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1955-07-05 第22回国会 参議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月五日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            長島 銀藏君            宮田 重文君            木下 源吾君            松原 一彦君    委員            井上 知治君            植竹 春彦君            木村篤太郎君            中山 壽彦君            上林 忠次君            野本 品吉君            加瀬  完君            千葉  信君            松本治一郎君            田畑 金光君            松浦 清一君            小柳 牧衞君            堀  眞琴君   委員外議員    法務委員長   成瀬 幡治君            吉田 法晴君   国務大臣    郵 政 大 臣 松田竹千代君   政府委員    調達庁長官   福島愼太郎君    法務政務次官  小泉 純也君    文部政務次官  寺本 広作君    厚生政務次官  紅露 みつ君    農林政務次官  吉川 久衛君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       川島 孝彦君   法制局側    法 制 局 長 奥野 健一君   説明員    厚生大臣官傍総    務課長     小山進次郎君    農林大臣官房文    書課長     斎藤  誠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○厚生省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○文部省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国の防衛に関する調査の件  (立川飛行場基地の測量問題に関す   る件)     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず郵政省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を求めます。
  3. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ただいま議題となりました郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  さきに日本国ビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定が成立して以来、この協定実施に伴う関連事務が具体化して参りましたし、また近い将来において、その他の国々とも賠償等協定が成立いたしますならば、それに伴う関連事務も生じてくるものと考えられます。一方最近、東南アジア諸国に対する諸種の集団的技術援助活動が活発化し、また個々の国からの技術援助の要請も少くない実情であります。これらの情勢にかんがみ、郵政省設置法の一部を改正して、郵政省所掌事務にかかる賠償及び国際協力関係事務の処理に関する規定を整備しようとするものであります。その内容は、郵政省の権限として所掌事務にかかる賠償及び国際協力に関する事務を行うことを加え、これらの事務の取りまとめを大臣官房所掌事務として加えようとするものであります。  何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 本案に対しまして質疑のある方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。それでは郵政省設置法の一部を改正する法律案につきましては、大体質疑もないようでありますから……。
  6. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきまして質疑のある方は順次御発言を願います。ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  7. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
  8. 木下源吾

    木下源吾君 今度つき添い婦をなくするという点、だいぶやかましいのじゃありませんか、あれは厚生省はどう考えておりますか。
  9. 紅露みつ

    政府委員紅露みつ君) このつき添い婦の問題は、先般来大へんこれはおっしゃる通りやかましく取り上げられた問題でございますのですが、これは終戦後何となくこう生まれた制度のようでございますのですが、厚生省がこれを廃止して、療養所の所長が命令も管理も一元化して、そうしてその面を合理化して行こうと、こういう考えから今度つき添い婦の廃止ということを打ち出したわけでございます。で、今年度の予算にもこれが盛られまして、追加をみたわけでございますのですが、よく言われますのですが、どうも予算を節約するために、療養低下がなされるようなことをしては困るじゃないかというお話でございますのですが、そういうようなことは私ども厚生省としては考えておらない。よくそのつき添い婦の数が四千何百名ということを言われるのですが、厚生省調査によりますと、これが三千六百名でございまして、これに対して厚生省の方のつまり雑仕婦、この名称を変えろというような要望がございますので、いずれ新らしい名称で生まれましょうが、これも雑役婦と申しますか、補助員と申しますか、この雑役婦というのはまた別にほんとうに雑務をいたします。下働きがあるのですが、それの名称のようでございます。これだけ二千七百名にしようというのですから、その開きが言われるほど大きなものではありません。それから今もお話申し上げておったのですが、今までのつき添い婦は一人の患者に対して一人がつくということが原則になってこれが行われておりますために、一日中手をふさがなくてもいい患者にも一日中これはついておるというようなことになります関係で、つまり時間的なむだが相当に出る、このむだを合理化して行きますというと、それくらいの人員の差が埋まると、こういうふうに厚生省はみておるわけでございます。しかし初めての試みでございますので、何といっても療養の方が低下するようなことがあってはなりませんから、人員が足りないつき添い婦ですね。今度は何か新らしい名称で生まれる、かりに補助員と申しますか、その補助員の手が足りないということであれば、相当これは弾力をもって考えて行くそのことは今度の予算にも、今まで生活保護費の中から出されておりましたこのつき添い婦の費用ですが、これは生活保護を受けている人が相当あるわけでございますが、その予算も今年度落しておりません。ですから、そこには予算上も相当余裕があるわけでございまして、弾力のある考え方をしておっても差しつかえないと思うのでございます。それから健康保険の方が相当多いようでございますが、これも健康保険のことでございますから、医療の給付でまかなえることでございますので、言われますように医療低下を来たすようなことはない。それから、ここに失業の問題が一つからんでいるのでございますが、今までのつき添い婦の方でもよく働いてもらえるという適格者につきましては、できるだけ今度の職員の方に採用をいたしまして、失業者を出さないようにと、こう考えております。それはまだ実施が来年の三月ごろまでとしてございますので、相当時間的な余裕がございますので、その間は労働省等にもこれは連絡をいたしまして、いろいろ配置の転換をする。それから療養所につきましては、私立も公立も御承知通り今年度も相当ふえるのでございますから、その方へあっせんをいたしまして失業者を出さないようにと、こう考えているわけでございます。なお三月末と申しましても、必ずしもそこで一様に法律で切ってしまうというような行き方ではございませんのですから、それがつき添い婦がほんとうにそれぞれ処置できたと、失業の苦しみも相当程度、これは緩和できて、これならばよろしいというところへ行かなければ、これを全部切るのだということにはいたさないというような非常に幅を持っての解決をみたわけでございます。  以上大体おわかりいただけたと存じます。
  10. 木下源吾

    木下源吾君 よくわかりました。もう一つ二つ。何せ鳩山内閣はいろいろ社会保障、そういうことを熱心にやる、そういうかけ声だけれども実際はうまく行かない。この間本会議予算報告を聞いておりましたが、結核患者がたくさんあるのに、わずか四分の一か、五分の一ぐらいよりか、ベットに収容されてない。一割ぐらいかな。そんなようなことをこの間も委員会で質問した報告があった。その結核などに対してどういう方針考えているのか。そのほかに町のまん中結核をやる病院、こういうのを非常に付近の住民が反対しても、そういうものを許可している。一方においてはそういうこともやっているし、一方においてはたくさんある結核患者を収容しきれない、こういう点もある。で、結核患者に対する、こういうものに対する何か一定方針が何もないように思うのだ。その町の結核病院なんというのは、私の裏なんですが、近所みな連名で判をとって反対してもだんだん拡張するのですね。町のまん中でです。渋谷の伊達町の伊達跡の近くですね。こういうようなことでは、そこに住んでいる者も危険だし、そういう町のまん中までやらなければならないようなものだったらば、政府の方でもう少し方針を立てて整理してやられたらどうかと、こう思う節がたくさんあるので、患者があるのに政府では病床が十何万よりないとか、まあ数はよくわかりませんが、そういうことになっておるので、結核患者に対する一定方針があるのかどうか。もう一つ二つ、ついでに……。あんたの方で検査しているんでしょう、黄変米農林省の方でもやっているようだけれども農林省の方でやったのではこれは経費がないわけです。あんたの方でやったやつで、食われるとか、食われないとか、そういうことにするわけですな。そこでまだ十何万トンも倉庫に入っておるんじゃないですか、これをいつまでああしておくのか、食われなければ食われないとはっきりしてしまって処分してしまったらいいと、こう思うんですな。いつまで……、二年ぐらいになるんじゃないですか。もうひどく悪くなってしようがないじゃないかと思うのですが、ただあんたの方の検査で、だめならだめできちっとやれないんですか、どうですか、そういうことを厚生省一つはっきり……。国民はね、黙っているうちにもう食わされているんじゃないかと心配している者もあるんですよ、ほんとうに……。それからもう一つは、今度これはあんたにぜひやってもらいたい。この間、何かハエだとか、蚊をなくする運動をすると言っておったが、あれはあんたの方でないかな。
  11. 紅露みつ

    政府委員紅露みつ君) いえ、こちらです。
  12. 木下源吾

    木下源吾君 これはぜひ一つやってもらいたいんですが。私らは政府が気をつけてくれれば、金のよけいかからない仕事だから。ちょっと家の裏あたりカン詰カンに水がたまっているのでも、そういうものをひっくり返しておけば、それで蚊が出なくなる。そういうような簡単なことから、何かあんた方の方で……。大した経費をかけなくてもいい。またそれをやれと言うと、課長だ、部長だばかりこしらえるけれどもほんとうに簡単に……。私裏のあたりをぐるぐる回って、よその家でも何でもカン詰のからでも水がたまっているのをひっくり返しておるんです。そうすれば蚊が少くなるんです。ハエどもごみ箱の少しこわれたものを何しておると、何ぼでも出てくるんですよ。そういうような金のかからないでできることが何ぼでもありますから、つまり政府本気にやるならばできると思いますがな。どういうことを今おやりになるつもりでいるか。やりかかっているところがあったらどういうところ……。またラジオで聞いておったら、どっかの村で一生懸命やっておる人がありますね。そういう人に対しては何か奨励する方法を講じておるのか、そういうようなことを一つわかっているだけでいいですから……。
  13. 紅露みつ

    政府委員紅露みつ君) 木下委員の御質問、順を追うて申し上げたいと存じます。  初めに、結核対策については鳩山内閣方針がないのじゃないかというお話で、これはまことに心外に存じます。決して対策がないわけでも、方針がないわけでもございません。と申しますのは、今年度ちょいちょいそういう声を聞くのでございますが、結核対策費と出ておりますところに幾らか昨年度より数字が少いのがありまして、何か結核対策が後退したのじゃないかというようなことを言われる人もありますが、とんでもないことでございまして、少々ぐらい予算が少くなりましても、効果をあげる新しい方法をいろいろ考えているわけでございます。結核は御承知通り、近ごろの病院医療の面で、ほとんどとは申せますまいが、大へん治療費がかさんでおる。また患者も大へんにふえておるというわけで、結核対策が確立しなければ医療面解決はでき得ないと存じます。そこで病床でございますが、今収容しておりますのが割合に患者数に比して少いものですから御心配いただくわけですが、その点は決して十分だとは存じておりませんが、本年もやはり二万床結核病床を増設いたします。それから新らしい試みといたしましては、早く病気を発見するということに力を注ぎまして、来年は初めての試みですが、国民全般健康診断をいたします。そうして早く結核に侵されているということを発見する、今まで学校とか、工場とか、あるいは一定の区域を限ってそこを健康診断したのでございますが、そうでなく、今度は地方公共団体協力を得まして、全国的に全国民対象にして診断をいたします。そうして発病の危険があると思われる人につきまして、半年後にもう一ぺんまた検査をするようにいたします。そうして早く結核治療をする、こういうふうに持って行こうと思っております。それから病院が少いものですからなかなか全部が収容されない。それの緩和策といたしましては、これも新らしい試みでございますが、開放性と申しますか、菌の出る患者を擁してしかも家族数が多い、家が小さい、どうしても別居しなければならないという場合には、組み立て式の病室を作りまして、それを生活の困窮しておる方たちには無料でお貸しする、こういう計画もできておるわけでございます。そのほかこまかい点もあろうと存じますが、結核対策について無方針でないことの一つの例として……。
  14. 木下源吾

    木下源吾君 町のまん中病院があるのは……。
  15. 紅露みつ

    政府委員紅露みつ君) それは次の問題でございますが、結核にしましても、御近所の方はやはり実際問題としては御迷惑なこともあろうかと存じますが、今のところ地域的に制限をするということの根拠がございませんのですね。しかしそれは実際の問題といたしまして、これから考えるべきことだと存じますので検討いたしたいと存じますが、今のところ制限はできないように申しております。  それから黄変米でございますが、これも全国的にずいぶん長い間問題になっておるところでございますが、厚生省といたしましては、これは害があるか、ないかということの試験だけをいたしておりますので、配給につきましては、申し上げるまでもなく農林省の問題でございますが、先般農林大臣は当分これは害がないと決定するまでは配給をしないというように言明されたと存じております。そこで、これは毒なんだという烙印を押すべしという御意見のように伺うのでございますけれども、まだそこの断定を下すまでの研究ができておりません。むしろ逆な、これくらいな程度ならばそう害がないのではないかというような方向の今結論が出ておるところですが、最後結論はまだ研究が続けられておるところでございます。早くこれは研究を終りまして、そうして使えるものなら使える、使えないものなら使えないということに片がつくことを私どもも念願して、それぞれの機関に督励をいたして研究してもらっておるところでございます。  それから最後の蚊とハエの問題でございますが、これはまあどなたもが非常に夏になりますと悩まされる問題でございまして、これの駆除、これについてはおそらく一人も反対はなかろうと思うのでございまして、こんないたしよい運動が、今もなおこれからというような段階にあることを私は大へん遺憾だと存じます。ぜひ強力に推進をいたしまして、ことし一年ではできないかもしれませんが、徹底的にこれは駆除したい、蚊やハエのいない生活をするようになりたいと思っております。農村等ではなかなかできにくいだろうという御意見もありますけれども、実際に厚生省調査などを見ますと、今までは指定地域を設けまして、そこを強力に駆除いたしました調査を詳細に出しておるのでございますが、それは生産にもつながるのでございます。たとえば鶏にいたしましても卵を産む率が、夜通し蚊や何かに攻めたてられない、そういう関係安眠をしますので、二割ぐらい卵を余計産むそうでございます。乳牛なんかもそうだそうでございます。蚊とか、ハエとかに悩まされるということなく十分安眠ができるということから、やはりお乳が二割くらい増産ができるということでございます。いわんや人間においては、これは計算のできないほど生産力を増強し得ると思いますから、この問題にぜひ全国民協力を得まして、ことに婦人団体等に力を入れていただきまして、蚊、ハエのいない社会を現出したいと、かように思っておりますから、どうぞ皆様におかれましても、これは御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  16. 木下源吾

    木下源吾君 非常に親切な御答弁で何ですが、その結核ですよ、この間も、一週間くらい前に私の古い友人で炭鉱の鉱夫をやっておる、それが私のところへ突然に来まして、北海道の歌志内、北海道伊達療養所に長くおったけれども、あれは何か入院の期限が切れて、健康保険か何かでしょう。それでもう今度は退院しなければならなくなった、それで東京へ来て、何とかしてもう少し療養したいから援助してくれということでした。とにかくその間でもごほんほん、ときどき血が出る、がばがばと出る。それが私の家へとことこ上って来て、それは友人ですけれども、家のものが困るというのです。それで帰ったあと茶わんを煮たり、沸騰したり何なり、みんなそうしたんです。先生もたよるところはなし、それで国会議員にでも、まあ友だちだから財政的にも楽だろう、こういう考えでしょうが、毎日来るのです。今でも、この間家にも病人がおるからということで断わっておる。家では断わっておるけれども間々来るのですよ。それでこれは感情で悪いとか、来るなとか何とかというのではないのだな、これは……。あなた今早期に発見してとか、何とか言っておりますけれども、そういうところをもう乗り越えておるのですよ。そういう人が何ぼばい菌をまいて歩くかわからないのだね、実際は……。ですから、これは私はそういうのを病院で、出してよこす病院病院だと思うのですが、切れてもう出さんならぬ、何とかそういうものを出さないで、またほかの方でそれを予防するという方法を何か考えておられるのかどうか。今の町のまん中のことも、私の近所だから、私の隣だから言うのですが、これは例の慶応の林毅陸先生の上隣りですよ。前から反対運動を皆近所でやっておるというのです。最近またその拡張をやるようです。これは地域制限はないと言いますけれども、常識でもわかるんですね。付近は人家が密集しているんですから……。一番高いところにあるんです。なれれば何でもないんだろうけれども、これなども何とか整備しなければいけないんじゃないか。あなたがおっしゃるようになるべく少く、早期に発見して何て言っているけれども、片一方にはどんどんそういうようなことでばい菌を振りまいているような状態では、もちろん根本的にはこれは貧乏病ということをよく言うのですが、何とか再軍備をしないで、もう少し国民生活が栄養でもとれるようにすれば、そうして心配のないような、あまり朝起きるから夜寝るまで、どうして暮して行ったら、どうして子供を養って行ったらと、そういう心配のないようにすれば病気することはなくなると思うのです。しかしそれまでは、あなたたち鳩山内閣に今言うたところで、すぐどうにもならないと思うが、今私が言うたようなことくらいはできますよ。こんなに悪いものを、これはよそへ行けば伝染病だから、だからこれをどこかと連絡して行けば、そこでは期限が切れても何とかするというくらいはできると思う。こういう点からやらぬと、ただやはり例の口でだけ結核をなくすんだというようなことを言っておると、人にこういうことを言われることになると思うのですから、そういう点を一つ十分御研究を願って、一つでもいいから実効の上るようにしてもらう。もしまたそういうことを考えてやろうとしているならば、ここで御答弁を願って、国民が安心するようなことになればけっこうだと思います。  それから今の黄変米などはだんだん、どうかすれば食えるようになるんではないかという、あんな毒だということを一ぺん言ってから……。それでみんな心配しているのです。何かだんだん、この間も一皮むいてつけば食えるんじゃないかというようなことで、ちょっとそれで心配しているんです。一方これはだめだと言えば、ほら見ろ、政府はたくさんの損害をしたじゃないか、こういうことを言われるのがいやだ、責任をとるのはいやだとか何とかというので、むけば食えると言うので、それで心配しているのです。大ていもうわかったころだと思うんです。これは農林省厚生省の両方の私は問題だと思うから、これは責任のなすり合いや、そんなことではなく、国民心配を一日も早くなくすること、そうしてもう処分せにゃならぬければ、これは六十億か七十億ですよ。大したべらぼうな損害をかけたのだけれども仕方がない。それは命にかかわる、これはぜひ……。  結核のことは、私はもと結核になるというのは若いものだと思っていたが、今の私の友だちは六十からになるんです。これで自分たちにもほんとうに火がついてくるような気がした。悪いような話だけれども……。もと結核というのは若いもので、年寄りになったらもうならないだろう、そんな考えなきにしもあらずだったけれども、この間新聞で見たら、ほんとうは三十以上が一番なんだというふうに新聞に出ているから、ますますこれはわれわれも本気になって退治しなくちゃならぬから、一つお願いします。
  17. 上林忠次

