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1955-07-07 第22回国会 参議院 内閣・決算委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月七日(木曜日)午前十 時五十一分開会     —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     新谷寅三郎君    理事            長島 銀藏君            宮田 重文君            木下 源吾君            松原 一彦君    委員            中山 壽彦君            上林 忠次君            千葉  信君            松本治一郎君            松浦 清一君            小柳 牧衞君   決算委員    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            谷口彌三郎君            岡  三郎君            中川 幸平君    委員            石井  桂君            西川彌平治君            白井  勇君            白波瀬米吉君            飯島連次郎君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            亀田 得治君   政府委員    人事院事務総局    任用局長    大山  正君     —————————————    会計検査院長  東谷傳次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       川島 孝彦君    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総局事務総長  池田  直君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○会計検査院法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから内閣委員会決算委員会連合審査会を開会いたします。  会計検査院法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続きまして質疑を行いたいと存じます。
  3. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 会計検査院法の一部を改正する法律案につきまして、この会計検査院機能を発揮するために一局が増設されるということはまことにけっこうなことだと思いますが、私が御質問申し上げたいのは、それに伴って改正されております第十六条についてでございます。「局の長は局長とし、事務官をもって、これに充てる。」、この事務官をもって充てると明記されておりますのは、現行法もさようになっておりますのを引き継がれたことと思うのでございます。しかし他の各省官制等においては、局長事務官並びに技官をもって充てられるというふうになっておりまするので、今回の改正においてはむしろ範囲を拡げられる方が一般実情に適しておるのではないかという意見を持っておるわけでございます。もちろん会計検査院の特別の機能という点からみれば、そこに事務官でなければならぬという根拠があるのかとも思いまするが、その点についての会計検査院当局の御意見をさらに詳細に伺いたいのでございます。と申しますのは、私どもが前に、古い話になりますが、大臣はもちろん政党その他から自由に任用されましたが、各省次官というものは大体において事務官が当っておったのが古い考えでありましたが、その後いろいろの事情によりまして、現在では技術系統の人がそれぞれ重要な地位につかれて、それで国の行政というものが進展して参っておりますことは、もう申し上げるまでもないのでございまして、できれば事務官だけでなしに、技官の方にそういう重責を与えて国政の進展に当る、会計検査院とされましても、農林省なり建設省なりの補助金関係の実際の仕事におきましては、技術の部面が非常に重要な役割を果しておると思いまするので、その制限をこの際むしろ撤廃されることが至当ではないかと思っております。かようなわけで、その点に関する御意見をお漏らし願いたいと思います。
  4. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) お答えいたします。先ほど申されましたように、十六条におきまして、「事務官をもって、これに充てる。」というふうにいたしましたのは、現行法をそのまま引き継いでおるわけであります。現行法はただ一級の事務官を置くということになっておるのを、一級というのはなくなりましたから、ただ「事務官をもって、これに充てる。」というふうにいたしたのでありまするが、ただいま仰せのように、技術系統の方が各方面に御活躍なされ、あるいは局長その他になられるということも承知いたしておるのであります。ただ会計検査院検査は、御承知のように、会計経理に関しまする法令もしくは予算関係、または一般財政経済に関する知識を強く要求いたすのでありまして、会計検査院の大体の行き方はそれでやっているのであります。ただもちろん土木とか、建築とかの技術面に至りましての検査もいたしておりまするが、しかし会計検査院結論を出しますときには、やはり法令に違背するとか、あるいは予算規定に違背するとかということで会計検査院結論を出すのであります。ただ単に技術だけの面で、技術上これはよくないということだけで批判するということにはいたしておらないのであります。ただ技術の面を単純なる事務官だけではいけませんので、従来からも、ずっと、昔からも技術顧問というものを置きまして、技術上の特質につきましての審議はお願いいたしておったのでありますが、終戦後の新らしい会計検査院法におきましては、数名の技官を置くことに相なっておりまして、その技官技術に関する審査をいたす、担当するということにいたしているのであります。それを参考といたしまして、会計検査院結論を出すということにいたしているのであります。そういたしまして、技官のうちに技術だけを専攻して技術だけの審査に当るということだけでなしに、やはり技官のうちにも事務系統法律なり、財政経済面のおわかりになる方はたくさんにおられるのでありまして、そういう職員に対しましては事務官を兼務させまして、民法の趣旨に沿いまして、事務官の面で会計経理法令予算に違背するかどうかというような検査の面に担当させているのであります。ただいまそれではお前のところでは技術の面のものを重要視していないきらいがあるではないかということになるかと思いますが、そうではないのでありまして、技術面技官でも法令財政その他の面に相当な造詣を持っていると認めますものは、ただいま申しましたように事務官にいたしまして、しかもその人を局長にするということもいたしておるのであります。現に私どもの方の局長の一人は技官であったのでありまするが、その人は法令その他財政に非常に造詣が深いと認めまして、その人を事務官にいたしまして局長に補しておるような次第でございます。この事務官技官と申しますのは、実は公務員職階制に関する法律が実施されまして、人事院で新らしい職階ができますと、どういうふうな職階ができるか存じませんが、まだできていないのでありまするが、それができますると、あるいは事務官技官の区別はなくなるのではないかというふうにも考えておるのでありまするが、ほかの行政庁国家行政組織法によりまする一般行政庁におきましても、事務官技官の別はございますので、会計検査院も依然として経過的な意味で、公務員職階制に関する法律が完全に実行、実施されますまでの間、ただいまの現行法の形態で一応行きたいというふうに考えまして、局長事務官をもってこれを充てるというふうにまあ規定をいたしたようなわけであります。
  5. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 院長さんのお話しで、会計検査院の今まで進んでおいでになりました実情からして、無理でないというようなお話しは一応わかるのでございますが、ただ私としては、まあ第三者的に考えますと、やはり技官から事務官には内部でなれるからよろしいというようなことは、どうもすらっとしない感じがいたしまして、事務官技官というものを同じように重要視されるのであれば、むしろ技官というものを、そのまま局長になれるようにされることが今回の改正でむしろいいのではないかという気がいたすわけでございます。と申しますのは、私も、しいてとらわれて申しておるのではございませんで、民間の会社等でも、大きな会社になれば大体それは会社でございますから、経理の面が主になって会社が成り立つと思いますが、しかし実際は技術出身工学士の方とか、それぞれの技術専門の方が大きな会社の社長とされても、重役とされても経営に当ってむしろ成績を上げておられるのであります。そういう点から見ましても、私は会計検査院で、実質的に技術出身の方を事務官にして局長に任用されるというような、実質的のことをおやりになっているのならば、むしろこの際この十六条に「事務官をもって、これに充てる。」ということをおやめになって、どちらからでもそのままとれるというふうにした方がいいのじゃないか。ことにこの間うちからの建設省農林省等の実際の経理の状況を審査して参りますると、一面はもちろん金銭上のことでございまするが、実質、やはり工事そのものの適、不適ということが主になっておりまするので、一そう会計検査院とされては技術の方を多数任用されまして、その協力によって検査を励行されることが効果が上ることと思うのでございます。もちろん局長、ここでは五人になっておりまするが、五人の方全部を技官にするという意味ではございませんが、せめて一名なら一名でもそういう道が開けてくる、またその場合におきましても局のお仕事局長決定されるにしましても、もちろん課長なり、その他それぞれの補佐官がございまするので、そういうところに練達なる事務経理の明るい方がおれば、技術事務と相まって十分私は効果をあげ得ると思うのでございます。そういう見地からいたしますると、せっかくの改正でございまするので、従来の慣例なり、あるいは今いろいろお述べになりましたような理由がおありになることはよくわかりますが、どうも少し技官というものに対するお考えが、内部事務官でもできるからいいのだというようなことは少し納得できないような感じがいたしまするので、さらに一つ御研究を願うと言いますか、何か特別の事情がないのであるならば、この十六条をどちらからも任用できるようにされることを希望するわけでございまして、はなはだ繰返して申し上げまして失礼かと思いまするが、能率の上るようにして行く、人材を登用するようにして行くというような見地から申し上げておるわけでございまするので、その点は御了承を賜わりまして、今一応白紙になって、一つ大局から御見解をお願いいたしたい。今一度御答弁をお願い申し上げます。
  6. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) お話しよく私もわかるのでありまするが、先ほどの農林省なり、建設省補助工事公共事業関係土木検査などは技術そのもののように見えるということでありますが、見方によればそうでありまするが、会計検査院事務官は単純なと申しては失礼でありますが、ただ単に会計経理がわかるということだけではもちろんこれは検査ができないのでありまして、事務官であるけれども技官的な知識を相当持っておるというのでなければ検査ができないのであります。それからまた技官技術だけがおわかりになったとしても検査ができかねる面があるのでありまして、会計検査院では従来から事務官に対しまして技術的な講習をいたしまして、こういう土木工事はこういうふうに動く、こういうものはこう、建築はこう見るということのつぼと言いますか、そういったようなものの講習をいたしまして、一般的な技術知識を持たせておるのでありまして、ごらんを願いまする公共事業関係土木なり、建築検査報告と言いますか、批難事項などはほとんどと言いますか、大部分はこの事務官が摘発して国会に報告しておるというような実情にあるのであります。技官を軽く見ておるようなきらいもあるという仰せでありますが、技官は非常に重く私ども見ておるのでありまして、技官技術に従事するということになっておりまするが、しかし技官のうちにも先ほど申しましたように、私どもが見まして事務系統と言いますか、法律予算財政に詳しいものもおるのでありまして、そのものはやはり特務官に兼務をさし、やがては事務官として局長なり、その他に採用するというような道を開いておるのでありまして、決して技官を軽視しておるわけではございません。それからなお会計検査院法の中で申し上げますと、十六条において局長事務官をもって充てると言ておりますが、第十八条におきましては、技官は「技術に従事する。」というのが従来からの規定でございまして、一応会計検査院では技官だけの人は、いわゆる言いますところの会計検査のほかにありまして、技術審査をするというふうにまあ法制上なっておりまするので、先ほど申しましたように、職階制に関する法律が完全に施行されますまでの間、しばらくそのままで行きたいというふうに考えておるのでありまして、くれぐれも重ねて申し上げておきますが、決して技術を、技術と言いますか、技官を軽視はいたしておらないのでありまして、今後も、ただいまもしておりまするが、今後も適当な人があれば、事務官には技官もすることができるのでありまするから、事務官にいたしまして、これを局長にいたしたいというふうに考えておるのであります。
  7. 中川幸平

