○
説明員(
荻田保君) 一言あらかじめお断り申し上げます。
地方財政審議会としての御
意見をお求めになっていると思いますが、御承知のように、
委員会は五人の
委員の多数決できまりまして、実はこれは非常に急でございましたので、ただいま
委員長からおっしゃいました二つの問題のうち、三十年度の
地方財政計画につきましては、これは
意見書が明瞭にきまっておりますので、これは
意見ははっきりいたしておりますが、
地方税法全体を通じましての
意見につきましては、別に正式にこの
委員会におきましてきめましたものはございませんので、大分私
個人の
意見になると思いますけれども、そういうものをまじえまして申し上げたいと思います。
そこで順序が違うかも知れませんが、第一に
地方税法に関しての点を申し上げます。現在出ております
地方税法自体につきましては、この原案にこれはもう明瞭に
地方財政審議会といたしても
賛成でございます。従いましてこの際、ここで少しこの現在の改正案を離れまして、
地方税制の根本につきまして二、三
意見を開陳いたしたいと思います。根本について考えますときに、どの
税制がどうだこうだというようなことよりも、私は
地方財政にとりまして最も大事でありますことは、この
地方税の総額、まず総額をどうするか、どこに置くか、これが大事で、総額がきまりましてから中身を、どういう税をどうとるかということは二の次の問題だというふうに私は考えております。しかもその総額の問題は、従いまして多少
税制のプロパーの問題を離れまして、
地方財政全体の問題になるのでありまするけれども、今申しますように、非常に重要性がございますのでその点について触れたいと思います。
まずこの総額につきましては、そもそも
地方財源の税といわず何といわず、
地方財源全体が少いということが現在の
地方財政を混乱に陥れている第一の原因であると考えるのであります。
地方財政が非常に悪化しておりますことにつきましては、いろいろの原因があると思います。簡単に申しまして、国の側の責任と申しますか、
地方団体側の責任と申しますか、この両者があると思います。両方あるということは私も否定しないのでありまするが、そのうち
地方財政に対しまする国の責任、これは結局突き詰めますると、あとの問題として申し上げたい
地方財政計画の問題になってくると思うのであります。で、今年の
地方財政計画の数字は九千八百二十九億になっておりまするが、従いまして、これを目当に
地方財源が付与されておるのでありますが、この総額が現在
地方団体が法制上及び事実上
負担しておりまするところの行政を行いますについて必要な経費、これを処理するのに十分な額ではございません。ここに
地方財政混乱の最も根本の原因があると思うのであります。現在この
地方財政の混乱につきましていろいろ問題がございますので、それにつきまして、その歳出が非常に大きい、大き過ぎないか、こういう議論もあるのであります。従いまして、つまり
地方財政計画のこの数字が大き過ぎるかどうか、こういう問題でありまするが、今申しますように、私は現在
地方団体が
負担しておりますところの仕事をやっていくのについては不足すると思うのであります。そこで一般に言われておりますることは、非常に
地方団体に乱費があるのじゃないかとか、あるいは
制度、機構の問題において非能率、不経済な面があるのじゃないか、こういう議論があるのであります。これは私は確かにあると思います。確かに多くの
地方団体の中にはいわゆる乱費、不当支出とも申すべきものを支出しているものがあると思います。またこの
制度、
制度と申しましても私は機構的な
制度を申しておりますが、その
制度につきましても相当むだがある。従いましてよそ事でございまするけれども、現在出ております
地方自治法の改正案
程度のごときことは、私は当然改正すべきものだと考えておるのでありますが、しかしながらそのように二つの問題につきまして、歳出が増加するという部分があると思いますけれども、私はこれは額にしても大した問題ではないと思います。大した問題ではないからほうっておくというのでは決してない。こういうのは改むべきところは徹底的に改める、乱費のごときは徹底的に改めるということは強く考えるのでありますけれども、
財政的に見まして大きな問題ではない。結局
財政的に見まして大きいのは、いわゆる