    上林忠次君 関連して。結核というものは、日本の気候との密接な関係日本が特に結核が多いのですから、大体結核患者をなおすということだけで今政府予算をもらって、ようよう最近結核の防除の緒についたが、金の関係で遅れているわけでありますけれども、もちろんかかっている連中を早く根治しなければいけませんけれども、これの出ないような、また初めちょっとかかった連中を処置する環境衛生と言いますか、その方の施設はどういう工合考えておられますか。かかった連中からすれば、もうどうすると言うのも無理な話ですけれども、かえってかからないように、あるいは初期に感染した連中を早くなおしてしまうというところに大きな力を尽さなければいかぬじゃないか、そういうような環境衛生的な結核対策ですな、そういうようなことはどういう工合に現在考えておられますか、実施しておられますか。
  18. 紅露みつ

    政府委員紅露みつ君) ただいまのお尋ねでございますが、まあかからないようにということが一番大切なことですが、結核にかかった者についての早期の発見ということを先ほどお答え申し上げたわけでございまして、今年からは全国民対象にして健康診断をいたします。今までの工場とか、学校とか、そういうふうな一定地域を限ってということではございませんで、本年初めてこの試みをいたすわけでございまして、かからないようにということにつきましては、環境衛生、これはもう地方保健所等が熱心にこれを指導しておるわけでございますし、早期に発見をするということは、そうしたような新らしい試みでこれから進んで行こうとしているわけでございます。  それから木下委員から続いての御質問でございますが、今の結核の、相当喀血しておられる人がそのまま歩き回っておられるという、友人知己等が大へん御迷惑になるという実情を伺ってりつ然としているわけでございます。これらにつきましては、生活保護法等の関係にこれが該当する方であれば、また手段もあろうかと存じますが、これは事務的なことにつきましては、厚生省から総務課長が見えておりますので、何か便法があるかもしれませんので、総務課長から答弁をしてもらいます。
  19. 木下源吾

    木下源吾君 それでは総務課長から伺いますが、その前にちょっと今の点について、それは歌志内、北海道の炭鉱で、末息子がありますが、それは頭が悪くて札幌に入院しております。それから妻君がおる。その弟が炭鉱の機械の方にただ一人で働いておって八人家族を養っている。兄の嫁やそれから子供、それから年寄り、だけれども生活保護法には適用されない、そういう状態のものです。私はすっかり調べた。
  20. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいまのお尋ねに対しまして、先ほど政務次官から申し上げた筋を、ただ多少こまかく御説明申し上げるだけのことになるわけでございますが、ただいま先生がなお補足して申されました事情を承わりますと、おそらく一般的な条件から考えれば、当然生活保護の適用ということが論議されてしかるべき場合だったように思われます。子供さんがいるけれども、頭が悪くて扶養能力が全然ない、奥さんにも大した扶養能力はない、それから弟さんはまああるいは機械の方をやっておられて、ある程度の資力があるとしても、御自分で八人の子供を抱えておられる。
  21. 木下源吾

    木下源吾君 いや全部で八人です。
  22. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 全部でですか。まあそういうようなことであるとすると、その面での扶養余力と申しますか、それもそう大きいものとは思われない。でありますから、ほかに資産でも相当あるということになれば、これはもう生活保護の適用の場合にはなかなか適用が受けにくいということになりますけれども、もしほかに資産がそれほどないというような方であるとすれば、おそらく今どきのことでございますから、病院に入院してということになりますと、最小限一万二千円から一万五千円ぐらいはかかるはずでありますから、それだけのものを自分並びに自分が直接扶養して行く者の生活を維持しながら加えて出して行くという余力はなかなかこれは弟さんに、普通の場合ならないわけでありますから、おそらくそういう場合に出てきます問題は、せいぜいのところ、弟さんの扶養関係でどの程度を一部負担をしてもらうかどうかといったようなことが論議に出てくるのが普通なんでございます。従ってそのほかの可能性を考えれば、あるいはその方が退職された際に、一時的に若干まとまった退職金というのをお持ちになっていたかどうかという問題があるのでありますけれども、これも想像に過ぎないのでございますが、先生のところへころがり込んで来ているといったような実情から見れば、今のところそれを持っているという事情でもなさそうだということになりますと、結局、これはどうしても、生活保護の問題として当然一回論議してみてしかるべき問題だというように考えられます。それで多くの場合、先ほどおあげになったような例は、これはたくさんあるのでございまして、最初入院したときには社会保険の適用を受けていた、二年、三年たつうちに勤め先と縁が切れてしまって、なお退院ができないというようなことで、そこで生活保護に変って医療扶助を受けるという事例はたくさんございます。従って普通の場合でありますと、おそらくそこで生活保護の申請をされて、要件が備わっておれば保護を受けられて続けて行かれる。こういうことが行われるわけでありますから、まあ病院の人がもう少し親切気を働かしていろいろ奔走してくれるなり、あるいは御本人に知り合いの方があって、もう少しそういう方面を調べてくれれば、あるいは地元で生活保護が受けられたということがあったのではなかろうか。かりにそういうことがなくて、現実の問題として、現在東京に来ておられて、そういう格好になっているということであるといたしますならば、これは現在でも問題は依然残っているわけでございますから、今度は現地の保護機関である知事に対して、そこでもう一回医療扶助の申請をなすって問題を解決するようにして行くという道はあり得るわけでございます。一般的な考え方なり扱い方は、今申し上けた通りでございますが、これはすべての場合にそういうふうに扱われておりますので、必ずしも今おあげになった場合が特殊事例としてそういうふうに考えられるということではございません。従って具体的問題につきましては、また別によく事情を承わって、それはそれとしてもう少し研究をして解決考えるというふうにいたしたいと思います。
  23. 上林忠次

    上林忠次君 先ほど私お尋ねしたかからないように、またかかった連中を初期に根治させるという処置についてはいい対策を現在講じられておらぬ、国民全体の健康診断をやるというのも一つの手でありますけれども、それじゃ、かかった連中をどういう工合に処置して行くかという具体的な方策は今ないということを承知しております。その問題は将来の大きな問題でありまして、まあいろいろ施策が講ぜられることと思いますが、もう一言、私今の黄変米の問題です。今おそらく百億円以上のストックがあると思いますが、厚生省農林省、両方ともにらみ合ったような格好でそのままに放置されている、どんどん毎日病害は侵食しているわけでありまして、いよいよ使えない状態に進みつつある、今のうちに何とか処置できないのか、政府連中が自分の責任じゃないと責任のなすり合いをやって、それこそ自分の責任にかかってこないことを考えてそのままに暗たんとした状態に置かれている。そういうような状態の米を、何とか厚生省でこの病源菌を殺すか、あるいはまあ毒素を破壊するか、何かそういうふうな方法が講じられないものか、これは私の友だちですが、レントゲンをやっている人がおりまして、まあ語は少しこまかくなりますけれども、前に食糧増産のために、もみにレントゲンを照射して生産性を上げるという実験をやった人であります。その人がもみの増産のためのレントゲンを照射しているときに、もみを照射したその下にあった品物、たとえばこれはしょうちゅう、あるいは人造日本酒、かようなものがテーブルの下にあった、もみを通したレントゲン線が下にあったアルコールに影響しまして、まあエイジングと言いますか、熟成が早くなった。従来まあしょうちゅうに二十時間レントゲンをかける、レントゲンの単位にもよりますけれども、実際二十時間もレントゲンをかけたら少し内容に変化が起きた、一年おいただけの変化が起きたというようなことは聞いておりますけれども、そのもみを照射したフィルターされた光線が当ったアルコールは、三分か、あるいは五分、あるいは十分くらいで相当変化が起きた、糖分が多くなった、あるいはエイジングが進んだというようなことを本人が実験の結果わかりまして、なぜそういう工合に、もみをフィルターした光線で従来のレントゲンよりも特殊な強いエイジング作用が起きたかということは理由はわからない。わからないけれども、とにかく変った、早い速度で感じた。長い時間に相当するような結果が出たというわけで、これはそれのパテントをとっているはずですけれども、かようなフィルターの研究が進んで行きましたならば、もっと早い時間でこういう作用が強くなるということになる。それじゃ今の黄変米のあのばい菌、あるいは細菌、こういうふうなものは死なぬか、殺すことはできぬか、新らしいフィルターをかけたレントゲン線でそういうようなことができるならば、たとえば今の黄変米なんというのは、一升百円の値打ちのあるものを、売るときは一升二十円か、二十五円で売るということになるならば、相当コストをかけてもこれをやった方がいいじゃないか、少しやってくれというようなことを頼んだのでありますけれども、今の程度の弱いレントゲンではいかぬ、千単位とか、あるいはそれ以上の高単位でやらなければならぬということを言っております。それじゃそれが日本にあるならやってみたらいいじゃないかといったのですが、日本にはそれがない、アメリカへ行ったらすぐできる、これはもみでもいいし、有機物なら何でもいい、豆の層をこしてもいい、理由はわからない。とにかくその豆の層なり、米の層というものは何百時間かレントゲンを照射しますと効力がまさる、その理由はわからぬ。とにかくそれをフィルターしたレントゲン線が特殊な強い効能を発揮するということを聞いておる、こういうふうなことでも、もしもこれが本当に黄変米の毒性を破壊したり、あるいは黄変米ばい菌、細菌を殺し得るならば、さっそくこれをやったらどうか、これは私も専門家ではありませんから信憑性がどこまであるのか知りませんけれども、そういうようなことも厚生省の仕事として、今の黄変米に対してやっていただきたい、一応研究していただきたいと思うのです。これについては、何か厚生省で今日までそういうふうなことをお考えになったことがありますか。
  24. 紅露みつ

    政府委員紅露みつ君) レントゲンを使って黄変米の毒素を破壊すると言いますか、まあこれで使えるようにして行こうという大へん珍しいお話しを今伺ったのですが、厚生省としてはそうしたことはまだ研究しておらないようでございますしかしお話しはよく承わりましたので、研究の方面にも一つそういうことを話してみたいと思っております。
  25. 上林忠次

    上林忠次君 現在貯蔵中のものは、毎日々々この毒性が増して行く、あるいは細菌が繁殖して行くわけでありますから、早く手をつけていただかないと困ると思うのであります。
  26. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいま上林さんから黄変米の問題についてのお話しがありましたが、私もいつもこの問題を考えているわけであります。御承知通り、現在どうにも手のつけられない黄変米を十万トン以上抱えておる、それで農林大臣は、厚生省が食べてもよろしいというまでは一粒も配給はしない、厚生省の方では絶対安全だから配給してよろしいということはまだ言えない。いつの日になったらその問題が解決がつくか、そうすると、十万トン以上抱えておる黄変米の行方がどうなるかということ、それでまあ先ほども上林さんから話しが出ましたように、一升百十五円で買った米をアルコールの原料として二十五、六円で売っておる、これからくる国損というものは実に莫大なものなのです。こういうような問題を話し合っている途中においても、刻々と変質して行く黄変米による国損というものは、これは軽視することができないと思うのです。そこでこれは前の委員の方と同じようなことを申し上げるのですが、ぜひ厚生省農林省とで十分話し合って、ここに一つの断を下しませんというと、黄変米を抱えていることによる国損というものは刻々累積して行くんだということでありますから、このことについては、特に一つこういう場所のいわゆる質疑応答という形式の問題でなしに、大きな問題として、政府部内において即刻解決への道についての御検討を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  27. 紅露みつ

    政府委員紅露みつ君) お説の通り、これは大問題だとかねがね私どもも思っておるわけでございまして、大へんいろいろな御意見を伺いまして、ぜひ御意見を尊重して、これを何とか解決するような方向に向くように私どもも努力をいたしたいと思います。それぞれの機関にも、こうした御意見のあったことも申し伝えたいと存じます。
  28. 野本品吉

    ○野本品吉君 国立療養所病床の回転率と申しますか、これは現在どういう状態になっておりますか。
  29. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 数字は若干正確を欠きますけれども、現在ならして一年半から三年くらいの間で回転しておるような数字になっておったと思います。
  30. 野本品吉

    ○野本品吉君 その回転率が、前に比べて最近はよくなっているか、悪くなっているか。
  31. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 若干よくなっておるという程度でございます。
  32. 野本品吉

    ○野本品吉君 療養所の経営の面から言いますというと、病床の回転率の問題は相当大きな問題だと思います。ことに聞くところによりますと、回転率がよくなって困るということを、私の県の国立療養所などでは当事者から聞いておったんですが、最近療養所の人が参りまして、実情はこうだということを私どもに訴えましたが、それによるというと、病床が非常に数多くあいてしまっているというんですが、その点は実際の状況はどういうふうにごらんになっておりますか。
  33. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいま先生お話しのように、一年くらい前までは病床は常に満床でございまして、九七%程度ということですから、実際上の問題としては、病床があくのを待ってすぐ次が入るというようなかっこうでして、非常にたくさんの待機患者を抱えておったのでございますが、今年度に入りましてから、ややその間余裕ができまして、パーセンテージも九七%というような高いところから、だいぶ九〇%前後まで下って、少しゆとりができかけているというような状況でございます。それでこういった状況が今までの状況から見ますというと、少しあき過ぎるのじゃないかといったような感じを関係者の間に持たれておりまして、どういうわけでこういうふうにあき始めてきたかということを目下検討しておりますけれども、今のところ大体それで横ばいで行っておりますので、まあ一般の回転と申しますか、あき方としては大体それくらいが実際上妥当なところでありますので、もう少し将来の動きを見た上で最終的な判断をしたいというので、いろいろ国立療養所を中心にして現在は検討を加えておりますが、さらに各都道府県の公立の療養所も加えて、最終的な結論を秋ごろまでにつけてみたい、こういうことで今研究に着手したおるところでございます。
  34. 野本品吉

    ○野本品吉君 病床があいてくるということがどういうところにその原因があるかということの御研究をなさっておるそうでありますが、私どもが常識的に判断すれば、二つの場合が考えられるわけです。その一つの場合というのは、つまり引き続いて病院で加療を必要とするけれども、まあ先ほど木下さんからもお話がございましたが、本人の経費の負担、その他の療養生活を続ける上における条件が、本人の能力をこえておるきびしいものであるから、従ってそこにおれなくなって出てしまう場合が一つ。それからもう一つは、病床があいておるから入ろうとする場合に、これもまた入院加療の意思は十分あるけれども、入院するだけのいろいろな条件がととのわないために入れない。その二つの場合がまあ常識的には考えられるわけですが、それらの点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  35. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいま先生がおあげになりました条件も、実は私どもの検討の項目の中に入れております。それからそれ以外の問題といたしまして、実は先生が申されましたようなその二つの条件が原因でありますれば、いわゆる入退院基準の問題とか、あるいは医療費の問題とかという、いわば行政的な問題に解決の方向を求めるということで問題はある程度解決するということになるわけでございますので、そういう方面に研究の結果が進んで行く、こういうことに相なるだろうと思いますし、もう一つ、これは今のところ全くもう学界でも最終的な結論をつけかねておるのでありますが、ここ一年来の科学療法の非常な進歩の結果、今までは入院しなければどうにもならぬといわれておりました病症が、入院しなくてもやって行けるというような傾向がかなり出てきたのでございます。それで結核治療は、古い時代はもっぱら内科的に処理しておりましたが、最近はいわばもう結核治療の重点が外科に移ってきて、一にも外科二にも外科ということになったのですが、一年くらい前からヒトラジツドとか、パス、ストマイというものを相当長期間に、かつ、大量に使えるという道が出て参りましたから、再び結核療法における内科というものにまた重点が移りがけてきているというきざしが見えかけているわけであります。従ってそういうことがある程度影響してきはしないかというような問題があるわけでして、もし原因がそういうところにあるといたしますと、これはいわば結核対策の底を流れる考え方において大転換をしなければならぬという問題をはらんでおるわけでございまして、先ほど私が申しました期間が、ちょっとお聞き下さるとなぜそんなに長くかかるかというお感じがされたと思いますが、実はそういうような問題を半ば省内でも意識しておりますので、どうしてもこれはまあ結論を出すには、ある程度たんねんに材料を集めて練って行かなければならぬということで、研究はいたしているわけでございます。そんなふうに研究しております。
  36. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つ伺いますが、地方の保健所に関係した問題ですが、私ども一般的に、保健所は環境衛生とか、その他予防衛生の方面に従来重点が置かれて動いてきたと思うのです。ところがこの保健所が、最近結核その他に対して、直接治療の手を伸ばしてきておる傾向が相当あると思う。そこでまあ露骨に申しますというと、まだ研究や経験の十分でない者が、相当高度の技術、経験を要する治療に手を伸べる、その結果思わしくない事柄が起る場合が相当あるらしい。それからもう一つは、そのことが地方の医師との間のいろいろな問題を惹起する。そこで保健所の使命を、そのいずれに重点を指向して指導されておるかどうか、それをちょっと伺いたいと思います。
  37. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) これも先生のお尋ね自身の中に対案が入っておるわけでございますが、おっしゃるように、保健所の結核対策における役割は、もっぱら予防的な面と、それから医療の公費負担の運用等にも関係さしておりますけれども、これはもっぱら一般的なお世話という意味で関係させておるだけでございますし、それから居宅の患者に対する指導の面におきましても、これは主として適当なお医者さんの治療を受けておる者ということについて、いろいろ巡回をして御相談に乗るということでございまして、保健所自身の医者がみずから治療するということでは、これは実は保健所に医者を何人置いても足りないではないか、そういうことはお医者さんと保健所との間の任務の分担から見ましても、非常に不経済なことでございますので、考え方並びに現在やっておりますやり方は、先生がおっしゃる通りのやり方でやっておるつもりでございます。あるいはたまたま実際にそこいらが少しあいまいになったことがあったんではないかと思いますが、そういうふうなやり方をしておりますというと、先ほど来政務次官が申し上げておりましたように、今度は健康診断対象等が非常に拡大いたしますから、この方の世話自身ができなくなるといったような結果になりますので、さらに注意をいたしまして、そこいらの任務の分担を明確にして行くということにいたしたいと思っております。
  38. 野本品吉

