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1955-07-19 第22回国会 参議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十九日(火曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————    委員の異動 六月二十九日委員最上英子君辞任につ き、その補欠として三好英之君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     瀧井治三郎君    理事            左藤 義詮君            柏木 庫治君            永岡 光治君            三木 治朗君    委員           大野木秀次郎君            西川彌平治君            島津 忠彦君            津島 壽一君            野田 俊作君            久保  等君            八木 秀次君            石坂 豊一君            三好 英之君            八木 幸吉君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   参考人    一橋大学教授  山城  章君    元公共企業体等    合理化審議会会    長       原 安三郎君    東京大学教授  鈴木 竹雄君    日本新聞協会編    集部長     江尻  進君    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君    国際電信電話株    式会社社長   渋沢 敬三君    生命保険協会財    務委員長    本間 喜一君    日本証券業協会    連合会会長   小池厚之助君    東京海外通信懇    話会常任委員  野口 宗光君    大阪外国通信懇    話会常任委員  浜野 恭平君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本電信電話公社法の一部を改正す  る法律案衆議院提出)     —————————————
  2. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 逓信委員会を開会いたします。  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、前回、委員会の御決定により・その後・本案に対する参考人の人選を進めました結果、参考人として、一橋大学教授山城章君・元公共企業体等合理化審議会会長原安三郎君、東京大学教授鈴木竹雄君・日本新聞協会編集部長江尻進君、日本電信電話公社総裁梶井剛君、国際電信電話株式会社社長渋沢敬三君、生命保険協会財務委員長本間喜一君、日本証券業協会連合会会長小池厚之助君、東京海外通信懇話会常任委員野口宗光君、大阪外国通信懇話会常任委員浜野恭平君、以上十名の方々に御出席を願った次第であります。  この際、委員長といたしまして、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、この酷暑のさなか、かつ御多忙中のところ、押して本委員会のために御出席下さいまして、ここに厚く御礼を申し上げます。  御承知の通り・本委員会におきましては、目下、衆議院から提出されました日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を審査いたしておりますが、なお審査の慎重を期する必要上、関係者並びに学識経験者方々に本日参考人として御出席をお願いいたした次第でございますので、この際それぞれのお立場から忌憚なき御意見をお聞かせ下さいますようお願い申し上げます。  なお、時間の都合もございますので、御意見の開陳は、勝手ながら、お一人十五分程度にお願いいたしたいと存じます。  それでは、これより参考人口述に移りますが、議事の進め方といたしましては、午前中は山城君、原君、鈴木君及び江尻君の四参考人から御意見を伺うことにいたしまして、委員方々参考人に対する御質疑は、原則として、一通り参考人口述が終りましたのちに、一括してお願いいたしたいと存じます。  なお参考人の御発言の順序は、参考人の御都合等を勘案いたしまして、一応委員長においてお手元に配付の名簿の順に予定いたしましたが、なお、本日の順序といたしましては、委員長に御一任をお願いいたしたいと存じます。     —————————————
  3. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それではまず一橋大学教授山城章君にお願いいたします。
  4. 山城章

    参考人山城章君) 一橋大学教授山城章でございます。参考人としてこういった席上に参りましたのは初めてでございますので、はなはだ勝手がよくわからないのでございますが、忌憚なくという委員長のお話でございますので、私の考えますところを、自由に一つ発言さしていただきたいと考えております。  私を特に御指名になりました理由は、おそらく私の専門について何か参考に資したいというお気持であったかと考えるわけでございますので、私の専門といたしております角度あるいは問題に限って申し上げるという建前で、もとよりそれ以外のことは、むしろ私の申し上げることが御参考に資するほどのことはございませんので、私の専門としておるところについて申し上げたい。そういう角度からいたしますと、私は経営学を専攻いたしております。そのうちで企業理論などについて考えておりますので、そういうような見方から、今回の一部を改正する法律案についての私の胸中を率直に申し上げさせていただきたいと思います。  企業理論とでも申しましょうか、企業考え方とか、企業見方というようなものの角度からいたしますと、いろいろ申し上げたいととがたくさんございますので、十五分では、どれだけのことが申し上げられますか、できるだけかいつまんで申し上げたいと思いますが、まあ二段に分けて申し上げたいと思います。  第一段については、私は、この法律案と申しますか、その中心でありますところの、公社株式を保有せしめるという点でございますが、その点に対しまして私は必ずしも賛成ではございません。それはどういう点かと申しますと、国際電会社が、その設立の当初から今日に至るまで、大体いかなる企業考え方の上に立って、あるいはどういう気持で設立されておるかというようなことから、一応考えてみる必要があると思います。で、これは言うまでもなく、設立されたときの事情などを記録について見ましても、いわゆる民営にするのだというのがきわめて中心的な指向であったと思うのです。問題は、その民営とは何であるかということを二段に私は考えたいのでありますが、民営というものについて、一般考えられており、あるいは法律の上で規定せられており、あるいはまた今回のこの改正案を出されました場合の提案理由などを拝見いたしました限りでも、やはりこの民営というものの考え方は別に変っておるように思わない。大体同じような考え方の上に立って施行されておるわけでございますが、そういうような民営考え方の上に立って見た場合、株式公社が持つということは、私は反対だ、こういう意味でございます。つまりこの場合は前提がございますので、われわれ学問をやっております者の側から、この民営とは何であるかということが実は問題でございますけれども、一応これまで考えられております、あるいは法令などに規定せられております内容、そういうようなものから見まして、そういう立場に見られた民営とはどんなものか。つまりその立場会社などを設立されたわけでございますが、その立場が変らないものだとすれば、つまり言い方をかえますと、この法律案改正案が出されましたが、その場合に出されました趣旨は、この民営というものの考え方を何ら変えようとは思っておらない。従来のままの考え方であるのだ。こういう前提が許されますならば、この一部株式の保有というようなこの改正案は、私は必ずしもどうも賛成できないと、こういう意味でございます。つまり、ほんとう民営としての意味を十分に発揮させようというのでございましたらば、これは公社が持つというのは、おそらくいろいろな理由も付きましょうけれども、概括して適当だとは言われない。で、まあこの設立されましてから一、二年の電々会社内容などを一つ拝見して参りましても、きわめて民営会社としての成績は、りっぱなものでございます。まあ民営的な自由企業私企業としての機能を十分に発揮しておいでになっているように思うというように解釈するわけです。それは民営であるがゆえであるかどうかはともかくとして、結果は非常にうまくいっておる。その場合に、今公社が株を持つという場合ですが、公社という、その公社というものについては、実は私ども企業理論立場からいろいろ問題があるわけでございますが、それを第二段にいたしましても、いわゆる公社考えられ、または言われておるものの一般考え方、それから法令に規定されておる公社というけれどもほんとう公社じゃないと私は思っておる。非常に国営に近いものであります。いわゆるパブリック・コーポレーションの名に値すると私は思っていないのでありますが、それはともかく第二段といたしましても、公社内容的にはきわめて国営に近い。従いまして、国というようなもの、公社が株を持つということはおかしい、こういう理屈にもなるわけでございます。一方、民営私企業というものをあくまでも徹底しようという原理の上に立ちながら、国というものの性格の強いような公社が株を持つ、こういうことは、常識論からいっても必ずしも賛成されないところであろうというように、私もまた賛成ではない、こういう意味でございます。時間がございませんので、会社がきわめて民営的である事情その他を分析してみましたが、これは省略さしていただきますが、その意味で、第一段といたしましては、私は本委員会あたりで、あるいは提案者方々、そういう言葉をここで使えるものかどうか私はよく存じませんけれども、とにかく提案なすった方々がお考えになっておる企業考え方というものが、従来通り民営企業というものをお考えになっておるのだとすれば、そうだとすると、との公社に株を持たせるというのはちょっとおかしい、こういうことになるわけでございます。  第二段の問題に入りまして、私の見解をお許しを願って申し上げたいのでありますが、さて、この民営企業というようなことを安易にわれわれどもは使って参っておりますが、それは一体どういうものであるかということなんであります。私は、この民営がいいか悪いかをここで論じようとは思っておりません。一応民営角度で話を進めて参りましょう。もとより問題は民営でなくて、この国際会社公社にしたらどうかというような意見もあったようでございますが、もし民営形態をやめるといたしますと、私はいろいろな形態考えられる。たとえば民営やり方をやめた場合には、第一に考えられますことは、民営でありますが、やめたといいますか、今の民営のような考え方をやめた場合に、まず第一には公益事業パブリック・ユーティリティー、公益事業というような形で扱うというような行き方が一つ、これは私あまり意味がないと思っております。内容的に郵政大臣の監督などがございますから、すでにそういった性格を持っておりますので、これはそれほど意味がない。その次は混合企業学問上言っておりますが、つまり法律上は特殊会社でございます。戦時中の例の国策会社のようなものでございます。ああいう形のものに切りかえてしまうかどうかというふうなものが、その次に考えられます。しかし、これは、こういった議論をここでは申し上げる余裕はございませんが、ああいう混合企業式な方式は、一九二五、六年までの世界の動きでございまして、十分経験を積んだ結果、あれは企業理論としては適当でないというのが、理論上の結論であると私は信じておりますが、その意味でも、一応の特殊会社、つまり株式を国と民間が半々に持っているというようなあの行き方も、私は適当だとは思っておりません。  それから第三に、もし改めるといたしますと、純国営にするという角度がございます。これは、もはや議論の余地はなく、いろいろ特に民間民営主張論者では、これはおそらく御主張にはならないと思います。で、私も必ずしも賛成ではない。つまり国営というものの意味をもつと考えなければならないのでございますが、とにかく国有国営とひっつけた意味の純行政経営と私は呼んでおります。純然たる役所で仕事をするというやり方、これは私は賛成でないと、こういう意味でございます。  その次に考えられますものは公社でございます。これは国営じゃないかとおっしゃるならば私は反対でございまして、国有であるかもしれませんけれども国営ではないわけなんであります。しかし、その場合の国有というものには、ほとんど意味がないような状況になりつつあることは、十分注目しなければならないことでございまして、国有と申しましても、国がお持ちになっておるというものを具体的に示せと言いましても、はなはだ困難なことになりつつある。たとえばこの公社所有されております建物にしろ、あるいは公社のいろいろな設備にしろ、たとえば国鉄などの場合の電車、汽車にいたしましても、あれは、だれの所有物かと、もしわれわれが聞かれた場合あれは国のものだと言うと、うそになります。それは国のものではなくて公社のものである。ですから、あれを国有というのは非常におかしいということにすでになってきております。同様なことが普通の民間会社でも実は起きておるわけでございますが、それはあとで申し上げます。そういうことで、国有というかどうかもすでに問題でございますが、まあ国有と申しておきましょう。しかし国営ではない。公社が現に出発しておりますけれども、私は、あれはなお国営的要素を非常に持っておるということを先ほど申し上げましたが、ですから、ほんとう意味公社は、もっと進んだ形のものだ、もっと実際の独立性のあるものだと思っておるわけでありまして、ああいう公社にでも切りかえたらどうか、こういう意見も出てくるわけでございます。  そういうようないろいろな立場が許されるでありましょうが、私は一応これをすべて省略と申しましょうか、取り上げないで、一応民営という立場で話を進めた場合に、なお、あくまでも民営で進むのだということが前提されましたとしても、民営というものは非常にいろいろな考え方があると思う。われわれの企業理論角度からいきますと、従来の考え方民営というものはおよそナンセンスになりつつあるということなんであります。先ほど申し上げましたように、明確には記録されておりませんから、想像するだけでございますが、大体設立された会社が、設立されたときの民営考え方にいたしましても、あるいはここで改正案が出されておりますけれども改正案の根底にあると思われるような民営考え方、あるいは改正案をお出しになった方がお考えになっておる電々公社考え方などにしてからが、やはり私はこれを十九世紀的な企業観だと言いたい。むしろ百年前の考え方である。これは失礼かもわかりませんが、企業理論の上からそういうことを私は言わしていただきたい。つまり言い方をかえますと、今の民営という考え方とは違っておるということであります。それではどう違っておるかでございますが、これを申し上げるのは、長々と皆さんの前で講義をするようで、はなはだ恐縮になってくるわけでございますけれども、簡単に申し上げますと、先ほどちょっと触れましたように、民営所有民間になるというようなことを申しておりますけれども、その所有意味がきわめておかしいものになっておる。近ごろの大会社、たとえば電電公社が三十三億からあるのでございますが、そういう三十億からの会社あたりを、どこの会社を拾ってごらんになりましても、所有者がだれであるかということをもし言われますならば、私ども企業理論から非常に困るのであります。だれが所有者かと聞かれましても、まあ株主でしょうねということを言う以外に方法がない。ところが株主所有者ではない。これは法律の方もいらっしゃるわけでございますから、法律上のことはそちらで詳しく御検討願いたいのでございますが、常識論からいたしまして、あるいはわれわれの常識的法律論からいたしましても、たとえば丸ビルかいわいにありますある会社建物、それは一体だれのものだと、もし人が聞きました場合、先ほどの公社の場合と同様に、あれは株主のものだとはだれも考えませんし、また、それは法律上もおそらく許されないでしょう。あれは会社のものである。つまり会社というものができ上ってきつつあるわけであります。所有という関係は否定はされておりません。別に所有を否定したり何かしておりません。ますます所有は確実になり、かつ所有しておるものの営利とか、利潤追求が上手にされるような証券市場というものができておるわけであります。そういうところでうまく利潤追求をさせて、会社などにはタッチしないというような傾向が今出てきておるわけであります。会社などに専門でない株主さんがタッチして責任を負わされるということは大へんなことで、うまくいけばよろしいが、しくじったときの責任を負わされてはたまらない。会社専門家にまかして、ここに専門経営者専門管理者というものがだんだん出てきた。ところが私は、学校で学生を教えて世の中に送り出しますが、十年、二十年と年期を入れて経営専門家になっていくわけであります。あれは別に資本家になるわけではないと、われわれはそう思っておりますし、事実、資本家でも何でもないものが会社を動かしている。ああいう工合に、専門家仕事を動かしているというふうに、普通の会社は、なっている。公社でもそうだと思いますが、そういう形で、経営がだんだん専門家の手によって自主的に独立してやられる、と同時に責任を負わされている、ここに能率のよさというものがあるわけであります。これが私は民間でいう私企業というものだと思います。株主さんはどうなっているかというと、仲間に入らないで、むしろ外から自分資本をうまく守り、利潤をあげていくような方法を講じておられましょう、証券市場の投資の中で……。そういうようなのが上手な株主さんのやり方だと思います。これが近頃会社考え方であります。こういう考え方がある。私の見解では、二十六年の商法改正の中に明瞭に盛り込まれたと考えております。つまり株主総会権限が非常に削られております。権限を与えても、今のように、会社の中へ入って自分で関与してみずから執行していくという株主さんはほとんどおられないし、そういうものには興味がない。むしろ中に入って責任を負わされないで、外で利益の追求をやったほうがいい、こういうことでございましょうが、従って株主総会には、実際統計を見ましても、ほとんど株主さんがおいでにならない。私どもは、今世紀の初めから、こういうのが観客なき喜劇だとドイツのシュモーラーという学者が申しましたが、観客なき喜劇だというように株主総会を申しております。そういうような世の中になっておるわけでございまして、そういう株主総会というものの考え方をおそらく商法は承認されたというべきじゃないでしょうか。非常に権限をお削りになった。そのかわりに最高意思決定機関として取締役会をお出しになっておる。英米独ドイツ取締役会監査役会でありましょうけれども英米などの進んだ——進んだということは語弊がありますが、向うの大きな規模の会社は、株主総会権限が削られております。しかし、そのかわりに、最高意思決定をするものはザ・ボード・オブ・ダイレクターズ、あれは御存じ通り最高方針をきめる機関でありまして、執行はいたさない。この点は、私の意見と申し上げるか、前に記録をちょっと拝見いたしましたところが、電々公社が設立されましたときに、外国の方の参考人がきてお話なすったケースがありますが、そこでも同様なことが申されております。これは電々関係会社だけでなくて、英米における大会社はほとんどそうであります。大会社最高方針取締役会できめる、それを執行するのはいわゆる取締役会ではなくて社長、プレジデント以下の、これをエギュゼクチーブと言っておりますが、そういう人々が担当している。こういう仕組みで動いておるわけであります。つまり社長以下、先ほど申し上げた経営専門家ですが、経営専門家が全部の責任自主性とをもって活動するのですが、大きな方針というものは彼らみずからきめるのではなく、誰かがきめていく、ここが最近の経営の特徴だと思うのであります。アメリカ統計等を見ましても、取締役会に参加している人は非常にいろいろな人がいる。株主さんだけではなくて、株主さんが任命権を持っておることになっておりますが、株主さんだけではなく、会社の中の社内重役さんも取締役会に入っている。株主さんも入っている。学識経験者も入っている。ある場合には労働組合代表も入っている。これはドイツで、監査役会に、共同決定法あるいは経営参加法労働組合を参加せしめるという法令が出たわけでございますが、英米の場合には、法令では全然そういうことは問題にいたしませんが、統計の上ではある程度は参加させておるわけであります。組合の方も参加させておるというようなわけです。もとより若干の金融機関の方も参加される。こういういろいろな方が参加されまして、いろいろの意見を入れて、そこで最高方針をきめていくのが近頃のいき方だと私は解釈しております。それは、しかし、方針をきめるので、執行はいたさない。しかしそれは単なる経営者というようなものだけではきめない。経営者専門家でありましょうけれども経営専門家であって、政治的な動きであるとか、あるいは経済の動向であるとか、社会的な諸問題というものに対して全般的な知識があるという保証はないわけでありますから、そういうふうな方針をきめるのは、そういう広い視野でものを見なければならない。そうだとすると、いろいろな人を入れていく方がいい、こういうような考え方だと思います。理論的に向う主張などは、皆さん御存じ通りに、最近は社会責任ということ、ソシアル・リスポンシビリティということをしきりに向うでは言っておりますけれども民間会社も、アメリカのようなフリーな企業社会責任ということを言っておる。その場合の社会性でありますとか、あるいはパブリックとか、公共性ということを非常に言うのでありますが、これは一体どういう意味であろうか。こういうパブリック公共性社会性という意味は、われわれ戦時中、公益優先ということを言いましたが、ああいう観念的といいますか、内容がない、お国のためというものと違いまして、非常に内容的であって、どういう内容かというと、先ほど申し上げたような経営にいろいろな関係を持っておる人々が、みんな奉仕をしようじゃないか……、関係を持っておる人はどういう方かといいますと、株主さんもまさにそうだと思いますけれども株主さんだけだとは思っておりませんが、先ほどの取締役会の構成を御覧になってもわかりますように、会社の中の人も入っていろいろ意見を述べておりますが、そういった取締役会決定に参加されますが、それだけでなく、経営執行の人も入っておる、あるいは政治関係の人も入っておる、これに日本で言えば顧問のような人、学識経験者のような人も入っておる、組合代表もごく一部は入っておる、こういういろいろな人の意見を聞くとか、いろいろな人に役立ちを与える、これが公共性だと考えていいと思います。むしろおそらく重要なのは、パブリック消費者のためだということでありますが、消費者代表的なものを入れておる所もわずかながらあるようであります。ところが、パブリック公共性ということは、そういうことで経営に、会社関係があるいろいろな人人に役立ちを与える、従いましてその人の意見を入れるというようなことをみずからのうちに盛り込むべきである。これが私は現代における民営企業というものだと思っております。  ところが、ただ日本で、それじゃ、まねをしてよろしいかということになりますと、これはちょっと問題があるわけでございます。それは考え方としては私は賛成ですけれども、このやり方をそのまま日本にはちょっと持ってこられない。これはアメリカのいろいろなやり方を私ども学んだのでございますが、アメリカのいろいろなやり方がそのまま当てはまらなないと同様に、これは私はそのまま当てはまらない。なぜかと申しますと、これは統計でも御説明できるのでございますが、残念ながらここに持って参っておりませんが、日本会社の実情を調べてみますと、日本取締役会は、御存じ通りほとんど骨抜きのようなものでございます。法律では相当大きな権限を与え、かつ期待をするということが言われましようが、現実に見て参ると、日本取締役会はほとんどフルに社内重役によって構成されておる。社外から社外重役を求めておるケースはほとんどわずかしかない。つまり社内の執行者は同時に決定者であります。取締役会決定機関である。決定する人と執行を分けて、きめることは社長以下にやらせて、それを監督するとか、監査をするとかいうような考え方であるのが、近代的な民営企業であると思うのに、日本の場合には、それをやろうとしても実情はできないようになっておる。なぜならば、執行者が決定機関そのものに入り込んでおる。つまり取締役会の構成メンバー全部が内部の社長を中心にした執行者である、こういうことになります。そこで、日本会社の実情は、多くは、これは電々公社の話としてでなくお聞きとり願いたいのですが、電々公社の場合は社外重役の方が三人くらい入っておるのじゃないかというふうに見えるのでございます。これは聞いたのじゃございません、当ったのじゃございませんから、詳しいことは存じませんが、その意味では、電々公社の構成は、ある程度けっこうだということになりますが、一般論としてお聞きを願いたいのですが、一般論といたしましては、ほとんど社内重役です。従って取締役会決定機関で、別に執行機関があるというのは……決定執行者が同一人によって営まれる、しこうして取締役は監査機関の機能を持っておるわけでございますが、そういたしますと、日本会社の多くは、自分できめまして、自分執行いたしまして、自分で監査をするということで、極端な独裁型になるわけであります。これは非常に考えなければならないことは当然と思うのですが、事実がそうなっておる。そういたしますと、取締役会に参加するという外国のケースがちょっとむずかしいわけであります。で、先ほどの近代的な民営企業の感覚でいろいろな人に奉仕する、その奉仕する人の意見も聞こうじゃないかというので、外国では取締役会にそういう人を入れておるというケースがあるのですが、日本ではそれがむずかしいとすれば、先ほどの原理を生かすためにそれではどうしたらいいか。それはやはり株主総会にでも参加を願うより仕方がないじゃないか、こういうことになると思います。株主総会は非常に権限は削られておりますが、外国のよりも少し広いようですが、その株主総会へ、先ほどの取締役にかえて、外部の公共的の人々を加える、こういう考え方が出てくるわけであります。  で、翻って今回の提案の、公社が株を持つというようなことをこのような問題に引っかけて考えて参りますと、私、積極的に支持するというほどの見解を持ち得ませんが、理由はあることだと私は言わざるを得ないと思います。ただし条件をつけなければならないと思いますのは、単に公社だけが持つのでなく、先ほどのように、その他のパブリックと称せられるようなもの、つまり公共と称せられるようなもの、たとえば株主さんは当然に参加されましようが、その他の利害関係者が、なお将来参加されるというような見通しのもとに、公社も参加されるべき、というよりも、参加されることは理由のあることである、株をお持ちになるのは意味のあることである、そういうような気が私はいたしておるわけでございます。その場合に、一言つけ加えたいことは、私の考えます公社は、今の公社よりも、もっと進んだものをむしろ想定したい。今の公社は、先ほど申し上げましたように、公社として電電は相当進んでおるといわれるのでございますが、しかし、なお非常に従来の国営的要素が残っておるように思う。もっとあれは公社らしいものにして、そして先ほどのほんとう経営専門家によって自由にやらしていくというようなところまで進んでいくことが望ましいと私は思っておりますが、そういう公社ならば、国際電々の方と、との公社とは、おそらく取引関係において利害関係として参加するとか、その他いろいろな関係において、なお取締役会でなしに株主総会へ株を持って参加していくということは、理論上、私はむしろ望ましいと、あるいは賛成であるというようなことになるわけでございます。  従いまして、私どもの申し上げたいことは、第一段においては、やはり従来の考え方を、民営企業考え方を持ち続けながら提案されたりあるいは議論されたりするという限りであるならば、これは公社が持つのはおかしい、おかしいと申しますか、必ずしも賛成ではない。しかし賢明なるこの方々のつどいである場合には、民営企業というものの新らしい性格を十分おつかみになっておるはずであるから、これは何かの理由で隠されているのじゃないかと思うのですが、まあ、いずれにいたしましても、近代的民営という角度からいたしますと、株を持つということは、公社だけだと私は申し上げてはおりませんが、公社が持つということも、これは理由があることではあると、こういうような考え方であるのであります。私は、先ほど申し上げます通り経営学企業理論などをやっておるものでありますから、そういう角度から今のようなことを申し上げて、その他のことについていろいろ話を聞いたり調べたりしましたが、申し上げても何ら御参考になることはない。ただ企業的ないろいろな角度から申せばそういうことになる。それを一つ申し上げまして、はなはだ御参考になりましたかどうですか、この辺で御質問によってなお御説明をいたしたいと思います。
  5. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ありがとうございました。     —————————————
  6. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 次に、元公共企業体等合理化審議会会長原安三郎君にお願いいたします。
  7. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 原でございます。  臨時公共企業体合理化審議会という長い名前でありますが、あれはちょうど昨年六カ月ほど会長をいたしまして、その立場からということでございましたが、先刻委員長の御説明では、あの立場からのみでないようなお話でございましたので、私は三つの立場をこの場合に持っておりますが、それは、この会社国際電信電話株会社、今後これを会社と言わせていただきます。また日本電信電話公社、これを今後公社と言わせていただきます。一般会社の場合は株式会社ということに言わせていただきます。会社と申しましたら国際電信電話株会社のことだと御承知願います。との国際電信電話株会社の平取締役でございます。その立場がございます。もう一つは、この公社並びに会社のできましたときに、民間から横からお手伝いをいたしました、このできましたことについては国会で御決定になりましたのですから、そういうことについては参加しておりません。立法に参加しておりませんけれども、その立法前のこと並びに会社成立に対してのお世話は、会社の創立委員になって、中島さんが委員長でお世話をいたしました。そのことは相当こまかくいたしましたから、よく存じております。立場は三つあります。私はまず公共企業体のお世話をしました、この合理化審議会のお世話をした、この立場から申し上げたいと思います。たまたまその点で参考人としてお呼び出しを受けたわけなんです。だから、まず結論を申し上げますと、これは公社所有すべきものでないと考えます。説明は順に申し上げますが、ここに現われておりますことはあまりにいろいろな点にわたっておりますから、こまかく分けますと十五分が五時間十五分でも間に合わんと思いますから、一応このいただきました書類について申し上げたい、とう思います。  まず改正案公社が株を持ってよろしい、それは会社の株の五分の一以上はいけない、その以後において新らしい株が発行された場合またはその会社株式が処分されること、また新らしく獲得すること、との場合も入ると思いますが、その五分の一以上は持てませんが、そういう場合には郵政大臣の許可を求める、こういうことになっております。法文は簡単です。しかし、これに付帯決議というものがついております。別に理由書もあります。また理由書も五回にわたって作られております。私は全部には目を通しませんが、第四回、第四次の理由書と第五次の理由書とは拝見いたしました。  結論を申し上げましたから、結論についての裏づけをちょっと簡単に申し上げます。これは、公共企業体等合理化審議会は、約五十六回、六カ月間に、公共企業体をいかにすべきか、いかに運営すべきか、いかなる形がいいかという点で、二十一人の委員に審議していただいたのですが、とのときにやはり特別委員を作りまして、専売公社と、国鉄と、この公社とを調べましたのです。その調べの結果もございますが、その後のいろんな状態も考えまして、私は公社は絶対に株式を持つべからず、こう思います。その理由は、公社そのものの考え方、他の参考人の御意見もございましたが、そういう理論的な問題を離れまして、日本公社は業務の性質がいろいろ変っております。変っておりますが、この電々公社公社のすべき仕事がたくさんあるのです。まだ残っているのです。これは皆さん御存じ通り、電話は現在百数十万の要求に対して付け切れない。昨年あたりから大へん都市がふえました。都市というよりも市がふえました。この市は町村合併からきたものでありますが、その町村合併になった市が、一つの市に触りながら、やはり元の町村そのままで、市外電話を使っておるのです。これに対して市内電話にしろという要求が非常に起っている。これは公社にとっては、だしぬけの問題であり、準備がありません。というのは、現在における公社仕事を完遂するにも資金不足であります。これは皆さんの御審議によって年々公債あるいは社債、あるいは、めったに出してもらえませんが、融資部の金なんていうもの、これを使いまして、少くとも建設、拡張、あるいは補修、新しいものをとり入れるのには百数十億の金が要るわけであります。この場合に、第一、他の会社の株を持つ必要がどこにあるか。それからまた公社の性質から言って、公社仕事に専念すべきである。もし公社が他の企業関係しなければならない場合は、全面的にその事業を経営する、決して株主になる必要はありません。もし、連関性があるとか公共性があるとか言っておりますが、公共性のある事業は一緒にしなければならぬということになれば、日本の事業で公共性のあるものは全部一緒にしなければならぬ、つながりは……。電信電話、この関係は何かと一緒になっておるようでありますけれども、国際のものと国内のものとは切り離して差しつかえないのみならず、今の会社が創立以後、切り離されておることによって何ら面倒も支障も起っておりません。これも総裁からも聞いておりますし、私自身ちゃんと見ております。それは必要ないのです。何のために株を持つか。私は、その株を持つ現在の資金は大蔵省のもので、総裁は新しい資金は要らないと言っておりますが、これはその株式が売れれば金になるのですから、すぐに会社自分の方の仕事のまだ及ばざる、足りないものの補充あるいは拡張に向けるべきではないかと、こう考えます。  もう一つ、こういう種類の運営上の問題を申します。私たち、ある仕事に対して、初めに力のない会社に対しては株を持ちます。しかしながら、これが当然われわれと社内的関係を持つ場合には、それは分離しません。社内で関係を持つ必要がない、それによってその運営に支障がないという場合には分離します。支障がないと認めた場合は分離します。株を持ちません。それがはっきり分離するという理由は、経営自主性を保たしめ、成績を上げしめるに不必要な干渉を株主であるためにすることは、非常に弊害が大きく、無責任な干渉になるという場合がありますから、こういう場合にはさようにいたしません。その意味もあります。  それからもう一つ申し上げたいことは、その会社法律、すなわち法律第三百一号となっておりますが、二十七年八月七日に公布されております。これを皆さんやはり御参考にごらんになっておると思いますが、その附則の二十一か二十二に、その株に関する問題なんですが、これはすでに決定したことでありまするが、これが不完全であったわけです。それは、第二十号か、第二十一号か、第二十二号の中に、なるべくすみやかに処分しろと書いてある。それから、その上に市場の情勢に応じてと書いてある。なるべくすみやかに処分しろということの処分が二カ年の間にされなかったということは、あるいは公社が株を保有する理由の一つになっておるようにも考えられますが、これは市場の情勢を勘案してとなっておりますが、なるべくすみやかに市場性というものを認めることによって、と制限されておりますから、なるべくすみやかにピック・アップしたら……、第四次の理由書の中に入っております。これはアメリカがそういう字句にとらわれたと同じで、全体を通覧していないという……、実は市場性を認めておられたが、これが五百円の株式に振りかえた、ところが、そのときの歴史をごらんになったらわかるように、あの財産は、もと公社のものです。公社のものが大蔵省へ行ったのは、公社をして株式を持たしめないという趣旨を含んでおったと思います。私のそんたくするところでありますが、なるべくすみやかに財産提供によって、いわゆる見返りした株式を大蔵省の名義に切りかえた、大蔵省は今の言う市場性を見て、それをなるべくすみやかに処分する。第一回は十九億、三百八十万株売れましたが、その残りはわずかばかりしか処理できなかったが、こういうことによって処理できないのじゃないかということも一つの理由になっております。これを申し上げますと、市場性も付いていないのであります。  この市場性の問題をちょっと申し上げたいのです。この決議のうちにもございますが、配当金は公共性を持っているからよくこれは注意する、八分の配当というものは、現在の株式市場においては払い込み終了になる見込みは永久にありません。これは、ちょっと、うるさいから、数字を申し上げますが、現在日本の、特に東京をピック・アップすれば、東京がほとんど現在の取引の八〇%、東京の取引は二百二十五種類の株を、ダウ方式というので、一昨昨日の相場が三百五十三円、これはダウの方式と言いますが、その方式で勘定している株式会社の数が二百二十五ある。これをまた一方の表わし方で、単純平均と称して百四円。まあダウの説明はいたしません。この百四円の方を御注意願いたい。百四円の株を五十円、五十円払い込みの株二百二十五種が百四円二十何銭、これは二倍です。そうしてこの配当はどうだ。大体、配当は、二百二十五の平均は一割四分二厘三毛なんです。この平均利回りは七分一厘なんです。ところが、この二百二十五社も、いい会社を選びましたけれども、三十社ほど無配当会社がある。これを除きますと百九十五社、これの配当平均は一割七分二厘、利回りは七分八厘です。利回り七分八厘で、実際株主に与えている配当は、配当している株式会社の銘柄百九十五社は一割七分、単純価格の方も、百九十五社を平均しますと百十四円、五十七円の平均になっております。かくのごとき株式市場の値段、株式のあれがあるのです。  そこで問題は、日本株式は、三年前の商法改正後五百円株、新らしい会社は五百円になっております。五百円株と五十円株、両方行われている。株を買ったり売ったりする人は、株を多く持った気持が非常に嬉しいのです。民主化とかあるいは一般化ということが終戦後行われましたから、げた屋のおかみさん、とうふ屋の主人というものは、皆、株を持っております。これは一株より百株を持った方が気持がいい。同じ配当も、五十円株がいい。五百円株で一割二分配当しております。九つの電力会社が一割二分配当しておって四百七、八十円から四百三十円、利回り一割四分、ほかのものは七分四厘、七分七、八厘であるにかかわらず一割二分から一割三分。五百円株となると、こういうふうに区別がついております。大衆というものは、そろばんばかりとっているはずなんですが、株式の市場性というものはここに存在しているわけです。もっともこれは株式を持っている頭数、株主の保有している一人当りの株式の量にもよります。たとえば一割五分配当し、二割配当している同じ会社でも、一人の株主が五千株持っている会社は株が上っておりません。市場性がない。ここに問題が一つある。この中に安定性という言葉を使ってある。安定性という言葉は違うのです。市場性というものは、株式をすぐ買える、売るとすぐ売れる、ほとんど現金と変らないものが市場性がある。そうして株式としての価値がある。  私たちがこの会社を独立会社にして運営していこうというところには特に理由がある。一つは、国際電株式会社の国際的の性格をはっきりさすために、今後ますますふやさなければならぬ海外との交流を繁くし、そうして有能にするためには、新しい施設をしなきゃならぬということはたびたび議されておるが、事実、会社内容を知っておりますが、この後の発展のために国際的の意味において努力しなきゃならぬと思っております。ところがそれを官設でやるといろいろな制限があります。第一、今の公社のうちに、これが公社の一事業に入っておりますと、国内の方の問題のために使いたい金が使えないことが起って参ります。国際という、いわゆる国際的の仕事を分離しますと、国際的の仕事で、ちゃんと経済経営をやって、差のプラスを蓄積して、それによって発展さすという場合に、その必要な場合に分離することがいいという、目的を達成するためにこれを作った。そうなりますと、一般の資金の獲得が必要でありますから、その株式に市場性を持たせなければならぬ。八分の配当なんというものは、こっけいなんです。私は、会社当事者に対しては、との八分の配当は少い。さっき申し上げましたように、一割七分または一割四分ダウあるいは単純方式の二百二十五の代表会社の株、代表株を除いて一割七分二厘ですから、その点から考えて、もちろんこれは一割四、五分にしなければならん。これでもできないが、ここに経営者の新しいこういう……、この株式は新しい株式になったからどうか、償却は多くして、まじめに——まじめにという言い方は間違っておるのですが、市場性のことを考えないで、少く配当することが着実だという考えを持っておるというので会社経営すれば別です。そうなっておりますから、八分なら八分でよろしい、八分というのは、今申し上げたように一割四分の半分だ。そうして五百円に上げようはずがない。上らぬように、上らぬようにする。ところがその株式に対する配当金の、いわゆる市場性は付きません。一般会社に対しても配当はないのです。私が申し上げておるのは、投機の目的とか、あるいは株を高くしてもうけようとか、そういう点から来ているわけです。ほかの会社と比べて同じように金を使うのです。当事者は売り切れないのですから問題です。  それで、もう一つ、市場の安定性を保つという言葉を使っておりますが、市場の安定性という言葉の定義がはなはだわからなくなったというのは、あらゆる見方がある。これは、たった一つあるのは、その株主が見ておる会社は、民間会社として株主として安心していける会社であるということが安定性である。ところが国会の決議を見ますと、安定性という言葉は大株主がおるということが安定性だと見ておる。大株主がいることが安定性じゃないのです。大株主がいるということを安定性と考えるのは、しろうと考えだと思う。買い戻しあるいはその他いろいろな、人を申し上げますと問題がありますが、大きな株式を知らない間に買って名義を書きかえて乗っ取っておる。乗っ取れば非常にいいから株を高くして売ってしまう。これでは株式の安定ではございません。だから大株主がいることが安定とは言えない。もう一つの見方は、大株主の名義の書きかえが非常に少い。これが安定性、その点から見ますと、当会社のごときは調べてみますと千分の二なんです。これは安定性、極端なものです。そういうものが安定性になる。ところがわれわれ普通の会社は大体償却費の一割五分か二割も出している、これは当り前です。これは投機だと考えてはいけない金だ。金は出し入れするのが当りまえです。売ったり買ったりするのは当りまえなんです。ここに株式の市場性がある。そうすると私の考え方は割れてる方がいいんです。割れてる方がいいという実例をちょっと申し上げますと、東洋製缶の株式があります。この株は五百円株です。五百円株にかかわらず一人の株主が百四十五株しか持たない。今の点についてちょっと説明したいために申し上げますが、会社、すなわち国際電会社の方は一人千株の平均になっております。現在三百五十万株持っております。全体で六百五十万ほどですけれども、二百八十万くらいまでは大蔵省にありますから、三百五十万株に対して千株、これは多いです。その上に払い込みがその十倍ですから一万株、安定性はこれは、けっこうなんです。これでは市場性がない。でありますから、市場性を作るのは、これは一般の株と同じような配当まで持っていかなければいかぬ。それはできないかといえばできる。これは考課状をもらえばわかりますように、これは五年間年々七億円儲かっておる、三十三億円七年間で償却したらどうする、これを考えて発展もありますが、年々七億円使う仕事がない。これは政策が間違っておる。会社経営が間違っておる。市場性がつかない。これは変えなければいけない。配当を慎重にやる。あれを株式会社に、一般株式会社にしなかった、民間にしたくないというところから考えた安定性の解釈がまるで違っておる。安定性がない。株主からこれを見て、いつどこから指図が来て、重役を代えろというので、どういうような経営者が飛び出すかわからぬというように、非常に不安定です。この意味からいって、安定性のない状態に、公社が株を持っていくということは、五分の一じゃないかと言いますが、株主権というものは、これは、あれを支配する、しないといいますが、これは株主の権利は消えないんです。すなわち会社法で完全に保護されておりますが、どんな場合にどういうふうになるかわかりません。私は国会の慎重なる審議の上にきめたことでも、ここに誤まりがあることを御存じだと思います。それはこの会社法律ができた三百一号の法律は大切な問題が抜けておる。財産は公社のものである。それに対して三十三億円の対価の株式を与えた。ところがその株式は遅滞なく大蔵省に譲られた。大蔵省が一名義になっておる。その時分に配当もあります。あるいは、この株が五百円以上に売られる場合もあります。またこれを売ろうとする場合に市場には手数料を取ります。この処理をどうするかきめてないんです。大蔵省は全部自分の方で処理しておる。当然のことです。これはきめてないのだから……。これに対して公社はけしからぬと言って、おれたちの財産を持っていきながら、今まですでに配当せられたもの、二億一千八百万円だけこれをよこさなければ困る、こう言っておる。ところが大蔵省がおもしろいのです。昨年少しばかり処分したものの中でプレミアムを公社に与えておるという話を聞いておる。その内容はわかりませんが、そんなことで、大蔵省官僚の考え方によって変るのです。御承知のようにお役所の当事者が机の上で簡単に考えられるような、処理の方法考えられるようなきめ方を、これを全知全能の諸君が集まった国会がああいうものをお作りになっておる、大へんな疑いの種を残す、ひいてはこういう問題を醸成したのではないかと、こういうことを遺憾に思うわけです。  大体私は実際面から大要申し上げまして、時間も参りましたから、私どものお話はおきまして、御質問に応じます。ただ申し上げますが、私、十二時半から人を集めておりますから、それまでお待ちいたします。
  8. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) どうもありがとうございました。     —————————————
  9. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは東京大学教授鈴木竹雄君にお願い申し上ます。
  10. 鈴木竹雄

