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1955-09-21 第22回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月二十一日(水曜日)    午前十一時三十七分開会     —————————————    委員の異動 本日委員植竹春彦君辞任につき、その 補欠として松岡平市君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    理事            宮田 重文君            長島 銀藏君            木下 源吾君            木島 虎藏君    委員            木村篤太郎君            田中 啓一君            中川 以良君            中山 壽彦君            松岡 平市君            豊田 雅孝君            野本 品吉君            加瀬  完君            千葉  信君            吉田 法晴君            相馬 助治君            田畑 金光君            三好 英之君            堀  眞琴君   国務大臣    国 務 大 臣 砂田 重政君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告 ○本委員会運営に関する件     —————————————
  2. 宮田重文

    理事宮田重文君) ただいまより内閣委員会を開会いたします。  昨日に引き続きまして国の防衛に関する調査を議題といたします。  一昨日以来基地拡張の問題について質疑応答が行われましたが、なおこの点について質疑が残っておりますのでただいまより質疑を進めることにいたしたいと存じますが、その前に過般本委員会といたしまして各地に調査に出て参りましたその御報告を願うことにいたしたいと思います。第一班の野本君。
  3. 野本品吉

    野本品吉君 御報告申し上げます。宮田委員荒木委員並びに野本委員の三名は、去る八月十日から八月十四日までの五日間にわたりまして大阪府及び兵庫県に出張いたしまして、第二十二回国会の内閣委員会において特に論議の的となりました米駐留軍飛行基地拡張問題、及び自衛隊演習場問題の一環として、米駐留軍伊丹飛行基地及び陸上自衛隊宝塚演習場実地調査をいたして参ったのであります。なお、右調査に関連してそれぞれの所管官庁である大阪調達局及び陸上自衛隊第三管区総監部においてその実情を調査するとともに、伊丹飛行基地及び自衛隊演習場の地元である豊中、池田、伊丹宝塚各市当局からそれぞれ現地の実情を聴取して参りました。以下順を追って調査の概要を御報告申し上げます。  まず最初に、私ども一行は大阪調達局におきまして、米駐留軍伊丹飛行基地拡張問題及び大阪調達局における業務運営の一般についてその説明を聴取いたしました。  まず、伊丹飛行基地拡張問題について特に調査いたしました第一点は、伊丹飛行基地拡張計画はどうなっているか、その第二点は、右計画に対する地元民反対理由は何か、その第三点は、右飛行場拡張が地理的に不可能な場合の代替地があるかどうかという点であります。大阪調達局当局説明によりますと、第一点につきましては、今回米軍の要請に基いて本年度予算において飛行基地拡張の対象となっている飛行場は五ヵ所であるが、伊丹飛行基地は今のところ一応その五ヵ所の中には入っておらない、従っていまだ本庁より伊丹飛行基地拡張計画については何らの指示を受けておらないとのことでありました。また当局説明によりますと、伊丹飛行基地米軍が接収以来今日までに過去二回、すなわち昭和二十六年十月及び昭和二十七年四月にその拡張計画がなされたのでありますが、そのつど地元民反対陳情によりまして、この拡張は中止されて今日に至っているとのことであります。現在伊丹飛行基地は総面積が約六十六万坪あり、滑走路として長さ六千フィート、幅四百七十フィートの主滑走路のほかに、長き四千二百フィートの予備滑走路を持っておるのであります。二十七年度に米軍から示された拡張計画は、この主滑走路の長さ六千フィートをさらに三千フィート延長しようとするものであります。その延長方向は主として豊中市方面であります。今後もし拡張計画が行われるといたしますと、おそらくこの二十七年度の拡張計画と同様のものではないかと想像されるとのことであります。  