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1955-07-15 第22回国会 参議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十五日(金曜日)    午後一時三十分開会   —————————————   委員の異動 本日委員上林忠次君及び吉田法晴君辞 任につき、その補欠として豊田雅孝君 及び千葉信君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            長島 銀藏君            宮田 重文君            木下 源吾君            松原 一彦君    委員            井上 知治君            木村篤太郎君            高瀬荘太郎君            野本 品吉君            加瀬  完君            千葉  信君            松本治一郎君            田畑 金光君            松浦 清一君   委員外議員            山下 義信君   衆議院議員            高橋  等君   国務大臣   国 務 大 臣 大久保留次郎君   政府委員    人  事  官 神田 五雄君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    総理府恩給局長 三橋 則雄君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       川島 孝彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○恩給法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案山下義信君外三  名発議) ○恩給法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまより内閣委員会を開会いたします。  恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては先般提案理由を聞いたのでありますが、参議院の第十二号と衆議院第二十八号の二つの案が出ておるわけであります。これを便宜一括して、質疑を行いたいのでありますが、順序といたしまして、提案者たる参議院議員山下義信君にまず御質疑を願いまして、その後に衆議院高橋等君に御質疑を願ったらけっこうかと思います。政府側からは国務大臣大久保留次郎君、恩給局長三橋君がお見えになっております。
  3. 松本治一郎

    松本治一郎君 その前に先日資料要求しておったのですが、あれはまだできないのですか。
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 松本委員に申し上げます。委員部から正式に政府側資料要求をいたしました。ところが政府側からの話によりますと、御要求資料の中に非常に調整することが困難な資料があるそうであります。この点は政府側から直接に松本委員にその困難な点を申し上げて、可能な限りの資料を作りたいということを言っておるそうでありますから、いずれ恩給局から松本委員の方にその点について連絡に行かれることと思いますから御了承願いたいと思います。
  5. 松本治一郎

    松本治一郎君 その資料がなければ、この恩給法に対する質問がやりにくいのですから、なるたけ早く……。
  6. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 承知しました。恩給局長に申し上げますが、先般松本委員から資料要求があったのですが、その中で可能な資料はすぐに作って出していただきたい。それからどうしてもすぐにこしらえることが困難なものは、さっそく松本委員と御連絡願って、可能な限り資料を整えて提出されるように至急にお取り計らい願いたいと思います。
  7. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) ただいまの委員長からのお話のこと、承知いたしました。さっそく委員長お話通りに、取り調べまして松本委員の方に御連絡申し上げることにいたします。
  8. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは質疑に入っていただきたいと思いますが、便宜先ほど申し上げましたように、山下参議院議員に御質疑がある方はこの際に質疑をしていただきたいと思います。   ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  9. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて。提案者山下議員から発言を求められておりますので、補足的な御説明をしていただきます。
  10. 山下義信

    委員外議員山下義信君) お許しを得まして、私ども提案いたしました、ただいま御審議を願っておりまする改正案と同様御提出になりました民自党御提案改正案との相違点と申しますか、そういう点を補足説明をさせていただきまして、御審議をいただきたいと思います。  民自案の方におきましては、一万二千円ベースになりましたこの点は同一でございます。それで仮定俸給号俸引き上げにつきまして、民自案におきましては、尉官以下四号俸引き上げられまして、佐官は三号、将官は二号の引き上げとなっております。ただし尉官以下と申しましても、その中で軍曹伍長だけは別の扱いになっておられまして、四号俸でなく三号俸に押えておいでになるわけでございます。私の方の案といたしましては、尉官以下四号俸引き上げでございまして、佐官以上は号俸引き上げをいたしていないのでございます。  それからこのベースアップ及び号俸引き上げ実施につきまして、御承知のとおり民自案は、明年六月までは半額の支給、すなわち御実施でございまして、明年の七月から全額の御実施ということになっております。われわれの案といたしましては、本年の十月からこれを全額実施するようなことでございまして、なお民自案におかれましては、この新らしい法律の施行前に給与の事由の生じました一時恩給には遡及して御適用にはならないのでございます。われわれの方といたしましては、一時恩給にもこのベースアップその他の改正を遡及適用するというわけでございます。右が第一の相違点でございます。  それから第二の相違点といたしましては、通算に関しまする件でございます。民自案におかれましては、旧軍人並びに旧準軍人、また旧軍属の恩給基礎在職年になりまするこの計算につきましては、もうすでに御承知のように、引き続いて一年以上、すなわち一年以上七年未満、この年数を恩給基礎在職年に御算入になるのでございます。一年以上の年について通算になるのでございます。しかしこの御通算は一時恩給には影響しないことになっております。また御通算になりましても、これは普通恩給資格に達するまでお取り上げになりまして、十一年あるいは十二年の資格が生ずるところまでこの通算をお通り上げになって、それ以上は合計して十八年になろうと、十五年になろうと、それ以上は影響のないことにお扱いがなっておるわけでございます。われわれの案といたしましては、この通算は一年以下でございましても、十一ヵ月従軍いたしておりましても、八カ月従軍いたしておりましても、全部ことごとく取り上げて、合計通算をして行こうという考え方でございます。それからまた私どもの方といたしましては、この通算軍人だけでなくいたしまして、一般公務員にもこの通算をずっと適用をして行こうという考え方でございます。なお一時恩給等につきましても、この通算影響を及ぼしますれば、新たなる一時恩給資格者が生じてくる。つまり通算恩典というものをあまねくこうむらさせるということがわれわれの案でございます。  第三といたしましては、加算に関します件でございますが、高橋先生提案の民自案におきましては、加算はお認めになっていないのでございます。われわれの方といたしましては、この加算を一ヵ月につき一ヵ月の割合で認めまして、これがすべての恩給関係に及ぶようにいたしてございます。これは通算を認めますということは、主として召集軍人対象でございますので、この通算をせっかく認めましても、加算が除外されますというと、この恩給恩典に浴しますることに若干の遺憾がございまするので、それで最低加算を一ヵ月につき一ヵ月の割合で認めるということにいたしましたのでございます。  第四点といたしましては、公務扶助料年額でございますが、年額最低額をきめたという点でございます。高橋先生提案の民自案におきましては、この最低額はやはり一番最下級の者が一番低い金額を受けるようになっておるわけであります。われわれの案といたしましては、最低を三万八千三百五円と、こう押えまして、すなわち曹長の線を最低にいたしまして、この最低金額に達しない者は、みなこの三万八千三百五円まで引き上げ支給する。すなわち軍曹伍長上等兵等も皆引き上げて、これ以下の最低支給しないということで、最低額をきめました点でございます。  第五点といたしましては、公務に基因して死亡したところの立証責任を当局に負うていただく。従って公務扶助料支給の範囲を、ワクを拡大する、こういうことでございます。これは高橋案もわれわれの案も同一でございます。  それから第六点といたしまして、自決者の遺族に対し公務扶助料支給いたします件は、高橋案もわれわれの案も同一でございます。  それから第七点といたしましては、戦犯等拘禁された人たちの、その拘禁の期間中を恩給年限の中に加えるということが高橋案にお取り上げになっておられます。われわれの方といたしましては、事情は御同情申し上げますが、戦犯拘禁ということが公務であるか、どうであるかということは、国内法におきましても、また国際法におきましても疑義があると存じまして、この戦犯者拘禁中を恩給年限の中に数えるということはいたしておりません。  それから第八点といたしましては、戦犯第で拘禁中に負傷または疾病にかかった場合のお取扱い高橋案にお取り上げになっておりますが、われわれの方にはただいま申し上げましたような趣旨でこの点は触れてございません。  それから一時恩給を従来受けておりました者が、今度の改正案年金恩給を受けることになりました場合の金額差し引き等、こういう場合のお取扱いやり方高橋案とわれわれとの案の相違しております点でございます。  最後に、警察職員に関します恩給の特例及び行政機関職員定員法改正がこの機会にお取り上げになっておられるのでございますが、私どもの方といたしましては、その点は触れていないのでございます。  両案の相違点のおもなる点を申し上げて御審議の御参考に供したいと思います。
  11. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 提案者山下議員に対して何か御質疑ございませんか……。御質疑がなければ、また審議の結果によりまして、さらに山下議員に御質疑をするような機会があるかと思いますが、きょうは山下議員御退席下さってけっこうであります。ありがとうございました。  では次に、衆議院議員高橋等君の提案にかかる、同様の法律案でございますが、高橋議員に対して御質疑のある方は御発言願いたいと思います。なお高橋議員のみならず、この高橋議員提案衆議院送付案は民自両党の共同提案でございまして、政府もこれに対しましては賛成をしておるのでありますから、この案につきまして大久保国務大臣、あるいは三橋恩給局長に御質疑がございますれば、あわせて御質疑を願ってけっこうだと思います。
  12. 千葉信

