○
白井勇君 今日は
会計検査院の
院長も珍らしくお
見えになっております。二、三質問してみたいと思うのです。私もこの
決算関係につきましては、ごく日が浅いのでありまして、わずかの経験にかんがみましての考え方でありまするので、当を得ないかもしれませんが、申し上げるまでもなく、
会計検査の
仕事というものは、
検査院そのものが
内閣から独立をいたしました
権限を与えられ、国の
収入支出というものを、
決算を
検査をして行く非常に重要な
仕事を持っておるわけであります。わすかの人数で膨大な国の
収入支出の
決算というものを
検査をして行く。そこでその
検査をされました結果を
検査報告書といたしまして、
検査院の方から
内閣に
提出をされる、一応
検査院といたしまするというと、
建前からみますと、
報告書を
内閣に
提出をいたしますれば一応の
責任が済んでおるように思われるのであります。もちろんこれは
指摘をいたしました不当だと思われまする
事項につきまして、その後もいろいろな
方法によって
あとを追って是正さして行くという
方法はあるようでありまするが、しかし今申しましたように、
建前としましては
報告書を
内閣に出してしまいますれば、それで一応の
責任は済んでしまう。さらにその後の
仕事におきましても、それは
あとから
あとから新しい
仕事が控えておるわけでありまするからして、
報告の済んだものをまた一々追っておるという能力も現在の
検査院としましては非常に不足しておるのだと、私はこう考えておるのであります。今度それが
内閣から
国会に出るわけでありまするが、
国会に現在出ておりまする二十八年度の
決算を私たちが拝見をいたしましても、中には
会計検査院といたしまして、その当時の
社会情勢、あるいはまたその現業の実体というものにつきまして、いま少し認識が深ければ、これは当時の事情といたしましてはやむを得ないのじゃなかろうかというような、少し寛大な見方もあるじゃなかろうかと思われるようなものも中にはなくありません。しかし大部分のものは
報告書に出ておりまする
通りのものであるといたしますならば、まことにこれはひどいことが実際行われておるものであるというふうに感ずるのであります。
決算委員会におきまして、
会計検査院の
責任のある方、さらにまた各
官庁の方々においでを願って
慎重審議をするわけでございまするが、何分にも
審議をいたしまする場合には大体二年くらい前のことであるわけでありまして、その後の
処理を担当いたさなければなりません
内閣というものは、すでに変っておる。また
事件の
責任者でありましたものも大体において栄転をしておる。こういうような
格好のものでありまして、ここで
審議をいたしましても、どこをどういうふうに抑えますればその
最後のきめどころがあるのかというような点が非常にあいまいのように思うのであります。特にひけ目を感じておりまする
官庁等におきましては、大臣初め幹部がずらりと並びまして、まことにこれは
会計検査院の御
指摘の
通りであります。今後
内部監査を厳重にいたしまして、実際そういうことのないように注意をいたしますというふうに陳謝をいたしまして、この
決算委員会が済みますれば、それで一応その問題というのは格別のこともなしに終ってしまうように思うのであります。そういうことで果して国の
財政経理というものが適正に今後も行われて行くものであるかどうかということにつきまして、非常に私は疑議を持つものであります。聞くところによりますと、アメリカにおきましては、
会計検査院が
不承認であるというふうに
断定を下しましたものは、その
支出というものは無効になるということになっておるということでありまするし、また英国におきましては、
会計検査院が
不承認であるというふうに考えましたものは
国会の手に移りまして、
国会で
最後の
断案を下して、当を欠くということになりますればやはりそれが無効になる、こういうことになっているようであります。そういうことになりますれば、一応それははっきりいたしました
断定が下るのじゃなかろうか、こう考えるのであります。わが国におきましても、たしか
昭和二十五年かの百七十二号の
法律に、
俗称予責法と言われているそうでありますが、それによりますと、要するに
予算あるいは
法令等に違反いたしまして国に
損失を与えましたものは
賠償の責に
任ずるというような
法律があるようであります。これもほとんど発動される場合がない。たまたま引っかかったものがあるといたしますれば、ごく間の抜けた
公務員、しかもその金額を見ましても何万円というような程度のものであって、千万円あるいは億を単位といたしますような不当な
経理というものは公々然と行われて事なしに済んでいる、こういうような
格好になっているのじゃなかろうかというふうに考えるのであります。もう少し何か
最後のきめ手というようなものをもちまして締めくくる、あなた方の御苦労なすったその不当な
事項というものをもっとはっきりと締めくくって、
最後の
断案を下すような
方法というものがないものであろうかというふうに私は思うのであります。こういうことにつきまして、
院長としましてはどういうお考えを持っておられますか、お伺いいたします。