調査の第二点につきましては、地元民からはすでにしばしば伊丹飛行基地拡張反対陳情を受けておるが、拡張計画についてはいまだ明示されていないため、この地元民反対運動伊丹飛行基地が二十七年度の拡張計画と同様に拡張されるものとの推定のもとになされた反対と思うとのことであります。そして地元民の述べる反対理由は、第一に、豊中、池田、伊丹の三市は文化都市であり、拡張によりこの文化都市が破壊される。第二は、拡張によりこの地方の穀倉地帯と称せられている農地が接収される。第三に、風紀が悪化する。大体以上の三点であり、また伊丹飛行場拡張国際空港のためとしても同様に反対であると主張しておるとのことでありますが、他方伊丹飛行場周辺組合からは、拡張賛成陳情書が提出されておるとのことであります。  調査の第三点につきましては、今日では特別に代替地は考慮されておらないが、以前には兵庫青野ヶ原の地点が候補地に上ったとのことがあると聞いておる。また大和川の川尻を埋め立てて飛行場とする話もだいぶ前にあったことがあるとの説明でありました。  次に、大阪調達局一般業務運営説明といたしましては、定員関係日米行政協定第十八条に基く補償関係駐留軍労務者関係、並びに大阪調達局管内米駐留軍演習場関係につきまして説明を受けたのでありますが、そのおもなる点は、まず定員関係につきましては、第二十二国会において成立いたしました行政機関職員定員法の一部を改正する法律によりまして指名退職制度が設けられたのでありますが、大阪調達局においてこの指名退職の指名を受けたものは二十七名でありまして、そのうち五名は役付職員であり、一般職員は二十二名となっております。この二十二名の内訳は男子職員六名、女子職員十六名であり、全部申出による指名であり、強制退職は一名もなく、指名退職制度は円滑に行われたとのことでありますが、調達庁は毎年定員法の改正のつど定員が減少され、大阪調達局においては、この定員減に対比し、局の業務量は必ずしも減少していないのであって、職員個々業務負担量は加重しておる状況であるとの説明を受けました。また調達庁人員整理の方針について、局長は、特に政府が配置転換の方針を早く立て、職員が調達事務の縮小による退職の心配をなくすようにし、安心して職務に従事することのできるようにしてほしい旨を強く要望しておりました。  次に日米行政協定第十八条関係の補償は、二十八年度までは府県に委任しており、二十九年度より調達局において一切の業務が行われることになったのでありますが、補償の約九割は交通事故によるものであります。すなわち、二十九年度の補償決定件数二百五十八件のうち、二百二十九件が交通事故関係となっておるのであります。また被害者で泣き寝入りのままになっておるものはまずないとの説明でありました。  次に駐留軍労務者関係の問題でありますが、この労務管理の直接担当官庁は府県であって、調達局はこれに対して指導監査を主として行なっておるとのことであります。最近米駐留軍予算の削減や、駐留軍引き揚げ移動等に伴う軍施設閉鎖等により、駐留軍労務者の数は漸次減少の傾向をたどっておるのであります。すなわち、大阪調達局管内駐留軍労務者の最近の数を見ますと、昭和二十八年が一万六千八十八名、二十九年が一万三千五百七十五名、三十年が六月一日現在で一万三千八百五十三名となっており、さらに本年八月中に、大阪商返還等、施設の閉鎖に伴い、管内で五百九十名が解雇されることになっておるとのことであります。駐留軍労務者は早晩逐次整理されていくものであり、労務者自身も整理に対しては、しいて反対の態度をとらず、その場合、よき転職先あっせんを強く要望しておるとのことであります。  大阪調達局での調査を終りまして、次いで大阪府当局より、時間の関係上、きわめて簡単に伊丹飛行基地拡張問題について府当局の意見を聴取いたしました。この問題に関し府当局は、地元民が全面的に反対している以上、府としてもこれを援助するのは当然であり、府議会においても拡張反対を議決しておる。伊丹飛行場は将来、駐留軍基地としてではなく、国際空港として発展させたい旨を述べておりました。  次いで、われわれ一行は伊丹市にある陸上自衛隊第三管区総監部におもむき、自衛隊宝塚演習場問題、その他第三管区隊一般事項について調査を行なったのであります。あいにく総監、副総監が不在のため、主として第三管区幕僚長及び防衛庁大阪建設部長より説明を聴取いたしました。  まず、宝塚演習場問題について、特に次の諸点について自衛隊側の見解をただしたのであります。その第一点は、宝塚演習場取得についての今日までの経緯。その第二点は、特に宝塚演習場を設置した理由及び当演習場における演習の規模。その第三点は、宝塚演習場設置に至るまでの宝塚市当局及び市民との交渉の経過。