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1955-10-14 第22回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月十四日(金曜日)    午前十一時二分開会     —————————————   委員の異動 本日委員赤松常子君辞任につき、その 補欠として松澤兼人君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長    小笠原二三男君    理事            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            小林 武治君            森下 政一君    委員            小幡 治和君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            安井  謙君            岸  良一君            島村 軍次君            館  哲二君            秋山 長造君            森崎  隆君            松澤 兼人君            小柳 牧衞君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君   説明員    内閣官房長官  根本龍太郎君    内閣官房長官 田中 榮一君    警察庁長官   石井 榮三君    自治庁行政部長 小林與三次君    自治庁財政部長 後藤  博君    運輸省自動車局    長       眞田  登君    建設省道路局長 富樫 凱一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査の件  (警察行政に関する件)  (地方財政に関する件)  (町村合併促進に関する件)  (国の諸機関に対する地方公共団体  等の寄付金及び負担金に関する件)     —————————————
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員会を開会いたします。  本日は地方行政改革に関する調査中、警察行政に関する件、また地方財政に関する件の調査を進めますが、午前は警察行政に関する件といたしまして、先般来伊能委員から問題を提起してありますバス路線の認可問題について、調査を進めたいと存じます。政府側からはただいまのところ眞田運輸省自動車局長富樫建設省道路局長がお見えになっております。他に石井警察庁長官もお見えになっております。間もなく田中内閣官房長官も参られます。
  3. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 先般政府におきまして、交通事故防止対策本部ができてから、いろいろと交通事故防止について御尽力を願っておるやに伺っておるのですが、それに関連いたしまして、定路線自動車運送事業について、法律に基かずして地方公安委員会道路状況その他について免許基準の前提として調査をする、その調査がなければ免許の採否の決定ができないような行政措置を、内閣交通事故防止対策本部で独断的になされたという点を伺っておるのですが、この点についてまず建設省道路局長にお伺いいたしたいのでありますが、道路管理者は定路線自動車運送事業についてどういう調査をなされるのかということをまず私お伺いいたしたいと思います。
  4. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) 定路線自動車運送事業免許いたします際に、道路管理者道路法による道路構造及び設備に関する道路管理上の措置について制限をされることになっております。この道路構造及び設備に関しまする件を具体的に申し上げますと、道路の幅、副員でありますが、道路の幅、それから建築限界、曲線、見通し距離、路面、橋梁その他の構造物の強化、それから防護さく、踏切施設、その他の安全設備待避場及び停留所位置等でございまして、これらの道路構造に関して運行される自動車と関連いたしまして意見を提出することになっておるのでございます。
  5. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ただいま建設省道路局長から伺いますと、建設省道路管理者としては、道路運送法第百二十四条に基いて、道路構造及び設備に関する道路管理上の措置について、当該道路管理者意見を徴しなければならないということが、法律上規定されてあるのでありますが、今度の事故防止対策本部については、地方公安委員会においてどういう点について地方公安委員会運輸大臣意見を提出されるのか、その点を警察庁長官からお伺いいたしたい。
  6. 石井榮三

    説明員石井榮三君) 路線免許認可等につきまして、御承知通り運輸当局権限を持っておるわけであります。ただいまのお話にもありましたように、御決定になる場合に道路管理者意見聴取しておきめになるというのが現行法の規定であります。当警察側からいたしましても、かねがね運輸当局希望として申し上げております道路管理者意見聴取されること、もとより必要でありますが、同時に交通安全の見地から府県公安委員会意見参考にしていただくのも、交通事故防止に非常に意義があるのじゃないか、かように考えて、われわれの方で当局にもかねがね申し上げておるわけであります。それではどういう点を交通安全上の意見として公安委員会は出すのかというお尋ねでございますが、当該道路において特に考慮を要する交通量及び交通事故、あるいは当該道路における交通上危険な個所があるかどうか、こういった点、あるいは当該道路における交通の禁止または制限状況がどんなであるかということ、また停留所及び待避場位置あるいは引き返しの場所もしくは方法の適否、こういったようなことを中心といたしまして、日ごろ交通取締りに当っております警察立場から見た交通安全上の総合的意見といったものを参考に供したい、かように考えております。
  7. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ただいまお話のありましたものは、道路交通取締法基準を置いておられるのだろうと思いますが、この点は道路運送自体についてのいろいろな取締りについては私どもわかるのでありますが、免許に際して今のようなことをなさるについては、すでに運輸省令におきまして、道路運送法施行規則の第四条にも、事業免許申請内容としては、運行しようとする道路について、いろいろ詳細な調査がなされるはずでありますが、自動車局長にお伺いしたいのは、ただいまのような警察庁長官から御説明があったような事実については、従来運輸省として免許をされる際に調査をしておられたかおられなかったか、その点について私自動車局長にお伺いしたい。
  8. 眞田登

    説明員眞田登君) 現在までの免許に際しましては、道路管理者の御意見をお伺いしますと同時に、必要の場合には係官がそちらに出向きまして現地の調査をいたしたこともございました。また警視庁管下におきましては、だいぶ以前から公安委員会の御意見を伺って、免許事案審議する参考といたしましてやって参っております。
  9. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ただいま自動車局長お話では、参考として意見を徴しておる事実もあるというお話でありますが、先般の閣議決定に基く自動車交通事故防止対策本部において決定された内容というのは、参考としてお聞きになられるのであるか、あるいは今後の免許をする際には、必ずそういうものを全国についてとらなければならないという決定であるかどうかということについてお伺いしたい。
  10. 眞田登

    説明員眞田登君) ただいままでは法律上ぜひ公安委員会意見を聞かなくてはならないという決定にはなっておりませんが、事実上自動車の数がふえまして、事故もかなり多いのでございますので、特に警視庁管下におきましては、そういった必要性をわれわれの方で認めまして、事実上の措置として、警視庁方面からの御意見を伺ってやって参ったのでありますが、今後だんだん自動車の発達につれまして、そういった事故の危険もふえることと思いますので、この間の対策要綱に基きまして、今後公安委員会の御意見を伺うわけでありますが、ただ全国どの事案についても全部お伺いするということは、なかなか公安委員会としても大へんだろうと思われますので、あらかじめ特に注意を要する個所については、陸運局長がその地区公安委員会と御相談申し上げまして、その地区について申請が出た場合には必ず御相談いたしましょうというふうな申し合せをいたしたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  11. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 どうも今のお話ですと、私どもに理解しかねるのは、道路運送法については道路管理者意見を必ず求め、それには従来の免許基準からいって、免許に際しては道路適否、その他道路構造設備内容等について、さいぜん道路局長からお話のように、大体道路自体については専門的な見地から、道路管理者である府県知事市長等が詳細に技術者をもって調べるのでありますが、そのほかに特に警察交通取締り観点において、道路管理者と違ったどういう点を特に調べなければ、調査をしてそれを意見具申をしなければならぬという理由がどうも私にはわからぬのであります。もしそういう必要があれば、当然これは法律改正をして、そういう措置をとられるのが当然である、かように考えるのでありますが、政府部内の行政措置でさようなことができるというお考えでやられたのだろうと思うのですが、できるとすれば、その根拠はどこにあるのか、お伺いしたい。
  12. 眞田登

    説明員眞田登君) 道路運送法免許基準には、このことも、公安委員会の御意見をお伺いするということも書いてございません。また道路管理者の御意見をお伺いするという条項以外に別の条項はございませんが、ただわれわれが免許をやって参ります上において、道路管理者の御意見をお伺いいたしますほかに、実際に免許基準を適用いたします際には、この新しく申請された事案が、あるいは運行回数の増加というものが適当であるかどうかというような場合には、やはりその地区交通上の保安関係からみました必要性あるいは妥当性といったようなものを参酌いたしましてきめておりますので、たとえば道路としてはりっぱな道路であっても、その地区が非常に交通が輻湊しておって、これ以上回数をふやすことはしばらく見合せて、たとえば路上のパーキング・プレースができるとか、信号の設備を十分に完備するとか、そういったことができてからやってはどうかという場合もあり得ると思うのであります。そういった場合に、一応公安委員会等の御意見を伺いまして、免許事案処理に際して大いにしんしゃくして参りたい、こういうことでございます。
  13. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 お話を伺って大へんよくわかってきたのでありますが、そうすると、今回の事故防止対策本部要綱については、特に運輸省が必要がありと認めた場合、ただいま眞田局長お話では、必要ありと認めた場合において、運輸省側から積極的に意見をとる。これは私は行政部局内の内容としてしばしばあり得ることと考えるのでありますが、さように了承していいのでありますか。一般的に全国路線について、法律と同じようにすべてこういうようなものについて意見を徴するということがあるのか。ただいまの御説明を伺っていると、東京都については、従来交通上の安全を確保する観点から、特に運輸省側から警視庁意見を徴するというような趣旨で、他にも特に運輸省において必要と認めた場合に意見を徴するというように理解してよろしいのでありますか。
  14. 眞田登

    説明員眞田登君) 今までは特にわれわれの方で必要と認めた警視庁管下について御相談をいたしておったのでございますが、今後は陸運局長当該地区公安委員会とあらかじめその管下の各地区について、将来危険の起る場所、あるいは現在危険の起りつつある場所についてあらかじめ御相談いたしまして、こういう地区について申請が出た場合には御相談いたしましょう、こういうことをあらかじめ御協議申し上げる、こういうふうな考え方をいたしております。
  15. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 そうすると、あらかじめ相談をするというお話し合いでありますが、あの事故防止対策本部措置要綱ができてからすでに三カ月以上たっておるのでありますが、きょうは田中長官が後刻見えた際に、どういう仕事経過になっておるかという点を伺いたいのでありますが、ここでは内閣仕事についてお伺いする筋合いでもないと思いますので、あらかじめ御相談をするというような点について、具体的に何かそういった大体この辺のところというようなことを、運輸省内ですでに警察あるいは公安委員会との協議内容等について具体的にお考えがおありでしょうか、どうでしょうか。伺いたい。
  16. 眞田登

    説明員眞田登君) 実はこの要綱に基きまして、公安委員会といろいろ警察庁関係方々と御相談いたしておったのでございますが、やはりいろいろとこまかい点につきましての意見が、まだ最終的の一致というところまで参っておりませんので、その覚書を交換しようという段階にまできておりませんので、従いまして、この地区について御相談するという地区は、まだはっきりきまったものがございません。
  17. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 かなり内容がはっきりして参ったのでありますが、そこで警察庁長官に私がお伺いしたいところは、道路自体については専門的な道路管理者意見で私は十分である、必要にしてかつ十分であると思うのでありますが、ただ非常に交通量の多い所、あるいは既設の路線であって事故の非常にひんぱんな所、その他特にまあ運輸省が必要と認め、また交通上も危険と認められるような所については今のようなお話し合いが今後なされるというお話でありますが、私どもが心配することは、警察法精神並びに官庁行政事務をできるだけ簡素化して、国民に大きな負担や迷惑をかけないということは、これは官庁としては一番先にお考えを願わなければならぬことでありますが、この点についてはやや逆行をしておるような感がないでもない。と同時に従来警察がこの方面仕事に関与したという事実については、私ども過去のいろいろな問題も承知しておりますが、問題は警察が関与することによって国民に非常な負担をかけたり、またいろいろなトラブルがそれによって起きて来るということを私どもは一番心配をしておるのでありまして、交通取締法精神から言って、本来の運輸省権限というものと警察の今度やる仕事との紛淆を来たすようなことがあっては、これはまあとんでもない話だと思いますので、警察としては今後どういう点について、それじゃ警察側の御意見でどういう方面について自分たち意見を徴してもらいたいんだということが明確でないと、われわれはこの点について非常な大きな不安を持ち、また法律に基かずして国民がいろいろな負担を課せられるという事実がこれによって起るわけでありまするから、警察側当局として今回の事故防止対策本部措置要綱内容についてはどういう考え方で、またどういう方面について、どういう場所について意見を提出したいというはっきりしたお考えがあれば伺いたい。
  18. 石井榮三

    説明員石井榮三君) 御意見まことにごもっともで、私どもこの路線免許権限を持っておられる運輸当局権限を侵害しようというような気持は毛頭持っておりません。先ほどお答えいたしましたように、警察側といたしましては、道路管理者意見運輸当局が徴されるというのは、これはいわば静的な立場における意見であります。私どもの方の交通安全上参考に申し上げる意見は、いわば動的な立場におけるとでも申しますか、当該道路における交通量あるいは交通事故状況交通上危険を生ずるおそれのあるような個所があるかないかといったような点を中心にして意見参考までに申し上げたいと思っておるのでありまして、決してその意見を無理やりに押しつけて取り上げていただかなければならぬというようなものでは決してなく、運輸出局最後の判断をされる場合の参考に資したい。究極するところ、結局交通事故防止という観点からにほかならないのであります。交通事故防止のためにそういうわれわれが日ごろ交通取締りをいたしております経験、実情からしてこういう点、こういう点を最後判定を下される場合の参考にしていただきたいということで意見を申し上げるということなのでありまして、これはあくまでも運輸警察面当局間の申し合せによる行政措置でありますから、決して法的な拘束力を持つものではありません。従って法的にはわれわれの意見が取り上げられないということがあってもこれはいたし方ないということであります。しかし、私ども実情に基く意見というものは、運輸当局におかれましても十分尊重していただけるものと、こういうふうに考えておるのであります。お話しのありましたように、申請される方方に迷惑を一そうかけるようなことになってはいかんじゃないかという点もまさにその通りであります。部内で意見を申し上げて、それを運輸当局の方で参考にしていただくのでありますから、申請される業者等には特別御迷惑をかけることにはならないかと、かように考えます。
  19. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 さらにお伺いいたしたいのでありますが、従来の経過にかんがみますと、路線申請が出ますと、道路管理者意見を求める。その際、道路管理者実情調査をして意見を提出するという際には、御承知のように官庁事務のことでありますから、まず県の土木部から地方土木出張所にいく、土木出張所からさらにその末端にいって実際の調査をして、出張所から県へ上ってきて、それが陸運事務所を通って当該陸運局あるいは本省へくるというまでにはずいぶん時間がかかるのであります。私は最近に自分みずからその事例を知っているんでありますが、過去に路線免許されておった、それがたまたま戦争中、戦後のガソリンの需給が逼迫しておったために、油がなくてその路線を休止しておる、そうしてその路線復活をする際に、これは両県当局、地元の市町村、当該業者いずれももう無条件でできるだけ早くやろうということでスタートをして、運輸当局もそれについては路線復活であるから問題はないということであるが、しかし一応道路管理者がもう一ぺんその道路状況運輸大臣意見を提出しなければならぬということで、各方面非常に急いでやっても、まあ全部、両知事まで一致して急いだものであっても二カ月はかかる。これはもう二カ月かかった事実があるわけです。ですから、通常の場合に、ほうっておけば三カ月もしくは下手をすると四カ月かかる。一つの道路管理者意見であってもそれほど長くかかるわけです。もう、だれもかれもわかっておって急いだやつで二カ月、七月の十日から始めて九月の十日にようやく——しかもそれを両県の陸運事務所、両県の土木部督促督促をした上でも二カ月かかるというようなのが現状であります。それが普通の場合においては、御承知のように三カ月もしくは四カ月、その上また警察の同じような調査が加わるということになると、路線申請に非常に事務渋滞を来たすという点が過去においてしばしば見られるのでありますが、今回道路管理者意見聴取のほかに警察意見聴取によって同じような事態が起るおそれがないとは私は言えないのでありますが、これらの点について、そういうようなことがなく、事務が円滑に支障なくいくんだというお考えであるかどうかについては、まず自動車局長からお伺いをしたい。
  20. 眞田登