    中川幸平君 今回の会計検査院法の一部改正は、行政機構を所管しておる当委員会も十分御承知のことでございますが、近年各省予算の執行に当って非常に適正を欠いておる。ことに相次ぐ災害に対する災害復旧国庫補助が非常に件数も多いので、各省事前査定あるいは会計検査院査定において、はなはだしきは七、八割までが水増しをしておるとか、不正に申告しておるというような事例があったので、決算委員会としても、また予算委員会においても、政府としては何とかせんけりゃならぬとやかましく言うので、ついに決算委員会としていろいろ論議した末に、まず会計検査院を拡充すべしという院議に持ち上った。その結果かような一部改正が出たわけでありまして、この一部改正はさきに院議としてきまった精神にははなはだ遠いのでありますが、国家財政上これもやむを得ぬことであろうと、かように思っておるのでありまして、適当なる結論を早く出していただきたい、これがわれわれの念願であります。そこで一、二会計検査院長所信をただしておきたいと思うのであります。それは各省はそれぞれみずからの監査をやっております。また政府部内におきましては行政管理庁で行政監査をやっておるのであります。そのほかに会計検査院はそれそれのあらゆる角度から会計検査をいたしておるのでありまして、ややともすると、会計検査院事後検査のような感じを与えておるようでありまするが、最近は相当事前検査もやられておることは認めておるのであります。ただ私は一昨年東南アジアを回った際に、台湾政府行政機構見て参った際に、日本と違って行政監査を特別の扱いをしています。すなわち三権分立でなしに、四権分立やり方をしておるのであります。行政監査国会と直結してやっておる。非常に感じてきたのであります。われわれは各省技術事前監査は当然これは上官として、上司として部下を監督することは当然であります。それはともかくといたしまして、国のみずからの行政監査、かようなものを会計検査院と一本にして、そうしてほんとうの独立した行政監査というやり方に、会計検査院ほんとうに拡充したほうが適当でないか、かような感じをいたすのでありまするが、検査院長の御所信をお願いいたします。
  8. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) お答えいたします。会計検査院機能発揮のことに関しまして、いろいろとお考えを拝聴いたしたのでありまするが、ただいま申されました会計検査院は、最近事後検査でなしに、まあ事前検査をやっておると、大いにやれというふうなお言葉でありまするが、これは厳格に申しますると、厳格にと言いますか、私の了解しておるところで申し上げますと、実は会計検査院事前検査をいたしておらぬのでありまして、すべてまあいわゆる事後検査をやっておるのであります。事前検査と申しまするものは、これは私が申し上げなくても御承知だと思いますが、契約する前に検査をするということをもって事前検査と普通言っておりまするが、今仰せになりましたのは、まあ早く検査をやるということの御趣旨だと思うのでありますが、これは私ども補助関係におきましては、なるべく会計検査院法が要請しておるところの線に沿いまして早く検査をせねばならないというので、一昨年あたりからもう工事が始まりますと同時に検査をいたしておるのであります。あるいは査定が終りますと同時に検査をいたしておるのであります。これがまあいわば事前検査と言えば事前検査でありまするが、厳格に申しますれば、早期検査でありまして、これで相当な効果をあげ得たと考えておりますが、なおただいまのお話しがございましたので、この早期検査、今仰せになりました事前検査のお言葉でありましたが、その早期検査をなお今年は徹底してやって行きたいと思って、せっかく努力中でございます。ただいまの行政監査会計検査とを一緒にしたらどうかということについての意見をということでございましたが、これはお説のように、満州国ができました時分に、やはりこの行政監査の面と、たしか会計検査の面を一緒にしておったかと思うのでありまするが、まあこういったような会計検査行政監察と言いますか、監査とを一緒にして強大な職権を持たせて会計監査行政監督をやるということに相なりますると、よほど徹底した監査あるいは検査ができまして、稗益するところ大ではなかろうかというふうに考えておりまするが、これは私のただただいまの考えを申し上げるだけでありまして、固まってこうあらねばならぬというふうに考えはまだまとまっておりませんが、御高説を拝聴いたしまして、私の感ずるところは、ただいまのようなふうに感じておるわけであります。
  9. 中川幸平

