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1955-07-12 第22回国会 参議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十二日(火曜日)    午前十時五十一分開会     ―――――――――――――    委員の異動 七月八日委員大達茂雄君辞任につき、 その補欠として小幡治和君を議長にお いて指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長    小笠原二三男君    理事            伊能 芳雄君            石村 幸作君            小林 武治君            森下 政一君    委員            伊能繁次郎君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            安井  謙君            岸  良一君            館  哲二君            秋山 長造君            中田 吉雄君            若木 勝藏君            赤松 常子君            小柳 牧衞君            深川タマエ君   衆議院議員            眞鍋 儀十君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    自治庁財政部長 後藤  博君    自治庁税務部長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○風俗営業取締法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○地方行政改革に関する調査の件  (地方財政計画に関する件)     ―――――――――――――
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) これより本日の委員会を開会いたします。  前回審査いたしました風俗営業取締法の一部を改正する法律案を議題に供します。前回委員会に引き続いてこれより質疑を願います。御質疑のおありの方は御発言を願います。(「なし」「質疑終了」と呼ぶ者あり)  別に御発言ございませんか。――御発言がなければ質疑は終局したものと認めて、これより討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「討論なし」と呼ぶ者あり)  別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ります。風俗営業取締法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  4. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 全会一致と認めます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお前例によりまして、本会議における委員長口頭報告内容報告書作成等につきましては、便宜委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。     ―――――――――――――
  6. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて。   〔速記中止
  7. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をつけて。  本日の日程では、地方税法の一部を改正する法律案について質疑を続けていく予定でございましたが、大臣所要のため午後出席せらるるそうでございますので、地方税法の一部を改正する法律案につきましては、午後にこれを審査することといたしまして、午前ただいまからは、地方行政改革に関する作中、前回に保留になっておりました地方財政計画に関する件のうち、また予算修正に伴う地方財政計画の変更がございましたので、これが説明政府から聴取いたし、また六月二十八日付で参議院議長あて内閣総理大臣鳩山一郎より、地方交付税法の第七条の規定に基く昭和三十年度地方団体歳入歳出総額見込額という資料が提出せられております。従って両者は不可分のものでございますから、この際政府側から説明をいただき、質疑をして地方税法等の審議の基礎を固めたいと存じます。政府側説明を求めます。
  8. 後藤博

    政府委員後藤博君) お手元にございまする修正地方財政計画というものを簡単に御説明申し上げます。  先般の国会による国の予算修正に伴いまして、財政計画改定をいたしたのであります。まず歳出の方から申し上げますと、財政計画の左から二行目の欄が変ったととろでございます。新規財政需要額で二十一億三千五百万円の財政需要が増加いたしております。そのうちで下の方にございます公債費の増六千五百万円でございますが、これはあとで申しますが、財源措置起債でやりましたので、その結果二十億の起債の六分五厘の半年分をここに計上いたしております。  それからずっと下りまして、普通補助金増減及び改廃に伴う経費増減、二十億七千万円というのがございます。これはこまかい補助金が、たとえば土地調査費でありますとか、世帯更生運動費でありますとか、産業教育振興費、その他、二十三種類地方団体関係がございます補助金が少しずつ増加いたしましたので、それに伴いますところの地方負担を合せまして事業費をここに二十億七千万円出したのであります。この内訳を申しますと、種類は二十三種類ございます。それから国費補助金総額地方関係ありますものが二十一億三千三百万円でございます。で地方費もと財政計画から見ますると、六千三百万円のむしろ減になっております。これは中に市町村農業委員会補助金が大きく復活いたしましたために、地方負担が大きく減ったわけであります。で農業委員会補助金が九億四千万円復活いたしましたために、地方団体負担が八億六千万円ばかり減って参りました。その関係地方団体負担総額で六千三百万円の減に漁ります。で事業費総額はここにございます二十億七千万円でございます。で歳出消費的経費の計で二十一億三千五百万円の財政規模が大きくなるわけであります。  それから投資的経費公共事業費が  四十八億二千七百万円の増になります。その内訳は、一般公共が四十三億一千五百万円、災害が五億一千二百万円であります。とれの内訳を申しますと、厚生関係施設事業量が十一億ばかりふえます。それから文教関係で四億五千万円ばかり事業量がふえます。それから食糧増産で九億八千万円ばかりふえます。その他一般公共災害を含めまして、二十二億ばかりふえて参ります。従ってまあ総額四十八億の事業量でありますが、そのうち国費が二十六億、地方費二十一億であります。で計四十八億二千七百万円の投資的経費がふえるわけでございます。消費的経費投資的経費合せて六十九億六千二百万円ふえて参ります。これの財源措置あとから説明いたしますが、これを一枚めくりまして、歳入の方で申しますと、地方交付税が四行目のととろで増減がございますが、地方交付税が十四億七千四百万円減になります。これは国税の三税の減税によりまして、当初の主税の総額は六千三百十二億六千万円でございましたが、国税減税によりまして、この三税の総額は六千二百四十五億六千万円に減って参りました。従ってその二二%になります関係からいたしまして、交付税の当初の額と、修正後の額が十四億七千四百万円だけ減になって参ります。ごの減をその次の下のたばと専売特別地方配付金の方で十四億七千四百万円だけ増にいたしまして、たばこに振りかえてもらう、こういうことになっておるのであります。それからその次の国庫支出金の四十七億七千三百万円、これは補助金で二十一億三千三百万円、公共事業関係で二十六億四千万円だけ補助金が多くなって参ります。それでふえましたのは投資的経費でございますので、その財源の補てんを二十億の政府資金による起債を増加いたしたのであります。で二十億を交付団体と不交付団体に分けて参ります。そうすると、交付団体を中心に分けて参りますと、交付団体に多く参ります関係からいたしまして、前のページの一番下のところに不交付団体における財政計画外歳出一億八千九百万円だけロスが減って参る、超過財源が減って参る、こういうことになります。で財政規模総額は九千八百二十九億一千九百万円になるわけでございます。  以上で簡単に国の予算修正に伴う財政計画改定説明をいたした次第であります。
  9. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  10. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。
  11. 柴田護

    説明員柴田護君) 昭和三十年度地方団体歳入歳出総額見込額という書類内容につきまして御説明申し上げます。  との書類地方交付税法第七条の規定によりまして、内閣が提出いたしますものでございます。中身の内訳地方団体歳入総額見込額及びその内訳地方団体歳出総額見込額及び内訳、それから交付税総額見込額及びその内訳の三つでございます。  地方団体歳入総額見込額内訳は、国会修正によりまして地方財政計画修正いたしました。先ほど御説明申上げました修正された地方財政計画内容に従いまして計上いたしております。内容は先ほど御説明いたしました通りでございますが、この表の中には府県市町村と分けまして、つまり地方財政計画の中では交付団体分と不交付団体分とを分ちまして、財源措置の状況を明らかにいたしておりますが、この表の中ではそれを府県市町村に分ちまして内容を明語いたしております。歳入合計の欄の九千八百二十九億一千九百万円というのは地方財政計画歳入総額に合うわけでございます。内訳府県分が五千七百二十九億千三百万円、市町村が四千百億六百万円になっております。そうしてそれぞれにつきまして収入費目を千分比でもって計算いたしております。地方税純粋自主財源という形で参りますと、地方税の三六・五%、雑収入の一〇・九%、合せました四七・四%、これが全く地方団体の独自の財源というわけでございます。それにやや若干独立財源の色彩が今の二つに比較いたしますと落ちて参りますが、自主財源と考えられるものがその上の地方税入場譲与税地方道路譲与税地方交付税たばこ専売特別地方配付金この合計したものと、それからその雑収入ということになろうかと思います。従いまして依存財源と言われるものは国庫支出金の欄の二八%、地方債の八%、三六%が依存財源というふうに見れるかと存じます。その内容はその次の二ページをめくっていただきますと、地方税収入見込額を掲げております。これは地方税法の一部改正をいたしました場合の額でありまして、国会修正によりまして地方税法の一部改正法案につきまして政府修正をお願いいたしておりますが、その政府修正道府県民税法人税割、それから市町村民税法人税割につきましての修正を織り込んだ数字でございます。  それから四ページ以下はそれぞれの税目につきまして、税目ごとの算定の基礎を明らかにいたしました数字でございます。  それから二十二ページをあけていただきますと、そこに使用料手数料内訳を書いております。三十年度収入見込額は三百三十六億二千六百万円、二十九年度に比較いたしまして六億八百万円も増加するのであります。この増加額内訳はその下に書いてありますように、高等学校生徒増六万六千九百六十七人に対する授業料の増でございます。との六万六千九百六十七人と申しますのは学年進行に伴います生徒増でございます。  それから度量衡検定手数料の国より地方団体収入振りかえによる増、これは計量法改正に伴いまして、度量衡検定手数料地方団体収入に振りかえるようね改正が行われておりますが、それによりまして地方団体収入が増すわけであります。  それから人口増に伴う増、これは人口が百万程度二十九年度に対しまして三十年度に増加するわけでありますが、それに伴います雑収入の増でございます。それから水利使用料料率改訂の平年度化による増、これは昨年やりました水利使用料料率改訂を平年度化いたしますに伴いまして一億ばかりふえるわけであります。  それから奄美群島にかかる収入見込額千八百万円、これは奄美群島関係歳入は、従来財政計画外の取扱いをいたしておりましたが、本年度から歳入歳出とも財政計画に織り込んで参りますので、それに伴います奄美群島に関しまする部分雑収入の増でございます。  それからその次の起債計画は、これも国会修正によりまして、政府資金の二十億を増加いたしました後におきます地方財政計画であります。従いまして計画額の当初七百七十億というものはこの表では七百九十億にふえております。従いまして政府資金の六百四十五億というのはもとは六百二十五億であったわけでありますが、国庫予算修正によりまして地方負担がふえて参りましたのに対しまして、二十億の政府資金を増加いたしました結果六百四十五億になったわけであります。その裏の二十四ページ公営企業分につきましては、修正前の財政計画と同じであります。  それから国庫支出金内訳が二十八ページに掲げてございます。この計数もこの内容修正されまして、修正後の国庫予算内容に従って振り分けております。普通補助金総額は千四百十億円、公共事業費国威負担金が千三百四十二億円、それに奄美群島復興事業費補助金が五億あります。大きいのは普通補助金の中では義務教育費負担金の七百三十七億円、生活保護費負担金の三百四十六億円であります。義務教育費負担金の七百三十七億円の中には教材費を含んでおりますので、純粋義務教育費市町村立学校職員の給与に対しまする義務教育国庫負担金は七百二十四億でございます。  それから生活保護費の三百四十六億円は、生活保護法規定に従いまして国が負担いたしまする八割の部分でございます。従いまして三百四十六億円を八割で引っくり返しますと、大体生活保護費の総予算が出るわけでございます。  公共事業費負担金千三百四十二億円の中には一般公共が六百五十九億円、災害復旧事業費負担金が五百十四億円でございます。  それからその次の二十八ページに参りまして、二十八ページ雑収入に関する調でございます。雑収入昭和三十年度収入見込額、これは七百三十五億八千五百万円、この数字は……。
  12. 若木勝藏

