくは三年を期限として入隊をせしむる者は大体二十万見当という見当を立てておるわけでありますので。幹部あるいは何と言いますか、曹と言いまするか、昔の下士官あります。そういう連中は二、三年の期限を持つものではありません。一応長くやる、そういうものを別にしまして、二年もしくは三年の期限で交代をして行く人たちは大体二十万くらいの一応の見当ではあるまいかという見当を立てております。こういうことであります。
  121. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすれば、一応増原次長の方で統合幕僚会議等とも相談されて、まあせめてこのくらいまでは持ちたいという人員ですね、陸上についてはこのくらいまで持ちたいというものは、一応希望条件として当然防衛庁長官の方へ出されておるか。またそれも出ておらないのか。どの辺まで……、この辺までは必要がないが、この辺までは持ちたい、こういうものはできておりますか、どうですか。
  122. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) その点は御推察をいただけますように、いろいろの条件によるわけでございますので、まだ何と言いますか、そういう点を、いわゆる技術的な見地においても、ここらまではほしいというところをなかなか確定することはできないわけでございまして、まだ研究をいたしておるという段階でございます。
  123. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますると、今のお聞きしましたところを総合して考えましたときに、今のところはまず建設段階にあって使用のところまではとてもきておるのじゃない、自衛隊というものは今はとても使用なんというものに考えるじゃなしに、今建設段階である、こういうふうに受け取ってよろしうございますか。使用なんということは、……、実用に向けるのじゃなしに、今建設段階である、こういうふうに受け取ってよろしうございますか。
  124. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) まあまあそうでございます。この「しよう」というのは……。
  125. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 使用というのは、もしもきたときに使えるようにゃならぬという……。
  126. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) いや、目標は、これは一朝事ある場合には役立ち得るということがもちろん目標でございますが、それを目標にして進んでおるわけでありますが、ただ現実に、陸上自衛隊の方に、これは現在でもある程度の一朝事ある場合にも直ちに相当の役は果し得ると思います。海上の方もごくわずかでございますけれども、これは……。しかし空の方はまだそういうわけにいかない。先ほど申し上げましたように、ことに海と空の方はこれは建設の段階であると、こう申し上げた次第でございます。
  127. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますと、歩兵部隊だけは大体間に合う、ところがあとは全然まだ間に合わぬので、要するに主力、もしも今一朝有事の場合には歩兵部隊だけはある程度まかなえるが、あとはアメリカ軍に頼らなければならぬ、こういうふうに了解しなければならぬと思うのです。今の御説明からして……。そうしますると、今の近代戦において、歩兵部隊の運用にいたしましても、運用と言いますか、こいつを使用するにいたしましても、とても空軍あるいは海軍との連携なしにはやれないのだ、歩兵部隊だけの単独行動なんというものは私は考えられないと思います。当然一朝有事の際には、今の統合幕僚会議だけでは決してこの歩兵部隊をどこへ持ちて行くというような動かし方はできっこはないと思いますので、アメリカの極東軍司令官の隷下に入って、その指揮命令に従って、これを統合幕僚会議議長が受け取って、それで用兵作戦に当る、こういうふうな訓練は今行なっておられるのですか、どうですか、この点を一つ伺っておきたい。
  128. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) その点はそうじゃございません。これはまだ今、日本の法制としてもそういうことはできないと思います。御承知通り自衛隊の最高の指揮監督権は総理大臣にあるということが明定されておりまするから、そのアメリカ軍の指揮監督のもとに立つということには相ならぬわけでございます。
  129. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、一朝有事の際には、総理大臣アメリカ極東軍司令官との間に協議をして、そうして用兵作戦を行う、こういうふうな格好になるのですか。そんなまだるいことをやっておって、しかもそんな訓練をやっておって、一朝有事の際には機動的に運用しなければならぬのに、国会で論議しておるような間があるわけじゃない、そんなゆうちょうなことを考えておっては間に合わないので、一朝有事の際に間に合うというのなら、ある程度そういうときにはどうするかということを考えておかなければ、総理大臣が一方自衛隊の指揮をとるのだ、しかも歩兵部隊だけで、ほとんど今の御説明によると間に合わない、アメリカの応援がなければ間に合わない、歩兵部隊だけで単独に行動できるものじゃないのだから、これは当然統制ある三軍の調整ということが必要だと思う。その調整機関をそれならどういうふうに今訓練しておられるか、計画を立てておられるか。
  130. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) その点は今、菊川委員の御指摘になった点、大際とその問題を合わせると、奇妙なようでございますが、事典日本の法制がそうなっておりますし、それからもしこれをアメリカ軍の指揮のもとに置くというようなことでありますれば、その法律でもってその点を改正するか、あるいは法律を同等の効力を持つ条約文というような基礎がやはり必要だと思います。そうして現在は行政協定の二十四条におきまして、日本区域において敵対行為が発生したという場合、あるいは敵対行為の急迫事態が生じたという場合には、両国政府が協議する、こういうことの規定がございまするから、そういう際の一つのあるいは協議事項となるかもしれません。しかしそういう場合、それをどこまで日本の現行法制のもとにおいてやるか、あるいはその協議というものをさらにちゃんとしたものにするためには、そうした条約の基礎を要するか、そのへんのところは事実簡単には私はきめられぬ、今ここでこうだと言い切れない、新しくそういう点は研究を要すべき問題だと思います。
  131. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もうわれわれはそういうことをするのには反対の立場ですけれども、心配なものですから問いておるのですが、と申しますのは、法律ではなるほど日本総理大臣が指揮、命令をとるというふうにちゃんとできておりましても、大体軍隊の使用についての国際慣例というのは、そんなものではないのでありまして、ちゃんと秘密の、一朝有事の際にはこういうふうにやるのだという協定、申し合せ事項は当然これはもうあるものだ、あるのが常識だと思いますので、そういうようなものはあるかないか、もしあるのだったら、もうはっきりと、こういうものはあるのだということだけは示してもらいたいと思って私はお聞きしたのであって、あなたの今の答弁ではあくまでもないのだとおっしゃるのですか。
  132. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 今ございません。
  133. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは次にお尋ねいたしたいのは、先ほどもちょっと時間の関係上早く切り上げましたけれども、今の段階におきましては、これは対外的にはまあそういう危険もだんだんと薄らいでおりまするし、そう急いで必要はないとお考えになろうし、またいいと思うのですが、これを国内的に使われることを一番危険だと私は思う。国内的に使われるということは、先ほどちょっと触れましたように反乱です。どういう思想的根拠、政治的意図のもとに使われるにいたしましても、これこそ一番危険だ、従ってこれによって国内が二つに割れて、いわゆる間接侵略の危険をさえ生じてくる、それからまた他国の、と言いますか、アメリカ軍のこれは干渉というようなものも生じてくると思う。たとえば二・二六事件のような政府転覆の動機で立ち上ったような場合、日本の方ではこれを押える力がない、アメリカ軍に日本人を押えてもらわなければならない。また暴力革命にこれを使われて立ち上った場合、これもやはり日本の力ではだめで、アメリカ軍にやってもらわなければならない。いずれにしても、これは反乱を起したような場合には手におえない、日本では手におえないしろものだと思う。それだけにこれくらい、言葉をかえて申しますと、外には使いものにならない、うちに置きますと、爆弾を抱えているような心配も起る、国民としては一応考えて行かなければならない。それは心配はないとおっしゃっても、過去の日本の歴史にもあるわけでございますので、ましてや、このように動揺しておりますと申しますか、落ちついておらない国情下においては幾らでも、諸外国にも例があるのです。クーデターというのは、大統領を監禁するような例は、落ちついておらない所にはあるのです。日本においてさえもあのくらい皇軍といっていばって統制を誇っておった時代でさえもあるのですから、これは一番大事な問題だと思うが、杉原長官はこれについて指導方針をどういうふうに統制をとろうとしておるか、これを一つ伺っておきたいと思います。そういう危険が隠れているのです。今もう一つ伺いたいのは、そういう危険な動きは絶対に今のところ長官のもとでは全然ないか、文民優先ということは完全に保たれているか、聞くところによりますというと、すでに防衛庁内部におきましても、いわゆる文官、文民と言われるのと、旧陸軍出身者と旧海軍出身者と、この三つが戦争当時の陸海両軍の対立をそのまま持込んできているようです。もう暗闘が続けられている、これに文官が介入して三つどもえになってやられている。これはまあ風評でございますので、そういうものはなかなか表面に出さないところに、旧武官連中のうまいところがありますのですけれども一つのポストを決定するに当っても、そういう争いさえも生じているということをわれわれは聞くのでありますが、この点について長官から一つ答弁々願いたいと思います。
  134. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 現在私はそういう危険はないことを断言いたします。将来、万一にもあってはならぬことでございまして、その点非常に大事なことと思います。そしてそれにおきまして私非常に大事だと思いますことは、もう政治に関与するということはいけないことだと思います。従いまして、この政治行為、政治的行動に関与するということは、これは自衛隊の本務からいたしまして、厳格にこれはいかなる意味においても政治的の、ことにそこにある特別の意図を持った政治的の行為に関与する、これは絶対に自衛隊の本務と両立しないものだと思います。なおこういう点からいたしまして、これはこれだけだということでなく、そういう点も考えていろいろな面で心を配って行かなければならないことだと思いますが、ことに人事の運営というようなことばそういう点で非常に大事な点だと思います。
  135. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますると、今のところは自衛隊漸増方針に向っております。しかし鳩山さんも言われましたように、国際情勢の変化と申しますか、この間のジュネーヴ会談の結果からして、軍縮に持って行こうという動き、だんだんそうなってくれば、自衛隊漸増計画についても考慮する。また政府がかりにかわったような場合には、自衛隊漸増計画についても変更は加えられ心だろう。場合によりましては軍縮というような問題も一応考えなければならぬと思うのであります。これは小さければ小さいなりに軍縮ということも考えなければならない、特に政府の政策の変更による軍縮というものも考えなければならぬと思います。それに応じまして、もちろん急激な、一ぺんに廃止するとかいうようなことは、それはできないであろうし、隊員諸君の就職問題、あるいは退職金問題等もいろいろ考えてやらなければならぬから、そんな急激なことは行われないにしましても、三ヵ年計画、五ヵ年計画でここまで減らすんだというようなことも当然起ってくることをわれわれは考えなければならないと思います。そういうようなときに、一つ立ち上って反抗するというような、昔の兵学校、士官学校卒業者諸君の中にはそんな危険な連中はおりませんですか、その点を一つもう一ぺん……。それをやらせぬように、あくまでもそういうときには政治に従うのだという訓練が十分できておって、そんなことは起り得ない。そんなことは幹部諸君承知の上で自衛隊に入っておられるかどうか、徹底しておるか、どうか、この点について防衛庁長官から……。
  136. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 自衛隊のものが、言葉は何んでございますが、自分の任務として、いわば軍事的任務、これを忠実に果すということはこれは当然の任務だと思います。ただそれが専門的な技術的な、いわゆる軍事的のことの範囲をこえて行くというところに危険が生ずると思います。従いまして、これをそれよりも軍事的、専門的の見地からしてのことではなくて、それに一段と高い政治的の判断を心得てやって行くというのが政治のいわゆる軍事に対する優位ということ、この大原則は絶対にこれは今後の日本においては確立し、また実行されて行かなければならない。これは政治の上においても、運営の面において、指導の面においてもその点は最も大事だと思います。
  137. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にお尋ねいたしておきたいのは補給関係でありますが、先ほどから漸増計画についてまだ十分計画はできていないとおっしゃったが、弾薬は大体二ヵ月分くらいは貯蔵してあるとおっしゃるんですが、今後はあなた方のお考えといたしましては、武器も少くとも、それはジェット戦闘機までということになってくると、ジェット機もこしらえるというようなことが今日の新聞にもちょっと載っておりましたが、それはともかくといたしまして、少くとも陸上部隊の使う兵器、あるいはこれが一年間に使う弾薬、それから今の部隊の一年分くらいの食糧というようなものは、当然これはこういう部隊の常識上貯蔵されなければならぬし、またそれが、どんどん補給をされて行くように計画は立れられなければならぬと思うのです。そんなものは全然ないじゃこれは話にならぬことだと、われわれ考えたときに思うのですが、それをあなたの方では何年計画くらいで、少くとも国内において、アメリカの機関銃を借りていつまでもこれを演習に使っておる。演習用にはけっこうだと思うけれども、やがては日本でやはりそれをこしらえるという希望を持っておられるだろうと思う。自衛隊の統合幕僚会議あたりでは、そのくらいの計画は当然おありになるだろうと思うが、これは何年計画くらいでそこまで持って行こうと考えておられるのか、そういう計画があったら、その構想その他をお話し願いたい。
  138. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) まだ計画といって申し上げる程度のところまで行っておりませんが、こういうことに相なっております。陸上自衛隊の使用装備品の中で、火器、特車等の部類のものと、車両とか、通信機械とか、施設機械とか、そういうふうな部類と二つに分けてみますというと、前の方は私らの方では装備品甲類と称しておりますが、その装備品甲類は、予備隊の発足以来今日に至るまでほとんど全部といっていいくらいアメリカ側の供与に依存しているわけでございます。それからあとの部類のものは一部供与を受けており、また大部分は日本側で調達をしている、こういう状況であります。これは御承知通り、民需品とも競合するのでございますし、この方は自衛隊としても日本側で調達をするものも相当ございますから、この方の生産の方面は日本側自体としても相当進んでいるわけでございます。しかし前の方は生産の方も今いったような状況でございますので、今日までこれというまだ生産態勢もとてもできていない、こういう状況でございます。ただしこれもいずれ取りかえなくちゃなりません。そうしていつまでも向うからの供与というものは期待できません。それでこれの取りかえということも考えるし、それからまた修理するに必要な部品というようなもの、こういう部品類もいつまでも供与は期待できません。それで取りかえと言いましても、これを一挙にこちらで準備をするということもできませんが、今までもいろいろ研究はいたしておりましたが、本年度の予算などでもこれの試作を逐次して行くということで、まず試作をして行くというので、たとえば榴弾砲とか、自走砲とかいうようなものの試作をして行く、それから中特車等の試作をして行くということで、本年も予算を計上いたしまして御承認を仰いでいるような次第でございますが、まだこれが今後長期にわたって計画を具体的に立て得るところまで至っていないのが実情でございます。
  139. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それから次には、その補給を、今の段階ではたとえ国内で補給するにいたしましても、民需ということになっているのたが、将来においても昔のように軍工廠とか、軍の修理工場というようなものを立ててやる計画をお打ちになっているのか、それとも今後とも一切武器弾薬は民間発注によってやって行こう、これはすべり出しが大事だと思うので、それはどちらを基本方針にしておられるか、伺いたい。
  140. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) その点もまだ確とした方針を確定しているとか、そういうことではございませんが、考え方といたしましては、原則的には民有民営という方法が適当であろうと考えております。ただし需要の非常に変動の多いものとか、それから極めて変動が多いばかりでなく、試作をやって行くとか何とかで、これは商業採算にのらぬようなもの、そういう商業採算にのらぬようなもので、実際はしかし必要だというようなものにつきましては、何らか国でこれがめんどうを見てやるということの必要は生ずるかというふうな考えでおります。
  141. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますると、原則としては民需に負うようにしたいと言いますと、まあ武器、弾薬、特車その他の車両、これらも民間で製造させるということになりますと、一番問題はその製造の監督ということですね、これも監督をして行かなければならぬ、軍管理工場という格好にして行くのか、それとも監督官を派遣してやるのか、納品されるのをそのままこちらで検査して、それで規格に合ったからというのでどんどん入れていく、こういうふうな計画をお持ちになっておるのか、これは六ヵ年計画というものがあなたの方にないということで発表できぬと言うが、せめてそのくらいのものは構想を持って出発して行かなければならぬと思いますが、これはどう考えておられるか。管理工場ということでやって行くのか、ただもう一般の競争入札で、どこでもいい、こういうふうにやって行くのか、これを一つお伺いしたい。
  142. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 管理工場というふうなことは考えておりません。けれどもそうかといって、これは非常に物にもよるわけでございますが、どういうところにそれじゃそれを発注するかと言いますと、これはその発注品そのものによりますから、一がいにはなかなか言い得ないと思います。特に性能要求その他からして、それを満たし得るようなものを作り得る所というようなものもありますからして、どこでもここでもというわけにもいかぬのであります。その辺のところを……。全体の、第一に今後どれくらいの量を必要とするかというようなところの実はまだ見通しというものが立ちませんので、まだその辺のところをあまり立ち入ったところまで検討するに至っていない状況であります。
