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参考人(原
安三郎君) 原でございます。
臨時公共
企業体合理化審議会という長い名前でありますが、あれはちょうど昨年六カ月ほど会長をいたしまして、その
立場からということでございましたが、先刻
委員長の御説明では、あの
立場からのみでないようなお話でございましたので、私は三つの
立場をこの場合に持っておりますが、それは、この
会社、
国際電信電話株式
会社、今後これを
会社と言わせていただきます。また
日本電信電話公社、これを今後
公社と言わせていただきます。
一般会社の場合は
株式会社ということに言わせていただきます。
会社と申しましたら
国際電信電話株式
会社のことだと御承知願います。との
国際電信電話株式
会社の平取締役でございます。その
立場がございます。もう一つは、この
公社並びに
会社のできましたときに、
民間から横からお手伝いをいたしました、このできましたことについては国会で御
決定になりましたのですから、そういうことについては参加しておりません。立法に参加しておりませんけれ
ども、その立法前のこと並びに
会社成立に対してのお世話は、
会社の創立
委員になって、中島さんが
委員長でお世話をいたしました。そのことは相当こまかくいたしましたから、よく存じております。
立場は三つあります。私はまず公共
企業体のお世話をしました、この合理化審議会のお世話をした、この
立場から申し上げたいと思います。たまたまその点で
参考人としてお呼び
出しを受けたわけなんです。だから、まず結論を申し上げますと、これは
公社の
所有すべきものでないと
考えます。説明は順に申し上げますが、ここに現われておりますことはあまりにいろいろな点にわたっておりますから、こまかく分けますと十五分が五時間十五分でも間に合わんと思いますから、一応このいただきました書類について申し上げたい、とう思います。
まず
改正案に
公社が株を持ってよろしい、それは
会社の株の五分の一以上はいけない、その以後において新らしい株が発行された場合またはその
会社の
株式が処分されること、また新らしく獲得すること、との場合も入ると思いますが、その五分の一以上は持てませんが、そういう場合には
郵政大臣の許可を求める、こういうことになっております。法文は簡単です。しかし、これに付帯決議というものがついております。別に
理由書もあります。また
理由書も五回にわたって作られております。私は全部には目を通しませんが、第四回、第四次の
理由書と第五次の
理由書とは拝見いたしました。
結論を申し上げましたから、結論についての裏づけをちょっと簡単に申し上げます。これは、
公共企業体等合理化審議会は、約五十六回、六カ月間に、公共
企業体をいかにすべきか、いかに運営すべきか、いかなる形がいいかという点で、二十一人の
委員に審議していただいたのですが、とのときにやはり特別
委員を作りまして、専売
公社と、国鉄と、この
公社とを調べましたのです。その調べの結果もございますが、その後のいろんな状態も
考えまして、私は
公社は絶対に
株式を持つべからず、こう思います。その
理由は、
公社そのものの
考え方、他の
参考人の御
意見もございましたが、そういう
理論的な問題を離れまして、
日本の
公社は業務の性質がいろいろ変っております。変っておりますが、この電々
公社は
公社のすべき
仕事がたくさんあるのです。まだ残っているのです。これは
皆さん御存じの
通り、電話は現在百数十万の要求に対して付け切れない。昨年あたりから大へん都市がふえました。都市というよりも市がふえました。この市は町村合併からきたものでありますが、その町村合併になった市が、一つの市に触りながら、やはり元の町村そのままで、市外電話を使っておるのです。これに対して市内電話にしろという要求が非常に起っている。これは
公社にとっては、だしぬけの問題であり、準備がありません。というのは、現在における
公社の
仕事を完遂するにも資金不足であります。これは
皆さんの御審議によって年々公債あるいは社債、あるいは、めったに
出してもらえませんが、融資部の金なんていうもの、これを使いまして、少くとも建設、拡張、あるいは補修、新しいものをとり入れるのには百数十億の金が要るわけであります。この場合に、第一、他の
会社の株を持つ必要がどこにあるか。それからまた
公社の性質から言って、
公社の
仕事に専念すべきである。もし
公社が他の
企業に
関係しなければならない場合は、全面的にその事業を