    参考人鈴木竹雄君) 私は商法学を専攻している者でございます。その立場から本法案に対する若干の意見を申し述べたいと存じます。  昭和二十七年に国際電信電話株会社法が制定されましたが、その際の根本的な考え方としては、つまり電信電話の事業については、国内の部門と国外の部門とに二つにわけるということが根本的な立場とされたわけであります。その結果として、公社側から会社に対して現物出資をする、それに対して与えられた株式公社自身は保有することが認められませんで、大蔵省にそれを渡して、処分をされたごとにその売却金を交付してもらう、こういう建前になっていたわけであります。従って、公社が現物出資をした株式をもらっているのだから自分の株だというふうに考えることは一応見やすいのでありますが、実は株式そのものではなく、株式の価値を持っていたにすぎませんわけであります。ところが、それが順調に処分がいきませんでしたために、今回の問題が起ったのであろうと存じますが、その立法理由というものがどうも私にはよくわからないのであります。経済的に見ますると、このように処分が遅れましたことは、確かに問題でございます。公社とすれば、早く株が処分されればその代価をもらい得たにかかわらず、現在なお十四億も株式が残っているそうであります。そうして、当初の法律では早急に処分ができることを予定しておりました関係から、処分ができない間の株式の配当については何らの規定がございませんでしたから、従って公社としてはその配当を受けることができないといったような関係にありますから、いわば十四億ばかりの財産、あるいは価値というものが、一種のこげつきになったということは、私はよくわかることだと思うのであります。従って、今も原さんが最後の方でおっしゃっておりましたが、その配当を公社の方に渡すということについての立法をなさるのならば、極めてよくわかると思うのでありますが、今回の法案におきましては、その半分の七億円分の株式公社に渡されるのでありまして、従って公社としては、今後七億円分の配当はもらえるということになるわけでありますが、しかし残りの七億円分の配当というものは、おそらく年間数千万円にのぼるもの、あるいは配当が上ればもっと多額になりまするものは、これはもらえないという形になるわけでありまして、その点、経済的に考えますると、はなはだ割り切れない中途半端なものを感ずるのであって、公社としてはそれでは不利益ではないかというふうに私には思われるのであります。ところが、提案理由の中にはそのような経済的な問題に何ら触れておりませんで、連携協調をはかるということがまずうたってございます。そうすると、その連携協調をはかるということは、ただ株を財産として持っているということではなく、その株式に伴う議決権を行使する、あるいは議決権を持っているということによって、会社経営に対し何らか圧力を加えるということによって、連携協調をはかるということが、目的なんじゃないかというふうにも思われるのであります。しかし、そうであるとするならば、それは、さきに国際電信電話株会社法を制定いたしましたところの、先ほども申しました根本の立場を変えるものでありまして、そこに問題があるのではないかと考えられるのであります。もちろん、大蔵省が持っていたものが、ただ、いわば同じ性格を持っている国家機関たる公社に移るだけなんだから、別にその点、何も変りないのじゃないかというふうにも見えるのでありますが、しかし、大蔵省が持っておりまする限りは、株主の類型を分ちますると、あるいは投機株主だとか、投資株主だとか、企業株主だとかいうふうなことを、これを学者は申しておりますが、大蔵省の持っております場合は、一種の投資株主といったもので、経営に参与するというふうなことを直接考えることはできないと思うのでありますが、それが公社に移りました場合におきましては、その性格から申しまして企業株主化するという危険が相当考えられるのではないかと思われます。しかし、これに対しては、議決権はあっても行使をしないのだというふうな考え方もございましょう。しかし、それは法律的には、行使をしないということが何の意味も持たないとともに、また少くとも七億からの投資を会社にいたしておりまするならば、その投資を守るためにも、ある場合には当然議決権を行使しなければならないでございましょう。すなわち、先ほど申しましたような投資株主であっても、その投資を守るためには、議決権を行使するという場合も、もちろんあり得ると思うのであります。従って、公社とすれば、そのような場合だけ議決権を行使するのだというふうに言われるかもしれませんけれども、しかし、それでは公社の連携協調をはかるという目的がそれで達せられるであろうか。また投資株主としての利益を守るためだという名のもとに、あるいは企業株主的な性格を持って権利の行使をしないという保証はないじゃないかというふうに思われるのであります。もっとも、この点につきましては、その公社の持ち株というものを七億円程度、五分の一に限りまして、それで支配をしないようにという配慮がなされているようであります。しかしながら、現在の一般会社におきまして五分の一を持っておりまするということは、非常に大きな力を持っているということは、私が申すまでもないことと存じます。たとえば商法が昭和二十五年に改正されましたときに、累積投票という制度を採用するようなことを、GHQから要請をされたのであります。私どもは、その制度というものが、必ずしも妥当なものではないのじゃないかというふうに考えたのでありますが、とにかく各株主が累積投票の請求権を持つようにという強い要請がありました。それに対していろいろ交渉しておりますうちに、原則としては各株主が累積投票権を持っていてもいいのだが、持つということにするのだが、定款で規定して、四分の一の株主だけが累積投票の請求ができるというふうな立法にしてもよろしいということに向うが譲歩したのであります。そのときに我々が考えましたことは、普通の会社で申しますれば、四分の一を持っているということは、単に此例代表的な重役派遣というふうなことを考える段階ではないので、すでにマジョリティを完全に握って、重役の全員を自己の配下に属するところから出し得るというような形のものではないか。小さな株主は権利の行使もいたしません。あるいは行使をするとしても、みずから行使をするというふうなことはございません。これほど、まとまったものになれば、それは非常に大きな力になるということは申すまでもないのではないかと存じます。従って私とすれば、そういう意味におきまして、公社がこの五分の一の株式を取得いたしましたときには、それは、やはり五分の一に限っても、会社に対して大きな力を持ち得る、従ってあるいはそれによって連携協調という自的が達せられることになるのかもしれないのであります。しかし、そのことは、すでに制定されました国際電信電話株会社法、あるいは日本電信電話公社法というものの根本的なあり方というものが、変るのじゃないかということを感ずるのであります。従って、そのことを考えますると、その問題について正面から考え、そして今までの行き方がよかったのかどうかということを大いに考えなければならないのじゃないか。で、つまり連携協調が必要だという限りは、その必要とするところがどこにあるのか、具体的にはどうなのか、株を持ったらば、それがどういうふうにすればその連携協調というものが実現できるのか、そういう問題を正面から取り組んで考えなければねらないのでありまして、幾つかの提案理由を並べて、その中で軽く取り扱っていいというような問題ではないのじゃないかと思うのであります。すなわち、この法案にいたしますれば、この国際電信電話株会社法の付則について規定されておりましたところのものは、それは公社会社との関係についての根本的なあり方を変えまするようなものを、この公社法の附則のところで一言しているにとどまるのでありまして、あるいは、その意味からは単行の法律を制定してもいいくらいの問題ではなかろうかと思われるのであります。加うるに、公社法といたしましても、公社法は第一条にその目的をうたっております。そうして第三条にはその業務を書いておりますが、いずれもこの電気通信業務ということがうたわれておりますが、これは先ほど申しましたような考え方から、国際部門のものを除きました国内関係のものでないかと思われるのであります。果してしかりとすれば、三条の二に一項を加えまして、それがこの国際電会社株式を取得できるということにしたことは、一体、第一条の公社の根本目的というものとどういう関係があるのか。すなわち本来の業務であるところの電信電話の通信の国内的な事業というものと、それがどういう関係にあるのかということを、はっきりとさせる必要があるのではなかろうかと思われます。言いかえれば、一体この目的の中にあるものと考えておるのか、外にあるものと考えておるのか。どうも私はその点について、本来は外のものであるけれども、それをここのところに一条を加えることによって、はみ出したということにしておるのではなかろうかというふうにも思われるのでありますが、どうもその点がはっきりしないわけであります。そうしてまた、この提案理由の中には、株式の安定性というふうなことが望ましいということが書いてあるのであります。この安定性ということにつきましても、今、原さんからいろいろお話があったようでありますが、一体どういうことなのか、はっきりしないとしても、一体何をそう……ある一つの考え方によるとしても、一体どういうふうにして、現在安定性を欠いておる、また将来安定を欠くであろうかというふうな点が問題になっておるのか、具体的な事例というふうなものがどう予想されておるのかというふうなことについて、どうも必ずしも明らかではないのじゃないかと思われるのであります。ことに会社の安定性を欲するということであれば、第一番には、このような国策事業を行なっておりまする会社自体が考えなければならない問題だろうと思うのでありますが、どうも様子を見ますと、会社の方はそれをむしろ不要なりとしておるように見えますので、そこにもどうも、すっきりしないものを感ずるのであります。さらにまた、との衆議院において通過いたしました付帯決議を見ますると、一方では、まあ利益の配当を慎重にしろ、それから他方においては早く処分をしろ、そうしてその処分については一般競争の方法によるというようなことを言っておるのでありますが、どうもとの点が私には、はっきりと了解ができないのであります。たとえば早く売れということ、ことにまたそれが一般競争の方法によれというふうなことになりましたときに、それではどういう価格でそれが売り出されるかわからない、株の値段というものがどうなるかわからない、こういうことになりますると、たとえば今後買おうという者も、その次に起ってくる値段というものはどうなるかわからないということになれば、心配して買わないというふうな問題も出てくるのではなかろうか。また株主を募ろうという、求めるというためには、配当をふやすということが必要だろうと思いますが、その配当もしてはいかぬ、こういうことになりますと、この点もどうもはっきりしない、あるいは矛盾しておるものを持っておるのではないかというふうに思われるのであります。  大体私が一応申し上げたいと思うことは以上にとどめたいと思います。
  11. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) どうもありがとうございました。     —————————————
  12. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは次に日本新聞協会編集部長江尻進君にお願いいたします。
  13. 江尻進