    若木勝藏君 何ページですか。
  13. 柴田護

    説明員柴田護君) 二十八ページです。
  14. 安井謙

    安井謙君 それは違うよ、ページが少し。
  15. 柴田護

    説明員柴田護君) 失礼いたしました。お手許の資料の二十五ページでございますが、二十五ページ雑収入に関する調でございます。この二十九年度雑収入の七百四十八億九百万円という数字は二十九年度修正後の地方財政計画の額を掲げております。二十九年度雑収入計算昭和二十八年度決算額基礎にいたしまして計算をいたして参っておりますので、ほぼ実態に近い数字でございます。これに対しまして昭和三十年度増減する見込額といたしまして、差引いたしまして十二億二千四百万円が減る。その内訳は、一枚めくっていただきまして、二十六ページ人口増に伴いまする雑人の増というのが五億ばかり、この五億の計算基準財政計画説明の際に御説明を申し上げましたと思いますが、雑入の中で経常的な収入と見込まれるものと臨時的底雑人と言われるものとあるわけでございますが、その雑人の中で経常的血ものと考えられるものに対する人口増に伴う増であります。  それから競馬競輪の平日開催自粛による減、これは本年初めから競馬競輪の平日開催自粛をやっておりますが、これに伴います減が十七億二千五百万円、差引いたしまして十二億二千四百万円ということになっております。  その次の歳出総額見込額及び内訳でございますが、とれも歳入に見合いまして、修正後の国庫予算基礎にいたしまして、地方財政計画修正後の額を基礎にいたしまして掲げてございます。でその二つ消費的経費投資的経費、これにつきましては、財政計画総額を掲げ、これはその他の経費節約分でもって収支をいたしております。これを道府県市町村にわけているわけでございます。で実数は総額が九千八百二十九億一千万円、収入と合致いたしておるわけでありますが、道府県が五千七百二十九億一千三百万円、市町村が四千百億六百万円でございます。そのうちで経費内容道府県市町村を比較いたしますと、道府県の方が消費的経費の率が高く、市町村の方が低い。逆に投資的経費市町村の方が高くて道府県の方が低い。これは市町村の方でごらんに触りますように、単独事業の比率が非常に多い。町村合併等に伴いますものを頭に置いておるわけであります。  これを歳出費目ごとに分けて申しますと、その次の二十七ページの表になって参るわけでございまして、道府県におきまして一番高いのは教育費三二・五%、それから土木費の一七・六%、産業経済費の一〇・八%、庁費及び役所役場費の一一・四%になっております。市町村におきまして一番高いのは、庁費及び役所役場費の二五%、それから教育費の二〇・八%土木費の一五・五%、社会及び労働施設費の一一・七%でございます。大体の傾向地方団体数年来の傾向をそのまま現わしておるのでありまして、特別に変った傾向ではございません。  その次の二十八ページを開いていただきますと、国庫支出金に基く経費内訳を掲げております。負担金に伴いまして正規の、あるいは予算に定められました、法律または予算に定められました補助負担率によりまして、それぞれ地方負担額を算出いたしておるわけであります。国庫支出金に基く経費総額は四千六百二十四億円、地方財政の総規模九千八百二十九億円の大体半ばを占めておるわけでございます。普通補助金関係で一番大きいのは何と申しましても義務教育費であります。それから生活保護費あと各省所管の小さな補助金が雑多にあるわけであります。  それから以下三十ページからずっと五十五ベージまでは国庫支出金事業別内容国庫補助負担率を明らかにし、それに従いまする地方負担額を算出いたしまして、経費総額をあげておるわけでございます。この中でその三十ページの最初の分類記号註釈というところに書いてございますように、その内容を経常的に分類し、職員設置を伴うものと職員設置を伴わないもの、奨励的、非奨励的という内容でもって分類いたしております。あとの方に存、存続と書いておりますのは、これは二十九年度との比較の便宜に資するために掲げたのでございます。存は二十九年度もありましたが存置いたしましたもの、存続は存置いたしましたが、ほかの科目と統合いたしましたもの、廃交というのは、地方財源計算繰り入れのもの、統合は他科目に統合されたというものでございます。  それからabcdefで掲げておりますのは、先ほど申し上げました性質別分類をいたしておるわけでございます。  それから五十六ベージをお開け願います。五十六ベージ公共事業費に関しまする国費地方費内容を掲げております。  そうして五十八ページ奄美群島復興事業資金に伴います国費地方費内訳を明らかにいたしております。  五十九ページ災害復旧事業費内容でございます。それから六十ページ、六十一ページともに失業対策費内容でありまして、失業対策費一般の失対と特別失対と二つに分かれておるのでありますが、それらにつきましても補助率並びに国費地方費内容を明らかにしております。六十二ページ、六十三ページは、地方債利子及び元金償還金計算内容を明らかにしております。この内容につきましては、前に地方財政計画のときに御説明申し上げましたのに対しまして、利子分が、六十五ページのところの昭和三十年度のところの政府資金の額が変ってきておりまして、従ってその利子計算が変ってきておるということだけでございます。それから六十六ページは、これは国庫負担金に伴う地方負担額を明らかにいたしておるのであります。国庫支出金の中には、いわゆる地方財政法負担金と称せられるもの、性格的に申し上げますと、いわば一つ経費の出し前、一つ経費に対しまして国が当然に負担するものというものがございますが、それと奨励的な補助金といわれるものとがございますが、そのうちで負担金に属しますものを地方財政法の各条の内容に応じまして分類したものでございます。そのうち地方財政法上十条関係及び十条の二関係と書いてありますのは、十条の関係と申しますのは、いわば義務教育費とかそういったものの普通事業費と申しましても、経常的血、いわゆる消費的と申しますか、経常的な経費に伴いまするもの、十条の二と申し上げますのは、いわゆる建設事業、十条の三は災害関係経費でございます。それを国庫負担金に基きまするものを各省所管別に明らかにいたしましたのが六十七ページから七十二ページまでの表でございます。  それから七十三ベージをお開き願いたいと思いますが、七十三ページにあげておりますのは、昭和三十年度地方交付税総額、それからその測定単位数値単位費用基準財政需要額及び基準財政収入額というものにつきまして、二十九年度数値基礎にいたしまして概算をいたしたものでございます。従いましてこれは八月三十一日までに決定いたして参りますと、内容財政需要額及び財政収入額とも相当に変って参りますが、単位費用はもちろん変りません。この単位費用地方交付税法改正法案に盛られた単位費用を使っております。数値便宜二十九年度数値基礎に使っております。従いまして数値増等によりましてなお相当変って参ります。その概算の結論は、七十五ページのところに、府県分につきまして基準財政需要額が二千百九十九億九千三百万円、収入額が千三百八億七千三百万円、超過額が四十八億六千九百万円、普通交付税所要額としては九百三十九億八千九百万円程度、それから市町分につきましては同じような計算をいたしまして、七十八ページのところの一番しりに書いてございます。基準財政需要額が千五百七十九億四千九百万円、基準財政収入額が千三百九十八億一千九百万円、超過額は百八十四億円ばかりふえて参りまして、普通交付税の額が三百六十五億円ということになっております。  本年度普通交付税は、計算上は交付税総額たばこ専売特別配付金も入れまして千四百十九億円ばかり、これの九二%が計算上の普通交付税であります。従いましてその九二%を計算いたして参りますと、千三百五億円が普通交付税になります。普通交付税総額国会修正後の計算によりますと、千三百七十四億円でありますので、その差額約六十九億円ばかりが特別交付税になるわけであります。そのほかにたばこ専売特別配付金が四十四億七千五百万円あるわけでありまして、六十九億円と四十四億七千五百万円とを加えたものが計算上、従来の特別交付税計算方法に従って計算されることになるわけであります。配付いたします場合は六十九億分が特別交付税といたしまして、四十四億七千五百万円がたばこ専売特別地方配付金として交付されるわけであります。  以上簡単ございますが、地方団体歳入歳出総額につきまして御説明申し上げました。
  16. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと三十ページの中で、国庫補助負担率という欄がありますね。それは前年度と比べてふえたり減ったりしておるところがあるのかどうか、変ったところがあれば承わりたい。
  17. 柴田護

    説明員柴田護君) 北海道開発事業事務費補助金というのが、これが昭和三十年度は十分の七でございますが、これは昭和二十九年度は十分の八でございました。それから文部省所管僻地中小学校教員宿舎建築費補助金、これは昭和二十九年度は四分の一でございますが、三十年は三分の一でございます。それから同じく文部省所管の三十四ページの上から三段目、公立諸学校建物その他災害復旧費補助金というのがございます。これは一般と特別合せまして三分の二でございます。昨年は特別措置法に基くものは四分の三であります。
  18. 秋山長造

