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1955-09-19 第22回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月十九日(月曜日)    午前十一時十八分開会     —————————————    委員の異動 八月一日委員木島虎藏辞任につき、 その補欠として三好英之君を議長にお いて指名した。 八月八日委員千葉信辞任につき、そ の補欠として荒木正三郎君を議長にお いて指名した。 八月二十三日委員荒木正三郎辞任に つき、その補欠として千葉信君を議長 において指名した。 九月十三日委員堀眞琴辞任につき、 その補欠として須藤五郎君を議長にお いて指名した。 九月十四日委員松浦清一辞任につ き、その補欠として棚橋小虎君を議長 において指名した。 九月十五日委員須藤五郎辞任につ き、その補欠として堀眞琴君を議長に おいて指名した。 九月十六日委員松原一彦辞任につ き、その補欠として木島虎藏君を議長 において指名した。 九月十七日委員菊川孝夫辞任につ き、その補欠として松本治一郎君を議 長において指名した。 本日委員井上知治君、松本治一郎君及 び棚橋小虎君辞任につき、その補欠と して田中啓一君、吉田法晴君及び相馬 助治君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    理事            宮田 重文君            木下 源吾君    委員            木村篤太郎君            田中 啓一君            中川 以良君            中山 壽彦君            豊田 雅孝君            野本 品吉君            加瀬  完君            千葉  信君            吉田 法晴君            田畑 金光君            木島 虎藏君            三好 英之君            堀  眞琴君   国務大臣    外 務 大 臣 重光  葵君    労 働 大 臣 西田 隆男君    国 務 大 臣 砂田 重政君   説明員    調達庁長官   福島愼太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○国の防衛に関する調査の件  (日米共同声明に関する件)  (駐留軍飛行基地及び演習場の拡  張に関する件)     —————————————
  2. 宮田重文

    理事宮田重文君) ただいまより内閣委員会開会いたします。  本日の委員会は国の防衛に関する調査議題といたします。  本日当委員会には鳩山総理大臣出席要求いたしておきましたが、出席できない旨の通知がありました。政府側からは重光外務大臣砂田防衛庁長官調達庁担当大臣として西田労働大臣、その他外務省防衛庁調達庁事務当局出席せられておりますが、基地問題、日米共同声明防衛力増強その他国防衛に関する各種の問題について御質疑をしていただきたいと存じますが、これに先立ち重光外務大臣より過般のアメリカ政府との防衛問題に関する交渉経過の御報告をいただき、それに引き続き、西田国務大臣より基地問題に関する現況の御報告を受けたいと存じます。外務大臣西田国務大臣及び福島調達庁長官より、できるだけ詳細なる御報告をいただきたいと、かように御希望申し上げます。
  3. 千葉信

    千葉信君 ただいまの委員長お話によりますと、鳩山総理は当委員会要求に対して出席できないということを通告されたそうですが、その出席できないという理由はいかなる理由によるのでありますか。それからまた出席できないというのは今日だけのことで、明日も、それから明後日も鳩山首相出席要求しておるが、これに対しては首相はどういうつもりであるのか。それから特にこの際われわれとしては申し上げておきたいことは、従来の、たとえば日ソ交渉の問題にいたしましても、あるいはまたアメリカとの重光外相が出かけられての交渉につきましても、私どもどうも現在の内閣が意思の統一を欠いている傾向がまま見受けられますので、事委員会としては、そういう点についても十分に納得のいく説明を聞く必要があると思われますので、特に首相出席ということはわれわれとして重大な関心を持っているものでございますから、一つこの点について委員長の方から解明されたいと思います。
  4. 宮田重文

    理事宮田重文君) 今の千葉君の御質問ですが、鳩山総理理由はあまりはっきりおっしゃらなかったのですが、今日はどうしても工合が悪い、いずれ、明日、明後日の件につきましても、あらためてもう一応御要求は申し上げたいと思いますが、本日は出席できない。しかし重光外務大臣は副総理としてのお立場からも、今日は皆さんお答えを申し上げることができる、こういうふうに相なっておりますから、さような点で一つ了承をいただきたいと思います。
  5. 千葉信

    千葉信君 今日どうしてもおいでになれなければ、もうこれは時間の関係もありますからやむを得ませんけれども、しかしただいまの委員長お話から言いましても出席できてないというその理由がすこぶる不明確で、むしろこれは極端に言えば怠慢しごくだとさえ言ってもいいような条件だと思うのです。ですからそういうことでは委員会権威ばかりか、国会権威にも関することですし、その理由についてはあらためて委員長の方から十分に照会してもらいたい。それからあすの出席、あさっての出席については、ただいま副総理が代理として十分その点についてもお答えできるようなお話でありますが、先ほど申し上げたように、私どもどうも外交上のいろいろな方策についても、どうもその閣内不統一という傾向が依然として揺曳しておる、こういうことでは私ども安心して副総理答弁だということで政府全体のこれが意見だという格好で納得することができない条件がときどき出てくるのですから、そういう点からもこれはぜひあす、あさって、二日間にわたって首相出席を当委員会としては正式に要求しているのですから、委員長において正式に出席努力してもらいたい、以上条件として、私申し上げます。
  6. 宮田重文

    理事宮田重文君) 承知いたしました。
  7. 木下源吾

    木下源吾君 今の問題ですが、これはいつ出席不能だということがわかったのですか。
  8. 宮田重文

    理事宮田重文君) お答えいたします。金曜日の夕刻官房長官からそういう通告を受けたそうです。
  9. 木下源吾

    木下源吾君 それは金曜日の夕刻というと、だいぶ前でありますが、そのときすでに今日は出られないというのは計画的に出席しないというそういう意図のもとであるかどうか、それを一つ確かめてみたいと思うのですが、その前に委員長から正式に委員会の方で要求しているものがただばく然と出席されなかったというようなことに対して、何かそういう点を確かめて、理由を確かめるとか何とかいうようなことをしなかったか、その点を二つお聞きいたします。
  10. 宮田重文

    理事宮田重文君) その理由の点につきましては私はちょうど旅行しておりましたので、参りましたのはきわめてこの開会間近のときでありますので、むしろ時間的にもそういう時間がなかったということをまことに遺憾としております。
  11. 木下源吾

    木下源吾君 ただいま千葉君からも、しからば明日、明後日ということを言っておられますが、これは必ず出られるということを前提としてであると思うのですけれども、今までの経過から見るとその怠慢はあるいは明日、明後日も続くんではないかということも考えられるのですが、ここでは官房長官を呼んでその点を十分究明してわれわれが総理大臣をここへ出席を求めておる目的を達することに努力してもらいたいと思います。
  12. 宮田重文

    理事宮田重文君) 後ほど官房長官とさような点についても打ち合せをしてお答えをいたします。
  13. 中川以良

    中川以良君 本日総理大臣出席ないことはまことに遺憾でございますが、しかしもう時間もたっておりますので、早く一つ委員会の本論に入っていただきたいと思います。つきましては、重光総理は、本日は総理大臣にかわって責任ある御発言があるという旨を一応御言明を願って、そこで皆さんに御得心を願って、直ちに議題に入っていただきたいと思います。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 ほかの議事進行について、重光さんからお誓えがあるとは存じますが、先般日米交渉に当りまして外務省行政協定改訂に関する資料を作成されたと言われております。この資料、それからアメリカに携行いたしました、あるいは提出したかもしれません防衛六カ年計画、これは前国会におきましてしばしば問題になりましても政府は全然報告はなかった、しかしアメリカ提出したであろうということであれば当然その計画があるはずでございますので、この防衛六カ年計画、この二つ資料を当委員会に御提出をいただきたい。
  15. 宮田重文

    理事宮田重文君) ただいま中川委員の御意見加瀬君からの御要求の点について、重光総理外務大臣から御発言があります。
  16. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今日の委員会防衛問題について御討議があると承わっております。その問題について私も副総理としての職責を十分に果したいと、こう考えております。その意味で御答弁を申し上げたいと思います。それから今の文書提出でございますが、第一の行政協定改訂するというその考案、外務省の考え方を出せと、こういうお話でございましたが、これはもちろんそういうものはあらかじめ公開のために出すわけには参りませんことをお答えいたします。  それから防衛計画の問題について、私が渡米の際に先方に説明したのはごく大ざっぱなことを説明したのでございます。これは私の報告のうちに申し上げたいと思っております。それ以上のことはそのときに取り扱われなかったことをここで申し上げます。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 防衛関係審議をして行く上には行政協定内容としてどういう改訂条件が持ち出されたかということは大きな問題であろうと思います。従いまして副総理が御指摘のように防衛関係審議して行く上におきましても行政協定改訂というものは提出されてしかるべきものだと思う。あるいはまた防衛六カ年計画具体案でなくても概括したものでも持って行ってお話をしたというならば、その資料というものは当然排出されてよろしいものではないかと思う。もしそういう資料というものが提出に困難であるというならば日米交渉の際の議事録、あるいは議事録がないならその間のメモ、こういうものは当然あり得るはずでありますから、そういったような文書を御提出いただかなければ、御説明だけでは十二分に質問がとどかない面も生ずるわけでありますからこれはぜひ御提出をいただきたい。
  18. 宮田重文

    理事宮田重文君) 加瀬委員に申し上げますが、今の資料の問題ですけれど、一応外務大臣の御説明を伺って、またそれに関連して他の委員からもあるいは何かそういう面についての御要求等もあるかもしれませんから、後ほどそれらの資料の問題についてはまたお打ち合せしたいと思いますが、いかがでしょう。先に御説明を承わることにいたしていかがですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 宮田重文