  143. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 自衛隊が発足してもうこれだけになっておりながら、何らその見通しもないし、計画もない、大事な点を聞きますとまだない、大体構想はこういうふうだというのですが、これじゃどうもめくらめっぽう金を使って進んで行って何ができるかわからぬ、こういうふうにわれわれは思うのですが、いかなるものができるかわからぬ、自衛力漸増だ、漸増だといっておって、説明を聞くと、なるほど自衛力漸増かと思っておるのですけれども、その自衛力漸増につきましても、何が一体、どんなものができ上るのかさっぱり……、ちょっとえらいものができる、奇形児ができてしまうおそれがあるのですが、それでこの改正の際にわれわれが突っ込んで聞いておくのは、大体将来こういうところへ持って行かなければならぬという構想のもとでこの漸増はできておるということか、ただまあことしの予算の範囲内だから、このくらいのものを出しておけというふうに出してきたくらいで、計画性も何もないように思われて不安でならないのですが、それでもう一ぺん重ねてお伺いするのだが、これだけはせめて、衆議院は通って来たのですから、あるいはわれわれは反対しましても参議院は通るかもしれませんけれども、通ったら少くともこれだけは基礎はできたのでありますから、これが五年先にはどのくらいに行くかというようなものは、いつごろ一体こしらえあげる見込みを持っておられるのか、衆議院では防衛六ヵ年計画を、それを示せ、示さぬ、ございません。出せ、あるんだろう、出せということをいっておりましたけれども、こんなことをこちらで同じことを繰り返しても仕方がないが、少くともいつごろになったらそれを大体示すことができるのか、この法案の通過した暁におきましては、今度は落下傘部隊もできるようでありますが、いつごろになったらそういう計画は一応全貌が示されるか、工場はこういうふうにやって行く、あるいは兵員はこういうふうにやって行く、落下傘部隊の方はこういうふうにやって行くというようなものはできるのか、防衛六ヵ年計画ということになると無理かもしれませんけれども、大体の構想が、自衛隊の将来向うべき道と申しますか、自衛力漸増の向う道というものはいつ示されるか、この時期等が、せめてこのくらいの時期にはできるだろうというくらいのことは、防衛庁長官として庁内を督促してしなければならぬし、また閣内もそれはまとめなければならぬと思う、その時期等が見通しがついたら一つここで御答弁願いたい。
  144. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) この点なるべく早く、少くともこれも私全部のいわゆる防衛生産計画までとかいうと、これは大へんだと思います。それで今先に一応最も見当をつけたい、政府として大体こういう考え方だというものをつけたいと思っておりますのは、一体どの程度のところまで、防衛力の目標の規模ですね、いわゆる六ヵ年計画における最後の目標のところはどれくらいの規模のものだというところの見当をまず第一番につけたいと実は思っておるのでございます。これを今大体いつごろということを、これは実際申し上げなくちゃならぬところですけれども、この点今いつだということはちょっと申しかねます。しかしこの点は私らもなるべく早くつけたいということを考えておりますが、これをいつだということはちょっと私今申し上げかねるのでございます。
  145. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 肝心なところになるとどうもお聞きできぬし、まあ今の質疑応答だったら、どうもめくらめっぽう何かとにかく兵隊をふやして、どうなろうとやって行こう、こういうようにみえて、ほんとうにこれではもう金のむだづかいというふうな気がして、私はこれは悪口を言うわけじゃないけれども、この速記を第三者が、だれが読んでみてもそういうふうにとれると思うので、それでは角度をかえて一つ経済力に対する限度、志願兵制度に対する限度は大体先ほど伺いましたが、今度は経済力を防衛費との限度を企画庁長官一つ、今の国民所得の何%くらいは防衛支出するか、それから何年間続いて何%くらいまでは支出をして行こう、その農商限度をあなたはどの辺に押えておられるか、向う五ヵ年間くらいの限度がわかっておったら一つ伺いたい。
  146. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま防衛庁長官が申しましたごとく、防衛の六ヵ年計画というものはまだ立っていないのです。従いまして、六年間に毎年どれだけくらいの支出をするかということははっきりきめかねるのであります。しかしながら、大体過去の実績からみますというと、国民所得に対して二%そこそこを使っておるわけであります。私どもはやはり経済六ヵ年計画を立てます上におきましては、防衛計画が立って、それとよく調整いたしますが、国民経済からみまして大体は今の二%ないし三%程度はエラスティックに、その程度において支出し得るというふうな経済六ヵ年計画を立てておるわけなんでございます。この国民所得に対し二%、あるいに国民所得に対し何%という数字を出すということは、これは私は間違いだと思っております。どうしてもやはり国力というものに相応して防衛計画というものは立てなければならぬ、しからば国力とは何であるか、こういうことになるわけでありますが、それは国の富でございます。国富でございます。国富ははなはだ遺憾ながら日本では昭和十年以来まだ調査がついていないわけでございますから、これを急速に経済企画庁としては調査するということになりまして、今度新たに予算をちょうだいしたようなわけなんであります。防衛をふやせという方面からいろいろな議論をされますというと、どうも国民所得の二%は少いじゃないか、インドですら四%使っておるじゃないか、こういう意見が相当あるのでございます。インドはよほど大きな日本よりも国富を持っております。ただ国民所得だけをもって割り出すということは私は非常に危険だと存じます。そういうふうな考えから、ただいまのところは今の二%ないし三%といっておりますが、これは正確でない。もっとよく国富を考えました上で、経済力からどれくらいにするかということを考慮してみたいと思うのであります。
  147. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 先ほどの文民と、それから武官と申しますか、旧軍人の人との対立ですか、高碕長官はそのときに国富あるいは国民所得、どちらでもいいですが、日本の経済力に対する防衛支出金、防衛予算の限度を経済力に対する支出の限度で押えるのか、それともつまり国際情勢が緊迫してきたら、ある程度までこれはその情勢に応じてまた支出もたくさんにするのか、これに変ってくると思うのですが、どちらを優先すべきだとあなたはお考えですか。これは経済力の限度を守るか、それとも国際情勢、日本を取りまくところの情勢の変化を重視して、場合によっては国民が相当飢餓に耐えてでもやらなければならぬというふうに優先すべきか、それとも経済力の限度を守るべきか、どういうふうにお考えですか。
  148. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 軍国主義はなやかなりし時代におきましては、これは国民の所得だとか、国の力というものは第二に置いて、仮想敵国というものを置いてやった非常に苦い経験をわれわれ持っておるのであります。従いまして、私どもは今後日本の防衛力というものは、国力と国民の所得と言いましょうか、国民の経済力、これを基礎に置いてやるべきものでありまして、ただそれに対して国際情勢の変化ということもある程度加味しなければならぬかと、こう存じております。
  149. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に軍需生産力と申しますか、防御増強に伴う生産力について、今、杉原長官からお伺いしたところによりますと、民需に重点を置くと、こういうふうなお話でしたが、経済閣僚としての高碕長官も、これはあくまでもそういうものに民需として育てて行くと、こういう構想のもとに今指導しておられるか、その点一つ伺いたい。
  150. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この防衛に使いまする武器と申しますか、兵器だとかいうふうなものは、これは兵器産業であるとか、これは輸出産業であるとかという区別をつけてやるということは、はなはだ私は当を得てないと存じます。従いまして、できるだけこれに普通の産業の中にこの防衛産業の分を織り込んで行きたい。輸出産業の中にも一部分を織り込む、そういう意味から申しまして、どうしてもこれは万やむを得ない場合を除くほか、どうしてもこれは民営ということに主眼を置くべきものと存じます。
  151. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますと、民営を主眼に置かれて、過去において苦い経験をなめたような軍機の保健の名目のもとに、これはある程度武器でありますから、全然あけっぱなしで、まさか機関銃や猟銃という工合にもいかぬでしょう。その点の調整をどうされるかというような、いわゆるあなたのように輸出産業と何か総合的に経営させるようにするというのですが、これは管理を全然そんなことをせずに、もうほんとうにあけっぱなしで、特軍をこしらえている工場も、小銃をこしらえている工場も自由にに参観もさせれば、そこの職工が交代するのも自由にさせると、こういうふうにして、ほんとうにオープンでやろうと、こういうふうにお考えになりますか、それともある程度これは将来変ってくると考えなければならぬのですか、軍機保護といいますと、ちょっと大げさですが、秘密保護という……。
  152. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これはできるだけオープンにやりたいという考えでございますが、そういったふうな問題につきましては、この国防会議というものがきまりますれば、それによって定められるべきものだと存じますですが、私自身の考えといたしましては、いろいろな秘密があるというところにいろいろなむずかしい、いやな条件が出て参ると思いまするから、できるだけオープンにやりたいと、こういう所存でございます。
  153. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に、今度の改正法によりますと、自衛隊の給与の中に、落下傘部隊を設けられる模様でありまして、落下傘の手当なんかが今度の改正法の中に出ておるのですが、そういうようなものをこしらえる場合でも、落下傘部隊に要する機械器具ですか、そんなようなものは、これは国内の生産によって、しかも今お答えになったようなオープンな所でもって生産をさせる、こういうお見込ですか、この点を一つ……。
  154. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この商業上からのいわゆる秘密というものは各人持っているでしょうから、それまでオープンにさせるということは無理でしょう。自分が発明し、自分が苦心したものについては、これは自分で守って行くのは当然だと思います。
  155. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それはいい、それはどこでもあり得るのです。そうすると、あくまでも将来これは軍工場であるから、軍機の秘密とか、自衛隊の秘密のためというようなことで、立ち入り禁止だとか、縦覧謝絶というようなもの、自衛隊のものをこしらえておるから縦覧謝絶ということはあり得ない、こういうふうに考えてよろしうございますか、それを経済審議庁としてはさせないと……。
  156. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) それはなるべく避けたい。私自身の考えといたしましてはさせたくない、こう存じておりますけれども、その問題はさっき申しました通り、国防会議においてあるいはどういうふうになりますか、その点につきましては、私は今将来のことを申し上げかねる次第であります。
  157. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは大体民需によって補給をされるようなお話でありまするので、次に、会計検査院で非常な防衛庁の予算の使い方について批難事項が出ております。これについてどのくらい、過去におきましても軍隊というところはたくさんの予算を取って、そうしてむだづかいをしておったのだが、これに対して国民が容像する、みずから税金を負担しながら、何ら批判することもほとんど許されなかったのでありますが、その惰性がいまだに残っているせいか、批難事項が非常に多いように思うわけでありますが、この点については先ほども長官から極力戒めるようにいたしたい、こういうお話でございまするけれども、こういう批難事項を受けるようなむだづかいをしたり、事故を起した係官、あるはまた先ほど申しましたような反乱行為、介入、容嫁してはならない政治的行為を行なった者に対する処罰、これは一般の法律、刑法によって、その他の法律によって処罰をするのか、それともこれば特殊な処罰規定というようなものを考えることがあるのかどうか、これを一つ今後の統制保持の立場から伺っておきたいと思いますが、これはいろいろな政治行為について、特に私は伺いたいのは、内乱等の場合における一般法律によってこれを処分するのか、これらについてはどう考えておられるか、伺いたいと思います。
  158. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 内乱、反乱等につきましては、一般的にはこういう場合がございますが、防衛出動を命ぜられた場合には、上官の命令に反抗するというか、その場合にはこれが孤立的にやった場合、または集団的にやった場合でも自衛隊法の中に特別の処罰規定を設けてあります。それからいわゆる治安出動をしました場合には、これは集団的に命令に反抗するというような場合、これまた特別の自衛隊法の中に規定がございます。そういったこと以外の点は一般刑法でやるわけでございます。自衛隊法の中に特別の刑法的の規定もなお若干ございますが、そういう点もし必要がございますれば政府委員から説明いたさせます。
  159. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 まあいいです。だから原則としては一般規定ですから、防衛出動の場合、あるいは反乱というようなことは想定しないことにしましても、そういうような処罰をしなければならぬときに、門衛隊法によって処罰するのでありますが、これについては昔のような軍法会議というような処罰でなしに、首を切るとか、そのくらいのことでしょう。自衛隊でまさか監獄に入れるということはないと思っているのですが、どうですか。
  160. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 自衛隊法の特別の規定が特別の刑法をなすわけでございますから、それは裁判等は一般の司法裁判所で裁判されるわけではあります。単なる行政処分的なものではございません。
  161. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、裁判はどういう事故を起しても、たとえば反乱行為とか、逃亡というような事故を起しましても、これはまあ処罰は一般刑法に基いて処罰になるのですか、刑法でたとえば、ピストルで殺人事件をやったというようなことがあっても、一般の殺人事件で裁判によって処分される、裁判され、弁護士もつけてやる、こういうふうなことになるのですか、この点はどうなんですか。
  162. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 通常裁判所で弁護士をつけて普通一般と同じようにやるのでありまして、そうした刑罰等についての適用の規定は、今の自衛隊法の特別規定によるわけでございます。
  163. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これもまあ過去のことを私は知っているから、僕はそういうことはいいか悪いかは別としましても、特別な、たとえば公金横領だとか、そういうような事件とか、ちょっとして窃盗事件等はこれは一般の刑法でいいが、反乱等のような特別の集団、僕が反乱を苦にするのは特別な、これは先ほどからの質疑応答でおわかりだと思うのですが、そんなのを一般の刑法で弁護士をつけて最高裁判所まで行くなんていうのだったら一体どうなります。そういうことで統制がとれますか、あれは過去においては軍隊が統制がとれたのも、天皇の名前ということも一つですが、やっぱり軍法会議があって、それでやったのです。これは民主主義の世の中だからいいとは思いません。いいとは思いませんが、武器をもって反乱をする、月給をもらって養っておるといっては何んですが、国家のために雇われておると言いますか、奉仕している者が、その武器を持って反乱した、それが最高裁判所まで行って、弁護士をつけて裁判するというようなことでよろしいのでありますか、将来そんなことで統制かとれるでしょうか。
  164. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 立法論としてはいろいろ御意見もあることかと思ますが、現在の憲法では、御承知通り特別裁判所というものが設置できないことになっておりますから、いわゆる特別裁判所の中にはおそらく軍法会議というものも入りましょう、もっともこれはこまかくなるかもしれませんが、そこが最終的に審判権を持つというような意味の裁判所、現行憲法のもとで特別の裁判所は、これは現行憲法で許されないのではないかと解釈しております。
  165. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 特に私の申し上げたいのは、ほかの事件ですね、それを軍法会議的なものでやれというのではないが、少くとも反乱事件について内閣総理大臣の命令に違反して行動を行なった者も、これは最高裁判所まで行って、弁護士をつけてやるような、三年か、五年かかるのだということであったら、これはとても大へんだと思う。少くともこの問題について限定しないで、一般の刑法事件で窃盗やその他の小さい事件をわれわれは言うのではないので、少くとも反乱事件について、武器を持った者が反乱を起すのですから、普通のものと遠います。普通の内乱罪と違います。よほど厳重に考えなければならぬと思うのですが、これらについて長官はどういうふうに考えておられるか、もう一ぺん……。
  166. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは菊川委員のおっしゃいますことは、そういういわゆる反乱についての処罰規定の問題たけではなくして、それを裁判する機関の問題になると思います。
  167. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 憲法の問題、処罰規定については少くとも……。
  168. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) あとの問題でしたら、憲法の問題になると思います。
  169. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、今のところはどうもしようがないということと、それから法律によってやれることは一つあるんだ、少くとも武器を貸与されている者が、その武器をもって国民に危害を加えたという者については、特別な処分がされなければならぬと思うのですが、今の法律でどうなっておるか、その点を一つ、事務当局でもけっこうですけれども、伺っておきたい。
  170. 加藤陽一