    ○野本品吉君 地方の公共団体や農業協同組合等で病院や診療所を経営する場合に、一番困難な問題はお医者を求めるということ、そのお医者を求めることに困難を感ずる最大の理由は給与の問題です。そこで保健所のお医者さんの給与ですね、この給与が十分でないというような事柄が、勢い保健所に勤める医師本来の精神、目的から逸脱するような方向に向っておるのではないかということを心配しておるわけです。保健所におりますお医者の給与その他について、厚生省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  39. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 保健所に勤務いたします医者は、現在の給与では少し低過ぎるという考え方は、実は厚生省もずっと一貫して持っておる考え方でございまして、機会あるごとにその引き上げに努力をしておりますが、何分公務員という一つのワクに入りますと、そういうワクの中での操作になりますから、せいぜいのところ、一般の公務員より四号上とかという程度の扱いになってしまって、そういう公務員のワクの中での扱いとしては かなり思い切った扱いをしておることになっておりましても、今度お医者さんの一般的な収入等と比べて非常な開きができてきているというのが現状でございまして、そういうようなことが、保健所に医師を吸収しにくい原因になっておりますことは先生のおっしゃる通りでございます。これは現在のところ、これといった解決はないのでございますが、つとめて機会あるごとに、少しでも引き上げるというようなことを私たちとしても今努力をしているわけでございます。
  40. 野本品吉

    ○野本品吉君 今までお聞きしたことを通しまして、私は保健所が保健所本来の使命に徹した活動をしていただくように御指導をしていただきたいということが一つ。それから人命を扱う大事なことでありますから、保健所に優秀な医師をどういうふうにしたらば招致できるかということについての対策方法等につきまして、さらに一段の考究を希望いたしまして質問を終ります。
  41. 田畑金光

    ○田畑金光君 一つだけ。先ほど松浦委員木下委員から質問がありまして、政務次官の答弁で大よそ了解できたわけですが、念のためにもう一度お尋ねしておきたいと思うのですが、例のつき添い婦の問題です。四千二百名と聞いておりますが、厚生省調査では、三千六百名になっておるということです。それでお話によりますると、資格のある者は、補助員なら補助員にこれを切りかえて行くという考え方である、ただ資格のない者については、他の職業にあっせんをするという考え方である。時期については、来年の三月あたりを一応目途にしておるが、しかし必ずしも、三月になったら全部首を切るわけじゃないんだというような御説明のように承わりましたが、それで差しつかえないのかどうか、念のために承わっておきたいと思います。
  42. 紅露みつ

    政府委員紅露みつ君) つき添い婦の問題で重ねてお尋ねでございますが、資格のあるということは、どういうふうにお考えでございますか存じませんが、あのつき添い婦の中の実情は、看護婦の資格を持った者もございますし、全く何もそうした資格を持っていない者もございますので、資格と申しますよりも、やはりよく看護の実情になれた経験者、それからまあ資格を持っておる者は大がい適格でございましょうが、適格者と認められる方は、やはりなるべく療養所の職員として吸収をして行く、それからその次に考えられることは、公立につきましても、私立につきましても、今年も一万床もふえるのでございますから、その他の方面にもこれはあっせんして差し上げる、なお、やはり一般の職業につく方がこの方はいいんじゃないかというような方につきましては、労働省等に連絡をとりまして、一般のお仕事の方にお世話をする、こういうふうにいろいろな考え方で失業者を出さないということに、とにかく努めて行こうと、こういうわけでございます。  それから期限でございますが、三月の末ごろまでには大体それぞれ身の振り方をつけるようなふうにお世話申し上げて行きたいと存じておりますが、それでもなおかつ解決がつかない、まだ残っておるというようなことになりますならば、それは絶対に三月の末でもって切りかえてしまうんだというふうに線を引かないで、そのときの情勢に応じて、そこは弾力を持たせて解決をはかろうと、こういう考え方でございます。おっしゃったところと大差ないと存じますが、その資格という問題がちょっとどうかと思いますので、特に申し上げたわけでございます。
  43. 田畑金光

    ○田畑金光君 わかりました。資格というのは適格者ということでありますれば、適格者ということでけっこうですが、ただ、その適格着であるか適格者でないかという判断も、この基準をどこに置くかということで問題になろうかと思います。さらにまた、その判定をだれにゆだねるかというようなことにも問題が出てくると思うのです。それは国立療養所の院長にゆだねるかどうかというようなことも出て参ると思うのですが、それはとにかくといたしまして、このように、つき添い婦が現実にあるということは、看護婦の数も非常に少いことが原因をなしておるものと、こう見ておるわけでありますが、お話のように失業者を出さないように、適格者でないものについても、労働省その他に話し合いをつけて職業のあっせんをなされるという御趣旨でありまするが、それは机上の職業あっせんとしては、労働省と話し合いをなさるのもけっこうです。が、しかし現実の末端の国立療養所の実情を考えましたときには、中央で簡単に労働省に話をすれば職業のあっせんができるという、なまやさしい問題ではないと見ております。つき添い婦の人方も、多くは未亡人でありまするし、子供をかかえておる。そうしてまた、その療養所のある地域等において、その仕事を離れて簡単に他の仕事を求められるかというと、なかなかこれは仕事を求めることは困難です。でありますので、この点は衆議院においても参議院におきましても、社会労働委員会等で、適切な措置をはかるべしという決議案を決定されて、政府に要望がなされておるわけであります。この実情をよくお考えいただいて、問題を円満に処理されることを、われわれとしては希望いたすわけであります何時に今までの政務次官の答弁で、これらの人方にも決して心配をさせないような配慮をするということでありまするから、われわれといたしましては、末端においてほんとうにお言葉のような配慮がなされておるかどうかということを今後十分に見守るつもりでおりますので、決してこれが答弁のための答弁で終らぬように御注意を願いたいと考えます。
  44. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ほかに御質疑はございませんか。それでは厚生省設置法の一部を改正する法案につきましては、大体質疑は終了したようでありますから、次に移ります。     —————————————
  45. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは次に、農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  46. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  本案について御質疑のある方は、順次御発言願います。
  47. 田畑金光

    ○田畑金光君 第一にお尋ねしたいのは、賠償関係の問題で、農林省事務が新たに加わったということになっておりまするが、この内容について、一つどういう仕事の内容であるのか、ことに「ビルマ、フィリッピン等に対する賠償実施部面において担当する事務も生じて参りました」というわけでありまするが、どういう事務が生まれて参っておるのか、この辺の御説明を願いたいと思います。
  48. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 賠償事務につきまして、農林関係で担当する事項が、どのようなものであるかと云う御質問でございますが、現在賠償関係といたしましては、先にビルマの賠償協定が締結され、先般はまた日比の間における賠償交渉の打ち合せが行われたわけでございます。従いまして、今後これらがどういう段階において実施されるかということにつきましては、まだ相当未確定な部分がございますので、全般的な賠償の取扱いが、外務省その他におきましてきまりました場合におきまして、それの実行段階について各省がこれに協力する、あるいはその事務を担当するということに相なるわけでございます。現在までにおけるこの問題に対する大体の考え方、あるいは今後予想される取扱いの行き方といたしましては、ビルマにつきましては、おそらく賠償協定に基きまして、実施の取りきめが具体的に行われることになることと思うわけであります。そういたしますると、全体の年間の賠償計画というものが立てられますと、それに基いて各実施計画というものが、年次別におそらく立てられることになるだろうと思います。こういうふうな実施計画が立てられました場合におきまして、農林物資については、それではどのようなものが対象になるか、またどのような物資または役務が対象になるかというようなことが、具体的にその計画に乗って参ることになるだろうと思います。そこで年次別の実施計画に対しまして、各担当の物資官庁がこれに協力する、具体的な実施の可能性といますか、この程度における農林関係としては賠償の物資または役務の対象がある、これに対する計画としては、このようなものが考えられるといったようなものを作成いたしまして、これを外務省が全体として賠償の取りきめ、あるいは調整を行うことになるわけでありますから、それの準備の作業ということが第一に行われることになるだろうと思うのであります。そういたしますと、それによって、ある程度きまって参りました年次計画というものに基きまして、今考えられておる方法は、ビルマ政府と民間の業者の契約をいたすことにいたしまして、その契約に基く資金を日本政府において日本の民間業者に支払うという方法がとられますということになる見込みでありますので、そうしますると、今度は具体的な個々の契約につきまして、農林関係の物資なり、あるいは役務の調達等につきまして、契約の単価、これが不当に安い単価にならない、あるいはまた、民間の業者に不当に高い価格になるというようなことは、予算関係、あるいは今後の通商なりの関係も考慮いたしまして、公正な立場においてそれをチェックするというふうなことを行なって行くことになるのじゃなかろうかと思うのであります。従いまして準備的な計画を立てる、作業計画が立てられました後における具体的な契約についてのチェックといったような仕事が農林省関係における具体的な業務になろうかと考えておるわけであります。たとえばこの対象になり得る物資というようなものについては、いろいろ農林関係のものについても考えられるかと思いますけれども、特に役務のごときにおきましては、農林関係の技術者が向うに行って役務を提供するということになりますと、さらにあっせんするというふうな事務もこれにつけ加わることになるかと考えるわけであります。日比との関係におきましては、まだそういう段階まで参っておりませんので、先般の交渉の過程におきましては、農林関係において対象となり得るような物資なり、役務の準備のまた準備という意味における一応の計画というようなものを作成いたしたのでありますが、これはまだ具体的な実施の段階までに至っておりませんので、担当すべき事務としても確定いたした形はとっておりません。しかしおそらくこれが実施の運びになりますれば、東南アジアに関係する農林省関係の業務も相当ふえて参ってくるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  49. 田畑金光

    ○田畑金光君 今のお話を承わりますると、まあ今後賠償あるいは経済協力に伴うて起きてぐるであろうことを予測されて新しく、まあ官房なら官房に担当課を設けるという御説明ですね。私の承わっておりますることは日比賠償問題はまだ未解決でありますから、これはもちろん具体的なものは何もないと思うのです。ただビルマとの賠償は一応四月に効力を発生しておる。ただ協定実施についての細目の取りきめがまだ終局に至っていない、こういう段階になろうと考えております。しかし実施細目の取りきめにおいても、たとえば契約の方法についてあるいは支払の方法等についてまあ問題が残っておるように聞いておるわけであります。そこで、すでに本年度の予算にも賠償等予算も計上されておることでもありまするし、従いまして細目の取りきめも済んでおるとするならば、具体的に農林省として、たとえば役務の賠償についての助言をなさる、あるいはあっせんをなさるについて、あるいは契約単価について、いろいろな指導監督をなさるについても、もう具体的な何ものかができていてもよろしいのではないか、こう考えるわけであります。私のお尋ねしておることは、こういう農林省設置法の一部改正法律案が出ました以上は、具体的な仕事がもう出ておるのじゃないか、こういうように考えましたので、それはどんな具体的な仕事であるのか。たとえば民間業者がビルマ政府と契約をして物を送るとか、あるいは役務を提供するというような場合に、今まで起きた事例はどんな場合があるのか、これを私はお尋ねしたわけなんです。まだそんなことはないかどうか、ただ予測をされて、こういう機構をこしらえられる、こういうお考え方であるのかどうか、この点を承わりたいと思います。
  50. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 今の御質問でございますが、実施取りきめ自身が目下交渉の段階にあるというふうに聞いておりますので、その取りきめに基く具体的な作業というものにつきましては、まだ農林省として担当しているところまで至っておらないわけであります。ただ外務省に賠償に関する各種の連絡協議会がございまして、それに対する各種の資料の作成というふうな仕事を現在やっておるという段階にあるわけでございます。従って今お話になりました問題は、これから起る問題でありまして、ただ現実におきましても、日比の場合も同様でありますが、ビルマにつきましても、そういうふうな作業につきましては、相当複雑な仕事をやっておりますので、かような仕事を早くから明確にしておく必要があろう、こういうことでただいま改正をお願いいたしておるような次第でございます。
  51. 田畑金光

    ○田畑金光君 ただいまの点は、これから起るであろうことを予測されて、準備をなされたという点は了解いたしました。そうしますと、具体的な取扱い機関というのは、農林省の官房にたとえば課を設置するとか、こういうふうなことになろうかと思いますが、その辺の事情を一つ説明願いたいと思います。
  52. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 農林省賠償あるいは賠償に関連したような国際協力に関連する事務が、ここ二、三年来相当ふえて参ったのであります。従来はこれを官房の総務課というところがございまして、他局に属せざる事務ということで、総務課で取り扱っておったのでありますけれども、今申しましたような事情で、国際協力に関する事務相当ふえて参り、また今後こういう賠償問題を取り扱うということになりますると、やはり責任のある人がこれを能率的にやって行くことの方が望ましいというふうに考えまして、実は今年の二月に、国際協力に関連した事務を担当いたす者といたしまして、参事官制度というものを設けまして、総務課で所掌しているこれらの国際協力に関する事務につきましては、参事官がこれを一元的に処理する、こういうことにいたしまして、目下参事官を中心に総務課長、これに関連して担当しておった職員、並びに省内の関係する担当官をきめまして、これを参事官のもとに一元的に指導し、調査を行なっている、こういうことによって事務の遂行をはかっている次第でございます。今後このような仕事が一層拡充され、もっとはっきりした責任の部課を設ける必要が出て参りました場合におきましては、その際にこれらをどうするかを検討いたすことに考えております。目下のところは、今申しました参事官制度によってこの事務の処理に当らせる、こういうことで行なっている次第でございます。
  53. 田畑金光

    ○田畑金光君 政務次官にお尋ねしたいわけでありますが、この法律案提案理由説明書によりますると、米価審議会について、「従来その組織、所掌事務委員の定数、専門委員の設置等については政令で定め、委員及び専門委員は、食糧庁長官が任命することになっておりましたものを、この審議会の重要性に鑑みまして、この際委員及び専門委員についての主要な規定を法律で定めることとし、その任命を農林大臣が行うこと」にきめたわけでありますが、今年から従来の供出割当制度を廃止されまして予約買付制度に移行されたわけであります。この点に関しましては、これは今後の主要食糧に対する従来の国家管理の方式をやめて自由販売制にするというような一つの段階的な制度ではなかろうかという見方もあるわけであります。もしそういうようなことになって参りますると、結局米価という問題も需給の経済の自由原則にゆだねる結果にもなるわけであります。しかるに今回の法律改正案によりますというと、米価審議会はいよいよその機能を強化し、また重要性を高めてくることになって参ったわけであります。いささか今後の方向と食い違いがあるような感じがないでもありません。そこでお尋ねしたいことは、今後の政府の食糧政策と申しますか、食糧管理制度についてはどういう基本的な考え方でおられるのか、ことにこの点は自由党の食糧政策等に関連した場合に、今保守合同の線から政策協定等も取り上げられているわけであります。当然その政策協定の重要な一つとして食糧政策が取り上げられると思います。その場合に自由党の考えておるお米の統制を安全にはずして自由販売制に移すというような問題も出てくると思いますが、現内閣としてはこれに対しましてどのような方針でいかれようとするのか、この点を伺っておきたいと思います
  54. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) お答え申し上げます。ここにございます米価審議会の委員農林大臣が任命するというように改めました理由は、御案内でございましょうが、実は沿革的に事情がございまして、先に物価庁というのがございまして、物価庁で物価を決定する、米価を決定するというような関係がございまして、物価庁の長官が米価審議会の委員を任命していたのでございます。それが制度が変りまして食糧庁に移りましたので、食糧庁長官の任命というようにやって参っていたのでございますが、農林省内における農林省関係の各種の審議会の委員任命はことごとく農林大臣の任命になっております。ところが米価を決定する審議会の委員が、ひとり食糧庁の長官の任命ということでは他の振り合い上からも少しおかしいではないかということが問題になりまして、他の審議会の委員と同様な取扱いをする必要を感じまして、かようなふうに改めたいということになったのでございます。  それから食糧管理制度の問題につきましては、もう申し上げるまでもなく、実はこんにちまでやって参りましたところの供出割当制度というものについてずいぶんいろいろの批判が出て参りました。私どもの見ておりますところでは、供出制度といいますか、とにかく政府が米を買い上げ、これを管理するというようなことは、私どもはその必要性は依然としてまだ認めているものでございます。しかしながら専門家の言うところによりましても国内で生産された食糧の四割以上が政府の手に買い取られて配給されるということでなければ、それ未満のものを買い取ってあれだけの機構をもって配給をしておるというようなことでは一体管理制度というものは意味をなさないではないかというようなことが論議をされておりますが、私どももそう感じます。必要性はあるけれども、可能性が非常に困難になってきた。ここで何らかの新たなる制度的な方向がえをしなければならないんじゃないかということになって参ったのでございますが、しからば統制を撤廃して自由にしたらという御意見もございますけれども、これはここまで長い間統制をやって参ったものを急激に自由にするということはいろいろの弊害が予想されます。需給の関係においていろいろの混乱が生じます。消費者の生活考えなければなりませんし、また生産者の立場も考えなければならない現段階におきましては、よほど慎重に相当の期間十分なる準備を整えた上でなければ自由にするというようなことはできないのではないか。こういう見通しの上に立つて、できることならば条件が整備されて参りましたら自由にすることは望ましいであろうが、今の段階ではまだそういう情勢ではない、こういう見解に立ってただいまの過渡的な、と申しますか、事前売渡申込制度という制度を採択せざるを得なかった次第でございます。
  55. 田畑金光

