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1955-07-22 第22回国会 参議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十二日(金曜日)    午後二時十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長    小笠原二三男君    理事            伊能 芳雄君            石村 幸作君            小林 武治君            森下 政一君    委員            伊能繁次郎君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            岸  良一君            島村 軍次君            館  哲二君            中田 吉雄君            若木 勝藏君            小柳 牧衞君            深川タマヱ君   政府委員    自治庁税務部長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    地方財政審議会    委員      荻田  保君   参考人    一橋大学教授  井藤 半彌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○地方行政改革に関する調査の件  (町村合併促進育成強化に関する  件)     —————————————
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ただいまより委員会を開会いたします。  本日は地方税法の一部を改正する法律案予備審査)を議題に供します。本件につきましては、先般の委員会の決定によりまして、参考人として一橋大学教授井藤半彌君の御出席をいただいております。また政府説明員として、地方財政審議会委員荻田保君の出席を願いました。井藤参考人よりは学識経験者として種々地方税に関する御意見を拝聴いたし、荻田説明員よりは、地方財政審議会から内閣総理大臣に対し、地方財政計画に関する意見書が出ておりますが、これら、また地方税全般に関する委員会意見を承わるわけでございます。なお、御意見をお述べ願う時間はお一人大体二十分程度でお願いいたし、その後委員員各位よりの質疑にお答え願いたいと存じますので、この点お含みの上、よろしく、お願い申し上げます。  それではまず、井藤参考人にお願いいたします。
  3. 井藤半彌

