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1955-06-10 第22回国会 参議院 内閣・商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十日(金曜日)    午後二時二十七分開会   —————————————  委員氏名   内閣委員    委員長     新谷寅三郎君    理事      植竹 春彦君    理事      宮田 重文君    理事      木下 源吾君    理事      松原 一彦君            井上 知治君            木村篤太郎君            中川 以良君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            上林 忠次君            高瀬荘太郎君            野本 品吉君            加瀬  完君            千葉  信君            松本治一郎君            田畑 金光君            松浦 清一君            三好 英之君            堀  眞琴君   商工委員    委員長     吉野 信次君    理事      古池 信三君    理事      高橋  衛君    理事      山川 良一君    理事      三輪 貞治君            上原 正吉君            小野 義夫君            深水 六郎君            松平 勇雄君            加藤 正人君            河野 謙三君            豊田 雅孝君            海野 三朗君            栗山 良夫君            藤田  進君            田中  一君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君            石川 清一君   —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     新谷寅三郎君    理事            植竹 春彦君            宮田 重文君            松原 一彦君    委員            井上 知治君            中川 以良君            長島 銀藏君            上林 忠次君            野本 品吉君            千葉  信君   商工委員    委員長     吉野 信次君    理事            高橋  衛君            山川 良一君    委員            上原 正吉君            深水 六郎君            加藤 正人君            海野 三朗君            小松 正雄君            田中  一君            苫米地義三君   国務大臣    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    法制局第二部長 野木 新一君    経済審議庁総務    部長      酒井 俊彦君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済審議庁設置法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査)   —————————————   〔内閣委員長新谷寅三郎委員長席に着く〕
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから内閣商工委員会連合審査会を開会いたします。  経済審議庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府側から経済審議庁長官高碕国務大臣及び酒井総務部長が出席しておられますので、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 吉野信次

    吉野信次君 実は私の方の委員会で六カ年計画ですか、政府政策につきまして説明がありまして、それに関連して経済審議庁設置法の一部を改正する法律案の話がございまして、それでその法案について若干の質問、応答があったわけでございます。それは事内閣委員会所管に関するものですから、実は委員長共同審査をお願いしたわけであります。今日非常にお繰り合せ下さいまして、われわれに対してそういう共同して質問する機会をお与え下さったことに対してまずもって委員会を代表してお礼を申し上げる次第であります。多分ほかの同僚からも質問があると思いますし、またこの委員会でも同じ問題があるいはすでに提起されておって、それをよく存じないものですから重複のきらいがあったらお許しを願いたいと思いますが、実はこの設置法案に対して私のお尋ねしました要領は、主として、こまかいことは別としまして、主として今度の改正法の第十一条の企画庁長官権限に関することなんであります。すなわち今度の何によりますと、企画庁長期経済計画というものの策定推進のためにほかの行政官庁に対して勧告をするとか、何かとにかくある程度の、指示と言っちゃ語弊があるかもしらんけれども、そういうようなことをする建前になっておる。これは行政法理論上にも若干私は考究を要する問題があろうと思いますけれども、調べてみますと、前の安定本部設置法ども、何かほかの行政庁に対して命令することができるというような規定もあるようであります。私の申しますのは、とにかく内閣という制度を持っておりますから、内閣制度でもって総理大臣というものは憲法によってそれを統合して指揮監督する建前になっておりますから、内閣というものをこれを一つ有機体にたとえれば、内閣下にある行政官庁というものは身体の部分なんでして、それで右のたとえば手の今度の企画庁が、左の手に勧告するもしないもないので、たとえて言えば同じ有機体ですから内輪でやればいいのであって、それを特にこういったような勧告をするとはどういうことか、ことに法律的に言うならば勧告をするというこの規定によって勧告を受けた関係行政官庁の長はこれに従う私は法律上の義務があると思うのです。これは道義上の義務じゃないのですよ。法律上の義務なんです。罰則があるのかないのかというのは末の話で、勧告に従わないときにこれは罰則がないから法律上の義務でないということはこれは私が言うまでもないことです。多くの行政法においていろいろ規定しておりますけれども罰則のないものはたくさんある。いわゆる学者の言うレックス・インペルフェクタですか、不完全法、これはその一つであろうと思う。ですからこれはどうしても法律上の義務企画庁長官がほかの行政庁同僚といいますか、同じランクにある行政庁勧告という義務を、法律上の義務を負わせるということが行政法の体系から見てどうか、こうかということは疑いもあるわけですが、まあその点はこれについてもまあいろいろ立法にも前にあったわけですが、どういうふうに今日の行政法はなっているか、それについてもし行政法上の研究の結果があればこれはこの間私は委員会のときにも、これは長官に聞くよりもつまり事務の方でよく行政法理論研究してもらいたいということをお願いしておきましたが、その方のもし研究の結果があれば伺いたいと思いますが、のみならず、かりにそれが今日の行政法が差しつかえないということになりましても、ともかく長期経済計画というものはこれは重要な国策なんです。重要な、非常な重要な国策ですから、どうしてもこれをやるには閣議でもってこれは一体きめるべき性質のものであろうと思うのです。ですからそういう閣議というもので、総理大臣がちゃんときめる性質の問題でありますから、それの推進ということについても各関係行政庁の長は共同責任を負うべき性質のものであると思う。今さら企画庁長官からこうやれ、ああやれといって勧告を受けたり何かする私は筋合いのものじゃないと思うのです。それはもしそれを聞かないというのなら閣議でそれをきめるときに政治的に問題が派生するのであって、それをことさらにこういう規定を置くということはこれは法律論と離れて、行政上の措置としてもどうかと、こういう疑いを持っているものですから、その点に関して、もし御答弁があれば一つお聞かせを願いたいと思う。これはこまかいことですから、必ずしも長官をわずらわす必要もないので、長官がお述べ下さってもけっこうですけれども、こまかいことは事務の方でもけっこうだと思います。ただ私はこれからのこともありますから、これからはっきり法理というものもただして、またいろいろなことでやった方がいいと、こういう意味でいろいろお伺いしたいと思います。
  4. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この法理上の問題でありますと、総務部長からお答えいたしますが、大体精神だけ簡単に申し上げますというと、経済企画庁の今度やります六カ年計画は、どうしてもこれは日本経済計画性を持たす、こういうために絶対に必要だ、こういう点からこれは非常に力を注いでやりたいと思いますが、一月に閣議決定いたしました六年計画というものは、ほんとうに短かい期間にほとんど頭だけででっち上げて、そうしてアメリカのコルムの方式を持ってきて、この目安をつけるということをやったわけでありますが、これは必ずしも完璧なるものでない、どうしてもこれを完璧なものに仕上げるには、現状なり過去なりすべての数字をよく拾い上げて積み立て式にやっていって、それと、それから先の目安との間の調整をとっていこうということが一番大事であるだろう、こういうふうな感じがいたしまして、これに今後全力を注いで進んで行きたい、こういうふうな観念でございます。つきましては、従前も各省との間の関係は必ずしも円滑でないとかいうわけでなくて、スムーズに進んでおります。スムーズに進んでおりますが、それをやるについては資料もこしらえる、また場合によっては大体の計画が出れば、その計画を実行する上において各官庁長官勧告ができるというふうにしておいたらどうか、こういう常識上の考え方からやったわけでありますが、この法律上の解釈につきましては総務部長から御説明いたします。
  5. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) お尋ねのありました点でございますが、お話のございましたように長期経済計画が非常に影響が重大でございますから、法律上これを閣議決定しなければならぬというものではございませんけれども、事実上やはり閣議決定をとりまして、そうしてその実施円滑化をはかる必要があるかと思っております。またこの場合に、しからば閣議決定をいたしましたものでありますから、何もしいて勧告権というような、あるいは資料要求というようなことを法律に書かなくてもいいではないかというお説もごもっともでございますが、ただ私どもといたしましては資料要求、あるいは説明要求等権限が付加せられましたことによりまして、従来は単に各省の方から連絡がありました事項につきましてだけ総合調整をする、こういう消極的な総合調整をいたしておりましたのですが、今度は六カ年計画を強力に推進をして参るというような観点から、積極的にどうなるであろうかというような点につきまして総合調整に積極的に乗り出せるというような意味からこの規定を置いておるわけであります。  それから、また勧告権でございまするが、これはお話のように純法律的に見まするならば、関係行政機関の長が企画庁長官勧告、これは資料要求の場合も同様であります。これに従わなかったという場合に、もちろん純法律的に見まして罰則があるわけでもございませんし、またその行為が有効であるか、無効であるかというようなことで責任大臣行為を拘束するという意味での法律的な拘束力はないかと思います。しかしながら関係行政機関の長はもちろん法律に従って行政を行う義務がございますので、経済企画庁設置法資料要求権、あるいは勧告権規定いたされますならば、当然に関係行政機関の長はこれを尊重する義務がある。ただ単に事実行為として資料要求を依頼する、あるいは意見を述べるということと多少違うと思います。ただその場合にお話のように内閣制度といいますか、内閣法趣旨からいたしまして、かって安定本部が持っておりましたような指示権というような強いものではなくて、各行政機関の長と同格という意味におきまして勧告するということを考えておるわけでございます。なお、勧告しても総合調整が不可能だという場合には、閣議で最終的な調整が行われるということになろうと思いますが、この勧告権が認められますことによってその閣議に持って参ります前に従来よりも経済審議庁長官総合調整段階において、総合調整がむしろやりやすくなるのじゃなかろうかと、こういうような意味でこの規定をしたわけでございます。なお、私の説明でもなかなか足らんと思いますが、それらの法律的な詳しい説明はできましたら法制局の方から先生方お聞き下さるようにお願いいたしたいと思います。
  6. 吉野信次

    吉野信次君 今のお話はよくわかるのです。その気持はわかるが、端的に法制局の方でもいいのですが、勧告に従うことは法律上の義務ですか、道義上の義務ですか、それだけ簡単にお願いします。私は法律上の義務だと、こう見ておるのですが……。罰則あるなしということは関係ない。罰則がないということは……。
  7. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 法制局の人を今呼んでおりますから……。
  8. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) あと法制局の方からお話があるかと思いますが、私なりの解釈といたしましては法律に書いてございますので、各行政機関の長は法律に従って行政を行うという義務がありますから、その意味においては、拘束力があるかないかの問題は別としてそういうものじゃないかと思います。
  9. 吉野信次

    吉野信次君 ですから法律上の義務でしょう、拘束力とか何とかいうやつは、そういう従わないときはどうするかということは制裁の問題なのです。制裁のない法律はたくさんあるのです。いわゆる不完全法であります。むしろ立法傾向から言えば、不完全法というのはだんだんふえていく傾向にあるのですからそれは問わないのです。単にこういうふうに書けば法律的に制裁はないかもしらんけれども法律的に各関係行政機関の長は拘束されると、こう私は解釈するのだが、それでよろしいかと、こういうことです。
  10. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいまの拘束されるという意味につきましては私どもは拘束するかどうかという点はよくわかりませんが、少くとも各省大臣と申しますか、関係行政機関の長は法律を尊重する義務がございますから、従ってこの法律に基いて勧告を尊重する義務がある、そういうふうに思います。
  11. 吉野信次