経営する、決して
株主になる必要はありません。もし、連関性があるとか
公共性があるとか言っておりますが、
公共性のある事業は一緒にしなければならぬということになれば、
日本の事業で
公共性のあるものは全部一緒にしなければならぬ、つながりは……。電信電話、この
関係は何かと一緒になっておるようでありますけれ
ども、国際のものと国内のものとは切り離して差しつかえないのみならず、今の
会社が創立以後、切り離されておることによって何ら面倒も支障も起っておりません。これも総裁からも聞いておりますし、私自身ちゃんと見ております。それは必要ないのです。何のために株を持つか。私は、その株を持つ現在の資金は大蔵省のもので、総裁は新しい資金は要らないと言っておりますが、これはその
株式が売れれば金になるのですから、すぐに
会社は
自分の方の
仕事のまだ及ばざる、足りないものの補充あるいは拡張に向けるべきではないかと、こう
考えます。
もう一つ、こういう種類の運営上の問題を申します。私たち、ある
仕事に対して、初めに力のない
会社に対しては株を持ちます。しかしながら、これが当然われわれと社内的
関係を持つ場合には、それは分離しません。社内で
関係を持つ必要がない、それによってその運営に支障がないという場合には分離します。支障がないと認めた場合は分離します。株を持ちません。それがはっきり分離するという
理由は、
経営の
自主性を保たしめ、成績を上げしめるに不必要な干渉を
株主であるためにすることは、非常に弊害が大きく、無
責任な干渉になるという場合がありますから、こういう場合にはさようにいたしません。その
意味もあります。
それからもう一つ申し上げたいことは、その
会社の
法律、すなわち
法律第三百一号となっておりますが、二十七年八月七日に公布されております。これを
皆さんやはり御
参考にごらんになっておると思いますが、その附則の二十一か二十二に、その株に関する問題なんですが、これはすでに
決定したことでありまするが、これが不完全であったわけです。それは、第二十号か、第二十一号か、第二十二号の中に、なるべくすみやかに処分しろと書いてある。それから、その上に市場の情勢に応じてと書いてある。なるべくすみやかに処分しろということの処分が二カ年の間にされなかったということは、あるいは
公社が株を保有する
理由の一つになっておるようにも
考えられますが、これは市場の情勢を勘案してとなっておりますが、なるべくすみやかに市場性というものを認めることによって、と制限されておりますから、なるべくすみやかにピック・アップしたら……、第四次の
理由書の中に入っております。これは
アメリカがそういう字句にとらわれたと同じで、全体を通覧していないという……、実は市場性を認めておられたが、これが五百円の
株式に振りかえた、ところが、そのときの歴史をごらんになったらわかるように、あの財産は、もと
公社のものです。
公社のものが大蔵省へ行ったのは、
公社をして
株式を持たしめないという趣旨を含んでおったと思います。私のそんたくするところでありますが、なるべくすみやかに財産提供によって、いわゆる見返りした
株式を大蔵省の名義に切りかえた、大蔵省は今の言う市場性を見て、それをなるべくすみやかに処分する。第一回は十九億、三百八十万株売れましたが、その残りはわずかばかりしか処理できなかったが、こういうことによって処理できないのじゃないかということも一つの
理由になっております。これを申し上げますと、市場性も付いていないのであります。
この市場性の問題をちょっと申し上げたいのです。この決議のうちにもございますが、配当金は
公共性を持っているからよくこれは注意する、八分の配当というものは、現在の
株式市場においては払い込み終了になる見込みは永久にありません。これは、ちょっと、うるさいから、数字を申し上げますが、現在
日本の、特に東京をピック・アップすれば、東京がほとんど現在の取引の八〇%、東京の取引は二百二十五種類の株を、ダウ方式というので、一昨昨日の相場が三百五十三円、これはダウの方式と言いますが、その方式で勘定している
株式会社の数が二百二十五ある。これをまた一方の表わし方で、単純平均と称して百四円。まあダウの説明はいたしません。この百四円の方を御注意願いたい。百四円の株を五十円、五十円払い込みの株二百二十五種が百四円二十何銭、これは二倍です。そうしてこの配当はどうだ。大体、配当は、二百二十五の平均は一割四分二厘三毛なんです。この平均利回りは七分一厘なんです。ところが、この二百二十五社も、いい
