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1955-07-08 第22回国会 参議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月八日(金曜日)    午後一時四十六分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            宮田 重文君            木下 源吾君            松原 一彦君    委員            井上 知治君            植竹 春彦君            木村篤太郎君            上林 忠次君            野本 品吉君            加瀬  完君            千葉  信君            松本治一郎君            田畑 金光君            松浦 清一君            小柳 牧衛君            堀  眞琴君   委員外議員            山下 義信君   衆議院議員            高橋  等君   国務大臣    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    経済審議政務次    官       田中 龍夫君    経済審議庁総務    部長      酒井 俊彦君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       川島 孝彦君   説明員    会計検査院事務    総局事務総長  池田  直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○恩給法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案山下義信君外三  名発議) ○日本国との平和条約効力発生及  び日本国アメリカ合衆国との間の  安全保障条約第三条に基く行政協定  の実施等に伴い国家公務員法等の一  部を改正する等の法律の一部を改正  する法律案千葉信君外六名発議) ○恩給法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案衆議院送付、予  備審査) ○会計検査院法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○参考人の出頭に関する件 ○経済審議庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(参第一二号)を議題といたしまして、提案者参議院議員山下義信君から提案理由説明を聴取したいと思います。
  3. 山下義信

    委員外議員山下義信君) ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  御承知の通り占領下における昭和二十年十一月連合国最高司令官から発せられました覚書に基きまして、旧軍人軍属及びその遺族に対する恩給は、そのごく一部を除いて廃止されていたのでありますが、わが国独立後、従来一般公務員及びその遺族恩給法上全く同じに扱われておりましたこれら旧軍人軍属及びその遺族恩給廃止または制限の状態に放置いたしますことは妥当でないとして、昭和二十八年八月、法律第百五十五号をもちまして、いわゆる軍人恩給復活が行われたのでございます。しかしながら、この復活措置も、当時の国家財政上の制約から完全には行われず、なお一般公務員と比較いたしまして不利な取扱いがなされておるのが現状でございます。これら旧軍人軍属及び遺族の大部分の者は、戦争責任者と申しますよりはむしろ逆に戦争犠牲者であり、また、たとえ戦争責任の一部をになうべき者でありましても、その責任は別個に追及すべきでありまして、恩給制度がわれわれの理想といたしております総合的、統一的社会保障制度の樹立への一環をなすものであると考えるときにおきましては、これらの者に対する恩給法上の取扱い一般公務員と差別する理由は何ら見出せないと言わなければなりません。  右のような趣旨から、現下の国家財政を考慮しながら、別個提案いたしました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案と一体をなしつつ、社会保障の実をあげるため、旧軍人軍属及び遺族に対する恩給上の取扱い一般公務員のそれに近づけ、かつ一部戦争犠牲者に対する救済の手を差し伸べようとするのが、この法律案提案いたしました理由であります。  次に、その改正内容を簡単に御説明申し上げます。まず第一に、恩給金額計算基礎となります仮定俸給年額でありますが、現在一般公務員につきましては、これが一万二千円ベースで算出されておるのに対し、旧軍人及び旧準軍人につきましては一万円ベースで算出されておるのであります。また法律第百五十五号によって軍人恩給復活いたします際の国家財政都合から、旧軍人仮定俸給年額一般公務員より四号引き下げて定められておるのであります。この旧軍人俸給年額を一万二千円ベースに引き上げるとともに、尉官以下の号俸を四号ずつ引き上げようとするのが改正の第一点であります。  次に、現行法によりますれば、旧軍人軍属としての在職年は、特別の場合を除きまして「引き続く七年以上の実在職年」でなければ恩給基礎在職年に算入されず、また加算年既裁定のものを除き全然認められないこととなっておるのであります。このため数年を区切って何回も召集を受けた応召軍人等は何ら恩給の恩典に浴さないという不合理が生じておるのが現状であります。そこで旧勅令第六十八号第二条第二項のいわゆる戦地加算につきましては、文官たると軍人たるとを問わず一ヵ月につき一ヵ月の割合でこれを認めることとし、また引き続く実在職年に限らず、通算加算して合計七年以上旧軍人軍属としての在職年があれば、これを恩給基礎在職年に算入しようとするのが改正の第二点であります。  次に、公務によって死亡した旧軍人または旧準軍人遺族に給せられる公務扶助料年額は、特にこれらの遺族生活事情にかんがみ、最低額を三万八千三百五円に定めようとするのが改正の第三点であります。  次に、今次終戦に関連する非常事態に当って、旧軍人、準軍人または旧軍属たる特別の事情に関連して死亡した者、特に自決した者でその死亡公務傷病により死亡した者と同祝すべきものとして弔慰金を給されることとなる者については、公務扶助料年額に相当する金額扶助料を給しようとするのが改正の第四点であります。  その他この法律案の表面には出ておりませんが、別個提案いたしました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案によりまして、軍人軍属戦地における在職期間内に負傷し、または疾病にかかり、その後死亡した場合において、その負傷または疾病公務以外の事由によったことが明らかでないときは、公務上食傷しまたは疾病にかかったものとみなして、その遺族弔慰金を給することといたしましたので、これらの者にも恩給法による公務扶助料が給されることとなるのであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容概略であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 本案審議は次の委員会に譲りたいと思います。     —————————————
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、参議院議員千葉信君ほか六名の提案にかかるものであります。発議者千葉信君から提案理由説明を聞きたいと思います。
  6. 千葉信