    ○田畑金光君 お話によりますると、まあ過渡的な制度として今年の予約買付制度をとられたというわけでありますが、言うところの条件が整備されたならば統制を撤廃し、自由販売制に移すということも考えておられるように承わるわけであります。そこで条件の整備と言われまするが、条件の整備とは一体どのようなことをさしておられるのか。いろいろな面があると考えるわけであります。これは国内の食糧の問題、あるいは海外食糧の問題、こういう国際的な視野に立つ問題もありましょうし、あるいはまた各経済の面から見た場合に国内の農民の個々の点等に関連した条件もあると考えるわけであります。いろいろこの問題というものは万般にわたると考えるわけですが、いわゆる条件の整備ということはどういうようなことを言われておるのか、まずその条件がかりに整うとするならば、今の食糧管理制度を廃止して自由制度に移されるという御意思であるのかどうか、この点をあらためて承わりたいと思います。
  56. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 御指摘の通りもろもろの条件がございますので、一がいには申し上げかねるのでございますが、ただいま統制を撤廃したらどうなるかということを考えただけでも、私どもは外国から相当量の食糧を輸入をして政府が手持ちをしていなければならないというようなことが考えられます。ただいまの日本の外貨事情等から考えまして、これは非常にむずかしい問題であろうと思います。それからまた同時にそうすることが日本生産農民に及ぼす影響ということを考えますと、これまたきわめて重大な問題でございます。日本のような、国際的に見ましてきわめて特異な零細な規模で経営をいたしております日本農業というものは、助成政策といいますか、相当程度の保護政策というものが私は考えられなければならないと思っております。世界で一番大きな農業と言われるアメリカのような、企業として成り立つ農業をやっておりますアメリカでさえもがCCC制度のような大きな保護政策を行なっておる、こういう現実を見ましても、私は日本の零細なる特異性だけでなしに、なお農業というものの保護政策をとらざるを得ないところの現状を考えますと、これは海外の食糧に依存するというようなことは極力避けなければならない。私ども日本農業、農政の重点は、やはり自給度を高めて外国に依存する度合いを少くしていくということが今日の喫緊の問題であると考えておりますので、生産者の立場を考えただけでも私はただいますみやかに統制を撤廃するということは困難ではないかと考えております。その他配給機構の問題もございますし、終戦後の第三国の資本による思惑等の問題等も考慮に入れますと、私どもはただいますみやかに統制を撤廃すべきではない、その他ございますが、これらの条件がそれぞれ整備をし、あるいは緩和をいたして参ったときに初めて正常な自由取引のできるような状態になるのではないか。いつころかと申しましてもこれはただいまの段階ではちょっと私どもには見通しは立たないような次第でございます。
  57. 田畑金光

    ○田畑金光君 今の改称次官の御答弁を承わりまして、一つ一つの具体的な要素についてはその考え方について私も同感なのであります。ことに日本の農業のように宿命的な零細企業であるということと、お話しのように海外における企業化された農業生産物との太刀打ちということを考えたときに、これはもはやできない相談であろうと考えるわけであります。また同時に日本の今後の産業構造というものを考えたときにどうなければならないかということ、あるいはまた日本の今後の経済の自立の面から見ました場合においても、輸出入のバランスの土からも見てもこれは条件がなかなか整うような日本ではないだろうと考えるわけであります。さらにまた消費者の立場から見ましても問題は重要であります。そういうことを考えたときに、いわゆる食糧の統制を撤廃するとか、あるいは自由販売に移すというようなことは、これは軽々しく取り上げられない問題、はなかろうかと私は考えるわけであります。そういう意味におきまして、今後食糧の管理制度に伴う欠陥というものは一つ一つ除去しなくちゃなりませんけれども、食糧の管理制度そのものは日本においては宿命的に守らねばならぬ政策ではなかろうかと、こう考えるわけであります。その点にその辺にとめまして、過般の米価審議会から答申がなされております。この答申に関しまして集荷奨励金を二百五十円支給すべしというような答申がなされておりますが、この点につきまして、米価審議会もお話しのようにまことに重要性を加えまして、これらの答申の権威も尊重していこうとする政府方針でありまするが、先般に審議会の答申についてどのように今政府部内において処理されるのか、この辺の事情の御説明を願いたいと思います。
  58. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 米価審議会の答申につきましてはもう十分に尊重をいたして参りたい、そうして集荷を成功をさしたいということでその財源につきまして非常に考慮をいたしております。そこで本日の閣議におきましても、農林大臣と大蔵大臣との間に相当のこの問題について突っ込んだ話し合いをいたしたのでございますが、ついに結論を得るに至らなかったのでございますが、来たる金曜日の閣議には最後決定をいたすつもりでございます。審議会の答申を十分尊重をしていきたいと、こういう心組みでもって準備をいたしておりますことを御了承願います。
  59. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑ございませんか。
  60. 野本品吉

    ○野本品吉君 一つだけ直接この問題に関係がないことなんですが、国土開発青年隊、かねがね農林省でお骨を折られておるのですが、その後の経過、現状等について御説明を願いたい。
  61. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 私こまかい実は数字を承知いたしていないのでございますが、当初政府の案といたしまして七百五十名であったと思いましたが予定をいたして、予算案に計上いたしたのでございますが、その後予算の修正を見ましたので若干増加いたしておると思います。建設省の国土開発青年隊といいますか、青年隊と連係をとりまして、主として農林省においては土地改良、農地の造成、等に働いてもらう予定を立てております。
  62. 野本品吉

    ○野本品吉君 この青年隊は建設省が主体としてやることに対して農林省が側面から協力する、こういういき方ですか。
  63. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 農林省は農村建設青年隊と申します。建設省は国土開発青年隊と申しまして、これは別々に立っておるのでございますが、事柄によりましては協力をしてやって行く、こういう建前でございます。
  64. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは日本の国土の開発とか、農地の開発、農地の造成、そういう点から考えまして農村の青年、なかんずく次、三男の問題と非常に大きな関連を持っていると思うのです。私は。そこでこの青年隊の健全な育成発達のために最大の努力をしますことが国土の開発の面から言っても農地の造成、土地の改良、それから次、三男の問題、そういう点と大きなつながりを持っていると思うのですが、今までの実績と申しますか、これはどうなっていますか。
  65. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) 野本委員の御指摘の通り、私の方の所管をいたしておりますところの農村建設青年隊の方は農村の次、三男対策をも加味いたしておりまして、土地改良その他の事業に参加させ、開発されたところに入植するというような期待もいたしておるようなわけでございまして、この点は野本委員御指摘の通りで、その方向に向って進んでいるのでございますが、昭和二十七年度に発足をしたばかりでございますので、まだ期待をいたしております入植とか、その他のことについてはまだ具体的な例はあまり現われていないのでございますが、土地改良、開発等については相当の実績を上げております。
  66. 野本品吉

    ○野本品吉君 この問題は、ただいまのお話にありましたように発足当時においては政府としても相当かけ声を大きくして言われたことであり、それからまた一般農村の人たち相当この問題の将来に対して希望と期待をかけておったのであります。ところが私たちの見るところによりますれば、発足当時の意気込み、一般の期待に比べまして、その後の青年隊の活動と申しますか、成長と申しますか、こういう点が非常に遅々としておるように感ぜられるのですが、そういうことはお感じになっておりませんでしょうか。
  67. 吉川久衛

    政府委員(吉川久衛君) はなはだ恐縮でございますが、私まだつまびらかにいたしておりませんが、私の聞いておりますところでは、農林省の所管においてはできるだけ入植者となって行きたいという希望が強いようでございますので、むしろその方向に伸ばしていくように努力すべきではなかろうかと、かように考えております。
  68. 野本品吉

    ○野本品吉君 私はこまかいことをおお聞きする考えはおりませんが、この青年隊の、先ほども申しましたように健全な育成発展ということが、日本のいろいろな方面における開発、建設、生産への大きなつながりを持っている。それからどちらを向いても壁に突き当って暗中模索して煩悶しております農村の若い者に非常に希望を持たせる点において大きな意味があろうと思います。従ってかけ声だけに終らずに、いよいよますますこの問題について馬力をかけていただきたいということを希望申し上げまして、あとこまかいことは後刻適当な機会にお伺いいたしたいと思います。
  69. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑ございませんか。……それでは本案につきましては大体質疑も終了したようでありますから直ちに討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 松原一彦

    ○松原一彦君 討倫も省略して、直ちに採決せられんことをば希望いたします。
  71. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 ただいまの御意見に賛成します。
  72. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまの松原君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それではさように決定いたします。  それでは農林省設置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  74. 新谷寅三郎

    委員健(新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条により、本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他事後の手続につきましては、慣例によりこれか委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可決せられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     松原 一彦  小柳 牧衛     田畑 金光  野本 品吉     加瀬 完   上林 忠次     宮田 重文  長島 銀蔵     中山 壽彦
  76. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  77. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  次に郵政省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましては、すでに質疑も大体終了したようでありますから、直ちに討論採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 この際私は討論を省瞬いたしまして、直ちに採決せられんことの動議を提出いたします。
  79. 松原一彦

    ○松原一彦君 異議なし、賛成。
  80. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまの長島君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ着もり〕
  81. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それではさように決定いたします。  郵政省設置法の一部を改正する法律案につきまして、これを原案通り可決することに賛成の挙手を願いします。   〔賛成者挙手〕
  82. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって減算通り可決すべきものと決定いたします。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他事後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、報告書には多数意見者の署名を付することなっておりますから、本案を可とせられた方は順次議御署名を願います。   多数意見者署名     松原 一彦  小柳 牧衛     田畑 金光  野本 品吉     加瀬  完  上林 忠次     宮田 重文  中山 壽彦     長島 銀藏     —————————————
  84. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に法務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましても質疑はほぼ終了したようでありますから、これより直ちに本案につきまして、討論採決をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 私はこの際討論を省略いたしまして、直ちに採決に入られんことの動議を提出いたします。
  86. 松原一彦

    ○松原一彦君 私は長島君の動議に賛成いたします。
  87. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまの長島君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それではさように決定いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案を問題にいたします。本案を原案通り可決います。   〔賛成者挙手〕
  89. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一玖でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他事後の手続は、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     松原 一彦  小柳 牧衛     田畑 金光  野本 品吉     加瀬  完  上林 忠次     宮田 重文  長島 銀蔵     中山 壽彦     —————————————
  91. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に文部省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。本案につきましては大体質疑も終了したようでありますから、これより直ちに討論採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 私はこの際討論を省略いたしまして、直ちに採決に入られんことの動議を提出いたします。
  93. 松原一彦

    ○松原一彦君 長島君の動議に賛成いたします。
  94. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまの長島君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは直ちに採決に入ります。  文部省設置法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  96. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他事後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名      松原 一彦  小柳 牧衛      田畑 金光  野本 品吉      加瀬  完  上林 忠次      宮田 重文  長鳥 銀藏      中山 壽彦     —————————————
  98. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に厚生省設置法の一部を改正する法律案議題にいたします本案につきましては大体質疑も終了したようでございますから、これより直ちに討論採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 私はこの際討論を省略いたしまして、直ちに採決に入られんことの動議を提出いたします。
  100. 松原一彦

    ○松原一彦君 長島君の動議に賛成いたします。
  101. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまの長島君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それではさように決定いたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成着挙手〕
  103. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決することに決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他事後の手続につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないものと認めます。よりてさよう決定いたします。  なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     松原 一彦  小柳 牧衛     田畑 金光  野本 品吉     加瀬  完  上林 忠次     宮田 重文  長鳥 銀藏     中山 壽彦
  105. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  106. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。    午後一時一分休憩      —————・—————     午後四時三十二分開会
  107. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 休憩前に引き続き内閣委員会を開きます。  国の防衛に関する調査議題といたします。本日は立川飛行場基地の測量問題につて調査を進めたいと思います。  なお本件につきまして吉田法晴君から委員発言を求められております。これを許可することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それではさように決定いたします。
  109. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 日程が詰まっております際に委員発言のお許しを得ましたことを御礼を申し上げて質疑に入ります。  基地問題が最近大へんやかましくなってております際、特に立川の飛行場拡張に伴って砂川町の町民全部の反対がございまするのに、相当の強行が調達庁側においてなさてれておるようであります。私どもが従来政府なりあるいは調達庁の所信を伺って参りますと、関係者の大部分が反対ならば強行をしないいう言明は福島長官もしばしば繰り返されてきたところであると承知たいたしておったのであります。最近の立川基地拡大、あるいは砂川町に対しまする点等を考え合わせますと、この問題がどうなったのだという疑問を持つのであります。基本的な方針について、まず福島長官にお伺いをしたいと思います。
  110. 福島愼太郎