    説明員眞田登君) ただいまお話しございました道路管理者の御意見がおくれて参りましたこともかなりございますが、われわれの方でも期限をつけて御返事願うような措置もとり得ることになっておりますので、今後はできるだけ早く御返事がいただけるようにしたいと思います。なお、このたびの公安委員会の御意見を伺うことにつきましても、公安委員会関係警察庁方々といろいろお話し合いをいたしまして、できるだけ短期間御返事をいただいて、決してそのために審議期間を延ばすようなことはないようにしたいということで話し合いをいたしておりますので、こういった措置をとりましたことによって、今までの審議期間よりも一そう長くなるということにはならないようにいたすつもりで、われわれとしては考えておるわけであります。
  21. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 実は先般国勢調査関西方面へ私ども参りまして、親しく公安委員会委員方々警察責任者方々にもお目にかかって、いろいろ仕事実情も伺ったのでありますが、その際には御承知のように交通事故に対する裁判といいますか、いろいろな軽微な交通犯罪に対する公安委員会方々のいろいろな処理、その点等も伺いましたが、ああいうような仕事公安委員会の社会的な地位も高いお歴々がやられるについては、私自身もまああんまりあんなことまで公安委員会委員の手をわずらわすことはないのではないかという考えを持っておった。従って平らに考えれば、現在の事故防止する観点から特に交通——東京のようなあるいは大阪のような、特に交通事故防止を確立し、また警察法に基く人命の、個人生命安全確保というようなことをやらなければならぬ一方的な使命もあるので、そういう観点からすれば、ある特殊な地域については私どもとしてもかような措置がとられるということについて全然法律違反ではないかとか、官庁事務渋滞になるのではないかというような意見を固執するものではないのでありますが、公安委員会がやるといったところが、実態は警察がやられることはこれはもう疑いがない。そうなった際に、さいぜん覚書がまだできないと言われましたが、画一的にどこでもそういうような手続がとられるというようなことであれば、これはまあ不必要に明らかに行政事務渋滞を来たし、また国民に不当な義務を課するということになるのでありますが、この点についてはまだ明確な御回答が眞田局長並びに石井長官からもないのでありますが、覚書のごときについては、私どもとしては特に交通の輻湊した所、またそういう点については交通取締り観点からも交通の安全をはかり、それぞれ個人生命確保をはからなければならぬような所に限ってそういうようなことをなされるのがさしあたり適当ではないか。全般的に一般的にこういうような地方路線全部についてやられるというようなお考えであれば、われわれはとうていこの点は了承できないのでありますが、この点についての警察庁長官の御意見はいかがでありましょうか。
  22. 石井榮三

    説明員石井榮三君) 先ほど自動車局長からお答えのありました通りであります。目下運輸警察面当局間におきまして、事務的にこの行政措置を実際運営するについてどうしたらいいかということについての打ち合せを真剣に討議中であります。考え方根本としましては、先ほどお答えのありました通り、全部について意見を申し上げるというのでなくして、あらかじめ協議をいたしまして、道路状況及び交通量等の点から、交通安全上特に考慮を要すると認められるものについて公安委員会からある程度の意見を申し上げる、それを当局聴取される、そして最後判定参考資料にしていただく、こういう建前で現に話を進めておるのであります。また先ほど指摘のありましたように、従来意見を聞く場合等に非常に時間がかかった、そのために迷惑をかけておるという点はまさにその点はわれわれも最も反省しなければならぬ点でありまして、私ども公安委員会側から意見を申し上げることにつきましても、できるだけ短期間にすみやかに意見を申し上げるというふうにぜひしなくちゃならぬと思っておりますので、その場合には必要最小限期間内に意見を申し上げるというふうにきめたいと思っておるのであります。特に緊急を要する場合にはその期間をさらにしぼってもかまわない。またそのきめられた期間を過ぎても公安委員会から意見が出ない場合には、これは交通安全上特別支障がないということで、公安委員会に格別の意見がないものと考えていい、こういうところまでしぼりを入れております。できるだけただいま御指摘があったように、業者に迷惑がかかるようなことのないように細心の注意をもっていたしたい、こういう考え方で、目下いろいろ相談いたしております。さよう御了承願いたいと思います。
  23. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 結論的な希望は後刻申し上げることにいたしまして、田中長官がお見えになったようでありますから、お尋ねいたしたいのでありますが、先般政府において御決定になられた交通事故防止対策本部措置要綱決定実施に移ってから、すでに三カ月以上になると思うのでありますが、その間政府としてはどういう措置をおとりになられ、それがどういう形で動いているかという経過についてお伺いいたしたい。
  24. 田中榮一

    説明員田中榮一君) 去る七月二十九日に交通事故防止対策要綱最後的に決定をいたしましてから、さらにその後数会関係者が集まりまして、この決定をされました要綱をいかに実施するかという、いわゆる実施項目につきまして具体的にお打ち合せをいたしまして、その後は各関係者の自主的な実施に御一任をいたしております。しかしながら最近においてさらにまたいろいろと交通事故の発生する状況にかんがみまして、その後要綱にきめられた事項について関係者においていかにこれが措置せられておりましたかということについて、先般さらに関係者の御集合を願いまして、それぞれ御報告を得たのでございます。ただいま問題になっております路線免許に関しまする公安委員会意見につきましても、ただいま石井警察庁長官から説明がございましたように、大体陸運局、運輸省側との話し合いもほぼついて、そうして運輸省側意見警察側において十分これを取り入れ、また警察側意見運輸省側において十分御理解を願い、譲るべきところは譲って、ある程度協定が進みつつある。近く両者間において具体的な覚書等も交換されるという報告を受けておる状況でございます。
  25. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ただいまのお話では、政府決定に基いた具体的な動きは各省にまかして、特段に事故防止対策本部としては独自の動きはないように伺ったのでありますが、そのうちで特に私がここでお尋ねをいたしておる問題は、法律に基かずして国民負担をかけたり義務を課するということについては、政府としてはできるだけ慎重に願わなければならぬ。ことにさいぜん申し上げましたように、道路運送法百二十四条というものは、そういう趣旨から自動車運送事業免許については特に道路管理者意見聴取して、道路適否を判断した上で、運輸省免許の採否を決定するという趣旨でございますので、その上に同様な義務を課するという点については、政府としては、最善細心の御注意を願わなければならない。従いまして、ただいま眞田局長並びに警察庁長官御両所から御回答がありました点について、今後どういう覚書が交換されますか、その覚書の交換に際しては、私どもとしてはあくまでも道路交通のひんぱんな、ほんとうに人命の安全を確保しなければならぬ地域というものを主として、どこでも画一的にかような義務を課するということであれば、当然免許の採否について時間が非常に延びるという事態を生ずることは、これは議論になりますから申し上げませんが、明らかであると存じますので、そういう点についてはよく政府部内で十分に御注意を願いまして、御協議をいただきたい。そうしてその御協議が整いました際には、いずれどういうような覚書が交換されたかということについて、もう一度私お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、どうかその趣旨で覚書を。——東京について従来そういう慣例でやっておられる、これは私はよくわかるのであります。また大阪あるいは名古屋等のような交通の特に頻繁な所、あるいは東海道のどういう地域の、交通の特に頻繁なような所については、現状では警察の常に生きた動的な交通上の意見を徴しなければならぬというような点ももちろん理解できないではありませんし、よくわかるのでありますから、そういう趣旨で国民に格段の無用な負担義務を課さないという意味で、政府部内で覚書、また御協議等を願いたいという希望を強くお願い申し上げまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
  26. 小林武治

    小林武治君 自動車局長がおいでになったので、ついでと申しては悪いのですが、県に陸運事務所というのがありまするが、陸運事務所の機能が果して十分発揮されておるかどうか、たとえば免許の条件として自家用自動車というものが貨物自動車などがあって、これが営業的な行為をし、しばしば人を殺しておる、これら取締りもできておらないということで、要するに自動車運送の混乱を地方では来たしておる。すなわち陸運事務所は十分役に立っておらない。あるいは場合によっては廃止してもいいのじゃないか。要するに余分な役所がある、こういうような考え方地方で相当持っておるのであります。その点についてはどういうふうにお考えになっておるか、十分いまのような義務を果しておるか、果しておらないと考えるか。
  27. 眞田登

    説明員眞田登君) 各県にございます陸運事務所は、その職務といたしまして車両の検査と、それから車両の登録、これが大部分の仕事でございまして、その他運送事業につきましては事業計画の変更と申しますか、たとえば運行回数をふやすようなときに陸運陸事務所で許可をしておる場合もございます。また実際上の仕事といたしましては、免許事案等につきまして、局の依頼を受けて現地での調査を局へ報告する。あるいは今御指摘のありました自家用車につきましては、たとえば自家用車を有償で使用することについての許可をするとかというふうな取締り関係仕事をやっておるわけであります。ただいまお話のございました自家用の取締りが不十分であるから、事務所は役に立たないものだから要らないじゃないかというようなお話でございますが、事務所の自家用取締りについての今までの成果が上っておりませんことは御指摘通りでございまして、われわれといたしましても、今後大いに努力するようにしておるわけでありますが、現在事務所の仕事の一番大きな部分を占めておりますのは、車両の保安を確保するための検査事務と、車両の所有権等の確認その他の目的を持っておる登録、それから抵当権等の登録もございますが、そういった仕事が大部分を占めておるのでありますが、御指摘取締りが不十分な点については今後十分われわれとしても注意いたしますが、事務所の必要性については今申し上げました通り、これを廃止すると、必ずそれだけの仕事をどこかでやらなければならぬのでありまして、われわれとしては今の形で車両の登録、所有権の関係仕事をやらせておるのがいいのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  28. 小林武治

    小林武治君 いまの取締りが非常に緩慢である、あるいは取締りができておらないということは、いわゆる運送事業免許というものが非常に広範に行われておるためにいろいろな無理な競争をさせておる。そこへまた自家用車が出て来て、そうして普通の運送を多くやっているということで、運送が非常に混乱を来たしているということは種々聞いております。もしそういうことをお気付きになっておるなら、あらためて一つ陸運事務所で、そういうふうな運送の混乱を防止するための自家用車の乱用を防ぐ、そういうようなことは一つもう少しやってもらわなければ困ると思いますが、そういう点はないのですか、あらためて措置でもとっていただけますか。
  29. 眞田登

    説明員眞田登君) 自家用車の営業行為の問題は、これはかなり長い間の問題と申しまするか、問題になりましてからわれわれとしてもいろいろの手を打っているのでありますが、これは一番大きな原因は、戦後軍の車が放出されまして、その車を持って、思い思いにトラックを持って仕事を始めたというようなものの名残りが相当残っておりまして、その後だんだんと免許制度というものがはっきりして参りまして、その必要のあるものについてはそういった免許を持たずに営業をするのでなしに、正式の免許をもらって営業しなさいというふうに指導いたしまして、それからそういう必要のないものについては、その車の営業者が実際に事業上特別の必要がある車の確認というような方法によって、そういった秩序を乱すもののないように努力して参ったのでありますが、なかなかこれを取り締って徹底的になくするということがむずかしいのでございまして、実は自家用車の使用ということが自由になっておりまして、これは単に事務所に届出をして、これを使いますと言えばそれで済むようになっております。その届出という制度そのもので自家用の使用を認めることが、現段階においてよろしいかどうか、もう少しその届出というふうな簡単な手続でなしに、ある程度むずかしい条件をつけてはどうかという御意見も各方面からあるわけでございますが、なかなか車の使用の自由ということを、単に一部の不正な人のために全体の人にむずかしい手続を強いるということが、現在果して妥当かどうかというふうな点でわれわれとしても悩んでいるわけであります。なお自家用の営業行為につきましては、時折街頭検査に出まして、これも警察の御協力を得まして、途中で車をとめて検査する、われわれの事務所の方には車をとめる権限がございませんものですから、その際には警察の方で御協力願って、それからこういう荷物を運んでいる、それが正しい荷物であるかどうかというふうなことを検査したり、あるいは自家用が営業行為をやっておりますような話を聞きますと、直接係官がそこへ参りましていろいろと伺い、そうしてそういう違法な行為がありました場合には十分注意を与える、何度も注意してもきかない悪質なものに対しては、車の使用停止をやる、現在ではその程度の段階のことをやっているわけであります。
  30. 安井謙

    ○安井謙君 自動車の許可の問題が大分あったようですが、私は許可の問題でなく、今動いている自動車交通整理については、警察庁長官がおられますからついでに聞いておきたいと思います。非常に駐車場その他混乱していると思うのでありますが、いろいろ民間やその他で駐車場を置くとかという案が出ているようでありますが、なかなか具体的にはかどらない。それでもう少し警察庁と自治体というものが積極的に駐車その他の問題について方策を立てるようなお考えはありませんか。簡単に言うと、置場所がめちゃくちゃになって交通上も非常に混乱しておるが、どうだろうか。
  31. 石井榮三

    説明員石井榮三君) ただいまのお尋ねでございますが、特に大都市の大きな建物等ができた場合に、その付近の駐車地域といったようなことが一番もちろん問題になるのじゃないか、これは都市計画の関係等もございましてなかなかむずかしい問題でありますが、関係方面といろいろ協議はいたしております。できるだけ御指摘のように、交通安全上支障のないように十分考慮を加えていきたい、かように考えております。
  32. 安井謙