    政府委員(加藤陽一君) 自衛隊の罰則のことでございます。これはやはり一般の刑法が適用になることはもちろん、国家公務員法中の罰則に関する規定も大体準じて作っておりますほかに、特別の罰則を置いておるのであります。その一つが今お話しのありましたように武器の使用であります。武器を使用いたしまして、殺人なり傷害をすれば、それ自身は刑法上の殺人罪、傷害罪になります。なりませんでも、武器を使用し、不当に使用するということだけでも自衛隊法では一年以下の懲役というふりにしておるのであります。それから反命のことでございますが、これは刑法の内乱罪の規定があります。これは御承知通りであります。内乱罪に至りませんでも、集団的な反抗をした場合、先ほど大臣が御説明になりましたが、治安出動なり、防御出勤の命令が下りました場合においては、単独でも反抗したような場合に、不服従までもこれは罰することにしております。それからさらに、正当の権限なく、あるいは上司の指示に違反いたしまして部隊々指揮したということでも、すでに犯罪というふうにしておる。それからまた臓物離脱でございます。出動命令がかかりました場合、あるいは出動待機の命令がかかりました場合において職務を離脱いたしました者も、その離脱をしたということだけで刑法上の刑事罰をかけるというふうに特別の規定を設けておるのでございます。
  171. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それはわかりましたが、それでもやはり今申し上げましたように、最高裁判所まで行って弁護士をつけてゆっくりとやれる、こういうことになっているのですか、それは間違いないですか、そういう手続だけは同じですか、今の憲法下において……。
  172. 加藤陽一

