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参考人(小川専也君)
地方税法の一部
改正律法案中、
遊興飲食税に関してごく簡単に私の
意見を述べさしていただきたいと思います。
遊興飲食税は皆さん各
委員の御
先生方も御
承知の
通りに、戦争中に創設された特別な税金でございまして、この目的は奢侈抑制ということが大きな目的になっておるわけであります。終戦後これは当然廃止されていい性格の税金でございますが、戦後十年たちました今日においても、依然としてそれが存続しているのでございます。それで特に一般旅館における宿泊に対しても
課税されておる現況でございまして、それがなおかつ相当な高額で
課税をされている現状でございますので、はなはだわれわれとしては理解しがたい点なんでございます。それで本税をよく検討してみますときに、行為に対して
課税される、課すというのが税の本筋でございますが、実際においては営業の場所本位に
課税されているという点、それから各
府県において
課税が非常に均衡を欠いているという点がございまして、これは簡単に申しますと、とかく
地方が非常に強くかかっておるという不均一がございます。これは営業者間のお互いの非常ないやな問題になっております。それから
課税の対象でございますが、それが条文によりますと、何らの名義をもってするを問わず
課税をするということになっておりまして、たとえば旅館の宿泊飲食はともかくとしまして、お客様からいただくサービス料、これに対してもかかっておる。それから持ち込みみなし
課税と申しますか、お酒とかそういうものを、ジュースとかそういうものを、今非常にデフレで不景気なもので、旅館でとっては少し高くつくというので、皆バスや何かにのせてお持ち込みになる。それも旅館としてはそれを適当な値段として、それに対して
遊興飲食税をかけてお客様からいただかなければならぬというような状態でございまして、お客様から実際いただけないというような現状でございます。でございますので、また最近いつでしたか、新聞紙上でこれに対する
改正案の、非常にわれわれとしてはある希望に達した
改正案が報道されたことがございますが、それでわれわれも非常に喜んだわけなんです。ところがそれは本
改正中には全然盛り込まれておりませんので、どうか
一つ各
先生方におかれましては、この
委員会でどうかお
取り上げ下さいまして、この
遊興飲食税の非常な合理性を欠く点、欠陥が非常に多い点、そういう点をよく御検討下さいまして、これを廃止に、最も希望するところは廃止をしていただく。もしその廃止が困難な状態にございましたらば、その不合理な点を十分に
改正をしていただく、で、すっきりとした形で、お客様も初めからわれわれも十分に納得してお互いに払い、お互いに取って
徴税義務を全うするという形に、ぜひ廃止もしくは
改正をしていただくのが最もよいのではないかというふうに
考えております。
それでまあ大要以上のような点でございますが、実際にもっと具体的に各条項にわたって私の
意見を述べさせていただきたいと思うのでございます。
まず第一には旅館における宿泊料金、これに対する
課税は廃止をしていただきたいということなのです。で、旅館において旅行者の方がお泊りになるということは、概して必要欠くべからざることでございまして、まあ端的に申しますと、家庭の延長だということが言えるのじゃないかと思うのであります。それで多分に公共性を帯びているとも
考えられるわけでございまして、たとえば皆様が御旅行になる場合に車で、まあ寝台車でお休みになる、あるいは船でお休みになるということと、旅館でこれがお休みになることとは、何らそこに本質的な違いはこれは見出せないのじゃないかと思うのですが、片方の船とか汽車とかにお泊りになる場合には何らこれは税金がついておりません。それでたまたま旅館にお泊りになると
遊興飲食税というものがこれも一割つく。これは旅行をなさる方も不可解じゃないかというふうに私たちは想像するのであります。それで根本のこの性格から申し上げまして、ぜひとも旅館の宿泊に対しての税金はこれはぜひ廃止していただきたいし、またそれが当然ではないかというふうに私は固く信じております。それで現在は修学旅行の学生とか、それから外人の宿泊、これに対しては現在
非課税というふうになっております。これが、この廃止をしていただくことが、これはもう数年来の各業者が一致団結して
お願いし、また
意見を述べておるところなのでございますが、一ぺんにこうなるということもできないようないろいろな
事情がございましたならば、
財政の状態、いろいろなことを勘案しまして、急にそこまで持っていくことができないというような場合には、
一つ次のことをやられることが適当ではないかというふうに
考えます。
それは四項目ございまして、第一は大衆旅館
制度の廃止、第二は
基礎控除額の
設定、第三は
税率の引き下げでございます。第四は公給の領収証の発行と、この四点でございます。
簡単に逐一御
説明申し上げますと、大衆旅館
制度の廃止、これは昨年国会で制定されました大衆旅館という
制度でございますが、制定されたときはわれわれ非常に感謝しておりました。ところが実際これが適用される場合になりますと各
地方当局でまちまちな
意見が出ておりまして、徹底していない。で、大衆旅館の本然の立法の精神があるいは敷衍されていないのじゃないかという向きがございます。ある県においては大衆旅館として旅館のほとんど全部が適用されている。ある県においてはほとんど一割ないし二割
程度しか大衆旅館の指定を受けていない。それで大衆旅館と大衆旅館にならない一応境の線にあるような旅館から非常に文句が出ているわけなんです。なぜわれわれのところは大衆旅館にしないか、県当局としてもそれで非常に困っておるような現況でございまして、こういう不鮮明な、なかなかできにくい大衆旅館
制度ということは、これは廃止していただきたいということが第一。
それから次は、それに関連したことなんですが、そのかわりに第二として、
基礎控除を設けていただきたい。これは大衆の税負担の軽減という見地から、また税の公平という見地から、ぜひこれは設けていくのがいいのではないか。それでその料金ですが、これはいろいろ検討した結果、大体一般
公務員の出張旅費が、高給者でない一般の出張旅費が一泊七百六十円、これは乙地の
関係ですが、七百六十円となっておりますので、大体その
程度は
基礎控除していただきたい。ですから七百円くらいは基礎擦除をしていただく。一般
公務員の方が仕事で出張なさる、それに対しても現在は
遊興飲食税一割がついておるわけなんです。こういう次第で、税の公平の見地からぜひしていただきたい。
それから
税率の引き下げ、これは現在一〇%ほどでございますが、半分の五%にしていただきたい。これは諸外国は一%
程度でございますので、ぜひこの軽減をはかっていただきたい。
それから公給券はこれは領収証の
制度でございますが、これは今日の自由経済においてはちょっと筋の通らない点もございますが、やはりかわり
財源の
関係では完全に徴収をしなければいけないという見地から、これは公給券の発行はいたし方ないのじゃないかとも思うのでありますが、でき得れば
現行法の定むるところによって、当該
府県の条例にでも規定されて実行していただくということ。
以上簡単でございますが、私の
意見を終ります。