運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-07-30 第22回国会 参議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月三十日(土曜日)    午後二時二十六分開会     —————————————   委員異動 本日委員小林亦治君辞任につき、その 補欠として赤松常子君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長 小笠原二三男君    理事           伊能  芳雄君           石村  幸作君           小林  武治君           森下  政一君    委員            伊能繁次郎君            小幡 治和君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            安井  謙君            岸  良一君            島村 軍次君            館  哲二君            秋山 長造君            中田 吉雄君            若木 勝藏君            赤松 常子君            小柳 牧衛君            堀木 鎌三君            鈴木  一君   衆議院議員            北山 愛郎君   国務大臣   国 務 大 臣 川島 正次郎君   政府委員    自治政務次官  永田 亮一君    自治庁行政部長 小林與三次君    自治庁財政部長 後藤  博君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (小林武治君外五名発議) ○地方財政再建促進特別措置法案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十年六月及び七月の大水害に  より被害を受けた地方公共団体の起  債の特例に関する法律案衆議院送  付、予備審査) ○地方道路譲与税法案内閣提出、衆  議院送付) ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○継続審査要求に関する件 ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件 ○地方自治法等の一部改正に関する請  願(第六二号) ○地方自治法改正反対に関する請願  (第六五五号)(第六七四号)(第  七一四号) ○地方自治法一部改正反対に関する請  願(第七五一号)(第七七一号)  (第七七五号)(第八三〇号)(第  八四三号)(第八四九号)(第八五  〇号)(第八六五号)(第八七六  号)(第九一五号)(第九二四号)  (第九二六号)(第九四一号)(第  九五八号)(第九六〇号)(第九六  一号)(第一一四七号)(第一一五  〇号)(第一一五一号)(第一二三  〇号)(第一二三一号)(一二三二  号)(第一二三三号)(第一二三四  号)(第一二三五号)(第一二三六  号)(第一二三七号)(第一二三八  号)(第一二三九号)(第一二四〇  号)(第一二四一号)(第一三三三  号)(第一三三四号)(第一三三五  号)(第一三三六号)(第一四一九  号)(第一四二一)(号第一四二二  号)(第一四二三号)(第一四八〇  号)(第一四八一号)(第一四九九  号)(第一五一七号)(第一五三三  号)(第一五四二号)(第一五四六  号)(第一五六六号)(第一五六八  号)(第一五六九号)(第一五七〇  号)(第一五八六号)(第一五九二  号)(第一六一八号)(第一六二一  号)(第一六三九号)(第一六五八  号)(第一六七四号) ○地方公務員停年制設定に関する請  願(第八五五号) ○地方自治法第二百十三条改正に関す  る請願(第九六二号) ○地方財政危機打開に関する請願  (第四四号)(第六四号)(第一一  七号)(第二二七号)(第二五一  号)(第二六四号)(第五五三号) ○地方財政再建に関する請願(第二五  四号)(第二六五号) ○地方公共団体財源附与請願(第  八六六号) ○地方交付税わく拡大に関する請願  (第七四六号)(第七七六号) ○町村に対する起備許可最低基準引下  げの請願(第八五四号) ○工業用水道起債等に関する請願  (第九二一号) ○地方財政再建促進特別措置法案反対  に関する請願(第七七七号)(第一  五〇一号)(第一五一二号)(第一  五四七号)(第一五七三号) ○地方財政再建促進特別措置法案中一  部修正に関する請願(第一一四八  号)(第一二二八号)(第一六二七  号)(第一六三八号)(第一六八二  号)(第一七一八号)(第一七一九  号) ○市費支弁労務者に対する期末手当等  の法制化に関する請願(第二一六  号) ○奄美群島復興計画費増額にに関する  請願(第二六三号) ○奄美大島復興促進に関する請願  (第八八一号) ○岡山県矢掛町簡易水道事業起債に関  する請願(第四九三号) ○東京都水道事業拡張工事費起債等  に関する請願(第七五二号) ○地方道路譲与税法案中一部修正に関  する請願(第一〇八七号)     —————————————
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員会を開きます。  公職選挙法の一部を改正する法律案議題に供します。まず提案者提案理由説明を求めます。島村軍次君。
  3. 島村軍次

    島村軍次君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由ならびにその内容の概要を御説明申し上げます。  政局の安定、政界の粛正のため、また金のかからぬ選挙を行うために公職選挙法一大改正を加うべしとの声はすでに天下の定論と申しても差しつかえないまでに高まって参りました。すなわち、さきに第二十国会において、いわゆる自粛立法の一環として、衆議院提出にかかる改正法案の成立を見、また政府側では新しい陣容の選挙制度調査会が再発足いたしまして、国会の各派からも委員をこれに送って、目下政府諮問案中心として鋭意検討討議を重ねられておりますけれども、われわれをして言わしめれば、現下公職選挙法改正最大課題たるいわゆる小選挙区制の問題が、いまだに結論を見ないことは、何とも遺憾にたえない次第であります。われわれは、現下政治情勢の上からこれを座視するに忍びず、さきに第十九国会に、小選挙区案を中心とする公職選挙法の一部改正案提出いたしましたが、審議未了に終りましたので、ここに重ねて案を具して提出する次第であります。  本法案はその後の情勢の推移にかんがみ、特に町村合併の進捗に伴う市町村昭和三十年四月一日現在の新しい区画に基いて衆議院議員選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める公職選挙法別表第一を、いわゆる小選挙区制に改めことを第一の眼目にいたしております。  すなわち、今回の別表は以下申し上げます基準に従って作成いたしたのでありまして、大体前回の選挙制度調査会答申の線に沿っております。すなわち、別表作成基準といたしましては、  (一) 議員定数奄美群島を含めて四百八十人とすること。  (二) 各選挙区の議員定数は一人を原則とするが、事情により二人までを認めること。  因みに結果としては、  一人区 三百二十八区         三百二十八人  二人区 七十七区 百五十二人  計四百四区  四百八十人  という数字に相なっております。  (三) 議員定数配当は、各都道府県に対し一人を平等に配当し、現行定数四百六十六人までの残余数四百二十人を昭和二十五年国勢調査(十島村人口調査奄美群島人口調査を含む)の人口に比例して配当する。そしてなお都道府県別配当数現行配当数に達しない場合は現行の数まで増員を認めること。  (四) 各選挙区の区域は、各都道府県議員定数一人当り人口約十五万乃至十九万を標準として各選挙区の人口がなるべく均等になるように定めること。  (五) 選挙区の区域を定める場合においては   (イ) 郡市区区域によるのを原則とすること。   (ロ) 必要がある場合には郡市区区域を合せて一選挙区とすること。   (ハ) やむを得ない場合においては、郡の一部と他の郡市区を合せて一選挙区を定めることができること。   (ニ) 一市区町村区域は、これを二以上の選挙区に分けることができないこと。   にいたしたことであります。  なお以上の小選挙区制の採用に伴って次の諸点に所要改正を加えたのであります。その第一点は、市町村異動選挙区との関係を明らかにしたことであります。すなわち、  (一) 一の選挙区の区域内において市町村廃置分合または町村を市とし、市を町村とする等の処分があっても、選挙区は、なお従前区域によること。  (二) 二以上の選挙区の区域にわたって市町村廃置分合又は境界変更がある場合には原則として選挙区の区域は、これに伴って変更するものとし、この場合、新たに設置された市または新たに設置され、二以上の選挙区にその区域を分つている郡に所属することとなった町村の属すべき選挙区は、関係区域における人口その他の事情を考慮して、内閣総理大臣が定めること。  (三) その区域が一選挙区とされている市が廃置分合によって他の市町村に属するに至ったときは、選挙区はなお従前区域によること。  第二点は、現行法によれば衆議院議員候補者当該選挙区内議員定数をもって有効投票の総数を除して得た数の五分の一に達しないときは、供託物を没収されるのであるが、今回その限度を八分の一に改めたのであります。  第三点は、衆議院議員について、議員又は当選人の繰り上げ補充を認めるのは、同点者でくじで落ちた者のある場合に限ることにいたしました。  第四点は、衆議院議員については欠員を生じた場合には、前項の場合を除き、必ず補欠選挙を行うことにいたしました。  第五点は、選挙運動用通常はがき枚数参議院地方選出議員については候補者一人につき一千枚に当該都道府県区域内の衆議院議員選挙区の数から一を減じた数を乗じて得た数を一万五千枚に加えた数とすることに改めたのであります。  第六点は、選挙運動用ポスター枚数参議院地方選出議員及び都道府県知事については候補者一人につき一千枚に当該都道府県区域内の衆議院議員選挙区の数から一を減じた数を乗じて得た数を八千枚に加えた数とすることに改めたのであります。  第七点は、個人演説会開催回数の制限を衆議院議員候補者については現行の六十回以内を五十回以内に改めたのであります。  なお、この法律は、次の衆議院議員の総選挙の公示の日から施行することとし、昭和三十年四月二日以後本法施行の日の前日までに行われた市区町村廃置分合等理由に基く改正選挙区の区域異動については市町村異動選挙区の関係として先ほど御説明いたしました例によるのであります。  何とぞ慎重御審議の上御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  4. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に、地方財政再建促進特別措置法案議題に供します。まず提案理由説明を求めます。川島国務大臣
  5. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方財政再建促進特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  地方財政は漸次窮状を加え、昭和二十八年度決算におきましては、道府県の約八割、市の約七割、町村の約二割に達する千七百二十四団体実質上の赤字決算を行なっている状況であり、昭和二十九年度におきましても、なお、実質赤字額は増加せざるを得ない状況であります。これらの累増した赤字地方団体財政を圧迫し、ますます地方財政の苦境を招くようになるのでありまして、政府は、この事態を打開するため、とりあえずすでに生じた赤字解消整理重点を置くこととし、地方制度調査会答申及び前年国会において継続審議になりました地方財政再建整備法、案の構想にのっとり、赤字整理を行うことといたしたのであります。これが本法案提案する理由であります。  次に本法案内容につきまして、御説明申し上げます。赤字地方団体赤字整備は、昭和二十九年度において赤字を生じた地方団体が、その議会の議決に基き、財政再建計画を定め、自治庁長官の承認を得た場合において、財政再建計画の誠実な実行を条件として、特に歳入欠陥補てん債発行を認めるという方法により行うことといたしましたが、このような方式による財政再建を行うといなとは、赤字地方団体が自主的に決定することといたしております。  まず財政再建計画でありますが、財政再建計画は、歳入欠陥補てん債発行により過去に生じた赤字を一応たな上げし、自後における財政計画的運営によってその元利金を償還し、おおむね七年度以内に収支のバランスを回復することを目的として作成することといたしたのでありますが、その樹立に当っては、既定経費の節減、既存収入確保重点を置き、これによってもなお、財政再建計画が立たないときは、現行制度ワク内において租税の増収を図ることといたしました。  この場合歳入欠陥補てん債は、財政再建を行う団体すなわち財政再建団体実質赤字のうち、必要額について認めるものとし、別に財政再建計画に基いて支払う退職金の支出に充てるため、地方債発行を許すこととするとともに、これらの地方債いわゆる財政再建債のうち公募分については年六分五厘をこえ、年八分五厘に達するまでの部分について国が利子補給を行うこととするほか、財政再建債消化促進審議会を設け、公募分消化について遺憾なきを期するとともに、右による公募債はなるべくすみやかに政府資金に借りかえることといたしました。  次に財政再建計画の円滑な実施を担保する等の見地から、財政再建団体における長と各種行政委員会、長と議会との関係等につきまして、若干の特例措置を設けることといたしました。すなわち、財政再建団体においては、他の法令の規定にかかわらず、部局等の数を減じ、あるいは長の部局職員委員会等職員とを兼ねさせて、行政簡素化をはかることができるものとし、また府県教育委員会管下市町村教育委員会との間の調整措置を講じ、長は、予算調整については財政再建計画に従わなければならないものとするとともに、財政再建計画の策定及び実施に関して長の提案が根本的に議会の同窓を得られない場合に両者の間の意見の調整をはかるために必要な規定を設けることといたしたのであります。さらに、財政再建団体財政再建に長期を要する団体等については、その住民福祉確保を考慮し、このような団体の行う国庫補助負担専業のうち一定のものについては、地方負担軽減の道を開き、所要事業施行に遺憾のないよう措置することといたしております。  第四に財政再建団体については、その財政再建に関し、符に政府赤字債引き受け利子補給等各種便宜を供与していることにかんがみ、財政再建団体財政再建計画に反する財政運営を行なった場合に限り、これを是正するために、政府において必要な措置をとることができるものといたしました。  なお、赤字地方団体の中でも、その赤字額の小額のもの等におきましては、その意思により、自主的に財政再建措置をとる団体もあるのでありますが、これらの団体につきましても、せっかくの財政再建計画の速成を可能ならしめるよう各種の画において配慮する必要がありますので、昭和二十九年度において赤字を生じた団体をも含め赤字地方団体が自主的に財政再建を行う場合においては、歳入欠陥補てん債発行、監督及び国庫補助負担事業についての特例規定を除き、財政再建団体に関する諸規定を準用することといたしました。  以上のほか特に最近の地方財政事情にかんがみ、その窮状打開に資するため、一般に地方団体は当分の間、地方債をもって退職金支払財源に充てることができるものとするとともに、地方団体が国またはその機関に対する寄付金等を支出することは特殊の場合を除き、当分の間禁止することとする等の特例措置を講ずることといたしたのであります。  何とぞ慎重御審議の上御協賛あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  6. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に継続審査要求についてお諮りいたします。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  7. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて下さい。  それでは公職選挙法の一部を改正する法律、案、地方財政再建促進特別措置法案地方公務員法の一部を改正する法律案、以上は本審査でございます。また、地方自治法の一部を改正する法律案地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案衆議院提出)、地方交付税法の一部を改正する法律案衆議院提出)、前者は加賀田進君外十名提出、後者は鈴木直人君外七名提出、また、昭和三十年度において償還すべき地方債元金償還金償還等特例に関する法律案衆議院提出)、地方財政法の一部を改正する法律案衆議院提出)、以上六件予備審査でございます。本審査三件、予備審査六件の法律案につきましては、今期国会閉会中も継続して審査を行いたいと存じますので、本院規則第五十三条によりまして継続審査要求書議長提出いたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  なお、要求書内容及びその手続等便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  10. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に継続調査要求についてお諮りいたします。当委員会におきましては、今期国会地方行政改革に関する調査を行なって参ったわけでありますが、本調査閉会中も引続いて行いたいと存じますので、本院規則第五十三条により継続調査要求書議長提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  なお、要求書内容及びその手続等便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、さよう取り計らいます。     —————————————
  13. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に委員派遣についてお諮りいたします。地方行政改革に関する調査について、閉会委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めます。  つきましては派遣地、日数、人選及び要求書提出手続等につきましては、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。     —————————————
  16. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 昭和三十年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律家議院提出、第七十七号)を議題に供します。本件につきまして、まず提案者より説明を聴取いたします。衆議院議員北山愛郎君。
  17. 北山愛郎