    参考人井藤半彌君) 一橋大学教授井藤半彌であります。お招きによりまして、地方税法の一部を改正する法律案について卑見を申し述べたいと思います。実は、結論を申しますと、今度の法律案はいわば地方税部分的修正でございますので、実は理論的に申しまして、あまり問題は少いのであります。もちろんこのほかの立場から批評するとなりますと、いろいろ問題があるのでございますが、現行制度前提として考えますと、割合に批評の余地が少いということをあらかじめ御承知おきを願いたいと思います。それに関連いたしまして、平素地方税制につきまして私が考えております意見をこの機会に開陳させていただきます。  まず、きわめて簡単に計数のことを申します。昭和三十年度は御案内通り国税が九千二百九億、地方税が三千五百八十三億、両者合計いたしますと一兆二千七百九十二億であります。なぜこれを申し上げますかと申しますと、国税地方税の比率を見ますと、一兆二千七百億のうち国税が大体六〇%であります。それから地方税は四〇%になっております。もちろんこの国税の中には地方譲与税二百八億は国税の中に入れてみました。とにかく国家が直接取るのは六〇%、それから地方団体が取るのは四〇%、ところがこれをシャウプ税制以前、シャウプ税制は御案内通り昭和二十五年から実施されておりますが、その前年であるところの昭和二十四年について比較いたしますと、昭和二十四年では国税が七三%、地方税が二七%であります。この国の税の全体の中で、シャウプ勧告以前は国税が七三%、地方税は二七%であります。それと現在の国税六〇%、地方税四〇%と比べますと、確かに地方税収入は増しておる。総体的に増しておるということが言えるのであります。これは地方自治強化という点から言えば当然のことであります。ところがこれは総額についてでございますけれども、地方収入、全体における租税収入地方税収入割合を見ますと、必ずしも楽観を許さないものがあるのであります。そこでまあこれをシャウプ税制以前の昭和二十四年と比較いたしますと、地方歳入における地方税収入割合シャウプ改革の以前の昭和二十四年度は三四%でございました。これは都道府県市町村平均いたしまして三四%、ところが昭和二十九年度に幾らかと申しますと三六%であります。二十四年度は税金が三四%、二十九年度は三六%、これはあまり大差ございません。都道府県市町村を通算いたしますと大差ございません。ところが府県市町村と分けますと、これは大分違ってきているのでありまして、昭和二十四年度は府県では地方歳入における府県税収入割合は三〇%でございました。ところが二十九年度は二六%と非常に減っておるのであります。それから市町村ではどうかと申し上ますと、二十四年度は四〇%であったものが二十九年度では五〇%にふえております。そこでこの計数から申しますと、二十四年と二十九年を比べますと、地方税全体におきましては、地方歳入における地方税割合全体について申しますと、大差はないのでありますが、府県について申しますと相当の、相当でないかもしれませんが、少し減少しております。それから市町村ではむしろふえているのであります。これは言うまでもなくシャウプ税制というものが府県収入をあまりふえないようにして、それから市町村税収入をふやすという方針によっているのであります。シャウプ税制というものは大体去年から崩壊に瀕しているのでありますけれども、市町村税収入を強化するという基本方針は依然として残っているのであります。ところがこれをもう少しこまかに各府県について申しますと、これは昭和二十八年度と二十九年度とはちょっと計数が合いませんけれども、昭和二十八年度の決算全国都道府県平均をみますと、税収入地方歳入において占めている割合がわずかに二五%であります。すなわち地方税都道府県につきましては全国平均いたしますと、地方歳入における税収入割合が四分の一、わずか二五%であります。ところが府県別にみますと、この四〇%以上という、いわば税収入の多い府県三つございます。それは東京都が五九%、大阪府が五二%、神奈川が四一%、この三つ富裕地方団体だけは四割以上でありますが、それ以外のものは皆四〇%以下であります。ことに都道府県収入において税収入が一割以下というような、いわば税収入が非常に少い県が次の七県であります。鳥取熊本、山形、岩手秋田徳島、山梨、これはいずれも県税収入が県の収入の一割にも満たない、これは非常なアンバランスがあるのであります。それから今度は市町村について申し上げますと、同じく二十八年度の決算でありますが、全国市町村平均いたしますと、税収入市町村収入の四〇%、これは全国平均でありますが、ところが都道府県別にしてみますと、やはり富裕府県では割合多いのでございまして、東京都は、東京管内市町村を合計してでありますが、東京都は五五%、埼玉五三%、大阪府が五一%であります。ところが貧弱なところではどうかというと、徳島が二五%、島根が二五%、和歌山一九%、昭和二十九年度は御案内通り災害があって被害があったためにこれは少いのであります。これは例外であります。  そこで、以上申しました計数から次のような結論が出てくると思うのであります。それは市町村におきましては、ここ数年の間に税金収入が、税財源が強化されている。これが一つの特徴、それから市町村の場合は都道府県に比べまして、全国を通じて不平均が少い。すなわち最高と最低をとってみましても、東京五十五、高知、島根二十五というふうに全国を通じての不平均が少い。ことに一両年前から始まっております市町村合併、統合によりまして、市町村につきまして申しますと、この傾向はさらによくなっている。すなわちアンバランスというものが、不均衡が少くなっておると思うのであります。ところが府県の場合はどうかと申しますと、必ずしも楽観を許さないのであります。それは府県収入における税財源府県税の地位がきわめて低いということであります。さっき申しましたように、昭和二十八年度は全国平均して二五%であります。そこでこの税金というものは、申すまでもなく資本主義社会における代表的な財政収入でありますが、それは、資本主義社会において全国平均して二五%しか代表的収入がないということは、何と申しましてもこれは変態現象であります。それからもう一つ府県についてよくない現象は、都道府県を通じて今申しましたパーセンテージの不均衡アンバランスがはなはだしいということであります。と申しますのは、東京はどうかと申しますと、さっき申しましたように東京は五九%、ところがさっき申しました鳥取熊本、その他東北三県、その他はこれは一〇%以下、すなわち東京は六〇%に近く、今申しましたような貧弱な県は一〇%以下と、これは確かに変態現象でありまして、これを見ましても現在の税制、また地方財政におきまして府県にいろいろ問題が多いということが言えるのじゃないかと思うのであります。なぜこうなったか、これは申すまでもないことでありますが、経済力の配分が各都道府県間の不均衡な原因となってこうなっておるのでありますが、たとえば住民分配所得について申しますと、これは必ずしも精密な計算じゃございませんけれども、大体計算されたものは政府によって発表されておりますが、それを見ますと、住民所得人口一人当り全国平均を一〇〇といたしますと、金持ちの多い東京は二〇八であります。全国平均一〇〇に対して二倍以上、大阪全国平均一〇〇に対しまして、一七三であります。ところが次に述べる貧弱なる県につきましては、六〇%をちょっとこえておる程度でありまして、一番低いのが鹿児島六〇、全国平均一〇〇に対して六〇、青森が六二、徳島が六二、秋田六五、岩手六五ということになっております。こういうことがやはり地方税務行政財政に反映いたしまして、府県について非常な問題が出てきておるということであります。私は単に租税という面から現在の地方財政地方行政を見たのでありますが、単に租税という狭い眼から見ましても、現在の府県制度というものについて何とか検討の要があるということが言えると思うのであります。ところが府県制度検討とか、それから府県税制を強化するとか何とかいう問題になりますと、これは府県市町村だけをのぞいても問題とすることができませんので、やはり国家地方を通じて税制全体の再検討が必要であります。そういう意味において、私が今申しました簡単な数字から申し上ましても、やはり日本の現情は検討を要するものがあると思うのであります。  一般的な話はそれくらいにいたしまして、今度は個々の税目について申します。ここでは単に問題点と私が考えますことだけを申しますので、あらゆる問題について申し上げません。この点御了承を願います。まず府県民税でありますが、これはまあ市町村民税関連しておるのでありますが、現在の府県民税を理論的に見ますと、最大欠陥は、これは私は別の機会でもかつて言ったことがあるのでございますけれども、現在の府県民税を理論的に見て、最大欠陥というものは市町村間におきまして——、この府県民税というものは同じ市町村の間については不均衡はありません。と言うことは、国税たる所得税標準といたしまして、この管内府県市町村府県が割当てるのでございますので、これは個人所得割でございます。個人所得割はそれを標準として割当ててございますので、同じ市町村内には不均衡はないのでありますけれども、どういう点に不均衡があるかと申しますと、同じ県内の住民でありながら、たとえば埼玉県民ならば埼玉県民でありながら、しかも種類の同じ所得者でありながら、村によって、それから町によって税金金高が違うということであります。これは府県民税という立場からいえば同じ県民については同じ扱いをしなければならないのでありますけれども、やはり税金が違います。これは申すまでもなく府県民税市町村民税と一緒に市町村が徴収するという徴税の便宜ということを考えて、こういうふうになっておることは申すまでもないことでありまするけれども、しかし理論的に申しますと、どうもこの点が変だと考えます。  それからもう一つ府県民税あるいは市町村民税について申し上げたいことは、勤労者負担がとかくほかの事業者、農業とか商工業に比べて相当重いという話を聞くのであります。これは私は最近もっとまとまった計数によって調べたいと思っておるのでございますけれども、計数は持っておりませんけれども、しかしどうもいろいろな方面から聞きますと、府県民税市町村民税勤労者専業者と比べると事業者の方が割合に軽いということを言われております。私はこれはどうもほんとうじゃないかという感じがしておるのでございます。ことに今度は国税で御案内通り所得控除について選択控除という制度が設けられました。医療費控除、それから社会保険料控除雑損控除の代りに五%または一万五千円、いずれかを控除できる。ところが選択控除によって恩恵に浴するのはだれかと申しますと、主として事業者でありまして、勤労者社会保険料控除をすでに受けておりますので、選択控除によって新たに恩恵に浴するのは事業者であります。ことに事業者で従来社会保険料控除とかその他を請求しておらぬ人の立場から申しますと、新たに所得税についての基礎控除が一万五千円ふえたと同じような結果になるのでありまして、やはり府県民税市町村民税に影響する。そのためにやはり勤労者負担の加重ということに拍車をかけるのじゃないか思うのであります。これは単に府県民税市町村民税だけの問題じゃなく、国税との関連もあることでございますけれども、ここに一つ問題があるのじゃないかと考えております。  それから次は事業税であります。事業税について、理論的に見て今度の大きな改革基礎控除引き上げ上か何とかいう問題もありますけれども、制度としての改革損害保険料につきましての課税標準を純益によらないで、すなわち所得によらないで収入金高によることになったことであります。収入金高によるということになりますと、これは一種外形標準課税であります。わが日本におきましては、事業税について一部のものに外形標準課税が行われております。これに対してどうもいろいろ反対論があるようでありますけれども、私は原則として賛成でありまして、事業税は現在の日本国税地方税を通じて考えますと、事業税にある程度外形標準課税を加味するということは理論的に見て正しいと思います。それはなぜかと申しますと、事業税をかける場合に、事業つまり企業地方団体から受ける利益の報償という意味を加味して、もちろん負担能力を無視せよというのではございません、そういう利益原則をも加味してかけるということは理論的に正しいと思うのでありまして、そういう点から申しますと、損害保険料について収入金額によるという一種外形標準をとったということは、私どもの理想に一歩前進したということになるのであります。こういう立場から申しますと、またしつこく言うようでありますけれども、去年付加価値税が廃止されたということは遺憾至極なことであります。外国の実例を申しますと、外国ではアメリカ、それからフランスでは付加価値税は実施されております。ドイツの税制改革案でも付加価値税がいいと言っておりまして、外国ではこれが実施の機運になっておるのですが、日本でこれをやめたということは私は遺憾だと思っております。これはさっき申しました利益原則加味という立場を主としていうのであります。なおこれに関連しまして事業税損害保険料課税標準収入金高によった、これは利益原則を加味するということのほかに自治庁長官の提案の理由書にも出ておりますのでありますが、これはそれ以外にこういう理由があったと言われております。これは法人間——法人がほかの法人からもらうところの配当金に対しては税金をかけない。これは例のシャウプ法人擬制説立場によりまして二重課税を排除するために、法人が他の法人からもらった配当金には税金をかけない。ところが損害保険にはそういうものの収入が多いんだから税金をかけないというと、収入が上らんということが一つの問題になっておるようでありますが、私は収入が上る上らんという問題は別にいたしまして、現在日本法人擬制的な課税をやっておりますその無理がここにも現われておるんじゃないかと思うのであります。それで今度のように損害保険について課税標準を変えたということは法人擬制説ではちょっと困るのであります、地方税をかける場合でも。そこでこういうふうに変ったのではないかと考えるのであります。それのみならず現在の日本地方税法におきましても、市町村民税及び府県民税につきまして所得税割がありますが、これも擬制説では説明が困難なのでありまして、やはりこれは実在説的な変え方をやっております。それからこれは地方税に直接関係がありませんが、国税についても擬制説実在説にだんだんと接近しようとしておるのであります。私は国税地方税を通じまして、現在の日本課税制度において、最も多くの思想としてもまた制度としても理論としての混乱があるのは、法人所得の問題ではないかと思います。これは再検討を要するものだと思います。その不合理の現われが損害保険料課税標準の変更となったんじゃないかと思います。  次は固定資産税であります。御案内通り固定貸席税は現在は原則として市町村税になっております。大規模固定費税につきましては、府県特例として税金をかけることを認める。しかし租税負担の激変を避けるために今度は府県収入がそう急に減らないような評定的措置をとられたのであります。これは私は現在の制度をそのまま前提といたしますときには、現在の今度の法案は賛成でありますが、しかしこれはやはり学校教員の空論かもわかりません、ちょっと手おくれかもわからぬのでありますが、私はまあ昔からもといってもそう古いことではありません、数年前から理想といたしまして固定資産税というものは本税を府県税としてかける方がいいんじゃないか、私は現在去年からかけるようになりました府県税はやめてしまって、そうして固定資産税の本税を府県がかける、それから市町村がそれに対して付加税をかける、これが日本制度としていいんじゃないかと思うのであります。それで府県民税が去年かけられるようになった理由は、申すまでもなくシャウプ税制欠陥——シャウプ税制におきましては、府県税金のおもなものは事業税入場税遊興飲食税三つでありますが、この三つがいずれも都会地区から上る。農村の人は府県からいろいろと恩恵を受けながら府県税金負担しないのはいけないと言われておったのであります。これはシャウプ税制のうちの地方税制度における最大欠陥であると私らも考えておりました。その対案として府県民税を去年設けたのでありますが、私はどうもこれは取りいいからこれを取るという感じがしてならないのであります。私はむしろ府県民税というものをやめて、そうして固定資産税府県に移す方がより合理的でないか。その理由は何かと申しますと、一番の理由固定資産税というものは農民も負担いたしますので、農村府県税金を分担するのが一つ、それから租税テクニック的に申しますと、市町村ばらばらに、ばらばらといってももちろん自治庁である程度の統制は加えておりますけれども、市町村が自主的にかける場合に比べて、都道府県を範囲として固定資産税をかけますと、固定資産評価の統一をはかることができます、村と村との間の不均衡がなくなります。それからまた償却資産その他につきまして適当な評価人が得られる。いなかの小さい村で評価人を得ることはむずかしい。ところが都道府県単位になれば適当な評価人が得られる。それからもう一つは大規模資産特例、あれは非常にややこしいのでありますが、あの大規模資産特例というような繁雑な制度がなくても済むんじゃないかと思います。そこで私が申し上げたいことは、固定資産税市町村税たることをやめて府県税に回せ、こんなことをいえば市町村から猛烈な反対が出ることはきまっておるのであります。私が申しますのは、本税を移すのでおりますが、市町村には付加税をとるようにする。しかも付加税割合は本税よりも重くするというのであります。だからこれは結局財政事情との関連もあるのでありますが、私はこの方がより合理的ではないか。この府県民税という別な税金を設けておきますと、去年はこれは府県民税を設けたかわりに市町村民税は割引するといって、住民負担は同じだということになっておりますが、この税金を設けておきますと、将来府県財源として増税の橋頭堡となる危険が多いと思うのであります。そこで私はそういう意味で、固定資産税府県税に回す方がいいのではないかと考えております。  それから現存の制度について問題になるのは、たばこ消費税であります。私はたばこ収入の一部を地方財源に回すということに反対するのではありません。私の申し上げたいことは、たばこ消費税に限らず、一般物品消費税というものは、租税種類から申しまして地方税には適しないということであります。ということは、地方税ほんとう地方税たるには、各地方団体が自分の団体財政需要に応じて制度も変えるし、税率を自由に上げ下げし得る、そうしなければ、ほんとう地方税地方税たり得る意味はないのであります。ところが、品物について各地方団体ばらばらにかけますと、東京都と神奈川県と比べると、東京都の方が税金が安い、あるいは〇〇村と口口町を比べると口口町の力が税金が安いとなると、みんなそこに買いに行くのでありまして、結局はこれはうまくかかりません。そうするとどうしても全国統一してかけざるを得ない。全国統一してかけるという税金はやはり国税たる性格が強いのであります。現に府県市町村たばこ消費税におきしましても、一々納税者からとることができませんので、専売公社納付金納付金と言っておりませんが、専売公社納税義務者になっております。しかし専売公社はパブリック・コーポレーションとは申しますけれども、われわれ人民の立場からみると、あれは政府の機関の外郭団体くらいに考えておるのでありまして、政府政府税金をかけるようなものであります。こういう無理をしなければならないということは、たばこ消費税租税種類として地方税に適しないということであります。たばこ消費税というものは、形からいいますと普通税になっておりますが、その実質から申しますと地方譲与税に近いものだと考えております。この機会に、話はちょっと脱線いたしますが、日本では分与税みたいなものが、国家がとって地方に与えるという分与税というのが多過ぎます。たとえばたばこ消費税地方譲与税的な性質を持っておりますし、またほかにも地方譲与税があります。それから別に交付税がある。私はこういうようなものをなるべく統合いたしまして、繁雑な制度をやめて統合して、そのかわりに交付税制度についても適当に整理をする必要があると思うのでありますが、統合する必要があるのではないかと考えております。  それからもう二つ問題になりますことは、入場税は去年から国税になりました。これは地方税合理化その他で国税になったのでありまして、私は国税になったということ自体に反対するのではありませんけれども、入場税遊興飲食税と同じように、租税種類といたしましては、これは本来地方税に適するものであります。従ってもう少し地方税務機構が完備した場合には、入場税はやはり地方税に返すべきものではないかと思います。この場合に、入場税と二子とも言うべき遊興飲食税府県税になり、入場税国税になってという、これが不統一ではないかという議論がありますが、それは不統一であることは申すまでもないことであります。  これをもって私の意見の開陳を終ります。
  4. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) では、次に荻田地方財政審議会委員にお願いいたします。
  5. 荻田保

