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1955-06-02 第22回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二日(木曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            植竹 春彦君            宮田 重文君            木下 源吾君            松原 一彦君    委員            井上 知治君            中川 以良君            中山 壽彦君            豊田 雅孝君            野本 品吉君            千葉  信君            松浦 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 三木 武夫君    国 務 大 臣 杉原 荒太君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    調達庁次長   山内 隆一君    行政管理政務次    官       森   清君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    文部政務次官  寺本 広作君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       熊埜御堂定君   説明員    行政管理庁次長 山中 徳二君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○会計検査院法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○文部省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○国家行政組織に関する調査の件  (富士山麓演習場問題に関する件)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案議題といたします。本案に関する政府提案理由説明を求めます。
  3. 森清

    政府委員森清君) ただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案提案理由について御説明いたします。  今回提案いたしました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は、昭和三十年度における各行政機関事業予定計画に即応して、必要やむを得ない事務増加に伴う所要増員を行いますとともに、業務の廃止及び減少に伴う余剰定員縮減を行いまして行政機関全般定員適正化をはかろうとするものであります。  次に、法律案内容について申し上げますれば、第一に、今回の改正によりまして、第二条第一項の表における各行政機関職員定員合計六十三万二千三百十三人に対しまして、六千三百三十六人の増加を行うとともに二千三百十七人の縮減を行い、差引四千十九人を増加いたしまして、結局合計六十三万六千三百三十二人といたしました。増員及び減員内容の詳細につきましては、それぞれ各省庁から御説明いたしますが、そのおもなものについて申し上げますれば、増員のおもなものといたしましては、文部省国立学校学年進行、学部、学科の増設によるもの七百五十八人、厚生省国立結核療養所及びらい療養所増床によるもの五百九十六人、郵政省郵便取扱業務量及び電話業務量増加によるもの三千二百七十一人等でありまして、いずれも現業的業務増加に伴う必要やむを得ないものであります。減員のおもなものといたしましては、大蔵省国税庁奢侈繊維品消費税関係予定いたしておりました未使用の定員六百八十人、郵政省電話業務日本電信電話公社の直轄に移管することに伴うもの四百人、建設省営繕関係業務量減少によるもの二百二十人等であります。なお、奄美群島復帰に伴い各行政機関現地における機関が引き継いだ職員定員は、従来奄美群島復帰に伴う琉球政府職員の引継の暫定措置等に関する政令規定しておりましたが、右の職員定員に関する限り暫定措置も終了いたしましたので、今回の改正を機としてこの定員七百三十七人をこの法律定員に合併して規定することといたしました。  第二に、総理府本府、警察庁、大蔵省文部省、通商産業省及び建設省につきましては、事務縮小等に若干の期間を必要とするものがありますので、それらの事情考慮の上、必要な員数の定員昭和三十年七月一日から一カ月ないし九カ月の間経過的に附則で新定員に附加することといたしました。  第三に、調達庁文部省及び厚生省職員であって、昭和二十九年度において決定されました人員整理年次計画によりまして、昭和三十年度以降同三十二年度にわたる定員縮減によって整理されるものにつきましては、その実施を一層円滑にするために、整理される職員の申し出に基いてこれを指名いたしまして、定員の外に置くことができることといたしました。この場合、定員の外に置くことができる期間は、十カ月以内で政令で定めることにいたしております。指名された職員は、その期間職務に従事しませんが、これらの者には本俸、扶養手当及び勤務地手当を支給することとし、かつ恩給法及び国家公務員等退職手当暫定措置法適用につきましては、職務に従事するものとみなして取り扱うようにいたしております。  この改正法律は七月一日から施行することといたしておりますが、職員を指名して定員の外に置く関係規定は公布の日から施行することといたしております。  以上がこの改正法律案の主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 新谷寅三郎

  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。本案に対する政府提案理由説明を伺います。
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ただいま提案になりました運輸省設置法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  まず、改正の第一点は、最近、近東諸国に対する賠償関係が漸次具体化して参りましたのと、技術援助等国際的協力関係が緊密の度を加えて参りましたのに伴いまして、運輸省所掌にかかるこれらの事務も次第に繁忙になって参りましたので、所掌事務としてこれを追加いたしたことであります。  改正の第二の点は、付属機関関係でありますが、現存港湾整備審議会港湾審議会に改めまして、新たに重要度湾港湾施設建設改良等当該港湾の開発に関する計画についても調査審議させるものとし、また最近における都市周辺交通事情にかんがみまして、都市交通の基本的な計画について調査審議するために、都市交通審議会を設けることにいたしたのであります。  右のほか、町村合併に伴う行政区画の変更その他法令の改廃等がありましたので、地方出先機関管轄区域改正を加え、また権限、所掌事務等規定整備する等の措置な講ずる必要があるのであります。  以上が、この法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、なるべくみすやかに可決されるようお願いいたします。   —————————————
  7. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する政府提案理由説明を求めます。
  8. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  まず、別途提案いたしました自衛隊法の一部改正法案によりまして、海士長以下の海上自衛官及び空士長以下の航空自衛官にも陸士長以下の陸上自衛官と同様に任用期間を設けることといたしましたので、これらの者にも陸士長以下の陸上自衛官と同様な特別退職手当を支給することとして所要規定改正を行うこととしたのでございます。  次に、ジェット機搭乗員、落下さん隊員等訓練本格化に伴いまして、その勤務実情に即応した手当を設けることとし、このために必要な規定改正を行わんとするものでございます。また、自衛官等部外診療に対する診療報酬審査及び支払について、一般社会保険医療給付と同様の取扱いをすることを適当と認め、このため必要な規定整備しますとともに、社会保険診療報酬支払基金法等について所要改正を行わんとするものであります。その他防衛庁事務官等に対して一般職国家公務員と同様に俸給調整額制度を設ける等所要改正を行うこととしております。  以上が本法律案提案理由並びにその要旨でございます。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  9. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 本法律案につきまして若干の補足説明があるようでありますが、あと回しにいたします。   —————————————
  10. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、会計検査院法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する政府提案理由説明を求めます。
  11. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) ただいま議題となりました会計検査院法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。  国及び政府関係機関における会計経理実情は必ずしも満足できるものではなく、これが是正改善のために、会計検査事務量も近時著しく増加して参りました。従って現在の会計検査院の機構では局課長事務掌理にも支障を来たしており、検査機能発揮の要請にも十分こたえることが困難な現況にありますので、局及び課を増設することが緊要であると考えられます。このような理由によりまして第十二条を改正し、現在の四局を五局に改め一局を増設することにいたしました。また、会計検査院法制定当時、事務総局職員任免進退は、それぞれの官の級別に応じて、内閣内閣総理大臣または事務総長が行なっていましたが、その後、国家公務員法制定に伴って、一般職職員任免進退に関する制度根本から変更され、任命権者は原則として会計検査院長になったことなどのため、関係規定所要改正を加える必要がありますので、第十三条、第十四条及び第十六条から第十八条までの規定改正することといたしました。  次に、日本専売公社日本国有鉄道日本電信電話公社会計検査に当りましては、公社会計経理検査するだけでは、その真実の把握は困難なことがございます。このような場合、事態を的確に把握するためには、国の場合に適用される規定のうち、必要なものについて公社にも適用できるような方途を講じておく必要があります。従って、公社の適切な経理を確保することなどのために、第二十三条、第三十一条、第三十三条、第三十五条及び第三十七条の規定改正を加えることにいたしました。  以上がこの法律改正するおもな理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。   —————————————
  12. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、文部省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する政府提案理由説明を求めます。
  13. 寺本廣作