    千葉信君 ただいま議題となりました日本国との平和条約効力発生及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十七年四月、日本国との平和条約効力発生に伴い、連合国軍労務者身分が切りかえられて国家公務員からはずされ、その後は日米安全保障条約に基く駐留軍のための労務者は国によって間接雇用され、英連邦軍のための労務者は軍に直接雇用されておりましたが、昨年、国連軍協定及び日米相互防衛援助協定の締結並びに調達庁設置法等の一部改正により、国連軍及び軍事援助顧問団のための労務者も、従来の米駐留軍のための労務者と同じく、国によって間接雇用されることになり、すべてこれらの者の給与その他の勤務条件は、生計費並びに国家公務員及び民間事業従業員給与その他の勤務条件を考慮して調達庁長官が定め、その労務費は軍が負担することになっております。ところで、駐留軍等労務者は、終戦以来、言語、風俗、習慣を異にする外国軍隊に使用され、しばしば軍の都合により解雇を受ける等、身分の不安定な労働環境のもとに、国に課せられた労務提供の責務を果すため協力しており、特に駐留軍等の配備の変更または撤退その他国の内外の客観情勢に基き、大幅の人員整理を余儀なくされつつありますが、常にこれらの労務者給与等を定める基準とされている国家公務員につきましては、整理退職の場合の退職手当につき、支給率昭和二十三年以降しばしば改正されてほぼ三分の一増加をみているほか、最低保障規定も設けられ、また一昨年の秋以来、特別待命、ついで臨時待命制度が考慮されておりますのに対し、駐留軍等労務者整理退職手当支給率昭和二十三年以降据え置かれているのであります。従いまして、この際駐留軍等労務者が、人員整理等自己の責に帰すべき事由以外の事由により、その意に反して退職する場合は、国家公務員整理退職の場合との均衡上、少くとも現行支給率の三分の一増の退職手当を保障し、もってこれらの者の身分の不安定を多少とも救済しようとするのが、この法律案を提出いたした理由でございます。  何とぞ御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。
  7. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 本法律案につきましての審議は後日に譲ることにいたします。  速記をとめて……。   〔速記中止
  8. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  次に、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(衆第二八号)を議題といたします。  本案は、衆議院議員高橋等君ほか百十一名の提案にかかるものであります。衆議院議員高橋等君から提案理由説明を聴取いたします。
  9. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  本案は、自民両党の共同提案にかかるものであります。戦没者遺家族戦傷病者、老齢旧軍人人々は、今次戦争犠牲者中、最も気の毒な方々であります。国家が英霊の祭をおごそかにいたし、遺家族をはじめ、これらの人々の処遇を厚くすることは、平和国家道義国家建設発展重大要件であることは申すまでもありません。従って、わが国独立とともに弔慰金及び遺族年金支給をなし、引き続いて恩給復活を実現し、予算総額の八%強にあたる金額をこれに充てておるのであります。しかも、なおこれらの人々恩給給与は、一般文官に比較して、はなはだしく均衡を失しておる現状であることを遺憾といたします。国民の間に不平等があり、ことに戦争に当り国民にかわって犠牲となった人々が、終戦後十年に及ぶ今日まで、一般国民と不当な差別待遇を受けておるという事実を十分認識するときは、温情と誠意をもって事の解決をはかることが民主主義の鉄則であることは申すまでもありません。  以上の見地に立ちまして、国家財政の現況を勘案しつつ、先般来自民両党によって予算等の修正をなし、ここに文官との不均衡是正を中心として、その他必要なる改正を加えて本改正法案を上程いたした次第であります。  この法律案におきまして、改正を加えようとするおもなる点につき御説明申し上げます。その第一点は、旧軍人及び旧準軍人並びにこれらの人々遺族恩給年額増額に関するものであります。これらの人々恩給金額計算基礎となる仮定俸給年額は、現在、軍人恩給廃止前に退職しまたは死亡した一般公務員もしくはその遺族のそれに比べて少く、従ってその恩給支給水準も低くなっておりますので、一般公務員との間のかような違いをなくするため、旧軍人及び旧準軍人並びにこれらの人々遺族の受ける恩給金額計算基礎となっている仮定俸給年額を、いわゆる一万二千円ベース支給水準に引き上げ、かつ号俸についても、上に薄く下に厚くする精神をもって一般文官との調整をはかり、原則として四号俸、一部のものについて三号俸または二号俸を引き上げ、その恩給金額一般公務員及びその遺族恩給支給水準の程度まで増額いたそうとするものであります。ところで、その実施につきましては、国家財政に及ぼす影響を緩和する目的をもって、本年十月分から昭和三十一年六月分までの間の恩給については、現行恩給金額にこの改正による増額分の五割に相当する金額を加えたものを給することとし、昭和三十一年七月分からこの改正通り金額を給することといたそうとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則別表第一の改正規定並びに附則第一項及び附則第七項から第十項までの規定がこれに関するものであります。  第二の点は、旧軍人、旧準軍人及び旧軍属恩給基礎在職年に引き続く一年以上七年未満の実在職年通算することに関するものであります。現行法におきましては、これらの人々在職年は、軍人恩給廃止前に裁定された恩給基礎在職年に算入されていたものを除き、引き続く七年以上の実在職年限り恩給基礎在職年に算入されることになっておりますため、二年、三年、四年というふうに何回も応召し、前後を合わしますと、普通恩給についての所要最短在職年数に達するのに、年金たる恩給を給せられない場合も少くありませんので、少くとも最短在職年数に応ずる年金たる恩給を給する道を開く趣旨をもちまして、旧軍人、旧準軍人または旧軍属恩給につきましては、一年以上七年未満在職年をもその恩給基礎在職年通算することといたそうとするものであります。しかし、国原財政現状にかんがみ、現行法によって普通恩給を受ける権利を取得できる人々及びその遺族につきましては、この通算措置をしないこととし、また、この措置により恩給基礎在職年が、旧軍人、旧準軍人又は旧軍属普通恩給についての所要最短在職年数をこえることとなる場合には、これを最短在職年数で押えることとし、この措置により、新たに普通恩給または扶助料を給せられることとなる人々が、すでに一時恩給または一時扶助料を給せられていた場合におきましては、重複給与になることを避ける趣旨をもちまして、その金額普通恩給または扶助料年額から控除する等、相当の調節をはかろうとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則第二十四条の二、附則第一項、第三項及び第四項の規定がこれに関するものであります。  第三の点は、いわゆる戦犯者として拘禁された人々拘禁中の期間及び傷病に関する恩給法上の取扱いに関するものであります。ソ連、中共に抑留されているいわゆる戦犯中、旧軍人軍属であった未復員者その他については、恩給法上未帰還公務員という制度を設け、抑留中の期間恩給在職期間通算されております。よって連合国最高司令官により抑留または逮捕せられ有罪の刑に処せられ拘禁された公務員であって、在職中の職務に関連して拘禁された者についても、恩給法上布に準じて取り扱い、その人々公務員としての在職年計算するに当っては、当該公務員普通恩給についての所要最短在職年限に達するまでを限度として、拘禁中の期間を加えることとし、この措置により、初めて普通恩給または扶助料を給せられることとなる者につきましては、第二の点で申し上げましたと同じ趣旨により、一時恩給または一時扶助料を給せられた場合におきましては、その金額年金恩給との調節をはかることとして、また、拘禁されている間に自己の責に帰することのできない事由によって傷痍を受けまたは疾病にかかった公務員につきましては、これらの者の拘禁されるに至った事情等にかんがみ、裁定庁在職中に公務のため傷痍を受けまたは疾病にかかった場合と同視するを相当と認めたときは、その人々またはその遺族に対し、いわゆる公務傷病恩給または公務扶助料と同額の恩給を給しようとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則第二十四条の三、第二十九条の二、附則第一項及び附則第三項から第五項までの規定がこれに関するものであります。  第四の点は、別途国会に提出されております戦傷病者戦没者遺族等援護法改正法律案におきまして、いわゆる公務死の範囲が拡張せられておることになりましたので、これに伴う公務扶助料に関する規定改正であります。別途国会に提出されております右援護法改正法律案におきましては、戦地において負傷し、または疾病にかかり死亡したものであって、援護審査会の議決により公務上負傷し、または疾病にかかったものとみなされるものについては、その遺族遺族年金または弔慰金を給せられることとなっておりますので、これらの措置に対しては、恩給法においても公務扶助料を給するよう措置しようとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則第三十五条の二の改正規定並びに附則第一項、第二項及び第三項の規定がこれに関するものであります。  第五の点は、今次の終戦に関連する非常事態におきましては、いわゆる責任自殺をした者の遺族に給する扶助料特例に関するものであります。前述の援護法改正法律案におきましては、今次の終戦に関連する非常事態に当って、いわゆる責任自殺をした旧軍人、旧準軍人または旧軍属につきまして、その死亡公務による傷病によるものと同視すべきものと援護審査会において議決された場合には、これらの者の遺族遺族年金及び弔慰金支給することになっておりますので、これに対応いたしまして、これらの者の遺族に対し、昭和二十八年四月分から、公務扶助料年額に相当する金額扶助料を給することといたそうとするものであります。昭和二十八年法律第百五十五号附則第三十五条の三、附則第一項、第四項及び第六項の規定がこれに関するものであります。  第六の点は、新警察法の施行に伴い、自治体警察職員から新警察法のもとにおける警察職員となった者等恩給特例に関するものであります。昨年、警察法改正によりまして、自治体警察職員であった者が引き続き新制度の警察庁もしくは都道府県警察職員となった場合、五大市警察職員五大市警察廃止に伴い新制度府県警察職員となった場合及び新制度地方公務員たる警察職員国家公務員たる警察職員となった場合におきまして、身分切りかえ前の俸給身分切りかえ後の俸給とを比較いたしますと、後の俸給は必ずしも前の俸給よりも多額となっておらない場合もあり、従いまして、身分切りかえ後退職して受ける恩給がかえって身分切りかえの際退職して受ける恩給よりも少くなるという結果が生じますので、身分切りかえ後に退職した者について、恩給的に不利な取扱いを受けることのないように措置をいたそうとするものであります。附則第一項及び第十一項の規定がこれに関するものであります。  第七点は、昭和二十三年三月の自治体警察設置前の警視庁または道府県警察部吏員としての在職期間通算に関するものであります。昭和二十三年三月に自治体警察が設けられたのでありますが、その際、警視庁または道府県警察部に勤務していた吏員が、自治体警察設置に伴い、引き続きその職員となりさらに引き続き新警察制度のもとにおける警察職員となった場合におきましては、現行法ではこの自治体警察設置前の警視庁または道府県警察部に勤務する吏員としての在職期間恩給法上の公務員としての在職年通算されることになっておりませんので、この期間について都道府県の退隠料に関する条例の規定による退職給付を受けた場合は別としまして、この期間恩給法上の公務員としての在職年通算することといたそうとするものであります。附則第一項及び第十二項の規定がこれに関するものであります。  なお、以上のほか、総理府恩給局の旧軍人恩給事務処理要員二十名増員のため、行政機関職員定員法の一部を改正することとし、その他以上の法律改正に伴う字句整理をいたそうとするものでありまして、附則第十三項及び第十四項の規定並びに昭和二十八年法律第百五十五号附則第二十六条、第二十九条及び別表第二から第五までの改正規定がこれに関するものであります。  以上が、この法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  10. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 本案についての審議は次の委員会に譲りたいと存じます。  先ほど山下議員提案恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及びただいまの高橋議員提案恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、もし資料要求等がございますれば、なるべく早く委員長までお申し出を願いたいと思います。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  11. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。次に、会計検査院法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は順次御質疑を願います。
  12. 上林忠次