    参考人江尻進君) 参考人としての出席を求められましたのが数日前でございましたので、広く新聞界全体の意向をまとめる手続をとることができませんので、主たる関係社八社の参集を求めまして討議いたしまして、その結果、次のような意見を取りまとめた次第でございます。  結論から申しますと、議案に関しましては、新聞界といたしましては反対の意向を表明いたしたいと思うのであります。提案理由のいずれを拝見いたしても十分に納得いたしかねるのであります。その提案理由全般を通じまして、また衆議院における第一次案から第五次案までの変化した跡をたどってみましても、この法案の根本的な考え方が、電々公社をして国際電々に対し支配的立場を持たせることが両事業の円滑な運営に必要であり、また国際電電の事業の安定に必要だという建前をとっておるように見受けられますが、この点につきましては、現状では遺憾ながら同意いたしかねるのでございます。公社法、国際電公社法の提案されたのはわずか三年前のことでございましたが、その際には、両社の分離が企業の上からも最も合理的だとされたのでありますが、その後、情勢に重大な変化がないばかりか、国際電々の経営ぶりは、新聞界その他一般利用者の立場から見ても改善の跡がきわめて顕著であるにもかかわらず、これに対してあらためて公社の支配を強化せんとするような措置を講ずる必要がないというふうに考えられるのであります。公社が国際の株式を二割保有しても国際電々の経営に支配権を及ぼさぬというふうに説明されておりますが、事実上、国際に対し支配的影響を及ぼし得ることは、今までの御説明その他一般会社の実例によっても明らかなところだと存ずる次第でございます。その結果、国際の経営方式が公社と同様な状態になるものと予想されますが、三年来の公社と国際との経営の実情、利用者に対するサービスぶりなどを比較検討いたしますと、遺憾ながら現状においては、公社化することは、サービスの非常な低下、官僚化を意味することになりますので、賛成いたしかねる次第でございます。国際電々が設立されて以来三年の間、国際通信の面では、機械施設においてもサービスにおいても非常に改善されまして、相当満足すべき状態になっております。ごく卑近な例を申しますと、国際電々については、サービスに不満な点がある場合には電話一本で解決できることが多いのでありますが、これに反し、公社の場合では、機構が非常に大きいためか、横の連絡が非常に悪く、また係の者の態度が非常に官僚的、高圧的だという事例が間々あるのでありまして、利用者をして非常に不愉快な感情を持たせるだけでなく、施設の新設、改善などが非常に行われないという実情にあるのであります。しかし新聞社の通信施設を担当する関係者といたしましては、独占事業者である公社と対立することは、その社の施設を入手する上に致命的な打撃があるわけでありますから、当事者といたしましては、ただ頭を下げて懇請に努めるほかはないという実情と苦衷を述べておりますが、新聞社に対してさえ、かかる態度の経営をしておる公社の他の利用者に対する態度は想像に余るものがあると言われております。また通信機器などが日進月歩の状態にあることは申すまでもないことでありますが、国際は外国からの刺激もあり、絶えず新しい技術を取り入れて研究し、利用者の希望を常に取り入れて改善を加えておりますが、公社側は古い技術基準なるものを墨守いたしまして、需要者に対し低い水準の技術の機械を強要したり、利用者に改善を許さないというような、独善的な態度をとっている実例が多くありまして、新聞関係利用者のこれに対する不満は非常に高いのであります。また、国際的に外国の電信電話会社と機動的に交渉をして決定を下し得るようにするためにも、国際は他より制約を受けない、自主独立の民間機関として置くことが必要であると考えられるのであります。かりに本法案が実施されまして、公社が国際に対し支配権を及ぼすような事態になりますれば、国際の経営方式も公社に近いものとなり、サービスの悪化をきたし、これが、国際的な文化の交流、わが国貿易の進展に悪影響をきたすことも明らかであります。従って、相当の年月をかけまして公社がまだ当然やるべき仕事がたくさん残っておるわけでありますから、そういう仕事を完成し、さらに経営の方式、サービスの内容などに改善を加えた後に、必要があると認められる時期がきましたならば、この両社の提携交流も再び考えられないこともないと思いますが、現状におきましては、両社をはっきり分離独立させ、競争的立場に置くことが、利用者たる国民全体の福祉のために必要であると信じます。本案の提案者は、事業者の立場だけを論じ、国民あるいは受益者の立場については考慮していないのではないかというふうに見受けられますが、国民全体の福祉の立場から再考されんことを希望いたしまして、本案に反対をいたします。
  14. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ありがとうございました。以上をもちまして、午前中に予定いたしました参考人口述を一通り終了いたしました。委員において御質疑がありましたら、この際お願いいたします。
  15. 八木幸吉

    八木幸吉君 山城先生にお伺いしたいのですが、民営になってから大へんすべての点が立派になったというお話でありましたが、たとえば正確度とか、あるいは速度とかいったようなことを、いずれお調べになってからのお話だろうと思いますが、何か具体的な点を二つ、三つお知らせをいただきたいと思います。
  16. 山城章

    参考人山城章君) 民営になりましてからよくなったのか、それ以前からあの部門はよろしかったのか、その辺の事情は、私、詳しく存じませんが、結果的に見ました、報告書などの分析から見ました数字は、非常に成績が上っておるということだけは言えると思います。先ほど原さんのお話もございましたが、たとえば自己資本収益率を見て参りますと、日銀の統計でございますが、たとえば日本の全産業の自己資本収益率が二十九年上期に一一・三五、二十八年下期一六・二〇というような形であり、それから電々は公益事業むしろ属すると見てよろしい。まあ公益事業を見て参りますと、実にこれは三・六、三・八〇というような数字であるのに、国際電々の数字は、御存じのように二二・七一とか二二・〇六というような収益が上っておる。これは、それがゆえにいいのか、あるいは成績を上げておるというとのことが、私の第二段で申し上げました意味におきますと、むしろ何といいますか、公社が株を持つということの理由にならぬわけではないのであります。あるいは第一段の行き方からゆきますと、これぐらい上ったから非常に成績がよろしい、それは民営だからと、こういうような結論にもなり得るわけであります。
  17. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一つ伺いますが、先ほど山城先生が、公社が株を持てば株主総会を通じて公共的な声が経営に反映すると、その意味合いで望ましいのではないかというお話でありますが、先生の言われる民営形態でとのお話だったのですが、現在の国際電信電話株会社であれば、執行部、つまり取締役会には、部外の軍役も相当入ってくるけれども、大体において、日本全体の立場から言えば、取締役会というものは、執行部にだいぶ偏しているのが現状であるから、そういう意味から株主総会での公共性を持たせることがいいじゃないかというようなお話があったのですが、それならば、必ずしも公社が五分の一の株を持たなくても、公社公益事業あるいは関係事業の有力な一つとして、経営にある発言、アドバイスをするという意味ならば、株を持たなくても、他の方法でもこの目的を達し得るのじゃないか。必ず五分の一は株を持たなくちゃならぬという、非常な積極的な、本質的な理由には私はならぬと思うのですが、その点はいかがですか。
  18. 山城章

    参考人山城章君) おっしゃいます通り、私も、持つことが積極的に必要だとか、どうしても持たなきゃならないというような申し上げ方でなしに、先ほど申し上げました利害関係者が、外国ならば取締役会であるが、日本の場合はむしろ株主総会である、そこに入って利害関係立場から自分主張も発言するという機会を置くことが、むしろ公共性ではないかというように申し上げたわけで、もとより方法は別にいろいろあるかとは思うのでございますが、しかし、ただ、ここで注意したいことは、株主総会へ参加すると私が申し上げて、取締役会以下でない、日本の場合においては取締役会でないと申し上げた意味は、日本取締役会は、この決定機関執行とがひっついてしまっておる。言い方をかえますと、執行機関化しつつある。そこへ参加するということは、執行という行為の自主性を妨げる、妨げると申しますか、自主的に大いに責任を持ってやらしていくというようなやり方に参加いたしまして、それを干渉するとか容喙するという形になるから、そうでなしに、むしろ方針をきめるというような段階には入っておるわけでございますから、外国の場合は、方針をきめるということを、やることと分けておる。そのきめる方には入って意見を入れておる。こういう例になろうならば、株主総会でも参加したらよいだろう。株主総会に参加するとすれば、これは株を持つより仕方がない。取締役会に参加するならば、もとより株のあるなしにかかわりません。今申し上げた私の趣旨は、パブリックの声を反映するという意味で参加するということは望ましいということを積極的に申しますので、その方法として株を持つかどうかは、これは二次的になる、こう解釈願います。
  19. 永岡光治

    ○永岡光治君 山城参考人にお尋ねいたしますが、先ほどもちょっと八木委員から質問がありましたが、民営として立派だということを、経営内容を分析して判断を下されたといいますが、具体的にどういうことですか、それは。民営として立派だということは、利益を上げるということが立派だと、こういう考え方ですか。
  20. 山城章

    参考人山城章君) 申し上げますが、そういう考え方が従来の考え方だという意味でございます。利益が上っておるということ、だから、これはいいじゃないかというような見方を従来やってきておるのでございますね、それで、民営では、いわゆる民営論者はそういうやり方をやるという意味です。
  21. 永岡光治

    ○永岡光治君 従って、その利益の配分は、利用者の、たとえば料金の負担の軽減に向けるとか、そういうことはやはり民営としても私は望ましいのじゃないかと思うのですが、そういう意味でのことは一応除外しているわけですね。利益が非常にあがった、当然、通信の性質からいいますと、利用者にサービスを提供するのですから、施設の改善をやるなり、さらにまた料金を下げるなりしてゆくことが、民営としても立派だといわなければならない。民営だから、利益追求が根本だから、いくらでも利益を追求するということが民営として立派だ、こういう結論ではないと思いますが、どういうふうにお考えですか。
  22. 山城章

    参考人山城章君) それが私の第二段の民営論に入るわけでございまして、分配の問題と、それから経営が成績を上げるという問題とを、分けて考えつつあるのではないかというような気がするわけでございます。つまり成績が非常にあがるということは、そのあがった成績を次に分配してゆくという問題とは違うのでございまして、非常に収益率があがったところが、そのあがった収益率を、先ほど言った過去の十九世紀的な会社では、全部を株主あるいは出資者へ持っていってしまうわけでありますけれども、しかし今の現代的な企業というような場合には、あがった収益を次に分配する問題が出て参りますから、その分配はいろいろね関係者の間できまってゆくわけでございます。つまり株主さんもですが、消費者さんといえば価格の関係において、労働組合といえば賃金の関係において、あるいは国と税の関係において、いろいろな分配関係がその次に出てくるわけです。これは企業経営責任者がどうにもできないことだと思います。企業経営責任者は、そこまではタッチしないと申しますか、企業経営責任者は、あがった収益のできるだけ多くの部分を社内留保したいということは主張し得るでありましょうけれども、その他は、たとえば株主さんのほうから要求される、あるいは税のほうで徴収されるというような形で、大体きまってゆくようになってきておる。従いまして、今の民営企業というものの自主性とか、あるいは責任の範囲というものは、その成績をあげるところまでだと私は考えておるわけであります。
  23. 永岡光治

    ○永岡光治君 この収益のあがるということは、民営だったからあがったのか。あなたの分析は、そういう分析をされておるが、私はこれは、従来通り電電公社でやっておっても、料金収入ですから収益は同じだ。むしろ経営内容からいけば、給料の問題とかその他の問題を考えれば、はるかに公社のほうがより多くの収益をあげただろうと考えられるのですが、その分析までなされたのでしょうか。つまり私の質問したいことは、民営だったから収益があがったので、公社にまかしておいたならば、つまり切り離されなかったならば、あるいは別な民営でなくて公社のそのままの形でいったならば、これだけの収益はあがらなかったと、こういう見方をしておるのですか。その分析をされたかどうか。
  24. 山城章

    参考人山城章君) それは、先ほど申し上げましたように、民営だからこれはあがったかどうかというように、もし申したとすれば、そういうような意味ではなかった。つまり、民営である会社がこういう成績をあげておるというだけのことなんで、かりにこれが民営でなかった場合にもあがったかもしれません。その点は、民営であるからというようにおとりであったらば、私、訂正いたしますが、しかし、公社だからあがるかどうかも、これも、もとより積極的に私は主張はいたしておらないのですが、しかしその場合に、公社といいましても、今の公社の話は私申し上げておらない。もっと自主性のある、現在のような予算的拘束が強いとか、申し上げにくいのですが、議会的拘束も相当強い、自主性がほとんどないのをパブリック・コーポレーションと呼んでおるのですが、それは私、ほんとうのものじゃない。そういたしますと、公社も実は非常に民営的なものになってゆく性質のものである。そう思っております。ですから、私の第二段の民営というのは、これは収益、もうけというようなことでは解決つかない、収益をあげるということはいいのですが。
  25. 永岡光治

    ○永岡光治君 それから、これは江尻さんのほうにお尋ねするわけですが、非常にサービスが国際電話になってよくなったということは、具体的にどういうことですか。料金でも下ったということなんでしょうか。
  26. 江尻進

    参考人江尻進君) 料金は御承知のように国際協定がございますから、一方的に下げるというわけにはいかないと思います。結局、施設の改善、サービスの向上という面に向けられていると思います。
  27. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは、つまり国際電電が民営でなかったならばそういうサービスはできなかったという認定がどういうところから出てきますか。
  28. 江尻進

    参考人江尻進君) 公社時代には同様のことを要求してもやってもらえなかった。現在は簡単にやってもらえる。施設も改善された……。
  29. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは分離された当時に比べて、こういうことですね。
  30. 江尻進

    参考人江尻進君) 現在、他の公社に同様な類似の施設を要求した場合にとっている公社の態度と比較すれば、現在においても言えることだと思います。
  31. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは江尻さんにお尋ねいたしますが、通信の量は、国際通信はどのくらい最近二十八年からふえて、国内通信はどれだけふえて、それに対して人員はどれだけふえた、こういう研究はいたしておりますか。
  32. 江尻進

    参考人江尻進君) その数字はちょっとわかりません。
  33. 永岡光治

    ○永岡光治君 それならば申し上げますが、実は国内通信はすでに二十九年には二四%ふえているのです。国際電々の場合には四%しかふえておりません。人はどうかといいますと、これは御承知のように定員はそうふえておりません、国内通信については。しかし私たち聞く限りにおいては相当な、電報の場合にいたしましても従来に比べて非常に向上して、誤謬率も少くなっている。あるいはまた、最近におきましても、テレタイプの場合でも、施設の改善をどんどんやりまして、相当公衆から感謝されている。しかも五ケ年計画もなかなか進まない。で、そういう状態になっても、なおかつ私たちは不満だということで激励しているのですが、私は、こういう仕事内容からみると、果してこれが民営になったからここまで——比較論ですからね、問題は。民営公社との比較論をしなければならん問題だと思います、あなたの説明を承わりますと。従って、二四%も仕事がふえていながら、さらに定員の削減を受けて今日まで努力している、国内通信は。それにもかかわらず相当な優秀なサービスを——私は、はっきり申し上げますならば、電々公社の職員は六割以上給料が高い。そういう待遇を受けて、しかも、たったわずかの四%しかふえていない。そのサービスとは、相当私は考慮をさるべき問題じゃないかと思う。そういうこまかなことを研究された結論ではなくして、ただ、分離された当時といいますか、現在でも、それは、けっこうですが、ただ具体的に、電々公社にいろいろの注文をしてもなかなかよくきいてくれないけれども、国際通信のほうはよくきいてくれる、こういうだけの問題ですか。それとも何か、通信が非常に早くなったとか、そういうことはございますか。国内通信の場合、非常にサービスが、速度が早くなっていますが、速度が非常に早くなっているとか、そういう例でもございますか。
  34. 江尻進

    参考人江尻進君) それは、ただいまおっしやいました要素も考慮して結論を出しているわけでございまして、関係当事者は皆そういう事情をよく知って両者を比較しております。従って、結局主張したいところは、そういうようないかなる状況下にあろうとも、そういう悪いサービスのものに平均化されて、いいサービスをすでにやっているところまで悪くする必要はないじゃないかというのが、われわれの主張であります。
  35. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで問題の質問の要点になるわけですが、電々にまかすと、皆、施設がそこまで下げられるという考え方は、どういうところに根拠されて、あなたはおっしゃっておりますか。
  36. 江尻進

    参考人江尻進君) 現在のサービスが非常に悪いのです。
  37. 永岡光治

    ○永岡光治君 だから国際と国内と切り離して、同じサービスの場合でも、電電公社であっても機構が別ですから。
  38. 江尻進

    参考人江尻進君) それは、提案理由にあるように、連携協調をはかるということになりますと、給与の面でも同様でありますし、施設の拡充の点でも、それから技術の問題でも、大体基準は同じくしないとできないと思うのです。そうすると、悪いほうに低下させられるおそれが非常に多い。
  39. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは、あなたの心配されている根拠だけは一応わかりました。つまり連携協調ということは、施設も国内なみに下げる、あるいは予算もそれくらいに下げるのだ、そういうような感じがあるからという理由反対しているということはわかりました。しかし私は、そういうばかげたことはやらんと思うのです。そういう意味反対しているというあなたの考え方は一応わかりました。それからサービスの内容は、十分に事務量の増加等についても研究された結果ですか。先ほど私が質問したときには、何パーセントふえているとか、そういうことはあまり研究していないようなお話でしたが。
  40. 江尻進

    参考人江尻進君) 私、個人的には直接電気通信関係に従事しておりませんで、直接存じませんが、この結論を出すについて協議した当事者は、その方面の非常な専門家で、みなよく事情を承知した上で結論を出しております。
  41. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは原さんになりますか、江尻さんでも結構ですが、電々公社は何か株を持つということに毛虫でもついたように毛ぎらいされておりますが、何か悪いことでもあるのでしょうか。何か制圧するということで、そういう点で公社というのは悪人なんでしょうか。(笑声)
  42. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 電々公社株式会社とは一緒に誕生したのです。株式を持つ経験は今度初めて……。そういう点から論じている。電々公社は改良進歩しなければならないので、まだ未完成のものだ。一般サービスの面でも足りないものがたくさんある。その方に金が要ると私は思う。今度株を持つ分だけ、仮に七億円でも、その持つ分だけ、それは予算措置がないのだ、それをそのまま引き継いでしまうのだ、だからその金を電々公社の事業そのものに使われた方がいいのではないか、こういうふうに私は公共企業体の経営については特に考えている。同時にまた、公社が三つある、残る二つも、これの関連事業に対して株を持ちたいという傾向にある。それに対して先例を開くことはよくないと考えている。連関性があるということを言われれば……。その点で、公社は、株を持つよりは、その金で事業を進めた方がよいという観点からきておりますので、御質問の電々公社の圧力というのは、初めてだから、そんなことはわからない。
  43. 永岡光治

    ○永岡光治君 今日まで実は分離されて二年経過しているのですが、何かこれについて、特別にあなた方から見て、電々公社が何か制圧を加えたことがあるかどうか。それから株を持ったら制約されるであろうと考える具体的な事項がありますか。
  44. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) それはないと申し上げるのです。私の申し上げたいのは、いわば株を持つ必要がない、一体、株を持たないと、どういう不便があるのか、公社と国際とどういう連携がつかなかったか、それを逆に聞きたい。あなたに聞いてはいけないが……。(笑声)
  45. 永岡光治

    ○永岡光治君 電々公社が株を持っては支障があるというのではなくて、仕事をする以上、金が要るのだから、その金を株に出すよりは、その金を施設に、サービスに使いなさい、こういうわけで反対したのですね。もう一回念をおしておきますが、公社が持っては支障があるというのではないのですね。しきりに圧力を加えるとか何とか言っておるものだから、どういう圧力かと思って聞きたかったのですが、そういうことはないのだというのですね。
  46. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 圧力を加えるかどうか、それはわからない。
  47. 永岡光治

    ○永岡光治君 予想されるものはどういう……。予想されないというのですね。わかりました。
  48. 左藤義詮

    左藤義詮君 原さんにちょっとお尋ねしますが、公社としては、早く大蔵省にあるものを処置して、公社の資金計画に充当するのがいい、こういう御意見でありましたが、ところが今までの経験では、なかなかうまく売れない。額面にも達しない。それに対しては配当をふやせばよい、ふやせる状態にある、こういうお話でありましたが、原さんも現在取締役の一人でいらっしゃるのですが、どうして八分の配当をもっとふやせないのか、ふやせなかったことについて何か理由がございますか。
  49. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) それはこういう考え方があるのです。新設をして四期、二年しかやっていない。だから、会社になってからそこそこだ。で、経営上として、常勤の取締役としての考え方は、創業早々の感じを持っている。配当をふやすこともいいが、また減配でもするようなことになれば非常な失態だ、こういう石橋をたたいて渡るというようなやり方です。電々公社は、その前の電通省時代の混合的経営実績の上にある。私は株主の十分の一か十二分の一の発言権しかありません。
  50. 左藤義詮

    左藤義詮君 そういたしますと、何分の一かの発言権をお持ちになっていてこれはまあ全智全能でないかもしれないが、識見をもっておやりになっているその原さんの、実業界の大先輩としての勘でも結構でありますが、どのくらい配当がいけるものでございましょうか。それがまた証券市場等にどのくらいまでもっていけるでしょうか。
  51. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 私の株式論や投資論を申し上げることは失礼ですが、現在配当が少いが、たとえ無配当でも、数年先にはある程度の配当をすることは常識だと思う。一般の同じ会社がやる仕事を、公共性の事業ができるだけ改良進歩をして、また適当なサービスもし、その上にこれだけ利益が出てきた、そういう場合には、今は無配当でも、まあ今八分でも、将来を見通して、その株が幾らになるか……。ところが現状は、今の一般投資は、証券業者が配当だけをやっている。一時は増資だとかあるいは無償株だとかいってやっていたが、現在は配当がうまくいけばいい。今の株主は大体配当ばかり。私はそれがいかんと思う。この会社のごときも、将来はこうなるということがわかるのですから買えばいいのですが、一般会社から言えば、独占の事業だ、独占の事業が必らずしも高利をむさぼることではない。安全だと思いますが、私はこの株に目標をつけておりますけれども、八千九百万人の日本人が全部私と同じ考えを持っておらない。そこが問題だ。人によって違う。経験とか見識とか見通しというものがあるわけではない。そこで、今の御質問のいわゆる大衆の心理をそんたくして、この株は幾らになればどうなるかということになりますれば、今のところは、一流株がさっき申し上げたように無配会社三十社を含めて七分八厘になっている。その七分八厘の利回りまで買ってもらってなお五百円株というハンディキャップがついている。これを認めなければなりませんから、私は一割五分の配当でなければならぬと思っている。一割二分ないし一割五分の配当でなければ資産株として一般人にわからないのではないか。  もう一つ申し上げたいのは、この会社はそういう方の宣伝はちっともやっておりません。宣伝は当然知らすことである。一のものを十に、十のものを百に知らせる。そういうことをやっていないから、実際の姿が知られていない。これは、そういうふうに知らす必要はないのですから、仕事の性質上。そういう方法をとるとすれば国民はわかるのではないかと思います。この頃のような状態であれば、一割二部であればパーになると思います。一割五分の市場株になるのではないかと思います。今は普通の一万株が一千株ですから市場性がありません。現に半期に三千株くらいしか売買がない。これは資本金が三十三億で株主は二万、市場性も何もありはしない。そういう点で、市場性のみから言えば、株を上げることについては、上げることは目的じゃありませんけれども、安心して、安定感を得られるというところから言えば、一割五分なり配当しなければパーにならんのじゃないかと思います。
  52. 左藤義詮