地方団体の行なっておりまする行政の内容自体が充実している、このために金が要るという、これが根本だと思う。従いまして、この行政をやっていくについて必要な
財源を確保するためには、どうしても今の
財政計画で示されておるワクでは足りない。どうしてもここに追加をしなければならない。簡単に申しますれば、これを追加するにはどうするか、結局全体として国民
負担を増加するか、つまり簡単に申しますれば増税、あるいは増税はしなくて、現在の範囲内において国と
地方との
財源の配分を改めるか、この二つの問題があるわけでありますが、いずれの方法をとるにいたしましても、この
地方の
財源総額を私はふやさなければとうてい
地方財政の状況は改善されないと思います。これに対しまして、しからばその
財源の方がきまっておるのだから、その歳出を減らせばどうかという点でございますが、これは先ほど来申しますように、いわゆる乱費というようなものを徹底的になくす、あるいは
制度、機構の面において非能率的なものは改正する、そういたしましても大した額は浮かないのであって、結局
地方行政の内容自体を低下する、これ以外に方法はないと思います。従いまして、行政内容を低下するか、税をふやすか、結局この問題に
地方財政の問題ばからんでおるのでありまして、きわめて月並みなことでありますけれども、
地方財政を改善するには、歳出を切るか、
歳入をふやすか、どちらかしか方法はないと思います。
そこで、その問題を離れまして、結局現在の行政内容を一応是認していく
立場に立ちますならば、この
地方財源の総額が足りないということが根本だと思います。第二に、この
財源総額の中でさらに
地方税が少いということが
一つの欠点だと思います。
地方税の少いということは、逆な面から申しますれば、国庫補助金、
交付税、
地方債というようなものが多いということに問題があると思います。このうち、
地方債につきましては、一般会計において本年度七百九十億発行することになっておりますが、これは非常に私は問題であると思います。国が
昭和二十四年でありますか、当時ごろからいわゆる健全
財政という
立場をとりまして、公債を発行しないという
立場をとっておる。
国家予算及び
地方財政全体としてこの非募債主義というものを徹底するならば、これは国も
地方も公債を出さない方がいいと思います。かりに全体を通じて公債を出さない、むしろ逆に申しますれば、それだけ税にたよる、税をたくさんとることができないならば、これは国も
地方も公平に公債を両方で持ち合わなければならない。今のやり方は、国の方は全部税によってまかなう、
地方の方には税が足りないから公債を発行せしめておる。これはきわめてへんぱな
財源の配分でありまして、このような状態が続きます限り、
地方財政は改善されない。現に
地方債の元利償還額はふえてきておりまして、今年の発行額をかりに七百九十億といたしますれば、ここ数年の間に発行額よりもよけいのものを償還しなければやっていけない。この点を第一に改善すべきだと思います。
次に、国庫補助金及び
交付税の問題でありますが、時間がありませんので
一つ結論だけ申し上げますれば、こういうものはなるべく少い方がよい。ことに国庫補助金のごときは徹底的に整理さるべきものと思います。つまり、国庫補助金のように国が
税金として徴収し、それを一ぺん中央へ集めて、それを各省を通じて
地方へ持ってくる。つまり国民が
税金を
負担するということと、その
負担した
税金が目の前で国民にわかるように使われるというつながりが国庫補助金においては断ち切られる。これは行政的にも
財政的にも非常に悪い
制度であります。およそ行政に要しまする経費というのは、その行政を行ないます主体が自分で
税金を徴収する、そして国民の見ている前で行政に使う、これが私は
原則だと思う。こうしなければ
財政膨張というものは押えられませんし、行政の責任態勢もはっきりしない、まあこういうように考えます。そういう
意味におきまして、現在の
地方財政の
財源構成をみますと、国庫補助金が非常に多過ぎると考えるのであります。
交付税の点でありますが、これは
地方財政の跛行の状況が今のような限り、これはどうしても必要な額があると思います。現在の額が多いか少いかということは、今の国庫補助金の整理及び
地方税の強化というような点と