    説明員荻田保君) 一言あらかじめお断り申し上げます。  地方財政審議会としての御意見をお求めになっていると思いますが、御承知のように、委員会は五人の委員の多数決できまりまして、実はこれは非常に急でございましたので、ただいま委員長からおっしゃいました二つの問題のうち、三十年度の地方財政計画につきましては、これは意見書が明瞭にきまっておりますので、これは意見ははっきりいたしておりますが、地方税法全体を通じましての意見につきましては、別に正式にこの委員会におきましてきめましたものはございませんので、大分私個人意見になると思いますけれども、そういうものをまじえまして申し上げたいと思います。  そこで順序が違うかも知れませんが、第一に地方税法に関しての点を申し上げます。現在出ております地方税法自体につきましては、この原案にこれはもう明瞭に地方財政審議会といたしても賛成でございます。従いましてこの際、ここで少しこの現在の改正案を離れまして、地方税制の根本につきまして二、三意見を開陳いたしたいと思います。根本について考えますときに、どの税制がどうだこうだというようなことよりも、私は地方財政にとりまして最も大事でありますことは、この地方税の総額、まず総額をどうするか、どこに置くか、これが大事で、総額がきまりましてから中身を、どういう税をどうとるかということは二の次の問題だというふうに私は考えております。しかもその総額の問題は、従いまして多少税制のプロパーの問題を離れまして、地方財政全体の問題になるのでありまするけれども、今申しますように、非常に重要性がございますのでその点について触れたいと思います。  まずこの総額につきましては、そもそも地方財源の税といわず何といわず、地方財源全体が少いということが現在の地方財政を混乱に陥れている第一の原因であると考えるのであります。地方財政が非常に悪化しておりますことにつきましては、いろいろの原因があると思います。簡単に申しまして、国の側の責任と申しますか、地方団体側の責任と申しますか、この両者があると思います。両方あるということは私も否定しないのでありまするが、そのうち地方財政に対しまする国の責任、これは結局突き詰めますると、あとの問題として申し上げたい地方財政計画の問題になってくると思うのであります。で、今年の地方財政計画の数字は九千八百二十九億になっておりまするが、従いまして、これを目当に地方財源が付与されておるのでありますが、この総額が現在地方団体が法制上及び事実上負担しておりまするところの行政を行いますについて必要な経費、これを処理するのに十分な額ではございません。ここに地方財政混乱の最も根本の原因があると思うのであります。現在この地方財政の混乱につきましていろいろ問題がございますので、それにつきまして、その歳出が非常に大きい、大き過ぎないか、こういう議論もあるのであります。従いまして、つまり地方財政計画のこの数字が大き過ぎるかどうか、こういう問題でありまするが、今申しますように、私は現在地方団体負担しておりますところの仕事をやっていくのについては不足すると思うのであります。そこで一般に言われておりますることは、非常に地方団体に乱費があるのじゃないかとか、あるいは制度、機構の問題において非能率、不経済な面があるのじゃないか、こういう議論があるのであります。これは私は確かにあると思います。確かに多くの地方団体の中にはいわゆる乱費、不当支出とも申すべきものを支出しているものがあると思います。またこの制度制度と申しましても私は機構的な制度を申しておりますが、その制度につきましても相当むだがある。従いましてよそ事でございまするけれども、現在出ております地方自治法の改正案程度のごときことは、私は当然改正すべきものだと考えておるのでありますが、しかしながらそのように二つの問題につきまして、歳出が増加するという部分があると思いますけれども、私はこれは額にしても大した問題ではないと思います。大した問題ではないからほうっておくというのでは決してない。こういうのは改むべきところは徹底的に改める、乱費のごときは徹底的に改めるということは強く考えるのでありますけれども、財政的に見まして大きな問題ではない。結局財政的に見まして大きいのは、いわゆる地方団体の行なっておりまする行政の内容自体が充実している、このために金が要るという、これが根本だと思う。従いまして、この行政をやっていくについて必要な財源を確保するためには、どうしても今の財政計画で示されておるワクでは足りない。どうしてもここに追加をしなければならない。簡単に申しますれば、これを追加するにはどうするか、結局全体として国民負担を増加するか、つまり簡単に申しますれば増税、あるいは増税はしなくて、現在の範囲内において国と地方との財源の配分を改めるか、この二つの問題があるわけでありますが、いずれの方法をとるにいたしましても、この地方財源総額を私はふやさなければとうてい地方財政の状況は改善されないと思います。これに対しまして、しからばその財源の方がきまっておるのだから、その歳出を減らせばどうかという点でございますが、これは先ほど来申しますように、いわゆる乱費というようなものを徹底的になくす、あるいは制度、機構の面において非能率的なものは改正する、そういたしましても大した額は浮かないのであって、結局地方行政の内容自体を低下する、これ以外に方法はないと思います。従いまして、行政内容を低下するか、税をふやすか、結局この問題に地方財政の問題ばからんでおるのでありまして、きわめて月並みなことでありますけれども、地方財政を改善するには、歳出を切るか、歳入をふやすか、どちらかしか方法はないと思います。  そこで、その問題を離れまして、結局現在の行政内容を一応是認していく立場に立ちますならば、この地方財源の総額が足りないということが根本だと思います。第二に、この財源総額の中でさらに地方税が少いということが一つの欠点だと思います。地方税の少いということは、逆な面から申しますれば、国庫補助金、交付税地方債というようなものが多いということに問題があると思います。このうち、地方債につきましては、一般会計において本年度七百九十億発行することになっておりますが、これは非常に私は問題であると思います。国が昭和二十四年でありますか、当時ごろからいわゆる健全財政という立場をとりまして、公債を発行しないという立場をとっておる。国家予算及び地方財政全体としてこの非募債主義というものを徹底するならば、これは国も地方も公債を出さない方がいいと思います。かりに全体を通じて公債を出さない、むしろ逆に申しますれば、それだけ税にたよる、税をたくさんとることができないならば、これは国も地方も公平に公債を両方で持ち合わなければならない。今のやり方は、国の方は全部税によってまかなう、地方の方には税が足りないから公債を発行せしめておる。これはきわめてへんぱな財源の配分でありまして、このような状態が続きます限り、地方財政は改善されない。現に地方債の元利償還額はふえてきておりまして、今年の発行額をかりに七百九十億といたしますれば、ここ数年の間に発行額よりもよけいのものを償還しなければやっていけない。この点を第一に改善すべきだと思います。  次に、国庫補助金及び交付税の問題でありますが、時間がありませんので一つ結論だけ申し上げますれば、こういうものはなるべく少い方がよい。ことに国庫補助金のごときは徹底的に整理さるべきものと思います。つまり、国庫補助金のように国が税金として徴収し、それを一ぺん中央へ集めて、それを各省を通じて地方へ持ってくる。つまり国民が税金負担するということと、その負担した税金が目の前で国民にわかるように使われるというつながりが国庫補助金においては断ち切られる。これは行政的にも財政的にも非常に悪い制度であります。およそ行政に要しまする経費というのは、その行政を行ないます主体が自分で税金を徴収する、そして国民の見ている前で行政に使う、これが私は原則だと思う。こうしなければ財政膨張というものは押えられませんし、行政の責任態勢もはっきりしない、まあこういうように考えます。そういう意味におきまして、現在の地方財政財源構成をみますと、国庫補助金が非常に多過ぎると考えるのであります。交付税の点でありますが、これは地方財政の跛行の状況が今のような限り、これはどうしても必要な額があると思います。現在の額が多いか少いかということは、今の国庫補助金の整理及び地方税の強化というような点と関連して考えるべきだと思う。そのように、第一段階では地方財源の総額が足りない、第二段階に、その財源の中における地方税の額が少ないということが根本の問題である。そこで、この地方税を増加いたしまするというと、必ずそこに偏在の問題が起きるのであります。つまり肝心の地方税を欲しておる団体地方税の増収が得られないで、かえって剰余の団体にその税収入が得られる。こういうようになるのが先ほど井藤先生のおっしゃいましたように、今日の実情なのであります。  そこで、これに対する考え方でありますが、その前に、二十九年度の地方交付税、これの配分に当りまして、全国的な合計で、基準財政収入額を基準財政需要額がオーバーしている額が二百六十六億でありまして、基準財政収入額二千九百九十六億に対して約一割オーバーいたしております。これを一部ではいわゆる剰余財源とかあるいはロスであると、こういうことを申しまするが、これは私は必ずしもそうとも思いません。この額だけが全部むだになっておるとは私は必ずしも思わないのでありまするが、しかしこの超過しておる額は、本年あたりおそらくまだ相当ふえると思います。従いまして、こういう状態のもとにおきまして、さらに地方税をふやすことになりますれば、必ず偏在額というものが大きくなってくる。これは国家全体から見てむだなことでありまするから、これを調整しなければならぬ。結局これは交付税との噛み合せの問題になってくると思います。これは、きわめて粗末なことで、まだはずかしい次第でございまするが、私は結局この段階におきましては、交付税を、何と申しますか、マイナスの交付税、つまり超過団体から一部の税を取り上げて、そうしてそれを貧弱団体に回す、つまり今よりも財政調整の作用をきつくする、こういう方法を講じない限り、地方財政は全体としては救われないじゃないかと思います。この方法につきましては、いろいろ問題があると思いますが、これは論外でございますので、一応その程度にしておきます。そういう方法をとりさえすれば私は地方財源をふやすことができると思います。一部には幾ら地方税をふやしてもロスが多いからとか、あるいは現行制度がすでにロスが多いから、現在の地方税も国に取り上げて、これを譲与税にしてしまう、昨年行われました入場税国税移管、この点は先ほど井藤先生のおっしゃいましたように、私も反対でございまして、むしろそういう財政調整全体の作用を強化することによって、ことに地方税たる性格の明確な入場譲与税はこれは地方税に置いておくべきものだ、さらにもっと適当な税を地方税に移譲すべきだ、こういうように考えるのであります。きわめて抽象論でありますが……。  そこで、しからばそういう税収入をどうして増加したらいいかということでありまするが、結局これは突き詰めまして、ちょっと調べてみますと、国税地方税を通じまして一兆二千七百億、この税総額のうち所得税系統のもの、法人個人を通じまして。それと酒、たばこ消費税、この三つでもちまして、八千六百五十億、約七〇%はこの三つの税で占めておる。これは私はいかなる制度——ただしいわゆる流通税的な取引高税、あるいは売上税、あるいは付加価値税、そういう何らか一般的な流通税、これを作りました場合には、これは相当大きな財源を得られますが、その他の場合にはきわめて少い、小さい税でありまして、結局そういうものをやりとりしておっても問題の解決はつかないのであって、やはり地方税をふやすとすれば、今のところこの所得税系統のもの、酒、たばこ消費税、これも地方団体に持ってこなければならぬ。そういう意味で昨年たばこ消費税ができておりますことは、私は適当だと考えております。そういうふうに根本的に税制につきましては私は考えるのであります。  個々の税につきましてでございますが、実は用意しておりました中の非常に多くの部分を井藤先生がおっしゃいまして、私も同じ考えを持っておるところがございますので、それは省略いたしまして、私だけの変った点を申し上げます。  第一に、市町村民税でございまするが、この課税方式は結局五つあります。この五つあることは、これは地方自治団体の税でありまするから、そこに中央地方の実情を考慮するというようなことから私は適当だと思います。問題でありますのは、第一に、財政計画上の総額の見込みでありまして、これは御承知のように昨年大体第一方式による標準税率、これは最近はそういう言葉でなくなったようでありまするけれども、一応具体的に申しますれば、一三%の課税をもってするという額に比しまして、大体三十年度で百億程度のものを余計とる、つまり第三方式によってそれ以上のものをとる、こういう計画になっております。ここに非常に無理が起りまして、市町村間のアンバランスというのが起る。従いまして、こういう無理を避けるには、私はこの差のあることが地方税としては適当である、こう考えますが、ただ今度の改正案に出ておりますけれども、明年多少これが国税の減税ということもございまするが、増税になっておりまして、また標準税率の復活というようなことがございますので、多少緩和されるだろうと思いまするけれども、この点に一つの問題があるように考えます。  もう一つは、これは井藤先生がおっしゃいましたけれども、給与所得とそれからほかの事業所得との不均衡であります。それゆえに結局先ほど申しました三つ課税方式のうち、いわゆる第二方式、第三方式の但し書きの規定あたりが非常に活用される。そういうところでは非常に税負担も高くなるわけでありまするが、それも結局この農業所得のごときは非常に国税所得税がかからない。これは国税としての所得税が、免税者が非常にふえるということ、これは賛成でございまするが、地方税としてそのように非常に多くのものが一割くらいしか税金を納めない、こういうふうになってきますると、市町村民税の私は価値がなくなるような感じがするわけであります。従いまして、こういうことからしまして、給与所得と事業所得との不均衡是正という問題になるわけであります。一部にこの地方税だけ、市町村民税だけにおいて給与所得を一部控除するというような考えがあるようでございますけれども、これは私は反対でありまして、あくまで国税を基礎にして税をかける以上、国税と並行する、つまり国税所得税において給与所得と事業所得との均衡化についていずれ何らかの措置が要るのではないかと思います。それがほとんど待ち切れず、一部においてはすでに市町村民税で実際何らかの措置をとっておるところもありますが、これは結局制度欠陥でありまして、もとをただす必要があるのではないかと考えます。  第二に固定資産税でありますが、これにつきまして、ある方面で固定資産税をちょっと解体して、償却資産であるとか何とかは別の税にするという考えもあるようでありますけれども、これも私は反対でありまして、やはり固定資産税として課して行く以上は、土地、家屋、償却資産はあくまで三つ一緒に考えて行く方がいいと思います。  次に評価の問題でありますが、これは年々変る。今度の改正で土地、家屋は三年おきになるということですが、これはあくまで適正な時価ということを基準にしてとって行く、この方針はくずすべきではないと思います。従いまして時価が上るとか、あるいは現在の特価が、現在の評価額が現在のほんとうの時価に比べて相当差がありまするから、ここいらにおいてやはりこの評価をやり直すことはどうしても必要だと、こう考えます。そしてその負担のふえる部分はあくまで税率の調整によって、これを負担可能の限度まで下げて行く。評価はあくまで適正にというふうに考えております。  それから次の大規模資産についての調整の問題でありまするが、この点は多少井藤先年と意見が違いまして、やはりこれは固定資産はあくまで市町村税にしておいて、そうして問題になりますこの大規模資産のあります所だけに調整の方法を講じる。現行法に出ておりまする調整くらいはこれは当然だと思います。なお経過的に、今度の改正案によりまして三カ年間ある程度の経過規定を置くようでございますが、これも理論的にはともかくとしまして、実情としてはこの程度の例外はやむを得ないと思いまするが、ぜひこれは、経過規定は経過年度だけに終らして、本来の姿に帰るべきだとふうに考えるわけであります。  次に事業税でありまするが、これは第一が課税標準の問題でありまするが、これも全く井藤先生のおっしゃるように専業税を外形標準に切りかえる、あるいは付加価値税というようなものをとるということは、私は強く賛成でございますが、これは非常に根本に触れることでありまするので、この程度にいたします。  次に基礎控除がだんだん引き上げられておりますけれども、この基礎控除を引き上げるということは、現在の程度はやむを得ないと思いまするけれども、これを非常に引き上げるということは、これは元来物税としての事業税を考えますときは私は適当でないと考えます。やはりこれは物税でございまするから、広くとるということが必要で、この点固定資産税を納めますところの納税者負担とも関係があると思います。七万程度基礎控除でありますと百九十二万の納税者のものが、十二万円になりますと五十四万に減少するというふうになりますが、これ以上減りますると、事業税としての価値がなくなるのじゃないかと考えます。  四番目に遊興飲食税でありまするが、これにつきましては、一時考えられましたところのこの徴収強化ということを何らかの形においてやるべき、だと考えます。遊興飲食税の現状が非常に税務行政がうまく行ってないということは、これは周知の事実のようでありまするが、これにはただそのやり力が悪いというだけではなくて、やはりこれは過去のいろいろの沿革的な、たとえば戦時中の禁止的課税のような状態、あるいはその後のいわゆる料飲店閉鎖というような戦時特別措置、そういうような名残りをもってきておりまするので、これをこのままの制度において一がいに改善しろと言いましても、これはむずかしいと思います。結局一時考えられましたように、まあ法律の文面上の負担は減らし、そのかわり徴収を法律通り実行できるように徴収強化の方法をとる。公給の領収書を出さなければならないようにする。こういうことも必要だと存じます。  五番目に道路税法の問題であります。地方道路税の問題でありまするが、この自動車、ガソリンのまあつまり車、自動車から税金を取って、それを道路費に充るということは、これは私は大体新しい考え方であるとすれば適当だと思います。そういう意味におきまして、道路費というものは国も出しますけれども、地方が相当多くのものをむしろ主体として出しておりますから、やはりこのガソリン税の経費というものは地方団体に回わすのが当然だと思います。その点このうち今度四千円に上げると、四千円分だけは地力の税金だという原案を、最近新聞で拝見しますと、これも減額するように出ておりますが、これは自助車の負担というようなことからいろいろの問題がありましょうけれども、しかしこれによりまする欠損額、三十年度において二十五億円、平年度において四十七億円というものは、これはどうしても埋めなければ、地方財政はこれほど困窮しておりますのにさらに穴があくことになるのでございまして、これを修正いたされるなら、必ずこの穴埋めということは考えていただかなければならない問題だと思います。ことに今のような交付税制度になって、率がはっきり今からきまっておりますので、かりにこれを動かすとすれば、直ちにそのときどきの財政制度というものがそうなって行かなければならないのでありますから、来年度の分と言わずに必ず来年度のことも、一応の法制的な措置は本年度中に作るという必要があるように考えるのであります。税制につきましてはそれだけにしておきます。  次に三十年度の地方財政計画についてでございますが、少し古くなりますが、本年度の予算審議中に、四月にこの交付税の問題等をめぐりまして、地方財政審議会から自治庁長官に対して意見書が出ております。その説明をしろということでございますので、説明をいたします。当時、今申しますように予算の途中でございましたので、そのときの数字によりますると、大体百五十三億円財源が不足する、こういう数字が出たのであります。これにつきましては一言申し添えますが、この地方財政計画というものにつきまして、地方財政平衡交付金が交付税に変ったから、これが性格が非常に違ったのだ、こういう意見が一部にあるようでありまするが、われわれは決してそうは考えない。あくまでもこのようなときにおきましては、政府は国と地方団体との行政の点から、大体それに対する財源というものを、公平にわけるという責任が政府にあるのであります。従いまして、単にその政府は予算だけを作る、そうして交付税によってきまりました率だけを地方に与えれば、あとはどうなろうと勝手にしろ、こういうことは私はもう今はなり立たないのだと思います。あくまで地方財政に対しまして、地方団体がやって行かなければならない仕事に対する財源というものは、高い立場における国がこれのめんどうを見るということは、これは私は交付税にかわりましても同じことだと思います。そういう趣旨によりまして、この地方財政計画というものを作って国会にまで提出しなければならない、こういう義務が政府に課せられている。単に作りっぱなし、ただ出しさえすればいいというわけでは決してない。最後の責任を負わなければならない。ただ交付税交付金と地方財政平衡交付金と違いますところは、必ず平衡交付金のもとにおきましては、運用の問題において収支が合うようにし、その差額は必ず予算に計上されなければならない、こうなっておりまするけれども、交付税においては必ずしもその必要はない。しかしながらそこに差が出る。しかしその差も小さい額ならまあよろしい、あるいは一年限りならばよろしい。引き続いてあるいは相当のものが出るときはこれはやはりあらゆる措置、何も交付税をふやすだけではなくて、法案にもございますように、地方の行政制度あるいはそのほかの財政制度をも改正してこれを合うようにするということは政府の責任、しかも財政計画と言いますのは、必ず地方団体がそのときに法律上も事実上も持っておりまするので、行政を完全に果すのにはどれだけ要るかということを客観的に妥当な水準でこれはきめなければいけないと思います。地方団体自体が勝手にお手盛りの多額の経費を計上している、そういうものをそのままとる必要もないかわりに、片っ方政府の方から交付税がきまったから、それに合うように逆に歳出をしぼっていくということもこれはいけない。あくまで客観的な基準によってこれをきめる。そしてその収支のしりが大きく合わないようにしないということが必要だと思う。そういう見地でそのときの計画を見ますと、大体今までのやり方と申しますか、今までの数字、過去五カ年間でございますが、やって参りました地方財政計画をそのままやっていきますと、百五十三億円ぐらいの財源不足がつく。もっともこの百五十三億の財源不足のほかに、さらに六十億ぐらいの単独事業費の節約をしておりますから、合計すると二百億少しこえる、そういう欠陥がある。そこでこういう数字はどうしても埋めてもらいたいということを自治庁長官に申し入れたのでございますが、その後本決定になりますまでに、結局地方債におきましては五十億、入場税を十分の一だけさらに地方に出せということによって十二億、合計六十二億の財源の増加、百五十三億に対して六十二億の増加、なおいろいろ端数の整理等によりまして多少違いましたけれども、大体それぐらいの数字、従ってそこに相当大きな穴があいておるのでございますが、それが結局最後におきましては、ここに今度提出されました決定したものの中におきましては、各方面において歳出を整理すると、こういう数字によって結局収支ゼロになっております。この点この整理、節約のことでございまするから、できると言えばできるし、できないと言えばできないで、結局確たる基準もないと思いまするけれども、われわれの見方からすれば相当これを強行するのにはいろいろ無理な点があるというふうにわれわれは感じておる。しかしこれは意見書を出しましてからあとのことでございます。  さらにその意見書におきましては、もう一つのことを考えておるのでございまして、今まで申し上げました数字は、過去にやって参りました数字をそのまま是認する、いわゆる言葉で申しますと、既定財政規模というものをいじらずにやっていくということでございますが、ところがこの既定財政規模の中には給与費であるとか、あるいは恩給費であるとか、あるいは国庫補助金に伴う経費であるとか、そういうものにつきましての算定が十分でないというものが多々ありますので、そういうものを一応考慮いたしますると、今の百五十三億という数字は四百五十七億になる、こういうまあ数字を出しておる。この点は、これは直ちに本予算においてというわけにはいかないから、結局これは政府で今全国的に作業をしておりまするこの給与、地方公務員の給与調査の結果等を待ちまして、はっきりした給与に対する数字等をつかんでからこれを措置してもらいたい、こういうまあ意見書を出したのでございます。  以上でございます。
  6. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ただいまのお二人の御発言に対して質疑のおありの方はお願いいたします。  なお自治庁からは税務部長の奥野君、あるいは大蔵省税制第二課の方からは係官が見えておられます。
  7. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 井藤先生にお伺いしますが、勤労者の給与所得に対しては税が高いという説があるが、先生も御肯定なさるような御意見のようでしたが、これは勤労所得は正確に把握できる、その他の申告所得は十分把握ができないというつまりそこにアンバランスがあるから高いと、こういうお考えでしょうか。それとも勤労所得自体に高い本質的なものがあるかどうか、この点お伺いします。
  8. 井藤半彌

