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1955-06-09 第22回国会 参議院 内閣・決算委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月九日(木曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  委員氏名   内閣委員    委員長     新谷寅三郎君    理事      植竹 春彦君    理事      宮田 重文君    理事      木下 源吾君    理事      松原 一彦君            井上 知治君            木村篤太郎君            中川 以良君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            上林 忠次君            高瀬荘太郎君            野本 品吉君            加瀬  完君            千葉  信君            松本治一郎君            田畑 金光君            松浦 清一君            三好 英之君            堀  眞琴君   決算委員    委員長     山田 節男君    理事      青柳 秀夫君    理事      谷口弥三郎君    理事      野本 品吉君    理事      岡  三郎君    理事      中川 幸平君    理事      石川 清一君            石井  桂君            小沢久太郎君            大谷 瑩潤君            鹿島守之助君            木内 四郎君            西川平治君            白井  勇君            白波瀬米吉君            長島 銀藏君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            島村 軍次君            常岡 一郎君            三浦 辰雄君            加瀬  完君            亀田 得治君            近藤 信一君            矢嶋 三義君            小林 亦治君            木島 虎藏君            白川 一雄君            市川 房枝君   —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     新谷寅三郎君    理事            植竹 春彦君            宮田 重文君            木下 源吾君            松原 一彦君    委員            中山 壽彦君            上林 忠次君            野本 品吉君            千葉  信君            田畑 金光君            松浦 清一君   決算委員    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            野本 品吉君            岡  三郎君            中川 幸平君    委員            大谷 瑩潤君            鹿島守之助君            西川平治君            白井  勇君            宮田 重文君            飯島連次郎君            島村 軍次君            木島 虎藏君            市川 房枝君   —————————————    会計検査院長  東谷伝次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総長      池田  直君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○会計検査院法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査)   —————————————   〔内閣委員長新谷寅三郎委員長席に着く〕
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから内閣決算委員会連合審査会を開会いたします。  会計検査院法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず、本案に対する補足説明会計検査院から聴取いたしたいと存じます。
  3. 池田直

    説明員池田直君) 会計検査院法の一部を改正する法律案提案理由につきましては、すでに内閣官房長官の方から御説明がございましたので、私から簡単に補足説明細部にわたりましていたしたいと思います。  本改正は、事務総局の組織並びに権限検査範囲、それに付随しまして、検査に伴いまして、その経過または善後処理といたしましての会計検査院の処置の関係につきまして改正を加えた次第でございます。まず、事務総局に一局を増設いたしまして五局といたしましたことは、すでに御承知通りでございまして、国及び政府関係機関におきまする経理実情からいたしまして、会計検査院事務量も著しく増加しております。これがために、局課長の掌理にも支障をきたしておるような次第でございまするが、ここに検査報告提案件数につきまして申し上げますと、各局で大体処理いたしておりますのは、二十五年度で三千百六十五件、二十六年度が三千六百九件、二十七年度が五千三百六十八件、二十八年度が五千九百七十七件、これが各局でいろいろ審議いたしまして、結局最終的に検査官会議を経まして整理いたしましたのが、皆様御承知通り検査報告掲記件数ということで、二十五年度が千百十三件、二十六年度が千百九十八件、二十七年度が千八百十三件、二十八年度が二千二百三十二件、こういうように検査報告掲記件数が増加しておるような次第でございます。なお質問等の発遣件数等におきましても、この委員会におきまして、たびたび会計検査院といたしまして御説明しておる通り相当件数に上っておるような次第でございます。この意味におきまして、十二条に改正を加えまして、一局を増設した次第でございます。なお、第十三条第一項、第十四条、第十六条、第十七条、第十八条、これは職員任免進退等に関しまする規定改正でございまするが、すでに内閣官房長官からも御説明がありました通りに、本法施行当時、職員一級官、二級官及び三級官に分れておりまして、それぞれの職員任免進退はこの級別に応じまして任命権者及び手続を異にしておりましたのでございまするが、国家公務員法が制定されまして、また官の級別が廃止されましたので、国家公務員法趣旨に沿った改正をいたしましたような次第でございます。  次に、会計検査院の職権、また検査範囲でございまするが、この所要の改正は第二十三条でございます。日本専売公社日本国有鉄道または日本電信電話公社に関連ありまする会計経理について必要と認めた場合、または内閣の請求がありましたときには、検査官会議の決定を経て検査ができることといたしました。その会計経理と言いまするのは、日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社以外のものが公社のために取り扱う現金物品または有価証券の受け払い、次に公社が直接または間接に補助金奨励金助成金等を交付し、または貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計、これが一つと、次に公社資本金支出したものがさらに出資しているものの会計、これが一つ、次に公社が借入金の元金または利子の支払いを保証しているものの会計、これが一つ、次に公社工事請負人及び公社に対する物品納入者、この納入者のこの契約に関する会計、この事項会計検査院といたしまして横溢ができるようにいたした次第でございます。これによりまして、新たに会計検査院といたしまして、公社関係会計経理検査真実性が一そう把握できることになりまして、権限強化意味相当これで達せられる、そういう意味相当に出てくるかと考える次第でございます。  今、検査範囲関係につきまして、御参考までに多少細部について申し上げますと、第一の第二十三条第一項第二号の公社の取り扱う「現金物品又は有価証券の受払」、これはどういうふうなものがありますかと申し上げますと、たとえば連絡運輸収入私鉄関係等国鉄連絡運輸収入取扱い契約をいたしておるのでございますが、連絡運輸収入国鉄関係のその会計公社から倉庫業者に委託いたしておりまする物品運送業者に委託しました物品等、また請負業者工事等材料公社が交付いたしております場合、この請負業者交付材料受け払い等会計、また専売公社国鉄電電公社はその現金を、収入等のあるいは支払い等現金市中銀行に預託することができるのでございまするが、そうした場合、その市中銀行に預託しておりまする現金取扱い、このことにつきまして市中銀行のその会計につきまして必要ある場合に会計検査院といたしましては検査ができる、こういうふうなことになるわけでございます。二十三条の一項の三号で申しますと、「補助金奨励金助成金」、これが相当公社から出ておるわけなんでございまするが、この関係補助を受けておる団体の会計を見ることができるわけでございます。「貸付金損失補償等財政援助」も、やはり公社等におきましてかなりやっておるのでございまするが、そうした場合も国の場合と同様に検査ができる、それから二十三条の一項の七号で申しますれば、工事請負人及び物品納入者のその請負契約物品納入契約に関しまする会計につきまして、契約真実性正当性を把握する必要な限度において、工事請負人のその会計物品納入者のその会計を見ることができる次第でございます。大体以上が検査範囲の問題になるわけでございます。  次に、三十一条、三十三条、三十五条、三十七条二項、この関係会計検査院検査の過程におきまして、あるいは検査の終了後におきまして、一そう会計監督を発揮するために、三十一条で申しますれば、公社会計事務処理する職員故意または重大な過失によって著しく公社損害を与えたと認めるとき、あるいは公社会計事務処理する職員計算証明の規程を守らない等の場合におきまして、その職員懲戒処分要求ができることにいたした次第でございます。これは現行では公社予算執行職員につきましては、予算執行職員等責任に関する法律規定によりまして、当該職員につきまして懲戒処分要求ができるのでございまするが、いわゆる予算執行職員以外の会計事務処理する職員についても、国の場合と同様に、このたび改正をいたしまするような、懲戒処分要求ができるようにいたすことが必要だと、こう考えた次第でございます。三十三条でございまするが、三十三条は公社会計事務処理する職員職務上の犯罪がありと認めるときは、その事件検察庁に通告しなければならぬことといたした次第でございます。現在改正前におきましては、かりに公社会計事務処理する職員職務上の犯罪ありと認めました場合でも、会計検査院といたしましては検察庁に通告することができないで、ただ刑事訴訟法規定によりまして会計検査院職員公務員として検察庁に告発するということだけしかできなかったような次第でございまするけれども、これも国の場合と同様に、検察庁に通告することが必要だという観点に立ったわけなのでございます。  三十五条の規定でございます。これもやはり公社会計事務処理する職員会計経理取扱いに関しまして、利害関係人から会計検査院審査要求があった場合に、現在では会計検査院といたしましては、この処理ができなかったのでございまするが、やはりこれは会計検査院といたしまして一種の一般国民に対するサービスと申しまするか、そうした観点から国の場合と同様に、審査要求があればこれを処理しなければならないということにいたした次第でございます。なお三十七条の二項でございますが、これも公社会計事務処理する職員がその職務執行に関しまして疑義のある事項につきまして、会計検査院意見を求めることができることにいたしました。これも三十五条と同様、三十七条第二項は公社会計事務処理する職員に対して、会計検査院といたして、一種のサービスをいたして、会計経理の適正を期するということが狙いでございます。  以上申し上げましたような趣旨によりまして、今回院法改正を必要としたのでございまするが、大体今申し上げました事柄は、職員任免進退等に対しまする十三条から十八条に規定いたしましたことを除きましては、この三公社が国の特別会計であった時代には、会計検査院といたしましては、当然検査権限があった事項、または処分要求等もできました事項でございました次第でございます。以上私の補足説明といたします。
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 引き続いて本案に対しまする質疑を行いたいと存じます。会計検査院からは東谷院長及び池田事務総長が出席しておられます。質疑のある方は順次御質疑願います。
  5. 白井勇