    吉野信次君 そういうことは、すなわち法律上の義務だと、こういうことですか。道義上と、政治上の義務とは少くとも区別されることはお認めになっていますか。
  12. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) そこは私自身の解釈では、道義上の義務とは区別して考えるべきではなかろうかと考えております。
  13. 吉野信次

    吉野信次君 安定本部の場合はアメリカ占領中でよく知りませんが、よく知らないことを申してはなはだなんですがお許し願いたいと思いますが、これは占領軍当時のことであって、要するにアメリカ法制を知っておる人が編んだものであろう。アメリカ法制は、御承知のように制度上は内閣制度というものはないと私は承知しているのです。それですからアメリカ流考えれば、やはりああいう安定本部というものを設けた場合に、行政の長に対して命令をするということはあり得るだろうと思います。ただ、日本の場合には内閣制度で一体のものだから長官の言う意味はよくわかるのです。わかるけれども、それは事実行為であって、極端な言葉を言えば私が日比谷を散歩する、こういう事実行為のようなものを法律に書いてみても法律にはならない。私は法律上の意義というものはないのじゃないか、こういうふうに極端に、わかりいいように極端なことを申し上げれば、それは今の長官お話のように、これをほんとうに強力にやるのだから、それにはどうしても各関係行政庁の絶対の協力が必要なのだ、それだからもう君やってくれよという話だけじゃ工合が悪いから何か大いにやってもらいたい、その気持はよくわかるのです。それは制度上から言えばこれは総理大臣がちゃんとおられるのであって、総理大臣がもしきかれなければ総理大臣がこの政策として各行政機関の長に対してやればいいのであって、それを特に法律事項としてここに掲ぐるということは私はどうかと思う、こういう疑いなのです。それじゃもっと端的に申しましょうか。各行政機関と、こう書いてありますから、大蔵大臣というものはこれに含まれますか、すなわち予算がとれない、そのときに企画長官大蔵大臣に対して予算を出せという勧告までなし得るとこの規定で読まなきゃならんですか。そこまでのことをお考えになってのことなのですか。
  14. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいまのお尋ね予算の件でございますが、これは六カ年計画を遂行して参りまする関係上、予算というものは当然六カ年計画に非常な大きな関係を持つわけです。これの編成の大きな方法と申しますか、大綱と申しますか、そういう点については十分私ども意見を申し上げたいと思っております。ただ個々のこまかい事項についての査定に関して経済審議庁勧告をするというようなことまでは考えておりません。
  15. 吉野信次

    吉野信次君 私の言うのは、十一条の三項の読み方です。勧告権と、こう書いてあるが、もし勧告するときに、大蔵省が予算をきかなきゃならない、しかしそれは閣議でやるべき問題じゃないかと思うのです。それをこういう条項をかりに論議すれば、この条項に当てはまるか当てはまらんかと、こう聞くのです。予算というものは大事なものだから、それには当てはまらんのだというならば、いわゆる勧告権範囲というものはおのずから限度があるということになる。重要なことは閣議できめるのだから、さまで重要でないことは行政庁がやるということに解釈することになったら、何のためにこれをやったかという長官のせっかくの立法の御趣旨が通らないだろうと、こういう疑問なのです。そういうかたがた疑問がございますので、この設置法規定というものはやはりもう少し法律的にも、またさっき申しました政治的と申しますか、行政の慣例上の、ことに総理大臣というもののなにから見てもお考えになる余地があるのじゃないかと、こういう意味で実は先般来御質問を申し上げておる次第であります。
  16. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいま重ねて予算のことについてお尋ねがございました。もちろん長期経済計画に関する重要な政策及び計画につきましては先ほど来申し上げますように、関係行政機関の長に対して勧告し得るということになっておりますので、財政金融大蔵大臣所管政策及び計画につきましても当然必要があれば勧告することになっております。で、もちろん予算編成権限大蔵大臣自体にありますし、予算自体閣議決定になるということでございますが、その編成方針につきまして経済企画庁長官総合調整と申しますか、大綱的な方針につきましては勧告はできると考えております。もちろん予算は先ほど申し上げましたように、閣議決定になるものでございますから、最終的にはそこできめるものでございますが、事前にそういう総合調整ができるかと思っております。
  17. 吉野信次

    吉野信次君 今申し上げておるように、私の不安とするところの答えにぴんと実は来ないのですが、制度上こういうことを認めますと、かえって私は内閣制度運用というところから見ても、それから政治的にどうかということは疑いを持っておるのです。初めにちゃんと閣議というもので重要な国策というものはきめてあるのですから、そしてそれに対しては関係行政機関の最たるものはみな共同責任を持つべきものであって、ただ一人今度できる経済企画庁長官だけが持つものじゃ私はないと思います。ですから内閣制度があってのほかに、各関係行政機関の長に対して罰則はありません、制裁はありませんけれども勧告権を持っておる。また別の一つの国の機関というものがあるということは、むしろ私は内閣運用の点においても何か少くとも六カ年計画なり長期経済計画策定ですか、推進について、二頭のヘビというか、総理大臣のもう一つほかに、責任者でないかもしれないが、あるような感じを起して、かえって私は工合が悪い結果になりはせんか、これはただ法律的に考えましてそこで実は御質問申し上げたのですから、これはこれ以上は御質問申し上げても、なかなかそれはそう申しても明確な答えもあるいは得られないかもしれませんけれども一つよくお考えを願いたいと思いますが、それでは法制局の方に。
  18. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 吉野委員長に申し上げますが、やがて法制局の第二部長野木君が出席されるそうです。
  19. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいま委員長からお話がありましたように、法制局から第二部長が参りまして法律的な見解も御説明すると思いますが、ただいまの勧告という段階は、閣議の前段階的なものとして私ども考えておるわけでございまして、たとえば、現在の法律におきましても、国土総合開発法でございますとか、あるいは鉱山保安法でございますとか、資源調査会法でございますとか、いろいろ勧告規定の載っておる法律がございます。大体そういうものも参酌いたしまして、まあその程度のものならいけるのじゃなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  20. 吉野信次

    吉野信次君 今、御引用になったのは何じゃないのですか、何とか審議会とかいうものが関係行政機関の長に勧告する、こういうのじゃないのですか。
  21. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 国土総合開発法におきましては、「経済審議庁長官は、総合開発計画実施について調整を行うため必要があると認める場合においては、関係行政機関の長に対し、必要な勧告をすることができる。」これは経済審議庁長官であります。それからたとえば鉱山保安法におきましては、「労働大臣は、鉱山における危害の防止に関し、通商産業大臣勧告することができる。」そういうような先例もやはりございます。そういうものを参酌いたしていたしたのでございます。
  22. 吉野信次

    吉野信次君 今、お引きになったものは、これは非常な特定なことなんですね。お引きになったものはこれは鉱山保安法とか、鉱物の技術的なもの、国土総合開発法でも同様だろうと思うのです。ただ経済長期計画ということは、その内閣にとりましては経済政策のほとんど全部と言うてもいいだろうと思うのですね。そこなんです。私の疑いは。それですから、これはやっぱり内閣全体の責任としてこの推進に当るべき性質のものですから、ただそのことを今度できる企画庁長官だけがそれに対して全責任を負うて、そうしてあとのほかの関係庁には何か、何と言いますかな、対立した機関関係において勧告なり何なりするということはどうかと、こういう点の重ねて私の質問趣旨だけを一つ明らかにしておきたい。
  23. 田中一

    田中一君 今の吉野さんの質問、今、法制局長官来ればわかりますが、私は今のに関連して伺いたいのは、一体勧告して勧告が用いられるかどうかという自信のほどを伺いたいのです。勧告してその勧告を、長官考えている勧告を実際に相手方が取り上げるかということですね、その自信のほどを伺いたいと思うのです。
  24. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまやっております範囲におきましては、この法律を改正して、勧告するとかあるいは資料を提出せしむるというふうなことをしなくても、現状におきましては、よく話し合いをつけてそうして計画を立てる上においては、こういう状況なんだからこういうふうにやってくれないかということは現在でもやっておりますが、そんなにえらいフリクションは起っていないわけでございますが、こういうふうに権力を得てやったらかえってフリクションが起るのではないかと、こういう心配もあるのでありますが、これも運用のいかんによることでありますから、そうして閣議決定する前に、よく材料をもらう、こちらからも意見を言って話をつけていこう、こういうことのためにこの法律によって力を得られる。現在におきましては、これで相当やっていけるという自信を持っております。
  25. 田中一

    田中一君 従来、そういう勧告という条文が入らんでも事実やっていながら、何がために勧告というのを入れるのか。それからもう一つその前に、四条の権限の中にあるように、総合調整をするということをうたっておりますが、総合調整ということをうたっておりながら、現在総合調整ができた実績があるならそれをお示し願いたいと思う。審議庁長官総合調整の案を出したとき、各省行政庁長官がそれに従った実例が一つでもあったかどうか。これはあなたはまだ大臣になられてから短かい期間ですけれども、それでこれは事務当局に伺いますけれども、少くとも審議庁に総合調整した実績があるかどうか、お示し願いたいと思います。
  26. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答えいたしますが、私は、まあごく短期間の問題でございますが、たとえば今度余剰農産物を持って参ります。これに対して二百十四億という金を一応受けた、こういう問題になりますと、現在おのずから各省の主張することはやかましいのでございます。こういうものを現在は審議庁長官が中に入りまして総合調整をやって、これだけは農業方面に使ったらどうか、これだけはこの方面に使ったら、通産方面に使ったらどうかということを審議庁はやっておるわけでございます。
  27. 田中一

    田中一君 小麦の金の配分の問題につきましては、鳩山総理大臣はだれにその事務の扱い方をするように委嘱したのでございますか。通産大臣に委嘱して、通産大臣の持っている権限を審議庁の長官としてそれを総合調整したものですか。あるいは高碕長官に対して鳩山総理大臣が委嘱をして、そうしてあなたがやったのですか、どっちですか。
  28. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は総合の計画をする審議庁といたしましては、当然そういう役割をやるべきものだと私自身は感じまして、私から申し出まして、そういうことをやれ、こういうことでやったわけでございます。
  29. 田中一