    参考人井藤半彌君) 事実問題といたしまして、勤労所得は九〇何%まで把握できます。その次に把握のやさしいのは農業です、地面がありますから。それから事業所得商工業は一番把握しにくい、これは常識でございます。私、申しますのは、だからといって租税制度として勤労所得を特に割引すると、こういうことになりますと、商工業でも農業でも、とにかく百パーセント把握されないという建前で安くなっているので、どうしても負けてやるということを法律が認めることになりますので、これはしばらくはうまくいきませんけれども、やはり厳密に把握できるという前提でやはり考えなくちゃならないのじゃないかと考えております。そこで今の御質問の件でございますが、これは全部厳密にとるといたしましても、たとえば今申しましたような意味で、ことに先に申しましたのは、選択控除のことを申しましたが、勤労所得の方は重くなる制度的に欠陥があるのじゃないか、こう考えております。
  9. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 それから違う問題でお伺いいたしたいと思いますが、荻田さんからも話がありましたが、大体地方税をできるだけ税源を与えようとすれば、どうしても偏在の税源になってくる、その調整方法としてはやはり交付税よりほかには適当な——先に譲与税というのはあまりいろいろなものをこしらえるのは適当でないという御意見がありましたが、交付税一本で調整するのが適切である、こういうお考えでしょうか。
  10. 井藤半彌