    政府委員寺本広作君) 文部省設置法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  最近フィリピン、ビルマその他東南アジア諸国との賠償折衝進展に伴い、文部省においてもこれらに関連する事務増加する傾向にあります。これらの事務は、将来関係各国との賠償協定の締結に伴い、さらに一そう増加するものと予想されます。また賠償関係事務のほか、各国との国交の正常化に伴い、各般の国際協力関係事務増加しており、現存すでにこれら事務の一部を処理いたしております。  この法律案は、このような情勢に即応するため、文部省設置法関係規定整備しようとするものであります。すなわち第五条の改正は、文部省において所掌事務にかかる賠償及び国際協力に関する事務を所管することを明らかにしようとするものであります。また第十一条の改正は、調査局において賠償に関する事務を処理させようとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及び概要であります。何とぞ十分御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。   —————————————
  14. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) もう一件法律案提案理由説明がございますが、今、政府委員がまだ参っておりませんので、便宜、先ほどあとに延しました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、政府委員から補足説明を聴取したいと思います。
  15. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、先ほど長官の御締切に引き続きまして、この法律案について、改正の順を追いまして、若干補足して御説明申し上げます。  新たに設けました第十一条の二の規定は、現在の一般職職員の給与に関する法律第十条にならって規定したものであります。すなわち防衛庁事務官等についても、その勤務場所または職務の困難危険により、同様の職務と責任を有する者に比してその俸給を調整する必要ある者に対してその制度を認めんとするものでございます。  第十六条の改正は、前文改正の形をとっておりますが、落下傘隊員手当の新設と航空手当等の額の最高水準現行の二五%から五〇%に引き上げたこと、及びこれらに伴う規定整備がその改正内容でございます。落下傘隊員手当の設新の趣旨は、昨年秋に落下傘降下訓練を開始して以来、これを行う者に対して特殊勤務手当として所要手当を支給しておりましたが、今年度においては、その隊員増加し、本格的に落下傘の部隊を設置する予定でありますので、これを航空手当乗組手当と同様、法律上の手当として支給することとせんとするものであり、また手当最高水準の引き上げは、ジェット機訓練本格化に伴って、その乗組員に対して勤務実情に応ずる適当な手当を支給せんとするものでございます。  第十七条第一項中の改正は、各種艦船航海行動実情に即して航海手当を支給することとせんがため、政令でその支給基準を定め得ることといたさんがためでございます。第十八条の二第二項中の改正及び第十九条中の改正は、落下傘隊員手当期末手当及び勤勉手当の計算の基礎とすること及びその支給方法について定めたものであります。  次は、第二十二条の改正であります。現在自衛官等につきまして、部外医療機関が行なった療養に要した費用の額の審査及び支払い自衛隊機関で行なっているのでありますが、これを一般社会医療保険における診療報酬の額の審査及び支払いに関する事務と同様に、社会保険診療報酬支払基金に委託して行なってもらうことを適当と認め、このため本案に新たに第二項を設けたのでございます。  第二十七条第二項中の改正は、自衛官公務災害を受けた場合における補償額の算定に当っては、落下傘隊員手当をも従来の航空手当及び乗組手当と同様に、その基礎とするためであります。  第二十八条の改正は、昭和三十一年四月一日以降において、海上長以下の海上自衛官及び空士長以下の航空自衛官について新たに三年の任用期間が設けられることに関連しまして、これらの者に対しても、現在任用期間の定めのある陸士長等と同様に特別退職手当を支給することといたすためのものであります。ただ、今回その支給範囲が、これらの海上自衛官航空自衛官にも拡張されますので、財政上の考慮等からいたしまして、この際従来の退職手当の額、一年につき六十日分を五十日分に改めることとし、関連する諸規定について所要整備を行なったものであります。  次に、附則につきまして御説明申し上げます。附則第一項の規定は、この一部改正法施行期日規定いたしたものでございます。特別退職手当に関する規定施行期日は、海士長及び空士長以下の自衛官についての任用期間の設定が、明年四月一日以降採用の者について行われることとなっておりますので、これと合わせて明三十一年四月一日といたしたわけであります。附則第二項は、特別退職手当に関する必要な経過措置規定いたしたもので、昭和三十一年三月三十一日までに任用された陸士長海士長及び空士長以下の自衛官につきましては、現行規定適用することとしておりますが、ただ現に任用期間を定めて任用されている陸士長等が明年四月一日以降においてその任期を満了し、その志願により引き続いて任用される場合には、その任用については改正規定適用を受けることとしておるのであります。附則第三項から附則第七項までの規定は、本則の第二十二条の改正により、自衛官等部外診療に要した療養費審査及び支払いに関する事務社会保険診療報酬支払基金に委託することができることとしたことに関連する改正であります。すなわち社会保険診療報酬支払基金法の一部を改正するとともに税法上の取扱いにつきまして、開業医、医療法人の課税に関し、一般社会医療保険等療養費支払いについて、現在認められているところと同様な措置をとることとするため、租税特別措置法及び地方税法につき所要改正を行なったものであります。  以上をもちまして御説明を終ります。   —————————————
  16. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 公報に掲載してございますが、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案提案理由を本日聴取したいと思っておりましたが、衆議院における予算折衝等のために大臣政務次官も本日は来ることができないという通知がございましたので、これを次の機会に譲ることにいたします。
  17. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 最後に、先ほど留保しておりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、当局から補足説明を聴取したいと思います。
  18. 山中徳二