    田中一君 むろん自分が所管のやつを自分が配分するのは当然です。これは義務でございます。あなたがやる以外に、ないのです。しかしながら、通産大臣の持っている権限範囲のものを、あるいは建設大臣の持っている権限範囲のものを、あなたが調整するのが各省総合調整の実体なんですよ。あなた自身に与えられている権限を自分で分配するのは、それは総合調整じゃないのですよ。従って私が伺っているのは、よその所管大臣の長官の持つ権限を、でこぼこを総合的に日本長期計画なり、長期経済計画のために使うからといって総合調整した実例があるかどうかを伺っているのです。あなた自身の持っている権限をあなた自身がやるのは当然でございますよ。それを伺っているのじゃないのですよ。よその長官に与えられたる権限を総合的に調整して実際の実効を上げた例があるかどうか、これを伺っている。これは先ほど申し上げたように、短かい期間ですから、事務当局から一つ答え願いたいと思います。
  30. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 適切な例かどうか存じ上げませんが、たとえば只見川の開発問題等を例に取り上げますと、電力設備の使用許可権等につきましては、これは通産大臣が所管しておりまして、水利権の許可等は県が与えて、建設省がそれの相談を受けてそうして決定することになっておりますが、あの問題等は御承知のように、長い間ずいぶんこじれた問題でございますけれども、最後にはそういう各省に分属しております権限を電源開発調整法という法律に基きまして、そうして府県並びに各省の見解を調整して最終的にきめたというふうに考えておりますが、あるいは例が違っているかもしれませんが……。
  31. 田中一

    田中一君 事件が起きまして、その事件を検事が告訴するなら告訴して、そうして裁判官が判決するのは当然なんです。只見のような、ああいう社会問題まで起したのはどこかがしなければならない義務がある、従ってこれは審議庁の長官権限でなくて、事件を収拾するために審議庁に持つてきたということにすぎないのです。私はそういう事件が起きた一種の戦時状態のことを言っているのではない、長期計画を立てるということは平和の問題なんです。それをよその権限をずっと自分もにらみながらそういう事件が起きないように総合調整するのが審議庁長官の役目だと思うのです。また一つの例を申し上げますと、あなた電源開発の問題をおっしゃいましたけれども、佐久間の問題でもそうですよ。どこでもお互いの自分の権限と……それから権限というものは二つにも三つにも分れているものじゃないのです。たとえば河川における水利権というものは建設大臣がこれを認可する権限を持っているのです。その権限を侵して通産大臣が勝手に河川に立ち入って河川をこわす、不許可でやっている事実、これは調整の問題じゃない。総合調整の問題じゃないのですよ。そういうことが起る前に調整するのが審議庁長官の役目だと思う。片方が不法行為をやっている、この調整をだれかがしなければならない。しかし電源開発というものはあなたよく御承知だが、あなたがやったことですから……。これが優先するだのといってあらゆる法規をじゆうりんしてやっている不法行為、これを解決するために審議庁がそれに対してごまかし、ごまかし一つの結論を出したということにすぎません。これは審議庁の機構を改正して何をねらったかわからないのです。従って事件が起きて始末するのは当然なんです。その事件が起る以前にやるのが実際の総合調整だと思う。今の事例というものは納得いたしません。そのほかに、もし今まで過去四年、五年たっておりますから、そのほかに総合調整の実績があるならばお示しを願いたい。
  32. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 私も審議庁に入りましてから日が浅いものでございますから、いろいろ実例を、間違っているかもしれませんが、たとえて申しますと、資金の問題でございますが、日本開発銀行等が産業投融資をやっていくと、その場合に農林省なり、あるいは通産省なりいろいろ希望がある、また一方金融的な立場から大蔵省の希望もある、そういうものにつきまして間に入って審議庁が取りまとめていくということをやっております。それからまたよく、例のあげ方が少くて申しわけございませんが、たとえば運輸省あたりで造船計画をやる、しかしこれは一方資金的な問題で行けるかどうかという問題でございます。そういう場合にある程度審議庁といたしましても中に入って話しをまとめていくお手伝いをするといったような意味で、その他事例はたくさんあると思いますが、相当に総合調整をやった実例はあると存じております。
  33. 田中一

    田中一君 それは、今、お話のやつは全部事件が起きてその収拾策に審議庁が乗り出したにすぎません。一体大蔵省が所管している予算、金というものをどこにどう配分するかは、どこにも審議庁の長官がそれを調整するとはこの法文にないですよ。少くとも財政計画というものは大蔵大臣所管なんです。それをどこにこの場合にはその資金の振り分けの権限はこの法律に審議庁の長官が持っていると書いてありますか、それは事件が起きたその収拾策にすぎません。
  34. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいまのお尋ねでございますが、現在の審議庁設置法の第四条のたとえば十三号をごらんいただきますと、経済に関する基本的な政策及び計画について、関係行政機関事務総合調整を行うというようなことがございまして、それに基いてただいまやっているわけでございます。ただ、今、お話がございましたように、従来のやり方は一応先方から連絡を受けまして、持ち込まれて調整をやるということでございます。それでは六カ年計画をやって行くのに不十分ではなかろうか。従いまして今度積極的にこちらから出て行って、六カ年計画に合うように各省の御趣旨なり政策なり計画をお出しになる場合に、六カ年計画との調整を積極的にやって行きたい、そういう趣旨で十三号を御説明申し上げた次第でございます。
  35. 田中一

    田中一君 四条の十三号のこれは字句が多少違いますが、本質的には何も変っていない。多少字句が違っている。どういう工合にあなたは説明しようとするか、私はこの程度の書き方でもって、実際の事実において各省行政庁長官がはいはいと聞くだけのものは表われておらない。改正する前もあともちっとも変りがない。私の伺っているのは、実際にこういう条文を並べるのはけっこうですが、実際においてほんとうにやれるのかどうかの問題、今伺っても、どれもこれも、みんな事件が起きて、その事件の収拾策にすぎません。そういう点を言っているのです。それから御承知のように、一昨年でしたか、法律を変えまして、公共事業費を大蔵省に持って行ってしまった、ああいうものでもあるならば、これはわかりますよ。これはわかるのです。予算の配分権でも持っているのですから、チェックする権限を持っておりますから、こういう形の総合調整なら納得しますが、何もない、総合調整という文字だけ入れて、これじゃ考えられない。先ほど吉野さんが言ったように罰則はありませんが、建設大臣、通産大臣が拒否した場合にはどうするか、行えないだけなんです。拒否してもそれが経審の長官決定を守るのだというところが一つもない。どこにそういうところまで強制される条文がございますか、そうしてなおかつ長官勧告なんということが、これは法理論的にどうなるかしりませんが、勧告して、それがいけない場合はどうするかというような問題になりますと、これはただどういうためにこの設置法を改正するのか私にはわからないのです。何のために改正するのか。もし、ほんとう長官考えているように、六カ年計画というものをほんとう実施しようとするならば、もっと強力な裏づけがなければならないと思う。
  36. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいまの、勧告の場合に守れなかったらどうするかということでございますが、ただいま申し上げましたように、各行政機関の長が勧告に従っていただけなかった場合には、それは有効無効という法律的な拘束力はございません。従ってその場合には、最終的には閣議においてお話し合いを願ってきめるよりいたし方ないと思いますが、少くとも先ほど申し上げましたように、ただいまは審議庁といたしましては、各省から持ち込まれたことを消極的に総合調整をやっておる。それが今度資料の徴集、説明を求める、あるいは資料をいただくという権限ができますと、積極的にこれはどうなっておるのだろうかということをこちらからお願いをいたしまして、持ち込まれる事前にそういう調整ができる。そうして、なおかつそのときに勧告、これは指示権のような強いものでございません勧告でございます。勧告権というものがございますと、おのずからそこで、閣議お話願う以前に片づくものも相当多かろうではなかろうか、そういうような程度で考えておるのでございます。
  37. 田中一

    田中一君 もし、そうならば、閣議決定でけっこうなんです。閣議長官が発言をして、各省大臣意見調整してけっこうです。あえてそういうものを持たないでも、実効のないものを上げる必要はない。私は何のためにこうしたものを、条文を掲げて行くその目的は何かというのです。われわれはもう審議庁の条文の問題をどうこう言うのではなくて、実態を知りたいのです。たとえば私は国土総合開発委員会委員をしておりますけれども、われわれが総理大臣から諮問を受けて、結果をそのまま報告する、そうしてそれを実行しておらない。各省各省同じようにばらばらに自分の所管の仕事を進めているのです。従って運輸省と建設省が話し合いをするならば、もうここのところにかりに一キロの鉄道の路線を敷けば、もうすっかり全部の交通が完通するというところでも、二年も三年もうっちゃってある。従って総理大臣勧告してもだめなものが、経審長官がやっても、それは通るものじゃないと思うのです。私はこれを批判するのじゃない。もっと強力なものにしていただきたいということな、お願いしているのですよ。長官は相当熱意を持って、経審長官として立っておられるのですから、もっとほんとうにわれわれが納得するような実行力あるものに直していただきたいのです。法理論的に勧告が悪いならば、いいような形を現わしていただきたいということです。こういう点をお願いし、また質問をしているわけなんです。
  38. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問につきましては、私も非常に同感でございまして、特にこの国土総合開発なんかという問題について、私どもこれを見ますというと、非常な矛盾が起っておって、一方で道路はできておった、そうかと思うと一方で半分道路ができないために利用できないとか、各省所管のいかんによって非常な矛盾が起っておるというので、実は今回においてもこれを調節するために、十五億なら十五億という金を別に置いて、審議庁でもこれをもってこれで調整するということをやったらどうかと、こういった案を出してみたのでありますが、いろいろ大蔵省の考えもありまして、それならば、これは別ワクにおいて、審議庁の方の長官がそれについてやろうじゃないか、考慮しようじゃないか、こういうような話し合いをつけた、こういうようなわけでありまして、実際やってみるというと、現在各省間のセクショナリズムと申しまするか、によって、非常な国家的なむだが起っておるということも事実あるわけでありますから、そういう意味におきまして、今後審議庁の長官のやる仕事というものは非常に大きなものであろうと、こう思うのでありますが、私ははなはだこう申しますと失礼でありますが、しろうとだから、よく法律のことはわかりませんが、なるべく一つでも力を持っておいたらいいだろう、今でも別にスムーズにいっておりますけれども、ここに幾らかでも力を持たしてもらったならば、幾らかはいくであろう、そうして話し合いをつけて、運営のいかんによって、これを仕事をやっていこうじゃないか、こういうような考えで今進んでおるわけですが、さらにこのやった結果、もう少し経験を経、仕事についてわかって参りますと、さらに権限を付与されなければ実行できないということであれば、これは付与してもらう方法も講じまするし、あるいはいっそもうこれは審議庁のような仕事は総理大臣の方の直轄にしてしまって、従前の安本のようなものに企画を変える、法律を変えるということも一案かとも存ずるわけなのでございまして、まず一応これで実際の運営をやらしていただきたいと、こういう所存でございます。どうか御賛成願いたいと存じます。
  39. 田中一

    田中一君 こまかい問題はまだ伺いたいところがたくさんありますが、ほかの方にも質問があると思いますから、この一点でやめますけれども、いろいろ機構いじりをなさっても、実態というものは動かないのです。あなたがおっしゃる通りなんです。各省の方の官僚組織というものはがっちりからみ合っておりまして、だれが何といっても、動くものじゃない。あなたがいかなる強い見識を、あるいは政治手腕をもっても動くものじゃない。従ってわれわれはどうしてもそれをこわして、少しでもいいものに持っていこうとするには、法律の改正以外ない、立法以外にないと考えておるのです。従ってあなたは御苦労でしょうけれども、私はこの程度の改正では、あなたがねらっておるものは全然目的は達しません。かえって改悪になります。あなたが一部の官僚に利用される危険が多分にございます。こまかい問題については後ほどまた質問をいたしますから、これだけ自分の意見だけ申し上げておきます。
  40. 海野三朗

