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政府委員(松尾金藏君) ただいま御指摘のございました今後の輸出の伸びについて通貨地域別にどういう目標があるかという
お話しであったと思いますが、これは非常にずっと先のことを今からその通貨地域別に厳密な見通し、計画ということは非常にむずかしいのでありますが、当面二十九
年度から本
年度に至りまする傾向を追ってみまして、通貨地域別にどういう
方面に
日本の輸出が伸びるだろうかという点になると思います。御
承知のように二十九
年度におきましては、米ドル地域にも輸出は御
承知のように大幅に伸びましたけれども、同時にあるいはそれ以上にポンド地域への輸出が非常に伸びたことは御
承知の
通りであります。御
承知のように二十八
年度の輸出が十二億何がしであったのに対しまして、二十九年、前
年度におきましてすでに十六億ドル、そこに三億何千万ドルという輸出の伸びを見たわけであります。本
年度の計画といたしましても、さらにその上に五千万ドルの輸出の伸びを計画として見込んでおるわけであります。今
年度におきましての大体の傾向といたしましては、前
年度に比べまして、オープン・アカウント地域に対する輸出の伸びは、御
承知のように地域別に見て参りますと、かなり困難な問題があるようであります。御
承知のように、たとえばインドネシア地域のような所におきまして、
日本の輸出は伸びることは伸びまするが、オープン・アカウント勘定の
関係で焦げつきになり、これに対してある程度の制約が出て参るような地域があるわけでありまするし、あるいは地域によりましては、向うの手持外貨の
関係で、やはり向うの方で輸入制限をせざるを得ないような地域等もございまして、いわゆるオープン・アカウント地域に対する輸出の伸びは、前
年度に比べまして本
年度は落ちるでありましょうし、今後オープン・アカウンと地域という制度そのものに対しても、将来の問題としてかなり問題があるであろうというふうに
考えております。ドル地域に対しましては前
年度も伸びましたけれども、本
年度はやはり引き続き輸出の伸びは、ある程度あるいは相当の期待ができるように
考えております。御
承知のようにガット加入による効果がもちろんあるでありましょうし、かりにそれのみでなくして、全体にドル地域に対して
日本の物資、あるいは雑貨、あるいは食料品というようなもものを中心に、前
年度に引き続き米ドル地域に対する輸出の伸びは期待できると思います。あとスターリング地域に対する問題でありますが、これは御
承知のように、現在ポンド地域に対する協定の今
交渉中であります。これに対する
関係は多大の影響を見ると思いますけれども、しかし最近本
年度に入りましてからのポンド地域に対する輸出の伸びの傾向を見ましても、本
年度やはりポンド地域に対しても相当程度の輸出の期待はできるというふうに考ておりまするし、三十
年度、三十一
年度にも、引き続きましてこれらの地域に対する輸出
努力によっての伸張ができるというふうに
考え、期待をいたしておるわけであります。もっとも先ほど政務次官から御
説明がありましたように、こういういわゆる通貨地域別の問題は、ずっと長い将来のことを
考えてみますと、現状ですぐに判断することは必ずしも適当でないのではないかと思われるのであります。現在のいわゆる双務協定によるオープン・アカウント地域に対する制度は、長い目で見れば相当の変化を加えらるべきでありましょうし、ポンドの地域あるいは全体に世界通貨が自由交換の方向に向って行くということを
考えますと、ただいま申しましたような通貨地域別の見込みがそのまま長い将来に向って伸びて行くというふうに……伸ばして
考えるというわけには必ずしもいかないと思いますが、全体として二十八
年度から九
年度に、御
承知のような非常な輸出の躍進を見、二十九
年度から三十
年度に対して五千万ドルの輸出のさらに伸びることを期待いたしたのでありますが、この計数も最近の実績と比較してみますと、かなり固い数字であるように私どもも感じております。そういう見地から申しまして、二十八
年度に比べれば、非常に大きな輸出の伸びになりますが、二十九
年度、三十
年度の現在までの実績に照らしてみましても、現在三十一
年度以降の目標も、決して無理な傾向値ではないように
考えておるような次第であります。