    中川幸平君 前に経済調査庁廃庁になる際に、行政監察を強化しようということになりまして、当時全国で六つかの管区監察局を置くことになったのであります。そういう例だったのでありまするが、参議院内閣委員会において、いろいろの行政監査をする際には上よりも足を強くしなければならぬ、せっかく経済調査庁が各県に調査局を置いておるのでありますから、これを監察局に直し、そうしてがっちり行政監査をやるべきであるということで、参議院内閣委員会で修正してその通りに相なりました。今全国行政監察地方局が各県にあるのである、それに引きかえて会計検査院は地元に一つも足がない、みんな東京から出張検査になっておる。それがあながち悪いというわけではありませんが、東京から出かけると、大がい一週間とか、十日とか指定の日がくれば帰る、もう一、二ヵ所検査したいと思っても日がくれば帰る、また日を改めて出かけて行くというわけにもいかないということで非常に不便ではないか、これは非常に行政監査なり、あるいは会計検査をする際には、地方に足を持たなければほんとうの詳細な検査はしにくいのじゃないかというようなところから、政府部内の行政監査会計検査院に合体して、会計検査院が各県に局を持つというところにほんとう会計検査院機能を十分に発揮できるのじゃなかろうか、かような点からお尋ねしておるのであります。その点についてのお考えを承わりたい。
  10. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 実は会計検査院法におきましても、地方支局と言いますか、支所と言いますか、置き得るような態勢にした方がよろしかろうというので、二十二年に会計検査院法が新らしく制定されますときに一条織り込みまして、ただいまの会計検査院法でも地方支所を置くことができるというふうにはいたしておるのでございます。しかし交通機関も非常に発達をしておりますし、先ず東京に本部がありまして地方には計画的に、あるいは機動的に出張をして調べる、そのほか常時には計算証明をさせまして東京で書類によって調べておるということで、一応従来と同じように出発し、ただいまにおきましても、各県に支局なり支所、あるいはブロックごと支局なり支所を持つということは、ただいまは実現しようとしてまだ考えてはおらぬのでありますが、それはどういうわけかと申しますと、会計検査実地検査をいたし、あるいは書面で検査をいたすのでありますが、その結論を出しますのには、ただいまの会計検査院組織におきましては、実行をいたしておりまする事務局だけでは処理ができないシステムになっておりまして、いわば実際に検査をいたしておりまするものは、まあ司法関係で例をたとえて申しますると、検察当局のような仕事をいたしておるのでありまして、それが会計検査院意思決定として、これはよろしい、これは悪いというふうに決定いたしまするのは、御承知のように検査官会議、これをたとえて申しますると裁判所みたいなものでございまするが、これにかけないと会計検査院意思決定できないシステムになっておるのであります。非常に慎重を期して会計検査院法ができておるのでございまして、そういうことを考えますると、地方に局を置き、支所を置きまして、そこに常住いたしますと、結局検査をしては中央に来て検査官会議にかけるということに相なろうかと思うのでありまして、それよりもむしろ人員をふやしまして、中央から常時に、あるいは臨時に、もしくは機動的に、あるいは無警告的に実地検査をそれぞれの場所に実行をいたしまして、帰りますと、直ちに事務局でこれをまとめ、検査官会議を経て意思決定をするということの方が今の会計検査院法の建前から言えばよろしいんじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 中川幸平

    中川幸平君 行政監察の方では地方局を回ってみましても、検査に行った際はお昼御飯も絶対によばれぬということになっておる。各省や各官庁に参りますと、どうも会計検査院東京から見えておるんだから、待遇なしで帰すわけにはいかないということで非常に心配しておるということを私はあちこち聞いております。そういう点は十分に行政監察と同様にみな心得ておられるかどうか。会計検査院の上にまた検査院を置かなければならぬということに相なっては国家の滅亡でありますから、行政監査一緒に、お昼やお茶やお菓子をよばれることは、これは程度問題ですが、宿屋の心配をしてもらったり、待遇会計検査院が受けるようなことでは実際どうかと思います。その点について会計検査院長の御説明をお願いいたします。
  12. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) お答え申し上げます。実はときたま会計検査院地方出張をいたしてもてなしを受けておるのではないか、そういうことでは検査ができぬことはないかというようなことも聞きますし、そういうことをしては地方に非常に迷惑をかけるではないかということを耳にすることはたまにあるのであります。それはそういうことがありましては、まことに申しわけない次第であるのでありまするから、従来からもそういたしておりまするが、現在におきましても、私どもの方針といたしましては絶対に饗応を受けては相ならないということにいたして、強く禁令を出しておるのでありまして、先年もこれは事務総長名前でございまするが、まあ非常識といえば非常識かもわかりませんが、事務総長名前各省次官、各地方知事あて依頼書を出しまして、実地検査に行って、いろいろと事務上公務の上で迷惑をかけておる上に、さらに飲食でしたかのことなぞのお世話になるということは、まことに工合の悪いことであるから、かたくこれは自分の方の職員には絶対に辞退するように言っておるから、お含みの上よろしくお願いするというようなことを、これはまことに非常識といえば非常識でありますが、やむを得ないで、そういう声も聞きますので、お願いをいたしておるような次第でありまして、常にそういうことのないように戒告いたしますと同時に、出張いたします場合には、局長あるいは総長がみずから繰り返し繰り返し注意をいたしておるような次第でありまして、ただいま中川さんが仰せになりましたようなことも耳にいたさないではないのでありまするが、また一面におきましては、会計検査院があまりにかた過ぎて、あれではどうも検査を受ける方では困るというような非難めいた言葉も聞くのであります。たとえば茶菓子を出したら、茶菓子、昼飯くらいは食べたらいいじゃないかという声も聞くのでありまするが、それは工事などの検査に参りますると、どこで昼飯になるか検査の都合でわかりませんので、お互いに弁当を持って出まするので、自然お昼の食事などを出されても、自分のものを食べなくちゃならぬのでありまするから食べております。そうすると、出したのになぜ食べないのだというような気持を抱かれるようなことすらあるというふうに近ごろは聞いておる次第であります。これは厳重にそういうことのないように注意をいたしております。なお、それにもかかわらず不心得の者がありまして、そういうことを犯しておるということがわかりました時分には処罰をいたしておるような次第でございます。
  13. 亀田得治

    ○亀田得治君 二つばかりお伺いしたいのですが、最初に、第十四条の改正条文の中で「合議で決するところにより、」と、こうなっておるのですが、合議と言いましても、これは検査官会議、三名ですから、一人ずつ意見が違う場合には、結局任命することができない、そういうふうに解釈をしていいわけでしょうか。
  14. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) お答えいたします。一応そういうふうに御解釈願ってよろしいかと思うのであります。合議する場合は、一応中の扱いとしましては、中と言いますか、会計検査院の中の扱いといたしましては、合議の場合は会議と同じ行き方でやっております。従いまして、議が合わなければ決するわけにも行かないことになります。
  15. 亀田得治