    左藤義詮君 一割二分にすれば大体パーになる。そうすると、まあ国損にならずに、公社の方が損害を受けずに、それだけのものが資金として建設資金その他に充当できるというお話しですが、その一割二分にいたすことにつきましては、現在の経営として無理でない、もう、あすにでもすぐできる、こういうことですか。
  53. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) これはまあ、ことしの決算は終りましたから、来期の決算、これは相手方のあることですから、前期と同様の状況を今期も経るとすればですね。
  54. 左藤義詮

    左藤義詮君 償却等も十分にいたしまして、今までは四期間は、まあそういう非常に創設早々だから石橋を叩いたが、もうここまで来た以上は、一割二分を現在の会社の状況では十分にできる、こういうことでございますか。
  55. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) それは私が取締役として提案しておることです。
  56. 左藤義詮

    左藤義詮君 そういうことが、八分から一割二分、非常なまあ増配ができた。それならば、まあ国際協定等もございますが、もう少し料金の値下げをしろ、あるいは設備の改善をしろというような、一方には需要者側の要求も、もっと強くならないかどうか。また一方には、労働組合といたしましては、それなら一つわれわれの待遇をもう少しよくしてくれと、こういうような方のまた労働攻勢が強くならないかどうか。現在でも公社会社とは相当賃金ベースあるいはボーナス等にも差があるようでございます。そういうことがまたもっと強くならないかどうか。
  57. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 私の経営は、配当が多いから料金を下げる、あるいは利益はベースには影響しません。賞与には影響しますが……、利益総額は変らないのですから、配当は利益のお金ですから、労働組合の特別賞与などに影響することは私たちの方はやっておりません。この会社はどうか知りません。そういう攻勢を持つかどうかということは、労働組合の主義ですから、そういうことは私は知りません。
  58. 永岡光治

    ○永岡光治君 ただいま経営内容がちょっと出ましたけれども、減価償却なんかを見ますと、第四期末、つまりことしの三月三十一日ですね、十二億八千万円あるわけです。
  59. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) そんなにしておりません。半期にはそんなにしておりません。十二億八千万円やっておりますか。
  60. 永岡光治

    ○永岡光治君 第一期、第二期、第三期、第四期……。
  61. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 累計ですか、累計はやっております。
  62. 永岡光治

    ○永岡光治君 それから第四期末が、私は末を言っているのです。
  63. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) そういう見方をしておりませんから、各期ごとに別になっております。
  64. 永岡光治

    ○永岡光治君 固定資産の方には五十一億七千九百万円……
  65. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 固定資産が五十一億に上っておりますかね。
  66. 永岡光治

    ○永岡光治君 なっております。これはもう二割以上です。
  67. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 固定資産は三十三億が、三十二億七千万円が一番最初の……。
  68. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は資料を持っておりますから申し上げますが、第一期末が三十七億、第二期末四十二億三千万、円……
  69. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) ちょっと、私は会社の当事者じゃあございませんから、数字について細かいことは……。
  70. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで、あなたに聞きたいことは、率から言うと償却は二割以上ですね。そういうものは、これは健全に越したことはないと思うのだが、何年か後には私は収拾つかなくなるのじゃないかという……。
  71. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 私がさっき話しましたよ。一カ年に七億円償却しておれば、三十三億円は五年でなくなっちゃうのじゃないかと言うのです。あ、なたと同じことを言っているのです。一致しているのです。あなたは聞いていなかったのでしょう。
  72. 永岡光治

    ○永岡光治君 質問に答えて下さい。そこで、将来になったら尨大な株主配当をするか、待遇をよくするか……。
  73. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 税金に奉公する。
  74. 永岡光治

    ○永岡光治君 税金もありましようが、そういう問題で私は非常にもうかる会社と見ておりますが、あなたはどういうふうにお考えですか。
  75. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) その調子がずっと続けば、もうかるということが、支出との差額が多いことがもうかっているのだと言えば、差額は出ますね。
  76. 永岡光治

    ○永岡光治君 江尻さんでしたか、先ほど御発言になった中に、ちょっと私気になることがあるので、あなたの見解をただしておきたいと思うのでありますが、公社なるがゆえに技術の改善について非常に困るのだという事実を、これは私の聞き違いかもしれませんが、もしそうだとすれば、これは重大な問題なのです。具体的にどういうことなんですか、そういう例があったのですか。
  77. 江尻進

    参考人江尻進君) ございます。たとえば端末施設ですね。電話の端末施設なんというものは、一定の技術基準というものが与えられておりまして、その規格に合わないと、非常に進歩したものでもつけさせない。非常に進歩した機械を自己の負担において新聞社が施設し、第三者に何らの迷惑を及ぼさないものですが、これは、かりに技術水準に合わなくてもこれは許すべきが当然だと思います。これを許さない。それからまた特定のメーカーでなければ許さない。従って、ほかのメーカーに注文して特別の注文のものを作らせて納入させても、レッテルだけを張りかえなければ、規格に合わないとして却下されるというような例もあるというふうに、われわれの会議では発言されております。
  78. 永岡光治

    ○永岡光治君 それからもう一つは、原さんの方にちょっとお尋ねしたいわけですが、電々公社のやる仕事はたくさんある。その通りだと思うのですが、その仕事の中に、国内、国際通信の緊密な連携協力ということがちょっと提案理由の説明の中にそういう表現を使っておりますが、そういうこともやはり一つの仕事の中に入れるべきじゃないかという点で、たとえば現在でも、おそらく国際通信と国内通信、まあ言ってみれば電々公社国際電会社との間には、委託業務関係などで連携されておると思うのですね。非常に相互依存の関係になっておると思うのです。あるいはまた技術の向上の問題について、それだけ長をとり、総合的にやれば、非常に技術も進んでくるのじゃないかと思うのですが、そういう仕事は、それは株の方から必要かどうかは別として、株を売ったから促進されるかされないかということは私は論外にいたしまして、そういう仕事は、やはり積極的に進めなければならぬということは、これは……。
  79. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) それは賛成であるばかりでなく、その間にもし行き違いがあったとすれば仕事はできません。ことに、それが起らんというのは、郵政省がまたその上にある。だから、その点は業者の間でも一糸乱れずやっておるようですし、その上に何か問題があれば、この間に郵政省があります。その点は郵政省がちゃんとやってもらわないと、郵政省の必要がなくなっちゃうわけです。
  80. 永岡光治

    ○永岡光治君 郵政省の監督ということは、技術問題まで監督できるかどうかではなくて、私は実際を言っておるのです。これを監督する権限はそこまであるとしても、これはなかなかやれないのが行政上の現実です。もしそれができなかったら、何も国際と二つに分ける必要もなかったでしょうし、いろいろそういう問題があるから二つに分ける必要が起ってきたのだろうと思うのです。そういう問題も、原さんもやはり認めておられるようですが、そこでもう一度戻りまして、山城さんにお尋ねするわけですが、民営という前提に立ってということをしきりに言っておられましたが、その民営がいいか悪いかということについての、今日の段階において、具体的に両方考えて、国内、国際通信という現実における今日の状態を考えて、民営がいいとか悪いとかいう結論をお出しになっておるのではないと私はさっき聞いたわけです。ただ民営だという建前からいくならば、これはこうだというように説明された、そういうふうに了解してよろしいのですか。
  81. 山城章

    参考人山城章君) 私は、民営がいいとか民営が悪いとか言いましたのは、それじゃ何かと言えば、先ほど申した三つも四つも形態があるのですが、そのいずれがいいかということは実は申し上げませんで、つまり民営でという建前でお進めになっておると私は解釈するものですから、あくまでも民営的に一応解釈してみて、ただし民営といった場合にも、なお解釈が二つあるのじゃないか。それで後のほうの解釈を、本来は、企業理論的にはおとりになるべきじゃなかろうかというように申し上げたわけですが……。
  82. 永岡光治

    ○永岡光治君 それから鈴木さんにお尋ねいたしますが、先ほど、第三条二項の法文の場合において、ただ五分の一を持つことができるというだけ書いてあって、その目的が明確にされていないから、どうもはっきりわからない、こういう説明がございましたが…
  83. 鈴木竹雄

    参考人鈴木竹雄君) そうじゃございません。申し上げましたのは、日本電信電話会社というものの目的と、今度株式を取得する目的というものは一体どういう関係になるとお考えになっておるのか、私には了解できない。しかし本来の事業を達成するために必要なものだとお考えになっておるのか。それは外の問題なのだが、この法律で新たにその目的を加えようと言われるのかどっちなんだろうか。第一条というものを考えれば、どうも第一条の目的の中には入らないものになるのじゃないか、そうすると、公社性格というものが変ってきていいのじゃないかということを御指摘したわけです。
  84. 永岡光治

    ○永岡光治君 それならば、こういうふうにお考えになりませんか。国内通信の事業経営を目的とされているのが電々公社です。国内通信は国際通信につながるものであるし、国内通信をよりよく発展させて国際通信との連繋を保っていくためにも……そういう目的がこの国内通信の経営という中には入っていないとお考えでしょうか。国内通信がやはり完璧を期するために、もし関連があるとするならば、どの程度関連があるかないかは別といたしまして、研究の余地があるといたしましても、その国内通信を完璧に運営するのに国際通信との関係があるということであれば、その辺の何らかの運営について必要だと考えているものについて何か入れようとするのは、これは御否定にならないでしょう。
  85. 鈴木竹雄

    参考人鈴木竹雄君) 私は、もし目的を達成するために必要なものである、そういうふうにお考えになっているのならば、それは論理的には可能だと思うのです。しかし、一体その点だけについて目的を達成するために必要だということなのか。どうも何かその点が、協調連繋というのでは、はっきりしないのじゃないか……。
  86. 久保等

    ○久保等君 原さん、十二時までという御予定だそうですが、ちょっと一つ二つだけお伺いして、私、またほかの委員方々が御質問がなければ、あとほかの参考人方々にお伺いしたいのですが、先ほど、公社の当面する問題にはいろいろ問題がある、従って、そういう状態の中で、さらにまた、いわば経営形態の違う国際会社の株を持つ、また経営そのものに介入して参るというようなことは、今の公社立場からいっても許されないのじゃないかという御意見があったのですが、私、その問題についての点は、そういう見方も確かに成り立つと思うのですが、特に原さんが本日も前提にして言っておられた、公共企業体等合理化審議会の会長をやっておられて、昨年いろいろと日本パブリック・コーポレーションそのものについて検討を加えられている、また委員会としても一応結論が出たような今日の段階であり、私は今後パブリック・コーポレーションがいかにあるべきかという問題については非常に研究をされ、また一応の成案を得られたという立場からお考えになって、この機会にお伺いをしておきたいと思うのですが、あの合理化審会での結論は、従来のいわゆる公社経営、とういった方針を今の段階においてはやはり踏襲していくべきだろう、しかし、いろいろできる限り具体的な問題について、先ほども山城参考人もおっしゃっておられたように、今日の公社というのは必ずしも理想的な公社形態になっておらない、それへの近づけとして、いろいろ具体的なことも、合理化審議会で結論を出しておられるのですが、私は少くとも電々公社そのものについても同じような論であったと思うのですが、原さんとしては、合理化審議会の結論そのものについても、基本的な考え方としては同じような御意見をお持ちなんでしょうか、どうなんでしょうか。
  87. 原安三郎

    参考人(原安三郎君) 公社はそれぞれ少しずつ業種が違います。専売公社のごときは、これはもう大蔵省の財政収入だけをはかっていますから、それは公社でいいと思います。あとのものは、公社よりもむしろ民間事業にしたほうがいいのじゃないかと思うのがあります。たとえば電々公社の電話のごとき。ところが、これは電報と連繋しております。その関係で、あれは百億か百十億不足する、それをオフセットしております。まあいろいろ問題が起ってむずかしい問題だと思いますけれども、そういうふうな考え方で、電話は独立してもいいのではないかという考えを持っております。  それからもう一つは、公社の運営の仕方で、ちょっと余分になりますが、これは公社の総裁または理事だけがやるのではなく、あれはやはり運営委員会というものがどこまでも……運営委員会または経営委員会、これは有力なメンバーが日本で得られるならば……いい加減なメンバーじゃだめという考え方をいたしまして、運営委員会は別にあっていい。さっきこちらから話がありましたように、執行と立案とは別にするのが適当なんじゃないかという考えをもちまして、結論としてはそうなります。
  88. 久保等

    ○久保等君 今日としても経営委員会というものはあるわですね、これが果して原さんの言われる十分な成果を得ているかどうか、これは、別問題です。そこで原さんが時間がないので、私が原さんの言うのを一応察してお話し申し上げるのもどうかと思うのですが、要するに電信電話事業というようなああいう公共事業でも、原さんのお考えからいけば、これを民営にすべきだという御意見だと思うのですけれども、ただ問題は、現実にそれが実施できるかどうかということは、いわば赤字の出るようなものは、これを民営にしてもやれっこないという結論で、従って、今日の電信電話の事業の中でも、電話の場合だったら、これは民営にできるんじゃないかという御意見ではないかと思うんですが、そういう論法からいえば、国際の場合も、これは先ほど山城参考人の御意見では、収益を上げている面からいっても、事業そのものは、いわば非常にサービスもいいし、経営としては非常にうまく行っているのではないかという御意見があったと思うんですが、しかしこれは国際電信電話株会社の場合は、これは私は一昨年あれが会社になるときに、すでに、当時約十九億程度年間収益があがっておるのではないかといわれておった、しかしこれは事業が完全に独立しておりませんから、的確に数字をはじき出すことは困難だと思います。しかし十九億ぐらいは一応年間の収益として上っているのではないかといわれておった、いわば非常に楽な事業であったわけです。従って、これが一年後に約七億円程度の収益を上げたという問題は、私はそういう公社当時というよりも、電通省当時にそういった収益状況であった事業であってみれば、事業としては非常に楽だといえば楽な、健全だといえば健全な事業だったと思うんですがね。従って七億云々という問題は、むしろ見方によれば、民営になったんだからもう少し収益があってもいいんじゃないかという見方もあって、これは尺度にはならないかじゃないかと思うんですが、そういった内容についての御意見を伺うのではなくて、特に公共企業体の審議会の会長をやっておられた原さんのお考えというものを端的にお伺いしたいんで御質問したんですが、いわゆる日本の電信電話事業というような公共性のある事業であろうがこれを民営にすべきだ、しかし、そうは言ってみたものの、現実の尺度に当てはめて、ともに民営にするかということになると、採算の取れない電信事業というものは民営にできないということになりましょうし、電話はできるんじゃないか。これを押し進めてゆくと、私は一つ危惧せられる点は、電話というものは全国すみずみまで全部もうかっているかというと、地方へ行けば行くほどもうからん。従って東京、大阪あたりの大都市では、その大都市だけの電話会社を作ればいいじゃないかという論法になっていくと思うのですが、これは私は、原さんが企業家であり、事業家である立場から、ごもっともであると思いますが、非常に忘れられているのは、電気通信事業の公共性という問題、有機性という問題、これは相当専門的な立場でなければ十分に御理解がいただけないかもしれませんけれども、ここらあたりの問題が、原さんあたりの言われるそろばん片手の見方も一つの見方だと思います。しかしながら忘れてならないことは、電信電話事業の公共性と有機性という問題、ここらあたりを十分お考え願わなければならんと思うんですが、いずれにしても、ただいまの御答弁をいただいて、公共企業体合理化審議会の会長をやっておられた立場から、私は、電信電話事業、電々公社そのものに対する経営のあり方をどうお考えになっておるのか、この機会にお伺いできればよろしいと思ってお伺いしたんですが、非常にはっきり御説明がございまして、私はその点十分に理解できました。ありがとうございました。
  89. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは参考人の皆様方には、暑さの中を長時間にわたりまして貴重な御意見をお聞かせ下さいまして、本委員会の審議に資するところ多大なるものがありましたことに対し、お礼を申し上げます。  これで一たん休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会
  90. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案について参考人各位から御意見を聴取いたします。  この際、委員長といたしまして参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。参考人方々には、この酷暑のさなかに、かつ御多忙のところを、押して本委員会のために御出席下さいまして、ここに厚くお礼申し上げます。御承知の通り、本委員会におきましては、目下衆議院から提出されました日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を審議いたしておりますが、なお審議の慎重を期する必要上、関係者並びに学識経験者方々に本日参考人として御出席をお願いいたした次第でござります。この際、それぞれのお立場から忌憚なき御意見をお聞かせ下さいますよう御願い申し上げます。なお、時間の都合もございますので、御意見の御開陳は、勝手ながらお一人十五分程度にお願いできれば幸いであると存じます。  それでは議事の進め方につきましては午前と同様、一通り参考人の公述が終りましたあとで、一括して委員の質疑をお願いするという順序で議事を取り運びたいと存じます。  これより参考人の御意見を伺います。     —————————————
  91. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) まず日本電信電話公社総裁梶井剛君にお願いいたします。
  92. 梶井剛