    衆議院議員北山愛郎君) ただいま議題となりました民主、自由、社会党両派共同提出昭和三十年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案について提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。  本年六月及び七月北海道、東北等の各地を襲った大水害は多数の人命を奪い、公共施設、住宅、農作物等に甚大な被害を与えましたが、このことは累年の災厄に苦しみ財政窮乏のどん底にある地方団体に対し、さらに一大打撃でありまして、災害による歳入の不足はもちろん、各種災害対策の経費等すみやかに財源措置を必要とする状況でありますので、本案の通り従前災害特例法の例に準じ、これらの財源として起債をなし得ることといたしたいのであります。  災害に悩む地方団体のため何とぞすみやかに御審議、御賛成を希望するものであります。
  18. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言願います。
  19. 小林武治

    小林武治君 こういうのがもう年中行事のようになって出てきておるので、何か毎年こんなものを出さぬようにしたらどうかと、こういうふうに私は思っております。とにかくこれでどのくらい一体起債が予定されておりまするか、それをまず伺っておきたい。
  20. 北山愛郎

    衆議院議員北山愛郎君) この六月及び七月の災害程度につきましては、衆議院の本会議における緊急質問等において政府がその一部については説明をいたしておる通りであります。しかしその被害の全体の詳細については私どもも実は詳細な資料を持っておりませんので、これは政府側から一つ説明していただきたいと思うのでありますが、ただしこの法案によりまして適用を受けるものは、この第一条にありますように、災害救助対策伝染病予防対策病虫害駆除対策、あるいは救農土木対策、そういうような今の地方財政法によっては起債の対象とならないような一部のものであります。同時にまた地方税使用料手数料等災害による減収等も、実際は前の前例を見ましても、実際の額はそれほど多くはないと推定をされるわけであります。従いましてこの法案によりましても、現在政府が予定しております本年度起債災害に対するワク、三十数億のワクの中で十分まかない得る、われわれはかように考えまして御提案を申し上げた次第であります。
  21. 後藤博

    政府委員後藤博君) 御承知の通り二十八年度災害から始まった法律でありまして、二十八年災害につきましては大災害でございましたので、元利補給のついた特例もされたのであります。従ってその三年間にあと起債を償還しまして、毎年十八億程度国予算元利補給金がございました。今年もあります。ところが昨年から元利補給をつけないで、つまり地方債という形で認めるという例が始まりまして、今年も同じようなことになっております。これはいい悪いは別でありますが、こういう法律でありますと、従来起債ができなかった消費的経費等につきまして起債ができるという道を開いたということに終るわけであります。従来は特別交付税である程度これを見ておりました。こういう形になりましても、やはりある程度特別交付税で見ていくということに相なると思います。それから被害額につきましては、私どもまだはっきりわかっておりません。これはわかりました上でその財源措置を要する額をきめたいと思いますが、大体こういうものは非常におくれまするので、本年の終りごろにならなければ起債ワクはきまらないのではないかと、かように思います。
  22. 小林武治

    小林武治君 そうすると、起債全体がこれによって異同を生ずることはない、こういうことですか。
  23. 後藤博

    政府委員後藤博君) 今年の現年災というものは、幾ら地方債でやるかということにつきましては私ども予想がつきません。従ってこれは災害の大きさによって変るのでございまして、一応われわれの起債計画の中には国の災害予備費が五十億ございますので、この五十億を基礎といたしまして、地方債を従来の方式で割り出して、たしか三十五、六億であったと思いますが、三十五億くらいのものを一応予定しております。しかしそれで足りなければ、やはりあとから財源措置起債ワクを増額するということになって参ります。
  24. 小林武治

    小林武治君 今の、先ほどお話しのように、要するに今年の年度起債ワクでもってまかなえる、こういうことになるか、その起債ワクをまた別に広げなければならぬことになるかということが非常に大きな影響がある問題ですが、しかしこの災害については大方見当くらいはおつきになっておるのではないかと思いますが、どうですか。
  25. 後藤博

    政府委員後藤博君) 今までは、これは私の勘でありますが、数億の問題ではないかと私ども考えております。昨年もたしか数億の問題であったと思います。
  26. 小林武治

    小林武治君 そうすると方法としては、要するに起債ができない費目についての起債をこれで認める、こういうことになりまするが、これは今後また今年かよう災害があると同様な問題が起きてくる、こういうようなこともすべて考えの中に入れて自治庁は承知をするというか、了承するというか、こういうことになりますか、これについての御意見はあるのですか、政府としては。
  27. 後藤博

    政府委員後藤博君) 自治庁といたしましては、こういう形でなしに、やはり元利補給をつけたもので認めてもらいたいと希望は従来もずっと持っております。二十八年度災は元利補給のついたものでありますが、やはり元利補給をつけた起債にしてもらいたいと、こういう希望を従来はずっと出しております。
  28. 小林武治

    小林武治君 今の点はむしろこれは元利補給をつけないで、地方の自力で償還していこう、こういう案であると思うのでありますが、あなたの方は元利補給がある方がいい、これはどういうわけですか。
  29. 後藤博

    政府委員後藤博君) これは内容をごらんになりますと、本来は交付税で支払うべきで、交付税の増額をすべきものであるという観念であります。これは起債の対象ではなくて、こういうものはやはり交付税の増額でいくべきものである。交付税の増額ができなければ、これはやはり元利補給という形でやる。これは二十八年度災の時もそういう問題がありまして、特別交付税を増額するか元利補給をするかということがあの時の災害対策委員会で問題になりまして、元利補給という形でやるということになったのであります。本来ば私は交付税の性質のものであると、かように考えております。
  30. 小林武治

    小林武治君 そうすると、交付税の増額はされぬのですか、これを出すと。
  31. 後藤博

    政府委員後藤博君) 交付税の増額は御承知の通りちゃんときまっておりますので、増額はできないのであります。従って起債でまかなうということであります。
  32. 小林武治

    小林武治君 今のお話はよくわかりませんが、特別交付税の対象になる、こういうふうに思いますが、前にできたことがどうしてできないのですか。
  33. 後藤博

    政府委員後藤博君) 昨年までは交付税でなくて交付金でございましたから、交付金の増額の問題ということで国会ではあったのであります。しかし交付税が一定の率になって参りますと、その中でまかなうかまかなわないかという問題で、従って今の交付税の建前をとりますと、やはり交付税の中でこれを出していくというよりも、やはり起債で見まして、起債で見たものを、将来その償還額につきまして、それを起債の償還額を特別交付税の方で多少ずつ見ていく、こういう方式になるのであります。
  34. 小林武治

    小林武治君 少しくどくなりますが、特別交付税というものはかような災害等がやはりその理由になる、こういうことになっておりますが、今の特別交付税でもそういうことはなさるわけでしょう。
  35. 柴田護

    説明員(柴田護君) 災害特例債を設けましたときの議論から申し上げることになりますが、結局特別交付税というものはお説のように、こういう災害等で、年度の当初に交付税を決定いたしました以後において基準財政需要額なりあるいは基準財政収入額に生じました変動を直すというためにあるのでありまして、こういう特例債があるにもかかわらず、それを設けてやるわけであります。ただ特例債を設けました、特例債という法律ができましたいきさつは、交付税あるいは交付金といいましても、特別のワクをうんとふやすということはむずかしかろう、そこで本来なら交付税ないし交付金でもって始末すべきものであるけれども便宜起債でもってその年度の経費は補っておいて、そのかわりその元利補給を国庫が全部やる。言いかえれば特別交付税でもって一年で見るべきものを三年なり四年なりに分けて見ていく、こういう建前で特例債は当初できたのであります。ところが去年からその方針が変りまして、そういうことでなしに、元利補給というものをつけずに、ただ資金繰りだけを考える、言いかえれば特別交付税といいましてもワクに限度があるわけでございますので、年度が終りました、年度が終りに近くになりまして、その年間中に生じました災害全部を拾ってみる、ところがワクに限度があるものですから、それを十分まかない切れないというような場合も起り得るわけでございます。しかしながら、その範囲でもって見ていくより仕方がないのであって、それはそのままにしておいて、ただ資金的に当座非常に困るものですから、それを起債という格好でもって一応固めていく、あとで元利償還を自力でもってやっていく、こういうやり方に去年から、やはり議員立法でございますが、そういう姿に変っております。今回御提案になっております法律案も同じような趣旨かと拝察するわけでございます。
  36. 小林武治

    小林武治君 そうすると、これはやはり利子というものは将来なしくずし的にある程度見ていくと、こういうことになってくるわけですか。説明員(柴田護君) この法律案が成立いたしましても成立しない場合におきましても、こういった災害によりますところの消費的経費の増減、あるいは収入の減少というものにつきましては、特別交付税で見ていくことになります。
  37. 小林武治