会社を選びましたけれ
ども、三十社ほど無配当
会社がある。これを除きますと百九十五社、これの配当平均は一割七分二厘、利回りは七分八厘です。利回り七分八厘で、実際
株主に与えている配当は、配当している
株式の
会社の銘柄百九十五社は一割七分、単純価格の方も、百九十五社を平均しますと百十四円、五十七円の平均になっております。かくのごとき
株式市場の値段、
株式のあれがあるのです。
そこで問題は、
日本の
株式は、三年前の
商法の
改正後五百円株、新らしい
会社は五百円になっております。五百円株と五十円株、両方行われている。株を買ったり売ったりする人は、株を多く持った
気持が非常に嬉しいのです。民主化とかあるいは
一般化ということが終戦後行われましたから、げた屋のおかみさん、とうふ屋の主人というものは、皆、株を持っております。これは一株より百株を持った方が
気持がいい。同じ配当も、五十円株がいい。五百円株で一割二分配当しております。九つの電力
会社が一割二分配当しておって四百七、八十円から四百三十円、利回り一割四分、ほかのものは七分四厘、七分七、八厘であるにかかわらず一割二分から一割三分。五百円株となると、こういうふうに区別がついております。大衆というものは、そろばんばかりとっているはずなんですが、
株式の市場性というものはここに存在しているわけです。もっともこれは
株式を持っている頭数、
株主の保有している一人当りの
株式の量にもよります。たとえば一割五分配当し、二割配当している同じ
会社でも、一人の
株主が五千株持っている
会社は株が上っておりません。市場性がない。ここに問題が一つある。この中に安定性という言葉を使ってある。安定性という言葉は違うのです。市場性というものは、
株式をすぐ買える、売るとすぐ売れる、ほとんど現金と変らないものが市場性がある。そうして
株式としての価値がある。
私たちがこの
会社を独立
会社にして運営していこうというところには特に
理由がある。一つは、
国際電々
株式会社の国際的の
性格をはっきりさすために、今後ますますふやさなければならぬ海外との交流を繁くし、そうして有能にするためには、新しい施設をしなきゃならぬということはたびたび議されておるが、事実、
会社の
内容を知っておりますが、この後の発展のために国際的の
意味において努力しなきゃならぬと思っております。ところがそれを官設でやるといろいろな制限があります。第一、今の
公社のうちに、これが
公社の一事業に入っておりますと、国内の方の問題のために使いたい金が使えないことが起って参ります。国際という、いわゆる国際的の
仕事を分離しますと、国際的の
仕事で、ちゃんと経済
経営をやって、差のプラスを蓄積して、それによって発展さすという場合に、その必要な場合に分離することがいいという、目的を達成するためにこれを作った。そうなりますと、
一般の資金の獲得が必要でありますから、その
株式に市場性を持たせなければならぬ。八分の配当なんというものは、こっけいなんです。私は、
会社当事者に対しては、との八分の配当は少い。さっき申し上げましたように、一割七分または一割四分ダウあるいは単純方式の二百二十五の
代表会社の株、
代表株を除いて一割七分二厘ですから、その点から
考えて、もちろんこれは一割四、五分にしなければならん。これでもできないが、ここに
経営者の新しいこういう……、この
株式は新しい
株式になったからどうか、償却は多くして、まじめに——まじめにという
言い方は間違っておるのですが、市場性のことを
考えないで、少く配当することが着実だという
考えを持っておるというので
会社を
経営すれば別です。そうなっておりますから、八分なら八分でよろしい、八分というのは、今申し上げたように一割四分の半分だ。そうして五百円に上げようはずがない。上らぬように、上らぬようにする。ところがその
株式に対する配当金の、いわゆる市場性は付きません。
一般の
会社に対しても配当はないのです。私が申し上げておるのは、投機の目的とか、あるいは株を高くしてもうけようとか、そういう点から来ているわけです。ほかの
会社と比べて同じように金を使うのです。当事者は売り切れないのですから問題です。
それで、もう一つ、市場の安定性を保つという言葉を使っておりますが、市場の安定性という言葉の定義がはなはだわからなくなったというのは、あらゆる
見方がある。これは、たった一つあるのは、その
株主が見ておる
会社は、
民間会社として
株主として安心していける