その第四点は、兵庫県副知事のあっせん案に対する態度。その第五点は、宝塚演習場に対する今後の方針であります。  まず調査の第一点については、第三管区総監部当局説明によりますと、演習場設置につきましては、昨年六月七日一応宝塚市当局了解を得まして、昨年七月十七日土地買収等演習場取得に関する事務を完了いたしたのでありますが、その後に至りまして、宝塚市側より演習場使用反対陳情がありましたので、使用を一時延期して、宝塚市側と交渉の結果、昨年十一月二十五日両者の間に、本年一月二十日までの期限付をもって、もし代替地があれば宝塚演習場をそれと交換してもよいとの了解が成立、自来、宝塚市側の申し述べる代替候補地たる西宮市金仙寺実地調査等を行なったのでありますが、期限の一月二十日を過ぎても容易に解決せざるため、本年六月三十日、宝塚演習場内の道路改修のため部隊の出動を見たのであります。本年七月に入り、本演習場使用について、両者の間に兵庫県のあっせん案が提示され、双方とも本あっせん案了解し、宝塚演習場設置の問題は、一応円満解決の段階に来ているとの説明であります。  調査の第二点については、演習場をどこに設置するかをきめるには、その地形あるいは部隊からの距離等によっていろいろと長短が生じてくるものでありますから、それらをにらみ合せて、できるだけその条件に適合すると思われる場所を選ばなければならない、その意味において、宝塚演習場は比較的その条件に適合しておるが、その広さからすれば、小演習場であり、演習としては中隊程度攻撃防禦の訓練をするにすぎないところであります。  調査の第三点につきましては、自衛隊としては演習場を設置する場合においては、常に関係市町村と相談しており、宝塚演習場を取得する場合についても、昨年六月七日防衛庁大阪建設部長宝塚市当局を訪れ、演習場設置について宝塚市当局了解を得ておるとのことであります。この点についてはわれわれ一行は後に宝塚市当局の意見をも聴取したのでありますが、宝塚市当局説明は全く第三管区総監部説明と反し、両者の説明に大きな相違点がありますので、この点を特につけ加えておきます。  すなわち、宝塚市側の説明によれば、昨年六月七日防衛庁大阪建設部長が「用地買収の資料に関する依頼」という書面を持参し、その文面には、「今般保安隊伊丹駐屯部隊演習場予定地として、宝塚市、長尾山地区を買収致したいので御多忙中恐れ入りますが下記につき御調査の上御回答願いたい」と記載されてありまして、用地買収参考資料についての調査を依頼されましたので、市当局はこれに対し回答を与えましたところ、自衛隊側はこれをもって市の了解を得たものと解釈しておるようであるが、市当局としては、ただ単に前記調査依頼に対し回答を与えたのみで、演習場設置の点については何ら了解を与えていないと述べておるのであります。また自衛隊側説明としては、演習場を取得する場合においてはその関係市民全部の方に納得していただければ、それが理想的であるが、市民一人々々について話し合うということは不可能であり、結局市の代表である市当局市議会を相手として交渉するほかはない。市当局市議会との間に話し合いがつけば、市民に対しては市当局より納得させていただくことができると思う。従って宝塚市の場合でも市民よりなる演習場設置反対期成同盟人たちとも数回会ってはいるが、主として市当局を相手に交渉してきたとの説明でありました。  調査の第四点につきましては、本演習場問題については、本年六月宝塚市当局より県当局へ持ち込まれたのでありますが、県当局も事態を憂慮いたしまして、本年七月兵庫県金山副知事より演習場使用について両者に対し次のような骨子のあっせん案が提示されたのであります。  すなわち、一、演習場には一朝有事の際に攻撃目標となるような火薬庫弾薬庫、ガソリン・タンク等構築物は設置しない。二、大砲、特車等は絶対に使用しない。三、小銃といえども実弾射撃はしない。四、その他市民に不安を与え、教育上または観光上支障を及ぼすような演習はしない。五、現在はもちろん将来においても日本人以外の者に演習場使用せしめない。六、将来他に適当な演習場を取得することができるようになった場合には、移転するにやぶさかでない。というのであります。  自衛隊も本あっせん案については全面的にこれを了承し、本年八月一日第三管区総監より宝塚当局あてに「宝塚演習場使用について」の公文が発せられ、あらためてあっせん案の内容に基いた使用計画を明らかにいたしておるとのことであります。  最後に、調査の第五点につきましては、特に換地の問題でありますが、現在のところ換地についてはまだ何も考えていない。また宝塚演習場に隣接しておる国有地を目下防衛庁へ所管がえをする手続を申請中であるとの説明でありました。