    白井勇君 今日は会計検査院院長も珍らしくお見えになっております。二、三質問してみたいと思うのです。私もこの決算関係につきましては、ごく日が浅いのでありまして、わずかの経験にかんがみましての考え方でありまするので、当を得ないかもしれませんが、申し上げるまでもなく、会計検査仕事というものは、検査院そのもの内閣から独立をいたしました権限を与えられ、国の収入支出というものを、決算検査をして行く非常に重要な仕事を持っておるわけであります。わすかの人数で膨大な国の収入支出決算というものを検査をして行く。そこでその検査をされました結果を検査報告書といたしまして、検査院の方から内閣提出をされる、一応検査院といたしまするというと、建前からみますと、報告書内閣提出をいたしますれば一応の責任が済んでおるように思われるのであります。もちろんこれは指摘をいたしました不当だと思われまする事項につきまして、その後もいろいろな方法によってあとを追って是正さして行くという方法はあるようでありまするが、しかし今申しましたように、建前としましては報告書内閣に出してしまいますれば、それで一応の責任は済んでしまう。さらにその後の仕事におきましても、それはあとからあとから新しい仕事が控えておるわけでありまするからして、報告の済んだものをまた一々追っておるという能力も現在の検査院としましては非常に不足しておるのだと、私はこう考えておるのであります。今度それが内閣から国会に出るわけでありまするが、国会に現在出ておりまする二十八年度の決算を私たちが拝見をいたしましても、中には会計検査院といたしまして、その当時の社会情勢、あるいはまたその現業の実体というものにつきまして、いま少し認識が深ければ、これは当時の事情といたしましてはやむを得ないのじゃなかろうかというような、少し寛大な見方もあるじゃなかろうかと思われるようなものも中にはなくありません。しかし大部分のものは報告書に出ておりまする通りのものであるといたしますならば、まことにこれはひどいことが実際行われておるものであるというふうに感ずるのであります。決算委員会におきまして、会計検査院責任のある方、さらにまた各官庁の方々においでを願って慎重審議をするわけでございまするが、何分にも審議をいたしまする場合には大体二年くらい前のことであるわけでありまして、その後の処理を担当いたさなければなりません内閣というものは、すでに変っておる。また事件責任者でありましたものも大体において栄転をしておる。こういうような格好のものでありまして、ここで審議をいたしましても、どこをどういうふうに抑えますればその最後のきめどころがあるのかというような点が非常にあいまいのように思うのであります。特にひけ目を感じておりまする官庁等におきましては、大臣初め幹部がずらりと並びまして、まことにこれは会計検査院の御指摘通りであります。今後内部監査を厳重にいたしまして、実際そういうことのないように注意をいたしますというふうに陳謝をいたしまして、この決算委員会が済みますれば、それで一応その問題というのは格別のこともなしに終ってしまうように思うのであります。そういうことで果して国の財政経理というものが適正に今後も行われて行くものであるかどうかということにつきまして、非常に私は疑議を持つものであります。聞くところによりますと、アメリカにおきましては、会計検査院不承認であるというふうに断定を下しましたものは、その支出というものは無効になるということになっておるということでありまするし、また英国におきましては、会計検査院不承認であるというふうに考えましたものは国会の手に移りまして、国会最後断案を下して、当を欠くということになりますればやはりそれが無効になる、こういうことになっているようであります。そういうことになりますれば、一応それははっきりいたしました断定が下るのじゃなかろうか、こう考えるのであります。わが国におきましても、たしか昭和二十五年かの百七十二号の法律に、俗称予責法と言われているそうでありますが、それによりますと、要するに予算あるいは法令等に違反いたしまして国に損失を与えましたものは賠償の責に任ずるというような法律があるようであります。これもほとんど発動される場合がない。たまたま引っかかったものがあるといたしますれば、ごく間の抜けた公務員、しかもその金額を見ましても何万円というような程度のものであって、千万円あるいは億を単位といたしますような不当な経理というものは公々然と行われて事なしに済んでいる、こういうような格好になっているのじゃなかろうかというふうに考えるのであります。もう少し何か最後のきめ手というようなものをもちまして締めくくる、あなた方の御苦労なすったその不当な事項というものをもっとはっきりと締めくくって、最後断案を下すような方法というものがないものであろうかというふうに私は思うのであります。こういうことにつきまして、院長としましてはどういうお考えを持っておられますか、お伺いいたします。
  6. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいま白井さんからいろいろ御意見がございまして、ごもっともと拝聴いたしたのであります。検査報告に掲げた事項についてでありまするが、仰せのごとく、会計検査院支出あるいは決算検査いたしまして締めくくりをつけますと、決算書とともに検査報告国会提出されるのであります。それで一応は終るのでありまするが、従来そういうふうにいたして来たのでありますが、それでは相ならないということで、数年前、四、五年前と言いますから、検査報告に関して不当である、直さなければならない、返さなければならない、こういったものにつきましては、私どもの方はこれを事後処理と言っておりますが、事後処理状況をやはり厳重に見守るということで、不当としたもの、是正すべきもの、あるいは返すべきものがその通りにやられているかどうか、工事について申しますと、手直しをすると言ってきたものがその通りにされているかどうか、次の年度の検査のときにほかの一般検査と同時に、あるいは事後処理だけの判を作りまして追及をいたしているのでありまして、それでもなおやっておらないものは、またあくる年に持って行くというふうにして、ずっと不当であるといったものは是正されるまで追及いたす態勢を整えているわけであります。そういう関係でだいぶよくなっているように考えております。  それからなお、検査院がもう少し実情を把握し、知っておったならば問題にしないでと言いますか、批難をしないで宥恕したであろうといったようなものもあるように見受けられるということでございますが、実は実情相当にわきまえて、しかもやむを得ずして批難をしているというのが多々あるのでありまして、補助工事などにおきましても、地方の財政実情から見ますと、返せとか、あるいはさらに手直しをすべきであるというようなことは、とうてい言えないような気持がするにかかわりませず、国会でお作りになりました法律なり、予算を見ますると、やはりそれも批難をしなければならないというので、涙をふるって批難をしておるような状況でございます。  それから、会計検査院検査報告に掲げ、国会で御審議をなさるのは一年も二年も遅れておるので、少し遅過ぎるということでございまするが、この点は何とかいたしまして、早目会計検査院検査を結了いたしまして、できるだけ早く検査報告政府に出し、政府から国会に出してもらうというふうな心組みでやっておるのであります。政府におかれましても、決算は毎年翌年の十一月末限り出すことになっておりまするが、私どもは十一月の末を待たないで、もっと早く会計検査院決算を出してもらいたい。そうすればそれに対応して検査報告を早く出す、早く出せば国会で早く御審議が願えるというふうにまあ言っておるのでありまして、政府もだいぶ御勉強に相なりまして、昨年あたり、たしか十一月の末を待たないで、会計検査院決算提出されておるような状況で、だんだんこの点は幾らかずつでもよくなって行くと思うのでありますが、ただ決算が終りまして、その決算に対する検査報告書が出るのでありますので、まあ幾らか遅くなるということは、これはまあただいまの会計検査院の制度からいたし方がない状態ではないかと思うのでありますが、しかし、ただいま申しましたように、できるだけ早く国会の御審議が願えるように、早く出したいと思って、せっかく勉強をいたしておるようなわけであります。  それから最後に、会計検査院が不当と認め、不正と認めたものに対する結末が、今のままではいけないじゃないかというような御説でありまして、ごもっともに拝聴いたしたのでありまするが、この終戦後、ちょうどただいま白井さんから仰せになりましたようなことが論議されまして、予算決算を実行するものに対するいわゆる責任を尋ねるという予責法というものが制定されまして、国家に重大なる重過失、あるいは故意で国に損害を与えたものに対しては、会計検査院の検定によりまして、あるいは懲戒もしくは責任追及損害賠償するということの法律が定められておるのでありまして、それで一応の結末を与えるということに相なっておる状態であります。それで、そういう事態が相当にあるかということでありまするが、責任追及いたし、損害賠償を検定するということになりますと、法律に定めておりまするいろいろな諸条件を備えておるものでないと、損害賠償でありますから、なかなか結論が下しにくいのであります。これまで何件か賠償を、あるいは懲戒要求して検定したものもございまするが、そうたくさんは実はないのでございます。そういうふうな状況でございまするので、条件を把握するということに検査をすると同時に、努めるように検査部局の方に私どもは要望しておるのであります。できるだけ厳重に法律趣旨を体しまして懲戒をし、もしくは損害賠償を検定したいという試みであります。
  7. 白井勇