    小林武治君 そうすると、この法律はさしむきはただ資金を得るということだけの作用ですね。
  38. 柴田護

    説明員(柴田護君) 当座の問題といたしましては、御趣旨の通りだと思います。
  39. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 第一条の二項「政令で指定する。」予定になっておる。これはおそらく提案者と了解がついておると思いますが、どちらからでも、どこを本年度この法律を適用されますか、お伺いしたい。
  40. 北山愛郎

    衆議院議員北山愛郎君) この点につきましては先ほども説明申し上げた通りでございますが、まあ政府側としても水害を受けた地域、あるいはどの程度この法案を適用する必要があるかどうか、そういうものを調査の上でこの指定団体というものをきめるわけでございますからして、われわれとしてはその格別な資料というものは持っておらないわけでございます。
  41. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 事務当局はわからないですか。
  42. 後藤博

    政府委員後藤博君) これは標準税収入とそれから災害の復旧費等を比較いたしまして、一定率以上のところについて、政令でこの起債を認める、こういうことになるのであります。その範囲等につきましては、まだ私どもははっきりした態度をとってはおりません。
  43. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 二十八年度にこれを一応出して、二十九年度も多分出しておりますが、三年目だと思う。大体全体の構想ばほとんど同じですか、どうですか。
  44. 後藤博

    政府委員後藤博君) 一昨年のは先ほど申し上げましたように元利補給が入っておりますが、昨年はこれと同じ方式であります。
  45. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 地方債のこの原資ですが、資金運用部、それから簡易生命保険、郵便年金、これらの方から持ってくるというのですが、これは今まで地方債ワクとして、取っている以外に出すという意味ですか。それとも地方債の中で、地方財政法の例外であるからこういう法律を必要とするのか、ワクをこれでふやそうとするのかどうか、その点。
  46. 後藤博

    政府委員後藤博君) この二条の趣旨は、資金運用部資金、簡易生命保険、郵便年金積立金という意味は政府資金という意味であります。政府資金というものを法律に書くと、こういうことになるのであります。だからどこの会計から出すかは別として、政府資金を出すとこういう意味であります。それから今のワクの問題でありますが、先ほど申しましたように、今年ははっきり全年災の額がわかりません。これはまあ予想がつきませんので、一応国の災害補助費が五十億ございますので、それを基礎といたしまして大体三十五億だと思いますが、三十五億くらいは別にしております。この方面の起債も含めて足りれば問題はないわけであります。足りない場合には、やはり起債の増額される場合には国の予算の方もおそらく増額ということになるのでありますから、従ってその際あわせて起債の増額をお願いしたいと、こういうように思っております。
  47. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、例の二百三十億ですかね、七百九十億のあのワクの中で出すわけですか。
  48. 後藤博

    政府委員後藤博君) あの起債ワクの一般会計分の七百九十億の分の中に入っております。
  49. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 「利息の定率及び償還方法は、政令で定める。」とありますが、もっともこれも前年の例でやるということに考えていますが、その場合どのくらいの償還機関及び定率をどんなふうに考えているか。
  50. 後藤博

    政府委員後藤博君) 元利補給がついております場合は、たしか一年据置の三年となっておりましたが、この場合は普通の災害起債と同じように、取扱いをいたしたい、こういうふうに考えております。それから利子はやはり六分五厘であります。
  51. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 大体概算してどのくらいになるか。三十年度は償還がない、だから来年からですね、結局予算の上では来年、今年据え聞いて来年はまだ償還に入らぬわけですか。
  52. 後藤博

    政府委員後藤博君) 普通債でありますから、今年、来年は据置になっているものでございます。で総額が、私まだ被害総額がわかりませんのでわかりませんが、去年の例から判断しますと数億くらいではないか、起債の総額は。それをまあ十年以上とか十五年に払うのでありますから、毎年の償還分はしれた額になるわけであります。
  53. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、本年度予算を伴わないと、かように考えていいですね。
  54. 後藤博

    政府委員後藤博君) 予算は、これは私どもの方の投融資計画には私はすぐには響いてこない、起債計画にはすぐは響いてこない。ただ秋になりまして、災害が非常に大きなものが起って参りますと、やはり全年災の総額の問題になってふやさなければならないという問題になってきますが、今のところは大体やっていけるのじゃないかというふうに考えております。
  55. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 他に御質疑はございませんか。御発言がなければ質疑は終局したものと認めて、これより討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ります。  昭和三十年六月及び七月の大水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  57. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお前例によりまして、本会議における委員長の口頭報告の内容、報告書の作成等については便宜委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  59. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案議題に供します。これは先般提案理由説明は終了いたしておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言を願います。
  60. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大臣の説明の中で読んでみますと、はっきりわからないところがあるのですが、事務当局でもいいのですが、その点を御説明願いたいと思います。それは説明要旨の一、二、三枚目のところですが、そこにこういうことが書いてある、「本年度分の普通交付税の総額は、この三十億円を加えた総額すなわち千四百十八億余田の九二%の額とし、特別交付税の総額は千四百十八億余田の八%の額からたばこ専売特別地方配付金に相当する三十億円を控除した額とすることとし、たばこ専売特別地方配付金は、性別交付税の交付の例により配付することとしているのであります。」ここを読んでみますと、三十億円を加えた総額すなわち千四百十八億余田の九三%がこれがいわゆる普通交付税、今年の改正によってはあとの八%は特別交付税とするということが前に述べられてある、そうするというと、三十億円を加えたものの八%ということになるのでありますが、あとの方の文面から見ますというと、今度は千四百十八億円の八%から三十億円を控除した額となる、特別交付税はここが私はわからない。この点を御説願いたいと思います。
  61. 後藤博

    政府委員後藤博君) 国税三税の二二%の額は千三百八十八億円であります。これがほんとうの、ほんとうと言うとおかしいのですが、交付税の額であります、二二%でありますから。そのほかに交付税特別会計にたばこ益金のうちから三十億円入ってきます。入ってきたものを交付税と同じ方式でもって交付税として配る、同じように配ると、こういうことにいたしましたので、交付税という観念もできるのであります。従ってその千三百八十八億に三十億円を足したもの千四百十八億円を交付税の総額と考える、そのうち九二%に当るものを普通交付税にしたわけでございます。そうしますと、交付税の総額は千三百八十八億円であります、ほんとうの交付税は。従って千三百八十八億円から今申しました千四百十八億円の九二%に当る額を引きます。引きますと、三十億円足りなくなります。ですから差引三十億円足りなくなった額は、これはたばこの益金で配るのだと、こういうのであります。
  62. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 ところが加えたものの九二%……。
  63. 後藤博

    政府委員後藤博君) ですから、千三百八十八億円に三十億加えたものの交付税の方からずっととって参ります。交付税の中からとって参った残りの分と、それからたばこの専売益金の三十億、これが特別交付税の額になるわけであります。しかし特別交付税というものは……。
  64. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 どっちも九二%がかかるのでしょう。三十億円に対しても。
  65. 後藤博

    政府委員後藤博君) いや三十億円にはかかりません。
  66. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 加えたものという言葉がある。
  67. 後藤博

    政府委員後藤博君) 加えたものを——千三百八十八億円と三十億円です。それが千四百十八億円。
  68. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それの九十二%。
  69. 後藤博

    政府委員後藤博君) ですから、それが普通交付税であります。あとの残りが特別交付税に当るものなんです。ところがほんとうの特別交付税というものは千三百八十八億円から今申しました千四百十八億円の九二%を引いた額だと、六十九億しか残らないわけです。六十九億円と三十億円足したものが特別交付税として配分する額だと、こういう意味であります。
  70. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 どうもそこがはっきりしないのだな。たばこのものを三十億を加えたもの九二%が普通交付税でしよう。
  71. 後藤博

    政府委員後藤博君) そうです。
  72. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その残りが特別交付税でしょう。そうしたら特別交付税の計算の場合に何も三十億を控除しておらないじゃないか、ここなんだ。
  73. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  74. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を起して。
  75. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それからその次に、これはしばしば今回の委員会質疑応答にあったのでありますが、給与関係がはっきりしておらないので、これは実態調査をやってからでなければだめだと、そういううことになりますと、今度のこの税率をきめた百分の二十二ということは当然これは給与の関係調査前ですから、相当これは多額になっているということを考えながらきめたということになるので、その面からみるというと、私どもは当然不足額を生ずるのだということになりますが、その点を伺いたいと思います。
  76. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ちょっと御質問の趣旨が……。
  77. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今度の百分の二十二という税率は、これは非常に私は実態に合わないのじゃないかということを聞いているんです。というのは給与の自治庁で算定しておる費用と実態とに差額がある。そのために地方では赤字をこしらえておるというようなことになるのだが、そうすると、そういう自治庁で考えている計画の給与額と実態とが違うのに対して、自治庁の百分の二十二というのは計画上の百分の二十二であるから、そのまま押してゆくというと、当然これは不足を生ずる。赤字が必然に起るということが予想されたものでないか、そういうことを聞いておるのです。
  78. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 三十年度財政計画で赤字が出るといたしますれば、給与も大きな一つの素因でありまするけれども、給与以外にも原因もありまして赤字になるわけであります。ただ給与一本の赤字だと私ども考えていないわけであります。
  79. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そのことはよくわかるのですけれども、実際にこの前からの論議されておる点においては、給与の方面において自治庁の考えておる考え方と、そういう自治体においての給与されている総額において非常な差がある。この問題は今度のこの実態調査によって解決するのだという御説明があった。現実においてはこの画からくるところのいわゆる百分の二十二では相当の不足額を生ずるのじゃないか、こういうことを聞いておるのです。
  80. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 給与の実態調査ができまして、給与の面におきまして従来の財政計画上の計算とどれだけの差があるかということがわかりますれば、これは何らかの方法によって財源措置をしなければならぬ、こういうことを考えておるわけであります。その財源措置は交付税率の引き上げ一本でやるのか、それとも他の方法でやるかということにつきましては、それはまだ決定を政府としていたしておらぬのであります。この点に関しましては、前回も私からも御答弁申し上げましたし、たしか大蔵大臣も当委員会で同じような答弁をしているのじょないかと思うわけでございます。
  81. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると、当然これは百分の二十二では不足であるということをお認めのようでありますが、従って自治庁の案としても最初百分の二十五にしなければならぬということがあったそうでありますが、そういう点から考えましても、今後においてこの問題は、今の大臣の御答弁のように何らかの方法で善処しなければどうしてもこの不足額が充当されない、こういうふうに私は考えますが、その点について。
  82. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) お説の通りであります。
  83. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 次に、単位費用の計算について伺いたいと思うのです。一つの小学校の例について言った方がはっきりするかと思うのです。この単位費用のところで、教育費関係、小学校教育、児童数一人につき千七百二十三円が今度千七百五十七円になった。この千七百五十七円というものを算定した算定の方式を承わりたい。
  84. 柴田護

    説明員(柴田護君) お手もとの資料でこらん願いたいと思いますが、小学校の例で申しますと、標準施設規模といたしまして児童数は五百四十名、学級は十二学級、各一学級の総数四十五人、これに配置いたします教職員の数を校長一人、教諭十二人、養護教諭、それから休職並びに事務職員をひっくるめまして二人という算定をいたしております。
  85. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 ちょっとその二人のところで伺いたいのですが、この休職というのは何ですか。
  86. 柴田護

    説明員(柴田護君) まあ事故職員と申すと語弊がありますが、養護教諭のほかに休職給を支払わなければならない事故職員といったようなものがあるわけであります。そういったものをひっくるめまして二人というふうに考えております。
  87. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その点について、今度の産前産後の休養のために臨時職員を置くことができる法律が通っているが、その場合この中に入っておりますか。
  88. 柴田護

    説明員(柴田護君) この単位費用で予想されております数字はああいう法律が出る前の話でありまして、一応これには考えておりません。ただあの法律は弾力性をある程度もった法律であります。従いまして、そういうものをどの程度入れてゆくかということにつきましては、なお今後の実態を見きわめました上で措置いたしたいと思います。
  89. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そこがなかなか私は大事なところだと思うのですがね。おそらくこれで操作するのじゃないかと思われるのだが、当然われわれから考えたら、ああいうことになって臨時にそれを採用するとなれば、ワク外にとらなければならない。自治庁はどういうふうにおやりになるのですか。
  90. 柴田護