    参考人井藤半彌君) 私の考えは、結論から言いますと、実は私は交付税をいいと思っておりません。先ほど荻田さんのお話にもちょっとございましたが、この交付税、平衡交付金を改めて交付税にしたという一番大きな根拠は、平衡交付金というのは御存じの通り積み重ね式である、足らぬだけを——もちろん地方団体もいいかげんな金の使い方をやっているところもございます。これはもちろん地方団体の方も何とか自粛しなければなりませんが、理屈として足らないだけを国家で埋めるという建前になっております。地方団体側はそれを請求する、また国の財政を扱っております大蔵省側では全部出せない、毎年紛争——という言葉は少し大げさでございますけれども、毎年意見の衝突が起る、そこで法人税と所得税と酒税の割合にすれば、総額は大体きまるのだから、非常にはなはだしい違いがある場合は直す、こういう建前になっているのであります。私はどうもあの制度ができましたときから、実はそういうことはできないだろうということは、毎年国家もこの財政が苦しいし、地方団体財政が苦しい、かりにああいうふうに機械的にきめても、毎年率についての変更が起るのじゃなかろうかということは、私は去年から言っておりました。ところが去年まで一三%、去年は特別の事情で二〇%になりました。今度は二二%というのが二八%になるとか何とかいううわさもあります。来年はというとまた変ると思います。あれは法律できめることが無理で、そういたしますと、昔の地方財政平衡交付金の方が毎年々々折衝がありまして、うるさいですけれども、どうせやるくらいだったら、いろいろ事情の変化があるわけですから、いろいろの事情の変化があって地方団体財源不足が出てきますから、その場合に、やはり平衡交付金の方がめんどうなようたけれども、よりよくないかと考えております。  それから、ただし、私は平衡交付金制度自体についてもいろいろ問題があるだろうと思うのです。と申しますのは、最近専門調査員の法貴さんが給与に関する調査をされました中で、こういうことを言っておられます。私はこれはもっともだと思います。というのは、平衡交付金では御案内通り、国で財政収入府県の場合が八割、市町村の場合は七割だけを見て、残りの二割または三割をもって自由の財源にするということになっております。ところが東京大阪のようなお金持のところは自由の財源が多いのですけれども、先に申しましたような、貧弱な鳥取とかいうところは税収入が県財政収入の一割しかないというところでは、三割といったって大したものじゃない、そこにやはり無理があるんじゃないかと思います。  それからもう一つ、私さっきこういうことを申しました譲与税とか、たばこ消費税とか、それから交付税とか、ああいうのは多いんですから、これを統合せよと申しましたことは、私は今現状ではすぐにやるということになりますと非常に問題があると思いますけれども、私は理想としては譲与税にいたしましても、たばこ消費税にいたしましても、それから交付税にいたしましても、これはやはり地方財政調整ということが主たる目的を持っているものであります。その場合に三つもあるということは実にややこしいのです。非常にややこしいので、それで現在の交付税制度をもっと内容について修正を加えまして、やはり一本にする方が制度として簡素化されるのじゃないかと考えております。
  11. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 荻田さんにちょっと伺いたいのですが、先ほど地方税の増加のところで、大体所得税系統のもの、酒、たばこ消費税で七〇%、こういうふうなお話があったのですが、そこでこの問題をもう少し私詳しく伺いたい。というのは、現在の地方財政規模から言いまして、地方税あるいは交付税、その他の国庫支出金、あるいは地方債、こういうふうなものがどういうパーセントを持っているのが一番適当な財源になってくるのか、おのおのどう見ているか、こういうことに対する御見解を伺いたい。
  12. 荻田保

