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1955-03-28 第22回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十八日(月曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     瀧井治三郎君    理事            左藤 義詮君            柏木 庫治君            永岡 光治君            三木 治朗君    委員           大野木秀次郎君            島津 忠彦君            津島 壽一君            野田 俊作君            廣瀬 久忠君            久保  等君            八木 秀次君            最上 英子君            市川 房枝君   国務大臣    郵 政 大 臣 松田竹千代君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    郵政省電波監理    局長      長谷 慎一君   参考人    日本放送協会会    長       古垣 鉄郎君    日本放送協会理    事       岡部 重信君   —————————————   本日の会議に付した案件放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  送付、予備審査)   —————————————
  2. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) これより逓信委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求むるの件を議題にいたします。  本日は過般の御決定に従い、参考人といたしまして、放送協会の古垣会長及び岡部理事が出席されております。  まず、日本放送協会昭和三十年度収支予算事業計画及び資金計画について、古垣参考人から御説明お願いいたします。
  3. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 最初に本委員会におきまして、昭和三十年度日本放送協会事業計画収支予算並びに資金計画につきまして御審議をいただいておりますことを厚く御礼申し上げます。私どもの提出いたしましたこの事業計画の大綱につきまして御説明申し上げます前に、一言前年度来の経緯につきまして申し上げたいと存じます。  昨年、昭和二十九年度事業計画等の御承認を受けます際に、種々論議をお尽し下さいまして、協会使命達成のために、最低限必要な収入を確保いたしますため、受信料の改訂をお許しいただきました結果、二十九年度中における協会事業運営はおおむね円滑に行われました。また御承認の際、付帯決議をもって御要望になりました難聴地域解消、その他の諸点につきましても、鋭意努力いたしました結果、ほぼ御要望に沿い得られるものと考えるに至りました。御存じの通り、この三月二十二日に日本放送協会は三十周年を迎えました。この時に当りまして、私どもは過去三十年間のNHK発展あとを顧み、この間にお寄せ下さいました皆さま、特に本委員会委員各位の御援助を深く感謝いたしますとともに、私どもみずからの付託がいかに大きいかということを痛感いたしまして、この三十年度事業運営に当るつもりでございます。  さて、昭和三十年度事業運営について御説明申し上げますが、まずラジオ分野におきましては、全国あまねく受信できるように難聴地域解消老朽施設改善並びに教養報道慰安放送及び地域社会に直結する放送番組内容充実をはかることに主眼をおきますとともに、経営管理面におきましては諸経費の節減に留意いたしまして、一段と業務合理化ということに努める方針であります。また、テレビジョン分野におきましては、すみやかに全国放送網を確立する方針の下に、本年度中に広島福岡仙台の各地にテレビジョン局建設いたしますとともに、東京大阪名古屋の各テレビジョン局施設改善にも努めたいと存じます。同時にテレビジョン放送番組重要性を一そう考慮いたしまして、その内容充実刷新をはかる計画でございます。そのほか協会性格上、特に重要な研究部門、すなわち技術研究放送文化研究のこの二つ研究に一そう力を入れまして、これを充実いたしたいと存じます。また、国際放送はきわめて大きな見地からその向上、強化ということが要請される点を私どもも痛感いたしまして、その点に重点を置きまして、事業運営を進めることといたしたいと存じます。  次に、ただいま申し述べました主要な項目にわたりまして、繰り返し御説明を申し上げたいと存じます。  まず、難聴地域解消についてでありますが、協会放送法によります新法人として再発足いたしましてから、全国あまねく受信できるようにするため、特に放送施設建設改良重点を置き、当初三カ年の計画をもちまして、年々中継放送所五局の建設、第二放送施設十局の整備その他の計画を推進し、日本全国百パーセント良聴化を目ざして施設拡充をはかり、二十九年度末には良聴区域が第一放送におきましては九八・六%に、また第二放送におきましては九三・七%になることを予定いたしており、さらに今後は、わずかではありますが、残された聴取困難地域に対しましても、放送文化普及をはかるため、昭和三十三年度までに第一放送は九九・五%、第二放送は九七・一%まで良聴区域を広めていきたい所存でありますが、その一環として、三十年度におきましては中継放送所二局の建設福岡ほか三局の増力、第二放送八局の整備等を案施いたす計画であります。  次に番組の面におきましては、公共放送使命にかんがみ、国民の要望にこたえ、わが国文化水準向上に寄与することを念願といたしておりまして、青少年教育番組社会、婦人、農事、産業等教養番組、迅速正確な報道番組、健全明朗な娯楽番組充実は、NHKが多年にわたって最も力を尽して参つたところでありますが、三十年度におきましてはさらに一そうこの面の充実刷新に努めたいと存じます。  また地域社会に直結するローカル放送におきましては、二十九年度量的拡充をはかり、地域社会に必要な情報の提供、地域性ある慰安番組製作等に努めましたが、三十年度におきましては、さらにこれを質的に強化し、地方の行政、地方産業地方文化向上に寄与させるとともに、これを推進するのに役立つような番組を送りたいと考えております。  テレビジョン放送につきましては、すでに東京大阪名古屋三局の放送実施により全国世帯の三二・六%をカバーし、受信契約者数も着々増加の傾向にありますが、協会としてはさらに一段とテレビジョン全国普及に努力すべく置局計画のすみやかな達成をはかる方針でありますが、三十年度においては電々公社マイクロウエーヴ計画の進展とも見合せまして、年度内に広島福岡仙台三局の開設を見込み、また東京大阪名古屋の諸施設改善をはかることといたしております。またテレビジョン番組につきましては、テレビジョン放送開始以来満二カ年以上をけみしまして、この間の経験により、テレビ番組の独特の性格もほぼ把握し得られましたので、これらを細密に検討して、あくまでも公共放送としての協会使命達成のために、テレビ番組がいかにあるべきかということを十分具体化いたしまして、教育番組充実一般家庭を対象とした健全明朗な娯楽及びニュース、スポーツその他の中継放送等重点を置きながら、豊富多彩な番組を編成したいと計画しております。また番組面においてラジオテレビジョンの兼営の妙味を発揮すべく、両者の併用番組増設有機的連繋確保等に力を尽し、一面合理化また質の向上に力を尽したい所存であります。  次にテレビジョン普及開発の問題でありますが、安価良質テレビジョン受信機量産が各方面から要望せられておりますので、NHK研究所では一〇インチの普及型簡易テレビジョン受信機を設計し、メーカーの参考に供し、その量産化に協力しております。またセットの保守維持につきましても、東京大阪にサービス・ステーションを設置するとともに、所在の放送局にも相談設備を設けまして、受信者の便をはかり、他方技術講習会等による修理技術者の養成、共同聴視施設に対する技術指導受信障害雑音防止運動実施等により、テレビジョン受信機普及促進に努めておりますが、三十年度はさらに、これらの諸施策を強力に実行する計画であります。  以上放送事業の現在の運用面について三十年度の諸計画説明いたして参りましたが、翻って放送の将来の発展に思いをいたすとき、技術並びに番組の基礎的並びに実用的研究技術研究番組研究という大きく二つに分けたものの研究を瞬時も怠ってはならない。これは将来の発展のためにきわめて重要であるという点を私どもは痛感いたすのでございます。そこで三十年度におきましては、この方針のもとに、技術研究面では、放送音質改善機器能率化受信機及び受像機簡易低廉化テレビジョン撮像管研究カラーテレビジョンUHF帯テレビジョン研究、トランジスターの研究新型機器の試作、国産化研究等重点を置き、放送文化研究面では科学的世論調査実施放送番組研究放送博物館の設置、運営等主眼を置き、その成果は広く内外に公開して、わが国技術水準向上放送進歩発達をはかる計画であります。  次に、国際放送についてでございますが、御承知通り、戦後は昭和二十七年二月から国際放送を開始いたしまして、最初は五方向、一日五時間、二カ国語の微々たる放送でありましたが、その後各方面の御理解と御同情によりまして、その規模も年々拡充されまして、昨年の四月から海外十二方向に向けて十二時間、十二カ国語をもって放送するというように強化されまして、文化の交流と、国際社会親善に大きく寄与することができるようになったのであります。しかし何分にもこの国際放送におきまして、予算その他の制約がいろいろございます。放送出力番組内容等においてはなお諸外国に比しまして遜色を免れない実情にありまして、私どもとしましては、最善を尽してこの国際放送向上に努力いたしたい所存でございます。従いまして昭和三十年度におきましては、さらに番組内容充実し、全世界わが国実情を伝えるとともに、日本固有文化の紹介にも努力し、世界各国理解を深め、国際親善に寄与する一方、貿易の振興に寄与いたしまして、わが国経済復興の一助にいたしたいというような考えのもとに国際放送をやって参りたいと存じます。  次に経営管理の面におきましては、できるかぎり事務簡素化と、業務の合理的な運営を行いまして、能率向上刷新をはかりたいと考えております。また人件費につきましては、従来とも企業の健全な発達従業員特殊性を考慮いたしまして、その待遇向上に努めておりますが、三十年度におきましては、社会経済の動向と協会予算とを勘案いたしまして、一応前年度昭和二十九年度水準を保つということにいたしました。しかし従業員待遇改善につきまして、私ども現状をもって十分と考えているわけではありませんので、社会水準を考慮し、三十年度におきましても、二十九年度予算承認の際の国会付帯決議の御趣旨に基きまして、能率向上による事業経営改善により、極力増収と節約とを実現いたしまして、従業員待遇改善をはかっていきたい所存でございます。  最後に、このような事業計画遂行の基本となる財源につきましては、受信料を前年度通りラジオ月六十七円、テレビジョン月三百円と据え置き、建設資金のうち、支局増設計画分として、ラジオテレビジョンのおのおのにおいて放送債券二億円の発行を予定し、またテレビジョン事業資金として五億五千万円の借り入れを予定いたして、その資金に充てることといたしております。  以上が三十年度事業計画の大要でございますが、公共放送として重大な使命を負っておりますNHK事業運営につきましては、切に委員皆様の格別の御理解と御同情のもとに御審議をいただきまして、何とぞすみやかに御承認下さいますように心からお願い申し上げる次第でございます。
  4. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) それではただいまから本件の質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  5. 左藤義詮