    説明員(柴田護君) 一応法律が制定されたのでございますし、実際に出て参りましたならば、さようなものもある程度恒常的な姿において考えなければならぬことじゃないかと思います。何分実態がどのような姿に出て参りますかわからないのであります。従いまして、現在のところにおきましては、今すぐ単位費用をどうこうという問題にするわけには参らないのでありまして、将来の問題といたしまして希えていきたいと思います。
  91. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 将来の問題として考えるときに、基本方針としてワク外に置くか、ワク内で操作するかということだけは、ここで一つはっきりしていただきたい。
  92. 後藤博

    政府委員後藤博君) 御承知の通り教育費の算定そのほかすべてそうでありますが、あるべき財政需要額という一つのモデルなんであります。このモデルは従来の財政規模、従来の数値というものを使いましてできているのであります。従って新しいそういうものを、おっしゃいますような職員を考えます場合にも、一体どの程度あるべき職員の中に含めさせるかということは、現実にどのくらいそういう職員を置くであろうかということから始めなければならぬのでありまして、今のところ、どの程度普遍的に賢くものかどうかはっきりいたしません、ある法律だけでは。従ってある程度そういう普遍的な状態まで見きわめなければ私はこの単位費用の中に入れることはできないのじゃないか、かように考えております。従って多少時間がかかりまして、ある程度普遍的なものになってくれば、もちろんこの中に入れてゆくということになると考えます。
  93. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 どうも少しあいまいのように私思うのですがね。そうすると、このワクの中で処理するというふうなことになるわけですか。ワクをふやすということになりますか。
  94. 後藤博

    政府委員後藤博君) これは非常に普遍的な同じような状態が各府県にあるといたしますれば、やはりワクの中に入れなければいかぬと思います。しかしそれがある県では非常に大きく入り、ある県ではあまり置かないというような不平均な状態がありますれば、一体どの辺の線をもって入れるかということになるのであります。ですからその見通しがつきませんので、現在すぐ入れるわけにいかない、こういうふうに言っておるわけであります。ある時期になって、適当な時期になってきますれば、当然入れることになります。
  95. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その点はわかりました。そうすると、結核とか何とかというときと同じワクを一項置いてやっていくということになりますね。  それから次に小学校の経費のうちで、道府県とそれから市町村において規模が違うように思うのですが、これはどういうわけなんですか。道府県では十二学級、片一方は十八学級ということになっているのですが。
  96. 後藤博

    政府委員後藤博君) 道府県の場合は、あるべき財政状況をみまする場合に、百七十万の人口の県というものを想定いたしまして、従来のいろいろの施設をみておるわけであります。それから小学校の場合には、市町村の場合には大体人口十万の都市というものを想定いたしております。従って人口十万の都市の一校平均の児童数が大体九百人くらいでありますので、そこを基準にしていろいろ数値をはじいております。
  97. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういたしますと、個々の単位費用の額、小学校の児童一人についての千七百五十七円というものは、これらのうちのどちらをとったのですか。市町村の場合ですか、あるいは府県の方の場合ですか。
  98. 柴田護

    説明員(柴田護君) それは小学校と申しましても、都道府県で要ります経費は、小学校の職員の俸給、給与、それから市町村の要ります費用というものは施設の維持と、それから雇用人の給料でございます。そこで規模が違っておりますので、先ほど部長から御説明申し上げましたように、府県の場合は百七十万の人口の場合を例にとっております。その百七十万の府県の人口の一小学椛当りの平均規模をとっておるわけであります。それから市町村の場合におきましては、人口十万の都市におきます一小学校当りの標準規模をとっておるわけであります。従って規模も当然違いますし、単位費用も当然違ってくるわけであります。
  99. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 では大臣にちょっと伺いたいのですが、それは先般夏季手当でもって非常にわれわれも問題にして、大臣の御意向も伺ったのでありますが、ところが夏季手当は全然支給されていない県もある。いわゆる〇・七五ですが、それを分割払いをしておるような所もある。いわんやプラス・アルファー〇・〇五ですが、これはほとんど支給されておらない。こういうことからわれわれとしても非常に心配をしておるのでありますが、そこでこの夏季手当はとにかくとして、さらに八月分の俸給すらどうも支払えないというような事情もある所もあるというのであります。いわんや寒冷地給なんというようなことについても非常に困っている、こういうことで、これを解決するために地方の要求としては、第三四半期の交付税を八月十日頃までに繰り上げて支給してもらいたいというような要望があります。それから九月分の義務教育費国庫負担金を、第三四半期の分を八月十日頃までに支給してもらわなければ、何とも措置がつかないというふうな要望が強いのであります。それからもう一つは融資関係です。資金運用部の金を何とか融通してくれないか、こういうことによってこの急場を何とか脱出したいと、こういう希望を持っておるところの県が相当あるのであります。これらに対して大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  100. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 交付金を八月十日前後までに地方へ交付しろということは、私どももごもっともな意見だと思います。ただいま大蔵省と折衝中でありまして、おそらくその通りにいくつもりでおります。従いまして一般地方公務員の給与支払い等にはとりあえず八月は差しつかえないような措置ができる、かように考えております。
  101. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 交付金の繰り上げはそれではっきりわかりましたが、九月分の義務教育国庫負担費、これも何とか八月ごろまでにしていただきたい。その点はいかがですか。
  102. 後藤博

    政府委員後藤博君) 義務教育関係は御承知の通り文部省から出ております。文部省の方にも私どもが連絡いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。この間も文部省の方々にその話を申し上げておるのであります。私ども直接の関係でないのでありまして、間接になっておりますが、地方団体も困っておりますので、できるだけ多く出していただくようにいたしたいと思っております。
  103. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 交付税の総額が百分の二十二で少いので、調整作用ができないので、特に標準からずっとズレた過小団体に不利になるような結果にならないか。私は交付税の総額というものが適当でないと、いかに測定単位や単位費用をいじってもなかなか調整できないのじゃないか、やはりそういうものが適正で初めて配分ができるのじゃないか。そういう点でやはり百分の三十二では標準から偏差のひどい貧弱な公共団体にしわができるようなことはないかどうか、そういうことをお伺いいたします。
  104. 後藤博

    政府委員後藤博君) おっしゃいます通りでありまして、それは幾らになればできるかという問題じゃなくて、私どもは交付税が相当額増額された際に、やはり現在の単位費用を直しますと同時に、そういう過小な団体に対しての財政需要額を十分に見ていくような措置ができるのじゃないか。現在の段階ではそこをふやして参りますと、ほかの方が減って参りまして、非常に激変を与える、他の団体に非常な変化を与えますのでできないのであります。ある程度交付税が上って参りますと、私はその間に単位費用そのものも改訂できますし、おっしゃる通りに現在の過小団体に対する行政費の側聞になる点もある程度考えていけるのじゃないか、こういうように考えております。
  105. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その問題は別として、この十二条ですね、測定単位と単位費用が並べてありますね、これを見ると、結局配分の基準ということは面積と人口によって全体が要約できると思うのです。いろいろ細かいことを言っているが、この配布基準というものは一切がっさい人口と面積によっているのです。そこでさらに土木にしても、その他の土木費というようなことでまた人口、面積というふうになる。行政費においてもその他の諸費というようなことで、これもまた人口一人当りというようなことで非常に人口と面積を基準にしてのこういう配分は、私は補正係数を出していただいて、果してその面積が狭くて人口の少いというようなことが、この交付税が期待しているような調整作用ができるかどうか、両方について見ないと、測定単位と単位費用だけでは果してこれが期待しているような平衡作用、調整ができているかどうかわからぬと思るのです。補正係数というものはここで出してないようですが、これはどうなんです。
  106. 後藤博

    政府委員後藤博君) 補正係数、数字そのものは出しておりません。しかし、やり方だけは法律の中に書いてあります。
  107. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると、いつも言われるんですが、ある意味では、この経費は人口の少いほど割合逆比例の面もあるし、面積が少いほどそういう点が十分織り込まれて、過小団体あるいは後進地域というようなものが、十分この補正係数の要領が書いてありますが、これで十分それが調整されているか。
  108. 柴田護

    説明員(柴田護君) 交付税の思想をどういう工合に考えるかという問題になると思います。主としてここで問題になっています点は、非常にごく小さな団体を、国の交付税で調整作用をどこまで働かすか、言いかえますならば、そういった団体の開発関係の経費をどういう形で地方交付税の中で見ていくかということになろうかと思います。現在の地方交付税の建前では、そういったいわば後進地区の開発関係の経費というものは実は見ていないのであります。で、やり方は、そういったものば大体通常開発関係の経費だから、これは投資関係の経費だ。それは通常のやり方では地方債で一応やっておる。そして、そういったもののでき上った費用という、施設の維持費と申しますか、償却費というものを交付税の中で見ていくと、こういう建前に実はなっておるわけであります。そこに問題がないかといわれれば、問題があることは私ども承知をいたしております。しかしながら、その問題を解決いたしますためには、そもそも標準団体というものの内容が、現在きめておりますこの地方交付税法の算定の基礎になっております標準団体というものが、正しいかどうかという問題にもまつわるわけであります。言いかえれますれば、町村合併も相当進んでおりますし、それから人口昭和二十五年以来相当変って参っております。その際に、昭和二十六年ごろに設定いたしました標準財政規模、標準団体、それの標準財政規模というものを今日までそのままにしておくことがいいか悪いか、五年たっておるわけでございます。従いまして、さような問題を当然取り上げて、標準団体そのものから洗い直していかなければならぬというように考えているわけでございます。これは地方財政計画を組みます場合の地方債というものをどういう工合に扱うかという問題ともからんでおるわけでございます。今のように公共事業費というものの財源地方債を使っておるという限りにおきましては、今までの建前を貫かざるを得ないのでありますが、この公共事業費に対する地方債というもののあり方を考え直して参りますならば、標準団体から全部洗い直してやらなければならないということになろうかと思います。ただ今日の際、その作業が実は間に合いませんので、今年度は国庫補助金等の変動に伴いますもの、その他若干の原因に基く単位費用の補正だけを行なっておるのであります。
  109. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先に規われた後進地域の問題等、そういう問題を考えていただかなくては、この経費の種類、測定単位、単位費用ということからいけば、とにかくいろいろな既存の施設のある所にはそれによっていくし、後進地域はいつまでたってもその後進性が財政的に補強されないと思うのですがね。そういうことはどうなんですか。
  110. 後藤博

    政府委員後藤博君) 後進地域に対する問題でありますが、これは交付税そのものでは解決しないのであります。やはりこれは他の起債か何かでやはりいろいろな事業をしたその結果が、数字として交付税に現われてきて交付税がふえていく、こういう格好になっておりまして、その中で後進性を是正するような方式をとるということは不可能じゃないか、かように思っております。それは別途の問題として考えるべきじゃないか、その結果は交付税に現われてくる、こういうことになるのではないかと思います。
  111. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その関係、私もよくわからぬのですが、いろいろこれを検討すると、ますます私はこれはそういう別な起債その他で見ていただければ別ですが、この中からだけいくと、ますますそのアンバランスが実はこれは来るんじゃないかと思いますがね。そういうことはないでしょうか。まあそれはその程度にして、この教育費ですね。さっき若木委員も質問しましたが、この児童数と学級数、学校数と、まあ三つでやってあるんですがね。これは山岡僻地等で児童数に比べて学級数や学校数がはなはだしく多いようなところも、その辺の勘案はとれておるのですか。大体児童数と学級数とだけで換算してみると、半々ぐらいになるのですが、それで教育費の要ある問題からいうと、児輩数の問題はあまり考嘱せずに、学校、学級の数こそ、私はやはり単位費用を計算するのにいいのじゃないかと思いますが、その関係はどうでしょうか。
  112. 柴田護