    説明員荻田保君) 地方財源構成の理想的な形体ということですね。第一に地方債につきましては、先ほど申し上げましたように国が公債は出さない、地方が公債を出す、これはいけない。従いましてこの点は国、地方を通じて行政の分量と、そのとき取り得る税の総額と、この差額というものが出るか出ないか、出ればそれを公債によるとして国と地方と公平に、どこが公平か問題ですが、分けたければなりません。また地方負担につきましては、そのような抽象論でなくて具体的な問題になりますと、たとえば災害費に対する起債であるとか、あるいはまあ小さな団体であります町村におきまして学校を改築する、たった一つしかない学校を四十年に一ぺん改築すればいい、これが優先という場合ならこれは起債によるより仕方がございません。そういう意味におきまして、全体を通してどのくらいのパーセンテージでいくかということは、地方債についてはちょっと申し上げにくいと思います。国庫補助金でありますが、これにつきましても極端なことを申しますれば、もう国庫補助金というものは私はなくてもやっていけるのじゃないか。きわめて大規模な、むしろ私は国の直轄工事に相当するような大きな工事、こういうものに対してかりに地方でやらせるようなことがあれば、補助金というようなことは考えられますけれども、災害はもちろん論外であります。それ以外はやろうと思えばやりようによってはやめることをやっても差しつかえないのじゃないか。そういうふうにいたしますれば、結局地方税の率というものは非常にふえる。つまり地方税と申しますよりは、交付税地方税とを併せた一般財源は相当増加して差しつかえない。そのうち地方税交付税との割合でありますが、結局現状の地方財源偏在の状況いかんにかかっている。先ほど申しましたように、地方財政の調整をもっと強化する必要があると申しましたのは、これは地方交付税を今与えている団体におきましても、貧弱団体に対する与え方を多くする、こういうことが結局地方債の問題とも関連するのでありまして、簡単に申しますれば、今の地方債の許可方針というものは一般財源の足らないところに地方債を出す、こういう考え方であります。従ってむしろ償還財源のないところに地方債を多く許可する、償還財源の多いところには地方債を許可しない、こういうやり方になっている。たとえばこれは本来の考え方から言えば非常に逆な行き方でありまして、むしろ財政貧弱なところに交付税をやっておいて、地方債のような将来負担になるようなことはやらない、財政豊富なところには、地方債をやるということにならなければならないと思います。こういうことから考えて、地方交付税を与える場合は貧弱団体に対する比率を多くする、この方法をどうしたらいいかという問題になりますが、先ほどちょっと井藤先生からおっしゃいました、たとえば基準財政収入の今府県八〇%、市町村七〇%でありまするが、この率を高めるということはこれはそういう場合に役立つ一つの方法だと思います。それからそのような配分方法を幾ら変えましても、先ほど申しましたようにいわゆる超過団体に対しては何ともいたし方がない。これは結局元来の交付税と申しますか、これは取り上げる。その場合に国庫補助金が残っておれば、国庫補助金をやらないようにする。国庫補助金を出す場合に財政計画によって差等をつける。一度義務教育費国庫負担法が実施になりますときに一度ありまして、それは東京大阪とかというところに出さぬということがありましたけれども、これは問題だと思う。そういうやり方は国庫補助金について財政調整を加えるということは問題だ。これは別の方法で、いまの交付税と言いますか、取り上げるというようなやり方をして、その代り現金そのものは何も出してやる必要はありませんから、何かからでも引いて政府がやるということになればできると思います。そうしない限り地方財政全体を強化する、総体を強化することができない。全体の地方団体財源を強化することはできない。そういう状態にすでにその財源の状態がきているのではないかと、こう考えております。
  13. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういう立場から見ますと、さらに地方自治というような観点に立って考えるわけであります。今全国に四十ですか都道府県がありますが、そういうところで最も理想的にいっているようなところはどこですか、財政的に。
  14. 荻田保

    説明員荻田保君) 市町村につきましては国庫補助金の問題は別といたしまして、非常に今度警察が府県に移りましたために市、ことに市は非常にほとんど交付税なしでやっていける、もっとも最近合併されました農村的な市はこれは別でありますが、いわゆる昔からの市はほとんどこれは交付税なしで大体やっていける。そういう意味で市は財政的に独立性がある。府県につきましては、これは先ほど井藤先生もおっしゃいましたようにアンバランスが強い。これは市町村の場合よりも財源偏在が強いということも一つでございましょう。それよりもむしろ歳出の方が府県市町村とでは、府県の方にはいわゆる義務的経費が多い。小中学校教員給とかいうように、ほとんど理屈なしに出さなければならぬ、しんしゃくの余地がない、こういう経費が多い。ところが市町村の方は相当これは巾のある経費、従いまして片一方財源の偏在性も府県の方が強い。片一方歳出の柔軟性と申しますか、これは市町村の方が強い、府県の方が弱い。そういうわけで府県財源に自主性が足りない。そこで今主として先ほどから申しておりますことは府県をねらった考え方でありますが、府県の税をプラスする。プラスしますと、先ほど申しましたように超過団体東京大阪みたいなところに余計行って、これを調整する方法をあわせ考えない限り、これ以上税のふやしようがない、こういうふうに考えております。
  15. 小林武治

    ○小林武治君 井藤先生にお伺いしたいが、先ほどのお話のように、一体自治体というものは行政を自主的にやる、こういうことはある程度財政の独立、こういうことと必ず伴わなければならぬじゃないかと思いますが、今のように全国のうちの七つの県の税金が一割にもならない、こういうようなものでもいわゆる自治体であるのかどうか、すなわち大部分国庫に依存している。それでも自治体であると言っていいのか、また自治体と称していいのか、こういうことについてはどういうふうにお考えになりますか。
  16. 井藤半彌

    参考人井藤半彌君) ちょっとこれは学校の講義みたいなことになりますが、御了承願いたい。自治と申しましても、今から百年ないし百五十年前の地方自治は、現在の地方自治とはだいぶ情勢が違うのではないか。簡単に申しますと、地方自治の祖国とも言われているアメリカや英国で百年、百五十年前の地方自治と申しますと、私はこれを簡単に孤立的地方自治と申しまして、各地方団体が身分相応の仕事をやっておりました。よく映画なんかにもあるのですが、アメリカの西部劇なんかで、何か幌馬車なんかがさあっとやって来まして、そこで町を作る。ところが悪い者が出てきて安らかに眠れない。そこで腕っぷしの強い者に、お前巡査になれ、月給はおれが出してやる、それから子供がたくさんできてくると、子供をほっておくわけにはいかない。ところが少し頭のいいのがいると、お前ちょっと学があるから学校の先生をやらんか、そのかわり月給はおれが出してやる、そういうふうにして身分相応に仕事をやっておりました。ところが一方コロラドとか、ニューメキシコとかいういなかでは非常に貧弱な変な学校があるかと思いますと、ワシントンやニューヨークではりっぱな大学がある。その場合に、先の話に出ました中央政府から補助金を出すとか、平衡交付金を出そうとしても出すことがきないのです。と申しますのは、中央政府地方自治体の間に遠い所では一月、近い所でもステートのキャピタルからそういう所まで三日、四日かかる、その間にどろぼうが出たり何かする、そういう場合には孤立的な地方自治をやらざるを得なかったのであります。ところが現在はどうかと申しますと、御案内通り交通が大いに進みました。そのために現在の地方団体には次の二つの性格が出てきたと思います。これは昔の孤立的地方自治と内容が違っておると思います。そのうちの一つはどういうことかともうしますと、地方自治体にローカル・カラーがなくなったということであります。ということは地方との間の交通の接触が強くなりました。それからもう一つはちょっと変な言葉を使いますけれども、大産業資本の全国支配と申しますか、たとえば中央政府で、ある大会社がさっと何かきめて、それによって命令をする、命令一下全国はそれを受けます。それからまた地方団体の交通がひんぱんになり策したために、都会でヘップバーン・スタイルとかいうのがはやると、すぐ二、三日あとにいなかではやる。これは昔のような時代にはなかったことです。ところが経済については北口に比べると地方のローカル、カラーというものがなくなったという内応なところでも六・三制度は義務教育として実施しなければならぬ。それから衛生施設はやらなければならない。そのために、昔は身分相応に貧乏なところは六・三制どころか一つ制度しか布かないが、金持ちのところは六・三制どころか、六・三・五までやることができたのでありますが、現在のようなデモクラシーの立場から申しますと、人民として、あるいは人格としての最小限度の教育、国として最小限度の教育をやらせるということ、最小限度の衛生施設をやる、最小限度の文化施設をやるということがどうしても必要になって参りました。そのために地方行政国家的性格というものが非常に強くなったのであります。簡単に申しますと、昔は文字通り孤立的地方自治ということでありまして、自分の財源相応で仕事をやったことはやむを得なかった。ところが現在のような交通、通信が発達いたしまして全国の関係が密接になり、それから大資本の支配力が強くなりますというと、全国が同じ原因で変るという、たとえば失業の原因をとりましても、昔は地方的な事情によって失業というものが起ったのでありますけれども、現在は東京に失業があれは鹿児島にも失業がある、それから物価値というものは、昔は鹿児島では豊作だった、ところが東北では飢饉だったということがありますけれども、今はそういうことがなく、すっかり全国均一になって参りました。それで全国均一性ということ、それから地方行政国家的性格ということ、これはどうしても認めざるを得ない前提になっております。そういう建前から考えますと、昔のような孤立的地方自治、すなわち自主財源によって地方財政をまかなうということは言うべくして行うことはできません。だからといって私は自主財源を強化することに反対ではありませんが、自主財源で、まかなうといってもどうしても限度があるのでありしまして、どうしてもこの場合国家から平衡交付金か何かの形で補給するということがデモクラシーを前提にし、現在の情勢を前提にすれば、これはやむを得えないことじゃないかと思うのであります。
  17. 小林武治

    ○小林武治君 そうすると、結論といたしまして、まあどれほどの財政援助を受けても今はこれはりっぱな自治体として強化をさせていくと、こういう結論になるわけですか。
  18. 井藤半彌