    参考人梶井剛君) 先般衆議院逓信委員会におきまして、公社改正の法案審議に際して、参考人として呼び出されまして意見を開陳いたしましたので、そのことについて最初に申し上げたいと思います。  その場合における法案の内容は、会社創立後におきまして処分未済になりました約総株数の五分の二の株式全部を公社に返す、またその場合におきまして、その株式が総株数の五分の二でありますから、これによって会社経営に圧迫を加えるようなおそれがあってはいけないからして、議決権は放棄する、こういう趣旨であったようにわれわれは考えるのであります。従って私どもはその場合に、公社会社設立後におきまして、株式が処分せられて、全額処分せられた場合におきましては、その金額が公社に大蔵省を通じて表われます。それを二十八年度の拡充計画の財源として予算を編成したのでありまするが、経済界の情勢のために全部が処分せられなかったために、公社の拡充計画にそごを来たした次第であります。その後大蔵省におきましても残余の株式を処分することに努力せられましたし、また私どもとしましても、再三大蔵省に処分のことをお願いいたしましたけれども、何分にも経済界不振のために、あとの五分の二というものは今日に至るまで処分ができないという状態に立ち至ったのであります。従って現在の情勢をもって推移するならば、との株式はしかくすみやかには処分ができないのでありまするから、財産を一応出資した形になって、その代金をもらうべき公社といたしましては、これを保有することによりまして、そうして適当な時期に処分するという方法によることもやむを得ないことであるというふうに考えたのであります。従って五分の二を保有するということに対しましては、われわれは別に異議はなかったのであります。またその場合に五分の二の議決権を放棄するという問題につきましては、当初から私ども国際電信電話会社経営につきましては、非常に信頼を持っておりまするので、たとえ議決権が与えられましても、現在の渋沢社長に白紙委任状を差し上げて、そうして信頼していきたいという心持を持っておりましたから、あえて議決権を放棄するということに対しても異議はなかったのであります。今日の情勢をもっていたしますると、長期にわたりまして未処分になるおそれがある、こういうことを申しましたけれども、しかし経済界がもし復旧、立ち直るということになりますれば、株式の処分ができるのでありまするから、私どもとしましては公社本来の使命から申しまして、適当な時期に適当な価格によって処分できるならば処分して、その財源をもって公社の拡充に充てたいということも申したのであります。  しかるにその当時の議案と今回提出の法案とは多少内容が異っておりまして、今回のはまだ処分未済の株式のうち、最高五分の一を公社において所有し、そうして議決権を有すると、残りの五分の一強は従来通り政府においてすみやかに処分するということになっておるのであります。私どもはこの五分の一の株式を保有するということは最高を規定されておるのでありまして、五分の一を必ず保有しなくちゃならないというふうには解釈しないのであります。ただ国際通信と国内通信というものは緊密な関係にあるのでありまして、両者が一体となって運営されて初めて円滑な通信が行われるほどの密接な関係がありまするから、国際電信電話会社株式を保有するということに対しましても、必ずしも異議があるというわけではないのでありますしかし将来におきまして公社の財政上、財源をぜひとも必要とするという場合におきましては、郵政大臣の認可を得てその一部を売却するということもできるとわれわれは解釈いたしますので、大きな金額でない限りその株式を保有するということに対しましては異議はないわけであります。また公社最高五分の一の株式所有することによって、これに伴う議決権を持つということにつきましては、これは商法からいいましても、当然議決権を持つべきものであり、またわれわれは先ほど申しました通りに現在経営しておられる方々を絶対に信頼しておりまするから、その議決権を乱用するという意思は絶対にないのであります。従って議決権を持ちましても、決してそれがために国際電信電話会社の運営、経営に対してわれわれは干渉する意思もなし、また害を及ぼすという考えは毛頭ないのであります。でありまするから、議決権を持ちましても差しつかえないと考えておるわけであります。むしろ積極的に申しまするならば、われわれは同じ業務を営んでおるのである、しかもお互いの間に、互いに提携して兄弟のごとくいかなければならぬ事業を営んでおるのでありまするから、むしろわれわれは理解のある株主として協力援助すべきであるという考えを持っておるのであります。従って現在のごとく全然経済的な関係がないよりも、むしろ幾らかでも株式を持つことによって、一そう緊密なる連絡をなすことになるならば、その目的に沿うものではないだろうかというふうに考えている次第であります。  この機会にこれに付帯いたします若干私の意見並びに希望を申し上げたいと思うのであります。公社は政府機関であります。従って政府の監督を受け、しかも法律の定むるところによって事業の運営をしているのでありますから、その範疇を出でて、私どもの資見並びに希望というものを申し上げかねるのであります。しがし公社が出資いたしました株式の処分に対しましては、われわれも関心があるわけでありますから、これに対しては従来とても意見を申し、また今後においても意見を申し上げなければならない。その第一は株式の処分に対しまして額面を割らぬようにしていただきたい、額面よりもあまりにも安く処分されるということは勢いそれに伴う財源に欠陥を生ずるわけでありますから、額面を割らぬようにしてもらいたいということは、再々大蔵省にもお願いしているわけであります。また長期に処分ができないような場合におきましては、現在の法律から申しますると、大蔵省に法律上の権限がありまするから、今日までにおける配当は全部大蔵省の雑収入になっているのであります。このことにつきましては、大蔵省と私どもとの間にははっきりした協定が結ばれておりません。従って法律上の解釈に従って大蔵省の雑収入になるということは、やむを得ないというふうには考えまするけれども、しかしその根本の精神は、株式の処分をするのについては幾ばくかの手数がかかる、その手数の費用といたしまして、との配当金を使うというふうに大蔵省は考えていられるというふうに聞いているのでありますが、それは全部の株式が処分されるまでは精算できないわけでありまするから、従ってこの問題は簡単に解決がつかないのであります。  次に、国際電信電話会社経営につきまして私の私見を申し上げます。現在国際電信電話会社はきわめて健全なる経営をなさっておられるとわれわれは拝見するのであります。元来国際電信電話会社の現在の姿というものは、多少終戦後の異状の状態にあるのであります。つまり米軍が日本にまだ多数おります。従って国際通信の大部分というものは米国に向って通じているのであります。でありますから、この状態がいつまで続くであろうか、また将来米軍が撤退したりあるいはその他の理由によりまして、通信の方法が変りはしないだろうか、その通信の状態が通数が変りはしないだろうかということを考えますると、現状をもっていつまでも行くということができるかどうかということについては、多少の疑問があるのであります。このことに対しまして渋沢社長は特に将来に対する状況の変化ということを考えられまして、ことに公共事業としての性格にかんがみて、その配当を現在八分にしておられるということは、まことに健全なる経営だとわれわれは敬服しておる次第であります。また償却につきましても、これは普通の会社の場合の償却率よりもはるかに高い償却率をやっておられます。これはわれわれが出資いたしましたのは、財産の現有価額をもりて出資いたしましたのでありまして、再建設価額で出資したのではないのであります。また無線の事業そのものの本質といたしまして、技術的進歩が非常に早いために物理的の生命がくる以前に、新方式に変えなければならないという必要にもせまられることを考えますると、普通の会社のような減損償却をもってはとうてい満足し得ない。でありまするから、特に定率法を適用されまして初年度から相当高率の償却をしておられるのであります。とのこともやはり経営の健全なる基礎の上に立って運営していかれる経営方針に基いてなされておられるものと思いまして、まことにその賢明なる経営方針に対しましてわれわれは敬服しておる次第であります。かように私どもは渋澤社長経営の御方針に対しても満腔の賛意を表しておるわけでありまするから、先ほど申し上げましたように、現在の経営しておられる責任者に対しては、私は絶対の信頼をもっておる次第であります。  しかるに衆議院におきまして、参考人意見開陳の際にも、公社株主となることは好ましくないという御意見があったのであります。これは二通りの解釈ができるのでありまして、公社株主、しかもそのときにおいては五分の二という大株主になるのでありまするから、さような場合におきましては、大株主としての何らかの圧迫が生じはしないだろうかという解釈であります。これは私はさような意思は毛頭ありませんけれども、何分にも公社そのものに所属しております人々が、現在十七万人にものぼるのでありまするから、その多数の中には多少さような言動が起らないとは考えられないのであります。でありまするから、そういう懸念を持たれるということに対しましては、一応もっともと思いまするけれども、しかし私が責任者である限りは、さようなことは絶対にしない、でありまするから好ましくないという御意見に対しましては、むしろ私は決してさようなことは起らないということを申し上げざるを得ないのであります。しかしまた一面におきまして、公社が現在においても業務協定をしておりまするが、これは将来国際電信電話会社経営に対しまして、もしも必要であるならば、われわれはできるだけの援助をしたい。そういう場合におきまして、われわれと国際電信電話会社との間に株主としてのみの関係があるならば一そうその行為を、あるいは援助がやりやすいというふうに考えるのであります。これは多少好意的な解釈と言われるかもしれませんが、事実において私はそうやってゆきたい。しかも両者は郵政大臣の監督下にあるのであります。公社が何と申しましても、単なる株主であるというだけでありまするから、郵政大臣の監督下にある両者が、いわゆる民間における親子の会社というような関係によって干渉するということはあり得ないというふうに信ずるのであります。  また、その際に全部処分できておったならば差しつかえなかったではないかといわれるのですが、これももっともであります。もちろん処分されておりますならば、その財源が拡充に今日まですでに充当されておったのでありますけれども、不幸にして処分できておらないという現実に対して、かような仮定のことは理由にならない。従って現実に即してどうするかという意味において、われわれはすべての意見を申し上げなくてはならないと考えているのであります。  公社の拡充の財源の一つといたしまして、公社は公募社債を募集しております。これは国鉄とあわせまして、本年度は二百億の公募社債を募集しなければなりません。最近その発行条件が多少よくなりましたけれども、二百億という巨額の公社債を完全に消化するということが、これまた一つの困難な問題であります。二十九年度におきましては五十五億の不消化を生じたわけでありますから、われわれとしましては全面的にこれが消化するようにこいねがっているわけでありまして、大蔵省としましても、最善の努力をしてこの公社債を消化せしめるというお考えのように伺っております。しかるに風説ではありますけれども公社は財源さえ得ればいいのであるからして、公社債を減額してその金融機関の金をもって国際電信電話会社株式を引き受けたらいいではないかという風説さえもあるのであります。しかしこのことは非常に私どもとしましてはめいわくな話でありまして、公社債というものは年々歳々発行されているのであります。今年限りではないのであります。従って公募社債が不消化に終るということは非常に困ることでありまして、国鉄の公募社債は消化された、電々の公募社債が消化されないということになりますと、たとえ未処分の社債が処分されて、その現金が入ったからといって、その年度の拡充には差しつかえないとかりにいたしましても、私どもとしては電々公社の公募社債の信用というものに重大な影響を及ぼすものでありますから、かような風説はわれわれは全面的に否定しくいただかなければねらない。やはり公募社債は公募社債である、株式の処分による決済の金はそれはまた別問題であるというふうに考えている次第でありまして、公社は単に財源さえ得られればいいという意味では毛頭ないのであります。ことに公社の予算におきましてはある程度弾力条項というものがありますから、もし株式の処分というものが現実的に行われて、その金が入って参りますれば、その弾力条項に編入するのが最も適当だというふうに考えているわけであります。  以上、簡単でございますが、今度の提出された法案に対しての意見を申し上げました。
  93. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ありがとうございました。     —————————————
  94. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 次に、国際電信電話株式会社社長渋沢敬三君にお願いいたします。
  95. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べろとの御案内を受けましたので、意見を次に申し上げます。  冒頭に申し上げたいのは、もともと弊社を設立された趣旨の根本は企業分離の理念であります。このことは当時関係者各位の国会でのお話にも強調された通りでありまして、公社は弊社の株を所有されないという原則がそのときに確立されたものとして今日まで参りました。この原則は一般情勢に大きな変化がない限りどこまでも守っていただけるものと信じておりましたが、今回本改正案が卒然として議員立法により提案され衆議院を通過しましたことについて、実は非常な驚きを感じておるのであります。  結論から申し上げますと、私は今回の法案におきまする提案理由及び付帯決議に関し、あらゆる角度から検討してみましたが、その目的が奈辺にあるか理解し得なかったのであります。従いまして、私といたしましては、前回衆議院参考人喚問で言明いたしましたと同様、本案にも賛成いたしがたいと申し上げるほかはございません。  この機会に、当社発足以来何をしたかということをごく簡単に申し上げることをお許し願いたいと存じます。  ただいま梶井総裁から過分なお言葉をちょうだいいたしまして恐縮に存じておるのでございます。私この会社をおあずかりいたしましてから、第一に考えましたことは、との会社が本当に国家的な枢要な事業であること、しかも公共的であること、かつ独占事業であることというふうなことは十分認識したのでございます。弊社は、昭和二十八年四月の発足以来、相当程度の業績を社員の総力をあげて参ってきたと存じております。詳しいことを申し上げているいとまもございませんが、通信事業の生命であります正確ということと迅速という点につきましては、操業直前と昨年末とを比較いたしますと、一万字当りの誤謬率、との誤謬率は必ずしも実際に事を処しておるオペレーターの誤謬ばかりではございません。これには機械的な誤謬も入って参りますし、また電波関係による自然現象的な誤謬もあるのでありますが、これを通算いたしまして、操業前には一万字当りが六字でありました。それが最近におきましては二・五字に減少しております。また迅速という点から申しまして、受付から配達までの電送速度、これはたといどういうことがありましても、電報をお打ちになり、またお受けになるという方はどれだけ早く来るかが問題であります。そこでこの比較を簡単に申し上げますと、ニューヨークにつきましては、操業前に二時間十二分かかっておりましたのが今は一時間十三分であります。ロンドンが六時間十一分かかっておりましたのが現在四時間三分、コロンボが十三時間と四十分かかっておりましたのがこれが激減いたしまして五時間十七分になっております。香港が二時間五十四分が単なる五十二分に減りました。またカラチは六時間五十一分かかっておりましたのが三時間二十九分と、まだたくさんございますが、こういったふうに短縮されまして、いわゆる経過時分というものはおおむね約半分に短縮されているのであります。その他欧米及び東南アジヤへの対外回線の新設二十六回線、また市内におきます直営営業局の新設が十カ所、さらにNHKの国際対外放送の発信、これは従来五十キロでありましたのを、八月から百キロに改良をいたすことになっております。サービスの改善施設の向上につきましては、設立以来、設立の当時に予定されました以上の成績をあげておると信じております。ことに、ただいま申し上げました、国際電信電話サービスを急速に欧米一流国の水準に引き上げるために、その基盤となる設備の整備拡充に努めました。努力された金額で現わしますと、旧式の設備——戦争中はほとんどこの改良が行われておりません。従って旧式の設備が相当ありました。この除却が約二億円、新しい設備への転換、これに対して投下しました金が十八億円、その他改修が三億円に達しているのであります。もっとも民営の真髄に徹した運営をするまでには、まだまだほど遠いのでありまして、今後ともわれわれ全員が大いに勉強させていただきたいと考えている次第であります。私といたしましては、この会社をおあずかりしましてから、どこまでも、いささかの私心もなく、この国家公益事業を盛り立てて、早くわが国の経済、文化、国際交流の上に、もっともっと完全にお役に立つようにしたいと念願している次第であります。  さて、先に申し述べました通り、この法案に対し、賛成しかねると申し上げましたその理由を詳しく申し上げることは省略させていただきますが、提案理由について、一点私の納得しかねている節を申し上げてみますと、数次にわたります原案の変化を見ました後に、最後に採択されました法案の提案理由の中心をなすものは、公社及び弊社の事業を円滑に運営するためには、公社を当社の株主にさせた方がよろしい、しかも長く当社の株式を保持させていわゆる安定株主とするが適当である。こういうお説であるようであります。私の見るところでは、両社は、当社発足以来今日まで、先ほど梶井総裁からお話のございました通り、きわめて緊密かつ円滑な連絡をもって運営されております。両社間の運営を阻害しているような事実は全くなかったと存じております。もしも多少とも円滑を阻害している事実でもあれば、梶総裁から私の方へすぐにでもお知らせがあったでありましょうし、また私の方からも総裁へその事実を申し出まして円満に解決をはかったはずでありますが、今日までかかる事実の発生は全然ございません。将来もそんな事実が発生することは予想すらいたしていないのであります。両社間の関係は、ただいま申し上げました通り、至極円満に参っております。従って円満に運営をさせるという目的のために、公社が当社の大株主になられる必要があるというお説は、いささか承服いたしかねているのであります。  なお、一言私の疑問とするところを述べさせていただきますと、当社株式を保有さるべき当の公社総裁は、衆議院における参考人として、公社としては長期計画の資金がほしいのである。株式はできるだけ早く処分して財源に充てたいということをはっきり申しておられます。また、ただいまも、そういった意味の御発言があったようでございます。当社の株式を、いわゆる安定株として長く保持する御意思は全然ないというふうにうかがえるのであります。それと本案の安定株主として長く保持することが両事業の運営上適当であるというお説との間には相通じないむのがあるように感ぜられるのであります。なお、安定株主なる言葉はいまだ確たる定義がないようでありますが、実業界の通念といたしましては、その会社の業態を十分理解し、多少の、変動に際しても、動揺しない株主であり、必ずしも株数の大小ではないと存じます。そしてこれは社会経済的におのずからできてくるものでありまして、法律的に造出いたすべきものだと存じません。従って私としては、どう理解すべきか、まことにけげんにたえない次第であります。  以上、幸いにも参考人としてお呼び出しをいただきましたゆえに、これを最後の機会と存じまして、本案には同意しがたい旨を申し述べまして、第二院としての参議院におきまする良識ある皆様の公正な御判断を特にこいねがう次第であります。ありがとうございました。
  96. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ありがとうございました。     —————————————
  97. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 次に生命保険協会財務委員長本間喜一君にお願いいたします。
  98. 本間喜一

    参考人本間喜一君) 生命保険会社といたしましては、財務担当のものが集まりまして、財務委員会というものをときどき開きますのですが、先般この問題につきまして委員会を開きましたところが、生命保険会社といたしましては、国際電会社の株を日本電々公社に肩がわりすることにつきましては、当初の民営方式というものから見まして、あまり好ましくない、この肩がわりによりまして国際電会社設立の本旨であるところの民営の精神。能率的な経営というものがはばまれるようなことがあってははなはだ困るのではないかというのが、そのときの結論でございました。  生命保険会社は今から二年余り前に、との株式をもったのでございます。そのとき五大生命保険会社が大体各社六万株ずつ、つまり三千万円ずつの割当てを受けまして、ところがその前に国際電気通信の株主であった関係上、その割当て株も出たのでございます。それも各社とりました。ですから今相当大きな株主となっておりまして、そうしてそのまま現在に至っておるのでございます。  この会社株式につきまして、投資家の立場から考えますと、若干遺憾な点があるわけでございます。それは上場株でないということでございます。で、私どもは大蔵省の監督を受けておりますが、たとえば財産の内容について調査されるというような場合に、上場株でないと、Bクラスということに相成りまして、Bクラスの株をたくさんもっているということは、資産内容においてあまりよろしくないということに相なります、まあこれはよしあしは私は問題があると思うのでありまして、別段われわれは株式を保有して、それを転々売買する必要があるわけではないのでございますから、優秀な株であれば上場株でなくてもいいと思われるのでありますけれども、とにかくそういうことになっております。  それから配当が遺憾ながら低い。これは現在公益事業の株は、大体電力の株、ガス株が一割から一割五分くらいの配当をしている場合に、この会社は八分配当である、こういうふうなことが問題になりまして、これは少し過酷な切下げではありますけれども、現在各社とも一律に五百円株を三百五十円に評価しておるわけであります。つまり三割ほど評価損を受けておるのが現状でございます。この配当の点につきましては、公益的な株式としてそう多くを期待することはできないのが常識でございます。のみならずこの会社といたしましては、まずほかの事業にはちょっと見られないところの安定性があるというわけでありますから、配当も低かるべきが当然かも知れません。しかし世間の水準から見てやや低過ぎるということが言えるわけでございます。これがまた一つのこの株式の処分についての困難な問題だろうと思います。  衆議院逓信委員会の御決議を拝見いたしますと、第一にはみだりに増配を行うなということが書いてあり、第二には右の規定によってすみやかに処分することと書いてありますけれども、との一と二の御決議は相当矛盾した点を含んでおると言ってよろしい。ただしかし、まず私の感想を申し上げますと、これは私の一個の考えでございますけれども、昔のことを思い出しますと、国際電気通信株というふうなものは非常な低利廻りになっており、非常な安定性のある株式としてまず超一流の部類に属し、相当のプレミアムをもったものでございます。国際電信電話会社の業績は非常に安定的であり、相当優秀な成績を挙げて参りました。一方において金利も低下しつつあるというような時代にありまして、将来、そう遠からぬ将来に市場消化が必ずしもできないわけじゃないということは私考えます。とにかくわれわれ生命保険会社が、こぞってその割当てられた六万株ばかりでなく、さらに国際電気通信の株を喜んで引受けましたというととは、やはりこの会社の前途の安定性、有望性というものにわれわれ着眼して引きとったわけでございます。まあ少し筋道がそれたかも知れませんけれども、私の生保会社としての見解、それから私の感想を申し述べた次第でございます。
  99. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ありがとうございました。     —————————————
  100. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは次に日本証券業協会連合会会長小池厚之助君にお願いいたします。
  101. 小池厚之助

    参考人小池厚之助君) 私は自分関係いたしております証券業の観点から御参考にいささかなるかと思いますことをお話したいと思います。  衆議院提案理由、その後のずっと委員会記録を拝見いたしまして、その間いろいろな証券業に関しましての御質問、あるいは御懸念、そういうものにつきまする私の考えを申し述べてみたいと思うのであります。  第一番に、私自身は、ただいま本間さんのお話しがございましたけれども、この会社の設立された当初におきまして、この会社は将来必ず超一流の資産株に触るということを感じたのでございます。しかるに現在に至りましても、なお十四億円ほども株が大蔵省に残っていて、一般に放出されてない。あるいは株価も額面を割っておるこれはなぜかということであります。これは私は先ほど梶井総裁もお話しございましたが、これは時期が悪かったから、日本の経済界の時期が悪かったという一言に尽きるのではないかと思います。証券界は、日本の経済界の立ち直りの中でも、最もおくれておる業界でございます。二、三年前は相当繁盛いたしましたが、これは今から静かに振り返ってみますると、決して証券業本来の意味においての繁栄ではなかったのでして、いわゆるインフレーションの結果、株価の訂正運動が起った。これに便乗したところの繁栄でございます。それで、その反動がまた一昨年、昭和二十八年にきまして、二十八年以後はすこぶる沈滞しているのでございますが、この会社が設立されましたのは、二十八年の四月でございました。ちょうどインフレーションによるところの株価の訂正運動でもって証券界が繁盛しました直後でございました。従いまして株式を買うところの心理状態というものは、この株が、非常に一流の資産株であるとか、利回り採算がどうだとかいうようなことは、あまり考えがなかったのでありまして、株を買えばどのくらい程度上るだろうということが一番の関心事であったわけであります。従いまして、これは将来必ずよくなると思った方でも、一般にはこの会社株式を買う勇気が出なかったのであります。しかしながら、ただいま本間さんのお話しにもありましたように、保険会社とか、あるいは銀行だとかの向きは、将来必ずとの株がよくなるということも認識されてお買いになったことを思うのであります。一般大衆にはその考えがまだ出ていなかったのであります。それから第二回の売り出しは昨年の春でございます。これまたやはり、ほんとうに証券界が回復しておりません。ことに昨年の春は、御承知の、デフレ政策が最も深刻に進行しつつあったときでございます。一般投資家は、この株を買い入れるという気持になっておらなかったのであります。そのためになかなか一般の売り出しができなかったということが実情だと思います。  それからもう一つは、ただいま、これまた本間さんがお触れになりましたが、配当が八分に押えられておる。これは最近は段々と一般株式の配当も低下しつつございますが、一昨年あるいは昨年あたりにおきまして、八分の配当ではなかなか投資家が飛びついてこなかったというのが実情であったかと思います。そのためにこの会社創立以来の営業報告書を拝見しますと、非常な好成績を上げておられるにもかかわりませず、一般の大衆はこの株をまだ買うところにきていなかった。あるいは株価は額面を割っておる、こういうことであったのであります。  しからば今後もこの状態が続くであろうかどうかという問題でございますが、私は潮が変ったと思っております。御承知の通り日本の経済界は、各方面正常化に向っておりまして、証券界もインフレ訂正、インフレによる株価の訂正時代が過ぎまして、これからは本当に利回り採算が株価の基準になります。こういう時期にきつつあるのであります。それでありまするからして、準備と方法をもってすれば、この株はあまり遠からざる将来に一般に放出することが可能であると私は考えております。  ただしその放出につきましては若干の準備が要ります。これはただいま本間さんも触れられたところとほとんど同じでございまして、重複しますから詳しくは申しませんが、一つは一般に株を持ってもらうためには、やはり証券取引所の上場株とすることが必要と思うのでありまして、この御準備をなさることが必要と思います。  もう一つは配当問題でありますが、これはただいま本間さんが申されました、現在の一般の利回り水準、あるいは金利水準、これを考えますると、いかに優良会社でもかつまた政府の監督を受けておる会社でも、やはり八分で現在出すことは少し無理と思うのであります。先ほどの本間さんの言われました通り、電力会社あたりがただいま一割二分であります。一割二分でありますけれども額面を割っております。電力会社が増資をしまするときは、一割二分の配当をしておりますけれども、若干の無償交付をつける。こういうことがなければ増資がむずかしい、こういう事態であります。  それから一般の資産株の平均利回りは、今八分六、七厘でありますが、それから比較いたしましてもまだ低いんであります。平均が八分六、七厘ならば八分ならばいいんじゃないかというお説が出るかもしれませんが、一方から申しますると、御承知の通りこのたび預貯金それから公債、社債、貸付信託、こういうものが無税になりました。そういたしますると、公社債だとかあるいは貸付信託あたりは、九分ないし九分五厘でもって無税で投資ができるのであります。この株式のほうは若干税的には優遇されましたけれども、やはり税がかかりまして、ことにこの株を買おうというような有力な資産家あたりが税がかかるのでありまするからして、資産株として株を持ってもらうためには、税の方面から申しましても、やはり現在の状態では増配をしていただかなければいけないじゃないかと思います。との会社の営業報告書を拝見いたしますると非常に好成績でありまして、なるほど進駐軍がいた関係その他もございましょうけれども、二分やそこらの増配というものは決して無理ではないように私ら感ぜられます。従いまして配当の点を御考慮願いますれば、私どもはもう直ちにでもこの株を二、三回に分けますかどうしますか知りませんが、これを大衆化することは可能であると私は思っておるのであります。  現在御承知の通り月々七十億円から百二、三十億円くらいの増資がございます。増資というものはすなわち新しい資金が証券界に入ってくるわけであります。この七、八十億も十四億といいますれば二割くらいにしか達しないものでありますから、これの消化というものはそうむずかしいものではないと思います。ただし今申しました通り、今放出されるためには、やはり増配を御考慮願ったほうがよろしい、こう思っておるんであります。  それから衆議院以来の委員会記録を拝見いたしますると、この株が投機株としてもてあそばれるのじゃないかという御質問があったようでありますが、私どもはそういう懸念はごうも持っておりません。この株が投機株として取り扱われるというようなことは絶対にないと思います。御承知の通り、投機株として扱いまするには、あまりに大きな会社株式はおもちゃにしにくいのでありまして、三十三億とか大きな資本金を持っておる会社は、そうは勝手におもちゃにすることは私はできないと思います。むしろそれと正反対の、非常に堅実な超一流の資産株として今後行くということを私は確信いたしております。  それからもう一つ、これはただ御参考に申し上げるのでありますが、記録を拝見いたしますと、安定株という言葉が非常に出ております。安定株主について御参考までに申し上げます。小株主、小さな株主、少額株主というものは、案外な安定株主でございます。百様、二百株に株が散ると、非常に不安定の株がふえるという御懸念があるかもしれませんが、これは日本のみならず、アメリカでもそうであります。株式が民衆化されますると、その少額株主というものは案外安定株主でございます。少し上ったといって簡単に売るものではありません。少し下ったといってはまた買うというようなこともない。要するに少額株主は比較的安定株主だという事実は、これは日本におきましても、アメリカにおきましても、現実の事実としてあるということを何らかの御参考にお話を申し上げる次第でございます。
  102. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ありがとうございました。     —————————————
  103. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは次に、東京海外通信懇話会常任委員野口宗光君にお願いいたします。
  104. 野口宗光