    海野三朗君 私がお伺いいたしたいのはこの法案についてでありますが、以前に戦争当時企画院というものがあって、いろいろ各省の上に位しているかのごとく職権を乱用した事実がたくさんある。その企画院の復活としか考えられないのでありますが、その点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、経審長官にお伺いいたします。また昔の企画院を復活せしめ、戦争前のつまり経済計画とか何とかという美名に隠れて、あらゆるものを犠牲に供して、そうしてひたすら軍備に狂奔していくのではないかというところの疑念を抱かしめるものがある。この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  41. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御心配は、私は御無用だと存じておりますことは、私どものやります六カ年計画というものは、どこまでも自由主義の経済ということを根底といたしまして、それでできるだけ経済計画性を持たして、これを相談ずくでやっていこう、こういう話でありまして、できるだけ法の力、つまり規制を加えないでいこう、法の力をもっていかずに、相談ずくでやっていこう、こういうことを主眼といたしております。あるいは戦争中軍がやったような計画経済とか、あるいは統制経済とかいうふうなのとは違っておりますし、また一方社会主義の国家が、国家の力をもってやっております計画経済とは趣きを違えまして、どこまでも個人の創意と工夫というものを生かしつつ、個人の企業に対してよく相談ずくでこれに対する計画の方に同調してもらう、同調させる、こういう方針でございますから、今のような御心配は全然ないと思います。
  42. 海野三朗

    海野三朗君 先ほど他の委員からもいろいろ御質問がございましたが、結局こういうものは屋上屋を架するものであって、こんなことをしなくても、今の経済審議庁として差しつかえないのではないか。ところがこの鉄道なんぞにおいても調整がとれていないということを言われますけれども、それは各省大臣責任であり、セクショナリズムを考えておるからいけないので、それは互いに話し合いでもって相当そういうふうなむだが省けるものだと思うのです。ここに勧告をすることができるとか何とかいうことが入れてありますというと、仕事の上においては各省長官の頭を押えることになる、こういうものを作るということは、内閣があり、つまり総理大臣があって、またこういうものを、まるで副総理大臣みたいな権限を持つ。どうもそういうことは、私は屋上屋を架するものであって、私はその必要はないと考える。それは今日までの不経済なるあり方に対しては各省の下の方の役人どもがセクショナリズムを考えた結果でありましょう。しかしそれはよく連絡をとることによって補い得るものであると考えるのです。この点についてはどうしてもこの勧告をする、そうしてしかもそれに対しては処罰も何もしない、ただ法律上こうだということをおきめになっているのでは、私はこの法案に対してはあまり十分なる意義を考えることができないのでありますが、その点に対して私にどうかはっきり了解のできます御説明をお願いしたいと思うのであります。これが一つ。  それから、これをずっと拝見しておりますというと、たとえば原子力の問題についてもここにちょっと書いてありますが、こういうことは一体私は技術者の立場から考えてみてもどうも了解に苦しむ。ここにどういうふうな機構にして原子力の方なども調整をとっていかれるつもりであるか。単に私はこのお役所がますますこういうところへ、つまり下らないところに力を入れておられるというふうにしか考えられないのでありますが、その辺に対してはっきりした御答弁をお願いしたい。すでに内閣があり、この閣議というものがあって、そうして総理大臣が統率している以上、何もまた大臣の上に大臣を置くというような勧告をし、説明を求めなければならないというような条文を置くということは、屋上屋を架するように考えられるのでありますが、その点に対して明快なる御説明をお願いしたい。
  43. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げますが、勧告は屋上屋を重ねるのではないか、こういうお話でありますが、経済の六カ年計画を立てまする上におきましては、どうしても計画というものは一つの頭で立てていかなければならない。しかし一つの頭で立てますけれども、各方面の意見と事実とをよく持って来て総合的計画を立てる、計画を立てた以上は計画に対してなるべく各省に協力してやってもらわなければ計画は実行に移せないのですから、実行に移す上においては各省に対してその計画をこういう計画になっておるということを申し上げて勧告する、こういうわけなんでありますから、各省に対して屋上屋ということはありません。こういうものは一本の計画を立てる。経済計画性を持たせる上におきましては、それを持っていなければ何にも役をなさぬ、こう思うのであります。  第二の原子力の経済的利用に関する基本的な政策及び計画総合調整ということですが、これは今日原子力は日本のエネルギー資源として最も必要なものになるだろう。今日エネルギー資源を見ますというと、日本では現在電力と石炭と油がエネルギー資源になっておりますが、この三つとも各国に比較いたしますと日本は競争的な立場から申しますれば不利な立場でございまして、そういう点から考えますというと、将来の原子力というものはエネルギー資源としてよほどこれは重要な役割を演ずるものである、こういうことのためには各省別々にいろいろな研究をし、各人別々でいろいろな同じような研究をあっちでもこっちでもやるとか、あるいは同じ設備をあっちこっちで持つということは日本経済力から申しましてこれははなはだつまらぬことである。できるだけそういうものは一本にまとめて、そうして計画を総合的にやる、ここではこうやれ、同じことをまたほかでやらぬようにする、そういうことをやっていくことははなはだ必要である。こう存じまして、総合的に計画を立てるということがこの役割を演ずるために必要であると思います。
  44. 海野三朗

    海野三朗君 私はそれは閣議でも大体方向がきまっておるのではありませんかということを申すわけであります。閣議で大体方向がきまっておるのであるからして、何も通産省なり、あるいは農林省なりがむちゃくちゃに、計画を立てずしてやっておるという省は一つもないでありましょうから、農林省は農林省、通産省は通産省みんな方針を立て、来年、その次はどうしていくという方針を立ててやっておるはずである。それをもう一つこの経済審議庁があって、六カ年計画でもってこれを引きずっていこうということは、どうもそういうことは私はぴんとこないし、原子力の問題がここにありますけれども、原子力なぞはまだほんとうに利用する段階に至っておりません。アメリカでも、原子力発電所が、今、計画はしておりますけれども、まだできていない。日本ではこれを発電に利用するという段になりまするというと、まだ相当時日があるというのが一般学者の定評であります。こういうことも非常に光を越してお考えになっているように思うのでありますが、いかなる省でも無計画にやっているはずはないのである。そこで私はこれを調整するとおっしゃるけれども、その調整内閣でできるはずじゃないかということをお伺いするのです。その点はいかがですか。
  45. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいまのお話のように、各省各省計画をお持ちになっていらっしゃると思います。それからまた六カ年計画というものは閣議決定をして、大体この方針でいこうということをおきめになるということに間違いはございませんが、たまたま各省でおやりになっておられます計画が六カ年計画の目から見て、総合して見ますと多少修正していただかなくちゃいかぬ点もあるのじゃないかというようなことが生じました場合に、これをまあ実際の勧告権を発動しないで総合調整できるなら一番いいわけでありますが、事実問題として今までの経審の性格から言いますと、消極的に、各省から持ち込まれるまで何にもできない、動けないという状態にございましたので、今度は積極的に多少そこはこういうふうに考えていただいたらどうだろうかというようなことで、勧告権を背後に控えて総合調整して参りますと、一々の問題が全部閣議にかからなければ調整できないということでなしに、閣議の前に調整ができていくのではなかろうか、こういうふうなことを考えております。  なお勧告につきましては各省実施実施と申しますか具体的な実施につきましては勧告いたすわけではございませんので、各省がそれぞれお立てになる重要な計画で、六カ年計画関係のありますそういう計画について勧告考えております。実施面についてはそういう勧告権というようなものまでは考えていないわけであります。  第二点の原子力の問題でございますが、これは現に、将来の原子力の問題をどうするかということは、御承知の原子力平和利用準備調査会というもので今研究いたしております。また庶務をわれわれが仰せつかっておりまして、そういう庶務と、それから現に通産省その他におきましても原子力に関係のある一つ行政が行われておりますので、それらも基本的な政策なり計画なりというものの調整というものが若干今日においても出てくるかと思います。なお、原子力の平和利用準備調査会におきまして、これを将来どういう機構に持っていくか、どういうふうな基本法にするかという結論がおそらく出ると思うのでありますが、それがでました際にそれを自主的に立案をしていくというような仕事も近い将来に予想されると思うのでございまして、そういう面でここに特に原子力の経済的利用に関する基本的な政策及び計画総合調整に関すること、という事項をあげました次第でございます。
  46. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、今日まで経済審議庁というのは何をしておられたのですか。各省との連絡を密にしておられたのではないのですか。
  47. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいままでそういう仕事をいたしております。ただ多少のニュアンスの違いでありまして、今までよりはより積極的に一歩踏み込んで、各省がお立てになる計画なりなんなりについて事前に総合調整をしていきたい、計画段階総合調整していきたいという点が一点と、それから一体どうなっているのかということを常に推進する立場から積極的に各省に御説明を願っていく。現在でも事実上できないわけではございませんけれども、何と申しましても現在の審議庁設置法におきましては、消極的に、二つの省以上にまたがるものにつきまして政策なり計画なりにつきまして総合調整をやる。それは事実上多少ニュアンスの問題でありますが、消極的なことで、それを積極的な面に切りかえていく、こういうのが改正の趣旨でございます。
  48. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つお伺いしたいのですが、今日まで経済審議庁がそういうところの調整をやっておられたのではないかということを一つ。それで今度は積極的にやるとあなたはおっしゃるけれども、人員も大して増加していないので、そうすると今日までは比較的のんびりとしていらっしゃったのですか、私はその点を聞きたい。今日まですでに調整がとれておったわけではないか、というのです。
  49. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 今日まで総合調整の仕事はかなりひんぱんにやっておりまして、別にのんびりしておったわけではないのでございますが、今後さらに六カ年計画というものが立てられまして、これを一つの目標にしていろいろな各省政策をこれに集中して、この目標のもとにやっていこうじゃないかということになりますと、従来のような消極的なと申しますか、ニュアンスの問題でありますが、消極的なことでなく、つまり従来は二以上の行政機関にまたがるような仕事におきまして総合調整の要ができたときにやってきたのであります。今後はこういう六カ年計画関係のある各省計画について、六カ年計画との総合調整をさらにそれに加えてやっていこう、従来もやってきたのでありますが、六カ年計画関係する総合調整を加えていこう、そういう趣旨でございます。
  50. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 吉野委員長に申し上げますが、内閣法制局長官及び次長は、ただいま他の会議に出席しているそうであります。急に間に合いませんので、第二部長野木新一君が見えておりますので、よろしかったら野木君に御質問を願いたいと思います。
  51. 吉野信次