    政府委員(加藤陽一君) 刑事訴訟法て特別の規定を設けておりません。これは一般の刑事訴訟法の手続きによるのでございます。最高裁判所の点は、先ほど大臣のお話し申し上げました通り憲法上最高裁判所が終審であると明記しております。これは明瞭な事実であります。
  173. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 以上お尋ねしました二、三の角度から見ましても、これはとてもではないが、使いようによってはどんなこともできる、またこれの育てようによってはえらい暴れ者ができる危険があるかもしれないし、また使いようによっては非常な危険な場合もあるし、場合によりましては何ともわけのわからぬものが出てしまうという、非常に合の子であって困ったものだと、こういうふうに思うのです。それに対して、このような計画も六ヵ年計画であって先のことはさっぱりわからぬ。そして出たとこばったりに一つ改正して数をふやして行こうということでありますが、杉原長官も先ほど、いつになったら大体の構想を発表できるというようなことについては明言は避けられましたけれども、少くとも事務当局におきましては、長官が命令をされまして、そしてこういう計画を立てよというので、準備だけは少くとも進められておるのか、その準備も、命令も、命令と言いますか、指示もまだされておらないのか、この点一つ……。
  174. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは研究はいたしております。研究は私が就任いたします前からもいたしております。もちろん何もないというのではなく、研究はいたしておるのでございます。ただその研究の進み方の段階が、まだ政府責任をもって、国会でかくかくでございますと言って申し上げ得るまでの成業を得るに至っていない、こういうことが真相でございます。
  175. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に、最後に伺っておきたいのは会計検査院の批難事項についてでありまするけれども、あのような批難事項が非常に防衛庁は多かったと思うのですが、これにつきましては、特別に今度の防衛庁の人員をふやす中にはあまり監察制度というものは、まあここにはないようでありまするけれども、これはどうしてその問題を防ごうとされておられるのか。先ほどは非常に申しわけなかった、これは一つ規律を厳正にして、事故を防ぐようにしたい、こういうお話でしたけれども、やはり監察制度と言いますか、相互牽制の方法が必要だと思うのですが、これらについては、防衛庁長官が一々回って行って昔の検閲式というようなこともやらないと思うが、これはどういうようなことで対処しておるか、伺いたいと思います。
  176. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 今まで会計検査院から二十八年度の分につきまして、ただいまこの国会に御報告に相なっております分につきましても、不当事件として批難されておる事項が生じておるということはまことに申しわけない次第でございます。それらをずっと綜合して見ますというと、そのよって生ずる原因として三つぐらいの部類に分けられるように思います。一つは、いわゆる不要不急のものを生じた、これは原因を見ますというと、装備品調進計画の立案の基本になります編成装備表というのがございます。この編成装備表の検討が不十分であった。そして部隊が実際使用しておる実情というものと、実体把握というものの検討がよくない。その結果実情に合わない結果を生じて、いわゆる不要不急のものを生じておるということが指摘されておるのでございます。これらにつきましては、実はありのままを申し上げますと、編成装備表というのは、これは予備隊時代からのことでございますが、ところがアメリカ側の何によっておる部分が多かったものですから、編成装備表などもアメリカ側を参考にしてやっておった、もちろんそのままということじゃありませんけれども……。そういうわけでございますが、それの根本的の検討が必要だということで、実は一昨年の秋から部内で特別の委員会を設けまして、そうしてずっと検討をしてきておりまして、検討済みのものはこれを実施に移すということで、すでに五十項目ぐらいのものについては実施に移してやっております。そういうことと、それからこの事故の状況の実態把握、それから消耗による、もちろん使用による消耗度の測定とか、そういった点の実情把握ということに特に努めまして、今言いましたような不要不急のもの々的確にする、そういうことに特に注急いたしております。それから第二は、原価計算とか、使用規格等についての検討が十分じゃなかったというようなことを一つの原因としてわれわれ考えております。これらにつきましては、ちょうど昨年の七月から、調達の機構を調達実施本部というものを一元化いたしまして、そこの構成などを、今、菊川委員のおっしゃいました相互牽制の原則に基いての機構を作りまして、そうしてやっておる次第でございます。そうしてさらに、なかなかこの原価計算等の業務というのは、非常に技術的の訓練の度合いというものを高める必要がございますので、そういう点につきましては実務学校を設けまして、そこにそういうコースを設けまして、そこで関係職員の再教育というものに非常に力を入れまして、そうしてそういうものを能力を高めるいうようなことに努めております。それから第三の部類といたしましては、物品の検収などが十分でない、しかもそれが検収という科学的の処置という点にまだ欠けている点があるというふうなことを指摘されております。そういう点の検査基準を百検討する、また検収等につきましても、調達実施本部の検収設備の方を科学的にするということに改めて、これを検討するということなども実施しております。それから内部監査につきましては、内局の経理局に監査課というものがありまして、これは全部の監査の取りまとめをやる、それから各幕僚監部には監査班というものがある、それから陸上幕僚監部には、そのほか特に陸上幕僚監部の何か各方面隊、管区隊というような、一番これは大きいわけでございますが、そこに分遣隊を持ち、そういった会計監査隊というものを設けて内部監査にあてまして常時監査をする。それから調達実施本部の中には監査室というものを設けまして、ここには特に優秀な職員を配置いたしまして内部監査に当っておる、こういう状況でございます。そうして本年は特に予算もお願いいたしまして、原価計算とか、使用等の関係から非常に結果が……、決してこの関係職員が必ずしも悪意があってとか、故意にというようなことじゃなくして、結果において不当なことが実はあるのでありますから、原価計算などの中で、従来調達実施本部を通じて原価計算をやっております中で、特に船舶関係、こういう部分だけは、これを特別に本年度から独立せしめましてやりたい、こう考えて実は予算などもお願いして御承認を得ておるわけなんであります。それから仕様課というものをまた新しく作りまして、これは従来各幕僚監部から出ます仕様書を原価割算の方にすぐ回しておったのを、一応調達実施本部の仕様課でこれを決定守る、こういうようなふうにいたしたいと、こう考えて、全般につきましていやしくも国費を適正に御心配のないように極力努めて行きたいと、こう考えております。
  177. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今の長官の御説明は、きわめて事務的にはなるほどそうかもしれませんが、私は第一番には、先ほどから何回もお尋ねするように、計画がなくて、一体この自衛隊というものはどこの港へ行き着く先やらわからぬという、そういう計画ができていないということが一つ。それにもかかわらず、能力不相応な予算をとった、消化し切れないような予算までとった、今の時代の防衛力漸増という美名のもとに、アメリカ側の圧力と申しますか、意向もあって、相当予算を大蔵省で査定を得る場合には楽な査定を得てよけい金はもらう。そこへ向けて、防衛庁も新設官庁でありまするので、勢い寄り合い所帯である。もう陸軍、海軍、それから各官庁寄ってきて、それはてんやわんやのハチの巣を突いたようで統制がとれていない、こういうところに会計検査院から批難をされる大きな私は事故を起す原因があったと、こう思う、現に商人の仲間では、まず自衛隊一つ何とか入り込む、金もうけの今の一番いいところは自衛隊だということは、アメリカさんの方から予算は相当ふんだんに割り当ててもらってあるために、使い切れぬほど金を持っている、だから少々のことはまずこの連中を買収すると申しますか、ちょっと供応したり、ちょっと待遇することによっては高い物でも悪い物でも売りつけられるというので、今では悪徳商人のねらいの一番目標になっているのは、これは率直に申し上げておきますけれども、防衛庁ですよ。防衛庁へ入るというので、これはもうわれわれのところへもそういうふうに防衛庁へ何とか入れぬだろうかというようなことを言ってくるのですが、防衛庁だけはごめんだと言ってわしらは断わっているのですが、そういうふうなあれにあるということを、この際でありますから、率直に申し上げておきますが、この点を一つ考え直さなければならぬと思うのです。そこで今の物品購入、あるいは兵器、弾薬の注文につきましては、原則は公開競争入札か、それとも指名競争入札か、あるいは指名契約か、このいずれを原則として今後とって行かれるつもりなのか、この点から一つ伺っておきたい。
  178. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは調達品目によりけりだろうと思うのです。一般的にそれは競争入札という場合は非常に、もうむしろそれが原則と言っていいかもしれませんが、しかしこれは物によりますから、たとえば船舶建造というような場合はそうは参りませんし、これは指名随契などにします場合は、特に特例の諮問委員会な作って、そうしてやることにいたしております。もしさらに私の説明を敷衍するとこんは政府委員をして説明させます。
  179. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それじゃいいです。最後に、これで打ち切ります。資料を一つ要求したいと思います。現在、こんな大きな事故を起したのですから言うておくのだが、指名競争入札によって指名をされて物品の納入をされている会社、それから個人の商店、これを一つこの審議の際にぜひとも資料としてお出し願いたい。一覧表を、たとえば特車修繕小松製作所、こういう工合に……。それから二十九年の発注数量。これを一つ資料としてお出し願いたいと思うが、出せますか。増原次長にお伺いしておく。出せるだろう思うのだが。
  180. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 相当膨大な資料を実は用意してあるのでございますが、それはしかし一件百万円以上というふうなことになっております。すべての品目でなくて、重用品というのに一応限っていただいて、さらにこういうものを出せと言われれば出すというようなことでお差しつかえがなければ、早急にお出しします。
  181. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 一件について一千万円以上くらいでけっこうです。百万円そこらのこまかいものは要りませんから、一千万円以上の会社と金額、それからその品目、これをそんな小さいものまではけっこうですから、それを一つお出し願いたい、資料として……。私はこれで質問を打ち切ります。
  182. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 海原次長に申し上げますが、大体明日でほぼ質疑も尽きると思いますので、質疑の途中で見られるように、明日のうちに適当な機会にお出し願いたいと思います。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  183. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
  184. 松浦清一