    説明員山中徳二君) 先ほど提案理由を申し上げました行政機関職員定員法の一部改正法律案につきまして、私から資料につきまして主として補足的に御説明を申し上げたいと存じます。お手元に定員法改正資料と申します大きな紙がございますが、それをごらん願いたいと思います。この資料は第一総括表、第二といたしまして、その内訳と、こういう二部になっておりますが、総括表について簡単に申し上げますが、その一枚目をめくっていただきまして、二枚目の二ページのところをごらん願いたいと思います。  先ほど説明申し上げました通り、今回の改正によりまして六十三万一千八百四十八人、合計の一番左の欄でございます。ここに改正定員と、この欄にございますのは現行法の意味でございます。それが一番右の欄で「改正定員」、とございますのが今回提出いたしております法律案による結論でございます。ところがこの合計の六十三万一千八百四十八人の下に註が書いてございますが、改正前の定員法合計欄は六十三万二千三百十三人となるが、各行政機関定員合計は、ここにございますように六十三万一千八百四十八人である、こういう註釈を書いてございますので、これを御説明申し上げます。ここに合計欄の右のような食い違いができましたのは、昨年の十九国会におきまして定員法改正法律案の御審議を願いましておりましたのと別個に、日本中央競馬会法案の御審議を願っておりましたのでございますが、この方が先に成立いたしまして、その法律によりまして農林本省から四百六十五人を落すということになりまして、その減員農林本省の欄及び定員法合計の欄から削減されたわけでありますが、その際に同競馬会法案移用をいたしましたのは、政府が提出いたしました定員法改正法案原案によったのでございます。ところがその後定員法改正法案審議の結果、国家人事委員会の項が削除せられることになりまして、従いまして、政府原案合計欄が変更される結果となりましたために、中央競馬会法案移用をいたしました合計欄が空文ということになりましたので、合計欄に右のような齟齬を来たしましたのでございます。かようにいたしまして、差引増員は、この右から二番目の欄にございますように四千四百八十四人の増でございますが、先ほど説明を申し上げました通り、この中には奄美群島復帰に伴います臨時に職員を暫定的に取り扱いましたのを、今回定員法に加えまして、これが七百三十七人おるわけでございます。これは実際上ただ定員内に整理をしたということでございまして、これを差し引きまするというと、三千七百四十七名の増ということに相なるわけでございます。  増員のおもなるものにつきましては、先ほども御説明に触れましたのでくどく申し上げませんが、この第一ページをごらん願いますると、中ほどに文部省の欄で七百五十八名というのがございます。それから引続きまして厚生省の六百三十七名、それからめくっていただきまして、郵政省の欄の三千三百四十八名というのがございます。これが大口の増加でございまして、いずれも学校学年進行等に伴いますもの、あるいは結核治療所のベットのふえます、それに伴いますもの、あるいは郵政関係業務のふえますものというふうに、施設関係職員増加によるものがその著しいものでありまして、一般的な新規の増強につきてましては、努めて各省各庁内におきまして、部内事務合理化縮減等に努めまして、配置転換に意を用いましたわけでございます。総括表は簡単でございますが、そのくらいにいたします。  次に、三ページの内訳表につきまして簡単に補足説明を申し上げます。第一が総理府でございます。総理府におきましては、差引一番下の計のところで百十二人の増となっておりますが、本府におきましては、航空技術研究所を新設いたしました。これは別途総理府設置法改正案で御審議を煩わすことになろうかと思います。航空技術に関する教養施設を新しく作りますことに伴います増員が四十名、これがおもなるものでございます。それからその次は、目黒の公邸の移転に伴いますもの、それから俘虜特報事務がほとんど終了いたしましたので、これに従事しているもの四名を落しております。その次は、警察幹部見習生でございますが、これは従来からこの程度の職員がおったわけでございますが、これを定員化するかどうかということにつきまして検討をいたしました結果、やはり定員のうちに入れた方がよかろうということで、今回これを定員に加えましたわけでございます。その次の皇宮巡査見習生では、従来教養施設関係がございまして、これを警視庁に委託しておりましたのを、施設整備に伴いまして、これを委託をとりやめて、やはり皇宮警察の方でこれをやるということで定員を組みましたものでございます。その次は、在外公館在勤要員の派遣でございまして、今般在外公館に各専門職員を増強するということに相なりまして、各省からそれぞれ職員外務省の身分に切替えまして派遣されることになりました。これはのちに出て参りますが、大蔵省文部省、農林省、通産省、運輸省労働省等に該当がございます。合計二十一名ばかりがこの形で出て参ることでございます。最後原子力室でございまして、これは経済企画庁で原子力事務を取扱うための増員でございます。  次に、法務省に移りますが、法務省につきましては、次のページの欄にございますように、差引百六名の増員でございますが、これは実質的には奄美群島復帰に伴う現地刑務所その他の職員定員増加に伴いますものでございますが、部内の差し繰りといたしまして、最近におきまする刑務所内の警備力強化を要する実情にかんがみまして、一面巣鴨刑務所におきまする部内管理状況が改善されましたのと、収容者減少見込み等を見込みまして、その力の定員をこれに差し繰るという措置をとりました次第でございます。  次に、外務省に移りたいと思います。外務省におきましては、合計欄で五十七名の増加でございまするが、そのおもなるものは、ビルマにおける賠償及び国際協力事務進展に伴いまして、これに関する総括調整並びに渉外事務所掌させますために、アジア局賠償部を設置することに伴う職員二十五名でございます。これにつきましては、別途設置法によりまして御審議をわずらわすことに相なろうかと思います。二十五名でございますが、このうち上十三名は各省から供出をすることにいたしております。大蔵省、農林省、通産省、運輸省建設省という関係省より外務省に供出いたします。それと現在賠償室で事務をとっておりますものが三名ございますので、二十五名ではございますが、純増は九名でございます。次に、顕著なるものといたしましては移住局の新設でございまして、移民政策の強化推進をはかりますために、今回外務省に一局を新設いたします。これにつきましても設置法によりまして御審議をいただくことに相なろうかと思います。右に関連いたしまして、現在神戸に一カ所移住あつ旋所があるのでありますが、横浜に一つ増設することに伴う人員を計上いたしております。それから在外公館といたしまして新設されますものが五つ、これに伴います増員と、先ほど総理府のところで触れましたように、在外公館を拡充いたしますために各省から人を出してもらう、これによりまして専門的な職員を強化して、在外公館の強化ということを織り込みまして、ここに三十八名の在外公触の増加でございます。これに伴いまして部内事務をできるだけ合理化いたします。ないし事務量減少いたしましたものは、努めてそれに相当する人を落すということにいたしまして、九十一名の増に対しまして、三十四名を部内事務合理化に伴いまして定員を落すことにいたしましたわけでございます。  ちょっとここで前の法務省のところでも申し落しましたが、減のところの一番最初に、大臣公邸廃止による減二名というのが外務省にございます。前の法務省のところの減にも、大臣公邸の廃止による減一というのがございます。これはこのようにいたしまして、現在大臣公邸が十六でございますのを四カ所残しまして、他は整理いたしますことに伴いまして、合計十三名ばかり各省からこれに伴う職員を落しています。この機会に一括してお耳に入れておきたいと思います。  その次に大蔵省でございますが、大蔵省といたしましては、奄美群島の二十四名以下には顕著なるものはございませんページをめくっていただきまして、五ページに、先ほど長官説明で申し上げましたしゃし繊維品消費税、これが不成立になりましたので、未使用の定員六百八十人を落すという数字が顕著な数字となっておるのでございます。  その次は文部省でございますが、文部省といたしまして顕著なるものは、増員の欄の終りにございます国立学校学年進行及び学部、単科の増設等による増七百五十八人でございます。これにつきましては、別途国立学校設置法の一部を改正する法律案によりまして、御審議をわずらわすことになろうかと思います。  