関連して考えるべきだと思う。そのように、第一段階では
地方財源の総額が足りない、第二段階に、その
財源の中における
地方税の額が少ないということが根本の問題である。そこで、この
地方税を増加いたしまするというと、必ずそこに偏在の問題が起きるのであります。つまり肝心の
地方税を欲しておる
団体に
地方税の増収が得られないで、かえって剰余の
団体にその
税収入が得られる。こういうようになるのが先ほど
井藤先生のおっしゃいましたように、今日の実情なのであります。
そこで、これに対する考え方でありますが、その前に、二十九年度の
地方交付税、これの配分に当りまして、
全国的な合計で、基準
財政収入額を基準
財政需要額がオーバーしている額が二百六十六億でありまして、基準
財政収入額二千九百九十六億に対して約一割オーバーいたしております。これを一部ではいわゆる剰余
財源とかあるいはロスであると、こういうことを申しまするが、これは私は必ずしもそうとも思いません。この額だけが全部むだになっておるとは私は必ずしも思わないのでありまするが、しかしこの超過しておる額は、本年あたりおそらくまだ相当ふえると思います。従いまして、こういう状態のもとにおきまして、さらに
地方税をふやすことになりますれば、必ず偏在額というものが大きくなってくる。これは
国家全体から見てむだなことでありまするから、これを調整しなければならぬ。結局これは
交付税との噛み合せの問題になってくると思います。これは、きわめて粗末なことで、まだはずかしい次第でございまするが、私は結局この段階におきましては、
交付税を、何と申しますか、マイナスの
交付税、つまり超過
団体から一部の税を取り上げて、そうしてそれを貧弱
団体に回す、つまり今よりも
財政調整の作用をきつくする、こういう方法を講じない限り、
地方財政は全体としては救われないじゃないかと思います。この方法につきましては、いろいろ問題があると思いますが、これは論外でございますので、一応その
程度にしておきます。そういう方法をとりさえすれば私は
地方財源をふやすことができると思います。一部には幾ら
地方税をふやしてもロスが多いからとか、あるいは
現行制度がすでにロスが多いから、現在の
地方税も国に取り上げて、これを譲与税にしてしまう、昨年行われました
入場税の
国税移管、この点は先ほど
井藤先生のおっしゃいましたように、私も
反対でございまして、むしろそういう
財政調整全体の作用を強化することによって、ことに
地方税たる性格の明確な入場譲与税はこれは
地方税に置いておくべきものだ、さらにもっと適当な税を
地方税に移譲すべきだ、こういうように考えるのであります。きわめて抽象論でありますが……。
そこで、しからばそういう
税収入をどうして増加したらいいかということでありまするが、結局これは突き詰めまして、ちょっと調べてみますと、
国税、
地方税を通じまして一兆二千七百億、この税総額のうち
所得税系統のもの、
法人個人を通じまして。それと酒、
たばこの
消費税、この
三つでもちまして、八千六百五十億、約七〇%はこの
三つの税で占めておる。これは私はいかなる
制度——ただしいわゆる流通税的な取引高税、あるいは売上税、あるいは
付加価値税、そういう何らか一般的な流通税、これを作りました場合には、これは相当大きな
財源を得られますが、その他の場合にはきわめて少い、小さい税でありまして、結局そういうものをやりとりしておっても問題の解決はつかないのであって、やはり
地方税をふやすとすれば、今のところこの
所得税系統のもの、酒、
たばこの
消費税、これも
地方団体に持ってこなければならぬ。そういう
意味で昨年
たばこの
消費税ができておりますことは、私は適当だと考えております。そういうふうに根本的に
税制につきましては私は考えるのであります。
個々の税につきましてでございますが、実は用意しておりました中の非常に多くの部分を
井藤先生がおっしゃいまして、私も同じ考えを持っておるところがございますので、それは省略いたしまして、私だけの変った点を申し上げます。
第一に、
市町村民税でございまするが、この
課税方式は結局五つあります。この五つあることは、これは
地方自治
団体の税でありまするから、そこに中央
地方の実情を考慮するというようなことから私は適当だと思います。問題でありますのは、第一に、