    ○松浦清一君 杉原、高碕両長官及び各委員の方々もお疲れでしょうから、三十分か、四十分くらいで今日の質問はやめますから、しばらくおつき合いを願いたいと思います。私は総理に対する総括質問が、予定をしておったより十五分時間が残っておりますので、本来言うと、総理のおられる所で御質問申し上げるべき筋合いでおりますが、今日は残っておる分だけを総括的な問題についてお伺いをして、こまかいことをお尋ねし出すと時間がかかりますから、二、三点だけお伺いしたい。  一昨日防衛三法の審議が本院で始まりましてから、何方語という質疑応答が行われて参りましたけれども、何一つとして明確になったところはないと思うのです。これは一昨日も私申し上げたように、国会の審議というものが、何かを尋ねて何かを答えて、ぎりぎりになれば数で押し切るというような、そういう形で物事を審議せらるべきではないので、わかり得ることはやはり明確な結論を出して、そうして落ちつくべきところへ落ちつけて行くというのが国会に与えられた任務だと、こう心得ておるのです。そこで今まで尋ねて来たところで、この辺のところならお答えになられるであろうと思う点をお伺い申したい。  まず今までの審議の跡をたどってみまするというと、昭和二十五年にマッカーサー総司令官から、当時の吉田総理に対する国内治安確保の措置に関する書簡により、国内の治安維持をするための必要として警察予備隊を作って、そのときの警察予備隊の性格というものは、当時説明をされた通り、また防衛庁からいただいておる「防衛庁の現況」というパンフレットにも、冒頭の沿革の一節に書いてありますけれども、一番最初は、国内治安の維持をするために、当時の警察力では不足であるから、七万五千の警察予備隊を作ろうということが趣旨であった。それから保安隊に変り、自衛隊に変ってくる過程において、十一万にふえ、十三万にふえ、十六万にふえて、ことしは十九万にふえようとしておる。その過程において、最初にできたときと性格が変っておるのですね。最近は、自衛隊に変って来た当時から、外敵の侵入に対して自主独立の防衛態勢を確立するという性格に自衛隊が変って来ておるわけです。そこで今までの質疑の過程において、この自衛隊のつきつめた目標というものは一体何だ、そういうことでしはしば各委員から質問されたのに対して、やはり外敵の侵入に対して国を守るんだ、国を防衛する力を経済力に応じて養って行くんだと答弁されている。それなら外敵の侵入を予想される外敵とは何かという質問に対しては、お答えがなかったわけです。今までお答えがなかったのです。御承知のように、日本アメリカとの間には日米安全保障条約も結ばれ、ソ連と中共との間には中ソ友好同盟条約が結ばれておることは、私が説教する必要がないほど御承知通りである。アメリカが現在日本に対して基地の要求、あるいは飛行場の拡張などを要求してくるということは、これはある意味における日本に対する一つの侵略であるかもしれぬけれども戦争というそういう言葉の上から解釈をし、あるいは外敵というような言葉の上から解釈して、積極的なこれは侵略とは考えられないものだと常識的に判断をして……。そうすると、やはり言い過ぎかもしれませんけれども日本自衛力漸増して行って、最終目標とするところはやはり対立した安全保障条約によって結ばれておる中ソを目標として、この自衛力漸増して行くのではないかと想定されるわけです。私は別に演説をするつもりはありませんけれども、昨年中共に参りました際に、現在の中共は御承知のように、一昨年から経済五カ年計画を立てて、そして総力をあげてその完成に直進しておることは御承知通りであります。中国のとこを歩いても、経済五カ年計画完遂のために協力しようということと、それから台湾を解放しなければならぬということが中国人民の最高の目標になっておる。例をあげますというと、昨年十月一日の国慶節にわれわれ招かれて、北京の天安門の観客席にあってこの状態を見ておったのですが、六十万と称される群衆が列をなして天安門の前を行進する。そのうしろに行進に参加できないような低学年の小学生が、五、六万と想定される子供がそこにおって、そうして天安門の上から劉少奇か、だれであったか、とにかく中華人民共和団万歳、中国共産党万歳、毛沢東首席万歳、最後に台湾解放万歳と、こう呼号するというと、行進しておる大衆と、それから小さな小学校の子供までがそれと合わせて台湾解放万歳をやるわけなんです。小学校の子供に至るまで台湾を解放しなければならぬということは、中国人民に与えられた歴史的使命であるという、そういう気持に透徹しておるということを見て来たわけです。いいか想いかということは別の議論として、とにかく中国とソ連とが中ソ友好同盟条約に結ばれておって、それほど中国が台湾解放に主目的をおいて経済五カ年計画完遂のために努力が結集されているとすれば、それまでに何かの手が打たれなければ、武力をもってでも解放に出て行くのじゃないかということは想像できるわけです。これはその人の主観によって、そんなことはないといえばそれまでですけれども、そんなこともやはり現在の政府考えておるのじゃないかということを私は想像して、もしかりにそういうことがあれば、ここに問題になるのが日本アメリカ合衆国との間の相五防衛協定の第十条の一項、「両政府は、いずれか一方の政府の要請があったときは、この協定の適用又はこの協定に従って行われる波動若しくは措置に関するいかなる事項についても協議するものとする。」、こうあるのです。これは一体どういうことを指しているのだといって外務大臣に尋ねたところが、もし外国から日本の海外派兵に対しての要請があっても、それに応じなければならぬという義務規定ではない。もしかりにそういうことがあれば、双方両国においてこれは協議をするのだ、こういう説明であったわけなんです。きょうの鳩山総理の海外派兵云々に対する菊川君であったかの質問に対して、絶対に海外派兵を命ずることはないと、こう言い切った。そこで私はこれは外務大臣か、総理に聞くべきはずのことですが、先ほど申し上げましたように、総括質問の残りをやっているの、ですから、あなたからお答え願いたいのですが、もしそういうような、先ほど申し上げたようなことがかりに中国が台湾解放のために武力を行使するというような事態が起って、そうなれば台湾とアメリカとの防衛協定に基いて、アメリカの軍隊はこれに妨害を加える措置に出て来るということは、これはもう必然である。そのときに日本の軍隊も一つどっかへ出で行って、手伝え、こういうような話が持ちかけられて来たときに、このいわゆる協議をするという第十条に該当するわけなんです。そういうことがあっても、先ほどの鳩山総理の言明によれば断じて海外派兵応じないというのですから、この協定があるけれども応じないという、その腹がはっきりきまっておるのかどうか、これをまず第一にお伺いしたい。
  185. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) それははっきりしております。総理が言われた通りでございます。そうしてまた現在アメリカとの条約上、そういう場合に応じなければならぬ義務というのは、どこにもそれば規定もございませんし、それはもう総理の言われた通りはっきりしております。
  186. 松浦清一