    理事宮田重文君) では重光外務大臣
  20. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それでは私の渡米について御報告を申し上げます。これはすでに本院の外務委員会において御報告を終ったものでございます。私はそれと同じ内容を持つ御報告を申し上げるわけであります。  私は、八月二十三日に出発をいたしまして、九月の八日に帰って参りました。私の渡米目的は、出発に当って声明しておいた通り、わが外交政策基調である米国との協力関係を増進するために米国政府当局を初め朝野の有力者隔意ない意見交換をして、双方了解を深くし、両国国交の一そうの親善をはかろうという大体の目的をもって渡米いたしたものでございます。向うに到着いたしまして直ちに国務長官ダレス氏を主とする米国側関係者会談に入りました。八月二十九日、三十日、三十一日と三回にわたって会談をしたのでありますが、この会談には、日本側からは私のほかに河野農林大臣岸民主党幹事長及び松木内閣官房長官参加をいたしたのでございます。そのほかに井口駐米大使その他外務省関係者も数名参加をいたしました。その二日間の会談の結果は日米共同声明で発表いたした通りであります。これによっても明らかな通り、この会談では日米間における大小の問題について隔意のない意見交換が行われましたけれども、具体的の取りきめはいたさなかったのでございます。なお、問題になりました海外派兵の問題の約束のごときはもちろん、何ら秘密の合意もなかったことはもろちんのことでございます。  第一日目に、すなわち八月二十九日は一般問題を話題に供しました。この第一日の会談におきまして、世界情勢判断について双方からいろいろ見解の開陳がございました。世界情勢判断といたしまして、大局論としては、ゼネバ会談、いわゆる巨頭会談によって大戦争の心配は一応遠のいているけれども、なお不安な要素は依然として残っている。これはヨーロッパ方面だけではなくて東亜方面においても同様であるので、将来の平和の見通しをつけて、その見通しを維持して行くためにはどうしても自由民主諸国結束がこの上とも必要であるというふうに意見が一致したのでございます。米国側の観察としては、共産陣営の方で態度を最近緩和してきたのは決して共産陣営政策が変ったというわけではない、力が強くなったから緩和したと見るべきではなくて、むしろ民主陣営側の力が強くなって共産陣営に対する圧力が加わったからであると、こう見ているのでありまして、それがために民主陣営諸国結束を固めて、そうして力強くその結束を進めて行けば平和はますます確保されてくるのであるというふうに意見を表明いたしました。中共に対しましても全く同様な見解をとっているということが米国側から説明をされたのであります。日本側説明としては、もちろんサンフランシスコ条約締結以来の日米協力関係日本対外政策基調であるという従来の方針をさらに強調をいたしたのでございます。日米両国東亜における安定及び平和を確保するためにはますます緊密なる協力が行われることが望ましいので、両国政府が共通の関心を持つ問題についてはこの上とも連絡及び協議をすべきであるというふうな意見に落ちついたのでございます。  さて、第二日目の防衛問題、第二日目は日本国防問題について、すなわち防衛問題について意見交換がございました。米国側はその会談には国務省関係者のほかに国防者からロバートソン次官ラドフォード統合参謀会議議長等参加をいたしました。日本側は前回の通りでございます。日本側見解は、日本国防力は現在もうすでに相当な程度に達してきたので、なお今後も日本の能力の許す範囲内においてこれは増強する意向である、担当防衛庁もこの方向に向って力を尽しておるのである、よってこれまでのような日本防衛力のないときに立てられた安保条約行政協定のような仕組みは特に日本国防アメリカだけに負担せしめるものになっておるのであって、かような一方的な仕組みはなるべくすみやかに改めて、これを双方の負担になる仕組みにすることが適当ではないかという意見を申しました。特に毎年々々防衛分担金の問題を折衝しなければならないような状態はこれを改善する必要があるのであって、こういうことをしなくてもいいような一つ方向に向って努力をしてみる必要がある、こういうふうにわが方から主張をいたしたのであります。これに対して米国側は、日本防衛力増強については日本がこれを旧主的に考えておるということは非常に自分も意を強うする、アメリカ側もできるだけのこれに対する援助は惜しむものではない、かような軍事問題の専門事項の問題につきましては、東京における日米当局の間に連絡協議していくことが目的を達するゆえんである、そして施設軍備、それ自身が充実ができてきた暁においては、お話のように条約等仕組みを変えるということも一つ考えられることである、しかし今日はその準備期間であるので、その準備を完了すべく双方努力しなければならぬ、その努力をするために双方代表者においてこういう問題を協議検討するようにしたらばどうかと思う、さらにまた日本施設軍備が増強せられるに応じて米国地上部隊が漸進的に撤退することを考えなければならぬと思う、そういうようなこともすべて双方代表者において検討するようにしたいと思っておる次第である、こういう意見を表示いたしました。また防衛分担金の問題については、お話はごもっともである、今後数年にわたる一般的漸減方式を案出して、年々困難な交渉をしなくてもいいようにしたいという意見である、こう述べたのでございます。これが防衛問題。  それから三十一日の第三日目でございます。これは主として経済問題の討議が行われるという予定でございましたので、米国側国務省関係者のほかに国際経済協力局長官ホリスター氏、国際経済協力局長官というのは前にはスタッセン氏でございましたが、そのスタッセン氏が今度は国際連合の軍縮の問題にかわりましたので、その後任として銀行家ホリスター氏が国際経済協力局長官に任命されたのでございます。その他経済関係人々国務省の方では特に経済次富とも言われてれるフーバー次官が加わって参りまして、日本側は従来の通りでございました。そこで日本側から経済問題に関する日本側要請をいろいろこの席上で行なったのでございまして、同時にまたガット加入の問題については、米国政府が非常に尽力あっせんをしてくれましたことに対してはわが方の謝意を申し述べたのでございます。日本側の持ち出した経済問題の重要なものは、それではどういうものであるかと申しますると、日米間の片貿易県正開脚が第一に取り上げられました。この片貿易の是正のためにはこれに関連をするいろいろな問題があります。たとえば特需の問題のごときは重要な問題でありますが、その他のいろいろな問題がこれに関連しておるのでありますから、そういう問題について米国側十分日本側の利益をも考慮してもらいたいことを要請したのであります。そのほかに東南アジア貿易発展の問題がございました。つまり東南アジア開発の問題に関連しておる問題でございます。  その他中共貿易の問題をも持ち出したのでございます。そこで米国側東南アジア開発の問題を日本が非常に重きを置いておるというので、それは十分に了承をする。そこで東南アジア諸国経済開発アメリカ側援助をする上においても、常に日本貿易仲張に役に立つように日本側とも十分協議をして、そして処置していこうと、こういうふうに意見を表明をいたしました。そこでこの国際経済協力局長官のホリスクー氏が東南アジア開発のために最近開かれますシンガポールの会議に参るはずでございます。このホリスター氏はその前後において日本をも訪問して経済方面有山者十分意見交換をすると、こういうふうに言っておりまし九。中共貿易の問題につきましては、中共に対する一般政策は変えるわけにはいかんと、こう申します。これは前総論のときに申した通りでございます。しかし中共貿易品目の拡張の問題については、一つ品目次第によっては十分検討してみようと、日本側から品目を検討してもらいたい、品目を十分提出してもらいたい、こういうあいさつでございます。経済問題の大筋は以上のようなものでございます。  この三日目は、経済問題のほかにも会談議題が移ったのであります。特に戦犯釈放の問題についてわが方の要請をいたしました。この問題については、私といたし幸しても非常に関心を持っておるわけでございますので、これまで従来とも機会あるごとに米国の要路の人々に対して戦犯全般的釈放を要望して参ったのでございますが、今回も戦犯釈放ということは、日米協力の上から見ると、むしろこれは精神問題であるので、すみやかに戦争創癖はこれを二帰しなければならたいと思っておるのであると言って、強く主張いたしました。国務長官自身において、そのぜひ実現のできるように善処をしてもらいたいということな訴えたのでございます。ところが国務長官は、日本側要請十分了解をする、しかし米国の国内の一部には、まだ戦時中の一部日本軍の行為に対しては、まだ非常に反感を持っておるので、すぐそういう人が反対の気勢をあげるようなことがあってはまことにまずいことであるから、これは注意しつつ処理することにして、まずさしあたって二十二名のB、Cクラス釈放をやることにする、そして今後もすみやかに善処するようにいたしたい、また米国だけで処理ができない戦犯の七名の者がある、これについては他国意向をも今まとめつつあるので、これも間もなく釈放の手続をし得ることであろうと、こういうふうに述べました。かようにして日米の間に横たわっておる大小の問題について、全面的に意見交換をして、それが終ったわけでございます。そこで共同声明が御承知通り内容をもって出されたわけでございます。共同声明はここに繰り返しませんけれども、両国が相携えて、かつ他国とともに世界の平和と自由の強化のための任務を遂行し得るために、この協力関係をさらに拡大せんとする両国政府の決意をあらためて確認したというふうに述べておるのでございます。これが私の渡米意図しておったところでもございますので、この結論を特に引用したわけでございます。なお、これは正式会談ではございませんが、その正式会談のほかに、スタッセン氏とか、その他ニクソン刑大統領とか、その他の人々にもできるだけ時間の許す限り多数に会いまして意見交換をいたしてみましたが、大体ダレス長官意見、すなわち共同コミュニケに表わされた意見とその軌を一にするものでございまして、刑に特に違った意見を聞きませんでした。それから正式会談が済みましてから、私はニューヨークに二、三日滞在をいたしたのでありますが、ニューヨークでも多数の人々に会って話をいたしました。そのうちで特に御報告をいたしておきたいと思う点は、一番重要なハリマンニューヨーク知事との会見のことでございました。ハリマン知事は御承知通り民主党の人でありまして、ルーズヴェルト大統領の信任を得ていた外交通ロシア通でございます。そうして次の民主党大統領候補に立つのではないかとうわさされておる人でございます。このハリマン氏が私をニューヨークに着きますときに迎えに特に見えまして、そして話をしたいということでございました。相当な時間話をいたしましたが、ハリマン知事ソ連通でございますから、ソ連の話もずいぶん出ましたが、その言う結論はどういうことであったかというと、こう申しました。自分ら民主党は絶対にアイゼンハワー大統領外交政策、つまりダレス長官外交政策を支持するものである、それでアイゼンハワー大統領外交政策がただ一時的なものであるというふうに思わないでもらいたい、こういう意味のことでございました。これがすなわちバイ・パーティザン政策を如実に民主党方面から私の耳に入れたいという意図をもってなされたものと了解をいたしました。このハリマン氏の意見は、そういう意図をもってなされたもので、私には非常に印象を与えました。  ニューヨークから西海岸に出たのでありましたが、内海洋はただ通過しただけでございます。ただ一般的に西海岸状態を御報告申し上げれば、われわれが戦前に経験したところよりも、アメリカ日本及び日本人に対する了解は相当好転しておるということを認めたことでございます。かようにして、私は日米一般的了解を進めることに全力を尽しまして帰って参ったわけでございます。  以上が私の報告でございます。
  21. 千葉信

    千葉信君 次の報告に入る前に、ただいまの外相報告については、これはまあ期待する方が無理かもしれませんが、案の条案外な報告内容ですが、しかし委員会審議ではどうしても必要ですから、即刻、なければプリントして委員会に配ってもらいたい、これを一つ直ちにお取り計らいを願いたいと思います。
  22. 宮田重文

    理事宮田重文君) さよういたします。  次に、西田国務大臣より帯地問題に関する現況についての説明を求めま十七
  23. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 基地拡張問題についての概況は、福島長官に詳細に説明いたさせます。(「大臣から」と呼ぶ者あり)
  24. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 基地問題に関しての概況を御報告申し上げます。(「担当大臣から説明しなさい」と呼ぶ者あり)
  25. 宮田重文

    理事宮田重文君) 大臣どうですか。
  26. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 事務的なことですから、事務当局から……。
  27. 堀眞琴

    堀眞琴君 基地問題についての政府の方針やその他政治的な問題は事務当局からの説明では私は十分ではないと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)責任を持っておられる西田国務大臣の方から御説明願いたいと思う。
  28. 宮田重文

    理事宮田重文君) そういう何ですから、一応今福島長官から現地の状況その他についての現況説明してもらって、そうして質問のときにどういう方針を持っているかどうか、そういうことの質問を大臣にされたらどうですか。(「委員長の言う通りでいいですよ」と呼ぶ者あり)
  29. 堀眞琴

    堀眞琴君 今の委員長の御説明ですが、鵜島長官説明はおそらくは事務的な説明だけに終ると思う。しかしその事務的なものはここの席ではむしろ窮二次的なもので、(「その通り」と呼ぶ者あり)一瞬大事なのは政府の方針だと思うのです。そこで私は西田国務大臣説明を重ねて求めたいと思います。
  30. 宮田重文

    理事宮田重文君) ちょっとあれですが、今とりあえず現地の状況を聞いて、そうして一応その説明が終った後に今後の質問は先ほど理事会でもお話が出たように、大体基地の問題について先に質問に入るようにしたらどうかという御意見もありますから、そういう問題について一応休憩してお打ち合せしたいと思います。ですからそういうときに今後は政府の方針その他についても皆さんから逐次御質疑を願うと、こういうことにしまして一応長官から先にどうですか。
  31. 木下源吾

    木下源吾君 実はきょう次官会議を一開くのでしょう。開かれているのでしょう。明日は閣議で決定して、そうして皆やっつけてしまおうということを今考えている。それが一体西田国務大臣から説明ができぬという理由はどこにあるのですか、何が事務的なことなんです。
  32. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 木下さんの御意見お答えいたします。閣議に報告するのは特別調達庁長官でございます。私は閣議に報告するわけではございません。調達庁長官の責任において閣議に議事をかけるのでございます。私がその前において発言をいたすわけには参りません。調達庁長官にお伺い願いたい。
  33. 木下源吾

    木下源吾君 それは違うのだよ。こういう情勢にあるのだから政府の方針を説明してくれと、こういうんです。
  34. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) あす出てくるか、出てこないかわかりませんが、調達庁長官から閣議に要請されましたときに、閣議で議論をした結果決定するのであって、閣議にかける前に現在政府の方針というものはありません。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 出先の機関が若干の摩擦を起した、そうした問題であるというならそれは事務担当の者に答弁をさせても、説明させても事は相済みましょう。しかし問題は政府が一体基地問題に対してどういう態度をとっておって、あるいは今後どういう方法でこの問題を解決していくかということが国民全体が非常に心配をし、また政府の態度というものを見守っている現状なんです。そういう条件の中、状況の中に本委員会が開かれて、今もって政府がはっきりした態度を表明しないで事務担当の者に答えさせて、あとに下っているということではこの問題は始末がつかない。そこで、はっきり政府の態度を説明されて、さらにわれわれの質問に応じて事務的なことを事務担当の者から答えさせる、こういう方法でなければ私はこの問題の解決はいつまでたっても堂々めぐりだ、大臣がはっきりした政府の態度について説明せられんことを求めます。
  36. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 私は担当大臣としてそういうことを述べる立場におりませんから……。
  37. 宮田重文

    理事宮田重文君) それでは副総理から御説明があります。
  38. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 基地問題についていろいろ紛議が起っておるわけでございます。特に砂川基地問題はそうでございます。この基地問題に関する紛議は政府といたしましては、借書の努力を尽してこの了解を得るようにいたしていきたい、こういう方針でございます。
  39. 堀眞琴

    堀眞琴君 その点に間連して重ねて申し上げるようですが、政府としては当然基地に対する態度がきまっていることと思うのです。閣議に調達庁長官の方から報告があって、閣議で決定されるというなら、それは大体の測量に基いての事務的な報告を兼ねての当地接収に関する政府の方に報告があって、それを基にして閣議の方では決定されると思う。調達庁長官が基地問題に関する基本的な態度を述べるというのはこれは間違いだと思う。どうしても政府の責任のある方が基地に対する政府の現在の態度を述べられるのが、私は至当ではないかと思う、そこで担当大臣に御説明願いたい、こういうわけです。
  40. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 基地問題の政府の方針という御質問がありましたから、その基地問題に対する政府はどういう方針で行くかということをごく概括的に、今申し上げた通りであります。それで私ども十分御議論も伺って、御質問を展開して下さい。(笑声)
  41. 木下源吾

    木下源吾君 政府は今の飛行場を拡張するということをしゃにむに向うに提供しようとする考えでおるのかどうか、問題は……。警察を連れて行って、暴力をふるってでも皆を追っぱらって提供しようというのか、方法においては……。その前に、どうしてもこの基地を政府は提供するのだという考えなのか、そういうことをまず聞きたいということなんです。そうしてそういう考えのもとに今どういうことをやっているのだ、こういうことなんです。
  42. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 飛行場拡張に関する政府の方針は八月五日に声明した通りであります。その声明した通り政府は行動をしているわけです。その声明は相当細部にわたっておりますが、さらにここで読み上げても差しつかえはございません。その声明申にもありました通り政府は、その拡張が一般民生に及ぼす影響について周到な考慮を払い、拡張に伴う土地所有者その他に対する補償についてもできる限り十分な処置をとる方針である、かつまた拡張の具体的計画の立案に際しては、その範囲、方法等は、必要な最小限度にとどめる方針であることはもちろんである、このことについては米軍当局もでき得る限りの協力を約束しておる次第である。こういう説明をいたしております。また計画が実現することによって、相当数の米軍使用飛行場の日本側への返還が促進されることとなり、たとえば立川飛行場の拡張が完成することによって、羽田国際空港における今なお米軍が使用しておる施設は、日本に返還されることにもなっておる。そのような実情であるので、政府としては一般国民において、地元関係者におかれても、本計画に十分な理解を持って協力を寄せられんことを希望する、こういう考え方をもって協力を要望して、でき得る限り円満にこれを解決したい、こういう方針で進んでいるのであります。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 確かにこの政府声明はわれわれも拝見をいたしました。しかし二十二国会の当時は、国会質問に対しましては、地元民の態度を十分開いて、話し合いをあくまでとげるのだという態度で終始したわけです。重光総理においてすら、基地問題は非常に日本人の感情というものを刺激しているので、この問題を渡米の暁にはアメリカと十二分にお話をしてくれるのか、こう私が質問したときにも、外務大臣は基地問題は十二分に向うと話し合いをするのだと、こうおっしゃつていましたが、しかし今あなたの報告を聞いておっても、基地問題についていろいろと折衝したということは具体的にお話しにならなかった。国会が終りますと、このごろの砂川に対するところの態度を見ても、この声明そのものを表向きに解釈するよりは、むしろ声明によってあくまでも基地の地元要求にかかわらず、われわれは基地拡張の目的を達するのだというふうにわれわれには受け取れる。しかし一般の世論というものは新聞紙などを見てもはっきりしておりますように、各新聞とも歩調を合せたように論説を掲げて十二分な話し合いがなされておらないじゃないか、政府が十二分に尽すべき手を尽しておらないじゃないか、こういう点を指摘しておる。こういう内外の情勢の中において、基地問題が紛糾しておるのでありますから、声明しただけではなくて、声明以外に今後の問題を取り扱う政府の態度というものは、ここらで腹がきまっておらなければならない、そういう点、どう紛糾の問題を解決するとともに、今後の基地問題に対してあらためて政府は何か、西田国務大臣お話によれば、基本対策を立てるというが、どういう一体基本対策が立っておるのか、こういう根本的な問題を一応御説明をいただかなければならない、こういう点が私どもの質問なんです。
  44. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) ただいま加瀬さんの御質問の中で、砂川問題が出ましたが、政府がどういう方針で臨み、どういう経過をたどって現在の段階に至ったかという点について、具体的な問題を長官から詳細に報告をいたさせます。
  45. 宮田重文

