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山下義信君 お答え申し上げます。
第一点の
提案についての
自民案との
関係でございますが、実は率直に申し上げますると、公式ではございませんけれども、やや半公式の
遺族援護関係の諸
会合等におきまして、従来
遺族問題、
遺族恩給等に御熱心な保守党の方々とわれわれ席を同じくする
機会がたびたびありまして、従来とも
遺族問題が年々歳々それらの
扶助料の
支給その他問題の
解決につきまして
遺族の
要望が繰り返され、そのつど
国会並びに各
政党の問題となりまして、ひいてはこれが
選挙に際しまして、あるいは心なき
人々の間におきましてはこれが
選挙に悪用されるというような弊害もあり、また一面においては
遺族関係の
団体の中には、ある
政党は
遺族問題に好意を示している、ある
政党は
遺族恩給に反対しているというようなことをかれこれ
選挙に際しまして
流言飛語を放ちました。この種の問題につきましては
国会におきまして、与野党を問わず、いかなる
政党を問わず、心から
遺族に同情を表してその善処について今日まで努力して参っている実情であるにもかかわらず、
選挙に際しましては各種の
流言飛語が行われ、こういう問題が政治的に悪用され、あるいは
選挙に利用されるというようなことがあってはならないことでございますし、また一面さようなことを
選挙に利用するような形をもって、
団体の力をもってそれらの要求について迫るというようなことがあってはならないのでありまして、ある
段階におきましては
国会としてもこの種の問題については
政党政派のいかんを問わず
国家的見地からこれを
解決する必要があるのではないかというような話は、しばしば話し会いました事実がございまして、従いまして今
国会におきまして
遺族関係者の
要望もおそらく最終的な
要望であり、これに対処する
政党の
立場を表明いたすことも、あるいは
国会がこれに対処いたしますることも、最後の
段階ではないかというようなことも
考えられておりまして、そしてまた本問題に対しまする
関係者の希望いたしておりまするところもだんだんとしぼって参りまして、べース・アップでありますとか、
号俸の
改正でありますとか、通算の問題でありますとか、あるいは
対象の
範囲の拡大でありますとかいうような点にしぼって参りまして、言いかえますると、従来の
遺族問題の大部分は
解決を見まして、残るところがもう一割か二割かというような
程度になっておる
段階でもございまするので、問題はきわめて実は明々白々となって参ったのでございます。ただ、これの裏づけとなりまする
予算関係、あるいは
政府の御方針等は、
予算案その他でわれわれ野党も
承知をいたしておったのでございます。しかしながらとうてい
遺族間におきましては、
政府の三十年度当初
予算のあの御方針には絶対的に承服できがたいという情勢でございまして、御
承知の通りでございます。やがてこの
軍人恩給関係の
予算増額は必至でありますことは、きわめて明白な状態になりつつあったのでございます。われわれ
右派社会党といたしましても、この問題につきましてかねてから政策
審議会で慎重に検討を続けて参っておったのでございまして、
政府の三十年度
予算に対しまする社会党の組みかえ要求案を作成いたしますると同時に、これの裏づけとしての
恩給法の
改正案を立案する必要があるということになりまして、
国会対策
委員会でその立案を決定いたしまして、政策
審議会がその作業に従いましたのでございます。従いましてわれわれが
提案をいたしました本
改正案は、民国案を伺いましてからではないのでございまして、作業といたしましては、ただいま申し上げましたように、
政府の三十年度の組みかえ要求をいたすことが決定いたしましたときから作業に従事いたしまして、参議院法制局にわれわれの方針を示しまして、
改正案の立案を委嘱して参ったのでございます。従いまして民同案を見ましてから、これが
修正をいたしたいというような
考え方でこの
修正的意見として
提案をいたしたのではないのでございまして、ただしだんだんと時日が移るに従いまして、新聞紙等では、
自由党民主党が
予算の増額とともに、この増額した
予算をどういうふうに配分するか、どういうふうに使うか、どういうふうに増類するかということについて、両党が御交渉に相なっておる
経過につきましては若干承わりつつあったのでございますが、わが党といたしましては、大体この
遺族扶助料を中心とする
恩給法の
改正は、これを最終
段階としまするならば、できるだけ
遺族の
要望を最大限に入れまして、そうして合理的に筋を通しまして、一応思いつきの手直しではなくして、あるいは限られたる増額
予算というものをこれを適当に振り分けるというそういうためにこの手直しがなされるというのではなくして、
予算の増額は別途としても、
恩給法の建前で筋を通すならばこうあるべきだ、また
遺族の多年の
要望がここにあるのだ、もし一時的な、今回の増額が、十八億か二十億の
予算増額しかできなかったから、それでその
範囲内で振り分けるとすればこういうことだというのではなくして、
遺族が最終的に
要望しておりまする諸問題、あるいは