    ○亀田得治君 今度の改正案の趣旨を拝見いたしますると、検査機能を発揮する、そういうことが目的になっているようです。そのためにこういう局をふやしたり、あるいは検査の範囲を拡張するということが必要だということで、こういう改正案が出ているわけですが、これは私ども決算委員会等で、各省の決算報告なり、あるいは会計検査院からの報告等を検討してみる場合に、いつも痛感している一つのことは、跡始末ですね。いろいろ不始末が出たときの跡始末がどうも明確でないわけなんです。で、私せっかく会計検査院法の一部改正をされるのであれば、この改正案の趣旨から言いましても、その点についてなぜ一つもう少し突っ込んだ検討をされなかったのか、その方が一そうこの改正案の趣旨が生きてくるのじゃないか、私はこういうふうに感じているわけなんです。で、そういう関係から、たとえば現行法の第三十一条とか、三十三条の規定、これをもう少し適当に強化する必要があるのじゃないかというふうなことを具体的には考えているわけなんです。先ほどからもいろいろお話がありましたことを通じて考えてみましても、会計検査院としては、限りある力で全国にまたがるいろいろなケースを全部調べ上げる。地方にいろいろ出張所等を設けて、そうして普通の行監と違って、これは厳密な意味での判決のようなものを下さなければいかぬわけですから、そういうようなことは全国にわたってとても私は実際問題としてやれるものじゃなかろうと思います。そういうことをすれば、それは全く国の二重行政になってしまう。だからどうしても、会計検査院仕事をできるだけ数多くやってもらうことはけっこうですが、それにしたってこれは九牛の一毛なんです。だからそうなりますと、その検査をやられた結果、いろいろな不始末が出て来たという場合には、それに対して一罰百戒というような立場から、きっちりとした一つ締めくくりをつけてやる、このことがどうも私非常に必要だと実は感じているのです。で、各省のいろいろな不始末のあとの処分の結果等の報告を聞きましても、はなはだ各省によってこれは相当でこぼこがありますが、ルーズなんですね。それはやはり各省自身はなかなか自分の同僚ですから、人情的にもこれはやれないわけなんです。それはやはり会計検査院がそこに一つ内閣に対する独立の機関として、そういう立場で厳正にやって行く、そんなことからこの三十一条、三十三条というものをもう少し改正をして、そうして厳格にこれを実行して行く、この点が一つどうも、抜けているような感じがする。いろいろな局をふやしたり、職員をふやすことも最小限度必要でしょうが、この点についてどのように責任者としてお考えでしょうか、承わりたい。
  16. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) お答えいたします。会計検査の結果、不当、不法のあった場合の跡始末についての御意見でございましたが、どうもこの会計検査院の不当事項、不法の事項に対する跡始末がどうもうまくいってないということは、よく拝聴いたすのでありまして、私どもこれではならないというので、今おあげになりました三十一条などに相当する者がある場合には、懲戒を要求するという処置に出ておるような次第でありまして、なおこの強化でありますが、三十一条は、民法だけでは懲戒要求ということになっておりますが、御承知のように、予算執行職員の責任に関する法律というのが他の面にございまして、国の損害を賠償せしめると、これを会計検査院でやはり検定するということになっておりまするので、三十一条はその面において強く補強されておるというふうに考えていただいてもよくはないかというふうに、その点は感じられるのであります。なお、この跡始末の一つでありまするが、会計検査院で、たとえば工事におきまして出来方が非常によくない、不足であるといったような場合に、よく当局からこれは補修さすということを答弁に来るのでありますが、実際補修さしておるかどうか、あるいは返納するという時分に、実際に返納をさしておるかどうかというようなことは、やはり跡始末といたしまして、今お話になりました跡始末の一つといたしまして追及するということで、本年も昨年もそうでありますが、別な事後処理検査班というのを組織いたしまして、各県に事務官を派しまして跡始末のことを詳しく調べて、跡始末ができていないところはさらにしなくてはいけないという意見をつけ、またそのあくる年さらにこれを追及するというふうにいたしまして、その面の跡始末は検査でもって実際の実地検査で追及をいたしておるような次第であります。先ほどの三十一条の関係は予責法でまあ相当強く補強されておるというふうに考えておる次第でございます。
  17. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは院長はあるいはわからぬかもしれませんが、ちょっと念のためにお聞きしますが、三十一条による懲戒処分の要求ですね、これは現在までにどの程度検査院長としては各省の責任者に出されておりますか、たとえば昭和二十八年度の決算報告はすでに私どもに配付されておるわけですが、膨大な不当事項がある、たとえば二十八年は何件、そういう懲戒要求を大臣に出したか、そういう点がわかりますれば非常にいいのですが、二十八、二十七、二十六あたりの……。
  18. 池田直

    説明員池田直君) お答えいたします。会計検査院法第三十一条によりまして懲戒処分を要求いたしました例は、お手元に資料として差し上げてあるかと存じますが、二十四年の五月に、東京逓信局に対しまして中村某ほか四名に対しまして要求いたしました事例がございます。ただいま五年、六年、七年、八年と、こうした例があるかという御質問でございますが、院法三十一条によりまして相手官庁等に対しまして懲戒処分を要求いたしました事例はございません。と申しますのは、御承知通り、ただいま院長からも御説明ございましたが、二十五年でありまするか、予算執行職員等の責任に関する法律ができますし、一方院法三十三条によりまするまあ犯罪事項等に関しましては、通告という問題等もございまして、他面国会におかれましても非常にそうした関係につきまして御関心が強い関係等が反映いたしまして、この種の法律に該当する案件がありますと、昨今では進んで相手官庁におきまして戒告なり、あるいは減俸その他の懲戒処分を進んで行うようになっております。また院法三十三条の関係におきましても、進んで、自首等をいたしたり、相手官庁で告発したりというような事態もございますような関係で、この条文によりまして検査院が発動するような事態が表面上は少くなっているような状況でございます。
  19. 亀田得治

    ○亀田得治君 それははなはだ私失礼な言い分かもしれませんが、やはりこれは任意規定になっておりますから、この三十一条の発動がこんなに少いのだと思います。で、昭和二十五年以後は三十一条に該当するものはないというふうにちょっと聞いたのですが、該当するものがないという意味なのですか、あるいは該当するものは相当あるかもしれぬが、任意規定だから発動はしなかっなんだと、それはどっちなんでしょうか。
  20. 池田直

    説明員池田直君) お答えいたします。三十一条で会計検査院から国の会計事務職員に対しまして懲戒処分を要求する事案に該当する事項は、これはございますわけです。しかしながら、ただいまも申し上げました通り予算執行職員等の責任に関する法律が二十五年からできております。そうした関係等によりまして責任追及が相当強く及ぶことになっております関係で、進んでそうした関係の処置によって主務官庁で処分済みのもの、そうした関係で私の方といたしまして三十一条で発動する余地が非常に狭まって参ったというのが実態でございます。
  21. 亀田得治