    秋山長造君 一般は。
  19. 柴田護

    説明員柴田護君) 一般の方は変りません。それから同じその少し下の欄に参りまして、公立学校建物特別鉱害対策費補助金、これは二つ合せまして二分の一になっておりますが、そのほかに昨年は公立社会教育施設建物その他災害復旧費補助金は三分の二の国庫補助率であったのでありますが、これが廃止されております。
  20. 秋山長造

    秋山長造君 定と書いてあるのは。
  21. 柴田護

    説明員柴田護君) 定額補助でありまして、いわば補助率をきめずに出しっぱなしで、その範囲で適当に地方負担補助率をかけてやるわけです。それからそのもう少し下に行きまして、国民体育大会補助金というのがございます。定額でそこに計上しておりますが、これは前年度はございません。それから厚生省所管の保健所費補助金が設備整備費と施設整備費について補助率が分れております。そして施設整備費につきましては二分の一と三分の一に分れておりますが、去年はこれが全部二分の一であります。それから同じく厚生省所管で看護婦等養成所建設費補助金というのが去年はあったのでございますが、今年は整理されております。総額にいたしますと大体八千万円ばかりの金額でありますが、この表には出ておりません。それから厚生省所管の水道施設災害復旧事業費というのがございますが、三十六ページの一番終りでありますが、これが去年は二分の一と三分の一の両方の補助率でございます。それから簡易水道の整備費につきましては、去年は四分の一と二分の一と二本の補助率を使っております。今年は四分の一の一本になっております。それから伝染病院隔離病舎整備費補助金、これの中の災害分が去年の三分の二から三分の一になっております。それから結核後保護施設費というのが三十八ページの上から二段目にありますが、その欄の下に落ちておりますが、去年は二分の一の補助率でもって公益質屋の設置補助金地方改善施設設置補助金二つがあったわけでございますが、今年はなくなっております。それから母子福祉貸付金のところに、新らしくその下の引揚者集団収容施設補修費補助金、それから旧国立病院整備費補助金、それから世帯構成運動費補助金、この三つは昨年はございません。  それから農林省所管に参りまして、農村振興総合設備整備費補助金、その内訳の農村振興総合助成費、その下の離島電気促進事業費というのは今年入りましたものであります。それからその二つ上に戻りまして恐縮ですが、小団地開発整備施設促進等補助金というのもこれも新しく入ったのであります。
  22. 秋山長造

    秋山長造君 離島もそうですか。
  23. 柴田護

    説明員柴田護君) 離島も新設しております。離島と小団地が新設でございます。それからその次の農林水産業施設災害復旧費補助金につきましては、今年は十分の九で一本でありますが、去年は堆土関係は十分の二を使っております。それから一つ間違いがございます。四十ページ農業委員会のところの書記給のところの率と金額が、これは国庫補助金が増額されます前のものをあげておりまして、間違っておりますので、のちほど訂正いたします。四十一ページの真ん中ごろに水稲建苗育成費というのがございます、これは二十九年度においてはございません。それから二つ下の西南地方水田生産力増強施設指導費及び事業費、これも去年はございませんで新設であります。それから特殊土壌対策費補助金のその一番上の果樹急傾斜地経営改善促進費、これも新設であります。それから防災茶園、これも新設であります。それから防災桑園これも新設であります。それから四十二ページの上から四つ目の農業管理費と書いてございますが、これは間違いでございまして、農薬管理費の補助金でございます。これの前に去年は指定病害虫の防除費があったわけでございますが、これが落ちております。それからその次に特殊病害虫緊急防除予防費補助金の間に防除組織整備費、防除機具購入費という補助金補助率二分の一であったわけでありますが、これが落ちております。それから都道府県農業試験場試験費補助金、このうちで育種試験事業費から連絡試験事業まで新設であります。それからずっと変っておりません。それから四十四ページの生活改善普及事業の三分の二、これが新設であります。それから四十五ページのまん中ごろに開拓地営農指導費補助金がございますが、この開拓地営農指導費補助金の細目の中の下から一つ、開拓地農協組合育成指導、これが新設でありまして、二分の一の補助率でございます。
  24. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  25. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。
  26. 柴田護

    説明員柴田護君) 資料として後ほど提出いたします。
  27. 秋山長造

    秋山長造君 今財政課長説明を途中まで聞いたわけなんですけれども、今聞いたところだけでも、補助金について廃止されたものもあるし、新設されたものもある、その数は大体同数くらいだと、補助率については前年よりもよくなった数よりも補助率が悪くなった数の方が非常に多い。この点は額にして増減はどういう結論になるのか、その点をお尋ねしたいと思うのです。  それからもう一つは、今の地方財政の赤字の原因について、まあ従来いろいろ議論されておりましたが、重要な原因の一つとして、中央の地方に対する補助率が非常に低いとか、あるいは補助金の単価が非常に実情に沿わない安い単価であるというようなことが強調されてきたわけです。これは自治庁の方でも強調されてきわけなんで、現に長官もしばしばその点の改善方についてこの委員会でも言明されてきたと思う。だから補助率が前年と変るという場合には当然、これは大体論ですけれども、前年よりも補助率が有利に改善をされてしかるべきものじゃないかと思うのです。にもかかわらず、今聞いた話では大体前年度よりも補助率が悪くなっておるのですが、その点長官どうお考えになるか、その二点。
  28. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) ちょっと初めの御質問を聞きそこないましたが、次の御質問の補助率が前年よりも少くなったものがあるのか、私よく存じませんけれども、これは主管各省でもって決定しましたものを受け継いで私ども施行するので、一つ一つの項についてなぜ昨年よりも今年は減ったかという事情を私はここでお答えする資料を持っておりませんのですが、根本の考え方といたしましては、補助金があるために地方負担が加重することのないように、補助率は大体法律できまっておるのでありますけれども、単価の算定は行政措置であるのでありまして、この点につきましては、関係各省に強く要望いたしましたし、また閣議等におきましてもしばしば取り上げて議論をいたしました。実際に合う単価の計算補助金を出すと、こういう方針でやっております。
  29. 柴田護

    説明員柴田護君) 最初の御質問でございますが、先ほどお配りいたしました修正財政計画をごらん願いますと、普通補助金が、昭和二十九年度普通補助金は六百六十七億千二百万円、昭和三十年度のこの国庫予算修正後におきましてきまりました国庫補助金が六百七十三億千九百万円、ここの差が増減になるわけでございまして、大体六億くらい去年よりふえております。それから公共事業費の補助は去年千二百三十五億二千二百万円、昭和三十年度公共事業費補助金総額は千百七十三億九千百万円でございまして、差し引きざっと六十億円くらい減っております。
  30. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 いま秋山委員から年年補助金が少くなっているという御質問があったのですが、私はむしろその年々少くなっているほかに、実際は二分の一をやるとか三分の二をやるとかいう補助額が計上されているけれども、実際の支出額はむしろ三分の二とあるけれどもそれが二分の一になったり、二分の一となっているけれども実はそれは三分の一になっている、そういう支出額と補助金との関係をお調べになったことがあるかどうか、その辺お聞きしたいのですがね。これが地方財政の私は非常に欠陥だと思うのですが、要するに観念上は実際は八万円と見てそれの二分の一とか三分の二とかとあるけれども、実情は八万円で旅費も出ない、超勤も出ない。かりにこれが十二万円だって実際の補助金は三分の二というのが二分の一になったり、二分の一というのが五分の一になったり、そういう関係のものを。
  31. 後藤博

    政府委員後藤博君) おっしゃいますことはわれわれも調査いたしたいと思っておりますが、その補助職員につきましては、おっしゃるような計算が簡単にできます。しかし普通の補助職員の伴わないいわゆる事業の認承額というような、認承額を押えて参りますると、これはあるべき認承額をどの程度に見るかということは個々の問題でございまして、たとえば水道の補助金にいたしますると、建前は四分の一になっておりまするが、現実には取り入れ口とか何とかちょっと認承をしてその四分の一の計算をいたしております。しかし事業量は一億もある、補助金は百万円しかつかない。実際は百分の一くらいの補助率になっておるものも認承額だけで見ますと四分の一になっておるのであります。従ってそれをどこまでわれわれがあるべき財政需要額として見るかということになりますと、非常に問題でございまして、公共事業関係につきましてはそういう問題があるのでありまして、的確な持ち出し額というむのがわからぬのであります。補助事業につきましては大体現在わかっております。
  32. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それで私は職員についての部分のお調べがあれば、その部分をお知らせいただきたい。  それからもう一つは、かりに今簡易水道なり保健所の、たとえば診療所の建設なんかで国の補助が十分でないために府県で継ぎ足し補助をしているのですね。たとえば簡易水道二割楚とか、診療所とか、そういったようなお調べがあって、実際の支出額がどうなっておるか、もしありましたらお知らせいただきたい、こう思います。
  33. 後藤博

    政府委員後藤博君) 補助職員の方の関係はできると思いますが、普通の一般事業につきましては先ほど申し上げましたように認承額というものがはっきりしませんし、あるべき経費というものがはっきりいたしません関係からいたしまして、できないのであります。県で補助金をつけておる、たとえば一番多いのは簡易水道の、これは四分の一補助でありますが、国が四分の一、府県が四分の一やりまして、あと四分の二を市町村負担ということになっておりますが、その市町村負担のうちでも起債が半分くらいつきますから、現実の負担が四分の一ということになります。そういう格好になっておる県もありますがしかしそれも財政が苦しくなって参りましたので、どんどん今やめておる状況であります。前からの約束分だけをつけておるという格好にしておる県がだいぶ多くなっております。
  34. 柴田護