    上林忠次君 今回の会計検査院法改正中、前回から問題になっております局長事務官をもって充てるという問題でありますが、昔の立法にはこういうふうなものが多かったので、法科万能事務屋万能という時代が長い間続いて来たのであります。技術屋技術以外に何もできないというような頭で、いつも縁の下の力持ちをしている、適当な地位も与えられない。これが日本の産業の発達、行政円滑化とか、かようなことに大きな従来支障を及ぼして来ている。皆も満足して働かない。内輪でいがみ合っている。どこの官庁に行きましても、事務屋技術屋がいがみ合っている。そして仕事のお互いに進行を、阻害しているというような状態であったのでありますが、最近はそういうような状況はすっかりなくなった。しかも今回の検査院拡充人員拡充仕事拡充というような点を見ておりますと、主として建設省あるいは農林省関係技術関係の国の補助をもって行う工事の跡始末の問題であります。かような問題は特に技術家を必要とする仕事でありまして、検査院のメンバーの大部分事務屋でありますが、事務屋といっても純粋の事務屋ではない、技術も心得ている。それでこそ検査院仕事はうまく行くのではないか。そういうような検査院の性格から考えて、ただ法律を知っているからといって、これを優遇するのだというような状態がまた続けられようとしているのは、これは時代錯誤じゃないかと私は考える。戦争中に日本軍隊がああいうようなみじめな負け方をしたのも、軍が分れている、陸海空が分れていたからである。またその中で技術が特にうとんじられていたというような点が大きな日本のあの失敗の原因であるというときに、技術屋をますます優遇して十分働かさなければいけないというようなときに、かようなまだ昔の、明治時代のような事務屋万能の、事務屋だけが国家行政機関のいい地位を占めておるというようなことはあるべからざることじゃないか。私はこの中に今の、局長事務官をもって充てるというこの点の不合理な点は先ほどから指摘するようでありますが、そのほかにも技官技術をつかさどるということが書いてある。実際技術だけで、事務屋ができない分を、この技術屋でなくちゃできない点は技術屋にまかしておく、技術屋でもかような検査院仕事のようなものは、どうしても法文を適用してやる仕事でありまして、技術屋技術だけでいいということでは、ほんとうの会計検査院技術官としての仕事はできない。おそらく内輪ではどういう工合にしておられるか知りませんが、技術屋技官も兼事務官として事務官仕事にもタッチできるのだ、さようなことにしないと、せっかく増員しても、技術官もうんと増員になるのじゃないかと思いますが、技術官が十分動けない。技術屋は下で縁の下の力持ちをし、法律を適用する仕事になると、これはお前らは適用ができまい。これは技術屋仕事ではない。事務屋でなければできないんだ。かような考えで、増員ができるということになりますと、ほんとうに技術屋検査院における実のある仕事はできないのじゃないか。私は検査院の態度として、今後は技官も兼事務官にして一貫した仕事ができるということにしてもらいたい、かような気持を持っておりますが、いかにお考えになっておられますか。
  13. 池田直

    説明員(池田直君) ただいま上林さんの御意見の御趣旨、大へんごもっともに、私どももさように考えております。決して古い時代の、いわゆる法科万能的な考え、これは毛頭ございません。むしろ会計検査院は戦後、特に昨今進んでただいまのような御意見を一番よく実行しているという役所だと私ども信じて疑わない次第でございます。現に二十有余名の技術の出身の職員を有しておりますが、大部分はこれを事務官として使っております。初め技官として技術の専門的な判定ですか、研究、調査、そうした面をやらしておりましても、結局会計検査事務というものが会計検査院としては一番大事でございますので、まあただいまの御趣旨のように、技官事務官、また事務官ということで課長にし、局長にし、現在ある省の土木出の、最高の学府を出た技術の専門の人も事務官として採用してやっておる、そういうふうな状況でございまするので、その点は十分御了承願えることと思っております。
  14. 上林忠次

    上林忠次君 従来も検査院では、技官で事務もたんのうだという人は名前を変えてまで局長にしている、技官の名前では局長になれないので、事務官に名前を変えてさようなこともやっておられる実情でありますけれども、そんな差をどうしてつけなければならないのか。この原案にあるように事務官でなければいかぬのだと、事務的にたんのうな技量を持っている人も事務官の名前をつけないと局長になれない。今回の改正の原案がそういうふうになっておるのでありますが、先ほどの話では、やはりこのままで通してもらいたいという御意向のようでありますが、なぜそういうことをしなければならないか、技術屋でも事務屋でも適任者があったらやったらいいじゃないか、そこでなぜ事務官でなければ局長になれないという項目があるのか、これを強調されるのか、そのあたりを一つ御答弁願います。
  15. 池田直

    説明員(池田直君) 技官事務官もどちらも会計検査院仕事の目的達成上非常に同様に必要であるという趣旨はおわかりでございますが、依然としてなぜ事務官の方に、事務官をもって局長に充てるという点をあくまで固執するかという御意見ごもっともでございます。これは毎々会計検査院の方から御説明申し上げた通り、もちろん技術の関係が非常に会計検査院の検査の部面に重い割合を占めておりますることは御指摘の通りでございます。ただ技術だけにとどまらず、やはり予算、会計法規その他の関係に照らしまして、最終的な処理判断はやはりこれは会計検査の部面では事務的な部面ではなかろうかと、こういうことが古いという考えであればそれまででありますが、そういうふうに事務官技官の区別がかりにあれば、やはり事務官としてやるような仕事の範囲に属するのじゃなかろうか、そうして現在は事務官技官の任用の関係は毎々申し上げました通りに、技官の人でもいつでも事務官に任用できるような取扱いになっておりまするし、その趣旨によって私どもも最近技官の優秀な人を重用するような方針で現に実行いたして参っておりまするので、一方公務員の職階制の実施が現在ペンディングになっておりますが、やがては職階制の実施もみることでありますし、その暁には事務官技官のこうした関係の制度がなくなりますので、現行通りで、ただいまの御趣旨は十二分に私どものやっておることでありますから、しばらくこのままの形で進んでも支障ないではないかという考え方でやっておる次第でございます。特になぜ固執するかという御意見がありましても、これ以上御説明申し上げるだけの理由はありません。
  16. 上林忠次