    説明員(柴田護君) 教育費の測定単位につきまして問題があることは、私ども承知いたしております。理想から申し上げますならば、あるべき教職員の定員というものが、現有警察職員でとっておりますような形で、あるべき教育職員の定員というものが、たとえば算式でもよろしゅうございますが、一定の方式によって計算すれば自動的に出て参るというような方式がきめられますならば、この問題は簡単に解決するわけであります。ただ遺憾ながら現在の段階では、あるべき教員数というものはわからないわけであります。ある教員数はわかりますが、あるべき数はわからない。そこで、そのあるべき教員数というものの測定をこの三つの方法で便宜代外しておるわけであります。もとより団体によりまして、その間にでこぼこがあることは承知しておりますし、毎年特別交付税を組まれます際には、その間のアンバランスは特別交付税でできるだけ直しておる。しかし理想から申しますならば、あるべき教職員の定員というものが自然に出てくるような方式が望ましい。そこで、そういう方法は考えられないかということを申しておりまして、文部省でも研究してもらっております。
  113. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 このいただいておる小学校、中学極の測定単位、単位費用がありますが、児童数にまだ私はウエイトが置かれ過ぎて、平坦地あるいは大都市へ人口が集中して、一学級当りフルに詰まっておるところが非常に有利になるのじゃないかというふうに思うのですが、この点はどうですか。
  114. 柴田護

    説明員(柴田護君) 必ずしもそうじゃございませんで、私はむしろ逆じゃないかと思います。むしろ学級数を非常に多く持つ学校をたくさん持っておる、むしろ山間僻地みたいな所の方がいいのじゃないかといったような感じを持っております。
  115. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 徴税費なんかは、これは税収の多寡と徴税費というものは必ずしも正比例せずに、額が小さい場合でも割合は多くなるというようなことがあるわけですが、そういうものの段階補正というようなことは考えていませんか、徴税費について。
  116. 柴田護

    説明員(柴田護君) 徴税費につきましては、そこに書いてありますように、道府県の税額について一定の単位費用をきめておりますが、もとより税目によりまして違うのであります。この税目の棟別によりまして補正係数を適用いたしております。私は現在の測定費用によりまして、大体理想の姿が出ているのじゃないか、特に非常におかしなところはないというふうに考えております。
  117. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この補正係数はいつごろできますか。
  118. 柴田護

    説明員(柴田護君) 今作業をほとんど終りかけたような段階であります。
  119. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 実際はわれわれは単位費用と同時に補正係数をにらみ合せて、一般的な規定でなしに、これまでのいろいろ弱小団体、後進地域、過小団体というようなものが補正されるかというようなことを見ぬと、実際はこれはまあ審議の前提条件が整っていないわけなんです。が、しかし再建整備法その地われわれは質問をしているのですが、実際そういうものを見せていただかぬと、私もまあ計算羅を持ってはじいた経験もあり、十分そういう交付税の期待した調整作用ができているかどうか問題ですが、一つできましたら、きわめて近いうちにお見せしていただきたいということ、並びにわれわれが平衡交付金のときにいろいろ検討しました際に、標準から非常に片寄った貧困団体といいますか、過小団体というものがどうしても補正係数では調整できなかったのじゃないかと思います。そういう点を一つまあ考慮していただきたい。できましたら補正係数をすみやかにわれわれに示していただきたいことと、そういう点を一つ考えていただきたいと思うわけであります。  それからもう一つ、最近この交付税制度が始まってもう二年目ですが、たとえば地方制度研究会というような地方制度の権威者の研究会ができて、もう一年にして、このあてがいぶち制度の交付税制度はもうだめだ、下から積み上げたやっぱり平衡交付金制度に変えるべきだというような、すでにもうこういう蝋山さんその他ほとんど権威者がそういう結論を出しているのですが、御当局は何らこの交付税制度に疑いを持たずに、非常にいい制度だ、地方財政を防御するにも、再軍備費がしわが寄ってきたりするのを防衛するのにいい制度だというふうにお考えかどうか、その点。
  120. 後藤博

    政府委員後藤博君) 理論的に申しますれば、交付金制度というものは非常によくできているのであります。しかし現実の問題といたしますれば、毎年交付税の額というものが政治的に動いていくというところに問題があるのであります。それをどういうふうにして、われわれの地方団体側としては交付金というものを確保するかという問題になって参りますと、やはり毎年毎年政治的に問題を決するよりも、一定率でしばらくの間いった方がいいのじゃないか。非常に交付基準額と交付税額と異なった場合には、やはり率の改訂という問題を起す。そこは行政費に関するいろいろの制度の改正という問題を考えたらどうかということを考えて、交付税制度というものを考えたのであります。理論的に申し、またそれがその通り実行できるものであれば、私は交付金制度というものはいい制度だと思っております。しかし理論的にはよくても、実際問題としてその通り行えないところに交付金の問題があったのでありますが、それをどうして是正し、どうして地方財政を防衛していくかと、こういうことになって参りますと、やはり私は交付税制度というのは、現在のところではその従来の弊害を防止するために役に立っておる、かように考えるのであります。
  121. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 むしろ逆じゃないですかね。たとえば奄美大島の問題、警察費の平年度化、そういう問題があったって、まあ全然二二%というようなところでちっとも考えずに、そういう二二%としてきまったときの前提がくずれているのにちっとも改めない。むしろ積み上げ方式のときなら、そういうこともやれぬことはないのですが、その点。
  122. 後藤博

    政府委員後藤博君) おっしゃいます問題は、やはり残っておりますが、本年の予算の御合を考えてみましても、昨年より百三十億ばかりふえております。これは当然のこととしてふえた上に立って計算しておるのであります。従来でありますれば、百三十億の上にプラス・アルファしていくことができたかどうかということになりますれば、これは今年の予算否定の状況を見ておりますと、やはり問題があるのであります。従って私どもはむだではなかったという気持を持っておるのであります。
  123. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ自画自賛のそしりを免れませんが、それは今度の国会で税法の改正案、二二%の改正案が出たときに取っ組むことにして、いつごろ補正係数ができますか。
  124. 後藤博

    政府委員後藤博君) 補正係数は八月中旬になると思います。
  125. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 他に御質疑はございませんか。——御発言がなければ質疑は終局したものと認めて、これより討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないものと認めて、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  127. 秋山長造

    ○秋山長造君 私は社会党第四控室を代表いたしまして、本改正案に反対をするものでございます。  反対の理由を簡単に申し上げますれば、今回の改正案内容自体は、現在の交付税率二二%というワク内における単位費用の改訂、その他のいわば事務的な改正点を盛り込んであるわけでございますが、われわれ社会党としては、今の交付税の税率の二二%というものが、今日の地方財政の実情と全くかけ離れた、きわめて非現実的、しかも不合理なものであるという根本的な立場に立っておりますので、その方面からもまずこの改正案に対しては反対をせざるを得ない。現に本年の地方財政計画の策定に当りましても、その経過をわれわれが見ておりまして、いかにこの地方財政計画そのものが、今日の地方財政の実情を無視し、これと遊離しておるかということを、その経過そのものが如実に物語っておるのでありまして、いろいろ経過はございましたが、結局終局的には政府の立てられた地方財政計画において歳出は九千九百二億であり、歳入は九千七百六十一億、結局百四十一億円という歳入欠陥をそのまま認めざるを得ないような計画を発表され、しかも、それではあまりにもおざなりであるというような批判を受けましたために、一夜にしてこの百四十一億という歳入欠陥を、経費の節約その他きわめて非現実的な無理な方法によって帳じりを合せるというようなことまでおやりになった。こういうことをおやりになるのも、もとはと言えば今の二二%の交付税率というものがもはや実際の用に立たないものであるということをみずから物語っておるものである。現に地方財政審議会から自治庁長官に出されましたあの答申によりましても、地方財政計画を今まで通りの要領で推計をいたしましても百五十三億円の財源不足を生ずるというし、さらにこれを自治庁が従来主張して参りましたように、昭和二十八年度決算を基礎としてもっと現実的に計算をした場合には、四百五十七億円という膨大な財源不足を生ずることになるということをうたっておるのである。また地方財政審議会の意見の申し入れに対しては、自治庁当局といえどもこれは事実上認めざるを得ない実情だと思うのです。われわれはこういう事態にかんがみまして、今回の国会におきましても、この交付税法の税率を二二%から二七%に引き上げるべきである、こういう案を提案をしておるわけであります。また別にたばこ消費税の税率の引き上げ等も考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、今のままの二二%というワク内において幾ら内部の操作をおやりになりましても、これはしょせん今日の地方財政の危機に対処する方法としては、これは全く焼け石に水という何らの効果も期待できないものである。私は政府におきましても、すみやかにこの税率の引き上げという問題に対して責任ある処置をとられるべきである、こういう観点からいたしまして、はなはだ簡単でございますけれども、われわれはこの改正に対しては反対の立場を表明せざるを得ないものであります。
  128. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 他に御発言ございませんか。
  129. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 交付税の問題に対しましては、二二%という税率自体においても、また同時に標準財政支出の計算の点においてもいろいろ問題があると思うので、そうした問題は今回のこの一部改正では触れておられない。触れておられないけれども、われわれとしてはその点についてはいろいろな希望を持ち、意見を持っておるということを特に付け加え、同時にまた今後給与の実態調森でもあった上におきまして、政府は必ず適当な措置をとるということを強く希望いたしまして、この法案に賛成いたします。
  130. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 他に御発言いございません。——他に御発言がなければ、討論は終局したものと認めて直ちに採決に入ります。  地方交付税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  131. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお前例によりまして、本会議における委員長の口頭報告の内容、報告書の作成等につきましては、便宜委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  133. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に、地方道路譲与税法案議題に供します。  これも前回提案理由説明を聞いておりますが、御質疑のおありの方は御発言願います。
  134. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 簡単に一つだけ伺いたい。今度の道路譲与税は、これは町村道の方に何か影響があるものであるか、あるいは全くないものであるか。これは町村道を持っている所は非常に困っている事態がある。というのは、まあ大きな工場などがあって、非常にトラックが通って困る、ぶちこわれてもなかなか修理費に事欠いている、今のところでは、そういう工場等が話し合って幾分の修理費の応援を得ている程度であって、非常に困る問題である。今回道路譲与税ができたとすれば、そういう点はどういうふうに救済されるものかどうか、その点をお伺いしたい。
  135. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方道路譲与税につきまして、地方団体に配付する金は都道府県、五大市だけであります。市町村につきましては、一般財源あるいは起債等によりまして、道路費を出すわけであります。
  136. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 何か町村道に対する補助とか何とかという形で出ることはないのですか。
  137. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 道路譲与税の方は、ただいま大臣からお話があった通りでございます。しかしながら、都道府県道との関連から、御指摘のように町村道を補修しなければならない、そういう場合に道府県が補助金を交付したいと考えました場合に、地方道路譲与税から持っていくことも差しつかえないということになっております。
  138. 秋山長造

    ○秋山長造君 川島長官にお尋ねしますけれども、この前連合審査のときのお話では、来年度の大体当初の税収見込みが九十四億だったのが、今度の衆議院修正によって半減するということになっている。今年は何でも大蔵省の方で、二十五億の穴があくのは何らかの方法で穴埋めするとかいう話だった。今年はいいとしても来年以降はどういうことになるのか、この半減するという事態に対して何らかの方法を考えて、そして当初の見込み通りの税収が上るようにされるのかどうか、その点。
  139. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 三十一年度予算編成の際にその点は考慮いたしまして、道路行政に差しつかえないようにするつもりでおります。
  140. 秋山長造