    ○安井謙君 大ビルが建った場合の駐車場については、今ビル自体が相当考えても、横丁のにぎやかな所に突っ込んでおくとか、非常に無秩序な駐車状況ですが、アメリカなんかにあるような有料駐車場のことなどをもう少し考えて、交通整理の立場から自治体と一つ協力なさっておやりになるようなおつもりはないか、またそれをやるとすれば、法律上何か取りきめでもやる必要はないだろうか、取締り規則の改正でもするようなつもりはないか。
  33. 石井榮三

    説明員石井榮三君) 御指摘通りでありますので、そうした点につきましては今後とも十分研究を重ねまして、実情に即するような解決策を講じたいと考えます。
  34. 安井謙

    ○安井謙君 今の取締り法というのが、法律がよくわからぬが、そういうものだけで行けますか。それとももう少しこういうような段階で新しい制度なり法律を設けるというような必要がないでしょうか、全般的に組織的に取り締るという必要からいえば。
  35. 石井榮三

    説明員石井榮三君) 新たに何かそのために施設を設けるというようなことになりますと問題かと思いますが、そうでなしに単にこの地域には駐車してはならないとか、ここは駐車していいとかいうふうな地点をきめるだけなら現行法でできると思います。
  36. 安井謙

    ○安井謙君 もう一つ。そこで今のただ禁止の区域をきめるというだけではとても片づくまいと思うのです、実際問題として。もう一歩前進した少し積極的な手を考えるとか、法律も要るのじゃないかと思うが、そういう点についてもっと積極的に考えてもらいたいと思う次第です。
  37. 石井榮三

    説明員石井榮三君) まことにごもっともな御意見でございますので、さきほどお答えしましたように、十分研究いたしまして、実情に即した適切な解決策を講じたいと存じておる次第であります。その研究の過程において、何らかの法的措置を必要とするというようなことならば、それもあわせて考えていきたいと思います。
  38. 森崎隆

    ○森崎隆君 さっきの小林委員の御質問に関連しまして、自動車局長に一つお尋ねしたいのです。今の白版による営業運搬というのは地方でずいぶん困っておる問題がたくさんあるわけです。まず第一には、一番これはむずかしくて取締りとしましてもやりにくいだろうと思うのですが、自家用車の運搬営業というのはできないということは知り尽しておる関係上、特定の土建業者と結びまして、その自動車の籍を土建業者につける、そうして砂利等の運搬をやっておる。たとえば甲という人がこれを訴えて出た場合には、甲の住んでおる村のある人なんですが、全然関係はないけれども、土建業者に籍を移したというような格好になっておる。調べてみると、これはほんとの自家用務でない。これは取締りの何か道があるかないかという問題が一つ。  それからもう一つは、小さな県になりますと、陸運事務所でこういう取締りをやっておる係官というのは一名か二名ですね、三名とはいないんです。だから事実上取締りはやれない。ことにまた自動車をとめて調べるという意味から、今もお話があったように警察側と緊密な連繋をとってやろうという場合になかなか緊密な連繋がとれていない。そういう点について人員配置の問題が自然ある程度起って参るわけです。これによっていためつけられておるのは、何といいますか、従来の荷馬車によるほんとうの営業者ですね、これが非常な圧迫を加えられまして弱り切っておるわけです。最近は特にオート三輪なんかの白版の運搬が随分あるわけです。ほんとうにこういう零細な業者を救うという道を確保していこうとするならば、取締りというような面につきまして、人員を最小限度の数確保するということが必然的に問題になってくるわけです。もう少しこれと警察側とチーム・ワークをよくしていただくということが必須の条件になるわけです。こういう点についてもっと積極的にお考えいただくつもりはないかどうか。
  39. 眞田登

    説明員眞田登君) 今お話のございました、たとえば土建業者名義にして実際は自分の所有の車で営業行為をやっておるということもわれわれはよく存じておるわけでございまして、そういったものがわかりました際にはもちろんこれを取り締っておるわけであります。なお実際に必要がありました場合にはその土建業者の荷物だけを運ぶ特定の免許というようなものでも取って、そうして合法的に営業行為をやるというふうな指導によって、実際上の必要から生じておりますことについてはそれを合法化するように努めております。それから人手の不足のために取締りが不十分であったという点はお説の通りでございまして、実は年々自動車がふえて参っておりまして、最近では百三十万両をはるかに越えておるというふうな状態でございますが、これは昭和二十四、五年ころに比べますと、二倍半以上という格好になっておるんですが、人手はむしろ行政整理等のおつき合といいますと変ですが、実際の現場の仕事は業務量がふえるにつれて人がふえる必要がある、ところが同じように減らされて参りまして、毎年われわれとしては車検関係仕事が特に手不足になって困るからというて要求しておりましたが、なかなかふやしていただけない。今年やっと今まで減らされてきておりましたものが人夫として三十六名ふやしていただいた。減らされるのがとまったということと、多少でも増員されたということでわれわれとしては非常に喜んでおるわけでございますが、これで満足しておるわけでございませんので、事務所の人間がふえてくる自動車に対応してふえて参りますように、今後も大いに努力いたしたい、そういうことによって今までの至りませんでした点についても十分力を入れてゆきたい、こういうように考えております。
  40. 森崎隆

    ○森崎隆君 この自家用車の営業については大体専業者と比べますと、運賃を二割ぐらい負けるんですね、非常に安くなるわけです。そういうことから普通の個人的な土建事業のみならず公共事業関係とも、村とか町とかいうようなところの需要につきましても、こういうようなものを雇うわけなんです。言いかえますと、もっとはっきり言いますと、こういうものを雇いますと、運賃を二割程度差し引いてくれる関係上領収証の面でうまくやりまして、そこに不正事件というものが起るわけです、今までもたくさんあるわけです。そういうことを防止するためにもこの取締りということは十二分にやってもらう義務があろうと思いますので、そういう点も十分勘案されまして、特に今もお話によれば自動車がずいぶんふえた。ふえたのにこれを対象とする取締りの人々は人数はちっともふえない。それは非常なアンバランスだと思うわけであります。こういう点は何とか一つ善処していただくように強く要望しておきます。
  41. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私からもちょっとついでですからお尋ねしますが、国勢調査地方等に行ってみますと、バス業者あるいはタクシー業者等の車庫が狭隘で、バスあるいはタクシーを道路に継続的にもう置いておる。そういうところが非常に多いようでありまして、交通事故防止上、取締り上苦慮しておるという取締り当局の話も聞くのであります。それでまず許可の方をやっておられる自動車局に伺いますが、こういうものの許可、認可について、車庫あるいは専門の自動車置場というようなものと台数との見合いとはどういうふうにして許可しているものか、そういう点は放置しておるのか、この点伺いたいし、警察関係道路管理者立場建設省の方としましては、道路占用の許可について道路法ないし道路交通取締法でそれぞれやるようでありますが、どうして業者がそこに根拠を置くことが陸運関係で許可されるか、それは自動車はふえる、従ってしようがないから許可をするということになっておるのか、無許可で占用しているのが多いのか、こういう問題はどういうふうに考えて指導しておられるのか、お伺いしたい。
  42. 眞田登

    説明員眞田登君) ただいまの車が車庫に収容し切れないので道路へ置いておるというお話は各方面からお伺いしておりまするのでございまするが、われわれの方では営業用の車につきましては、営業者申請いたしますその申請書に、車間の位置とかあるいはその広さ等も同様に申請書の附属書類として出させまして、それが適当であるかどうかということを審査してから免許しておるわけでございます。ただその後の増車等について、あるいはその車庫の収容能力をこえている部分があるということもないとは言えないと思うのです。それから自家用車につきましては、最近まで車庫についての規定を設けておりませんでしたが、先ほどお話しございました自家用車の取締りと申しますか、その一つの方法でもあり、また保安上の必要からも自家用車についても車庫、あるいは車の置き場というものを届け出の際に必ず書かせまして、そういうものでそういった置き場とか、あるいは車庫のないものについては、その届け出を受理しないというふうに指導いたしております。
  43. 石井榮三

    説明員石井榮三君) 自動車の置き場、車庫等の設備の不十分、あるいは自動車の分解修理工場、そういったものが自己の作業場の狭隘というようなことから往々にして路面を使用しておるという例は間々あるのでありまして、そういったものに対しましては、もとより道路交通取締り法による取締りができるわけであります。十分そうした取締りをするようにという方針をとっておるわけでありますが、いろいろ事情もありますので、いきなり強力にこれを取り締るという前に、まず警告をし、しかるべく善処してもらうという注意を促しますが、にもかかわらず依然としてこれが路面を使用している悪質なものにつきましては、これは場合によったら先ほどお話しもありましたような免許の取り消しとか、行政処分もできるのじゃないかと思います。私ども立場といたしましては、そういったことによって路面が私に使用されるということによって交通安全上の問題を惹起するという点に対しましては、極力これを是正するように今後も十分注意を払って参りたいと思います。
  44. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうすると、取締り当局としては、そういうものの占用というようなことを公式に認めるということはない、ぜひそういうことのないようにと関係者にまあ指導しておる、悪質なものは取り締る、こういう方針だというのですが、現にそんなら現在まで公々然とそういうのがもうあるのですが、これはどうして取締りがきかぬのですか。どこだってあるじゃないですか。  それから自動車局長の方にですが、最初許可するときには、まあ車庫等の設計その他を見て、それでこれでよろしいという点も条件になって許可をする、その後の自動車の台数のふえる分については知らぬという結論になるような御答弁でしたが、そんならそれはどこでまあ責任を持つものなのか。もうふえる分はふえてどこに置こうと、それは自動車局の方としては関知せざるところ、まあ道路を使うなら使え、その方の取締りは緩和してもらって置きゃいいんだと、こういうことに話をしていけばなるようですが、どうなんですか。
  45. 眞田登

    説明員眞田登君) 私のお話が誤解を招いたかと思うのでありますが、全然車と車庫との割合を考えないで、その後の増車を認めるというわけではないのでありますが、一両なり二両なりふやしたために車庫を作るということが必ずしも行われていない場合があり得る。もちろんある程度の車をふやす場合には必ず車庫と車両との基準——これは私ちょっとどの程度の場合はどの程度ということは、ちょっと現在資料がないのでわかりませんが、一応の標準を作っておりまして、それに合せてやっておるわけでございます。ただ一両二両ふえた場合に、それが必ずしもすぐ車庫が作られていない場合があり得るのじゃないかと、こう申し上げたので、決してその車両数がふえても車庫を作らぬでも運輸省は知らないということではないのであります。
  46. 石井榮三

    説明員石井榮三君) 先ほども申し上げた通りなのでありますが、あるいは言葉が足りなかったためにおわかりにくかったかと思いますが、車両を路上に放置するというようなことによって交通安全上支障を来たすというようなものは、これは当然取締りをいたさなければならぬことでありまして、取締りをいたしておるのでありますが、車庫等の狭隘等のためにやむを得ず即時にそれを実行できない、しばらく猶予してやらなければならぬといったような事情も間々あるのであります。それが著しく交通上の支障を来たす場合にはむろん放置するわけには参りません。できるだけ早く改善せしめるように善処を促して、悪質なものに対しては十分な強力な取締りをいたすという態度で臨んでおるのでありまして、運輸当局におかれましても、最初に認可する際等に車庫のスペース等につきまして、十分そういった支障を来たさないように十分当初から監督を願いたい、こういうふうに私ども希望として考えております。
  47. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私としてはこれ以上申し上げませんが、何年来堂々とそういうことの行われておるところを都内においても地方においても歴然とわれわれは見ておる。しかも業者関係者と警察とは交通安全協会等でそれぞれやっておる、この矛盾は何か、まことに不思議な現象だと思われる。それで私は取締りが苛酷であっていいということを強調するのではない。道路道路業者の車庫は車庫、あるいは業態は業態ということで何とかしっかりした関係に秩序が立つように指導をしていただきたい。それだけです。
  48. 小林武治

    小林武治君 ちょっとお尋ねしますが、官庁用の自動車については自動車局長どんな関係になっておりますか。
  49. 眞田登

    説明員眞田登君) 官庁用の自動車につきましては、登録それから車両検査ということが直接事務所の方に関係がございまして、使用します際の届け出、それだけが運輸省として直接関係しておることでございます。その他使用の許可とか何とかということはございません。
  50. 小林武治

    小林武治君 地方へ行くと、どうも県の土木部自動車あるいは建設省自動車みたいなものが実に横暴だ、交通規則を守らない、こういう例がしばしばあるのであります。これは警察当局に私は注意を喚起してもらいたい。建設省自動車なんかは実にいかぬ。右側を平気で通ったり、相手をよけさせたり、至るところでやっておる。そういう取締り警察当局は多少とも気をつけていただきたい。
  51. 石井榮三

    説明員石井榮三君) 官庁自動車といえども交通法規は十分守っていただかなければならない。むしろ官庁こそ率先して遵法精神を十分発揮していただかなければならぬと私は思っております。その点につきましては、十分取締り当局が取り締るという態度でいきたいと思っております。
  52. 眞田登

    説明員眞田登君) 私ちょっと間違いましたので訂正いたしたいと思うのですが、乗用車の使用は届け出は要りません。トラック等の使用は届け出が要るわけでございますので、官庁用の自動車の使用については全部要るように申し上げたのですが、トラック等は要るのですが、乗用車は要らない、そういうふうに御訂正願いたい。
  53. 小林武治

    小林武治君 今の点は、私は最近官庁建設省あたりのトラックがいわば交通違反をしておるということをしばしば耳にするのでありますが、私はあらためて警察当局からこういうものに警告を発するという処置をとってもらいたい。そのために地方事故も起きるし、また地方のトラック営業者等交通上非常に迷惑をしておる。あらためてこの点希望をしておきたい。  なおさっきの話でありますが、自家用自動車が営業用の行為をした場合の処罰というか、そういうものは何によってされておりますか。規定がないのかあるのか、もう一つお伺いしておきたい。
  54. 眞田登

    説明員眞田登君) 処罰するには行政上の処罰と申しますか、これは使用停止と申し、車を何日間使ってはいけないというふうな処分がございます。それから刑罰の方も規定してございますが、今までは特に告発等のことをやったことはございませんので、大体は単の使用停止ということがおもな処分になっております。
  55. 小林武治