この換地の問題についてはあっせん案の一つの条件ともなっており、今後に残された最も重要な問題であり、たとえ宝塚市側より換地を提供しても、その土地の適不適を決定するのは自衛隊であるから、自衛隊においても今後特に換地に十分努力するよう希望して参ったのであります。  その他、第三管区隊において調査しました一般問題としては、宝塚演習場以外の第三管区隊演習場の現況、第二十二国会で成立した防衛関係二法律の改正に伴う第三管区隊の増強の状況、及び自衛官予備自衛官応募状況等であります。  第三管区隊演習場につきましては、この宝塚演習場のほかに八ヵ所ありまして、そのうちの三ヵ所、饗庭野、日本原、青野ヶ原日米共同使用となっておるのであります。また現に信太山に米駐留軍演習場がありますが、これに対しては目下共同使用を申請しており、将来は共同使用ができるものと考えておるとのことであります。  また共同使用の場合、これを申し入れたときはおおむね許可が得られるが、ただその場合使用開始日の五十五日前に使用期間を申し出なければならず、また変更のたびごとに申請を要し、その点不便を強く感じておるとのことであります。  次に今回の防衛関係二法律の改正に伴う増強としては、第三管区隊としては大きな増強はなく、ただ新たに独立施設一個大隊及び武器補給一個中隊が設けられることになっておるとのことであります。  また自衛官及び予備自衛官応募状況でありますが、まず自衛官については二十九年度は募集目標に対し、応募率は九二・九%になっておりますが、本年度はこの八月までに一一〇・五%と募集目標を突破しておるのであります。本年このように応募率が上昇したのは、募集に準備期間があり、募集の趣旨が末端までよく行きわたったためであると説明しております。予備自衛官については本年八月一日現在一千七名の応募者に対し、八百七十六名を任用しており、八月二十二日より五日間、本年度第一回の訓練を行う予定であるとのことであります。予備自衛官はその俸給が一日七十円であり、待遇の悪い点が応募者の少い一つの原因をなしておるとのことであります。  以上で陸上自衛隊第三管区隊調査を終りまして、ついで翌日豊中市役所におもむきまして、伊丹飛行基地の地元であり、最も利害関係の多い豊中、池田及び伊丹の三市の市長及び市議会議長等の参集を得まして、現地の実情の説明を受けたのであります。伊丹飛行基地はこの三市に囲まれたちょうどそのまん中にありまして、現在この三市の理事者及び議会関係者間において伊丹飛行場拡張反対期成同盟が結成されており、豊中市長がその会長となっておるのであります。当日の実情説明は、関係市民約三百名が傍聴する公開のもとに行われまして、主として前記関係者並びに傍聴に来られておった農民代表教育関係代表、及び婦人代表の方より、こもごも飛行場拡張に伴い関係市民に及ぼす影響、特にこれが市民生活に大きな脅威を与える点を述べ、伊丹飛行基地拡張は絶対にこれを中止していただきたい、また三十一年度予算においても伊丹飛行基地拡張予算措置がなされることのないように努力せられたい旨を述べられたのでありますが、三市の市長及び議長等の述べる反対理由のおもなるものは次の諸点であります。  第一点は、立地条件が悪いということであります。すなわち、伊丹飛行場は先に述べましたように豊中、池田及び伊丹の三市に囲まれたまん中にありまして、現在このようなところに飛行場が存在すること自体がすでに無理であり、さらにそれを拡張することは三市の存在を全く無視するものであると述べております。  第二点としては、飛行場拡張により農地が接収されるという点であります。現在拡張を予想される地域は当地方における穀倉地帯と言われておりまして、この拡張計画によって直接被害を受ける者は農民である。以前農地を接収された農民の中にはいまだそれがため今日流浪の身となっておる者さえあり、一時に多額の補償金によって農地を接収されることは農民を最も悲惨な状態に陥れるものであると述べております。  第三点は、学校教育上支障を来たすということであります。現に三市の学校は全部で六十三校あり、そのうち小中学校は四十八校あるのであります。これらの学校、とりわけ飛行場周辺学校爆音等により学習に及ぼす障害、またこれによる精神不安は非常にゆゆしい問題となっており、特に義務教育中の学童においてその影響が多く、飛行場周辺では一日の学習時間の約一割はこの騒音のために犠牲になるとのことであります。またこのような時間的ロス、あるいは心理的障害により、周辺学校学力水準は他の地区に比し低下いたしており、たとえば小学校において社会科を例にとれば、全市の平均四六の学力点数に対し、周辺にある学校は三七・四と低下しておるとのことであります。