    千葉信君 きょうの日程は、けさ非常に早く登院したので公報を見ないで出てきましたが、きょうの日程恩給法の一部改正法律案と、それから何ですか。
  13. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) きょうの日程として上っておりますのは、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、それから参議院山下君の提案のものと同じ件名てありますが、衆議院から送付してきた案と、そのほかには国家公務員制度及び恩給に関する調査、これを議題にいたしております。   千葉君に申し上げますが、恩給に関しましては一般給与問題にも関係が生じて参りますので、特に公務員の問題についての調査議題にいたしませんでも、恩給法に関する審議をいたしておりまする間に、給与問題等についての御質疑をしていただいてもけっこうですから、政府側から瀧本給与局長神田人事官がお見えになっております。大久保国務大臣も出席しておられますから、適宜なときに御質問いただいてけっこうです。
  14. 千葉信

    千葉信君 大久保さんにこの際お答えをしていただきたいと思うのですが、恩給法関係については、前にも御承知のように、昭和二十八年の十一月の十七日に現在の国家公務法によりまして人事院の方から恩給法、新らしい名前に変えて国家公務員退職年金法に関する勧告というのが行われております。これも前の内閣もそうでありましたが、今度の内閣におきましても、公務員制度全般に関する身分の問題、制度の問題、それから給与の問題、退職手当の問題、恩給法名前を変えての退職年金法、こういう問題等について公務員制度調査会を作り、もしくはこれを継承して、その調査会でいろいろ検討をされておるということになっておりますが、恩給法関係もありますので、この際公務員制度調査会検討がどのような分野で、どういう状態で、そして現在その進行工合はいかなる状態であるか、大久保さんから承わりたい。
  15. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 実はこの問題につきまして、参議院予算委員会におきまして、大体の公務員制度調査会の組織及びその審議経過等について申し上げておきました。まだおそらくこの委員会におきましては私申し上げなかったと存じます。その私の記憶にあります点だけを御参考までに申し上げておきたいと思います。  公務員制度調査会ができましたのは昨年の六月で、昨年の六月に始めまして、調査会会員というのは関係閣僚と言いますか、閣僚が六人に、それから大学の教授、それから学識経験者という名称のもとに実業家あるいは恩給をいただいておる人というような方面の人を網羅しまして約十九名の会員であります。昨年の六月に第一回の総会を開いて、毎月三回、四回ずつ総会を開いて公務員制度一般の問題について論議をいたしました。そうして約二十四回総会を開きました。で、一般論議が一通り尽きましたので、今度はこれを小委員会に移しまして、小委員会においては東大の田中という博士を主任といたしまして五名の小委員を作って、そこにおいてさらに検討することになって検討を続けました。この小委員会におきましても、十四、五回と思いますが、小委員会を開いて論議をいたしました。そこで総会において論議しました議題と小委員会において論議しました問題とを総合して、主要なる問題について大きな方針をきめることになった。それでただいま整理中であります。従って総会及び小委員会における主要問題についての論議は一段落になりました。ただいま、さき申した田中博士が中心になって大問題と取り組んだ問題についての大方方針についての整理中である。実を言えば私は六月中に整理したかったので督励いたしましたけれども、六月中にはできなくて、今月に入ってまずもうそろそろできるころになっておりますから、これができましたならば総会にかけまして、今年の八月中、夏休みでありますけれども夏休み中を利用して各会員に表を配りまして、九月早々大方意見をまとめて、これでいいという方針がきまりましたならば、それから進んで立法化の手続きをとりたい、こういう方針であったのです。  参考のために、どういう問題が議論対象になったかと申しますと、まず初めに問題になりましたのは、公務員の種類を幾つにするか、公務員の種別、どの点までを公務員というワクに入れるか。二つにするか三つにするかというのが論議になりました。それから公務員任用制任用をどうするかという問題、それから公務員の懲罰、勤務というような問題もありました。もう一つは、公務員の労働問題をいかに処理するか、これはなかなか論議の種になりました。公務員労働権の問題をいかに処置するかということはなかなか論議になったようであります。それから外国の公務員制度についての研究も必要であるというので、そういうものも進めるようになりました。それからもっとこまかくいろいろ議論の種になりましたのは給与問題、これは給与全般にわたっていろいろ問題が起りました。それから恩給制度の問題というような、各般の事柄にわたって論議しましたのでありますが、さっき申しました通り総会と小委員会大方論議が尽きましたので、今申しました主要なる問題についての起草がもうそろそろできかかっております。まあ私はなるべく早く、今月の末を待たぬでそれを作りたいと急がせておる次第であります。従ってさっき申しました人事院勧告お話が出ましたが、これは千葉さんの言われました通り、確かに政府勧告が参っております。恩給制度共済組合制度のことにつきまして、これを二つにするか一つにするかという問題等ももちろん議題の中に入っております。その問題の解決と同時に人事院の問題もおそらく解決方向に向うと、こう考えております。
  16. 千葉信