    白井勇君 私は院長がお見えになりましてから、もう少し国のこの決算につきましての適正を期するため、もう少し広い見地から、検査院といたしましての確たるきまった案がないにいたしましても、個人とされましての抱負でもけっこうでありまするからして、私が先ほど申しましたような個々の問題じゃなしに、もう少し最後締めくくりをやれるような方法につきましての御意見を期待をいたしたわけでありまするが、今の御答弁まことに私どもといたしましては残念であります。そこで伺いますが、今度の法律改正で一応人員をふやして一局を増加されると、こういうのでありますが、一体それは先ほどの事後処理の問題もありましたが、どういうところをねらって、どういう効果を目標に局を設け、人員をふやして行こうというのか、その辺のところを……。
  8. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) お答えいたしますが、提案理由説明を今までいたされたごとくに、検査の量が非常に多くなりまして、処理に困難しておるというので、人員をふやし、一局をふやすということになっておるのでありますが、どこをねらっておるかということでありまするが、さしあたり本改正におきましては、人員はわずか六十名でありまするが、局長、課長をふやしまして、なおその六十人のうちでは相当高給のまあ係長以上くらいなところを主としてねらいとして人員をふやし、しかもその検査をする方面といたしましては、私どもの方で非常に重点事項とし、かつ検査事項の非常に多うございまする農林省の補助関係、それから建設省の補助関係、その他厚生、労働の補助関係、そういったようなものを主としてねらいまして、大体におきましては国の財政上も補助予算というものは非常にウエートを占めておりまするし、また会計検査院検査をしましても、この点は重点を置いて徹底的に検査をしなければならない。その本当の徹底はできないにしても、ただいま二割とか、三割とかいう補助関係検査のできておりまする割合と深度とをもう少し深めて、そして全体的の是正を望むというねらいでもって、ただいま一局をふやし、人員六十名を増加をするということをお願いしておる次第でございます。
  9. 白井勇

    白井勇君 そういうことではまことにばくたるものであって、今どこの官庁であっても人が余って仕事をやっておるというわけではないわけでありまして、人がよけい来ますれば、それだけ仕事も綿密に行く、能率も上って行く、これは当りまえのことで、先ほど、たとえば事後処理ということにつきまして相当力を尽して行く。こういうことでありますれば、そういう方面にうんと力を入れるとか、あるいは非常に自慢にしておられるようでありまするが、早期検査、ああいうような方向にうんと力を入れる、そうでなしに、たとえば建設省なり、農林省から、その方面に人を増すのだという程度のものでありますれば、それは今までよりは多少いいかもしれませんが、やはりこれは不当事項が多少よけいあがるという程度のものであって、その後の処理についても、従来通りのものを繰り返して行く筋のものじゃなかろうかと思うのですが、これは私の意見になりますので、もうくどく申し上げませんが、そこで伺いますが、三十一条によっていろいろな、まああなた方の方に権限が与えられているようであります。ところで、事務総長の衆議院等におきまする答弁によりましても、この身分上の問題はこれは行政官庁内閣責任である。こちらからできるだけこういうことを発動しないで、むしろ官庁の方から自発的にそういう申し出を待って、了承しておる程度で、非常に消極的な考え方を持っておる。これをもう少し積極的に発動、運用するお考えがないものかどうか。それから各官庁におきまして、その該当者をいろいろ処遇をいたします場合に、各省にそれぞれの査問委員会というようなものがありまして、その省内におきましての該当者をその省内の人が判決を下すわけであります。そういう制度をあなたの方でも御了承しておることと思いまするが、そういう制度では、同じ役人でおって、同じところに住んでおり、これはお互いにその至らないところをかばってやるというのが、これは人情として当りまえでありまして、自分の同僚からそういうものを出したからといって、それを処分をする場合に、天下ろうと、決して適正は期し得ないものだと私は思うのでありますが、その辺につきまして、むしろ各官庁を網羅いたしました内閣一つの査問委員会なら査問委員会というものを置いて、そしてそこに会計検査院といたしましても出て、強力な発言をして行くというようなことも一つ方法じゃなかろうかと私は思うのでありまするが、それらにつきましての院長といたしましてのお考えはいかがですか、伺いたいのですが。
  10. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) お答えいたします。ちょっと先ほど実は申し落したのでありまするが、一局を増設し、人をふやすというところのねらいの大きなものの一つは、ちょうど今、白井さんからお話になりました、何と言いますか、早期検査と言いますか、早めにと言いますか、あるいは並行検査と言いますか、ほかの一般検査とは切り離しまして、特別な班を作って、すでに今もやっておるのでありまするが、その方に手をよけいさきたいというので要求しておるのであります。それからまた事後検査も、もちろん事後処理も今までやっておるのは手が足りないので、非常に件数が少いのでありますから、その件数をふやして、事後検査を通じて強度に是正を迫るというふうなねらいを持っておったのであります。なおただいまの三十一条の点でございますが、これはいつも決算委員会でお説がありまして、どうも不当事項責任に対する各執行庁の責任者に対する処罰と言いますかが軽過ぎはしないか、会計検査院はどうであるかということで、いつも御意見を拝聴しておるのでありまして、私どももさように存じておりまするので、中に割っては入らないのでありまするが、会計検査院で不当である、不当な事項ではないかというような事項につきましての各当局の執行庁の責任者に対する処理については、それでは軽過ぎやしないかということは、書面上ではあまりにくちばしを入れ過ぎることになりまするので、いたしてはいないのでありまするが、局長その他から、これでは軽過ぎるというので、相当に各官庁には申しておるのでありまして、それによりまして処分の程度を上げてくるという事例はあるのであります。この公社をここへ加えましたのは、先ほど説明いたしましたように、公社関係を深く検査をするというので、他の条文の方をも改正を加えていただくことになりますので、この責任追及ということも、他の官庁と同じように、会計検査院処分要求をするという条項を加えていただくということをお願いしておるわけであります。特に公社の方を各官庁よりも特別にきつく見なければならないというふうには考えておりませんが、各官庁と同じには、会計検査院としてきつく要求を迫るべきであるというふうに考えております。
  11. 白井勇