また現在防音装置を施してある学校がありますが、これはただ単に防音の効果が得られるのみで、換気、温度、湿度等の衛生の点において重大な欠陥があるとのことであります。  第四点は、乳幼児の発育に支障を来たすということであります。最も発育を必要とする乳幼児が爆音のため十分な睡眠をとることができず、従ってその発育が十分でなく、他地区乳幼児に比した場合、その発育状態は非常に悪いとのことであります。  以上が三市の市長及び議長等の述べました反対理由のおもなる点でありますが、その他風紀を乱す、土地の工場誘致ができない、爆音のため新らしい住宅が建たない等の点もその反対理由として述べられたのであります。  また、職中市麻田地区には各種業者の連合体である伊丹飛行場周辺各種組合連合会と称する組合があり、組合員約三百名を擁しておるのでありますが、この連合会人たちからは三市当局説明終了後、伊丹飛行場拡張賛成陳情を受けたのであります。当日述べられた賛成理由伊丹飛行場民間飛行場として最適であり、年々駐留軍が撤退すれば、その後は民間用として発展させたい。そうすれば周辺地区はそれに伴って発展していくという点にあるのであります。  現地においては前記一部の賛成者もありますが、三市の理事者、議会が中心となって、住民の全組織をあげて拡張反対を呼号しておるのでありまして、今回の拡張計画は一応昭和二十七年度に行われた拡張計画と同様なものと予想して、これに基いて反対運動をしておるとのことであります。  この事情説明後、三市の案内によりまして、飛行場周辺を視察いたしたのでありますが、特に拡張を予想されておる飛行場南方地区は当地方の穀倉地帯と言われるだけに一面豊かな農地を形成いたしております。また飛行場南端の柵に沿いまして、伊丹市と豊中市を結ぶ道路が通じており、またこの道路とともにこの地区の農地への灌漑用水路があり、飛行場拡張に伴い、もしこの道路、用水路が寸断される結果となれば、確かに交通上、農業上等に及ぼす影響は多大なものがあると思われました。  この現地視察の際に、拡張を予想される地区拡張によって大きな影響を受けると思われる各部落において、関係農民が多数参集をしておりまして、農地を接収される農民の苦衷を訴え、拡張を中止されるよう切々たる陳情を受けたのであります。  われわれ一行は飛行場周辺を視察するとともに、一方大阪調達局長の案内によりまして、米駐留軍伊丹駐屯地部隊司令官よりこの問題に対する意見を聴取し、同時に飛行場内の視察を行なったのであります。まず司令官は最近航空機の発達に伴い、航空機がスピード化され、大型化されてきており、その航空を安全にするためにはまず第一に飛行場拡張整備が急務である、特にこの伊丹飛行場滑走路等の状態が悪く。破壊されておる所が多い、また滑走路が短いためにジェット機はもちろん、民間航空機においてもその離着陸に常に危険を感じておる、私は航空安全上、当飛行場拡張整備は必要と感じておると述べ、現在の主滑走路をさらに南方へ千メートル延長する計画図をわれわれ一行に示し、この計画はすでに東京の方へ提出してあり、これがいかに決定せられるかはあなた方と中央とで決定せられるものであると述べておるのであります。  最後に宝塚市におもむきまして、自衛隊宝塚演習場設置問題について、市当局の意見をただし、さらに自衛隊第三管区総監部、及び宝塚市当局の案内によりまして宝塚演習場実地調査をいたしました。まず宝塚市当局については、主として次の諸点について調査を行いました。  その第一点は、宝塚演習場設置反対する理由。その第二点は、演習場設置に対する反対運動の経過。その第三点は、兵庫県知事によるあっせん案に対する態度。第四点は、今後の方針、特に換地についてであります。  第一点につきましては、そのおもなものは次の三点であります。  すなわち第一は、宝塚市は観光都市住宅都市として将来の発展を期しているが、それがこの演習場設置のために著しく阻害される。第二は、演習によって山地が一そう荒廃して、洪水や土砂流失のため、市内は降雨のつど災害をこうむることになる。第三は、自衛隊車両往来のため、市内の道路が損傷し、沿道住民は絶えず損害を受けるという点にあります。  第二点につきましては、市当局説明によりますと、本演習場設置につき、市当局自衛隊との事前了解については、すでに申し上げた通り、市当局及び市民の何ら関知しないうちに演習場予定用地は買収されたとのことであります。