    千葉信君 今の御答弁かなり色のいい返事で、希望の持てそうな御答弁をいただいておりますが、去年の六月から設けられた公務員制度調査会の方は、それは継続してそのまま前内閣方針を今の内閣では踏襲されて継続されておられるわけですか。その間に鳩山内閣鳩山内閣としての立場から、途中で方針変更等は全然なしに、その回数の中に算入されて、しかも方針をそのまま継承されているわけですか、途中で少くとも閣僚なんかの関係委員としては変っているはずですけれども、その点はどうですか。
  17. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 内閣は変りましたけれども、御承知通り公務員制度調査会諮問機関であります。政府に向って意見をただ諮問に応じて出すという立場をとっておりますので、内閣が変りましても、これに向って格別の注文はつけません。何もつけてありません。委員会は全く独自の立場に立って、独自の意見を具申されることと信じております。
  18. 千葉信

    千葉信君 公務員制度調査会諮問機関であることは私も承知しておりますが、その諮問機関である調査会構成員には閣僚が入っておられるわけです。あなたもたしかその一人であるはずです。自治庁長官公務員制度調査会論議経過については本委員会でも御答弁になっております。ですから、従って重要な立場閣僚の方がその公務員制度調査会の中に入っておられて、そしてこれは諮問機関だから注文もつけない。全く在来のやり方で、内閣が変ってもそのままのやり方で継承しておることは、ちょっとふに落ちない点があると思うのですが、その点……。
  19. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 閣僚は数名入っておりますけれども、約二十名に対して数名でありますから、やはり他の会員の諸君の意向が圧倒的に私は強いと思います。また先に申しました通り諮問委員会の性質から考えて、下手な注文をつけるべきでないと信じまして一切注文をつけておりません。
  20. 千葉信

    千葉信君 どうもそういう方針なり、態度というものは、私は政党内閣制度のもとにおいて一定の政策なり、方針なりを持っている政党なり、もしくは内閣立場において、ただいまのようなお考えで前内閣方針をそのまま継承するということについては私は少し疑義がありますが、しかしまあこれはここで大久保さんにこの問題をこれ以上食い下ってみるつもりもありませんが、今御答弁になりました答弁の中に、主としてその閣僚等を除いた委員の場合には、かなり専門的な知識を持っておられる方々で、大体まあそれらの方々に対して閣僚立場から行う、閣僚としての委員立場からどうこうという意見を言うような状態でなく、委員会が運営されておるということですが、これは私ちょっと大臣に確かめておきたいのですが、この委員会川島自治庁長官はこういうこと答弁されておる。それはちょうど地域給の問題がこの委員会で問題になっておりましたときに、川島自治庁長官は、公務員制度調査会は現在他の問題を全部あと回しにして、地域給の問題をどうするかということに主力を注いである。従ってこの問題に今公務員制度調査会は精力を集中しているから、だからおそらく七月中旬ごろまでにはこれに対する一応の結論が出るだろう。こういう答弁をされておられます。ところが今大久保さんのお話を聞いておりますと、その公務員制度調査会は非常に広範にわたって公務員の分類の問題、任用の問題、賞罰の問題をどうするかという問題、勤務条件に関する問題、労働権に関する問題、その他給与恩給等、非常に複雑多岐にわたって、検討されておられて、もう委員会としては総会も小委員会も大体もう最終段階に入った、こういう御答弁ですと、かなりこの両者の答弁が食い違ってきていると思うのです。この点で一体川島さんの言われたその地域給問題等については、川島さんの言われたように進んでおられますか。それともその問題も含んで全体の結論が出そうになっているのですか。その場合に付言してお尋ねしておきたいことは、今非常に専門的で、大体閣僚委員方々なんかは口出しをする必要がない程度だという話を今、大臣はしておられますが、しかし私の聞いたところでは、例えば今、大臣名前をおっしゃったその委員長をやっておられる方が、小委員長であるか何か知りませんが、その方が、たとえば地域給の問題なんかは困った問題だ、どだいこの問題については、今これからこの問題に対する勉強を始めている段階だ、こういうことを言っている事実もあるのです。ですから、この際公務員制度調査会進行の状況が非常に公務員全体にとって大きな問題だし、国民にとっても重要な関心がある。ですから食い違いの起らないように、その経過見通し等について御答弁を承わりたい。
  21. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) ただまのお話でありますが、ちょうど議会中に一番論議の種になりましたのは、御承知通りこの地域給の問題であます。そのたびごとに早くやれやれという注文が各方面から起りましたので、私もこれは急がせなくてはいかぬと思いまして、これは小委員だけでは物足りないから、もう少し幹事になっている各官庁の幹事にもお集まりを願って、一つ補助的の意味において、地域給の問題に対する手伝いをしてもらったらどうかという話をして、手伝いをしていただいたような経過がございますので、おそらく川島君が言いましたのは、そういう事実に基いて急いでおる、特別に急いでおる、こういう答弁をしたのじゃないかと思う。実際その通りでありまして、急いでおりまして、さき申した通り川島君の言うのと同じことと思いますが、今月の中旬、あるはいう少しおくれましても、早く主要の問題についての方向だけをきめたい、そうして総会にかけたい、八月中の総会にかけたい、こういう考えには変りございません。御了承願います。
  22. 千葉信