    上林忠次君 ただいまのお話では、最後の決定は事務的な問題が多いから、事務官が主になって処理をして決定するというのは適当じゃないかというお話でありますけれども、事務官のできないところは技術屋を使う、技術屋のできないところは、これは事務官でなければできないから、お前らその席にはすわらさぬというようなことになっているのでありますが、技術屋が上になって、技術屋の足りないところを下に事務屋を使うということもやったらいいのであります。現在事務屋が上の責任を持って、これの足らざるところを技術屋を置いている、それと同じように、技術屋が足りなかったら足りないところは事務屋を下に置いてこれを使う、どっちでもいいわけじゃないか。これが昔からの事務屋偏重、法科万能のまだ余韻が池田さんの頭にこびりついていると思いますが、今の職階制の問題にしましても、技術屋は上へ上れない、いつも下積みになっている。これは数字ではっきりわかっているのであります。さような職階制の点は別にしましても、とにかく一人で何でもできるのが会計検査院として一番重宝な人間でありますけれども、やはり長い間の訓練の結果、技術の方も得意だし、また事務の方も得意だという人もあるのでありますが、お互いにこれは補足しながらやって行くならば、どっちが欠点であろうと、事務官であろうと、技術屋であろうと、そんな差をつける必要はない。それから今の検査の状況は私もこれは専門じゃありませんので、もちろん知りませんけれども、国の経費をもってやる工事に対して、検査院としてはどの辺まで検査されるのか、検査規定によって、法文に照らして計画通りに、たとえば農林省でやった計画、あるいは建設省でやった計画、その計画通りに工事な施行しているかどうかということだけを検査されるのか、そのもともとの計画自身もこれは不当だと訂正してやるというようなところまで検査院は行っておられるのか、その辺ほどうなっておりますか。
  17. 池田直

    説明員(池田直君) 技術の面にわたる検査になると思いますが、たとえば工事の施行の検査をいたします場合、まず第一には設計通り行われているかどうか、仕様通り工事が完全に施行されているかどうか、これをまず第一番に見ます。それから設計がはなはだしく不当であるように考えられる場合でございますが、こういうような場合には、会計検査院の多くの者は、これは先ほど御指摘の通り事務屋でございまするので、その判断には非常に適当でないものが多うございます。従いまして、専門の技術の方の鑑定の意見を十二分に聞くことにしております。たまたま会計検査院にも、御指摘がありました通りに、各分野の技術の人を相当戦後は採用しておりますので、大部分はそうした方の意見、判定によりまして、設計がはなはだしく不当であったかどうかということまで一応検討を加えております。そうして、いかにも設計その他でずさんであった、怠慢であった、過失であったという場合は、進んで検査報告にも掲げることにいたしております。まあ多少設計当時はよくできてているが、設計自身がどうもどこか悪かったというような場合は、検査報告に掲げることはあまりしないことに大体いたしております。大体そういうふうに検査の面はなっております。
  18. 上林忠次

    上林忠次君 大体設計なんかというのは、農林省、建設省との関係で言いますと、農林省、建設省で設計したやつを地方に流すと言いますか、そこまで設計がどうかというところまでいきますと、これは農林省、建設省のあの関係の部門をみな会計検査院に引っ込まないとできないような仕事でありまして、私は現在の検査院技術ではとてもそんなことができないのじゃないか、私は行き過ぎじゃないか、これは経済審議庁あたりでやる仕事で、検査院は計画によってその通り施行しておるかどうかというのを見るのが検査院仕事だと思いますが、検査院がほんとうにたんのうな技術者をうんと養成して、そういうふうにほんとうの審査ができるならいいのでありますが、今のメンバーで、特に先ほど池田さんのお考えのような技術者はあんまり尊重しておらぬというような現在の検査院のやり方で行きますと、また今の検査院の陣容から行きますと、とてもそういうところまで行けば行き過ぎじゃないかと考えます。そこらは私も検査院がそこまで行っていいのかどうかわかりませんが、どういうお考えになりますか。
  19. 池田直

    説明員(池田直君) 実際の問題といたしまして、ただいま御指摘の通り会計検査院技術の優秀な職員がそうたくさんおりませんので、設計の適当であったかどうかの問題にまで進んで入ることは、まあ実際の面といたしましては非常に少いことになっております。ただ会計検査院は、農林省の面なら農林省の面で申しますと、全国見ておりますので同じ大体型にはまりまする工事、ことに災害復旧等の工事は比較的簡単といえば語弊がありますけれども、そう非常に高度の技術を要するような工事はそうたくさんございません。従いまして、全国のいろいろなケースを見ておりますと、事務屋でも長い間には半分技術屋みたいなふうになってしまいます。従いまして、設計等の面も非常に悪いような場合は、ついやはり目にすぐとまるというふうなことになりますし、そうした関係で大体技術の面では普通の場合の実行をやっております。それから非常に珍しい、また高度の技術を要する面は、これは実際問題としては会計検査院はよほど専門家の鑑定、判定を請わなければ処理は事実上困難というふうになっております。実際の面はそうでございますが、理論の面はどうかということになりますと、会計検査院が検査の結果、法令なり行政なりの改善を要する事項がありますれば、主務官庁に対しまして意見を表示することができることに法律の建前からなっておりますので、検査の結果、設計その他の関係が非常に悪い例が多くて、制度なり法令等、どうしても技術の面に関して改善を促す必要があるような場合は、これは会計検査院も院法の基くところによりまして改善意見の表示ができる、行政なり法令の改善を促すことができると、こういうふうに考えておりますので、技術の面は全然会計検査院はタッチしてはならないと私どもそこまで狭くは考えておりません。
  20. 上林忠次

    上林忠次君 昔は内務省の連中とか、いろいろな相当技術の権威者が嘱託ですか、顧問ですか、嘱託になっておりまして、検査院の嘱託あるいは兼務になっておりました。さようなことで技術的な審議も相当身のある審査ができたのでありますけれども、今のところ技術者も少いし、若手ばかりということになりますと、とてもそこまで入れない、そうすると、今検査院機構の拡充の主目的であります汚職工事関係のああいうような検査は十分できないのじゃないか、もう少し優秀な、現在の人が特に優秀でないというわけではありませんが、各方面の大家を集めて検査院がほんとうの工事の実質的な検討をして行くというところまで行かなければ検査院の値打がないじゃないか、今のメンバーでその計画通りの、設計通り仕事ができておるかという点にとどまらず、設計自身まで口を入れようというのは無理じゃないかと私は考えます。その点についてはどうお考えになりますか。
  21. 池田直

    説明員(池田直君) 御意見の通り、現在の職員をもってしては技術の面まで検査の面をタッチさせるということはこれは無理だと考えております。ただ建前といたしまして、事務官技官、現在の要員をもってして、今までに訓練を重ねました経験によりまして検査をいたしました場合に、技術の面にかなりこれはどうかという意見なり疑念なりを持つ場合がしばしばあります。そういうような場合に、会計検査院技術のその筋の権威の人にしばしば鑑定を請い、判定をしていただく、そうしてそれによって検査の結果の処理をする、まあこういうふうな運用ができる建前になっております。昔は、昔はと言いましても終戦前の話でございまするが、技術顧問というものを置いておりました。これは土木、機械、電気、冶金、そうした関係の国内における最高権威の人をそれぞれ顧問として嘱託いたして活用しでいたよう状態でございました。現在でもそうした気持を持っております。なお今度の要員の充足につきましては、できるだけ技術の方の優秀な人を採用したいということは考えております。しかし、はなはだ残念ながら、やはり会計検査院の職務の性質上、りっぱな技術者を戦後採用することができるようになりましても、なかなかいい技術者が採用できないといううらみを持っております。
  22. 上林忠次