    左藤義詮君 先日大臣にお尋ねをしておったのでありますが、非常に重要な、四月一日から放送協会が動かなければならぬこの予算が、非常に国会に御提案になるのが遅れておる。十二月に組閣せられましてから、選挙には非常に熱中せられたようでありますが、こういう大事な問題を今日まで遷延をせられて、私どもとしてはわずか数日でこれを審議しなければならぬ、非常に当方としましても迷惑なわけでございますが、先日大臣は、もしこれが三月三十一日までに通らなかったときには責任支出ということを考えなくちゃいかぬ、かようなお話でございましたが、どういう法的根拠責任支出をお認めになるのであるか。私どもの存じておる範囲では、放送法にはさような規定はないのでありますが、これに対してどうお考えでございますか。
  6. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 電波局長からお答えいたさせます。
  7. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) とりあえず私からかわって御説明いたします。  現在の放送法におきましては、御指摘のように、もしも放送協会年度計画なり、収支予算国会の御承認を得られなかった場合には、協会の独自の責任をもって支出してもよろしいというような条文は確かにございません。しかし一方現在の法律法文をいろいろ全般的ななにから考えてみますというと、前に電気通信委員会におきまして政府側から御答弁を申し上げたこともありましたように、万が一この年度末までに放送協会の御承認が得られなかった場合に、果して四月一日以降どうなるかということにつきましては、一応放送協会の現在行なっております非常に重要な放送業務遂行ということから考えまして、この協会責任支出によって、この重要な事業がとだえない、とだえてはいけないということから、責任支出によって継続されるということを、法の条理の上から考え認めざるを得ないのではないか、こういうことを申し上げてきておったわけであります。もっともこの協会責任支出考えますことは、協会予算に対して国権の関与と申しましょうか、国会の御承認を得ることが必要事項となっておるという現行放送法建前上から考えますと、決してこれはもう妥当なものとは考えておりませんが、現行法のままで、もし御承認を得られなかった場合はどういうことになるかということでありまするならば、先ほど申し上げましたように、協会の行なっておる仕事の重要性から考えまして、一応責任支出というようなことを認めざるを得ないのではないか、こういうふうに解釈をせざるを得ないということで、先般来そういうような御説明を申し上げてきておったわけでございます。
  8. 左藤義詮

    左藤義詮君 その点は私どもも非常に疑義がございますが、まあ、あとにいたしまして、そういうふうに、どうしても追い込まれてやむを得ないのだ。まあ法を無視するというか、あるいは法の盲点をつくというか、ほかに道がないという、まあ非常に消極的な御解釈でございますが、さようにいたしまして責任支出をしたそれを国会においてどうしても追認が得られなかった。それで責任支出をしてしまったが、これに対して国会追認をいたさなかったというような場合に、誰がその責任をおとりになるのであるか。
  9. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申し上げます。御承知のように現在の放送法におきましては、国、あるいはいろいろな公社の財政の立て方、予算の取扱いと違っておりまして、ほかの場合には国会の御決議がなければ支出ができないことにはっきりなっておりますが、協会の場合にはそういうことがございませんので、ただいま申し上げましたように、万が一年度末までに御承認が得られないで、その後責任支出の形で事業の継続を行なった場合の責任は、これはもっぱら放送協会にある、こういうふうに私ども考えざるを得ないのであります。
  10. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうすると放送協会国会承認しなければどんどん責任支出をやる、それについてはあと追認を求めない、国会を無視して、自分たち責任支出をやむを得ぬからやるのだということを、政府としては御了承になっておるのでありますか。
  11. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申し上げます。決してそういうことを政府としましても積極的に認めておるわけではございませんで、現在の法律においてそういうことになった場合はどういうことになるかということになりますと、そういうふうに解釈するよりほかにないのではないか、こういうふうに存じますので、そういう意味におきまして、はなはだ御無理かとも存じますが、なんとか年度末までに御承認お願いするより方法がない、こういうふうに思っておるわけであります。
  12. 左藤義詮

    左藤義詮君 積極的に解釈しないが、消極的にはやむを得ない。やむを得ないことに追い込まぬようにしろ、この数日間で無理でもなんでもやれ、かようなことですが、積極的には法的な根拠もない、しかし消極的にはこれはやむを得ない。これに対しては追認をもう受けなくても、国会を無視して、国会なんかと関係なしに、数日、あるいは数カ月間の責任支出をしてもいい。これと国会とはもう何も関係がない、追認も受けないのだ、責任支出のやりっぱなしであるという御解釈でありますかどうか。
  13. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) 追認をしなければならないとか、あるいはそういうような条文もただいまのところははっきり現行法においては明らかでございませんので、その点を明らかに申上げなかったのでございますけれども、実際問題といたしましては、放送協会予算につきましては、協会はもちろんのこと、政府といたしましても国会の御承認を得るように努力をいたすわけでございますから、私どももそういうような万が一の場合が起ることを期待はいたしておりませんけれども万が一年度末までに御承認が得られなかった場合が起りましても、できるだけ短時日の間に年度としての予算の御承認を得る。またおそらく責任支出というようなことが協会経営者なりの御責任のもとにおいて行われたといたしましても、常識上から考えましても、従来の経常的な範囲を出るものとは考えられませんので、おそらく御承認を得ておる前年度予算なり、事業計画の中に包含せられておる範囲内と思われますので、追認という法的な手続は別といたしまして、実質上は国会追認お願いをするということにはなるだろうと存じます。それらの点も現在の法文上からはきわめてはっきりいたしておりませんことは事実でございます。また、責任支出の場合は今申上げたようなことといたしましても、果して収入、つまり受信料というものが徴収できるかというようなことも問題になって来ますので、私どもといたしましては、多分に法的な解釈において問題もございますので、この際はまずとりあえず三月三十一日までに、いろいろ御無理の点のあることは恐縮に存じますけれども、御審議の上御承認あらんことを切にお願いをいたすわけであります。
  14. 左藤義詮

    左藤義詮君 私の質問と違った答弁ばかりしておられるので……。これを承認するかしないかは、私ども常識はあるつもりですから、それはお説教を聞かなくても、私どもとしては考えておるのですが、しかし、筋をはっきりしておきたいと思うのであります。これは大臣が、承認をしない場合は責任支出をするの、だとおっしゃったから、その法的根拠を伺いたい。それがもし、だれの責任一体支出をするのか、法的に何も根拠がないことはない。経営委員会責任をお持ちになるのか、あるいは大臣責任をお持ちになるのか。それを追認の必要もない、どうせ前年度を通じて予算のうちに含まれているのだから、どうせあとから承認する、だろう、こう考えられておりますけれども、現在の政府少数与党でやっていらっしゃるのですが、もし国会承認が得られなかった場合はどうするのか。不当支出をした責任はだれがお負いになるのですか、それをはっきりしておきたいと思うのであります。
  15. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) ただいま御質問のような場合が万が一起りました場合には、それは放送協会経営委員会責任だと考えざるを得ないのであります。
  16. 左藤義詮