    ○亀田得治君 それであれば事実関係が相当あるということはお認めのようですから、まあことさらに私争いませんが、しかしあなた方がお考えになる以上に私はこの事案そのものは非常に多いのだと、こう確信しております。私自身も一つや二つ十分知っております。具体的に……。それでただただいまの、さっきからの答弁を聞いておりますと、予算執行職員等の責任に関する法律、こういうものができまして、そういうようなケースが起きた場合にこの賠償をさせる、穴埋めをさせるというようなことがあるからというふうなことを相当強くおっしゃっておるわけなんですが、これは当然なことなんです。こんなことは個人間であったって当りまえのことなんです。懲戒というのは、その上にそういうものは行政秩序を守る上において不適当じゃないか、これが非常に行き過ぎて不適当であれば、残念ながらこれはやはり免職しなければならぬでしょう。それに至らぬでもやはり仕事のしっぷりがいかぬという意味のこらしめ、これ自身はそんな金銭的な穴埋めができた、できぬ、こんなこととは関係ないことなんです。だから各省の人たちが少しルーズに考えて、これは穴埋めしたからいいのだというようなことを放言なさるというようなのが、ややもするとあるようですが、それは何としても会計検査院自身は、これはもっとそういう点は私は厳重に考えてもらいたいと思うのです。従って私はやはり故意または重大過失によって国家に対して損害を与えた、こういう場合には、会計検査院としては当然三十一条に基いて各省に対して懲戒の要求をする、これは任意規定にしておく必要がないと思うのです。故意または重大なる過失によってやったときと、こうなっておるのですから、要件はきわめて厳格なんです。どういうものでもやれとはなっていないのですから私は当然じゃないかと思う。しかも実績からみると、毎年毎年あれだけたくさん不当事項が報告されていて、わずか二十四年にこれを発動したのが一件であったということならば、三十一条は私はないにひとしいと思う。なるほどこういうふうに会計検査院なり、決算委員会等がやかましくなってくると、この各省においても今後は気をつけるようになろうと思うのです。それは非常にいいことですからね。気をつけてもらっていいのです。ところが、それでもなかなかルーズなのですよ。これはたとえば通産省のやつがせんだっても決算委員会で調べられましたが、一つも懲戒処分というものがないのです。一つもないのです。だからそんな状態なのですから、自主的にそれはやるだろうというようなことはとても期待できるものぢゃないのです。どうしたって。ですから私はどうしてもそれら各省の責任者がおれの方もそういう問題が起きた場合には懲戒処分にするという気持とあなたの方の要求と、これがダブったっていいことなのですから、だからあなたの方がその要求書を出して、各省の責任者がそういう要求は会計検査院としてはあるが、おれの方はいろいろ調べたところ懲戒までは行く必要がないのだという結論になれば、それは大臣の責任において懲戒にしなくてもいいでしょう。しかし要求だけは検査院からはやはり出して行くということだけは、これは三十三条と同じように三十一条も義務規定にすべきだ。またそういうふうにすることによってやはり跡始末という問題が一歩前進するように思うのです。だからこの事後処理のわずか一件というこの現実の事態から見てもちょっと納得行かないのですが、検討の余地は私相当あろうかと思うのですが、そんな研究の余地がない、これでいいというようなそういうお考えでしょうかね。
  22. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの件でありまするが、検査報告を御覧になりますと、御承知のように三十一条に該当するらしき案件は相当あるのであります。そうして会計検査院は三十一条を発動したことはほとんどないじゃないかということになるのでありまするが、これは実質はそうではないのでありまして、三十一条を発動する構えはするのでありまするが、しかしながら相手の官庁におきましてすでに懲戒処分にかけまして、戒告なりあるいは減俸なり、進んでは免官の処分をしておるというような場合には、重ねて会計検査院から懲戒の要求をするということはいたさないことにいたしておりまするので、従いまして三十一条の発動の件数が少い、こういうことに御了承願いたいと思います。何といいますか、ねばならないというふうになっておらないので、任意規定のように見えるので、あまり発動しないのではないかという仰せのようでありますが、そういうふうには私ども考えておらないのでありますけれども、現に今も二十八年度につきましては三十一条なりあるいは予算執行職員等の責任に関する法律の発動のためにいろいろの準備をやっておるのでありまするが、そのうちに相手方の方で懲戒処分もいたしますると、私どもの方は重ねて懲戒の要求をするということをいたさないことにいたしておるわけでございます。
  23. 亀田得治

    ○亀田得治君 それじゃさらにお聞きしたいのは、各省が自発的にどの程度今まで懲戒処分をされたか。たとえば昭和二十八年、二十七年、二十六年およその数字でもいいですから、それは具体的に各省別にあなたの方でつかんでおってそういうことをおっしゃるのかどうか。
  24. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ここに具体的の数字を持っておりませんが、一つの事案ごとに、どういう処理を相手方に各官庁でしておるかということは、全部にらんでおるのであります。ただそのうちには少し軽過ぎやしないかというものもなきにしもあらずでありますが、全部にらんでおるのでありまして、あるいは懲戒に付した件数は何件あるかということはここに材料がございませんので御説明をいたしかねますが、全部これはにらんでおります。
  25. 亀田得治

    ○亀田得治君 ともかくもそれははなはだ少いのです。これはもう。しかも一方であなたの方から膨大なる不当事項がたくさん出されてきておるのです。そう間の矛盾というものはだれが埋めるかといえば、結局はあまり気持のいい仕事でないかしらぬが、会計検査院というものが埋める以外に私はないと思っております。だれかが、これはそこを跡始末の穴埋めを、強力に埋めるものがなければならぬわけなんです。そこで私は三十一条をもう少し一つ検討するようにしてほしいと思う。それからさらに三十一条に関連して、「国の会計事務を処理する職員」、こうなっておるのですね。「国の会計事務を処理する職員」と、こういうふうに条件がここでまた狭まっておるのです。不当事項をやったやつのさらに会計事務を処理する職員というのは一体だれか。この解釈によって広い狭い、いろいろ出てくるわけですがね。しかし会計検査院が実際に検査をされる対象は、単に会計事務をやっておる人だけじゃない。それに関連していろいろなものが出てくるわけですね。ところがそいつがこの定義にはまらぬからということで、三十一条から逃がれるのは、私、はなはだつり合いがとれないと思うが、この会計事務に従事する職員というのを広く解釈すればもちろんいいですよ、いいですが、私がその点で三十一条を、もしあなたの方で本格的に会計検査しようとされるのであれば、この点も実は問題だと思う。ほんとう検査の結果不当の人が出た、それに対してはやはり注意しなければならぬということが出てきた場合には、それは何も会計事務に直接タッチしておらぬ人だって、それと組んでやったという人があれば、それは全部注意すべきだと私は思う。そういう点を三十一条で感じておるし、同じことは三十三条についてもそういう限定があるわけなんです。これも私は無用な限定だと思う。せっかく会計検査院が不当なやつがおるということを発見しておりながら、それが三十三条のこの単なる条件に該当しないからということで、犯罪行為までやっておるものを検察庁に通告できない、こんなばかなことはないのでしてね、だから私はこういう制限はとることも一つの問題じゃないか、こう考えておるのです。で、一つなんですね、時間もだいぶたちましたから、私はそういう点もですね、せっかくこういう会計検査院法の一部改正を出される趣旨から言いまするならば、追ってさらに十分検討してもらいたいと思うのですね、そうしてできればそういう改正案がやはり自発的に出てくるように一つ希望をいたしておきます。
  26. 白井勇