次に、厚生省に移りたいと思いますが、厚生省の欄で顕著なるものといたしましては、国立結核療養所の増床によりまして、二十九年度分が一千ベッド、三十年度の分が一千床ふえますので、これに伴います医師、看護婦等の増加が五百八十人に相なるわけでございます。奄美和光園におきましては、これはらい療養所でございますが、ここにおきましてもやはり百五十床ばかりのベッドがふえますので、右に伴う職員増加をいたすということに相なるのでございます。あと奄美群島関係職員増加でございます。  厚生省はその程度にいたしまして、次に、農林省に移りたいと思いますが、農林省はいろいろ事務の改善をはかりまして、事務の簡素化及び合理化によりまして相当数人員を縮減をいたしており、これによりまして、一面この六ページの一番先にございますように、災害復旧の査定事務を強化する必要がございますので、この事務に十一名を充てましたほか、畜産行政事務増加その他の新規事業計画増員を振り向けておるのでございます。減員といたしまして、減少する方のおもなるものは、事務の簡素化、合理化でございまするが、顕著なるものといたしましては、自作農維持資金融通業務を農林漁業金融公庫に移管をするという措置をとりましたことと、競馬監督業務が最近の状況にかんがみまして、これをさらに監督行政を簡素化できる、この面から十五名落しておるものが顕著なるものでございます。食糧庁、林野庁等は奄美群島関係が顕著なものでございます。  次に、通産省関係を申し上げたいと思います。通産省関係といたしましては、賠償業務に関しまする国内の指導業務、あるいは次の原子力関係事務増加するというようなことで、それぞれ十二名ずつふやしておりますほかに、鉱害復旧対策事務に備えまして、各通産局に数名ずつ増加いたしまして、この面で十一名の増加をはかっておりまするが、これらの増加の要員に対しましては、部内業務合理化、簡素化できてますものを努めて簡素合理化いたしまして、八十六名を簡素化する。もちろんこの八十六名には、ただいま申し上げましたように、外務省に供出いたします定員在外公館の要員に伴う減六名、賠償部新設に伴う減五名、計十一名というふうに、相当数の職員がこの中に含まれておることを御了承いただきたいと存じます。顕著なものといたしましては、特許庁の審査官の三十名の増でございます。これは御承知のように、特許審査事務が非常に輻輳いたしまして、累年繰越件数を加えてきておるのでございますが、昨今の状況によりますというと、十万件をこえる処理件数になっておりますので、やはりこの際審査陣容を強化いたしまして、努めて事務の促進をはかろうという趣旨で、三十名特に増員いたしておるような次第でございます。  次に、運輸省について申し上げます。運輸省につきまして増員の顕著なるものといたしましては、船舶職員法によります海技従事者に対する免許のちょうど更新期に当っておりますので、これに携わる職員十五名の増員、それから今般新たに自動車損害賠償保障法案を提出いたしておるのでございますが、右法律の施行に伴う要員十四名の増員、それから航空交通管制業務は、御案内のごとく日米協定によりまして移管の準備体制を整えてから引き継ぐということに相なるわけでありますので、その準備体制を整えるために六十一名の増員をいたしております。次に、水理気象業務十五名、水害緊急対策としての気象業務による増二十六名、測候所新設による増十名、大気放射能緊急観測実施による増十二名、合計六十三名は、これは中央気象台関係増員でございまして、それぞれその所要に応じまして、ただいま申し上げましたような職員を増強する手はずに相なっております。その次に顕著なるものといたしましては、航海訓練所におきます練習船銀河丸の新造によります乗組員七十名の増、これが練習船の新造による増七十名でございます。それから航空大学の設備の強化、双発機二機を新たに用意いたしまするので、これに伴う職員十六名というようなものが顕著なものでございます。海上保安庁の関係といたしましては、海上保安学校の生徒の増二十五名、灯台設標船の新造によるもの三十二名、航路標識を新たに七カ所増加いたしますことに伴います増三十名というようなものが顕著なるものでございます。なお運輸省におきましても、一番末にございまするように海難審判受理件数が増加いたしまして、一千件をこえる未済事案をかかえておりますので、この面におきましても十名の増員をはかっております次第でございます。  次に、郵政省でございます。郵政省先ほど申し上げました通り、大口の増員でございますが、これはその三番目にございます郵便取扱業務量増加五百四十八人、業務量がただいまの見通しといたしましては四%増加するという見通しをつけておるのであります。これに伴う職員増加と、それから五番目にございます電話交換施設が、公社計画によりまして、相当数の加入拡張計画がございます。これに見合う職員として二千百七十八名の増加をはかっております。それから電気通信業務要員の勤務条件の変更によりますもの、勤務実情によりまして、現在断続勤務制が認められております局におきまして、勤務の状況が変りますので、これの許可が得られなくなりますので、これを切りかえることによりまして、これに伴う五百四十五名の増加ということに相なる次第でございます。減の方に四百名ございますのは、電電公社計画によりまして、約二十局相当規模に達しましたものを直轄に移管するということによりまして、四百名を公社に移すことに相なるのでございます。  次に、労働省でございますが、労働省の増員といたしましては、新たに職業安定局に失業対策部を新設いたしますことに伴います四十六名の増員でございまして、これにつきましては、別途設置法によりまして御審議をいただくことに相なろうかと思います。この四十六名の増加は、次のページにございますように、部内の相当課、あるいは部課の職員よりこれをあんばいいたしますことにいたしておるのでございます。  最後に、建設省に移りたいと思いますが、建設省増員といたしましては、そこの第一にございます住宅公団に関する監督、あるいは五番目にございます住宅対策の推進に伴う企画事務、六番目にございます宅地の開発造成等に関する事務というふうに、住宅政策の推進に伴う所要職員増加と、農林省の場合と同様に、その三番目にございますように、災害査定事務を強化いたしまして、適切なる査定をいたしたいというので二十名増員いたしております。一面、官庁営繕事務減少を見込みまして、減少の分で二百二十名という数を削っておるのでございます。  非常に概略でございましたが、以上が今回定員法に伴う各省庁の職員増減の概貌でございまして、詳細につきましては各省庁より御説明申し上げる方が適当かと思いますが、一応概貌をお伝えする意味で先に申し上げました。これらの業務は、いずれも予算の裏付けをもって確定されるわけでございますので、右に即応いたしまして、本法の施行期日を七月一日にお願いいたしたような次第でございます。非常に簡略でございますが、一応これで御説明を終りたいと思います。
  19. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上の諸法律案につきまして、資料の要求がございますれば、本日でも、あるいは御研究の結果、必要とせられるつど、委員長までお申し出を願いたいと思います。
  20. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 資料をちょっとお願いしておきたいと思います。終戦当時、昭和二十年の定員数、それから自後増減の定員比較数、それを今まで出ておらなかったものを出してもらいたい。
  21. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 承知いたしました。終戦直後はあまりはっきりいたしませんので、そのちょっとあとで、終戦後ごく最近の機会においてわかる分と、その後の比較で御了承いただきたいと思いますが。
  22. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 終戦直後のものがわからなければ終戦前でもいいです。
  23. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 承知いたしました。
  24. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それから終戦後毎年の増減の比較。
  25. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 承知いたしました。さっそく……。
  26. 千葉信