    左藤義詮君 この予算放送協会としては政府と連絡をとって、相当事前に政府お願いをしているわけでございますが、それが十二月の組閣以来今日までじんぜん日をむなしうして、そうして今になって、私どもが非常に審議の困難な状況に追い込んで、そうしてその責任支出をした責任については放送協会に負わせる。政府としては一向責任をお感じにならない。法的には責任はないのであるか。
  17. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 左藤委員の御心配下さる点はまことにもっともなことがあると存じます。また、この案件をもっと早く提出しなかったことに対してもまことに相済まぬことだと考え、その上に短時日のうちに御承認お願いするということの無理な点のあることもよく承知いたしておりますが、何分にも放送協会関係放送法なるものに対しても、御心配下さるような疑義のあることもかねてから承知いたしておりまして、従って放送協会それ自体性格を明確化するために、全面的にこの放送法自体の再検討ということもいろいろの方面から検討しつつある状態でございまして、まだ結論を得るに至っておりませんけれども、そういう状態でありますので、現在のところといたしましては、御無理なことでございまするけれども、やはり放送事業を一日も停止するわけに参りませんので、この三十一日までに御審議お願いするということになったわけでありまして、万一これが三十一日までに御承認を得られぬということになりまするというと、今電波局長から申し上げたように、放送経営委員会責任において支出するよりほかにないというような状況にあるという現状でございますので、それらの諸般の事情をお考え願いまして、特にこの場合御承認をたまわりたいと、こういう建前になっている次第でございます。
  18. 左藤義詮

    左藤義詮君 どうも私の質問と的がはずれてしまうのですが、これを審議するしないは私ども十分考えておりますので、そのことでなしに、いつもそういうふうに押しつまらなければならないようなことにしないように、そういう場合には、どうしてもやむをなければ責任支出だとこの間おっしゃいましたから、責任支出をなさるおつもりであるならば、われわれとしては無理をしなくてもいいわけなんですから、ゆっくり審議すればいいわけなんですから、責任支出はだれの責任でするのか、今のお話では経営委員会責任だ、もしこれを国会承認しなかった場合には、経営委員会国会が衝突するわけである。そういう場合には、これだけ監督の立場にある、意見を付して国会にお出しにならなければならぬ郵政大臣としては、それが非常に政府の都合上遅れた、かようなことで経営委員会をそういうことに追い込んだその政治的な責任は全然お持ちにならないのですか。あるいは法律的な責任もなくて、ただ経営委員会責任でやれというので突き放していいものであるかどうか。そういうふうな一体監督官庁というものは無責任なものであるのかどうか、その点をはっきり伺っておきたい。
  19. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) 最初に私からその辺の経緯を申し述べまして御参考にさしていただきたいと思います。  御指摘のように確かに現行法のもとにおきましては、協会年度予算年度末までに国会の御承認が得られなかった場合の処置につきましては、何と申しましょうか、法の欠缺と申しますか、そういう点があるように見られることは御指摘通りでございます。ただその場合に、この放送協会性格から見まして、ほかの公社などとは同じようには考えられませんので、その場合の法的な処置というものにつきましては、法の解釈上からいろいろな方法もございまして、前の電気通信委員会におきましても皆様方からもいろいろ御研究の上、私ども指示等もいただいてきておったのでございますが、いろいろ政府部内及び部外の法律関係の方々の御意見々聞きましても、法の解釈上いろいろ問題がございます。一応政府といたしましては、国会の御意見によりましては、政府といたしましても、この法の欠缺を補充するような、放送法の一部改正というような点につきましての処置も検討をいたしております。場合によっては御審議を願うような心がまえもあるのでございますけれども、現在におきましては一応現行法にのっとって政府としてなすべきことである協会年度予算の提出をいたしまして、国会の御意向によりまして、それ以上の処置をすべきだということになれば、そういう考えなり準備も実はいたしておるのでございますが、何と申しましても、差し迫って時日上の余裕がない状態でございますので、まず第一に年度予算の御承認お願いすることが先の問題ではないかということで、ただいまのところ年度予算の御承認という形でだけ御審議お願いするような手続なり順序を踏んできておる次第でございます。
  20. 左藤義詮

    左藤義詮君 ちょっとお話が変って参りまして、先日大臣は、これが承認はぜひしてほしいが、承認年度内にできぬときには責任支出だ、ところが一方、今政府委員お話では、そういう場合にはこの法の不備を補うような一部改正を出すような準備をしているのだ、責任支出でほおかぶりをしておやりになるのか、それをお出しになるおつもりか、どちらに今中心を置いておられるのですか。
  21. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申上げます。私の申上げようが不十分であったようでありますが、現行法において、もしも年度末までにこの年度予算の御承認が得られなかった場合にはどうするか、こういう御質問でありますならば、先般来やはり大臣からも、また私から先ほど申し上げましたように、現行法のもとにおきましては、協会責任支出ということによって、重要な事業の継続だけは中断されないようにするということが、条理的にもそう解釈せざるを得ないだろう、こういうことを申し上げておったわけでありますが、それに対して何ら法的な欠陥なり欠缺というものを認めないのか、それに対して政府研究をしておるかということでありますが、ただいま先ほど申し上げましたようにいろいろ各方面の御意見、あるいは法制局等との検討もいたして研究はいたしております。しかし、これは万事一にかかって国会の御意向によるわけでございますから、国会の御意向によりまして、もしも法改正をすべきということでありますならば、そのほうの研究もいたしておりますということを御参考に申し上げたわけでございます。
  22. 左藤義詮

    左藤義詮君 このお話が出ましたので、それじゃさかのぼりますが、この問題も含めまして、放送法にはいろいろ実情に合わない点がある、放送法のぜひ改正をいたすべきだ。すでに一部他の問題について改正案も出ましたが、これは全体的に一つ考えるべきだというお話で、今日まで政府としては十分研究しているはずであります。前内閣当時においても衆議院には小委員会まで作ってやっておるはずでありますが、それに対して鳩山内閣成立以来、どれだけの努力をしていらっしゃるのか。現在こういう問題にぶつかって一部は通す準備だけしているとおっしゃいますが、それは一部だけとりあえず出すおつもりであるのか、放送法全体についてもう少し根本的にお考えになっているのか。これは私、現内閣、特に現大臣になりましてから、この問題にどれだけの熱意を持って取り組んでいらっしゃるか、またその準備がどの段階まで進んでいるのか、こういうことまで私ども心配するようなことにしないで、根本的にこういう問題も含めて解決する御用意があるのかどうか、また、それをいつごろ放送法の改正を国会に御提案になるのでありますか、新大臣の一つ御構想を伺っておきたい。
  23. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) ただいま電波局長から申し上げましたように、この放送法疑義のある点について一部改正するという問題の研究は、やっておることは今申し上げた通りでございます。その放送事業の全般の発達から見まして、あらゆる面から現在の放送法について検討を加えて、時代の趨勢に伴ったものに改正をしていく要があるということは、これは御心配いたされました左藤委員と御同感でありますが、しからばそれじゃそういう改正法をいつ出すのか、今もっぱら研究中でございまして、確定的に、いつまでに出すということのいまだ決定的な線は出ておりませんが、全般的に研究を続けておるということだけは申し上げられます。いずれまた一部改正のみならず、さらに進んで広範囲の改正についても大いに各方面からその要望もあることでございまするから、研究を急遽進めていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  24. 左藤義詮

    左藤義詮君 放送法の改正もなかなかこの問題の解決には間に合はないようでございますが、そうしますと、今の責任支出の問題になりますが、政府としてはあまり責任をお感じにならないので、放送協会経営委員責任を負わして、どうしても公共放送が一日も休めないからやっていく、こういうことですから、いろいろ私も問題あるのですが、そういう場合には、受信料につきましても、国会承認を得なくても、協会責任において徴収になるかどうか、受信料そのものにもいろいろな問題がありますが、これを国会承認しなくても、もしこれが一カ月、二カ月国会承認しなかった場合には、そういうときにはやはり経営委員責任において受信料は徴収なさるのであるか。
  25. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 聴取料につきましては、先ほどの、この経営委員会から責任支出をするという以上に、さらに左藤委員の御心配下さるように取りにくいのではないかというふうにも考えられるのでございますが、これは一時お預りいたしていくといったような考え方で御承認を……、完全な改正法に基いて、そうして当然取れるような形が整うまで一時預るというようなことでも考えなければならんのではないかというようなこともあろうと思います。詳しいこの点については説明員から説明させたいと思います。
  26. 左藤義詮