市当局としては全面的に演習場設置には反対であり、一応市議会議長及び建設委員長が第三管区総監部において調査の結果、演習場設置のため土地が買収された事実が明らかになったため、直ちに宝塚市議会は昨年七月二十九日の議会において、演習場設置反対の決議をいたし、また同月市民とともに宝塚演習場設置反対期成同盟会を結成いたしたのでありますが、その後市議会側同盟会と分れ、同年九月、議会に演習場設置反対対策特別委員会を設置し、昨年十月西下中の、当時の木村防衛庁長官に直接設置反対陳情をするほか、数回にわたって防衛庁本庁及び第三管区総監部反対陳情を行なって参ったとのことであります。昨年十一月防衛庁との間に換地について了解が成立して以来は換地候補地として西宮市金仙寺をあげたのでありますが、金仙寺については西宮市議会での反対決議もあり、宝塚市の財源からも困難を来たし、これがため起債を申請したが、これも不調に終り、換地の問題は容易に実現を見なかったとのことであります。本年四月、新議会が成立して以来も従来の特別委員会を存置し、換地問題及び演習場使用の留保について努力し、あくまで演習場設置反対し、本問題の早期解決に努めて参ったとのことであります。宝塚演習場設置反対運動については前に申し上げたように、昨年七月市側と市民側とが一体となって演習場設置反対期成同盟会を作り、当初は市当局及び市民が相提携して反対運動に当ったのでございますが、その後両者の間に反対運動に対する意見の相違を来たし、またその責任の所在を明らかにするため、八月二十九日、市側はこの同盟会を脱退し、同盟会市民のみにて形成されたとのことであります。市議会側はその後特別委員会を設置して、自後今日まで両者は全く別個に反対運動を展開しておるのであります。先の伊丹飛行基地拡張反対運動が関係市当局を中心として行われておるのに対し、宝塚においては、同一目的のために市側と、市民からなる反対同盟がおのおの別個に、しかも両者が相反目しながら反対運動をして参っていることについて、全く奇異の感を与えられたのであります。  第三点につきましては、本年六月三十日、続いて七月七日自衛隊演習場内の道路改修のため出動いたしたのでありますが、これがため市民との間の空気が険悪な状態に立ち入り、このことが新聞紙上に報道されたため、県当局が事態を憂慮いたしまして、前に申し述べたようなあっせん案の提出となったのであります。宝塚市議会では七月十六日議員総会を開き、県よりあっせん案が提出された場合いかにするかについて諮ったところ、多数であっせん案の提出を求めることにきまり、七月二十九日に県のあっせん案の内容について同じく議員総会に諮ったところ、多数でこれを受け入れることに決定し、八月四日の議会であっせん案受諾を議決いたしたとのことであります。あっせん案受諾の理由については、特に市民自衛隊との間にもし不祥事でも起ってはならないし、また施設等の面で何か市のためにプラスになることができればよいという考えからと申しております。しかし市としては、あっせん案を受諾はしたが、演習場設置反対の態度は全く変っておらず、将来はできるだけ早く換地してほしいと考えているとのことであります。また、このあっせん案については反対期成同盟会には相談いたさなかったけれども、各種団体の長の参集を求めてあっせん案に対する態度の決定を求めたところ、各長の了解を得たとのことであります。  第四点については、先に申した通り、たとえあっせん案を受諾しても、演習場設置反対の態度は何ら変らない、今後は運動の重点が換地にあるため、現在設置されている演習場設置反対対策特別委員会は将来移転促進同盟に切りかえて行きたいと述べております。また、換地については、できるだけ早く話を進めたい考えではあるが、具体的に今すぐ換地を求める考えはまだ持っていない。その理由は、現状においてはどこへ換地を求めても成功しそうもない、しばらく冷却期間をおいてから換地を求めることに努力した方がよいと思っていると述べております。  また、当日はこのあっせん案の提案者たる兵庫県金山副知事からも事情を聞く予定でしたが、あいにく副知事不在のため、秘書課長の出席を得まして県の意向をただしたのであります。その説明によりますと、県があっせんに当るに至ったのは、この演習地の問題について地元と自衛隊の空気が悪化するに至ったので、県の責任上、このような措置に出た次第であり、また、副知事としても、宝塚は将来住宅地として利用すべきであるという点については市の考え方に同感であり、将来換地があればこれに変えるべきであると考え、自衛隊にもその旨を伝えておるとのことであります。  以上述べましたような説明宝塚市役所で受けました後、演習場を視察いたしたのであります。この演習場自衛隊演習場としての適、不適についてはさておき、まずわれわれ一行が感じたことは、この土地が非常に起伏の多い、しかもはげ山となっていることであります。