恩給法上
遺族の
要望するとしないにかかわらず、筋を通すとすればこういう建前のものでなくちゃならぬというものを、われわれはこの
恩給法に与えられてありまする権利を擁護する、一応
恩給法上の既得権と申しますか、そういうものを筋を通すという建前で立案をいたしましたのでございます。もとより、さりとて
予算関係を無視することはできませんので、われわれが
考えまする
範囲内で、この
程度ならば
恩給法上の権利を認めることにもなり、この
程度ならばかれこれ他とのつり合い上も妥当な線ではないかという点を
考えまして本
法案を提出をいたしました次第でございます。そのことが自然に民自案の方と対照されるような
立場になりまして、
提案はわれわれの方が先でございましたが、この民国案と比較対照をいただくようなことになりまして、本席も並行
審議を仰いでおるわけなんでございますが、そういう次第でございまして、民自案を伺いましてから
右社案を起案いたしたのではないのでございます。
従いまして、第二の御
質問でございまする本案についての特徴はどうかというお尋ねでございますが、これは先般の
内閣委員会におきまして補足
説明をお許しいただきまして、大体民自案といわゆる
右社案との相違点を申し上げたんでございますが、詳細は前回の補足
説明の速記でごらんを願うといたしまして、要点だけ申し上げますと、
仮定俸給の
号俸引き上げにつきまして、民自案は
先ほど山本先生からもこの点についてお尋ねがおありになりましたようでございますが、やはり尉官、佐官、将官と、尉官以下は四号、佐官は三号、将官は二号と、やはり次第に
段階をおつけになっておられますが、上級者にも
仮定俸給の増額をやはりしておいでになるわけであります。われわれの方は、その点が、尉官以下は
文官とのバランス上
引き上げましたのでございますが、しかし、佐官以上につきましては
引き上げをいたしていないのでございます。全く
下級者の
号俸改正を、
仮定俸給改正をいたしておるわけでございます。またこれらの
ベース・アップに伴いまする
支給を、われわれは今年十月の
恩給支給の時期から実施しよう、こういうことでございますが、民自案におかれては、来年の六月までは半額で、来年の七月から全額
支給ということでございます。ことに大なる差異点といたしましては、通算に関する問題でございます。これは従来通算を認めなかった、それを今回認めようとすることは、民自案とわれわれの案とこの点は同一でございますが、その通算のいたし方が違うのでございます。つまり、われわれの方は五カ月でも七カ月でも、
年数の長短にかかわらず服役年間は、実
在職いたしました口数は、長短にかかわらずこれを通算していこうというのでございます。その通算をいたしますのは、すべての者に通算をしよう、従来一博
恩給をつけておりました七年、八年という短期な
人たちにもこれを通算し、それからまた一切の
公務員にもこの通算をしよう、
恩給法の通則に従いまして、この通算というものをこと
ごとく認めていこうというのであります。民自案におかせられましては、通算いたしまするその実
在職年数は一年以下は切り捨てるという御案のように伺っております。それからまたただいまも御
説明がありましたように、将校が十三年、
下士官が十二年に満つるまでは通算を認めてやるが、それ以上になった分は算入なさらないように相なっておるようでございます。
それから加算に関しましては、民自案はおとりになっておりません。われわれは召集
軍人を
職業軍人と同じように、この
恩給の恩典に浴させるためには必然的に加算を認めなければ、その恩恵が公平に行き渡りませんので、従来は御
承知の
ごとく、戦争にいけば一年が三年になる、約三倍に加算されておりましたのでありますが、その
程度をずっと低めまして最小限度一カ月につき一月、すなわち一年行った人は一年の加算という
程度にいたしますと、大体七年も八年も長く行っておりました召集
軍人が
恩給の恩典に浴することができますので、加算を認めたのであります。
それから
遺族扶助料すなわち公務
扶助料でありますが、民自案におかせられましては各
階級に従って
金額が
引き上げにはなりましたけれども、各
階級にずっと従って従来の通りの制度でございます。われわれといたしましては曹長の線ですべて均一にいたしまして、それ以下の
階級の人は三万八千二百五円というので、軍曹、伍長、上等兵、兵というような区別は認めないで、曹長の線にフラットに
引き上げたということでございます。そういう点がおもな点でございまして、その他公務に基因した死亡を認定いたして参ります問題、あるいは自決者の
遺族に対しまする問題等につきましては、民自案と同一であります。ただ戦犯で拘禁された
人たちの拘禁中を
恩給の年限に加えるという民自案に対しましてわれわれこれを認めておりません。従いまして戦犯中に負傷または疾病にかかった場合の取扱いにつきましても、民自案は
公務員傷として、あるいは公務疾病としてのお取り扱いをされるようでございますが、われわれはその点は認めていないのでございます。
大体おもなる点を申し上げますと、これはわれわれがすぐれておると申し上げるよりは民自案との間の相違点でございます。お答えを申し上げます。