    左藤義詮君 預りというのはどういう意味ですか。
  27. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) まあ徴収することは従来通り徴収するが、もしそれが、どうしてもいけないのだということになれば、返さなければならんというような場合には返せるように、一時預りというような形でもとらなければならぬのだというようなことも考えられます。
  28. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) 補足的に私から御説明申し上げます。確かに御指摘のように、放送協会受信者から集めることのできる受信料というものは、月額は、放送協会年度予算国会の御承認があることによってきまることになっております。一方現在の放送法の三十二条によりますというと、協会放送を聞くことができるような設備を持っている人はだれでも放送協会と契約を結ばなければならぬことになっております。その受信契約の中で、月額幾らという料金を納める、その額そのものは、予算国会で御承認になることによってきめられるということが三十七条できめられておる。従いまして、もしも万が一の場合国会の御承認が得ることができませんで、従って受信料というものの月額がきまらない形でございましても、別の条項による受信契約というものは放送協会と聴取者との間には厳と存在しておる。ただ納める料金がきまらない、こういうような解釈ができてきます。従いましてただいま大臣からお話しになりましたように、もしも料金値上げとか云々というような問題でもなければなおさらのこと、従来と同じ国会の御承認があるまで同じ額の受信料というものをお預りする恰好でして、そうしまして、後に国会の御承認ができまして的確に受信料というものがきまりましたならば、それによって必要ならば調節をやる、こういう考え方ができるのじゃないか。又、実は法律家の間では、法的解釈としまして、そのような場合も全然受信料というものは何らの形でも受け取れないという御解釈をされる方もあります。あるいはまた、従来と何ら変らずに受信契約というものは厳としてあるのだから、従来と同じだけの料金は堂々と取れるのであるという解釈をされる方もございます。先ほど申し上げましたように、取れるにしましても、一時預りの形で取るよりほかはないだろう、こういうような御意見もありまして、いずれかというと受信料の徴収ということは非常に困難であるということには大体みな意見の一致を見ているような状態でございまして、私どもとしましては、なるべくこういう状態にはいたしたくはないと考えておるわけでございます。
  29. 左藤義詮

    左藤義詮君 法律家ってどこの……、最高裁判所できまったわけじゃないと思うのですが、どういう意見をどういうふうにお集めになっておるのか知りませんが、事実上はなかなか困難だ。なるほど契約はあるでしょうけれども、料金のきまらない契約なんというものは、極端に言えば、料金さえ払えばいいのだ、一厘でもいいし百円でもいいわけです。私はただいまのような御答弁ではこの問題は解決しないと思うのですが、そういうことのないようにというので、私ども放送法の問題で特にこういうことがひっかかってくる場合に、政府としては誠意を示して一部改正をして、こういうことのないようにしなければいかぬ。国民全体のものである公共放送にそういうようなあいまいな問題を残してはいけないというのが私ども考え方でございますが、はなはだ私ども政府の御答弁には不満足であります。  ことにもう一つ伺いしておきますが、国際放送に対して交付金を政府から御交付になる。三十年度は五千五百万円以上計上してあるようですが、これは政府昭和三十年度予算には盛られるか盛られぬかも、私は予算委員会でお伺いしているのですが、きまっていない。国会審議どころかまだ提案にもなっていない。そういう不安定なものを私どもが三月三十一日これを承認をして、われわれの責任が果せるかどうか。これは大臣の偉大な政治力できっとできるというふうにおっしゃるかもしれませんが、しかし、財政法その他の根拠から見ますれば、こういう国家がまだ予算も決定していないものを、協会予算にわれわれが承認していいかどうか、これに対してはどういう意見を持っておられますか。
  30. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お説の通りでございますが、これは前年度の額をそのまま見込みとして入れておるだけでございます。で大体前年度と同額の五千五百万円というものを御承認得られるであろうという予想のもとに見込みとして入れておるという状態でございます。
  31. 左藤義詮

    左藤義詮君 前年度と少し違うんですがね、金額も……。それから承認を得られる、だろうと……、国のほうでは、これをお出しになる郵政大臣のほうでは、まだ予算を閣議でも決定していませんし、提案にもなっていない。国会審議も得ていない。そういう不安定なものを協会予算にわれわれ承認していいかどうか。もしこの内閣がこの予算を一兆円予算範囲でできないことになる、あるいは内閣が途中でつぶれたというようなことになれば大へんなことになると思うんですが、事実上は大臣の政治力、鳩山内閣の偉大な存在を私どもは疑うわけではございませんけれども、筋としては私は非常な妙なことになると思うんです。これでいいのでしょうか。
  32. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) いや、御心配下さる通り、筋としてはまことに遺憾な点はございまするが、これもこういう場面が例年通りになっておる次第でございまして、この予算五千五百万円というものは前年通りであります。例年のやり方もそういうような形になっておる次第であります。
  33. 左藤義詮

    左藤義詮君 これも私どもは納得できませんが、保留しておきまして、大臣が御就任の際いろいろ新聞等に御発表になった御意見の中に、まあ実は思いがけなく郵政大臣になったので十分なことはできないが、自分も国際的な問題については関心を持っておるので、国際放送についてはうんと力を入れる、こういうことを新聞紙上等で拝見して、非常に私も喜んでおるのでございますが、あの御意見は前年通り国際放送をなさるということであるのか、非常な方法をもって前内閣、吉田内閣とは違って、国民にアピールしておやりになるようですが、そういうような公約の一つとして、予算をうんとおふやしになるという、国際放送をうんと充実するという、郵政大臣の最も大きな仕事の一つとしてここに力をお入れになる、かように私ども受け取ったのですが、これに対しては前年度と同じだけの予算しかお取りにならないのかどうであるか。まあ初めから戦わずしてそういうふうになされるのか、あの放送はから放送であったのかどうか。
  34. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 予算の額におきましては、むろん本年度は五千五百万円という見込みだけを入れて御承認を求めている次第でございまするけれども、むろん私はこの国際放送の現代の重要性、ことに日本の現状から見て、国際的影響を最も強く受ける立場にある日本といたしまして、貿易の面からもわが国の姿をあらゆる面において海外に周知徹底せしめて、よってもって経済的にも文化的にも社会的にも、あらゆる点からわが国実情を海外に知らしめるということにおいては、私はいろいろ手段もありましょうけれども、この放送事業は、海外放送は最も重要な働きをなし得るし、また、むしろ金の上からいっても比較的に安上りにもできるのではないかと私は考えておる次第でありまして、従って金額そのものは本年度内は、ただいまのところでは前年通りになっておりますけれども、そういう考えをもってしてこの海外放送監督していく上において極力これに力を入れて、その方面からわが国の海外放送事業重要性をさらに内外に再確認せしめていくようなところまで持っていきたいものだと考えておる次第でございます。
  35. 左藤義詮

    左藤義詮君 そういたしますと、この国際放送に対する大臣の御抱負は、昭和三十一年以後に予算に現われるのであって、昭和三十年度は、ただそういう心がまえだけであって、具体的には予算の裏づけというものは前年とちっとも違いない。およそ民主党内閣の他の公約と同じように画に描いたもちといいますか、財政的な裏づけはできないが、その心がまえだけはある。それが実現するのは三十一年以後になる。郵政大臣が三十一年まで御勤続がなければ、予算の上でも国際放送というものがもっと拡充されるということは期待できない、こういうふうに承わってよろしゅうございますか。それともここでは一応こういうように予算には組んであるけれども、いよいよ政府の本予算が出るときにはもっとこれを拡充する、予算の裏うちをもっと大きくするという御抱負をお持ちになっておるのであるかどうか。
  36. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 金額だけではむろん本年度の、三十年度にはこれだけより御承認お願いしておりませんけれども、やはり心がまえなり、あるいはそれの用い方なりなんかによって、やはり心がまえそこにあれば、私は相当変ってくるものであると考えておる次第でございます。  明年度のことについて、もしこの現内閣が続いていきまするならば、さらに新しい構想に基いて努力したいと考えておる次第でございます。
  37. 永岡光治