    千葉信君 御了承を願いますという結論になっておりますが、どうも私どもが受ける印象から言いますと、やはり当面非常に重要な問題でありながら、私どもがお尋ねをしたりしますと、どうも一切がっさいあげて公務員制度調査会にかかってくるという答弁で時をかせいでいる傾向としか私ども受け取れないふしが非常に多いのです。特にきょうはこの委員会としては、恩給法改正に関する審議の最中ですから確かめておきたいことは、あなたは、あなたもその委員の一人なんたが、人事院の方から出されている国家公務員退職年金法に関する検討はどういうふうになっておりますか、その委員会構成員である以上、委員会審議経過なり、大体の結論というものも御承知になっていなければならないお立場のはずですが、この点どうなっているか。
  23. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 先ほど申しました通り総会と小委員会との意見整理中でありますから、はっきり申し上げることはどうかと思いますけれども、私は人事院意向は尊重されるものと考えております。
  24. 千葉信

    千葉信君 人事官が来ておられますが、質問に入っていいですか。
  25. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) いいです。
  26. 野本品吉

    野本品吉君 関連して……。先ほど公務員制度調査会でいろいろな事柄を御調査願っているというお話の中に、恩給制度についても無論やられておるのですが、恩給制度に関して具体的に、どういう項目を取り上げ調査会で御検討になっておりますか、その点をお知らせ願いたい。
  27. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 題目だけ申し上げて、まだ決定は差し控えたいと思いますが、先ず問題になりましたのは、文官と武官の恩給を一本にすべきか、二本にすべきかというのが一つの問題であります。それからさらに、政務官と普通の公務員とを同じに扱うべきかどうか、たとえば閣僚とか、政務次官とか、こういうものの恩給と普通の公務員とを同じにすべきかどうかということ、それから今は普通の公務員は十七年になっておりますが、二十年に延長したらどうかということ、そういう工合にいろいろありましたが、今決定として私からまだ申し上げる段階に至っておりませんが、論議の種としてはそういう問題が起っております。
  28. 野本品吉

    野本品吉君 先ほど、何と言いますか、恩給受給者の利益を代表する委員も入っておるというお話があったのですが、どういう方が入っておりますでしょうか。
  29. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) これは名前を言っても何ですが、内務省の古い役人も入っています。恩給をもらっているのです。
  30. 野本品吉

    野本品吉君 役人の古手といっては失礼ですけれども、そういう人はほとんど恩給をもらっていると思うのですが、役人を長くやっていたということが直ちに私は恩給受給者の利益代表者だとは考えられない、そういう意味をもって構成員として入っておるのですか、どうですか。
  31. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) これはそう厳格な意味で選択したわけでもないのですが、とにかく恩給給与を受けているのですから、恩給についての知識は持っておると、こう思って選択したことと思います。
  32. 野本品吉

    野本品吉君 これは簡単に済まされない問題なんです。多数の恩給関係者にとりましては、と申しますのは、元の高級官僚の人たちはほとんど恩給に依存することなくして楽々と大会社の重役になったり、その他重要なるポストに入って生活に何ら不安を感じない人が多いのです。そういう人が、恩給をもらっておるからという理由で、一般の何十万という零細な恩給受給者の利益代表者であるというお考えに対しましては、ちょっと私は疑問があるのですが、いかがでしょうか。
  33. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) それは恩給受給者全部を、代表したという意味ではないのです。その人一人が全部を代表しているという意味じゃありません。そういう意味じゃなくて、普通の人よりもとにかく恩給についての実際の知識経験があるから、おそらく委員の一人に選んだものと思います。
  34. 野本品吉

    野本品吉君 議論じゃないのですから先に進みますが、大体そういう大衆の生活に直結しております大きな問題の審議会、あるいは調査会等には、やはりその問題に直接しておる者が、代表的な人が入っておる。たとえばこの前の軍人恩給に関する特例審議会におきましては、陸海軍のかっての人が数名入っておる、遺族の代表も入っておる、それから米価をきめる場合には、農民代表を抜きにしては、米価が国民生活の実情に合うかどうかということもわからない。私は前からやはり恩給という相当大きな問題について審議をする機会に、恩給についての理論的にも実際的にも知識経験があり、またそれらの人たちの生活というものに対して理解を持っておる代表をこの委員会に入れてほしいということを希望いたしまして、この前官房長官は、前のときでありますが、そういう線において入っていただくことを考慮する、こう言われておった。これも委員会のその場しのぎの御答弁であったと、結果的にはなっておるわけですが、公務員制度調査会に、やめたかっての公務員と利害関係のある恩給制度の問題が大きな項目として取り上げられて、慎重に論議検討される。同じように現在の公務員、現職の公務員に関しましても、きわめて大きな問題が論議されることになるんでありますから、ちょうどこの前の恩給特例審議会において、旧軍人代表、遺族代表を加えたように、この審議会にそういう人たちを加えないというと、現職の人にも古い人にもその結論に対して納得を与えることが困難じゃないか、私はそう思っておる。そういう点につきまして御考慮を希望いたしておきます。千葉君の質問の関連事項としてそれだけ……。
  35. 千葉信

    千葉信君 もう一つ関連する問題で大久保さんにお尋ねしておきたいと思います。大久保さんもおそらく御承知だろうと思うのですが、昨年七月の十九日に人事院の方から国家公務員法の第二十八条に基く報告が内閣と国会に対して行われました。二十八条に基きますと、毎年一回報告の義務があり、しかもその報告に際して条件が五%以上の変動を起しておる場合には、その給与が適正であるかどうかということの勧告をあわせて行う。もちろんそれ以上の条件の変動がある場合は、そのつどそれに対応しなければなりませんが、今年の状態から見ますと、もうほとんど、ちょうど一年を経過してその報告を国会と内閣に対して提出しなければならない時期に達しておりますが、今回の場合、政府としては人事院からこの報告にあわせて給与改訂の勧告等が行われるものと予想されているか、それともその勧告が行われないものと予想されているか、この際大臣から参考までに承わっておきたいと思います。いかがですか。
  36. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) 昨年の報告を受けましてからちょうど一カ年になりますので、今月の十九日前後におそらくあるいは勧告なり、あるいは報告なりが参ることと信じております。これは私ども政府立場で、人事院国家公務員の利益を代表して、第三者の立場として冷静に批判して勧告なり、報告なりをされるものと信じております。この報告あるいは勧告が参りましたときには、これをつつしんで拝読して十分に尊重したい、こういう心持を持っておるだけでございます。
  37. 千葉信