    ○松浦清一君 「いずれか一方の政府の要請があったときは、この協定の適用又はこの協定に従って行われる活動若しくは措置に関するいかなる事項についても協議するものとする。」、その協議をしかけられても拒絶をする意思というものははっきりしておるわけですな。そう了解していいですか。
  187. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 松浦委員承知通り、このいわゆるMSA協定というのは、装備品とか、物資その他の援助をする、援助を受けるその関係を規定をするのが主眼でございますから、表題を見ますと、相互防衛援助ということになって、いかにもそういったそれ以外の非常に広い範囲にわたっておるようでございますが、これの主眼は、これは今のいわゆるMSA援助を主体にした規定であります。十条というのは、そういう場合に適用になるとは私は解しておりません、もう初めからそういう趣旨でこれはできておるものじゃないのです。
  188. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで一つだけ明確になりました。鳩山総理の言明といい、杉原防衛庁長官の言明といい、たとえ将来いかなる事態が起って、アメリカもしくはその他の国から海外派兵の強い要請を受けたときでも、日本政府はこれに応じないという確固とした方針がきまっておる、こう理解してよろしいですね。
  189. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) さようでございます。
  190. 松浦清一

    ○松浦清一君 それからもう一点は、先ほど申し上げたように、七万五千から十九万にまで自衛隊が増強されて来たわけです。そこで防衛六ヵ年計画があるとか、ないとかいう議論も衆議院からこちらにまで持ち越されて、この三日間いろいろ質疑応答をして来たけれども、そういうものはないとおっしゃるのか、ないはずはないと思いますけれども、そう言われれば別にこっちは証拠を握っておるわけではありませんから、いや、あるのだろうということを繰り返してみたところで、これはもうしようがないのです。ないことにしておきましょう。それならば、今年三万一千ふやして、来年はどれぐらいふやそうと考えておられるか。これは一昨日私伺って、来年のことははっきりわかったようなことを御答弁をなさらなかったので、そうかなあと思って今日まで考えていたのですが、そんなばかげたはずはないと思うのです。もうこの国会済めば、すぐに三十一年度の予算編成にかからなければならぬ。ですから来年は自衛隊を幾人増強するということを考えて、それに合うような予算措置を講ずるのか、あるいは経済力に対応しての自衛隊漸増であるということを申しておりますから、まず予算の全体の規模を考えてみて、その中から何ぼ防衛費に出せるかということをはじき出してから、何人ふやすということを、どっちが先になるか知りませんが、とにかくこの国会が済めば予算編成に入って行くわけです。いまだに来年度のいわゆる漸増計画が成り立っていないということは、これはもう断じてないと思う。これはどうですか。
  191. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これはこの間も松浦委員に私お答え申し上げました通りでご、ざいまして、来年度若干の増強は必要だと考えておりますけれども、具体的にどうというところまでは、まだ私らの方は内部的にも、これをまだきめるところまで至っていない次第でございます。国会が終りましたら、さっそくこの方に手をつけなくちゃならぬ、事実そうであります。
  192. 松浦清一

    ○松浦清一君 あなたはどれくらい考えておられるのですか、それがいいかどうかは別にして……。
  193. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 内部的の検討をまだ十分済ましておらぬのが実情でございます。
  194. 松浦清一

    ○松浦清一君 来年度もわからぬということですから、そうすると、おわかりであろうということを伺いますが、たとえば日本自衛隊漸増して行ってそれが十八万になるのか、十九万になるのか、この間ちょっと総理が十八万とか、十九万という目標を示したようですが、全体の最終目標に至って、一体日本を取り巻いているアジアの諸国との軍備の均衡と言いますか、関係と言いますか、どういうことになりますか、もし杉原長官数を御記憶なければ、増原さんでもけっこうですから、ビルマ、フィリピン、インド、インドネシア、タイ、それから台湾、北鮮、南鮮、ソ連という方面の軍備の実勢力をちょっとお教えを願いたいと思います。
  195. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 現在私どもの方にはまだ特別の資料を得るというふうな特別の組織機構がございませんので、現在私どもの持っておりますのは、各種の刊行物等に出ておりまするものを取りまとめたというにすぎないのでございます。ソ連関係はソビエト年鑑によっておりますが、極東方面の陸軍は師団の数が約三十五、飛行師団が約二十三、飛行機が約三千五百、このほかまあ特別の砲兵師団というようなものが約九というふうな数字がございます。それからソ連の太平洋艦隊というのは、巡洋艦が二、駆逐艦が二十、潜水艦約百、その他補助艦艇は相当数、海軍航空機約千百、韓国は陸軍が五十三年で約四十五万、それから海の方はフリーゲート四、哨戒艇十三、掃海艇八、魚雷艇四、砲艦三、上陸用舟艇三、というふうなことになっております。航空機は、百五十ないし二百、北鮮の方は七ないし八軍団で、二十五万ないし三十万、空軍は約五百八十機、兵員約二万五千、中共は陸軍約五百万、ほかに中国人民義勇軍というのがあります。海軍は五個艦隊約五万三千人であります。巡洋艦が一、フリゲートが十、砲艦が五、駆潜艇が一、水雷艇が四十五、上陸用舟艇四十二、ほか相当数、空軍は三十八万人、約二千五百機、これは五十二年度というふうなことになっております。国府は、総兵力約四十一万、うち陸軍が、約二十八万、海軍は駆逐艦六、上陸用舟艇三その他約八十、空軍は戦闘機約百、その他輸送機など約百八十、アメリカが極東方面に持っておりまするのは、韓国に歩兵二個師、海兵一個師、日本に二個師半、ホノルルに一個師、海軍の方は、太平洋艦隊として空母約八、護衛空母と称するものが約八、これは別々であります。巡洋艦十一、駆琢艦及びフリゲート百五十一、潜水艦約五十五、空軍約二千五百、これは日本、沖繩、朝鮮、台湾等を含んでであります。フィリピンは、陸は約五万四千、ほかに予備将校訓練団約八千、海の方は、巡視艇三、掃海艇二、駆逐艦十六、上陸用舟艇等九、空軍約五十、インドシナは、陸が約十八万六千、ヴェトナムが、陸約十五万、ヴェトミン、これは此方軍と言いまするか、そういうふうなものと正規とを合わせて約四十万、そういうふうなことであります。
  196. 松浦清一

    ○松浦清一君 御迷惑ですが、今おっしゃったのは、速記が出るまでだいぶ時間がかかるので、あとでよろしうございますから、その国の予算と、今の兵力と、予算の中に占める軍備のパーセンナージを表にして出していただけませんか。
  197. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 調査をしてみますが、予算はちょっとわかりかねると思います。
  198. 松浦清一