財政計画上の総額の見込みでありまして、これは御承知のように昨年大体第一方式による
標準税率、これは最近はそういう言葉でなくなったようでありまするけれども、一応具体的に申しますれば、一三%の
課税をもってするという額に比しまして、大体三十年度で百億
程度のものを余計とる、つまり第三方式によってそれ以上のものをとる、こういう計画になっております。ここに非常に無理が起りまして、
市町村間の
アンバランスというのが起る。従いまして、こういう無理を避けるには、私はこの差のあることが
地方税としては適当である、こう考えますが、ただ今度の改正案に出ておりますけれども、明年多少これが
国税の減税ということもございまするが、増税になっておりまして、また
標準税率の復活というようなことがございますので、多少緩和されるだろうと思いまするけれども、この点に
一つの問題があるように考えます。
もう
一つは、これは
井藤先生がおっしゃいましたけれども、給与
所得とそれからほかの事業
所得との不
均衡であります。それゆえに結局先ほど申しました
三つの
課税方式のうち、いわゆる第二方式、第三方式の但し書きの規定あたりが非常に活用される。そういうところでは非常に税
負担も高くなるわけでありまするが、それも結局この農業
所得のごときは非常に
国税、
所得税がかからない。これは
国税としての
所得税が、免税者が非常にふえるということ、これは
賛成でございまするが、
地方税としてそのように非常に多くのものが一割くらいしか
税金を納めない、こういうふうになってきますると、
市町村民税の私は価値がなくなるような
感じがするわけであります。従いまして、こういうことからしまして、給与
所得と事業
所得との不
均衡是正という問題になるわけであります。一部にこの
地方税だけ、
市町村民税だけにおいて給与
所得を一部
控除するというような考えがあるようでございますけれども、これは私は
反対でありまして、あくまで
国税を基礎にして税をかける以上、
国税と並行する、つまり
国税所得税において給与
所得と事業
所得との
均衡化についていずれ何らかの措置が要るのではないかと思います。それがほとんど待ち切れず、一部においてはすでに
市町村民税で実際何らかの措置をとっておるところもありますが、これは結局
制度の
欠陥でありまして、もとをただす必要があるのではないかと考えます。
第二に
固定資産税でありますが、これにつきまして、ある方面で
固定資産税をちょっと解体して、
償却資産であるとか何とかは別の税にするという考えもあるようでありますけれども、これも私は
反対でありまして、やはり
固定資産税として課して行く以上は、土地、家屋、
償却資産はあくまで
三つ一緒に考えて行く方がいいと思います。
次に
評価の問題でありますが、これは年々変る。今度の改正で土地、家屋は三年おきになるということですが、これはあくまで適正な時価ということを基準にしてとって行く、この
方針はくずすべきではないと思います。従いまして時価が上るとか、あるいは現在の特価が、現在の
評価額が現在の
ほんとうの時価に比べて相当差がありまするから、ここいらにおいてやはりこの
評価をやり直すことはどうしても必要だと、こう考えます。そしてその
負担のふえる部分はあくまで税率の調整によって、これを
負担可能の限度まで下げて行く。
評価はあくまで適正にというふうに考えております。
それから次の大
規模資産についての調整の問題でありまするが、この点は多少
井藤先年と
意見が違いまして、やはりこれは
固定資産はあくまで
市町村税にしておいて、そうして問題になりますこの大
規模資産のあります所だけに調整の方法を講じる。現行法に出ておりまする調整くらいはこれは当然だと思います。なお経過的に、今度の改正案によりまして三カ年間ある
程度の経過規定を置くようでございますが、これも理論的にはともかくとしまして、実情としてはこの
程度の例外はやむを得ないと思いまするが、ぜひこれは、経過規定は経過年度だけに終らして、本来の姿に帰るべきだとふうに考えるわけであります。
次に
事業税でありまするが、これは第一が
課税標準の問題でありまするが、これも全く
井藤先生のおっしゃるように専業税を
外形標準に切りかえる、あるいは
付加価値税というようなものをとるということは、私は強く