    吉野信次君 それでは御説明を願います。
  52. 野木新一

    政府委員野木新一君) 問題は今、非公式にちょっと承わった程度でございますが……。
  53. 吉野信次

    吉野信次君 それでしたら、ちょっと実は私も同じことをまたお尋ねをする勇気はないのでして、この前の商工委員会におきまして一ぺん質問をしまして、これは行政法上の問題でもあるから、よく法律的に、専門的に研究してここで述べてもらいたい、こういうことを言うてあるのですから、そこでこの前の商工委員会における速記録もお調べになり、それからまた私が言ったこともお調べになって、その上で御答弁をいただかないというと、また同じことを内閣委員会で私がしゃべる時間をとることは私は恐縮に存ずるのです。それですから前からのこれはいきさつであって、かんで含めるように私は希望を述べているのですから、多分そのことが、お忙しいから——私は責めるのじゃありませんよ、責めるのじゃありませんが、そういう連絡があって、十分この問題を研究して、御用意になって、そこで御答弁下さるというのならば今日伺いますけれども、もし全く不用意で、新しい問題だというのならば、はなはだ失礼でございますけれども、この前の商工委員会以来の速記録をよくお取り調べになって、準備してお話を伺った方がよくはないかと思いますが……。
  54. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 野木第二部長に伺いますが、前の商工委員会でそういう御要求があったようですが、この点について法制局長官や上司の方とお打ち合せ等はあったのでしょうか。
  55. 野木新一

    政府委員野木新一君) ちょっと、今、選挙制度調査会に行っておりまして、だれもいないからと、ちょっと電話がかかってきまして……。
  56. 吉野信次

    吉野信次君 これは別に皮肉を言うわけでも何でもないのですが、とにかくあれだけ委員会において、他の委員もお聞きになっているのですが、これはいろいろ法律上にも、今は占領軍以来の法令で、乱れている点もあるようだから、行政法上の理論をよく打ち合せて、そうして答弁を願いたいということを言うてあるものですから、それですから、やはりこれはこのことを反対とか何とかいうことを申し上げるのじゃありませんが、事のついででございますから、やはり長官の方で私の質問趣旨を体して、もう少しよく官庁内部のお打ち合せをした上で御答弁を願いたい。そうしてまた御答弁を願う場所については、またよく内閣委員長と相談しまして、たびたび合同審査もおかしければ、私は私の方の委員会でその適当な機会につきましては、政府の準備ができましたら、どういう機会に伺うかということは、内閣委員長とお打ち合せした方がよくはないかと思いますが……。
  57. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) けっこうだと思います。
  58. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 商工委員長からお話のごとく、この前の商工委員会で非常に御懇切なる御質問があったわけなんです。それに対してよく準備をしておかなかったということは、これは私ども……よくそれを取り調べまして、さっそく法制局とも打ち合せまして、御答弁申し上げたいと思います。
  59. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 法制局第二部長に申し上げますが、今吉野商工委員長のお話の通りに私も考えますので、その機会は合同審査をもう一ぺんやりますか、また商工委員会の方を委員外議員で来ていただいて、御一緒にこの問題について聞いていただきますか、何か方法は商工委員長と御相談をして、そういう機会を作りますが、それまでに法制局長官とよくお打ち合せをされて、内閣としての権威のある答弁を願うように御尽力願いたいと思います。  他に御質疑ございませんか。
  60. 高橋衛

    高橋衛君 私はこの法文の字句の解釈を少しお伺いしたいと思うのでございますが、まず第一に現行法におきましても「長期経済計画」という文字が使われている。今回はさらに「長期経済計画策定及び推進」ということで、長期経済計画というものは非常に大きく取り上げられている次第でありますが、たとえば長期経済計画というものは一体どの範囲のものを考えられているか、各部の所管事務総合調整のいろいろな計画が入っているようでありますが、それらのものは全部入るのであるか。たとえば石炭鉱業の合理化というような問題が長期経済計画に入るのか、またはジェット機の生産は入るのか、石油化学工業の計画というものが入るのか、その範囲をどういう程度にお考えになっているか、これを一つ伺いたいと思います。
  61. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 長期経済計画の根本には、この六年というものを基準におきまして、六年後の日本の人口がどうなる、その人口に対して何人の人が働くか、働けない人は何人あるか、その人に十分職業を与えるためには、経済の機構をどのくらいの大きさにしなければならぬか、どのくらいの生産をしなければならぬか、こういうことの数字を出しまして、現在の状態から申し上げますというと、世界的な情勢は今日の状態を保っているということを前提とし、かつ、これからアメリカの特需関係というものはだんだんなくなっちゃう、それで六年後はなくなっちゃうのだと、そういうことにして、輸出入貿易はどの程度にしなければならぬかというふうなことから、大きな数字をまず頭におきまして、それに到着するためには、まず鉱工業生産はどのくらいにするか、農業生産はどうするか、それから輸出入貿易はどうすればいいかというふうな数字を出していくわけなのであります。従いまして今後それに合うためには、今度さらに詳細にこれを分けまして、エネルギーから言えば石炭はどのくらいの生産をすればいいか、あるいは鉄鋼はどのくらいにすればいいかというふうな数字は別々に分けて、これを総合的にやっていくわけなのでありますが、それは詳細に分けますというけれども、さらにこれはいろいろな点からもっとこのかすに時日をもってすれば、たとえば社会保障は、六年計画はどうするか、それから今まだできていないのでございますけれども、第一に私はやってもらいたいと思っておりますことは、国防の計画は六カ年にどうするのか、こういうような点もやってもらおうと思っております。で、各個別々にやはり一つ計画を立てて、それを総合的にやっていって完璧なものを仕上げたいと、こう思っているわけであります。
  62. 高橋衛

    高橋衛君 私のお尋ねいたしました趣旨は、ただいま政府がお立てになっている六カ年計画の内容をお聞きしているのではないのでありまして、この法文に書いてある長期経済計画という法文の解釈上、どの範囲まで含まれるのであるかということについて、お尋ねしている次第であります。
  63. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 今度経済審議庁設置法の一部を改正いたしまして、その第三条の第一号、これは現在「長期経済計画策定」となっておりますのに「及び推進」ということを加えております。これを加えました趣旨は、ただいまお話がありました六カ年計画推進したいという意味で加えているわけであります。ただ、しかしながら長期経済計画というような単に現在の六カ年計画だけかと申しますと、これは従来から経済審議庁に「長期経済計画策定」という字句がございまして、たとえば適切な例かどうかしりませんが、総合エネルギー対策でございますとか、あるいは国土開発に当ってのあらゆる長期的な意味での計画といったようないろいろなことがございまして、そういうものを含んでおります。しかしながら主として今後は経済六カ年計画というものに大体集約されると思いますが、しかし、それのみに限らない、ある程度従来からの長期計画もあるとうふうにお考えいただきたいと思います。
  64. 高橋衛

    高橋衛君 長期経済計画には第一年度として、三十年度、たとえば六カ年計画においては含めていく、従って長期経済計画は、第一年目においてはその年の計画と一致したものであると考えてよろしいのですか。
  65. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 三十年度は六カ年計画の第一年度になっておりますから、長期経済計画の初年度としての方針は織り込んでおります。
  66. 高橋衛

    高橋衛君 そういたしますと、長期経済計画としての第一年度と、三十年度の経済計画というものは完全に一致しておる、こういうような前提のもとにいたしますと、たとえば調整部と計画部の仕事に、それぞれ第九号と第二号でありますか、それぞれこれに関する規定が新らしく追加されたのでありますが、調整部においては「長期経済計画に関する関係行政機関の重要な政策及び計画実施に関する総合調整に関する」ということが入っております。計画部におきましては、「長期経済計画に関する関係行政機関の重要な政策及び計画の立案に関する総合調整」、同じ年度において、一方は立案であり、一方は計画である。こういう点の相違はどういう点から出てくるのでありますか。
  67. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) これは、ただいまの経済審議庁におきましても、計画部と調整部というものの区別につきましては、計画部においては、主として計画の面における調整をいたしまして、むしろ一年度以上にわたる長い計画総合調整に当っております。そして調整部におきましては、その実施段階と申しますと、これは比較的短期的な問題になりますが、その短期的な実施面の総合調整をやっていく。これは現在の長期計画以外の仕事につきましての総合調整、これは主として短かい、何と言いますか、現実の政策調整部でやっておりますが、むしろ六カ年計画におきましても、そういう実施段階における短期的なものは、それらと合せて調整部でやっていった方が便宜ではなかろうか、そういうことで両部に分けて規定したわけであります。
  68. 高橋衛

    高橋衛君 この計画実施ということは、それは実施するそれぞれの関係行政機関が、権限のある行政機関があることでございますので、それの実施についての総合調整、それから計画につきましても、それぞれ関係行政機関が、計画をし実施をするのは、それぞれ権限のある関係行政機関があるわけでありますが、その計画段階実施段階というものは、企画は第一年度においては大体同じじゃないかというように解せられるのでありますが、しかも双方とも長期経済計画ということを表にうたっておるわけでありますが、その間の区分は非常にむずかしいのじゃないかと思いますが、どういうふうに実際問題として区分しておられますか。その辺お聞きしたいと思います。
  69. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 現実の問題といたしますと、現在は当該年度の、当該年度だけに関するいろいろな諸問題実施面、その他政策面におきまして、当該年度に関することは調整部で扱う。それから年度にわたって長期にみていくものは計画部で扱っていく。そういうような区別をしておるわけであります。
  70. 高橋衛

    高橋衛君 実際問題としてそういうふうな区分をしていくのならば、そういうような混乱を避けるために、むしろ調整部においては長期経済計画ということをうたわないで、単に関係行政機関政策及び計画実施に関する総合調整というふうになされ、一方においては長期経済計画のみをつかさどるというふうな表現の仕方が、誤解を招かずにすむように思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
  71. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいまのお話でございますが、長期経済計画、いわゆる六カ年計画に基くいろいろな政策、あるいは実施というものと、そうでなくて日常のいろいろな政策等がございまして、それらの実施面と、両方調整部では扱うことになるのでありますが、その六カ年計画をはっきりさせる意味におきまして、いわゆる六カ年計画に基いて実施される政策なり実施なりというものを特別に規定したほうがいいんじゃなかろうかという考えから、こういうような「長期経済計画に関する」というような字句をここに書き加えたわけでございます。
  72. 高橋衛

    高橋衛君 しからば、この第七条に、第一号から第八号までこれはずっと列挙されているわけでありますが、これは長期経済計画に関する問題ではないと解釈していいのでありますか。
  73. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ここに書いてありますいろいろな事項は、もちろん六カ年計画に重要な関係を持つものが多かろうと思いますが、それ以外のこともここにはある程度含むというふうに考えております。実際上は、現在の七条の各号に書いてありますものが、相当六カ年計画に影響してくると思います。
  74. 苫米地義三