    ○秋山長造君 主計局次長にお尋ねしますが、二十五億の穴があくという、これを何らかの方法でうまくやりますという答弁だったのですが、これはどういう方法でおやりになるのか。
  141. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは道路税法の審議の際に主税局長から大蔵委員会でお答えを申しておりますが、本年は配分の割合につきまして、道路税法の施行の前後において適宜調整を加えまして、地方に参ります分が大体当初の予定にマッチいたしますような方法を講ずると、こういうことで主税局と自治庁の税務部の方へお話をいたしたように思います。従いまして、本年は地方の財源には欠陥は生じない。なお来年度の問題につきましては、ただいま自治庁長官からお答えになりました通り、私どもといたしましても、来年度揮発油の消費量その他アンナ・ファクターがたくさんあることは申し上げるまでもございません。なおまた公共事業の方法等につきましても、年々いろいろと改善を加えておる次第でございます。これらの様子をにらみ合せまして、そのときの財政、国家財政地方財政の姿をにらみ合せまして、適切なる措置をとりたいと思います。
  142. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 関連して。ただいまの秋山委員の御質問に対して川島長官並びに地方自治庁から御答弁があったのですが、どうも内容が明確でないように私ども考えられますのですが、先般の連合審査のときにおいても同僚議員からいろいろと御質問申し上げたと思うですが、もちろん将来の問題についてお説のようにアンナン・ファクターもかなりあるということはわかりすが、この種税金が過去の実例に徴しましても、道路以外の用途にしばしば使われておったということは私ども聞いており、また事実あったということも聞いておるわけでありまするが、本来目的税性格のものが強かったが、本税のガソリン税並びにこれから派生した地方道路税並びに地方道路譲与税等については完全に目的税的な性格が明確になったように感じますので、それが他の方面に使われたり、またそれによって毎年この種税金が増税増税と言われる。しかも一方において地方税については各種の減税措置がとられておるというような事実に徴しましても、アンナン・ファクターその他の問題はありまするが、常に大蔵当局、政府当局においては本年度においてもガソリン税、本税たる基本税たるガソリン税の予定徴税額については非常な過小見積りをしておられる。これらの点についてわれわれが承服しかねる点が多々あるわけけであります。おそらく昭和二十九年度において揮発油税が政府の発表によって二三・五%の増徴になった。また昭和二十八年度、二十九年度において実額にして五十五億円の増徴があった。それが三十一年度には目的税として利用されるというような状況からいって、これらの問題についてこの種の税の性質から他の方面へ、府県、市町村等において各種財源が非常に窮屈であるからという理由の下に、一時の流用もしくはそれが固定化して他の用途に完全に使われてしまうというようなことのないようにということを希望することはもちろんである。と同時にそういう従来のいろいろな経緯に徴して、みだりにこれが増税計画等をなされることについては、われわれ非常に他の一般の税との均衡上もいかがかと思われますので、さいぜんの御答弁に対しては十分慎重に御配慮を希望したいと思うのですが、増税その他簡単にこういう問題について、また来年度全体を考えて、そういうようなきわめてあいまいな御答弁でありましたが、その点もう少し明確にお答えをいただきたい。
  143. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 三十年度地方財政計画で予定しております道路費は約四百億に達します。補助事業だけが百二十八億でございます。従いましてガソリン税から地方に譲与いたします額は七十三億でありまして、その一部分にすぎないのでありまして、その七十三億が道路費以外に使われるということは事実あり得ないことであります。もちろん全部道路費に使うのであります。なお来年度において再びガソリン税等をいじめるのではないかというような御懸念かと私は拝聴しておったのでありますが、本年の議会の御決議書を尊重する建前からいいましても、そういうことは来年度あり得ないことだと考えております。
  144. 小幡治和

    ○小幡治和君 今の大臣の御答弁によりますと、実際今度の地方財政計画そのものとしては、この政府の原案のようなケースで出してきておるわけです。それが修正されてああいうふうになって、そうしてそれの財政的な赤字というか、措置というものは今言ったアンナン・ファクターというのが、要するにそういうものによって何とか今年は補えるというような御説明だと思うのですけれども、それはそうすると地方財政計画そのものは非常にずさんであったということになると思うのですが、それが今度は今の大臣の御答弁のように来年はそういうような要素を断ち切ってきっぱりした一つの税源というか、そういうものを地方財政計画に持ち込むということでないと、今年の不足分というものを来年度はガソリン税やそういうものから持ってこれない、そうすると、それをどこから一体持ち込むのかということになると思うのですが、それはそのときに研究するということなのであるが、今日やはりこういうふうに大きく変革されたときには、来年度は何をもってこれを措置するかというこの何かお考えがあるのですか。
  145. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 来年は今年の道路譲与税が当然減るのであります。その不足額を何らかの方法でひもつきにして地方に回し得るかどうか、こういう御質問かと思うのでありますが、これは今的確に私御返事申し上げるわけにいかないのであります。何といたしましても、地方財源は全体として三十一年度は再検討するわけでありますので、その一環として道路費を考えたい、こういう今の考え方であります。今日のところそれ以上ひもつきで幾らどういう方法で持っていくかということはお答えすべき段階に至っていないのであります。地方財政の全体の一環として道路費を考えたいと思っているわけであります。
  146. 小幡治和

    ○小幡治和君 地方財政全体の一環としてならば、今言った先ほどから論議があった交付税の税率引き上げとか、いろいろありますけれども、しかしこの問題はそうではなくて、一つの目的税としてやっている。しかも道路五ヵ年計画というものをこれを裏づけするものとしてやっているので、ひもつきでなければ理由が立たぬと思うのです。それがひもつきの財源を減らしていて、全体の何というか、地方財政というものを豊かにするからということでは直接の結びつきというものはないわけですね。それでは道路五カ年計画の推進というか、いろいろなものができないじゃないですかね。
  147. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 道路五カ年計画の地方負担だけでも百三十八億三十年度であるわけであります。それ以外に道路費がありまして、四百億という多額の金でありまして、道路譲与税による金額はその一部にすぎない。全部をひもつきで出すならばまた別問題でありますが、一部を出しておるわけであります。その一部が減る、こういうことでありますから、考え方によるのでありますが、やはり全体の一環として道路行政に差しつかえないように考えたいという程度でもって、一つ来年の計画を立てたいと、こう考えておるわけであります。
  148. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員長としてもお尋ねしますが、政府から提出になりました原案においては、一キロリッター四千円、しかも三十年の消費量というものは、推定しておるその積算から七十三億という一応の財源の見通しをつけておる。この意味は、来年も再来年も四千円で、そして消費量がふえればそれだけの伸びばなお道路財源として使って、そして地方道路を整備して行こう、こういう一環した精神があったと考えるのですが、そう承知してよろしゅうございますか。
  149. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 道路税は、昨年議会の御決議でもって新しくできた制度でありまして、委員長の御趣意のような意味で道路税ができた、かように私心得ております。
  150. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 重ねて念のためにお尋ねしますが、伸びがあればやはり四千円は三千円で、修正額それ自身で進むのだということではなくて、伸びがあればあるだけそれは目的税として道路財源に将来使って行くのだ。そういうのが原案の趣旨であったかということを尋ねております。
  151. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) その通りであります。
  152. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうしますと、今回の修正により二千円に下げた、しかも付帯決議で、来年度はその不足財源をまかなえということは、二千円に下げてはあるけれども、やはり四千円で進んで行く。既定の政府の計画を遂行するだけの財源は他から持ってきても補填して、その道路整備財源確保する、こういう意味の修正だと考えられますが、そういうふうに政府も了承しておりますか。
  153. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これは繰り返して御説明申し上げるようでありますが、地方道路の費用は、地方財政全体の一環として考えなければならぬわけでありまして、道路行政に差しつかえないような程度で考えたい、こういうふうに申し上げるわけでありますので、二千円になりましたが、伸びがありますれば二千円分だけの伸びであります。
  154. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうなると、これは修正案の趣旨がわれわれにはわからぬということになる。二千円に下げて、しかも本年は四千円だけの計画遂行ができるのだ、それだけの財源はある、いわゆる七十三億なら七十三億程度のものは確保できるのだ、こういうことになっています。そしてその精神を延長して、来年は二千円でとって、なおこの不足財源の分は他から財源を求めるという付帯決議がついている。その精神というものは、道路整備のそのある一定限度の計画、これだけを遂行するに足る財源確保したいということだと思うのです。従ってこれは政府原案の精神と、修正はあっても同様の精神だと私は考えておる。それがなければ、私は結論的に申しますが、それがなければ、二千円であってもどうせ伸びがあるのだから、従ってこの七十三億という本年の額程度は来年出るだろう、出たら七十三億で済むのだというならば、これは詭弁だと思う。伸びがある分は別途私は伸ばして行かなければならないと思う。七十三億以上に。そうすればそれば財源不足になる。
  155. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それじゃ便宜大蔵省からお答えいたします。付帯決議の御趣旨は「本法案修正によれば、昭和三十一年度以降の地方道路財源については不足を生ずるも右については適切な財源的法的措置を講ぜられたい。」こういうことになっております。これは字義通り解釈いたしまして、ただいま委員長が御指摘のような御趣旨に私どもも了解いたすわけであります。ただ先ほど来自治庁長官のお答えになりましたのは、本来道路費の財源は今回の地方道路税法による支弁額、すなわち当初の予定では七十三億というものでございますが、これは実は道路整備五カ年計画の裏財源にも足りない額でございまして、そのほかにも非常に多くのものを地方は固有財源等によって支弁をしている、こういうことを一応申し上げまして、そこで、これは道路財源については不足を生ずるという付帯決議の御趣旨も、現在でも実は不足なんでございます。そこで、そういうこともあわせ考えまして、将来は地方財政全般の問題との関連におきまして、適切なる財源的、法的措置を講ずるようにいたしたい、こういう趣旨のお答えを申しているのでございまして、従いまして委員長が仰せになりました通り、地方道路税の分が減りますと、これは国の道路整備費の財源はそれだけたくさん伸びるわけでございまするから、それの裏づけとしての問題もあわせまして、将来地方財源全体につきまして、この問題について処理をいたしたい、かような趣旨でお答えを申し上げている次第でございます。
  156. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それでは本年二千円として、消費量が二百五十なら二百五十とこう出た、それが来年は二百七十に伸びた、かりになったら、伸びた分の二十の分、二十なら二十の分に対する二千円をかけた、それはこの分にはぶち込んではならない。それはそれで別に伸びた分として考えられて、そうして道路財源の不足というのは四千円と本年の消費量との関係における不足分というふうに考えていいか。私の言うのは、伸びの分を負けて、それまで入れて総額がいずれ七十三億程度に来年もなる、それですむんだと、こういうことではないですか。
  157. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 重ねてお答え申し上げますが、先ほど読み上げました付帯決議の文章からすれば、本法案修正による、すなわち四千円が二千円によるところの財源、こう読めるわけであります。しかしながら現実には四千円にいたしましても、なお不足をしておった、こういうふうな関連もございまするから、私どもはその点を合せまして、全体としての処理を考えております。こうお答えを申し上げているわけであります。委員長の御質問は、まさに付帯決議の趣旨は、今回衆議院においての修正案におけるところの不足額というものは、付帯決議の御趣旨通りだということはその通りだと思います。
  158. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私のお尋ねしているのは、従来この種の関係になってくると、翌年度になれば、税収入を上回っているとそれもぶち込んで、そうして考えているということがあるから、そういうこまかしがあるから、はっきりしておきたいと思う。たとえば去年からの増収分になってきている分を、道路整備費の財源等に関する臨時措置法、あるいは去年やりましたような分割して渡すのに、その方にだまって自動的に渡さんで、それをただ今度は吸い上げてきて、新しいものにそれをぶち込んで使ってつじつまを合せる、こういうやり方をされては困るというのが、私の申している趣旨なんです。来年度伸びの分は伸びの分だし、そうして四千円が二千円になって、差額の出た財源不足の分に伸びの分をぶち込んではならぬぞ、こういう意味を私は申し上げているのです。そういうやり方でやるのかどうかということを聞いているのです。
  159. 小幡治和