    小林武治君 今の刑罰はどういう法律でやっておりますか。
  56. 眞田登

    説明員眞田登君) 道路運送法でございます。ちょっと条文を探しますから、あとでお答えします。
  57. 小林武治

    小林武治君 これはどうも先ほど森崎さんからも話がありましたが、非常に地方の運送を混乱させるあれがありまして、いろいろな悪影響を地方に与えておりますから、私はもう少し何か適当な取締り方法を考えてもらったらどうかと思いますが、今のままでいいというふうにお考えになるか、もっとさらに何かの手段を講ずるということになりますか、その点一つ考えていただきたい。
  58. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 眞田自動車局長にお伺いしたいのですが、最近運輸省で都市交通審議会が設置せられて、東京、大阪、名古屋のような交通量の頻繁な大都市については陸上交通機関全般にわたっての合理化と言いますか、調整をやられる意図のように伺っておるのですが、路面交通で今一番問題になっておる、さいぜん警察庁長官からお話のありました自動車交通についてなかんずくバス、乗合自動車交通について、現状ではどうも旅客サービスに万全であるとも言えない面がたくさんある。ことに一例を東京駅の前にとっても、一方は郵便局の前に数十両の車がお客を待っておる、一方は運輸省の横手に同じく十数両の車が待っておって、その間には国有鉄道との連係、路面電車との連係、近くでき上る地下鉄との連係というような旅客のほんとうの便宜、交通上の使命を達成する上においてバス交通に非常に欠けておるところがあるので、局長おそらく欧米を見てこられて、向うのバス・ターミナル・サービス等についても十分知識も御理解もあるだろうと思いますが、あの都市交通審議会を機会に少くとも東京都について、バス・ターミナル・サービスについて、ことにセントラル・バス・ターミナル・サービス、その他国鉄の各駅を中心にした各電鉄のターミナルとの連絡関係にあるローカル・バス・ターミナル・サービスについて、バス・ターミナルの問題を何らか法制的措置をとってきちっとされるような意図がないかどうか、その点お伺いしておきたい。
  59. 眞田登

    説明員眞田登君) 都市交通審議会は最近発足いたしまして、二回ほど会合いたしたのでありますが、ただいまのところではまだ各関係の方から実情をお伺いして、それからその問題点がどこにあるかということをみんなでお話し合いをして、その問題の解決のためにこの審議を進めていくというその前段階といたしまして、関係者の御意見を伺うというところまでしかきておりませんのですが、この問題も一つは輸送力を整備するという面からと、もう一つは交通保安を確保するという面と両方に大別できるのじゃないか。たとえば先ほどお話が出ました。パーキング・プレースを作るという問題は都市の交通保安を確保するという面から考えたい。それからバス・ターミナルについてはもちろん現在東京駅の前でやっておりますようなことでは連絡もうまくいきませんし、交通上も不安でありますので、両方の面からぜひバス・ターミナルというものを作って、そのバスの相互間、あるいはバスと他の交通機関との連絡がうまくいって輸送の効率が上るようにということで、実はわれわれの方でもここ二、三年いろいろと研究いたしておるのでございますが、これはやはり許可というふうな形よりも、むしろ相当な資金あるいは土地等の必要がございますので、助成法的なものでなくてはだめじゃないか、さきほどございましたが、ニューヨークあたりでも実際にバス関係から徴集しておりますのは一五%ほどの費用で、あとは全部総合的な経営をしておりますいろいろなものからの収入である。そういった点から考えましても、これは単にバス・ターミナルとしてはなかなか事業として成り立たない、何かそういった大きな総合的な設備考えるか、そうでなければ助成措置をするというふうにしなければならないというふうなことで今研究中でございますが、まだその考え方についてしっかりした御返事を申し上げるまだ段階までには来ておりませんのでございます。
  60. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をつけて。  では午前の委員会はこれで休憩することにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) では暫時休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      —————・—————    午後一時四十七分開会
  63. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) では午前に引き続いて委員会を再開いたします。  日程に従いまして、地方財政に関する調査を進めたいと存じます。ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  64. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を起して。
  65. 小林武治

    小林武治君 この前、先月の委員会で自治庁長官は、二十九年度の赤字の始末は再建措置法にまかせる、しかし三十年度もある程度の不足が出る、これは何らかの財源措置をする、するについては交付税の改正をするか、あるいは公債の利払いその他の延期をするか、あるいはたばこ消費税の面でこれをみるか、こういうふうなことを自治庁長官並びに官房長官がここで言明されて、特に私は自治庁長官のこの答弁が少し元気がよすぎやせんかという、こういうふうな危惧を抱いたのでありますが、長官はとにかく、私もまた速記録を読み直してみたのでありますが、財源措置をするということを非常に断言されております。ところがこれに対しまして、私ども昨日の委員会で、大蔵省の理財局長並びに主計局長の出席を得て、そうしてこれらの点について端的にただしたのでありまするが、その答えは、むろん事務当局の答えでありまして、これは大蔵大臣の話ではありませんが、とにかく事務当局としては交付税の改正はしない、あるいはたばこ消費税でこれをみることもしない、またさらに公債の元利払いの延べ払いというようなこともしない、従って補正予算は組まない。端的に申せば、三十年度については何らの財源措置を講ずる意向はないという御答弁を事務当局が断言をされておるのでありますが、これについて、一つ自治庁長官のお考えを伺っておきたい。
  66. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) この問題は政府といたしましては、まだ結論が出ないのでありまして、従いまして、どういう方法で地方財政の救済をするかという具体案は御説明申し上げる段階には至っておりませんけれども、私は大蔵大臣ともしばしば懇談をいたしておりまするし、他の閣僚諸君とも相談をいたしておるのでありまして、これは事務的にみる問題ではございません。現下の地方の財政をみますると、やはり大所高所からこれを達観しまして、相当な施策をする必要がある、こういう認識に立っているのでありまして、大蔵大臣と私との間には、まだ完全な調整はできておりませんけれども、自治庁長官として責任をもって申し上げられることは、適当な処置はするということだけははっきりいたしております。ただ、それ以上突っ込んで、一体金額を幾らにするか、あるいはどういう方法でやるかということは、今日は差し控えたいと、こう思っております。
  67. 小林武治

    小林武治君 この前の委員会長官の言明の次第もあって、地方団体においては、三十年度の赤字の補てんということについて相当の期待をしておるということは、御承知通りだと思います。また実際問題としまして、地方は交付税率あるいはその他の歳入を過大にすでに組んでおる、これによって予算を組んでおるということはこれは事実であります。従いまして、私ども長官の言明がいわば放言に終らないということを大いに期待しておるのでありまするが、ただいまも何らかの財源措置をするということでありまして、その点非常にけっこうでありまするが、これらも私は前にも申し上げましたが、この金額がやはり非常に問題になるのでありまして、ごくわずかな手当をして、措置をしたと、こういうことで済まされるということであっては、私は目的は達せられないと思います。こういうふうに思うのでありまして、金額につきましても、まだ三十年度どれだけの赤字の見込みかということはおわかりにならぬと思うが、   〔委員長退席、理事伊能芳雄君着席〕  しかし、ある程度の見当がついておると思うのであります。もうすでに、とにかく来月臨時国会を開こう。こういうところであるからして、せめてある程度の金額の見通しと申しますか、見当がついておるのじゃないかと思いますが、それはいかがでしょうか。
  68. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 三十年度の地方財政補てんの問題につきましては、第二十二国会で衆議院でございまするが、社会党から交付税率を二七%に引き上げろという提案がございました。また自由党から三十年度は二五%、平年度は二八%に引き上げろ、こういう御提案がありまして、当時の状況では、衆議院から参議院に送付になりました再建促進法と、衆議院で提案されました交付税率の引き上げ法案と、これが両々相待って継続審議に持っていきまして、臨時国会で結論をつけよう、こういう空気であったと私は思うのでありますが、参議院の方は幸いに継続審議になりましたけれども、衆議院の方は最終日のごたごたのために、結局議員立法は不成立に終った、審議未了に終ったわけでございます。従いまして国会の空気というものは、やはり交付税率の引き上げ等によりまして、三十年度においても相当な措置をする必要がある、こういうことだと思いまして、こうした御趣意も尊重いたしまして、来たるべき臨時国会には適当な案を出したい、こう考えてただいま検討いたしておるのであります。金額が幾らになるかということにつきましては、第一にまだ給与の実態調査が完了いたしませんので、この点が不明瞭でありますのと、もう一つは各地の財政状況等、いろいろ検討いたしておりますけれども、まだ結論が出ません。従いまして、三十年度におきまして幾らの金額が必要かということについては、せっかくの御質問でありまするが、今日のところはまだお答えする段階に至っていないのであります。なるべく早く結論を出しまして、一つ皆様に御報告申し上げたいと、こう思っております。
  69. 小林武治

    小林武治君 今のことで私はただ結論だけ一つ確めておきたいのでありますが、長官は三十年度のために必ず財源措置をなさる、こういうふうにお約束できますか。
  70. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) これは私が約束するしないにかかわらず、地方の財政の実際がこれを要求いたしておるのでありますから、これはどうしてもやらなければならない立場に追い込まれております。従いまして、自治庁長官たる私といたしましては、ぜひこれはもう断行いたしたい、こう考えておることだけははっきり申し上げておきます。
  71. 小林武治

    小林武治君 それでこれは政府考えではありませんが、自治庁長官としては補正予算を要求なさるお考えですか。ほかの方法によるお考えですか。
  72. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) これは前回申し上げたのですが、補正予算によりまするか、あるいはその他の措置をとりまするか、この点はまだ未定であります。しかし何らかの地方財政を救済するだけの措置はいたしたい、こういうことだけは考えております。補正予算と、こうはっきり言い切れない。まだそういう段階に至っておりません。
  73. 小林武治

    小林武治君 今、この間からして給与の実態調査の方ができたらと、こういうことを始終言われておりますが、大体世間の見当では、給与の自治庁で定めておる基準財政需要額、それから地方の実際とが三百数十億の差がある、こういうことを言われておるのでありまして、この問題につきまして昨日伊能委員から大蔵省に対して、実態調査をするというと、実態調査の結果、とにかく相当の差額が出るということは当然見込まれる。ところがその差額の処理について地方団体では、差額を出しさえすれば、そのまま政府でもって補てんでもしてくれそうな期待を持っておる。こういうようなことに対して政府は、これらの処置をどうするか、すなわち三百数十億出れば、これは政府でみてやるのか、あるいはそのうちで国家公務員に対比して高い部分は地方で始末をさせるか、こういう点について少しも政府の態度あるいは自治庁の態度も明確でない。従ってこれに対していたずらに地方に期待を持たせておるということは、実態調査が明らかになった場合に非常な混乱を来たすことである、今からこれらはどういうふうに処置するか、たとえばある程度地方に責任を負わすか、あるいは国家が全部、政府が全部これを見るか、こういうような点についての考えをはっきりさせてもらいたい、こういうことを言っておりましたが、このことはいかかですか。
  74. 後藤博

    説明員(後藤博君) 給与の実態調査が出ました場合に、あとどうするかという問題でありますが、これについては細かくまだ大蔵省と折衝いたしておるわけじゃございません。ただ給与の地方公務員の総額の差額を全部見るという考え方にはなっていないのであります。で、国家公務員に準じて学歴別、経験年数別、そういうものを比較いたしまして、その他従来の足りない部分だけはどうしても見なきゃいかんだろう、この点はまあ大体考え方は同じであります。それ以上にはみ出た部分を一体、どうするかという問題はその次にあるわけであります。その場合に、そのはみ出た部分を、これを警察でやりましたような調整的な方法をとるか、それともそういう方法をとらないで、他の方法にするかというのがまあ問題であります。で、その場合にベースをとめるか、とめないかというような問題がからんで参りまして、その細かいところはまだ大蔵省と話し合いはいたしておりません。自治庁では現在そのどう処置するかという細かい点につきましていろいろ研究をいたしております。
  75. 小林武治

    小林武治君 今の点は、もうどうせその差額が出ると、しかしてそういう国家公務員と地方公務員との不権衡というものも、これは十分予想できる事柄であります。従いまして、これらの事態を、もう明らかに予想し得ることについては態度だけは早くきめなきゃなるまい。これは全くその通りで、地方にいたずらに期待を持たせる、こういうことはもう今後の実際問題として非常に混乱を来たす。ことに事柄が具体的な給与の問題で、あるから、相当に問題かあると思うのでありまするが、その点について私はもうできるだけ——すでに今おそいと、きのう伊能委員お話しがありましたが、その通りです。今でもそれをおきめにならぬということはもうおそ過ぎると思うのでありまするが、そういうことを予想しても、態度をある程度きめられた方が私は今後の地方財政のためにいいと、こういうふうに思いますが、長官いかがですか。
  76. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) この問題につきましては、自治庁におきまして先般来いろいろの角度から検討いたしておるのであります。まだ結論が出ませんからして、財政部長から今のような御説明を申し上げたわけであります。お話しの通り、早急に態度をきめまして、実態調査の結論ができるときには直ちにこれを処置するようにいたしたいと、こう考えております。
  77. 小林武治

    小林武治君 全体の問題でありますが、先ほどからのことで、とにかく私は一度きのうの大蔵省の答弁を一つ長官にも読んでいただきたいと思う。と同時に、長官はとにかく財源措置をするということを断言されておる。従いまして私どもは一応今のところはそれ以上のいわば追及と申しますか、お話しを伺うことはできないと思いまするが、要するに今度の臨時国会というものは世間では地方財政の立て直しのための国会であるというふうな期待をし、また政府としてもいろいろな機会におけるお話しがその期待を持たした、こういうことが言えるのでありまするから、この期待にそむかないように、一つ長官としては全力を尽されるという責任があると思いまするので、その点特に私はお断わりしておきます。
  78. 小幡治和

    ○小幡治和君 大体今小林委員の御質問で一応方針としては了承したのですけれども、ただ長官は今の差額、政府で今度調べたやつと実態との給与費の差額の問題なんですが、この差額をどうするかということはまだきまらぬけれども、まあ一応もう少し時間をかけたら一応きめるというお話しなんですが、そのときに、大体この給与費の主体というものは、これは教職員費なんですか、そうすると、その教職員の給与というものがどこできめられるかというと、これは教育委員会できめていく。そうしてそれの半分というものをこれは国が見るわけです。そうなると、あとの半分というものは府県が見る、こういうことになってくるのですが、そういう面について実際国家公務員とそれから地方公務員とがまあある程度の差額が出た、しかもそれを計算して見ると、国家公務員の計算の仕方でやると、地方公務員の方がある程度多い、そういう地方公務員が勝手に多くした分は見ないというふうなお話し、大臣の御答弁はそうだろうと思うのです。そうすると、その勝手に多くしたというそのことは、これは教育委員会と文部省との話し合いにおいて大体多くなったというふうにまあ府県としては見ておるのですけれども、その点について、自治庁としては、どういうふうに調整されるおつもりか。まずそれを私はお伺いしたいと思います。
  79. 後藤博