    参考人野口宗光君) ただいま御指名を受けました三菱商事株式会社の庶務部通信課長の野口宗光であります。私の方の会社も一応国際電々の株主であります。しかし本日は、利用者側の一員といたしまして、国内、それから海外向けの通信を担当しておりまする位置にある通信課長としての意見を申し上げます。  通信機関、通信事業体として私ども関係のある会社は、公社もありますが、日本電々公社国際電株式会社と郵政省であります。毎日、それから毎月、非常な巨額な料金をそれぞれにお支払いしております。まあ俗にいいますと、大口得意先でありまして、われわれ業者の代表として、同時に私はこれから申し上げるものとしてお聞きとり願いたいと思います。  官庁とか報道機関などを除きました民間のいろいろな会社の間でも、その会社がそれぞれの今申し上げました通信事業体に支払っておりまする通信費は、その会社の国内取引、国際貿易取引の取扱いの比率などにいろいろ相違がありますが、私の方は、東京の本店だけで、電々公社に対して、全体を一〇〇としまして三〇%、国際電々に対しては五五%残りの一五%が郵便局関係にお支払いしている通信費であります。それに在外各地にあります支店駐在員などを加えて、会社全体から見ますと、海外通信費の比率は、今申し上げました比率よりもっと高くなります。従いまして、右三者の中のビッグツーでありますところの公社国際電電とのサービスぶりについては、日ごろ絶えず深い関心を持っております。話が変りますが、私のおります通信課は、前にも申した通り、庶務部に属しております。その庶務部の公式の英文名称は、ジェネラル・サービス・デパートメントときめられております。対内的には、会社の各営業の部または課に対して、また対外的には、関係先とか、お取引先に対するサービスをなすことを朝夕念頭に置いております。でありますから会社国際電々のサービスぶりが、そのまま関係先や各部に対して、私の所管しておる通信課のサービスとして反映するほどであります。  それでは通信におけるサービスというのは何であるかと申しますと、日ごろ常識的に考えております点では、まず第一には直接的でありまして、数字的の面に現われます料金または手数料の低減の点であります、その第二は、通信機械設備あるいは回線の拡充整備などによる敏速かつ正確化で、これは基本的な質的な問題と思います。第三は、現業のサービスが実情に適しました適時の処置をとられることでありまして、これは技術の向上と相待ちまして没却できない人的サービスの面であります。  由来、戦後のわが国の貿易は、一般にめくら貿易といわれておりまして、日本の各会社は商館貿易といいますか、非常に卑屈な立場に置かれておりましたですが、平和も克服しまして、漸次旧に戻りつつあり、また戻らねばならない段階にもあります。そうして世界の各国と太刀打ちして、貿易立国の建前をもって進まなければならないときにおいて、国際通信の面においては、独自な、近代的な、機動的な、そうして弾力的な、直接間接、あるいは人的、機械的のサービスにかかる企画とその実行が願わしい次第であります。  さて今回の公社法の一部を改正する法律案でありますが、以上に申し述べたようなことを念頭に置きまして、これからつけ加えますことをあわせますと、残念ながら賛成することにちょっとちゅうちょせざるを得ないのであります。その第一は、この法案は国際電株式会社の創立の趣旨に反する法案ではないかと思っております。もちろん今回の法案は、国際電々を今の株式会社のままで置いておくことには変りはないのでありますが、国際電会社に対しては、現在もっと機動的に、能率的に動いていただきたいとみんなが望んでいるところであります。この際に公社色を幾分でも注入されることは、われわれの考えとは全然逆の方向であるように感じるのであります。公社が保有される株式の割合は、最初の案では四割程度だと存じておりますが、今度の法案ではそれが二割とかにはなっておりますけれども、それが二割でも一割でも、大株主であるならば、その形で参加されることは望ましくないわけであります。ついでにちょっと参考までに申し上げますが、私の方の会社の取引先を調査する部がありますが、そこで、いわゆる大株主というものはどれくらいのパーセンテージの株式を、ある会社の総株の中で持っているだろうということを一通り調べてみたのでありますが、まあ個人会社とか、同族会社とか、そういった特殊なものは除きまして、一般株式会社では、普通まあ三%から五%くらいでも大株主といわれている場合が非常に多いのであります。そこでわれわれは、この公社色が国際電々に注入されれば、公社の発言が総会においてはもちろん有力になることは当然でありますが、それがわれわれの日常のサービス面である営業方針、そういったものにもだんだんと現われてくることについての影響を非常におそれているわけであります。今度はその理由の第二であります。  これは、今度の法案がかりに提出されるとしましても、非常に時期的に尚早であるのではないかと感じることであります。一つの会社が創立されましてから、最初の数営業期と申しますか、二年なら二年でありますが、まあ二、三年でありますね、その間に、まずその会社内容の充実に力を入れられることは健全な方針だと、われわれ考えております。国際電会社も創立以来二年余を経過しまして、その間堅実に成長をされているやに伺っております。ですから、われわれは実際本年度あたりから、その国際電々の今まで内部に蓄積されたものとか、収益増によるものを、どう活用されるかを実は期待して待っていたところであるのであります。たとえばその一部を施設の拡充の面にお使いになる、一部はこれを多少の増配に当てられる。そうしてまた一部は、これを利用者に対する有形無形または技術的、表面的のいろいろのサービスの面で、それぞれを配分されることを、もう考えてもいいころじゃないかと思う。またそれを実行されることを念願しておった次第であります。でありますから、提案のいろいろ理由がありますようですが、その中に流れているいろいろの理念からうかがいまして、今国際電々のあり方を論ずるには、まだ時期的に当を得てないのではないかと私は思います。要するに、この際は、設立当初の趣旨、方針を発揮せられまして、その精神に徹せられることを望む次第であります。  ちょっとつけ加えますが、またその提案理由の一部を拝見しますと、電々公社国際電々との両者の間の連繋協調をはかる目的をもって、ある程度国際電々の株式を保有せしめるというととがありますが、連繋協調というものにはわれわれは実は反対しておらないのであります。われわれは、サービス面においても、少しでも国際電々に対して悪影響が及ぼされることがなきやをおそれているわけであります。またその提案理由の中に、「国際電信電話事業は申すまでもなく高度の国家性、公益性を有する事業であり、従って、事業経営の安定を第一要件」云々とあります。しかし、これらも、もちろん大事でありましようが、また列強との競争場裡においての機動性、能率性、これはさっきも申し上げましたが、決して忘れられない要素だと私は思うのであります。  次につけ加えますが、われわれのごときいろいろ通信関係の利用者、その集まりは、国際通信関係で非常に顕著に動いているのであります。名称はいろいろ各地別にちょっと違うのでありますが、東京と大阪と名古屋、神戸、それから横浜、これでほとんど業者としての利用者がここにあると見ていいのです。ほかにも多少ございますけれども、その五都市には、いわゆる海外通信懇話会というものを結成しております。この懇話会というものは、国際電々の御用機関ではないのであります。よくいろいろの官庁関係にある外郭的な機関がありますが、それともまた全然違う。そうして実質的に、そうしてみんなの共同目的のために集まっては協議して、国際電々にぶつかっているのであります。そうして、その会合は、少くとも月一回は、やっております。そうして何か早くやらなければならぬという問題があれば、必要に応じて月に三回も四回も専門委員会というものを招致しまして、全部の会員のために動いているのであります。そうして国際電々のサービスの向上を求め、会社側の経営にも多少お助けになっているのではないかと思います。そうして懇話会と会社との間できまった事項がありますと、われわれの方はもちろんでありますが、国際電々側でもすぐにテレタイプでその出先に連絡されて、もう翌日にはそのきまったことが実行されるというように、非常にスピーディにやっております。これをちょっと御参考までに申し上げます。  少しばらばらに申し上げましたが、簡単に今のことを、多少繰り返すようでありますが、集約しますと、要するに、公社国際電々の株主となっただめに、国際電々の現在のサービス、これはもちろん点数をつけると、そう高くはないのでありますが、そのサービスに幾分でもブレーキをかけることを一同がおそれているのであります。それから第二には、公社国際電々との提携協調には前に申した通り反対するわけではありませんが、その手段として公社国際電々の大株主になることは希望しないのであります。大体その二つに帰するわけであります。ですが、そういった意味で本案は望ましくないのでありますけれども、もしこれがかりに成立する場合にも、多少の株を公社に持たれることを、大株主でない意味で、公社国際電々の営業方針を牽制する意味のものでないということをその法文の上で明確にしていただきたいと思っているわけです。
  105. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ありがとうございました。     —————————————
  106. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それでは次に大阪外国通信懇話会常任委員濱野恭平君にお願いいたします。
  107. 浜野恭平

    参考人浜野恭平君) 私は、大阪の貿易協会すなわち大阪における貿易団体でこれには貿易業者のみならず、メーカー、為替銀行、船会社等、貿易に関係のあるものの主なるものを網羅されたもので、そのお世話をいたしております。今日私が参考人として参りましたのは、これら会員のほとんどが利用いたしまする外国電信電話について、これは別個に大阪外国通信懇話会と称しまして私がそのお世話を兼務いたしておるためであります。この外国通信懇話会は、横浜、名古屋、神戸にもございますが、東京と大阪とで約九割の利用者を持つことになるかと存じます。それは東西でそれぞれ本社、支社となっておるごと。それから最近貿易商社の集中合併などで、その利用度の厚さが増して参り、おそらくは百社をもって数えれば八割を占めるほどにもなるかと存じます。私の申し上げたいのは、外国通信というのは一応公共性を帯びてはおりますが、国内通信とは非常に違って、少数のきわめて限定された利用者しかないということであります。すでに当会の名前をもちまして、参院の諸先生には陳情書を提出いたしております。また去る六月三十日の衆院委員会には、当会からも私の同僚が参り、反対論を述べており、また他の参考人の多くも反対論を述べたにもかかわらず、衆院としては、はっきりと五分の一の議決権をもった公社の、当会社の支配権を反映するかのごとき懸念される案がパスいたしました。私だちは、非常に意外また不可思議に感じた次第であります。今日はここに参院におきまして、良識ある諸先生方に、あらためてわれわれ利用者の真意を聞いていただく機会を得ましたことに対し、まことにありがたいと存じて参った次第でございます。  次には、このわれわれ利用者の本当の気持を聞いていただきます。一体今度の件は、株式の保有が政府が持つか公社が持つかというどっちかのもので、何も利用者である貿易業者がそんなに懸命に反対するほどのことでもないではないかとお考えなさる方が相当案外多いやに承わっております。ところがわれわれは、お金、それも前金になりますが、前金を払って、国際電信電話会社から通信のサービスを買う、つまり商売の売買で申しますと、売主と買主で、丁度反対立場でありまして、いつも料金とかサービスとか能率の点で会社側へ文句ばかり申し上げております。たとえば野口さんのお話の通り、外郭団体どころか、会社に対してはある意味においては毎日のごとく監督する位置にあるものでありますが、今回の件に関しましては、との会社と同様の立場、いな、それよりもっと強い純粋の日本の貿易の見地から反対せざるを得ないのであります。それは、利用者の立場もさることでございますが、われわれには貿易の実際というものがよくわかって参っておる。ことに戦後のそれは戦前に比べて全く比べることのできないほどな変化をいたしております実にきわめて困難な立場にあることを熟知しておるだけに、この会社の件に対しても重大なる関心を払わざるを得ないのであります。利用者の立場をきわめて端的に申しまするならば、電報料が安くてついて、早く着いて、サービスがよければ、それでよいのであります。相手が官庁であろうが、公社であろうが、会社であろうが、おかまいないのでありますが、やはり会社が一番よろしい。それは、官庁や公社でございますと、一年々々の予算になっておりまして、電報料金というのはちゃんと固定している。サービスというのは別になっている。つまり二本建になっているような気がするのです。ところが会社になりますと、サービスを含めた電信料というふうにわれわれからは考えられるのです。たとえば電信料についても、ローマ字電のことでいろいろ交渉いたしましたが、これもお互いの相談でこういうことにしようじゃないか。また、ある国に対する電信料が非常に高い、これは何とか一つやってもらえないかと、これも簡単に参ります。会社の会計には含みがございまするから、われわれの注文に応じまして、臨機、機動性のあることをしていただけるということであります。サービスについては、かの先進国の英国ですら、ケーブル・アンド・ワイアレスが、国営といいますか郵便局になったために、恐ろしくサービスが悪化した事実をわれわれは過去において知っております。英国においてすらであります。また電信の所要時間でありますが、対米通信が従前二時間かかったものが、最近は半分の一時間である。これは、この会社になってから、米国同様の新設機械をどんどん設けていただいたためであると、私は、はっきり存じております。それで、それだけでも貿易のコストが安くついております。とういうふうに、利用者の立場は、そろばんの上から出た実際論でございまして、決して観念論や主義の上から申しているものではないのであります。それからもう一つ最後に、日本の貿易の相手は自由圏貿易が多いのであります。その関係上、日本の貿易は自由の形でまだまだ伸ばしていかなければならない。そこで、その大きい意味で、貿易業の一環と考えますこの外国通信も、自由的な民間会社として、発らつたる精神で、われわれ貿易業者の海外出先ともよく連繋をされ発展していただきたい、こういう希望さえ持っているのであります。  さて、以上、貿易業者のぎりぎりの気持をお伝えしましたが、ところが、こういう気持は、実際戦前にはなかったのであります。戦後特に日本の貿易業にやむを得ずできて参った日本の特殊な事情の変化であるのでございます。この変化を一つ御認識下さると、私たちが言う公社とか会社とかいうことにつきましてもおのずから御判明下さると思いますので、少しばかり戦後の貿易事情の変化について述べさせていただきます。  変化には二つでございます。第一は、外部からの事情でございます。それは、戦後十年、この間に海外諸国の通信施設は非常に進歩して参りました。それに比べてわが国の立ち遅れ、それをどうして克服するか、貿易は実に平和時にも戦争であります。対外競争でありますから、通信施設にしてもまたサービスにしても、欧米一流国並みの水準を持たなければならない。これは、日本が、いかに貧乏であるとはいえども、絶対にやってもらわなければならない。終戦後しばらくは進駐軍によるめくら貿易でございましたが、昭和二十五、六年頃から、ぼつぼつ日本の貿易業者が海外に出て参った。その頃から、この海外通信施設の非常に立ち遅れているということをしみじみ痛感して参った次第でございます。新機械の設備なり、また対外直通回線なり、どんどんやっていただきたい。一方に、英米には立派な民間会社がございまして、われわれに働きかけてくる。もうじっとしておられない焦躁を感じて参ったのであります。そこで、これは一つ思い切って海外通信は、国内通信から切り離していただきたい。というのは、戦後荒れ果てた国内通信、能率の上らない、しかも一方、民主公平と申しますか、逓信行政の原則に立つ以上、貿易通信のいろいろな忙しい仕事の通信は、内地通信と一緒にやっていたのでは、とうてい貿易が間に合わない。外国郵便にしても、あるいは内国郵便と別にしていただいたらいいんじゃないかという意見さえ持ったことがございます。で、今度一般郵政から電信電話事業が公社になりましたが、その何層倍の必要性と焦躁さをわれわれは外国通信に対して戦後ずっと期待していたわけであります。これは御想像いただけることかと存じます。そこで二十八年になり、幸い国内通信は公社、海外通信は会社、こういう一つのりっぱな建前ができまして、それからわれわれは国際電信電話会社と緊密な通船をとりましたために、いろいろやっていただいた数々の施設は、日本の貿易上確かにプラスになっておることは断言いたします。おそかったとは申せ、過去二カ年有余になされた多くの事柄は、もしこれが電気通信省のままであったならば、また会社のままであったならば、できていなかったであろうということも、利用者としては、はっきり実感して参っております。  次に、これは海外との比較でありますが、国内の事情の変化を申し上げます。これは戦前、為替が一ドル二円ないし三円というものであったが、現在三百六十円に下落して参った。しかるに外国通信料というものは海外諸国との取りきめでありまするから、その支払いの大部分は外貨建になっておりますので、勢いわれわれの支払いまするのは、外国通信料は三百六十円で換算された円で課せられております。ところが、これが貿易業者の総経費の上に大きいウェイトとして乗っかって参ったのであります。他の項目との比例もできまするが、ある会社では給料とほとんど同額のものが電報料に払われております。小さい個人商でありますると、給料は翌月回しにして、のっぴきならぬ電報料を払って打つと、こういう状態であります。貿易業にとってもまた日本の貿易全体から見ても、通信の占むるコストは戦前とは比較にならぬほど大きな比率になって参っております。戦前ならば、外国電信と申しましても、われわれも経験がございますが、ほとんど問題にならなかった、郵便切手を張るくらいにしか考えていなかったのであります。まことに情ないお話ですが、これが日本貿易の実情であります。最近では船賃が高いということことが問題になっておりますが、船の方がもし貿易の足であるならば、電信の方は、目なり、耳なり、口なり、それどころではない、手以上のものであります。すべてであります。それだけに大切なものになって参りましたので、最近は、貿易会社の社員は、電信会社の社員と実に一心一体——昔の言葉で申しますならば、実に官民一体の実をあげざるを得なくなったのであります。戦前ならば役所で受け付けるということでございましたが、今では国際電信電話会社の方も貿易業者のふところの中に飛び入った気持でやっていられる。これは先般大阪であった実話でございまするが、貿易商社の方がうっかりしておって忘れておりましたのを、KDDの方から、あの続きはどうなっておるのか、まだですかという催促を受けたと、これを私の古い友人ですが、昔の話が出た。こんなことは今までには例がなかった、こういう感慨を漏らしておりました。これは私は何もKDDのサービスをほめているわけではございませんが、ただ問題は、民間会社としての心の持ち方というのが根本である。その上に迅速とか確実といったようないろいろな数字上に表われてくることも自然表われてくるのではないかと思います。この方面のお話は、ちょうどお隣りに三菱商事の野口さんが実務を担当いたしておりますので、私どもよりも詳しいことは幾らでもお話して下さると思いますから、私はこれで民間会社の経験からお話を申し上げまして最後にしたいと思います。  以上は大体二つとも貿易団体を扱っておられる業者の申したことを、私が代表したのでありますが、さて、今回の件に関しまして、少し私見にわたるかもしれませんが、最後に私の本件に関する結論だけを申し述べさしていただきます。  さて、会社ができまして二年、やっとその緒についたというところで、われわれ利用者から見まするならば、他の外国会社に比べましてまだまだ文句をつけたいことは多々残っておりますが、まあよくここまできたが、ほんとうはこれからだというところであります。しかるに突如として今度の立法が衆議院に出た。そのとき私は、まことに常識的に、直感的に考えを浮べましたことが二つあります。それは、大蔵省から公社へ配当を渡したらいいじゃないか。もう一つは、株がちょっとこの二カ年、デフレで売れなかったのだろうから、また会社当局の創業方針もあったろうし、売ろうと思えば簡単に売れるのじゃないか。との二つだけの考え以外に何もございません。しかるに衆議院の議事録を見ますと、梶井総裁は、株は持ちたくないと言う。また一方が渋沢社長は持ってもらいたくないと、こういうことでございましたにもかかわらず、公社側は無理に——無理にと申しますか、公社側が無理に株を持たすということは、何だか公社会社に対する支配権をはっきりうたっている気がいたしました。つまり民営には反対だ。民間事業を再度逆行化するというような感じがいたしましたので、そういうことは困るというので、大阪では、大阪商工会議所の方でも、杉会頭の名をもちまして、反対の陳情が出て参ったようなことかと存じております。  利用者といたしましては、私、とれ以上申し上げることはございません。ただ二年前すっきりした形で、国の法律でもってせっかく民営事業としてスタートし、所期の計画に向ってその実をあげつつあるということを、最も肝心なお客である利用者としては一様に認めている。こういうことは一年や二年じゃだめだ。かすに五年くらいの日子は必要だと思います。今度の問題は、国有財産を民有に移す一こまのできごとであってほしいと思います。もし民営を少しでも官営の方に逆行させるというならば、これは大問題であります。官業と民業とどっちがよろしいか、また貿易振興のためにどっちがよろしいか、国策という見地から大問題になりますので、慎重に研究してもらいたいと思うのであります。もとより国際電信電話会社民間会社とはいいますが、独占会社であり、特に国策会社でありますから、これは郵政大臣に十分監督していただくということはもちろんであります。そのほかに公社というような、屋上でなく、屋下に屋を作るということは、どうもわれわれ歓迎しないのであります。  今回の案が公社会社支配でないということも、提案理由にはなっているようでありますが、しかし私は政治的な理由は全然わかりませんが、もし会社支配でないということがほんとうの趣旨でおありになるならば、われわれ利用者にもそうでないという十分なる安心をさせるだけの措置を講じていただくことが望ましいのであります。  以上私は、貿易業者また利用者としての立場を十分申し上げましたが、十分われわれの立場をおくみ取り下さいまして、貿易に対する何分の特別の御理解と御同情を得ますならば、何より幸いと存じている次第であります。
  108. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ありがとうございました。  以上をもちまして参考人口述を一通り終了いたしました。委員から質疑がございましたら、この際お尋ね願います。
  109. 永岡光治

    ○永岡光治君 ちょっとこれは野口さんと濱野さんにお尋ねいたしますが、今のお話、聞いていると、何か国際電会社国営に直すという建前で説明せられているように聞えてしょうがないのですが、それで株主になってサービスが低下するという具体的な理由ですね、株を持ったがためにサービスが低下する、その具体的な理由をちっとも述べられてないのですが、どういう観点からでしょうか。
  110. 野口宗光

    参考人野口宗光君) 私は、私の発言の中でもお断わりしてありますが、今度の法案は申し上げた通りに本法案は国際電々を現在のまま株式会社に置くことに変りない、その基礎に立っているということを今申し上げておりますから、国際電々が前の何といいますか、公社的ないしは官営になるということにはこの法案では何も受取っておらない、そういうことには解釈しておりませんです。ただ、今電々公社国際電々は、おのおの通信事業でありますが、これは国内と国際の両方の分野に分けてやっている次第でありますから、通信に関するサービスを両者比較しようたってそれはできないので、同時に二つの会社が競争しておれば、両者比較できますが、比較はできませんです。ただ申し上げるのは、濱野さんも申された通り国際の方は、利用者の数も少い、それからさっき梶井さんがおっしゃった公社の方は十七万人、非常に大規模な人員を、電報局といいますか、出先がたくさんありますですね。ところが国際電々の方はその点割合に単純でありますものですから、先申し上げました通りに、何と申しますか、東京の場合は全員数が七十人でありますが、ほとんど総意がすぐに国際電々の方に、営業面ないしは幹部の方に反映するわけです。またそれできまったことはすぐ現業の方に通達されるわけですね。ところがこの電々公社の方に対して同種類の懇談会的なものがあるか、私は実は調べてみたのです。今これは非常に規模が大きくて、一般民衆に奉仕する、津々浦々の民衆の電報電話の関係でありまして、そういった大きい目的を公社の幹部と御相談するというような機関というものはないのであります。もししいてあげれば東京の、国内の電話の部面で、私設電話の設備を持っている会社の会合がありまして、これも東京全体ではありませんで、たとえば東京においても丸の内局と申しますか、本局と申しますか、そこに加入している電話局が多いものですから、数局をある一つのブロック、地区ですね、地区における私設電話会ですか、というのがありますです。それから新宿局なり新宿、その附近にある非常にローカルなものでございますね、しかもその会合たるや年に二回ぐらいだそうであります。
  111. 永岡光治

    ○永岡光治君 発言中ですが、私の趣旨がおわかりになっておらない。
  112. 野口宗光

    参考人野口宗光君) 消費者の面から、両者は一緒に比較できないということです。
  113. 永岡光治

    ○永岡光治君 私の質問は、電々公社と、それから国際電会社のサービスの比較を問題にしているのではないので、あなたはしきりにその問題を言うけれども、濱野さんもその問題をしきりに言っているけれども、いかにも国際電々の株を公社が持つと、サービスが低下するがごとき印象を受ける発言をやっておられる。その点国際電々の株を公社が持ちましても、現在の職員がおやりになるわけですが、どうしてサービスが下るのか、私にはよくわからないのです。サービスがいかにも下るがごとき印象を受ける発言をしておるのですが、私にはどうもわからないのですが、株主になったためにサービスに影響があるかどうか、そんなに下るのですか。
  114. 野口宗光

    参考人野口宗光君) 私はそれにもお答えしております。株主になっても、株主のきめる議決事項と、それから営業面のサービスの問題は、これは全然別の問題ですね。ただそれでくさびを打たれる、それがだんだんと営業面のわれわれの方に対して、公社の方がこう言っているから公社やり方を見習いなさいと、そういうわけにはいかぬと思う。ジェスチュアに使われるということをおそれるわけですね。
  115. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういう危惧を持っているのですか。
  116. 野口宗光

    参考人野口宗光君) 何となく危惧を持っているだけです。
  117. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは具体的に例をあげて言うのじゃないのですね。
  118. 野口宗光

    参考人野口宗光君) それは今のところそうです。
  119. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで非常に利用者側から言うと、何とかして料金を安くしていただきたいという気持は十分あるだろうと思いますが、そういう意味で利益配当とか、あるいは利益の処分の方法については、できるだけ利用者の立場考えてやる方がいい、考えてみればこれは小池さん方のあれにも関係あるわけですが、配当を高くしなければならぬ、配当を高くすれば結局料金は安くならぬという相関関係がありますが、ただ一点だけお聞きしたいのは、現在の料金で満足しておられるかどうかだけお聞きしたいのです。
  120. 浜野恭平

    参考人浜野恭平君) 現在の料金で満足しているかということですが、先ほど私がここで述べたように、料金かつサービスで考えております。料金とサービスを別に離して考えておりません。そこで料金が上ればサービスがよくなれば、つまり安いと考えております。そこで現在はどうかということでありますが、外国電信料はなかなか海外との協定がありましてそう簡単には下げられません。条約がありまして、われわれは下げてほしいのですが……。そこで会社方針もあるが、相当りっぱな会社になれば下げてくれる時期もあろう、それまでサービスで補っていきたい、こういう気持であります。
  121. 永岡光治

    ○永岡光治君 梶井総裁にお尋ねしますが、先ほどのお話を承わっておりますと、この国際電々が行かむとする建設的な方面で御協力申し上げたいという関係から極力関連をつけたいという、こういうように承わったのですが、そういうことですか。
  122. 梶井剛