    上林忠次君 技術者のいいのをとろうとしたのですが、技術者の待遇から考えてもらわないととれない。検査院に行ってもこれはもう機械同然に扱われる、人間としての、検査員としてのレギュラーのメンバーに入れられない、技術者はほんとうの技術だけしかタッチできないというようなことが一つの大きな原因であります。検査院にいいのが行かないという原因であります。最後に、一言先ほどお願いしましたことをもう一度繰り返しますが、技術屋を兼事務官にする、名前を技官事務官に分けておりましても、しかも技術仕事技術本位にきめておるならば、技術屋会計検査院としての本来の仕事をし得るように兼事務官にする。そんなことをしないと、せっかく幾ら人間を増しても、そういうようなへんぱな片寄った考えで技術屋を扱うておられるようじゃ、人の能力を十分生かして使うわけにいかぬ。両方やれることにして、ますます会計検査院の事務の強化をはかっていただきたいと考えておるのであります。一言最後にそれを申し述べましてお願い申し上げておきます。
  23. 池田直

    説明員(池田直君) 御趣旨は十二分に拝しまして、検査院の能率の向上をはかりたいと、こう考えております。
  24. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑もございませんければ、以上をもって本案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見がありますれば討論中にお述べを願います。
  26. 千葉信

    千葉信君 私は各会派を代表して、次に朗読する修正案を提案して、その修正の部分を除く原案に賛成をいたします。  まず修正案を朗読いたします。    会計検査院法の一部を改正する法律案に対する修正案   会計検査院法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第十六条の改正規定中第十六条第一項を次のように改める。    各局に、局長を置く。  以上、今回の政府の原案によりますと、第十八条の改正に当りましては「技官は、上官の指揮を受け、技術に従事する。」と、かようになっております。従来技官は「各局課に分属し、」とありましたのを、「各局課に分属し、」を除いたわけでありまするから、従いまして、この改正によりまして、従来各局課に分属するだけにとどまって課長になることに制約を与えられておりました条件が、この改正によって解除されるわけでございます。この意味では、従来とって参りました会計検査院の人事に関する方針につきましては、一応進歩と認められるのでありまするが、しかし同時に第十六条におきましては、「局の長は局長とし、事務官をもって、これに充てる。」という条文は、せっかく百尺等頭一歩を進めながら、その改正が中途半端に終っているということを考えざるを得ないわけでございます。終戦後におきましてひとしく問題となりましたのに、従来における法学万能主義と言いますか、事務系統優先と言いますか、ややもすると技官もしくは技能者の場合には、はなはだしく不平等な待遇を受けてきたことは衆目の一致するところでございます。そういう見地から終戦後における諸種の立法におきましても、またそれぞれの行政部門におきましても、この反省が顕著に行われて参ったところでございまして、特に公務員関係を所掌する人事院等から行われました給与準則の勧告等におきましても、この点を十分取り上げて、その処遇等においても改善を勧告していることは、これまた私どものよく了承しているところでございます。しかるに今回の原案によりますると、課長に昇進の道は開かれたけれども、局長に昇進することについては政府の原案をもってしては、これは不可能であり、しかもそのことが公務員諸君の事務に専念し、精励することの妨げになる、特に技官もしくは技術者の場合に、不平等な扱いをされようとしていることは、私どものとうてい忍び得ないところでございます。しかもただいまの上林委員の質問に対して答えておりまする事実から言いましても、こういう法律が存在したために、会計検査院としては技官を特に事務官に転用する等のかなり無理が行われて来ておる、このことは会計検査院自体が、技官といえども十分会計横奪事務にたんのうであるということを立証していることになると考えられますし、そういう実際上の問題ももちろん、同時にまた立法上から言いましても、できるだけ不平等、不公平を避けるという立場から、私どもはただいま申し上げました修正案を御提案申し上げた次第でございます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  27. 宮田重文

    ○宮田重文君 私はただいま千葉君からの修正意見に対しては、もちろん共修同正でありますから賛意を表したいと思います。この修正によりまして、先日も決算委員会と連合審査を開きました際に、決算委員会方面の意見等も相当尊重されて、今の事務官技官との関係においても明るい形ができて参ることは、まことに私どもとしましてもけっこうなことである、かように考えます。詳細のことにつきましては、すでに論議が尽されておりますから、私からくどくどと申し上げることは避けたいと思いますが、ただ私はこの際に、付帯条件という強いあれでもありませんけれども、強い希望意見を一つ申し添えておきたいと思うのでありますが、それは決算と連合審査の際にも相当出ておったのでありますが、会計検査院法による会計検査院の検査の方法は、大体においては、事後検査になっておりますが、事前検査による方法によって、多少そういう方面にも気をつけて国損をできるだけ少くするということを検査院の権限において行うと、一本化するということがいいのではないか。現在の形においては、行政管理庁においてそのことを大体いたしておりますが、事実行政管理庁が下部行政機関に対する監査をいたしながら、いろいろ監督しているにもかかわらず、非常に行政機関内に起る諸問題というものは会計検査院で、後で指摘される問題が多いということで行くよりは、これを一本化した、簡素化した形において将来行なって行くことはどうであろうかというようなことにも考えるので、私は政府の当面の関係の責任ある御答弁なども聞きたいと思ったのでありますが、その機会を失しましたけれども、将来会計検査院法改正をするような場合に、さような点を十分御考慮のうちに入れて検査院の機能を一そう十分発揮して、国ができるだけ国損を少くするという方途に活躍されるよう希望を強くいたしたいと思います。簡単でありますが、以上を申し添えまして賛成の意見を終ります。
  28. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言はありませんか……。他に御発言もなければ、以上をもって討論を終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより会計検査院法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました千葉君提出の修正案を問題に供します。千葉君出の修正案に賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  30. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって千葉君提出の修正案は議決せられました。  次に、再決せらました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  31. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条により本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続きにつきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますので、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     松原 一彦  上林 忠次     田畑 金光  野本 品吉     井上 知治  加瀬  完     松浦 清一  木村篤太郎     木下 源吾  堀  眞琴     宮田 重文  千葉  信
  33. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  34. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  お諮りいたしますが、国の防衛に関する調査として、演習場及び飛行場の拡張問題について参考人から意見を聴取してはいかがかという御提案が、木下委員、松浦委員等からございましたが、この際、参考人を呼んで意見を聞くことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者断り〕
  35. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないものと認めまして、参考人の人選及びその他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。ただいまの予定では、一応来週の木曜日に参考人の出席を求めまして調査をいたしたいと思います。     —————————————
  37. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、経済審議庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきまして御質疑のある方は、前回に引き続いて御質疑を願いたいと思います。
  38. 野本品吉