    説明員(後藤博君) 学校職員につきましては、これは比較すべきものはやはり国立学校の職員を比較いたしたいと思います。現在の基礎ベースにおいてすでに一般職員より確かに二号ぐらいは高くなっておる職階になっております。給与制度になっております。だからしてその分は問題はない。それ以上に上げておるところがたくさんあるわけです。その上げ方も府県によって違っております。六号ぐらい高いところもあるし、四号ぐらい高いところもある。いろいろな上げ方がありますから、私どもとしては、やはり従来もそうでありましたが、国立学校を基礎にしたベースを考え、そこまでは補償する、それ以上のものは補償できない、こういうことになるのではないかと、かように考えております。
  80. 小幡治和

    ○小幡治和君 そうすると、結局まあ文部省の方で見るものも、半分見ますね、文部省の方で。そいつもまあ要するに自治庁としては見ない、見ちゃいけないと、こういう考え方になるのですか。その点をそれじゃ大蔵省なり自治庁なりはそういうものは見ちゃいけない、不当に高いのだ。しかし文部省は不当に高いのじゃないのだ、それは見なくちゃいけないのだという文部大臣と、自治庁なり大蔵大臣との意見の違いというものがそこに出てくるのじゃないかと思うのですが、その点の違いはどうするか。
  81. 後藤博

    説明員(後藤博君) 私どもの方の財源措置は、今申しましたような格好でやりますが、義務教育の国庫負担法は実額の半額国庫負担ということになっております。従ってその法律はやはり法律として実額の半額国庫負担、こういう格好でいかざるを得ない。従ってわれわれが見ました額よりも、半額のものはわれわれのベースよりも高くなる場合が相当あります。これは現在の法律制度においてはやむを得ない制度でありますから、やはり文部省の負担金はわれわれが見た額より高くなるということになると思います。
  82. 小幡治和

    ○小幡治和君 そういう点について、まあ閣議あたりで文部大臣と自治庁長官なり大蔵大臣とあの給料がまあそういうふうになってくれば、結局地方庁としては教職員の昇給停止というものをやって、そうして大蔵省なり自治庁なりの示されるところまで下げていかなければ、結局赤字が出るということになっちゃうのです。そうなりますね結局。そうすると、昇給停止ということを必然にやらなければならなくなる、国家公務員と同じ程度にまで。そういう点に対して、まあ文部関係の方としてはそういう昇給停止は困るのだというふうな行き方になってきます。そうすると、教育委員会と結局知事との間の議論になってくると思うのですが、そういう面を内閣として調整できないか、こういう点について大臣からお伺いしたい。
  83. 後藤博

    説明員(後藤博君) 今おっしゃいました問題は研究の問題でありまして、高い部分を補償しないということになりますると、その分は一体どうするのだという問題が出てきます。その場合に昇給停止をしたらどうかという御意見もあろうかと思います。まあそういう措置も一つの方策ではあります。しかし現在の給与、個々の人の給与を見ておりますと、昇給を全部停止するというのはちょっと行き過ぎではないか。つまりある段階以上の人は非常に高くなります。ある段階以下の人は非常に安くなります。たとえば簡単に言いますと、初任給、その近所は最近は非常に落して採用しておりますから、その辺まで落すということは、昇給をさせないということは、これは不合理じゃないか、かように考えられます。従ってその全体をとらえます場合に、給与の総額をとらえていって給与の総額を落していく。で、個々の昇給の方法につきましては、やはり国家公務員と比較して高いところは、たとえば昇給年限を延長するとか、まあストップする場合もございましょう。それから低いところの人はやはり一定段階の昇給を合せてやるという建前に立たざるを得ないのじゃないか。その辺は一体どういうふうにかみ合せて措置するかというのが問題であります。その辺がきまっていないということでありますが、私どもはオール・ストップをくらわせるということはちょっと行き過ぎじゃないかというふうに今は考えております。
  84. 小幡治和

    ○小幡治和君 今の問題なんですが、大体後藤君の答弁を大臣はそのまま認められますですか。要するに総ワクとして国家公務員と地方公務員との違いというものを自治庁大臣も大蔵大臣も押えてかかる。それに対してそうすると地方庁としては押えてかかっておる以上は、そいつを押えられたところで処理していこうとすれば、どうしても昇給停止をやらざるを得ない。しかしその昇給停止をやるのには、今後藤君の説明では低い方は昇給停止をしてはいけない、高い方を昇給停止するなり何なりして全体として押えていったらいいんじゃないか、こういうことなんです。そうすると、この問題については教職員の実際の俸給の扱い方の問題になってくると思うのです。その点を文部大臣なりそれから自治庁大臣なり大蔵大臣なりと話し合いができ得るか。それができないとどうも片方自治庁からはこう言ってくる、文部省からはこう言ってくるというので、地方庁としては非常にやれない、やり得ない問題ができてくると思うのです。その点はどうですか。
  85. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 各地方団体間なり国家公務員と地方公務員との間のアンバランスの是正につきましては、今財政部長から申し上げたことも一つの方法でありまするけれども、まだ結論的にはきまっておりません。これは小幡さんの言われる通り、いずれ関係閣僚が集まりまして、資料が出そろいますれば、結論を出したいと、こう考えております。
  86. 小幡治和

    ○小幡治和君 ぜひお願いしたいと思います。  それからまあ先ほど小林委員の御質問に対しての御答弁としては、まあこれの赤字というか、不足額というものがはっきりしてくる、そうすると、これを予算をふやさないでやるか、それともどういう方法でやるかわからないけれども、まあよく研究しているのだというのですが、その研究の方法、研究方法というか、どんな方法を考えられておりますか。これでやるということは今御答弁はちょっとむずかろうと思うのですが、大体今それを考えられておる方法の内容というものをお漏らし願いたいと思います。
  87. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) これはまあ交付税率の引き上げ、これは一つの問題ですが、これがいろいろな関係でできません場合は、たばこ消費税を一応持ってくるということを考えます。もう一つは五百十億あります地方債の元利償還金の延期、たな上げという問題もあります。それからさらに政府資金を持ってきまして、これは短期のつなぎ資金を貸してやりまして、それは元利ともこれで見てやる、そうして三十一年度以降において軌道に乗せてやる、こういう方法を考えましても、いずれの点からしましても、国家財政とにらみ合せてでありますからして、私限りでお答えができないので、前回も同じようなことを申し上げておるわけであります。そういう方法がいろいろあると思うのであります。総体の必要な金額がきまりますれば、しからばどういう方法でやるかということを第二段として考えたい、こう思っております。
  88. 小幡治和

    ○小幡治和君 今の大体方法をお答え願いまして、こっちも少し見当がついてくると思うのです。しかしまあ今度のやり方が将来にやっぱりガンを残していく。要するに問題をただ将来に送っていくだけだというふうな意味の処理の仕方だと困ると思うのです。できるだけわれわれとしては、この際一つこの前の国会においても自治法の改正なり、また赤字債券の処理法案なり、今の交付税問題なり、地方財政根本問題が出たのですから、今度の臨時国会なりにおいてそれの結論づけをやっていただきたい。地方としてはそれを期待しておるので、今度の予算の操作の面においてただまあ二、三年あとにこいつを送ったといっただけじゃ見当がつかない。地方財政として見当がつかないと思うのです。ただいろいろ大蔵省からも自治庁からも今度の地方財政の赤字問題についての原因の調査の書類なんかもずいぶんいたしておりますが、大体原因というものはほとんどしぼってくると三つぐらいのところになってくる。すなわち人件費の問題と、あとは起債の償還、いわゆる公債費の問題と、それからもう一つは公共事業の問題、まあそれに府県で勝手にやる一つの問題もありますけれども、大体三つの問題になってくると思うので、その三つの問題にしぼって、それぞれについての一つその結論というものをできるだけ早く用意していただきたい。
  89. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 三十一年度の大体の方針をきめまして、それに基いて、三十年度どう処置するかということをきめるのが一番いいわけでありますけれども、三十年度はすでにスタートしておりまして、公共事業の範囲、起債の範囲、また各法令など、今ちょっと動かすわけに行かぬものですからして、一応既定の三十年度の計画の範囲内において処理をいたしまして、三十一年度において根本的に直そう、こういう考えでおります。ただこうやる場合に、三十年度やって、これをあとに見送るのだ、こういう考え方ではないのでありますが、やむを得ずそういうことになるわけであります。根本的には三十一年度以降になるということだけは御了解願っておきたい。
  90. 森崎隆

    ○森崎隆君 さきの給与問題に関連して一つだけお聞きしたいのですが、地方財政の再建ということになると、すぐに人件費の問題にかかってくる。その場合特に人数の多い教職員関係にすぐにしわ寄せがくる。今も国立学校の職員と地方公務員としての職員との給与がだいぶバランスが違っているということは、きのうの大蔵も言っておるし、きょうの後藤君の話でもそうですが、これはどこに原因があるか。どういう意味で違っているのか、それを一つお聞きしたい。もっと申し上げますと、それは制度としてもうそうなっているのか、それとも地方公務員に対しては教育委員会の方でじゃんじゃん昇給昇格、一斉昇給なんかじゃんじゃんやったものだから自然にアンバランスになってきたというのかどうかということです。
  91. 後藤博

    説明員(後藤博君) 給与費の問題は財政的にみますれば、単価の問題と人数の問題とかけたものであります。二つそれぞれ問題があるわけです。ですから単価の問題につきましては、どういうふうに上っているかということは、実態調査の結果をみなければわかりませんが、今までわれわれの調査したところをみますと、やはり最初のスタートはそう違っていると私ども思っておりません。途中におきまして、切りかえのときに少し歩増しをするとか、それから選挙の前後にベースを上げるとか、そういうふうなことで違ってきているのではないか、それが重なってその差が非常に大きくなってきた。つまりちょっと差をつけましてもベース・アップが三、四回重なりますと、その開きは非常に大きくなって参ります。一号の差を最初つけたつもりでありましても、三回ぐらい、二十六年、二十七年、二十八年というふうにベースが非常に改訂された年があります、全体のベースが。そのときに最初のちょっとした一号ぐらいの引き上げがやはり二号以上になって、三号近くになって参ります。そういうものが重なって参っておるのでありまして、ごく最近をみますると、そうむちゃにやっている県は私は多くないと思っておりますが、過去の一等最初にちょっと給与で何したのが非常にベース・アップごとに重なってきたと私ども考えております。それに人数の問題が一つあるわけです。人数が非常にしぼって単価を高くしておるところと、人間をたくさん置いてベースはそう上げないのと、二つあります。それぞれの対策が考えられるわけであります。
  92. 森崎隆

    ○森崎隆君 この問題は、たとえば県庁職員と教職員の比較なんという場合によくわかるのです。それは学歴なんかの差から自然にベースも違ってくることはよくわかるのであります。国立学校の教職員というものは、公立学校の教職員との関係においてはそんなに違っていないと思う。ごく最近二、三年になりますると、国立学校の方は大体昇給は定期昇給をやっている。地方公務員の方はもうここ二、三年ほとんどやっていない。年に一回かろうじて全体の権利を持っている者のうちの若干名だけを昇給させるというようなことで、昇給なんというものはほとんどないような状況なんです。それでもやはりまだあるのですか。今あなた方の方で——大蔵もそうですが、非常に国立と公立、地方公務員との間に給与の差が多いということを言っているのは、二、三年以前の実績を今ごろ言っているのじゃないかと思うのです。現在の実態を調べると、今はもうないのじゃないか。しかもないと僕らは思っているのだが、あるかのごとく言って、それによってとにかく人員整理、ベース・アップ、昇給ストップということを今ごろじゃんじゃんやられておる。これは一つの基本的な権利なんですから、そういうようなけちな考えで財政再建をするということじゃなくて、もっとほかに道があろう。交際費の問題とか、そのほかいろいろな問題、そういうような問題についてはほとんど話題に上らない。もちろん交際費は知事ひとりですむ。あるいは議会の議長がたとえば八百万円の交際費をひとりで持ったというのは、ひとりですむから大したことはないが、教職員が何千名ということになると、一人千円上げても膨大な額になると、そればかりを宣伝されておるような感じであります。そういうような面はございませんか。現在の実態調査を把握して言っておられるのかどうか。三年も四年も前の実績を今ごろ宣伝しておられるのじゃないか。
  93. 後藤博

    説明員(後藤博君) 私どもは各都道府県、市町村を実態調査いたします場合に、教員の問題は都道府県の問題でありますが、最近はこまかく履歴書も引っぱり出してどういう昇給の仕方をやっているかをみております。それをみますと、やはりある程度上ってきている状況がわかるのであります。従って一般職員もやっております。一般職員の上り方よりも非常に多く上っておるところもあります。一般職員と同じに上っておるところもあります。もちろん実態調査をするときには過去もありますから、三十年度ということではありません。大体今私どもが申し上げておりますのは、二十八年度の例を申し上げておるのでありますが、そのときの状況は相当差額があるように考えております。ただ昨年からベースの昇給を押えておりますが、完全に押えております県は京都しかありません。昇給を一時押えておりましたが、あとになってさかのぼって解除したところが非常に多くあります。そのために、もちろん半分ぐらいの昇給を押えておる県は相当ありますけれども、やはり昇給は依然として大部分の県がやっております。そういう状況から、最近は非常に自粛してむちゃはやっておりませんから、そう伸びておるとは思いませんが、しかしそんなに大きな変化があるとは思っておりません。京都の方は一年間ストップしておりますから、これは何号か、少くとも二号は下の方でありますから、低くなっております。従って従来非常に高かったのが大分低くなっているとは思いますけれども、全体としては相当号俸が高いのじゃないかというような私どもは心配をしておるのであります。
  94. 森崎隆

    ○森崎隆君 関連質問とちょっと変りますが……。
  95. 後藤博

    説明員(後藤博君) それからさっき公債費と私どもが申し上げましたのは、接待費の交際費ではなくて、起債の償還費の方を公債費と申し上げたのですから。
  96. 森崎隆

    ○森崎隆君 いや、その話とは別個に私は言ったのであります。  もう一つお尋ねいたしますが、地方財政の再建問題については、いろいろ地方も中央もこれは一生懸命にやっていることはよくわかっているのでありますが、地方自治体に対して何かいろいろ示唆を与えていることがあるのじゃないですか。こうしなければ金は出さないぞということがあるのじゃないですか。そういうことを今日まで言ってこられておりますのかどうか、自治庁としてそういう方針をとっておられるのですか。たとえば再建計画を出す、いい加減に出したのでは金を出さぬぞといったような示唆があるのかないのか。この方針を一つ伺いたい。
  97. 後藤博