    白井勇君 私は先ほど申しましたように、今の各官庁の査問委員会みたいなものによって、該当者の処分をされるという制度のもとにおきましては、私は相変らず各方面から起っておりまするその行跡に対する処分が軽いということは免れ得ない情勢にある。先ほど申しましたことは私の意見であります。私はそういうような一つの手を講ずることも考え方ではなかろうかということを私は考えておるのでありまして、院長といたしまして、そういうことについてもお考えがないといたしますれば、それはやむを得ないことと私は思います。ただいまお話のありました、この最近特に検査院といたしましても重点を置かれております早期検査、これについては去年も農林省といたしまして八十億、全体といたしまして百億ぐらいの不当支出を未然に防止したという非常な効果をあげていらっしゃるわけであります。これの法律の根拠が一体どこにあるかということを私は前に事務総長にお尋ねをいたしましたわけであります。そのとき回答がありましたが、事務総長がそういうふうにおっしゃったお話と、つい最近また私は小峰局長にお尋ねいたしたのでありますが、小峰局長によりますというと、二十六条、ほかにもあるが、二十六条がその主たるものである、こういうことをおっしゃったのであります。私帰りまして検査院法を読んでみますと、二十六条というのは、ただその方法規定しておるのであります。権限ではないと私は思うのであります。一体このあなたの方のおっしゃる早期検査、事前検査と申しますか、それは一体そういうふうに検査院におきましても、首脳部の方によってお考えがそれぞれまちまちであるということになりますというと、非常にこれは問題じゃなかろうかと思うのでありますが、院長としてはどういうお考えですか。
  12. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいまの点でありますが、今お話の百億なり、農林省の八十億の補助のやり過ぎを是正したというのは、二十八年災のお話だと思うのでありますが、しばらく二十八年災のことについて申し上げまするが、二十八年災の予算はたしか二十八年の暮に国会を通過し、その法律は二十八年の暮に施行になっておると思うのであります。そういたしまして、二十八年の終りの十二月にはすでにその一部分は支出をしております。これは二十八年度でございます。それから二十九年の一月、二月、三月には相当支出があるのでございます。それでありまするから、予算ができ、法律が実行されておる、そうして農林とか、あるいは建設などの査定官は前年と言いますか、二十八年の終りごろには査定を終っておるのであります。そこで会計検査院から申しますと、すでに予算ができて予算執行に入っておる。支出も一部分できておる。それからあくる年の二十九年の一月、二月に行けば相当支出が出ておるというのでございまするから、会計検査院法の二十二条からみましても、毎月の支出状況検査することになっておるのでございまするから、その点で検査が実地検査も書面検査もできるのであります。ただ会計検査院は手不足でありますので、すぐその月あるいは前の月の検査をするということは実際の問題としてはできないのが多いのであります。それで今のはちょうど、二十八年災の例をとって申しますと、二十九年の一月とか、二月にやりますものは、ずっと前に支出した工事とか、物品の購入について検査をするのが普通の状態ではありますが、非常に大きな予算、二千何百億というような大きな補助予算法律でみますると九割以上の補助がつく、しかも特定の地方に固まっておるというような事態にかんがみまして、予算執行状態に入られたもう十二月からも、ある程度の実地検査でも書面検査もできる。いわんやあくる年の二十九年の一月、二月になれば相当支出がありますので、その点については検査ができるのであります。それをかりに早期検査といって、まあ実は言葉は早期に検査をしたと、こういうことを申しておるのでありますが、早期ではないので、当りまえの検査であります。そこまで行くのが本当でありますが、人員関係決算報告書に、その年の決算検査に間に合う程度に実はとどめておるのでありますが、今のような大きな事態については、特にやろうという特別な検査官会議を開いて、早期検査を二十九年のたしか二月の終りから三月にかけて始めたのであります。それで支出状態はそれにすでに入っております。しかしそれが全部そうじゃないじゃないかという今度お話になるかと存じます。支出したのもありますけれども支出の全然まだない、査定が終って工事に着手している、あるいはこれから工事に着手しようといった事態もあるのであります。それはどういう権限検査したのかということになりますが、それはその場合には、その補助を受けて、査定を受けて、これから工事をし、現に工事をしているが支払支出がまだないという場合におきましても、その補助工事をやる団体というものは会計検査院検査を、ほかの補助工事検査を受けておる団体でございますので、そこにほかの工事検査の場合にも、ほかの工事検査するために行き、かつそういうほかの工事検査する場合にその調査に行けるのはもちろんでありますが、支出もない、まだ補助指令も行っていない、査定だけのものにつけての調査というものは、これはどこに権限があるかと言いますと、今の二十六条によりまして、どうせそれには補助の指令が行き、また支出も行くのはわかり切っておるのでありまするから、場合によればほかの検査のついでにその調査をし、もしくはその調査自体を目的にいたしておるのであります。その法律の根源は、今申しましたように二十六条によりまして、やがてすべき検査の資料にするということで早期の調査をやっているような次第であります。
  13. 白井勇

    白井勇君 私全くしろうとでありまして法律もわからぬのでありますけれども、そうしますと、事前検査権限の根拠というものは二十条の二項にあるということじゃないのですか。私はこの二項の、国の収入支出決算検査を行う範囲においてこういうことをやれということでありますが、それとは別にいわゆる常時、ここに書いてあるまする通り会計検査を行なって会計経理を監督し、その適正を期し、かつ是正をはかる。ということは、何も決算が出なくてもやれるということじゃないのですか、そこは私は全然しろうとなんでわかりませんが、どういうことでしょうか。
  14. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいまの点でございますが、この二十条の常時検査、実は常時という文字が会計検査院法に三カ所実は使っているのでありますが、これはただいま仰せのように、これによって事前検査をするとか、事前調査をするということには考えない。
  15. 白井勇

    白井勇君 権限範囲をここできめられている、与えられているというふうに言えないのですか。
  16. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) これは権限範囲はここにはないのであって、むしろ権限範囲は二十二条と二十三条です。
  17. 白井勇

    白井勇君 権限を与えられているというふうには言えないのですか。
  18. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 私どもはそうは考えておらないのでございます。
  19. 白井勇

    白井勇君 もう一つ小さいことですが、十六条ですね、これもちょっと、どういう必要があってこういうことなんですか。
  20. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) と申しますと……。
  21. 白井勇

    白井勇君 というのは、局の長を局長とし、事務官をもってこれに充てるという条文ですね、これはどういう考え方なんですか。
  22. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) これは御承知のように、局長とか、課長というのは官名ではございませんで、職名であります。官名は事務官一本になっております。終戦後どこの役所もみなそうでございますが。
  23. 白井勇

    白井勇君 お話ですが、技官もあるでしょう。あなたの方は今技官と事務官の両者から成り立っておる。技官は少いけれども……。これは院長も御承知だと思います。
  24. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 私は今の局長のことだけを申したのでありますが、技官と事務官がおりますが、ここに特に書きましたのは、技官は行き方として局長には考えていないのでありまして、事務官を局長にするという考え方で、特にそういうふうに事務官と書いたわけであります。
  25. 白井勇