    千葉信君 同じ人事院の方から行われておる勧告に対して今もって実施していない政府が、今のような御答弁をさ、れることは私どもどうかと思うのです。しかし従来の問題は別として、大久保さんも御承知通り、昨年人事院の方ではその報告をするに当って条件が明らかに変動しておる、民間の賃金も上昇しておる、物価の状態も今の給与を決定した基準に比べると勧告を必要とするような状態に来ている。しかし政府の方の政策そのものが、場合によると実質賃金を引き上げることになるかもしれない。つまりデフレ政策をとっているし、そのデフレ政策が成功すれば実質賃金の引き上げという状態になるのであるから、従って人事院としては当分の間そういう政策が成功することを希望しつつ、政策もまた十分その政策を成功させるように努力することをあわせて条件として、昨年は報告に終った。ところが今日に至ってもまだその当時の条件と条件は変らない。従って一年間経過した今日においては、もうこれ以上待つことのできない段階に到達しておると思うのです。人事院としてはこの際勧告すべきだと思うのだけれども大久保さん個人の、大臣個人の、給与を担当せられる大臣立場から考えて、この問題に対してはどういうふうにすることが望ましいか、この際そのまま公務員状態を見送ることが正しいと思っておるのか、それとも政府としてはこの際応分の措置を、人事院勧告の問題は別として、応分の措置を講じなければならない時期が来ていると大臣はお考えになっておられるか、この点をこの際承っておきたい。
  38. 大久保留次郎

    国務大臣大久保留次郎君) さっき申しました通り、もう勧告の時期はわずかです。わずかここ三、四日の間にあると思いますからして、政府は改めて意思表示をいたしませんで、ひたすらその報告、勧告を待っておる次第であります。どうか御了承を願います。
  39. 千葉信

    千葉信君 神田人事官に御質問を申しあげます。今も同席されていてお聞きになったことと思います。政府の方としてはこの問題に対して、大久保さんとしては勧告があるかも知れないというふうにお考えになっておられる。まあその勧告に対する最終結論がどうなるかは別問題として、今少くともここで大久保さんから、ここ四、五日中に勧告があるものと考えておると御答弁があったわけです。これは神田さんも御承知通り。で、神田さんにお尋ねしたいことは、去年の七月の報告については今さら私はここで蒸し返して論議をするつもりはありませんが、しかし今度はちようど給与準則の勧告を、提出してからまる二年目です。その間に公務員諸君の給与状態がどうなつておるかということは、私どもよりも神田さんの方がくろうとで、何から何まで全部御承知です。その過程で一時しのぎに期末手当の要求や、この問題の紛争等が起りましたが、決して現在の赤字の状態を救済するというところまでは行ったためしがかって一度もないのです。今回は人事院としてはもう事務的な一切の検討を終られた時期だし、一体人事院としては、この十九日までにこの問題に対してどう対処されるおつもりになっておられるか、この際一つはっきり承わっておきたいと思います。
  40. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) お答えいたします。人事院は例年通り民間給与調査、あるいは生計費の調査等をやっておりまして、ほぼその結論は出て参っております。しかしいまだに現在なお検討の余地がありますので、最終的な段階には達しておりませんが、しかし報告にしろ、勧告にしろ、もうほんの近い時期においてしなければならぬということだけは考えております。
  41. 千葉信

    千葉信君 なお若干の検討を要する部分があるというのは、どういうことを指しているのですか。
  42. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) いや、それはいろいろの問題がありまして、その材料に基いての検討を加えているという意味であります。ただそれが最終的に決定していないのであります。
  43. 千葉信

    千葉信君 その人事院の方で最終的にまだ検討の終っていないというのは、ことしの三月とか、四月とか、その月現在の物価の状態であるとか、あるいは民間の賃金の関係についての御調査は、これはもう済んではっきり数字が出ている。そういう数字の出たものに対して考慮を加えるという意味はどういうことなんですか。それはそういう歴然とした客観的な事実に対する、検討の余地のない問題に対する検討じゃないと思う。従ってその数字なり、根拠なりを数として人事院がこれに対してどう対処されるかという検討だろうと思うのです。その点はどうですか。
  44. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) いや、それはいろいろの研究でありまして、別に今の数字に対して具体的に対処するとか、何とかという検討、それもありましょうけれども全般的に検討しておる、その結論に達していないということであります。
  45. 千葉信

    千葉信君 どうも依然として人事院は本来の人事院立場を捨てるおそれのあるお考えに終始しておられるように、私はただいまの答弁から非常に心配せざるを得ないのです。そうなりますと、私はこの際聞かなくてもいいことまで聞かなければならないと思うのですが、まあ人事院としては昨年の七月に報告を出されましたときには、最終的な条件としては、人事院は当時の状態から言うと、給与改訂に関する勧告をしなければならない事実をはっきり認めておる。ところがその報告の最終結論においては、慎重考慮の結果、勧告は一応これを留保して報告のみにとどめる、留保するということは、もうすでに人事院自体が勧告しなければならない条件があるということをはっきり認めている。そういう条件を認めて、しかもなおかつ勧告を留保するということにしたおもな理由は、生計費に関係のある物価の動向について、政府のとっている物価の反騰を起す状態を阻止する政策、もしくはその阻止する政策が成功することを希望して、人事院としてははっきり事実を認めながら勧告を留保している、はっきり出ています。いいですか。ところが留保して一年間たった今、人事院考え通りの条件にはなっていないのです。むしろ勧告をしなければならない条件はずっと続いております。数字でも明らかです。人事院調査した数字でももちろんその通りに違いないのです。政府の発表している数字もその通りです。はっきりここで数字を読めと言うなら、読める数字を持っております。ですから、人事院としては少くとも昨年の報告のときにとったような態度をまたぞろとって、しかし留保するなんということは言えない段階に来ていると思います。その段階に来ていながら、なおかつやれ慎重に検討しているとか、やれ十分考えなければならない問題があるとか、何の問題を考えるのですか、何に検討を加えなければならないのですか。明らかに一年間の経過から見れば、人事院としては公務員の利益をちょっぴり守ってやるためには、はっきり人事院の本来の立場に立って行動しなければならぬ段階に来ていると思う。しかもあと十九日までは残すところ一週間ありません。もう一週間もない今日の段階に来ていて、なおそういう態度をとっておられるということは、私はもう自分の職責を放棄している態度だと思います。これは少し憎まれ口に当るかもしれませんが、人事院ではこの問題をめぐって、ときどき人事官会議を開いておるそうであります。今日も淺井さんに来てもらおうと思ったが、淺井さんは急性盲腸炎で休んでいられる。急性盲腸炎で休んでいられる淺井さんの枕もとで、何回も人事官会議が開かれておる。開かれておるりその席上で、勧告を出すことに最も賛意を渋っておられるのは今年は意外にも神田人事官だという風評すら立っておるようですから、神田人事官の名誉のためにも、はっきりこの際あなたから御答弁を願いたい。
  46. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) 個人的な問題については申し上げる必要は毛頭ありません。それから何べんも申し上げまするように、とにかく最終的な決定段階には達していないということを繰り返して申し上げます。
  47. 千葉信