    説明員(後藤博君) 自治庁の関係で申し上げますと、起債と交付税の関係で、起債は許可であります。交付税の方はこれは一定の計算で出しますが、起債をつけます場合は、やはり赤字のある団体とない団体とで多少区別しております。これは計算によって引算を立てているわけであります。赤字の団体については。従って赤字の団体より優先して赤字を出していない団体の方に単独事業をつけております。ところが公共事業になりますと、そういう大きなことはできませんで、負担関係というのが一定しておりますから、大体一定の率によってつけて参ります。その場合赤字の要素を多少加味する場合がありますけれども、こういうことは普通の起債はそうでなくて、一般単独事業につきましては、やはり赤字のない団体というのをみますと、単独事業がないわけであります。起債でもつけて単独事業をやらせよう、こういう気持でつけているのであります。普通交付税の問題は別に計算で出て参りますから、どの団体も変りません。特別交付税の特別財政需要をみますときに、赤字の団体の特別財政需要を十分にみるか、黒字の団体の特別財政需要を十分にみるかという判断の問題でありますので、その場合やはり黒字の団体の特別財政需要というものをみていこう。余ればもちろん赤字の団体もみていく。災害なんかのようなやむを得ない場合には両方ともみますけれども、赤字のある団体と黒字のある団体との間で多少のニュアンスがつくわけであります。それからおっしゃいますような資金の問題、これは大蔵省と郵政省の問題でありまして、資金を借り入れます場合には、やはり再建計画があるかないかということと、最近の税の納入状況はどうなっているかとか、全体の財政運営がまじめであるか、まじめでないか、これは償還を中心にして考えているわけであります。従ってその場合に赤字のある団体とない団体との間に、やはり差別的な取り扱いというものは結果的に出てくるということはあり得ると考えております。
  98. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の起債なり交付税の問題が中心だろうと思うのです。これは一つの例ですけれども、とにかく自治庁のいう言葉がずいぶん利用されているのですが、たとえば佐賀県の例ですが、去年の九月、長官の御就任以前の問題だと思います。昨年の九月に佐賀県では赤字を落すために三億の節減を強行してやった。その三億の一億が大体人件費です。非常に県会で反対を受けたのですが、どうしてもこれをやらないと、将来お前の県は何もみないぞというのが自治庁からの強い御示唆でございますので、ぜひ通してくれということで、県会の速記録にも残っているわけであります。これは自治庁で言うのだから仕方がないというので、とうとう県会議員を納得せしめ、三億の節減を強行した例があるのであります。現在も佐賀県は相当赤字の県でございましょうが、教職員の首切りの問題が出ているわけであります。地方教育委員会では、あそこは七千四百名の教職員の数でございますが、地方教育委員会の方では全体で百六十名ぐらい、県教育委員会の方では四百名程度、ところが自治庁の方で一〇%ないし一五%切れといって、どうしても七百名以上切らなければならないのだといって、今県教委と知事とで対立している。これはとにかくあなたの方で教職員七千の一〇%、大体七百五十名、こんなことをすると大へんな問題になると思います。うそかほんとうかわかりませんよ。自治庁の方でこういう示唆があったのだから、これをやらないことには再建の計画ができないので、何もかも今後不利だからという話で、今大きなトラブルが起きているという話を現在私ども耳にしている。そういうことをあなた方上の方では知らなくても、実際自治体の係りの人と直接折衝する人々が、そういうふうな示唆というか、強制的な言辞を弄しているのかどうか、これが理由になっていませんか。一つそういう点をはっきりお知らせ願いたいと思います。
  99. 後藤博

    説明員(後藤博君) 私もこの間、自治庁が八百名とか千名とか首を切れと言っているというのは事実かどうかということを革新系の県会議員さんから聞かれたのでありますが、私どもはそういう数を申し上げたことはございません。ただほかの県と比較して従来の実態調査をいたしました結果、少し多いとか少いとかいうことを言いますが、何人多いとかいうようなことは言っておりません。同じぐらいの財政規模の県で職員はこのくらいで、一般職員はこのくらいで教職員はこのくらいだ、だから全体として多いとか少いとかいうことは、これは実態の調査を報告いたしますときに申します。しかしその結果教員を切れという結論にはならぬのであります。教職員を切っていくか、他の諸経費を落していくか、公共事業に対する一般財源を落していくか、こういう三つの方法があると思います。それをどれを選ぶかということは知事が判断してきめるべき問題であるから、全体のワクをこの程度に落して赤字を出さないようにするには三億とか二億とかいうようなものを節約する方式をとらなければ赤字を解消することはできない、こういう意見は申し述べますけれども、何人人を切れということは今まで言ったことはありませんし、私の部下もおそらく言ったことはないと思いますと、はっきりこの間も申しておきました。
  100. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の御答弁の内容から見ますると、どこで節減しろとは言わないけれども、節減は必要だ、ところが今の前項では、たとえば教職員の数は大体似た他の府県じゃこれだけだ、あなたのところは少し多過ぎるということに結果的になるわけですね。それをもっとはっきり突き詰めていきますと、多いからそれを切るべきだということは自治庁で言わなくても向うの方ではそう考えるわけですね。しかし結果としては教職員を切れ、県庁職員を切れ、何を切れということは言わないが、一つのモデル・ケースは与えてそれで善処をさせるというわけですね。具体的には指令というものはないと思いますけれども、相当強くそういう点は言っているわけですね、その点は。
  101. 後藤博

    説明員(後藤博君) 一等最初に人件費の問題について申し上げましたように、財政的に見ますれば、人件費というのは数と単価をかけ合せたものであります。従いまして人件費を減らす方法というのは、人数を減していく方法と単価を押えていく方法と三つございます。従って、簡単に人数を減らせという結論は出てこないのであります。たとえば昇給を全員しないで二割なら二割ぐらいするという方法によって財源を出す方法もございます。それからそうしないで全然単価にはあれしないと、人間を減らさなければならない、こういうことになるわけであります。従ってわれわれの方でもどちらの方針でいくかということは判断ができないのであります。これは府県等の比較の問題もあります。それから中の職員の構成の問題もありますから、だから人数を何人切れということでなくて、収支を見まして収支の合わない部分を一体どこで節約していくか、それを長期の場合にどこでどういうふうにして落していくかという計画を立てていきなさいと、こういうような指示をするわけであります。それを基礎にして各県が五年とか七年とかの年度計画をいたして参ります。この席上でも申し上げたのですが、佐賀の場合には単年度で黒字に転化するのはむずかしいのであります。そこにおきまして、二、三年再建整備をやっても恐らく赤字が出るだろう、できるだけ赤字を作らないようにして国の財源措置を待っていく、それから二、三年以後はもちろん黒字を出すことになりますが、その財源措置があればこの赤字が消えるようなことになります。従って普通の県で五年かかるところは七年か十年ぐらいかかりはしないか、こういうふうに考えております。従って長期の計画を立てて、その計画の上に立って節約の限度を県の方で判断していただきたい、そういうふうに見ております。その場合に人件費がありますし、事業の量がありますし、いろいろな問題がからんできますから、われわれの調査した結果を一部分だけ取り出して、そこだけ抜き出してやるというようなことはやめてもらいたい。この間福岡でそういう問題がありましたから、私どもとしては福岡に対しても同じようにわれわれの調査の結果を総合的に再建計画の中に入れていただきたいと申し述べておいたのであります。一つだけ都合のいいところだけ取ってやられてはいろいろな問題を起しますから、やはり全体の調査の結果をまとめて、それを節約の方向に使ってもらいたい、こういう意味の指導はいたしております。
  102. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 森崎委員の質問に関連してですが、起債の問題ですね。長官は、この前のお話でも、あるいは先ほどお話でも、二十九年度の再建整備法に基く過年度の赤字の解消としては、あるいは百五十億といい、二百億といい、そういったのでとりあえずの措置をして、三十一年度で十分考えてみたい、こういうお話なんですが、そこで私は、前々から地方団体の一番むずかしい点はいろいろありますけれども、要するに国の場合と違って、いわゆる不交付団体と交付団体とがじぐざぐに入り乱れておる、こういう点が非常に地方財政というものに対する見通しを困難ならしめると思うんです。そこで従ってそういうような関連からもいたしまして、現在の起債政策と申しますか、それに関連して起債というものがほんとうに必要なところに十分行き渡らない。しかも今の後藤部長のお話を聞いても、赤字の出たところはむしろ財務局の方では貸したがらない。最近の話ではなお郵便貯金の伸びが少いので郵便貯金の伸びをみた町村に貸すというような話も聞いているんです。従ってお聞きしたい第一点は、そういう行政目的に合うような起債運営の方法、言いかえるならばほんとうに必要だと、赤字かどうかという点もさることながら、あるいは郵便貯金の伸び縮みということにかかわらず、一体行政目的に合うような起債の考え方というものがどういうふうにして大蔵省と話をつけ、どういうふうに財務局と指導せられておるか、その点をお聞きしたい点が一つ。  それから第二点は、現在の起債のワクが最近のように郵便貯金が必ずしも伸びないというところでますます資金面で起債のワクが縮まってくる、従ってそういう観点から言うならば、最近オーバー・ローンの問題も解消しているんですから、町村あるいは府県等においてもいわゆる収支のとりあえず償うものですね、たとえば水道であるとか、言いかえるならば償還年限とそれの歳入とが見合っているようなものは、むしろ政府資金によらずして公債なら公債、公債と申しますか、一般市中銀行なら市中銀行の方で、政府の方であっせんするなり何なりして、今のような政府資金というものから外してゆく考えはないかどうか。  それから第三点は、そういう観点からもう少し政府資金にだけ頼らずに、いわゆる相当の不交付団体もあるんだから、自治体が相互いに助け合う、こういうような観点から、政府ももちろん若干出資するなりして、しかも不交付団体もその財政の余裕と申しますか、そういうものに応じて出資して、そうして自治的な自治金庫のようなものを設けて、何か現在の地方財政の緩和策の一つとして、そういう自治的な方法も考えられないのかどうか。特に町村においては共済資金といったようなものがあるようにも考えておるので、そういうものの活用等から見ましても、若干そういう点も考えられないのかどうか、その辺を一つお聞きしたいと思うんです。
  103. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 今のは政府委員から御答弁いたしますけれども、ちょっと衆議院ですぐ済むからということですが、いかがでしょうか。
  104. 伊能芳雄

    ○理事(伊能芳雄君) 高橋君どうですか、大臣の方から特に聞きたい点は……。
  105. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そこのところは後藤君に……。
  106. 伊能芳雄

    ○理事(伊能芳雄君) 森下君どうですか。あなたの御質問はぜひ長官に聞きたいことですか。
  107. 森下政一

    ○森下政一君 長官に聞きたいことですが、やむを得ません。
  108. 後藤博

    説明員(後藤博君) 起債政策の問題についてのお尋ねでありますからお答えいたします。私どもは起債というものはやはり本来起債事業につけていくという建前に立つものだと考えております。今まではあまり財源的な見方をし過ぎている。ここにまあ一つ公債費の問題があるのでありますが、従って一挙に起債事業中心の起債に置きかえていくということは、現在の財政計画の上からはちょっと無理であります。できるだけ起債本来の目的の方向に持っていこうということを私一昨年からやっておるわけであります。そういう意味で起債事業中心考えていく。その場合に赤字のあります団体と赤字のない団体をどういうふうに見ていくか。純粋に言って起債事業という考え方からいたしますれば、これは赤字があろうとなかろうとやはり問題は同じであります。しかし問題は単独事業になって参りますと、やはりやるかやらないかという判断の問題も必要なわけであります。従って私は優先的に黒字の団体につけていくという考え方をまあとっているわけであります。しかしこれは現在の地方団体の状況のもとにおいて、起債のワクが少い関係からいたしましてやむを得ないものと考えておりますが、本来はそうでなしに、やはり起債事業中心考えていくべきものであると、かように考えておるのであります。  第二の点は公営企業債につきましてのお話だと思います。一般企業債、一般公共事業の起債と公営企業の起債との問題は、おっしゃるような公営企業関係につきましては政府資金以外でやったらどうか、こういう御意見も私どもは今まで各方面から拝聴いたしております。しかしただ考えなければなりませんことは、公営企業はそれ自体がペイする企業と考えております。従ってコストの問題がからんで参ります。できるだけコストを下げるということが住民の福祉にマッチするという考え方からいたしますれば、できるだけ政府資金を多く使っていった方がよろしい。こういうことにもなるのであります。一挙に私は公営企業債を政府資金以外の一般の金融機関に求めるということは、私は現在の地方団体の段階からちょっと無理ではないか。もう少し政府資金をやはりまぜて、コストをなるたけ上らないようにしてもらいたいという気持があります。ただ私どもが公営企業と申しておりますものは、電気事業、水道事業交通事業、病院事業、市場とかそういうものがいろいろ段階があります。その中で完全にペイしない企業もあります。病院を全部ペイするものとは私ども考えておりません。病院も場合によってはペイしない場合があります。それから交通もペイしない場合もありうるわけであります。それから市場なんかになって参りましても、やはりなかなかペイする段階になるまでは相当の時間がかかるのであります。そういうことで公営企業の中でも非常にニュアンスがありまするから、やはり政府資金をまぜてコストを下げていくということを考えていくべきではないか。ただ私は絶対量の問題としては公営企業もふやしていきたい。今二百六、七十億の公営企業の起債を毎年つけておりますが、これは漸次ふやしております。毎年二、三十億づつふやして参っておりますが、このふやし方では足りないので、少くとも四百億程度のものは公営企業として起債を確保したい。そのためにはやはり一般公共事業の方の起債のワクを落していくという方法でいくべきではないか。起債の総量もやはり千億ぐらいからの総量というふうに私ども考えて、そういう意味で資金を持っている官庁、それから金融機関等と折衝いたしておるのであります。  それから第三の問題は金庫の問題であると思いますが、これはおっしゃいますように、私ども何らか特別な金融機関と申しますか、そういうものを持ちたいと考えております。これは非常な抵抗があるのでありますが、各方面の非常な抵抗がありまするので、その抵抗の少いような方法でもって考えていくということを今まで考えてきたわけであります。依然としてその金融機関を作るという気持に変りはございませんが、少くとも現在各共済組合その他にありますところの資金を有効に使う方法はないものかというようなことでいろいろ研究をいたしております。私ども来年度も何とかそういう施策を基礎にした機関の設置の法律案を出したいものと現在検討いたしておる次第であります。
  109. 森下政一