会社であるということが安定性である。ところが国会の決議を見ますと、安定性という言葉は大
株主がおるということが安定性だと見ておる。大
株主がいることが安定性じゃないのです。大
株主がいるということを安定性と
考えるのは、しろうと
考えだと思う。買い戻しあるいはその他いろいろな、人を申し上げますと問題がありますが、大きな
株式を知らない間に買って名義を書きかえて乗っ取っておる。乗っ取れば非常にいいから株を高くして売ってしまう。これでは
株式の安定ではございません。だから大
株主がいることが安定とは言えない。もう一つの
見方は、大
株主の名義の書きかえが非常に少い。これが安定性、その点から見ますと、当
会社のごときは調べてみますと千分の二なんです。これは安定性、極端なものです。そういうものが安定性になる。ところがわれわれ普通の
会社は大体償却費の一割五分か二割も
出している、これは当り前です。これは投機だと
考えてはいけない金だ。金は
出し入れするのが当りまえです。売ったり買ったりするのは当りまえなんです。ここに
株式の市場性がある。そうすると私の
考え方は割れてる方がいいんです。割れてる方がいいという実例をちょっと申し上げますと、東洋製缶の
株式があります。この株は五百円株です。五百円株にかかわらず一人の
株主が百四十五株しか持たない。今の点についてちょっと説明したいために申し上げますが、
会社、すなわち
国際電々
会社の方は一人千株の平均になっております。現在三百五十万株持っております。全体で六百五十万ほどですけれ
ども、二百八十万くらいまでは大蔵省にありますから、三百五十万株に対して千株、これは多いです。その上に払い込みがその十倍ですから一万株、安定性はこれは、けっこうなんです。これでは市場性がない。でありますから、市場性を作るのは、これは
一般の株と同じような配当まで持っていかなければいかぬ。それはできないかといえばできる。これは考課状をもらえばわかりますように、これは五年間年々七億円儲かっておる、三十三億円七年間で償却したらどうする、これを
考えて発展もありますが、年々七億円使う
仕事がない。これは政策が間違っておる。
会社の
経営が間違っておる。市場性がつかない。これは変えなければいけない。配当を慎重にやる。あれを
株式会社に、
一般の
株式会社にしなかった、
民間にしたくないというところから
考えた安定性の解釈がまるで違っておる。安定性がない。
株主からこれを見て、いつどこから指図が来て、重役を代えろというので、どういうような
経営者が飛び出すかわからぬというように、非常に不安定です。この
意味からいって、安定性のない状態に、
公社が株を持っていくということは、五分の一じゃないかと言いますが、
株主権というものは、これは、あれを支配する、しないといいますが、これは
株主の権利は消えないんです。すなわち
会社法で完全に保護されておりますが、どんな場合にどういうふうになるかわかりません。私は国会の慎重なる審議の上にきめたことでも、ここに誤まりがあることを
御存じだと思います。それはこの
会社の
法律ができた三百一号の
法律は大切な問題が抜けておる。財産は
公社のものである。それに対して三十三億円の対価の
株式を与えた。ところがその
株式は遅滞なく大蔵省に譲られた。大蔵省が一名義になっておる。その時分に配当もあります。あるいは、この株が五百円以上に売られる場合もあります。またこれを売ろうとする場合に市場には手数料を取ります。この処理をどうするかきめてないんです。大蔵省は全部
自分の方で処理しておる。当然のことです。これはきめてないのだから……。これに対して
公社はけしからぬと言って、おれたちの財産を持っていきながら、今まですでに配当せられたもの、二億一千八百万円だけこれをよこさなければ困る、こう言っておる。ところが大蔵省がおもしろいのです。昨年少しばかり処分したものの中でプレミアムを
公社に与えておるという話を聞いておる。その
内容はわかりませんが、そんなことで、大蔵省官僚の
考え方によって変るのです。御承知のようにお役所の当事者が机の上で簡単に
考えられるような、処理の
方法を
考えられるようなきめ方を、これを全知全能の諸君が集まった国会がああいうものをお作りになっておる、大へんな疑いの種を残す、ひいてはこういう問題を醸成したのではないかと、こういうことを遺憾に思うわけです。
大体私は実際面から大要申し上げまして、時間も参りましたから、私
どものお話はおきまして、御質問に応じます。ただ申し上げますが、私、十二時半から人を集めておりますから、それまでお待ちいたします。