賛成でございますが、これは非常に根本に触れることでありまするので、この
程度にいたします。
次に
基礎控除がだんだん引き上げられておりますけれども、この
基礎控除を引き上げるということは、現在の
程度はやむを得ないと思いまするけれども、これを非常に引き上げるということは、これは元来物税としての
事業税を考えますときは私は適当でないと考えます。やはりこれは物税でございまするから、広くとるということが必要で、この点
固定資産税を納めますところの
納税者の
負担とも関係があると思います。七万
程度の
基礎控除でありますと百九十二万の
納税者のものが、十二万円になりますと五十四万に減少するというふうになりますが、これ以上減りますると、
事業税としての価値がなくなるのじゃないかと考えます。
四番目に
遊興飲食税でありまするが、これにつきましては、一時考えられましたところのこの徴収強化ということを何らかの形においてやるべき、だと考えます。
遊興飲食税の現状が非常に
税務行政がうまく行ってないということは、これは周知の事実のようでありまするが、これにはただそのやり力が悪いというだけではなくて、やはりこれは過去のいろいろの沿革的な、たとえば戦時中の禁止的
課税のような状態、あるいはその後のいわゆる料飲店閉鎖というような戦時特別措置、そういうような名残りをもってきておりまするので、これをこのままの
制度において一がいに改善しろと言いましても、これはむずかしいと思います。結局一時考えられましたように、まあ法律の文面上の
負担は減らし、そのかわり徴収を法律
通り実行できるように徴収強化の方法をとる。公給の領収書を出さなければならないようにする。こういうことも必要だと存じます。
五番目に道路税法の問題であります。
地方道路税の問題でありまするが、この自動車、ガソリンのまあつまり車、自動車から
税金を取って、それを道路費に充るということは、これは私は大体新しい考え方であるとすれば適当だと思います。そういう
意味におきまして、道路費というものは国も出しますけれども、
地方が相当多くのものをむしろ主体として出しておりますから、やはりこのガソリン税の経費というものは
地方団体に回わすのが当然だと思います。その点このうち今度四千円に上げると、四千円分だけは地力の
税金だという原案を、最近新聞で拝見しますと、これも減額するように出ておりますが、これは自助車の
負担というようなことからいろいろの問題がありましょうけれども、しかしこれによりまする欠損額、三十年度において二十五億円、平年度において四十七億円というものは、これはどうしても埋めなければ、
地方財政はこれほど困窮しておりますのにさらに穴があくことになるのでございまして、これを修正いたされるなら、必ずこの穴埋めということは考えていただかなければならない問題だと思います。ことに今のような
交付税制度になって、率がはっきり今からきまっておりますので、かりにこれを動かすとすれば、直ちにそのときどきの
財政の
制度というものがそうなって行かなければならないのでありますから、来年度の分と言わずに必ず来年度のことも、一応の法制的な措置は本年度中に作るという必要があるように考えるのであります。
税制につきましてはそれだけにしておきます。
次に三十年度の
地方財政計画についてでございますが、少し古くなりますが、本年度の予算審議中に、四月にこの
交付税の問題等をめぐりまして、
地方財政審議会から
自治庁長官に対して
意見書が出ております。その
説明をしろということでございますので、
説明をいたします。当時、今申しますように予算の途中でございましたので、そのときの数字によりますると、大体百五十三億円
財源が不足する、こういう数字が出たのであります。これにつきましては一言申し添えますが、この
地方財政計画というものにつきまして、
地方財政平衡交付金が
交付税に変ったから、これが性格が非常に違ったのだ、こういう
意見が一部にあるようでありまするが、われわれは決してそうは考えない。あくまでもこのようなときにおきましては、
政府は国と
地方団体との行政の点から、大体それに対する
財源というものを、公平にわけるという責任が
政府にあるのであります。従いまして、単にその
政府は予算だけを作る、そうして
交付税によってきまりました率だけを
地方に与えれば、あとはどうなろうと勝手にしろ、こういうことは私はもう今はなり立たないのだと思います。あくまで