    ○白井勇君 事後処理の問題で、私も今亀田委員からお話がありましたが、全く同感に考えております。ことにこの間決算委員会といたしましては前回にない例だそうでありますが、現場の関係者に来てもらいましていろいろ話を聞いたのであります。それを聞いておりましても、その処理が適当でない、むしろですから会計検査院によって摘発をされますまでは——まことにこれはよかったと思うのでありますが——たまたまその処理が当を得てないというようなことから、むしろやった者が得をするのだというような、かえって会計検査院検査は受けない方がむしろよかったのじゃないかというような逆な効果をもたらすようなことがあるのじゃないか、私はしみじみ聞いておりましてそう感じた一人であります。この前院長のお話によりますと、今度の増員によりましても、ただ従来問題になりました農林、建設あるいは厚生、労働ですか、補助金関係のありまする方面の検査を十分にいたしまして、二割のものを三割にして、あるいは三割を四割にしてそういう率を広げたというだけでなしに、事前検査とかあるいは事後処理というものを十分重点的にやって参りまして、今後十分その会計検査院としての機能を発揮して行く、こういうお話がありましたので、私も大いにその点は期待を持っている一人であります。  ちょっと伺っておきたいと思いまするが、この前事務総長がお話になりました二十八年度の検査報告に、提出されましたものが五千九百七十七もあり、それから決算報告書に最後に載せられたものがそのうちから二千二百三十二件あると、こういうふうにお話がありました。これにつきまして二十九年つまりその後にいわゆる事後処理をやりました件数というものはどのくらいあるのか、それからそれがどういう事後処理をやって行ったところがその後どういう格好になっておったか、そういう数字がありましたらお示し願いたいと思います。
  27. 池田直

    説明員池田直君) ただいまの白井さんからの御質問のうちの二十八年度の検査報告に提起された事項、まあ主として補助金関係等が多うございますが、その関係の事後処理の状況につきましてまず先にお答え申し上げます。  この新年度当初また二十九年度末から直ちに機動班を設けまして事後処理状況を不当事項の多かった地域に主として派遣いたしまして検査いたしましたところが、はなはだ遺憾なことではございましたが、ほとんど手をつけていない。また手をつけてもまだ工事もほとんどでき上っていない。やっと会計検査院が事後処理等を見に来るので何とか格好をつけようというような努力がほのかに見え始めているというふうな状況で、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。  なおその他の案件につきましても目下……
  28. 白井勇

    ○白井勇君 お話中ですが、私はそういう抽象的なことを承わりますよりただ何件やってその後どういう格好になっておったかという結論を聞けばいいのです。
  29. 池田直

    説明員池田直君) ただいまの点具体的の関係につきましては資料をちょっと今持ち合せておりませんので、後ほど具体的なことは調べまして、具体的な実績につきまして御報告させていただきたいと思います。
  30. 白井勇

    ○白井勇君 後ほどというお言葉がありましたが、一体会計検査院の次回とか後ほどというのは大体どういう時期をさすのでありますか。私は同様なことを先月の十七日に一応あなたの方の政府委員ですかに承わったわけです。ところがその後数回御出席なさっているにかかわらずそういう回答はありません。ですから会計検査院の次回とか、あるいはこの次の機会というのは一体いつごろをおさしになりますのですか、まあ一つはっきりした御答弁をいただきたいと思います。
  31. 池田直

    説明員池田直君) 次回と申しますのは、これはできればすぐ御報告すべき意味でございます。ただいまのような御指摘のような事態、はなはだ、私、この席で遺憾の意を表したいと存じます。  なお、今私が申し上げました事後処理の事項は、役所に帰りますればございまするが、今日中にでも、明日でも御報告いたしたい、こういうふうに次回と申しますのは努めてできるだけ早い時期というふうに御了承いただきたいと思います。
  32. 白井勇

    ○白井勇君 大体私もその件数がはっきりしなかったものですから資料を要求してあるわけであります。ただいまお話によりまするというと、見たもののうちの三分の一というものは何もやっていない、三分の一は多少手をかけている、残りの三分の一は会計検査院が来るからということであわててやり出したという程度のことは私も知っておるけれども、それをもう少し具体的に知りたかったからそういう要求を出しているのです。よろしくお願いします。  それから院長にちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、この前私はこの委員会の席上におきまして、これから会計検査院といたしまして、重点的にやって行かれるというふうにお考えになっていらっしゃいます早期検査事前検査といいますか、これは一体法律の何条によってその権限が与えられているのか、こういうことを端的にお尋ねしたわけであります。と申しますことは、地方の現場に参りますというと、従来、収支決算が済んでから見えたものが、最近補助金関係からいたしまして、事前に来ると、それによって非常にまあ現場の仕事もふえて、いろいろ迷惑をしているというような話もし、その上さらに会計検査院としては、ああいう仕事の権限というものはないはずだ、こういうような考え方を持っている所があるのでございます。ですから私は検査院としましては、いま少しはっきりいたしました態度をお示しになったらどうかと思いましてお尋ねしたわけであります。ところが検査院長のお話によりまするというと——私はその権限というものは、二十二条の二号によって与えられているのじゃないかということをお尋ねしたわけでありますが——ところがそれは違うのだ、こういうことをはっきりお答えになった。私はその後参議院の法制局等に寄って聞きまするというと、法制局はやはり私と同じ考えを持っております。第二章によってその権限が与えられ、それから二節によりましてその範囲、三節によってその方法が与えられている。こういうように解しているようであります。これはこの機会でなくても次回の決算委員会等におきまして、もし私のこの考え方、また参議院の法制局の考えが間違っておりまするならば御訂正を願うように御答弁をお願い申し上げます。  それから私ちょっとお尋ねをしたいのでありますが、会計検査院技官というものがいるそうでありますが、これは一体どういう仕事をやりますのか。具体的にお話を願います。
  33. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) まず最初の点でありますが……。
  34. 白井勇

    ○白井勇君 それは次回でけっこうです。
  35. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ごく簡単に申し上げます。これは私どもの方、先般御説明しましたのが足りない点もございますが、結局事前検査、先ほど申しました事前検査ではないのでありますが、早期検査でありまして、検査権限が検査の範囲でありまするところの二十二条の三号でありましたか、に最小限度そこにある、結局補助関係だけで申し上げますと、すでに支出をしたもの、これは当然検査が二十二条の一号ですか、二十二条の第一号であるわけでございます。それから次には査定をしまして決定を通知しているのがあります。これは債務が確定しているのでありまするから、二十二条の第三号の国の債務の増減であります。債務によって当然検査をしなければならぬのでございます。それからもう一つ査定は終ったがまだ決定通知が行っていないというのも、これは国に当局が債務があるものとして予備費などを要求している点から見まして、国に債務ができている、こういうふうに考えるのでありまして、これも当然会計検査院が「債務の増減」の増でありますから検査ができるのであります。ただ早期検査といい、あるいは二十六条の早期調査をしたと申しまするのは、ただ査定が終っただけでは、ほんとうの本格的な検査をするに熟しないから、二十六条によりまして調査をしたというふうに説明をいたしたのでありますから、その点は補足させていただきたいと思います。  なお技官でありまするが、これは十八条を御覧願いますと、「技官は、」「技術に従事する。」ということになっているのでございまして、技官本来の仕事といたしましては、会計検査院におきましては、会計検査、庶務というふうに分けて行きますと、検査、庶務、それから技術に従事するということでございまして、検査の一応ストリクト・ユースといいますか、ほんとうに狭く申しまする検査から、検査の補助的といいますか、の意味で、検査自体ではございませんです。技術、そういうように考えております。
  36. 白井勇