    国務大臣福島愼太郎君) 飛行場の拡張の問題に関連しまして当面調査の必要があることになっております。その場合土地所有者その他の御同意が簡単に得られないという事態も容易に想像されるのであります。それに関連いたしまして、あくまで、でき得る限り所有者の同意を取りつけるように最善の努力を果したあとでなければ強制的に立ち入ったり、調査したりするようなことはしたくないということは申し上げたつもりでございますし、今日もその考えは変っておりせん。
  111. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) そういたしますと、大部分が反対な場合に強行しないという従来の言明は今日といえども変っておらぬ、かようなただいまの御答弁であったと思うのです。  それからもう一同じことでございますけれども、たとえば防衛分担金の削減交渉に関連をして本年度拡張をしようしいう五つの飛行場の問題につきましても、小牧の点について地元の了解を得て進めておるという答弁に対して、実態はそうではないじゃないか、こういう質問が行われました際に、ちゃんと法定の手続を踏んでやりたい、こういう御答弁もあったようでありますが、これも砂川の場合には無視されておるかのように思うのでありますが、この点はどういう工合考えておりますか。
  112. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 小牧の調査に関連いたしまして国会で申し上げておりましたことは、小牧につきましては所有者の方と申しますか、同意を得て調査をしたというふうにわれわれ考えております。ただ所有関係者が数百人に上るところでありますので、その一人々々から同意書を取りつけてあるというわけではない。村長なり、町長なり、代表者との間に話し合いがついておる、その上でやったということであります。ところが指摘をされましたのは、村長も承知をしていない隠れた権利者もあり得るのではないか。村長ということで、全部をカバーしていないという理論上の場合があり得る。そこで、そういうことも考えられますので、話し合いをつけるという実質的な、努力はすると何時に、また工事その他の方法によります法律上の手続に基く立ち入り請求の手続もとる、それによって隠れた権利者その他があった場合には、そういうことは趣旨ではありませんけれども、手続としてはその人の土地にも入れるということをカバーしてある、こういう建前で事実上の説得による承認を取りつける以外にこれはもう強制立ち入りと同じ建前になるわけでありますけれども法律上の手続もとった方がよろしいという当時の国会におけるお話し合いでの結論でもございましたので、両方の手続がとってあるということであります。従いまして立川の場合ついても知事の工事その他の手続がとってあるわけであります。しかしながら、先ほど来その点に私の方も触れておりませんので御理解がどうかと思いすけれども、立川の問題と申しますのは、立川の飛行場の滑走路を延長したい、その場合にもちろん民有地と申しますか、私有地の地面が要るわけなのでありますけれども、これについてはまだもう少しわれわれもその所有者の同意を取りつけるべく努力がしてみたい。従って法律上の手続としてはこの知事の工事その他の手続は開始してあるわけだけれども、所有者の一人々々についてもう少しこれを最後まで説得する努力をしていきたい。従ってその私有地に入る意思はない。立川の滑走路の延長問題の眼目は、直角、立川のまん中の街道に対して直角に滑走路が千五百尺延びてくるという関係になりますので、その道路に対して予定された拡張の計画がどうなるかという点が眼目になりますので、私有地の承諾を取りつけるという方はなお今後努力した上のこととして、とりあえず道路上の測量だけしてみたいということで入っておりますわけで、東京都の公道でありまして、収用法の関係もなければ何の関係もないわけであります。道路使用の警察署長の許可があれば道路上に立ちどまってくいを打ち、測量することができるわけであります。その調査だけをいたしておるのでありまして、強制立ち入りとか、道路でございますので強制を用いなくても調進庁といえども入れるものと考えておりますので、強制の立ち入りと、そういう観点は今回の実施しております立川については全然関係のないものと考えております。
  113. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 先ほどの答弁についてもはぐらかされましたが、これはまあ別の機会に当委員会でお取り上げ願うということですからその点の追及は留保いたします。  最後の立川の拡張、それから砂川の調査の問題でございますが、福島長官の今道路の調査、測量をやる目的だけでおったのだ、こういうお話ございますが、正確に日にちは覚えませんけれども、最初東京調達局から調査に行かれました際には、矢崎次長が道路の調査は、道路は基点になるのであるから、その基点の調査とともに私有地の調査もするのだ、こういう私有地の調査の意図も矢崎次長の口から明らかにせられておるようであります。この点はどうなのか。結局私有地に立ち入って十一条の準備のために立ち入ると、こういうことであったけれども、それが批判をされた、あるいは町民の反対にあって私有地に入るつもりはなかった、道路上だけを測量する、こういう言いわけに私は変って参ったという感じがいたしております。お考えがあるかどうか。  それからもう一つ、福島長官は、これは土曜日の日であったかと思います。新聞は毎日新聞であったかと思うのですが、負傷者を出しても調査は強行する、こういうことを言っておられます。これは負傷者を出してもということは、あるいは死人を出してもやりかけた調査は強行してやるのだ、こういう意向に聞こえるのでありますが、そういう御意図なのかどうか承わりたい。それからもう一つ、これは一昨日、土曜日の日立川に私ども参りまして、福島長官の新聞を通じての言明その他から怒りました現地の諸君が調達庁あるいは福島長官等に抗議に参る、こういうことでございますから私同行いたしまして、その際に東京調達局の川崎という名前だと思います。正確にわかりませんが、課長であることには間違いございませんが、十一条だけで調査をやったことがあるか、強制調査をやったことがあるか、こういう質問に対して、ああいうばかな町長がおるからそこでこういう問題が起る、こういう事態が起るのだ、こういう答弁がございました。そうすると、福島長官の言明なり、あるいは調達局の官僚的な動向、あるいはそういう言明を貫いておりますものは、かりにきめたものはこれは何が何でも所有者の、あるいは地元の意向、あるいは利益というものは無視しても、どんな犠牲を払っても、それが法の要件を欠こうとも、何をしようとも、けが人を出そうとも、あくまでこれを一方的にやるのだ、かようにわれわれ考えられるのでございますが、これらの点に関連をして調達庁の意見、あるいは政府の意図というものを伺いたい。
  114. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 私有地を調査する方針であるということを最初に参りましたときに担当の者が申したという話でありますが、これはもちろん私有地もいずれは調査いたさなければならないのでありますから、道路上の測量を済ませば私有地の測量もしたい、そのために私有地も含めて東京都知事の通知を出してもらったわけであります。私有地を調査する考えがあることはこれも明瞭なんです。しかしながら私有地についてはもう少し説得の努力をしてみたい、その日にはやる意思はないのです。道路上の測量でもかれこれ四、五日はかかるのでありますから、道路上の測量から始めて終るごろまでに私有地についても極力説得をしたい、こういう考えで言ったわけでありまして、その日に道路に変ったわけでも何でもない。従って道路の測量という問題に、道路の使用という件について管轄の警察署長から許可をとっていったいうことであります。道路は通行の目的だけで入ったものではありません。通行の目的であれば使用許可は要らない。道路の測量許可を事前に取りつけて参ったということは、道路の測量から出発し、それが数日かかるのであります。それ以後において私有地も測量したいと希望することは事実ある。所有者との間にさらに話し合いを続けなければならないというふうに考えておったわけであります。負傷者、けが人が出てもやれということを私は申した、多分申したのじゃないかと思いますが、それはけが人というのは調達庁側のことを言っておる。道路へ入れぬというべらぼうな法は少くとも日本にはないのだ。道路の所有者というものはそうやたらにおるわけじゃない。これは国なり都なりの道路なんである。そこへ入るのに入れないという法はない。こわがって引っ込むというばかなことはしないでさっさとやってこいということを申しました。道路へ入っていくということでけがをするなんということは第一考えられない。そういうことはないはずだからやれということを申したわけであります。先方にけが人を出してでもやってこいということを申したのではないのでございます。御了解を願いたいと思います。なお吉田さんが御同行になりました際に、東京調達局でばかな町長云々という言葉が使われたそうでございます。私はおりませんで承知いたしません。こういう言葉づかいというものはこれはいたすべきものでございません。もしさようなことがごさいましたらこれはお許しを願いたい。そういう考えで申したのではない。この御指摘のありました所有者の意向を無視してでも、法の要件を満たさないでも、あくまでやるのかいうお話でございましたが、申し上げましたように、道路をさしあたって測量がしたい、道路の所有者というものは個人ではないので、所有者の意向を無視してもということは道路の調査に関する限り成り立たない話である。法の要件を無視してでもとおっしゃいますけれども、道路を使用する場合には警察署長の許可、十分なる要件を備えておりまして、御指摘のような点、御心配はないと考えております。
  115. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 根本精神を聞いたのでありますが、根本精神についてはあくまで反対を押し切っても、けが人を出しても、法の要件を具備しないでやれというのじゃない、これだけはわかりました。ただ福島長官のたとえ負傷者を出すことがあってもわくまで強行する決心である、云々というのは、これはまあ水掛論になるかもしれませんけれども、この文章を読んで、特調側にけが人が出ても去々というようには、これはだれが読んでもとれません。これはまあ文章なり言葉の意味になりますけれども、どんなにけが人が出てもやれということを強行する決心だ云々というのは、これはやはり町民側にけが人が出ても強行する意向だ、こうとるのが普通だと思います。まあ今の答弁、弁明は私は詭弁だと思います。  それから私有地についてはもっと穏やかに話をしてみるつもりだ、説得の努力をするつもりだ、こういうまあお話でありますが、それでは砂川町の最初のときには、道路を起点にして私有地に入っても調査測量をやる、こういうお話でしたが、その後それでは私有地には入らないのである、あるいは道路だけをやるのだという話は……なるほど長官は今けが人があってもあくまで強行する決心だと言われたことは新聞には書いてある、しかしながら町なら町に言われるような態度であるいはもう少しやわらかい態度でお話になった事実があるのですか、私は聞いておりません。あくまで調達庁の一貫した方針は起点として全部をやるのだ、それができなくなったから途中で道路だけをやるのだ、それからやるにしてもけが人を出しても、あるいはそんなばかな町長なら町長に対してはどんなことをもってもやる、こういうような意向に聞こえのでありますが、その辺重ねて一つお尋ねいたします。
  116. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 私有地に関してはさらにもっと説得の努力をしてみたい、しかしその努力がちっとも実が現われておらんではないかという御指摘だろうと思いますが、これはまあ五月の初め以来町長をつかまえて何とか談じ込もうというので相当に努力したのでありますが、とにかくどこへ雲隠れてしまったのか町長が全然つかまらない。家へ参りましてもおりません。家族がおろおろしているばかりで、どこかへ連れ込まれているのかさっぱりどうにもならない。何ともはや努力が……町長と話し合いが足りないということは御指摘の通りではなはだ申しわけがないのです。おらんのです。まことに閉口頓首をしておりまして、たとえば昨日も町長が官房長官のところへ談じに来たとかということであります。私どもの方にも見えるということで、実は私もかまえておりました。どうも抗議にいたしましても、陳情にいたしましても、どうも私の態度が悪いせえかもしれないが、さっぱり私のところにおいでをいただけないということで、いかんとも連絡がとれない。その意味におきましては町長との話し合いの度数が重ねてないと申しますが、それはてんで……飛行場拡張の話は五月の当初のころには一度係の者が町長に会ったことはあるようであります。飛行場のひの字も話はできないということでいかんともどうもしようがない。それからまた各所有者の家は調達庁立入禁止という札が張ってあります。これも話ができないということでありまして、まあやむを得ずちょうど道路が地域まん中になっておりまして、これの調査を済ませますと、大体の設計上の見当もつくわけて、あります。従いまして道路の調査を終るころには、調査とはいかなるものであるかということもある程度所有者の方にも理解してもらえるであろう。  それから立川の滑走路拡張の問題の難点と申しますのは、現在の滑走路を直角に延ばしてくると、道路にぶっつかって道路に食い込むという点に難点があるわけであります。従いましてこれを少しはすっかいに滑走路を新しくとるようにすれば、道路にひっかからないで済むのじゃないか。そのために道路の方角なり位置なりというものを測量によって初めに正確に定める必要があるわけであります。そういたしますと、アメリカ側の頼んで参りました案以外に、道路を削らないで済む案とか、いろいろな代案もわれわれとしては考えられるのじゃないか。所有者の説得に入りますときに、代案をもって説明をするという態度も必要なことではないか。その意味におきましてあらゆる問題を前提といたしまして進路上の測量というものが必要にしなる。従って道路上の測量のために許可も受け、これを開始した次第でありまして、ところがその道路上側から追っぱわれまして、どこにもならぬということに現状はなってわります。しかし道路というものは、別にだれさまの所有物になったという話も開いておりませんし、われわれも使えるはずだと思っておりますので、何とかこの道路の調費だけはそのうちに実現完了するようにしたいと考えております。
  117. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 調達庁長官はきょうは大へんおとなしいが、この間の衆議院のときにはなかなか勇敢でしたが、実際にやっておりますのは今のようなお話ではございません。あるいは、たとえば穏やかに言われましたけれども、この間の東京調達局長にしても、ほかのところに行くけれどもおれのところになぜ来ないのだというきつい非難、そういう態度からいたしますと、今のような御答弁の態度ではございません。  それからこの間成瀬君が本会議で質問をいたしました点に関連いたしますが、全体として基地のために収用するかどうかというときに、きめたらもうとにかく問答無用だという態度が法の解釈にも現われておると思うのであります。十一条の手続さえすれば、十二条は土地収用法の規定でありますが、十二条は要らんというような答弁西田労働大臣の答弁——国務大臣答弁でありますから重ねて質疑をすることができませんでしたけれども、土地収用法というものがどういうものであるのか、私どもは土地所有者の利害を守る、あるいは土地収用法にいう行為、あるいは特別措置法にいう米軍の要望、それと土地所有者との利害の調和をはかるということ、土地所有権をできるだけ守るというのが土地収用法の精神だと思うのです。従って十一条の手続だけでは実際に土地に立ち入るということ、あるいは土地所有者が十三条の立ち入りの受忍の義務をもっておるものではないと私ども考えるのでありますか、福島長官も本会議のうしろの方におって聞いておられたようでございますが、これらの点についてどういう工合考えておられるか、政府の所信を承わりたいと思います。
  118. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 収用法の関係でございますが、十一条によって国が準備のために——これは収用まで行かない段階でございます。収用以前に準備のために調査がしたいというときに、その意思を決定いたしまして、都道府県知事にその通知をする、知事がこれを公示をする、そうした場合に、それによって国の立入権というものは発生する。関係の市町村長はこれの公示を関係者に対してする。それは現在の解釈によりますれば、市町村長の公示というもんがその関係者、あるいは土地の所有者に対して知らせずにいて乗り込まれ、不測の損害が生じないように報告をしてやるという意味の規定である。従ってその公示をして——これは市町村長のしなければならない義務なんでありますが、その公示を怠ったがために土地の所有者が不測の損害を受ければ、その所有者は国に対して損害を請求をしないで、公示をしてくれなかった市町村長に損害の請求をする、そういう関係になっているわけであります。従いまして国の立入権というものには関係ない。都道府県知事の公示によりまして国が立入権を持っている場合には、土地の所有者は正当な事由がなければこれを拒んではならない。十二条の町村長の公示いうものは、かりにこれがなくても正当な事由ということにはならないというふうに法制局長官もその当時答弁したはずでありました。私どもも法制局の解釈、これが政府の有権的な解釈であり、それに従っておるわけであります。しかしこの問題は仮処分の申請も現地でなされているそうであります。裁判に出ているのでありますから、どういうふうにきまるか、これは裁判所の決定通りでも差しつかえない、別にその解釈そのものをがんばろうと思っておりません。裁判でしかるべくきまったことが正しいので、裁判があるまでは、われわれとしては法制局長官の見解というものに従うと考えております。しかし重ねて申しますけれども、今申して、おりますのは、この十一条、十二条、十三条という関係は全然ないのである。道路を使用するのがいいか悪いかというだけの問題、これに対してまあ道路に入れなくて追い返されておるという始末で、調達庁が問答無用だという態度だという御指摘でありましたけれども、私どもは好き勝手に言わせていただけは、問答無用というのは道路から追い出す方が問答無用の態度であって、われわれの方がよほどおとなしいと考えざるをえない状態だと思っております。
  119. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 法の点については参議院の法制局長も来ていただきましたので、お尋ねいたしたいと思うのですが、砂川の今のもめておる点は、この法文には関係がない、こういうことでございますが、それでは十一条、十二条と申しますか、土地収用手続には何らの関係ない、それでは手続でございますが……。
  120. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 現在行なっておりませんが、行おうとしております土地の調査は道路上の調査を目的としておりますので、土地の収用法には何らの関係がない。道路の使用の許可さえ得れば、その道路上に車をとどめまして、あるいは測量機を置きましてその測量を行うことができるのであります。土地収用法は私有の土地に、個人の私有地に調査のために立ち入ろうという場合にどうやって収用するとか、どうやって使用するとかということを定めてありまして、公けの道路を使用するために定めてある法律でございませんので、収用法とは関係がないというふうに申し上げたのであります。
  121. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 調査測量のために土地に立ら入ることは当然なことである、差しつかえないじゃないかというお答えなんですが、確かに土地は民有地でありませんから、おっしゃる通りだと思います。しかしなぜ砂川町の町民たちが、町長を初めとしてほとんど全部といっていいのです。これが反対しているかということを考えにならなければならぬと思います。土地の調査測量は、さらにひいては民有地の調査測量にも及ぶだろうということを懸念しているからみんなが反対しているわけなんです。そのことをあなたはどのようにお考えになっているか、単にこれは国家の土地であり、あるいは都の土地であるからかまわんのだということだけでもって町民の反対を無視してもいいかということに私はなるかと思うのです。その点御回答願いたいと思う。
  122. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) それは、まあ道路の調査であるから理屈はこちらに十分ある。しかしなぜ町民が反対するのだということを考えたことはないかというお話でございます。これは私ども考えております。道路の調査でも、それが大体基礎になりまして、それからそれへと発展するのでありますから、これも反対したいという気持はこれは当然でありまして、反対するのがおかしいとは思っておりません。おかしいとは思っておりませんけれども、道路上におります人間を溝の中へほうり込んでみたり何かすることは、反対するからといってその行為が正しいとはわれわれは言えない。しかもわれわれがそういう町民の反対があるにもかかわらず、できる調査であるから、道路をなぜ調査するかということになりますと、立川の飛行場の拡張の問題について町長初め町民の諸君と話がしてみたいという希望をわれわれ持っておるのです。その際アメリカ側から言って参りました簡単な案だけではこれはもうとうてい町民は納得するはずがなかろうと思って、もうちょっと気のきいた案を作りたい、もうちょっと損害の少ない案を作りたい、そういう案をもってだんだんと話をしていくべきものだと考えております。道路の調査をすればどのような代案が成立し得るかということもある程度わかってくるのです。そこでそのような材料も手に入れた上で、町長初め町民諸君と話もしてみたいということも考えておるわけでありまして、町民諸君がなぜ反対するかということはわからんではありません。わからんではありませんけれども、さりとて調達庁が道路に入れないということを承認するわけには参らないというような気持でございます。
  123. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 ただいまお話の中に道路上にいる人を川に突き落すというようなことはけしからんじゃないかというお話がありました。これは土曜日の日の東京調達局の不動産部長の問題だと思います。私は土曜日の日に向うへ参りまして一応調査して参ったのでありますが、しかしおっしゃるように、不動産部長を川の中に突き落したというのではないのです。数人の人たちが不動産部長に対して自動車からおりないようにしてくれと言うのをおりた、そこで自動車に押し返そうとしてもみ合っておるうちに川の中にはまったんだと、こういうことが事実のようであります。新聞などで見ますと、不動産部長を突き落したように出ております。これは全くの新聞の偽りの記事だと申し上げなければならぬのです。  それから町民の反対は、たとえば第一案によりますとこの第一案に予定されている地域にはお墓が十三ヵ所ある、それ民家が約百三十軒ある、でその総坪数は五万何千坪になる。しかもこの第一案がもしも設定されるということになると、五日市街道があそこで断ち切られてしまう、村が二つにさかれるというような事態にもなるのじゃないか、もちろんその五日市街道の北の方面はなお砂川町として残っておるものがあります。しかしいずれにしましても五日市街道が町の中心を通っておりまして、五日市街道が分断されるということによって砂川町民の生活というものが非常な影響を受ける、そのために反対しておるわけです。それから第二案のお話がありました。第二案というのは道路のそばまではすかいにやろうという案でありますが、ここには民有地がありますけれども、民家はきわめて少い、それで第二案ということでありますが、しかし第三案の方にはたしか小学校か何か含まれることになるんじゃないかと……。
  124. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) すれすれに……。
  125. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 第一案の場合には中学校が道路を隔ててあるわけです。そういうようなことで町民たちはとにかく反対しておる。しかも終戦後、今回は除いて四回にわたってそれぞれ地域が接収されて、その総面積が二百四十四町三反ですか、そこへまた五万坪ですから十八町何反ぐらいになるだろうと思いますが、それが接収されると、これは生活権の問題になる、生きるための問題だというので町民は反対している。調達庁の長官といえども日本人なんです。日本人の立場においてこの問題を考えられたことがあるかということを私はお尋ねしたいのです。向うとの日米合同委員会において決定したから何とかということを主として考えるべきではなくて、日本人の立場としてこの問題を解決するという態度を私はとってもらいたい、そのことをお尋ねしておるのです。
  126. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) これは、調達庁長官といえども日本人でございまして、その立場で仕事をいたしておる。従いましてアメリカ側の要求して参りました道路にまっすぐぶつかる案以外最も犠牲の少い案を立てて、これによってアメリカ側を説得しよう、それすらもアメリカがいやだというふうなことになりますれば、これは問題は御破算になってしまうおそれもあると思っております。そこで第二案が御指摘がございましたように、小学校にかかりませんのですが、方角として小学校の方へ向うとちょっとはずれますけれども、そういう弱点がある、しかしながら小学校をまた移転させるという方法もありましょうし、民家には非常に関係が少くなって参ります。必ずしも実行不可能な案だとは考えておらない、従いまして、アメリカ側を説得する有力なこれは材料になる、そのためにはアメリカ側を、まだこれはアメリカ側にこの説得をしたことはないのですから、第二案というものが実施可能なんだというそういう方角ならば道路を断ち切らずともはまるのであるという理論士の根拠を得るために、道路の測量がどうしても必要とする。何もはまるかはまらないかくらいは測量しなくてもわかりそうなものだというお話はございましょうけれど、これは日本の土地の面積というものは公簿によってはどうしてもわからない。公簿と実面積とは合わないのです。測量によって実態を見きわめませんと、何割くらいの誤差があるかということが土地によってわかりませんので、まず測量をいたしまして、まずもって実行可能であるということを見きわめ、それによってアメリカ側を説得する必要がある。現在のところは、砂川の町角の反対というものは何が何でも反対なんです。どういう案を考えてもどういうふうに考えても反対なんだとこういうことでありますから、話が頭から合わないのであります。そういうああしたらどう、こうしたらどうという話まで話が入らない。そういう話をするようになって参りますれば、私ども考えというもので関係の町民諸君も説得し、またアメリカ側も説得できるつもりでおります。またそういうふうにああでもないこうでもないという話し合いをいたしました結果、どうしてもできないということになれば、これはおじゃんになる話なんです。頭からやめろと言われましても、こっちもどうも引っ込みがつかない。道路の調査はできない、道路が調達庁の通行禁止になっているという話は聞いたことがないのだが、しっかりやってこいというかけ声をかけざるを得ないというようなことでございまして、現地とにらみ合っておる、まあここ数日息を入れまして、また何とかやってみたいと、こう考えておる次第でございます。
  127. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 先ほどほうり込んだというお話でありましたが、堀さんからもお話がありましたが、私どもが聞いておるところでは、初めの日ですか二日の日でありますかわかりませんが、不動産部長がけがをしたという話もあります。あたかも町民がけがをさせたかのごとく宣伝をしておられますけれども、これは振り向いた拍子に自分で内輪の者の持っているものに顔を当てたということを聞いております。それから今ほうり込んだという話でありますが、自動車に帰んなさいと言ってもみ合っている間に、これは不動産部長だけでなしに二、三人みぞの中にずり落ちたというふうに話を聞いておりますが、これらの点についてどういう工合に、先ほどほうり込んだという話がありましたから、このまま過ごしますとほうり込んだということになりますから、その点を確かめておきたい。それからもう一つ、仮処分の申請もやっておるという話でありますが、仮処分の決定があるまで待つということなのかどうか、それを一つお尋ねします。それからもう一つ、先ほど第一案によるのか第二案によるのかわからぬ、だから道路上の測量をやろうとしておるのだ、道路を通行するということを特庁の庁員がしてはいかぬという法律はない。なるほどこれは道路その他についてもはっきりしております。ところが問題は土地収用に関連して調査をするかどうかと、こういうことでございますから、第三点は、土地収用法の第二章十一条による調査ではないのかどうか。第十一条のただし書きによりますと、「起業者が国であるときは、当該事業の施行について権限を有する行政機関又はその地方支分部局の長は、事業の種類並びに立ち入ろうとする土地の区域及び期間を都道府県知事にあらかじめ通知することをもって足り、許可を受けることを要しない。」と書いてある。先どのお話では、一案にするのか、二案にするのかわからぬ、起点であるか何かもわからぬ、こういうお話でありましたが、先ほどの答弁からすると、十一条ただし書きに書いてある、これは起業者が国でありますから、支分部局長からしたかどうかわかりませんが、事業の種類及び立ち入ろうとする土地の区域及び期間を都道府県知事に通知はしてあるだろうと思う。その通知の案の一部としてやるというのではないのですか、ないのならそれで結構です。あるいはその調査の一部として道路のわきをやるというのではなく、ただ道路の上を、それも都道府県知事に通知をした案と関係がないので、一案にするか、二案にするかわからぬという、こういう土地収用手続と関係がないということになれば、これはまた話は別でもります。その辺をとくと承わりたい。
  128. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 先ほどの川へ飛び込んだか、ほうり込まれたかということでございますけれども、まあまあまあほうり込まれたと言う方が近いのだろうと思っております。(堀眞琴君「それはあなたの間違いです」と述ぶ)しかし本人はほうり込まれたと言っておるのです。それからまた前日のけがしました人も、トランジットを突き飛ばされて顔のまん中にぶつかってけがをしておる。別に本人からトランジットに好んでぶつかったわけではなかろうと思う。まあもみ合いました結果の事故である。従って、道路から出る出ないで川に落ち、けがをしたのだろうと思うのです。  また仮処分のお話がありましたが、これは仮処分の申請を地元にせられておるという話であります。しかしそれは私有地に対する立ち入り禁止するという仮処分の申請をせれれておるのであって、それは問題となっております収用法の十一条、十二条、十三条なりの解釈がどうなるかは、これは裁判所の手でそういうことになればきめてもらうことになるでありましょうから、われわれがとやかく言わないでも、その結論ははっきりするであろうと、こういう意味で申し上げておる。  それからまた、第一案にするか第二案にするかわからないというふうに申し上げたということでありますけれども、これはどちらに落ちつくはわからないといえばわからないかしれませんけれども、私どもといたしましては、いずれにしても犠牲の少い案の方が上等であるということに間違いはないので、よく調べまして、家の立ちのきの数でも少い方の案、あるいは道路なども断ち切らないような案、そういうものでアメリカ側と交渉も推さなければいけないと考えておりまして、第一案の方が家の立ちのきの数が多く、道路も断ち切るのであれば、当然第二案の方が上等であるということで、各方面の説得もしなければならない問題でありまして、でき心で第一にするか第二にするかというようなことではない、よい方の案をがんばるという建前を護りたくないと考えております。  収用法との関係で、道路の調査というものは収用手続の一部ではないか、それと関係なく道路だけやっておるということはおかしくはないかというお話でありましたけれども、私もよく法律関係は知りませんけれども、土地収用法というものは個人の土地を取り上げるために取り上げるというと語弊がありますが、使用するためにできておる法律だと思います。道路を取り上げるための関係は収用法というものにはないのだと思います。従いまして、道路を使うのなんのという問題のときには、土地収用法とは関係ない手続であるべきはずでありましょうと思いますので、道路の調査にとどまっております限りにおいては、土地収用法とは関係がないというふうに申し上げたわけであります。
  129. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 仮処分に関連して質問をいたしましたところに当って答弁が当っておりませんので、もう一度お尋ねをしたい。法の関係その他仮処分の申請がどういうことになるか、裁判所が判断してくれるだろうしと、それはわかるのです。仮処分の決定がおりるまで待たれるおつもりなのか、それとも仮処分がどうなろうともそれを予定通り収用手続の立ち入り調査、その後のあれを進めて行くというつもりなのか、この仮処分とそれから調達庁がどうされようとしておるか、そこのところをはっきり伺いたい、それが私の質問の趣旨です。  それからもう一つはあとの点でありますが、収用手続と関係なしに土地の測量をせられるというのであるか、それから収用手続の準備段階としての府県知事に通知をされたその案の測量として道路をやろうというのか、どうも説明の模様は、前の収用手続と関係なしに案そのものをどういう工合にするかということで道路を測量するのだと、こういう説明に聞こえるのですが、そこのところが実際にはどうなのかということをはっきり伺いたい。
  130. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 仮処分の点はどうも失礼いたしました。仮処分の点は、これは私有地に対する国の立ち入り権があるかないか、なければ仮処分が成立するということであろうと思いますので、これは裁判所の手続が進行いたしております間は、われわれとしても私有地に立ち入る問題はちょっと考えないといけないのじゃないかと思っております。ただ道路につきましては、そういうことになる心配は全然ないわけであります。これは仮処分をやっておろうがおるまいが、これはあくまで道路は進行さすべきものであると考えております。また道路の測量が進みますと、大体われわれの方の希望する見当もつくわけであります。道路の方はぜひともやりたい。なお道路の手続は都知事の公示その他の一連の準備をしたものと無関係ではなかろうという御説であろうと思いますけれども……、(吉田法晴君「どっちでもいいはっきりしてもらいたい」と述ぶ)都知事の手続と申しますものは、収用法に基く公示をしてもらいまして、他人の私有地に入れるようにしてくれということを都知事に頼んでその手続をしてもらったのでありますので、道路のことは都知事に初めから頼んでないのであります。道路は頼まなくても入れるという精神であります。従いまして収用手続とは関係がございません。しかしながらその飛行場拡張という目的には両方やる必要があるので、飛行場拡張という目的にはつながっております。
  131. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 今のところ、抽象的に飛行場の拡張と関連があるかないか。それは抽象的に関連があるというならそれでいいのです。私は土地収用手続の方の事業の準備として十一条に基いて都道府県知事に、この場合は都知事でありますが、都知事に通知をした、それと関係なしに道路だけの測量をやろう、こういう意思と性質とを聞いておるわけであります。
  132. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) ちょっと呑み込みが悪いかもしれませんけれども、土地収用手続で知事に頼みまして開始いたしました公示手続その他一連の手続と申しまするものは、収用のための手続というのでは実はない。将来に収用は考えないでも、話し合いによって地面は通れるかもわからないのですから、どういう案を成立させるかという調査がしたいと、調査のために立ち入りを要求する手続なんです。で、飛行場の拡張といった問題がありますので、そのためにどういう案を立てるかというので、調査をまずしなければならない。そうすると拡張予定地には道路の地面と私有地の地面と両方ありますので、道路の地面の方は警察の許可を得て調査をする、私有地の方は知事に頼んで手続をして立ち入らしてもらうようにする、こういうつまり道路の方は収用手続をかけられないのですから、初めから従ってもうこれは警察による手続をするしかない。私有地の方は本人がうんと言ってくれなければ、収用法に基く手続が定めてありますから、調査の手続をしておる。で、両方調査いたしまして、飛行場の拡張のための調査が可能になるという、その意味におきましては関係がありますけれども、収用法という面におきましては、道路というものは全然関係がないということになるわけだと思います。
  133. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) まだはっきりしませんが、道路が使える云々という話は、ここでする必要がないのです。実はあなたはそればかり言われるのだけれども、問題は土地収用の事前段階の事業の準備であるかどうか、その準備としての立ち入りであるかどうか、これを問題にしている。だから道路が収用と関係なしに測量するというのならこれは問題がない。あるいは通行するというのなら別に問題はない。しかし私有地を含んで第一案なら第一案の収用するために、その事前の段階としての立入調査、こういうことだから問題に町民もしている。だから収用とは関係がないのだというおつもりならば、収用とは関係かないのだ、こういうことをはっきり言っていただけはいい。そこで十一条の先ほどあげましたような、都知事に通知をした内容と関係がないということをおっしゃればそれでいいのです。その関係があるのかないのか。
  134. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 道路の調査は飛行場の拡張のためにやるのでありまして、りっぱに関係があるのです。飛行場の拡張とはですね。収用法の十一条その他、これは全然関係がないのです。関係をつけようたってできないのです。道路にはその収用法の立ち入りの手続きが要らないですから。ないのですから。問題はそういう道路にはなおかつ入れないというところに問題があるわけなんです。入れさえすれば別に問題はないのです。道路を追い出されてしまって、調達庁もどうにもならないというのが現状なのであります。どこに因縁をつけようかと、今考えているところです。
  135. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 今の問題ですが、おっしゃる通りなんですね。道路の問題はあなたのおっしゃる通りだと思うのです。しかし実際には飛行場拡張のための民有地の収用を目的とする事前段階の措置として道路の測量や調査をやろう、こういうわけなんです。従ってそのことを私たちは問題にしているわけなんです。あなたは道路の収用は土地収用には関係ない関係ないし言って詭弁を弄しておられる。これはあなたの詭弁です。僕らは道路の調査がひいては民有地の調査、あるいは収用等に関連する、その点を問題にしているわけです。あなたはただ道路だけを問題にされておりますが、われわれはそうではなく、道路の調査が同時に飛行場拡張のための民有地の収用の事前段階である、だからこそ町民達がみな反対している、こういうことなんです。その点……。
  136. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) これはまあ道路の調査が飛行場の拡張の第一歩であるということは私も申し上げている通りなのです。従って町民の方々がこれに心配される、反対されるということはわかりす。道路で測量が済めばある程度の大体の目的は正直なところ達するのですから、わかりますけれども、そういう心配があるからといって、道路を全然ふさぎとめてしまって、調達庁は入れないと言うことができるか、入れないということには私ども疑問を持ち、またそれはけしからぬと言えると思っているわけであります。
  137. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 これは調達庁のお役人さん達の態度が必要以上に町民の神経を刺激していると思います。先ほど負傷者が出てもやるのだ、こういうことを言われた。しかしこれは町民に対して負傷を与えるという意味ではない、こちら側の調達庁の役人が負傷をしてもやれと、こういう意味だと、こういう御答弁なんですが、ところが実際問題として町民達が受けている感じではそうじゃない。あべこべなんです。従って必要以上に町民を刺激しているし、あなたはできるだけ話し合いで解決をしたいと、こう言うのだが、そういう刺激を与えているばかりでなくて、態度は非常に私は傲慢な態度ではないかと思う。これは私二度参りました。町民達から一々聞いて参っております。町民達はいずれも非常に憤慨してこれを話しているのです。もう少し話し合いをされるなら話し合いをされるような態度をとるべきじゃないか。不動産部長が川にはまったときの問題にいたしましても、不動産部長の態度というものは実に私は町民の意思を無視した態度だと思う。傲慢な態度だと思う。その点はどうなんです。
  138. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) それはまあけが人云々ということもございましたけれども、これはあの通りの文章を私が書いて発表したわけでも何でもない。新聞の人との話でああいうふうになった。もちろん先方のけが人など頭から考えているわけでも何でもない。道路のことだから、当然に通れないということはないので、多少の障害があってもしっかりやってこいという意味で私は申したわけであります。それから現実に今日のけが人というものは調達庁ばかり出しているわけであります。町民の方のけが人というのはろくすっぽないのじゃないかと思います。けが人という限りは調達庁、こういうような事態に今日はなかっているわけであります。  また出かけて行く人間の態度が傲慢であるというおしかりでございますけれども、それは私もついて行っておるわけではございませんので、わからないと言えばわからないのでありますけれども、そうその傲慢な態度をとっているとは思えない。まあいよいよしようがなければなるべく早く逃げて帰って来いとは言っております。半分逃げ腰でやっている始末でありますから、そう偉そうな、傲慢で乗り込んで行っているはずはない。第一わずかな人数で大ぜいの中へ行っておるのでありますから、そうだったらすぐ逃げて来ようと思って行っておるに違いない。傲慢だということは、事実そういうことはできないはずだと思っております。
  139. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 今の問題ですがね。けがをしたのは調達庁の役人ばかりだというお話ですが、これも事実に相違しておる。不動産部長が川にはまった時は一緒に町の人もはまっておるし、それから靴でけられた人がいる。これはちょっと私今名刺を忘れてきましたが、社会党の町会議員の人です。足のすねを靴でけられておる。決して調達庁の役人だけがけがをしたのではなくて、町民の方にも同じような程度の被害を受けておる。これはあなた自分でおいでになったのじゃないから、傲慢な態度ではないだろうと思うというお話しですが、不動産部長の態度などは、私は決して話し合いで問題を解決する、町民の納得づくの上で問題を何とかうまくやって行こうという態度ではないのじゃないかという工合考えるのです。この点はともかくとして、民有地についてはあくまでも説得の態度で進まれる、こういうお話を先にちょっとおっしゃった。それならば、もし町民の納得が得られないという場合には、調達庁としてはどういう態度でもって臨まれるのか、そのことをお尋ねしたい。
  140. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 民有地につきましてはあくまでも説得の態度を失わないように努めたい、さらに一段の説得に努力をしたい。今までのところは説得にもへちまにも、人に会っておらないわけでありますから十分とは行きかねますけれども、だんだん調達庁へも町長さんなども押しかけて来るようになりましたので、だいぶよくなってきたと思っております。だんだんに話ができるだろうと思います。話し合いをしてみたい。さらに努力をしてみたい。しかし別にこちらもむやみに急いでおるわけではありません。十分話し合いを続ける時間の余裕を持っておるつもりであります。気長にやってみたいと思っておりますが、建前といたしましては、最後まで話がつかなければどうするかということになりますれば、これは民有地に関しましては収用法その他の手続もございますので、その手続をとりたくはありませんけれども、とらざるを得ない時期もこないことはないのじゃないかと思っております。
  141. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) そうするとどういう……、収用手続に入っておるわけではない、こういうお話です。十一条なら十一条に従って事業の準備に着手しておるわけでもない、こういうお話です。そうすると十一条以下の読解はとにかくしなくてもいいわけです。一案によるか、二案によるか、土地の収用の手続をするかどうかもまだそこまで行っておるわけではない、説得も何もまだしておらぬ、こういうお話です。そうすると、今の測量なり調査というものは、十一条に基く事業の準備ではない、こういうお話ですね。
  142. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 収用の手続をやっておるわけではないのです。収用の手続をいたしますときには、どこをとるかということをきめて、どことどこをとるのだ、こういうことがきまってしまわなければ収用の手続がとれない。今のように一案にするか二案にするか、もっと上等の手段がなしかというのでうろうろしておる場合には、場所がきまらないわけですから、収用の手続がとれるわけがない。今やっておりますのは収用の手続ではございませんので、収用法に書いてあることは書いてございますが、十一条にある準備のための調査の手続を進めるため、民有地については十一条以下の手続によってやりたいと考えておりますが、これはまだ開始しておらない。収用法によらずにできる道路上の調査は、今やりたいと考えてとりかかっておる、こういう状態でございます。
  143. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) そうすると、道路を調査すると言われますが、その道路は私有地に関係がない。これは図面をここへ持ってきて御説明するまでもございませんが、第一案によると、第一案は道路にかかる。その道路の民有地は調査できないから、道路の端の方で民有地のここからここまでという区域をはかるための道路の測量をしようというのではないか、こういうのが町民の心配です。ところが第一案も第二案もきまっておらぬ。どこをどう収用するかということはきまっておらぬから、収用とは関係なしに測量するのだ。言いかえれば十一条なら十一条の調査ではないのだ、この道路の調査も。こういう御説明ですね。
  144. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 道路の調査は収用法に基いてやった手続の調査ではございませんから、道路の調査は十一条の調査ではございません。十一条というのは私有地を調査するときにどうするのかということで書かれた条文でございます。道路に十一条を適用する必要はない、道路に十一条を適用するかどうかということは、警察庁の許可を得てやっておるわけであります。道路の調査に基きまして私有地の調査でもした上でならば、もっと完全になるのでありますが、道路の調査をしただけで、アメリカの申し出てきた案でよろしいか、あるいはアメリカ側を説得するために、それ以上の損害の少い案を発見することができるかどうかという材料がある程度つかめるだろうと考えておるわけであります。
  145. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) そんなら私有地に関係なしに……、私有地の特に調査云々を考えておるわけではない。そんなら私有地の境界地点等を測量しなくても、一般にあります地図を案じても、これは第一案にするか、第二案にするかどういう工合にするかということは大体考えられることだと思う。都道府県知事に通知してある範囲、あるいは期間等も全然関係ないというお話ですが、これは私有地を調査をする一つ方法として、道路と私有地とは接触をしておりますから、私有地に入る場合は道路を測量するわけではない、こう考えておるか、都道府県知事に通知をしたこととは関係はない云々、こういう御説明ですが、それでは道路の調査をしなくても心配して反対をしておる者に関係なしに地図でごらんになって、御研究になったらよかろうと思うが、どうですか。
  146. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) それは私どもそう考えますが、こうごたごたして調査しなくても地図ではめてみたらいいじゃないかと、こう考えますけれども、しかし地図では全然当てにならぬ、実際にそれだけの長さがあるか面積があるかというような、これは調達庁の仕事も私はそうやたらに古いわけではありませんが、今日まで仕事をいたしました経験によりますと、ひどい所になりますと、三割くらいの俗に申しますなわ延びというのが出て参ります。実面積といわゆる公称とが合わないことが三割にも及ぶことがある。従いまして測量してみないことには、たとえば第二案というようなものも、可能であるかないかということを言い切る自信が出てこない。出てこないで、アメリカに対して、お前さんの方の第一案を捨ててこれでやれというように説得ができるわけがない。第一案が、これが一番いいと私は申しませんが、そういうような案になってくれば、地元の人に犠牲の少い案になる。やめた方が一番いいにきまっておる、やめろとおっしゃるのですから。しかしその前に地元のがまんできる程度の案が成り立たないかということで苦労しておる。苦労してもがまんできる程度の案が成り立つ可能性があれば、それを調査した上で、それを種にしてアメリカ側を説得はしてみたいと、こう考えておる。この調査をやってはいかぬということになると、道路から追い出されるということになりますものですから弱っておるのですが、しかし道路上の調査によってそういう点もつかめることはわかっております。それを道路に入ってはいかぬということで、最近だいぶもみましたけれども、天下の公道が通れないというようなことがそういつまでも続くはずがないので、だんだんにわれわれの主張もわかってもらえるはずだから、一つ気長にやろうということを申しておるわけであります。
  147. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 先ほどのお話で、第一案にするか第二案にするか、まだ最後の決定はしておらぬ、こういうお話ですが、ところが道路は第一案の場合はかかるわけです。ところが第二案の場合には道路にはかからないような案に大体私は承知している。私はここに地図を持ってきている。これは五百市街道に第二案はかからぬ、小学校すれすれの所が境になっておる。もし第二案になった場合には、道路の問題は何ら関係なくなるのじゃないか。第一案になるか、第二案になるか、犠牲の少い案で進みたいというお話ですと、おそらく調達庁の立場としては第二案の方に傾く可能性があるのじゃないか、道路の調査というものは全然必要ないのじゃないか、むしろ調査はおやめになったらどうか、こう思いますが、どうですか。
  148. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 第二案の場合には道路にかからない、第二案というものは道路にかからない案であることは事実であります。しかしそのためには地図だけでは当てにならぬ、どのくらいの角度に道路が向いておるかということを調べなければ第二案の可能性があるかどうかわからぬ。先ほどから申し上げておるのですが、道路の方角によって滑走路の長さがはまるかはまらないか……、第二案を可能にするために何度の方角に向いておるかということを調べることが絶対に必要になる。
  149. 加瀬完