    ○千葉信君 私からも一部お願いしたいと思いますが、それは退職手当法の関係ですが、昨年一カ年の退職人員、それからその退職者の勤続年数状況と、それから現在の公務員諸君の勤続年数明実在員数、これの実情を至急取りまとめて資料として出してもらいたいと思います。
  27. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 承知いたしました。ただ、後半の方の全職員の勤続年数の平均はもちろんわかりますが、わかる範囲におきてまして、そういうような実情を一つ揃えて提出いたしたいと思います。
  28. 千葉信

    ○千葉信君 これは行政管理庁の方でなくても、大体大蔵省の方の関係の法案ですから、そっちの方で……。
  29. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 大蔵省の方と連絡の上であなたの方でまとめて出していただけますか。
  30. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) そういたします。ことに昨年の公務員の退職数とか、それの勤続年数を調べたものは、これはすぐできますから、ただちに提出いたします。
  31. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 なお総人口と公務員との比較、比率ですね、それからなお主要国だけについてでも人口と公務員との比較したものを出してもらいたい。
  32. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 承知いたしました。さっそく提出いたします。
  33. 松浦清一

    ○松浦清一君 大へん御迷惑ですが、各省別の各府県別の出先機関定員表ですね。
  34. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 出先機関職員数ですか。
  35. 松浦清一

    ○松浦清一君 たとえば何県に食糧庁の何々があって、それから運輸省の海運局があるとか、そういう出先機関があるでしょう。それを各省別、各役所別に府県別に調べた、そういう表を作って下さい。
  36. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 承知いたしました。
  37. 松浦清一

    ○松浦清一君 それからもう一つ、行政管理庁の方で地方公務員の定員というのはわかりますか。
  38. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 地方公務員の総数はわかっておりますが、各府県別の定員も自治庁と連絡したらわかると思いますので、自治庁と連絡いたしてみます。
  39. 松浦清一