    ○白井勇君 それをもう少し具体的にちょっと……。この審査とか何といいますか、検査とか、そういうことでいわゆる技術というものとの具体的……どういうふうに分れるか、会計検査院におきまして。
  37. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 細分して申しますとそうでありまするが、全体的に申しますれば、その技術に従事はするけれども、それは会計検査の何といいますか、資料になるというふうに考えておるのでありまして、資料といいますか、会計検査の一段階ではあるのでありますが、院法から申しますると検査技術というふうに分けておるだけであります。そして事務官と違いますものは、事務官一般検査に従事し、そうして技官は……。
  38. 白井勇

    ○白井勇君 そういうふうに抽象的に伺っておるのではない。検査院としては技術というのはどういうことをいっておるのか、審査というのはどういうことをいっておるのか、検査というのはどういうことをいっておるのか、まあ検査との関係において、そのお話を聞きたいわけです。
  39. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 技術と申しまするのは、専門的な技術だけの意味考えております。
  40. 白井勇

    ○白井勇君 ですから、そういうことはだれでも言えることなんですから、実はあなたの方でやっていらっしゃるからお仕事はよくおわかりだと思うのです。それによりまして、ここに岩石があって、会計検査院が見て、これに火薬を詰める、こういうことになりますれば、そこでこの石ならば、たとえば一立米あたりの火薬量というものは〇・二五くらしかかからん、そういうことをつまり判定するのは技術官……。
  41. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) それは技術の面もかかっておりましょうけれども会計検査として事務官がやっております。
  42. 白井勇

    ○白井勇君 事務官としてやっておるのか。
  43. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) そうです。事務官もやるのでありますが、技官も今やります。
  44. 白井勇

    ○白井勇君 ですから、そこのところはどの方がどうやるかということを言えば、その石を見まして、火薬でたとえば〇・二五あるいはこっちは〇・五使うとか、こういう判定というものは技官であって、証拠書類を調べ、あるいはそろばんをおき、そのあとのことは一応事務官でやる、こういうふうに分れるものか。ですから技官というものは少くとも審査なり検査という考え方では全然頭を働かさなくてもよいものかどうか。そういうものが一体会計検査院に必要なのかどうか。その辺の具体的の例はわかるでしょう、あなたたちはやっていらっしゃるのですから。どういうふうに運行していらっしゃるのですか。これは事務総長でもけっこうです。
  45. 池田直

    説明員池田直君) ただいま御指摘の通り火薬の使用量関係でございます……。
  46. 白井勇

    ○白井勇君 これはごく簡単な話でございます。
  47. 池田直

    説明員池田直君) これは果してこの岩盤に対して火薬が幾ら要るかということはこれは技術だろうと思う。ところがそういうようなことがいろいろ実績が上っておる関係を見まして、当初の予定設計が非常に多過ぎたというようなことがかりにあるといたします。そういうような場合に当初のいわゆる設計判定でございますね、技術の判定、技術の判定がよかったか悪かったかということの判定ですね、これはやはり技術の面が相当ありわせんかと思いますが、事務面におきましても実績から相当の多過ぎた実績が帳簿によってわかりますから、それが多過ぎたということの判定はこれは事務でちっとも差しつかえない、技術でなくて事務ではないか、こういうように考えております。
  48. 白井勇

    ○白井勇君 ですから、私は会計検査院のいわゆる検査のお仕事というものはそういう技術の面もあり、その方面から入ってくるものもあり、あるいはそろばんなり会計経理の……その人の技術ですからね、そういうものから入ってくるものもあり、そうして最後にそういうものを総合的に判断する、そういう格好になるのです。ただ技術に従事するということではなしに、抽象的にどこにもある言葉であって、そう判然たる、技術官であるから審査には全然従事しない、検査には全然従事しないのだ、こういう少くとも運行には会計検査院の実体としてはなっていない、こう私は考えるのですが、そこはどうですか。
  49. 池田直

    説明員池田直君) 先ほど院長からも御説明がありましたように、十八条に「技術に」技官は従事するという趣旨規定会計検査院におきましても営繕等がございます。従いまして営繕等の仕事をもっぱらつかさどっておりまする技官、これはいわゆる技術だけの関係で、会計検査事務には直接関係のない技官でございます。しかし、ただいまお話の通り検査事務も結局技術の面と密接不可分の関係にありまして、むしろ渾然一体となって、検査の結果の総合判断は会計検査の面に現われて参りますので、技官事務官の性格を持ち合せまして各検査課に配属されておるものもございます。そういうような場合でも技術だけの判定をよその課におきまして必要とする場合は、その技官技術的な知識を活用するようなふうに現存実際上の運営をやっております。
  50. 白井勇

    ○白井勇君 時間がありませんから簡単に伺いますが、それでは十八条はなぜこういうふうに改正をされるのですか。
  51. 池田直

    説明員池田直君) 十八条は大体現行通り趣旨を大体行なっておるのですが、ただ技官は各局課に分属する関係だけをここで除いたゆえんのものは、課ばかりでなく、局ばかりでなく、また事務総長付きとか、そうしたいろいろな面に属しまして仕事ができるように、局課ということに分属するということが要らない趣旨でございます。
  52. 白井勇

    ○白井勇君 これはあれではありませんか、従来は技官というものは課長にもしなかったのだ、今回はそういうこともどうも時代錯誤じゃないかということで少くとも課長にはいたします。こういう趣旨でしょう。
  53. 池田直

    説明員池田直君) 特にそういうような趣旨でございませんで、まあなるたけこれは局課に分属でなくて、ただいま申し上げましたように、事務総長付きにもできるようにいたしたい、そういうふうに広く活用できるようなふうにいたしたいと思います。
  54. 白井勇

