○松浦清一君 杉原、高碕両
長官及び各
委員の方々もお疲れでしょうから、三十分か、四十分くらいで今日の
質問はやめますから、しばらくおつき合いを願いたいと思います。私は
総理に対する総括
質問が、予定をしておったより十五分時間が残っておりますので、本来言うと、
総理のおられる所で御
質問申し上げるべき筋合いでおりますが、今日は残っておる分だけを総括的な問題についてお伺いをして、こまかいことを
お尋ねし出すと時間がかかりますから、二、三点だけお伺いしたい。
一昨日防衛三法の審議が本院で始まりましてから、何方語という質疑応答が行われて参りましたけれ
ども、何
一つとして明確になったところはないと思うのです。これは一昨日も私申し上げたように、
国会の審議というものが、何かを尋ねて何かを答えて、ぎりぎりになれば数で押し切るというような、そういう形で物事を審議せらるべきではないので、わかり得ることはやはり明確な
結論を出して、そうして落ちつくべきところへ落ちつけて行くというのが
国会に与えられた任務だと、こう心得ておるのです。そこで今まで尋ねて来たところで、この辺のところならお答えになられるであろうと思う点をお伺い申したい。
まず今までの審議の跡をたどってみまするというと、昭和二十五年にマッカーサー総司令官から、当時の吉田
総理に対する
国内治安確保の措置に関する書簡により、
国内の治安維持をするための必要として警察予備隊を作って、そのときの警察予備隊の性格というものは、当時説明をされた
通り、また防衛庁からいただいておる「防衛庁の現況」というパンフレットにも、冒頭の沿革の一節に書いてありますけれ
ども、一番最初は、
国内治安の維持をするために、当時の警察力では不足であるから、七万五千の警察予備隊を作ろうということが趣旨であった。それから保安隊に変り、
自衛隊に変ってくる過程において、十一万にふえ、十三万にふえ、十六万にふえて、ことしは十九万にふえようとしておる。その過程において、最初にできたときと性格が変っておるのですね。最近は、
自衛隊に変って来た当時から、外敵の侵入に対して自主独立の防衛態勢を確立するという性格に
自衛隊が変って来ておるわけです。そこで今までの質疑の過程において、この
自衛隊のつきつめた目標というものは一体何だ、そういうことでしはしば各
委員から
質問されたのに対して、やはり外敵の侵入に対して国を守るんだ、国を防衛する力を経済力に応じて養って行くんだと
答弁されている。それなら外敵の侵入を予想される外敵とは何かという
質問に対しては、お答えがなかったわけです。今までお答えがなかったのです。御
承知のように、
日本と
アメリカとの間には日米安全保障
条約も結ばれ、ソ連と中共との間には中ソ友好同盟
条約が結ばれておることは、私が説教する必要がないほど御
承知の
通りである。
アメリカが現在
日本に対して基地の要求、あるいは飛行場の拡張などを要求してくるということは、これはある意味における
日本に対する
一つの侵略であるかもしれぬけれ
ども、
戦争というそういう言葉の上から
解釈をし、あるいは外敵というような言葉の上から
解釈して、積極的なこれは侵略とは
考えられないものだと常識的に判断をして……。そうすると、やはり言い過ぎかもしれませんけれ
ども、
日本に
自衛力を
漸増して行って、最終目標とするところはやはり対立した安全保障
条約によって結ばれておる中ソを目標として、この
自衛力を
漸増して行くのではないかと想定されるわけです。私は別に演説をするつもりはありませんけれ
ども、昨年中共に参りました際に、現在の中共は御
承知のように、一昨年から経済五カ年計画を立てて、そして総力をあげてその完成に直進しておることは御
承知の
通りであります。中国のとこを歩いても、経済五カ年計画完遂のために協力しようということと、それから台湾を解放しなければならぬということが中国人民の最高の目標になっておる。例をあげますというと、昨年十月一日の国慶節にわれわれ招かれて、北京の天安門の観客席にあってこの
状態を見ておったのですが、六十万と称される群衆が列をなして天安門の前を行進する。そのうしろに行進に参加できないような低学年の小学生が、五、六万と想定される子供がそこにおって、そうして天安門の上から劉少奇か、だれであったか、とにかく中華人民共和団万歳、中国共産党万歳、毛沢東首席万歳、
最後に台湾解放万歳と、こう呼号するというと、行進しておる大衆と、それから小さな小学校の子供までがそれと合わせて台湾解放万歳をやるわけなんです。小学校の子供に至るまで台湾を解放しなければならぬということは、中国人民に与えられた歴史的使命であるという、そういう
気持に透徹しておるということを見て来たわけです。いいか想いかということは別の議論として、とにかく中国とソ連とが中ソ友好同盟
条約に結ばれておって、それほど中国が台湾解放に主目的をおいて経済五カ年計画完遂のために努力が結集されているとすれば、それまでに何かの手が打たれなければ、武力をもってでも解放に出て行くのじゃないかということは想像できるわけです。これはその人の主観によって、そんなことはないといえばそれまでですけれ
ども、そんなこともやはり現在の
政府は
考えておるのじゃないかということを私は想像して、もしかりにそういうことがあれば、ここに問題になるのが
日本と
アメリカ合衆国との間の相五
防衛協定の第十条の一項、「両
政府は、いずれか一方の
政府の要請があったときは、この
協定の適用又はこの
協定に従って行われる波動若しくは措置に関するいかなる事項についても協議するものとする。」、こうあるのです。これは一体どういうことを指しているのだといって
外務大臣に尋ねたところが、もし外国から
日本の海外派兵に対しての要請があっても、それに応じなければならぬという義務規定ではない。もしかりにそういうことがあれば、双方両国においてこれは協議をするのだ、こういう説明であったわけなんです。きょうの
鳩山総理の海外派兵云々に対する菊川君であったかの
質問に対して、絶対に海外派兵を命ずることはないと、こう言い切った。そこで私はこれは
外務大臣か、
総理に聞くべきはずのことですが、先ほど申し上げましたように、総括
質問の残りをやっているの、ですから、あなたからお答え願いたいのですが、もしそういうような、先ほど申し上げたようなことがかりに中国が台湾解放のために武力を行使するというような
事態が起って、そうなれば台湾と
アメリカとの
防衛協定に基いて、
アメリカの軍隊はこれに妨害を加える措置に出て来るということは、これはもう必然である。そのときに
日本の軍隊も
一つどっかへ出で行って、手伝え、こういうような話が持ちかけられて来たときに、このいわゆる協議をするという第十条に該当するわけなんです。そういうことがあっても、先ほどの
鳩山総理の言明によれば断じて海外派兵応じないというのですから、この
協定があるけれ
ども応じないという、その腹がはっきりきまっておるのかどうか、これをまず第一にお伺いしたい。