    ○森下政一君 先日のこの委員会で、大蔵大臣が地方財政の赤字の解消について大蔵省としてどういう考えを持っておるか、われわれの見るところでは、何とか抜本的な財源措置についての大臣が決心を持ってくれなければこれは容易でないという感じがあるのですね。そこでそういう点についてただしてみるというと、大蔵大臣の一応の答弁は、赤字ができた原因というものは国の責任ばかりではない、地方団体みずからも反省して責めを感じなければならぬ部分もあるのだから、よく地方団体側が深く検討してみて、将来赤字の出ないように方策を講ずるということがなければ、一方的に大蔵省だけに財源措置を云々されてもそれは無理だ、やはり地方団体側が赤字をなくするということについて過去を反省して協力するところがなければならぬ、そうでなければ、ひとり大蔵省だけを責めるのはおかしいというようなことを言うた。それは理屈はそうなんですが、一応理屈もあると思うのだ。その後新聞その他に大蔵大臣の言として出ておることを見ても同様のことを言うておる。そこで今私どもの了解しておる範囲では、今度の臨時国会ですべてが再建されるとは考えていない。少くとも二十八、二十九、この両年度の赤については、今本院として継続審査になっておる再建措置法というものが成立すれば何とかできる。ことに二十九年度については財源的に今直ちに財源措置は要らないのだから、あれさえ成立すればそれでいい。そうして三十年度に想定される赤字。これはなんぼであるかおっしゃらないけれども、これについては必ず財源措置をする、その方法についてはこうこうこういう方法が考えられるということを言われて、まだ最後的に決定を見ていないからここで言明の限りではないけれども、必ず財源措置を断行されるということを長官は言われた。そこのところまでは私は今度の臨時国会で解決が必ずつくものだと思っておる。同時に川島自治庁長官がしばしば言われるように、三十、三十一両年度にわたって解決しなければならないと思うので、今度通常国会になってくると抜本的な解決の方策を講ずる、具体的に政府が提案してわれわれの協力を求める、こういう態度になるのだと考えておるのですが、そのときに、たとえば地方に対して新たなる特別財源を大蔵省が与えるという態度をとるか、何か抜本的なやはり財源措置を講ずるところがなければならぬと思う。それはあなた方も期待されるのではないかと思う。そのときにそれを得やすからしめることのためには、大蔵大臣が口癖に言う、地方団体側も赤字の責任を感じて協力しなければならぬということをしょっちゅう言うのでありますが、そんなら大蔵省がそういうことを言うなら、地方団体にこういう点をこういうふうに反省してほしいとか、あるいはこうやってほしい、こういうようなことについて何か示唆を与えられておるかときのう聞いてみると、われわれは監督官庁ではないのだから、大蔵省からは何も言うていない、何も言うていないということで一方的にそういう考え方を持っておる。これはやはり監督官庁は自治庁だと思う。大蔵省がそういうような意向を持っておるのなら、あなたの方で絶えず、たとえば特別国会が済んでから以後でも、各地方団体に赤字再建整備に対して何かの示唆を与えておるかどうかということを私は聞きたい。何か少くともそういうことをあなた方が努力しておかなければ、大蔵省から将来抜本的な財源措置を受けるなんということは画餅に帰する心配があると思う。何かその点について努力しておるのですか。
  110. 後藤博

    説明員(後藤博君) 現在大蔵省関係の財政懇談会とか、税制調査会、私どもの方の地方制度調査会等でやはりその問題がいろいろ議論されるのであります。私ども従来地方団体の悪かったところも率直に認めておるわけであります。しかし将来の問題はやはり財源的措置をすると同時に、あわせて従来の不合理であった点を合理化する方法をやはり考えなければならぬ。その方法としていろいろあると思いますけれども、大きな問題として、先ほども小幡さんからもおっしゃいましたように、消費的な経費の中では給与費の問題が一つ、これを合理化する方法をどうするか。これは単に地方団体だけが合理化しようとしても簡単にできる問題ではない。給与の合理化ができるような環境を作るところのいろいろな施策ないしは財源措置をやはり講じてもらいたい、これが一つの問題。それから投資的な経費の公共事業に関連して公債費の問題、従来この公債費の問題は財源的に考えていましたが、その財源的に考えてきたために公債が貧弱団体に多くなっておる。それを一体どういうふうに将来考えていくのか、それに対して財源措置をするかしないか、この問題が公債費の問題であります。それから公債費を同時に将来圧縮するところの可能性があるかどうか、圧縮するとすればどういう方法をとるべきであるか。この問題につきましては、やはり地方団体だけではできません。これはやはり国が協力してもらわなければできないのであります。  それから公債費に関連をいたしまして、公共事業の問題がある。公共事業負担が現在できないような状態になってきております。従って公共事業のあり方をどうするか。それから一般補助事業についてもやはり同じようなことがあります。負担のないように、負担を少くするようにしてもらいたい。そうしなければできない段階じゃないか。そういうこともあわせてわれわれは申しております。大きな問題は以上でありますが、大蔵省あたりで財政規模の圧縮をしよう、全体の圧縮をしようということを財界の人も、あらゆる方面の人が申されるのでありますが、圧縮できるような態勢に地方団体を置いてもらいたい。そういう環境を作るために必要な施策を講じてもらいたい。これは私どもの方としては、自治法以外に地方団体に関連した法律がたくさんございます。そういう現在の地方団体を縛っておるところの法律考え方を変えて、そうして財政規模が圧縮できるような方式を考えてもらいたいということを言っておるわけであります。その上に立って将来の財源措置考えてもらいたい。財源措置の問題は最後の問題として、以上のことができなければ財源措置だけをするという結果になります。以上のことがある程度できれば財源措置はしなくても済むのではないか、こういうふうな観点から話し合いをいたしておるわけであります。国の予算の査定が始まって参りまして、私自体もわれわれの要求もある程度反映させようとしていろいろ努力をいたしておるのであります。単独で努力すべき問題と、そうでなくて、大蔵省だけの問題でなくて、やはり各省の問題がございまして、各省の方の問題につきましては、これはいろいろとそれぞれの手を通じて改善をはかっていくようなふうにいたしていきたいと思っております。
  111. 森下政一

    ○森下政一君 ただいまのお話へんけっこうですが、そこで今おっしゃったような、たとえば経費の圧縮というような問題は、大蔵省だけを相手にして片のつく問題ではないので、こういうことについて何か自治庁として積極的に各省の協力を得るような工合の何か方策を講ずることがなければならぬと思うのですが、それは閣議で大臣に検討せいといってもあらゆる面から容易でないと私は思うが、どうですかね、そういう点は。
  112. 後藤博

    説明員(後藤博君) これは個々の問題になってくるのでありますが、たとえば公共事業の問題として私ども負担関係を少くしていくということが一つの方向だろうと思います。たとえば道路につきましては、昨年の改正でもって補助率が非常に上りまして、地方負担が非常に減っております。道路の問題は一応片づいておりまして、河川とか、港湾の問題、この補助率を変えていく問題、地方負担を少くしていく問題、絶対量の事業量が落せなければ、補助率を上げていって負担量を落す、こういうふうな問題があります。  それから市の失対事業ですね。失対事業の現在の負担関係が今の調子でいいかという問題と、それと関連して失対事業に起債をつけておりますが、この起債をつけるのがいいか悪いかという問題がからんでおります。これはそれぞれの官庁と連絡をとって予算要求の場合にやはりわれわれも共同で負担を落していこう、改善をしていこうという努力はやっております。
  113. 伊能芳雄

    ○理事(伊能芳雄君) ほかに御質問ございませんか。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  114. 伊能芳雄

    ○理事(伊能芳雄君) じゃ速記をつけて。  行政部長の方から町村合併のその後の状況を御説明願いたいと思います。
  115. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 町村合併で、その後問題になっている事柄について御報告申し上げたいと思います。  大体最近の状況は資料でお配りしておきましたが、ちょうどこの十月一日で促進法が出ましてから二周年になりますから、その二周年間における概況を一応数字だけとりまとめて作っておいたのをお配りいたしたのであります。特定の状況はその表をごらん願えばおわかり願えると思いますが、二年間で全体の計画の八四%、こういう数字になっておるのでありますが、ただこのわれわれが当初政府考えた計画よりも、各府県におきましての確定計画がもう少し規模が大きくなっておりますので、その県のそれぞれの具体的の計画に比較いたしますというと、七七%という状況でございます。これも御承知通り県によって非常にアンバランスがありまして、もう九〇数%いっておる、ほんとうに数カ町村しか問題が残っていないというところと、そうでないところと今あるのでございます。これはまあこの表をごらん願えばおわかり願えるだろうと存じております。いろいろな形で一応数字だけでございましたが、作っておいたのであります。それからそのあとの方に町村合併の結果経費の節減がどの程度になっているかとか、あるいは議会の議員の数の増減がどうなっているかとか、それから合併が進むに伴うて都道府県の出先機関の機構改革がかなり進んでおりますので、地方事務所の廃止という形で現われておるわけでありますが、その現況もとりまとめて作っておきましたから、ごらんを願いたいと思っております。こういう数字は時々刻々に変って行っておる状況でございます。そこで合併は最近選挙がありましてから、正直に申しまして一段落、ストップの形になっておりますが、選挙後もう数カ月経ちましたので、ぼつぼつそれぞれの府県でも合併の動きがありますし、われわれといたしましても、これからもう一ふんばりで最後の仕上げをやるように努めたいと考えておりますとともに、一面におきましては、新しくできた市町村の指導と申しますか、内部組織の運営の合理化という面につきましての指導を強化する必要がある、こういう考え方で大体でき上った市町村の育成という問題をあわせ考えながら、残った町村の合併をできるだけ推進することを考えていきたいという考えでおるのであります。   〔理事伊能芳雄君退席、理事小林武治君着席〕  しかし残っておるものはいずれもそれぞれ困難な事情がありますが、それぞれの県の事情を見れば、だんだんに進むであろうという見出はつけておるのでございます。これはどういたしましても来年度の九月で促進法が消えますので、その消えるまでどうするか、消えたあとどうするか、そういう問題につきましては、それぞれ立法的にも検討をすべき問題があるのじゃないかと存じておるのでありますが、これはまだ検討の段階でありまして、もう少し時期が進めば具体的な方策を考えて、またいろいろ御意見を拝聴しなくてはならぬ、こういうように考えておるのでございます。  それからもう一つの表は、これはこの委員会でもお話がありましたが、従来の新町村建設計画というものについての実施の状況がどうなっておるかと、こういうので二十九年度の事業計画とその実施の状況、それから三十年度、三十一年度の資料というものを一応まとめておいたのでございます。二十九年度の事業計画は、これはごらん願いますとわかりますが、相当事業計画に対して仕事もある程度進んではおるのであります。しかしそれはなかなか思うようにいっておらぬというのが事実でございますが、この計画と実施の割合を表にして出してありますので、ごらんを願いたいのでありますが、それは大体まあ半分ちょっと欠けておりますが、そういう程度の計画で四一%という数字が一応出ておりますが、その程度は計画に対して実施が進んでおる、全体としてそういう数字が出ておるのであります。三十年度になりますというと、もっと合併が進んでおりますので、合併新町村が非常に多くなって、おそらくはそれに対する国の事業費、補助費はそれほどふえておりませんから、この割合のようにはこれは正直に言っていかないだろうと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、なかなか建設計画が進まないという批評の多いのは事実でありますが、着々と進みつつあるというのもこれは事実でありまして、われわれといたしましては、いたずらに膨大な実施のできないような計画でなしに、実施可能な堅実な計画を基礎としてこれを逐次実現していく、それに対して国としてできるだけの援助を集中していく、こういう方針を今後と言えども進めて参りたい、こういうように存じておるのであります。これはまあ大体の概況であります。  それから、なお最近の問題では、自治庁の方で問題になっておりましたのは、まあ名古屋の合併の問題と、それから神奈川と静岡の間における泉地区帰属の問題がありましたか、名古屋の問題は自治庁、総理大臣の裁定で一応落着を見まして、その後現地におきましても、総理大臣の裁定の趣旨に従って一応おさまっておりまして、その後県と市の方でさらに今後のあり方をどうするかということについて問題を協議する段階となっておるようであります。それから裁定を受けました町村は入るものは入りましたし、入らぬことになった町村も一応は今のところ平静に帰して、次の段階の動きを見守っておるという状況のように見受けられるのであります。ただ一部ちょっと、まあこれはいろいろ合併問題について考慮しなければならない問題になるかと思いますが、名古屋市に入る合併がきまった町におきまして、市に入る直前に今まで反対しておった者をいわば除名するというか、何かそういう懲罰的なものをやろうとした議会がありまして、まあわれわれといたしましても、はなはだ遺憾で、合併にきまった以上はみな仲よく入ってもらわなければ困る、こういうので県や市の方に話をして、一度除名したのを取り消すようなことを強く申し渡しをしまして、市に入る前日そういう処分をしたというような事例もありました。それを見ますというと、合併、非合併でずいぶんいろいろけんかしたしこりがそこまで残っておったということにもなるのでありますが、まあ幸いにしてその後話し合いが円満に進んだので、今は何ともないと考えております。  それから泉の地区の問題が今われわれの手元に残っております係争事件の最後の一つでございますが、これにつきましては、紛争調停委員の方で、紛争調停をするためにいろいろ御苦労を願っておりまして、一ころまた調停が近いという時期になりましてから、現地の空気が相当また険悪——険悪ということは語弊があるかもしれませんが、緊張いたしまして、賛否それぞれ緊張した空気の中にこれはある、それから現地からも相当目立った陳情等が中央に行われたのでありますが、これに対しまして、調停委員の方におかれましては、そうした差し迫ったような空気のもとにおいては、とうてい平穏に調停を受け入れる空気がないので、そういう状態のもとにおいては調停を出すわけにはいかぬ、あくまでも現地を平静にして、十分調停を受け得るような態勢に置くことが先決問題である、こういう強い態度で現地を指導せられまして、幸いにして最近現地の方でも事態を平静に帰して調停を待つということに両県知事、県会の正副議長等も約束をいたしまして、現地もそういう態勢で今おさまっているのでありまして、この事態を基礎にして調停委員の方におかれましては、そのうちに、最も早い機会に調停案をお出しになるものとわれわれは考えているのでありますが、その調停によって事態がおさまることを切に期待いたしておるのでございます。  それからもう一つ総理大臣のところまできておった事件として、神奈川の平塚の周辺の合併の問題が一つあったのでございますが、これは総理大臣の裁定を求めておりましたが、その後平塚の市長の新しい選挙がありましてから、平塚の市長の方ではあれは大野という町を飛び越して合併を数カ町村が強行しようとしたところに問題がありましたが、そういう無理な合併をやるのは適当じゃない、やはり合併はまず順を追って隣接の大野町から話を片づけて、それからその回りの町村に話を進めるべきだというのが新しい市長のお考えで、そういうことで問題を処理するように現地で進められておりますので、われわれもその処置が適当であろうというので、これもまあ一応問題は落着をいたしておるのであります。いまの泉の問題がどういう形になりますか、一応平穏に調停が出て、それに服することができれば、まあ中央にきている問題は一応は落ちつくのじゃない、だろうかと存じておるのであります。まあ一応それぞれ具体的なことにつきましては、いろいろ問題があるのはこれはもうお聞きの通りでございますが、一応私の方からそれだけの概況だけを申し上げておきたいと存じます。
  116. 小林武治