    ○白井勇君 これは私たちすらっと読んでみますと、どういう改正の御趣旨か知りませんけれども、十六、十七、十八条あたりはこれはどうもあまりさらっとしないような改正のように私は思うのですね。これはいかにも技官だとかいうと、抽象的にはほんとう技術者のようには考えられますけれども、しかし少くとも会計検査院においていうところのものは、これはやはり審査なり検査なりという立場に立っての技術であり、そのためにいろいろと頭が働いていく筋合いのものであって、何も設計をして新しいものを建てていくとか、工作をしていくという役所ではないのですから、これは断然検査やら、あるいは審査というものが、そういう少くも同じ技術者であっても、そういうものがそこに入ってくる筋合いのものだと思う。今のような非常に窮屈な形を続けていきますと、そのために優秀な人も入り得ないし、今現にあなたの方でやっていらっしゃる通り、わざわざ事務官名前をつけて、そうして今の運用をしなければならないというような、まことに自繩自縛のような格好になる筋合いのものである、私はそういうふうに考える、これは私の考えですが……。
  55. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 二十三条についてちょっとお尋ねしたいのですが、「会計検査院は、必要と認めるとき又は内閣の請求があるときは、左に掲げる会計経理検査をすることができる。」そうして第三号に「国が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付」したものの会計、こうなっておりまして、この第三号に該当いたしまするものには府県なり市町村、あるいは組合というものが入っておるかどうか、おそらく入っているのだと思いますが、その点と、それからこの文章で見ますと、「ものの会計」、この会計という意味は、その範囲はどの程度に御解釈になっておりますか。私がお尋ねしたい趣旨は、国の会計検査院でありますけれども、実際は府県なり市町村に参って使われるものが非常に多いのでありまして、また問題を起しているのもその関係が実際多いわけであります。そこでそういう方に対する監督を極力徹底していただきたい、こういう見地からお尋ねをするわけなんでありまして、そこで第一に必要と認めるときはできるというのですから、またそれによって必要と認めておやりになっているのだと思うのでありますが、この第三号に言う「ものの会計」という、その会計という意味は、非常にまあ現行法では私狭くとられているんじゃないかと思います。これを広く扱えば、府県なら府県の会計全部についてもみられる、町村でも同様であると思います。しかしそういうふうに広げることは、地方自治体の自主性といいますか、いろいろの観点から実際はむずかしい問題だと思いまするが、しかしこの条文だけを見ますると、ただ「会計」となっておりますので、その点に対する今までのおやりになっている方針なり実情をお伺いしたいわけであります。
  56. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの点でありますが、これは今お話しになりましたように、広く読めないこともないように書いてありますが、この趣旨は、やはり地方自治の強く叫ばれるときにできた法律でありまして、趣旨といたしましては、補助金がいっておるその補助金の出し入れ、補助金の使い道という、その会計を言っておるのでありまして、これを出しておるから府県を全部みるというふうには今案は解釈いたしていないのでありまして、そういう解釈もできるからそういうふうにしてやったらどうだという意見も、実は会計検査院の中にもあったのでありますが、そういうふうに解釈するのは広きに失しはしないかというので、院法ができて以来、ただいま申しましたような解釈で検査をいたしております。  なお、初めの御質問でございまするが、直接または間接に補助金を交付したものというのは、市町村が入るかというと、府県及び市町村が全部入ります。市町村は大体府県を経まして間接に補助を受けております。しかし直接に補助をしたものもございますから、結局間接または直接というので、ただいまの国内における府県市町村はほとんど全部入ると考えております。
  57. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 御答弁で大体私もわかったんでありますが、またおそらくそういう解釈でいくのが今の地方自治法等との関係からやむを得ない点かと思うのでありますが、しかし会計検査院は専門家の立派な方がおいでになって、徹底した監査をおやりになりますが、府県とか市町村の実情は必ずしもそうなっておりません。伺いますると、いろいろの方面から、時に監査もされますけれども、いずれも今お述べになりましたように局部的な監査であって、自治庁そのものも徹底していないように聞いておるのでありますが、そこで府県の経理というものも非常に大きくなっておりますし、大都市等の経理もきわめて大きい、また小さいとはいいながらも、町村等は、かえって経理が不明確である場合も多いわけであります。このために国の補助金がいきます地方団体においても、こういういろいろ会計検査院で御指摘になるような問題が起って参りまするので、私はさらにこの三号のその解釈等を関係方面とも御折衝になりまして、会計検査が徹底するように、ぜひ一つ進めていただきたいのであります。府県等には監査委員というような制度がありましてやっておりますけれども、これも内部のことでありまして、かなり不徹底なことはもう周知の事実なんでありまして、私どもとしては、国と地方と通じての経理の適正を期していくことが任務であると思いまするので、どうか一つこの検査についての地方自治体との関係につきましても、何か名案を一つ考え願いたいと、これは希望でございますけれども、この機会にお願いしておきます。
  58. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私はほんの一、二点お伺いしたいと思います。その一つは、この二十三条の改正で、三公社に対して検査の権限が拡大されているようですが、特に過般の造船融資だとか、あるいは電源開発等に対して、ずいぶん多額な資金の取扱いをしている二銀行、四公社に対しては、この際せっかくの改正の機会ですから、ここまで権限を拡張するという必要をなぜお認めにならなかったか、この点を伺います。
  59. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) お答えいたします。二公社の方は、従来から官庁でもありました関係もございますし、一応役所並みに会計検査をし、跡始末をしていくというので加えたわけでありますが、ただいまお話しの、たとえば開銀などについては、その融資先などについて会計検査ができるようになぜしなかったかというような意味の御質問だと思いますが、実は開発銀行に対しましては会計検査をいたしております。そういたしまして、開発銀行は御承知のように、中に審査部などもございまして、融資する場合には相当に調べまして融資をしておるようであります。そういたしまして、会計検査院検査に参りまして、融資先その他につきましていろいろと質問し、検査をいたしまして、了承のできないものにつきましては実地に融資先を見たりした場合もあるのであります。そういう場合にどうしておるかと申しますと、開発銀行は融資先の会計監査といいますか、調べができる職権があるのでありまするので、開発銀行の人を伴いまして融資先に参りすまして調査をいたしまして、開発銀行の融資先の関係検査を、ただいままででは一応滞りなく検査をいたしておるような次第でございまするので、まあ三公社だけの分について改正をお願いし、開発銀行については現状のままでよろしくはなかろうかというので改正の案をお願いいたさなかったような次第でございます。
  60. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、そこまで権限を拡張する必要がなかったというのは、検査の実績に基いて、つまり今度の院法改正の事由にうたわれているように、会計検査院の専務量が近時著しく増加をした、こういう事務量が増加をしたという理由から、あまり多方面にまで手を伸ばしたくないという理由が一つと、それからもう一つは、検査を実施した経過に基いて日本開発銀行ほか一銀行、それから国民金融公庫ほか三公庫ですか、そういったものについては質的にそう検査権限を拡張するような必要を認めておらないという理由ですか、そういう二つの理由で権限はそこまで拡張しなくてもよろしいというお考えですか。
  61. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 今まで先ほど申しましたように、また検査上滞りなく検査ができております。それから造船融資の関係につきましては市銀の関係で利子の補給が参っております。その利子の補給が間接に船会社にいっておる関係で船会社の方を検査に指定いたしまして、すでに現在の法律の上で検査のできるようにその面でなっている関係もございます。かたがた開銀の検査は融資先の関係をも含めまして滞りなくやっているので、ただいま申しましたように改正をお願いしないというふうにいたしたわけであります。
  62. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、もう一つ具体的にお尋ねいたしますが、三十一条なり、あるいは三十三条を要求するというふうな必要は全然お感じになっておりませんか。そういう必要は感じられたことはなかったですか、二銀行、四公庫に関して……。
  63. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 検査の及ぶところには全部三十一条なり三十三条の規定を適用するということも一つ考え方でございまするが、これは先ほども意見がございましたが、一つの何といいますか、三十一条は処罰規定と言いますか、そういうものでありまするので、なるべく広くしようというのも一つ考えでありますが、なるだけそれはやむを得ない面だけに限った方がよくはないかというので、一応役所に準じて考えてもよいと思われる三公社に限定いたしまして、開銀の方にはそれを改正して処罰規定を適用するというふうに考えなかったのでございます。
  64. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私のお聞きしたいのは三十一条と三十三条を会計検査院検査している機関にどこまでも拡張して適用せよというのではない。私が聞こうとするのは、つまり銀行並びに検査を実際実施している公庫に関して、そういう事態をお感じになったことは今までの検査上なかったか、そういう必要を全然お感じになったことはなかったかということです。
  65. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 私どもの報告を受けたところでは、そういう報告を受けたことがございませんので、感じたことはありませんでしたとお答えいたしたいと思います。
  66. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑ございませんか。他に御質疑もなければ、内閣及び決算委員会の本法律案に関する連合審査会はこれをもって終了することにいたします。  なお、決算委員長の申し出によりまして、あるいはこの法律案に関しまして、決算委員会から何らかの申し入れを内閣委員会にされるかもしれないということであります。もしそういう場合には内閣委員会の審議の関係もございますので、本日のうちにお申し入れを願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十六分散会