    千葉信君 最終的な問題の決定の段階に立ち至っていないというのは、公務員法第二十八条に基く報告をする時日について余裕がある。従ってまた勧告をするか、しないかということについてもその余裕ある時日のうちに決定すればよろしいからという立場で、あなたは今そういう答弁をされておる。しかしこれは神田さんも否定できないと思うのですがね。公務員給与に関する報告を出す場合でも、それから勧告をする場合にも、これは印刷されて政府にもそれから国会議員にもあなたの方から全部これを提出される。ところがその印刷にはどれくらいの時日がかかるかということについては、国会における法律提案の場合にもみんな常識上わかっています。従ってあなたの方でこういう勧告をされる、報告をされる場合の時間の計算も、常識上はっきりどれくらいの余裕があるか、どれくらい余裕がないかということはもうはっきりしているのです。今日は御承知通り、七月の十四日と思ったら十五日だったじゃありませんか。これはあと六、七、八と三日しかない。この三日でこれから慎重に考えて、これから十分考慮して、それから問題を決定して印刷をされる余裕があるとお考えになるか。
  48. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) これは慎重にと言うと、非常に時日のかかるようなお考えのようでありますが、なお検討の余地が残されておるということでありますから、そう長い時間を要しません。
  49. 千葉信

    千葉信君 その検討の内容というのを具体的にしてもらいたい。
  50. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) 検討の内容は勢い勧告なり、報告なりに触れて参りますが、この席上でお答えすることはどうかと思いますから、御遠慮いたします。
  51. 千葉信

    千葉信君 どうしてですか、人事官会議の内容等については、事務総長がちゃんと記録をとっておかなければならないでしょう。その記録に対しても、もしも必要があれば国会からその記録を要求することができるのです。それを何として国会に対してそんなつまらぬことを隠そうとなさるのですか。
  52. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) 隠すという意味じゃありませんが、報告とか、勧告となりますと、国会と内閣に対して同時にしなければなりませんし、そういうことに関連して、今まで決定したことについは御遠慮申し上げた方がいいんじゃないかと思います。
  53. 千葉信

    千葉信君 私のお尋ねしておるのは、そういう報告をすることになるのか、勧告をやるのか、やらないのかという結論をここで御答弁しなさいということを、言っているのじゃない。私の質問に対してあなたは、なおこれこれの問題について慎重に考慮を要する、目下検討中である、こう言われておるのだから、何を一体検討されておるのか、何を考慮しなければならない問題があるのか、その点を……、結論をここでお答えなさいということを言っておるのじゃないのですよ。
  54. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) だからそれは結局全般的、総合的問題でありまして、個々の問題として具体的に申し上げることは………。
  55. 千葉信

    千葉信君 おかしいね。どうも必要でないことまで言うまいとしておるのですが、一体去年の報告の経過からみても、人事院としてはどういうことを問題にされておるだろうということについてはほぼ想像つくのです。しかしもしその想像通りであるとするならば、いいですか、想像通りであるならば、去年と同じような条件ではないはずだという私ども考えなんです。ですから去年と同じような格好で問題を考えておられたり、もしくは慎重にその問題に対処しておられるとするならば、これはやはり私ども立場から見ても、ここは内閣委員会です、給与の問題についても、国民の代表として公務員給与はいかにあるべきかということについて最終結論を出すべき委員会なんです。ですからその委員会で問題の誤まりなきを期して慎重に対処したい、慎重に対処するという点については、あなたと私どもは変りないです。変りないけれども、一体人事院の方が慎重に考えるという考え方で去年と同じような格好で終始しては、これは国家公務員法本来の使命も、それから人事院の使命も、内閣委員会の使命そのものも誤謬を犯す、誤まりを犯す、だからこういうことの起らないように、今あなたの方で何か問題であると考えておるならば、その問題の一端なりここで話してもらって、委員会としてわれわれその問題の所在についてどうすべきかということについて、やはりわれわれも考えなければならない責務があると思う。その程度の質問に対しては答えることができると思うのですが。
  56. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) 何べんも申し上げるのですが、総合的にいろいろ検討して最終的な検討をまだ続けなくちやならぬと思っております。
  57. 千葉信