地方財政に対しまして、
地方団体がやって行かなければならない仕事に対する
財源というものは、高い
立場における国がこれのめんどうを見るということは、これは私は
交付税にかわりましても同じことだと思います。そういう趣旨によりまして、この
地方財政計画というものを作って国会にまで提出しなければならない、こういう義務が
政府に課せられている。単に作りっぱなし、ただ出しさえすればいいというわけでは決してない。最後の責任を負わなければならない。ただ
交付税交付金と
地方財政平衡交付金と違いますところは、必ず平衡交付金のもとにおきましては、運用の問題において収支が合うようにし、その差額は必ず予算に計上されなければならない、こうなっておりまするけれども、
交付税においては必ずしもその必要はない。しかしながらそこに差が出る。しかしその差も小さい額ならまあよろしい、あるいは一年限りならばよろしい。引き続いてあるいは相当のものが出るときはこれはやはりあらゆる措置、何も
交付税をふやすだけではなくて、法案にもございますように、
地方の行政
制度あるいはそのほかの
財政制度をも改正してこれを合うようにするということは
政府の責任、しかも
財政計画と言いますのは、必ず
地方団体がそのときに法律上も事実上も持っておりまするので、行政を完全に果すのにはどれだけ要るかということを客観的に妥当な水準でこれはきめなければいけないと思います。
地方団体自体が勝手にお手盛りの多額の経費を計上している、そういうものをそのままとる必要もないかわりに、片っ方
政府の方から
交付税がきまったから、それに合うように逆に歳出をしぼっていくということもこれはいけない。あくまで客観的な基準によってこれをきめる。そしてその収支のしりが大きく合わないようにしないということが必要だと思う。そういう見地でそのときの計画を見ますと、大体今までのやり方と申しますか、今までの数字、過去五カ年間でございますが、やって参りました
地方財政計画をそのままやっていきますと、百五十三億円ぐらいの
財源不足がつく。もっともこの百五十三億の
財源不足のほかに、さらに六十億ぐらいの単独事業費の節約をしておりますから、合計すると二百億少しこえる、そういう
欠陥がある。そこでこういう数字はどうしても埋めてもらいたいということを
自治庁長官に申し入れたのでございますが、その後本決定になりますまでに、結局
地方債におきましては五十億、
入場税を十分の一だけさらに
地方に出せということによって十二億、合計六十二億の
財源の増加、百五十三億に対して六十二億の増加、なおいろいろ端数の整理等によりまして多少違いましたけれども、大体それぐらいの数字、従ってそこに相当大きな穴があいておるのでございますが、それが結局最後におきましては、ここに今度提出されました決定したものの中におきましては、各方面において歳出を整理すると、こういう数字によって結局収支ゼロになっております。この点この整理、節約のことでございまするから、できると言えばできるし、できないと言えばできないで、結局確たる基準もないと思いまするけれども、われわれの見方からすれば相当これを強行するのにはいろいろ無理な点があるというふうにわれわれは
感じておる。しかしこれは
意見書を出しましてからあとのことでございます。
さらにその
意見書におきましては、もう
一つのことを考えておるのでございまして、今まで申し上げました数字は、過去にやって参りました数字をそのまま是認する、いわゆる言葉で申しますと、既定
財政規模というものをいじらずにやっていくということでございますが、ところがこの既定
財政規模の中には給与費であるとか、あるいは恩給費であるとか、あるいは国庫補助金に伴う経費であるとか、そういうものにつきましての算定が十分でないというものが多々ありますので、そういうものを一応考慮いたしますると、今の百五十三億という数字は四百五十七億になる、こういうまあ数字を出しておる。この点は、これは直ちに本予算においてというわけにはいかないから、結局これは
政府で今
全国的に作業をしておりまするこの給与、
地方公務員の給与調査の結果等を待ちまして、はっきりした給与に対する数字等をつかんでからこれを措置してもらいたい、こういうまあ
意見書を出したのでございます。
以上でございます。