    説明員柴田護君) 先ほどの国庫補助の職員関係だけは二十八年度府県でございますが、決算でわかりました結果だけ出ております。ちょっと簡単に申し上げますと、超過負担関係だけで総理府関係が七千百万円、大蔵省関係が二百万円、法務省関係八百万円、文部省関係三百万円、通産省関係が七百万円、労働省関係二億七千三百万円、厚生省関係九億六千百万円、農林省関係十六億三千四百万円、合計二十九億五千九百万円になっております。
  35. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 農業改良普及員の人件費の補助というのは、これは多分旅費が入って血いのですね。ですから三分の二という補助になっておるけれども、旅費を含まほいのですね、あれは。ああいうのがほかにもあるのじゃないか、活動しねければ何もできない、ただ俸給は三分の二補助だ、しかし旅費は全然つかないのだ、そうすると今高橋委員が言ったよう血問題が出てくる。三分の二補助というと体裁はいいけれども、実際活動をするということになると、人件費の半分もないということになる。そういう問題がほかにもあるのじゃないですかね。これは農業改良普及員は多分そうなんだ。ほかにもそういうものがあれば、人件費の三分の二といって体裁はいいけれども、実際の支給額は半分になったりあるいはもっと減ってくる、これは実際県で足したり市町村で足したりして活動をしている。そういうのがほかに調べたあれはほいですか。
  36. 柴田護

    説明員柴田護君) おっしゃるようなことはほかの補助金にあろうかと思いますけれども、ただこの国庫補助職員の補助の考え方につきましては、従来から二つの考え方が実はあるわけであります。よけいなことかもしれませんけれども、ちょっと御説明いたしておきたいと思いますが、国庫補助職員というものも職員費に対して補助をすることになりまして一つの事業をやるのであります。だから補助職員に対する補助金というものも事業に対する補助金と同じものだと考える考え方、それからそうではなくて、禍々の職員に要する給与費について補助金を出すのであるから、従って個々の補助職員に要する経費に対して幾らと、何割といった形で出すべきであるという説と二つ議論があるわけであります。で現在まで従来から大蔵省がとっておりました考え方は、前者の考え方であります。従ってもし国庫予算が削減されるならば、それに伴ってそれに見合う地方負担の範囲内で職員を置け、従って職員がもし置けなければ職員を整理すればいいじゃないかといろ考え方です。ところが実際はそういうふうな荒っぽい考え方で予算を組んでおりますけれども、それを実際に事業主管省が握りまして、の地方団体に出すときには何級の職員を幾ら置いてほしいという注文をつけて、その条件のもと職員の補助をする。そこで予算を組みます場合の考え方というものと、組んだ予算を実行いたします場合の考え方というものは、若干違っておる。その点をはっきりしてほしいというのが自治庁といたしまして年来の主張であったわけであります。最近におきましては、大蔵省も漸次その非を認めて参りまして、昭和三十年度予算の場合におきましては、なるほど補助単価というものは低く過ぎたということで、若干ずつ――まだ十分だとは考えられない部分もございますけれども、若干ずつ直す方向に向っております。
  37. 秋山長造

    秋山長造君 今の単価が改善される方向に進んでおるというお話ですが、それを具体的に、たとえばどの費目については今まではどれだけの単価が今度はどうなっているか、具体的にお示し願いたいと思います。
  38. 柴田護

    説明員柴田護君) ちょっと今こまかい資料を持っておりませんから、あとで。
  39. 秋山長造

    秋山長造君 先ほど私の質問に対して長官がお答えになって、補助率法律でそれぞれきまっているのだから、どうにもできんけれども、単価はできるだけ実情に即するように話しをしておるというようなお話しだった。もちろん単価も実情に即していないために地方に非常に過重な負担を負わしているということもある。しかし、それはたての一面であって、もう一面は、やっぱり補助率そのものが低いということもあると思う。だから、少くとも補助金整理という大きな方針に従って、今まである非常にこまかい、しかもあまり実質的な効果のないような補助金を整理して行こうという方針で今まであった補助金を整理される、廃止されるということならこれは話しがわかるのです、それはそれとして。ところが、廃止するのでなしに、やっぱり補助金というものの必要性を認めてそのまま補助金を残しておりながら、先ほどの財政課長説明を聞いておりますと、補助率をたとえば三分の二を二分の一にするとか、あるいは四分の三を三分の二にするとかいうように、補助率そのものを切り下げておる例が非常に多い。むしろ補助率を上げたというのはほとんどない。全部と言ってもいいくらい下げている。そういたしますと、片一方で単価を少々上げてみたところで、補助率を思い切ってそういうふうに下げて行けば、結局やっぱり結論としては地方負担はふえてくるということになると思う。それがさらにさっきの高橋委員の御質問のように実地につくと、今度はさらに補助率とそれから実際に支給される補助金というものとの間に相当ズレができてくるというようなことになってくる。これはもう今後赤字のこれがまた一そう原因になっていくということになる。やっぱりこれは各省で独自に補助率ときめられるのだから仕方がないということでは、これは政府として私は地方負担を少しでも少くして行こうという責任からいって不十分だと思う。各役所といえども政府の方針に従って行くのだから、やっぱり補助率も改善し、同時に単価も実情に即するように改善をして行く、こういう方針にならなければ、これはとても言うべくして地方財政の改善なんということは望めんと思う。その点長官のお考えをもう一度お尋ねしたい。
  40. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 全く御説の通りでありまして、私どもはそういう方針で進みたいと考えまして、関係各省ともいろいろ相談をいたしておるのであります。今お話しの中にありました今年度は昨年度に比して特に補助率が下ったというのもあるかもしれませんけれども、補助率が相当上っているのもあるのじゃないか、そういう調べを私は持っておりませんが、根本の方針としましては、補助率並びに単価を相当引き上げて地方負担をなるべく軽くしたい、そのかわりに仕事の分量は当然これは減るのでありまして、仕事の分量は犠牲にしても、地方負担の方を軽減するということが現在の地方財政の現状から見て必要じゃないか、こういう考えに立ちまして、そうした方針をとろうとしている、現在とりつつあります。その方針でやるつもりでおります。
  41. 後藤博

    政府委員後藤博君) 今大臣がおっしゃいました点を補足いたしますが、先ほど柴田君が説明いたしましたのは普通補助金でありまして、零細な補助金であります。問題は、零細な補助金もございますけれども、大きな公共事業の補助金補助率を上げてもらいたい、もう少し単価を高くしてもらいたい、そっちの方が地方財政全体から見ますると大きいのでありまして、この今年の予算では零細な補助金につきましては、補助率の下ったものもございまするけれども、公共事業関係におきましては道路、特別失対等でもむしろ補助金が上って、地方負担は少くなっております。従って全体から見ますと、前よりも少し合理化したのじゃないか、こういうふうに私どもは考えております。
  42. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 関連して。今のお話なんですが、今度の再建整備法でも何といいますかな、再建整備の対象になった府県なり町村というものは自治庁の指揮を受けるような形になるのですが、むしろ今秋山さんが言ったように、中央のこういう無統制な地方負担の補助なりあるいはそういうことが問題なんだからむしろ再建整備法の中に地方負担にねるような一体補助金の計上なり予算の計上というものは自治庁の承認を受けるのでなければやれないとか、何かそういう形のものを盛るべきじゃないかと思うのですが、その点の長官のお考えはどうですか。
  43. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 再建団体に関しまする補助率は特にそれを引き上げるように再建促進法の中に明記してあるわけであります。再建団体は他の団体と違った補助金を受ける、こういうようにはっきり条文にうたってあります。
  44. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 いや、私のお聞きしたいのは、その明記しているというのじゃない。各省が地方負担になるような補助の計上については自治庁と相談しなければならぬというような法的措置をする必要があるのじゃないか。それでないと、再建整備法で自分の下部団体を幾ら厳格にやったって、各省が野放図に補助金を出して、そうして今言う通り実情に沿わないところの補助率が計上されたり、あるいはそういうことをやられたんではしようがないと思うのですが、その点についての長官の考えはどうかと、こういうのです。
  45. 後藤博

    政府委員後藤博君) 現在の地方財政法の二十二条に、実は地方公共団体の負担を伴う経費の見積書を大蔵大臣に出します場合には自治庁長官の意見を求めなければならないという規定があるのであります。法律はございまして、実際はわれわれが各省に督励いたしましても、なかなか出してこないのであります。別に制裁がある規定ではございませんが、システムはそういうふうになっておるのであります。ところが、こまかいものにつきましては、やはりわれわれの知らないうちにきまってしまう、こういうのが実情でございます。
  46. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それで私は長官にお聞きしたいのですがね。せっかくそういう規定があるにかかわらずどうも自治庁というものが、この前の小林さんの本会議における演説の中にも、それだから地方自治庁が何か設けなきゃいかぬというのですが、一体長官閣議でそういう点をもう少し、しかも規定されてあるのにどうも自治庁がなめられているというか、そういう形のところが地方財政の破綻した原因になっているので、そういう意味から、もっとそういう点についての中央政府の協力というか、あるいは閣議のあれで予算計上についてもう少し自治庁の発言というものは大きくなければならぬと思うのですが、その点はどうなんでしょうかな。
  47. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 公共事業の大体補助金の決定は従来九月、早くとも八、九月で、おそいときは十月を越しておるのであります。決定がおそいために地方では非常に困っておる実情もありますので、今回は議会が終了しましたらなるべく早く補助金決定をいたしたいと思いまして、各官庁に準備をするように要求しておるのであります。高橋さんの御趣意は、今後府県に対して補助金を決定する際に特に考慮するように、御趣意を一つよく関係各省に伝達いたしまして、私どもと協調をとりまして、地方負担に寄与するようにいたすように取り計らいます。
  48. 若木勝藏