    苫米地義三君 私、一点だけお伺いしますが、先ほど海野委員からお話のあった原子力の条項がここにぽつんと出ている、その「原子力の経済的利用」というようなことは、現在のところでは及びもつかない点なんですが、むしろ今の日本の原子力の範囲では科学技術の研究段階というべきである。しかも科学技術の研究及びそれの助成ということは目下の急務である。長期計画を立てる上においてどうしても必要なものである。その点から考えてみて、この第八条の第五号にある「原子力の経済的利用」ということは、ただ動力源としての原子力だけ考えているようなものですが、ところが原子力というものはそういうものではなくて、もっと応用面の広範なものです。しかもそれが原子動力とともに出てくるものですから、それがまだ科学技術研究範囲に属する、そのために、現在では科学技術研究なんかは、ばらばらになっているが、それの行政総合調整する必要があると思うのですが、この経済企画庁の設置をする際に、科学技術に対しこの総合調整、あるいは行政の総合化というような点が考えられたでしょうかどうでしょうか。その点をお伺いしたい。
  75. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この現在の審議庁においては、科学技術の総合行政のことにつきましては幹事役としてやっているわけなんでありまして、だんだん研究をいたしますると、これは私が近ごろになってどんどん研究をしてみると、どうしてもやはり、今日の日本を救うゆえんは、いかにして科学技術をいかすかということが非常に重要である。これについてはもう一度考えたければならんと思って、各方面の御意見をお聞きいたしまして、いろいろ考えているわけなんでありますが、今日この中に原子力だけをこう取り上げて入れたということにつきましては、これを一応取り入れた佐々木君から御回答いたさせます。
  76. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 今度の設置法に原子力の問題が入っておりますのは、御承知のように、二十九年度の予算に、突然、原子力の実施予算と申しますか、予算がつきまして、その予算を運営化する場合にどういう問題があるだろうかという点で、いろいろ問題の所在、あるいは使い方等々考えました際に、これは問題を二段に考えて処理すべきじゃなかろうかというふうな、時の政府の結論になりまして、一つの方向は、政策的な面をどうして処理するかという面と、それから一つは、実施の、純科学的な、原子炉をどういうふうにするとか、材料をどういうふうにするとかいう、この技術的な面をどうするかという、二段に問題に分けて考えるべきじゃなかろうか。各国とも大体そういうふうになっているようでございましたので、そういうふうに問題を分けまして、そうして内閣には原子力利用準備調査会という最高機関を置きまして、ここで最高政策を定める。事務当局として各省にまたがる問題でもございますので、経済審議庁であずかったらどうだろうということで、事務当局のその任務をあずかったわけでございます。それから実施の面は、御承知のように通産省の方に原子力課がございまして、ここで予算の具体化、補助金の出し方等々きめるわけでございますが、そこでその後、審議庁を企画庁に改正するというこの設置法の改正に際して、然らばその政策的な事務を、今後どういうふうに扱うべきか、審議庁自体が従来通りこれを持ってその任務としていけるかどうかという点に、非常に問題があったわけでございます。ところが、本来の性格でありますれば、ただいま苫米地先生からも御質問のように、科学全般の行政をどうするかといったような問題が迫り、あるいは原子力全般の体制、国内整備、開発の体制問題と申しますか、そういう問題をどうするのか、あるいは管理規定をどうするとか、あるいはこの資源問題をどうするとか、あるいはアイソトープ関係の、非常に各省にまたがっている、全省にまたがったこれは問題でありますが、そういうアイソトープの利用といったような面をどこで統括するかという問題が最終的に結論づきませんと、なかなかどういう機構がよろしいかということは困難でございまして、その機構もまた逆を押しますと、実施面の機構をどうするかということで非常に左右される面が多うございまして、それこれ合せますと、結局は、根本方針と申しますか、原子力の開発に対する根本方針というものがきまりませんと、なかなか機構といってもはっきりした機構というものはできかねるのではなかろうか。で、そうしている間に予算の問題等も進んで参りまして、どうしても今年度の予算、あるいは法律問題としてこれを最終的に片付けるというわけには、もう参らんという次第になりまして、それであるならば、せめて第二陣の措置といたしまして、今まで何らどこで一体責任を持っていたのかわからんのでございまして、そういうふうに問題が客観的にも進んできておる最中でございますから、これはとりあえずの処置といたしましては、新しくできますと申しますか、この経済審議庁の改組する機構の中に、従来通り権限を明確にして、これを存置しておいて、そうして通産省の方にはあわせて原子力課というものを設置いたしまして、そうしてこの両機関でそれぞれ専門的にこの問題を暫定的に扱っていく。そうして、やがて最終的な機構問題、あるいは実施統括機構問題、あるいは実施機構の問題等が、完全に、何と申しますか、法律的な面あるいは現実の実施の機構の面等で明確になって来た際には、そのときにこの問題の全般的なまた改正と申しますか、そういうものが考えられるべきじゃないか、それまではこういう措置で行く方がよかろうじゃないかということで、ごく暫定的な意味考えたものでございます。
  77. 苫米地義三

    苫米地義三君 私は、今お伺いしたのは、第四号に電源開発というのがございます。それに引き続いて第五号に原子力の経済的利用というように書いてありますから、この点から動力源としての原子力だけを考えていると思ったからでありますが、この原子力は御承知のように、今の科学の最高峰をいっておるわけです。従って農業の方面から医学の方面、諸産業の方面にも広範な利用面があるわけで、それだけを研究してもなお不足なんですね。側面から石油化単も発達し、合成化学も発達し、そういうものと一連にレベルが高くなって、初めて産業も興り経済計画も立つと私は思うんです。それでありすから、科学技術の根本的な行政体制を整えなければ、長期経済計画も十分な成果をおさめることはできないと思う。たまたまここに原子力の問題でちょっと現われておりましたから、その点について、この経済企画庁といいますか、あるいは内閣といいますか、どちらにいたしましても、もう少しその点を御研究願いたいという希望を申し上げて、私の質問を終ります。
  78. 海野三朗

    海野三朗君 ただいま苫米地委員からの御質問に対しまして、私がもう少し先をお伺いしたいと思うのです。この政府の原子力の話は、原子力庁というような、つまり行政官庁に重きを置いてやっておるけれども、この原子力はまだ実際は工業方面に利用する段階までは至っていないのであります。で、この原子力については、むしろ極力、学術会議などの学者の意見を尊重して、官僚のいわゆる独善と申しますか、あるいは財界の意向のみを強く反映することを避けなければならないと私は考える。で、この原子力につきましては、あくまでも学術会議、その学者の意見を根本にして考えていかなければならないんじゃないか。原子力という珍しい話を聞かされるというと、まるで、この珍しいものに、いなか者がとび付くような態度は、厳につつしまなければならないんじゃないか。わが国におきましても、この原子力にそうそうたる学者がおるのであって、この原子力利用について、わが日本が応用方面において劣っておるのは何故であるかと申しますと、今日まで、日本行政のあり方がこの科学の方面に金を出していない。原子爆弾にいたしましてもそうです。もう今は故人となりましたが、この仁科芳雄、あのサイクロトロンの研究アメリカと肩を並べてやっておった。ところが、過去においては日本は三十万円しかあのサイクロトロンの研究に出していない。アメリカは三十億ドルを出しておる。それで、あの原子爆弾までこぎつけた。結局するところ、この学者の研究というところに主眼を置かなかったために、今日のこの原子力の研究のおくれを来たしておると私は思うんですが、そういう点については、この原子力の課を設けることも必要でしょう。それはいいでありましょうが、この学者の学術会議とか、そういう方面を十分尊重して、まずその方面に主力を注いでやって、そうして応用がはっきりいたしましてからの段階ではないかと、私はこう思うのでありますが、いかがなものですか。
  79. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先ほどの苫米地さんのお話海野先生のお話、まことに私は同感でございます。今まで全体のやり方が科学技術というものを非常に等閑に付しておられました。官庁等におきましても、何かの場合に予算を削るときに、その方面の予算を先に削ってしまう、こういうふうな現われがあったようであります。また民間は民間で、すぐにもうからない仕事だから、これは金は出さん、こういうようなことのために、わが国の科学技術者が——私は、はっきり申し上げます。これは決して日本の科学技術者は海外各国に劣っていない。場合によればずっといい立派な素質を持っておる、こういう確信を持っております。これが今日まで進まなかったのは、やはりそういうふうな欠陥があったということを私は痛感する一員でございます。特に今後、日本の、先ほど申しました通りに、この経済を自立するための唯一の道は、科学技術を振興してこれをいかに活用するかということが、日本の生きる唯一の道だと信じておりまして、これにつきましては各方面の御意見を承わりまして、ただいまでは経済審議庁というものを経済科学庁にしたらどうか、こういう御意見もあります。また中には、もう技術庁を作ろうじゃないか。別に専任大臣を、長を置こうじゃないか、こういう御意見もあるようでありまして、いろいろこの空気が、議員方面、民間方面にも声が高くなってきたということは、私は喜ぶべき現象だと思っておりまして、政府当局におきましても、そういうふうなことをよく承わりまして、万全の策を講じたいと、こう存じております。
  80. 海野三朗

    海野三朗君 私、先ほどからいろいろ悪口を述べるようでありまするが、決して悪口ではありませんから、どうぞそのおつもりでお聞きとりを願いたいと思います。  予算のことについてでありますが、三十年度の経済計画と三十年度の予算との関係について見ますると、予算案のほうが先にいって、しかも三十年度の経済計画のほうはあとから、それもただ理由の上で合理化するにすぎないように考えられるのであります。三十一年度の計画については、三十一年度予算との関係においては、どういうふうに計画経済予算の中に織り込んでいかれるお考えでありますか、その点をお伺いしたい。もう一つ申し上げまするならば、たとえば、この公共事業費とか食糧増産費は削減されておりまするが、経済計画には公共事業投資に相当の重点が置かれております。今年度においても削減されたところの公共事業投資は、三十一年度予算において増大していかなければならないと思うのでありますが、この辺のところは、いかがなっておりましょうか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  81. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 三十年度の予算編成に当りましては、先ほど申し上げました通りに、経済六カ年計画の初年であるというので、相当経済六カ年計画の根本趣旨が入れられておりますが、これは大体におきまして、いかに日本の輸出貿易を促進するか、国際バランスをよくするか、その基盤を作ろうじゃないかということがまず重点的に考えられました結果、ただいま御指摘のごとく、食糧増産等につきましては、露骨に申し上げますれば、私の意向通りには予算が組み込まれておりません。これは事実でございますが、しかし一方において輸出の増進ということにつきましては相当の重点を置いたと、こういうふうになっておりまして、食糧増産は、漸次基本的の方面には、たとえば愛知用水の計画を立てるとか、基本的方面においてはその方針を織り込んでおるわけでありまして、三十一年度の予算、今後の予算等につきましては、十分六年計画趣旨に合致するようによく相談をしたいと、こう存じております。ただ三十年度は、今の御指摘のごとく、経済六カ年計画と一緒に並行的に予算編成が急いで進んでおりますから、そこに多少ズレがあるような気もいたしますけれども、しかし今後は、六年計画というものを立てて、それから予算編成をやっていきたい、こういうことに進んでゆきたいと存じております。
  82. 海野三朗