    ○加瀬完君 素朴な質問でありますが、基本的な問題を含んでおると思いますので伺いたいのですが、今第一案と第二案ということで、もうすでに第一案か第二案かを決定しなければならないというお立場で長官も御説明なさっておるようですが、その前に、私は地元の納得を得なければやらないとか、あるいは調達庁関係のいろいろな御説明を聞いても、町長とか町民が絶対反対しておるものについてはやらないといったような御説明を承わっておるのでありますが、ただいまの席でも長官も話し合いをつけたいと言っておりますが、その話し合いということは、第一案か第二案かあるいは他から出てくる第三案か知らぬけれども、飛行場の拡張をするのだという決定線を持っていて話し合いをするということであっては、話し合いの結論というものは山が見えておるわけですから、そういう話し合いというものでは地元というものは承認できないと思う。地元民に会うときには、お前たちの要望は十分聞くのだ、お前たちの要望を十分いれられるような話し合いの線がないわけじゃないという印象を与えておきながら、結局調達庁を通じて政府のやっておることは、既定の事実として飛行場拡張を進めておる。これでは政府に対して地元民が、砂川町なら砂川町の町民が不信の念を持つことは当然だと思います。そういう不信の念を持たせておいて、道路は天下の公道だ、測量するのにどこからも文句を言うはずはないのだ、こういうことを言っておる。その前後の関係から考えますと、町民は、道路を測量すると言っても、収用するために測量するのじゃないかと思うことは、先ほど委員から御指摘の通り明瞭であります。これは道路の測量ではないということがはっきりしておる場合に、道路の測量だからといって許すという感情になり得ないということも、調達庁としては御想像ができると思う。町民の感情をこういうふうにさせた一つの原因が政府側にあるというふうにはお考えにならないですか。
  150. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 道路の測量だけは許すか許さないか、町民の方の感じということでございますが、道路の立ち入りその他は、私ども町民に許してもらう必要はないのであって、頭から通れると、町民が許すとか許さないとかいう筋合いのものじゃないと考えております。それから第一案、第二案というふうに別にきまりきっているわけじゃありませんが、アメリカ側から希望して参りましたものを、たまたま第一案と言っているわけでありますが、これをもっとでき得れば最も犠牲の少い案になるように換骨奪胎してしまうというふうにわれわれ努力しているつもりでありまして、第一案、第二案とぴったり二つのものがあって、そのどちらにしようということを考えているわけではないのでありまして、第一案をできるだけのみ得る案に変貌させて行こうという努力をしようというわけであります。なおそれは第一案、第二案いずれにしても、飛行場の拡張ということが根にある限りは、町民との話ができるわけはないじゃないかというお話でありますが、それはそうでございましょうが、しかし頭から飛行場は反対だということであれば、それはそうなんでありましょうけれども、私どもこの飛行場の拡張その他一連の基地関係の仕事をいたしておりまして、少くとも私といたしましては、これはもうどうせ反対の多い仕事であります。その際に絶対反対だとおっしやられる場合が大部分であります。この反対というお話に対して、こちら側が押し返す場合もありますし、また押されてしまう場合もある。しかし私はこのように観念しておる——多少違っておるかもしれませんけれども——日本においては飛行場は最小限度は要るのだ、最小限度は飛行機も飛べるようにしなければならない、最小限度は防衛も要るのじゃないかという意味でわれわれ仕事をしておる。それに対して飛行場は要らない、飛行機は飛べなくてもいい、防衛は要らない、そういう立場で反対がもしあれば、これはもう立場が違うのでして、これにあいさつをしておるわけに参らない、がんばるという態度になる。それ以後の第二段階の反対というのは、これまた非常にあるのですが、飛行場の拡張によってうちの立ちのきをどうしてくれるのだ、農地のかえ地はどうなるのだ、そういうことになれば、そういう問題の処置についてはわれわれはこういう答案は出せるのだ、こういうわれわれの答案を書かなければならないと考えております。この答案が御本人に簡単に納得してもらえる答案になりますような——それはできるかどうかわかりませんが——そういう答案を書きたいと思っておりますが、これは少くとも客観的に妥当なものであるということを承認が得られないようなことであれば、飛行場の拡張は私はできないと考えております。従いましてそういう趣旨の反対に対しましては、われわれの方でその反対解決するだけの条件を出さなければいけない、頭から防衛は要らないという趣旨の反対に対しては、これはもう立場が違うということでがんばろうというふうな割り切り方をいたしておりますので、別に立川の問題がそのうちの前者であるというふうに考えておるわけではありませんけれども、まだ町長なり町民との間に十分な話し合いもできずに、こちらが追い回し追い回しして逃げられておるという状態であります。どういうふうに説得して参るか、まだ見当もつかないわけであります。今のところ立川の皆さんの御反対というものはどういう趣旨の反対であるかということで、別にこの説得をあきらめてしまうというふうな態度をとっておるわけじゃありません。
  151. 加瀬完