    ○小幡治和君 そうすると、結局私がさっき質問したのと、今委員長の質問と少し違いますが、まあ同じだと思いますが、要するに今度は四千円という考え方において、そして道路整備というものを目的税のこの財源によってある程度処置しようという一つの計画というものができたわけですね。それが今度は二千円になった。そうするとそれだけ穴があきますね。その穴をどうするかというと、要するにこれは伸びでもってカバーできるのだということなんだ、そういうことだと思う。そうすると、ことしはその伸びというものをほんとうに認めたとすれば、私は計画そのものがずさんだと思うけれども、伸びそのもので処理できれば一応それでもいいと思う。しかし来年度になりますと、先ほどの連合審査会のときに早川委員がはっきり言っておられたのは、要するにそういう伸びのあるようなガソリン税なり道路税なりというものを常にやられちゃ困る。もっとぴしっとしたものに今後改正してもらいたいというようなことを、これはまあそういう何というか、そういう運輸委員会委員の立場からそう言われたわけだ。それに対して大蔵省としては、今後はそういう伸びというものを認めないで、きっちりしたところでやる、こういうふうな答弁をしている。そうすると、来年は伸びというものはないと思う。そうなってくると絶対量が減ってくると思う。そうしてくると、それを何らかのひもつきの財源というものを考えないで、今大臣の言われたように一般財源からこれを処置するというふうなことを言われますと、結局今度考えられますところの目的税なり、こういうガソリン税なり並びに地方道路税によって地方の道路譲与税というその構想がくずれたことになると思う。どうせ足りないのだからこの構想というものをくずしてしまって、一般財源を何とかしてふやして、足りないのだからカバーしたらいいじゃないか。こういう議論になってきて、現在政府がとっているこのガソリン税並びに地方道路譲与税というものを作って、そしてそれによって道路を拡充強化しようとしたその根本というものがくずれてくる。その点に対して政府は一体どういう考え方をもっているのか。要するにくずしてしまうつもりなのか。要するに一般財源の方に何とかプラスになるものがあれば、そっちから適当にまた道路の方をやったらいいじゃないか。こういうような考え方でくずすのですか。それともあくまでもひもつき財源というものを考えて、これが二千円で足りなければ三千円、四千円にしてしまって、そしてあくまでも目的税としての財源確保して、地方道路というものをこの目的税の財源でやりとげるのだという考え方なのか。そこをはっきりしていただきたい。
  160. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) もともとガソリン税を創設いたしましたときの考え方は、自動車というものは道路の破損率が多いものですから、特にガソリン税を目的税にしたわけでありまして、一般的の道路の支出としてはとうてい足りないわけであります。国会修正によりまして、国家の取り分が一万一千円、地方が二千円、こうなったのでありますから、その二千円は当然目的税として道路に使うのでありますが、それ以外に道路に要する費用というものはこれは一般財源なり、起債から出すということはこれは当然の処置であります。もともと道路の破損率が多い自動車にある程度負担してもらうという考えのこれは課税でありまして、それが国会の御修正によりまして、地方は二千円と、こう限られたのでありますから、これはそれ以上に私どもは別のひもつきの財源を見つけるという方法がないわけであります。一般の財源によってまかなう、これ以外に方法はないと考えております。
  161. 安井謙

    ○安井謙君 その一般財源では今言われたような、お話のようなところからやられても、これはやはり起債の幅で増減されると解釈すべきじゃないのですか。それともう一つ七十三億ということしの金はこれはある程度確定したもの、動かない金額ですか。これも税収によって動く金額じゃないのですか。
  162. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) それは起債と一般財源と両方で道路費というものを出すことになります。それから七十三億は大蔵省で計算をいたしまして、今年の一月から七月までのガソリンの消費税に対して地方は四千円、国は九千円という計算になりますると、ちょうど七十三億になります。それを地方に譲与する。八月以降は一万一千円と二千円と、こういうことになります。七十三億はもうすでに確定しておる収入になります。
  163. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ですから本年の一月から七月までということで四千円にきめたことを、それ自身が前年度の増収分、それをもう本年の七十三億に使っておる。これは去年の法律から言えば、当然増収になっておる分は、それは地方に去年分として出してやらなくちゃならぬ金を別にまたこの財源に使っておるのです。すなわちごまかしをすることはどうかということです。去年三十何億か出したのでしょう。あれにまた分けてやるべき趣旨の金が入っておるのですね。
  164. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 今年度地方道路譲与税として一応見込んでおりまする金額は七十三億円であります。しかしながらガソリンの消費量が多くなりまして税収入がふえて参りました場合には、その実績によりまして七十三億円を上回わって地方団体に譲与できるようになっております。なお昨年は揮発油税収入額の三分の一を揮発油譲与税といたしまして一般会計から特別会計に移した上で地方団体に譲与することにいたしておったわけであります。一般会計におきましては相当の増収があったわけでありますけれども予算に特別会計に繰り入れる金額がすでに七十九億円と計上されておって、収入が多くなったからといって自動的に繰り入れ額を多くすることは不可能でありましたので繰り入れられておりません。その結果将来特別会計に繰り入れられまして、地方団体に配付できる見込みの金額がたしか十七億円前後でございます。これは将来補正予算なり、あるいは来年度予算なりに際しましては、当然政府として追加計上する義務を負っておる金額であります。
  165. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) だからそうしますと、翌々年度に精算して三分の一分を渡してやる筋合いの金は今後にあるので、七十三億に入っておるのとはまた別途なんだと、こういうことさえはっきりすれば私は承知できる。
  166. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) その通りであります。
  167. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この第二条の譲与の基準についてです。幅員に延長をかけて道路の面積を出し、補正計数をかけて出すということになっておる。これをもう少し詳しく説明して下さい。これは交付税のと同じようなやり方ですか、その点。
  168. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 道路の面積は幅員に延長を乗じて計算いたします。この点におきましては、地方交付税の場合と同じであります。なお地方交付税の場合には府県道である以上はたしか幅員が二、五メーターでありましたか、それ以下のものは計算に入れないようになっております。しかし揮発油税につきましては、昨年はこの部分も道路の面積に加算をいたしまして、地方道路譲与税につきましてはどうするかということはなおよく研究をいたしたいと思います。昨年はその点において食い違いがございました。なお自動車の多く通る道路におきましてはいたむ率も多いわけでありますので、若干道路の面積を割増しして計算しなければならないのじゃないか。そのように考えるわけでありまして、こういう交付税の率は地方交付税におきましてもぎめておるわけであります。昨年揮発油譲与税の場合に補正をいたしましたときも、この地方交付税の補正率をそのまま採用しております。地方道路譲与税につきましてはまだきまっておりませんけれども、大体同じような計算の仕方をしてされるだろう、こういうふうに考えております。
  169. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 自治庁で道路の種類別ですね。アスファルトであるとか、そうでないもの。それを走る場合のガソリンの消費量、車体の損耗率というようないろいろなものを計算したものがありますか。
  170. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方交付税の計算の際に補正率を算定した基礎として、そういうものを私がやっておりましたときも一応持っておりました。おそらく財政部にあると思います。
  171. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この補正係数のきめ方で、悪いところの道路をよくしてやるというような面を考えると、非常に補正係数の仕方が違うと思います。アスファルトのところはガソリンの消費量は少いし、そうでないところは非常にガソリンの消費量が多く、車体の損耗も大きいわけですが、そういうところを早く修繕費、改良費をたくさんとって、早くアスファルトのようなものに、りっぱな道路にさせるというような考えを持てば、やはり補正係数はおのずから違うと思うのですが、そういうことはどうなんですか。
  172. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) もし先ほどおっしゃいましたように、ガソリンの消費量とマッチさして財源を配分するということになりますと、大府県に多分に財源が譲与されることになると思います。他面にまた舗装されていない道路の舗装に重点を置くということになりますと、弱小の府県に財源が多く譲与されてくることになって参ると思います。なお財源を譲与いたします場合に、維持、修繕に重きを匿いていくか、あるいはまた新設、改良に重きを置いていくか、こういう点によっても考え方が異なっいくのではなかろうかというふうに思うわけであります。地方交付税の配分基準をおおむね地方譲与税の場合にも使っておるわけでありますが、地方交付税の場合の基礎になっておりまするのは、建設的な部分についてはさしあたりに借金でもしておき、それを将来なし崩しに返していかなきゃならぬ。言いかえれば、所要財源というものを長期にわたる毎年毎年の金額を推定して、これを基準財政需要額の中に織り込んでいく建前に立っておるわけであります。地方道路税の譲与の場合におきましても、おおむね似たり寄ったりの考え方に立たざるを得ないのじゃなかろうかというふうに思っておるわけであります。
  173. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ちょっとお聞きしたいのですが、自治庁の方でいわゆる舗装しないところの道路、それを走る場合と、それから舗装してまあ適正に改良された状態のところを走る場合、たとえばガソリンはこれだけ助かるとか、あるいは自動車の損粍率はこれだけだというような、そうしたお調べはないのですか。というのは結局今のガソリン税といいますか、こういったような税金というものがそういった面とにらみ合せてどの程度の負担、要するに形は負担しているようだけれども、反面そういうところでこういうふうな利益があるから、それとの均衡で大体まあこの程度の額をきめたということになるのか、そういったような観点から私はお聞きしたいと思います。
  174. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) ただいまのような見地の研究は進めておるわけでありまして、主として建設省からいろいろな資料を得ておるわけでございます。大ざっぱなことで申し上げますと、現在の譲与の基準におきましては、舗装道路よりも砂利道路の方にウエイトを置いております。言いかえれば、維持、補修の経費を中心に考えて参りますと、舗装します場合には当初に金はよけいかかるわけであります。砂利道の場合は金はそう多くかかりません。しかし維持、補修の点については砂利道はうんと金がかかる。舗装道路はそうかからない。従いまして、長期的に見ました場合には、砂利道の方にかえって金がかかる。貧弱県は結局金がないから舗装はしない。従って長期的に見たらばぜいたくをしておる、こういう結果にもなっておるわけであります。同時にまた舗装道路でありましても、たくさんの車が一度に通れるような道路でありますと、割合痛み方が少いのでありまして、ある程度をこえて幅の広くなりました道路については金のかかり方が少くなる。こういう結果が出ておるわけでありまして、また補正係数等におきましても、そういう計算のいたし方をいたしております。
  175. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私の奥野さんにお聞きしていますのは、今一般にガソリン税なり、こういうものは高い高いという一部業者の意見があるわけですよ。ところが見方からいえば、これは道路にしても舗装にしても、修繕しないようなところを走ればガソリンもよけい食う、車もそれだけ、かりに五年持つものなら二年ぐらいで損耗してしまうというような、そういう計算から見て、ガソリン税はこうなっているけれども、反面こういう利益があるのでこうだというお調べがあるかどうかということをお聞きしているわけです。
  176. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 私実はその資料を徴しておりませんので、連絡をいたしまして、もしあるようでしたらお渡しするようにいたしたいと思います。
  177. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 もう一つ、現在国と地方で、地方の方は今度四千から二千というような修正もありましたけれども、そういう配分の基準というのはどういうところに置いたのでしょうか。言いかえれば国で持つ道路の費用というものと、地方で持つ費用との観点から配分基準というものを、国で取る部分と、それから地方で取る部分との配分基準基準になった根拠をお伺いしたい。
  178. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 昨年揮発油譲与税の制度を設けようといたしまして、三分の二と三分の一に分けようと考えておったわけであります。そういう場合には、たとえば道路費について国の負担率というものが、直轄の道路でありますと地方の負担は三分の一であります。そういうところも一つのめどであったかもしれませんが、一応三分の一は地方に分けよう、こういう考え方で来たわけであります。ところが御承知のような事情で、結局一万一千円をこえる部分だけが地方に実質的には揮発油消費税として与えられた、こういう格好で制度が成り立ったわけであります。その事情はやはり一昨年の道路整備費の財源等に関する臨時措置法で、揮発油税の収入額に相当する額は国の道路費に充てなければならない、こういうことがきまったわけでありまして、実質的には揮発油税というものが国の道路費のような、目的税というふうな格好に持ってかれたわけであります。そうしますと、一万一千円というものは一応そちらに確保されているのだ、こういう考え方があっただろうと思うのであります。従いまして一万一千円に食い込んで地方に財源を持っていくということは、国会の中でもなかなか賛成されがたいのではないかと思うのであります。そういうところから、一万一千円をこえる部分だけ、言いかえれば道路整備費の財源等に関する臨時措置法制定以後に追加された揮発油の負担、この部分だけを地方に持っていく、そういう意味で今回地方道路譲与税が四千になったり、あるいは二千になったりしているわけでありまして、全く政治的な沿革からこういう割り振りになったと、こう申し上げざるを得ないと思うのです。
  179. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 他に御質問なければ、私最後に正示次長にお尋ねしますが、この間の連合審査の場合、森下委員でしたかの質問によって、目的税を設定することについて、この種のものについては必要であるという御答弁があったのです。これは昨年ガソリン税を設定する場合に、大蔵事務当局としては全面反対であったものなので、今度御意見が変って、この種のことは理論的にもいいのだという御説明があったわけですが、そうしますと、教育税という目的税も、やはり今後においてやるということになれば、これは何ら理論的に反対する筋がない、根拠がなくなる。一例を上げましたが、そういうことで一角がくずれてしまった、大蔵省の反対理論の一角がくずれたと認定してよろしゅうございますか。
  180. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 大へんむずかしい御質問でございますが、一応大蔵省としての考えを申し上げますと、この道路整備等の財源に関する法律というものによりまして、揮発油税につきましての立法がなされました当時、これは国税としての問題につきましては、私どもはきわめて強硬に実はお願いをいたしまして、さような制度をおとりにならないようにということをお願いしたのは事実であります。今回地方道路税につきましての問題は、これは地方税というものの性格からみまして、かようなことも必要であるという見解をとったという意味において、ただいま委員長の御指摘のような発言をしたものと考えます。やはりこの地方税というものにつきましては、各国の例等をみましても、比較的いわゆる受益的な面がはっきりと出て参るというふうなことからいたしまして、特にガソリンにつきましては、諸外国におきましてもさような例が多いのでありますが、地方におきましてさような法律をお作りになり、また税法におきまして目的税としての性格をはっきり出すということは、これは必要である、かような見解を持っておるわけであります。さりとてしからばほかにこういう例、教育税という例をおあげになったのでありますが、これはやはり私は、地方財政の弾力性と申しましょうか、そういうものの限界ということとあわせて考えなければならぬのではないか、今日地方財政がきわめて弾力性を失っていることは、各委員長つとに御承知の通りでございまして、これをますます目的税の範囲を広げまして、弾力性をなくするということは、これは私がお答えを申し上げるまでもなく、委員長におかれまして、なかなか問題ではないかというような点につきましては、私からあえて申し上げるまでもないと思うのであります。しかし根本的に申しまして、国税と地方税につきましては、私どもは非常な違いがあるということだけははっきり申し上げてしかるべきじゃないかと考えております。
  181. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 少くとも一角はくずれたと、こう承知してよろしゅうございますか。
  182. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 地方税につきましては、私どもはあまり国税のように窮屈には考えておらなかった、今日までもさように存ずる、かように御了解を願いたいと存じます。
  183. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) くどいようですが、この種の問題が起ってくる場合には、今まであなたが御答弁になったような趣旨であれば、むげに反対する理由はない。
  184. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) やはり税の性質にもよるかと思うのでありますが、また一方におきまして、地方財政全体の弾力性という限界の問題と両方にらみ合せまして考えていくべきかと思うのであります。地方道路税につきましては、先ほど自治庁長官もお述べになりました通り、地方におきまする道路費の財源が、今日きわめて需要が多端にわたっておりますにかかわらず、これを支弁する財源において、きわめて国の何といいましょうか、目的税的に見ているというものが今まではなかったわけであります。昨年の揮発油譲与税がややそういう色彩を持ったわけでございますが、そういう意味からいいまして、道路税というふうなものは、これは私どもとしても典型的な目的税として考うべきものである、かような意味で申し上げたのであります。従いまして、委員長、私もくどいようでございますが、地方財政の弾力性の限界と税の性格からいいまして、おのずから限界があろうと存じますが、しかし国税の場合に私どもの申し述べたような原則は、地方税については適用しないのでありまして、地方税の性格、その税の性格と地方財政の弾力性の許す限界におきましては、やはり考えていくべき問題ではないか、かように考えております。
  185. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  186. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて下さい。  他に御質疑はございませんか。——御発言なければ質疑は終局したものと認めて、これより討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ります。  地方道路譲与税法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  188. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお前例によりまして、本会議における委員長の口頭報告の内容、報告書の作成等につきましては、便宜委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御製名を願います。
  190. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 最後に、請願についてお諮りいたします。まず福永専門員より説明いたさせます。
  191. 福永與一郎