    白井勇君 それですから、その考え方はどういう考えなのかということを聞いておるのです。これは明治の、幕末と言いますか、よほど昔のことのような感じをするのです。なぜこういうことを特に書かなければならないのか、他の官庁にこういう例がありますか。
  26. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいまの点でございますが、これは前の院法と申しましても、これも終戦後できた院法でございますが、大体技官というものは会計検査院は置いてなかったのでございます。置いてなかったのでありますが、やはり置いてないでどうしておったかというと、以前は明治時代の院法では技術顧問というものを別に置いておったのであります。  それで終戦後は技術顧問というのが頭にありますけれども、やはり技官を何がしか会計検査院に置いて、技術の検査面の担当をさそうということで技官を置いたのでありまするが、技官はほんのわずか実は置くつもりであるし、わずかしか置いてないのであります。十名余りでありますが、そういうのからきまして技官には全体的ないろいろな面の検査ができるということを期待しておりませんので、局長になる場合、あるいは課長になる場合には技術課長というようなものも想定しておりませんので、事務官でもって充てるという気持で今までもきますし、それを如実に法律に表わした。
  27. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 白井君に申し上げますが、他の委員質疑もあるようですから、要点だけ簡単に願います。
  28. 白井勇

    白井勇君 これは私、非常におかしな規定じゃないかと思います。従来あったからそのままなっておるというのは、改正の機会がないからそのままにしておくということならまだ了としておりますけれども、せっかく改正されるのに今ごろになってこういうような規定を設けるということは、まず、ないと思います。現にあなたの方におきましても技術出の課長や、局長というものがいらっしゃいます。技術出ですから、あなたのお考えによれば全体を見てもらうような力はないというあなたの判定でしょうけれども、しかし現実にはある、やむを得ないから事務官の名称をつけて事務官の技官ということで特徴を与えておる、こういうことは不合理であります。全く現に今の政府の官房長官にしても技術官畑の人です。そういう人が全体を見る力がないのだというふうな考え方で、これはまことにおかしなものだと思います。特に非常に人数が少いとか、多いという問題はさておいて、そういう人でも適当なものであればこれは当然局長にしてもいい。何も特に十六条をれいれいしく設けて、こういう先例を設けるというのは明治維新か、そういう時代なら別ですけれども、今ごろになって会計検査院ともあろうものがこんなばかばかしいことをやるのはとても考えられない、これは一つ御一考を願います。
  29. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 右にちょっと関連しまして、私も実は今度初めて決算委員会にきた者で、よく事情を知らないのですが、ここへ参って皆さんの意見を聞いてみますと、検査を受ける側、商人だとか請負人が非常に悪いことを要求する、そういうために今度局が四局が五局にふえるのですが、ふえるのももっと監督を厳重にするという趣旨だろうと思います。趣旨はけっこうでございますが、私自身としていろいろ政府の事業を受持ったり、やった者の立場から見ますと、一方的に判定されまして、われわれの方では……。アメリカではクレームといいますが、人民の権利が非常に認められておりまして、官庁なり、あるいは会計検査院の裁定なり、決定に対しては異議の申し立てをすることが非常に発達をしておるのですが、日本ではほとんどそういうことは言えない。こういうふうになって、人民の権利といいますか、業者、商人の権利というものは全然認められておらない。片務的なものになっておる。たとえば一つの例を請負契約にとってみますが、アメリカの政府……会計検査院の監査を受けるような政府契約には第九条、これはすべての会計検査院の監督を受けるところの請負契約には一定のそこにはクレーム、異議の申し立ての条項がありまして、金額は五万ドル以下のクレームであれば一カ月以内にその上級官庁、今工事なら工事を受けておるその上の官庁に出す。そうしてそれで裁定を下す。ところが五万ドル以上になると二審、三審といきまして、たとえば空軍の工事でありましたら、厚木でやりますと、名古屋の空軍に持っていく。名古屋の空軍でいけないというと、極東空軍に持って参ります。極東空軍でいけないような場合には、なお異議のあるような場合におきましては空軍長官に持って参ります。空軍長官でいけないなら司法裁判所にいかないで、コート・オブ・クレームズ、こういうような、特需だとか、受注関係を扱う特殊裁判所がありまして、比較的安い経費で短時間で判決を下すようになっておる。それから後は司法裁判所にいくが、日本にはそういうものは何もない。たとえば非常に卑近な例をあげますと、沖繩でアメリカの軍の仕事を、アメリカの業者と一緒にジョイント・ベンチャーというものを始めます。ところがアメリカの方は、初めから政府請負契約を結んでも履行できるものではない。なぜかというならば、ああいうふうな沖繩のような港湾施設がない所では、何月何日の鉄何トン、セメント何トンを供給するという約束をしたところで、船荷とかいろいろな関係で履行できるものじゃないから、請負業者はちゃんと記録を初めからとって異議を申し立てる、工事をするのと並行してそういうクレーム、異議の申し立てをする。たとえばセメントの供給が十日おくれますと、おくれたから労務者をそれだけ遊ばせたからそれに対する損害が出る。鉄何トン送れなかったから幾らというふうに、ほとんどそういうふうな遠隔の地だとか、それから不便の地にはクレームがつくのは当りまえで、しかもそれは談笑裏にどんどん解決していくのです。日本の官庁から発注されるそういう仕事、事業に対しましては同じことなんです。政府契約を、セメント何月何日に供給する、鉄幾ら、履行されたことはないのです。ところがそれに対してアメリカ式にいうと、予算がない、予算がないからといえばそれは鶴の一声でどうすることもできない。そこでどうするかというと、そこにおられる性格の強い人は予算がないと言い切るし、請負業者がかわいそうだというと、ほかの方で何か多少めんどうみてやろう、この多少めんどうみてやろうということがここに出てくる不正工事のかなり大きな要因をなしておるのじゃないか。つまり政府契約契約としてきちっとアメリカのようにその義務も対等の資格で人民も政府もこうした政府契約に関する限りは同じようなものであるという立場であれば、そうしてどんどんそういう業者や商人の要求を正しいものはどんどん取り扱って処理するようになれば、不正事件というここへ出ておるものは非常に減るのじゃないか。犯罪というものに対しましては、給与、サラリーが上り、生活程度が上るということになれば非常に犯罪が減っていくので、厳罰主義で臨むのじゃなしに、まずもって政府は……アメリカでそういう点でそういう例があります。昨年秋にIPUの会議で海外へずっと回っておりましたので、このクレームの問題につきましてイギリス、フランス、ドイツの請負業者に聞いてみましたが、これはもう当然のことでありまして、非常に発達しておる。ある人はこのクレーム、異議の申し立てという少数者の声が正当に取り扱われるということはデモクラシーそのもの、民主主義政治そのものの一つの基本である、デモクラシーと一緒に発達してきた制度だ。ところが日本は何にもない。ただ、ここに会計検査院長おられますが、会計検査院断定に対して異議の申し立てはできるのですか、これはもう一方的なもので神聖にして侵すべからざるものであるか、異議の申し立てをする道は開かれておるのですか、どうですか、まず基礎でございますから、その点伺いたい。