    参考人梶井剛君) 今の御趣旨の通りであります。将来会社経営等におきまして、われわれの経済的な援助の必要が生じたというようなときにおきましては、積極的に協力していきたいという考えを持っております。従ってその場合において株主であった方が一そう近い関係からいってできるのじゃないかと、こういう好意的な意味で申し述べたのであります。
  123. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは小池さんと、それから本間さんにお伺いしたいのですが、先ほどのお話は、株の問題にあまり触れずに、とにかく配当、株の問題といいますか、電々公社が株を持つ、そのことについてはどうもあまりぴんとした結論を得ていないわけですが、述べられた意見は、株が売れないということはどういう理由かということでしきりに話されておったようです。それで配当を吊り上げていただければ売れるのだ。それからもう一つの意見として上場ですね、上場株で、これはそういうことにならぬと困るのだというので、現在、電々公社が株を五分の一持つことによって上場株から落されるのか、従って現在上場株の中に入っているのかどうかですね、現在もやはり入っていないのじゃないかと私は思うのですが、これが入ったために、上場株になるかならないかというようなのはどういうことなんですか、その理由があまりよくわからなかったので、ちょっとお伺いします。
  124. 小池厚之助

    参考人小池厚之助君) お答えいたします。私は公社が株を持つことの、株については初めからお断りして述べなかったのであります。自分の証券業に関するいろいろの御発言がありましたが、それに対して、その面だけの自分考えを申し述べたのであります。  それから上場の問題でありますが、現在は国際電々の株は上場されておりません、いずれの取引所にも……。と申しますのは、各証券取引所に上場の資格がございます。その資格はいろいろございますが、一つはごく少数の株主に集中していることはいけないということになっております。なぜその特殊の少数の株主に株の所有が集中していると上場の資格がないかと申しますと、その特殊の少数の人が株をあやつる危険性があるのです。それで一般的にある程度特殊の役員だとか、あるいは特殊の大株主のパーセンテージですね、制限しているわけであります。現在までは御承知の通り大蔵省が非常な大株主でありますが、これは上場の資格はございません。ですから今後上場するためには、少くとももう少し一般株主がふえなければならぬと思うのです。  それからもう一つ上場について、お話しいたしますが、実は現在の上場の資格は、これはまあ大蔵省との了解を得て作っておるものでありますから、若干古くなりまして、少しこれを訂正する必要があると思います。今大蔵省と話し合っているところであります。話を始めようと思っております。一例を申しますと、一万株以上の株主が七〇%、全株の七〇%以上持っちゃいかぬという規定になっております。この一万株というものは額面五十円の株の一万株です、それですから額面五百円のような株はこれは一千株になるのです。一千株になりますと、今この法案がかりに通るといたしまして、十分の二、五分の一の株主公社株主になりますと、現在のところでは上場資格はまあございません。ただし、一万株というものは実はあまり大株主でなくなってきたのです。ですからこのことは少し変える必要があるのじゃないかと今よりより話しております。しかし現在の規定は、一万株以上の株主が七〇%をこえちゃいけないということになっておりまして、その一万株になるものは額面は五十円株という規定になっております。
  125. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、現在でも上場株にならないし、それからこれは電々公社が持つ持たないにかかわらず、この株主内容を拝見いたしますと、一万株以上というのは八六%以上になっておるのですが、これは大体銀行とか保険会社ですか、そういうものが多いようですが、もし上場株にしたいという、そういう株に入れたいという考えならば、保険会社、どんどん売りさばく考えがあるのでしょうか。ちょうど保険協会おいでになりますから、それは分ける計画を持っておいでになりますか。
  126. 本間喜一

    参考人本間喜一君) これは最初募集のときも、たとえば国際電気通信会社の、元の株主に割り当てたものがある。われわれその株をもらった、そのときにですね、申込書にこれは安定株主が、ほしいのだから株は売らんように、少くとも二年くらいは売ってもらっちゃ困ると書いてありますね、募集の趣旨に。二年くらい売っちゃいかんというどころじゃない、われわれの方としてはほとんどまあ長く安定的なものとして、別段それで売ってもうけようという気持もありませんし、そうしてただ何といいますか、機械的に考えると非常に困るのですが、大蔵省の方では検査になんか来られると、株式をAクラス、Bクラスと分けられるのですね。そして非上場株は流動性がないというか、そんなようなことで二流扱いにされてしまう。そういうわけで相なるべくは上場株にしてほしい。別段それを売ってもうける気持はありません。もうすでに相当のそういうふうな条件の悪い株ですから償却もしておりまして、帳面づらは損が出たようなことになって、それをちゃんと持っておるというわけです。
  127. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 渋沢さん、関連でございますか。
  128. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) ただいまのお話で八六%ということでございました。これは申し上げますが、一万株以上五万株、十万株と分けまして、その中に政府が入っております。そのために八六%になるのでありまして、政府の持っておりますのは四二・五%、それ以外のものが二五・一九でございます。ちょっとつけ加えておきます。
  129. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでこれはこの株のお話になりますと、五十円の株ですから一万株、額面五百円の株ですと一千株、上場株にすると一万株というのが幾らですか、一千株になりますね。一千株以上ということになると一応上場株になる可能性というのはかなり困難じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  130. 小池厚之助

    参考人小池厚之助君) それで今お話しいたしました通り、この上場条件なるものが時勢おくれになったことはわかっておるのです。昭和二十四年に作りまして、その時分は一万株というと非常に大株主のような感じを皆持っていたものですから、それで大株主を一万株以上ということになったのですが、現在は五十円株の二万株、あるいは五百円額面株の千株というのは大株主でなくなったわけです。それでこれは訂正するように考えておりまして、今よりより大蔵省と話をやっておるところでありますから、これは若干の訂正あるものとお考え下さってけっこうでございます。
  131. 永岡光治

    ○永岡光治君 渋沢社長にお尋ねいたしますが、先ほどお話しの中で非常にサービスが向上されたということは非常にけっこうなことと思いますが、との点についてもどういう分析をされたかということでお尋ねするわけです。分離された当時に比べてこうなったというお話ですが、もしこれが電々公社の方でやっておったならばこう上らなかったであろう。それはどういうところからくるだろうということを御分析になったかどうか。そうしてもし株を電々公社が持ったら、このサービスが低下していくのか、低下していくとすればどういう理由のために低下していくのか、その点をもし分析されておりましたらお尋ねいたしたい。
  132. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) 第一の御質問でありますが、これがもし公社経営されておりましたらこれだけの改良がなかったかどうかという御質問であります。私は公社に対する能力がないということは絶対にないと思います。非常に持っておられると思います。ただ問題は、公社の質とかいうことでなく、予算という関係からきておる、大きなシステムとしての制約、たとえて申し上げますと、日本は戦争に敗けましたために、周波数というものを非常になくなしたのであります。これを克服するために、たとえばその周波、電波を発見するために、私は技術のことはよくわかりませんが、聞いておるところによりますと、水晶の片が必要だ、これを買って周波を探すわけであります。その場合に会社でありますと、どういう種類の水晶の破片が必要であるという場合には即日買えるのであります。公社でありますとこれが非常に時間がかかるのであります。いろいろの方の判を押さなければこれはなかなか買えないわけです。そういった能力じゃなくて、システムの差からくる問題でありまして、私は決してその意味において会社だから非常にいい、公社だから非常に悪いということの問題でない。時間の面において非常な差があるということだけは、これは確かであります。その点であらゆる施設が割合に早くいくということは、会社の機動性であろうということを考えます。これは公社の能力の問題じゃなく、全くのシステムの問題からくるイネビタブルな結果であろうと思います。  それから公社が株を持ったならばそのサービスが低下するという問題でありますが、これはまだ持たないのですから、何ともわかりません。持った上どうであろうかという質問なら想像の話です。
  133. 永岡光治

    ○永岡光治君 予想される……。
  134. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) 予想でありますが、だからそのつもりでお聞き願いたいと思います。そうなると言い切ることはちょっと無理だろうと思うのですが、これは衆議院におきましては圧迫という言葉があって、いろいろそれについて論議がされました。ただいま貿易並びに海外通信関係参考人の方方からもお話がございましたが、これはそういう面だけでなくして、卒直に申し上げますが、この法案ができますと、私の会社の全従業員皆このことを感じたのであります。このことを感じて皆が騒いだということは、単なるいやだとかいうことでなく、何かそこに肌に触れるものがあったと思うのであります。そういう意味でお聞き取りを願いたいのでありまして、これがどうなるか、持っても何ともないかもしれないし、非常に影響があるかもしれません。ただそういうことを皆が、しかもほとんど一人残らず全部がそういうことをわあっと考えたということを全職員が考えたということは、これは単なる、単なる変な心理じゃないと思うのです。私は昔公社にいたごとはありませんし、また官庁にもいたことはありませんし、そういう意味においての肌合いからくる心理状態はわかりませんが、しかしわかった人がそう感じたということは、何か事実があるじゃないか、こう考えるのであります。
  135. 永岡光治

    ○永岡光治君 まあ肌合いで感じるいろいろな問題、私は給与の問題であるとか、身分の問題であるとか、何とか考えることがあって、監督的に立たれるのでは困るというそういう外面的なものであろうと思うのですがね。それでそごまでいったから私は総裁にお尋ねしたいわけですけれども、今までこれは、将来の問題は肌合ということになりますが、現在株は持っておりませんけれども、連繋はおそらく持っておいでになると思います。委託の関係にいたしましてもいろいろな関係で連絡はいたしておると思いますが、何か圧迫を今日感じておるか、おるとすれば具体的にどういうところに現われておるか、社長としてお気付きでしたら一つ……。
  136. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) この問題が提起されるまでは全然圧迫を感じておりません。(笑声)非常によくやっております。お互いに仲よくやっております。今でもよくいっております。ただ将来そうなるであろうという危惧を持ったということの事実があるだけであります。
  137. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 先ほど来皆さんからのお話を承わりまして、実は私どもは議会人として、との法律案衆議院を通過してきた議員提出である。議員提出というものは、これほど理由があるものであり、これほど必要なものであるということで、大ぴらに一つ賛成したいつもりでおったのですが、どうも今までの御説明ではその私の考えを引き出す理由はちょっと発見できないのです。  そこで私は梶井総裁に一つ伺ってみたいのは、あなたのお話しによると、この法律ができればこうもしたい、ああもしたいというお話は聞くが、どうしてもこの法律のように、公社において国際電信電話の株を持たなければならないものであるという理由は少しもない。それからまた一つわれわれは考え直して、これはどうも国際電信電話株会社は初めの考えは非常によかった。何となれば、もと電信電話というものは国内も国外も一社であった、それがなま木を割くように分れたが、分れる理由には非常に大きな理由があって、国際電信電話は広く世界に対して日本の平和と、また交戦国ということを洗いざらして、敗戦国であるが、非常に道義国家である、平和国家であるという一つの宣伝になるのであって、これが一つ、全然民営に移すことはない、こういう理由でも発案者が礼賛してこれは通過しておる、当局も賛成しておるけれども、みなそれである。それが非常になおわれわれから見ると、私は国会議員である、参議院にあって八年たつが、われわれから見ると、これは日なお浅い法律である。これが今日になって手の裏を返すように、どうも株が安定しない、安定しないから五分の一だけ持たせる、あまりよけい持たせると重荷になるから五分の一持たせる。そうしてまた一面において附帯決議をもって、国際電信電話株会社はもう少しサービスをよくせよ、設備をよくせいというところを見ると、なるほどその一面において国際電信電話がどうも民間民営にしては適当せんのであろうか、そうするとそこに一つお灸をすえるために、同じ仕事をやっておる公社に株を持たせて、そうしてそのあらゆる発言権を持ち、あらゆる人事の交流もして、そうしてそのサービスをよくさせるためにやるのであろうかと思うと、そうではない。また聞いても、何とも今まで不都合であったといって注意を受けたこともなければ、けんかもしたこともなければ、きわめて円満に、まことに兄弟同士満足してやっておる、こういうのです。そうするとどこからきておるのか。こうなると、また総裁の話によると、その株を持てば都合がいいときは売って、その株で何かするようにおっしゃっておる。そうすると自分が持っておって、固定して持っておらなければならんという理由にもならない。一つの理由はまた他の理由によって抹消されていくということで、何ものをもわれわれはこれで得られない。まことに空白になってしまったわけです。それでただ残るところは、ただ人さわがせをして(笑声)どうも、これは百害あって一利ないような法律案のようにもなって見える。  そこでどうもこれは最後は、われわれが意思を決定するときには、監督をする郵政大臣、または広く電信電話についての知識の広いエキスパートであるところの電信電話の日本公社を扱っておられるあなたの意見、それと今、国際電信をやっておられる澁澤さんの意見だとか、また経済界、証券界のことは小池厚之助さんから、私はおとっつあんから……、(笑声)これで見るというと、どうも私どもは少しも理由を捕捉することはできないので、これで私どもは決してものを判断していくということではないのでありまして、幸か不幸か知らん、与党でありますが、この点に限ってはどうもその気にならない。どうか一つ私の蒙を開いて、それはこういうわけである。これを私らの公社において持たなければこういう不都合があるという点を一つあなたは明らかになさらんというと、この間郵政大臣にも、こういう国策を変更するのは政府の提案ですべきものではないか、政府は内閣において十分熟議をして、国策は、電信電話の事業は、国際間においては民間に移したら間違いであるから、全部取り上げなければいかんが、一部は一つ公社に持たせろという国策の変更であるから、それはあなたの方で提案することが必要でなかったかと聞いたらば、郵政大臣は、それは知らないから、率直に言えば何も私はわからんが、この方がいいように思う、こういう答弁で……。私はこれから質疑応答を繰り返していくつもりですけれども、どうもまだ郵政大臣は私に明答を与えてくれておらんのです。  そこできょうは私は他に忙がしいことがあったけれども、これにこびりついて、一つ梶井総裁の御名説を拝聴したいと思っていたのですけれども、どうもまだ満足しない、満足できない。ますます疑惑が起ってきたというようなことで、どうか一つ、これはどうしても持たなければならん、全部持つという徹底した意見ならばわれわれはいいけれども、これは一体国際電信電話の株は全部公社で持つのが当りまえだ、これならまだ徹底しておる。持ってからその株を売る、こういうのですが、これを一つよく私のわかるようにお答え願いたい。
  138. 梶井剛

    参考人梶井剛君) きょうは参考人として出ておりますので、従って私の意見参考人の範囲にとどめて……。  私が申し上げましたことの中にも、私は提案者ではないのであります。私は提案者のごとくに主張すべきではないと思います。ただ提案された法案に対する自分意見を述べたにすぎない。従ってすなわち異議がないということを申し上げたのでありまして、徹底的に公社が株を持たなければならないということは、私の説明する限りの問題ではない。その点で御了解願いたいと思います。
  139. 八木幸吉

    八木幸吉君 私も実は梶井総裁に伺いたいのですが、この前の衆議院でのお話し、それからきょうの前段でのお話し、つまり議決権のない株でも引き受けることには異存はな、 郵政大臣が許可すればなるべく早い機会にこれを売って金にして電話事業の拡張の費用に使いたい、これは私の考え方である。こういったようなお話し、これは私は非常に、すっきりしたお立場のお話しであると思って傾聴したわけなんです。きょうの御説明を伺ってみますと、法案自体が修正されておりますので、御承知の通り議決権も行使することができる。五分の一は、今度は逆に原則として公社が持つ。その理由として安定株主といったような、きわめて不明確な言葉でありますが、ついておる。それに悪い言葉で言えば、若干対応するような御説明があとにつけ加えられたので、はなはだ失礼な申し分でありますけれども衆議院でのお話しほどは全般を通じてすっきりと実は伺えなかったわけであります。  そこで私突っ込んで端的に伺いたいのですが、一つはこの前、国際電信電話株会社の付則が不備であったがために、配当金の帰属がはっきりしていない。これは私は法律改正いたしまして、当然電々公社に配当金がゆくようにすべきであると思いまして、同僚各位にも目下相談中であります。でありますから配当金の問題はしばらく別にいたしまして、株の元を売って金にして、拡張工事に充てるということが、総裁の第一義的な御希望であるのか。株を、五分の一を最高という言葉を先ほどお使いになりましたが、幾分でも持つということが、国際電信電話会社と連携を保つ上においてぜひ必要であるといったような、積極的な意味をお持ちになるのかどうか、この点一つはっきり実は率直なところを伺いたいので、もしたとえ五分の一を最高といたしましても、あと五分の〇・五でも〇・八でも、金額にして三億でも五億でも持っておることが、国際電信電話会社と連携を保つ上においてぜひ必要だ、こういう御意見でありましたならば、その具体的の理由を伺っておきたい。と申しますのは、今の渋沢総裁以下の国際電信電話の執行部には満幅の信頼を置いておる。また渋沢さんのお話しを伺いましても、電々公社とはきわめて円滑にいっておる。こういう御両所のお話しを伺っておりますと、何を苦しんで、今株を持ってそれによって連携を強化する必要があるかと思うのであります。積極的にどうもきょうの話しを伺っただけでは納得できないのでありまして、まあ連携を保つ上において株主であるということは多少の便利は考えるけれども、本来からいえば、やはり何億円かは金になって、その金は一刻も早く返ってくることが、これは第一義的に自分は希望するところだ、こうおっしゃるのが本筋じゃないかというふうに思うのですが、そこを一つ率直に伺ってみたいと思います。
  140. 梶井剛

    参考人梶井剛君) 現在行われております法律の趣旨から申しますと、株式が全部処分されまして、そして電々公社の拡充資金に充てられるということになっております。従ってその法律改正されない限りにおきましては、私どもは国内通信をやる任務を持っておるのでありまするから、国内通信の拡充に必要であるところの資金が、買却できないがために今日まで使用できないということで非常に迷惑をしております。従ってもしそれが買却し得るならば買却して、自分の任務であるところの国内通信の拡充に使いたいということは、原則的にわれわれの希望するところであります。  しかし諸外国の例を見ますると、欧州の各国におきましては、国内通信と国際通信というものは絶えず同一系統によって運営される。これが分離されておるのはアメリカであります。しかしアメリカにおきましては国内通信も全く独占的ともいえないのでありまして、国内通信の約九割がアメリカ電話電信で、他の一割が独立電話会社が持っておる。また国際通信につきましては、数社がフリー・コンペティションの趣旨によって、競争してサービスをしておるという状態になっております。でありますから、これは国柄によって違うのでありますけれども、通信というものの一貫性から考えまして、国内通信と国際通信というものは離るべからざるところの密接なる関係があるのであります。  そういう性質から申しまして、われわれども国際電信電話会社株式を持つことが、両者のために利益であるということであるならば、忍んで持っていっていいんじゃないか。でありまするから、私どもが今度の法案に対しまして、金額が五分の一に減ったのでありまするから、それが必要であるというのならば、それを持続してもいいし、また実際にそれほど必要でないというんならば、適当な価格によって売りさばくことができていくようになって、少しでも売りさばいていきたい。ただし売りさばくときには郵政大臣の認可を得なければならないし、また実際大株主という立場からいいましても、株式の変動を起すわけでありますから、国際電信電話会社にも一応了解を求めてそれを実行しようという考えでおるんでありまして、きわめてこれは常識的なものの考え方で申し上げたのでありまして、法理論ではないのであります。  従って株式を持たなければならないという積極的の理由ありやなしやということになりますと、これは法律的に見て持たなければならないという理由は何もないと思います。しかし持っておれば一そう緊密な提携をなし、一そう両者の事業の発展に資することが多いと思うのであります。従ってわれわれといたしましては、株を持つことに対しましては異議ありませんと、こう申しておる。
  141. 八木幸吉

    八木幸吉君 諸外国の例を今お引きになってお話しでございますが、現在の法律の建前においてという前提のもとにお話しをお進めになりましたが、かりに今の法律をしばらく、改正のできるものだというこういう前提に立てば、国内、国外の通信を一手でやる方がよりいいものである。ただしアメリカの例は別であるがというのであれば、むしろ国際電信電話株会社公社に合併して、一本の方が理想の形態としてはよいと、少し話が飛躍しますけれども、こういうお気持であるのか、ちょっと突っ込んで承わってみたいし、いや、それはちょっとこの際では言明して困ると、こういうことであれば、今の忍んで株は持っておるんで、別に積極的に持とうとは言わんが、まあ別に持つことに異議はない、きわめて消極的な表現だという以上にはもうお進みにならないか、これは蛇足のだめ押しでありますけれども、伺えれば伺っておきたいと思います。
  142. 梶井剛

    参考人梶井剛君) これはたびたび今までにもお尋ねがありました問題でありまして、そのつど申し上げておりまするが、私ども公社に勤務しております。政府機関であります。従ってすべての法律に従って行動をするわけであります。現在の法律に対して批判する資格を持っておらない。でありまするから、現在の法律改正して、これを全部公社に吸収すべきであるというようなことについてはわれわれは意見を申し上げかねます。しかし世界の情勢を見まして、通信の事業の性格から申しますれば、なるべくこれは一緒に仕事をした方がよく、円滑にゆくだろうというので、各国がやっているのだろうと私は思います。ことに国際通信ということになりますと、その国の利害をも相当代表することでありますから、やはり政府が相当まあ関与する方がいいんだろうと思います。しかし一方においての欠陥は、従来長い間官営であった。官営であったがために能率があまり上らない。だからして事業の発展に非常な支障を来たしている。このことは過去におきましても、先ほど渋沢社長が申されましたように、電波の獲得において非常に不利不便が多い。でありまするから、いわゆる設備会社として国際通信会社というものが民間資本によってできて、予算の制約なしにできるだけ早い機会に施設し得るようにしていく、こういうことは当然起る問題であります。そういう観点から申しますと、能率という点から申しますというと、現在の民営形態の方がサービスがよくなるだろうということはわれわれは想像できるのであります。今回のはさような問題じゃなくして、要するに公社がその株式を持つか、持たんかということであります。  先ほど来参考人の各位の方がお話しの中に、われわれが伺っておりまして、これを批判するのはわれわれの今の仕事じゃございませんけれども、多くの場合に想像がだいぶ入っております。従って私どもむしろ事業の性格からいって、株主になった方がいいと、しかし積極的にならなければならないということを言っておるのじゃないのであります。その方が一脈相通じて、両者のためになっていくんじゃないだろうか。もしそれがために圧迫の感じがある、あるいはサービスが低下するだろうということは、これは想像上そういうことは起り得るかもしれませんけれども、実際問題として、われわれ責任者として、そういうことは起さないつもりであります。そういう意味からいいまして、事業の性質上持った方がいい。従って原案に対して賛成であります、こう申したのであります。
  143. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう少しほかのことを伺いたいのですが、この三十三億の現物の出資の評価、この中には若干ののれん代も入っているかのごとく伺ったのでありますが、これは妥当な値であると今でもお考えになりますか、どうですか。
  144. 梶井剛

    参考人梶井剛君) 私は評価委員でもありませんでした。また設立委員でもありませんでした。従ってその間の事情は、要するに間接に聞いておるのであります。資本の計算においてまず評価が一番問題になります。で、それは現有価額、つまり現在の品物を新たに立てるものとしてそうしてそれを評価いたします。それからさらにそのものが今日まで経過した年数を減損償却をして差し引きます。その差し引いたものが現在の価値として評価されたのであります。  それが一つの方法であります。もう一つは、この公社の、国際通信の事業というものは相当大きな収益をあげておったものであります。当時公社におきましては、約十七億ぐらいの収支の差額があったわけであります。その中からさらに償却その他のものを引かなくちゃならんわけですが、少くとも相当な利益のある事業であった。でありまするから、評価委員方々はその利潤の還元によって資本決定しなければならない。そのいずれをとるべきかというふうになりまして、その折衷案によりまして、両者によって評価して、その算術的平均ですかによって現在の収入をきめられるという方針をきめられて、それによって評価した。公社の方といたしましては、当時経理局長が参加しております。すなわち現物の評価ですね、それに対するデータを全部そろえて提出するという役目をしたのであります。
  145. 八木幸吉