    ○加瀬完君 ただいまの御答弁政府委員としてはなはだ不遜な答弁だと思います。道路に立ち入りをすることは当然なことなんだ、文句のつけようがない、文句のつけようがないことを承知しておりながら住民が文句をつけるという陰には、何かそこに話し合いの結論が出ておらないが、話し合いの過程において食い違いがあるのか、いずれにしても政府に対する信頼の度が薄いということに基因しておる。一体当然問題の起らない所に問題の起らない行動をして問題を起しておるということに何か政府側としては責任を感じなければならないと思うけれども、一体どうか。こういう点を私は聞いておる。しかも、立場が違うと、たとえば最小限度の防衛の必要もない、こういう立場で立川の場合があるかないかは知らぬけれども、そういう立場のものに対してはわれわれは一顧をする必要もないというお立場のようでありますが、問題はそういうことじゃない。国民生活権というのは当然守らなければならないし、政府が誰よりも最大の国民生活権を守らなければならない立場にある。その政府が住民の生活権を脅かしておる、少くも脅かされるのじゃないかという危惧の念を抱かせるような行動をとっておると見られておる。説得をして、あるいは国民生活権を侵されておるという町民の要望というものを十分に聞きいれて納得をさせないで、この問題を解決させないで、道路を調査するのが何だと、収用法とは別にこれは関係ないじゃないかと。形式的にはそれで言いのがれができるかもしれないけれども、実質的な問題の解決には一歩も近づいておらない。そういう態度でいいのかということを私は実は率直に聞きたい。そういう態度を持して砂川の町民に接していて、この問題の解決がつくかどうか、こういうことなんです。
  152. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 答弁をされる前に、前半の今の福島長官の答弁の中に、日本の防衛上あるいは飛行機を飛ばせる必要がある、あるいは飛行場を拡張する必要がある、こういう御答弁でございます。そういうことで特別調達庁は仕事をしておられるのかどうか、はっきり承わりたいと思います。衆議院で日本の国防上の軍事基地の拡張は必要である、こういう御答弁をされて、いつ福島さんは総理大臣になられたかという質問もございました。答弁が正鵠を射てなければ取り消しますというお言葉がございましたが、一向取り消しておられない。これは国の政府を代表した日本の防衛上から立川の基地を拡大する、あるいはその他の基地を拡大すると、こういう御趣旨の御答弁でございました。その点もしかと承わりたい。
  153. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) とにもかくにも飛行場の拡張でございますので、飛行機が飛ぶ必要があるから飛行場の拡張をしろということに私どもにも指図があったのだと考えております。飛行機が飛ぶ必要がなければ飛行場を拡張する必要はない。従いまして、飛行機が飛ぶ必要があるのだということを建前にして、それも普通の飛行機ではございません、軍用の飛行機でございまして、若干の防衛のための最小限度の必要があるのだということがまたその飛行機の飛ぶ原因だろうと考えます。その建前において仕事をしておる飛行場の拡張という問題、私どもがやっておるには間違いございませんけれども、私ども独自の判断で始めておるのではない、そういう御用命を仰せつかってやっておるのであります。従いまして、飛行機が飛ぶ必要がないということになって参りますれば、何を苦しんで飛行場を拡張する必要があるかということになりますので、飛行機が飛ぶ必要があるのだ、それがまた限度のことは私の知ったことではございませんけれども、最小限度の防衛のためであろうということは当然の前提条件であると私は考えております。なお先ほど加瀬さんの方から御質問のございました砂川町との問題は、砂川町の町民の将来の生活のためにどうだ、こうだという問題につきましては、われわれの方もそれ相当の対案は用意しているつもりである。またその対案をさらに力強いものにするためにも、まっすぐに突き当って道を通り抜けるような拡張案以外の案というものも持ってみたいと考えているわけであります。しかし再三申し上げておりますように、ただいままでの状況では、そういう点に立ち入って町長なり、あるいは砂川町の住民諸君との間に、十分に時間を費しての話をまだいたしてない、することができないという状況にあります。道路上の調査の問題その他進捗いたして行くにつれまして、そういう話し合いの機会も自然出てくるだろうと考えているわけであります。
  154. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 大へんどうも長官のお答えは、ぬらりくらりとして要点をはずしているのです。一体その町民たち反対することはどういう点にあるかということをもう一度考えていただきたい。で、終戦後、これまで四回にわたって土地を接収されているのです。二十一年の三月、四月、二十二年、それから二十八年という工合に接収されて、また今度接収される。ところが、基本的な問題は私はここでは議論いたしません。防衛が必要か必要でないかというようなことは、あなたの今の答弁考え方が違うのだということでございますから、それは私はここでは問題にしません。ただ換地をどうするか、あるいは民有地をどうするか、いう問題ならば、回答をできるだけ話し合いの上でやって行きたいのだと、こういうお話なんですが、ところが二十一年の三月あるいは四月の接収についても、ほとんどこれが町民の納得の行くような解決が行われていないのです。たとえば借り上げの価格等の問題についても町民は非常に不満を持っている、そうして今日までにすでに二百何十町歩という土地が接収されている。今また十八町何とかという土地が接収される。しかもその今度の土地の接収によって、お墓がなくなり、あるいはまた先祖伝来の土地もなくなる、こういう問題が出てきている。第一案の場合には犠牲が非常に多い、第二案の場合には犠牲が少い、こういうお話ですが、確かに民有地の関係、民家の関係からいうと、第二案の方が犠牲は少いかもしれない。しかし町民の考え方からいうと、従来の接収の場合に、町民の要求する全部とは言わなくても、町民の納得するような解決が少しもなされていない。よしんば第二案によって接収されたとしても、今までの例からみて、十分とはいかなくてもある程度納得のできるような解決ができないじゃないか。結局これによってますます砂川町民の生活は脅かされて行く。生きることすらできなくなるのじゃないかというのが町民たちの主要な反対の理由なんです。そのことをあなたはお考えになった場合に、従来の接収に当って特調のとって来たいろいろな態度、それらについてどのようにお考えになりますか。
  155. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 二十一年、二十二年当時のことは私もよく知らないのでありますが、そのころの接収なり拡張なりに関連して、住民の問題の解決が十分にされてないという点は、それは御指摘の通りではないかと思います。しかしながら、今回の拡張につきましては、そういった補償の条件その他、あるいは代替地その他の問題につきましては、相当広範に準備もいたしているつもりでありますので、いかようなる最終案になるにいたしましても、これらの影響を受ける土地の問題、家の問題、その他の問題について、われわれが十分なる対案を出さなければ、ひいては拡張ということ自体も不可能なんであるということは、先ほども申し上げたつもりでございますが、さように考えている。頭から飛行場は要らないと言われても、われわれの方は困りますけれども、具体的に被害を受ける住民の問題を解決できないということになれば問題の強行はなかなかむずかしいという考えは持っているわけであります。そういう問題の解決の仕方についての相談を開始できる時期が早く来まして、いろいろな知恵を出したあげくに、最後に、ではどうするかという、では飛行場の拡張はできるか、できないかという結論に達しましたときには、いたずらに、きまってるんだからやるという態度はとりたくないと考えております。
  156. 吉田法晴

    委員外議員(吉田法晴君) 時間もおそくなりますので、私はこれで最後にしたいと思うのでありますが、あと法律の問題について本会議で質問いたしましたから、法務委員長から質問をすることをお許しいただきたいと思います。  今の福島長官の答弁で多少の了承する点もございますが、先ほど来収用のための自余の準備をしておらぬのだ、こういうことであるならば、道路がどっち向いてるかわからぬと、こういうお話でありますが、あの道路が東から西に向いていることははっきりしております。それからどの程度の幅を持っているかということも、これはもう建設省か、都庁でもわかっております。そういう純然たる道路の測量であるならばおやめになるべきだと思います。おやめになる意思があるかどうかということを承わりますが、その反面には、実際に測量してみなければ、あのなわ延びがあって、最高三割もあるということは常識だ、こういうお話でございますが、それならば道路測量の問題じゃなくて、やはり収地の問題じゃないか。収地の測量をしようというのじゃなしに、収用のための準備をするのじゃない、十一条のただし書きの府知事に通知をしたものの測量でないと、こういうことであるならば別の方法でおやりになったらいいじゃないか、これは私強く申し上げます。それから最小限度飛行機が飛ぶ必要がある云々ということでしたが、安保条約あるいは行政協定の当否をここで論議をいたしますことは、これはいたずらに時間をとることだと思うのです。ただ長官として行政協定に基きます任務を長官がやろうという、これに対して私どもは論議をしておる。それに行政協定に基く云々ということでなくて日本の国防上の立場から一般的に飛行機が飛ぶことが必要である、防衛が必要である。こういう御議論をなさっては、これは議論はあなたの政治的な立場、あるいは政治的な責任を追及して行くということに私は相なって参る、そういう衆議院で繰り返したような議論は一つやめてもらいたい。いたずらに時間をとります。それからなおその点についても、私ども行政協定の云々という点についても基本的に私どもは要請をしたいことは、予算委員会でもやりましたけれども、妙義山なら妙義山の山岳訓練学校をやらんならぬ、作らんならぬ、こういう要請があった際に、これは日本国民として、国民の公務員として、税金から俸給をもらっておられる福島長官として、日本人の総意は一つ代弁をしてもらいたい、代表をしてもらいたい。世界的な平和共存の方向に行こうというときに、あるいは朝鮮停戦が実現したのちに、どうして日本で山岳訓練をやらんならぬのか、そういう必要はないではないか、こういうことは福島長官といえども私は腹の中に持ってもらわなければならない。あるいは主張をしてもらわなければならない。アジアの問題が、台湾の問題にいたしましても平和的話合いで解決しようとするときに、原爆を搭載するかどうかわかりませんが、大型ジェット機の発着のために拡大をする、そうしてそれによって問題は砂川町だけではございませんけれども、砂川町なり、小牧なり、その他大ぜいの国民生活ができなくなるようにするということについては、これは最大の抵抗と申しますか、日本の公務員として、国民の公務員として十分に一つ御努力を願いたい。きまったことだから、それはもうやる以外にないんだ、そしてアメリカの要請だから何でもかでもやって行くんだ、こういう態度はやめてもらいたい。特に民主的にやろうというのであるならば、法を無視してまでもやろうという態度はやめてもらいたい、こういう点を強く要望して、具体的な事例に基いて質問をいたしておるのでありますが、先ほど申し上げました収用のための法十一条に基く測量でないというのであるならば、そのための道路の測量等もやめてもらいたい、こういうことを強く要望し、それに対する答弁と、それから一般的な国民の公務員として果さるべき態度について最後一つ長官に承わっておきたいと思う。
  157. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 今日立川でやりかかっております道路上の測量という問題は、十一条その他の準備のための調査であるのかないのか、それでないのならばやめたらどうだというお話であると思いますが、十一条、十二条、十三条という収用法の規定は、立ち入り調査をする場合の手続きを定めてある法規にすぎません。何のためにそういう手続きをとるかということになれば、それは飛行場拡張のために私有地に立ち入りたいということになる。道路の調査も飛行場拡張のために調査したいということでありまして、その意味におきましては関連があるわけであります。飛行場の拡張という問題が別案になって参りますれば変更するでありましようが、そうでない限りは、道路にかかってくる案がすでに従来存在するということも、これは確かなのでありまして、道路の調査をこの際やらないで済ますというわけに参らないと思います。それからまた犠牲の少い案を発見するために、道路の角度なり何なりを調べる、特にまた現実の飛行場と道路との間の私有地を御承知のような事情で簡単に調べるわけに参らないというわけでございますので、何度何分の方向に道路が向いているかということと、飛行場の軍用地との間の距離も出てくる、私有地を調べなくてもその道路の長さがわかるということになり、道路の調査をやらないで、それからまた私有地の調査もやらないで案が立つというわけには参らない。道路の調査をやめるわけには参らないと存じます。  法を無視してやる態度はよろしくない、そういうことはやめろというお話でありましたが、法を無視しているとは毛頭考えていない。道路を追い出されているくらいでありまして、極端にいえば追い出している方が法を無視していると、私としては申し上げたいところでありまして、法を無視してやるのはやめろとおっしゃられることは全然わが意を得ない。なお飛行場の拡張その他の、国の防衛上の問題とか、そういう観点は私の議論の筋合いではないというお話でございまして、それはまことにその通りでございまして、ただ私のいたしております仕事は、飛行場の拡張という問題を原則的に政府として決定をいたしまして、それについての具体案を作成しろということになっております。その仕事をいたしておるわけでありまして、飛行場の拡張ということが原則的に承認されてその仕事に私がかかっております以上は、飛行機が飛ぶであろう、それはおそらく軍用飛行機のことであるから国の防衛の最小限度ということがそこまで容認されておるであろう、そういうふうに考えてやっておるわけでございまして、防衛の限度ということを私がきめておるということを申し上げたのではないのでありまして、その点もし言葉が足りませんでしたら御了解願いたいと思います。なお、妙義山その他の問題に関連いたしまして、調達庁の立場というものも、行政協定実施機関としてアメリカ側の要求をすべてうのみにするという態度を反省し、日本人らしい立場をとれというお話でありました。日本人らしい立場をとって仕事をして参りましたつもりであります。今後とも日本人らしい立場をとりまして、確固たる態度で仕事をして参りたいと考えております。
  158. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) お諮りいたします。成瀬法務委員長から委員発言を求められております。本委員会の運営方針につきましては、いずれ委員会に諮りまして今後の方針を決定したいと思いますが、成瀬法務委員長は、この問題につきまして先般本会議において質疑をされた関係もありますので、これを前例としないことにして、この問題についての委員発言をさらに認めることにしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それではさように決定をいたします。
  160. 成瀬幡治