    千葉信君 そういう御答弁を聞いたりすると、私どもの方では後の機会に聞こうと思っていた問題まで聞かなければならないことになると思います。神田さんにお尋ねをするけれども神田さんは恩給局に今年の春以来紛争の起っておることを御承知ですね。その紛争の種はいろいろありましたけれども、その一つに非常勤職員に対する休日給の問題がありました。これは神田さんも御承知通りです。ところが非常勤職員に対する休日給の問題等については、これはあなたの方ばかり悪いのじゃなくて、そこに恩給局長おられるようだが、恩給局長やり方そのものにも非ははっきりあります。これはあとで恩給法審議の過程で三橋君にこの問題についてははっきり聞かなければならぬ。しかしそれはこの委員会はしょっちゅうこれから機会があるから、私は恩給局長に対する質問はあとの機会にする。しかし神田さんにお尋ねしておかなければならないことは、人事院の規則で非常勤職員に対しては有給休暇はこれを認めないという規則を出された。非常勤の職員には有給休暇を支給してはならないということになっておるわけです。ところが御承知のように、非常勤の職員は日々雇い上げという格好ですが、実際上は二年、三年、四年と長期にわたって雇用されておる。そうなると、二年も三年も長期にわたって勤務をしている非常勤の職員の場合には、有給休暇は認めないという素朴な法律の解釈で一切がっさい有給休暇、つまり日曜祭日等に対しては支給しておらない、こうなっている。ところが神田さんも御承知通り、労働基準法の建前でも、一年間勤務したものに対しては六日の有給休暇を最低与えることになるのです。そしてこれが一年増すごとに、二年以上継続勤務した場合には一年について一労働日を加算するということになっております。そうすると、二年間勤務した者に対しては一週間有給休暇があるということになる。公務員の場合、一般職の職員でありながら一年たっても二年たっても有給休暇は認めないという、こういう人事院規則のために縛られている。労働基準法の最低の線さえも公務員の場合にも保障されないということになってきている。これは人事院の方では、こういう問題が起っていることをすぐ目の前で見ておられる。この人事院規則の関係について、どういうふうに対処されるか。
  58. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) そのことにつきましては、恩給局の臨時職員の方からも提訴がありましたし、人事院としても研究しており、これももうすぐ、近く結論に達するはずでありますが、少くとも労働基準法の線は、長期にわたって勤務している人に対してはやはり与えなくちやならぬという考え方のもとに、いろいろこの改正について研究しております。
  59. 千葉信

    千葉信君 その態度がよくないというのです、私は………。問題が起って今ごろになってから、労働基準法の最低の保障さえも与えていないことをやっと人事院が今ごろになって、問題が起ってから善処するつもりだなんと言っているのは、人事院資格がないと思うのです。人事院はどうして、ああいう事態に対して、ああいう事態が起らないまでも、もうすでに昭和二十五年から定員法ができた当時から、行政機関の中には非常勤職員というものがどんどんできてきている。常勤労務者はもちろんのこと、非常勤職員等について、あなたの方の出している統計によっても常勤労務者は二万三千人あるらしい。非常勤職員は六ヵ月以上継続して勤務している人の場合だけでも二万五千人をこえているじゃないですか。今始まったわけじゃない、四年も五年も前から始まっていて、四年も五年も勤続している人たちがこういうことになっている。それをあなたの方で、ああいう問題が起ってから労働基準法の最低の線までは何とかしようと考慮中たという、考慮中だということがありますか。これは人事院の責任です。これは恩給局長にもある。これはもちろんあとで僕は追及する。しかしあなたの方でもこういう規則を出しておいて、ああいう混乱した問題を横目でにらんでいるなんというのは、少くとも公務員法で言う人事官の職責を果しているとは思えない。人事院では一体今解決されようとしている目標はどの程度のものを有給休暇、もしくは日曜祭日についての給料の支給、あるいはまた一定の水準、給与法の二十二条に言う他の給与との均衡をはかって支給しなければならないという、その条件についてはどういう程度の明確な方針をお持ちなんですか。
  60. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) 私からあるいはお答えできない問題ではないかと思いますが……。
  61. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま千葉委員からの御質問の点でございまするが、非常勤問題につきましては、先ほど神田人事官から言葉が少し足りませんで、恩給局の問題が起ったから、それでこの問題を人事院考えるようになったというふうに印象があったと思うのでありますが、これは言葉が足らなかったのでありまして、非常勤の問題につきましては、かねて人事院におきましてもいろいろ研究をいたしておったのであります。ただ御承知のように、公務員法が最初できました当時におきましては、非常勤職員というようなものが、現在のように比較的長期にわたって勤務するというような、そういうことを想定していなかった状況がございます。その後いろいろな事情によりまして非常勤職員の常勤化と申しまするか、そういう事態が起ってきたわけでございます。これは昭和二十六年当時にさかのぼりまするが、現に人事院におきましては、そういう事態の一部に即応いたしますために、特に常勤職員というようなものを認めまして、これは定員内の職員、すなわち給与法の俸給表の適用職員と同様に処遇をするという処置もやって参ったのであります。今回、先ほど人事官から申し上げましたように、非常勤職員につきまして、それが長期にわたって継続勤務いたしております者について、労働基準法の三十九条に定める程度の有給休暇というような問題を考えて参りたいというので、すでに十分論議を尽しておるのでありまするけれども、なお若干問題も残しておりまして、ただいま最終結論を得るために努力しておる、このような状況でございまするので御承知願いたいと思います。
  62. 千葉信