    理事宮田重文君) 加瀬さんの御意見もよくわかりますが、一応先ほど理事会その他でもお打ち合せ申し上げたように、今日は政府側のまず最初報告を聞いて、もちろんその報告中において皆さんから御質問の点が相当多く出て参ると思いますが、それらの点について質問を順序だって行くような打ち合せをまたさらにいたす、こういうことになっておりますから、半分質問になるような点については……(「委員長委員長、そんな必要はない」と呼ぶ者あり)その前に一応説明をして、それから質疑に入っていくようなことにしたらどうですか。
  46. 加瀬完

    加瀬完君 私どもの質問しておりますのは、福島長官からのお話はたびたび聞いた、あるいは具体的な問題についての御答弁も承わった、しかしそれらの前に政府の根本態度というのはどうなんだということがここに発表されなければ、福島長官の話を聞いてもまた逆便りをして、政府に閥かなければならないことになる、そこで西田さんなり、あるいは副総理なり、責任のある基地問題に対する政府の態度はこうだということをぜひ発表して具体的な質問に応じて福島さんがお話をすればいいのじゃないか、こういう点を伺っておる。
  47. 宮田重文

    理事宮田重文君) 理事会の打ち合せはそうじやなかった。
  48. 木下源吾

    木下源吾君 今あなたのおっしゃる通り理事会が進んだということは私はそれは認めない。けれどもそのときにはいわゆる西田さんの説明をも聞くという話であったらしい。ところが、その西田さんは何にも話をしない。いいですか、私の方としては長官を何も軽んずる意味でも何でもない。今外務大臣が言っているように、できるだけ解決を、納得ずくで解決をするようにという希望を片方は言っている。ところが、この稲島長官は新聞でもごらんの通り、血を流してでもとっちまうのだと、こう言っておるのです。この食い違いがあることは明瞭なんで、片一方はわずかな長官でしかない。政府が権力をもってやっているのだから、政府の方針をはっきり聞かなければ……。全く食い違っているのだ、政府長官のやり方が。外務委員会重光外務大臣は明らかに砂川問題は国民の納得のいく方法で解決を尽したいということをはっきり言っている。片方はどう言っているか。現に警察の、先ほどの説明でもひったくってしまう、こういう乱暴なやり方をどんどんやっている。そんな話はあとで十分聞きます。政府の、つまりその態度をはっきり声明してもらいたいということを言っているのです。今、重光さんの説明がかつて声明した通りだというのであるが、その声明は補償だけを問題にしているのであって、金さえ出せば何でも解決つくのだ、こういう問題なんです。ところが常に委員が言うように、保守党の諸君が言うように、いわゆる伝統やら、あるいは金で解決のできないような問題をどうするかということについては一言半句も言っておらない。現に墓地でもみんなとってしまえ、墓を持っている人たちは金になんかかえられないと泣いておっても、それでも取り払ってしまえ、とってしまおうという、問題はそういうところにあるのです。ですから政府の方針というものを明らかにしておいてからでいい、それから稲島長官でも何でも聞く、こういう態度なんです。わかりますか。
  49. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちょっと関連しまして。先ほど加瀬君からの質問の中にあった点でありますが、重光外務大臣はこれに対する説明を忘れていろわけです。と申しますのは、あなたが渡米された最大の目的防衛力増強の問題、これに伴う日米安保条約を双務的な条約に持っていこうとする問題が中心問題であったと考えます。同時に、この日米安保条約行政協定に伴うて、今起きている国民の感情を最も刺激している基地問題、この問題については渡米に当っては十分向うとも話し合いをして参りたい、こういうことをこの委員会においても外務大臣は言明されているわけなんです。ところが、この問題に関しまして何らの報告がなされていない。そうしますと、この問題に関しては渡米前と渡米されてこられた今日とは何一つ事態の改善等に勢力を払ってこられなかったのかどうか、この問題であります。外相の本日の報告の中に、私は当然基地問題等について、これを中心とする行政協定改訂の問題等について何らかの意思表示がなされるものと期待していたわけですが、先ほどの報告を聞いておりますと、何一つこれがなされていない。八月五日の政府声明の末尾に、ただ納得で話し合いをつける、こういうことだけではこれは済まされぬと思うのです。あくまでも政府は権力でもってじゃあこの問題は解決していこうとするのか、あるいは納得づくというならば、当然アメリカ側との交渉、あるいはアメリカに対する話し合い等がなされてしかるべきだったと考えまするが、そういうような点が私は根本的な政府の方針につながると思うのです。この問題に関して私は副総理としての重光さんから政府の方針を承わっておきたい、これを申し上げているのです。
  50. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は基地の問題は、これはもう基地提供の問題は御承知通りに条約上の問題であることは明らかでございます。しかしそれはともかくといたしまして、この基地を提供するかどうかということは、日本防衛に必要があるかどうかということできまると、こう考えております。日本防衛に必要があるために基地の拡張ということになるのでありますから、安保条約によって米軍が日本防衛に任じておるのでありますから、その日本防衛のために基地拡張が必要であればこれは提供しなければならぬ、国の必要から提供しなければならぬと、こう考えます。そこで国の必要があるかないかということについては、私は御議論があるのじゃないかと、こう考えます。それは、御議論は十分に伺いたいのでございますが、しかし国のために、日本国防のためにそれが必要であると、こういうことであるならば、これは実現はされなければならぬと思います。しかしそれを実現をするためには、でき得るだけ今日の戦後の状態においては、これは関係者の納得、それから一般国民の納得のもとにこれを行うということは、これはまた当然政府のやらなければならぬことだと、こう考えております。しかし国民の納得ということを申しましても、国民全部が一人残らず納得するという意味でも、民主政治のもとではないでございましょう。しかし大体においてその納得がなければならぬと、こう思って、一生懸命にその努力をいたしております。その努力経過その他について、御報告をいたすということは、これは当然のことだと考えております。
  51. 野本品吉

    ○野本品吉君 議事進行について……。  私は今まで拝聴しておりまして、まだ本日の委員会は正しい軌通に乗ったような感じがいたしておりませんから、時間も迫りましたりしましたから、一応休憩されまして、休憩時間中よく話し合いをつけて、審議が軌道に乗るようにお取り計らい願いたいと、かように思うのです。
  52. 宮田重文

    理事宮田重文君) お諮りしますが、どうですか。   〔「それはいいですよ、お話を先に」と呼ぶ者あり〕  それじゃ一時半まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後二時五十五分開会
  53. 宮田重文

    理事宮田重文君) それでは休憩前に引き続きまして、会議を再開いたします。  まず御報告を申し上げますが、先ほど内閣総理大臣出席の問題について、官房長官意見を問うて、どういう事情であるか確かめてほしい。なお明日、明後日はいかようであるかということについての御質問がありましたから、これについて官房長官と打ち合せをいたしましたので、御報告を申し上げます。総理大臣はただいま電気の治療をいたしておりますので、その治療の関係上両三日出られない。同時に、今回の内閣委員会の主要な問題は大体外交の問題と防衛の問題であるから、それらについては重光外務大臣が副総理としてのお立場から十分お答えすることができると信ずる。重光外務大臣より御答弁あることで御了承願いたい、こういうことである。その旨を御報告申上げます。  なお先ほど各派の代表の方にお集まりを願いまして、きょうの議事の進め方並びに明日にわたってのお打ち合せをいたしました。それにつきまして、一応申し上げたいと思いますが、まずただいまから西田国務大臣調達庁関係担当国務大臣として一応御発言を願い、引き続いて調達庁長官から基地の問題についての現況についてきょうは御説明を願う。これに関しましては、西田国務大臣に対しましては、この基本的な問題について先ほど各派の委員のお集まりの際に、紳士的に取りきめをいたしました。ほんの基本的な条項のみに限っての御質問をしてもらうというようなことできめておりますので、その範囲における質問をしていただくようにいたしたいと思います。それでその打合会の席上、実は本委員会として一応政府側現況についての説明はそれで求められるが、現地における人たちの代表的な意見もあわせて聴取することが必要であろう、こういう御意見が出ておりますので、打合会におきましては砂川町から三名、それから大高根の方からも二名程度、現地から参考人として明日本委員会出席を願って、現地の考え方をこの委員会において披瀝していただく、こういうようなことにいたしました。さような点につきまして、明日この参考人を呼ぶことにつきましては委員長一任というようなことに相なっておりますが、本委員会として、その参考人を呼ぶことに御異議ございませんか、お諮りをいたしたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 宮田重文

    理事宮田重文君) 御異議がなければさよう決定いたし、取り進めることにいたします。
  55. 千葉信

    千葉信君 首相出席の問題について。ただいまの委員長報告によりますと、首相出席の問題について必ずしも了承できない点がたくさんあります。が、しかし私どもとして首相の病状が一体どういう程度のものか、それからまた電気治療云々の、その治療の実態がどういう程度のものかということは、ここでは明らかにできませんから、一応官虜長官連絡のように、二、三日はどうも出席できないだろうということについてかりに了承するとしても、私ども首相の代理として答弁に当られる副総理答弁で必ずしも納得できるかどうかということについては、最初から私ども疑念を持っております。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)従来のようないろいろなその答弁状態から言いましても、首相答弁重光外相答弁とは、往々にしてそのニュアンスにおいてばかりでなく、明らかに食い違っておることがずいぶんありました。従いましてかりにここで大体要望されている二、三日の、きょうから三日間の内閣委員会を通じて、私どもは必ずしも納得できる答弁を得るとは考えられませんし、同時にまたきょうの委員会審議の状況から言いましても、三日間で委員会を打ち切るということは困難ではないかという見通しも出でおるわけでございます。従いましてもし内閣委員会重光さんの答弁だけで了承できないような状態が出てきたときには、やはりわれわれとしては首相を呼んで、首相みずから答弁に当ってもらう必要が出てくると考えます。そういう場合には一体二、三日という御連絡ですが、いつごろになれば有相は国会においでになることができるかどうか。どうも半年以上も総理大臣をやっていると、最初のうちは国会軽視などという態度がなくて、非常に謙虚にやっておるけれども、だんだんと前の吉田さんなんかに似てくるようなことがあっても困るし、これは甘い前例を作ってもいけませんし、やはりわれわれとしては最初計画したように、一度は私ども納得いくような答弁をしてもらうために、首相出席要求しなきゃならぬと思いますから、軍ねてそのいつごろになったら首相出席できるようになるかということを、委員長の方で官房長官と御連略して、十分突きとめてもらう、こういうことを条件として私は審議に入ることに賛成いたします。
  56. 木下源吾

    木下源吾君 ただいまの委員長報告、実は総理大臣出席要求したのは私であります。なぜ総理大臣が必要であるかは、いろいろ皆さんも御了解できると思うが、なかんずくこの基地問題に対して非常に紛糾せられて、そうして直接関係の住民の代表者が、しかも少数の婦人をまじえる少数の人が、軽井沢まで出かけて行って、面会を要請しても、遂に首相はこれを拒絶しておる。もちろんその最後には非公式という名目で会ったそうでありますが、これらの国民の要請は私はむげに断わるべき問題ではない。しかしそれは市井の人々であるから、いろいろ事情でお断わりになったと思うが、そのような面会をし、首相から直接に話を聞きたいというこの国民の要望にこたえるために、内閣委員会は進んで首相のこの出席要求するのが当然だと私は考えたのです。この趣旨からは、今の御説明、御答弁によりましても了解はできません。必要あれば委員会首相の静養先まで出向いて行ってまででも、この点を明らかにする必要があると私は考える。そういう意味で、ただいまの御報告は本日はやむを得ませんが、必ずしも了承したのではないということを一つここで留保しておきます。
  57. 宮田重文