    参考人井藤半彌君) それでさっきも私ちょっと触れましたが、それから荻田さんもおっしゃいましたのですが、都道府県市町村と比べますと、市町村の方が現在まだいい状態にあるということはさっき私も言いましたし、荻田さんも申しました。そこで一番財源アンバランスがはなはだしいのは府県でございます。現在御案内通り地方制度調査会、最近ちょっと変な工合になりましたが、あれが府県制度検討ということをやっておる。それから現在日本府県制度検討ということが問題になっております。原因はいろいろございますけれど、そのうちの一つの重要な原因は、やはり地方の一部の府県というより大部分の府県財政難である。そこでこの府県を統合すればいいじゃないか、あるいは府県の仕事を市町村に下せばいいじゃないかとか、いろいろ代案もありますか、現在の地方制度は私は決していいとは思っておりません。ことに府県については何とか改革すべきものだと考えております。そうして先ほどおっしゃいましたような意味で、やはりできるだけ自主的な財源もある程度強化し、それから地方自治的色彩を強化することは必要でありますが、現在の状態では財政的に見て不可能だと、こう思うのであります。
  19. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 他に御質疑ございませんか。
  20. 森下政一

    ○森下政一君 井藤先生に一つお伺いしたいのですが、シャウプ勧告が特に地方財政について画期的な改革だったようなことを言われたのは、府県市町村それぞれに固有の財源を与えたという点だったと思うのです。また一方憲法がそれを取り上げて、わざわざ一章を設けて、地方自治を尊重するというためにおのおの固有の財源が与えられたということは画期的な改革であって、そこに自治庁みずからも非常にそれをよろこんでおると思うし、またそういった財源が今後も多々ますます与えられることが望ましいというふうな考え方になるように思うのです。そこでそれらを比較すると、私の今考えることは少し逆行するきらいがあるかもわからぬと思うのですが、府県財源として与えられるもの、市町村財源として与えられておるものが果してほんとうにふさわしいかということについては一応検討していいのじゃないか。それから先刻井藤先生が固定資産税というふうなものを府県財源として、市町村には付加税を与えればいいじゃないかというお話があったのです。日本税制では、国税をかけて地方はその付加税をかけておったということがあるのだが、おっしゃるように地方財源として妥当だと思うけれども、地方税の中へ入れれて府県市町村というふうに区別をせずに、これこれの税金はこれは地方税制の根幹をなすものだというような工合にして、そうして府県なら府県がこれに税を賦課して、市町村付加税をかけるというふうなことにする。地方財源というものをある特殊なものだけを府県に与え、ある特殊なものを市町村に与えるということになると、その間にどうしても空白ができるというようなことがありはしないかということを思うのです。むしろこれは地方財源として、府県財源として与えておいて、市町村付加税をかけるというふうなことでいく方が、ある税は府県、ある税は市町村というふうにして片寄らしめない方かかえって地方財政を潤す意味において非常にいいのじゃないか、というふうな考え方が可能じゃないかと私は思うのですが、それはどうでしょう。間違った考えでしょうか。
  21. 井藤半彌

    参考人井藤半彌君) 私結論から申しますと、付加税制度を設けましてもやはり財力が違うのですから、やはり東京とかいうような金持ちのところ、あるいは東京都下の——私も武蔵野におるのですが、こういうところへやはり財源は固まると思います。付加税をかけましても、府県間とか市町村間のアンバランスというものはなくならないのじゃないかと思います。それじゃお前は付加税をかけることには反対かと申しますと、賛成なのです。と申しますのは、このシャウプ勧告で各団体に自主的に税金を取らせる。これは国家財源、これは府県財源、これは市町村財源というふうに財源をすっかり区分いたしましたことは、これはうまくいけば非常にいいことでございますけれども、日本税務機構その他がまだそれほど進んでおりませんので、あれば行き過ぎだったと思います。日本の昔のように付加税中心主義に返すのは果していいか悪いか、これは問題でありますけれども、シャウプのように潔癖に付加税を認めぬということは、あまりにも学校の教員的であった、自分も学校教員であって変なことを言うようでありますけれども、あまりに理屈にとらわれ過ぎたのではなかろかと思います。私は固定資産税府県に移して市町村付加税にする、それは付加税への逆行ではないかと批評する人もありますが、何も一つや二つやったからと言って、直ちに日本地方自治がくずれることはないので、そういう程度のことは徴税の便宜ということから考えてもいいのではないかと思います。そして現にそれからのちの動きを見ますと、付加税が復活の傾向はあるのです。府県民税市町村民税はこれは付加税と言えますかどうですか、ある意味においては所得税割法人税割は付加税のようなものです。それから付加税と言いませんけれども、付加税国税としてかける場合に用いた課税標準地方税でもそれを使うようなことがだいぶ出て来ました。たとえば事業税についてそういうことをやっておるようであります。これは付加税ではありませんけれども、やはり国税制度地方税をかける場合に利用するということは、付加税と多少似た性質だと思いますが、私は昔のような付加税中心主義というものもどうかと思いますけれども、しかし場合によっては付加税を復活しても、これは日本の国情に合うのだからいいのではないか、私はあまり潔癖な付加税を廃止するというシャウプ勧告は、そういう意味において行き過ぎではなかったかと前から考ええておりました。
  22. 森下政一

    ○森下政一君 そうすると、おっしゃるように付加税だけでは、府県なら府県相互の間のアンバランスというものは是正することは困難である。というのはやはり税源が偏在しておる、これはよくわかるのであります。そうするとその点に、たとえば二十八年の地方制度調査会の出しました結論では、入場税とか遊興飲食税というものを国税にして、そうして国税にするけれども、そのほとんどすべてを地方に還元しょうと、人口に按分して返そうという、これは一つの私は考え方だと思うのです。たとえば遊興飲食税などというものを例にとってみましても、東京都とか大阪府などという所はずいぶん多額の収入があると思います。東京の人だけ、大阪の府民だけが飲み食いをし、遊興をしておるわけではない。おそらく大阪あたりでも近畿各府県の者が出てきて大阪市で飲み食いをする、それが大阪市の税収入になっておる、こういうことだと思うのです。あるいは入湯税の場合でもそういったような繁華地帯の多い所であれば、勢い税収が多い。ところが岩手県などという所になると、観覧施設その他が少いから、入場税等の収入が少いということになる。それを国税にして徴収して一つのところにプールして、そうして人口に按分して分けてやるということになれば、これは貧弱な府県は非常に喜ぶにきまっている。二十八年の地方制度調査会の出した結論に対して、貧弱府県がもう非常な喝采をしたというのはそのためだったと私は思うのですが、ことに先刻も申しますように、遊興飲食税では、富裕府県の近県の者が出てきて遊興をし、飲食しているのだということになれば、何か大阪なり東京だけがそれを取ってしまうというのは理屈に合わないというふうに考えられます。ところがときの政府地方制度調査会の結論をそのまま採用せずに、一部分だけ採用したということになったために妙なことになって、地方制度調査会の諸君が考えたこれならやっていけるというような結論がじゅうりんされて今日に至っておる。へんぱなことになっていると思うのですが、と同時にそういう何もかも国税にあげて、せっかくシャウプ勧告地方財源としたものを国税に直して、そして人口に按分してすべてを返そうと言うてみたところで、大体地方自治を強化していこうという精神に逆行するのでないかという印象をとかく与えやすいというきらいもあると思うのですが、しかし先生のおっしゃる財源が偏在していることによって生ずるアンバランスというのは、そういうやり方をやると是正できると私は思うのですが、それはどうなんでしょうか、そういうことをやってはまずいでしょうか。
  23. 井藤半彌

    参考人井藤半彌君) この入場税遊興飲食税というものは、これは私もさっき述べましたように、あれは両方とも性格が非常に似ておるのでございまして、一方だけ府県、一方だけ国庫に落すということは理屈としては成り立たぬ、どちらかにそろえなればならぬ。そこで税金の性格という点から申しますと、この入湯税や遊興飲食税は物品に関する消費税とは違って、本来地方税に適するものだと思っております。そこで日本地方税務機構が進んで参りますれば、これだけではありません、ほかの制度ともみな関連があるのでありますが、進んで参りますと、これは地方へ移すべきものだと考えております。ところが現状はどうか、現状から申しますと、やはり平衡交付金やその他によっても貧弱な県の財源というものは強化されていかなければならぬということもありますし、それから何と言っても地方税務機構は私は事実貧弱な所が多いと思う、国税の方が強いと思います。当分の間はやはり国税としてこれを人口によって分けるのがいいか悪いか、これは問題でありますが、地方に還流することが現在としては私はいいと思っております。しかしながら、これは先にも申しましたように、そういう譲与税とか、それからたばこ消費税と言いましても、これは贈与税的なものでありますが、地方財政調整のためにこの贈与税は非常に多いのです。この多いのを統合いたしまして、機械的に統合しようというのではありません。もっとすっきりしたものにした方が制度としても簡素化されるのではないか、趣旨にはむろん反対はありませんが、制度としては理想的な制度ではないと考えております。
  24. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 お二人の先年にお尋ねをいたします。近ごろ日本では防衛力がむだだとか、あるいは主食の輸入が損だとか、よく議論されますけれども、その二つは今のところどうにもならない事情もございますし、やはりやむを得ない事情もあると思いますけれども、それとは別にこの委員会として非常に深い関係がございます災害対策でございますね。毎年これに二千五百億くらいの金を使っておりますが、私はこれはもう国費の最も大きい乱費でございまして、看過できない問題だと思っておりますが、長い間ここに国を作っておるのですから、地理的な立地条件と申しますか、統計がございますので、どの用の土堤をどのくらい高くすればいいとか、山をどうすればいいとかということはちゃんと研究ができておることでございますし、労働者もこれほどあり余っておるので、ただないのは金の問題でございます。それにつきまして、建設公債をするとインフレになるという危険があるのでありますが、さりとてこのままほってはおけません。一ぺんに片づけておきましたら、それだけのむだ使いをしなくて済むわけでありますが、非常に大きな世帯のやりくりが下手だと思いますが、これを一ぺんに建設公債によって解決するといたしますとどんなにインフレになるか、あるいはそれをいたさないで済ますとすると、何か別な方法でこの問題を解決する方法があるか、などにつきましてお二人の先生からお教えを願います。
  25. 荻田保