    ○野本品吉君 二、三の点につきまして、簡潔にお伺いいたしたいと思います。提案理由に御説明になっておりますように、長期経済計画の観点から、関係各省の政策ないし計画の調整をはかって、そうして政府の諸施策の総合性、計画性を保持する、このことは私どもも全くその必要を痛感いたしておる次第であります。そこで問題は、先般の委員会のときに、大臣の御説明で私頭へぴんときたのでありますが、この長期経済計画の策定、推進ということは、どう考えましても、いわゆる防衛計画の樹立の問題と一体不離な関係になっておる。そこで経済審議庁の方々に聞きますと、防衛計画の見通しがつかぬうちは、こちらの方もなかなかうまく考えられない。防衛庁長官の発表談話等を新聞等で散見いたしますというと、長期経済計画の見通しがつかないと、なかなか防衛計画も見通しがつかぬということを言われておるのでありますが、これらの点につきまして、どういうふうにそれを調整されて行かれるかということをまず伺いたい。
  39. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。経済六ヵ年計画といたしましては、大体において六年後の日本の経済を自立せしめる、それには増加する人口をどうして収容するか、こういうふうな目的のもとに、六年後の日本の経済のあり方を示しまして、それに合うように全体の計画を持って行きたい、こう思うわけなのであります。で、実際的の計画を樹立いたします上においては、防衛計画と並行的に行かなければ、これは実数をつかむことはできないわけであります。従いまして、防衛計画が立って、経済六ヵ年計画を一緒になってやれば一番いいわけでありますが、ところが現在の防衛計画というものは、防衛庁から申し上げましたごとく、六年計画は立っていないし、また立たない状態なんでございます。立たないからといって経済六ヵ年計画を捨てておくわけにいかない。で、経済六ヵ年計画におきましては、日本の経済として自立する上において、防衛費というものが大体これくらい見積ればいいじゃないかという大体の目安をここでつけているわけなのであります。それば金額で見積りをつけているわけであります。金額でつけておりますが、その金額に対して、これを軍艦にするか、あるいは飛行機に使うか、それを陸軍にするか、あるいは海軍にするかということは、これは防衛庁がきめるべき問題であって、経済計画からいたしますれば、国民経済の負担し得る程度はこれくらいのものであるという大体の目安をつけて経済六ヵ年計画を立てておるわけなのであります。従いまして防衛計画が確立いたしますれば、それとまたよく調整をいたしまして、多少その間にかげんをすることがあると、こう存ずるわけでありますが、大体の根本の目安だけは経済六ヵ年計画はつけておるわけでございます。
  40. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいまの経済六ヵ年計画の根本の目安がおつきになっているというのですが、その一応の目安と、防衛計画にどれだけを分けるかというようなことについて、もう少し具体的に御説明を願えませんか。
  41. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) それは大体過去の実績、現状等を見ていっておるわけでございますが、しからば現状はどうだ、こういうお話しでございますが、そういたしますと、現在におきましては、現在の日本の経済力から勘案いたしまして、国民の所得というものに対して大体二・一%程度になっております。過去三ヵ年間を見ますと、二・一%から二・二%程度になっておりますが、しかし私は単純に国民の所得からよってのみ何パーセントとしてきめることは相当私は疑問があると思うわけであります。要するに防衛力というものは、日本の国富、国の富というものから根本においてきめて行かなければならぬかと、こう思っておりまして、アメリカのごときにおきましては、アメリカはアメリカ国民の一人に対しての所得からいえば何十パーセントとなっておる。日本は二%じゃ少いじゃないかという意見もありますし、いろいろな議論がありますけれども、単純に国民の所得だけによって何パーセントというふうにきめるということは危険があると思います。その国の富力ということが一番問題だと思っておりますが、はなはだ遺憾ながら現在の日本の富力というものは、これは昭和十年以来まだ本当に調べられていないわけであります。戦争中に非常に大きな打撃を受けておりますし、従いまして、急速に私は日本の富力を調べる必要がある、こういうことを考えまして、今度審議庁の方におきましても、予算をちょうだいいたしまして、これに当ってみたい、こう存じておるわけであります。
  42. 野本品吉

    ○野本品吉君 大体今の御説明を承わりまして、次のように了解して差しつかえないでありましょうか。すなわち防衛計画は防衛計画で一応六ヵ年の見通しをつける、長期経済に関する計画はそれで計画を進める、両方が大体一応の案が出たところで、いろいろ国力その他を見合って両者を調整する、こういう考え方であるというふうに了解してよろしうございますか。
  43. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) さように御了解願ってけっこうでございます。
  44. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つお伺いしますが、まあ経済審議庁が企画庁といったようなことになると、そこで私どもの頭にすぐ浮んで参ります問題は、かつての企画院であり、その後の経済安定本部であります。で、企画院時代は、これは私どもが申すまでもなく、絶対的な軍のバックすることによって相当程度計画性というものが強力に推進された。経済安定本部が仕事をやる場合には、これはGHQの強力な背景というものの上に推進された。ところがそういう強力にその経済計画を策定、推進する上についての背後の力は何であるかという問題です。私どもは今の時代における計画の策定、推進の背後の力がどこにあるだろうかということに大きな疑問と不安を感ずるわけであります。この背後の力は、何といっても強力な政党の支持に待たなければならぬ。果して現在のような政党の政治勢力で、この非常に大きな仕事である長期経済計画の策定、強力な推進ということが可能であるかどうかということに疑問を持つのでありますが、この点について長官の御所見を承わりたいと思います。
  45. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) この六ヵ年計画を遂行いたしますのには、よほど強力な力がなければならぬ、まことにごもっともでありまして、これは日本の戦時中におきまして、軍がはなやかなりし時代、軍の力をもって無理やりにやった。これがやはり計画を遂行したゆえんであります。また占領期間中は占領軍によって左右されて、これが計画遂行されたというのも事実でありますしかしながら、実はこの計画を遂行する推進力はどこにあるかといえば、これは何としても国民全体でなければならぬ。国民全体の支持を仰がなければこれはできない。そういう意味におきまして、私は初めからこれを言っております通り、この六ヵ年計画というものは審議庁で案を作りますけれども、この案については国民全体の批評、国民全体の支持を得て、こうすれば日本の経済は自立するということをよく理解してもらって、それから実行に移って行きたい、こういうわけでございますから、今お話しのごとく、これは結局国民といえば国民を代表する政党でございますから、各政党の御支持を得なければ、これはできないわけだと思いますが、これは少くとも経済というものは、政党政派を超然として立つべきものと私は今なお信じておるわけでありますから、それで各政党政派を超然としてこの経済の進むべき道、これは立てて進んで行きたい、こう存じておるわけでありますから、私はその立てる計画が国民全体のよく支持を得られるということが根本である、それでなければこれを実行に移せない、こう存じておるわけであります。
  46. 野本品吉

    ○野本品吉君 この総合調整という一つの仕事を進める場合に、私はまあ二つの段階があるように考えておるわけであります。第一の段階といたしましては、各省問におけるそれぞれの主張の総合調整、その次の段階が審議庁と大蔵省の問題だと思う。各省の総合調整の後におきまして、大蔵省のいわゆる予算に対する非常に大きな権力と対立するという場合があると思うのでありますが、この点に関しまして、この行き方で処理し得る自信がおありになるかどうかということを長官にお伺いしたい。
  47. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 各省の総合調整をするというときには、もちろん各省の中には大蔵省も入ってもらって、大蔵省とも非常に密接な関係をもって、それで総合調整をして行きたい、そういう方針で進みたいと思っておりますから、お話しのごとく、現在におきましては各省のなわ張りがあり、いろいろな問題があるのでございますが、しかしそればスムースによく話し合いをつけて、円滑にこれを進めて行きたい、こういう所存でやっておるわけでありますが、もちろん大蔵省との折衝につきましては、初めからこの折衝をいたしまして計画を立てますから、大蔵省もこの計画の実行については、これを支持してもらえるものだと、私はそう信じております。
  48. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一点お伺いしたいと思います。以前から各方面で言われていることでありますけれども、たとえば通産省に科学技術を研究する所があり、大きな技術機関がある。それから防衛庁には防衛庁の技術研究所がある。建設省にも農林省にも、あらゆる方面における各研究の機関がある。これらの各省庁及び民間にあります科学研究機関というものが総合的な力を発揮する点において、きわめて遺憾の点がありますことは、これはすべての人が考えるところであろうと思う。私は日本の経済自立という観点から見まして、科学技術に対する総合された研究の成果を日本の産業経済の上に最も効果的に現わして行くことのできるような体制を作りますことが、きわめて大事なことと思っておるわけであります。そこでこの審議庁の方で経済計画の策定、総合調整というようなことをおやりになるのでありますが、その経済振興、産業発展の根本問題としての科学技術の研究に関しまして、総合的な威力を発揮させるような、このに点ついての総合調整が当然考えらるべきだと思います。この点について大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  49. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) お説まことにごもっともでございまして、同じような研究を民間でやっておるということもありますが、また特に官庁の間で同じような研究をしておるというふうなこともあるのでありまして、これは非常に能率上まずいと、こう思っておりますが、と言って、これを全部押えつけてやるということになりますと、この科学の研究というものは相当競争心があって、それで各民間会社のごとき、むしろ競争的にやらせた方がほんとうの成果が上ると思いますから、それはそれとして、これを押えるということは私はよくないと思っておりますが、少くともこの行政の機関を一本にまとめて、特に政府の行政機関というものが各省別々に同じようなことをやっているということは、これは能率のむだだけでなく、かえって進歩を阻害しておるというふうな事実もあるように私は見受けるのでございます。従いまして、官庁間における統合機間と言いますか、これは研究の統合機関というものを一本にして、それで科学技術庁を作れと、こういうふうな意見も一部分にございまして、これは相当私は有力な意見として非常に傾聴してきているわけであります。また一方には、今度経済審議庁が企画庁に変りまして、経済企画庁の中に経済科学企画庁というふうにしたらどうだろうかというふうな意見もございますが、これも有力な意見として私は拝聴しておるわけでありまして、この点はどういうふうにやるかということは、なるべく早い機会に皆さんの御意見を承わった上において、これを各官庁の分だけは統合して行きたいと、こう思っておりますが、研究機関だけは、ただいまのところ各部が持っておるものにつきましては、一応よく検討して、政府の部内のものにつきましては、これは統合すべきものは統合するということにいたしますが、民間のものまでをこれは統合するということにせずに、民間はやはり自由に、ある程度放任しておいた方が進歩がしやすいような気がいたすわけであります。
  50. 野本品吉