    理事宮田重文君) なおその点については官房長官とよく打ち合せをいたしまして、またいずれ申し上げます。
  58. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 基地問題の政府の方針につきましてご質問がありましたに応じまして、私は大体のことを先ほど御答弁をいたしておきました。しかしなおそれについて十分にお聞きとりを願いたいと、こういう希望がございます。つきましては政府の方針について関係国務大臣である西田大臣から十分御説明をいたすことといたします。どうぞ御了承願います。
  59. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 飛行場の拡張問題は過去二年来の懸案でありまして、その性質は、御承知のように、もちろん日米安全保障条約に基く条約上の義務でありますが、その目的とするところは、日本国防の万全を期するにあることは申すまでもありません。従って政府といたしましては、あらかじめ十分その必要性の有無を検討いたし、またかりに必要性のある場合があっても、現実に拡張が地元民に対して与える影響がきわめて重大であることも十分考慮いたしまして、拡張は必要の最小限度にとどめるよう、常に腐心しておるわけでございます。しかしながら国防上どうしてもある飛行場の拡張が必要である場合には、当該地元民にはまことにお気の毒ではありますが、拡張を実施せざるを得ないのでありまして、そこでそのような場合には、地元の人たちの苦痛を、政府としてはできるだけ緩和し、その後の生活の成り立っていくよう、たとえば補償の問題、かえ地の問題等、あらゆる面で十分な考慮を払うこととしておるのでございますが、具体的に拡張を実施するに当りましても、政府は問答無用の強行策をとることは厳に戒しめておるのでありまして、 (「やっているじゃないか」と呼ぶ者あり)最後の最後まで一般の国民の理解のもとに、話し合いによる地元民の納得を得ることに努力しておるのであります。この方針によりまして、小牧、横田、木更津のように、一応基本的な調査をなし得たところもありますが、砂川の場合には、政府が拡張問題処理のための基本的対策を立てるための準備調査を実施しようとしても、これすら妨害するという挙に出られましたために、思わざる不祥な結果を招くに至ったものであることはまことに遺憾に存じております。しかし納得の上の提供ということには今後ともさらに努力を続けまして、一人でも多くの理解を得たいと思っております。一々具体的な問題についての今日までの経過につきましては、調達庁長官に詳細に説明をいたさせます。
  60. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 基地の問題についての現状の報告というお話でございますが、基地拡張についての報告というお言葉もございましたかと思いますが、私なりに申し上げさせていただければ、基地の問題は、全国的には最近年々歳々縮小しつつあるわけであります。昭和二十九年から三十年の四月一日、この一年間におきましては、二百万坪以上の施設区域の減少を見たわけでありますし、件数にいたしましても、百件に近いものが廃止せられておるという状況であります。飛行場のごときはさらに四十ばかりの飛行場のうちを、十ばかりに整理統合するという問題になっておるわけであります。従いまして基地全般の問題としては、基地の拡張問題ということは、個別的に局地的にあるにいたしましても、全般の問題としては基地が減りつつあるということは間違いないのでありまして、減りつつあるものを拡張ということに片づけられるのは、私どもとしては非常に困るのであります。しかしながら全般的に減りつつある。調整を要するためにその間に整備するものがあって、そこには拡張問題がある。しわが数カ所に寄って、全般的に縮小問題を計画しつつあるという状況であります。しわの寄ってくるところは、全般的に縮小であっても、しわの寄ってくるところの苦痛をどうするという問題はあるわけでございます。従いまして基地が拡張しつつあるということだけは、この際ぜひ数字的にも、当地そのものは減少しつつあるという点だけは、お認めを願いたいと思います。  飛行場の問題に関連いたしましては、いろいろ今日まで国会においても申し上げた通りであります。政府がこれを実施するに当りましては、でき得る限り納得を求めて実行しなければならないという政府の方針を体しまして、私ども実行の任に当っておるわけであります。従いまして小牧なり、木更津なり、横田なり、測量その他の基礎的な調査というものは順調に終了するようにいたした次第であります。砂川においてはその点が問題になりましてはなはだ遺憾な事態にまで立ち至ったわけでありますけれども、われわれも砂川の問題についてもあくまで納得の線を踏みはずしたくないということで相当な努力を、非常な努力をいたしたつもりであります。しかしながら砂川の拡張という問題については地元でまあいろいろ御研究になったんだろうとは思いますけれども、いわゆる貝殻戦術ということになりまして、反対にすら出て歩かない。貝殻の中にとじこもり絶対に政府とは話し合わないということに方針を一決せられましで、町議会の議決もあり、まあ町議会の中にも事実上地元関係者、拡張予定地関係者は二、三人おられたということではありますけれども、二十人の町議の間で話し合い反対という線がきまったわけであります。各戸ごとに調進庁の立ち入り禁止、それから町中には話し合い絶対反対というビラが、張られたような始末になりまして、いかに話し合いをいたしたくても反対ですら話し合わないということが長く続きましてどうにもならない。われわれも相当に努力をいたしたはずでありますけれども、話し合いには相手が出て火ない限りいかんといたしましても話しすることができないという状況で二、三ヵ月を経過せざるを得なかったわけであります。その間百三十人ほどの地主その他権利者の中で、話をしようという方も逐次出て参りましたので、それらの諸君とはある程度の話はいたしておったわけであります。かえ地その他も見ていただいた次第であります。しかしながら町全体として話をしないという決議ができておるのだから困るということで、一向に進捗しないままに先月の二十四日でありますが、われわれの方で立ち入り調査をせざるを得ないという事態に立ち至ったわけであります。立ち入り調査と申しますのは、私どもの主張は、国は立川の飛行場の拡張を砂川町の中において実施したいという考えがあるわけであります。しかしながらこれは事実上実施できるかできないか、思わざるところに実施不可能な条件がないかということを突きとめる必要がまずありますとともに、同時に地元の諸君の賛成を得るためには補償条件というものをどうやって出すかということなんであります。一人々々の持分がどのくらいであるか、これに対するかえ地はどこへ求めるかもあるいはそれに対する補償の問題、新らしい土地にかわれば開拓を要するのであればその開墾費や、あるいは新らしい畑を開墾するということになれば、何年間通常の畑よりは収益力が落ちるといったような問題とか、あるいは一戸一戸の補償金額の算定とか、そういう具体的な解決案を持って行かなければ、自分の地面を売るという問題でありますから決心はつかないであろう、そのためには拡張予定地五万二千坪ほどでありますが、その中の個人々々の持分をある程度明らかにしないと答案を書けない、答案を書いた結果、これは落第点であるということになればそれはわれわれの努力の足りない点であり、ことと次第によってはいたし方がないということでありますけれども、試験を受けさせない、従って答案が書けない、従って反対であるということではこれはいつまでたっても問題が片づかないではないかということでありますので、八月二十四日には立ち入ろうという決心を固めたわけであります。御承知のように八月二十四日に立ち入りを開始いたしたのでありますが、地元の妨害にあって進捗をしない。その間に地元からのお話もあり、東京都の公共知事お話もあり、二十五日から話し合いをしたらどうかということになりましたし、われわれも今まで話し合いをしないという人たちがこれを契機に話し合いをするという、したらどうかと言い出したことはこれは非常な進歩でありますので、慰んで私ども話し合いに伺ったわけであります。二十五日、二十六日と両日いろいろなお話をしたわけでありますが、砂川の諸君は知事の公示期八月一ぱいということになっておる、話し合い話し合いということで八月一ばいを経過すれば公示の有効期限を失い、そうなればまたどうにかなるだろうということで、話し合いというよりももっぱら話をしていることによって期日の遷延をはかろうというお考えがあったようでありますけれども、いずれのお考えがあっても、話をしないという諸君が、話をするということは非常にけっこうなことだということで、二十五日も深夜までお話をしたわけであります。そこで二十五日の地元のお話では、調達庁はあくまで測量をしたいと言っているようだが、測量、測量というけれども、町には農地法のときにこしらえた図面がある、これを使ったら測量は引っ込めることができるかというお話がありましたので、これは私どもも飛びついたわけです。どういう図面か、あまりよくわかりませんけれども、正確を欠く図面であったらどうするかという問題も、あとに至って起るだろうと思いましたけれども、それはまた私の責任の問題であって、要は話し合いということにいきさえすればいいのだろうという考えもありましたので、その図面を提供してもらえるならば、細目の測量はやめましょう、しかし道路三本の測量はいたさないと、図面と現場との比率をまた算定する方法がなくなる、骨格をなす三本の道路は測量をしたい、図面の提供は受けたいということになったわけです。そういうことならば、あとの問題はすべて話し合いでけっこうである。この三つの条件に二十五自一ぱいの話を組み立てまして、地元の御回答を求めたわけであります。あした返事をするということになりまして、二十六日の会議になりました。二十六日の会議においては、きのうの件はどうであったかというわれわれの考えに対して、図面はいろいろ検討したけれども、この際調達庁に紙一枚といえども出すのはいやだということになって、そちらから測量のかわりに図面をやるがどうかというお話があったので、われわれもそういうふうに条件を組み立てて提案したわけなんであります。今さらやらないと言われても困る。これは困るのですけれども、やらないというものはしようがないということで、それでは三本道路の測量、それによって以後の事態はすべて九月に持ち越して話し合うということではどうかということで、話し合いを二十六日もおそくまで続けたわけでありますけれども、なかなからちがあかない。そのうちに町長でありましたか、そういう図面はないということを二十六日のおそくになって言い出したわけであります。私はないものはないで仕方がないのでありますけれども、ないのであれば、その前の日に、図面をやるがどうかということを言い出した人がいるときに、その図面はないということを言うべきである、あるいはまた次の日の朝、図面は研究したけれどもやれないということになったというときに、ないのだということを言わなければならないので、一番夜おそくなってから、結局ないのだということになったのでは、結局話にもならぬじゃないかというわけであります。こういう論議を幾ら繰り返してもしょうがない、従いましてこれ以上論議を続けるわけにもいくまいということになって、二十六日で一応話は御破算になった。そこでそうなれば二十七日からたちまち測量という問題になるわけですが、せっかく話し合いということで二日もやったものを、進行しなくなったから、あくる日測量ということも感心したことではないということで、あくる日は測量しないということにいたしまして、二十六日の晩で一応会談を打ち切ったわけであります。ところが二十七日になりまして両派社へ党の書記長の他のお話もありまして、話し合いという線で、もう一ペん二十八日には測量という問題が、やるかやらないかという問題を持っておったわけでありますが、二十七日にお話があって、もう一ぺん話をしたい、私ども話し合いはけっこうである、しかし話し合いという以上は、絶対反対の話し合いということは、ちょっと因る、政府の方でもできないものはやらないという考え方はとらなきやならないし、先方様といえども絶対反対という線は一歩も動かない、話し合いの結果は必ずそこに落ちつかなきゃいけない、しかし話し合いがしたい、これではおっしゃることは意味をなさないのじゃないか。反対であるが、話し合いをしたい、政府がどういう意見を持っているか、万一それによってひょっと気が変るかもわからない、反対の態度は容易に変らないと思うが話し合いをしたいというならわかるけれども、自分たちの結論にならなければいけないが、しかし話し合いがしたいというので、通常の常識を超越している話し合いじゃないか、それは因る。しかし、まあ両派社会党の書記長もごあっせんになるので、通常の話し合いということならやって差しつかえない。われわれとしても、何も測量が好きだということじゃないので、二十九日にさらに話し合いをするということになりましたわけです。二十九日にそれ以後の測量もやめまして、二十九日にまたお話し合いに伺ったわけなんでふりますが、そのときにいきなり初手から二十六日の別れ方ということで議論が始まってしまった。二十六日に、われわれは一応話が打ち切られてしまったのだけれども、いろいろごあっせんになる方もあるので、本日またあらためてやるということになったという了解お話をしたわけでありますが、そうでないんだと、それは打ち切られておらないという御主張をどなたかが、国会議員でしたか、町会議員でしたか、そういう方がおっしゃる。そこで私はそんなはずはないのだけれども、せっかく町の方も非常に費用をかけて録音をとっている、二十六日のことは録音で残っている通りでどうですか、それも簡単に片づかないのです、録音の通りということはないんだと。それでも二十六日に別れたときは録音の通りという、この録音の通りということを承認させるのにそんな手間ひまがかかるのは、これはなかなか容易なことじゃないと思った。やはり二十九日一日かかりまして、どうにもこうにもならないということで、またお別れせざるを得ないということになりました。二十九日も一日かかってだめだということになりまして、私どももやむを得ず引き下って参りました。いずれにいたしましても話し合いを絶対しないという諸君を相手に五日間でも話し合いをしたということは相当な進歩であるから、それが打ち切りになったからあくる日すぐ測量にかかるといことは大人気ないし、これはよそう。八月の期日はわずかしか残っておらないわけだけれども、あちらに八月の測量というものはやめますということをその決裂の際に通告したわけです。やめれば当然また知事にあらためて公示をし直しをしてもらわなければなりませんから、それはどんなことがあっても十日以上の日数はかかるから、九月に入ってもすぐさま測量に来るという状態はない。二週間以上の日があく、これが自然の冷却の作用をするでありましょうからということでお別れをしたわけです。知事の公示を得まして十三日にまあなりましたわけです。そこで私どもといたしましても、測量はせざるを得ない。国が一定の用地を公共のため、もしくは駐留軍の用に供するために買収したい、そのために土地を見てみたい、測量をしてみたい、こういう場合に地元の承諾がとれればそれに越したことはない、とれない場合は法律の手続によって測量をするということになっておる。それに対して法律の手続くそ食らえということを言われてしまったのではわれわれは何ともしょうがない。現に測量に同意をせられておる地元の諸君も大ぜいいる。そこに入っても測量はできないという状態でありますので、手続による測量というものを強行しようということで十三日出かけて行ったわけでありまして、こういうような事態になったわけでありまして、事実幸いにして十四日の朝には抵抗はしないことになったというふうに三十分ほどしてこぎつけました。十四日一ぱいで測量を完了いたしまして、その後計数の整理等をやっているというところであります。また警官隊と地元と衝突いたしまして、双方ともにけが人を出したというようなこと、残念な次第であると思っております。私の責任がありますことも痛感いたしておりますけれども、面と向って、法律くそくらえと言われたのでは、さようですかと申すわけに参らない。従いまして、どうしてもわれわれとしては法律手続というものは有効なのであるという立場をとらざるを得ないという立場に追い込まれましたわけであります。もっと納得のいく努力をすべきであったというおしかりを受けておるわけでありますけれども、話を絶対にしない、反対の話はもちろんのこと、賛成の話もしないということにかたく耳と口をおおっておる人に、幾ら私どもが器用でございましても、話し合いができないという事実上の事態、十三日の事態に追い込まれましたわけでありますので、残念であるとは思い、また責任を回避いたすわけではございませんけれども、あのような事態を招かざるを得なかったということであります。今後の考え方といたしましては、条件によっては土地の売り渡しをしようという諸君との話し合いを逐次進めまして、またそういう諸君もふえて参るわけでありますので、どのくらい残るか知りませんけれども、最後まで反対ということで残った方々との間には収用法という形で片をせざるを得ないと思いますけれども、できるだけ一人でも多く条件次第によっては売り渡すという人々をふやす、ふえてくるのを待ちまして措置をとりたいと考えております。条件次第によっては売ってもいいのだという話も、なかなかこの方がほんとうはこわいのでありまして、私どもとしては、条件次第では売るのだという人をとっつかまえて収用法をかけるというような不人情なことはなかなかできない、しかもあまり高いことを言うなら隣へ行って買ってきますということもできず、そういう条件派に転向せられるという諸君に対しましては相当手数もかかるし、また十分納得するだけの条件を出さなければならないと考えておりますけれども、従いまして、だんだんに条件によっては考えようという方もふえておりますので、これらの諸君を中心に、何とか事態を……逐次ふやしていって、納得のできる解決に持っていこうと考えております。  なお、ただいままで御指摘はございませんでしたけれども、同じような測量問題を最近にいたしました。山形県大高根という土地の問題につきましても一言申し上げておかなければならないと考えますが、山形県大高根の射撃場の移転という問題は、砲座の移転という問題は、これは拡張問題ではないのでありまして、昭和二十一来山形県大高根射撃場というのがございまして、その砲座というものは占領当時にきまった砲座でありますが、砲座と被弾地区との間に八の住んでいる地帯がある。弾道下に人が生活していいかどうかということで、これは長らくもめた問題でありますが、二年ほど前に県と地元の調達庁の間に一応の話し合いが成立いたしまして、砲座は移転する、そのかわり、これは県の条件でありましたが、国は県道の修理、橋の新設、ダムの新設、そういった工事をする、それによって県の方としては移転砲座のあっせんをするということにきまりまして、ただいま申し上げましたダムの建設、橋の新設、県道の改修といったような問題は、一億六千万円ばかりの予算でありましたが、これは建設省の方で担当してやってもらったわけであります。この方は建設省に担当してもらいましたのでどんどん進行して、とつくの昔に済んでしまった。そこで砲座の移転ということになりましたが、砲座の移転は反対ということになった。一億五千万円先に使ってしまった。あとで移転の方は反対ということですが、これはどうもはなはだ承って工合が悪いし、調達庁としてもだらしのない話である、まんまとひっかかったということにもなるわけです。以来一年有半交渉を重ねまして、移転砲座の方の地主も大体了解を得まして、今日一応使える砲座はできるにはできましたが、四%ほどの地主がまだがんばっている。坪数にいたしまして四万坪ちょっと、員数にいたしまして三十七名ほどの地主、総体の四%ほどの方が移転反対、まあ移転と工事というものは条件になっておるというようなことを今ごろになって言っても、こっちが間抜けだったので追いつかない話ではありますけれども、しかしそういうことはどうもはなはだもって都合が悪い、アメリカ施設区域をできるだけ縮小させて調整していこうという努力なんでありますから、前の話のついたときの状態において考えていかなければならないということで、一年有半延びましたが、やむを得ず測量をいたしまして収用の手続をとろうということになりまして、一昨日と昨日、二日をもって測量は完了いたしたわけであります。これから収用手続という機械的な考え方はいたしません。知事その他も手続ごあっせんをいただけることになっておりますので、測量はいたしましても話し合いによる解決の方に持って参ろう、この努力をいたすつもりでございます。これにつきましても警官隊と地元並びに応援隊との間に衝突がありまして、若干のけが人を出しております。これまたはなはだ遺憾な事態でありますけれども、事情のいかんにかかわらず法律手続があっても何でも実力をもって法の進行を阻害するということを言われましたのでは、地元の意見にわれわれも話し合いで賛成したいところなんです、法律を力をもって阻害するということを言われたのでは、これは何としても賛成できないわけであります。話し合いということをおっしゃられましても、そこまで賛成して帰ってくるというわけには事実上ちょっとできないことであります、お許しを願うほかはないかと思います。事態そのものにつきましてはもっとうまくやりたかったという希望は持っておりましても、今日までの状態はいたし方なかったというふうに考えております。いずれの事件につきましても、両方とも、測量問題は目鼻をつけましても測量したから強制収用しなければならないということにきまっているわけではありません。さらに、一人ずつでも納得者を多くいたしまして、どうにも納得をせられないという人の場合に特に強制収用という手続に持っていきたいと考えております。なお一そうの努力をいたすつもりであります。以上をもって簡単に説明を終ります。
  61. 中川以良