    ○永岡光治君 大臣に一つお尋ねしたいのですが、ちょっと私のっぴきならぬ用で席をはずしましたので、あるいは前の質問に出たかと思うのですけれども、この三十年度収支予算書を拝見いたしますと、テレビのほうはないのですが、ラジオのほうで交付金収入という項が設けてありまして、五千五百六十七万五千円、こういうことになっておりますが、先般予算委員会で大蔵大臣は、この交付金の問題について、大綱は考えておるのだけれども、まだ最終決定していない、こういう答弁をして、ここに報告することも閣議の正式決定ではないのだ、ただ閣僚の諸君に予算委員会において説明することを了解してもらったんだという趣旨の御説明があったわけですが、これは政府の全般的な補助金の三十年度の政策の一環として決定しておる、こういう性質のものでしょうか、どうでしょうか。
  38. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) この暫定予算の分はきまっておるわけでありまして、この分も五千五百万円は前年通りとして間違いないということを考えております。
  39. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはおそらく暫定予算でなくして、ここに出ております。三十七条に基くものは、これは三十年度の年間予算総額のはずでありますが、暫定でなくして、本ぎまりの予算だと思うのですが、大臣はどういう……、今のお話によりますと、暫定予算でまだあとには含みがあるように聞えますが、どういうことでしょうか。
  40. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 暫定の分だけは決定しております。
  41. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると必要に応じては、再検討の結果、さらにこの交付金を増額することもある、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  42. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) まずただいまのところといたしましては、暫定の分だけは決定している。そうしてこの五千五百万円は前年通りということになっておりますが、年度予算全体がきまるときに、増額できるようなことになる部面もあるかと思います。私はそういうことにも力を入れたいと思っておりますけれども、何分にも未確定のものをここで急速に御審議願うというわけには参りませんので、ただいまのところとしては、前年通りの額をここにあげて御承認を求めている次第でございます。
  43. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、暫定的な性質を持っているから、これはそのまま前年通り踏襲した、こういう御答弁でございますが、そうするとその方針は閣議の方針でございますか、郵政大臣方針でしょうか、それとも政府全体の方針でございましょうか。前年の補助金をそのまま踏襲するという方針は。
  44. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) これは補助金全体ということになりますると、そこに問題があると思います。しかし、この時代の最も必要なる仕事の一面として、この最小限度のことを頭に入れて、これだけは確保するという確信のもとにこの五千五百万円を見込んで入れている次第でありまして、政府全体の方針とも見合ってむろんやらなければならぬ事柄でございまするから、郵政省といたしましては、極力その事業の進展のために、予算の確保に努めるわけでございますけれども、国全体の補助金政策ということについてはここで確言するわけには参りません。
  45. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはいずれ予算委員会との問題もありましょうから、私はあえてこれ以上追及する考えはありません。ただ聞いておきたいのは、交付金を出すというその本質は、テレビジョンは入っておりませんが、やはりとりわけラジオ事業というものがまだ助成を要する段階にある、こう見なければならぬと思うのですが、その点から考えれば、従来の実績を検討して、これで十分足れりと考えられているのかどうか。私はこの計画を見ますと、ただいま古垣さんのほうからも御説明がありましたが、だいぶ難聴地域も非常に多い。まだ完全にこれを解消することができないという段階になっているのでありますが、ただ単に前年の予算を踏襲するという方針にとどめているのか、あるいは次の本予算の際にはもう一度再検討して、何とか増額しようという方針でいるのかどうか、その辺の腹がまえ、これを一つ、郵政大臣の御所見を承わりたいと思います。
  46. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) この点は説明員から一つ説明いたさせます。
  47. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) ただいまの御質問に対して最初に私から御説明申し上げます。  ただいま御指摘になって、いろいろ御審議を願っております政府の交付金は、放送法の定めるところによりまして、国際放送実施命令が政府から出ました場合に、国際放送実施するために必要な費用は国が負担することになります。いわゆる助成金ということでは性質上ないのでありまして、政府の命令によって放送協会実施する国際放送に必要な費用を、政府が交付金の形で交付している金額でございます。それが御指摘の五千五百六十七万五千円のうちの五千五百万円がその数字でございまして、残りの六十七万五千円は、参考でございますが、選挙放送のために費用がかかった場合に、やはり選挙放送に要した費用を政府が交付金の形で交付いたします金額でございます。そのような次第でございますので、ただいまのところでは、十二方向に向って十二時間の国際放送をするのに必要な機械設備及び人件費等を算定いたしまして、政府が五千五百万円という金額を以て国際放送実施を命じておるわけでございますが、先ほど来、大臣からもお話がございましたように、政府としましては、現在の国際放送で足りるとは考えておりません。別途大蔵当局とも折衝を続けておりまして、三十年度予算におきましては、なお一層国際放送拡充したい。それが本きまりになりまするならば、放送協会に対しまして、交付金の金額を増し、方面を増すようにいたしたい。これに対して放送協会のただいま御審議を願っております事業計画なり、予算の中での受け入れ態勢ができておるかということになりますると、御審議願っております予算総則の十一条に「国際放送並びに選挙放送実施に対する交付金が予算額に比し増加したときは、その増加額はそれぞれ国際放送並びに選挙放送関係ある各項に充てて使用することができる」ということで、受け入れ態勢は放送協会に立てていただいておるわけでございます。そういう点から考えまして、先ほど来、大臣から御説明申し上げましたように、一応不確定要素も入っておりますので、暫定的に昨年度なみの、つまり二十九年度と同額の政府交付金を、放送協会において予定に立てられることは妥当を欠くものではなかろう、こういう御意見を付して国会に御審議お願いしておる次第でございます。
  48. 永岡光治

    ○永岡光治君 御案内の通り、日本の現在の国際情勢の中に置かれておる立場を考えてみますと、これは極力国際放送重点を注いで、日本のこの立場を有利に解決していただくのが国民のひとしく望んでおることであると思いますので、承われば、これは前年度予算を踏襲しておるというだけであって、強化したいという意向は持っておる、今日また郵政当局と大蔵当局との間には折衝は進められておるというお話を承わっておるのでありますが、どうか一つ閣僚の一員である大臣も十分力をいたされまして、この拡充強化に是非御尽力をお願いしたいと思いますが、このことを要望として申し上げておきます。  そこでもう一点御質問申し上げますが、これはあえて大臣でなくても結構でありますが、予算総則の第四条でございますけれども、「本予算の各項」にきめました「経費の金額は、予算の執行上やむを得ない場合」は、これは「経営委員会の議決を経」さえすれば流用できることになっております。しかし給与については一切まかりならぬぞと、こういうことをきめたのは、これはどこにねらいがあるのでしょうか。なぜ給与にやむを得ないときに流用しちゃいけないのでしょうか。どうもその点が私は非常に納得いかないのですが、しかもあとを見ますと、第七条の後段の方のただし書の方で、「収入の増加が業務量の増加に伴う場合は、その増加額は業務量の増加に関係ある各項に充てて使用することができる」と、こういうことを明確にうたってある以上は、事務量の増加ならば人件費も当然必要になってくる場合もあるだろうし、従ってやむを得ないときには流用してもかまわないと私は思うのですが、あえてこれを明確に規定したところのねらいが、私にはどうしてもよくわからないのです。なんだか給与について特別な考慮を払うことは、これはもう罪悪であるかのごとき印象を受けるのですが、それはどういう関係でしょうか。
  49. 岡部重信

    参考人岡部重信君) ただいまのお話の総則の第四条につきましては、私どもといたしましてもお説のような考え方は十分成りたつ考え方だと承知しております。ただ現状におきまして、この国会において協会予算を御承認を得る、そうしてこの企業体が御承知通り非常に何と申しますか、機動的でなければならぬという要素もございますので、考え方によれば、項々で定めた金額を経営委員会の議決で流用するのもどうかという問題もあるのでございますが、そのくらいのことはお認め頂かぬと企業を経営していく上において、誠にこれは結果においていい結果を生まないのじゃないかというふうな考え方において、この第四条をわれわれとしては規定したわけでございます。お説の点については十分私どもとしましてもなお検討を進めていきたいと、かように存じております。  それから第七条についてのお尋ねでございましたが、第七条についての、この業務がふえれば給与もふえるじゃないかというお話については、誠にその通りでございまして、そういう場合にはやはり第七条のただし書においてこれを処理することにいたしております。
  50. 永岡光治

    ○永岡光治君 ですから、そうであればあるだけ、私は特にこれを設ける必要がないと、国会経営に干渉しようという考えはごうも持っていないと思うのですね。その経営が給与を上げては困るという経営であれば、それも結構だ。それをしも国会で給与を上げなさいと言う必要はないのだから、それは協会の実際の判断によってやるべきであって、どうしてもやむを得ない事態があって、給与の面についてはふやさなければならぬという事態が起って、今岡部参考人でございますか、お話がありましたように、臨機即応の運営ですか、企業ですから、これは。従ってそういう必要があるときに、たまたまその面で支障を来たすならば、私は却って企業を害するのではないかと思っているのですが、予算が国の承認を必要とすることは企業に限りません。全部の問題が国会において承認されなければならぬ問題なんです。だから私の非常に疑問に思うところは、なぜ予算だけを非常に厳密にやるのか。ただ考えられることは、人件費だけはこうまでして熱心に節約いたしておりますよという言いわけにはあるいはなるかもしれません、それ以外の何ものでもないと私は思うのですが、あえて私はこれを規定する必要がないと思うのです、どうでしょうか。真意がわからない。私が言ったように、国民に対してはこれほど節約しておるのでございますという誠意を示そうという意味での規定ならば、それでも精神はそうだという、そのことについては、私はわからんこともないのですが、どうなんでしょう。これは特に給与だけを、これだけはいかぬと……。
  51. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 先ほど申し上げたことを繰返すようなことで申しわけないかも知れませんが、一つはこのワクというものについて、自立的に行動をする上においても、やはりある程度のものが必要じゃないかという考え方。それからまた御承知通りかれこれ流用することができるという点につきましては、また逆の見方からするならば、人件費を物件費に回さない。非常に経営が困っても人件費は確保するという考え方も、まあいささかへ理屈のようでございますが、あるというふうにもとれるのじゃないかと、かようにも考えておるわけでございますが、十分検討していきたいと、かように考えております。
  52. 永岡光治