    ○野本品吉君 そういたしますと、長官といたしましては科学技術庁というような一つの行政機構を設けるということに対して深い関心を持ち、また熱意をお持ちになっておるというふうに了解してよろしうございますか。
  51. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) さように御了解願いたいと思います。熱意を持って進んで行きたいと思っております。
  52. 木下源吾

    ○木下源吾君 長官がたまたまお見えになって、いい機会ですから、この際一つお伺いしたいと思います。  今度のいろいろ改正には審議庁の権限と言いますか、強化をされた点があるのでありまして、それだけに非常に審議庁は重要な地位にあるのじゃないかと思うのですが、それでお伺いしたいのは、経済自立のために、現在の産業構造で経済自立が可能であるかどうか、こういう点をまず一点お伺いしたいと思います。と申しますのは、朝鮮戦争後の行き方は、日本の経済は大部分軍需的な産業あるいはその他のドル稼ぎによってまあやってきた。今日では著しくその様相が変っておると私は思う。だからああいう産業構造では私は自立できない、こう考えております。そこで今お伺いしたのですが、このままの産業構造で日本の自立経済が達成されるという根拠をお伺いしたいと、こう思うのであります。
  53. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) まあいろいろな議論もございますが、私は現在の産業の構造で、これに対して経済の進むべき計画性を持って、それに政府は民間とよく協調して、相談づくでこの計画されたる経済にマッチするように進んで行こうじゃないか、そういう方針を持って行けば、政府の力をもって規制するところは、ただいまのところ資金・財政投融資するとか、あるいは外貨の割当をするとか、そういう方面の、現在持っておる権力だけをそれに加えて、一応それを規制して行けば、私は国民の協力さえ得られればやって行けると、こう存じておるわけであります。
  54. 木下源吾

    ○木下源吾君 ただいまお伺いしたのは、今の産業構造は少くも平和産業構造にはまだなり切っておらないと、こう思うのであります。私の申し上げるのは、従来のような軍需的なそういう構造から切りかえなければならない、そういうことのお考えはないのかどうか、こういうことを先ず第一番にお尋ねしておるわけであります。
  55. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 今の御質問は、現在朝鮮事変以来特需関係をやっておった構造をどういうふうにするか、こういう御質問でございますか……。これは私は当然平和産業に切りかえて行かなければならない。それで将来とても、私はかりに軍需工業というものが起ると仮定しても、軍需工業というものは特別に起すべきものじゃないと、私は全体の平和産業の中にそういうふうなものは含んで行かなければならない。今現在この軍需工業としてそれだけでやっておったものについては、非常なめんどうが起っておるわけなのでありますから、それで今後の日本の経済のあり方というものは、軍需なんというものは特殊のもので、それのために特殊の工業を作るという考え方はやめた方がいいだろう、できるだけ平和産業と共通にやって行けると、こういうふうにやって行かなければならないのだと、こう思っております。
  56. 木下源吾

    ○木下源吾君 そこで、平和産業の構造に切りかえる。これはまあ時間もあまりありませんから、端的に申し上げますが、アメリカ依存の日本の経済では平和産業にはならないし、それは自立経済にならぬということを意味していると思うのであります。従いまして、今平和産業ということになれば、その構造に切りかえるといえば、とにかくにも隣国との経済交流ということが何よりも一番ポイントではないかと、こう考えるのです。端的に言うならば、中国と、中共との間における経済交流、こういうことが基本にならない限り私は平和産業の構造というものは不可能ではないか、日本の自立経済は不可能ではないかとさえ今の情勢下には考えられるのであります。そういうように私は考えておるんですが、長官のお考えはどうかということをお聞きしたい。
  57. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) もちろんこの隣国との関係は歴史的に考え、地域的に考えて、これとの密接な関係が早く結ばれるということは非常に望ましいことでありますが、それだけによってのみ私は将来日本の自立経済は立てられないと思います。従いまして、アメリカはもちろんのこと、東南アジア、中南米等、世界各国に対し非常な積極的な提携をする方針をとって行かなければ私はむずかしかろうと、こう存ずるわけでございます。
  58. 木下源吾

    ○木下源吾君 一般的にはそういうことを言われるのであります。が、少くとも今平和産業といえば貿易の伸張であります。まずそこに基本をおかにゃなりますまい。ところが貿易の伸張がなぜ正常な形で行われておらないかは、長官すでに御承知の通りであります。原料が少くとも高い原料で、それで今合理化の政策を進めておるが、コマーシャル・ベースに、つまりコストを下げるためにずいぶん無理をしてやっておると思うのです。長期の資金ということに対しての問題、設備資金に対する問題から、いろいろそういうことを一方においては押えておって、そうしてコストを切り下げるということは、今行われておる労働の条件を非常に圧迫する以外にはないのではないかと、こう考えておるのです。現に起きておるところの失業者ですれ、労働の状況というものは一方においで完全雇用を言いながら片一方において失業者を生産しているようなこの矛盾する状況を私はどうしても直さなければならぬ、そのためには今日のような生産コストを下げるのに労働者にばかり負担を負わせるようなやり方は、これはとうてい私は永続するものではない、こういうふうに考えておるのです。従って、アメリカとの貿易ももちろん必要でありますが、そこにアメリカとの間における制約の数々を私は克服しなければいけないのじゃないか。東南米あるいはその他においても貿易の相手があります。日本から技術者が行っておられるところは、すでにオランダでもイギリスでも技術者が先にちゃんとおるということは長官の御承知の通りです。それだけにわが国はこの貿易は不利益な立場にある、こういうようないろいろな情勢を考えてみて、普遍的な経済交流ということは正しいにしても、現実的にはそれは日本の平和産業としての今基盤を作り得るものになっておらぬと思うのです。御承知の通り、この間も海南島の鉄鉱石を向うから入れる、もちろんそれは台湾関係がありまして航海、輸送も非常な不便がありましょうけれども、いずれにしてもアメリカから十ドルから出して運賃をかけて取るよりも、片一方は少くも三ドルか四ドルで一トン来るのでありますから、だれが見てもこれは有利だということはわかっておるのであります。しかしながら一方アメリカの制約を受けてこの鉄鉱石を使われぬという、こういうことにある限りにおいては、私はよほど普遍的な、一般の、つまり経済交流を世界に求めるというような、そういう考え方では私は解決はつかねのじゃないか、そういう意味で私は隣国ということを強く言っておるのでありまして、これを取り上げない限り自立経済は達成できないと思う。しかしながら、あなたは私の今質問しておる中共との貿易は非常に困難であるという理由のもとに、まずそれをそらそうとするならば、これは別でありますけれども、しかし困難であっても日本の平和産業、自立経済を達成しなければならぬ、これが日本の今進んでおる道である、これなくして打開できないというならば、私は敢然と中共貿易に対して所信をはっきり示して、ことにあなたはバンドン会議におけるところのいろいろの模様をお聞きしましても示し得る方なんだと私は思っておるのです。そこであなたの口から私は中共貿易というものが日本の自立経済、平和産業のためには欠くべからざる要素であるということをお聞きしたいのであります。
  59. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 木下さんの今のお話のごとく開らんの石炭を持ってくる、あるいは海南島の鉱石を持ってくる、そのほかにもつと昔の満州の近くにあった密山の粘結炭を持ってくるというふうなことになれば、日本の鉄鋼業に対して非常なプラスになるということは、私どもも前々から主張し、また考えておるところでありまして、これが一口も早くそういうふうになることを私が希望するのは皆様と同一でございます。ただ私は現在におきましては、非常にその間に困難性があるという外交上の問題から考えまして、これをすぐに実行に移すということは困難だと思いますが、国民すべてはやはりそれに向うように、解決できるように希望して行きたいと、こう存じておる次第であります。
  60. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は非常に満足するのでありますが、しからば五ヵ年計画、六ヵ年計画のその中心をここにおかなければ私はこの計画というものは日本国民経済発展の上には役立たんのじゃないか、従って日本の財政計画も私はこれは完璧なものにならぬのじゃないか、こういうように考えておるのであります。これは意見の違いだといえば別でありますが、しかし、だれが考えてみても、これは経済官庁におられる人々ならば私はそう考えると思うのであります。ただおざなりに形式上のなにを整えるというのなら別でありますけれども、今のようなお考えであるならば、それを基礎にして私は進むべきじゃないか、それは非常に無理でありましょうけれども、それを打ち出していかなければ五ヵ年計画、六ヵ年計画というものが私は日本の経済発展のためにはならない計画ではないか、こう考えておるのです。どうですか。
  61. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これは大体経済六ヵ年計画におきましては、世界の情勢は逐次幾らかずつ変更する、その変更の中には中共、ソ連との貿易は年を追うて好転するもの、こういうふうな計画のもとに計画を立てているわけなのでございまして、それが早く好転すれば六ヵ年計画の進捗が非常に早くなるというふうな工合に見てもいいと思いますが、逐次好転する、こういうふうな計画を立ててみておるわけであります。
  62. 木下源吾