  30. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) その道の御専門の方の御意見でありましたが、何と申しますか、請負業者と申しますか、商人といいますか、それらの人々に悪いことをされるということが前提ではないのでありまして、会計法をごらん願いますと、むしろ役人というものは信用はできない、だからその随意契約とかなんとかいうことはしてはいけない。一般競争をやれ。一般競争というものをやって、広く希望者を募って、そして公正な契約をやろう。やむを得ない場合は指名競争をしなければならん。随意契約というものは、もう随意契約でなくてはできないという特別なものだけに限る。役人というものは、自分の自由にやる仕事契約上ではないような仕組に実はなっておるのでありまして、まあ私どもといいますか、契約を担当しておる者はよく聞くのでありますが、どうもわれわれは、役人は何でも悪いことをするように思われるので困る、もう少し自由に、有能な人は有利な契約ができるのだから、会計法の特例をうんと設けてもらえないかという要望もあるのでありまして、ちょうど鹿島さんがおっしゃったのと反対の声を聞くのであります。  なお、このクレームの話でありますが、この会計検査院法をごらん願いますと、ちゃんとそれはあるのです。会計検査院法第三十五条に。そういう規定は昔はなかったのでありますが、クレームの申し立てができるという条文を終戦後に、これは実はアメリカのサゼッションで挿入したのでありますが、まあ御参考のためにちょっと読んでみますと、「会計検査院は、国の会計事務処理する職員会計経理の取扱に関し、利害関係人」すなわち請負人とかのその「利害関係人から審査要求があったときは、これを審査し、その結果是正を要するものがあると認めるときは、その判定を主務官庁その他の責任者に通知しなければならない。」と義務になっております。そういたしまして、第二項「主務官庁又は責任者は、前項の通知を受けたときは、その通知された判定に基いて適当な措置を採らなければならない。」これも義務になっております。それで実は、こういう会計検査院のこれはサービスといいますか、会計検査院がやらなければならない義務の職責の一つになっておりますにもかかわりませず、あまり出てきませんので、これはもう御記憶がないかと思うのでありますが、十大新聞といいますか、特に、会計検査院で、これは初めてのことでありますが、これは特にいい規定であって、こういうことは鹿島さんも今おっしゃっておりましたが、要望されておる向きも多々あると思うからというので、各新聞、雑誌に実は会計検査院初まって以来の公告を出したのであります。こういう審査要求の制度があって、会計検査院で取扱うことになっておるから、お出しになればということで二、三度にわたりまして大きな新聞、雑誌はどうでしたか、実はその宣伝と言ってはこれはおかしいのですが、公告を出したようなわけでありまして、もしもお話のようなことがございますれば、審査の御要求をしていただけば私どもとしてはそれに従いまして判定を下したい、かように考えております。
  31. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 このクレームの問題について、日本の政府が出します請負契約にはクレームは入っていないのです。そこで一昨年のときに建設委員会で、建設当局にクレームの規定を、標準契約といいますか、今までは中央建設審議会、あそこにできました請負契約の標準契約のうちに、クレームの条項を挿入してもらいたい。建設省におきましては、中央建設審議会はこのクレームの条項を入れた。入れたところが、それは一つの勧告であって、請負契約としての勧告であって、これは法的に拘束力を持たないものでありますから、いかなる官庁も、農林省も、建設省もクレームの条項だけを特に省いてそれで一般請負業者契約を結んでおるのでありまして、今まで例がないのです。アメリカにおけるクレームの第九条のような項はございませんが、しかし会計検査院に、そういうものがあるということを聞きまして非常にうれしく思いまして、非常に進歩しておるので非常に意を強くいたしました。私がよく読まなかったせいもございますが、大へんうれしく思っております。
  32. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいまの件でありまするが、会計検査院法関係は、今お話になりました契約の文面にあるなしにかかわらず、利害関係人の方から審査要求ができることになっております。契約の条項にクレームの点が入っているとか入っていないとかいうことでなしに、御要求いただけば判定ができると思います。ただ契約の中にクレームは一切相ならないという契約をなされば、それはクレームの要求はできないかと思いますけれども、クレームの条項はなくても、そういうことを考えてのこれは規定ではないのでありまして、あるなしにかかわらず、排除しない限りは審査要求ができる、こういうふうに解釈いたしております。
  33. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  34. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて。
  35. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは前に白井委員からも出たのですが、決算を取扱っていて、非常に決算委員会として非常に審議にひまがかかるという点もあるのですが、この報告がやはりおくれるきらいがあって、これは検査院責任があるか、政府責任があるかといえば、これはやはりその内容をつぶさに検討しなくてはならんと思いますが、だいぶおくれてくる、二年くらい前のやつをやるので、その当時の責任者といいますか、それらの方が大体別の役職へ移ってしまって、ここへ出てくるときには当時者じゃない方が多いわけなんです。従って相当程度まで追及をされても、まあ自分のことではないということになりますから、割合に責任を感ずるといっても、それに対する事後処理が非常に粗雑であるというふうにわれわれは考えているわけなんです。そういう点で、まあ役人機構というものもなかなか上手にできているのか、とにかく問題が発生するというと、当事者は別の職にあるというので、これも前に前任者を呼んでやったこともありますが、しかしそれを一々やると非常にまた能率的でなくなって審議に遅滞を生ずるということもあって、非常にむずかしいわけなんですが、たとえば、ことしというよりも昭和二十九年度の分ですね、九年度の分を能率的にさらにやった場合に、一体いつごろ出てくるのか、検査報告が……。これは非常にむずかしい問題でしょうけれども、一応早期提出ということから考えていつごろ出てくるのか、その点をここで一つ教えてもらいたいと思うのでございます。二十九年度の検査報告をここでいつごろこっちへ出してもらえるのか、役人のいわゆるその異動をここで、決算委員会でとやかくいってもなかなか受けてもらえないと思うので、あなた方の方にこれは合してもらわなければならんと思うのでね。
  36. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいまの御質問でありまするが、会計検査院検査報告国会に出ますのは、それだけが単独に出ないのでございまして、御存じのように決算と一緒に出てくるわけです。それならば二十九年度の決算はいつ、まず決算書としてできるかということでございまするが、それは七月の三十一日の大蔵省の主計部で締め切りができるのでございます。そのときに一応の決算ができるわけであります。ただしそれは主計部の締め切りでございまして、そういたしまして、その締め切りに相前後いたしまして各省が決算書を、決算報告書を作りまして、総決算として大蔵省がまとめて出さなければならない期日は財政法にございまするが、十一月末までに会計検査院に送付しなければならない、八、九、十、十一に主計部を締め切ってから四カ月の後に会計検査院に出すことになっております。その以前になるべく出してもらうようにというように、会計検査院に迫っておるわけなのですから、十一月の終りまでに出すということは、それより早く出してはいけないということじゃないのでございますから、十月の終りとか、あるいは十一月の初めに会計検査院に届くようにしていただくことがわかれば、それに調子を合せまして私どもの方は早く出せるということはお約束ができると思うわけであります。いつも総決算が参りましてから、それまで一年間も準備をいたしておりまするから、私どもは非常に早く決算の確認をいたすのであります。それでも約十日前後はかかります。十日前後を要すれば、決算報告を添付いたして政府に出すということができる。ただ政府はその後に閣議を開いて、しかも印刷ができて国会へ出すということで、また日にちを要しますけれども会計検査院側から言えば、総決算さえ早く来ますれば、早く来ただけは早く出すことができるということはここでお約束ができます。
  37. 岡三郎