この演習場に通ずる道路が一本ありますが、この道路をはさんで左側が元民有地であり、右側が国有地となっております。この国有地は非常によく植林されているのに反し、演習地となった元民有地は全く植林されておらず、随所に土砂崩壊の跡が見られるのであります。地元においても、このような土地で演習が行われた場合には、さらに土砂の崩壊を激しくするであろうということを心配いたしておりますが、自衛隊側では別に大きな部隊の演習をするのでもなく、土地の掘さく等も行わず、ただ演習のためのタコつぼぐらいを掘る程度であり、そのような心配はないと説明し、万一洪水でも起れば直ちに災害出動をすると述べております。演習地は前に申した通り起伏が多いため、ほとんど台地がなく、大きな部隊の集合等には困難ではないかと思われました。また、この演習場に通ずる道路はいまだ整備されておらず、われわれの乗って行ったジープでも途中までしか登り得ない状態であり、あっせん案の中に特車等使用しないという一項がありますが、現状では特車等演習場への出入は不可能ではないかと思われたのであります。演習場のふもと付近は、現在住宅分譲地帯となっており、随所に新住宅が建設されており、また演習場の頂上よりは宝塚市並びにその周辺が一望し得るような地帯になっております。  最後に宝塚学校において、演習場設置反対期成同盟会及び多数の市民の方々より種々陳情を受けたのであります。これらの方々からは、従来市側のこの問題に対してとって来られた態度に対して非難する発言がなされたとともに、今回のあっせん案についても、市側は同盟会並びに市民に対し何ら諮られることなく、むしろ秘密裏にこれに賛成いたしたことについて市民の強い不満が述べられたのであります。あっせん案の内容についても、特に換地についていつまでという期限がはっきりしていないし、自衛隊が隣接する国有地の所管がえを申請している以上、将来このまま宝塚演習場使用するおそれが多く、このあっせん案についても絶対賛成することができない旨を述べております。  以上でわれわれ一行が過般大阪府及び兵庫県へ出張して調査いたしました報告を終ります。
  4. 宮田重文

    理事宮田重文君) 次に第二班堀君からお願いいたします。
  5. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 当内閣委員会の決定に基きまして、去る八月二十四日より三十日までの一週間加瀬、堀両委員は北海道における駐留軍飛行基地及び自衛隊演習場実情並びに北海道庁、札幌調達局、北部方面総監部の業務運営実情調査をいたして参りました。  私どもが調査並びに視察して参りました所は、日程の順序に従って申し上げますると、北海道庁、札幌調達局陸上自衛隊真駒内駐屯部隊、北部方面総監部、陸上自衛隊札幌地区病院、南恵庭、北千歳の各駐屯部隊、千歳駐留軍飛行基地及び函館にあります陸上自衛隊第二新隊員教育隊であります。  以上の諸地点におきまして調査をいたしたのでありまするが、調査の詳細な内容につきましては私どもにおいて作成いたしました文書を提出することになっておりまするので、詳しいことはその文書によって御了承願いたいと思います。  以上でございます。
  6. 宮田重文

    理事宮田重文君) 次に第三班木下君。
  7. 木下源吾

    ○木下源吾君 木下、田畑両委員一行は九月十日から十三日までの四日間、千葉県の木更津航空基地並びに愛知県の小牧航空基地の実情調査いたしました。  詳細は文書をもって提出いたしまして、速記録にとどめておきたいと思います。  そこで簡単に、今野本君から御報告がありましたが、私どもの調査の結果も反対実情は同一でございます。  特にこの際申し上げておきたいことは、第一に調達庁はいろいろ仕事をされる上に地元民をだましたというようなことが一般に言われている、この点は注目に値するのであります。  そしてまたもう一つは、今は何にもしておらぬけれども、反対だということは皆これは一貫して言っている。その理由とするところは、今野本君の言われた通りでありますが、まだこれにつけ加えることは、一方は金で解決してあるということをよく言っているけれども、われわれは墓地のような先祖代々が眠っている土地をとられるということ対しては、金ではそういう問題は解決つかんのではないか、こういうことですが、小牧のごときは拡張予定地に三ヵ所の墓地があります。こういう点は非常に重大だと私どもは考えております。  それからいずれにいたしましても日本の防衛のために必要なんだ、こう言われるけれども、われわれは自分たちが今防衛しなければならぬようになっている、こういうことを言っているのですが、これは十分にやはり考えてやらなければいかぬのじゃないかと、こういうふうに私どもは感じて参りました。こういうわけで、詳細にわたってはここに文書を提出いたしますから、速記録によって御了承願いたいと思います。  以上、簡単でありますが御報告申し上げます。