    ○木下源吾君 この計画と、私は統制というものは不可分だと思う。そこで現在の行き方を見ておりまするというと、計画は立てておるが、これを実施するためには権力統制、こういうような傾向が所々に現われてきておる、こういうように思います。これは計画の遂行の上に非常な障害になると思うのであります。具体的な例を言いますると、今輸出入なんかの取引の改正法案がどこかで出ております。ところが御承知の通り、先般中国から経済代表が参りまして、民間でこれを協定いたしといして、この協定は御承知の通りわが国の経済発展のためには今何をなさなければならぬかはっきりしておるのです。それはココムの解除もありましょう、あるいは経済使節団の代表もある、よりもっと大切なものは支払協定です。支払協定を、向うのつまり口座を日本銀行に設けておいて、その金でこちらから輸出するものをどんどんやっていく、向うはそう出てきたのです。先般の協定では日本銀行の口座を持って、何もむずかしい事柄ではありません。それは日本の中小企業も、皆が取引できる一番の条件になっておる。今の場合では皆ポンドでイギリスの銀行を経由いたしまして、この不便……そうしてこれは外貨を獲得できるもの、そうして力のあるもの以外はこの貿易には参加できないでしょう、実際において。こういうような具体的なものを解決しなければならないのに、今の法律では——あの法律では——貿易を統制して、法の権力で統制して、そうして型にはまったように持っていこうとするこの行き方は、私は決して中国貿易の発展にはならない、こういうふうに考える。ほんとうにやるならば、今もし民間でやった支払協定そのものを、政府が万難を排してこれを実現のために協力する、これのみが私はこれを達成する一つの道であるし、また、そういった上に立っての計画でなければならない、統制でなければならない。ところが今の統制はそうではない。ああいうようなことではほんとうに国民の経済の発展にはならぬ、かように考えるのですが、長官はどういうようにお考えになっておりますか。
  63. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) これはなんでございます。計画経済を実行する上においては相当権力ある統制がなければできない、こういうふうな意見もございますが、私はこれをできるだけ政府の権力を用いないで、相談ずくでやっていきたい、こう思うわけであります。これを政府の権力を用いるというところには非常に無理があると思います。  ただ、ここで私は輸出の方の問題につきまして考えておりますことは、今後だんだん東南アジア、中国はもちろんのことでありますが、東南アジア各国は社会主義の国になっておりまして、貿易は各国とも一本で統制してやっております。その関係上日本側においても、これとの折衝においては、これを一本でやったらいいだろう、こういうふうな私は感じを持っておるのでありますが、現在輸出組合法がどういうふうに進んでおりますか、私実はちょっとまだわかりませんですが、この支払協定の問題につきましては、お説のごとく、これはもっとも必要だと、こう存じておるわけでありますが、それにつきましてはちょうど総務部長が大体その問題について大蔵省との間に話しておりますから、一応政府委員から支払協定の問題、これは非常に大事な点、だと思いますから……。
  64. 木下源吾

    ○木下源吾君 その問題に関する限り大臣も……。
  65. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 私も詳しいことは存じませんですが、おっしゃるような勘定をわが国の中央銀行である日本銀行に設けるということにつきまして、外交上その他問題があるように聞いております。私もそれ以上詳しいことを存じませんので、その聞いておるという程度で御了承願いたいと思います。
  66. 木下源吾

    ○木下源吾君 いや、それはまだいろいろ御相談なさっておるであろうことは想像にかたくありませんが、いずれにしてもただいまのような、あなたの所管で最も大切なものは中国の貿易、隣国の貿易だろうと思う。これに対する法律案があなたのところに相談なしに、通産省であの取引法なんというようなものをやるということがすでに総合的でもなし、計画的でもないのじゃないですか。
  67. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 輸出入取引法の改正が現在改正案が出ております。これは輸出面におきまして、多少独占禁止法の適用を緩和する必要があるというような点の改正がおもな点だと承知いたしております。
  68. 木下源吾

    ○木下源吾君 それは表面的にはそういうことも言えるでありましょうが、そうではありません。これは私さっき言うように、この間八千万ドルの協定ができましたならば、これをどうしてやったならば実施できるか、この間の大豆の問題なんかもそうですよ、そんな経済の、あなた方のところへ相談もなくそういう統制なんか、官僚統制みたいなものをどんどん出していくようでは、私はせっかく皆さんが研究してやっておられることが実行できないのじゃないか、こういう心配を持つのであります。きょうは、私はもう時間もありませんし、ただ突然長官がお見えになったのでお伺いしておるのでありますが、きょうとにかく……自立経済は中国の貿易、そういうことが絶対必要であるという御所見ですな、これを伺いまして、私は非常に心強く考えております。従いまして具体的な問題についてはあらためてお聞きすることを書面ででもこしらえて、そうしてじっくりお考え、御協議の上御答弁願うことにいたしますが、どうかほんとうに計画的なものをやっていかれるならば、基本的なものから、具体的に東南アジアの貿易はどうなるか、あるいはアメリカとの貿易はどうなるか、そういうものの具体的なものまで研究させられて、そうして……当然来ますよ、当然来るです。それはもう何と言われたって、相手は社会主義国であろうが、何の国であろうが、必要なものの購入ということには何も関所はないわけでありますから、ただ思想だとかあるいは外交上の支障だとかいうもので漫然とこれをうっちゃっておくのでなくて、進んで一つ一つ解決していけばできることなんですよ、そういうことに一つ御協力、御努力願って、何もりっぱな、形だけのものは要りませんから、ほんとうに日本の今のような経済の打開のために御努力願いたい、こういうように希望いたしまして、本日はこれだけにいたしておきます。
  69. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止
  70. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会