    若木勝藏君 今補助率とかあるいは補助単価の問題が出ておりますが、私伺いたいのは、当然そのときに交付されるべきところのものが交付されないで放置されておる、こういう問題があるわけです。それで今度私北海道の水害状況の視察に行ったのですが、いまだに二十五年度災害補助金が交付されておらない。これはわれわれちょっとわからないのですが、一体自治庁としてはこれらの点についていろいろ御調査なされておりますか。これは実際あるのです。
  49. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 今のお話、私も自治庁長官就任以来特に感じた点でありまして、いわゆる施越し工事といたしまして、地方が一時借入金をして復旧事業をしているのであります。金額が幾らでありますか、今調査を命じております。百億近くあるのではないかというように考えられるのでありますが、これは当然大蔵省に支出させまして災害府県に配付すべきものと考えておるのであります。これが地方財政の赤字の一つの原因になっておるのでありますからして、この点は最近特に私は関心をもちまして、調査が完了しましたら相当の措置をとりたいとこう考えております。
  50. 後藤博

    政府委員後藤博君) 今大臣からお話しがありました施越しのほかに、おそらく北海道の場合は、私は三、五、二の比率でもって国が三カ年間に補助金及び起債をつけるべきものを、まあ七割ぐらいをつけたきりであとはもうつけてないというのじゃないかと思います。これは私どもはこの災害関係補助金をつけます場合に、三カ年で、三、五、二という比率は一応あるのでありまするが、三、五、二にももちろん行っておりません。この三、五、二を重要なものについてだけでもいいからはっきり明確にいたしましてつけるようにする、法律的にちゃんとはっきりするようにという要求を私どもは前からいたしておるのであります。そうすることによって、おっしいますようなことがなくなるのではないかと思います。もちろん施越し工事の分は別にありますけれども、連年災害に関する災害法律の今度は改正案が今出ております。その中に、私どもは不満足な点がございまするけれども、大体まあ重要な事項で政令で定むる事項につきましては、そういう国の負担関係をはっきりするような法律を入れることになっておるのであります。まあそういうことによって、四年か五年たった古いやつはもうそのまま工事ができておりますから、補助金は打ち切りになってくるというようなことのないように私どもいたしたいと考えております。
  51. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の三、五、二の問題ですね、これは二十五年度災害はそこに入っておらないのですか。
  52. 後藤博

    政府委員後藤博君) 三、五、二というのは、これはもう慣習的に昔からあることでありまして、二十八年度災で国会で問題になりましたけれども、それ以前から三、五、二とかまあいろいろの三カ年間ぐらいにやってしまうというのは昔からある一つの方式なんであります。ところが、国の方がそれを初めの方は十分につけますけれども、七割ぐらいつけたらもうっけつ放しであとは打ち切っていくということを従来やっておるわけであります。これもいろいろ理由はあるのでありまするが、これはまあ災害の査定の問題、それから被害額の認定の問題とかいろいろの問題を含んでおりますが、私どもはともかくも三年なら三年、四年なら四年ではっきり国が措置するのだということを法律で明確にしてもらいたいというのが、災害に関する一番大きな私どもの主張並んであります。
  53. 若木勝藏

    若木勝藏君 大体御趣旨はわかりましたが、これはもう再建整備法よりも何よりも早急血問題だと思う。ああいうふうに地方費でもって立てかえて利子をかけてやっておっては問題になりません。赤字の解消なんということは永久にできない。そういう点については、今長官からも早急に調査してやりたいというお話がありまして、これはもうただ単なるのがれ答弁では癒しに早急に手を打ってもらいたい。特にお願いしておきます。
  54. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 補助金に関する御質問がございますか。
  55. 秋山長造

    秋山長造君 さっき財政部長のお話で、公共事業費関係補助金については補助率を相当改善されたということですが、さっきの財政課長のお話では、公共事業費関係補助金は前年度千二百三十五億円から本年度千百七十三億円で、六十二億円減っているのですね。これはなんですか、事業量が減ったためにこういうように減ってきたのですか、それともほかに理由があるのですか。
  56. 後藤博

    政府委員後藤博君) 公共事業の総額――事業量は減っておりますが、減っておりますのは、災害関係の事業が三十年度は大きく落ちて参りますので、その関係で減っておりますが、災害を除きます経費はそう変っておりません。普通の公共事業費は十三億円だけ増加しております。
  57. 秋山長造

  58. 後藤博

    政府委員後藤博君) 災害関係で、国庫補助金が七十四億減っております。
  59. 秋山長造

    秋山長造君 今の災害関係事業量が減ったということ血のですが、これは国の方の財政の引き締め方針等で、地方で実際にはやらなければならぬのだけれども、査定で減らしておるということですか。それとも実際に必要がなくなっているのですか。今の若木委員の話なんか聞いていると、二十五年度災害補助金がまだ残っているというようなことですが、実際には地方の実情は、そういうふうにして過年度災害が順送りにずっと残されていって困っているというのが実情じゃないのですか。
  60. 後藤博

    政府委員後藤博君) 災害関係で減っておりますのは、二つあるのでございまして、国の関係で減っておりますものと、それから補助金関係あるのは国の関係でありますが、これは二十八年度の問題は、二十八年度災害をどの程度まで復旧するかということであります。二十八年度災害を本年の終りまでには六五%くらいまで復旧する、こういう計画でございます。従ってそれを基礎にして公共事業費の国及び地方事業量を査定しますと、百五十三億総量で減るわけであります。国の補助金は、国の負担分は百二十八億だけ減って参る、こういうことになるのであります。  それからもう一つ災害関係地方事業量が減りますのは、単独事業でありますが、二十八年度の大きな災害単独事業は、二十八年、九年と二カ年でありまして、三十年度からはなくなって参ります。国と違って地方の方では私どもの計画では、単災の方は二カ年でやる、こういうことになっておりますので、三十年度は大きく落ちて参ります。二つの方面から災害関係事業費が減ってくることに触ります。
  61. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それでは補助金関係の御質疑がないようなら、午前はこれで切ってあとに回したいと存じますが……。
  62. 赤松常子

    ○赤松常子君 きょう出ておりますこれの資料について、一、二聞いてみたいと思いますが、五十八ページ奄美群島の復興事業費内容でございますけれども、私たまたま昨年ちょっと奄美大島を見る機会を持ったのでございまして、この復興事業が大変なことだと思うのでございます。中央政府から相当力を貸してあげないと復興するまでには大変なことだと思うのでございますが、これは三十年度は六億七千万円でございますのですが、十億と聞いておったのでございますが、数字関係はどうなのでございましょう。
  63. 後藤博

    政府委員後藤博君) 奄美群島の復興事業費総額は十九億八千二百万円であります。そのうち国費が十一億円、それから公共団体分は六億七千万円であります。そのほかに組合分がございます。直轄事業と地方負担の事業と、組合施行の事業と三つあります。総額いたしますと、先ほど申しました十九億八千二百万円の事業をやるわけでございます。ただ私どもがここに載せておりますのは、地方団体関係する部分だけで、直轄事業を除いております。組合負担事業も除いております。それから企業会計分も除いております。そういうものを除きますと、小さい数字になっているのであります。
  64. 赤松常子

    ○赤松常子君 私たまたまこういうことを聞いたのでございますが、国の補助金が正しく地方の要請にこたえて生きているかどうかということは私は問題だと思うのでございます。それはこの間奄美大島の婦人会の代表がみえまして、そして地元では母子寮を立ててもらいたい、ところが地方の当局の見積書では養老院になっているのです。実際地元の人は今申しますように母子寮が非常に不足いたしておりますから、その方に熱望を持っている。いろいろ調べてみますと、見積書を出された方の――こういうことを私は言いたくないのですけれども、お身内の方にお年寄がいらして、そして養老院を建てるということはその方の身辺の事情でそれに計上されてあるということがだんだんわかって参りました。いろいろ私もその事情を伺いまして、地元の切実な要望にこの大事な国費が生きて使われるようにならなければいけないということで、いろいろお願いをいたしまして、自治庁でも母子寮にやっと切りかえていただいたのでありまして、これは私大へん感謝いたしておりますが、そういうことがこういう地元の婦人会から要請があったからこれが正しく使われることになったのでありまして、そのほかに机上の見積書と実際にそこに住んでいらっしゃる方々の要望というものがほんとうに合致しておるかどうかということが、私はこの一事から大へん不安に感ぜられるようになった次第でございますが、こういう予算のときにはいろいろ御調査もあると思うのでございますけれども、そういうことはどうして起きるのでしょうか。その辺は慎重にしておいでになると思うのでございますが、その辺のところをちょっとお漏らし下さい。
  65. 後藤博

    政府委員後藤博君) 魁美大島のような総合振興計画のような場合には、おっしゃいますような点はある程度是正されるのでありますが、個々に現在の補助事業のやり方を見ておりますと、各府県、たとえば厚生省関係のいろいろ母子福祉だとかいろいろなものを見ておりますと、それぞれ別な系統から下りて参りまして、この県の県内の市町村の補助事業はこのくらいである、こういう一応のワクを示しております。それぞれワクを示しておりまして、それをどういうふうに市町村に割付をするかという場合には、やはり市町村の希望をとってやります。従ってその場合どちらを優先させるかということになるかと思いますが、その場合、市町村の議会と市長との間の話し合いで大体その順位をきめてやることになります。ただこれは一般財源でやります場合には私たちもどちらを優先するかということは全然見当がつきません、どちらを優先したかということもわかりません。ところが起債の事業でありますと、われわれの方に単独事業の格好で出てくるものにつきましては、どちらを優先させるかということの順位をつけさせまして、上の順位から起債をつけていく、こういうことにいたしております。その順位が果して住民の要望通りの順位であるかどうかということまでに実はこまかい調査はできないのであります。一応市町村の場合でありますと、市町村の要請を県がまとめますから、県の地方課長ないし総務部長の意見を聞きまして、そしてその順位に従って判断をしていくということが精一ぱいじゃないか、かように現在は考えております。
  66. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 午前はこの程度にして、休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ―――――・―――――    午後二時三十七分開会
  67. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員会を開会いたします。
  68. 若木勝藏