    中川以良君 本日は質疑はいたさないで、明日参考人の意見を聞いた後に質疑をするという先ほどの理事会の申し合せでございますが、しかしただいま西田国務大臣並びに福島長官の御説明に対しまする基本的の問題だけはきわめて簡単に質疑を許すというお話がございましたので、私は大半の質疑は明日に譲りまするが、基本的な問題一、二につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  先般来基地の拡充の問題につきまして至るところで問題を惹起しておる。ことに日本人同士がお互いにいがみ合って、しかも流血の惨事まで引き起しておるということは何としても私たちは見るに忍びないところであります。これに対しましてただいまもお話があったように、あくまでも調達庁としては話し合いをされまして、一つ補償その他の問題をできるだけ努力をするということを言明せられておる。なるほど今日調達庁にございまする補償要網等につきまして私はこの際思い切って特例を設けて地元の人が納得いくようにこれはいたすべきでございましょう。地元の人も社会的の問題、生活の問題、経済的な問題を考えますると、これはどうしても国家の防衛のために犠牲を払われる方に対しましてはわれわれ国民としてもできるだけこれに一つ補償を与えるということが必要だと思います。しかしこれは一つの枝葉末節のことに私はなると思うんです。それより根本的の基本的の問題をどうしても国民に明らかにすベき問題があるんじゃないか……。
  62. 宮田重文

    理事宮田重文君) ちょっと発言中ですが、今、中川先生の御発言は、私は議事進行についてのことと存じてお許しをいたしたのでありますが、先ほどの各派の打合会におきましても、これからの質問は今おっしゃるような基本的な問題、ほんの局限された問題にとどめて、明日から全般的な質問をする、それは明日現地の参考人として呼ぶ方がありますから、その御意見を聞いた上で全般的にはするんだという打ち合せであります。そこできょうは先ほどの打合会におきましては一応各会派として代表的な基本的な問題について西出国務大臣に対してきわめて局限された点のみを御質問する、こういうことで、しかも簡潔に質問はしていただくんだということであります。それで一応先ほどのお話では順序というものははっきりとはいたしませんでしたが、まず木下委員からその発言をして行く、その次は逐次各会派に移るというようなふうに御了解をいただいておったと考えますから、さような意味においてきわめて紳士的に約束をいたしました点を木下委員発言をしていただきたいと思います。どうぞそういうことで御了承を願いたいと思います。ちょっとあれいたしましたが、さような意味において木下委員から御質疑を願いたいと思います。
  63. 木下源吾