    ○永岡光治君 どうもわかったようでわからぬような答弁ですが、これに関連のあります第七条の二項ですね、二項のところに「職員の能率向上による企業経営改善によって収入予算額に比し増加し、又は経費を予定より節減したときは、その増加額又は節減額は予備金に繰り入れ、経営委員会の議決を経てその一部を職員に対する特別の給与の支給に充てることができる」と、こういうことになっておりますが、念を押してみたいと思いますが、給与というものはただ暫定的な特別手当という趣旨の給与でしょうか、それとも二項で言うところの「特別の給与の支給」ということは、いわゆる基本賃金の引き上げという問題も中には含まれておるのだ、どっちなんでしょうか。どうもそうでないと、第四条の今言いましたただし書きの二項と第七条の二項とが大分輻湊して参ると思いますが、どういうことなんでしょうか。
  53. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 私どもとしましては、この総則は実は申し遅れましたが、二十九年度協会予算におきまして初めてこの第二項が設けられたのでございますが、多分に業績賞与的なものである。それで私どもとしましては、今御指摘のベース・アップという要素は含まないのじゃないか。臨時の給与であって、それに対してべース・アップというものは予算において別の問題じゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  54. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、第四条の趣旨はどういうなんでしょうか。他の項との流用はできないけれども、予備費の中に入れておいて、そこの中から給与に回すのは自由だと、こういう精神ですか、第四条と七条の二項の関係は。
  55. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 先ほど御指摘の第四条で、項の流用ができないということは今御指摘通りでございますが、われわれとしましては、御承知通り、大体増収という点につきましては、受信料が唯一の収入というふうに考えていいわけでございますが、それを、例えば六十万ふえるというような予想がありましても、職員一同が一致して収入の増加を上げたいという場合に何らかの報奨のことをしたい、かように考えるわけでございます。従来第七条のただし書きにおきましては、それは例えば臨時の業務量の増加ですから、臨時の人を雇うなり、時間外勤務というものが当然増すということだけしかできないというような考え方になるわけでございます。それでは職員の努力に報いる報奨にならない。従って、結果において業績も上っていかない。かような考えでこの二項をお願いしている次第なのでございます。
  56. 永岡光治

    ○永岡光治君 しかしこの企業体においては、NHKの職員については、おそらく給与問題については団体交渉においてきめられるものと私は理解しておるのです。この点について原資さえ、つまり予算さえ認められるということであれば、これはおそらく会長さんもそれを否定しないと思うのです。引き上げるごとについては。そこでお尋ねしたいのですが、そのときに何らかの、まあ国会ではすでに一応この慣行が認められている、承認されたと。その後いろいろな経済の情勢の変化がありまして、一般の民間の賃金も上ってくる、昨今も私鉄なんかも上りつつありますが、協会の問題についてもおそらく私は今も起きているとうわさを聞いたのですが——うわさじゃない、実際その状況を聞いたのですが、そういう問題の解決をはかるということ自体が当然出てくると思うのですが、その際には、これはどこの項目でそれを解決するのですか。私はやはり当然この第七条の二項においても給与の予算が認められるものであれば、これは当然解決すべきだと思う。こう解釈するのですが、その点はどういうふうなお考えを持っておられますか。特に会長さんなり電波局長あるいは大臣の御見解を承わりたい。
  57. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) お答え申し上げます。ただいま御指摘のように考えております。いろいろの対外的な国内の社会情勢、そういうことや、またいろいろの計数、発表された計数、権威のある計数、そういうものなども十分勘案しなければならない立場にございます。私の考え放送をよくして、国民に奉仕するということが、われわれの終局の目的だと思います。その放送をよくするためには、放送運営する従業員能率を上げる、従ってその従業員待遇改善するということは、すなわち放送をよくすることになるというような考えを持っておりますので、その待遇改善ということには最善の努力を尽したいというのが、私ども考えでございます。その意味におきまして、御指摘の第七条の二項を特にはっきりと書いたわけでございまして、こういうものによって三十年産の仕事の能率を上げ、経営合理化を実現いたしまして、それによって職員の待遇改善をはかりたい。先ほども申し上げましたが、そういうふうに考えております。
  58. 永岡光治

    ○永岡光治君 大臣はいかがでしょうか。ただいまの会長の説明通りにお考えでございましょうか。
  59. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 大体同感でございます。給与の改善待遇改善ということが適当になされなければ、やはり事業経営はうまくいかないと思うことは、全く同感でございます。
  60. 永岡光治

    ○永岡光治君 それから収入の面でちょっとお尋ねしたいわけですが、この資料によりますと、事業計画のほうの二十九ページでございますが、二十九年度と三十年度の比較が出ておりますが、この新規契約者と廃止契約者の差を十万と大体見ている。これは従来の実績等を勘案されたものと思うのです。あるいはいただいた資料の中にあるのではないかと思っておりますが、なまけて勉強もしておりませんのでお伺いするわけです。二十八年度前ですね、大体こういう傾向になっているのか、一応これは他の収入との関係はあろうかと思うのですが、この点が大きな問題であると思うので、ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  61. 岡部重信

    参考人岡部重信君) これは二十九年度、三十年度ですから、二十九年度前の数カ年の予算について説明さしていただきますれば、二十八年度におきましては新規の契約者の数を百二十五万と見ました。それから廃止のほうは六十五万、年度内増加六十万、二十七年度におきましては年度内の新規百十万、廃止六十五万、増加四十五万、大体さように計上をいたしているわけでございます。
  62. 永岡光治

    ○永岡光治君 ただいま御説明いただいたのは、これは実績でございましょうか、それとも計画でしょうか、どっちでしょうか。
  63. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 予算でございます。
  64. 永岡光治

    ○永岡光治君 実績はどうなっておりましょうか。二十七年度、八年度、九年度、実際の契約数とそれから契約の廃止。
  65. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 二十七年度から申し上げますと、実績において新規の増が百四十四万でございます。廃止が六十二万、年度内増加八十一万。二十八年度が新規の増加百六十一万八千、廃止が六十七万、年度内の増加が九十三万、かような実績になっております。
  66. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうしますと、これは三十年度は少し少ないんじゃないですか、どうなんでしょうか。増加が二十八年度よりは、百四十万というと少し下ってくるでしょう、これを見ると。今後どうなるか私はわかりません、二十九年度を見ておりませんから。増加の傾向をたどるカーブを持っておるのじゃないかと思いますが。
  67. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 今御指摘の増加の点につきましては、なかなか私どもといたしましても、毎年度どれだけ見込むかということについて相当の困難性があるのでございまして、一つの見方としまして、私ども受信機の生産状況が毎年どんなふうになるであろうかということも一つの要素と存じます。それから従来どういうふうな増加の割合——この増加の割合は、結局御承知のように受信者が毎年ふえて参りますと、まだ受信者でないほうの数は減るわけでございますので、だんだん数は減っていくという見方も成り立つわけであります。それで、それについてやや詳細にわたるかもしれませんが、申し上げてみますと、大体受信機の生産状況は二十七年度が百八万、二十八年度が五割もふえまして百五十二万でございます。二十九年度年度中途でまだわかりませんが、十一月までは八十五万二千ほどふえております。月平均十万程でございます。それで、この年度内にやや秋頃から生産が上向いておりますから、やはり百二十万ぐらいいくのじゃないかというような考え方をしまして、来年度もそれくらいはいくだろうというような考え方をわれわれはしたわけでございます。それから先ほど申し上げました全国の世帯数は御承知通り千六百万ほどかと思いますが、そのうち受信者の数がふえればふえるほど要するに未加入者の数は減って参りますが、それをここ数年で見ますと、大体夫加入者に対する加入率というものは一一%程度の率なのでございます。しかし最近の二年間の大体の見通しを見ますと、未加入者に対して二十八年度が一五%いっております。二十九年度は、ややこれは中途ですからわかりませんが、一三%をこえていくのじゃないかということで、この増加というものは、大体それらを勘案すると、ちょうど未加入者からいくと約一三%、平均より上廻ったところから見ますと、六十万は増加するだろう、こういう見方を一つ立てたわけでございます。
  68. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、大体傾向はわかりました。いろいろ見解はあると思いますが、この際は、それを差し控えますが、ここで示されました一応の予算というのは大体の見当であって、その後第七条に規定するごとく、だんだん増加していけばその経費が移動してくるという、非常に不安定と申しますか、不確定な予算承認する、こういうことになるわけです。それですからそういうことになれば、余り真剣になって検討しても、そう問題にならぬような気がしてなりませんので、これで控えたいと思います。  最後に一つお尋ねいたしたいと思うのですが、私ども地方局に参りまして、特定局関係ラジオの集金をやっておる方がたくさんありますが、非常に集金料金が安い。合うところはNHKのほうから直接集金して回りますけれども、山間僻地の地方になりますと、郵便局の外務の方々が集金しておいでになっておるのですが、その単価が非常に安いという話を承わっておるのですが、実情はどの程度か、余り詳しく承知しておりませんが、安いことは事実のようです。これは郵政省独自の問題かもしれませんけれども、これを引き上げるという計画は持っておいでになるのでしょうか。その際に、NHKのほうではどの程度それを支出するという考があるのでしょうか。
  69. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) 私から最初にその点の関係をちょっと申し上げて、詳細は放送協会の方から御説明を願いたいと思いますが、この受信料の集金について、郵政省に委託されておる場合には、郵政省と放送協会の間に契約が結ばれております。この契約の算定根拠の中には、郵政省の従業員の給与ベースが変った場合には、それに基いて変更のできるような形になっております。いろいろ実費計算その他から基礎が出ておるのでございますけれども社会情勢の変化によりまして、給与等の変った場合には、なおそれも変るようになっております。現に昨年末新らしく改正されまして、その改正された手数料をもとにしてこの三十年度予算が組まれております。将来もしも予期せざることが起りまして、この率が改正されますならば、又それによって郵政省に委託された場合の実費の計算も変ってくると思います。
  70. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 郵政省とNHKとの契約につきましては、ただいま長谷局長が言われた通りでございまして、従来おもな場合は国家公務員のベース・アップでございましたが、過去毎年、ベース・アップのために、大体毎年度と記憶しておりますが、単価の改訂が行われております。この予算におきましては、前年度と同様の単価で組んでおります。それでただいま長谷局長お話ししたような事項があれば、協議して単価を改訂するということになっておるわけでございますが、来年度についてはまだそのことがございません。
  71. 永岡光治