    ○松浦清一君 もし御無理でなければ参考として府県別に……。
  40. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 府県別の地方公務員の何は、これは自治庁に要求した方がいいかと思いますので、自治庁に別に私の方から要求しておきます。  他にございませんか……。   —————————————
  41. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) この際、お諮りいたしますが、一昨日、委員会散会後、委員長理事打合会を開きまして協議の結果、当分の間当委員会開催の日時は毎週火曜日、木曜日の午前十時から、また金曜日は本会議があると思いますので、午後一時から開くことに一応進めたいというふうにきまりましたが、この点御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。それで一応進めまして、法案の審議の状況を見た上でさらに考慮するということにいたしたいと思います。  なお、その際各理事とも相談をしたのでありますが、新国会法の精神から申しまして、まあ従来のように委員会の傍聴者を無制限に入れますということは差し控えた方がいいのじゃないかということで、私は従来委員各位の御紹介がありました場合には、用件等も別に深くお尋ねしないで傍聴を許可しておったのであります。これから定員法その他一般公務員に非常に関係のある法律案審議されることになりますると、勢いそういう傍聴人の希望が多いだろうと思いまするし、新国会法の精神に従いまして、各委員においてもその点を十分御了承の上で、この法律案審議に必要である傍聴人のほかは、できるだけ傍聴人の御紹介を自粛していただくようにお願いをしたいと思います。絶対に傍聴人を入れないということじゃありませんが、必要最小限度にして審議を進めたい、まあこういう考えでございます。その点各委員においても御協力を願いたいと思います。
  43. 千葉信

    ○千葉信君 審議に必要な傍聴人といのは何ですか。
  44. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それは先般も、証人として呼ぶかどうかということに関連するんですが、この委員会に、特に委員各位の了解を求めて何か供述をしてもらうというような方に、特に証人喚問の形で証人として喚問する形をとらないで、形はまあ傍聴人という形で委員会に出席してもらって、何か供述をさせるというような場合もあると思うのです。そういう意味で申し上げたわけであります。
  45. 千葉信

    ○千葉信君 しかし、その今お話の審議に必要な傍聴人という、まあその意味はわかりましたけれども、そういう格好で制限すると非常に傍聴が窮屈になると思います。大体審議にあまり差しつかえない程度の傍聴なら、極端な入場ということはこれは因りますけれども、その点は一つ委員長においてあまり極端な制限をなさらないように、良識をもって適当に今後取り計らっていただきたい。今のようなワクですと、少し窮屈なんです。
  46. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 承知しました、千葉君にお答えしますが、まあ従来定員法審議のときに見られたような、この委員会の審議に非常に支障を与えるような傍聴人は許さない方針でおります。たとえばある団体等の傍聴人が来られます場合にも、全部紹介しないで、そのうちの代表者一名とか、二名を傍聴させてもらいたいというようなお計らいをしていただきますと、委員長の方でも非難にやりいいのです。この点、委員各位の御協力をお願いしたいということであります。絶対に傍聴を禁止するという意味ではありません。   —————————————
  47. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、国家行政組織に関する調査を議題にいたします。  実は、この問題につきましては、本日は一昨日の委員長及び理事打合会におきまして御協議いたしました結果に基きまして、特に調達庁当局から、先般来問題になっておりまする富士山麓演習地の実情について説明を聴取いたしたいと思うのであります。一昨日の委員長理事打合会におきましては、かねて木下委員から現地視察の御要望もあったのでありますが、一応調達庁当局からその実情を聴取いたしました上で、本委員会において委員を派遣するかどうかをきめたいということで、本日調達庁当局の御出席を求めたわけであります。さように御了承を願いたいと思います。
  48. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 委員長からの御指名でございますので、私から富士山麓の北側の演習場についての最近の問題について、ごく概略申し上げたいと思います。  この前に起りました問題は、北側の演習場の中に、A地区とB地区と大体この二つに分れておりまして、そのB地区に砲座を据えて、A地区にあります従来の着弾地へ射撃をすると、こういう問題でありまして、これは地元から見ますというと、B地区は演習場としてすでに長年、前から接収されておりますけれども、いまだかつてそういう演習をしたことがない。ところが今度そういうB地区に砲座を据えて実弾射撃をやるということについて、地元側としては非常に驚き、かつその及ぼすいろいろの影響、被害等のことを考えて反対をした。軍は予定の日、この射撃演習をする日時、あるいは方法その他いろいろの注意をして、県に再度同意を求めたけれども、何ら同意がない。のみならず、そういう射撃をやっては困る、将来ずっと永久に演習をやっては困るというような意味の返答があったので、それでは協定と違うから、もう決行するというようなこととなり、地元側としては、協定の中の使用条件の中に、射撃をする場合には現地調整の上実施することができる。これはきわめて例外的のことであるのみならず、調整の上ということがある以上は、十分話し合いが済んでからやるべきである。しかるに十分話し合いがつかないでやるということはけしからぬ、まあこういう意味合いにおいて、ああいう紛争が起ったわけであります。で、これだけの問題でありまするならば、ああまで大きな問題にならなかったのではないかと私どもはさように考えます。で、これが意外な大きな問題になったゆえんのものは、あの北演習場の利用問題について、すでに昨年の五、六月ごろから問題がありまして、それらの問題がいろいろ折衝中に属しておりまして、まだ解決の見通しがついておらない。そういうことに対する地元側のいろいろの不満もありまして、それらがたまたま今川の射撃演習の地元の意に沿わない方法で軍が決行すると言って参りましたことに対するふんまんが爆発した、こういうふうに眺められるわけであります。そこで調達庁長官といたしましては、すでに問題がこうなった以上は、現地調整ということをさらにもう一ぺんやり直すといっても、なかなかもうすでにある程度感情問題になっておるし、また調整ということに対する解釈の違いと言いますか、とにかく双方に意思のなかなか疎通が困難であろう。しかも見方によればどちらにも欠点がある。しかも水かけ論のような格好になっておるから、もうすでに現地調整ということでなしに、調達庁長官として、現地の軍ではなくて、そのもっと上の方の陸軍司令官に会って、よく話をすることが必要であろうというわけで、先般座間の陸軍司令部に行きまして、司令官と会っていろいろ話をした結果が、新聞紙上等にも伝えられておりますが、大体においてB地区を将来被弾地区にしない。これは必ずしも明確な協定というわけではまだありませんけれども、大体軍が将来要求がありましても、日本政府としてはこれはもう同意せぬと、こういうことを言いまして、先方としてはそれに対して、まあそういうような問答に同意をした、了解したというような意味合いにおいて、将来B地区を被弾地区にしないということは大体了解されたと、かように思うわけであります。それからなお、B地区のいろいろ利用につきましても、農耕その他のいろいろ生産関係の立ち入り等ももっと自由にする。これは今でも相当に利用いたしておりますけれども、多少明確を欠く点もありますから、もっとこれをはっきりする。それから観光関係のまあいろいろの種類のものの立ち入りを認めるというようなこと、この問題から船津林道の利用の問題とか、あるいは登山者のためのいろいろの職業、商売、そういうことも、もう少し自由を認めるようなことをはっきりさせる、当然そういうような将来にわたっての、今まで問題になっている事項をこの際できるだけ解決する意味合いの話し合いがありまして、そこで今度はそういう前提のもとにすでに現在認められている、だから実弾射撃はその制限のもとにこれは認める。そうして調整が問題になって参りました。調整が問題になったわけでありますから、この調整ということの意味合いをもっとはっきりして、将来問題の起らぬようにする、こういうような意味合いの、了解が大体つきまして、その趣きを長官から山梨県知事その他の関係者に伝え、そうして県側としては十分考慮、相談の結果了承されたということになって、一応解決がついたわけであります。なお射撃演習の際にいろいろ問題になりました被害、ことに文化財に対する被害というような問題につきましても、これは当然今の演習場を提供するについての使用条件の中にも、文化財保護に関する規定はありますけれども、これが果して今度の演習に当って十分保護されたかどうか、被害があるかないか、これにつきましては、演習が終りましてから、取りあえず調べたところによれば、まず被害はないという報告を一応得たのでありますけれども、その後なお詳細に調達庁関係の下部機構、それから文化財保護委員会の事務局側の調べも、いずれも今出て参りましたわけで、これによりますというと、若干の被害はありましたけれども、大して取り立てるほどのことではない。しかしながら、とにかく被害はあった。そこで調達庁からさっそく施設特別委員会を通じて、強く軍に対して、将来こういう文化財についての被害を与えないように、強く要望いたした次第であります。その際に、軍としては十分その趣旨は了承して、今後ますます注意するということには申しておりますけれども、ただ軍側として、文化財のうちにもツツジとか、富士桜とか、あるいは氷穴とか、風穴とか、こういうものはきわめて明瞭になっておりますから、この保護についての心配はないけれども、文化財のうちの天然記念物の原始林のうちで、特に天然記念物として指定されている地区について、どうも現地ではっきりわからぬ。だからこちらがいかに文化財保護に注意を払っても、はっきりわからぬために、つい被害が起るようなおそれもないではないから、これを十分将来被害を与えないようにするためには、どうしてもこれをはっきり、ただ図面の上だけでなしに、現地についてもっとはっきりしていただかなければ困る。だからぜひ一つ日本側としてはそういう措置をとってもらいたい、こういう要求がございまして、さっそく調達庁から文部省の方にこの旨を伝えまして、文部省としては目下この記念物の地域をどうして明確にするか、これには相当な予算が必要でありますので、あるいは今直ちにこの措置を講ずることは困難かと思いますが、それまでの間、取りあえず、ただ簡単な見取り図というようなものでなしに、非常にもっとこまかな図面に明確に図示して、そうしてそれを両者が持っておって、極力現地についての連絡もとって、そうして極力今の天然記念物である原始林の保護に努めよう、こういう話し合いをいたしておるわけであります。けれども将来にわたって、これはまだこれで満足できるものでありませんので、将来は文化財保護につきましては、今申しましたような、明確を欠くようなものについては、もう全然地域を接収地域から除外して、そうして経費がかかっても、はっきりと区画をするというところまで行きたいと思っております。かりにそれがその通りにできない場合には、なお厳重にこの区分を明らかにして、そうしてただいまのようにブルドーザーだとか、そういうものが入ることがいかぬだけでなしに、兵隊も誰も入ることができないような形に、明確に使用条件を改善するというようなことにいたしたいと目下考えているわけでございます。  それから、その他一般の被害もいろいろ調べました結果、若干ありますが、これらにつきましては、損害補償等につきまして、至急措置をとって地元の要望に沿いたい、かように考えております。なお、今申しました、いわゆる長官と陸軍司令官との協定、ないし県知事の同意した事項のうちで、今直ちに実施できるようなものは、もちろんすぐに実施するようにいろいろ話し合っておりますが、その中では、今の使用条件のままではどうしても実行が困難であるという事項もありますので、これらにつきましては、十分検討しまして、使用条件の改訂を至急取り運ぶようにいたしたい、かように考えております。  なお、この際、B地区についてはいろいろ問題になっている協定等もあるわけでありますが、B地区だけについての改訂だけでは、またA地区との均衡等もございますので、かねてから問題になっておりましたのは、B地区並びにA地区について、それぞれ軍の使用状況に応じて、できるだけ利用を認めてもらいたい、こういう意味合いにおいて、すでに案を出して折衝中であったわけでありますから、今度B地区の解決の機会に、改訂するにつきましても、やはり従来考えておりましたA地区の問題につきましても、合わせて提案して解決をいたしたい、かように考えておる次第であります。  ごくかいつまんで申し上げましたので、不十分な点があると思いますが、一応以上で……。
  49. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 何か御質疑がございましたら……。
  50. 木下源吾