    木下源吾君 今、政府の御説明を承わりました。そこで基本的な問題について簡潔にお尋ねいたします。  第一は、これらの基地をどうしても提供しなければならないという必要性についてお伺いするのが第一。  次には、地元民の理解と納得を二人でも多くしてもらおう、こういう見解、これはいろいろおやりになったという御説明でありますが、しかし究極においてはあのような事態が引き起ったのであって、決して十分な工作が行われたということは言われないと思う。御承知通りこの事態は非常に重大だと私どもは考えておる、政府とあるいは違うかもしれませんが。なぜなればすでに三十八度線があの地帯において今着々と出発点ができてておるのではないか、こういうような観点に立ってこれを重大視しておるのであります。そうして三十八度線は御承知のように一年有余にわたってのしんぼう強い会談によって、話し合いによってこれは解決しておるんである。ところがこの基地問題は政府の性急なやわ方によって私は問題をこじらかして、こういうことを起しておるのではないかという疑問が、これは私一人ではなかろうと思うのであります。そういう努力については遺憾ながら今の説明では納得いかない。こういう点について基本的に一体収用によってこれを取るんだという考えが先に立って物事を処理しておるんではないかと私には考えられるので、この点についての御説明を願いたい。今お話によると、実力をもって法律の進行を阻止したと、こう言われておるが、逆に法律をもって国民の生活を破壊しておるのではないか。この点についてはどうか。大きい虫を救うために小さい虫を殺せというかもしれないけれども、それは理屈であって、一人でも多くの国民の生活を安定させるというのが政治でなければならないと私は考えておる。法律の進行によってやることであれば権限のない警察を駆使してやることも合法的なのか。調達庁のどこに一体警察庁を駆使するところの権限があるのか。それは自分がやったんではないというだろう、法律がやったんだというかもしれないが、しかしいろいろな事例は、あすから出てくる事例は、そればそういうような詭弁は弄されないはずになっている。しかも法律をもって生活を破壊しておる。その点についても一つ答弁を願いたい。  もう一点、すでに去る十六日閣議においてこのことを行うという内定をしておるのである。測量は決して強制収用をするという全部の前提ではないというけれども、その強制収用をするぞという脅迫的手段である。これを十六日に閣議において内定しておる。そうして今の大衆の警察を動員して無事の国民をじゅうりんしておる。こういう点については非常に私は日本の現状として遺憾である、そこで本日は次官会議において強制収用の基礎を固めようとしておるし、明日は閣議においてこれを完全になそうとしておる。何らの、今の話ではこれから納得のいくようなことを進めようと思うという、こういう言葉の下から、現実においてはそういう工作を進めておるのではないか。これは私は了解することはできない。真に今の話の通りに行おうとするならば、国会において今われわれが明日から諸種の事情を十分に調べて、政府に対する参考になる意見あるいは国会独自の見解を表明するという機会が恵まれておるのである。このことがわかっておるにもかかわらず急遽として本日と明日を選んでやらなければならぬという理由は一体どこにあるか、この点について明確に一つ答弁を願いたいと思うのであります。私は先ほど外務大臣から力による平和に同調してきたし、それを強化してきたということを聞いた。その流れをくんで、力によって平和の民をじゅうりんしておると、こういうそしりを免かれないような行動は私は即刻中止したらどうだ、やめたらとうだということをつけ加えて私の質問を終ります。
  64. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。第一の必要性についてでありますが、これはさっき私が御説明申し上げましたように、安全保障条約に基くもので、日本国防上の見地から絶対不可決なものであるという性質からこういうことをやっておるのでございます。  第二の地元の納得の求め方が足らぬではないかという御議論に対しましては、見方によってはさような御判断も出るかと考えます。(「見方によってではない」と呼ぶ者あり)ただいま長官が申し上げたことにいささか敷衍して申し上げますと、二十六日の会談が決裂状態になりました二十七日に社会党両派の書記長から私に会見が申し込まれました。私はこれを応諾いたしまして、両派社会党の書記長、それから地元の代表者、総評の議長、副議長、政治部長等大ぜいが労働大臣室に見えました。そこで一時間余にわたって問題について話し合いをいたしました。その際先方のおっしゃることは非常に地元側は感情的になっておるから若干の冷却期間を置いてくれ、それから九月一日から話し合いに入ってくれ、この二つ条件でございました。私は何ら条件をつけないで冷却期間を置くことは承知いたしました、九月一日からの話し合いも承知いたしました、かようにその席上で答弁をいたしました。しかしながら帯さんも御承知のように、国際条約等には一定の期日が設けられておりますので、時間的な制約を政府としては受けておりますので、ただ冷却期間を無制限に置くわけにはいきません。話し合いに九月一日から入りましてから一年も二年も三年も話しだけを続けているというわけにも参らない政府の現在遭遇している実際の実情をお話し申し上げまして、従って二十七日にお見えになりまして九月一日から話し合いに入れということでございますから、冷却期間は最大限二十七日から八月三十一日までが冷却期間と一応私は考えました。  それから九月一日からの話し合いにつきまして、私は政府側が考えている結論に到達するためだけの話し合いをしていただくということは申しておりません。話し食いを一カ月間続けております間には、何らか打開の方法が見つかるであろうという一縷の希望をつなぎまして、結論として九月一ぱいに反対という結論が出ようと賛成という結論が出ようと、それは話し合いの上においていかような結論が出ても差しつかえないから、いずれにしろ九月一日から一つ軌道に乗せて話し合うという態勢に持っていっていただきたい、こういうような意見を申し上げましたところが、条件をつけられたのでは阿智はできない、地元に帰って協議がしたいから、こういうお話でございました。従って私は、あなた方代表として見えておりますけれども、それはごもっともですから、それでは一つ地元にお帰りになって、そうして話し合いをするかせんかという御返事をいついただけますでしょうかと申し上げたのに対して、その返事をいつするということもここでは約束できない、かような地元側の御意見であり、応援されている総評のお話であり、社会党両派書記長のお話でありました。従って、私はその会見を終ります際に、それでは本日ここでお話しいたしましたことは、どちらも一方的に自分たちの意見を述べたという段階であって、話し合いをここでこうしよう、ああしようという結論をすんだというのではないということを御了承の上でお帰りになって地元側と御協議を下さって、一つ話し合いができるかできてないかの御返事をいただきたい、かように申して皆さんとの会見を終りました。  そのあとで両派社会党の書記長にしばらく残っていただきまして、三十分間ばかり、今お聞きの通り状態だから、どうか社会党両派書記長のごあっせんによってこの話し合いが軌道に乗るようにごあっせんを願いたい、かように私お願いいたしましたところ、多少の難点はあったようでありますが、両派社会党の書記長も快くお聞きとどけ下さいまして、そこで二十八日午後二時までに話し合いをするかしないかということの御返事を、調達庁長官までお電話でけっこうですから一つ御返事を願いたい、かように御相談をいたしまして快諾を得まして二十七日の会見を終りました。従って二十八日に待っておりましたところが、午後二時ちょっと前に長官から電話がかかりまして、ただいま地元から二十九日の午後一時から話し合いをするから出て来い、こういう電信が来たという電話の報告を受けました。そこで、私はそれは非常にけっこうなことであるが、実はきのう、両派社会党の書記長にそのようなことが頼んである、従ってこの返電というものは両派社会党の書記長の御意見をお聞きになって、その上で現地で協議の結果の御返事であるのか、あるいは地元側だけで、私との会談によって地元側だけの協議によってこういう返電の電信が打たれたのであるか、そのいずれかを電話でよろしいから確かめてもらいたい、かような長官に話をいたしました。その結果長官が電話で連絡いたしましたのが、午後の六時ごろになりまして再び電信が入りまして、両派社会党書記長の意見を総評の副議長が聞かれて、そうして塩谷副議長は現地に行かれた結果協議の上こういう電信をよこしたのだ、こういうような意味合いの電信が返事として参りました。そこで私は福島長官に、それではあした午後一時に出るように、出てそして話し合いを軌道に乗せるようにという話し合いをいたしました。蘭島長官が二十九日午後一時に参りまして、その後の結果は今福島長官から申し上げた通りであります。  私としましては、ただそれだけのことをやったから万全の手を打ったとは考えておりませんけれども、今この段階において地元の代表者、それからこれを応援しておられるという総評の議長、副議長その他幹部、社会党両派書紀長の方々にあっせんを御依頼した結果においてすらもああいう結果になったということはまことに私遺憾に考えております。しかしながらそういう話し合いになったからすぐ法律をたてにとってどうこうしようということは毛頭考えておりません。相当の余裕期間が今長官の申しましたようにありましたので、その間に何らかの情勢の変化をいたしたいということを期待いたしておりましたけれども、結果においてあっせんを御依頼したところからも何らの返信も返事もいただけないし、地元側からの何らの返信もいただけない。政府として残されました手は結局測量に賛成をする人をふやしていくという以外に方法はないという段階に政府側は追い込まれましたので、一人でも二人でもよけいに御理解を求めるようにということで、調達庁としましては、全力を傾注してやったのでございますけれども、結果としては皆さんからおしかりをこうむるようなはなはだ遺憾な結果に終った次第でございまして、地元の納得と了解を得るために政府としてもできるだけの手は打って参ったつもりでございます。  それから十六日に閣議で内定しておるのではないかという、こういうお話でございましたが、これは閣議の際に私が説明を申し上げましたのに対して、質問がございました。一人でも反対者があれば土地収用をやるのか、こういう話がありましたので、これはその場所が端の方でのけられるようなところであれば別の問題であるが、飛行場の拡張に対してどうしても必要な土地である限り、たった一人の反対者であっても遺憾ながら反対者があればその一人でも土地収用法を適用するより方法がないと考えているということを閣議の席上申し上げたのでありまして、決してそういう方針を閣議で決定したというわけではございません。その他のことにつきましては、長官の方が詳しいと思いますので長官から御答弁を願います。
  65. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 木下さんからご質問がありました点でその他の点でございますけれども、大体政府は収用ということを初めから頭に置いてこういうことを交渉するのではないかというお話がございますけれども、さようなことは毛頭ないのでありまして、収用の手続という問題はなかなか簡単にいかない。いかように手間取りましても、納得によって片づける方が早いのであります。で、得る限り話し合いによって片づける方が仕事の面から申しましても迅速に進むということは間違いないところでありまして、収用の方を先に回してというような考えは毛頭持っておりません。なお法律によって、地元は法律に対して実力で抵抗したと政府は言うけれども、政府は法律によって地元の生活を圧迫しておるのではないか、こういうまあお話でございますが、ちょっとどういうふうにお答え申し上げていいかわからない点もございますが、われわれとしては地元に対してこの拡張という問題を地元に持ちかけるに当って政府としては一人々々の補償の問題、全般的な補償の問題についてこういうふうな案を考え得るということを持ち出してみなければいけないのだと考えております。そのためにはその拡張予定地の概況というものをつかまなければならない。たとえばかえ地という問題にいたしましても、五万二千坪というかえ地がぴたっとそのままどこかにあるわけではない。あそこに三千坪、こっちに五千坪というかえ地に対して、その人の千坪の地面ならここ、二千坪の地面ならあそこというふうにはめていかなければならない。五万二千坪ということ以外に何もわからないという状態において政府の対案というものを考えるわけにいかない。対案を考えなければ、地元の人たちの納得を得るということがなかなかできない。事と次第によっては世論の批判を受けてみるという案も成り立たない。入り口でつかえてしまって、答案が書けないということになるわけでありまして、どうしても中はのぞいてみたい、測量がいたしてみたい。地元の人々の納得はある程度得られましても、あくまで反対する人もいるということになれば、これは答案を書くことは必ずしも地元の不利益のためにやるわけではありませんので、立ち入りに必要な手続を了しまして、入ってみるということを考えて実行いたしましたわけで、これは法律に基いておるということではありますが、だからといって、その生活を圧迫しようということではないのだということは申し上げられると思います。  調達庁は何の権限があって警察を連れて行ったかというお話でありますけれども、これはそういう測量というものを手続に従って実施いたします場合に、すでに妨害を受けて測量ができなかったという事例が再三あるわけでありまして、公務の執行のために警察に保護を求める、あるいは警察の取締りを要請する、事は道路上の問題がおもでありますので、そういう面について警察の取締りを要請いたしますことは調達庁といえどもで、きることではないかと考えております。  十六日の閣議云々という問題に関連いたしまして、政府としてはここできようあしたのうちにぜがひでも閣議決定をしてしまうという意向ではないかというような御指摘もございましたけれども、これはただいままでのところ飛行場の拡張という問題は種々研究はして参りましたが、まだ本ぎまりになったものは一つもないのであって、そこで砂川の問題については拡張をするということ、それに基いてアメリカに拡張した後の飛行場を提供しようということをきめていただきませぬと、土地の買い上げその他の交渉に行くことができないわけであります。従いまして閣議において調達庁の作成いたしました原案に基いて飛行場を拡張するということを承認してもらわなければ、条件派の人とすら話をすることができない。閣議で決定をするということは、これが収用認定の要件であろう、前提であろうというお話でありましたが、さようなことではないのでありまして、収用認定はやろうと思えば閣議の決定なしにできることなんです。閣議の決定という問題は、土地の提供を求めに行っているかどうかという点の権利を承認していただこう、それに対して予算的な措置をするという面の土台になるわけでありまして、閣議決定をするということと、収用の手続をとるということとは何らの関係もございませんし、また別々の手続でございますので、これは御了承いただきたい。
  66. 木下源吾

    木下源吾君 補足の質問だけちょっと……。  今、西田さんは期日がなくなるから急いだ、こういうお話であったが、かねてここで本委員会官房長官は期日はないということを七月十四日の委員会でここで言っておる。これは何かの間違いじゃないか。これはあとからよくお考えになっていただきたい。  それから大切なことを落しておったのですが、政府行政協定によって土地を、まあ施設を提供する、この提供するということにもはや義務を生じておると考えておるかどうか。私はそれは生じておらないと考えておるのだが、政府はそういうふうに考えているのかどうか、この点を一つ附きたいと思います。今、御答弁によれば、調達庁ば警察をまあ頼んでというか、要請したというか、そういうことはできる、こう考えておる。現地には調達庁の諸君はおらないのだな、ああいう問題のとき。ただ行っているのは請負師だけなんだね。実際の行動をしているのは請負師だけだ。こういう点についても十分の考慮を払ってやっているのかどうか。まあこの程度で本日私はやめておきますが、明確なやはり御答弁を願っておかぬというと……。
  67. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 飛行場の提供について期日云々というお話でございましたが、期日はあります。それは私どもの予定期日であります。アメリカ側との約束の期日ではないのです。期日という問題は、私がいつごろできるかという話がございましたから、通常の状態においては何月何日ごろできるであろう、法律くそ食らえという議論を聞くとは思わないので、当りまえの予定を立てたわけであります。そこで今日の事態になりましてはその期日がおくれるということになっております。期日がおくれれば、また私がそのおくれた期日を定めて、大体の計画を定めて、これからの作業の目標、計画を立てるということになります。その意味におきましては期日はございます。しかしそれはあくまでも日本側と申しますか、調達庁限りの作業予定期日であるわけであります。なお日米行政協定上飛行場を提供する義務があると考えるかどうかというお話でございましたが、いやしくも共同防衛ということで出発いたしまして、飛行場というものが防衛一つのよりどころでありますが……。
  68. 木下源吾

    木下源吾君 今の現地。あすこ、砂川なり、ほかなり、現地が……。
  69. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) そういうわけであります。ですから飛行場がこれは国防の用に供するものである限り、国防に、要るものである限り、これを十分に整備するという第一に道義上の義務がございましょうし、それはこまかく法律上立川の土地で、砂川の土地で拡張をするかどうかという約束はこれからいたすわけであります。閣議決定その他の手続を経ましてこれから、正式にアメリカにいたすわけでありまして、まだ正規のものはできておらない。  それから現地に調達庁の人間が十三日、十四日の騒ぎの際に行っておらないというお説でございますけれども、測量でございますので測量会社は使いますけれども、これを引率して参りましたのは立川事務所長であり、その他の職員でございまして、二日目も初日も調達庁の職員が現地に参って測量の監督をいたしておるわけであります。
  70. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっと関連して一点。調達庁の現地における行動なり、警察を駆使した云々、こういう問題はあした質疑することにいたしまして、条約上の義務があるかのごとき答弁を最初しておきながら、今の福島長官答弁では、道義上の義務がある、きまっておるのではない、こういうふうな答弁がございました。それに関連して大事な点をお尋ねをしておきたいと思うのであります。私どもには責任はないが、行政協定政府は縛られるだろうということは、これは私どもの反対にもかかわらず、政府が置かれておる立場であるという点はわかります。しかし砂川において飛行場を拡張しなければならぬかどうか。あるいは伊丹において、あるいは立川において、いや木更津において、新潟において、あるいは小牧において、あるいは大高根において拡張をしなければならぬという義務は、どこにも、行政協定にも、安保条約にも書いてなかろうと思うのであります。そうして先ほど来こういう今、朝鮮停戦、あるいは仏印停戦、あるいは四大国会議の後緊張が緩和され、軍備縮小が行われようとする今日、日本において基地な拡張をしなければならぬということは何としても国民が納得をし得ないところであります。政府は必要であるということをきめたと先ほどは言われたのであります。安保条約、あるいは行政協定上の義務がある、国防上不可欠であるという工合に、どこできめられたのか。調達庁長官は今は何もきめていない、 こういう今お話でございますが、先ほど外務大臣なり、あるいは調達庁担当西田国務大臣国防上不可欠と認めた、こういうお話でございますから、どこできめられたのか、それを伺いたい。それからもしきめてなければ、いつきめるのか、そういう点も伺いたいと思います。  それから各新聞雑誌、世論という世論が、あるいは国民が、このたとえばエコノミストの九月十七日号でありますが、立川基地の拡張は絶対に必要か、絶対に必要であるとは思わない。これは他の飛行場についても、あるいは大高根についてもそうでございますが、国民は墓地の拡張が今必要であるとは思えない。これが私は国民の感情であろうと思うのであります。くどいことは申し上げません。そこでたとえばこのエコノミストの場合の広瀬健一君にしても「私は鳩山首相に、……米軍最高当局と懇談すべきことを要望したい。と同時に、国会は、外務委員会および防衛庁関係の合同委員会を開いて、自主的に、いますぐ基地を拡張する必要があるかないかを検討することを提案したい。専門家をよんで公聴会を開くのもよかろう。」、こういうことを申しておりますが、国民の信託によって、間接ではございますけれども、選ばれた政府は、国民の意思に従って、あるいは国民の意思を代表しておる国会に相談をやるべきである。米軍の要望であるから、あるいは調達庁がこれを必要とする、それをそのまま政府がそれが必要であろう、こういうことは許されないだろう。そこで国会意向も聞いて、きょう次官会議、あした閣議というのでありますが、そういう一方的な政治をやらないで、国会の意思を聞いてしかる後にやる、国民の信託による政治をやるという意思はないかどうか。これは測量その他が、警察権によって国民の権利の擁護を一方的に排除して測量が行われないように、基本的にこれを決定するかどうかということについては世論によく聞いてやるべきだと思うのでありますが、きょうあすの決定を延期をする気持はないかどうりか。  それから最後に、西日本新聞を通じて……西日本新聞という、これは西田さんの郷里の新聞でありますが、これを通じて西田国務大臣は、基地の拡張に関連をして日米双方に契約書を交換をして原爆積載機を離着陸させないような条件をつけた契約書を取りかわす。もしそういう点が聞かれないならば、それは基地拡張を断わるという強い決心を持っておる、こう言っておられます。こういう、基地拡張を断わることもあるというのは、これは政府の当然の私は態度であり、あるいは責務であると思うのでありますが、これらの西田担当大臣の構想が政府の方針であるのか、それとも地元の新聞でございまするから、来年の選挙に備えてやられたのか、政府を代表した担当国務大臣として明瞭に伺いたい。  それから外務大臣に、先ほど来申し上げましたような国民の意思、あるいは国会の意思を尊重をしてアメリカに対して変更を申し入れる、あるいは断わるという努力をしたかどうか、あるいは今後する決意があるかどうか、あるいはあしたの閣議その他を待つ意思があるかどうかを明瞭に一つ答弁願いたいと思います。
  71. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 協定上の義務かどうかというような点でございますが、これは私が申し上げましたのは、共同防衛であります以上、飛行機の飛べるような基地を提供する義務が私はある、それを立川で正式にやるということは、これからきまっていくということを申し上げたにすぎないと考えております、世論によれば必要があるとは思われない、エコノミストというお話でありましたけれども、われわれは必要があると考えております。アメリカの企画から申せば、今日われわれが砂川で計画しておるのは、それから見るとほとんど半分に減らしてきておる。断わることもあるか、減らすこともあるかということは、実例をもってお答え申し上げておると思います。先般の国会でも申し上げておきましたけれども、アメリカ要求のうち、五つに四つは断わっておるという実情でありまして、断わるか断わらないかということは事実によってお答えいたしておるつもりであります。
  72. 吉田法晴