    ○永岡光治君 ベース・アップがない以上は、なかなか単価を上げないというお話なんですが、しかしすでにこの問題はどういう計算のもとになされておるか、私も詳しく説明を受けておりませんので、何とも申し上げかねるのですが、しかし安いとこぼしているそのことを聞いてみると、かなり安いじゃないかという印象を受けるわけですね。おまけに郵便局の局員でありながらラジオの苦情まで持ち帰って来る、そうしてけしからんと言われて、それは私の仕事じゃないと言うと、それじゃもうあのやろうけしからんから次に保険に加入しないとか、貯金を受けてやらないとかいって、いろいろな文句を受けてくるらしいのです。よその仕事を受け持って山の中を歩いて金を集めてきて、その金も大したものでない、ごくささいなものだということで、こぼしておるのですが、これは局員の給与の改善の一策にもなろうと私は思うのですが、これは一つ再検討をお願いしまして、早急の機会に善処を要望したいと思います。大臣のほうに特に一つ要望しておきますが、どうでしょうか。
  72. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) これは小さく見えて小さくない問題だと私は思います。これはとくと組合の諸君などとも協議をいたしまして、私は大体永岡さんの御質問の御趣意の点はよくのみ込んでおるつもりでありますが、御趣意に沿うようにいたしたいと思います。
  73. 永岡光治

    ○永岡光治君 一応私はこれで質問をやめておきます。
  74. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) ほかに質問のある方はどうぞ。
  75. 久保等

    ○久保等君 放送協会のほうに最初にちょっとお伺いしたいと思いますが、この三十年度収支予算なんですが、放送協会としてはいつごろ翌年度予算の検討をいつも始められておるのか。今年度といいますか、ここに出されました三十年度収支予算の場合についても、いつごろからいろいろと経営委員会等で相談せられて、いつごろ郵政省のほうへお出しになられたのかをお尋ねしたいと思います。
  76. 岡部重信

    参考人岡部重信君) ぼつぼつ開始しますのは、私どものほうでは大体十月から開始するわけでございます。十月の経営委員会にかけまして、経営委員会はその後大体毎月一度は開かれておりますが、そこで審議するわけであります。今年度は御承知のような事情もありまして、うちのほうでお出ししても、国会のほうの御都合も実際問題としてそういうことがございまして、三月一日に政府のほうへ提出いたしました。
  77. 久保等

    ○久保等君 まあ放送協会のほうでは、非常に長い間、約半年近くもかかって翌年度予算の検討をしておられるらしいのですが、その間、実際問題として郵政当局あたりの意向なり方針なりをいろいろと確かめつつ予算を作っておられると思うのですが、今年の場合は、三月一日ということなんですが、これでは私は非常に放送協会としては予算の編成について、あまりにも長期間を要し過ぎているのじゃないかと思います。政局のいろいろな動きだとか、そういったことによって制肘はせられると思いますが、放送協会においては私はもう少し独自の立場から、放送事業の問題については常日ごろ十分検討を加えられておると思いますが、大体いつごろ平年度であれば出し得るのか、まあ今年の場合、たまたま三月一日ということになったということならば、これは事実問題としていいとか悪いとか言ってみても始まらないのです。少くとも三月一日あたりに郵政省に提出せられるというような状態では、それが例年度そういうことであるとするならば、非常にこれはむしろ私は放送協会の怠慢だと思うのですが、そのあたりはどんなふうに考えておられますか。
  78. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 大体一月の休会明け、あのころが、私のほうとしまして、まあ言いかえますと、大体一月の下旬、おそければ二月の上旬というのが従来の実績でございます。昨年はもっとも御承知通り非常におくれまして、国会に非常に御迷惑をかけ、申し訳ないと存ずる次第でございます。
  79. 久保等

    ○久保等君 まあその問題ですが、私は一月早々の国会再開に十分に検討した成案を得て、おそくとも早々に出せるという態勢に持って行くことが従来の経験に徴してむずかしいのかどうなのか、念のために一つお伺いしておきたいと思います。
  80. 岡部重信

    参考人岡部重信君) 一月の末には私たちとしましてもお説の通り提出したい、かように考えております。ただ実際問題としましては、私どもとしましてはできるだけ実情に近いものにしたい、これはどこでもそうでございますが。そうすると少しでも前年度の上半期の実績は見たい、こういうこともございまして、それを見ますのは十二月に大体なって来ますから一月の末ならばお出しできる、かように考えておるわけであります。
  81. 久保等

    ○久保等君 そのあたりは私はやはり多少予算の提出のおくれる原因も放送協会にも相当な責任、むしろ法律的に言えば、これは放送協会で非常におそかったということになるでしょうが、しかし実情は必ずしもそうでもないと思うのですが、ただ一月下旬あたりに出せるだろうという程度では、これは事務的な面から言っても非常に私は少しおそ過ぎるのじゃないかと思うのです。上半期の実績云々ということになりまするならば、まあ仮に上半期の実績を見ても、年内、できるだけ少くとも放送協会としての考え方を正式にまとめて予算書として、予算案として私は出すことはできるのじゃないかと思うのですが、その間一カ月程度の差ではあっても、これは国会に来るときでは、たった二日か三日程度でいつも——いつもと言っては失礼かもしれませんが、少くとも私はここ一、二年の予算審議して参っておりますが、今年度の場合は若干事情が別であったとしても、放送協会予算の提出は少くとも十二月中には郵政当局に出せるぐらいの情勢には持っていっておくことが必要じゃないかと思うのですが、特に一般政府予算にしてでも、まあ九月ごろから検討を加えて、政府予算の場合はいろいろ他との関係もありますししますから問題もあると思いまするけれども放送協会の独自に出せる予算の問題については、もう少し事務的に、まあロスと言いますか、非常にむだな面がもしあるとするならば、再検討していただいて、前年の十二月くらいには少くとも郵政当局に正式に出すという程度の事務的な進捗をはからないと、今まで繰り返してきておるようなことを今後においても繰り返す可能性があるのじゃないかと思うのですが、そこらあたりの再検討を加える余地は、過去の実績からいって、その余地がないというふうにお考えになっておるのですか、どうですか。
  82. 岡部重信

    参考人岡部重信君) お説の通りまことに昨年度も本年度もさような不仕末でございまして、その点おわび申し上げる次第でございます。私どもとしましても足りない点は十分改善いたしまして、御趣旨に沿い、なるべく早く御提出いたしたい、かように存じておる次第でございます。是非さよういたしたい所存でございます。
  83. 久保等