    海野三朗君 防衛費との関係をちょっとお伺いしたいのですが、防衛六カ年計画経済六カ年計画との関連はどんなふうになっておるんでございましょうか。
  83. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この経済六カ年計画におきまして、防衛力というものは、従前の防衛力はどういう方針でやられたか存じませんが、これからの日本の防衛力というものは日本経済力に応じて増減すべきものだ、こういう前提の下に、経済力がふえてくれば、それだけ防衛力をふやしてゆく、経済力が減ってしまったというなら減さなければならんという方針で立てているわけでございますが、相なるべくは早く防衛六カ年計画を立ててもらいたいということを希望しておりますが、これは私の希望でございます。これはまだ政府といたしましては、正確な防衛六カ年計画はできていないわけでありますから、これができますれば、これと相調整して経済六カ年計画をもっていきたい、こういう所存でおります。
  84. 海野三朗

    海野三朗君 現に六カ年計画による政府の支出というのは国民の総生産の一八%乃至二〇%と想定しているのでありますが、防衛庁の計画によりますというと、防衛費のほうはこのワクをずっと突破しているではございませんか。それはいかがなものでしょうか。
  85. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問の一八%というのは、何の一八%でしょうか。
  86. 海野三朗

    海野三朗君 国民の総生産……。
  87. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 過去の実績から見ますと、防衛費というものは国民の生産力の二・一から二・二くらいになっております。たとえば三十年の防衛費は千三百二十七億ですが、これは国民所得の大体二・一%ぐらいと存じておりますが。
  88. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、経済力に相応した今の防衛庁の経費になっておりますか。あなたの六カ年計画で。
  89. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 過去の分はそうなっておりますが、今後の分につきましては、これは防衛計画というものができますと、これと国民の所得というものと相調整して行きたいという考えでございます。
  90. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑ございませんか。
  91. 田中一

    田中一君 大分こまかいことを伺うのですが、部を一つふやすように伺っておりますけれども、これはどういう仕事をなさるのですか。開発部ですか……。
  92. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) 御承知のように、ただいまの経済審議庁の機構におきましては、計画部におきまして、国土総合開発、電源開発、国土調査というような仕事と同時に、この長期の六カ年計画あるいは原子力の関係の仕事といったようなものをあわせてやっているわけでありますが、今後六カ年計画を立て、それを実行して参ります場合には、各省各方面との折衝も非常に多くなろうかと思います。従いまして、これらの面におきまして幹部職員の仕事の量が非常にふえるのではないかと考えます。同時に、国土総合開発等も非常に従来の安定本部時代から見まして縮小されて参りましたが、その重要性にかんがみまして、やはりこの二つ部を分けまして、一方は六カ年計画に専念をしていただく、一方は総合開発等に専念をしていただく。そういたしませんと幹部職員の事務が非常にふえますので、そういう意味で部を二つに分けることにいたした次第であります。
  93. 田中一

    田中一君 そうすると、定員と予算ですね、これはどうなっていますか。
  94. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) まず定員から申し上げたほうがいいかと思いますが、定員はその関係では増減いたしておりません。ただ新たに、先ほどからお話がございました原子力の関係の庶務をこちらでいたすことになっておりますので、——庶務と申しますか、現在各省でおやりになっております原子力に関する基本的な政策総合調整というようなものまで含めまして仕事をすることになりましたので、四名定員をふやしております。ただ、部を設けますにつきましては、現在審議官の定数が十名になっておりますが、この十名の審議官を九名にいたしております。それから、なお原子力室と国際経済協力室と、二つ室ができますので、この室長に充てるために、調査官が現在二十名おりますが、この二十名を十八名に減じまして、その二名を室長に移すということにいたしております。基本的には、予算の増減はその関係ではございません。
  95. 田中一

    田中一君 そうすると、機構の内容が少し大きくなった。従ってその官房部と開発部を置く。そうすると、定員はどうなるのです。定員は同じでも、首を切ったり適格者を入れたりしますか。
  96. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいまのところ、定員はさっき申し上げましたように四名増、これは原子力関係だけでございまして、別に異動はございません。ただ経済審議庁は御承知のように、各省から優秀な方に来ていただいておりますので、ときどきそういう人事交流があることは事実でございますが、このために特別に人員を整理するとかいうようなことは全然ございません。
  97. 田中一

    田中一君 私、先般来だいぶ地方を歩いているのです。地方を歩いて各府県へ行きますと、一体、政府は国土総合開発というものをほんとうにやるのかどうかということを非常に疑問を持っておる。ある県に行ってみますと、相当大幅な県費を支出しておる。そうして仕事は何もしていない。地方計画だけを立てて、そうして何もしない。それから、たとえば特定地域の指定を受けて、これで少し総合的な開発に乗り出すというと、やはり各省からくる予算がばらばらにきて、何もしていない。従って傾向としては、大体もう国土総合開発の課という特別なものはやめようという機運になってきているのです。現に最近方々調査に歩いてみますと、そういう気持なんです。結局何もしていないということなんです。そこで、国土総合開発部と、ほかに二つばかり並んでおりますけれども、こういう課や部を分けて、今までよりも一体どういうことをしようという考え方なんですか。今までやられた仕事よりもどういうことをしようというのですか。それを一つ伺いたいと思います。
  98. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) その関係におきましては、今までと仕事の内容は変りません。ただ実際問題といたしまして、現在、計画部長が、国土総合開発の仕事と計画の仕事と両方受け持っておりますので、非常にそこに、何と申しますか、手が足りないと申しますか、そういう意味から、完全に事務を処理して参りますためには、やはり国土総合開発の方に専念できる幹部職員を置くということと同時に、また計画の方も、それに専念できるというふうな幹部職員を置いた方が適当であろうということで、二つの部に分けたわけでありまして、仕事の性質の面から見ましても二つに分けた方がいいんじゃなかろうか。それと、やはり部に分けますと、部長というものが専念できますから、その関係で二つに分けた方がスムースにいくのじゃなかろうか、こう考えておるわけであります。
  99. 田中一

    田中一君 なかろうかと思ってやるんですか。そうするんだというつもりで考えているんですか。
  100. 酒井俊彦

    政府委員酒井俊彦君) ただいま表現が悪うございましたが、そうするつもりであります。
  101. 田中一

    田中一君 また元へ戻りますが、実際に開発部を設けるということになりますと、特別に開発部というものを強化して、強力に推進をするんだというように受け取れるわけであります。けれども、今伺ってみると、内容は変っていない。今まで通り計画を立てて打っちゃっておくんだということですと、非常にこれは長官責任は重大だと思うんです。地方は少しの補助金をもらって、もう大へんな金を使いまして計画を立てているんです。計画を立てているんですけれども、実際仕事をしているんじゃない。計画だけは立てて、その計画を立てるにもえらい金がかかるんです。で、私は事例を三つ四つ持っておりますが、地方財政の上からいっても、こういう数千万かかるようなものは、何にもしないのですから持つ必要はない。ただ計画を持ってこい、地方総合開発審議会を作れ、何にもしていない、開店休業です。そうしていろいろ集めたもので膨大な印刷物を作っても、ただ紙に書いてそれきりです。何にもしてくれないんです。そうして、今では特定地域、調査地域、予定と、国全体がもう全部総合開発指定地になってしまっている。もう八割ぐらい指定です。あるいはこれに準ずるものなんです。そうすると、総合開発ということは何にもしないことだということに、言葉をかえて言えばそういう表現がされる。これは長官、非常に重大なんです。こういうものを二つに分けて、さもさも国が本腰を入れて総合開発を始めるんだというような印象づけをしているわけです。この点は長官どう考えておられるか。あなたは中央で原子力の問題についてアメリカさんと交渉ばかりしないで、本当の長官ならば、地元をずっと歩いて、各府県を歩いてごらんなさい。どういう工合にあなたの方でもって扱っている総合開発事業というものが行われているかどうか。あなたはえらい方だから外国へ行ったり何かするのにお忙しいでしょうけれども、あなたの所管というものは、実際に末端の国民が生産しているんです。これをごらんにならなければいかんと思います。そういうことで新しいこういう部を作って、どういうお考えでおられるか。また作ってあなたが長官としてどうしようと思っているか。ただ机上の計画だけでは何にもならないんです。末端は全部大地について生産をやっているんです。こういう点につきましての信念を伺いたいと思います。
  102. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は、白状いたしますと、実際については、総合開発がどの程度進んでいるかということを知ったのは、実は三年ばかり前に北上川の総合開発の計画を見まして、電源開発をやっているときに、あの胆沢、猿ケ石のあれを見たときであります。これは国家としてどうしてもやらなければならん仕事である。これは、ああいうふうな川を見たときに、一つの川を電力プロパーで見れば、これは国家に百年の悔いを残すのである。全体に総合的にこれをみて、そうしてこれは一つの川を見た場合にでも、電力も考え、水運も考える、場合によれば工業用水も考え、潅漑用水も考えるというようにやらなければならん。これは総合開発の必要性を非常に痛感したのは、あのとき現場を見て以来非常に感じたわけであります。それ以来、私は実はいろいろと仕事のために現場を見ておりませんが、しかし私は、この総合開発が必要であるということは、話を聞くたびごとに非常に痛切に感ずる一人でありまして、今回予算編成に当りましても、先ほど申し上げました通りに、そういう事実があるということはよく知っておったものでありますから、別途にこういうものを置いて総合開発の資金というものを作らなければ、これは間違いが起るだろうというようなことを、おぼろげながら感じたのでありますが、ただいま御質疑のごとく、私はどうしても審議庁におきまして、これをできるだけ予算の許す限りにおいて仕事をやっていきたい、こういう感じでおりますからして、よろしく御指導願いたいと思います。
  103. 田中一