  8. 宮田重文

    理事宮田重文君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  9. 宮田重文

    理事宮田重文君) 速記をつけて下さい。  それでは昨日のお申し合せに従いまして、専門員において決議の案文等についての作成ができておりますので、ただいま御配付をいたします。それにつきまして各会派において御検討の上、ちょうど一時まで休憩をいたしますから、正一時に集まりましてお打ち合せをすると、こういうことにいたしまして、午前中の委員会は以上をもって閉じまして、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      —————・—————    午後四時十一分開会
  10. 宮田重文

    理事宮田重文君) ただいまから休憩前に引き続きまして、会議を再開いたします。  御報告を申し上げますが、先ほど来委員長、各理事及び各派の代表の方も交えて、昨日皆さんの御協議に基いて専門員において作られました決議案の案文について検討をしたのでありますが、これについてはついに一致点を見出すことができませんので、とりやめることに相なりました。  そのおもなる点を申し上げますと、大体この基地問題については、本委員会において相当慎重な審議を遂げたのでありますが、そのうち流血の惨事を起した不祥事は、まことに遺憾であるが、その原因になるような不当なる第三者の介入が将来起るようなことがあっては、今後のかような問題についても円満なる解決はむずかしいであろう、だからそういう文字を入れるか入れないかの問題について、一番論点となったわけであります。それで法の秩序のもとにできるだけ政府も現地においても努力をするという形が生れなければいけないということでありましたが、どうしても一方は不当なる第三者の介入というような文字を入れるとするならば、片方においては警察力も相当干渉しておるじゃないか、そういうものも入れるべきだというような御意見が、大体主要なる点でありまして、さような点につきまして、あるいはまたその形を決議文にするか、あるいは共同声明の形にするかという点につきましても、御意見の一致が見出せなかったわけであります。従ってこの決議案の取扱いの処置につきましては、一応まとまらざるままに終了したことを御報告いたします。  なお、この際皆様に御了承を得たいと思いますのは、昨日当委員会の参考人として出席を求めました山形県村山市白鳥の伊藤直春君が、上京の途上急病にて九段坂病院に入院して手当をすることになったのであります。従って昨日は齋藤久藏君がかわって陳述することの御了承を皆様に得ておりましたことは御承知の通りであります。伊藤直春君の病状はその後急変をいたしまして、昨日の正午近くついに死去されたとのことでありますが、まことに愁傷の情にたえません。伊藤君は公用の途上倒れたのでありますから、当委員会といたしましてもこの弔問その他のことにつきましては議長にお計らいをお願いするように手続をいたしたいと存じますが、さよう御了承を願いたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 宮田重文

    理事宮田重文君) 御異議ございませんければさように取り計らいます。
  12. 千葉信

    ○千葉信君 ただいま決議案の御相談の過程についての委員長の御報告は大体その通りと言って差しつかえない程度ですが、ただしかし、あわせてこの決議案に関するいろいろな話し合いが最終的には決裂のやむなきに至った関係から、委員会はこの決議案の問題が提起せられたそのときの段階に戻って、今後委員会を継続するということについて、予定通り継続するということについて確認されておりますから、この点も委員長からこの委員会でお諮り願いたいと思います。
  13. 宮田重文

    理事宮田重文君) ただいま千葉君から御発言がありましたが、当委員会運営は以上御報告申し上げた通りの段階に参りましたので、明日今後の運営につきましては決議文を出そうという御協議をする前の質問順序に従いまして、国の防衛問題あるいはその他公報においてお示しを申し上げておりますような順序に従って質疑を続行するようにいたしたいと思います。  本日の委員会は以上をもって散会にいたします。    午後四時十六分散会      —————・—————