    若木勝藏君 午前中に財政部長から地方財政計画予算修正した結果、特に修正された部分についてプリントの上でいろいろお話しがあったのであります。しかし、それはまあ昭和三十年度新規財政需要額が二十一億三千五百万円、そういうような数字説明でありまして、私としては、予算国会修正地方財政の計画にどういうふうに影響してきたか、その総体的な基本的なところがさっぱりわからない。その点について長官から説明願いたいと思います。
  69. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 自由党と民主党との共同修正による地方財政影響でありますが、補助事業がふえましたので約二十億、これは起債で見ることにしております。  それから税金の関係地方税収入に影響がある、これは約十四億で、たばこ益金からして特に繰り入れましてその補てんをいたしました。両党の国会修正のために地方財政に対する影響はこうむらない、こういう処置をいたしたのであります。
  70. 若木勝藏

    若木勝藏君 最後のいまの地方財政に及ぼすところの影響をこうむらないというところは私はよくわからぬのです。もう少しそれを具体的に説明して下さい。
  71. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 減税になりまして、その影響で地方税交付税で減りますから、その点をたばこ益金でみた、こういうわけであります。
  72. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、このたばこの益金でもってそれを補充するというふうなことになりますというと、これはたしか初めにおいてはたばこの益金でもって三十億か何か繰り入れることになっておったのですが、自由自在にこのたばこの益金というものができるごとになりますか。その点を。
  73. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 大蔵省の方で計算をいたしまして、大蔵大臣が了承しておったその程度の益金は、さらに地方税に回してもいい、こういう計算を立てたのであります。たばこの益金が自由自在に変更できるかということは私としてはちょっとお答えをいたしかねるのでありますが、大蔵大臣の見解のもとに、とにかく前に三十億、さらに十四億くらいを地方に交付いたしたわけであります。
  74. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると今の問題は、大蔵大臣の問題になるのでありますが、続いて私はそれに関連しまして。というのは、そういうふうに交付税の補填関係たばこでやるということになりますというと、これはやっぱり地方財政計画の全般から見まして、何とはなしに今までの平衡交付金制度と地方交付税制度との間に、結果的に見て変りのないように思う。私は交付税制度というふうなものと平衡交付金制度というものとの間においては私は基本的に違うものがあると思う。それらに対する大臣のお考えを伺いたい。
  75. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 平衡交付金制度の時代におきましては、地方財政計画で不足分はこれを平衡交付金で見る、これが一平衡交付金の制度でありまして、交付税に触りましてからは、一定財源を与えまして、その範囲内で地方団体が財政運営をするのだと、こういう根本の相違があるわけであります。平衡交付金時代と交付税とは、基本の考え方が違うわけであります。
  76. 若木勝藏

    若木勝藏君 いや、そういうふうに私も違うように思うのですが、そこで交付税というふうなものの制度でいくということになれば、これは見込額は考えられまするけれども、必ずしも見込み通りに税金のことですからいくとは考えない。そういう場合にはどういうふうな処置をとられるか、この点を伺いたいと思います。もし不足を生じたというよう血場合には。
  77. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 自治庁で策定いたしておりまする地方財政計画は、地方で財政運営をする一つの基準を示しておるわけであります。個々の地方団体に対する個々の指示ではないのであります。従いまして、個々の地方団体としては相当予算に不足を来たすことがあり得るわけであります。これは地方財政の建前上どうしてもそういうことになる。自治庁がこの地方歳入歳出を見るわけじゃほいのでありまするから、大体の地方財政の運営の基準を示しておるのが現在の財政計画の趣意でありまするから、御指示のようなことは起ることはやむを得ないと思います。
  78. 若木勝藏

    若木勝藏君 大体の基準を示すということになるけれども、実態は動いておる。そこで不足を生じてくるというふうな場合もあるだろうし、あるいは非常に見込みよりも多く徴収されたというふうな場合もある。だけれども、これは平衡交付金の場合には、あらかじめもう幾ら交付するということがきまっているのですから、また足りない分は補正予算を組んで追加するとか何とかいうことを在来やってきた。しかし、交付税の場合には私は途中において税率を上げるとか、そういうふうな処置が行われなければならぬと、こう思うのですが、その点はどうですか。
  79. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 地方税法の中に、相当長期間にわたりまして地方財政に不足を生じた場合には税率を直すというはっきりした条文がございまして、御趣意のようにいたすべき筋だと思います。そういう明文が明記してございます。
  80. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうなりますと、この間もいろいろ問題になった財政計画を立てる場合に百四十億かの赤字が出る、こういうことがわかっておった際に、これを節約だとか、そういうふうな方面に持っていくということが、すでに交付税制度というふうなものに対する考え方が私は誤まっておる考え方だと思う。なぜそういう節約とか、そういうふうな方面に持っていくか、これは当然そういうふうな場合の手違いが出てきた場合には、税率によって処置するという建前をとるべきだ、こう考えております。その点はどうですか。
  81. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 地方財政で当然赤字が出る場合には、交付税の税率を直すということは確かにごもっともでありますけれども、しかしながら現在の地方財政の運営が、全く節約の余地がないのかどうかということになりますと、これは見方の相違がありますが、私どもはもう少し節約してもらいたい、その上になお足りない場合は、これは国の財源的措置をしよう、こういう考え方で来ておるのでありまして、地方の事業その他事務費一切を交付税で見るというのじゃなくして、現在の地方財政運営では、まだこれは考慮の余地があるからして、十分その点を直してもらって、その上になお事業費、人件費、その他足りなければ、これを見ようじゃないかということが内閣の考え方であります。従いまして、今度は交付税には手をつけない、二二%にいたしておったのであります。二二%にいたしますと、これは昨年直したのでありまするが、二十九年度に比べて三十年度は約百三十億よけいになるわけであります。これだけは昨年の交付税よりもふえておる、こういうことがはっきり数字に出ております。
  82. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁から推して考えますというと、本質的には交付税率によって措置すべきであるけれども、しかし節約とか何とかいうぶうね方法をやってみてからその方面に移る、こういうふうに私はとったのであります。そう、初めから税率の措置をもっていくべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうでしょうか。
  83. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 現在の地方財政の運営がもう少し合理化されまして、その上において事業費、人件費において不足だ、こういう算定がつけば、それは交付税――ひとり交付税だけではございません。ことに地方財政を健全化するためには機構の改革を要する点もありまするし、交付税その他適当な財源を与える点もあろうと考えます。地方財政を健全化するのには機構の改革と税源的な措置と、両方からやっていきたい、こう考えておるのであります。前回も申し上げたかと思うのでありますけれども、何といたしましても、永年にわたる地方の赤字の蓄積でありまして、これを一朝一夕には解決でき血いのでありまして、現内閣といたしましては、三十年度、三十一年度、両年度にまたがって地方財政を建て直そう、こういう考え方でいろいろな施策をやっておるわけであります。従いまして本年の予算は、私どもとしては決して満足な予算とは考えておらぬのであります。地方の三十年度における財政運営のやり方を見た上で、三十一年度には相当な処置をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  84. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと関連。今の三十一年度には相当の処置をしたいというお答えですが、その考えの中には、交付税率を引き上げるということが含まれていますか。
  85. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 三十一年度に本格的な地方財政の建て直しをやりたいという考えは、一つは機構の改革を考えております。もう一つ資金的の措置を考えておる、その資金的の措置の一つとしては交付税ももちろん考えるべき一つでありますけれども、しかし交付税だけとは私は考えておらぬのであります。それ以外にも財源的の措置が要るのじゃないか。大蔵大臣は現に地方税交付税両方について再検討したいと、こういうことを考えまして、すでにその準備に着手をいたしておるわけであります。地方税全般にわたって検討すべき時期に到達をしておるのであります。こういう考えもあるのでありまするからして、交付税もその一つでありますけれども、一切を交付税にかけておると、こういう考え方ではないのです。
  86. 秋山長造

    秋山長造君 そうしますと、交付税の税率を上げる、それから地方税法についてはこれを大幅に改正をして、そして財源地方へうんと大幅に移譲するということ、それからたとえば地方の公債、起債のワクを広げる。大体何ですか、金の面からいったらこの三つが一番大きいむのだと思うのですが、そういうように了解してよろしゅうございますか。
  87. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 交付税を必ず上げると、こうはっきり私は結論を出していないのでありまして、交付税のパーセンテージを上げていくのか、それとも他の税源で措置をするのかということについては、まだ考究の余地がある、こう考えておるわけであります。  それから起債の方は、これは今年は大体昨年と同じ程度起債を許すつむりでおりますが、これは必ずしも起債が多いのがいいのじゃありませんで、むしろできるなら起債は縮小する方がいいのじゃないか、地方財政の健全化ということからいってもいいのじゃないかと考えて、私どもは起債をぶやしてそれで地方財政を建て直そうとは今日は考えておりません。
  88. 秋山長造