    ○木下源吾君 今のお話によると、問題の起きたのが手続の行き違いで、感情上のような主としてお話でありましたが、そういうことだけではなく、演習をやられることにおいて、地元にいろいろ何らかの障害がある、具体的には、例えば登山する道路の上を弾が飛んで行くのだ、こういう不安がある、観光に対する被害が大きい、何らかそういうことがあって、従来いろいろ問題があったのではないですか。そういうような事実ですね。根本の、つまり大事な点があったならば知らしていただきたいと思います。
  51. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ついでに取りまとめてお話願いたいのですが、大体今御説明があったのですが、要するに新聞等の報道によりますと、地元の方でも、つまり山梨県側との折衝も一応妥決したということを新聞等では承知しているのですが、政府間でさらにある線に沿って、こまかい具体的な協定をしようというので、交渉しておられる段階ではないかと思うのですけれども、そこでなお具体的な問題について、特に調達庁からごらんになって、地元との関係で問題になる点がどういう点であるかということも、合わせて御説明願いたいと思います。
  52. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 木下委員並びに委員長からお話がありまして、問題の意をなお敷衍して申し上げておきます。その一つは、富士登山道について自由な通交を認めるものと認めないものと現在あるわけでございますが、これは富士演習場が今のA地区、B地区ともに使用条件を論議される時分に、登山道だけはぜひ自由に通交のできるように認めてもらいたいということが地元の最も大きな要望であったように聞いております。ところが現在の使用条件できまっておりますのは、非常に昔から最も人口に膾炙いたしております富士吉田口、それから御殿場口、須走口、この三つだけが認められるように載っておりまして、他の登山道といいますか、あるいは林道で登山にも利用するというような道路は明確に規定されてないわけでございます。規定されてないということは、いろいろ議論のいきがかりからいうと、その三つの登山道だけはいかなる場合にもこれは通行は許すが、他の方は認めないという意味で、この使用条件が成立した、かように開いております。ことにそのうちの今の船津林道、この林道はかなり当時認めてもらいたいという意向も強かったわけでありますけれども、これを認めますというと、他に同じような、何といいますか、道路の区分といいますか、林道というようなものがたくさんある。あるいはもっと町村道というような、そういう林道というような、まあとにかく今の三つの登山道よりもっと格の下の、あるいは世にも知られてない道がたくさんある。その間にどれを認めて、どれを認めないということはなかなかむずかしい問題でありますので、結局三つに落ちて、あとは認められないということになったわけであります。その点がまず依然として問題があるわけであります。今度船津林道が通交をよろしいというようなことになる大体の了解がついたわけで、しかしこれをはっきりするために、今の規定ではやはり抵触いたしますので、いずれこれは明確にするような改訂をいたさなければならぬと思います。それからまたこの今の道路の上をずっと通る登山道を弾道下にする射撃の問題につきましては、原則としては、この三つの道路を弾道下にするような射撃は禁じてありますが、例外として夏分を除く、夏分はこれはいかぬが、夏分を除く他の時期においては、現地調整をはかって射撃することができるというようなふうに書かれてあります。この現地調整が今度の場合に問題になりましたことは、先ほど申し上げた通りでありまして、従ってこの調整の字句を直すかどうかということと、字句は直さないが、解釈として明確にして何か取りかわしておく必要がある。少くともそうしておかなければ、今一応口頭で話し合いをつけたものの、また後になっていろいろ担当者がかわれば問題を起しやすい。そういう意味においてこの問題も当然はっきりしなければならぬ問題だと思います。それから当然山梨県として富士山が非常に重要であり、また日本としても、最も重要な観光地として観光者が自由に利用できるようにならなければならぬのが、今接収地、演習場となっておる関係上非常な制限を受けておる。しかし現に今のように夏分だけは、例外として認める場合も夏分はいかぬというふうに書いてあることですから、せめて夏分は、まあ夏分だけに限らずに、なるべく観光客に自由に出入りのできるようにする、これはきわめて必要なことでありますが、今の規定の上では、はっきりしていないのでなしに、どちらかというとまあ押えられておる。だからこれを明確に規定する必要があろうと思います。もちろんこの中には、この船津林道を大型の自動車でも何でも自由に出入りできるように、通行できるようにする、その結果バス問題が間接に解決する、こういうことになるかと思うのであります。それからB地区についての農耕その他の生業関係の立ち入りは、私どもも当然これは解釈上自由なものだと思っておりますけれども、何か立札等の字句その他から見ると、わきからいうと、ちょっと押えられておるような感じがしてまずい。従って立札なんか撤去し、それでもう文章のしにももっと自由になるような表現をする必要があるのじゃないか、こういう問題があるわけであります。なおこのA地区の方につきましては桑畑がある。これの利用とか、あるいは石切り場所があって、これの石切りをもっとやって、もう少し生産高を上げることのできるようにしてもらいたい、あるいは牧地をもっとたくさん刈り取れるようにしてもらいたいというような、おもに農業関係者からの要望がかねてからありまして、昨年バス問題が問題になって、いずれこれは使用条件を改訂して認めてもらうようにするというときに、A地区における今の問題も非常に強く要望されまして、先ほど申しました通り、均衡のとれるようにできるだけ利用さしてもらうような意味合いにおける改訂案を作って、実は非常に長い間かかって恐縮なんですが、ずっと折衝中に属しておった。その時期に今の問題が起ったというために、かねてからの不満がここに爆発した、こういうことを先ほど申し上げたわけであります。まあいろいろこまかに考えますとたくさん問題があると思いますけれども、特に今度の長官と陸軍司令官との間の協定、それを実施するための今後使用条件で問題になる点、あるいはそれ以外のことについても、私ども今まで考えております大きな問題を拾い上げれば以上の点だと思っております。
  53. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうすると、やはり今でも射撃はやっておるのですね。
  54. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) この点は軍との間、長官と知事との間には現在の使用条件では、例外といいながら、とにかく認めておる事項があって、ただそれには調整ということがある、これが問題になったが、とにかく今度他の大きな問題も大体解決の見通しがついたわけで、従ってこの射撃は認めざるを得ぬじゃないか、やむを得ないということにはなっております。そこで問題は調整の問題ですが、軍の方から、いつごろやりたいという話が出て、それについて十分話し合って了解して実行するわけですが、そんな意味合いで、軍としてはその後も必要というわけで日時を指定して県側に交渉する。県側は、今は困る、だからちょっと待ってくれというようなわけで、向うの言う通りに必ずしも進んでいないと思いますが、大体話し合いでもって、今も射撃をときどき期間をきめてやっておるような状態であります。今やっておりますのは、明日で終りますが、五月三十一日から六月の三日まで、これは話し合いの上で実施いたしておりますが、なお六月七日から十一日までの申し込みがあるわけであります。これは地元との話し合いがつくか、つかないかは私はまだ承知をいたしておりません。なおこの機会にちょっと御参考に申し上げたいことは、地元として七月一日から、七月から登山期に入るわけでありまして、そこで今の協定のところには七、八、九を除くということになっておるわけでありますが、六月末までやられては、七月一日から山開きになってどんどんお客さんが入る。その準備のためには、少くも十日か、二週間くらいはどうしても余裕をとってもらわないと困る。従って射撃演習はこれは大きな両者の話し合いで認めることになっておるけれども、実施については六月の半ばまでくらいで打ち切ってもらいたい、こういう強い要望を地元の富士吉田市長が代表で強く要望してあるそうであります。それに対して軍としては、現地の隊長としては、それに対する諾否の返事はできない、権限がないからできないが、上の方に連絡して考慮しよう、こういう返事をしてあると最近聞いたわけであります。
  55. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうすると、根本的な問題はまだ一つも解決しておらぬ、調整の問題で今暫定的に調整してやっておる、こういうわけでありますな。
  56. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 御意見の通りでありますが、根本的の問題は、実質的には長官と司令官の話で、まず私どもからいえば解決したと言いたいわけであります。ただ形式的にこの中の重要な問題については、使用条件の改訂をいたさなければ、名実ともに認められたということにはなりませんので、そこでできるだけ早く使用条件の改訂の案を作って、施設特別委員会で提案をして、早くこれを決定して、名実ともにこれを今の話し合いが実現できるようにいたしたいと、かように思っております。従ってその意味において問題がまだ残っておると申し上げていいわけであります。それからあと例外の、今の規定に基いての射撃については、これはどこまでも現地調整、しかしながら、現地調整につきましては、今度は、今までももう数回にわたって現地で話し合っておる。その内容は大体幾日から幾日までやるという、やる時期とやり方、砲座の位置、それから軍の輸送、資材の輸送とか、あるいは兵隊の動き等について被害を与えないように注意をする。こういう点が現地調整の内容になっておりまして、これは円満に話し合いが進んでおると思っております。
  57. 木下源吾