    八木幸吉君 渋沢社長はこの三十三億の評価には、別に今から考えれば高かったとか、妥当であるとか、何か御意見はございませんですか。
  146. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) 私が会社をお預りしましたのは昭和二十八年の四月でございます。当時もうすでに三十三億という資本金に決定しておりました。私の入りましてから、会社の内部の資産を見ました感じを申し上げます。多少高かったと思います。と申しますのは、確かに簿価としてはその通りだと思います。たとえば、国際電信に使います送信所、受信所の鉄塔のごとき、これはもう最近は各国ともロンビックという小さなものにどんどんかわっております。で、そういう意味におきまして、もうすでに今鉄塔はある意味においては無用の長物というような格好のものであります。これが現有価額で入ってきた。あるいはまた通信に使います真空管のごとき、これもやむを得ないことだと思いますが、終戦直後にどんどんメーカーが作ったと思います。しかしその後国情が回復するに従って、その性能なんかどんどんよくなった。それでどんどんかわっていくと、前に買ったものはそのまま置いてある。これはもうほとんど使いようのないものがうんとあるということを見ますと、完全に帳簿の上では三十三億になったと思います。それに今ののれん代、二億六千万ばかり入っております。なったかもしれませんが、もっと厳密に、ほんとうにまあ株式を募集してかかってこういうものを作った、こういうときだったらまあ多かった、少し多かったということが言えるような感じがいたしました。  それからもう一つは、そのために実は鋭意償却に努めたのであります。すでにこの二年間に償却をしました金額が十二億円でございます。それから保留が二億六千万ばかりできております。で、との償却はもう一つの理由がありまして、御承知の通り通信事業というものは非常な勢いで今進歩改良が行われております。従っていつどういう機会におきまして今までの現有の諸機械が不用になってくるかもしらんという危惧の念は常に持っておらなければならない。従ってこれに対しての用意がぜひとも早く必要であろうと、普通の機械その他とは違いまして、電信の方の、ことにエレクトロニックスが盛んになりました今日においては、格段の進歩が近々に起ってくる情勢であります。従って鋭意償却を努めたというのがその実情の一つでありまして、それからもう一つ、この配当の問題でございます。ついでに申し上げます。  これも私が、あるいは私自身の方針が間違っておったのかもしれませんけれども、当時電信はそう心配いたしませんでした。しかもこれは刻々としてふえておる情勢です。しかし電話におきましては、当時はほとんど全部が進駐軍が使っておりました。クリスマスまたはマザース・デーとか、ほとんどそれによって占有されておって、ほかの電話はかからんくらい、また朝鮮事変の直後にずっと向うから帰ってきた人にどんどん電話をかけさせるという状態でありました。従ってこの進駐軍が一挙にいなくなるといったような情勢もあの時分にはちらほら考えられました。そうしますと、この収入はかなり電話収入は不確定だということを考えなければならぬ、こう思いました。従ってあの時代の単なる計算上からすれば一割は十分できたのです。しかし二年かそこらで万一そういうものが減配をするといったようなことになったら、とういった会社としてはまずい。二年間ぐらい少ししんぼうしていただこうといったような、二年もしくは三年です。この会社の基礎がはっきりするまではむしろリザーブを持っていきたい。そのかわり償却に努めて、インテレスト・キャリー・バリューとしての株式へは十分な敬意を表したいといったことでいった方がいいだろということでいったのでありまして、その当時、この株を売ることについてもう少し配慮したならば、むしろあの時分から盛んに高配当をしまして、どんどん売っちゃったかもしれない。その点は私の方針が非常に誤っていたかもしれませんが、堅実を旨としたということだけは御了承願いたいと思います。
  147. 八木幸吉

    八木幸吉君 今のお話の中に非常に真空管がたくさんあったというお話がございましたが、それは不必要にたくさんあったわけですか。
  148. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) 不必要という意味じゃございません。確かに必要、ことに終戦直後の真空管は非常に早く生命を断った。従って多数用意する必要があったのであります。そこへ持ってきてどんどん生産能力が回復して、もっといい真空管がどんどんできると、それを買ってあとのを使わなかった、こういう事情だったと思います。
  149. 八木幸吉

    八木幸吉君 何年分ぐらいのストックがございましたか。
  150. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) 種類が非常に多くて、ちょっと私存じませんけれども、かなりの数量でございます。
  151. 八木幸吉

    八木幸吉君 本間さんにお伺いいたしたいのですが、国際電信電話株会社の株が上場株でないから、大蔵省が非常に低く評価したというお話でございましたが、市場に上場されない株の評価は財産目録で逆に高く評価して、そうしてその持株を資産の上では非常に高いものに普通見てやっているというようなことがありますが、あなたの方は三百五十円に見ておられるということなんですが、大蔵省はどのくらいに見ておられますか。
  152. 本間喜一

    参考人本間喜一君) これは毎年三月の末になると決算がございます。そのときに市場にある株の値段はすぐに評価できますが、市場に取引のない株はどうするかと申しますと、協会に集って、そうしてこれは一体どうしようということで皆で相談してきめるわけであります。そうしてそれを基準としてまあ今のところ各社共通の評価になっております。そのときに、これは私は少し低過ぎやせんか、今年の相談では結局、その前の年は四百円に評価したのであります。それをどうした基準ですか、要するに機械的にこれは上場株じゃない、それから配当の関係、こういうことからこれは三百五十円が妥当だろうということできまったらしいですね。その前の年は四百円というふうなことでした。ただあれはわれわれの相談で、大体時価のない株はどうしたらいいかということは協議してきめるわけです。
  153. 津島壽一

    ○津島壽一君 小池さんにちょっとお伺いいたしたいのですが、あまり大した問題じゃないんです。きわめて小さいことなんですが、本案の適否を考える上において参考にしたいのですが、御覧になったと思いますが、本案の提案理由というものがございまして、第一は、両者の間の連繋協調をはかる目的という面と、第二は株価の安定、その所有というか、公社会社の株を、十四億円という多量の株を持って、いつでもこれが処分できるのだ、それでそのこと自体が非常に株価を不安定にする、であるから株価の安定というものは必要だから、全体の半分ぐらいを公社に持たして、そうして放出の危険というか、それによって株価の不安定をなくするために公社に持たすのだ、これが理由だというのです。  そこでお伺いいたしたいのは、これは専門的なあなたの資料によってお伺いいたしたいのですが、十四億円の株がいつでも適当な機会をねらって放出するということは、この公社の株価に相当脅威というか、影響を持っているものと感じているか、あるいはただいまの御説明の中に、株価が全体がよくなる。また上場株とすること、配当を適正にすること、こういうことであれば、これは非常に可能な問題であるというようなお話があったので、それでそれならば十四億円でもそういう条件が、これは全部整わなくちゃいかんかもわかりませんが、必ずしもこれが脅威になって株価に悪い影響を与えるものだとお考えになるか、そうじゃない、これは大した大きい問題じゃない、こういうふうにお認めですか。そこのところをちょっとお考え願いたいのです。
  154. 小池厚之助

    参考人小池厚之助君) お答えいたします。今津島さんからお話しのありました通り、時によりましては、ある大量の株が近いうちに処分されなくちゃならないということが目の前にぶら下っておりますと、株価が圧迫される場合ももちろんございます。ただ国際電信電話の場合は、それに該当するかどうかというお尋ねかと思うのですが、私が先ほど申し上げました意味は、今まで国際電信電話会社の株がよほど売れなかった、あるいは値段もそれほど出なかった意味は、大量に今後放出されるものがあるという圧迫のもとに売れなかったり値段も出なかったのじゃない。むしろ証券界自体の原因でございます。私先ほど申しました通り、まだほんとうに正常化されておらない証券界でありましたために、利回り本位とか何とかというところまでいっていなかった。それでいい株と知りながら買手がなかったというふうに解釈しておるわけであります。しかしながら、だんだんと証券界もここでもって正常化して参りますと、利回り本位の投資ということがこれから始まりつつある。そうしますると、この国際電信電話会社の株あたりは好個の投資物である。そうしますと十四億の株というものが、大量ではございますけれども、売り出し方法によりまして、消化することはあえて難事でない、こういうふうに考えていると、先ほど申し上げたつもりでございます。ただしその準備といたしまして、相なるべくは上場ができ得るような方法だとか、少し配当というような問題を御考慮願う方がよろしい、こういう意味でございます。ただし今の配当の問題は、先ほど本間さんが指摘されました通り衆議院でこの法案がパスしてきたときの条件でございますか、には矛盾があるのでございます。増配はしないように、ただし早く売るように、これは非常に矛盾だと思います。お急ぎになって早くお売りになるならば増配をしなければいけない。ただし急がないというと、一般の金利水準も追って下ることでありましょうから、八分の配当でも処分が困難な時期もくるかと思いますが、それはちょっと半年や一年ではどうかという気がいたします。
  155. 永岡光治

    ○永岡光治君 株の処分の問題が出ましたが、実は衆議院の六月三十日のあれですか、参考人として渋沢社長さんがおいでになりまして、答弁されている記事があるわけですが、竹内君の質問に対しまして、要約申し上げますと、一年間ちょっと延期してくれぬか、そうするならば大体処分できる見通しがあるのだ、こういうようなお話でしたが、どういう根拠ですか、財界の権威者でございますからいろいろお見通しを持っていると思うのですが、ただいまの小池さんのお話を聞きますと、増配ということも一応条件に考えなければ処分は困難であろというお話もあるようですが、どういう観点でそういうことをお話しになったか、その根拠を一つお尋ねしたい。
  156. 小池厚之助

    参考人小池厚之助君) ちょっと私の先ほどのお答えの補足をしておきたいのでございますけれども、金利水準のあれだとか、証券市場のあり方によりましては、あるいは案外早く八分の配当でも処分が可能の時代が来るかも知れません。ただ若干時間の予測というものが実はよくわからないのでございますが、今すぐ処分しろとおっしゃるとどうしても八分では若干無理ではないか、こういう意味でございますから、あるいは半年だとか一年だとか、ここで時間を申し上げましたことはここで取り消しておこうかと思います。
  157. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) あの当時の私の理解したところでは、梶井総裁もできるだけあの対価がほしいのだというふうに了解しておりました。それが売れないから仕方なしに持つ、こういう格好のお話のように承わっております。われわれも二年間もこの株を売ることを、私が売るのではありませんけれども、それに協力をして熱心にあまりなっていなかったことは、これは私の不明のいたすところであります。しかし先ほど小池参考人からお話がありました通り、当時の情勢といたしましては、なかなか売れないので、これはいたし方がないと観念をしておったのでございます。先ほど八分の配当のことを申し上げましたが、一つは先ほど申し上げましたような電話収入の急激なる減少ということをある程度予想し得るときに、あまり高配当をすることはどうかということを考えておりましだために八分にしたのでありますが、同時にこれは最初から考えておったのでありますが、経済界もだんだんと立て直るに従って多くの会社がみな増資をしていく。これがもっと早く来ると実は私は考えておりましたので、この点は予想がはずれたのであります。この秋くらいからどしどしと、私は大きな会社がどんどんと増資をしていくだろうと思います。そうなりますと、みな今までの配当率でなしに、多少とも減配傾向を持ってくる、金利もゆるむということになりますと、八分もしくは一割というものが相当ないい配当率になるだろう、こう思っておったのであります。この会社は先ほど来お話がありましたように、公共の事業でありまして、しかも独占事業でありますから、もうけるというようなことがありましても、いたずらにこれを高配当にゆだねるということは私は慎しむべきことであろうと思っております。それよりは、それだけの金があるならば、機械の改良に回し、施設をどこまでもよくしてサービスをよくするということの方がまず先にさるべきことであろうと思います。ただこの会社といたしましては、前から、これは今申し上げるのではなく、当初から思っておりましたが、こういった会社としてまず一割というようなところが妥当であろうということを思っておったのでありますが、それをただ遠慮したにすぎないというのが私の感じであります。そういうような意味からしまして、小池君ほど明確な私は市場観測はいたしておりませんでしたけれども、約一年あればこれは完全に売れるということは実は確信しておったのであります。もうすでに二年たったので、そろそろそういうことを考えようと思ったら、突如としてこういうような法案が現われてびっくりしたというのが実情であります。
  158. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、大体今の社長のお考えは、お見通しでは、大体その株を増配して、そうしてこれを市場に売り出そう、そうしたらよく売れるのではないか、こういうことですか。ただ財界の変動によって相対的に売れるもの、こういうお見通しを持っておるのか、それとも積極的にたとえば増配というような手を打ってやろうというお考えなんですか。そのいずれなんですか。
  159. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) 金融機関にこの株をお持ちを願いましたときに、私はこういう言葉を使いました。単にこれは高配当の株で持っていくということはうそだ、でありますから、どうか優良な社債をお持ちになるような気持で持っていただきたいという一言を加えておきました。しかし株主としまして八分の配当に満足をされていないことはよく知っております。また私も会社をお預かりしまして、単に株主関係から申せばこれでとどまるべきでないという前から理念を持っておりました。しかし私は前々から常々申しておるのでありますが、株主関係、それからサービスの関係、それから従業員全体の給与の関係、これがウエル・バランスでなければいけないということを考えておりました。ただそのウエル・バランスを得ますまで、創業早々でありますので、その順序が多少とも狂うことはいたし方ない、こう考えておりましたが、五年あるいは七年先にはウエル・バランスした会社に育てるべきであるという、こういう理念でおったのであります。そういう意味からいたしまして、決して私は一割を拒否してはおらないのであります。ただそれを遠慮したというだけで、今回こういうような問題が起って、何でも一割配当するのだという宣言をして、そうしてやろうというほどの私は実は意思は今持っておりません。これは慎重に考えるべきことでありまして、ことでそういったことを申し上げるのは差し控えたいと思います。
  160. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は、財界の権威者でもございますし、相当の実力者でもございますので、多分衆議院であのような発言をされるところを拝見しますと、実はあの記事を拝見しまして、これは相当自信がおありになるだろうと、こう解釈いたしたわけであります。御承知の通り、これは郵政大臣の許可なくして増配もできませんし、処分もおそらくこれはできないということになっております。さらにそういう関係から考えてみますと、郵政大臣なりに内々内諾を得ておるのではないかと思いまして、また大蔵大臣あたりとも十分連係をとりながら、おれにまかしておけば大丈夫だと、こういう気持を一つお持ちになって、ああいうような発言をされたのではないかと思いますが、そういう事情がなくて、ただ一年たったならば何とかなるであろうという、そういう程度の観測の下に御答弁された内容なんですか。
  161. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) この問題が起って急遽郵政大臣のところに行ってどうであろうか、大蔵大臣のところに行ってどうであろうかと相談したこととは一ぺんもございません。そういうようなことはいたしません。むしろこの推移におきまして、できるだけそう持っていきたいということに対してある自信を持っておりましたから、そう申し上げたのであります。そういうような内諾を得たというようなことは全然ございません。
  162. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはもちろん政府株ですが、政府の持っておる株ですから、そういう動きは全然ないのですか。それで近く何かそういう動きでもしようというお考えがあるのでしょうか。一応売却するということになれば、これは五分の一を持ちましても向うでやはり五分の一の処分をしなければならない、そういうようなことを内々的に考えてあるのでしょうか。
  163. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) この問題は、こういう問題が起ってから急に考えたことでありまして、そういう気持を持っただけでありまして、今ここですぐにどうしようという考えは持っておりません。しかし大蔵省の方としましても、市場の情勢を見て、すみやかに、処分するという法律になっておりまして、大蔵省としても売らなければならぬ義務を持っております。従ってそれにできるだけ御協力をしてわれわれとしても進みたいと、こういう考えを持っておるわけであります。
  164. 久保等

    ○久保等君 ちょっと浜野さんに私は実情をお尋ねする程度の質問なんですが、先ほど会社になってからの国際電信電話というもののサービスがよくなったというお話があったのですが、これは非常に私はけっこうなことだと思うのです。しかしただ国際会社だけのすべての、たとえば機械それから線路、いわば国際だけの一手でやれておるような通信会社、そういったようなものはどの程度実際問題としてあるのか、それとも国内の場合相当やはり専用線を使っておると思うのです。公社の専用線を使っておると思うのですが、そういった実情をちょっと簡単に何割とかあるいは全部が全部やはり専用線を使っておるのかといったような実情をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  165. 浜野恭平

    参考人浜野恭平君) 非常にむずかしい問題でありますが、私の述べたのは、つまり公社会社との比較じゃなくて、会社はこうだったということで、もちろん公社の施設を利用して改善されておると存じております。ただわれわれの部門だけが接触する面だけが、会社が非常によくなったと、こう申したので、その後今のお尋ねに対する技術的な問題でどの程度かということは私存じておりませんので、まことにお答えしかねますが……。
  166. 久保等

    ○久保等君 要するに、だからテレタイプ等を末端の国際の、たとえばどこか会社等におつけになって、国外通信をやられるといろ場合も、実はその間無線で、国際のこちらの国内の施設から海外に向かって無線通信をやるという場合に、当然その間に有線の線路というものがあるはずなんです。だからその問題が少くとも通信のいわゆる有機的な一体性という意味からいくと、先ほど来非常に会社のサービスがよくなって、まあ渋沢社長の御説明でも非常に時間的な面でも、短かい時間の間に通信ができるようになったというお話があったのですが、私はしかし、その実態というものを、通信の回線の実態というものを分析をして見た場合には、国内にやはり有線の線路があるわけです。この線路のやはり実態はどうあるかということは、通信という一体性から言って、当然重要な問題だと思うのです。それはもうどこが悪くても通信としては非常な重大な支障を及ぼすのですから、当然私はその間、国際それから電々公社といったようなものは、実際に通信の運用の面においては、全くどこがどうということでなくして、いわゆる関連するのでなく一体となって非常によくなってきたという実情にあるんじゃないかと思うのです。そういった点で十分に具体的に御説明をいただければ、非常に御説明がよくわかったと思うのですが、ただ非常に国際の実態がよくなった、よくなったと言われますと、ちょっと聞きますと有線、無線すべての施設というものは何か国際の手だけを経てやっておるような印象を私は持つのです。特に先ほど来の御説明は、おそらく電報の場合、を主とて言われておったのですが、電話を若干御利用になっておると思いますが、その電報と電話との割合といいますか、料金面でもけっこうですが、おそらくほとんど貿易業者の方がお使いになっているのは電報だと思うのですが、電話は全然お使いになっておらないことはないと思うのです。どの程度電話の場合はお使いになっておりますか。
  167. 野口宗光

    参考人野口宗光君) 利用者全体の電話と電報の割合はちょっとわかりかねます。私の方の会社だけの金額の比率を申しますと、さっきも私全体の、要するに通信全体を一〇〇にして、電々公社関係は三〇%と申し上げました。国際電関係は五五%、郵政省は、郵便局ですね、一五%と申し上げました。これを今度同じ電々公社の中で国内電報とその国内電話の割合を比較して見ますと、私の方の会社の場合は、電報が……
  168. 久保等

    ○久保等君 国際の方だけでけっこうです。
  169. 野口宗光

    参考人野口宗光君) 国際の方は外国電報が五五のうち五三%です。電話は二%です。その五三と二と合わせたのが五五です。と申しますのは、電話は非常に各国とも時間の時差の関係がありますから、ニューヨークに夕方電報を打っても、また向うは何しておりませんし、電話は向うにとめ置くとか、予告して置くとか、自宅へ電話をかけるとかいうので、その時差の関係で利用率が少ないのです。そういったのが実情です。もちろん電話の関係は相手と、直接に外国商社と電話をしますときには、相手がスペイン人だったらスペイン語でしゃべらなければならない、ドイツ人だったらドイツ語、でしゃべらなければならないという非常な何があるのであります。ところが電報で打てば英語でいきますし、ドイツに打つ場合はドイツ語を使って打ちますし、南米にはやはりポルトガル語、スペイン語を使って打ちますから、その土地の交換手の用語のネット等がなくなりますから、どうしても電報の方が主になります。記録が残りますからどうしても電報になります。電々公社の方は三〇%のうち電話の方が二七%、それから電報の方は三%、これに入れる国内のテレタイプ、いわゆる専用線を入れますと少し比率が変ってきます。それから郵便のほうは御参考までに申し上げますと一五%、国内郵便が三%、外国郵便が一二%、大体そういう割合になっております。
  170. 久保等

    ○久保等君 ちょっと濱野さんに。先ほど一つ一番最初にいろいろ御説明を願った際に、御説明の中に、料金問題について、国際会社と適当に話をして、たとえばサービスがよくなったのも問題でして、問題によっては話し合いで適当にきめられるので、その点非常に都合がよくなった、ところが公社の場合はそうはいかないのだというような御説明があったのですが、また先ほど委員からの質問に対する御答弁では、国際間においては当然そういった料金協定というものがあるので、そうは勝手にできないのだというような御説明もあったのですが、確かに国際協定があって、簡単に電信電話料金の変更というようなことはまあ現在の会社そのものもなかなかなし得ないところだと思うのですが、しかし実際の運用面で、何か一番最初の御説明のときには、何かそういった事例があったような御説明があったのですが、そういう場合は実際にあったのですか。
  171. 浜野恭平

    参考人浜野恭平君) ただいまのお尋ねに対しまして、私の申し上げたところで、料金とかその他の問題が私ども会社では非常にしやすくなったということであります。これは料金は一律の場合は、たとえばローマ字の問題とか、それからある国に向かせるときの料率、逆に外国のある国から日本へ打つ電報料が非常に安いのに、日本からその国に打つ電報料は非常に高い、同じ国でありながら。たとえばイラクでありますと、こういうことを調整して参りますと、案外これは早く安くなった事例があります。かように全体の電報料というものは、お説の通りに国際協定でやりますから簡単にはいきませんが、個々の場合、個々のケースにつきましては会社ができてから相当成功をいたしております。これは公社だったらできんとは私は決して申し上げるのではございませんが、何か簡単に非常に早く安くなった、それもそう簡単ではございません。ずいぶんわれわれ協力、努力してできるわけでございますが、とにかく相手になって下さる方がいつもよく知った方、つい人間というものはそういうもので、小さい社会になりますと、コンタクトが非常によくなる、そうすると向うもよく知るし、こっちのこともよく知って下さる、そのためにそういうことが早くいったのだろうと想像いたすので、公社関係におきましては、われわれの団体では電話だけなんで、先ほどのお話で、対外通信が早くなった大きい原因としましては、新設の機械、プリンタータイプというのを作ったということのほかに、やはり公社の御努力で東京大阪間の電話が非常に早くなった、これが対米通信が早くなった相当大きい原因だろうとわれわれは感謝をいたしております。そんなふうでまだ全体の料金問題には取り組んでおりませんが、そういう心がまえを私は持っているということを申し上げたわけであります。
  172. 久保等

    ○久保等君 最後に渋沢社長にちょっとこの際お伺いしておきたいのですが、先ほど来いろいろ御説明をお聞きいたしまして、またそれから従来の経過を考えてみましても、国際会社自体がいわば非常に、私はもちろん今日の成果というものは、これは社長以下全従業員のなみなみならぬ努力の成果だと思うのです。しかし従来の沿革をたどって考えても、会社そのものとしては非常に経営のしやすい、採算という面からいくならば、非常に楽な会社だと私は思う。そこでこの会社がそういう非常に採算の面からゆけば楽な会社であり、同時にまたこれが非常に重要な公共事業であるという立場から考えた場合、また利用者の面から考えた場合、当然料金問題というものは、先ほどもその利用者の、大口利用者の方々の御意見にもありますように、やはりサービスの、これはむしろ中心的な問題だと思うのです。昨年あたりいろいろな諸経費を差し引いても約七億円の利益が上ったという実情にあるのです。そういう点から考えまして、私はことで社長渋沢さんも決定的な御意見を言われることは困難だと思いますが、しかしそういった料金問題に対して、今後私は少くとも相当やはりお考えになっておる面もあるのじゃないかと思うのですが、その点についてはどんなふうな、今後の料金問題についてのお考えがもしお伺いできればお聞かせ願いたいと思います。
  173. 渋沢敬三

    参考人渋沢敬三君) これは重大な問題でありますので、軽々には申し上げられませんけれども、料金は国際協定でパリの条約によってきまっております、金フランで話がきまっております。これをいかなるその国の通貨によって換算するかということによってきめられておるのでありまして、原価的なものではありません。従ってとの問題は世界各国でも実は問題になっております。世界各国の海外通信の会議でもたびたびいかにすべきかという問題はございます。ただし現在のままにおきましての条約の上では、これは何ともいたし方ないのでありまして、いじれるのはごくわずかなパーセンテージを占めている保守料だけであります。しかしこれは非常にわずかなパーセンテージであります。問題はむしろそこへ持っていくことも何でありますが、業者の方々と緊密な連絡をとってやらなければならぬのは語数の使い方であります。いかなる電報を打つかということで非常に違ってくるというようなことが非常に大きな問題として考えられる点であります。同時に先ほど来から迅速であることと、正確であること、これのサービスを上げなければ外国貿易の道具としての海外通信の意味をなさないのです。そういう点に今全力を尽しておるということを申し上げます。今ここで料金がどういうことになるだろうかということに対しては私は今のところ言明はできません。
  174. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 他に御質疑はございませんか。  それでは参考人方々には暑さの中を長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせ下さいまして、本委員会の審議に資するところ多大なるものがありましたことを、ここに衷心からお礼申し上げる次第でございます。  これにて本日の議事は全部終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会