    委員外議員(成瀬幡治君) お許しを得まして、大へん時間もたっておりますから一つ簡単にお尋ねしたいと思います。  この前の本会議における質問に対しまして、答弁は、十一条ないし十三条、あるいは十五条、十二条が全然抹消されいおるわけですが、具体的に立ち入りをされるような場合に、私は日の出前や、あるいは日没後に私有地に入っておやりになることはないだろうか、あるいはさくが結ってあるような所に対して断わってお入りになるだろうと思います。そのことは十二条の規定に基いておやりになるんじゃないかと思う。常識でおやりになることはないと思う。だから十二条というものを全然黙殺して私はやれないんじゃないか、少くとも受くべき制限がここに書いてあるのではないか、あるいは第二項ないし第一項にもやらなければならない手続がきめてあるのじゃないか、こういうふうに解釈しておりますが、十二条には全然、これは国か起業者の場合は私有地に立ち入りする場合には無関係だ、これは全然なくていいんだ、こういうふうな解釈をとられたわけですが、それに対する長官のお考えと、それからついでに法制局の奥野さんもお見えになっておりますから、法制局の奥野さんのお考えもあわせて伺いたいと思います。これが第一点であります。  それからついでに、話は非常に飛ぶのですが、もう一つついでにお尋ねしたいのは、この間小牧の味美というところにジェット戦闘機が落ちまして、民家が焼けたりそこで人が死んだり、けがをいたしております。これに対する補償は、御承知のように行政協定の十八条によって七五%米軍の負担になりますから非常にその査定がおくれて参ります。しかしそうなると、家を焼かれた人、あるいは一家の柱の生計の中心になっておったような人が死んだ場合に、補償は、それはなさることはあとからなさるわけです。でありますが、現実に生活を営んでおる場合にはすぐに住む家が必要になってくる、それから家が焼けてしまったために、前にそれまでやっておった生業をやろうとするならば、生業資金というものが必要になってくるわけです。で、今までの例によりますと、大体査定が六ヵ月ないし八ヵ月後になされて、金が回ってくるというような実情なんです。これじゃ私は被害にあった人がとてもやり切れないと思う。そういうものに対して調達庁としては何か便法を講ぜられ、生計が立って行くようなふうにお取り計らいというものができないものか、私は調達庁でいろんな方途があると思うのですが、そういうものに対して今まで何か研究をされて、こういうふうにしてやったら、それは差しつかえないじゃないかというような指導をされているなら、それは一つその方針対策というものを承わりたい、以上二点についてお伺いいたします。
  161. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 御指摘のございました収用法十一条、十二条、十三条の関係でございますが、これはまあ立ち入りについて、この関係で、この手続によって準備をしていると申しますか、この手続をとってあることは事実でございます。この手続によって立ち入るか、立ち入らないかはまだきめておりません。十二条というものが不要なことに政府説明ではなるのではないかという御指摘だと思います。これはもう不要というわけではないのでありまして、町村長の公示がなくて所有者が知らない間に立ち入るという問題が起りまして、損害を受けることがもしあれば町村長が十二条の手続を怠ったということになるわけであります。町村長の方にクレームをすべき筋合になる、その意味の町村長に義務を負わす、そういう所有者の利益を保護するために町村長に義務を課しているのである、こういうふうに了承しております。従いまして、これが町村長の二項の規定によって行われなくても、十一条の権限を変更するものではないというふうに政府の見解は定まっていると承知しております。なお小牧にございました最近の事故につきましては、これはアメリカ側から取り立てる関係もありますので、相当におくれることは事実であります。従来なかなか十八条の関係では手間をとっておったことは事実であります。しかしこういう特別に大きな事件が起りました場合には、便法を講じて、でき得る限り早く全額きれいにとは行きませんが、概算と申しますか、そういうようなことで、大部分をとりあえずお渡しするという便法を過去においてとったことも最近はございます。小牧の味美の事件につきましても同じような手続を開始いたしておりますので、早急に概算払いができるようなことになるはずでございます。
  162. 奥野健一

    ○法制局長(奥野健一君) ただいまお尋ねの土地収用法第十二条の問題でございますが、この点は十一条あるいは十三条等といろいろ関連もありますので、今少し時間をいただきまして、検討の上結論を出したいと考えておりますので、この次にお答えを留保したいと思います。
  163. 成瀬幡治

    委員外議員(成瀬幡治君) 十二条についての政府考えは承わりました。これについて論議を私ここで蒸し返そうとはしないわけですが、問題は私は立川ばかりではなくて、各基地にこういうことがだんだん起きてくるのじゃないか。しかも私はここで長官に申し上げたい点は、長官は何か法的な手続とか、あるいは何と申しますか、罰則等がなくさえすれば、国の力では何でもやっていいんじゃないかというような考え方、あるいは基地を拡げて行こうとするときに、たとえば立川の問題が起きて、ああいうようなトラブルが起きるというようなことも、結局国民感情というものを私は無視されるところにいろいろな問題があるんじゃないかと思いますが、こういうようなことを申しておれば切りがないわけでありますが、従って十一条の問題については、あとで長官から御答弁を願うような機会に、もし私もその機会に出て発言をするような機会があれば、そのとき長官とももう一度この問題についてただしたい点はただしたいと思います。  そこで第二点にお尋ねいたしました概算払いをやると、こうおっしゃいますが、ほんとうに概算払いをやられるとしたらば、どのくらいかかりますか。もう具体的に、小牧は今から起きて大体一ヵ月になりますよ。それが二ヵ月くらい延びますと、二ヵ月間というものを被害にあった人は生活の道というものがないわけなんです。で、まあ町であるとか、あるいは隣組の人たちが実際助け合ってやっているというような状態なんです。ですから私はそういう概算払いがかりに二ヵ月もかかる、あるいは一ヵ月たってまだなされないというのじゃ大へんなことになる、だからもっとそうじゃなくて、事件が起きたら最初に二十万とか、三十万といったような、こういった金で明日からの生活に手がつけられるようなふうに対策というものが立てられないものか、こういうことを私はお尋ねしているわけです。
  164. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) その点につきましては、私どももこれはもう前から問題にしておるので、そういう人命に関する事故がありました場合に、いかなる事情で起りましたにせよ、最低の標準というものも定まっております。多少でも事由があれば、それからどんどんふえて行くことになります。どんな間違いがありましても、これだけは払えるという金額はわかり切っているわけです。しからば、その事件のあった即日でもかけつけて行ってそれだけのことはできるではないか、のみならず、またそういう計算とか何だとか言わずに、役所としても、役所仕事ではあっても、お見舞とか、香典とかいうことはできるはずであります。たとえ額がいかようであろうとも、そういうことをやかましく申しているのでありますが、会計法規の関係でやかましく言い、またいろんな関係でそれがどうしてもできないというのであります。それでやむを得ず調達庁あたりでは、香典なりお見舞というようなものを、いわゆる補償費でなくて、庁費その他の中から支弁いたしてお見舞などをして、とにかくその場はつくろうというようなことはしていると思います。そしてまた補償費の方の計算はできる限り概算を早く定めまして、関係官庁その他の連絡をいたしまして、早目にできるだけ早くにお払いしていると思います。小牧につきましては、すでに一ヵ月も経過しているのでありますので、もうおそらく近々に何らかの措置ができると思います。と申しますのは、昨年の暮でございましたか、北海道で墜落いたしました飛行機の事件に関連しまして、大体一ヵ月かちょっと過ぎたくらいのところで同様な措置がとられたことを記憶しております。で、これも同じようにいけるのではないか、しかし一般に申しまして、調達庁関係の金の関係では、会計法規上の難点というものは非常に大きいものがあることは事実でございまして、御検討をいただかなければならないのではないかと思っております。農林省その他で助成費とか、補助費とかいう関係の制度全般にはそういう意味の予算が非常に多いと思います。調達庁の予算というものは、ほとんどその中の補償と申しましても、これは政府だから偉そうに補償というだけでありまして、実際上は法律上の債務である、これを同じような会計法規において扱うというところに問題があるので、われわれといたしましては、そういう案を政府部内でも絶えず主張はいたしておるのであります。まだ十分なところに参っておりませんので、まことに申しわけないと思っております。
  165. 成瀬幡治

    委員外議員(成瀬幡治君) 最後にお尋ねしますが、十八条の改正すね、私は特に指摘したいのは、人命に対して非常に額が僅少だということが言えるだろうと思います。ですから、あるいは先ほどあなたが指摘されたような会計法規上だけではなくて、私は十八条全般に、これは閣議決定の了解事項と申しますか、ああいうようなものを検討される時期が来ているのじゃないかと私うのです。たとえばそれを日米合同委員会等に取り上げて大体おやりになるような意思、あるいはそれに対してもうすぐに準備などを開始されているかどうか、その点について最後一つ答弁願いたいと思います。
  166. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 十八条の、また特に人命に関する額の算定方法というものにこれがまあ十分でないという感じをどうも受けるわけであります。しかしながら、これはその基準と申しますものは、公務の災害に関連いたします法律、公務傷害に関する最高標準、あるいは労務の傷害に対しまする標準、それらと揆を一にしまして、千日分の収入というものを基準にいたしまして定めてある。従いまして、十八条の関係だけを改正して、ほかの方は改正しないというわけには参らないと思います。同じ人命でございます。従いまして、これらのものが一括再検討される必要があるのではないかと考えます。
  167. 野本品吉

    ○野本品吉君 簡単にお伺いしておきますが、もう大体御承知だと思いますが、私の郷里の群馬県の太田でございますが、駐留軍の使用する水道の水の量がきわめて多いために、町全体の給水が円滑に行われない、一方駐留軍の方も十分でないからその給水を十分にする施設を作ってほしいということの強い要望がある。ところが町の経済力がこの要望に応ずるだけの余裕がないきわめて困窮な状態にある、そこでその問題をはさんで、従来円滑に交渉が進められておりました市当局と、それから市民と駐留軍との間が逐次疎隔しつつある、このことについては、市当局からかねて長官等にも陳情をしていることで御承知だと思いますが、この事態につきまして、長官はどういうふうに了解されておりますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  168. 福島愼太郎

    政府委員福島愼太郎君) 群馬の太田市の水道の問題は私も承知いたしております。太田市の市営の水道から、群馬県にございますアメリカの軍の施設のうち小泉にございます施設を除きまして、他の施設は全部群馬県のは太田市の水道から給水を受けております。この分量が非常に大きいものでありまして、太田市の水道使用量の大半を、極端に申せば大半を占めるという状況でございます。しかも家族住宅その他増設される傾向にありまするので、そうなりますれば、ますます水が要るのではないかというところに問題があります。ところが太田市といたしましては、市民に給水するだけの水量を十分持っている、別に工事を必要としない、駐留軍に供給しますために太田市が金を使って水道の工事をするいわれはないというわけであります。また駐留軍が普通の水道料金しか払わないわけでありますので、そういう多額の、一億六千万円くらいかかると思いますが、それだけの金を使って、普通にやったんでは、第一成り立たないのみならず、根本に立ち返って、太田市としては駐留軍さえいなければ必要としない経費であるということでありますが、そこでアメリカ軍側からも給水の関係で問題がむずかしくなる。特に夏場に向ってむずかしくなるというので、太田市もそういう水道を金さえあれば作るといっているのであるから、政府の方でこれを援助してもらいたいということをアメリカ軍からも政府に来ているのであります。ところが政府でそういう市営の水道のための補助金と申しますか、助成を出そうとすれば、やはり全額を出すという方法はどうしてもないわけです。法律に基きまして、ある部分を国が負担するということ以外にうまい方法がないわけです。そこでいろいろ相談をいたしたのでありますが、大蔵省側とも話をいたしまして、国から太田市の水道のために金を出すということになりますと、どういたしましても太田市側が若干の損をする、将来その施設が残るという意味では、そう損とばかりも言い切れますまいけれども厚生省を通じて、水道の補助金という関係では相当市民の負担にもならざるを得ないという関係になっておりますので、大蔵省と談判いたしまして、太田市がその気ならば大蔵省としては全額地方起債を承認しようではないか、それに基いて何か案を立ててほしいというような大蔵省の連絡がございましたので、太田市長とも話をいたしまして、全額地方起債でできるかできないか、その場合に地方起債といえども、これはただではないのでありますから、どういう方法で償還を受けるかということになりますと、受益者はアメリカでありますので、これをアメリカ側が償還の期間に応じて償還の資金を特別な水道料金として支払うという保証があれば、これで話が成立するということになります。ただ問題はアメリカが何十年いるかわからない、第一そうはおりますまいと思います。そこで現在のアメリカ側の太田市に払っております水道料金が年額一万ドル、かれこれ四百万円でございます。それでは話にならない、一億六千万円からの工事でございますので、これを五万ドルぐらいに値上げをして払えという交渉を目下私といたしましてはアメリカと話合いをしているのでありますが、一般市民と同じ水道料金で、差別されるいわれはないというようなことを言っておりますけれども、アメリカ軍側に対しては、そういう特別な施設をするという意味で、コストもかかるのだし、また一般市民にはときどき断水その他の制限を課することもあるが、アメリカ側にはそういう制限を課さないことになる、現に今度の増設をすればなるほど特別な水道料金を取る、年額にすれば五万ドルくらいになります。この辺は確かだろうと思います。これらの状況から申しましても、確実に相当程度償還のところまでするならばやっても運びいい。その後の問題は水道が、これはアメリカのために作ったとは申しながら、市の水道の系統の中にそれだけの設備がふえることになりますから、若干の部分は将来において市が負担する問題が出て来ても、それは悪くはないだろうというような市長の御見解もありましたので、現在のところは大蔵省に対して全額地方起債を承認させる、これに対してアメリカ側に対しては水道料金の値上げということで交渉をいたしております。この話が万一片づきません場合には、市長さんに話をしておりますのは、アメリカ側との給水の縁を切ってしまったらよかろう、普通の市民と同じ立場でアメリカ軍側に給水するという程度の、全然水をやらぬというわけにはいかないので、市民が断水するときには断水するというような制限給水の方法で一応アメリカ側との関係を置きかえてほしい、その間アメリカ側と市との関係はない。市から給水を受けるという建前で今日まで二年ばかりかかって、私が気がつきましたのはごく最近なので、二年間も厚生省だのあちこち仕事としては行方不明になっているような形で歩いている、国としては、市は全然米軍に対する給水の必要さえなければ水道工事する必要もないのでありますから、軍専用水道の設置をする。ただし水源は十分にあるから市の水源をお使いになって差しつかえない、こう言っておりますわけであります。日本側かアメリカ側か、いずれかの経費によって軍専用水道を作り、市との関係をある程度縁を切って、そういうふうな方角で問題を解決するということも第二段として私考えております。しかしでき得れば当面太田市側の税金の負担にならないで、しかも将来万一米軍でも帰りました暁には、市の財産になるといったような解決が望ましいのではないかと思いまして努力している次第でございます。
  169. 野本品吉

    ○野本品吉君 いろいろと御心配いただいていることも私もかねがね承わっているのであります。ただ問題は全額起債というような場合に、この起債の償還に対して自信もありませんし実力もありません。従って他の方法によりまして適当な対案ができますように格別の御尽力をいただきたいと思います。それから、なおこの事態が余り長引いておりますと、私は先ほども申しましたように、従来きわめて平和円満に駐留軍との関係交渉が持ち続けられて参りました太田の地にあるいは断水というような好ましくない事態の発生ということも心配になりますので、これらの点をあわせ考えられまして善処方を特にお願いしたいと思います。  それからなお厚生省お話が出ましたから私申すのですが、実は厚生省との関係におきましては、前から日本人としては必要以上の薬を投入させられるために、水道のパイプの腐蝕度が非常に高い、そうして一般の家庭の水道管がいたむ率が非常に早いということがかねがね言われておったわけです。それらのことに関しましては、科学的な証明等も十分できておりませんから強い要求もなし得なかったというのが太田の市の当局の実情でございますが、しかし事実それは否定するわけいかないと私ども考えておりますそれらのことも頭へ置かれまして、私どもとしては一刻も早くあの問題が解決されますようにということを希望しておりますので、今後とも善処方をお願い申し上げておきます。
  170. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 本日はこれで散会いたします。    午後六時三十二分散会      —————・—————