    ○久保等君 私は是非一つその予算放送協会における扱い方としては、まあできるだけ放送協会のむしろな、ま考え方、まあ予算というものが少くとも国会に出されて来るのが筋だと思うのですが、放送協会として従って少くともまず最初の作られる、放送協会自体としての今までのやり方については、相当考えていただかなきゃならん面があると思うのです。同時に郵政当局なんですが、郵政当局で放送協会から出されて収支予算内容の検討の仕方について、私は少くとも放送協会から出てこない前に、事前のいろいろと連絡なりあるいはまた放送協会予算に対する郵政当局の考え方なり、そういったようなものが、放送協会予算が作られておる過程においても、相当私は反映されておるのじゃないかと思うのです。そうするならば、少くとも郵政当局としてもこの予算の提出の仕方の問題については、一般の電々公社予算に対する郵政当局といったような立場とは、よほど放送協会予算については立場が違っておると思うのです。しかし実質的にはほとんど変らない程度の、非常に予算に対して長く、検討を加えておられる期間があまりにも長過ぎるのじゃないかというふうに考えるのです。今度の場合は、国会が開かれておらなかったからといえばそれっきりだと思うのですが、三月の一日頃に出された予算が、結局国会が開かれて出して来たのだということになる。話のつじつまとしては一応合うと思うのです。しかしそれは今年だけの問題じゃなくて、去年あたりの経過を見てみましても、非常にその点やはり無用の期間を要しておるのじゃないかと見受けられるのです。特に昨年の場合等においては、料金の値上げ問題もあったから、ある程度やむを得ないとしても、しかしその料金の値上げの問題は、一にかかって国会において審議されるべき事項なんですから、そういった点について、郵政当局がやはり実質的には協会予算の提出の問題について、大きな責任があるわけなんです。従ってこれが早く出されるか、あるいはおそく出されるかというような問題については、やはり郵政当局としても、十分に考えてもらわなければならん問題があると思うのです。それで特に法制的な問題の立場から考えまするならば、この予算が、もし本年度内に、本年度内と言いますか、この三月三十一日に上がらなかったということになった場合のいろいろな欠陥というようなことが、先ほど左藤委員の方からもるる指摘されておったような、非常に大きな問題があるわけなんです。そういう法的な欠陥がはっきりしておればおるほど、融けそういう事態に直面しないように、郵政当局としては最善の努力をすべきだと思うのです。ところが何か国会でいつも審議する場合には、われわれ委員会における審議そのものを、のっ引きならない状態に、悪く言えば追い込んでしまっておるというような状態で、極力一つそういう事態の起らないように、審議の促進をはかってもらいたいというようなことが言われておるのですが、これはまあ非常に私は遺憾だと思うのです。郵政当局、郵政大臣というものは、私は少くともこの放送協会予算に関する限りは、そう長期を費して検討し、しかもそこで実質的には修正された形のものが必ずしも国会に出されなければならんという性格のものじゃないと思うのです。そういった点について、今までの実績から非常に残念だと実は思うのです。今度の場合においても、ほんの吸口二日か三日、二、三日というような状態予算審議することについては、非常に残念に思うわけなんですが、その点について郵政当局の方ではどうお考えになっておるのか。
  84. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) 私から申し上げます。ただいまお話の点につきまして、事務的処理をおあずかりしておる私としても、はなはだその点国会にいつも大へん御面倒をおかけいたしまして恐縮に存じております。たまたま昨年は受信料金値上げという問題がありましたために、非常に最終案がまとまりますまで時日を要したために、国会に御提出が遅れ、今回はまた今回でいろいろな事情から今日まで御審議の日が延びましたことを、非常に恐縮に存じておるのでございますが、ただいま久保委員からもお話の点は重々私どもも感じておりますので、なお一そうその点を御意思を体しまして、協会ともども今後は十分国会で御審議をしていただくように努力をいたしたいと思います。なお、放送協会から、この年度予算の提出をみました場合には、御承知のように、内容郵政大臣が検討されまして意見を付される場合には、やはり放送法の定めるところによりまして、電波監理審議会に諮問をして、その答申を経て、さらに内閣を経て出すというようなことになっておりますので、提出を見ましてから、どうしても十日あるいは二週間を要するのが従来の例でございます。今回もできるだけその間の短縮をはかって、今回この国会に御審議を願うように運んだわけでございますが、結論的には非常に日数が少くなって、御審議を願うということになりまして、非常に恐縮に存じております。先ほど来、お話の点につきましては、今後そういうことのないように努力をいたしたいと考えております。
  85. 久保等

    ○久保等君 今度の放送協会予算について、先ほど来、いろいろ御説明を伺っておりますと、政府交付金の問題等にしても、政府の一般予算の補助金なり交付金というような問題についての問題は、夫確定だというような状態のもとに切り離された形で、放送協会政府交付金の問題は計上せられておるわけなんですが、そういったようなことは、これはもちろんやむを得ない措置としてとられたのでしょうが、そういったような、放送協会としては、あくまでも放送協会事業だという立場から、私はやはり政府交付金の問題にしても政府当局は考えられるんでしょうしするだけに、やはり放送協会独自の予算そのもののやはり成立について、もう少し最善の努力をこれは要する問題だと思いますし、今電波監理局長のほうから今後の問題については、こういったような事態の起らないようにという説明もありましたので、私も了承せざるを得ないと思うんですが、少くとも法律的な表現——これが成立しなかった、年度内に成立を見なかった、翌年度予算が成立しなかったということになった場合のいろいろな事態を予想しますと、これは先ほど来説明せられておりまするように、責任支出とか、云々という問題ですが、こういうようなことはいわば無法律状態におけるような措置の問題であって、結果的にはそういうことが批判せられ、あるいは審議せられることはやむを得ないとしても、自然にそういうようなことが、少くともこういった審議の過程において論議せられなければならんということは、きわめて不体裁きわまる問題だと私は思う。しかもこれがたまたま特殊な事情があって、本年度という場合だけであるならば、また別なんですが、最近の傾向はむしろ年々そういったような好ましくないことが常に委員会で論議せられておるというようなことでは、非常に私ども残念に思う。従って今後の場合においては、むしろ絶対そういうことのないようにというふうに、私はぜひ一つ御努力願いたいと思う。  それからまた四月以降の問題で、かりに三月三十一日までに予算承認されなかっという場合における法制的な問題についても、これまた私は非常に重大な問題だと思いますし、特に、予算が三月三十一日内に上らなかったということになると、一般予算の場合と違って、特に聴取料やなんかの問題も、これは非常に大きな私は問題だと思う、もしそういったようなことによって一般聴取者に法的な根拠を求められた場合、そういったものに対してそれはやむを得ずそうせざるを得ないからそうしているんですという程度では、あまりにも権威のないことだと私は思う。そういった問題についても、これは法制的な面についても政府はもう少し私は早急に解決するような努力をされるべきだと思う。ところがその問題についても、これまた何もきのうきょう指摘されておる問題じゃないんですが、一向にそういった問題についても、一般的な放送法の改正問題として先ほど郵政大臣の御答弁にもあったように、極力検討しておるけれども、今のところいつどうこうという結論は出しかねるという程度のお話ですが、これは郵政大臣自体の立場から見れば、今までの経過は十分に、あるいは検討を加えておられないという特殊な事情もあろうかと思いますが、しかし私は郵政当局、また郵政大臣という、それこそ立場から考えるならば、そういう程度の答弁では了解できない程度の今までの経過もあることでありますし、また非常に重要な問題だと思うんです。従ってそういった方面についても早急に政府としての考え方、また法制的な問題についての扱い方、こういったような問題については、具体的な一つ御答弁がわれわれに対してもお示し願えるようにお願いをいたしたいと思う。  なお、私いろいろ内容のこまかい点等については、あと時間もまた別途あるようでございますから、その機会に譲りまして、今度の予算の提出の時期の非常に遅延したという問題、またそのことが国会においての審議が実質的には拘束せられるというような私は印象を受けるんです。まあこれが果してどういう結果になるかどうかは別として、少くともそういったわれわれに印象を与えること自体は、まことにわれわれとして残念でありますので、この際、厳重に御反省を願いたいということを申し上げておきたいと思います。
  86. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  87. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 速記を願います。
  88. 永岡光治

    ○永岡光治君 三十年度収支予算書が出ておりますが、私はここ数年の間、二十六年ないし七年以降から、二十六年はよろしゅうございましょう、二十七年以降、国会に出されました予算の収支書と、実際の決算、この項目に従った決算の実際の状況ですね。それを一つぜひ御提出をいただきたいと思います。
  89. 瀧井治三郎

    委員長瀧井治三郎君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後三時三十三分散会