    ○木下源吾君 私、あともう終るとすれば、この間からこれは視察しようという話であったわけです。もう一つ、やはり吉田市長というのが向うの何か代表になっておるということをいっておられる。ですから富士吉田の市長にこの機会に一つ来てもらう、こういうことを委員会に提案して終りにします。
  58. 松浦清一

    ○松浦清一君 今いろいろの経過のお話しを聞いておりますというと、実弾の射撃演習をやる日にち、時期をそのつど話し合いをしてきめているようにとれたのですが、もともとの話し合いのときに、どういう時期に何日間やるか、そういう話し合いが元の話ではきまってないのですか。たとえば一番最初に富士山ろく実弾射撃演習をやりたい、こう向うから申し入れがあった場合に話し合いをしておるわけです。その基本的な話し合いをするときに、その時期などについては話し合いがきまっていないのですか。
  59. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 射撃につきましては、協定の中にそう明確に時期のことは書いてない。今申しました七、八、九を除いてということだけしか書いてありません。従って運用上としての大体の了解は必要のつど一々調整、要するに話し合いをする、一ぺん話し合いをしたから、その次の射撃のときはまた前と同じだからといって無断でやるわけにも行かない。一日やるにしても、また二、三日置いてやるにしても、必ずそのつど正式に、これは現地の司令官であります。決してその上の方じゃない、富士のキャンプの指揮官と山梨県知事ということに解釈しておりますが、一々知事の方にやりたいと思う大体の計画を示して話し合いをする、こういうことになっております。従ってあらかじめ大体どれくらいの回数とか、いつかということはわかりません。
  60. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、射撃演習場だとか、基地だとかというようなものをアメリカ軍の要請によって日本側が提供する、あるいはそういう話し合いをすることについて外務省関係するのですか、しないのですか。
  61. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) これは今の条項に基く射撃実施は外務省も直接関係しておりませんし、調達庁関係いたしておりませんし、どこまでも富士マックネア演習場のいろいろ条件として、「一、一般事項」、あとでいろいろなことが言ってありますが、一般事項の中にこういう字句を使っておられます。その中の四項に「在日合衆国軍は、富士吉田、富士御殿場口及び須走口の登山道を越える実弾射撃を、原則として禁止することに同意する。ただし七月、八月及び九月を除いては、現地において調整の上、上述の射撃を行うことができる。この場合は射撃中充分な注意を払うものとする。」、こういうふうに書いてありまして、ここにあるいわゆる現地調整ということは、中央官庁は関係なしに、軍としてはキャンプ・マックネアの指揮官、それから日本側としては山梨県知事、そういう字句は使ってありませんけれども、そういうふうに解釈をきめて、両者の間でしかるべく話しをする、こういうことになっております。
  62. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、今の問題以外のその他の基地、演習場というやつも、やはりその調子で関係の知事を現地軍との間で話し合いをする、こういうことになっておりますか、どこそこの墓地を提供する、どこそこの演習場を提供するということは調達庁関係するのですか、一番最初の話は……。
  63. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 基地の提供につきましては、これは非常に重大な問題でありますので、手続はきわめて複雑になっておりますが、ごくかいつまんで申しますと、軍の要求があってから現実に土地の引き渡しをするまでの手続を二つに分けることができます。前段の手続としては、その要求に対して日本側として閣議決定をする。閣議決定するときには、位置と、それから区域、それからその地上の物件なり、権利なりを排除するためのいろいろの内容、そういう大体のことをきめて閣議決定をして、それから合同委員会の両方の代表が調印するまでが一つの手続でございます。それからその次に、両方の代表が調印しますれば、そこで提供の方針がきまったわけでございます。今度はそれを現実に提供する事務は、主管官庁としては調達庁でございますが、もちろんその土地の状況によっていろいろ各省関係がございますので、たくさんな各省と連絡をとりながら、買収するとか、あるいは賃貸契約をするとか、あるいは地上物については移転計画も十分立てて、それらの話をつけるとか、あるいはその土地の上で公けの道路があれば道路のつけかえをするとか、あるいは水路があれば水路のつけかえをするとか、そういう措置を全部講じて軍に引き渡しをするまでの手続、これが事務の手続の後段に属するわけであります。その後段の方は、ただ事務的に引き渡しをする、いろいろ権利を獲得して引き渡しをするということで、表現はそれだけの話ですけれども、非常に実際問題になるとむずかしいためになかなか手数がかかる。前段といたしましては、以前は前段は主として外務省がやり、後段は調達庁でやっておりましたけれども、前段の閣議決定をするためにどうしても調査したり、いろいろ関係者の意見を聴取しまして、それから補償問題も決して無視するわけに行かない。それから後者の方の調達庁事務としては、当然法令に基いていろいろの意見を聞いたり、調査をして、補償もきめ、いろいろの法律行為をして提供する。その間に非常に大事な仕事でダブる仕事がたくさんある。その間連絡不十分であった場合には非常に問題が起ります。そんな関係で仕事をなるべく円滑にすみやかに運ぶために、一昨年の十二月から調達庁で取り扱うことに閣議決定をいたしたわけであります。なかなか最近は後段だけじゃなくて、前段におきましても、すでに非常にいろいろ影響が大きいものですから、反対もありますし、また意見もありますので、かなり時間がかかります。そんな関係で、この仕事の進行というものは調達庁においては最も悩みの種でございます。
  64. 松浦清一

    ○松浦清一君 筋道はわかりました。アメリカ軍から日本に対して要求があれば閣議で決定して、そうして最初の元になる話し合いは外務省でやって、それをどのように引き渡すかということについては調達庁事務的な折衝をやって行く、その経路はわかりました。それをやる場合に、地元に大きな反対が起りますね、大ていの場合。閣議できめようが、外務省が向うと話し合いをしようが、地元としては反対が強い。その場合に反対の地元民の声というものをどのようにしんしゃくされるのですか、しんしゃくしないで何とかして納得させようとするのですか、また反対の意向があれば取り上げるのですか。あの土地は基地として使わせない、演習場に使わせない、そういうようなことを何というか、今までの話し合いを地元民の意向によって解消するというようなことはでき得るのですか、できないのですか。
  65. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 軍の要求がありますと、調達庁としてはその意味を十分把握しなければなりませんので、さっそくその内容について向うに十分問い合せをして意味をはっきりしてから、それから関係各省の方に通知を出していろいろ意見をとる、それから地元の知事、それから私の方のその土地というか、地域を所管しておる調達局に対して、やはり同じような照会を出しまして、調達局並びに知事はやはり関係の町村長とかあるいは町村会議長とか、あるいは農業関係の団体の長とか、いろいろの方面の意向を聞きまして、その意向が集まって、それからそれについて今度は各省が十分お互いに下部機構からの意向を調整して、提供するか、しないか、するとして向うの要求通りにするか、あるいはもっと圧縮するかどうか、それらのことを十分あらゆる角度から検討いたすわけでございます。従って今までの例から申しますと、向うの要求を、地元の反対も強いし、それから軍の要求の理由が大した理由じゃないというようなことで、まあその他もありますけれども、おもにそういうようなことでけってしまうことも非常に多いのであります。これは私調達庁がやり出してから何件けったという数字を今持っておりませんけれども、非常にたくさん拒絶いたしております。それからその次には、軍の要求はこれはもっともだ、十分の理由はある。しかし地元に非常に反対もあるし、軍の要求の内容について若干これは手を入れる必要があるんじゃないか、こういうことになりますというと、地元の意向も参酌しながら、その計画をたとえば面積を少くするとか、あるいはその地域のとり方を少し方角を変えるとか、あるいは一方に伸ばすやつを両方に少しずつ伸ばすとか、いろいろの方法で面積を縮める、計画を縮めるということによって同意する。その場合に極力地元の了解を得るためにあらゆる努力をし、情理を尽し、誠意を尽して説明をいたして了解を得るようにいたしておりますが、どうしても全部の了解を得ることができないというときには、なお最後にどうするかということを相談しますが、結果としてはどうしても軍に提供しなければならないが、一部反対があるということになれば、やむを得ず反対が一部ありましても、その間の事情をよく説明して閣議決定をとるようにいたしております。それからまたもう一つの場合は、軍の要求、実際要求は数が非常に多いのでありますので、非常にわずかな、たとえば電話を引くために電線を通す、あるいは地下のケーブルにする地域を要求するとか、水を引くためにどうとか、こういうことは非常な数に達しますから、これらにつきましては、理由はもう絶対必要なことであるし、要求そのものもきわめて必要なことで、内容もほんとうの最小限であるから、そのまま認めることもやはり相当件数あると思います。
  66. 松浦清一

    ○松浦清一君 だいぶありますけれども、時間も何ですし、この問題はそれだけじゃないから……。
  67. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  68. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。  次回は、明日午後一時から開会いたしますが、本会議が長引きました場合には、本会議が散会いたしましてから委員会を開く予定にいたしておきます。明日はできれば参議院先議になっております建設省設置法の一部を改正する法律案議題にしたいと思います。御承知おき願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会