    吉田法晴君 当面の問題について。
  73. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 国民の意思を尊重するというお話でありますけれども、私どもは防衛支出金の中に飛行場拡張の予定に充てますということで予算を承認していただいておる、国会の御意思は伺ったつもりでおります。従いまして今日これから手配が進みまして、立川、砂川の問題を正式の協定上の義務とするという手続につきましては延期をするという考えは私は持っておりません。原爆基地とか何とかというお話もございましたけれども、これは今日やっております飛行場の滑走路の拡張という問題はジェット機に必要な九千フィートないしは一万二千フィートのうち一番小さい九千フィートというものを標準にしてやっておる次第であります。立川のごときは拡張してすら七千フィートにしかならぬということでございまして、原爆を載せた飛行機が飛べるようなさようなまともな飛行場ではないのであります。すべてが戦闘機用の飛行場になるのであります。原爆機用ということを私どもは考えてもみたことがないのであります。しかしながらアメリカ側要求ということを断わることもできれば減らすこともできるということは今日まで数字によってお答え申し上げているところであります。当然にわれわれの言い分というものをアメリカ側にも押しまくっている。押しまくっているというのは地元側ばかりでないということを御承知置き願いたい。
  74. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 私に関する吉田さんの御質問、西日本にどういう記事が掲載されておるか存じませんが、私が雑談のときお話しましたことは契約書を取りかわすということで、基地を提供いたします場合には、基地の提供条件というものが具体的に決定されて基地を提供することに現在なっておりますので、その基地の提供条件の中に現在の飛行場の拡張は原爆を搭載した飛行機が飛ぶということはわれわれは考えておらないけれども、もし国民が全体それに対して非常な不安を持っているとするならば基地の提供条件というものにそういうことも含むことも不可能ではなかろうかという私の個人的な見解を述べたことに対する記事ではないかと思います。
  75. 重光葵

    国務大臣重光葵君) この問題について一般の世論を参考にして政府がいかなければならぬという趣旨の御発言、私は全然同感であります。またそうしなければならぬと思います。それでありますから、今日まで苦心惨たん調達庁の方においてもいろいろ努力をしてきたわけでございます。それからまた今日世界情勢が非常に平和的になってきた。何といってもそれがために飛行場の拡張というようなことは国民の納得のいかぬところだと、こういうふうに言われました点は、私は非常な大局的の大きな点だと考えます。しかしながら世界情勢が一歩平和に踏み出して各国ともそれが一体どういう意味であろうかといって今まだ相当じゃない、大いに不安を持っておるところであります。さような世界情勢の大きな動き方等、それがすぐ飛行場の問題にどう波及するかということにこれを結びつけるのは私はかつてもここで申し上げたと思いますが、少し私どもは飛躍的な結論であると、こう考えます。世界情勢が今後非常にますます、平和状態になりまして、日本の自衛軍備を整えることにまで影響することを希望はいたしますが、今日はその関連は私はないと、こう判断をいたしております。
  76. 中川以良

    中川以良君 私は先ほど発言の順序につきまして十分了解をしておらなかったので、そこで私は先ほどの発言の続きをしばらくいたしたいと思いますが、先ほどお話した通りに、この問題は単に話し合いを補償で片づけるという問題以外に、根本的に私は政府として解決に努力しなければならぬ大きな問題があると思うのです。それはわが国が今日独立国たる以上はわが国の国力の許す最小の限度内において、また経済の許せる範囲内において当然自衛軍備というものは持つべきものであろうと思います。またしばらくの間はいわゆる安保条約によって米軍の協力を仰ぐということもこれはやむを得ないことである。しかもまた基地を作るにいたしましても、それは米軍のために作るのじゃない。わが国のために、国民のために、祖国の防衛のためにこの基地を作り、今拡充しておるのだ。こういう点を国民各階層にもっと徹底的に政府は周知徹底させるところの努力が足りないのじゃないか。ここにいろいろな誤解が生じてきておるように思うのであります。一部におきましては、今日日本は軍事的にアメリカの属国であるように考えておるものがあって、しかして独立国である日本が自衛軍備は持つ必要はない、絶対反対だ、基地の設置も拡充も絶対すべからずという議論をいたしております。こういう議論はややともすると、誤まり伝えられると、これが排米運動の一つのほこ先になり、また共産党その他容共的の人々の宣伝の具に供せられるということでもって何も知らない国民大衆が誤まっておるという点が私はあると思います。こういう点につきまして、政府はいかなる方針をもって、今日日本の自衛力というものが必要であるという点を国民にお示しになるか。一つ政府の御意図をこの際本委員会を通じて国民各階層に明らかにしていただきたい。これがまさしくこの問題を解決する根本的の問題に私はなると思います。こういう点につきましてどういうお考えであるかを一つお示し願いたいと思います。  それから、先ほど世論が云々とございましたが、この問題につきましては過般の選挙を通じましても、民主党、自由党は同じ考え方をもって国民に訴えております。しかも多数をわれわれが取っておるので、世論はまさしくわれわれの正しい祖国愛の観念に対しまして支持をしておるものと私は信じます。こういう点から申しましても、今日、重光さんが先般来非常に御苦心になりまして、アメリカにお渡りになって従来の片務的の条約を双務的の条約に変えるようという御熱意をお示しになった。これはわれわれも非常に多とするところであります。しかしながらそれをおやりになる前に、国内における国民各階層にこれらの観念が十分に徹底し、協力を仰ぐ努力こぞもっと早く、もっと力強くおやりになるべきじゃないか、かように私は考えるのであります。こういう意味においてもう一点私が伺いたいのは、ただいま自由党、民主党一つになって一つこの際進歩的の国民各階層を基盤とする国民政党を作らんとしております。こういう問題も私は一刻も早くこれを結成しなければ、ここにやはり政治の貧困があり、いろいろな欠陥が出て参ると思います。こういう問題についても、今日三人の閣僚がおいでになりますが、いかにこれに対する考えをお持ちか、こういう点もこの際にお示しを願いたいのであります。
  77. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ただいまの御質疑に対しては私から簡単にお答え申し上げます。まず国防の問題については、これは独立国として国防はゆるがせにできぬことは当然のことであると思います。そこでわれわれは自衛軍備をこしらえて独立を完成したい、こういう見地に立っております。しかしその軍隊はむろんどこまでも拡張すべき軍隊であってはならないのであります。これは自衛の目的に局限されるべきものである、こう考えておるのであります。さような国防力を持たない国は十分なる独立国でないといって差しつかえないのでありますから、今日の日本状態はその国防を完成する、すなわち独立を完成する途上にあるものだと考えます。従いまして、そのことについて十分に国民的理解を求めるということが先決問題であるというようなお話は私は非常に御賛成を申し上げる次第でございます。これはどうしてもそうしていただかなければならぬと思います。  それからまた次に今日国防について自由党、民主党が議会に多数をとっておるから国民の世論はこれに反映されておるのだと、こう言われますことは、私はそれは議会政治の常道をお話しになったのでありますので、ごもっともな点がございます。しかしながら、私はただそれだけでもって満足はいたしません。その以外においても国民的にすべて了解を求めるように努力をすべきだと考えます。その意味においてまた御発言があったと、こう思います。  なお、保守合同というような政党関係の問題についてお話がございました。果してここでそれを私から申し上げるのが適当であるかどうかはわかりませんけれども、私は国防の問題のごとき、また対外関係の重要な問題についてはすべて国民的背景がなければ国の政策として十分に行われないと、こういう意見を持って  これは持論と申しても差しつかえないのであります。私はそうでありますから、外交問題のごときは努めて超党派的に考えて、そうして各党の御理解をも得て進みたいと、こう考えておるのでございます。その意味において、政治及び外交の背景がしっかりしたところになければ、これは十分に外交政策を運営することができないのでありますから、その点においても御趣旨には私は御同感の意を表する、こう考えている次第であります。
  78. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は先ほどの各会派の代表の打ち合せを次のように了解いたしております。  それは、本日は一般的な質問に入ることをやめて、質問の前提としての大臣、長官等の御説明に納得のいかない点があった場合に、前提を明確にするためのその限度における質問をする、こういうことで一般の質問に入ることはやめるということの申し合せであったと了解いたしております。従って、今までの状況を見ますというと、そのわれわれの申し合せの限界を逸脱して一般的な直間に入ってしまったように思うのですが、先ほどの申し合せが尊重されるような線でこの会の取り運びを希望いたします。
  79. 田畑金光

    ○田畑金光君 ただいまの野本委員発言の趣旨もよく考慮しまして、私は逸脱しないように質問を二、三試みたいと思います。  まず第一に、重光外務大臣にお尋ねしたいことは、先ほど来のお話を承わっておりますると、基地の拡張については条約上の義務であり、わが国の国防上の要請からやらなければならない、こういうお話であります。わが国の国防上の要請から基地拡張をやられるといたしますならば、当然国際、国内的な諸情勢というものも十分考慮されなければならぬ問題だと思います。国際的な情勢については先ほど吉田君からも指摘されましたが、また重光さんが日米会議を通じ、共同声明の中にも部分的に認められておりますように、今世界情勢戦争の急迫した危険から遠のきつつあるということは、日米両国の首脳の間において認められているわけであります。同時にまた日本国防上の必要性という観点から考えまするならば、当然国民感情あるいは国民生活あるいは今日の国民の世論の批判というものを、十分私は聞くべきであると考えます。今軍事基地が全国には陸上に六百五十七カ所あって、十三万七千町歩にわたっている、こういうことを言われておりまするが、一体日本の今日の国民の生活の実態から申しましたときに、あるいは日本の置かれている立場というものから見ましたときに、さらにこれ以上の基地を拡張するということは、日本国防上の立場からそれは考えておられるのか、こういう問題です。今日の基地の問題は、あるいは裁判権の問題、あるいは課税の問題、こういう点から見ますならば、ある意味においてはアメリカの領土の延長と見られないでもない、こういうことを考えたとき、日本国防上の必要からということを先ほど来言われておりますが、独自の立場で一体基地問題を検討されたことがあるのかどうかということを、私はまず承わっておきたいと思います。今日アメリカ飛行基地のために民族同士が血を流す、これが一体日本の独自の立場に立つ国防上の必要であるかどうか。私は先ほど質問いたしましたが、重光外務大臣アメリカに渡って、この問題について、行政協定あるいは安保条約に伴うこの基地をめぐる今日の複雑な問題、国民の感情的な問題等について、アメリカ側と話し合いをなされたことがあるかどうか、この際明確に承わっておきたいと思います。  第二にお尋ねしておきたいことは、現在問題となっておりまする飛行場の基地拡張の問題は、防衛分担金削減交渉の際に交換された約束であることは明らかであります。この約束が先ほどの調達庁長官の話によりますと、あたかも日本独自の判断で、アメリカ側にイエスでもノーでも回答できるような印象を与えているわけであります。今日までの政府のとってきた態度を見ますると、われわれは全くそのような考え方や答弁に対しましては納得がいかないわけであります。先般木更津の飛行場と小牧の飛行場も見て参りましたが、いずれも調査が終っております。ただこちらの地区の調査というものは、要するに調査だけが当面政府のやることであって、これを買収するとか貰い上げるとかというような問題は、まだ政府としても何ら考慮を払っていない、一つ調査だけ協力してくれ、こういう話でわれわれ調査には協力したけれども、もし万一賢い上げをするとか、こういうことになってくるならば、現在見られるような立川の問題以上にわれわれが立ち上るであろう、こういうような話がかわされておるわけであります。そういたしますと、すでに十六日日米合同委員会においては、小牧の飛行場、あるいは立川の飛行場についての話が進められておる、この二つの問題が片づくならば、当然その他にも波及するわけでありますが、政府に明確に承わっておきたいことは、防衛分担金交渉の折、約束された十幾つかの飛行場については、年内に是が非でもこれをやり遂げようとする意思であるのかどうか、また今後も立川や大高根に見られたようなああいう力によってどこまでもやって行こうとする腹であるのかどうか、この辺を明確に承わっておきたいと思います。
  80. 福島愼太郎