    秋山長造君 交付税の税率を上げるということを必ずしも考えておら拾いという――これは三月の終りころからですね、地方選挙前のこの委員会で、長官に対して私初めて御質問を申し上げて、そうして地方財政に対する長官の基本的な考え方をただしたときに、長官はできれば二七%ぐらいまで引き上げたい、現在の二二%というのは必ずしむ実情に即しない、これはなんでしたら、速記録があるからごらんに入れてもいいですが、そういう非常にはっきりとした御答弁があったのですけれども、その後どうも予算がいよいよ本ぎまりしてからあと、どうも長官のこの問題に対する考え方がだんだん後退してきて、消極的になられたのではないかと思うのですがね。それでその点と、もう一つは、一体本年度地方交付税の税率引き上げによらずに、専売益金から四十四億あまりのものを交付金へ繰り入れるというようなことをやられた。しかし、これはやはりあまり適当な方法じゃない。ことしの一兆予算のつじつまを合せるためのこれは特殊ね便宜的なやり方じゃなかったかと思う。ずっとこういうやり方を続けていかれるということはわれわれは適当でない。だからたとえば来年度依然としてこういうやり方でこのたばこ益金を持ってこられるのか、それとも来年はもうこういうやり方はやめて、はっきりと最初から地方交付税一本にして、そうして税率の変更なり何なりでこれをすっきりさせておやりになるのか、この問題はこれはどうしても政府として避けることのできない問題じゃないか、その点はどうですか。
  89. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 交付税を五%上げますと、大体三百億近くのものになるのですが、あの当時申し上げたのは、現在のまま地方財政をまかなうなら、その程度の金が必要じゃないか、三百億程度の金が必要じゃないか、交付税ならば五%必要じゃないか、こういうつもりで申し上げたのだと思います。五%が果して適当か、あるいは三%が適当かということは、交付税だけでなしに他の財源ともにらみ合せて考えたい、こういうふうに申し上げているわけであります。  それから、たばこの専売益金から地方へ回す金は、これは実は予算が大蔵省からなにされまして、私どもとしては地方財政の現状を考えまして、とうてい大蔵省の原案ではまかなえないと思いまして、いろいろ大蔵大臣に折衝した結果、たばこ益金からして三十億地方へ回すことにいたしました。同時にそのときに入場譲与税におきまして、来年の三月分は元来三十一年度で受け取る金でありますが、これは概算で一カ月分特に三十年度に受け取るということと、もう一つは、十分の一はこれは国でとるようになっているのを、これも地方に交付しよう、言いかえれば国でとる入場税は全部これを地方に回そう、その二つで約二十五億、これだけは予算復活をして、そういういきさつがありまして三十一億出たのであります。その後さらに、先ほどお尋ねの際お答え申し上げたのでありますが、自由党と民主党と共同修正の結果穴があきますので、十四億さらにたばこ益金から持ってきた。当然これは法律改正を要するのでありまして、改正案を別に御審議願っておるわけであります。来年度も大体その法律のパーセンテージでたばこ益金から地方へ交付してもらうという考えでやっております。
  90. 秋山長造

    秋山長造君 そうしますと、たばこ消費税とは別ですね。たばこ消費税という形で地方財源を与える、それからまた、たばこ専売特別地方配付金という形で何がしかのものを、また地方交付税交付金へくっつける、こういうようなことになるのですね。これはやはり、たばこ専売益金の中から持ってくるということなら、どちらかたばこ消費税の方に一本にするか、あるいはもう地方交付税の方へ税率を上げて一本にするか、何かそういうふうにして、たばこ専売益金の中から三十億や四十億のものを特別なトンネルをくぐって持ってくるというようなことは、私はあまりすっきりしないやり方じゃないかと思うのであります。ところが今おっしゃるように今後も続けていくということだったら、まことに変でこなものだと思うのですが、地方交付税というものも将来の見通しということを考えると、所得税にしても、法人税、酒税にしても、やはりまだまだ――減税はある程度やられたけれども、まだ十分ではないから、今後減りこそすれ、ふえるということはちょっと望めない。それからまた、この間四百億足らずの減税ということになっておりますが、これが平年度化すれば六百五十億、だから来年から新しく減税しないにしても、ことしの減税が平年度化すれば、相当な額になれば、それだけやはり交付税というものが減っていくと思う。そうすると、その減った差額というものは何で償っていくかということになると、やはりことしと同じように専売益金から持ってくるのか、税率はいつまでたっても一二一%より絶対上げないというような問題にぶつかってくる。その点はいかがですか。
  91. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 来年さらに国税減税されたときの処置については、今何とも私はお答えできないのであります。そのときに交付税の税率を直すか、あるいは他の財源によるかということは、まだこれは未定のことでありますから、お答え申し上げられないのでありますが、ことし減税になって、その穴埋めはたばとの益金から持ってくる、これは来年度にもこれはちゃんと法があるわけでありますから、来年度も同じよう血意味で地方へ交付することになっております。
  92. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと長官、これは何ですか、来年度も四十四億というものは自動的に引き継いでいくのですか。
  93. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 少しこまかくなって恐縮でありますけれども、昨年来の経過からずっと申し上げたいと思います。御承知のように昨年度地方交付税の繰り入れ割合を二〇%からどう引き上げたらということで、いろいろ問題がございまして、最後に三十億円に相当する部分だけはたばこの益金等から地方財源の方に繰り入れするようにしたいと、こういうような大蔵大臣の言明もありましたから、結局地方交付税の繰り入れ割合は二二%にきまったわけであります。そうしますと、昨年来の経緯をどう解決するかということで、事務当局間におきましてもいろいろ話し合いをしたわけでありまして、自治庁といたしましては、どういう形の財源地方財源がふえた方が望ましいかと言いますと、地方交付税でありますよりは、やはり独立税としてふえた方が地方自治の上からは望ましいと思うのであります。そういう意味からたばこ消費税の税率をふやしてもらいたい、こういう考え方を持ったわけでありますが、たばこ消費税ということになりますと、地方交付税の交付されないような団体にも財源として入って参りますから、そうしますと、地方交付税で三十億円に相当するものはたばこ消費税ということになって参りますと、四十数億円になるわけであります。しかし衆議院の解散等もございましたので、法律国会に提出いたしましても、成立いたしまして実施することが四月にさかのぼることは不可能であります。どうしましても七月からとか八月からということにならざるを得ないのでありまして、そうしますと、平年度において四十数億円のたばこ消費税に相当するようにたばこ消費税の税率を上げますと、現在の百十五分の十五という率が百分の十五ということになって参るのであります。  三月の売り上げからこの率でいけば、ちょうど一年間で地方交付税に相当する三十億円の財源地方団体に与えられることになるわけであります。ところが年度中途で法律が成立するということになりますると、本年度だけたばこの消費税の税率を十二カ月で四十何億円ということになりませんで、少い期間の間に四十何億円の収入を得なければなりませんから、特別に税率を平年度より上げなければならないことになってしまったわけであります。そうすると、いつからこの改正税率を実施するかというよう血問題にもなって参るのでありまして、非常にむずかしい計算になって参ります。何分国と地方との財源のやりとりでありますので、今年度年度の中途で改正するというようね形に航るから、やむを得ずたばこの専売益金から三十億円だけ地方交付税の方に繰り入れをする、来年度からは従来百十五分の十五になっておった税率を百分の十五に上げる、こういうような改正案を一方は地方交付税改正案として、一方は地方税法改正案として提案いたしたわけであります。その後にまた国会修正で消費税や法人税減税が行われまして、二二%は据え置く、そこで交付税の方で穴があいて参りました。これをどう埋めるか、先ほど申し上げましたように、自治庁としてはなるべく独立財源をふやしたいのであります。そこで将来はたばこ消費税でふやすが、今年だけは今申しまするような複雑な税率の計算がありまするのでへ益金の方から十四億円余りを繰り入れておる、そのかわり来年度からたばと消費税の税率を三月の売り上げ分から上げていく・そうしてその後、提案しておりました府県分の六%を八%に修正させていただいたわけであります。従いまして、現行法では百十五分の十五でありまして、百分比に直しますと、一三%になっておるわけでありますが、これを来年度から一七%に上げていく、こういう地方税法改正案を提案いたしておるわけであります。
  94. 秋山長造

    秋山長造君 だから、今の説明でわかったのです。結局来年からはたばこ専売益金からの繰り入れというものはなくなるわけですね。全部たばこ消費税でまかなっていくわけですね。だから長官のおっしゃったのはちょっと勘違いされたのじゃないですか。
  95. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 総額でもって計算をしたものですから、手取りは同じなんですけれども、計算内容が違ったことを申し上げておきます。
  96. 秋山長造