    ○専門員(福永與一郎君) 昨日と同様に、かねてお手元にございます一覧表によって御説明を申し上げます。第一ページの行政関係からであります。  最初の請願第六十二号、地方自治法等の一部改正に関する請願、主として監査委員制度について改正を要望するものであります。その次の第六百五十五号以下六十件、それに補遺の方から千五百九十二号、千六百十八号、千六百二十一号、千六百三十九号、千六百五十八号、千六百七十四号の六件を加えまして、都合六十六件はいずれも地方自治法の一部改正案に対する反対の請願でございます。  それから五ページのしまいの方の第八百五十五号、地方公務員停年制設定に関する請願地方公務員の停年制の実現を要望するものであります。  その次は第九百六十二号、地方自治法第三百十三条改正に関する請願でありますが、これは地方団体の土地に地上権等を設定いたしまして植林いたしました森林の伐採期を、現行法規定によりますと、十年間で終了することに相なっておりますのを、森林保護の立場から延長するように、適当な時期まで延長ができるように措置願いたいという趣旨のものでございます。  その次は六ページの財政関係であります。請願第四十四号以下八件、それに少し飛びますが、七ページの中ほどから八百六十六号を加えまして、地方財政ば危機に瀕しておるので、その打開のために地方交付税の総額決定の率、たばこ消費税率の引き上げ等を要望するものであります。  その次、第二百五十四号及び第二百六十五号、この二件は地方財政再建に関する請願地方財政の現状にかんがみて既定財政規模の是正とか、国庫補助率の適正化だとか、いろいろの点の改革を要望するものでございます。  その次は第七百四十六号、七百七十六号、地方交付税のワクの拡大を要望するものであり、次の第七百四十七号は、起債ワクを拡大して地方財政の窮乏解決に資していただきたいという趣旨のものでございます。  その次は、町村に対する起債許可最低基準引き下げの請願、八百五十四号でございます。  九百二十一号は工業用水道のための起債に特別の取り計らいを要望するものでございます。  八百六十六号は先ほど申し上げましたから一つ飛びまして、第七百七十七号以下四件は、地方財政再建促進特別措置法案に対する反対の請願であります。  その次第千百五十二号、地方財政再建促進特別措置法案等反対に関する請願、特別再建促進措置法案のほかに「等」と申しますのは、自治法改正法案をあげております。  その次千百四十八号、千三百二十八号、それから補遺の方から千六百二十七号、千六百三十八号、千六百八十二号、千七百十八号、千七百十九号を加えまして、いずれも地方財政再建促進特別措置法案に対して、あるいは修正を要望し、あるいは反対の意を表するものでございます。  その次は二百十六号、市費支弁労務者に対する期末手当等法制化に関する請願各種まちまちな扱いで窮乏の極にある各市では困っておるからして、これを法制化して支弁の基礎を確立していただきたいという趣旨の請願でございます。  その次は第二百六十三号、奄美群島の復興計画費増額に関する請願であり、次の八百八十一号は奄美大島の復興の促進方を強く要望するものであります。  その次第四百九十三号は、岡山県矢掛町の簡易水道事業に対して特に起債を認められるようにという要望であります。  最後の七百五十二号は、東京都の水道事業拡張工事のために起債につき特別な取り計らいを要望するものであります。  もう一つ落しましたので、財政関係というところで千八十七号、地方道路譲与税法案中一部修正に関する請願でございます。
  192. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ではお諮りいたします。第六十二号、地方自治法等の一部改正に関する請願、第六百五十五号、地方自治法一部改正反対に関する請願、以下第六百七十四号、第七百十四号、第七百五十一号、第七百七十一号、第七百七十五号、第八百三十号、第八百四十三号、第八百四十九号、第八百五十号、第八百六十五号、第八百七十六号、第九百十五号、第九百二十号、第九百二十四号、第九百二十六号、第九百四十一号、第九百五十八号、第九百六十号、第九百六十一号、第一千百四十七号、第一千百五十号、第一千百五十一号、第一千二百三十号、第一千二百三十一号、第一千二百三十二号、第一千二百三十三号、第一千二百三十四号、第一千二百三十五号、第一千二百三十六号、第一千二百三十七号、第一千三百三十八号、第一千二百三十九号、第一千二百四十号、第一千二百四十一号、第一千二百四十二号、第一千二百四十三号、第一千二百四十四号、第一千二百八十三号、第一千三百三十二号、第一千三百三十三号、第一千三百三十四号、第一千三百三十五号、第一千三百三十六号、第一千四百十九母、第一千四百二十一号、第一千四百二十二号、第一千四百二十三号、第一千四百八十号、第一千四百八十一号、第一千四百九十九号、第一千五百十七号、第一千五百三十三号、第一千五百四十二号、第一千五百四十六号、第一千五百六十六号、第一千五百六十八号、第一千五百六十九号、第一千五百七十号、第一千五百八十六号、第一千五百九十二号、第一千六百十八号、第一千六百二十一号、第一千六百三十九号、第一千六百五十八号、第一千六百七十四号、以上は地方自治法一部改正反対に関する件を主たる内容とする請願でございます。審査中につき、保留することに決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  第八百五十五号、地方公務員停年制設定に関する請願、これは保留に決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  第九百六十二号、地方自治法第二百十三条改正に関する請願、採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  次に第四十四号、第六十四号、第八十九号、第百十七号、第二百五十一号、第二百三十七号、第二百六十四号、第五百五十三号、以上は地方財政危機打開に関する請願、並びに第八百六十六号、地方公共団体財源付与の請願を採択して、内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  次に第七百四十六号、第七百七十六号、地方交付税ワク拡大に関する請願でございます。これは審査中につき保留に決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  次に第二百五十四号、第二百六十五号は、地方財政再建に関する請願でございます。採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  第七百四十七号、起債ワク拡大に関する請願でございますが、採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  次に第八百五十四号、町村に対する起債許可最低基準引き下げの請願は、採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  第九百二十一号、工業用水道起債等に関する請願は、採択し内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  次に七百七十七号、地方財政再建促進特別措置法案反対に関する請願、以下第千五百一号、第千五百四十七号、第千五百七十三号、第千百五十二号、以上は審査中につき保留に決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  次に第千百四十八号、地方財政再建促進特別措置法案中一部修正に関する請願、第千二百二十八号も同様でございます。また第千六百二十七号、第千六百三十八号、第千六百八十二号、第千七百十八号、第千七百十九号、以上は反対ないし一部修正請願でございます。保留に決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  次に第二百十六号、市費支弁労務者に対する期末手当等法制化に関する請願は、採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  第二百六十三号、奄美群島復興計画費増額に関する請願、並びに第八百八十一号、奄美大鳥の復興促進に関する請願、以上は採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に第四百九十三号、岡山県矢掛町簡易水道事業起債に関する請願につきましては、採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  第七百五十二号東京都水道事業拡張工事費起債等に関する請願、採択して内閣に送付すべきものと決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次第千八十七号、地方道路譲与税法案中一部修正に関する件、これはただいま決定いたしましたので、保留に決して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さよう決定いたします。  他に問題ございませんか。  では本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会