    説明員福島愼太郎君) 木更津、小牧の問題につきまして、また合同委員会の手続の問題についての点がございましたので御答弁申し上げます。木更津、小牧の点については調査が終っただけで、まだ買い上げの交渉はしてないではないかというお話、その通りであります。ただ木更津の点につきましては一応の調査は終りましたけれども、あそこの被害を少くするために滑走路の位置を基本的に取りかえたらどうかという問題があるわけであります。それの研究に手間がとっておりまして、まだ結論に到達しておりません。従いましてこの結論が出ましてから、それではいずれを採用するかどうかということの決定になりまして、それから土地提供の交渉に移るわけでありますので、土地提供の交渉が行われておらないわけでありまして、小牧につきましてはこれまたこれにつきましては調査は完了したのでありますが、その間大山川と申します北の端を流れておる川の問題で技術的にこれの答案が出るか出ないかという問題がありましたので、それを待っておった次第でありまして、これがその川をふさぐということが技術的にできないということになりますれば、滑走路の延長はできないということになるわけであります。ごく最近になりましてアメリカ側の設計、さらに日本の建設省の意見、県側の意見、その他の意見がまとまりまして、設計可能であるということになりましたので、小牧につきましては拡張可能という結論が出ましたので、土地提供の交渉に移ることになるわけであります。そのために閣議の決定を必要とする、こういう段階に立ち至ったわけであります。木更津につきましては研究の結果が出て来るまで、土地提供の交渉はまだいたしかねるわけであります。横田につきましては地元の同意はある程度とりつけておりますけれども、これまた区域を縮小してほしいという地元の希望がございますので、その縮小が可能であるかどうかという点、アメリカ側とも目下折衝中でありまして、これの結論により計画が完了いたしましてから土地提供の話になるわけであります。立川につきましては先ほどもちょっと申し上げましたが、アメリカ側の希望もわれわれといたしましては日本側の主張によって半分以下に切り下げさせましたが、この程度で拡張すべきものという結論に達したわけであります。なお、合同委員会関係の御指摘がございましたが、合同委員会はこれはあくまで協議機関でございますので、合同委員会としては小牧と立川について今まで申し上げましたように、ある程度の結論が出ましたので、閣議の決定があれば、アメリカ側に対して約束ができるという意味協議が行われたわけであります。明日中にでも閣議決定を、願いましてこれによってアメリカ側との間に約束をしようと考えておる次第であります。
  81. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私に御質問の点をお答えいたします。私の渡米の際に基地問題を交渉したかどうかというお話が第一の御質問であったと思います。私の渡米目的報告におきましても十分御説明をいたしました通りに、具体的の問題を交渉に行くんじゃないのだ、一般的の了解を得るために行くんだという大あらましのことを申し上げておきました。しかしながらむろんあらましの対策の了解ということから、具体的の交渉がいろいろ生れるのであります。生れるのでありますから、具体的の交渉の地ならしをするとでも言いますか、さような目的を持っておったのでございます。基地問題につきましても、むろん面にありました。午前中の席でこの基地問題を渡米のときに交渉すると言ったじゃないか、というお話がございました。私は少しそれは私が記憶にないことでございますから、議事録をとって、速記録をとって調べてみましたところが、そういうお約束はないようでございます。しかしながら、そうだからといってこういう問題について私が決して努力しないと申したわけでは少しもございません。そこで今回の国防の問題につきましても米国との間にはいろいろ話し合いをして、そういうことはすべて今後互譲妥協という考え方でもってしつつ協力して行こう、話し合いに乗って行こうと、こういうことを言っておるわけでございますから個々の基地問題についても十分に話し合いはでき得ることと存じます。また必要な話し合いはやらなければならぬ。条約上の関係についてお話があったようでございますが、行政協定のこれは明文に、さような安保条約の義務を果すために必要な地区は提供すると、こういうことがあるのでございます。しかしどこにどこの地区をどうやって提供するかということは、これは日米の合同委員会その他において詳細話し合って決定をしなければならぬ、その決定は今調達庁長官説明通りに今進行中であるのであります。そうでありますから、さようなことによって日米関係はでき得るだけ妥協のできるように、協力のできるように進めて行くことがいいことだと私は考えております。飛行基地の問題でも必ずしも米国要求、米軍側の要求することをそのまま受け入れておるわけじゃないということは調達庁長官からるる御説明申し上げた通りであります。  第二の御質問防衛分担金交渉のときにこの基地問題が一緒に関連して決定をしたのではないかという御質問でございましたが、それはそうではございません。その点についてはこれも調達庁長官の述べられたように、二年来の米側の要請について政府は自主的にこれを決定をいたして参ったのでございます。ただこの予算がこれに伴うのでございますから、そこで防衛分担金の問題なんぞもこれが関連をして話に出たのでございます。基地の整備は防衛分担金交渉とは別途に、その以前から続いて、行われておったことを御答弁を申し上げます。
  82. 宮田重文

    理事宮田重文君) ちょっと堀さんに申し上げますが、先ほど来御質問の要旨もだいぶ先刻の申し合せ以外のところにまで、どこに限界を持つかということはむずかしいことでございますが、少し過ぎておるような面もあると思いますので、どうぞ先ほどのお約束のような線に沿うて、きわめて時間もだいぶ経過しておりますので、一つ要点をしぼって御質問いただきたいと、かように相済みませんが申し上げます。
  83. 堀眞琴

    堀眞琴君 ただいま委員長お話もあり、先ほど来の打ち合せのときのこともありまするが、私はできるだけ根本的な、いわば明日の質問の前提になるような一、二の問題についてお伺いしたいと思いますしただ一つその前に、先ほどの午前中のこの委員会におきまして、西田国務大臣答弁されたことに関じましてお尋ねしたいと思うのです。先ほど西田国務大臣は今度の飛行機の基地拡張の問題については調達庁長官が閣議に提案をし、自分にはその権限がないのだと、こういう御発言があったのであります。ところが内閣法の第四条によりまするというと、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣提出して、」云々、こういうことになっているのでありまして、提案する権限を持っているのは国務大臣のみであると私は考えるのでありますが、この点についてまず西田国務大臣の御答弁をお願いしたいと思います。これが一つであります。  それから第二に、安保条約並びに行政協定に関連する問題でありますが、先ほど外務大臣からも、それからまた蘭島長官からも御説明があったのでありますが、日本が共同防衛の上からアメリカに負うている義務は、これは総括的な義務ではない。向う側が特定の地域について軍事基地を設定する、あるいは拡張するというようなことが向う側で決定した場合に、その場合でもこちら側は合同委員会においてそれらの問題を審議検討して、そうして日本側の態度は終局的には閣議においてきまるものだ、これは福島長官も若干それに触れられておったようでありますが、その点をここではっきりさしていただきたいと思うのです。それが第二の問題であります。  第三の問題は世論との関係であります。先ほど外務大臣は軍事基地の設定なり、拡張なりについては、あくまでも世論を尊重し、国民の納得のいくような方法においてこれを努力しているのだ、こういう御答弁があったように承わりました。確かに努力されているのかもしれませんが、現実の問題としては私は少しも努力しておられないのじゃないか、先ほど福島長官から八月末から九月の初めに至るまでの間の経過についての御報告がありました。西田国務大臣からも同様に八月の末から九月の初めにかけての御説明がありました。しかしこう申してははなはだ失礼でありますが、西田国務大臣は一度も現地に行かれていないのじゃないかと思うのです。稿島長官は二十六、二十七日には向うへ行かれたようでありますが、しかし事前によく話し合うという努力を私はそれほどなされていないと思います。いわんや総理大臣である鳩山さんに至りましては、公式の会見を求めた町民たちに対してにべもなくこれを断わって、非公式にごく僅かの二、三人の人だけに、しかもそれも非常に短い時間だけ会われるというような態度をとっていられる。どうして地元民の納得とかあるいは世論の上に立って基地拡張の問題を解決するのだ、こういうことが言われるかということが、私どもにはどうも納得いかない。従ってその問題についてもう一度御説明を願いたい。  それから最後に世界情勢とこの軍事基地の拡張の問題であります。これは吉田君の質問に対しまして、外務大臣はちょっと最近の世界情勢と基地拡張の問題とを結びつけるのは飛躍的ではないか、こういう御答弁がありました。あなたの共同声明の中にも若干世界情勢については触れられております。あなたも今日の情勢が平和への方向をとろうとしている、あるいはとりつつあるということはお認めになっておると思うし、それからまたジュネーヴ会談の精神に基いて軍縮小委員会がすでに発足して討議が行われつつある段階であります。こういう情勢のもとで果して日本の軍事基地を拡張する、特に一番問題となっているような立川とか、あるいは伊丹であるとかというような都市に近接した地域においてこれを拡張するというようなことは私は非常に逆コースの方向をとっているのではないかということが懸念されるわけであります。この世界情勢等を十分に見きわめられるなら、そして、ことに最近御承知のようにアデナウアー西独首相はソビエトに招かれました。御承知のような結論を得てドイツに帰って来られた。西ヨーロッパ諸国がこれに対して非常な好感を寄せているということも新聞等で伝えられている状況であり、この状況においてあなたはどうして飛躍的だということが言えるかどうか、その点について御意見を明らかにしていただきたい、以上であります。
  84. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 私に対する御質問は一番先だけでございますので申し上げます。堀さんの言われていますことは、一般的な問題についての閣議における発言権が国務大臣にありますことは申すまでもございません。しかしながら御承知のように調達庁総理府の外局でございます。担当大臣ということ自体はよくわからないのですが、調達庁長官総理大臣との間ですべてのことは処理されるというのが法律上の規定でございますし、今までのそれが慣例にもなっております。閣議に出ます場合には、私の決裁を受けないまま調達庁長官内閣総理大臣に対する申請によって内閣総理大臣が閣議にこれをかける、こういう法律的なと申しますか、手続的な順序を経てやることになっております。私はこれに対して意見国務大臣として調達庁長官に対して申すことはこれはできますけれども、私が意見を申し述べましても、調達庁長官はこれを聞かねばならないといういわゆる行政府長官としての権限は私には法律的にございませんので、そういう意味合いを午前中の委員会では御答弁したわけでございます。(「おかしいな」と呼ぶ者あり)
  85. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 世論を重んじ、国民の了解を得るように努めるとお前は言ったけれども一向そうやっておらぬじゃないかというお話でございますが、これは多分に私は意見の相違ということになりはしないかと思います。実は政府としてはほんとうに了解を得るために調達庁を中心として非常に努力をいたしているのでございます。今御指摘のいろいろな点がございますが、これを一々弁解を申し上げることもいかがかと思います、また御指摘を受けることはこれは私は歓迎しなければならないと思いますが、しかし政府意向が国民の了解を得るという看板とは違うておるということを結論をされるということは私はどうしてもこれをお受けするわけに参りません。一牛懸命にやろうと、そういう方向に向って今後もやろうと、こういうふうに考えておるのでございます。  それから次の社会情勢をお前は見そこなっておるのではないかという結論のようでございます。これは私は社会情勢に対する大きなこれは見方の相違と申しますか、見解の相違と申しますか、私は先ほど吉田さんにお答えしたところを繰り返すのほかはございません。私はこれは報告中にも申し述べました通りに、大戦争はますます遠ざかる見通しを持っている、しかしながらまだ具体的の緊張緩和の交渉妥結を見ておることはほとんどない。今後の外相会議等においてこれは具体的に取り扱われるでございましょう。現に軍縮問題が取り扱われておるのでございますが、これも今日までのところはなはだ希望とは遠ざかっておる状況でございます。それから西ドイツの問題の御指摘がございました。これは国交は回復された。これも非常に歓迎すべきことでございましょう。しかし、それがすぐ世界情勢、特に東亜の問題、飛行場の問題までにもこれが影響が及ぶ問題であるとは私は思いません。また、さように国際関係の一般の傾向がこうあるというので、すぐ実際の外交政策にこれを結びつけて結論づけるということは私は飛躍的観察だと、こう申し上げたわけでございます。
  86. 堀眞琴

    堀眞琴君 西田国務大臣の御等分でありますが、先ほどはあなたは今度の問題については調達庁長官内閣に提案する、こういうことにお話しになって、自分には何らの権限もない。ただいまの御答弁では総理府の外局の長官内閣総理大臣に直結をしている、従って調達庁長官から内閣総理大臣にこれを申し入れ、内閣総理大臣から閣議にかけるのだ、こういう御発言であります。前の御発言とあとの御発言とは違っておる。その点をお認め下さればそれで私は満足であります。  それからもう一つ重光さんにお尋ねしたいのでありますが、安全保障条約は包括的な義務規定を日本側に押しつけたものじゃない。日本は一応共同防衛の責任を負う、そしてもちろん日本は軍事基地は提供するということはしてありますが、特定の地域を向う側が要求した場合に、それを何でもかんでも提供しなければならぬということではなくて、そのためにこそ行政協定によって日米合同委員会が設けられている、従って日本の国民がこれを望まないならば、その地域に対しては日本政府としては拒否することもできるのじゃないか、そのことを明らかにしていただきたいということであった。それについての御答弁がないので重ねて御答弁を願いたい。
  87. 重光葵

    国務大臣重光葵君) その点を御答弁申し上げます。今包括的協定でないという、包括的という言葉を言われましたが、私は実は包括的には義務づけられていると思いますが、これは言葉の使い方の相違じゃないかと思いますけれども、ちょっとよくごらん願うと、行政協定の第一条には「必要な施設及び区域の使用を許すことに同意する。」こうあります。必要な区域の使用を許すことに同意するということは包括的——今一般的同意だと、こう言われましたが、それは一般的で、もしそれが私の言う意味と同じならば全くその通りです。そこで一体どこの区域をどうするかということに対してはこれは細目でございます。その具体的な細目をきめるのには話し合いによってやらなければならぬので、日本が都合の悪いことがあれば都合の悪いことを十分に言うがいいと思います。しかしそれならばどこもここも全部いかんのだということは私は安保条約の精神ではないと思います。だから具体的の問題については日米合同委員会等において十分に検討してきめるということが適当であろう、こう申し上げたわけであります。
  88. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 午前中お答えしたことが言葉が足りないために誤解を受けたと思いますが、ただいまお答えしたのが事実であります。
  89. 宮田重文

    理事宮田重文君) 以上をもちまして、本日の委員会は散会いたしたいと思います。    午後四時五十五分散会