    千葉信君 瀧本さんのお話を聞いていると筋が通ったように聞こえるけれども、しかし御答弁ではもっとはっきり、われわれもみんなもわかるように言葉をはっきりして答弁してもらわないと思想上の混乱が起る。今のお話は常勤労務者を主として対象とされてお話をされておられますが、御承知通り一般職の職員の中の職員と言えば、定員内の職員、常勤労務者、それから非常勤職員、常勤労務者の場合にはあなたのおっしゃる通り給与法の適用を受けておる、しかし最も数の多い非常勤職員については、これは給与法の第二十二条でしか律せられていない。おまけに一方では有給休暇はこれを認めない、こんな規則がある、ここに問題がある。ですからあなたの方で従来いろいろこの問題について無関心でなかったということはわかるし、それからかの恩給局の方で問題が起ったから私の方で検討を始めたのではないという御答弁も一応はわかる、わかるけれども、それならばお尋ねしたいことは、行政管理庁の方でも現在の常勤労務者、それから現在の非常勤職員は、これも発生当時の状態とは大いにその内容を異にしていて、そして定員内職員と全く変らない存在になってきている、いいですか、行政管理庁はこう言っているのですよ。その仕事の内容においてもその職員の能力においても、採用の条件は別でしょう、能力においても全く定員内の職員と変らない、実質上何ら変らない職員に変貌しつつある、仕事もそうです、こう言っているのです。そうすると、この問題は定員法に縛られているから非常に不利益な取扱いを受けている多数の公務員諸君の重大問題なんです。従ってその職員を定員内に入れるか入れないかは別として、人事院国家公務員法上の公務員の利益を守ってやらなければならぬという立場から、私は今ごろ恩給の問題が起ったからじゃない、その前から研究はしておると言っても、今日実際上まだ解決をみていない、この事実は人事院が何と強弁してみても人事院の怠慢と言わざるを得ない。もちろん一方には定員法をどうするか、定員内の定員をどうするかという問題もあるにはあるけれども、その過程の中心で不利益をこうむつている職員に対して、人事院が今ごろになって、まだその結論を出していないということになると、これは明らかに人事院の怠慢です、あなたたち気をつけなければいけない。これは給与局長の責任ではないかもしらぬけれども人事院としてはこんな格好では、行政管理庁や他の方にも責任はあるけれども、責任の一半は人事院が負わなければならない。ですからその意味で、一体人事院が最終的に検討を加えた結論はどの程度これらの職員を擁護したり、その具体的な内容については、休日給の問題はどうするか、身分の問題はどうするか、なおその退職手当て、失業保険法との関係もありますが、あなたの方の問題の二点ないし三点についても、どの程度に最終的な結論を出そうとしているか、御答弁を承わりたい。
  63. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 先ほどの神田人事官答弁と同様、この問題もまた引き延しているのではなかろうかというもし印象をお与えいたしましたならば、これはちょっと御訂正を願いたいので、この問題につきましても早急に結論を出したいと思って、今最終段階に到達いたしております。従いまして、その処置をいたしました上におきましては、国会におきましても十分御説明申し上げまして、人事院意向を御了解願いたいと思うのでございまするが、現在の段階におきまして、なお若干その点に問題がございまするので、ただいま直ちに人事院考えておりますことを、この場で全部御説明申し上げるということはなかなか困難であると思うのであります。まず給与法の第二十二条によりますと、職員の身分というものが、いわゆる定員法内の常勤職員、それから日々雇用の非常勤職員、二つしかないのであります。それでおっしゃるように、実態としては非常勤職員が事実上定員内の常勤職員と同様の勤務をしている、ある場合には能力においても何ら差等がないということは、これは部分的にはそういうことはあろうと思います。しかし現在の法体系のもとにおきましては、どういたしましても、その中間的なものを認めて行くということがなかなか困難な状況であります。法体系をこれは全然変えてものごとを考えるということでございませんと、なかなか困難でございます。しからは法体系をどういうふうに変えるのかという問題になって参りますると、これは先の当委員会におきまして行政管理庁の方から御答弁があったように、私どももその場で聞き合わしておりましたが、そういう者の処遇については、いわゆる定員内の職員と同様の処遇をするのが適当である者もいるわけでございます。従いまして、そういう問題につきましては、私は定員法の改正ということによる方が場合によっては適当であるということは言えるかも知れません。しかしながら、実態といたしましては、定員内の職員と同様の勤務はいたしておらないけれども、またその勤務状態なり、それからまた雇用の形式等が何も定員内の職員と同様に取り扱う必要はないのであるけれども、しかし日々雇用としてこれをやって行くのはいかにも不当であるという者も現に発生しているわけでございますので、そういうような問題におきましては、これは行政管理庁とも十分相談いたさなければならないのでございまするが、その法体系の改正につきましては、また申しわけになってはなはだ恐縮でございますが、なお若干の時日を許していただきまして、検討いたしたいと思っているのであります。ただ現在の人事院規則の範囲内でできることをやりたいということで、現在はその成案を得べく急いでいるという現状でございます。
  64. 千葉信

    千葉信君 いろいろ私にも意見はありますが、一応この際はあとの機会に譲ることにして、一体人事院の方では、この国会の会期中程度に人事院の専管所掌している、たとえば人事院限りでできること、人事院規則の改廃その他の問題等に対する結論を、この国会の会期中に出せるというお見通しですか。それともまたのんべんだらりと次の国会にやっと私どもはお目にかかるという、そういう格好ですか、その点はっきり御答弁いただきたい。
  65. 神田五雄

    政府委員神田五雄君) ただいまの御質問の点に関しては、今国会中に出すつもりであります。
  66. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑はございませんか。
  67. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 ただいま提案されている問題が恩給の問題でございますので、恩給の問題に集約して御質疑を願うのか、千葉君の今おっしゃったような工合に、ほかの問題までおやりになるのか一つはっきりしていただきまして、もし恩給の問題をおやり下さるというならば、資料がただいまいただいたばかりでございまして、比較してみる必要もあると思います。この席で、直ちに審議を続行できるか、できないかということは委員長の御判断でお願いいたしたいと思いまするが、一つ………。
  68. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  69. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
  70. 松原一彦

    ○松原一彦君 私はこの法案の最も重大な点は経費関係だと思うのです。軍人恩給そのものの本質的な問題もいろいろありますが、まずまつ先に考えなくちゃならぬのは経費関係であって、これが明らかになければ比較研究することができませんので、いわゆる民自案と称する法案の予算の本年度、明年度、平準度の計画をお聞きしたい。次に、山下案と称せられる社会党右派の案の同様の計画をお聞きいたしたい。本年度は四分の一の金額計算と思っておりますが、明年度はその四倍であるか、どうかはどうもわからないのです。それから衆講院における恩給法一部改正審議の際に出されましたる両社からの修正案というものも相当理由のあるもののように思われる、この案の予算あ計画をお聞きしまして、三つを比較してみることは、審議の上においてきわめて必要だと思うのですもでありますから、委員長は適当なる方法をもってそれぞれこの資料をばとっていただいて文書にして、一表にしてお見せいただきたいということの希望を申し上げておきます。
  71. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 松原委員に申し上げますが、委員長にその資料を集めろということでありますけれども、議員提案法律についてはそれぞれの提案者資料を求めますが、いま一つの案につきましては、委員長から正式に資料を責任を持って提出してもらいたいという権限を委員長に持っていないだろうと思います。でありますから、そういったものは専門員に連絡をして、可能な限り資料を集めるということで御了承願わないと困ると思うのですが。
  72. 松原一彦

    ○松原一彦君 それでけっこうです。りっぱな印刷物になったるところの修正案なるものが提案せられておって、私もそれを持っております。ただし従ってこの説明の中に、速記でも読めばわかるかと思いますが、予算計画、いわゆる経費の計画が必ずどこかにあると思いますので、しかるべき方法で衆議院の方の議録からでもお取り調べ下さいまして、専門員の方で適当に、資料が手に入らなければいたし方ありませんが、比較したものをば一つ見せていただきたいということをばお願い申し上げておきます。
  73. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 可能な限りさように取り計らいます。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時十一分散会