    田中一君 仕事をやっているのはけっこうですが、何をやるんですか。どういう形の仕事をやっていくおつもりなんですか。今審議庁があまり仕事をやりますと、地方財政が赤字になってしょうがないんです。審議庁は何もしてくれないことになるんです。あなたの方で仕事をやり過ぎると、地方財政はますます赤字になるんです。余分な負担がかかる。何もしない課や係を置かなければならん。何か資料を出せ、ああせい、こうせいというたびに金がかかる。こういう実情を知っておれば、一体何をしょうとするのか、具体的に示してほしいんです。申し上げますが、一番いいことは、あなたが閣議で大きな発言をなすって、各省の公共事業費の中から若干ずつ金を出してもらって預かるわけです。そうして総合的な調整を身をもってやることが一番大事なことなんです。これ以外には、単に審議庁の係官の遊びになってしまう。こうせい、ああせいというだけで、地方はそのために、てんてこ舞いして実態調査したりなんかして金を使って、そうして持っていっても何にもならないのです。あなたの部下の方々は、地方に命令すればそれは出てくる。これであなたはよく自分の部下は働いておると思うでしょうけれども、これは自分がやっておるのではないのです。一つの通牒で、全部地方で、赤字財政の府県が飛び廻って集めた資料が集まってくるのです。これを見て、自分の部下はよくやっておる、こういう大きな間違いをしてはなりません。最初あなたは、こういう工合に新しく開発部を設けて、何を具体的に仕事をやろうというのか伺いたい。もし今までの通りに同じだというなら、こういう部を持つ必要がない。持つことが危険です。鳩山内閣というものは、小麦を買ったり、米を買ったり、原子力をもらったりして、国土開発は忘れておるのです。乞食みたいに、もらえば何でもいいと思っている。ちょうど日清戦争の前と同じなんです。日清戦争で勝って台湾をもらった、そうすると、もう国内の開発は要らなくなってくる。戦争をして取った方がずっといいのです。そんなあやまちを再びしてはいけないのです。従って私は、どこまでも国民が働らいて国土を開発していく以外にはしょうがないと思うのです。従って原子力問題をここへ持ってきたり、いろいろな問題を持ってくるのは結構ですが、何を本当にしようと思っておるか、はっきりお示し願いたいと思います。何をしようとしているのか、どういうことをするのですか。地方に言いつけて資料を持ってくるのがお仕事なんですか。そんならやめて下さい。やめたほうがいい。もう地方はたくさんです。命令したら資料を持ってくる。これは平気で机の上でさばけばいいでしようけれども、地方ですと、みんな動いてやっておるのです。調査でも何でも……。ですから、長官は何を、この設置法を改正して、機構を強化して、何をしようとするかをはっきりお示しを願いたいと思います。
  104. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 田中さんは経済審議庁の国土総合開発の委員を長い間なさっておりまして、実情はよくおわかりでございますので、ただいまおっしゃる通り、実は私もその通りだと思います。そこで部を置きまして何をやるのだという問題でございますが、私、機構の問題の方の主務者でございませんので、あるいは正当な答弁ではないかと思いますが、その衝に当っておる人が来ておりませんので御答弁申し上げます。私の考えでは、国土総合開発の段階は、今までのところでは、調査、企画、立案の段階でございまして、今後の段階は、一つ実施の具体化、あるいは実施段階かというふうに考えております。そこで、ただいまの御質問では、それでは今後開発部というものを置いた場合に、実施に対してはいかなる用意ありやという点が御質問のポイントかと思います。そこで、それでは開発部はどういう権限で国土総合開発の実施をやるのだということになりますと、遺憾ながらその用意はまだ不十分でございまして、この前の審議会でも田中先生御指摘になった通り、実施する場合の具体的な方法論、たとえば機構の問題とか、機構と申しますのは、単に行政官庁だけではなくて、たとえばTVAのような構成、制度を作るか、あるいは今度の愛知用水の開発のように、ああいう農地開発構想といったような性質のものを作るか、あるいは場所によっては開発会社法等で、現に総合開発の地点を担当して開発しておりますので、開発会社法等を改正して、そうして実施をやらすというような、こういうふうな機構そのものの改正、あるいは官庁機構そのものの整備というような、権限の所在の明確化、あるいは総合化というような方法でやったほうが、実施段階に入った際にいいのか。あるいはもう少し端的に資金の配分そのものが問題であるならば、今のような縦割の予算制度というものを是正して、そうして一歩前進して、公共事業費というものを総合開発を担当している最高責任者予算の配分権を握るというふうな態勢が望ましいのか。仮にそこまで一ぺんにいかないとするならば、その事前に調整制度というような制度考えて、そうして総合開発でございますから、ちんばに開発されては困るので、なるべく並行的に開発が進み得るように調整制度でしばらくの間はやっていくというような方策がいいのか。やり方によりましては、いろいろ実施段階に入りますと方法論等もあるかと思います。そこで、そういうものを開発部で十分検討して、そうしてお説のような、少しでもむだのない、最少限度の助成と申しますか、最少の負担で最大の効果をあげて、この国の資源というものを利用できるような方策を考えるというのが、この開発部を作るゆえんかとも思います。そこで、開発部が今すぐどういう権限を持つのだという問題の仕方をされますと、私自体としてはその機構そのものの担当官じゃございませんので答弁に苦しみますが、私自体の考えとしては、これからどうしたら一体具体政策に入ろうか、実施に入ろうかというのを十分研究し、その方向に持っていくのが開発部の任務じゃなかろうかというふうに考えております。
  105. 田中一

    田中一君 最後に一点だけ伺いますが、これは長官に伺うのです。長官は、権限を拡大して、自分の担当している職務をどういう工合に今後運営していくかということに対しては御答弁がないのです。これは全部に対して言うのです。長期六カ年計画といっても、六カ年計画というものはあなた自身が書いたのじゃないのです。あなたの前任者、前前任者が、各省所管大臣が全部今までの自由党の政策として持っていたもの、その持っていたものをつまみ上げて六年間の計画にはめたのが、あなたの計画だと思うのです。あなた実体を御承知になっておらないから、あなたの優秀な部下がそういう工合にそれをつまみあげて持ってきて、六カ年計画というものを表現したのだと思うのです。それも結構です。それもわれわれが称する計画経済的な長期計画を出すことに対しては賛成です。賛成ですが、その実体をつかめなければ困ると思うのです。同時に、外国貿易だけが優先してはならないのです。日本経済の上に立ちましては、どこまでも日本のこの国土から生産されるというものがなくては、いつも日本の財政は赤字なんです。生産されるものがなければならんと思う。そこで、両方のものは不可分のものです。計画部というものと開発部というものは二つに分れるものじゃないのです。不可分のものなんです。その上にあなたが立っていらっしゃるのです。だから、そういう点をわきまえてもらわなければ困ると思うのです。そうして、どういうことをなさるかと伺っているのは、これはここに書いてある通り、総合調整というならば、まず現在目の前に現われているところのばらばらな末端におけるところの事業の実施面ですね、せめてこれでもこういう方法にしようじゃなかろうかという点が出てもいいと思う。構想が何のかんのというのじゃなく、全く農林省、建設省、通産省、運輸省、この四つの現業官庁が現地においてばらばらに仕事をしているのです。むだな金を使っているのです。せめて、これですら自分が出かけて行って、そうしてここにむだがある、これをこうしたならばいいじゃないかということでもって、あなた自身が先頭に立ってやらなければ、本当の意味の総合開発の実は上らないのです。一面、外国との交渉もけっこうです。けっこうですが、あなた自身としては、やはりこの狭い国土からものを生みだすという考え方にならなければいかんと思うのです。私は次の機会に、今日は希望だけを申し上げておきますけれども、次の機会に長官からはっきりした意思表示を伺いたいと思うのです。  今のようにただ自分の部下にあずけて、部下が作り上げたもの、各省大臣がやっておるものですよ、あなたがやっておるのじゃない、各省大臣が自分の計画でもってずっと長い間やっているものをつまみ上げて、六カ年計画なんというものを出すのは、言葉が過ぎるかも知れませんけれども、単なる選挙の宣伝に過ぎません。はっきりと具体的に示していただきたいのです。これは次の機会までにお預けしておきますが、どうか機構改革をしなければならぬ、権限を伸ばそうとするならば、伸ばすためには、これだけの日本の国民経済なり、国の力なりが伸びるのだということをお示し願わなければ、われわれはどうしても納得できないんです。これだけ私の意見と希望を申し上げて次の機会に一つ御答弁願いたいと思います。
  106. 海野三朗

    海野三朗君 私は長官にお伺いしたいのですが、長官は就任当時、経済審議庁長官に就いて積極的な抱負をお持ちになって予算編成権をも持たなければならないといったような談話を新聞で拝見したのでありますが、三十年度のこの予算を見ますというと、食糧増産費なんぞが削減されておる、こういうことで審議庁で六年間の計画をお立てになっておるようでありますが、御就任当時と今日との心境はいかがでいらっしゃいますか。
  107. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先ほど御質問の点もありますが、私は日本長期計画を立てます上におきましては、決して日本の国土の開発、日本の持っておる資源を無視するわけではなくて、商工業の発展、貿易の促進と同時に、国土の開発というものはやっていかなければならぬということは十分考えておるわけなんでございます。それで、こういうふうな計画を立てますにつきましては、従前の過去の人たちがいろいろ蓄積されたその知能をもって、それで急速の間にこの六年計画を立てられたということもよく存じ上げておりますが、しかしこれを実行に移しますにつきましては、われわれ審議庁の長官として高給を食んで、そうしてその責任者として立っておる以上は、自分の過去の経験を生かして、これに持っていって、自分の汗と自分の知能とをしぼってこれを実行に移さなければならぬということは十分考えておるわけなんでございますが、これにつきましては、かすに相当の日にちをもっていただきますれば、わが国の経済の目途ができ、過去の実態がわかり、現状をよく把握し、そうしてここで自分たちの経験を生かして、そうして従前の人たちと協力して進んでいきたい、こういう所存でおるわけなんでありますが、そういうものを実行いたしますにつきましては、自分の考えとすれば、どうしてもやはり権限が欲しくなるというふうな感じがいたしまして、先ほど海野さんのお話のごとくそういうふうなことの感じをいたしましたことは事実であります。そういうふうなことも新聞に話したことも事実であります。けれども、周囲の情勢からみまして、そこに行くのにはあまりかけ離れておる情勢からしまして、順次それを持っていくということにしなければならないと考えまして、ただいまでは、せっかくこれだけの機構を改革していただけますれば、これをもって実行に移していこうじゃないか、これをもって一応実行していこうという感じを持っておりますので、それだけ申し上げておきます。
  108. 海野三朗

    海野三朗君 大体お伺いしましたが、またこの次に私は残しておきたいものがたくさんございますが、時間の関係でもう一点お伺いいたします。この地方財政の赤字、もう各県とも何億という赤字を来たしている、現在では中央の方だけがいかにその計画をお立てになっても、末端であるところの地方の方がしなびてしまって、枯れてしまったんでは、この経済計画も支障を来たすのではないかというふうに私は思いますので、この地方財政の赤字については、あなたは閣僚の一人でいらっしゃるのだから、いかようにお考えになっているか。ちょっと御所見を私は承わっておきたい。
  109. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの海野さんの御指摘のごとく、私は本当に日本経済を立て直す上におきましては、どうしても地方財政がこんなになっているということを実は私この閣僚になるまで知らなかったわけであります。よくこれを調べてみますと、これは容易ならぬ問題だと思っておりまして、私は一閣僚といたしまして、現在の経済担当の一閣僚といたしまして、この問題は私の意見を強く申し述べておりまして、これをどういうふうに整理するかということは、日本経済自立における一番差し迫った重要問題だと感じておりますが、私はまだこれに対して結論を得ておりませんが、自分はそれを痛感している一人であります。
  110. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは本日の内閣商工委員会の連合審査会の質疑は一応これで終了したものといたします。なお他の質疑が多少あるようでありますから、それは商工委員長と連絡いたしました上で別途の方法をとります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会