    説明員荻田保君) この災害の問題、非常に地方財政の困りますことはおっしゃる通りだと思います。ただいま仰せの通り肝心の河川と申しますか、治山、治水と申しますか、これが進んでおりませんので、災害のつどこわれて、あとから直すということで全くむだのようであります。従いまして、これをあらかじめ災害のかからないようにしておくべきことは全くお説の通りでありますが、たしか一昨年でごさいましたか、何か政府の治山治水の委員会なんかに出ました数字は、一応農林省、建設省両関係でたしか一兆五十億でございましたか、それだけの金がさしあたり十カ年でございますか、要るような計算でございます。従いましてこれをいきなりやっていけば、それに対して公債を出した場合にどうなるかという御質問でございますが、実は非常にむずかしい問題で、公債が出た結果どうなるかということはよく私にはわかりませんのですが、結局そういう根本的な問題を離れましても、やはり治山治水の力に力を入れるべきだと思いまするが、しかし現実の問題としましては、この治山治水が完備しない限り災害が起るのでありますから、この災害はほっておけない、絶対に必要である。この点が非常に地方財政に困っております。つまり国の出します災害の国庫補助金あたりでも財政の都合上しぼられましても、地方ではどうしてもこれを出さざるを得ない。従っていわゆるワク外と申しますか、仕越し工事と申しますか、これがたしか二十八年度でも百億ぐらい、二十九年度でも五十億をこえるような額になりました。こういうものが非常に地方財政に、現に赤字が出て俸給も払えないというような県あたりの財政に対しても非常に大きな影響を与えている。従いまして治山治水の根本問題は別としまして、とにかく災害というものは何ともなりませんけれども、できた以上は百パーセント短日月の間に必ず予算措置を正当にとってやるということは、これは地方財政のさしあたりの問題としては非常に大事なことだと考えます。
  26. 井藤半彌

    参考人井藤半彌君) 私も大体荻山さんがおっしゃったこと以下のことしか申し上げることができません。それで荻田さんがおっしゃいましたことはごもっともだと思います。それからインフレになるかならぬかという問題でございますが、これは公共事業だけででざいましたら、私はたらぬと思うのでございます、現状では。しかしそれ以外にいろいろ日本としては金が要りますし、それから公共事業だけを認めるとなると、やはり理屈はどんなことでもつきますので、学校の校舎がつぶれかかっているのをほっておいてかまわぬかというと、これはいかぬということになりますし、それからまた社会救済とか社会保障のための経費が足らぬと、これも公債でやれ、あるいはわれわれ学生を預かっている者から言いますと、育英資金が少い、そんなことは公債を出して、もっと貧乏な子供でもっと頭のいい子供に教育をせい、というように、何とか言って参りますと、やはりバランスということが出て参りまして、公共事業だけでございましたら私は問題ないと思いますけれども、ほかにいろんなまた同じような重要性を持ったものが出て参ります。そういたしますと、やはりそういう危険がないとは、言えないと思います。  それからもう一つは、これは公債必ずしも悪いというわけではございませんので、いわゆる不完全雇用で生産力が余っておって、資源が遊んでおる場合にはむしろ公債を発行して、財政困難な地方団体は人為的に購買力をつちかって、それを動かす力が失業救済になるし、国民所得も高まるわけであります。しかし公債というものは税金と違って国民の抵抗が少いのでございますので、どうしても安易な考え方で市町村長また国家の理事者がとりますので、それはまあいけないと言っておく方が問違いが少い。たとえば学生が女の子とつき合っちゃいかぬという場合には、つき合うことは悪いことではないけれども、つき合ってはいかぬと言っておいてもいいかげんになるというわけで、公債というものは決して悪いことではありませんが、乱用の危険が多い。ことに現在日本の情勢から申しますと、デフレということを今やりつつある、幸いに一年間は効果をおさめた。ところが一方にデフレを喜ばない人がございまして、何とかしてデフレをとめたいという情勢になっている際でございますから、こういう場合は少しでもデフレの進行と申しますか、現在のデフレ政策の進行と言いますか、跡始末のじゃまになるようなものを是正する場合には、よほど慎重に考える必要があるのではないかと考えます。
  27. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私からちょっと荻山さんに伺いますが、第一案の百五十三億の不足財源について財政措置を要望しましたが、政府としては節約によってつじつまを合せたという結果に対して、先ほどの御意見では、必ずしも節約ということでその通う結果がいくかどうかわからぬという御意見でしたが、委員会としては政府審議会の御要望に従って具体的な財政措置をとらないという点について、何らかあらためて意見をおきめになっておられるわけでございますか。
  28. 荻田保

    説明員荻田保君) 先ほど申し上げましたように、百五十三億のうち、公債で五十億、入場税関係で十二億、六十二億がプラスになっておる。そうほかの部分でございますが、それはまあ節約的なもの、節約は先ほど申しましたように、これを地方団体に要請した場合にできるかどうか。これはまあこれからの問題と申しますか、努力しても必ず絶対不可能——まあ言葉だけの問題かしれませんが、そうでもありませんので、まあ一応その点はそれ以上のことについては意見を申し入れなかったわけです。
  29. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 機構の改革その他のことが行われたい現状において、地方側あるいは国会等においても交付税率の引き上げということが重大な関心を呼んでいるのですが、そうしますとあなたの方では、その程度の金は交付税率の引き上げ等を当面の問題としなくてもいいと、そういう結論も出しておらぬし、まあ引き上げてもらいたいという結論も出していない、こういうことですか。
  30. 荻田保

    説明員荻田保君) その点は先ほど申し上げましたように、根本的に既定財政計画そのものについて無理がある、だから相当根本的に考え直さなければならぬ、こういうことをその当時の意見書から申しておるのです。そのときの数字が一応の数字で四百五十七億ですか、これくらい不足して、従ってこれは給与に対する調査が完了したときを機会に抜本的な対策を請じてもらいたい、こういうことをあらかじめ申したのです。従いましてまあ何と申しますか、当初の問題につきましては一応それはそれと、こういうふうに考えまして、やはり将来根本的な改正はこれは絶対必要だ、こういうことをあらかじめ申しておきます。
  31. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうすると、差し迫って今期国会において交付税率の引き上げ等について国会が決定するというまでに緊迫した事態ではない、いずれ将来においてそのことは根本、抜本的に行われればよい、こういうふうに委員会としてはお考えになっておるわけですか。
  32. 荻田保

    説明員荻田保君) それは地方財政の状況はそういう状況でありませんから、一日も早い方がいいとわれわれは希望しております。がそれと同時にわれわれ直接調査のあれもございませんので、一兆円の出ましたいろいろな事例から見まして、地方財政規模に対する確たる今の給与調整の額などがはっきりいたしませんので、そういうような確定を待ってと、そのときはそう申しておったのであります。はっきりした数字が出れば、これは一日も早い方がいいと思います。
  33. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 現状においてはさまざまな方法がある中においても、基本的に交付税率の引き上げということももとより当面やらなければならない事態であるという御認識をお持ちですか。
  34. 荻田保

    説明員荻田保君) ほかにいろいろの財源増加措置もございましょうけれども、まあさしあたり交付税の率の引き上げ、これはきわめて好ましいことだと考えております。
  35. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 他に御発言ありませんか。  それでは井藤先生並びに荻田さんに各委員を代表して委員長からごあいさつ申し上げます。  非常にお忙がしいところを突然お願いいたしまして、本日長時間暑いところを貴重な御意見をお聞かせいただきまして、今後地方財政その他の審議に重要な参考に資することができまして、各委員とも心から敬意を表し、御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。     —————————————
  36. 石村幸作

    ○石村幸作君 この機会に一言お願い申し上げますが、先般当委員会提案で町村合併促進法が制定せられて、町村の合併というのは非常に大きな効果、成績を上げたわけたんです。ところがこれが合併ができ上った町村に対する育成強化の措置についてまだ遺憾の点が非常に多い、こう考えられます。そこで提案者の一員として、私は合併町村の育成強化に関する決議案を提案して、そうして政府に対して緊急的に育成の措置を要望したい、こう考えておるわけであります。来週早々にでもこれは上程したい、こう考えております。そこで皆さんの御同意を得て、委員会審査省略で手続をしたい、こんなふうに考えております。すでに御同意を各派からも個人的には得て、署名もしていただいたのがあるわけであります。よろしくお取り計らいを願います。委員長にお願いいたします。
  37. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ただいま石村君からそういう御発言がありますが、決議文をこの際朗読していただいて、各会派で御異議なければ、それで当委員会としてそういう決議案を本会議に上程するということを決定したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その提案は、委員会としての提案ですか。
  39. 石村幸作

    ○石村幸作君 それでは決議案の案文を朗読申し上げます。なおこれは幾分修正というか、手を加えたいと思っております。大体の筋を申し上げます。    町村合併は関係町村の異常なる熱意により、幾多の困難を克服して断行され、既に減少町村は五、二〇〇に及び町村合併計画の八三%を達成し、その大半の完了を見るに至った。しかるに合併町村の育成措置は徹底を欠き、新町村建設事業は遅々として進まず、町村合併の成果に対する住民の期待に反することは甚だ多い。よって政府合併町村の基礎を確立するため、この際、速やかに必要な措置を講ずべきものと認める。    右決議する。   以上でありますけれども、この末尾の「必要な措置」、これをもう少し具体的になお釈明したいと考えております。
  40. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 石村君の申されるような趣旨で、当委員会各関係委員の発議者としての署名を得、また成規の賛成者をも得て、本会議に上程する手続をとるということに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ではさよう決定いたします。
  42. 石村幸作

    ○石村幸作君 ありがとうございました。
  43. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 本日はこれで散会いたします。     午後四時五分散会      —————・—————