○
委員外議員(
山下義信君) お許しを得まして、私
どもの
提案いたしました、ただいま御
審議を願っておりまする
改正案と同様御
提出になりました民自党御
提案の
改正案との
相違点と申しますか、そういう点を
補足説明をさせていただきまして、御
審議をいただきたいと思います。
民自案の方におきましては、一万二千円
ベースになりましたこの点は
同一でございます。それで
仮定俸給の
号俸引き上げにつきまして、民自案におきましては、
尉官以下四
号俸を
引き上げられまして、
佐官は三号、将官は二号の
引き上げとなっております。ただし
尉官以下と申しましても、その中で
軍曹、
伍長だけは別の
扱いになっておられまして、四
号俸でなく三
号俸に押えておいでになるわけでございます。私の方の案といたしましては、
尉官以下四
号俸の
引き上げでございまして、
佐官以上は
号俸の
引き上げをいたしていないのでございます。
それからこの
ベース・
アップ及び
号俸引き上げの
実施につきまして、御
承知のとおり民自案は、明年六月までは半額の
支給、すなわち御
実施でございまして、明年の七月から全額の御
実施ということになっております。われわれの案といたしましては、本年の十月からこれを全額
実施するようなことでございまして、なお民自案におかれましては、この新らしい
法律の施行前に
給与の事由の生じました一時
恩給には遡及して御
適用にはならないのでございます。われわれの方といたしましては、一時
恩給にもこの
ベース・
アップその他の
改正を遡及
適用するというわけでございます。右が第一の
相違点でございます。
それから第二の
相違点といたしましては、
通算に関しまする件でございます。民自案におかれましては、旧
軍人並びに旧準
軍人、また旧軍属の
恩給の
基礎在職年になりまするこの計算につきましては、もうすでに御
承知のように、引き続いて一年以上、すなわち一年以上七年未満、この年数を
恩給の
基礎在職年に御算入になるのでございます。一年以上の年について
通算になるのでございます。しかしこの御
通算は一時
恩給には
影響しないことになっております。また御
通算になりましても、これは
普通恩給の
資格に達するまでお
取り上げになりまして、十一年あるいは十二年の
資格が生ずるところまでこの
通算をお
通り上げになって、それ以上は合計して十八年になろうと、十五年になろうと、それ以上は
影響のないことにお
扱いがなっておるわけでございます。われわれの案といたしましては、この
通算は一年以下でございましても、十一ヵ月従軍いたしておりましても、八カ月従軍いたしておりましても、全部ことごとく
取り上げて、
合計通算をして行こうという
考え方でございます。それからまた私
どもの方といたしましては、この
通算は
軍人だけでなくいたしまして、
一般公務員にもこの
通算をずっと
適用をして行こうという
考え方でございます。なお一時
恩給等につきましても、この
通算が
影響を及ぼしますれば、新たなる一時
恩給の
資格者が生じてくる。
つまり通算の
恩典というものをあまねくこうむらさせるということがわれわれの案でございます。
第三といたしましては、
加算に関します件でございますが、
高橋先生御
提案の民自案におきましては、
加算はお認めになっていないのでございます。われわれの方といたしましては、この
加算を一ヵ月につき一ヵ月の
割合で認めまして、これがすべての
恩給関係に及ぶようにいたしてございます。これは
通算を認めますということは、主として
召集軍人が
対象でございますので、この
通算をせっかく認めましても、
加算が除外されますというと、この
恩給の
恩典に浴しますることに若干の遺憾がございまするので、それで
最低の
加算を一ヵ月につき一ヵ月の
割合で認めるということにいたしましたのでございます。
第四点といたしましては、
公務扶助料の
年額でございますが、
年額の
最低額をきめたという点でございます。
高橋先生御
提案の民自案におきましては、この
最低額はやはり一番
最下級の者が一番低い
金額を受けるようになっておるわけであります。われわれの案といたしましては、
最低を三万八千三百五円と、こう押えまして、すなわち曹長の線を
最低にいたしまして、この
最低の
金額に達しない者は、みなこの三万八千三百五円まで
引き上げて
支給する。すなわち
軍曹、
伍長、
上等兵等も皆
引き上げて、これ以下の
最低は
支給しないということで、
最低額をきめました点でございます。
第五点といたしましては、
公務に基因して死亡したところの
立証責任を当局に負うていただく。従って
公務扶助料支給の範囲を、
ワクを拡大する、こういうことでございます。これは
高橋案もわれわれの案も
同一でございます。
それから第六点といたしまして、
自決者の遺族に対し
公務扶助料を
支給いたします件は、
高橋案もわれわれの案も
同一でございます。
それから第七点といたしましては、
戦犯等で
拘禁された
人たちの、その
拘禁の期間中を
恩給年限の中に加えるということが
高橋案にお
取り上げになっておられます。われわれの方といたしましては、事情は御同情申し上げますが、
戦犯の
拘禁ということが
公務であるか、どうであるかということは、
国内法におきましても、また
国際法におきましても
疑義があると存じまして、この
戦犯者の
拘禁中を
恩給年限の中に数えるということはいたしておりません。
それから第八点といたしましては、
戦犯第で
拘禁中に負傷または疾病にかかった場合のお
取扱いが
高橋案にお
取り上げになっておりますが、われわれの方にはただいま申し上げましたような趣旨でこの点は触れてございません。
それから一時
恩給を従来受けておりました者が、今度の
改正案で
年金の
恩給を受けることになりました場合の
金額の
差し引き等、こういう場合のお
取扱いの
やり方が
高橋案とわれわれとの案の相違しております点でございます。
最後に、
警察職員に関します
恩給の特例及び
行政機関職員定員法の
改正がこの
機会にお
取り上げになっておられるのでございますが、私
どもの方といたしましては、その点は触れていないのでございます。
両案の
相違点のおもなる点を申し上げて御
審議の御
参考に供したいと思います。