    ○岡三郎君 それでよくわかったので、その点をわれわれは今度善処したいと思いますから、まあ早いところやってもらいたいと思うのですが、その点は結局、この前のいわゆる国会において会計検査院の拡充を言った点は、われわれとしても、こまかいことをほじくり出してとやかく言うことよりは、大体の行政の傾向というものを認めて、特に災害等があるというと、まあでたらめというと語弊があるかもしらんけれども相当乱脈をきわめるような点が見届けられる。そういう点で法の許す限りにおいて、会計検査院の機能を拡充し、権限を広め、これを是正して行く以外にはないのじゃないかというふうに考えて、決議案というようなものを出したわけです。そういうわけですから、結局その結果として一局を増加して六十名の増員をすることによって、どの程度今までの仕事がさらによくなるかは今後に待つべきものだと思うのですが、結局補助金の事業にしても何にしても、私は机上査定が多過ぎて、実地検査とか、あるいは中間検査とか、こういうものが非常にできにくい機構に現場がなっておるじゃないか。そういう点で中央の機能を拡充しても、なかなか末端の仕事をうまく是正して行くことができないようにも考えておるわけですが、今回の拡充というものが一つの進歩であるという点で歓迎をしているわけですけれども、この程度の機能の拡充によって、どの程度今までの検査がよりよくなるか、その抱負を簡単明瞭に一つお聞かせ願えれば願いたいと思うのです。この拡充によって検査機能というものがどの程度まで今までの足りないところに手が届くかという点を……。
  38. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 今お話のように、確たることを申上げられないのでありますが、私どもが目算をいたしておるところでは、重点を、御承知のように私ども補助について早期に検査をするということにおいておるわけでございますが、補助検査が大体大まかに申しますると、見なければならないものでも半分も見ていないということでありまして、大きな工事だけは全部を見る。それから小さいものについてもパーセンテージは今までの大体倍に上げるということのもくろみを持って今おるわけです。
  39. 岡三郎

    ○岡三郎君 それで今度は三公社検査をやるというふうになって来たわけですが、開発銀行とか、電源開発融資先、まあこういったものから日本開発銀行の造船融資の先、こういったものは国民等も知りたいし、われわれも知りたいと思うのですが、こういったような日本開発銀行の造船融資先や、電源開発融資先を検査する必要はないでしょうか。
  40. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 開発銀行について申しますと、融資をいたしますと、銀行のことでありまするから相当に調べて融資をする。それで会計検査院が開発銀行に行きまして検査をいたしますと、大体はそこで了承ができるのでありまするが、できないものについては融資先、お話のように融資先に行って検査をする必要があるのでありまするが、しかし多くの場合は開発銀行で大体の話で了承ができるようなものが多いのでありまするから、そういったそれ以外の、行って見なければならないというものにつきましては、開発銀行が監査ができますると、開発銀行の者を伴いまして、その融資先に参って了解のもとに調査をいたしておりまするが、ただいままでのところでは、そういう検査方法、調査の方法で大体滞りのない検査ができているというふうに考えておりまするので、今回はその開発銀行なりの融資先を更に見るという権限の拡張をするということは提案をいたさなかったわけでございます。
  41. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の意見を聞くと、大体現在の程度でわれわれの要望にこたえられるということですから、その点はそれとして、物品または国有財産の売払先ですね、こういった点にも相当問題があるのではないかと思うのですが、そういった点まで検査権限を拡張の必要はございませんか、これはやっておるのですか、国の物品ですね。
  42. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) ただいまのは国の物品ということでありますれば、それはもちろんやっております。
  43. 岡三郎

    ○岡三郎君 国有財産の売払先のようなものもやっておるのですか。
  44. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 売払先ですか、売払先の検査と申しますと何ですか、どこどこに行ったという、国有財産をどこどこに譲渡したという場合においては、譲渡先に参りましてその実情は調査いたしております。譲渡を受けた人のふところに入って、その会計検査するということはいたしておりませんけれども、これはもう譲渡先に行って、あるいは買付先に行って、このふところに飛び込んで会計検査をしなくとも、ただいままでの検査の実態状況におきましては、ほんとうにそれこそ滞りなく検査が済んでおります。
  45. 岡三郎

    ○岡三郎君 これで私はやめますが、衆議院の方では行政監察委員会というものがあるわけです。参議院の方には行政監察委員会がないのです。厳密に検討すると、やはりこの会計決算というものの処理として、常識的に事後検査ということが大体通例になっておることです。ところがいろいろな問題について考えてみた場合に、やはり中途段階においても相当われわれは検討しなければならぬ問題もあると思う。そういう点でまあいろいろと問題に逢著すると、たとえばこの前の造船疑獄のような問題に遭遇すると、決算委員会として一体どこまでやれるのか、やれないのかといういろいろな問題が起きて来るわけです。そういう点で参議院の決算委員会というものは、相当衆議院の行政監察委員会というものと兼ね合わしたような私は性格にしなければ、いつでも事後検査というものを、非常に時間がたった問題のみ処理するということで、時期遅れになるという傾向が強いのではないかというふうに感じておったわけです。そういう点で今後とも、先ほどいろいろ言われておりましたが、事前検査とか、中間検査とか、そういうものが逐次なされて行くと思うのですが、そういうものを最終的にいわゆる決算報告として出される前に、われわれは、しばしばこういう問題があったならばまあ出せ、それはできるというふうに了承してきたわけですが、進んで会計検査院の方から、昭和二十九年度なり、あるいは昭和三十年度、三十年度はこれからですが、二十九年度の点については、進んで中間報告等をやられるように私はお願いしておきたいと思う。これは具体的な事例というものをわれわれが指摘してその報告を求めるということは、まあ望ましいかもわかりませんが、積極的に中間的な問題として報告願いたい。それはわれわれとしては決算の問題について、二十五年、二十六年、二十七年、二十八年と、こうやってきて、この傾向の中から、どうしても特別にこれは注目して是正しなくてはならぬという問題があると思う。そういった問題をわれわれが考えるときに、昭和二十九年度、ごく最近においてそういう事例がある程度まで改善され、是正されておれば、そういう問題に対する取扱いというものも相当程度考えて行かなければならぬこともあると思う。そういうことで、一番新らしい現実に近い事態から、やはり各省におけるところの各種の問題に対する批難というものも相当考えてみなければならぬじゃないかともわれわれは考えているわけなんだ。そういう点で、事をほじくり出すというのじゃなくして、新らしい検査報告というものによって、われわれは各省の改善傾向というものも見て、そうしてその問題の取扱いというものもここで取捨選択して行きたいという気持もあるので、そういうふうな点から、進んで、でき得るならば二十九年度に対する報告というものもこの委員会にやって来てもらいたいと、こう思うわけだ。
  46. 島村軍次