    秋山長造君 じゃ、まあそれで、今の御説明で私の疑問は一応解消したわけです。解消したのですけれども、ただ来年度からはことしのこの間の減税が、平年度化してくるわけですよ。これは政府の原案による減税も、それからこの問の修正による減税も平年度化してくる。だからさらに三税の収入というものが減ってくるわけです。だから今出ている分はたばこ消費税の税率を引き上げて一応帳消しになるけれども、来年新しく平年度化して出てくる穴は、まだ何ぼか出てくるわけです。それを何によって埋めていくのかということをもう一ぺんお尋ねしたいのです。だから、それはもう今からはっきりしているわけでしょう。もうその点は今からはっきりしているわけなんだから、同時にそれに対する何か対策があるのか。
  97. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 所得税や法人税国会修正に伴います減収額は本年度で六十七億円でありました。これに一三%を乗じました地方交付税の減額が十四億余りであります。これに対しまして来年度以降の減収額が百四十一億一千五百万円ということになっております。これに二二%を乗じました額が約三十一億円であります。三十一億円をたばこ消費税に換算してみますと、地方交付税の交付を受けないような団体にも、たばこ消費税でありますと収入になって参りますので、そうしますと、たしか四十二億余りになるわけであります。従いましてこの四十二億余りの部分と、ことしの益金から繰り入れます三十億をたばこで換算しました四十数億円、これを加えますと八十何億円かになりまして、そういう意味で両方合せましてたばこ消費税の税率を引き上げました結果、九十四億ぐらいにたばこ消費税の増収になって参ります。両者を合せて、たばこ消費税の税率の引き上げで来年度は補填するということになっております。
  98. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、なんですか、今度の地方税法改正に含まっておるこのたばこ消費税の税率の引き上げというものは、当然来年の平年度化した後の穴埋めまで込めて引き上げたということですか。
  99. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) その通りであります。
  100. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の質疑応答をずっとこう聞いておってもわかるのですが、全くこれは今度の地方財政計画というものは、信を置けないようなふうに考えられるのですね。たばこの益金でもって穴埋めをしてみたり、あるいは入場税の何%を譲与金なんかで修理してみたり、まあとにかくあっちを修理、こっちを修理して、私としてはもっとこの地方財政計画というふうなものに対しては確固たる一つの方針を持って臨むべきで、その場その場の場当りの修正でもって通過していると思うが、まあこういうふうな財政の計画であれば、これは全く地方の行財政の実態と合っていくものでないように私は考えるのです。そこで結局この問題はまあこういうようね場当りの修理をしなければならぬというようなことは、結論としては地方財政の適正な規模の上に立っておらぬということが一つ考えられるのじゃないか。現にこの二十九年度財政計画においても、何か地方制度調査会ですか、地方財政調査会ですか、そういう方面からも三百億は足りないのだというようなことがちゃんと出ておる。それに対する措置などもさっぱりなされておらぬ、こういうことから見まして、自治庁としてもこの適正な規模は何であるかということに対して検討されてい血ければならない。これらについてどういうふうな御意見を持っているか、ちょっと伺いたい。
  101. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 今度策定しましてお配りしていまする三十年度地方財政計画は、二十九年度地方財政計画もとにいたしまして、三十年度において当然増減すべきものを計算し、また一方収入の方も計算して歳入歳出を出しておるのでございます。二十九年度と同じようね規模の事業をやっていきますれば、大体百四十億程度の赤字が出る計算になるのでありまするが、しかしこの点は毎回申し上げるのでありまするが、全部の公共団体ではありませんが、赤字に悩んでおる公共団体といたしましては、いわば非常事態でありますからして、財政運営をすっかり切りかえてもらいまして、事業の面においてもまた事務費その他の点においても、極力圧縮をいたして赤字の出ないような運営をしていただきたいと、これを私ども希望して今度の財政計画を作ったわけであります。しからば三十年度の末において赤字が必ず出ないのかというと、それはそうは私ども申し上げておらぬのであります。もともと財政計画は二十六年に俸給において国家公務員なみに計算をいたしましたので、そこですでに財政計画というものと地方の実際の財政規模というものに差ができまして、それを踏襲してきたのが二十九年度財政計画であり、また三十年度財政計画でありまするからして、給与の面において相当ね開きがあるということは想像し得るのでありまするが、これが果してどのくらいあるかということはこれは計算がつきませんので、昨年来国家公務員並びに地方公務員全般にわたって給与の実態調査をやっております。この結果を見ればはっきりわかりますので、その上に地方財政に対しては措置をしたい、こういう考え方でありますので、従いまして三十年度に作っておる地方財政計画というものが、私どもは赤字の出ないことを期待いたしまするけれども、赤字がそれでは絶対出ないのかというと、そういうことは申し上げられない、二十九年度財政計画においてすでに赤字を出す要素を含んでおるのですから、俸給において。これを三十一年度に直そうじゃないか、それは実態調査を見た上にする、こういう考え方で作っております。しかし三百億、四百億という赤字が出るかというと、そろばん上ではどうかしりませんが、実際はそうはならはいのでありまして、現に二十九年度の決算はただいま計算中でまだ結論は出ませんが、推定いたしたところによりますと、約百二十億の赤字でとどまっておるようであります。今年はさらに昨年よりも各省とも緊縮政策をとっておりますからして、この赤字は一そう縮まるのじゃないか、こう考えておるわけでございます。これが率直な財政計画を作りました内容であります。
  102. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで大体私わかりました。つまり二十九年度の上に立って、そして新規需要のものを加えて三十年度のものを作った、ところが二十九年度規模というものはそれ自身も赤字の要素を含んでいる、とにかく正確なものでないということは大臣も認められたのでありまするからして、この問題はまず抜本的な一つの適正規模というものに対する私は考え方をきめなければならほい、こういうふうに思うのであります。今何か長官のこの御答弁の中には給与問題についていろいろと調査中であるから、それができたあとはっきりしたものが出る、こういうことであります。まあそれはきわめて私は重要なことだと思う。在来も、ことに教職員の給与問題につきましては、文部省の考え方、それから自治庁の考え方、大蔵省の考え方、非常に開きがあるのです。実体を知っているものは私は文部省だと思う。そこでもっていろいろ単価を設定してゆくにも、あるいは一学級の基礎をきめてゆくのにも、教育の本質上から文部省は考え出しておった、その通り動いている。ところが自治庁に一ぺんくる、折衝してそれが切られる、さらに大蔵省に行ってこれがまた縮減される、これが実態であったようであります。そういうところは私はまったくこの一兆円の予算とか、予算のワクから切りつめられることであって、本質上の問題でないからこういう問題が生じてくるので、この点については長官としても十分一つその点を研究されて、まず場当りの修正をしなければならないような、手直しをしなければならないよう底財政計画はやめてもらいたい、そうして一日も早く健全な地方の財政の立て直しをやってもらいたい、こう考えております。
  103. 森下政一

    ○森下政一君 新聞で見ただけのことなんで、ほんとうかどうかわかりませんがね。新聞の伝えるとうろによると、大蔵省では来年の予算規模というものが一兆円をこえるということを予想して、それがためには一体どこに財源を求めるか、それがためには国の税制というものが現状のままではよくない、何とか税制の改革を断行して、それによって増収をはかるということが必要なんじやないかというふうな意図の下にまた税制審議会のようなものを作って、早急に成案を得て、それによって来年度の見通しを立てたいというふうな計画があるやのことを新聞で見たのであります。そこで私は川島長官が地方財政計画、あるいは地方財政の赤字の解消について、ひとり本年度だけじゃなく、三十、三十一年の両年度にわたって何とか根本的な改革を断行して、赤字の悩みを解消さしたいという意図を持っているということはよくわかるのです。その気持はよくわかる。しかしまた、三十年度の今御提案になっていることだけで成果を上げ得るということは私も期待することはできぬと思うのです。だけれども、先刻来各委員財政計画についての心配のあまり、何とか抜本的な改革を断行する必要があるのではないかということを力説するが、私はこの段階において自治庁自体も、たとえば地元税制審議会とか何とかいうような衆知を集めるような機関を作って、ひとり自治庁の事務当局なり大臣だけのお考えでなしに、広く朝野の意見を徴視して、何とか根本的な改革をするということに乗り出されるべきじゃないかということを痛切に感ずるのです。たとえば私どもの地方行政委員の手元に全国知事会あたりからしきりに陳情が参りましたり、交付税の税率がとうていその百分の二十二くらいでは赤字の解消は及ぶべくもない、すべからく百分の三十を要請したいというようなことをしきりに言ってくる。先ほど私は、本年度に出してくる赤字については極度に各地方自治団体の節約によって、何とか百四十億を赤字にならぬようにしたいというような財政計画に立て直すという話を聞いたときに、どうもそれでは信憑性がないではないですか、ペーパー・プランとしてはなるほどそうなっておっても、各地方団体の長官たちがどうもこんな無理なことを押しつけられるというような考え方を持っているのでは、何も権威のない地方財政計画になるのではないかということをお尋ねしたときに、いやそんなことはないということを長官おっしゃったが、どうも私は今度の財政計画といわずね地方財政再建整備のための措置法のごときもいろいろ世間で批判のあるということはね結局根本において財源措置というものが十分でないということだと私は思うので、これは非常な決意をもって、自治庁をあげて抜本的な改革を断行するだけの何らか施策をなさるべきじゃないかということを考えるのですが、そうでないと一方大蔵省がそういうような税制審議会のごときものを設けて、着々予算全体としての規模についての見通しをもって税制のあり方に検討を加えようというときに、自治庁が手おくれになっちゃいかぬと私考えるのですが、その辺どうでしょうか、長官の御決意は。
  104. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 森下さんのお話まことにごもっともでございます。地方財政がこのままで決していいのではないのでありまして、抜本塞源的な改革は当然であります。これは機構の面とそれから財源的の面と両方からやりたいと考えまして、関係各大臣といろいろ折衝いたしまして多少の案もあるのでありますけれども、まだここで御批判を仰ぐ程度に至っておりません。税制の面につきましては、大蔵大臣の考え方はこれは決して国税だけを考えてないのでありまして、やはり地方財政の現状を考えまして、国税地方税等を一貫した合理的な税制をやる、こういう考えで税制審議会でも設けたらどうかという考えになっておるようでございます。しかしむしろそういう場合は地方税の立場からもこれに参画いたしまして、地方財政の擁護のために、また財政の建直しのために努力をいたすことは当然でございます。大蔵省がやりまする税制改革委員会と別に、地方税制だけの委員会を持って対立するがいいか、あるいは一本になって国家、地方ひっくるめて改革するがいいかということにつきまして、これはいろいろ意見があろうかと思います。森下さんの意見はこれは私ども慎んで拝聴してえきますがね大蔵大ともよく相談いたしてみたいと思っておりますが、とにかく大蔵省でもって税制の改革をやるときは地方税もこれは大きく取り上げまして、ただいまこの機会に財政の建て直しをやるように持っていきたいという、こういう点も今後とも大蔵大臣としばしば話し合って意見も一致しておる点でございます。
  105. 石村幸作

    ○石村幸作君 こういう問題は自治庁長官に一通り質疑して、あとは大蔵大臣に出席を求めてやらなければ結論が出ませんね。
  106. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて。   〔速記中止
  107. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を起して。  今地方財政計画について質疑中でございますが、結局は大蔵大臣、主計局長等、国の財政担当者を呼んで実情を聴取するということでなければならぬという御意見もございまするが、委員長としてはいつの日にかそういう取扱いをしなければならぬと考えます。本日はまあこういう審議を続けていくことは、地方財政内容に立ち入って審議しておるのと同様で、どっちから質疑しても同じだけで、審議は進まぬと考えますが、この程度で散会したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) では本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会      ―――――・―――――