    ○松浦清一君 わかる範囲でいいです。  それから高崎長官にちょっとお伺いをいたしますが、これも一昨日の総理に対する質問の残りでありまして、経済六ヵ年計画と防衛六ヵ年計画との関係についての質問を私はいたしましたが、経済六カ年計画を立てるのに防衛関係の計画がその中に含まれていないはずはない、こういうことを私も聞きましたし、ずいぶん繰り返してこれは質問をされて来たことです。ところが今まで杉原長官も高碕長官も入っていないということを主張してこられたのです。ところが、私はこれはあげ足を拾うわけではないのですが、その辺のところをはっきりと知りたいのでお尋ねをするわけですが、衆議院の五月二十五日の予算委員会で、社会党左派の福田昌子委員が、やはりこの問題に関連をして質問をいたしております。その質問の要旨は、防衛六ヵ年計画が必然的に考えられなければ経済六ヵ年計画はでき上らないはずだと思うと、こういう趣旨の質問に対して、高碕長官が「防衛にどれくらいの負担ができるかという金額をきめるのが経済六ヵ年計画であります。」と、冒頭に明確にそれを言って、「経済力に応じてこれをふやします。防衛計画というのはこれと全く違っておりまして、その数字にあるいは金額々合わさなければならぬかもしれませんが、飛行機を幾らにするとか、船を幾ら作るとか、人間を幾らにするか、こういうようなことは私どもにはわかりません、金額だけは私どもにわかっております。」と、こう答えておられるのです。一昨日防衛庁長官にその点を伺いましたところが、その辺のことについては私は知りませんので高碕長官に聞いてくれ、こういうことを言っておられる、これは一体どういうことでございましょうか、
  199. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先ほどちょっとお答え申し上げましたごとく、防衛六ヵ年計画というものは、まだその数字がはっきりきまっていないわけなんでございますが、経済六ヵ年計画を立てます上におきましては、経済力はどれくらいの負担ができるか、それは日本の全体の国力に応じてやるべきものでありまして、その国力に応じては、六ヵ年におきましては大体これくらいのものは防衛力に振り向けられるという一つの目安はつけておるわけなんでございます。それば先ほど御説明申し上げました通り、過去の実績によりますというと、国民の所得に対する二%ないし三%程度は防衛力に振り向けられる。これだけの目安をつけまして六カ年計画を立てたような次第でございます。
  200. 松浦清一

    ○松浦清一君 国民総所得の何%ですか。
  201. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 二%、今までの過去三ヵ年間は二・一%から二・二%くらいになっておりますが、大体私どもはこれは二%ないし三%、国民所得がふえて参りますというと、これは幾らか増加してくる、こういうのが原則でございますが、先ほど申し上げましたごとく、ただ国民所得だけでやるというのは、まだこれはほんとうでないと私は思っております。これには国富等も加味してやるべきだ、そういうわけでありますが、経済六ヵ年計画におきましては、差し当りの問題としてそういう目安をつけておりますが、さらにこれば十分検討いたす必要があると存じます。同時に実際の数字におきましては、長期の防御計画が相立ちますれば、それと相調整して行きたい、こういうことでございます。
  202. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、あなたは来年の国民総所得はどれくらいとお考えになっておられますか、六兆三億とか、何とかいうことも言っておられますけれども……。
  203. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 大体三十五年度には……。
  204. 松浦清一

    ○松浦清一君 三十五年度じゃありません、来年です。経済六ヵ年計画を立てるに当って、昭和三十一年度の国民の総所得は幾らと算定しておられますか。
  205. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 三十年度が六兆六千二百二十億、それから三十一年度は六兆六千百四十億、こういうふうになっております。
  206. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、ことしより三千億円ほど国民の総所得がふえるという算定に基いてこの計画は立てられておるわけでございますか。
  207. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま申し上げましたごとく、大体の目安はそこに持っておりますが、しかし防衛費として幾らかということはまだ織り込んでおりません。その目安はついております。
  208. 松浦清一

    ○松浦清一君 私はまだそのことをこれから伺うのであって、今尋ねておりません。(笑声)これから尋ねようと思っておる。ことしよりも三千億円来年の国民の総所得がふえるから、日本の経済力に応じて防衛力を漸増して行くという方針ですから、二%ないし三%を防衛費に充てられるというあなたの考えからいけば、ことしよりも来年は防御関係費をふやしてもよろしいという計画ですか。
  209. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま申しましたごとく、国民の所得だけによってこの計算を立てるということは私は少し無理があると存じます。どうしてもやはり国富というものをこれを加味して行きたいと、こう存じておりますから、経済六ヵ年計画などにおきましては大体の目安はつけておりますけれども、これは必ずしも完璧なものでないと、こう存ずるわけであります。これは逐次国富及び国民所得というもの等を勘考いたしまして防衛力というものは勘考いたすべきものだと存じます。
  210. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、企画庁の立場から、あなたのお考えで来年度は防衛関係費をふやす能力が日本の経済力の中に、あるいは財政力の中にもるとお考えですか、ないとお考えですか。
  211. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 国民の経済力というものは一年ずつ現在においては増加しておりますから、増加の率においてこれは負担し得ることと存じます。
  212. 松浦清一

    ○松浦清一君 ことしよりも来年度は防御費にたくさん使える、使う能力を日本の経済力は持っておると、こう御判断でございますか。
  213. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 本年よりも来年度におきましては国民の経済力はふえて参りますということになりますれば、これは当然ふえ得ると存じます。
  214. 松浦清一

    ○松浦清一君 高碕企画庁長官が、日本の経済力増加の判断によって来年度は防衛関係費用をふやしてもいいという、大へん杉原長官の喜びそうなお考えを持っておるわけですが、これに対応して、それにふさわしい防衛力を漸増する御方針を杉原長官は持っておりますか。もしお持ちならば具体的に大体の見当をおっしゃっていただきたいと思います。
  215. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 来年度におきましても自衛隊は若干増勢いたしたいと考えております。
  216. 松浦清一

    ○松浦清一君 どれぐらいですか、それは……。
  217. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) それはたびたび申し上げますように、これをどの程度にするかということは、これからよく検討いたしたいと考えております。
  218. 松浦清一

    ○松浦清一君 あなたはそういうことばかりおっしゃるから話が長くなるのです。それはさっきだれか禅問答だとか何とか言ってささやいておった人がありましたけれどもね。先ほども私が申し上げるように、この国会が済めばすぐ予算編成に入らなければいかぬのですよ。あなたは防衛庁長官として、来年の防衛計画についてはいち早くその計画をもって大蔵省に出されなければいかぬのです。閣議にもかけにゃいかぬのですよ。これが今にして考えておらないというようなことで、そんなことでいいのですか。日本の防衛計画は、これは賛成とか反対とかいう議論は別にして、そんななま白いことでやって行けるのですか。
  219. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは御了解願いたいと思うのですが、私らの内部でも、まだここでどれくらいというふうに申し上げるところまで実は練れていないのが実情でございます。国会が済みましたらさっそく、もちろんそれにとりかからなければならないわけでございますが、事実そういう状況でございます。
  220. 松浦清一

    ○松浦清一君 ここに現在の与党である民主党の主体政党である改進党の防衛特別委員会報告、防衛五ヵ年計画試案というパンフレットを私は持っている、これを見ると、私は昭和二十八年の暮ごろに国の防衛に関する委員会を改進党は作って、そして防衛五ヵ年計画というものをちゃんと立てているのだ、二十八年に……。そして自衛軍建設に関する指標、防衛五ヵ年計画試案、地方防衛隊の編成、自衛隊建設に関する所要経費というようなことが書いてある。今から二年前の暮に、自衛隊建設に関する所要経費というものが改進党の歳内において小委員会を作って検討されて、その金額まできっちり出ているのですよ。その改進党が今の与党たる民主党の主体をなしているのですよ。これは党の政策というものがそのまま現内閣の政策に盛り込まれるか、られぬか、それはわかりませんけれども、二年も前に、改進党が少数政党でありながら五ヵ年計画というものを立てて、それに対する所要経費までできておるのだ。にもかかわらず、現在の日本の政局を担当して、そしてアメリカの要請によるものか、よらないものか、それは論外として、とにかく防衛力を漸増して行って、それにつれてアメリカ駐留軍を漸減して行くという、その大きな方針に基いて自衛隊をふやししつつある、それに六ヵ年計画があるとか、ないとかいうようなことはもう聞きません。ないというから聞きません。六ヵ年計画のあるなしは開かぬとしても、来年度の計画すらないという、そういう話では、これはもう全くお話になりません、これは……。(「その通り」と呼ぶ者あり)これは話にならぬですよ。
  221. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 今そこでお取り上げになりました改進党の特別委員会のその案というものは、改進党としても、これは常の委員会一つの報告書になっておりまして、私の聞いておりますところでは、改進党自体の、党で正式に決定せられるところに至っていないやに私は聞いております。いわんや現在の民主党の、それがそのまま民主党の案だというような性質のものじゃございません。もちろん政府といたしましては、たびたび申し上げますように、いろいろの、自由党でも昨年も案をたしか発表しておられました。そういうものなどへ参考としては研究しておりますが、その改進党のそこに掲げてある案が、これが今政府考えておる、そのままが政府の案だと、そういうふうなものではございません。
  222. 松浦清一

    ○松浦清一君 私が尋ねているのは、改進党で二十八年の暮に決定をしたから、その通り今の政府がそれを引き継いで現在の内閣の方針としてやっているというようなことを申し上げているのではないのです。改進党では二十八年の二月九日の党大会において、国家自衛に関する態度というものを決定しておるのです。党でさえ防御に関する五ヵ年計画というものが大会できめられて、小委員が長い間かかって検討をして、そうして所要経費までちゃんとそろばんで出て、詳しく載っているのです。党でさえやっているのです。国の政権々担当しておるその内閣には六ヵ年計画はあると思うのです。あると思うけれども、ひた隠しに隠してお出しにならないから、それは私は追及しません。六ヵ年計画は追及しませんが、この国会が済めば、来年度のすぐ予算編成に入って行かなければならないのに、計画がないというような、そういう子供だましのような御答弁では議事は進みません。
  223. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 松浦委員に私率直に、はっきりと申し上げますが、実際にあって、それをわざと示さぬとか、そういうものではございません。事実まだ成案を得ていないのでございます。その点御了解を願いたいと思います。もちろんこれは成案を得ていないということは、私らとしてはむしろお叱りを受けるかもしれませんが、まだ事実ほんとうに、政府として国会にかくかくでございますというものを責任をもって申し上げるまでの成案を得ていないのが事実でございます。もしそういうのがありましたならば、何を一体私らは隠す必要がございましょう。隠すということはごうもございません。ただなるべく早くそういうものを得て、国会にもお示しするようにしたいということを希望しておる次第でございまして、御了承を願いたいと思います。
  224. 松浦清一