    島村軍次君 昨年参議院の総意をもちまして、検査院の拡充に関する全会一致の決議が出ましたことは御承知通りでありますが、私はその際に決算委員会において審議されましたその経過からかんがみまして、今回もこの拡充の点はもっともだと思うのでありますが、これはむしろただいま岡委員のお話になったように、国全体としては、むしろ行政監察の方法をもっと強くするべきであるという考え方からいたしまして、現在の決算委員会におけると言いますか、権限は御案内の通り大体検査院報告を元としてやるという大筋がきめられておるのでありますが、国の行政の刷新をはかるという点から考えますというと、むしろ行政監察というものの強化をはかることが必要だと思うのであります。そこでこれは私が特に内閣委員会でこれを御審議される場合に、決算委員の一人として希望を申し上げておきたいと思うのでありまして、それは現在行政管理庁というものがありまして、会計検査院とやや似寄ったような監察と言いますか、検査を行なっておるわけなんです。受ける方から申しますると、まことに繁雑であって、そうして検査院の方は大体スタッフがそろって相当突っ込んだ検査をやっておりますが、行政監察制度というものは必ずしもそうじゃない、もちろんこれは地方によっては相当能率を上げられておりますし、新聞紙上ではときにその報告が出、かつまた別途に管理庁としての報告も出ておるようでありますが、この点に関して、もっと抜本的に監査制度というものを国全体が考える必要があると思うのであります。すなわちこの内閣の組織と言いますか、行政組織の面に、もっと突き進んだ検討を加えることが必要だと思うのであります。大蔵省には大蔵省で地方財務局があって、そうしてこの財務局が、たとえば農林省あるいは建設省、あるいはその他の工事の調査をする場合には必ず大蔵省が立ち会っておる。しかもそれはしろうとが宿におって、これはまあ露骨な話を申し上げるようでありますが、君らはわからぬのだろうから、ま一つ調べてくれ、われわれの報告を待って、そうしてそれによって意見を出す、理屈から言えば、予算の決定、つまりむだな経費を使わないような前提で、いわゆる事前検査意味でやっておるということを言っておるようでありますが、この煩瑣は、まことにこの建設省も農林省も非常にその事務の執行を妨げることがおびただしいものがあると思う。そこで内閣委員会において、この会計検査院法改正の際に、行政全般にわたる監察制度の強化という問題についてはもっと突き進んで一つ御検討を願って、そうしてその結果によりまして、少くとも新らしい意味の制度が生れるように、内閣委員会においてこの機会に御審議をお願いいたしたいことを希望を申し上げておきます。
  47. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私も特に内閣委員会との連合審査に当って、行政管理庁と会計検査院との関係を、こういう少い経費のもとで予算の効率的な使用という点から考えまして、どうしてもこれは内閣委員会等において十分の検討を加えていただきまして、単なるこういう末梢的な会計検査院法改正ということで満足することなしに、これは一つ十分、これを機会に御審議をいただきたい、あわせて私も要望を申し上げておきます。それから、なおこれは会計検査院側に私はお願いというか、一、二の質問をかねて要望したいことは、この改正法の提案の理由としては、「国および政府関係機関における会計経理実情は必ずしも満足できるものではなく、」と、こういうやわらかい言葉で表現されておりますが、私どもが過去数年間、決算の面から国の予算がいかに不正不当を中心にして濫費されておったか、そういうところから考えまして、これはこの決算委員会における審議の重点は、この結果をして予算をいかに慎重に審議せしむるかということにこれが効果なければ、決算委員会の任務というものは私は半分以上は効果がないものと考えて差しつかえないものと思うわけであります。従ってそういう予算の効率的な使用という見地を中心にして、そうして従来考えられておった不正不当をできるだけ事前にこれを防止、もしくは軽減せしむる、こういう考え方に立って、今この委員会提出されておる法の改正について直面された質問を二、三申しますならば、私は岡委員からさっきございましたが、今度の一局の増設と人員六十名近くを増加するということでありますから、これを機会にわれわれの要求に従って、あるいは自発的に、できるだけこの検査の結果をすみやかに逐次国会報告をしていただくという措置を、これは講じていただきたいということが第一点であります。それから第二は、これは第十三条の関係でありますが、先ほど白井委員からもお話のありました十六条の、局長は事務官をもってこれに充てるという問題と関連して参りますが、院長のお答えによって、今度の新らしい拡充によって行おうとする検査事項の重点が、農林、建設、厚生等の補助金関係に重点を指向する、こういうお話でありましたが、これらの官庁はいずれも不正不当がわれわれの決算委員会に論議の対象になって参りますのは、ほとんどこれは技術を主とする案件が大部分であります。従ってわれわれの審議において、あるいは現地調査において、いつもわれわれ委員が逢着する問題は、会計検査院の中に専門の技術者、専門の技官が足りないのではないか、そういう点にまだ非常に不備があるのではないかということがしばしば論議の対象になっておりますが、私はそういう見地から、この方面の現業官庁のこういうこの予算的な災禍を未然に防止するという意味で、どうしても専門の技官を今度は要所に、従来以上に配置する必要があると思いますし、なお私は、できればこの際、局長は事務官でなければならないという考え方はやはり従来にとらわれた考え方であると思うわけでありまして、これはたとえば現業を主にする建設省のごときは、過半数が技術官が局長になって、そうしてああいう大きな予算執行、国の国土計画の遂行がなされておるわけでありますから、これらを考えてみましても、局長は事務官でなければならないという断定をしてしまうことは、私は若干この点については慎重な再考を要する問題ではないかと考えます。なお今度の拡充に当って専門の技官の配置、あるいは人数等についてはどういうふうに考えておるか。なお差しつかえがなければ、今度の新らしい構想に基く新設の局の内容等についてもお聞かせをいただければけっこうだと思うのであります。それから、以下はこれはきわめて細かな問題になりますから、即答ができなければ後でもけっこうでありますが、第三十一条の関係で、これは決算委員会において、もうこれまた毎年各委員から痛切に指摘されて参っておる例の不正不当をなした職員等に対する取り扱いがきわめて微温的であるということが、累年同じ災いを繰り返しておるということに大きな理由を持っておるという見地からいたしまして、現行制度のもとで懲戒処分をした実例が、一体二十五年度以降どのくらいあるかという実例、並びに法第三十三条の関係におきまして、検査院職務上の犯罪があると認めたときはその事件検察庁に通告しなければならない、こういう義務規定がありますが、この実例、この件数が今まで一体何件あったか、これを一つできれば昭和二十五年度以降にわたってお聞かせをいただきたいと思います。以上要望と質問を申し上げます。
  48. 東谷伝次郎

    会計検査院長東谷伝次郎君) 飯島さんの御質問でありまするが、検査の結果をなるべく早く報告するようにという御要望でありまするが、これも前前から実は決算委員会からのお話があった事項でございまして、会計検査院といたしましては、やはり従来通り検査報告の第一次停止とか、第二次停止とかいうようなことは実は考えておらぬのでありますが、検査の結果をやはり国政調査権によって要望されます場合に、それにお答えして、成規の手続きを内部で経まして、なるべく早くその御報告をして御要望に応じたいと考えておる次第であります。なお技官の点でありまするが、なるべく技官もふやさなくてはならぬのでありますが、これまでいろいろ決算委員会におかれまして、会計検査院職員規定を御説明を申し上げたところで、あるいは私が考えておるところとは違うかもわかりませんが、まあ普通の事務官で、よくあれだけ技術のこともこなしておるということも場合によってはお考えを願えるのではないかと思います。と申しまするのは、会計検査院におきましては人数が何分にも少いのでありまするから、全体的に予算から、経済の関係財政関係、技術の関係もわかるものを、欲ばっておりまするが、同じ人に要望したいのでありまするから、技官はわずか数人でありまするが、いい技官を入れまして、その技官に常に講義をさせまして、普通の会計検査院の事務官は技術的に検査を実際実行するのではございませんから、技術的な検査ができるように養成をいたしておるのであります。でありまするが、お話もございまするので、なるべく優秀な技官はこの際幾らでもふやして行きたいと、こういうふうに考えております。なお新設の局のことでございまするが、これはまだ確定はいたしておらぬのでありまするから、それで御了承願いたいと存じまするが、大体は官房はそのままにいたし、それから第一局も大体そのままの程度で行きたいと思っております。第一局はまあ大蔵検査課、国有財産、それから租税でありまして、これは大体そのままで行きたいと思っておるのであります。それからただいまの第四局でありますが、第四局のうちから郵政の関係一つ抽出いたしまして、結局第四局から郵政をはずして、その郵政と、それからただいまの第二局、第三局を合せまして、それを三つの局に編成がえをするというふうに考えておるのでございます。もっと細かく申しても……、大体腹案を持っておりますが、その程度でよろしければ御了承願いたいと思います。なお三十一条の点でありまするが、これはまあ先ほどもお話がございましたし、今までもずいぶん問題になった点でありまして、その点は私どももよく頭に入れまして厳重なる処分要求し、もしくはさすという面で、相当に院内でも論議し、外部の執行庁にも働きかけております。これの二十五年以降の懲戒要求をしました件数でございまするが、これはただいま持っておりますが、また念には念を入れるために、後ほどに差し上げたいと思っております。それから三十三条も相当にございまするが、これもまた後ほど調査いたしまして差し上げたいと思っております。
  49. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは本日の質疑は一応これで終了いたしまして、次回は決算委員長と協議の上、日程をきめたいと思います。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会