    ○理事(小林武治君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止〕
  117. 小林武治

    ○理事(小林武治君) それじゃ速記を始めて。  官房長官がみえましたから、質疑のある方は御発言願います。
  118. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 前回官房長官にこの委員会の席上、官庁における寄付金の抑制について御質問申し上げ、また御注文申し上げて、その節ぜひ実行するという御確約になった。そのときにあわせてそれらに関してどういう措置をとったかというような書類をできるだけ集めて、この委員会に御提出になるようにという希望を申し上げて、これもお約束下すったんですが、これにつきまして、その後どういう措置をとって、どんな結果をもたらしておるか、お聞きしたいのであります。
  119. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 先般本委員会において御要求のありました点につきましては、一応書類をもって事務当局から提出しておるはずでございまするが、この機会に一応政府のとりました措置について御説明申し上げます。  先般も申し上げました通りに、昭和二十三年一月三十日の閣議におきまして、総理から本院における要請に対する総理の発言に関しまして、直ちにこれが閣議で問題にされまして、閣議におきまして、官庁における寄付金等の抑制について一月三十日の閣議決定をみた次第でございます。これは前国会のときでございましたか、そういう状況でございました。なお先般のお申し出によりまして、私から各官庁に対しまして、さらにこれを事務的に推進すべく指示いたしましたが、内閣甲第百十三号によりまして、九月二十八日にこれはさらに指示をしております。なおまた九月二十二日はこれは次官会議におきまして、田中副官房長官から同様なる趣旨を次官に示達しておる次第でございます。これに対しまして、各官庁における措置状況でございまするが、従来の例によりますれば、警察関係が非常に多いのでありまするが、警察庁といたしましては直ちに警察援護会等による寄付の廃止について九月二十六日、これは七月二十二日の各管区警察局長会議において右の点を示達するとともに、八月十日の全国都道府県警察本部長会議においてもその旨を示達したということであります。それの回答が九月二十六日に参っております。この示達した書類の写しも伊能委員にはもうすでにお手元に差し上げておるはずでございます。それからその次には、法務関係におきましては、これは岸本次官から九月の八日に本省の各部局課長、検事総長、検事長、検事正、地方法務局長、矯正管区長、拘置所長等、所管の官庁に対してそれぞれ示達をいたしておるようでございます。また大蔵省におきましても示達しておりまするが、大蔵省関係は従来そういう例がないようでございまするが、にもかかわらず示達をしております。それから労働省関係におきましては、ほとんどあまり前例がないようでありまするけれども全国労働主管部長、労働基準局長会同等、その他の会同において次官から示達をして、そういうことのないように手配しておるようであります。それから建設省におきましても、これは内閣において決議して直ちに手配するとともに、二月の六日に官公庁に対する寄付金等の抑制等に関する件というものを部内各局長、各地方建設局長、技術研究所長、地理調査所長あて手配をしているようであります。  右のような次第でありまして、従来法令に基かざる寄付金等について問題になった省においては、それぞれ手配をいたしている次第でございます。  なお他面におきまして、その結果がどういうふうな成果をおさめているかということについて行政管理庁の監察部で調べさせておりますが、この示達の結果、おおむね各自治体において自粛をしている向きが非常に多いのであります。ある県のごときは、これは徳島県でありまするが、徳島県の町村会においては、寄付金負担金等廃止抑制の対策要綱決定してそれを実施しているというような工合であります。その他各地においてこういうふうな動きが出てきたことは、相田効果をあげ得るものと考えております。ただその間において、地方においても異りますが、一部心配している向きがあるようでございます。それは警察、法務省等における庁舎、宿舎、こういうものの寄付が地方自治団体で行えなくなった半面において、一部のボスどもが、地方公共団体ならざるものが特定の寄付をやるのではないか、それが非常に心配である、こういう向きの報告もございます。こういうことは厳にそういう弊害のないように、それもたとえば普通の赤い羽根の醵金とか、そういうものは別にいたしまして、そうでないものが、たとえば学校を建築して寄付するというなら別ですけれども、何らかの官庁の一つの特定のサービスをすることによって特定の利益を受けるようなことについては、これは各省においてなさざるように注意させている次第でございます。  概要右のような次第でありまするが、全体として非常にどうも金額が多く寄付金に要請されているわけでありまして、これの禁止の措置はいたしましたが、要するにこれも結局政府の予算が足らないというところに起因するということで、結局は当然国において行うべきことについては予算措置はそれに見合うように措置をするということもこれは必要なことであろうと思いまして、先般も実は大蔵大臣に対しまして、こういう規制の措置を講ずるとともに、予算査定においては無理のない——もとより財政の逼迫している今日でありますから、全部やることはできないにしても、やるとするならばその点は予算でまかなえるような査定をして、従来のように地方自治団体の寄付があることを予定して単価の査定においてしぶいようなことをしないようにしてほしいということを申し上げている次第でございます。
  120. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今の大蔵大臣に長官から希望されたようなことは、これは当委員会からも私から強く大蔵大臣に要望してあるのであります。本年度の予算の執行についても、土地は地元負担とか、建物の外側だけは地元負担というようなことで施設をしなくちゃならぬようなものはないかといって突っ込んだところが、そういうようなことは毛頭ありません、きれいに答弁されたわけであります。そこでなおお尋ねしたいのは、警察庁長官と法務省の問題は直接当委員会であなたに来ていただくよりも先にやったので、それに基いて報告したものなんで、これは直接私どもこの通牒の写しをいただいているのです。その後にやられた大蔵省の措置建設省措置、労働省の措置というものは私どもの手元には何らないが、どういう措置をしたか、今私ははじめてお聞きするわけなんですが、何か書面でやられた分についてはその写しをいただきたい。
  121. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) これは事務当局から報告するように官房副長官から申しておると聞いていたのですが、措置をとったことについては私どもの方には報告がきているわけですから。
  122. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 それでは一つ大蔵省、建設省、労働省については措置したことをもう一回督促して、当委員会の方に御提出していただくようにお願いしたいと思う。なお今のお話の中でまだなかったもので、一番大口の問題があるのは文部省と厚生省なんです。それから裁判所の方はこれはまあそういうことは政府として言えるか。どうか私はよくわかりませんが、裁判所の方にも協力を求めてもらいたいと思う。
  123. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) これはやっております。最高裁判所長官事務総長には連絡しております。法務大臣からその点は連絡しているということでございます。
  124. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そこで今の文部省、厚生省、裁判所の方でそういうような措置をされた分について、なお同じく当委員会にそういう写しの書類を送っていただきたいということをお願い申し上げておきます。
  125. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) ちょっと参考のために申し上げますと、国に対する寄付金の機関別の寄付率を調べてみますと、従来によりますると、国警が二六・八一%、法務局が二・五五%、検察庁が一・一八%、裁判所が〇・五七%、国立大学が二七・七四%、税務所が〇・一七%、国立療養所が一・四六%、海上保安庁が〇・二六%、郵政関係が〇・二七%、食糧事務所及び統計事務所が〇・七二%、職業安定所、労働基準監督署及び労働基準局が〇・二七%、測候所が〇・二八%、その他の関係が一〇・六五%、国鉄が六・二九%、専売公社が〇・二五%、電信電話公社が〇・八九%、こういうことになっております。それで御指摘のように一番大きいのが国警と国立大学、こういうことになっております。ところでこの状況を聞いてみますというと、強制的に割り当てたものではなくして、実は国立大学は新制大学設置に関連しまして、地元においてこれを提供することによって誘致したというのが従来の例でありまして、文部省当局並びに政府が強要したことは全然ないようでございます。それから法務関係なんかにおきましても、実は検察事務所か何か作るときに、ぜひこういうふうにして準備をしたから設置してくれということでやられているわけでございまして、その他のものもこれはほんのごくわずかでありまするが、やはり新しい町村合併ができたから、どうしても自分の方にはこういうものを作ってもらわなければならないというようなことで議決されてきている、こういうものが多いようでございます。従ってこういうこともやはり必要とありますれば、予算措置を講ずべきでありまして、決して政府から強要したことはないということで、これはそういうことを黙認する筋合いのものではないということで、次官会議においても十分にその点は注意をいたさしている次第でございます。
  126. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今のお話のように強要したものではなくても、本来全体の立場から、国という立場からどこに置くべきだということが当然あるはずなんだ。いわゆる国の施設としてはどこに置くことが適当だというものが出てくるわけですが、それがそういうもので誘致されるものですから非常にゆがめられた、つまりそういう負担力のある所に取られてしまって、国家的に必要な所にいかないという場合もあわせて考えなければならないと思うのです。一つこの点は今後とも一そう御励行を希望しておきます。  もう一つ寄付金関係がないのですが、前回にもここで御質問申し上げました臨時国会の問題は、その後においていろいろな経過もあったようですが、今のところにおいて、臨時国会の召集の見通しはいつごろであるか、お伺いしたいと思う。
  127. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) これは本委員会において御要請のみならず、社会党からも自由党からも要請がありまして、それぞれ関係各省を鞭撻しているのでありますが、主として今問題になっておるのは地方財政関係の問題でございまして、実はこの前に要請されてから後も直ちに次の閣議におきまして、私から申し上げるとともに、総理からも自分が各党の国会対策委員長の諸君に会っとたきも、十一月上旬にできるだけやれるように準備せいという指示があったわけでございます。本日も実は閣議前に大蔵大臣と私が単独に会談をいたしまして、これは自治庁の地方財政計画と大蔵省との関係が一番重大であるので、できるだけすみやかに両者の意見の調整をはかって、財政上、行政上措置すべき問題についてはすみやかに結論を出すようにしてほしいということを強く要請しておいたのでございます。大蔵大臣は当然それは考えておるわけでありますので、やはり三十一年度予算の見通しというものとの関係がなければ、補正とか何かということはなかなか困難である、特に本年度のいわゆる自然増収というものはどの程度であるかということの見通しも十一月の末にならなければわからない、現状においては財源措置をするところの予算の余裕は全然ない、そこで苦慮しております。そこでどうしてもいわゆる本格的な予算措置ができないとするならば、融資とか何かということで考えなければならぬじゃないか、こう私が強く要請しておったわけであります。引き続いて閣議終了後川島自治庁長官のおいでを願いまして、その点を督促したのであります。それで自治庁長官としては、本格的にはどうしても財源措置をしなければこれはいけないという考えで、いろいろと研究しておるようであります。ところが大蔵省との意見の調整がとれない、そのためにやむを得なければこれは他の金融措置なんかを考えなければならぬかもしれぬけれども、自治庁の方としてはどうも財源措置をして出すのが至当と思うので、今なおその折衝を続けているという、こういう状況でありまして、両大臣に対し今日実は私が本委員会の出席を求められておりますので、呼び出された項目は寄付金等でありましょうが、当然この問題も出るであろうから、私は常に両大臣に要請しておったが、その後の状況はどうかということを聞きましたら、今のような状況でございます。従いまして、現在のところ私からいつごろかということを申されても、確定的なお返事はできませんが、いずれにいたしましても、十一月上旬を目途として開催するようにという総理の趣旨はどこまでも貫くために関係省を鞭撻しておると、こういう次第でございます。
  128. 小林武治

    ○理事(小林武治君) 今の問題でありますが、この前の委員会では準備のために相当の期間を要する、こういうお話で、きのう今日とお話をいろいろ承わったところが、ほとんど準備をしておらない、いわば何もしておらない、こういうふうにおっしゃっておるのであります。特にきのうは大蔵省の事務当局が参りまして、前の委員会で官房長官が言われたような三つの方法等についても何らする意向がない、またこの臨時国会で財源措置を三十年度のためにするということは適当でない、こういうことをはっきり申しまして、要するに事務当局としては何もする意向は今ないと、こういうことで、この前の自治庁長官あるいは官房長官の言明とは全く相反する答弁をされておるのであります。先ほど自治庁長官に聞きますれば、長官は何らかの財源措置を必ずするということをここで断言されておったのでありまするが、しかし補正予算は組まない、こういうふうなことからいけば、これらに対する期待はできないと思いまするが、前回の官房長官は何らかの措置をするとこういうことを言われておりますが、その点は今も変っておらぬかどうかということをお伺いしたいと思います。
  129. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 御指摘通りでございます。それで実はきのう何か本委員会におきまして、大蔵省の事務当局が全然それをやる意思がなしと言い放しのような形であるということを仄聞いたしましたので、実は大蔵大臣に対してきょう閣議前に会見を求めまして、それは大蔵省の事務当局考えもあるだろうけれども、しかしこの際善処してほしいということを私からも実は要請しておるわけでございます。そこで大蔵大臣も自治庁長官と直接折衝して、とにかく善処するようにということを私からまああっせんしておる次第でございます。
  130. 小林武治

    ○理事(小林武治君) これは前々申すわけでありまするが、この前の両長官の言明の点から言うても、この臨時国会というものが地方財政再建のために非常な重要な意味があると、また地方団体、また一般世間もこれに対して非常な期待をしておる。従ってその期待にそむかないような一つ臨時国会の内容にしていただきたいということを特に申し上げておきたいのでありますが、その辺につきまして、今後の政治的取扱いと申しますか、こういうことについて遺憾のないようにぜひ願いたい。と同時に一つこれはお話のように何とか十一月上旬にこの国会を開くようにしてもらいたいということを一つあらためて委員会としても要望しておきます。  では本日はこれで散会いたします。    午後三時四十四分散会