    ○松浦清一君 今日はこれはこの辺でやめましょう。あしたまた、やりましょう。そんなばかげたことで、とにかく三十日までぬるま湯に入ったつもりで、つべこべ言うようなつもりで答弁されたのでは、何のことで審議をしているのかさっぱりわからない。高碕長官は、来年度の国民総所得は三千億円ほどふえる見込みだ、そうすると、防衛関係費は今年よりも少しふやしても差しつかえないような気がすると、こういうことを言っておられる。それは今日の高碕長官の思いつきの答弁であると私は思わない。六ヵ年計画を立てたのは今年の一月ですから、そのときからわかっているはずです。それに対応して来年度はどれくらいふやしたらいいと、こういうお考えが全然ないという、こういうようなことでは、今日はもうこれ以上先に問い々進める意思はありませんから、今夜一晩お互いに休んでみて、あした気が向いたらお答えをいただくということでけっこうだと思います。
  225. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 先ほど高碕経済企画庁長官から、来年度国民所得は大体幾らくらいにふえるだろうかという予想を述べられまして、そうしてそれを元にして防衛費はふやし得る余地ができるだろうというような意味のことをおっしゃいましたことと、私が来年度においても自衛隊を若干これをふやす必要があると考えておるということと一つも矛盾しないわけでございます。ただそれを幾ら幾らというところまで具体的に申し上げる段階には私はまだ至っておりませんということを申し上げておるのでございまして、その点ば別に長官のお言葉と矛盾もしませんし、またこれも私が事実ありのままを申し上げておる次第でございます。
  226. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ちょっと先ほどの問題を補足いたしたいと思いますが、明年度の実際に予算を定めます場合において、防衛費をどれだけにするかということは、単純に国民所得がこれだけふえたからこれのパーセンテージをふやせということを意味するのでおりませんで、これには来年度は減税という問題もありますし、また賠償問題というものも自然に起ってくる問題でありますから、それらの点を勘考いたしまして、よく予算を組まなければ……、これだけ国民所得がふえたから、そのパーセンテージをふやせと、こういうことはなかなか決しかねる点だと思いますし、その点はまだよく考究いたしておりません。さよう御承知を願います。
  227. 松浦清一

    ○松浦清一君 やめるつもりでしたが、もう一つでやめましょう。今年三万一千の自衛隊をふやして、アメリカこの話し合い自衛隊漸増駐留軍漸減という方向をたどることは、これはアメリカとの話し合いできまっていますね。これはきまっているでしょう。そうすると、今年三万一千自衛隊をふやすと、アメリカの軍隊はどれくらい引き揚げるんですか。もう引き揚げたから、それにかわる三万一千ですか、それはどうですか。
  228. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 私どもといたしましては、日本自衛力漸増するということは、日本自衛態勢を整備し、日本の安全保障の目的を達成するということが重要な項目であるとともに、それに伴ってアメリカ駐留軍が逐次徹退するということを一つの重要な項目といたしております。従いまして、今回増勢をお願いしておりますものが実現いたします場合に、これをまた基礎にしてアメリカ駐留軍、ことに地上軍の徹退ということはこれを期待しております。またその根拠になり得るものだと思っております。それでは幾らふやしたからすぐそれに対して幾ら幾らと、こういうふうにはそう正確に行くものじゃないと思いますけれども、これは増勢して、相当の訓練もし、そしてここで日本自衛態勢がそれだけ進めば、それが何よりも一つの基礎になって、駐留軍の撤退というものが期待できると思います。
  229. 松浦清一

    ○松浦清一君 それは向うと交渉をしなければならぬことですから、日本自衛隊を三万一千ふやしたから、アメリカの陸上軍は帰ってくれと話をしても、それは何ぼ帰ってもらえるということをあなたが回答できないことはわかります。わかりますけれども、こちらは漸増、向うは漸減の方向ですから、今年三万一千ふやすということは、すでにアメリカの地上軍が徹退したから、それの補いのためにふやすのか、三万一千にふやしたから、これから話をして、今から先にアメリカの地上軍に徹退してもらうのか、こういうことを伺ったんですよ。
  230. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) その点から申しますと、あとの方の、これを基礎にして、むしろさらに徹退か促進いたしたい、こう考えます。
  231. 松浦清一

    ○松浦清一君 さっきの来年度のことは明日まで保留しておきますから、お互いに考えておく、私は得心したのではない。来年度のことはそれでわかったのじゃない。あしたまで保留してお互いに考える。私はその御答弁であきらめられるか、あきらめられないか、今晩一晩寝て考えておきましょう。  それから今年度の防衛費は、予算面に載っている千三百二十七億と、予算面に現われない昨年度の予算の使い残りが二百二十七億円ございますね、使い残りが……。そのほか日米共同声明によって明らかなように、防衛庁に約百五十四億円の国庫債務負担行為の権限というものが付与せられておる、こういうことになっておるわけです。この国庫債務負担行為の百五十四億円と、昨年の使い残りの二百二十七億円というものは、本年度予算の千三百二十七億円の予算のワクの外にありますか、中にありますか。
  232. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) それは外であります。
  233. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、千三百二十七億円プラス百五十四億円プラス二百二十七億円というのが本年度の防衛総費用である、こういうことですな。これはいろいろのことを言われますから、私は明確に聞いておくわけですがそういうことですな。
  234. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは防衛庁の国庫債務負担行為そのものは、性質はもう申し上げるまでもなく、これは現実に国庫の負担となるものは国庫債務負担行為に認められている年度にわたるわけでございますから、来年度はまた債務負担行為は今年御承認を得ておりますのを、来年度分については来年度また歳出予算に計上しなくちゃならぬ、そういう性質のものでございますから、この千三百二十七億というのは、本年度の歳出予算の八百六十八億、それから防衛分担金、それはもちろん施設提供費等のものを加えたその全部が千三百二十七億でございます。
  235. 松浦清一

    ○松浦清一君 ですから、はっきりしておかぬとわからぬので聞くのですけれども、もう一点伺いますと、千三百二十七億円の予算書に載っている防衛関係費と、その外に百五十四億円と二百二十七億円があるとすれば、この三つを合わせたものが三十年度の防衛庁が使ってよろしいという総額ですかと言っているのですから、そうならばそうだと言えばよろしい。
  236. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) それは御承知通り、千三百二十七億の中で、防衛庁関係のは歳出が八百六十八億、それ以外のは防衛庁と別個でございますから……。
  237. 松浦清一

    ○松浦清一君 私の問い方が間違いました。防衛庁だけでなしに、防衛関係の一切の費用、防衛分担金ももちろん全部入っております。その総計が三つ合わせたものですかと、こういうのです。
  238. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) その千三百二十七億というのは、国庫債務負担行為の百五十四億、前年度の繰り越しはこれは別でございます。
  239. 松浦清一

    ○松浦清一君 杉原長官はなかなか答えがずるいのか、言葉が明瞭でないのかしらぬけれども、あなたのおっしゃることをつづめて理解すれば、結局三つ合わせたものが三十年度の防衛関係の一切の費用だと、こう見ていいわけでしょう。
  240. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) それは費用という意味によりますけれども、そう広い意味では何らございません。この国庫債務負担行為は、現実には国庫債務負担行為そのものの性質からはっきりしているところでございますから、蔵出予算とは一応違います。
  241. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、国庫の債務負担行為に関する百五十四億を別として、昨年度の使い残り繰越金の二百二十七億円を今年使ってしまったとすれば、来年の歳出予算に現われてくる防衛関係費用というのは千三百二十七億円では押えられないわけですね、常識的に判断して……。もし自衛隊をふやさないというようなことがあったとしても、千三百二十七億円で抑えるということはできないという結果になると思うのですが、どういうことになりますか。
  242. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) これは千三百二十七億というのは、ただいま申し上げますように、本年度の防衛庁の歳出予算の八百六十八億というのと、それからいわゆる広い意味の防衛支出金、防衛分担金、防衛支出金と称するもの、その合計でございますから、その防衛支出金の方がどういうふうになるかということと、これによってそこの超える超えぬのところが一つの、重要なる要素として、防衛支出金の方がどうなるかということと関連を持つわけだと思います。
  243. 松浦清一

    ○松浦清一君 私は予算委員会で、大蔵大臣からであったと思いますが、本年度の防衛分担金をまけてくれた総額は百二十五億円であるというふうに聞いた、私の記憶が間違いであれば訂正いたしますが、この日米共同声明では、本年度に限り百七十八億円を減額すると、これはどちらがほんとうですか。
  244. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君) 防衛分担金は百七十八億の減額でございます。
  245. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、百二十五億円というのは全然これは問題にしないでいいわけですか、その数字はどこから……、ちらっと出てきたのですが、その辺明確にわかっていなければ、また大蔵大臣に来ていただいて伺いましよう。
  246. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 防衛分担金は、御承知のように基礎額が出ておりますが、その基礎から申し上げますと百七十八減ったわけです。しかし去年二十五億減らしてもらった、基礎額からは……、それと今度は支出金の方が二十八ふえた、それをかみ合せますと百二十五という数字も出るわけです。全体からも百七十八億減らしておるということになるのです。
  247. 松浦清一

    ○松浦清一君 やめると言っては、まことに恐縮ですが、そうすると、本年度のまけてもらった実益というものは百二十五億ですね、そういうことですね。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  248. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) そういう解釈も一応できるわけでございます。
  249. 松浦清一

    ○松浦清一君 一応でなしに、そうでしょう。
  250. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) ええ。
  251. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) では本日はこの程度で質疑を打ち切りまして明日続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時四十三分散会      ——————————